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効率良くゆっくり達の関係を悪くさせる方法はないだろうか? 効率良くゆっくりの駆除をする方法はないだろうか? 効率良くゆっくり達を服従させていく方法はないだろうか? これらのテーマを元に考え出されたのが「色仕掛けをするゆっくり」であった。 そもそも、人間ですらデート商法・接待などの異性を利用した人心操作が行われている。 ならば、人間よりも馬鹿で単純な生き物であるゆっくりにこれを応用することが考え出されたのは、必然と言えよう。 誰が言い出したかは分からないが、ゆっくりを色欲で操作するプロジェクトは加工所の中で密かに進められていた。 このような色事に縁の深いゆっくりといえば、そう、あいつしかいない! 「ばでぃざったら、ありずのでぐにめろめろね゛えええええぇぇ!」 「い゛やああああああああ!!」 「すっきりぃいいいいいいい!!!」 「すっきりぃ…もうありすとはゆっくりできないよ…」 「また駄目だったか…」 「やっぱり無理ですよ、こんなの。すっきり好きのありすとはいえ、れいぱーの行為はゆっくり達には忌み嫌われてるんですから…」 実験は難航していた。餌・生活環境を整え、美ありすを作り出すところまでは簡単だった。 お相手のいないゆっくりは高い確率でこのありすと生活を共にすることを望んだ。 しかし、既にお相手がいるゆっくりの仲を引き裂くほどの効力はなかった。 さらに、カップルになっても、いざすっきりする段になるとありすの本性を垣間見て 一気にありすへの愛が冷めていくゆっくりがほとんどだった。 「どうにか強制的にゆっくりさせるような方法があればいんですけどね…」 「!、それだ!」 連れてこられたのはドスまりさ。 ドスのゆっくりオーラは、どんな生き物でもゆっくりさせてしまう効果があるという。 問題は、どうやってありすにこの効果を持たせるかだ。 物は試しである。ドスまりさから抽出した餡子をありすに注入する。 入れられた瞬間はびくびくとして、「いなかものおおおおお!」等と叫んでいたありすだったが、しばらくすると大人しくなった。 外見は全く変化がない。 試しにちかくにゆっくりまりさとれいむのカップルを置いてみる。れいむは頭に茎が生えた出産間近のものだ。 そこに、ブルブルと振動を与えた実験体ありすを放つ。 「ばでぃざあああああああああああ!!!すっきりしよおおおお!!!」 「い゛やああああああああ!!」 やはり嫌がるまりさ。おろおろするれいむ。子供がいるからか、身の危険を感じてか、何もできずにいる。 肌をこすり合わせるうちに、すりすり型のすっきりの特徴である粘液がありすから分泌され始める。 それに乗じて、まりさも次第に顔に赤みを増していく。 すりすり… すりすり… 「まりさ!いっしょにすっきりしようねええええ!!」 「うん、ありす!すっきりしよう!」 「「すっきりー!」」 すっきりを終えた2匹。まりさの頭にはもちろん茎が生え始めている。 そこでようやく、今まで蚊帳の外だったれいむがまりさを連れ、ありすから逃げようとする。 「まりさ!ゆっくりできないありすだよ!いまのうちににげよおお!」 「ゆ…まりさにげないよ。ありすとずっとゆっくりしたいよ…」 「どぼじでぞんなごというのおおおおおおおお!!!!」 「れいむはひとりであかちゃんそだてていってね…」 「どぼじで(ry」 出来てしまった。かくして、ここに「色仕掛けありす」が誕生したのである。 その概略はこうだ。 ありすがすっきり行為をする時に分泌される液体にはどうやらドスの持つゆっくり成分が凝縮されて含まれているらしい。 この成分はすっきりのお相手であるゆっくりにのみ吸収されるので、人間への影響はない。 そして、その成分を含んだ液体や精子あんこを吸収したゆっくりは、このありすといればゆっくりできるという思いと、 またあのような最高のすっきりが出来る、という思いからありすについていこうとする。 さらに、研究を重ねることで、何回もすっきりを繰り返すことで段々とありすへの依存が強まり、 ありすの言いなりになってしまうことが分かった。 これを世に出せば、ありすを中心とした効率の良いゆっくりの統制が行えることだろう。 しかし、これを世に出す前にテストとして一般人に引き取ってもらう必要がある。 なるべく色々な使い方を模索してくれる人がいいのだが… ゆっくり関連製品購入者リストをめくっていく。 じゃあ…彼にしようか。 「お菓子の柚栗堂 店員 ○○○○」 ある晴れた休日のことだった。 「ピンポーン」 滅多にならないドアのチャイムが鳴った。 俺にアポなしの訪問などあるはずがない。どうせセールスか何かだろうと思った。 「ゆっくり加工所の物ですがー」 「はい?今開けます」 加工所?加工所には虐待用のゆっくりを買ったり、怪しげなマシーン等を買ったりしてお世話になっている。 しかし、わざわざ向こうから来るとは、いったいなんなのだろうか? 「いやー、ご在宅で良かった。今回貴方には新作ゆっくりのモニターを行っていただきたいのですが…」 かくかくしかじかと説明をする加工所職員。手には段ボール箱。 「それで、お今回の話、お受けしていただけますか?」 しばらく考えに耽っていた俺は、はっと気がついて、 「もちろんですよ!」と返した。 はやる気持ちで段ボール箱を開けた。 段ボール箱を開けると、そいつは普通のありすと変わらない姿・口調で、 「なかなかとかいはのおうちね!ここをありすのゆっくりぷれいすにしてあげてもいいわよ!」とほざいた。 それからの一週間の自由時間は全てこのありすの調教に当てた。 貴重なありすである。殺さないように、しかし体罰を与えることは厭わなかった。 そして、苦労の末、プライドの高いありすは俺の命令をきくようになっていた。 その時には既に、ありすの歯は全て無くなっていたが。もちろん、調教後に修復しておいたのは言うまでもない。 俺はまず、ありすの性能をテストすることにした。 「おにいさんありがとう。とかいはのらんちたいむだったわ」 「ありす、君にやってほしいことがあるんだ」 「なに?おにいさん」 「外からにんっしんっ!したまりさを一匹、家に連れてきてほしい。いいね?あと、その時にすっきりしちゃってもいいからね!」 「ゆっくりりかいしたわ」 二時間後、ありすは望み通り通常よりも膨らんだ胎生にんっしんっ!まりさを連れて来た。 思ったよりも早かった。きっとすっきりが自分の武器になることを熟知しているのだろう。 教育した甲斐もあって、必要最低限のすっきりしかしなかったようである。生えている茎は一本だけだった。 まあもう一つの仕掛けとして、れいぱー化しないよう、性欲を抑える薬を先ほどの食事に混ぜておいたのだが。 「ようこそ!、僕の家へ。歓迎するよ!」 「ゆっくりしていってねぇ…」 まりさは未だ夢見心地である。目がとろんとした状態のままありすの方ばかり見ている。 「ありす、ありす、ちょっと来て」 「ゆ?」 「このまりさ、誰とのこどもが中にいるの?」 「れいむよ!」 「ありすは自分の子供と、れいむの子供、どっちが欲しい?」 「もちろんありすのあかちゃんにきまってるじゃない」 「それじゃ、中の子供は殺しちゃおうか」 後は簡単であった。ありすに何回かすっきりをさせる。 回数を重ねる毎にまりさはありすへの愛を深めていく。 体力は残しておいてもらわないとこまるので、まりさに疲れの色が見え始めたところで中止するように言った。 すっきりが一通り終わったところで、ありすからこの家の主は俺であること、俺の命令は絶対であること そして、俺の命令に従わない場合はまりさを嫌いになる、という主旨のことを伝えさせる。 「やべでよぉお?ありすがいないど、ばでぃざゆっくりできないゆぅうう!!」 「じゃあ僕の言うことを聞いてね!」 「おにーさんのいふこときくよおおおお?ありすがすきだがらぎぐお!」 「ありすも僕も、君のお腹の中の子供…要らないと思うんだ! ゆっくりできないれいむとの子供だろ?そんな奴がいたらありすとゆっくりできなくなるぞお?」 「やべでねぇええ…ありす、きらいにならないでねえええ…ゆんしょ!ゆ゛ぅうううううううう!」 まりさが力み始めた。お腹の中の未成熟な子供を無理やり押し出して堕胎するつもりなんだろう。 「ゆ゛ううううううう!!!!ゆ゛うううううう!!!」 「頑張れ、まりさ!」 「がんばってね、まりさ!」 ありすの黄色い声援を受けて、一層力を込めるまりさ。 「ゆ゛っ!!!」 すぽっ! 少し拍子抜けするような音を出して、中から黒っぽい塊が飛び出してくる。 餡子の周りには薄く肌色の膜が纏わりついているが、形を保つには不十分なものだった。 髪ももみあげの部分しか生えておらず、リボンはその髪にかろうじて繋がっている。 見るからにひ弱、今すぐにでも命の灯が消えそうな赤れいむ。 「潰せよ」 特に躊躇いもせず、まりさはそれに飛び乗った。 ぐちゃっと潰れる際、それは「もっちょゆっきゅりしたきゃったよ…」とか言ったような言わなかったような。 「ありすのとかいはのおうちが、いなかもののれいむでけがれたわ!ゆっくりそうじしていってね!!」 「そうだね、後始末も頼んだよ。さあ、ありすはこっちに来てご飯の準備しようね!」 一人取り残されたまりさはありすのために我が子の残骸をひたすら舐め取るのだった。 次の日、まりさは随分とすっきりの疲労から回復して、元気になっていた。もちろん、お腹の子供が居なくなったのもその一因である。 元気に頭の茎をゆさゆさ揺らしながらありすに擦り寄る。 ありすもそれに答える。 朝から元気なことだ。 俺はただ一言、「殺すなよ」と言って、仕事に出かけた。 帰ってくると、まりさの頭の茎は三倍以上に増えていた。こうなるとどっちが本体か分からない。 一応、本体の方はかろうじて生きていた。既に虫の息だったが、それでも 「ありすぅううう…あかちゃんたくさんできてうれしいよぉ…」 とか言ってるのが微笑ましい。 ありすは俺がいない間、上手く調節してすっきりしてくれていたようだ。 そもそも、野生のありす種が見境のないれいぱー化しやすいのは、その性格による欲求不満からであり、 満足に相手とすっきりできる今となってはその欲求が暴発することもないのだろう。 あまり長引かせるのも何なので、食事後には始めるとするか。 まりさが外で雑草を食べている最中、俺はありすと食事をする。 「ありす、一日暮らしてみて、このまりさのこと、どう思う?」 「なかなかとかいはのまりさよ!それでもわたしのとかいはっぷりにはかなわないわね!」 ハハッ、違いねぇ。 「ありす、僕はこのまりさは君に合ってないと思うんだけれど…」 「そ、そんなことないわよ!まりさとゆっくりしたいわ!」 「ありす…歯がないとご飯もおいしいくないね?」 「ゆ…あれは…もう、やべで…そうね!まりさはゆっくりできないまりさよ!」 「じゃあポイしようか」 「そうよ!ポイ、よ!」 「そうだよな!ごちそうさま。ありすもこっちに来てね!」 ありすを呼ぶ。外で雑草掃除をしていたまりさも呼ぶ。 「いま話をしていたんだけど、ありすは君のことが嫌いになっちゃったらしいんだ。 もう君とはゆっくりできないんだって…」 「どぼじでええええええ!!??ありずがいない゛どまりさ、まりさは…」 「まりさはどうなるんだ?」 「いぎでいげないいいいいいい!!!!」 「じゃあ死ぬ?最後にありすに良いところみせて死ぬ気はない? ありすのために生きてきたんだろう?ありすのために死ぬ気はないかい?」 ありすが黙ったままなので、発言を促す。 「しんでね」 「ゆ゛」 「ありすのまえからきえてね!」 「ゆ゛ううううううううううう?????」 「と、いうことだ。サクッと、ね」 心身ともに疲弊したまりさでは自殺は難しいと考えたので、台所に持って行って、鍋に熱湯をはる。 「飛びこめば終わりなんだけど…そうだ、最後にいい思い出作りをしよう。ありす、すっきりしてあげてね!」 「ゆっ!?」 突然の事に動揺するありす。 しかし、逆らえばどうされるか分かっている。 相手ならまた作ればいい。自分はどんなゆっくりにも負けないくらい、とかいはなのだから… 「まりさ、すっきりしよおおおおお!」 「ありすううううううう!!!!!!」 「「すっきりするよおおおおおお!!!」」 激しく身をこすり合わせる2匹。まりさは限界に達しようとしているが、ありすは暗い表情のままである。 「すっきりー!」 「ゆっくりおゆにとびこんでね」 すっきり直後で酩酊するまりさ。ありすのためなら、ありすのためなら…もうゆっくりしてもいいよね? まりさはゆっくりと鍋に沈んでいった。 沸騰した湯だ。もう手遅れだろう。 ありすは泣いているのかよくわからない表情をしていた。 俺は性能を確認し終え、これからを期待してはっきりと笑っていた。 続け 【あとがき】 出来る限り続けたいです。もうちょっと無機質な虐待を目指して。 ターゲットにされるゆっくりは、精神的には幸せなので、精神的な虐待のがお好きな人はお気に召さなかったかもしれません。 そもそも虐待なのか? 登場する男は一応他の作品とリンクしてますが、特に読み進める上では問題ないかと思います。不快ならばご指摘ください。
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小腹の空いた俺は昼食を取ろうとファストフード店に立寄り Mサイズのコーラとハンバーガーを注文、 2Fへの階段を上って窓際の列の端に座った。 窓から見下ろせるものは交差点、横断する人、向かいの果物屋、その左隣の眼鏡屋。 ガラス窓の外の声は聞こえない。 聞こえるのは2つ離れた席でお喋りをする、奥樣方2名の楽しそうな会話だけだ。 俺はただただボーッっとハンバーガーの包みをカサカサと開きながら、窓の外に目をやった。 交差点の向こう、果物屋の左隣、眼鏡屋の前の歩道に居るものへ目をやった。 (ゆっくりしていってね!) ガラス窓の向こうで恐らくその様な事を言っているのであろう。 眼鏡屋の前に居るあの丸っこいのは"ゆっくり"という生き物。 黒い髪に紅いリボンを巻き、まん丸な輪郭を持つ、 まるで人間の顔をデフォルメしたかの様な生き物。 所謂"れいむ"だ。黒髪のゆっくりは大抵そう呼ばれる。 大きさはバスケットボールくらいだろう。 何処から来たのか知らないが、何処でもいい。どうせその内誰かが処分する。 期待外れなゆっくり達 作者:古緑 (ゆっくりしていってね!) ガラス窓の外の、ふてぶてしい笑顔を浮かべたゆっくりはきっとそう言いながら 果物屋に向かうのであろうエプロン姿の太ったオバさんに近づいて行った。 眼鏡屋の前の歩道は狭い。 だからオバさんは寄って来るゆっくりを避ける為に少し車道に出て、 迂回する様にしてゆっくりを振り切っていった。 (…ゆっくり?ゆっくりしていってね!) その背中に向かって不思議そうに叫ぶゆっくり。オバさんは振り返らない。 少なくともこの辺でのゆっくりに対する対応なんてあんなモノだ。 例え俺があのオバさんでも同じルートを取ってゆっくりを避ける。 どんなに暇だったとしてもゆっくりと一緒にゆっくりなんてしない。 (ゆっくりしていってね! れいむと一緒にゆっくりしていってね!) オバさんに無視された事で生来の自信に満ちた表情にも陰りが見える。 それでも健気に周りの人間に呼びかけるゆっくり。 次にゆっくりが向かっていったのはだらしない格好をした中年男性。 無論彼も通り過ぎて行くだけ。パチンコにでも行くんだろう。 (…ゆっくり…… …ゆっ!ゆっくりしていってね!) 寂しそうに男性を見送った後、また次の通行人に話しかけるゆっくり。 次は杖をつくお爺さんだったが 彼は避ける事もせずに真正面からゆっくりとゆっくりを突破して行った。 本気で気付いていなかったのかもしれない。 その背中を見送るゆっくりの、斜め45°に引かれていた眉はハの時に変わっていた。 ゆっくり。 彼等は俺がまだ子供だった頃、20年以上前だ。 彼等は突然どこからか現れ、世の話題を攫った。 或る人は宇宙人と、或る人は妖精と、悪魔と呼んだ者さえ居た。 なんせあの様にワケの分からない生き物だ。 餡子の詰まった饅頭なのに何故か動けて、人の言葉(日本語)を解し、更に喜怒哀楽の感情を持つ。 話題にならないわけが無い。 あの頃はテレビ、新聞、雑誌、様々なメディアを通して彼等の姿を見る事が出来た。 だがそれも現れてから数年間の間だけ。 俺が成人を迎える頃、世間はとっくにゆっくりに対する興味を失っていた。 研究員だの科学者だの、その辺の人にとっては興味の尽きない存在に違い無いだろう。 しかし俺みたいな好奇心の薄い人間にとって ゆっくりは次第に『ただ言葉を解し、中身が餡子の生き物』それだけの存在になっていった。 あれだけ不思議生物と騒がれていたのに何の事は無い。 超能力を使えるわけでもない。その体に何か重大な秘密を秘めているわけでもない。 ただ跳ねて叫ぶだけ。ゆっくりしていってね、と。 馬鹿にしてるとしか思えない。 テレビなんかはゆっくりの番組をしつこく流し続けていたが いい加減飽きられて姿を消すのに大して時間は掛からなかった。 横でお喋りしてる奥様方も、ゆっくりに対する興味なんてもう持ってないと思う。 ガラス窓の下の不思議生物よりも旦那のムカつくところを話してるんだから。 (ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!れいむと一緒にゆっくりしていってね!) 窓の下ではゆっくりが叫ぶ様に人々に呼びかけている。 俺のところにまで声が届くくらいに大きな声で呼びかけている。 その声を聞きつけ、眼鏡屋の中からカジュアルな格好をした店員が出て来た。 ここに居て聞こえるくらいなんだから、下でのあの声は営業の邪魔でしか無い。 (ゆっ!おじさん!れいむとゆっくりーー ーーーーーゆぶっ!) 店員はゆっくりのリボンを摘んで持ち上げ、反対側の歩道に放り投げた。 反対側の歩道には何の店も無く、工事中なのでスチール製の真っ白い壁がそびえ立っている。 気絶したのか、れいむはピクリとも動かない。顔から落ちたんだから無理も無いだろう。 ゆっくりは痛い目に遭ったら何処かに消え失せるのが通常だ。 だからあのれいむも起きたらきっと何処かへ行く。 そしてその先で何時か死ぬ。 別にここが駅前だから、ゆっくりの事が嫌いだからという理由から 人はあの様な冷たい態度を取るわけではない。 さっきも言った事だが、もう誰もゆっくりに対する特別な興味を持っていないのだ。 少し前は違った。 喋るペット、元気なペット、モチモチと柔らかい体をした、可愛いペット、 そんな魅力的な特徴に皆が惹かれ、ゆっくりがペットとして大流行した時代も有った。 しかし今じゃペットゆっくりの人気もガタ落ち。かつての大人気っぷりは見る影も無い。 その理由は"喋れる"ゆっくりに対して人々が期待を持ち過ぎた事に有った様に思える。 自分の言う事を理解してくれるから手が掛からない。暇な時は楽しくお喋り出来る。 初めゆっくりを飼った人はそんな風に都合良く考えていた者が多かったのだろう。 しかし逆だったのだ。 何故ならゆっくりは人間にとって都合のいい事ばかりを喋るぬいぐるみではなく、 人間と同じ様に聞き、感じ、思考して喋る生き物だったから。 しかも人間並みに、或いは人間以上に喜怒哀楽の激しい正直な生き物だったからだ。 そんな生き物と上の様な期待を抱いていた人間が一緒に暮らして食い違いが起こらない筈も無い。 飼えばゆっくりは無条件で自分に懐き、何の文句も言わないなんて事も有り得ない。 そして多くの飼い主を落胆させたのは 言葉が通じるのに中々ゆっくりが言う事を聞いてくれないだけでなく、 不平不満、そして要求している事を自分に分かる言葉で持ちかけてくる事。 