約 495,205 件
https://w.atwiki.jp/macrossf-eparo/pages/207.html
723 :早乙女アルトの限界 : 2009/01/31(土) 10 29 35 ID HwJ5M/1X アルト×シェリル(アルト視点) ※初体験エロ 素晴らしい職人さん達に触発されて初投稿です! 見辛い部分あるかもしれませんが、大目に見て頂けると嬉しいです。 早乙女アルトは最早限界だった。 付き合い始めて早三ヶ月、未だにキス止まりなのだから当然と言えば当然だろう。 「今日こそは決める!」 オレの頭の中はその決意で一杯だった。 姫だとか呼ばれているがオレだってれっきとした男。好きな女を抱きたい欲求 は人並みにあるし、簡単に押さえ切れるモノじゃあない。 どう切り出そうか…。 柔らかいソファーに深く腰を下ろしながらそんな事を悶々と考えていると バスルームからシェリルが出てきた。 「来てたのね、任務はもう終わったの?」 「ああ、ついさっきな。」 短パンにキャミソールといった風呂上り姿は相変わらず目に毒だが、本人 は無邪気な笑顔を向けながら目の前、つまりオレが開いている両膝の間に 腰を下ろして振り返った。 「特別にアタシの髪を拭かせてあげるわ、ありがたく思いなさい。」 「…ったく、それのどこが特別なんだよ。」 「あら、シェリルの髪を拭ける機会なんて早々ないと思うけど?」 「ハイハイ、やれば良いんだろ。むしろお前がありがたく思えっての。」 文句を言いながらもシェリルの頭に被さるタオルを手に取り、柔らかな ピンクブロンドの髪を優しく拭き始めた。 鼻を掠めるシャンプーの甘い香りがオレを酔わせる。 気が付くと、髪の隙間から覗く綺麗な項に唇を寄せていた。 「ぁっ…。」 「ちょっ…、い…いきなり何なの?」 突然の刺激に驚いたシェリルの甘い声が微かに聴こえ小さく肩を跳ねさせたかと 思えば、真っ赤に染まった顔を勢いよく振り向かせて文句を放つ。 困惑に歪む眉、潤んだ瞳、上気した頬。 それを見た瞬間、なけなしの理性が吹き飛んだ。 「…シェリル、オレもう限界。お前を抱きたくて……どうにかなりそうだ。」 そのまま正面から性急に抱き寄せて、掠れた声でオレの欲を囁いてやる。 シェリルの身体が微かに震えたのが分かった。 無言を肯定と受け取って怖がらせないようにゆっくりとソファーに 押し倒すと、普段の高飛車な態度からは想像出来ない程弱弱しい姿 が視界に映り、鼓動を高鳴らせる。 するとシェリルがようやく声を出した。 「乱暴にしたら承知しないんだからね?」 「分かってる。オレだって初めてなんだ、出来るだけ優しくするさ。」 「アルト……。」 必死に強がるシェリルが愛しくて、色付く唇に噛み付いた。 隙間から挿し入れた舌を蠢かせながら甘く甘く、夢中になって貪る。 「ン……んッ。」 シェリルのくぐもった声が洩れると、それに急かされるようにして片手を キャミソールの中へ進入させた。 ……が、予想に反するダイレクトな感触に思わず固まったまま大声をあげる。 「――っ!?お…おまっ、何で下着着けてねぇんだよ!」 「はぁ!?アタシは寝る時着けない主義なのっ、別に良いでしょ。」 「お前なあ、こっちにも心の準備ってモンが……。」 そこまで言い掛けた不満が自然と消えたのは、手のひらに触れる柔和な ソレが余りに魅力的だった為だ。 世の中にはこんなに柔らかいモノがあったのか…などと考えながらやわやわと 揉んでみるとシェリルが艶のある吐息を吐き出した、感じているらしい。 無性に嬉しくなってキャミソールを捲くり上げ豊かな乳房を晒すと、先端は既に ぷっくりと果実のように尖りオレを誘う。そのまま一度舌先で突いてみた。 「ぁンっ…。」 可愛らしい声がもっと聴きたくて、突起を咥内に含んでから舌をヌルリと 存分に絡ませる。片方の乳房は揉みしだいたまま、もう片方は突起を舐め たり吸ったりと執拗に嬲り続けてシェリルを啼かせた。 「ぁっ、ァっ、んっ、ゃあ…っ。」 「…ん……、シェリル。」 一度胸から顔を離すと、唾液に濡れた突起が厭らしく光っている。 そっと下へ移動させた片手で脚の間にある中心部分を探り、身体を 強張らせるシェリルを無視して下着越しに触れてみた。 湿ってる……。 短パンに手を掛けたところでぎこちない視線を向けて問い掛ける。 「良い…か?」 「い…いちいち聞かないでっ、馬鹿アルト。」 シェリルらしい悪態に思わず笑みを零すと、短パンを下着ごとずり下げて 脚から抜いた。恐る恐る両脚を左右に開いてみる。 初めて目にする 女 にオレは生唾を飲み込んだ。 震える指先で薄いブロンドの茂みを掻き分け割れ目をそっと広げた瞬間、 クチュリ…と卑猥な粘着音が響く。 少し暗いピンク色のソコは蜜を滲ませながらヒクヒクと生き物のように 蠢いてオレを誘う。余りの光景にオレ自身も熱が溜まるのを感じた。 親指と中指で割れ目を広げたまま人差し指の先端で入り口付近の壁を擦ると、 ビクンッとシェリルが反応した。 そのまま肉壁を押し広げるように人差し指を埋め込む。 狭いうえに更に狭めようとキュウキュウ締め付けられる感覚に身震いしながら ゆっくり出し入れを開始する。自身を挿れたらどんなにイイか…などと考えて 仕舞ったせいで、自身の熱が一層高まった。 「んっ、や…っぁ、だ……ダメっ。」 「嘘つくなよ、シェリル。ココ…すごい濡れてきてるぞ、気持ち良いのか?」 「ゃっ、バカっ。ぁっ…ぁんッ、言わないで…よぉ。」 「……お前、可愛い過ぎ。」 大分解されてきたと判断して指の動きを早めながら、ソコに顔を寄せた。 甘い、少しツンとした女の匂いに酔う。 「ぁっ…アルトっ、ヤダっ、そんなとこ汚い!」 「汚くねぇよ。その…何て言うか、花弁みたいですごく綺麗だ。」 似合わぬ台詞に気恥ずかしさを覚えると、誤魔化すようにソコへ口付けた。 以前話半分に聞いていたミシェルのアドバイスに従うのは癪だが、この際 仕方ない。そう思って、見付けた小さな突起、その肉芽を口に含んで舌先 で撫でてみた。 「ひぁ…っ!?」 途端に今までにない程敏感な反応を見せるシェリルに悦びを覚え、指の動きと 同時進行で肉芽を舌で転がす。どうやらミシェルのアドバイスは的確らしい。 「ハァっ、ぁっ、ぁっ…んっ、ゃ……なんか来ちゃ…う。」 「大丈夫だ、我慢しなくていいから。」 「ゃっ、アルトっ、アル…――ッあぁァっ!!」 段々と肥大するソレを思い切り吸い上げた瞬間、膣に挿入っていたオレの指を キツく締め付けながら不規則な痙攣と共にシェリルは絶頂を迎えた。 「は…っ、ハァ……ぁ…ん………。」 「シェリル、ヨかったか?」 「…っ、し…知らないっ。」 指を引き抜くと同時に顔を上げて尋ねると、とろけた表情を逸らしながら 拗ねたように返された。恥ずかしいんだろう。 そんな姿にすら悦びを抑え切れないまま、既に欲望をはちきれんばかりに 溜め込んだオレ自身を衣服から取り出した。シェリルが思わず目を逸らす のが分かって軽く苦笑いする。 「少し痛いかもしれねぇけど、我慢してくれるか?」 「…うん、平気よ。」 素直に頷くシェリルを確認してから、濡れそぼる蜜口に先端部分を宛てがい ゆっくりと腰を推し進める。予想以上の締め付けに眉を寄せながら熱い息を 吐くと、そのままつっかえる部分を打ち破って一気に奥まで貫いた。 「んっ…――ッく!」 「……っは、大丈夫…か?」 「痛いけど、アルトと一つになれて嬉しいから…平気。」 「シェリル……、好きだ。」 痛みに耐える表情に胸を締め付けられて無意識にその台詞を囁いた。 照れ隠しに何か言い掛けるシェリルの唇を塞いで、そっと瞼を綴じる様子を 細めた眼差しで捉えながらゆっくりと律動を開始する。 「ンっ、ぁっ、ぁっ、はァ…っ。」 「…っは、シェリル…っ。」 一度動き出したらもう止まらない。 痺れるような甘い快楽に溺れるかのように、オレは夢中になって腰を振った。 シェリルの方も痛みが快感に変わったのか艶やかな啼き声を漏らして必死で オレにしがみついてくる、時折背中に走る微かな痛みすら愛しい。 ある一点を突くと一層締め付けが強くなった。 「ひァぁっ、ぁっ、ゃあっ!お願っ…、も……止めっ、ぁあっ!」 「…悪い、無理だ。」 止まらない打ち付けを続けながらシェリルの限界を悟ったオレはラストスパートに突入し、 欲望に身を任せたまま弱点を強く強く突き上げる。 「ぁっ、ァっ、アルトっ。また…っ、ァんっ、あぁ――ッ!!」 瞬間、シェリルが爪先をピンと張って身体全体を震わせた。 それと同時にナカが激しく痙攣し、柔い肉壁が自身を優しく包み込みながら キュゥッと痛い程締め付けてくる。 「ぅあ…っ、ヤッベ……!」 突然の強い快感に表情を歪めるものの、自身を引き抜く余裕もないまま膣内に熱い精液を勢いよく吐き出した。 溜め込んだ欲が止まらない。 ピクン、ピクン、と規則的に痙攣しながら未だに注ぎ込まれている精液を 受け入れるシェリルに、オレは申し訳なさそうな表情を向けた。 「……我慢出来なくて、ごめんな。」 シェリルは朧気な微笑みを浮かべて、消え入りそうな声で囁く。 「ありがと……。大好きよ、アルト…。」 それだけ告げて気を失って仕舞ったシェリルをそっと抱き締めると、ようやく 射精が止まった自身を埋め込んだまま身体を密着させる。 あどけないシェリルの表情を眺める内に愛しさが込み上げ、甘く唇を啄ばんだ。 「オレもだよ…。シェリル、愛してる。」 本日二度目の愛の台詞を口にしたところでシェリルのナカにいる自身がムクムク 復活し始めた事実に「ヤバイ」と冷や汗を流しながら、愛しい寝顔を余所に悶々 とこの先の処置を考え出した。 終わり。 ※続きは5-797
https://w.atwiki.jp/macrossf-eparo/pages/168.html
541 :*Savoir-faire* 兄シェリ?:2008/12/25(木) 21 50 19 ID UhVHRYro Savoir-faire* 兄シェリ? アルシェリ執筆の邪魔をする兄さんが頭から離れないので筆休め。ということで シェリルで遊ぶ兄さん。兄シェリではないですね、アル(だけど兄)シェリです。 おかしいな、兄シェリでアルトをからかうのが好きな筈なんですけど。 夜はグレイス姉様や兄さんがキラ☆っとビームを出してSMっ気が抜けません。 これでは助太刀ではなく.........調教? 因に前のとは全然関係ありません。 閉め切られた部屋の中で、静かに密やかに繰り広げられる秘め事 「ん...ふぅ......」 押し殺した密やかな吐息と、くちゅくちゅと響く淫靡な水音 そして独特の空気が部屋を支配していた。 「声は押し殺さない方がいいですよ?」 のんびりとした場に似合わない笑いを含んだ涼やかな声がする。 「っあ。いいでしょう?あなたには関係ないもの」 「おやおや、関係の無い事ですか?こうして教えて差し上げているのに?」 シェリルの前に座り一糸も着衣を乱さぬまま、シェリルの 浴衣の裾だけを割り薄く茂った奥に隠された場所を指で翻弄し続ける。 「ん、っ!......ぁ、それでもよ!」 途切れ途切れの息遣いだが、はっきりと言い切る。 「まぁいいでしょう。銀河の妖精の夜の声はとても繊細で耳に心地よい。 アルトさんには隠さず存分に聞かせて差し上げてくださいね?」 矢三郎はにこりと微笑んだ後、一瞬だが厳しい視線を見せた。 翻弄されながら何故こんな事になったのかシェリルは思い返した。 アルトがスクランブルで出かけた後、昼間ひっそり入手した一冊の本 オンナノコの夜のバイブルと名高い雑誌なるものをこっそりと読み それをひっそりと実践していた時だった。 「えっと、疲れている彼を喜ばせてあげれて、行為の主導権を握れる?いいじゃない!」 嬉々として読みながら敷いた布団の上で枕相手に馬乗りになっていた所へ 矢三郎が訪ねてきたのだった。 「理想の女の事を昼は淑女、夜は娼婦って言うんですけど.....いいですねぇ。 女性が積極的に誘ってくれるのは。でもまだまだアルトさんには早いですかねぇ」 扇子を口元でペシペシと軽く叩きながら満足そうに微笑む。 対していきなり現れた矢三郎に変な所を見られたシェリルは顔から火が出そうになった。 「っつ!!声くらいかけてから入ってきて!」 馬乗りになっていた枕から慌ててどいて、シェリルは肌蹴た浴衣の裾をなおした。 「かけましたよ、あなたが気づかなかっただけです。凄い集中力ですね。感心しました」 今更だが、読んでいた本をそろそろと隠しながらシェリルは尋ねる。 「....用件は?」 「ありませんよ。ご機嫌伺いに来ただけです」 ニコニコと笑みを浮かべ、だが、ここから立ち去りそうな雰囲気は全くない。 立ち去る所か、むしろこちらにじりじりと近づいてきた。 な、何? 少しだけ身の危険を感じたシェリルは身を固くして警戒した。 「その本を見せて頂こうかと思いまして」 近づいてきた矢三郎は折角布団の下に隠した本を引っ張り出す。 「ちょ!ちょっと。勝手に見ないで!」 慌てたシェリルだが、それに怯む矢三郎ではない。 シェリルが読んでいたページにざっと目を通し、溜め息をついた。 「シェリルさん。主導権を握るのはいいですけど、あまりおかしな知識を得るのは 止めた方がいいですよ、男には征服欲ってものだったり色々あって複雑なんです それにアルトさんやあなたの様な初心者には高度すぎます」 ズバズバと言葉を紡ぐ矢三郎の口をシェリルは塞ぎたかった。 だが、何故だかグレイス以上にこの人を怒らせてはいけないという本能が警告する。 「でも、最近アルト疲れてるみたいだし、出来るだけ負担になりたくない......から」 「ふふ、負担になんてなってませんよ。むしろ私にはアルトさんが喜んでる様に しか見えません。何も知らない女を自分好みにしていくのは楽しいんですよ」 流石演劇界で名を馳せている事はある、強烈な色気を放つ流し目にシェリルは竦む。 「で、でも...あたしは...」 「でも、ではありませんよ。まぁ、実践されてた体位くらいはいいでしょう。 私が詳しく教えて差し上げます。さぁ、この上に跨がってください」 雑誌を放り出すと、シェリルが馬乗りになっていた枕をつきつけてきた。 「え?」 ひきつった表情を浮かべながらシェリルが聞き返すと「早くしてください」 と返事が帰ってきた。何やら敷布の上に正座までして待っている状態だ。 いいです、と大真面目に断ってみても表情も体勢も変わらない。 「実際に教えて差し上げましょう、やましい気持ちは欠片たりともありません」 「......