約 1,554,641 件
https://w.atwiki.jp/nicorpg/pages/2649.html
おじゃる丸だとおおおおお!!!??? -- 名無しさん (2008-06-15 19 00 54) おじゃる丸じゃないかwww -- 名無しさん (2008-06-15 19 01 26) ピコ麻呂は貴族だったのでおじゃるか!!!? -- 名無しさん (2008-06-15 19 05 36) 烏帽子といったらコレしかw -- 土反(描いた奴 (2008-06-15 19 06 22) つまり次の装備はしゃくですねわかります -- 名無しさん (2008-06-15 19 07 18) つまり、大量に買ってくるコッペパンもこの中に・・・うげぇwww -- 名無しさん (2008-06-15 19 11 26) おじゃる丸ww -- 名無しさん (2008-06-15 21 56 27) ピコ麻呂はおじゃる丸だったのか! -- とおりもん (2008-06-15 22 11 08) おじゃるまるwww -- 名無しさん (2008-06-15 22 24 18) 吹いたwww懐かしいなw -- 名無しさん (2008-06-15 22 31 29) メラクソ吹いたwwwwwアイデアが秀逸すぎるwwwww -- 名無しさん (2008-06-15 22 36 07) おじゃるってわかるお前らがすげーよwww -- 名無しさん (2008-06-15 23 08 43) あれだけの量のアイテムをどうやって持ち歩いてるのかという疑問が今晴れた -- 名無しさん (2008-06-16 01 41 18) ↑9 『死』のしゃもじですね、わかりま……ん? -- 名無しさん (2008-06-16 16 57 18) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/wizon-oyn/pages/47.html
4/22<第2回チキチキかくれんぼ大会> メリィ・ウェザー&バロウバロウが合併してから初めてのイベント! 第2回ともあって賞金も前回の250%↑↑その分難易度も前回より格段にUP↑↑ スタート前から熱気に包まれていました☆ 今回もご参加いただきありがとうございました! 【ルール】 港町イルファーロから2名を捜索し、次のヒントを得る。 2名のヒントから、”ゴールへのヒントを教えてくれる人”を捜し、ヒントを得る。 ヒントから、ゴールを目指す! 【集合写真】 商品 1等:リアンノさん(明け色の陽射し):4Mゴールド&スーパーヘヴィベルト 2等:violaさん(明け色の陽射し):火ジェム+3&+5 3等:destinyさん(明け色の陽射し):ヘヴィーアクス+7&LUK+1ジェム 4等:sheel(おじいちゃんと愉快な仲間):女神スフィア×3&500Kゴールド 5等:うなさん(明け色の陽射し):死神スフィア×3 6等:コッペパン21号さん(DarkSideCompany) 7等:よへさん(おじいちゃんと愉快な仲間) 8等:きんPさん(よるむんがんど!) 9等:ぷっちょさん(おじいちゃんと愉快な仲間) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/touhou_gaiaku/pages/31.html
https://w.atwiki.jp/matome3435/pages/299.html
ミスタードーナツと蒸しパンと姪 2009年5月16日 (土) 妹(三女)と妹(次女)の家へ。 ミスタードーナツをお土産に。 黒糖蒸しパンは、次女の家に着いてから(材料と蒸し器持参で)作りました。 今日は車二台で出発。三女は私の後ろにぴったり、連結したようにくっついて、 高速道路も私を見失うことなく、三女宅に無事到着。 夕方姪ちゃんを連れて帰宅。久しぶりに、今週末は姪ちゃんが我が家にお泊まり。 晩御飯は、お肉と蟹どちらが食べたい?と姪ちゃんに聞くと、 「今日はね~ワタシ、パスタが食べたい気分なの~」ということで、 これからお食事→温泉へ。 (写真掲載は控えます) おいしいもの かなえキッチン : ごはん日記 2009年05月
https://w.atwiki.jp/wiki7_vipac/pages/131.html
https://w.atwiki.jp/soulkurosin/pages/68.html
都城市を中心に活動するピースフルバンド。いろいろなイベントにひっぱりだこ。
https://w.atwiki.jp/soreike_anpanman/pages/47.html
月別 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 話数 サブタイトル 放送日 549 A アンパンマンとギョーザくん 01/07 B ナガネギマンとしらたき姫 550 A ホラーマンとおことちゃん 01/14 B うなどんまんとぎゅうどんまん 551 A クリームパンダとらんぼうや 01/21 B おむすびまんとホラーマン 552 A ばいきんまんとタータン 01/28 B プリンちゃんとまほうのお城 553 A やきそばパンマンとおこのみやきまん B ナットーマンとおくらちゃん 554 A クリームパンダとリトルジョーカー.? 02/04 B バタコさんとワッフルちゃん.? 555 アンパンマンのマーチ 02/18 556 しょくぱん王子とてんどん姫.? 02/25 557 A ばいきんまんとフルーツパフェちゃん.? 03/03 B だいすき!アンパンマン.? 558 クリームパンダとつみきの城.? 03/10 559 A クリームパンダとはるかぜさん.? 