約 2,714,688 件
https://w.atwiki.jp/legends/pages/3745.html
“滅びの枝”より ――――植物園の一件より数日後、「組織」本部の一室にて (蓮華 ・・・・・・ふぅ 頭が働かない時は温かい緑茶に限ります 何故か分かりませんが、こうしていると落ち着くので それより (蓮華 どうしたものでしょうか・・・ 現在、私は2つのことについて悩んでいます 1つは、裂邪さんに預けた「レイヴァテイン」の今後 彼の契約していた「シャドーマン」が止めているとは思いますが、 いつ彼が契約して都市伝説に飲まれてしまうか分かりません 契約の負担が軽くできればいいのですが、そんな都合のいい話がある筈も無く それと、もう1つ あの時・・・植物園で戦闘していた時 裂邪さんは影を失い、「シャドーマン」を含めた全ての都市伝説を使用できなくなった でもそれはただ単に、 傍に「シャドーマン」以外の都市伝説がいなかっただけ、とも言えます つまり、彼が何らかの方法で、例え離れていても他の都市伝説を呼び出せるようになれば 彼はもう、あの時ののような苦しい思いをしなくて済む筈 ・・・本当は、「組織」たる者、あまり一般人とは関わらない方が良いのですが、 それでも私はまだ、彼に返しきれていない気がして リュウゼツランの種の礼を、まだし足りなくて・・・ (蓮華 ・・・ダメですね、頭が破裂しそうです 少し、気晴らしにでも行くとしましょうか (蓮華 R-No.5、R-No.50はいらっしゃいますか? (レジーヌ 居る (蓮華 (2文字ですか・・・)少しだけ、彼女をお借りしても宜しいでしょうか? (レジーヌ 良し (蓮華 ありがとうございます 彼女に軽く頭を下げた後、私は部屋を出た それにしても、本を読みながら笑っていたような気がするのですが・・・気の所為でしょうか † † † † 少々自堕落なトップの所為で、このR-No.では、 我々上位メンバーが、区分けされた10の部隊をそれぞれ仕切っていますが、 その区分けされた中で、さらに10名が指揮官の補佐役として選ばれています R-No.50もその1人 『防衛班』を従える、R-No.5の補佐にして・・・抑制係 たまに暴走するR-No.5を抑えることのできる人材です そもそも、抜擢したのは私なんですけどね その彼女、R-No.50は、私が欲しかった程の能力を持っています 能力の性質上、色んな情報が入ってくるので、いつもその情報を提供してくれます ・・・性格に問題があるのですが コンコン (少女 『デビルアローは』!? (蓮華 『超音波』 (少女 『デビルイヤーは』!? (蓮華 『地獄耳』 (少女 『デビルウィングは』!? (蓮華 『空を飛び』 (少女 『デビルビームは』!? (蓮華 『熱光線』 (少女 よぉーし! 声が小さいからもう1回! バキッ!! 音を立てて、ドアは部屋の奥に飛んでゆきました 辺りに種と果肉が飛び散ってしまいますが、こういう時にスイカは便利です その奥では、私と同世代ほどの黒髪の少女がガタガタ震えて涙目で椅子に座っていました この少女がR-No.50です 正直、あの反応が好きで付き合ってるのかと聞かれれば、嘘とは言い切れません (R-No.50 な、なななな何さいきなり!? タチ悪すぎるよ蓮華さん!? (蓮華 貴方にだけは言われたくありません・・・ 単刀直入に言いますが、早速頼りたいのですよ 貴方の、「地獄みm (R-No.50 『デビルイヤー』! (蓮華 ・・・「地ごk (R-No.50 『デ・ビ・ル・イ・ヤ・ー』!!! (蓮華 ・・・・・・『デビルイヤー』という名の「地獄耳」の力を (R-No.50 ぐすん・・・結局言われた・・・ 彼女は観念して私に向き直った (R-No.50 分かった、ちゃんと話すよ ・・・って言っても、そんなに大した話はないよ? まだ『COA』の一件が過ぎて間も無いし、 「教会」がどうだとか、何とか契約書だとか、K-No.が怪しいだとか・・・ (蓮華 ・・・はぁ、やはりそうですか――――待ってください、今何と言いました? (R-No.50 へ?K-No.がどうかした? (蓮華 その前です (R-No.50 何とか契約書のこと? こっちはよく分かんないんだ なんだかブロックがかけられてるみたいでね (蓮華 ・・・契約書・・・その手がありましたか (R-No.50 それより『デビルマン』の話でもしようよ! 私は携帯電話を取り出した (蓮華 R-No.11ですね? 直ちにR-No.研究班を集結させてください できるだけ、機械に強い都市伝説と契約した人を多く動員してくれると助かります 携帯電話を閉じて、彼女を向いて頭を下げた (蓮華 ありがとうございました。私はもう戻ります (R-No.50 え、いや、今来たばっかりjお、おーい!? 何としてでも作り出してみせる 1日でも早く作り出してみせる そうでもしなければ、私の気は収まりませんから あの方に・・・顔向けできませんから ...To be Continued/新たな力へ 前ページ次ページ連載 - 赤い幼星
https://w.atwiki.jp/queuetrpgbu/pages/154.html
クラヤミクライン Log ↓テンプレ [[]] yyyy/mm/dd GM PL1 PL2 PL3 PL4 廃屋のメリー 2018/05/18~22 GM Noja PL1 武田詩音(旋盤) PL2 夜藤麻耶(ポマ) PL3 奥宮葉月(ヴィリー) PL4 ゆい(のゔぇ)
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1253.html
合わせ鏡のアクマ 50 都市伝説4コマ風劇場 「そこにいたかぁ!!」 「え!・・・あれ?」 「流星・ブラボー脚!!」 「上!?って、うわぁあああああ!!」 ドゴォオオオオン・・・ 「はい、借りてたカラオケセット」 「普通に返してください!!」 少年に走り去られる→追おうとするが見失う →跳躍、そして発見→一直線にGO! 姫さんが本当に化け物じみてきました。 * 都市伝説4コマ風劇場 「あのー」 「なにか?」 「もしよかったら連絡先とか聞いても・・・」 「なるほど!そういうことなら任せて」ガシッ 「え?あの」 ドドドドドド 「うわぁあああ!!」 「××ー!ちょっと話」 「がっ!?」ゴチーン 「ナイスガード」 「光栄です、兄さん」 * 都市伝説4コマ風劇場 「・・・いきなりあれはひどくない?」ボタボタッ 「血!頭から血が出てますよ!?」 「いきなり突っ込んでくるお前が悪い」 「いやあの、もうちょっと心配したら・・・」 「ああ、大丈夫よ。これケチャップだから」ペロッ 「なんでそんなの仕込んでるんですか!?」 「・・・そういえば、あなた誰ですか?」 「ありがとう、ようやく聞いてくれて・・・」 頑張れ女装少年、つっこめるのは君しかいない!(キャラ的に) * 都市伝説4コマ風劇場 「ん、待てよ?君はさっきの少年か」 「え?」 「ああ、姫さんに無謀にもカラオケセットを貸した・・・」 「・・・・・・・・・」 「うわーん!バレてるよー!!」ダッ 「・・・ザクロ」「はい」 「逃がしませんわよ!」ザッ 「キャー!!?」 目の前にデカイ犬がいきなり現れたら、ビビるどころじゃ済まない気もする * 都市伝説4コマ風劇場 「はーなーしーてー!」 「捕縛しました!」 「うん、ザクロもアクマもよくやった」 「さっきのボヤ騒ぎは不問とする」 「やった!」「やりましたわ!」 「本当に甘いですね、兄さん」 「ボヤって、私のいない間になにかあったんだ?」 