約 632,074 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5204.html
本編(未完) ゆっくりいじめ系808 ティガれみりゃ ゆっくりいじめ系817 ティガれみりゃ2 ゆっくりいじめ系817 ティガれみりゃ3 ゆっくりいじめ系817 ティガれみりゃ4
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3629.html
『お目覚めはゆっくりと』 ※現代にゆっくりがいる設定です 東京近県の衛星都市。 比較的地価の安いこの地域は、学生やフリーター、若手の新入社員達が多く住んでいる。 だから、専門学校を卒業して間もないような人間でも、 このあたりで部屋を借りつつ、"ゆっくり"と暮らすのも可能だった。 * * * 8畳フローリング・ロフト付き。 そんな間取りの部屋の中央で、1匹のゆっくりれみりゃが座っていた。 その傍らには、クレヨンや画用紙や積み木といったものが散乱している。 れみりゃは、大好きな玩具に囲まれながら、 幸せそうにだらしのない下ぶくれスマイルを浮かべていた。 「うー♪ ぷっでぃーん♪」 自然と口から漏れるのは、大好きな言葉。 れみりゃは、この部屋の主の人間とともに暮らし、実にゆっくりとしていた。 その証拠に、れみりゃの体は標準的なものに比べて、はるかに"ふとましかった" ふくよかな四肢ははちきれんばかりにプヨプヨしており、 お腹はぷっくら膨らみ、下ぶくれ顔にはさらに二重顎のおまけがついている。 「うー♪ ぽかぽかしてきたどぉー♪ そろそろだどぉー♪」 太陽から差し込む温かい光。 ポカポカの陽気を受け、部屋の中はエアコン無しでも温かい。 れみりゃは、その気温と太陽の光を確認してから"うーしょ、うーしょ"と重たそうに立ち上がり、 小さな黒い羽をパタパタ動かして、重たい体を浮き上がらせた。 「ぱたぱた~♪ う~☆」 れみりゃが、ご機嫌で飛んでいく先、 そこは部屋の角にあるベッドの上だった。 「おねぇーさーん♪ あさだっどぉー♪」 ベッドの上には、部屋の主である人間が眠っている。 れみりゃには、この部屋で"ゆっくりする"ためにいくつかの対価……すなわち勤めが課されていた。 朝になったら起こすというのも、比較的夜行性のれみりゃの役目の一つだ。 「……ん、うん……すぅ……すぅ……」 ベッドで寝ている人間は、わずかなリアクションだけをして、また健やかなな寝息をたてはじめてしまう。 その寝顔に下ぶくれ顔を近づけ、ぬぼぉーっと覗くれみりゃ。 れみりゃは、起きない人間のために、次なる手段をとることに決めた。 「しょーがいなどぉー♪ とくべつさーびすだっどぅ♪」 人間を踏まないように、れみりゃはよいしょとベッドの上に着地する。 短くて柔らかい足は、ちょうと人間の首を中心にして、左右に置かれていた。 れみりゃは、それからドスンと、まるで尻餅をつくように尻から座り込む。 大きなお尻の下には、ちょうど人間の顔があった。 「……うぷっ」 それまで定期的な寝息を立てていた人間の口から、反射的な吐息が漏れた。 それから、れみりゃは尻を顔に乗せたまま、左右に尻を振るように体重を移動する。 それはまるで、尻を顔に擦りつけるような所作だ。 「でびぃーのかわいいおじりぃー♪ あさから、くんかくんか☆できるなんてしあわせもんだどぉー♪」 ご機嫌満悦の微笑みを浮かべる、れみりゃ。 "うーうー"とリズムを刻みながら、お尻を揺らしていく。 「……うぁ?」 ふと、れみりゃはお尻のあたりがムズムズしているのを感じた。 れみりゃは、そのムズムズに促されるように、少しだけいきむ。 「あーぅあぅー♪ でび☆りゃ☆ぶぅーーー♪」 "ばっぶぅーーーー!" 豪快な音をたてて、れみりゃの尻から黄色いガスが勢いよく放出された。 「うー♪ でちゃったどぉー♪」 れみりゃは、照れながら、それでいてどこか得意そうに、顔を赤らめて笑う。 その直後、れみりゃの体はゴロンと前転して、布団の上に着地した。 「うー!」 驚き、目を見開くれみりゃ。 何が起きたかわからず左右をきょろきょろしてから、 れみりゃは背後へ振り向いて元気に叫んだ。 「うっうー☆おはようさんだどぉー♪」 そこには、気だるそうに上半身を起こして、片手で頭を押さえている部屋の主がいた。 「……おはよう、れみりゃ」 "自分のおかげで、今日も部屋の主が起きられた" そう考えているれみりゃは、どこか誇らしげだ。 大好きな人間に構っても追うと、朝の支度を始める人間のまわりをピョコピョコついて回る。 一方の当の人間はというと、れみりゃを適当にあしらいながら、洗顔に着替えにと、テキパキすませていく。 「……物騒な事件が続くなぁ」 人間は、新聞を開いて、ジャムを塗ったパンと野菜ジュースを口にする。 "未確認ゆっくりまた出現!" "未確認ゆっくり第4号、第21号と交戦" "ゆっくりと人間の共存は可能なのか?" "鏡の中に現れたゆっくりが人間を襲う!?" 記事を流し読みで済ませて、オートマティックな所作で朝食を終える人間。 テキパキ食器を洗い終えて、ふと一息。 この後、温かいコーヒーを一杯飲んで家を出るのが、この人間の毎日だった。 コーヒーに、ふーふー息を吹きかけて、人間は今の時間を確かめようと机の上へ視線を移す。 「……あれ、時計は?」 そこには、置いてあるはずの時計が無かった。 いわゆる電波時計という奴で、仮にれみりゃが起床役を忘れていても、きちんとアラームが鳴る代物だ。 量販店で買った安物ではあったが、あるはずのものが無くなっているというのは何とも気持ち悪い。 コーヒーを冷ますのをやめて、人間はあたりを探し始めた。 すると、人間の様子から事態を察したのだろう。 れみりゃが、机の上に立ち、人間の前にバンザーイと両手を上げた。 「う~~♪ あのゆっくりできないジリジリは、でびぃーがぽぉーいしといてあげたどぉ♪」 "ぽぉーい♪" その言葉を聞いて、人間は溜息をついた。ああ、またやってしまったのかと……。 人間は肩を落として、ゴミ箱の蓋を開ける。 すると、中には探していた電波時計が確かに入っていた。 「あれもぽぉーい☆これもぽぉーい♪ ゆっくりできないものはみんなぽいするのぉー♪ ぽぉーい♪」 「ぽーいぽーい♪」と物を投げ捨てるジェスチャーを織り交ぜながら、 "うぁうぁ"楽しげに踊り出す、れみりゃ。 それとは対照的に、人間は電波時計と一緒に捨てられていたものを見つけて、顔を青くした。 「ああっ、ボクのケータイ!!」 人間は、最近買い換えたばかりの携帯電話が乱雑に捨てられていたのを見て、慌ててそれを取り出す。 液晶をオンにすると、待ち受け画像と今日の日付、それにアラームが鳴っていた履歴が表示された。 どうやら、れみりゃはアラームが鳴ったものをまとめて、"ぽーい"してしまったらしかった。 壊れていないことにほっと胸を撫で下ろしてから、人間はケータイ電話をポケットに移す。 れみりゃはといえば、相変わらず誇らしげに胸をはり、人間の足下でニコニコしている。 どうやら頑張ったご褒美を欲しがっているらしい。柔らかくて短い手で、人間の服の裾を引っ張っている。 「でびぃーがんばってぽぉーいしたどぉー♪ ごほうびに、ぷっでぃ~ん☆ふたちょもってきてぇ~ん♪」 れみりゃからすれば、全くの善意の行動だったのだろう。 怒られるという不安は全く感じていないようだった。 本来ならば、しっかりここで教えておくべきなのだが、 ケータイに表示された予想外の時刻の前では、そんな余裕は無かった。 人間は冷蔵庫を開けてプリンを取り出すと、それをれみりゃに手渡す。 れみりゃはプリンを掲げて喜び、部屋の中央に座ってプリンを開ける。 「はぁ……いってきます……」 「うーうー♪ ゆっくりおつとめしてくるがいいどぉー♪」 プリンをがっつきながら、れみりゃは靴を掃き終えた人間に手を振った。 そうして、プリンを食べ終わると、れみりゃはパタパタ飛んで、ロフトの上に向かう。 ロフトの上には、収納用の段ボール箱と、ゆっくり用のおもちゃ箱、 そして人間の赤ん坊用のベビーベッドが置かれていた。 ベビーベッドには、ひも付きの札がひっかけてあり、 そこには汚い平仮名で大きく"こーまかん"と書かれていた。 「でびぃーはこれからおねむするどぉー♪ おやすみだっどぉー♪」 れみりゃはそのベビーベッドで横になり、目を瞑る。 それから、うぴーうぴーと鼻提灯を出しながら眠り始めるのに、さして時間はかからなかった。 * * * それから、数時間が経った。 れみりゃはタオルケットにくるまりながら、相変わらず寝息を立てている。 幸せそうにヨダレを垂らしているれみりゃ。 その顔に、突如"こぶし"がめり込んだ。 「ゆっくりしね☆」 「う、うびぃー!?」 いきなりの痛みに、れみりゃは起きあがり、 赤くなってヒリヒリジンジン痛む顔に手をあてる。 「うぁ~~! でびぃーのえれがんとなおかおがぁ~~~!」 目が覚めるとともにより明確になる痛みに、れみりゃは涙を浮かべて叫んだ。 「うー! おねぇーさま、ようやくおきた! おそい!」 「う、うぁ!?」 涙でにじむ視界の中、れみりゃの視線の先には、ゆっくりフランがいた。 このフランもまた、れみりゃとともにこの部屋に住んでいるゆっくりであった。 「うー! おねぇーさまをいぢめるふらんは、でびぃーがやっづげでやるどぉー!」 れみりゃはグシグシ涙とヨダレををぬぐってベビーベッドから出ると、 その手をぐるぐる振り回して、フランの下へドタバタかけていく。 だが、フランはそんなれみりゃの姿を見て、 キランと目を輝かせたかと思うと、手に持った棒で逆にれみりゃを殴り飛ばした。 「くりゃえ~☆ れ~ばてぃん☆」 「!!??」 "れーばてぃん"の直撃を受けたれみりゃは、叫ぶことさえできずに、床に倒されてしまう。 フランはそんなれみりゃの上に馬乗りになると、べしべしその頭をたたき出す。 「うーー! ふらんちゃん、やべでぇーー!」 「うー☆しねしね! ゆっくりしね!」 れみりゃの戦意は、あっという間に粉砕されてしまった。 だぁーだぁー泣き叫び、フランに許しを請うのが精一杯だ。 「うー! もぉーぶただいでぇー! でびぃーは、ゆっぐりおねむしてただけだどぉー!」 一方、フランは電波時計をれみりゃの前にドンと置いて指を指す。 時刻は午後4時。ちなみにれみりゃの起床時間は、午後3時と決められていた。 「もうおきるじかん! おねぇーさま、ゆっくりおきる! そしてしぬ☆」 「ぷんぎゃー!」 フランは最後に大きな一発をれみりゃにお見舞いすると、 "うー☆"という天使の笑顔に戻って、"こーまかん"と名付けられたベビーべッドへ上る。 「う、うぁ、うぁぁ……」 れみりゃは、痛む体を何とか起こして、 ベビーベッドでタオルケットをかけるフランに抗議の叫びをあげた。 「う、うー! そこはでびぃーのこーまかんだどぉー! ふらんちゃんはつかっちゃだめだどぉー!」 「うー、ゆっくりねる……つぎのしごとまで、しえすた……」 れみりゃの我が侭などどこ吹く風。 フランは涼しい顔を浮かべたまま、健やかな眠りに入っていく。 れみりゃは、何とか"こーまかん"を取り戻して再び眠ろうと考えたが、 先ほどまでの攻防の後では、フランに逆らうほどの勇気も無かった。 「さくやぁー! さくやぁどこぉーー! ふらんちゃんがいぢめるどぉーー!!」 れみりゃに残された手は、泣いて助けを呼ぶことだった。 なお、この部屋を借りている主、すなわち現在働きに出ている人間の名前は"さくや"ではない。 無償の愛で自分に尽くしてくれる存在、さくや。 れみりゃ種にとって、その名前を叫ぶことは本能的なものであった。 故に、仕方の無い側面もあるのだが、これから眠ろうとするフランからすれば、その騒音はたまったものではない。 それに、あまり五月蠅くしては、アパートを借りている人間にも迷惑がかかる。 困り者の姉が我が侭を言った時、ブレーキ役となるのが自分の役目だと、フランは考えていた。 故に、フランはベビーベッドから出て、 前のめりでわんわん泣いているれみりゃの尻を蹴飛ばした。 「ゆっくりしね☆」 「ぶひぃー!」 フランのその考え自体は間違っていないのだが、 そのやり方は少々過激で、主の人間からも度々注意はされていた……。 しかし、れみりゃに対して過激な言動に出てしまうのは、 れみりゃがさくやを呼ぶのと同じく、フラン種にとっての本能だ。 れみりゃへの愛情・愛着・信頼があったとしても、 あるいは、そういった感情があればこそ、フランはれみりゃに対して過激な行動に出てしまう。 「うぁぁーー! うぁぁー! でびぃーのぷりてぃーなおじりがぁーー!!」 「おねぇーさまもちゃんとしごとする……そうじとせんたくしなきゃだめ」 両手で尻をさするれみりゃに対し、冷静に告げるフラン。 それに対し、れみりゃは仰向けになると、泣きながらダバダバ手足を振り回し始める。 「でびぃーはおぜうさまだからいいんだもぉーん! そんなのさくやがやってくれるもぉーん♪」 フランは、大きく息をはいた。 しかし、それは残念だからでは無い。 聞き分けの無い姉に対して、今日もこれから"姉妹水入らずの肉体的コミュニケーション"を行える喜びからだ。 「う、うぁ!?」 キラーン☆と光るフランのルビー色の瞳に、れみりゃは反射的にビクっと体を震わせた。 「かぞくのるーるをまもれないやつは、ゆっくりしね!」 フランはそう叫ぶと、段ボール箱の中に入っていた小さな"あまあま"のヌイグルミを、れみりゃの口に押し込んだ。 口を塞がれ、"んーーんーー"とさくやの名を呼ぶこともできないれみりゃ。 その様子を確認して、うんうんと頷くフラン。 そうしてフランは、背中をゾワゾワ走る愉悦に身を任せるのだった。 * * * 薄暮の空の下、れみりゃ達の主の人間は、自転車を横に歩いていた。 自転車のカゴの中には、近所のスーパーで買った食品や日常雑貨が入っている。 「まいったなぁー、もう遅刻できないよ……やっぱり分担を変えるしか……」 主の人間は、結局今朝遅刻してしまい、上司からたっぷりしぼられてしまった。 元々、この人間は朝に弱く、遅刻をしがちだった。 より確実に起きられるよう、れみりゃにお願いをしたが、どうにも成果は上がらない。 妹のフランに頼めばより確実なのだが、 フランは、昼頃まで夜~朝シフトのバイトに出ており、それは難しい。 バイトといっても、いかがわしいものではなく、深夜のラジオ出演や雑誌関係の仕事が殆どだ。 いわゆる、タレントペットならぬ、タレントゆっくりなのだ。 その出演料は意外とバカにならず、"共同生活"を行う上で大いに助かっている。 実のところ、仕事が忙しい月に関して言えば、この人間の正規の月収さえ上回ることもあった。 そんな折、一人だけ働くフランに負い目を感じてか、それとも姉としてのプライドがあってか、 れみりゃにも家事という名の仕事を与えてみたが、なかなか上手くはいかない。 予想はしていたが、目覚まし係というのも向いていなかった。 「……うん?」 ふと、とある光景が目に止まり、人間は足を止めた。 自転車をアパート共有の駐輪場に置いてから、小走りでその現場へと向かう。 その現場は、アパートの目の前の電柱だった。 そこに、数人の小学生らしき子ども達が集まっている。 思い思いのバッグを持っていることからすると、学校帰りというよかは、塾帰りなのかもしれない。 そして、彼らの中心には、縄跳びのロープで電信柱に巻き付けられた、ゆっくりれみりゃがいた。 れみりゃの体はしっかり固定されており、うびーうびーと濁った寝息を立てている。 そのふとましい姿、何かあった時のため帽子に刺繍したアップリケ型の飼育証明を見て、 "間違いなく我が家のお嬢様だ"と主の人間は確信した。 「おい、こいつなんだよ?」 「こいつ、ゆっくりだろ? どっかのペットかな?」 「これ見てみろよ! 眠っていたらつねって起こせってさ」 少年が指差した先、電柱に一枚のメモが貼り付けられている。 そこには、平仮名で"ねてたらつねっておこす。それいがいしたらゆっくりしね"と書かれていた。 その文字を見て、主の人間には察しがついた。 姉妹喧嘩……というには一方的な、フランの制裁が行われているのだと。 そんなことを知らない少年の一人が、むぎゅーとれみりゃの頬を引っ張った。 その痛みには、寝ぼけ眼でれみりゃが目を覚ます。 「う~~! でびぃーのきゅ~どなほっぺがじんじんするどぉ~~!」 赤く腫れた頬をさすろうとするが、手はロープで固定されているため動けない。 しばらく"うーうー"難儀した後、れみりゃは痛みから逃げるように目を瞑って浅い眠りへ落ちていく。 「おっ、起きたぞ」 「でも、また寝ちゃったぞ?」 「なんか面白いな、こいつ♪」 少年達は、次々にれみりゃの頬を抓ったり、引っ張ったり、叩いたりしていく。 見ると、れみりゃの頬にはあちこちに赤く腫れた後がある。 おそらく、この少年達の前にも、同じようなことをした人がいたのだろう。 最初はおそるおそるだった少年達も、 起きてはまたすぐ寝てしまうれみりゃに対し、徐々に警戒感を無くして力を入れていく。 「うぁぁー! やめるんだどぉーー! さくやぁぁーーー!!」 れみりゃはとうとう泣き叫びだし、目の前の少年達へ敵意をあらわにしだした。 れみりゃのボリュームの大きな声に、びくっと後退する少年達。 少年達は、れみりゃが動けないのを再確認してから、れみりゃへ文句を言い始めた。 「なんだよ、このデブ! ここに起こせって書いてあったから起こしてやったんだぞ!」 「うー! でびぃーはおでぶさんなんかじゃないどぉー! こういうのは"ふとましい"っていうんだどぉー♪ これだから、ものをしらないしょみんはいやなんだどぉー♪」 説明してやれば美的感覚の無い少年達も、自分の凄さを認めるに違いない。 そして、あふれだすエレンガントさとカリスマにひれ伏して、ぷっでぃ~んを持ってくるに違いない。 れみりゃはそうとでも考えたのか、余裕の笑みを浮かべはじめた。 しかし、そんな事が起こるはずもなく。 少年の一人が、怒りの形相でれみりゃへ向かい、拳を振り上げる。 ここに来て、ようやく危険を感じ取ったれみりゃは、本能に従って絶叫した。 「なんだと、この!」 「さくやぁぁーー! たすけてぇぇーーー!! ああああーーー!!」 さすがにこれはやりすぎだ。 距離を置いて見ていた主の人間は、そう判断して、すたすたとれみりゃ達の下へ歩いていく。 その際、主の人間は、物陰に隠れているフランの姿を見つけた。 おそらく、ひどいめにあっている姉の姿を楽しみつつも、適度なところで助けに入るつもりだったのだろう。 主の人間は、やれやれと心中で肩をすくめた。 