約 1,736,627 件
https://w.atwiki.jp/nomitrpg/pages/177.html
GM/らっこさん PC1/ハチノスさん/海音寺 弥 PC2/是通さん/宗 ゼンヘイダル 景彰 PC3/おうべたいがさん/三毛島 えすぱ PC4/のみち/今川 アニエル セッション日:2016/04/17 ダイヤモンドキャッスル 【今回予告】 美酒町の地に飛来したダークネスディアマント。 恐るべき力を秘めるその秘宝を求めて幾多の勢力が、 暗躍する中、町の北にある遊園地・大嶽ドリームランドで、 人が突如として意識不明となる怪事件が発生する。 折しも遊園地に姿を現わす、インフェリアクィーンと 機械天使たち。ふたつの集団がぶつかり合う中、 カオスフレアたちは遊園地に見え隠れするダスクフレアの 陰謀を目の当たりにする。 連れ去られた女性、鹿角奈津紀の行方はいずこか? 悪のスキャナーたるダスクフレア、久然淨祭の野望とは!? 今、ダイヤモンドの城に闇の宝石が眩く光を放つ! 異界戦記カオスフレアSC「ダイヤモンドキャッスル」 運命の絆が、夕闇を打ち払う!
https://w.atwiki.jp/yudetamago_soko/pages/347.html
67巻 > 第264話 第264話 「ふたつの宿願!!」 掲載期間:2018年10月29日~2018年11月4日 AAを貼る場合上段のメニュー→「編集」→「このページを編集」。 AAの前に #aa{{ を、AAの後ろに }} をつけてください。 コラを載せる場合上段のメニュー→「編集」→「このページにファイルをアップロード」。 アップロード後に「編集」→「このページを編集」し、 #ref(添付ファイル名) または #ref(ファイルのURL) を記入してください。 オイオイオイ、死んだわアイツ それの何が悪い! 殺る気マンマンなザ・マン なにをするだー! 一刻も早く何とかせねば まさに宿願
https://w.atwiki.jp/trashpanda-araisan/pages/109.html
256 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (スッップ Sdaf-ARQP)[sage] 投稿日:2017/08/06(日) 04 43 30.84 ID P6iS3z9Hd [1/4] アライさんがヒトの畑からまんまるをくすねて寝ぐらに帰ると、変な奴がいたのだ。 野生のアライグマなのだ。 アライさんはアライグマのフレンズだから仲間なのだ、友達なのだ、仲良くするのだ。 痛いのだ、何をするのだ、アライさんの耳をかじらないで欲しいのだ。 わかったのだ、お前が親分なのだ、いうこと聞くのだ。 やめるのだ、痛いのだ。やめやめやめやめ ひどいのだ、アライさんのかわいい耳が片っぽ千切れて無くなってしまったのだ。 痛いのだ、頭から血がいっぱい出てるのだ。 257 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (スッップ Sdaf-ARQP)[sage] 投稿日:2017/08/06(日) 04 44 05.51 ID P6iS3z9Hd [2/4] 夜中になったのだ。まだ耳のあったところがズキズキするのだ。 親分にくっついて、ヒトのはたけにいくのだ。 うまそうなまんまるがあるのだ。アライさんが見つけたからアライさんのものなのだ。 痛いのだ、手を噛まれたのだ。親分より先に食べ物に手を出したから怒っているのだ、ごめんなさいなのだ。ごめんなさいなのだ。 親分は離してくれないのだ。痛いのだ、痛いのだ、離して欲しいのだ。 思いっきり手を振り回したら、アライさんの指が2本食いちぎられたのだ。 ものすごい悲鳴が聞こえたけど、それはアライさんの悲鳴だったのだ。 悲鳴を聞いて、遠くからヒトが来たのだ。らいふるという道具を持っているのだ。 撃たれそうになって慌てて寝ぐらに逃げたのだ。 親分の怒りはおさまらなかったのだ。 土下座してるアライさんのもう片っぽの耳まで食いちぎったのだ。 ひどいのだ、ひどいのだ。あんまりなのだ。 外に出て水たまりでアライさんの顔を見てみたら、耳が両方無くなってまんまる頭になっていたのだ。これじゃあフレンズじゃなくてヒトみたいなのだ。 ヒト? アライさんヒトに見えるのだ。 258 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (スッップ Sdaf-ARQP)[sage] 投稿日:2017/08/06(日) 04 44 43.44 ID P6iS3z9Hd [3/4] 朝になったのだ。 ケガは痛いけどガマンするのだ。 シッポはタイツの中につっこんでおくのだ。指が痛いけどがんばったのだ。 ヒトのところへいくのだ。いたのだ。 あっちにアライグマの寝ぐらがあるのだ。と言ってヒトを寝ぐらに連れて行ったのだ。 ヒトはらいふるで親分を撃ち殺してくれたのだ、やったのだ、ざまぁみろなのだ。 あとはアライさんがこの寝ぐらに住めばもとどおりなのだ。 またらいふるから大きな音がしたのだ。 アライさんのお腹、らいふるで2回も撃たれたのだ。 ヒトは笑ってるのだ。お前アライグマのフレンズって奴だろう、騙されるか。 アライさんのお腹から、いっぱいいっぱい血が流れてるのだ。 いつの間にかアライさんは地べたに倒れていたのだ。 ヒトは言った。仲間を売るようなクズ野郎には相応しい末路だ、清掃業者が来るまでせいぜい苦しみな、と。 しかしアライさんにその声はほとんど聞こえていなかった。苦痛だけがアライさんのまんまる頭の中を占めていて、やがてそれも希薄になって消えていった。 ふたつのアライグマの死骸は清掃業者に引き取られ、焼却処分された。 アライさんのssへ戻る
https://w.atwiki.jp/0103/pages/211.html
名も知らぬ男が去ってから、狛治はあてもなく歩き続けていた。 親父が自ら命を絶ってしまい、慶蔵に恩義を返すことができず、愛する恋雪さんを守ることができなかった。こんな世の中と、恋雪達を殺した連中に向けた復讐の為に拳を振るったが……その後には何も残されていない。 あの老婆は帆高という少年を殺せと口にしたが、そんな気にもなれない。だから、男の誘いだって断った。 ――――こんな、道理をこえたことも可能じゃ。どうしても願いを叶えたい者は是非とも参加してもらいたいのう 老婆の言葉が脳裏に過る。 先程、老婆によって首輪を爆発させられ、すぐさま命を取り戻した女の姿が目に飛び込んだ。道理をこえたことが可能なら、失った者達を取り戻すこともできるだろう。 だが、再び罪人として生きる気にもなれない。それでは、何のために慶蔵が腕を振るったのかわからないし、恋雪だって悲しむに決まっている。 何よりも、帆高自身の願いを奪うことに、どうしても抵抗があった。彼もまた、愛する者を守るため、世の中に戦いを挑んだ男なのだから。 巨大な壁の向こう側で繰り広げられる帆高達の人生を見せつけられている間、この心はずっと疼いていた。 奇妙な建物や服装、辺り一面を走る鉄の乗り物など、摩訶不思議で現実離れした文化だった。けれど、帆高の愛する陽菜という女が世の中から見捨てられ、都合のいい生贄にされてしまったことは理解できる。 先の男のように、あの帆高を愚かと笑う人間は現れるだろう。だが、狛治は帆高を否定することができない。 (あいつは……帆高は、俺と同じだ。でも、俺とは違って……まだ愛する者を守ることができる) もしも、帆高と同じ状況になれば、狛治は何があろうとも愛する者を選ぶはずだ。 大雨が降り続ける闇の中で、今も帆高はどこかで走っていると確信できる。全ては、愛する者を守るため……その為なら、どんな犠牲すらも構いはしない。 恋雪が囚われてしまえば、狛治もわき目も振らずに駆けるだろう。そんな可能性すら潰されてしまったことが、悔しくて仕方がない。 「……ねえ、ちょっといい?」 その時だった。 不意に、誰かから声をかけられたのは。 「甜花ちゃん……甘奈と、よく似た顔の女の子を見なかった? 