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【名前】ゆっくりしていってね!! 【出典】AA (ゲーム?) 【AA】 _,,....,,_ _人人人人人人人人人人人人人人人_ -''" `''> ゆっくりしていってね!!! < ヽ  ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄ | ;ノ´ ̄\ \_,. -‐ァ __ _____ ______ | ノ ヽ、ヽr-r'"´ (.__ ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、 _,.!イ_ _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7 'r ´ ヽ、ン、 rー''7コ-‐'"´ ; ', `ヽ/`7 ,'==─- -─==', i r-'ァ'"´/ /! ハ ハ ! iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i | !イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ ,' ,ゝ レリイi (ヒ_] ヒ_ン ).| .|、i .|| `! !/レi' (ヒ_] ヒ_ン レ'i ノ !Y!"" ,___, "" 「 !ノ i | ,' ノ !'" ,___, "' i .レ' L.',. ヽ _ン L」 ノ| .| ( ,ハ ヽ _ン 人! | ||ヽ、 ,イ| ||イ| / ,.ヘ,)、 )>,、 _____, ,.イ ハ レ ル` ー--─ ´ルレ レ´ 【人物】 ゆっくりする心を何よりも重んじる生首妖怪の二人組。 性格は温厚で純粋。涙もろい一面も。 ゆっくりしていってね!!! が口癖。驚きの声も「ゆっ!?」である。 こんな体型だが、道具は持てるのだろうか? 【特徴的な口調など】 ゆっ!? 【あだ名】 ゆっくり 左がゆっくり魔理沙、右がゆっくり霊夢 【能力と制限】 【解説】 同人ゲーム「東方Project」のキャラクター「博麗霊夢」と「霧雨魔理沙」をモチーフにしたキャラクターが2人で「ゆっくりしていってね!!!」と言っているAA。 このセリフは原作とは一切関係がない。 感嘆符(!)は3つ。 以下、ネタバレを含む +開示する 本ロワにおける動向 【スタンス】 ゆっくり殺し合い反対だよ!!! 【勝利時の願い事】 【本編での動向】 登場話数 タイトル 出来事 No.13 殺し合い中?でもゆっくりしていってね!!! 初登場 No.37 僕らはいずれ誰かを疑っちまうから ショックを受ける No.62 見えない敵と戦う漫画家 襲われたので逃げる 【キャラとの関係(最新話時点)】 キャラ名 関係 呼び方 解説 初遭遇話 タケシ 仲間 お兄さん 支給品を取られる 殺し合い中?でもゆっくりしていってね!!! キユ 敵対 襲われる 見えない敵と戦う漫画家 【最終状態】 【座標/場所/日数/時刻】 A-5・民家/1日目・早朝
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うちのゆっくりれいむが風邪を引いた。 「ゆぅ……ゆぅ……」 部屋の隅に置いた段ボールの中で、小さな声を漏らしつつ、ふくらんだり 縮んだりしている。 覗いてみると、額にうっすらと汗をかいて、目を閉じていた。まるまると した体(頭?)が、心なしか扁平につぶれている。 頬が桃のようにうっすらと赤い。 手で触れると、蒸篭から出したての饅頭のように、熱かった。普段はさら さらと乾いているはずの頬も、汗でぬめっている。 「ゆ……?」 薄目を開けたゆっくりが、挨拶しなければいけないと思ったのか、小さく 言った。 「ゆくり、してて、ねっ」 舌足らずになっている。ふぅ、ふぅ、と浅い息を繰り返す。 頬をぺたぺたと撫でて、おまえこそゆっくりしなさい、と言い聞かせた。 ゆっくりは苦しそうに顔をしかめて、もそ、もそ、と伸び上がった。 ジャンプしたつもりなのだろう。だが地面から離れることもできない。 「ゆぅ゛ぅ゛……」 と、うめいたかと思うと、ぽろぽろと涙をこぼし始めた。 「つらいよぉ、頭ががんがんするよぉ…… ゆっくりできないよぉ…… おねがい、たすけてね……」 昨日湿ったまま扇風機の前で寝てしまったからだ、と言い聞かせた。水浴 びをしたら、すぐタオルにくるまって、乾かさなければいけない。それでな くてもこの季節、カビたり腐ったりしやすい。気を付けなさい、おまえは饅 頭なのだから。 「ああん、あたまいたいよぉ…… いたくて死にそうだよぉ…… れいむ、しんじゃうよ……あぁん、あぁん」 説教は、どうやら届かなかったらしい。斜めにぐったりと潰れて、ゆっく りはぐずぐずと泣き始めた。 持ち上げる。見た目だけではなく、手触りもいつもより緩い。たゆたゆし た健康的な柔らかさではなく、皮が削れて薄くなってしまったような、危う い柔らかさだ。 腕の中で、ねろんっ、と横に伸びた。ちょっと乱暴にしたら、すぐ破裂し てしまいそうだった。 光のないうつろな目をして、息を荒げたまま、つぶやくように言う。 「だっ、だめだからね…… れいむ、やぶれちゃうから…… おちたら、しんじゃうから…… ゆっくり下においてね……! おねがいだからね……!」 身の危険を感じたらしく、力なく体をもぞつかせる。朦朧としてしまい、 相手がわからないのだ。もちろん、腕の中から逃げ出すほどの力もないのだ が、懸命さはひしひしと伝わってきた。 箱に戻して、買い置きの冷えピタをおでこに貼ってやった。「ゆっ!」と かすかにつぶやいた。 気持ちいいのかどうか、数回聞いてみた。四度目にやっと、こくりと小さ くうなずいた。 いつもなら冷えピタを貼ると非常に喜ぶのだが、今夜はその余裕もないら しい。 葛根湯をスプーンで口に入れても抵抗しなかった。苦味までわからなくなっ ていた。 心配になったので、いっしょに寝ることにした。 枕の横に置いて、明かりを消す。 横になると、耳のそばで「ゆぅ……ゆぅ……」と苦しげな寝息が聞こえた。 髪に鼻を埋めてみた。普段、砂糖の甘い匂いのするゆっくりの髪は、少し 脂じみて辛い匂いがした。 ぶるぶるっと震えて、寝言ともうわごとともつかないつぶやきを漏らす。 「あつい……さむいよぉ…… ゆっくりしたいよぉ……」 バスタオルを取って、かけてやった。裾を丁寧に頬の下に入れ込んだら、 泥棒の頬かむりのような姿になった。 十分ほど様子を見たが、それでも寒気は収まらないらしかった。がたがた とひっきりなしに震えている。 仕方がないので、抱きしめてやった。ゆっくりは「ゆぐ……」とうめいた が、もぞもぞとこちらの胸に顔を押し付けて、ぴったりとくっついた。熱い 息が夜着越しにふぅふぅとかかった。 その夜はずっと、ゆっくりを見てやった。暑がってバスタオルをぶるぶる と振り落とす都度かけなおし、二度も冷えピタを貼り替えてやった。 こちらが眠ってしまうと、寝ぼけて踏み潰すおそれがある。 だから寝ることもできなかった。 できなかったはずなのだが、いつの間にかうとうとしてしまった。 はっと目を覚ますと、窓の外が明るくなり始めていた。どこかでカラスが 鳴き始めた。 ゆっくりはまたしてもバスタオルを振りほどいていた。くしゃくしゃになっ た汗ばんだタオルにうずもれて、寝汗で前髪を張り付かせ、眠っている。 髪に手をからめてゆっくりと撫でていると、あることに気づいた。 耳障りな寝息が聞こえない。 落ち着いた、静かな呼吸が続いている。そういえば、こころなしか熱も下 がったようだ。 安心したので、そっと持ち上げて段ボールに戻した。 日が昇ってから起きだして、食事を作っていると、「ゆっ! ……ゆうっ!」 と大きな声が聞こえた。 段ボールを見に行くと、夢から覚めたようにきょとんとした目で、ゆっく りが見上げていた。こちらの顔を見ると、ようやく安心したようにいつもの 得意げな顔になって、「ゆっくりしていってね!」と言った。 もういいのか、と具合を尋ねた。 「うん、れいむげんきになったよ! おねつさがったし、さむいのもなくなったよ!」 ばふばふ、と二度ほど跳ねた。わずかだが、確かに離陸していた。 「れいむ、おなかすいたな! ゆっくりたべさせてね!!!」 ほんの六時間前には死にそうなほどぐったりしていたのだから、無理して はいけない、最初はおかゆにしなさいと言い聞かせたが、ゆっくりは聞かな かった。おかゆどころかホットケーキがいいと言い出した。 おかゆにすると繰り返すと、不意にゆっくりはあの、ジト目で口を尖らせた非 常に不愉快な表情になって、つぶやいた。 「れいむ、とってもつらかったのに、おいしいものもくれないんだ」 抱き上げて、ゆふゆふと軽く揺さぶりながら、台所に連れて行った。まだ 中身がぼさぼさした感じで弾力に乏しかったが、皮の厚みは戻りつつある気 がした。 テーブルにゆっくりを置いて、鍋に向かった。小鉢におかゆを取って、塩 を振り、みつばを乗せた。 それを持って、ゆっくりと向かい合わせに腰掛けた。ふー、ふー、と顔に 向かって湯気を吹き流してやると、表情がみるみるほぐれ、薄く開けた口に よだれを貯め始めた。 香りに気を取られてぽかんとしているゆっくりの前に、よく覚ましたおか ゆをスプーンで差し出した。反射的に、ゆっくりがスプーンにかぶりついた。 「あむっ! も~ぐも~ぐ……」 ぱあっ、と明るい顔になって叫ぶ。 「おいしーい♪」 一口でホットケーキのことは念頭から消えたらしい。その後も次々とスプ ーンにかぶりついて、一皿空けてしまった。 「もっとほしいよ! ゆっくりおかわりちょうだいね!」 病み上がりなのにそんなにたくさん食べてはいけないと言ったが、もちろん聞 き分けなかった。 「ゆゆっ? れいむはもうびょうきじゃないよ! いっぱい食べてもだいじょ うぶだからね!」 なおもそう要求するゆっくりを抱いて、縁側に行き、腰を下ろした。顔の 高さまで持ち上げて、何度も頬ずりをする。 むにむに、すりすりとやっているうちに、何かが伝わったらしく、「ゆ……」 とゆっくりが身動きした。 不意に、むにっと自分から頬を押し付けて、言った。 「いっぱいありがとうね! 今度はゆっくりしてね!!!」 ようやく、少しは報われた気になった。 縁側にゆっくりを置いて、寝室に向かった。戸を締めて横になろうとする と、もぞもぞがたがたと戸をこじ開けて、ゆっくりが入ってきた。 「いっしょにゆっくりするね!!」 そういうわけで、再び胸の中にゆっくりを収めて、昼寝することになった。 ゆっくりは時おり楽しげに「ゆ」「……ゆっ!」と寝言を漏らし、ほんの り冷たく柔らかくなっていた。すっかり回復した様子だった。 その日の午後も遅くまで、ゆっくりとゆっくりした。 =============================================================- YT ゆっくりよかったね! -- 名無しさん (2009-07-14 22 41 36) やっぱゆっくり可愛いけど、飼い主もゆっくり想いですな -- 名無しさん (2010-03-21 02 51 33) 風邪はつらい。 -- 名無しさん (2010-11-27 14 34 06) 回復はや! オレは3日くらい寝こんでたぞ -- 名無しさん (2014-09-22 09 40 53) 名前 コメント
