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竜の神官 レジナルド・アーチャー C 光 (3) クリーチャー:ソルトルーパー/竜の一族 4500 ■ブロッカー ■このクリーチャーは相手プレイヤーを攻撃できない。 ■自分のシールドゾーンに新しくシールドが置かれる時、そのシールドを横向きにして置いてもよい。 作者:翠猫 DMAE-15「絶対極度!トリニティ・ザヴァイア!」収録。ソルトルーパーの竜の一族。 シールドゾーンに置かれたシールドを即座に横向きにでき攻撃できないブロッカー。 名前はカーター・ディクスン作の推理小説「九人と死で十人だ」の登場人物「レジナルド・アーチャー」から。 収録エキスパンション DMAE-15「絶対極度!トリニティ・ザヴァイア!」 評価 名前 コメント
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前ページルイズ×なのは(幼) 煙が晴れ、ようやく姿を現した人物の顔をルイズは覗き込むようにして訊ねた。 「あんた誰?」 それは茶色の髪をツインテールに結んだ小柄な女の子だった。少女は答える。 「えっと、高町なのは。なのはだよ」 十歳くらいだろうか。少女らしい可愛らしい声だ。だが、名前だけ言われても素性がわかるわけではない。 質問の仕方が悪かったかもしれない。 「その格好、平民よね」 黄色いパーカーにオレンジ色のスカートといった格好は、貴族の間では見られない。 平民の普段の格好などよく知らないが、あまり高級感が感じられないから平民の衣服なんだろうとルイズは結論付ける。 「あのぅ、どちらさまでしょうかぁ」 「ルイズ・フランソワ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」 平民は一度で覚え切れなかったようで、困ったように頬をかいた。 「えっと、それで、そのルイズさんが私になんのご用でしょうか」 周りからは平民を呼び出しただの、ゼロのルイズだのとあざ笑う声に混じって、一部ロリコンの息遣いが聞こえてくる。 ルイズは顔を真っ赤に染め、口早に状況を説明すると、まだよく飲み込めていない様子の平民にコントラクトサーヴァントを行った。 平民の左手にルーンが刻まれ、契約は無事に完了した。 「べ、別にあんたみたいな平民の使い魔で満足したわけじゃないんだからね、し、しし、進級のためよ、進級の!」 「コントラクトサーヴァントは無事に完了したようだね。珍しいルーンだからちょっとスケッチさせてもらえるかな」 コルベールが授業を終わりにすると、ほかの生徒たちが空に浮かんで飛び去っていく。 ルイズとなのはは、その場に取り残された。魔法で飛んでいく生徒たちを見上げて、なのはは尋ねる。 「ここは魔導士の訓練所かなにかなんですかぁ?」 「トリステイン魔法学院よ」 「う~ん、知らないなぁ。ねえレイジングハート、クロノ君たちと連絡とれる?」 なのはが胸元の赤い宝玉に話しかける。 マジックアイテムかなにかなのだろうか、宝石に話しかけること自体は奇異にも思わないが、ルイズは平民がマジックアイテムを持っていることに疑問を抱いた。 「あんたのそれ、なにかのマジックアイテム?」 「はい、レイジングハートっていって、インテリジェントデバイスなんですけど・・・・・・」 そう言って、なんども宝玉に話しかけてみようとするなのはだが、一向に返事が返ってくる様子はない。 まあ、平民が持っているくらいだから安物のアイテムなのだろう。 おおかた貴族が作るのに失敗したマジックアイテムの一部をたわむれに平民にくれてやったのだろう。 「壊れちゃったんじゃないの?」 レイジングハートのなのはの間に結ばれた絆の強さを知らないルイズはいとも簡単に残酷な質問を投げかける。 なのはは大きく目を見開く。 「そんなはずない、修理すればきっと直ってくれるよ!」 十歳くらいの女の子の思わぬ剣幕に圧されて、ルイズはわずかにひるみ、気まずさを感じながら答える。 「そ、そう。まあ、大事にしまっときなさい。あんまり大事そうにしてると、盗られるわよ」 貴族は平民のものなど欲しがりはしないが、なかには質の悪い連中が悪戯で隠したりするかもしれない。 最近では不思議と少なくなったが、ゼロのルイズと揶揄され始めた頃には、授業中にちょっかいを出されたり、いろいろ嫌なことがあったので、ルイズはなのはに忠告を与える。 その後、ルイズはなのはを自室に連れて行き、住んでいる土地の名前などを尋ねてみたが、あまり情報は得られなかった。 わかったのは、なのはの年齢がジクウ管理局というところと連絡を取りたがっていることと、彼女が大切そうにしているマジックアイテムがとても大切なものということだけだった。 そのジクウ管理局とやらに親が勤めているのかとルイズが訊ねると、そうではないという。 十歳の女の子を突然に親元から引き離してしまったということに罰の悪さを感じているルイズだったが、どうもなのはは普通の十歳とは違うようだ。 翌朝、早起きのなのはに起こされて食堂へ行くと、見慣れた豪勢な料理に混じって、小さな一枚の皿が自分の近くに運ばれてきた。 ルイズが昨日のうちにコック長に使い魔の料理を頼んで置いたのだが、あまり見たことのない料理だ。 薄く焼いた卵で包んで、その上にトリステインの国旗が刺さっている。 「ねえ、これの中身はなにが入ってるの?」 「これはマルトーさんが考案したオムライスっていう料理なんです。 料理長のマルトーさんが、すっかりなのはちゃんを気に入っちゃったみたいで、腕によりをかけて作ったんですよ」 なのははいつの間に仲良くなったのか、メイドと仲良さそうに話している。 シエスタが厨房に呼ばれて去った後、ルイズはなのはに小声で尋ねた。 「あんた、いつの間にあのメイドと仲良くなったの?」 「シエスタさんとは今朝、洗い場でお友達になったんです」 話によると、なのはは今朝、朝の散歩に出かけたものの学園内で道に迷ってしまい、シエスタに助けてもらったのだという。 なのはの説明にルイズは一応納得したが、平民の子供とはいえ貴族の使い魔になったのだから、きちんと自覚も持ってもらわないと困る。 「いいこと、あんたは仮にも私の使い魔になってるんだから、一人であんまり外をうろついちゃだめよ」 そう諭すルイズだが、同じ卓についていて話を聞いていた生徒の一人が彼女をあざ笑った。 「はは、さすがはゼロのルイズだ。平民のしつけが板についてるじゃないか」 その言葉を発端に、嘲笑の輪が広がっていく。 「まったくお似合いの使い魔だぜ」 「ペタンコ同士、気が合いそうだな!」 意地の悪い野次に、なかには眉を顰めるものもいるが、誰もそれを咎めようとするものはいない。 否、一人だけいた。 「なにが、おかしいんですか」 小さな呟きが卑屈な笑いを鎮める。最初、その声がどこから聞こえてきたのか誰にもわからなかった。 なのはがゆっくりと立ち上がり、もう一度告げる。 「今の言葉の、どこがそんなに面白いんですか?」 一同の視線がなのはへと向けられる。まさか平民の子供に意見されるなどとは夢にも思っていなかったのだ。 「はっ、驚いたね。まさか平民にこんな反抗的な口を聞かれるとは。ゼロのルイズ、ガキはちゃんと鞭でしつけとけよ!」 最初の発端を作った一人、金髪のキザ男ギーシュが強がりに聞こえる声音でなおも侮蔑を放った。 食堂に険悪な雰囲気が満ちる。なのはは家で喫茶翠屋の手伝いをしているから客扱いには慣れている。 こういうとき、どう対処すればいいかは自然と身につけている。だが、良くも悪くもなのはは父の背中をみて育った。 なのはは相手を威圧するように真正面からギーシュの顔を見据える。 「な、なんだ、その反抗的な目は。平民が貴族に文句をいうつもりか!」 こんなとき、父の士郎ならば言うだろう。いや、父に限らずとも、フェイトや兄の恭也でもきっとこう言うはずだ。 「表に出て話そうか」 「な、なんだとぉ!」 にわかに周りの貴族達がいろめきたつ。 なぜなら、手袋を投げつけるのが貴族間の決闘の合図であるならば、「表に出ろ」と相手に告げるのは事実上、不良貴族達のタイマンの合図であったからだ。 「おいおい、ギーシュ。平民に舐められてるぞ」 「ちょ、ちょっと、あんたみたいにちっこいのがギーシュとケンカして勝負になるわけないじゃない。今すぐに謝っちゃいなさい」 ルイズはなのはの身を案じて、袖を引く。だが、なのはは引かない。 ひとの寂しさや悲しみを放っておけない強く優しい心を持つがゆえに、伝え合うことを諦めたくない。 決闘はヴェストリ広場で行われることになった。 なのはは思い出す。 初めて会った頃、アリサやすずかとは友達じゃなかった。まだ何も話をしたことがなかったから、気持ちを知ることができなかった。 「使い魔にとってご主人様がどんなに大切か知ってるよ。いろんな人たちを見てきたから。 私はルイズさんが言葉で傷つけられるのをみたくないから、絶対に見たくないから、誰にも馬鹿にさせない。 ゼロのルイズなんて、誰にも呼ばせたりしない。そのためにぶつかり合わなきゃいけないなら、私は引かない!」 「ふん、だったら平民が貴族の前でなにができるか思い知るがいいっ」 ギーシュがバラの造花を振るう。すると、一体のゴーレムが土の中から現れた。 「これが僕の魔法、ワルキューレだ。言葉を伝えたくば、まずはこのワルキューレを倒してからにしてもらおうっ」 なのははギーシュが土から錬金してみせたワルキューレを見て、実力のほどを見定める。 本来のなのはならば決して負けることはない相手だが、今はレイジングハートが沈黙していて、補助が受けられない状態だ。使える魔法は限られてくる。 「行けっ、ワルキューレ! 小生意気な平民を懲らしめるんだ」 青銅のゴーレムが予想以上の速さで突進してくる。 なのはは左手を前に突き出し、桃色の魔法陣を展開させると堅固なバリアが出現する。 分厚い金属がぶつかり合ったような轟音を立て、ワルキューレの拳が弾かれる。 「ふ、防いだ!? なんなんだ、あの光る盾は!」 ギーシュの驚きの声が上がる。もう一度、ゴーレムを突進させ、シールドを打ち破ろうと試みる。 なのはの世界では魔法はプログラムとして準備され、自分自身やデバイスにセットして魔法の力を行使する。 それらの魔法を知るきっかけを与えてくれたのはユーノだが、戦闘のための魔法やそれを効果的に運用するための闘い方を教えてくれたのはレイジングハートである。 魔法の存在など知らずに過ごしてきたなのはが強敵と互角以上に渡り合えたのはレイジングハートの信頼と援助があってこそのものだった。 なのはは、いざというときのために自分自身に組み込んでおいたシールドをとっさに展開したが、そのシールドはワルキューレのパワーに徐々に押され始めていた。 「ま、まさか平民に魔法が使えるとは思わなかったが、しょせんは防ぐだけのもの。さあ、いつまで持つかな」 ギーシュが造花を振るい、さらにワルキューレの出力が上昇する。 「くっ、このままじゃ」 なのはシールドの限界を悟り、右手に小さな光弾を生み出す。 「ぷっ、なんだあれ、ファイアーボールか? ちっちゃすぎるだろ」 なのはが浮かべた光弾をみて、ギャラリーの一角から忍び笑いが漏れる。 バリアを展開しつつ、光弾を操作するのは難易度の高い技術なのだが、学生レベルではそのやり方を教わること自体がありえない。 それがどれほどの技術であるか、ほとんど誰にも想像がつかない。 だが、さすがにハルキゲニア有数の魔法学院、その技量の高みに気が付き、内心で戦慄するものもわずかながらいた。 決闘騒ぎを聞きつけ、遠見の鏡で見物しているオスマンとコルベール、そして間近で見ているキュルケとタバサである。 キュルケは赤い唇を噛み締め、少女の闘いを見守っていた。 (二種類の魔法を同時展開なんて、私にあんな芸当ができるかしら) キュルケとなのはでは魔法の質が違う。 そもそもの概念も違うが、自分の烈火のごとく激しい魔法や、タバサの冷徹で鋭利な魔法とは違って、なのはの放つ桃色の魔力が秘めているのは紛れもない優しさだ。 ひとを思い遣る、そのまっすぐな強さにこそ戦慄を覚える。 (負けちゃ駄目よ、なのは。ルイズのためにも、絶対に勝ちなさい) 手に汗を握り、我知らずキュルケはなのはを応援していた。 だが、左手で展開したバリアはとうとうヒビが入り始め、今にも破れそうになっている。 なのはは魔法弾を操作し、バリアを迂回させてギーシュの持っている杖に狙いを定める。 