「それが・・・」 (・・・あっるぇー、なんか無視されてる?) * 都市伝説4コマ風劇場 (どうしよう・・・そうだ!黒服Hさんに教えてもらったあれで!!) 「あの・・・」スッ 「なんだ?」 「フェ○チオ、してさしあげましょうか?」 「・・・縛れ」「はい、兄さん」 「え?あ、ちょっと・・・キャー!」 亀甲縛り再び?変態認定されたかも・・・あははw * 都市伝説4コマ風劇場 前略、母上殿 友達になろうと声をかけたら縛られてしまいました。 「なんで縛られたんですか!?」 「変態だからです」 「へん・・・!?うわーん!黒服Hさんのバカー!! 全然仲良くなれないじゃないかぁ!」 「なに?誰かに教えられたのか・・・そいつの特徴は?」 「え?えっと組織の人で、髪がよく伸びます」 「分かった」 「会ったら消しておくから」 「え?」 「心配しないで、私達がなんとかするわ!」 「あの・・・」 * 都市伝説4コマ風劇場 「どうやら知らないようなので、フェ○チオの意味を教えてあげます」 「え、あ・・・はい」 「フェ○チオというのは男性の(ピー)を口や舌でで(ピー)ることです」 「・・・え?」 「だ、だって男はこれで喜ぶってHさんは!」 「悦びますよ、性的な意味で」 「・・・~~ッ!?///」ボンッ 「ようやく分かりましたか、事の重大さが」 わかりにくいが、説明しているのは妹ちゃん * 都市伝説4コマ風劇場 「あの、すみませんでした・・・///」 「まあ無知は罪とまでは言わないさ・・・俺はな」 「え?」ガシッ 「次こんなこと××にしたら、あなたでミートパイ作るからね」ニコッ 「ひっ!あ、うわっ?」グイッ 「兄さんにはまともに育ってほしいので・・・もし次があったら 山で目隠しをしたまま首吊らせた後、死体は山に埋めますよ?」ニコニコ 「あ・・・う」 「ひっく、えぐ・・・ふえぇ」 「あんなに怒らなくても・・・」 「「無知は罪」」 2人の怒りに泣かされた・・・そんな様子もかわいい女装少年。 * 都市伝説4コマ風劇場 「誤解も解けたんだ、ほどいてやれ」 「はい、兄さん」 「あの・・・」 「どうしました?」 「その、もう少し縛られていたいなーとか・・・あは」 「急げ!こいつが目覚めてしまう前に早く!!」 「了解です!」バッ 「ちょ、もっとやさしく・・・にゃー!?」 縛られて(ある意味)言葉責めを受けたら・・・ね? * 都市伝説4コマ風劇場 「・・・あなたが呼んでくれるなら、どこへでも参ります」 「あなたが望むなら、どんなことでもいたします・・・」 「だから私と一緒に・・・・・・シてください(連絡先交換を)、ご主人様ぁ・・・」 「ムービーでバッチリ録ったわよ!」 「さすが姫さん、ぬかりありませんね」 「ふぇええ!?消して!消してくださーい!!」 * 都市伝説4コマ風劇場 「ま、お仕置きはここまでにしておきますね」 「なんのだ」 「無知のです」 「えぐ・・・ぐすっ」 「あー、泣くな泣くな。ほらナプキン」 「あ、ありが・・・ひっく」 「それと、これ」スッ 「・・・?」 「携帯の番号。色々あったが・・・ま、仲良くしようぜ」 「あ・・・」 * 都市伝説4コマ風劇場 「これ、私の携帯の・・・なんかあったら、気軽にかけていいから」 「私は携帯電話を持っていないので、用があったら兄さんに伝えてくださいね」 前略、母上殿 「ぁ・・・・・・」パタリ 「おい!?」 新しい友達が、できました・・・ 「くぅ・・・くぅ・・・」 「なんだ寝ただけか・・・ハハッ」 女装少年の方へ土下座ァ!! 彼には酒とつっこみ疲れで眠ってもらいました。 * 都市伝説4コマ風劇場 「で、どうするの?」 「放っては・・・おけないよな」 「あら、どうしました?」 「あ、盟主さん」 「ん、なるほど・・・状況は読めました」 「どうしたらいいんですかね?」 「まず額に肉と「盟主さん」布団がないか聞いてきますね」 これにて終幕 前ページ次ページ連載 - 合わせ鏡のアクマ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/3858.html
● 徹心はかつてを思い出しながら、話を始める。 「高坂君が言った通り、≪杞憂≫はもともと≪拝上帝会≫の天帝が巨大な国に対抗するために血眼になって探して、見つけ出した都市伝説だ。杞国の民が符に封じた憂いの呪いそのものだから、力は申し分が無かったのだけど、問題が1つ発生した」 「問題?」 小首を傾げる舞に、徹心は答えを示す。 「契約できる人間が存在しなかったんだ。無理に契約をしようとしても≪杞憂≫の札はその者を拒絶した。結局契約できる者が誰もいなかったそれは≪拝上帝会≫の倉庫に再び封印されることになったんだよ」 当然といえば当然だ。≪杞憂≫が説話通りに再現された場合、それは世界規模の災厄になる。そのような強大な力と契約できる人間など、よほど特殊な境遇の者でなければ不可能だろう。 「≪杞憂≫は持っていてもしょうがない、無用の長物になったのね」 「それでも牽制には利用できたんだけどね」 曖昧に笑って徹心は続ける。 「そして、≪拝上帝会≫は≪太平天国≫へと名を改め、徐々に倨傲し、腐敗していった……」 徹心は目を固く閉じ、過去を、≪太平天国≫の落日の日を語る。 ● 時の中国王朝、清を打倒し理想を目指す為に立ったはずの≪太平天国≫は、その主、天帝の腐敗に伴う組織全体の劣化と内紛、外国の勢力を味方に引き入れた清朝側の巻き返しに直面していた。 そのような情勢の中、徹心やオルコット、それにエルマーは、離反者として≪太平天国≫最大の脅威になっていた。 「民の心が離れ、理想を見失って……最後はこんなものか」 崖の上から≪太平天国≫の兵士達を見下ろして白髪の白人――現在よりも幾分か若く見えるオルコットが呟く。 「表向きの軍備にも、僕たちのような特殊な軍備にも、もう≪太平天国≫は耐えることはできないよ。――それとオルコット、あまり酒を飲み過ぎないように」 徹心が忠告混じりに言う。こちらも、現在とそう変わらない姿をしている。 当時から契約都市伝説の影響を受けて老化が止まっていたのだ。 オルコットは手にしていた酒瓶を干すと、分かった分かったと言って空の瓶を徹心へと放る。 「お前のところの酒は美味だな。つい手が出てしまう」 「僕の作った果実酒ばかり飲んでいないで日本酒でも飲んでみるといい。あちらが僕の祖国の本式だ」 「あれは……度数が足らん」 「…………」 心底呆れた顔の徹心の表情を見てオルコットは破顔した。 「冗談だ。この酒は材料が良いのもあるのでな。つい進む」 「お褒めにあずかって光栄だよ」 徹心はそう答えて、背後に控えている≪太平天国≫の離反者達の中、そこだけ目立つ西洋の甲冑の群れを率いる二人に目をやった。 「≪太平天国≫鎮圧用部隊――常勝軍から抜けて僕達と共に行動するということだけど、いいのかい? ユーグ、エルマー」 声をかけられた、時代錯誤にも見える騎士とそれと並び立っている若い兵士は、双方共に頷いた。 まず兵士が口を開く。 「かまわない。こちらの方が常勝軍より≪太平天国≫と戦う理由としては正当なものがある。それにユーグのような妖異の存在を知らない者もあの軍には多いのでな」 「私達≪テンプル騎士団≫は故国では禁忌の存在、あまり表立って動くわけにもいかないのだ」 ロシア出身のオルコットがエルマーとユーグに頷いた。 「≪テンプル騎士団≫の話は知っている。逸話に引きずられて荒れた存在に身を窶していると思ったが、文句の無い騎士の集団だ」 「契約者、エルマーが我々を纏め上げてくれた。今の私達があるのは彼のおかげだ」 「彼等に向けられるいわれの無い迫害も、いつの日か退けてしまいたいものだ」 「長く時間をかけて改めていけばいいさ、エルマー」 そう言ってユーグは崖の下へと視線をやる。