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【CLASS】Archer 【真名】Medjed(メジェド) 【マスター】ノクティス・ルシス・チェラム 【性別】男性 【性格】 何事に対しても寛容で、非常に温厚な性格。 器も広く、大体の事で揺るぐことは無い。 しかし、強引に呼び出そうとし、結果エリザベスを依代となった為、主人格はエリザベス寄りとなっている。 根本的な所は変わっていないが、やや、特にヅラに対しては口が悪くなっている。 基本的にヅラに決定権があり、その意思に沿って行動する。 気に食わず勝手に行動を起こすことも珍しくないが。 【出典】エジプト神話・死者の書×銀魂×オリジナル 【属性】秩序/善 【ステータス】 筋力 E 耐久 E 敏捷 A+ 魔力 A 幸運 B 宝具 A+ TOTAL 260 【クラス別スキル】 ▼単独行動 A マスター不在でも行動できる。 ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要となる。 ▼対魔力 B- 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 炎熱属性の魔術攻撃に対してはA+ランク相当の対魔力を発揮する。 魔力またはランクがB以下の魔術(またはそれに類する)攻撃において、重症を一つ回避に変動可能。 炎の属性を持つ攻撃では2つ回避に変動する。 【保有スキル】 ▼夜の世界たる冥府に住まう者 A 自身の気配の遮断や視認の阻害を可能とする。 悪または混沌の属性を持つ者に対し、強力な効果を発揮する。 通常時でCランク相当の気配遮断と同じ効果を持つ。 また、悪または混沌の片方所有で同ランクの気配遮断と同じ効果、両方を所有している相手には戦闘中であっても、その存在すら認識することは不可能。 ▼魔眼 A+ 赫奕の魔眼「ハルマキス」を所有することを示すスキル。 両の眼から超熱量の光線を放ち、標的を灼き焦がす。 これによる攻撃は太陽神に由来する神性か加護以外の防御特性を全て無視して、対象の本体に直接ダメージを与えることを可能とする。故に、太陽神に由来する神性か加護以外の防御系スキル、宝具を対象が所有、行使したとしても常に通常のダイスで攻撃が可能。 また、その本体を捉えるという意味で、仕切り直しなどのスキルもこの攻撃によるダメージの上では発動が不可能である。 このスキルは「死者の霊魂を視線にて射抜き、裁きの場へ導く」という権能の一端に過ぎない。 ▼魔力放出(炎) A 武器または自身の肉体に魔力を帯びさせ、放出することによってその能力を向上させる。 アーチャーの場合、火炎放射による攻撃や、ジェット噴射の容量での回転飛行を可能とする。 また、閃光による視覚妨害も可能とし、成功3/失敗3のダイスを振り成功することで、周囲の対象に対し1ロルの行動阻害を行うことを可能とする。 飛行する速度は音速を裕に凌駕するが、何故かどこからどう見ても必ず視線が合うらしい。 ▼神性 E- 神霊適性を持つかどうか。 死者の書においてのみ記される秘神。 迷える亡者を害する悪霊と共に同列に語られる亜神的な存在であるためか、純正の神霊に比べるとその霊格は数段劣る。 しかし、エリザベスを依代として召還された為、現在このスキルのランクは大きく低下している。 ▼多芸多才 B その上からすっぽりと被った謎の袋(?)の下には、武具やアイテム、果てはこんなもの必要なのだろうかというネタアイテムが大量に仕込まれており、それらを多様に使いこなす。 口から出したドリルで地中を掘り進んだり、器用に刀を研いで見せたりetc…… また、特に「剣術」に優れており、このスキルを用いて攻撃した場合、「剣術」系のスキルを持たぬ相手に対して、回避目を一つ重症に変動させる事が可能。 会話に使う看板のストックもここから取り出している。 四次元ポケット?それ以上はいけない。 【宝具】 ▼邪を打ち倒せし神の眼光(アイ・オブ・ホルドゥアト) ランク:A 種別:対人宝具 最大捕捉:1人 赫奕の魔眼「ハルマキス」の最大行使。 冥府(ドゥアト)に射す太陽光線にして、死の理から外れたモノを捉える“聖なる視線”。悪を打ち倒す神の眼光である。 これによる攻撃は太陽神に由来する神性か加護以外の防御特性を全て無視して、対象の本体に直接ダメージを与えることを可能とする。故に、太陽神に由来する神性か加護以外の防御系スキル、宝具を対象が所有、行使したとしても常にこの宝具の特殊ダイスによる上書きが可能。 また、その本体を捉えるという意味で、仕切り直しなどのスキルもこの攻撃によるダメージの上では発動が不可能である。 B以上の神性で通常ダイス。 B以下の神性で回避1/重症4/クリティカル1 神性を持たぬ場合/重症5/クリティカル1 更に、悪・混沌属性の片方所有で重症1つがクリティカルに、 両方の所有で重症2つがクリティカルに変動する。 この宝具の使用後、半日間のインターバルを要する。 ▼何故かいつも隣にいるロン毛(ヅラ) ランク:D 種別:- 最大捕捉:- 何故か一緒に召還されたロン毛。ヅラではない桂だ。 一応宝具扱いらしい。 存在しているだけで魔力を消費する癖に役に立たない邪魔者。 宝具の癖に呪いに近い。 あとヅラじゃない桂だ。 【詳細】 「打ち倒す者(The Smiter)」を意味する名を持つ、死者の書でのみ記される謎多き神。 冥府の支配者オシリス神に仕える眷属神の一柱であり、死者を魔性の者から護り、審判の場へ導く役割を持つ。 死者の書では不可視でありながら眼光を放ち、火を吐きながら空を飛び回る恐ろしい存在とされているが、絵に示されたその姿は「目と足だけが伺える白い布を被ったナニカ」としか表現の出来ない奇妙なことこの上ないもの。 しかし、仮にも神であるアーチャーは聖杯では呼び出すことは不可能のはずであった。それを強引に押し通そうとした結果、よく似た謎の生物(エリザベス)と混在し、結果的にエリザベスを依り代にメジェドが召喚されてしまったのだった。 その時聖杯の座が歪んだ影響で、依り代となったエリザベスと深い繋がりを持つ桂小太郎までも一緒に呼び出されてしまう始末である。もはやネタだ。どうしようもない。助けてくれ アーチャー(亜種5th) 裏設定
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弓の扱いを得意とする職業として知られているが、監獄城では敵に近付くのを恐れた卑怯で臆病な者の職業として定着している。 もちろん全てのアーチャが臆病なのではなく、遠く離れたターゲットを一発で射抜く本物の技術を持つ者もいる。 職解説 スキルツリー 必要累計SBP 3265 名称 種別 消費SP 対象 必要SBP 効果 備考 ■風読み┃ アクティブ 8 使用者 50 一定時間、打攻&射攻アップ(中) ┗スタン ┃ アクティブ 15 敵単体 50 対象をスタン状態にすることがある ┗イーグルアイ ┃ アクティブ 25 敵単体 250 大ダメージ&吹き飛ばし 【必須:弓】 ┗レイングリーフ ┃ アクティブ 55 敵全体 465 敵全体に小ダメージ&毒の効果 【必須:弓】 ┗アサルトキラー パッシブ - 使用者 1700 HP+300、打攻+40+、射攻+40、物防+30 ■応急手当┃ アクティブ 8 使用者 65 HPを少し回復&解毒 ┗エスケイプ ┃ アクティブ 5 味方全体 200 ガンドゥーム監獄前へ帰還 【キャンプメニュー専用】 ┗最大SP+200 パッシブ - 使用者 400 SP+200 ■マーキング┃ アクティブ 8 味方単体 35 敵から狙われやすくなる ┗スーパーステルス パッシブ - 使用者 50 敵から狙われにくくなる ■狙撃王の証 パッシブ - 使用者 - HP+500、射攻+100 【スキルマスター】
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図鑑No 0001~|0051~|0101~|0151~|0201~|0251~|0301~|0351~ ※エネミーのマジックスキルは個人的な印象です。 キューピーラビットアーチャー 図鑑No 名前 属性 タイプ 移動 0250 キューピーラビットアーチャー 光 弓 地上 説明 月からやってきたキューピーラビット族の一体。 田んぼを荒らす鳥や動物たちを仕留めあげ、神聖なるおもちを作るため大事に稲を月に持って帰る。 備考
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ティアナとスバルがジルグに朝の自主錬への参加を求めてから3日が経った。 今のところジルグは朝錬に来る様子はない。 昨日などは朝食時にスバルの冗談交じりの「何で来てくれないんですかー?」 という言葉に「寝坊した」と冗談とも本気ともつかない顔でジルグは答えていた。 そして早朝の訓練場、今日もティアナとスバルの朝錬が開始されようとしていた。 「さて、そろそろ始めようか」 「そうだね」 「でもその前、にっ!!」 「うわっ!!」 と突然ティアナがスバルを引っ張り横に跳んだ。 直後にその場所を通り過ぎる魔力弾。 「よく避けたな」 物陰からジルグが姿を現す。 「あ、危ないじゃないですかー!!」 とスバルが抗議の声を上げるが無視するジルグ。 「訓練の手伝いを頼んだ時点でこういうケースも予想してましたから」 「なるほど、良い判断だ」 スバルとは対照的に涼しい顔をして答えるティアナ。 「で、俺は具体的に何をすれば良い?」 ジルグの疑問にティアナが答える。 「私とスバルでジルグさんとの模擬戦です。 実力が違いすぎるのでジルグさんからすれば物足りないかもしれませんが 模擬戦を一戦こなすごとにミーティングをして 修正する点やジルグさんが気づいた私達の欠点などを指摘してもらえないでしょうか?」 ティアナの言葉に頷くジルグ。 「手加減は有りでも無しでも構いませんし、それはジルグさんにお任せします。 ……ただ、ミーティングができなくなると困るので二人同時に昏倒させるのは すみませんけど遠慮していただけないでしょうか?」 「わかった、だがこれはどちらかというとなのは教官殿の仕事じゃないのか?」 ジルグの言葉にティアナは少し口ごもる。 「なのはさんは……ある意味優しい所があって あからさまに欠点を指摘してくれるタイプではないですから…… そういえば『高町教官』じゃなくなったんですね」 「この間捕まったときに命令されてしまったからな、今後その呼び方をしたら減給だと」 可笑しそうに笑うジルグを見て、思わずその場面を思い浮かべて噴出しそうになる二人。 「ではお願いします!」 「行きますよジルグさん!!」 「了解だ」 ……一分後、早くも地べたに転がる二人の少女の姿があった。 「…は…はや……」 「……もうちょっと粘れるかと思ったのに……」 「さて、ミーティングを始めるか?」 「は…はい……」 二人は痛む体を無理やり動かしてジルグを加えて三角形になって地面に座り ミーティングを開始した。 ちなみに先ほどの戦闘の経過はこうである。 スバルがプロテクションを発動させながらジルグに突っ込み ティアナはクロスファイアシュートで左右からジルグを攻撃したのだが 後退して射撃するかと思いきや、ジルグはギリギリまでスバルが接近するのを待ち 突如跳躍補正デバイスを吹かして間合いを詰めた。 突然接近してきたジルグに完全に攻撃のタイミングをずらされたスバルは慌てて拳を構えるが ジルグは左手をスバルの肩に当ててフワりと跳躍、スバルの拳は空を切った。 そのまま空中で姿勢を回転させ、ジルグはダガーをスバルの背中に叩き込む。 ジルグが瞬間的に間合いを詰めたことで誘導弾は外れる。 ティアナは次の魔力弾を放とうとクロスミラージュを構えるが ジルグは着地と同時にティアナに向かって射撃 これを回避しながらティアナはシュートバレットを放つが、 かわしたはずの魔力弾が後ろからティアナを直撃。 こうしてあっという間に戦闘は終了したのであった。 「まず敗因は何だ?」 「あたしの場合は……ジルグさんはまず距離をとって射撃戦をしてくると思い込んでたから……かな?」 「あたしはジルグさんの射撃を誘導弾ではなくただのシュートバレットだと思い込んでた……からですね」 二人の言葉に頷くジルグ。 「相手の装備や戦闘スタイル、見た目や思い込みだけで対処を考えるな。 俺の装備は近接戦闘にも対応できるようになっているし 手持ちでなくとも近接戦闘や射撃の手段を相手が持っている可能性は常に頭に入れておくことだ」 真剣な表情でジルグの話を聞くティアナとスバル。 「わたし達の攻撃にも問題があったのでしょうか?」 「様子見の攻撃としては悪くない。 だが、相手もそれに合わせて様子見で済ませてくるとは考えないことだな。 スバルが突然の間合いの変化に対応できなかったのは修正すべき点だろう」 ティアナの問いにジルグが答える。 「漫画やアニメだと最初はお互い様子を見終わって A「これが私の本気です」 B「私はその倍強いです」 A「実は実力を隠してました」 B「奇遇ですね。私もまだ本気ではありません」 A「体に反動が来ますが 飛躍的にパワーアップする術を使わせていただきます」 B「ならば私も拘束具を外します」 A「秘められた力が覚醒しました」 B「私は特殊な種族の血を引いており、 ピンチになるとその血が力をもたらします」 A「覚悟によって過去を断ち切ることで 無意識に押さえ込んでいた力が解放されます」 B「愛する人の想いが私を立ち上がらせます」 ってなるんだけどなー」 スバルの例え話に苦笑するジルグ。 「そんな相手なら実戦では本気を出す前にやられて終わるだろうな」 「ですよねー」 事実あっさりとやられてしまったのでスバルもそれは認めざるを得ない。 「理想を言えば相手に力を出させずに勝つことだ。 力が劣る相手に真っ向からぶつかっても勝てるはずがない。 多対一なら数の優位性を生かして一対一の状況を減らすことで相手の手を詰まらせろ。 逆の状況であれば瞬間的でも構わない、一対一の状況を作り上げろ」 「何とかして不意を突いたり一斉に一人にかかれって事ですか?」 スバルが尋ねる。 彼女の性格上、余りそういうのは得意ではないし、好きでもない。 「正面から戦って勝てるならそれでいい。 だが、それが出来ない場合を考えてこの訓練をしているんじゃないのか?」 「う……」 元はティアナが言い出したこととはいえ、確かにジルグの言うとおりである。 「まぁ地力を付けるのが一番だというのは否定しない。 その為に訓練をしているんだろうしな」 ジルグの癖に至極まともかつ建設的な台詞である。 「そうですね、それはそう思います」 ティアナも頷く。 なのはの訓練に不満があるわけではない。 事実、彼女の訓練プログラムのおかげで自分達の実力は短期間で飛躍的に向上しているのだ。 だがそれだけでは足りない、 どんな相手であろうと多彩かつ意表をつく手で 魔力に勝る相手すら翻弄するジルグの技量を取り入れることは 実力では隊長陣に比べて数段劣る自分達にとって強力な武器となるはずである。 だがジルグの言うとおり、地力を付けるのも大切なことだ。 元々の実力があってこそ搦め手が生きるのである。 その点についてはティアナもちゃんとわかっていた。 だからこそ普段の訓練でなく、自主錬に付き合ってもらっているのだ。 「この調子だと、今日は後一戦か。どうする?」 「「お願いします!!」」 「わかった」 ミーティングは思った以上に長引き、朝食の時間まであと僅かであった。 ……そして予想通り、朝食の時間前にきっちりと二人を叩きのめしたジルグは 「じゃあ先に行く」 と二人に声をかけ、朝食をとりに食堂へ向かうのだった。 「ねぇティア……」 「なに……」 「手加減……してくれてるのかな……?」 「たぶん……ね…」 「朝ごはん……どうする?」 「……あと五分休んだらいきましょ」 「……うん」 そして数日後、今日もフォワード陣は隊長陣を相手に個別訓練を受けていた。 「グッ!!」 「もっと魔力を一点に集中させろ! そんなんじゃ防御の意味がねーぞ!!」 「ハ、ハイッ!!」 グラーフアイゼンの一撃を拳に集中させた魔力で受け止めるスバル。 あらかじめ来ることはわかっていてもその威力はやはり凄まじい。 上からの一撃で足が地面にめり込み、前からの一撃に危うく吹っ飛ばされそうになる。 「どうした! もう終わりか!?」 「ま、まだまだぁ!!」 「よし! もういっちょ行くぞ!!」 「ハイ!!」 別の場所ではなのはの放つアクセルシューターをティアナが必死に迎撃していた。 (数が多すぎる……撃ち落しきれない!!) 至近に迫ったアクセルシューターを回避しつつ何発か撃ち落し、とっさにしゃがみこむ。 「!!」 直前までティアナのいた場所を回りこんでいた魔力弾が通り過ぎる。 「うん、いい判断だよティアナ。 センターフォワードの役割は足を止めて視野を広く持ってみんなを助けること。 目の前の事だけに集中するんじゃなくて常に全体を見る癖を付けて」 ティアナの息が荒い、流石にここ連日のオーバーワークが体に影響を及ぼしているのだろうか。 それに気づいたなのはが気遣わしげに声をかける。 「ティアナ、大丈夫? ちょっと、疲れてるみたいだし少し休憩しようか?」 「いえ、大丈夫です。それに実戦では疲れてるからといって敵が手を止めてくれるわけじゃありません」 「それはそうだけど……」 なのははホテルアグスタの事件以降、ティアナの訓練に対する気の入りように少し危惧を抱いていた。 確かに訓練熱心なのは悪いことではない。 だが、それで体を壊してしまっては本末転倒である。 「一旦一息入れるよ、私も少し疲れちゃった」 にゃはは~と笑いながらアクセルシューターを打つ手を止める。 「……わかりました」 上司にこういわれては流石にこれ以上強情を張るわけには行かない。 ティアナは渋々頷くのだった。 一方、シグナムはその様子を眺めていた。 ティアナ、スバルとは別の場所でエリオとキャロがフェイトから個人スキルの訓練を受けているのが見える。 「シグナム姉さんは参加しないんで?」 ヘリの整備を終えて手持ち無沙汰になったのか、 同じく訓練の見物に来たらしいヴァイスがシグナムに声をかける。 「私の戦い方は古いからな、人に教えるには向かん。 戦法など”届く距離に近づいて斬れ”ぐらいしか言えん」 「ヘヘ、それも凄い奥義だと思いますけどね」 いかにもシグナムらしい答えにヴァイスは笑う。 「そういえば……」 「なんです?」 「お前は最近ジルグとよく話しているようだが、どんな様子だ?」 シグナムの唐突な話題振りに一瞬考え込むヴァイス。 「いや、どうって言われても……別に普通ですよ? 起きる時間が同じくらいみたいなんで洗面所でよく会いますね。 たまにエリオがいる時もありますけど、普通に挨拶してって感じです」 「そうか……」 「? 前から思ってたんですけど、なんか隊長の皆さんジルグに対して神経過敏すぎじゃないですか? 確かに山岳列車の時やヴィータ副隊長に勝っちまったって聞いたときは 俺もびっくりしましたけど」 「そう……そうだな。すまん、さっきの話はしなかったことにしてくれ」 シグナムの言葉に不思議そうな顔をしながらヴァイスは「わかりました」と返すのだった。 「模擬戦?」 「はい、明日スバルと一緒になのはさんと模擬戦を行いたいんです」 「それは……構わないけど」 なのはが口を濁す。 最近のスバルとティアナは明らかにオーバーワーク気味だ。 体調が万全でない状態で模擬戦を行っても100%の力を発揮できるかどうか…… 「では失礼します」 なのはの言葉を肯定ととったのか、ティアナはスバルと訓練所を出て行った。 その夜、ティアナとスバルはジルグの部屋を訪れていた。 「なるほど、しかし勝てるとは思えないが?」 「はい、良くて勝率は5,6割だと思います」 「ティア……」 ならどうして?という言葉をスバルは飲み込む。 なぜティアナが無茶といえるほどの努力を続けてまで強くなろうとしているのか 彼女は知っているからだ。 「で、今話したのが対教官殿の作戦か」 「はい」 「足りないな」 「え?」 ジルグの言葉にティアナは戸惑った声を上げる。 