約 2,714,728 件
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1329.html
悪魔の少女 05 俺のクラスメートは、馬鹿ばかりだ。どいつもこいつも俺より成績が悪いくせに、俺を蔑ろにする。 運動しか能がない奴が何故モテる!あんなバカのなにが面白い!社会のクズが俺にパンを買ってこいだと! どいつもこいつも俺の事を、キモいだの、根暗だの!何故俺がバカ共と対等に会話すると思うのだ! 何故俺の靴が隠されなければならん!何故俺が蹴られなければならん!何故俺が社会のクズに金をやらねばならん! だから、これはお仕置きなのだ。俺の都市伝説「不幸の手紙」を使ったな! 一週間以内とかは関係ない、受け取ってから十人に送っていなければ、対象になる。俺が能力を発動した時、手紙を持っている奴全員に、不幸な事が起こるのだ。 クラスの奴らがどんどん不幸になるさまは、非常に愉快だったぞ。 今や、手紙が何処まで広がっているのか知らないが、俺が能力を使う度に、何人ものバカが不幸になるのだ。ああ、なんて愉快なんだ。 だが、今は非常に不愉快だ。契約者らしき女に、突然襲撃されたのだ。真夜中の学校で追いかけっこをする趣味など俺にはないというのに。 「ちっくしょう!何なんだてめぇ!」 「何、私の知り合いがな、お前のばらまいた不幸の手紙で困ってるんだよ。だから、お前にお仕置きしようと思ってな。」 そう言って、女は走って来る。 くくく……、なめるなよ! こちらからも女に向かって走りだし、擦り抜けぎわに、腕をたたく。あちらからも攻撃されたが、背中を殴られただけだ。だが、俺の攻撃は違う。 「くくく、受け取ったな!」 俺は両面テープで「不幸の手紙」を貼付けたのだ。 だが、その女はまったく慌てていなかった。それどころか、女は静かに笑っていた。 「お前、バカだろ。」 「な、なんだと!」 女はポケットから、十枚の封筒をとりだした。すると、何処からかぞろぞろと目つきのおかしい集団が現れた。女はそいつらに手紙を渡し言った。 「私は、お前の能力を知った上で戦いに来てんだ。対策しないわけがない。」 「そ、そんな、そんな簡単に、俺の、俺が、そんな、そんな簡単なわけないだろおぉぉぉ!不幸になれえぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 その途端、床が抜け、俺が下の階に落ちた。 痛い、痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!!!なんだこれは! 「よう、大丈夫か?」 「きさまあああぁぁぁぁ!!!何をしたあああああ!!!!!!」 「お前と同じ事をしただけだ。背中についてるぞ、不幸の手紙が。例の知り合いから貰ったやつだから、効果は本物だろう?」 くそっくそくそくそくそっ!体が痛い!痛い!痛くて体が動かねぇ! 「どした?この程度の高さから落ちて骨折ったとか言うなよ?まあ、何でもいいや。 さて、むやみに人を不幸にする奴はお仕置きしなきゃな。」 くっっっそおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!! * 学校町東区某学校校門前 一人の少女がいた。 「疲れた~。」 「おねーさま!」 「よ~、ヒトトセ。手、大丈夫か?」 「はいっ!べつに骨折したわけではないので、すぐに治ります。」 「そっか。」 「それに、不幸な事ばかりでもないんですよ。」 「うん?」 「ピアノ教室に行かなくて良くなったので、今までよりもおねーさまといられるんです。」 「お前な~、はぁ、まあいいや。」 少女は苦笑いし、もう一人の少女を家まで送る為、歩きだしたのだった。 ちなみに、「不幸の手紙」の契約者は、手紙を書こうとする度にふるえが止まらなく程のトラウマができたらしい。 前ページ次ページ連載 - 悪魔の少女
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4541.html