これは飼い主にとって面倒臭い事この上無く、"時と場合"に応じて非常に不快なものにすらなる。 手がかからないと期待してた人達からすれば尚更の事だ。 手の掛かり具合は腕白盛りな人間の幼児と遜色無いものなのかもしれない。 そんな本当は手のかかるゆっくりを上手に躾けられた飼い主がどれだけ居たか。 それは現状が物語っている。 そして肝心のゆっくりとのお喋りも、多くの人が『思っていたより』楽しくないと言う。 理由は人とゆっくりの知能の程度には一定の開きが有る為、会話がし難い事。 そしてその知能の差故に各々が持つ関心も異なるからだ。 ゆっくりは美味しいご飯が好き、楽しい玩具が好き、『ゆっくり』の話が好きだ。 だが人間側のちょっと難しい話になるとあまり興味を示さず、嫌がってしまう。 よく分からないからだ。愚痴なんかは当然嫌い。 しかし多くの人が望んだのは後者の様な会話だったんじゃないだろうかと思う。 また当然の事ながら知識や語彙も少ない為、出来る会話の幅も広くない。 大抵の場合ペットゆっくりは家の中でお留守番だから知識も語彙も碌に増えないだろう。 飼い初めの頃はまだ良いだろうが、そのうち話す事も尽きて会話をしなくなるかもしれないな。 『ゆっくり』の話がしたくて飼ったワケでは無いのだろうから。 兎に角、人語を解するから飼ったという人は拍子抜け。 勝手な事だが人は喋るゆっくりの事を『期待外れ』と感じたのだ。 小さくて可愛いと考えてた人の期待も外れる。 人の元では平均寿命8年と長生き。最終的に体高だけで60cmを超えるのも珍しくない。 デカくなったゆっくりは俺から見てもあんまり可愛くない。というか怖い。 ちなみに食う量も増えてゴールデンレトリバー並に食費がかさむ。 デカくなったのは更に重くノロくなる為、家の中での様々な面において邪魔になる。 かと言って庭なんかで飼うと寂しがり、大きな体をしてゆんゆん泣く。 それでも外に放って置くと知らないうちに死んでたり いつの間にか恋仲になった他のゆっくりと子を成していたりもする。 これが悪夢ってヤツだろう。とてもじゃないが笑えない。 手が掛からないとの期待はこんなところでも裏切られる。 人々の勝手に抱いていたゆっくりへの多大な期待はことごとく裏切られ、 ペットとしてのゆっくりへ関心も次第に薄れていった。 その結果かなりの数のゆっくりが無責任にも街に捨てられ、未だに問題になっている。 捨てる主な理由は仲違いしたから。反抗されたから。二匹飼いしたら自分と話さなくなったから。 妊娠したから。意外とつまらなかったから。どれも最高に無責任なものだ。 今ではもう、そんな面倒なゆっくりを飼う人間は ゆっくりの事が本当に好きな僅かな人達だけになった。 そして俺はゆっくりが何の為に人間の前に現れたのかを心の底から理解出来ていない。 ゴチャゴチャ考えてるうちにハンバーガーはもう食い終わった。 あとは尽きるまでコカコーラをズルズルやるだけ。 兎に角ゆっくりはもうペットとしてさえ人の関心を惹かない。そもそもあまり向いてなかったのだ。 久しぶりに見たから気になったが、そろそろどうでもいい存在になってきた。 保健所の人間が来ないうちにとっとと消え失せる事をお勧めしておく。 (ゆっく…り…ゆっぐり”ぃ…) 永らくガラス窓の下でダウンしていたゆっくりだが ようやく起きたようで、泣きながら体を起こした。 泣いてるのはゆっくりしていって貰えないのが辛い為だろう。 (ゆっぐり”じでいっでね”!ゆっぐじじでいっでね”ぇ!!) 涙混じりのガラガラ声で叫び出すゆっくり。周りには誰も居ないのに。 あれだけ痛い目に遭わされたのに消え失せないとは。 何がそんなにあのゆっくりを駆り立てるのか? どうして人をゆっくりさせたがるのだろうか? 俺は彼等と"ゆっくり"した事が一度だけ有るが、それも未だ謎だ。 ゆっくりの『ゆっくり』と言えば俺は俺で期待を裏切られた事が有る。 随分前に駅前のベンチで本を読みながら友人を待ってたら ゆっくりが近寄って来た事が有ったのだ。 『ゆっくりしていってね!』とお決まりの言葉を言いながら。 俺はちょっと困ったが、当時はまだゆっくりに興味が残っていたので 読んでいた本をカバンに仕舞ってゆっくりと『ゆっくり』する事にした。 『ゆっくり』と名乗るくらいなんだからとんでもなくゆっくりしている筈だ、 もしかしたら他人をリラックスさせる力を秘めているのかもしれない、と期待しながら。 しかしなんの事は無い。ゆっくりは空いたベンチに乗って日向ぼっこをしてるだけ。 普通にゆっくりするだけだったのだ。 勝手に期待しておいてこんな事を言うのもなんだが、ガッカリした。 ゆっくりの『ゆっくり』なんてゆっくりじゃなくても出来るし 別に俺が居なくても出来る、ごく普通の事だったのだ。 期待外れもいいところだった。 その日を境にゆっくりは俺にとって完全に無価値な存在に変わった。 (お、おにいさん…れいむと、れいむと一緒にゆっくり…) 窓の下では汚れたれいむを避ける様に、また一人通り過ぎて行く。 彼はipodらしき物を弄りながら歩き去って行った。 どうでもいいのだ。ゆっくりとの『ゆっくり』なんて。 それこそ何十回も聞いていい加減飽き気味のポップス以上にどうでもいいのだろう。 「あれ、○○さん、あそこに居るのゆっくりじゃない?」 「あらホント、いまどき珍しいねぇ。 そう言えばね、この前○○さんが電話で話したことなんだけどーーー」 隣の奥様方が今更ゆっくりに気付いたように話題に上げる。 ずっと俺と同じ方向見ながら話していたのに(ガラス窓に反射して丸わかりだった) 会話のクッション程度のものにゆっくりを使ったのだ。 そんなモンだ。例えゆっくりが少しくらい泣いてたとしてもな。 (ゆっぐり”ぃ…… ゆ”っぐ りぃ” ぃ”い”ぃ”!!) コーラを飲み干して立ち上がると、 俯いて本格的に泣き崩れるゆっくりの姿が見えた。 あそこで泣いてる分にはまだ良いが、果物屋の店員がボソボソ何か喋っている。 もしも交差点を超えてアッチ側にいったら 動けなくなるくらい強く蹴られるかもしれないな。 俺等人間の中でも、彼等にとってゆっくりは特に邪魔なんだから。 もう休み時間は終わりだ。 俺は紙コップの底にヘバりつく氷を4、5個口に放ってガリガリ噛み砕きながら、 トレイの上のモノをゴミ箱に捨てて店を出た。 生暖かい風が頬を撫でる。近所に予備校があって高校生が良く通る所為だろうか この歩道は黒ずんだガムやらツバやらがこびり付いてて汚い。 こんな小汚い歩道でゆっくりとゆっくりするくらいなら 今みたいな店の中で一人でゆっくりしてた方がずっと良い。誰だってそう思う。 「ゆっ、ゆっくり!ゆっぐりしていっでね!」 交差点で信号を待つ間、左から嬉しそうな声が聞こえて来た。 左方向に視線をやるとあのゆっくりが居た。 頬を涙でベショベショに濡らしているが笑顔満面。嬉しそうだ。 立ち止まっている俺を見て勘違いしたのかもしれないな。 "ようやくゆっくりしていってくれる"って。 「ゆっくりしていってね!」 ビデオ屋に寄って帰ろう。 最近ずっと行ってなかったから新作テープの取れたのが沢山有る筈だ。 そんな事を考えながら、信号が青になったのと同時に俺は歩き出した。 口の中の氷はもう無くなっていた。 ーENDー
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ゆっくり1 8KB 制裁 自業自得 同族殺し 共食い ツガイ 飼いゆ 野良ゆ 赤子・子供 ゲス 都会 現代 虐待人間 初投稿です、どうぞよろしくお願いします。 僕らはにわかホームレス 「まりさ…」 「おにいさん…」 俺たち二人、いや俺と一匹はそうお互いに呼びかけた後は。言葉もなくその場に呆然と立ちつくした。 「ゆっ… ゆっくりできないよ」 そうしてまた俺とまりさ、いうまでもなくゆっくりまりさはおなじように呟いた。 なにしろ旅行から帰ったらアパートが全焼していたのだ。文字通りきれいさっぱり跡形もない、全焼優勝…なんちゃって… 「冗談いってるばあいじゃないよ、お兄さん…」 「…すまん…」 もちろん真っ先にアパートを管理している不動産屋に走った、そしてそこでこの世の過酷な現実をさらに思い知った、旅行に出た1週間前通りかかったときは営業していた不動産屋は倒産していた。 近所の八百屋に訊いたところでは夜逃げ同然だったらしい。しかもその後人相の悪い鬼意惨やおじさん数人が黒塗りの大型セダンで現れて一騒ぎあったらしい。 一つだけ判ることはこれで敷金の返還や火事の保証を受け取ることは絶望だということだ。 数少ない友人に電話をかけたがこういうときに限ってどいつもこいつも留守、仕方がなく留守電にメッセージを残し電話を切った。バッテリーが心配だからだ。 途方に暮れて公園のベンチに座り込む俺とまりさ。 こうして俺とゆっくりまりさはホームレスになってしまった。 「まりさ…一つだけはっきりしていることがある」 「ゆ… なに、おにいさん」 「今日から俺たちはホームレスだ、野良人間と野良ゆっくりだ!」 「ゆゆー、ほーむれすさんはゆっくりできないー」 「しかし旅行で金は使い果たした、スーツケースに着替えが入っているのがまだしもだが…洗濯してないけど…」 おれはそうごちるとコートのポケットをごそごそ探る、売店で買った食いかけの天津甘ゆっくりの袋が出てきた。 「喰えよまりさ…最後の晩餐だ…」 「むーしゃむーしゃ、先行きふあんていー」 甘栗を食べつつまりさと俺で呆然としていたらもう夕闇が迫ってきた、冬の夕暮れは早くそして無慈悲なほど寒い。 むかし酔っぱらってベンチで寝ていたら夜中に凍死寸前で目が覚めた経験がある俺は「とりあえず今日の寝床を何とかしよう!おい、まりさ…あれ?」といいながら隣を見るとそこにちょこんと座って甘栗を複雑な表情で食っていたまりさがいない。 「ゆっくりにまで見放されてしまった…」 心底情けないと我ながらそう思う声で呟くと視界の片隅、公園の入り口から逃げたと思ったまりさがこちらに向かって来るのが見えた。いつもの元気にはねる様子とは違い這い進んできた。そして何かを引きずっている。 「まりさ!」 俺は立ち上がるとまりさに駆け寄った。 「ゆっおにいさん!おうちさんをもってきたよ!」 まりさが引きずってきたのはダンボール、ずいぶんむかしこいつが野良だったときのことを思い出したのか。 今日から宿無しときいてまりさは真っ先にすみかの材料を探しに行ったのだった。なんだか俺なんかよりずっと生活力あるな、こいつ。 「どっからもってきたんだ、これ」 「ゆっ、まだあっちにたくさんあったよ」 俺の問いかけにまりさは目線で場所を示した。果たして公園の脇にある歩道にダンボールが幾枚か積んである、ゴミ捨て場ではないところを見ると不法投棄らしい、だがいまは社会のモラルの低下を嘆いている場合ではない。 「うーさみーいい、北風が強くなってきたなあ…」 「はやくおうちさんをつくってゆっくりしようよ」 俺とまりさは震えながら頷きあいダンボールを持てるだけもって、まりさを小脇に抱えるとそのまま公園の奥に小走りに進んだ、もちろんスーツケースも回収して。 この公園は結構広く奥の方は雑木林然とした様子になっていた。その一角なるべく人目に付かないところに立木を利用してダンボール組んで即席のおうちが完成した。広げたスーツケースを支えに大きめの箱状にダンボール立てかけただけだが… 「ゆゆ、ゆっくりできるね」 まりさは嬉しそうに床にあたるダンボールにひいた俺の着替えの上ではねている、適応力の強い奴だ。携帯電話の天気予報ではここ数日は雨が降らないらしいからとりあえずはこれで大丈夫だろう。 俺はといえばコートの下に新聞紙を突っ込んで保温効果もアップした。 明日夜が明けたらもう一度なんとか知り合いに連絡を取って金を借りるなりしよう、さすがに公園で永遠に暮らすわけにも行かない。と、いうかヤダ。 「はら減ったなあ…」 ぼそっとそう呟くと俺の洗濯前のシャツに器用にくるまったまりさがこっちをみていた。 「まりさ…すまんな…だめな飼い主で…」 「ゆゆ、まりさおにーさんといられればへーきだよ、明日朝さんがきたらまりさ狩りにいくよ!」 そういって微笑むまりさ、どこまでもポジティブな奴、でも俺は虫とか喰えないからなあ、まあ朝になったら俺も狩り…じゃなかった、金策と職探に奔走しよう。アパート件ももう一度相談できそうなところに聞きに行かないと。 そう思い横になっていると、眠気が俺とまりさの上におりかかってきた。 その時、外から「ゆゆ!ここにゆっくりぷれいすがあるよ!」「ここをまりさとれいむのゆっくりぷれいすにするんだぜ!」と、耳障りな声が聞こえた。 俺が起き上がるよりはやくまりさが外に飛び出していく、するとまたあの耳障りな大声。 「ゆゆっ!きたないまりさが出てきたよ!」 「ここはまりさとれいむのおうちにするんだぜ、きたないまりさはさっさと死んでね」 「ちんでね、ちんでね」 ああ、どうやらお約束のまりさとれいむのつがいらしい、そしてどうも子供も一緒のようだ。 俺はわざと姿を見せずに成り行きを伺うことにした、果たして外からは「れいむのまりさは強いんだよ!まりさのぷくーをみてこわくてしんでもしらないよ!」とれいむ種特有のキンキン声でわめいている。 「ちんでね、ちんでね」と、頭の悪そうな子ゆっくりの声がそれに追従した。 「ゆふふ、こわくてこえもでないんだぜ、このまりさ、まりさ様のぷくーをくらうといいんだぜ」 どうやらつがいの馬鹿饅頭はあの滑稽以外の何者でもないゆっくり特有の威嚇行動をしているらしい、その証拠に「まりさのぷくーはいつみてもはくりょくあるね!きたないまりさは何にもいえないよ、くずまりさだね、ゲラゲラ」「くじゅーくじゅー」と、やかましい。 その時。俺の飼いゆっくりのまりさは対峙している相手の威嚇行動をじっと見ていた、その顔にはおびえの色は一欠片もない、そしてにこりと微笑むと「鬼意惨、まりさ今夜はほんきだしていいよね!」と姿を見せない俺に叫ぶ。 「ああいいぞ!承認する!」 「ひゃっはー」 「ひゃっはー」 外のまりさとダンボールハウスの中の俺は同時に雄叫びを上げるとお約束の言葉を叫んだ。 『ゲスゆっくりはせいさいだあああ!』 その声を聞きつけた親まりさがため込んだ空気を一気にはき出し叫んだ。 「どぼじてにんげんさんがいるのおおお!」 「ゆ、ゆっくりできないいい!」 「ゆんやああ、きょわいよー!」 人間の声を聴いたとたんそれまでの威勢は何処へやら、親まりさはみるみるしぼみ親れいむは子ゆっくりに「おちびちゃん!ゆっくりしないでゆっくりにげるよ!」と頭の悪いことを叫び、こゆっくりは「ゆっきゅりりかいしちゃよ」と、これもまた馬鹿丸出しの返事を叫んでいた。 俺はといえば片肘突いてダンボールハウスの中で横になったままだ、俺のまりさならこのていどの馬鹿家族など敵ではない、なにしろこの俺、元虐待鬼意惨が自ら仕込んだ攻撃型まりさなんだから。 「ゆぎゃーあああ!」 真っ先に逃げ出した親れいむに通常のゆっくりの三倍のスピードで迫った俺の魔理沙は、ピコピコ動く目障りなお下げをくわえると、そのまま振り回して立木にクリーンヒットさせた。 「ぶぎゃっ!」 無様な声を上げて餡子を吐きつつ地面にたたきつけられて痙攣するれいむ、弱い弱すぎる。十饅酷饅頭。 「おのれー!よくもれいむをーおお!」 つがいを攻撃されて怒り狂い果敢に突っ込んでくる親まりさ、だが俺の魔理沙はそれを「ゆゆ、当たらなければどうということはないよ」と、呟いてひらりと交わし体を捻りざま被っているお帽子をフワリと投げた。 「ゆゆ、きゅらいよー、みゃみゃー」 もそもそと逃げようよしていた子れいむにそのお帽子が被さった。 いきなり視界を遮られパニックを起こし泣き叫ぶ。しかしみゃみゃー(苦笑)はあんよを空に向けて絶賛気絶中だ。 「ゆゆっ!おちびちゃん!ゆっくりたすけるよ!」 親まりさが俺の魔理沙の投げた帽子に駆け寄ったそのとき、横から立ちふさがった俺のまりさがジャンプ一閃、カウンター気味の体当たりを喰らわせた。 「ゆぎゃあああ!」 悲鳴を上げて地面にたたきつけられた親まりさ。何とか力を振り絞り震えながら起き上がろうとしたとき「ぶぎゃあっ!」と断末魔が響く。 俺のまりさがしかけた脳天からのボディプレスで親まりさのあんよが爆発したようにはじけ餡子が底面から飛び散った。 そして素早く押しつぶした親まりさの上から飛び退ると華麗に着地した。 「ふう、ぜんぜんはりあいがないよ」 息一つ乱さずまりさはそういうと。ダンボールハウスの中からはい出してきた俺の気配に気づき振り返ってにっこり笑った。 月明かりに照らされたまりさに俺も笑顔を返す。 「ゆゆっ…」 「みゃみゃーぴゃぴゃー!だちてねだちてね」 呻いている親ゆっくりと泣き叫んでいるお帽子の中の子れいむ、俺がその様子を見渡していると、お帽子を回収して、「ゆゆ、まりさはおうちに戻るよ」といい跳ねていくまりさ。 「さて…」 ダンボールハウスの中にまりさが入っていくのを見届けると「こればかりはあいつも慣れないからな」とつぶやき「フヒヒ、思わぬお夜食さんができましたよ」と、両手をこすりながら瀕死の親まりさと親れいむ、そして恐怖で「こにゃいでね、こにゃいでね、ゆんやああ」と泣き叫ぶ子れいむに近づいていく。 新聞紙の上にてんこ盛りになった餡子をパク突くまりさと俺、同族食いはゆっくりできないまりさだが目の前にあるのはすでに解体済みのただの餡子だ。もう何も無問題だ。 「むーしゃむーしゃしあわせー」 「うん、結構いけるな、やっぱり精神的にも肉体的にも疲れた時は甘い物だな、今夜はともかくこいつを喰って寝よう、俺も明日は朝から走り回らなきゃならんからな」 「ゆっくりりかいしたよ!」 ミカン大の子れいむはというと、輪ゴムでぎちぎちに縛られてコートのポケットの中だ。目の前で親を解体された子れいむは、朝が来る頃には恐怖とストレスででさらに美味しくなって朝食の代わりをしてくれるだろう。 満腹したにわかホームレスの俺とまりさはいつの間にか寝てしまった。 空には月が「ゆっくりしていってね」とばかり煌々と輝いていた。 終わり トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 良い飼いゆっくりじゃないか。ほのぼのしてゆっくりできたよー -- 2010-10-26 22 08 42 脱字の多さが気になった -- 2010-08-26 19 44 44 ほのぼの -- 2010-08-18 23 34 39 輪ゴムで縛るってのも虐待に応用できそうだな -- 2010-07-28 23 31 10 いいね -- 2010-06-12 00 00 24 ダンボールハウスって子供の頃に作ってとてもゆっくりできたよね! -- 2010-06-02 11 30 02