現状ではこれが自分達にできる最善の作戦であると思っているのだ。 「万に一つ成功すれば”勝つ”事はできるかもしれない。 が、おそらくは読まれて終わるだろうな」 「そんな……じゃあ、どうすれば……」 すでに申し込みはしてしまったのだ。 「”勝つ”のではなく”一矢報いる”ならもう一手打てるだろう?」 ジルグの言葉にティアナは考え込む。 自分の魔力… 自分達の作戦… なのはの実力… もし作戦が読みきられたら?… その後自分達はどうなる?… ”勝つ”のではなく”一矢報いる”… 視野を大きく… さまざまなワードがティアナの頭を駆け巡る。 そして…… 「あ……」 何かに気づいたようにティアナの口から呟きが漏れる。 「明日の模擬戦、面白そうだから俺も見物させてもらうとしよう」 他人事のように言うジルグにティアナは敬礼する。 「ありがとうございます! 大変参考になりました!」 そしてスバルの存在すら忘れたように部屋を飛び出してゆく。 取り残されるスバル。 「何があいつをああも突き動かす?」 一人残ったスバルに問うジルグ。 彼が他人の事を聞くというのは極めて珍しい。 「ティアには……死んだお兄さんがいるんです」 ジルグのほうを向くでもなく、淡々と語り始めるスバル。 ティアナにはかつて管理局の一等空尉だった兄がいたこと。 その兄が逃走した違法魔術師の追跡任務中に殉職したこと。 殉職した兄が「能無し」扱いされたことを見返すため、 兄から教わった精密射撃魔法を手に、その力を証明しようと努力し続けていること。 「……なるほど」 自分がその立場だったらどうだろう? 今の自分ならなんとも思わないだろう。 だが幼い頃に父親が死に、「無能将軍」などと呼ばれていたとしたらどう思っただろうか? やはりティアナのように努力を積み重ねて父親を超える将軍になろうとしていただろうか? (意味の無い仮定だな) とジルグは頭に浮かんだ考えを打ち消す。 そしてふと、あの能無しだったらどうだろうか、と考える。 あいつは自分が味方殺しの危険人物であるにもかかわらず そんなの関係ないとばかりに真っ向からぶつかって来るような奴だ。 結局交わした約束を守ることは出来なかったが 『ジルグの死』を奴はどう受け止めたのだろうか? あの大バカはきっとティアナのように馬鹿正直に他者の死を背負い込み、足掻き続けるのだろう。 「……バカな奴だ」 「え?」 「なんでもない。それよりそろそろ眠りたいんだがいつまでそこにいる? それとも一緒に寝るか?」 冗談で言った言葉にスバルは耳まで真っ赤にして飛び上がる。 「い、いえっ! おやすみなさーい!!」 慌ててジルグの部屋を飛び出してゆくスバル。 こういうところの反応は姉のギンガとよく似ている。 その様子を苦笑しつつ見送ると、ジルグはベッドに体を横たえた。 ジルグはティアナたちがなのはに勝てるとは思っていない。 だが、戦いようによっては…… 「確かに一矢を報いることは出来るかもしれないが、な……」 その後どうなるか、ジルグにはなんとなく予想がついていた。 だがそれは彼女達の問題であってジルグの問題ではない。 なるようにしかならないだろう。 こうして波乱を予感させる模擬戦前日の夜は静かに更けていった。 前へ 次へ
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アーチャー クラス:アーチャー 属性:中立・善 性別:男 身長:180cm 体重: 一人称:私 二人称:お前(名前は基本呼び捨て) イメージカラー:水色 ◆ 好きなもの:テレビゲーム、ゲームセンター、ビリヤード 嫌いなもの:女の嫉妬(嫌いというより怖い) イメージCV:鈴村健一 弓兵の英霊。霧宮しのぶのサーヴァント。 人物 現世ではゲーム全般にどっぷり。 暑がりで出かける以外はほぼ脱いでいる。 狙撃の腕前は確かで、狙撃できるものと判断できればそつなく使いこなす事ができる。 狙撃の他にも剣を扱う事が出来、その昔一騎打ちや龍退治の功績を上げた。 クラスの名の通り視力が良く、狩りが得意で罠を張るのが上手い。 龍退治で鎧が変色したため鎧を着用していない。 能力 ステータス 筋力:B/耐久:C/敏捷:C/魔力:B/幸運:E/宝具:A スキル 固有:対魔力C/単独行動A 保有:千里眼A/心眼(真)B/破壊工作C/興味津々A/暑がりB ◎対魔力[C] 魔術に対する抵抗力。クラス特性として与えられるスキル。 一定ランクまでの魔術は無効化し、それ以上のランクのものは効果を削減する。サーヴァント自身の意思で弱め、有益な魔術を受けることも可能。なお、魔力によって強化された武器や、魔術によって作られた武器による物理的な攻撃は効果の対象外。 英霊自身の能力や逸話によってもランクは増減するため、必ずしも同クラスが同ランクになるわけではない。 アーチャーの対魔力はCランクなので、魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。 ◎単独行動[A] マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。マスターがサーヴァントへの魔力供給を気にすることなく自身の戦闘で最大限の魔術行使をする、あるいはマスターが深刻なダメージを被りサーヴァントに満足な魔力供給が行えなくなった場合などに重宝するスキル。反面、サーヴァントがマスターの制御を離れ、独自の行動を取る危険性も孕む。 通常であれば、Cランクならば1日、Bランクならば2日、Aランクならば1週間の現界が可能。 ◎千里眼[A] 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。 ランクが高くなると、透視、未来視さえ可能になる。 ◎心眼(真)[B] 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。 ◎破壊工作[C] 戦闘の準備段階で相手の戦力を削ぎ落とす才能。 ランクAの場合、進軍前の敵軍に六割近い損害を与えることが可能。ただし、このスキルが高ければ高いほど、英雄としての霊格が低下する。 ◎興味津々[A] ◎暑がり[B] 宝具 ???() ランク:/種別:/レンジ:/最大補足数: 宝具の真名を解放して使用する場合は発動条件を揃えなければいけない。 条件は以下の通りである。 ①破壊工作中に前もって射程区域を作る(最大2つ) ②標的が射程区域に入る ③ゴーグルをかける 条件を無視して使用することも出来るが、その分まりょくを大量に消費するうえに、心身的にも負担がかかるので諸刃の剣でもある。 普通にただの弓として使うだけなら上記の条件を満たす必要はない。 真名 真名: 出典: 解説
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『氷帝!』『氷帝!』『氷帝!』『氷帝!』『氷帝!』 『勝つのは氷帝!』『勝つのは跡部!』 『氷帝!』『氷帝!』『氷帝!』『氷帝!』『氷帝!』 『勝つのは氷帝!』『勝つのは跡部!』 『氷帝!』『氷帝!』『氷帝!』『氷帝!』『氷帝!』 『勝つのは氷帝!』『勝つのは跡部!』 『氷帝!』『氷帝!』『氷帝!』『氷帝!』『氷帝!』 『勝つのは氷帝!』『勝つのは跡部!』 『氷帝!』『氷帝!』『氷帝!』『氷帝!』『氷帝!』 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 圧巻の氷帝コールが、広いテニスコートを包み込むように鳴り響いていた。 アーチャー――跡部景吾が背負う、氷帝学園という世界を激励する、最も簡単な魔術の詠唱。 敵を応援する声は、最早、この結界の何処にも存在しなかった。 何故なら、この世界はアーチャーの為に作られた、『跡部王国(キングダム)』の庭なのだから――。 ――――ドッ!! 今、その大音声の中でも一際心地よく響いたのは――、硬式ボールとラケットとの打撃音。 そして。 「はぁ……はぁ……はっ――!」 ――――トシュ。 まるで敵の心臓に突き刺さるかのように、死角に落ちていく、テニスボール。 相手のサーヴァントがそれに気づいた時には、既に遅かった。 テニスボールがコートの外へと飛び出していき、もう一度地面に落ちていく。 「ぐっ……」 彼がいかに槍の名手であろうとも、そのボールを手持ちの槍(ラケット)で敵に返さなかった時点で、ポイントは確定する。 この結界内では、ポイントを取られた瞬間、如何なるマスターやサーヴァントであっても、否応なしに魔力を奪われるのである。 それがこの結界内で、サーヴァントとして挑む者の当然のルールだった。 そんな、この上なく真剣に取り組まねばならない死のテニスゲームの渦中に、彼らはいるのだ――。 それ故、『ランサー』も、いくらこれがテニスだからといって、只の遊戯と一笑する事が出来ない状況にある。 事実上、この空間でテニスをするサーヴァントにとって、それは殺し合いをしているのと変わらない。 しかも、限りなく劣勢だ。 『40-0(フォーティ・ラブ)!』 テニスの実力が全てを決める――それが、生前のアーチャーの戦い抜いてきた「全国」という世界だった。 その世界に引き入れられたのだから、その世界のルールに従わねばならないのは当然の事なのである。 そもそも、ここがテニスコートである以上、そこに立ったプレイヤーたちがその一球に死力を尽くすのは、スポーツマンの義務であろう。 命を賭ける覚悟を伴って挑むのが、――「試合」という物だ。 つまり――この王国でテニスの弱い者は、たとえどれ程、サーヴァントとしてのパラメーターが高くとも、意味がない。 重要なのは、テニスの技量。――それが全てを左右する。 そして、そこで王様(キング)として君臨したアーチャーに、何処かの世界で英霊となった男が全力を以て敵わないのも無理はなかった。 「はぁ……はぁ……」 ランサーは息を切らしながら、唖然としていた。 先ほどの一球は、半端な英霊の目には、視えない球であった――。 とうに人の姿を捨て、人を辞めている筈のランサーでさえも、その球速に追いつく事の出来ない。 