アルト以外に見られるのは嫌よ」 「浴衣を着たままでいいです、私もこのままお教えします」 動かなさそうな矢三郎だが、だからといってはいはい、と答える訳にもいかない が、取り敢えず渡された枕の上に跨がって座った。すると、座るなり 「失礼」と言うと正座を崩し、シェリルの前に座り、裾から手を差し入れてきた。 「なっ!何するのよ!」 「中の様子を探るだけです、他意はありません」 にっこりと言って、差し込んだ指を敏感な部分に這わせた、矢三郎の肩に手を置いて 離そうとするがびくともしない、軽くパニックに陥ったシェリルに動きを止め声をかける 「差し入れる以上の事は絶対しませんよ。アルトさんの大事な人ですし 私にとってもあなたは大事な人です。力を抜いて楽にしてください」 シェリルは様子を窺うが矢三郎からは何かこう逆らえない強いオーラは出ているものの 身の危険を感じる事は無く、ちょっとずつ力を抜いていく。 少し力の抜けたシェリルを確認すると止めた指を再び這わせ、動かし始めた。 「楽にして、そう、私の指をアルトさんだと思って下さい」 気怠げな吐息を漏らしたシェリルに優しく語りかけ、頑なだった場所を潤して行く。 そして流されるまま現在に至るのだ。シェリルは自分はいつからこんなに 弱く、流されやすくなったのか考えたが、それは早乙女家やアルト関係だけだと 考えるのを放棄した。惚れた男関係にはとことん甘いらしい自分が恨めしい。 「ふふ、素敵ですよ、シェリルさん。さて、もうこれだけ濡れれば十分でしょう」 そういって、弱い部分を重点的に攻めていた指は伸ばされ隠された泉へ沈められた。 「っ!」 「とっても熱くてキツい。アルトさんが羨ましいですねぇ。さぁ動いて」 とてもそう思ってるのかと問いかけたくなる程のんびりした声だ 「......動くって?」 指を差し込まれたまま、ただ向かい合う矢三郎に問いかける。 端から見たらとてもおかしな光景なのだろう。 こうしてる今も困惑、という心境が一番主なものである事に違ない。 「さっきあなたがしていた事ですよ、さぁどうぞ」 そうは言ってもこんな倒錯的な場で実行するのはやっぱり躊躇われる。 動こうとしないシェリルに焦れた矢三郎は入れている指を動かしシェリルを攻めた。 「ん、ぅ....っ」 刺激された事に反応した体が震え、浮き上がったほっそりとした腰が揺れる。 「そう、そのまま前後に動かして、そう、いい感じですよ」 反対側の手を腰に添え、微妙に角度を変える様にシェリルを導く。 「ん、やっ...」 「いい感じです、この角度を覚えておくといい。そう、そのまま続けて」 矢三郎は淫らな行為を感じさせない程淡々と言葉を続けていく。 それに戸惑っていたシェリルだが、与えられる感覚に徐々に慣れ、 段々違和感がなくなり、快感だけを追いかける事に集中していく。 「いいですよ。そうですね、そろそろお腹の奥に力を入れてください。」 「あん、あ、っ、奥?」 「そう、締め付けて、わかりますか?私の指、この辺り」 言う通り力を入れると満足そうに頷き、中に沈めた指を内側でバラバラに動かすと その行為に反応した背中が反って、矢三郎の肩に添えていた腕が敷布の上に落ちる。 シェリルは後ろに反る体勢を支える為、腕を突っ張る体勢で言われた通り腰を揺らした。 「んんっ」 「気持ちいいですか?締め付けて離さない、挿れたら凄く気持ちいいでしょうねぇ。 惜しいですが.......さて、シェリルさん大体どうすればいいか解りましたか?」 「っ、....ええ」 「そうですか、じゃぁお仕舞いです」 そういって片手だけでシェリルを簡単に弄ぶ事が出来るこの男は 中途半端に熱のくすぶるシェリルの内側からあっさりと手を引いた。 「んんっ!」 息の荒いシェリルに対して憎らしい限りだが平静でいつもと全く変わらない。 「じゃぁ。お疲れ様でした。いいですね?シェリルさん閨事に関する事は アルトさんに任せるんです。解りましたよね?じゃぁよい夜を」 そう言ってしっかりと夜のバイブルを片手に涼やかに去っていった。 火照る体を持て余しながらも矢三郎はグレイスと同じ位怖いとシェリルは震えた。 fin*** 544 :名無しさん@ピンキー:2008/12/25(木) 21 57 21 ID UhVHRYro 兄シェリ、失礼しました。皆様素敵なクリスマスを過ごされましたか? 時間配分をすっかり間違えてアルシェリがまだ書けてません。 出来るだけ早くお届けしたいです。生ものですしね、頑張ります。
https://w.atwiki.jp/htstky/pages/29.html
魔穹の少女 この大陸は、『極光』と呼ばれる何かによって閉ざされてる。極彩色に輝くそのカーテンは、人々がその外へ出ることを許さない。魔王によって作られたとも言われるその膜は、いつまでも海の先を遮る障害物として、厳然とそこに在った。そんな『常識』も彼女――シェリルにとっては新鮮な知識であった。 「こんなことも知らないのね、貴女は」 「……ずっと、寝たきりだったから」 貴婦人のような女性がため息をつく。孤児たちの常識の無さはあらかじめ知っていたこととはいえ、なかでもこのシェリルという少女は異常であった。魔法や武技などの基本的なことも知らず、どうやって生きてきたのか疑問に覚えるほどだ。 綺麗に白くなってしまった髪を撫でつけながら、孤児院の院長である彼女は視線をシェリルに向けた。孤児特有のやせ細った体に、似合わない銀色の髪と紫色の瞳。背中にくくりつけた弓を、彼女が手放したことは一度もない。さらに腰には採取用のナイフがぶら下がっている。もっとも、それはボロく、とても使えたものではないのだが。 「ありがとう、ヴァーリ。また、教えて」 「……決心を変えるつもりはない? 貴女なら、酒場の店員とか、いくらでも安全な仕事に就けるはずよ」 「……ごめんなさい、ヴァーリ。私は……」 「……そう、わかったわシェリル。いってらっしゃい」 勢いよく孤児院を飛び出ていくシェリルを眺めながらヴァーリは自嘲ぎみな笑みを浮かべた。何十人といる孤児たちを全員養う余裕はない。かつてここを出て行った孤児たちが、仕事を得て送ってくれている寄付金で成り立っているような孤児院だ。シェリルはまだ十歳。基本的な孤児たちが仕事に就くのが十四歳からであることを考えると、いま仕事を焦って選ぶ必要はない。けれど、シェリルは将来就く仕事をすでに決めていた。 「冒険者、ね」 ヴァーリは、昼寝している孤児たちを眺めて、その顔に慈愛の微笑みを浮かべた。 孤児院を飛び出してきたシェリルは、そのまま街のなかを駆け抜けて、やがて一つの建物にたどり着く。 『冒険者ギルド』。それは各地で発見されるモンスターを倒したり、迷宮を攻略する者たちが集まる施設だ。この街にある冒険者ギルドの隣には訓練場が存在する。毎日、ここで練習するのがシェリルの日課だった。受付に行くと、見知った人が見知った顔で出迎えてくれた。 「毎日毎日、本当によく来るわね」 「……うん。強く、ならなきゃ」 この問答もすでに何度となく行われた会話である。今までならこのあと訓練場申請書に受付の彼女がサインして終わるだけなのだが、今日だけは少し違った。 「シェリル、だっけ? あんた、どうしてそんなに強くなりたいの?」 受付の女性は申請書にサインしながら、シェリルに問いかけた。孤児が冒険者に憧れて冒険者を目指すことは別に珍しいことではなく、毎年毎年勘違いした子供が英雄譚に憧れて、冒険者ギルドの門を叩く。やがて彼らは地道な苦労、少ない報酬に心が折られ、無茶な依頼に手を出して死ぬか、ほかの職業を探すはめになる。逆に、ここを耐えた者は大成することが多い。だからこそ、冒険者ギルドは来るもの拒まず、去る者追わずの姿勢を貫いているのだ。 そんな冒険者ギルドにとって、冒険者でもないのに訓練場を毎日使用して訓練しているシェリルという少女は、良くも悪くも目立っている。 「……ごめん。エリンでも、それは言えない」 「そっか。まあいいよ、頑張ってね」 エリンと呼ばれた受付の女性は気にした風もなく、シェリルを訓練場に送り出した。シェリルが去ったあと、早めに依頼が終了して入り浸っている冒険者のひとりがエリンに声をかけた。 「大した理由はないんだろーよ。どうせそのうち、冒険者っていう職の苦しさに負けて逃げ出すさ」 シェリルを口実にエリンとお近づきになりたがっているその冒険者の魂胆は、エリンにとってはあまりにも見え透いている。その男を適当にあしらいながら、エリンは必死に震えだす両腕を押さえつけていた。 (冗談じゃない……一瞬だけど、『あの』シェリルが本気で……) シェリルがこの訓練場に通い始めて一週間ほどたったある日、一つの冒険者グループが彼女に絡んだことがある。もっとも冒険者ギルドの中での悶着は、あまり大きくなりすぎるとギルドの方から警告が飛び、警告されると著しく信頼が低下する。なので、口汚く罵るとか、その程度のものだったが。 あらゆる罵詈雑言――酔っ払っていたのと、相手が少女だから調子にのっていたのもあるだろう――が、シェリルに浴びせられたが、彼女はそれを全く相手にすることなく訓練場をあとにした。その場にいた冒険者からは腰抜けだなんだと言われていたが、彼女含む職員はいたく感心していたのだ。 冒険者ギルドにおいて、慎重なものは重宝される。無理せず成果を持って帰るという点や、ほとんど問題を起こさない点などで、圧倒的に粗野な冒険者より役に立つからだ。 そんなシェリルから、一瞬ではあるが本気の殺気が漏れたのだ。気に障ったとか、そういうことではなく、思い出したから思わず漏れた、という感じであった。エリンはシェリルが訓練場に通って弓を引き続ける理由が、決してプラスの理由ではないことをこの時に確信した。 (復讐、かな) しかし、受付嬢としてはあまり彼女に深入りするわけにもいかない。だが、このまま放っておくのも気が進まないため、エリンは一つの提案を思いついた。 † † † † 訓練場は、ただのだだっぴろい空きスペースである。一応周囲を石壁によって囲われてはいるものの、整地もされていなければ弓の的になるようなものもない。シェリルは一年前、この石壁に大きくバツ印を刻みつけた。染料など買う余裕があるわけがないので、ただ拾った石で削ったのだ。そしてこの街に来るまでに冒険者の遺体から剥ぎ取った弓と矢を構える。シェリルが弓を使うのに、深い理由はない。もし剥ぎ取った装備が剣であったなら、シェリルはここでひたすら剣を振っていただろう。 最初の一ヶ月は、力が足りずに弓を引くこともできなかった。そしてシェリルはひたすらに腕立て伏せなどの筋肉トレーニングを積んだ。 弓を引けるようになって一ヶ月間は、いたずらに右手の指を傷つける毎日が続いた。やがて、指を傷つけずに矢を放つ持ち方を見つけた。 指を傷つけなくなって一ヶ月間は、矢は決してまっすぐ飛ばなかった。右に左に、ときには下に、必死に放つシェリルをあざ笑うかのように、矢は見当違いの方向に飛んでいった。 ようやく矢がまっすぐ飛ぶようになったとき、シェリルは自分の持っていた十数本の矢が残り少なくなっていることに気づいた。いくら丁寧に使っていても消耗品。折れたりするのは仕方がないことだった。 今日も、シェリルの弓がしなる。年端もいかない少女によって、限界まで引き絞られた弓は、その全てを威力に変えて矢を射ち放つ。一発一発を渾身の力で放つシェリルの射程は長い。およそ百メートルほど先にあるバツ印に、矢が直撃する。石と金属が擦れる耳障りな音が響き、シェリルは止めていた息を大きく吐き出した。十数本あった矢もいまや残り三本まで落ち込んでいる。 (なんとかして、補充しなきゃ……訓練もできなくなる……) 歩いて矢を拾いに行きながら、シェリルは帰り際にエリンに聞いてみることにした。 その日も日が暮れる寸前まで弓を引き続けたシェリルは、ヴァーリに怒られてしまう時間になる前に帰らねば、と焦っていた。エリンに矢の補充をどうすればいいのか聞こうとしたが、ちょうどこの時間が日帰り用のクエストを終えた冒険者たちが帰ってくる時間だ。クエスト達成確認や報酬の受け渡しで受付は非常に忙しくなる。 しょうがない、まだ三本はあるし、また来た時にでも聞こうと、シェリルがその足を出口に向けたとき、誰かの声が冒険者ギルドに響いた。 「ちょっと! シェリル、待って!」 言うまでもなく、エリンの声だ。今話していた一人の男の冒険者を引きずりながら、エリンがシェリルに近づいてくる。引きずられている冒険者は気弱そうな風貌に困ったような苦笑いを浮かべていた。 「ほら、あんたも知ってる通り、『弓引き』のシェリル。こっちは『縫弓(ほうきゅう)』のノーリスよ」 「は、はじめまして」 「……」 慌てて頭を下げたノーリスに続いて、シェリルも無言で頭を下げる。こういった礼儀をおろそかにするとヴァーリが怒るため、孤児院の孤児たちは最低限の礼儀を身につけている。 「さて、シェリル。貴女が独学で矢を放てることは、純粋にすごいと思うわ。でも、これからはこいつが教えてくれるから」 頭のなかをハテナマークが飛び交っているシェリルを見て、ノーリスは目を剥いた。 「エリン、君まさか本人の了承も得てないのかい!?」 「うっさいわね。いい、シェリル。自分ひとりでやるのには限界があるの。これからは弓矢の効率的な使い方についてはこいつから学んだほうがいいわ」 「……」 シェリルはその提案を受けて悩んだ。よくはわからないが、これからはこのノーリスという青年が弓矢の使い方を教えてくれるらしい。自分はもう矢を射ることができる。学ぶことはなにもないように思えた。 しかし、断る理由も特にはなさそうだ。ほかならぬ友人エリンの提案であるし、明らかに邪魔だったら無視して今まで通り訓練すればいいだけだ。そう考えて、シェリルはコクリ、と小さく頷いた。それに二人がほっとした顔を浮かべるのを見て、可愛らしく首を傾げるシェリル。 「君のことはたまに気にしていたんだよ、同じ弓使いとして。僕はノーリス、これからよろしく頼む」 「……シェリル。お願いします」 気弱な微笑みと一緒に差し出された右手を、無表情な右手が握り返した。 † † † † 「どういうつもりだ、ノーリス」 「何が?」 「とぼけんな! どうしてあんな依頼を受けたんだよ!」 勢いよく麦酒の入った木のコップをテーブルに叩きつけながら、男は唸るように声を絞り出した。何人かの冒険者がそちらをちらっと見たが、よくあることなのかすぐに興味を失ったように自分たちの会話に戻っていった。 そのテーブルでは、二人の青年が酒を飲んでいた。大柄な男は憤懣やるかたない、といった様子で浴びるように酒を煽っている。もう一人の、ノーリスと呼ばれた青年は微笑を浮かべながらちびちびと酒を飲んでいる。 