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※前半は虐待成分無し 長いです 自分は何から逃げているのか。 男の頭はさっきからその問いかけを繰り返している。 「はっ・・・!はぁっ・・・・・!!」 夜の帳の降りきった森の小道に、男の走る足音と荒い息づかいだけが聞こえる。 逃げ始めてからどのくらいになるだろうか。 男は村の中でも比較的若い樵(きこり)であり、この日も遅くまで斧を手に汗を流していた。 ここは幻想郷。妖怪が跋扈し始めるこの時間まで森にいたのは、何も男が迂闊であるからではない。 ここ一帯は村とはさほど離れているわけでもなく、妖怪が出た試しもない比較的安全な場所であるからだ。 しかし、そんなことは男にとって何の気休めにもならない。 自分を襲った「何か」に噛まれた右肩が熱い。 きっと明るみに出れば、ぞっとするような傷跡が広がっていることだろう。 「は・・・・・!!」 村の灯りが見えてくる。 男は最後とばかりにあらん限りの力を足に込める。 一気に畑を突っ切り、村の広場まで出ると、男の妻がいた。 「おかえり・・・・えっ!!」 村の広場についた男は、妻の驚く声にへたり込んだ。 (・・・・・あれは・・・・?) 妻に包帯を巻かれ、父親からの質問を受けながら、男は今一度、考える。 自分を襲ったあれは? 猪ではない。 熊でもない。 ましてや・・・妖怪でもない。 (あれは・・・確かに・・・) しかし、あり得ない。 あり得ないことだった。 「何にやられたんじゃ!?獣か、それとも」 「お父さん、今はこの人も混乱してるでしょうから・・・」 (確かに) 「うーん・・・・。」 起き抜けに、上白沢慧音は白い腕を大きく伸ばす。 青く澄み、天高く何とやらそのものの秋空が広がっている。 「・・・寝すぎたか。まあ、約束には間に合うだろう。」 時刻は昼。普段里の誰よりも早く起きる彼女にしては遅い時間だ。 無理もない。 つい最近までのうだるような暑さで、夜は寝付けず朝は汗の感触で目が覚めるということを繰り返してきたのだから。 朝寝は一年で一番過ごし易い季節の、ある意味最も簡単な満喫法と言える。 「いい季節になったものだ。」 起き上がり布団を畳むと、顔を洗うために立ち上がった。 「「先生、おはようございます」」 「うむ、おはよう。」 家を出た直後に寺子屋の教え子達とすれ違った。 「今日はどこ行くの?」 「ああ、隣の村へ行ってくるよ。」 「ふーん、いってらっしゃい!」 ちなみに、収穫期であるため寺子屋はしばらくお休みだ。農家にとって子どもも重要な労働力である。 慧音のところへ、隣村の村長が訪ねてきたのは昨夜だった。 「息子が襲われただと?」 「ええ・・。」 「私のところへ訪ねてきたということは、妖怪か。待っていろ、すぐに妹紅にも言って」 「いえ、襲ったのは妖怪ではないみたいなんです。それだけは本人がはっきりと。」 「では?」 「ええ、それが、本人も要領を得ないようでして・・・。とにかく、明日本人からの話を聞いていただけませんか?」 「大方熊か何かの仕業だろうが・・・・。」 歩みながら呟く。妖怪ではないにしろ、熊であるだけでも十分な脅威だ。 「しかし、確かめてみらんことにはな。」 村に着くと、子どもの声での挨拶が出迎えた。 「「お姉さん、こんにちは!!!」」 「こんにち・・・は?」 子ども達ではなかった。 ゆっくりれいむとまりさの二匹である。 「お前達・・・」 「ゆ!お姉さんこの村は初めて?ゆっくり案内するよ!」 「あ、ああ。」 別段初めてではないのだが、面食らってそう答えてしまう。 「行き先はどこなの?」 「そ、村長殿の家だ。」 「わかったよ!しゅっぱーつ!!」 ぴょんぴょんと慧音の前を跳ねて行く二匹。 (頭についているバッジ・・・) 「お前達、ゆっくりブリーダーのところのか?」 「そうだよ!れいむとまりさはこの村の道案内を任せられたんだよ!」 「楽しいか?」 「うん、楽しいよ!」 「まりさ達色んな人とお話しできるんだよ!!」 「そうか。」 慧音は驚いていた。 利己的かつ生意気な行動で駆除の対象となるゆっくりが、人間の手によってここまで 意思疎通が出来、しかも仕事を任せられるような存在になるとは。 二匹の後を追いかける慧音は、やがて畑にさしかかった。 並ぶ畑の中で一際目立つのは、向日葵を中心とした色鮮やかな花が躍る、畑としては小規模のものだ。 背の高い花のただ中で、慧音の腰くらいの身長の、チェック柄の服を着た女の子が立っている。 麦わら帽子姿でじょうろをかざすその姿は、花畑の中にあってひたすら牧歌的だ。 「奇麗だな。」 「ゆー!のうかりーん!」 「へ?」 帽子がくるっと向こうを向くと、慧音は再び目を剥いた。 そこにあったのは、緑髪のゆっくりの顔だった。 「この子もゆっくりなのか・・・?」 のうかりん。 四季のフラワーマスター・風見幽香に似た姿をもつゆっくりゆうか。 元々知能も身体能力もゆっくりの中では高く、更に固有の特徴として花を育てる。 極めて希少性の高い体つきとなると更にその傾向が強くなり、花の他にも人間が食べるような農作物も手がけるようになり、 見た目も麦わら帽子と農家風(?)となるため、のうかりんという呼称で呼ばれている。 「全部一人でやっているのか?」 「・・・ちぇん、手伝ってくれる。」 ややぶっきらぼうに慧音の質問に答えたのうかりんの背後から、ゆっくりちぇんが飛び出してくる。 「お姉さん!お客さんだねー、わかるよー。」 「慧音様、いらしてたんですね。」 背後からの声に振り向くと、一人の青年が立っていた。 「あ!おにーさん!!」 青年に駆け寄って行くれいむ達二匹。 「すると・・・お前がブリーダーなのか?」 「おかげさまで・・・先生。」 ゆっくりブリーダーの青年は、寺子屋の生徒だった。 「まさかあのお前がブリーダーとはな、驚いたぞ。」 「そうですか?あの頃から動物とか好きだったんですよ。」 「いや、お前が根気のいる作業が出来るとは思わなんだ。お前達の代で一番私の頭突きを食らったお前が。」 「はは、彼はいい加減頭が割れるんじゃないかともっぱらの噂でしたよね。」 「馬鹿者。」 談笑しながら村長の家へ向かう二人。足下にはおなじみの二匹。 「それはそうと。」 「何ですか?」 と、いきなり青年の手をとり、がしっと自分の手を重ねる。 「え」 「私は今、猛烈に感動している!!」 慧音の目には炎が宿っていた。 (始まっちゃった・・・) 青年は内心呟く。 「ゆっくりと人間との共存の可能性を見せてもらった!いち教育者として、お前に敬意を表する!!」 「せ、先生・・。」 「そもそも教育とは知性ある万物に施されるべきものであり・・・」 こうなったらもう止まらない。青年は引きつり笑いで言葉の奔流を受ける覚悟をした。 「ゆ?お姉さん、村長さんの家に行かなくていいの?」 「それはつまり・・・あ、いかんいかん、そうだったな。」 (・・・・ナイスまりさ!!) 「ところで慧音様、村長の家には何の御用で?」 「ああ、それがだな。」 ふと表情を引き締める慧音。 「お父上から話は聞いた。その傷、森でやられたのか?」 「はい・・・・。」 村長の家に着いた慧音は、早速村長の息子ー男と対面していた。 庭では青年とれいむ、まりさが遊んでいる。 「妖怪ではないと聞いたが、君を襲ったものは何なのだ?」 「・・・・。」 「暗い中食いつかれたのだ、混乱してはっきりとわからないのも無理はない。 だが妖怪ではないと言うのなら、それなりの目星はついているのだろう?」 「・・・信じてもらえないかもしれませんが・・・。」 「ふむ?」 正座した膝に置かれた男の手が、ぎゅっと握りしめられる。 「あれは、ゆっくりでした・・・!!」 昨晩、男は目当ての木を切り、いくつかの丸太に分けたところで仕事を切り上げようとした。 「ゆっくりしていってね」 ふと、背後から聞こえるおなじみの声。 振り向くと、そこにゆっくりの姿は無く、代わりに持って帰る丸太の一本が無くなっていた。 目の前の茂みではがさごそという音が。 大方いたずらで丸太を隠そうとでもしたのだろうが、あまりにもお粗末なやり方。 今日の成果を隠した不届きものを踏みつぶそうと男は茂みに踏み入る。 そこで見てしまった。 丸太を齧り、ぼりぼりと咀嚼する二匹のゆっくりを。 ゆっくりが丸太を齧れるだろうか? いや、そもそも丸太を運べるだろうか? そう思い至るのと、二匹が振り向くのが同時。 「おじさん・・・ゆっくり・・・・シテイッテネェェェエ!!!」 自分に向かって跳躍する、白黒帽子。 その口には、ぞろりと牙が並んでいた。 「・・・にわかには信じ難いが・・・。」 「もしかしたら、自分の頭がおかしくなっているのかもしれません。 しかし、もし本当にゆっくりだとしたら、皆にも危険が及びます。 お願いです慧音様、この件、協力していただけないでしょうか?」 「承知した。正体が何にせよ、人間にそのような傷を負わせる ものを放っておく訳にはいかんからな。」 「!ありがとうございます!!」 「寺子屋はしばらく休みだから、この村に留まって調査をしよう。宿を貸してくれるか?」 「もちろんです。」 皆が寝静まったその夜。 月に照らされた鶏小屋から、ぶちっ、めきめきという音が。 中でうごめくのは二つの影。 月光に浮かび上がるのは、血まみれの鋭い歯並び。 それと、白黒帽子と赤いカチューシャだ。 「うめ・・・・めっちゃ・・・ウメェ」 続き お久しぶりです、ゆっくりゃバーガーの人です。 思ったより長くなってしまい、分けることにしました。 続きは2、3日中に上げられると思います。 このSSに感想を付ける
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前 さて。 小一時間ほど休憩したところで、俺はゆっくり魔理沙へのお仕置きを再開することにした。 残る赤ちゃんゆっくり霊夢は四匹。 赤ちゃんゆっくりアリスを喰らって空腹感を満足させた姉妹たちは、家族が殺されたにも関わらずに箱の真ん中でのんびりと昼寝をしていた。 やれやれ、自分たちの立場が分かっているのかね? ゆっくり魔理沙は相変わらず大きさに合わない小さな箱に圧縮されて息苦しそうにしながら、殺された姉妹のことを思い出しているのか、現在の状況を振り返っているのか、ゆぐゆぐと嗚咽を洩らしていた。 その表情、たまらん。 俺の愛するゆっくり霊夢は猿轡を噛まされながら沈んでいる様子だった。 もうちょっとだけ我慢してほしい。 すぐ終わるからさ。 「おーい、起きろー」 俺は姉妹の箱を両手で持ち、がたがた揺らした。 赤ちゃんゆっくり霊夢たちは驚いて跳ね起き、混乱した頭で四方八方に飛び回る。 「ゆっ、じしんだよ!?」 「ゆゆゆ、すごいゆれてるよ!」 「ゆっくりできないよぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆっくりさせてえええええぇぇぇ!!!」 ああっいい! いいよその表情! 悲鳴! ゾクゾクする! 俺は悦に浸りながら振動を止め、ゆーゆー泣き出した姉妹たちににっこりと笑いかけた。 「やぁ、起きたかい?」 「ゆっ、おにいさん!?」 「いまのはおにいさんがやったの!?」 「れいむたちのおひるねのじゃましないでね!」 「おにいさんとはゆっくりできないよ!」 相変わらず自分たちの立場を理解していない上から目線。 こいつらにもう少し知能があれば、第二のペットにしてやるのに…… とりあえず怒りの矛先が俺に向けられるのは何となく申し訳ない気分になってしまうので、責任を転嫁させてもらうことにしよう。 「悪いね。君たちのお母さんに、君たちをゆっくりさせるなと頼まれたんでね」 「ゆっ!?」 姉妹たちが母親を見る。 ゆっくり魔理沙は寝耳に水の衝撃発言に呆気に取られて反応が遅れる。 そりゃそうだろう。いきなり自分の名を出され、しかも事実無根の罪を被せられたのだから。 いやまぁ、事実無根の罪を被せるのは今に始まったことではないけど。 当然のように、ゆっくり魔理沙は否定の言葉を口にしようとする。 「うそだよ! まりさはそんなこと言わないよ!」 「って、言ってるけど、信じる?」 普通のゆっくり家族なら、母親を信じ、俺をなじる。 だが、この家族は既に普通の家族ではない。 俺がそうした。 「うそいってるのはおかあさんのほうだよ!」 「れいむたちをゆっくりさせないなんてひどいおやだね!」 「もうおやじゃないよ! おねえちゃんたちをころしたわるいゆっくりだよ!」 「わるいゆっくりはゆっくりしね!」 「「「ゆっくりしね!! ゆっくりしね!!!」」」 もう何度目になるか分からない、ゆっくりしねコール。 憤怒と憎悪が込められたそれは、本来決して母親に向けられるべきものではない。 しかしこの赤ちゃんゆっくりたちにとって、目の前のゆっくり魔理沙が既に母親でもなんでもなかった。 姉妹を見殺し。 食事を独り占め。 昼寝すら邪魔をする。 果たして、こんな自分たちをゆっくりさせないゆっくりが存在していいのだろうか。 否。 母と呼んだ存在はもう記憶の彼方に抹消した。 目の前にいるのは『敵』だ。 自分たちのゆっくりを脅かす敵なのだ。 ――なんと素晴らしい、明後日の方向に捻じ曲がってしまった的外れの怒りか! 俺は感動の涙と笑いが同時に来てしまい、思わず顔を背けてしまった。 こいつら面白すぎる。 「ゆっくりしね!」 「ゆっくりせずにしね!」 「おにいさん、あのまりさをころしてよ!」 「そうだよ! れいむたちがゆっくりできるようにまりさをころして!!!」 おおぅ、とうとう俺にまでお願いし始めた。 いかなる手段を用いても、目の前に鎮座して姉妹たちをいじめては喜んでいる(そう赤ちゃんゆっくりたちには見えている)ゆっくり魔理沙を排除したいのだろう。 で。 その対象、極めて冤罪(いや罪はあるか)を多くかけられているゆっくり魔理沙はというと、 「な゛んでぞんな゛ごどい゛う゛の゛おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」 やっぱり咽び泣いていた。 休憩を挟んだおかげで、体力や気力は少し持ち直したらしい。廃人……いや廃ゆっくりにはまだならずに済みそうだ。 いいねいいねー。 泣くゆっくりはやっぱり可愛いな! 涙を流して必死な表情のゆっくりだけを集めた家に住めたら俺死んでもいい。 管理が大変なんで自分ではやらないけどさ。 これでも現実は見ているつもりである。 「では、準備があるので少々お待ちを」 俺は牙を剥いて(比喩)ゆっくり魔理沙を威嚇している姉妹たちを置いて一旦外に出た。 太陽はまだ昇ったばかりで、気温はまだまだ涼しいとは言い難いが、それでも日中の熱気に比べれば大分緩やかだ。 なんか濃密な時間を過ごしたせいで、もう昼間になってた気がしていたんだが……まだ八時といったところか。 俺は加工所で購入した二つの箱のうち、赤ちゃんゆっくりアリスが入っていたほうではないもう一つの大きな箱を手に取った。 大きいといってもサッカーボールが収納出来る程度の大きさである。 木造の箱は中身が暴れているせいか、ごとごと揺れていた。 活きがいいな、これなら期待出来そうだ。 俺は箱を持って家に戻ると、わざと音を立てて床に箱を置いた。 予想通り、好奇心旺盛な赤ちゃんゆっくり霊夢たちが先程までの怒りをすぐに消し、興味津々に眺めだす。 「ゆっ、なにそれ?」 「ゆっくりできるの?」 「ゆっくりしていってね!」 うむ、ではご期待に添えようじゃないか。 俺は全員の注目が集まっていることを確認すると、勢いよく箱の蓋を開いた。 途端、 「うー!」 中からゆっくりれみりゃが飛び出し、家の中を羽ばたきだした。 赤ちゃんだったゆっくりアリスとは違い、こちらはちゃんと成人(成ゆっくり?)したサイズである。 無論、赤ちゃんゆっくり霊夢など一口で食い殺してしまうだろう。 突然の捕食種の登場に、赤ちゃんゆっくりたちは目に見えて怯えだし、固まってぶるぶる震えだした。 「ゆ、ゆーっ!!?」 「れ、れみりゃだ、こわいよー!」 「ゆっくりできないよ、たすけてーっ!!!」 「れいむたちはおいしくないよぉぉぉ!!?」 ゆーゆー泣き出す姉妹たち。 くはっ、萌え狂う! っと、鼻血を出している場合ではない。 「れ、れみりゃはあっち行ってね! まりさたちに近付かないでね!」 ゆっくり魔理沙は身動き出来ないながらも、必死にれみりゃを追っ払おうと睨みつけている。 ゆっくりれみりゃを怖がるのは何も赤ちゃんだけではないからな。 俺のマイスウィートラブリーエンジェル・ゆっくり霊夢も怯えて固まってしまった。 ああごめんよ、我慢してね。 俺はゆっくりれみりゃが入っていた箱の底からスプレー型の小瓶を取り出すと、ゆっくり霊夢の箱に小瓶の中身をしゅっと吹きかけた。 「う、うぁー!?」 卑しくもこの中で一番丸々太っていて美味しそうなゆっくり霊夢の周囲を旋回していたゆっくりれみりゃは、霧状の粉末がゆっくり霊夢の箱に飛び散るのと同時に慌てて離れだした。 あぅ、泣き顔のれみりゃもかわええのぉ。 でも胴体付きは駄目だ。流石の俺もあれだけは可愛がれねぇ。 紅魔館の周囲にはあの豚どもがうようよ生息してるのか……あまり想像したくない光景だな。 そういえば咲夜さんも駆除が追いつかないって俺に愚痴を洩らしていたな……って、今はそんなことどうでもいいか。 「えー、注目。このスプレーはゆっくりれみりゃが嫌がる香りを吹き付ける優れものです。これがあればゆっくりれみりゃには襲われません」 「ゆっ!? じゃあはやくれいむたちにちょうだい!」 「ゆっくりしないでいそいでかけてね!」 スプレーの説明をすると案の定、助かりたい一心の赤ちゃんゆっくりたちが騒ぎ出す。 俺はそれを無視して、ゆっくり魔理沙を入れた箱にスプレーを吹きかけた。 「あ、あかちゃんたちも助けてあげてね!」 ゆっくり魔理沙は子供に責められてボロボロになりながらも、それでも子供たちを助けてやってくれと哀願してくる。 うーん、ゆっくり魔理沙にしているのが勿体無いくらい家族思いのやつだ。 二週間前、仲間が殺されたのをケロっと忘れたゆっくりと同一人物とは思えんぞ。 まぁ、箱の中にいる限りスプレーがあろうとなかろうと助かるって分かってない辺りが、ゆっくりのゆっくりたる所以なのかもしれないが。 ああでも香りが付けばゆっくりれみりゃが近寄らなくなるので、その分心労は減るかもな。 「さて、最後はこれだな」 俺は姉妹たちの箱にスプレーを吹きかけた。 途端、安心したようで赤ちゃんゆっくり霊夢たちは大はしゃぎする。 「ゆー♪ これでもうあんしんだね!」 「れみりゃをこわがらなくてすむね!」 「やーいやーい、れみりゃのばーか!」 中にはゆっくりれみりゃを小馬鹿にした顔で貶すゆっくりまで出る始末。 ゆっくりれみりゃは悔しそうに、だけど近づけないのでうーうー遠くから唸っていた。 このうーうーってやつ可愛い。 「とりあえず、これで箱は全て安全地帯となったわけですが」 自分自身にもスプレーを吹きかけ、俺は姉妹たちの箱の前に立つ。 「でも、君たちにスプレーが直接かかったわけじゃないから、箱の外に出ると安全ではなくなるわけです」 「……ゆ?」 「そ・こ・で」 俺は邪悪……もとい天使の微笑みを浮かべて、 「君たちのうち、三匹をそこから出してあげます」 「ゆ、ゆーっ!?」 赤ちゃんゆっくりたちはにわかに騒ぎ出した。 「や、やめてね! れいむたちをここからださないでね!」 「え、なんで? あれだけ出たいって言ってたじゃないか、良かったね!」 「よ、よくないよーっ!?」 「そとにでたられみりゃにたべられちゃうよ!」 「おにいさん、れいむたちをそとにだすまえにれみりゃをゆっくりなんとかしてね!」 「ごめんね! お兄さんじゃゆっくりれみりゃには勝てないんだよ!」 激嘘。 「でも大丈夫! 君たちにはチャンスがあるよ!」 「な、なに!?」 「ゆっくりしないでいってね!」 「今からゆっくり魔理沙に問題を出します。君たちがゆっくりれみりゃに捕まる前に回答することが出来たら、君たちを解放してあげるよ!」 つまりは今までと同じである。 当然、 「ゆっ、それはだめだよ!」 「おかあさんはれいむたちをころそうとしてるもん!」 「おかあさんじゃゆっくりできないよ!」 「おかあさんはころしていいかられいむたちをたすけてね!」 反発が起こる。 今まで助ける機会がありながらも問題に答えず、姉妹たちを見殺しにしてきた母。 今更そんなゆっくりを信用出来るはずがない。 「ぞん゛な゛ごどな゛い゛よ゛ぉぉぉぉぉ!!! ま゛り゛ざはぢゃんどれ゛い゛むだぢを゛だずげる゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 そして、こちらは信頼を裏切り続けるゆっくり魔理沙。 答えられるはずもない無理難題を押し付けられ、逆恨みを買いまくっているあまりにもゆっくり出来ない哀れな存在。 