だが、そのため大きく曲線を描く進路をとった光弾は、反射的に身を守ろうとギーシュがワルキューレを自分と光弾の間に飛び込ませる時間を与えてしまい、防がれてしまう。 それでも光弾の直撃を受けたゴーレムは粉々に砕け散り、破片が草むらに散らばる。 なのはの光弾はただ小さいのではない。威力を一点に高めるために収束し、高密度の魔力を込めた弾体である。 ファイアーボールがテニスボールだとしたら、なのはの弾は研ぎ澄まされたライフル弾だ。 その威力を目の当たりにして、さすがに目の前の出来事に不審を覚えるものが出始める。 「な、なあ、まさかギーシュの奴、苦戦してるんじゃないか」 「だってよ、相手は平民だろ」 「いったい誰だよ、あれを平民って言い出したやつは。魔法をつかってるじゃないか」 「ねえ、でもあの魔法、なにか変じゃない。杖を使ってるふうもないし、あんな光の盾で防ぐ魔法なんて習ってないわよ」 ワルキューレが倒されたことで、ギャラリーがどよめき始める。 なのはは肩で息をさせ、ギーシュに話しかける。 「ギーシュさんは貴族なんだよね。魔法って確かにすごく便利だけど、使い方を間違えればひとを傷つけるんだよ。 ギーシュさんの魔法はなんのため、誰のために魔法を使うの?」 「ぼ、僕は、」 「答える必要ないぞ、ギーシュ。平民は力づくで黙らせろ!」 ギャラリーのなかから声が上がった。それは平民に地位を脅かされたと感じ始めた敏感な弱さから発せられた声でもある。 ギーシュ自身もその感情にしたがって、再びバラの造花を振るう。今度は二体だ。 一体で苦戦していたなのはは己の力量不足を痛感していた。 (帰ったら、いっぱい魔法の練習しなきゃ) すでに幾度もの戦場を経験し、エース級の戦闘能力を有するなのはだが、それはこれまでレイジングハートの支えあってのことだ。 ベルカの騎士たちとの闘いではデバイス自らがベルカ式のシステムを取り入れ、騎士たちと渡り合うことができた。 「どうだね、降参するなら今のうちだが」 「絶対にいや!」 「ならば仕方ない、トドメだ、ワルキューレ!」 二体同時に突進してきたワルキューレになのはは歯を食いしばる。瞬間、胸元で強烈な光が膨れ上がった。 《Protection》 突如として響いた声。その声にもっとも驚いたのは、なのは自身だったに違いない。 今度は先ほどのものより一層強固なバリアが展開され、ワルキューレ二体の突撃を苦もなく受け止め、二体いっぺんに弾き返す。 「レイジングハートっ!」 《ご心配おかけしました。よく頑張りましたねマスター》 聞き慣れた、待ち望んでいた声。 「もう大丈夫なの、レイジングハート」 《いつでも全力で行けます》 その心強い声に押され、なのはは中空に浮かんだレイジングハートをぎゅっと握り締める。 「じゃあ、ひさしぶりに行くよ! お願い、レイジングハート」 《all right」》 「風は空に、星は天に。 そして、不屈の心はこの胸に。 この手に魔法を。 レイジングハート、セット・アップ!」 《Stand by.....ready》 不思議な声とともに少女の全身が強い輝きに包まれる。少女の身体を覆っていた衣服が分解され、白いバリアジャケットの媒体として再構成される。 「次から次に妙な魔法を!」 「今度はこっちの、番だよ!」 《Flash Impact》 なのはの身体が一瞬にして掻き消え、立ち上がりかけていたワルキューレの前に出現すると、そのまま杖を叩きつける。 一体は吹っ飛ばされ、もう一体はその衝突に巻き込まれ、弾丸ライナーの軌道に乗って背後の塔に叩きつけられる。 ギーシュの頬を掠めて行ったワルキューレは、塔に激突した後、数秒の間をおいて地面に崩れ落ちた。 間接はあらぬ方向に折れ曲がり、青銅の腕が一体の背中を突き破って、腰半分がもげて地面に刺さっている。 それはあたかもギーシュの行く末を暗示しているかのようであった。 (あ、あんなものを生身に食らったら死んでしまう) ギーシュは身の危険に焦りながらも必死で方策を練る。先手が防がれた以上、いったん防御で凌いで、相手の隙を突く以外にない。 三度、魔法を発動させ、残りのゴーレムを全て生み出す。 これほどに魔力を消耗すれば、しばらくは魔法が使えなくなってしまうだろうが、背に腹は代えられない。 二体を防御に回し、一体を正面、最後の一体を背後に忍び寄らせて隙を窺う。 (これが大人の賢さってものさ、ガキとは違うのだよ、ガキとは!) 正面からぶつかって勝てないのなら、背面を突く。軍人の家系だけあって、ギーシュの戦術としての理論を正しく理解している。 だが、惜しむべきは実戦経験が圧倒的に不足していることだ。 いくら理論を叩き込まれたといっても、ギーシュのそれはしょせん座学にすぎない。 譲れぬもの同士がぶつかり合う激闘の最中で、幾度も傷つき、倒れながら磨いた戦闘技能の前では理論などなんの役にも立たない。 表情には出さずとも背面を警戒していたなのはは、とんぼ返りに飛翔し、翻りざまに砲撃で残りのワルキューレ全てをなぎ払う。 《divine shooter》 圧倒的火力の砲撃が空中からワルキューレの身をそぎ落としていく。 カートリッジ節約と、主の身体にかかる負担軽減を理由に威力を抑えた攻撃を提案をしたレイジングハートだが、それでもいとも簡単に青銅のゴーレムを跡形もなく消滅させていく。 「馬鹿な! 詠唱もなしに、これほどの威力が出せるはずは!」 砲撃がようやく収まった後の広場は縦横に芝生が抉れ、魔力の残滓による硝煙が立ち上っていた。 ゴーレムを失ったギーシュにはもう魔力さえも残っていない。低空で飛翔するなのはがギーシュめがけて思い切り杖で腹を抉る。 みぞおちを強打され、くの字に折れたギーシュは身体を天に突き上げられ、息を吸うこともできず、降参の声もあげられない。 意識を失いかけたそのとき、ギーシュの目に現実を疑わせる光景が飛び込んできた。 杖を囲んで四つの環状魔法陣が展開し、自分の身を突き上げる杖の先端に魔力が充填されていく。 尋常でないほど膨大な魔力の収束にギーシュの全身から血の気が引いた。 (そんな、この期に及んでトドメまで刺すのか? もう魔力もないのに!) すでに勝負がついているのは誰の目にも明らかなはずなのに、なぜここにいたってトドメの一撃を食らわなければならないのか。 それも全ては、ゼロのルイズと呼んで彼女の主を傷つけたせいなのだと、ギーシュは今更になって己の発言の迂闊さに気付かされた。 「ディヴァィィィィインッ、バスター!」 はるか天空まで突き抜ける砲撃。 零距離から発射された主砲の一撃は圧倒的威力をもってギーシュの身体を飲み込み、砲撃が収束したあとにはギーシュの身体がどこにも見当たらなかった。 遠見の鏡で見ていたオスマンが呟く。 「こりゃ、グラモンのバカ息子は死んだかのう」 「のんきに構えている場合ですか、学院内で生徒が死亡したとあっては一大事ですぞ!」 コルベールが慌てて水魔法使いを広場に派遣する。 広場では生徒達が空を見上げていた。 砲撃が貫通した積乱雲が上空に漂い、常識をはるかに超えた威力に皆が放心している。 そして、上空から黒い豆粒のようなものが落ちてきて、それは見る間に接近し、人の形をあらわにする。 天空近くまで打ち上げられたギーシュがようやく地面まで堕ちてきたのだ。 なのはは空に浮かんで、ギーシュが激突する前に魔法陣をクッションにして受け止める。 ギーシュは空中を落下している間、失っていた意識をようやく取り戻す。その顔は傷つき、弱っていたがどこか晴れ晴れとしていた。 「僕の・・・・・・完敗だよ。もう指一本・・・・・・動かせない」 なのはたちの魔法とは違い、バリアジャケットもないハルケギニアのメイジは紙のように装甲が薄い。 物理ダメージを0に設定しているとはいえ、痛いものは痛い。 まともに食らえば、その痛みに失神し、数日は起き上がれなくなるのが当然だ。 それでもギーシュは最後の力を振り絞るようにして、唇を動かす。 「君に・・・・・・ひとつお願いがある・・・・・・んだ」 声は弱弱しかったが、それでもギーシュは気丈に笑みを作る。 「名前を・・・・・・教えてくれないかい?」 その言葉に、なのははギーシュと気持ちが通じ合ったのを感じた。だから元気いっぱいに答える。 「なのはだよ。わたし、高町なのは!」 前ページルイズ×なのは(幼)
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+ セリフ一覧 Grand summon 召喚 「み、皆様お騒がせしまーす……アーチャーの刑部姫でーす……。 頑張って水着になりましたー……ど、どうでしょうか……? 似合ってますかー? 似合ってますよねー? 必死に選んだので……できれば似合っていると一言いただけると、 自信が持てまーす……。」 Synthesis レベルアップ 「ごはん美味しーい! でも腹八分目で……」 霊基再臨 1 「そ、それじゃジャケット脱ぐけど……く、ウェストはあまり見ないでよ! 見ないでよ! 絶対に見ないでよ! フリじゃないよ! マーちゃんのバカっ!」 2 「はい、このままでーす。次の刑部姫に期待あれ」 3 「というわけでフォームチェンジ。コンセプト的には、和風で大胆みたいな? 自信ないし恥ずかしいのはそのままだけど、まあこんなに強くしてもらったのなら、贅沢は言えないね。えへへ」 4 「やっほーマーちゃん。へへー、まさか引きこもっていた 姫 (わたし)がこんな活動的になるなんてね。これも召喚してくれた君のおかげかな? こうなったらもう、死が二人を分かつまで付いて行く所存だから。覚悟してね」 Battle 開始 1 「全隊整列! 前ならえ! よーし、頑張るぞー!」 2 「へへー、新生おっきー見参! ダイエットもちょっと成功したので鼻高々!」 スキル 1 「GOGOGOー!」 2 「コンタクト!」 3 「リロード」 コマンドカード 1 「ラジャー!」 2 「了解!」 3 「オッケー!」 宝具カード 「全軍突撃! バシバシ行くぞー!」 アタック 1 「ファイア!」 2 「グレネード!」 3 「一斉掃射!」 4 「撃つぞー!」 5 「アタック!」 6 「吹っ飛べー!」 エクストラアタック 1 「説明書は読んだね? ロケラン撃つよー!」 2 「ロケット準備、発射ー!」 宝具 1 「通信途絶……こうなったら全軍突撃! 撃って撃って撃ちまくれー! これこそ姫の白鷺城……『千式ミリミリナイトフィーバー』!」 2 「おわぁ、もう駄目だぁ! こうなりゃ破れかぶれで突撃だー! え、爆撃来たの? やったぁ! 終わり良ければすべて良し! 『白鷺城・千式ミリミリナイトフィーバー』! やったぜチャンピオンだぁーっ!」 ダメージ 1 「あっでででで痛てて削れる、削れる!」 2 「あいてっ!」 戦闘不能 1 「ダイエット……リバウンド……うぅ……」 2 「これで……体重少しは減るかな……ぐぇ」 勝利 1 「勝った勝った! チャーンピオン!」 2 「この戦争は伝説に残る」 My room 会話 1 「さあマーちゃん、サバゲーやるよー」 2 「主従? 姫 (わたし)とマーちゃんそういう関係だったっけ?」 3 「 姫 (わたし)とマスターの関係? んふー、それはむしろ姫の方から聞きたい感じかなー? 姫 (わたし)はマーちゃんにとって何なのかなー? ……なんか、めんどくさい姫ムーブしてるな、 姫 (わたし)」 4 「あ、きよひーやっほー。え……? 原稿? うん……順調。まったくもって順調だから。え? 汗を舐めなくても嘘は分かる? ……だよねー。ぎゃあ!?」(清姫、清姫〔ランサー〕 所属) 5 「うっ、他にもいろんな水着のサーヴァントがいるんだね……。ま、負けてない……? 姫 (わたし)ってば、負けてない……? 負けてない、よね? ねえ! ねえ! ……全然負けてない? やったぁ!」(水着サーヴァント 所属) 6 「あのー……ごはん組の皆様。カロリーが低く、腹持ちがよく、消化がよく、栄養満点で、食べれば食べるだけ痩せられて、なおかつ美味しい食事ってありますでしょうか……?」(エミヤ、ブーディカ、タマモキャット、源頼光、紅閻魔 所属) 7 「うわうわ!? 武蔵ちゃんまで水着になってるー! でもなにその無駄に抜群なスタイル。しかも競泳水着だけでなくウェスタンスタイルまでフォローとか、これだから天然の天才は! 狙ってないのにあざとい! ……でも、そういうところがカッコいいんだよね……えへっ」(宮本武蔵/バーサーカー 所属) 8 「きゃー! 偉い人! 偉い人だよ! バニー、ゴージャス、セレブ! あぁ、眩しぃー! 拝んでおこう、拝んでおこう。……あ、なんか変な顔された。うわぁーん!」(アルトリア・ペンドラゴン/ルーラー 所属) 好きなこと 「ゲームいいよねー。サバゲーいいよねー。参加者がマーちゃん以外は折り紙というところが難点だけど……」 嫌いなこと 「嫌いなもの……んー、炭水化物。どうしてあんなに美味しいんだろうねぇ、カルデア台所請負人のごはんは」 聖杯について 「はいはいはーい! おっきーは願いがあります! 理想の体重! 理想の体重を永遠に保つこと!」 絆 Lv.1 「やあやあ元気? マーちゃん、どうしたの? 一緒にゲームする?」 Lv.2 「ん、マーちゃんも一緒に遊ぶ? いいよー。アーチャーおっきーのアクティブさ、見せてあげましょう」 Lv.3 「あ、あの……これもしかして、デート、ってやつでは……? 違う? 違うよねー……あは、あはははは……」 Lv.4 「ねぇ、これってどこからどう転んでもデートじゃないのこれ!? はぁ……人理の危機だというのに、嬉しさが勝る……」 Lv.5 「よーし! もう開き直った! 刑部姫は……マーちゃんのことが大好きです……! それはもう、心の底から……! あぁ、 姫 (わたし)はあまり耐え忍ぶタイプじゃないので。猪突猛進、ってやつ? ともかく、覚悟するがよい! 分かったかマーちゃん!」 イベント開催中 「はいはーい。イベント真っ最中だよ。シャキッとしよシャキッと」 誕生日
