約 1,352,252 件
https://w.atwiki.jp/mbga_seiya/pages/207.html
[サクリファイス]瞬 タイプ テクニック 必要コスモ 2 初期攻撃力/防御力 240/160 初期総パラメータ 400 最大攻撃力/防御力 600/400 最大総パラメータ 1000 必殺技 なし 効果 - 【解説】 アンドロメダ島で修行を続ける瞬。聖闘士になるため、みずからを鎖で海中に縛り付ける、サクリファイスの修行を行う。 「アンドロメダの聖衣…あれを持って日本に帰るんだ!」 [サクリファイス]瞬+ タイプ テクニック 必要コスモ 2 初期攻撃力/防御力 288/192 初期総パラメータ 480 最大攻撃力/防御力 720/480 最大総パラメータ 1200 必殺技 なし 効果 - MAX覚醒時 初期攻撃力/防御力 408/272 初期総パラメータ 680 最大攻撃力/防御力 840/560 最大総パラメータ 1400 【解説】 アンドロメダ島で主張を続ける瞬。自らの小宇宙によってサクリファイスの修行を乗り越えてみせた。 「せ、先生…ジュネ…一輝兄さん…僕、やれたよ。誰の手も借りず、たった一人で…」
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/19228.html
クリフハンガー 救助隊員と関係者 コメント 『クリフハンガー』は、1993年のアメリカ・フランス・日本合作映画。ロッキー山脈に不時着した武装強盗団と山岳救助隊員の戦いを描いたサスペンス・アクション映画。レニー・ハーリン監督、シルヴェスター・スタローン主演。 1993年5月20日に第46回カンヌ国際映画祭にてプレミア上映された。その後、アメリカでは1993年5月26日にプレミア上映されたのち、1993年5月28日に2333館で公開され、週末興行成績で初登場から2週連続1位になり、トップ10内には6週間いた。アメリカ国内での興行収入は8400万ドルを超え、アメリカでの1993年公開作品中10位である。日本での配給収入は40億円を超え、1994年の年間1位となった。なお、全世界での興行収入は2億5500万ドルを超えた。 第66回(1993年度)アカデミー賞では視覚効果・音響編集・録音の3部門にノミネートされた。一方、「最低」映画を表彰する第14回(1993年度)ゴールデンラズベリー賞でも4部門にノミネートされた。 なお、題名の「クリフハンガー」とは、「崖に宙づりになるもの」のことであるが、本来の語義である手に汗握る連続活劇(クリフハンガー(プロット))の意味と掛けてある(例えるなら、「時代劇」や「ラブロマンス」というタイトルの映画があるのと同じである)。 救助隊員と関係者 オオニューラ:ゲイブ・ウォーカー ロッククライマーなので コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/aaarowa/pages/402.html
第103話 Start Up from Prolonged Darkness(前編) 己の宿命に翻弄される青年がいた。 その青年の人生は長い暗闇だった。 ただ宿命のために生きる生活は虚構のように長く陰鬱だった。 宿命の証の指輪だけが暗闇の中で彼を嘲笑った。 その笑いが更に青年を陰鬱にさせた。 その青年は暗闇の中で生きるのを拒んだ。 青年は―――が欲しかった。 その手に―――を得るために。青年は暗闇が包まれる空間を歩き出した。 だが、それは『無理』を証明するための旅。 たとえ、無駄な抵抗だと分かっていながらも、青年は足を進めた。 そして、彼は果てのない暗闇の最中、同じような境遇の少女に出会った。 青年は喜んだ。自分と同じような苦しみを持つ存在いることに。 だが少女は同じ境遇だったが、青年とは少しだけ違った。 少女は『無理』を証明するためではなく、『可能性』を証明するためだった。 青年は少女の強さと温もりに触れ、そこで初めて自分の弱さを知った。 そして、その少女こそ彼が欲しくて止まない―――だったことを知る。 だが、後一歩のところで青年は―――を手に入れることができなかった。 暗闇は彼を許さなかった。暗闇は二人を飲み込み、引き離す。 再び青年はまた暗闇の中にいた。 ―――はもう側にはいなかった。 温かみに触れた青年はまた少女を探し出す。あの温もりをもう一度手に触れたくて。 だが、彼は蝕まれていた。暗闇は彼を暗闇へと変えようとしていた。 青年は自分が暗闇に溶け込んでいることに気付かない。 暗闇に完全に溶け込めば、―――を得た瞬間、消えることも気付かない。 暗闇は歓んだ。青年を暗闇に導いたことを。 だが、その思惑は外れることになる。 その男は暗闇の中で新たな―――を見つけたのだから。 闇に堕ちる青年の瞳に一人の少女が映った。 その少女は暗闇に飲まれたことに怯えていた。少女は弱かったのだ。 青年は昔の自分に似た少女を殺そうとする。 そうすれば、もう一度あの少女に会えると思ったからだ。 だが、少女は弱すぎた。それ故、彼は少女を助けることになる。 そして、少女の弱さは他人の思いやる優しい気持ちからだと後から知ることになる。 その少女の存在は青年の心を揺るがした。 青年が闇に堕ちそうになるたび、その少女は彼を止めようとする。 まさしく、その少女の優しさは彼が欲しかった―――だった。 そして、今、その青年は暗闇が包み込む森の中、草木の雑踏を掻き分けていた。 ―――――――Start Up from Prolonged Darkness――――――― +++ 月が煌々とする闇夜の森に、一人の男がランプの灯りに釣られ、茂みに潜んでいた。 ガウェインは気配を殺し、視界に映る団体の行動を静かに見張っていた。 無作為に飛び掛ることなく、相手の状況を把握する。敵の人数や武器の有無、構成などありとあらゆる情報をその目で遠巻きから取り込んでいく。 しかし、その気配を団体の中の一人、レナスは感知する。 その鋭い察知能力でまだ見ぬ侵入者の存在を見出す。 「そろそろ、隠れていないで、出てきたらどうだ。 気配を隠しているようだが、とっくに私にばれている」 レナスが何もない空間に抑揚のない声で言い放つ。 情報交換と今後について話し合いを進めていた一同にざわめきが生まれ、すぐに収まる。 ルーファスが死んだことで顔を濡らし、鼻を啜っていたソフィアは啜るのを止め、まだ見ぬ存在の代わりにレナスに問いかけた。 「レナスさん、それどういうこと……」 「「しッ、静かに」」 ソフィアの言葉はレナスに遅れて気配を探るレザードとクリフは遮られ、場に深い静寂と緊張が漂う。 しばしの時間が経過する。それはほんの数十秒に過ぎないが、極限的な状態ではまるで数十分の感覚であった。 そして、静寂を破る一人の影、ガウェイン・ロートシルトがレナスたち一行の前に現れる。 「貴様、何者だ? なぜ私たちの―――」 「いや、レナス……そんな必要はねえ」 その問いかけはレナスの前をクリフに覆い隠され阻まれる。その声は怒りに打ち震えているようだ。 「話す手間が省けた、こいつは殺し合いに乗っている。こいつには借りがあるんだ」 クリフは拳を強く握り締め、両腕を胸に構え、ステップを踏む。 「悪いが…俺一人でやらせてくれないか」 極めて落ち着いた声でレナスたちに言い放つが、争いを避けたいソフィアはクリフを宥めようと身体を震わせる。 「クリフさん…まだ、敵だと…」 「ソフィア……アイツはルーファスを襲った敵だ…俺はアイツを許す事はできねえ…」 ルーファスが死んだ今、いきり立っているクリフにガウェインの存在はその怒りを向ける矛先でしかない。 クリフはルーファスとの邂逅を思い出す。目の前にいる男は、ルーファスに傷を負わした敵だ。 「そ、そんな。ルーファスさんを…」 ルーファスという名が出るとソフィアは一瞬怯んだ。彼女にとってルーファスは命の恩人だ。 そんな彼が目の前の男に襲われた。その言葉を聞くと、彼女にとっても止めるのを躊躇えそうにない。 「でも、でも……」 それでも、矛盾を抱えながらもソフィアは納得がいかない。 殺し合いの場にいるとはいえ、簡単に人を殺すようなことはしたくない。 それは、ソフィアが持つ、優しさ。だが、それはもう一つある意味を持つのだが。 「それで、お前の気が治まるなら…いいだろう」 「レナスさん!?」 ソフィアは何か言いたげに、レナスの顔を悲しそうに覗き見る。 「悪い。レザード、荷物を預かってくれ……援護はいらないぜ。 俺一人でやらないと…借りは返せないんでな」 「仰せのままに」 レザードは放り投げられたパックを受け取り、右手を胸に添え深々と頭を下げた。 クリフの意を汲んだと合図を送った。 「レザードさん!?」 ソフィアはレザードのほうを振り向き、同じように悲しみの表情を浮かべる。 闘争は止められそうにない、ソフィアは敵の下へと進むクリフを見ながら、事の顛末を見守るしかなかった。 「何か言いたいことはあるか? じいさんよ、あの時はよくもやってくれたな……」 クリフはガウェインとの距離を詰めると、声を掛けた。どんな理由があろうとも弁明の余地はないが、殺し合いに乗った理由を、ルーファスを傷つけた理由を、確かめたくなったからだ。 「最後に聞かせてもらうぜ……どうして殺し合いに乗る?」 「我が信念と宿命のためだ……若造…」 そうか、と目を一瞬伏見がちに落とし呟き、クリフはすぐに顔を持ち上げる。 両拳を互いにぶつけ、ガウェインを真っ直ぐに見据える。 「なら、テメエをぶっ潰して、その信念とやらを何度も否定してやるぜ。 拳が疼いて疼いて仕方ないんだ……テメエをぶん殴りたくてな」 ガウェインは剣を構え、戦闘の態勢に整える。 逃げることは不可だと判断する。 敵対している人数は四人、とてもじゃないが逃げ切れるとは思えない。 目の前にいる金髪の男を倒しても、後ろには三人も相手が控えている。 つまり…これは…負け戦。 ガウェインに勝機はない。もしあるとするならば、人質を取るぐらいだ。 だが、ガウェインには人質を取ることはできない。 信念や宿命のためであっても騎士道に反することは己を否定することになる。 ならば、私がすること、この身が滅びようとも、戦い続ける。 できて…二人ぐらいか…。 ガウェインは己の決意を強固なものするため、目をふと閉じた後、剣を地面に叩きつける。 風圧が木の葉を舞い上げ、ゆらゆらともう一度地面に散り落ちていく。 「できるかな……若造に…」 舞い落ちる木の葉の隙間からクリフは右手を前に指を三本立て、ガウェインに宣言する。 「三分だ……三分でテメエをぶちのめしてやるぜ。 テメエを倒すには充分すぎるぐらいだ」 「……嘗められたものだな」 ガウェインは木の葉が全て舞い落ちる前に脚を奮い立たせ、全速力で立ち向かう。 クリフも同じように全速力で駆ける。 最初に先制をかけたのはガウェインであった。豪腕から放たれる重い一撃。 大地を揺るがしかねないその一撃は向かい来るクリフを的確に狙う。 クリフは剣線を動体視力で見極め、呼吸を整え、集中力を高める。 振るわれる剣先を流れるように避けていき、相手の死角に潜り込み拳を振るう。 その緩やかな流れの拳打は一つ目に剣を捌き落とし、二つ目に腕を弾き、そして最後に露になった懐に拳を突き入れる三連撃。 カーレントナックル。 拳を打ち込まれるガウェイン。普通の人間ならここで確実にノックダウンだが、 並みの耐久力ではないガウェインはその場に崩れ落ちることなく、咄嗟に上に弾かれた腕をそのまま振り降ろし、剣の柄の部分でクリフの後頭部を狙う。 