そこには大量の兵員が展開していた。 ≪太平天国≫の者達だ。 ただ、ユーグの目に映る彼等は明らかに浮足立っている。これから戦闘を始めようという集団にはとても見えなかった。 それらを正確に評してユーグは断じる。 「≪太平天国≫の滅びも近いな」 エルマーが憂いを含んだ調子で言う。 「理想を掲げても人はやはり崩れていくものなのか」 「外的内的、様々な要因に直面してしまえば人の意思は負荷を受ける。人間では無理なのかもしれないな。天帝が掲げていたような世界の実現は」 「オルコットの言う通りなのかもしれない……それでも人が成し遂げて、営まなければならないんだ……妖異達に――僕らの想念が生み出した彼らに人の世の運営を委ねるのは間違っている」 オルコットと徹心の間に僅かに緊張が走る。しかしその緊張は徹心に吐き出した一息で霧散してしまった。 仕切り直すように彼は言う。 「おそらくこの戦いで大勢は決することになるだろう」 呟き、徹心は手を振り上げた。 背後に控えた兵士達が立ち、徹心自身が保持する能力で現れた兵士達も武器を手にして控える。 「これ以上無益な抵抗を続けさせて犠牲を徒に増やさない為に、今回の戦いは負けられないよ」 「天帝の禁軍と呼ばれたお前が敵に回ったのだ。そも、彼らには勝つ見込みなど無い」 「買いかぶりはやめてくれオルコット。戦場を運営する能力は君の方が遥かに上なんだから」 「そうだな」 苦笑の雰囲気が零れ、オルコットが訂正する。 「私達のように≪太平天国≫にあって腐敗を憂いた者達、ユーグやエルマーのような頼もしい協力者。皆があってこその勝利の確信か」 「そうだね」 答え、徹心は声を張り上げる。 「さあ皆、≪太平天国≫を、――堕ちた天帝を滅ぼしに行こう」 そう皆に告げ、士気を高める為の演説を打つ。 「多くの犠牲を出すだろう。それは妖魔伝承の類と契約した僕達のような存在ばかりでなく、そのような存在を知らない人々も含めてだ。そして犠牲はこの戦いの後もまだまだ出ることになる。特に天帝の庇護を失った≪太平天国≫の者達の末路は悲惨なものになるだろう」 オルコットが引き継ぐ。 「それでも進む意志を持つ者は私達に続け! 今生じる血と屍をもって未来の犠牲を贖う。それがこの戦の意義と心得ろ!」 大地を揺るがさんばかりの鬨の響きを持って兵士達が応える。 かくして、≪太平天国≫の滅びを定めた戦の火蓋は歴史に記されることなく、しかし確かに切って落とされた。 ● 「――結局、≪太平天国≫が起こした争いの犠牲者の規模は、表に出ているだけでも世界最大クラスになってしまった」 そう言って、徹心はモニカへと視線をやる。 「≪杞憂≫の存在は確かに知られてはいた。でもそれを封じた符はあの戦いの中で行方知れずになってたんだけど……どうやら実際にはオルコットが持っていたようだね。そして今、モニカ君が契約している……」 やるせなく息を吐き、 「当時から、やがて道を違える事になるだろう事はお互いに分かっていたから、情報は正しく共有されてはいなかったみたいだ。まさかこんな事になっていようとはね」 舞が神妙に言う。 「昔は一緒に戦った仲なのに、今はこうして敵対しちまってるんだよな」 「そうだね、オルコットは≪聖槍≫なんていう、恐ろしい力を秘めた都市伝説まで見つけ出してきている」 舞は考え込み、 「オルコットってのがその≪杞憂≫と≪聖槍≫を使ってなんか世界をいじるとか、そんな感じの事をウィリアムが言ってたけど」 「オルコットは都市伝説を世界を運営する新しいシステムとして、新たな理を刻みこもうとしている。理想――太平な世界の為にね」 リカちゃんが舞の頭上で首を傾げる。 「いいことに聞こえるの」 「そうだね、決して悪事を働こうというわけではないんだよ。特にこういう戦争はね、それぞれの信じるものや正義がぶつかる事になるんだ」 Tさんが舞やリカちゃん、モニカに分かりやすいように説明する。 「オルコットが成そうとしている事は都市伝説に人を支配させようという事に他ならん。確かに人に世界を支配させた場合と比較すれば一貫した統治が実施されはするだろうが、融通が利かない場合もあるだろうし、暴走しないとも限らない。 それに、彼等が刻もうとする理はあの戦闘の会話を拾い上げてみるに、文明のリセット装置をつくろうと言う事に他ならん。≪聖槍≫の契約が完成し、オルコットの本懐が果たされた場合、おそらく今あるこの文明は消滅してしまうだろうな。俺から見ても今のこの世は太平とは言い難い」 しばらく考える間を置き、リカちゃんが不安げに訊く。 「こわされちゃうの?」 「うん、まず間違いなくそうなるだろうね」 優しく応じた徹心。更に彼は言葉を重ねる。 「僕は反対だ。僕はこの先の未来に、人間がより佳い未来を築いていくものと信じているから」 「ではしんみりするのはそこまでにして、そろそろ次の行動を決めるとしよう。おそらく私達にはあまり時間はない」 千勢の言葉に由実が頷いた。 「そうね、≪ピリ・レイスの地図≫がある以上、あまり私達に余裕はないのかもしれないわ」 「この異界って入り口を見つけられたら誰でも入っちまえるもんなのか?」 「そういうわけでもないよ。基本的に入り口を発見される事がまず無い都市伝説ではあるけど、見つかった場合でも僕の一存で拒む事は出来る。 けど、たぶんオルコットは結界を貫く都市伝説を抑えているはずだ。彼等は幽霊船系の都市伝説を所持しているらしいしね」 それも改造を施されているものだと以前千勢は言っていた。 ならば、と内心で思い、 「たぶんそれが結界貫きも兼ねているんだろう。そう遠く無い日に、この異界は侵攻を許す事になる」 「……異界の入り口を移動させるというのはどうなの?」 「可能だけど、移動していると腰を落ちつけている状態よりも隠蔽能力は落ちてしまうから、悟られてしまう可能性が高いね。得策じゃあない」 「じゃあさ、≪神智学協会≫がなんかヤバい事しそうだぜってモニカの事は上手いこと黙りつつ言って回るのはどうなんだ? 他の組織とかが手伝ってくれたりするんじゃね? 前とは違って今は≪聖槍≫なんていう危険な都市伝説を≪神智学協会≫が持ってるのがわかってんだからさ。それなりに強い人達が協力してくれるかも」 「それは危険だ」 舞の発言に蓋をする形でTさんが口を開いた。 「無理だ。ではなく、危険?」 由実の言葉にああ、と頷くTさん。徹心も「そうだね」と答え、 「モニカ君の中に移して使用される≪聖槍≫は最大の世界宗教に出てくる聖遺物だ。その情報が触れまわられれば、聖遺物を持つ≪神智学協会≫を正義として敵に回る者も出てくるだろう。そしてモニカ君の事をどこかで知られてしまえば全てが破局に至る事になる。モニカ君の利用価値は大きい。現状でも世界最大人口を誇る国の故事の名を持つ都市伝説が彼女の中にはあるんだ。仮に事態を外部の者達の手を借りて収拾出来たとして、≪聖槍≫が残った場合、そしてモニカ君の都市伝説がばれてしまった場合。その後にモニカ君に待っているのは……まあ明るくはない未来だろう」 それは、モニカの価値を利用しようとする輩が必ず現れる事になるという事だ。 その言外の言葉を受けてTさんが話を繋げる。 「信頼できる者に頼ろうとするのも、組織単位では駄目だ。複数の組織が絡む戦争は多くの人目を引く。今回の争いの争点に≪聖槍≫と≪杞憂≫が深く関わっている事を知られるのも良くない。あれらは先程の高部徹心の言葉を借りれば世界最大宗教と世界最大人口に由来する都市伝説だ。その気になれば、誰もが大義名分を掲げる事が出来る程の危険な火種となる。今回の事はあくまでオルコットと高部徹心の、そうだな……≪太平天国≫の内乱として扱うのが一番外部の介入を阻止出来る」 「馬鹿弟子の言う通りだな。