アイボリーのアーマーを纏った2m以上の体躯の怪物が、呆然としたまま一球を見送ってしまったのである。 かつては人間たちを「蟻」と呼んで蹂躙しようとしてきたランサーも、たった一人のテニスプレイヤーに良いようにやられている。 「――ガハァっ!!」 ランサーは、ダメージを受け、血反吐をコートに吐き捨てた。 直接、肉体にボールが当たっていないといえど、ポイントを奪われた事実が彼の精神と肉体に与える影響は多大に違いなかった。 この場でテニスプレイヤーとして戦わねばならない彼らに、このくらいの拒絶反応が起きるのは無理もない話である。 「……あーん? もう終わりか? 槍使い(ランサー)」 そして、そんなランサーの向かいのハーフコートで、アーチャーは今――息一つ切らさずに君臨していた。 その外見は中学生程度であるというのに、大人さえも肝を冷やす試合(プレイ)を見せる男は、今、地上に降りていく。 彼の先ほどの一撃は、何メートルという高さから放たれた物だったのである。 地上に戻って来るのが今、ようやくであった程に――。 しかし、同じ地上で戦っているというのに…… アーチャーはまるで…… ――まだランサーを見下ろしているかのようだった!! 「次のポイントで、俺様の勝ちが決まり、……お前は全ての魔力を失い消滅する。 ――――降参するなら今の内だぜ?」 「ま……まだだ、私は負けていない……! 完全な英霊(サーヴァント)であるこの私が……中学生代表(テニスプレイヤー)ごときに降参などするものか……!」 「あーん……。中学生だの高校生だのにこだわってる時点で成長辞めてるようなもんだが……――。 流石は、英霊(サーヴァント)だ。精神力(メンタル)は、なかなかのもんじゃねーの」 流石のアーチャーも、この敵の精神力を認めざるを得ないようだ。 しかし、その誉れだけが唯一、この試合でランサーが得た勲章となる事だろう。 実際、ここまで2ゲーム先取されているが、ランサーは全く、テニスという競技においては手も足も出ない状態になっている。 つまり、1ポイントも取っていないのである。 このまま全敗すれば、ランサーは消え、再び英霊の座に還る事になってしまう。 しかし、それでもアーチャーは、ランサーが試合に臨むのなら……容赦なく、責める。 「……次の一撃で楽にしてやる!」 ――アーチャーのサーブ権だった。 アーチャーは自コートの外で、ボールを天高く上げる。 太陽がアーチャーの放ったボールを照らした。 そして、天高く飛び上がったボールが、アーチャーのラケットに激突する――!! 「――俺様の美技に酔いな!」 と、彼が言う。 テニスボールは、恐ろしいほど的確な打点で、蕩けそうな程心地良い音を鳴らし、ランサーのコートへと向かっていった。 その時――。 「――……フン! かかったな、弓兵(アーチャー)……!!」 迫りくるテニスボールを見ながら、ランサーが、ニヤリと口元を歪ませた。 往生際の悪いのが、このランサーの性格だ。 魔力が残っている内は、どこまでも往生際が悪く、たとえどんな卑怯な手を使っても勝利を狙うだろう。 「ハッ!」 ランサーの怪物じみた下顎が小さく開いた――。 そして、そこから、響き渡るのは、轟音と、彼の声。 「これが、私の……最後の……奥の手だァァァァァ――――!!!!!」 砲撃である――!! 生体改造されているランサーは、喉のあたりから光のビームを放ったのだ。 しかし、これがルール違反ではない。 この固有結界ではルール違反は厳罰を受ける事になる為、テニスのルールで真面目に戦わなければならないのだが、現在、テニスのルールで、選手によるビーム砲は禁止されていない。 もし、敵のコートに侵入して槍で敵を突き刺せば反則になるかもしれないが、これは自コートからの正当な一撃である筈だ。 いわば、強力な逆風が突然に発生したのと、何も変わらないのだから――。 (※ただ、もし、ルール違反だった場合、逆に大きなペナルティになる為、ランサーも最後の最後という段階まで使いづらかったのである) 要は、テニスというのは、ボールを跳ね返せばいいだけの事。 こうしてビーム砲で跳ね返してしまえば、ラケットに触れずとも、勝手にフォルトになるのだ。 ルールに抵触しなければ、相手のペナルティ。 ついでに選手まで死んでしまえば、無条件でこちらの勝利にもなりうる。 そして、彼の宝具は――敵のコートが殆ど焦土と化す程のエネルギーであった。 たかだか数メートルの至近距離でこの一撃を受ければ、アーチャーもどうなるかわからない。 「……フッ、いくら優秀なテニスプレイヤーと言えど、この至近距離から私の宝具を受ければひとたまりも――…………」 しかし――。 「――――何ぃっ! まさかっ!」 ――その瞬間、ランサーの手にあったはずのラケットが飛んだ。 ボールが弾丸の如きスピードでラケットへと叩きつけられたのである。 ランサーがそれに気づいたのは、既にボールが相手のコートに跳ね返ってからだった。 「なっ……」 この王国に君臨する者が、この程度の姑息な時間稼ぎに屈する筈がなかった。 爆煙の中から聞こえるのは、氷のように冷え切ったアーチャーの声――。 「――――破滅への輪舞曲(ロンド)」 愕然として叫ぶランサーのコートに、ボールが叩きつけられる。 ラケットが吹き飛んだ以上、それを跳ね返す術はない。 ――いや、宝具を使えば別だが、今や、その宝具を発動する時間はなかった。 「あっ……あがっ……バカな……この私が……」 そして、この瞬間――3ゲームで4ポイントを先取された事になる。 全く、恐ろしいほどのゴールデンマッチ。 アーチャーの『跡部王国(キングダム)』の前では、半端なサーヴァントは屈するしかない。 「試合終了(ゲームセット)だ!!」 ――――こうして、ランサーはその全魔力を喪失し、脱落した。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 街灯にも照らされない、夜の路地裏――。 アーチャーは、固有結界を解除し、負傷して倒れ込んでいるマスターに手を差し伸べた。 固有結界の中でも実は座って試合を見てもらっていたのだが、試合が終わった以上、固有結界を持続するのは負担でしかない。 こうして、元の東京の街で、二人は隠れるように戦いの疲れを癒す。 「……どうだ、マスター――、具合は? あーん?」 アーチャーは、自身のマスターたる幼い少女に訊いた。 マスターの少女は、既にかなり傷だらけである。 ――試合の前に、あのランサーに随分としてやられたのが原因だ。 「……」 別に、アーチャーも彼女の仇を取った……というわけではなかった。 マスターを失い敗北するというのは、当のアーチャーとしても気に入らない。 何より、マスターをサポートするのがサーヴァントの役割だ。 本来的には、こうしてアーチャーの方が闘うのが正解である。 そうした事情もあって、アーチャーがランサーを殲滅した、という次第だった。 「――……ご心配なく」 マスターが答えた。 緑の髪の、小学生か中学生程度の、外国人の少女。紫と蒼のオッドアイ。 彼女こそが、アーチャーのマスター――アインハルト・ストラトスである。 そして、彼女は、単純な戦闘力や魔力でいえば、アーチャーさえも凌駕する実力を持つ魔術師だった。 アーチャーを凌駕するアインハルトがランサーに負け、そのランサーにアーチャーが勝ってしまうというのは聊か奇妙な事だったが、こうした相性があるのも聖杯戦争の常だ。 必ずしも、パラメーターや魔力の強い者が勝つとは限らない。 アーチャーの試合は、まさしくその証明であったと言えよう。 「無理すんじゃねえ」 「……」 「そして、二度と『無茶』もするな」 「…………はい」 アインハルトとランサーの間の実力差は、はっきり言って、戦う前から歴然だった。 しかし、それでもアインハルトがランサーに挑んでしまったのには理由がある。 たとえ、無茶であれ、他のサーヴァントを発見した以上、挑まずにはいられなかった……。 「――」 そもそも、アインハルトの目的は「覇王流の強さの証明」にこそある。 古代のベルカ――それは、地球の外にある異世界である――の戦乱期に、覇王「クラウス・G・S・イングヴァルト」が果たせなかった悲願を、自らが果たす事が、この聖杯戦争での彼女の目的なのだ。 彼の始めた覇王流(カイザーアーツ)でサーヴァントを打ち倒していく。 そして、その強さを証明したい。 彼が極めたかった力が――大切な人を守ろうとした力が、決して弱くなどなかったという事を、白日の下に晒さなければならない。 自らのサーヴァントであるアーチャーは、「テニス」に特化しているが故に、彼と拳を交える事はなく、共に戦う形になっているが、アインハルトは、自らの拳で歴戦の英霊を倒したいとさえ思っていた。 そして、最初に見つめたのが、あのランサーだったのだ。 つまるところ、彼女の目的は、「聖杯」ではなく、「戦争」の方でこそ叶えられるという訳だ。 しかし――結局は、この結果である。 今回のように、ランサーを前に負けて――弱さを証明する事は、二度とあってはならないのだ。 「……アーチャー」 「あーん?」 「――素晴らしい、試合でした。 とても……スポーツの範囲とは、思えないほどに……」 アインハルトもまた、クラウスの記憶を引き継いでいる子孫であり――自身が王たる自覚が、薄々ながらある。 圧倒的な強さと、「王」としての格を見せつけたアーチャーには、労いの言葉をかけずにはいられない。 ……自分が倒せなかった相手を、テニスで倒してしまった者がいるなんて、認めたくはないが。 「当たり前じゃねーの」 「でも……あのランサーを、テニスで倒してしまうなんて――。 ……私には、信じられませんでした……。 この拳以外に、誰かを守る力があるなんて……――」 あの神業じみたテニスは、他者を守護する力という域に達している。 実際、アインハルトはアーチャーのテニスプレイヤーとしての実力によって命を繋ぎ、ランサーはテニスによって英霊の座に還ったという現実が目の前で繰り広げられている。 時に、テニスという競技は、拳さえも超えるというわけだ。 しかし、そんなアインハルトに向けて、どこか呆れ半分に言った。 