約 1,871,423 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1436.html
ルイズの部屋へ戻ると、ルイズがベッドの上で本を広げていた。 やけに古ぼけた大きな本だ。 ルイズはそれを見ながらなにやらぶつぶつと呟いており私が部屋に入ってきたことにも気づいていないようだ。 いったいどんな本を見ているのだろうか? ルイズの後ろに回って本を覗いてみる。私が部屋に入ったことすら気がつかないのだからこれも気がつかないだろう。 ルイズが見ている本にはなにも書かれていなかった。 真っ白いページを見ながらルイズはぶつぶつと小声で呟いている。小声なので何を言っているかはわからない。 もしかしたら魔法の本なのだろうか?読んでいる奴にしか見えないとかそんなやつだ。 だから私には見えない。もしそうでなかったらルイズの気でも違ったのかもしれない。気が違う理由が無いので違うと思うが。 とにかく私には関係ないことだな。 そのままルイズを放っておき椅子に座る。 するとルイズがこちらを向いた。 「あれ?いつの間に帰ってきてたの」 ようやく気がついたのか小首をかしげてそんなことを言ってくる。 「ついさっきだ。なにやら集中していて気がつかなかったみたいだけどな」 「そう」 ルイズは相槌を打ちながら本を閉じる。 そしてシーツを天井から吊り下げ始めた。どうやら着替えるらしい。 文句を言われないようにシーツから顔を逸らしておく。暫らくするとシーツが取り払われた。 ルイズはちゃんとネグリジェ姿に着替えている。さらに杖を振りランプを消す。 そしてそのまま布団へ潜り込んだ。もう寝るらしい。 ということは私も眠らないといけないのだろうか? 「ヨシカゲ。早くあんたも来なさいよ」 「もう寝るのか?」 「起きてたって考えがまとまるわけじゃないもの」 どうやら何かを考えているらしいが考えがまとまらないようだ。 しかし好きに眠れないならまだ床の方がよかったかもしれない。 だからと言って反発すれば今後ベッドで眠れなくなること間違いなしだろう。 今はいい状況なのだ。ルイズにあわせて少し我慢するだけでこの生活が続けられる。 これが幸福だとは思わないが少なくとも不幸ではない。食事も住居も保障されている。 今はまだこれでいい。 そう考え椅子から立ち上がりベッドへ潜り込む。 しかしベッドに潜り込んだからといって眠くなるわけではない。それに昼間寝ていたしな。 目をつぶる。なにか考え事でもしていよう。動かず喋らず目をつぶっていれば気がつかないうちに眠っているだろう。 そう思いながら眠るのに3時間掛かった。 「これがサンライトイエローって読むんですよ」 「じゃあこれは?一文字もわからないんだが」 「えっと、虎の眼先生ですね」 「……意味がわからない」 「剣を使う凄い人みたいですね。虎の眼流っていう剣術を使ったって書いてあります」 ここ数日暇なとき、シエスタの都合がいい時に文字を教えてもらっている。 おかげで少しは文字が読めるようになってきた。あくまで少しだ。 なぜ異国の文字というのはこうも覚えにくいのだろうか?やはり慣れ親しんでいる文字とは違うからだろう。 形や文法が国によって違うからな。 この世界で暮らすのなら最低限文字を覚えないとだめだ。だからこうして文字を教えてもらっているのだが、 「ユア・レンリ・コーエン?」 「ユナ・ナンシィ・オーエンですよ。こことここが違うでしょう?あとここが前に来るから……」 なかなか覚えられない。 というより選んだ本が悪かったのかもしれない。シエスタも結構難しく書かれているといっていたし。 しかしそれでも構わないといったのはこの私だ。だから文句を言うのは筋違いだろう。 だけど本当にこの本は意味がわからない。一体何の目的があってこんな本を書いたのだろうか? さらに言葉がわからないよりも腹が立つものがある。 「あ、猫ちゃん。それは食べちゃダメ。それはヨシカゲさんのなんだから」 この猫だ。 最近天気もいいし青空が素敵だ。そういう日はその青空を十分楽しみたい。 だからシエスタに頼んで外で勉強をしているのだ。 人目を避け誰も近寄らないような場所を探して、小腹が空いた時のためにつまむ物も持ってだ。こんな素敵な青空なのに部屋で過ごすというのはあまりよろしくないからな。 だが、私が外にいると何故かこの子猫が近寄ってくるのだ。 しかも何をするわけでもない。ただこっちを見たり、寝転がったり、蝶を追いかけたり、餌をねだったりするだけだ。 最近ではシエスタが猫用の食べ物を作ってくる。つまりそれほどこの猫はそれほど頻繁に来ているのだ。 こっちが必死に勉強しているのにただごろごろと遊んで食っちゃ寝食っちゃ寝しやがって。お前も頭抱えて悩めよ! 正直掴んで投げ飛ばしたいが、どうやらシエスタがこの子猫を気に入っているらしい。その猫を投げ飛ばしたりしたら印象が悪くならないだろうか? 確実に悪くなるだろう。だから抑えるしかないのだ。 猫が食べようとしたもの手に取り口の中に放り込む。食ってやったぞ、ざまあみろ。 「おいしいですか?」 シエスタが訊ねてくる。 「ああ。うまいぞ」 確かにおいしい。文句をつける場所は無い。 「えへへ、たくさん食べてくださいね」 シエスタが嬉しそうにそういった。腹がすいていれば食うさ。 「そういえば、飛行機でしったけ?」 シエスタが突然そんなことを言い出す。 「飛行機がどうかしたのか?」 昨日、シエスタに元の世界の話をしたときに飛行機のことを話したのを思い出す。 「魔法ができなくても空が飛べるってすばらしいわ!つまり、私たち平民でも、鳥みたいに自由に空を飛べるってことでしょう?」 「そうだな。種類にもよるが」 シエスタは私の世界の話をちゃんと信じているようだ。 平民からしたら自分たちで空が飛べるというのは驚くべきことだろうからな。 「あのね?私の故郷も素晴らしいんです。タルブの村っていうんです。ここから、そうね、馬で3日くらいかな……。ラ・ロシェールの向こうです」 「……」 私はそれを黙って聞く。 「何もない、辺鄙な村ですけど……、とっても広い綺麗な草原があるんです。春になると、春の花が咲くの。夏は、夏の花が咲くんです。 ずっとね、遠くまで、地平線の向こうまでお花の海が続くの。今頃、とっても綺麗だろうな……」 その光景を思い出すかのようにシエスタは目をつぶった。 「そりゃあ一度は見てみたいもんだな」 私は素直にそう思った。青空の下、目の前に咲き誇る花を見ながらそれを絵に描くのだ。 疲れたら一休みして本を読む。音楽が聴けないのは少し寂しいが、それでもそれはこの上なく幸せな生活じゃないだろうか?いや、間違いなく『幸福』だ。 「だったら!」 シエスタは胸の前で手を合わせ、突然大きな声で叫んだ。 一体なんだ!?子猫も目を丸くさせ尻尾をピンと伸ばしている。 「どうしたいきなり?」 「ヨシカゲさん、私の村に来ませんか?」 シエスタは私を見詰めながらそう提案してきた。 シエスタの村へ行く?…………………いいかもしれない。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1356.html
前ページ次ページZero ed una bambola ゼロと人形 洗濯を終えたルイズとアンジェリカはシエスタと別れて部屋に戻る。朝食まで、若干の余裕がある。 「ねぇ、アンジェ?」 「はい、何ですかルイズさん」 「あんたが持ってる。それ、その大きなケースよ。何が入ってるの?楽器?」 「この中身ですか?」 アンジェリカはそういうとヴィオラのケースを掲げる。 「そうよ、それ」 ルイズは楽器だったら何か弾いてもらおうと期待していた。 「ここにはAUGを入れているんです」 オウグってどんな楽器? そう思いながらアンジェリカがケースをあけるのを待つ。 「は? なによこれ?」 予想とは違い、ケースの中にあるのはラッパ?違う、何だろうか、ともかく楽器ではないのは確かのようだ。 「ね、ねぇアンジェ。これって何かしら?楽器・・・じゃないわよね?」 「何言ってるんですかルイズさん。これはステアーAUGですよ」 「だから!オウグって何よ!わからないから聞いてるの!」 ルイズは思わず怒鳴ってしまう。 ―しまった― そう思ったがもう遅い。アンジェリカはその瞳からポロポロと大粒の涙を流しはじめた。 「ごめんなさい、ルイズさん。ごめんなさい」 「え?あ、ちょ、ちょっと何泣いてんのよ」 慌ててアンジェリカを宥めるがなかなか泣き止まない。 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」 壊れた人形のように同じ言葉を繰り返す。どうしたものかとルイズは悩んだ。すると突然、ドアを開けて入ってくる人影がある。 「ちょっとルイズ、朝っぱらからうるさいわよ」 そういって人影は何の遠慮もなく部屋に入ってくる。 「あら?この子どうしたのって、泣いてるじゃない。あなた何したのよ」 「う、うるさい!なに勝手に部屋に入ってんのよキュルケ!それにあんたにはかんけいないでしょ!」 「おはよう。あなたのお名前はなんていうのかな?」 「・・・アンジェリカ」 キュルケはルイズを無視してアンジェリカに話しかける。 「そうアンジェリカっていうの。私はキュルケ、微熱のキュルケ。愛の堕天使よ」 「なーにが愛の堕天使よ!人の使い魔に勝手に話しかけんじゃない!」 「何?あなたほんとに人間召喚したの?こんな小さい子を?」 「そ、そうよ、悪い?」 「悪くはないけど、使い魔っていえばこういうのがいいわよねぇ~。フレイム~」 そういうと扉の影からのっそりと真っ赤で巨大なトカゲが現れた。 「うわぁ」 アンジェリカは感嘆の声をあげた。もうその目には涙はない。 きゅるきゅる サラマンダーは人懐っこい鳴き声をあげ、アンジェリカに擦り寄る。 「ちょっとキュルケ危ないんじゃないの!」 ルイズはそういうとアンジェリカを抱きかかえようとして・・・抱えられなかった。 「く、重い・・・」 「なにやってんのよルイズ。別にサラマンダーは危ないくないわよ。ねぇ~」 きゅるきゅる ルイズの手から逃れたアンジェリカはサラマンダーの頭を撫でていた。 「もう泣き止んだみたいね。それじゃあまたね、アンジェリカ」 アンジェリカはバイバイと手を振って見送る。 キュルケがいなくなるとルイズはまたも叫びだす。 「なんなのあの女は!自分がサラマンダー召喚したからって!」 「別にいいじゃないですかルイズさん。私がいるんですし」 「よくないわよ!」 ルイズは思わずそう叫んでしまった。また泣かれる、慌てて取り繕う。 「えーとね、メイジの実力をはかるには使い魔をみるから、えーとだから優秀な使い魔がよくて、ああ、アンジェじゃダメって訳じゃないけど、ええと」 「大丈夫です。私立派な使い魔になります」 アンジェリカはそう答える。 「でもあんた、使い魔として戦ったりできないでしょ、気持ちだけ受け取っておくわ」 そういってみるがアンジェリカはなにやら不満顔だ。話をそらそう、ルイズは決めた。 「もうすぐ、朝ごはんだからね。食堂にいくわよ」 「わかりましたルイズさん」 何とか話をそらせたようだ。 アンジェリカはAUGを入れたヴィオラのケースを掴みルイズと供に部屋を出る。ルイズは食堂へ行く途中に、アンジェリカに話しかけた。 「そうだ、アンジェ。アンジェの朝ごはんだけど、食堂は貴族専用だからね。朝に会ったシエスタにでも頼んで何か貰ってきなさい」 「ではシエスタちゃんを探してきます」 そういってアンジェリカは駆け出して行く。 「ちょっと、アンジェ!食べ終わったら部屋に戻ってなさいよー!」 「はい! わかりましたー!」 ルイズがそう叫ぶとアンジェは元気よく返事を返した。 「おう、シエスタ。その後ろのお嬢さんは何だ?お前の妹か」 コック長のマルトーがそういって初めて、シエスタはスカートの裾が誰かに掴まれているのに気付いた。 「はぇ?あ、アンジェリカちゃん、どうしたの?」 「あのルイズさんが朝ごはんはシエスタちゃんに貰えって」 「そうなの。ちょっと待っててね。マルトーさんに何か貰えるか聞いてみるから」 そういうとシエスタは背後にいるマルトーに話しかける。 「あの、ヴァリエール様の使い魔のアンジェリカちゃんです。朝ごはんをここで貰うように言われたそうで」 「あん?わかったよ。全く、あの貴族連中は面倒ごとはこっちに押し付けやがる。ほら朝飯だ」 そういってパンとスープを差し出す。 「ありがとうございます」 「アンジェリカちゃんお肉とかいる?」 「いえ、これだけで十分です」 アンジェリカはそういうとスープに口をつけた。 「どう?おいしい?」 「はい、おいしいですシエスタちゃん」 「おい、シエスタ。そんなとこで駄弁ってないで仕事しろ」 「あ、はい。わかりましたマルトーさん。じゃあまた後でね」 「またね、シエスタちゃん」 シエスタが去ったあと、アンジェリカは黙々と食事を続けた。 「あの・・・。マルトーさん?」 アンジェリカは食事を終え、ケーキを準備しているマルトーに話しかける。 「あん?なんだ嬢ちゃんか。このケーキが欲しいのか?悪いが今はダメだ。昼のデザートだからな。」 「そうなんですか」 アンジェリカは無表情に答える。 「お、おう。だが安心しな。昼にはちゃんとやるからよ」 「そうですか。ありがとうございます」 アンジェリカはやはり笑わずに答える。 「飯食い終わったんだろ。食器よこしな」 その言葉に促され食器をマルトーに渡す。 マルトーは内心焦っていた。シエスタがいなくなってから笑っていない。 『ヤバイ、シエスタを仕事に行かせたのがいけなかったのか?後でシエスタに何言われるか・・・』 マルトーがそんなことを考えているとは露も知らずに、ヴィオラのケースを持って厨房を後にする。 「マルトーさん・・・マルコーさんじゃない」 悲しそうに呟くが、その声は誰にも届いてはいない。 アンジェリカが部屋に戻ると既にルイズは部屋に戻っていた。 「アンジェ、遅いわよ」 「ごめんなさい、ルイズさん」 「まぁいいわ。じゃあ行くわよ」 「行くってどこへですか?」 「教室。これから魔法の授業よ」 Episodio 3 Colazione deliziosa おいしい朝ごはん 前ページ次ページZero ed una bambola ゼロと人形
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1934.html
「そんなに堅くならなくてもいいわよ」 「はっ、はい!」 シエスタは、エレオノールの気遣いに緊張して、かえって体を強ばらせていた。 モンモランシーはシエスタの隣に座り、馬車の窓から外を眺めている。 シエスタとモンモランシーの二人は、エレオノールの乗ってきた馬車に乗り込み、ラ・ヴァリエール領へと移動している最中だった。 シエスタとモンモランシーは魔法学院の制服姿、手持ちの小道具を入れた小さなバッグを脇に置いている。 エレオノールは飾り気のない白を基調とした服を着ており、魔法アカデミーの紋章が胸に刺繍されていた。 エレオノールは波紋についてシエスタに質問するが、緊張しているシエスタはうまく説明できず、そのたびにモンモランシーが説明を補足する。 だが、魔法学院では習わないような専門用語が出てくる度に、モンモランシーも狼狽えてしまう。 「オールド・オスマンの論文では、波紋はメイジも平民も等しく持つモノだとされているわね。体内を循環する血液に波紋は本来備わっていて、副次的作用として覚醒作用と浄化作用が……」 水系統を基にした、人体構造の研究にも目を通しているエレオノール。 彼女の知識はモンモランシーとは比較にならない程深かった。 「は、はい、たぶんそんな感じだと思います」 モンモランシーは冷や汗をかきつつ、曖昧な受け答えで誤魔化すことしかできなかった。 しばらく馬車がすすみ、外の景色が移っていくと、シエスタもようやく馬車の雰囲気に慣れてきた。 強ばっていた肩から力が抜け、どこか懐かしむように外の景色を見つめる。 「シエスタ?」 モンモランシーがシエスタ側の窓から外を見ると、外には草原が広がっており、その遙か先には森林が見えていた。 そよ風に吹かれた草花が柔らかい太陽の日差しを受けて輝いている、シエスタは故郷を思い出していた。 「あ、はい」 「あんまりきょろきょろしちゃ駄目よ」 「すいません、あの、草原が綺麗だったもので…」 エレオノールも外を見る、そして、少し目を細めてから、座席に座り直した。 「ルイズは、変わった子だったわ。あの子ったら子供の頃、カトレアのためにこの草原まで花を取りに来たのよ」 「ルイズ様が、ですか?」 ルイズと聞いて、シエスタが反射的に聞き返した。 「ええ。ヴァリエール家の中庭に、小さな花の種が風に乗って飛んできたの。 カトレアが『どんな花を咲かしているのでしょうね』なんて言うから、ルイズったら馬で遠乗りした時に、泥だらけになるまで花を探してたのよ。 この草原はルイズが花を探した場所なの」 「…そうですか」 「ねえ、魔法学院ではルイズがいろんな人に迷惑をかけたのでしょう?あの子、どんな事してたのか、教えて欲しいわ。それと貴方ルイズのこと知っているみたいだし、貴方のこと教えてくれないかしら」 モンモランシーはツバを飲み込んだ。その時の音が、やけに大きく聞こえたので、自分が緊張しているのだと理解できた。 魔法学院でルイズが何をしでかしたか、どれだけ被害を被ったか、馬鹿正直に話すわけにはいかない。 その上、シエスタはシュヴァリエを賜ったとはいえ元平民、貴族の上下関係厳しいトリステインで、田舎出身の平民がラ・ヴァリエール家の人間を診察するなど考えられない。 しかしシエスタは、隣で頭を悩ませているモンモランシーの思惑など知ったことではない、馬鹿正直に話をしてしまった。 「私がオールド・オスマンに『波紋使い』だと告げられる前は、魔法学院のメイドとして過ごしていました」 「……メイド?」 「はい、オールド・オスマンは、私の曾祖母『リサリサ』に恩を返すつもりで私を雇って下さったそうです」 隣に座るモンモランシーは『やっちゃった』と言わんばかりの視線でシエスタを見ていた。 ラ・ヴァリエール家の長女に『私は元平民です』などと言おうものなら、その場で馬車から放り出されてもおかしくない。 いや、怒り狂って自分も一緒にうち捨てられてしまうかもしれない、そんな物騒な未来予想図がモンモランシーの頭をよぎった。 「そうだったの。オールド・オスマンは貴方を保護していたとしか言っていなかったわ」 「保護ですか?」 「ええ。きっと、貴方が怪しまれるのを防ぐためじゃないかしら」 モンモランシーの予想に反して、エレオノールはシエスタが元平民である事実を受け止めていた、それどころか、あらかじめ知っていたかのような反応だった。 