約 1,622,229 件
https://w.atwiki.jp/parutena2/pages/4.html
世界設定:舞台 ファーランドの辺境。女神パルテナを信仰する国家パルティオン。 北に荒野、東に山脈、南に海、西は砂漠に囲まれた地域を領土としている。 人種は人間のみで一切の亜人は存在しない。 また、魔法の実在は記録されているが、現代に魔法を使役できる者は現存していない。 教育が行き届いており、識字率は極めて高い。 北方には、異なる神を信仰する異民族(※蛮族と呼ばれる)がおり 北方の荒野は蛮族との係争地域であり、時折小競り合いの戦闘がみられる。 他に、国境を接する外国の存在はなく、ほぼ完全に鎖国状態と言える。 女神パルテナ パルテナ神は、瞳から生まれたとされる。光の陣営の1柱。 その由来から本来は双子の神であると言われている。 知識の神ラーダの眷属で、かつ光を映すことから光の神の属性を兼ねる。 真実の探求・正義の性格を有するとされる。
https://w.atwiki.jp/twin_world/pages/38.html
「カイトにぃーー!!!!」 城の2階のテラスから中庭の渡り廊下へ乗り出すように、リンは大声を上げて手を振った。 声が届いたのか、向こうから『カイトにぃ』が小さく手を振る。 カイトという青年は、青い短髪に同じく青いマフラーをした長身の優男、という風体である。 カイトは、しぃ、と口元に手を当てる。どうやら静かに、ということらしい。 おてんばで通っているリンはそんなことおかまいなしである。 「早く早くーーー!! 図書室で待ってるからねーーー!!!!」 精一杯の大音量でそう伝えると、もう一度大きく手を振って図書室へ走り出した。 それを見送った彼は、少し足早に城の中へ歩んでいった。 「お待たせ、リン」 「カイトにぃ、会いたかったよぉ~!」 ぴょん、と大きく跳ねて青年に抱きつく14歳の少女。 カイトは反動で倒れそうになるのを男の意地でふんばり、なんとかリンをキャッチする。 「まだこの間から1週間も経ってないじゃないか」 「だって~」 「ほら、今日も本を読もうか。好きな本を選んで」 「うん!」 ててて、とかわいらしく本棚へかけていく。 カイトはいつもの2人がけの腰掛けに座り、リンを待つ。 外からは暖かい日差しが降り注ぐ。 ここで本を読んだらリンは寝そうだな、などと考えていると、リンは1冊の本を持って戻ってきていた。 「あれ、それこの前も読んだ本じゃないか」 「だって、これ好きなんだもん」 「そうかい?」 「それにこの本をカイトにぃの声で聞くのが好きなの!」 あんまり一生懸命に力説するリンに、カイトは笑いを少しこぼしつつ、隣へ座るようにうながす。 「むかし、むかし、あるところに――」 物語が後半にさしかかると、カイトの肩にふわりと金色の髪の毛がかかる。 どうやら予想どおりリンは寝てしまったようだ。 普段のおてんばぶりは影をひそめて、あどけない少女がそこにいた。 この国のお姫様であるリンは、いつも元気一杯に城中をかけまわる。 始めこそひらひらとした服を着ていたが、木によじ登ったり飛び移ったり、びりびりに破く上にひっかかって危ないことこの上なかった。 今では身軽になって、城の近くの学校の制服に、黒の短パンといった格好だ。 だからこそ気兼ねなくあばれるのかも知れないが…。 ちなみに学校の制服なのは、城を抜け出して遊びに行っているからである。 これはカイトと親しい大臣しかしらない事実なのだが、城の外でも姫は人気者なので周知の事実と化している。 「あと、どのくらいこうしていられるのかな…?」 カイトはそっと、リンの頭を支えて自分のひざへと乗せる。 リンはすこし身じろいだだけで、猫のように体を丸めてお昼寝を始めてしまった。 「できれば、リンだけは…」 そう願うようにつぶやいて、カイトは目を閉じた。 あれからすっかり昼寝をしてしまったのでカイトとの過ごす時間が減ったが、夕方からの勉強の時間になると行われる家庭教師との追いかけっこはリンの圧勝だった。 夜はいつものように自室を抜け出して客室へ忍び込む。 もちろん客人もいつもの手はずで鍵を開けているので堂々と中へ入る。 「カイトにぃ、いるー?」 がらんとした客室にリンは辺りを見渡す。 どうやら奥の寝室にいるようだ。 まだカイトが寝るには早すぎる時間だし昼寝もしていたのだから、転寝でもしているのだろう。 おどかしてやろうと、そっとドアを開け―― 「誰だ!!??」 ビュ、と音がして手刀が目の前に振りかざされ、リンは声を上げる間もなく息を呑んだ。 「あ…」 カイトは険しい顔から、――リンと気づいたのか――叱られる前の子供のような泣きそうな顔になる。 「よ、よかったッス、い、いつものカイトにぃ、ッス」 戸惑うカイトに気遣いさえ見せて笑顔を作るリンも、さすがのことに声がうわずっていた。 笑顔もぎこちなく、すぐに崩れて泣き顔となった。 「うっ、うぇ」 「リン…! すまない、俺としたことが…、直前まで人の気配に気づかなくて反射で…」 「うぐ、ひぇっく、こわか、った…!」 「ああ、ごめん、リン。リン、ごめんね」 カイトはしゃがみこんでリンを抱きよせ、頭を撫でてやる。 「カイトにぃのばかぁ~…!」 いくら剣の稽古をつけているとはいえ、今のは刺激が強すぎただろう。 だけど、なだめながらもカイトは少し後悔していた。 「どう?落ち着いた?」 「大丈夫っス…」 「あ、語尾」 「ごび?」 「ッス、が付いてるよ」 「あ!」 一日我慢できなかったッス~、とリンは笑った。 城を抜け出して忍び込んだ学校で覚えた言葉らしい。 城にいる間は我慢しなさいとカイトに言いきかされて、一日我慢できたらごほうびが1つもらえる約束になっていた。 「今日は特別、おわびにごほうびだよ」 「本当に!?」 「リンはそれで許してくれる?」 「もっちろん♪ リン、カイトにぃの歌聴きたいッス!」 あ、と口に手を当てたが、カイトはいいよ、と頭をなでるとリンは照れ笑いをした。 部屋の明かりはすでに落ちていたが、カイトはあえて明かりをつけずに月明かりを取り込むために窓を開け、近くの椅子へリンを座らせる。 リンから少しはなれて、カイトは窓に向かって立つ。 視線の先に満月を見て、小さく深呼吸をする。そして、やわらかい、おだやかな音が始まる。 月明かりに溶けていきそうな、あったかさが広がる。 おそらく女性の愛の歌なのに、子守唄のようでさえある。 きらきら光るお星様のようだと、リンは思った。 目を閉じて聞いていると、頬に風を感じるようだった。 カイトは歌い終わると、ふぅ、と息をついて少し照れながら笑った。 「カイトにぃ、今日もすっごくキレイな歌だったッス!」 「ありがとう、リン。ところで、何か体に変化はない?」 「リン、元気ッスよ? あ、でもさっきびっくりしたのがちっともなくなってるッス♪」 カイトにぃの歌はいつもステキでうっとりですから!とリンは力いっぱいに訴える。 だけど、その答えを聞いたカイトはそっとリンの髪を撫でながらゆっくり言葉を選んで言い聞かす。 「いいかい、これは、魔法なんだ。歌の、魔法。声の魔法が使えるんだ。俺の歌は不思議な力を持ってるんだ」 ふぇ?と間抜けな声が出る。 魔法。 今では国でも1人、もしくは2人くらいしか使えるものはいない。 炎を出したり、明かりをつけたり、不思議な力だというのは家庭教師の授業で習った。 真面目に聞いていなかったからそれくらいしか覚えていない。 「もしかして、あの本のお話の『ボーカロイド』ッスか…?」 リンが大好きな本に、昔話で魔法を使う戦士がそう呼ばれていた。 おとぎ話の存在が今目の前にいる、ということになる。 「できればリンには、知られたくなかった。教えたくなかった。だけど、教えなきゃいけない」 どうして魔法が使えるのか、それがどうして歌なのか。 そして自分が何者なのか。 「カイトにぃはカイトにぃッスよ…?」 カイトは横に首を振る。 伏せていた目を開け、リンの肩をつかみ目を見据える。 「だって君は――」 キィィィィィィィ………………!!! 耳鳴りが一瞬したかと思うと、リンはカイトに口をマフラーでふさがれて担ぎ上げられる。 「ふご、ふごふが!(なに、するッスか!)」 「予定より早かった、いいから黙って」 耳元でそう囁かれてリンは一応黙る。何よりマフラーが口に入ってしまう。 カイトはリンを抱えながら部屋を出て走る。廊下の曲がり角は様子を伺ってから突き進んでいる。 新しいかくれんぼ?とそんな考えがリンに思わずよぎった。 「いいか、ここでおとなしくしてるんだ。少なくても空が明るくなるまで」 リンを部屋に放り投げると、マフラーを外し、口にしぃ、と指を立てて扉を閉じた。 「ちょ、カイトにぃ、意味わかんないよ!」 「黙るんだ! いいか、今からこの扉を挟むように薄い真空の層を数時間だけ作る。その間だけ声も届かないし扉を開けることも壊すこともできない」 「カイトにぃ、カイトにぃ?!」 「ごめん、リン。俺が、君を守る。だから、ここにいるんだ」 「カイトにぃ!」 扉の向こうからカイトが紡ぐ。 「ツェー!」 音の声に光の筋が円を扉に描く。 「エー!ゲー!」 光の筋が青く変色し、文字のようなものが円状に刻まれ、さらに幾何学模様が展開される。 「フィス、アィス!彼のものを守る壁となれ!」 最後にもう一度青い光が放たれるとそれらは消えていた。 だが、扉が先ほどより固く閉ざされている――まるで一枚の板になったような――感覚がした。 「何これ何これ!? カイトにぃ…? カイトにぃ!?」 音がしない。 そこにいるのかすらわからない。 扉を叩くも、扉に吸い取られているような音しかしない。きっと向こうにも音は届いていないのだろう。 