約 1,622,254 件
https://w.atwiki.jp/risouotome/pages/91.html
695 :名無しって呼んでいいか?:2012/04/18(水) 20 14 35.82 ID ??? 主人公と攻略キャラが命の取り合いをする乙女ゲーがやりたい とにかく敵対してほしい あと、攻略キャラを守って死ぬ展開とかあったら、更によし もう最初から主人公に優しいとか甘いとかいい 金太郎飴EDもいいので、シリアスEDを誰か下さい 696 :名無しって呼んでいいか?:2012/04/18(水) 20 22 03.74 ID ??? ということは… 主人公はとある滅ぼされた小国の民 (王族とかそういう特別設定はなくていいが、王家に仕えていたというのはありかもしれない) 敵国の王を恨んでいて素性を偽り城への潜入に成功する 王には7人の親衛隊がいて、彼らをどうにか倒して王の命を奪うのが目的 この過程で7人の親衛隊たちや王との恋愛に発展するかどうか… 正体がばれそうになったりとか何とか展開は何か考えて 隠しで今は亡き小国の王家の生き残りの王子がいる 697 :名無しって呼んでいいか?:2012/04/19(木) 01 05 58.02 ID WnYBPtZy 主人公はスパイ 暗殺も密偵もなんでもござれ 攻略相手は組織のボス、同僚、潜入先の同僚、ターゲット、 事件を追う刑事、ライターなど
https://w.atwiki.jp/jouhou2-8/pages/12.html
とりあえずメニューから風力、太陽光発電を外しますた。必要だったらご自由に復活させてくらはい。 -- 名無しさん (2006-02-16 18 05 45) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/mytips/pages/9.html
よけない よく、正面から歩いてくる人と迂闊に目が合ってしまい、しかもお互いにお互いの方向によけようとするもんだから、結局ぶつかってしまう…っていう人、意外と多くない? 人ごみでぶつからないようにするコツは、流れに歩調を合わせるのはもちろんのこと、下手に進路変更しない(よけない)でまっすぐ歩くことだったりする。 (Create 2006.12.26)
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/667.html
━━━━おもわず言葉に出してしまった胸に秘めた想いを、誤魔化すためにかけた音楽が不覚にも甘く切ない求愛系だった…。 だいたい…今夜は、何もかもが上手く行かな過ぎる。 売り切れたシュークリーム…ペアのマグカップ…そして…幸せそうに微笑む朝比奈さん… まったく、調子外れな夜だ。 この夜は…このまま何処へ流れて往くのだろう…━━━━━━━ 【コーヒーふたつ8・後編】 迂濶にも選んでしまった甘いメロディーが、車の中を充たしている…。 僕は胸の内を悟られぬ様に必死に平静を装いながら、何事でも無いようにハンドルに軽く手を添え、国道を飛ばした。 隣に座る朝比奈さんの様子が気になってしょうがないものの、今はマトモに視線を投げ掛ける事すら出来ない。必然的に気まずい沈黙が生まれ、それが暫く続く。 そして、その沈黙を破ったのは朝比奈さんの思いがけない一言だった。 「この曲の様に…こんな風に想われたら、どんなに素敵な事でしょうね?」 「えっ?」 「それとも…古泉君の気持ちそのものなのかしら…」 あまりにも大胆で唐突な彼女に、僕は答える術を失ってしまった。 そして…心を見透かされた気がして、腹立たしさにも似た恥ずかしさを覚える。 (このまま、言われてばかりでは…) 「そうですね…。でも、貴女がそう想って欲しい相手は僕では無いでしょう?」 精一杯悪びれたつもりだった。 このまま、彼女を不愉快にさせて…嫌われてしまっても良いと思った。 そうすれば、傷付くのは僕だけで済む…いや、僕が楽になれる。 (終わった…な) 彼女は、僕の言葉に目を丸くして…そして、少しだけ考える素振りをした後で突然笑い出した。 「うふふっ…、キョン君の事ですね?」 「えっ?いや…」 「好きでした…いいえ、今でも好きですよ?」 「そう…ですか…」 「でもね、今のその感情は貴方が考えている様なものではないのです。」 「えっ…?」 「貴方には…いずれ話しておかなければならないのかもしれませんね」 「何を…です?」 「キョン君と私の…本当の関係を…」 もう…僕は何がなんだか解らなくなっていた。 そして混乱する僕の心を、掌の上で転がすかの様に朝比奈さんが助手席で微笑む。 僕は、今持ち併せる全ての平常心を掻き集めて「それは…実に興味深いですね。是非、伺いたいものだ…」と答えてみせた。 「では、夕食の時…その後があるのでしたら、その時でも構わないですよ?」 「今…という訳にはいかない様ですね。」 「だって、この車は貴方のモノでは無いでしょう?…貴方を疑っている訳では無いのだけど…」 そう言われて、僕は自分が機関の人間である事と、この車が機関の所有物である事を思い出した。 (なるほど…盗聴を警戒しているという事か…) 「…解りました。では、その様にしましょう」 彼女の言う「キョン君との本当の関係」には何か秘密が隠されている様だ。 もはや、これは僕の想い如何の問題ではない。 そして僕は「彼女とキョン君の本当の関係」に該当する情報を機関からは何も得てはいない。 彼女が盗聴の可能性までもを警戒するという事は、それなりの情報なのだろう…。 僕は車を走らせながら、今改めて再び思う。 この夜は…このまま何処へ流れて往くのだろう…と。 レストランへと向かう間の時間は、僕に平常心を取り戻させるのには充分だった。 だからこそ僕は、レストランの駐車場に着いた後も、シュークリーム屋に着いた時と同じように彼女をエスコート出来たし、普段通りの自分で居られる事が出来た。 朝比奈さんも、先程の車の中での会話などはまるで幻だったかの様に、僕の良く知っている微笑みを浮かべながら普段通りに振る舞っている。 そして、海岸線に沿う様に建つホテルの一階にあるその店の入り口に立つと「…高価そうなお店ですね…」と心配そうな表情を見せた。 僕は、今の彼女と先程の車の中での彼女とのギャップがおかしくて、思わず声を出して笑ってしまう。 「な、なにがおかしいんですかっ?」 「アハハッ…いや、失礼!先程の…朝比奈さん思い出すと、今の朝比奈さんはあまりにも普段通りで…安心してしまったんですね、多分…」 「そんな…」 「いやいや、本当に失礼しました。…この店は、上にあるホテルのオーナーが『趣味』を兼ねてやっている店でして、まあ僕の様な若輩者でも気軽に立ち寄れる店ですから、御心配なく!」 「趣味…ですか?」 「ええ、中々素敵な『趣味』ですよ?とりあえず中へ…」 僕は店の入り口に立つボーイに「二人…」と告げ、彼女と共に店の中へと進んだ。 そして、途中に待ち構えていたウェイトレスに連れられて客席に向かう。 やがて、店の中を進むにつれて客席の様子が見えて来ると、彼女が驚きの声をあげた。 「あら、古泉君…これは?」 「驚きました?」 「ええ…電車、ですよね?おそらく本物の…」 「はい。ここのオーナーがその道のマニアでして…趣味が高じて、このような買い物をしてしまったんだそうですよ?」 「ああ!さっき言ってた趣味って…」 「そうです。それで、ただ飾って置くのはつまらないという訳で、このような形で…店舗の客席として使用しているのだそうです。」 僕達はウエイトレスに導かれ、屋内にあるそ電車に乗り込んだ。 そして、客室の窓に沿う様に並べてあるいくつかのテーブル席のひとつに案内されると、お互いに静かに腰を下ろした。 「なんだか…このまま走り出してしまいそう…」 彼女が、まるで少女の様に瞳を輝かせながら辺りを見回す。 そしてメニューを差し出しながら「気に入って頂けましたか」と微笑みかける僕に「ええ!とっても!」と笑顔で答えた。 「さて…朝比奈さんは、どんなパスタがお好みですか?」 「パスタならなんでも好きですよ?そうね…古泉君のお奨めは何かしら?」 「僕でしたこの…ブラウンバターとミゼトラチーズソースですかね。」 「じゃあ、私も同じものを。」 「飲み物は、どうします?」 「そうね…では、カンパリを頂こうかしら。」 僕は、ごく自然にアルコールを選んだ彼女に違和感を覚えながらも、近くに居たウェイトレスを呼び寄せ注文を済ませた。 そして数分後、運ばれてきた料理を目の前にして、彼女が一層目を輝かせた。 「わあっ!美味しそう!」 「さあ、冷めないうちに頂きましょう。」 「うふふっ、頂きます。…でも、なんだか悪いわ…私だけ、お酒を頂いちゃって。」 「構いませんよ。僕は運転がありますからね?僕まで飲んでしまっては、帰れなくなる…」 「あら、帰る事を考えなければ良いのではないかしら?」 そう言いながら彼女は、人指し指を立ててホテルのある上の方を指差してみせた。 よく見ると、カンパリの注がれていたグラスが既に空になっている。 「どうも、ここのカンパリはよろしくない様だ…。貴女に悪ふざけをさせる…」 「あら、ふざけてなんかいませんよ?当然の展開…だと思いません?それに…さっきの話の続きもあるし…」 (なるほど、そういう事か…) つまり彼女は、完全に外部から遮断された空間で先程の車の中の続きを語りたいのだろう。 僕はウェイトレスを呼び寄せると、上のホテルに適当な部屋を用意する様に言付けた。 平日の夜だからだろうか、あまりにも簡単に僕達はスイートルームの鍵を手にする事が出来た。 チェックインを済ませ彼女と共に部屋へ向かいながら、僕は今日一日を振り返る。 (やれやれ、スウィーツを買いに出掛けたつもりがスイートルームか…。) 普通のデートならば、男冥利に尽きる展開だが、今はそれどころでは無い。 彼女がこれから語ろうとしている事…それだけに今の僕は心を奪われていた。 いや、厳密に言うとそれだけでは無いな…。 僕は彼女と食事をした時…彼女が自然にアルコールを選んで見せた時から、ある疑念を抱いていた。 そしてそれは、その場面についてのみではなく、彼女と待ち合わせをした時から無意識のうちに感じていた事なのかもしれなかった。 (とりあえず、全てはこの部屋で…) 僕は少しだけ鍵を固く握ると、部屋の前に立ちドアを開けた。 