エレオノールは、リサリサと出会った後のオスマンが、どんな苦境に立たされていたのかを話し始めた。 当時、人間と亜人はまったく別の系統で発生した生物だとする学説と、人間と亜人は一つの根源から枝分かれしていったとする学説が対立状態にあった。 そんな時にオールド・オスマンは、『波紋』という未知の説を打ち出したのだ。 あらゆる生命体が持つ力であるが故に、系統魔法や先住魔法の力を底上げするという『波紋』は、すべての生物は根源が一つだと証明するものでもあった。 そのため、対立する学者達から命を狙われたのだ。 幸いにもオールド・オスマンの唱えた『波紋』は、ごくごく微々たる力でしかなかった、そのため彼自身の老化を遅らせることはできたが、他人にそれを分け与えることはできず、『波紋』はアカデミーから忘れられていった。 だが、それはオスマンの策でもあった。 『波紋』をメイジ同士の争いに利用されぬために、波紋使いである『リサリサ』の存在を隠すために、あえて『波紋』を役立たずであると印象づけたのだ。 シエスタを魔法学院で雇っていたのは、リサリサの血を引く一族へのせめてもの恩返しであった。 シエスタが『波紋使い』の素質があると知ってからは、シエスタを保護するために雇っていたのだと対外的に説明している。 そのためエレオノールは「オールド・オスマンは、シエスタを保護するために魔法学院で雇った」と思いこんでいるのだ。 「オールド・オスマンの研究は確かに素晴らしかったわ。でも、改めて読んでみると不思議な点がいくつかあるわね。たとえば貴方のような『波紋使い』の存在を隠すために、わざと不完全に書かれているみたい」 「そ、そうなんですか」 オールド・オスマンという人物の底知れなさに、シエスタは少しだけ驚いた。 モンモランシーも驚いている、スケベ爺が実は凄い人だった、そんな風に考えているに違いない。 「もし、その当時貴方のような『波紋使い』が世に出ていたら、きっと『先住魔法を使うエルフの間者だ』と誤解されて解剖されていたでしょうね。オールド・オスマンの先見性には驚かされるわ」 エレオノールがシエスタの瞳を見つめる。 「さ、この話はもういいでしょう。ルイズの話を聞かせてくれないかしら」 「はい。私がルイズ様からお声をかけて頂いたのは……」 エレオノールは、シエスタとモンモランシーの話を寂しそうに聞いていた。 モンモランシーが、ルイズの勝ち気さに愚痴を言うと、『あの子はそういう子だから』と言って笑った。 シエスタが、ルイズは魔法学院で働いている平民達にも気を配っていた、メイド仲間からも尊敬されていたと語ると、エレオノールは『あの子も成長したものね』と言って、ほんの少しの間だけ…声を殺して泣いた。 「…ごめんなさい、ちょっと、取り乱しちゃったわね」 エレオノールはそう言いながら、涙で濡れた目元を拭った。 「父が倒れたの。ルイズが死んだって聞かされて、相当こたえたんでしょうね。私も父も、魔法の出来ないルイズを叱ってばかりだったわ」 顔を上げると、シエスタとモンモランシーの顔を交互に見つめて、エレオノールは笑う。 「魔法が使えなかったら、貴族は貴族として認められないの。だから私も父も厳しく接してきたわ。でも、一度もルイズを褒めてあげられなかった……きっと、私と、父様を、ルイズは恨んでいたでしょうね」 「そんなことはありません。絶対に、そんなことはありません!」 シエスタの口調が強くなり、エレオノールが少し驚いた。 「ルイズ様は、土くれのフーケに立ち向かったんです。『立場における責任を果たす』と私に仰って下さったのは、他ならぬルイズ様です!そんなルイズ様が家族を恨んでいるだなんて……絶対に、絶対にありえません!」 「ちょ、ちょっとシエスタ、無礼よ!」 モンモランシーがシエスタの肩を押さえる、はっとして、シエスタの興奮は一瞬で冷めた。 「あ……す、すみません、あの、興奮してしまって」 急におどおどしだすシエスタを見て、エレオノールは、静かに微笑んだ。 「いいのよ。気にしないで…ね。到着したら妹にも、父にも、母にも、その話を聞かせてくれないかしら」 「…はい」 ごめんなさい、と、シエスタが心の中で謝った。 ルイズは生きている。 それも、吸血鬼として。 でも今は、シエスタが知る『尊敬するルイズ様』の姿をエレオノールに語るべきだと思った。 シエスタはもう一度、心の中で謝った。 もしルイズが心まで吸血鬼になっていたら、自分はルイズを殺さなければならないのだから。 エレオノールは、少しだけ救われた気がした。 自分の気の強さは、ルイズを厳しく教育するために養われたのかもしれないと思った。 ルイズが死んで以来、覇気が抜けてしまったのは自分だけではない、父も母も、口には出さないが心が疲れ切っている。 ルイズを溺愛していた、ルイズは誰よりも愛されていた! でもそれをルイズに語ることはできない、ルイズが貴族として、メイジとして一人前にならなければ、自分たちが死んだ後残されたルイズが苦労する。 だからルイズに厳しく接してきた。 そして、厳しく接し続けたままルイズは死んでしまった。 いや、ルイズを『貴族らしさ』という言葉で死に追いやったのは自分達だ。 本音を言えば、どんなに無様でも、ルイズには生きていて欲しかった。 けれども、シエスタの言葉を聞いて、自分たちがいつまでも悲しんではいられないのだと気付かされた。 父の教えが、母の教えが、自分の教えがルイズに伝わり、ルイズの言葉が、シエスタに受け継がれている。 ルイズは本当に立派になったのだ、そして死んだ。 だから自分たちもラ・ヴァリエール家の人間として、役目を果たさなければならない。 魔法アカデミーで一番刺々しい茨だったエレオノール、彼女の棘は、ルイズの死と共に落ちたのだ。 エレオノール、モンモランシー、シエスタ。 三人を乗せた馬車がラ・ヴァリエールの居城に到着する頃には、漆黒の空に二つの月が浮かんでいた。 「いらっしゃいませー」 その日も『魅惑の妖精亭』は繁盛していた。 ルイズは扉を開けて入ってきた客に屈託のない笑顔を向け、空席へと案内する。 フードを被った客は、席に案内されるとルイズを見上げて小声で呟いた。 「何をしてるんだこんな所で」 「え?……やだ、何言ってるのよ、貴方が教えてくれたんでしょ?」 フードの影から覗く瞳と金髪には見覚えがある、まごうことなき銃士隊のアニエス、その人だった。 「潜伏には魅惑の妖精亭がいいって言ったの、貴方じゃない」 「それはそうなんだが…」 「無駄話をしに来た訳じゃないんでしょ?ご注文は?」 「とりあえずコレとこれを貰おうかな」 「はい、ワインとシーザーサラダね、承りました」 トレー片手に厨房へと入っていくルイズを見て、アニエスは小さく呟いた。 「冗談のつもりだったんだが……」 ルイズとワルドが潜伏先に選んだのは、城下町ではそれなりに人気の酒場『魅惑の妖精亭』だった。 アニエスの部下がこの店で働き、情報収集を務めていたことがある。 そのため『情報収集を兼ねるなら魅惑の妖精亭がいい』と言ってしまったのだが。 アニエスとしては、アニエスの息がかかった秘薬屋や、郊外の隠れ家に潜伏して欲しかったが、すでに働き始めている以上取りやめろとは言えない。 露出度の高いキャミソール姿で給仕をするルイズ、それを見て、アニエスは再度ため息をついた。 今のルイズはルイズであってルイズではない。 『ロイズ』という偽名を名乗っているだけではなく、姿形も大きく違う。 まず、背が高い。アンリエッタより10サントは高い。 その上胸が大きい、中に何を詰めているのか知らないが、とにかく膨らんでいるのは確かだ。 そして髪の毛は茶色の染料で染められ、王宮を出る前に『固定化』をかけられている。 顔立ちも違う、鼻はほんの少し高く、いつものルイズよりほんの少し面長になっており、しかも口元には黒子までついている。 ごくごく親しい人間でも、一目で彼女をルイズだと見抜くのは難しいだろう。 「反則的だな…あの能力は」 アニエスは、変身前のルイズを思い出し、静かに呟いた。 厨房に注文を届けたルイズは、この店の店主であるスカロンと二~三言言葉を交わして、再度表に出て行く。 皿を洗いながらそれを見ていたのは、精悍な顔立ちの男性、ワルドだった。 店主のスカロンは、ワルドがルイズを見ていたのに気付くと、ワルドに近づいて肩を叩く。 「ロイズちゃん頑張ってるわねー!ロイドちゃんはお兄さんとして気になるかしら!」 「ええ、まあ」 髭を蓄えた中年の男性が、くねくねと体を揺らしながらオネエ言葉で喋るのはちょっと不気味だ、しかしミノタウロスを相手にするより遙かに気楽だ。 ワルドは照れくさそうに笑いつつ、皿洗いを続けていた。 この店でワルドは『ロイド』ルイズは『ロイズ』と名乗っている。 二人は訳ありの没落貴族という設定で、身分を問わずに雇ってくれる『魅惑の妖精亭』にやってきた… そういう設定なのだ。 ワルドは人間の腕と見まがう程精巧な義手を巧みに操り、皿洗いを続ける。 水をくむのが面倒なので、義手に仕込んだ杖から、魔法で水を継ぎ足しつつ、延々と皿を洗っていった。 ふと、手を休めて、給仕口から店内を見渡す。 料理を運んでいるルイズと目があって、ウインクを返された。 「訳ありの没落貴族か…駆け落ちみたいで悪くないな」 トリステインの貴族らしくない、奇妙な満足感に包まれて、ワルドは笑った。 ルイズはこの店で、ブルリンと旅をした数日間のことを思い出していた。 注意深く周囲を観察し、人々の会話に耳を傾ける。 ただそれだけのことなのに、ルイズの耳には刺激的な話がどんどん入ってくるのだ。 あの時ブルリンと会わなければ、五感をフルに使うことも無かったろうし、情報収集の大切さも気付いていなかったかもしれない。 商売のために高等法院の許可貰うに、どんな抜け道を使うとか。 脱税スレスレの節税方法とか、北側の衛兵のいい加減さとか… アニエスの部下が、情報収集のためこの店に赴いたこともあるそうだが、その理由が分かる気がした。 特に気になるのは、アンリエッタに関する噂だった。 アンリエッタは聖女といわれ讃えられているが、すべての平民がアンリエッタを讃えているわけではない。 そもそもの原因となったウェールズ皇太子との恋愛話は平民達の噂の的だった。 アンリエッタとウェールズが以前から恋仲だったと、まことしやかに噂されているが、ラブレターのことまでは噂されていなかった。 二人を称えるもの、けなす者、酒場には多種多様な客が来る。 ルイズは、この不思議な空間を気に入っていた。 「ねえちゃんワイン注いでくれよ!」 そう言いながら、酔った客の一人がルイズの尻を撫でる。 ルイズはすぐに振り向いて、テーブルに置かれているワインの瓶を手に取った。 「お触りはいけませんよ」 そう言って笑顔でワインを注ぐ。 ワインをつぎ終わり瓶をテーブルに置くと、その客はルイズの腕を掴んで、酒臭い息を隠そうともせずルイズに顔を近づけた。 「なあ仕事の後どうだい?俺とさぁ…あ、あれ~?」 ルイズは男の腕を払い、逆に握り返す。 「お客様、飲み過ぎですわよ」 掌から少しずつ、少しずつ血を吸っていく。 「あ~…飲み過ぎたか…なあ~………」 みるみるいうちに顔色が青くなり、男は眠るようにテーブルに突っ伏した。 「あら大変!」 それを見た他の店員がルイズに近づく、青ざめた客を見て、どうやら酒に悪酔いしたと思ったらしい。 「ロイズちゃんは注文を取りに行ってくれない?この人よく酔っぱらって寝ちゃうのよ」 「解ったわ、ありがとう、ジェシカさん」 そう言ってルイズはテーブルを離れる。 心なしか、ルイズの胸は先ほどより少し膨らんでいる気がした。 夜も遅くなり、客が少なくなった頃、黒髪の少女ジェシカがルイズを呼んだ。 「ね、ちょっとこれ手伝ってくれる?」 ジェシカの前には木箱が置かれており、そこには沢山の食材が入っている。 「わかったわ」 ルイズは短く返事をすると、重そうな木箱を軽々と片手で持ち上げた。 「どこに持って行けばいいのかしら」 「え……えーと、ついてきてくれる?」 ジェシカは、少し狼狽えながら倉庫へとルイズを案内した。 倉庫の中で木箱を開け、中身を棚に並べていく。 すると、不意にジェシカがルイズに耳打ちした。 「ねえねえ、あったしー、わかっちゃった」 「え?」 「訳ありって言ってたけど…身分違いの恋とか、駆け落ち?」 ルイズは唇を手に当て、少し考える仕草をすると、首を横に振った。 「私とロイドは兄妹よ」 だが、ジェシカは不敵な笑みを漏らすと、人差し指を立てて顔の前で左右に振る。 「あたしはね、パパにお店の女の子の管理も任されてるのよ。女の子を見る目は人一倍だわ。ねえねえ、どんな訳があるのよ。ただの駆け落ちじゃないでしょ?誰にも言わないから、ね?教えてよ」 ルイズが黙っているのを見て、ジェシカは微笑む。 「もしかしてぇ…貴族のロイドさんが、メイドの貴方に恋しちゃった…とか?」 内心では『あたしは公爵令嬢よ』と思っていたが、そんなことは口には出せない。 ルイズはジェシカの顔を見つめて、一つ、質問してみることにした。 「どうしてそう思ったの?」 「だって、あの人プライド高そうだもの。貴方はお尻を触られても飄々としてるじゃない、こういう仕事慣れてるでしょ」 ルイズは心の中で、少しだけ苦笑いをしていた。 自分はいつの間にか、平民が板に付いていたようだ。 「私が貴族で、あの人は従者だったの」 「まさかぁ!」 ジェシカが口を手で覆いつつ、笑う。 つられてルイズも笑い出した。 「本当よ」 「本当に?」 「じゃあ嘘でいいわ」 「何よ、ずるーい!」 ころころと笑うジェシカを見て、ルイズはふと何かを思い出した。 『そうだ、この笑顔…シエスタに似てる』 その頃、洗い物を終えたワルドは、ルイズよりも一足早く部屋に戻っていた。 ルイズとワルドに与えられた部屋は、ベッドが二つ並んでいるだけの小さな部屋で、余計なものは一切置かれていない。 ベッドの下に置かれていたデルフリンガーを取りだすと、鞘から少しだけ引き抜いてベッドの上に置く。 『ずいぶん繁盛してんなあ、この店。どーだい皿洗いは?』 「意外と疲れるものだな」 『そりゃそーだろ、ところで、嬢ちゃんは』 「ルイズなら倉庫だ、女性同士の内緒話だろう」 デルフリンガーと話をしつつ、ワルドは先ほどルイズから渡された紙切れをポケットから取り出す。 アニエスから渡された紙切れには、リッシュモン追跡の様子が簡潔に書かれていた。 「…………商人、か」 『ん?』 「メイジが商人に化けているようだ、そいつがリッシュモンの手先らしいな」 『そいつをどーするんだい』 「捕まえるさ、聞くまでもなかろう?」 『その後だ、殺すのか?』 ワルドは顎に手を当てて、しばらく考えこんだ。 「……衛兵に引き渡すさ」 『おでれーたな、おめえ、あのギラギラした殺気がサッパリ消えてやがる』 「ルイズのおかげだよ」 そう言いながら、ワルドはデルフリンガーをベッド脇に立てかけた。 「彼女の苦悩に比べたら、僕なんてちっぽけなものさ」 デルフリンガーも同じ事を考えていた。 彼女は、自分の幸せを犠牲にした分だけ、その周囲にいる人を助けている気がする。 『あー…考えてもしょうがねえなあ』 「ん?」 『なんでもねえ。おめえが嘘を言ってないのは解った。嬢ちゃんを悲しませんなよ』 「そのつもりさ」 ルイズは、フーケに、ワルドに、ティファニアに、アンリエッタに、ウェールズに、アニエスに『頼られている』 だが、彼女が『頼れる』人は居ない。 彼女が本来頼るべき母は、シエスタとモンモランシーの二人の到着を、笑顔で迎えていた。 To Be Continued→ 戻る 目次へ
https://w.atwiki.jp/ryukishi07/
これらのキャラクター衣装は、原作のみならず「うみねこのなく頃に」のアニメやコミックやPlayStation3のゲームで使用され一般に出回っている。また、キャラクターコスプレ衣装として(服飾として)販売されている。画面を下にスクロールして、その目で見て判断して欲しい 「angelic pretty」作品(公式サイトの画像)と「ガァプ」の衣装の比較 被害デザイン参照元:Angelic Pretty コスプレ衣装①参照元 コスプレ衣装②参照元 これは流石にガァプのコスプレだろ?胸元と腹のリボンだけじゃなくて、髪型までそっくりじゃん 髪型までパクるとかありえないでしょう まさか髪型も元ネタ一緒だとは思いもしないもんだ ガァプ・ドラノール ガートルード コーネリア・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 ドラノール・ガートルード・コーネリアの衣装 被害デザイン参照元:milky ange 頭につけてある飾り(帽子か?) ガァプ・ドラノール ガートルード コーネリア・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 ラムダデルタの衣装 被害コーディネイト参照元「ゴスロリバイブル27号」(2007年12月21日発売)掲載 コスプレ衣装①参照元 コスプレ衣装②参照元 コスプレ衣装③参照元 確かにラムダなんかそのまんまだな。公式立ち絵の足の内股まで再現して、 あきらかにこの写真からぱくってるね。小物、靴、彩色まで ガァプ・ドラノール ガートルード コーネリア・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 マリア卿(魔女真里亞)の衣装 被害デザイン参照元:VISIBLE コスプレ衣装①参照元 コスプレ衣装②参照元 コスプレ衣装③参照元 ガァプ・ドラノール ガートルード コーネリア・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 エヴァ・ベアトリーチェの帽子 被害デザイン参照元:CHOCOCHIP COOKIE「ゴシック・アンド・ロリータバイブル15号」(2004年12月22日発売)掲載 コスプレ衣装①参照元 コスプレ衣装②参照元 コスプレ衣装③参照元 コスプレ衣装④参照元 ガァプ・ドラノール ガートルード コーネリア・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 ゼパルとフルフルの衣装 被害デザイン参照元:MAM-MAXICIMAM コスプレ衣装①参照元 コスプレ衣装②参照元 エプロン、リボンの付き方、リボンのレースがほぼ同じ おっさん改造と肩ひもを首に替えただけで ボタン・リボンの位置とフロントレースのデザインまんまだし ガァプ・ドラノール ガートルード コーネリア・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 理御の衣装 参照元:ATELIER BOZ「ケラマニアックススペシャル」(2007年1月13日発売)掲載 理御のジャケットなんて元ネタどうでもいいだろーとか思ってた時期が俺にもありました… カフスやポケットのデザインがここまで丸パクだったとは 理御はカフスの形、パイピング、ポケットの位置、裾の形が一致 ガァプ・ドラノール ガートルード コーネリア・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 シエスタ姉妹の衣装 アイマスの衣装を販売してる鼓笛隊制服販売サイト写真がそのまんま過ぎると思ったんだ。 アイマスのマーチングバンドの衣装ってかなり珍しい部類だよね。 演奏の邪魔になるからこういう前襟に装飾するデザインは少ないし スカートのプリーツ内側の彩色なんかも手間がかかるからほとんどのバンドはやらない 被害デザイン参照元:ニュー増田 コスプレ衣装①参照元 コスプレ衣装②参照元 ガァプ・ドラノール ガートルード コーネリア・ラムダデルタ・マリア卿・エヴァの帽子・ゼパル フルフル・理御・シエスタ姉妹 このサイトは07th Expansion/竜騎士07氏が同人ゲーム等で発表した、 他者からの作品の盗用(トレス等)を検証するために開設いたしました。 引用している洋服、小物等の作者・ブランドとは一切関係ありません。 検証目的での画像等の引用は、各氏の著作権を侵害する目的ではなく、 報道・批評・研究目的の引用については著作権法第32条において保護されております。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9093.html