03/17 B おしんこちゃんとちゃわんむしまろ.? 560 A おしるこちゃんとどんぶりまんトリオ.? 03/24 B ぼくのロールパンナおねえちゃん.? 561 A ホラーマンとゴミラ.? 04/07 B アンパンマンとタンポポちゃん.? 562 A カレーパンマンとニガウリマン.? 04/14 B ジャムおじさんのひみつ.? 563 A しょくぱんまんとふでじいさん.? 04/21 B ばいきんまんとなみだちゃん.? 564 A ホラーマンとたぬきおに.? 04/28 B アンパンマンとジャスミンさん.? 565 A クリームパンダとかしわもちまん.? 05/05 B アンモナイトくんと砂男.? 566 A しらたき姫とどんぶりまんトリオ.? 05/12 B ドキンちゃんとカレンちゃん.? 567 A クリームパンダとやみるんるん 05/19 B あかちゃんまんとたぬきおに 568 A てんどんまんのてんどん先生.? 05/26 B ドクター・ヒヤリとスケテルマン.? 569 A かつぶしまんとおばけねこ.? 06/02 B ばいきんまんとピカルンルン.? 570 A おしんこちゃんとたくわん和尚.? 06/09 B メロンパンナのひみつの花畑.? 571 A あかちゃんまんとナガネギマン 06/16 B ナットーマンとノリノリのりへい 572 A アンパンマンとびいたん 06/23 B カレーパンマンとプリンちゃん 573 A ニガウリマンとかまめしどん 06/30 B ドキンちゃんとあじさいさん 574 A ドキンちゃんとまほうのランプ 07/07 B ホラーマンとバイキン仙人 575 A こむすびまんとびいたん 07/14 B カツドンマンとカツサンドくん 576 A ハンバーガーキッドとカップラーメンマン 08/04 B クリームパンダとコアンコラ 577 A SLマンとフラッペちゃん 08/11 B 鉄火のマキちゃんとちゃわんむしまろ 578 A ほたる姫とほたる王子.? 08/18 B ドキンちゃんとリーナちゃん.? 579 A よわむしおばけのビクビクちゃん.? 08/25 B ばいきんまんとナットーマン.? 580 A ばいきんまんとぶたまんまん.? 09/01 B クリームパンダとおもちゃてんし.? 581 A やきそばパンマンとクリームパンダ.? 09/08 B アンパンマンとセロリくん.? 582 A バイキン仙人とやさしいばいきんまん 09/15 B ホラーマンとはみがきまん 583 A しらたき姫とスキヤキの里.? 09/22 B ばいきんまんとかみなりピカタン.? 584 A ばいきんまんとドリアン王女 09/29 B たぬきおにとけんちん和尚 585 A ナンドバッドとまほうのランプ 10/13 B ばいきんまんとビスケットちゃん 586 A アンパンマンときのこまん 10/20 B ゆず姫とめいけんチーズ 587 A カレーパンマンとピラフちゃん 10/27 B アンパンマンとマーガレット姫 588 A アンパンマンとピーマントリオ 11/10 B アンパンマンとバイキンミミ先生 589 A やきそばパンマンとニガウリマン 11/17 B メロンパンナと妖精リーフ 590 A メロンパンナとアイアンロボ 11/24 B アンパンマンとミスター・ヨーグルト 591 A あざみちゃんとホラーマン 12/01 B ばいきんまんとチェロヒキーさん 592 A ウーロンさんとジャスミンさん 12/08 B ドキンちゃんとつららちゃん 593 A しらたき姫とナベぶぎょう 12/15 B クリームパンダとユキダルマン アンパンマンのクリスマスショー 12/22 【このページのトップへ】
https://w.atwiki.jp/reversus/pages/70.html
しばらく休止気味です イサックマーダー???? しばしハマッテルゲーム ↓ボーダーブレイク公式 http //borderbreak.com/ ↓ボーダーブレイク Wiki http //www12.atwiki.jp/borderbreak/ 簡単に説明すると10分内の攻城戦です。 兵種4種類からえらべて死んでも時間内なら出撃可能。 撃破・占拠・コア攻撃などでポイント稼いで順位がきまります。 500円~600円で約30分(約3戦分) 気になる方は100円でチュートリアルプレイ試せますのでど~ぞ! ただ・・金の減りも早い事は確か・・w 今日からル・シエル・ブルーで浮気しときます(’’
https://w.atwiki.jp/divingshop/pages/1828.html
フリージャム 〒810-0014 福岡県福岡市中央区平尾1丁目13-19 ニューライフ平尾1F http //www.freejam.jp/
https://w.atwiki.jp/tarowa/pages/382.html
