約 495,191 件
https://w.atwiki.jp/macrossf-eparo/pages/241.html
635 :名無しさん@ピンキー:2009/04/20(月) 18 03 43 ID y85IxHLL ミハ×シェリで投下します。 少し設定かえました TVドラマ的にはミッシェルがクランの友達に薬を調べてもらう以降の話 19か18話くらいだったかな? 設定はその後のドラマの展開と少し変えました 前編はエロなしです。 嫌な方はお手数ですが題名ミハ+シェリ~でスルーお願いします 636 :ミハ+シェリ~:2009/04/20(月) 18 07 13 ID y85IxHLL フロンティアのとある施設でクランとミッシェルはシェリルの服用していた カプセルを元にV型感染症について調べていた。 クラン「あ、あったぞ!」 pcからデータベースを探っていたクランが隣で関連本をめくっていたミシェルに声を かける クラン「V型感染症についてのとある医師と博士の論文だそうだ…このカプセルは このチームで開発したものらしい…あ!この女シェリルのマネージャー?」 ミシェル「じゃあ、この子供…まさかシェリル!?」 ・・・ガタッ・・ドサッ 何かが棚にぶつかり本が落ちた、音の方を2人が見るとそこには棚にもたれた シェリルがいた。 クラン・ミシェル「シェリル!?」 ミシェルがシェリルに咄嗟に駆け寄るとシェリルの体は熱く呼吸が乱れていた シェリル「ふふ…そうだったのね…やっぱり…」 そう呟き終えるとシェリルは意識を失ってしまった。 _________SMS内の一室_______ クランとミッシェルの判断で意識の戻らないシェリルをSNSに運び メディックのカナリアに応急処置をしてもらった。 メディックチームの一室の中央に酸素BOXを挟み状況を話している者がいる。 カナリア「話はわかった。見た所もう彼女は発症してるぞ。しかも末期の症状が 出て来ている。今クランに頼んだ検査結果を見てからではないと断定はできないが。」 ミシェル「そうですか。シェリルの意識はどのくらいで戻りますか?」 カナリア「症状をもろに受けての精神的ストレスに卒倒のようだ。あと2,3時間のうちに戻るだろう。」 ミシェル「そうですか。」 カナリア「詳しい話は検査結果と友に彼女と話そう。私は検査結果をまとめておく。 ミハエル、お前代わりに様子を見ていてくれ。」 ミシェル「あ、はい。あの…一応アルトにも後でこっちに来るように伝えてもらえませんか?」 カナリア「わかった。急変したらすぐに知らせろ。後は頼んだぞ。」 ミシェル「はい」 ミシェルは部屋を出て行くカナリアを見届け酸素BOXの隣でイスに腰をかける (まったく、この女王様には本当冷や冷やさせられるぜ。一時はどうなるかと…) と、思いながらふと、シェリルを見て思考を止めてしまった 酸素BOXの中。 シェリルは心電図と点滴を受けて診察や応急処置の為に衣服は脱がされたまま タオル程の布がかけられていて、秘所こそ見えないが透き通るように白い肌、 美しい胸のふくらみ…それらを直視しないように、ミシェルはすぐ心電図の方に目を戻す。 (…ヤバイな俺。銀河の妖精と言われるだけはあるな。アルトが振り回されるのも無理はない…か。) そんな事を思いながら落ち着いているシェリルを見てクスっと笑った。 一方シェリルは夢を見ていた。 それはとても心地の良い物ではなく深い、深い 闇だけが広がる中にただ独り彷徨っていた シェリル「なによ、此処は!何も見えないじゃない。グレイスー!アルトー!」 幾度も幾度も歩けども景色に変わりはなくただ暗い自分を傷つける者もいな ければ自分の愛しい者も居ない。 シェリルは自分の脳裏に浮かんだ事実に「ハッ!」とした。 それは少し前にグレイスからの衝撃的な事実を突きつけられ、自ら調べ自分は病に犯されたままだと知った時、 どうしようもできない絶望感のどこかで、何も誰も居ないところへ行きたいと願ったままの世界そのものだった。 シェリル「これで本当に独りなのね。調度良いわ。誰にも邪魔されずに考える 事ができるわ…」 シェリルは自前の強さを放ってみたものの、その声は空間を彷徨い誰に伝わる事なく消えていくのを感じた。 (こんな孤独…私は生まれた時から孤独だったわ。もう経験済みよ!) シェリル「私は・・・。」 シェリルは考えなければならない本質を確信しているものの、直視できずにいた。 それより、と、思えばこんなに孤独や周りに自分を心配する者も、自分を知る者も居ない空間いつぶりだろうと思いにふける。 (スラムでも私は孤独を感じてたわ。グレイスに出会ってシェリル・ノームを 作り上げても…どこか虚しさをは消えなかったわ。) ギャラクシーでのスラム生活…グレイスに出会い歌手としての養成期、初めてメディアに出た日、 初めての全世界ツアー、ファンとの交流…ツアーを支えてくれたスタッフ。 (私…私は幸運の女神、銀河の妖精。それに見合った努力は惜しまなかったわ。 でも…でも。どうしてかしら…。初めてのデビューで聞いてくれる人が いなければ私は成り立たない。 だからこそ自分の存在意義を自分で見つけて、失わないように自分で…。 スラムにはもう孤独なあの日々に戻らない為だっ たのに…今度は自分で願ってしまうなんて。) シェリルは自分でも気付かぬうちに涙を流している事に気付いた。 (私。何でも自分1人でやってきたつもりでもちゃんとファンやスタッフが支えてくれるから、と解っていたのに。 いつからかそんな事忘れてたわ。) シェリル「ふふっ。こんな誰も居ない所でシェリル・ノームでいたって無意味ね。人はいつか死ぬわ。生きている以上。 私はそれまでの時間が若かっただけよ。 私は、私に存在意義、私の場所を作ってくれた人にファンに… まだここで死ぬわけに行かないわ! それにぐだぐだしてる時間もないわ。 やりたい事まだまだあるわ!」 SMS内の治療室でアルトが来るのを1人シェリルを見守りながら待つミシェル もうじき2時間は経とうとしている。ふとシェリルを見てミシェルは驚く ミシェル「シェ、シェリル!目が覚めたのか!?」 シェリル「んん…あれ。私ここはどこ!??いっ!??」 目が覚め意識の戻ったシェリルが起き上がろうとして酸素BOXの壁に額を ぶつけまた横になりながら自分の置かれている状況を見渡した。 ミシェル「フフッそう慌てなさんな。女王様」 ミシェルがそう言いながらモニターをチェックし、 異常が無い事を確認して酸素BOXの扉を開ける。 ミシェル「まったく。あんたって人は。本当無茶してくれたよ。あの状況、 もっと前から苦しかったんじゃないのか?よく耐えてたもんだよ。」 シェリル「あの状況…あぁ、そういえば私データベースも見ようと…倒れち ゃったのね。 で、何故私は裸なのかしら?あなた私が意識ないのを良い事にいやらしい事したんじゃないでしょうね?」 シェリルはすっかり元気を取り戻したように、いつもの調子でミシェルを問い詰める。 ミシェル「ま、まさか。倒れて意識を無くしたあんたを運んでやったのに。 それが恩人に言う事か。それに意識の無い女の子を抱いても盛り上がりにかけるしね。フフッ」 ミシェルはそう話しながらシェリルに繋がれていた点滴が終るのを確認して外している。 ミシェル(しかし、あの状況のままだとどうにかなってたな。俺…もうひとりの姫は何やってんだよ。遅いな…) そんな事を考えながらシェリルの肌をできるだけ視界に入らないように作業 していると、ミシェルの手をふいに 白く透き通った手に動きを止められた。 ミシェル「!?女王様・・・あの、」 シェリル「ありがとう。ミッシェル命の恩人かもしれないもんね。」 ミシェルがため息をつきながら ミシェル「かもしれないじゃなく、本当に危なかったんだぞ…んっ!??」 口付けを終えたシェリルに顔をまじまじと見つめられながら甘く囁かれると 、ミシェルはかすかに踏みとどまっていた 理性が崩れていく音を聞いた気がした。 そして諦めたかのようにクスっと蒸気した顔で笑いシェリルとの位置を逆転しようとした時、 視界の片隅に扉が少し開いてるのが見えた。 ミシェル「女王様には本当に驚かされる。そんなに楽しみたいなら喜んで」 ミシェルの言葉を塞ぐようにシェリルがミシェルにキスをする。 シェリルはミシェルの首に腕をまわしながら起き上がり 、 シェリル「感謝してるわ。それにせっかく助けられた命なんですもの。 楽しまなくっちゃ!」 ドサ!! ミシェル「なっ!?おいっ!」 645 :ミハ+シェリ~:2009/04/20(月) 20 48 59 ID y85IxHLL あ、しまったリロードし忘れてたよ。 642 申し訳ない。ごめんやっぱり下手糞すぎますよね。 以後投下はひかえます。ごめん
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/107.html
296 名前:fusianasan[sage] 投稿日:2010/10/10(日) 16 14 47 続き書いてみた・・・・。 シェリルの手がアルトの頭へと添えられ、その輪郭にそって降りてゆく。 身体がゆっくりと沈むと共にシェリルの背中が緩やかな曲線を描くのを背中に回されたアルトの手が感じる。 背中と腰に腕が回ればシェリルはその場から逃げられなくなった。 長いキスから生まれた疼きが、二人の体をゆっくりと支配していく。 互いに触れることの心地よさに溺れ始めた二人の思考を留めるものはなく、内から生まれ来る衝動は緩やかな波のように逃げ場のない海へと誘う。 吐息が互いに触れる近さで見詰め合えば、このまま体を倒し、肌や呼吸を重ね合わせてしまいたくなる。 ようやく間近で触れることができたアルトの匂いと熱がシェリルを欲情させていった。 どう すればいいか。 一応の知識は持っているものの、そういった話に触れる機会が極端に少なかったシェリルに具体的なことは分からない。 聞きかじりの知識では、好きな相手と裸のまま一緒のベットに入り、相手の モノ を受け入れて互いに果て、朝まで一緒に眠るというくらいだ。 不安は大いにあったけれど、ここで止められるはずがなかった。 背中に回されたままのアルトの腕から抜け出し、アルトのネクタイを解く。 シュルリという衣服の擦れる音がやけに生々しく、これから自分がしようとしていることをシェリルにより強く自覚させていく。 己の行動の大胆さと初めて触れることになる裸の男に、シャツのボタンを外す手が震えた。 きっと、アルトは困惑しながら自分を見つめているのだろう。 そう思うだけで、恥ずかしさが巳を焼き尽くすような感覚に囚われる。 呆れられたらどうしようという不安とそれでもどうしようもない身体の疼きがシェリルの視界を再び歪ませた。 シャツのボタンを外し、前を肌蹴させればいつものタンクトップが見えてくる。 いつもの格好では分からない筋肉や太い身体の骨格が見え自分との違いを際立たせる。 日に焼けていないその肌は石膏のように滑らかでありながら、触れるとひどくたくましく感じた。 この腕に抱かれたい。 蘇る記憶がシェリルを揺さぶる。 普段は頼りないこの男の腕に抱かれる嬉しさを身体の細部が覚えている。 体温をすぐ傍で感じると、体中の力が勝手に抜けてしまうのだ。 同時になんともいえない幸福な感覚が身体の中に広がり、何か目に見えないものがゆっくりと全てを満たしていく。 どうしようもなく幸せで、嬉しくて、愛しくて、たまらなくなるのだ。 シェリルはアルトのタンクトップをたくしあげると今度は自分の服に手をかける。 それにアルトが慌てた。 こんな状況に置かれているというのに、まだこの男は逃げる気らしい。 そう直感的に感じると共に怒りが湧いた。 シェリル・ノーム であるためにと必死で磨いた肉体ですら、意味がないものなのだと、暗に言われたような気がした。 自分ごと拒絶されたような気がしたのだ。 悔しい。 悲しい。 そんな感情がぐちゃぐちゃになりながら一気に押し寄せてくる。 この男は、本当は自分のことをなんとも思っていなかったのだろうか。 こんな浅ましい欲を抱くのは自分だけなのだろうか。 ここまで欲しいと思ってしまう自分はおかしいのだろうか。 混乱し、様々な感情が絡まりあってシェリルの思考を一杯にさせる。 一度湧き出した不安は消えることなく広がり、シェリルを押しつぶそうとする。 そんな考えを捨て去るように勢いよくそのまま上着を脱ぎ捨て肌を晒せば、顔を真っ赤に染めたアルトが更に慌てた。 直接見るのは憚られるのか、本当に見たくないのか、シェリルに馬乗りにされたままのアルトは腕を重ねて必死に視界を狭めている。 うねうねと必死に動き、逃げようとするアルトの上にしがみ付きながら、それでも、負けじと胸を覆う下着を外したところでシェリルの中の何かが弾けた。 「っ・・・・・ふっ・・・・ぇ・・・」 歪むだけだった視界はとうとうぼやけだし、熱い粒がポロポロと零れだす。 必死に結んでいた唇からは シェリル・ノーム とも思えない情けない嗚咽が溢れてきた。 「シェ・・・・シェリル・ど」 「殿とか言ったらぶっ飛ばすわよっ!!何よ・・こんな時くらいちゃんと呼んでくれたっていいじゃないっ!!」 「えっ・・・・・あっ・・・」 一旦、言葉が零れたら止まらなくなった。 重荷になりたくないといつもなら不安で口にできなかった言葉が、次々と滑り落ちてゆく。 素のままでいられることが嬉しかったはずなのに、その素のままでいると一番見せたくなかった弱く醜い自分まで出てきてしまう。 「キスだってしてくれないし、抱きしめてもくれないっ!!あっ・愛してるなんて・・・・・1回言ってくれただけよ?」 「そ・・・・その・・・・・」 感情の制御は効かず、一度堰を破った濁流のようにシェリルの全ての感情を曝け出してしまう。 アルトを愛しているのだという温かな感情だけを見せていたかった。 大好きだという幸せな感情にだけ包まれていたかった。 「ねぇ、アルト。本当に、アタシのこと・・・フィギュアとかじゃなくて、本当の、生身のアタシのこと・・・・・・」 腹の奥に溜められていた不安や怒りや悲しみなどは涙や嗚咽となってアルトに降り注いでいく。 こんな姿をこれ以上見せてしまったら嫌われてしまうと頭の中で警告が流れる。 拒絶されてしまうことが何よりも怖くてたまらないのに言葉を止める術は見つからず、最も言いたくなかった疑いの言葉がアルトに向かって落ちていった。 「・・・・・・好き?」 どうしようもなく歪んだ世界に見えた琥珀の瞳は、苦しそうに歪んだ後、戸惑うように視線ごと反らされた。 あぁ、とうとう終わってしまったのだとシェリルは悟り、それと同時に虚無感が心に広がり言葉が止んだ。 全てをぶちまけてしまった後に零れていくのは涙だけだ。 力なくうなだれたシェリルの視界に映ったのは、触れることを許されなかったアルトのむき出しの美しい肌だった。 「・・・・・っ・・・ふ・・ッ、・・・くっ・・・」 シェリルの問いかけに答える声はなく、ただ静かになった部屋にはシェリルの殺しきれない泣き声だけが響く。 アルトは目の前の光景に呆然としながらはらはらとサクラの花びらのように自分の上に落ちてくるシェリルの涙を見ていた。 シェリルが泣くのを見るのは今回が初めてではない。 けれど、いつも勝気な表情を見せたり、楽しそうだったり、怒ったりしている方が多いから驚いてしまうのだ。 アルトはまだ混乱の渦中にありながらもおそるおそる身体を起こすと、シェリルに向かってゆっくりと手を伸ばした。 柔らかいふわふわの髪に触れるとシェリルがびくりと震え、小動物のようにこちらを警戒しているのが分かる。 アルトはパニックに陥っていた思考を懸命に落ち着かせながら、どうすればいいのかを考える。 女性と接することを極力避けてきたアルトにとって、これは初めての経験だった。 きちんと女性との関係を作り上げ、経験値を溜めててきた男の子なら、抱きしめたり、キスをしたりして相手に愛していることを伝え、宥ることができるかもしれないけれど、健全なお付き合いから遠ざかっていた奥手な男子からすれば、こんな時どうすればいいか分からない。 自分がどこまで触れて良いのか。 自分にはどこまでが許されているのか。 どこまでなら相手を傷つけたり、怖がらせたりせずにすむのか。 その明確なラインが引けず、ただ、ただ時が解決してくれるのを待つしかない。 アルトもそんな男子の一人だった。 記憶の箱をひっくり返して、何かいい方法はないかとその箱の中を漁ると一番無難そうな方法を見つけた。 けれど、それは幼い時の男女の区別なく行っていた行為で、今もそうしていいのかは分からない。 それでもアルトはようやく見つけたシェリルの涙を止める術にほっと安堵した。 