クリフは危険を感知しガウェインの裏に回りこみ、お互いに背を合わせた状態に持ち込まれる。 お互いに背中に温かさを感じ、呼吸を合わせ、極限的な緊張感で張り詰められる。 「効いただろ。俺の拳はよお…だが、まだまだ足んねえぜ。 これから、もっと浴びせることになるんだからよお」 「若造が…粋がりおって…。 だが、粋がるのは私を倒してからにするがいい」」 ガウェインは瞬間的に力を込め、身体を返し、体勢をクリフに向ける同時に斬り付けた。 クリフはそのガウェインの微弱の動きを察知し、身体を返しながら、前方に飛び跳ね、目と鼻の先というぎりぎりの感覚で避ける。クリフは崩した身体を利用し、地面を手に付け、それを軸に無防備になったガウェインの脚を払う。 ガウェインの脛に激痛が走る。足元がすくわれ、行動が遅れる。 クリフはその隙を見逃さず、ガウェインの背中に回ると腕を取り、関節技を決める。 腕の関節を固められ、地面に押さえつけられるガウェイン。身動きを止められるのだ。 時間はちょうど三分というクリフの予告どおりだった。勝負は決したのだ。 「くっ、私が手も足も出ないとは…」 「ふっ、いろいろと成長したんでな」 クリフは自嘲気味にのたまう。 「テメエの負けだ、爺さんよ。話したいことがいっぱいあるんだが、最初にあんたの使命とやらを聞かせてもらうぜ」 「語る言葉などない。 私の負けだ、殺すがいい……お前たちに話すことは何一つない」 腕を固められたガウェインは横目で気迫に満ちた眼孔をクリフに注ぐ。覚悟を決めた目。 経験上、こいつは何一つ喋らない。クリフは瞳からその強い決意を感じ取った。 なら、クリフのすることは止めを刺すことだ。危険人物を放置するわけにもいかない。 「そうか」とクリフは呟くと、そのまま首に腕を巻きつけ、首を締め上げようとする。 だが、タイミングを計ったように、突然の来訪者により、クリフの行動は止められる。 クリフとガウェインの前に現れたのは、洒落込んだ鎧を着こなした一人の美少女。 膝を抱え込んでしゃがみこんだ美少女は争う二人を見て、 さらさらと流れる金髪の髪を掻き揚げながら、クスクスと無邪気に微笑んでいた。 「なんて、醜くいんだ、人間は。 ……同じ種族でありながら、身体の心底まで満たされた業ゆえに…争い殺し合う」 一見すれば貴族のお嬢様が地面にいる蟻の喧嘩を興味津々と見る、優雅で微笑ましい光景かもしれない。 だが、その少女の二人に向ける眼差しは、人間を虫のように見下した邪悪な瞳であった。 そして、クリフはその人間を卑下した目を覗き見ると、不意にダオスの存在を思い出す。 あの男の目を見た時と同じような、いけ好かないオーラを感じ取った。 「テメエ、なにもんだ?」 クリフが最初に発した言葉は拒絶を含む言葉であった。 初対面の少女に送るには少々荒い言葉だ。 だが、クリフはひしひしと感じていたのだ。 目の前にいる存在は、か弱い少女とかそんな性質の良い存在でないことを。 だから、聞いたのだ。 目の前にいるお前は――――――本 当 に 人 間 な の か。 だが、その問いは思わぬところで答えられる。 「……リドリー」 クリフは少女の名を呼ぶガウェインの方を振り向く。 ガウェインは目を大きく見開き、目の前の少女に視線を向けている。 「ほう、お前は確か……ガウェイン・ロートシルト。妖精側に付く唯の人間……」 リドリーと呼ばれる少女は一瞬でクリフとガウェインの前に姿を現す。 クリフは一瞬で間合いを詰められ、「早いっ」と驚愕する。 「お前には感謝しているぞ。お前のおかげで世界は救われるのだから」 少女は片腕を振り上げ、クリフの巨躯を弾き飛ばすと、 何事もなかったように地にひれ伏すガウェインに歩み寄り、手を差し出す。 ガウェインは少女の手を取り、まじまじと少女に呟きかける。 「リドリー…なのか?」 「ガウェイン…私はもうリドリーではない。金龍の器であるリドリーの魂は死んだ。 私は金龍。妖精を守護し世界を監視する神。トゥトアスの秩序を調停する者。 金龍クェーサーだ」 金龍クェーサーはガウェインの頬に触れ微笑む。 「銀龍フォティーノ亡き今、私が新しい神だ。 歪みの元凶である人間どもを滅ぼし、世界を救おうではないか」 ガウェインは目の前にいる存在金龍に圧倒させられるばかりであった。 全身から漂う圧倒的な力に身が竦む。 だが、金龍はそんな畏怖の念を無視するかのように言葉を続けた。 「ただ一人、妖精に味方してくれたお前には感謝している。 だから、お前は世界の行く末を見る権利を与えよう。 人間が滅び、妖精たちが謳歌する世界に導いてやろう。 その礎に――――人間どもを滅ぼそうではないか」 金龍はガウェインを手の中から解放すると、目の前に映る四人の男女を見据える。 クェーサーは嗤う。人間の死を感じたくて感じたくてたまらない。 お腹をすかした子どものように、今にも食事にありつけたくてしょうがないのだ。 「手出しは無用だ、ガウェイン。 私の行うすべてをその目に焼き付けるがいい。 心ゆくまで人間を殺そうではないか!!!!!!」 その瞬間、クェーサーの身体が眩い光を放ち、周囲を昼間のように明るく照らす。 少女の背中には黄金に輝く羽が全容を現す。強大な魔力の塊が金龍を包み込む。 誰もが、死を予感させる空間に一人の女性がこの気迫を断ち切るように剣を前に突き出す。 レナスが冷静沈着に、そして金龍を断ち切る眼光を注いだ。 +++ 「戯言はすんだか」 レナスが金龍に対し鋭い眼光を尖らせる。 金龍は自分を侮辱する言葉に顔を歪ませ、レナスと対峙する。 「戯言だと……私の宿命は人間を滅ぼすことだ。貴様はそれを否定するのか?」 「ああ、そうだお前のやっていることは愚かな行為にすぎん。 人間が滅べば、世界が救われるだと……甚だ馬鹿馬鹿しい」 「人間風情が私に口出しするのか…この神に対して」 「神を名乗る不届き者はお前だ。私は創造神レナス。 私がいる限り……人をお前の傲慢で殺させはしない」 レナスは金龍に、金龍はレナスに、宣戦を布告する。 神々の戦いの火蓋が切られる。 「その報い、滅と知れッ!!」 「ならば、返り討ちにしよう。 この私、クェーサーに歯向かったことを後悔するがいいッ!!」 両手に魔力を纏うと金龍は両手を合わせ、そのまま天に振り翳し、強大な魔力を集束させ、力をレナス目掛け放つ。 金龍の先制――――アクセルレーザーがレナスを蹂躙すべく、真っ直ぐとレナスに向かって伸びていく。 その極太の極光は全てを巻き込む。 直撃は死を意味していた。だからといって避ければ、魔力が弾け、周囲を焦土に変え、仲間たちを巻き込みかねない。 レナスは魔力に向かって突き進む。鞘に収めていた魔剣グラムを引き抜くと膨大な魔力の塊を居抜く。 剣を振るった瞬間、魔力が掻き消され、そのまま金龍目掛け突っ走る。金龍はいとも簡単に攻撃を無力化され、しばし驚いた。 が、すぐに手を突き出し、光弾を連発して放ち、相手の動きを固定化させ、向かい打つ。 金龍は同じようにレナスが光弾を無力するものだと考えていた。だから、その動きの隙を狙っていたのだ。 だが、レナスは剣を構え、走る勢いに乗せ、スライディングで回避する。 そのまま、金龍の間合いに進入すると、疾風のような速さで剣を振り上げた。 「何!?」 金龍はとっさの判断で腕に結界を張り、防御を施すがレナスの剣撃は重く、大きく吹き飛ばされる。 剣の衝撃を一身に受け、木の幹を二つほど突き破ったところで、勢いが止まると、金龍は散り舞った木の葉から起き上がる。 苦々しい表情で起き上がる金龍に余裕はない。手に切り傷がつき、血がじくじくと溢れる。 もし、防御が遅れていれば防いだ手を断ち斬られていたかもしれないからだ。 腕に滴る血を見ると、レナスの力の凄まじさは金龍にとっても認めざるをえないものだった。 レナスは金龍が起き上がると同時、剣を振るい、追撃を開始する。 険しい形相の金龍は向かってくる剣線に合わせ、両手を振るうと黄金の斧が具現化し、レナスの一撃とクェーサーの一撃が激突する。 魔力と魔力がぶつかる、辺りに爆音を響かせ、二人の力の凄まじさを形容させる。 この二人の衝突で押し勝ったのはレナスであった。レナスは力を振り絞り、金龍の斧ごと吹き飛ばした。 「小癪な!?」 宙を舞う金龍は、空中でバランスを立て直し、指を弾く。 すると、頭上に四つの濃縮された魔力の玉が現れ、弾けるように波動が押し寄せ、レナスを狙う。 追撃のため駆けていたレナスは一度その場に立ち止まる。 静かに呼吸を整えると、一振りで四方向からくる波動を切り裂く。 散り散りとなった残光がレナスを照らし、不思議な美しさを醸し出した。 金龍は地面に着地すると、相手を見据える。 金龍が手を構えると黄金の斧が具現化し、振りかぶる勢いをつけるために後ろに斧を構える。 その刹那、悪寒にも似た空気がこの場全体を支配する。 その金龍の構えに、近寄れば殺られかねない、とレナスは間合いを大きく引き離し、敵の動向を冷静に見極める。 明らかに感じる敵の必殺技の気配にレナスは緊張を張り巡らせる。 「貴様は心底私を怒らしたいようだな」 それは、目の前にいるレナスとあると同時に、もう一人の存在に向けた言葉だった。 もう一人の存在―――内側から力を抑えるリドリーに向けたものだった。 小癪なことにリドリーは戦闘が始まってから、ずっと力を抑えていたのだ。 そのため、金龍はレナスに苦戦を強いられていた。 ほぼ互角の戦いが不利な戦いへと強いられていたのだ。 金龍はそれを振り切るかのように斧に莫大な魔力が加わる。 その瞬間、抵抗していたリドリーの意識が完全に途切れる。 強大な力によって微弱なリドリーの意識を押さえ込む。 所詮は神の器でしかない、お前に何が出来る、と毒づく。 金龍は構えた斧を薙ぐと身体をその重さに乗せ、両足を軸に身体感覚と運動能力を極限に高め、回転し始める。 その回転力は壮絶なもので、金龍を軸に竜巻が発生し、木の葉を巻き上げる。 「見るがいい。リドリー、これがお前と私の力の違いだ。 私自身の10倍の力+斧に加えた魔力の10倍で…20倍!! 貴様の2倍の回転速度が加わって20×2の40倍!! そして、貴様の3倍の回転数を加えれば40倍×3の―――貴様自身の力量を上回る120倍だーっ!!」 超回転の最中、最も威力が高まるところでは金色の戦斧を手放す。 「その身に受けるがいい―――――ワイルドピッチ!!!」 斧が放たれた瞬間、轟音と供にレナス目掛け、飛び放たれていく。 空気を切り裂くとはまさにこのことだと、感じさせられる。 その速さは動体視力で捉えきれない一撃。 そんな一撃を回避できようか? 受け止めることが出来ようか? 否、出来るはずもない。 それらの行動に移す刹那、身体は引き裂かれ、跡に残るのは肉片のみだ。 「ならば……」 レナスは決心を固め囁くと、目を閉じ精神を集中させる。 辺りは巨大な魔力で流動している。肌に感じる全てのものを意識させ、全神経を最大限に高める。 集中力で身体全体に張り巡らせる。 そして、レナスは静かに剣を構え、光り輝く魔力の円盤を迎え撃つ。 その瞬間、爆ぜる。 そこにいるものなら誰もがレナスの死を確信しただろう。それは金龍も然り。 あの攻撃を受ければ、身体など木っ端微塵に吹き飛んでしまう。 斧を放った瞬間、金龍は勝利を確信していた。 だが、その期待は裏切られることになる。 「そんな……馬鹿な!?」 金龍は目の前に起こった出来事に絶句した。 何故、そんなことができる、と零していた笑みが一変、表情が崩れる。 その場に起こった出来事は目を疑いかねない奇跡的な光景。 剣を構えたレナスは金龍の放つ斧を受け止めた。普通に受け止めたのではない。 剣先を横に構え側面が上に来るようにし、刃の側面で上方に受け――――流したのだ。 