人形劇 ◆ew5bR2RQj. 「フン、味気のないパンだ」 山小屋の一室でパンを齧りながら呟く狭間。 彼が食しているパンは、全ての参加者に支給された物と同じ。 原料のほとんどが小麦粉で、中にジャムもマーガリンも入っていないコッペパン。 口腔内でもそもそと貼り付く味気ないそれは、はっきり言ってしまえば彼の口には合わなかった。 それにコッペパンは値段が安いためか、週に一回以上は学校給食でその姿を見せていた。 ジャムもマーガリンも支給されず、量だけは無駄に多かったコッペパン。 食べ切れずに残そうとした彼を教師は許さず、給食の時間が終わっても彼一人だけは昼休みは訪れない。 そんな苦い思い出を連想させられ、彼は憎々しげに表情を歪めた。 「ふぅ……ようやく一段落ね」 気怠そうに溜息を吐きながら、水銀燈が部屋の中に侵入してくる。 その手にメロンパンを携えながら。 「そのメロンパン、どうしたのだ?」 「私の支給品よ。ロクなものしかないと思ってたけど、今は感謝するべきかしらね」 狭間のコッペパンを一瞥する水銀燈。 安い挑発ではあったが、機嫌の悪かったためか癪に障った。 もし各参加者に支給された食料が全て同じでなく、あえて自分にコッペパンを支給していたのだとしたら。 彼はV.V.を徹底的に潰しにかかっていただろう。 だが彼女の言葉を聞き、彼はその矛を収めることにした。 (どのみち奴は潰すがな) 魔神皇たる自分を、このような催し物に参加させたのだ。 ただの人間の子供の身に余る蛮行。 自分は支配する側であって、支配される側になるなど有り得ないのだ。 「あの男はどうした?」 「入口で見張りをしてもらってるわぁ」 狭間は山小屋に到着してすぐに食堂に赴いたが、水銀燈とスザクは玄関で打ち合わせをしていた。 その時に彼を見張り役に任命したのだろう。 食堂の窓から入口を眺めると、そこにはスザクの姿があった。 「…………」 何をするでもなくその姿を眺めていると、視線に気付いたスザクがこちらに振り向く。 すると彼は爽やかな笑みを浮かべ、嬉しそうに手を振り始めた。 「フン……」 窓から視線を逸らし、手に残ったコッペパンを一口齧る狭間。 無味簡素な味が口腔内に広まり、思わず顔を顰めた。 「ん?」 コッペパンを必死に咀嚼している中、甘い匂いが狭間の鼻を刺激する。 お菓子の中でも一大ジャンルを築き上げ、誰もが一度は食したであろうお菓子――――チョコレート。 彼にとっても馴染みある匂いは、彼の横にいる水銀燈の持つ板チョコレートから放たれていた。 「あら、気になるの?」 嘲るような視線を送ってくる水銀燈。 彼女のチョコレートを羨んでいると思っているのだろう。 全く欲しくないといえば嘘になるが、必死になって求めるものでもない。 人間を超越した狭間にとっては、食事などその程度でしかないのである。 「メロンパンの次はチョコレートか、随分な支給品だな」 「フフッ、これは私の支給品じゃないわよ?」 「ほう、誰かから奪ったのか」 「いいえ、スザクに交換してもらったのよ」 水銀燈が頬張っている板チョコレートは、元々スザクの支給品である。 これの交換を行っていたため、彼女は食堂に来るのが遅れたのだ。 「交換か、君は何を出したのだ?」 「さっきから妙なことばかり気にするわね、貴方」 「私の質問にさっさと答えろ、人形」 狭間がこんな質問をしたのも、ただの暇潰しのため。 味気ない食事を少しでも彩るための道楽――――のはずだった。 「まぁどうでもいいことだし教えてあげる。貴方が食べてるそれと同じものをあげたわ」 貴方が食べてるそれと同じもの。 それは全参加者に配布された食料であるコッペパンのこと。 狭間がそれを聞いた時、真っ先に思ったのは"割りに合わない"だ。 全参加者に共通で配布されたものと、三つしかない支給品のうちの一つ。 同じ食料であるからこそ薄れているが、これが剣や銃などであればその不公平感は一目瞭然だろう。 「あの男は随分とお前に惚れているのだな」 「そうねぇ、綺麗過ぎるのも困っちゃうわぁ」 返答に失笑する狭間。 「なにかしら? ひょっとして馬鹿にしてる?」 「いや、魅了魔法をかけている口がよく喋ると思ってな」 水銀燈の顔が歪む。 「……気付いてたの?」 「魔神皇たるこの私を欺けると思っていたのか、欺瞞だな」 怒気を孕んだ表情から一転、彼女の顔はだんだん焦燥に変わっていく。 スザクにこの事実を伝えられるか、あるいはこれを盾に脅迫してくることを危惧しているのだろう。 「安心しろ、私はお前をどうこうしようと思っているわけではない」 だからそれを真っ先に否定してやると、彼女の顔から焦りの色は抜けていった。 その浅ましさには反吐が出るが、わざわざ自分から干渉しようとは思わない。 スザクに僅かな憐憫の情を感じるが、所詮は他人なのだ。 「だが、一つだけ聞かせろ」 それでも、一つだけ尋ねておきたいことがあった。 「君は枢木スザクを愛しているのか?」 交差する視線。 数秒間の静寂の後、水銀燈がふと笑う。 「愛してるわけないじゃない」 そして、そう吐き捨てた。 「私が愛しているのはお父様だけ、スザクはあくまで下僕よ」 「……」 胸の奥底にある記憶、思い出したくもない記憶。 ――――な、何の用? ハザマくん。 ――――……こ、これを……君に、読んでほしいんだ。 ――――て、手紙……? ――――た、確かに……渡したよ か、必ず読んでね…… 彼はクラスメートの一人、アキコという少女に恋をした。 必死に文面を考えて、自分の真剣な思いを綴ったラブレター。 アキコを放課後の教室に呼び、逃げ出したくなるのを堪えてラブレターを渡した。 ――――やったじゃんアキコ、ラブレターなんて、やるぅ ――――冗談じゃないわよ、ネクラなハザマの手紙なんて読むわけないじゃない。あんな何考えてんだかわかんないヤツ相手にしてたら、こっちまでおかしくなっちゃうわよっ! だがその思いは、読まれることすらなく引き裂かれた。 ――――あーっ、ヒッドーイ! 何も破り捨てなくったっていいじゃん。ウフフ…… ――――アハハ…… 「……君は、本当にあの男に何の情も感じていないのか?」 「なによさっきから、もしかして貴方……スザクに同情してるの? アハハハハ! あんな大層な口叩いてたわりには随分と甘いのねぇ」 大声で笑う水銀燈。 甲高い笑い声がアキコを連想させ、彼の胸の中に払拭しがたい汚泥のような感情を呼び戻す。 最初は耐えようと思った。 しかし気が付いたら、自分が立ち上がっていることに気付いた。 食べかけのパンを放置し、彼はそのまま食堂の扉まで直行する。 「……なんのつもりかしら?」 