手に触れるのは自分のものとは違うふわふわの感触。 何度も、何度も撫でていると、人懐っこい毛並みのよいネコを思い出す。 甘いシャンプーの香りがアルトの鼻先を掠め、目の前の子がネコのように強がりなくせに泣き虫で寂しがりやな女の子であることを改めて自覚させられる。 アルトは何度も、何度も優しくシェリルに触れ、いい子、いい子をするように撫でてやった。 柔らかく温かい、フィギュアとはまた違った感触にアルトの胸が苦しくなる。 アニメもゲームも美少女フィギュアもメカコレクションもどれも心の底から好きだけれど、それと同じくらい目の前で涙を零す少女が大好きなのだと実感する。 シェリルに触れていた手をゆっくりと滑らせ、頬に触れれば俯いていたシェリルがゆっくりと顔を上げた。 「・・・っ・・」 泣いていたせいで、瞳がまだ涙に濡れている。 口元は未だに零れそうになる嗚咽を飲み込もうとしているのか、一文字に引き結ばれ、同時に堪えるために眉根が寄ってしまっている。 必死に堪えていることは分かるのだけれど、どう見ても泣く寸前と変わらないその整っていない表情がなんだかとても可愛いと思えた。 シェリルと 付き合う ということになって気づいたことは、人の表情がきれいだということだ。 フィギュアやアニメは作る手によってそれこそ本物のような出来ばえになることもあるけれど、逆もある。 けれど、人間はそうではないのだと思い知らされた。 メイクをしても、していなくてもシェリルは、変わらず可愛かった。 むくれた表情や怒った表情、洗濯機を前に真剣に悩む表情。 その全てがいきいきとしていて、シェリルの色々な側面が出てくる。 色んな表情を見るのはとても楽しかったし、自分のすることでシェリルが笑えば胸がドキドキと高鳴った。 「・・・・シェリ・・・ル・・・」 こっちを睨んだようになったままのシェリルに向かってアルトが口を開く。 自分があの瞳に映っているのだと思うと、なんだか照れくさくて思わず視線が泳いでしまう。 いつものくせで呼びそうになった敬称はなんとかぐっと飲み込んだ。 どういう反応をされるのか。 もう泣かせなくてすむのか。 それとも、また何か言われるのか。 おそる、おそる視線を戻してみる。 と、目の前にあったのは驚いたように瞳を丸くしたシェリルだった。 これはどういうことだろうかと思わずアルトも固まる。 っと、シェリルがゆっくりとアルトの方へ腕を伸ばし、ネコのように手を使って歩き、身体を近づけてくる。 シェリルがゆっくりと進む度に、先ほどまで髪で隠れていた白い胸元やその先端の蕾がちらちらと露になりアルトの瞳に映った。 見たくないといえば、もちろん嘘になる。 むしろ、シェリルがいないときはいけないと思いながらも率先してそのスカートの中や胸の形を確認したりすることもあるくらいだ。 それなのに、本人を前にしてどうして齧り付かず、こう尻込みしているのかといえばただ単に、日頃フィギュアに強いてきた己の行いからの罪悪感と己の欲の暴走への恐怖ともし間違ったことをしてしまった時のシェリルからの拒絶が怖かったからである。 再び迫りくる魅力的な誘いと打って変って無防備になってしまったシェリルに再びアルトの頭が沸騰しだす。 一気に身体の熱が上がり、それと共に先ほど自分の中を駆け巡った欲と舌先から伝わった気持ちよい記憶がアルトを刺激し始める。 知らず知らずのうちにアルトの喉がごくりとなった。 「アルト?」 「シェ・・・シェリ・・・・」 あわあわと慌てるアルトの声はところどころ裏返ってしまう。 もうかなり近い距離にいるというのにシェリルは一向に止まる様子を見せず、なおも近づいてくる。 アルトが逃げるように後ろに手をやれば、その一瞬を付いてシェリルの顔がより傍に寄った。 唇からもれる呼吸がアルトの唇を優しくなぞる。 間近に迫った青い瞳がアルトを見据える。 肌の良い匂いと温かな体温が空気を介して伝わってくる。 すでにアルトの喉はカラカラだった。 「ねぇ、もう一度。」 「シェ・・・シェリル?」 「・・・・ふふっ。ねぇ、もう一度。」 メガネにシェリルの長い睫が触れてしまいそうな距離に近づいたシェリルはアルトが名前を呼ぶと嬉しそうに微笑んだ。 頬には未だに渇かない涙の筋が残っているけれど、微笑んだシェリルはひどく幸せそうに見える。 シェリルに促されもう一度アルトが名前を紡げば、今度は勢い良く伸びてきた腕に捕まった。 もう何度目か分からないくらいの熱烈なハグ。 腕がぎゅうっと首元に絡まり、自分の胸に柔らかい肢体の感覚が降ってくる。 そして、視界一杯にシェリルのストロベリーブロンドが広がるのだ。 甘い色の海に抱かれたアルトは、ほうっと体から余計な力が解け落ちていくのを感じた。 そして、胸に苦しい痛みと幸せな感情が満ちていくのを感じる。 アルトは一瞬躊躇いながらも、優しくその身体を抱き返す。 するとシェリルが嬉しそうに息を吐いたのが聞こえた。 ふわふわとするような何度味わっても慣れることのないその感覚に思考の全てを持っていかれそうになったその瞬間、今までにない柔らかい感触がアルトの裸の胸に触れる。 「ッ?!」 ふにゅっとした、ひどく柔らかいものだ。 そして、弾力があり抱きつくシェリルと同じくらい温かい。 その感触と思い出した状況からそれが何かをアルトは悟った。 「シェリッ!!シェリルさんっっ?!」 「なぁに?」 「そ、そのっっっっ!!!む、む、む・・」 「ム?」 「胸が・・・あ、当たってるっっ」 「・・・・・・・・」 言うべきか、言わざるべきかこのままそっと堪能していたい感覚に揺り動かされながら必死に良心に従うように頭の中で唱える。 まだ迷いを引きずりながらなんとか口にした言葉にシェリルは数秒固まった後、アルトから少しだけ身体を離して自分自身の姿を見下ろす。 二人の間に丁度良い隙間が現れ、ありがたくもアルトは自分の胸の上で潰れていた柔らかいモノの正体をはっきりと見ることができた。 「・・・えっ・・・あっ・・・やぁあああああああ!!」 数秒の沈黙の後、耐え切れなくなったとばかりにシェリルが悲鳴を上げる。 パニックに陥りながら先ほど自分から脱いだ服を見つけると、シェリルは急いでそれを自分の胸に当てて隠してみせた。 どうやら、さきほどの積極的な行動はやはり気持ちが昂ってしまっていたせいらしい。 襲おうとしたり、泣いたり、笑ったり、忙しいシェリルにアルトが小さく噴出すと、胸元をがっちりと押さえたシェリルが涙目でアルトを睨みつける。 その様子がたまらなく可愛く思えて、アルトはとうとう笑み崩れた。 「アルトのバカ!!な・・・・なんなのよっ!もうっ・・・」 「いや・・・別におかしくて笑ったんじゃない・・・ですから・」 「本当に、本当ね?!嘘ついたら許さないんだからっ!!」 笑うアルトとは反対にシェリルは必死だ。 アルトは止まらない笑いを必死に堪えようとしながらゆっくりとシェリルに向かって手を伸ばす。 本当のことを言えばシェリルに触れることはまだ少し怖かったけれど、それでも先ほど腕に抱いたようにシェリルが嬉しそうになってくれるのなら、自分も嬉しいと思ったのだ。 最初に触れるのはやはり甘いストロベリーブロンド。 アルトが触れるとシェリルから警戒が解け、少し恥ずかしそうな視線に射止められる。 輪郭にそって手を滑らせ、その頬に触れてやればやがてシェリルが嬉しそうに笑った。 「ねぇ、アルト。私・・・・」 「・・・・好き・・・です。」 今日2度目の問いかけ。 言葉にすることがもっとも苦手な感情をアルトが伝えると、再びシェリルの感覚がアルトに近づく。 今度は片腕だけになったハグの代わりにアルトが両腕でシェリルをそっと抱きしめると、シェリルが嬉しそうに擦り寄ってきた。 手のひらから伝わる裸の感覚がアルトの心を騒がせる。 この先の展開を思うと少し後ろ髪を引かれたけれど、それでもまだ今はこうして甘えたがりで泣き虫なシェリルを抱きしめていたいと思った。 END
https://w.atwiki.jp/macross-lily/pages/104.html
ときどき思うの。 ランカちゃんて、ほんとに私のこと好きなんだなぁって。 私の目の前で、私の歌がどんなに素晴らしいのか。 今でも熱く語り出すと、止まらなくなる。 本人が目の前にいるというのに。 写真や映像に“うつる”私に向ける視線は、恋する女の子そのもので。 それが微笑ましくもあるんだけれど、正直、気にくわないことも確か。 それを表に出すことは、絶対にないけどね。 だって、恥ずかしいじゃない。 シェリル・ノームが、自分で自分に嫉妬してるとか。 意地でもランカちゃんに知られたくないわ。 それでなくても、最近、ランカちゃんたら反抗的だし。 それが嫌だっていうんじゃ、ぜんぜんないんだけど。 ランカちゃんが、楽しそうに嬉しそうに笑ってるのは、大好きだし。 でも、それとこれとは、話が別なの。 一方的っていうのは・・・なんていうか。 負けた気がして、悔しくなるのよね。 あと、あの緩みきったデレデレの顔を見てると、すごくからかいたくなるの。 だから、しかたないのよ。 ランカちゃんが私のことを、思う存分に楽しんだのなら。 その分、ちゃんと私は“おしおき”しないと。 調子にのらせたら、ダメでしょう? 攻められてるわけじゃなくて、攻めさせてあげてるってこと。 ちゃんと、知っておいてもらわないと。 昨日だってそうだったのよ、誘ったのは私だったの。 思い通りにはいかなかったけど、あれはあれで、予想通りな展開だったんだからっ!!! ・・・・・・と、とにかく。 この私、シェリル・ノームが。 一方的に受け身で終わるだなんて、そんなこと。 絶対にありえないし、許せない。 だからね、ランカちゃん。 今夜はとっても素敵な“おしおき”をしてあげる。 感謝しなさい、こんなサービスめったに・・・ランカちゃんだけにしかしないんだから。 「あ、あの、シェリルさん・・・」 「なに?ランカちゃん。」 「私、明日、お、お仕事が・・・」 「知ってるわよ。一緒の現場じゃない。」 ニッコリと笑ってそう返されれば、ランカは何も言えなくなる。 楽しい時間はあっと言う間に過ぎて、1日の終わりがやって来た。 昼に近い朝に言われたことを忘れていたと言ったら、嘘になるだろうが。 ランカの中でそれは、冗談で言われたことにしてしまいたかったのだ。 けれど、そんなことがありえるわけがないこともランカは知っていた。 シェリルが言ったことをなかったことにするなんてこと、あるはずがないのだ。 だから、この流れも当然のこと。 それが嫌かと聞かれれば、ランカだって嫌であるわけがない。 むしろ、嬉しいことなのだけれど。 それでも、素直に受け入れられないのは、まだ恥ずかしさが勝ってしまうから。 だから、弱いながらも抵抗はしてみせる。 けれど、その抵抗はシェリルにかかれば、いとも容易く崩れ去るもので。 「いい子ね、ランカちゃん。」 ベッドに横座りするランカの隣で、艶やかに微笑むシェリルが、 おとなしくなったランカに、そう言ってソッと口づけ、すぐに唇を離す。 ランカの口から小さく零れた甘い吐息に、笑みを零して。 期待と怯えのまじった感情に、体を震わせるランカの首筋を。 シェリルが人さし指で撫であげれば、その瞳を固く閉じるランカ。 「ダメよ、ランカちゃん。ちゃんと目をあけて。」 「む・・・無理ですよ・・・そんなの・・・」 「どうして?」 「ひゃ・・・」 撫でられた所をなぞるようにして、シェリルの舌がランカの首筋を這う。 びくんと跳ねる体を楽しみながら、かまわずシェリルは舌を這わせれば。 ランカの瞳はさらに固く閉じられた。 思った通りの反応に満足そうに微笑むシェリル。 ランカの首筋から顔を離せば、今度は固く閉ざされた瞼にキスを送る。 「ほら、ちゃんとこっちを見て。ランカちゃん。」 少しだけ甘えた声でそう言って、シェリルの親指がランカの頬を撫でれば。 ランカの瞳が魔法にでもかかったように、すんなりと開かれる。 「シェ・・・リルさん・・・」 名を呼ぶランカの瞳には、艶めいた笑みを浮かべるシェリルが映って。 潤み始めた瞳でボーっと見惚れていると、シェリルがランカの額に軽く口づける。 「ねぇ、ランカちゃん。」 また閉じかけた瞳が、艶めいた声に誘われるように、開かれる。 その目の前に差し出されたのは、シェリルの右手。 すでに働かなくなった頭でその意味を考えるランカに向かって。 シェリルは、子どもみたいに無邪気に笑って言った。 「舐めて。」 言われた言葉の意味が一瞬わからなくて。 でも、理解できると、一気にランカの体が熱くなり、赤く染まっていく。 言われた言葉のせいで、さらに潤んだ瞳でシェリルを見やれば。 ただ、ニッコリと微笑んでランカをジッと見つめるだけ。 助け船を出してくれる気がないことがわかったランカは。 少しおどおどしながらも、両手でシェリルの右手をとれば、その甲にソッと口づける。 それで、許してくれないかと淡い期待を抱いて、ランカはシェリルを窺うけれど。 シェリルは、やっぱり笑顔を浮かべたままで、その先を促していた。 だから、ランカは覚悟を決めて、小さく口を開ける。 脳裏に浮かぶのは、昨日、同じようにシェリルが指を舐めてくれていた、あの光景。 その時のことを思い出したランカは、シェリルのしてくれた通りにしようと。 一生懸命、丹念に、その白くしなやかで長い指を、口に含んで舐めていく。 時折、甘い吐息をわざと零しながら。 ランカがこちらを窺うように見てくると、ニッコリ笑って応えてやるシェリル。 そうすれば、ランカも嬉しそうにして、さらにシェリルの指を口に含み舐めていく。 親指から小指、右手が終われば左手。 10本の指を舐め終わったランカの息は、何もされていないのに情欲を帯びたものへと変化し。 その唇は唾液に濡れて、艶やかに煌めく。 「シェリルさぁん・・・」 甘く艶めいた声に、シェリルは微笑んで。 さっきまで舐めてくれていた左手、人さし指を自らの口に含んで。 ランカに見せつけるように舐めてみせた。 恥ずかしくて、目を逸らしたいはずなのに。 ランカの瞳は食い入るように、シェリルのその姿を見つめる。 その視線を感じながら、小さな水音を鳴らして自分の口から指を出して見せると。 ランカをジッと見つめて、それから耳元に唇を寄せる。 「よくできました、ランカちゃん。」 いつもより低めの声の囁きに、ランカは身を震わせて、嬉しそうに口元を綻ばせる。 唾液に濡れた指を、パジャマの中に滑り込ませて。 シェリルのしなやかな指がランカの背を撫でれば。 突然の快感に、ランカの口から甘く深い息が零れ、その身がシェリルの方へと倒れ込む。 撫でる指の動きを止めないまま、自分の胸に顔を埋める形になったランカの耳元に。 さらにシェリルは囁いた。 「でも、まだあるわよね?」 言われた言葉に、ランカが顔を上げれば、そこには悪戯で意地悪なシェリルの艶やかな微笑み。 その微笑みに、意味を理解して、本気で泣きそうになりながらシェリルを見るランカ。 そんなランカの耳元で、シェリルが天使のような優しい声で、悪魔のように囁いた。 「だって、“おしおき”だもの。がんばって。ランカちゃん。」 ベッドに横座りするシェリルの足元に、跪くような形でランカが座る。 差し出されたシェリルの右足を両手で取り、膝の上に乗せれば。 引き寄せられるように、足の甲に口づけるランカ。 その感触に甘い声を零しながら、シェリルは、先を促すようにランカの頭を優しく撫でた。 それに応えるように、ランカの口がシェリルの足の指をゆっくりと舐め始める。 最初はランカも恐る恐るだったけれど。 零れる甘い吐息と、髪を撫でる手が、だんだんと自分の髪を掴む感触に変わっていくのに。 シェリルが感じてくれていることがわかったランカは。 嬉しくなって、ただ一生懸命にその行為を続けた。 右が終われば、左に。 丹念に舐め終えたランカは、それだけでは足りなくなったのか。 無意識に、シェリルの左足の臑にも舌を這わせ始める。 「ぁん・・・」 予想していなかったものに、思わず大きな喘ぎを零して、シェリルはランカの頭を軽く叩いた。 「こら。ランカちゃん。」 ベッドの上に足を上げれば、それを追うようにランカの瞳がシェリルを見上げる。 必然的に上目遣いになったランカに、少しドキッとしながらも、ニッコリと微笑んで。 シェリルはランカの頭を、まるで犬でも窘めるかのような手つきで撫でた。 「言われたこと以外はしちゃダメよ。」 「ご、ごめんな・・・」 顔を上げ謝ろうとしたランカの顎を掴むと、少し乱暴にシェリルの唇が唇に重なる。 突然のことに大きく目を見開くランカ。 重ねるだけのキスに、唇はすぐに離れていって。 