甘奈の、双子のお姉ちゃんなの」 振り向くと、長髪の少女が立っていた。 雨の中で傘も差さないせいで、腰にまで届く茶色の髪や見慣れぬ奇妙な衣服も濡れてしまっている。 だが、何よりも気がかりだったのは……目つきの暗さと両手に纏わりついた奇妙な色の液体だった。 「いいや、見ていない……女だって、お前が初めてだ」 「そっか……じゃあ、あの映画に出てきた帆高って人は?」 「そいつも知らない」 「そう……」 互いに、淡々とした受け答えしかできない。 恋雪と同い年に見える少女だが、それにしては暗い。容姿自体は整っていても、瞳の奥底にどす黒い暗闇が宿っているように見える。 言葉では言い表せない程の虚無感を味わった狛治だからこそ、少女の心が荒んでいることを察してしまう。 「なら、いいよ。甘奈はもう行くからね」 そして、少女は背を向けて去っていこうとする。 先程の別れを焼き増ししたようだが、今度は違う。少女……甘奈の名前を知ったし、このまま放置することに違和感を抱いた。 「待て、甘奈……といったか?」 だから、狛治は名前を口にすると、甘奈は足を止める。 「何? 甘奈は急いでいるんだけど」 「これを持っていけ」 狛治は甘奈の足元に、大きな袋を放り投げた。 変わった作りの袋と思うものの、甘奈にとって役立つ物があるかもしれない。中身を確かめてみたものの、狛治にとっては興味が惹かれなかった為、甘奈に譲ることにした。 当然、甘奈は怪訝な表情を浮かべる。 「何のつもり?」 「俺には必要ない。お前が何を考えているのかは知らないが、役立つものがあるかもしれない……お前にも、守りたい人間がいるのだろう?」 狛治は甘奈のことを何一つとして知らない。だけど、帆高が陽菜を想うように、実の姉を思いやっていることは確かだった。 そんな彼女の邪魔などできる訳がない。だからといって、甘奈と同行する気もないし、何よりも彼女自身にそのつもりがなさそうだった。 「……ありがとう」 「甜花、という女を見つけたら、お前のことを伝えておこう」 「いいよ、そんなことをしなくて」 そうして、狛治の袋を抱えると、甘奈は去っていく。 彼女の言葉が気になったものの、その背中はすぐに見えなくなった。急いでいるようだから、わざわざ呼び止めるのも野暮だろう。 何よりも、甘奈が見えなくなってから少し経った途端に、狛治の視界が唐突に揺れてしまう。膝も崩れてしまい、水たまりの中に倒れていった。 (このまま、死ねば……全てが終わるのか……?) ここから起き上がる気力もない。 元々、精神的疲労が溜まっている中で、冷たい雨に当たり続けていた。いかに強靭な肉体を誇る狛治であっても、ただの人間である以上は限界が訪れてしまう。 むしろ、終わってしまった方が、救われるのではないかとすら思った。どうして、甘奈に袋を渡してしまったのだろう、と疑問に思ったが……気まぐれで誰かに施すのも、悪くないかもしれない。 (恋雪……さん……) 守れなかった最愛の人の笑顔を思い浮かべた瞬間、狛治の意識は闇の中に沈んでいった。 ◆ 「あ、あうう……人が、倒れてる!?」 そんな男を見つけた少女が一人。 大崎甘奈を探し求めて走り続けている中、倒れた男を見つけたのは大崎甜花だった。 この殺し合いには甘奈だけでなく、同じアルストロメリアの桑山千雪も巻き込まれている。しかも、イルミネーションスターズの櫻木真乃や放課後クライマックスガールズの小宮果穂の名前も名簿に書かれていた。 283プロのアイドルが5人も危険に陥っていることがショックで、一刻も早く探さないといけなかったけど……行き倒れになっている男の人を放置することもできない。 けれど、甜花の力だけでは男の体を持ち上げられなかった。 「ど、どうしよう……!?」 「すみませーん!? どうかしましたかー!?」 困惑する甜花の助け舟となるように、大声が聞こえてくる。 すると、一組の男女が甜花の元に駆けつけてきてくれた。 「ひ、ひいん! だ、誰……!?」 「あっ! 驚かせて、ごめんなさい! あたし、桃園ラブって言います! この人は、多仲忍者さんです!」 「多仲忍者っス。どうも……」 甜花が驚愕する一方、現れた男女……桃園ラブと多仲忍者は頭を下げてくれる。 どうやら、悪い人達ではなさそうで、甜花は胸を撫で下ろした。 「え、えっと……男の人が、倒れてるの! 甜花、だけじゃ……助けられそうになくて……」 「甜花、さん……スか? ここはオレに任せてください。オレ、体力には自信あるっスから」 すると、忍者は倒れた男を軽々と持ち上げる。 男の体格など意にも介さず、まるでバッグのように抱えていた。 「す、すごい……!」 「まずは、この人をどこかに休ませた方がいいっスね。道着が血まみれなのが気になるっスけど……」 甜花が驚嘆する中で、忍者は怪訝な表情を浮かべている。 忍者が言うように、男が身に纏う道着は大量の血で染まっていた。普通の武道家であれば、道着が血まみれになるのはありえない。 「……ここは、男同士としてオレに任せて貰えないっスか? 仮に悪人でも、二人には手を出させないっスから」 「わかりました……忍者さん、よろしくお願いします」 「う、うん……」 忍者の提案に、ラブと甜花は頷く。 そして、気を失った男を抱える忍者を先頭に、ラブと甜花はすぐ近くの建物で雨宿りをすることになった。 甜花としては283プロのアイドルみんなが心配だけど、忍者とラブの二人に男を押し付けることも無責任だ。 男の姿に警戒したけど、道着が血で濡れていることだって、何か理由があるはず。 (なーちゃん、千雪さん……それに櫻木さんに果穂ちゃんも、気を付けて! みんなが、こんなことで……傷付くなんて、甜花は絶対に嫌だから……!) ただ、283プロのみんなの無事を祈るしかできない。 こんなことしかできない自分の無力さが嫌になるけど、嘆いてもどうにもならない。なーちゃんと帆高の居場所がわからない以上、せめて今は目の前にいる人達の支えになりたかった。 【C-2/1日目/深夜】 【狛治@鬼滅の刃】 [状態]精神的疲労(大)、帆高に対して...?、気絶中 [装備]なし [道具]なし [行動方針] 基本方針:どうすればいいかわからない。 1:...... ※参戦時期は道場を襲撃後から無惨と出会う前 【多仲忍者@忍者と極道】 [状態] 健康、狛治を抱えている。 [装備] 不明 [道具] 基本支給品、プリストロベリーの鬼激レアフィギュア@忍者と極道、ランダム支給品1~3 [思考・状況] 基本方針:あのクソババアの思い通りにはさせない。 1 まずはラブちゃんや甜花さん、それに帆高を守り、そして二人を襲う奴らをブッ殺す。 2 男(狛治)が目覚めたら話をする。ラブちゃんや甜花さんを傷付けるなら容赦しない。 ※少なくとも、愛多間七をプリオタにした後からの参戦です。 【桃園ラブ@フレッシュプリキュア!】 [状態] 健康 [装備] リンクルン@フレッシュプリキュア [道具] 基本支給品、ランダム支給品1~2 [思考・状況] 基本方針:みんなを守れる方法を見つけたい。 1 まずは忍者さんや甜花さん、男の人(狛治)と話をする。 ※最終回後からの参戦です。 ※キュアブラック、キュアホワイトについて知っているかどうかは不明です。 【大崎甜花@アイドルマスターシャイニーカラーズ】 [状態] 健康、恐怖(大) [装備] 不明 [道具] 基本支給品、ランダム支給品1~3 [思考・状況] 基本方針:???????? 1 今は男の人(狛治)を看病して、その後になーちゃん達を探したい。 2 帆高と陽菜の二人には……再会してほしいけど…… ※少なくとも『W.I.N.G.』の優勝経験があります。 ◆ (甜花ちゃん……千雪さん……!) すれ違い続けていることに気付かないまま、大崎甘奈は雨の中を走っていた。 先程、どこからともなく降ってきた名簿には、甜花と甘奈だけでなく、千雪さんの名前も書かれていた。しかも、真乃や果穂の名前までも載っていて、283プロのアイドルが5人も参加させられていることになる。 彼女達の名前を目にした瞬間、尚更あの森嶋帆高を殺さないといけなくなった。一秒でも惜しんでいたら、彼女達が殺されてしまうかもしれない。 (こんなに……90人近くもいるんだったら、その分だけ悪い人がいっぱい混ざっているかもしれないよ……!) 名簿を配られていてから、甘奈の不安は徐々に膨らんでいた。 これだけいたら、悪人が混ざっていてもおかしくない。名簿の中には『ライフル銃の男』や『ユカポンのファンの吸血鬼』みたいな怪しい名前も書かれていたことも、不安を煽ってしまう。 『吸血鬼』はまだしも『ライフル銃の男』なんて、明らかに危険だった。誰のことかわからないけど、ライフル銃を持った男など信用できる訳がない。銃猟に関わっている人ならまだしも、犯罪者の可能性の方がずっと高かった。 (早く、森嶋帆高を見つけて、甘奈の手で殺さないと……甜花ちゃんや千雪さん達が殺されちゃう! そんなの……そんなの、甘奈は嫌だよ……!) みんなを助けるには、一刻も早く帆高を殺すしかなかった。 もちろん、その途中で二人を狙う悪い人達も見逃すわけにはいかないけど、甘奈一人だけで全員を倒すことなどできない。だから、さっきの道着を纏った男の人だって、特に何もしてこなかったから見逃した。 むしろ、逆にデイバッグをくれたことが怪しかったけど……便利な支給品は多いに越したことはない。 「甜花ちゃん、千雪さん……283プロのみんな……甘奈がすぐにみんなを助けてあげるから、待っていてね。あの森嶋帆高を殺すことができれば、みんなはすぐに助かるから……」 まるで譫言のように、大切な人達の名前を呼びながら甘奈は走る。 既に名前も知らぬ男を殺した以上、これから何人を殺そうとも変わらない。どんな願いでも叶えられるなら、甜花ちゃんや千雪さん達を助けた後、甘奈の代わりになるアイドルを見つけて貰えばいいだけ。 ルールの裏に潜む罠に気付かないまま、ただみんなが輝ける未来だけを信じて。 【C-3/1日目/深夜】 【大崎甘奈@アイドルマスターシャイニーカラーズ】 [状態] 健康、ずぶ濡れ [装備] 金属バット、剣or刀系の武器(詳細不明)@????? [道具] 基本支給品×2、ランダム支給品0~4(狛治の分も含む) [思考・状況] 基本方針:甜花ちゃん達を守るため、森嶋帆高を殺す。 1 もう、アルストロメリアではいられないや…… 2 甜花ちゃん達のことも見つけないと…… 3 甜花ちゃんや千雪さん達のためにも、早く森嶋帆高を殺そう…… 46 どうして雨が降る? 投下順 48 未知との遭遇 時系列順 前話 名前 次話 35 掃き溜めの兄弟 狛治 61 だから、一緒にいてほしい 14 忍者とプリキュア 多仲忍者 桃園ラブ 17 ちぎれゆくアルストロメリア 大崎甜花 大崎甘奈 51 見つけたい、だけど……
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/794.html
とある男子高校生と通学路 ―成瀬台高校に通う男子高校生が毎朝使う通学路でのお話― とある男子高校生と筋肉 ―ある日の風紀委員支部でのお話― とある男子高校生と美しさ ―それは女の子にモテたい1人の男子高校生のお話― とある男子高校生と妄想 ―それはとある授業中の出来事― とある男子高校生と教師 ―生徒と教師の関係とは― とある男子高校生とスキルアウト ―成瀬台高校生とあるスキルアウトがぶつかり合うお話― とある男子高校生とスキルアウト② ―成瀬台高校生とあるスキルアウトがぶつかり合うお話その2― とある男子高校生とスキルアウト③ ―成瀬台高校生とあるスキルアウトがぶつかり合うお話その3― とある男子高校生とスキルアウト④ ―成瀬台高校生とあるスキルアウトがぶつかり合うお話その4― とある男子高校生とスキルアウト⑤ ―成瀬台高校生とあるスキルアウトがぶつかり合うお話その5― とある男子高校生とスキルアウト⑥ ―成瀬台高校生とあるスキルアウトがぶつかり合うお話その6― とある男子高校生とスキルアウト⑦ ―成瀬台高校生とあるスキルアウトがぶつかり合うお話その7― とある男子高校生とスキルアウト⑧ ―成瀬台高校生とあるスキルアウトがぶつかり合うお話その8― とある男子高校生とスキルアウト⑨ ―成瀬台高校生とあるスキルアウトがぶつかり合うお話その9― とある男子高校生とスキルアウト⑩ ―成瀬台高校生とあるスキルアウトがぶつかり合うお話その10― とある男子高校生とスキルアウト⑪ ―成瀬台高校生とあるスキルアウトがぶつかり合うお話その11― とある男子高校生の日常Ⅱへ続く 【登場人物】(敬称略・順不同) 成瀬台高校 界刺得世,不動真刺,初瀬恭治,押花熊蜂,椎倉撚鴃,勇路映護,速見翔, 寒村赤燈,荒我拳,梯利壱,武佐紫郎,煙草狼棺,餅川晴栄,酉無沢雄 常盤台中学 一厘鈴音,形製流麗,苧環華憐,月ノ宮向日葵 花盛学園 水楯涙簾 塔川高校 仮屋冥滋 小川原高校付属中学校 焔火緋花 その他キャラ 重徳力,捩野,五十部晈花 ―幕間― とある男子高校生と傭兵 ―ファーストコンタクト― 【登場人物】(敬称略) ウェイン・メディスン
https://w.atwiki.jp/jhs-rowa/pages/61.html
重なり合う死をかわして ◆j1I31zelYA 暗い。 漆黒の闇が、2LDKアパートの一室に充満していた。 夜の闇は人間の姿を隠し、家具の存在を隠し、生活臭の暖かみを消滅させる。 部屋にあるはずのベッドとかデスクとか衣類収納ケースとか、そういった生活の痕跡が全て闇に埋没している。 それはそのまま、安らぎの欠如を意味していた。 人間は体外から得る情報の9割を視覚に頼っているのであって、 だから『見えない光景』というのは安心感を大きく損なうのであって。 ありていに言えば、 一言で言えば、 簡単に言えば、 それは、とても、 ……………怖かった。 先刻まで高坂といた住宅街を照らす灯も、建物の内側までは届きようがない。 ましてや、ここに至るまでには『できるだけ建物の外から見えないルート』を選んできたのだから当然だ。 こういう暗闇は苦手だな、と神崎麗美は思った。 IQ200の麗美は、常人よりずっと知っている事が多い。 それでも『分かっていること』と『分かった振りになっていること』の間には厳然たる壁がある。 『一寸先も見えない闇』という状況は後者だ。 夜歩きにはなれているけれど、そこは必ず人間の気配がある街だった。 けれど、だからこそ、臆してはいられない。 ほふく前進ぎみに身をかがめながら、カパリと携帯を開く。 身をかがめて開閉を行うのは、少しでも灯りを漏らさないが為だ。 『[マンション2階] 北西のアパートに移動中。敷居をまたいで3歩目のところに暖房器具のコード。 転ばないように気をつける。 マリリンの接近音はしない。』 予知に従って、3歩目でまたぐ。 他に障害物の予知はないので、踏み出す足は躊躇わずにスタスタと。 走り出したいのをこらえて、早歩きで『ぬき足さし足』を維持。 『敵』にはどのみち、『短い時間を長い時間に変える』という反則な能力がある。 ならば、『距離を空けること』よりも『捕捉されないこと』を心がけるべきなのだ。 予知によると、マリリンの接近する気配はない。 でも、この『接近音はしない』という予知はネックだ。 『マリリンが音をたてずに近づいてきている』という未来までは読み切れない。 あるいは『麗美がマリリンの接近音を聞き逃しただけで、すぐ近くにいる』という未来だって。 それを思うと、心臓のあたりがぞっと冷たくなるけれど、だからこそ立ち止まってはならない。 いわばこれは、猫とネズミのゲーム。 下手な巣穴から外に出れば、猫の爪が待っている。 見つからないように。捕まらないように。鍵爪にひっかからないように。 その上で、迅速に逃げ切らなければ。 『[二階の窓→隣家のベランダ] マリリンが迫ってくる気配はなし。』 「よし。進路はオールグリーン」 音をたてずに窓を開け、一メートルは距離のあいたベランダに向けて軽々とジャンプ。 ついでに、室内の水槽からくすねた石を上方に投げつけ、アパートの4階窓ガラスを割っておく。 少しは時間稼ぎになるはずだ。 こういう身軽な動きに慣れているのは、鬼塚たちや4組の仲間と夜の学校でサバゲーをしていたりした杵柄でもあった。 先生から教わったことが生きてるな、と思う。 