フランは頭の良いゆっくりであり、事実その能力もゆっくりとしては最上級のものだが、 自分の力を過信しすぎてしまうのが困ったところだ。 本当の危険が迫った時には、いかにフランといえどどうすることも出来ないのだ。 現に、この少年3人の前にフランが現れたとしても、いざ喧嘩になってしまえばフランに勝ち目は無い。 後でちゃんと話そう。 主の人間がそう決めたと同時に、れみりゃが主を発見して希望の声をあげた。 「う、うぁ! お、おねぇーさんだどぉー♪」 泣き叫んでいたのも忘れ、あっという間に喜色満面になるれみりゃ。 一方、驚いたのは少年達だ。 「「「え?」」」 少年達は、れみりゃに接していたのとは異なり、すっかり萎縮してしまっている。 少年達にも、れみりゃが飼いゆっくりであるのは何となく理解できていた。 もし自分たちがいじめていたのを見られていたら。 もし、さらに電柱に巻き付けたのまで自分たちだと思われたら……。 目の前のお姉さんに、親に、先生に、しかられる光景……。 いやそれ以上に、せっかく勉強したのに受験に影響するかもしれない、 損害倍賞の裁判を起こされ支払いを命じられてしまうかもしれない……。 なまじさかしかったが故に、少年達は最悪のケースを連想して震え上がっていた。 「え、あの、ご、ごめんなさい」 「こいつ……じゃない、このゆっくり、お姉さんのものなんですか?」 萎縮する少年達に無かって、主の人間は微笑んだ。 ただし、目だけは笑わずに。冷たく見下ろす視線を心がけて。 「うん、確かに。そのれみりゃはボクの家族だよ」 少年達は、目の前の女の冷たい目と威圧感、それに"家族"という言葉に恐怖した。 そこから、どれだけ自分たちへ怒りを持っているかを察し、 このまま見過ごしてはくれないだろうことを覚悟した。 「うー♪ ばかなしょみんも、これでゆっくりわかったどぉー♪ でびぃーをこあいめにあわせたぶん、たっぷりおねぇーさんにいぢめられるがいいどぉー♪」 一方、れみりゃはすっかり調子に乗っていた。 「うー♪ これでようやくぐっすりできるどぉー♪」 フランに少年達に、自分を襲った理不尽な恐怖は取り払われた。 これでもう安心だと、れみりゃはすっかり気を抜いていた。 だから、突如お尻に走ったムズムズ感を押さえることもできなかった。 "ばっぶぅーーーー!" 驚いて少年達が振り向き、さらに一様に鼻を押さえる。 れみりゃは、豪快な放屁を放って、恥ずかしそうに赤面した。 「う~~♪ あんしんしたら、でちゃったどぉ~~♪」 どこか誇らしげな、れみりゃの笑顔。 その笑顔を見ているうちに、主の人間の中にふと芽生える感情があった。 「……ねぇ、みんな。最近このれみりゃ運動不足なんだ。良かったらもう少し遊んであげて」 何気なく放たれた、主の人間の言葉。 少年達は目を丸くし、れみりゃは耳を疑いながら冷たい肉汁の汗をダラダラ流した。 「う、うー?」 「でも、ひどいことしたらダメだよ! ボクの大切な家族なんだからね!」 主の人間は、それだけ言うと、れみりゃに背を向けてアパートの方へ歩いていく。 「お、おねぇーさん? おねぇーさんまつんだどぉー!!」 れみりゃは必死に叫ぶが、それが聞き入れられることはない。 主の人間の姿は、そのままアパートの自室へ消えていった。 その代わりに、れみりゃの視界に入ってきたのは、ニヤニヤと不気味に笑う少年達だった。 * * * 「うー、おねぇーさま、だいじょぶ?」 人間が部屋に入ると、窓からフランが入ってきた。 仕掛け人の割には、姉のれみりゃのことを心配してソワソワしている。 「大丈夫だよ。それより仕事までちゃんと寝といた方がいいよ?」 「うー、わかった」 人間は、フランの頭を撫でてやり、それから冷蔵庫を開けた。 そこからプリンを3個と、オレンジジュースの入ったペットボトルを取り出す。 それから風呂場へ行き、桶を持って出ると、 そこに冷蔵庫から取り出したものとタオルも入れ、短い廊下を歩いて玄関へ向かった。 扉の外からは、れみりゃの声が今も聞こえていた。 "おねぇーさんたすげでぇーー! ごぁいひとがいぢめるよぉぉーー!!" ああ、この声だったらきっと自分もすぐ起きられるんだろうな。 主の人間は、そんなことを思いつつ、玄関のドアを開けた。 おしまい。 ============================ 自分の憧れのライフスタイル(?)を書いてしまった結果がコレだよ! まぁ近所の子どもにいじめられていたら助けると思いますが。 たぶん、子ども相手に大人げなくマジギレしちゃうかもです; あと一部に特撮ネタが無駄に入っていますが、ご容赦を。 『仮面ライダーゆケイド』とか妄想してました。 by ティガれみりゃの人 ============================
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/508.html
歳末の大宴会も終わり、今年も残すところあと二日となった。後は年越し宴会を待つのみだ。 まどろっこしいからいっそのこと三日連続正月含めてぶっ通しで宴会やろうよ、というアル中チ ビ鬼の提案は一蹴されている。開催会場の設営者が直々に「いやよ」の一言と見事な三白眼で断っ たのだ。そりゃ当然だ。一週間も延々騒ぎ通した挙句、博霊神社には何の見返りも無いのだから。 しかし、年越し宴会の開催は、皆の熱心な説得により開催される運びとなった。これには鬼も喜 んでいたので、ある程度の満足は得られたのだろう。博霊の巫女による最大限の譲歩だったのだろ うが、彼女は宴会の開催決定にうんざりした表情をしていた。 俺は、その年越し宴会のための鋭気を養うため、早々に帰路についている。今頃は三次会になだ れ込むところなのだろう。しかし、俺は年越し宴会で倒れるわけにはいかないのだ。しっかりと体 力を戻さねば、新年を昏倒した状態で迎えることになる。そんな一生の汚点を抱え込むわけにはい くまい。かなりの人数に引き止められたものの、必死に断りの文句を並べ立て、何とか解放しても らえたのだ。年越し宴会ではひどい目に遭わされそうだという確信もこのとき生まれた。そうなれ ば、酔った勢いを装って、あのチビ鬼の瓢箪を踏み割ってやろう。いっぺん泣きを見せてやらねば ならないのだ。もっとも、そういいながら実行に踏み切ることは無いだろう。 酔いを醒ますように、涼やかな夜風が吹く。今日は幸運なことに雪は降っていない。地面にはし っかりと根雪が積もり足場は悪いが、横殴りの雪が降るよりはましだ。酔いがさめる所の話ではな くなってしまう。 確かな足取りを保ちながら、家路を急ぐ。酔いが醒めてくるとともに、冬の寒さが身体の節から 沁みてくる。これは早く家について焼酎かなにかで寝酒に興じるのがよいだろう。もう一度身体を 暖めてからのほうが、俺の場合寝付きが良くなるのだ。 我が家への道のりもあと少しとなってくるころには、自然と俺の歩みは速くなる。寝酒を夢見な がら歩を進めていくうち、俺は妙な違和感に気づいた。 ――家に、灯かりが付いている。 俺は、まだ酔っているのかと自分に呆れながら、もう一度我が家の窓を見る。 ――台所の方が、やはり、明るくなっている。 再度、括目する。 ――居間の窓が割れていた。 三度、括目する。 ――何かが、室内で蠢いている。影が上下に揺れていた。 「不味いだろ……」 自然と呟きが漏れ、嫌な予感が脳裏を過ぎる。何者かが、俺の家の中でなにかをしている。この 状況を楽観視できる人間がいるなら、俺はすぐさまそいつをどこかの滝壺に突き落とそうじゃない か。骨は、白狼天狗の椛ちゃんが拾ってくれるだろう。 とりあえず、俺は現実から目を背けてはいけない。家の中に居るのが、喩え夜盗だろうと妖怪だ ろうと、立ち向かわねばならないのだ。我が家を守るには一所懸命。それ相応の努力労力を惜しん ではいけないのだ。 俺は深呼吸を何度もし――それでも心臓は落ち着きを取り戻さなかった――、決心を固め、玄関 の戸を、音を立てぬように引いた。 土間を通り過ぎ、静かに下足を脱ぐ。扉の隙間から、薄暗い居間で何かが飛び跳ねているのがわ かった。新種の妖怪だろうか。それとも気の狂った盗人だろうか。そのどちらとも判別は付かなかった。 意を決し、居間の扉を蹴り開けて、直ぐ脇にある電気のスイッチを入れた。 卓袱台の上に何かが在る――否、居る。“そいつ”は、跳躍運動をするように飛び跳ねながら、 百八十度反転し此方を向いた。 「――ゆっくりしていってね!! ゆっくりしていってね!!」 どこかで見たような面をした饅頭のような柔らかさをもった生首が、気色の悪い顔でそう言った。 実に愉しそうな動きで、そう言った。 俺は、“そいつ”から視線を外さぬように後退し、再び居間の扉を閉めた。 ○ 居間からは、まだゆっくりコールが聞こえてくる。拍子抜けしてしまった士気をもう一度上げる ために、深呼吸をした。 噂に聞いたことはあったが、実際に見るのは初めてであった。 『ゆっくりれいむ』 それが、居間に居座っていた饅頭に付けられた名前だ。 博霊の巫女の顔とよく似てはいるが、巫女本人とは何の縁も関係も無いとのことだ。 完全に生首であるその全貌。そこはかとない苛立ちを覚えさせるその表情。その視線に捕らえた ら、人妖問わずゆっくりしていくことを望むという奇怪な習性。中身は餡子などが詰まっていると いう、まさに饅頭そのもののような性質を持っているのが、先ほど相見えたゆっくりれいむである 。他にも、『ゆっくりまりさ』、『ゆっくりれみりゃ』、『ゆっくりふらん』といったように、幻 想郷に住む妖怪や魔法使いなど、よく似た饅頭状の生物、通称“ゆっくり”の存在が明らかになっ てきている。台所の方でも何かが蠢いていたことから、どうやら他の“ゆっくり”も乱入している ようだ。 多くの評判に拠ると、ちらりと見たくらいの内は、そのもちもちとした顔つきと目が可愛らしく て庇護欲が沸いてくるものの、じっと見つめているうちにその半開きの口と表情の全体的なバラン スに腹が立ってくる、とのことだった。中身にたっぷりと詰まっているのは、大半が餡子であり、 これがなかなかの美味らしい。そのための加工所まで出来たという。 確かに、俺も今一瞬見た限りでは、ぽよんぽよんと楽しそうに跳ねている様子は見ていても可愛 いと言えるかもしれないし、和んでしまうかもしれない。 だが、同時に我が家の居間に広がっていた“惨状”もしっかりと視界に捉えた俺は。ひとつの確かな結論を導いた。 間違いない。 間違いなく、今、こいつらは―― ――調子に乗っている。 外にある納屋から得物を持ってきた俺は居間に通じる戸の前に一口大の饅頭を置き、ゆっくりれ いむの横幅と同じくらいに開放した。饅頭は、貰い物として近所から受け取ったものだが、生憎俺 は和菓子系統の甘いものがあまり好きな方ではないのでそのまま放っておいたものだ。はっきり言 って、食べられる状況ではない。辛うじてカビがあまり生えていないものを選んでおいた。 「ゆ! おまんじゅうさん、そこでゆっくりしていてね! れいむがたべてあげるよ!」 居間から嬉しそうな声が聞こえた。間もなくして、グシャ、ビリッという音も聞こえてきた。先 ほどは“ゆっくり”にだけ視線を取られたが、恐らく卓袱台に置き放してあった食器や本の類が壊 されていたのだろう。やはり、こいつらは調子に乗っている。 やってくる。ゆっくりとした動きで影が近づいてきた。 ――勝負は一瞬で決まる。 気色の悪い顔の半分が引き戸から見えた瞬間、反動をつけて引き戸を一気に閉めた。 「ゆっ!?」 『プビュッ』 扉に腹立たしいほどにやわらかい感触が伝わる。ゆっくりの身体がぶにょっ、と形を変え、口は 火男(ひょっとこ)のような形になった。同時に口から中身の餡子が少し飛び出した。扉を完全に 引き開けると、ゆっくりれいむは床に力なく転がった。しかし飛び出した餡子は全体の三パーセン トほどだろう。これくらいで死ぬとは思っていないが、死なれては困る。俺はゴム手袋をつけて気 絶したゆっくりれいむを捕まえると、こぼれた餡子を中に入れてから丁度いい大きさの水槽に逆さ まにぶち込んだ。蓋は強力なテープで幾重にも貼り止め、ダンボールで周囲を覆った。 興味本位で、ゆっくりれいむから飛び出した餡を回収する。甘ったるい香り。指先に乗った分だ け味見してみると、意外なことに、甘味の嫌いな俺でもおいしいと思えた。なるほど、餡菓子の元 になり人気を博すのも理解できる。 ○ ゆっくりれいむと“遊んであげたい”欲望には打ち勝ちがたいものがある。玄関の下駄箱の上に 水槽ごと放っておいたが、早くも目を覚ましたゆっくりれいむは何やら叫んでいる。出してほしい ようだが、そうはいかない。コーヒーセットなどが入った食器棚の中身をひっくり返しておいて、 生きて住処に帰れると思っていただいては困ると言うものだ。これだけの食器を集めるまでに、何 度香霖堂に通ったと思っているのだろうか。ゆっくりれいむとは数年間を懸けて償ってもらうとす る。ゆっくりたちに住処はあるのか気になるところでもある。あるならば、一度足を運んでみたい ものだ。その理由は、ここで語る必要はないだろう。 さて、今、俺の目の前の床下に居るのは、頭を(全身を、のほうが正確なのだろうか)ぺしゃん こにし、餡子をだらしなく零して、ピクリとも動かなくなったゆっくりまりさである。もはや、こ れは数分前まで飛び跳ねるように動き、「ゆっくりしていってね!」と気色悪い顔で言っていたと は思えない状態になっていた。 唐突にストーリーが動いたため、動揺している方がいらっしゃるであろうことも加味し、今起こ ったことを詳細に告げるべきだろうと思う。 居間から台所に続く扉を開けた瞬間、扉を弾き飛ばすような勢いで身体を突っ込んできた者がい た。それが、ゆっくりまりさだった。 「ゆっくりしていってね!」 心にも思っていない言葉を投げかけると、ゆっくりまりさは俺の足にへばり付く様に飛び跳ねな がら、「ゆっくいひへいっへへ!!」と御決まりの文句をのたまった。 先ほどのゆっくりれいむと比較しても、このゆっくりまりさは随分と挑発的な顔つきに見える。 上目を見ているからなのかもしれないが、見ようによっては偉そうに踏ん反り返っているようだ。 しかも唇の端がやたらと上がっている。ゆっくりの中には、まあ可愛らしい(と言われているがそ れほどでもない)顔つきのものと、完全に人間をバカにしているような表情をしているものがいる らしい。このゆっくりは後者のゆっくりなのだろう。 ただ、ゆっくりの多くは、自分が入った家に住んでいたもの概要がそのときに誰も居なかったか らという理由で自分のものだと言い張るらしい。このゆっくりまりさにその兆候は見られないが、 しかし、その下膨れの頬はさらに膨らみ、滑舌も非常に悪かった。何かを口に含んで話しているの がすぐに判った。 「ま、まって! まいさにらにしゅるの!! ゆっくいしてね!! あなひへへ!! ゆっくいへ きないならどっかきえへね!!」 何も訊いていないはずなのだが、ゆっくりまりさを捕まえた瞬間、そいつはそう言った。これは 何かをやっていたに違いないと思い、ゴム手をつけた右手を口に突っ込んでかき回した。 「ゆ、ゆっふりやっへね!」 訳の判らないことを言ったので左手でぶん殴った。その感触はあまりに柔らかく、全身に戦慄の ようなものが走った。そして、右手にゆっくりには有り得るはずのない固い感触があったので、そ れを捕まえて取り出した。猶もやかましいゆっくりは、向かい側の壁に投げつけた。ゆっ、と言い ながら床に伏せた。というか、転がった。 手の中にあるのは桃の缶詰めだった。顔面饅頭は缶詰の蓋を開けることは出来ないため、缶をそ のまま飲み込んで味わっていたようだ。これでも美味しかったのだろうか。氷精並に頭も弱いらし い。いや、チルノでも缶切りくらいは使えるだろう。というか、使えていてほしいものだ。 気持ちの悪い体液に塗れた桃缶をゆっくりまりさに投げつけた。 「ゆっ!」 ぼぅよん、と身体を震わせながら痛みに耐えているらしく、その醜い目は次第に潤み始める。缶 詰は眉間に当たったのだが、この饅頭にも痛覚はあるのだと実感した。 「おじさんなにするの!! それはまりさのものだよ!! どうしてかってにとるの!! どろぼ うはよくないよ!!」 何を言うのだろうかと思えば、逆切れだった。そして、ついに自分のもの発言、いいようによ っては“ジャイアニズム発動”と相成ったわけだ。何を言ってやってもこの不細工バカ饅頭には理 解できないと決定づけた俺は、一跳びにゆっくりまりさの転がっているところへ走った。そして、 俺の全然ゆっくりでない動きに怯んだところを捕まえ、小刻みに震わせるように揺すった。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ」 最初は混乱したような表情を浮かべていたが、次第に熱を帯びたように逆上せた視線を揺らし、 頬を赤く染まりはじめる。小刻みに揺することで発情するということは、広く公にされて久しい情 報である。 ――感じさせてどうするのか? これは、あくまでも“餌”に過ぎない。 「ゆゆゆふふぅ、ゆゆゆゆうぅ……、ゆっ!!?」 生意気にも、随分と感じていただいたようなので、ゆっくりまりさを床に強く放り捨てる。快感 に身を委ねすぎていたせいか、耐性を立て直せずにまりさは顔面から床に衝突した。すぐさま、ゆ ゆゆといいながら俺を見上げる。 「もっとゆっくりしていってよー!」 もっとしてほしかったのだろうか、俺の足元で顔を真っ赤にして飛び跳ねている。物足りないあ たりで止めておいたのだ、その反応は当然と言える。 しかし、このときゆっくりまりさは、自分の欲望に正直になり過ぎであり、俺の右手に握られて いる納屋から引きずってきた得物の一つである棘付き鉛バットの存在を失念していたことで、自ら の死期を大幅に近くした。 「もっとゆっく……、ゆゆ!? ゆゆゆゆゆべべっ!!?」 我が家に轟音が響いた。 飛び跳ねた瞬間を見計らって、渾身の力を振り絞って鉛製の棍棒を振り下ろした。棍棒が床に接 触したとみるや、床は木っ端微塵に弾けた。ガリガリと床を削りながら棍棒を床に引き上げると、 その下では最初のような状況になっていたというわけである。総重量七十キロだ。饅頭如きがこの 重さに耐え切れるわけが無い。 しかし、こうしてしまってから俺は気づいてしまった。後処理が非常に面倒だ。このままにして いては、床下に夥しい黴が繁殖してしまう。いくら床を修理しようが、黴なんぞの生命力は末恐ろ しいもので、俺は数年後にアレルギー症状を起こしながらくたばってしまう。 「……嗚呼」 何のことは無い。 ――後でゆっくりれいむに処理してもらおう。