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「一匹のゆっくりを振り返ってみる。」 知られてはいないが、ゆっくりの寿命は短い 大概は事故、縄張り争い、捕食によって命を失ってしまい気づかれないからだ 【春】 お母さんに見送られて、一匹の子れいむが巣から顔を出した 赤ちゃんの頃からずっと今まで、巣の中で暮らしてきた子れいむには 外の世界はとても眩しく感じられた 暖かいお日様 草の匂い 頬を撫でる風 今日はお父さんまりさが外で一緒に遊んでくれるという 「れいむ! ゆっくりしないでおとうさんについておいで!」 「ゆゆ!? おとーさん まって! ゆっくりしてね! まってぇえええ!」 こてん 転がってしまった 狭い巣の中では大きく跳ねる必要もなく 体全体を使うような経験がなかったからだ 転んでいるうちにお父さんの姿はどんどん小さくなる 「いじゃいよぉお あんよが ひりひり ずるのおぉおおお」 「…」 お父さんまりさは子れいむに振り返るが、すぐにきびすを返して跳ね始めた 「ゆ!?」 お父さんに助けてもらえると思っていた子れいむは 思いがけない対応に驚く 「おとうさん もういくからね! れいむも はやくきてね!」 「ゆぅううう! おどーじゃあん! まっでよぉおお!」 初めて見た見知らぬ草原 子供頃、親とはぐれ迷子になった時の恐怖を覚えているだろうか? しかもココは野生の子れいむにとって、何の目印もないのっぺらぼうな大草原だ 「ゆっく! ゆぅ… ゆっ! ゆっ! ゆっ!」 お父さんが助けてくれない事をゆっくり理解すると、子れいむは体を起こして跳ね始めた するとどうだろう 自分でも思いもかけなかった力が体からあふれてくる 今まで泣きじゃくっていたれいむは悲しいことも忘れて より遠くへ より高く 自分の跳ねる力に楽しさを覚えていた 何度か転ぶ事もあったが、力いっぱい跳ねられる楽しさに比べたらなんてことはない 「ゆっ! ゆっ! ゆっ!」 「おー やっときたね! れいむは ぴょんぴょんが じょうずだね」 「ゆへへぇ///」 これが子ゆっくりを巣の外に連れ出した時、初めて覚えさせる事の一つだ ゆっくりがなによりも大切なジャンプ 移動・狩り・逃げる・採集・加工 全ての場面で必要とされる重要な事だ これでお父さんまりさの一つの役目が終わった 「ゆ! れいむ! ちょうちょうさんだよ!」 「ほんとうだ! ちょうちょさんだね! ゆっくりしていってね!」 黄色い蝶々が子れいむの鼻をかすめ、気ままに春風の中を泳いでいる 「れいむ! ちょうちょうさんは かわいいけど おとうさんたちの ごはんでも あるんだよ!」 「ゆ! れいむ しってるよ! でも れいむが しってる ちょうちょさんは こんなにゆっくりしてなくなかったよ! すごいちょうちょさんだね!」 「ほんとうのちょうちょうさんは ゆっくりしてなくて すごいんだよ! さあ いまから ごはんの じかんだよ!」 「ゆゆーん! きょうの ごはんは ちょうちょさん なんだね! 」 子れいむは黄色い蝶々に目を輝かせていた 「…」 「…」 「…」 「おとうさん ちょうちょさん たべたいよ!」 「そうだね ちょうちょうさんは おいしそうだね! おとうさんは おとうさんで つかまえるから れいむも すきなちょうちょさんを つかまえてね!」 「ゆ!?」 蝶々といえば、ご飯に出てくる羽のついた可愛い虫 いつもみる蝶々はふるふると震えて、ご飯のはっぱの上にいた しかし巣の外で見る蝶々の元気の良さにれいむは驚嘆した お父さんは蝶々を昼食にするといっているが、いつまでたってもれいむに運んできてくれない なんと自分で蝶々さんを食べろというのだ 子れいむは、とにかくお口を開けて蝶々さんを追いかけるが ひらひらと子れいむを馬鹿にするように飛んでいる 「おとうさん! ちょうちょさんが ゆっくりしてくれないよ!」 「そうだね! ちょうちょさんも たべられたくないんだね! だから ゆっくりしないで つかまえてね! おとうさんは てつだわないよ!」 「ゆぅぅううう???? なんで おとうさんは れいむを いじめるのぉおおお!?」 大好きなお父さんの言葉に子れいむは涙を浮かべてしまった 「れいむ! おとうさんは いつまでも れいむの そばには いられないんだよ?」 「ゆー?」 「おとうさんの そばには いま おとうさんのおとうさんが いないでしょう? れいむも いつか ひとりになることがあるんだよ」 「ゆぅ…」 「だから れいむは おとうさんが はずかしくないような りっぱな ゆっくりになってね!」 「………ゆ! おとうさんのために! れいむ がんばるよ!」 なんとなく理解した子れいむは、蝶々に近づく ひらひらと軌道の読めない蝶々に苦戦して 子れいむは子一時間ほど格闘するとやっと捕まえることができた 「ゆー♪ つかまえたよ! おとーさん! れいむが つかまえたよ!」 「すごいよ れいむ! れいむは ちょうちょうとりの たつじんだね!」 「ゆぅー///」 「ほら たべてごらん?」 「ゆ…ちょうちょさん ごめんね! むーしゃ むーしゃ ?! しあわせーーーーー☆」 狩りの訓練 動く生き物を狩る難しさ 自分で採ったご飯の美味しさ そして先ほど獲得した自分の跳ねる能力を ここで発揮し理解して自信をつける事ができる これで子れいむは一人でも巣の近くでご飯を採れるだろう 「ゆぅー ちょうちょさん だけだと つまんないよ…」 「じゃあ おとうさんに ついてきてね! おやさいを たべようね!」 「ゆ! れいむ きのこさんも わらびさんも ぜんまいさんも だいすきだよ!」 森にやってきた 巣の中とは違う意味で薄暗く、そして複雑な地形に 子れいむは怖がってしまっていた 「お、おとうさん! れいむは こんなところに はいりたくないよ!」 「だいじょうぶだよ れいむ もりさんは とてもゆっくりできるところだよ!」 しかし森には子れいむの背を遥かに越える草むらや とてもとても大きい木々が立ち並んでいる まるで巨人の国に来たみたいだ 「ほら! あそこに きのこさんがあるよ!」 「ゆ! しいたけさんだね! ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 そんな恐怖も、ご飯を目にすると飛んでしまい 子れいむはお父さんが見つけたきのこに跳ねて行った 「ちょっとまってね!」 かぶりつこうとしていた子れいむにお父さんが待ったをかける 「これは たべられない きのこさんだね!」 「これは しいたけさんだよ?」 しいたけはしゃくしゃくとした歯ごたえで、子れいむが大好物の一つなのだ 「よくみてごらん? ここのかたちが しいたけさんと ちがうんだよ!」 「ほんとうだ! ちょっとだけ かたちが ちがうよ! おとーさん すごい!」 「これは しいたけさんに すごい にてるけど ぜんぜんゆっくりできない きのこさん なんだよ!」 「そうなの? れいむは どんなきのこさんでも すきだよ!」 「じゃあ れいむ ちょっとだけ このしいたけさんを なめてごらん? ちょっとだけだよ?」 「ゆっゆ~♪」 ぺろ 「!? ゆげぇえええええええ へんなあしがするよ!!! したが ひりひりするよ!!!」 「そうだよ! これは しいたけさんに とてもにてるけど ゆっくりできない きのこさんだよ!」 「ぺっ! ぺっ! ゆげぇええ! にぎゃいよおおお!」 どんなきのこも好きだと言っていた子れいむだったが ゆっくりできないきのこをひと舐めしただけで 小さいな舌をべーっと出しながら瞳を潤ませている 「こんなものを みつけて すぐにたべたら ぽんぽんが いたくなるからね! ちゃんと たべられる きのこさんか! しらべるんだよ!」 「ゆげぇ! わがっだよ! れいむは ぼう ごんな ぎのござん だべないよ!」 この後 とても綺麗な山菜に見えるけど苦い草花や 美味しい木の実があるけれど虫がたくさんいて痛い所 冷たいお水さんがあるところでは水浴びをしてふやけてしまったりもした そして獣道に生える野いちごをつまみ食いしたり 森を抜けた小高い丘でお昼寝をしたりもした 身をもって森の豊かさと危険を勉強する子れいむだっだ 【夏】 梅雨や日照りのある季節だ 水に弱く乾燥も命取りなゆっくりにとって、冬と共に危険な季節だ 「ゆぅ~ あついよ~」 お父さんから狩りを教えてもらった子れいむも更に大きくなっていた 「れいむ! なつというのは あついだけじゃ ないからね!」 「ゆゆ? おとーさん なつは あついんでしょ! れいむも わかるよ!」 「あついあついといっても あつくないときがあるんだよ」 「???」 お父さんの言うことがまったく理解できない子れいむ 「だから これから そのあつくないときの ための じゅんびをするよ?」 「…ゆ?」 すんごい暑いのに 暑くない時の準備をする、子れいむにはさっぱり意味がわからなかった まずは子れいむを連れて森に行くと 花や山菜などをさけて、虫・木の実など硬くてパサパサしたご飯を集め始めた ある程度頬袋に溜めて終えると、これは今日のご飯じゃないというお父さんまりさ へとへとに疲れて必要以上の量を採ってきたのに これは食べないだなんて、子れいむは全然納得ができなかった 「ぷくぅ~! れいむが せっかく がんばって かりをしたのに! どうして たべないの!」 「これは あとで たべるためのものなんだよ れいむ」 「はやくたべないと おはなさんみたいに くちゃくちゃに なっちゃうよ!」 「ちがうよ れいむ このきのみさんや ちいさいむしさんはね しばらくほっておいても ゆっくりしているんだよ!」 「ゆぅ~???」 ぽかーんとしている子れいむをそのままに 今度はおうちの改造だという 「おとーさん! なんで おうちのいりぐちを ふさいでいるの? こんな かたちだと れいむが ころんじゃうよ?」 「これでいいんだよ いりぐちと じめんさんに やまを つくっておくんだよ」 「こんなことすると おうちにはいりにくいよ! どうして こんなことするの!?」 「だいじょうだよ! おとうさんのおとうさんも このいえに こうしてきたんだよ ずっとむかしからね!」 なんだかわけのわからない事ばかりやらされる子れいむ 「もう! れいむは こんなこと やりたくないよ! おとーさんだけ やればいいよ! れいむは ゆっくりする!」 「れ、れいむ!?」 そういうと子れいむは 巣の中に引っ込もうとした 「ゆっくりまってね!」 べしっ あわてて止めようとしたお父さんまりさは、子れいむを突き飛ばしてしまった 「ゆぅ…………ゆぅえええええええええええええええん!!!!! ゆえええええええええん!」 「…」 子れいむはお父さんまりさの横をすり抜けると泣きながら巣に入ってしまった しかしお父さんまりさは、子れいむを追いかける事はせずに土いじりを再開した 「ゆえええええん!ゆええええん!おどーーざんのばがぁああ!れいむは わるいごどじでないのにぃぃい!」 