普通は、学校の先生から教わるようなことじゃないけど。 ◆ ◇ ◆ 神崎麗美は、決して勝算のない勝負を挑んだつもりはなかった。 麗美の勝算はふたつ。 ひとつは、マリリンが未だ閃光弾のダメージを引きずっており、視力と聴力が衰えていること。 いまひとつは、麗美が『逃亡日記』の契約を交わしていること。 だから麗美は、『鬼ごっこ』という形の勝負を提案した。 マリリンには『短い時間を(自分にとっての)長い時間に変える』能力があるらしい。 そんな相手に徒競争を挑んだところで、勝敗は見えている。 現に、高坂との一戦では、閃光弾を食らっておきながら、先に逃げ出した麗美たちの進路に回り込んでみせたのだ。 しかし『徒競争』ではなく『鬼ごっこ』ならどうか。 この場合、『速く走れば勝ち』ではなく『捕まらなければ勝ち』になるのだ。 『3,2,1』と、よーいドンのカウントをしながら、麗美は既に逃げる方向を見定めていた。 『ゼロ!』の合図と同時、麗美は全速力で歩道を逸れて、そこに駆けこんでいた。 そこは、近隣の市街地でもひときわ高くそびえる、25階立てマンション。 幸い、麗美の方が直線距離にして近かった。 この時点でマリリンが『時間を延ばす能力』を使っていればゲームオーバーだったが、それはないと麗美は読んでいた。 ほんの数分間、交戦しただけの関係でも、マリリンの性格を読み取ることは容易い。 ――あなた方となら――私は、今までにない戦いを……生きているという充実感を得ることが出来るでしょう! マリリンは、『戦うこと』そのものを楽しむような人種だ。 加えて、麗美は何らかの『勝算』があることを事前にほのめかしている。 ならば、初手から『短い時間を長い時間に変える力』は使わずに、まずは麗美の出方を見守ろうとするはず。 しかも、麗美はマリリンに対して『捕まえてみろ』という勝負を挑んだ。 『鬼ごっこ』という勝負は、『子どもにある程度、逃げる時間を与えてから鬼がおいかける』のが暗黙の了解だ。 もちろん、麗美とマリリンは同時にスタートのカウントをしたのだから、今回の場合はなんら問題にはならない。 しかし、己の力量に自信を持っているマリリンなら、『ある程度距離を離したところから追いかけて捕まえる』ことこそに、勝利の喜びを感じるはずだ。 その読みは当たった。 後方から追尾する足音は聞こえた――振り返る余裕はなかった――けれど、その脚力は麗美よりやや速い程度のペースだ。 まず、『マリリンから逃げきろう作戦』の第一段階は成功。 迫りくるマリリンの気配を感じながら、麗美はマンションの敷地内へと駈けんだ。 住人用の玄関口ではなく、共用施設であるコンビニへと走る。 自動ドアをくぐり、減速せずにレジの裏側へ。 従業員ルームから裏口を出て、マンションの管理室へと侵入。 本来なら無謀極まりない行為だ。 初見のコンビニの間取りがつかめなければすぐに捕まってしまうし、 そもそもコンビニの裏口から管理人室に出られるか分からないし、 管理人室の鍵がふさがっているかもしれない。 三つ目の可能性が一番高い。 けれど、麗美には『逃走日記』があった。 携帯は片手。ザザッと未来が書き変わる。 麗美が逃げれば逃げるほど、先の逃走ルートを予知してくれる。 『[コンビニ裏口→マンション事務室] 鍵が空いてる!ラッキー!』 管理室のドアを開け、ベレッタM92を牽制として発砲。 マリリンが「あらあら」と呟き、素早くそれを避ける。 べつに、相手への攻撃は禁止してないもん。 一瞬だけつくった時間を利用して、ガチャリと内側から鍵を締めてしまう。 管理人室の灯りを点け、監視カメラのスイッチを発砲して破壊。 これで建物の内部を把握する術はない。 ここまでの時間、スタートからおよそ三十秒弱。 もう一度やれと言われても、ここまでスピーディーにはできない。 全力疾走とか日記の確認とか発砲とかを全て同時進行で処理したおかげで酸欠になってフラフラしたけれど、立ち止まっている時間も惜しい。 再び灯りを消して、走り出す。 ステンレスのドアの向こうで、マリリンのはずんだ声が聞こえて来た。 「どうやら、貴女個人も何らかの『能力』を有してはいるようですわね。 でなければ、ここまで大胆かつスムーズに逃走ルートを選択することはできなかったはず。 現時点では、それが『神候補の能力』と違うものとしか分かりませんが……素晴らしい!素晴らしいですわ! 神の座を決める戦いでも、これほどまでに知勇を兼ね備えた選手には出会えたかどうか(ry」 いちいち聞いてやっている暇はない。 聞き流しながらマンションの内部へと走り込み、セントラルラウンジを駆け抜ける。 管理人室の方角から、轟音が響きわたっていた。 ――ドゴオオォォォォン! ドゴオオォォォォン! (ちょ……どんな破壊力の攻撃よあれ!) 状況からして、あれは『マリリンが扉をこじ開けようと格闘している音』なのだろう。おそらく。 しかし、とても『人間が分厚いステンレスの扉を開けようとする音』には聞こえなかった。 能力に頼っているだけでなく、純粋に身体能力も高いのだろう。 あの調子では扉も一分と持たないことは、想像に難くない。 (あんな方法でオートロックを粉砕できるのは、鬼塚先生ぐらいだと思ってた…! あーあ、あれで少しは時間が稼げると思ったのに!) しかし、一番の狙いは達成した。 『[セントラルラウンジ→エレベーター] エレベーターが二つ。一階で止まっている方に乗り込む』 それは、『視覚の効かない空間』へと逃げ込むこと。 いくら『常人の何倍も速く動ける』としても、麗美の姿が見えなければ捕まえようがない。 ましてやマリリンの視力は、閃光弾により著しく低下している。 麗美よりもずっと、闇に慣れるのに時間がかかるはずだ。 もちろん、『視界が効かない』ことによるディスアドバンテージは、逃げる側も同じだった。 むしろ、本来ならば逃げる側の方が致命的なのだ。 いくら敵から見つかりにくかったとしても、逃げる方向がおぼつかなければすぐに捕まってしまうのだから。 しかし麗美には、『逃走日記』があった。 逃走日記は、あらかじめ塞がっているルートを予知してくれる。 逃走経路に転がっている障害物も、ある程度は予知できる。 名前の通り、『逃げ続ける』ことに特化した日記なのだった。 そして、そこまで計算した上で勝負を持ちかけるのが、神崎麗美という天才少女なのだ。 ◆ ◇ ◆ ――それからも、エレベーターと階段を併用して身を隠しつつ逃げたり、 地下駐車場の抜け道を使ってこっそりマンションから脱出したり、 人目につきにくい侵入口を選んで、幾つもの建物の中を経由したり…… そして、 (今、ここ。F-1とG-1のエリア境界付近にいるってわけ) 大学新卒でサラリーマンに就職した男が、三十を過ぎた頃には欲しがっていそうな庭付きの一戸建てで、麗美はしばしの休憩を取っていた。 カーテンはすべて閉ざしているし、携帯の灯りはタオルケットをかぶって漏れないようにしている。 外から見て見つかる危険はない、はずだ。 逃亡日記にも、マリリンの接近を告げる予知はない。 『向かいの部屋にマリリンがいる』とか、『階段を使ってもエレベーターを使ってもマリリンに見とがめられる』とか、ぞっとしない予知の連続だった時を思えば、ひとまずは安心していいということだろう。 (ちなみに、その時はダストシューターを使って切り抜けた。ゴミの臭いが移ったりしていないと信じたい) (灯りが見えないからって安心はできないかな……閃光弾のダメージからあんな短時間で回復したヤツだし……案外、もう視力だって回復してるかもしれない) すこしばかり神経質になっているかもしれない。 しかし、ひとたび余裕を得たことで、麗美の不安はぎゃくにじわじわと広がりつつあった。 (どうも……上手く運びすぎてる気がするのよねえ……) ここまでの道のりだって、おせじにも安全だったとは言えない。 綱渡りと賭けの連続だった。 その綱を上手く渡ることができたのは、ひとえに逃亡日記の力と、麗美自身の順応性の高さにあるだろう。 しかし、そういう冷静な分析と、『虫のしらせ』とはまた別の話。 総じて物事が成功し続けている人間というのは、どこかで『足元がすくわれる予感』を感じ取ってしまうものだ。 