壊す勢いで何度も扉を叩き、声がかれるまで賢明に訴えた。 本当にこのまま、朝が来るまで待たなくてはいけないのか。 何かから逃げるようにここへ来たカイト。 先ほどの耳鳴りは、それだったのではないのだろうか。 だとしたらカイトは危険な目にあっているんじゃないのか。 もしかしたらこの扉の向こうで倒れているんじゃないのか。 そんな不安に先ほどの泣きそうなカイトの顔を思い浮かばせる。 リンを傷つけそうになって自分をあんなにも責める人だ。 何かあるはずだ。 「何があったんッスか…? カイトにぃ…」 チィチィチィ、キキキキキ――!! 少し遠くから鳥の大群の鳴き声がする。 城のすぐ横にある森から、一斉に鳥が飛び立ったようだ。 まだ朝には早いし、きっと何かがあって驚いた鳥たちが起きてしまったようだ。 ――カイトはそこにいる。 リンには直感でそう思った。 「行くしかないッスね」 森側に一番近い寝室の壁の前に立つ。 リンの考えではここが一番城の外へ出やすい。 確か、窓伝いでは行けない外壁へ乗り移ることができるわずかな見張り台に飛び移れるはず。 リンは全身の力を、気を集中させる。 剣の稽古のほかに、格闘も他の家庭教師に教えられた。 あまりに力の加減ができないので一通り型を教えられたら先生が辞めてしまった。 城で覚えたことがついに役に立つ、そんなことを思いながらやがて無心になる。 「はぁー…」 息を吐く。そして一瞬息を吸い、 「せぇっ、やぁ!!!」 どごおっ! パラパラ……。 リンの蹴りは薄い壁紙の向こうに石の壁さえもつきやぶり、冷たい風が吹き込む。 リンがなんとかくぐれるほどの穴ができた。 「これでお城の外へ出られる!」 先ほどの計画通り、リンは城から抜け出した。 カイトを追いかけるため、だけど、リンはなぜか大冒険の予感に胸が高鳴っていた。 そう、これは壮大な物語のプロローグにすぎなかった。 リン姫の大冒険、ここに始まる。 前へ 目次 次へ ついに、ついにボーカロイド+プリンセスの世界はじまりました! ファンタジーな世界観でお届けします。 まだまだ謎いっぱいという感じですが、ちゃんと回収するのでご心配なく! この世界のカイトの一人称は俺、リンの語尾が『ッス』になってます。 ちなみにカイトが歌ったのはこれ。 このお話を書くきっかになったのはこちら。 続きのお話が書きたくなってしまったんです…! こんなステキな曲たちを作ってくださって、感謝、感謝です! 作中の魔法の発動方法はいろいろありますが、 カイトが真空の壁を作るのに音階をドイツ語で発音したりしています。 これにも設定が一応あるので、そのあたりも設定紹介ページに載せますね。 かるな
https://w.atwiki.jp/ik-ben-wakei/pages/74.html
教育について、大別してふたつの立場、考え方があるこ。 第一に、教育は個人の中にある素質、あるいは資質を引き出すこと、あるいは、個人の能力を最大限延ばすことであるという、学習する個人の側から教育を見る立場である。 それに対して、第二の立場は、教育を社会の側から見るものである。社会の構成員を、それにふさわしく形成するために、社会が個人を社会に適応させる過程であると考える立場といえる。社会学では、これを「社会化」と称してきた。 個人的教育論の原型は「紳士教育論」である。系統的な教育を受ける存在として、王侯貴族は最も優れた教育を受けてきた。個々の専門領域の専門家が、個別に王侯貴族の子弟あるいは本人を個人的に教えるのが、通常の形態であった。それを紳士教育論という。最も有名な例は、哲学者のアリストテレスが後の大英雄アレキサンダー大王の子ども時代に家庭教師として教えた例であろう。カントやヘーゲルも若い時代には、貴族の子弟の家庭教師をやっていた。そうした教育の方法について具体的に論じたのが、ジョン・ロックの「人間教育論」やルソーの「エミール」であった。教育が、個々人の個性や能力に応じてなされるのが理想であると考えれば、究極に「個人」を教えるのが最も優れた教育形態となる。 しかし、紳士教育論が王侯貴族に対する教育であったことでわかるように、権力や財力をもった者にだけ可能な方法であって、国民全体を対象とする国民教育制度において、それが文字通りの形で実現できるわけではない。 だが、この教育観は、様々な方法や技術を応用することで、現代でも追求されている。 代表的な事例としては、プログラム学習である。教えるべき内容を細かい部分に分解し、それを系統的に並べ、やさしいところから次第にレベルをあげていくように教材を配列している。生徒はやさしい段階から、問題を解きながら学習を進めていく形態である。現在ではコンピューターを使用して、問題だけではなく、コンピューターが解説もしてくれるようになっているので、個々人が自分の段階に応じた学習が可能になっている。 また、現在の日本の学習塾の多くは「個別指導」というスタイルをとっており、一斉授業の形ではなく、個々の生徒が自分の学習を進め、わからない部分を講師に質問する形をとる場合が多い。これも個人に応じた教育を好む傾向の現れであろう。 有名な学校教育のスタイルとしても、集団教育の中に個別的要素をできる限り取り入れる発想は、ドルトン・プランやモッテッソーリ教育などにも見られる。 このような教育的立場は、教育の効果を社会的視点から吟味するということは、あまり見られないと考えてよいだろう。むしろ、王侯貴族の教育については、彼ら自身が「社会」そのものであると考えられていたから、社会の側からみる必要がなかったというべきだろう。 しかし、大衆教育が成立した時代にあっては、教育が社会現象となり、社会科学的に教育をみる必要が生じた。 19世紀に成立した社会学は、折しも成立した国民教育制度の分析から、教育を「社会化」という視点からとらえることになった。社会学は現在なお、教育を「社会化の一環」として理解する。「社会化」とはアンソニー・ギデンズによれば以下のように定義される。 「社会化は、無力な幼児が徐々に自己自覚をおこない、理解力をもった人間になり、その子が生まれおちた分化のならわしに習熟するようになる過程である。」 社会化の理論は、次のような特質をもつといえる。 第一に、人間関係の中でこそ、成長発達するという理解である。従って、野性児や孤立した子どもの研究が重要な意味をもつ。平凡社百科事典での解説はそのことをよく示している。 生物としてのヒトは,社会的存在たる人間となる素質をもって生まれてくるが,自然のままに放っておいて人間になるわけではない。オオカミに育てられた野生児が,人間としての行動様式をまったく獲得していなかった例が端的に示すように,ヒトは社会的環境の中で育てられてはじめて人間になっていく。この過程が社会化 socialization であり,それは個人が社会の一員として必要な知識や技術,行動様式や規範を習得していく過程である。したがってそれは,子どもが一人前の社会人としての人格を発達させていく過程としてみることもできる。社会の側からみれば,それは次の世代へと文化を伝達し,社会を存続,発展させるための後継者をつくりあげていく過程であり,家族や学校,地域社会やマス・メディアなどの種種の集団や制度がそれを担っている。また個人の側からみれば,それは基本的生活習慣から価値観や道徳意識にいたるまで,その社会の一員たるにふさわしい文化内容を習得,内面化し,社会にうけいれられていく過程である。しかし,それは個人が社会の期待する鋳型にはめられ,個性を失って画一化されていくことを意味するわけではない。 (平凡社世界大百科事典 「社会化」高垣 忠一郎) しかし、後に検討するように、オオカミに育てられたという事例を出すことで議論の弱点が出ている。ただ、ギデンズはさすがに、オオカミに育てられた野性児を事例としては出していない。ギデンズの示す事例は、アベロンの野性児と、幼児の頃から一人部屋に閉じ込められたジーニーという少女の例である。 第二に生まれおちた文化環境の中で成長するという論理は、当該文化が発達の「枠」と意識される面が強い。内面化される文化や習俗は、その社会のものであるから、それを超えることが想定されることはあまりない。教育は理想の追求という側面をもつから、既成の価値観を乗り越える志向性をもつ場合がしばしばある。ルソーは「エミール」を書いたあと、危険思想家として貴族・教会勢力から追われる身になった。しかし、文化・習俗を規定のものとして、その内面化を問題とすることからは、その文化を超える発想は生まれにくい。 学校選択制度が日本で議論されているときに、教育行政学の分野の専門家と教育社会学の専門家の間で学校選択制度の評価が、かなり明確に分かれるという現象が起きた。これは、教育行政学は「教育の権利論」から出発する発想が大きく、権利が満たされない状況をどのように充足させていくかという観点から制度を見るのに対して、教育社会学は既存の制度を前提に考えるために生じた差異であろうといえる。もちろん、教育社会学が常に学問的に保守的であるわけではないことも、否定することはできない。 戦前の日本の教育は、教育を「国家」の側から統制しようとしたものであり、それは教育の定義にも関わっていた。 「元来教育といふことは如何なる事であるか。之に付て往々誤解がありまする。諸君の間には固よりありますまいが、世上の教育の事に関係を有って居らぬ間には教育と学問を混同する者もあります。是は注意すべきことでありまして、学問は学者の研究する所でありまするが、教育は国民を鎔鑄する仕事であります。学問は銘々個人の仕事でありますが、教育は公けの仕事であります。国家の仕事であります。夫故に教育は国家が国家の方針に依ってするものであります。学問は国家の干渉を受けず銘々事由独立の違憲を以てするのであります。」(穂積八束「国民道徳の本旨」東京都内府部学務課編 大空社「日本教育史基本文献・史料叢書5」p3