コンマ一秒のタイミングすら外せない、この局面でそれを成し遂げたのだ。 受け流された黄金の斧は夜空に向かって流れていく、その様は闇夜を照らす鳳凰を連想させた。 その煌きはなんとも綺麗であり、レナスの業の素晴らしさを形容させた。 レナスがこの奇跡を成功させた理由は二つ。 一つはレナスの持つ剣魔剣グラムの存在。 柔な代物なら向かい来る爆発的な衝撃に耐え切れず粉砕していただろう。 だが、魔剣グラムは神がかった代物であるが故にその威力に耐えることができたのだ。 そしてもう一つ、レナスが持つ感覚全て。 レナスの持つ瞬発力、身体能力、集中力、経験、反応力、数を上げれば数え切れないほど多く物が作用する。 レナスの中に潜む潜在能力が最大の功績であった。 まさに神業。 金龍はそのレナスの奇跡をまじまじと見せ付けられる。神業と言える所業に敵ながら賞賛すら上げたくなった。 そして、ここで初めて金龍は見誤ったことを悟ったのだ。 ほぼ互角の実力だと思っていたのが、圧倒的だった。 力の差は歴然であった。自分の力はレナスに対し、力が及ばないのだと。 「ありえん……ありえぬぞ!!」 認められない現実にクェーサーが咆哮を上げる。 金龍の咆哮は大気を揺らし振動させ、大地を振動させる。 クェーサーは手を構えると、魔力を溜め込み、一度、二度、三度と、何度も振り払う。 帯状に放たれる魔力がレナスを襲うが、その金龍の猛攻に傷一つ付くことなく、前に進んでくる。 「何故、何故に…人間に味方する。貴様も知っているであろう。 人間は鼠のように増えていき、全てを喰らい尽くす。…いや、鼠以下だ。奴らは生態系を壊すことない。だが、人間は違う。 人間は醜く、欲にまみれ、それゆえ同じ種族で争い、他の種族を巻き込み、平気で世界を滅ぼしていく醜悪で唾棄すべき存在。 人間がいる限り世界は救われることはない。我ら神なのだぞ。私は世界を救おうとしているのだ。 それを何故、貴様は邪魔をするっ!!」 レナスは引くこともなく、攻撃を振り払い、確実に金龍に詰めていく。 攻撃を切り裂く隙間から鋭い視線を真っ直ぐ見つめる。 「確かにお前の言うとおり、人は欲望のままに行動し、他者を傷つけ、全てを傷つける。 人は弱い。弱い、からこそ悪事を重ね、全てのものを傷つける」 レナスは攻撃を払うたびに言葉を紡ぐ。 「だが、私は知っている。弱い故に、弱き者にために戦い。 他者のために思いやる者がいることを」 瞼を閉じて思い出す。プラチナと呼ばれた人であった頃のことを。 そして、閉じた瞳を開くと真っ直ぐに見据えた。嘘偽りもない純粋な瞳で。 「ルシオのような人がいることを私は知っている。 だからこそ私は信じられる――――人の可能性を」 レナスが間合いを詰めると、金龍は手に戦斧を具現させるといなや真っ直ぐに振り下ろす。 そして、レナスは振り下ろされた斧を剣で弾き飛ばす。 「人をお前の傲慢で殺させはしない。私には大切で守りたい人たちがいる。 だから、私は大切な者たちのためにも負けられない」 レナスは剣を振るうと、咄嗟にクェーサーは脚を大きく踏みしめて距離を離す。 「人間のために戦うだと、私には理解できぬ。何故、つまらないことで戦うのだ。 そんなことで私は負けるというのかっ!!!」 離した距離から何発も魔力を放出させて、そのたびに距離を離し攻撃をし続ける。 金龍の悪足掻き。だが、レナスは軽々とその攻撃をいなしていく。 金龍は徐々に苦渋を舐めさせられていく。 「守るべき者だと、私には……私には……理解できな――― ―――そうか、それがお前の強さか」 猛攻を仕掛け続けるクェーサーは相手の強さの源を理解する。 金龍は簡単なことに気付くと、「そうか、そうだったのか」と高らかに嗤った。 レナスの距離を保ち続ける金龍は気付いたのだ。 そして、よりいっそう攻撃を強め、無造作に魔力を飛び火させ、移動距離を増やしていった。 「無駄な足掻きは止すことだな」 難なく猛攻撃を払い続けるレナスは無様に逃げ続ける金龍に痺れを切らす。 「無駄な足掻きだと、いいや違う。 軌跡だ。勝利へと導く、極上の道筋」 「戯言をっ!」 「まだ気付かないのか? 逃走の間に私が何をしていたか」 「何?」 「簡単なことだ。貴様は守れるかな。 その大切な者とやらを……」 その言葉を聞いたとき、レナスは初めて気が付いた。今いるこの場所がどんなところか。 一見逃げ続ける金龍の行動に意味があったのだ。それは言葉に巧みにレナスを引き寄せ、後少しで勝てると焦らせたのだ。 レナスとて戦いを長引かせたくはない。戦いを引き延ばせば新たな敵を引き寄せかねないためだ。 金龍は必死に抵抗するふりを(実際、必死なんだが)し、確実に精神を消耗させ、周りを見えなくさせたのだ。 それは、常に最善手を詰め、冷静沈着なレナスにとって最大の害悪だった。 レナスは罠に陥ったのだ。 それはクェーサーを倒すにはあと一歩の場所であるということ、そして、レナスと仲間たちの距離が離れていること。 さらに、その仲間たちに金龍のほうが近いということ。 「饗宴を始めようではないか……そのディナーは貴様の仲間だっ!!」 クェーサーが、そう、言った同時に魔力を凝縮させ両手から波動砲を撃ち出す。 そして、それはソフィアの姿を捉えていた。それはあまりに虚を狙った渾身の一撃。 その上、ソフィアは反応できない。 金龍の出鱈目な攻撃によって、辺りは濃い砂埃で覆われていたのだ。だから、金龍の変えた矛先に気づかない。 放たれる極光。突然のことでキョトンとしているソフィアは金龍の思惑に反応できない。 傍らにいるレザードもクリフも同様に反応できない。ただ一人レナスだけが反応できる。 「くっ!!」 レナスが求められるモノは、二つ。 そのまま、ソフィアたちを構うことなく、隙だらけの金龍を討伐すること。 もう一つは、金龍との戦いを放棄し、すぐにでも助けに駆けつけること。 考える隙は一切与えない…決断はすぐに迫られていた。金龍は土壇場で計算していたのだ。 どちらもぎりぎりの距離であり、かつレナスの判断次第では、どちらも成す事ができないということだ。 レナスに決断が求められていた。 +++ レナスと金龍の戦いが始まると、三人は遠くから二人の戦いを眺めていた。 人間の理解の範疇を超えた戦いがそこにはあった。 神々の戦いに人間はなす術もなく、見守るしかなかった。その壮絶な戦いに介入できるものは一人もいなかった。 ソフィアは魔法で加勢しようとも、二人の戦いはあまりにも早すぎて、狙いを定められない。 クリフも激しい攻防に巻き込まれかねないため、しぶしぶと見守るしかなかった。 レザードは神々の戦いには自分は必要ないものだと分かりきっているので、 援護する気もなく、レナスの活躍をニタニタとしながら見守っていた。 「レナスさん……」 眉を落とし、呆然と見守るしか出来ないソフィア。 今のところ目の前で繰り出される金龍の猛攻にレナスは難なく付いていくが、いつ金龍の攻撃にやられないかと気が気じゃなかった。 そんな心配で卒倒しそうなソフィアを尻目にレザードはくっくっくと笑みを零すだけだった。 ソフィアはそんな不気味な笑みを浮かべるレザードに対し、困惑と怒りの目をぶつけた。 「どうして、笑っていられるんですか。レナスさんがあんなにもがんばっているのに」 震える声にレザードは眼鏡を中指で整え直すとソフィアに笑みを向けた。 不気味な笑みに一瞬、得体の知れないものを感じたソフィアは目を背けそうになるが見つめ返す。 「いやはや、さすが、我が愛しき女神だと思ったのです。 動く動作、その身体の撓り……全てにおいて完璧だ」 「……!? こんな状況のときに何を見てるんですか!?」 「まあ、後で分かりますよ」 レザードの奇妙な感想に内心『キモイ』と思いつつも、それを口出すことを止め、怒りを露にするソフィア。 そんな言葉も、光悦に浸っているレザードに届くはずもなく、神々の戦いは繰り広げられていた。 怒りの矛先が右往左往としているとき、ソフィアに寒気が走る。 辺りの空気が一変したのだ。それは冷え込んだ冷房施設に入ったような感覚。断続的に寒気という警告音が肌に付く。 クリフもレザードもその空気を感じ取ったのか、顔をしかめる。 遠巻きに見えるのは斧を構える金龍とそれに対峙するレナスの姿。 「貴様は心底私を怒らしたいようだな」 斧を後ろに構える金龍から、おぞましいほどの魔力と殺気が溢れ出しているのだ。 それは、あまりに恐ろしい光景。この場にいるのでさえ、躊躇う。 この場に付き纏う濃く濁った死の匂いがそうさせるのだ。忍び寄る絶対死に。 「レザードさん、クリフさん、このままですと……レナスさんが…」 ソフィアはその一変した空気の最中、手助けを求める。 それもそのはず、金龍の凄まじい気迫をレナスが一身に浴びているのだ。 こんなにも、恐ろしい技を目の前に、私たちに何か出来ないかと必死に提案するが。 「手出しは無用です。まあ、見ていてください。我が女神は何とかしますよ」 レザードは落ち着き払った声でソフィアを宥めた。 そんなの分かりませんよと苦言を漏らすソフィアは、両手を組み合わせ、 先ほどと同じように成り行きを見守るしかなかった。 そして、閃光が弾けた。 だれも、その光景を見ていた。目に付く光景に息を呑みこむ。 『凄い』の一言だった。そのレナスの奇跡の前では、全てがまやかしに思える。 「すごい…」「すげぇ…」 ソフィアとクリフは目を丸くした。 自称神だと名乗っていたレナスの実力に脱帽し、感嘆の言葉を漏らすしかなかった。 そんな驚きで言葉の出ない二人を見て、レザードは自分のことにように陶酔した。 その後、レナスの戦闘は一方試合だった。 レナスの実力は金龍を超えている。そのため、後に繰り広がれるのは死ぬことを恐れる金龍の悪足掻き。 勝利は誰の目にも明らかだった。 「うぉっと、なんとも危ねえな。めちゃくちゃじゃねえか」 ソフィアの隣にいたクリフは金龍の悪足掻きに苦言を漏らす。 辺り構わず放射される攻撃に辺りの地形が変わりつつあった。粉塵が飛び交い、視界を悪くなるばかり。 金龍の行動に見苦しいな、と思いつつ、その攻撃に巻き込まれないようにしていた。 レナスの勝利は目前だった。金龍は疲弊し、攻撃の切れも最初のころよりも下火になっていた。 それに比べ、レナスは最小限の動きで相手に詰めていくため疲労が少ない。 「そろそろだな」 三人はすでに勝利の喜びを噛み締めていた。この後に、起こるであろう悲劇にまだ気付かない。 そして、確定されていた悪夢が忍び寄ろうとしていた。 レナス目掛け、撃ち出されていた攻撃の矛先がこちらに向けられたのだ。 それは、ソフィアを狙う。砂埃が邪魔をする、三人の行動を一瞬でも遅らせるために。 ソフィアは近寄ってくる黄金の煌きに唖然とするばかり。 クリフは後一歩のところで反応できない。 レザードは結界を張ろうとするが、相手のことまで手が回らない。 「嘘…」 気付いた時にはもう遅かった。 思考も感情も何もかもが、目の前の出来事に追いつけない。だが、ただひとつだけ、理解できる。 自分は呆気なく死ぬんだと。 だが、その想いは掻き消される。颯爽と現れる羽のように軽い足音と共に。 ソフィアは目の前には金龍の魔力の胎動を剣で散らすレナスの後姿があった。 「レナスさん!!!」 「間に合ったか……」 自分のために真っ先に駆けつけてくれたレナス。そんな彼女にソフィアはお礼の言葉を紡ごうとする。 だが、感謝の言葉は紡がれることはなかった。顔を振り向けるレナスにソフィアは言葉を失しなったのだ。 口元からレナスの呼吸と一緒に血が紛れ溢れ出す。網膜の奥にその姿が焼印のように刻まれる。 レナスの唇から流れる夥しい血に目を奪われる。