巣の中で大声で泣きじゃくる子れいむ 「おちびちゃん」 藁のベッドに飛び込むと お母さんれいむは、そっと子れいむにすりすりしてあげた 「おがぁあじゃあああん! おどーざんが れいむに いじわるずるんだよぉおおお!」 「おちびちゃん おちびちゃんは いいこだよ」 すりすりしてくれね大きいお母さんれいむの暖かさに、やっと子れいむは落ち着いた 「ゆぅ…」 「おちびちゃん おとうさんは おちびちゃんに いじわるをしてるわけじゃないんだよ」 「ゆ…」 「おかあさんがすき?」 「…すき」 「なら あかあさんがだいすきな おとうさんが おちびちゃんに いじわるするわけないよね?」 「…ゆ」 「おとうさんは どのゆっくりよりも おちびちゃんに ゆっくりしてほしいんだよ」 「…」 「おちびちゃんは おかあさんの たからものの なかで いちばんのたからものなんだよ?」 「きれいな いしさんより?」 「そうだよ」 「かわいい おはなさんより?」 「もちろん」 子れいむの涙は乾いており、お母さんからぽよん離れると そのまま藁のベットを飛び降りて入り口へ向かって跳ねていった 「…おかーさん」 「ゆ?」 「おとーさんに あやまってくる」 「ゆ! いってらっしゃい」 子ゆっくりは 入り口へ向かうと お父さんは土いじりを終えて空を見上げていた 入り口は高く盛り上げられ、よじ登らないとお外に出れない がんばって段差を乗り越えると子れいむはお父さんの前に来た 「ゆっ………おとーさん、あのね…」 「れいむ? おとーさんは その…」 ザァーーーーーーーーーーーーーーーー 突然の豪雨が襲ってきた! 今まで見たことのない まるでたくさんの小石が降ってきたような光景に 子れいむは硬直してしまった みるみるうちに髪飾りは湿気り、皮は透けて中の餡子が見えそうだ 「ゆっ! れいむ!」 お父さんまりさは 溶けかけている子れいむを帽子にツバでひっかけながら 新しく出来た入り口の段差を乗り越えて、巣の中に一緒に逃げた 「だいじょうぶ? れいむ?」 「ゅ…ゅ…………ゆ!?」 濡れた皮がやっと乾くと子れいむは目を見開き 「おとーさん! すごいあめさんが ふってきたよ! どうしよう! すごいおおきな みずたまりができちゃうよ! みんな かわさんになって ながれてくるよ! どうしよう!どうしよう!」 どうしようと連呼する子れいむにお父さんまりさは 「おちついて れいむ」 「おちついて ゆっくりなんかできないよ! おとーさん あめさんみてたの? はやくしないと おうちのなかにも あめさんが いっぱいはいってくるよ!」 「そうだね あめさんは すごいね でもね れいむ いりぐちをみてごらん」 「…ゆ?」 先ほどお父さんまりさがやっていたのは 巣の入り口に防波堤を作り 外が多少ぬかるんだり増水しても、水が流れ込んでこないようにしているのだ 「す、す、すごいよ! おとうさん! おとうさんは てんさいだね!」 「いやいや そんなことはないよ これは おとうさんのおとうさんに おしえてもらったんだよ!」 「おとうさんのおとうさんて すごいね! だから おとうさんも すごいんだよ!」 「ゆっはっはっ」 とんちんかんな賞賛をして興奮する子れいむ 「さあ れいむ! おうちのなかにはいろうね いつまでたっても あめさんは やまないよ」 「ゆ!? いつまでたっても!?」 「そんなに ながくは ないけど おつきさまが なんかいも ぐるぐるしないと やまないかもね!」 「ゆーーーーーー!? そんなに あめさんふっていたら おそとに かりに いけないよ!」 「れいむ? きょうは なにをがんばったのかな?」 「ゆ! いっぱい ごはんをとって………ゆっ!?」 「そういうことだよ さあ あめさんが やむまで しばらくおうちで ゆっくりしようね」 そう言い聞かせるとお父さんまりさは、子れいむの背中を押してお母さんれいむの所へうながせた 「あのね おとうさん…」 「ゆ?」 「うんとね…」 「…」 「…」 「…」 「…め……い…」 「…?」 「…ごめんなさい」 「れいむは―」 お父さんに叱れるのを覚悟していた子れいむは、身を硬くして待った 「れいむは いいこだよ おとうさんの『たからもの』だよ」 梅雨の準備は万全だった 笑顔の子れいむと ちょっと涙ぐんでるお父さんまりさが おうちの中に並んで跳ねていく れいむが昼間集めた木の実を、お母さんれいむが擦りつぶして団子にしてくれた しばらくは木の実や虫さんとか味気ないものばかりだけど お母さんとお父さんと一緒にいられると思うと ちっとも嫌じゃないと思う宝物の子れいむだった 【秋】 実りの秋 春の時と同じように子れいむは巣の外に顔を出した 今度はお母さんも外にいる 「…」 春の時は目を輝かせてお外を見ていた子れいむだったが 表情は陰り、はっぱで作られた荷物を抱えている 「おちびちゃん きをつけてね! つらくなったら もどってくるんだよ!」 「だめだよ! もうすぐ さむいさむい ふゆが くるから そのとき かおを みせてね!」 「おかーさん おとーさん! れいむは さびしくないよ! ちゃんと ひとりで ゆっくりできるよ!」 子れいむはいまや、成れいむだ 春夏と過ごした巣は成体三匹では手狭となっている 今まで"おとうさんやおかあさん"の"おとうさんやおかあさん"をみたことはない うすうす成れいむは、大きくなったら一人で暮らさなくてはいけない事をわかっていた 「れいむ ほんとうに おおきくなったね! おとーさんはうれしいよ!」 お父さんまりさは、自分と同じくらい大きく育った成れいむを嬉しがっていた 「おとーさんの おかげだよ! れいむなら どんな かりでも できるよ!」 お母さんれいむは、自分と同じくらい賢く育ったに成れいむを喜んでいた 「おちびちゃん! ふゆになるまえに ごはんをあつめるんだよ!」 「もう おちびちゃんじゃないよ おかーさん! れいむは おかーさんにならった りょうりで いつも おいしいごはんを つくれるよ!」 「…」 「…」 「…」 「ゆわぁああああああああん」 「れいむぅぅ!」 「おちびちゃああああん!」 この数ヶ月で、両親から受け継いだ狩りや自然の知識を学び 子れいむは一人前のゆっくりとなった もう自分一人の力で生きていかなくてはならない ひとしきり別れを惜しんですりすりし終えると 何度も何度も両親を振り返りつつ、成れいむは遠い山の向こうを目指した 秋の山は食べ物にあふれている いろんな芳しい匂いに釣られるが ちゃんと食べられるもの ゆっくりできないものを吟味していく 保存の効くものは、頬袋やはっぱの荷物入れにしまう まだ巣の中しか知らない幼い頃 閉ざされた入り口の隙間からは、冷たい風が入り込み 藁の敷いていないおうちの地面はとても冷たかった しばらくしてお父さんが入り口を空けて 子れいむを帽子の上に乗せて散歩した時も 春には蝶々がたくさん飛んでいた原っぱも 野いちごが生るはずの森もシンと静まり返っていた とても寒く、他にはなんにもない それが冬なのだ もりさんも たいようさんも ゆっくりしなくなる その冬が来る前に、寒さを凌げるおうちや 冬を乗り越えるご飯を探さなくてはならない 「これはたべられるものだね! これはたべられない! あれは すぐにだめになっちゃうから いまたべちゃおう!」 れいむが食べ物を探して散策していると なんとゆっくりが一匹いたのだ 「ゆ!?」 家族以外のゆっくりと会うのは、実は成れいむにとって初めてだった 「…?!……ゅ…ゅ………ゆっくりしていってね!」 初めての挨拶をかけるが 「…」 反応がない 初めての挨拶に戸惑い恥ずかしがると しぶしぶと相手の様子を見た 「!」 相手のゆっくりが返事を返してくれないのも無理もない なんと倒れこんで苦しがっている! 「ゆゆ!? だいじょうぶ? ゆっくりしてね! れいむが ゆっくりさせてあげるよ!」 「…ゅ…ぃ…」 あたふたと成れいむが、体をしらべるてみると 苦しがるゆっくりの下から 派手な色に染まったきのこがたくさん出てきた 「ゆ! これは ゆっくりできない きのこさんだね! まっててね! いま おくすりを だすからね!」 荷物から葉っぱに来るんだ薬を出すと 倒れたゆっくりに差し出した 「これをのんでね! そうすれば ゆっくりできるよ!」 「…ゅ…ゅ…」 薬を飲むどころではない 額には汗がびっしり浮きでており ぎゅっとつぶった目からは涙が流れている このままでは毒にあたって死んでしまうだろう 「どうしよう! どうしよう! どうしよう!」 「…ゅ…ゅ…」 毒に犯されたゆっくりの息は更に激しくなり、もう後がない 「そうだ! ゆっくりわかったよ!」 成れいむは 葉っぱから薬を取り出すと 口に含んでゴリゴリとすり合わせた 「…ゆぐ…」 「…ゅ…ん…」 成れいむは むかし病気にかかって、ご飯が食べれない時 お母さんに口移しで食べさせてもらった時の事を思い出したのだ 「…ゅ…んぐ………………………ゆ?…」 「ゆ! げんきになったね! よかったよ! ゆっくりしていってね!」 「ゆ? ゆゅ! ありがとう! すごく ゆっくりできるよ!」 成れいむは介抱したゆっくりを抱き起こすとびっくりした 「お、おとうさん?」 「? まりさは まりさだよ!」 その姿は成れいむの父親と同じ まりさ種だったのだ しかしよく見ればお父さんとは違うところがいくつかあり 体の大きさは成れいむより一回り小さく 逆に髪の毛はふわふわで飾りはキラキラで、まるで綺麗な自分のお母さんのようだった 「ゆ…////」 いまさら成れいむは綺麗なまりさと口付けをしてしまったことに照れていた 命を救ってもらったまりさは、そんなれいむの同様には気付かず 「ほんとうにありがとう れいむ!」 「ゆ…えっと ああいう きのこさんは たべたら だめなんだよ! しらなかったの!」 「ごめんなさい まりさは もりの かりが にがてなんだよ…」 「それなら しょうがないね! れいむが いっしょにごはんを さがしてあげるよ!」 「ありがとう れいむ!」 れいむは頼りないまりさを手助けする程度のつもりだったが 自分が綺麗なまりさに惹かれているなんてのは気づきもしなかった 後編