≪太平天国≫などそれこそ忌むべき過去の遺物だ。これの内部紛争など関わっても何の得にもなるまいよ」 千勢が付言し、結論を述べる。 無駄な戦火の拡大と、犠牲にさせられようとしている少女の未来の為に―― 「外部の力を借りる事は出来ない」 「うん、高坂君が言う通りという事になるかな」 「おおむねそんな感じだろう。俺は元々高部徹心の下に居た人間と言う事ができる。その点では俺はこの件に対して助力できるだろう。元より載りかかった船だ、最後まで付き合おう」 「俺も」 「わたしもなの」 「私も、最後までいさせてもらうわ」 Tさん、舞、リカちゃん、由実の宣言に徹心は頭を下げた。 「正直戦う事が出来る信頼できる人間はいくらでも欲しいからね、助かるよ」 「気にしなくていい……それと高部徹心、いくつか決めていきたい事がある。その決定如何によってはもう何人か協力を頼める人間が居るかもしれん」 Tさんがそこまで言った時、舞が怪訝そうな声を上げた。 「あれ……? モニカは?」 「え?」 由実が呟き、周囲を見回してさっと顔色を変えた。 モニカがいつの間にか部屋から居なくなっていたのだ。 皆が一巡り視線を回していつ居なくなったのか知らないかとそれぞれに問う。 どこにもモニカの姿は見つけられなかった。 ケウが短く吠えて、その意志を正確に読みとった千勢が舌打ちする。 「しまった。デリカシーの無い馬鹿弟子や徹心の発言のせいでモニカが家出をしてしまったか……!」 「さも自分がデリカシーのなんたるかを知っているような発言はやめておけ師匠。一応この内部ならば安全だとは思うが……」 そう言いながらTさんも表情を曇らせる。 「ともかく、モニカを追いかけようぜ!」 舞が立ちあがって駆けだす。 モニカ捜索が急遽始まった。 前ページ次ページ連載 - Tさん、エピローグに至るまで
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2728.html
【上田明也の探偵倶楽部24~割と平和な日もあって~】 「明日はお花見に行きます。 よい子の皆さんはレジャーシートとかの準備をとりあえずまあ急いで行ってください。 それと弁当については俺がもうすでに用意を始めているので、穀雨ちゃんは絶対に台所に突入してはいけません。 その場合近くのハッピーピエロでご飯を買わなくちゃいけません。 メルとレモンは協力して絶対にそれを防ぐように。 笛吹探偵事務所にはお金がないのでできるだけそのような悲劇は避けたいと思っています。 解りましたか?」 「「「はーい!」」」 桜の季節だと言うことで花見に行くことになった。 ここで一つ問題がある。 大の大人が一人で幼女を三人も花見に連れて行くと只の誘拐に見えてしまうのだ。 まあ三分の二は誘拐して此処に連れてきているのでその見方も間違っては居ないのだが。 しかしこれは明日晶を連れて行くことで解決するので問題ない。 それと念のために言っておきたいが笛吹探偵事務所は非常に景気が良い。 この町の治安が悪くなれば成る程仕事は増えるのである。 お金がないというのは主に穀雨ちゃんが食べ過ぎない為の方便である。 嘘も方便? いいえ、嘘こそ方便です。 「つー訳で俺は少し買い物に行ってきます。 俺が居ない間は明日姉が来てくれると思うんで言うことを聞いて遊ぶなり勉強するなりしてください。 特に橙は国語の成績がひどいのでちゃんと勉強するように。 あと穀雨ちゃんも算数だの英語だのなんだの問題集買ってきているからちゃんとやるんだぞ?」 「えー、勉強やだー!」 「やらないとお花見連れて行かないぞ?」 「うぅ……。それじゃあやる。」 「明日お姉ちゃんも来るんだから、我が儘いって困らせるなよ?」 「はーぃ……。」 穀雨吉静はいかにも文句たっぷりといった様子で口をとがらせている。 まったく、可愛いものだ。 「もしかしたら、“買い物”から帰るのが少し遅れるかもしれん。」 「ねえお兄ちゃん、遅れてもちゃんと帰ってくるよね?」 「大丈夫だよ、ちょっと行ってくるだけだ。」 メルは穀雨の手を引いて事務所の奥に戻っていった。 どうにも彼女には迷惑をかけっぱなしだ。 俺は橙の頭をくしゃくしゃと撫でるとフラフラと買い物に向かった。 「……よう。」 「……やぁ。」 「それじゃあ子供達頼んだわ。」 「解っているよ、委員長は委員長のやるべきことをやったら良い。 私はそれを手伝える限り手伝うよ。」 「弟とは会ったか?」 「んにゃ、あの子にはもう私ゃ要らないよ。」 「じゃあ俺が必要とさせてもらおうか。」 「…………馬鹿。」 事務所を出るとちょうど良く明日姉とすれ違う。 赤い部屋を迎えに行かせたが予想より早く来れたようでなによりだ。 軽くため息をつく。 ことの発端は数日前だ。 俺の事務所に一通の手紙が来た。 「家族の恨みを忘れない。」 それだけが書かれたシンプルな手紙である。 そもそもあれを手紙と呼んで良いかすらも解らない。 恨みを買う覚えはそれこそ星の数ほどある。 人間というのは皆等しく誰かとつながっているのだ。 誰か一人に害を与えればそれに憤る人なぞ何処にだっている。 俺は『ハーメルンの笛吹き』をより強力な都市伝説にする為にとてつもない犠牲を払ったのだ。 犠牲になった人間の関係者の誰かが俺を恨んでいたとしてもなんら不思議ではない。 ただ一つだけ思うことがある。 恨んでいたから何だというのだ。 呪っていて何になると言うのだ。 何を思おうが、力がなければ結局無意味ではないか、と。 俺が事務所を出てきっかり五分後。 くるりと後ろを振り返ると事務所の近くで巨大な爆発が起きていた。 果たして明日姉は無事に子供達を守ってくれたのだろうか? まあ自分はハーメルンの笛吹きとしてだけでなく探偵としても各方面から恨みを買っている。 探偵は恨みを買う職業だ。 もしかしたらそっちの方かもなあ、今回は、なんて考えてみたり。 「俺をおびき出してその間に事務所の爆破を試みる。 なるほど、意趣返しとしては中々悪くない発想だ。 そうすれば俺が事務所に残してきたものは破壊できるだろうな。 ただやっぱりどうして知識不足。 起きると解っていればそれを回避するのはすごく容易いことな訳だし、 それを事前に予知できる能力者があそこには居る。」 橙・レイモン、通称レモン。 彼女の持つ『ラプラスの悪魔』の都市伝説の予知能力ならばその程度の災難は簡単に回避できるはずだ。 なんだ、つまらないことを考えているものだ。 またつまらない復讐の相手をしてやらなくてはいけないのか。 さてと、それはそうとしてだよ。 俺に恨みを持っている人間は今どこで何をしているのだろうか? 多分あの爆発を見れば俺が慌てて事務所に戻ろうとする、なーんて思っているのかね。 いいや、思っていないか。 手紙に書いてあった場所と時刻はこの町の西にある廃工場。 俺を事務所から引き離すだけならこういうことはしなくて良かった筈だ。 おそらく事務所など無視してそのままこっちに来るとにらんでいるのだろう。 ずいぶん冷淡な人間だと思われたものだ。 この俺にはこんなにも熱い血が流れる只の人間だというのに。 そのまましばらく歩くと約束の場所、そして時間である。 昼過ぎの廃工場は人っ子一人居ない静かな場所であった。 「おーい、誰か居ますかー?」 廃工場の中に入って声を出しても誰もいない。 まさかあちらの方に契約者を集中させているのだろうか? だとしたら明日姉の餌食になるだけなのでそれはそれで愉快である。 空気がわずかに震える音色。 そしてそれに乗ってわずかに這い寄ってくる殺気。 都市伝説のそれではない。 人間の恨み、人間の悪意、人間の害意。 俺の知り合いの殺人鬼が好む人間の醜悪。 これは正しくそれだ。 