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シー・アーチャー(OCG) 効果モンスター 星3/水属性/海竜族/攻1200/守 200 1ターンに1度、自分フィールド上の レベル3以下のモンスター1体を選択し、 装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備できる。 この効果でモンスターを装備している場合、 このカードの攻撃力は800ポイントアップする。 また、フィールド上のこのカードが破壊される場合、 代わりにこのカードの効果で装備したモンスターを破壊できる。 下級モンスター 水属性 海竜族 破壊耐性 自己強化 装備
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聖杯はどの願いまで汲み取ろうとしているのだろう。 少なくとも、夢は願いに含まれていると解釈していいはずだ。 誰かを恨むならば、その者の死を願う。 誰かの死を嘆くならば、その者の生を願う。 億万長者を望むだけだとか、金以外の――とにかく何か重要な物が欲しいとか。 大小様々理由はあれど、それらは正式な願いの一種として判断される。 そう、聖杯にとってみれば。 戦争をする代償とは吊り合わない些細な願いも、結局は願いでしかない。 ただの平穏を願うことでさえ……… ☆ 自覚すれば至って単純だった。 この 新宿 は自分のいた国ではない、自分が住むべき国ではない。 あらゆる願いが叶えられる聖杯。 願いはない訳ではない、それは些細な願いでしかなかったのだから。 何故その答えに辿りつけなかったのだろうか? これも聖杯の力と説明づけてしまっていいはずだ。 答えはソレで間違いない。しかし、未だに納得が出来なかったのである。 愛した女性とのハネムーン。 アメリカ行きの船での記憶が何度も繰り返され続けていた。 彼女との些細で平穏な幸福を、未来を、願ったのかもしれない。 ただ、聖杯戦争の犠牲者たちと天秤で比べるにはおこがましい事なのだ。 「……僕の話に付き合わせて悪かったね。アーチャー」 「いや、君の意思を理解した。君は聖杯を手に入れるつもりがない」 アーチャーの返答に、彼――ジョナサン・ジョースターは強く頷いた。 「ごめんよ、君にも願いがあるはずなのに」 「後悔はいくらでもあるけど……それはもういいんだ」 「そうか、ありがとう」 ジョナサンはアーチャーの返答に心の底から感謝したのだろう。 その程度のことは、アーチャーでなくとも伝わり切った。 聖杯を手にせず、聖杯戦争を打破するのは茨の道、一寸先も見えない闇を進むような感覚。 しかし、ジョナサンには『黄金の精神』という光が輝いている。 勇気、優しさ、精神力、覚悟、潔さ。 人間賛歌を象徴するに相応しい人間の一人がジョナサンだった。 一方で 「アーチャー。一つだけ聞いていいかな? 君と僕は、どういう関係なんだい」 「………」 「急にこんな事を尋ねるのも変だろうけど……僕は君に『繋がり』を感じているんだ」 「それは気のせいだと思う。僕は、君らしい人間との『繋がり』はないし、ジョースターの姓も知らない」 と、『ジョナサン・ジョースター』は答えた。 そう、アーチャーもまた『ジョナサン・ジョースター』だった。 容姿や経歴、魂の在り方。全てが異なるのだが、二人共『ジョナサン・ジョースター』なのには変わりがない。 アーチャーは、マスターのジョナサン・ジョースターの存在は知らない。 もしかしたら未来の子孫がマスターなのか? それとも全く異なる、平行世界のジョナサン・ジョースターか? 別に隠すほどのことではないが、奇妙過ぎる為、アーチャーは自身の真名を口にはしなかった。 ただ、アーチャーは―――自身の中に灯る『漆黒の意思』により納得をしていた。 自分はあの『ジョナサン・ジョースター』と対の存在であることを。 ★ 【クラス】アーチャー 【真名】ジョニィ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険 【属性】混沌・善 【パラメーター】 筋力:D 耐久:D 敏捷:D 魔力:A 幸運:E 宝具:D~A 【クラススキル】 対魔力:D 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。 単独行動:C マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。 Cランクならば1日現界可能。 【保有スキル】 漆黒の意思:A 目的へ向かう意志が恐ろしく強く、殺人すら厭わない覚悟を持つ。 精神干渉系魔術をシャットアウトし、戦闘時には『直感』の効果を発揮する。 騎乗:D 騎手なので馬は余裕で乗りこなせる。 神性:E アーチャーは聖人の遺体に取り憑かれた経緯がある。 未遂とはいえその遺体を破壊しても構わないとした瞬間もあった。 神性を持つ宝具に対してそれなりの耐性を発揮する。 黄金の回転:- 生命にある自然美の一種「黄金長方形」の軌跡で回転することにより 「無限」の力を引き出す技術。ただし「黄金長方形」を視認しなければ発動できない。 【宝具】 『スローダンサー』 ランク:E 種別:対人 レンジ:- 最大補足:1人 アーチャーと共にスティール・ボール・ランレースを駆け抜けた愛馬。 高齢だが、その分知識と経験に溢れている。 『タスク』 ランク:D~A 種別:対人(対界) レンジ:- 最大補足:1人 聖人の遺体により発現したスタンドという精神を具現化したもの。 自身の爪を高速に回転させて弾丸のように発射したり、物体を切り裂く。 スタンドはスタンド使いにしか視認できないが、聖杯戦争においてそのルールはない。 ACT1 指の爪を回転させ、爪を弾丸のように飛ばす。 ACT2 『黄金の回転』で爪を回転させ、打った爪弾の弾痕が自動的に目標を追尾して破壊する。 ACT2以降は新たな爪が再生するまで待たねばならない。 ACT3 自身を爪弾で撃つことにより、自らの肉体を穴に移動させる。 穴はジョニィ以外のものが触れると粉砕する。 ACT4 筋力:A 敏捷:Bを持つ人型のスタンド像へ変化。 『馬の走る力を利用した回転』とジョニィ自身の回転を合わせなければ発動しない。 対象の行動をすべて無効化にし、ダメージも無限で終わりもない。 【人物背景】 本名はジョナサン・ジョースター。トラブルを引き起こし下半身不随となる。 ジャイロ・ツェペリの『回転』で足が動いた事から、希望を見出して『スティール・ボール・ラン』に参加する。 その最中『聖人の遺体』の存在を知り『遺体』の収集を目的とし、最終的に立ち上がれるようになった。 【マスター】 ジョナサン・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険 【マスターとしての願い】 聖杯戦争を止める 【能力・技能】 『波紋』 特殊な呼吸法により血液の流れを変化させ太陽の光と同等のエネルギーを生み出す。 吸血鬼など太陽を弱点とする存在に絶大な効果を発揮する。 負傷した肉体を治療したり、水面を歩いたりすることもできる。 【人物背景】 謎の石仮面の力により吸血鬼となったディオと死闘を繰り広げた。 これがジョースター一族とディオの長きに渡る因縁の物語の始まりである。 時系列順 Back ダガー・モールス&アーチャー Next これ以上『街が』『不運』になる前に 投下順 Back ダガー・モールス&アーチャー Next これ以上『街が』『不運』になる前に Character name Next→ ジョナサン・ジョースター 全ての人の魂の夜想曲 アーチャー(ジョニィ・ジョースター)
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身長:193cm 体重:94kg 属性:秩序・善 性別:男性 CV:日野聡 レア度:SR 初期HP/最大HP:1796/10963 初期ATK/最大ATK:1788/9971 「弓兵」のサーヴァント。巻き毛が特徴的な美男。 真名はハイク・ナハペト。アルメニア人の始祖であるハイ族の族長であり、悪しき巨人であるベル王を討ち取った英雄である。 宝具は「遠き場所より必滅の矢が一筋(バウ・キルズ・ビッグ・ヴィラン)」。 パラメータ:筋力:B+ 耐久:A 敏捷:B 魔力:C 幸運:A 宝具:A 保有スキル:対魔力:B 単独行動:A カリスマ:B 戦闘続行:B+ 千里眼:A
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正義(ジャスティス)!! アーチャー仮面 あーるー時は正義の味方。あーるー時は悪魔の手先。良いも悪いも状況次第。 ぴゅーっと何処へ行く。掃除屋アーチャー。 少し、説明を挟みたいと思う。 聖杯戦争、とは本来であれば七騎のサーヴァント──殆ど『魔法』の域である所の使い魔のような物──同士が、彼らを呼び出したマスターと呼ばれる、主に魔術師からなる人間と共に戦う殺し合いである。 ここで言う魔法とは、人間には実現不可能な技術であり、それゆえにソレらを使う者達は畏敬の念を込めて魔法使いと呼ばれている。 それは兎も角。 本来そうであるから、と言って今回の異常な聖杯戦争でもサーヴァントが本来通りであるとは限らなかったのであった……! アーチャーを呼び出した藪から離れ、木立の中で木を背に一人と一体は座っていた。 自己申告によれば、視力が良い、と言う所であるアーチャーの提案によって、である。 どちらかと言えば、真昼である事から彼には藪の中の方が安全にも思えたが、白髪頭によれば、いざと言う時に備えて逃げ道は確保しておいた方がいいらしい。 「……」 ところで、武は、アーチャーと不可思議な名前を名乗った怪人の、主に頭部を凝視していた。 「なんだ。惚れたか?」 「惚れるかっ!!それよりもその二等辺三角形を今すぐ脱げ……っ!!」 と、言うのもアチャ男の頭には、先程彼が握り締めていたショーツがすっぽりとはまり込んで居たので。 おまけに、ここまでの道中と言うものアーチャーは何やらブツブツと訳の解らぬ事を呟いてはどこからとも無く下着を取り出してもいた。 本来であれば、こんな間違いようの無い変質者からは1secでも早く逃げ出したい白銀ではあったが、 そうも言っていられない理由があった。 言うまでも無いが、デス・ゲームの最中である事と、アチャ男なる変質者が述懐した所を意訳すると 「ごしゅじんさまぁ~」となったからである。見るからに屈強な青年ではあるが、きっとバックの中に閉じ込められている内に、 精神に異常を来たしたのやもしれぬ。そう考えれば憐憫の情が武とて沸かぬでは無かったがやっぱキモイのでやめておきます。 さてさて。 変態のレッテルを張った輩に尻を向けるのは大変に危険ではあるから仕方がなしに武はアーチャーに向きなおり、 改めて君は何であるか、どうして鞄の中にディバックの中などに(女性の下着を握り締めて)入って居たのであるかと尋ねかけた。 