前ページゼロニスター 「こ……、こいつ!? 化け物か!?」 「1つの人格に数多い肉体!! 切り換えはチャンネル方式!! 俺は多重体格者バリー!!」 そう言っている間にバリーの頭部は胴体に埋もれてしまい、言葉の続きは肩の上に新しく生えた頭部の口が述べていた。 「業務は暗殺者!! 仕事をしくじった事は1度も無いっ!! 必要とあれば誰でも殺す!! 確実に!! 就労時間内に!! このハルケギニア最強殺人鬼決定戦で優勝の座に就くのは……、『殺しのプロ』である、このバリーだ!!」 言い終える頃には、バリーの体は才人を上回る巨大なものに変化を遂げていた。 「ひ……、ひえ……!!」 思わずか細い悲鳴を上げたシエスタの隣では、女性スタッフも表情を引きつらせている。 「へ……、変身しやがったよ」 「しかも……、体が20倍くらいに膨らんでない、あいつ……?」 観客席で酒瓶片手に試合の行方を見守っていたナックルスター・ルイズも、驚愕を隠せない。 「死ねいっ、サイトとやら~っ!!」 「ぬうっ!!」 拳を振り上げ猛然と才人めがけて突進するバリー。 『バリーが向かったあ~っ!! どう出る、サイト!! ここは引くのが得策ではないのか~っ!?』 「うおおおおーっ!!」 『いや、打って出る気だあ~っ!!』 叫びと共に才人も拳を振り上げ、自分に接近してくるバリーの巨大な拳を殴りつける。 「優勝なんぞどうでもいい~っ!! 俺の目的はなあ、バリーよ!! コルベールさんを殺(や)ってくれたてめえをぶっ倒す事だけだ~っ!!」 力が拮抗していた両者だったが、やがてバリーの拳の各所が避けて血が噴出し始める。 『バリーが力負けしている~っ!! 拳が滑る!! あっ!! バリーがつかんだ!! サイトの襟首を!!』 「お前の事情など興味は無い。死ね、小僧」 そう言い捨て、空いている手でチャンネルを回すバリー。 次の瞬間、バリーの口から銃器を手にした腕が生えてきた。 『マ……、マシンガンだあ~っ!! 口からマシンガン!!』 「うぐおおおっ!」 口からせり出した上半身による機銃掃射を受け、才人が苦悶の叫びを上げた。 ――バリーCh(チャンネル)切り換え バーバリアンCh→コンバットCh―― 『バリーの口から新たなる肉体が!! 体格的には劣る代わりに今度は武器を手にしている!! マシンガンと……、あれは……』 (実況担当)はそこまで言って、バリーがくわえている握り拳大の物体の正体に思い当たる。 『ま……、まさかっ!?』 その考えを肯定するかのように、バリーは物体に刺さっていたピンを引き抜いて才人の口に放り込むと、壁まで蹴り飛ばす。 「後ろの観客に告ぐ!! そこら一帯吹っ飛ぶぞお~!!」 大声で警告しつつ、バリーはまたもチャンネルを回す。 「う……、うわああ!」 才人が叩きつけられた場所の付近にいた観客達が、クモの子を散らすように逃げていく。 「手……、手榴弾か!!(投げ返してやる!! 間に合うか!?)」 慌てて口から手榴弾を取り出した才人だったが、その時バリーの頭部の右半分から弓を持ち矢筒を背負った人間の上半身が生え、才人めがけて矢を放った。 ――バリーCh(チャンネル)切り換え コンバットCh→アーチェリーCh―― その矢は正確に才人の手榴弾を持っている方の腕を射抜いて、壁に縫い止めた。 「嘘だろ!?」 次の瞬間、才人は周囲諸共爆炎に飲み込まれた。 「………!!」 「サイトさん!!」 ルイズは息を呑み、シエスタは声を上げた。 「『Bully』とは、『いじめ]』意味。サイト……、お前は1対1で戦っているつもりだったのだろうが、それは少し違うな。お前はいじめられていたのだよ、何人もの『俺』を相手にな。ちなみに俺は自分の戦い方を卑怯とは思わん。なぜなら俺は殺しのプロだからだ。プロを名乗るからには、結果は必ず出す……!! 過程や手段などどうでもいいし、人格的評価もくそくらえだ……!!」 そう話すバリーを眺めつつ、ナックルスター・ルイズはその恐るべき実力に戦慄する。 (バリーって奴……、戦い方は滅茶苦茶だが、言ってる事は殺しのプロとしては芯が通ってやがる……!!) (そして奴の首にあるチャンネル……!! 不気味なのは未使用のチャンネルが幾つもある事……!! つまり、奴は手の内を半分も見せていない……!!) 『こ……、この勝負……、勝者バリー!! 試合時間は58秒――』 「――おい!!」 バリーの勝利を告げようとした(実況担当)を、突然の声が遮った。 「待ちな……、まだ全然終わっちゃいねえぞお……!!」 『何いい~っ!!』 そう言いつつ炎の中から這い出した才人に、(実況担当)は大声を上げた。 右腕が無残に吹き飛び、目に相当する部分のガラスにも亀裂が入っていたが、それをまったく気にした様子は無い。 「バリーよ……、てめえはプロを自称するわりには、仕事の終わらせ方が随分甘いんじゃねえのかあ!?」 「貴様……!!」 一方その頃、舞台裏では車椅子に乗った中年男性と複数の女性スタッフが特大の遠見の鏡で観戦していた。 『立った!! サイトが立ちました!! 右腕が欠損したものの、戦意にはわずかの衰えも無い様子!! 続行!! 試合は続行です!!』 するとそこに、1人の女性スタッフが紙を手にしてやって来た。 「クロムウェル様、先程入手した情報です」 「何だ?」 「選手の中で1名だけ……、本大会への参加資格を満たしていない者が混ざっている事が判明しました」 「どういう事だ……?」 「その者には『殺人歴』が無いのです。にもかかわらず、個人的な目的のため『ハルケギニア最強殺人鬼決定戦』に参戦しているのです。もしこの者が優勝するような事があれば……、大会の趣向そのものが意味を失ってしまう恐れが……」 女性スタッフの報告が耳に入り、車椅子の中年男性が視線だけをそちらに向ける。 「その者とは……、あいつだな? メイドの……。サタニスター達が連れてきた、『シエスタ』ではないか?」 「いえ!! 彼女は予選で石牙のマリコルヌを殺害しているので、ギリギリで本線参加資格を得た形になっております」 「となると……」 「クロムウェル」 その時、車椅子の中年男性が首を傾げるクロムウェルを制した。 「!!」 「どうしました、ボス?」 「その者がだれであろうが構わん。私が見たいのは殺人鬼の死闘……。集まった客人達もそれを望んでおる。排除せよ。その者を……、今すぐ!!」 と握り拳の親指を下に向けた車椅子の中年男性――「虚無壺の会」ボスの指示に、クロムウェルは指を鳴らして合図する。 「イエス・サー!! ……ウラヌス!! ネプチューン!! プルート!! 仕事だ!!」 そのクロムウェルの視線の先には、服装こそ他の女性スタッフと同様だが一際剣呑な雰囲気を纏う3人の女性が立っていた。 「バリイイーっ!!」 左腕を振りかぶって猛然と突進していく才人に、バリーは慌ててチャンネルを操作する。 『才人が向かったあ~!! 迎え撃つバリーはチャンネルを切り換える!! 変身だ!!』 次の瞬間、バリーの胸部から大槌を握った腕が生え始める。 「サイトーっ! 今度こそくたばらせてや――」 ――バリーCh(チャンネル)切り換え アーチェリーCh→解体屋(クラッシャー)Ch―― そのバリーの言葉を途中で遮り、才人は強烈な拳の一撃を顔面に浴びせる。 『しかし間に合わないーっ!! サイトの方が早かったあーっ!!』 回転しつつ吹き飛び地面に叩きつけられたバリーは、か細く痙攣するばかりで全く身動きしない。 『バリーは変身が中途半端まま動けないーっ!! これは!? 意識が混濁しているのか!? バリー、変身が途中で止まったままです!!』 「てめーは技に頼りすぎなんだよ!! まともな喧嘩はした事あるのか!? 殺し屋さんよーっ!!」 「す……、凄い……!!」 思わず感嘆の声を上げたシエスタ。ルイズも内心、 (サイトの野郎……、やる時はやるわね……!!) と感心していた。 その時、突然観客席に座っていたルイズ・ナックルスターの横を3つの影が駆け抜けていった。 「!?」 「とどめは刺させてもらうぜ。それがお前に殺されたコルベールさんに対するけじめ……!!」 才人がそう言いつつ1歩踏み出した時、先程の3つの影が彼に接近してきた。 「あいつらはっ!?」 「虚無壺ガールズ・『ウラヌス』!!」 「『ネプチューン』!!」 「『プルート』!! 我ら3人、ただ今より……」 『ヒラガサイト!! 貴様の選手資格を剥奪するっ!!』 その言葉と共に、電光を纏った杖を才人の体に叩きつけた。 「ぐあああああっ!」 才人の眼からも叫びを上げる口からも火花が噴出する。 『何い~っ!?』 「サイトさん!!」 「………!?」 「選手資格の剥奪……!?」 突然の展開にシエスタは才人の名を叫び、バリー・ルイズ・ナックルスターは首を傾げた。 「どうなってんだーっ!!」 「意味がわからんぞ!!」 騒然となった観客達に答えるべく、ゼイシが声を張り上げる。 『静粛に!! ヒラガサイトは本大気への参加にあたり、主催者「虚無壺の会」に対する重大な虚偽があった事をここに発表する!! すなわち……、サイトは元より主人「コルベール」殺害の容疑がかけられており、それが参加資格の根拠であったが、サイトは試合前にバリーの犯行である事を主張した!! つまり殺人鬼ではない事を今になって露呈した事になる!! 本大会はあくまでハルケギニア最強の殺人鬼決定戦!! サイトはせめて予選で誰か1人を殺害するべきだった!! よってサイトは「失格」とする!! 勝者はバリー!!』 (サイトさんは……、殺人鬼ではなかったのですね……!!) ようやく立ち上がったバリーに実況担当が声をかける。 「おめでとうございます、ミスタ・バリー。次の対戦相手は『シエスタ』でございます……が、その前に私どもの方で傷の手当てを致しますが?」 「今は手当など不要……!!」 バリーはそう拒絶すると、おもむろにチャンネルを回す。 「別の肉体を選択すれば済む話だ……。やらねばならん事は他にある……」 「!!」 倒れ伏した才人の傍に立ったバリーは、耐火服を身に纏い油壺を手にしていた。 ――バリーCh(チャンネル)切り換え 解体屋(クラッシャー)Ch→放火狂(パイロマニア)Ch―― 「サイト……、お前はさっき……、『俺の仕事の終わらせ方が甘い』と言っていたが、俺は仕事をしくじった事は1度も無い。1度もな……!!」 そう言いつつ才人の体に油をかけ始めるバリー。 『バリーが油をかけ始めたーっ!! サイトは電撃のショックで動けない!! 燃やす気だあーっ!!』 「こいつはいいぞ!! 火葬ショーだ!!」 「燃やせ!! 燃やせ!!」 「スクラップにしちまえーっ!!」 観客達の野次も一層剣呑なものになっていくのを見て、シエスタは慌てて実況担当に詰め寄る。 「と……、止めてください!! もう勝負はついているのに!!」 「敗者の安全について、我々は一切保証しない事は説明済みでございます。ましてやサイトは、第1試合でいきなり大会に水を差した者。彼が無事では我々としても観客に示しがつきません。それよりもご自分の事をお考えくださいませ。次にバリーと戦うのは貴女なのですから」 2人がそんな会話を交わしている間に、バリーは手にした松明を高々と振りかざす。 「死ねいっ、サイトおお!!」 次の瞬間、シエスタの後ろ回し蹴りがバリーを盛大に吹き飛ばした。 「………!! お……、おお……」 完全に不意を突かれたバリーは、鼻血を垂らしつつうずくまる。 「……シエスタ!!」 この行動にはルイズ・ナックルスターも目を丸くした。 「あなた、少し失礼ではありませんか? 私は早く第2試合を始めたいのですよ。自分勝手な理由で待たせないでくださいよ!!」 バリーを見下ろしつつそう言い捨てたシエスタは、続いてウラヌス・ネプチューン・プルートに視線を向ける。 「あ、それからそこのスタッフさん達。サイトさんがここにいると邪魔ですから、隅の方に運んでおいてください」 狼狽する3人にシエスタはさらに、 「早くしてくださいよ。メダル10枚のシード選手でも無理なお願いですか?」 と急かした。 「くそっ!!」 「お……、重い~っ!!」 3人が才人を引きずってその場から離れた事を確認して、実況担当が第2試合開始を宣言する。 『そ……、それでは、第2試合……、始めーっ!!』 そう言い終えるが早いか、バリーはチャンネルを切り換える。 一方のシエスタは、その様子を見据えつつ自分自身に言い聞かせる。 (やるしかありません……、こうなった以上……!! 負けても……、降参しても……、絶対殺されます……!!) 前ページゼロニスター
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1910.html
話は二日前に遡る。 才人が魔法学院の生徒に追い掛け回され、ルイズが行った錬金の魔法が成功したと思われたその日――、学院長室と呼ばれる部屋で、誰かと誰かが話す声がした。 一人はこの魔法学院の学院長を務めるオールド・オスマンと呼ばれる老齢の大魔道士。 そして彼と、机を挟んで会話をする、一人の男。その姿は静かに、かつ毅然とした態度でオスマンと対峙していた。 「……王宮も、余程暇と見える。こんな内容に勅使をよこすとはのう」 オスマンは勅使として来た男の持っていた文書を受け取ると、ちらと眺めただけで、ひらひらと紙を振る。 「オールド・オスマン、内容がどうであれ、公文書をそのように扱ってもらっては困ります」 男は変わらずの直立姿勢で、オスマンの態度を諌める。 「……ふむ。“最近トリステイン城下を荒らしまわる怪盗あり。土くれと仇名されし盗賊に注意されよ” ここをどこだと思っておるんじゃ」 オスマンが不満を隠さずに言う。 「仰るとおりです。ですが」 男はそれでも、然として姿勢を崩さない。 「わかっとるよ。注意は怠らんわい。……じゃがの。いくら世紀の大怪盗だろうが、貴族だらけの魔法学院にくる度胸があるかの。虎穴より恐ろしい場所じゃぞ、ここは」 「そのように考えた貴族は多いのです。貴族に牙を向く愚か者、身の程を知れと。……ですが結果として屋敷に侵入され、賊に財宝を奪われた者が後を絶えません」 メイジを敵に回すことの恐ろしさを、二人は良く知っている。それゆえにオスマンはメイジを敵に回す怪盗のことが信じられず、男はメイジを手玉にとる怪盗を恐れているかのような口ぶりだった。 「貴公のご忠告はよく賜った。痛み入るのう。……用件は以上かね」 オスマンはゆっくりと目を瞑ると、文書を机にしまった。 「いえ。実はもう一つございまして……」 勅使がさらに畏まって口を開こうとしたとき。 「失礼します」 学院長室のドアがコツ、コツと二回叩かれる。 ミス・ロングビルが、紅茶のポットとカップをトレイに載せて、部屋に入ってきた。 「おお、すまんの。ミス・ロングビル。それじゃ二人分、注いでくれんかのう」 「かしこまりました」 ミス・ロングビルが芳しい香りの紅茶を静かに注いでいく。 勅使の男も、ソファに腰を下ろし、彼女の淹れた紅茶の香りを楽しんでいた。 「すまんがミス・ロングビル。外してくれんか?」 深々と頭を下げたロングビルが、静かにドアを閉めて出て行くと、オスマンの表情はまた険しいものになった。 「さて、そのもう一つとは」 「美しい女性ですな。さすがはオールド・オスマン。見る目が違う」 真面目に聞いてやろうとしたのに、今度は勅使のほうがはぐらかしたので、オスマンの皺はますます深くなった。 「おぬし」 「いえ、申し訳ありません。美しい女性の姿はどうしても追ってしまいますので」 一口だけ飲んだ紅茶をテーブルに置くと、男は立ち上がる。 「アルビオンの情勢が、思わしくありません」 遠く窓の向こうを見るように、男は言った。 「あの国の内乱は末期か……。王家が潰れれば、また国を巻き込んで戦争が起こるのう」 曇った表情で、オスマンはまた一口、紅茶を含む。 「そうなれば国中の貴族が総力を挙げ、戦争に立ち向かわなければなりません。王宮貴族の一派はすでに、その準備を進めています」 その際には、と男は続けるが、オスマンがその先を口にする。 「この魔法学院も戦争に加われと、王宮の御達しかの?」 「場合によっては……ですが。王宮内に、そのような意見が犇いているのも、事実です」 ふむぅ、とオスマンは唸るように息を吐いた。 「そうならんことを、祈るだけじゃのう」 それは、老人の本音だったのだろう。 「王宮からの言づては、これで以上です」 男は窓に寄り、外の景色を眺めた。 「ところで、オールド・オスマン。ここからは、私個人のお願いなのですが」 窓の景色から目を離さず、男は言う。 「……なんじゃ。これ以上暗い話題じゃないじゃろうな」 彼は口元に笑みを浮かべながら、老人に言う。 「さすがは天下に名だたるトリステイン魔法学院。野に咲く花すら美しい」 オスマンは黙ったまま、彼をじっと見据えた。 「私の屋敷の女中が一人、行方知れずになりましてね。一人減っただけなのですが、これがどうにも不便で仕方がない。そこで、貴族の給仕に長けた学院のメイドを一人、私の屋敷に招き入れたいのですよ」 いかがでしょう? と彼は臆面も無く尋ねる。 「おぬし……」 男の突然の申し入れに、オスマンは訝しむ。 「モットです」 私の名前は、モットと申します。と、王宮の勅使――モット伯は、笑みを浮かべるのであった。 