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時間は午後を少し回った頃。 太陽は中天を通り過ぎ、後は沈み行くばかり。 だが、そうは言っても少しばかり沈んだところで熱がすぐに失われるわけではない。 昼下がりの太陽は、沈み行く事に抗うように眩く輝いている。 「ゆぅ~~~~……あづいよぉ……はやくかわいてね……ゆっくりしないでね……」 その日差しの下。 1匹のゆっくりまりさがいる。 ゆっくりにしては珍しく、どう考えてもゆっくり出来ない日差しの下で佇んでいる。 いや、ただ佇んでいるわけではなかった。 その目線の先、やや見上げる位置には黒いものがある。 それは帽子。 リボンの部分を紐で結わえられるようにして、ゆっくりまりさのトレードマークの三角帽が干されていた。 このまりさは、自分の帽子を見上げていたのだ。 帽子があるのははまりさの正面、しかし跳ねても届かない高さ。 イジメではない。 下にあるのは当然のように庭の地面。 もし、まりさが帽子が無い事に耐えかね、跳んで落とそうものなら今までの苦労が水の泡となる。 まりさの要求と、現実的な問題との妥協点が、この位置であった。 最初のうちは干す前の出来事も忘れて帽子に必死で飛び掛っていたが、それも暑さに耐えかねて見ての通りだ。 当然ゆっくりには帽子を吊るすなど出来ようはずも無いので、誰かがそれをやった事になる。 そして、それを実行した誰かはと言うと、 「暑いって言うな、かえって暑くなる……」 まりさの横でそれ以上に伸び切っていた。 いかつい外見の男がみっともなく寝そべっている様は、ゆっくりのそれ以上に暑苦しさを感じさせる。 まりさの要求とは「なるべくぼうしをちかくにおいてね!」というものだった。 普通、洗濯物を干すならば庭、それも日当たりのよい場所だ。 男の家の庭へと出る縁側に屋根が無いわけではない。 だが、それも直射日光が遮られたところで恐ろしく暑い、がとても暑い、になる程度。 暑い事には変わり無い。 本来ならば男が付き合う理由も必要もないのだが、その常ならぬ姿と無理やり洗うように仕向けた事もあって、どこかいたたまれなくなり付き合うことにしたのだ。 しかし、夏の日差しの中で、ゆっくり待つと言う行為が実際これほどの苦行とは。 想像はしていたが、それ以上に厳しい現実に男は早くも後悔し始めていた。 「これはゆっくりできねぇ……」 これならば、やはり疲れようとも動いていられる分仕事場の方がいくらかマシだ。 憎憎しげにその原因を見やるが、その男の視線も力無い。 男は喉の渇きを覚え、水差しを手に取った。 それもまた不愉快な暑さを手に伝えてくる。 表面の状態からすれば、中の状態も押して知るべし。 さりとて、水を替えに行く気力も沸いてこない。 妥協して予想通りぬるい風呂のようなそれを飲み、隣のまりさの口元にも運ぶ。 「ほれ、水」 「ゆ、ん……あついよ、おじさん……」 まりさも一瞬顔をしかめるものの、文句のキレもまるで無い。 片割れのれいむはというと、帽子の洗濯を見届けさせた後は大事を取って奥に引っ込めておいた。 報酬と言おうか、おかきを少しだけ与えておいたが、まりさの帽子についてはあれから特に何も言う事無く、いつものようにふんぞり返っている。 「気楽なもんだぜ……」 「ゆ? おじさんまだなの? はやくかわかしてね……」 「そうは言ってもな、こればっかりはお天道さんに聞いてくれや……」 一応律儀に立ち上がって確かめはするが、触ったそれはまだ湿気の残った感触を返してくる。 「ゆふぅん、はやくゆっくりしたいよ…………」 身振りでそれが判ったのか、さらにまりさは萎れていった。 それを横目に見、男も力尽きるようにそのまま寝転がる。 床板と背に挟まれて体に張り付く服と、汗で濡れた後頭部の感触は非常に気持ちが悪い。 そう言えば、ゆっくりとこうも会話をするのは初めての事だったか。 男は今更のように気がついた。 彼がこのゆっくり達を家の下で見つけてからはもう半月以上、一月近くになる。 その間、自身の信条に従ってほとんど接触すらしてこなかった。 それは、ある意味では不干渉ではなく無視や拒否だったのかもしれない。 今でも、心のどこかで厄介ごとを抱えてしまったという思いはある。 事実、今は毎日が面倒だらけだ。 だが。 男はまりさに背を向けるようにごろりと向きを変える。 会話があると言うことそのものは楽しかった。 この家で来客相手以外に喋る事が無くなって、どれほど経ったろうか。 意志の疎通が出来る相手。 友人とは違うし、非常に不可解・不条理が山盛りだが、そこに理解があると言うのは面白かった。 ならば、このまま理解していければいつかいい関係が築けるのだろうか。 不可解な事、不条理な事、腹立たしい事、面倒な事、嫌な事。 それらはゆっくり相手でなくとも、人間同士でも当たり前のように存在する。 他人、知人、仕事仲間、友人、身内。 お互いがお互いを完全に理解できない以上、どこにでもあるものだ。 それを許容出来るかどうかは、お互いの理解度や関係から来る親密度によるものだろう。 こればっかりは、一朝一夕にどうこうなるものではない。 「ま、気長にやるか」 口にしたのは自分を納得させるためだったろうか。 子供が生まれてからすぐ出て行かせるにしろ、しばらくは置いておくにしろ、ゆっくりに対する知識がある事自体はマイナスに作用する事は無いだろう。 上手くすれば、自分だけでなく他人の役に立つ知識も得られる可能性だってある。 そうなれば、こいつらだってむやみやたらと殺されなくたって済むようになるかもしれない。 誰だって、生来の性だろうがなんだろうが、むやみやたらに死にたくなんぞ無いだろう。 だが、どうしたらいいんだろうか。 あるいは、別に何かをしなくとも、どうもしなくてもいいのか。 放っておけば、そのうち適当な位置に収まるだろうか。 暑さと、ゆっくりとゆっくりしている状況に、どろどろとそんな取りとめも無い思考に身を浸していく。 「済みませんが、どなたか居られませんかー?」 そんな思索を打ち破ったのは、女の声だった。 女と言っても、声だけで判断すれば若い。 子供ではないが大人でもない、微妙なところだ。 そう言った年頃の知り合いが居ないでもないが、今の時間にわざわざここまで来るだろうか。 あるとすれば、人づてに聞いて見舞いにでも来たか。 だが、それならば「どなたか」「居られませんか」と尋ねるのも変な話だ。 それに、声も聞いた覚えが無い様に思う。 無視するわけにはいかないか。 気だるさを飲み下して男は体を起こす。 「失礼、今出るので!」 その動きで、汗の滴が服に更なる陰影を生み出す。 文字通り汗まみれの姿で女性の前に出るのはまさしく失礼だろうが、時期も時期なのでそれは勘弁してもらおう。 そう思いながら腰を浮かせたところで、不安げにこちらを見上げるまりさと視線がかち合った。 大丈夫だ、と髪を撫でるついでにでこピンひとつ、そのまま庭を突っ切って玄関へと回る。 「済みませんね、裏に居たもんで……」 頭を下げつつ出てきた男の言葉が止まる。 そこにいたのは、声から予想されたとおりの少女。 だが、それは見た目だけの話。 幻想郷ではかなり有名な部類に入るだろうが、有名人ではない。 来訪者は人間ではなかった。 「新聞屋の、天狗?」 脳裏から引き出した記憶が、そのまま声を形作る。 「はい、文々。新聞の射命丸文です」 天狗は取材帳を片手に笑みを浮かべた。 「……で、こんな所に一体何の用で?」 発言した後に我ながら間抜けた質問だと気づく。 新聞を配るのでもなければ取材に決まっている。 あの新聞は個人で発行しているらしいので、それなら取材も自分でやるしかないだろう。 しかし、予想外の来客に加え、暑さで茹で上がり始めた頭はどうにも上手く働かない。 付け足すように、ここ数日あまり表に出ていないので周りの事はよくは判らんが、と左腕を掲げて見せる。 「それはますます好都合ですね」 それを聞いて、さらに天狗が笑みを深めた。 どうやら、天狗が気にするような話のネタがこの家の近くにあると言う事か。 俺はそれどころじゃなかったんだがな、と、男はここ数日の出来事を複雑な心境で思い出す。 その所為で気づかなかったにせよ、そんなネタになるような事がここ数日だったろうか。 男はボケた頭を覚まそうと首を2、3動かし、記憶をかき集めようと 「数日前の話なんですが、夜更けに何やらこの世のものとも思えぬ得体の知れない叫び声が聞こえた、と言う話を耳にしましてですね」 暢気に構えていた所へ、いきなり直撃がきた。 暑さも相まってへたり込みそうになるのは堪えるものの、抑えきれなかったため息が漏れる。 なんてこった、また厄介事が飛び込んできたか。 いや、とそれを否定。 そもそもここらには小屋などを除けばこの家以外の民家も無いし、そんな時間に出歩く人間もそうはいないだろう。 あの声を聞いた人物がいるとは考えにくい。 聞こえたと言う事ならば、ここらであると言うだけで、もう少し人里側での出来事かもしれない。 今の段階で近しい事と言えば日付と時間くらいだ。 「……もしかして、一昨日の夜くらいの話かい?」 「外へ出られていないという割には詳しいですね。なにやら思い当たる事でもありましたか?」 語っていない情報を男が口にしたことに天狗が食いついた。 しかし、男の姿はその視線の先にはない。 「おや、どうかしました? どこか具合でも……」 「ああ、いや、さっきまでじっとしていたから、暑さや立ちくらみやらなんやら……」 男は今度こそ堪えきれずにその場にしゃがみこんでいた。 実際暑さはかなり堪えているが、決定打はそんなものではない。 後悔先たたず。 思いきりヤブヘビだ。 こちらから聞いてしまった以上、知らぬ存ぜぬでは通らないだろう。 何故だ、何故、黙っていなかったのか。 最近ゆっくり相手の会話ばかりだったが、ゆっくり相手だととにかく詳しく聞かないと話が進まない。 合わせて、この暑さでぼーっとしていたため、考え無しについ口にしてしまったのだが、男にはそこまで分析する余裕は無い。 まぁ、いいか。 言い逃れは出来ないだろうし、そもそもゆっくりを見せれば済むだけだ。 ゆっくりの如き開き直りで復活し、庭へと案内するべくふらりと立ち上がる。 「それなら……」 そこで男は言葉を止めた。 この天狗を、ゆっくりたちに会わせていいものだろうか。 いきなり危害を加えたりという事は無かろうが、妖怪の考える事など判るはずも無い。 しかし。 いざそうなったとしても、天狗の前では男もゆっくりも、実力的にさしたる違いは無いだろう。 止められるかと言われれば、まず不可能。 なるようにしか、ならないか。 一旦言葉を止めた事に疑問の表情を浮かべる天狗へ男は自分の背後を指差した。 「ちょっと裏のほうに回ってもらえれば、多分判るかと」 「おじさんおそいよ! ゆっくりしてないでまりさのぼうしがかわいたかはやく……ゆゆっ!!?」 男一人が戻ってくるものだと思っていたのだろうまりさが、続いて出てきた来客の姿に目を白黒させた。 たちまちのうちに全身を震わせながらも、その目線が、男と、帽子と、屋内と。 3箇所をめまぐるしく動き回る。 部屋に逃げようにも、帽子を置いては逃げられないので帽子を取って欲しいが、その男の後ろには見知らぬ人物。 その人物から逃げようとするが帽子はやはり見捨てがたく……不審な動きの理由は、おおよそそんな所だろうか。 「おや、ゆっくり……ですか」 続いた、飼っているのですか、という問いを男は頭を振って否定する。 「まさか。住み着かれただけで、飼っているわけじゃない。が、さすがにこいつを放り出すのは忍びなくてね」 天狗へ断りを入れて、未だに混乱状態のまりさの横を素通りし奥へと向かう。 必要なのは、まりさではなくもう1匹のゆっくり。 「やめてねおじさん! ここはれいむのゆっくりプレイスだよ! かってにうごかさないでね!?」 「へーへー。放りだしゃしねぇから大人しくしてろ。持ち上げるから暴れるなよ」 「やめてね、あかちゃんがおちちゃうよ!! はやくはなしてね!!!」 相変わらずのおうち宣言を今は無視して引きずり出し、まりさの横へ並べる。 「あぁ、なるほど。見つけたときにはこうだった、と」 頭上の蔦だけで事情を察した天狗が意を得たりと頷いた。 それを見て、促されるまでもなくあの日の出来事を話し始める。 時折れいむからの茶々が入るが、それには取り合わず淡々と説明と簡単な質問に終始する2人。 