瞬きをするたびに、力強い眼から生気が失っていくのが分かる。 何が、起こっているの、と現実と無意識の狭間の中でソフィアは混乱していく。 レナスが抑えていた金色の魔力が散っていく。役目を終えた花のように全て散り終えると、全容が現れる。 そして、ソフィアは喉が焼け付くのを感じた。 ―――そこには、ケタケタと嗤う少女が。 ―――レナスさんの蒼く荘厳な鎧を突き破って。 ―――胸に手を突き入れている姿。 「んぅううん……。これだ……この顔が見たかったんだ♪ 苦痛に歪み、絶望するその姿がぁ♪」 ―――それは、金龍が送る独演会。一つ一つ、丁寧に実況してくれる殺戮ショー。 「指先に感じるよ、ドクンドクンと小刻みに鼓動する貴様の○○○が♪」 ―――グチャッと肉が裂かれる生温い音。 「どうだ、初めて、自分の○○○を見た感想は? まだ動いているだろう♪」 ―――取り出した肉塊をレナスに見せびらかす。それはまだ動いていた。 「ん? 何だ、もう見飽きたか……」 ―――もう、止めてと叫びたかった。でも、どうしてか、声が出なかった。 「なら、私の目の前から消えな、下種がッッ!!!」 ―――金龍の攻撃にレナスの肢体は吹き飛ばされ、地面に激突する。 目の前で歓喜の雄叫びを上げる金龍に構うことなく。 ソフィアは呆然と吹き飛ばされたレナスへと無我夢中に駆け寄った。 ぐったりとうつ伏せに倒れるレナスを見ると、更に目の前が真っ暗になるのを感じた。 様々な感情が混濁する。焼け付いていた喉が渇きを求め、体全体から搾り出される。 「レ…ナスさん…」 人形のようにだらんとするレナスの姿があった。 ソフィアはぐったりとする身体を抱き起こし、必死に身体を揺らし、 返事を求めるが、うんともすんとも反応は返ってこない。 そこには、胸元に拳だいの穴を開け、闇を覗くレナスの姿あった。 レナスの目は描を思わせるほど大きく開き、虚空となった夜空を見つめている。 「起きてよ、レナスさん。ねえ、起きて…よ…んぅ…ぐす…」 ソフィアから大粒の涙が湧き水のように溢れ、頬を伝いレナスの頬に何度も打つ。 その涙によって、意識が取り戻すような奇跡は起きる事なかった。 現実は残酷にもソフィアを打ちのめすだけだった。 レナスの心臓は動かない。彼女の心臓は抜き取られたのだから。 ワンワンと自分のせいだと泣き喚くソフィアに更なる追い討ちをかけられる。 「くっ、あっははははははっ!!! ざまあねえなっ!! 人間を守ろうとした結果がこれだよ!!」 聞きたくなかった。私を守ってくれた恩人に対して、酷い事を言えるのか。 ソフィアは耳を塞ぎたくなった。が、目の前に差し出される、モノにヒッと声が漏れる。 「良い物を見せてやるよ。あの女の心臓だ。意外と綺麗だろ。 さっきまで動いていたんだけどな。生きが悪いせいか、止まっちまったよ」 レナスの心臓を勲章のように見せびらかせ、レナス亡き今も、蹂躙し弄ぶ。 止めて、それ以上…レナスさんを汚さないで、と口をパクパクとさせる。 だが、無常にも彼女の願いは届くこともなく。 グシャッと生暖かい音が弾ける。 「おっと、悪かった。力の加減を間違った。粉々に砕け散ってしまったよ。 なんともまあ、軟い心臓だ。あはははは!!!!!!」 肉の花火にソフィアは意識が遠のく。目の前にいる存在が怖かった。 自分もレナスと同じように痛めつけられ、殺されてしまうんではないかと。 いや、殺されるんだ。 ソフィアの脳内に圧倒的な恐怖が支配される。ソフィアはその場に頭を押さえ少しでも恐怖から遠ざけるように蹲る。 ソフィアの精神は恐怖と悲しみの慟哭を全身に響き渡らせた。 【レナス・ヴァルキリア 死亡】 +++ 第102話← 戻る →第103話(2) 前へ キャラ追跡表 次へ 第76話 ガウェイン 第103話(2) 第96話 クリフ 第103話(2) 第96話 レナス 第103話(2) 第96話 レザード 第103話(2) 第96話 ソフィア 第103話(2) 第95話 リドリー 第103話(2) 第96話 ルーファス 第103話(2) 第97話 チェスター 第103話(2) 第97話 アシュトン 第103話(2) 第97話 ボーマン 第103話(2)
https://w.atwiki.jp/lactres-d/pages/25.html
録画ソフト番号 0001 現在企画停止中。 詳細は進行状況を参照。 アルバム機能がなく、そこが結構マイナス評価のポイントとなっており、 自分もそう思っているので、 いつまで待ってもアルバム機能パッチを作りそうにないメーカーを放置して、 アルバムを作ってしまおうという企画。 折角良いBGMもあるのにそのままでは悲しいですからね。 企画番号(動画URLもこちら) + ... 企画番号0001 更新履歴 + ... 2011/02/26 投稿 密室のサクリファイス001 ニコニコ動画版 2011/02/26 開始 ニコニコ動画での動画投稿開始 2011/02/04 変更 撮り直しを減らす為、録画時にはオプションを定めて録画する。 2011/02/04 投稿 密室のサクリファイス001 関連ページ + ... テンプレ 密室のサクリファイス 密室のサクリファイス 関連動画 本日 - 昨日 - 総合 - 感想・意見 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/nekomimi-mirror/pages/212.html
学園麻雀黙示録 「おー来たか。まってたぞ、酒」 「人呼んでおいて第一声がそれかよ。面子足りないっていうから来てやったのに」 人類の生存可能限界一歩手前まで散らかった用務員室で男三人が麻雀牌をかき回していた。出口に一番近いところに座るカモシカのマダラ、カルロがスーパーの袋を持ってきたヒト、サトルを迎え入れる。 「もちろんそれもある。用務員さんが急用とか言ってでてっちまったんでな」 「あのひと携帯持ってたんですねー。初めて知りました」 「しかも見たことのないモデルだったね。特注らしい黒革のコートと言い、やはりあの人には何か表にはできない裏の仕事があるようだ」 「はいはい名推理名推理」 「はいはい面白い面白い」 「な、なにもそんな一言で切り捨てなくても……」 イヌの青年の推測に興味すら抱かず、サトルは紙コップにペットボトルの焼酎を注いで配り、そのままカルロの下家に座る。 「で、ルールは?」 「食いタンあり、ツモピンあり、ダブロンあり、トリプルなし、レートは百点一円」 「ヒラ?」 「初心者いるから、ヒラ」 手慣れた様子で確認をする二人にカルロの上家に座る一年生が声をかけた。 「サトル先輩、麻雀詳しいんですか?」 「ん?詳しいってほどじゃ……あれ?何で俺の名前知ってんだ?」 「えっと、部長の彼氏ですよね?剣道部の」 その一言に、口に含みかけた焼酎を盛大に噴き出す。アルコールはバックファイヤして、噴き出した本人の顔面を襲った。 「だ、大丈夫ですか!?」 「い、いきなりなにをいうかなっ!?」 「なにって、彼氏じゃないんですか?」 そばにあった新聞紙でぬぐったせいで少し黒くなった顔を赤くしてサトルが言葉を濁す。 「あー、その辺の関係についてはノーコメント。どうしても知りたければサーラに聞いてくれ」 「部長に聞いたら『サトルに聞け』って言われたんですけど」 真っ正面からのカウンターでサトルが雀卓に撃沈する。其処に追撃が来た。 「いーんじゃねーの?彼女で」 「ふむ、サトル君と言ったね。君がとぼけるのはいただけないな。紳士として君の方から正式に交際を申し込むべきだよ」 「うっさい。俺には俺のスタイルがあんだよ。……で、これはどういう面子なんだ?」 話を振られたカルロが自分の上家に座るヒトの少年をあごで指す。 「こっちがレーマ。最初はリュナ誘ったんだけど、久々に嫁さんと過ごすってんで代打ちで来た」 「レーマ?ああ、もしかして副部長に可愛がられてるって話の?」 「そそそ、それはどんな話…あ!部長か!」 「時々話に出るよ。副部長のアンシェルさんだっけ?彼女に特別に目をつけられてしごかれてるってな。練習終わっても二人で居残ったりするんだって?」 思わぬタイミングでの報復に成功し、サトルがにやりと笑う。泡を食ったレーマはしどろもどろになった。 「ご、ご主人様には以前からあんな風に師事していただいているので特に変なこととかは……」 『ご主人様!?』 場違いな単語をレーマ以外の三人が異口同音に復唱する。それで気付いたレーマが慌てて口を押さえた。 「ど、どーいう関係だ?」 「い、いや、その、幼なじみでして……」 「ふむ、幼なじみから主従へと発展していくとは、乳母兄弟のような関係かな?」 「今時、乳母って言葉も聞かないが……」 「そ、それよりサトルさんはこの方のほうが気にかかったりしませんか?ねえ?」 悲鳴混じりに話をそらそうとするも、サトルの反応はにべもない。 「ミスドのクリフだろ?有名なバカップルの片割れじゃないか」 「ちょっと待ってくれないか。そう略されるとミステリー同好会じゃなくてドーナツチェーン店の様に聞こえるんだが」 「バカップルには訂正入れないのか?」 横からのカルロのつっこみに、場違いに紳士然としたイヌの青年は答える。 「僕とミツキが一般の水準以上に愛し合っていることは否定しないよ。それを世間がどう評価しようと二人の仲には関係ないしね」 自信たっぷりに語るクリフに、世間の風はやはり冷たかった。 「レーマ、其処のピザポテト俺にもくれー」 「あ、じゃあ空の紙コップにわけますよ」 「んじゃあ席順そのままで親決めるぞー」 「……」 半荘二回が過ぎて、意外なことにレーマがトップに立っていた。 「引き強いなー、お前」 「あれだ、リーヅモに裏ドラ乗って満貫に届いたのがデカイ」 「いやー、運ですよ、運。ビギナーズラック。それが続いている内に大勝ちさせてもらいますよ」 「ふふっ、そうはいかないよ。この局からは僕も本気を出させてもらうからね」 乗り気になってきた二人に対して、やや負け気味のサトルは気だるそうにぼやく。 「ギラギラしてんなぁ、お前ら」 「一万点とっても百円のレートだっつうのに、なあ」 面白くもなさそうに最下位のカルロがうめくとレーマは楽観論を口にした。 「十万点勝てば千円じゃないですか!」 「うわ強気。飲み過ぎじゃないか?」 「ふむ、そうだね。千円もあればミツキ君に新刊をプレゼントできる」 「夢見すぎだろ」 「夢は見ないと叶わない物だよ。ところでレーマ君は大勝ちしたら何を買うつもりだい?」 「そーですねー。ご主人様に新しい水着をプレゼントしようかなー、と」 その一言に、レーマ以外の三人の時間が止まった。背景に『!?』を浮かべた所十三な絵になったのにも気付かず、レーマは夢見るように続ける。 「今年の夏にはブラジル水着を贈ったんですけど、一回しか着てもらえなくて……来年はもっとかわいいのを贈りたいですねえ」 顔色にもろれつにも出てはいないが、実際はかなり酔っているのだろう。誇らしげに秘密を暴露するレーマの瞳の正気はかなり危うい。 「ブラジル水着……その発想はなかったな。ミツキ君にプレゼントしてみようか」 陶然と何かを夢想する自称探偵の言動にもアルコールが……いや、元からか。 「なあ、諸君。レートを上げてみないか?」 「お、お前自分が勝ってるからっていきなり凄いこと言い出すな」 非難するというより呆れた口調でカルロが突っ込む。だが、クリフは動じなかった。 「何、考えてみたまえ。もしレートを今の10倍に上げれば、一泊二日のペア旅行にも手が届くと思わないか?」 「まあ、確かに二十万点いければな。それぐらいはな」 「満貫いくつあがればそこまで行くんだよ」 「それぞれに思い人がいるこの四人で、愛の深さをちょっと競ってみようじゃないか。