「……ん。んっ~~~~~~! あーよく寝た」 背伸びしながら大きく息を吸い込んで、まだ残る僅かな眠気を吹き飛ばす。 ルイズ達と庭先で派手な火遊びをやらかしたキュルケが、三日ぶりにお目覚めであった。 「あら、やだ……。あたしったらこんな格好して」 毛布一枚にくるまっただけのあられもない姿で彼女は今まで寝ていたのである。 ま、いっか。と彼女は杖を振ると、箪笥やクローゼットから、今日の気分に合った洋服が出てきた。 それをするすると着こなしながら、キュルケは自慢の長い赤髪をそろえていく。 さあ、今日はどんな方法で、彼らを誘惑しようかと考えを練りながら。 突然、くるるる、とお腹が鳴った。三日も何も食べてなかったのだから、仕方ない。 お腹の鳴る音を聞いてしまうと、不思議と何か食べたくなってしまった。 彼らに会う前に食堂に行って、何か作ってもらって小腹でも満たそうと、キュルケはいそいそと部屋を出る。 その時、小さく馬のいななきが聞こえてきた。 窓から外を見ると、遠目からでも分かる桃色の髪と、愛しの想い人達が、馬でどこかに去っていく途中だった。 「え~~。出かけちゃうの~~~~?」 彼女にとっては、これは予想もしていないことだった。 二人がルイズと出かけてしまったら、誘惑のしようが無いのだ。 「……そーねぇ。だったら、追いかけちゃいましょ」 お腹がすいていたことなどもう忘れて、キュルケは駆け足で女子寮の五階を目指す。 友達の助けを借りるために。 虚無の曜日は、この世界に住む者なら誰もが好きな日である。丸一日、自分の好きなことがしていられる日だからだ。 ……最も、平民からすれば一年働き通しという者も少なくないため、本当の意味でこの日を満喫できるのは、貴族だけということになるが。 魔法学院女子寮の五階に部屋を持つタバサは、この虚無の曜日が大好きな一人である。 自分が好きな読書を、一日中続けられるからだ。 そして、他の人間と関わらなくて済むというのも、好きな理由だった。 だが、今日はそのどちらも、破られることになる。 ドアが猛烈な勢いでノックされる。その音がうるさいので、タバサは『サイレント』の魔法をかけた。すると幾ら待ってもドアを開けてくれないことに業を煮やした相手は、『アンロック』を使って強引に部屋に入り込んできた。 普通ならもうここで、『ウィンド・ブレイク』の一つもお見舞いするところだが、入ってきた人間が彼女の友達――キュルケなら、そうはいかない。 こうやって彼女から話されるのは三日ぶりだが、どうやら無事に回復したらしいことを、彼女は自分の目で確認した。 ちなみに、三日前にキュルケを部屋まで連れて行ったのは、タバサとルイズだった。 『レビテーション』をかけるも、三階まで送り届ける力がなかったタバサに代わり、軽くなったキュルケをルイズが背負って運んだのであった。 部屋のベッドを見るなり、ルイズがポイッとキュルケを投げたのはどうかと彼女は思ったが。 さらにどうでもいいことだが、瀕死のギーシュは男二人に部屋まで連れて行かれたが、あとはどうなったか知らない。 あれ以来彼の姿は見ていないので、案外大変なことになっているかもしれない。どうでもいいが。 「タバサ! お願い助けてぇ!」 タバサが手にしていた本を取り上げるなり、キュルケが潤んだ目で懇願してきた。 「……と言うわけなのよ! お願いタバサ! 力を貸して!」 あのルイズの使い魔を追いかけるのに、タバサの使い魔の力が必要だと、キュルケは力説する。 本当は一日本読んで過ごしたいし、なにも自分が助けなくってもよさそうな気がしたが、友達のたっての頼みなので、タバサは断ることはしなかった。 もぞもぞとベッドの上から降りると、部屋の窓に近づく。 その際、キュルケが窓の近くにいたので、 「ちょっとそこ」 と言って、掌を突き出す。 次にピースサイン。 最後は親指と人差し指で丸を作った。 あっけにとられたキュルケが後ろに下がると、開けた窓の向こうに、タバサは口笛を吹いた。 そのまま窓の向こうに身を投げる。 これがタバサの外出の方法だと知っていたので、キュルケも窓枠に足をかけ、飛び降りようとした。そのとき、気付いた。 ……あれ? さっきのタバサのあれって……、もしかして、ギャグ? ちょっとそこ、指4本(し)、指2本(つ)、指で○(れい) ……ってことなの?! 「誰よそんなツマんねーの教えたの!」 そう怒鳴るように言って、キュルケも身を躍らせた。 彼女も背中でしっかりと受け止めたタバサの使い魔――シルフィードが、翼を大きく羽ばたかせる。 彼女達の姿は、すぐさま天空に小さく消えていった。 トリステイン城下町。その一番の大通りと呼ばれているブルドンネ街を、ルイズと使い魔達は歩いていく。 「あ! なあルイズ! あれ!」 「あれは酒場よ」 「じゃ、あれ!」 「衛士の詰め所ね」 「……衛士って何?」 「王宮と城下町を守護する兵隊のこと」 「へぇ」 才人にすれば、初めて見るものが多いのだ。興味を引くものが多いからあっちこっち行ってしまう。 「あんまり遠くに行くんじゃないのよーーーー!」 そうは行っても、もう才人の姿は豆粒と化していた。ったく……。と呆れたように、ルイズは零す。 「……ねえ、あんた」 ルイズが、並んで歩くジャイロに声をかけた。 「あ? なんだおチ……、いや、ルイズ」 「ご主人様」 「ああ?」 「ほら、言いなさいよ。あんたは私の使い魔なんだから」 「ルイズ」 「ご主人様」 「ルイズ」 「ご主人様」 「ル……」 「ちゃんといいなさいよぉ!」 げしっと蹴りが見舞われる。ルイズからすれば、ジャイロには一度もご主人様と呼ばれたことが無かった。 丁度いい機会なので、呼ばせてみようと企んだのだが。 「ふん! もういいわよ! あんたの忠誠はよっくわかったわ!」 「なにがわかったんだか……。おー痛てェ」 そっぽを向くルイズと、腹を押さえてうずくまるジャイロ。 「あんた……。どうして太后陛下に会いたかったの?」 それを聞いてみようと思った。 「別に」 と、彼は答えた。 「嘘よ」 「じゃあ逢わせてくれるか?」 「それは駄目」 それは出来ない。そんなことは彼だってわかっているはずなのに。 「そんじゃ言わねェ」 「意地っ張り。……もういいわよ」 お互いに、そっぽを向いて。 二人はそれから暫く、無言で街道を歩いていく。 ルイズがあたりを見渡す。お目当てを見つけたらしく、真っ直ぐ向かうと、そのうちに剣の絵が描かれた看板をぶら下げた店に辿り着く。どうやらそこが、武器屋のようだった。 「ここね。 ……ほーーら! サイトーー! すぐにこっちに戻って来なさーーーーい!」 大声で呼ばれ、才人が二人の元に戻ってくる。 「なにしてんのよ! 手間かけさせないでよ。もう」 「い、いや。なんかあるもん全部珍しくってさ」 楽しそうにそう声を弾ませる才人に対して、ルイズは呆れたように息を零した。 「はしゃぎすぎて、預けた財布落さないでよ」 「心配すんなって。こんなに重いもの、落せばすぐにわかるっての」 「盗まれるってこともあるの! とにかく用心してよね」 そう言って、ルイズは武器屋のほうへ、一人でずんずんと進んでいく。 「なあ……ジャイロ。ルイズとなんかあったのか?」 その後ろ姿を見て、なにか思うところがあったのか、才人がジャイロに尋ねた。 「あー? なんもねーよ」 「なんもねーわけねーだろ。あの態度は絶対にあいつ怒ってるんだって。……ったく。お前も今朝からおかしーぞ。いきなりルイズに突っかかるし」 さっきの勝負のことだ。 「突っかかったわけじゃねーよ。……忘れんな。オレ達には目的があるんだ。そのためにはよォ……」 「シエスタのことなんか、どーなったっていいってんだろ」 ジャイロが、才人を睨みつける。 「テメェ……。まだ根に持ってんのか」 才人も、見上げるように、睨み返す。 昨日聞いた話だ。……シエスタが、学院を去ったのだと。 彼女には、心残りがあった。 学院の給仕に不満など無い。 貴族達の時折見せる冷たい対応も、平民ならば誰もが受ける仕打ちであり、受け入れてしまえば存外、苦にはならなかった。 住み込みで食事付き。 衣食住足りている生活で、これ以上の望みは無かった。 それはこの場所に来ても――、いや、この場所の待遇の方が、学院より遥かに良い。 月に一度支払われる給金も、学院のときより破格であり、労働時間も短い。 屋敷の主は仕事用の制服のみならず、休日や非番日に来て歩けるように、私服まで拵えてくれた。 ここまでされて不満など、あるはずも無い。 なのに、心に残っている。 あの人の顔が、心に残っている。 それが、シエスタの心を、重く締めつけるのだった。 シエスタがこの館に来て、今日で二日目になる。 彼女は、ここに自分の足で赴いたわけではない。自らの意思でここに来たわけではない。 なのに……、今自分はここにいる。 望んだわけではないのに、ここにいる。 そして、ここから抜け出せずにいる。 窓の外を眺めて、時折飛び交う小鳥を見つめた。 私も――あのくらい自由なら。 「鳥のように、どこまでも行けたら、いいのに」 自分の運命は、こうなるのだと――受け入れたくないのに、私は、抗らえないでいる。 許されるのなら。もし、本当に許されるのなら。 「戻りたい……。助けて……、サイトさん。………………ジャイロさん」 小さく、本当に小さな一滴が、床に落ちた。 「……才人がよォ、ここの生徒共によってたかられてあのザマだ。シエスタ、わりーが薬箱を持ってきてくれ」 シエスタがジャイロの後ろを見ると、見るも無残なぼろ雑巾と化した才人が横たわっている。 「わ! わかりました! いまお持ちしますから!」 これは大変だと、シエスタは慌てて厨房の棚の奥にある薬箱を取りに行った。 「さって……。よォ。塩梅はどーだ才人?」 息も絶え絶えの才人が、あうあう言いながら答える。 「凄く、痛いDEATH」 「だろーな……。見えねーから気がつかねーと思うが、オメーの背中、ザックリいってんな。こりゃ痛てーはずだ」 「痛すぎてよくわかんねーけど……。もしかして、やばい?」 「かなりやべーな。こりゃ出血多量で失血死コースだ」 ますます才人の顔が青くなった。 「ま、心配すんな。これで縫えば傷はふさがるからよ」 そういって取り出したのは、えらく煤汚れた糸だった。 「……え? ……え? ちょ、なにすんの?」 「静かにしてろよー。余計なとこまで縫っちまうからよォ」 そう言うなりジャイロは、才人の傷を糸をつけた針を刺して縫い合わせていく。 麻酔も無く、太い糸をこれまたぶっとい針でぐりぐりと強引に突っ込まれて縫われる。 当然のことながら、もの凄く痛い。 「あ、あだだだだだだ!! いで! いでいでえ!! いでえっでの!!」 「暴れんな! 我慢しろこんぐれー。死ぬよりマシだろーが!」 「し、死んだほーがマシだこんなの! もっと! もっとやさしく! やさしくプリーズ!」 「ったく、注文多いなオメー」 仕方なく、気持ち分、優しくはしてやる。 「いやもうダメ! 許して! ほんとにダメだって! もっとやさしく! やさしくお願い!」 「気色悪りィ声だすんじゃねーよ!!」 「あ……。 あっ! ダメ! そこダメ! あっ! あっ!! アッ――――――ッ!!」 ジャイロが治療に奮闘し、才人は痛みを耐えている。 二人ともそれで手一杯で、他のことに気を回す余裕なんてなかった。 後ろから、おもいっきりシエスタが見ていたことも、……彼らは気付かなかった。 薬箱をどさっと落して、シエスタはその場から駆け出す。 その顔は、酷く蒼褪めていた。 「おう! 戻ったかシエスタ! 早速だが夕食の準備に――」 厨房から顔を出したマルトーが戻ってきたシエスタに声をかける。が、シエスタはふらふらとした足取りで奥に引っ込んでしまった。 大丈夫か、あいつ。とマルトーは心配そうに奥を覗くが、すぐにコック長と声をかけられ、厨房に戻って行った。 「……そんな」 バタン、と荒く閉めたドアにもたれかかるように、シエスタはうずくまる。 「まさ、か……。あの二人が、そんな」 蒼褪めたシエスタの唇は、ふるふると寒そうに奮え、その震えは全身を駆け巡った。 「……そんな、そんな関係だったなんて……っ!」 そういえば、と彼女は彼らのことを振り返る。 あの二人はよく一緒にいて、いつも仲が良さそうで。 ジャイロさんはまるでお兄さんのような人で。 サイトさんは同じ年頃の、明るい男の子だったと思っていた。 それでもまさか、二人はそんな間柄だったなんて、夢にも思わなかった。 「……ひどい」 裏切られたと、思った。 なぜそう思ったのか、わからない。 だけどこれで、あの二人の間に自分が入り込む余地はないんだと思えてしまう。 それがとても、悲しくて、シエスタの目には涙が溜まっていた。 ……いつのまにか、眠ってしまったのか。 「……スタ。…………エスタ。……シエスタや……起きなさい。起きなさいシエスタ」 誰かに呼ばれた声で、シエスタは目を醒ます。 「はっ……。す、すみませんコック長! ただいま厨房に――」 「起きましたね、シエスタ」 そこにいたのは、料理長ではない。全く知らない、白髪のおばあさんだった。しかもふよふよ浮いている。後ろから後光が射している。怪しさ大爆発である。 「……え。……あの、どちら様でしょう」 「シエスタ、貴方が私を知らないのも無理はありません。ですが、私は貴方をよく知っていますよ」 知らない人からそう言われても、ますます怪しさが募るだけである。 でも……、シエスタは心の中で、この人は自分にとって、重要な意味を持つ人だと気付く。 「あ……。ま、まさか。まさか貴方は!? 私の?!」 「ええ。あなたの曾お祖母ちゃんですよ」 まさかの曾祖母光臨であった。 「え、ええ?! 曾お祖母ちゃんが、どうしてここに!?」 「可愛い曾孫の悩みだもの。いても経ってもいられず、応援に来たのよ」 なんというご都合展開だろう。 「な、悩みって……」 「シエスタ、貴方はいま恋をしているのね」 どきん、と心臓が高鳴った。 「こ、恋?! 恋って!?」 「曾お祖母ちゃんはなんでもお見通しなのよ、シエスタ。……でも、その男の子は」 そうなのだ。それを思い返して、シエスタは顔を伏せる。 「シエスタ。そんなに悲しい顔をしないで。その男の子は、別にシエスタのことが嫌いなわけじゃないわ」 「でも……。でも曾お祖母ちゃん。その人は……」 「諦めちゃダメよシエスタ。逆に考えるのよ。あの子は男の子が好きなんじゃない」 曾祖母の優しい語りかけに、シエスタは顔を上げる。 「あの子は本当の愛に気がついていないだけなの」 「本当の、愛……?」 「そうよシエスタ。本当の、真実の愛(ラヴ)というものはね、男と女の間にしか存在しえないの。今のあの子は、それが見えないゆえに一時の気の迷いと欲望の捌け口を求めているだけ」 「……じゃ、じゃあ曾お祖母ちゃん! もし、もしもその真実の愛を教えることができれば!?」 「ええ。彼は貴方の元に還ってくるわ」 シエスタの顔に笑顔と、希望が戻ってくる。 「本当! 本当なのね曾お祖母ちゃん!」 その問いかけに、曾祖母はにっこりと笑った。 「だけど気をつけてねシエスタ。彼は移り気よ。正しい道を指し示しても、それを貴方と歩んでくれるとは限らないわ」 ゆっくりと天上の光に吸い込まれるように、曾祖母は光の彼方へ消えていく。 「うん! うん! わかったわ曾お祖母ちゃん! 私、頑張るから!」 その明るい彼女の笑顔に安心したのか、曾祖母の姿が消えた。 「頑張ってねシエスタ……。曾お祖父ちゃんもかなりの奥手だったけど、真実の愛でゲットできたのよ……。貴方も、幸せに……おなりなさい」 「見てて! 見ててね曾お祖母ちゃん! 私、頑張るからーーーー!」 シエスタは、光り輝く天上にいつまでも、いつまでも手を振っているのであった。 「おい! おいシエスタ! 大丈夫か! しっかりしろい!」 肩を揺らされて、目を醒ます。 目を開けると、マルトーの大きな顔が目に飛び込んできた。 「お、おば……。 ひぃゃやあああああ!」 びっくりして思わず大声を上げてしまうと、マルトーはシエスタが目覚めたことを確認し、立ち上がる。 「おい大丈夫かシエスタ。いきなり奥に引っ込んだと思えば、気絶してたんでびっくりしたぜ。どっか具合でも悪いのか?」 「い、いえ。そういうわけじゃ……」 「まあいいや、体が動くなら手伝ってくれ、夕食の準備が間に合わねえ」 は、はい。わかりましたと、マルトーの後を、シエスタはついていく。 このときから、シエスタには希望という名の目標ができた。 彼に真実の愛(ラヴ)を教えるのだ。それがいつか、自分の幸せになるのだと、彼女は固く心に信じた。 そしていつものように夕食の準備に取り掛かろうとしたとき。 「シエスタ君だね?」 誰かに後ろから呼び止められ、振り向いた。 彼女の視界が、暗転する。 *** 「なあ親父さん! 本当のことを言ってくれよ!」 「すまねえ『我らの剣』よ……。俺にも、詳しいことは話されちゃいねえんだ」 「そんな……。配置換えだか栄転だか知らないけどさ! 急すぎるだろ!」 才人が憤りを隠さず言い放つ。 それをマルトーは、黙って受け止める。 「止せ才人。親父さんが悪いわけじゃねぇ」 ジャイロが才人を諌める。 「だけどよ! シエスタは本当にそれを望んだのか!? 貴族の屋敷に行くなんて、本当に!?」 「世話になった親父さんに黙ってまで行ったんだ。望んで行ったんだろ」 ジャイロの言い草に、才人は腹が立った。 「勝手なこと言うなよ! シエスタがそんなことするわけないだろ! 世話になった親父さんなら、必ず挨拶ぐらいしていくさ!」 「どうだかな」 「ジャイロ……。なんだよその言い草。冷たすぎるんじゃないのか!」 「止してくれ『我らの剣』! 『我らの銃』! 俺達の身内のことで、お前らに揉めて欲しくねえ……」 項垂れるマルトーが、また一杯、酒をコップに注いだ。才人はそれが空になるのを見ていたが……、ジャイロは黙って、外に出る。 「ま、待てよジャイロ!」 才人がその後ろを追いかける。 「才人、オメー何勘違いしてやがる」 苛立った声で、ジャイロが言う。 「何ぃ……?」 「オレ達はこの世界の人間じゃねえ。いずれは……、去らなくちゃならないんだ。別れが少し、早くなっただけだ。それを、忘れてんじゃねえのか」 ジャイロの鋭い視線が、その言葉と共に、才人の胸に刺さる。 「だからってよ……。だからって! 納得できんのかよ!」 「オレ達がでしゃばってどうにかなるもんじゃねえだろ! この世界にはこの世界の決まりってのがあるんだ! シエスタは、それに従っただけなのかもしれねえ」 才人は黙った。ジャイロの背中を睨みつけたまま。 「そのどこぞの貴族のところに行った方が、あいつにとっては幸せなのかもしれねえ。……受け入れろ。あいつは……自分の意思で、ここから去ったんだ」 それだけ言って、ジャイロは夜の闇へ進んでいく。 「なあジャイロ!」 その背中に、才人が叫んだ。 「そうじゃなかったら、どうするつもりなんだよ!?」 答えること無く――彼は才人の前から、姿を消した。 「なにしてんのよあんた達。ほら、入るわよ」 石段を登り、羽扉に手をかけながら、ルイズは二人に声をかける。 彼らの上空で、一羽の鳥がゆっくりと、旋回していた。