元々大した話ではないので、確認など全部含めても10分ほどもかからなかったろうか。 「なるほど……時間も日付も確かですから、ほぼその話で間違いないでしょうね」 取材帳を書き終えて閉じ、それにしても、と天狗は2匹に向き直った。 「なかなかどうして。滑稽と愉快な記事以外にも、良い話の1つくらいはありますか」 「そうだよ! れいむはいいゆっくりだよ、えへん!」 自慢げにれいむがふんぞり返る。 だが、ゆっくりは気づかないだろう。 今の発言、どこか言葉以上に侮蔑的なニュアンスを感じないでもないが、これも一般的な範疇での評価だ。 この天狗の性格がことさら悪いと言うわけではない。 しかし。 今、それを聞いた男の心に浮かび上がってきたものは何だったのだろうか。 形になる前に一瞬でどこかへ消えうせてしまい、もうその欠片も残っていない。 代わりに出てきたのは、この天狗は、妖怪は、どうなんだろうか。 そんな単純な問い。 「ああ、そうだ。……ひとつ聞きたい事があるんだがいいか?」 「取材の事以外であれば構いませんよ? 答えるかはまぁ、内容にもよりますが」 頷きひとつで返して見せた天狗に、今度は迷わない。 「いや、大した事じゃないんだ。あんたや妖怪から見て、ゆっくりってのはどうなんだ、ってのが聞きたいんだが」 「ゆっくりが……ですか」 やや考えるような間があって、それから天狗は口を開く。 「今ひとつどう、の意味は図りかねますが、そうですね、存在としては取るに足らないでしょう。 誰もが好き好んで食べる訳でも無し、理も害も無く、別に居ても居なくてもそう変わりありませんよ」 紡がれる言葉は、やはり男の予想と違わない。 それはそうだろう。 人間でさえゆっくりを取るに足らないと見ているのだ。 その人間よりも強大な力を持つものたちなら尚更だろうな。 納得の表情を浮かべる男にさらに天狗は続ける。 「私個人の意見として、でしたら興味が無い、わけではありませんが。ネタとして新しいものがあるに越した事はありませんし」 これも新聞屋らしい意見だ、と頷く。 が、聞きたい意見としては若干違う。 そういったところではなく、もう少し単純な個人的好悪みたいなものを聞いてみたかったのだが。 しかし、あっさりと答えてもらったせいで、かえって深く聞きづらくなった。 だが、問うてみたい。 どういえば良いものかと、眉間にしわを寄せて考える。 その様子に、文も続きなり反応なりがあるのだろうと推測し、何も言わずに待った。 表情は変わる事無く薄い笑みを浮かべたままだが、今までとは違いどこか探るような色がある。 沈黙が、続く。 男と、天狗と、ゆっくりと。 じじ、じじ、とにぎやかしいセミの声。 ややあって、男ではなく文の声が沈黙を砕いた。 「ゆっくり、お好きなんですか?」 「……………………は?」 馬鹿のように口を開けたまま、男の首だけが天狗の方を向く。 「おや? ゆっくりについてわざわざああいう事を聞く人は初めてでしたので」 私が初めて出会うだけかも知れませんが、と補足するが男の耳にはまるで入っていない。 文には男がどういった精神状態かなど知る術も無いが、意味も無く口を開閉し、僅かにあ、だの、うー、だのと呻くばかり。 「あの、もしもし?」 男は完全に固まってしまっている。 それを眺める事しばし。 「……ふむ」 どこか呆れたように肩をすくめると、文はそのまま男に背を向けた。 「えーと……いい加減、大丈夫ですか?」 「……え? あ?」 肩を叩かれた衝撃で、男はようやく自失から回復した。 今、何が起こったんだったか。 何かとんでもない台詞を聞いた気がするが、何故か思い出せない。 「ああ、ええと……?」 「いえ、もう取材は終わったので帰ろうかと思ったのですが、なにしろそういう状態でしたので……」 「ええと……」 オウムの様に、再び繰り返す。 そうだ。 天狗が取材に来ていたのだ。 で、その取材が終わったので帰る、と。 「……っと、取材中に申し訳ない。どれくらいこんな感じで?」 「いえ、5分も経っていませんが……。それよりも、体調が悪いのでしたら無理はしない方が」 「いや、暑い中で待たせて済まない。ちょっとお茶でも持って来るんで、座っててくれないか?」 何か忘れている気がするが、それはさておき台所へと向かう。 これ以上もてなしも無しに客人を待たせてはさすがに失礼だ。 昼前にバカな事で消費した氷と茶を湯飲みに放り込むとすぐに踵を返す。 「済みませんね……って、何やってるんだお前ら?」 縁側に腰掛けた天狗とれいむ、それにようやく落ち着いたまりさがなにやら話していた。 「おねえさんとあかちゃんのおはなししてたんだよね!」 「そうだよ! あかちゃん、ゆっくりしてるねっていってたんだよ!!」 「ああ、これはこれは。……ん、私もゆっくりに取材をした事はなかったので、これはこれで面白いかと思いまして」 お茶を受け取ると、一気に半分ほどを飲んで天狗。 その横、ゆっくり2匹を間に挟んで自分も腰を下ろす。 「面白い、ねぇ。俺には難しいとしか思えんが」 「別に趣向なんて人それぞれ。好きなら好きで置いておけば良いし、嫌いなら嫌いで追い出してしまえば良いだけでは?」 「いや、そういうことじゃなくて、そもそもゆっくり自体俺は好きとも嫌いとも思っちゃいないんだが……」 思い出した。 さっきはゆっくりが好きかと聞かれて茫然自失に陥ったのだ。 「……やっぱり、家においてやってるだけでもそう見えるもんかね?」 「恐らくは、そうでしょうね。普通は放り出されるか、家に上げても後で処分というのがオチでしょうから」 「そうだよなぁ……」 男が力の無い声でぼやく。 だが、ゆっくりの方は黙っていない。 「ゆ!? ほうりだす!? お、おじさんもおねえさんもそんなことやめてよね!!」 「おじさんうそついたの!? うそつきはまりさのゆっくりプレイスからさっさとでていってね!!」 「そのゆっくりプレイスは誰の家だと思ってんだ! それにお前ら放り出すとは言ってねぇし、こういうときだけ元気になるんじゃねぇ!」 夫婦合わせてのゆっくりプレイス発言に、男はためらう事無くまりさの頭部にチョップを叩き込んだ。 「ゆぐっ! いたいよ、またたたいたね!? おじさんこそいいかげんにしてよね!!」 「喧しい、お前は頭に蔦ねぇから遠慮なく叩きやすいんだよ……?」 男はそこで動きを止める。 常ならぬ、視線。 れいむではなく、無論、天狗の視線だ。 それが、自分に注がれている。 「……もしかしなくても、こういうのは」 「正直、今のがどちらかという判断は微妙ですが、まぁ」 やや言葉を濁した返答に、深い、深いため息をついて男が肩を落とす。 その様子を見て、文は思う。 男自身はその気が無くとも、周りから見ればそう見える、その差異。 社会に属する以上、集団としてのルールやスタンダードといったものが存在し、それが常に考慮にある。 それは、文にも理解できる。 ゆっくり自体を「飼ってはいけない」と言う事は無い。 ただそれが物好きであるという認識があるだけだ。 しかし、その「集団の一般認識との差異」 この力は想像以上に人間を縛る。 基本的に、人間は群れなければ生きていけない。 その群れから異端の目で見られるというのは、物理的にはともかくも、大なり小なり精神的に負担を強いられることだろう。 誰もがそれからあっさり抜けだせるほど強くは無い。 人間と違う妖怪であっても、集団に属する故に文は男の苦悩を正しく理解していた。 そして、男は気づいているかどうか判らないが「何故」悩むのか、その理由もだ。 故に、先ほどの発言がある。 「こういう仕事をやっていれば、色々な生き物の色々な姿を見ることになりますから。さほど悩む事ではないと思いますがね」 文が男の背に優しく語りかける。 表面だけ取れば、助言の類。 だが、内実は全てが全てそうではない。 文からすれば、これはネタを生む可能性への投資も含まれる。 「だから、そういうことじゃなくて……」 ええい、と舌打ちをして男は頭をかきむしり、さらに思考の深みへとはまっていく。 愉快。 いつの間にか、今までとは違い、どこと無く意地の悪い笑みが天狗の顔に浮かんでいる。 「別に、バレなければ問題ないでしょう? 知られなければ、それは存在しない事と同じですし」 その知られていない事、隠されている事を調べ、記事にする。 それこそ我が生き甲斐也。 この天狗の性根を、当然のように男は知らない。 悩みを体現した姿の男を尻目に、さて、と天狗が立ち上がる。 「おねえさん、どこいくの? ゆっくりしていってね!」 「ああ、次の仕事があるんですよ。まぁ、面白いネタでも判ったら知らせてくださいな。また取材に来ますので」 「ゆぅ~~~、しょうがないね! こんどはゆっくりしていってね!!」 れいむとまりさの頬を軽く撫でてやり、天狗は男に向かって紙束を差し出した。 「それと、これは情報料の代わりとでも。一回で終わるとは思いませんでしたので、大したものを持ってきてはいないのですが……」 男がそれを受け取った事に満足そうに目を細めると、ではこれにて、と天狗は別れを告げて飛び去っていった。 「おねえさんいっちゃったね!」 「ゆっくりしてなかったけど、ゆっくりおはなしきいてくれたね!」 ゆっくり2匹は、男以外だと久しぶりの会話相手だったので非常に嬉しかったらしく、まだきゃいきゃいと騒いでいる。 人の苦労も知らないで、この饅頭共め。 悩みが増えたのは天狗の所為だが、根源はお前らだ、とばかりに睨みつけるが2匹はまるで気づかない。 その事に気づき馬鹿馬鹿しくなったので、男は手渡された紙束を広げてみた。 「文々。新聞……って、これ礼でもなんでもねぇじゃねぇかよ」 仕事場で暇つぶしに読む分には構わないが、家に置くのも邪魔なので、購読しようとまでは思わない。 しかも、これはもう読んだ事がある。 「ああ、暑い思いしただけかよ……」 今までの悩みも何もかもを体ごと放り投げるようにして畳に倒れこむ。 「そうだ、おじさん、あついよ! あかちゃんがよわっちゃうからはやくもどしてね!」 「まりさのぼうしもだよ! ゆっくりしてないではやくしてね!!」 「なんだよ、そうだ、って。自分の事じゃねぇか。お前ら今まで天狗と喋ったってはしゃいでただろ……あぁ、帽子は完全に忘れてたわ」 「ゆ゛! ふざけないでね! さっさとまりさのぼうしかえしてね!!」 まりさの踏み付けとタックルを足に浴びながら、男はぼんやりと考えていた。 まだ、厄介事は終わっていない。 訳の判らない事だって沢山ある。 まぁ、いい。 他に何かを忘れている気もしたが、今は暑くて頭が上手く回らなかった。 とりあえず、目の前の問題から片付けよう。 考えるのは後からだって、どこでだってできる。 しかし、天狗のあの言葉。 「別に趣向なんて人それぞれ。好きなら好きで置いておけば良いし、嫌いなら嫌いで追い出してしまえば良いだけでは?」 それだけが、やけに頭から離れなかった。 中書き 「ゆゆっ? れいむたちよりさきにだれかいるよ?」 「どうも、毎度おなじみ射命丸です」 「さっきのおねえさんだ! こんどはゆっくりしていってね!!」 「そうですね、前回ももうすぐ出来るとか言った割に全然仕上がらない作者でしたから、時間はあるかと……」 「ゆ! じゃあもっとゆっくりたくさんおはなししようね!」 「そう言いたい所ですが、やっぱり仕事が有りまして」 「ゆっくりしていったらいいのにね!」 