激しく嗜虐心をそそります、はい。 ぶっちゃけ、そろそろ子供たちを見捨ててもいいと思うんだ。 愛しているのに、その愛が全然、まったく、これっぽっちも伝わらない悲しさ。 同情を買う? いいえ、滑稽です。 「残念ながらルールの変更は認められません。精々、ゆっくり魔理沙が回答に辿り着けることを祈っていてください」 「そんなのしんじられないよ!」 「どうせおかあさんじゃこたえられないよ!」 赤ちゃんゆっくり霊夢たちが発言するたびにゆっくり魔理沙の心がザクザク傷付けられていく。 最っ高! 「何を言っても駄目でーす。それではゲーム、スタート!」 「「「「ゆ、ゆっくりしていってよー!?」」」 「お、おねえちゃーん!!!」 俺は四匹のうち、末っ子だけを残して、三匹を外に出した。 するとすぐに、空腹でイライラと部屋中を飛び回っていたゆっくりれみりゃが、歓喜の表情で突撃してきた。 「ぎゃおー! たーべちゃうぞー♪」 「や、やだぁー!!!」 「ゆっくりやめてね!!!」 「ゆ゛っぐりでぎな゛い゛よ゛お゛お゛おぉぉぉぉぉ!!!」 赤ちゃんゆっくりたちは涙目ながらも生存本能からか高速で散開。勢いを止められず、ゆっくりれみりゃは先程まで三匹がいた床に激突する。 「う、うわぁー!!!」 泣き出すゆっくりれみりゃ。 か、かわえぇ! っと、見とれている場合ではない。 このままでは不公平だしな。 俺はゆっくり魔理沙に向き直った。 「では問題です」 「は、はやく出してね!」 「いやいや、遠慮すんな。いつも通りゆっくり答えろよ」 「ゆっくりできないよ!!! はやくもんだい出してね!!!」 俺の後ろでゆっくりれみりゃに捕獲されないよう、必死に逃げ惑う子供たちの姿が見えているのだろう、ゆっくり魔理沙が俺を急かす。 やれやれ、仕方無いな。 「では問題です。『れみりゃはまりさのあかちゃんをゆっくりたべていってね!』これを千回言ったら子供たちを助けてあげるよ」 あ、『問題』じゃねーやこれ。 まぁいいか。 ゆっくり魔理沙は驚いて目を見開いていた。 「そ、そんなこと言えないよ!」 「じゃあ、赤ちゃんをゆっくりれみりゃに食われるのを黙って見てるんだな」 「そ、それはだめだよ!」 「じゃあ言うんだ。途中でつっかえたりしたら、もう一度初めからやり直しだからな」 「ゆっ……」 諦めたように瞼を閉じ、ゆっくり魔理沙は息を吐き出した。 言いたくない台詞を言わなくてはいけない葛藤。 だが、それでも親の愛が勝るのだろう。 ゆっくり魔理沙は大声を上げた。 「れ……れみりゃはまりさのあかちゃんをゆっくりたべていってね!」 「おーいお前ら、お母さんがこんなこと言ってるぞー!」 「ゆっ!?」 突然赤ちゃんたちに話を振る俺に驚くゆっくり魔理沙。 ブランコや滑り台などの遊具を使って必死に逃げ惑っている赤ちゃんゆっくり霊夢たちは、突然の母の暴言にまたも怒りを曝け出す。 「な゛ん゛でぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉぉぉ!!?」 「やっばり゛おがあ゛ざん゛じゃゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆ゛っぐり゛じね゛ぇ゛ぇ゛ぇぇぇ!!!」 「ち、ちがうよ! おかあさんはれいむたちをたすけようと」 「はいアウトー! 規定の台詞以外の言葉をしゃべったのでもう一度最初からね!」 「ゆっくり!?」 そう、これはどれだけなじられようともゆっくりれみりゃに自分の子供を差し出す台詞を言い続けなければならない拷問。 今頃それに気付いたのか、ゆっくり魔理沙の瞳から涙が止め処なく溢れ出した。 「ひ、ひどいよぉぉぉぉぉぉ!!! ま゛りざだぢがな゛に゛をじだのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」 「シチュー落っことしたじゃねーか」 もう忘れたのかよ。 「ほら、早く言わないと千回言い終わる前に子供たちが全員食べられちまうぞ?」 「ゆ……」 再びの葛藤。 だがやらないと子供は助からない。 ゆっくり魔理沙は泣き顔で、もう一度言葉を繰り返し始めた。 「れ、れみりゃはまりさのあかちゃんをゆっくりたべていってね!」 「ゆっぐりじねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「れ゛み゛りゃはまりざのあがぢゃんをゆっぐりだべでいっでね! れ゛み゛り゛ゃはま゛り゛ざの゛あがぢゃん゛をゆ゛っぐり゛だべでい゛っでね゛っ゛!!」 糾弾され、涙声になっても、今度は言葉を止めずに言い続けるゆっくり魔理沙。 この全てに絶望したような顔、素晴らしい! これだからゆっくりいぢりは止められないのだ。 さて、ではそろそろ赤ちゃんゆっくり霊夢たちのほうに視線を移してみよう。 「うー! うー!!」 「こっちにこないでねぇぇぇ!!?」 「れいむっ、こっちだよ、はやく!」 「ゆっ、ありがとうおねえちゃん!」 成体のゆっくりれみりゃじゃ潜り抜けられないようなブランコや滑り台の小さな隙間を使い、上手く攻撃をかわしている。 なかなかやるなぁ。もしかしたらペット用ゆっくりになれる素質の持ち主かも。 対するゆっくりれみりゃはかなりご機嫌斜めのようだった。 自分より格下の存在であるゆっくり霊夢、しかも赤ん坊をなかなか捕食出来ないのだから当然だろう。 しかも加工所からここまで、何も食べていないのだ。空腹も怒りに拍車をかけている。 考えなしに広い場所へ行かず、真っ先にこの場所へ陣取った姉妹たちの作戦勝ちといったところかな。 ……まぁ、実はゆっくりれみりゃが嫌がる香りを浴びた箱にぴったりくっついていれば、このゲーム楽に勝てたりするんだけどね。 そこに気付かない辺りは、やはりゆっくりといったところだろう。 「れみりゃはまりさのあかちゃんをゆっくりたべていってね……れみりゃは……」 呪詛のようにぶつぶつ呟き続けるゆっくり魔理沙。 その声は、ここにいる全てのゆっくりに聞こえている。 逃げ惑うゆっくり姉妹たちはゆっくりれみりゃの攻撃を避けながら、ずっとその言葉を聞き続けていた。 母でありながら自分たちの死を願う、その言葉を。 何度も、何度も。 そして。 ついに一匹の赤ちゃんゆっくり霊夢が、キレた。 「ゆ゛っぎぃ゛ぃ゛ぃぃぃ!!! う゛る゛ざぐでゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 リボンの番号を見るに三女か、赤ちゃんゆっくり霊夢3が怒りに頬を膨らませてゆっくり魔理沙の元へ走り出した。 どうにかしてゆっくり出来ない声を止めようと考えたのだろう。 しかしそれは、なんという自殺行為。 「うー♪」 「おね゛え゛ぢゃん、に゛げでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「……ゆっ!?」 周囲に障害物はない。 身を隠す場所は、何も無い。 ゆっくりれみりゃはこの上なく無邪気な笑顔を浮かべ、何も遮るもののない赤ちゃんゆっくり霊夢3までの距離を、高速で飛翔し零とした。 妹の悲鳴に赤ちゃんゆっくり霊夢3が振り向けば、そこには眼前にドアップで迫るゆっくりれみりゃの姿。 「うー!」 「ゆゆゆ、ゆっくりまっ……ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 頭上へと昇ったゆっくりれみりゃは、その身体を急降下させて赤ちゃんゆっくり霊夢3を押し潰した。 飛び散る餡子。 平べったくなった饅頭の肉体。 「れ゛い゛む゛ぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 「ゆ゛……ゆ゛べっ……」 姉の悲痛な悲鳴。 それに身体を弱々しく震えさせながら、反応する赤ちゃんゆっくり霊夢3。 大量の餡子を吐き出しながら、それでも赤ちゃんゆっくり霊夢3は生きていた。苦しそうに呻きながら、必死に現在の状況から逃げ出そうともがいている。 無論、それを見逃すほど、ゆっくりれみりゃは捕食種としてお人好しではない。 「うっうー♪ たべちゃうぞー♪」 「ゆびゅぅ!? れ、れ゛い゛む゛のがら゛だをだべな゛い゛でねっ!?」 赤ちゃんゆっくり霊夢3の頬に齧りつくゆっくりれみりゃ。そのまま少しずつ、ゆっくりと味わうように咀嚼していく。 皮が千切れ、餡子が溢れ出る都度、赤ちゃんゆっくり霊夢3は絹を裂くような悲鳴を上げる。 「や゛め゛でぇぇぇぇぇぇぇ!!! ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「うー♪」 しかしその悲鳴も、ゆっくりれみりゃにとっては食事を彩る調味料としかならない。 いや、それとも、ゆっくりの悲鳴など鼻から耳に届いていないのか。 兎にも角にもゆっくりれみりゃは上機嫌で、赤ちゃんゆっくり霊夢3の身体を全て完食してしまったのだった。 「ま゛、ま゛り゛ざのあがぢゃぁ゛ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん゛!!!」 ゆっくり魔理沙は耐え切れず、慟哭の涙を流した。 自分の言葉のせいで、子供が死んでしまった。 その嘆きは如何ほどのものなのだろうか。 ……まぁ、それはそれとして。 「はいアウトー。指定された言葉以外の発言をしたからもっかい最初からねー」 「ゆっぐ!?」 ゆっくり魔理沙はしまった、といった風に目を見開いた。 そう、これは子供が食べられてしまっても、自制しなければならない罠でもあるのだ。 ゆっくり魔理沙は少し先のことも考えずに本能のまま行動してしまった結果、ただでさえ少ない救出の確率を更に下げてしまったのだ。 慌てて再び「れみりゃはまりさのあかちゃんをゆっくりたべていってね!」と言うが、もう遅い。 先程までの70回くらいは全てパーだ。 「うっうー♪」 ゆっくりれみりゃは口の周りに餡子を付けながら、上機嫌に羽根を広げて舞い上がる。 そして先程残してきた姉妹、残り二匹の元へと向かった。 「お゛ね゛えぢゃんがぁぁぁ……」 「ゆっ!? ゆっくりしてたらたべられちゃうよ! ここからはなれようね!」 ゆっくりれみりゃの接近に気付いた赤ちゃんゆっくり霊夢1は姉の死にぐずぐず泣き崩れる妹のリボンを加えて、滑り台の下へと引っ張る。 間一髪。ゆっくりれみりゃの牙は赤ちゃんゆっくり霊夢5を傷付けることなく、逆に超スピード(といってもあくまでもゆっくり基準なのだが)のまま滑り台に激突し、顔面の激痛で大粒の涙を零した。 「う、うぁー! うぁー!!」 顔を真っ赤にして泣き叫ぶゆっくりれみりゃ。頬ずりしたい。 姉妹はその様子を確認すると、今度はブランコの方に移動を開始した。 気付いたゆっくりれみりゃも、ふらふらと後を追う。 「ゆっ、おいかけてきたよ!」 「だいじょうぶだよ! ゆっくりまかせてね!」 心配そうな妹の声に力強く頷き、赤ちゃんゆっくり霊夢1は前方にぶら下がったブランコを口に加えてずりずりと後退し、限界まで引っ張ると口を離した。 勢いよく吹き飛んだブランコは、無防備に近付いてきたゆっくりれみりゃへと一直線に激突する。 ばしん、という思わず目を背けてしまう光景と音。 「うぁーーー!!!」 余程痛かったのだろう、弾き飛ばされたゆっくりれみりゃは、地面にへばりついてわんわんと泣き出してしまった。 萌ゑる。 一方、捕食種への反撃が見事に決まった姉妹たちは、大喜びで飛び跳ねていた。 「ゆっゆっゆー♪ おねえちゃん、すごーい!」 「ゆゆーん♪ ゆっくりできないれみりゃはゆっくりしんでいってね!」 二匹して勝利のダンス。箱に取り残されている末っ子ゆっくりも遠目に見える姉妹の活躍にはしゃいでいた。 しかし、勝利の美酒に酔いしれる三匹の餡子脳は、まだ死神が遠のいていないことに気付いていなかった。 突如。 頬をすり合わせて喜びを表現していた姉妹の片方、赤ちゃんゆっくり霊夢3が、赤ちゃんゆっくり霊夢1の眼前から一瞬で消失した。 「…………ゆ?」 赤ちゃんゆっくり霊夢1は何が起こったのか、一瞬では理解出来ない。 妹は何処へ行った。 と。 視界の端に、引っかかるものがあった。 黒い、点々とした影。 それが、何処かへと続いている。 赤ちゃんゆっくり霊夢1は無意識に、その黒い影の先へ視線を移した。 そして。 妹は、そこにいた。 「……」 物言わぬ亡骸となって。 大量の餡子を撒き散らしながら。 「ど、どお゛じでぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」 泣きながら妹に駆け寄ろうとする赤ちゃんゆっくり霊夢1。 刹那、 ごぅん! 一迅の風が舞う。 赤ちゃんゆっくり霊夢1の頬をかすめ、ブランコが眼前を通り過ぎ、また戻っていった。 餡子を少量、付着させて。 ――つまり、なんだ。 妹は、ブランコとぶつかって、死んだ。 ブランコを動かしたのは自分。 だから。 妹を殺したのは。 「あ……ああぁ……あ゛あ゛あああ゛ああ゛あ゛あああ゛あああ゛あ゛あぁぁ゛ぁ゛あ゛ぁあ゛ぁぁ゛ぁ゛ぁぁぁ゛あ゛あ゛ああ゛ああ゛あ゛ぁぁ゛ぁ゛ぁぁ゛あぁ゛ぁぁぁ゛ぁあ゛ああ゛あ゛!!!」 赤ちゃんゆっくり霊夢1はこれでもかというくらいの大声量で悲鳴を上げた。 生まれてからずっと一緒にゆっくりしてきた妹。 それが、死んだ。 自分が殺してしまった。 ゆっくり出来なくしてしまった! 赤ちゃんゆっくり霊夢1は半狂乱になり、しっちゃかめっちゃかに周囲を飛び跳ね、奇声を上げながら床に自分の身体をぶつけ始める。 身体の痛みで、心の痛みを少しでも和らげようとしているのだろうか。 だけど、そんな余裕でいいのかな? 「うー!!!」 ようやく泣き止んだゆっくりれみりゃが、逆襲のために赤ちゃんゆっくり霊夢1の下へと向かう。 悲嘆に暮れて自傷を繰り返す赤ちゃんゆっくり霊夢1は、それに気付かない。 箱の赤ちゃんゆっくり霊夢7は立て続けに姉を失い、泣き叫んでいたため反応が遅れる。 ゆっくり魔理沙は目を瞑って同じ言葉を繰り返す機械のようになってしまっているため、既に見えていない。 「あ゛ぁあ゛あぁ゛ぁ゛ぁあ゛ああ゛あ゛ああ゛……ゆ゛っぐり゛ぃ!?」 「うっうー!!!」 ゆっくりれみりゃは飛び跳ねる赤ちゃんゆっくり霊夢1の頭を見事にキャッチすると、加速を付けたまま壁に投げつける。 思ってもみなかった突然の激痛に、赤ちゃんゆっくり霊夢1は正気を取り戻して悲鳴を上げた。 「い、い゛だい゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉぉ!!!」 口から餡子を吐き出しながら苦しみ悶える。 ゆっくりれみりゃはそんな赤ちゃんゆっくり霊夢1の頭上に陣取り、赤ちゃんと比較して三倍以上もある大きさの身体でプレス攻撃を仕掛けた。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 絶叫。 ゆっくりれみりゃはその声に満足した様子で、またプレス攻撃をする。 何度も、何度も。 「や゛めでぇぇぇぇぇ!!! ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛お゛お゛おお゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉぉぉ!!!」 明らかに殺すことが目的ではない手加減した攻撃。 食べるためではなく、苦しめるためだけの攻撃に、赤ちゃんゆっくり霊夢1はただひたすら泣き叫ぶ。 苦しい。 痛い。 助けて。 そういった感情が、見ている俺のほうにも伝わってくるようだ。 だけど、ゆっくりれみりゃは攻撃の手を休めない。 もうそろそろ死ぬ、といったところでプレス攻撃を止め、赤ちゃんゆっくり霊夢1の頭に齧り付き、中の餡子を吸い上げ始める。 「ゆ゛っぎぃ゛ぃ゛ぃぃぃぃぃぃ!!! や゛め゛でぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇ!!! れ゛いむ゛のあ゛ん゛ごずわな゛いでぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 身体の中身がどんどん失われていく感覚。 段々と、赤ちゃんゆっくり霊夢1の顔から生気が抜け落ちていく。 しかし後ちょっと、というところで、ゆっくりれみりゃはまた動きを止めた。 今度は赤ちゃんゆっくり霊夢1の身体に自分の身体を押し付け、直にそのまま押し潰そうとする。 先刻のプレス攻撃と比べて、一瞬の激痛が何度も往復するのとは違う、永劫に感じられる苦しみが続く拷問。 激しい圧迫感、赤ちゃんゆっくり霊夢1は瀕死で朦朧としているが、痛みにびくんびくんと身体を震わせる。 もう悲鳴を上げる元気もないのだろう。 ただ、掠れた呻き声を上げながら、苦痛の涙でぐしょぐしょになった顔を激痛で更に歪ませるだけ。 やがて赤ちゃんゆっくり霊夢1は耐えられる限界を超え、身体のあちこちから餡子を撒き散らせながらぷちっと潰れ、絶命した。 「うっうー♪」 ゆっくりれみりゃは大勝利、とばかりに軽快に飛び回る。 復讐を完遂させて満足なのだろう。 幸せそうな笑顔で、飛び散ったゆっくりの死体をぱくぱくと食べ始めた。 「うー♪ うまうまー♪」 「お゛ね゛ぇぢゃん゛だぢがぁ゛ぁ゛ぁぁぁ゛あ゛ぁ゛ぁぁぁ゛ぁあ゛あ゛ぁぁ!!!」 その光景を見て、滂沱の涙を流すのは箱に閉じ込められ、唯一死亡を免れた姉妹の末っ子。 その泣き顔にクるものを感じながら、俺は未だに「れみりゃはまりさのあかちゃんをゆっくりたべていってね!」と言い続けているゆっくり魔理沙の箱を蹴り、言ってやった。 「おい、もういいぞ」 「……ゆっ?」 「もう全員死んだ。良かったな、お前の言ったとおり食べて貰えて」 「……う゛わ゛ぁ゛ぁぁ゛ぁぁあ゛あ゛ぁぁ゛ぁぁあ゛あ゛あ゛あぁぁぁ!!!」 ああ、いい。 何度聞いても、ゆっくりの絶望の悲鳴というものはいいものだ。 その後、俺はゆっくりれみりゃを捕まえ、元々入っていた箱に再び閉じ込めた。 こいつにはまだ用がある。後でまた出してやるからな。 で。 七匹もいた赤ちゃんゆっくりたちも、ついに残すところ一匹だけとなってしまった。 可哀想なのでこいつだけ森に返してやろう……なんて気はない。 だが、そろそろゆっくり魔理沙も精神が限界に来ている。 さっきから「燃え尽きたぜ……真っ白によ……」みたいな感じでボケーっとしている姿は、誰が見ても廃人一歩手前だ。 壊れると、楽しみがなくなってしまうからな。 なので、いい加減子供と再会させてあげることにした。 ゆっくり魔理沙と赤ちゃんゆっくり霊夢7を箱から出してやる。 感動の親子の再会だ(いや、ずっと顔は見えていたが)。 「れ……れいむ……れいむぅぅぅ!!!」 子供の姿が手に届く場所にあると認識したゆっくり魔理沙は、もう離さないとばかりに赤ちゃんゆっくり霊夢7に駆け寄った。 色々辛いこともあったが、これからは二人仲良くゆっくりしていこう! そんな感じで喜色満面の笑顔を浮かべている。 だが。 「ゆっぐりじねぇぇぇぇぇぇ!!!」 「ゆっぐりぃぃぃぃ!!?」 突然、娘に腹の部分(?)を噛み付かれ、悲鳴を上げた。 「な、な゛にずるの゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉぉぉ!!?」 所詮プチトマト程度である大きさの赤ちゃんゆっくりに噛み付かれた程度、成長してバレーボール程度になった成人ゆっくりにとって箪笥の角に小指をぶつけたくたいの痛みでしかない。 だが、相手が自分の娘というのなら話は別だ。 身体の痛みより、心の痛みのほうが何倍も自分を傷付けることだろう。 「う゛る”ざい゛! ゆっぐりじねぇぇぇぇぇ!!!」 