ただ、呆然としているランカに、悪魔のように艶めいた妖しい笑みを浮かべれば。 ランカの耳元に唇を寄せる。 かわいらしく、甘えた声が、今度は天使のように囁く。 「ねぇ、ランカちゃん。舐められるのあきちゃった。」 「ふぇ・・・」 「だから今度は、私の番ね。」 ニッコリと微笑んだシェリルが、今度は深く深く、ランカに口づけた。 「シェ・・・シェリル・・・さ・・・も・・・やぁ・・・」 上は、前をはだけさせられたまま。 下は、膝のあたりまで中途半端にパジャマと一緒に脱がされた下着。 それは、あまり身動きをとらせないようにと。 シェリルがわざとさせている格好で。 いつもの可愛らしいランカのイメージからは、想像もできないほどの扇情的な姿。 それを目の前に、シェリルは至福の笑みを浮かべる。 さっきから、ずっと。 イキそうな所で止めて、落ち着いた所でまた始める。 その行為を繰り返されて、どうしようもないランカ。 「ランカちゃんがどっちがいいか、言ってくれればいいだけよ。」 意地悪な口調でそう言ったシェリルが、ランカの頬に口づけて、涙のあとを舌で拭う。 これも、もう、何度目かのやりとり。 剥き出しの肌が、艶かしく濡れて光るのは。 シェリルが丹念に、ランカの体をかわいがった証拠でしかなくて。 蜜が溢れだすその場所には、シェリルの指が2本挿入されたままで。 ランカは、自分で何とかしようとするけれど。 中途半端に脱がされた衣服が枷になって、どうすることもできない。 「もう、ゆる・・・ひて・・・シェ・・・リル・・・しゃ・・・」 「ランカちゃん次第よ?このまま指がいいか、それとも・・・」 ランカの頬に口づけていた唇が、下へと降りていけば。 今度は、指が沈み濡れるその場所に、口づけるシェリル。 「ひゃんっ!!!」 「こっちがいいか。ランカちゃんが答えてくれるだけでいいのに。」 「んん・・・ああ、ふぇりりゅ・・・しゃ・・・」 「なかなか言ってくれないから。せっかくリクエストに応えてあげようと思ってるのに。」 妖しく艶めいた意地悪過ぎるシェリルの行為と言葉。 ただただ翻弄されるランカは、泣きながらシェリルを睨む。 「言わ・・・なくてもぉ・・・」 「言わないとわからないって、何度も言ってるでしょう?」 「・・・も・・・やらぁ・・・」 「ちゃんと言って。」 これが5度目のやりとり。 答えようとしたランカを攻めて、わざと答えさせなかったのが2回。 わざと“聞こえない”フリをしたのが2回。 けれど、本当にそろそろランカが限界なのをわかっているシェリル。 だから今度こそ、ランカの返事をきちんと待つ。 「ゆ・・・び・・・」 「それじゃ、ダメね、ランカちゃん。」 腕で顔を隠して言ったランカに、シェリルが笑って意地悪くそう言えば。 ランカの腕がゆっくりとどけられ、涙に濡れた瞳がシェリルを真っ直ぐに見た。 「・・・指が・・・いい・・・よぉ・・・シェリル・・・さん・・・」 小さく震えた声だけれども、ちゃんと言えたランカに微笑んで。 シェリルは空いた方の手で頭を撫でると、ランカの唇に唇を重ねる。 「かわいい、ランカちゃん。私まで濡れちゃったわ。」 「シェ・・・リル・・・さ・・・」 「よくできました。ご褒美に“両方”で、イかせてあげるわね。」 言われた意味がわからなくて、きょとんとしてしまうランカ。 そんなランカにニッコリと微笑んだシェリルは、言葉通り。 指と口。 その両方で、ランカを絶頂へと誘った。 「・・・シェリルさんの・・・エッチ・・・」 「ランカちゃんには言われたくないわ。」 笑みを浮かべてそう返せば、ランカちゃんは真っ赤になって布団の中に隠れた。 しばらくすれば、布団の中から目元あたりまでが出てくる。 「・・・ずるいですよ・・・シェリルさん・・・すっごい恥ずかしかったんですから・・・」 くぐもった声に微笑んで。 ランカちゃんの額に唇を落とし、布団から出てくるように促せば。 簡単に言うことをきいて、もぞもぞとその身を起こす。 ベッドの上、枕を背もたれに座る私の脚の間に背を向けるように座らせて。 後ろからぎゅっとランカちゃんを抱きしめた。 「恥ずかしくないと“おしおき”にならないでしょう。」 「・・・ちゃんと言ってるのに、聞こえないとか・・・ちゃんと言ったのに・・・ウソつくし・・・」 「あれはご褒美よ、ランカちゃん。素直ないい子に。」 ちょうど私の胸のあたりに頭を乗せて、見上げるその顔は、かわいらしい膨れっ面で。 思わず声をあげて笑ってしまったら、ますますランカちゃんの頬が膨らんでいく。 「もーっ!!!シェリルさんっ!!!」 「だって、ランカちゃんがあんまりにかわいい顔するから・・・」 かわいいと言われて嬉しかったのか、ランカちゃんの顔が真っ赤に染まるのを見て。 膨れたその頬を優しく撫でれば、すぐにそれは元に戻って。 あの、いつものからかいたくなる笑顔が浮かぶ。 「じゃあ、今度は私がシェリルさんに“おしおき”しちゃいますからね。」 見上げるランカちゃんが、デレデレの笑みを浮かべたままそんなことを言うから。 言葉の意味を、すぐには理解できなくて。 でも、理解できたら急に顔が熱くなって、それから笑みが零れた。 「それこそきっと、返り討ちね。それでもよければ、いつでもどうぞ。ランカちゃん。」 そう言って、ランカちゃんの顔をやんわりと固定して。 ゆっくりと顔を近づけていく。 鼻がぶつかるその位置で、ランカちゃんが嬉しそうに笑って言った。 「その言葉・・・ちゃんと覚えててくださいね・・・シェリルさん・・・」 言われたことに少し驚いたけれど、笑みを浮かべてそれに応えて。 その生意気なランカちゃんの唇を、もう何も言えないように唇で塞いであげた。 おわり
https://w.atwiki.jp/macrossf-eparo/pages/21.html
305 名無しさん@ピンキー sage 2008/05/15(木) 23 40 09 ID cZnP5yF9 艶麗な女形姿で京鹿子娘道成寺を舞うアルト。 感嘆するシェリル。 「なかなかやるじゃない。アルトは意外性のカタマリね」 舞台を降りたアルトが艶姿のまま肩を怒らせて、腰に手をあてた。 「なんだよ、その言い方。悪いかよ」 「誉めてるのよ」 シェリルは目を細めた。 「舞台の上では体つきまで違うみたい。本当の女の人みたいだったわ」 「ああ、これは“体を殺して”いるんだ」 「…殺す?」 アルトはシェリルに体の正面を向けた。 「肩を、こうして」 ストンと両肩を後ろに落とす。 「撫で肩に見せるんだ。それから」 シェリルに向かって半身に構える。 「こうして、肩幅を狭く見せて女のシルエットを作る」 「すごーい。伝統のテクニックなのね」 きらびやかな衣装をまとったアルトの周りを一周するシェリル。 最後に伸びあがって、アルトの顔を息がかかるほどの近さで見つめる。 好奇心にきらめくシェリルの瞳に吸い込まれるように見つめ返すアルト。 「メイクもエキゾチックで素敵だわ」 「試してみるか?」 「え?」 「化粧」 「できるの?」 「歌舞伎の役者は自分でするんだ。楽屋に来いよ」 「ホントに意外だわ、ふふっ」 楽屋で鏡の前に座るシェリル。ヘアバンドで髪をまとめ、額を出している。 慣れた手つきで、シェリルのメイクを落とすアルト。 かぶり物は外して、袖をたくしあげているが、女形姿のままだ。 「こんなサービス滅多にしないからな、感謝しろよ」 「はいはい、ありがとうアルト」 「感謝の心がこもってない」 軽口を叩きながらも、シェリルの顔に白粉をのばしてゆく。 きめ細かな肌は、化粧ののりが良い。 「顔が重いわ」 「舞台照明がロウソクしか無かった時代のメイクだからな。…ちょっとだけ黙ってろ。目、閉じて」 筆で瞼や鼻筋にピンク色を乗せる。アルトの指が、眼尻や唇に紅を刷いた。 「これで完成」 シェリルはゆっくり瞼を開いた。 「わぁ」 正面から自分の顔を見つめ、続いて、左右に顔を傾けたり、首を振ってアングルを変える。 白人系の要素が強いシェリルの顔が、東洋の美女に変化している。 「いいわね……ジャケットに使えるかも」 「仕事熱心だな」 シェリルの横顔を見つめるアルト。 「もし、本当に撮影するんなら、メイクアップアーティストとして呼んでもらおうか」 「ギャラは弾んであげる」 振り返るシェリル。アルトが指についた紅を拭き取っているのを見て、ふと唇を意識した。 「……」 この唇にアルトの指が触れた。 そっと、自分の指で唇をなぞってみる。 指先に紅がついてしまった。 「ね、アルト。口紅がとれてしまったわ。直して」 「おおせの通りに」 アルトは人差し指で紅をすくいとり、シェリルの口紅を引きなおす。 鏡の中の光景は、臈長(ろうた)けた美女が少女に化粧の手ほどきをしているかのよう。 シェリルはうっすらと瞼を開いて、その様子を盗み見た。 これもシェリルスレに上げていたものの改訂版です 微エロですみません おでこ出したシェリルが見たくて妄想しました
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/55.html
6スレ944 静かな夜に 944 名前:えっちな18禁さん 投稿日:2009/03/21(土) 03 43 06 ID asQSx/Ra0 昨日のバレを見てから、どうしても書きたくなった22話投下します。 ちなみに例の絵は事後と判断。2日に分けて書いたので、印象が違って読みにくかったらゴメン!! シチュについては、独断と偏見なので、異論は認める!! どんなのでも、構わないって人だけでよろしくお願いします。 重ねた唇は柔らかかった。 鼻をくすぐる香りは花のように甘い。 触れた肌はすべすべとしていて、そして静かに熱かった。 障子越しに入ってくる光は優しくその表情を照らし出す。 空を切り取ったようなその瞳の端にぷっくりと涙の粒が浮き上がるのが見えた。 それをそっと拭うと、アルトは再び唇を重ねる。 数度迷った後、優しく吸い舌を使って割り開く。 すぐにざらりとしたものに触れる。 でも、それは触れるとすぐに逃げてしまった。 後を追おうとシェリルの頭を抱きこみ、深く、深く重ねる。 捕まえては、逃げていた舌先がいつしかちょこん、ちょこんっと触れるようになり、それを擽ってやったら、すぅーっとシェリルの身体から力が抜けていった。 安心してくれたのだと分かったら、自分もなんだか力が抜けて、それが少し可笑しかった。 長い時間重ね、交えた唇を離して見たシェリルの瞳はまだ少し緊張していたように思えてたから、それを安心させるために、そっと腕の中と連れ込んだ。 そして、シェリルの顔を自分の胸元へと押し付ける。 驚きに見開かれていた瞳が、自分の意思を汲み取り、理解し、唇の端が少し上がるのを見届けると、アルトは優しく頭を撫でてやった。 触れ合った肌と肌は先ほどよりも熱くて、ドクドクと早鐘を打つ心臓はシェリルと一緒だった。 お互いに知らない世界。 ぼんやりとしか分からないけれど、これから先のことを思うと大丈夫かと自分でも少し不安になる。 それでも、衝動は止められなかった。 触れる度に思う。 もっと、触れていたいと。 キスを交わすたびに思う。 もっと、この感覚を味わっていたいと。 ・・・一つになってしまいたいと。 抱きしめたままの状態で、アルトはそっとシェリルを布団へと横たえる。 動くたびに、シェリルの甘やかな香りがふわりと舞った。 頬にかかった柔らかいストロべリーブロンドを優しくどけてやると、シェリルがこちらを見上げている。 じっと見つめ返すと、ぱっと目を逸らしてしまう様子がメディアでみた野生の小さい動物のようだと思った。 「シェリル。」 こちらを見てほしくて名前を呼ぶと、数秒後におずおずとこちらを見上げてきた。 その両頬を両手で包み、固定して、もう一度唇を重ねる。 今日、何度目かのキスは、アルトの思考をゆっくりと侵食していった。 感じるのは、濡れた舌の感触。 乱れた互いの息遣い。 高まる互いの熱。 ドクドクという音が煩くて、シェリルにも聞こえているんじゃないかと思った。 細い両手首を捕らえて布団に縫いつけ、自分はそのまま首筋へと唇を寄せる。 浴衣の袷から布を除けて触れた肌は熱く、しっとりとしていた。 そのまま唇を滑らせると、シェリルの身体がビクッと震える。 その反応に、アルトは顔を上げた。 「・・・怖くないから」 大丈夫だと暗に含め、諭すように言うと、見透かされていたことに気付いたシェリルの瞳が揺れた。 一度手を離し、右肘を布団に付くと一層距離が縮まる。 そのまま、アルトは優しくシェリルの頭を撫でてやった。 互いの吐息が自然と合わさり、瞳が互いを見つめる。 次に、距離を縮めてくれたのはシェリルだった。 少しだけ身体を起こし、唇に触れてくれる。 それは、今まで彼女がしてきたキスのどれよりも優しくて、どれよりも甘く感じた。 身体の片側を重くないようにと気をつけながらシェリルに軽く押し付け、そのスキに腰紐の結び目を解く。 シュルッという衣擦れの音がやけに生々しく思えて、アルトの頬が熱くなった。 緩んだ袷に手をかけ、少しずつ肌を露にしていく。 外気にさらされた素肌に、シェリルが軽く震えた。 現れた真っ白く、滑らかな肌にアルトの息が止まる。 自身が使っていたような白粉はシェリルのどこにも使われていないというのに、その白さは妖艶さをも持っていた。 肌蹴た鎖骨のあたりに置いた手が微かに震えている。 比べてみればなお違う、その肌理の細かさと肌色に改めて自分達が異なる性を受けていたのだということを実感する。 舞台の上でいかに女であろうとも、身体はきちんと発達した肉を持ち、突き上げてくる衝動は穢したいというどす黒いもの。 触れたくて、自分だけのものであってほしくて、たまらなくなった。 温かい肌を感じるように、アルトはそのまま手を這わす。 動き回る度に浴衣が剥がれ、生まれたままのシェリルが見えてくる。 丸く、手には少し余るくらいの乳房やその先端の桜のような蕾 くびれた腰や、柔らかい太もも 足先に行くほどしなやかな印象がつよく、腹から上は柔らかいトコロが増えてくる。 全てを記憶に刻もうと、アルトは何度も何度もシェリルの身体を優しく撫でた。 恥ずかしさにぎゅっと目を瞑るシェリルが愛しくて、可愛くて、感情の箍が外れそうになる。 何度も、何度も、自分に言い聞かせながらアルトはシェリルに触れた。 触るたびに一つずつ、自分の中にあたたかな感情が広がっていくようであり、でも、それは乾いた大地に水が染込み潤して行いくような当然の理のようでもある。 そういう感覚をシェリルと共有できているのなら、嬉しいとアルトは心から思った。 そう思ったら今度はその瞳が見たくなって、アルトは再びシェリルの髪を撫でる。 2,3度撫でて、優しく呼ぶとおずおずとシェリルが目を開けた。 羞恥のせいかその頬には朱が挿し、瞳は潤み、揺れる。 その様子にアルトは少し笑った。 「触るぞ?」 アルトの言葉に、シェリルが弾かれたようにピクンッと震える。 そして、数秒迷うように瞳が彷徨った後、両腕で顔を覆うようにしてからコクンッと小さく頷いた。 先ほど辿った経路を思い出しながら下肢をまさぐり、足の付け根へと手を下ろす。 くびれたそこを優しく撫ぜるとすぐ隣に布の感触がする。 伸びた紐をスルリと解いた。 「・・・・んう。」 触れるとシェリルの身体が硬くなり、そして喉からそんな声が漏れた。 あぁ、ヤバイ・・・。 止められなくなる。 本能的に、そう、感じた。 とろとろと溢れ出していた蜜を指に絡めながら、アルトはそっと入り口に触れる。 愛撫を繰り返すたびに、くちゅという音が耳に届き、シェリルの身体が震え、熱い吐息が吐き出される。 それでも身体の硬さは取れなかったから、アルトはそのまま唇を乳房へと這わせた。 先端を口に含み。 もう片方の手で、揉みしだく。 ぷっくりと立ち上がったそれを甘噛みして刺激を与え、舐めあげ、背筋を震わせる。 自分にはない柔らかさと、手に吸い付くような感覚がアルトをさらに追い詰めていく。 感じたことのない衝動の波をどうしてよいのか分からず、シェリルの手が幾重にもシーツの波を立て、崩していった。 熱いシェリルの呼吸がアルトの首筋を掠める。 求められるようにして伸ばされた手に頬を寄せると、愛しげに撫でられた。 やがてシェリルの両手が限界に行き着く。 それが、自身のジャケットのせいであることを気付いたアルトは急いでそれとタンクトップを脱ぎ捨てた。 そのことすら忘れていた自身に少しだけ苦笑する。 色々考えていたつもりでも、そこまで全然気が回っていなかったのだ。 素肌を晒したアルトの胸にシェリルが嬉しそうに頬を寄せる。 ドクドクと鳴る心音を聞くように耳を当て、目を閉じるシェリルの髪をアルトは優しく何度も梳く。 