そうすると、黒い服だけを身に纏った白髪男は何やら眉を歪めて難しい顔をしたのであるが、 すぐに、彼が見る所どう見ても一般人である所の白銀武へと口を開いたのであった。 「それよりも先ず、君は一般人のようだが……どうして聖杯戦争に参加しているんだ?」 「いや……そんな事言われても訳わからねぇよ! 目を覚ましたら教会みたいな所に居て……いきなり殺しあえだなんて…… って言うか、質問に質問で答えたらテストで0点って知らないのかよ……」 進むにつれしぼんでいく武の言葉に(恐らく、日常を懐かしがっているのだろう)、何やら下着兵は考え込むような様子を見せた。 彼が考えている事柄は幾つかあったが、先ずは現状確認をしなければなるまい。 目の前にいる、どうにも頼りなくも見える少年ほどではあるまいが、彼もまた常ならざる登場によって混乱していたのである。 躊躇い無く下着を被っているのだし。下着しか出てこない。 (彼が気づかなかった事ではあるが、何か詠唱も『あいあむ・まいぼーん・おぶ・■■■』に変質していた) ──我輩はサーヴァントである。名前は思い出せない。 ふと気づくと鞄の中でぎうぎう詰つておつた所を、見知らぬ少年に拾われたのであつた。 なんでさ。 まあそこまでは良いとしよう。何故、このぱんてぃを肌身離さずもつておらねば霊体より実体化する事も叶わないのかも置いておく。 しかし、それらを差し引いたとしても、現状は余りに異常だ、と遅まきながら白髪は理解した。 前述したが、聖杯戦争とは本来魔術師が行うべき闘争。だが、目の前に居るのはどう見ても一般人。 少年に二等辺三角形の令呪があり、パスが通っているとは言え、さっぱり魔力自体は送られて来ない事からもそれは解る。 このままで居る限り己が命は幾ばくも無かろう、と瞬間的に予想するが彼にして見れば大した事では無い。 サーヴァントが聖杯戦争にて死ぬは定め。今更恐るるには足らぬ。 おぼろげながら生前の記憶はある。人としての知識もある。今回が、第五回聖杯戦争だ、とか それに順ずる常識、知識は恐らく聖杯からのものであろう。 だが、それはあっと言う間に闇の中に飲まれてしまって定まらない。 ──どうにも嫌な予感ばかりがしていた。 まるで、本来であれば正常である筈の『サーヴァント』こそが異常であるかの如く。 要するに、己は様々において制限されているらしく、今回の聖杯戦争は類を見ぬ程異常であるらしい。 そこまで考えて忘れていた事を思い出し、アーチャーは再び口を開いた。 「マスター、私は君のサーヴァントだと言ったが」 やはり奴隷とな!? ある意味告白とも取れる言葉に尻を押さえて武は戦慄するが白髪はニヒルな笑みを浮かべると言葉を続けて、 「いやいや、我が事ながらとんだ迂闊だ……状況が状況とは言え、ろくに説明も無しに連れ出してしまうとは」 そう言うと、まず君に危害を加えるつもりはない、と前置きを付けて、 「説明を忘れていたのは済まなかった、が、私も状況が掴めなくてね」 つまりそれは、語り合えと言うことだろうか、と武は考える。 じっ、と目の前の男を見る。額に輝くのは白い下着。その現実を直視せよ。 「でも、とりあえず頭のブツは脱いでくれ。いや、頼むから脱げ」 ごめん無理。しかし、次の瞬間のアチャ男は 「今はそんな事を話している場合では無いだろう。と言うか、脱ぐと私も困る。理由は聞くな。聞かないでくれ」 彼は彼自身にエクスタシィ。 はてさて。 一体これはどうした事であるのか。ため息の一つでもつきたい気分であった。 他人の性癖は何であろうと尊い!と自己に言い聞かせて白髪と会話を交わした武は聞くに付け語るにつけ、 余りにどんよりとした状況への疲れと、目の前の男への戦慄を強めていったのであるが、 それはそれとして有用な(しかし多くはアーチャーにとっては常識であった)情報もまた多くあった。 聖杯戦争と呼ばれる物について。サーヴァントと呼ばれる物について。そして、彼自身の(冗談としか思えぬ)様々について。 終始白髪の物言いに圧倒されていた彼ではあったが、比較的素直に受け取る事が出来たのは現代っ子故であった。 待てど暮らせど一向に姿を現さなかった友人達の安否も気になる所であるが。 ──まぁ、サーヴァントの状態が確認できると聞き、目を閉じた時、まぶたの裏に浮かんだイメージが下着だったのには、 思わず、教えられたばかりの令呪で『ではアーチャー、自害せよ』と衝動的に言いたくなったものだが。 EXではきっと変態仮面が出るに違いあるまい。危険である。 一方で、アーチャーにとっても白銀武がもたらした情報は実に恐るべき物であった。 62名もの人間の殺し合い。アーチャーは、その多くがただの少年少女なのだと言う武の言葉を額面通りには受け取らなかったが、 いかにこれが異常事態であるか、と言う考えには確信を抱くにいたっていた。 そも戦争である。その報酬は聖杯──つまりは、万能の大釜と言う破格極まりないもの。 万金を積もうが手に入れたがる輩の数は限りないであろうし、そうであるからには持てる戦力の全力を尽くすは当然である。 一瞬思い浮かべたのは代理戦争と言う言葉。力を望む者共が、己の手を汚さぬ為に考えだした手段であった。 しかし、ただの空想であろうそれは切捨て、武の口から此度の聖杯戦争の形式を聞き終わると、 彼は現実的に何をすべきか、と言う思考へと移って地面の上にふんぞりかえった。 「マスター」 「武でいい。それとアンタの事はアーチャーと呼ぶからな」 「それは解ったがね。武、君は以後私の指示に従ってもらいたい」 「はぁ!? アーチャー、あんた、俺の支給品なんだろ」 素っ頓狂な声で反論する武にアーチャーはくい、と被り物(パンティ)を正すと少年を小ばかにするような皮肉っぽい表情を浮かべ答えた。 「いや何、君が余りに頼りなく思えたのでね。お互い、せっかく参加したのだから生き残らなければ損という物だろう。 心配はいらん。私に任せて、君は精々後ろでガタガタ震えていてくれれば良い。 むしろ私もこんなパンツしか投影できない状態で巻き込まれたくないから、なるべく参加者とは戦わずに済む方法を模索したいんです」 アーチャーは実に現実的な男であった。 「今、本音が混じらなかったか?それに、俺は純夏や冥夜達と──」 「なんでさ。この状況で合流を望むなど下策もいい所だぞ、武。それは美徳かも知れないが、どうやって合流すると言うのだ」 鼻息を吹くと、武はディパックから携帯電話を取り出した。御剣財閥謹製の特別製である。 正直に言えば彼は、アーチャーの態度が気に食わず、自らの誇るべき友人達を示す事でその鼻っ柱をへし折ってやりたくなったのだ。 フルカラーの液晶を眺めつつ、慣れた手つきでピポパ。 携帯電話は使えないのではないか、と言う言葉に、まあ見てなってと切り返す。 「もしもし、冥夜。繋がってるか?」 数回のコールの後で繋がった受話器の向こう側へと、武は気安い調子で言葉を投げた。 『…………』 「おかしいな……冥夜?」 が、返事は返らない。何かにこすりつける音だとか、そんな僅かなノイズが聞こえるばかり。 「冥夜……冥夜? おい!」 『…………』 返事が──返事が無い!? 武の顔が、瞬間的に真っ青になったのをアーチャーは見た。 誰かに見つかったらどうするつもりだ、と言う静止の言葉にも構わず何度も冥夜、と叫ぶ。 『へぇ──あの子』 そんな、うすのろな電波が届けた声を聞いた。 「誰だ手前ぇ!! 冥夜に何しやがった!! 答えろ!! 答えやがれ!!」 『そんな事はどうでもいいよ。ああ、それから……』 携帯電話に対して、立ち上がって激昂する武を見て、白髪は事態を察するが声はそれよりも早く言葉を投げかけていた。 『私の名前は三枝由紀香(さいぐさ ゆきか)。それじゃね』 その名前を最後に、ぷっつりと電話の声は途切れた。同時に、がくり、と武の腕が垂れ下がる。 顔は呆然としていたし、足はしだいにがくりがくりと震え始めている。 冥夜が……?あの冥夜が!? 電話口から現れた声は、白銀武の心を一発の銃弾をも使う事無く打ち砕かんとしていた。 彼の脳裏には、声の主が本当は冥夜と合流した別の参加者であり、今のそれはその誰かの悪ふざけに違いあるまいと言う妄想がもくもくと立ち上っており、慌ててかけなおすものの、返ってくるのは着信拒否、と言う冷たい言葉ばかり。 とりつかれたように携帯電話を弄くる武に、ややあってアーチャーが口を開いた。 「君の友人か?」 答えは無く、ボタンを操作する電子音がその代わりだった。 くそっ、そう吐き捨てると携帯電話をズボンのポケットに突っ込むなり、ディバックを引っつかんで走り出そうとする。 「落ち着け。君の友人が死んだ、とは限らないぞ」 「じゃあ何で違う奴が出るんだよ! 冥夜は……冥夜は、こんな所で死ぬ奴じゃ無い筈なんだぞ!!」 「だからこそ、だろう。君は自分が生き残る事を考えるべきだ」 「何でだよ……冥夜が、冥夜が危ないってのに」 ふん、と息を吐くとアーチャーはさも失望したかのような声で言った。 「犬死するつもりか?そんな男の友だと言うなら、冥夜とか言う奴もたかが知れている」 「──ッ!」 「だから、と言って私に八つ当たりをするのは止める事だ、白銀武。 今、君に出来る事は冥夜と言う者の生存を信じる事で、すべき事は生き残る事だ」 「けど……」 アーチャーにしてみればそれは失笑ものの言葉であったが、早々に武に死んで貰う訳にもいかないと言う思惑があった。 召喚の手続きが甘かったのか彼は色々と混線した状態ではあったが、サーヴァントとしてはマスターの勝利は望む所であるし、彼自身にしても、何故か聖杯には酷く惹かれていたのだった。 「アーチャー、俺」 アーチャーは次に何を言うべきか慎重に吟味していたが、不意に武が口を開く。 「やっぱ、皆を探しに行きたい」 それは真摯な言葉であったが、白髪頭の想定通りでもあった。 「……なぁ、駄目か?」 考える。ここで、否定する事は容易い。生き残る事を目的とするなら、好機をじっと待つべきであろう。 一度動き出す事を覚えてしまえば、容易くその選択肢を目の前の少年は繰り返す気がした。 が、それは主従の間に不和を巻く原因ともなろうし、後々を見据えるなら武器も欲しい。 戦闘の経験は兎も角、サーヴァントとしての己が今や、間違いなく並以下である事は彼自身が一番良く解っていた。 果たして。どちらがより賢い選択であろうか。下着兵は目を瞑り熟考を始める。 やがてアーチャーが目を開き、被り物の端を風に揺らしつつ、言った。 その顔は鉄のようであったが、髪の毛は丁二つに割れている。 「了解した。精々気をつけろ、マスター」 【時間:1日目・午後17時00分】 【場所:木立の中】 白銀 武 【所持品:支給品一式(周辺にまとめて置いてある)】 【状態:アーチャー(?)を召喚。後ろの方に危機を覚える。令呪・残り3つ】 【思考】 1・知り合い、同士を探す 2・冥夜を探す 3・言峰を倒す アーチャー 【所持品:なし】 【状態:召喚される。召喚事故があったらしく弓兵から下着兵に。赤い外套、及びマスターからの魔力供給無し】 【思考】 1・サーヴァントの役目に則って、マスターを生き延びさせる 2・武器を探す 3・出来るだけ交戦は避けたい