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/646.html
はァハァハァハァ・・・ 「ちょっと、キョン!もっとスピードだしなさいよ?だらしがないわね!」 ハァハァ・・煩いぞハルヒ・・荷台に座っているだけのお前には判らんだろうが、さっきから延々と緩い登り坂が続いているんだ・・・。 今、俺は自転車の荷台にハルヒを乗せ、この一見平坦に見える心臓破りの坂道を往年のスポ根ドラマも真っ青なくらいの汗を流しながら登っている。 「しかし、オシリが痛いわね。自転車にも後部座席の必要性を感じるわ。」 勝手な事を。 仮にそんな自転車があったとして、おまえは一体だれに運転させる気・・・って俺か。 ああ・・本気で疲れてきた・・・もうマジメに後ろの煩い荷物に取り合うのはやめよう。 感情を捨てマシンになるんだ。 頑張れ、オーバーヒート寸前のエンジンな俺・・・ ところで、俺が何故オーバーヒートでエンジンなのかを説明する必要があるな。 話は、つい先程の放課後の部室へ遡る。 放課後、いつもの様に俺は部室へ向かった。 まあ、この妙な団体の根城をごく自然に「部室」と言えてしまうあたり、自分が周囲の言うところの「涼宮ハルヒとその一味」である事を認めざるおえなくなる要素としては十分な訳だが、最近はそれも悪くないかと思う様になっていた。 一応、朝比奈さんの生着替えを警戒(?)しつつドアをノックする。 返事が無い・・・か。 俺は少し安心してドアをあけ・・・あれ?ハルヒ? 居たのか。 「何よ、残念そうな顔して。何を期待していたのかしら?」 何も期待はしていない。 しいていうならば朝比奈さんの「癒し効果」くらいなものだ。 しかし今日のハルヒは、いつになく不機嫌・・・というよりは体調が悪いのか? 少しだけ顔色も悪い様だ。 「今日の体育の時間、バレーボールだったのよ。たぶん、やったのはその時ね。」 と、言いながらハルヒは椅子に座ったままスカートをめくりあげた。 瞬間、俺は息を飲んだ。右膝から太股の方に向かって赤く、紫が少しかかったピンクの様に腫れ上がっている。 「あ、今パンツ見たでしょ。」 断じて見てない。 しかし、どうするんだ?家に帰るにも、病院に行くにも・・・歩けるのか? 「ふっふーんww」 あ。そういうことか。 みんなを早々に解散させ、遅れて来るであろう俺・・・つまりこの場合は「帰りの足にある自転車とその動力要員」を待ち構えていたと。 「さぁ、キョン?帰るわよ!アタシを送りなさい!」 って、なんなんだよ。 だいたい俺だって、その怪我を見せられれば「送って行こうか?」と言ってやれるくらいの甲斐性はあるつもりだ。 ていうか、こいつの家は何処だっけ? 「何をボケーッとしてるのよ!とりあえず駐輪場までは気合いで歩くわっ!・・・あれ?」 ガタッ ハルヒは、勢いよく立ち上がったものの怪我をしている足を中心に姿勢を崩し慌てて机に手をついた。 こりゃだめだな。ほら、担いでいってやるからおぶされ。 「・・・な、なによ!!平気なんだからっ!」 無理だ。いいから。 「おんぶは・・・その・・・私の見た目よりも豊満な胸がアンタの背中に当たって結果的にアンタを喜ばせるからイヤ!」 ・・・。 じゃあどうするんだ?足の痛みと腫れが治まるまで部室にて引きこもり生活か? 「ち、ちがうわよ!胸が・・・胸が当たらない運び方だってあるでしょ!?よく考えなさいよ!バカキョン!」 胸が当たらない運び方・・・肩車か?いや、この場合は後頭部に胸よりもマズいあの部分が当たる計算になるな。さてさて、どうしたものか。 「だから、背中じゃなくて前で!」 前?まさか・・・ `おひめさまだっこ´の事か? 「べ・・・べつにアンタに好意的に抱き上げてもらうわけじゃないんだからねっ! アタシの貞操を守る為の不可抗力なんだからね!」 どういう貞操だかなんだか知らないが。 まあ、赤面しながら必死に言い訳する可愛さに免じて許してやろう。 よいしょっ。 痛くないか? 「ん、大丈夫。・・・キョン・・・?」 なんだよ? 「ありがとう」 少し照れくさかったので、少しだけ鼻を鳴らして答えた。 しかし、こんなとこ谷口に見られたらヤバいな。長門の一件もあることだし。 「あ、何か今イヤらしい事考えたでしょ?」 まったく何を根拠に・・・まあ、あの時の長門の事を少し思いだしたりしたが。 とにかく駐輪場まで急ごう。 駐輪場に着く頃なると、ハルヒは少し汗ばんでいた。 それが、痛みによるものなのか俺と同じく誰かに見られる可能性に対しての緊張による・・・て事は無いだろうな。 痛むか?医者に行くか? 「いい、やめておくわ。外科だったら、ここから一番近くて田代医院でしょ?あそこの親父、目とか手つきとか全てがいやらしいのよ」 以外だな、おまえでも医者にかかる事があるんだ? まあ、今日を除いてだが。 「ほら、前に草野球大会に出たでしょ?その日はなんとも無かったんだけど、次の日肩が痛くて腕があがらなかったのよ。かといって学校で隙を見せるのはポリシーに反するのよね。だから痛み止めくらいは貰えるかと思って行ったなの。」 たいしたポリシーだ。 「そうしたら、肩が痛いって言ってるのに『肩の筋肉は胸へとつながっている』とか言って胸を触ろうとするのよ!」 むう、こんなエロビデオを谷口に借りた事がある・・・いやいや、許せん医者た! で、どうした? 「アタシ言ってやったわよ!『なるほど、肩が胸ですか。良いことを聞いたわ!帰ったらお母さんに報告しなきゃ!先生に胸をイッパイ触ってもらったから、肩がすぐ治りそうってね?』ってね!」 先生、あんたもある意味災難だな。 結局、ハルヒは湿布と痛み止めを「進呈」してもらい、その場を後にしたらしい。 ん、良いんじゃないか?また行けば、きっとタダで診察してくれるんじゃ・・・ 「あんな変態に胸触らせてまで、薬なんか欲しくないわよ!お金ちゃんと払ってマトモな医者に看てもらった方が遥かにマシだわ!」 目とか手つきがいやらしい→変態に進化したところで、そろそろ行くか? 「そうね。飽きの来ない走りを期待してるわ。」 なんだよそれ。 俺はハルヒを横向きで座らせると、夕焼けと呼ぶにはまだ早い午後のオレンジ色の太陽に向かい走り出した。 そして今、俺は「一見平坦に見える心臓破りの坂」を登りきり、頂上(?)付近にあるオアシスに到着した。 自動販売機と赤いベンチ、今の俺にとって最高の組み合わせだ。 少し休もう。 「まったく、アンタが必死にペダル踏んでるのを見てたら、こっちまで喉が乾いちゃったわよ!何か買ってきて。」 へいへい。 いつもの果汁100%で良いのか? 「・・・アンタと同じでいい。」 え?俺、コーヒーだぞ? 「いいから、いいって言ってるのよっ!」 やれやれだ。 しかし、さっき背中ごしに聞いたハルヒの家の場所は、「自転車でも十分行ける距離だからこのまま送ってやる」と俺に言わせるくらいの場所だったものの、いざ走り出すと想像以上に遠い。自分の距離感覚の鈍さを呪いたくなる。 まあ、あと少しだと言うし頑張るか。 とりあえず俺は冷たいのを、ハルヒには温かいのを買いベンチに戻る。 販売機からコーヒーを取りだし振り返ると、目の前にニュース番組のエンディングで流れるような夕焼けがひろがっていた。 そうだ、あの坂を登っている時は気付かなかったけど、俺達の進む方向から見て左側は斜面になっていたんだ。 すごいな・・・ 思わず口にしたあと、俺はふとハルヒの方を見た。 別に、つい口から出た感嘆の言葉に同意を求めた訳じゃない。 ただ、なんとなく。 ? ハルヒは、夕焼けではなく俺を見ていた。 今までで見せたことも無いような、優しくて切なげで・・・ 俺は何か語りかけなくてはいけないという衝動にかられ、必死に言葉を探す。 足、大丈夫か? 「大丈夫じゃないわね。」 ハルヒの表情が普段と同じになった事に妙に安心した俺は、ハルヒの隣に腰を降ろした。 無理はしない方がいいぞ? 「いやよ!明日も学校に行くわ!」 ? しかしだな、いくら行きたくても体の具合如何ではどうにもならんだろ。 コーヒーを差し出しながら、俺は諭すように語りかける。 (ハルヒは、コーヒーを飲むときでも一気に飲んで「プハーッ」てやるのだろうか) などと、くだらない事を考えながら。 しかし、ハルヒはコーヒーを手にとったもののしばらく黙っていた。 しばしの沈黙 もう日が沈むな・・・ なあ、ハルヒ。 そんなに学校に行きたいか? 「決まってるじゃない。でも、無理ね。この足じゃ電車にも乗れない・・・」 ハルヒにしては随分と弱気だな。怪我のせいでナーバスになっているのだろうか。 「でも行きたいのよ。なんとかして。」 まあ、今までもハルヒの我儘には振り回されっぱなしだった訳だが、生憎俺は「岬に住まう天才外科医」でもなければ「未来の世界の猫型ロボット」でもないわけで・・・まあ、自転車の後ろに乗せて運んでやる事くらいしか・・・ ってあれ?まさか・? まさか、この言葉をハルヒは待っていた?今、思い付いてしまったこの言葉を! しかしだ、これを言ってしまったなら明日からまた「一見平坦に見える心臓破りの坂」を登る羽目に・・・ まあ・・・いいか・・・ なあハルヒ、俺が迎えに来てやる。 自転車の後ろに座ったままなら学校に行けるだろ。 ただ、おひめさま某は確実に無理だが。 次の瞬間、ハルヒの表情は極上の笑顔変わっていた。 「まあ、いいわ!アンタがそこまで言うのなら、迎えに来なさい!」 ああ、明日から大変だこりゃ。 「・・・キョンの今回の申し出に対して、団長として私は・・・」 ん?副団長の座なら古泉に与えただろ?副副団長なんて意味不明な役職は要らないし、別に副団長ってのも要らな・・・あれ? ハルヒの顔がどんどん近付いてくる・・・ やがて唇と唇が重なった・・・ ん?ちょっと待て! 少しだけ、唇同士の距離を確保しつつ俺が言う。 (団長として!っての外せよな。) 「・・・バカ。」 ベンチには重なりあった二人の薄い影と、コーヒーの缶が二つ・・・ おわり