そして、触れ合いの終わりを告げるようにその細い顎を固定すると、深く、深く、口付けた。 舌を絡めあい、唾液を混ぜ合わせる。 吐息を飲み込み、飲み込ませ、自分だけを見ているようにと願いをこめる。 入り口を彷徨っていた指をそっと中に侵入させると、シェリルが僅かに息を呑み、身じろきした。 中を傷つけないように気をつけながら、アルトはゆっくりと内壁の狭さを取っていく。 熱く、絡み付いてくる内壁のひだを擦り、愛液を絡めながら指を動かし、掻き回していく。 刺激が与えられるたび、シェリルの口から甘い嬌声が零れ落ちてきた。 「あっ…あっ…あぁ、…!」 言葉にならない声を上げながらシーツを握りしめて耐える姿や瞳に溜った涙が頬を伝う。 アルトはシェリルの花弁に唇を寄せた。 淡いピンク色に色づいた花びらに舌で触れ、先端のしこりを軽く吸い上げると口内に蜜の味が広がる。 吸い上げ、擽る度にシェリルの腰が動いた。 中へと入れる指の数を増やしながら、バラバラに掻き回し、追い詰めてやる。 しどけなく上がっていた声が、徐々にその艶やかさを増していく。 イタズラに柔らかく指先を曲げた途端シェリルの身体が仰け反り、くたりっと力をなくした。 「・・・・シェリル?」 荒い呼吸を繰り返すシェリルをアルトが呼ぶと、うっすらとその瞳が開く。 まだ、ぼんやりとしていた瞳がアルトを見とめると、少し安心したように笑った。 言葉は発さずそのまま擦り寄ると、けだるい表情でシェリルもアルトに擦り寄ってくる。 僅かに汗の粒が浮かぶ額を拭ってやり、少し張り付いた髪を耳の傍へと寄せてやった。 幸せそうに閉じられる瞳に、アルトが少しだけ慌てる。 シェリルがそのまま眠ってしまうのを恐れたわけではないけれど、もう少し自分を見ていてほしかったし、自分もシェリルを見つめていたかった。 そう思っていたはずなのに、いざ目と目が合い、見つめられると先ほどの衝動が再び頭を持ち上げてくる。 脳裏を巡るのは翻弄されるシェリルの艶姿と声。 零れる涙も、揺れる瞳も、全てアルトを昂ぶらせていった。 我ながら現金だとも思う。 男なら武士は食わねど高楊枝ではないのだろうかとも思うのだけど、抑えが効かないのだ。 抱きたいという肉体的なものでなくて、シェリルからの気持ちを感じたいと、そして、自分からの気持ちを感じてほしいと思ってしまう。 精神的な繋がりを求めるから、もっと傍で存在を感じたいから、その衝動はその貪欲さを増していく。 性急にことを進めようとしてしまう自身にシェリルが脅えないことを祈るしかなかった。 再び手を絡め、布団へと縫い付けるとシェリルにもアルトの意思が伝わる。 まだ息は整いきれていなかったけれど、その瞳にアルトを拒むような色は伺えなかった。 静かな、静かな沈黙の後、春に草木が芽吹くように、風が草花を揺らすように、自然と重なる。 唇が、 鼓動が、 呼吸が、 重なる。 誰かに教えてもらったのではないけれど、身体は互いの気持ちの刻み方を知っていた。 ズボンを脱ぎ捨て、シェリルへと被さり、自身の切っ先をその入り口へと押し入れる。 受け入れたことのない熱と質量を必死に受け止めようとするシェリルから、苦しそうな声が上がる。 押し入るたびに、ずり上がっていく身体を手を絡めることで抑え、時に声をかけながら、アルトはシェリルの中を埋め尽くしていく。 応えようとしてくれる懸命な仕草が嬉しかった。 長い時間をかけて埋め終えると、未だになれないシェリルの口からは時々くぐもったような声が漏れてくる。 苦しいくらいに自身を締め付ける内側の感触に、アルトも意識を持っていかれないようにするだけで精一杯だ。 シェリルに余裕が生まれるまではと必死に時がたつのを待つアルトをシェリルが解放する。 「大、丈夫だから。」 眉根を寄せ、上がる呼吸を押し隠しながら、シェリルはそうアルトに告げた。 ドクン、ドクンと刻む鼓動を内に感じること。 それは自分達が一つだという自覚をもたらすもので、シェリルに安らぎを与えるものだった。 アルトの瞳を見つめ、もう一度大丈夫と言うように、シェリルが頷く。 シェリルの様子に動かされるように、アルトはゆっくりと腰を動かし始めた。 狭い内部はアルトの形を覚えようとしているかのようにぴたりと張り付いてくる。 熱く自分を蕩かしそうな内壁の締め付けに、アルトの頭が真っ白になっていく。 「あっ・・・・くっ・・・・」 吐精感を飲み込みながら、アルトは必死に前を過ぎる波を掴もうと手を伸ばす。 柔らかい太ももを抱き寄せ、より深く、深く自身を埋めて、引き抜いて、中をぐちゃぐちゃに掻き回した。 追い縋る内壁も、耳に届く甘い嬌声も、アルトをどんどん高みへと誘っていく。 ずっとこうして繋がっていたいと思った。 身体だけではない。 二人で高みを目指すように、同じ気持ちを感じて、心で繋がっていたいと思った。 シェリルの中にずっと消えない印を刻んでしまいたい。 傍にいると言った自分自身の言葉を忘れぬように。 二度と一人ぼっちだと感じずにすむように。 共に有ることを伝えるように。 切なさと、愛しさが溢れ出てくる。 嬉しさと、喜びが溢れてくる。 感じたことのなかった感情に心が痺れた。 そして、じんわりと全身にその感情を伝わらせていく。 「・・・シェリ、ルッ」 最後に呼んだ名前は、彼女の耳に無事に届いただろうか? 駆け上がることをやめなかった自分に、必死にすがり付いてきてくれたのは、身体の全てが覚えていたから、そうであればいいなと思う。 熱を弾けさせ、全ての欲望の塊を中へと注ぎ込むと同時に、背中に浮かんだ汗の粒がその表面を滑り落ち、シェリルの肌へと落ちていった。 甘く、気だるい事後の雰囲気に、アルトの口元が自然と緩む。 先ほどまでうっすらと開いていた空色の瞳は、ゆるゆると閉じてしまい、その口元からは小さな呼吸が聞こえる。 その寝顔を少し見つめた後、アルトは肌蹴た浴衣を軽く直してやる。 そして、自身も床に散らばった服を拾い集めると同じように身につけた。 ジャケットは、まだ火照った身体には邪魔なように思えたから、着ないことにした。 でも、本音を言えば服という布切れ一枚を通してでなく、自身の肌でシェリルに触れていたいだけだったのかもしれない。 くうくうと小さな寝息を立てて眠る様子からは、先ほどまでの姿は想像できなかった。 それくらい、眠るシェリルの表情はあどけなく、穏やかだった。 起こさぬようにとそっと左腕を首の下にひいてやり、右手を使ってこちらを向かせる。 本当は抱きしめて眠りにつきたかったのだけど、どうしても起こしてしまいそうで、怖かった。 「オヤスミ」 小さくそう呟いて、アルトも瞳を閉じる。 そして、良い夢がシェリルに降るようにと願いをかけて、その額と瞼に優しくキスをした。 障子を通して伝わる外の明かりは、淡く優しい。 その柔らかな光の中で、永久に守りたいと思うものを見つけた二人が向き合って眠る。 静かな、静かな夜の時間。 めまぐるしく巡る時間の中の、短い、安らぎの刻。 そんな穏やかな夜が終わりを告げる夜明けまで、もう、少し。
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/90.html
←これまでの話 87 名前:fusianasan[sage] 投稿日:2009/12/22(火) 04 05 38 頑なな心。 冷たい心。 寂しい心。 "一人にしないで。" いつかの彼女はそう言って泣いていた。 "嫌。一人ぼっちは、嫌。" そう言って、一人でいることを怖がっていた。 あの時から、ずっとそれは変わっていなかったのだろうか? あの時から、ずっと一人捕らわれ続けていたのだろうか? あの時から、ずっとあの暗闇に一人だったのだろうか? 「・・・・シェリル。」 言葉の重さを今になって理解する。 ただ、言葉にするだけではダメだったのだ。 伝えようと、分かってもらおうとしなければならなかったのだ。 今になって分かることに、アルトは泣きたくなってくる。 それは、過去に何度も繰り返してきたはずだった。 心に言葉を届けようと、いつも心を込めて音を紡いでいたはずだった。 それがいつの間にか、こんなに疎かになってしまっていた。 名前を呼んだ声が情けなさに震え、アルトの悲痛そうな表情にシェリルの表情も苦しそうに歪む。 けれど、そんな表情をすぐにいつもの勝気な表情が隠し、押し殺すように言葉を吐き出した。 「さっきも言ったけど、同情なんて結構よ。アタシは一人でもやってみせるわ!!」 威勢のいい言葉。 その裏にある精一杯の虚勢。 一度、彼女の心の闇に触れたからこそ、 今の彼女を知ったからこそ、見えたものがある。 培われた気位の高さが、シェリルを硬く守ろうと、アルトとの間に壁を作ろうとする。 ずっと、そうして自分を守っていたのだろう。 誰かに傍にいて欲しいと泣きながら、それを求めることがどれほど怖かったのだろう。 ぐっと握り締められた拳。 引き結ばれたままの唇。 潤みながらも闘志を消さない瞳。 自分へ真っ直ぐ向けられる視線の鋭さがシェリルの孤独の深さを示し、決して人に頼ろうとしないその姿が逆に痛々しい。 手を伸ばそうとする度に、いらないと告げる瞳に耐え切れなくなったのはアルトだった。 アルトが悔しそうに俯き、シェリルも視線を外したその一瞬を狙ってアルトがシェリルの腕を掴み、引き寄せる。 いとも簡単に捕まった身体は軽く、すぐにアルトの腕の中へ降りてくる。 そのままシェリルをぎゅっと抱きしめるように腰と背中に腕を回し、身を屈めるようにして抱きしめた。 軽く腕が回ってしまう細い身体。 甘い、香水とは違う香りが巻き起こった風によって広がっていく。 首筋に触れるシェリルの肌は、まだ熱を孕んでいたけれど、最初に運んだ時より随分と落ち着いていることが分かった。 僅かな静寂をおいて、我に返ったシェリルがアルトの腕の中から逃げ出そうと暴れる。 けれど、逃がしてやる気などこれっぽっちもなかった。 名前を付け辛い感情がアルトの全てを支配し、放してはいけないのだということだけを伝えてくる。 暴れるシェリルをアルトはただひたすら抱きしめていた。 やがて、アルトが放さないことを悟り、諦めたのか、ただ抵抗しすぎて疲れたのかは分からないけれど、シェリルは身体から力を抜いた。 それを感じたアルトも背中に腕を回したままで苦しくない程度に力を腕の力を緩めてやると、開いた手のひらが先ほどまで加えられていた 力の強さに少し震えた。 大人しくなったシェリルはアルトの胸に額を押し当てたまま動かないから、その表情は分からない。 だから、アルトはそうっと顔をシェリルにすり寄せ、その気持ちを感じ取ろうとした。 ピンッと張り詰めるのではなく、どこまでも静かなだけの静寂が下りたと思ったら、動かずにいたはずのシェリルの身体がやがて小刻みに震え始める。 それが、熱を起こすようにシェリルの身体が少し熱くなったと感じたら、何か熱い雫が頬を伝い、アルトの首筋に流れてきた。 -泣いたのだ。 と、アルトは思い、そして自然とそれを受け入れた。 いくすじも伝う雫に、アルトは狼狽することも、慌てることもなく、それだけを思った。 むしろ、そのことに安堵さえしたのかもしれない。 自分の中にも張り詰めていたものがあったようで、息を吐くとゆるゆると力が抜けていった。 そのうち足が萎え、シェリルを抱えていられなくなりずるずると二人して床へ座り込んだ。 それでも、シェリルの震えは止まらず、伝う涙も次から次へと零れるばかりだったから、アルトもずっとそのままでいた。 押し殺すような泣き声がシェリルの喉を引きつらせ、苦しそうな息が上がる。 大丈夫だというように、アルトは何度も何度も背中を撫でた。 全てを預けても大丈夫だと言うように、何度もそれを繰り返した。 泣き声が止み、身体の震えが止まる。 熱を残したシェリルの呼吸を感じながらアルトはゆっくりと顔を上げる。 右手をシェリルの頬に這わすと、シェリルが顔をアルトへと向けた。 涙が滑った跡が頬に残り、余韻のせいか目の縁が赤く、瞳は未だに潤んでいる。 視線を絡めた二人の間に会話はなかった。 それでも、纏う空気は穏やかで優しいものへと変わり、ほんの少し居心地がよい。 心がほろほろと解けたのか、もうどこにも拒むような気配は感じられなかった。 右頬に這わした手が優しく、流れた涙の跡を拭う。 ぎこちなく親指が頬をなぞるとシェリルがそれを感じるように瞳を閉じる。 アルトは誘われるようにそうっと唇を重ねた。 ただ、唇を触れ合わせるだけのキス。 一度優しく口付けて離れた後で、確かめるようにもう一度触れる。 唇を食み、名残を惜しむように離れると吐息が震えた。 唇から視線を上げ、再び空色と交じ合わせる。 その瞳にどんな感情が浮かぶのかだけが不安で仕方なかったけれど、アルトが見つめた先の空は穏やかに澄んでいた。 乾かない瞳がほんの少しだけ揺れながら、アルトを見つめる。 先ほどまでに鋭さが溶け落ち、どうしたらいいのか戸惑うような色はあっても、空色には優しい光が満ちていた。 もう一度おそるおそる引き寄せ、上向かせて唇を重ねる。 瞬間、何かが心に満ち溢れ、そして、弾けた。 とめどなく溢れくる感覚が他の全てを遠ざけていく。 何かを伝えたくて、でも言葉を紡ぐのさえもどかしくて、夢中で唇を重ねる。 何時しか唇に触れるだけでは物足りなくなり、己の舌がシェリルの唇を割った。 甘い唾液がアルトのものと交わる。 熱い舌が逃げ回り、捕まえて吸い上げるとそれはすぐさま大人しくなって、甘くアルトに絡みつく。 もっともっと奥まで触れたくて、 口内のいたるところに触れたくて、 触れてないところなど失くしてしまいたくてたまらない。 胸に締め付けられるのとは違う苦しさが走り、それから逃れようとアルトは必死にシェリルを求める。 息遣いが濡れ、零れそうになる唾液を無理やりシェリルの喉に流し込みながらアルトはシェリルを貪った。 この甘美な感覚にいつまでも酔いしれていたかった。 とうとう息が続かなくなり、唇を放すと銀糸が二人の間を結び、やがて零れ落ちる。 ワンピースの胸元に落ちた一滴をじっと見つめた後、アルトはそうっと唇を寄せる。 初めて触れたそこは温かく、すべすべとして柔らかかった。 -触レタイ。 頭に浮かんだ衝動にアルトの喉がゴクリとなる。 けれど、その激しさはアルトが感じたことのないくらいに強く、アルト自身を怖がらせる。 今、落ち着いたばかりの彼女に自分の汚したいという欲をぶつけてしまっていいのかと不安に思ったのだ。 止まってしまったアルトをシェリルが静かに見つめる。 それでも動こうとしないアルトから何かを感じ取ったのか、シェリルがそうっとアルトの頬を両手で包み込み、優しく唇に触れた。 軽い、軽い、羽のようなバードキス。 怯えないでと、伝えるように何度も何度も繰り返される。 それが、アルトの不安を鎮めていった。 シェリルをゆっくりと抱え上げ、ベットに寝かせるとアルトが覆いかぶさる。 下に敷いたシェリルが真っ直ぐにアルトを見つめ、甘えるように腕を伸ばして来る。 その腕に抱きすくめられながら、アルトはゆっくりとベットに身を沈めた。 額と、頬と、目じりと、鼻先を啄ばむとシェリルがくすぐったいと笑う。 喉元を滑り落ちると、シェリルの身体が僅かに硬くなった。 それを感じたアルトが動けずにいると首に回っていたシェリルの腕がアルトの頬に添えられ、そのまま上向かせられる。 視線の先にいたシェリルは頬を真っ赤に染めながらアルトに小さく頷いた。 シェリルの言葉の意味に気づいたアルトは小さく頷き返すと、そのまま再び開いたワンピースの胸元へと降りていく。 獣のように、鼻先でシェリルを確かめると、放った吐息がシェリルの肌を波立たせた。 それを愛しむようにアルトがそっと唇で触れる。 一瞬にして喉が干上がったような感覚がした。 ワンピースの肩紐を引き降ろし肌を露にしていくと外気に触れた肌がほんのりと桜色に染まっていく。 その光景にアルトが見入りながら口付けていると、微かにアルトの服の裾が引かれた。 慌てて顔を上げるけれど、シェリルは片腕で顔を覆ってしまい、その表情は見えない。 アルトが静かに問うとシェリルがか細い声を上げた。 「電気・・・・消して。」 泣きそうな声にアルトが慌てて立ち上がる。 けれど、灯りを失ってしまうとシェリルがどこにいるかが分からない。 アルトは僅かに逡巡した後で、蝋燭を引っ張り出すと火を灯した。 暗がりの中に生まれたオレンジ色の光が視界を与え、揺れる炎が静かにシェリルの影を傍の壁へと映し出す。 全てを消せないことをアルトが詫びると、シェリルが小さく頷いた。 つづく→
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/33.html