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「ねぇティア、明日の休みどうする?」 「あ~そういえば明日休みだっけ、すっかり忘れてたわ」 最近は訓練に夢中だったこともあり、 休日もお構い無しだったためその存在をすっかり忘れていた。 だが、ついこの間オーバーワークを指摘されてしまったばかりである。 さすがに訓練に費やすのはまずいだろう。 「久しぶりに買い物でもしに街に行く?」 「そうね、特に買いたいものがあるってわけでもないけど」 よく考えればここのところずっと六課の建物内での生活だ。 それこそ外に出るのは任務の時くらいである。 ちょっとした気分転換にもなるだろう。 そう考え、ティアナはスバルの提案に乗ることにした。 次の日の朝の食堂内。 「あれ? ジルグさんは?」 「今日は休みです」 「いっやー、なんか久しぶりだねこういうの!」 「そうね、最近は訓練ばっかりだったから」 はしゃぐスバルの声に応えるティアナ。 せっかくの休日だ、羽を伸ばすのもたまには良いだろう。 二人は街のショッピングモールへ向かった。 まず街の中ではおそらく一番大きい書店に入る二人。 ティアナが購読している月刊誌などを買おうと思い寄ったのだが……。 「あれ? ジルグさんじゃない?」 スバルの声に振り向くと、専門書のコーナーで本を立ち読みしている男性が目に入る。 赤い長髪に眼鏡をかけた端正な顔。 服装こそ六課の制服ではなく、黒いアンダーシャツにジャケットとジーンズという ラフな格好ではあったが間違いなくジルグだ。 「そういえばジルグさんも今日休みだったのよね」 そう言ってレジに向かおうとするティアナの肩をスバルがつかむ。 「うわっと! なにすんのよ、危ないじゃない!」 「ティーアー、せっかく見つけたんだから声くらい掛けようよー」 「あのねぇ……」 ジルグもせっかくの休日にわざわざ職場の人間に会いたいと思っているわけではないだろう。 「いーじゃん、どうせなら付き合ってもらって買い物の荷物持ちとかしてもらおうよ」 スバルの虫のいい提案にティアナがため息をつく。 「絶対無理だと思うわよ、それ」 「いーからいーから」 気の進まない様子のティアナを引っ張ってジルグに近づいてゆくスバル。 「ジルグさーん」 「ん?」 背後から聞き覚えのある声を掛けられ、本を読んでいたジルグが振り向く。 「ジルグさんも今日お休みだったんですか?」 「ああ」 「そうなんですか、ところで……」 「荷物持ちならやらないぞ」 「お……おぅ……」 見事にカウンターを食らうスバル。 休日の女性がショッピングモールで知り合いの男性に会って頼むことなど大体こんなところだろう。 そう予想して先制口撃をしかけたジルグだったが、どうやら見事に当たったようだ。 再び手に持った本に目を向けるジルグだが、今度はティアナから声がかかる。 「あれ? それってデバイスプログラムの専門書ですか?」 「ああ」 自分達もデバイスを扱う人間なので基礎知識として習ってはいるが、 ジルグの読んでいるそれはかなり難解そうな専門書だ。 「ジルグさんってデバイスの専門職を目指してるんですか?」 「いや、違うが何故だ?」 「普通シャーリーさんみたいな人でもないとそういう本読まないですよ」 「……確かにそうかもな、ただ俺の場合使っているデバイスがデバイスだからな。 自分でもある程度知識を持っておいたほうが調整もしやすい」 なるほど、という顔をするティアナ。 「ちょっとちょっと二人だけで話を進めないでよー」 スバルはまだあきらめていないようだ。 「荷物持ちとは言いませんけどせっかく会ったんですから一緒に回りましょうよー」 「スバル、あんまりわがまま言わないの」 ティアナの言葉にさすがに哀れと思ったのか それとも特にこの後の予定もなかったのか、ジルグがやれやれという風に声をかける。 「まぁそろそろ出ようかと思っていたところだったから別に構わないが」 ジルグの言葉に眼を輝かせるスバル。 「じゃあ行きましょうすぐ行きましょう!」 「ちょっ、ちょっと待ちなさい。このまま出たら万引きになっちゃうでしょ!」 機動六課の職員が万引きで御用なんて洒落にならない。 ジルグとティアナの腕を引っ張って出ようとするスバルを止め、レジに向かうジルグとティアナ。 「じゃあどこにいこっか?」 「考えてなかったの?」 がっくりとうなだれるティアナ、まぁスバルらしいといえばスバルらしい。 「じゃあさ、服を見に行こうよ」 「さっきも言ったが荷物持ちはやらないぞ」 「う~……ジルグさんの意地悪」 やいのやいのといいながら3人はファッションセンターに向かっていった。 スバルとティアナが服を選んでいる間、ジルグは書店で買った本に目を通している。 しばらくすると二人がいくつかの服を持ってジルグの方にやってくる。 「ジルグさーん!これとこれ、どっちが似合いますか?」 さて、この場合なんと答えるべきか? ジルグはファッションの専門家でもないし、特にティアナとスバルの服装に気を向けていたというわけではない。 というより、正直に言うとこの世界のファッション事情になど特に興味も無かったので少し考える。 ”どっちでもいい”と答えた場合、おそらく世の大抵の女性は良い反応をしない。 これはどんな世界だろうと変わらないだろう。 ”どっちも似合う”と言ってもそれはそもそも答えになっていない。 ならば…… 「右のほうが似合っているんじゃないか?」 適当に答えておけば良い、どうせ自分が着るわけではないのだから。 「そっかー、ティアはどっちがいいと思う?」 「どっちでもいいんじゃないの?」 面倒くさそうな顔をしたティアナが答えると、スバルは不満そうに口を尖らせる。 「えー、せっかくジルグさんだってどっちがいいか言ってくれたのにー」 「あーもーわかったわよ、あたしも右のほうが似合ってると思うわ」 ティアナの面倒くさそうな答えにプゥと頬を膨らませるスバルだが すぐに気を取り直し、一着の服を取り出した。 「そういえばジルグさん、この服って意外とティアに似合うんじゃないかなーと思って持ってきたんですよ!」 「?」 「ちょ、ちょっとそんな服どっから持ってきたのよ!?」 スバルが取り出したのは黒地に白のフリルがついた いわゆる”メイド服”であった。 「これ着て『おかえりなさいませ、ご主人様』とかやるの!」 「や、やるわけないでしょ!? 第一似合わないわよそんな服! ジルグさんもそう思いますよね!?」 だが、この時ティアナは冷静さを欠いていた。 普段であればそんな話題をジルグに振ること自体が間違いだったと思うだろう。 ジルグは取り乱すティアナを見て笑いをこらえながら 「ああ、似合うんじゃないか?」 「えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」 「ほら、ティア! ジルグさんもああ言ってるし試着してこようよ!」 ずるずるとスバルに引っ張られてゆくティアナの目は、心なしかジルグに恨みの視線を送っているように見えた。 まぁ特に気にすることも無いだろう。 と、ジルグは再び読みかけの本に目を落とした。 数分後…… 「ティア可愛い~!」 「ううぅぅぅ……」 メイド服を着せられたティアナがジルグの前に現れた。 ご丁寧にカチューシャまで付けさせられている。 その手の趣味の人が見たらたまらない格好だろう。 ジルグはなんとか笑いを堪えようとしているが隠しきれていない。 「ホラ、ジルグさん。似合ってますよね?」 「ああ、記念に写真でも撮っておいたらどうだ?」 ジルグが冗談で言った言葉にティアナが必死になって噛み付く。 「だ、だめですよ!! 絶対にだめですからね!!」 そう言って試着室に戻ろうとするティアナをスバルの手がつかむ。 「いいじゃん、本当に似合ってるんだしさ~」 「あーのーねー!」 「あの~、ちょっとよろしいですか?」 騒ぐ二人にカメラを持った男性が話しかけてきた。 「は、はい?」 「あのですね、わたしこういうものなんですが」 と男性は名刺を差し出す。 見たことの無い雑誌の名前が書かれている。 「来月創刊する雑誌なんですけどね、いわゆるゴシックロリータやコスプレの専門誌なんですよ」 と説明する男性。 「で、まだ知名度や認知度の低いファッションなので中々街では見ないでしょう? モデルになってくれる方を探して取材してたんですが、こんなに絵になる方がいるとは」 と、男性はティアナのメイド姿を惚れ惚れと見つめる。 「是非創刊号の表紙を飾らせていただけないでしょうか? あ、当然ギャラはお出ししますからご安心を」 「え、いや、そのこ、困ります! えーと……そ、そうだ! わ、わたしもう働いてますので職場に無許可でそういうのに出るのはまずいんです!!」 必死にティアナが逃げ道を探す。 「ああ、そうなんですか? なら職場の責任者の方の連絡番号を教えていただけないでしょうか? 正式な取材として許可を頂けるよう交渉しますので」 マズイ、非常にマズイ。 この男性の目は本気だ、しかも自分が機動六課の人間だなんて知られたら…… どうしよう……どうし「えっと、この番号です。今なら繋がると思いますから」 って「何教えてんのよバカスバルーーーー!!!!!」 「え、でもこの番号ってフリーダイヤルで公表してる番号だから大丈夫じゃないの?」 「そういう問題じゃないわよ! なんで職場ばらしちゃうのあんたはー!」 「えーだって別に知られて困る職場じゃないと思うけど」 「あたしが困るのよ!」 ティアナがスバルに噛み付いている間に男性は携帯電話でスバルから聞いた番号に電話を掛けている。 「もしもし。あ、わたくし○○○○という雑誌のカメラマンをしている者でして、 そちらで働かれている方の写真をわたくしどもの雑誌の記事に載せたいと思いまして 責任者の方に取材の許可を頂きたく……ええ、……はい」 男性は一旦受話器から口を離し、言い合いをしている二人を見た後、 面白いもの見るような目で二人のやり取りを見物しているジルグに尋ねる。 「ええと、あの服を着ている方の名前を教えてくれと言われたんですが」 「ああ、ティアナ・ランスターだ」 「なんでジルグさんまであっさりばらすんですかー!!!!」 ゼーゼーと肩で息をしているティアナをよそに再び受話器を口に付ける男性。 「ええ、ティアナ・ランスターさんです。え、ああ、はい。少々お待ちください」 と、男性はティアナに携帯電話を渡す。 「責任者の方から代わってくれとのことです」 「え?あ、はい」 戸惑いつつ携帯電話を受け取るティアナ。 「もしもし」 「あー、もしもしティアナ? 六課の名前を売ることにもなるし頑張ってな?」 「ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」 楽しそうな声に聞こえるのは絶対に聞き間違いではないだろう。 受話器の向こうにいる八神はやてに向かってティアナは叫び声を上げる。 上司から許可が出てしまった以上はもう覚悟を決めるしかない。 仕方なくティアナはモデルを務めることになる。 服は取材費で負担すると言って男性がお金を出して購入することになった。 お礼と言うことで男性に昼食をご馳走になり その後3人は近くのスタジオに行くことになった。 「いやー、ちょうど予約と予約の間の時間があいてるなんて幸運ですよ」 どうせならスタジオの予約時間が全部埋まってれば良かったのに……とティアナはまだぶつぶつ呟いている。 「ではティアナさん、撮影を始めますのでこちらに」 男性とティアナはスタジオに入っていった。 「なんかすごいことになっちゃいましたね」 「ああ、そうだな」 スバルに生返事を返すジルグ 自分達が元凶であるにもかかわらず、まるで他人事の様に言う二人である。 まぁ、いざとなれば許可を出したはやてに全責任をかぶってもらえばいいか、 などとジルグは考えてつつ読書の続きをしているうちに撮影は終了したようだ。 スタジオから男性とティアナが出てきた。 男性は満足気だが、ティアナは微妙に放心状態だ。 「いや~、とてもいい写真が取れましたよ、雑誌は職場に送らせて頂きますね。 それにしても機動六課の方々だったとは…… 今度は是非高町なのはさんやフェイト・ハラオウンさんにもモデルになっていただきたいですね」 「ああ、伝えておこう」 笑いながら答えるジルグ。 「では、ご協力ありがとうございました。失礼します!」 そう言って男性は去っていった。 「じゃああたし達も帰ろっか」 「そうね……」 時間を見るともう夕方だ。 「憂鬱だわ……」 せっかくの休日がとんでもないことになった。 恐らく六課内ではすでにはやてがあちこちに言いふらしていることだろう。 「ジルグさん」 「なんだ?」 「荷物持ってください」 「持たないと言ったはずだが?」 「いいから持ってください!!」 そう言うとティアナは自分の荷物をジルグに押し付け、一人でずんずんと歩いていった。 「あ、待ってよティアー」 ティアナを追うスバルを眺め、苦笑しつつジルグもその後を追うのだった。 前へ 次へ