共食いなんて容易いことだろう。 ○ 最後の砦になってくれるのだろうか、この台所の扉。 ゆっくりまりさが腐り始めるまえに台所の異変を解決しなくてはならないが、どうもその気がし ない。完全にやる気がしないわけでは無いのだが、あの気色の悪い饅頭のさらに気色の悪い屍を見 た後だからだろう、俺はゆっくりたちとの関わりあいを持ちたくないのかもしれない。 しかし、先ほどから「うー、うー」という妙に愉しそうな奇声が、扉を閉めているのに聞こえて くる。その奥にゆっくり何某が居るのは間違いなく、きっと台所をめちゃめちゃにして楽しんでい るのだろう。そもそも、台所から撤退して貰わないと、俺は飢え死にしかねない。 俺は指向を変え、裏の勝手口から潜入することにした。先ほどの“地響き”のために、もしかす ると居間側の扉近くには居ないかもしれない。奇襲をかけてみるのも、ひとつの方法だ。 俺は勢いよく勝手口を開いた。 ――その瞬間。 「うー!?」 扉に柔らかい感触があった。それに気づく間もなく叫び声が聞こえ、反対側の壁に何かがぶつか った。ぶつかったのは実際には見ていない。だが、その方角にある食器棚のガラスの引き戸が割れ る音が聞こえた。 中を見る。俺は絶句するしかなかった。 最惨劇は台所で起きていた。 水は出しっぱなし。冷蔵庫は開けっぱなし。中身はぐちゃぐちゃ。食器はすべて粉々。鍋やフラ イパンの類は辺り一面に散らかり、俺が暇さえあれば読んでいた料理本はビリビリに引き裂かれて いた。そのすべてに、よだれのような体液がこびりついていた。 ――犯人は誰だ? 食器棚の陰でうーうー唸っているゆっくりの正体を見るため、そっと近づいた。 「うー……!」 ゆっくりれみりゃだった。 頭から本人そっくりな羽を生やし、本人そっくりにカリスマ性の無さそうな顔をしている。しか し、こいつは、紅魔館付近で見られるゆっくりれみりゃと違って顔がやたら大きいものだった。別 の見方をすれば、胴体がまだ成熟しきっていないともいえる。恐らく、まだ幼体なのだろう。背中 の黒い翼は、おまけと言ってもいいくらいに小さい。これでは、この豚まんの身体を支えながら飛 行することは不可能だろう。 「おにーしゃん!! れみりゃにょぶっでぃーんは!? ぶっでぃーんはやくちゃべちゃいどー! !」 いきなり阿呆丸出しなことを言う。 んなもんねえよ。俺は洋菓子の甘味がこの世で一番嫌いなんだ。 俺の胸の中は、あっというまに、殺意で満たされた。 今日の宴会で、実は俺とレミリア・スカーレットは少々揉めていた。以前から鼻持ちならなかっ たのだが、ここにきて不満が爆発してしまったのだ。 理由は単(ひとえ)に、レミリアの傍若無人ぶりだった。 いつもは咲夜にすべての世話を遣らせるくせに、今日に限って、レミリアは咲夜を制し仕事をさ せなかった。年末だから、いつも甲斐甲斐しく世話をしてくれるメイド長を休ませてあげようと考 えていたのだろう。 その心意気は、買ってあげてもよい。そう思う。 だが、その代りに、平時咲夜がすべき仕事のすべてを俺に押し付ける、そういう道理は存在しな いのにも関わらず、それを俺に遣らせるのは理解できなかった。酒を注げ。料理を取れ。肩を揉め 。宴会芸をしろ。 最初のうちは、俺も然程厭ではなかったのだが、一時間以上も常識知らずの“お嬢様”の面倒を 見ていると腹が立って来るのは自明だ。主従関係、眷族関係のどちらでもない者が、延々を終わる こと無い命令に従っていられるはずが無いのだ。 途中俺を可哀想に思ったのか、咲夜はレミリアを止めようとしたのだが、そんなことで考えを変 更するほどの一般常識をレミリアは持たない。あれは、どれだけ自分にカリスマがあると《勘違い 》しているのだろうか。そもそも、十六夜咲夜がレミリアを持ち上げるから、あいつの傍若無人ぶ りには拍車を掛かっているのだが、咲夜には《そちらの感情》があるためその自覚はないのだろう。 酒も入り、普段は有り得ないのだが、完全に自我を失ったように激高した俺はレミリアと少々の 口喧嘩をしてきたのだ。 これだけは覚えている。俺はしっかりと言ったことばがある。 『《妹の出涸らし》の癖に調子に乗ってるんじゃねぇよ』 その一言で、レミリアは最初からゼロのカリスマ性をマイナスにした。 最後には咲夜や霊夢に宥められ、何とか事なきを得たものの、苛立ちが完全に霧散することは無い。 そんな折に、現れたゆっくりれみりゃは、実に運が無かったといえる。脳内で厳かな合掌をする。 「うー!! うー!! にゃんにもないけじょ、ここはおもちりょいかりゃ、れみりゃのべっそう にしちぇあげりゅんだどー!」 楽しそうにぽよぽよとジャンプするように踊ると、背中の薄汚い羽根で飛び始めた。といっても “Fly”ではなく“Jump”だ。椅子、机と順々に上がりながら飛び跳ねる。がしゃんと音を立てて 台所の照明が割れ、俺の足もとに飛び散った。 何が別荘だ。お前には洞窟で充分だ。ゆっくりふらんにでも襲われてしまえ、《妹の出涸らし》の癖に。 「う゛ー!?」 俺は、むんずとゆっくりれみりゃを鷲掴みにした。勿論、こめかみあたりに青筋を浮かべそうに なるのを必死になって抑え込み、笑顔で。だが、ただならぬ黒い思惟を見たのか、それでもゆっく りれみりゃは戦慄したようだ。 「君はゆっくりれみりゃだったよね。ゆっくりしていくのかい?」 テーブルにれみりゃを置きながら優しく聞く。敢えて。 そうすると、ゆっくりれみりゃは気色の悪い笑顔でうーうーと言い始めた。そしてにんまりと笑 って黙り込んだ。この次に、こいつが言うことは一つだけだ。そして俺が次に取る行動も一つだけ だ。 「う」 「――ゆっくり死ね!!」 俺は『うー、うー、うあうあ』と喜ぼうとしたゆっくりれみりゃの顔面(こいつには小さいなが らも身体があるからこの表記で大丈夫だろう)に鉄拳を捻じ込む。ゆっくりれみりゃの背中には、 先ほど自分でぶつかり落としたガラス製照明器具がある。それが刺さるように深く、深く。 三十秒はそのままの状態を保つ。 解放してやると、しばらく無表情を保ったゆっくりれみりゃだったが、堤が決壊したように瞳が 潤みだす。背中の方からも、肉汁と思しき液体が染み出した。 「……! ……!!」 声も立てずに無様な表情で涙を流しながら、身体をびくびくと震わせはじめた 。 「……!!?」 腹立たしい表情ゆえに、俺は我慢することを辞めた。ゆっくりれみりゃの頬に手を当てる。摘む 。徐々に力を込め、摘んだ部分が白色になったあたりでれみりゃの表情が歪みはじめ、涙が滝のよ うに流れはじめた。こいつのどこにそこまでの水分があり、涙腺がどこにあるか、などは関係ない 。朽ちはて腐り逝くまで弄り倒してやろうじゃないか。 ちぎれそうなのだろう。ゆっくりれみりゃは必死に逃れようとするが、そんな行動は到底無駄な もので、こんな腐れ饅頭なんぞの力が人間様に敵うはずがないのだ。 しかし、それにしても。 ――よく伸びる。 搗き立ての生餅のようによく伸びる。手を放したら元に戻るのか、と思っていたら、餅と同様に 伸びたままだった。 今度は頬の端を引っ張っていた右手を顎あたりに、左手をこめかみ付近にあてがい、再び伸ばす 。 「おお~、伸びる伸びる」 だんだん楽しくなってきた。もっちりと伸びていくれみりゃの皮の心地よさと、そのたびに泣き 喚くれみりゃの泣き声に、すっかり己を忘却してしまった。気がつけばゆっくりれみりゃの顔はス ライムのように原型をなくしていた。 「……!」 満面の笑みで見つめてやると、れみりゃは、何ということだろうか、俺を睨みつけてきた。恨み をこめた穢れた目で、俺を睨み付けて来た。 完全に、堪忍袋の緒は切れていたと思っていたが、俺の腸の中にはもうひとつ堪忍袋があったよ うで、今度はそちらが爆発した。下等畜生のくせに何たるザマだ。 俺はゆっくりれみりゃの頬を強烈に抓ったままで大手を振りながら風呂場へ向かう。伸びきった ゴムのような身体は扱いにくかったが、途中でわざとらしく、れみりゃの眉間を机の角に強打させ た。道中、聞き苦しい声で「あ゛―――!! ざぐや~、ざぐや~!!」と、訳のわからないこと を叫び始めた。あまりにも喧しく憎たらしかったので、流し台の下から包丁をだし、れみりゃの目 の前で光らせた。殺される、とゆっくりブレインでも理解できたのか、その瞬間は静かになった。 見るからに凶器であるそれに戦慄したのだろうが、別にゆっくりなんぞは包丁を餡で汚さずとも殺 めることは可能だ。 風呂場に入り、湯を浴槽に張る。河童のにとりから貰った『のび~る上水管・ボイラー付きバー ジョン』のおかげで、あっというまに浴槽いっぱいに水が張った。いつも俺がアイディアを提供す れば数週間でそれを具現してくれるからたいしたものだ。にとりも俺の持つ大量のアイディアには 感謝しているようだから、“Give Take”は成立しているようだ。次の機会には、ゆっくりを痛 めつけるためだけのアイテムを嘆願しようか。アイディアは全て、青狸が暗躍する漫画からの拝借 だが。 俺はれみりゃを浴槽にぶち込んだ。ただし全体を入れると死んでしまうのでそれは避けておいた 。そして、水の中で先ほど伸ばしていた皮をちぎった。 「う゛あ゛~~~!!! う゛あ゛~~~!!!」 赤い肉汁が浴槽にあっという間に広がっていく。子供だから生焼けなのだろうか。れみりゃは予 想通りに泣き喚く。ゆっくりたちは、俺の予想していたのとほとんど変わらない反応を見せてくれ るので面白い。非常に虐待甲斐がある。 ここで俺は再び納屋に向かった。れみりゃは力の限りを使って喚いていたためか、水の中から逃 げ出す様子は無かった。ただ、水から顔を辛うじて出しながら喘いでいた。 納屋から二つ目の水槽を出してきて玄関に置き、風呂場へ戻る。肉汁を垂れ流しながら泣いてい るれみりゃを引き上げ、そのままの足で再び玄関に向かった。肉汁を垂れ流し、これ以上家を汚さ れては叶わないので、風呂場横に置いてあった残飯入れ用のゴミ袋を取り出し、それに入れた。 ふとその脇を見れば、蕎麦打ち用の麺棒が置いてあった。ひとつ閃きが舞い降りてきた。 袋の中で手負いの身体を必死に捩って抜け出そうとしているれみりゃの頭であろう辺りを強烈に 殴り飛ばす。怯んだのか気絶したのか判じ切れないものの、動きが止まる。触診のように胴体の位 置を確認すると、麺棒を押し付けて転がした。 「むぎゃああああああああああ!! ざぐ、ざぐ、ざぐううううう!!」 変な声が響く。 粗方遣り終えると、もう一枚ゴミ袋を取り出して中身をそちらに移し変え、先ほどよりもギュウ ギュウに縛った。れみりゃは痙攣するのが精一杯のようで、袋は微細動だけを繰り返している。 玄関の扉を開けると、黄色い、かつ気色の悪い声が響き渡る。 「おにいさん! はやくだして! おうちかえる!!」 ゆっくりれいむが必死に救出を願っている。ダンボールで水槽ごと目隠しをされその中で逆さま になったままで、涙を頭の天辺へと垂らしているのだろう。れみりゃの泣き顔のように汚く、気持 ち悪いのが容易に予想できる。 ところで、こいつの言う処の《おうち》とはなんだろうか。もしかしたら、此処、つまりは俺の 家のことを言っているのかもしれない。だとしたら、こいつの命は無い。というか、俺の家なら既 にこのゆっくりれいむは帰宅しているではないか。 先ほどのゆっくりれみりゃを袋ごとぶち込み、再び蓋を閉める。少し落ち着いて《ゆっくりした 》ところで、遠巻きにゆっくりれいむの入った水槽を見つめる。 凄まじい。凄まじいまでの光景だ。 ガラスの表面にへばりつく様なゆっくりの皮。もちもちとした丸みを帯びた身体は、巣層の輪郭 に合わせるように角張っている。 ここでゆっくりれいむにとって幸運ともいえることは、ゆっくりれみりゃが、自分の後ろの水槽 に居るものが何であるのか把握できていないことだった。ゆっくりれみりゃは、他のゆっくり―― と雖も自分より弱い立場のものだけ――を食べる習性があると言う。ガキ大将宜しく、レミリアそ っくりだ。そんなところまで似なくてもいいのでは、とも思う。しかし、今その天敵は黒いゴミ袋 に入れられて、しかも深い傷を負っていてほとんど叫ぶ力もない。 「ぅ……。うう? う”―――!! ざぐやあああああ!!」 目が覚めたのだろうか。黒いゴミ袋から、ゆっくりれみりゃの絶叫が漏れ出てくる。れいむのほ うに目を遣ると、顔色――もとい、皮色が悪くなって行く瞬間だった。 「お、おに”ーさん! そのだかぢはいっでるどっでだでぃ!!?」 鼻づまりのような聞き苦しい声が震えている。『その中に入ってるのって何?』と、確認のため に訊いて来たのだろうから、俺は懇切丁寧な解説を送ってやる。この反応から察するところ、れい むとれみりゃには面識が無いのだろう。 「ああ。この中に入っているのは、ゆっくりれみりゃの子供だよ。子供って言ってもそんなに小さ くはないから、……そうだね、君くらいなら軽く、ペロリとやっちゃうんじゃないのかな?」 「ゆ”――!! ゆっぐりじだい、ゆっぐりじだいどに゛――!! でぇ、おに゛いざん、だずげ でよ――!!」 冗談である。身体を潰され衰弱しているチビれみりゃがゆっくりれいむを食べることなど、出来 るようには思えない。だが、れいむは、袋の中身はゆっくれれみりゃであることしか知らず、それ が大人であるのか子供であるのかの判断は、まあ出来ないだろう。 逆さの状態で泣き喚く様は、実に愉快なものだ。ゆっくりは横柄な性格ながら、命に危険が迫る のを確認すると、途端に猛烈な勢いで命乞いをすると聞く。それはかなり凄絶なものだ。絶望の度 合いが大きくなれば大きくなるほど、必死になる。自己中心の志向を持つものには、そう言う傾向 がある。 「おに゛―ざん、おでがいだがら!! でいぶはばだだべだでだぐだいどでぃ!!」 すげえ必死。もはや笑える。そもそも、何と言っているのやら。自分の名前も巧く発音できてい ない。でいぶって、デーブ大久保か? ただ日がな一日飛び跳ねて、隙あらば人ン家に忍び込んで好きなだけ食い物を食い荒らし家財装 具をめちゃめちゃにする、生産性の欠片も無い下らない一生に何の未練があるのやら。それはゆっ くりになってみないと分からないのかもしれないが、人間とゆっくりの間には決して越えることの できない壁のような立場の差が存在している。そんなことは不可能だ。 ゆっくりは、人間に虐げられる。ただそれだけのために、生を受けし者だ。 続く このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1242.html
かぜひきゆっくり その他 ほんめーりん×ゆっちゅりー 甘甘時計責め 性 悪戯 ゆっくりの帰るところ 鬱 激 野生 幻 人 ゆっくり愛で小ネタ15だよね!? オマ travianでゆっくり その他 ゆっくりスの翼 ――妖立宇宙軍―― 哀愁 ゆっくり寝ようね 気楽 ・ゆっくりれみりゃのおかしな友達 ゆっくりれみりゃのおかしな友達 上 鬱 シリアス ゆっくりれみりゃのおかしな友達 下 鬱 激 シリアス ・ゆっくりパークの春夏秋冬 ゆっくりパークの春夏秋冬part1 野生 ゆっくりパークの春夏秋冬part2 激 野生 ゆっくりパークの春夏秋冬part3 激 野生 ゆっくりパークの春夏秋冬part4 野生 ゆっくりパークの春夏秋冬part5 その他 ゆっくりパークの春夏秋冬part6 その他 ゆっくりパークの春夏秋冬part7 その他 ゆっくりパークの春夏秋冬part8 前編 鬱 シリアス ゆっくりパークの春夏秋冬part8 中編 鬱 シリアス ゆっくりパークの春夏秋冬part8 後編 鬱 シリアス ゆっくりパークの春夏秋冬part8 完結編 鬱 シリアス ゆっくりパークの春夏秋冬 エピローグ シリアス ・ゆっくリハビリの夏 ゆっくリハビリの夏 (前編) 性 鬱 激 シリアス 家 人 ゆっくリハビリの夏 (後編) 性 鬱 野生 家 人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2361.html