「ゆぎゃぁぁぁぁ!!! や、やめてねっ!!! お母さんのからだを食べないでねっ!!!」 「お゛まえな゛んが、お゛があざんじゃな゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃぃぃ!!!」 痛みにぶんぶん身体を捩じらせ、振りほどこうとするゆっくり魔理沙。 だが怒りに濡れる瞳の赤ちゃんゆっくり霊夢7は、死んでも離さないとばかりに噛み付くのを止めない。 そこにいるのはゆっくりすることなどもはや眼中にない、憎悪の塊。 自分の姉妹全員を悉く皆殺しにして悦に浸っている母を抹殺しようとする怒りの権化。 俺が誘導したとはいえ、なんという勘違い。なんという思い込み! 感動しすぎてちょっと涙が出てきた。 「ぢがう゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉ!!! お゛があざんはれ゛い゛むだぢを゛だずげよ゛う゛どじだよ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉぉ!!?」 「う゛ぞづぎま゛りざはゆ゛っぐり゛じな゛いでじねぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇぇ!!!」 「い゛だぁ゛ぁ゛ぁぁ゛ぁぁっ!!? い、い゛……い゛い゛がげんに゛゛じでよ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆ゛べぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇぇ!!?」 お、ついに堪忍袋の尾が切れたのか、ゆっくり魔理沙が怒声を上げた。 力強く跳躍して自分の皮ごと強引に娘を吹き飛ばすと、今までの鬱憤を晴らすかのごとく、赤ちゃんゆっくり霊夢7に体当たりを仕掛ける。 「ま、ま、まりざがどれだけくろうしたのか、分かってるのぉぉぉ!!?」 「ゆぎぃぃぃぃぃ!!?」 「それなのに、み、みんなでゆっくりしねって……そんなのひどすぎるよぉぉぉぉぉぉ!!!」 「やめでぇぇぇぇ!!! れ゛いむのあん゛ごはみでぢゃうよ゛ぉ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 「まりざ、もっどゆっぐりじだがっっだのにぃぃぃぃ!!! れいむだぢがぁぁぁぁぁ!!!」 「いだいよ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉぉ!!! ごめ゛んなざい゛ずる゛がらゆ゛る゛じでぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇぇ!!!」 何度も何度も体当たりされて吹き飛ばされる赤ちゃんゆっくり霊夢7は、もう自力で動けないくらい重傷だ。 だが、涙で視界がぼやけ、更に怒りでいっぱいいっぱいのゆっくり魔理沙は、そのことに気付かない。 「おがあざんはおがあざんなんだよぉぉぉ!!! ちゃんどわがっでるのぉぉぉぉぉぉ!!?」 「わ、わがっ……ゆぴっ……も、もう……ぴげぇっ」 「だいへんなのはれ゛いむ゛だぢだけじゃないんだよぉぉぉ!!? ま゛りざだっでゆ゛っぐりでぎながっだんだよぉぉぉぉぉぉぉ!!?」 「ゆっ……じだ……だよ……」 「う゛わ゛ぁ゛ぁぁぁ゛あ゛あぁあ゛あ゛ぁ゛ぁぁぁ゛ぁあ゛あ゛ああ゛ぁあ゛ぁ゛ぁあ゛ぁっ!!!」 「……」 「あ゛あ゛ぁ゛あ゛あぁ゛ぁ゛ぁぁあ゛あぁ゛ぁぁ゛ぁああ゛ぁあぁ゛ぁぁあ゛ぁ゛ぁぁぁ!!!」 「ストップ、そこまでだ」 事の成り行きを見守っていた俺は、事態が終わったことに気付いてゆっくり魔理沙の身体を持ち上げた。 未だ興奮冷めやらず、といった様子でふーふー荒い息をついているゆっくり魔理沙は、逃れようとじたばたもがく。 「は、はなしてねっ! まりさはまだ……」 「下をよく見ろ」 「……ゆっ?」 言われて、はっと気付いたようにゆっくり魔理沙は視線を下に移す。 そこには、 「……」 物言わぬ亡骸と化した潰れ饅頭が転がっていた。 「ゆ゛、ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅぅぅぅぅぅぅぅ!!?」 「いやー、すごい殺しっぷりだったな! 自分が気に入らないなら子供だって簡単に殺す! 酷いゆっくりだな、お前は!」 「や゛め゛でぇ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇ!!! ま゛りざはぢがう゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 「えー、どう違うんだよ。今さっき自分で殺したんじゃないか。自分の子供を。助けてって言ってたのに!」 「う……う、う゛る゛ざぁ゛ぁ゛ぁぁぁぁぁい゛!!! も゛どはお゛兄ざん゛がゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛ひとだがら゛い゛げな゛い゛ん゛でしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」 「はぁ? 何言ってるんだ、俺はちゃんとお前にも答えられる問題を出してやったぞ。それをゆっくりしすぎて答えられなかったんだから、お前が悪いに決まってるだろ」 勿論生死に関わる状況に追い込んだのは俺だから俺が悪い。 だけど子供を殺したばかりの罪悪感の塊であるゆっくり魔理沙は、俺の言葉を鵜呑みにしてしまう。 元々、悪いことをしたという負い目はあったのだ。 箱に詰められたときに、それに気付いていた。 そのまま全員殺されていてもおかしくはなかった。 でも、生き延びることを許された。 そして、助かるチャンスはいくらでもあった。 どれもこれも、無理難題――例えば変形してみせろとか、大空を舞ってみろとか、赤ちゃんを全員食えとか――ではなかった。 ゆっくりせずにちゃんと考えれば、答えられていたはずなのだ。 だけど、答えられなかった。 何故? それは。 自分が、ゆっくりしていた、から。 赤ちゃんを助けるために、真に全力ではなかった、から。 それに気付いた時、ゆっくり魔理沙の瞳から涙がぽろりと零れた。 今までのように騒いだりしない。 ただ、何かを悟ったような、そんな憑き物が落ちたような顔だった。 「……ころして」 「なに?」 「まりさをころしてね……赤ちゃんたちがいないなら、もうゆっくりできないよ……」 俺は驚いた。 まさかゆっくりが自分の殺害を依頼するなんて。 それ程までに、自分の子供が大切だったのだろう。 仲間のことはすぐ忘れたというのに。 過去に何かあったのだろうか。 ……まぁ、興味ないけど。 「殺して欲しいのか?」 「うん……ゆっくりせずにころしてね……」 「だが断る」 「……ゆっ!?」 ゆっくり魔理沙が驚愕の表情で俺を見上げる。 俺はニコリと、天使のような慈愛の表情を浮かべた。 「俺は自分の手で何者かの命を奪うのは大嫌いなんだ。だから、お前は殺さない」 だって、殺すと反応がなくなってつまらないから。 「もっと苦しんでもらうよ、ゆっくり魔理沙」 続く。 このSSに感想を付ける
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※fuku2103の続き。人物オリジナル注意 前回のあらすじ ゆっくりできなくなっちゃった★ 第四話「憎しみの炎(笑)終幕」 少年の家の上空を三匹のうーパックが旋回していた。 中にはまりさが二匹、ぱちゅりーが一匹。 しばらくすると少年が庭に出てきた。 少年は箱の中からゆっくりれいむを取り出し、庭に放つ。 れいむの体は遠目から見てもボロボロだった。 皮は垂れ、リボンはあちこちがちぎれ、頭頂部には無数の釘が刺さり、底部は焼かれ、口には歯がなく、片目を失っていた。 うーパック内のぱちゅりー達はその惨状に涙した。 少年はムチのようなものを取り出し、れいむに叩きつける。 それを受けたれいむは必死に這って動いていた。無理矢理マラソンさせているのである。 その様子を見ていたゆっくり達はこう思った。 (れいむをあのにんげんからたすけよう!!!) (れいむをゆっくりさせてあげよう!!!) その決意を胸にうーパック達は森へ帰ろうと進路を向けた。が ただ一匹ぱちゅりーはもう少しだけ様子を見ようとしていた。 俺は昨日から朝早くにれいむを庭で無理矢理はいずり回らせている。 理由なくやらせているわけではない。でも今は秘密だ。 這うのをやめた瞬間俺はムチをれいむの体に走らせる。 「ゆぴゃっ!!!ひゃへへ!!!はひひはひゅうううううううう!!!」 歯がないのでわかりにくいが「やめて!!!はしりますうううううううう!!!」と言っているのだろう。 これくらいなら歯医者じゃなくともわかる。 「おにーちゃーん!」 隣のあの子の声だ。ラジオ体操の帰りなのだろう。 慌ててれいむを縁側の下に蹴っ飛ばす。 「おにーちゃん、なにしてるの?それなーに?」 やべ!ムチ持ったままだった… 「に…にしおかすみこのモノマネだよ!アーーーーーーーーーーーッ!!!」 「あーそっかあ!おにーちゃんじょうずー!」 我ながらナイスだ。 近所を通りかかった人達の視線が痛いが。 ~~~~~~~~さかのぼること二日前~~~~~~~~ まりさはズタボロの体を引きずり、ある場所へ向かっていた。 それは、独り立ちする前日、母まりさから教えられていた場所だった。 「いい!!!まりさ!!!もしもほんとうにゆっくりできないときがきたら、もりのどすまりさにあいにいくんだよ!!!」 「どすまりさ???」 「とってもとってもゆっくりしておおきいまりさだよ!!!どすまりさならどんなゆっくりでもゆっくりさせてくれるよ!!!」 「ゆ?ほんとう???」 「でもほんとうにゆっくりできないとおもったときだからね!!!ゆっくりできるときはたよっちゃだめだよ!!!」 「わかったよ!!!まりさはれいむとゆっくりするよ!!!」 まりさは母親のいいつけを守り、れいむとひたすらゆっくりした。 だがもう一つのいいつけを破り、人里に降りてしまった。 まりさとれいむはその人間をゆっくりさせてあげようとしたが、その人間はゆっくりできなかった。 狭い箱に閉じこめられ、家族は殺されおうちも失い、せっかく出来た子供達は皆殺しにされ、自分自身も酷い目に遭い、れいむはもっと酷い目に遭った上に人間に捕まった。 まりさはゆっくりできなくなった。 今まりさの中にあるのはれいむを助けたいこととあの人間に対する復讐心だけだった。 だからまりさはドスまりさに頼る道を選んだ。 まりさは自分がゆっくりできなくなったことをわかっていた。 だがドスまりさはどんなゆっくりでもゆっくりさせてくれる。その母親の言葉だけを信じ森を駆けるのであった。 しかし痛んだ体についに限界が訪れ、まりさは、森のど真ん中で気を失った。 「ゆ…………」 「ゆっ!!!まりさ!!!きがついたんだね!!!」 まりさが目を覚ますと、そこは見知らぬ洞窟の中だった。 目の前には、心配そうな、だが独特のふてぶてしい表情のれいむがそこにいた。 「れ、れいむっ!!!れいむううううう!!!」 「ゆっ!!!まりさ!!!まだうごいちゃだめだよ!!!ゆっくりおちついてね!!!」 まりさはれいむの姿を見るや飛びつこうとするが制止される。 やがて落ち着きを取り戻し、目の前のれいむが捕まったれいむと別ゆっくりであることに気付く。 「ゆ…れいむ、ここはどこなの…?」 「ここはどすまりさのかくれがだよ!!!まりさはもりのなかでたおれてたかられいむがはこんできたんだよ!!!」 「どすまりさの…」 まりさは倒れた時点で既にドスまりさのテリトリーに入っていたのだ。 そこで食料を集めていたれいむが偶然見つけ、今に至る。 「まりさ、ひどいけがしてるからいまはうごかないでね!!!でもみっかもすればもとどおりうごけるようになるってぱちぇがいってたからね!!! いまはゆっくりがまんして、ゆっくりげんきになってね!!!」 「うん…ゆっくりりかいしたよ…」 本音を言えばまりさはすぐにでも行動を起こしたかった。 だが今の痛みきった体のままでは復讐などとてもできたものではない。 まりさは素直にれいむの言う通り、自身の回復を待つことにした。 人間は「れいむは生かしておく」と言っていたし、何よりこのれいむにはあのれいむの面影があったからだ。 …この期に及んで人間の言うことを信じるあたりやはり餡子脳と言ったところか。 「ゆ…ううううぅぅうぅぅう……」 「いだいよぉおおおぉおぉおぉぉ………」 「ぐるじいよおおぉぉぉぉぉおぉお……」 「むぎゅううぅぅううぅぅうぅぅぅ………」 「ごのままじんじゃうんだね、わがるよ………」 「そんなこといっちゃだめだよ!!!きっとたすかるよ!!!ゆっくりがんばってね!!!」 よく周りを見渡してみると、そこには自分と同じ、もしくはそれ以上の大怪我を負ったゆっくりたちが呻き声を上げており、 それを必死に看護する元気なゆっくりたちの姿があった。 さながら戦時病棟のようである。 「むきゅ……も……だ…め…」 「ぱちぇ!!!ゆっくりがんばってね!!!がんばればきっとゆっくりできるよ!!!」 「ま……りさ……ごめ……むきゅー」 「ぱちぇえ゛え゛え゛ええ゛ぇ゛ぇ゛ぇぇ゛ぇ゛え゛えぇ゛え゛ぇえ゛え!!!」 体の半分近くを失っていたぱちゅりーが今息を引き取った。 ぱちゅりーにしてはよく持った方であろう。それはひとえにゆっくりたちの必死の看護の賜物である。 「ゆ……れいむ……みんなどうしたの?なんだかゆっくりできてないよ……」 「あのみんなはね、にんげんにひどいめにあわされたかわいそうなゆっくりたちだよ!!!ここはそんなゆっくりをゆっくりさせてあげるためのへやなんだよ!!!」 まりさは激怒し、悲しんだ。 自分達と同じ境遇の持ち主がこんなにたくさんいたとは。やはり人間は忌むべき存在だと。 「にんげんはほんとにゆっくりできないいきものだね!!!みんなしねばいいとおもうよ!!!」 「ゆっ!!!まりさ!!!そんなこといっちゃだめだよ!!!」 「どうして!!!みんなにんげんのせいでゆっくりできないんだよ!!!ゆっくりできないにんげんはみんなころせばいいんだよ!!!」 「どう゛じでぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛お゛お゛ぉ゛お゛ぉぉ゛ぉ゛お゛おお゛!!!」 まりさとれいむはお互いの言うことが理解できなかった。 何故れいむはそこまで人間をかばうのか。 何故まりさはそこまで人間を殺そうとするのか。 全く理解できなかった。 二匹はお互いの事情を説明した。 まりさは自分たちが人間に受けた酷い仕打ちのこと。 れいむはゆっくりたちが人間に悪さをしたこと、その結果ゆっくりが迫害されたこと。 その他もろもろの事情をお互いに打ち明けた。 「だからしかたがないんだよ!!!これいじょうのひがいをださないためにもにんげんにてをだしちゃだめだよ!!! もしにんげんをころしちゃったりしたら、このさとがゆっくりできないってどすがいってたもん!!!」 「なにいってるの!!!にんげんはゆっくりできないやつなんだよ!!!おもいしらせてやらなくちゃだめなんだよ!!! しかえしされるのがいやならにんげんをみんなころしちゃえばいいんだよ!!!」 もはや「あの」まりさと同一人物とは思えぬ憎しみに満ちた発言。 平和的解決を望むれいむ達ドスサイドと人間達への制裁を望むまりさ。 まりさの不満が爆発し、れいむにこう言い放った。 「じゃあそのどすまりさにあわせてよ!!!したっぱれいむじゃはなしにならないよ!!! どすまりさににんげんがどれほどおそろしいかおしえればきっとわかってくれるよ!!!」 「ゆううぅうぅ……わかったよ!!!じゃあどすまりさにあわせてあげるよ!!! でもどすはきっとみんながゆっくりできないことにさんせいなんてしてくれないよ!!!」 簡単に折れたれいむはボロボロのまりさを丁重にドスまりさの間へと案内した。 ドスまりさは基本的にオープンなので、誰でも謁見できるのだ。 『ゆっ!!!まりさ!!!きがついたんだね!!!よかったね!!!これからはまりさのさとでゆっくりしていってね!!!』 「ゆ…ゆ…ゆっ……!!!」 まりさはドスまりさの大きさにただただ驚愕するしかなかった。あの人間より遙かに大きい。これなら人間に勝てるに違いない。 そう餡子が回ったまりさはすぐさまドスまりさに自分の事情を話した。 『ゆううう…!!!それはつらいめにあったんだね…!!!かわいそうに…!!!』 それを聞いたドスまりさは自分のことのように悲しみ、滝のような涙を流した。 「まりさはれいむをとりかえしてにんげんをころしてやりたいんだよ!!!ゆっくりちからをかしてね!!!」 『な゛に゛い゛っでる゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛おお゛ぉ゛ぉお゛ぉぉ゛ぉお゛おお゛ぉ゛ぉぉお゛お゛おお゛!!!』 ドスまりさは絶叫した。 このまりさは何を言っているのだ。「人間を殺す」? そんなことをすれば他の人間によって報復を受け、平和にゆっくりしていたゆっくりは皆殺しにされてしまうだろう。 ゆっくりたちが真にゆっくりできることを望むドスまりさにはそんな考えは理解できなかった。 『にんげんをころしちゃったらゆっくりできないよおおおおお!!!ゆっくりりかいしてね!!!』 「だったらしかえしされないようににんげんをみんなころせばいいんだよ!!!そっちこそゆっくりりかいしてね!!!」 「むきゅー。どす。このまりさはきっとくわしいじじょうをしらないのよ。ゆっくりせつめいしてあげればわかってくれるわ」 ドスまりさの脇からまりさより一回り程大きいぱちゅりーが呟いた。 このぱちゅりーは里の知恵袋としてドスまりさの片腕を担っている。 『そ、そうだね……まりさ、おねがいだからゆっくりきいてね!!!まりさたちがゆっくりできるためのだいじなおはなしだからね!!!』 「ゆ…わかったよ!!!ゆっくりきいてあげるね!!!でもまりさのかんがえはかわらないよ!!!」 「自分達がゆっくりするため」の話なのでまりさは仕方なく聞いてやることにした。 ドスまりさは自分達の事情を話した。 まずは、自身の強さだ。ドスまりさの戦闘力は人間よりも上である。まともにやり合えば人間だろうと簡単に殺してしまえる。 それを聞いたまりさは歓喜した。それならあの人間を殺すことができると。 その後、ドスまりさは何故それほどの力を持ちながら人間に手を出さないのかを説明した。 先程も言ったことだが、人間を殺せば当然その他の人間は黙っていない。 集団でこの一帯のゆっくりを皆殺しにするだろう。 まりさは人間に勝てるなら返り討ちにすればいいと言ったが 集団でかかられればドスと言えど勝ち目がないことを教えた。 以前に集団で襲いかかられ滅ぼされたドスの里があるということも教えた。このドスの里には、その里の生き残りのゆっくりが何匹かいるのだ。 その本人達の話も聞き、まりさは理解したようだった。 一通り話し終え、まりさは言葉を発した。 「ゆっくりりかいしたよ、でもまりさはれいむをたすけたいよ、あのにんげんもころしてやりたいよ。 それさえできればまりさはゆっくりできるよ」 『ゆううぅぅぅうぅぅうううぅ………』 まりさはドスまりさの話が理解できなかったわけではない。ただれいむを助けたい、あの人間を殺してやりたいだけなのだ。 それだけは絶対に譲れなかった。 「むきゅー。どす。ならばようすをみてみましょう。そのにんげんがほんとうにせいさいすべきかどうかたしかめるの。 そのあとどうするかきめればいいわ。それにもしかしたらすきをみてれいむをたすけてあげられるかもしれない」 悩むドスに助言を与えるぱちゅりー。