「君と組むのはやめだ、私は抜けさせてもらう」 明確な敵意を乗せた視線が狭間に突き刺さる。 だがその奥にあるのは焦燥。 溢れんばかりの敵意も、それを悟られないための隠れ蓑に過ぎない。 目の欠損を一瞬で治療するほどの力を秘めた狭間を、是が非でも手中に収めておきたい。 そんな彼女の思惑を、彼は見抜いていた。 「君と一緒にいると虫酸が走る、それだけの話だ」 「そんなにスザクの心を奪ったのが気に入らなかったかしら?」 狭間は答えない。 「貴方なら理解していると思ったのだけれどね この戦いの勝者は一人だけ、勝ち残るためならどんな事だってする、そうでしょう?」 彼女の言葉の端から見受けられるのは、狭間に対する憐憫と落胆。 どこか見下したような笑みが、彼の苛立ちをさらに加速させる。 「そういうところに虫酸が走ると言っているのだ 君は魔神皇たるこの私の仲魔として、君はあまりにも醜すぎる」 そう言い残し、扉の取っ手に手を掛ける狭間。 顔の近くを黒いものが横切ったのは、その直後であった。 「何の真似だ?」 「この私が……醜いですって?」 他者を小馬鹿にするような態度が消え、肌を焼くような怒気を彼女は顕にしている。 先程までの焦りを隠すための中途半端な敵意ではない。 これは敵意というよりは、もはや殺意を言うべきだろう。 彼が最後に放った”醜い”という言葉は、彼女のローゼンメイデンの誇りを踏み躙る禁句であったのだ。 「もういいわぁ、私も貴方と同意見だもの……貴方といると虫唾が走るってね! ここで死になさい!」 言い放つと同時に飛翔し、数十本の黒羽を一気に発射する水銀燈。 広範囲に満遍なく撃ちこまれた黒羽は、食堂という狭い空間を埋め尽くす。 「この私を本当に倒せるつもりか? 傲慢だな、マハジオ!」 しかし狭間が怖気づくことはなく、右手を掲げると同時に一言呟く。 すると掲げた右腕から電撃が放射され、周辺一帯の黒羽を次々と撃ち落とし始める。 マハジオは威力は低いものの、広範囲に渡って電撃を放射できる魔法。 一帯を埋め尽くしていた黒羽は、その全てが地面に叩き落されていた。 「この程度か出来損ない! マハジオ!」 再びマハジオを発動する狭間。 小柄な身体と飛翔能力を活かし、水銀燈は電撃の隙間をくぐり抜けて回避する。 だが攻撃に転じる隙はなく、瞬く間に部屋の隅に追いやられてしまう。 「舐めるんじゃ……ないわよ!」 追い詰められた苛立ちをぶつけるように、勢いよく黒翼を羽ばたかせる水銀燈。 すると突風が発生し、並べられた椅子をいくつか吹き飛ばす。 吹き飛ばされた椅子は電撃と衝突し、ピシッと甲高い音を立て爆散した。 「ほう、少しは知恵が回るようだな」 「今の貴方に喋っている余裕があるのかしらぁ?」 彼女の言葉に首を傾げる狭間だが、すぐにその真意を理解することになる。 人間にとって絶対的な死角の一つである頭上。 そこに椅子が迫っていたのだから。 「チィッ!」 細身の身体を翻す狭間。 電撃から自身を守る防御と同時に、相手の頭上に椅子を巻き上げて攻撃に転じる。 先ほどの彼女の行動は、攻防一体を備えた挽回策であったのだ。 数瞬前まで自分が立っていた場所に椅子が落下するが、彼女の狙いが理解できるからこそ素直にそれを喜ぶことができない。 「行くわよ!」 突き上げるように迫る刃。 彼が回避に集中している瞬間、彼女は自身の翼から両刃の剣を精製。 手早く彼の懐に潜り込み、喉元への一撃を繰り出したのだ。 魔法という飛び道具に頼った彼の戦術は、彼女のライバルである真紅の戦術と酷似していた。 真紅を倒すことを渇望している彼女は、真紅のあらゆる戦術に対して対抗策を練っていた。 似た戦術を駆使する狭間を相手するには、それを応用することで互角以上に立ち回ることができる。 「出来損ないの分際で……ッ!」 仰け反ることで一撃目を回避。 逆十字を模した剣が、視界の先を掠めていく。 そしてすぐに繰り出される二撃目。 上空からの急降下、そこから右斜に振り下ろす斬撃。 「驕るな!」 腰に携えた日本刀を抜刀し、彼女の斬撃を受け止める狭間。 金属同士を擦り合わせた際に発せられる、特有の嫌な感触と音が精神を揺さぶる。 だが互いに一歩も引かず、両者の間に均衡が訪れる。 目の前の女を切り裂くため、彼が込めるのは憤怒と侮蔑の感情。 狭間の行動源とも呼べる負の感情は、少しずつ水銀燈の剣を押し返し始める。 「なん……で……」 彼女の持つ剣の刀身に亀裂が入り、拮抗している部分からポロポロと崩れていく。 刃こぼれを起こしたがため、正確に力の伝わらない刃を返すのは容易い。 狭間が少し力を加えると、均衡は完全に破れて彼女は吹っ飛んでいった。 「あんな細い身体の何処にあんな力が……!?」 彼が勝利できた理由は単純な力勝負だけではない。 彼が抜刀したのは天下の大泥棒ルパン一味の剣士、石川五ェ門の愛刀――――斬鉄剣。 鋼鉄すらも紙のように切断する業物に比べれば、彼女の剣は玩具にも等しいと言わざるを得ない。 だがそれ以上に彼の内にある負の感情が、勝敗を動かしたといっていいだろう。 狭間にとって、水銀燈は存在を否定してやりたい程の相手になりつつあった。 「くっ……けどまた椅子を吹き飛ばせば!」 せっかく詰めた距離を容易く戻され、彼女の顔の焦りの色は濃くなる。 飛翔と同時に黒翼を展開し、再び突風を発生させようとする水銀燈。 「マハラギダイン」 だがその直前、彼女の周辺一帯を巨大な炎が包み込んだ。 「この私を相手にして、同じ手が二度も通用すると思ったか?」 炎系の魔法において、最強の威力と攻撃範囲を持つマハラギダイン。 瞬く間に炎は部屋中を広がり、狭間以外の食堂内にあるものを全て呑み込もうとする。 攻撃に利用してやるつもりだった机や椅子も例外ではなく、炎の海に呑み込まれて跡形もなくなっていた。 