「わあ!広いっ!見て、古泉君!海が見えますよっ?」 「ああ…本当だ。さすがにスイートルーム…と言った感じですね。」 「うふふっ…。さて、古泉君?先にどちらをします?」 「え?何がです?」 「先程の車の中での話の続きをするか、それとも今日のデート自体の続きをするか…」 「先に…という事は、どちらも有りという事になりますね…」 「私が相手では…嫌?」 「既に僕の心を見抜いている癖に…今更ですね…」 僕は彼女にそっと近付くと、腰に手を回して少し強引に抱き寄せた。 そのまま…彼女が瞳を閉じると同時に、奪うようにキスをする。 唇から頬へ…頬から首筋へ… そして、唇が首筋へと辿り着いた瞬間、先程感じた疑念は確信に変わった! 僕はそっと彼女から離れると、突然中断した行為に拍子抜けした彼女へ向かって語りかけた。 「貴女は…朝比奈さんではありませんね?」「…え?」 「いや…厳密に言うと『僕とバス停で待ち合わせを約束した』朝比奈さんではない…」 「古泉君…何を言っているの?」 「いや…盲点でしたよ。貴女が時間を飛び越えられる事を知っていながら、まんまと騙されてしまいました。 …それで、いつ入れ替わったんです?『その先の未来から来た』朝比奈さん?」 「…………あはははっ!とうとう、ばれちゃったか!さすがは一樹…いえ古泉君ね! でも、おかしいわね…ついさっきまで完璧だったのに、何故判ったのかしら?」 「臭い…ですよ。」 「臭い?」 「そう、貴女は僕と待ち合わせをした時『部室にあった衣装を適当に合わせた』と言ってましたよね?」 「え?…ええ。」 「先程、僕が触れた貴女の首筋からは部室の臭いなんて全然しなかった…」 「あ…。」 「それだけではありません。その服は、コスプレの衣装なんかじゃない…。 抱き締めた時の感触で判りましたよ?その他にも色々とありますが……とりあえず、これだけの理由で十分ですか?」 「……なるほどね。完敗だわ…。実は、貴方に伝えたい事があって、『こちら』に来たのよ。それで部室に近付いたら、丁度貴方と『私』の会話が聞こえて来てね?チャンスだったから少し細工をして『私』には帰ってもらったわ。」 「細工…ですか?」 「そう、『私』の下駄箱に貴方の名前で置き手紙をしたのよ。『急用が出来ました、また次回にでも…』ってね。」 「そして…バス停には貴女が現れた…」 「そうね。本当はそこで、貴方に用件を伝えてオシマイ…でもよかったのよ。 でも、少し欲が出ちゃって……色々と考えるのに必死だったわ…。服装の言い訳とか、貴方に対する喋り方とか…ね?」 彼女は喋り終わると、少し溜め息をつきながら「残念!いいところだったのにな…」と笑った。 そして、そのままソファーに腰を下ろすと上目使いで僕を見ながら、乱れた襟元を整えた。 僕は話を続ける。 「なるほどね…まあ、貴女の存在は過去に把握してましたからね。 確か以前も…この時代にこのような現れ方をした事があった筈だが…」 「詳しいのね?」 「仕事ですから…それで、用件とは何です?それと、車の中での話の続きも気になりますね。」 「そうね…、どう伝えたら良いものかしら…」 そう呟くと彼女は目を閉じて黙りこんだ。 そして、少し考える素振りを見せた後、ゆっくりと目を開けて語り始めた。 「今日、私が伝えたかった事と貴方に車の中で話した事は、実は深く関係がある事なの。まとめて順番に話すけど…それでいい?」 「構いませんよ。」 「それと…あまり直接的な表現は出来ないの。考えながら理解してもらうと助かる。」 「承知しました。」 彼女はそっと立ち上がり窓辺に立った。そして、暗い海を見つめながら静かに語り始めた。 「私の家は……父と母と私の三人家族なの。 お父さんもお母さんも若い頃に結婚したせいか、まだまだ若々しいのよ。 私にあまり手がかからなくなってからは、毎週日曜日になると必ず二人でドライブに出掛ける……でも、最近お父さんは仕事が忙しいみたいで、せっかくの日曜日でもなかなか布団から出て来ないの。 お母さんは、そんなお父さんがじれったくて、いつも大声で起こすのよ。 『さっさと起きなさいよっ!このバカキョンっ!』ってね。」 何……だと? 「ここまで、なんとなく把握して頂けて?」 「ええ…。まあ…続けて下さい……。」 「私が組織から母の持つ力について初めて告げられたのは、高校一年の冬だった…。 そして、私はそのまま貴方…いいえ、古泉君が得ている情報と同じ様なモノをそこで身に付けて、この任務に着いたの。」 「……ちょっと待ってください。では、あちら側での朝比奈さんは、どうなってるんです?」 「留学中…という事にはなっているらしいのだけど…。 フフッ…まあ、よく解らないのよ。続けて良い?」 「ええ、どうぞ… 」 「こちらに来たばかりの頃ね、あたしは毎日が不安で不安でしょうがなかった…。 でも、そんな中で友達が出来て…そしてキョン君と凉宮さんに出会う事も出来た。 もう気付いていると思うけど…あの二人は私にとって一番遠くて一番近い存在なの。 だから、出会った頃は少しキョン君に惹かれてしまったりもしたけど、どうにもならない事だって解ってたからなんとか出来た…。 まあ、貴方の存在もあったし……ね?」 「………。」 「……まあ、こんな感じかしら。ここから先の話は、今この時間に対しての未来の出来事になってしまうから、当然話す事は出来ない。」 「いえ……十分ですよ、朝比奈さん。」 僕は、ただ呆然とするしかなかった。 なんとか理解しようとするものの、把握するだけで精一杯だ。 彼女は更に続ける。 「それで…伝えたかった事はね?キョン君と凉宮さんの事なの。」 「彼等の?」 「そう。これから少し後で二人は少し大変な事になる。それを支えるには、この時間平面上に常駐する『私』では役不足なの。 だから、貴方に助けてほしい。」 「……承知しました。」 全てを語り終わると、彼女はそのまま静かに息をしながら海を眺め続けた。 僕は、彼女に対してこれ以上どんな言葉を語ればいいのか解らずに、彼女の背中をしばらく見つめていた。 そして… 1つだけではあるが…質問を思い付いた。 「朝比奈さん…」 「何かしら?」 彼女は振り返ると、じっと僕を見つめた。 僕も彼女から目を反らさずに、静かに問掛ける。 「貴女にとって…僕は…なんなんです?」 「……それは……私がここに居る時点で出ていた答え…でしょ?」 そう言って彼女は静かに笑うと「帰るわね」と告げ、部屋の出口に向かった。 (行かせない…っ!) 気が付くと僕は後ろから…彼女を抱き締めていた。 そして…特に驚く様子もなく彼女は僕に体を預ける。 「こうしてくれるって…判ってしまうのよ。つまり、貴方と私は……」 僕は、そう言いかけた彼女の肩をつかむと、振り向かせて唇を素早くキスで塞いだ。そしてそのまま再び抱き締める。 「…一樹?」 「…話してくれて…良かったですよ?それだからこそ…今僕は、躊躇わずに貴女を抱き締める事が出来る…。」 「…抱き締めるだけ?」 「さあ…どうでしょうね…」 僕は再び彼女に唇を重ねながら、少しだけ考える。 今は家で眠っているであろう朝比奈さんと、僕の腕の中に居る彼女の事… そして、彼女の居た未来での僕はどうしてる? 彼女は僕を名前で呼んでいた様だが… まあ、いい…今は今夜のデートの締め括りをしようじゃないか……………。 朝、目を覚ますと彼女はもう居なかった。 僕はとりあえず体を起こして、枕元にある受話器を取り上げると「コーヒーをくれないか?」とだけ告げ、直ぐに元に戻した。 そしてその拍子に、ベットサイドに一枚のメモを見付けた。 『先に出ます。 みくる』 なんとなく、ぼんやりと海を見ながら昨日の彼女を思い出してみる。 そして…それから今日の彼女を想ってみた。 (シュークリーム屋に…連れていかなければならないな) 僕は手早く着替えると、ルームサービスのコーヒーを待たずに急ぎ足で部屋を後にした。 終
https://w.atwiki.jp/bemanilyrics/pages/1971.html
FRAGMENTS~ふたつの記憶~/佐野宏晃×PON feat. Megumi Tatsumi さよならも言えずに 吸い込まれてゆく 伸ばした その手の 行方を まだ知らなかった あなたのいるその世界は どんな色をしてるの? 握りしめたカケラに 引き裂かれた 遠いあの日 「これは運命だよ」って 伝えることさえ 叶わない 届かない声 響かせて 孤独を噛みしめた さよならも言えずに 吸い込まれてゆく 伸ばした その手が 次元をゆがめる ねえ 消えないで ウソだと笑って 傾きだす 二つの世界 ただ眺めていた
https://w.atwiki.jp/marcher/pages/1205.html
「リズム、行くよ!」「オッケー、メロディ!」 互いをメロディ、リズムと呼び合うふたりが軽やかなステップを踏み手を繋ぐ。ふたり一緒ならどんな敵だって倒せる、そんな余裕さえ見えるような笑顔。繋いだ手の先には、金色のハート。 「プリキュア、パッショナートハーモニー!!」 彼女たちが叫ぶとハートからはまばゆい光と音の奔流。希望に満ちたエネルギーが、小田さくら、鞘師里保、鈴木香音を襲う。 「鞘師さん、鈴木さん!」小田さくらがふたりの腕を掴む。 時間編纂始まり。 マゼンタと白の服を着た少女ふたりが放つエネルギーを回避し、ふたりの背後に回りこみ、鞘師と鈴木を自分の前に座らせるように配置する。 時間編纂終わり。 メロディとリズムーーーキュアメロディとキュアリズムがエネルギーで浄化したはずの敵3体の姿が消えたことと背後にその敵がいることを悟るのは同時だった。 「リズム…さんとメロディさん。私たちは敵ではありません!一緒に…一緒にダークネスを倒しましょう!」 メロディとリズムが振り返る。メロディが刺すような視線を3人に向ける。リズムが口を開く。 「敵じゃないって言われても…ダークネスはあなたたちの先輩なのでしょう?」ふたりの少女と3人の少女。一切の音が無い空間で交差する視線がぶつかり鳴っている。 「ダークネスは心を闇に飲まれてしまった、私たちの先輩…でも、だからこそ、あなたちちプリキュアの力が必要なんです!」鈴木が胸に手を当て必死に訴える。 「そんなこと言われたって…私たちの力じゃあの黒い翼や小さい双子はとてもじゃないけど…だって私もリズムも…」 口ごもるメロディの言葉を受け取り、繋ぐように小田さくらが口を開く。 「私たちは普通の女の子」 「ーーーだけど何かできることあると思う」 投稿日:2015/03/13(金) 01 18 46.87 0.net