一応、『万が一』の時の為の『備え』はある。 しかし、使う状況が極端に限られるものだ。 (でも、それはそれとして勝利条件まではかなり近づいたと言えるのよね。 あとは、『アレ』が始まる前後に、『あそこ』に到達できればいいだけ。 そうすれば、一応『勝った』と言えるところまで行けるはず。 ……ただ、『そこ』までの数百メートルが一番危険なんだけど) 携帯をGPSに切り替えて、今までの逃走経路をおさらいする。 今までは、高級住宅という趣の、高層マンションばかりが並んでいたから、身を隠す場所も逃走経路も豊富にあった。 しかしこの近辺からは、そういったビルが途切れ、『郊外』の住宅地といった景色を見せている。 すなわち、庭つきの一戸建て住宅や小さなアパートばかり―― ――ザザッ…… (何もしてないのに……!?) GPSを『日記』に切り替えたとたん、その更新が来た。 『[玄関口→十字路] ドアを開けたら、マリリンが待ち伏せしていた。 先回りされた?』 心臓が、とまった気がした。 (え? え? ……ちょっと待って。待ってよ。他の逃走経路は?) 玄関からの逃走案を捨て、他の逃走ルートを考える。 ザザッとノイズが走り、素早く安全な逃走ルートに切り替わる ――はずだった。 『[裏庭の窓] どうしよう……逃げられない! マリリンに回り込まれた。 神崎麗美はマリリンに、頭を砕かれて死亡する。 DEAD END』 ――神崎麗美は…………死亡する。 DEAD END たった二文字の英単語が、麗美にずしりとのしかかった。 逃亡日記の説明書はしっかりと読んでいる。 『DEAD END』とは、他の参加者からチェックをかけられた状態のこと。 麗美が未来を覆さなければ――指定された時刻に、麗美は死ぬ。 マリリンに、殺される。 ――嫌だ。 (ダメ! 死ねない! あともうちょっとで、『勝てる』ところまで来てるんだもの。 何も残さないまま死ぬなんて嫌! もう4組に帰れないなんて絶対に嫌!) ――なんたってあたしは、あんた程度には輝けるんだぜっ。ぶいっ。 ほんの半刻ばかり前、高坂に言った言葉が浮かんでくる。 そうだ、諦めるな、神崎麗美。 考えろ。 考えろ。 考えろ。 何故、どの逃走ルートを取ってもマリリンに回り込まれるのか。 決まっている。神崎麗美の現在の居場所が、マリリンにばれているからだろう。 つまり、麗美は今現在、マリリンに見張られている状況にある。 (この闇の中、死角からでもあたしの位置を捕捉してる……。 マリリンは、レーダーか何かであたしの位置を見ている? ううん、それならとっくに捕まっていてもおかしくない。 でも、確かなのは、マリリンは今のところ向こうから突入するつもりはないってこと。 それなら、あたしの方も『対策』を打つ時間はある!) 加えて、積極的な行動に出てこないという事実も、安心材料になる。 それはすなわち、室内への突入を警戒視しているということ。 つまりマリリンも、麗美が家の中で何を行っているか、はっきりとは確認できない可能性が高いのだ。 ならば、多少は何かをやっても、気づかれる恐れは低いと言える。 ディパックの中身を確認する。 麗美の支給品は、逃亡日記と閃光弾とベレッタM92。 閃光弾は使いきってしまった。日記と拳銃だけではこの場を切り抜けることはできない。 しかし、麗美の装備はそれだけではない。 高坂王子がディパックから金属バットを取り出したことで、麗美はディパックの容量の広さに気づいた。 だからこそ、逃走する途中で『使えそうなもの』があれば、回収してディパックに放り込んで行ったのだ。 使えるかもしれないのは、途中の民家でくすねてきた『二つ』。 それが、麗美の『万が一』の装備。 使える状況が限られる為に、あまりアテにはしていなかったが、今現在はそれしか頼れるものがない。 考えろ。 『この2つ』を、最大の効果で、なおかつ『麗美に被害が出ないやり方』で使うには、どう設置すればいい? 記憶を思い出し、そこからデータを抽出する。 少しだけカーテンを開けて、今現在の『状態』も再確認する。 ベランダで感じた風向きと、風の強さ。 今いる建物の立地と、近隣の住宅の位置。 麗美の豊富な知識にインプットされた、『それ』が効果を発揮する時間と速度。 残る不確定要素は、麗美自身の計算能力を使えば補正できる範囲内。 「いけるかも……」 その『二つ』を両手で握りしめ、麗美は緊張と興奮の混じり合った震えを抑えこむ。 「見てなさいマリリン。そっちが戦いのプロなら……こっちだって本職の『授業テロリスト』なんだから」 ◆ ◇ ◆ (予想以上に手間を取られましたけど……しっかりとその姿、捕らえましたわよ) マリリンは、神崎麗美が立てこもる家屋が面した十字路の、その向かい側の電柱の影で待機していた。 時折、支給品である『片眼鏡』を使い、家の中を『透視』する。 透かした壁の向こう側で、携帯電話のあかりがユラユラと揺れる。 (何やら……家の中で動いておられる? 待ち伏せに気づかれたのでしょうか) マリリンに支給されたそれの名前を、『霊透眼鏡(レンズ)』という。 霊界アイテムがどうとか、マリリンにも不可解な説明書きには困惑したが、信頼性は確かなものだ。 ようするに、壁の向こう側にあるものを透かし見る道具だ。 なるほど、マリリンは確かに一度、麗美の姿を見失った。 だから方針を改め、建物の周囲を徘徊することで捜索をやり直した。 視力の衰えたマリリンだが、流石に『携帯電話の灯り』だけは見落とさない。 そして、いくら灯りが漏れないように気を配っても、霊透眼鏡は灯りを直接に透視する。 だから、透かした壁の向こう側に、『携帯の灯り』さえ見つけることができれば、神崎を捕捉することはできた。 そして、マリリンは運よく、その『灯り』を見つけることに成功した。 まさに、『運よく』という言葉を使うしかなかった。 いくら麗美とて、四六時中に携帯の画面を開いているわけではない。 ちょうど、『麗美が携帯を開いている時に、そこから壁ひとつ挟んだ場所を、通りがかる』必要があったのだから。 (正直なところ、このアイテムが支給されていなければ、完全に見失っていたところでしたわ。 本当に優れた問題解決能力をお持ちの方。先刻の王子さんとの戦いで『一般人だからといって油断してはならない』と学習していましたが……まだまだ、認識が甘かったようです) ただし、霊透眼鏡にも欠陥はあった。 『霊透眼鏡』には、『障害物を透視する機能』はあっても、『衰えた視力を補正すること』まではできない。 つまり、闇の中から『携帯の灯り』を視認することはできても、闇に埋もれた麗美本人の姿までは、はっきりと視認できなかった。 家の中に隠れた麗美がどんな行動をしているか、マリリンには分からない。 (何らかのトラップを仕掛けられている可能性はありますわね……。 あの方の支給品は、閃光弾と拳銃のようでしたから残り一枠……いえ、王子さんから支給品をわけていただいた可能性もありますわ) トラップの可能性を警戒したからこそ、マリリンは突入せず、神崎が家を出るタイミングを見計らっていた。 『一秒を十秒に変える力』を使えば、たいていの攻撃を避けることはできるけれど、それでも万全をしくに越したことはない。 マリリンは、マニュアルに則った戦闘行動を心がける余り慢心を持つきらいこそあったが、決して油断はしていなかった。 (神崎さんとの『追いかけっこ』は楽しかったですし……この遊びが終わってしまうのが、少し残念ではありますが。勝負とはそういうもの) いっそ、麗美が何かを仕掛け終わる前に、不意を打って突入してしまおうか。 マリリンがそう決断した時だった。 『それ』は、垣根の植え込み付近から発生した。 マリリンの視界は、未だ完全には回復していなかった。 だからまず、マリリンは『嗅覚』によってそれを察知した。 プールの臭い。 もっともポピュラーな言葉で例えるならば、そうなる。 より正確に言うならば、『プール開きの日に味わう、消毒されたプールの臭い』だった。 その臭いから、マリリンはすぐさま正体を察知する。 理解が驚嘆に変わるには、十分の一秒あればこと足りた。 (これは……塩素ガス!?) とっさに携帯で路面を照らした。 