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/3943.html
最近、タニアは朝が嫌いだ。特に皆と一緒に採る朝食の時間。 なるべくなら、朝は別に採りたい、とすら思うようになっていた。 その理由は。 「ねえサイト、どっちだと思う?」 「何が?」 「やだもう、分かってるくせに…」 「俺は女の子がいいな。テファそっくりの可愛い娘」 妊娠したのがわかってから、公然といちゃつくようになったこの二人である。 「やだサイトったら、冗談ばっかり」 「冗談でこんなこと言わないよ」 今朝のスープには砂糖でも入っているのだろうか? タニアはスープを掻き込みながら、まるで砂糖をまぶした蜂蜜を舐めたかのような顔をした。 二人のアホ面を、特にデレまくる才人を見るにつけ、一時でもこんなの好きになったのは気の迷いだったんだ、とタニアは思っていた。 「ごちそうさまっ!」 空になった皿とスープ皿をまとめて、タニアは席を立つ。 「タニアねーちゃん早っ!」 「ちゃんとかまないとおいしくないよー」 ジムやサマンサ、その他子供達の非難を浴びながら、タニアは食堂を後にした。 「まったく…誰かあのバカップルなんとかしてくんないかしら…」 食事の後片付けを終えたタニアは、日課の兎狩りに出かけた。 狩猟用の、しっかりした造りの短弓を持ち、小さな矢の入った矢筒を腰のベルトに差す。 タニアは、村で唯一弓を扱える子供だった。 というよりも、おもちゃの弓で遊んでいるうちに、弓の扱いを覚えたのだが。 それでも彼女の腕は確かで、犬もいないのに三回に一度は必ず、猟果を挙げてくる。 この弓であのバカップルどもの脳天をブチ抜いてやろうと思った事もある。 でも仮にも育ての親である。そういうわけにもいかない。 「…ほんと…頭さえ沸いてなきゃいい人たちなのよねえ…」 言いながら村を出て、道沿いに兎の巣のたくさんある狩猟ポイントへ向かう。 しばらく道沿いに進むと。 奇妙な二人組みが道の向こうからやってきた。 大量の荷物を背負った黒髪のメイドと、フードを目深にかぶった桃色の長い髪の、背の低いおそらく女。 道に迷ったおのぼりさんかしら、とタニアが思っていると。 二人はこちらへ気付き、近寄ってくる。 …怪しい人だったら弓でなんとかしないとね。 軽く警戒しながら、タニアはその二人に手を振る。 「どうしました?道に迷いました?」 道に迷った旅人にかける台詞で、タニアは二人に話しかける。 二人はある人物を探しているのだと言い、そしてその人相をタニアに告げる。 タニアはその人物を知っていた。 そして気付く。 この二人は救世主だ。 この二人を村に連れて行けば。 きっと明日からは、おいしい朝ごはんが食べられる…! そしてタニアは、二人をウエストウッドの村へ案内した。 249 :華の嵐 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/13(金) 03 18 29 ID al9RE2S0 ウエストウッドの村には、季節外れの嵐が吹き荒れようとしていた。 村の入り口にやってきた余所者に気がついたのは、洗濯物を干しに出ていたティファニアだった。 才人は妊娠しているティファニアを気遣って、重い仕事は全て才人が請け負っていた。 今才人は、果物を採りに東の森に出かけていた。 ティファニアは外出用の大きな帽子をかぶり、二人に近づいていく。 ぱっと見、二人連れの、女の子の旅人のようだ。 それでも一応警戒しながら、ティファニアは二人に近づいていく。 「あの、この村には宿も何もありませんよ?」 ティファニアは二人から一定の距離を取り、いつでも叫べるように警戒する。 才人に言われて、知らない人間にはこうするようにしているのだ。 『もう自分だけの身体じゃないんだからな』…だって!だって! 「あの、どうかなさいましたか?」 二人のうち黒い髪のメイドが、赤くなって回りだしたティファニアを奇妙な生き物を見る目で見つめる。 …いけないいけない。 ティファニアは我に返り、二人に今一度尋ねる。 「この村に、何のご用件でしょう?」 その質問に、黒い髪のメイドが応えた。 「あなた、ご存知ないかしら」 言って、上着のポケットから一枚の羊皮紙を取り出す。 そこには、ある男の人相書きが認められていた。 それは、どこか間の抜けた冴えない、黒髪の少年。 それほど上手な絵ではなかったが、ティファニアにはその少年を知っていた。 そして、後ろに控えていた桃色の髪の少女が、それに続けた。 「この男の名前は、サイト。 サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ。 先のアルビオン大戦で、行方不明になった、トリステインの騎士よ」 そう、それはまさに才人だった。 ティファニアは思った。 この人達の目的がなんであれ…サイトを渡すわけにはいかない。 私の大切なひとを。 生涯の伴侶を。 …ヤダ私ったら何言ってるのかしらまだ式も挙げてないのに! 「あの、大丈夫ですか?」 再び赤くなってくるくる回りだしたティファニアを、黒髪のメイドの一言が再び止めたのだった。 263 :華の嵐 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/13(金) 23 49 51 ID al9RE2S0 その時、才人は。 がっつり果物を採取して、村に帰ってきていた。 「ちょっと頑張りすぎたかな」 果物を満載した荷車を見ながら、才人は言う。 そのまま町で果物屋を開けそうな物量だ。 そんな才人に背中に背負われたデルフリンガーが突っ込んだ。 「やりすぎだぜ相棒?この辺の果物が全部無くなっちまうかと思ったぜ」 「俺もあと1年後にはパパだからな!気合い入れないとな!」 「人の話聞けよ…っつーか少しは自重しろこの種馬」 「二人目は年子がいいかな?それともちょっと離したほうがいいかなっ?」 「はいはいわろすわろす」 「あー、双子だったりしたらそんなの意味ないかぁ。あははははははははは」 「…うわマジ無視かいこいつ」 呆れたようにデルフリンガーがそう言い終わるのと、才人の牽く荷車がウエストウッドの村に着いたのが同時だった。 「ただいまー、今日もお父さんがんばっちゃったよぉ」 誰がお父さんやねん、と突っ込みたいデルフリンガーだったが、絶対無視されると確信していたので敢えて突っ込まずに居た。 そして、才人はニコニコ笑顔で荷車を倉庫前に運ぶ。 そしてそこで、運命が動き出す。 「…ずいぶん幸せそうねえ、犬」 風が吹いた。 その風は才人に声を掛けた、フードを目深にかぶって厚ぼったいマントに身を包んだ少女の、フードを吹き上げる。 それと同時に、少女の柔らかい桃色の波打つ髪が、柔らかく風に舞う。 才人は知っていた。 この声を。この桃色の髪を。この少女の名を。 「ルイズっ!?」 その声に応えるように。 少女の目がぎらり、と光る。 それは、獲物を見つけた肉食獣の目だった。 264 :華の嵐 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/13(金) 23 50 34 ID al9RE2S0 才人はその視線と久しぶりに感じる戦慄に、完全に硬直してしまう。 「見つけたわよこのバカ犬! もー逃がさないわよっ!」 言ってルイズは両手をわきわきさせて才人に飛び掛ろうとする。 それを、背後から伸びてきた、白い手が止める。 「ルイズ。あなたがそんなことしちゃいけませんよ」 そして、ルイズの前に立ったのは。 黒髪の、メイド。 「し、シエスタっ!?」 「お久しぶりです、サイトさん」 にっこり笑って、シエスタは軽く首をかしげる。 その両手には、大きなバスケットが抱かれている。 「ちょ、シエスタ、私はコイツにっ」 「落ち着いてルイズ。身体に障るわ」 言ってシエスタは優しい笑顔で今にも才人に飛び掛ろうとするルイズをなだめる。 …まて、なんでシエスタがルイズを呼び捨てにしてんだ? それに、あの二人あんなに仲良かったか? 才人がその疑問をぶつける前に、シエスタが話しはじめた。 「サイトさん…あなたがいなくなってから、いろいろあったんですよ」 「いろいろって…?」 「まず。トリステイン王家に、世継ぎが生まれました」 シエスタの言葉に、才人は驚く。 「え?姫さま、結婚したんだ…?」 「いいえ」 「え」 結婚してないのに、世継ぎってことは…? 可能性は一つ。しかしそれは、才人にとって否定するべきものであった。 「女王陛下は、結婚していません。でも、陛下は身篭っていたんです。 陛下は、行方不明になった、ある人が残した種だと、言っていました」 才人の身体から、汗が吹き出る。 まさか。まさか。 265 :華の嵐 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/13(金) 23 51 17 ID al9RE2S0 シエスタは、淡々と続ける。 「公式に相手が誰という発表もなく、相手のはっきりしない子供を生んだという事で女王陛下は糾弾されましたが…。 『愛した殿方の子を生むということが罪だというなら、その罪は私が負いましょう。 しかし、その事を盾にわが国とこの子を貶めようと言うのなら、その相手を私は全力で滅ぼします』と。 母の愛って偉大ですよね」 才人の脂汗は最高潮を迎えていた。 まずい。やばい。あの夜のアレが大当たりですかまさか!? シエスタはにこにこと笑顔のままだ。しかしその笑顔は微動だにしない。 ルイズはその後ろで俯いているだけで何の言葉も発さないが、震える両の拳が彼女の気持ちを代弁していた。 三人の間に流れる緊張が最高潮に達そうとした瞬間。 びええええええええええええええ! 突然、空気を振るわせる咆哮が辺りに響いた。 それは甲高く、人の注意をそちらへと喚起し、そして保護欲を刺激する声だった。 分かり易く言うと、赤子の鳴き声。 それは。 シエスタの抱えた、大きなバスケットの中から響いていた。 「あー、はいはい、おなかすきまちたかー?」 シエスタはバスケットを一旦地面に置くと、中身を取り上げた。 そこから現れたのは。 黒髪の、小さな小さな赤ん坊。 赤ん坊はシエスタの腕の中で、泣いて自己主張を続ける。 ゑ。アレナニ。ましゃか。 才人の頭の中で、名探偵サイトがあの赤ん坊に関する推理を繰り広げていた。 あの赤ん坊は、そう、ここに来る途中でシエスタが拾って、面倒を見ている子供だ! それが証拠に シエスタは赤ん坊を揺らしながら、無遠慮に胸元をはだけた。 そして。 「ほーら、たっぷりのむんでちゅよー」 大きく張った乳首を、赤ん坊の口元に持っていく。 赤ん坊は小さな手でシエスタの乳房に掴まると。 乳首を口に含んで、んくんくと喉を鳴らし始めた。 シエスタの乳房からは、確実に母乳が出ていた。 「あ、あの、シエスタさん?」 才人は先ほどにも倍する脂汗をかきながら、シエスタに尋ねようとした。 267 :華の嵐 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/13(金) 23 52 38 ID al9RE2S0 才人が本文を口にする前に、シエスタは応えたのだった。 「あ、この子、ハヤトっていうんですよ。 サイトさんの名前と、語感を合わせて名づけたんです。 ほーらハヤト、この人が パ パ で ちゅ よー」 ま───────────────て────────────! ちょっとまて───────────────────! こっちも大当たり───────────────────ッ!? シエスタがにこにこ笑顔で赤ん坊の顔を才人に向けるが、赤ん坊は完全に無視して一生懸命シエスタのおっぱいを飲んでいる。 「…この子生んでたから、ちょっと出発が遅れちゃって…えへ」 軽く赤くなって、シエスタはそう言う。 そんなシエスタを、ルイズが押しのけた。 「『えへ』じゃないわよシエスタ! アンタここに何しに来たのか忘れたわけ?」 ものすごい剣幕でシエスタに噛み付くルイズ。 そんなルイズを、シエスタが宥める。 「ちょっとルイズ。そんなに怒っちゃ…」 「これが怒らずにいられるわけないじゃないの! やっとこの節操なしに文句言ってやれるってのに!」 言ってルイズはびしっ!と才人を指差す。 …ん? 才人は異変に気付いた。 …ルイズ太ったな? 才人の受けた印象の通り、ルイズのシルエットは丸かった。特にお腹の辺りが。 才人の記憶しているルイズは、こんなにぽっこり膨らんだお腹をしていなかった。 …ッテチョットマテ。 268 :華の嵐 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/13(金) 23 53 39 ID al9RE2S0 シエスタと口論を続けるルイズは、ついにばさぁっ!と身に纏っていた厚ぼったいマントを払いあげた。 その下は。 ルイズは見慣れたトリステイン魔法学院の制服ではなく、下腹部を圧迫しないよう縫製された、長いスカートの野暮ったいワンピースを着ていた。 その下腹部は、まるで妊婦のようにぽっこりと膨らんでいた。 「…何見てんのよ」 赤い顔で、ルイズは凝視する才人に文句を言う。 「あ、あああああああああのルイズ、そそそそそそそそそそそのお腹…」 才人の声は震え、うまく言葉にならない。 ルイズは赤くなって、ぷい!と顔を逸らす。 そして、言った。 「あ、あんたの子供に決まってんでしょ! 安定期に入るまで動き回るなって、お医者さまが言うから…。 って何説明させてんのよっ!」 怒るルイズにしかし、才人は完全に固まっていた。 あ、あの、ここまで大フィーバーってマジありえないんですけど…。 「こういうの『確変』って言うんだよな?すげえな相棒」 デルフリンガーの突っ込みにも、才人は応えられない。 そんな才人に、シエスタがルイズを抑えながら言った。 「ルイズは落ち着いて、ね?お腹の赤ちゃんに障るわ。 あの、サイトさん。 ルイズね、相手のいない赤ちゃん孕んだからって、勘当されちゃったんです」 言ってルイズを見る。 ルイズは、二人から視線を逸らしているので、表情が見えない。 しかし、ルイズはそのまま言った。 「そ、そうよ、アンタが悪いんだから! アンタのせいで私は貴族の身分まで捨てる事になったのよ!責任とんなさいよ!」 シエスタはそんなルイズの言葉を聴いてくすっと笑うと。 269 :華の嵐 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/13(金) 23 54 46 ID al9RE2S0 「でもルイズったら、『絶対産みます!例え貴族の身分を捨てても、この子は私が信じたひとの子ですから!』って啖呵きって。 すごかったんですよぉ」 「ちょ、シエスタ、何勝手にしゃべって」 「その剣幕があんまりすごいから、ルイズのお父上も折れて、勘当はするけど、トリステインで最高のお医者様を付けてくださって」 「し、し、し、し、シエスタあああああああああああああああ!」 「しかもー、そのお医者様が『ちゃんと産むまでは安静にな』って言ってたのにー、安定期に入ってガマンできなくなってー、『サイトを捜しに行く』ってー」 「ししししししししししししシエスタああああああああああああああああああああああああ! いいいいいいいいいいいいいいいいいいいい言い加減なこと言うんじゃないわよおおおおおおおおおおお!」 「いい加減じゃないですぅー。全部事実ですぅー」 言い合いながらじゃれあう二人を、才人はじっと見つめる。 才人の中では、必死に現実を否定する才人が居た。 …あ、あの、なんですかこれわ。タチの悪い淫夢かなんかっすか。 そ、そうだ、きっとこれは夢だ。 目を覚ませば、俺はやわらかい藁の上で寝ているに違いない。 目を覚ませ俺。早く!早く早く早く早く早く早く早く早く! 「現実を見ようぜ相棒ー」 固まったまま動かない才人に、デルフリンガーがそう言う。 そして、もう一つの声が、才人の意識を完全に現実に引き戻す。 「サイト」 才人の背後からかけられたのは、鈴を転がすような、澄んだ声。 振り向くと、そこにいたのは。 「て、テファ」 俯いた、ティファニアがいた。 ま、まさかさっきの聞かれてた? 「あ、あの?」 ティファニアは、才人の声に顔を上げる。 その顔は、笑顔で満たされていた。 270 :華の嵐 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/13(金) 23 55 38 ID al9RE2S0 「あの人たちね、サイトを捜しに来たんだって」 「そ、そうみたいだね」 脂汗とともに、才人は応える。 ティファニアは笑顔のままだ。 「サイト、知ってる人なの?」 「う、うん、とってもよくご存知です」 才人の脂汗が倍になる。 ティファニアの笑顔は変わらない。ように見える。 「でね、二人に聞いたんだけど」 キタ。 ティファニアはまだその美しい笑顔を崩さない。 しかしその美しい笑顔には、妙な迫力が篭っていた。 「な、なにをお聞きになったんでしょうか?」 「二人とも、サイトの子供がいるって」 ティファニアの笑顔は変わらない。 しかし、その質は完全に反転していた。 いつものティファニアの笑顔を陽とするなら。 今のティファニアの笑顔は、完全に陰と化していた。 よく見ると。 ティファニアは巨大なリュックを背負い、手には外出用の大きな帽子を持っている。 そして、首をこくん、と軽くかしげて、満面の笑顔で言った。 「この、 超伝説級節操なし───────ッ!」 その声と同時に、振り上げた掌を、右から左へ振り抜いた。 すぱーん、と小気味いい音がして、才人の左頬にきれいな手形が残った。 そして、その衝撃で尻餅をついた才人に、ティファニアは言った。 「実家に、帰らせていただきますッ!」 「え、テファ実家って」 才人の疑問に、ティファニアはくるん!と振り向いて、背中で応えた。 「エルフの国!私、エルフの国に行きますっ!」 そして、すたすたと歩き出した。 「あ、待ってテファっ!」 追いすがろうとした才人だったが。 がし。 その肩を、二つの手が掴んだ。 シエスタと、ルイズの手だった。 「どこに行こうっていうのかしら?」 「まだお話は終わっていませんよ、サイトさん?」 そして、遠ざかるティファニアの背中を見ながら。 才人は、二人の肉食獣に完全に捕縛されたのだった。 