バチィン! ボウガンの矢が突如として俺の鼻先を通り抜ける。 間一髪で当たらないで済んだが、どうやら確かに何か居るようだ。 ハーメルンの笛吹きとの契約で与えられた聴力で周囲の様子を探る。 距離は近い。だが視覚では捕らえられない場所。 カチャカチャとした金属音がしない以上、銃器を持っている可能性は少ない。 何処に隠れている? 「村正……蜻蛉切。」 蜻蛉切に手をかけて精神を集中する。 一秒でも早く、敵の居場所、狙い、全てを看破する必要がある。 わずかに衣のすれる音が頭上から聞こえてきた。 ここで少しばかり蜻蛉切の能力の説明をしたい。 この蜻蛉切は持ち主の感情の振れ幅に呼応して切れ味をあげる刀型の都市伝説だ。 リーチはそれほど無いが単純な破壊力と速度だけならば俺の手持ちの武器の中では最強である。 また、蜻蛉切には使用者の記憶や意志を蓄積する『村正の妖刀』としての能力もあり、 それらを引き出して自分の物のように扱うことで、 刀を持った経験の無い人間でも自在に村正を使いこなすことが出来るのだ。 しかしそれにも限界はある。 ほぼ自動で身体が動いて敵に対応することができても、 自分自身が認識できない攻撃に対しては村正の能力を発動することが出来ないのだ。 だから俺はその弱点を『ハーメルンの笛吹き』で得た聴力や視力などで補っている。 まったく噛み合っていないようにみえて実はこの二つの都市伝説の相性は良いのだ。 ……ふむ、そうか。 隠れているのは二人。 いつの間にやら後ろに一人。 そして真上に一人。 判断材料は心音、呼吸音、etc ああ、それと工場の入り口に一人近づいてきた。 次の瞬間、後ろに居た一人が俺に飛びかかる。 なにか身体能力を上げる都市伝説と契約したのだろう。 動きは速い。 だがとても直線的な動きしかしない。 真っ直ぐ真っ直ぐ俺に向かってくる。 これじゃあとても俺は殺せない。 いいや待てよ、こいつらの狙いは俺を殺すことか? 今工場の入り口に近づいてきている人間は誰だ? その誰かに俺が人を殺す姿を見せたいんじゃないのか? その為に自ら殺されに来ているんじゃないか? そうだ、殺人鬼への復讐に殺人を用いるのではあまりに芸がない。 本当に憎いならば、本当に恨んでいるならば、 みずからがその殺人鬼と同じ事をしようだなど思わないのではないか? そうだ、こいつらの狙いは 俺に殺人を後悔させることではないか? ……だとすると、いま俺に飛びかかるこいつを殺すのはまずい。 即座に蜻蛉切を鞘に収めるとハーメルンの笛吹きの“悪魔”としての側面を無理矢理引きずり出す。 同じ都市伝説であってもいくつかの側面を持つと言うことは有名だ。 ハーメルンの笛吹きにも人間を操る操作系の側面や、大量の水を生み出して天変地異を起こす変化系の側面、 それに悪魔の身体能力を与える強化系の側面など様々な側面がある。 自らと相性の悪い側面を引き出すことは当然契約者にとってはリスクが高い。 だが俺は自らの心の器を契約を通じてではなくメルと直接繋げているためにある程度のリスクは回避できる。 まあそれは飲み込まれかけている、といっても良いのだが。 俺は正面から近づいて来ている敵の横に回り込むと耳の近くに口を寄せる。 人々は俺の言葉に催眠作用があるように言っているがなにもそれだけではない。 言葉とは心以上に身体に働きかけるものなのだ。 「わああああああああああああああああああ!!!!」 全身の息という息を絞り出した腹のそこからの大声。 廃工場内部でも山彦のように何回も反響している。 当然その音が鳴り響くのは工場の内部だけではない。 「ぐ……ああああ!?」 先ほどまで俺に襲いかかってきた男が頭を抱えて蹲っている。 「悪いが中学高校と声を出し続ける部活だったからなあ。 都市伝説のサポートがあればこれくらいヨユーな訳だよ。 ……つっても聞こえていないか。」 俺は男を蹴り飛ばすと真上を見上げる。 今出したのは何の工夫もない只の大声であり、 普段俺が他人を洗脳する為に使っている発音、言葉、その他諸々の要素に細心の注意を払った言葉ではない。 単純明快純粋な音の塊である。 それだけ聞いているとたいしたこと無いように思われるかも知れない。 しかしソプラノ歌手の歌声はガラスを平気で割ったりする。 俺のそれもまったく同じものだと考えて欲しい。 勿論、先ほど言った通り都市伝説との契約で強化はされているが。 ドサッ ついでに上に居た男も落ちてきた。 大声を出すのも久しぶりで少々慣れていなかったがまあ結果オーライだろう。 「おい、何やっているんだ笛吹!」 「よぅ明日じゃねえか。」 耳を押さえながら廃工場に入ってきた最後の一人は明日真だった。 そして床に倒れた男達を見て明日の表情が一瞬で変わる。 どうやら俺の読みは当たっていたらしい。 「知り合いか?」 「…………ああ。普段から仲良くしているバイクショップのあんちゃんだよ。」 明日は驚きを隠せない様子でそう答えた。 成る程、俺がこいつらを殺そうとしていたら明日が止めに入った。 そうなれば俺は明日と戦わざるを得なかっただろう。 そうすれば『組織』、その前に黒服Hは本腰を入れて俺を殺しに来る。 弱小契約者にすぎないこいつらはそのまま戦えば俺に一矢すら報えない。 だからより強い者を利用した。 成る程、弱者らしい発想だ。実に腹立たしい。 「この状況を見れば俺が正当防衛でこいつらを倒したと思って頂ける筈だぜ、明日真。」 俺は武器も何も持っていない両手をヒラヒラさせる。 「俺が来たからトドメを刺さなかった、とも考えられるだろう。」 俺に対して警戒するような素振りの明日真。 困った奴だ。自分の姉が面倒ごとに巻き込まれているというのに。 いや、巻き込んだのは俺だが。 「それより良いのか?俺の事務所に居たお前の姉がもしかしたらピンチかもしれないのだが。」 「どういうことだ?」 「いや、そいつらがどうも俺をおびき出してから俺の事務所を壊そうとしていたらしくてね。 今すぐにでも彼女に電話してみると良い。もしかしたらそれに巻き込まれているかも。 こいつらが心配ならここにすぐ黒服でも呼べ。 ただし俺はこいつらに危害は与えていないぞ?」 「…………くそ!」 迷う、迷う、二三秒迷っただろうか? その少しばかりの葛藤の後に明日は急いで工場を出て行った。 さて、となると困ったのはこいつらだ。 下手に自殺とかされると困るし、かといって元気を取り戻されてもまた俺を狙うだろう。 俺は急にある一つのことを思いついて倒れている男達に近寄った。 常識的に考えて年齢は俺が操作できる領域を超えている。 だが、その常識は果たしてどこまで通用するのだろうか。 たとえば今の俺は口笛などで子供達を操れる。 だがその逆を言えば口笛程度では子供までしか操れないと言うことではないか? 俺が最も得意とする『言葉』を使えば、人は簡単に操れる。それに都市伝説の支援が加われば? 操るまでいかなくても悪魔の囁きのように、そうだ、メルとて悪魔なのだ。 同じ悪魔なら囁けぬ道理は……ない? …………パキィン! ―――――――ハーメルンの笛吹きはまだ成長する。 透明なガラスが割れるような音がして、俺の中の悪魔が俺にそうささやいた。 “これ”を試し終わったらネギを買って帰るとしよう。 【上田明也の探偵倶楽部23~割と平和な日もあって~fin】
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1792.html