「そうだね、おじさんもここはゆっくりできるっていってたからね!」 「ああ、では代わりといっては何ですがこれをあげましょう」 「ゆぅ~~~~ん、なにそれ、たべもの?」 「ちがうよ、ぴかぴかしてるからごはんじゃないよ! おねえさん、そんなのよりおかしちょうだいね!」 「これはお金と言ってですね、食べ物とか服とか、まぁ色々なものと交換できるものなんですよ」 「たべもの! だったらおねえさん、やっぱりそれちょうだい!」 「はい、そっちのゆっくりもどうぞ。さっきの話の礼をあなた達にはしていませんでしたからね、その分です」 「ありがとうね、おねえさん! で、これをどうしたらいいの?」 「さっきの方に渡せばきっとお菓子をくれると思いますよ。ああ、もう時間が無いので私はこれで」 天狗、どこかへ退場。それからややあって。 「お、ちゃんと着いてたな。どっか適当なとこで着いたとか言ってるかと思ったんだが」 「ゆっ! ばかにしないでねおじさん! まりさはかしこいからそんなまちがいしないよ! やくそくどおりおかしちょうだいね!!」 「判った判った、ちょっと待ってろ。……ん? お前ら何を口に入れてるんだ?」 「ゆゆ、わすれてたよ! はい、おじさん、おかね! これでおやつもっとちょうだいね!」 「ああん、金だぁ? おい、拾ったならまだいいが、まさか盗んだりとかはしてねぇだろうな……?」 「ち、ちがうよ、さっきのおねえさんがくれたんだよ! おはなしのおれいだって!」 「はぁん? ……まぁ、いいか。ほれ、取らねぇから見せてみ」 「ん! ちゃんとおかしにしてね!」 「判ってるって。うわ、涎まみれ。ばっちいなぁ……って、おい」 「ゆ、ゆゆっ!? ど、どうしたのおじさん!? よ、よくわからないけど、そんなにおこらないでね!?」 「あ、あの天狗…………!!!(現代日本円だと一円玉相当の硬貨を2枚握り締めながら)」 性悪 -- 名無しさん (2010-11-28 02 46 18) おお、ゆかいゆかい。 -- by空の上 (2012-08-13 20 17 31) 名前 コメント
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きょうはにんげんでいうおぼん おぼん?なにかのせるの?なんだかおかーさんたちのところにかえるとしあわせらしい。 れいむ達親子は、久し振りにみんなでれいむの両親の家へ帰るところだった。 なぜれいむがお盆のことを知ったのか?それは近くのお寺の家のお婆さんに教えてもらったからだ。 「お盆の日には、お家に帰って皆でご先祖様をお迎えするんだよ。」 ごせんぞさまっていうのはおかーさんのおかーさんの・・・なんだっけ? おばーさんのいうことはむずかしくてよくわかんなかったけど、 「大切な日なんだよ。解らなくてもいい。もしあなたにも、帰る所があるなら一度帰っておあげ。」 まりさにはなすとわたしのおかーさんとおとーさんにあいたいみたいだったし、 れいむたちはまだちいさいこどもといっしょに れいむがすんでいたみんなでゆっくりできるばしょにかえることにしたんだ。 町外れ、人間は誰も足を踏み入れない深い森の中にひっそりと そこにはさまざまなゆっくりたちが住む村があった。 ぱちゅりーとのうかりんが中心となり作り上げた村 様々な小さな木や枝で組まれた家、近くの川からひっぱって来た水、 回る水車に、所々に仕掛けた鳴子、何かあれば逃げれるように 張り巡らされた洞窟、畑や田んぼなどまさしく村としての機能を持つ場所だった。 そこの家の一つにれいむの母と父は住んでいた。 「おかーさん、おとーさんただいま!!ゆっくりしていってね!!!」「ゆっくりしていってね!!!」 「「「おばーしゃん、おじーしゃん!ゆっくちしちぇいっちぇね!!!」」」 突然の帰宅に少し驚く祖母れいむと祖父みょん(半霊無し) しかし聞きなれた声に「「ゆっくりしていってね!!!」」とすぐに挨拶を返す。 余り大きな部屋ではなかったが皆が過ごすには十分なスペースだった。 皆でご飯を食べ、 「「「「しあわせ~♪!!」」」」「「「ちあ~せ~♪」」」 そして思い思いにゆっくりし、ゆっくりさせあう。 チャキーン!!! 「みらいえいごうみょん」祖父みょんのゆっくりとは思えない早業に子供たちやまりさは驚き 「かみをゆっくりおていれするよ!!!」祖母れいむがそういうと一人一人の髪を口ですいていく。 とてもゆっくりとした時間だった。 こどもたちがねしずまったころ、れいむはまりさといっしょにおか-さんとおとーさんとおはなししたよ 「いきなりゆっくりしてきてびっくり!!」「みょーん、こまってるならみょんにいうみょん」 「ちがうよ!!きょうはおぼんだよ!!!」「おぼんはいっぱいかぞくとゆっくり!!」 おかーさんたちもしらなかったみたいだかられいむとまりさでゆっくりせつめいしたんだ 「あ!!ゆっくりおもいだしたよ!!たしかおかーさんのおかーさんのおはかにいくとしあわせだって!!!」 れいむたちはよにんでおはかにいったよ!それでよにんでおばーさんのいうとおりにしたんだ。 「「「「な~むあ~みだ~」」」」 「みょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!」 いつのまにかおとうさんあしたのあさまでとうめいでゆっくりしてたからみんなびっくり!!! でもあさになったらみんなといっぱいゆっくりしてくれてとってもしあわせ~!!! 完 ※一応みょんは中途半端なお経だったので朝には実体を取り戻したということでw ところどころにおかあさんれいむの心中で書いてみたのですが ひらがな多くて読みにくいですね。すみません。 名前 コメント
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企画とはまったく関係ないけどリハビリがてら小ネタを 風船ゆっくり ある日、いつものように紅魔館門前でぐっすり寝ていた私、なにやら声が聞こえたので ちょいと目を開いてみれば…誰もいませんね? 「ゆっくりしていってね!!!」 ああ、ゆっくりですか、見下ろせば…いない? 「どこに隠れてるんですか?」 「れいむはおねえさんの目の前でゆっくりしてるよ、おねえさんの目はふし穴だね?」 馬鹿な…目の前には何もない!ゆっくり特有ののんびりした気は感じると言うのに!? まさかパチュリー様がミラージュコロイドの開発に成功したとでも!? 「ん…?」 ちょいと立ち位置をずらしたところ、ゆっくりの居場所が判明しました 「いやん、えっち!!!」 なんとゆっくりが紙みたいに薄くなっているのです、だから私の視線に大して完全に垂直に なる様に位置取れば馬鹿馬鹿しいけど見えなくなってしまうのです 「…で、いったい何がしたかったんですか?」 「…そうだった!おねえさん!れいむを元にもどしてほしいの!!!」 「え?その前にどうしてそんなぺらぺらになっちゃったの?」 「ロードローラーにひかれたよ!えっへん!!!」 このれいむが言うにはこの辺で咲夜さんがたまたま持っていたロードローラーに ぶっ潰されてしまったらしい、咲夜さんも変わったものを持っていますね? 「なんとまあ…それでどうやって元に戻せば良いでしょうか?」 「れいむのリボンに何かついてるでしょ?そこから空気をゆっくりふきこんでいってね!!!」 見てみればれいむの髪飾りに何やら空気弁らしき物体が付いている…ビニール風船でしょうか? 「何だか風船みたいですね?とりあえず膨らましますよ」 空気弁に口をつけ少しずつ空気を吹き込んで行く、肺活量には自信があります 「うおー、ゆっくりふくらんでくよ!!!」 見る見るうちに膨らんで行くれいむ、つくづくゆっくりはよくわからないものだと思います 「やべぇ!ふくらみすぎた!!!」 気が付いたられいむは文字通り風船になって空の彼方に昇って行ってしまいました まあ…ゆっくりだし大丈夫でしょう、どんな場所でも元気にゆっくりしていけると信じてます ありすアリスの人 ミラージュコロイド 機動戦士ガンダムSEEDの世界におけるステルス技術 簡単に言えば透明になる、あらゆるセンサーにひっかからないとか -- 名無しさん (2014-05-04 16 44 42) 名前 コメント
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キャラ名(異名) ゆっくりしていってね(生産のエキスパート) 主な型 壮術 人物像 生産のことならゆっくりにお任せ!!長屋ではゆっくりしなくていいそうです。 対人スキル E 生産スキル A 勧誘スキル A ゆっくりしていってねの87%は大阪のおいしい水で出来ています。ゆっくりしていってねの12%はハッタリで出来ています。ゆっくりしていってねの1%はやましさで出来ています。 生産技能 収穫:45 軽金:45 木工:45 伐採:45 重金:45 錬金:40 採掘:45 皮骨:39 調理:45 漁獲:37 裁縫:45 2012年2月14日更新 現在の主な活動・目標(優先順) ①筆頭防具一式を揃える ②生産スキルの向上 壮術妖防具一式 完成 2012/2/26 奥義書 癒し拡 威力+ 完成 2012/2/28 壮術刀 甘露 完成 2012/3/ 2
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*注意* うんうん注意 ゆっくりの影が薄いです(特に後半) 以上の事に注意してください ~ゆっくり友達~ 「ゆっふん♪」 今、目の前の机でまりさがふんぞり返っている これから一週間先の事を考えると胃が痛い 事の発端は半月前の求人情報誌がきっかけだった 『ゆっくりのトレーナーさん大募集! ゆっくりが好きな方待ってます! また・・・』 それはとても小さな記事だった 『ゆっくりのトレーナー』とは最近になって認知され始めた職業だ ゆっくりが愛玩動物として広まってから久しいが、表に出てくる職業ではなかった しかし犬・猫と同じ様に躾がいるので、新たに資格を設けて広く募集し始めたのが始まりである 早速、書いてある連絡先に電話を入れる 『では来週の・・・』 と、ここまでは順調だった この後筆記試験は合格し一次試験は通ったのだが 、まだ二次試験の実技が残っていた 今ここで悩んでいた 『一週間、時間をあげますので自分なりにゆっくりを躾てください』 というのが二次試験の課題である 「ゆっふん♪ おにーさん!!お腹すいたよ!!!」 「ふぅ・・・さっき食べただろ・・・」 むにゅむにゅとほっぺを揉みながら答える 「そうだったね!!!でもまりさはお腹すいたよ!!!」 「いっぱい食うからそんなでっかくなるんだぞ?」 「でっかくないよ! まだ10lbしかないよ!」 会社から貸し出されたまりさが今回のパートナーである しかしなかなかどうして我儘な奴だ 俺の家に連れてくるなり早速の「お家宣言」である 「おにーさんのお家は、今まりさのお家になったよ!!!」 とりあえずデコピンをお見舞いする 「ゆびっ!? しっとはやめてね!!」 「いや、つい・・・」 「でもまりさのお家でゆっくりしていっていいよ!!」 一応躾をする以上お互いの立場ははっきりさせておいた方が良いよな 「じゃあそうさせてもらうよ。