3スレ151 美学園七不思議!? 151 名前:七不思議? 投稿日:2009/01/17(土) 23 05 58 突然浮かんだ話 長文御覚悟で・・・ 「ちょっとアルト、放課後付き合いなさい」 というシェリルの命令を受け、アルトはシェリルの要は航宙科の補習に 付き合っていた。 「ったく。飛び方教えて欲しいなら、そうと始めから言えよな」 「う、うるさいわね!あんたが暇そうだから誘ってあげたんじゃない///」 「は?俺の何処見て暇って言うんだよ?」 なんていつものように言い合いながら練習を終え、学園用のパイロットスーツから制服へと着替えようとしていた。 「って…ちょっと待て。どうしてお前がここにいる!!」 当たり前のように男子用ロッカールームに居るシェリルに疑問符を投げかけた。 上半身まで脱ぎ腰元に手をかけたところでアルトは慌ててシェリルを振り返る。 振り返るアルトの目の前に同じように上半身まで脱ぎかけたシェリルの白い背中と肩が飛び込んできた。 「わっっっ!!!」 「ちょ、ちょっと急に振り向かないでよ!!」 一体アルトの目の前で何が起こったというのか。 「・・・るのよ・・・」 「は??」 「出るのよ!!その・・・幽霊が!!!」 「はあ????」 シェリルが級友に聞いた話によると・・・ 昔航宙科の男子生徒に振られた女子生徒が屋上から飛び降り、その女生徒が 男子生徒の新恋人の生徒に嫌がらせをする為、放課後誰も居ない女子更衣室に 女の霊が現れるというのだ。 所謂、学園の七不思議というやつだ。 「へえーーーー」 と言うアルトの顔に悪戯っ子の笑みが浮かび上がる。 「な、なによ」 「いや、銀河の妖精ともあろう御方が、化学の進歩した世の中で幽霊が怖いとはね」 「www////べ、別に!怖がってなんてないわよっww」 「ふぅ~ん?」 弱点を見つけたぞ?と言わんばかりのアルトの表情がシェリルに変な意地を張らせた。 (何よ。この勝ち誇ったようなアルトの顔!こうなったら…見てなさい) 「ねえ、アルト・・・」 シェリルは突然艶っぽい声を出し、左手で脱ぎかけのパイロットスーツを胸元で抑えながらアルトに近づいてきた。 そして、シェリルの残された右手の指がアルトの顎→鎖骨→胸元へとゆっくりと すべるように徐々に降りていく・・・。 今度はアルトが戸惑う番だ。 「お・・・おい・・・シェリル・・・」 「私がもし、怖いって言ったら…アルトは慰めてくれる?」 先程から続く艶っぽい声と妖しく蠢く指から伝わるシェリルの体温と。 左手では隠しきれないシェリルの胸の谷間にアルトは息を呑んだ・・・。 「シェリル・・・」 アルトの頭の中では理性と感情が戦っていた。 (ここは学校だ。けど生徒は残ってないはず。…居るのは俺とコイツだけで…) (いや、俺はその…俺は男で…コイツは…女で…) 「きゃ・・・アルト・・・」 アルトに抱き寄せられた瞬間、主張したアルトの欲望がシェリルに下腹部に押し当てられていた。 気が付けばシェリルを抱きしめていた。 薄布から伝わるシェリルの体温と柔らかな胸の感触にアルトの欲望は止まる事を知らなかった。 互いに胸の鼓動がひしひしと伝わってきた。 「お前が誘ったんだからな」 そのままアルトはシェリルに口づけた。 「ん・・・はぁ・・・」とシェリルが吐息を漏らした隙に アルトの舌がシェリルへと侵入し、掻き乱していく・・・・。 アルトの中にはもう理性はない。 抑えきれぬ欲望、感情が勝っていた。 狭い部屋の中で響きわたる互いの粘膜の絡み合い、擦れ合う音。 それだけで狂いそうになる。 「ん・・・ふ・・・アルト・・・ッッ」 「シェリル・・・ッッ…もうっっ・・・っ」 「アルト・・・ッッ」 アルトの欲望がシェリルの内部へと注ぎ込まれていく・・・。 「別に…本気で誘ったわけじゃないんだからね?//////」 シェリルは恥ずかしそうに赤らめた顔をアルトの胸の中に埋め アルトの髪を自分の指に絡めながら呟いた。 「ああ、そうだな・・・俺がそうしたかったんだ」 アルトは愛おしそうにシェリルを見つめ、優しく髪をなでた・・・。 翌日から学園の七不思議に夜な夜な男子更衣室から 男女の苦しそうな声が聞こえてくる・・・という話が加わっていた。 忘れ物を取りに来たルカが更衣室の前で聞き、逃げ帰って流した話だということは 言うまでもない・・・。 「ハハ・・・・」「アハハハ・・・」アルトとシェリルは笑うしかなかったとさ。 終わり
https://w.atwiki.jp/macrossf-eparo/pages/26.html
390 名無しさん@ピンキー sage 2008/05/19(月) 11 06 41 ID cai8ZsRA 「さあ、アルト、たーくさん用意しておいたわ」 「こ、これは……」 シェリルが示した撮影用の衣裳、その種類の多さにアルトは絶句した。楽屋のなかには、10や20ではきかなさそうな数の衣裳類が所狭しと並べられている。 「今度のアルバム・ジャケットは、日本の伝統文化をフィーチャーするの。 そこで、アルトの出番ってわけ」 「それにしたって、この量はなんだよ」 抗議する口調で言ってはみたものの、心のどこかで浮き立つような気分を味わっていた。 役者の家系で育った身としては、きらびやかな衣装を見ると血が騒ぐ。 「今日はカメラテスト用ね。いくつかアルトに着てもらって、会議にかけるの。 まずは、それからお願いしようかしら?」 シェリルが指定したのは十二単だった。 背後に控えていた着付けのスタッフやメイクアップアーティストがよってたかってアルトを平安時代の姫君に仕立て上げた。 「その衣装はさっきよりシンプルだけど、神秘的な感じがするわ」 次の衣裳に着替えてホリゾントの前に立つアルトに、シェリルが声をかけた。 「これ、巫女の装束じゃないか……なんで女物ばっかりなんだよ」 「あら、そうだったの? アルトに似合いそうなのを片っ端からピックアップしただけなのよ」 「それは男の人の衣裳でしょ?」 次の衣裳に着替えて出てきたアルトは、シェリルの言葉を聞いてがっくりした。 「いや、白拍子だから女の装束だ。狙ってやってるんじゃないだろうな?」 「えーっ、だってカタナをつけてるじゃない」 「確かに太刀を佩(は)いているけどな、女が男装して舞うのが白拍子なんだよ」 「ややこしいのね」 「どうしてチャイナドレスが混じってるんだよ?」 赤い絹の生地に鳳凰の刺繍が入ったチャイナドレスをまとったアルトがスタジオに登場した。 撮影スタッフの間からどよめきが漏れる。 きわどいところまで切れ込んだスリットから、すらりとした脚線美をのぞかせる。 胸や尻はパッドとコルセットで補正しているため、見事な曲線を描いていた。 「素敵、予想以上だわ」 シェリルも目を輝かせた。 「お前な、俺を着せ替え人形にして遊んでいるだろ?」 「そうよ」 あっさり肯定されて、アルトは拍子抜けした。 「これで最後にしましょう」 振袖姿のアルトを撮影して、シェリルが宣言した。 「ふぅ、着せ替え人形も楽じゃないな」 アルトがボヤいた時、ハプニングが起こった。 「誰か、そいつを捕まえて!」 女性スタッフの叫び声。 控え室の方から、何かを抱えた男がこちらへ走ってくる。 アルトの脇を通り抜けようとした瞬間、アルトは袖を握って男の顔の辺りに袂を叩きつけた。 ガツンという硬質な音がして男の足が止まる。 そこへ男性スタッフやら警備員が飛びかかって取り押さえた。 後に判ったことだが、男はシェリルの熱狂的なファンで、控え室からシェリルの私物を盗み出そうとしていた。 「アルト大丈夫?!」 顔色を変えてシェリルが駆け付ける。 「大丈夫、問題ない。それにしてもアイツ、運がなかったな。振袖姿の俺の前にくるなんて」 「どういうこと?」 アルトは袂をシェリルの手に持たせた。袂の一番下の部分に何か固い物が入ってる。 「なにこれ?」 「袂落としって言って、袖の形を整える重し。とっさの時は今みたいに護身具として使える」 「アルトは意外性のカタマリね」 軽口を叩いてはいるが、シェリルはホッとした様子だった。 「雇い主に時間外労働の手当が欲しいぜ、まったく。 撮影に来て荒事がついてくるとは思わなかった」 「そうね…ご褒美あってもいいかも。アルトは何が欲しい?」 「そうだな」 何が欲しいと言われると、アルトは困った。思いつかない。 「一日だけ、私が奴隷になってあげましょうか?」 シェリルが、あの悪戯っぽい微笑みとともに囁いた。 「ねえ、ちょっとグレイス聞いてよ!」 シェリルの口調からグレイスは次に続く話題が予測できた。 「パイロット君のことかしら?」 二人分のハーブティーを淹れるとティーカップに注いで、ひとつはシェリルに、ひとつは自分用にとテーブルの上に置いた。 「あのカボチャ頭ったら、私の誘いを断ったのよ。ほっといてくれ、だって。信じらんない。この、シェリル・ノームの誘いを、よ」 「カボチャ……あんなにハンサムなのに、カボチャはないんじゃないかしら?」 「カボチャで十分よ」 シェリルは自分の携帯端末を取り出すと、アルトのグラフィカル・シンボルを似顔絵からカボチャに変更している。 「でも、そういう所、気に入っているんでしょう? シェリル」 「それはそうだけど……にしたって限度があるわ。鈍すぎよ」 ハーブティーを飲みながら、グレイスの頭脳は素早く計算を続けていた。 芸能界で異性関係が破滅的なスキャンダルに発展した例は、有史以来数限りない。 アルトとの関係も、少しひやひやしながら見守っているのが正直なところだ。 しかし… (故郷に戻れない歌姫と、彼女の為に戦場を駆けるパイロット……絵になる構図だわ) ルックスも素晴らしいし、経歴も華やか。シェリルの相手として不足はない。 今のところは、シェリルとの関係に付け込んでシェリルの行動に介入してこようとはしていない。 この関係を、どんな形でメディアに公開したら、シェリル・ノームにとってプラスになるか。 笑顔の下で冷徹な計算を働かせるグレイス。 「あー、何かまた悪だくみしてるでしょ?」 シェリルの指摘を、笑顔で受け流す。 「次のオフはどうします?」 「そうね……」 返事をしようとしたところで、シェリルの端末に着信のサインが出た。 カボチャのアイコンが明滅している。 シェリルは携帯端末を取り上げた。 「もしもし…」 アルトの声が聞こえてくる。なんとなく気分が沈んでいるようだ。 「ハイ、何の用?」 「ええと、だな……新統合軍からの依頼なんだが。 その、シェリルに軍のためのキャンペーンソングを作ってもらえないかっていう話があって」 いつものアルトらしから歯切れの悪さ。いかにも気が進まない、という口調だ。 「ああ、その話。私のところに直接オファーが来たけど、断ったの。 戦争みたいな状態だから、協力は惜しまないけど、政治とかからは距離を置きたいから。 なんでアルトから、そんな話が出てくるの?」 「いろいろ、しがらみってヤツさ。いいんだ。 お前に一応、話すだけは話してみるってことで、説得は俺の仕事じゃない。 お前のスタイルに合わないなら、断るってことだな。じゃ」 そこで通話が切れた。 シェリルはカボチャのアイコンが消えていく様子を見つめていたが、顔を上げてグレイスを見た。 心得顔のグレイスはインプラントされたインターフェイスを使って、フロンティア内部のネットワークにアクセス。高速で検索を終了した。 「早乙女アルトと新統合軍で検索したら、ヒットしました。アルト君、軍用機の無許可・無免許使用で軍に告訴されかかっているわね」 「なにそれ?」 「フロンティアでのファースト・ライブ直後の事件だわ。 バジュラが船内に侵入したことがあったでしょう? その時に戦闘機に乗って派手に活躍したみたい。 バジュラに襲われたという状況から見て、止むを得ない緊急避難だと思うのだけど……法的措置に乗り出すようよ。 シェリルの歌と引き換えに、一種の司法取引みたいなものかしらね?」 「馬鹿、意地っ張り」 シェリルは唇を引き結んだ。なぜ、その事情を先に言わない。 答は判っている。 (私に無理強いしないため) シェリルは立ち上がり、部屋の中をイライラと歩き回った。 ふいに立ち止まると、にっこり笑ってグレイスを振り返った。 「ねえ、グレイス。統合軍は私を利用したいみたいだけど、私も軍を利用させてもらってもいいわよね?」 「悪だくみを思いつきましたね?」 グレイスのメガネがキラリと光った。 SMSマクロス・クォーターの居住区画。 「そーゆーわけで、シェリルの答えはNoだ、キャサリン・グラス中尉殿」 「しかたありません、早乙女アルト准尉。軍は法的措置を講じます。後悔しても遅いのよ?」 アルトは携帯端末をポケットに突っ込んだ。 「軍もなりふりかまってないな。俺みたいなガキを脅すなんて」 キャシーは深いため息をついた。 「どうしてSMSの連中は……ま、いいわ。終わったことです」 アルトにも心積もりがあった。今は戦時下。 人口の限られた都市宇宙船では人手は貴重だ。何らかの刑事罰が下るにしても、執行を猶予されるか、状況が落ち着いてからのことだろう。 その時、アルトの端末が振動した。 手に取ると、相手はシェリルだった。 「はい……え、いいのかよ? 無理しなくって……えっ……あ、ああ。交渉してみる」 アルト通話を切ると、なんとも釈然としない面持ちでキャシーに報告した。 「シェリルはキャンペーンソングを引き受けるとのことです」 「まあ、どういう風の吹き回しかしら? でも、ありがとうアルト准尉」 「別に俺が説得したわけじゃ……ついてはシェリルの方からの依頼があります」 結局、キャシーと新統合軍は、シェリルの要求を呑むことになった。 複座型VF-171のコクピット。 タンデム配列の前席にはシェリルが、後席にアルトが乗り込んでいる。 二人ともきちんとパイロットスーツを身に着けた姿だった。 VF-171は巨大な機械腕によって飛行甲板へと搬出されつつある。 「どんな手を使ったんだよ?」 アルトは機内だけで通じる回線で話しかけた。 「銀河の妖精は魔法が使えるのよ」 澄まして答えたシェリル。しかし表情は好奇心できらめいていた。初めて見る軍用艦の内部やキャノピーを隔ててみる宇宙空間に目を見張る。 シェリルは軍のキャンペーンソングを制作する代わりに、取材としてバルキリーへの搭乗を願い出た。 統合軍は訓練用の機体を貸し出してくれた。 シェリルの表情が素材になるかも知れないということで、コクピット内部を写すカメラも設置されている。 パイロットはアルトを指名していた。 「答えになってないって。でもな……ありがとう。正直、助かった」 「ふふっ」 素直なアルトの感謝が耳に心地よい。 「こちら管制、シルフィード1、発進位置に着いた」 管制がコールサインでアルトを呼び出した。 「こちらシルフィード1、発進位置を確認した」 「シルフィード1、発進許可が出た……銀河の妖精とデートとは羨ましいねぇ。帰ってきたら袋叩きに遭うぞ」 「管制、忠告感謝する。発進」 スロットルを押し込むと反応炉が出力を上げた。 機械腕が機体を解放する。 リニア・カタパルトの与える加速が体をシートに押し付けた。 蹴りだされるようにVF-171は虚空に躍り出る。 現在、フロンティア船団が停泊しているのは、ガスジャイアント型惑星の近傍宙域だった。ここで補給物資を収集している。 「さあ、訓練風景を見ていこうか」 新統合軍が射爆訓練を実施している宙域へと向かう。 途中でシェリルが声を上げた。 「あ、光った。あそこで訓練しているの?」 ガスジャイアントから、宇宙空間に向けて電光が閃いた。 「あれは違う。フラックス・チューブ(大電流束)だ。 ガスジャイアント型惑星の周りには強力な磁界があって、その中を衛星が通る度に発電する。 遠いから細く見えるが、地球がまる焦げになるぐらいのサイズはあるぞ」 「すごーい。大きな電子レンジみたいなものね」 「そう……とも言えるな」 「でも、音が聞こえないと迫力ないわ」 「聞こえるぜ」 「ほんと?」 アルトは通信機のノイズ・キャンセリング機能を止めた。 ガガガガガ…ガガガガガガガガガガ…ッ!!! 巨大な何かを引っかくような音がスピーカーから飛び出した。すぐに人間の耳に害のないレベルまで音量が下がる。 「どうだった、天上の音楽は?」 アルトの質問にシェリルは頭を振った。 「あまりに刺激的」 木星タイプ・ガスジャイアント型惑星の周囲には、環が5つ、衛星が10個ほど確認されていた。 複雑な空間構成で見所が多い。 ところどころで少し寄り道してゆきながら訓練宙域に到達する。 「こんな世界を、いつも見ているのね」 シェリルの声が寂しそうに聞こえたのは気のせいだろうか? 