https://w.atwiki.jp/wakan-momomikan/pages/5166.html
両角猫│和│獣部│ http //wakanmomomikan.yu-nagi.com/momomi3/maki-5018.htm 玉晁
https://w.atwiki.jp/rokurei60/pages/32.html
前|歴史|次 542 :1:05/02/26 02 13 11 ID RKgyWz3g 全米を震撼させた、あの超ヒットスペクタクル! ナナッシ「オレ達以外にも、ネ申の加護を受けた村があるだか?」 総制作費100万ドラクマ 白い男「我々が秩序なのだ、他民族は我々に従えば良い」 監督 中の人@1 モラーラ「聖女様さえいれば、怖いものなんてないのですよ」 感動の巨編がいまここに! ギーコ「船で海が見えないぞ!ゴラァ!」 北の大地が白い壁に覆われるとき、安住の地を求めてきた民と そこに元々住まう民がぶつかり合う モーナー「おまいら、もちつけ!!」 理想の大地エデンで、2つの民がぶつかり合う。 「征服」「服従」「協和」「協調」 ネ申の技術と技術がぶつかり合う! ナナッシ「こんなこともあろうかと、コレを作っておいだだよ!!」 このスレ末、最高の試練が未来技術村にやってくる! 白い人「すべては、我がネ申”J-HOBA”様の思し召し!」 ってな夢をみただよ。 ナナッシは、あきれる2人にそう語ったそうだ(笑 参照(白い人) 1-542 海から舟の大軍が攻めてくる夢。 2-222 白い人来る 2-334 白い人のリーダーに未来技術村の現状伝わる。斥候『マック』を派遣し、嫁を迎えるよう計画。 2-511 白い人との交易 3-83 J-ホバ 3-172 白い人、女獲得のためクッパとアミーガを派遣 3-847 マック、未来技術村に長期滞在 4-6 ウズメとマック 4-225 マックの帰還と拉致事件 4-263 長老、拉致犯追跡命令を下す 4-269 追撃失敗 4-476 民の歓喜・指導者の苦悩 5-122 モラーラの帰還と報復準備 5-123 白い人の集落発見 前|歴史|次
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/657.html
♪ttt・・・ttt・・・ttt・・・ 耳馴染みの無いアラームが遠くから聴こえる・・・ 朝・・・か? 少しづつ目を開けると、霞む視界に見慣れない天井が浮かびあがった。・・・何処だ?・・・ここは。 とにかく、起きよう・・・・。 俺は、少しだけ体を起こして辺りを見回した。そして、ここが自分の部屋ではない事を把握する。 さて、どうしたものかな・・・。 「ん・・・、キョン?おはよう・・・!」 ・・・!!!ハルヒ!? 俺の隣にハルヒが居る!!?何故だ!?そうだ・・・昨日!昨日の夜・・・っ! 思い出したっ! 帰宅後、鞄の中に提出期限間近の課題に使っていたノートが無い事に気付いた俺は、度々俺の鞄を勝手に開けてCDやら雑誌を持っていくハルヒに、心当たりが無いか電話をした。 で、案の定ノートはハルヒが持っていた!まあ大方、雑誌か何かを持ってく時に紛れちまったんだろうが。 そして・・・ノートを取りにハルヒの家に・・・・っ! おい、ハルヒっ!マズいだろ!これ! 「んー?何がー?」 いやっ・・ほら、あの・・・親とか! あと、学校も行かないとっ! 「んー・・っ、煩いわねぇ・・・親はもう二人とも出かけたわよ。それに・・・学校はキョンが家に制服とりに寄っても十分間に合うわ・・・。」 そう言い終えると、ハルヒは少しダルそうにベッドから抜け出した・・・って、おい! 「何よ?」 なんで裸なんだよっ?服くらい着ろよ!まあ、この場合パジャマとか部屋着とかっ! 「本当に煩いわねっ!着てたけどキョンが脱がしたんでしょ?昨日の夜にっ!」 あ・・・ 俺は、昨日の夜の一部始終を瞬時に思い出した。俺は・・・ああ・・・全身の血液が・・・・頭に昇る・・・ 「とにかく、そろそろ行きましょ?あ、キョンはソコの窓から外に出るのよ?向かいのオバチャンには、流石に見られるとマズイの!」 俺は返事もろくにしないまま、いそいそと着替えを始めた。 「・・・っ!くしゅん!」 自転車をこぐ俺の後ろで、荷台に座ったハルヒがクシャミをする。 それなりに豪快にやらかしてくれたので、少しハンドルをふらつかせてしまった。 「うー、風邪かしら・・・不覚だわね。」 呟くハルヒに『裸で寝てるからだろ』と突っ込みを入れたくなるが、先程の様に反撃されかねないので止めておく。 しかし・・・我ながら昨夜は大胆な行動に出たもんだ、と今更ながらつくづく思う。 完膚なきままに雰囲気に負けた。 コトが済んだ後で「谷口の家に泊まる」と自宅の留守電には入れておいた訳だが、『ノートを取ってくる』と言ったまま、俺が姿を消したのは事実な訳で・・・騒ぎになっていない事を祈るばかりだ。 やがて、俺達はいつもの坂道にさしかかった。 ふらふらと登って行くと、右手にハルヒの住む町がパノラマの様に広がってゆく。 いつもより時間が早いせいだろうか、見慣れた町並みに透明な静けさを感じた。 坂を登りきり、馴染みの販売機の前を過ぎれば、後は下り坂だ。 刺すような冷たい風に首をすくめながら、俺達は加速していく。 ああ、そうだ・・・家に戻って制服に着替えなきゃな・・・。 そんな事を考えながら、少しだけ今着ている服の臭いをかいでみる。昨日はハルヒの家に向かう前に風呂は済ませてあった訳だから、特に気にする必要は無い筈なのだが・・・なんと言うか・・・癖なんだろうな。 そんな俺の様子を見ていたんだろうか。 ハルヒが後ろで笑っている。 「なあに?アタシの匂いがするかしら?」 ・・・コイツは! 終始受け身だった癖に、コトが終わった途端に攻勢に転じやがった。 今朝から何回俺を赤面させれば気が済むんだ、まったく! 坂を下りきり、いつもなら真っ直ぐに抜ける交差点を右に曲がり自宅へ向かう。 考えてみれば平日の朝、私服の俺に制服のハルヒ・・・どう考えても不自然だな。しかも、ここらへんは我が北校生の『レーダー圏内』だ。 早いところ着替えて、日常へ戻ろう。 自宅に着くと俺は、素早く二階に上がり服を脱ぎ捨てて新しい下着と制服を取り出した。母親の問掛けを尽く回避し、再び自転車に飛び乗る。 「ふふん、大丈夫だった様ね?さあ、急ぐわよ?」 言われなくてもそうするさ!しっかりつかまってろ・・・と言いかけた瞬間、俺は見慣れた後ろ姿を少し先の歩道に見つけ言葉を止めた。 長門? どうやら、ハルヒも気が付いたらしく、俺の背中を叩きながら騒ぐ。 「ねえ、キョン!ほら、あそこ!あれユキじゃない?」 馬鹿な・・・長門がこんな所に居るわけ無いだろ?だが・・・確かに似てるな・・・。 そして、更に驚いた事にその向こう側に男らしき人陰が見える。 歳は・・・俺と同じくらいだが・・・他校生か?何か話してる様だが・・・ 「むはーっ!朝からこれはスキャンダルだわっ!他人の色恋沙汰なんざ興味無いけど対象がユキとなれば話は別よっ!キョン、いい事?秘密裏に調査を進め随時アタシに報告よっ?解ったわねっ?」 好奇心を核爆発させるハルヒを尻目に、俺は根拠の無い不安を少しだけ感じながら長門らしき人影とその相手を見送った。 結局、学校へは滑り込みセーフだった。 おいおいっ?何が「制服とりに行ってからでも充分間に合う」だよ、ハルヒの奴! さっき校舎に入ったと思ったら、瞬く間に一時間目が始まっちまった。 だが・・・まあ、いい! 今は無事、時間に間に合いこの椅子に座り机に向かえる悦びを噛み締めたいっ! ただいま、俺の日常! しかし、そんな一時の安息も「ハルヒが後ろに座っている」と言うだけで砂の城の如く崩れさる。そう、ハルヒに退屈が訪れるとともに・・・ 「つんつん」 ほら、背中にペンでツンツン攻撃が来たっ! どうせ、ロクな用事ではない事はバレバレユカイだっ! それに、俺は只でさえ『課題を忘れた』というリスクを背負っている。まあ、謀らずともハルヒ!おまえが原因だが。 「ツンツン」 無視! うっ、背中から殺気を感じるっ。 「こら、バカキョン!こっち向けっ!」って言ってるのが微妙に伝わってくるっ! 忌々しい、ああ忌々しい! 「ツンツン つー」 ん?つー・・って何か書いてるのか?背中で筆談か?ふんふん、ナニナニ? あ そ こ が ひ り ひ り す る ? って!おおおおおおいいいいっ!!! 授業中に何て事をっ! 頼むから、頼むからから昨日の話はもう止めてくれっ!連続赤面による脳内血管破裂かなんかで今日中に死ぬぞ?俺! そんな事をやっているうちに、一時間目は終わってしまった。 -おい!ハルヒっ? 「アハハハハハッ!ゴメンゴメン!キョンが赤くなるのが最高に面白かったのよ!もう最高っ!」 -もう!今度やったら二度と『昨日みたいな事』はやらないからなっ! 「ほ~う?キョン君、『昨日みたいな事』とはどういう事かしら?プププ」 -××××もういいっ! -「冗談!冗談よっ!ところでさ?アタシ、やっぱり追跡調査しか無いと思うわけよ!」 -何が? 「ユキの事よ!」 -ああ?今朝のアレ、本当に長門だったのか? 「バカね!それさえも、調査すれば判るじゃない!」 -ああ、まあ興味はあるんだが・・・なんか長門に悪いな。 「何言ってるのっ!ユキは見た目通り間違いなくウブよ?妙な相手だったら、アタシ達が目を覚まさせてやらなきゃ!」 -ううん・・・ 「作戦はアタシが練るわ!期待しなさい!」 昼休み、である。 昨夜から今朝にかけての一件で、弁当を用意出来なかった俺は、買い置きのカップ麺を求めて部室へとやって来た・・・のだが。 -おい、ハルヒ。それと古泉に朝比奈さんまで! 何の集まりだ?コレは。 「あら、キョン!丁度良かったわ?コッチはアンタに声をかけ忘れたのに今気付いて、どうしようか考えてたトコよっ!」 -そりゃ、どうも。 で、もう一度訊くが何の集まりだ!? 「決まってるじゃない!ユキの恋を見守る会『ハッピーマテリアルプロジェクト』の旗揚げよ!略してハピマテで構わないわっ!」 -・・・。 「さあ、キョン?古泉君とみくるちゃんに現況を報告するのよっ!」 -(何が『するのよっ!』だ。俺の事忘れてた癖に。) -ああ・・まあ・・・なんだ・・・今朝、ハルヒと学校へ向かう途中に、長門に良く似た女の子が彼氏らしき人と居るのを見掛けたって、だけの話だ。 仮にそれが本物の長門であっても、あまり騒がずに自然体でだな・・・ 「ほう!それは大変興味深いですね?」 -おい・・・古泉? 「ふえええっ!お相手の方はどんな人なんですかぁ?」 -あのー朝比奈さん? 「まあっ、そういう事なのよっ!いいわね、コレはあくまでも隠密行動よっ!わかったわね?」 -あーあ。もう知らんぞ・・・ところでハルヒ、長門は? いつもならソコで、本を読んだりして・・・ 「ふふん。それなのよ!最近、ユキはこの時間・・・」 そう言いながら、ハルヒは指で真上を指す。 -ん?屋上か? 「そう!でね・・・ううん、これは直に見て貰った方が早いわね。みんな?移動するわよっ」 そしてハルヒに導かれるままに、俺達は屋上やってきた。 給水タンクの陰に隠れ、ハルヒに指示(?)を受けながら長門を探す。 「こら、キョン!もたもたしないの!みくるちゃんはオッパイの分だけ目立つんだから、更に低く構えるのよっ?古泉君、様子どう?ユキは居た?」 古泉が一人だけ、タンクの陰から頭を出して辺りを見回す。 「あ、いましたよ!みなさん、北側の縁のところ・・・」 長門は縁の部分に腰掛け、膝に置いたパソコンを見ていた。 透き通る様な白い頬を、少しだけピンク色に染め・・・しかも!少しだけ微笑んでいる様にも見える・・・。 そして時折、空を見上げる。 肩の動きから、溜め息をついているのが判る。 「ねえ?ただ事では無いでしょ?何日か前から、あんな感じなのよ! だから今朝、キョンと現場を目撃した時に、ピンと来たってわけ。」 -なるほどな。確かに・・・普通じゃないな・・・痛っ!古泉、押すなっ! 「ああっ、すいません。しかし絵になりますねえ。『恋少女、空に想ふ』ってとこでしょうか。ねえ、朝比奈さん?」 「ええ、なんか素敵ですねぇ」 しかし、色々な意味で大丈夫なんだろうか。長門は・・・ほら、統一思念なんとかから送られたアレな訳だし。 でも、朝倉は割と普通ぽかったから、ありえなくもないものなのか・・・ 「さあっ、一時退却よ!気になる、お相手は放課後に拝見しましょうっ?」 しかしあの、長門がね・・・。 別に、長門に恋人が居ようが居まいが、俺には全く関係ない・・・筈なんだが、いざ現実を突き付けられると身近な女子だけにそれなりに気になる。 それに長門には悪いが、俺は長門の素性を知っているだけに相手が色々な意味で大丈夫なのか少し心配になっていた。 それにしても、相手はどんな奴だ? 長門は最近パソコンを手放さなかった様だが、何か「そっち」の関係で知り合ったのだろうか・・・。 だいたい、あのパソコンは何処から手に入れたんだろう・・・。 まあ、いい。 放課後に・・・少しだけハルヒの探偵ゴッコに付き合うとしよう。 相手がどんな奴か位は見てやりたい気もするし、もう少し・・・色々な長門の表情を見てみたい・・・。 放課後、ハルヒは部室に来るや否や 「あたたたた、お腹が痛いっ!お昼に食べた超盛ペヤングがマズかったのかしらっ?妙に胸やけがしたのよねっ!」 と迫真に迫る(?)演技で、その日の活動を中止に導いた。 あくまでも、表向きだが。 ハルヒに続いて古泉が席を立ち、朝比奈さんも 「わわわわたしも着替えようかしらあ」 と、ハルヒに負けず劣らずの迷演技をする。 そして、長門が部室から出たら準備完了だ。 「いいわね!抜かるんじゃないわよっ!」 そして、俺達の追跡が始まった。 部室棟から校門、校門からバス通り、バス通りから公園の裏口・・・やはり、長門の足は自宅には向いていない。 何処に向かっている? しかし、長門の歩くペースが恐ろしく早く感じるのは気のせいだろうか。 「ちょ、ちょっと!ユキ、歩くの早くないっ?」ハルヒが息を切らす。 歩くというよりは駆け足で追い掛けた方が楽な速度だ。 さすがに古泉も辛いとみえて、ニヤケ面を維持しつつも眉間にシワを寄せている。 朝比奈さんに関しては・・・やばい・・・真っ青だ! -ハルヒ!何処かで休もう! 「そうね!みくるちゃん、大丈夫?吐いてもマニアが喜ぶだけよっ?」 「らめれすう~目が回りますう~」 結局、俺達は丁度近くにあったファミレスに入って、ドリンクバーで喉を潤した後、しばらく休んでから帰る事にした。 帰り道、ハルヒが悔しそうに呟く。 「案外、バレててさ?巻かれたのかもね・・・。」 -いや、それは無いと思うが。 「なんで?」 -なんとなく、さ。 ハルヒはそう言ったものの、実は俺も同じ疑念を抱いていた。 もしかしたら長門は俺達の存在に気が付いていて、ワザと弄んだのではないだろうか・・・ 仮に、長門の心の中に悪戯少女的部分があったと仮定して、だが。 それに朝比奈さんがダウンすると同時にファミレスが目の前に現れたのは偶然・・・?いや、考えすぎだ、多分。 古泉は朝比奈さんを担いで後から続く。 「変わるか?」と聞くと、平気ですよ。と少し疲れた様に笑った。 やがて、俺達は部室棟に戻ってきた。 もう、日が沈もうとしている。 「じゃあ、みんなお疲・・・」 -ハルヒ、どうした? 「あれ・・・!」 ハルヒの指差す方向を見て、俺は息を飲んだ! 古泉も、ふらふらになっていた朝比奈さんまでもが、その方向に釘付けになる! 長門だ! 相手も居る! ここから100m位はあるだろうか。 俺達は隠れるのも忘れて、長門とその相手の様子を見つめていた。 肝心の相手の顔は逆光で見えない。 何か話をしている様だったが、盛り上がっている様子もない。 そして二人は手を振る訳でもでもなく、その場所から互いに別の方向へ歩き出した。 「・・・まあ、こんなとこですか?」 最初に口を開いたのは古泉だった。 朝比奈さんは疲れで声も出ない。 -もう良いだろ、ハルヒ?帰ろう。 「うーん・・・!キョン!?ちょっと待ってて?アタシ、相手の顔だけでも見てくるっ!今からなら追い付けるわっ!」 -おい、ハルヒ! 「みんなは解散!お疲れ様っ!」 やれやれ、部室で待つか。 仕方なく部室に入ると、そこには・・・長門が居た! いつもの場所に座って此方を見据えている。 なるほどな・・・。 長門と目があった瞬間、俺の追跡開始直後からの疑念は確信に変わった。 -・・・気付いていたんだな。 「気付いていた。」 -おかげで体の鈍りを解消できたよ。 「そう。」 -だが、悪く思わないで欲しい。 ハルヒはハルヒなりに、お前の事が心配で気掛かりなだけなんだ。 勿論、古泉も朝比奈さんもな? 「知ってる。」 ・・・そうか。 -さっきは、邪魔にならなかったか? 「・・・。」 -・・・すまなかったな。 「あの人は・・・もういい。」 -!?・・・そう・・なのか? 「そう。」 長門は、喋り終えると鞄を手にとり部室の出入り口へと体を向けた。不意に、ドアの手前に立ち尽くしていた俺の横をすり抜ける。 俺は思わず、長門を呼び止めた。 -長門! 「何?」 -ごめんな。 「あの人は・・・」 -? 「貴方じゃなかった・・・・」 (あの人は、貴方じゃない) どういう事だ? 俺でなければ何だと言うんだ。 そもそも、「あの人」が俺である理由は何だ・・・ さっき、長門がこの部屋を出る時に残した言葉が、俺にそれ以外の思考を許さない。 それどころか、俺の体を縛りつけてこの場所にとどまらせていた。 言い様の無いもどかしさが、普段は騒がしい癖に今は窒息しそうな静けさを湛えたこの部屋を駆け巡る。 畜生・・・。 するとその時、廊下に独特な足音が響いた。 そして、それは此方に向かってくる。 ハルヒだ! 「キョン、ごめん!待たせたわね!」 救われた。 「なに府抜けてんのよ!どうしたの?」 -いや、なんでもない。 それより・・・見れたのか?お相手さんは。 「駄目。追い付けなかったわ。全力で走ったんだけどね・・・。」 なるほど、髪型が何処と無く乱れているのはそれでか。 しかし、ハルヒの全力疾走を振りきるとは、どういう俊足だ・・・ 「まあ、いいわ。また機会があるでしょ? それより、帰るわよ。火元と窓の点検よろしくっ!」 -へいへい・・・ん? 「どうしたの?」 -長門のだよな・・・。 「あ、パソコン!」 俺が見つけた、椅子の上に置き去られたパソコンは紛れも無く長門のモノだった。 よく見ると「コンピュータ研究会」と書いた小さなテープが貼ってある。 「ふーん、そういう事?お隣さん、随分気前がよろしいのねぇ?」 -まあ、いいだろ。どうする?家まで届けてやろうか? 「あれ?ユキの家、知ってるの?」 -・・・ああ、前に・・・少しな。 「ふーん・・・。じゃあさ・・・届けちゃう前に、チョッとだけ。」 -あっ!やめろ!良くないぞ?そうやって勝手に見るの! 「イイじゃない!減るもんじゃなし!ちょっくら『お気に入り』を見てやるだけよっ! ハルヒはそう言うと、目にも止まらぬ早さで長門のパソコンを立ち上げた。 -しらんぞ?もう・・・ 「ふっふ~ん。ナニナニ?『けんたろうのオマカセ晩御飯』、『亡国にユングを語る』、『パソコン最新モデルガイド』・・・案外普通ね・・・ん?コレは何かしら?」 -やめろよ、ハルヒ! 「んーっ、少しだけ・・・・」 -あ、アクセスしやがったっ! 「ふむふむ・・・ねえっ?キョン!これ、面白いわっ!」 -何だよ・・・ああ、自分の顔写真を取り込んでキャラクターを作る奴か。 「それだけじゃないのよ?そのキャラクターで、色々な人と会話したり出来るんだって!」 -なるほどな。 「ふふふっ。ちなみにユキは・・・あった!可愛いっ!」 -本当だ・・・(長門って、漫画にするとこんな感じなのか。) 「ねえねえ、この『友達りすと』って、何かしら?」 -もう、やめとけよ。 「いいのっ!これだけ・・・あれ?一人だけだ・・・。」 「でも見て?男子よ!しかも、この空欄に書かれてる『約束は明後日』ってデートかしら!」 もう、やめとけよ。な? 「あれ、でもこれって・・・キョン?」 -え? 「ほら!この相手のキャラクター!」 ー本当だ!・・・だが、俺である筈がないな・・・。漫画とはいえ、よく見ると少し違うし。」 っ!まさか! 不意に俺の中に最近の長門の様子が駆け巡った! パソコンを見ながら頬を赤らめる長門・・・ あの人は貴方じゃない・・・と残して消えた長門 まさか!いや、そんな事ってあるのか? 「どうしたの?