緑黄色のガスが、路面をむくむくと浸食し、マリリンの鼻先まで近づいていた。 軍事訓練を基礎として戦い方を学んだマリリンは、軍事兵器そのものに対する知識も豊富に持ち合わせていた。 特定の『2種類』の家庭用洗剤を混ぜ合わせただけで発生する、最もシンプルで凶悪な毒ガス。 「不覚、ですわ……!」 『一秒を十秒に変える能力』を発動。 電柱のすぐ隣、手近にあった民家にすぐさま飛び込んだ。 靴をぬぐ手間も惜しんで階段を駈け登り、二階へと避難。 塩素ガスは空気より重い。よって、避難する際には上方へ。 直接の殺傷力がない閃光弾とは違う。 少しでも眼に触れただけで激しい痛みを伴い、場合により失明や炎症を引き起こすこともある猛毒だ。 マリリンが戦うべき相手は、神崎麗美だけではない。 この会場にいる、植木耕助やロベルト・ハイドンたち。 数々の強敵とも片っ端から戦ってみたいのだ。 最初の一戦で、後々まで長引くようなダメージを負うわけにはいかない。 おまけに、マリリンの特技である『能力を発動しての高速移動』も、霧をくぐり抜ける際には使えない。 『一秒を十秒に変える能力』は、あくまで相手から見た自分の時間を引き延ばす能力。 マリリン自身の体感時間では、ちゃんと普通の時間が流れている。 だから、霧の中を常人より短い時間で突っ切ったりすることはできない。 二階の窓を開ける。ガスはそこまでは届かない。 黄色いガスは、未だ十字路を埋めていた。 あそこまでスムーズに路面に広がったのは、西から東にむかって、そよ風が流れていた影響だろう。 霊透眼鏡を除く。 ガスの向こう側を透視。 携帯の小さな灯りが、北西の方角、遊園地に向けて遠ざかって行くところだった。 毒ガスのどさくさにまぎれて、垣根の反対方向から撤収したらしい。 「ずいぶんと、命知らずなことをなさいますのね……」 無茶としか言いようがなかった。 もし逃走の際に転びでもすれば、 もし風向きが狂って、神崎のいる方にガスが流れていけば、 あるいは、ガスの濃度を強くし過ぎて、ガスの拡散範囲がもう少し広がっていれば、 神崎という少女も、確実に巻き込まれていた。 死んでいても、おかしくなかった。 だからこそ、普通こんな状況で塩素ガスを使ったりはしないのだ。 実際に、毒ガスが最初に導入された世界大戦でも、風向きの変化次第で、味方にまで被害を出してしまったという。 その被害を、ギリギリで見切っていて決行したのだとしたら、 あらゆる要素を計算して、神崎自身には被害が出ない範囲で実行したのだとしたら、 その計算能力は脅威に値する。 風速と風向。混合する洗剤の割合。洗剤自体の濃度と量。煙が発生するタイミング。 その他、マリリンに気づかれないよう、わずかに窓のサッシを開けたり、庭にゆっくりと洗剤を垂らしていくプレッシャー。 あらかじめ大量の洗剤をディパックに確保しておく、準備の良さ。 (本当に面白い方がいらっしゃいますのね。 しかし……まだ私の負けと決まったわけではございませんわ。 この先は遊園地へ続く一本の道で、隠れるのも難しいはず。 ガスが拡散してから『能力』を使って追いかければ、充分に追いつけ……) マリリンの思考に、違和感というノイズ。 (あら?……よく考えたらおかしいですわ。彼女ほど頭を使った戦い方ができる人材が、逃げる方向を見誤るなんて……) 思考に集中していたマリリンは、『それ』の始まりを、少しだけ聞き逃した。 ――……うてい! ひょう…… しかし、聴覚の回復が進行するにつれて、耳はその『音』を認識する。 「なんですの?」 その『大きな声』は、神崎が逃げた方向――遊園地から、響いていた。 ――氷帝! 氷帝! ――氷帝! 氷帝! 『氷帝』と高らかに叫びあげる、謎の呼び声の集合体だった。 何かに酔っているかのように、その大合唱は響いた。 (なんですの……この歓声は?) もし、その『大きな声』が、例えば『拡声器を使った参加者の大声』だったならば、マリリンは冷静に対処しただろう。 まず、こんな状況で大声を張り上げる参加者に、呆れただろう。 そして、拡声器の呼びかけを聞いて、殺し合いゲームに乗った参加者が集まるかもしれないと、考えただろう。 そして嬉々として、そいつらと戦うべく遊園地へ急行しただろう・ しかし、ことは『ゆうに百人を超える人間の肉声』である。 録音や加工を施された音声に混じっている、独特のノイズ音は聞き取れない。 間違いなく『百人以上はいる人間の肉声』だった。 (おかしい……このバトルロイヤルの参加者は、私をのぞいて50人しかいないはず……!) マリリンは、そう考えた。 この殺し合いの会場に、参加者以外の人間はいないはずだ。というか、いたら運営側にとっても困るはずだ。 では、遊園地から聞こえて来る『二百人近い人間の声』はいったいどういうわけなのか。 そして、この状況でそんな大合唱を行うことに、何の意味があるのか。 (落ちつきなさい、マリリン。そう、『クールになる』のですわ) 可能性は二つ考えられる。 ひとつは、あの遊園地に『百人を超える集団』が存在するケース。 もしくは、あの遊園地に『集団が存在するかのように見せかける能力者』が存在するケース。 後者なら一応の矛盾は解決するが『じゃあなぜそんな大声を演出しなければならないんだ、その馬鹿な能力者は』という問題が残る。 集団が存在するように見せかけ、参加者の停戦意志を煽るため? そして、前者だとすればより問題となる。 集団の正体と、その目的とは。 何より、どういう意図で、人を集めようとしているのか。 もし、『殺し合いを止めようとする集団』ならば大きな障害だ。 数とは、分かりやすい力なのだから。 ならば、マリリンはそちらを早急に確かめる必要がある。 第一に優先すべきは、それだ。 ならば、遊園地には慎重を期して向かわなければならない。 他の参加者――というかあの『集団』――に見つからないように、用心して近づく必要がある。 呑気に追いかけっこに興じている場合ではない。 残念ながら……神崎麗美の追跡は、断念せざるを得ない。 「仕方ありませんわ……この場は負けを認めましょう。」 【F-1/G-1との境界付近の民家/一日目 深夜】 【マリリン・キャリー@うえきの法則】 [状態] 視覚、聴覚はほぼ回復 [装備] 霊透レンズ@幽遊白書 [道具] 基本支給品一式、不明支給品×0~2 、 基本行動方針 装備を整えつつ状況に応じて行動 1:慎重を期して遊園地に侵入し、謎の『氷帝コール』の正体を突き止める。 2:他にも『氷帝コール』を聞いて集まって来た実力者がいるならば、戦いたい。 3:神崎麗美と高坂王子は諦める(ただし、彼ら2人が同行者を連れていた場合、その同行者については適用しない) [備考] ※参戦時期は三次選考開始直前です。 『[遊園地手前の駐車場] マリリンが追って来る気配はなし。 計 画 通 り!』 今度こそ、勝った。 安堵しながらも、足だけは止めなかった。 マリリンからは逃げた。 ならば次にすべきことは、あの『アレ』を行った人間――そのなかのリーダー格の奴と接触することだ。 なぜ『アレ』を麗美は正確に予期していたのか。 そして、示し合わせたように遊園地の方角へ逃げていたのか。 タネを明かせば簡単だ。 とにかくマリリンから『距離をとる』ことだけを考えて、逃げ回っていた時、 『遊園地の方角から、『氷帝! 氷帝!』と叫ぶ、人間二百人分相当の大声が聞こえてくる。 そっちの方に逃げれば、助けを求められるかもしれない?』 この予知が、既に確定未来として存在していたのである。 『逃走ルート』しか予知されない『逃亡日記』にそれが予知されたのは、それが麗美の逃走ルートに大きく影響していたからだ。 マリリンのような傭兵タイプの人間が、この会場で『百人を超える人間の大声』などを聞いたらどうなるか。 間違いなく困惑し、慎重に大声の正体を探ろうとするだろう。 遊園地には、迂闊に侵入できなくなるだろう。 ならば、遊園地に一度逃げ込めば安全だ。 そこへ逃げれば、マリリンも『勝負の中断』をせざるをえなくなる。 だから麗美は、『氷帝コールが起こる時間』に、遊園地の内部かその近くにいられるよう、F-1に向かって逃げていた。 