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― CAUTION!! CAUTION!! CAUTION!! CAUTION!! CAUTION!! CAUTION!! CAUTION!! CAUTION!! CAUTION!! ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ※駄文の癖に長い ※うんうんとかまむまむ注意 ※パロディがあります。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― CAUTION!! CAUTION!! CAUTION!! CAUTION!! CAUTION!! CAUTION!! CAUTION!! CAUTION!! CAUTION!! ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― れみりゃ調教日記 200⑨ねん 1がつ24にち れみりゃ調教中 れみりゃを精神的に追い詰める。 れみりゃにぷっでぃ~ん(笑)をあげる、と騙せばホイホイついてくる。 餡子脳も近頃は進化してるらしいのに。馬鹿な肉まんである。 「ぷっでぃ~んをはやぐもっでご~ぃどぉ♪」 無視。 五分後… 「はやぐじろ~!!ざぐやにいいづげるどぉ!!」 流石に五月蝿い。しょうがない、返事してやろう。なんて親切なんだ、私は。 「ぷっでぃ~んあげるなんて誰が言った?」 「おまえがいっだどぉ!!はやぐじろばばぁ!!!」 「うるさいわね肉まん。人間様に向かってなんて口の利き方をするの?」 「しかもまだ19だし」 あくまでも本当のことだけを冷静に返す。 でも追い詰めることが出来ない! そうだ!此処で我が家の奴隷を透明な箱に詰めて連れてきたら追い詰めることができるかも! 「れいむ!まりさ!ありす!ちょっとコイツになんか言ってやってよ!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「わかったぜ!!」 「このうすきたないみじめないなかもののれみりゃをいじめればいいのね!」 ちなみにこの饅頭たちも調教した奴である。 「う?あまあま~♪」 「れいむたちはあまあまじゃないよ!!なまえがあるよ!ばかなの?しぬの?」 ムカつく言葉も上手く利用すれば、ほら。 「ぎゃお~た~べちゃうぞ~♪」 「れみりゃはまりささまたちにひざまずいてればいいんだぜ!」 ゲスまりさも鞭とかでやればこんなにも役立たせることができる。 「あまあまどもはしゅうだんでひきょ~だどぉ~♪た~べちゃうぞ~♪」 「それしかいうことがないのかしら?いなかもののれみりゃは?」 いなかもの、という言葉も上手く利用してみたよ! だけど、物足りないので3匹の箱の中に手作りプリンを入れる。 「う~♪おそいどぉ~♪う?それはれみりゃのだどぉ!!あまあまのじゃないどぉ!!!」 五月蝿いブサイク。 一方の奴隷たちは大喜びだ。 「うえてるれみりゃのまえでたべるぷっでぃ~んwはおいしいね!!」 「こんなおいしいぷりんをれみりゃがたべるなんてもったいないぜ!!」 「そうよね!!」 そんな奴隷たちをしばらく休憩させて置き、私はれみりゃに笑顔で話し掛けた。 「ねぇれみりゃ。そんなにぷっでぃーんwが食べたい?w」 「いまたべさせればゆるしてあげるどぉ~♪れみりゃはやさし~どぉ♪」 イラッと来たが、私は笑顔を崩さず言った。 「じゃあさ、私に忠誠を誓ってみてよ。誓うことが出来たらぷっでぃ~ん(笑)を食べさせてあげる。」 肉まんに忠誠、なんてわからないとは思うけど。 「はやぐじろ~!!!」 「そうか~。肉まん如きに忠誠なんて誓えないか。じゃあ私の靴の裏舐めて。そうしたら食べさせてあげる。」 「そんなことはいいからはやくもってくるどぉ~♪」 ブチリ。 この音は私の堪忍袋の緒が切れた音であり、れみりゃの腕が切れた音でもある。 ここで私は初めて笑顔を崩した。 「少し…頭冷やそうか…」 れみりゃは何かを悟ったのだろう。 れみりゃは私の靴を舐めはじめた。屈服刻印Lv1を取得 それにしてもこのれみりゃ、無様である。 「あはは。本当にやるとは。でもぷっでぃ~んwなんてあげるわけないじゃない!」 私はとりあえず奴隷たちに見せつけた。 「あのれみりゃがぷっでぃ~んのために靴まで舐めるとは。おおぶざまぶざま」 「いいながめだぜ!!!」 「さすがいなかものね!!」 カシャッ。 今日の一枚。 れみりゃ、靴を舐めるでいいかな。 200⑨ねん 1がつ25にち れみりゃ調教中 れみりゃのビデオを撮る。 昨日はあの後、首輪をつけ目隠しをし部屋に縛り付け、拘束しておいたから逃げる心配は無かった。 部屋のドアを開けるとうんうんやしーしーが垂れ流しになっていた。 昨日かられみりゃは我が家のゴミ箱になっている。 埃を食べさせ、野菜クズを食べさせた。 勿論、このノリでうんうんやしーしーを処理させないというわけにはいかない。 「おられみりゃ。自分で出したものはちゃんと食おうね。」 れみりゃの顔は涙と鼻水でぐちょぐちょになっていた。 きっと喜びの気持ちと感謝の気持ちで泣いちゃったんですね。わかります れみりゃはじたばた暴れた。まあ確かに自分から出た汚物だもんね。でもそんなのかんけーね。 ビデオを回し始めた。 「皆さん見てください!れみりゃが自分から出たうんうんやしーしーを処理していますよ」 「いだい…どぉ…はなじで…」 「おらおら!『放して』じゃなくて『下品な奴隷れみりゃからお手を放してくださいませご主人様』だろうが!!」 ブチリ。 れみりゃの羽を千切った。ちなみに昨日千切った腕はすでに再生している。 すばやく接着し、羽が再生しないようにした。 「もう野生じゃ生きていけないね、うふ、うふふふふふふ」 「ごのげびんなどれいれみりゃがらてをはなじでぐだざいごじゅじんざまぁ!!!」 「うん、それ無理」 力を緩めるどころかさらに力を強めた。 「やべで!!ざぐやぎでぇえええ!!!わるいごどじだならあやばるがらぁ!!あだまづぶれじゃう!!!」 「そんな誰かもわからない人に助けを求めるよりこの調教をありがたく思いなさい。 それと『やめてください!粗相を致しましたのなら謝罪致します!ですから頭を潰さないで下さいませ』ね。」 「いやだいやだゆるじで!!!」 「何度言ってもわからないなんてダメなメス豚ね!!『お許しくださいませご主人様』でしょ!!!!」 手を放すと、ポケットから辛子を取り出した。 「どうしてもってのならこれしかないわ。」 カメラをれみりゃの手の届かない所に置くと、れみりゃを縛り固定し、れみりゃのおべべ(笑)を脱がした。 「きゃ~えっち~♪」 五月蝿い豚、と顔面パンチを食らわすと、れみりゃのまぶた、まむまむに辛子を塗りこんだ。 「いぎゃああああ!!!いだいいだい!ぶいで!!いまずぐぶいで!!」 「『痛いです!お拭き取りくださいご主人様』じゃなくて?」 と何処から出したのかわからない鞭で叩いた。 其の頃にはれみりゃもグッタリしていたので部屋を出た。 こう見えてお姉さんはグッタリしているところをやるのは好きではなかったのだ。 私、カメラを回収して編集したら知り合いと奴隷たちとビデオ鑑賞会するんだ…! 200⑨ねん 1がつ26にち れみりゃ調教中 れみりゃの前でビデオ鑑賞会をする。なんと、編集が終わらないフラグでは無かった!! 辛子を塗られ、拘束されているれみりゃの部屋のドアを開け、部屋に入った。 「ぷっでぃ~ん…」 「れーみりゃ♪今日はお客さんがくるの。ぷっでぃ~んを持ってきてくれるから大人しくしてろよコラ!」 といって、れみりゃの顔面をけった。 「いだいでず…」 ピンポーン。 家のインターホンが鳴った。 「はーい。」 来たのは虐待お姉さんの虐待友達の虐子だった。 「やあ。噂のれみりゃのビデオが見たくて。」 「いらっしゃい。ゆっくりしていって」 「あんた微妙にゆっくり化してるけど大丈夫?」 「ダメかも…」 2人は会話をしつつ、リビングへ向かった。 「お!コレか、噂のれみりゃは!!」 「うん、そう」 「一発殴っていい?」 「いいけど」 虐子が殴ろうとしたとき、れみりゃは口を開いた。 「おまえかどぉ?おぎゃぐざんは?れみりゃにぷっでぃ~んよこすどぉ♪」 開口一番これだ。困ったものです。 「そんなにぷっでぃ~んが食べたいならてめぇの腕でも食べてりゃいい!」 ブチリ。 「いだいでず!ぶっでぃ~んよごぜどがいわないがらおうでぢぎらないでぐだz…ごぼっ」 虐子が口にれみりゃの腕をねじ込んだ。 「割と暴力振るえば従順になるんだね。」 「まあね。加工場の人間なめちゃいかんよ!あ、そうそう、ビデオ見る?」 「あぁ、うん」 虐待お姉さんがDVDをセットし、再生させた。 しっかり、昨日撮った映像が再生された。 虐子、奴隷たち。そしてれみりゃの前で。 「うわあああああ!!みなうぃでぇえええええ!!!!!!」 れみりゃは何もしてないのに泣き出した。まったく失敬な奴である。 「うるさいこの奴隷メス豚。『見ないでくださいお客様』といえたら止めてあげようか?」 「みないでぐだざいおぎゃぐざまぁ!!!!」 れみりゃが言った途端、リビングは笑いに包まれた。 「あはははははっ!無様無様w」 「此処までやるれみりゃは初めて見たよ。最高傑作だねw」 「みじめなれみりゃだね!!」 「みじめなれみりゃはだまってじぶんのすがたをさらしてればいいんだぜ!!」 「いなかもの!」 ありすが田舎者、といった途端、田舎者コールが始まった。 「田舎者!」 「田舎者!」 「いなかもの!」 「いなかもの!」 「いなかもの!」 「うわあああああああ!!1ざぐやにいいづげでやるうううううううぁ!!!!!!!!」 「ざぐやに言いつけてやるだってさ」 「おお怖い怖いw」 2人は「たべちゃうだってさ」「おおこわいこわい」的なやりとりをした。 「あ、DVD見ないなら消しちゃうけどどうする?」 「れみりゃの言う事聞いてる事になるからいいや」 こんな感じでれみりゃの悲鳴をBGMに楽しく談笑した。 200⑨ねん 1がつ27にち れみりゃ調教中 れみりゃと散歩する。 「よっれみりゃ!」 ぶち。 羽を千切る。 「!!!!」 ほとんど反応は薄い。羽が再生しないように埋めた。 何かを悟ったんだろう。 「れみりゃ♪今日はお散歩に連れて行ってあげるよ♪」 といって首輪とリードを出した。 首輪はわざときつく締め、リードを取り付けた。ていうか取り付けるって取るの?付けるの?どっち? そんなことはどうでもいいが、れみりゃたちは外に出た。 だが、れみりゃは歩こうとしなかったので引き摺っていった。 肉塊になるまで。 そして肉塊になる頃には紅魔館についていた。 「すいませーん。十六夜咲夜さんはいらっしゃいませんかー?」 門番に話し掛けた。返事が無い。シエスタ中だった。 しんにゅうしますか? ニア はい いいえ 紅魔館に入り、しばらく歩くと、依頼主はいた。 「あ!この間の方ですね!肉まんですか?」 「あ、はい。コレです。ちょっと磨り減っててすいません」 「いえいえ。どうせ料理になっちゃいますしね」 「ではまた頼みたい事がございましたらまたどうぞ!」 「ありがとうございましたー」 依頼主の方は終始笑顔で話してくれたのでこちらとしても気分は良かった。 こうして、れみりゃの調教は終わった。 肉奴隷?いいえ肉まんですエンド by.名前って何ですか? ご自由にお読みください どうもはじめまして。名前って何ですか?というものです。 何故かれみりゃを書いてしまいました。 れみりゃは調教もの(色んな意味で)が描きやすいと思います。 ではまたお会いしましょう。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2500.html
「ゆっくりしていってね!」 何処かから侵入して来た、金色のバッジをつけたれいむが俺に声をかける。 ゆっくりするも何も俺の家の庭だよ。 「ここはなかなかゆっくり出来そうなぷれいすだね。 れいむのおうちにするよ!」 戯言をほざくれいむを無視して庭のハーブに水をやる。 各種ミントやローズマリー、レモンバーム、他にも色々。 今日は少し暑いし、ミントティーでも作ろうか。 「お兄さん!ここはれいむのおうちだよ!お兄さんはゆっく…」 バンッ! れいむに当たらないように注意しながら、思い切り地面を踏む。 れいむはビクッと体を震わせる。 「いいか。お前は俺の家の庭に勝手に入ってきている。 本来なら踏み潰されても文句は言えないんだ。 今すぐ出て行け。忠告したからな。不細工な餡子脳でも俺の言った意味位わかるな?」 「どうしてそんなこというのっ!? れいむはかわいいんだよっ。 わかった…おにいさんはゆっくりできないばかなひとなんだね! どれいにいってこらしめてあげるよ! もうこうかいしてもおそいよ!」 キラリと金色に光るバッジを見せつけながら自信満々に台詞を喋るれいむ。 現在位置発信機能搭載型か。都市部でよく見る型のバッジだな。 緊急ボタンを押せば飼い主が契約してるセキュリティー企業から派遣された 業者が駆けつけてくるはずだ。 業者が家に入るのを拒むことも出来るが、その場合は飼い主が血相を変えて 怒鳴り込んでくるだろう。 場合によっては、ゆっくりを誘拐したとか言いかねないかもしれない。 下手すると裁判所から手紙が来ることになる。 「そのバッジがどうかしたのか?」 「ゆゆっ!きんいろバッジのかちもわからないなんて、ほんとうのばかだね! このバッジはすごいんだよっ。とくべつなゆっくりにしかあたえられないんだよ!」 「へぇー」 「ゆっくりショップでもきんいろバッジをつけているゆっくりはめったにいないよ! こんなすばらしいれいむをみられるだけでもかんどうものなんだよ! それにこのきんいろバッジのボタンをおすと、どれいがすぐにくるんだよ。 ゆっくりできないばかはゆっくりしないでしんでねっ!」 確かに金色バッジをつけられるゆっくりは多くない。本来ならば。 最近は飼い主の見栄から大金を積んで金色バッジを獲得したゆっくりも増えている。 目の前のこいつは本当は銅色バッジですら危ないだろうに…よく飼う気になったもんだ。 手のかかるゆっくりほど可愛い、という変態かね? お下げを使って器用に金色バッジのボタンを押すれいむ。 おそらく業者は10分もしない内に来るはずだ。 れいむはニヤニヤと薄ら笑いを浮かべている。 ゆっくり種対象のセキュリティ企業によって構成されている、ゆっくりセキュリティ協会で 公表されている統計データを思い起こす。 そのデータでは緊急ボタンを押したゆっくりの生存率は5分で7割、8分で5割 10分を過ぎると3割以下になると書かれていたはずだ。 ゆっくりという生き物の脆弱さを考えれば至極普通の数値だろう。 事実ゆっくりセキュリティ協会のサイトでも飼いゆっくりを自由に外に出すことは危険だと 強調している。本来ゆっくりなんて外に出していい生き物じゃない。 きっちりとした教育を受けたゆっくりならば飼い主と一緒ではない限り外に出たりしない。 もし外に出たとしても決して飼い主の目の届かない距離には行かない。 飼い主の保護を直接受けられない場所へ出て行くことが極めて危険であることもわからないのが ゆっくりらしいといえばらしいのだけど。 そしてそのゆっくりらしさが企業の儲けの源泉でもあるのだろう。 なおセキュリティ各社で多少の差はあるものの、現場に派遣された業者が到着するのは平均8~10分は かかるようだ。 結果的に業者の仕事の半分以上は死骸回収になる。 だからかセキュリティ企業に勤める人は意外と虐待派もいるらしい。 飼いゆっくりがどんな最期を迎えたのかを想像することが、この上なく楽しいと思うタイプの人には 向いているのかもしれない。俺は想像よりは虐待する方が好きだけど。 今回も業者の人の仕事は死骸回収作業になるだろう。 飼い主のクレームを受けるのも仕事の内だろうから同情はしない。 一度部屋にもどって今回の道具を持ってくることにする。 虐待用に使用している部屋の扉を開けると、中に居るゆっくり共が皆こちらを不安そうな顔で見る。 俺が胴付れみりゃ親子のゲージの前に来ると部屋の中の空気がさらに緊張したものとなる。 いつも自分達の赤ゆっくりを食われたり、おもちゃにされたりしているからな。 他ゆっくり向け虐待道具として飼っているが、俺はれみりゃが嫌いだ。 しゃべりかたが特にイラッとくる。何がおぜうさま(笑)だ。肉饅め。 れみりゃを理不尽に暴力で死の手前まで追い込むことなど日常茶飯事で、子れみりゃは3匹生まれたが 既に2匹は俺の気まぐれな虐待で死亡している。 残りの1匹もおぜうさまとしての矜持などとっくの昔に粉砕されて、ストレス過多でいつ死んでもおかしくない。 そんな腐りかけた肉饅の子れみりゃでも、俺が虐待すると親れみりゃは気が狂わんばかりに大声で無様に泣き叫ぶ。 美しき親子愛だね。死ねよ。 電話が鳴っている。 おそらくれいむの飼い主が契約しているセキュリティ業者が、俺の家に迷い込んだれいむを保護する許可を求める 内容だろうから無視。 聞いた話では保護に協力するとセキュリティ業者から謝礼と場合によっては飼い主からのお礼が届くらしいが 俺は別に謝礼が欲しい訳じゃない。 「むーしゃ、むーしゃ…それなりー」 窓から庭のハーブを齧りながら勝手な感想を言う餡子餅の姿が見える。 携帯電話のカメラ機能でハーブを齧るれいむを何枚も撮る。 「れみりゃ。さっき俺が言ったこと理解しているな?」 「はいっ!あのれいむをゆっくりできなくすることですっ!れいむであそんだりしません!」 ビクビクと怯えながら返事をする親れみりゃ。 「そうだ。もし上手く出来れば、おまえら親子をあの部屋から出してやってもいいぞ。」 「はいっ、がんばります!」 親れみりゃは極度の緊張と現状を打開する微かな希望に満ちた声で元気よく返事する。 子れみりゃは親れみりゃの後ろに隠れて俺を伺っている。 れみりゃ親子をれいむから見えないように配置してから、れいむへ声をかける。 「…ハーブ美味いか?」 「ゆっ、まだいたの?この草ふしあわせーじゃないけど、しあわせーでもないよ。 れいむはもっとあまあまのようなものをたべたいよ! はやくもってきてね。ぐずなばかでも、あまあまをもってくることはできるよね? はやくもってこないとれいむ、おこるよっ!」 ぴこぴことお下げを動かしながら、ぷくーと膨れ面をするれいむ。 「そうか。あまあまは残念ながらないけど、肉饅ならあるぞ。」 「あまあまがないなんてやっぱりぐずなばかだね!しょうがないからにくまんでゆるしてあげるよ。 かんだいなれいむにかんしゃしないとだめだよ!」 「まあそう怒るな。可愛い(失笑)れいむが台無しだぞ。 ほら、肉饅だ。二つあるから二つともやるよ。」 うっうー!とキモい声で鳴く肉饅を両手で掴んでれいむの眼前に差し出す。 今まで眼前の人間よりも自分が優位に立っていた(と勝手に思い込んでいた)れいむの顔色が 真っ青になる。 「ぞれ゛はに゛ぐま゛んじゃないでしょー! い゛や゛ぁぁぁ!!れみりゃ、い゛や゛だぁぁぁ!!!」 「おぜうさまのためにぎせいになるんだどぉ!」 「ぎせいになることはとってもめいよなことなんだどぉー!!」 必死で逃げるれいむ。そのれいむに自分たちの未来がかかっているので必死でおいかけるれみりゃ親子。 本来捕食者と被捕食者の関係にある両者が競争すれば、結果は明らかだ。 がしっと親れみりゃの右手がれいむをつかむ。 普段ならば本能的に捕まえたゆっくりを虐めて中身の味を向上させるのだが、今回はそんなことを しれいられない。そのままがぶり、と親れみりゃがれいむを齧る。 「い゛だい゛よぉぉぉー!!!ぐずはみてないではやくたすけろぉぉぉ!!!」 「ん~?いつものれいむとあじがちがうどぉ。なんだかいいにおいのするれいむだどぉ~ いっしょにたべるどぉ~」 かぷり、と子れみりゃもれいむを齧りだす。 「おいしいどぉ!これはおぜうさまにぴったりなえれがんとなあじだどぉ~ …これはおいしくないからポイだどぉ~」 食べられない金色バッジを放り投げる子れみりゃ。 二匹のれみりゃがれいむを浅ましく貪る。 「や゛め゛でぇぇぇぇ!!!れいむたべないでぇぇぇ!!!」 だがれみりゃ親子にはれいむの台詞など耳に入っていない。 「おーい、写真とるぞー こっち向けー」 「きれいにとってほしいんだどぉー!」 「おぜうさまはみんなのにんきものなんだどぉー」 「はいはい。ほら、撮るぞ。れいむを真ん中にして撮るから。」 パシャ、パシャと数枚の写真を携帯電話で撮影する。 口元を汚した二匹のれみりゃが、口元の汚れの原因のれいむと仲良く一緒に写っている。 「も゛うやだぁぁ…れ゛いむ゛…おうち…かえ…る… だれか…だすげ…ろぉ…はやぐぅぅ…!」 既に餡子が出すぎたため、放置していても死ぬのは確実だ。 確実だけど、最期にれいむに絶望で彩られた素敵な思い出つくってあげないとね。 「 ゆ っ く り し ん で ね ! もう助からないよ。絶対に。 オレンジジュースのペットボトル丸ごとかけても無理だから。 あとさ、お前おうち帰るって言わなかった? お前のおうちは此処だろう、れいむ。 さっき自分で言ったじゃないか。『ここはれいむのおうちだよ!』