「そろそろ見えてくるはずだ…」 キャノピーにいくつかの記号が表示された。友軍機のシンボルだ。 「こちらシルフィード1、グリフィン・リーダー応答願います」 すぐに返事がきた。 「こちらグリフィン・リーダー、シルフィード1歓迎する。特等席へご招待だ」 座標を指定してくるので、誘導に従って飛ぶ。 今日の訓練は母艦のような巨大な目標への攻撃訓練だった。 電子的に作り出された実物大ダミーめがけて、小隊単位での攻撃をしかけている。 砲火をかいくぐり、対艦ミサイルが射出され、命中とともに巨大な火球が生まれる。 「グリフィン4、貴様は撃墜された。離脱せよ」 グリフィン・リーダーの判定に、翼を翻すグリフィン4。 新統合軍は高性能の無人戦闘機に頼りすぎていた。 強力なジャミング能力を持つバジュラの前に、人間のパイロットが再び重視されてきてはいるが、錬度不足は否めない。 「ね、アルト、参加してみたくならない?」 シェリルが声をかけてきた。 「ちょっと待て、子供の遊びじゃないんだぞ。事前の計画に沿ってやらないと…」 アルトが嗜めるのも聞かず、シェリルはグリフィン・リーダーに呼びかけた。 「こちらシェリル・ノーム。グリフィン・リーダー聞こえますか?」 「感度良好。まさか軍用の回線でシェリルさんの声が聴けるとは思ってませんでしたよ」 「飛び入り参加させてもらってもいいかしら?」 しばらくの沈黙があって、グリフィン・リーダーが返答した。 「いいでしょう。その代わり、怪我をしても知りませんぞ」 「ありがとう、グリフィン・リーダー」 キャノピーに表示されたグリフィン・リーダーの映像に向かって投げキスを飛ばすと、シェリルはアルトをけしかけた。 「許可が出たわよ」 「お前なぁ……舌を噛まないように歯を食いしばってろ」 使い慣れない新統合軍のVF-171だ。頭の中でスペックの違いをチェックしながら、攻撃位置に遷移した。 機載コンピュータに訓練の設定、使用するダミー武装のデータが入力されきた。 「行け、シルフィード1」 グリフィン・リーダーの合図とともに、標的艦へと加速する。 個艦防御システムの砲火をひらりひらりと回避し、バトロイドに変形して砲火を潰し、再びファイター形態にシフトして、実体の無いダミー弾を射出する。 「おお……」 通信回線にグリフィン小隊一同の声が響いた。判定は敵艦の撃沈。 アルトにしてみれば、バジュラの母艦と相対した時のことを思えば、たいしたことはない。 「さすがだ、シルフィード1」 グリフィン・リーダーの賞賛とともに、小隊各機がバンク(小さく翼を振る)して同意を示した。 「飛び入り許可、感謝する……大丈夫か?」 礼を述べると、前席のシェリルに声をかけた。 「め…目が回ったけど……だ…だいじょぶ……でも、疲れたわ」 「OK、帰投しよう」 アルトは機種をアイランド・ワンへと向けた。 格納庫へ戻り、アルトはVF-171から降りる。 シェリルは案外しっかりした足取りで、コクピットから出てきた。 整備士たちが拍手で迎えるのに手を振ってこたえた。 「帰りましょう」 アルトと並んで更衣室へと戻る。 通路の角を曲がって、周囲に人がいなくなったところで、ぐらりとシェリルの足元が揺れた。 思わず抱きとめるアルト。横抱きにして、顔色を見る。 「あ…あは……足に来たみたい……アルト、激しくするから」 顔色は悪くなかったが、大量の汗が流れ落ちている。 「冗談言えるぐらいなら大丈夫だな」 シェリルを抱き上げたままアルトは、グレイスの運転する迎えの車に乗り込んだ。 アルトは自分史上最大のいたたまれなさを味わっていた。 シェリルが宿泊している高級ホテル。一泊いくらするのか見当もつかないスウィートルーム。 ぐったりしたままのシェリルを運び込み、ダブルサイズのベッドに横たえたところで、グレイスに呼び出しがかかった。 インプラントした通信端末を経由して何事か話していたグレイスは、すぐに外出した。 「シェリルのこと、お願いしますね」 そう、言い置いて。 「お願いしますねって……」 シェリルを見る。 バルキリーパイロットのスーツは体を締め付ける構造になっているので、少しばかり苦しそうだ。 逡巡したが、アルトはスーツを脱がせることにした。 「うーん……」 全てのホックやジッパーがはずされると、シェリルが小さな声で唸った。 「だ、大丈夫か?」 シェリルは目を閉じたまま、起きる様子はない。 ため息をついて、アルトはスーツを取り払った。 シンプルな白いアンダーウェアに汗がしみこんでいて、肌に貼りついている。 かなり目のやり場に困る。 「ええと…」 さすがに下着に手をかけるのはまずい気がしたので、スーツを壁にかけると、自分もスーツの上半身を脱いだ。 シェリルの顔を覗き込む。 呼吸はさっきより楽になったようだ。長いまつげが震えてうっすらと瞼が開いた。 そしてアルトを認めると微笑む。 「良かった。疲れてただけみたいだな」 アルトは胸を撫で下ろした。 「…もう」 シェリルの腕がアルトの頭を抱き寄せる。 「うわっと」 「ちゃんとキスしてくれないと、フロア中に響く悲鳴をあげるわよ」 シェリルがアルトの耳元で囁いた。 アルトの中で何かが堰を切ったようにあふれ出た。 「このっ…!」 シェリルの唇を奪った。 シェリルは叫ぶために大きく息を吸ったところで口づけられたので、吸い込んだ空気は熱い吐息に変わった。 「……んっ」 アルトは全てを貪るような勢いで、吐息を吸い、しなやかな体を抱きすくめた。 舌を花びらのような唇の狭間へ突きいれる。シェリルもそれを迎え入れ、同じようは猛々しい動きで舌を動かした。 長いキスの後、アルトはようやく唇を離した。 「あ……はぁっ……」 ほんのり上気したシェリルの表情は微笑んでいるかのようだった。 その笑顔をはぎとりたくて、アルトは動いた。汗で濡れて貼りついたシェリルのアンダーウェアをむしるように取る。ブラを取ったところで、汗の匂いが立ち上った。 シェリルは腕で胸をかばう。微笑みが、羞恥の色に変わった。 「ダメっ…今はっ…汗っ」 アルトは、シェリルの腕をこじ開けシーツの上に押さえつけた。思わず顔をそむけるシェリルの首筋に唇を押しつけた。ぴりっと汗の味がする。 「…っ」 ピクンと体を震わせるシェリル。 アルトは唇を離し、吐息のかかる距離でシェリルを見つめた。 「俺はイヤじゃない……」 シェリルは小さく頷いた。軽く頭を持ち上げて、唇をアルトの顎の先に押し付ける。そこで滴となっていた汗を舐めとった。 そして、二人は汗にまみれたまま、肌を重ねた。 アルトの指がシェリルの敏感な部分に触れた。 奥まった場所にある花びらは繊細な形をしていた。 指を滑らせると、含んでいた蜜がこぼれ、自然に指が内部へ導き出された。 「……ぅ…ん」 声を漏らしたシェリルを見つめる。 「痛くしたか?」 「ううん…」 シェリルは首を横にふる。そしてアルトの頭を抱きしめて、自分の胸に押し付けた。 繊細な指がアルトの髪をかきまわす。 髪をまとめていた紐が解け、黒髪がはらりと広がる。 シェリルはアルトが自分の中心へと入ってきた瞬間、思わず声を上げた。 かすかに予想していた摩擦も痛みもなく、自然に、あまりに自然に一つになった。 自分がどれだけ濡れているのか感じられた。 思わず顔をそむけたくなるような羞恥と、どこまでも求めてしまう欲望、相反する気持ちが体の中でぶつかり、大きなうねりとなる。 そのうねりを突き破るようなアルトの動きが、シェリルの感じる全てとなった。 ベッドの上で愛し合った後、二人でバスルームへ。 互いの長い髪を洗う。 シェリルのストロベリーブロンドをアルトの指がシャンプーの泡を立て、アルトの黒髪をシェリルの指が梳いた。 ヨーロッパスタイルの狭いバスタブに二人で収まる。 アルトに背後から抱かれながら、シェリルは頭をアルトの肩に乗せた。 「ふふっ……」 理由はないが、気恥ずかしさが混じった笑い声が漏れてしまう。 アルトはシェリルの耳元で囁く。 「お前……シェリル……綺麗だ」 「なぁに? 今頃気づいたの?」 「ベッドの上で、ここから上が…首も、顔も……」 アルトの指がシェリルの胸を横切るように肌の上を滑る。 「あ…」 ほてりを残した肌は敏感になっていて、思わず声が出る。 「綺麗な桜色に染まって…」 「さくら…色?」 「淡いピンク……かな」 「そんなの、見てたの?」 シェリルは体を起こした。バスタブの水面が揺れる。 「何もかも見逃したくなかったから」 「ずるい」 シェリルは腰をねじって、アルトを見た。 「え?」 「ずるい! ずるい!」 湯を手ですくってアルトにかける。 (私は何も覚えてないぐらい夢中だったのに、そんなの見てるなんて!) 「わっぷ……やめっ…」 至近距離での水しぶきは、たまらない。アルトはシェリルを抱きすくめて動きを封じた。 しばらくアルトの腕の中で抗っていたが、シェリルは再びアルトの肩に頭を乗せた。 「アルト、見せなさい」 「何を?」 「私だけ見られているなんてアンフェアだから、私も見るわ。そこ、座りなさい」 シェリルの言う通り、アルトはバスタブの縁に座った。 「服着てると、そんなに思わないけど、胸板が厚いわ」 シェリルは手のひらでアルトの胸板を撫でた。その手が腹から腰へと滑る。 「ん…」 思わずアルトが声を漏らした。 「ふぅん、こんな形なのね」 アルトの膝の辺りにシェリルは顎を乗せた。手をのばしてアルトの陽根に触れる。すぐに反応し、見る見るうちにシェリルの手の中でそそり立った。 「見れば見るほど不思議なカタチ」 「しょうがないだろう。生まれつきこうなんだから」 アルトの頬は湯のためばかりではなく、上気していた。 「でも、全部、アルト」 シェリルの目はトロンとしていた。そして手の中のもの、その先端に唇を落とした。すぐに唇を離すと、アルトを見上げてほほ笑む。 「おい…」 アルトは目を丸くした。 シェリルはそのまま立ち上がった。完璧なプロポーションにそって湯が流れ落ちる。 「上がりましょう」 「お前なぁ」 「どうしたのアルト?」 いきり立ったものをもてあまし気味のアルトを不思議そうに見るシェリル。 「いや、いい。……いい加減のぼせそうだしな」 アルトはバスタブを出た。 それから、二人はベッドの上で眠りに落ちるまで戯れた。 全裸で待機されたら、アップしないわけにはいきません。 しかしながら、ご期待に沿えたかどうか不安です(汗
https://w.atwiki.jp/macrossf-eparo/pages/106.html
882 名無しさん@ピンキー sage 2008/07/23(水) 12 30 02 ID /weS3Gqa アルト×シェリル×ランカで、トライアングラー投下 883 Night of the Triangular sage 2008/07/23(水) 12 31 29 ID /weS3Gqa アルトがバスルームから出てくると、部屋は真っ暗だった。 僅かにバスルームから漏れてくる照明の光が、アルトの背後から室内をほのかに照らしている。 「どうしたんだ?」 ベッドのある辺りへ向けて声をかけると、シェリルが返事をした。 「ランカちゃんが恥ずかしがっているの。明かりを消して、来て」 アルトは言われた通りにバスルームの照明を消してドアを閉じた。 室内は暗闇に包まれているので、手探りでゆっくり歩く。 爪先が何か薄いものを踏みつけた。 「おっと…」 なめらかな肌触りのそれは、たぶんシェリルのランジェリー。脱ぎ散らかす癖がこんな時にも出てくるんだと、少し可笑しくなった。 「どうしたの?」 シェリルの声が行く手から聞こえてくる。 「なんでもない」 つま先がベッドのシーツに触れた。 手でベッドの高さを確かめると、慎重にシーツの下へ滑り込んだ。 「あっ」 喉に引っかかったような声はランカのものだ。すぐ近くにいるらしい。 手を伸ばし温かく柔らかいものに触れると、びくっと震えた。そのまま抱き寄せる。 「アルト君…」 名前を呼ぶ声で位置の見当をつけると、アルトはランカに口づけた。 「んっ……」 唇を合わせながら抱き寄せると、腕の中で体を固くした。 まだ、緊張が取れないらしい。 「ランカちゃん……私も」 耳元でシェリルの声がした。 ランカが唇を離し、シェリルと唇を合わせたようだ。 「んぅ……」 くぐもった声は舌を絡め合っているらしい。 アルトは火照って来たランカの肌に唇を滑らせた。愛らしい胸の膨らみにキスし、指先で内またをまさぐる。 「ん……んぅ」 シェリルと唇を合わせたまま、ランカは喉の奥から声を漏らしている。 (ああ、そんな……二人からキスされたら……) ランカの意識は唇で触れられている場所に集中していた。 シェリルの甘い吐息が口腔に流し込まれる。ランカは、砂漠を旅する人がオアシスの水で喉を潤すように、すすり、飲み下す。 敏感な部分にアルトの唇と指が触れると、背筋が反り返った。 「ああっ」 その声はシェリルの唇に吸い込まれる。 アルトの長い指が内側に入ってくる。男性にしては繊細な形の指がランカの内部を探った。 「ああっ」 敏感な箇所に触れられると、ランカにはコントロールできない動きで指を締め付ける。アルトの指は、その箇所を捉えるとリズミカルに刺激し、潤いを引き出していった。 シェリルはランカと唇を合わせ、舌を絡めながら、アルトの息遣いに耳をすませた。 「はぅ……ん」 ランカが甘い悲鳴を上げる。 アルトが肌を重ねたようだ。 快楽に弾むランカの胸を愛撫していた手を下へ滑らせる。アルトがランカを貫いている結合部に触れた。 濡れそぼった花びらが固いものに貫かれている。指先に動きが伝わってきた。 「……ランカちゃん、入っているわ」 囁いて耳にキスする。体中がビクビクと痙攣した。 「イイの?」 「いい……シェ……ルさぁん」 ランカが、すがりついてきた。抱きしめ返し、唇を合わせる。 「んーっ」 シェリルの唇からも声が漏れた。アルトの指が、やや乱暴に花びらをまさぐったためだ。しかし、その乱暴さに滴るほど感じている。 「アルトっ……ん」 息をつめて、ランカの中に欲望を解き放った。 アルトは熱いため息をついてランカの上に覆いかぶさった。 「アルト…くぅ……ん」 ランカが首に腕を絡めキスしてくれた。懸命に舌を絡めようとするその動きに、何となく子犬を連想した。 「アルト…」 シェリルの声が耳元でした。うなじに唇が這う感触。背筋がゾクゾクする。 背中に柔らかいものが二つ押し当てられた。柔らかくて、熱い。 「シェリル」 暗闇の中手探りで抱き寄せる。 「ぁん…」 体を離すと、ランカが悲しげな声をたてた。 いきり立ったままの男性でシェリルを貫いた。花びらは、これ以上の前戯が必要ないほどに濡れていて、アルトに絡みつく。 「あああっ……」 高く甘い響きを帯びた声がシェリルの喉から迸った。 ランカが眠りから目覚めると、部屋の中は暗闇のままだった。 一筋の光が漏れている。バスルームのドアが僅かに開いていた。 扉の向こうから、シェリルの声が聞こえる。 「あっ……あっ…あああっ……」 ランカは生まれたままの姿でベッドから降りると、足音を忍ばせてドアの隙間をのぞいた。 そこから見えたのは、全裸のアルトとシェリル。 シェリルは洗面台に手をついて尻を突き出していた。 背後からアルトが貫き、突き上げている。両手は豊かに揺れる乳房をこねまわしていた。 「くっぅ………うう……」 鏡に映った自分たちの姿を悩ましげな視線で見つめるシェリル。 抜けるように白い肌が上気している。 その美しさに声を失うランカ。思わずへたりこんでしまう。だが、視線は扉の向こうに、ひたと据えられたまま。目が離せない。 「くるっ……」 シェリルの腕から力が抜け、洗面台に突っ伏してしまう。足から力が抜け、ランカと同じように床に座り込んだ。 「もう……」 婀娜っぽい目つきでアルトを振り返る。手を伸ばして、濡れているアルトの男性を手で包んだ。何もつけなくても色づいている唇を寄せて、先端を含む。 「ん……ん…っ」 絶頂を極めた直後で過敏になっている粘膜にシェリルの舌が絡みついた。指で扱きながら唇で締め付ける。 「お前っ……う……」 アルトは、思わず呻いた。 シェリルの動きはランカからまともに見えた。 体の奥が、ウズウズしてくるのを感じる。掌を胸に当てると、乳首がツンととがっているのがわかった。自分の手で胸をもみしだく。 「シェリっ……ル…」 アルトの手がシェリルの頭を抱えるようにした。腰をゆるやかに動かして、唇を怒張したものが犯す。 「んっ…んっ…んっ…んっ…」 シェリルは指と唇と舌の動きを止めなかった。 アルトの呼吸が切迫したものになり、一瞬息を殺した。 「んぅっ……」 シェリルの動きが止まった。喉が小さく動いている。 (アルト君のを……) 「ああ……」 無意識の内に声を漏らしてしまった。 