そして、きわどいタイミングながらも、それは成功した。 麗美は、未だ『氷帝!』と叫ぶ合唱団に向かって、全身全霊で感謝していた。 (どこの誰だか知らない人たち! バカだけど助かった!!) 【F-1/遊園地手前の駐車場/一日目 深夜】 【神崎麗美@GTO】 [状態]:健康 [装備]:携帯電話(逃亡日記@未来日記)、ベレッタM92(残弾13) [道具]:基本支給品一式 基本行動方針:菊地たちと合流し、脱出する 1:遊園地で謎の『氷帝コール』を行っている人物と接触し、そして遊園地から脱出 2:高坂王子とビルで待ち合わせ。 【霊透眼鏡(レンズ)@幽遊白書】 マリリン・キャリーに支給。 霊界七つ道具のひとつ。 壁を透かし見るなどして、隠されたりなくしたものを見つけることができるルーペ。 作中では岩本先生(男)のスーツを透視した際に、スーツのポケットに入っていた万年筆を見つけただけで先生の裸を見ずに済んでいる。 つまり、使用者の見たいものだけを限定的に見ることも可能らしい。 霊界七つ道具は使うたびに霊的なパワーを消費するらしいが、霊透眼鏡はその中でも負担が軽い道具らしい(負担の度合いは書き手さんに任せます)。 Back Gong Down 投下順 Next いつまでも絶えることなく友達でいたいから Back 最初の過ちをどうか 時系列順 Next いつまでも絶えることなく友達でいたいから Wake up! dodo 神崎麗美 プライベート・キングダム Wake up! dodo マリリン・キャリー TRIP DANCER
https://w.atwiki.jp/gogoanison/pages/259.html
オープニング 「Venus Say」 作詞:新藤晴一 作曲・編曲:本間昭光 歌:Buzy ※Buzyの「鯨」と同一楽曲で歌詞が違う。 ※正式な曲名は「Venus Say・・・」だが、NHKの公式表記ではSayの後に「・・・」は付いていない。 2chのアニソンランキング 201位(2007年12月版)、168位(2008年05月版) VIPPERが選ぶアニソンベスト100+α 43位(第1回) エンディング 「見上げてごらん夜の星を」 作詞:永六輔 作曲:いずみたく 編曲・歌:BEGIN ※オリジナルは、坂本九の歌で1963年に発表された。 挿入歌 イメージソング・キャラクターソング 関連作品 投票用テンプレ Venus Say(ふたつのスピカ/OP/Buzy/2003) OP…オープニング曲、ED…エンディング曲、IN…挿入曲、TM…主題曲 IM…イメージソング・キャラクターソング
https://w.atwiki.jp/pipopipo555jp/pages/845.html
ふたつの赤松大尉手記 二つの赤松手記 太平洋戦争末期1945年3月すえ、米軍上陸攻撃の最中、沖縄の渡嘉敷島島民3百有余を集団死に至らしめた責任者とされた元海上挺進隊長大尉赤松嘉次氏は、戦後26年目の1971年、51歳のとき2つの雑誌に相次いで手記を載せた。1つは沖縄地方総合誌『青い海』6月号に載せた「私たちを信じてほしい」であり、もう一つは、全国総合月刊誌『潮』11月号に載せた「《私記》私は自決を命令していない」である。 赤松氏はその前年1970年の3月、渡嘉敷島で行われた慰霊祭への出席を目的に復帰前の沖縄に渡航したが、抗議にあって慰霊祭出席をとりやめた。 二つの赤松手記はどちらも、その抗議のことを踏まえて書かれた物だが、内容を読むとそこには興味深い相違がある。前者は「弁解の言葉」であるが、後者は「逆告発の書」である。後者のほうが字数が多くその分内容が変わっても不思議ではないが、言葉使いや文体まで相当大きく変わっているのである。 筆者は、後者の月刊誌『潮』11月号掲載「手記」は、プロの文筆家の代筆によるのではないかと疑いを持つ。もちろん、アマチュアの寄稿文を雑誌編集者が手を入れたり、ページ内に収める添削をすることは当然だが、2つの文章を比較した「文相」の違いを、皆さんはどう読み取るのだろうか? 後者の手記が、故赤松嘉次氏本人の遺稿として、現在係争中の裁判所に『書証』として提出されているだけに、私は気になる。 しかもこの「手記」の内容は、曽野綾子著「ある神話の背景」のモチーフと構成に、そっくりまま引き継がれているように見えるのは、気のせいだろうか? 戦後25~6年その当時、赤松氏を"迎えた"渡嘉敷島の心情や、沖縄の一般的雰囲気については、同じ『青い海』9月号から引いてみる。 沖縄戦からの発想星雅彦 集団自決の思想間宮則夫
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/17449.html
ふたごけんか ~ぷりんせんそうふたごふうみ~【登録タグ DuronII ふ フクロウ 曲 鏡音リン 鏡音レン】 作詞:フクロウ・DuronSpitfire 作曲:DuronSpitfire 編曲:DuronSpitfire 唄:鏡音リン・鏡音レン 曲紹介 舞うように刀を交え、まなざしは真剣に。本気でぶつかり合う。 しかし肝心な理由はプリンをたべられてしまったというだけの、些細な姉弟喧嘩のはずなのです。 まだまだ喧嘩は続いております。如何でしょう?どちらかの味方になって参戦されては・・・ フクロウさんのイラストからイメージして作りました。仲良く激しく喧嘩する双子の情景を思い浮かべると楽しくてw(作者コメ転載) 狐言葉の部分がなんとも小気味よい、お狐様の声になっていて楽しい喧嘩模様になっております。(作詞者コメ転載) 歌詞とイラストを フクロウ氏 が手掛ける。 歌詞 プリンをぼくが食べたという 僕は知らない本当に 舞う雪のように 儚く消えた リンのプリンは どこへいった? Ah ぼくじゃないというのに わからないなら わからせるまで さあ立て 決闘だコラ! お答えください お狐様 咲いた咲いた 見事に咲いた 双子喧嘩に華が咲く 我はリンに 我はレンに さあ!いざ!参れ 手加減無用!! 諸行無常の鬩(せめ)ぎあい お前いっぺん泣かせてやる 長ドス構えな 牙を砥(と)げ 地を蹴り 狐が空を舞う舞う 扇翻し 術が走る たとえこの血が 滲んでいても 止まるものか 今や楽しい 決闘を 床は割れ 壁に空いた穴 姿亡くした物に 冥福を Ah 着物は乱れて 刀が頬をかすめる コメント わしは是非ともレンきゅんに…うわなにするやめ -- 名無しさん (2011-07-26 03 00 09) 1人だけだぞ -- 名無しさん (2012-09-12 15 49 10) 私はレン君につく!食べてないと言ってるじゃないか! -- ボカロ廃 (2012-09-12 16 00 24) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/twin_world/pages/27.html
みーんみーんみーん・・・。 夏を知らせる代表的な虫たちが、昼下がりの山々から町へ響いていた。 暑い。だが、暑すぎて人はみな無言である。 そんな中、鼻歌を歌いながら大きなビニール袋を提げて町を闊歩する一人の若者がいた。 はじめてのおつかい ~KAITO編~ カイトは目が覚めてからというもの目の前にあるもの全て新鮮だったがために、マスターである陸を質問攻めにして家を追い出されること早数回。 すっかりカイトは探検に夢中になっていた。 近くにある川原で泥だらけになって発見されたこともある。 他にも、猫が珍しくて木に登ったが、下りられなくなって半泣きになっていた。 見た目の姿はすでにいい大人であるカイトの好奇心は、小学6年生をはるかに凌駕していた。 性格設定の調整中であるため数日は仕方がないのことなのだが陸と明はすでにあきらめを感じていた。 泥の乾いた部分とぬれた部分の感触の違いを、目を輝かせて語られては怒る気も失せてしまう。 そして二人は一通り考え抜いた後、カイトが外に出る『目的』を作った。 そうすれば少しはこの好奇心旺盛なやんちゃっ子がマシになると思ったのだ。 「えーと、『にんじん・たまねぎ・じゃがいも・しいたけ』・・・♪」 昨日覚えたばかりの歌で、もう一度買い物の内容を確認する。 