って。 もう忘れたのかな?ばかなの?れいむだからばかなの?」 「ゆぎぃ…の゛ろ゛っでや゛るぅ…じねぇ…じんで…じま゛え…」 「お前等に呪われる度に死んでたら命幾つあっても足りねえよ、ボケ。 そんなこともわからないんだねーかわいそうな子なんだねー」 「あ゛あ゛…あ゛…も゛っ…どゆ゛っ…くり…じたがっだ…よ゛…」 クワッと目を見開くれいむ。 れいむの黒目がぐるり、と上へ向き意識によって体内に止められていたうんうんを垂れ流し出す。 お金持ちの飼いゆっくりの座という、ゆっくり達が捜し求めるぷれいす中でも頂上に位置する ゆっくりぷれいすを手に入れながら、生来の愚かさ故にそのぷれいすを失ったれいむは今死んだ。 残り少ないハーブ入り餡子饅頭をれみりゃ親子は幸せそうに頬張る。 与えられた任務が達成できた喜びを気色の悪いおぜうさまダンスで表現する親れみりゃ。 子れみりゃも親れみりゃにつられて拙いダンスを披露する。 餡子でべちゃべちゃに汚れた口からうっうー、と耳障りな間延びした 声を出して踊るれみりゃ親子。 足元には金色バッジと2本のお下げ、それとれみりゃに踏まれて 土だらけの2つのリボン。 呼び鈴がなった。 予想通り業者の人だった。 飼いれいむがいる筈なので保護させてほしい、と。 名刺を貰ってから、素直にれいむが居た場所へと通す。 れいむだった残滓を見て業者の人はため息をつく。 「一応確認なのですが、貴方がやった訳ではありませんね?」 「ええ。『たまたま居た』れみりゃ達が、探されているれいむを食べてしまいました。 見てましたから。」 「では、貴方はれみりゃに襲われているれいむを助けなかったんですか?」 「はい。ああ、飼いゆっくりに危害を加えることが条例で禁じられているのは勿論わかっていますよ。 でも条例では危害を加えるのが禁じられているだけで、勝手に私有地に入ってきた上に 人の物を荒らす馬鹿で間抜けな飼いゆっくりを保護する義務なんて、どこにも記載されて いませんから。私の言い分、何か間違っていますか?」 「間違ってはいませんが……あの、貴方はゆっくりが嫌いなのですか?」 「嫌いなゆっくりもいる、というのが一番わかりやすいでしょうね。 れみりゃは嫌いです。存在そのものがイラッとするんで。 残りのゆっくりは特にどうとも思いません。ただ人の土地に入って自分のおうちだ、とかいう 馬鹿は種類を問わず大嫌いです。きっちりと躾けられた飼いゆっくりや、ゆっくりという身の程を わきまえている分別ある野良ゆっくりはむしろ好きな方かもしれませんね。」 「そうですか… では一応このれみりゃ2匹をれいむを殺害したということで処分する、という形にしたいのですが宜しいでしょうか?」 「勿論ですよ。煩いでしょうから、1匹今潰しますよ。」 相手の返事を聞かずに子れみりゃを頭から踏み潰す。 靴の下からなかなか食欲をそそる匂いが立ち込める。 「そんなことしなくて良いですから!こちらで全て処分しますから!」 「そうですか?じゃ、お願いしますね。」 「れいむとれみりゃを入れる袋とってきますから、その間その大きな方のれみりゃ捕まえていてください。 潰さない様にしてくださいね!」 親れみりゃを見るとまだ状況を把握しきれていないのか、呆然とした表情で潰された子れみりゃを 揺すっている。 まるで眠ってしまった子供を優しく起こす母親だな、とふと思った。 夢から覚めないと駄目なのは親れみりゃの方だけど。 親れみりゃの顔に足を近づけて、子れみりゃの顔だったものを見せる。 さっきより可愛くなった子れみりゃと感動のご対面だ。 顔をくしゃくしゃに歪める親れみりゃ。 そりゃそうだ、もう虐待されなくて済むはずだったのに。 最後に残った1匹とようやく幸せに暮らすはずだったのにね。 もう無理だもんね。あはは。 「れ、れみりゃの…れみりゃのぶり゛でぃ゛ーな゛ごども゛がぁぁぁぁ!!!! どおして…どおしてぇぇぇ!!!?」 「黙れよ。お前のその声、俺は大嫌いなんだ。 少し静かにしろよ。 それにしてもお前等、本物の馬鹿だったんだな。 飛んで逃げればよかったのに。背中にある羽根は偽物か?」 うつ伏せになる様に背中を踏みつけながら声をかけてやる。 俺が喋った羽根を使って飛んで逃げる、という手段に気づいた親れみりゃは 必死で逃げようとしている。れみりゃを潰さない様に足に加える力を加減する。 ジタバタともがく様子はお嬢様どころか亀だ。 でも、俺はおぜうさまダンスを踊ってる時よりも今のその姿の方が好きだよ。 その間抜けな短い手足がとってもぷりてぃーだよ、れみりゃ。 「袋取って来ましたから、もう離して良いですよ。」 「あ、そうですか。じゃ、お願いしますね。あと念のためもう一度言っておきますが、このれみりゃは 野良のれみりゃですから。私は自分の飼うゆっくりにはちゃんとバッジつけて、家の中で飼いますし。 もしも外に出るときには私から絶対離れない様にしますんで。」 業者の人は俺の皮肉に気づいているのだろうけど、特に反応せずに親れみりゃと、子れみりゃだった肉饅 それにれいむのお下げ、リボン、金色バッジを袋に詰め込む。 「ご迷惑おかけしました。回収作業終わりました。」 「あ、そうだ。もしれいむの飼い主さんが何か言ってきたらこの写真見せてあげてください。 れいむが私の庭で育てているハーブを勝手に食べている写真、れみりゃ達がれいむを 食べている写真です。先程頂いた名刺に書かれているアドレスに送っておきますので。」 「…ありがとうございます。では、失礼致します。」 全くそう思っていない口調で挨拶すると、業者の人は去っていった。 袋からはれみりゃの叫び声が漏れ出している。悲しみと怒りと絶望が良い感じにブレンドされている。 酷く醜く、それでいて妙に心地よい響きだ。 あの親れみりゃに待っている未来は、せいぜいれいむの飼い主の持って行き様の無い怒りの 発散道具か、加工所行きのどちらかだろうなぁ。 ま、どっちになるにしても残りの余生をゆっくり楽しく過ごしてね。 ばいばい、れみりゃ。 後書き 初めてゆっくり虐待もの書いてみました。 今までは見てるだけだったのですが、ふと書いてみたくなりまして。 バッジの色を金で左右できるとか、ゆっくり向けのセキュリティーサービス企業とか 思いついたものを勝手に入れてます。 少しでも面白いと思ってくだされば幸いです。 またアイデアが浮かんだら気ままに書いてみたいと思います。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1053.html
今日も今日とて、ゆっくり達を可愛がってあげようと森に入った。 入ったは良いが、なかなか見つけることが出来ない。 たまには、こういう日もあるか、と納得させてもうちょっと粘ってみる。 開けた場所に出たとき、数匹のゆっくり達が居るのが目に入った。 よく見ると、二匹が三匹を追い掛け回しているらしい。 なかなか面白い光景だが、それは俺の役目だと思い直し、そいつらに近寄っていった。 「う~、う~」 追いかけていたのは、れみりゃ種のようだ。 俺も見るのは初めてだが。 なるほど、ふてぶてしい顔をしている。 魔理沙種の図々しい様なのとは違い、なんとも我侭そうな顔をしている。 「楽しそうだね。追いかけっこしてるのかい?」 逃げているゆっくりのうち、少し遠くに居た霊夢種に話しかける。 「ちがうよ、にげないとあのゆっくりにたべられちゃうよ! ゆっくりできなくなるよ」 どうやら、れみりゃに食べられそうになっていたらしい。 そういえば、れみりゃ種はゆっくりを食べると聞いたことがあるな。 だから今日は、森でゆっくりを見なかったのか。 「そうかい。ちょっとまってな」 そう言って、だんだんと近づいてくるゆっくりれみりゃの方へ向き直る。 なるほど、同類を食べる側にいるから、あんなにふてぶてしい顔をしているのか。 小学生のいじめっ子と同じだな、と思いながら、通り過ぎるタイミングを見計らって手をのばす。 「う~!?」 俺を避けるように二手に分かれた瞬間、伸ばした『グー』の手に顔面ごと突っ込むれみりゃ。 俺はその手の親指を立てて向き直る。 「よっし。俺がコイツにお説教しておくからお前達は逃げな」 気分は、クールな俺かっこいい、だ。 「おじさん、ありがとう」 「これでゆっくりできるね」 「むきゅ~」 「おや、一匹ひどく疲れてるじゃないか? 大丈夫かい」 これまた珍しい、パチュリー種だ。 「ぱちゅりーはからだ、よわいの」 そういえば、ほとんど跳ねる事ができずに、半ば摺るようにして逃げていたな。 それに、何時もこういう時は真っ先に逃げる魔理沙種が、パチュリー種に付き添うように 逃げていたのを思い出した。 「三人はお友達かい?」 「うん、まりさもぱちゅりーもともだちだよ」 「いつも、ぱちゅりーのことまってあげてるの」 「さんにんでゆっくりしてるの」 「そうか、二人とも偉いねえ。じゃあ、ここは任せて、どこかでパチュリーを休ませてあげな」 「うん、おじさんありがとう」 「「ありがと~」」 「ここから、東に行って森を出て、またちょっと行くと大きなゆっくり専門の施設があるから。 そこで見てもらうといい」 「うん。ゆっくりいくよ!!!」 手がないので、代わりに何度も振り返っては、飛び跳ねている。 何せ、天然ものだ、行ったら一応、看病はして貰えるだろう。 未だ、気絶しているれみりゃを抱きかかえながらそんな事を考える。 今日はコイツを見つけて、気分が良かったから、見逃してやろうかとも思ったがやっぱりやめた。 それはもうキッパリと、魔理沙種が『おじさん』と言った瞬間に。 「う~?」 どうやら、こいつらが目を覚ましたみたいだ。 「うー!うー!」 どうやら、さっきの事を思い出したみたいだ。 ステレオで聴くと無性にイライラしてくる。 「ごめんね。でもあいつらより美味しいものが家に有るんだ。連れて行ってあげようと思って止めたんだけど、 いらなかったかな?」 「んーん。いく~! うまうま~!!!」 「うー! うまうま」 こいつらは上手く話せないのか? それでも、顔(しかないが)を見ると随分と嬉しそうだ。 「それじゃあ連れて行ってあげるよ。飛べるかい?」 「んーん。だっこだっこ~!」 ……表情は笑顔のまま、(なんとか)家まで連れて行く。 とゆうか、抱っこを知っているって事は、誰かに抱っこされたのか。 随分と物好きな奴もいたもんだ。 「ここが俺の家だよ」 「うっう~♪」 「それじゃ、食べ物を持ってくるから待ってってね」 「うー!」 椅子の上にれみりゃを乗せてその場を離れる。 テキパキと準備をして部屋に戻る。 「う~♪ た~べちゃうぞ~」 「た~べちゃうぞ~」 相当ご機嫌だ、そうでなくちゃ面白くもないが。 後ろに回って準備していた手錠、片方が二股になっている特別製、れみりゃも羽の根元にかける。 「う? う?」 「さぁ、こっちだよ」 また、苦労して二匹を連れて行く。 まぁ、苦労するのはこれで最後だしね。 「う~♪ う~♪」 「うっう~、う~♪」 「は~い。ご到~着」 連れてきたのはキッチン、美味しいものが有るって言ったからね。 「う~?」 「う~?」 「おいしいの食べたいかい?」 「う~♪」 「う~♪」 いいかげんステレオにも飽きた。 片方のれみりゃの手錠をを壁の輪にはめて固定させる。 ついでに目隠しもしておく。 んで、もう一匹のれみりゃの手錠をひっぱる。 「う~! う~!」 当然、抗議の声をあげるれみりゃ。 でもそんなのかんケーネ。 これで、根元が見やすくなったんだ。 一閃。 ただの包丁で羽を切り落とす。 「う゛ーー!!」 あはっ、お兄さんは嬉しくなるとつい勢いにのっちゃうんだ♪ 帽子を取ってまた一閃。 こんどは目から上を一刀両断。 「っう。あう。ぅー」 ワオ、中には美味しそうな肉まんの餡がいっぱいに入ってる。 「う~?う~?」 おっと、余りにも楽しくてもう一匹の存在を忘れてた。 さっきの悲鳴で戸惑ってるのか? 「なんでもないよ、自分で足をぶつけて痛がってただけだよ」 的確な言い訳を言って、固定をを外して、切り取った頭の所までもっていく。 「いいにおいだろ?」 「うっう~♪」 「ぅー。ぅー」 「……食べていいよ」 あはっ、言っちゃった♪ 「う~!!!」 むしゃぶりつく様に食べる。 周りの皮もどんどん食べていく。 「おいしいかい?」 「う~。おいちい♪おいちい♪」 ちかくでするゆっくりの悲鳴は聞こえないんだろう。 「うっう~♪」 もうすこしで、食べ終わるというときに目隠しを外してやる。 だって、こうしないと次から『コレ』食べれないジャン。 「どうだい、コレ、美味しかったろう。こんどからコレを食べるといいよ」 わずかに残っていたのは、下あごの少しと、帽子と羽と、そして牙だけだった。 「うー! うーーー! うーーーー!」 青くなって吐き出そうとしているれみりゃの口をホッチキスで留め、さらに水で捏ねて 上唇と下唇を同化させた後、ゆっくりフランがよく来るという木に手錠を固定して終了。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1075.html
「ゆっくり~~♪ していってね~~~♪」 「「「ゆっくり~~♪ していってね~~~~♪」」」 「きょうもにこにこひゃっくてんだよ!!!」 ここに一つのゆっくり霊夢一家がいる。 親である霊夢と子供が十数匹の標準的な家族である。 その親霊夢を先頭に、向かっているのは人間の里。 「ゆっゆ♪ ゆゆゆ♪」 ご機嫌な様子で歩いていくお母さん霊夢。 何がそんなにうれしいのか、その答えは今しばらくすればわかるのであろう。 「ゆっゆ♪ ちゅいたよ♪」 「それじゃあ!! ゆっきゅりしようにぇ!!」 「「「「ゆっきゅりしゅるよぉ~~~~~!!!!」」」」 あるモノは廊下を走り回り、またあるモノは畳の上でごろごろと転がる。 ゆっくりにしてみれば、ゆっくり遊んでいるのであろうが、ここは人間の家である。 人間の家はゆっくり出来るものが沢山ある。 それは『この一家ならずも知っていること。 そして、この一家はゆっくりするためにここに入り込んだのだ。 そして、珍しいことに一家は、何一つ家の備品に触れてはいない。 ただ転がって遊んでいるだけなのである。 「お前ら!! ここで何をしてるんだ!!!」 仕事から帰ってきた男は、無人のはずの我が家から聞こえてきた声に驚いた。 しかし、すぐにその声の正体が分かると、怒りに身を任せて家の中に入り込んでいった。 「ゆゆ!! おにーーさんおかえりなさい!!」 「「「おっかえりなっしゃ~~~~~い♪」」」 男の緊迫した声とは対照的に、一家はのほほんとした口調で男を出迎えた。 「おい!! ここが誰の家だか分かってるのか!!」 「ここはおにーさんのいえだよ!!」 「……分かってるのか?」 自分の予想が外れた男は、呆気にとられ一度怒りを忘れたようだ。 「ゆっゆ!! れいむはあたまのいいゆっくりだから、きちんとわかってるよ!!」 「れーみゅたち、おにーさんのおうちのものさわってないよ!!」 「たべものもたべてにゃいよ!!」 「ちかきゅのきゃわで、かりゃだをありゃってきたから、きれいだよ!!」 「ゆっゆ♪ れいむたちはなにもわるいことしてないよ!!! だから、おこらないでね♪ おにーーさん!!」 「ほー……。そうか、それは偉いなぁ~~」 感心したように、うんうんと首を振りながら一家に語りかける。 「ゆっゆ♪ えらいでしょ♪ ごほーーびにすこしたべものちょ~~だい♪」 「んなわけあるかーーーーーー!!!!!」 ごぶ。 と鈍い音と共にお母さん霊夢に鉄拳が振り下ろされる。 「と゛う゛し゛て゛ーーー!!! れいむたちなにもわるいごとしてないよぉーー!!!」 「「「おがーーしゃーーん!!!」」」 口から餡子を吐き出しながらも、男に向かって非難ともとれるような言葉を投げかける。 「おかーしゃんだいじょーぶ?」 「あたみゃいたいいたいにょ?」 「れーみゅが、いちゃいのいちゃいのとんできぇーー!! してあげりゅりょ!!」 重症を負った母親のもとへ集まった子供達が、文字通り男の事を忘れ必死に手当てをしようとする。 「こらこら。無視はよくないぞ♪」 「ゆゆ!! ゆっくりはなしちぇね!!」 「ゆ!! いもーとをはなしてね!!」 一転、母親もろとも男のほうへ振り向き、声を上げて男とその手にもたれた赤ちゃんに呼びかける。 「はい!! ここで問題です!!」 小さい子を黙らせるように、大きな声で言い放った男は、手にしたゆっくりを握りながら、さらに説明を続けた。 「今から、お兄さんが君達に質問をします。その質問の中で、『悪いこと・うそ』があったらこの赤ちゃんは朝食に嬉しい、おいしいおいしい餡ペーストになってしまいます!!!」 「ゆ!! ゆ~~~~♪」 何だ、そんなことか、とでも言いたげな一家。 何しろ、自分達は頭の良い、良いゆっくりなのだ。 きっと、馬鹿なゆっくり達はここで間違ったことを言って殺されてしまったのだろう。 これをきちんと答えれば、この人間もきちんと分かってくれる。 もしかしたら、お家で飼ってくれるかもしれない。 一度みた、あの金ぴかに輝くバッジを自分達も付けて歩けるかもしれない。 「ゆっゆ♪」 「ゆきゅ~~~♪」 周りを見ると、子供達も母親と同じ事を考えているようで、なんとも緊張感のない表情をしている。 「ゆっくりきっちりりかいしたよ!! おにーさんはやくもんだいをだしてね!!」 「「「「だちちぇねーーー!!!」」」」 すでに勝った気でいる一家、その一家に男はゆっくりと問題を発表した。 「第一問!! 勝手に人のおうちに入るのは良いことかな?」 「「「こたえは、のーだよ!!」」」 「正解!! では第二問!! 君達は何で人のおうちに勝手に入ってきたのかな?」 「「「ゆっゆ♪ れいむたちはわるいことしてないよ♪」」」 「ダウト!!」 「んじゃらっぺいぽんち!!!」 ニコニコしている一家に、握った右手を近づけて一気に握り潰す。 くぐもった悲鳴が聞こえた後、どろっとした餡子が流れ落ちていく。 「ゆ!! れいむのあ゛か゛ぢゃ゛ん゛がーー!! どーーじでこんなごとするのーー!!」 「あかちゃんが、いたいいたいになっちゃったー!!」 「ゆぐぅーーー!!!!!!」 騒然となる一家。 そんなことはお構いなしに、男は二匹目の赤ちゃんを掴み、問題を再開する。 「第三問!! 君達は勝手に人間の家に入った?」 「ゆー……。あがじゃんがーー!! いだいいだいになっじゃったー!!」 「ゆっぐり、かわいいあかちゃんが……」 「……西村因みに、答えなくてもおいしー朝食餡ペーストになります」 「「「ゆっぐりかってにはいったよ!!!!」」」 「正解!! では第四問!! 勝手に家に入るのは悪いゆっくり、間違いないね!!」 