ところでまりさはあまあまは好きかな?」 「ゆゆ~♪あまあまさんはだいすきだよ♪」 「そうかそうか♪じゃあクッキーをあげよう」 「むーしゃ♪むーしゃ♪あまあま~♪」 しめしめ、掴みは完璧だな。ここからが本番だ 「はいもう一枚あげよう。あーん」 「はむっ♪むーしゃ?むーしゃ?」 まりさの口に入る直前でひょいと上にあげる 「クッキーさんちょうだいね!9まいでいいよ!」 「そんなに欲しいか?でも条件があるぞ?」 「なんでもいいよ!クッキーさんはまりさのものだよ!」 「俺との勝負に勝ったら良いぞ!」 「ゆふん!いいどきょうだよ!けちょんけちょんにしてあげるよ!」 そしていきなり体当たりを仕掛けてきた 自分で10ポンドあると言っていた通り生身には堪える衝撃だった 「いたた・・・でも捕まえたぞ! こうして、こうしてやる!」 帽子を取り上げ、底面の方を持ち、逆さ釣りにする 「ゆゆっ!お空を・・・ゆぁぁぁ!!おろじでぇぇぇぇ!!まいりまじだぁぁぁ!!」 ちょっと薬が聞きすぎた様なので帽子も返して降ろしてやる 「ゆゆん♪裸にしてさかさづりなんて、まにあっくなぷれいだね!」 全然懲りていないようなので顔の方をむんずと掴む 「う、うそだよ!ちょっとしたおちゃめだよ・・・」 「ほれ、あめちゃんだ。一個やるよ」 「ゆゆ?まりさはまけたんだよ?」 「俺もやり過ぎたしな。正直に敗けを認めた潔さに免じてだ」 「ありがとう!!おにーさん!!ぺーろ♪ぺーろ♪しあわせ~♪」 その日からが戦いの始まりだった 「ゆっくりうんうんするよ!!」 「そこはトイレじゃないぞ!ちゃんと教えたでしょ!?」 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせ~♪」 「ご飯を散らかして食べるなよ!片付けが大変なんだよ!」 「ゆ~♪ゆゆ~♪ゆっくり~♪」 「おにーざんはねでるんだよぉぉぉ!!しずがにじでねぇぇぇ!!!」 そんなこんなで試験日も明後日に迫った「さいきんおにーさんはゆっくりしてないね!!!」 「まりささんのお陰ですよ・・・」 「でもまりさは楽しいよ!!おにーさんとはゆっくり友達だよ!!」 「ゆっくり友達?」 何でもまりさが言うには自分がゆっくりしたいときに傍に居ること ゆっくりしてるときに邪魔をしないこと 面白くて一緒に居るだけでゆっくりできる者の事をそう呼ぶそうだ 「だから、おにーさんはまりさのゆっくり友達だよ」 友達ですか・・・悪い気はしないけど飼い主としては失格だよなぁ・・・ 「だから、つぎはまりさがおにーさんをゆっくりさせてあげるよ!!!」 「後日しかないんだぞ?ゆっくりしてる暇なんか・・・」 「3日しかないんだよ!!まりさはおばかでよくわからないけど、あと3日なんだよ!!」 「まりさ・・・お前」 「おにーさんとおわかれしたくないよ!!でもおにーさんをおうえんしたいよ!!!」 まりさがこんな真剣に物事を喋るのは多分始めてだろう 俺気づかないところでこんなに思い詰めていたなんて 「でぼっ!でぼっ!おにーさんにおじごどがんばっでほじいがらっ・・・」 「そんなに泣くなよ。俺が仕事を始めても一緒に居てやるよ」 「おにーざぁぁぁん !!ありがどぉぉぉ!!!」 「ほらほら、クッキーさんだぞぉ♪今日は9枚用意したからな、一緒に食べよう」 「ゆん゛っ!ゆん゛っ!・・・ゆう、経験がいきたね!!」 「「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせ~♪」」 「がんばろうね!おにーさん!」 「そうだな、がんばんないとな!」 まりさを枕にしながらそんな言葉を交わす 少し重いがまりさを抱えほっぺをすりすりする もちもちして気持ちが良い 「おにーさんどうしたの?あまりの美肌に頭がわいちゃったの? あとおにーさんのほっぺはじょりじょりしてゆっくりできないよ・・・」 頭は沸いてないぞ、失礼な そんなこと言うと・・・もう一回やっちゃうぞ!! 「そんなことないぞ!!ほら、すーり♪すーり♪しあわせ~♪」 「いやぁぁぁ!!!やっぱりじょりじょりだよぉぉぉぉ!!!」 そして試験日の朝が来た なれないスーツを着てまりさを連れ試験会場に入る 同じ日に受ける人は俺を入れて4人いて、俺の受験番号は4番だった 実技試験は二人一組で、お互い課題は一つずつ。なので失敗はできない *まりさの課題「ご飯」* 「良いって言うまで食べちゃダメだぞ!」 「ゆっくりまつよ!!ゆ~♪ゆゆ~♪」 おいィ・・・歌を歌いながら待ってるのうちだけじゃん 「よし、もう良いぞ」 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせ~♪」 うち以外は黙々と食べてるなぁ ちょっと心配になってきたぞ *俺の課題「面接」* 『貴方にとってそのまりさはなんですか?』 「友達みたいなものですかね?」 『友達ですか・・・』 「こいつは我儘で、飯はすごい食べるし、でかいですけど、一緒に居ると楽しいですから」 そして試験終了後の控え室 「絶対無理だぁ・・・ 落ちたよぉ・・・」 「まりさはかんぺきだったよ!!だから クッキーさんちょうだいね!!」 「ほれ・・・粕をこぼすなよ、怒られるから」 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせ~♪」 おっ、試験官が入ってきたもう発表するのかな? 「受験番号4番の方のみ退室してください。お疲れさまでした」 え?退室?お疲れさまでしたって・・・落ちたのか・・・ とぼとぼ廊下に出るとさっきの試験官に声をかけられた 「4番の方ですね?こちらにどうぞ」 「あっ・・・はい」 通された部屋の中の机には書類が何枚か置いてあった 誓約書・・・引き取り申請書・・・? 「あの~、これは?」 「我々は貴方を採用 したく、ここにお呼びしました」 あれ?俺落ちてないの?動揺する俺を尻目にまりさは足元で跳ね回って喜んでいる 「え・・・でも」 「書類にご署名いただけませんか?」 「あっ・・・いえ、落ちたとばかり思っていたものですから・・・」 俺が納得できないのを感じ取ったのだろう 「貴方は他の三人のゆっくりを見てどう思いましたか?」 「完璧でした。聞き分けが良くて、従順で大人しくてペットとしては非の打ち所がなかったです」 「我々もそう思います。しかし、あれではペットではなくて機械です」 「機械ですか?」 試験官はまりさを膝の上に乗せ、話を続けた 「我々は彼女のように人間の友達となりうるゆっくりを世に送り出したいのです」 頭を撫でられたまりさはすごく上機嫌のようだ 最後に試験官が言った言葉が忘れられない 「私達は機械を相手にしているのではありません。生きているゆっくりが相手なのです」 おわり どうも携帯からの人です! 名前までつけてくださってありがとうございます PCが治ったら「携帯からの人」ではなく、本当の名前で投稿したいと思います すごく考えさせられる話でしたね。 人間の言葉を話すゆっくりの場合、ほかのペットとは違った奥の深い躾の 形がよく出ていました。 -- 名無しさん (2009-03-22 03 17 31) ゆっくりはもっとしっかり躾けないと他人に迷惑かける気がする。 知能が高い分、なおさらに。 -- 名無しさん (2009-04-24 21 37 22) 個人的には他の三人のトレーナーとそのゆっくりが可哀想に思ったな。 試験の日のためにトレーナーと力を合わせて共に努力していただろうに、 「機械」と言われるほどまで必死になったその頑張りが否定されたことになるのだから。 -- 名無しさん (2009-04-24 21 48 04) ↑ 確かに しかし、逆に考えると、そこまで共に必死に努力していた間柄なら、試験には落ちたが まあその後良い感じの試験管の言う「友達」にはなれたんじゃないかと思う 実際有能だったんだろうから多分この先も… -- 名無しさん (2009-04-25 00 26 31) 公共の場では「まるで機械のように」静かにすることも必要だよな。 テーマが「躾」なんだし試験でなけりゃ残り3匹も生き生きしてんじゃないの? 野生児マンセー☆彡は後味悪い。 -- 名無しさん (2009-07-12 15 23 36) 躾けって難しいですね。 そんな描写を細かく描いていて、個人的にはGJでした♪ -- 名無しさん (2009-07-13 13 15 38) 名前 コメント
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ご当地ゆっくり ※このゆっくりは方言でしゃべります。 ある日、郵便物が来た。名前を見ると母さんらしい。 ……仕送り?そんなに生活苦しくないし、そもそも母さんはケチだ。 そんな事をする人じゃあない。ともかく開けてみる事にしよう 「ゆっくりしていってね!」 中に入っていたのは金では無く大きい饅頭もとい、ゆっくりれいむ。 紙を一枚咥えているのでそれを取る。この字は言わずもかな母さんのものだ 「○○へ このゆっくりは私達の出身県、群馬で育てられた『ご当地ゆっくり』です 他にも色々な県で育てられ、明太子ゆっくり、○○の住んでいる京都では 八橋ゆっくりと言うのがいるみたいですよ。 余裕があったら送ってくださいね 母より」 読み終わり、れいむの方を見てみる。……ついでに突いてみる 「いてぇ!いてぇよおにいさん!」 さっきまでの清々しい声とは打って変わり、涙声になる。ってか泣いてる ……感触は普通のゆっくりより弾力がある、そして群馬で作られているものと言えば 「お前、こんにゃくのゆっくりか?」 群馬の名産コンニャク。京都に着てから全然食ってなかったけか どうやらコイツ、こんにゃくを食ってこうなったらしい 「そうだよ!ふつうのみんなよりやらかいでしょ?」 「んだ、なっからやらか……はッ!」 五年ぶりだ、実に5年ぶりに方言を使った。 ―――懐かしい感覚と言葉が、耳に残る。 「んで、お前はかかどんに買われたのか?」 「そうだがね。なっから優しいひとだったよ」 れいむは思い出に浸るように目を閉じる 「そっか。……ん?」 れいむをダンボールからだすと、一つ小さな箱が入っていた。 箱には「上毛カルタ」上毛カルタと書かれている 「こりゃまた懐かしいモンを」 上毛カルタ。群馬の名産や名所を子供達に教えるための遊びだ。 『よ』を取ると変態扱いされた思い出がある 「お前、これできるのか?」 いつの間にか頭の上に乗っているれいむに、上毛カルタを見せてみる 「ゆ!できるよ!ゆっくりの中じゃ私が一番強かったんだからね!」 「ほーう……じゃあ俺と勝負だ!」 「まっけないよー!」 付属していたCDを入れ、再生ボタンを押す 『つるまう~かたちの~ぐんま~けん~』 そのマンションの一室では、賑やかに札を取る音が一日中響いていた ご当地ゆっくり 終 細かい事 何ジョジョ?露骨に方言をしゃべる?逆に考えるんだ『周りの人が群馬弁しか喋らなかったから自然と覚えた』と考えるんだ かわいがってる…? 解読『かかどん』・・・お母さん『なっから』・・・とっても、すごく『やらかい』・・・柔らかい『そうだがね』・・・そうだよ『いてぇ!』・・痛い『よをとると変態扱い』・・・『世の塵洗う四万温泉』札の絵は女性の裸で、取ると高確率で変態扱いされます くすりと来ました。ご当地ゆっくりもいいですね -- 名無しさん (2009-03-18 15 08 42) ぷるぷるしてそうw -- 名無しさん (2009-09-09 20 10 38) 「よ」は確かに変態扱いされますねw -- 通りすがりの雛好き (2009-11-09 20 25 44) 名前 コメント