「冒険後の短い時間だけだよ。問題はないだろう、アインハート?」 「時間の無駄だ。あんな孤児、すぐに冒険者の現実を知って諦めるに決まっている」 一言で切って捨てるアインハートと呼ばれた大柄な男。冒険者というのは夢を追い求めるには最適な職業だ。一攫千金もありえるし、一定以上の実力があるならば普通に働いて暮らすよりはいい暮らしができるものだっている。その絶対数は決して多くはないが。 迷宮にこもり、上質の魔石を収め続ければ、その日暮らしはたいして難しくもない。もっとも、その多くが一攫千金を求め無理な迷宮に潜って死ぬことになる。 「『ホークアクス』も結構有名になってきてるんだ。くだらないことに割く時間はないだろ?」 「ああ、いつの間にか大きくなったよね、最初は僕と君だけの二人パーティだったのに」 「迷宮を攻略するために必要なことだ」 「まあね」 『ホークアクス』。斧使いのアインハートと弓使いのノーリスによって結成されたパーティ名だ。田舎から出てきた二人は冒険者になり、着実にその成果を伸ばしていった。ノーリスの弓で足止めし、アインハートの斧で一撃粉砕するやり方で、多くのモンスターを倒してきたのだ。やがて魔法使いがパーティに加わり、迷宮攻略のためにアインハートが一人のシーフを連れてきて、ノーリスが根負けして一人の治癒魔法使いもパーティに加わった。 五人パーティとなったところに、一人の槍使いもパーティに加わり、いつの間にか最大規模の六人パーティとなっていた。色ボケしているところ以外は有能な治癒魔法使いに、堅実なドSである槍使い。燃えているものに無上の美しさを感じる魔法使いなど、個性が強すぎる感じはあるが、『ホークアクス』はこの街の最強の一角なのだ。そんなパーティの中核でもあるノーリスが、どこの誰とも知れない孤児に自身の弓の技術を売るなど、アインハートにとっては受け入れがたいことであった。 「はあ、まあとりあえずこの依頼は断れ」 「それは無理なんだよ。なにより僕がやりたいからね」 「おい!」 「まあまあ、久しぶりに楽しくなりそうなんだ。邪魔しないでくれるよね、アイン?」 数秒にらみ合う。闘牛のような熱く濃密な闘気を撒き散らすアインハートに、ノーリスは鷹のような鋭く冷たい闘気をぶつける。普通の冒険者にはわからない闘気の語り合いに勝ったのは、ノーリスだった。 「……ちっ、しょうがねぇな」 お手上げ、と言わんばかりに両手をあげるアインハートに、ノーリスは柔らかい微笑みを見せた。 一話だけ。もうちょっと加筆すると思う。
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/64.html
324 名前:えっちな18禁さん[sage] 投稿日:2009/04/12(日) 21 45 07 ID uHPQ/Y7e0 酔っ払いシェリルを書いてみた。全部繋げてようやく完結いたしました。 *注意* アルトの性格がヤバイくらいおかしいです。すごく性少年wです。 キャラ崩壊を起こしてる可能性がひっじょーーーーーーーーーに高いので、苦手な方は回避してください。 「たらいまぁ~」 「お帰り。で、何杯飲んだんだ?」 「んっ?らいじょうぶよ。ゆわれたとおり、5はい以内よ」 ちゃんと守ってるでしょ?と自慢げに語る空色の瞳は熱で潤み、その頬は仄かにピンクに染まっている。 それだけ見ればそんなに酔ってはいないようにも思えるのだけれど、玄関の壁に手をつき、ふらつく身体を支えながら一生懸命靴を脱ごうとする様からは結構重症であることが分かる。 送り出す前に酔い覚ましと乳製品をもっと取らせるべきだったか?と心内でため息混じりに呟きながら、アルトはシェリルの身体を支えると、ゆっくりと座らせてやった。 それからシェリルの横を通り、向き合うようにしゃがみ込む。 と、自然と視界にシェリルの足が入った。 黒のホットパンツからスラリと伸びる足。 それは、白く、ひどく柔らかそうに見え、さらにその丈の短さから下着が覗くのではないかとドキドキしてしまう。 危うく凝視してしまいそうになる自身を慌てて諫めると、アルトは平静を装いながら、ブーツの留め金に手をかけた。 「ふふふ。」 「何だよ。」 足元で作業するアルトに楽しげな笑い声が聞こえる。 視線を下に向けたまま、アルトはシェリルに訊いた。 「だぁって、お姫様みたいなんだもの」 「何がだ?」 「こうやってクツ脱がせてもらうの」 「ばーか。・・・・ほら、できたぞ。」 シェリルのふわふわとした返答に、先ほどの行いがばれていないことを知り、アルトはほっと息を付く。 そして、そんな自身の反応に中学生かよっと苦笑混じりに突っ込みながらアルトはシェリルの額を軽く小突いた。 途端にシェリルが膨れる。 小突かれた後を軽く擦りながら一瞬アルト睨みつけたと思えば、次の瞬間にはまた笑顔になった。 「んっ!!」 「・・・・・・」 「ん~!!」 立ち上がりその場を先に離れようとしたアルトに向かって伸ばされる両腕。 一瞬固まりつつも、かわそうとするアルトにシェリルが可愛らしく追いすがってきた。 一度戦中にやってやってからというもの味を占めたらしく、ここぞという時にはそうやって腕を伸ばしてくる。 甘えられているのか、いいように使われているだけか、乙女心はアルトには難解だ。 数秒の間、シェリルの真意を探ろうと試みたものの結果、抵抗むなしく負けたのはアルトだった。 背中と太ももに手を回して抱き上げると、すぐにシェリルが首筋に抱きついてくる。 幸せそうにアルトの首筋に顔を埋めるシェリルにアルトが小さく息を吐いた。 傍で感じる甘い匂いと熱い体温が、アルトに鮮明な 夜 の記憶を思い出させようとする。 慌ててそれに蓋をするとアルトは足を速めた。 「やーだぁ!!もっと、ゆっくりぃー」 「お前なぁ・・・」 「ちゃぁんと、ゆうこと聞いたのよ?ご褒美はあってしかるべきだわ。」 「・・・・褒美ねぇ・・・」 抱えられたまま、バタバタと足を動かすシェリルにたまらずアルトが速度を落とす。 抗議の声を上げたアルトに返ってきたのはシェリル 正当な要求 であるという反論だった。 渋ったような声を返しつつも、アルトはにやける口元をどうすることもできない。 ただ、自分がベットまで運ぶ行為がシェリルにとってのご褒美に相当するのだと分かったのだからそれも当然だろう。 両手を塞がれてしまったアルトにできることは、シェリルがこちらを向かないように祈ることだけだった。 壁やドアにぶつけてしまわないように最新の注意を払いながら歩く。 玄関から伸びる廊下をそろそろと歩き、リビングを抜け、寝室までもう少しというところでシェリルの身体がグラリと傾いだ。 「っ!!」 慌てて腕に力を込め、落とさぬようにと踏ん張るけれど、揺らがずにいることなど不可能だ。 意地でも落としてやるものかと必死の形相で耐えるアルトとは逆にちらりと覗いたシェリルの表情はすでに夢の中へと旅立ってしまった後だった。 言いようのない脱力感がアルトを襲う。 けれど、眠ってしまった相手に文句を言うわけにもいかず、アルトはそれらを飲み込むしかなかった。 寝室のベットの上にシェリルを降ろし、ご丁寧に枕までセットしてやった後で、自分の分の夜着をクローゼットから出してベットへと放る。 ベット脇にある小さな照明だけを点けて、眠るシェリルをしばらく見つめた後、アルトは仕方ないなと頭を掻いた。 すやすやと変わらぬ寝息を立てるシェリルは当分起きそうにない。 とりあえず、寝顔は苦しそうでなかったから服を着替えさせずに済みそうだと思った途端、残念なのか安堵なのか良く分からない感情が胸に渦巻いた。 そんなことを悶々と真剣に考える方がバカなのだろうが、あいにくその微妙な思考回路から数秒で抜け出すことは20年も生きていない少年には不可能だ。 未練がましくその後もたっぷり悩んだ後で、どうにかアルトは次の日シェリルに引っ叩かれる可能性の高い選択肢を切ることに成功した。 「アホくさ・・・」 自分で言っていて悲しくなるが、それが男の悲しい性だ。 目の前で好きな女に無防備に寝られ、その前段階で甘えられれば当然、心も身体も勝手に走り出してしまう。 そして、そんな衝動を押さえ込むのに、大変な時間と労力使い、さらには理性をフル稼働させることとなる。 光に柔らかく照らされたその寝顔をもう一度見つめ、軽く頬を小突いた後で、アルトは甲斐甲斐しくも眠り姫のために、酔い覚ましの薬と水を取りに台所へと向かった。 「・・・・・・起きたのか?」 たっぷり15分以上の時間をかけて薬を探した後で、寝室へと戻ったアルトから思わずそんな声が漏れた。 離れる前は掛け布団の上に転がしておいたはずのシェリルがきちんと布団に包まっており、ベットの近くには先ほどまで着てた服が脱ぎ散らかされている。 サイドボードの上には使用済みのメイク落とし用のコットンが置かれ、灯りが眩しかったのかその明るさが一番下のレベルまで下げられていた。 「ったく、起きたんなら呼べよな。」 小さくそう呟いても返ってくるのは穏やかな寝息だけだ。 アルトは盛大にため息を付くと、持っていた水と薬とサイドボードに置いたその後で使用済みのコットンをゴミ箱へと放り、脱ぎ捨てられた服をかき集めると部屋の隅に置かれている洗濯用のカゴの中へと入れる。 自身が描いていたような異性との同棲生活がいかに儚いものであったのかを噛み締めながら、アルトはゆっくりとベットへ戻った。 のろのろとベットの端まで歩き、先ほど自分が投げた夜着を探す。 けれど、ソレはベットのドコにも見当たらない。 不思議に思いながらベットの下も探したけれど、それは一向に見つからなかった。 「まさか・・・・」 そう呟くと同時にある予感がアルトの脳裏を過ぎる。 それを確認するべく掛け布団の端を掴むと、アルトは勢い良く引っぺがした。 「うぅ~ん。」 「・・・・・」 途端に悩ましげな声が上がった。 アルトの予想は当たったというべきか、外れたというべきか・・・・。 答えはあいまいなところだ。 きっと寝ぼけながらも着替えなければと思ったのだろう。 メイクを落とし、服を脱いだまでは良かったのだろうが、その後を壮絶にめんどくさく感じたに違いない。 確かに眠るシェリルはアルトの夜着を着ていた。 ただ、厳密に言えば着ていたのは上着だけだったし、さらに正確に言えば着ていたのではなく、羽織っていたという方が正しい。 そうまじまじと見るものではないだろうなと思いもしたのだけれど、目を放すことなどできなかった。 シーツの中で身体を丸めたシェリルは小さな子供のようにも見えるけれど、香る匂いと端々から覗く肢体は紛れもなく成人を迎えた女性のもの。 成熟しきっているわけではない、まだしなやかな印象が強い女の身体。 その肌は触れると温かく、吸い付くような弾力が返ってくる。 アルトの喉が知らず知らずのうちになった。 幾度か身体を重ねたことはあっても、ここまでじっくりと見たことはないのだ。 イケナイコトをしているのだという自覚はあった。 けれど、それを押し留めるだけの理性はもうどこをかき集めても残っていなかったし、元より好奇心は強いほうだ。 おそるおそる伸ばされる手を止めることはできなかった。 輪郭に沿って流れる柔らかなストロベリーブロンドが真っ白なシーツに散らばっている。 夜着は一番上のボタンだけしか留められていないから、他のかみ合っていない裾の端から肌が覗き、その胸元から零れた乳房が呼吸に合わせて僅かに揺れる。 その上で膨らむ桜色の蕾。 豊かな胸元とは逆にしまった腹部 折り曲げられた足は先に行くほどその細さを増してゆく。 見れば、見るほどキレイだと思った。 ミシェルに言ったらきっとバカにされるのだろうけれど、おとぎ話に出てくる 妖精 という言葉が本当にぴったりだと思った。 ゆっくりとベットに上がるとギシリと軋む音がした。 それがやけに生々しく思えて、アルトの頬が熱くなる。 眠るシェリルと向き合うようにして自身も寝そべり、布団を被りながら何を緊張しているんだと何度も何度も言い聞かせる。 それでも、ドクドクとなる心臓は静まらない。 どうしていいかも分からぬまま、アルトはゆっくりとシェリルに近づき、誘われるままに唇を重ねた。 僅かに開いていた唇を塞ぐと、温かい吐息が絡まる。 しっとりとした感触がアルトの記憶に刻まれ、同時に胸を焼く。 余韻は甘く、静かに広がっていった。 「ん・・・・」 耳に届いた小さな声に、アルトの身体がビクリッと震え、それがスプリングを通してベットを揺らす。 起こしたか?!と思って慌ててシェリルを見たけれど、穏やかな呼吸は変わっていなかった。 そのことに安堵しながら、アルトはそっとその頬に触れる。 優しくその輪郭をなぞるとシェリルが小さく身動きした。 触れるとピクッと身体が跳ね、逃げるように後ずさる。 でも、数秒後には弛緩した身体がいつもの位置へと戻って来る。 その様子が可愛らしくて、アルトは何度も優しくシェリルを擽った。 と、不意にイタズラ心が騒ぎだす。 頬を撫ぜた後で偶然を装い鎖骨の辺りまで手を滑らしてみた。 反応はなし。 そのまま、触ってみたかったのだけれど、ソレをアルトの夜着が阻んでいた。 恐る恐る手を伸ばし、そのボタンを外す。 支えを失ったソレは、さらりと肌蹴けアルトにその全てを見せてくれた。 静かに触れると、すべすべとした変わらぬ感触がする。 頬を寄せると温かい体温が伝わり、トク・トク・トクと音が聞こえる。 それは、軽やかに歩くシェリルの足音と同じくらいの速度で奏でられていた。 知らず、知らずの内にアルトが笑む。 そして、再び眠るシェリルを見つめると、アルトはそっとその額にキスを落とした。 一度だけ。そう思っていたはずなのに、もう一度っという衝動は止まらない。 額に口付けて、瞼に口付けて、頬に口付けた。 それから、鼻先を啄ばんで、顎の先。 軽く唇に触れて、喉元をゆっくりと下っていく。 触れるたび、枯渇していくような気がした。 もっと、もっとと衝動が強まる、麻薬のような誘惑。 歯止めはなかなかかからない。 鎖骨、肩、胸元 そして、乳房。 今までとは違う感触がした。 熱さも、柔らかさも違う。 自分にはない、シェリルが持つ柔らかさ。 アルトは一度唇を離した後で、もう一度触れた。 神聖な誓いの口付けをするように。 壊してしまわぬように。 優しく、触れた。 「んぁ・・・・・」 耳に心地よいその声にアルトが顔を上げると、うっすらとシェリルの瞳が開いていた。 「あ、ると?」 「なんでもない。寝てろ」 「ん。」 寝ぼけ眼のそう囁くと、再び瞼が下りてくる。 すやすやという穏やかな寝息が聞こえてくるのを待ちながら、アルトはシェリルを抱きしめ、何度も何度も頭を撫でてやった。 