彼女が炎に呑み込まれなかったのは、全くの偶然だったと言えるだろう。 「ほら、次はどうするのだ?」 上空にいる水銀燈に狙いを定めるよう、肩よりもやや上方に手を掲げる狭間。 床を灼熱の炎が蠢き回っている以上、彼女は着地することはできない。 そして壁や天井にも引火しているため、行動範囲は著しく制限されている。 この状況で再びマハラギダインを発動すれば、彼女が炎から逃れることは不可能だろう。 だが、ここで再び幸運の女神が微笑んだ。 「これ、は……?」 天井から突然水が降り注ぎ、部屋全体をのたうち回る炎を消火し始める。 一瞬呆然とする水銀燈だが、すぐに冷静さを取り戻して天井を仰ぐ。 そこにあったのは、ひたすら散水を続ける円状の機械――――スプリンクラー。 それによる消火作業は素早く、瞬く間に炎は鎮火されていく。 「アハ……アハハハハハハハハハハ! 残念だったわね! スプリンクラーを見逃すなんて貴方も間抜けね!」 「…………」 心の底から嬉しそうに笑う水銀燈。 床の炎は完全に鎮火され、彼女は悠々と黒焦げた床に降りていく。 そして彼女にとっての追い風はまだ終わらない。 「水銀燈!」 パリン、とガラスが割れる音。 青いマントをはためかせ、窓ガラスを蹴破って内部に闖入してくるスザク。 彼は愛する水銀燈を守れるよう、彼女の目の前に着地する。 「大丈夫かい、水銀燈!?」 「えぇ、大丈夫よ、ちょっと服が濡れちゃったけど」 「なにがあったか説明してもらってもいいかな?」 「……ハザマが裏切ったのよ」 彼女がそう言うと、スザクはくるりと身体を反転させる。 「それは本当かい、イデオ?」 初対面の友好的態度など微塵も感じなられない、敵意と軽蔑の込められた視線。 普段の彼ならば、もう少し思慮深い行動を取っていただろう。 だが今の彼にとっては水銀燈が絶対であり、彼女に仇なす者は誰であろうと容赦はしない。 狭間は彼の質問に答えぬまま、突き刺さるその視線を逸らす。 長い沈黙が場を支配する。 「……残念だよ、君とはいい友達になれると思ったのに」 スザクの表情を彩っているのは悲しみ、だがすぐにそれは怒りに変わる。 一見すると表情豊かであるが、狭間の目には虚ろに見えた。 「水銀燈、指示を」 「貴方は正面から突っ込んでちょうだい、それでいいわ」 スザクはそれだけ聞くと、腰を浅く落とし左脚を半歩ほど下げる。 「行くわよ、ハザマ!」 言葉と同時に、水銀燈の双翼から二頭の黒龍が生まれる。 二頭の黒龍は顎を大きく開き、側方から狭間の元へと疾りだす。 間髪入れずにスザクが跳躍し、彼女の言葉通りに正面から飛び蹴りを繰り出す。 三方向からの同時攻撃、回避するのは極めて難しいだろう。 (哀れだな) 憐れむような視線を、スザクへと突き付ける狭間。 右手を掲げ、呪文を詠唱する。 「マカラカーン」 狭間の右手に展開される半透明の盾。 黒龍達は雄叫びと共に盾へと突っ込んだのも束の間、次の瞬間には転回してスザクの元へと向かっていく。 「え?」 マカラカーンは魔法攻撃を反射する魔法。 いくらスザクの身体能力が優れているとはいえ、空中で黒龍達から逃れる術はない。 黒龍達は無抵抗の彼を容赦無く呑み込みながら進み、そのまま食堂の真っ白な壁へと激突した。 「がはっ!」 壁に叩き付けられ、吐血しながら蹲るスザク。 己の最高の技を容易く反射され、呆然とする水銀燈。 その間隙を縫って、狭間が更に魔法を発動する。 「ブフ」 唱えた瞬間、彼の右手から冷気を圧縮した小さな弾丸が飛び出る。 水銀燈はすぐさま回避行動に移るが、初動の遅れは大きく冷気の弾丸は彼女の右翼を貫いた。 「ッ! でもこの程度なら!」 ブフは氷結系の魔法の中では最下級の魔法。 弱い悪魔ならまだしも、少し強い悪魔になるとほとんどダメージを与えられない。 その証拠に彼女はまるで平然としている。 だが、彼女が異変に気付くのはそう遅くはなかった。 「な、なにこれ!?」 右翼をいくら動かそうとしても全く動かない。 身体の一部から不快な異物へと、まるで石になってしまったかのよう。 いや、この例えは決して間違いではない。 根元から先端まで、彼女の翼は完全に凍結していた。 「そんな、なんで!?」 「君は……この私が本当にスプリンクラーを見逃すなどという愚行を犯したと思っているのか?」 空中をふらふらと彷徨う水銀燈を、口端を吊り上げて心底見下したように笑う狭間。 スプリンクラーがあるのを把握していながら、彼はあの場面であえてマハラギダインを使用したのだ。 幸運によって彼女が危機を脱したように思えたが、それすらも彼の演出に過ぎなかった。 氷結系の魔法は威力に関わらず、命中した相手を凍結させる効力を持つ。 天井から降り注ぐ水で濡れていた彼女は、非常に凍結しやすい状態になっていたのだ。 「まさか、貴方そこまで!?」 「ようやく気付いたか、鈍間め。そもそもこの私が本気でマハラギダインを使えば、この程度の小屋など簡単に焼き尽くせる」 彼は嘘は吐いていない。 もし魔神皇の真の姿を見せていれば、この山小屋は簡単に焼失していただろう。 ならば何故彼は最初からこの方法を取らず、わざわざ周りくどい手法を取ったのか。 それは彼女に偽りの希望を抱かせ、より高いところから叩き落すためだ。 水銀燈という存在は、それほどまでに彼の中で許せないものになっていた。 「イデオォ!」 片翼の先端を狭間に向ける水銀燈。 だが黒羽を発射するよりも早く、冷気の弾丸が彼女の左翼を突き抜けていく。 両翼が凍りついた彼女は浮遊していられず、這いつくばるように地面へと堕ちる。 寒さに体力を奪われ、両腕に力が入らない水銀燈。 それでも立ち上がると、そこには狭間の姿があった。 「やめ、ろ……」 壁に背中を預けながら、血塗れの口で懇願の言葉を述べるスザク。 狭間は憐れむようにそれを一瞥し、すぐにまた水銀燈へと戻す。 