271 :華の嵐 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/13(金) 23 56 59 ID al9RE2S0 結局タニアの朝の不機嫌は解消されたのだが。 「で、どー責任とるのよこの節操なし」 「ルイズだめよ、子供たちもいるんだし、ね?」 「子供『たち』!そー『たち』って所よ問題は! タバサもなんか大きいお腹抱えて本国に帰ったし! アンタどんだけ種バラまいてんのよ!」 「ほ、ほら落ち着いて、ね?」 「オチついてられるかぁぁぁぁぁ!」 あれから毎朝毎朝、半分抜け殻と化した才人を、二人の女の子が庇ったり小突きあったりしている。 まあ、朝から甘ったるい会話を聞かされ続けるよりはいいのだが。 「いいぞー、やれやれー」 「きょうはどっちがかつとおもうー?」 「ルイズおねーちゃんー!」 「シエスタおねえちゃんに1ドニエ!」 …子供たちの教育には果てしなくよろしくない。 「はいはい人の喧嘩を肴にしなーい。 ほら朝ごはん片付けてー」 「ちぇー」 「タニアおねえちゃんのけちんぼー」 「はいはいケチでもなんでも結構でございますよー」 言いながら呆れ顔で子供達をどやすタニア。 そんなタニアに、ジムが言った。 「タニアねーちゃん、なんかおばさんくさいぞー」 その言葉にタニアははっとなる。 そして天を仰いで、叫んだ。 「じょおだんじゃないわよっ! 私はまだ十三なのよっ!? なんでこのトシで子守フラグ立てなきゃなんないわけっ!?」 しかし悲しいかな。 言いながら両手にはしっかりと食べ終わった器を重ねている。 既にタニアが子守で行き後れることは運命といえた。 「いーぃ度胸ねシエスタ!今日こそ決着をつけるべきかしら!」 「それはこっちの台詞です!どっちが本妻か、この機会にはっきりさせなきゃいけませんしねぇ!」 「いーぞー」 「やれやれー」 苦悩するタニアを他所に、すでに恒例となった天下分け目の痴話喧嘩が始まり。 ウエストウッドの村に、平和な日常がやってくる。 272 :華の嵐 ◆mQKcT9WQPM :2007/07/13(金) 23 57 39 ID al9RE2S0 「で、結局テファお姉ちゃんはエルフの国で子供生んだらしいの。 あっちから定期的に届く手紙で知ったんだけどね。 今?さあ、三年くらい前からかな、手紙こなくなっちゃって。 ま、私も心配かけるようなトシじゃないしね。 タニアお姉ちゃん?まだウエストウッドにいるみたいよ? 私たちはこうしてあっちこっちで出稼ぎしてるけどさ、まだあっちには手のかかる子供がいるのよねー。 そそ。その二人の子供。 結局さ、サイトお兄ちゃんもどっちつかずだったんだけど、最終的にルイズさん選んだっぽいんだけどね? たぶん今も取り合いしてんじゃないかなー? ほんっと、いい題材よあの人たち。 私の恋愛譚のネタの半分以上はあの人達題材にしてんの。 あ、それそれ。今売り出し中の『王子様と異界の姫』。 ま、元ネタわかっても知ってるの私と他の子たちくらいだから。いいじゃない。 んじゃ、新刊もよろしくねっ♪」 〜吟遊詩人ヒースクリフの、人気作家エマ氏へのインタビュー記事より抜粋〜
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7714.html
前ページルーン・ゼロ・ファクトリー 「はあぁ~~~~」 ルイズはあの騒ぎの後から自分の部屋へと帰ってすぐ、自分のベッドの上にうつぶせに倒れこんだ。 そしてぐるんと寝返りを打ち、天井をぼんやりと見つめた。 見慣れた天井を見つめながら、ルイズは今日のことを思い返していた。 自分の召喚した幻獣、マイスの覚醒。 マイスが人の言葉をしゃべったこと、記憶喪失だったこと、持っていたリュックがとんでもない代物だったこと、マイスが話せることを秘密にされてしまったこと、秘密を知ってしまっていたシエスタに口止めすべく、あちこち散々探し回ったこと。 「・・・冗談じゃないわよー・・・」 走り回ったせいで疲れきった体を横たえつつ、ルイズはつぶやく。 ルイズには、疲れたことよりもマイスが話せることを秘密にしなければならなくなったことのショックの方が大きかった。 人の言葉を話せるような幻獣を召喚したとなれば、皆を見返してやれると思っていた。 私はこんな立派な使い魔を召喚できたとだと、召喚魔法をつかえたのだと。 『ゼロ』という屈辱的な二つ名で呼ばれることもなくなるはずと考えていた矢先。 最大の長所を見せるのを禁止されてしまうとは思いもよらなかった。 むろん、禁止されてしまう理由も理解はしたつもりだし、秘密は守らなければならないことも重々承知している。 しかし、やはり納得は出来ても不満は残ったままだった。 そして、ルイズは力なく寝転んだまま視線をマイスに向けた。所在無さげな様子で床に座り、その手には今回の騒動の原因たるリュックが握られている。 あの後、何か思い出せるかもしれないという理由から一応はリュックを返してもらった。 ただし、リュックからは中身の大半が抜かれている。公にするのは危険だということと、少し中身を調べたいという要請を受けたからだ。 調べてもらえば何かわかるかもしれなかったため、それについては了承することにした。 「結局、手がかりにはならないし、しゃべるのは禁止されちゃうし・・・ もう最悪」 「・・・・・・・・・」 ルイズの言葉に、マイスも何も言えなかった。 正直なところ、手がかりになるどころか、かえって謎を増やしただけのような気がした。 入っていた物も気になるが、何より厄介なのはその統一性のなさだ。 武器が入っていたと思ったら、今度は農具が出てきた。 農具が出てきたと思えば装飾品が出てきたり、植物の種が出てきたりと、物に一貫性がない。 大体、中身のほとんどがマイスのサイズに合わない。 マイスの身長は1メイル足らず、あの武器や農具はどうみても1メイル後半、おそらくは人間のサイズに合わせて作られた代物だ。 自分に扱えないような代物を、何故持つ必要があるというのか。 持ち物を探れば自身の情報も探れると思っていたが、これでは話にならない。 むしろさらに深くなった問題に対し、両者は深くため息をついた。 「あー・・・ そういえばさ、ルイズ」 重い雰囲気を少しでも和らげようと、マイスは努めて明るく尋ねた。 「そういえばずっと聞いてなかったけど、使い魔って具体的には何をすればいいの?」 マイスの問いかけを聞いたとたんに、ルイズはベッドから跳ね起きる。 その表情は先ほどとは打って変わって明るく、『よくぞ聞いてくれましたっ!』みたいな表情を浮かんでいた。 「そうね! せっかくだからあんたにも説明しといてあげる! いい?使い魔の役目は大きく分けて3つあるわ!」 「3つ?」 「ええ。まず一つ目。使い魔には主人の目となり、耳となるべく感覚の共有ができるようになるわ。わかりやすく言えば、あんたの見たもの聞いたことが、わたしにもわかるようになるってこと。」 「おおー」 おもわずマイスは感嘆の声を漏らしていた。 それは確かに便利かもしれない。 互いの視界が見えれば、その分活動範囲が広がる。 また、互いに行けないところ、入れないところを補い合ったりも可能だろう。 「じゃあさ、早速やってみせてよ」 マイスが期待しながらそういうと、ルイズはバツの悪そうな表情になる。 「あー・・・ なんというか、その・・・・・・できないのよ」 「・・・・・・え?」 マイスが思わず聞き返した瞬間、ルイズは顔を真っ赤にして怒鳴った。 「だから! できないの!! 何でかわからないけど、感覚の共有ができないのよ!!」 「ええ!? なんで?」 「だから、わたしにもわからないって言ってるでしょう!!」 そこまで叫んでから、ルイズはゼイゼイと肩をおろす。 「・・・まあ、いいわ。たまたまうまくいかないだけかもしれないし。ひょっとしたら一時的なものかもしれないし・・・ とりあえず次!!」 「2つ目は、使い魔は主人の望むものを見つけてくるの!」 「望むもの?」 「そうよ。秘薬に使う硫黄とかコケとかね。だから・・・」 「・・・僕、この辺の地形とか、何が取れるとか全然わからないんだけど」 朗々と語っていたルイズだったが、そういわれた瞬間に表情が固まった。 そういえば忘れていた。こいつは記憶喪失だったんだ。 記憶喪失ではどの辺りに何があるとか、秘薬に必要なものが何かとか分かるはずもない。 「み・・・3つ目よ! これが一番大事なのよ!! 使い魔はその能力でもって主人を・・・守って・・・・・・・・」 そこまで言い切ったところで、ルイズの話し声が徐々に小さくなる。 ルイズはマイスの体をじっと見つめた。 体はあまりに小さい。自分の半分程度しかない。 見た目は完全に羊。犬や猫のように牙や爪があるわけでもない。 体はモコモコの毛に覆われているが、それだけだ。耐久力など皆無だろう。 こいつがはたして敵から自分を守ってくれるのか ―――――――無理だ――――――― どちらかというと守られる側でしょ、これ。 そこまで考え付いたところでルイズは思わず眩暈がした。 「ル・・・ルイズ?」 マイスの声が聞こえたが、もはや聞いてる余裕もない。ふらっと再びベッドに倒れこんだ。 「な・・・なんてことなの・・・ 使い魔として出来ることが何一つないじゃない!」 体を怒りと失望に震わせながら、握り締めた拳をベッドへと叩きつける。 「あー・・・その・・・なんというか・・・ ごめん」 暗くなった雰囲気を和らげようと質問したつもりだったが、完全に逆効果になってしまった。マイスは内心頭を抱えつつ申し訳なさ気に頭を下げた。 さらに重くなった雰囲気の中で、ルイズはふてくされつつ考える。 完全に予想外だった。 これでは使い魔としての役割をさせられるのかどうかも怪しい。 しゃべるのを禁止させられただけでこんなことになるとは思いもよらなかった。 かといってこのままにしておくのもなんか悔しい。 せっかく人並みの知能を持っているというのに・・・ そこまで考えたところで、ふとルイズはひらめいた。 そして、おもむろにブラウスのボタンを外し、服を脱ぎ始めた。 「ちょ、ちょっと! いきなり何してるの!?」 「何って、着替えてるのよ」 「まだ僕がいるのに!?」 「何いってんの。あんた使い魔でしょ? 使い魔が見てるからって何がまずいの」 「う・・・」 確かに、自分はあくまで使い魔だ。どうみたって羊だ。 着替えを見られたからといってどうということはない。というのはわかる・・・様な気もする。 だがなんとなく、見てはいけないというような予感がしたためマイスはとっさにルイズとは逆の方向を見ることにした。 しばらく布のこすれるような音がした後、ばさっと何かがマイスに被さった。 なんだろうと思い、手にとって見てみると、レースのついたキャミソールに、パンティだった。 ぎょっとして思わずそれを放り投げる。 「な、何だこれ!?」 「下着に決まってるじゃない。あと、明日それ洗っといて」 「・・・・・・・・・・・・はい?」 あまりに突然、かつ予想だにしなかった言葉に目が点になる。 「え?洗うって?僕が?ええ?」 「そうよ。あんた使い魔の仕事何一つできないんだもの。だから代わりに」 そこまでいってからルイズはにやりと笑う。 「掃除洗濯、その他もろもろの雑用をしてもらうわ」 「ええっ!?」 「だってせっかく人並みの知能を持ってるんだもの。それぐらいはやってもらうわ。 それに、雑用のできる幻獣ってことならまだ使い魔としての面目も立ちそうだし」 「・・・・・・・・・・・はぁ」 どうやら従うしかないらしい。居候させてもらう身の上である以上拒めるわけもない。マイスはため息をつきながら肩を落とした。 せめて下着くらいは自分で洗って欲しいところだが、文句を言ったところでこの少女が承諾するとは思えなかった。 「それじゃあ、それ頼んだわよ。あと、明日の朝になったら起こしなさいよね」 そういいつつルイズはベッドに潜り込んだ。 「・・・僕の寝る所は?」 「そこ」 ルイズの指したところは床だった。何かが置かれているわけではない。ごく普通の床だった。見るからに硬そうだ たぶん普通に寝たら体が痛くなることは必須だ、背中とか。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 流石にマイスの戸惑うような、悲しそうな視線が気になったのか、ルイズは『毛があるんだからいいじゃないの・・・』とぼやきつつも毛布を1つ投げてきた。 人間が寝るのには物足りない代物だったろうが、マイスは体が小さいため十分だった。普通に体に巻きつけることが出来るくらいだ。 「それじゃあ、お休み」 「うん。おやすみ」 互いに言い合った後、ルイズが指を鳴らすと同時に机の上におかれていたランプの火が消えた。 これも魔法なのかと妙に感心していると、走り回っていたせいで疲れていたのか、早くもルイズの寝息が聞こえてきた。 ふと、マイスは包まっていた毛布から音を立てないようこっそりと抜け出す。 そして部屋にある窓から外を見る。 見上げた空には無数の星と、色の違う2つの月。 その光景に何か違和感を覚えつつも、マイスは今日のことを思った。 突然召喚されたこと、怪我のこと、自分が記憶喪失なこと、持っていたリュックのこと、その中身のこと、そして使い魔をすることになったこと。 自分が誰かわからない。何をしていたかも、ここがどこかもわからない。 ほぼ成り行きに彼女の使い魔をすることになったが、はたしてどうなるかはわからない。 わからないことだらけの不安だらけの状況だが、それでもやるしかない。 「やるしか・・・ないか」 一言そうつぶやいてから、マイスは眠るために再び毛布にくるまった。 翌日 部屋に差し込み始めた日の光と、外でさえずり始める小鳥の鳴き声でマイスは目を覚ました。 自身がくるまっていた毛布から這い出た後、まだ少し寝ぼけ気味の頭であたりを見渡す。 見覚えのない部屋に一瞬首を傾げるが、意識がはっきりするにつれ、昨日のことを思い出した。 「ああ、そうか・・・使い魔をすることになったんだっけ・・・」 そしてルイズのほうを見る。まだ彼女はぐっすりと眠っているようだった。 とりあえず昨日言われたとおりにルイズを起こそうとするが、ふとその時窓の様子が視界に映った。 「・・・今日はいい天気だ」 なんとなくそんなことをつぶやきつつ窓から外の様子をうかがう。 外はまだ少し暗い。 春先ということもあるのだろうが、おそらくはまだ早朝なのだろう。その証拠に太陽はまだ出てきたばかりのようだった。 少し考えてから、マイスは窓から廊下への扉へと移動し、扉を開けて辺りの様子を伺う。 部屋周辺にはまだ人が活動している様子はない。まだ誰も起きてないのだろう。 そこまで確認してからマイスは部屋に戻る。 どうやらルイズを起こすべき時間より、だいぶ早く起きてしまったようだった。 こんな時間にルイズを起こせば、気の短そうな彼女のことだ、おそらく癇癪が爆発するだろう。 しかし、もう一度寝るつもりにもなれない。 どうも体のほうは完全に起きてしまっている様子で、目も完全に覚めてしまっていた。 どうしたものかと考えていた時に、昨日ルイズから投げ渡された洗濯物が目に入る。 「せっかくだし、今のうちにやっておくか」 とりあえず、洗濯物をその辺に置いてあった籠へと入れてから、マイスは籠を抱えつつルイズの部屋を後にした。 しばらく後 マイスは洗濯に出てきたことを後悔し始めていた。 洗濯の場所が全くわからなかったからだ。 この学院の広さを甘く見ていた。てっきり部屋からはそんなに離れていないだろうと思っていたのだが、その辺を探してみてもそれらしいものが全く見られない。 昨日学院中を走り回った彼だったが、あの時はシエスタを見つけるのに必死だったせいで学院の構造を見ているヒマがなかった。 何より最悪だったのは慣れない場所を変に動き回ったせいで、自分の現在位置が完全にわからなくなってしまったことだ。これではルイズの部屋に帰れるかも怪しい。 誰かに道を聞くことも考えたが、辺りには人の気配がない。それ以前に自分はしゃべるのを禁止されてしまっている。 正直なところ、打つ手がない。正に八方塞の状態。 「・・・どうしよう・・・」 完全に途方にくれてしまい、マイスはつぶやいた。 せめてルイズに洗濯の場所を聞いておくんだったなぁと思うが、もはや後の祭り。 どうしたものかと頭を抱え込んだその時、廊下の曲がり角から見覚えのある人影が見えた。 そして向こうも自分に気がついたらしく、こちらへと近づいて来る。 その人影が近づいてくるにつれ、沈んでいたマイスの表情が明るくなる。 マイスには近づいてくる人影が、それこそ救いの神に見えていた。 「マイス・・・さん?」 「シエスタさん!」 そう。手に大きい籠を持ちつつマイスの前に現れたのは、学院内でも数少ない自分がしゃべることの出来る人物。シエスタその人だった。 ――――――――――――――――――――――――― 「で、洗濯する場所がわからない上に、部屋への戻り方もわからなくなってしまったと」 「は、はい」 恥ずかしげに頭をかいたマイスに、シエスタはくすりと笑う。 「ふふ、気にしないでください。 これだけ広いと迷ってしまうのも仕方ないですよ。私だって最初はどこに何があるかわからなかったですし」 そういいつつ、シエスタは地面に置いていた籠を再び持ち上げた。 「私も今から洗濯に行くところだったんです。せっかくですから案内しますよ」 「本当ですか? ありがとうございます!!」 素直に喜ぶマイスの様子に、微笑みつつ洗濯場所に移動しようとしたシエスタだったが、ふと何かおもいたったように歩みを止めた。 「シエスタさん?」 「あの、案内する代わり・・・というわけではないですけど、ひとつだけお願いしたいことがあるんですがいいですか?」 「え? あ、はい。僕にできることなら」 突然のシエスタの申し出に一瞬面食らうマイスだが、断る理由もないし、何より助けてもらう以上、出来る限りのことをしようと考えていた。 「あ、ありがとうございます。―――ではその・・・」 シエスタはそこまで言ったところで少し迷うようなそぶりをみせる。 「えっと、その・・・ す、少しだけ・・・」 「?」 首をかしげるマイスの様子を見て決心が付いたのか、ぎゅっと表情を引き締め・・・ 「あの、少しだけ・・・抱かせてもらっていいですか?」 予想外の言葉にマイスはおもわず目をぱちくりとさせた。 ちなみにこの後、望みどおりにマイスを抱きかかえたシエスタだったが、その抱き心地と愛らしさに、意識がしばらくあっちの世界へいってしまったようで、マイスが『洗濯の時間がなくなるから』と、静止の声をかけるまでシエスタに抱きかかえられ続けるのだった。 「それにしても、洗濯なんて引き受けてよかったんですか?」 あの後、洗濯場所にたどり着いたシエスタとマイスは、互いに洗濯の準備を始めていた。 