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そのゆっくり霊夢は、生まれてから一度たりとも、ゆっくりしたことがなかった。 「ゆっくりするって……何?」 何度繰り返した言葉であろうか。 懐古にも似た感傷を抱きながら、ゆっくり霊夢はひとりごちた。 外界には、言葉を話せるような存在は人間さんだけで、私たちのような、ゆっくりとか言う生物はいないらしい。 いつか会った、神社の巫女からきいた、戯言にも似た噂話。 でも、ここは幻想卿。 人間はおろか、妖怪や、あろうことか神様までいる。そしてゆっくりもだ。 でも、それらはみな役割がある。人間は日々彼らの暮らしを営み、妖怪は人間を恐れさせる。神様は言わずもがな。 ならば、ゆっくりは? 道行く人妖に聞けば、みな、こう答えるのだった。 「ゆっくりはゆっくりするためにいるんじゃないか」と。 でも、ゆっくりするって……何? ゆっくり霊夢の見るところ、仲間のゆっくりは、可能な限り、思い思いに「ゆっくり」していた。 もちろん、野生育ちの運命か、過酷な生でもあった。 動物による捕食をかいくぐり、一年に一度は必ずやってくる冬に備えて食料を溜め込む。もちろん、ねぐらの確保も忘れてはいけない。 それでも、ゆっくりたちは、暇を見つけては、仲間や、子供たちとともに「ゆっくり」していたのだ。 ぱちゅりーはどこからか見つけてきた本の上で。まりさは、帽子を船に見立てて川で遊んだりもした。 また、大多数のゆっくりは、文字通り太陽の光にあたって、リラックスすることでゆっくりとしていたのだった。 だが、この霊夢は違った。 母親のれいむや父親のゆかりん、姉妹たちと並んで日向ぼっこをし、ゆっくりしようとはするのだが、どうしても、 「なぜ、私は生まれてきたの? 今、この時間をすごしている私は何?」と、滝のように疑問が頭の中をぐるぐると回って、 どうしても、両親や姉妹のようにゆっくりできないのだ。 なんでだろう? 母親にきいても、父親に聞いても、霊夢の悩みは晴れることはなかった。どちらとも、霊夢の悩み自体を理解できなかったのだ。 群れ一番賢いとみなされている、ぱちゅりーに聞いたときも、 「むきゅー。わたしたちはゆっくりするためにうまれてきたのよ」と、答えてはくれるのだが、霊夢は納得がいかなかった。 何度、自分も何も考えずに、仲間とともにゆっくりできたらどんなに楽だろうか、と考えたことか。 でも、霊夢はどうしても、考える、という作業をとめられなかったのだ。 たとえば、群れの中に多数いるれいむは、皆リボンをつけている。それがないと、どのれいむもゆっくりできないのだという。 どういうことだろうか? 霊夢のみるところ、リボンがなくったって身体的には不利にならないのだ。どう考えてみても。 そう考えて、ある日、ためしに自分のリボンを取ってすごしてみた。 結果は、群れの皆から、 「おりぼんのないれいむはゆっくりじゃないよ! そんなのおかしいよ!」と、責められる結果となった。 そのうえ、母親のれいむがパニックになってしまったのであった。 「あああ! れいむの、れいむちゃんのおりぼんがないよ! これじゃゆっくりできないよぉぉぉぉ!!!」 まるで我が事のように心配してくれたのは霊夢としてもちょっぴりうれしかったが、やはり霊夢の疑問は尽きることがなかった。 「リボンのない霊夢はゆっくりできないの?」 よくわからない。ゆっくりれいむたちは、リボンがないとゆっくりできないのか? リボンがないと、たとえゆっくりしていても、ゆっくりではなくなるのか? そこまで考えると、何だか頭の奥がズキズキとしてきて、考えがまとまらなくなってしまうのだった。 大人になった霊夢は、群れの中では一番狩りが得意だった。 他の皆がえさの虫に向かって一直線に飛び出すのに対し、霊夢は、あらかじめ虫が逃げ出しそうな経路を予想し、 それをふさぐように行動していたからだ。 はじめのうちは、群れの中で重宝がられた。霊夢はいつだってたくさんの獲物をとってきたからだった。 でも、それは最初のうち。 ゆっくりの生きる目的はみんなで「ゆっくりすること」。それなのに、霊夢はゆっくりできないのだ。 ゆっくりは、他のゆっくりとゆっくりするのが大好きである。 言い換えれば、他のゆっくりがゆっくりしていないと、自分もゆっくりできない。 「あのれいむ、へんだよ。なんだかゆっくりできないよ!」 「ゆっくりできないこはあっちいってね!」 それでも家族は霊夢を一生懸命かばったが、霊夢は群れのなかから孤立していった。 「ゆっくりできないゆっくりはゆっくりじゃない……」 「じゃあ、私は何?」 「いったい何のために生きているの……?」 霊夢がついに群れから追放されたときに発した独り言である。 群れから離れた霊夢は絶対的に孤独であったが、生活の手段は心得ていた。 ゆっくりできないということは、生きることには何の障害にもならなかったのだ。 だが、それが霊夢の苦悩を強くする。 「ゆっくりするって……何? 生きるって……何?」 霊夢はいろんなところに行ってみた。その答えを探すかのように。 途中で、人間の里へ降りてもみた。半妖の先生に教えを受けて見たりもした。 字は書けるようになったが、さすがの先生も、 「生きるとは何、か……わからんな」と、匙を投げてしまうのであった。 旅をするうちに、霊夢は野生のゆっくりの生態を外れるようになった。 狩りをするよりも、人間や妖怪の手伝いをして路銀を稼ぎ、その代金で食料を買ったほうが、 効率よく、しかも質の高いえさを手に入れることができる、と気がついたのだ。 霊夢は積極的に人里や妖怪の元へ通った。 人里で人間の手の届かないところを掃除したり。夜雀の屋台でサクラになったり。 竹林で、ウサギが掘る落とし穴の囮役にもなったりした。 苛められる事や、戯れに命を奪われそうになったことも何度もあったが、霊夢はそのたびに効率のよい回避法を編み出していった。 そして、雇われるたびに、雇い主に疑問をぶつけるのだった。「生きてるって、何」と。 とある姫は「死なないことね」と。 高名な薬士は「責任を全うすることよ」と。 人形遣いは「探求すること」と。 陽気な鬼は「楽しむことさ」と。 誰の答えも、霊夢の疑問を氷解するには至らなかった。 あるとき、とある大妖のまくらになったことがあった。 目覚めた妖怪に、ゆっくりは聞いた。「生きてるって、何ですか」 美しい金髪の妖怪は、ひとつ微笑み、 「さあ、何でだと思う?」と聞き返す。 「わからない。私はゆっくりできない子だから。私は何のために生きてるかわからないんです」 「ゆっくりはゆっくりするために生きる。それはひとつの真理ともいえるわね。でもね、あなたはゆっくりできないけれども、 あなたはゆっくりとして生まれた。それは否定できないでしょう?」 「でも、ゆっくりできないゆっくりなんて、聞いたことがないです」 「あら、生まれてきたことを後悔する? あなたの両親は、あなたのことをなんと思っていたの?」 「ゆっくりできない子だけど、とてもしあわせーにしてくれる、子、だと……」 思わず、両親のことを思い出してしまった。涙が嗚咽とともに出てくるのを霊夢は止められなかった。 「ならばあなたはまぎれもないゆっくりだわ」 妖怪は微笑む。 「そしてあなたはこの私、八雲紫の前にいる。それはあなただけの歴史。事実」 「は゛い゛……」 「あなたはあなたよ。それは私にすら変えられない事実。いえ、変えちゃいけない境界」 「私は、私……?」 「あなたの質問。生きること、を説明するのは、きっと誰にでもできるし、誰にでもできないものなのだわ」 「そうなのですか……?」 「でもね。みんなそうだから、生きてるのよ」 「正直、よくわかりません」 「ふふふ。私もよ」 そういって、妖怪は姿を消し去ったのだった。 あのときは、答えを見つけそうだったのになあ。 霊夢は自分を笑った。霊夢は、あれから普通のゆっくりの何倍も生きた。 それでもゆっくりとは何か、答えは出ない。 霊夢が最後に働いていた、紅魔館。 そこでゆっくりは最期のときを迎えようとしていた。 「あら、だいぶ弱っているようね」 「お嬢様……」 霊夢の部屋を訪れたのは、紅魔館の主、レミリア・スカーレットである。 「これ以上お役に立てなくて申し訳ありません」 「そう、残念ね。あなたはゆっくりにしては異常に役に立ったから」 「褒め言葉と受け取っておきます。ありがとうございます」 やや沈黙が降りた後。当主は言った。 「あなた、私の眷属になる気はない? 特別よ、ゆっくりなんかを誘うのは」 正直、惹かれなかったといえば、嘘になる。 「そうすれば、このままのたれ死ぬこともなくなる。ゆっくりとは何か、の続きを探求することだってできるわ」 「……せっかくですが、お断りします」 「あら、何故?」 「吸血ゆっくりになると、私が、今までの私でなくなるような気がするんです」 そう、と当主は静かに頷いた。 「私は、私ですから」 「そうね。あなたがゆっくりとして歩んできた、有限の歴史の積み重ね。それを侮辱する権利は誰にもないわね」 その瞬間、ゆっくりの中に光が舞い降りた。そう、それこそが、私というゆっくりなのだ。 「ええ、私は、ゆっくりできませんでしたが、誇りを持って、自分のことをゆっくりだといえます」 「そう、おめでとう。そしてさよなら、ゆっくり霊夢」 「さようなら、お嬢様」 霊夢は目を閉じ、逝った。 閻魔の裁判を待っているゆっくり霊夢がいる。 船頭死神との話は楽しかった。 「ゆっくりにしては話は楽しいし、三途の川もやたら短い距離だったよ」と、名残惜しそうにしてくれた。 すべての思い出が寸刻のうちに繰り返される。 「次、ゆっくり霊夢!」 呼び出された。 四季映姫と名乗る閻魔が、宣告を下す。 「ただいまから審判を開始する。まず、名前と種族名を言いなさい」 霊夢は、自信をもって答えた。 「私はゆっくり霊夢。種族はゆっくりです」 万年初心者 素晴らしい。 -- ぽけわん (2009-05-29 20 25 00) 素晴らしいです。 -- ゆっけのひと (2009-06-03 20 44 33) こりゃすばらしいわ・・・ -- 名無しさん (2009-06-08 21 57 33) まさかゆっくりに感動させられるとは・・・ -- 名無しさん (2009-08-22 15 12 48) 素晴らしいです。 感動しました。 -- くるくるくるる (2010-03-17 23 55 53) 生きるとは何か・・・か。まだその答えは見つからない。 はっきりした答えは無いだろう。だが、自分なりの答えは持ちたい物だ。 -- 名無しさん (2011-02-02 19 17 17) 現実的によく考えさせられるお話でした -- ばんちょー (2014-03-13 01 04 57) 偶然凄い物語を見つけてしまった -- 名無しさん (2014-03-21 18 50 49) 名前 コメント