キョン・・・」 その時、部室の入り口のドアが開いた! 俺達の視線が驚きとともに部室の入り口に釘付けになる。 そこには、呆然と立ち尽くす長門が居た。 長門っ? 「ユキっ!?」 俺達が声をかけおわらないうちに、長門は廊下へと走りだした! -・・・ハルヒっ!すまんが、今日は電車で帰ってくれ! 俺は・・・長門を! 「アタシも行くっ!」 -大丈夫だから!俺に任せろ! 「・・・わかった!気を付けて!」 俺は部室を飛び出して長門を追った! 廊下を走っていくと、バタン!と大きな音が向こうから聞こえる。間違い無く部室棟の正面玄関の扉が閉じる音だ。 (部室棟の外に出たか?) 俺は全力で廊下を走り抜け、体当たりに近いカタチで正面玄関の扉を開けると、長門が走っていったと思われる方向に再び走りだした! 全力で走りながら、俺は頭の中で繰り返す。 長門、ごめん! パソコンを勝手に見たから?違う! 気持に気付いてやれなかった! 気付いたところで何もしてやれなかったけど・・・ 俺は・・・俺はハルヒだけを見ていた! そんな俺を、お前はどんな気持ちで見ていた? どんな想いで偽者の俺を求めた? 長門! 走りながら、涙が溢れた。 気が付くと、俺は校庭に居た。 そして、人の気配に振り返ると少し離れた所に佇む長門を見つけた。 暗くて見えないが、此方を見据えているのがはっきり判る。 長門・・・ 俺は、長門の居る方向へ歩み寄った。 彼女は動かない。 -長門! 「見た?」 -・・・ああ。 「気付いた?」 -・・・・ああ。 「忘れて。」 -? 「忘れ・・・て・」 長門・・・泣いているのか? 「・・・私は、今回の事態に対しての情報の消去及び操作を拒否する。だから、貴方が自分自身で忘れて・・・キョン・・君」 -・・・いやだ! 「・・・何故?」 -俺は、今は長門の想いには答えられない! 「知ってる・・っ。」-でも・・・明日から今まで通りにやれる自信があるんだ! 長門は大切な仲間だから! 何を聞いたって、何を見てしまったって、今まで通りにやれる自信があるんだ! だから、そんな悲しい事言うなよ! 「貴方が優しすぎるから・・・」 -え? 「辛くなる」 そう言うと長門は、立ち尽くしたままの姿勢でスッと前に倒れた。 慌てて、俺は抱きかかえて受けとめる。 長門は・・・震えていた。 -長門? 「何?」 -今だけ、こうしても良いか? 「いい・・・っ ふぇ・・・・・ひ・・・ふぇひっく・・・うわわああああん」 俺は子供の様に泣きじゃくる長門を、ただ抱き締める事しかできなかった。 抱き締めながら見上げた夜空には、かたむいたオリオン座と月だけが青白く光っていた。 あれから、どれくらい涙を流しただろう。 長門は、少し前に泣くのを止めて、涙も拭わないまま俺の腕の中に居た。 俺はただ、かける言葉すら見付けられずに沈黙を続ける。 すると、不意に腕の中の長門が身をよじった。 -どうした? 「もう、大丈夫。」 長門は立ち上がると軽く足に付いた砂埃をはらい、俺に背を向けた。 「帰る。」 -・・・送ろうか。 「いい。・・・私は・・・独りで平気。」 そう告げると、長門はゆっくりと歩き出した。 俺は、出口の無い迷路に迷いこんだ子供の様に、ただ立ち尽くすしかなかった。 長門の小さな背中が闇に消えていく・・・ そして・・・見えなくなった。 家に帰ってからの俺は、やり場の無い苛立ちにも似た想いをどうする事も出来ずに、ベットに腰を降ろし頭を抱えていた。 俺は・・・どうすればいい? いくら考えても、答えなんて出る訳が無かった。 ただ時間だけが無表情に過ぎ去っていく。 畜生!どうにでもなれ! 全てを投げ出したくなって後ろに倒れこむ・・・その瞬間、ポケットの中で携帯が震えた。 ・・・ハルヒからだ! 「もしもし?キョン?」 -ああ。 「・・・ユキ、どうだった?」 -ん、大丈夫・・・だ。 「そう。」 ・・・なあ、ハルヒ・・・ 「何?」 -今夜、そっちに行ってもいいか? 「!・・・どうしたの?」 -逢いたいんだ・・・。 俺は電話を切ると、自転車に飛び乗りハルヒの家へ向けて走りだした。 いつもの町並みを抜け、ハルヒの住む街へ・・・。 いつもの坂の手前で信号に足止めを食らう。 夜は車なんて大して通らない癖に、律儀に赤色に変わる信号器がもどかしい。 そして、立ち止まって少しだけ考える。 もしかしたら、俺はこの現実から逃げ出して、ハルヒに逢う事で少しでも楽になるのを心の何処かで望んでいる・・・ そんな自分が、つくづく嫌になる。 それでも、今夜はハルヒに逢いたい。 ハルヒの家に近付くと、ポケットの中で携帯がまた震えた。 一回だけ・・・今度はメールか・・・。 いつもの場所に自転車を停め、携帯を開いてみる。 『窓から、入ってきて』 俺はハルヒの家まで辿りつくと、玄関の脇から裏に回りこんだ。 とりあえず部屋の窓を少し叩いてみる。 すると、少しだけ窓が開き、中から「はいって・・・」とハルヒの声がした。 部屋に入ると、ハルヒはキャミソールに短パンという相変わらずの部屋着姿で髪にタオルを巻いていた。 それを見て俺は、この部屋に暖房が効いている事に気が付き、上着を脱ぐ。 -来て・・大丈夫・・・だったか? 「なによ、今更ね。もう、アタシ以外の家族はみんな寝てる。」 -悪いな・・・。 「座れば?」 -ああ。 俺はベットの裾に腰を下ろした。 ハルヒも隣に座り、話しを続ける。 「いいのよ、アタシも何となく逢いたかったから。」 -そうか。 -あのな、ハルヒ・・・ 「待って!」 -・・・? 「言わなくていい。アタシ・・気付いてた・・・・。」 -・・・そうか。 「ねえ、キョン・・・」 -? 「しよう?」 そう言うとハルヒは、俺にもたれかかる様に崩れた。 ベットの上で二人が重なる。 「今日は・・・アタシに任せて・・・。」 ハルヒはそう呟くと俺のシャツのボタンを外しながらキスをした。 唇から首筋・・・そしてその下へ・・・数えきれない程のキス・・・ まるで、俺が自分の為のものである事を確かめる様に・・・ハルヒのキスは続く・・・。 そして幾度目かの甘い揺らぎの果てに、俺達は繋がった。 俺の上に重なり少しづつ体を揺らしながら、ハルヒが耳元で囁く。 「どこにもいかないでね・・・」 そして、俺たちは互いを溶かしあい果てた・・・ あれから、どれくらい経っただろうか・・・ 俺の胸の上でハルヒが寝息をたてている。 答えなんて・・・初めから出ていた。 明日もう一度、長門に話をしようと思う。 もう一度・・・。 「起 き ろ ー っ ! 」 -うあっ!? 目が・・・覚めた。 慌てて体を起こして部屋の中を見回すと、俺のすぐ側で制服を着たハルヒがニヤニヤと笑っていた。 「今の飛び起きた顔!最高だったわね!」 -・・・そいつはどうも。もう、着替えたのか? 「早くしないと、この前みたいにギリギリになるわよ?」 -あ、ああ。 ハルヒの部屋で目を覚ますのは、これで二回目か・・・。 -なあ、ハルヒ。 昨日は急に押し掛けて、その・・・なんだ・・・悪かったな。 「今更何言ってんのよっ!あーんな事や、こーんな事もした癖に!」 -おまえなぁ・・・ 「それと・・・ユキにちゃんと言っときなさいよ!」 -えっ? 「『俺はハルヒにメロメロだから悪いけど諦めてくれ』ってね!」 -ハルヒ・・・ 「男が色恋沙汰て湿っぽくなってる事程、無様な事は無いわっ! キョンはアタシのもの! 今回の事はそれでオシマイ! わかったわね!?」 そう吐き捨てるように言うと、ハルヒは鞄に手をかけ体を部屋の出口に向けた。 そして、少し振り向いて「キョンは窓から出るんだからねっ!」と念を押す。 俺は、昨日の夜の途方に暮れていた自分を思い出して、少し笑った。 まったく、ハルヒには敵わないな・・・ 学校へは、この前よりも早めに着いた。 俺とハルヒは何食わぬ顔で席に座り、普段通りに授業の準備をする。 授業が始まると三十分もしないうちに、退屈したハルヒが俺の背中をペンでつっつく。 俺は体を揺すったり、時には振り返ったりしてあしらう。 そんな事を何回か繰り返して、瞬く間に昼休みになった。 俺は長門に会うために部室へ向かった。 長門がそこに居る確証はなかったが、そこに居なければ探せばいい、と前向きに考えてみる。 とにかく、話しをするんだ。 俺にとって、長門は大切な仲間・・・いや「友達」なんだから。 部室へ着くと俺は、買ってきた二本の缶コーヒーを小脇に抱え、ドアに手をかけた。 ふと、中に誰か居る気配を感じる。 長門か?いや、もう一人・・・ !!朝比奈さんっ? しかも・・・この入って行きずらい雰囲気は何だ?まいったな・・・ 困惑する俺の耳に、ドアの向こう側から朝比奈さんの声が聞こえて来る。 「・・・やっぱり、ここに居たんですね。」 やっぱり?朝比奈さんも長門を捜していた? 「昨日の事、謝りたくて・・・気付いてたんですよね?私達が居た事。」 返事が無いのは、長門が頷いているからだろうか。 「何故・・・そう思うの?」 !・・・長門の声がする! 「私が気持悪くなった時ね、ふと気が付くとファミレスが目の前にあったの。おかしいですよね?そこにはガソリンスタンドがあった筈なのに。それで・・・もしかしたら、長門さんの仕業じゃないかって思ったの。 私達と『追いかけっこ』をしているうちに、私が気持ち悪くなったのを見兼ねて・・・情報制圧・・・だったかしら?そんな感じの力を使って、そうしてくれたんじゃないか、ってね?」 「そう。」 「それで・・・謝らなくっちゃいけないと思ったのは、長門さんの彼との別れ際の様子が気になって・・・私達、邪魔だったな・・・って。」 「そんなこと・・・ない。」 朝比奈さんも気が付いていたんだな・・・。しかし長門よ、もう少し言葉を並べないと、まるで朝比奈さんの一人舞台だぞ・・・。 ほら、もう会話が止まりかけてる。 「・・・それで、その後、彼とはどう?」 「終わった。」 「やっぱり、本物じゃなきゃダメ?」 「!・・・あなたは、それを知らない筈。」 まったくだ、何で朝比奈さんがそれを知ってる? パソコンを見ちまったのは、俺とハルヒだけの筈なのに。 「私が・・・この部屋の中で普段立っている所ね?長門さんのパソコンの画面が見えちゃってたのよ。ほら、丁度長門さんの後ろにある書棚のガラス扉に反射して・・・。ごめんなさい、覗くつもりはなかったんだけど。長門さんも・・・私と、同じなんだなぁって・・・。」 「同じ?」 「ふふっ、私もね?キョン君の事が好きなの。」 俺は、朝比奈さんが消えたあの公園での出来事を思い出した。 朝比奈さんは続ける。 「でもね、私は彼に想いを告げる事は禁則事項だから絶対に出来ない。出来るとしたら、ここを離れる時くらいね。」 「・・・。」 「だから・・・私は彼の前ではいつも笑顔でいて、そして彼の笑顔を見ていたいと思った。」 「何故?」 「私と・・・同じ時間と同じ場所で彼が笑っているのが・・・幸せに思えたから。」 「・・・それで、いいの?」 「いいのよ。ねえ、長門さん?これは・・・他の人の言葉の受け売りだけど・・・たとえ相手と結ばれなくても、想い続けているだけで報われる恋もあるのよ。だから・・・ね?」 「・・・朝比奈さん」 「ん、何?」 「ありがとう。」 俺は、部室へ入るのを諦めた。 長門とは放課後に話す・・・いや、もしかしたらこのままで良いのかもしれない。 とりあえず今は、ここから消えるとしよう。コーヒーは・・・谷口と国木田にでもくれてやるか。 放課後。 廊下で、長門とすれちがう。 昨日は悪かったな?と軽く手を振ると、 「気にしないで」と長門が微笑んだ。 コーヒーふたつ6・おしまい