そして腰に携えた斬鉄剣を、ゆっくりと鞘から引き抜く。 「やめろおぉッ!!」 恐怖に怯えるような表情をしながら、スザクは一目散に駆け出す。 かつて目の前に愛する者を殺害されたトラウマが、目の前で再び再現されようとしているのだ。 またあの絶望を味合うくらいなら、自分が盾になる。 そんな思いを抱き、愛しい人の元へと駆けるスザク。 だが、その脚は唐突に止まる。 「な、なんで!?」 自分でも身体が動かない理由が分からないのか、スザクは顔を真っ青にして狼狽えている。 そんな彼の瞳が赤い輝きを放っているのを、狭間は傍目に捉えていた。 「……」 斬鉄剣を腰溜めに置き、後方に下げる。 「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」 そして、容赦なく斬鉄剣を突き出した。 「あ……あぁ……」 突き出された斬鉄剣は水銀燈の腹部に貫き、背中からその刀身を見せる。 彼女の瞳孔は一瞬見開かれ、ゆっくりと閉じていく。 狭間が斬鉄剣を引き抜くと、彼女は糸の切れた人形のように崩れ落ちた。 「イデオオオオオオオォォォォォォォォォッ!!」 両目に涙を溜めたスザクが、鬼神の如き表情で迫り来る。 突風と見間違うかのような速度の彼は、常人の目には写ることすらないだろう。 だが狭間は常人ではなく全魔界を制する魔神皇であり、ただ速いだけの直線的な動きを見切ることは容易い。 「ドルミナー」 スザクに向けて放たれた魔法は、対象者を眠りの世界へと誘う魔法。 感情の赴くまま直線的に動いていたスザクに、これを避けることはできない。 「イデ……オ……ッ!」 強烈な眠気に襲われ、スザクは地面に這いつくばる。 それから眠りに落ちるまで数十秒。 彼は憎悪に心を尖らせて、最後まで狭間を睨みつけていた。 「……ようやく終わったか」 腹部に穴を開け、仰向けに倒れる水銀燈。 這いつくばるように、うつ伏せになって気絶しているスザク。 大量の椅子や机の残骸が散乱する広い部屋で、狭間はただ一人佇んでいる。 山小屋内で意識のある者は、狭間以外にはもういない。 一見すると無駄な戦闘に思えるが、今回の戦闘でも大きな収穫があった。 それは自身に設けられた魔法の制限。 攻撃魔法に関してはさほど大きな制限はないようだが、補助系の魔法となると話は違った。 マカラカーンやドルミナーを使用した際、普段よりも大きな魔力の喪失を感じた。 ディアラハンを使用した時と同様、効力も落ちているように思える。 気に入らない話だが、今の彼は全力とは程遠い実力しか発揮することができない。 まずは本来の力を取り戻すことが最優先だろう。 そしてもう一つの収穫は、スザクに施されていた二つ目の呪いだ。 最初にスザクを見た時は、魅了魔法以外の存在には気付かなかった。 だがあの時の赤い瞳は、彼が別の呪いにかかっていることを示す証だろう。 呪いの詳細までは分からないが、おそらくあれは精神に影響を及ぼすもの。 彼の足が突然止まったことを考慮すると、行動を制限する類の呪いだろうか。 「哀れだな」 最後にそう言い残し、狭間は食堂の扉を開ける。 そこから長い廊下を歩き、突き当たりにある玄関に降り立つ。 スリッパを脱ぎ靴箱に戻した後、きっちりと揃えて置いた黒の革靴を履く。 そうして最後に一度だけ振り返り、狭間は山小屋を後にした。 「さてと」 朝日と呼ぶには遅すぎる太陽を浴び、狭間は辺り一面に植えられた木々を見渡す。 一見すると迷路のようであるが、既に彼は目的地を定めていた。 先ほど余った時間を利用して、また支給された探知機を調べていた。 その時に彼は、蒼嶋駿朔の現在地がFー10に移っていたことに気付いていた。 数時間前の蒼嶋の現在地はHー2であり、そこからFー10の距離を数時間で移動するのは不可能である。 間欠泉のような施設があったか、あるいはワープを可能とする支給品が配布されていたのか。 その正体は分からないが、狭間は歓喜に打ち震えた。 「クク……ハーッハハハハハハハハハハハハハハッ!!」 狭間は笑う。 復讐を誓った仇敵が、今や目と鼻の先にいるのだ。 これを笑わずして、いつ笑えばいいというのか。 「マッパー」 新たな魔法を行使する狭間。 この魔法は戦闘には使えないが、周辺の地理情報を一瞬で把握できる便利な魔法だ。 せっかく近くにいる蒼嶋に逃げられては敵わない。 「待っていろ、蒼嶋」 山小屋を背に、狭間は高らかと叫ぶ。 ☆ ☆ ☆ 夕日の差し込む生徒会室の机に、勉強道具を広げながら座っているスザク。 もう下校間近であり、校舎内の生徒の数は疎ら。 それでも彼が残っているのは、軍の勤務で遅れた学力を少しでも取り戻すためだった。 「ねぇ、スザク」 「なにかな?」 隣の椅子に腰掛けた少女が、スザクのノートを覗き込む。 「ここ、違ってないかしら?」 少女が指摘した箇所は、彼が解いた中でも特に苦労した問題。 実際のところ解き方を覚えておらず、半ば直感で解答した問題であった。 「やっぱり間違ってたか、でも、どうしても分からないんだ」 スザクは頭を抱えて、困ったような表情を見せる。 すると少女が身体を乗り出して、彼からシャープペンシルを奪い取った。 「じゃあ私が教えてあげるわ」 そうして少女は問題の解き方を、一から丁寧に解説し始める。 ノートには綺麗な文字で数式が記され、勉学が得意ではないスザクでもすんなりと頭に入ってくる。 だが途中から、彼はノートではなく別のものを見るようになっていた。 「こうすればここは……」 彼に勉強を教えてくれる少女。 年齢は彼と同じくらいだろうか、だがその美貌は映画に出ている女優にも引けを取らない。 美少女が多いことで有名なアッシュフォード学園の中でも、彼女は一際輝いて見えた。 長い桃色の髪を後ろで束ねた姿は、大人の美しさと子供の可愛らしさが見事に調和している。 