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アーチャー(第二次) 【CLASS】アーチャー 【真名】ギルガメッシュ 【マスター】 【性別】男 【性格】 全てを見下したような態度の慢心王 自称「唯一無二の王」 【出典】シュメール文明、ギルガメシュ叙事詩 【属性】混沌:善 【ステータス】 筋力 C 耐久 C 敏捷 C 魔力 B 幸運 B 宝具 EX 【クラス別スキル】 対魔力:E 魔術への耐性。無効化はできず、ダメージを軽減するのみ。ただ、対魔術用の防具が充実しているためほとんど問題にはならない。 単独行動:A+ マスター不在でも行動でき、多大な魔力を消費する時すらマスターのバックアップを必要としない。だが宝具の性能を最大限発揮するにはマスターのバックアップが必要。 【保有スキル】 黄金律:A 人生においてどれほどお金が付いて回るかという宿命。一生金に困ることはなく、大富豪として生活していける。装備品の充実という形で役立っている。 カリスマ A+ 軍を率いる才能。最も優れた王と称えられただけありランクが桁外れで、ここまで来ると既に魔力・呪いの類である。 神性 B(A+) 3分の2が神という出自のため本来はA+相当だが、ギルガメッシュ自身が神を嫌っているためランクダウンしている。 【宝具】 王の財宝『ゲート・オブ・バビロン』 ランク E~A++ 種別 対人宝具 レンジ 1~99 最大補足 1000人 彼の代名詞とも言える宝具で、黄金の都バビロニアの宝物庫と、それに繋がる鍵剣(王律鍵バヴ=イル)。 空間を繋げ、自らの宝物庫の中にあるものを自由に取り出せるようになる。 容量は事実上無限大で、中身は所有者の財の量に準ずる。 使用者の財があればあるほど強力な宝具になるのは言うまでもなく、逆に財を持たない者がこれを使っても、あまり意味がない。 かつて世界の全てを手中に収めたとされるギルガメッシュの宝物庫にはありとあらゆる伝説の原典となった宝具が財宝として収められている。より正確に言えば「王の財宝」に収められているものは財宝というよりも『人類の知恵の原典』であり、死後も「この世の全ては我のもの」で財宝が追加され続けている為、最早何でもアリに近い。「王の財宝」の中にないものは基本的に『新人類が生み出す、まったく新しい概念によるもの』か『他天体の知的生命体による文明技術によるもの』のどちらかとされている。 だが万物には限界が存在し、それは彼の宝物庫も例外ではなく、『全て遠き理想郷(アヴァロン)』、『日輪よ、具足となれ(カヴァーチャ・クンダーラ)』など人類の手に依らない最高ランクの宝具は含まれていない。 また、宝物庫の中身はギルガメッシュの把握している範疇をとうに超えている為、聖杯など、本人がどんなモノかを知らない物は狙って取り出す事はできない模様。この理由で『日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)』のような使われたことがない宝具は、用途や出典が分からないため収蔵されていたとしても取り出すことができず、使うこともできない。 また、ギルガメッシュはあくまでも宝具の「持ち主」であって「伝説の担い手」ではないため、担い手のように宝具を使いこなす事も、真名開放することもできない。その為、「無限の剣製」によって瞬時に複製し、取り出す過程を必要とせず、さらに「伝説の担い手」の技術ごとコピーする事で使いこなす上に真名開放をも可能にする無銘や、「騎士は徒手にて死せず」によって宝具を奪う上に完全に使いこなす事の出来るランスロットは天敵とも言える。 ただし、真名開放をせずともそれ自体に特殊な効果がある宝具についてはこの限りではなく、敵サーヴァントの真名を知っていれば、その弱点を突く効果のある宝具を使用する事で有利に立ち回ることができる。もっとも彼の剣の技量は余り無い為、絨毯爆撃のように宝具を放つのが主な使用方法。この戦い方は生前、親友であるエルキドゥとの決闘で身に着けたとのこと。 貯蔵内容 ※一部。作中に登場したものについて記載。他にもまだ見ぬ宝具や財宝が色々入っているらしい。 乖離剣エア 無名にして最強の剣。エアという名前はギルガメッシュがつけたもの。剣というより円柱状の刀身を持つ突撃槍のような形状をしている。起動すると刀身がドリル状に回転する。 彼自身が真名解放できる究極の切り札。そのため、よほど興が乗った時や「全力で戦うに相応しい」と認めた相手と対峙する時などにしか使用しない。真名開放するとEXランクの対界宝具「天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)」になる。 元ネタはバビロニア神話の創世記叙事詩「エヌマ・エリシュ」に登場した、天と地を分けたとされる無名の剣。 天の鎖(エルキドゥ) かつてウルクを七年間飢饉に陥れた“天の牡牛”を捕縛した鎖。 彼の所有物の中でもお気に入りの宝具であり、自らの親友の名を冠する。 使用者の意思に応じてホーミングし相手を拘束する。 能力は“神を律する”ものであり、捕縛した対象の神性が高いほど硬度を増す特性を持つ。神性を有する強力な英霊に対抗できる数少ない対神兵装だが、神性の無い者にとってはただの頑丈な鎖に過ぎず、戦闘型ホムンクルスなどの怪力かつ神性が無い相手には殆ど効果が無い。 グラム 魔剣・太陽剣。北欧神話における選定の剣であり、ヴォルスング・サガに登場する北欧最大の英雄シグルドが所有した。バルムンクの原典とされている。 「最強の聖剣」と対極に位置する「最強の魔剣」であり、竜殺しの特性も有する。竜の因子を持つ騎士王にとってはまさに天敵。 原罪(メロダック) 各地に伝わる「選定の剣」の原典であり、「聖権」の象徴。「グラム」はこれの派生品とされ、そこからさらに流れていったのが「勝利すべき黄金の剣」とされる。 投影品の「勝利すべき黄金の剣」に対して使用し、これを粉砕した。 「約束された勝利の剣」には及ばないものの、触れるモノを焼き払う光の渦を放つ事が出来る。 透明な剣 名称不明。セイバーの斬撃を防ぐ為に使用。 氷をくり出す剣 名称不明。振ると空間ごと凍らせる。 魔力を奪う鎌 名称不明。セイバーの鎧ごと貫き魔力を吸収した。 カラドボルグ クー・フーリンの好敵手・フェルグスが使ったという剣。 とある人物に縁のある者が振るった場合に限り、クー・フーリンは一度この剣の前に敗北しなければならないという。 ゲイ・ボルク かのクランの猛犬が使用したとされる魔槍の原典。 原典であるためか、この名を「刺し穿つ死棘の槍」とも「突き穿つ死翔の槍」とも言っていない。 ダインスレフ ニーベルンゲンの魔剣。 北欧の英雄・シグルドを殺した一族に伝わるもので、元々はファフニール竜が収集していたもの。強力な「報復」の呪いを持つ。 聖剣・魔剣の類は、栄光と破滅を両立させるものだが、この剣の持ち主の運命は破滅のみが与えられるという。 絶世の名剣(デュランダル) 魔力がなくても高い切れ味を誇る。 ハルペー 回復不可能力を持つ鎌。メドゥーサの天敵。 方天画戟 呂布が愛用したとされる武器。 ヴァジュラ 古代インド神話に伝わる宝具。一度限りの射出宝具で、ダメージ数値はB+に相当する。所有者の魔力とは関係なくダメージ数値を出すお手軽兵装。 天翔る王の御座(ヴィマーナ) インド神話に登場する、自在に空を飛ぶ乗り物。正確にはその原典。 多目的ドリルランサー 斬り付けたり突き刺したりする以外にも、ガトリングガンとしての機能も有するようにも見える。 金色の斧 詳細不明、黄金の斧 金色の双刀 通常攻撃の際に使用。 日本刀のようだが完全に金ぴかなのでそういう形の黄金を武器として使っているようにも見える。 終末剣エンキに酷似している。 エヌルタの灰油 自身の筋力をワンランクUPする。エヌルタは古代メソポタミアにおける神々の名前。 王律権ダムキナ 使用すると魔力生み出す事が出来る。これにより単独行動中もエアを遣うことは可能。ただし、真名解放は出来ない。ダムキナは古代メソポタミアにおける神々の名前。 王律権キシャル 使用するとステータスをワンランクUPさせる。古代メソポタミアにおける神々の名前。 対魔術武装 本人自身に大した対魔術はないが、武装でガチガチに固めているとの事。Aランクの魔術を余裕で防いだ。 多重次元屈折防具 詳細不明。佐々木小次郎の燕返しを防げるらしい。 若返りの薬 ギルガメッシュ叙事詩にて伝えられる不老不死の霊草である。 酒 Zeroの聖杯問答にてセイバーとライダーに振舞った。コレを奪い合う為に戦争が起きた程の美酒。 全く簡素な試練(ブルワーカー) ネタ宝具。体を鍛える為に使うらしい。 七夜の短刀 ネタ宝具。アニメで登場。スタッフの遊び心。 獣の槍 ネタ宝具。同じくスタッフの遊び心。 夜の帳 聖者の数字を無効化できる宝具と思われる。 時返りの薬 詳細不明。ただ本人の弁によれば下がったステータスを元の状態に戻すことができる模様。ただし、油断慢心により使うことはないだろう。 宝具を回収する宝具 これを使って使用した財宝を回収しているらしい。 光の船 人類が未来に作り出すであろう光の速さで飛ぶ船。銀河の果てから月までを短時間で移動可能。 胃を整える霊草 とある純血ランサーの料理を美味にする宝具は宝物庫にも存在しないため、次善の策として主人公に提供しようとした霊草。ただし飲むと味覚が一生失われるというヤバすぎる副作用がある。 不老不死になる霊草 生前、蛇に奪われた不老不死の薬。服用者は不老不死を手に入れるものの、代償に植物のような存在に成り果てるという。 令呪 何故あるのか分からないが、本人曰く「令呪の一つや二つ、ストックがあって当然であろう」とのこと。 だが、令呪の提供は一切しない。フッ、このザマア。 全自動調理器 シュメールが誇る超古代テクノロジーで作られた、全自動お料理マシーン。ヒュドラ肉のような危険な食材でも問題なく調理し、至高の料理を作り出す高性能機械。リミッターを外す事で性能がアップするが、そうすると何故か壊れてしまう。 ヒュドラの肉 幻想種である多頭蛇の生肉。思いっ切り毒物が入っているが、念入りに血抜きをして内臓を取り除けば問題ないとの事。 テーブルクロス 北欧に伝わる魔法のテーブルクロス「北風のテーブル掛け」の原型。 食べたい物の名前を唱えながらテーブルに広げると、使用者が望んだ料理が出現する最高級の品。これにより食事には困らないが、マスターには一切提供しない。貴様自身で調達するが良い。 エリクサー ギルガメッシュを物理で殴るとたまにドロップするらしい。曰く「ついつい大事にとっておくけど、結局ラスボス戦でも使わない味がする」との事だが、とても美味しいようだ。カルピスと混ぜるとさらに美味になる。 本来は錬金術において飲めば不老不死をもたらすという霊薬を指す。 視線避けの指輪 シュメールの古代文字が刻まれた指輪。 嵌めると一般人からは視認されなくなるが、あまりランクは高くなく、魔術師ならば普通に見抜けるレベル。 自動防御宝具 幾何学模様の装飾が施された数枚一組の円盤。 電光を放ちながら周囲を飛び回り、襲いかかる脅威に対して自動的に迎撃する。 遠視のレンズ 金色の輪に嵌められた歪んだレンズ。 遥か遠方の光景を映し出すことが出来る。 神々の盾 巨大な花弁の様な形状の大盾。鉄壁の防御力を誇る。 彼自身もその防御力には自信があるらしい。 他にも宝物庫には様々な時代・国の紋章が描かれた盾が収蔵されている 真・射殺す百頭(ナインライブズ) ヘラクレスが生前の偉業「ヒュドラ殺し」で使った巨大な大弓。 千山斬り拓く翠の地平(イガリマ) メソポタミア神話に登場する、戦いの女神ザババが持つ「翠の刃」。 「斬山剣」という別名を持ち、その名の通り、その刀身は山を切り裂けるほどに大きい。 シュルシャガナ シュメールの戦の神ザババが使用していた「紅の刃」。 捩れた本体から炎が複数の刀身を形成し、敵を切り裂く剣。 矢避けのお守り ランク D- 日食を象った金細工で、装備者の回避率を大きく上昇させ、Dランク以下の飛び道具による攻撃を無効化する。攻撃を無効化する度にき金細工の日の欠けは大きくなっていき、欠けが日の大きさに達すると消滅してしまう。 身隠しの布 ランク:E 古今東西で見られる「姿を隠す」宝具の原典。この布を被せる、もしくは括ったものは魔術的・光学的に観測不能となり、高度な結界にも探知されることはない。だが音や匂い、体温に気配その他諸々はだだ漏れで、全く役に立たない場合もある。極めて複雑な織りをした布で、織りの方向は少なくとも五次元に達しているとされ、この布の完全な再現は人間には不可能と言われている。 後に折りたたむ事で帽子になり、本来の名前も「ハデスの隠れ兜」であったことが判明。神話上ではゼウスの雷、ポセイドンの槍と並ぶ宝具のはずだが、何故ここまでランクが低いのかは不明である。 天地乖離す開闢の星『エヌマ・エリシュ』 ランク EX 種別:対界宝具 レンジ:1~99(地の理) / 1~999(天の理) 最大捕捉:1000人 由来:メソポタミア神話の創世叙事詩エヌマ・エリシュ。 ありとあらゆる宝具の頂点の一つ。英雄王ギルガメッシュの持てる最強の一撃であり、かつて混沌の世界を天地に分けた乖離剣エアによる究極の一撃。 ギルガメッシュ曰く、「生命の記憶の原初であり、この星の最古の姿、地獄の再現」。 数多の宝具の原典を所持するギルガメッシュが唯一持つ、ギルガメッシュ自身の宝具。 「剣」という概念が誕生する以前に星によって鍛えられた神造兵器。そのため、あらゆる剣を複製する事が可能な固有結界「無限の剣製」ですらこの剣を投影することは不可能であり構造すら読み取れない。 本来は無銘の剣であり、「エア」というのもギルガメッシュが付けた愛称である。 エアの回転する三つの円筒が風を巻き込むことで生み出される、圧縮され鬩ぎ合う暴風の断層が擬似的な時空断層となって絶大な破壊力を生み出す。その威力のほどは固有結界を唯の一撃でズタズタにし、アーサー王のもつ最強の聖剣「約束された勝利の剣」と真っ向から撃ち合いそれを破るほど。 エアの単純出力計算は筋力×20。つまりギルガメッシュの筋力に依存している。 また、「王の財宝」内のバックアップを受けることで破壊力を上げることも可能。これを打ち破るには使用前の大きな隙をついて発動不可の状態に持っていくか、これと同等の破壊力を持つ宝具、又は防ぎ切ることのできる宝具を用いて凌ぎきる他にない。 【詳細】 傲岸不遜で唯我独尊、おまけに傍若無人。自らを「唯一無二の王」と称してはばからない。極めて好戦的かつ残忍な人物。能力を一言で言うならば金に飽かした最強装備。だが、「慢心王」とも称される彼が100%の 全力を出すのは非常に希。その為、想定外の事態や攻撃に弱く、格下相手にあっさり負ける事もしばしば。