https://w.atwiki.jp/twin_world/pages/29.html
夏休みも後半にさしかかり、陸は宿題に追われていた。 昨晩も遅くまで計算ドリルをしていて、起きてきた頃にはすっかり昼近くだった。 「おはようございます、陸」 台所からカイトが姿を見せる。 カイトの好奇心も落ち着き始め、今ではすっかり家事をこなすまでになっていた。 今日も早起きをして他の家事をしつつ、陸が起きてくるのを待っていたのだ。 「カイト~今日はオムレツがいいな~」 「はい、お待ちくださいね」 コンコン、と軽やかに卵を割り、さっそく溶き始める。 安売りしていたという薄いピンクのエプロンが、なぜだかカイトにとてもなじんでいた。 まるで保父さんみたい、というのが家人2人の意見だ。 「も~昼かぁ~。…カイト、じいちゃんは?」 「渡海プロフェッサーならお出かけになられてますよ。なんでもお客さんが来るとか…」 「まじで。やべ。先にちょっと着替えてくるよ」 「はい。その間に焼いておきますね」 タタタ…。 陸が足早に部屋へ戻り、ちょうどオムレツが焼きあがる頃、来訪を告げるチャイムが鳴った。 「はーい」 エプロンを外しつつ、カイトは玄関へ向かう。 もしかしたらあのお客さんかもしれない。 そう思い、少し緊張気味に扉を開いた。 「お帰りなさい、プロフェッサー……あれ」 「おかしいわね。ここは私の家じゃないんだけど」 カイトより少し背が小さいがスタイルのいい、栗色の短髪の女性がそこに立っていた。 ちなみに彼女一人である。 「あの、どなた様でしょうか?」 「そういうあんたこそ、人の家で何してるの。ここは明さんの家でしょう」 「あ、あきらさん…!?」 確か渡海プロフェッサーのファーストネームは明、だ。 人間は近しい関係の人を呼ぶときに使ったりする。 ということはこの女性は渡海プロフェッサーの知り合い、いや、もしかしたらすごく親しい人なのかも! でもでも、この女性はどうみても20代だ。 渡海プロフェッサーの奥様はすでに亡くなられていて、陸の父親にあたる息子さんのお嫁さんもすでに30後半だっていうし。 ということは、ということはである。 この人はプロフェッサーの、こ、こ、こ、…! 「どうしたの? 口開けたまま固まっちゃって」 「あ、あの! あなたはも、もしかして渡海プロフェッサーの」 「おお!メイコ!やっぱり家に来てたか!」 「明さん!」 ぜえぜえ、と息をきらせて明が帰ってきた。 ちなみに彼一人である。 「あの、プロフェッサー、お客様は…?」 「ああ? 彼女がそうだ。迎えに行くと言ったんだが、先にうちに来てしまったらしい」 「私は明さんのうちまで行くといったからいいのに。心配性なんだから」 ほほを少し赤らめて、親しげに話す二人を呆然と見つめるカイトは、先ほどの考えが再びよぎる。 この人は、まさか渡海プロフェッサーの恋人なんじゃぁ……! 「一人にしておくと何かと危ないだろう、お前さんは・・・。とにかくあがっとくれ。ちなみに! 家のものに触るんじゃないぞ、メイコ!」 「いやだわ、明さんてば」 「あ、スリッパをどうぞ」 メイコ、という女性をリビングへ案内しつつも、カイトの頭の中は『歳の差婚』の文字が浮かんで消えなかった。 どうしよう、陸はまだ12歳だし、ショックをうけるんじゃないだろうか。 いや、そうに違いない。 第一、歳の差婚は「ザイサン目当て」っていうし! カイトの思考回路はそこで決定し、二人の仲を陸のために引き離す使命に火がついてしまっていた。 「カイト、お茶を淹れてくれ」 「は、はい」 「私はワンカップね」 「お前さんはまた! いーから、二人とも茶でいいぞ」 「は、はぁ…」 カイトは言われるままに茶を淹れたが、昼間からお酒を要求する女性なんて!と怒りに燃えた。 こういうときはあれだ、昼ドラのOLがお茶を淹れるときにやっていたことを実践して相手を怒らせれば別れるんじゃ!? そんなことを考え、カイトは思いつく限りのいやがらせを茶に込めることにした。 「ど、どうぞ」 二人分の茶を置き、ハラハラと行く末を見守る。 なんでもないような会話を続ける二人だが、すぐにその機会が訪れる。 メイコが茶を持った。 よし!これで渡海家の未来は守られ―― 「え! 何、じいちゃんお客さんって女の人!?」 しまった! カイトはここで重大なミスに気がついた。 陸がリビングに戻ってきてしまったのだ。 すっかり身なりを整え終わっている。 「ああ、やっときたな。改めて紹介する。この人は――」 さあ、とカイトの顔が青ざめた。 もう終わりだ。どうやって陸をなぐさめよう? いや、それよりも二人をなんとか別れさえる方法をあの占い師にでも鑑定してもらおうか。 「カイトの姉にあたる、MEIKO。ボーカロイドのメイコじゃ」 「へ?」 「うっわー。きれいなおねえさん、ボクじいちゃんの孫の陸。よろしく」 「あら、愛想のいい子供は大好きよ? メイコさん、って呼んでね」 陸とメイコはすっかり打ち解けて握手などをしている。 その場に凍りついたカイトは、目が点になったまま微動だにしなかった。 「どうしたカイト?」 明がたまらず声をかける。 「プロフェッサー、僕に姉って…」 「いっとらんかったか? 今日おまえさんの姉を連れてくるって」 「お客さんとしか聞いてません!」 「変なやつだなー。そんな怒ることないだろう?」 カイトの不審な態度に首をかしげつつも、明はメイコをカイトの前へ立たせる。 「これがお前の姉、メイコ。で、メイコ、これがお前の弟にあたるカイトだ」 ふーん。と、つぶやいて、メイコは品定めをするように頭から足元までカイトを見回す。 とりあえず、カイトは動揺を隠しつつ改めて挨拶をした。 「あ、あの、は、はじめまして」 カイトがそう言うと、メイコはふうとため息をついた。 「なんだ、女の子じゃないの?」 予想だにしなかった展開に、カイトの笑顔が固まる。 後ろで聞いていた陸も、閉口したようだ。 「女性型の次は男性型だって言っただろーが」 「だってぇ、可愛いほうがいいじゃない?」 明の言葉もむなしく、カイトの心には何故かさみしい風が吹いていた。 「す、すみません、僕男で・・・」 先ほどまでの自分の考え違いも手伝ってか、カイトはうなだれた。 「あ、でも」 つい、とカイトのあごをメイコは指で持ち上げる。 「よっくみるとあなたも可愛いじゃない?っていうか可愛い弟なんだし、仲良くしましょ」 仲良くしましょ、という言葉に、カイトは心底安心した。 思ったよりいい人そうだ。そもそも自分の勝手な妄想だったわけだが。 「よ、よかった。メイコさんいい人で」 胸を撫で下ろして、思わず考えたことを口にしてしまう。 「まぁねー」 「えへへ」 よかった、今度、おねえさんって呼んでみようかな。なんてカイトが考えていると、メイコはこう言い放った。 「じゃ、ワンカップ買ってこい」 「え!?」 「あんた、これ、私に飲まそうとしてたでしょ? …殺すわよ」 パキン!と、茶器がメイコの手の中で砕けた。 割れたのではなく、粉々に砕けたのだ。 カイトが今までに見たことのない全力疾走でスーパーまで買いに行ったのは言うまでもない。 「やっぱりメイコの性格設定間違えたかー」 「じいちゃん…」 こうして。 姉と弟のファーストコンタクトは、姉>弟という立場を見事に決定したのであった。 すっかり日も暮れた頃。 「ところで、メイコさんはどうしてうちにきたの?」 陸は晩御飯ができるのを待ちながら、ソファでくつろぐメイコに尋ねた。 「メンテナンスのためよ。一週間ぐらいここに泊まるわ」 その直後、台所から皿の割れる音が響いた。 「可愛い弟の調教、じゃなかった、調整につきあってやらないとね」 ニヤリ、とメイコは笑った。 カイトの受難はまだまだ続く。 前へ 目次 次へ というわけでメイコさん登場です。 なんかカイトが痛い子でメイコさんが最強でごめんなさい(汗) 第一印象が悪かっただけで、きっと二人は仲良くなるよ、きっと! ちなみにカイトは陸が勉強中のときにテレビばっかみてました。 その影響でちょっとお馬鹿さんです。だけどこれからカイトメインになっていくので 成長っぷりに乞うご期待です! では、最後まで読んでいただき感謝感謝です!
https://w.atwiki.jp/touhoukashi/pages/1765.html