君たちも恋人と素敵な一夜を過ごしてみたいだろう?僕もたまにはミツキ君を外食に連れて行ってあげたいんだ」 「あれ、クリフ先輩って同棲してるんですか?」 「おっと失言だったね。だけど僕の推理が正しければ、君もアンシェルさんとかなり親しいはずだけどね?」 「いやーそんなー。先輩ほどじゃないですよー」 ノロケ話に花が咲く二人に置いてけぼりを喰らったカルロが冷静に声をかける。 「いやあのな、別に愛があれば勝てるってもんじゃなくてな……」 「いいんじゃないか、レート10倍」 そのカルロをサトルが止めた。 そのときのサトルの表情を、カルロは後にこう語った。 『ええ、すごい笑顔でした。なんていうか食肉昆虫の笑顔でしたね』 その様子にも気付かない二人に、ストレートで焼酎を呷ったサトルがほほえみを深くして言う。 「いいんじゃないか?今の点数持ち越しで十点一円のレート。カルロも良いよな?」 「俺、今のままだと1500円払うことになるんだけど……」 ごねるカルロがめざとくサトルの手の中の西牌を見つける。口ローズ三番のサイン。 「いーじゃん。この条件飲んでくれたら『あぶない刑事』のビデオ、ダビングしてやるぜ?」(意訳:『コンビ打ち』でこいつら潰さね?) 「んー、『テープ代』は?」(意訳:『あがりの配分』は?) 「『割り勘』で」(意訳:5対5で) 「……まあ、それならいいけどよ」 瞬時に交わされた口ローズにも気付かず、クリフが呑気にカルロを褒めた。 「太っ腹だね、カルロ君」 「よーし、それじゃ頑張るぞー!」 元気に叫ぶレーマの声を皮切りに、地獄が始まった。 「リーチ」 カルロが千点棒を投げる。三巡目にしての速過ぎるリーチにクリフが眉間に皺を寄せた。 「もうリーチなのかい?」 「配牌がよかったんだろ」 そういいながら何気なくサトルが右手に配を握り込み山へ手を伸ばす。二人がカルロの河から手を予想する隙をついて山から二枚ツモり、手の中の一枚を置く。手早く二枚を手に組み入れると迷うことなく現物を切った。 自動的にサトルが置いた牌はクリフが引くことになる。クリフはその牌をツモ切りし、食われた。 「ロン、チンイツ」 カルロの手牌が倒され、萬子の整列が姿を見せる。 「リーチ、一発。裏ドラは……乗らないか。だが、倍満だ」 「うそっ!?」 「一気に取り戻しに来たな」 「まあな、本気出せばこんなもんだ。ほれ早く点棒よこせ」 「あ、ああ」 呆然とするクリフと驚くレーマ。だが、これは序章に過ぎなかった。 以降はほぼ同様の展開が続く。サトルが多牌自模とかえしの合わせ技を行い、それをさらにエレベーターでカルロと牌を交換することにより、通常の三倍のツモと二倍の手牌で高い手を作り上げる。 更にクリフのツモにカルロの当たり牌を送り込むことによってリーチ一発の確度を上げる。二人がかりで積み込みを行い裏ドラを操作する。たまにカルロがかえしを行い、サトルのツモを当たり牌にすり替える。とどめは--- 「おっと、2か」 カルロがサイコロを振り、サトルがサイコロを握る。 「それじゃあ……あれ、また2だ」 かくてカルロとサトルの積んだ山から配牌が決まり--- 「む!いい手が来たね。この局は取らせてもらうよ!」 最下位ぶっちぎりのクリフの目に火が灯り--- 「2の2の……いやまさか……マンガの話じゃ……」 青ざめた顔でレーマが何事か呟く--- 「そりゃあ無理だな、探偵さん。だって……俺がもうあがってんだ」 カルロがそういって倒した牌に、クリフが声にならない悲鳴を上げ、レーマが更に青ざめる。 「テンホーかよ。今日はついてるな」 忌々しそうに点棒を支払うサトルを尻目にレーマがいきなり立ち上がる。 「ちょ、ちょっとトイレに行ってきて良いですか!」 「点棒払ってからならな」 「ああもう!ほら、払いましたよ!じゃあクリフさんも行きましょう!」 「え?な、なんで僕も行くんだい?」 「男の友情って奴です!!いいから早く!!」 レーマの剣幕に追い立てられるように出て行くクリフ。用務員室のドアが閉められたのを確認して、残された二人がほぼ同時に呟いた。 「気付かれた……」 「……みたいだな」 「やっぱり2の2はやりすぎだったか?」 「あー、調子乗りすぎたかもな」 「あと半荘一回残ってるけど、どうするよ」 「イヌが相手じゃなければサマ続けるんだがなあ」 鼻が利きすぎるイヌがそのつもりになればイカサマを見抜いてくる可能性はそれなりに高い。それを警戒してカルロが渋面を作る。 「いや、あいつらが対抗してコンビ打ちしてくる可能性は?」 「あいつら初対面だからそれはないだろ。それよりは……」 「イカサマを見つけて今までの点数をチャラにさせる、あたりか?」 「その辺狙ってくるだろうな」 「……ならさ、こういうのはどうよ?」 一方その頃トイレでは。 「なんだって?二人がイカサマを?」 「ええ、間違いありません。マンガで見た技ですけど、あのテンホーはコンビ打ちの必殺技だったはずです」 「……そうだね。確かにあの二人が勝ち始めたのはレートが上がった直後からだ。そのときから妙に音楽の話が振られていると思ったよ。あれも二人の間のサインだったと考えれば納得できる」 「流石クリフさん。冴えてますね」 「それほどでもないよ。それにイカサマに気付いたのは君が先だしね。探偵としては褒められた物じゃないさ。……しかし、問題があるね」 「というと?」 「あのテンホーがイカサマだった場合、あの二人はサイコロさえ自由に操れるほどの腕前の持ち主だ。そんな相手にイカサマを見破れるかどうかは、正直賭けだね」 「そうですね……。今までのイカサマも証拠は残してないでしょうし」 「ふむ、だったらこうしないか?見破るのではなく、イカサマに気付いているぞとプレッシャーをかけて封じるんだ。そして対等の勝負に持ち込むんだ」 「なるほど、そんな手が」 「イカサマ無しになれば、精神的優位に立ってプレッシャーをかけられる僕たちのほうが有利さ」 「いいですね。それで行きましょう」 「やあ、待たせてしまったね」 「いやー、つい話が弾んで」 「おかえりー」 「あんま仲良くするとご主人様にホモだと勘違いされるぞー」 やる気をみなぎらせた二人が帰ってきたのをみて、現在勝ち組のふたりが気だるげに迎えた。 「さて、再開しようか?」 「ああそうだね。と、山を積む前に確認したいんだが……」 洗牌しながらクリフが目を鋭くする。冷静な声音にオオカミのような気迫を込めてクリフは言った。 「さっきからカルロ君とサトル君はずいぶんと快調のようだが、まさかイカサマをしてないだろうね?」 「ああ、イカサマか」 「うん、してるよー」 「なるほど、あくまでしていると言うんだね……なんだって?」 あっさりと自白した二人にせっかくの気迫が雲散霧消する。当の二人は淡々とかき混ぜつつクリフに目も向けずに続ける。 「まあでもばれなきゃイカサマじゃないと時間を止める学ラン大将も言ってるしな」 「そうだな。ばれなきゃ技だよな」 「き、君たちはそれでいいのかい?それとも絶対見抜かれないとでも思っているのかい!?」 予定していた段取りの腰を折られ動揺するクリフにカルロがうろん気な視線を送る。 「見抜けないだろ。見抜けたら罰符で十万点払ってやるよ」 「さんせーい。見抜かれた奴が見抜いた奴に十万点ね。それでいこう」 まったりと牌を積み始めたサトルが気のない同意をする。 「ずいぶんな自信ですね、先輩」 怒気すら孕んでにらみつけてくる後輩にへらっと笑ってサトルが返す。 「んじゃ、レーマはその条件でいいんだな?」 「ええ、いいですよ」 レーマが頷くと、こんどはカルロがクリフに問いかけた。 「おめーはどうすんだ?」 「……いいだろう!これは名探偵の僕に対する挑戦と受け取らせてもらう!」 「じゃ、皆さんの合意がとれたところで……五回戦、始めますか」 「で、負けたわけだ」 「うう、はい」 お財布の中身を空にしたレーマがリュナの前で顛末を報告する。一通り聞いた後、リュナはため息をついた。 「レーマ、なんで負けたかわかるか?」 「いえ。イカサマしないように目を光らせていたはず何ですが……」 「それが敗因だ」 「……え?」 全く理解できてない顔でレーマが問い返す。それにリュナが教え諭すように答えた。 「イカサマを見抜いて十万点。点数的には破格の条件だが、それはイカサマを継続するという前提の上での話だ」 「えっと、どういうことでしょう?」 「つまりな、その取り決めをした後カルロとサトルはイカサマをしてなかったんだ」 「はあ?」 全く理解できていない、から全くの混乱にたたき落とされレーマが奇声を上げた。 「十万点という餌を用意しておけば二人とも麻雀を進めるよりもイカサマを見抜く方に気を取られる。だとすれば、その隙に普通に打ち回していけば自然と勝てる」 「あ、あーっ!」 「負ければ見抜けなかったイカサマがあったと余計に思いこむ。イカサマを見抜ければ役満以上に点数が稼げるからそっちに力を入れる。結果、打ち回しがおろそかになる。そして負ける。典型的な悪循環だ」 「そ、そんな単純な手に……」 愕然と自分の手を見下ろすレーマにリュナは、少し迷ってから声をかけた。 「まあなんだ。そもそもの間違いはレート十倍とか調子に乗ったことだ。これに懲りたらお酒と賭け事は控えるように」 「も、もうしません……。うう、僕の諭吉さん。諭吉さん……」 この一夜があった数日後。とある剣道場の前でブラジル水着を握りしめたズタボロの男が倒れ伏しているのが近隣住民に発見されるのだが……それはまた別の話。
https://w.atwiki.jp/kuroyutori/pages/181.html
第一話「特務 ―スペシャル―」 校則違反のたばこを横流ししている生徒の情報が入る。 学内犯罪組織カルネージに当たりを付け調査を開始したユウスケとタマだったが、犯人は学外の人間だった。 あり得ないはずの学外からのルートを作り出した黒幕とは…… 「この街じゃ、たばこは御法度だぜ」 第二話「風紀委員長 ―タイクーン―」 風紀委員の委員長が急死し、新しい風紀委員長(タイクーン)が選出された。 一年生のクリフが選ばれ若いボスに周囲は色めき立つ。 一方、中間テストで学年一位を取ったユウスケ。二位に名を連ねていたのは…… 「今日から僕がタイクーンだ。異議のある奴は今すぐこの場で死ね!」 第三話「爆弾魔 ―ボマー―」 タイクーンの悪ふざけが元で学園都市で無差別爆破事件が起こる。 タイクーンが美化委員長ギリーに依頼した内容は『古い校舎を全て掃除しろ』 ドロップアウト達が住んでいる旧校舎時計塔に仕掛けられた爆弾。赤と青の配線を前にユウスケが切ったのは…… 「俺って二択には弱いんだよな」 第四話「転校生 ―エトランゼ―」 学園に転校生が現れた。誰にも心を開かずに生き別れになった妹を探しバベルを放浪する転校生。 そこへタイクーンが近づき、カルネージの情報網で妹を捜し出すと提案。ただし条件はユウスケを殺害すること。 遺伝子改造を施された凄まじい力を持つ転校生に狙われたユウスケは…… 「特務か、潰す……」 第五話「機心 ―ハート―」 ジェリドに斬り飛ばされたタマの腕を治すためにアンリエッタの元を訪れるユウスケ。 ユウスケはタマを傷つけたことをアンリエッタに責められる。 特務の任務からタマを外し一人で行動を開始するユウスケだったが、タイクーンの罠にはまり絶体絶命のピンチに陥ってしまう…… 「好きだから守るんじゃ、それ以上でも以下でもない。人もこんな感じじゃろう?」 第六話「凶弾 ―エネミー―」 ユウスケの兄、シンゴが何者かに狙撃される。意識不明の重体に陥った兄を心配し落ち込むユウスケ。 