○月×日 23:05 屋上 学校中に張られていた「13階段」が解除された …まぁ、その、黒い悪魔とか蜘蛛とか相手にはまだまだ発動中な訳だが とにかく…侵入者達を拒む障害は、ほぼ解除されたようなものだろう いつ、この屋上に連中が踏み込んでくるかわからない それを理解しながらも、マッドガッサーは自分が行っている行為を止めるつもりはなかった ……これが、本当に成功するかどうか? マッドガッサー自身、成功するなどと思ってはいないのかもしれない そもそも、このような手段は……彼が、この世で誰よりも嫌い憎んだ兄と…片割れと、何ら変わりのない考え方による方法ではないか だが、彼はこんな手段しか知らない 他の手段は知らない 化け物と その言葉が、今回の行動を後押しさせた どうせ、自分は都市伝説だ 人間とは、決定的に違う生き物 どんなに人間に近い姿をしていようとも、その存在は決定的に違うもので 少なくとも、今の世界は都市伝説を「拒絶している」 マッドガッサーは、そう考えていた いや、世界は、というよりは…人間が、そうなのだ スーパーハカーが中継していた様子で…あの「第三帝国」所属の女は、「都市伝説と人間が隣り合わせにいられる黄昏の世界」と、そう言っていた だが、違う 今の世界は、そんな存在ではない 本当に、世界が今、そんな状態であるならば ……自分達都市伝説を、何故人間達は恐れて拒絶する? 何故、人間達は自分達を切り刻み、その力を得ようとする この世界は、都市伝説と人間が隣り合わせにいられる黄昏の世界なんかじゃない 人間が都市伝説を恐れ、狩り立て……時に、その力を人間のものにしようと都市伝説を利用する、そんな世界 ならば この世界を、変えてやろうじゃないか なぁに、みんな女になってしまって、自分達のものになってくれれば…世界は、そんな酷いものじゃなくなる みなで、仲良くいこうじゃないか? (……まぁ、その方法も、結論も) …きっと、自分達以外、誰にも受け入れられないだろうが だが、それでも こんな方法しか、自分達は知らないのだ 「…マッドはん?」 「あぁ、いや…なんでもないさ。さて、後は…ミサイル一本分、だな」 四発のミサイルの中は、全てガスで満たした …残りは、後一本のみ マッドガッサーは、ガスの精製を急ぐのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち
https://w.atwiki.jp/jcbr/pages/60.html
0012:史上最高に不幸な男 「ついてねぇーーーーーーーーーーー!!」 天を仰ぎ男は叫んだ。 彼、追手内洋一は世界一運の無い男だ。 現に今も最初に飛ばされた場所が富士の樹海という時点で終わっている。 手元にある配られた食料には限りがある。 「こんな所に飛ばすんだったら武器じゃなくて食料でも入れてろっていうんだ……」 そう愚痴りながらもバッグの中を漁る。 しかし、おかしい。 バッグの中には武器すらない。 あげくには鞄の中を全て地面の上に並べてみたがこれと言って武器らしい武器はない。 食料に水、コンパスに地図そして一冊のノート。 「それにしても趣味悪い柄だなぁ」 ぺらぺらとページを捲っている内にある重大な事実が解った。 どうやらこれは名前を書いただけでその人を殺せるノートらしい。 「おぉラッキー!今日の俺はついてるジャン!」 早速この馬鹿げた事態を引き起こしたバーンという名前を書き込んでみる。 「そしてこの馬鹿げた事を俺が終わらしたって事を宣伝して……ぐふふふふ」 いつも冴えない自分だったが今度こそ一躍ヒーローとしてもてはやされ、そして女の子が憧れの目で見てくれるようになってくれる筈。 「そして……見代ちゃんと……」 「この変態がー!!」 後ろを振り返ると5トンと書かれたハンマーを軽々しく持ち上げていた女性が仁王立ちしていた。 「げげーっ!」 慌てて逃げ出す洋一だったが至る所に張り巡っている木の根に躓き転んでしまう。 しかも勢い良く転んだ拍子に右手が身体の下になってしまったらしく鈍い音が静かな森に木霊した。 「ごめん、本当にごめん!!」 両手を合わせ謝る槇村香。 「あはは、君の出しているオーラが知っている奴と似ていたからさ……つい」 「ついで人を叩き潰すんですか……」 すると香は自分のハンマーについて解説し出す。 「――要はフライパンと黒いビニールと金具と木で出来たがらくたですか……」 それを聞いて今度は自分のノートの存在を教えた。 「それって凄いじゃん!もしそれが本当だったらみんな争わずに済むんだし!」 「だけど、本当に終わったかどうかは次の放送まで解らないけどね……正直時間が経つに連れこのノートの効果も嘘臭く思ってきたし」 あまりにも強すぎるノート。 洋一はその存在を疑っていた。 偽物のハンマーが出回るくらいだ。別に偽った効果のただのノートが支給されていても不思議じゃない。 本当はそのノートはデスノートという紛れもない当たりアイテムであったりするのだが、 彼の運のなさはそれを疑ってしまう所にも影響していた。 それと勿論主催者側の名前を書いても効果はないとルール欄に書いてあったりするのだが、 それを見落としていたり、しかも既に一回書いてしまったので次の0時まで利用できなかったりもする。 つまりはとんでも無く運のない男なのだ。 右腕を犠牲にしてまで必死になって避けた自分。 現れたのは心強い仲間ではなく、配布された得物もハズレの怖い女性。 そして、その前にぐるぐると針が回っているコンパスで此処を脱出できるのかどうか…… 洋一は今の自分を振り返ってみて再び天を仰ぎながら叫んだ。 「俺ってやっぱりついてねぇーーーーーーーーーーー!!!」 彼はまだこの樹海が自分の思っているより小さいということには気がついていなかった。 【現在地:山梨県、富士樹海】 【追手内洋一@とっても!ラッキーマン】 状況:右腕骨折 所持品:荷物一式、デスノート@DEATHNOTE 第一行動方針:らっきょを探すためにも森を脱出する 基本行動方針:らっきょ探し 【槇村香@CITY HUNTER】 所持品:荷物一式、ウソップパウンド @ONE PIECE 第一行動方針:洋一と行動する 時系列順で読む Back 太公望と富樫(仮) Next 惨劇 投下順で読む Back 太公望と富樫(仮) Next 惨劇 GAME START 追手内洋一 081 史上最高に不幸な一行 GAME START 槇村香 081 史上最高に不幸な一行
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1616.html
○月×日 21:37 クラブハウス・武道場 -----くっくっく、と 暗い、暗い笑い声が響く 魔女の一撃の契約者は、ゆっくりと「日焼けマシン」の契約者から、体を離した 「日焼けマシン」の契約者を庇うかのような位置に立ち…低く、呟く 「…あぁ、そうかよ。皆俺の邪魔をするのかよ……皆、そこの黒服のように…俺と、こいつを引き裂くのかよ」 まるで、地の底から響くかのような、暗い声 その声に、かすかに黒服が動揺した ーーー大学受験のあの日、自分が事件に巻き込んだせいで、「日焼けマシン」の契約者と魔女の一撃契約者が共に同じ大学に行く邪魔をしてしまった その自覚が、彼にはある そして、もしかしたら…それが、魔女の一撃の契約者の、今回の行動の理由の一つなのではないか? そう、薄々感じ取ってしまっていたから 「……あぁ、でも、駄目だ。駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ!!ぜんっぜん駄目だな!!」 ざわり 魔女の一撃契約者から…殺意が、溢れ出した 戦い慣れしていない人間ならば……否、戦い慣れした者でも 殺意を向けられ慣れている者ですら、威圧されかねないほどの、強烈な殺意 押さえ込まれた状態から解放され、逃げ出そうとしていた「日焼けマシン」の契約者が、幼馴染の変貌ぶりに一瞬、動きを止めてしまうほどの 「お前達には!