【登録タグ ふ ラストオカルティズム ~ 現し世の秘術師 ランコ 少女煉獄第参巻 曲 豚乙女】 【注意】 現在、このページはJavaScriptの利用が一時制限されています。この表示状態ではトラック情報が正しく表示されません。 この問題は、以下のいずれかが原因となっています。 ページがAMP表示となっている ウィキ内検索からページを表示している これを解決するには、こちらをクリックし、ページを通常表示にしてください。 /** General styling **/ @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight 350; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/10/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/9/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/8/NotoSansCJKjp-DemiLight.ttf) format( truetype ); } @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight bold; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/13/NotoSansCJKjp-Medium.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/12/NotoSansCJKjp-Medium.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/11/NotoSansCJKjp-Medium.ttf) format( truetype ); } rt { font-family Arial, Verdana, Helvetica, sans-serif; } /** Main table styling **/ #trackinfo, #lyrics { font-family Noto Sans JP , sans-serif; font-weight 350; } .track_number { font-family Rockwell; font-weight bold; } .track_number after { content . ; } #track_args, .amp_text { display none; } #trackinfo { position relative; float right; margin 0 0 1em 1em; padding 0.3em; width 320px; border-collapse separate; border-radius 5px; border-spacing 0; background-color #F9F9F9; font-size 90%; line-height 1.4em; } #trackinfo th { white-space nowrap; } #trackinfo th, #trackinfo td { border none !important; } #trackinfo thead th { background-color #D8D8D8; box-shadow 0 -3px #F9F9F9 inset; padding 4px 2.5em 7px; white-space normal; font-size 120%; text-align center; } .trackrow { background-color #F0F0F0; box-shadow 0 2px #F9F9F9 inset, 0 -2px #F9F9F9 inset; } #trackinfo td ul { margin 0; padding 0; list-style none; } #trackinfo li { line-height 16px; } #trackinfo li nth-of-type(n+2) { margin-top 6px; } #trackinfo dl { margin 0; } #trackinfo dt { font-size small; font-weight bold; } #trackinfo dd { margin-left 1.2em; } #trackinfo dd + dt { margin-top .5em; } #trackinfo_help { position absolute; top 3px; right 8px; font-size 80%; } /** Media styling **/ #trackinfo .media th { background-color #D8D8D8; padding 4px 0; font-size 95%; text-align center; } .media td { padding 0 2px; } .media iframe nth-of-type(n+2) { margin-top 0.3em; } .youtube + .nicovideo, .youtube + .soundcloud, .nicovideo + .soundcloud { margin-top 0.75em; } .media_section { display flex; align-items center; text-align center; } .media_section before, .media_section after { display block; flex-grow 1; content ; height 1px; } .media_section before { margin-right 0.5em; background linear-gradient(-90deg, #888, transparent); } .media_section after { margin-left 0.5em; background linear-gradient(90deg, #888, transparent); } .media_notice { color firebrick; font-size 77.5%; } /** Around track styling **/ .next-track { float right; } /** Infomation styling **/ #trackinfo .info_header th { padding .3em .5em; background-color #D8D8D8; font-size 95%; } #trackinfo .infomation_show_btn_wrapper { float right; font-size 12px; user-select none; } #trackinfo .infomation_show_btn { cursor pointer; } #trackinfo .info_content td { padding 0 0 0 5px; height 0; transition .3s; } #trackinfo .info_content ul { padding 0; margin 0; max-height 0; list-style initial; transition .3s; } #trackinfo .info_content li { opacity 0; visibility hidden; margin 0 0 0 1.5em; transition .3s, opacity .2s; } #trackinfo .info_content.infomation_show td { padding 5px; height 100%; } #trackinfo .info_content.infomation_show ul { padding 5px 0; max-height 50em; } #trackinfo .info_content.infomation_show li { opacity 1; visibility visible; } #trackinfo .info_content.infomation_show li nth-of-type(n+2) { margin-top 10px; } /** Lyrics styling **/ #lyrics { font-size 1.06em; line-height 1.6em; } .not_in_card, .inaudible { display inline; position relative; } .not_in_card { border-bottom dashed 1px #D0D0D0; } .tooltip { display flex; visibility hidden; position absolute; top -42.5px; left 0; width 275px; min-height 20px; max-height 100px; padding 10px; border-radius 5px; background-color #555; align-items center; color #FFF; font-size 85%; line-height 20px; text-align center; white-space nowrap; opacity 0; transition 0.7s; -webkit-user-select none; -moz-user-select none; -ms-user-select none; user-select none; } .inaudible .tooltip { top -68.5px; } span hover + .tooltip { visibility visible; top -47.5px; opacity 0.8; transition 0.3s; } .inaudible span hover + .tooltip { top -73.5px; } .not_in_card span.hide { top -42.5px; opacity 0; transition 0.7s; } .inaudible .img { display inline-block; width 3.45em; height 1.25em; margin-right 4px; margin-bottom -3.5px; margin-left 4px; background-image url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2971/7/Inaudible.png); background-size contain; background-repeat no-repeat; } .not_in_card after, .inaudible .img after { content ; visibility hidden; position absolute; top -8.5px; left 42.5%; border-width 5px; border-style solid; border-color #555 transparent transparent transparent; opacity 0; transition 0.7s; } .not_in_card hover after, .inaudible .img hover after { content ; visibility visible; top -13.5px; left 42.5%; opacity 0.8; transition 0.3s; } .not_in_card after { top -2.5px; left 50%; } .not_in_card hover after { top -7.5px; left 50%; } .not_in_card.hide after { visibility hidden; top -2.5px; opacity 0; transition 0.7s; } /** For mobile device styling **/ .uk-overflow-container { display inline; } #trackinfo.mobile { display table; float none; width 100%; margin auto; margin-bottom 1em; } #trackinfo.mobile th { text-transform none; } #trackinfo.mobile tbody tr not(.media) th { text-align left; background-color unset; } #trackinfo.mobile td { white-space normal; } document.addEventListener( DOMContentLoaded , function() { use strict ; const headers = { title アルバム別曲名 , album アルバム , circle サークル , vocal Vocal , lyric Lyric , chorus Chorus , narrator Narration , rap Rap , voice Voice , whistle Whistle (口笛) , translate Translation (翻訳) , arrange Arrange , artist Artist , bass Bass , cajon Cajon (カホン) , drum Drum , guitar Guitar , keyboard Keyboard , mc MC , mix Mix , piano Piano , sax Sax , strings Strings , synthesizer Synthesizer , trumpet Trumpet , violin Violin , original 原曲 , image_song イメージ曲 }; const rPagename = /(?=^|.*
https://w.atwiki.jp/llnj_ss/pages/1179.html
元スレURL 歩夢「ふたつの心」せつ菜「ひとつの思い」 概要 お互いの心情が分かるようになってしまったあゆせつ 相手の感情を共有していくうちに二人は… タグ ^上原歩夢 ^優木せつ菜 ^あゆせつ 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/628.html
昨日はハルヒを乗せて夢中で自転車を走らせた。 ハルヒはいつになくはしゃいで、俺もなんだかたくさん笑った・・・気がする。 だからだろうか。 今朝はヤケに膝の裏あたりと腹筋が痛い。 そして俺は今、もうすっかり馴染みになったこの坂道を登りきり、ハルヒとの待ち合わせ場所に向かっていた。 そのままでいい・・・か・・・。 ふと、昨日のハルヒの言葉を思いだした。 実は・・・いや、昨日の夜に考えたんだが、俺はこの2日間の出来事を無かった事にしようと思っていた。 別に努力して忘れようという事じゃない。 ただ、キスの事や告白(なんだろうな、この場合)の事が起こる前の状態に俺の意識を近付ける事が、ハルヒと自然に接する為には一番良い事だと考えたからだ。 それに・・・ハルヒもそれを望んでいる様な気がしたから。 しばらくして、俺は待ち合わせ場所の近くまでやってきた。 ハルヒの住む集合住宅に併設された公園、そこにある時計台の下が約束の場所だ。 俺は、時計台の時計を読み取れる位置まで近付いていた。 六時・・・五十分か・・・・。 そして、その下にハルヒを見つけた。 おーい・・・と手を振ろうとして、ハッとする。 何、ガラにも無い事しようとしてるんだよ、俺! ハルヒも近付いてくる俺に気が付いた様だ。何となく素振りでわかる。 まあ、先に待っていたのはハルヒだから、この場合は到着と同時に「おそいわよ!バカキョン!」が関の山だな。 よう! 「ふふん、おはよう!」 ! (こ・・・れは・・一体) 「?、早く行くわよ?」 あ・・・ああ、そうだな。 さてさて、どうしたものか。 予想外の微笑みに倒壊しそうな平常心を必死に支えながら、俺は走りだした。 ぐっ・・・むう・・ね・・眠い・・・ 今、何時間目だ? 授業中、俺の意識は朦朧としていた。 慣れない早起きと早朝サイクリングを始めて2日目・・・ この強烈な眠気の理由は正にそれだ。 ああ・・・もうだめ・・マジで寝る・・・ (ぶすっ) っ・・・痛っ!!? 突然、背中に蜂にさされた様な痛みが走る。俺は思わず振り返った。 ハルヒがニヤニヤと笑っている。 なんだよ! 「寝るな、ボケ!」 どうやらペンの先で俺の背中を刺したらしい。この悪魔。 「もう四時間目でしょ!我慢しなさいよね!」 ああ、もう四時間目か・・昼休みになったら、少しだけ寝よう・・・どこかで・・・ 「あ、そうそう!キョン?昼休みはアタシに付き合いなさい?」 ! 勘弁・・・してくれ。 「わかったわね!」 ああ。わかりました、わかりましたよ、トホホ・・・ やがてチャイムがなり、ハルヒは俺の手を掴むや否や相変わらずの勢いで走りだし教室を飛び出した。 「着いたわよ!」 ん?部室棟じゃないか。 俺がいつもの入り口から入ろうとすると、ハルヒが手を引き止めた。 「ちがうの!こっち来て・・・?」 裏口? 「ほら、ここ!」 そこには、縁側のある茶室があった。 「茶道部の茶室なのよ。でも、あそこの部は全員三年生で受験でしょ?だから、今は空き家ってわけ!」 ハルヒが得意気に語る! で、ここが何だってんだ? 「はぁ?昼寝をするのよ!」 誰が! 「アンタに決まってるでしょ!時間になったらアタシが起こしてあげるから、存分に眠るのよ!」 どうやら、ハルヒは俺に昼寝の場所を提供したかったらしい。 自分を迎えに来ているのが原因で、俺を疲れさせてしまっている、という後ろめたさからの行動か? いや、この場合は単純に俺が眠そうだったから・・・だろうな。 しかし最近、ハルヒが俺の為に何かをしてくれる事が多くなった気がする・・・ 「さあ!早く寝なさい!」 そ、そんなすぐには寝れん! だいたいだな、畳に直に寝るってのはだな、ベッド派の俺には・・・ 「もう、しょうがないわね・・・」 そう言うとハルヒは、俺の肩に手を回して自分の方へ引き寄せた。 ? 何を? 「いいから、そのまま横になりなさい。」 ! 「このアタシが膝枕をしてやろうってのよ?快眠は保証されたわね!」 見上げたハルヒの表情は、紅潮しきっていた。 そうだな、保証されたな・・・ 俺は目を閉じた ・・・っ !? 暗い? おい!ハルヒ?ハルヒ! 「う・・ん・・・」 ハルヒっ! 「ん!あああっ?ちょっとキョン!なにこれ!なんで暗いわけ?」 いま何時だよ!? 「七時・・・ っ?夜の?」 慌てて時計を見たハルヒが目を丸くする。 この時点で俺は概ねの事態を把握した。 ハルヒは俺を膝枕したまま、おそらく自分も眠ってしまったんだろう。しかし・・・よくもまあ、この姿勢で・・・ 「痛っ・・・」 ん?足が痛むのか?そういえばお前、この前の怪我・・・ 「ちがう、アレはもう大丈夫。今は・・足痺れた・・・」 そ、そうか。 まあ、とにかく家に帰ろう。痺れが治まったら校舎に鞄を取りに行くぞ? 「ええ、そうね。」 やがて、俺達は茶室を出て部室棟の出口へと向かった。 