タマとアスハムはタイクーンに当たりを付けて捜査を開始し、数々の証拠を見つけ出していく。 一方覚えのない拘束に背信者の存在を感じるクリフ。腹心達に真相を暴かせようと動いたタイクーンを待っていたのは…… 「こんなところで死んじまったら、兄貴は可哀想だ……」 第七話「混乱 ―カオス―」 クリフは行方不明となり、カルネージの裏金を巡ってマフィア組織同士の争いが激化。クリフには巨額の懸賞金がかけられる。 ユウスケは偶然通りがかったスラムでクリフを保護するが、廃人のように変わり果てたその姿には以前の生気は全く無い。 そしてふとしたことから情報が漏れ、ユウスケのマンションにマフィア達が押し寄せ、街中で大規模な銃撃戦が繰り広げられる…… 「こんなとこまでわざわざ俺たちを笑いに来たのか?」 第八話「決別 ―ブレイク―」 タイクーンを裏切った人間達を調べるうちに理事会の影が見え隠れすることに気がつくユウスケ。 このことを退院したシンゴに相談するも根拠のない戯言だと一蹴されてしまう。 理事会を敵に回す恐ろしさが伝わらず感情的になってしまったシンゴは、特務の閉鎖とユウスケの解雇を言い渡す…… 「お前は私が敷いたレールの上をただ言われるままに歩けばいいのだユウスケ」 第九話「虚構 ―ミラージュ―」 理事会を追い詰めるためにも、信頼できる仲間が欲しいユウスケはジェリドを新しい特務に誘うがジェリドは返事を濁す。 そんなユウスケの前に謎の男がふらりと現れる。ジェリドをリリスと呼び危険視するその男は、「テンプルナイト」と名乗る。 ジェリドの正体に気づいたユウスケは、あえてその男の誘いに乗りジェリドを呼び出す。ジェリドの過去をすべて清算するために…… 「さぁジェリド、もうさよならだ」 第十話「後輩 ―フレンド―」 アスハムの相棒ビルは新しいタイクーンを追ううちに、カルネージのマネーロンダリングに関わる組織を探り当てる。 その組織が理事会と繋がっていることを突き止めるビルだったが、その直後に事故に見せかけて殺害されてしまう。 葬式の夜、ビルから届いていた結婚式の招待状メールに偽装ファイルが隠されていた事を知ったアスハムは一人立ち上がる…… 「今追ってるヤマが片付いたら、ちょっと長い休暇を取るつもりなんですよ。あいつと旅行にでも行こうと思って」 第十一話「理事会 ―フィクサー―」 理事会を追い詰めるための証拠、そして仲間が揃い動き出す特務。 生体アンドロイドによる厳重な警備を突破し、ついにセントラルバベルの最上階へと辿り着く。 しかしそこで待っていたのは理事長エドウィン・ケイオスの古びた死体だった。混乱するユウスケ。本当の黒幕は一体…… 「誰かが理事長に成り代わりこの街を支配している……!」 第十二話「決断 ―リゾルーション―」 クリフとジョッシュをかくまっていたプロフェッサーが、その見返りにかジョッシュにシンゴ暗殺を依頼する。 依頼を引き受けたジョッシュは、副会長ユーリに接触しシンゴをおびき出す。 クリフは意識の無いまま、ジョッシュの後を追い、夜の街を彷徨う…… 「もう分かってるんだろ?今のエドウィンはお前の兄貴だよ」 最終話「絆 ―リレーション―」 シンゴの引き起こしたクーデターにより、議会は占拠され、ついにセントラルバベルのミッドセクションが完全に制圧された。 クリフ達は、街を取り返すための戦争をタヌキアベニューで始め、ユウスケは、セントラルバベル内部に潜入する。 タマとマユの力を借り、シンゴと対峙したユウスケは…… 「兄貴には結局一度も勝ったこと無いんだよね俺」
https://w.atwiki.jp/dq_dictionary_2han/pages/7711.html
DQⅨ 神官【クリフト】の履いていた白ズボン。守備力は15で、全職業で装備可能。 入手方法はリッカの宿屋が最高ランクになった時にクリフトに話しかけるともらえる1つのみ。 クリフトのコスプレ装備の一部分で、称号「高望み神官」の獲得に必要な装備でもある。
https://w.atwiki.jp/aaarowa/pages/127.html
ルーファス(死亡済) 死因:胸部の刺傷による失血死(byすず) 状態:傷を塞がれたうえで氷漬けにされた状態でD-05とD-04の境目(D-5側)に掘った穴に埋められている 現在地:D-05/D-05とD-04の境目(D-05側) 死亡時間:一日目・夜中 初期支給品:連弓ダブルクロス@VP2、矢×40本、クラップロッド@SO2(共に死後レザードの手に渡る) 最終装備:連弓ダブルクロス@VP2、矢×27本(共に死後レザードの手に渡る) 最終所持道具:荷物一式×2(中身は死後レザードの手に渡る) 【生前に確認できる最後の状態】 現在地:C-03/鎌石村内 時間:夜 MP残量:60% 状態:右肩の痛み、出血多量による痺れ(幾分和らいだので弓の使用可能) 装備:連弓ダブルクロス@VP2・矢×29本 道具:荷物一式×2 行動方針:最後まで生き残り、アリーシャを蘇生する 思考1:クリフから逃げる 思考2:他の参加者を見つけ次第殺害する 思考3:午前中あった魔物(シン)を警戒 【動向】 アリーシャを最後まで生き残らせるため、ゲームに乗ることを決意。 だが、初めに見つけた参加者=ソフィアを殺せなかった上に、シンに襲われていた彼女を助けてしまう。 レナスと遭遇。ソフィアと別れる。 その後ガウェインに襲われるが、やって来たクリフに助けられる。 さらに彼に諭されてとりあえず殺し合いに乗るか否かを保留、クリフと行動を共にする事に。 二人で鎌石村へ行き、ミラージュのいる役場へと向かうが、途中流れた放送によりアリーシャの死を知る。 一旦は思い留まるも、アリーシャを生き返らせるため再び殺し合いに乗ってしまい、ミラージュに重傷を負わせる。 その後は役場から逃走、追ってくるクリフを振り切ろうとしている。 殺害数:0 最期の台詞:(漸く…護れたぜ…。アリーシャ…今逝く…) ロワ内における他キャラとの関係 名前 関係 遭遇状況 【SO2】 【SO3】 【VP】 【VP2】 同作品のキャラ 【RS】 【TOP】 【非参加者】 ルシファー オープニングにて目撃。 ルシフェル オープニングにて目撃。 那々美 オープニングにて目撃。 墓参りに行く 名簿に戻る
https://w.atwiki.jp/aaarowa/pages/245.html
第51話 HEAT -灼熱- 走る。走る。走る。 茂みを掻き分け、エルウェンは走る。煙が立ち昇る方へと一直線に。 争いが起こっているであろう場所へと。 エルウェンは刻々と目的地へと接近しつつあった。 もしもの戦闘に備え、パックを漁る。プロテクターを取り出し、腕に付ける。 後の残り二つを懐に収めた。 長年自分と共にしてきた恋人の形見の剣アヴクールがないのが、心細いが十分に戦える。 自分を過大評価する訳ではない。 でも、私はそこいらにいる人間とは比べようないぐらい強さを持っている。 エルウェンは己の矛盾に苦笑いする。しかし、自分にはそれだけの力があるのだ。誰かを護る強さが。 私は止めなければならない。 こんなくだらない戦いを行う輩を意味の無い戦いを強要するルシファーを。 争い。それは醜いものだ。長い間生きてきたが争いは何も生まなかった。 血を血で洗い、憎しみを憎しみで被せ、悲しみを作り出してきた。 いつも、それらで悲しい思いをしてきたのは弱者だけだった。 「もう、私は誰にも悲しい思いをさせたくない」 走るエルウェンに歪に曲がった木々が目に入る。 それらはすべて斜めに無理やり曲げられたように見える。なかには、根元から折れた木もある。 そろそろ目的地が近づいてきたなと気を引き締める。 この惨状を作った本人がいるかも入れない。 滑稽に歪曲した木々の中、エルウェンの視界に光が溢れる。 目的地が近い。足を早める。 森を抜けると可笑しいぐらいそこは何もなかった。 その可笑しな空間にただあるのは、地面に大きなクレーター。一人で佇む男。その傍らには首のない女性の石像。 不気味だ。ただ単に不気味であった。 目の前にいる男が嵐の前の静けさのように静かに奇妙にこちらに目を向ける。 「来客か……私は少々疲れている。お引取り願えないだろうか?」 「……そこにいる女性は貴方がやったのですか?」 「だと、したらどうする?」 男は奇妙に笑いかける。お互いに深い沈黙。男はただただ奇妙に返答を待っている。 この男の目を見ればわかる。こいつは目的のためならどんな犠牲でも厭わない人間の眼だ。 それは自分であっても、他人であっても。 今ここで自分が引いたならば、確実に悲しみを生むだろう。この男による悲劇によって。 それ前に、この男は逃がさないだろう。己の目的ゆえに私を殺しに掛かる。確実にだ。 「何も答えぬか……」 私は男の口を開くと同時に疾風のように駆ける。拳を構えながら。 「私に戦いを挑むのか。素直に引けば、助けてやったものを……」 その言葉は嘘だ。どちらにせよ、私を殺すつもりだ。 「では、死んでもらおうか! 我が使命の礎となるがいい!」 男が構える。魔法の詠唱を始ようとする。 「ぬ」 でも、私はそうはさせなかった。この男は確実に魔術師だ。 石像になった女性。地面のクレーター。このことから、男は魔法を主体としている。 だから、そういう輩には魔法を詠唱する前に叩き込めばいい。魔術師と戦うときの基本である。 私は男に詠唱させる隙を与えない。 拳は空を切るが、この攻撃は相手に着実に効いている。 相手は始めて会ったときから、服装から所々血が滲んでいた。 戦いが長引けば長引くほどこちらが有利なのだ。 そして時が来れば… 男の足を崩れる。私にチャンスが到来する。 「ここです」 拳を大きく振り上げ、頭を捉える。そして私の懇親の一撃を喰らわせようとした瞬間、 男がふっと口元を緩む。 私は殺気を感じ、殺気の感じるところをガードする。 刹那、プロテクター越しに四つの重い衝撃。あまりの衝撃に後ずさる。 そして、許してしまった。男の詠唱を。 「もらった! テトラスペル!」 四つの属性の魔法が襲い来る。私は咄嗟に避けようとする。 火と氷は何とか避けれたが、雷は避けきれず、一瞬身体の自由を奪い、 土の槍が太ももを貫く。私は地面に跪いた。 「なかなかのプロテクターだ。普通なら腕が折れても可笑しくない。それに加え、高い身体能力。 本来なら私が敗北していただろう。しかし、貴様は私を見誤った。詠唱させないよう攻めてきたが、 私は接近戦も得意なのだよ。そして、貴様の最大の敗因。それは貴様が私に恐怖していたからだ」 男は不適に語る。 「それ故、勝利を急ぎ過ぎた。何を焦っていたのだ。 私との戦いを早く終わらせたかったのか。 それもそのはず、貴様は恐怖を感じていた……このダオスに」 そんな馬鹿なと、私は否定する。 私が恐怖を抱いていた…そんなはずは… でも、この男ダオスにあったときから感じていた奇妙な感覚。 私は心の奥底で畏怖していたのかもしれない。ダオスの圧倒的なパワーの目の前で。 私は動けなかった。それは決して足の傷がどうとかではない。 全身を駆け巡る諦めという言葉に支配されていた。 勝てない。私には勝てない。ダオスに勝てない。 ダオスが自分のほうへと向かってくる。 彼はわかっているのだ。 まるで、蛇ににらまれた蛙のように私が抵抗をしなくなったことを。 「アルフレッド……」 私の最後に想うのはかつての恋人アルフレッド。私は彼の意思を継げたのだろうか。 私は彼の意思を多くの人に伝えるために戦士ギルド『テアトル・ヴァンクール』を立ち上げた。 彼の意思『大切なものを護る』ということ。テアトルの皆はその意志を十分に引き継いでくれたはずだ。 