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《探偵》大十字九郎&アーチャー ◆HOMU.DM5Ns 合衆国はマサチューセッツ州に立つ地方都市『アーカム』。 貧富とインフラの格差は地区によってまちまちだが、 ここ『イーストタウン』においてははっきりと「貧」の雰囲気で保たれ固定している。 塗装は何十年も前から手つかずで久しく地面の罅割れは蜘蛛の巣のように網目を張っている。 時間は止まったわけでもなく、ただ風化するばかりの寂れた区画。 「うおおおおおおおおおおおおおおお―――!」 そんな取り残された世界の路地裏で大声を散らす男。 大十字九郎はただ今、路地裏の一本道を全力疾走していた。 走る。駆ける。疾走する。 肺に酸素が行き渡らず裂けるような胸の苦しみを押し殺して。 休みなく上下させられて、いい加減脳に反逆しようとする脚を黙らせて。 勢いよく踏みつけた水溜まりがズボンに汚い模様を着けようとも構わず走り続ける。 速度も、距離も、走っている時間も。 どれも、とても常人とは思えない新記録のオンパレードだ。 精神が肉体を凌駕する。人間の底力とはここまで果てしないものなのか。 その先に何があるというのか。 それほどまでに魂を猛らせる源泉とは何なのか。 男の少し前を進んでいる黒い影。 それは、 生の魚を口に咥える、黒色の毛並をした猫だった。 「待てええええええ!逃げるでない俺の晩飯いいいいいい!」 その形相は鬼か悪魔か。 顔面を憤怒に支配された九郎は、天の恵みを奪う狼藉者に鉄槌を下すべく追跡する。 たかが魚一匹に悪鬼と化す様は情けない事この上ないが、男とて譲れぬ事情がある。 何せこの大十字九郎、金が無い。 つまり食事も碌に買えない。この残飯(めし)を逃せば後は塩と酒のみでしか生きていけぬ身。 知り合いの漁師からおこぼれに預かった一匹の魚はまさに明日を生きる最後の希望。 美しい未来を思えばこの程度の無様など何するものぞ。今日よりも明日なのだ。 そして九郎の獲物(ターゲット)は黒猫も含まれる。 誤解無きよう説明するが、あれこそは九郎が勤める探偵事務所唯一の依頼対象。 さる夫人―――の十歳以下のいたいけな娘の屋敷より抜け出し捜索願いが出されていた飼い猫だ。 忌々しき泥棒猫は九郎に金をもたらす招き猫でもある。 奪われた魚も取り戻せれば、イーブンどころかお釣りが出る。借りた七輪で焼いて食おうとしたのは間違っちゃいなかった。 故に。空腹の身に鞭打ち残りの生命力の全てをこの走りに捧げる。 これで終わってもいい。だから、ありったけをッ!!! だが、黒猫とて明日への糧を手にする権利はある。 黙って捕まり九郎の腹の肥やしになる気は毛頭なかった。 人語を解せぬ畜生でも、危険の信号を理解する知能は持ち合わせている。 本能と呼ばれるそれは、迫りくる対象を「捕食者」と認識して生存本能に火を付けた。 両脇を塞ぐ住宅の壁の一部に生じた空白。 猫は意を決し、空白に飛び込んだ。 落ちる矮躯の先には水の絨毯。 街中を流れる下水道に繋がっている。 これこそ野生が生んだ逃走経路だ。 「ぬうううおおおりゃああああああああああ――――――――!!」 その陥落に、九郎は足を止める動作を一切しないまま躊躇なく飛び込んだ。 例えうだつのあがらなくても、彼は探偵。 一帯の地図の見取り図など頭脳に叩き込んである。 更に、散々逃げられた苦渋は対象の行動パターンを予測する材料と変わっている。 ここに追い込んだ時点で、勝利の方程式は出来上がっている! 虚空に浮かぶ一人と一匹。 猫はもがき、男は足掻く。 そこに差は歴然となり。 降下(ダイブ)、&確保(キャッチ)。 「レパードちゃん、とったどおおおおおおおおおおおおッッッ!!」 アーカム在住私立探偵、大十字九郎。 本日の依頼(ミッション)―――無事に完了(コンプリート)。 ◆ ◆ ◆ 「ここで会ったが百年目え!今からお前は俺の朝餉のジャム(いちご味)になるのだあ――――っ!」 ……再度訂正するが、男の発言の意味は 『迷い猫を確保→依頼達成→報酬ウマー→パンに塗るジャムを買える』 という正しい論理的帰結からくるものであり、決して生きた猫を鍋に入れて喰う、などといった 『いくら赤貧だからって社会に生きる人としてそれはどうなのよ?』という真似に及ぼうとしているわけではないことを、 ここに表明しておく。 飯の種ではあるが猫を飯にするわけがない。そんな真似は『二度と』御免なのだ。 だが、黒猫とて明日への糧を手にする権利はある。 黙って捕まり九郎の腹の肥やしになる気は毛頭なかった。 人語を解せぬ畜生でも、危険の信号を理解する知能は持ち合わせている。 本能と呼ばれるそれは、迫りくる対象を「捕食者」と認識して生存本能に火を付けた。 両脇を塞ぐ住宅の壁の一部に生じた空白。 猫は意を決し、空白に飛び込んだ。 落ちる矮躯の先には水の絨毯。 街中を流れる下水道に繋がっている。 これこそ野生が生んだ逃走経路だ。 「ぬうううおおおりゃああああああああああ――――――――!!」 その陥落に、九郎は足を止める動作を一切しないまま躊躇なく飛び込んだ。 例えうだつのあがらなくても、彼は探偵。 一帯の地図の見取り図など頭脳に叩き込んである。 更に、散々逃げられた苦渋は対象の行動パターンを予測する材料と変わっている。 ここに追い込んだ時点で、勝利の方程式は出来上がっている! 虚空に浮かぶ一人と一匹。 猫はもがき、男は足掻く。 そこに差は歴然となり。 降下(ダイブ)、&確保(キャッチ)。 「レパードちゃん、とったどおおおおおおおおおおおおッッッ!!」 アーカム在住私立探偵、大十字九郎。 本日の依頼(ミッション)―――無事に完了(コンプリート)。 ◆ ◆ ◆ その依頼は唐突にやってきた。 探偵への依頼など大抵は突然なものだが、今回のそれは一際脈絡のない内容だった。 魔術理論の最先端。人類の繁栄の再頂点。 一部の特権者が握るのみだった魔術実社会に普遍化するまで進んだ科学の時代。 巨大財閥の投資によって田舎町から合衆国にある世界の中心と呼ぶべき大都市、アーカムシティ。 そこに在住する一般(?)市民、事務所は電気もガスも水道も止められている瀬戸際の私立探偵、 大十字九郎に一か月ぶりの仕事の依頼が舞い来んできた。 "報酬は問いません。我が祖に伝わるこの鍵に合う"孔"を捜してもらいたいのです" 名前は伏せさせて欲しいと言った、紫の長髪をまとめた年若い女性は鈍く光る銀色の鍵、 札束の詰まったアタッシュケースを差し出した。 何でもこの鍵は彼女の祖先が遺していった形見の一つで、長年死蔵されていたものを発見、 だが肝心の"鍵を刺すべきもの"が家で見つからず、鍵屋から玩具屋まで回っても何に使う鍵なのか分からない。 分かったのはただ一つ、これが"魔術に関わるもの"というだけ。 知己を頼ってるうちに自分の来歴―――魔術を学んでいたという情報を掴み、ここに頼りに来たという。 魔術。 それは九郎の人生を狂わせたもの。 おぞましき知識で、ろくでもない内容で、関わるもの全てをどうにかしてしまう禁断の箱。 今でこそ科学と並び流通しているが、そこには手を伸ばしてはいけない"深み"の領域がある。 この鍵がそこに通じていないとは限らない。 しかし外道の知識の集大成―――魔導書のような品でない限りはまだ安全な可能性もある。 だったら先祖の思い出が何なのか調べるくらいはいいかもしれない、とも思った。 というか札束を見せられてから0.2秒で快諾してしまったので、後の祭りというやつだった。 ともあれ引き受けてしまった以上はきっちりとこなすしかない。 手がかりは鍵という現物。古い骨董屋等を当たっていけば見つかるかもしれない。 そしてもう一つ。鍵をかけた物の名称らしき単語だ。 それだけあって見つけられないものかと怪訝に思いながらも、黙って少女の声を耳に入れた。 "――――――――――――■■メ■。" ◆ ◆ ◆ 結果として、やっぱりろくでもないものだった。 それも最低、最鬱、さらに最悪の部類でだ。 まずアーカムシティから一時代程逆行した都市に突如として飛ばされた事が最低。 歴史で名を挙げた英雄の魂―――それこそ魔導書そのものを呼び寄せるという事が最鬱。 そして数十人規模で一人になるまで殺し合えという事が最悪だった。 どうしてこうなったのか。 古書店を回ってる中で『偶々』女店主が持っていた書物を勧めてきて、 その本に『偶々』鍵がかかっていて中身が読めない仕組みになっていて、 物は試しと例の鍵を冗談で刺したら信じられない事にピッタリと孔に吸い込まれて、 まるで鍵がひとりでに動いたみたいに孔を回して、気付いたらここだ。 帰れたら真っ先に依頼主に文句を言ってやりたいところだ。 ……いや、逆にあの娘がこんな事に巻き込まれなかったのに安堵するべきなのか。 魔術を齧っただけの半端者ですら吐き気がこみ上げている。常人なんかがいたら一瞬で廃人コースまっしぐらだ。 「いて、いてててっあんま暴れんなよそんなに。 家でミルク……じゃなくて水……もないな。 …………布で拭くぐらいはしてやるからさ」 ずぶぬれの全身で、腕の中で暴れる押さえつける。 何もわざわざこっちでも貧乏にすることはなといのに。 おかげで戦争そっちのけでその日の生活費を稼ぐ事から始めなくてはならないのだ。 この舞台を設定した主催者サマよ。 自分、拳いいっすか?。 「くそう、せめて財布にもう少し現金詰めておけばよかった……」 現地の我が家である事務所(ご丁寧にボロっぷりまで再現してある)に到着する。 気が重いのは始まる戦争に滅入っているから。というわけでもない。 むしろその段階にすらいってない事が殊更頭を悩ませている。 事務所に住む同居人。即ちサーヴァントと呼ばれる英霊の存在。 聖杯がどうとかよりも、まず目先の問題の方がずっと厄介だった。 「帰ったぞーアーチャー、電話番ぐらいきちっとしてたろうなー。 まあそもそもうちの電話が一か月以内に二度鳴った試しなんかな―――」 「『Devil May Cry』―――あぁ、仕事の依頼? 悪いが今日は休業だ。他をあたりな。 ならいつやってるか?うちの主義は週休六日だ。なんであと五日は看板だぜ。そん時よろしくドーゾ」 「アンタ何やってるンですのゥ―――――――っ!?」 今まさに奇跡の月二の依頼がかかった受話器を、投げて電源を落とした男に盛大に突っ込んだ。 「ようクロウ。相変わらず喧しい声だな」 HAHAHA!と陽気なアメリカンスマイル(アメリカ人かは知らん)をかましつつ、 部屋で唯一まともな調度品の机に両脚をのっけて踏ん反りがえってる、銀髪の半裸男。 鍛え上げられた身体は鋼の如く硬く、鋭い。 人間の体では到達実現出来ない密度の筋肉が詰まっている。 その内側からは、燃え盛る炎のように込み上げてくる膨大な魔力の熱気。 気を張っていなければ、飛び火して一瞬で魂ごと焦熱してしまう程、圧倒的に濃い。 目にするだけで理解する。 こいつと俺の格差。いや、魔術師と英霊の格差。 魔導書を読み解き外法の知識を紐解いたけの人間など、正真の怪物には紙を裂く軽さで消し飛ばせる砂粒でしかない。 人の形をしていながら、人の領域を超えたもの。 それこそがサーヴァント。クラス・アーチャー。 大十字九郎の聖杯戦争の剣となる、射撃手の英霊だった。 