なんか・・・いつぞやの閉鎖空間の様だな・・・ 灯りらしい灯りの無い部室棟の廊下は妙に薄気味悪い。 俺はハルヒが後ろからついて来ているのを確かめながら、足早に廊下を抜け出口へ辿りついた。 ドアに手をかけながら、ふと思う。 (そういえば、俺達は昼休みの時点で校内から忽然と姿を消したことになるな。 そのあと他の奴らはどうしたろう。 それにSOS団のみんなは?) まあ、いい。とりあえず帰・・・ ガチャ 開かない? 「どうしたの?」 開かないんだ! そう言って、俺は思い出した。 この建物の入り口のドアには鍵が付いていない事。 その代わりに、外側から南京鍵と鎖を使って施錠している事・・・ つまり、閉じ込められた? 「ばかねぇ!窓から出れば・・・あ!」 俺は既に気付いていたが、ハルヒも言いかけて気付いた様だ。 この建物の全ての窓には鉄製の格子が取り付けてある。 以前、窓を割って侵入したと思われる窃盗犯にコンピ研のパソコンを根こそぎ盗まれて、その事後対策として取り付けられたらしい。 閉じ込められたか。 もはや帰宅を諦めかけた瞬間、ハルヒが上着のポケットから携帯を取り出した。 そうか!良いぞハルヒ!助けを呼ぶ・・・ 「あ、もしもし?母さん?アタシ今夜、朝比奈さんの家に泊まるわ!何?決まってるでしょ?恋の悩みを一晩かけて打ち明けまくるのよ!じゃあねっ!」 おい・・・今の電話・・? って、また電話するのか? 「あ、もしもし?みくるちゃん?いい?今からアタシな言うことを瞬時に理解するのよ!万が一、アタシの母親から電話がかかって来たら、涼宮さんは寝てますって言うのよ?解ったわねっ!」 て、おいハルヒ!お前まさか帰らないつもりか! 「何言ってるのよ!夜の部室棟、歴史ある部室棟、様々な怨念を蓄え続けた部室棟!何かが起こるわっ!」 夜と歴史までは把握した。だが怨念とは・・・ 「さあ!とりあえず、我が部室に戻って作戦を練るわよ!」 ・・ああ、なんてこった。 夜十時を回った。 結局、ハルヒが望む様な現象や、それに匹敵する事件は起る筈も無く、俺達は他愛の無い会話やネットサーフィンを楽しんだ後、部室に買い置きしてあったカップ麺で物足りない夕食を済ませた。 なあ、ハルヒ。 本当に泊まるのか? 「何よ、嫌なの?」 いや、賛成した覚えは無いが今更反対もしないさ。 ただ、何処で寝るんだ?少しだけ冷えてきた気もするし。 「そうね・・・さっきの茶室はどう?確か火鉢が電気ストーブになってた筈よ?」 よし、行くか。 「あっ、そうか!」 茶室に着いた俺は、ある事に気付いて思わず声をあげた。 おそらく、ハルヒも同じ事に気付いた筈だ。 昼間、俺達がこの茶室に入った裏口、ここから、簡単に外へ出られる! よし!帰るか! 「・・・。」 ん?どうした? 「嫌・・・。」 ん?親には「やっぱり帰ってきた」って言えば良いと思うし、朝比奈さんには明日・・・ 「嫌よ!」 おい、そんな・・・ 「そんなに、嬉しそうな顔するな!バカキョン!」 ハルヒはそう叫ぶと、背中を向けて座りこんでしまった。 やれやれだな。 俺は、とりあえずストーブのスイッチを入れた。 緩やかに熱線部分がオレンジ色を放ち始めた。 なあ、ハルヒ・・・ 「何よ。」 すまない。 「何・・・」 俺は、何と無くハルヒの怒った意味が分かっていた。 昨日、気持ちをぶつけられたからだろうか。だから、無神経にも裏口を見つけて喜んでしまった事を少し悔んだ。 なあ、ハルヒ。 朝まで一緒にいよう。 「・・・!」 ハルヒの背中が少しだけ震えた気がした。 そして、少しだけ振り返りながら呟く用に俺に語りかける。 「・・・本当はね、真夜中の部室棟なんかには興味なかったの。ただ・・閉じ込められて・・・キョンと二人きりになれて・・・最高の気分だったわ・・・」 知ってたさ 俺は、ハルヒが愛おしくてたまらなくなった。そして、それと同時に感じたハルヒの気持ちに対する呆れるくらい鈍感な自分の全てを償い衝動に駆られた。 ハルヒ・・・ 「?・・・!」 背中からハルヒを抱く。少しだけ甘い香りがした。 そして俺は、昨日の放課後にハルヒに言うべきだった言葉を、たった今思い付いた。 少し遅れ気味かもしれないけど、今ならまだ間に合う気がした。 俺も、お前の事が大好きだ。 とりあえず第一部完
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/651.html
放課後・・・である。 俺は足早に部室棟に向かい歩いていた。 実は今朝、古泉に『後で話がある』と持ちかけたものの、すっかり場所を特定するのを忘れていたのだ。 とりあえず、部室に行けば・・・そう考えて、急いでいるわけだ。 部室に到着した俺は、すぐにドアを開けようとして、一瞬躊躇った。『そうだ、朝比奈さんの着替えを警戒せねば』 思い直して、ゆっくりとドアをノックする。 トントン 返事は無しか?あれ? 微かに、何か聴こえる。 水道の水が流しに流れる音・・・ そして・・・ 微かに聴こえる歌声・・・ ♪指を 繋いだら oh friends 時が止まる 気がした ・・ 朝比奈さんが歌っているのか? あの、文化祭の映画での歌の印象が強烈だったせいか、意外な美声に少し驚く。 あ、そうだ。古泉、古泉。 朝比奈さん、居ますか?入りますよ! 「あ・・・は~い!」 部室のドアを開けると、朝比奈さんが流しの前に立ち茶碗を洗っているのが見えた。 まだ途中らしく、手を止めたままこちらを振り返る。 「ごめんなさい、キョン君。全然気付かなくて・・・」 いや、いいんですよ。 ところで、古泉は来ませんでした? 「え?ああ!ついさっき来ましたよ。おそらく彼が此処に来る筈ですから、よろしく!って、そのメモを・・・」 机の上を見ると、『中庭のテーブルに居ますね』と書いてあった。 ん、気のせいか? 今、朝比奈さんの目が少し赤かった気がしたが・・・。 中庭に着くと、古泉がメモにあった場所に座っているのが見えた。 相変わらず、ニヤニヤしてやがる。 よお、悪いな。呼び出しておきながら・・・ 「いや、いいんですよ。それより・・・どうです?」 そう言いながら、古泉は紙カップに入ったコーヒーを差し出した。 ん?ああ、悪いな・・・ すこし冷めてる。 待たせてしまったな。 「いえいえ。で、話とは何でしょう。」 ふん、とぼけるなよ。察しはついてるんだろ。 「ははっ、まあ大体のところは。ただ、いずれ貴方から直接話して頂ける確証がありましてね。まあ、こちらの予測よりは早かったですが。」 では、短刀直入に言おう。 俺は、凉宮ハルヒを抱いた。 「!」 一瞬、古泉が真顔になった気がした。 しかし、すぐにいつものニヤケ面に戻り「そうですか。」と笑った。 ?、想定外だったか? 「いえ、あまりにも表現が直接的でしたので。さて、本題に入りましょう。」 そう願いたいな。 実は、ここ数日間で俺とハルヒは急速に関係を深めた。 「その様ですね。」 これは、お前らの機関の活動や例の・・・ 「閉鎖空間と世界の終わり・・・ですか?」 ああ。それらに何か影響はあるのか? 「ふむ・・・影響が無い、とは断言しかねます。ただ、悪い意味ではありません。ここ最近においての閉鎖空間の発生は極小規模かつ小数ですし、これは貴方によって凉宮さんが満たされているからであると言っていいでしょうね。安定しているとも言えます。」 さらに古泉は続ける。 「元々、貴方は凉宮さんにとって選ばれた人間な訳です。この『選ばれた』という部分に関して言うのであれば、今回の事も驚くべきものでは無いかと。」 そうか・・・。 それとな、古泉・・・ 「僕の所属する機関・・・いえ、僕の仕事は以前お見せした通りのものです。凉宮さんがこの世に存在する限りは、あの閉鎖空間も神人も存在する・・・だから僕は・・・ ・・・今までと変わらず、あなたがたと共にいますよ。」 そ・・・うか。 「おそらく、長門さんも同じだと思います。形は違えども僕と似たような存在意義を持っている様ですからね。それに・・・僕は好きなんですよ。SOS団がね。」 俺の少し安心した顔を見届けると、古泉は「それでは、バイトがありますので・・・」と去っていった。 ん?ちょっと待て! 朝比奈さんはどうなんだっ? 部室に戻ると、ハルヒが例によって朝比奈さんをオモチャにしていた。 おいおい・・・ 「みくるちゃ~ん!今日はチャイナドレスにお団子頭よっ!」 「ふえええん!」 相変わらずだな・・・。 しかし、よくもまあ毎度毎度・・・ ハルヒと朝比奈さんのコスプレショーを見ながら、ぼんやりと先程の古泉の話を思い出していた。 朝比奈さんが・・・話に出て来なかったのは、おそらく長門や古泉の様に特殊な能力が有るわけでは無いからだろう。 未来から来たという事を除いては、朝比奈さんは至って普通の高校生だしな。 ん?彼女が未来から来た目的って・・・確か未来を固定化させるって・・・。 今のこの状況に対し古泉は「安定」という言葉を用いていた。 このまま行けば「未来の固定化」ってヤツになるのか? そして、朝比奈さんは・・・ 「らめええええええっ!見ないでええっ!」 いっ!? 朝比奈さんの絶叫で我に返った! 今まさに、朝比奈さんがハルヒの手によって産まれたままの姿になろうとしているっ! 俺は、部室を飛び出した。 しばらく待って、俺は再び部室のドアを開けた。 着替えは完了した様で、朝比奈さんは先程とは違う柄の・・・少し丈の短いチャイナドレスを纏っていた。 今更敢えて言う事も無いだろうが・・・物凄く良い! 大満足のハルヒが腕を組んで頷く。 「うん!完璧ね!いますぐフカヒレスープを注文してあげたくなるわ!」 相変わらず、訳が解らない。 ところで、何でチャイナドレスなんだ? 「アンタ、知らないの?」 何を! 