「……マスター。誤解があるぜ。 俺がテニスをするのは、誰かを守る為なんかじゃねえ――この俺の為だ」 「……」 「そこを履き違えるな。 ……だがな、何の為に戦うのかが見えているのなら、お前はもっと進化できる」 アインハルトがどの程度、それをちゃんと聞いてくれているのかはわからない。 王は常に、誰よりも早く、『進化』を『加速』させていく。 アインハルトもその例外にはならない筈なのだ。 ――それさえ理解すれば、アインハルトは、今よりも強くなれるだろう。 かつて、アーチャーが幼い頃、英国の強いテニスプレイヤーたちとの差に打ちひしがれていた自分――それを、思い出す。 強さを証明したい、という想いは、時に焦燥感さえ募らせる。 問題は、目に見えた差をどのようにして縮めるかという事――その方法が視えた時、『進化』は『加速』するのである。 「――――だから、これだけは、決して忘れるな、マスター」 「勝つのは――――アーチャー陣営(俺たち)だ」 【CLASS】 アーチャー 【真名】 跡部景吾@新テニスの王子様 【ステータス】 筋力D 耐久D 敏捷D 魔力D 幸運A 宝具A 【属性】 秩序・中庸 【クラススキル】 対魔力:D 魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。 単独行動:C マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。 【保有スキル】 カリスマ:A+ 軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。 団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。 A+は既に魔力・呪いの類であり、跡部は新しい国を生み出す事が出来る。 心眼(真):A 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。 跡部の場合、対戦相手の弱点を見抜く魔術のような「眼力(インサイト)」を持ち、それがこのランクをAランクまで引き上げている。 黄金律:A 人生においてどれほどお金が付いて回るかという宿命を指す。 Aランクの場合、「一生金に困ることはなく、大富豪でも十分やっていける」。 愛の黒子:B 魔力を帯びた黒子による異性への誘惑。跡部と対峙した女性は彼に対する強烈な恋愛感情を懐いてしまう。 対魔力スキルで回避可能。対魔力を持っていなくても抵抗する意思を持っていれば、ある程度軽減することが出来る。 王様(キング)特権:A 皇帝特権のスキルの変名。 本来持ち得ないスキルを、本人が主張することで短期間だけ獲得できるというもの。 該当するのは騎乗、剣術、芸術、カリスマ、軍略、と多岐に渡る(ただしカリスマは高ランクで取得済)。 Aランク以上の皇帝特権は、肉体面での負荷(神性など)すら獲得が可能。 庭球の王道:A テニスを極めた者に付与されるスキル。 Aランクの場合、魔力の域に達した技と試合を魅せる事が出来る。 【宝具】 『跡部王国(キングダム)』 ランク:A 種別:大会宝具 レンジ:23.77~ 最大捕捉:1~62837人以上 アーチャーの固有結界。 テニスプレイヤーとしての彼の心象風景(自宅、学校、大会などのテニスコート)を再現する事で、結界内に引き込んだ相手とテニスの試合を行う。 この結界で試合を行うサーヴァントは、ポイントを取られるか、ルール違反を行ってしまうとペナルティとして魔力が削られていき、敗北と同時にサーヴァントは残存する全ての魔力を喪失して消滅するという死の制約がある(発動者であるアーチャーも例外ではなく、劣勢になってから結界を解除する事は不可能)。 また、この結界内では、相手がルールを解さない場合であっても、ルールが全て相手の脳内に刷り込まれる他、結界内にいるサーヴァントはパラメーター・宝具・スキル・Weponにも特に制限を受ける事はない。 その為、アーチャーは経験でこそ優位に立つものの、情報や能力で一方的に有利になる事はなく、テニスプレイヤーとしてはほとんどフェアな条件での試合が行われる事になる。 ルールは「シングルス」に限らず、他の人物を連れた「ダブルス」も可能で、それらの細かなルールはこの宝具の発動時に、発動者の任意で設定でき、観客席やベンチにも人間を呼べる。 この宝具の発動のキャンセルには、「Cランク以上の対魔力スキル」、結界の中断には「相手より1ゲーム以上優勢になっているプレイヤーの任意」が必要となり、その条件を満たさない場合は、最後まで否応なしにアーチャーとのテニスの試合を強制されてしまうという。 なお、本来、『跡部王国(キングダム)』の名は、敵の身体を透視して弱点を可視化する技に冠された物であるが、既にそれは新しい国の域に達しており、彼が作り出す世界の名として相応しいという判断で、宝具の名に採用された。 あと、読み方は「あとべキングダム」だが、「アトベキングダム」というのも「あとべキングダム」とするのも若干ダサい気がするので、「王国」の部分だけ「キングダム」とルビを振る形にしており、別に宝具の名前が「キングダム」という訳ではないのでそこのところはお間違えのないよう。 【weapon】 『ラケット』 『テニスボール』 【人物背景】 氷帝学園中等部3年A組1番。別名「王様(キング)」(本人命名)。 200人もの部員を抱えるテニス部の部長で、同学園の生徒会長でもある。 オールラウンダーであり、テニスにおいてはすべての技術においてトップクラスを誇るが、その中でも相手の弱点を見抜く眼力(インサイト)はズバ抜けている。 テニスが強いだけでなく、跡部財閥の御曹司でかなりのお金持ち。 俺様系の性格で敵をひれ伏させる美技を持つが、決して悪人というわけではなく、努力家で仲間やテニスにかける情熱も強い熱血漢でもある。 【サーヴァントとしての願い】 なし。 ただし、負ける気ゼロ。 マスターと一緒にやってやろうじゃねーの。 【基本戦術、方針、運用法】 パラメーターは低く見えるが、スキルの多さと固有結界が最強の武器。 スキルは、ただでさえ多彩な上に「王様(キング)特権」があるので、もうだいたい何でもできる。 これを駆使すれば、人間の中学生程度(?)な実力に見合わない大活躍も期待できる。 対魔力スキルが無いサーヴァントや弱いサーヴァントは固有結界に引き寄せてテニスで倒す事が出来るので、それが有効。 ただし、相手もあらゆる能力を駆使してテニスの試合をするので、必ずしもアーチャーが有利になるとは言えない。ちゃんと本気で試合した方が良い。 筋力・耐久・敏捷・魔力のランクは、今の所、マスターの方が少し強いので、固有結界に引き込めないCランク程度の相手ならばアーチャーが戦うよりもマスターが戦った方がずっとマシ。 【マスター】 アインハルト・ストラトス@魔法少女リリカルなのはVivid 【マスターとしての願い】 最強の王である事の証明。 聖杯を得る事は目的にないが、それでも多くのサーヴァントと拳を交えたい。 【weapon】 なし。 【能力・技能】 常に身体を鍛えている為、高い身体能力を持ち、覇王流(カイザーアーツ)を極めている。 頭もよく、学校の成績も高かった。 魔力の扱いに長け、「覇王形態」という16歳~19歳程度の大人の姿に変身して戦闘力を高める事も出来る。 ちなみに、時期的にはヴィヴィオたちとは出会っておらず、デバイスのアスティオンもいない。 その為、この時点での実力は低く、強力なサーヴァントとまともに正面から戦って勝つのは、不可能と言って良い。 ただ、平均値がCランク程度のサーヴァントが相手で5 5くらいの勝率に持ち込める程度。 【人物背景】 フルネームは 「ハイディ・アインハルト・ストラトス・イングヴァルト」 。 12歳。St.ヒルデ魔法学院中等科に所属する生徒。現在は東京都内の中学校の1年生(ただし地球なら本来なら小学6年生程度が正しいらしい)。 古代ベルカ時代にあったシュトゥラ王国の国王「覇王イングヴァルト」の末裔で、先祖の記憶と血統を強く引き継いでいる。 覇王流の強さを証明する為、変身魔法で大人の姿となって格闘技の実力者達に次々とストリートファイトを申し込んでは倒している通り魔のような行動をしている。 【方針】 サーヴァントたちと戦い、覇王流の強さを証明する。 候補作投下順 Back 遠坂凛&ネゴシエイター Next プロシュート&セイバー
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結果としてホテルアグスタにおいてレリックの有無は不明のまま終わった。 ただ、スカリエッティの関係者がオークション会場に運ばれる予定だった『何か』を強奪した という結果が残ったのみである。 それが果たしてレリックであったのか、 管理局側で直接目にした者がいない以上、真相は闇の中であった。 ただ機動六課内部における火種が増えた、という事は確実に言えるだろう。 一つは完全に敵に裏をかかれて目的物を奪取された事。 ただ、この件に関しては敵に召喚士がいるということが完全に想定外だった為 一概に不手際だと責めることは出来ないかもしれない。 だが、切り札的な存在であるなのは、フェイト両隊長の戦力を 全く使えずに終わってしまったことは 完全に配置ミスと取られてもしかたがないだろう。 「もしも」という仮定が許されるならば、 この両名が外に展開していれば余剰戦力をより迅速にフォワード陣に向けられたかもしれないし 地下への対応も出来ていたかもしれない。 二つはティアナの誤射未遂。 無茶とも言える魔力を使用し、その上で射線上にスバルがいるのにガジェットに攻撃を仕掛けた。 この件についてスバルとティアナは当初コンビネーションであったと主張していたが ジルグの起こした事件の影響もあり、隊長陣からは明らかに誤射であるとの見解がなされていた。 そしてティアナは作戦後、なのはに呼び出された。 「ティアナ。ちょっとあたしとお散歩しようか」 「はい……」 なのははティアナを連れ、森を歩いてゆく。 