「よう、じゃねえよ!何爽やかスマイルで決めてんだ! ていうか何でピザとか食ってんの!?お前金持ってたっけ!? まさか英霊サマともあろうものが食い逃げとかしたんじゃないだろうな……!」 「HA!ナメてくれるじゃねえか。そこまで落ちた覚えはねえぜ。 出前で頼んで、時計の裏に置いてあった金でしっかり払ったに決まってんだろ」 「それは隠したっていうんですよオオオン!?」 信じられない。 非常時―――本当に食うものが無くなった場合―――に厳重に封じていたヘソクリをかっぱらったというのだ。 英雄っていうなら普通、鎧着た品行方正な騎士で『あなたが私のマスターか?』、なのじゃないのか? 尊大で傲岸極まった態度は、英霊というよりどっちかというとチンピラの類じみている。 仮にも英霊。実力の差など試すまでもなく分かってる。 だが、かといってここまでされて黙ったままでいられようか―――いやない! 戦力差など先刻承知。 正しき怒りを胸に激しく食って掛かる。 「ええいいいから言え!さっきのは誰からの電話だ!どんな依頼だった! 俺のジャムトースト何枚分だああだだだだだだだだあああああーーーッッ!!?」」 無数のガラスの破片が刺さったような激痛が両手に起きる。 原因は無事確保した筈のレパード(猫)。 ちょっと爪で引っ掻いて痛いで済んでいた今までとは違う。 これはもう刺突、爪で直接ブッ刺している! 余りにも埒外の激痛で思わず掴んでいた手を離してしまう。 「おっと」 空中に放られたところを、アーチャーは指でつまみ上げられるレパード。 途端、壊れた目覚まし同然の悲鳴。 口角に泡をつけながらも絶叫する。 明らかに狂乱していた。 知性が薄い動物ですら、英霊の気に怯えている。 強大な魔力に直接当てられたことで本能が過剰に刺激されているのだ。 「恐がるなよ。取って食ったりなんかしねえよ。コイツじゃあるまいし」 「お前に怯えてんだよ!あともう食うつもりもねえ!」 食ったのは否定しないのかよと、軽く引いたアーチャーから猫をひったくり、脱いだ上着を覆い被せる。 これなら引っ掻かれる事もないし、アーチャーも見えなくなる。 しかし、ヤバイ。 ヤバすぎる。 このまま狂死させたら報酬どころか逆に賠償請求だ。ブタ箱行き待ったなしだ。 ともかくここにはいられない。 アーチャー(こいつ)の気配が感じられなくなるまで遠くに移動しなければ……! 「待ちな、マスター。 出る前に聞いておきたい事がある」 「後だ!この仔を落ち着けて依頼主に届けてからゆっくり聞いて―――」 「サーヴァントが揃ってきてるのが感じる。 そろそろ始まるぜ。聖杯戦争が」 その言葉を聞いて。 先を急き立てる心臓の早鐘が、ピタリと治まった。 「最初に聞いた時は、『願いなんざねえ、とにかく帰りたい』とか言ってたっけな。 今になってからもう一度聞くぜ。クロウ、お前はここで、何をする?」 アーチャーの声は何でもない、いつもの口調だ。 だがそこにほんの僅かばかりの気が入るだけで、こんなにも重みが増している。 何をするのか。 それはずっと心の中で定まる事なくゆらゆらとしていたものだった。 叶えたい願いなんて、今でもない。 欲しいものはそりゃあるが、人を殺してまでかと問われれば、やっぱり首を横に振るだろう。 金とか食い物とか住居とか、そういうのは生きるのに必要なものだ。 ……まあ要するに、情けなさでしかない。 他人を理不尽に踏みにじって得たもので飯を食えるような人生を、自分は許容出来ないだけだ。 「―――望みなんざ、今でもねえよ。 早く帰りたいってのも変わっちゃいねえ。いい加減ライカさんのメシも恋しいんだ」 けれど。 ああ、けれど――――――。 「けど――――――この場所で誰かが泣いていて。何もかも奪われようとする人がいて。 そいつらを嗤いながら殺そうとする奴がいるなら。誰も彼もを殺し合わせようとする奴がいるなら」 きっと、命(それ)を見捨てる事が出来ない。 邪悪(それ)を許す事が出来ない。 それは、あまりにも現状を知らな過ぎる、恥知らずな言葉だ。 だってこの身は強くなんかない。魔術を知っているだけの、ただの人間でしかない。 正義の味方でもヒーローでも、勿論英雄なんかでもない。神様に抗う力なんて有るわけもない。 戦う力など皆無。あったとしても雨の一滴よりも小さな微力。 ああ、分かってる。分かっているんだ。 逃げればいい。捨て去ればいい。責任なんかまったくない。 もっと強くて相応しい、本物のヒーローみたいな奴はきっといる。 そいつに何もかも任せてしまえば万事解決だ。 ああ、何て愚かなんだろう。 ……そんな当たり前を、自分自身が許せないなんて。 「俺は、正義の味方になりたい」 ……扉を思いっきり蹴って開けて外に出る。 かっこつけた台詞をかました羞恥心とか馬鹿らしさとかその辺を投げ捨ててひた走る。 見上げたアーカムの空は、陽も見えない厚い雲で覆われていた。 ◆ ◆ ◆ 「―――それだけ啖呵を切れれば上等だな」 無人になった事務所で、一人納得する。 アーチャーの顔は満足げに緩んでいた。 アーチャーにも、聖杯に託す望みなどない。 やり残した無念も叶えたい願も、とうに品切れだ。 それでも召喚に応じたのは、聖杯戦争には用があったからだ。 英霊の座からすらも届いた悪臭。 人の悲鳴と怪物の嘲笑しか聞こえない街。 そんなものが世に表れた事に、どうしようもなく怒りが沸いたのだ。 だからアーチャーはここにいる。 誇りある魔剣士と同じように、邪悪渦巻く聖杯戦争という存在そのものを封じる為に。 「いいぜマスター、その線に乗ってやるよ。 悪魔でも天使でもカミサマでも、まとめてかかって来な」 ハンガーにかかった赤いジャケットを素肌の上から羽織り、立ち上がる。 腰には白黒の双銃。 背には銀色の刃金をした大剣。 魂には―――父の誇り。 これがアーチャーのサーヴァント――――伝説のデビルハンター、ダンテの装束。 剣の柄を握り、やたらめったらに振り回す。 乱雑でありながら閃は全て過たず、木製のテーブルに文字を刻み付ける。 「臨時の看板にはこんなもんでいいだろう」 『Devil May Cry』 さあ悪魔よ。糞尿と血の詰まった怪物(けもの)共よ。 後悔と絶望の協奏曲を奏でよ。 涙無き貴様らに、次の夜は亡い。 イカれたパーティの始まりだ! 「This party s getting crazy!」 【出展】 Devil may cry3 【CLASS】 アーチャー 【真名】 ダンテ 【ステータス】 筋力B 耐久A+ 敏捷B 魔力A 幸運E 宝具A 【属性】 混沌・善 【クラス別スキル】 対魔力:C 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 単独行動:B マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクBならば、マスターを失っても二日間現界可能。 【保有スキル】 半人半魔:B 神ではなく、悪魔との混血度を表す。 伝説と謳われる魔剣士と人間の女性との間に生まれた双子の兄。 体のつくりが人間と異なるため、人間では致命傷となるような傷でも死に至ることがなく、治癒力も高い。 戦闘続行:A 往生際が悪い。 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。 スタイルチェンジ:A+ 数多の武器を使い、数多の戦い方で敵を倒した技巧の冴え。 戦闘中に自由に戦法(スタイル)を変更し、それに対応したスキルを獲得できる。 該当するスキルは勇猛、千里眼、仕切り直し、見切り等。 【宝具】 『奴原よ泣き叫べ、空に夜に響き渡れ(Devil May Cry)』 ランク:A++ 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人 クール&スタイリッシュ、悪魔も泣き出す男の伝説の具現。 敵を斬る度、魔を掃う度に魔力が蓄積され、ダンテの能力を底上げする。 蓄積量には独自のランクが設定され、ランクが上がる度に能力も増していく。 一回一体では微々たるものだが、連続して無数の敵を倒していけばその力は果てしないものとなる。 最大限溜め込めれば、やがて肉体を悪魔の姿に変える「魔人化」が解禁される。 肉体ブースト以外に一撃に全魔力を注いだり、他の宝具の出力(ランクアップ)に転用も可能。 『魂よ誇れ白銀の魔刃(Rebelion Of Spada)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大捕捉:1人 父から受け継いだ銀の大剣。 悪魔の手に握られながら無数の悪魔を屠ってきた対魔に特化した宝具。 ダンテの魔力の受け皿でありその力を存分に行使させる、魔を断つ剣。 『泪無き世界よ、終幕の鐘だ(Devils Never Cry)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:1人 魔帝を始めとする仇敵の止めに下された銃撃(ラストショット)。 解放された『Ebony & Ivory』の銃弾を受けてHPがゼロになった相手は あらゆる再生も蘇生も機能せずそのまま死に至る。 因果改変による回避すら許さない、物語を締め括る終わりの一撃(デウスエクスマキナ)。 悪魔、それに類する種族であればダメージは倍増(クリティカル)となる。 撃つ際の決め台詞は、『Jack Pot!』」。 【weapon】 『Ebony & Ivory』 ダンテのためだけに制作された二丁拳銃。リベリオンに並ぶダンテのトレードマーク。 速射性重視のアイボリー(白)と精密性重視のエボニー(黒)。宝具としてのランクはC-に収まる。 コルトガバメントをベースに、ダンテの超人的連射速度に耐えられるべく魔改造されている。 『アミュレット』 母エヴァの形見でもあるアミュレット。 これ自体に特殊な力はないが、兄の持つ片割れのアミュレットとを合わせると 父スパーダの名を冠する最強の魔剣を手にするための鍵となる。 【人物背景】 悪魔も泣き出す男。涙を流せる悪魔。 父の力と誇り、母の血と優しさを受け継いだ銀髪の青年。 表では非合法の便利屋、裏では悪魔退治を請け負うデビルハンター。 魔界の神を封じ、絶望の覇王を滅し、血を分けた実の兄弟と殺し合い、偽りの神の野望を阻み、 それでも永遠に尽きぬ戦いに身を投じ続ける。無二の相棒と共に、魔を討つ剣として。 【サーヴァントとしての願い】 聖杯戦争を開いた奴を止め、聖杯を封じる。 【基本戦術、方針、運用法】 スキルとステータスのバランスの良さから、あらゆる状況に対応できる万能型。 宝具はどれも対人だが殲滅力自体は極めて高い。 特に相性がいいのは人海戦術を頼みとする相手や、再生力や耐久力が並はずれた相手。 素の実力が高い相手とはガチンコにならざるを得ないが、戦闘経験も豊富なため数値以上の活躍も見込めるだろう。 ちなみにサーヴァントとしての全盛期はフォルトゥナの魔剣教団事変の頃(『4』)だが、 マスターの精神性に合わせて、最も若いテメニングルでの兄との相争った時期(『3』)の姿で現界した。 【出展】 機神咆哮デモンベイン 【マスター】 大十字九郎 【参戦方法】 依頼にあった銀の鍵を調べる内に『偶然にも』招かれてしまった。 依頼主は「紫の長髪であった」事以外不明である。 【マスターとしての願い】 聖杯戦争を止めたい。 理不尽な争いで失われる命を見捨てるのは、少しだけ後味が悪い。 それだけしかなく、それだけで十分だった。 【能力・技能】 『魔術師』 ミスカトニック大学でかつて魔術を学んでいたが、あるおぞましい体験により半ばで中退している。 それなりに素質はあるようだが、今の腕では未熟極まりない。 『探偵』 貧乏。タカり。猫を食った事のある男。つまりはそういう職事情である。 ただ探偵としての腕前は悪いわけではない。 【人物背景】 アーカムシティ在住の私立探偵。 魔道の知識はあれど魔術師ではなく、正義の味方でもヒーローでもない。 宇宙を覆す力など持ち合わせてるわけがない、弱い人間だ。 大十字九郎は少しだけ他人より優しい、ただの人間だ。 【方針】 大十字九郎は神などではないので、直接戦うのは望むべくもない。 マスターらしくサーヴァントのサポートに回りつつ、事態を解決すべく奔走していくしかないだろう。 探偵のスキルも上手く使えば有用な情報を得るか情報源にもなる。 気合と根性で神話生物を乗り越えられるなら苦労はない。 だが気合と根性なくしては大十字九郎足り得ないのだ。