ふわふわと柔らかい桜色の髪を優しく弄んでいると、再び規則正しい寝息が聞こえてきた。 抱きしめていた身体を離してその表情を見ると、安心しきったような、無邪気な色が浮かんでいる。 そんな表情にアルトはくすりっと笑った。 閉じられた瞳を縁取るように生えた長い睫毛が頬に影を落とす。 薄く開いた唇からは、小さな呼吸音が聞こえる。 自分に全てを預けた姿は、何よりもアルトを嬉しくさせた。 「あっ・・・薬・・・」 寝顔をじっと見ていたアルトの脳裏に先ほど自分が運んできた存在が過ぎり、一瞬にして現実へと返らせる。 とは言うものの、肝心のお姫様はすでに夢の中だ。 何をやっているんだと心の内で一人愚痴た後で、アルトは息を吐き出した。 先ほどのことがあるとしても、緊張しすぎだと思う。 自身に対してもう一度短くため息をついた後、アルトは少しだけ身を起こした。 それからシェリルの頭の下に引いていた腕をそっと引き抜き、呼吸が乱れてないのを確認したアルトは優しくシェリルの身体を仰向けにする。 その際シェリルの着ていた夜着が肌蹴け、柔らかな膨らみが零れたけれど、今度は数秒でそこから目を反らす事ができた。 それでも、アルトの両頬は熱を上げる。 いつまでたっても慣れぬ自身に少し戸惑いを覚えながら、アルトは静かに自分が居るのと反対側におかれたサイドボードに手を伸ばした。 そして置いておいた薬の箱とミネラルウォーターを手に取る。 ひんやりと濡れた感触が伝わり心地いい。 結露を起こしていたそれは、アルトにわずかな余裕を与えてくれた。 「・・・・・・・まぁ、いいか。」 右手にミネラルウォーター。 足元に転がる酔い覚ましの薬箱。 そして、眠るシェリル。 3つを凝視した後で、アルトはそう呟いた。 ミネラルウォーターを片手に持ったまま、箱から薬の束を取り出し、カプセルを一つ押し出す。 パキッと音がして小さな錠剤が手の平へと転がり落ちてきた。 (これくらいの大きさなら、大丈夫だろう。) そう思ったアルトは一指し指を使って、それをシェリルの口へと放る。 自らはミネラルウォーターの水を口に含んだ。 そのまま、シェリルの顎と額を固定する。 そして、重ねた。 シェリルが驚いてしまわぬように、少量ずつ流し込んだ。 「・・・・うっ・・・ん・」 少しだけ不安そうな、くぐもった声が漏れる。 重ねた瞬間に閉じた目をおそるおそる開けるけれど、シェリルの瞳は閉じられたままだった。 同時に、コクリッと小さく音がなる。 その様子にアルトはほっと安堵した。 きっと眠ったせいだろう。 頬の赤みは和らぎ、もうほとんどいつもの色だ。 ただいつもと違うのは、先ほど重ねた唇が水を得て、キラキラと輝いていること。 誘われるように、アルトの指がシェリルの唇をなぞる。 指の腹に押されたその肉がふよふよとした柔らかい感触を伝えた。 その感触にアルトが優しく微笑する。 そして、もう一度そっと重ねた。 交わる甘い吐息に、頭のどこかがジンッと痺れる。 重ねるだけっと思っていたのに、気が付いた瞬間には口内へと舌が入り込んでいた。 いつもは、すぐに絡まる存在が今日は感じられない。 それをもどかしく思いながらアルトは2、3度擽る。 すぐにっとはいかなかったけれど、ゆっくりと動くそれはやがてアルトに触れた。 激しいというのとはまったく対極にあるようなキスだった。 眠っているというのに数度の経験で刻んだ記憶が動かせるのか、それを思い出すようにして優しく絡まりあう。 うっとりと余韻を引くような口付けにアルトの心臓がキュッと縮んだ。 一度身体を離すと銀糸が僅かに二人を繋ぎ、切れ、首筋に痕が落ちる。 そして、ゆっくりとEXギアの両翼が広がるような速度でアルトを求める両腕が伸びてきた。 この腕に捕まってしまうことが、育ち始めていた衝動を治めている箍を外す事になるだろうということは、アルトにも分かっていた。 シェリルに無理はさせたくない。 そう、思う気持ちはある。 シェリルの声を聞いてみたい。 そう、思う気持ちもある。 大切だから、壊したくなくて。 でも、大切だから、一番傍に居ることを感じたかった。 ゆっくりと伸びる手が、アルトの両肩に触れる。 そして、そのままゆっくりと腕に触れながら下へと落ちていく。 ただ触れられているだけなのに、再び身体のどこかがジンッと痺れる。 もっと、触れたい。 もっと、声を聞きたい。 もっと、熱を感じたい。 「ぁ、・・・・・・と?」 甘い声。 耳を擽る甘い声。 そして、呼ばれたのは自分の名前。 (あぁ、ダメ・・・・だ) 心の中に声が響くと同時に、アルトは苦笑し、白旗を降った。 自分の手首の辺りにまで降りてきていたシェリルの手を絡め取って左右の頬の横へ置き、シーツへと優しく縫い付ける。 そして、慌しく唇を重ね、割った。 起きて、起きてっと言うように何度も何度もシェリルを擽る。 絡めて、吸って、擽った。 「・・・・ん、っ・・・・」 耳に届くのは少し苦しそうな声。 でも、それはアルトの心を急かせるだけだ。 唇を離し、頬をシェリルの頬骨へと当て、触れる皮膚の全てにキスをしていく。 なだらかな首筋をなぞり、鎖骨を啄ばみ、先ほど零した唾液の痕を舐め取る。 そのままゆっくりと下へ降りていった。 乳房の谷間を辿ると、頬が埋まり良い肌の匂いがする。 その柔らかい感触を楽しみながら、左胸の付け根を軽く吸い上げたアルトは、捕らえていた シェリルの手を片方だけはずした。 身体のラインに沿ってその手を這わしつつ、アルトの唇はなおもシェリルの肌を滑る。 わき腹を啄ばみ、へそを擽った。 余すところなくキスを贈ると再び身体をゆっくりと起こす。 眼下に広がるのは、白いシーツの海に沈みつつも、無防備にその素肌を晒すシェリルだけだ。 陶器のように白い肌に一輪だけ咲く小さな花がとても鮮やかだった。 「・・・・・シェリル?」 小さく名前を呼んでみても返ってくる言葉はない。 そっと、その頬に触れてみる。 けれど、シェリルは穏やかに眠るばかりだ。 こちらの心臓は先ほどから痛いくらいに高鳴っているというのに、シェリルにはその素振りすらない。 そのことにアルトが苦笑した。 「なぁ、・・・少しは気付けよ」 アルトの声は優しい。 かといって、本当に起きてしまったらこちらが困ってしまうことになる。 『二律背反』―――そんな言葉がぴったりだと思った。 スーッ、スーッと規則正しく聞こえてくる呼吸音。 幸せそうな寝顔。 見ているだけでも心が何か温かいもので満たされる感覚。 それは確かで、嘘ではないはずなのに、心の中でその存在の大きさを主張するこの切なさは何なのだろう。 確かに同じベットの中に存在していて、 自分の身体の下にシェリルはいるというのに、 心の中で小さく渦巻く感情が、不意に昔の記憶と気持ちを呼び戻しそうに思えて、少し怖くなった。 ドキドキと打つ心音がうるさい。 こんな感情を持て余しているというのに熱い身体が情けない。 気持ち を抱いているのが自分一人のような気さえしてきた。 「シェリル?」 小さく呼んだ名前が少し震えていた。 なんで、泣きそうになっているんだろう? 理由は分からなかった。 頭がいっぱい過ぎて考えられなかっただけなのかもしれない。 でも、声が聞きたくて。 変な意味でなく、声が聞きたくて。 名前を呼んで欲しくて、 笑って欲しくて、 たまらなくなった。 「なぁ・・・・」 言葉の先は出てこない。 頭に浮かぶ言葉はあっても、それを音にすることができなかった。 頬にそっと右手で触れ、ゆっくりとその輪郭をなぞっていくと、先ほど刻んだ赤い刻印が目に映った。 白い肌に浮かぶ印。 胸元のちょうど真ん中当たりに咲く赤い花。 自身の所有の証。 静かに触れてみたけれど、アルトの望むような感情は浮かんできてはくれなかった。 浮かぶのは虚無の感情だけ。 それは、きっとアルト自身が知っているから感じるのだろう。 気持ちが伝わった嬉しさを。 気持ちが繋がった嬉しさを。 そして、互いが求め合うことで初めて満ちる感覚を。 身体だけでは意味がないのだ。 心が満たされなければ、意味がないのだ。 (起きて) 何度も喉元まででかかった言葉を、アルトはそれでも必死に飲み込んだ。 そして、その言葉に鍵をかけるように刻んだ印にそっと唇を重ねた。 再び香る、甘い匂い。 香水などでは表現することのできない、甘い、甘い、肌の香り。 そして、唇で感じる温かな体温がアルトの心をまた少し苦しくする。 そのまま、唇が肌の上を滑っていくのをアルトは止められなかった。 谷間をくだり、へそまで一直線に降りてゆく。 下着の際まで降りたところで、ようやく止まった。 止めなければと何度も何度も繰り返し思った。 ここで、止めなければと。 ここで、自らを制しなければと。 でも、その度にもう少しだけっという自分の欲望がそんな気持ちと覚悟を先へ先へと押してゆく。 おそる、おそるその端から伸びるヒモを指が摘んだ。 数センチ引くだけで、簡単に崩れ落ちてしまう砦。 頭の中は真っ白なくせに、訳も分からぬくらいの圧迫感が頭を支配していて、何も考えられなかった。 ピンッと張り詰めた空気がそこにあるだけだ。 新たに露になる肌に、アルトの喉が鳴る。 いや、ただ息を無理やり飲み込もうとしただけなのに、舌が上顎に張り付いたようになってうまくいかなかったのだ。 ドクン、ドクンという心臓の音がまた一際大きくなった。 「あ・・・っ・」 何をしているのだという声がする。 何をうろたえているのだという声がする。 火照る頬はどうしようもなくて、 爆発しそうな心音もどうしようもなかった。 ゆっくり、ゆっくりと顔を近づけ、そっと舌を這わす。 トロリとした液体と馴染みの味が口内へと広がる。 その感触にビクリッとアルトの身体が震えた。 「・・・濡れ、て・・る・・?」 何度キスを交わしたのかは覚えていない。 でも、施した愛撫はいつもより断然軽いものだ。 なのに、シェリルの秘部は静かに潤んでいた。 いつの間に、熱を宿していたのだろうか? キスで少しは ソウ なってくれていたのだろうか? 夢の中でもいいから、自分を求めてくれていたのだろうか? 「・・・・シェリル・・・感・・じ、た?」 切れ切れの問いかけに、返答は返って来ない。 それでも、アルトの心に嬉しさがじんわりと広がってゆく。 いきなりぎゅっと心臓が縮んだように、先ほどとは違う意味で胸が苦しくなった。 身体を起こし、少し上へと移動するとシェリルの頭を抱きしめる。 嬉しくて、嬉しくて、たまらなくなって、勢いよくその唇へと口付けた。 それから額を啄ばんで、頬を啄ばんで、何度も何度もシェリルへキスの雨を降らせる。 気持ちの済むまでキスを繰り返して、シェリルの肩口に顔を埋めていると、きゅっと抱きしめられた。 慌てて顔を上げると、シェリルの瞳が開いていた。 「きす、してくれた・・デショ?」 まだ半分夢の世界にいるのか、ぽやぽやとしたしゃべり方だ。 でも、先ほどとは違う。 アルトを見つめる瞳は、ひどく甘く、柔らかい。 「ねぇ?シてくれた?」 「・・・・・・」 「ふふふ。やぁっぱり、そうだった。」 強請るようにそう問うシェリルにどう答えたものかと考え込むアルトに、シェリルの楽しそうな声が届く。 見るとひどく嬉しそうな表情で、幸せそうに笑い、予感が当たったと言った。 視線で問うアルトに対し、シェリルは首をかしげるだけだ。 背中を抱いていた腕が解かれ、アルトの背中を上がり、やがて頬を包み込む。 「ねぇ、シて?」 「・・・・・・」 「キース」 さっき何度もしたんだぞ? そう言ってやりたいけれど、口に出すことなどできない。 少しだけ逡巡した後で、アルトはぎこちなく唇を重ねた。 「もっと。」 「・・・・お前、酔ってるだろ。」 「ねぇ、もう一回!」 「・・・・」 甘い声がアルトを誘う。 重ねる度に、もっと、もっとと強請られた。 「・・・深く、シて」 「ん」 「もっ・・・・ん、・っ・・」 熱い吐息が心地いい。 絡まりあう感覚が全てを支配していく。 世界が遠くなっていくのを、アルトはぼんやりと感じていた。 片手で自身の体重を支え、もう片方でシェリルに触れる。 唇は離さず、息をする間も惜しむように夢中で求めあった。 それでも、耐え切れなくなってようやく唇を離す。 苦しさに頬をほんのりと染め、少しだけ潤んだ瞳で見上げられる様は何度経験してもいいものだ。 少し言葉を発するだけで触れ合ってしまいそうな距離。 視界に映るのは互いだけ。 感じる何もかもを共有できるのは二人だけだ。 アルトの唇にシェリルの指が触れ、ツーッとその輪郭をなぞったかと思えば、今度は優しい感触。 ゆっくりと塞がれ、再び呼吸が重なった。 「っ・・・ふぁ・」 「シェリ・・・・んっ・・・ま、て・・」 「ヤダ・・・ぁ、っ・・」 「・・先、・・進め・・・ない」 途切れがちな言葉でもアルトの言わんとしたことが伝わったのか、シェリルの身体がピクンと跳ねた。 ようやく離れたことに心内で嘆息しながらも、アルトは行為を進めていく。 組み敷いた白い裸体を軽く撫ぜると、シェリルの身体がわずかにこわばった。 大切なものを扱うような繊細さで、撫で上げ唇を這わす。 ところどころを舌先でくすぐった。 胸に触れ、下腹に触れ、その感触を楽しんでいく。 アルトの愛撫の一つ一つに反応が返ってくる様子が愛おしかった。 曲線に従い、下肢を彷徨っていた手が秘部へと触れる。 先ほどアルトが愛撫したせいもあって、そこはすでに十分に濡れていた。 触れた瞬間に滑った指の感触と鳴る水音がシェリルにその熱の高まり具合を知らせる。 一際大きく震えた際にシェリルの喉が鳴り、その動揺の大きさをアルトに伝えた。 「ア、ルト・・・」 「濡れてる・・。」 「っ・・・・・」 自分でも意地が悪いとは思うのだけど、美麗な顔が羞恥に染まる瞬間は男心を擽るのだ。 アルトは下肢に指を埋めたまま、ゆっくりとシェリルの肩口に顔を埋めた。 チロリとその首筋を舐め上げ、甘噛みをする。 そして、耳元へとその唇を寄せた。 「お前、自分で服脱いだの覚えてるか?」 「えっ?!」 「今日、俺脱がしてないぞ」 嘘は言っていない。 シェリルが一人で着替えようとしたのは真実だし、自分が脱がせたのはボタン1つだけだ。 5個あるうちの1つなのだから、数的に見てシェリルが脱いだといっても嘘ではない。 「あ、ると」 名前が呼ばれる名前が震えている。 着ているシャツの裾がそっと引かれる。 肌から伝わる体温がまた少し熱を上げた。 「淫ら、だな。」 艶を含ませてそう言ってやると、シェリルの身体がまた少しこわばる。 代わりに指に触れる愛液の量が増した。 中へと埋める指を1つ増やして掻き回す。 内壁を擦り、内を解して、ゆっくりとその狭さをとっていく。 