この「制裁」とは「殺す」という意味が含まれているが 野蛮な言葉を嫌うぱちゅりーは「殺す」という単語を使いたくなかった。 『ゆ…!!!そうだね!!! まりさ!!!よくきいてね!!!いまからそのにんげんのおうちのちかくに「てーさつぶたい」をおくるよ!!! そのこたちにようすをみにいってもらうよ!!!そのにんげんをその…ころすかどうかはそのあときめてね!!! もしかしたられいむもたすけてあげられるかもしれないよ!!!』 「ゆ……!ほんとう!!!ゆっくりおねがいするよ!!!」 まりさはその意見に賛成した。「様子を見る」ことには不満があったが「れいむが助かるかもしれない」ことを聞き、期待することにした。 まりさはその人間と家の特徴を覚えている限り教えた。 それを聞いたドスとぱちゅりーは偵察部隊…別のぱちゅりーとまりさ二匹を呼び、すぐに発つよう伝えた。 移動には雇われうーパックに報酬を払う必要があったが、まりさに「うーパックが五匹殺された」ことを聞かされ、タダで乗せてくれることになった。 そして現在に至るのである。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ (ここででていってもゆっくりところされちゃう!!!) 隙を見てれいむを助けだそうとしたぱちゅりー達だが、常に近くにはあの少年がいる。 隙など見あたらなかった。 「むきゅー。でもだいたいのじじょうははあくできたわ。どすのもとにかえりましょう」 「「「うー!!!うー!!!」」」 「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」 他のゆっくりに帰還する旨を伝え、再び庭を見下ろすぱちゅりー。 その時だった。 「むきゅ!?」 庭で少女と話していた少年と目が合った……気がした。 (ど、どうして!?……いいえ、きっとぐうぜんだわ。むきゅー) 自問自答したぱちゅりーはうーパックに指示し、森へと帰って行った。 気づかれないように距離と高度にはちゃんと気を配っている。気づかれるはずがない…そう思った。 「おにーちゃん、どうしたの?おそらになにかあるの?」 「ううん。なんでもないよ。そろそろおうちに帰んな。姉ちゃんが朝飯用意して待ってるぞ」 「そうだね。じゃあまたね、おにーちゃん」 「……………………」 ドスの隠れ家に帰ったぱちゅりー達は少年の家で見たことを全て話した。 まりさはれいむを助けられなかったことに落胆したものの、れいむがまだ生きていたことに安堵した。 それを聞いたドスまりさは考え事をしながら、こう言った。 『ぱちゅりー、そのにんげんの「にんそうがき」をかいてね!!!そのにんげんがなにものかかくにんしたいよ!!!』 「むきゅー。わかりましたわ、どす」 ドスまりさは偵察ぱちゅりーに「人相書き」を描くように指示した。 事情を聞いて、それほどの酷い仕打ちをした人間が何者なのか確かめたかったからだ。それには理由がある。 「むきゅー。かけましたわ」 『どう?ぱちぇ』 「ぱちぇ」とは片腕のぱちゅりーのことである。「ぱちぇ」は最も親しいぱちゅりーに対する呼称なのだ。 「むきゅううううううん!!!まちがいないわ!!!「ひゆっくリスト」なんばー6!!!「ありすごろし」といっちしてるわ!!!」 「「「な、なんだってー!!!」」」 非ゆっくリスト― それは呼んで字の如く「ゆっくりできなくなる」人間のいわゆるブラックリストである。 人相書きはどいつもこいつも子供のラクガキ以下で人間には判別不可能だが、ゆっくりにはわかるようだ。 ドスまりさの里ではゆっくりがゆっくりできるために気を付けるべきの存在のリストを作る傾向がある。 非ゆっくリストのナンバーは危険度により序列されており、少年は6番目に危ない人間として認識されている。 「ありす殺し」というのは少年がゆっくりありすを中心に虐殺を行っていることから名付けられた。 ある時は道ばたでれいむとすっきりしていたありすを殺し、ついでにれいむも殺した。 ある時は集団でとかいは(笑)を気取っていたありすを虐待し、見せ物のごとく磔にされた。 ある時はまりさ一家を集団レイプしていたありすを焼き殺し、とばっちりを受けまりさ一家も全滅した。 ある時はぱちゅりーと本気で愛し合っていたありすをぱちゅりーの目の前でむごたらしく殺した。ぱちゅりーはむきゅむきゅうるさいので殺した。 気がついた時にはこの町一帯からありすが消えていた。 故に少年は「ありす殺し」として恐れられている。 もっと恐ろしいのはこの町にはその少年を上回る虐待派がまだ五人もいることである。 『ゆううぅうぅうう…やっぱり……』 ドスまりさは「そんな気がしていた」といった感じで溜息をついた。 「やっぱりあいつはゆっくりできないんだよ!!!ころしてやろうよ!!!」 ドスまりさはこれまで、「非ゆっくリスト」に乗っている危険人物達に自ら「交渉」していた。 「ゆっくりをゆっくりさせてあげてほしい。わるさをしたゆっくりはどうしてもいい。でもゆっくりしてるだけのゆっくりはゆっくりさせてあげてね」 そう言うと人間たちはみな首を縦に振った。目の前の巨大なドスまりさが怖かったからだ。 だが、リストの1番から10番までの人間たちは虐待派としての「格」が違った。 何人かと交渉してみたが全て破られてしまった。だからトップ10の人間には特に関わらないように注意していた。 ちなみにトップ10の中にはドスまりさを恐れている者も少なくはない。だからあちらからドスの里に直接手を出してくることはなかった。 ドスまりさは考えていた。「まりさとれいむをゆっくりさせてあげる方法」を。 そして、長い思考の後、一つの答えを導き出した。 『…わかったよ!!!そのにんげんに「せいさい」をくわえることをきょかするよ!!! でもあいてはとっぷ10だからね!!!ゆっくりさくせんをたててからじっこうしようね!!! ほかのにんげんにばれないようにきをつけることもかんがえようね!!!』 「ゆっくりりかいしてくれてありがとう!!!そのときにそなえてゆっくりからだをなおすね!!!」 そう言ってまりさは病室へと戻っていった。 「…いいの?どす。にんげんにたたかいをいどむなんて。いままでにきずいてきたすべてがパーになるかもしれないのよ」 『しかたないよ!!!そうでもしないとまりさとれいむがゆっくりできないよ!!!まりさはゆっくりみんなにゆっくりしてほしいだけだよ!!! だいじょうぶ!!!ばれないようにころせばやりかえされないよ!!!うまくいけばみんなもっとゆっくりできるよ!!!』 「むきゅー。そうね」 ドスまりさが人間に手を出さないのは「ゆっくりがゆっくりできなくなるから」だ。 その為に人間達と安定した関係を築いてきた。 真にゆっくりしたいゆっくりは人間に近づかず、悪さをするゆっくりは制裁を受けた。悪いゆっくりはドスから見ればゆっくりできていない。殺されても仕方がないのだ。 だがあのまりさは「悪いゆっくり」ではない。真にゆっくりした結果人間に酷い仕打ちを受けた可哀想なゆっくりだった。 ドスまりさはまりさをゆっくりさせてあげたかった。その為に人間を殺すことを選んだ。 反対する者はいなかった。みな同じ気持ちだったから。 (れいむをあのにんげんからたすけよう!!!) (まりさとれいむをゆっくりさせてあげよう!!!) ドスの里数千匹のゆっくりの心が今、一つになった。 ゆっくりたちはたった二匹の仲間をゆっくりさせてあげたい一心で、命を賭けて戦う決意をした。 戦いの準備をするために、偵察部隊は三日かけて少年を監視し、調査し続けた。 その甲斐あってか、少年は一日に一回決まった時間に人気の無い草原でれいむを枕にして昼寝をしていることがわかった。 その隙にれいむを取り返そうと考えていたが、たった六匹(うーパック含む)で向かっていってもすぐに察知され全滅させられてしまう恐れがあった。 その話を聞いたドスまりさと片腕ぱちゅりーら首脳陣は次の日の同じ時間に作戦を決行することを告げた。 その時ならば他の人間に見つからないし、何より少年が一番油断している時だと考えたからだ。 決行前夜、片腕ぱちゅりーから当日の作戦をゆっくりしっかり伝えられた。 それを全てゆっくり理解した里のゆっくりたちはいつもより多くの食料を用意し晩餐会を開いた。 明日の活力をつけるためと、あまりにも完璧すぎるぱちゅりーの作戦を聞いて勝利を確信し、気の早い祝勝会といったところだ。 「ねえ、おにーちゃん」 「何だい」 俺は隣の家の縁側で女の子と一緒にこの子の姉の切ったスイカを食べている。 お呼ばれされたから来たまでだ。そうじゃなかったらわざわざ夜に外に出たりしない。 「どうしてゆっくりはわるいことするのかな」 「いきなりどうしたんだよ。そんなこと聞いて」 「おねーちゃんとおかいものにいったときにみたんだよ。おさかなくわえたゆっくりがさかなやさんとおいかけっこしてたの」 「それはひどい」 「それだけじゃないよ。たくさんのゆっくりがやおやさんのおやさいみんなたべちゃったの」 「最低だな」 「まえのちぇんだってそうだよ。おうちにはいってきたゆっくりのせいでおほしさまになっちゃった」 …この子が今飼っているちぇんは二代目なのだ。 前のちぇんは留守中に進入した「ゆっくりずむ」なれいむとまりさに殺された。 その二匹は俺が裏でこれ以上ない程の苦しみを与え殺してやった。 そしてちぇんを失ったこの子の悲しみを紛らわすため当時虐待用として飼っていたちぇんを修理し、譲ってあげた。 ちなみにそのちぇんは中のチョコクリームを少し入れ替えたため、俺のことは忘れてしまっている。 「だからね、いつもおもうの。なんでゆっくりはわるいことするのかなって」 「ちぇんはどうなんだ?」 「ちぇんはいいこだよ」 今のも前のも元々ブリーダーに育てられていたヤツだ。当然だろう。 …だが、そうでないゆっくりはどうだ。 この子の大事なちぇんを殺し、他人の家に上がり込み食い物を要求、店の食べ物は平気で盗む、人間にゆっくりを強要する、騒音を出す、ウザい、キモい、ムカつく。 どう考えても害悪でしかない。世の中にはそれらを愛でる愛護団体などというものも存在する。はっきり言って頭がおかしいとしか思えない。 「それはゆっくりが自分のことしか考えてないからだよ」 「?」 「人間だってそうさ。自分のことしか考えてない奴は嫌われるんだ。他人に好かれたかったら、相手のことを理解してあげなくちゃいけない ゆっくりはそんな考えができないから、人間から見て悪いことをするんだよ。しかもそれを悪いこととは思っちゃいないんだ」 「でも、ちぇんみたいないいこもいるよ」 「それは人間が必死に教え込んだからだよ。それでもいい子にならないゆっくりの方がずっと多いんだ」 「そう、なんだ…」 「君はゆっくりが好きなんだね」 「いいこはすきだよ。でもわるいこはきらい。ちぇんをいじめたもん」 「そうだね、みんないい子だったらいいのにね」 本当にそうだよな…性格と、あのツラと、言葉遣いと、デカい声がなけりゃな… ゆっくりはゆっくりすることを求める饅頭だ。 他人がゆっくりできれば自分もゆっくりできる。そう考えている。 だから他人を「ゆっくりさせてあげる」のだ。 そう、全ては「自分がゆっくりするため」。 ゆっくり同士ならそれで「しあわせ~♪」になるが、人間からすれば煩わしいだけである。 故にゆっくりと人間は決して相容れない存在なのである 続く このSSに感想を付ける 選択肢 投票 しあわせー! (35) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (1) 名前 コメント すべてのコメントを見る 本家の霊夢と霧雨魔理沙の性格を組み込んだらもっとマシになるよ。 -- (名無し) 2016-11-24 22 22 56
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「うー♪うー♪うま♪うま♪」 「ゆ゛っぐい゛、ざぜでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「お゛があ゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!!」 今まさにゆっくり親子が、ゆっくり食種であるゆっくりれみりゃに食べられていた。 頭に食らいつき、口の周りを汚し周囲を散らかしながらそれは下品に貪り食われていた。 「おいちー♪」 「ゆ゛っ……ゆ゛っ……」 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!おがあ゛ざんをがえじでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 食われて意識を失っていく母ゆっくりを、逃げる事すら考えられずにただ眺め続ける子ゆっくり。 そんな食物連鎖の場に、新たな闖入者が現れた。 食物連鎖のピラミッドにおいて、ゆっくりれみりゃの更に上に位置するゆっくり。 ゆっくりフランである。 「ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!」 上空2メートルから急降下して、ゆっくりれみりゃに気付かれる間もなく、 ゆっくりれみりゃの手から食いかけの母ゆっくりれいむを手ごと奪い取り、近くの木に叩き付ける。 「う゛あ゛ー!い゛だい゛よ゛ー!!ざぐや゛ー!!ざぐや゛ー!!」 「ぎゃはははははははははははは!!ゆっくりしね♪ゆっくりしね♪」 手と食事を闖入者に奪われて、地面に足を投げ出して号泣するゆっくりれみりゃ。 ちなみに「ざぐや゛」とはゆっくりれみりゃが何か都合の悪い出来事に遭遇した際に上げる鳴き声である。 何かしら意味があると考える者も居るが、特に何の意味も無いとする意見が大半を占める。 先程までただ母親が食われる様子を眺めるだけだった子ゆっくりは、 「おかあさーん!!おねえちゃんたすけてくれてありがとう!!」 と、母親にトドメを刺した者に対して暢気に礼を言っていた。これにはゆっくりフランも苦笑い。 子ゆっくりれいむを優しく抱き上げ、目の前に掲げる。 「ゆっゆっ!だっこだっこー!!たかいよたかいよ!!ゆっくりできるよ!!」 もう既に母親は助かったものとして忘れているらしい。ゆっくりの中でも稀に見る愚鈍さである。 そんな愚鈍をとりあえず泣き喚くゆっくりれみりゃに向けて投げつけるゆっくりフラン。 「びゅっ!!」 「い゛だい゛よ゛ー!う゛ー!い゛じめ゛る゛ど、ざぐや゛に゛い゛い゛づげぢゃう゛ぞー!!」 べそをかきながらもたもた立ち上がって威嚇するゆっくりれみりゃ。 涙と涎で顔と胴体がべしゃべしゃなので、迫力は全く無い。一方子ゆっくりれいむは地面で泣き喚いていた。 「どお゛ぢでごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛ね゛え゛ざん!!ゆ゛っぐい゛ざぜでぐえ゛る゛んでじょお゛お゛お゛お゛!!!」 どうやら子ゆっくりれいむのブレインは、ゆっくりフランは自分にとって都合のいい存在であると結論付けているらしい。 そんな子ゆっくりれいむを拾い上げ、再び大きく振りかぶって…… 「ゆっくりとんでけ!!」 ゆっくりれみりゃに向けて全力投ゆっくり。顔面にめり込ませた。 「ん゛ー!!ん゛ー!!」 「ゆっくりさせてええええええよおおおおおおおお!!!ここからだしでよおおおおおおおお!!!」 「ぎゃはははははははははははははははははははははははははははははは!!!」 偶々顔が外向きになった子ゆっくりれいむは物凄い声で泣き叫ぶ。 ゆっくりフランはそんな間抜けな二匹を見て腹を抱えて笑い転げている。 「ゆっくりしね♪!!」 いたぶるのも気が済んだのか、めり込んだ子ゆっくりごとゆっくりれみりゃの顔に噛り付くゆっくりフラン。 食われ所が悪かったのか、二匹とも声も出せずに絶命した。 後は特に何も起こらない。ただ時々笑い声を上げながら残骸を食らい尽くすゆっくりフランが居るだけだった。 ゆっくりれみりゃを食べつくして満腹になったゆっくりフランの元に、一人の少女が現れた。 どうやら夜の散歩の途中だったようだ。 「あら、これはゆっくりフラン…珍しいなぁこんな所にいるなんて」 少女に気付くいたゆっくりフランは、あろう事か牙をむき出しにして飛び掛った。狙いは少女の首! 「ゆっくりしねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「ほっ」 一直線に首に向かって飛び掛ってきたゆっくりフランを事も無く叩き落す少女。 ゆっくりフランは地面にめり込んで伸びている。 「へぇ…ゆっくりフランってゆっくり以外にも襲い掛かるんだ。やっぱり根本的におバカなんだなぁ」 そんな感想を吐きながらゆっくりフランの羽を持って自宅へ持ち帰る少女。 「丁度先代のコキンが死んじゃった所だし……これを29代目コキンにしようっと」 チャイナ服の裾を靡かせて颯爽と紅魔館の宿舎に帰る門番・紅美鈴。 ちらりと見える生脚が月光を浴びて美しく輝き、世の男達の煩悩をこれでもかと刺激しまくっていた。 「ぐう…?ゆ、ゆっぐり!!?」 「ああ起きた?おはようコキン29世。よく眠れた?」 ゆっくりフランことコキン=トウ29世ことコキンが目を覚ましたのは、美鈴がコキンを自室に持ち帰ってすぐだった。 「ゆ、ゆっくりしね!!」 起きてすぐ美鈴に飛び掛るコキン。だが美鈴にゆっくりフランに過ぎないコキンが敵う筈も無く、 「えい」 あっさりと蹴り飛ばされた。蹴られる瞬間コキンは一瞬この世の至宝を視界に捉えたが、コキンにとってはどうでもいいものだった。 「ぐぐぐぐぐ……」 壁に打ち付けた後頭部を押さえて悶絶するコキン。よく見れば後頭部が平らになっているのが分かる。 「大丈夫よ。あんたたちゆっくりフランはその程度じゃ死にやしないから。すぐ直るよ」 「ぐー?」 美鈴を涙目のまま見上げて首を傾げるコキン。何故、自分を殺さないのか。そんな事を言いたげだ。 そんな涙目コキンにギュンギュンきている美鈴だったが、そんな事は顔の血色以外には表わす事も無く、 「あんたは私のペットになったのよ。あんたの名前は今日からコキン=トウ29世。通称コキン」 「ぐおー!!ゆっくりしね!!」 どうや某共和国国家主席から戴いた名は全くお気に召さなかったようである。 物凄い形相で美鈴に飛び掛った。今なら顔だけでどんな愚鈍なゆっくりでもショック死させられる。 「そうそうもっと刃向かってね」 言いながらコキンの両目に指を突き立てる美鈴。指が根元まで刺さってしまっている。 「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!め゛!!めがあ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 指にぶら下がったままで狂ったように暴れまわすコキン。動けば動く程痛いという事にパニックで気付いていない。 「ほーれほれ。ここかーここがええのんかーなんちゃって」 「ぎい゛ぃい゛い゛ぃぃぃっぃい゛ぃぃぃぃっ!!!ごああぁあぁぁあぁあっぁぁあぁぁぁ!!!」 美鈴が指を曲げ伸ばしする度に、顔の中身を掻き回されて大暴れするコキン。 見えないままで美鈴の手を掴み、顔を引き抜こうとする。だが、 「あぁ駄目よ抜いちゃあ。まだまだお楽しみはこれからでしょう?」 ブツッ 「っっっっいぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 美鈴の手を掴んだ両手をむしり取られたコキン。 その間も美鈴の指はかのゴールドフィンガーばりに中を掻き回し、この世の物とは思えない絶叫を上げる。 「ふふふふ、元気で何より。あぁたまらん。