ホテルの方から聞こえてくる喧騒も聞こえなくなった場所までくると なのははティアナのほうに向き直り、口を開いた。 「失敗しちゃったみたいだね。」 「…………」 やはりなのはも誤射だと思っているのだろう。 確かにあの状況だけを見れば、 そしてそれを防いだヴィータからの報告があれば誰だってそう思うはずだ。 「わたしは現場にいなかったし、ヴィータ副隊長に叱られて、 もうちゃんと反省していると思うから、改めて叱ったりはしないけど……」 多分何を言っても無駄だろう、結果の出た後では何を言っても言い訳にしか聞こえない。 「……はい、すみません」 「ティアナは時々、少し一生懸命すぎるんだよね。 それでちょっとやんちゃしちゃうんだ。でもね……ティアナは1人で戦っているわけじゃないんだよ。 集団戦でのわたしやティアナのポジションは前後左右全部が味方なんだから。」 ティアナの肩に手を置きながらなのはが言う。 それはわかっている。 だが、状況が状況だったのだ。 予想よりも早かったが、ヴィータがあのタイミングで到着していたとしても 防御だけに徹していれば撃墜しきれなかったガジェットがホテルに侵入していただろう。 だが、それは結果論の前には無力でしかない。 「その意味と今回のミスの理由、ちゃんと考えて同じことを2度と繰り返さないって約束できる?」 「はい」 「なら、わたしからはそれだけ。約束したからね?」 「わかりました」 結局叱責の言葉は出なかった。 だが、ティアナとしては歯がゆさと悔しさが残ったままであった。 そして二人は現場の方に戻っていった。 「ティア!!」 「……ああ、スバル」 ティアナの姿を見つけたスバルが足早に駆け寄ってくる。 「ごめんね、スバルまで巻き込んじゃって」 スバルに謝罪するティアナ。 結果として自分の指示通りに動いたスバルもヴィータの逆鱗に触れることになったのだ。 それに彼女に危険な役割を任せてしまったことは確かだ。 「んー、大丈夫だよ。あたしは気にしてないから 後その……なのはさんに……怒られた?」 「少しね」 「そう……でもなんで言わなかったの? あれはあたしが避ける作戦だったって」 スバルの問いは当然かもしれない。 だが、答えは既に出てしまっているのだ。 「あたしがスバルのいる方向に向かって撃った。 それを見たヴィータ副隊長はそれを誤射と認識して落とした。 結果が全てよ、今更言っても仕方がないわ」 「そっか……」 スバルも責任を感じているのだろう。 だが、最終的に責任を負うのは指示を出した自分だ。 「ティア、向こうで一休みしてていいよ。検証の手伝いはあたしがやるから」 ああ、スバルはあたしを励まそうとしてくれているんだろうな。 素直にうれしいと思う、昔ならこんな風に思わなかっただろう。 「作戦でミスしておいてサボりまでしたくないわよ。いっしょにやろ?」 「うん!!」 スバルの元気な声は、まるで自分にも元気を与えてくれるようだ。 少し心が軽くなったことを感じながら、ティアナはスバルと現場の検証に向かうのだった。 結局この件に関してはティアナの方から何か抗弁があるわけでもなく 「あれは誤射でした、申し訳ありません」 という対応になのはの方からも形式的な注意をするに留まり決着した。 他の隊長陣もそれ以上はこの件について責めるような事はせず 「以後あまり無茶はしないように」という注意のみに留まった。 スバルはまだ納得の行かない様子であったが、 ティアナから説得を受け、より訓練を重ねて実力を上げて結果を出す事で 信頼を勝ち取るしかないという結論に至り、 二人はこれまで以上に他者から見ればオーバーワークともいえる訓練をこなしていた。 最大の問題であったジルグに関して今回は特筆すべき点がなかったというのが 隊長陣からすればある意味意外でもあり、そして安堵した点でもあった。 地上の戦闘を陽動と見切り、地下に向かった判断は正解であったし 強敵を相手に足止めをされていては、一人で荷物の奪取を防ぐことなど不可能である。 結果として荷物の奪取を阻止することには失敗したが、これはジルグの責任ではなく 地下への配備を軽視した作戦を立てたはやて達の責任だろう。 こうしてホテルアグスタでの任務は失敗に終わったが、表面上は六課に大きな変化はなかった。 だが、その裏では内部での亀裂がゆっくりと進行しようとしていたのだった。 「早朝訓練?」 夕食を食べ終わったジルグは後ろから追いかけてきたティアナとスバルに呼び止められた。 「はい、前にも話したと思いますけど。 わたし達は午前の訓練の前に早朝訓練を自主的に行っています」 「それにつきあえ、と?」 頷くティアナ。 スバルの方は実のところ、ただティアナについてきただけだったので この提案に驚いている。 「これはわたし達が自主的に行っているものなのでジルグさんの気が向いた時で結構です。 毎日なんていいません、数日に一回でも構いませんので手伝っていただけないでしょうか?」 ジルグはアゴに手を当て考えるそぶりを見せている。 「確か合同訓練の許可はまだ出ていないはずだが」 「はい、ですがそれは公式の訓練での話です。 自主錬にまで適用されるとは思いません」 「そうか? だが隊長達はいい顔をしないんじゃないのか?」 珍しく殊勝なセリフを言うジルグ、どちらかといえば面倒くさいから断りたいと思っているのだろう。 「わたし達に注意が来ればそれはその時に対応します」 それに、とティアナは続ける。 「ジルグさんが規律とかそういう事に気を使うなんて考えられません」 目を丸くするジルグ、スバルはあまりにあまりなティアナのストレートな言葉に固まっている。 「フ……」 ジルグが下を向き、息を吐く。 さすがに気に障ったのだろうか? と言った本人であるティアナが少し不安を覚えると…… 「ハハハハハハハハハ!」 ジルグは可笑しくてたまらないと言う様に笑い始めた。 スバルは状況の変化についていけずに相変わらず固まっている。 そしてティアナは賭けに勝ったことを知った。 笑いが収まらぬままティアナを見るジルグ。 「ハハハ……わかった、気が向いたら参加させてもらう」 「はい、ありがとうございます!行くわよスバル」 ティアナはジルグに敬礼するとスバルを伴って自分達の部屋へと向かっていった。 「ねぇティア。なんであんな事言ったの?」 それは早朝訓練の件だろうか? それとも無礼と取られかねない発言の件だろうか? 恐らくは両方だろう。 「ああいうタイプは逆に変な気遣いを考えないでストレートに言った方が良い時もあるのよ」 自分もそうであるとはさすがに言わない。 「それにスバルも見たでしょ? ジルグさんは確かにわたし達より魔力が高い。 でもあの人が強いのは魔力が高いからじゃないわ」 機動六課の戦力は異常だ。 SSランクの部隊長八神はやて、 エースオブエースの称号を持つ高町なのは それに匹敵する力を持つフェイト・T・ハラオウンが隊長を務め 分隊長を含めた主力であるヴォルケンリッター達。 普段はリミッターをかけられているとはいえ、下手をすれば管理局相手に戦争できるのではないかと思える面々である。 そんな中、新人であるティアナ達がフォワードとして配属されたわけだが、 その意図をティアナは掴めないでいた。 そして現在こそ自分と同ランクだが、高い潜在能力と努力を惜しまない真面目な性格で どんどんその才覚を伸ばしつつあるスバル。 あの年でBランク試験に合格し、フェイトの秘蔵っ子で特殊技能持ちのエリオとキャロ。 それに比べ、ティアナは今まで自分の才能や実力に今ひとつ自信を持てないでいた。 そんな中現れたジルグは、行動の問題児っぷりはともかくとして ティアナにとっては一筋の光明にも見える存在だった。 自分に与えられた魔力を完全にコントロールした上で 相手の行動を読みきり、自身のデバイスの性能を生かしきる事で格上の相手すら圧倒する。 確かにジルグの戦闘センスは異常である。 だがティアナの言ったとおり、それは特殊技能や他を圧倒する魔力、強力なデバイスの力によるものではない。 ジルグが使う魔法は基本的には一般的な射撃、斬撃、防御魔法であり 使用しているデバイス『エルテーミス』は用途こそ特殊だがあくまで単独の機能しか持っておらず、 ストレージデバイスということもあり、単純に総合性能だけみれば六課の他の隊員が持つインテリジェンドデバイスに劣るだろう。 それにあくまで『扱いが難しい』だけであり、使用するだけなら他の魔術師でも可能だ。 つまりジルグの強さの本質は卓越した射撃技術もあるが、優れた戦術眼と洞察力なのだ。 だからジルグと同じ事はできないとしても、その戦術眼と戦いにおける工夫は ガジェット相手の訓練やチームを組んでの隊長達との模擬戦では掴めない物があるのではないか。 そうティアナは考えたのだった。 「そうだね、ヴィータ副隊長との模擬戦なんてすごかったし 最後なんてどうやったのか見えなかったよ」 スバルの感想は最もであるが、ティアナはそれ以上にあの戦闘の過程に惹かれた。 おそらくわざと弾道を逸らしたところから、全てジルグの計算どおりに戦闘は移行したのだろう。 最後の機動は確かに凄まじかったが、 あれもあの状況に持っていったからこそ生きたものだとティアナは考えていた。 自分達の時もそうだったが、ジルグは先手を打つのが非常に上手い。 後手に見える行動すら、次の先手を打つための布石に思えるほどだ。 そしてそれは魔力による力押しではなく、初見の相手の行動すら短時間で見破る洞察力によるもの。 それはフォワードのトップとして指揮を取る上でも重要な要素であろう。 確かに自分は周りに比べ、単純な才能では劣っているかもしれない。 だが、それでも身につけるもの次第では別の部分で隊の長所となることが出来るのではないか。 それがティアナがジルグに共同訓練を申し込んだ理由であった。 「まぁ、ジルグさんの事だからいつ来るかわからないけどね。 とりあえず明日に備えてさっさと寝ましょ」 「そうだね、お休みティア」 「お休みスバル」 何にしても身体に休養を与えることが今の二人にとっての任務である。 そして二人の少女は束の間の休息に意識を落としてった。 前へ 次へ