漏れ聞こえる甘い嬌声が、アルトの熱をひっそりと上げていった。 「シェリル。」 煽ることを止めず、名を呼ぶと涙を浮かべた瞳と視線が交わる。 先ほどの言葉と内から生まれる熱に染まった頬には、滲んだ汗と零れ落ちた涙にその柔らかな髪が張り付いてしまっていた。 それを端へと寄せてやると、シーツをつかんでいた手がゆるゆるとアルトの方へと伸びてくる。 求められていると分かるその様子に、アルトの心がまた一つ満たされてゆく。 「・・・んっ・・・」 唇を重ねて、割り入った。 舌を絡めて、唾液を吸い上げ、口内を蹂躙する。 その間に左手でベルトを解き、ズボンと下着を寛げた。 入り口へ宛がうと、またシェリルの身体が跳ねた。 切っ先に愛液が触れ、自身が濡れる。 これから体中に巡るであろう波に、背筋が震える。 それでも、アルトは必死にその衝動を制した。 「アルト?」 いつまでも中へ入ってこないアルトをシェリルが呼ぶ。 それにも答えないアルトにその瞳が、ゆっくりと揺らめきだしていく。 「シェリル。」 「アッ――――」 不安に揺れる瞳に満足げに笑った後で優しく名前を呼び、押し入ると、その衝撃にシェリルの身体が軽く反る。 ぐちゅりという卑猥な音と共に伝わる埋まっていく感触がたまらなく心地よかった。 腰を動かす度に上がる声をもっと聞きたくて、 求めるときに呼ばれる自身の名前をもっと聞きたくて、 夢中で波の後を追いかける。 熱く絡み付いてくる感覚に、全てが蕩けてしまいそうでもあった。 太ももを抱え上げ、奥へ奥へと潜り込む。 揺らす度に豊かな乳房が震えていた。 もっと、もっとと膨れ上がる欲望はその限界を知らない。 熱に浮かされ、溺れ、次第に何も考えられなくなった。 覚えているのは、 その肌の熱 肌と髪の香 白磁の肌に残る赤い痕 注ぎ込んだ唾液の甘さ 濡れた二人分の息遣いと水音 集まっては霧散するその快楽の波あとに翻弄されながら、アルトは高みへと登ってゆく。 果てるなら一緒がよかった。 自然と手と手が絡まったのが嬉しかった。 閉じられていた瞳が開いて、そこに自分が映っていたことが嬉しかった。 名前を呼んだら、それに笑ってくれたのが嬉しかった。 感情のうねりとともに、シェリルの身体の奥底でアルトの熱塊が爆ぜる。 注がれるその熱さに、シェリルの思考が蕩けていった。 「・・・・っ」 耳元で感じる荒い息。 それでもシェリルを撫でる手は最初の頃と同じで優しい。 抱き込んでくれるアルトの何もかもが愛おしくて、シェリルはまだ力の抜けきったままの手をアルトへと伸ばした。 「あのね、大好き、よ?」 「なんで、疑問系なんだよ」 「・・・知ってるかなーって。」 「・・・・そうだな。知ってる」 いつの間にか互いに微笑んでいた。 優しく髪を梳く手が、シェリルを温かくて、幸せな夢の世界へと誘う。 ぼんやりと、まどろみながらシェリルはアルトの頬に触れた。 「ね、おやすみ。」 「あぁ、おやすみ」 白いシーツの波間に抱かれて眠るシェリルの額に、アルトはそっとキスをした。 「おやすみ、シェリル」 言葉を奏でる声は甘く、静かに部屋へと落ちた。
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/31.html
2スレ352 幼馴染パロ4 淫夢ネタ 352 名前:fusianasan 投稿日:2009/01/09(金) 21 07 04 幼馴染パラレル。淫夢ネタ可愛いいいい!!!いただます。イメージ壊したらゴメン 舞台に本格的に立つようになった頃からだろうか。 シェリルとのおはようのキスもいってらっしゃいのキスもしなくなっていた。 「なによ、アルト、言いたいことがあるなら、ハッキリ言いなさいよ!」 「いきなり、『なによ』とはなんだよ!言いがかりも大概にしろよ」 「だって、あなた、急に態度が変わったもの」 シェリルが気にしてくれているのは薄々感じていた。 だからって、どうしようもないだろ。 「別に・・何もない」 「何もないことはないでしょ。 なにか、悩み事があるの?それとも私が何かした?」 まさか、夢の中で犯してますなんていえるわけないだろうが・・・。 瞳を潤ませて、シェリルが覗き込んできた。 うちのクラスの女どもはぎゃーぎゃーと盛っているというのに 聖マリアはなにを、教えてるんだ、全く!! 少しは察してくれ!っと思うくらいに、しおらしいシェリルは・・・魅惑的だった。 アルトがシェリルの肩を掴むと、反射的に身をすくませたシェリルに軽く触れるだけのキスをした。 シェリルはキョトンと目をしばたたかせる。 アルトがゆっくりと顔を近づけると、今度はシェリルもゆっくりと瞳を閉じた。 もう一度、啄ばむような口付けを送り、アルトは自分を落ち着けるように息を吐いた。 「雪露が心配するようなことは、ない」 真っ赤になってオレを一生懸命見つめているシェリルを前に、 オレは一体どんな顔をしてるんだろう。 この唇の柔らかさは、忘れようが無い。 悩ましい夢にますます悩まされる日々が続くんだろう。
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/72.html
257 名前:えっちな18禁さん[sage] 投稿日:2009/06/17(水) 19 12 24 ID l5QhlZ2c0 突発でいくぜ。 こんなんどーよw ぼちゃんっっ 「熱っ・・・・っ・・」 キッチンに響いたのは不似合いな水音。 通常そんな音が響けば、料理をしている人が慌てたのだななどと思うのだが、早乙女家のキッチンにそんな音が響くことは 99%ありえない。 もし、万が一にでもそんな音が響いたなら、それは、早乙女家での夕食を諦めなければいけないという合図だ。 なぜ諦めなければいけないかというと、それが『銀河の妖精』が夕食担当であることを示すのだから。 「シェリルッ?!」 「・・・・・いっ、たぁ・・・」 派手な水音にアルトが慌てて振り返ると、そこには小麦粉を溶かしたボールと菜ばしを持ったまま床に蹲るシェリルがいた。 このご時勢に珍しいガス台の上には天ぷら用の鍋が置かれ、パチパチと何かが上がっているような音がしている。 一瞬で状況を把握したアルトは急いでシェリルの元へと走ると、蹲るシェリルを抱きかかえるようにして立ち上がらせ、 流し台の前へと移動させる。 水道の蛇口をひねり、その流速を調整した後で、アルトはシェリルからボールと菜ばしを取り上げ、油がはねたであろう手を掴んで流水に当てさせる。 水に触れた途端にシェリルの身体がビクリッと振るえ、うぅっっというくぐもった声が聞こえた。 透明な水が次から次へと流れ落ち、シェリルの手を濡らして滑り落ちてゆく。 自分よりも白い手にくっきりと見えるような赤い跡が残っていないのを確認したアルトははぁっとため息を付くと、 じんわりと目に涙を浮かべているだろうシェリルに背後から呆れたような視線を向けた。 「・・・・・」 「・・・なによ。」 ため息を付いたまま何も言わないアルトに、視線は前に向けたままでシェリルが問う。 少し、聞きづらそうな様子から、アルトが怒っているのだろうと予想をつけていたことが分かる。 とりあえず怒っていることは通じていたようだと知り、アルトはゆっくりと口を開いた。 「俺、なんて言った?」 「・・・・・・・・・・・・俺が、魚を確認して、野菜切ってサラダ作って、味噌汁を確認するまでゼッタイに触るな。」 「だよな?」 「・・・・・・でも・・・」 「でもっ?」 おずおずと口を開くシェリルに代わって、アルトの追求は甘くない。 シェリルが言い終わるか、終わらないかの内に口を挟み、シェリルを追い詰めてくる。 自分が悪いということは自覚しているのだから、尚更シェリルには居心地の悪い空気が迫ってきているようにしか感じられない。 「・・・他に、言いたいことは?」 「・・・・・・」 シェリルがとうとう口ごもったことにアルトふんっと鼻を鳴らす。 悪いことをしたと分かっていても、そう上から目線でえらそうに言われては謝れないのが人間の性だ。 シェリルはツンッと唇を尖らすと、だんまりを決め込むことにした。 別にイタズラ目的でやったわけではない。 ただ、手伝おうと思ったのだ。 いつも、いつも、アルトが作ってくれるのは嬉しかったけれど、自分も何か役に立ちたいと思ったのだ。 だから、アルトの手順を一生懸命見て覚えていたのに。 そんなに怒らなくてもいいじゃないかと思った。 わざとではないのだから少しくらい多めに見てくれてもいいじゃないかと思った。 アルトに対する苛立ちと、うまくできないかった自分への苛立ちにシェリルがむくれる。 その悔しさに思わず唇を噛んだ瞬間、首筋あたりに濡れた感触がした。 「っ、やぁ・・・ん・・」 「・・・・・・・」 振り返らなくても分かる感触。 服から覗く肩や首筋に熱く、濡れた感触が絡みつく。 ぞわりっと背中があわ立つような感触にシェリルから悲鳴が上がった。 「ちょ・・・んっ・・・ある、とぉ・・」 「動くなよ。商売道具に、跡残しちゃマズイだろ。」 「・・・だか、らって・・・ねっ・・あっ・・・」 服が引かれ、熱い感触が下へ下へと降りてくる。 逃げようにも足はがっちりとキッチン台へ押し付けられ、間はアルトの足が入れられている。 動こうにもどうにもできなかった。 「や、やだっ・・・アルトっ」 「さっきまでは何も言うかって顔してたくせに」 「ちょ、んんっ・・・あっ・・・待、っ」 流水に手を当てさえるようにシェリルの腕を固定したままの手とは別の手がシェリルの肌を滑っていく。 その際に何度も、何度も焦らすように"くすぐって"いくのだ。 シェリルの身体から、力が抜け落ちていくのにそう時間はかからなかった。 甘い喘ぎは、やがて愛撫を求める懇願へと変わる。 痛みに浮かんだ涙は、新たな痛みと快楽を求めるものへと変わり、 まだ、柔らかな夕日がさす明るい世界は、一足早く夕闇に染まった世界へと変わる。 シーツの白さに踊るまた別の白さにアルトもまたすぐに溺れていった。 シェリルの家事手伝いの勝率 0勝4敗 犠牲者 わかめのお味噌汁→煮込まれすぎて、とろっとろに バンバンジー→刻まれたまま放置 鳥の甘辛焼き→できる直前に放置。蜂蜜のみ別途で使用 天ぷら→海老一匹が生焼けで放置。 おしまいw
https://w.atwiki.jp/macrossf-eparo/pages/120.html
130 名無しさん@ピンキー sage 2008/08/08(金) 20 38 10 ID mGiHbIpA 投下します。 オズマ×キャシー、アルト×シェリル、ミハエル×クラン。 ただしエロ無し。 最終回後の設定。かなり長いです。 131 :ウェディングブーケ:2008/08/08(金) 20 39 07 ID mGiHbIpA それは小さな教会だった。 街から外れた小高い丘の中腹に建てられた、小さなチャペル。 その鐘の音の下で、いま神の名のもとに一組の夫婦が誕生するのを、シェリルは見る。 新郎の名をオズマ・リー、新婦の名をキャサリン・グラス。 ふたりを見守るのは、シェリルだけではない。SMSの隊員一同が顔を揃えている。 が、それ以外の人間はごくわずかだ。シェリルと、ナナセ、あと数人… 大統領息女の結婚式にしては、予想外に質素な式だった。 いや、正しくは前大統領息女、か。 バジュラとの激しい戦いが終結してまだ間もないが、フロンティアは様々な面で大きく移り変わったことがある。 大統領府首席補佐官レオン三島が携わった事件の数々は、キャサリンの父ハワードにも余波が及んだ。 ハワードは部下の管理不届きを負う形で政権の座から降りた。 新婦の関係者の立会いが少ないのを、シェリルは複雑な心境で見る。 (私がフロンティアを訪れてまだ1年もたっていないのに…) その長くない日々の中で、うねりのように巻き起こった様々な出来事を思い返すと、まだ胸が重い… 「シェリル?」 傍らのアルトの声に、シェリルは現実に戻る。 二三度まばたきして、シェリルは、祝いの歌を新郎新婦に捧げるためににこやかに立ち上がった。 「実に素晴らしい歌だったぞ」 教会の庭で弾んだ笑顔で、シェリルに飛びついてきたのは、クランだ。 今日はもちろんマイクローンサイズだが、ドレスアップのせいかいつもよりかなり大人びて見える。 「ありがとう、クラン」 この心優しい友人に、シェリルは微笑みを浮かべる。 シェリルのもとに、この式の招待状を届けてくれたのは、クランだった。 「キャシーもぜひ出席してほしいと言っていたぞ」 そう差し出された白い封筒を前に、でも…、と、声を落としたシェリル。 ギャラクシーの人間である自分が、おいそれと出席していいものか迷ったのだ。 「何をいう?おまえもキャシーの友人だろう?」 …あの時、あの言葉が、シェリルをどれだけ勇気づけてくれたか。 扉が開き、教会の中から腕を組んだ新郎新婦が出てくる。 「花嫁は文句なしだが、…隊長ってつくづくタキシードが似合わない男だねぇ」 「やはり基本が演歌だからな」 「いやロックでしょう」 口の悪い批評家と化す部下約3名を、じろりと睨みつけるオズマだが、傍らの花嫁がひじを軽くこづいて、 参列者に笑顔を振りまくことを命じた。 おめでとうと拍手と口笛が陽気にハーモニーを奏でる中で、両脇からライスシャワーが盛大に降りそそぎ、 今日の主役を取り囲む。 「お幸せに、おふたりさん」 「泣かせるなよ、色男っ」 「おめでとうございますっ」 口々に祝いを告げる。 シェリルも夢中で拍手をおくったが、 「さぁ、行くぞ、シェリルっ!!」 いきなりクランに袖を引っ張っられた。 「行くって…どこへ?」 「今日のメインイベントに決まっておろう!!出遅れるわけにはいかない」 クランだけではない。 ナナセやモニカ、ラム、ミーナら若い女の子達が一ヶ所に集まり始めている。 彼女たちのお目当ては、花嫁が投げるブーケだった。 受け取った幸運な女性は次なる花嫁を約束されるという地球時代からの言い伝え。 式のラストにふさわしいセレモニー。 「キャシー先輩、こっちに投げてくださいね♪」 「ダメです、こっちにください」 「やだ、私のです、そうですよね、キャシー」 はしゃぐなかにも微妙に火花が散っている気もしたが、シェリルもクランの隣に立った。 「なんだかすごくわくわくするな♪」 クランはぴょんぴょんその場を跳びながら、覇気を高めている。 シェリルは、花嫁を見やった。 シンプルな真っ白のベールとドレスに身を包んだキャシーは、本当に幸せそうだった。 あんな幸せが、私にも訪れる日がくるのだろうか… ギャラクシーにいた頃、デザインの仕事を頼まれて、ウェディングドレスを作った時も、あいまいな気持ちで 同じように思っていた。 