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/636.html
♪ttt・・・ttt・・・ttt・・・ 耳馴染みの無いアラームが遠くから聴こえる・・・ 朝・・・か? 少しづつ目を開けると、霞む視界に見慣れない天井が浮かびあがった。・・・何処だ?・・・ここは。 とにかく、起きよう・・・・。 俺は、少しだけ体を起こして辺りを見回した。そして、ここが自分の部屋ではない事を把握する。 さて、どうしたものかな・・・。 「ん・・・、キョン?おはよう・・・!」 ・・・!!!ハルヒ!? 俺の隣にハルヒが居る!!?何故だ!?そうだ・・・昨日!昨日の夜・・・っ! 思い出したっ! 帰宅後、鞄の中に提出期限間近の課題に使っていたノートが無い事に気付いた俺は、度々俺の鞄を勝手に開けてCDやら雑誌を持っていくハルヒに、心当たりが無いか電話をした。 で、案の定ノートはハルヒが持っていた!まあ大方、雑誌か何かを持ってく時に紛れちまったんだろうが。 そして・・・ノートを取りにハルヒの家に・・・・っ! おい、ハルヒっ!マズいだろ!これ! 「んー?何がー?」 いやっ・・ほら、あの・・・親とか! あと、学校も行かないとっ! 「んー・・っ、煩いわねぇ・・・親はもう二人とも出かけたわよ。それに・・・学校はキョンが家に制服とりに寄っても十分間に合うわ・・・。」 そう言い終えると、ハルヒは少しダルそうにベッドから抜け出した・・・って、おい! 「何よ?」 なんで裸なんだよっ?服くらい着ろよ!まあ、この場合パジャマとか部屋着とかっ! 「本当に煩いわねっ!着てたけどキョンが脱がしたんでしょ?昨日の夜にっ!」 あ・・・ 俺は、昨日の夜の一部始終を瞬時に思い出した。俺は・・・ああ・・・全身の血液が・・・・頭に昇る・・・ 「とにかく、そろそろ行きましょ?あ、キョンはソコの窓から外に出るのよ?向かいのオバチャンには、流石に見られるとマズイの!」 俺は返事もろくにしないまま、いそいそと着替えを始めた。 「・・・っ!くしゅん!」 自転車をこぐ俺の後ろで、荷台に座ったハルヒがクシャミをする。 それなりに豪快にやらかしてくれたので、少しハンドルをふらつかせてしまった。 「うー、風邪かしら・・・不覚だわね。」 呟くハルヒに『裸で寝てるからだろ』と突っ込みを入れたくなるが、先程の様に反撃されかねないので止めておく。 しかし・・・我ながら昨夜は大胆な行動に出たもんだ、と今更ながらつくづく思う。 完膚なきままに雰囲気に負けた。 コトが済んだ後で「谷口の家に泊まる」と自宅の留守電には入れておいた訳だが、『ノートを取ってくる』と言ったまま、俺が姿を消したのは事実な訳で・・・騒ぎになっていない事を祈るばかりだ。 やがて、俺達はいつもの坂道にさしかかった。 ふらふらと登って行くと、右手にハルヒの住む町がパノラマの様に広がってゆく。 いつもより時間が早いせいだろうか、見慣れた町並みに透明な静けさを感じた。 坂を登りきり、馴染みの販売機の前を過ぎれば、後は下り坂だ。 刺すような冷たい風に首をすくめながら、俺達は加速していく。 ああ、そうだ・・・家に戻って制服に着替えなきゃな・・・。 そんな事を考えながら、少しだけ今着ている服の臭いをかいでみる。昨日はハルヒの家に向かう前に風呂は済ませてあった訳だから、特に気にする必要は無い筈なのだが・・・なんと言うか・・・癖なんだろうな。 そんな俺の様子を見ていたんだろうか。 ハルヒが後ろで笑っている。 「なあに?アタシの匂いがするかしら?」 ・・・コイツは! 終始受け身だった癖に、コトが終わった途端に攻勢に転じやがった。 今朝から何回俺を赤面させれば気が済むんだ、まったく! 坂を下りきり、いつもなら真っ直ぐに抜ける交差点を右に曲がり自宅へ向かう。 考えてみれば平日の朝、私服の俺に制服のハルヒ・・・どう考えても不自然だな。しかも、ここらへんは我が北校生の『レーダー圏内』だ。 早いところ着替えて、日常へ戻ろう。 自宅に着くと俺は、素早く二階に上がり服を脱ぎ捨てて新しい下着と制服を取り出した。母親の問掛けを尽く回避し、再び自転車に飛び乗る。 「ふふん、大丈夫だった様ね?さあ、急ぐわよ?」 言われなくてもそうするさ!しっかりつかまってろ・・・と言いかけた瞬間、俺は見慣れた後ろ姿を少し先の歩道に見つけ言葉を止めた。 長門? どうやら、ハルヒも気が付いたらしく、俺の背中を叩きながら騒ぐ。 「ねえ、キョン!ほら、あそこ!あれユキじゃない?」 馬鹿な・・・長門がこんな所に居るわけ無いだろ?だが・・・確かに似てるな・・・。 そして、更に驚いた事にその向こう側に男らしき人陰が見える。 歳は・・・俺と同じくらいだが・・・他校生か?何か話してる様だが・・・ 「むはーっ!朝からこれはスキャンダルだわっ!他人の色恋沙汰なんざ興味無いけど対象がユキとなれば話は別よっ!キョン、いい事?秘密裏に調査を進め随時アタシに報告よっ?解ったわねっ?」 好奇心を核爆発させるハルヒを尻目に、俺は根拠の無い不安を少しだけ感じながら長門らしき人影とその相手を見送った。 結局、学校へは滑り込みセーフだった。 おいおいっ?何が「制服とりに行ってからでも充分間に合う」だよ、ハルヒの奴! さっき校舎に入ったと思ったら、瞬く間に一時間目が始まっちまった。 だが・・・まあ、いい! 今は無事、時間に間に合いこの椅子に座り机に向かえる悦びを噛み締めたいっ! ただいま、俺の日常! しかし、そんな一時の安息も「ハルヒが後ろに座っている」と言うだけで砂の城の如く崩れさる。そう、ハルヒに退屈が訪れるとともに・・・ 「つんつん」 ほら、背中にペンでツンツン攻撃が来たっ! どうせ、ロクな用事ではない事はバレバレユカイだっ! それに、俺は只でさえ『課題を忘れた』というリスクを背負っている。まあ、謀らずともハルヒ!おまえが原因だが。 「ツンツン」 無視! うっ、背中から殺気を感じるっ。 「こら、バカキョン!こっち向けっ!」って言ってるのが微妙に伝わってくるっ! 忌々しい、ああ忌々しい! 「ツンツン つー」 ん?つー・・って何か書いてるのか?背中で筆談か?ふんふん、ナニナニ? あ そ こ が ひ り ひ り す る ? って!おおおおおおいいいいっ!!! 授業中に何て事をっ! 頼むから、頼むからから昨日の話はもう止めてくれっ!連続赤面による脳内血管破裂かなんかで今日中に死ぬぞ?俺! そんな事をやっているうちに、一時間目は終わってしまった。 -おい!ハルヒっ? 「アハハハハハッ!ゴメンゴメン!キョンが赤くなるのが最高に面白かったのよ!もう最高っ!」 -もう!今度やったら二度と『昨日みたいな事』はやらないからなっ! 「ほ~う?キョン君、『昨日みたいな事』とはどういう事かしら?プププ」 -××××もういいっ! -「冗談!冗談よっ!ところでさ?アタシ、やっぱり追跡調査しか無いと思うわけよ!」 -何が? 「ユキの事よ!」 -ああ?今朝のアレ、本当に長門だったのか? 「バカね!それさえも、調査すれば判るじゃない!」 -ああ、まあ興味はあるんだが・・・なんか長門に悪いな。 「何言ってるのっ!ユキは見た目通り間違いなくウブよ?妙な相手だったら、アタシ達が目を覚まさせてやらなきゃ!」 -ううん・・・ 「作戦はアタシが練るわ!期待しなさい!」 昼休み、である。 昨夜から今朝にかけての一件で、弁当を用意出来なかった俺は、買い置きのカップ麺を求めて部室へとやって来た・・・のだが。 -おい、ハルヒ。それと古泉に朝比奈さんまで! 何の集まりだ?コレは。 「あら、キョン!丁度良かったわ?コッチはアンタに声をかけ忘れたのに今気付いて、どうしようか考えてたトコよっ!」 -そりゃ、どうも。 で、もう一度訊くが何の集まりだ!? 「決まってるじゃない!ユキの恋を見守る会『ハッピーマテリアルプロジェクト』の旗揚げよ!略してハピマテで構わないわっ!」 -・・・。 「さあ、キョン?古泉君とみくるちゃんに現況を報告するのよっ!」 -(何が『するのよっ!』だ。俺の事忘れてた癖に。) -ああ・・まあ・・・なんだ・・・今朝、ハルヒと学校へ向かう途中に、長門に良く似た女の子が彼氏らしき人と居るのを見掛けたって、だけの話だ。 仮にそれが本物の長門であっても、あまり騒がずに自然体でだな・・・ 「ほう!それは大変興味深いですね?」 -おい・・・古泉? 「ふえええっ!お相手の方はどんな人なんですかぁ?」 -あのー朝比奈さん? 「まあっ、そういう事なのよっ!いいわね、コレはあくまでも隠密行動よっ!わかったわね?」 -あーあ。もう知らんぞ・・・ところでハルヒ、長門は? いつもならソコで、本を読んだりして・・・ 「ふふん。それなのよ!最近、ユキはこの時間・・・」 そう言いながら、ハルヒは指で真上を指す。 -ん?屋上か? 「そう!でね・・・ううん、これは直に見て貰った方が早いわね。みんな?移動するわよっ」 そしてハルヒに導かれるままに、俺達は屋上やってきた。 給水タンクの陰に隠れ、ハルヒに指示(?)を受けながら長門を探す。 「こら、キョン!もたもたしないの!みくるちゃんはオッパイの分だけ目立つんだから、更に低く構えるのよっ?