彼の視線は、少女に釘付けになっていたのだ。 「…………」 最初は横顔に向いていた視線が、少しずつ下に降りていく。 白く吸い込まれそうなうなじ、クリーム色の制服から見えるすらりと長い手。 そして年齢相応に膨らんだ胸や、絶妙なラインを描くくびれ。 それらを眺めていると、身体の奥底から熱いものが溢れてくるような感覚に襲われる。 だんだんと羞恥心に駆られ始め、彼はふいと顔を逸らした。 「もう、スザクったらどこ見てるの? ちゃんと勉強しなさい!」 「ごめんごめん……」 頬を膨らませて、怒り始める少女。 だがその表情には柔和なものがあり、彼女も本気で怒っているわけではないのだろう。 彼は宥めるように謝罪をするが、その内では怒った顔も可愛いなと考えていた。 (ああ、なんて――――) 幸せなんだ、と心中で語る。 そしてこの幸せを絶対に手放さないと誓った。 (でも、なんでだろう) 一つだけ不思議なことがあった。 (彼女の名前が思い出せない) とても大切な人のはずなのに、何度も呼び合った名前のはずなのに。 どうしても彼女の名前を思い出すことができない。 違和感を拭いきれぬまま、彼は少女と話を続ける。 その時だった。 「スザクは日本人でしたよね?」 少女が投げかけてくる唐突な質問。 その真意は分からなかったが、彼は素直にそれを肯定する。 「そうですか……なら、死んでください」 椅子から立ち上がり、朱に染まった瞳を向ける少女。 いつの間にかその手に握られているものが、シャープペンシルからサブマシンガンへと入れ替わっている。 「え?」 突然の出来事に呆気に取られ、何も出来ないでいるスザク。 彼女の細い指がトリガーに掛かった瞬間。 破裂音と共に血飛沫が舞い、少女は仰け反りながら倒れていく。 制服を真っ赤な鮮血に染め、目から光を失った少女。 彼女の背後には、黒い仮面とマントを被った長身の男がいた。 「なんで……なんで……」 男は答えない。 「なんで殺したんだよおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」 咆哮を上げ、男へと飛びかかるスザク。 だが男に届くことはなく、天井から降り注ぐ黒羽に彼は意識を奪われていった。 ☆ ☆ ☆ スザクが目を覚まして、最初に目にしたのは食堂の天井。 全身を苛む鈍痛を堪えつつ、壁に手をつけながら彼はゆっくりと立ち上がる。 霞がかった頭で直前の記憶を探るが、どれも断片的で繋がらない。 とても悲しい夢を見ていたような気がしたが、内容までは思い出すことができなかった。 (夢を……見ていた?) 夢を見ていたということは、その時まで意識がなかったということである。 それはつまり意識を失うような事態が起こったということ。 「あ……あ……」 断片的だった記憶が次々と繋がり始める。 その記憶はどれも衝撃的で、彼にとっては度し難い内容。 壊れかけた人形のようなぎこちない動きで、スザクは首をぐるりと回す。 そこにあったのは、腹部に穴を開けた水銀燈。 目は開いていない、意識もなかった。 「あぁ……あ」 当たり前だ。 刀で腹を貫かれた人間が、生きていられるわけがない。 水銀燈は人間ではなく人形だが、そんなことは関係ない。 ただ一つ残された事実は、彼女が既に死んでしまっているということ。 「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!」 慟哭するスザク。 水銀燈の白く陶器のような肌が、血の気を失った酷く不気味なものに感じる。 散乱する黒い羽が、死体に群がる烏のように思えた。 かつて味わったトラウマが蘇る。 喉の奥に鉛を突っ込まれ、直に溶かされていくような不快感。 もう一秒でもここに居たくない、水銀燈の死体があるこの場所から逃げたい。 気がつくと、彼は駆け出していた。 水銀燈に背中を向け、脇目もふらずただ走る。 食堂の扉を抜け、玄関を抜け、森の中を抜ける。 そして路傍に転がっていた石に躓き、彼は勢いよく転倒してしまった。 「うっ……くっ……」 普段のスザクならば絶対に起こりえない出来事。 斜面を全速力で疾走していたが故、満足に受け身を取ることすらできなかった。 純白の騎士服は泥と砂に汚れ、破れた箇所からは血が滲んでいる。 悔恨、悲哀、憤怒といった様々な感情が鬩ぎ合い、彼の瞳からは涙が零れ始めていた。 「クソッ! クソォッ!」 拳を握りしめ、何度も何度も地面に叩きつける。 手袋が裂け、皮膚が破けても、お構いなしに叩きつけた。 「イデオォ! イデオォオ!」 最初は仲間だと思った、良い友人になれると思っていた。 でも彼は水銀燈を殺した、自分の最も愛する人のその手で殺したのだ。 狭間偉出夫は絶対に許さない、この手で殺してやる。 しかしもう一人だけ、彼にとって許せない人間がいた。 「ルルーシュ……ッ!」 あそこで脚が唐突に止まった原因が、最初は全く分からなかった。 だが、今は分かる。 ルルーシュがかけた”生きろ”というギアス。 それが身を挺して庇おうとした彼を止め、強制的に水銀燈を見殺しにする選択肢を選ばせたのだ。 彼には一度ならず二度までも大切な人を奪われた。 醜悪な笑顔を浮かべ、戦争の駒として自分を利用したのだ。 「…………」 狭間偉出夫とルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。 この二人は絶対に許さない。 そしてV.V.は、生き残った一人の願いを叶えると言った。 水銀燈の笑顔をまた見るためなら、他の参加者などもうどうでもいい。 残った参加者を全員殺して、水銀燈を生き返らせる。 それは水銀燈を愛する者として、当たり前の発想であった。 「待っていてくれ、水銀燈」 光の失った目で、枢木スザクは先を見据える。 ☆ ☆ ☆ スザクが走り去ってから十数分が経過した山小屋の一室。 その中で一つ、動く影があった。 「ったく、やってくれたわねぇ……」 苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、黒いゴシックドレスについた煤や埃を払い落とす。 その最中に腹部に空いた穴を発見し、影の主は忌々しげに顔を歪める。 「でも、生き残っただけマシかしら」 焼け焦げた床を見下ろしながら呟いたのは、先の戦闘で死亡したはずの水銀燈その人だった。 一面に散乱した椅子や机の残骸が、先ほどの戦闘が嘘ではなかったことを物語っている。 日本刀で腹部を貫かれれば普通は死ぬだろうし、万が一生き残ってもすぐに動くことはできない。 だが彼女は現として生きていて、何の支障もなく動いている。 一体それは何故か。 その答えは、狭間が刺し貫いた箇所にあった。 本来なら赤黒い傷跡が覗くはずの、黒いゴシックドレスに刻まれた穴。 しかし、そこには何も無い。 刺し貫かれた傷跡も無ければ、本来あるはずの胴体も無い。 そう、水銀燈には胴体が存在しなかった。 彼女はローゼンメイデンの第一ドールでありながら、胴体が欠落している不完全な個体だったのだ。 「…………」 もし狭間が刺した場所が胸や頭であれば、彼女は間違いなく死んでいただろう。 生き残れたのはまさに幸運が働いたと言える。 が、彼女の顔は憎々しげに歪んだまま。 胴体がないことは彼女にとってコンプレックスであり、自らがジャンクである原因でもある。 これが理由で助かったのは、彼女にとって幸運ではなく皮肉だった。 「スザクまでいないなんて、ツイてないわね」 目を覚ました時には、もう誰もいなかった。 狭間がいないのは当然だが、果たしてスザクは何処に行ったのか。 惚れ薬の効果が切れたのか、狭間の後を追ったのか。 あるいは死体も残らないような殺され方をされたのかもしれないが、彼女にとってはどうでもいいことだった。 重要なのは苦労して手に入れた下僕が、今は彼女の手元にないという事実。 「イデオォ……ッ!」 ローゼンメイデンとしての誇りを、狭間は嘲笑いながら踏み躙った。 あれほど辛酸を舐めさせられて笑い飛ばせるほど、彼女は温厚な性格をしていない。 狭間には何らかの形で報復を与えねばならないだろう。 しかし狭間は、スザクと二人がかりでも敵わなかった相手だ。 悔しい話ではあるが、戦闘力では明らかに差を付けられてしまっている。 スザク以上の実力を持つ仲間を何人も集める必要があった。 そう考えた彼女は、すぐに山小屋を去ることにした。 他の参加者がいないのだから長居する必要はないし、戦闘痕を見ていると敗北したことを思い出す。 自らの悪評が広まる前に、新たな下僕を探す必要があった。 「待ってなさい、狭間、すぐに殺してあげるわ」 凍結した翼も時間経過で溶けていたため、今は自由に動かすことができる。 両翼を羽ばたかせ、彼女は山小屋の窓から飛び立っていった。 ☆ ☆ ☆ こうして山小屋という舞台で開催された人形劇は幕を閉じた。 三体の人形は様々な思惑を抱き、それぞれの道を歩き出す。 その先にあるのは―――― 【一日目 午前/B-7 西部】 【狭間偉出夫@真・女神転生if…】 [装備]:斬鉄剣@ルパン三世 [所持品]:支給品一式、ニンテンドーDS型探知機 [状態]:疲労(小)、精神疲労(小)、人間形態 [思考・行動] 1:蒼嶋駿朔(男主人公)を殺す。 2:Hー2に向かう。 [備考] ※参加時期はレイコ編ラストバトル中。 ※水銀燈は死亡したと思っています。 【一日目 午前/C-6 北部】 【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ(アニメ)】 [装備]:ワルサーP-38(3/9)@ルパン三世、 [所持品]:支給品一式×2(食料は一つ多め)、ゼロの銃(弾丸を一発消費)@コードギアス 反逆のルルーシュ、 ワルサーP-38の弾薬(11/20)@ルパン三世、日輪の鎧@真・女神転生if...、Kフロストヅーラ@真・女神転生if...、確認済み支給品0~2(武器はない) [状態]:ダメージ(中)、『生きろ』ギアスの効果継続中、惚れ薬の効果継続中 [思考・行動] 1:参加者を全員殺し、水銀燈を生き返らせる。 2:狭間偉出夫は絶対に許さない、見つけ出して殺す。 3:ルルーシュも絶対に許さない。 [備考] ※ゾルダの正体を北岡という人物だと思っています。 ※水銀燈は死亡したと思っています。 【一日目 午前//B-6 南西部】 【水銀燈@ローゼンメイデン(アニメ)】 [装備]:無し [所持品]:支給品一式×3(食料を一つ譲渡)、メロンパン×4@灼眼のシャナ、板チョコレート×11@DEATH NOTE 農作業用の鎌@バトルロワイアル、不明支給品0~2(橘のもの、未確認) [状態]:疲労(小)、右目にヒビ割れ、右眼周辺に傷、深い悲しみと憎悪 [思考・行動] 1:優勝する。 2:真紅のローザミスティカを得る。 3:スザク以上の力を持つ下僕を集める。 4:3を達成したら、狭間偉出夫を殺しに行く。 [備考] ※参戦時期は蒼星石のローザミスティカを取り込む前です。 ※ゾルダの正体を北岡という人物だと思っています。 【板チョコレート×12@DEATH NOTE】 作中でメロが食していたもの、彼の大好物だと思われる。 本筋には絡んでいないように思われるが、実はこれが原因で日本捜査本部にアジトを発見されている。 時系列順で読む Back 遊星よりの物体X Next 夢の終わり(前編) 投下順で読む Back 惑いのフレイムヘイズ Next 血染め の ■■■ 080 今後ともよろしく 枢木スザク 115 血染め の ■■■ 水銀燈 118 鏡像 狭間偉出夫