副長のジェラルドは強面で口が悪いが、部下の面倒見がよく義に厚い。 隊長のシーザーは仲間の死を自分のことのように感じ、仲間を思う気持ちは誰よりも強い。 女隊長のアリシアはアルフレッドの血を引き継いでいる。 そして、脅威的なスピードで隊長 になったジャック。彼はまだ気付いていないだろうけど。 いつか、気付いてくれるはずだ。剣は『大切なものを護る』ために振るうということ。 貴方の父もかつてそうしたように。 皆、かたちは違えど、アルフレッドの意志を学んでくれている。 私の役目はこれで終わりである。 本当に――――これで終わり 貴女はどうなの? 貴女は大切なものを護ったの? いや、護ろうとしたの? 護ろうとしなかった。放棄した。勝手に自分で諦めて、勝手に自分で絶望して放棄した。 貴女自身の役目は何なの? 貴女は誰なの? 貴女はかつての護られる存在『エル』なの? 違うわ貴女は―――――…… 「最後に聞かせてもらおう。私を追い詰めた貴様の賞賛を称え。貴様の名前を…」 「私は」 私は…私は… 「エル……」 弱きを助け、強きを挫く。アルフレッドが亡くなってから弱き者を『護る』こと使命として生きてきた。 私の名は…… 「――――『エルウェン』だ」 と、発すると同時に私は懐に手を伸ばし、あるものを掴み、ダオスの顔面を殴りつける。 ダオスも死人のようだった自分が突如生き返ったのは予想外だったのか。 その場に仰け反った。その瞬間、ダオスを中心に辺りが灼熱の炎の海になる。 私はダオスをあるもので殴った。 それは、焼夷手榴弾と呼ばれるもの。 彼を殴ったあと、すかさずピンを抜き、そのまま勢いで落としたのだ。 自分が思った以上の火力だった。それなら奴も…… 「ダオスコレダー!!」 ダオスを中心に力場が生まれる。凄まじい衝撃が辺りを覆い尽くす。 爆風が灼熱を吹き飛ばす。私をも巻き込んで。 気付いたころには私は爆風に吹き飛ばされていた。 衝撃。背中に衝撃を受ける。たぶん木にぶつかったのであろう。 あまりの激痛に私の意識が遠のく。 私はここで死ぬのか……ダオスはまだ生きて…いるのに 「そん…な…」 +++ 突然の爆音と後から伝ってくる突風が落ち葉を揺らし、クリフとルシオンを不快に遮る。 「一体この山で何が起こっているんだ! おい、急ぐぞ!」 クリフは途中で出会った仲間ルシオンを急かす。 いまこの爆発に自分の仲間が巻き込まれていないかと心配であった。 目的地に向かう道中、嫌な予感がモールス信号のように自分の体に点滅していた。 「はい、わかりました。急ぎましょう」 ここら一帯の折れ曲がった林の数々。それらは嫌にクリフに悪い予感を暗示させた。 なにもなかってくれと、心で祈る。 クリフに視界が広がる。 森を抜けると荒地に半分以上が黒こげた人間が佇んでいた。 クリフは男の瞳に釘付けになった。クリフはこの男は危険だと直感的に思った。 絶対的な強者を感じさせる胸糞悪い眼だった。 ルシファーと始めてあった時と同じ感覚。 気分が悪い。 「今日は来客が多いな。これで貴様らを含めて四人目だ。 少々時間を取らすが、食事が終われば、相手をしてやろう」 男は黒焦げになったパックからあるものを取り出して、それを食しだした。 すると、みるみるうちに男のただれた肌が綺麗に修復されていく。 「さすが、ミラクルグミだ。あの女がつけた火傷が回復していく」 「女だと……?」 クリフは言われずにはいなかった。予感がするのだ。決して朗報とは思われない何かが。 「そうだ、私の後ろにいるではないか。尤も、私の攻撃を直に受けたから、もう死体だがな」 男は後方へと目配せする。クリフは驚愕する。嫌予感は的中だった。 「テメェーーーー!! ぶっ潰す!!」 そこには、木の幹の下で女性がうつ伏せに倒れていた。 顔は確認できない。が、クリフだけが理解した。 でも、それは、勘違いだった。 金髪のロングヘアーに、両手に付けたミスリルガーター。 ミラージュの特徴ともいえる長い髪。自分と彼女愛用のガーター。 それだけで、ミラージュと判断するには材料が少ない。 が、さまざまな不安と焦燥が混在していたクリフには十分であった。ミラージュと判断するには。 クリフは激昂に身を任せた。目の前の男にはわからないのだ。 自分とミラージュが供に歩んできたことを。何も知らないのだ。 それをただ己の我欲で彼女の命を摘み取った。それが許せなかった。 クリフの身体が怒気をあげる。 「クリフさん! 引いてください! 怒りに身を任せて、倒せるような相手ではありません」 ルシオンが自分を制しようとする。 だが、聞こえなかった。いや、聞こうとしなかった。 一発でもいい、目の前の男をぶちのめしかった。 気を高め、爆発的なスピードを上昇させる。 相手の間合いを一気に詰め、かつ、ダメージを与える技。 「バーストタックル!!」 超スピードで男に体当たり。が、 「馬鹿の一つ覚えのように、突っ走るとは愚か者め。貴様には耐えられるかな?」 ダオスの構えた両手からの光線がクリフを捉える。 「ダオスレーザー!!」 バーストタックル中は方向を修正できないクリフを狙う。 避けるのは不可。激突は必至であった。 クリフのパワーとダオスのパワーが反発しあう。 それに合わさって、カウンターのような衝撃がクリフの体に超絶な重圧を与える。 身体は耐え切れなかった。 クリフは人形のように遠い彼方へと、放り出された。 一般人がみれば、まるでサーカスの出し物の一つである人間ロケットのようにと思うだろう。 ギャグ漫画のようにバビューンとクリフは飛ばされた――……‥‥・・・ 「次は貴様の番だ。先ほどの単細胞と違い、 多少はやるようだが。このダオスの前に平伏すがよい」 私は男と戦う理由はなかった。が、相手は私を殺したいようだ。 銀龍である私はむざむざと殺られる訳はない。 それに人間が龍に歯向かう、その減らず口を叩き割りたくなった。 後悔するがいい。トゥトアスの監視者である私に戦いを挑むことを。 「私には戦う理由がないのですが。そこまで仰るなら相手になってあげましょう」 奴は私に舐めた口を訊くが、解るのだ。 奴の潜在能力は私と同等の力を持っている。 制限によって人間の容姿をしている私は接近戦しか、奴を致命傷に負わせられない。 それは、私は何もない状態から手から刃渡り2メートルの大剣を具現化することが出来る。 ―――私には策がある それを実行するには、拳が届くの間合いに入る必要がある。 初めに奴を体術で攻める。体術で攻めることによって、私の拳に意識を固定させる。 そして、私が殴打をわざと外す。外した瞬間、奴は油断をする。 そこを狙うのだ。剣の具現化を発現させ、斬る。 それだけだ。普段の奴なら避けられるかもしれない。 が、私の能力に対応できないだろう。疲労の影が見える奴にはな。 奴との距離は約50メートル。私は何とかして奴に接近する。 さすれば、龍をも越える魔力を持っている奴を屠ることが出来るだろう。 だから、私は捨て身で奴に近づく。奴を殺せる間合いに。デッドゾーンへ。 ルシオンは攻撃の間合いに入るために地面を踏みしめる。 体が跳ね飛ぶようなステップを踏み、相手に詰め寄る。 ダオスも相手を近づかせぬよう、己の魔法を向かわせる。 炎、氷、雷、土の四重奏。 回避、回避、回避、回避の連立。 ルシオンにとって、疲弊したダオスの攻撃は鈍く感じられる。 機を逃すわけにはいかないとルシオンはさらに突き進む。 ダオスも負けじと魔力を振り掲げる。 だが、回避。 無駄な抵抗に過ぎない。ルシオンは勝利を確信する。 あまりにも、あっけない。奴はもう駄目だ。疲労しきっている。技に切れがない。 私は奴を過大評価し過ぎたのだろうかと、思考がよぎる。 すでにもう、ルシオンはデッドゾーンに入ったのだから。 ルシオンは当初の作戦を止めることにした。 そんな回りくどいことをしなくとも、殺れる。 拳のフェイントなどせずとも、そのままでいい。射程に入れば、すぐに斬りつける。 「では、さらばだ…人間」 ルシオンは腕を振り上げる。手に漆黒の大剣が現れる。 自分を虚仮にした愚か者に下ろす。避けられはしない。 ―――が、出来ず。振り下ろすことはできなかった。 私は強制的に後方に戻された。這いづくばった。 私は体が拒否するように血を吐き出す。地面が赤く染まる。 奴の魔力の篭った四重の打撃が腹部へと流し込まれたのだ。 確実に自分の器官が深いダメージを受けているのが自明であった。 見切られていた。奴は私の魔力の流れを見切っていたのだ。 「何故だ?」 奴は首を傾け、質問を返す。 「何故だと? 愚問だ。貴様のほうがよく解っているのではないか?」 そうだ、私は解っていたのだ。認めたくなかったのだ。 自分のたった一つの怠惰が油断が敗因だということ。龍と妖精たちに蔓延しているもの。 私が嫌った感情、習慣である。怠惰によっての敗北だと認識したくなかった。 絶望的であった。私は勝てない。私はあまりにも傷ついている。 奴から受けた傷が私と奴との差を大きく開いた。不利を通り越して死に繋がるしかなかった。 ここから戦闘を続けても無駄な足掻きに過ぎない。 最後には、私の死体しか残らないのだ。それほど、奴が与えた傷は深いのだ。 怒りが込上げてくる。久しぶりの感覚だった。ただ、与えられた使命をもくもくとこなす自分から、失なった感情。 負ける? 殺される? 人間如きに? 保護してきた矮小な存在に? 銀龍たる私が…銀龍にさえ…戻れば…奴を…葬れるのに… 力が…あれば ――――共鳴 不思議な何かと。 すぐに出所がわかる。パックからである。 私はそれに触れる。 『ドラゴンオーブ』 力がみなぎる。力が溢れる。 私の力が……開放される。 そこには、天空を深々と仰ぐ銀色に輝く龍がいた。真の力を解放した龍がいた。 「我が名はフォティーノ! ニンゲンよ。我が力をしかと眼に焼き付けよ。 そして、絶望と後悔の中で消え去るがよい!」 龍の逆鱗に触れてきたものはいかなる者も最上級の死が訪れる。 今ここに銀龍フォティーノが君臨す。 銀龍は漆黒の剣を天の掲げる。剣先から雷鳴が轟き、ダオスを襲う。 ダオスは完全に銀龍の手のひらで踊らされていた。 銀龍の攻撃を必死で逃れようとする姿がまるでワルツを踊っているようだった。 銀龍はダオスのワルツは延々と拝むのも悪くはなかったが、時間がなかった。 ルシオンだったときの傷があったのもある。 が、それよりも、ドラゴンオーブ。こちらのほうだ。 このアイテムは少々曲者だ。真の力を解放させるようだが、開放できて5分程度。 しかも、自分は今、疲労と怪我が相成って、2,3分しか本来の力を解放できないだろう。 その上、可笑しな話だが、本来の力を解放しても、制限が掛けられている。 でも、十分であった。1分もいらない。 銀龍は黒き翼を羽ばたかせ、空を仰ぐ。周囲に砂塵が覆う。 ―――そして、ダオスめがけ急降下。 奴の首を刎ねる。その一撃で終わらせる。 ルシオンの漆黒の剣がダオスの首へと軌道があるが如く振り下ろす。 ―――怒りの鉄槌 『私の勝利だ!!』 その刹那、閃光が銀龍の眼光へ焼き付ける。 銀龍に疑問が沸き起こる。 ダオスの首を刎ねたいのに刎ねられない。体の筋肉が強張る。 なぜ、奴が目の前にいるのに、精神と体が食い違うのだ。 何故だ。何故だ。何故だ。 ダオスの苦肉の策だった。 至急品の閃光手榴弾を一か八かで地に叩きつけたのだ。 幸いにも、辺りは砂埃で視界が悪かったのだ。 そのおかげで、銀龍に気付かれる事なく。ことを運ぶ事が出来た。 しかも、銀龍は何が起こったのだとハテナマークを出し、目を押さえ、無防備でいる。 ダオスはこの好機を逃すはずはなかった。 「死ぬがいい」 ダオスは手に魔力を集束させ、放出させる。 