古泉君、様子どう?ユキは居た?」 古泉が一人だけ、タンクの陰から頭を出して辺りを見回す。 「あ、いましたよ!みなさん、北側の縁のところ・・・」 長門は縁の部分に腰掛け、膝に置いたパソコンを見ていた。 透き通る様な白い頬を、少しだけピンク色に染め・・・しかも!少しだけ微笑んでいる様にも見える・・・。 そして時折、空を見上げる。 肩の動きから、溜め息をついているのが判る。 「ねえ?ただ事では無いでしょ?何日か前から、あんな感じなのよ! だから今朝、キョンと現場を目撃した時に、ピンと来たってわけ。」 -なるほどな。確かに・・・普通じゃないな・・・痛っ!古泉、押すなっ! 「ああっ、すいません。しかし絵になりますねえ。『恋少女、空に想ふ』ってとこでしょうか。ねえ、朝比奈さん?」 「ええ、なんか素敵ですねぇ」 しかし、色々な意味で大丈夫なんだろうか。長門は・・・ほら、統一思念なんとかから送られたアレな訳だし。 でも、朝倉は割と普通ぽかったから、ありえなくもないものなのか・・・ 「さあっ、一時退却よ!気になる、お相手は放課後に拝見しましょうっ?」 しかしあの、長門がね・・・。 別に、長門に恋人が居ようが居まいが、俺には全く関係ない・・・筈なんだが、いざ現実を突き付けられると身近な女子だけにそれなりに気になる。 それに長門には悪いが、俺は長門の素性を知っているだけに相手が色々な意味で大丈夫なのか少し心配になっていた。 それにしても、相手はどんな奴だ? 長門は最近パソコンを手放さなかった様だが、何か「そっち」の関係で知り合ったのだろうか・・・。 だいたい、あのパソコンは何処から手に入れたんだろう・・・。 まあ、いい。 放課後に・・・少しだけハルヒの探偵ゴッコに付き合うとしよう。 相手がどんな奴か位は見てやりたい気もするし、もう少し・・・色々な長門の表情を見てみたい・・・。 放課後、ハルヒは部室に来るや否や 「あたたたた、お腹が痛いっ!お昼に食べた超盛ペヤングがマズかったのかしらっ?妙に胸やけがしたのよねっ!」 と迫真に迫る(?)演技で、その日の活動を中止に導いた。 あくまでも、表向きだが。 ハルヒに続いて古泉が席を立ち、朝比奈さんも 「わわわわたしも着替えようかしらあ」 と、ハルヒに負けず劣らずの迷演技をする。 そして、長門が部室から出たら準備完了だ。 「いいわね!抜かるんじゃないわよっ!」 そして、俺達の追跡が始まった。 部室棟から校門、校門からバス通り、バス通りから公園の裏口・・・やはり、長門の足は自宅には向いていない。 何処に向かっている? しかし、長門の歩くペースが恐ろしく早く感じるのは気のせいだろうか。 「ちょ、ちょっと!ユキ、歩くの早くないっ?」ハルヒが息を切らす。 歩くというよりは駆け足で追い掛けた方が楽な速度だ。 さすがに古泉も辛いとみえて、ニヤケ面を維持しつつも眉間にシワを寄せている。 朝比奈さんに関しては・・・やばい・・・真っ青だ! -ハルヒ!何処かで休もう! 「そうね!みくるちゃん、大丈夫?吐いてもマニアが喜ぶだけよっ?」 「らめれすう~目が回りますう~」 結局、俺達は丁度近くにあったファミレスに入って、ドリンクバーで喉を潤した後、しばらく休んでから帰る事にした。 帰り道、ハルヒが悔しそうに呟く。 「案外、バレててさ?巻かれたのかもね・・・。」 -いや、それは無いと思うが。 「なんで?」 -なんとなく、さ。 ハルヒはそう言ったものの、実は俺も同じ疑念を抱いていた。 もしかしたら長門は俺達の存在に気が付いていて、ワザと弄んだのではないだろうか・・・ 仮に、長門の心の中に悪戯少女的部分があったと仮定して、だが。 それに朝比奈さんがダウンすると同時にファミレスが目の前に現れたのは偶然・・・?いや、考えすぎだ、多分。 古泉は朝比奈さんを担いで後から続く。 「変わるか?」と聞くと、平気ですよ。と少し疲れた様に笑った。 やがて、俺達は部室棟に戻ってきた。 もう、日が沈もうとしている。 「じゃあ、みんなお疲・・・」 -ハルヒ、どうした? 「あれ・・・!」 ハルヒの指差す方向を見て、俺は息を飲んだ! 古泉も、ふらふらになっていた朝比奈さんまでもが、その方向に釘付けになる! 長門だ! 相手も居る! ここから100m位はあるだろうか。 俺達は隠れるのも忘れて、長門とその相手の様子を見つめていた。 肝心の相手の顔は逆光で見えない。 何か話をしている様だったが、盛り上がっている様子もない。 そして二人は手を振る訳でもでもなく、その場所から互いに別の方向へ歩き出した。 「・・・まあ、こんなとこですか?」 最初に口を開いたのは古泉だった。 朝比奈さんは疲れで声も出ない。 -もう良いだろ、ハルヒ?帰ろう。 「うーん・・・!キョン!?ちょっと待ってて?アタシ、相手の顔だけでも見てくるっ!今からなら追い付けるわっ!」 -おい、ハルヒ! 「みんなは解散!お疲れ様っ!」 やれやれ、部室で待つか。 仕方なく部室に入ると、そこには・・・長門が居た! いつもの場所に座って此方を見据えている。 なるほどな・・・。 長門と目があった瞬間、俺の追跡開始直後からの疑念は確信に変わった。 -・・・気付いていたんだな。 「気付いていた。」 -おかげで体の鈍りを解消できたよ。 「そう。」 -だが、悪く思わないで欲しい。 ハルヒはハルヒなりに、お前の事が心配で気掛かりなだけなんだ。 勿論、古泉も朝比奈さんもな? 「知ってる。」 ・・・そうか。 -さっきは、邪魔にならなかったか? 「・・・。」 -・・・すまなかったな。 「あの人は・・・もういい。」 -!?・・・そう・・なのか? 「そう。」 長門は、喋り終えると鞄を手にとり部室の出入り口へと体を向けた。不意に、ドアの手前に立ち尽くしていた俺の横をすり抜ける。 俺は思わず、長門を呼び止めた。 -長門! 「何?」 -ごめんな。 「あの人は・・・」 -? 「貴方じゃなかった・・・・」 (あの人は、貴方じゃない) どういう事だ? 俺でなければ何だと言うんだ。 そもそも、「あの人」が俺である理由は何だ・・・ さっき、長門がこの部屋を出る時に残した言葉が、俺にそれ以外の思考を許さない。 それどころか、俺の体を縛りつけてこの場所にとどまらせていた。 言い様の無いもどかしさが、普段は騒がしい癖に今は窒息しそうな静けさを湛えたこの部屋を駆け巡る。 畜生・・・。 するとその時、廊下に独特な足音が響いた。 そして、それは此方に向かってくる。 ハルヒだ! 「キョン、ごめん!待たせたわね!」 救われた。 「なに府抜けてんのよ!どうしたの?」 -いや、なんでもない。 それより・・・見れたのか?お相手さんは。 「駄目。追い付けなかったわ。全力で走ったんだけどね・・・。」 なるほど、髪型が何処と無く乱れているのはそれでか。 しかし、ハルヒの全力疾走を振りきるとは、どういう俊足だ・・・ 「まあ、いいわ。また機会があるでしょ? それより、帰るわよ。火元と窓の点検よろしくっ!」 -へいへい・・・ん? 「どうしたの?」 -長門のだよな・・・。 「あ、パソコン!」 俺が見つけた、椅子の上に置き去られたパソコンは紛れも無く長門のモノだった。 よく見ると「コンピュータ研究会」と書いた小さなテープが貼ってある。 「ふーん、そういう事?お隣さん、随分気前がよろしいのねぇ?」 -まあ、いいだろ。どうする?家まで届けてやろうか? 「あれ?ユキの家、知ってるの?」 -・・・ああ、前に・・・少しな。 「ふーん・・・。じゃあさ・・・届けちゃう前に、チョッとだけ。」 -あっ!やめろ!良くないぞ?そうやって勝手に見るの! 「イイじゃない!減るもんじゃなし!ちょっくら『お気に入り』を見てやるだけよっ! ハルヒはそう言うと、目にも止まらぬ早さで長門のパソコンを立ち上げた。 -しらんぞ?もう・・・ 「ふっふ~ん。ナニナニ?『けんたろうのオマカセ晩御飯』、『亡国にユングを語る』、『パソコン最新モデルガイド』・・・案外普通ね・・・ん?コレは何かしら?」 -やめろよ、ハルヒ! 「んーっ、少しだけ・・・・」 -あ、アクセスしやがったっ! 「ふむふむ・・・ねえっ?キョン!これ、面白いわっ!」 -何だよ・・・ああ、自分の顔写真を取り込んでキャラクターを作る奴か。 「それだけじゃないのよ?そのキャラクターで、色々な人と会話したり出来るんだって!」 -なるほどな。 「ふふふっ。ちなみにユキは・・・あった!可愛いっ!」 -本当だ・・・(長門って、漫画にするとこんな感じなのか。) 「ねえねえ、この『友達りすと』って、何かしら?」 -もう、やめとけよ。 「いいのっ!これだけ・・・あれ?一人だけだ・・・。」 「でも見て?男子よ!しかも、この空欄に書かれてる『約束は明後日』ってデートかしら!」 もう、やめとけよ。な? 「あれ、でもこれって・・・キョン?」 -え? 「ほら!この相手のキャラクター!」 ー本当だ!・・・だが、俺である筈がないな・・・。漫画とはいえ、よく見ると少し違うし。」 っ!まさか! 不意に俺の中に最近の長門の様子が駆け巡った! パソコンを見ながら頬を赤らめる長門・・・ あの人は貴方じゃない・・・と残して消えた長門 まさか!いや、そんな事ってあるのか? 「どうしたの?キョン・・・」 その時、部室の入り口のドアが開いた! 俺達の視線が驚きとともに部室の入り口に釘付けになる。 そこには、呆然と立ち尽くす長門が居た。 長門っ? 「ユキっ!?」 俺達が声をかけおわらないうちに、長門は廊下へと走りだした! -・・・ハルヒっ!すまんが、今日は電車で帰ってくれ! 俺は・・・長門を! 「アタシも行くっ!」 -大丈夫だから!俺に任せろ! 「・・・わかった!気を付けて!」 俺は部室を飛び出して長門を追った! 廊下を走っていくと、バタン!と大きな音が向こうから聞こえる。間違い無く部室棟の正面玄関の扉が閉じる音だ。 (部室棟の外に出たか?) 俺は全力で廊下を走り抜け、体当たりに近いカタチで正面玄関の扉を開けると、長門が走っていったと思われる方向に再び走りだした! 全力で走りながら、俺は頭の中で繰り返す。 長門、ごめん! パソコンを勝手に見たから?違う! 気持に気付いてやれなかった! 気付いたところで何もしてやれなかったけど・・・ 俺は・・・俺はハルヒだけを見ていた! そんな俺を、お前はどんな気持ちで見ていた? どんな想いで偽者の俺を求めた? 長門! 走りながら、涙が溢れた。 