シェリルが口元を手で覆ったまま、ランカの方を振り返った。 アルトがドアのところまで歩いてくると、扉を開けた。 「ランカ」 差しのべられた腕に飛び込むように、ランカは身を投げ出した。 逞しい胸板に受け止められて、涙が出るほど安堵する。 浴槽は三人で入っても余裕があるジャグジーバスだった。 アルトを挟んで、シェリルとランカが座っている。 「ん…」 シェリルとランカが口づけをかわし、ランカがアルトにキスする。 アルトはシェリルにキスして、シェリルは、またランカと口づける。 泡立つ湯に半身を浸しながら、余韻を味わっている。 ランカが手を伸ばして、アルトの男性を愛撫した。 「お……」 アルトは驚いてその横顔を見た。妙に真剣な表情で手を動かしている。 「私にもさせて…」 シェリルが肩にしなだれかかり、ランカと指を絡めるようにしてアルトを愛撫した。 大人しくなっていた男性器は、二人の指の間で徐々に猛ってきた。 「来いよ…」 アルトはランカを抱き上げると、自分の膝の上へと導いた。 シェリルの指が男性器の位置を合わせると、ランカがゆっくり腰を下ろす。 「ああ……アルト君」 体の中にアルトを収めると、甘い響きを帯びた吐息が出る。 「ランカちゃん……もう、恥ずかしくなくなった?」 シェリルがランカを背中から抱きしめながら囁いた。 「あたしっ……もぅ……あ…わかんないっ…よぉ」 アルトがランカの腰に手を添えて、緩やかなリズムで突き上げた。 「いいのよ、とっても可愛いわ。アルトに抱かれているランカちゃん」 囁きとともに、シェリルの手がランカの胸を愛撫した。人差し指と親指で乳首を挟み、転がす。 「もっと可愛いお顔見せて」 アルトの突き上げを受けとめて、シェリルの腕の中で背筋を反らせるランカ。 ベッドに戻って、しばらく三人で戯れていた。 そのうち、アルトが寝息を立て始める。 ベッドサイドのシェードランプを点けて、寝顔に見入るランカ。 目覚めている時は、皮肉屋で、気難しいところのあるアルト。寝顔は、険がとれて穏やかだった。 「……美人」 最初に出会った時を思い出しながら、目を細める。 「そうね。こうしていると、とっても美人」 シェリルがランカの肩を抱いた。艶やかな唇が、耳朶をくわえた。 「ね、ケダモノ・モードのアルト、どうだった?」 「あ……いっぱいドキドキして……言葉にできない…です」 「抱かれていた時のランカちゃん、とっても可愛くて綺麗だったわ」 シェリルはランカをベッドにそっと押し倒した。 「シェリル…さん。シェリルさんも綺麗」 「ふふ、嬉しいわ。ランカちゃんに褒めてもらえて……ねえ、可愛いランカちゃんを見ているうちに、私もケダモノになりたくなったの。いい?」 「え?」 シェリルは戸惑っているランカに口づけすると、その唇をうなじへと滑らせた。湯上がりのさらりとした肌にキスの雨を降らせる。 「あっ」 乳首にキスされて、ランカは思わず声を立てた。 唇は胸から腹へ、ヘソにもキスされた。 「ダメっ」 更に下へと唇が降りようとして、ランカは足を閉じた。 「今はケダモノ・モードだから、許してあげない」 からかうような囁きとともに、シェリルの指が足の間にねじ込まれた。 既に何度も濡れたスリットを愛撫されると、膝から力が抜ける。 足を広げられ、感じやすい場所にキスされる。 「あっ」 くぐもった声。それは甘い響きを帯びていた。 「ああ、ランカ……ちゃん…ここが」 「ひんっ……んーっ」 アルトは薄く目を開けると、声のする方を見た。 寝起きのボンヤリした視界の中、ふた色の肌が絡み合っている。 シェリルとランカが69の形で抱き合っていた。 「あっ…あっ…あっ…」 ランカの唇に吸われて、シェリルの体がガクガクと踊った。濡れた音が微かに聞こえてくる。 アルトは自分の体が滾っているのに気がついた。 互いの愛撫に夢中になっている女たちの所へと、シーツの海を泳ぐ。 ランカの中を指で愛撫しているシェリル、その頤を掴んで顔を上げさせた。 「あ…」 蕩けた青い瞳がアルトを見上げる。 キスと愛撫で濡れた唇にキスすると、ランカの足を掴んで広げさせた。張りつめた男性を握ると、ランカの中に挿入する。 「あーっ……アルト…く……ぅ」 目の前でランカが貫かれるのを見たシェリルは上体を起こし、アルトの首に腕を絡めた。濃厚なキスで舌を絡める。 「ん……んっ…んん」 キスしながら、ランカが与える刺激で背筋をふるわせた。 三人の作る淫らな三角形は組み合わせを変えて続いてゆく……。 <終>
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/70.html
913 名前:えっちな18禁さん[sage] 投稿日:2009/05/18(月) 01 36 46 ID ihxi0OWh0 昨日、全裸待機してくれてた同士の方々へ。 風邪を引いていませんか?もし、よければ風邪薬の代わりにどうぞ 『アルシェリ 風邪曜日』 ******* 「っ・・・くしゅんっ」 春から初夏へと移りだすこの季節は様々なことが重なって体調を崩しやすい。 例えば、進級しただとか、新しい学期になったとか、住居を変えたとか。 人によってその理由は様々だけれど、症状は大抵同じだ。 早乙女有人もその例に漏れず、体調を崩した一人だった。 「アル・・・」 「絶対、来るな・・・」 「でも・・・」 「お前が俺の側に来ないでいいように、実家に移ったんだぞ・・・」 境界線は畳の縁。 それを真ん中にして、アルトを心配そうに見守るシェリルと布団に寝たままのアルトがにらみ合っている。 すぐ近くに寄ってアルトの看病をしたいシェリルとそれを頑なに拒否するアルトのにらみ合いはもう何時間も続いていた。 正直なことをいえば、早く眠ってしまいたかったのだけれど眠ったら絶対にシェリルは縁を越えてやってくるに決まっている。 自分一人ならまだしも、シェリルにまで風邪を引かせるわけにはいかなかった。 人を呼ぼうにも、矢三郎はシェリルが看病をするのだといって張り切って散らかした自分たちの家を片付けに行っているし、他の者ではきっとシェリルの迫力に負けてしまう。 っとなると、自分が頑張るしかなかった。 「!!。そうだ。シェリル」 「何?」 「りんご。」 「えっ?」 「りんごが食べたいんだ。・・・買ってきてくれないか?」 アルトがそう言えば、すぐにシェリルの瞳が輝きだす。 まるで初めてのおつかいを頼まれた子供のように嬉しそうになった。 「いいわよ!すぐに買ってくる!あと、欲しいものある?」 「・・・桃缶」 「分かった。・・・ちゃんと寝ててね?」 「分かってる。」 りんごと桃缶を頼んだときはあんなに嬉しそうに笑ったくせに、次に自分に寝ているようにいう様はすこし偉そうで、見ていて飽きない。 くるくると変わる表情に苦笑しながら、アルトはシェリルを見送った。 障子戸が閉まり、パタパタと軽い足音が遠ざかってゆくと、途端に部屋が静かになった。 ようやく得られた安息のはずなのに、やはりどこか寂しく感じる。 ぼんやりと天井を見ながら横になっているとやはり睡魔がすぐに迫ってきた。 夢の中でまた会えるだろうなどと、本人には絶対に言えないことを考えながらアルトはその心地よい誘いに身を任せた。 ********* 「あっ、起きた?」 冷やりとした感覚を気持ちよく感じた瞬間、アルトの意識が浮上する。 まだ重たいまぶたを押し上げると、目の前には先ほどまで夢の中で一緒だった彼女の笑顔があった。 「・・・しぇりる?」 「なぁに?あっ、今だけよ。後でちゃんと向こうに行くわ」 ぼんやりとしたまま名前を呼ぶとすぐに返事が返ってくる。 口を開こうとするアルトに何かを察したのか、すぐにシェリルが『今だけ』っと付け加える。 まだ納得はできなかったけれど、側にいて欲しい気持ちも確かにあったから、アルトは何も言わなかった。 病にかかると無性に人恋しくなるのはどうしてなのだろうか? 相手を巻き込みたくはないと危惧するくせに、いてもらえるとほっとする。 身体はまだずっしりと重く、動くのも億劫だったから、手の届く範囲にシェリルがいてくれることが嬉しかった。 「りんご買ってきたの。食べられそう?」 「・・・あぁ。少しもらう」 「そう。よかった」 アルトの返事にシェリルがにっこりと笑い、側に置いていた器を手に取る。 小さなティースプーンで中身を掬うと、ゆっくりとアルトの口元へ運ばれた。 器の中のりんごは、アルトが飲み込みやすいように摩り下ろされ、パウダー状になった氷の粒が入っている。 ほのかに甘いりんごの果汁と冷たい口当たりが、火照った身体に心地よい。 アルトが軽く咀嚼して飲み込むとシェリルが新たに一口分を掬ってくれた。 「・・・悪いな。」 「んー?でも、アルトが動けないのってなんだか新鮮だわ。いつも私がしてもらってるし、たまにはいいじゃない?」 1/4個分ほどを食べ終えたアルトがそういうとシェリルが嬉しそうに答えた。 優しい手がアルトの頭を何度も撫ぜる。 幼い頃を思い出させるその感覚にアルトが笑えば、シェリルも小さく微笑む。 何気ないことのはずなのに、それが異様に嬉しくて、でも、それをシェリルにあまり悟られたくなくて、アルトは顔が隠れるくらいまで布団を引っ張り上げた。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 アルトが隠れてしまったがために、二人の間には沈黙が下りる。 どんな顔で出て行けばいいのかも分からなかったから、そのままもう一度眠ってしまおうとしたアルトの額にコツンと何かがぶつかった。 おそるおそる布団をずらせば自分の顔のすぐ横にシェリルの顔があった。 「・・・・っ・・・」 反射的に叫びだしそうになった自身を必死の努力で押し込めると、アルトはドキドキしながらそっとその様子を眺めた。 アルトの好きな空色の瞳は閉じられ、何かを感じ取ろうとするかのようにシェリルはじっとしている。 髪と同じストロベリーブロンドの長い睫毛が時々ぱさぱさと音を立てた。 肌理の細かい白い頬。 すっと通った鼻。 ふっくらとした唇。 眺めれば眺めるほど愛おしくてたまらなくなる。 言ったらキスをしてくれるだろうかと一瞬考えたけれど、アルトはすぐにその考えを霧散させた。 「・・・・分からないわね。」 瞳を開いたシェリルが少し困ったように呟く。 何がだ?っと問えばシェリルが苦笑しながら『体温』と答えた。 意味が分からず、さらに問えば、矢三郎にそうするものだと教わったという。 違うの?っと首を傾げて訊くシェリルに一瞬どう答えたものかと考えたが、ある意味間違ってはいないので結局そのままにしておいた。 「だいぶ楽になったから、大丈夫だ。」 「ならよかった。明日には全部下がってるといいわね。」 「下がらなきゃちょっと困るな。」 「どうして?」 「軍も学校もできるだけ休みたくないからな。」 「そうなの。」 「まあな。」 アルトの答えにシェリルが少し考えるようなそぶりを見せる。 もう少しだけ寝るよっと言えば、シェリルがオヤスミっと言って、額に口付けてくれた。 ******** 唇に口付けて、その瞳を見つめれば少しはにかむ。 それを見つめた後で唇を割ると、甘い吐息と舌が絡む。 髪に手を差し入れて何度も何度も梳きながら、深く深く口付ける。 そして、お互いの熱が高まっていくのを肌で感じる。 首筋を辿って、胸元へ下り、乳房の先を愛撫する。 ピクン、と返ってくる反応を嬉しく思いながら下へ、下へと降りてゆく。 締まった腹部に頬を寄せて、下腹部を撫ぜ、もっと下へと下る。 秘部に口付ければ、恥ずかしそうに膝小僧を擦り合わせ、ぎゅっとシーツを握り締める。 そして、自分はソコを侵すのだ。 指をナカへと差し入れてクニクニと動かしたり、射しぬきを繰り返せば、甘い声が漏れる。 逸る心を精一杯押しとどめながら自分はその声を聞く。 指と舌に絡む愛液をナカへ塗りたぐりながら、奥へ奥へと入っていく。 しばらくそうしていると、やがて耐え切れなくなったシェリルがアルトを呼ぶ。 『おね・・が、い』と。 『いれて』と。 じんわりと涙が浮かぶ瞳に見つめられ、そう言われれば、アルトは優しくその頭を撫でる。 それが答えだ。 手と手を繋ぎ、ゆっくりとゆっくりと埋めていく。 離さぬようにと絡みつく内壁。 動くたびに震える身体。 途切れ途切れになりながら、何度も呼ばれる自分の名前。 全てがアルトを高めていく。 夢中でアルトもシェリルを掻きまわした。 けれど、何かがいつもと違う。 これ以上どうにもならないほどに熱は高まり、後ははじけるだけだというのに、何故か上り詰めることができない。 熱い感覚も絡む感覚もいつもと同じなのに最後の坂を駆け上がることができない。 もどかしくてたまらなくなり、ついつい手を伸ばす。 『ん?』 手に触れたのは、いつもと違う感触だった。 っと急に、心地よかった感覚が引いていく。 急いで後を追ってももう戻ってきてはくれない。 欲張りすぎて全てを失ったのだと実感したら、全身から一気に力が抜けた。 「・・・あぁ、夢か・・。ったく、なんてリアル・・な・」 目を開けた瞬間、映ったものは見慣れた天井だった。 残念そうな、少し切なそうな声でそう呟くとアルトは額に手を当てる。 先ほどの夢のせいかそれとも熱のせいかは分からなかったけれど、額には汗が滲んでいた。 「・・・はぁ・・」 思わず零れそうになった疑問。 風邪でダウンする前はほとんど毎日のようにシェリルとベットで戯れていたというのにこんな夢を見てしまうほどに自分は欲求不満なのだろうか? 限界を知らない自分の欲求が少し怖くなる。 シェリルが気付いて怯えたりしなければいいなとアルトはぼんやりと思った。 「・・・・ん?」 「ッタ・・・」 ごろりと寝返りを打とうとした自分の下半身が何かを蹴る。 慌てて布団の足のほうを見ると、こんもりと膨らんでいた。 「!!シェリル?!」 「・・・いたい・・」 一瞬真っ白になった頭を必死に動かし、とりあえず布団をめくるとソコには小さく身体を曲げたシェリルがいた。 っということは先ほど自分が足蹴にしたものは、必然的に彼女ということになる。 よく見ればしきりに頭を撫でていた。 「お前、何してんだっ?!・・・ってか、なんで肌蹴て・・・えっ?!」 自分の足元に蹲っていたシェリル。 そして肌蹴た自分の浴衣。 それから、気付かれたくない先ほどの夢。 いろいろなことがアルトの頭を一杯にしていく。 呆然としながらシェリルを見ると、涙を浮かべたその空色の瞳と目が合った。 一瞬の沈黙の後、ボンッと軽い爆発が起きたようにシェリルの顔が赤く染まり、視線が下へと反らされる。 それでもストロベリーブロンドからちょこっとだけ覗く耳たぶは同じくらい真っ赤になっていた。 それを眺めていたアルトが噴出しそうになる。 とりあえず、身体を丸めたままシェリルを上から被さるようにして抱きしめてみた。 途端にシェリルがジタバタと暴れだす。 その様子に笑いながらアルトはもう少しだけ力を込める。 布越しに感じる体温。 甘い髪の香り。 丸く、柔らかい肌の感触。 全てが愛おしい。 「また、兄さんに何か言われたのか?」 「・・・・っ・・・なんで、起きてるのよ。」 「眠っただけだからな。そりゃ覚めれば起きる。」 「だって・・・薬飲んでたじゃない・・・。」 「あれも調整してあるんだよ。・・・で、今度は何を言われたんだ?」 悔しいのか恥ずかしいのか、どっちなのかは分からないけれど、シェリルが下を向いたままもごもごと言いよどむ。 自分とシェリルのこととなるとアルトさんのために!と妙な使命感を燃やし、どこか間違った方向へ暴走しがちな義兄の考えることなど、今更シェリルに問わずともある程度は予想がつく。 それでもすこし騒ぐイタズラ心のままにアルトはシェリルをいじめてみる。 シェリルがすぐに答えられるはずもなく、また少しの沈黙が下りた。 「・・・アルト・・・と・・・」 「俺と?」 「~~~~~~っ」 「何?」 「・・・エッチ、したら、熱下がるってっ!!や、矢三郎さんが・・・」 「・・・・」 しどろもどろになりだしたシェリルが最後はやけっぱちのように早口でそう言った。 あらかじめ予想はしていたが、やはり間違いないことが分かると少しだけ複雑だ。 アルトは静かに天を仰ぐと、そんなことをシェリルに堂々と宣った矢三郎の脳内を半分本気で見てみたいと思った。 そして、そんなことにこんなにも簡単に引っかかるシェリルの頭の中も。 ミシェル。 俺は、流石にココまで世間知らずじゃないぞ。 俺よりひどいヤツがココにいる。 ばたばたと暴れるシェリルを抱きしめながら、心の中でアルトはそう呟いた。 「離しなさいよっ!風邪移るって言ってたじゃない!!」 「・・・・・・そうだな。」 