どうせ見えてないし、今日はこのまましちゃおうかなっ」 「ぐっ!ぼぉえ゛っ!!ぉえ゛っ!!え゛っえ゛っ!!ごはっ!!」 あまりの苦痛に吐き気を催したのか、激しくえずくゆっくりフランを恍惚とした顔で眺めながら、 美鈴は左手をそっと動かし、 【これ以上は色々危険なので美鈴の描写はあえて行わない。想像力を逞しくすれば必ず見える筈である。】 刺している指を今度は左右交互にゆっくりと出し入れされるコキン。 指が抜けたスペース分はすぐさま回復し、再び指で抉られるという苦痛のループに耐え切れず失神してしまう。 が、気を操る美鈴にかかれば失神した者を起こす事など朝飯前である。 頭の中に直に電流を流されたかのような痛みに全身を痙攣させて起きる。 「え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「そうそう。そうやっていい声でもっと私を愉しませてねっ……」 何としてもこの地獄から抜け出そうと、羽で全身のバランスをとって美鈴の右手を掴んで脱出を試みる。 が、だめっ……! 両脚を薬指と小指と親指で器用に掴まれ圧搾される。中の肉がうじゅうじゅと動く感触に身震いする美鈴。 「ッがあああああああああのおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!」 再生してきた両手で懸命に両脚の拘束を解こうとするコキン。 その生えたてほやほやの両手は美鈴の足の指でがっちりホールドされ、今度は肩から引きちぎられた。 「~~~~~~ッッッ!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 傷口からぶしゅぶしゅと肉汁と餡をこぼしながら全身を激しく揺さぶるコキン。 その拍子に両脚も膝からちぎれてしまった。 「う゛ぇお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 ぼたぼたと床に染みが広がり、部屋中にすえた香りと肉の芳醇な香りが漂う。 残った膝までの脚と羽をこれでもかと暴れさせて苦しみ、もがき、泣き、叫ぶコキンの狂乱は、 見る者をこの上ない高みへと連れて行った。 「全くあんなに汚しちゃって。悪い子だね今度のコキンは」 「い゛っっっぎい゛ぃぃ!!」 部屋を掃除し終えてからぼやきつつコキンの両羽を根元からもぎ取る美鈴。 その、ゆっくりにしてはかなり硬質な羽を無造作にコキンの両手の平に突き刺す。 「がっあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!はっ!!はな゛ぜっえ゛っえ゛っえ゛え゛え゛!!」 直った両目にこの上ない憎悪を漲らせて美鈴を睨みつけるコキンを、 壁にかけられたコルクボードに串刺しにする。 無数にある餡や肉汁を拭き取った跡がコキンを恐怖させる。 磔刑にされたコキンは、両手を何とか引き剥がそうとするが、手が羽の軸をスライドしただけだった。 やがて背中の羽が再生し、再びそれを根元からもぎ、今度はそれを両脚の甲に刺して串刺す。 「ゆぐあ゛っ!!お゛、お゛ろ゛ぜえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「駄目よコキン。そこがコキンのお家なんだから。我が家に帰ってきたんだから、ゆっくりできるでしょう?」 どんな男も一撃で失明させられる程眩しい笑顔で言い放つ美鈴。 その言葉で、コキンの顔は完全に色を失った。それでも痛みは感じるらしく。 頬を千切って食べられた時には全身を激しく揺さぶってもがき叫んだ。真下の床には早くも大きな肉汁の染みができている。 「じゃ、私は明日も仕事があるから寝るわよ。ほら、今日の夕食。これ食べてあんたも寝なさい」 「や゛め゛でや゛め゛でや゛め゛で!!たべな゛い゛でよ゛お゛お゛お゛お゛!!!」 頬に開けられた穴からゆっくりまりさの子供が押し込められる。どうやら部屋で飼育しているものらしい。 痛みをこらえながらゆっくりと咀嚼するコキンの姿は、常の凶暴さを微塵も感じさせなかった。 しばらくの間部屋に食われる餌の絶叫だけが響く。 「ごちそうさまは?」 「ご、ごぢぞう……さま゛」 「よくできました。じゃおやすみなさいコキン」 「はい゛……おやずびなざい゛」 翌朝 美鈴が目を覚まして壁に目をやると、コルクボードに大きな肉汁の染みが広がっていた。 何事かと思い近付いて確認すると、コキンの首から上が完全に潰れており、既に絶命していた。 よく見ると両手と両足が羽軸の中ほどにまで移動している。 どうやら、痛みをこらえてここまで体を壁から離し、全力でコルクボードに頭突きして自害したものと思われる。 何度も何度も試したのか、コルクボードには百以上の窪みがある。 「そうかぁ……ゆっくりも自殺する事なんて、あるんだぁ……ふふ、ふふふふ」 美鈴はそれらの事実に気付くと、顔に満面の笑みを浮かべた。 「そっかそっか。私の攻めはそこまで良かったのかぁ……ふ、ふふふっ」 全身を笑いで揺すりながらコキンの死体を持って餌用ゆっくりの檻に放り込む。 ゆっくり達が普段以上に怯えた様子で美鈴を見ている。 「それにしても、まさか自殺するなんて……ゆっくりフランは初めてだったけど、まさかこんな事をするとは…… これは面白い事実ね。最も凶暴な捕食種が一晩いたぶられたら自殺。ふふっ何この皮肉。面白すぎるわ。ふふふふ」 檻の中のゆっくり達が美鈴の様子を伺いながら恐る恐る食事している間中、部屋に不気味な笑い声は響き続けた。 「んーっ、さてと!じゃあ今日もお仕事頑張りますか!」 掃除を終えて着替え終わる頃にはいつもの門番さんが出来上がっていた。 その豹変ぶりもまた、檻の中のゆっくり達の恐怖を煽っていた。 部屋を出る間際、おやつ用のゆっくりを無造作に胸元にしまい込む。 世の男性からすれば羨ましいが、そのゆっくりにしてみれば今日食われる事が確定した事になる。 「ゆ゛っぐい゛じだい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「黙りなさい」 軽く胸を寄せ上げて中のゆっくりを圧迫しながら脅す。一言で黙るゆっくり。 と、そこに美鈴の上司が通りかかった。 「おはよう美鈴。何そのポーズは。新しい朝の挨拶かしら?」 「わわ!咲夜さん!お、おはようございます!!これは別にその、ちょっとした体操ですよ!」 「ふぅん?てっきり私に対する宣戦布告かと思ったけど」 「ちちちち違いますよそんな!咲夜さんに宣戦布告だなんてその……は、恥ずかしいです!!」 「……?貴女大丈夫?今日は別の者に仕事を代わって貰った方がいいんじゃない?」 「そんな事はありません、私はいつも元気です!!健康です!!」 「そう。ならいいわ。さっさと食事を済ませなさい。早くしないと……」 「わ、分かってます!分かってますからナイフはしまってくださーい!」 慌てて食堂に向かう美鈴。咲夜はどこか満足げに見送って、今日の仕事に取り掛かる。 今日も何事も無く紅魔館の一日が始まった。 SUICIDE END... 作:ミコスリ=ハン
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「よし、理解した」 俺は虐待お兄さん、その中でも特に調査と分析を重んじるとても知的なお兄さんだ。 ここ数年、沢山のゆっくりどもを毎日毎日ブチ殺してきて理解した事がある。 あいつらが悪意を表にするのは集団のときだけで、一匹で居るときはさほど酷い事をやらないのだ。 ゆっくりによるゆっくりいじめもそう。集団での村への攻撃もそう。やつらは群れると悪意が濃くなっていく。 一匹だけだとせいぜい素の傲慢さで態度が大きい程度で、畑荒らしすら怯えて行わないのだ。 人間の家に侵入する割合もかなり低くなる。人に見つかっても逃げようとする固体が大半だ。 その事に気付いたからには調査開始だ。まず森でゆっくりれいむの家族を発見、捕獲する事にした。 かなりの数が居るな・・・ついさっき出産したばかりの母親と父親、お姉さん8匹に妹12匹、赤ちゃん20匹ってとこか。 「ゆっ!おにいさんゆっくりできるひと?」 「ごめん、今急いでるんだ」ポイッ 「何するのおおおお!!れいむの赤ちゃ」ポイッ 「ゆっくりできないお兄さんはゆっくりし」ポイッ ゆっくりどもを適当にあしらいつつ、背中の籠に放り込んでいく。 この籠はこの時の為に俺が自作した特性のゆっくり籠だ。 入り口には返しがついてるから入るときはスムーズなのに出すのは外部からバラさないと出られないんだ。 我ながらなんという便利な籠。文明の利器には感謝するべきだと常々思う。 「ゆ゛ぐう゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!ぢゅぶれ゛る゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」 「れ゛い゛む゛の゛あ゛がぢゃん゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 唯一欠点を挙げるとすると、構造の欠陥から大量に入れると内圧で大変な事になるらしい。 まぁ、そんなのゆっくりハントじゃまったく無意味だから気にしないけどね。なんでもかんでも悪いところを探して叩くのは不毛だ。 とりあえず巣に居るゆっくりどもを全部捕まえると、俺は家の実験室に帰る事にした。 俺の家まではここからだと10kmくらいか。岩場も多いけど気をつけて走って帰るとしよう。 「「「「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ぐあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」」」」 俺が跳ねる度に声がする。まぁ、いい熊避けになるだろう。 やっべ虐待お兄さんの血が騒ぐ!スキップとかもしちゃうぞーw 「「「「や゛あ゛あ゛あ゛あ゛め゛え゛え゛え゛え゛え゛でえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!」」」」 「ははは、ゆかいだ。はははははは!!!!!」 俺はゆっくり達の悲鳴をBGMにくるくると踊り跳ねながら5時間くらいかけて家に帰った。楽しいんだからちょっとくらい遊んでもいいよね。 年甲斐もなくはしゃいだので明日は確実に筋肉痛だろう。やれやれ。 「「「「ゆ……ゆっぐり…ざぜでぇ……」」」」 「ほら、お前らでておいでー」 蓋を外した籠をひっくり返して床に立てる。ここからがコツが居るんだ。 籠の底にある一本のピンを倒すと、底から空気が入って簡単に中身が出てくるらしいんだ。 ポキッ……シュー……べちょっ。 「「「「ゆぐうっ!」」」」 よし抜けた。あとは引っ張るだけだ。ここで垂直に持ち上げられないと中のゆっくりが崩れてしまう事がよくあるらしい。 ズズズ……ポンッ ぷるんっ 無事ゆっくりが取り出された。元々赤ちゃんから入れていったから上の方には餡子を吐きつつピクピクしてる赤ちゃんれいむ数匹が張り付いてる。 あ、ゆっくりの吐いた餡子が上から垂れてきた、これじゃまるでれみりゃの好物じゃないかw まぁ、捕獲するのが目的なので一回バラさないとな。しばらく養生すれば元に戻るだろう。ゆっくりだし。 そう思い、台所からスプーンを持ってきた。え?他になんかあるだろ? 他に使えそうな道具が無かったんだから仕方ない。バラすのに使える道具ならあるんだけど。 んじゃ、早速右端の赤ちゃんから外してやるか。 「「「「いだい!!ゆっぐりやめてね!!!」」」」 全てのれいむがいっせいに抗議の声を上げる。 ………あれ? もしやと思い、別のゆっくりの間にスプーンを入れていく。 他のゆっくりに負担がかからないように……そーっと…… 「「「「やめてっていってるでしょ!!おにいさんはひどいひとだね!!!!」」」」 結論:こいつら融合しちゃってるーーーー!!!!!! 少なくとも、感覚は共有してるらしい。どんなふうに融合しているのか気になるな…… 俺は桶に水を汲むと、こいつらにぶっ掛けた。 「「「「すっきりー!!」」」」 上にかかっていた餡子を流して気付いた事が有る。 1、表面上は完全に再生していた。赤ちゃんれいむもどうやら元気なようだ。 2、接着面は完全に結合してる。引っ張ると痛がるみたいだ。 3、この状態でも動く事は可能らしい。下になってるゆっくりがプルプル跳ねてた。 なんだこれ……… とりあえず次のステップに移りたいと思う。俺は赤ちゃんれいむを掴んで勢いよくひっぱった! ブチッ! 「「「「いだいよおにいざん!!やめでえええ!!」」」」 結構余裕あるな、こいつら。ところで外した赤ちゃんれいむは……… 「ゆゆ……ゆっくりちていってね!!」 うお!個別の意思を持った!?どうなってんだこれ!? とりあえず、手の中の赤れいむに現状を見せてみるか。何かわかるかもしれない。 「おーい、赤ちゃんれいむー」 「ゆゆ?おにいちゃんゆっくちできるしと?」 「これなーんだ」 そう言って手の中の赤れいむをゆっくりの集合体に向ける。 「ゆぐううう!!!れいむのばげものおおお!!!どっがいっでぇええええええ!!!!」 「「「「ゆゆっ!!ひどいよ!!あかちゃん、おかあさんれいむだよ!!!ゆっくりしてね!!!!」」」」 あー…………なるほどね。コアはおかあさんれいむか。 で、赤ちゃんはそう認識できないと。 しかし…これは俺の手にはおえんなぁ…… 「赤ちゃん、これはご飯だからゆっくり食べてね!!ほら、おいしいよ!!」 「わかった!!ゆっくりたべるよ!!むーしゃむーしゃ!!しあわせー!!」 「「「「どう゛じでごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」」」」 おー、食ってる食ってる。必死に逃げようとはしてるみたいだけど体の使い方がわからなくて抵抗できないみたいだな。 これなら当分は大丈夫だろう。 俺は研究所に鍵をかけて一週間ほど放置した。 一週間後に残ってた一匹のれいむはげんのうで叩いて上げた。 「ゆぴゅっ!!」 これが最後の言葉だった。 後に加工所の人に聞いたことだが、ゆっくり同士の癒着事故は稀によくあるらしく、 その中でも出産間近~子供を産んだばかりの頃のお母さんれいむが居ると意識が全員統合されるらしい。 出産前の段階で子供が暴れないように体がそういう処理をしているらしいが、まだメカニズムはよくわかっていないようだ。 今回の件で俺が理解した事が一つだけある。 「ゆっくりは一匹でも親族を食い殺す害悪だ!!俺は間違っていた!!」 より真理に近づいた俺は虐待お兄さん、その中でも特に調査と分析を重んじるとても知的なお兄さんだ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ドスまりさへの復讐(中篇)書くはずが気がついたらこんなのになってたよ!! しかも元々は21スレ890番の証明をするはずだったのに………なんだこれ。 ゆっくり現実逃避した結果がこれだよ!! このSSに感想を付ける
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ゆっくり罵倒 うちに帰るとゆっくりが強盗に来ていた。 「ゆっ! ゆっくりにげるよ!」 キッチンでジャガイモをくわえていたまりさが、ぴょんと飛び上がって、もそもそ走っていく。 バカヤロ誰が逃がすか。俺はダッシュしてまりさを飛び越え、縁側に先回りした。 割られていたガラスの代わりにガラガラッと雨戸を閉める。 あーあちくしょう、これ実害じゃねえか。侵入だけなら許してやらんでもないと思ったのに。 実刑判決だな。執行猶予なし。 「ゆうっ! しめられちゃったよ! しかたがないね、ゆっくりあやまるよ!」 またピョンと跳ねたまりさが、俺を見てニコニコと笑いかけた。 「おにいさんごめんね! まりさははんせいしてるよ、ゆっくりゆるしてね!」 ピキキッ。 いかん、温厚なつもりが。 これはけっこう……クるわぁ。 「あぁ? なんだこのお調子もんが、それで許されると思ってんのかバカアホ短足ふくれ饅頭」 「ゆゆっ!? ゆるしてくれないの?」 「ったりめぇだ誰が許すかトンチンカンのアンポンタン! 藪にらみのへっぴり虫のインチキお化けのぶちゃむくれーのスットンキョーのデブ饅頭!」 「でぶっ!? まっまりさでぶじゃないよ! ゆっくりおこるよ!?」 またピョンと跳ねると、まりさは涙を浮かべてぷぅーっと膨れ上がる。 ゆっくり怒りのポーズだ。すかさず俺は怒鳴る。 「うるせえバーカ何がデブじゃないだこれだけボヨボヨならデブ以外の何もんでもねえだろうが!」 「ゆうっ? ゆゆゆゆ」 「デーブデブデブ脂肪の子! 太った中身はあんこっこ! 三段腹の怪生物!」 「ゆぐあああ、まりさでぶじゃない、でぶじゃないいい!」 ぷひゅるるる、と潰れてから、のてんばたん、のてんばたんとまりさはもだえる。 その鼻面に顔を突きつけてさらに怒鳴る。 「デブだしトンマだしノロマだド畜生! 田舎くさい土饅頭がダサボロい古帽子かぶって似合うと思ってんのかエセ生首の低脳団子!」 「だだだだだっ、ださくないいいぃぃぃぃ!!! まりさのおぼうしはさいこうのおぼうしなのぉぉ!!」 お、真っ赤になってわめきだした。そうだそうだ、ここがツボだった。 「お帽子お帽子素敵なお帽子真っ黒お帽子なんの色? あ・ヘドロ色♪ あ・ゴミの色♪ あ・葬式の・服の色♪」 ぺしぺしぺしぺし。帽子をはたいて歌ってやると、狂ったようにゴロゴロころがった。 「うだうな゛あぁぁぁぁぁぁ!!! おぼうしのへんなうだうだうなああぁぁぁ!!!」 「お帽子お帽子素敵なお帽子真っ黒お帽子なんの色? あ・燃えちゃった♪ あ・おコゲ色♪ あ・臭くて汚いうんうん色♪」 「やめろ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!!? ぞんなうだ、なじなじなじなじぃぃぃぃぃぃ!!!」 「真っ黒まりさのお帽子は 昔々のお婆ちゃん しわしわばばあのお帽子だ かぶるとばばあだ、ババまりさ」 「ばばばばばばば、ばりざばば゛あじゃないよ゛ぉぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!?」 半狂乱で喚き立て、跳ね狂い、唾を飛ばす。 俺はにんやり笑って、正面から言う。 「ばば・まりさ☆」 「ばばあじゃないぃ!」 「ばばあ。おばばまりさ。しわしわクシャクシャ口臭い」 「くざぐ゛ないいぃぃぃ!!」 「鼻がない。耳もない。ないない尽くしない尽くし。ゴロゴロ転がるボールまりさ」 「なぐな゛いっ! なぐないのぉぉぉぉ!!!」 ぐっ、と腰を据えたかと思うと、猛烈に激怒した風情でぶるぶるぶるぶる震えながら怒鳴った。 「服も着てないパンツもはかない、エプロンもなければ箒もない。貧乏まりさ、ないないまりさ」 「ふっ、ふぐっ? ふぐってなに?」 目を白黒させるまりさを、すかさず嘲笑。 「服って何って? 服を知らないんだ。やぁーいやぁーい、バカまりさアホまりさ何にも知らないオタンチンまりさ! 服ってのはなぁーこれだよこれ!(バフバフ)見りゃわかんだろなんでわかんないんだっとにゆっくりはバカで愚かで無知でスカタンでアンポコリンでオッチョコチョイでメンチボーでアンガラモンガラでブッポーソーだなアッチョンブリケ!」 「あんがらっ! ぶりっ! ぎゅあああああああああ!!!!」 鬼のように目を吊り上げて、口をグワッと全開にして、とにかく何か言い返そうとした途端―― ぶっちーん、とまりさのこめかみが弾けた。途端に、ぶりゅーっと餡が噴出する。 「ゆ゛う゛っ!?」「うおっ!?」 まりさ本人だけでなく俺も驚いた。まりさの横顔から噴水のように餡が吹き出ていく。 