間合いゼロ。 絶対死。 「ダオスレーザー」 銀龍は避けられるはずもなく。光線ごと吹き飛ばされる。 ―――私はもうだめだ… 思考が強制的にその考えを作る。 奴の光線が私の体を貫こうと後方へと押し続ける。 私は負けたのだ。今まで守ってきた人間に。 人間は業に生き、業で死ぬ。私はそんな生き様する人間に憧れていたのかもしれない。 だからこそ、諦めきれない。私は生きたい。人間のように抗いて見せよう。 私は最後の力を振り絞り、口元を一点に集中させ作り出す。 灼熱の炎。全てを焼き尽くす業火。 しかし、無意味な行為だった。 奴のレーザーを受けてから、ほんの一瞬だが、距離が遠く離れてしまった。 確実に回避される。無論承知であった。 私の心の中は当たろうが避けられようがどうでもよかった。 最後の足掻きであった。抗いであった。 銀龍としての最後の意地である。 そして、私は最後の力を籠め、奴めがけ吐き出す。 私の意識が失っていくのが感じられる。 ―皮肉なものだった。 私が愛し、守り抜いてきた人間に殺され、最後は人間の姿で死ぬのだから。 今思えば、本来の姿にいるよりも人間の姿でいるほうが長かった。 本当に皮肉なものだ。 死が迫ってきているのに、不思議と笑みがこぼれる。 「さらばだ、私が愛し、守りぬいてきた人間たちよ……」 そして、ルシオンは静かに眼を閉じた……。 「龍ごときの畜生がまだ抗うか!?」 ダオスめがけ業火が向かってくる。しかし、簡単に避けられる。 距離が遠い。まるで、避けてくださいと言わんとばかり。 ダオスは黒い長髪の男が龍に変化したとき、内心焦っていた。 しかし、もう臆することはなかった。龍は死んだのだ。我が手で。 笑いが込上げてくる。あまりにもあっけない最後。 あれほど、自分を追い詰めた龍の最後が明白に避けられる業火。 馬鹿馬鹿しい最後。犬死。 焦ることはなかった。横に7,8歩移動するだけでいいのだから。 そして、ダオスは行動に移そうとした。 ――ガシッ ダオスの足に感触。何者かが自分の足を掴みかかったのだ。 それは、自分を黄泉へと連れて行く亡者が降りかかったように思えた。 そこには、あの女がいた。 ++ ―ねえ、起きて! ねえ、起きて! ―貴女はまだ眠ってはならないわ ―貴女には役目があるのでしょう? ―だから起きて、貴女には最後の役目が残っているの 私に語りかけてくる。一体誰だろう。うつ伏せになった私は顔を上げ、声の出所を見る。 そこには……私がいた。 まだ、エルと名乗っていた時の幼い自分。 私は幼い私と目が合う。幼い私はにっこり微笑み、最後に一言心に語りかけた。 ―これ以上悲しみの連鎖を止めて 意識が引き戻される。あれは夢だったのだろうか。 幻や夢の類とは思えなかった。やけに現実的だった。 「ここは?」 一瞬、自分の状況がわからなかった。が、あたりの惨状を見渡すと一発で理解する。 そうだ、私はダオスに…。 私はあと一歩のところまでダオスを追い詰めた。しかし、奴の反撃で私は…。 「龍ごときの畜生がまだ抗うか!?」 突然、ダオスの声が聞こえた。 私は声の方へ振り向く。10メートル先に、迫り来る炎の前に高笑いするダオスがいた。 私が眠っている間に何が起こったのかわからないが、一つだけわかることがある。 ボロボロになった体を奮い立たせ、私は蛇のように這いずりながらダオスに近づく。 奴の攻撃でありとあらゆる骨が砕かれている私にとって、10メートル先の奴に近づくこと至難なことであった。 私は一歩一歩語と進むたび、全身を気絶しそうな激痛が走る。 たったの10メートル進むことがこんなに遠く感じられるの初めてであった。 私は血反吐を吐きそうになりながらもダオスに到達する。 最後に一つだけわかることそれは… ―――ダオスに引導を渡すこと 私はダオスの足にすがり付く。そのときの奴の驚きようは見ものだった。 「貴様! まだ生きておったのか。この死にぞこないめ」 「私は戦士ギルド『テアトル・ヴァンクール』の大隊長エルウェン!! 今ここであなたに引導を渡します」 「亡者が調子に乗りおって」 ダオスは離せ離せと私の顔を蹴り上げる。 私は顔を蹴られようが絶対に離しはしなかった。痛みに耐える。 私の顔は何度も蹴られ、多分見るに耐えないぐらい膨れ上がっているだろう。 他人が見れば、無様な姿であるが、私には体裁など、もうどうでもよかった。 ダオスによる殺戮を止めるには、もう私しかいないのだから。 惨劇は今ここで絶つ。 灼熱の炎はもうすぐそこまで迫ってきている。私は腕の力を強める。 だが、突然意識が朦朧としてきた。私は失ってはいけないと自分を励ます。 後もう少しでダオスを倒せる。 だから耐えて、お願い。 「アルフレッド、私に力を…」 私の口から飛び出すはかつての恋人の名前。自然に出たのだ。 彼の名前を聞くと私は痛みが不思議と引いてくる感じがした。 ダオスの猛攻は私にとって苦じゃなくなった。だから耐えることができた。 炎はもう目の先だった。 灼熱がダオスを包み込もうとする。 私は勝利したのだ。 「貴方の元に向かいます」 アルフレッド……私…勝ちました… +++ 神塚山の頂上に満身創痍の男がいた。 彼は疲労困憊であった。体の節々が疲労で悲鳴を上げていた。 男はあたりを見渡した。 石になって粉々になった女の破片。龍に変化した男の屍。黒こげの女の屍。 「私は死ぬわけにはいかぬ……私には使命がある」 ダオスが息を切らし、静かに吼える。彼には休息が必要であった。 ダオスはエルウェンに羽交い絞めされたとき、 最終手段にタイムストップを唱え、事なきを得た。 しかし、もともとあった疲労に加え、一日に二回も大魔法タイムストップ使用した代償は大きかった。 魔力は底を尽き、少しでも、気を緩めれば、その場に永遠の眠りへと誘う。 「あの女…エルウェンさえ、いなければ、私は…」 ダオスは自分を無様な状態にした女を呪うように忌々しく吐き捨てる。 一刻も早く、ここを去らねばならなかった。 ここで休息をとれば、騒ぎを聞きつけた奴、殺されるがしれなかった。 だから、安全な場所へと移動せざるを得なかった。 ダオス疲労でふらつく足を奮い立たせ、一歩を踏み出した。全身に激痛が走るが耐えねばならなかった。 逃げねばならなかった。 逃げねば―逃げねば―逃げねば― 逃げねば―逃げねば―逃げねば― ―――――逃がしはしねぇよ ダオスの後方から呪詛のような言葉が聞こえた。 空耳であって欲しいと後ろを振り向く。 そこには、自分が殺したはずの男がいた。龍になった男に一緒にいた傍らいた単細胞。 何故、生きている。 「貴様…! 何故、生きている?」 「さあね…」 クリフはダオスレーザーを貰った時、パックに仕舞ってあった無欠の護符が発動し、無傷でいられたのだ。 「テメェに教える義理はねえよ!!」 クリフは足を地面に蹴りこんでダオスの懐に踏みんだ。 ダオスはかえるの鳴き声のような喘ぎ声を出す。 それもそのはず、クリフの全体重を乗せた重いボディブローが炸裂。 その一撃はダオスを2,3メートルほど吹き飛ばす重い一撃。 ダオスの肢体が後方へと吹き飛ぼうとするが。 「おっと、まだ終わっちゃいないぜ。 きっちりと借りを返すには…まだ足りねえから……なあ!」 クリフはダオスの足のつま先を踏み、この場に留まらせた。 クリフに燻る灼熱の怒りが収まらないから。 「おりゃあぁあぁああーーーー!!」 怒号を皮切りにダオスに怒りの猛打。 「テメェ! ふざけやがって! よくも、ミラージュを! よくも、ルシオンを!」 クソ野郎が ―クソ野郎が ――クソ野郎が クリフは拳を振り抜き、ダオスを地面に叩きつける。 上空へと飛び上がり、拳を振り上げる。 ―――そして急降下。神宮流の中でも屈指の破壊力を持つ技『エリアルレイド』 拳にありったけの怒りをこめる。 ルシオンが成し得なかった首刎ねの無念が重なる。 そして振り下ろす。 ―――怒りの鉄槌 グシャッ…… クリフを中心に砂塵を舞い、地面を揺らす。 鮮血が波紋のように飛び散った。 「痛ってぇー、ちょっとやりすぎたか? これだと相手のツラが拝めねえなあ」 今の一撃でダオスの顔は陥没。クリフの手にダオスの歯が食い込むほどの一撃であった。 そこには、顔だけでは判別不能の死体が横たわっていた。 「ミラージュ…ルシオン…仇を取ってやったぜ…」 クリフは黒こげになったミラージュもといエルウェンの側に近づく。 判別不可能なくらい焼け焦げた体を見ると、ダオスに対して怒りがまた再燃するが、それを収める。 そして、両手に付けていたミスリルガーターを外す。 「ミラージュ…ちょっとの間、貸してもらうぞ」 クリフはミラージュの遺志を受け継ぐように手に装着する。 次にルシオンの側へ。 「遅れちまってすまなかった…もっと早くに到着していれば…助けられたのかもしれないのに…」 クリフは付し見がちに謝った。けれども、今言うことはそんなことではない。 「短い間だったけど、お前といられて楽しかった」 ふっと笑みをこぼす。ルシオンの死に顔が死んでいるとは思えないぐらい安らかであったから。 クリフはガシッと手のひらと拳をぶつけ、決意する。 ――ミラージュ、ルシオン。俺はここを絶対に抜け出し、ルシファーをぶっ潰す。 それが、お前らに出来る餞別だ。 悪いなと謝りながら、クリフはルシオンの支給品を貰い受ける。 ドラゴンオーブとメルーファとバニッシュボムの三つ。 最後に戦利品としてダオスのパックを漁る。 中には、閃光手榴弾とサイレンスカードの二つ。 そして、首輪があった。 「どうして首輪が……?」 【F-5/昼 放送直前】 【クリフ・フィッター】[MP残量:80%] [状態:憤りと悲しみ 手の甲に歯によるケガ 疲労微] [装備:ミスリルガーター@SO3・閃光手榴弾@現実・サイレンスカード×2@SO2] [道具:ドラゴンオーブ・エターナルソード・メルーファ@SO2・バニッシュボム×5@SO3・フレイの首輪・荷物一式×4] [行動方針:首輪を解除しルシファーを倒す] [思考1:ミラージュ……] [思考2:なぜ首輪が?] [思考3:仲間を探す(マリア優先)] [現在位置:F-5 神塚山山頂] 備考 クリフはミラージュが死んだと勘違いしています。 エルウェンの懐には、一つランダムアイテムが残っています。 フレイとフォースソードはダオスコレダーに巻き込まれ、粉々になりました。 サイレンスカードは対象者を沈黙させる。効果は一時間。 発動させるには対象者を目視できる状態でしかできない(名前は叫ばなくともよい)。 【ルシオン・ヒューイット@RS 死亡】 【エルウェン@RS 死亡】 【ダオス@TOP 死亡】 【残り49人】 第50話← 戻る →第52話 前へ キャラ追跡表 次へ 第31話 エルウェン ― 第21話 ダオス ― 第36話 クリフ 第72話 第36話 ルシオン ― 第21話 フレイ ―
https://w.atwiki.jp/fantasydreamsjp/pages/38.html
クリフジャンパーはトランスフォーマー スーパーリンクに登場するトランスフォーマーである。 英名 Perceptor(パーセプター) 所属 サイバトロン 役職 戦闘員 変形 オートバイ(ホッパー)+四輪バギー(チャージ)+ホバーボード(ランウェイ) 登場作品 トランスフォーマー スーパーリンク テックスペック 体力 知力 速度 耐久力 地位 勇気 火力 技能 合計 (合体形態) 6 9 5 7 5 7 3 5 47 マイクロンであるホッパー・チャージ・ランウェイが合体した姿。劇中では雑務を担当していた。また、セパレートした姿であるホッパー達はそれぞれキッカーの移動手段として用いられている。