いつかはね… そうどこか信じきれないでいる自分を、胸の奥に感じていた。 ふと、視界の隅にアルトを見つけて、…視線を合わせそうになって慌ててうつむいた。 「シェリル」 クランが名を呼んだ。 「うつむいてては幸運はつかめないぞ?」 シェリルは顔を上げた。キャシーが背中を向け、大きくブーケを持つ手を天高く掲げる。 いち、に、の、さんっ。 大きなリズムに乗って、ブーケが宙を舞う。 高く高く弧を描きながら。 ブーケは、フロンティアの青空に輝き、一瞬、陽の光と一体化した。 眩しさに、シェリルは目を細める。 伸ばした手の向こうで、ブーケを見失う。 「あ…」 とん。 ふいに背中をゆっくり押された。 シェリルは惰性で数歩前によろける。 次の瞬間、自分の両手の上にぱさり落ちてくるものを感じた。 赤とピンクの薔薇と白いかすみ草で作られたブーケはシェリルの手にあった。 どっと歓声が沸き起こる。 「あーん、私がとりたかったのにぃ〜」 くやしがるモニカだが、その目は柔らかかった。他の女の子達も。 そして、シェリルの前に歩み寄ってきたキャシーも。 「次はあなたの番ね、シェリルさん」 「キャシー…さん」 「11年…11年も諦めきれないでいた恋を叶えてくれたブーケよ。あなたの幸せも叶えてくれるわ」 初めてフロンティアを訪れた日のことが蘇る。 あの日、キャシーは自分の案内役であり世話係を務めてくれた。 あの日、あの場所にいた顔ぶれも、幾人かはもうここにはいない。 だけど。 キャシーの向こうで、仲間に意味ありげにどつかれて頬を染めているアルトが見えた。 なんだろう、胸が熱くなる… シェリルは、たまらずブーケを抱きしめて、微笑返した。 「クラン、おまえ、いいのか?」 式も終わり、二次会会場に向かって歩く小さな背中に、ミハエルは尋ねた。 「何をだ?」 「おまえ、あんなにブーケ欲しがっていたくせに…」 ミハエルは見ていた。ブーケが落ちてくる場所を見計らって、シェリルの背中を優しく押した幼なじみの姿を。 「見事なものだろう、私の予測計算の正確さは♪」 「…そうじゃなくてね。……………ったく、おかげでこっちの計画が台無しになったじゃないか」 ため息。 俺は今日のために、わざわざ指輪まで用意していたというのに。 計画まるごとアルトの野郎に奪われたようなもんじゃないか。 「何、落ち込んでいる?今日はめでたい日だというのに」 クランは上機嫌に鼻歌まで口ずさんでいる。 「それにな、ミシェル」 と、クランは足を止めて振り返った。 「ブーケは、シェリルからもらえばいいんだ♪」 「なるほどね」 ミハエルは両肩をすくめた。計画はほんの少し延期になっただけか。 ただし、俺もあまり気が長いほうじゃないから、アルトの尻を蹴っ飛ばして、急がせねばなるまい。 俺が見たい花嫁姿は、このちっこい幼なじみだけだから。 「ほら、ぼやぼやすると遅刻だぞ」 「はいはい」 クランに腕を引っ張られながら、ミハエルは微笑んだ。 〈了〉
https://w.atwiki.jp/opedmiroor/pages/1849.html
シャチを連れた少女冒険者ナナミ アメリカ、サンフランシスコの海の沖合。 海中で、潜水球・スクイドボールが作業にあたっている。 アザラシが、もの珍しそうに窓を覗きこむ。 アザラシが誰かに背を叩かれ、振り向く。 主人公の少女、ナナミ・シンプソンが、人懐こそうな笑顔を見せる。 ナナミがアザラシと共に海上に飛び出し、息をつく。 ナナミ「驚いた? ごめんね」 海上に停泊している海洋調査船ペペロンチーノ号。 船長はナナミの父、スコット・シンプソン。 スコット「ナナミ、駄目じゃないか。あの深さから、あんなスピードで上がって来ちゃ」 ナナミ「だって、アザラシと一緒だったのよ」 スコット「アザラシと人間は違う。いくらお前でも、あまり急に上がって来ると潜水病になるぞ」 スクイドボールに乗っているアルフォンゾ・アンドレッティ、通称アルの通信が響く。 アル「今ごろ何言ってんだよ、スコット。ナナミは特別だよ。俺たちみたいに、いちいち減圧する手間なんか要らないんだよ」 スコット「わかってる。しかし……」 アル「それより、金の延べ棒をどっさり積んでるっていうヨットは、この辺りには沈んでないみたいだな。もう少し、西に移動してみようぜ」 ナナミ「本当にそんなもの、あるの? アルが聞きつけてくる噂は、うさん臭いのばっかりなんだから」 アル「間違いないね! ハリウッドのプロデューサーって奴が製作費をネコババして、金の延べ棒に換えてトンズラしやがって、──」 ナナミ「また始まったわ。それより父さん、ティコを見なかった? 今朝から姿を見せないの」 スコット「見てないな」 ナナミ「そう……」 アル「ナナミ、聞いてんのか!?」 ナナミ「はいはい! ティコ……」 豪華クルーザーでの船上パーティ。 財閥令嬢のシェリル・クリスティーナ・メルビルが、退屈そうにしている。 シェリル「はぁ…… どこかに、本当にワクワクできることってないのかしら?」 3人の男たちが、シェリルに言い寄る。 男たち「シェリルさん、こんなところでどうしたんです?」「あちらに、ご一緒しませんか?」「シェリルさん」 シェリル「ジェームス!」 船酔い気味の執事ジェームス・マッキンタイアが応える。 ジェームス「は、はい、お嬢様」 シェリル「この子たちを、どこかそこら辺に捨てて来て」 ジェームス「わかりました。あ、あぁ……」 ジェームスの指示で、腕っぷし自慢の船員たちが、男たちを海に放り込む。 突如、海に突き出た背びれが次第に迫って来る。 男たち「サ、サメだぁ! わぁっ!」「た、助けてくれぇ!」 船員たちが浮き輪を投げ込み、男たちを引き上げる。 サメの強烈な体当たりを受け、クルーザーの動きが止る。 シェリル「どうしたの? 止まっちゃったじゃない!」 ジェームス「さぁ……」 シェリル「さっさと原因を調べさせなさい!」 ジェームス「はい!」 新聞やテレビはたちまち、サメ出現のニュースで持ちきりとなる。 テレビ『従って、メルビル財閥のクルーザーを襲ったサメは、体長7メートルを超す最大級のホオジロザメというのが、専門家の一致した意見です。彼らはホオジロザメが今後、人を襲うことも十分あり得るとして──』 シェリルは、海岸の豪華ホテルでテレビを見ている。 シェリル「よし、私があのサメを捕まえてやるわ!」 ジェームス「お嬢様…… 夏休みはとっくに、終わっています。明日にはイギリスにお発ちになりませんと、大学の方がですね」 シェリル「お黙り! こんな面白そうなこと、放っておけるわけないじゃないの!」 ジェームス「いや、しかし、お父様が……」 シェリル「冒険よ! 冒険だわ!」 後日。 サメ捕獲に挑む男たちが、次々に海に集う。 『緊急ニュースです。メルビル財閥から、サメ退治に百万ドルの賞金が賭けられました! ご覧のように腕自慢の男たちが、次々に港を出て行きます』 ナナミやアルたちは依然、サンフランシスコ沖にいる。 アル「賞金を聞いて、ハエみたいのがいっぱい出てきやがったな」 ナナミ「本当に、そんな大きなホオジロザメなのかしら?」 アル「こんな大きな港には、近づかないんだがなぁ」 ナナミ「人を襲うと思う?」 アル「ラジオで言っている通り7メートルもある奴だったら、アザラシでもひと飲みだ。馬鹿なサメなら、人だって襲うな」 アルは海から、エビを捕えている。 スコット「アル、それが昼飯か?」 アル「おいおい、これは昼飯用じゃないぜ。まずこのエビでアジを釣る。そしてアジでイカを釣る、イカでマグロを釣る。そんでもって今度はホオジロザメを釣り上げれば、賞金の百万ドルは俺たちのもんってわけだぁ!」 スコット「それで何を買うんだ?」 アル「最新型の深海潜水艇に決まってんじゃないか! 1万メートル級の海底に沈んだ宝を引き上げようなんて奴は、今までいなかったんだ。そいつでガッポガッポと……」 ナナミ「それより冷蔵庫買おうよ。ちゃんと冷凍できるのを」 アル「今のであと十年はもつさ。そうだ! サメのヒレだけはとっといて、広東風のフカヒレスープを作ってやるよ。うまいぞぉ!」 アルがエビをエサにして、たちまちアジを釣り上げる。 アル「やったぜ! これでホオジロザメは釣り上げたようなもんだ」 ナナミ「それ、エサにしないで、焼いて食べちゃった方がいいんじゃない?」 サメ捕獲を目論むたくさんの船の中に、シェリルの率いる船団も加わる。 シェリル「旋回!」 ジェームス「お嬢様、ご自分でお捕まえになる気なら、なぜ賞金などお出しになったんです?」 シェリル「わかってないわね! 競争でやんなきゃ、おもしろくないじゃないの。これは冒険なのよ!」 ジェームス「いや、しかし……」 ナナミ「ティコ……」 アル「よけろ、ナナミ!」 ナナミの横をかすめ、アルの放ったイカの釣り針が海に投げ込まれる。 アル「もう、百万ドルは貰ったようなもんだ!」 海に突き出した背びれが見える。 ナナミ「ティコ!」 ナナミが海に飛び込み、泳いでそちらを目指す。 シェリル「いたわ! サメよ、サメだわ!」 ナナミ「ティコ!」 シェリル「銛の用意!」 ナナミ「──!? ティコ、隠れて!」 シェリル「発射!」 シェリルの指示で銛が放たれるが、その背びれは一瞬早く海に沈む。 スコット「アル!」 アル「オーキー・ドーキー!(*1)」 シェリルは、今度はライフル銃を構える。 シェリル「さぁ、いつでも出て── あぁっ!?」 ペペロンチーノ号がシェリルの船の正面に体当たり。 スコットがシェリルの船に飛び乗り、銃を奪い、海に投げ捨てる。 スコット「銃を海に持ち込んで、いい目に会った奴はいない」 アルは心配そうに、体当たりで傷んだ船体を見ている。 アル「あぁ~あ、こんなになっちまった。……あぁっ!?」 スコット「どうした?」 アル「この辺に引っ掛けといたのに、せっかく釣ったイカが、釣竿ごと持ってかれちまってる……」 シェリル「あなたがた、何者なの!?」 スコット「善意の第三者さ」 アル「海賊だよ! 畜生、俺のイカを…… 馬鹿野郎!」 シェリル「あなたたちのせいで、ホオジロザメに逃げられたのよ。どうしてくれるの!?」 アル「あれがサメのわけないだろう!? そんなこともわからない馬鹿は、さっさと陸に帰んな!」 シェリル「な、何ですって!?」 スコット「アル、もういい。ほっとけ」 シェリル「何なの……!?」 ペペロンチーノ号が去ってゆく。 突如、目の前の海上から大きなシャチ──ティコが飛び上がる。 苛立っていたシェリルは、その様子に目を奪われる。 ティコが海に飛び込み、水しぶきがシェリルたちに浴びせられ、銃が甲板に転がる。 海上からティコが顔を出して鳴き声をあげ、ティコに乗ったナナミが声をかける。 ナナミ「『忘れものだ』って言ってるわ。それと、この子はシャチよ。それじゃ、バイバイ!」 ナナミがティコの背に乗ったまま、去ってゆく。 その夜。 シェリルはホテルで、テレビのニュースの見ている。 『今日の午後、イギリスのメルビル財閥の令嬢シェリルさんによって発見されたのは巨大なシャチであり、追い求められているホオジロザメとはまったく別の生物であることが確認されました』 シェリル「あれが冒険よね…… ワクワクしたわ!」 ジェームス「何をおっしゃるんです!? あのシャチに襲われそうになったんですぞ! さっそく、イギリスへ帰りましょう。お父様がお待ちです。ハックション!」 テレビに、ティコの姿が映る。 シェリル「きれいだわ……!」 ペペロンチーノ号では、船室でアルがマグロの切り身を焼いている。 アル「畜生。あのジャジャ馬に邪魔されたおかげで、マグロを釣り上げるのが夜になっちまったじゃねぇか」 エサをねだるティコに、アルが尾の切り身を放る。 アル「ティコ、頭は駄目だぞ! 明日、サメ野郎のエサにするんだからな」 ナナミ「父さん。この港、離れたほうがいいと思うの」 アル「えっ!? ナナミ、頼むよぉ。百万ドルを手に入れてからにしようぜ」 ナナミ「ここにいたらティコが危険だわ!」 アル「ティコがあんな間抜けな連中に捕まるわけないさ。なぁ、ティコ? ナナミ、サメは明日必ず捕まえる。そうすれば、百万ドルと言わず巨万の富が俺たちのものになるんだ!」 ナナミ「そんなの要らない。それより、ティコが傷ついてもいいの?」 スコット「……明日、カリブ海に向けて出発しよう。パナマ運河経由だ」 アル「スコット!?」 ナナミ「父さん、ありがとう!」 スコット「アル、俺たちの船は海洋調査船だろう? 賞金稼ぎじゃない」 アル「やれやれ…… 本当は、冷蔵庫だってオーブンだって買うつもりだったんだがなぁ」 ナナミ「アル、煙!」 アル「えっ? しまったぁ! マグロのステーキが…… あ、熱、熱っ!」 翌日。 シェリル、ジェームス、テレビ局カメラマンを乗せた潜水艇が海中を行く。 シェリル「今日こそ捕まえてやるわ! もう、あんな連中に邪魔なんかさせない。しっかり撮っとくのよ、サメを捕まえるところを」 ジェームス「お嬢様、テレビでお嬢様がこんなことをしているところがイギリスで放送されますと、大学が退学に!」 シェリル「そっか…… それじゃ、ジェームスが今度のプロジェクトの隊長ってことにするわ。しっかり撮ってやってちょうだい」 ジェームス「お、お嬢様!?」 ついにホオジロザメが、海岸に出現。海水浴客たちが大混乱に陥る。 人々「サ、サメだぁ!!」 ラジオ『臨時ニュースです! とうとうホオジロザメが、浜辺に出現しました! 付近で遊泳中の方は、至急避難を!』 ペペロンチーノ号は、出発の準備を進めている。 ナナミ「ティコ、行こうよ」 アル「ティコ、お前も百万ドルに未練があるんだろう?」 ナナミ「アル! ティコ、行こう。ここにはいないほうがいいよ」 スコット「ナナミ、アル、出発するぞ!」 シェリルは無線で、サメ出現の報せを受ける。 シェリル「出たのね!? すぐ、そちらへ向かうわ。何グズグズしてるの? 早く指示してちょうだい!」 ジェームス「は、はぁ…… しゅ、出発してください!」 海岸は、サメ捕獲目当ての船で埋め尽くされる。 「そっちへ行ったぞ!」「追え!」 一方のシェリルの潜水艇は、海底に沈んで動かなくなっている。 シェリル「どうなっちゃったの!?」 操縦士「電気系統の一部がダウンしたようです」 シェリル「まだ、サメと戦ってもいないのに!?」 ジェームス「ですから、フランス製は駄目だと申し上げたんです!」 操縦士「エンジンはウンともスンともいいません。岩に引っかかっているようで、浮上も無理のようです」 シェリル「無線は?」 