「「「ゆっくりまちがいないよ!!」」」 「正解!! ではでは、最終問題!!!」 「ゆ……」 緊張していた一家からため息が漏れる。 後一問、それだけで自分達は解放される。 もう人間の里に近づくのはよそう。 良い事をしたのに、こんな目に合わせる人間とはゆっくりできない。 森に帰ったら、ゆっくりと暮らそう。 「じゃじゃん!!」 その前に、この問題をさっさと片付けよう。 「悪いゆっくりは一匹残らず駆除する!!!」 「ゆ?」 「「「ゆゆゆ!!!」」」 一家の表情が曇る。 確かに、悪いゆっくりはそうしても良い。 でも、確かさっき自分達は、かってに家に入るゆっくりは悪いゆっくりだ、と言った気がする。 つまり、自分達は悪いゆっくりになる。 だったら、自分達も駆除させる。 「どうしたの? この子、朝食に出してもいいの? 食物繊維たっぷりのおいしー餡ペーストになるよ」 「ゆぐぐ……」 「「「ゆーーーー……」」」 残された一家は答えられなかった。 答えたら、自分達は多分死ぬ。 おそらく、ちょーしょくにあんぺーすととして出されるのだろう。 しかし、黙っているか、うそを言えば、死ぬのは今男に握られている赤ちゃんゆっくりだけだ。 そうだ!! うそを言えば良いんだ。 悪いのは、人間に捕まったあの赤ちゃんだけだ。 よし、うそを言おう。 「……」 「「「ゆ!!」」」 無言の母親の視線でも、こういう場合の考えは一緒なのだろう。 全員が全員、こくりと頷き男のほうに向き直る。 「だ「しょうだよ!! わりゅいゆっきゅりはいっぴきのこりゃずくじょすりゅんだよ!!」 ゆゆ!!」 だめだよ!! と言おうとした一家より、一瞬誰かが答えた。 答えた主を探そうとする一家だが、全員首を横に振り、関係ないという意思を表示する。 となると、残された選択肢は一つ。 「おかーーしゃんがいちゅもいっちぇたもにょ!! わるいゆっきゅりはみんなしんでいいって!!!」 「「「「と゛う゛し゛て゛ぞんなごというのーーー!!!!!」」」」 全員が、男の、その手のひらに乗せられている赤ちゃんに向かって声を荒げる。 「ゆ? じゃって、おかーしゃんたちなかなきゃこたえないかりゃ、れいむいたいいたいしたくなきゃったもん!!」 プクーと頬を膨らませて、一家を見下ろしながら答える赤ちゃん霊夢。 「そうそう。えらいな~~♪ ちゃんと分かってるじゃないか」 「ゆっゆ♪」 そうして、その霊夢の頭をなでながら優しく語りかえる男。 この位置からでは赤ちゃんには見えないが、一家には男の顔が見えた。 まさに、一家にどのような処罰を与えようか考えている顔であった。 ~~~~~ ここは加工場の一室。 毎日限定生産される家族饅頭セットの備蓄室である。 「ゆっくり……」 この一室の新たな主は一つの霊夢一家。 普通なら、暴れまわるこの一家だが、一匹を除きその様な気は起きないらしい。 「ゆっきゅりだちてにぇ!!」 必死に騒いでいるのは赤ちゃん霊夢だった。 あっちの壁に体当たりしたかと思えば、こちらの扉に体当たり。 「……」 大きな個体が生気を失ったように佇むなか、赤ちゃんが行うその行為は、まさに奇妙なものだ。 「ゆ!! れーみゅたちはわりゅいことしちぇないよ!!」 「…………」 「おかーーしゃん!! れーみゅたちわりゅいことしちぇないんだかりゃ、はやくここきゃらでて、おうちかえりょーね!!!」 「……ゆっくり……そうだね……」 「ゆっきゅりだちてにぇ!! れーみゅたいはいいゆっきゅりだよ!! おかーーしゃん、いちゃいいちゃいだかりゃ、はやくかえらしぇちぇね!!!」 「「「…………」」」 いよいよ出荷されるその日、その赤ちゃん霊夢は最後の最後で自身の罪を知り、どの家族よりも絶望して逝ったという。 まるでアクセントのように、一部に強力な甘さの餡子を残して。 ~おまけ~ 「うーー!! れ☆み☆りゃ☆はこうまかんのおぜーーさまなんだぞーーー!!!」 そう叫ぶゆっくりれみりゃがいるのは間違いなく紅魔館の玄関であった。 庭に住んでいるものがまた勝手に入ってきたのだろう。 「う~~!!!! う~~~!!!」 調度品を見て、奇声をあげるその姿は、お嬢様らしからぬモノであるが。 「う~~~!! れみりゃはおなかがすいたーーー!! さくやーー!! さくやぁ~~~?」 一転、笑顔になったれみりゃが声を張り上げ食事を要求するが、ゆっくりに食べ物を与える輩はここにはいない。 「うーーー。うーー!! うう!!」 スカートの裾をぎゅ♪ っと掴んで涙を浮かべていたれみりゃだったが、何を思ったかスッと近くの部屋から怪獣の気ぐるみを持って戻ってきた。 「うっう~~♪」 お気に入りの気ぐるみを貸してあげるから、早く出て来い!! と言うことらしいが、あいにく酔っ払いでもしない限りそんな趣味の悪いものなんて着たくない。 痺れを切らしたれみりゃは、テコテコと自分の足で食べ物を探し始める。 「うぎゃ!! うーー!! うーーー!!」 途中何も無い所で転び、目に涙を浮かべ口を結び、まさに今にも泣き出しそうな事もあった。 「うーーー……、おなかへっだーーー……」 が、泣くのを堪えて再びよろよろと館内の捜索に戻った。 それから、幾分の時間が過ぎ、ある大きな入り口の前を通りかかった時、れみりゃはそこから大勢の声と、食べ物の匂いを感じる事が出来た。 「うーー!! ごはんたべりゅーーー!! おかしもってきてぇーーー!!」 既に疲れきったれみりゃは、近くにいた女性に声をかけると、うんちょ♪ と台の上に飛び、木製のベッドに横になり目を瞑った。 「う~~~……う~~~~……」 直ぐにうとうとし始める、幸せそうに口元から涎を垂らして。 「……あら、今日の夕ご飯はれみりゃだったかしら?」 「う~~……!! うあーー!! うあーーーー!!!」 疑問系で、しかもいまいち確証が無いにも拘らずテキパキとれみりゃを捌いていく。 「やめでーーー!! れみりゃなのーー!! れみりゃーーー!! はやくやめるのーーー!!!」 「……そーらのかなたに♪ みーちるひーぃかり♪」 れみりゃの言葉は一切聞かずに、鼻歌を歌いながら調理を進めていく。 「うぎゃーー!! れみりゃのあしがーー!! さぐやーー!! だすげでーー!!」 「まじかる♪・さく「んじゃーーー!! ああーーーーー!!! うあーーーー!!!」」 ……。 「今日は少しおかずが多いんじゃないかしら?」 「そうですか? でも食べ切れますよね?」 「それは、そうだけれども……」 「なら問題ないですね」 「はぁ……」 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2901.html
『アイドルのオシゴト』 人知らぬ森の中。 獣道を、1匹の胴有りゆっくりれみりゃが歩いていた。 「だっどぉーぅ♪ だっどぉーぅ♪」 希望に満ちた笑顔を浮かべる下膨れ顔。 リズムを刻んで元気よく振るふくよかな腕。 よたよただばだば歩みを進める足に、左右にフリフリ揺らす尻。 それらはいずれも、普通のれみりゃと比べておよそ1.5倍はふとましい。 中身のギッチリ詰まった重量級の体からは、 ステップを踏む度に黄色いガスが「ばぶーっ! ばぶーっ!」と漏れだしている。 「てぇれびだどぉ~♪ しゅ~やくだっどぉ~♪ うぁうぁ☆うっう~~♪」 このれみりゃは、駆けだしの"アイドル"だった。 今日は、これから初めての"てれび"の仕事に向かうところだ。 しかも、マネージャーによれば主役らしい。 御機嫌にならないはずがない。 「えびりゃってばぁ~☆かわいすぎてごめんねぇ~ん♪ だっどぉ~~ぅ♪」 下膨れた頬を抱えて、幸せを体現する、れみりゃ。 この実にゆっくりしたふとましい体、たっぷりした下膨れは、れみりゃの自慢だった。 自分をこんなに可愛くえれがんとに育ててくれた親達のことを思い出し、感傷にふけるれみりゃ。 最初、アイドルになりたいと言った時、親からは"おぜうさまらしくないどぉー! はしたないどぉー!"と猛反対を受けた。 だが、れみりゃは知っている……なんだかんだ言いつつも自分を支え応援してくれたことを。 今日てれびに出るとことをうーぱっくで伝えた時も、誰より喜んでくれたことを。 「こーまかんのまんまぁーたちも、きっとたのしみにしてるどぉー♪ えびりゃがんばるどぉー♪」 そんなれみりゃの後ろから、ゆっくりさくやが跳ねてくる。 このさくやは、れみりゃファンクラブ会長にしてマネージャーでもあった。 「さようですわ、おぜうさまぁー! ふぁいとですぅー!」 「うっふ~~ん♪ えびりゃにおまかせしてねぇ~~ん♪」 れみりゃは気合いを入れて、うぁうぁ☆ぐるぐる腕を振り回す。 ぶぅーぶぅー漏れるガスを効果音にして、栄光のロードを歩いていくれみりゃ。 そうこうしているうちに、れみりゃとさくやは現場の屋外スタジオに到着した。 そこには、既に他のスタッフ達が集まっていた。 「ゆゆっ! れみりゃがきたよ!」 「むきゅ~ん! れみぃーちゃんはいりましたぁ~!」 「ゆっくりおつかれさまだよ! きょうはよろしくおねがいしますだよ!」 れみりゃを囲み、挨拶するスタッフ達。 れいむ、ぱちゅりー、まりさ、ありすにちぇんにめーりんもいる。 現場に集まったスタッフ達もまた、全員ゆっくりであった。 どこから手に入れたのか、ゆっくり達はカメラや機材を揃えていた。 どれも旧式でアナログなものだったが、ゆっくり達は口を器用に使って、おぼつかないながらもそれらを使いこなしていた。 「ゆっ! それじゃさっそくほんばんはじめるよ!」 そう言って、カチンコを咥えるまりさ。 れみりゃは、カメラの正面、書き割りのセットへ上がり鼓動を高鳴らせる。 「うーうー♪ これできょうからえびりゃも"かりしゅま☆すたぁー"だどぉー♪」 「ゆぅ~~~い………あくしょん!」 カチン! まりさの咥えたカチンコが渇いた気持の良い音をたてた。 照明が舞台上のれみりゃにスポットしていき、ベータのビデオカメラが回りはじめる。 たくさんのゆっくりが緊張した面持ちを作る中、収録は開始された。 (まんまぁ~♪ しゃくやぁ~♪ えびりゃをみまもっててねぇ~ん♪) れみりゃは、カメラに向かって今日のために必死に練習した"のうさつ☆だんす"を踊り出す。 尻を突き出すように左右に振って、ぶぅーぶぅー生理現象の伴奏を奏でていく。 「うっうー♪ えびりゃのぷりてぃー☆ひっぷにぃー♪ め~ろめろ~になるんだどぉ~~♪」 照明の熱量は相当なものだ。 れみりゃは、額に肉汁を浮かべながらも渾身のダンスをおどりきる。 「えび☆りゃ☆う〜☆にっぱぁ~~♪」 決まった! 心の中で声を揃える、れみりゃとさくや。 しかし、他のスタッフ達から"カット"の声は聞こえない。 舞台上で頭上に「?」マークを浮かべる、れみりゃ。 その直後、スタッフの一人が口に咥えた紙をれみりゃに見せた。 そこには歪な平仮名で「あしすたんとの"ふーちゃん"せんたーへ」と書かれていた。 「うぁ?」 ふーちゃんとは誰のことなのか。 れみりゃが疑問に思っていると、上空からその横にゆっくりフランが降り立った。 「ぷぅー☆ゆっくりしね」 「う、うぁぁー! ふりゃんだどぉーー!?」 本番中であるにも関わらず、れみりゃは恐怖の叫びをあげる。 森で一人暮らしを始めてからというもの、れみりゃは何度もフランに虐められていた。 「う~~! でぃれくたぁー! じゃーまねぇー! ふりゃんやだどぉーー!!」 れみりゃは涙ぐみ、へなへなと腰から崩れ落ちてしまう。 しかし、そんなれみりゃと"ふーちゃん"ことゆっくりフランへ出されたカンペには、こう書かれていた。 "ちょうりすたーと" 「ぷぅー☆おりょうり☆おりょうりー」 「うっ!? な、なにするんだどぉー!?」 カンペを読むや否や、フランはれみりゃを押し倒し、その服と帽子を無理矢理剥ぎ取っていく。 「や、やべでぇー! やべるんだっどぉー!」 「ぷーぷー☆ぱっぽぉー♪ これきたないー☆おじゃま☆じゃまー」 「ぶ、ぶっぎゃぁぁぁーーー! えびりゃのだいじだいじがぁーーー!!?」 れみりゃは為す術無く、あっという間にドロワーズ1枚の姿にさせられてしまう。 「えびりゃは"せいじゅんは"あいどるなんだどぉー! ぬぐなんてきいてないどぉー!」 「ぷぅ~~~! うるさい~~~!」 フランは、びよ〜んびよ〜んとれみりゃの頬を左右に引っ張っていく。 そしてカメラの真正面にアップになるよう、れみりゃの体を持ち上げた。 「おもしろいかおー☆ぶさいくなかおー☆」 「うびぃーーーー! うびぃーーーーー!」 れみりゃの下膨れで楽しそうに遊ぶフラン。 その間に、スタッフ達がテキパキとセットを入れ替え、道具を搬入していく。 れみりゃとフランの前には、2つのプールと1つの巨大な鍋が並べられた。 プールの一つには生卵が、一つにはパン粉が、そして火にかけられた鍋には油が熱せられている。 やがて、フランは準備が整ったと見計って、れみりゃを生卵のプールに突き落とした。 「まずは~ひたひたにする~~☆」 「う~~~~~っ!」 フランは、起きあがろうとするれみりゃを無理矢理押し倒し、生卵まみれにしていく。 顔を押さえつけられ、危うく生卵のプールで溺れそうになる、れみりゃ。 「つぎは~こうやってまぶす~☆」 「うぁぁぁぁぁーーーー!」 次にフランは、れみりゃをパン粉のプールに投げ入れる。 頭からパン粉にダイブし、思い切り顔を打ってしまうれみりゃ。 「うぁぁぁーーー! えびりゃのびゅーてぃふぉーなおかおがぁぁぁーーー!!」 泣き叫ぶ、れみりゃ。 そんなれみりゃの声など素知らぬ風に、フランはテキパキ作業を進めていく。 生卵で濡れているれみりゃの体をパン粉のプールで転がしていき、パン粉の服を着せていく。 「さいごは~ゆっくりあげる~☆」 フランはにっこり微笑むと、息も絶え絶えでピクピクしているれみりゃを抱えて浮かび上がる。 そのまま熱々の鍋の上まで移動するフラン。 パチパチ跳ねる油の滴があたり、ハッとするれみりゃ。 呆然自失としながらも、恐怖でひきつった顔に精一杯のスマイルを浮かべる。 「……そ、そうだどぉー♪ これはどっきりなんだどぉー♪ えびりゃってば、うっかりだまされちゃったどぉ~~♪」 れみりゃは、ドッキリが終わる瞬間を心待ちにして、周囲へ視線を送る。 だが、スタッフはみな至って真剣に仕事をしており、マネージャーのさくやも熱い期待の視線をれみりゃに送っていた。 「う、うぁ?」 「ぷぅ~~☆くりゃえ~~☆」 れみりゃが観念するより早く、フランはれみりゃを油鍋の中へ叩き落とした。 ジュワジュワパチパチ、衣を纏ったれみりゃは揚げられていく。 「ざぐやぁぁぁーーー! だずげでぇぇーーー!! まんまぁぁーーーー!!!」 「きつねいろになったら~かんせい~☆」 フランは"れーばてぃん"と呼ばれる金属の棒を取り出すと、それで油の中のれみりゃを引き上げる。 引き上げられたれみりゃは、大事なおべべの代わりに、サクサク狐色の衣を着込んでいた。 フランは、ぐったりして気を失ったれみりゃを、スタッフが用意した大皿に乗せる。 山盛りのキャベツをベッドにして、れみりゃは無意識に嗚咽を漏らす。 「ぅ~~~っ……」 「ぷっぷ~☆ぷぁぷぁ~」 盛りつけられたれみりゃを見て、フランは楽しそうに歌を口ずさんだ。 「きょうのしゅやく~☆かりかり"えびふりゃー☆"かーんせぇー」 センターカメラに向かって、微笑むフラン。 その数秒後、まりさの「かっとぉー!」という叫びが響き、現場の緊張した空気はようやく弛緩するのだった……。 * * * 数日後、今日も適度に平穏な紅魔館。 そのパーティールームに、館の住人達とゲストが集まっていた。 「う~~! しゃくやぁ~はやくぅ~はやくぅ~! はじまっちゃうどぉ~~!」 「……ということです。さっさと準備してください」 居候のゆっくりれみりゃに急かされた咲夜は、ナイフを片手に持って河童に告げた。 ビクッと体を震わせて、目の前の四角い箱と格闘する河童。 しかし、河童の焦りとは裏腹に、四角い箱は何の反応も示さない。 その時、今日のために紅魔館を訪れた珍客……緑髪の巫女がしずしずと黒い箱の前に歩み出た。 「あの……ちょっといいですか?」 緑髪の巫女は、古めかしい四角い箱を見てから溜め息をつき、片手を思い切り振り上げる。 「こういう時はですね……えいっ!」 ベチンと、平手で箱を叩く巫女。 すると、周囲が唖然とする中、箱の前面に映像が映り始めた。 「うぁーうぁー♪ てれびじょんだどぉー♪ えれがんとなおぜうさまにふさわしいぃ~どぉ~♪」 興奮する、れみりゃ。 「さすが最近外の世界から来ただけはあるわね……」 「興味深いわね……どいういう仕組みなのかしら?」 初めて目にするテレビに、各々興味を示す一同。 やがて、テレビにはこの日の目的のプログラムが流れ始める。 「う~~どきどきわくわくだどぉ~~♪ あかちゃんのはれぶたいだどぉ~~♪」 れみりゃは、咲夜の膝の上に座り優しく抱かれながらテレビに釘付けになっている。 咲夜はといえば、興奮するれみりゃの頭ををなだめるように撫でながらも、鼻からはうっすら赤いものが垂れ始めている。 「あっ、はじまるみたいですよ!」 ノイズ混じりの画面に、森の片隅に組み立てられたセットらしきものが映し出される。 そうして、手ぶれならぬ口ぶれののひどい映像に、番組のタイトルが表示された。 "ゆっくり3分調理クッキング えびふりゃー編" 「うぁ~うぁ~☆しゅっごいどぉ~~♪ れみりゃのあかちゃ~ん☆かぁ~わいいどぉ~~♪」 目をキラキラ輝かせ、同時に溺愛するわが子の姿を見てうっすら涙さえ浮かべる、れみりゃ。 だが、3分後。 "れみりゃのぷりてぃーなあかぢゃんがぁぁーー!!" という絶叫を紅魔館に響かせて、れみりゃは泡を吹いて倒れてしまうのだった……。 * * * 「いだいぃーー! いだいどぉーーー! ざぐやぁーーー!!」 大木の根元の洞の中、敷き詰めた藁の上で、れみりゃが悶え苦しんでいる。 自慢のたっぷりふとましい体は全身火傷で、平時と比べてさらに3割増し水膨れていた。 「おぜうさましっかりしてくださいまし! あしたはしゅうろくのひですよ!」 「うっびぃーーー! もぉーやだぁどぉーーー! まんまぁーーえびりゃおうちがえりだいどぉぉーーー!!」 新人編・了 作者当ての時に途中まで書いたのを、勢いで最後まで。 細かい部分は後で修正するかもしれません。 いろいろ考えていることはあっても、 それを実行にうつせる時間が無いのが呪わしいですorz by ティガれみりゃの人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4005.html