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、だめっあんこざんっでちゃだめっ!」 餡子を止めようと思ったのか、そわそわっ、とまりさはせわしなく左右を向いた。 しかしそれで遠心力がついてしまって、かえってビュッビュッと餡が勢いを増した。 「ゆ゛を゛゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!? とめてとめでどめで! おに゛いざんあんこどめでぇぇ!」 びょびょっ、と俺に近づいて、まりさは哀願した。しかし悪いが、俺はまったく逆のことを考えた。 「あーんこあんこ、あんこはうんこ、うんこがぴゅー! まりさがぴゅー! うんこまりさがぴゅっぴゅっぴゅー!」 「ゆがあああああ!!! ばりざはうんごまりざじゃない゛いぃ゛い゛ぃ゛!!」 びゅびゅー。 「や゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! おに゛いざんや゛めろ゛お゛お゛、あんごでぢゃうでじょおおおお!!?」 「うーんこまりさは真っ黒まりさー、中身も帽子もうんこっこー」 「う゛んごじゃなあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い!!!」 それがまりさの遺言だった。 激怒とともにブシャアアアアと餡子が噴いた後は、急にまりさは空ろな顔になって、ヘタヘタと崩れてしまった。 帽子の下で、くぼんだ眼窩の中の目玉を左右別々の方向に向けたまま、「う゛ う゛ん う゛ ゆ」とつぶやいている。 どうやら、激怒により餡圧が高まりすぎて破裂した挙句、餡子欠乏に陥ったらしかった。 俺は、畳一面の餡子とガラスの破片を避けながら、雨戸をカラカラと開け、マイルドセブンエクストライトに火をつけた。 「ふぅ……」 そして、次から外で罵倒しようと心に決めた。 =============================================================================== 罵倒マジで難しいです。すぐ子供言葉になってしまう。 「機関銃のように罵声を浴びせる」ことのできる人がうらやましい。 YT 過去作品 その他 エレベーターガール そ その他 変身 そ ゆっくりいじめ系27 幻想鉄道の動物対策 虐 機 霊夢×ゆっくり系2 博麗神社の酒造り 虐 料 その他 諸君私はゆっくりが好きだ そ 美鈴×ゆっくり系2 ほんめーりん×ゆっちゅりー甘甘水責め 虐 そ その他 FireYukkuri そ ゆっくりいじめ系187 終端速度 虐 家 無 永琳×ゆっくり系11 八意永琳のアルティメット・サイエンス 虐 そ ゆっくりいじめ系264 幻想郷のみにくい生き物 虐 ゆっくりいじめ系281 冬眠ゆっくりの子守唄 そ 環 性 家 ゆっくりいじめ系312 乙女よ、森はまだ早い 虐 性 無 ゆっくりいじめ系345 ゆっくり塊魂 虐 ゆっくりいじめ系1044 ゆっくりと共同生活 虐 家 ゆっくりいじめ系1052 ゆっくりとガチバトル そ 魔理沙×ゆっくり系4 ゆっくりの身の程 ゆっくりいじめ系1285 ゆっくり夢幻 驚異のマイクロゆっくり このSSに感想を付ける
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以下、注意書き。よく読んでおいてください。 ※ハーフ、厨、死なないゆっくりがでます。俺設定、他人様の設定を含みます。とんでもなく読みづらいです。 ※実在の人物、団体、地名とは全く関係ありません。無いったら無いです。不幸になる人間が出ます。 ※まだはじめなので直接的な虐待はありません。むしろ虐待から趣旨がずれています。 ※読んでて気分が悪くなったら読むのを中止してください。 以上です。どう見ても核地雷です。本当にありがとうございました。 読まないことお勧め、これ最強。 投棄場に保管していただければ幸いです。 魔法が廃れ、剣と科学がこの世界を支配していた。 この地には人と幾ばくの野生生物とゆっくりが密接に存在していた。人の祖はあるとき地上に降臨したと言われるが定かではない。 動物も同じだった。だがゆっくりだけは違った。 世界にまだ魔法が存在していた頃、一人の狂える魔法使いが『始まりのゆっくり』と呼ばれるものを生み出したのだという。 その魔法使いが何故生み出したのか、何を為そうとしたのかはわかっていないが、伝え聞くことが真実ならばゆっくりは生物ではないということになる。 誰にもそれが真実であるということを証明できないが、虚実であることもまた証明できない、よってゆっくりは魔法物体、略して魔物と呼ばれている。 ゆっくりは言語を用いて人と多く関わってきた。文化を持たないがそこそこ賢く、貧弱でありながら生きて来た実績がある。だが所詮は人とは違うもの、 価値観の違いからの衝突、食料を巡っての争い、その大半は人の勝利で終わるが人間にも多少の被害は出ている。人とゆっくりの溝は 決して浅くはない。ゆっくりは旧き友であり、仇敵でもあった。 だがそれは人同士でも同じこと。集落から始まり、国を興し、隣国と戦争が起きるのは必然であった。人の歴史は戦とゆっくりとの争いに 彩られていた。 その世界に存在する王国『ユートルダム』は土地は肥え、海にも大きく開けており、とても豊かな国であった。 だがそのせいで隣国からは格好の標的にされた。代表的なのは、雪と氷が国土を占める北の共和国『キューズ』、 かつて世界全土を征服していた旧魔法時代の王の末裔を名乗る帝王の支配する技術先進国でもある西の帝国『テンペスト』の二国である。 幸いなことに二国は犬猿の仲であり、同盟を組むことも共同戦線を張ることもなかった。そして王国にはその豊かな国土に支えられた 屈強な兵団を抱えていることから侵略国を悉く退けてきた。その度に多くの英雄の武勇譚が詩人に謳われ、国民に勇気を与えた。 国はいつまでも安泰であり、人々は心ゆくまで平和を謳歌し、それは永遠であると信じていた。 だが人々が信じたものは陶器が地面が落ちるように、粉々にそして簡単に砕け散った。 キューズとテンペストがありえないことに同盟を組んだのだ。こうして攻めている間に国を攻め取られるという後顧の憂いがなくなり、 ユートルダム侵攻に多くの戦力をつぎ込むことができた。こうして歴史に類を見ない、大地を血に染めた戦争が始まった。 結果を言えば王国は勝利した。だがそれに喜ぶものは誰もいなかった。敵の二国の足並みがそろわず、この調子で行けば王国が勝てるはずだった。 だが二国は負傷兵も駆り出し、文字通り総力戦を行った。双国ともに相手よりも劣ることを嫌い、意地で戦争をしていたと思われる。 王国は防衛線であったことも手伝って、これを退けた。辛勝とも言えぬ勝利だった。勝ち得たものは少なく、二国との講和を条件に 支払われた賠償金、わずかな物資、技術。残ったものは荒れ果てた領地と疲れきった国民、そして兵力を大幅に減らした見るも無残な兵団だけだった。 そこで持ち上がった問題が早急な復興が必要であることだった。二国よりも早くに国を立て直さなければ、また戦争が起きたら負けは確実、 なのだが防衛線で失った国民が多すぎて立て直すには長い時間が必要であった。 当時の国王は頭を抱えていた。国を立て直すには時間が要るがそれでは王国の滅亡は時間の問題、それを打開する策を求めて 毎日、臣下と会議を行っていたのだが芳しくなかった。 二国と親交を深め、戦争を起こさせないというものは当然却下された。贈り物をしてそれを戦争の道具にされれば滅亡を早めるだけであり、 そもそも二国は信用ならざる相手であったからだ。 二国の仲を瓦解させ、争わせるという「二虎共食の計」を用いるというもの。だがこれも却下された。材料がないことも挙げられるが、 失敗すればこちらに攻め入る絶好の口実を与えることになってしまう。 かくなる上はこちらから攻め、相手に決定的な被害を与えるものもでたが、これはもう策などではない。王国には遠征を行える余裕はない。 もう打つ手はないと諦めの雰囲気が会議室内を支配していた。 その時、歴史は動いた。 この窮地を救った救世主として構成にまで語り継がれ、今でも王国の者ならば誰もが知っている人もゆっくりも関係無くだ。 それは一匹のゆっくり、「ぱちゅりぃ」であった。 その日、王は夢を見た。真っ暗な世界に一筋の光がさし、光はどこまでも明るく世界を照らす夢。天啓であろうか、王はなんとなく 馬で遠乗りに出かけることにした。護衛を二人だけつけて、活気の無い城下町を抜け、地平線まで見える平原で馬を休めた。 そして小高い丘の上でぱちゅりぃと出会った。王はただのゆっくりに声をかける王に驚いている護衛を無視し、ぱちゅりぃと話をはじめた。 『ぱちゅりぃに一つ提案があるわ』 ぱちゅりぃは挨拶もそこそこに王にある提案をした。それはゆっくりが敵国同士の同盟を解消させてこの国の窮地を救う。そのかわり、ゆっくりを国に 迎え、安全を保障してもらいたい、といったものだった。普通だったら笑い飛ばして話はそこで終わりだろう。だが王は笑わず、黙って話を聞いていた。 話が終わり、そこではじめて王は口を開いた。 「国に入ってなんとする?貴様らはどうやって生活するつもりだ」と。 ぱちゅりぃは答えた。土を耕し、作物を作る人の手伝いをしていくつもりだ、と。確かに今は猫の手も借りたい状況にある。ゆっくりは非力であるが、 力を合わせればそれなりのことはできるのだという。 その後のことは事を成してから話し合おうと、一ヵ月後またここで会う約束をしてぱちゅりぃは去っていった。 王はそれほど期待はしていなかった。だがこれは負けても何も失わない賭けとも呼べない、あるべき状況に戻るだけの単純なもの。それにこの状況を 打開できる策もないのだ。藁に縋る思いで王は待つことにした。 それから一ヵ月後、王は何もしなかったわけではないが、何かができたわけでもなかった。国の危機は現実味を増し、ますます王城には諦めの空気が 漂っていた。だが先日、キューズ、テンペストに送り込んでいた密偵から報告があった。二国ともにゆっくりによって食料を荒らされ、軍備もままならぬ とのこと。捕らえられたゆっくりはそれぞれキューズに、テンペストに命令されてやったと言っていた。疑うのが当たり前なのだろうが二国の仲は 薄氷の上に成り立つ同盟で繋がっていたに過ぎず、それはいとも簡単に崩れ去った。二国は国の安定に力を注ぐことに集中せざるをえなかった。 約束通り、王は小高い丘に現れた。百騎の騎士を従えて。ぱちゅりぃは既にそこにいた。こちらも数え切れない数の仲間を連れていた。ぱちゅりぃは 前に進み出て王に約束を果たすことを要求した。王は要求を呑むほかなかった。騎士に命じればこの程度のゆっくりなど造作もなく蹴散らすことができるだろう。 だが約束を違えることに意味があるのだ。この世界に神というものは存在しない。王こそが神であり、父であり、絶対なのだ。その王が虚言を用いることが 民に知られれば信頼を失い、国は傾き弱体化する。相手がゆっくりといえど約束を反故にはできなかった。王は開き直ることにして、こうなれば徹底的に やってしまおうと考えた。 その日のうちに王は演説を行い、ゆっくりを国民として迎えることを国中に伝えた。これには重鎮を含む、多くの国民が反対した。だが王はこれを聞き入れず、 勅命であると従わせた。国を見限り、他国に渡る民もいたが王はこれを咎めなかった。人々は王は狂われたのだと囁いた。 やがてゆっくりの農耕が始まったが問題が多発した。労働が過酷だと不満を垂れるゆっくり、収穫しても税として徴収されることに憤るゆっくり、 だがそれらは全て、他の農民と同じ条件であり、従わぬのならどこへなりとも行けと追い出した。それでも大半のゆっくりはここに残ることを選択した。 自然で生きていた頃よりも死亡率が下がったことも事実なのだ。 ゆっくりを迎えたことにより、キューズ、テンペストからは憎い敵として認識されていた。かつての国力を上回る力を取り戻したユートルダムは二国に これまでの礼も込めて戦争を仕掛けた。これらを難なく落とし、属国化させた王国はこの大陸一の強国になった。 このときにはゆっくりに対する人々の意識は変わっていた。やつらは便利な道具だ。うまく使えば生活が楽になる、と。 ゆっくりの数は国民の数と大差なかったがその大部分が奴隷以下の待遇を受けていた。そんな中で国を揺るがすほどの事件が起こった。 とある領主の息子が一匹のゆっくりと恋に落ちたのだ。しかもそのゆっくりはあのぱちゅりぃの子であった。 その出会いは偶然、あるいは必然であったのか。 領主の息子はその日、鹿狩りに出ていた。彼は馬の扱いに長けていたため、供の者たちを置き去りに一人はぐれてしまった。さらに運悪く雨が降ってきた。 どこか雨宿りできるところはないかと行き着いたのが洞窟であった。その洞窟は生来から体が弱かったため、働くことのできない子のためにあのぱちゅりぃが 用意したものであった。もちろん、中には子ぱちゅりぃが既にいた。それが出会いであった。 はじめは貴族の方と一緒の場所にいるのは恐れ多いからとぱちゅりぃは出て行くつもりだった。だが領主の息子はゆっくりが水にぬれると行動不能になり、 命に関わることを知っていたのでそれには及ばないと断った。 洞窟の入り口付近で外を眺めることで時間を潰していたがそれに飽いた彼は中に目を向けてぱちゅりぃが震えていることに気づいた。 ぱちゅりぃは寒くて震えているわけでも体調が悪いわけでもなかった。ただただ怖かったのだ。母から何度も言われたことが頭の中で何度も響いていた。 『人間は恐ろしく強い。その中でも貴族と呼ばれるものの怒りを買えばゆっくりなど簡単に殺されてしまう。だから近づくな』 逃げることを封じられ、広くもない洞窟で隠れることもできないぱちゅりぃは自分をどうにでもできる者の視線に怯えていた。 それを彼は雨のせいで下がった気温で寒くなり震えているのだと勘違いをした。ならば暖めてやろうと彼はぱちゅりぃを抱え込んで羽織っていたマントで 包み込んだ。いきなり掴みあげられたぱちゅりぃは恐怖で声も出せずにされるがままになっていた。誰だって死にたくはない。自分はここで死ぬんだと 信じたくはなかったぱちゅりぃはしばらく固まり、目を閉じていたが次の行動がいつまでたっても訪れないぱちゅりぃは恐る恐る目を開けると 顔を覗き込んでいる彼と目があった。 ゆっくりに興味があった彼はぱちゅりぃと会話をしてみた。親からゆくゆくは跡を継ぐのだと勤勉に励まされ、対等に話をできるものがいなかった彼にとって 興味の対象であった。最初こそ、恐怖を抱いていたぱちゅりぃであったがぱちゅりぃもまた孤独に苦しんでいた。こうして彼らは飽きることなく雨がやむまで 会話を楽しんだ。その後も彼は屋敷から抜け出してはぱちゅりぃに会いに行き、屋敷の中にいるだけでは知ることのできなかったことをぱちゅりぃから 教わったり、お礼に彼の馬に相乗りさせたりした。ぱちゅりぃもたびたび自分に会いにきて真剣に話を聞いてくれ、褒めてくれる。そして世界の広さを 教えてくれる彼に感謝していた。こうして彼らの中は急速に発展していった。 だがある日彼らのことは領主である父にばれてしまい、それは国王の耳にも届いた。王は彼らを王城に招き、その恋を諦めるように説得するつもりだった。 だが逆に彼らの強い愛情に心打たれ、婚姻を認めた。領主は王に考え直すように提言したが王はあの夫婦に子は望めぬのだからそこで途絶える。 そうしたら貴公のもう一人の子息に家を継がせれば良いではないかと言った。領主は王への忠誠に厚い人物だったので渋々ながら受け入れた。 そうなればぱちゅりぃは貴族の家に入ることになり、その母であるあのぱちゅりぃも貴族と同等の権利を持つことになった。今まではゆっくりのことに ついてはぱちゅりぃに一任されていたがその権利はその家に帰属することになった。 改めて国に仕えることになったぱちゅりぃはゆっくりであることを理由に今まで何の褒賞も受けられなかったが国に救った実績を考えれば 英雄と讃えられてもおかしくはないのだ。こうしてぱちゅりぃは王の「ゆっくりといえどその忠誠は誠天晴れ」といくつかの褒美とともに “偉大なるゆっくり”の称号を賜った。 その後平和な日々は続き、ゆっくりを国に迎え入れてから三十余年。ぱちゅりぃはこの世を去った。ゆっくりの寿命を考えれば長生きというには 長すぎる生涯であった。 領主も次の年に亡くなり、ぱちゅりぃと夫婦になった嫡男が跡を継いだ。 歳に加え、病を患った王は自分の死期が近いことを悟っていた。床に次代の王となる王子を呼び、ゆっくりと協力して国を栄えさせよ。ゆっくりは 人を新しい道へと導いてくれるだろう。と遺言を残して崩御された。ゆっくりを国に迎えた「狂王」、国を一つにまとめた「英雄王」、 さまざまなあだ名をつけられた王は齢八十にしてその生を終えた。 王が変わっても民の暮らしに変化はなかった。だが重大な、そしてあってはならないことが起こった。 あの領主の夫婦の間に産まれるはずのない、産まれてはならない男児が産まれたのだ。そして領主の弟が兄である領主一家を捕らえ、屋敷の塔に 幽閉したとの知らせが王に届いた。王はすぐに書状を記し、それを届けさせた。 届け先は領主の弟であった。彼は王からの書状が届いたことを不審に思った。てっきり、肉親、仕えるべき家へ背いた罰として騎士が派遣され、 自分を討ちに来ると思っていたし、その覚悟もあったからだ。彼はその書状に目を通した。内容は以下の通りだった。 “その方の所業は上の者へ背く行為であり、ひいては余へ刃を向けたことであると言える。だが人とゆっくりとの間に生まれた怪物が貴族として 家を継ぐことを防ぎ、そのような者がいることが民に知れ渡り、混乱に至る前に阻止した行為は余への忠誠として受け止めた。そのすばやい英断を 讃え、その見返りとしてその方をその地の領主を任ずる。” そのうち自分が新しい領主になるだろうと考えていたが子が産まれたことでそれが無くなると怒りの感情を抱いただけで深くは考えてはいなかった男は 軽率なことをしたと後悔していたのだ。 反逆の徒から一転して領主へと変わった男はその内容を理解したとき、安心して力が抜けた。 領主へと任じられた新領主はまずはじめに治めている土地の民に自分が新しい領主であることを告知。次に“偉大なるゆっくり”の権力である、 国内の全てのゆっくりを農耕へと使用する権利を各地の農民に売り払った。この権利はゆっくりの国民として正当に扱われることを保障するものであったのだが 辛いだけで実入りの少ない仕事であった。このようなものは売ってしまおうと考えていた男はまたも深く考えてはいなかった。 それはすぐに王の耳へと届き、王はまた書状をしたためた。 “貴公のしたことは民の暮らしをより良くするための第一歩となるだろう。その功績を讃え、勲章を授与する。” その書状をすぐに使いの者に届けさせた後、王は玉座の間に座り、笑った。 王はゆっくりが嫌いだった。理由は特になかったがあえて言うのならば総てであった。そのゆっくりを父王が国に迎え入れたときは 父は本当に狂っていると思った。だが先代の王の政策を取り消すこともできずに頭を悩ませていた。だがあの男のおかげで万事解決である。 ゆっくりを農耕の道具とすれば、さらに国は栄え、父の遺言にも従うことにもなる。 王は生きてきた中で最も大きな声で笑っていた。 人は豊かにゆっくりは苦しむ。 その政策は王が代わっても変わることなく続き、百年続いた。 そんな世界の中、長く伸ばした赤い髪を後ろでまとめ、農作業に精を出している青年がいた。 この青年を中心にこの物語は始まる。 ~あとがき~ 色々あってぶっ壊れました『オマケ』です。 ご覧の有様だよ!