嫉妬も!!覚悟も!!!まったく足りゃしねぇんだよっ!!」 魔女の一撃契約者が、構えた 随分と強気な様子で、まるで、一同を見下しているかのように… 「-----やばっ!?」 全ての感覚が超人的に強化されているが故に…真っ先に、厨2病が、その危険性に気づいた 直後、魔女の一撃契約者は、両拳をあわせて突き出し……その先から、強大な「気」を放つ! 強烈な光を伴って放たれたそれは、畳を抉りながら厨2病に、Tさんに、そして黒服に襲い掛かる ----ぱぁんっ、と 何かが砕ける音がして、瞬間的に結界が張られた それが、辛うじてその攻撃を打ち消す 光が消えた時…そこには、呆然としている「日焼けマシン」の契約者だけが、いて 魔女の一撃の契約者は、どこに? 「………っ」 ぞくり、感じた悪寒 黒服は先ほど使った物と同じパワーストーンの力を発動させた ぱぁんっ、とパワーストーンは即座に砕けて……何時の間にか背後に回っていた魔女の一撃契約者の姿に、ようやく気づく 「-黒服さんだけを避けてくれたら、幸せだっ」 そう呟きながら、Tさんが魔女の一撃契約者に攻撃を放った しかし、幽霊のような構えをとった魔女の一撃契約者の姿は…すぐに、ふっと消えてしまう ばんっ!!と 自分が立っていた畳がひっくり返された事を、黒服は自覚した その衝撃で、体が宙へと放り出される ひっくり返された畳は、Tさんの攻撃を逸らし、その軌道を変えてしまい、魔女の一撃の契約者には届かない 黒服は受身を取りきれずに、その体を強かに畳に打ちつけた その黒服に、魔女の一撃契約者は追撃を加えようとしている まるで、真っ先にこの黒服を殺そうとしているかのように 「俺を無視するんじゃねぇっ!"虚空の弾丸拳"!!」 「っく!?」 がっ!!と 厨2病が繰り出した超高速の拳を、魔女の一撃契約者は受け止めた 通常ならば、人間など受け止めきれぬはずのその技を…両手を使って、受け止めたのだ 「…てめぇから、殺されてぇかぁっ!!」 「うわっ!?」 ぶんっ!と 受け止めたその拳を逆に掴み、魔女の一撃契約者は、厨2病の体を振り回し、畳の上に叩き付けた 先ほどまで、まるで幽霊のように気配が消えていた魔女の一撃契約者 しかし、今度は爆発的に、その気配が強くなる 威圧感すら感じさせる、強烈な気配 だが、それに威圧されている暇は無い 黒服は急いで体勢を立て直し、「日焼けマシン」の契約者に向かって駆けた 己が優先すべきことは、「日焼けマシン」の契約者の身の確保 体を起こし、下着ごとずり下げられていたジーンズを慌てて戻していた「日焼けマシン」の契約者の傍に、ようやく辿り着く 服を破かれた事によって露出している胸元を隠してやるように、己の上着を羽織らせる 「…遅くなってしまって、申し訳ありません」 「……っくろ、ふく」 泣き出しそうな顔で、黒服を見あげる「日焼けマシン」の契約者 羽織らせた上着の間から覗く肌にぽつぽつと浮かぶ赤い痕が、魔女の一撃契約者に何をされていたのかを、生々しく物語っている 「---っそいつから、離れろ!」 「日焼けマシン」の契約者を奪われた事を悟り、魔女の一撃契約者がそちらに向かおうと… 「流星・ブラボー脚!!」 「っ!?」 どごぉんっ!! 何時の間にか武道場に到着していた姫さんの攻撃が魔女の一撃契約者に襲い掛かった ギリギリでその攻撃を避けた魔女の一撃契約者に向かって 「やっちゃえ!!」 ちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅう はないちもんめの能力で操られた鼠たちが、魔女の一撃契約者に殺到しようとする ----------が 「……うちゅ!?」 「ちゅちゅ!?ちゅちゅちゅっ!?」 「………え?」 鼠は、ある距離まで近づきながらも…しかし、それ以上は魔女の一撃契約者に近づかない 否、近づけない 魔女の一撃契約者の威圧感に、鼠たちは本能的な恐怖から、近づく事すら、できていない 「…あぁ、畜生。邪魔なんだよ、てめぇら。どいつもこいつも…俺が、あいつの隣に立つ邪魔をしてぇのか」 「それが真っ当な手段であるならば、邪魔などしないさ」 武道場前に到着した己の契約者に、危ないから中に入らないよう言いながら、Tさんは魔女の一撃契約者を軽く睨む 「だが、お前さんが選んだ手段は間違っている。間違っている事ならば、正さねばならないだろう」 「……違う、俺は、間違ってなんかいない」 Tさん、厨二病、姫さん 三人に囲まれながらも、魔女の一撃契約者は一歩も引く様子を見せない その表情は、どんどん暗く……狂気を帯びていっている 「あいつを護れるのは俺だけだ、あいつを護っていいのは俺だけだ。あいつを傷つけるのは許さない、悲しませるのは許さない。あいつの隣に立っていたいあいつの隣に立つのが許されるのは俺だけだっ!!」 話す内容が、支離滅裂になってきている 狂気に囚われ、その主張の筋も正当性も、最早意味をなさなくなってきている 己の発言が己の行動と矛盾している事に、彼は気付いていない 「…あんた、チャラい兄ちゃんの友達なんだろ!?大事な親友だって、言ってたじゃねぇか!!」 武道場の入り口からひょこり、顔を出して…Tさんの契約者が、叫んだ …くるり、そちらに狂気に染まった暗い表情を向けて、魔女の一撃契約者は笑う 「……あぁ、そうだよ。俺の大事な大事な大事な大事な大事な大事な大事な大事な、唯一の親友さ」 「じゃあ、どうして…」 「-----先に俺を裏切ったのは、あいつだ!」 魔女の一撃契約者の叫びに、「日焼けマシン」の契約者がぴくり、体を跳ねらせた 己を囲む三人を前に強行突破を試みながら、魔女の一撃契約者は叫ぶ 「あの日…あいつが!俺じゃなくてその黒服を選んだから!!俺の隣から、いなくなったからっ!!」 その両手が、Tさんの喉下を狙う かすかにTさんの体が白い光で覆われて、それを防いだ 「…っあいつが!都市伝説の事を隠し続けていたから!!!俺はあいつの隣に立てなくなったんだ!!」 ふっ、と魔女の一撃契約者の姿が消えて…出現したのは、姫さんの足元 足元を掬い、体勢を崩したそこを強行突破しようとして、しかし、武道場に入り込んだ妹ちゃんの結界能力で拒まれ、舌打ちする 「あいつが……都市伝説の事を話してくれていれば!もっと早く、都市伝説と契約していた!強さであいつに置いていかれることも、負ける事もなかった!!……ずっと」 一瞬 その表情から、狂気が消えて 寂しさを押し殺しているような…そんな、表情になって 「--そうすれば、俺が…あの頃と変わらずに、ずっと、あいつを護ってやれたのに」 しかし、その表情は再び、一瞬で狂気に染まった 暗い眼差しが、一同を見下すように、見回して 「っらぁ!!」 再び放たれた、気の力 しかし、それははじめに放たれたそれよりは小さくて…妹ちゃんの結界に、全てかき消された 「…八つ当たりじゃないですか、ほとんど」 「ガキに、何がわかる!」 「わかりたくもないわね」 私は子供でもないんですが、と呟く妹ちゃんと、鼠を振り回し続けてながらも魔女の一撃契約者を睨むはないちもんめ 魔女の一撃契約者は、完全に包囲されている だが、この絶対的に不利な状況でも、魔女の一撃契約者は戦いをやめようとしない 「日焼けマシン」の契約者を屈服させる、ただ、その目的の為だけに 「あぁ、もう、焦れってぇな!"岩漿の……」 「----っそいつを殺さないでくれ!!」 炎をまとった巨大な槌の子を召喚し、一気に決めようとした厨2病に、「日焼けマシン」の契約者はそう叫んで、制した その言葉に、厨二病の言葉が、止まる 「…おや、嬉しいな……まだ、俺を親友だと思ってくれているのか?」 