操縦士「これもダウンしていますが、どっちにしても、この深さでは無線は無理です。有線の救命ブイを上げて、通信機だけでも直せれば連絡できるんですが……」 シェリル「やってみて!」 潜水艇から救命ブイが放たれ、海上に上がる。 シェリル「見つけてくれるかしら……」 操縦士「この辺りは潮の流れが速いし、周りに船はいなかったようですから、期待できません」 ジェームス「フランス人の作った潜水艇など、お求めになるから……」 潜水艇に、次第にサメが迫る── 沖を発とうとしていたペペロンチーノ号が、その救命ブイを見つける。 ナナミ「あっ、何か浮いてる。──救命ブイだわ」 スコット「潜水艇のようだな」 アル「えっ? ──ありゃ、あのジャジャ馬のマークじゃねえか!? あの馬鹿娘のこった、救命ブイといっても、どうせネズミかなんかを見ただけだろう。行っちまおうぜ、スコット」 スコットが無線で呼びかける。 スコット「こちら、ペペロンチーノ号。救命ブイの潜水艇、応答願います。救命ブイの潜水艇、応答願います」 アル「いいよ、あんな奴。ほっといって、さっさとカリブに向かおうぜ。せっかく決めたんだから」 ナナミ「こちら、ペペロンチーノ号。こちら、ペペロンチーノ号!」 潜水艇に、その通信が届く。 ナナミ「こちら、ペペロンチーノ号。救命ブイの潜水艇、応答願います」 シェリル「助けて、サメよ! サメに襲われてるの! あ、あぁ──っ!」 スコット「面舵いっぱい!」 アル「けっ、仕方ねぇなぁ!」 アルはスクイドボールに乗り込み、スコットは潜水服を着込む。 スコット「アル、いいか?」 アル「オーキー・ドーキー!」 ナナミ「ティコ──っ!」 スコット「どうした?」 ナナミ「ティコがいないの」 スコット「何?」 ナナミ「……いいわ。私、アルと一緒に行く」 スコット「ナナミ、お前はここにいろ。危険だ」 ナナミ「私も行かせて!」 スコット「駄目だ!」 ナナミを船上に残し、スコットとアルは海中へと向かう。 動きの取れない潜水艇の周りを、ホオジロザメが泳ぎ回っている。 アル「出たな、中華スープ野郎!」 スクイドボールがマニピュレーターを伸ばしてサメを捕えようとするが、サメはひらりとかわす。 アル「この野郎、逃げるつもりか!?」 逆にホオジロザメが鋭い牙で、マニピュレーターに噛みつき、大暴れする。 アル「うわぁ!? くそぉ、生意気なぁ! これでも食らえぇ!」 スクイドボールがサメと格闘している間に、スコットは、シェリルの潜水艇を救いに向かう。 シェリル「あのときの……!?」 スクイドボールは岩に叩きつけられ、アルは気絶してしまう。 サメはシェリルたちの矛先を向け、潜水艇に体当たりする。 シェリル「きゃあっ!」 潜水艇が倒れ、スコットはその下敷きとなり、身動きが取れなくなってしまう。 そこへ、ナナミを乗せたティコが、勇ましく突進してくる。 暴れ回るホオジロザメ目がけ、ティコが果敢に体当たりする。 シェリル「あのシャチだわ!」 ナナミはスクイドボールの窓を必死に叩くが、アルは気絶したまま、目を覚まさない。 スクイドボールの機体から、ワイヤーを引き出し、輪を作ってサメにかざす。 ナナミ (こっちよ……!) サメが突進してくる。 ナナミがワイヤーの輪をサメに引っ掛けようとするが、うまくいかない。 すかさずティコが、その輪を咥える。 再び突進してきたサメに、今度は輪がはまる。 サメが大暴れする。 スクイドボールがワイヤーで引っぱられ、その衝撃でアルが目を覚ます。 アル「な、何だぁ!?」 ティコが再び、ホオジロザメに体当たりする。 ようやく、ホオジロザメが逃げ去ってゆく。 ナナミ (もう人間のいる海には、近づいちゃ駄目よ……) スコットは無事に救い出され、シェリルの潜水艇も、アルのスクイドボールにより救出される。 シェリル「助かった…… でも、この人たちは一体……?」 ペペロンチーノ号がサンフランシスコ沖を発つ。 アルは首に、痛々しく包帯を巻いている。 アル「まったく、ナナミのおかげでムチ打ちになっちまった」 ナナミ「だって、あぁでもしないと起きないんだもん」 アル「冗談じゃないよ! 大体、どうしてサメを逃がしちまったんだ!?」 ナナミ「ティコも私も、無闇に生き物を殺すのは嫌いなの。知ってるでしょ!?」 アル「百万ドルはどうしてくれるんだ!?」 スコット「アル! このカニはいったい何だ?」 甲板の樽から、大漁のカニがあふれ出している。 アル「おっと、逃げ出しちまったか!? そいつは、カリブの金持ちたちに売るんだ。儲かるぞぉ! ハハハ!」 海中からティコが顔を出し、鳴き声をあげる。 ナナミ「ティコ、何?」 ティコが何かを咥えている。 ナナミ「なんか光った!」 スコットがそれを手にする。光を放つ、骨のような欠片。 スコット「これは……!」 ナナミ「何?」 アル「きれいだなぁ。新種のサンゴか何かか?」 スコット「ヒカリクジラの骨だ……!」 サンフランシスコの海岸。 停泊している船の一室で、白衣姿の男たちが話している。 「博士、トロンチウム反応が出ましたぞ!」 「何、この近くでか?」 「微量ですが、間違いありません」 「フン…… やはりな」 シェリルは無事に救い出されたものの、入院生活となってしまう。 シェリル「まったく…… いつまで入院してなくちゃならないのよ!?」 ジェームス「お嬢様は大事なお体ですので、一応、精密検査の結果が出るまでは」 シェリル「フン!」 テレビには、カメラマンの映したティコの映像。 シェリル「本当にきれい……! 決めたわ!」 (続く)
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/174.html
735 :fusianasan [↓] :2014/02/11(火) 20 56 36.39 スイミングキャップに波打つ長い髪が纏められ、 普段はあまり見せる事のない白く滑らかなうなじから背中へと流れる華奢なラインが日の光りを浴びている。 アルトは一度目に止めると、暫く目を離す事が出来なかった。 密着するスクール水着で露になった華奢で女らしいが鍛えられた美しいプロポーション。 黒い色に映える白い肌。 全てがアルトの目の毒だった。 「はあ~シェリル、やっぱ凄いな~」 そこここからシェリルの水着姿への感想が聞こえてくる。 当の彼女は注目される事に慣れているためか、気にする様子もなく、無防備にすら見えて、アルトにイライラとする気持ちが生まれる。 同じクラスを受ける時なら大抵座る場所は決まっていて、彼女は自分を認めれば近くに座ってくるのに、 この水泳の授業では、始まってもう15分は経つというのに、近寄ってくる様子もない。 アルトは更にイライラする。 イライラする理由にうっすらと気付いていて、気持ちの行き場がない。 気にするまい。 そう心に決めて、自分の順番が来るまで、先に泳いでいる生徒達を眺める。 すると当のシェリルの順番が来ている。 確か、マヤン島の海では普通に泳いでいたから、得意なのだろうと眺めていると、 美しいフォームで課題を泳ぎ切る。 さすがだな、とイライラしつつも感心してると、 プールサイドに上がろうとするシェリルに、眼鏡の友人(今は水泳中のため外している)が手を差し伸べる。 当然のように手を出す男と、クスリと笑って手を取る彼女を見て、さっき以上にイライラしてくる。 何かとさりげなく彼女に触れる友人にはアルトは常にイライラさせられている。 学校の壁を越えたりとかマヤン島の崖を上ったりとか、 なにかとやんちゃな彼女をエスコートをするために握った経験はあったが 最近はそういった仕事もなく、日常的にさりげなく触れるミシェルを見ていると 自分だけが彼女に触れられる事を許された訳でない落胆や 自然に彼女に触れられる男に嫉妬を覚えていた。 アルトはその気持ちを自覚する事はなく、もやもやとした気持ちだけを抱えるばかりで 何かと自分の心乱す彼女の近くに行くのを少し恐れてさえいたのだが 彼女が近寄ってくれば、浮かれた気持ちを隠しながら辛口に応じてしまうのが常だった。 課題が終わり、自由時間になっても、アルトがもやもやとした気持ちでプールを眺めていると、 いつの間にか、周りにはシェリル以外のいつものメンバーが集っていた。 本日不在の駆け出しアイドルの友人の話をしていると、 彼女がプールサイドに戻って来たのが視界の端に映った。 まぶしかったうなじは長い髪に隠されて、少し残念のような、ほっとしたような気持ちでアルトは目線をプールに戻した。 学校では髪を纏めている事が多いので、波打って輝く金髪を見るのも久しぶりのような気がする。 そして、本日ようやく、彼女の視界に入り、言葉を交わした。 「ふ~ん、あんた誕生日なの?」 遠くから眺めている分には良かったが、こう近くに来られると目のやり場に困る。 豊かな膨らみのラインにどうしても目が行きそうになるのを気付かれたくない。 避難壕に入った時に倒れて来て、一瞬ふわふわの生を触ってしまったアレだ。 目の前で見て、それは魅惑的で全く目を離す事が出来なかった。 あの記憶は忘れられない。 そう、何度も夢に見るほどに強烈な思い出になってしまったのだった。 水泳を終えてシャワーを浴びて次の授業までの間を屋上で過ごそうとアルトが座り込んでいると、 シェリルから電話がかかって来た。 「ハァイ、アルト?」 「なんだよ」 「今、どこにいるの?」 「屋上」 「みんなは?」 「ミシェルは帰った。ルカは授業だよ」 「そう、ありがとう」 そう言って電話が切られると、アルトはどうして良いのか分からず、そわそわしてしまう。 彼女はどうするのか、待っていれば良いのか。 幸い、他の生徒は見当たらない。 光に弱い彼女が隣に来ても困らないように日陰を探して移動した。 扉の開く音がする。 彼女が来たのか?とアルトはドキドキしてしてしまう。 敢えて扉の方は見ない。 何もないかのようにアルトが座っていると、すぐ近くまで人がやってくる。 アルトが見上げると、シャワーを浴びたてのような、少し濡れた様子の彼女が座るアルトを見下ろしている。 さっきのプールサイドでは折角近くでもプールの匂いにかき消されていた彼女の香りが いつもよりも強く香っていた。 人目に触れる所ではなるべく帽子を被っているシェリルが、帽子を脱いでさらりと髪を解くと、 ふわりと甘い香りがアルトの鼻腔をくすぐり、 抱き寄せて顔を寄せてもっと嗅ぎたいという欲求にかられる。 「アルト見つけた」 隣に座ってはにかむ彼女はまさに妖精のように可憐だ。 「別に逃げも隠れもしてない」 「物陰に隠れてるじゃない」 「日よけだろ」 甘い香りで脳みそがふわふわする。 拗ねるような表情が可愛くて、じっと見つめてしまう。 「アルト?どうかしたの?」 「暫く、学校、来れないんだってな」 「そっぽ向いてるから、どうかと思ってたけど、ちゃんと聞いてるんじゃない」 ぷるりと柔らかそうな唇がほころぶ。 アルトはじっと目を離せないままだが、ついいつものように悪態をついてしまう。 「あんな大きな声で話されたら嫌でも聞こえる」 「アルト、どうしたのよ」 「別に」 いつもはむしろ照れて目をそらしがちのアルトだが、 溜まったイライラ(というか欲求不満)を発散すべく 見たいだけ彼女を見続けると、シェリルの方もさすがにソレに気付いて狼狽し始めた。 ふわふわの頬に触れてみたい。 そっと腕をのばすと、予想以上に柔らかな頬が手に触れてどきりとする。 「あ…」 ひるんだシェリルがまるで吐息のような声を出すと、アルトは溜まらなくなる。 あのふわふわの唇にもう一度触れたい。 キスなんて大した事ない、のだ、シェリルにとって。 彼女の細い腕を引くと、腕の中に倒れ込んで来た彼女の細い顎を上に向かせた。 「ある…」 混乱した様子の彼女が声を発する前に、唇を重ねる。 あの海の夕暮れで感じたのと同じ甘い感触。 痺れるような柔らかな感覚。 近くに香る心地よい彼女の香りを目一杯吸っているので、アルトの吐息は彼女を犯していることだろう。 驚いた彼女が我に返って身をよじると、甘やかな重なりが解かれる。 半分涙目になって、少し怒った様子のシェリルが手を勢い良く振り上げアルトへと振り下ろしたが 敢えなくアルトに絡めとられてしまった。 「大した事ないんだろ?」 ぐっとシェリルを抱き込んだアルトが至近距離でその瞳を覗き込みながら言うと 驚いたシェリル目を見開いた。 アルトは構わず、唇を寄せる。 キスをされると思ってシェリルがぐっと首をすくませてまぶたを下ろす。 が、唇に何も触れる様子がない。 シェリルがおそるおそる目を開けた所で、アルトはシェリルの顎に手をかけ、 軽く下あごを開かせると、唇を重ねて、そのまま舌を差し入れた。 「むぐ!?」 驚いたシェリルから声が漏れそうになるが、そのままアルトへの飲み込まれる。 海辺で交わしたよりも、深いキスを、アルトはむさぼる。 文字通り、シェリルを味わっていた。 後頭部に差し入れた指に感じる柔らかな髪も、胸板に感じるふくよかな膨らみも 強く香る彼女の匂いも、どうしようもなくアルトを煽ってくる。 観念したのか、シェリルから力が抜け、アルトの舌の動きに応じるように舌を動かし始めた。 受け入れられる喜びを噛みしめたアルトは天にも昇る気持ちだ。 シェリルがアルトの背中に腕をまわし、きゅっとシャツを握ってきて、尚更愛おしく思った。 ぬるぬると舌を絡めると二人の吐息には色が帯び始める。 色情と恋情をぶつけるように、アルトは激しく口を吸い続けた。 二人は混ざり合った唾液を飲み込み合いながら舌を絡め合っていたが、 飲み込み損ねた唾液がシェリルの顎を伝うと、シェリルが顔を離して顎を拭った。 しかし、その介なく、シェリルの首筋がすぐさまアルトの唾液に濡らされる事になる。 プールサイドで目を盗んでは見つめていた白い首筋にアルトは顔を埋めると、唇でその感触を確かめるように触れる。 「あ…」 シェリルがアルトを押しのけようとするが、アルトの力は強く、敵わない。 「アルト、やだ…」 おかまいなしに、アルトは、ちょろりと出した舌で感触を楽しむ。 シェリルが座ったまま後退しようとするが、アルトがシェリルの方へと近づくばかりで二人は密着したまま。 ぴくりぴくりと震えて感じているシェリルの形のいい耳たぶを食むと、びくりと大きく跳ねる。 自分を抱え込むアルトをシェリルは押し戻そうとするが、 構う事なく、アルトはずっと見せつけられていたシェリルの感触と香りを楽しんだ。 アルトが顔を離して、シェリルの様子をうかがうと、 シェリルはうろたえて眉をハの字にしているが、アルトを感じて少しとろりとした様子だ。 しおらしくて可愛い時もあるんだよな、などと言えば、 照れたシェリルに行為が中断されそうなので、本気で拒まれないうちは、アルトはしたい事をする事にした。 次は柔らかな胸の膨らみだ。 シェリルはぺたりと座り込んだシェリルに膝立ちの状態でのしかかっていたので アルトは向かい合ったまま、シェリルの膝の間にお尻を付いて、アルトはシェリルを膝で抱え込むように腰を下ろした。 恥じらうようにうつむいているシェリルの背中を左手で支えると、右手をそっと制服の上着の裾に潜り込ませて、上へと進む。 ふにゅりと手に伝わる感触に喜びがこみ上げる。 一晩だけ使っていいと言われた時に、倒れ込んで来た一瞬だけ触った事のある悩ましい感触だ。 何度夢に見た事か。 ふにゅふにゅと揉み始める。 「だめっ」 シェリルが再度平手を食らわせようと手を振り上げる。 アルトは手の感触に夢中で、その平手を避ける間もなかった。 ばちっ! アルトが目を覚ますと、そこは青空のまぶしい屋上だった。 どうやら、眠っていたらしい。 時間を見ると、次の授業までまだ1時間近くある。 何か、夢を見ていたな、と思い出そうとしていると、電話が鳴った。 「ハァイ、アルト?」 「なんだよ」 「今、どこにいるの?」 「屋上」 「みんなは?」 「ミシェルは帰った。ルカは授業だよ」 「そう、ありがとう」 軽いデジャヴュを感じながら、周りを見渡すと、生徒達がちらほらと談笑をしていた。 シェリルの好む日陰が空いている事を認めて、 アルトは水泳後でいつもと違った疲れを感じている体をほぐすように伸びをして、移動した。 移動はしたものの、シェリルは来るとも来ないとも言ってなかったなと 待ちぼうけを噛みしめているうちに、他の生徒達が消えていった。 扉の開く音がする。 その姿を見なくても、足音が彼女だと伝えてきていた。 そして、現実にもアルトは甘い香りと姿に悩まされるが、 それを実際に味わうまでには、あと数ヶ月の時間と様々な出来事が待っているのだった。 おわり