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「……専用デバイスの開発?」 まだ完全に完成してはいないが 急ピッチで建設が進められている機動六課の庁舎。 その隊長室にジルグは呼び出されていた。 「そ、ジルグさんもうすうす気づいとったろうけど 今まで使ってたデバイスだと ジルグさんの魔力を全然生かしきれんのよ」 なるほど……実際に使用しているところは 初対面時の高町なのはのレイジングハートしか見ていないが 高位の魔術師はその魔力と自分の戦闘スタイルに合わせて 専用のデバイスを持つ事は知っていた。 デバイスの分類などは専門書を読み漁った事もあり ある程度の把握は出来ている。 「んでジルグさんの専用デバイスなんやけど 六課に配属予定のデバイス開発の専門家がおるから 彼女と話し合いながら進めて欲しいんよ」 「なるほど、話はわかった。 で、その専門家とやらはこれから訪ねるのか?」 「もうすぐ来ると思うからお茶でも飲みながら待っとってや」 そういうことならおとなしく待つしかない。 そう判断したジルグがソファーに向かった瞬間 部屋の扉が蹴り破られ、一人の女性が登場した! 「天呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ! デバイス作れと私を呼ぶ!! (自称)デバイスマスターにして 天才科学者シャーリオ・フィニーノ事シャーリー!ここに 参 上 !!!」 ………誰だあんた? 「………シャーリー?」 ポーズを決めたまま固まっているシャーリーにはやてが声をかける。 「あ……あら? もしかして滑った? 初対面のイメージは後々にまで影響するから 昨日そのための本を読んで勉強したんだけど」 一体何の本を読んだんや……と頭を抱えるはやて。 「ジルグだ」 全く動じずにシャーリーに名乗るジルグ。 ……やっぱり大物や、というはやての心の声が聞こえそうである。 「あら、あなたが六課に配属予定の漂流者さんね。話は聞いてるわ」 とりあえず話の進行には支障なさそうだ。 「で、このシャーリー殿が俺のデバイスを開発してくれる、と」 「あら、殿付けなんてしなくても…シャーリーでいいわよ。ジルグさん」 「自分は呼び捨てでこちらにはさんづけか、変わっているな」 「だって私はこっちの方が呼ばれ慣れてるし 男の人をいきなり呼び捨てなんてしたら誤解されちゃいそうだし」 「誤解云々はどうでもいいが、デバイスの話は?」 「とりあえず一息つけさせてもらえん? なんやえらい疲れがどっと出たわ……」 さて、初対面こそドタバタしたが 実際に開発コンセプトの話などに入ると まるで上から下に水が流れるように話が進んでいった。 はやてですら所々ついていけない程である。 「なるほど……つまり……」 「そうだ……だからここを……」 「あ~……集中してるところ悪いんやけど」 バツの悪そうな顔をしてはやてが言う。 「この場ではお互いの紹介と言うことで、 具体的な話はシャーリーの研究室でやってもらえんかな。 一応ここ執務するとこでこれから何人かお客さんもくるし」 「あらごめんなさい、ジルグさんが結構デバイスに詳しいから 話に夢中になっちゃってたみたいね」 「わかった、案内してくれ」 「ええ、こっちよ。じゃあ後でね。はやてちゃん」 「うん、よろしく頼むな」 そう言ってジルグとシャーリーは隊長室を後にした。 「でも面白いコンセプトね、それ」 「そうか? 俺にはこういう方が使いやすい」 「デバイスって言うのは基本的に魔力を出力して攻撃するって用途に使われることが多いからね。 私からすれば結構斬新なアイデアよ、それ」 「デバイスの専門家にそう言ってもらえるとは光栄だな」 「あなたって絶対相手から皮肉と受け取られるのをわかっててそういう言い方してるでしょ?」 「なんの話かわからないな?」 「素直じゃないんだから」 ジルグがシャーリーに提案したデバイスのコンセプトは いわばゴゥレムを人間大で運用するもの、である。 まずジルグとシャーリーが決めたのは インテリジェントデバイスではなくストレージデバイスとして設計することであった。 インテリジェントデバイスは魔法を扱うための処理の補助、 戦闘における状況判断などを独自の人工知能で行い術者をサポートするものである。 それ故術者の能力に応じて性能も大きく上下し、 術者とデバイスの相性などによっては、 カタログスペックを大きく超える能力を発揮させたりすることもある。 が、その逆もありけりで使いこなせなければただの産廃にもなりうる。 現在、機動六課の参加メンバーの主力メンバーは ほぼ全員がインテリジェンドデバイスを使用している。 今度配属される新人用に開発しているのデバイスもインテリジェンドデバイスだ だがジルグの考えでは、あくまでデバイスは道具であり消耗品だ。 デバイスが損傷した場合…… 特にインテリジェントデバイスの場合などは基本的にワンオフ品であるため 修復に時間が掛かる。 その間術者は戦闘手段をなくしてしまう。 武器などなくなったり壊れたりしたら相手から奪って戦えばいい。 そんな戦い方を当たり前のようにしていたジルグからすれば 武器はなるべく既存品から流用したい。 それにジルグからしてみれば、道具が勝手に状況判断して性能を変化されても困る。 道具はあくまで道具であり、判断して実行するのは自分なのだ。 ならば武装はシンプルにまとめ、その分強度や出力の強化で補うほうが望ましい。 というのが二人が出した結論であった。 「狙撃も可能なカートリッジ式のロングライフル型とベルカ式のダガー。 要は銃剣ね、元々それを使ってたの?」 「それもある、が大は小を兼ねるとも言うしな」 実際の銃であればともかく、魔力を消費して扱う銃であれば 自分のコントロール次第で距離を問わずに運用できる方がいい。 もう一つは携帯用として小型のアームドデバイスの搭載。 これは試験でも使っていた魔力障壁展開用のシールドと 近接戦闘用のある意味「最後の切り札」でもあるショートソード型デバイス これがジルグから出された武装の要望であった。 そしてもう一つがシャーリー曰く「面白いコンセプト」 身体の各所に跳躍補正と姿勢制御を行うためのデバイスを 複数装備するというものである。 ジルグの場合、身体能力的にはあくまでただの人間である。 高い魔力を有し、射手としての技量に優れるのであれば 防御力の高いバリアジャケットを選択するのも手ではないか、とシャーリーは提案したのだが その場合、単独での行動には向かず、味方のサポートが前提になる。 ならば逆転の発想で防御力ではなく機動力に回してしまえばいい というのがジルグの提案であった。 身体の各所に魔力を出力することで姿勢を制御するデバイスを装着し そこから瞬間的に魔力を出力することで 人間であるジルグには不可能な機動を可能とさせる。 数箇所に装備されたデバイスの操作は難しいが、ジルグには扱える自信があった。 なぜなら彼は元の世界で、似たような機構を持つゴゥレムに搭乗して戦った経験があるからだ。 このデバイスは武器と違いワンオフ品にならざるを得ないが 装備するのは自分の身体であり、デバイスがやられる時は自分がやられた時だ。 デバイスが壊れるような攻撃を受ければ自身も戦闘不能に陥るだろう。 そう語ったジルグにシャーリーは興味深そうに頷く。 「なるほど……でも今までの案を聞く限りだと、基本的に地上で戦うことが前提になってるみたいだけど 確かBランクの陸士試験には合格したのよね。 そういえば貴方、飛行魔法は使えないのかしら?」 確かに飛行できれば飛行できない相手の頭上を押さえる事が可能になり 戦況を有利に進める事が出来るだろう。 だが…… 「どうだろうな?」とはぐらかすジルグ。 「まぁいいわ。で、展開箇所はメイン出力デバイスを背中に 姿勢制御デバイスを両肩と膝下、の計5ヶ所でいいのかしら?」 問い詰めてもどうせはぐらかされるだろうし、 ジルグが『基本的に』地上戦をメインとして考えているのなら その要望にあったデバイスを作ることが自分の仕事である。 ジルグと多少話して大体の人間性を掴んだシャーリーはそう結論付けていた。 「ああ、それで十分だろう、後は姿勢制御デバイス本体の強度と障壁出力も 可能な限り高いほうがいい。 バリアジャケットの強度は大して無くともかまわない」 時には自らの手足が武器にもなる、出せる要望は早めに出しておくべきだろう。 「わかったわ、姿勢制御デバイスなんて前例がないから 試作した後、使いながら調整を進めるって方向になると思うけど 手持ちの武装デバイスに関しては量産品を流用した上で これ以上ないってくらい高出力高精度のものを作って見せるわ」 自信満々に言い切り、ふと思い出したようにジルグに問うシャーリー 「そういえば……このデバイス…いえ、統合デバイスユニットとでも言った方がいいかしら? 名前、どうする?」 そう聞かれ、一瞬天井を見上げ思案するジルグ。 やがてシャーリーに目線を移し、不適に笑うと一言 「エルテーミス」 それは、彼が元の世界において 他に類を見ない戦いぶりを敵味方双方に見せ付けた機体の名称だった。 前へ 次へ