「まあ、居候・・・っていうか使い魔としてお世話になるわけだし、これくらいの雑用は」 屈託なく語るマイスだったが、シエスタのほうは正直気が気でない。 何せ彼は幻獣なのだ。確かに知能は高いが、それだからといっていきなり家事ができるとは限らない。 それに洗濯は見た目よりも難しい。 ただ桶の水のなかに突っ込んで洗えばいいというものではない。 特に貴族の持つ衣服は上質な物が多く、扱いにくいものが多いことをシエスタは経験上よく知っていた。 もし洗濯に失敗して服を破いたりなどしたら、主人のルイズから間違いなくお叱りを受けるだろう。 彼女がそうひどい罰を下すようには思えないが、それでも彼が怒られるというのは忍びなかった。 だから、シエスタは彼がもし失敗しそうならすぐにサポートしてあげようと少しながら張り切っていた。 そう思っていたのだが・・・ 「・・・なんというか・・・普通にうまいですね」 「え?そうですか?」 マイスがきょとんとした顔で聞き返すが、話しつつも手はしっかり動いている。 そのかたわらには洗い終わった洗濯物が積み上げられ、残っているのはほぼわずかだった。 最初のうちは多少のぎこちなさもあったものの、シエスタが少し手ほどきしたところ、あっさりとコツをつかんでしまったのか、ほぼ完璧に洗濯ができるようになっていた。 「マイスさんがここまで器用なんて思っていませんでしたわ。これでは教えがいがなくてつまらないくらいです」 そういいつつ、シエスタはすねたような表情でぷいとそっぽを向いた。 「す、すみません」 おもわず表情をこわばらせてしまったマイスに、変わらず不機嫌な表情なシエスタ。 どうしよう、気を悪くさせただろうかと、半ば本気でマイスが悩み始めた時、 「クスッ、冗談ですよ」 と。いたずらっぽい笑みを浮かべながら、クスクスとシエスタは笑った。 そんなシエスタの様子にからかわれたことに気がついたマイスだが、クスクスと笑い続けるシエスタを見ていると、なんとなく自分もおかしな気分になり、その口から自然に笑みがこぼれた。 そうして、1人と一匹は、しばらくの間笑い続けていた。 「あれ?シエスタ? 今日の洗濯当番ってあんただったの?」 突然後ろから聞こえてきた声にマイスとシエスタはびくっと体を震わせた。 さっと後ろを振り返れば、そこにはシエスタと同じような姿をした学院のメイドと思わしき少女が数名、似たような洗濯籠を持って立っていた。 「ロ、ローラ・・・ ど、どうかしたの?」 先ほどの会話を聞かれていたかもしれないという不安から、若干シエスタの声は上ずっている。マイスもとっさのことに思わず洗濯籠の影に隠れながら、事の成り行きを不安げに見つめている。 ローラと呼ばれた先頭に立っていた金髪の少女はそんなシエスタの言葉にふんと鼻を鳴らした。 「どうかしたもなにも、私たちも洗濯に来たに決まってるでしょ。 ほら、最近雨が多かったじゃない?そのせいで洗濯物が溜まってたみたいで。 ほら、見てよこの量! おかげで皆急に洗濯係に回されちゃってさぁ。 雨続きだったからって何もこんなに溜め込むことないでしょうに・・・」 そんな不満を言いながら少女らは籠を下ろしていく。 どうやら先ほどの会話は聞かれていなかったらしく、シエスタとマイスは内心胸をなでおろした。 「っていうか、居るのあんただけ? 何か来る途中話し声が聞こえてたんだけど?」 ローラの言葉に再びシエスタとマイスに緊張が走る。 シエスタは顔を引きつらせ、マイスはよりいっそう息を潜めて籠の影に縮こまった。 「え!? う、ううん?さっきから私ひとりだけよ? 誰かいたなんてそんなこと全然ないわよー アハハー・・・・・」 シエスタは必死で否定するが、顔色は悪いは視線は泳いでるはで怪しさ満載である。 なんかもう、マイスからみてもひどく怪しい。他のメイドたちから見ればどれだけ不審に見えることか。 「なんか怪しいわね・・・」 案の定。シエスタのあわてた様子はかえって他のメイド達に不信感を与えてしまったのか、全員不審そうな表情を浮かべている。 そんな皆の様子にさらに慌ててしまったシエスタは、思わずマイスが隠れている籠の方に視線を向けてしまう。 こっち見ちゃダメー!と内心叫びたくなるマイスだが、もはや手遅れ。それを見逃すローラでもなかった。 「・・・そこに誰かいるの?」 シエスタの顔がさらに青くなった。マイスも大きく息を呑む。 会話をしていたのがばれるのではという危機感に、両者とも緊張が高まる。 ローラが周辺のメイドたちに目配せをした。皆も何をするつもりか察したのか一斉にうなずいた。 そしてローラは洗濯籠の方へ素早く近づいていく。それを見たシエスタが慌てて駆け寄ろうとするが、他の少女らによって行く手を阻まれてしまった。 「あ! ちょ、ちょっと待って!ローラ!!」 とめようとするシエスタを無視し、置いてあった洗濯籠を勢いよく引き剥がす。 そして、その影にいたものを目にした瞬間、少女らの目が大きく見開かれた。 「モ・・・モコー(ど、どうもー)」 それは、完全に出てくるタイミングを逃し、少し恥ずかしげに愛想笑いを浮かべて手を振るマイスの姿だった。 『か―――』 「・・・・・・?」 『かわいい―――――――――!!』 言うがはやいか、少女らは一斉にマイスへと走りよる。 「なにこの子――――!かわいい――――!!」 「きゃー!!ふわふわ――――!!」 「もこもこ――――!!」 それはまさに肉食獣に群がられる哀れな子羊のごとく、マイスの姿は突如走りよってきた少女らに埋もれて見えなくなった。 「モッ!モコ―――――ッ!!??」 「ああっ!! マイスさん!? マイスさ―――――ん!!」 シエスタの制止の声もむなしく、マイスは圧倒的な女子パワーの前に、触られ、掴まれ、抱きとめられ、もみくちゃにされるのだった。 前ページルーン・ゼロ・ファクトリー
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/508.html
前ページ次ページ蒼炎の使い魔 午後 彼女は授業を終え自室に戻る最中だった。 当然カイトも一緒だ。 今日は何もなく、いい気分だった。 周りのものがあからさまに彼女に皮肉を言わなかったのである。 また、昨夜つっかえたものを吐き出したこともあるだろう。 いつもと変わらない世界が新しく見えた。 そんな感じで廊下を歩いているとメイドが突然声をかけてきた。 ルイズはその声に振り返るとそこには自分よりはるかにスタイルのよい少女がいた。 この生意気な体の女は誰? 「えと、あなた誰だったっけ?」 その問いに慌ててメイドは答える。 「え、あ!す、すいません。私はこの学院のメイドをさせてもらっているシエスタといいます。 昨日のギーシュ様の件についてのお礼をしたいのですが…」 そこまでいわれルイズは思い出した。 そうだ、あのときギーシュにひたすら謝ってた…。 話を聞くとどうやら自分の不手際を助けてくれた2人にお礼がしたいらしい。 どうか厨房まで来てくれないか、と彼女は頼んだ。 だがその誘いをルイズは断った。 「別にいいわよ。あれは勝手にやっただけの事だから」 「で、でも」 食い下がるシエスタを見てルイズはカイトを見る。 「私は休んでいるから、あんただけでも行って来なさいよ」 「…ハアアアアア」 それじゃ、と言ってルイズはその場を去った。 残されたのはシエスタとカイトの2人だけ。 彼女はルイズを誘うのを諦めたのかカイトの方を見て微笑む。 「それでは、こちらにいらしてください」 そういってカイトを連れ出そうとする。 了解したのかカイトは声を出した。 「…ハアアアアア」 ビクッ! 彼女の反応は分かりやすかった。 普通なら、「わかった」とか言う所をいきなり唸るともため息とも取れない声を出したのだ。 ルイズだって未だに慣れていない。 震えながらも彼女は声を出す。 「あ、あの。あなたは平民の使い魔なんですよね?」 「…ハアアアアア」 こればかりははっきりいって相手が悪い。 少し涙目になりながらシエスタはカイトを厨房へと連れて行った。 何度か勇気を振り絞って話しかけてみたがすべて撃沈だったと言う…。 場所は変わり厨房 待っていたのはコックとその料理長である。 「『我等の剣』が来たぞ!」 彼はうれしそうに大声で言う。 どうやら歓迎しているようだ。 「よくシエスタを助けてくれた。あの生意気な貴族がお前にコテンパンにやられた時はスカッとしたぜ」 「…ドウモ」 彼は豪快に笑う。 マルトーはカイトを無理やり椅子に座らせご馳走を持ってくる。 それを見て彼は不思議そうにそれを見る コレハナニ? 「The World」では食料などない。 仮想の世界なのだから当然だ。 だからカイトにとってそれは未知のアイテムにしか映らなかった。 ご馳走を出しても何も反応しないカイトにマルトーは不思議そうな顔をする。 (もしかしてこいつロクなもの食わされてねえんじゃないのか?) 彼はカイトが作られたモノだとは知らない。 だからカイトのことをこう曲解した。 ご馳走に反応しない→今までロクな物を食わされたことがない →主人がそうするようにした→その主人→貴族=敵! ぜんぜん違う。というか論点がずれている。 「けっ!これだから貴族ってやつは!」 だがカイトはそれを否定する言葉を出すことは出来ない。 彼がヒートアップしていくのにシエスタは気づいた。 この悪くなってきた空気をかえようとカイトに声をかける。 「あの、カイトさんって言うんですよね?これはシチューって言って…」 そういってスプーンを持たせシチューをすくわせる。 一から教えていくシエスタはまるで出来の悪い弟を見る姉のようだった。 カイトは難しそうにスプーンでシチューをすくい口に入れる。 瞬間、彼は満たされていく感じがした。 なるほど、ルイズが厨房に行けとあの日言われたのはこのことだったのだろう。 口の中の料理が彼の舌を刺激する。 以前グルメのカードを送られたときは「ナイ」と返した。 だが今なら彼は「シチュー」と返すだろう。 普通の人間なら当たり前の事が彼にとっては革命に近かっただろう。 シエスタは一心不乱にシチューを食べるカイト見て不憫に思っていた。 それほどまでにひどい物しか食べてこなかったのだろうか、と。 そして、無邪気な子供を見ているようで、かわいいとも思ってしまった。 最初は怖かった。何者も寄せ付けない雰囲気に。 でも、助けてくれた。 決闘のときは怪我をすると思った。 自分のせいで。 だけど、彼は勝った。 シエスタは微笑んだ。 いつの間にか周りはにやついている。 いつもなら顔を赤くさせ、逃げてしまうところだが、 今日ぐらいは良いだろう。 (もっと、あなたのことが知りたいです。カイトさん…) 次に来たときは自分の料理をご馳走させようと誓ったシエスタだった。 前ページ次ページ蒼炎の使い魔
https://w.atwiki.jp/moejinro/pages/2067.html
6日目 Navi 今日もすがすがしい朝がやってきました 村の広場の真ん中に食べかけのまま息絶えている リュファさん の遺体が発見されました… Navi シエスタSSさん が部屋で正体を現し、狐の姿で苦悶の顔で死んでいました… 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン おっと霊媒か Navi 村人の皆様、今日もがんばってください Navi 昼の部スタートです 2 (ゾンビ部屋) レリック おおお 1 (なび村) noeight 占いです。シエスタさん〇 言われたとおり適当なタイミングで占いました!もうっ狼も狐もどこにいるのだ!? 1 (なび村) BBL 何も言えないw 1 (なび村) Reran 真占い決定ですねw 1 (なび村) TeaRabbit あはははははっは!! 1 (なび村) デュビア 真確定! 1 (なび村) しまむらくん え、2人死んでるの? 2 (ゾンビ部屋) Jareky 真確定した 1 (なび村) Cindlitta ということは 1 (なび村) Cindlitta no8さんが真ですか 1 (なび村) Reran そして自分もグレーに戻りました 1 (なび村) noeight あれっ死んでる・・・? 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン ですなー 1 (なび村) デュビア あとはうさぎさん吊って終了 1 (なび村) TeaRabbit そうだよ僕が狼だよ! シエスタSS すきやきなびこ! 1 (なび村) jinjahime はいおー リュファ (最後のコインは、血に染まって裏か表かわからなかった・・・) 1 (なび村) BBL そうかバレてるのかw 1 (なび村) noeight しんでる・・・やった!私やったよ!! 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン 狂アピですなー 1 (なび村) jinjahime 偶数ですし 1 (なび村) BBL 狂人CO! 1 (なび村) jinjahime うさぎさん>レランさんでつりたいな 1 (なび村) noeight けつね見つけたよ!! 1 (なび村) BBL もう狩人いないことを祈るしかない 1 (なび村) Reran Cindさん軸でいいですね 1 (なび村) BBL あーあー 1 (なび村) Cindlitta まさかのワシ軸! 1 (なび村) BBL リヴァインさん吊られなかったら占いたかったのに! 1 (なび村) TeaRabbit リュファさん噛まれましたからね 2 (ゾンビ部屋) レリック アブネ、あのままちゃ兎さん押してたら狐に負けてたのか 1 (なび村) BBL デジューさん目! 1 (なび村) jinjahime 確定破綻です>対抗2名 1 (なび村) デュビア 今日はTerRabbitさん吊りでいいですな 1 (なび村) Reran 残り8名 1 (なび村) Cindlitta はい 1 (なび村) jinjahime うさぎさん吊り 1 (なび村) jinjahime 残念です 1 (なび村) しまむらくん えと 1 (なび村) jinjahime ( ´∀`)σ)∀`) 1 (なび村) TeaRabbit 真っ黒だね畜生(ノДT) 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS おじゃましま 1 (なび村) noeight うさぎさんでLW? 1 (なび村) デュビア んでCinnさん確定白 BBLさん狂人 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン おつかれい 2 (ゾンビ部屋) レリック おつかれーい 1 (なび村) Cindlitta メモが正しければ 1 (なび村) しまむらくん 狼と狂人がでてきて 1 (なび村) Cindlitta 2残ってるはずですが… 1 (なび村) jinjahime いや、2w↓確定 2 (ゾンビ部屋) すもでんぱ こっちはもうちょいかかりそうやね 1 (なび村) BBL 占い確定しちゃったからね 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS オヤシロサマなのに~! 1 (なび村) TeaRabbit まさか、占い対抗がうまくはまるとは! 1 (なび村) jinjahime うさぎさん吊りで、最悪でもLW 1 (なび村) TeaRabbit 偶然にしてもひどいです>< 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン もうちょいかかるねー 1 (なび村) BBL これだけは避けたかったんだけどなあ 1 (なび村) Reran そして自分はTeaさんの初手○ですね 1 (なび村) noeight あ、またもう一人か… 1 (なび村) jinjahime 一番怪しいところだね 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン おやしろさまだからじゅさつされたんだよ・・・ 1 (なび村) Reran BBLさん真きっていいって推理は当たってた 2 (ゾンビ部屋) レリック オヤシロ様って結構な負けっぱなしだった気がする 1 (なび村) TeaRabbit 大丈夫ですよー占い噛みますから 1 (なび村) Cindlitta ま、ひとまず今日はウサギさん吊りで 1 (なび村) BBL 最初の占いでTeaさんが狼なのはこっちもわかってたり 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン 勝てたの最後の1回だけだしなぁ 1 (なび村) デュビア んで残りのメンツを確認しましょうか 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS きききつねじゃないししし! 1 (なび村) Reran ただ自分はグレーから狼狙うならデュピアさんかなと 1 (なび村) jinjahime シエスタさん噛みに行って平和かな? 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS かみさまだし! 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン コーンって言ってみ? 1 (なび村) noeight あ、そっか、噛まれるのか・・・ シエスタSS こんばんは デュビア 1 (なび村) BBL PPもできないし狼視点最高引き分けかな 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン ほらほら言ってもいいんだよ? 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS はうあう 2 (ゾンビ部屋) リュファ 2回目、狼と狐の2択みたいなものだったんですね。 1 (なび村) Cindlitta えと 1 (なび村) TeaRabbit 占い噛むか霊媒噛むか悩んだ末にこれだよ! 1 (なび村) Cindlitta 今何人でしたっけ 1 (なび村) Reran 8です 1 (なび村) しまむらくん 8人? 1 (なび村) jinjahime 8人 1 (なび村) BBL 8です 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン だねー おつかれい 1 (なび村) jinjahime 8>6>4 1 (なび村) TeaRabbit 狐放っておけばよかったです・・・ 1 (なび村) Reran 占い二人つって残り4名の最終日です 1 (なび村) jinjahime 3吊り 1 (なび村) jinjahime 2吊りでLWつり 1 (なび村) BBL 吊りはあと3回 1 (なび村) Cindlitta ああ、なるほど 1 (なび村) デュビア 2人吊る必要ない 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン さて狩りが生きてるなら村楽勝 狩りが死んでたら村きつくなるかな 1 (なび村) noeight そういえば、GJは狩人だったのかな? 