気が付くと、俺は校庭に居た。 そして、人の気配に振り返ると少し離れた所に佇む長門を見つけた。 暗くて見えないが、此方を見据えているのがはっきり判る。 長門・・・ 俺は、長門の居る方向へ歩み寄った。 彼女は動かない。 -長門! 「見た?」 -・・・ああ。 「気付いた?」 -・・・・ああ。 「忘れて。」 -? 「忘れ・・・て・」 長門・・・泣いているのか? 「・・・私は、今回の事態に対しての情報の消去及び操作を拒否する。だから、貴方が自分自身で忘れて・・・キョン・・君」 -・・・いやだ! 「・・・何故?」 -俺は、今は長門の想いには答えられない! 「知ってる・・っ。」-でも・・・明日から今まで通りにやれる自信があるんだ! 長門は大切な仲間だから! 何を聞いたって、何を見てしまったって、今まで通りにやれる自信があるんだ! だから、そんな悲しい事言うなよ! 「貴方が優しすぎるから・・・」 -え? 「辛くなる」 そう言うと長門は、立ち尽くしたままの姿勢でスッと前に倒れた。 慌てて、俺は抱きかかえて受けとめる。 長門は・・・震えていた。 -長門? 「何?」 -今だけ、こうしても良いか? 「いい・・・っ ふぇ・・・・・ひ・・・ふぇひっく・・・うわわああああん」 俺は子供の様に泣きじゃくる長門を、ただ抱き締める事しかできなかった。 抱き締めながら見上げた夜空には、かたむいたオリオン座と月だけが青白く光っていた。 あれから、どれくらい涙を流しただろう。 長門は、少し前に泣くのを止めて、涙も拭わないまま俺の腕の中に居た。 俺はただ、かける言葉すら見付けられずに沈黙を続ける。 すると、不意に腕の中の長門が身をよじった。 -どうした? 「もう、大丈夫。」 長門は立ち上がると軽く足に付いた砂埃をはらい、俺に背を向けた。 「帰る。」 -・・・送ろうか。 「いい。・・・私は・・・独りで平気。」 そう告げると、長門はゆっくりと歩き出した。 俺は、出口の無い迷路に迷いこんだ子供の様に、ただ立ち尽くすしかなかった。 長門の小さな背中が闇に消えていく・・・ そして・・・見えなくなった。 家に帰ってからの俺は、やり場の無い苛立ちにも似た想いをどうする事も出来ずに、ベットに腰を降ろし頭を抱えていた。 俺は・・・どうすればいい? いくら考えても、答えなんて出る訳が無かった。 ただ時間だけが無表情に過ぎ去っていく。 畜生!どうにでもなれ! 全てを投げ出したくなって後ろに倒れこむ・・・その瞬間、ポケットの中で携帯が震えた。 ・・・ハルヒからだ! 「もしもし?キョン?」 -ああ。 「・・・ユキ、どうだった?」 -ん、大丈夫・・・だ。 「そう。」 ・・・なあ、ハルヒ・・・ 「何?」 -今夜、そっちに行ってもいいか? 「!・・・どうしたの?」 -逢いたいんだ・・・。 俺は電話を切ると、自転車に飛び乗りハルヒの家へ向けて走りだした。 いつもの町並みを抜け、ハルヒの住む街へ・・・。 いつもの坂の手前で信号に足止めを食らう。 夜は車なんて大して通らない癖に、律儀に赤色に変わる信号器がもどかしい。 そして、立ち止まって少しだけ考える。 もしかしたら、俺はこの現実から逃げ出して、ハルヒに逢う事で少しでも楽になるのを心の何処かで望んでいる・・・ そんな自分が、つくづく嫌になる。 それでも、今夜はハルヒに逢いたい。 ハルヒの家に近付くと、ポケットの中で携帯がまた震えた。 一回だけ・・・今度はメールか・・・。 いつもの場所に自転車を停め、携帯を開いてみる。 『窓から、入ってきて』 俺はハルヒの家まで辿りつくと、玄関の脇から裏に回りこんだ。 とりあえず部屋の窓を少し叩いてみる。 すると、少しだけ窓が開き、中から「はいって・・・」とハルヒの声がした。 部屋に入ると、ハルヒはキャミソールに短パンという相変わらずの部屋着姿で髪にタオルを巻いていた。 それを見て俺は、この部屋に暖房が効いている事に気が付き、上着を脱ぐ。 -来て・・大丈夫・・・だったか? 「なによ、今更ね。もう、アタシ以外の家族はみんな寝てる。」 -悪いな・・・。 「座れば?」 -ああ。 俺はベットの裾に腰を下ろした。 ハルヒも隣に座り、話しを続ける。 「いいのよ、アタシも何となく逢いたかったから。」 -そうか。 -あのな、ハルヒ・・・ 「待って!」 -・・・? 「言わなくていい。アタシ・・気付いてた・・・・。」 -・・・そうか。 「ねえ、キョン・・・」 -? 「しよう?」 そう言うとハルヒは、俺にもたれかかる様に崩れた。 ベットの上で二人が重なる。 「今日は・・・アタシに任せて・・・。」 ハルヒはそう呟くと俺のシャツのボタンを外しながらキスをした。 唇から首筋・・・そしてその下へ・・・数えきれない程のキス・・・ まるで、俺が自分の為のものである事を確かめる様に・・・ハルヒのキスは続く・・・。 そして幾度目かの甘い揺らぎの果てに、俺達は繋がった。 俺の上に重なり少しづつ体を揺らしながら、ハルヒが耳元で囁く。 「どこにもいかないでね・・・」 そして、俺たちは互いを溶かしあい果てた・・・ あれから、どれくらい経っただろうか・・・ 俺の胸の上でハルヒが寝息をたてている。 答えなんて・・・初めから出ていた。 明日もう一度、長門に話をしようと思う。 もう一度・・・。 「起 き ろ ー っ ! 」 -うあっ!? 目が・・・覚めた。 慌てて体を起こして部屋の中を見回すと、俺のすぐ側で制服を着たハルヒがニヤニヤと笑っていた。 「今の飛び起きた顔!最高だったわね!」 -・・・そいつはどうも。もう、着替えたのか? 「早くしないと、この前みたいにギリギリになるわよ?」 -あ、ああ。 ハルヒの部屋で目を覚ますのは、これで二回目か・・・。 -なあ、ハルヒ。 昨日は急に押し掛けて、その・・・なんだ・・・悪かったな。 「今更何言ってんのよっ!あーんな事や、こーんな事もした癖に!」 -おまえなぁ・・・ 「それと・・・ユキにちゃんと言っときなさいよ!」 -えっ? 「『俺はハルヒにメロメロだから悪いけど諦めてくれ』ってね!」 -ハルヒ・・・ 「男が色恋沙汰て湿っぽくなってる事程、無様な事は無いわっ! キョンはアタシのもの! 今回の事はそれでオシマイ! わかったわね!?」 そう吐き捨てるように言うと、ハルヒは鞄に手をかけ体を部屋の出口に向けた。 そして、少し振り向いて「キョンは窓から出るんだからねっ!」と念を押す。 俺は、昨日の夜の途方に暮れていた自分を思い出して、少し笑った。 まったく、ハルヒには敵わないな・・・ 学校へは、この前よりも早めに着いた。 俺とハルヒは何食わぬ顔で席に座り、普段通りに授業の準備をする。 授業が始まると三十分もしないうちに、退屈したハルヒが俺の背中をペンでつっつく。 俺は体を揺すったり、時には振り返ったりしてあしらう。 そんな事を何回か繰り返して、瞬く間に昼休みになった。 俺は長門に会うために部室へ向かった。 長門がそこに居る確証はなかったが、そこに居なければ探せばいい、と前向きに考えてみる。 とにかく、話しをするんだ。 俺にとって、長門は大切な仲間・・・いや「友達」なんだから。 部室へ着くと俺は、買ってきた二本の缶コーヒーを小脇に抱え、ドアに手をかけた。 ふと、中に誰か居る気配を感じる。 長門か?いや、もう一人・・・ !!朝比奈さんっ? しかも・・・この入って行きずらい雰囲気は何だ?まいったな・・・ 困惑する俺の耳に、ドアの向こう側から朝比奈さんの声が聞こえて来る。 「・・・やっぱり、ここに居たんですね。」 やっぱり?朝比奈さんも長門を捜していた? 「昨日の事、謝りたくて・・・気付いてたんですよね?私達が居た事。」 返事が無いのは、長門が頷いているからだろうか。 「何故・・・そう思うの?」 !・・・長門の声がする! 「私が気持悪くなった時ね、ふと気が付くとファミレスが目の前にあったの。おかしいですよね?そこにはガソリンスタンドがあった筈なのに。それで・・・もしかしたら、長門さんの仕業じゃないかって思ったの。 私達と『追いかけっこ』をしているうちに、私が気持ち悪くなったのを見兼ねて・・・情報制圧・・・だったかしら?そんな感じの力を使って、そうしてくれたんじゃないか、ってね?」 「そう。」 「それで・・・謝らなくっちゃいけないと思ったのは、長門さんの彼との別れ際の様子が気になって・・・私達、邪魔だったな・・・って。」 「そんなこと・・・ない。」 朝比奈さんも気が付いていたんだな・・・。しかし長門よ、もう少し言葉を並べないと、まるで朝比奈さんの一人舞台だぞ・・・。 ほら、もう会話が止まりかけてる。 「・・・それで、その後、彼とはどう?」 「終わった。」 「やっぱり、本物じゃなきゃダメ?」 「!・・・あなたは、それを知らない筈。」 まったくだ、何で朝比奈さんがそれを知ってる? パソコンを見ちまったのは、俺とハルヒだけの筈なのに。 「私が・・・この部屋の中で普段立っている所ね?長門さんのパソコンの画面が見えちゃってたのよ。ほら、丁度長門さんの後ろにある書棚のガラス扉に反射して・・・。ごめんなさい、覗くつもりはなかったんだけど。長門さんも・・・私と、同じなんだなぁって・・・。」 「同じ?」 「ふふっ、私もね?キョン君の事が好きなの。」 俺は、朝比奈さんが消えたあの公園での出来事を思い出した。 朝比奈さんは続ける。 「でもね、私は彼に想いを告げる事は禁則事項だから絶対に出来ない。出来るとしたら、ここを離れる時くらいね。」 「・・・。」 「だから・・・私は彼の前ではいつも笑顔でいて、そして彼の笑顔を見ていたいと思った。」 「何故?」 「私と・・・同じ時間と同じ場所で彼が笑っているのが・・・幸せに思えたから。」 「・・・それで、いいの?」 「いいのよ。ねえ、長門さん?これは・・・他の人の言葉の受け売りだけど・・・たとえ相手と結ばれなくても、想い続けているだけで報われる恋もあるのよ。だから・・・ね?」 「・・・朝比奈さん」 「ん、何?」 「ありがとう。」 俺は、部室へ入るのを諦めた。 長門とは放課後に話す・・・いや、もしかしたらこのままで良いのかもしれない。 とりあえず今は、ここから消えるとしよう。コーヒーは・・・谷口と国木田にでもくれてやるか。 放課後。 廊下で、長門とすれちがう。 昨日は悪かったな?と軽く手を振ると、 「気にしないで」と長門が微笑んだ。 コーヒーふたつ6・おしまい