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神だの仏だのを信じたことはなかった。 糞みたいな父親の元に生まれて育ち、子供ながらに思ったものだ。 この世はどこまで行っても人間の世の中で、皆が手を合わせてありがたがる尊い存在など所詮妄想の産物でしかないのだと。 そしてその考えに関しては、今この時も決して変わっちゃいない。 だが。それに限りなく近い、人智の及ばない領域が存在することについては、認めざるを得ないというのが本音だった。 黒一色の高級車。その運転席で、窓の外へと紫煙を燻らせながら。 遠くの夜空を見つめて――若琥会若琥一家二代目猪背組、猪背組系列滑皮組組長・滑皮秀信は述懐する。 「出来の悪い漫画だな。梶尾のアホが好きそうだ」 黒のスーツを完璧に着こなしている姿は上流階級の人間を思わせるが、しかして一度対面すればその印象は霧散するに違いない。 彼からは、あまりにも色濃い暴力の臭いが香っていた。 社会の裏側で今も確かに息をしている、道徳や倫理の通じない人種。 即ち、暴力団。ヤクザ。滑皮はひとえに、そういう言葉で呼称できる存在であった。 ヤクザの世界は過酷だ。 暴排法云々を抜きにしても、とてもではないが過ごしやすい世界ではない。 常に上下関係を意識せねばならず、それに逆らおうとした者の寿命は短い。 しかし何より厳しいのは、ただの一度の敗北も許されないことだろう。 ヤクザはメンツを大事にする生き物だ。そしてもちろん、それはただの見栄ではない。 メンツを潰されたヤクザは――舐められるのだ。たとえそいつにどれだけの力があったとしても、どれだけの勢力が付いていたとしても、一度潰されたメンツは決して戻らない。 折り曲げた紙をどんなに頑張って引き伸ばしたところで、刻まれた折れ目が消えることがないのと一緒だ。 そして、滑皮秀信は……無様に敗北し、メンツを潰され、更には再起のチャンスさえもを徹底的に剥奪された敗北者だ。 「まさか、冗談や酔狂以外で死刑って言われる状況が来るとは思わなかったぜ」 滑皮は、ある男を潰そうとした。 その男は滑皮の"オヤジ"の仇であり、そして昔からどうにも目に付くいけ好かない相手だった。 滑皮はありとあらゆる手段を使い、その男を追い詰め、破滅するように仕向けた。 絆を奪い、拠り所を壊し、逃げ場を塞いで服従と死の二者択一を突き付けた。 なのに――負けた。追い詰めた筈の鼠はしかしてただの鼠に非ず、滑皮という猫の喉笛を噛みちぎってのけたのだ。 罠に嵌められて敗けた男の末路は惨めだ。 罪人として警察に囚えられ、言い渡された判決は死刑。 長年苦汁を舐めながら登り詰めた地位も、築いてきた信頼も実績も、ただ一度の敗北によってすべて失墜した。 滑皮は、文字通りすべてを失ったのだ。なのに、どういうわけか。不可思議な奇跡に微笑まれて、此処に居る。 界聖杯内界。 今滑皮が居る"戦場"は、彼にとってはあまりに懐かしいシャバだった。 否、それだけではない。シャバだから懐かしいというわけでは、ない。 此処には、滑皮のせいで死んでいった人間が居た。 彼の覇道を信じて付いてきて、その結果虫けらのように死んでいった部下たちが――さもそれが当然のような顔をして、生きていた。 「……、」 梶尾。鳶田。 馬鹿で、阿呆で、けれど滑皮にとって間違いなく大切な人間だった二人の部下。 滑皮のせいで死んだ二人に、今の彼はいつでも連絡を取ることが出来る。それどころか呼び出して、顔を突き合わせて喋ることもできる。 それがこの界聖杯内界。たった一度の敗北ですべてを失った男に与えられた、最後の機会のフィールドだった。 馬鹿げている。これではまるで狂人の妄想だ。 ややもすれば、本当に全ては滑皮の夢でしかないのかもしれない。 娑婆に生き場所を失い、後は審判の結果と、その先にほぼ確実に待ち受けているだろう刑死の時を待つのみの身だ。 自分自身でも自覚しない内に精神が壊れ、こんな都合のいい夢を見て一人痴れている。 その結果がこの聖杯戦争なのではないかと自問しても、違うと強く断言することはできなかった。 そうだ――これは、夢なのかもしれない。 敗れた惨めな負け犬の自慰が生んだ蜃気楼でしかないのかもしれない。 だが。それでも。 滑皮秀信という人間は、安易な堕落や諦めに身を委ねられる性分をしていなかった。 悶主陀亞連合の頭をやっていた頃から今に至るまで、一度も途絶えたことのない滑皮の中の獣性。 或いは宿痾と、そう呼ぶべきなのかもしれない。少なくともこの性さえなければ、彼がああも悲惨な末路を辿ることはなかった筈だ。 人間の頭に躊躇なく金属バットを振り下ろせる凶暴性がなければ。 抗争相手の唇を切断して尚顔色一つ変えない残忍さがなければ。 そして、舎弟の死に動揺するような人間味がなければ。 滑皮は――こんな"行き止まり"に迷い込むことは、なかった筈なのだ。 その手に握った銃を、窓から出して夜空に翳す。 使い慣れた得物だ。実際にこれで人間を撃ち殺したこともある。 この聖杯戦争においてもそれは変わらない。 滑皮秀信の得物は、銃。そして彼と因果が繋がった存在もまた、銃であった。 滑皮は一度も自分のサーヴァントを見たことはない。 正確に言うならば、出すべき状況に立たされたことがない。 そしてそのことは滑皮にとって実に幸いだった。 もしも出さねばならないような事態になっていたのならば、その存在は十中八九全てのマスター達に知れ渡っていただろうから。 「こんな力があれば梶尾を殺されることも、丑嶋の野郎に嵌められることもなかったか」 滑皮の号令が一つあれば、それだけでこの都市に"災害"が吹くのだ。 魔術師ではない故に魔力のストックが貧弱な彼だが、それでも此処では令呪という便利なブースターがある。 試したことはないが、マスターとして"それ"とパスが繋がっている為だろうか。本能的に、分かるのである。 出せば、それだけで全てが終わると。 数を集めて特攻を掛ける必要もない。 金を積んで暗殺者を雇う必要もない。 令呪を使って魔力を補い、一言命令すればそれで終わる。それだけで、滑皮秀信は勝者になる。 悪魔の如き"銃"が、辺りの全てを射殺してくれるから。 ヤクザとして人脈を作り、金を集め、あの手この手で敵を排除してきたのが途端に馬鹿らしく思えてくるほどの"力"。 感覚的には核爆弾の起爆スイッチを手に入れたのにも近いが、しかし滑皮の心は何処か虚しさを覚えていた。 これ以上ないほど強い武器を持っているというのに、何故だか心が不合理な渇きを覚えている。 「下らねえ。余計な感傷だ」 百の手順を踏んで勝つのと一の行動だけで勝つのとでは、どちらが優れているのかなど瞭然である。 滑皮は脳裏を過ぎった感傷を切って捨て、ベンツの窓を閉じた。 "悪魔"は最強の銃(チャカ)だ。 だが、実際のところは行動一つ起こせば勝てるというほど単純なものでもない。 カードを切れる回数が限定されているのだから、まずはその状況を整えるためのお膳立てをする必要がある。 この界聖杯内界に居る梶尾と鳶田にも、その一助を担って貰うことになるだろう。 やらねばならないことは山積みだ――ひとつでも怠れば、その横着がそっくりそのまま死出の山へのロープウェイになりかねない。 災害の如き、大量殺戮の悪魔。 《銃の悪魔》と呼称されたそれを、世界各国が抑止力にしようとしたそれを、冷たい眼のヤクザは今自分の武器として首輪に繋いでいる。 しかしそれでも、彼の中の虚しい渇きが消えることはなく。 そしてその理由を、滑皮秀信が理解することもない。 彼は――それが分かるような生き方をしてこなかったから。 もしかするとそれが、彼の人生を破滅させた金融屋と彼の一番の違いなのかもしれなかった。 【クラス】アーチャー 【真名】銃の悪魔 【出典】チェンソーマン 【性別】不明 【属性】混沌・悪 【パラメーター】 筋力:C 耐久:B 敏捷:A 魔力:A+ 幸運:E 宝具:B++ 【クラススキル】 対魔力:B 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。 単独行動:A+ マスター不在でも行動できる能力。 マスターを失った場合、銃の悪魔は荒れ狂う災害となって解き放たれる。 【保有スキル】 悪魔:A++ 動植物や概念などあらゆるものの名前を持って生まれてくる、人知を超えた怪物。 人間がその名前を恐怖・嫌悪するほど力を増す。 アーチャーは文字通り世界中から恐れられた悪魔であり、ランクは非常に高い。 広域殺戮:A 広域に渡る殺戮。 不特定多数の標的に向けた攻撃行動時にプラス補正を得る。 逃走行動:B 自身の霊核が破壊され、現界の維持が不可能になった時に発動できるスキル。 周囲に存在するランダムな死体に憑依し、対象を"魔人"と呼ばれる存在に変質させる。 魔人となった人物の自我はほぼ失われ、頭部からは巨大な銃が生え、大元と同様の銃撃能力を得る。 【宝具】 『銃の悪魔(The Gun Devil)』 ランク:B++ 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大補足:1000人 銃の悪魔。人間界において最も恐れられ、出現する度に天災に匹敵する被害を齎してきた存在。 無数の銃弾を用いて、極めて広範囲を対象にした銃撃攻撃を行うことができる。 生まれた月や性別、年齢など条件分けして狙い撃つことも可能であり、その殲滅能力は極めて高い。 が、その霊基の巨大さは常時現界させておけるものではなく、更にマスターである滑皮秀信が魔術の素養を持たない人間であることも相俟って、銃の悪魔を現界させるには都度令呪一画を要する。 【weapon】 銃弾 【人物背景】 世界的に大きな影響力を持つ悪魔。 原作の時代から13年前、紛争などにより世界的に銃への恐怖が高まっていた中、アメリカで銃を用いた大規模なテロが起こった日に出現。 その後世界各地に上陸し、およそ7分間で約110万人を殺害したとされる。 【サーヴァントとしての願い】 ??? 【マスター】 滑皮秀信@闇金ウシジマくん 【マスターとしての願い】 未定。だが、界聖杯は掌握する。 【能力・技能】 ただの人間だが、敵対者に対して一切の容赦をしない冷酷さと残忍さを併せ持つ。 一介のヤクザ者としては部下からの人望も厚く、本人は腕っ節と知略の両方を高い水準で備えている。 【人物背景】 若琥会若琥一家二代目猪背組、猪背組系列滑皮組組長。 暴走族時代から敵対者の唇を切断するなどの凶行で恐れられ、地元では「絶対に逆らってはいけない人物」と言われていた。 しかし情がない人物というわけではなく、部下を惨殺された際には怒りと喪失感を示すなど、人間味もある。 復讐のために金融屋・丑嶋を追い込み、様々な策で追い詰めるが、あと一歩のところで嵌められ殺人罪で警察に逮捕された。 【方針】 生き残り、聖杯を手に入れるべく動く。 早い内に協力者を手に入れ隷属させたい。
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アーチャブ(アー・チャブ) マヤ神話の登場人物。 西の権力の支配者。