1 (なび村) TeaRabbit いいえー 1 (なび村) jinjahime 狐でしょ 1 (なび村) Reran シエスタさん噛みでしょうね 1 (なび村) デュビア うさぎさんだけ吊れば十分 1 (なび村) TeaRabbit 狐噛みでした 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS 途中というかずっと占い結果勘違いしてたわ 1 (なび村) BBL あー悔しいなあ 1 (なび村) TeaRabbit まさかとは思っていましたが 1 (なび村) noeight そっかー。誰だろう狩人 1 (なび村) TeaRabbit あんの上でしたw 1 (なび村) Cindlitta おそらくレリックさんかと 1 (なび村) BBL 人外かなとは思ってたけどね 1 (なび村) Cindlitta 狩人 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン うさぎさん正直にしゃべりすぎwww 1 (なび村) jinjahime シエスタさん噛みで、BBLさんに誘導かけてた、レランさんは内訳の見えていた狼だとおもっています 1 (なび村) BBL 狐だったよ 2 (ゾンビ部屋) レリック 狩人もういないだろうなー 2 (ゾンビ部屋) リュファ シエスタさんにはずっと本物占いが見えてたんですよね。 1 (なび村) Reran レリックさんは狩人じゃないと思いますよ 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS そのはずなんだが 1 (なび村) Cindlitta んー、まああてずっぽなので 1 (なび村) Reran すぐにCOなし言ってましたから 1 (なび村) jinjahime シエスタ噛み右平和 1 (なび村) TeaRabbit きっとまだ生きていて占い守るんだろうなぁ 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS BB子新占いだと思ってたw 1 (なび村) Reran 狩人はまだ生きてます 1 (なび村) BBL でも噛むしかないよ 1 (なび村) TeaRabbit かっこいいなぁ狩人さん 2 (ゾンビ部屋) リュファ まず今夜はうさぎ鍋。 Navi 5分経過(後2分) 1 (なび村) Cindlitta 今日はひとまずウサギさん吊り 1 (なび村) デュビア 狩人COしてもいいんじゃない? 1 (なび村) jinjahime 狩人CO募集 1 (なび村) BBL 噛めないと引き分けもない 1 (なび村) しまむらくん 今日はウサギさんに投票して 1 (なび村) noeight まぁ狩人は探しても仕方なし、とりあえずうさぎさん吊りかー。 1 (なび村) BBL やめて! 1 (なび村) Reran だから狼さんは今日狩人をピンポイントで当てましょう 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン BBさんは狂目で見てたなぁ 消去法だったけどw 1 (なび村) TeaRabbit ReranさんそれってCOです? 1 (なび村) BBL 狩人出たら積んじゃうかも 1 (なび村) Reran いえw 1 (なび村) しまむらくん 6人?になるの 1 (なび村) Reran グレー噛んでください 1 (なび村) TeaRabbit キャキャ 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS メモないとやっぱダメだな 1 (なび村) デュビア 明日から殴り合いだァ 1 (なび村) BBL リュファさん噛まれたからいないと思いたい 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン ツールオススメ 1 (なび村) Cindlitta あと 1 (なび村) noeight 残り狼誰かなー。囲いかなー。グレーかなー。 Navi あと1分 1 (なび村) Cindlitta 状況的にワシがもってかれる可能性がないわけじゃないので… 1 (なび村) Reran グレーもういないですよ~ 1 (なび村) デュビア 俺 reran しまくらくん 神社さんで殴り合い化 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS 二人から白もらわなければ 1 (なび村) TeaRabbit 吊られるとき用の変身アイテム持ってないよー 1 (なび村) Reran 昨日のレリックさんでダレからも占われてない人はいなくなりました Navi 20秒前 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS 占いCOするつもりだったからな 1 (なび村) TeaRabbit 魔法詠唱しちゃだめですよねー 1 (なび村) しまむらくん グレーの人で 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン さすがにそれ自殺じゃね? 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS マクロ作ってたわ 1 (なび村) BBL 占い噛んでCindさん噛んで引き分けかな 1 (なび村) しまむらくん 殴り合い? 1 (なび村) Reran デユピアさん怪しい 1 (なび村) デュビア 誰からも というか8さん以外からの占いは無意味か囲いか 1 (なび村) Cindlitta no8さんは生きてたらjinjaさんかReranさんを占ってください 1 (なび村) TeaRabbit がうがうがう 1 (なび村) BBL まあ私が狼だったら・・・ Navi 夜まで時間がありません 皆様今日の尊い犠牲をお選びください(会話はストップです) 3 (GREEN) Navi ---------------------------------------- 3 (GREEN) Navi 会話可能時間スタート Navi 投票は私に直Tellでお願いします 1 (なび村) Navi -------------------------- 1 (なび村) Navi 6日目終了 1 (なび村) Navi -------------------------- 3 (GREEN) TeaRabbit うらないかむべきだったーーーーーーー (T) Cindlitta > TeaRabbit 吊りで! 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS 4人目占いCOで 3 (GREEN) しまむらくん わんわん1人になっちゃうの? (T) Reran > TeaRabbitさんに投票します 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン 対抗占わずに潜伏し続けてるなら 自分だとサクっと吊っちゃうかなぁ 3 (GREEN) しまむらくん こわいよー! 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS ローラーしてくれって叫べば (T) noeight > 安定と信頼のTeaRabbitさん吊り 3 (GREEN) TeaRabbit 最後の最後に気が付いて・・・ 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS ワンちゃんあるかなーっと (T) デュビア > TeaRabbitさんでお願いします 3 (GREEN) TeaRabbit うらない→霊媒の順がよかったのかな・・・ (T) BBL > noeightさんに投票します あがきますよ! 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン 多分ローラーだとしてもシエさんからかな・・・ 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS そんな殺生な・・・ 3 (GREEN) しまむらくん とりあえず誰にいれもしょうがないだろうから (T) jinjahime > 投票>tearabbit 残念だうさぎのかわをかぶった狼だったのかもふもふ 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS かみさまだよ? 3 (GREEN) TeaRabbit ああぁ、これは僕のミスですね>< 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン だって潜伏でじゅさつも●も出せないならニセものとしか思えないジャン? 3 (GREEN) しまむらくん あうあうー 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS 大凶ひかせるよ? 3 (GREEN) TeaRabbit 一応Cindlittaさんに (T) BBL > もしもし、私狂人。ねえNaviこ私はどうしたらいいの? 3 (GREEN) しまむらくん はい 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン オヤシロ様のジンジャっておみくじあったっけ・・・? 3 (GREEN) TeaRabbit 寄せておきましょうか 2 (ゾンビ部屋) リュファ 髪様・・・って鬼太郎に出てた。 (T) しまむらくん > Cindlitteさんにいれますー 3 (GREEN) しまむらくん いれてきたー (T) TeaRabbit > Cindlitta様に清き一票を遅らせていただきます TeaRabbit5 noeight1 Cindlitta2 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS たぶんりかちゃまの臓物しかないんじゃないかな! 3 (GREEN) しまむらくん 今日は占い噛みにいっていいのかな 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン とりあえずシエスタさんのオヤツのシュークリームは捨てておきますね 3 (GREEN) TeaRabbit ですね 2 (ゾンビ部屋) リュファ 紙様はドラえもんに出てた。 3 (GREEN) しまむらくん 狩人死んでるのかわからないけど 3 (GREEN) しまむらくん すてるすがんばるね 3 (GREEN) TeaRabbit 噛まないと勝てません>< 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS ひどす・・ Navi 20秒前 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン そこは あうあうあうー>< って言ってほしかったの 3 (GREEN) しまむらくん あうー 3 (GREEN) しまむらくん おつかれさまなの 3 (GREEN) TeaRabbit んー何もアイデアがうかばないですー 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン とりあえずシエさんはひぐらし10週してこようか Navi さよなら TeaRabbitさん …あなたの勇姿は忘れない 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS オヤシロさまRPはずいんだよw TeaRabbit い、痛い…イタイタイタイタイイタイタイタイタイタイタイタイッ!? 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン やろうよ! TeaRabbit ドウシテ、ドウシテ、ドウシテ、マダシニタク・・・ TeaRabbit ピギャー!!/(・ д ・)\ Navi 日が沈み始めました よい子も悪い子も寝る時間です Navi 役職の方は私にTellお願いします 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS いい大人だよ! 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン そんな恥なんて捨ててしまえ! 3 (GREEN) しまむらくん 1人になっちゃったよー 3 (GREEN) しまむらくん さみしい。 3 (GREEN) しまむらくん 占いかまないといけないの 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン 大丈夫 きっと誰も中身なんて気にしないから 多分「うわー・・・」って心の中で思うだけだから! 2 (ゾンビ部屋) TeaRabbit ミスったー(ノДT) 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン おつかれい 2 (ゾンビ部屋) レリック オツカレー 2 (ゾンビ部屋) リュファ うさぎなべー。 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン いやー十分だと思う 2 (ゾンビ部屋) シエスタSS 何よりひどいよね・・・ 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン あとウサギさん 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン 正直に話さなくても大丈夫よw (T) しまむらくん > 一人で食べきれるか分からないけどnoeightさんを食べに行きます。お味はなんだろなー 2 (ゾンビ部屋) TeaRabbit だって、どう考えても僕黒なんだもの 3 (GREEN) しまむらくん さみしい。 (T) noeight > 占いです。しまむらさんはお店でしょうか?狼でしょうか? 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン とりあえずお仲間は占いワンチャン通ればかつ可能性あるね 2 (ゾンビ部屋) TeaRabbit 狐も確定ですしねー 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン そこで狂アピですよ 3 (GREEN) しまむらくん メタな理由でほっとかれてるきがするのよ (T) > しまむらくん 今日はnoeightのサンドイッチよ! 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン 無駄だけどw 2 (ゾンビ部屋) TeaRabbit しても、冷静な人がいますから無理ですw (T) しまむらくん > ピクニックにもっていこう! 2 (ゾンビ部屋) Jareky 狩人アピールならいけるかも (T) > noeight しまむらくんはなんとドス黒い狼だったのです!● 3 (GREEN) しまむらくん ステルスしきれる自信ないよー 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン wwwwwwwwwww 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン 占いに出た狩りいたなwそいやw 3 (GREEN) TeaRabbit [ゾンビ部屋の壁]д=) ガンバレー 3 (GREEN) しまむらくん かめたかなー。 3 (GREEN) しまむらくん がんばるぅ(´;ω;`) 2 (ゾンビ部屋) リュファ BBLさん白だったから狂人確定、白はNOEさんとCindさん。 2 (ゾンビ部屋) Jareky それなら破綻しないb (T) noeight > ぎゃあああああ私本日死ぬのにいいいい了解ぃぃぃぃ 3 (GREEN) しまむらくん 残り日数も同じ感じですごしてみるよー 3 (GREEN) しまむらくん 甘いかなー甘いよなー何もしてないもんなー 2 (ゾンビ部屋) TeaRabbit 狐処理できて、占いも噛めれば良い方向なのですけれど 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン はてしなく吊りたい狩だけどねw 2 (ゾンビ部屋) TeaRabbit 出来れば黒出してからがよかったなぁ・・・ 2 (ゾンビ部屋) TeaRabbit そうしたらもうちょっといい感じに行けたのに! 2 (ゾンビ部屋) Jareky 残りReranさんでFA? 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン んーまぁ●出してれば逆囲いにはなったかも? 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン ヒ・ミ・ツ☆ Navi あと1分 2 (ゾンビ部屋) リュファ 吊るべきはReさんかしまさんかJinさん・・・ 2 (ゾンビ部屋) レリック ウチはジンジャーを押すねLW 3 (GREEN) しまむらくん 1手変わるだけで運命かわるこわいげーむやでぇ 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン 自分がニセ確定の烙印押されたときの●の逆囲いは実はめちゃくちゃ強かったりする Navi 20秒前 2 (ゾンビ部屋) リヴァイン ただニセ確定の烙印押される前&●が残される状況じゃないとキツイけどね 1 (なび村) Navi -------------------------- 1 (なび村) Navi -------------------------- 5日目へ 7日目へ