『いいつけてやる!』 昼もすぎて、太陽が傾きかけた頃。 人通りの少ない道を行く、4匹のゆっくりれみりゃがいた。 「う~う~♪ ぱたぱた~♪」 「「「うぁっうぁっ♪ ぷっでぃ~ん♪」」」 楽しげに口ずさんでは、えっちらおっちら体を揺らす、れみりゃ達。 この4匹は、森で暮らす家族だった。 先頭を行くのは身長1mほどの親れみりゃ。 そのすぐ後ろに、身長60cmほどの3匹の子れみりゃ達がついて歩く。 「おぜうさまのおとおりだっどぉー♪」 「うー♪ わんわんもにゃーにゃーも、ずがたかいどぉー♪」 「したにぃ~したにぃ~だどぉ♪ ぶれぇーものはたーべちゃうぞぉー♪」 「おぜうさまのかりしゅま☆にみんなびびってるどぉー♪ うつくしさはつみだどぉー♪」 れみりゃ達は楽しげに「ぱたぱた~♪ う~♪」と小さな黒い羽を動かすが、 言葉とは裏腹に、ずんぐりむっくりした体はフワフワ浮いてはすぐに高度を下げ、 結局よたよただばだば歩くことになる。 それは端からみれば滑稽にも思える光景であったが、当のれみりゃ達は幸福感でいっぱいだ。 それぞれが手に持って広げる、ボロボロの日傘とあいまって、 実にエレガントでカリスマな様だと得意満面だった。 そんなれみりゃ達が、ふと足を止める。 その眼前には、ひなびた神社があった。 「「「「れみ☆りゃ☆う~♪ にっぱぁ~♪」」」」 到着を喜んでか、それとも自分達の存在をその場にいるものに知らしめるためか、 れみりゃ達は境内の中央で愉快に踊り合い、可愛さを讃え合うように周囲に笑顔を振りまいた。 「ついたどぉー♪ きょうはここででぃなーにするどぉー♪」 「れみぃー、もうおまんじゅうはあきちゃったどぉ♪ ぷっでぃ~ん☆たべたいどぉ~♪」 ニコニコ笑顔は崩さぬまま、親へ文句をつける子れみりゃ達。 親れみりゃは、そんな子れみりゃ達に腹をたてることもなく、変わらぬ下ぶくれスマイルを浮かべている。 親れみりゃは、子ども達に"おぜうさまのつとめ"を教えるためにここに来ていた。 おぜうさまたるもの、森の中で"あまあま"を食べるだけで満足してはならない。 自然とあふれでるカリスマで従者を増やし、高貴なるスイーツ"ぷっでぃ~ん♪"を得てこそ一人前といえる。 また、それこそが"かりすま☆"たる自分に与えられた権利であり責務であり"でっす☆てぃにぃ~"なのだと、 れみりゃは本気で信じていた。 故に、毎日"おうた"や"だんす"といった、エレガントなレディーになるためのレッスンを、 親れみりゃは愛する子れみりゃ達に課してきた。 そして、今日はそのさらに先のレッスン、"ぷっでぃ~んもってきて~♪"を教えようと、 親れみりゃは家族総出で人間達のところへ遊説に来たのだ。 「うー♪ あがじゃん、だいじょーぶだどぉ♪ まんまぁーのいうとおりにやってみてねぇーん♪」 「「「ゆっくりりかいしたどぉー♪」」」 親れみりゃは、最後の復習とばかりに、 子れみりゃ達に"ぷっでぃ~ん"を得るための手順を教えていく。 身振り手振り、実演をまじえて始まる、親れみりゃのレッスン。 親れみりゃは、足下の石をヌイグルミのような手で掴みあげると、ぽーんと放り投げた。 「まずはー♪ ぽーい☆するんだどぉ♪」 "ぽーい♪ぽーい♪"と、踊りながら物を投げ捨てるジェスチャーを繰り返す親れみりゃ。 子れみりゃ達もそれに倣って、お尻をぷりぷり揺らしながら、物を投げる仕草を始める。 「まじゅいおやさい、ぽぉーい♪」 「くちゃいおさかな、ぽぉーい♪」 「きょうはきぶんじゃないから、くっきぃーもぽぉーい♪」 「「「ゆっくりできないものは、みんなぽぉーい♪ ぽいするのぉー☆ぽぉーい♪」」」 子れみりゃ達が歌うように口ずさむフレーズが揃ったのを聞いて、親れみりゃは満足気だ。 自らの両頬をたたんだ両手で押さえながら、大きな頭を左右に揺らす。 「う~~♪ れみりゃのあがじゃん☆かわいいどぉ~~♪ それにおりこーさんだどぉー♪」 可愛くて自分そっくりの、自慢の子ども達に惚れ惚れする親れみりゃ。 親れみりゃに褒められた嬉しさに、子れみりゃ達はふてぶてしい下ぶくれ笑顔を一層広げる。 そして、両手を物をせびるように前にへつきだし、尻を左右に振りながら、教わった通りの台詞を口にした。 「「「ぽーい♪のおれいにぷっでぃ~ん☆もってくるんだどぉ~♪」」」 「かんぺきだっどぉー♪ かわいいれみりゃたちに、みんなメロメロになっちゃうどぉー♪」 ゆっくりできないものを"ぽーい♪"してあげれば、 その偉大な所行に人間達は平伏し、お礼に"ぷっでぃ~ん"を持ってくる。 もし、"ぷっでぃ~ん"のことを"プリン"などと言う人間に対しては、 「ぶぁ~か☆ぶぁ~か♪ これはぷりんじゃなくて、ぷっでぃ~ん☆だどぉ~♪」 と優しく丁寧に、おぜうさま自らが教えてあげるのだ。 そうすれば、その人間は、寛大でお優しくてとっても賢いれみりゃの召使いになりたがるはずだ。 ……それが、れみりゃの思い描く、かりすまおぜうさまと庶民の関係だった。 同時に、れみりゃは思う。 優しい自分達は、貧乏人相手であろうと分け隔て無くきちんとお礼をするのだと。 その点においても、子れみりゃ達は親れみりゃの期待を裏切らなかった。 「「「ぷでぃ~ん☆のおれぇーにぃー♪ とくべつに"のうさつ☆だんす"みせてあげるどぉー♪」」」 子れみりゃ達は、覚えたての"のうさつ☆だんす"を境内で踊り出す。 その光景に、親れみりゃは確かに悩殺されて、興奮を露わにした。 「うぁー☆うぁー♪ ほんとに、ほんとにかわいいどぉーー♪」 親れみりゃは、3匹の子ども達を抱き寄せて、抱きしめては顔をすりすり擦りつけた。 子ども達も、親れみりゃの温かい肉まんボディに「ぽかぽかだどぉー♪」と実にゆっくりした表情を浮かべる。 親れみりゃは思う。 この可愛い子れみりゃ達なら、きっと自分と同じ、 もしかしたらそれ以上の、立派な"おぜうさま"になるんだろうなーと。 それに、もし何か困難があっても、自分たちには"さくや"がついている。 何があっても、さくやを呼べば、さくやに"いいつければ"大丈夫、だから安心だ。 親れみりゃは誰に言うとでもなく、心の中で呟いた。 "しゃくやぁ~♪ かわいい~れみりゃたちを~♪ おまもりしてねぇ~ん♪" 幸せで、微笑ましい親子の団らん。 そのひとときをゆっくりすませて、れみりゃ達は境内の先にある神社へと体を向けた。 「それじゃー、みんないっくどぉー♪」 「「「うっうー♪ すべてのゆっくりはれみりゃたちにみちをあけるがいいどぉー♪」」」 どったどった、だっばだっば。 れみりゃ達は両手をバンザイに広げ、"ぎゃおー♪"と叫びながら走っていった……。 * * * 「……なにこれ?」 神社の主たる、紅白の巫女は、目の前の光景を見て軽く頭痛を感じた。 一休みしようと台所へ来たところ、4匹のゆっくりれみりゃが泣きわめいていたのだ。 すっかり散らかりきった台所の真ん中で、 一際大きい親れみりゃが、仰向けに倒れながら痛がっている。 天に向かって突き上げ振り回すその手の先には、ガッチリとネズミ取りが噛みついていた。 「うぁぁーー! れみりゃのがわいいおででがぁーー! さくやぁーー! さくやきてぇぇーーー!!」 むぎゅーとネズミ取りに挟まれた柔らかな手。 それを取り巻く3匹の子れみりゃ達は、いずれも心配そうだ。 「まんまぁー! しっかりするどぉー!」 「さくやはなにしてるんだどぉー! れみぃーのまんまぁーがおこまりだどぉー!」 「う~~! こんなのれみぃーが"ぽーい"してやるどぉー! はやくまんまぁーをはなすんだどぉー!」 ある者は親れみりゃを励まし、 ある者は助けが来ないことに文句を言い、 ある者はネズミ取りへ向かって息巻いて、親れみりゃを助けようとしている。 だが、3匹の子れみりゃ達の前に、勝手口から1匹の丸い物体が現れ、状況は一変する。 それは、紅白の巫女が、番犬代わりに居候を許している1匹のゆっくりれいむだった。 「うー♪ おまんじゅーがいるどぉー♪」 「ほんとだどぉー♪ あいかわらずぶちゃいくなかおだどぉー♪」 「うぁうぁ☆うっうー♪ おまんじゅうたべて、まんまぁーにげんきになってもらうどぉー♪」 普段捕食しているゆっくりの出現に、一様に笑顔になる子れみりゃ達。 だが、泣きわめいていた当事者たる親れみりゃだけが、ゆっくりれいむを見て違和感を感じていた。 「う、うぁ? な、なんかへんだどぅ?」 親れみりゃの違和感は正しかった。 そのゆっくりれいむは、番犬用のゆっくりとして育てられており、通常よりもはるかに巨大な体を誇っていた。 「ぎゃおー♪ たーべちゃうぞぉー♪」 だが、経験値の少ない子れみりゃは、その危険性に気づけない。 1匹の子れみりゃが、自分よりも大きい、ゆっくりれいむの下へ駆け寄り、 そのまま弾力ある体に弾かれて尻餅をつく。 「う、う~?」 何が起こったかわからず、子れみりゃは首を傾げる。 そんな子れみりゃへ向かって、ゆっくりれいむは不適な笑みを浮かべたまま跳躍した。 「ゆっくりー♪」 「ぷんぎゃぁぁーー!!?」 「「う、うぁ!?」」 親れみりゃの嫌な予感は、現実となって的中する。 果敢にも巨大ゆっくりれいむに挑んだ子れみりゃは、あっさりゆっくりれいむの下敷きになってしまった。 「まんまぁー! たすけてだどぉーー!!」 「うぁぁー! れみりゃのあがじゃんがぁー!?」 辛うじて下敷きを免れた顔を、涙でぐしゃぐしゃにして叫ぶ、子れみりゃ。 それを見て、親れみりゃが"ぎゃー!"と目を見開く。 「う~~! れみぃーのおねぇーさまをはなすんだどぉー!」 「おまんじゅーのくせになまいきだどぉー! れみぃーのかりしゅま☆におそれおののくがいいどぉー!」 下敷きになった子れみりゃを助けようと、他の2匹が腕をぐるぐる振り回してポカポカゆっくりれいむの体を叩くが、 圧倒的質量差の前に、その攻撃は無力だった。 「おお、おろかおろか」 ゆっくりれいむは鼻で笑って、他の子れみりゃ達を弾き飛ばす。 吹き飛ばされた子れみりゃ達はすぐに戦意を喪失し、その場で蹲って泣き出してしまった。 「うっびぃぃーー!! れみぃーのえれがんとなおがおがぁぁーー!!」 「もうやだどぉーー!! おうぢがえりたいどぉーーー!!」 だが、それを見て一番ショックだったのは親れみりゃだった。 可愛い我が子達に命の危険が及ぶなと、危害を加えられるものがいるなど、 親れみりゃは想像したこともなかった。 「ああぁぁーー!! れみりゃのあがじゃんーー!! どぉーじでだどぉーー!?」 目の前の現実が、親れみりゃには理解できなかった。 しかし、とにかく自分の子ども達に危険が迫っていることだけは、いやがおうにも察せられた。 親れみりゃは、ネズミ取りに挟まれた痛みをこらえつつ、 ゆっくりれいむへ向かって"へこーへこー"と土下座を繰り返し始めた。 「ごべんなざいぃーー!! れみりゃだぢをゆるじでくだざいぃーー!!」 「おお、みのほどしらず、みのほどしらず」 「は、はいぃーー! あなたのほうがずっとえれがんどなおぜうさまなんでずぅーー!!」 「れみりゃはゆっくりできてないね! ここはれいむとれいむのおうちなんだよ! ゆっくりりかいしてね?」 「はいぃぃー! ゆるじでぐだざいぃーー! れみりゃはおまんじゅうざまのめしづがいになりまずぅーー!!」 親れみりゃは、生き残るために必死だ。 顔を涙と鼻水とヨダレでぐしゃぐしゃにしながら、卑屈な態度で許しを請うている。 その様子を眺めていた紅白の巫女は、溜息をつきつつ、 ゆっくりれいむに退席を命じた。 「……ゆっくり、もういいわよ」 「ゆゆ! れいむだよ! れいむはゆっくりりかいしたよ!」 ゆっくりれいむは、下敷きにしていた子れみりゃを解放し、ゆっくり跳ねながら勝手口から外へ出て行く。 生きながらえたれみりゃ達はといえば、一カ所に固まって、"うーうー!"と泣きながら抱き合った。 「やれやれ……あんた達もこれにこりて、もう来るんじゃないわよ」 隠してあった煎餅を手に取りつつ、れみりゃ達へ向かって告げる紅白の巫女。 しかし、ようやく紅白の巫女の存在に気付いたれみりゃ達は、頬を膨らませて抗議を始めた。 「う~! おぜうさまにむかって、なんてぶれぇーものなんだどぉー!」 「そうだどぉー! れみぃーたちとってもこわかったんだどぉー!」 「れみぃーたちをこわがらせたつみはじゅうざいだどぉー!」 「でもでもぉー、れみぃーたちはかんだいだからー……」 「「「「ぷっでぃ~ん☆もってきたらゆるしてあげるどぉ~♪」」」」 さっきまでの涙はどこへやら。 声を揃えて、両手を前へ出して"ぷっでぃ~ん"を要求する、れみりゃ達。 れみりゃ達は、さきほどの巨大ゆっくりれいむの無礼な態度は何かの手違いであり、 目の前の人間がその手違いに気付いて慌てて自分たちを助けたのだと考えていた。 そして、怖い目にあわされたぶん、相応のお詫びを受けられて当然だと信じて疑わなかった。 「いやよ。だいたいそんなものウチにはないし」 「「「「どぉーしそんなこというんだどぉーー!?」」」」 紅白の巫女のドライな対応に、れみりゃ達は不満を露わにする。 「うー! おはなしにならないどぉー!」 「おねぇーさんは、おばかさんだどぉー♪」 「のうさつ☆だんすみれなくて、こうかいしてもしらないどぅ?」 「ゆっくりしてないおねぇーさんは、れみぃーのめしつかいにさせてあげないんだどぉー!」 口々に紅白の巫女を罵るれみりゃ達。 一方の巫女はといえば、そんなれみりゃ達を無視して急須を探していた。 「うぁ!」 無視されたことに腹を立てたのか、親れみりゃは何かを決意したように立ち上がる。 その顔には、余裕と自信が満ちあふれていた。 「そうだどぉー♪ こうなったられみぃーをこわがらせたぶんもいぢめてもらうことにするどぉー♪」 「「「うー?」」」 親れみりゃの頼もしい下ぶくれスマイルに、子れみりゃ達は不思議そうに首を傾げる。 親れみりゃは、子れみりゃ達の頭を優しく撫でてから、紅白の巫女へ向かって高らかに宣言した。 「ぷっでぃ~ん☆くれないと、さくやにいいつけちゃうぞぉ~♪」 さくや。 それは、れみりゃを守り、無償の愛を注いでくれる存在の名前。 れみりゃ種にとって、本能レベルで刻み込まれた、切り札の名前だ。 何があろうと、さくやを呼べば大丈夫。 どんなこわいことがあっても、さくやさえいればもう安心。 強くて優しいれみりゃだけのさくや……その名前を聞けばどんな人間でも言うことを聞く。 親れみりゃは、そう確信していた。 だが。 「……いいわよ。さっさと咲夜のやつを呼んで来なさい」 「う~~!?」 その紅白の巫女の返事は、親れみりゃにとって全く予想していないものだった。 「ほ、ほんとに、いいつけちゃうんだどぉー?」 「だから、さっさと連れてきなさいよ。これの文句言ってやるから」 そう語る紅白の巫女の手には、割れた急須の柄が握られていた。 * * * 紅白の巫女から"咲夜を連れてこい!"と言われた親れみりゃは、 べそをかきながら暗い夜の森を彷徨っていた。 「う~~! さくやぁ~~! さくやどこぉ~~!?」 さくやの名前を呼び続けるが、親れみりゃの期待とは裏腹に 肝心のさくやが姿を現すことはなかった。 おぜうさまたる自分がこんなに呼んでいるのに、さくやは何をしてるんだ! 親れみりゃはぷんすか腹をたてて下ぶくれた頬をさらに膨らませる。 「おぜうさまがおこまりなんだどぉー! さっさとくるんだどぉー!」 けれど、親れみりゃがどんなに癇癪を起こそうと、 涙声になろうと、機嫌を取ろうと猫撫で声をあげようと、 特別サービスで"のうさつ☆だんす"を踊ってあげても、 それに応えてくる"さくや"はどこにもいなかった。 どぉーして? なんでさくやは来てくれないの? れみりゃのさくやはどこにいるの? 親れみりゃは頭上に「?」マークをいくつも浮かび上がらせて、獣道を歩いていく。 「う~♪ さくやったらだめいどさんだどぉ~♪ これだからにんげんってつかえないんだどぉ~♪」 解決できない疑問に、とりあえず相手のせいという答を出して、 親れみりゃはふてぶてしい下ぶくれスマイルを取り戻す。 しかし、親れみりゃにはどうしても"さくや"を見つけなければならない理由があった。 頑張って下ぶくれスマイルを維持しようとしても、それが不安となって親れみりゃの顔を曇らせる。 「……うー、さくやぁー、はやくきてほしいどぉー」 呟き、とぼとぼ歩く親れみりゃのお尻、ピンク色の大事なおべべには、大きな足跡がついていた。 それは、いつまでたっても"さくや"を連れてこようとしない親れみりゃを、 紅白の巫女が蹴飛ばして神社から追い出した時についたものだ。 可愛い子れみりゃ達は、"こぁいおねぇーさんと、こぁいおまんじゅー"に人質に取られてしまっている。 自分が頑張って、さくやを連れて行かなければ……親れみりゃはそれを肉まんの胸に刻んで、森を奥へ奥へと進んでいった。 太陽は既に沈み、空には満月が浮かんでいる。 いつもなら月明かりの下、子ども達と"こーまかん"で優雅かつご機嫌なステージを満喫している頃だ。 けれど、今日に限って言えば、ちっともゆっくりできはしない。 あてもなく森を彷徨い、どこからか獣の声が聞こえるたびに、ビクっと体を強ばらせる親れみりゃ。 怖さをまぎらわせるため、さくやーさくやーと空元気で呼ぶことしか、親れみりゃには出来なかった。 「うー、れみりゃのかぼそいあんよが、じんじんするどぉー……あそこできゅーけいするどぉー」 呟く親れみりゃの視線の先には、大木の根本にぽっかり開いた洞があった。 洞は端から見ても大きく、入り口だけでも2m近い広さがある。 「うー♪ あそこならゆっくりできそうだどぉー♪」 親れみりゃは元気を振り絞って、パタパタ羽を動かしながら洞へ向かう。 そして、洞の前まで来て、その中にいる存在を見て目を輝かせるのだった。 「うっうー☆さくやだどぉー!!」 喜色満面。 疲れも忘れて、親れみりゃは興奮を露わに叫んだ。 「さっくやぁー☆さっくやぁー♪ れみ☆りゃ☆うー♪」 洞に中にいたのは、親れみりゃが助けを呼び続け、探し求めていた存在。 そして、自分たち"おぜうさま"に尽くし無償の愛を捧げ続けてくれると信じている存在。 すなわち、"さくや"だった。 ただし、それは紅魔館にいる咲夜ではなく、約50cmほどの胴無し"ゆっくりさくや"であった。 「お、おぜう……さま?」 さくやは親れみりゃを見て、嬉しそうな、 それでいてどこか不思議そうなはにかみ笑顔を浮かべた。 一方の親れみりゃは、疲れと興奮、緊張からの解放でテンションが上がりきっている。 そんな状態の親れみりゃが、さくやの微妙な表情の機微を読み取ることが出来るはずもなく、 警戒することもなくどった☆どった☆と洞の中へ入り込み、さくやに抱きついた。 「うー♪ さくやったらこんなとろにいたんだどぉー♪ はやくれみりゃをたすけにこなきゃだめなんだどぉー♪」 文句を言いながらも、さくやをぎゅっと抱きしめ離さない親れみりゃ。 