くっく、と笑いながら、魔女の一撃契約者は「日焼けマシン」の契約者を暗く見つめた 黒服に庇われるように立ちながらも…「日焼けマシン」の契約者は、じっと、魔女の一撃契約者を見つめていた 「お前には…都市伝説に、関わって欲しくなかった」 「まだ……言うか」 ゆらり 魔女の一撃契約者の体が、憎悪に揺れた 小さく首を振りながら、「日焼けマシン」の契約者は続ける 「都市伝説と関わる事は…契約、する事は、特にこの学校町じゃあ、いつ危険に巻き込まれるかわからない、いつ、命を狙われるかもわからない、そう言う事だから。お前に、そんな危険な目にあってほしくなかった!」 「---何を、今更」 くっくっく、と魔女の一撃契約者の笑いは暗く、暗く、どんどんと狂気を濃くしていっている それでも、「日焼けマシン」の契約者は、視線を逸らさない …友を引き戻そうとするかのように、真正面から魔女の一撃契約者を見詰めている 「……?」 …ふと Tさんは、気づいた --っぽ、と 一瞬、魔女の一撃契約者の胸元に…黒い、染みが現れたような…? 「…どうか、教えてくれませんか?何故、あなたはこの子に、裏切られたと感じたのですか?」 黒服も、同じ事に気づいたようだった 銃に手を添えたまま…黒服は、魔女の一撃契約者に尋ねる --どろり 黒い気配が、魔女の一撃契約者の…内側に、生まれる 「そいつが…俺よりも、お前を、黒服を…選んだから。あの時、俺の傍よりも、お前の傍を選んだから」 「あの時、この子はすぐにあなたの元に戻るつもりでしたよ。一緒に、受験を受ける気でいましたよ…はじめは」 「ほら、やっぱり、すぐに俺よりもお前を…」 「あなたを護るために、戻る事ができなくなったんです」 ぴくり 動揺したように、魔女の一撃契約者の体が震えた 黒服は、ゆっくりと、言い聞かせるように続ける 「…三年前。とある大学の受験会場を、凶悪な都市伝説が餌場に選びました。「組織」ではその都市伝説を討伐しようとしたのですが、予想外の強さに手間取り、そのままでは受験会場まで入り込まれようとしていました」 …そこに この、「日焼けマシン」の契約者が来たのだ はじめは、こちらで何とかするから、受験会場に戻るように言った しかし、「日焼けマシン」の契約者は、退こうとはしなかった 『俺のダチも来てるんだ!絶対に会場に入り込ませるかよ!!』 「日焼けマシン」の契約者は、己の受験よりも、親友を護る事を選んだのだ …実際、「日焼けマシン」の契約者が協力してくれたお陰で、その都市伝説の討伐に成功し…受験会場で惨劇が起こる事は、なかった 「あなた達が小学生の頃巻き込まれた事件の時も、この子は、あの事件があなたにとってトラウマにならないよう、記憶を消去するよう頼んできたのです…あなたの、為に」 「………っ」 魔女の一撃契約者の動揺が、大きくなる ---どろり 彼の内側の気配が、強くなる 「ちが、う、そいつは……自分だけ、力を手に入れて……俺を、見下して……っ」 「そうとは思えないけど」 姫さんが、いつでも攻撃できるよう構えつつ、そう口にする 「日焼けマシン」の契約者はこの状態でなお、魔女の一撃契約者を心配しているのだ …都市伝説と関わってしまった親友を気遣っている 「…そいつ、は……俺よりも、その、黒服を選んで…」 「家族として、選んだかもしれん……だが、「日焼けマシン」の青年にとって、親友はお前さんだけのようだぞ」 ----どろり、どろり 黒い気配が大きくなる ぽっ、ぽっ……と、黒い染みが、大きくなっていく 「ほとんど、お前の思い込みと勘違いなんじゃないのか?」 厨2病が、そう疑問の言葉を投げかけて 「----っ」 それ以上、聞きたくないとでも言うように、魔女の一撃契約者は耳をふさいだ どろり、どろり、どろり、どろり 魔女の一撃契約者の胸元に現れた染みは大きく、大きくなり…その場にいる全員がそれに気づくほどになる 「ちが、う、違う違う違う違う違う違う。あいつは俺を裏切って、ち、がう、あいつが俺を裏切るはずが無い。あいつは俺の親友で、あいつも俺を親友と言ってくれて……」 『----イイヤ、オ前ハ裏切ラレタノサ』 誰のものでもない 第三者の声が、響いた 『オ前ハ親友ニ裏切ラレタ。ホラ、憎イダロ?憎タラシイダロ?』 「……にく、い……」 『憎タラシイケド、大切ナンダロウ?ダガ、憎タラシイカラ…負カシタイダロ?屈服サセタイダロ?手ニ入レタイダロ?』 「…屈服させてやる、俺の傍に置いて、ずっと護ってやる……」 ゆらり 響く声に動かされるように、虚ろな眼差しで魔女の一撃契約者は「日焼けマシン」の契約者を、見つめる 「…な、何よ、これ。まさか、多重契約者…」 「いえ…違い、ます」 はないちもんめの疑問の声に…妹ちゃんが、答える 「あれは、あの黒い染みは…都市伝説、ですが、彼と契約してはいません」 どろりどろりどろりどろりどろりどろりどろりどろり 魔女の一撃契約者の内側から染み出た黒い染みが、生き物の形を作り出す それは、真黒な蛇となって……魔女の一撃契約者に、絡みついた 『ホラ、憎インダロ!!アイツヲ屈服サセタインダロウ!!ソレジャア、他ハミンナ邪魔者ダ!!殺セ!殺シテマエ!!』 「---あぁ、そうだ。邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ!!みんな邪魔なんだよ!!俺があいつの隣に立つ事を邪魔する奴なんざ、みんな死んでしまえっ!!」 狂気と殺意が膨れ上がる 黒い蛇は、どこか楽しげに魔女の一撃契約者に絡みつき、その耳元で囁き続けている 「あれは……彼に、とり憑いています……!」 漆黒の蛇は魔女の一撃契約者の耳元で囁き続ける そう、その囁きは、まるで 『邪魔者ヲ殺セ、アイツヲ屈服サセテヤレ!犯シテ犯シテ犯シ尽クシテ、一生離レラレナクシテヤレ!!』 ーーーー悪魔の囁き、そのものだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4477.html
ひたひた ひたひた、ひたひた、ひたひたひた 何かの足音、響き渡る ひたひた、ひたひた、ひたひたひた 私の後を付いて来る、あなたはだぁれ? 口が裂けてる女の人? 男の人の顔した犬? ゆっくり歩いているから、車の後を追いかけてくるお婆さんではないよね? あなたが誰でも構わない この街には、都市伝説が一杯だから だから、あなたが誰でも私は構わない 私の都市伝説の餌になる事に、代わりはないのだから 「-------ぎゃっ!?」 ばきり、ごきり 骨を租借する音が聞こえてきて はい、おりこうさん、と私は私の都市伝説に笑う 学校町 都市伝説の多い街 私の契約都市伝説「謎の生物兵器」のご飯が一杯な、素敵な街 「単発もの」に戻る ページ最上部へ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/255.html
死刑囚は闇夜で笑う 都市伝説 「死刑に失敗して生還すると釈放される」 彼に死刑宣告は意味をなさない その都市伝説と契約した彼は、その都市伝説の具現化そのものとなっている よって、死刑宣告後、どのような手段で殺されようとも彼は生還を果たし、そこから釈放される…即ち、安全地帯まで転移する ただし、死刑宣告されないで殺された場合は普通に死ぬんで中位 ただし、死刑宣告の定義はきわめて曖昧な為、かなりのチート能力ともいえる ちなみに、契約者自身は日本を震撼させた連続殺人鬼 実際は二人組の殺人鬼だったが、相方の裏切りにより警察に捕まり、罪を全て押し付けられて死刑宣告を受けた が、日本は死刑されるまでの時間が長くてね…その間に刑務所で都市伝説に見初められて契約した なお、都市伝説自体に意思はない ページ最上部へ