「ミクルちゃん、一週間ほど中国に旅行に行くんですって!」 何っ? 聞いてない!聞いてないぞ、そんな話! 「まあ、私もさっき聞いたんだけどね!」 ・・・。 しかし、この時期に旅行とは珍しいな。 ハルヒは意気揚々と続ける。 「そこで!このチャイナドレスコレクションが登場したわけ!」 おい、「そこで」の「そこ」が見えんぞ? 「はあ?相変わらずの冴えわたる鈍さね!中国での予行演習をするのよ!我がSOS団の国際進出の尖兵として、ミクルちゃんには期待を惜しまずにいられないわ!」 ・・・もういい。 ところで長門は? 「ああ、となり。」 そう言って、ハルヒはコンピ研の部室の方に目をやった。 ああ、そうか。 いつぞやに『臨時部員になってくれ』みたいな感じで頼まれていたっけ。 結局、「中国での予行演習」なんてのは恒例のコスプレとハルヒの口先のみで終わり、俺は朝比奈さんの入れてくれたお茶を頂きつつ、いつも通りの午後のひとときを迎える事となった。 ところで、朝比奈さん。 中国へは、御家族と? 「え、ええ。知り合いが旅行会社に勤めていて・・・その・・手違いがあって、チケットが余ったらしくて・・・」 そうか・・・ん?ちょっと待て! 訊いた俺もバカだが、未来から来た朝比奈さんに家族?知り合い? 「あ・・あ・・・これ旅行に・・行ってる間の連絡先です。何かあったら連絡下さいっ!」 そう言って、朝比奈さんは慌てながらメモを手渡した。 『今夜八時に公園で』 ! 困惑する俺を、ハルヒが『そんなの、アタシだけに渡しておけば十分でしょうに』と言わんばかりに睨む。 俺は朝比奈さんに「解りました、よい旅を」と言い、軽く微笑んで見せた。 今、俺は全速力で自転車を走らせている。 学校を出たのが午後五時、ハルヒを送り終えたのが午後七時・・・ 学校からハルヒの家まで二時間もかからないだろって? まさか『朝比奈さんと約束があるから早く帰りたい』なんて言えないだろう。 だから、いつも通りに『あの販売機』に寄って、少し話をしてからハルヒを送り別れた。 そして、時計を見たら七時と言うわけだ。 学校からハルヒの家まで寄り道無しで40分・・・ハルヒの家から見て公園は学校の向こうだから・・・駄目だ、頭が回らないっ! 間に合うか、俺! 並木通りを抜けると、公園の入り口が見えて来た。 7時57分。 間に合ったが・・・恐らく朝比奈さんは待っているんだろうな。 俺は、入り口にある販売機で暖かいコーヒーを二本買うと、公園の中で待っているであろう朝比奈さんの元へ向かった。 公園に入るとすぐ、俺を背中から呼びとめる声がした。 朝比奈さん? 「キョン君・・・」 ああ、朝比奈さん!すいません、待ちました・・・よね? 「いえ、それほど待ってませんから。」 彼女はハニカミながら答えた。 私服の朝比奈さんは、全身をデニムでまとめているものの、短いスカートとブーツがどことなく彼女らしさを物語っていた。 「あの・・・」 はい? 「旅行の話、気付いているでしょうけど嘘です。」 でしょうね。 いや、俺こそ・・・すいません。 なんだか、昼間は気が利かなくて・・・ 「うんん!いいんですっ!大丈夫ですっ!」 あ、そうだ!これ、どうぞ? 俺は、さっき買ったばかりのコーヒーを朝比奈さんに渡す。 「暖かい・・。」 朝比奈さんの表情が和らぐ。 ところで朝比奈さん・・・ 話して貰えます・・ね? 話して貰えます・・ね? 「はい。」 そう言うと、朝比奈さんは静かに目を閉じ深く呼吸をした。 そして、何かを決意した様に目を見開き語り始めた。 「キョン君!私、帰らなくてはならなくなりました。」 ・・・なんとなく、そんな気がしてました。 しかし・・・一週間ですよね? 「・・・いえ・・・ずっと・・です。」 旅行は・・・一週間だって・・・ 「明後日・・・私は旅立ちます。そして到着後に事故で『死に』ます。もちろん・・・本当に死ぬ訳ではないんですよ?でも・・・そうして、この時間平面から・・・消えます。」 そう言い終わると、朝比奈さんは目を開いたまま、涙を流した。 唇を少し震わせながら、ただ静かに。 俺は、愕然とした。 そしてあの日、ハルヒを抱いてから少しだけ抱いていた不安が現実になってしまった事に震えた。 (原因は俺とハルヒか・・・) それ以外には、おそらく原因は無い。 原因は、俺とハルヒですね? 「・・・はい。禁則事項で・・・あまり詳しくは言えませんが・・・涼宮さんとキョン君が結ばれる事で、私達の時間平面・・・つまり、ここからの未来が固定化されたんです。・・・私の・・・役目は終りました。 ! 待ってください! 古泉はこの世にハルヒが存在する以上、自分の役目は終らないと言っていた! そしておそらく長門も、と! なのに何故! あなただけが!? 「違うんです。」 え? 「私が、ここに来た目的は涼宮さん自身ではなく、彼女の持つ力の存在によって脅かされる時・・・いえ、未来のため・・・」 ・・・。 「そして、古泉君や長門さんは涼宮さんそのものと今現在の世界を、安定させる為に存在している・・・」 だからって、なんで「死ぬ」んですか! もっと、こう・・・転校するとか! 「私が転校したと言って、この時間平面上から消えたとして、涼宮さんは私を探し、会えることを望むでしょう?そして、私には永遠に会えない。わかります・・・よね?」 しかし・・・ 「完全な消滅こそ、最善の方法です・・・」 ハルヒは・・・みんなの気持ちは・・・どうするんですか。 「ごめんなさい。」 最後にそう呟くと、朝比奈さんは両手で顔を覆い静かに泣いた・・・。 朝。 「ふっふっふっ・・・お土産は何を買って来てもらおうかしら?ねえ、キョン?」 自転車をこぐ俺の背中越しに、荷台に座ったハルヒが楽しげに語りかける。 まったく、自分が旅行に行くわけでも無いのに、妙に浮かれて・・・ そうだな、木彫のパンダなんかどうだ? 「あははっ、アンタ馬鹿ね?それ、なんて北海道土産よ?」 俺は、沈みきった気持ちをハルヒに悟られない様に笑った。 そう、今日は朝比奈さんが旅立つ日なのだ・・・ 学校に着くと、ハルヒは何やら机に向かい始めた。 何をやっているんだ? 「ふふん、みくるちゃんに渡す『お土産リスト』よ!今日はみくるちゃん、学校に来れないみたいだから後でメールするの!伝達事項は確実に!私の様な優れたリーダーシップを持つ人間ならではの当然の準備ね!」 そうか・・・。 ところでハルヒ・・・ 「何?」 弁当忘れた。 「はあ?」 取りに戻るが、いいか? 「もう、しょうがないわね!アンタが抜けた分の授業のノートは後で写させてあげるから、早く行って来なさいよ?」 すまんな。 (本当にすまんな、ハルヒ・・・) 俺は学校を抜け出すと、公園に向かい自転車を飛ばした。 一昨日の朝比奈さんの言葉が胸をよぎる。 『この事は私達二人だけの秘密にしてくださいね?本当に、お願いします。あと・・・もう一度だけ、この公園で会えませんか』 朝比奈さんは、「旅行の準備の都合で明日は」と昨日みんなに話していた。 俺に・・・何の用だ? 公園に着くと、俺は自転車を停め辺りを見回した。 まだ、来てない・・・か? 「キョン君っ!」 うおっ! いきなり後ろから声をかけられて驚く!振り返ると、朝比奈さんが微笑んでいた。 そして・・・何よりも驚いたのは・・・ 朝比奈さん!その・・・髪型! 「へへへ、似合いますか?」 ハルヒと同じ髪型! 「少しだけ、歩きません?」 あ、はい。 俺は困惑しつつも、すっかり朝比奈さんに見とれていた。 しばらく歩くと、俺達は公園の中心にある噴水にたどり着いた。 噴水の畔に二人で座る。 「ねえ!」 はい? 「私たち、恋人同士に見えるかしら?」 突然の朝比奈さんの言葉に、心臓がとまりそうになる。 「ふふっ、冗談ですよ。」 悪戯っぽく笑うと、朝比奈さんは立ち上がり、噴水の周りのモニュメントに軽く飛び乗った。 少しおどけて見せながら続ける。 「ねえ、キョン君?」 なんです? 「いつだか、私とはあまり仲良くしないで・・・って言った事あったでしょ?」 ああ、はい! 「あれは・・・ううん、もう解っていると思うけど・・・涼宮さんを刺激して、あの空間を産み出すのを防ぐ為だけでは無かったんですよ?」 ・・・ですか? 「はい!私、あなたが好きでした!」 えっ? 「でも、結ばれない事も知ってました!」 あ・・・。 「キョン君!」 ! 「今日は来てくれてありがとう!」 瞬間、彼女がフワッと宙を舞い・・・俺の目の前に舞い降りた。 えっ? 彼女の唇が、俺の唇に触れ・・・そして唇を離す寸前に 囁く 「 さ よ う な ら 」 っ!朝比奈さん!みくるさん!待っ・・・て! 行ってしまう・・・そう自覚した瞬間、彼女は 消えた。 ♪何処で壊れたの ♪他人よりも 遠く見えて ♪指を つないだら ♪時がとまる 気がした いつしか彼女が口づさんでいたメロディが 頭の中でグルグル回る 帰り道、俺は恥ずかしげも無く泣いた 泣きながら ありったけの力で自転車をこいだ おそらく 赤く腫れあがった目をしながら 教室へ向かう そんな俺を見て ハルヒが首をかしげる 埃が目にはいったのさ 「バカねぇ」 とハルヒがノートを差し出しながら笑う そして何事も なかったかのように 一日を過ごすんだ 彼女との約束と明日来る悲しみの為に Ⅳ fin
https://w.atwiki.jp/retrogamewiki/pages/13379.html
今日 - 合計 - 月面兎兵器ミーナ -ふたつのPROJECT M-の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月12日 (金) 13時24分25秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して