頬をすりすり、おぐしをなでなで、頭をはむはむ、ちょっぴり中身をちぅちぅ……。 親れみりゃは、あらん限りのスキンシップで、さくやへの思いを爆発させる。 と、その時。 洞の奥から、ずんぐりむっくりした影がぬぼーっと現れた。 「うー? れみりゃがいるどぉー?」 その影の正体は、この洞の主たる、胴体有りゆっくりれみりゃだった。 れみりゃは、自分の従者たるさくやに抱きつく、自分以外のれみりゃを見て、首を傾げた。 「うー?」 「うぁ?」 状況がわからず、きょとんとするれみりゃ。 さくやを抱いていた親れみりゃも、やっとその存在に気付き、顔を上げる。 う~っと視線を交差させるれみりゃ達。 数秒後、爽やかな夜風が洞の中に吹き込んだのと同時に、れみりゃ達はにっぱぁーと下ぶくれ顔を輝かせた。 「うー♪ れみりゃだどぉー♪ はじめましてだけど、とってもえれがんとぅだどぉー♪」 「うー♪ れみりゃこそ、さすがもりのおぜうさまだどぉー♪」 互いの可愛さ、えれがんとさを褒め合うれみりゃ達。 親れみりゃは立ち上がり、洞のれみりゃの下へ「うっあ♪ うっあ♪」ステップを踏みながら近づいていく。 それに呼応して、洞のれみりゃも、「うぁうぁ☆」リズムを刻み始める。 いつしかそれは互いの"だんす"の披露会へとなっていく。 自慢の"のうさつ☆だんす"を見せ合い、一緒に歌って踊り合う。 れみりゃ達のゆっくりした楽しいひととき。れみりゃ達の社交界がそこで繰り広げられる。 「「うっうー☆うぁうぁ♪ れみ☆りゃ☆う~♪」」 ダンスの最高潮をともにして、れみりゃ達は笑顔と"かりしゅま☆"を弾けさせた。 こうなれば、れみりゃとれみりゃはもう友達だ。互いにホカホカ上気する体を抱きしめて、親愛を表現する。 「「う~~☆ぽかぽかぁ~~☆」」 柔らかくて温かくて、それでいて少し独特の匂いのする肉まんボディ。 互いのれみりゃは名残惜しそうに、ハグを解いて、体を左右に揺らしながら、笑顔を交換した。 「う~♪ れみりゃってば、とってもゆっくりしたおぜうさまだどぉ~♪ おともだちになれてうれしぃどぉ~♪」 「れみりゃこそとっても"かりしゅま"だどぉ~♪ えれがんとなおともだちに、のぼせちゃうどぉ~♪」 屈託の無いれみりゃ達のコミュニケーション。 しかし、親れみりゃの方のみが、やがて残念そうに微笑んだ。 「うー、せっかくおしりあいになれたけど、れみりゃにはだいじなようがあるんだどぉー♪」 「うー、それはざんねんだどぉー♪ またあそびにきてだどぉー♪」 名残惜しそうな洞のれみりゃに"イェアー☆"とウィンクを返して、 親れみりゃは、てくてくさくやの下まで歩いていくと、よいしょと両手でさくやを持って頭上に掲げた。 「ゆっくりりかいしたどぉー♪ やさしいおともだちができて、れみりゃはしあわせだどぉー♪」 "ばいばいだどぉー♪"と口にして、洞から出ようとする、親れみりゃ。 それを、洞のれみりゃが慌てて呼び止めた。 「う、うぁ? ま、まってだどぉー♪ さくやはれみりゃのだどぉー♪」 笑顔は崩さず、されど一筋の冷たい汗を流す、洞のれみりゃ。 親れみりゃはといえば、洞のれみりゃの言葉を理解できず、こちらも悪意の無い笑顔のまま、首を傾げた。 「うー? ちがうどぉー♪ さくやはれみりゃのさくやだどぉー♪」 きょとんとしたまま、動きを止めるれみりゃ達。 何度か「さくやはれみりゃのさくやだどぉー♪」という主張をしあっても、それはいつまでたっても平行線のまま交わらない。 「「う、う~~~!?」」 「お、おぜうさまがおふたりも……ああ、さくやはしあわせものですぅーー」 流石に困惑を始めるれみりゃ達。 当のさくやはといえば、本来ならば洞のれみりゃに加勢すべきなのは理解しつつも、 親れみりゃに持ち上げられたまま、愛しのおぜうさま達に取られあう喜びに恍惚としていた。 いつしか、うっすら涙を浮かべてべそをかきだすれみりゃ達。 そんないつ終わるともしれないやり取りを終わらせたのは、洞の外に舞い降りた"ゆっくりフラン"だった。 「ぷぅー?」 エサを集めて帰ってきたフランは、洞の中に見慣れぬれみりゃがいることに気づき、「?」マークを浮かべる。 このフランもまた、この洞で暮らすゆっくりであり、"おぜうさま"の"いもうとさま"であった。 「おねぇーさま、どーかしたの?」 がさがさ落ち葉を踏みしめる音を立てながら、洞へ入ってゆくフラン。 そのフランを見て、れみりゃ達の平行線は、急速に別々の方向へ向かっていった。 「うー♪ ふらんちゃーん♪」 「う、うぁぁぁーー! ふりゃんだどぉーーー!!」 可愛い妹の帰宅に喜ぶ洞のれみりゃとは対称的に、 親れみりゃの方は恐怖で顔をひきつらせて「ぎゃー!」と叫んだ。 親れみりゃは、これまで何度となくフランに虐められながら生きてきていた。 親れみりゃにとって、よそさまのフランは可愛い妹などではなく、恐怖の象徴でしかない。 「さくやぁぁーー!! たずげでぇぇぇーーー!!」 親れみりゃは涙を飛び散らせながら絶叫し、持ち上げていたさくやを投げ捨てると、 全力疾走でだっばだっばと夜の森をかけて、逃げていった。 「「うー?」」 残されたれみりゃとフランは、そんな親れみりゃの急変を不思議に思ったが、 やがてそんな疑問は忘れ、フランのとってきたエサを前にヨダレを垂らして、ゆっくり食事を始めた。 夜の森、どこか遠くで、親れみりゃの絶叫が響いていたが、それがもはや洞の中に届くことはなかった……。 「ふりゃんいやだどぉーー! こぁいどぉーー!さくやぁぁーーー!!」 * * * 「遅い……ゆっくりしすぎよ……」 神社の縁側を掃除しながら、紅白の巫女は顔を上げ毒づいた。 その傍ら、障子の向こうの居間では、預かり物たちがひっきりなしにぐずっている。 「うー、まんまぁーおそいどぉー……」 「れみぃー、おなかがぐるぐるきゅーきゅーだどぉー……」 「うっぐひっぐ、のうざづだんすみぜであげだのに、なんでぷっでぃんくれないんだどぉー……」 当初こそ暴れていた3匹の子れみりゃ達だったが、 その勢いもとうに失われ、今はただ畳の上でえっぐえっぐとベソをかくだけだ。 紅白の巫女が"咲夜を呼んでこーい!"と親れみりゃを追い出してから、既に丸一日近くが立っていた。 たとえゆっくりれみりゃとはいえ、それだけのあいだ子どものベソを聞かされ続ければ、さすがに気が滅入る。 と、同時に、時間とともに巫女の頭を不安がよぎりはじめていた。 もしかしてあの親は逃げたのではないか? そもそもこのれみりゃ達は紅魔館のれみりゃなのか? 最悪の場合、自分が3匹の子れみりゃ達の面倒見なければならないのかと思うと、 紅白の巫女は自分のやっかいな客人と居候を寄せ付けてしまうタチに溜息をつかずにはいられなかった。 そんな矢先のこと。 玄関から聞き覚えのある歓声が聞こえてきた。 "うっう~♪ おまたせしたどぉ~~♪" その声を聞き、ぱぁーと顔を輝かせたのは、子れみりゃ達だった。 立ち上がって羽をパタパタ、腕をぐるぐる、体をよたよた、昨日までの喧噪を取り戻す。 「うぁ♪ あのおこえはまんまぁーだどぉー♪」 「う~! これでやっとおうちにかえれるどぉー♪」 「はやく、ごーまがんでまんまぁーとだんすおどりたいどぉー♪」 その様子に苦笑しながら、紅白の巫女は一人玄関へと向かう。 けれど、玄関で待っていたものを見て、彼女は言葉を詰まらせた。 「やれやれ、ちょっと咲夜おそかったじゃ……」 「おまたせしましたですわ、だどぉー♪」 そこに、少なくとも巫女の知っている咲夜はいなかった。 それどころか、もしやと脳内で想定していた"ゆっくりさくや"もいなかった。 そこにいたのは、あの親れみりゃだった。 ただし、親れみりゃは、どこからか拾ってきただろうボロボロのエプロンを纏い、 普段かぶっている帽子の代わりにくしゃくしゃの紙切れで作ったヘッドドレスらしきものをつけていた。 「……何してるの?」 「おぜうさまのごめいれいで、あがじゃん……おぜうさまたちをおむかえにきた……きましたわ、だどぉー♪」 唖然としつつも冷たい視線を送る紅白の巫女。 それに対して、親れみりゃはくねくね体を揺らしつつ、紅白の巫女へ向かって頭を下げた。 親れみりゃは、自分自身がさくやに扮装して、子れみりゃを助けようとしていた。 ぼろぼろよれよれになった肉まんボディーを眺めれば、そこに相当の苦労と苦渋の決断があったことが見受けられる。 「……はぁ、もういいわ。子ども達つれてさっさと帰んなさい」 紅白の巫女は、怒りをどこかへ忘れて脱力し、れみりゃ一家を解放することに決めた。 これ以上関わると、こちらが疲れるだけだ……巫女はそう感じはじめていた。 「ありがとうですわ、だどぉー♪ よかったらぷっでぃ~ん☆をよこす……くれるとうれしいですわ、だどぉー♪」 「……そろそろ、ゆっくりのエサの時間ね」 自分の扮装が上手くいったのだと勘違いしたれみりゃが顔に希望を灯らせて余計なことをいいかけたが、 それも巫女の一言と、巨大なゆっくりれいむの影を見た瞬間に、消え去った。 「ゆ、ゆっくりりかいしましただどぉー!」 へへーと地面にはいつくばり、頭を下げる親れみりゃ。 かくして、子れみりゃ達は解放され、一家は"こーまかん"への帰路につくこととなった……。 * * * ぱたぱた跳ぶ元気も、うぁうぁ☆ステップを踏む余裕も無く、 4匹のれみりゃ達はとぼとぼ森へ向かって歩いていた。 「「「う~~、れみぃ~こあかったどぉ~~!」」」 3匹の子れみりゃ達は、先頭をゆく親れみりゃに連れられて、その後をついていく。 その顔は、3匹ともが涙で濡れて、ぐずぐずになっていた。 そんな子れみりゃ達を可哀相に思い、親れみりゃは足を止めて、子れみりゃ達へ向き直る。 可愛い我が子達を優しく"はぐはぐ☆"してあげようと親れみりゃは考えていた。 「うー、あがじゃん、もぉーだいじょーぶだどぉー♪」 親れみりゃは両手を広げ、子れみりゃ達を抱き寄せようとする。 ……だが。 「う、うぁ!?」 3匹の子れみりゃ達は、抱き寄せようとする親れみりゃに抵抗し、暴れ出した。 その顔はぐずりながらも、目の前の親れみりゃに体しる不満で溢れている。 「うー、あがじゃんどーしたどぉー? いっしょに"はぐはぐ☆ぎゅー"して"うー☆"するどぉー♪」 困惑しつつも、笑顔を絶やさないように努める親れみりゃ。 しかし、親れみりゃが愛想を振りまけば振りまくほど、子れみりゃ達は気分を損ねていった。 「うー、れみぃーはさくやのあかちゃんじゃないどぉー!」 「めしつかいのくせにとんだぶれぇーだどぉー!」 「それより、まんまぁーにあいたいどぉー!」 「う、うー!?」 子れみりゃ達のクレームに、戸惑う親れみりゃ。 わけもわからず、親れみりゃは子ども達へアピールを繰り返す。 「なにいってるんだどぉー♪ まんまぁーが、まんまぁーだどぉー♪」 ニコニコ下ぶくれスマイルを浮かべる親れみりゃとは対称的に、 子れみりゃ達は不機嫌から下ぶくれをぷくぅーと膨らませて叫んだ。 「うー! さくやはだまってるどぉー!」 「れみぃーのまんまぁーがそんなきちゃいないわけないんだどぉー♪」 「それより、れみぃーたちがこぁいめにあってるのに、さくやのくせになんですぐたすけてくれないんだどぉー!」 「「「さくやってば、だめいどだどぉー♪」」」 親れみりゃへ向かって、"さくや"に対する不満と文句をぶちまける子れみりゃ達。 子れみりゃ達は、扮装した親れみりゃを"まんまぁーが迎えによこしたさくや"だと、すっかり信じこんでしまっていた。 「う、うー♪ まんまぁーはさくやじゃないどぉー♪ あがじゃんたちのまんまぁーだどぉー♪」 親れみりゃもそのことに薄々気づき、エプロンとヘッドドレスを脱ぎ捨て、 "ぎゃおー♪"と両手をバンザイに上げてポーズととった。 しかし、子れみりゃ達の対応は冷ややかだった。 親れみりゃに気付くどころか、"さくや"が分をわきまえないおかしな言動を繰り返している……そう認識していた。 そもそも、子れみりゃ達は親れみりゃから話を聞いていただけで、実際に"さくや"に会ったことはなかった。 また、現在の親れみりゃは全身ぼろぼろでおべべや帽子も一部欠損しており、 子れみりゃ達の中で美化されていたイメージとはあまりにもかけ離れていた。 故に紅白の巫女が自分たちを解放し、また先ほどまでは自分でも"さくや"だと名乗っていた目の前の存在が、 今更"さくや"ではなく"まんまぁー"なのだと言い出しても、到底信じられなかった。 「ほ、ほら、これをみるがいいどぉー♪ のうさつ☆だんすでめろめろになるんだどぉー♪」 子ども達の視線に耐えきれなくなった親れみりゃは、汗を飛び散らせながら"のうさつ☆だんす"を踊った。 自慢の、そして子れみりゃ達も憧れてくれていた"のうさつ☆だんす"……にも関わらず、 親れみりゃの期待するような反応は返ってこない。 「れみりゃうー! れみりゃうー! うっうーのうー!!」 不安。焦り。混乱。恐怖。 それらを払拭したい一念で、必死になって踊る親れみりゃ。 だが、皮肉なことに。 その必死な様は、普段のよたよだだばだばした"のうさつ☆だんす"とはまるで趣が違っていた。 子れみりゃ達は親れみりゃのことを信じるどころか、やはり目の前の存在は嘘をついているのだと確信してしまう。 結果、子れみりゃ達が出した解答は、ステップ中の親れみりゃめがけての体当たりだった。 「だっどぉぉーー!?」 片足立ちになっているところに体当たりをくらい、 親れみりゃはバランスを崩して尻餅をついていしまう。 「あ、あがじゃん?」 目の前に立つ子れみりゃを見上げる形になる、親れみりゃ。 子れみりゃ達の顔には、明らかな怒りが見て取れた。 「そんなのぜんぜんえれがんとじゃないどぉー♪」 「さくやのくせに、のうさつ☆だんすなんてなまいきなんだどぉー♪」 「のうさつ☆だんすは、れみぃーたちとまんまぁーしかおどれないんだどぉー♪」 親れみりゃはわけがわからなかった。 自分は昨日までのように一緒に踊りたいだけなのに、こーまかんでまた一緒にゆっくりしたいだけなのに……。 すれ違う想いと、目の前にあるのに手の届かない願望に、親れみりゃは切なくなって、涙を流し始める。 「ち、ちがうどぉー! れみりゃが、あがじゃんだぢのえれがんどなまんまぁなんだどぉー……」 「「「うー! いいかげんにするどぉー!」」」 うっぐひっぐと泣き出す親れみりゃ。 その情けない姿に辟易とし、子れみりゃ達は顔を揃えて結論を出した。 「う~♪ れみぃーいいことおもいついたどぉ♪」 「れみぃーもだどぉー♪ こんなだめいどはいじめてもらうにかぎるどぉー♪」 「れみぃーもどうかんだどぉー♪ みんなでいっせぇーのぉー、だっどぉー♪」 「「「だめいどさくやは、まんまぁーにいいつけてやるどぉー♪」」」 これでわからずやな"さくや"も身の程を知るだろう……そう考えて"にぱぁー☆"と笑う子れみりゃ達。 子れみりゃ達もまた、早く"こーまかん"に帰って親れみりゃとゆっくりしたいと切望していた。 そのためにも、子れみりゃ達は目の前の"さくや"をどうにかしたかった。 ……切望する親れみりゃが、目の前の"さくや"なのだとも知らずに。 「ひ、ひどいどぉー……どぉーじでわがっでぐれないんだどぉー……」 子れみりゃ達からの扱いに、落ち込む親れみりゃ。 親れみりゃは、まるで呪文のように"まんまぁー"であることを主張し続けるしかなかった。 「ほんとにしつこいどぉー……」 「これじゃゆっくりできないどぉー……」 「ゆっくりできないものは……」 その時。 ピッカーンと、3つの電球が子れみりゃ達の頭上で輝いた。 そうだ、こういう時はどうすべきか、自分たちはちゃんと教わっていたじゃないかと。 「「「やっぱりれみりゃたちってば☆おりこーさんだどぉー♪」」」 子れみりゃ達は互いに同じことを思いついたこと察して、 「「「ゆっくりできないものはー♪」」」 下ぶくれスマイルを全開にして叫んだ。 「「「ぽぉーい☆するどぉー♪」」」 * * * 「う、うあぁぁぁぁーーーー!!!」 親れみりゃは叫んでいた。 3匹の子れみりゃ達に胴上げのような形で持ち上げられ、斜面に放り投げられて。 ごろごろごろ。 もはや崖に近い急斜面を転がっていく親れみりゃ。 ようやく勢いが止まった時、親れみりゃは湖の湖畔にいた。 全身が痛くて、何より心が苦しくて、親れみりゃはなかなか起きあがることが出来ない。 「なんでだどぉ……れみりゃのあがじゃん……ひどいどぉ……」 どうすることも出来ない心と体の痛み。 こんな時、親れみりゃに残された最後の手段は一つだけだった。 だから、べそをかいて、涙をながして、 親れみりゃはその最後の手段をとることにする。 「い、いたいどぉ……さくやはなにしてるんだどぉ……さくやぁ……」 しぼりだす声とともに顔をあげると、湖畔の先に大きな洋館が見えた。 親れみりゃは何故かその洋館に心を奪われながら……いいつけてやった。 「……はやくこないと……さくやに……いいつけちゃう、ぞぉ♪」 そのまま体を丸め込むようにうつぶせになり、目を瞑る親れみりゃ。 昨日から殆ど飲まず食わずでろくに眠らずに奔走した、その心身の疲労はすさまじい。 周囲への警戒を行う余力も無く、親れみりゃはあっという間に深い眠りへと落ちていった。 「うー、うぁー、さくやぁー……」 悪夢にうなされながら、うびぃーうびぃーと荒い寝息をたてる親れみりゃ。 寝汗とも涙ともしれぬものが、下膨れ顔を埋める柔らかい手を濡らすのだった……。 そして、それから数刻後。 その傍らには、銀髪のメイドが立っていた。 「……どうしてこんなところに、れみりゃお嬢様が?」 銀髪のメイドの疑問に答える者は、湖畔にはいない。 その代わりに、親れみりゃがごろんと寝返りをうって寝言を呟いた。 「……うー、うびぃー、もうゆるさないどぉー、さくやにいいつけてやるどぉー♪」 おしまい ============================ そうえいば「さくやにいいつけてやる!」って台詞を あんまり使ってないなーと思い、書きはじめて早2ヶ月余。 まさか、こんなに難産になってしまうとは……。 ちなみに私は、件の台詞も、おならも、のうさつ☆ダンスも、ぽーい♪も、 すべて悶絶するくらい可愛くて辛抱たまらなくなってしまうのです。 ぶっちゃけ虐めたいとかの他意は関係無く、ほんとに可愛くて悶絶しかけます。 かといって、それらは一般的には共感されにくい部類でしょうし、 そうじゃないれみりゃも勿論好きですし……我ながら難儀だなと。 まぁ、たぶん病気なんだと思います(笑) ああ、れみりゃが可愛すぎて生きるのが辛い……。 by ティガれみりゃの人 ============================