この数日ですっかり童謡を歌えるようになっていた。 それがまた、カイトの陽気っぷりを押し上げていたに違いない。 「『あとアイス~』♪」 アレンジも買い物も完璧!と自画自賛し、カイトはスキップでもしそうになりながら帰宅した。 「ただいまです!」 「おかえり、カイト~! 遅かったね。ど、無事だった? 全部買えた?」 リビングから陸が走りよる。 「はい、マス・・・えと、陸。大丈夫だと思います」 ビニール袋を持ち上げると、そそくさと台所へかけこんだ。 陸と買い物に行くときはこうして、帰ってきたらすぐに荷物を冷蔵庫へしまうためである。 「そんな、いつもみたいに急がなくていいのに」 そういって、ほほえましいのか陸はくすくすと笑いながらカイトの後をつけていった。 「えーとごぼうは冷蔵庫でしたっけ、野菜は野菜室・・・?」 「ごぼうは日陰で縦にして保存。新聞紙でくるんで」 カイトはちょっと多めの材料をひとつずつ陸に確認をしながら指示を仰いでいた。 「さ、これが最後ですね」 「そういえばアイス頼んだんだよな! やっぱ真夏はアイスでしょ!」 「?あの陸」 「何?」 ふと、ビニール袋に手をつっこんだまま、眉をひそめてカイトは言った。 「なんでしょう、アイスとはひんやりとしたものだったんですが、今は少しびちゃってしてます」 「な・・・」 ばっ!とカイトから袋を奪い取り、カイトの手を凝視する。 でろーといわんばかりに、指を伝う白くて甘い香りのするもの。 「そ、そんな、ボク、楽しみにしてたのに!」 「あの、陸?」 何がそんなにダメだったのだろうか、不安げな表情でカイトは訴える。 今のさっきまで完璧だったのではないのだろうか。 自分の手にはなにやらアイスから出た?液状のもの。 甘い香りに誘われて、ぺろり、とひと舐めしてみる。 「とても甘いですね。陸はこれを飲むのですか?」 カップアイスに並々とゆれる元アイスを指差しカイトはそういった。 それは純粋な疑問だった。 その直後、 ぶち。 と音がした気がした。 「カイトのばか!!一人で溶けたアイスでもすすってろよ!!」 「り、陸!?」 突然のことに、カイトは分けが分からないまま飛び出す陸を見送った。 怒らせてしまった。 どうして怒ったのか、カイトにはいまいち理解できない。 人間のすることに理解は必要ない、そんなことを言い捨てた陸の声がなつかしい。 でも、カイトにとって由々しき事態であった。 カイトはカップアイスがテーブルに転げて染みを作っても構わずに、台所から姿を消した。 「なんだよ、カイトのやつ。前よりうざい発言しなくなってきてたのに・・・」 溶けたアイスなんて飲むわけねーだろバーカ!と、誰もいない雑木林の入り口で陸は一人叫んだ。 けっ、と吐き捨てるように道端の石ころを蹴飛ばす。 果たして、自分は何をこんなにむしゃくしゃしてるんだろうか。 たかがアイスが食べれなかったせいで? 違う。 カイトの発言に頭にきただけ? そうだ、カイトは見た目が25歳でも、中身は0歳なんだ。 ただ単純に思ったことを言っただけ。 「じゃあ、なんでこんなに…、気になるんだよ」 そうひとりごちて、陸はそっか、と答えを導き出した。 答えに気づいた陸はいてもたってもいられず、汗を大量にかくのを承知で走り出した。 「カイト~…?」 そっと、部屋をのぞきつつ声をかける。 カイトに割り当てられた部屋は薄暗く、大きな影がベットで動いた。 「ま、マスター!!」 がば、と起き上がったかと思うと、すぐにまた布団へもぐりこんでしまった。 「ちょ、カイト、起きてよ」 「い、いやです。陸、絶対怒ってます。マ、マスターに怒られ、る、なんて、ぼ、僕はボ、ボーカロイド、ひっく、し、しっかくですぅ…」 弱々しかった声は、だんだんと涙声となって震えていた。 子供のくせに大人を泣かすなんて、こっちがすっかり悪者だ。 そんなことを思いながら、陸はベットに腰掛けて、大きな毛布の山にそっと手を置いた。 「どうしてボクが怒ってるって思ったの?」 「……プロフェッサーに相談、したら…、言い方が悪かったんだって…」 「それで、どうしろって言われた?」 「気にするな、って…、生まれたてだからしょうがないって…」 やっぱりな、と陸はよしよしと毛布の山を撫でた。 この様子ではとても気にしてない様子ではない。 「違うんだ。ボク、カイトにアイスを食べさせたかったんだ」 ぴく。 震えていた山がぴたりと止まる。 「それなのにカイトは、アイスは一つしか買ってこないし、しかも溶かすし。あげくに『食べるのはボクだけ』って思い込んでた」 そそそ、とカイトが毛布から頭と目までのぞかせた。 カイトからは、背中をむけて膝を抱え、丸くなった陸が見えた。 「ボク、カイトにアイスはおいしいんだよ、って、一緒に食べようって言いたかったんだ。それがダメになって…」 ついかっとなってあんなこと言ったんだ。と陸は少しずつ声を小さくした。 「マスター…」 「ば、バカだよな! 自分でも無意識にそう思ってただけなのに、カイトに当たるなんて」 「そ、そんなことないです! 僕が悪かったんですから、マスターは悪くありません!」 弱々しい態度から一転、カイトはベットの上に正座をして前のめりになりながらも陸に訴えた。 「ちょっと、ボクの呼び方、マスターになってるから」 「あ、はい、マス、いえ、陸」 よし、と言って陸は一つの袋を取り出した。その中の小さなカップをカイトに差し出す。 カイトはカップを受け取り、じっと見つめた。 ひんやりしている。これは…。 「それもアイス。スーパーで売ってるお徳用のじゃなくて、ちょっと特別なアイス」 「あ、あの」 「いーから。これスプーンね。ほら、ボクも食べるから」 じ、っと陸が見つめることでアイスを食べるのをカイトはせかされる。 食べろって命令なら食べなくては、とカイトは慌てて一口ほうりこんだ。 「どう? おいしい?」 「おいしい…、です」 「そか」 カイトの返事に納得したのか、陸もカイトと肩を並べてアイスを食べ始めた。 カイトはもう一口食べた。 甘くて冷たくて、ふわってとけて香りが広がった。先ほどよりも何倍もおいしく感じた。 「陸、これ、すごくおいしいです」 「だろ! やっぱり夏にはアイスだよな!」 お特用じゃなくて、ちょっと特別なアイス。 さっきの陸の言葉をカイトは反芻した。 それがカイトにとって、『アイスが特別ではなく、自分が特別』なような気がして顔を赤くしながらアイスをほおばった。 あれから陸はわざわざ買いにいったのだろう。カイトと仲直りしたくて。 一番近いスーパーでは売ってなくて、少し遠くのお店まで。 そのことに気づいて、ますます顔を赤くしながらカイトはアイスをたいらげた。 これほどおいしいアイスはない、とカイトは思った。 「マスター! あ、いえ、陸」 「なぁに?」 まだ食べ途中の陸はスプーンをくわえながらカイトを見上げた。 「僕、アイス大好きです! また、『二人分』買ってきてもいいですか?」 はにかみながらそう提案するカイトに、意図するところに思い当たって陸まで顔を赤くしてしまった。 「あ、ああ、うん。いいよ。でも今度はお徳用ね」 「はい!」 「溶けないうちにまっすぐ帰ってくるんだよ?」 「は・・・、え!? あ、いえ、はい!」 冒険できなくなると気づいたのか即答できず、それでもイエスと答えたカイトが微笑ましくて陸は思わず声をあげて笑った。 陸が笑ったのがなぜかうれしくて、カイトもつられて微笑んだ。 そんなこんなで、カイトのはじめてのおつかいは幕を閉じたのであった。 前へ 目次 次へ まだまだ出来たての兄さんですから、少し考えが足らなくて幼稚です。 この話自体は原作にはないお話です。なのでパロのパロなのは設定だけです。 でもほら、空気読めないカイトとか、毛布かぶっちゃうカイトとか、二人分とか言っちゃうカイトが見所ですw(ぇ そういえば。 …真夏にマフラーしてスーパーに行く兄さんってちょっとシュールですね。 なんかジャンプで昔、そんなキャラのいる漫画がありましたね。その彼とカイト兄さんが被ります。 さ、次はそろそろあの人に出てもらいましょうー。 では、最後まで読んでくれた方に感謝感謝です! かるな