https://w.atwiki.jp/macrossf-eparo/pages/169.html
552 :*Douce nuit* アルシェリ:2008/12/25(木) 23 57 29 ID UhVHRYro Douce nuit アルシェリ です。 使い古されネタでいろんな意味で甘アルシェリ。アルトが珍しくnotへたれ。 でもなんだか色々、うん。とっても乙女、....世話女房です。 御期待に添えてなかったらごめんなさい クリスマスライブが終わり、打ち上げを切り上げて2人はフラットに戻ってきた。 ライブ後軽くシャワーを浴びたがお風呂に浸かりたいと帰ってくるなり浴室に籠る。 彼女のバスタイムはとても長く、暇を持て余したアルトは飲み物と軽食は拝借したが ケーキがないのに気づき、傍にあった端末でケーキの作り方を検索する。 だが生憎とこのキッチンにはケーキ型が無い事に気づきシュークリームに変更した。 「クッキー型は買ったが、ケーキ型も買うべきか?」 など、本気で悩みながら、端末を覗き込み、初めてとは思いがたい 手際の良さで混ぜ合わせていく。先に作ったクリームを冷蔵庫で冷却し、 生地を作り、焼いてオーブンから出した頃、バスルームから繋がるドアが開き 真っ白な肌がうっすら桃色に色づいたシェリルが姿を現した。 「何してるの?アルト」 シェリルは濡れた髪をタオルで乾かしながら楽しそうにこっちへとやってくる。 何度見ても風呂上がりのシェリルはそこはかとなく色気が漂っておりいつまでも見慣れない。 長々と見てると確実に変な気分になるだろうと思い、アルトは視線を反らし ボゥルからカスタードをラ・ポッシュへと詰め込みながらぶっきらぼうに答えた。 「......ケーキ買い忘れたからシュークリーム作ってる」 「しゅーくりーむ?」 知らないらしく、細い首を傾け、チャームポイントである太めの眉を顰めた。 知らないのか?というアルトにシェリルはムッとしたが知らないものは知らない。 知らないわよと言うとアルトはオーブンの隣へ視線をずらす。 シェリルはカウンターをくるりと周りアルトの居るシンク側へと足を向けた。 美味しそうなシュー生地は綺麗な形を描いており触れてみるとパリっとしている。 「あ。これ知ってる。シュー・ア・ラ・クレームじゃない」 ツンツンと指先でシュー生地をつつきながらクリームを移すアルトへと視線を向ける。 「俺が知ってる限りではそう言うんだ、詳しくはよく知らん」 作る事は作れるが甘い菓子には疎いアルトは言葉切った。 「黄色いクリームなのね。前に食べた時はフルーツと白いクリームだったわ」 唇に指を宛て、悩むように眉を顰めて思い出したのを呟く。 「生クリームだろ。これはカスタードだ」 スパチュラで掬ってはラ・ポッシュに詰め込んでいく。 「生クリーム! お料理やキャラメルに使うだけじゃなのね? あ!そういえば 一昨日、矢三郎さんが差し入れてくれた中にあった筈!」 シェリルは嬉々として冷蔵庫へ首を突っ込んでいる。 「あ!あったわ!」 自慢してみせる様に突き出した生クリームのパックがそこにある。 アルトは何とも言えない気持ちになる。いや、そこにあるのはごく普通の生クリームだ 決してあやしいものではない。断じて違う。普通ならなんとも思わない。 カバウシブランドの美味しい特濃生クリーム。いつも使ってる生クリームだ。 だが、体を、頬を染めた風呂上がりのシェリルが持ってるからいけないのだ。 余計な事に、ミシェルが色々と言っていた事を思い出す。 脳内に生まれた余計な煩悩を振り払っているうちにシェリルがは違うボゥルを 取り出し、砂糖と生クリームをぶちまけ、パックの指示を読みながらウィスク を取り出して簡単じゃない!といって鼻歌まじりに勢い良く混ぜ始めている。 「.....シェリル。折角風呂に入ったんだから飛ばすなよ?」 自身の問題とぶちまけた後の掃除の事を思いアルトは溜め息まじりに呟いた。 アルトの心配を余所にシェリルは楽しげに泡立てを済ませ、シュー生地に カスタードを絞り出していたアルトに自慢げにボールを差し出した。 「あたしだってやれば出来るのよ」 いや、泡立てただけだろ、と突っ込みたくなるのを我慢してアルトは シェリルにラ・ポッシュとスパチュラを手渡した。 「やってみろよ、入れて絞るだけだから簡単だろ」 まぁシェリルは家事一般を知らなかっただけで出来ない訳ではない。 今では泡を発生させず洗濯も出来るし料理だってレパートリーは増えている。 見よう見まねで生クリームを詰め込みカスタードの上にのせていく。 「ふふ、コレ楽しわ~」 全てのシューの上に生クリームをのせたシェリルは満足げにアルトを見る。 「お前、最後まで気をつけろよ」 単なるからかいの一言だがそれが余計な一言だった。 生クリームの絞り口を上に向けたままシェリルはなんですって?!と 怒りの表情を浮かべ、次の瞬間しまった!という表情に変わった。 その時には時、既に遅くラ・ポッシュから生クリームはアルトの 顔をめがけて飛び出していた。一瞬の沈黙。 飛び出た生クリームは見事にアルトの顔にべっとりとついていた。 ......なぜ俺なんだ?ここは普通シェリル自身につくのが王道だろ?! 見当違いな怒りを頭の中で叫んで、生クリームを拭おうとしたアルトだが シェリルが「待って!」と拭おうとした手を止めた。 ムッとした表情でシェリルを見ると、楽しげな笑みを浮かべている。 「ちょっとだからあたしが取ってあげる。じっとして」 そう言うと、しなやかな指先が伸びて、頬についた生クリームを拭っていく。 唇にはついてないのに、何故かその上をなぞって離れていった。 シェリルはそのままアルトと視線を外さないまま指先を桜色の唇に吸い込ませる。 「美味しい」 態とやっているのか、それとも全くの無意識でやっているのか区別はつかない。 シェリルは普段から挑発的な行動を取るし、そこから傾れ込んで....と言う事もあった。 まぁ全て寝室でのやり取りと出来事ではあるのだが。 だから多分、今のは後者、からかって遊んでるだけであろう。 だけど、先程からじわじわと煽られ理性を試されていた気分のアルトにとっては 行動に移すのに十分に葛藤する時間が取られ、そして本能が勝った。 シェリルの持っていたラ・ポッシュを取り上げ、シンクの上に乱暴に置くと、 天気や体調、気分によって変わる、名前は知らないが宝石の様な瞳が見開かれるのを 見つめながら、体をシンクに押し付けて唇を奪った。 「んっ?!ちょっ、ふっ、ぁ」 舐めた生クリームの所為だろうか、酷く甘い味がする。 「....甘い」 噛み付く様に幾度か上下の唇を啄んで、開かれた口腔内を舌で蹂躙していった。 最初は抵抗している様に、だが次第に戸惑う様に絡める舌に反応を返してくる。 溢れそうになるどちらのものと言えぬ混ざり合った唾液を舐め、飲み干すと 追うように、シェリルの細い喉元がこくりとかわいらしく鳴った。 それに伴い、強張っていた体からも、力が抜けていくのを確かめると 腰に添えていた手を背中側から撫上げて支えていた右手と左手を交代させた。 自由になった右手で首筋を撫で、下った柔らかな膨らみの先端を捉え、刺激する。 「ふ、ゃぁん!」 高く、頼り無さげな可愛らしい声が塞いでいる唇の間から漏れる。 頂の辺りで円を描く様に指を動かすと可愛らしい膨らみが現れた。 それを軽くつまんで、名残惜しげに離れ、更に下へ下へと手を伸ばしていく。 「ア、ルト....っ」 止める事無く唇と口腔内を蹂躙したからか、腕に添えられた白い手からは 力がすっかりと抜けてアルトの肩へと凭れ掛かっている。 ホットパンツの間から指を差し込んでみると、ちゅぷっ、と淫らな音がした。 その音にアルトは口角をあげ、唇の外側と内側の淵を舌でなぞり離すと 繊細な銀色の飴細工の様な繋がりが2人を名残惜しげに繋いで消える。 「さっきからずっと、限界。入れていい?」 全然内側を溶き解していない、だが入れるのには十分に濡れては居る。 自分の昂りを擦り併せながら、間から入れた指でまだ硬い内側を撫でると 滑らかな桃色の頬に朱が走り、碧の濃度が濃くなった瞳が艶やかに潤んで美しい。 けぶるような睫毛が震え、潤んだ瞳を隠すが、漏れる吐息は期待を意味していた。 「......いいだろ?」 寝室以外でする事の、理性と快感の狭間で揺れる表情を楽しみながらアルトは 己の昂りをズボンから引き出し、白い太腿へと擦り寄せた。 「っ」 小さく期待感に震え、シェリルが息を飲む。 押し付けていたのをやめ、シェリルの腰を掴み反転させシンクの淵を掴ませる 「ん、イヤ.....よ!こんな所でっ」 真っ赤な頬をして不満を漏らして振り返るシェリルの腰を掴んで、問答無用 というと、後ろから一気に己を挿し入れた。 「ふ、ああっ!」 シンクに手を付き、猫の様に背中を撓らせ、長く熱い吐息を吐いた。 濡れてはいるが、まだ慣れてない内側はきつくアルトを拒む様に押し返す。 「...くっ」 反り返った背中に華奢な肩甲骨が浮き出る。 見えないだけでここからは透明な羽根が生えていて、いつか飛び立ってしまうのでは と思い、浮かび上がった骨に舌を這わせ、そこで数度キツく吸い上げた。 「んっ、な、何?」 白い肌はすぐに鬱血して羽根をもいだ傷跡にも見え、羽根を奪った様な感覚になり 反対側も同様に舐め、キツく痕を残し、己の満足感を得た。 「何でもないよ、妖精さん」 先ほどのライブでは手の届かなかった存在が手の内で与えられる快感に打ち震える。 飛び回っていた妖精が己の元へだけ堕ち、独り占めしているという事実が心地よい この表情を見る事が出来るのは自分だけだという優越感に浸る。 「んっ、あ、っ、熱い」 更に高く熱に浮かされ、締め付ける内部を泳ぐ様に奥へと導いていく。 ライトが煌々と照らす中、立ったままで貫かれる事に興奮しているのか いつもよりも締め付けが強い、あまり持ちそうにも無い。 「動くぞ?」 そう言うと、イヤイヤと首を振り顔が見たい、と手を離し首を捻った。 柔らかく柔軟性のあるしなやかな脚を片方持ち上げ、向かい合った。 「っ、つめたい」 シンクの冷たさにゾクリと震えたシェリルと一緒に内側も震える。 「く、...ぁ」 不意打ちにきつく締め付けられたアルトは吐精感を堪え、息を吐く。 「アルト....」 切なげなアルトの溜め息に嬉しそうに笑みを浮かべたシェリルは シンクにかけていた腕をアルトにまわし、自らの軀を擦り寄せた。 「凄い、興奮してる?あたしの中ですごくなってる」 少し恥ずかしげに上目遣いに見つめると、唇をあわせてくる。 耐えきれず、アルトは腰を動かし、シェリルの胎内を我が物顔で掻き乱す。 「っ、ああ、凄、いっ!んっ、お...くっ!」 自らの体重の分、余計に深く飲込んでいるからだろう。 普段はあまり口にしない言葉が聞けて、ゾクリ、と腰に痺れが走る。 「シェリルっ」 愛おしさが溢れて口にした名前に、薄く瞳を見開くと桜色の唇を寄せてきた。 重なった唇が激しくなるに連れて、動きも早まる。 甘い嬌声はお互いの唇が重なる事によってくぐもったものになる。 蠢く内部に耐えられなくなった頃、強く内側を擦るとひときわ強く震え、 強烈に締め付けるとくたり、とシェリルの軀から力が抜けた。 耐えられない刺激に、慌てて引き抜いたが受け止める先までは考えてなかった。 あまりにも強い吐精感に耐えられず、重なり合った間で弾けた。 抱き合ったまま、先に息を整えたのはシェリルで、上半身をアルトから離し 自らの肌に放たれたものを指で掬うとじっと見つめている。 シェリルを離し、自分もシンクに凭れかけシェリルの視線の先を見て それが自分の放った精だという事に気がついて、頬を赤らめた。 何を思ったのか、シェリルはそのまま濡れて紅くなった可憐な唇へと導いた。 「ちょ!お前なにしてんだ!」 口の中に入れ、少し眉を顰めたシェリルは慌てるアルトに微笑みを向ける。 「ちょっと、味見してみようと思って」 「味見ってお前。......味見するもんじゃないだろ」 そう言いながらも落ち着かないアルトにシェリルは思い立った様に呟いた。 「まぁ、美味しくはないけど、嫌いじゃないし、愛しいくらい」 あっけに取られるアルトへ爆弾を添えて華やかな微笑みを向けた。 「アルトの絞り立て生クリーム」 言葉をなくしたアルトと勝ち誇った様なシェリル アルトが我に返り、シェリルを攻撃するのはまた別の話 恋人達の甘い夜はまだまだ長い。 f i n げふん。最後が微妙で失礼しました。今回はここでギブアップです。 というか色々難しくておかしい....。まぁ細かい事は見ないでノリで感じて下さいw シェリルのギャラクシーシュークリーム...なるものを食べてみたかった。