抱きしめたまま離さずにいるアルトに向けてシェリルから非難の声が上がる。 必死にもがくシェリルの指摘にそれもそうだとアルトは我に返った。 力を緩め、敷いた身体の上から退いて床に座る。 するとすぐにシェリルがアルトをにらみつけてきた。 少しの時間とはいえアルトに羽交い絞めにされ、それを解こうと懸命に暴れたせいで、その瞳は潤み、頬はバラ色に淡く染まっている。 迫力など皆無だ。 思わずアルトが笑うと、シェリルが悔しそうに顔を背けた。 「・・・・離れるんじゃなかったのか?」 「言われなくてもそうするわよっ!!」 アルトがそう言うと反射的にシェリルがそう言い立ち上がる。 すたすたと歩く様子に少し寂しさを感じたけれど、シェリルは縁の先まで歩くとその場に正座した。 律儀にアルトの言うことを守りながら、あの場所で看病を続けるらしい。 未だに顔を顰めながらも自分が面倒をみるのだっといわんばかりのその態度に、嬉しさと笑いとが一気にアルトの胸にこみ上げてくる。 一瞬本気で息ができなくなった。 「ぐっ・・・げほっ・・ゴホッ・・」 思わず噴出しそうになったけれど、そんなところをシェリルに見られでもしたら今度こそ怒って部屋を出て行ってしまうに違いない。 アルトは慌てて笑いを噛み殺すけれど、間に合わず、それは盛大な咳がとなって部屋へと落ちる。 震える身体を見られるまいと、アルトはいそいそと布団に潜り込んだ。 「ねぇ、大丈夫?」 「・・・・・・・」 「・・・・アルト?」 急に潜ってしまったアルトにシェリルから心配そうな声がかかるけれど、答えは返ってこない。 当人は咳や熱に苦しむわけでもなく、笑いを抑えるのに必死なわけだから答えられるはずもないのだけれど、それをシェリルが知るはずもない。 自分が先ほど無理をさせたのだろうかと一瞬青ざめたシェリルは急いで席を立つと、矢三郎の元へと走った。 「・・・・っ・・・あれっ、シェリル・・・・?」 ようやく笑いを押し込めてのろのろと布団から這い出たアルトは先ほどまでいた場所にシェリルの姿がないことに驚き慌てて身を起こした。 布団から起き上がり、開いたままの障子戸の隙間から廊下の先を窺ってみても、耳を済ませても足音一つ聞こえない。 しんっと静まり返った部屋の様子に軽く息を吐くとアルトは身体から力を抜き、パタンッと布団へ倒れこむ。 自分の熱に温まった布団は火照った身体に少しだけ不快だった。 瞳を閉じて腕を伸ばし、布団の先をまさぐる。 どれだけ手を伸ばしても手に触れるのはシーツばかりだ。 頭では分かっているはずなのに、 誰 にも触れられないことがもどかしかった。 彼女 をこの手に抱きしめられないことがとても不満だった。 「アルト?」 自分を呼ぶ声にうっすらと目を開けると、開けっ放しの障子戸に手をかけるような形でシェリルが立っている。 慌てて身体をそちらに向けると、シェリルが目を丸くし、ほっと息を吐いたように見えた。 そして、そのまま障子戸を閉めるとゆっくりとアルトのほうへ歩いてくる。 傍に来てくれるのだろうと思ったアルトは急く気持ちを必死に抑えながらそれを待った。 アルトの枕もとに正座すると、シェリルはそっとアルトの額へと手を伸ばす。 触れたシェリルの手はヒヤリとしていて、氷のように冷たかった。 よく見ると、もう片方の手で小さい氷嚢を持っている。 「熱、上がったわけじゃないのね?」 「・・・なんで、そう思うんだ?」 「さっき、いきなり咳き込んで布団に潜ったまま返事をしなかったのは誰?」 「・・・・・・・・」 子供を嗜めるような口調にアルトが少しつまらなそうな顔をする。 無言のままこちらに来いという仕草をされ、シェリルがそっと顔を寄せると腕を一気に引き寄せられた。 咄嗟のことにシェリルがバランスを崩し、アルトの上へと倒れこむ。 シェリルが軽いためか、間に布団があるせいかあまり衝撃は伝わらなかった。 「・・った・・・もう、アル・・・」 背中に回された腕が強く、強くシェリルを抱きしめる。 引き倒されたことに文句を言いそうになったシェリルの口がゆっくりと閉じられ、小さく笑った。 「・・・なぁに?今度は甘えるわけ?」 「・・・・・」 シェリルの少し得意そうな問いかけにアルトは答えない。 アルトがシェリルを抱きしめたまま離す気がないことを悟ると、シェリルはゆるゆると肢体から力を抜いた。 抱きしめる力強い腕の感触に、シェリルがそっと目を閉じる。 やがて、シェリルの背中に回っていた片方の腕が離れ、その手が愛しむようにシェリルの頭を何度も、何度も撫でた。 一度撫でられる度に、温かな気持ちが胸に込み上げて来て、嬉しくてたまらなくなる。 抱きしめてくれる相手が愛おしくて、愛おしくてたまらなくて、少し胸が苦しくなった。 それを押し込めるように、シェリルは小さく足をバタつかせながらそっとアルトの胸があるあたりに顔を寄せる。 規則正しく布団が上下する。 アルトの体温が布団を通して伝わる。 頭を撫でる優しい手が、何度も何度もシェリルの心を一杯にしていく。 ずっと、ずっとこうしていたいと思った。 「・・・・シェリル?」 優しく名前が呼ばれる。 ゆっくりと顔を上げるとアルトがシェリルを見つめていた。 「何?」 問うシェリルに答える声はない。 けれど、アルトの言葉を伝えるように優しく右手がシェリルの横髪を撫ぜた。 一瞬の沈黙の後、シェリルがそっとアルトに近づく。 そして、静かにその唇が重なる。 触れるだけのキス。 気持ちを伝えるように。 言葉を伝えるように。 答えるように。 また、一つキスをする。 そっと触れ合うだけのキスをそうやって何度も何度も繰り返した。 「あっ・・・」 「?・・・んんっ――――!」 アルトの声に一瞬不思議そうに目を見張ったシェリルが、今度は少し苦しそうな表情になる。 いつの間にか髪に触れているだけだったアルトの手がシェリルの頭をがっちりと固定し、ほぼ無理やりのような形で唇を割られたのだ。 驚きに一瞬シェリルの身体がビクッと震えるけれど、口内を蹂躙する舌は絶え間なくシェリルを煽り続ける。 一度は拒むように突っ張った手からいつの間にか力が抜け落ち、されるがままになるシェリルの瞳がじんわりと潤んでいく。 アルトはそれをぼんやりと見つめた後で瞳を閉じ、手探りでシェリルの手を見つけ出す。 引き寄せ、繋いだ。 「っ・・・・・」 一度火のついた欲望は止まらない。 触れたいと思う気持ちが加速していく。 柔らかい髪 甘い匂い 潤む瞳 もっと、もっと見たくて、 もっと、もっと感じたくて、 もっと、もっとシたくなる。 一応抗ってはみたものの、うまくはいかなかった。 「ちょ・・・・と、アルトっ・・・」 「悪い・・・」 唇を離すとちゅっという軽いリップ音が立つ。 途切れる息を必死に整えながらなんとか声を発するシェリルをアルトがぎゅっと抱きしめるとシェリルが押し黙った。 「・・・シェリル」 「・っ・・・・・・ずるいんだから・・」 耳元で紡がれる切ない声に、ぞくりとする感覚が走る。 きっとこの先の行為に自分たちが溺れていくしかないのだということだけは分かっていた。 アルトがシェリルを布団の中へと引き込み、組み敷く。 一瞬の間をおいてもう一度キスをする。 先ほどまではそのことで頭の中が一杯になるほど緊張して、焦っていたというのに実際にこうやって向き合ってしまえば、不思議と心は安らぐのだ。 見つめた先の空色の瞳が小さく笑み、アルトもそれにつられる。 身体を繋げる行為がただ互いの欲望だけを満たすことでないのだと、毎回毎回教えてもらえる。 自分もシェリルに与えることができ、そして、シェリルも自分に与えてくれるのだ。 自分一人では得られない感情。 本当に愛する者としか分かつことのできない感覚。 ゆっくりと満たされていくその感覚は、何モノにも変えることができない。 愛しくて、 愛しくて、 ただ、愛おしくて。 その気持ちだけで一杯になる。 目を開ければ、少し恥ずかしそうにしながらも笑うシェリルにアルトの心がきゅっと縮む。 たまらないと思った。 止まれないっと思った。 「シェリル」 名前を呼んだ。 それから、布団に両手を付きその間に閉じ込めるようにしたシェリルの唇と額に軽くキスをした。 くすぐったそうに、でも嬉しそうに目を閉じて笑うシェリルにまた、アルトの心臓が軽く跳ねる。 首筋に頬を寄せて、ゆっくり、ゆっくり下へと降りていった。 シェリルのお気に入りの桜色のワンピースは胸元の切れ込みが少し深いから、軽く胸の谷間が見える。 外をシェリルと歩くたび、男共の視線が集まるような気がしてあんまり好きだとは思わなかったけれど、こうして自分だけの前ならやっぱり可愛いと思った。 つくづく若い男の独占欲なんて、子供の持つ独占欲の延長線上にあるものなのだと実感する。 自分だけに笑って欲しい。 自分だけを側において欲しい。 自分だけに、全てを預けてほしい。 きっと言葉にしたら笑われてしまうだろうから、絶対に口にはできないし、見せたくもない。 けれど、それでもやっぱりそういう感情は心にあるのだ。 こういう感情はいつか消えるものなのだろうか? それは分からなかったけれど、でも、それはそれで少し寂しい気もした。 「アルト・・・?」 「ん?」 「今、どっかに飛んでなかった?」 シェリルがアルトの名前を呼び、問いかける。 飛んだとしても一瞬のはずなのに、どうしてか分かってしまうのか、少し不思議だった。 視線でそれを訊くと軽く鼻先を摘まれる。 そして、『アルトもそうゆうときあるでしょ?』といわれた。 答える代わりに顔を肌へ寄せると、甘い匂いがする。 柔らかな膨らみの上部を啄ばみ、鼻先を使って服の内側へと押し入っていく。 小さい子犬みたいだとシェリルが笑った。 その首筋に軽く歯を立て、甘噛みする。 今度はその痕を優しく舐めると、シェリルが身をよじった。 左ひじを突き、シェリルの頬に触れながら、アルトは右手を使って服を引き下ろす。 まだ、下着に収まったままの右胸が覗いたとき、シェリルがアルトの手を止めた。 恥ずかしそうに視線を外しながら、服がダメになると小さく呟くシェリルにそれもそうだと思ったアルトが少しだけ身体を起こすと、シェリルもゆっくりと起き上がる。 裾に手をかけ、おずおずとワンピースから身体を抜いた。 淡い色をした上下の下着がほんの一瞬だけ垣間見えたのだけれど、すぐに着ていたワンピースをその胸元に押し付けるようにして隠してしまった。 今更だろ?っというアルトに、シェリルが慣れないのっと小さく反論する。 頬を真っ赤に染めたその様子がなんだか可愛くて、アルトはそのままシェリルを押し倒す。 ふわりとした浮遊感に、シェリルから小さな悲鳴が上がった。 鎖骨、右胸、わき腹、腰、そして、太もも。 なだらかなその流線を覚えるように手を這わせ、同じように胸元に唇を滑らせる。 触れるシェリルの身体はどこも柔らかく、そして、熱い。 まだ触れているだけなのに、ときどき『んっ』と息を詰める。 もっと、もっと聞きたくて、アルトは唇を下のほうへと滑らせていく。 少しだけ、シェリルに体を浮かせてもらって、背中のホックを外した。 下着を押し上げ、その柔らかさを堪能する。 先端を口に含んで転がせば、ぷっくりと立ち上がる。 シェリルの身体が震える。 感じてくれていることが嬉しかった。 だから、何度も、何度も、触れた。 「・・・シェリル。舐めて」 シェリルの口元に指を差し出すと、一瞬迷うように視線が揺らいだ。 それでも口を開き、先を少しだけ口に含ませる。 少しだけ覗いた真珠色の歯が反抗的にアルトの指先をカリッと齧った。 惑いながら窺うも、アルトの表情は変わらない。 やがて罪悪感が勝ったのか詫びるように丁寧にその痕を舐め始めた。 その様子はたまらなく艶やかだった。 「もっと。」 そう言って、もう少し指を押し込む。 自身しゃぶるソレが何に使われるかを感じ取ったシェリルは、少し複雑そうな表情を見せたけれど、もう抵抗しなかった。 ペロリ、ペロリと丁寧に舌が指を這う。 それを感じながら、アルトは再びシェリルを愛撫する。 胸を撫で上げて、揉んで、舌でくすぐる。 指を銜えさせられているせいで、閉じることのできない唇からしどけない声が上がる。 それがひどく耳に心地いい。 頃合を見計らって指を引き抜くと透明な液体が伝った。 それを乾かさぬまま、下肢を覆う下着の中へと入れると自分の指先に絡むものとは違う濡れた感触がする。 すぐに中に入れずに表面を撫で上げるとシェリルの身体が一際大きく震えた。 シェリルをそっと窺うと、羞恥に顔を真っ赤にして必死に目をつぶっていた。 そんな様子を見てしまうと、どういうわけかイタズラ心が刺激される。 アルトは静かに息を飲むと早く重なってしまいたいという欲望を必死に押し込めた。 「や・・やだっ、アルトっ・・・ぁっ・・・ンッ・・・」 指を上下に動かし、時々強く擦り上げると甘い声が漏れてくる。 くちゅくちゅと卑猥な水音が響くたびに声を殺すような音が聞こえてくる。 けれど、数秒後には堪えられなくなってまた零れだす。 あふれ出した愛液にアルトはそっと唇を寄せた。 舌でくすぐり、そっと吸うと口内に蜜の味が広がる。 指を這わせたり、舌で舐め上げるとシェリルの白く細い腕がシーツの上を滑り、シュッという音を立てた。 「ある・・・と・・あっ・・も、・・」 「まだ。」 「・・っ・・・」 途切れ途切れになりながら、先を願うシェリルに、アルトはそっけない態度で返す。 自分自身の押さえももうそれほど利かないことは分かっていたけれど、アルトは素知らぬ振りをした。 もっと、声を上げさせたい。 もっと、求められたい。 もっと、辱めたい。 膨らむ欲はその終わりを知らない。 ツプッと小さな音を立てて指を押入れかき回すと、シェリルの腰が揺れる。 アルトが教え込んできたから、アルトと繋がってきたから そう なるのだ。 くわえ込んだまま離さぬ様子を覚えながらアルトはナカを擦り上げる。 声になりきらない悲鳴の数々がねこの鳴き声のようにも聞こえた。 「・・・・ちょ・・だい?・・・あ・・・のっ・・・」 ギリギリの声にアルトが苦く笑う。 これ以上自分ももう我慢ができなかった。 下着を完全に取り払い、自分も下着を引き下ろす。 着ていたのは浴衣だったから思いのほか早く解くことができた。 太ももを抱え込み、自らの先走りに濡れたモノをその入り口へと押し当てるとソレを感じ取ったらしく軽く引きつく。 宛がわれたものを早く飲み込みたくてたまらなかったらしく、シェリルがもどかしそうにピクピクと反応する。 ほんの一瞬だけもっといじめたいとも思ったけれど、本当に泣かれてしまいそうだったから止めた。 代わりに勢いよく埋めてやる。 「や・・・あ、あっ・・・・・ん」 上がる甘い吐息と音にアルトの中の何かが沸き立つ。 ゾクッとする感覚が背筋を這い上がると共にアルトを達させようとうごめく内壁に思わず息を呑んだ。 熱い。 頭に浮かんだのはソレだけだった。 身体が熱くて、 触れているシェリルの身体が熱くて、 互いを繋ぐ部分が熱くて、どうにかなってしまいそうだ。 トロトロに溶かされてしまいそうな思考を必死に掻き集めながらアルトは必死にナカを穿った。 狭い中を奥へ奥へと押し分けて進み、より深い場所へと潜り込む。 きゅうきゅうと締め付けられるたびに強くなる吐精感を必死に押さえ込んだ。 「くっ・・・・あっ・・・」 「ン、ぁ・・・はぁ、・・・ぁ・・」 揺さぶられ、声が掠れる。 否応なしに寄せる官能の波に全てを持っていかれそうになる。 それは何度経験しても同じものはないから、次にどうなってしまうか分からないという不安は消えない。 律動の速さはだんだんと増していき、次第に何も考えられなくなる。 うっすらと開いた瞳に映ったアルトの姿だけがシェリルを少し安心させてくれた。 「ぁあっ・・・・っ」 安心した途端、箍が外れた。 押し寄せる波はその限界で飛沫となり、シェリルを押し流してゆく。 自身を取り巻くふわふわとした心地よさを感じると共に、アルトの熱が自らの内で弾けたのを感じた。 とくとくと注がれる感覚に意識が再び霧散しようとする。 それに必死で抗ってみたけれど、その攻防も長くは続かなかった。 優しい腕が自分を包み込んでくれるのをぼんやりと感じながらシェリルはそっと夢の中へ落ちてゆく。 柔らかく波打つストロベリーブロンドに埋もれながら眠るシェリルの頬にアルトが大切そうに触れ、影を落としていた横髪を軽く撫でてやる。 露になった顔に満足げに微笑むアルトにもゆるゆると眠りの誘いが下りてきた。 少し前の季節に咲き誇った花と同じ色と甘い香りに包まれながら二人は安らかにまどろむ。 END 09/05/24 加筆完了です。長い文にも関らず、読んでいただいてありがとうございました。