様々な出来事がありつつ、長かった夏休みが終焉を迎え、 中央高校にて、新学期がスタートした ――――――――のだが、 「どうなってんのよあたし達の学校はぁっ!?」 始業式のあった日の放課後 制服姿で南区の繁華街を歩きながら、彼女―――紅坂 百花は叫んだ 契約者になると、都市伝説や他の契約者の気配が分かる事があるという 彼女はまさにそのパターンなのだが、その所為で色々ショックを受けていた 久しぶりの学校は、都市伝説の気配で充満していた 入学した4月から7月までの4ヶ月、よくもこんなところで普通に授業を受けたりしたものだと自分を感心した まず、契約者の数が多すぎる それは先輩だったり同級生だったり、はたまた教師だったり 果ては校長先生までが契約者である 「荒神先生、高元先生、後樹先生、エトセトラ、エトセトラ……出道校長まで契約者だったなんて……」 「ま、まぁ、そうじゃなくてもこの町は都市伝説が多かったし、仕方ないと思うけど;」 「現実は受け入れるべきだぞー」 「あんた達は何とも思わない訳!?」 「始めは僕も驚いたけど、すぐに慣れるよ」 「気にしても仕方ないしな」 「ハァ、あんた達は楽天家過ぎだと思う………」 「でも神経質だとすぐに疲れちゃうの」 横から口を挟んだのは、制服姿の蒼樹 月夜だった 実は彼女、今学期から中央高校に転校してきたのだ しかも偶然、百花達と同じクラス 因みに彼女には都市伝説の存在をきちんと話しているので、その話題に関しては何ら問題は無い まだ、彼女自身の契約都市伝説の事は話していないのだが 「少しくらい神経質になっても良いと思うんだけどなー!?」 「「「何で???」」」 「もう良いわよ知らない!!」 何故か怒り出す百花に、全員が首を傾げた ふと、月夜が視線を反らすと、新しいおもちゃを見つけた子供のように、ぱっと笑顔が輝いた 「月夜、どうしたの?」 「えへへへ♪」 ちょいちょい、と指で何かを指し示す 全員がそちらを向くと、ファッション専門店のショーウィンドウの前で、カップルが仲睦まじく話していた カップル、とは言え、年齢はまだまだ子供だった 少年の方は中学生くらいで、学校帰りだろうか、制服姿だった 少女は青い髪の小学校高学年のように見え、どちらかというと兄妹のようだったが、会話の内容は正しくカップルのものだった 「ミナワならこれとかも似合いそうじゃん」 「えぇ~!? こ、こここれもやっぱり派手すぎますよぉ///」 「お前なぁ、女の子は一度くらい着飾った方が良いぞ?」 「で、でもぉ……こ、これ結構高いですよ?」 「値段は気にするな、お前が喜んでくれたら何でも買うよ」 「……い、やっぱりダメです、ご主人様に悪いですから……」 「んー、いつも控えめな値段の服しか選ばないから、どうかなーと思ってたんだけどなぁ… ま、いっか、お前は服の値段関係無く、何着ても可愛いし♪」 「ひゃんっ/// も、もぉ、人前ですよ?///」 「いーじゃんいーじゃんスゲーじゃん、もう慣れたっしょ?」 「うぅ……そ、それはそうですけどぉ///」 聞こえるようにわざとやってるのか、その場にいる人間の半数が「もげろ」と言いたくなる光景 玄鳥も風音も、月夜につられて思わず笑みを零した 「なんだか、こっちまで和やかになるよね、人が仲良くしてるところって」 「そうだな……なぁ、百花はどう思ッ」 だが百花は違った その表情、目つき、オーラ、何もかもを漢字2文字で表すとしたならば、それは間違いなく“嫉妬” 10年以上も付き合いのある想い人に未だに心中を明かしていない彼女からすれば、 それは一種の挑発行為、否、宣戦布告のように思えた 必死に宥めようとする玄鳥達の声も聞かず、腕を撥ね退けてずかずかと2人に近づいていった 「そこの2人ィ!!」 少女はびくっと跳び上がって少年に隠れながら、 少年は平然とした様子で少女を庇うように百花を見た 「…中央高校の花の女子高生さんが俺達に何か用ですか?」 「さっきから見てたらイチャイチャイチャイチャと! 苛つくのよ!」 「はっはぁ~ん、さては姉ちゃん彼氏いない歴=年齢か? それで年下の俺が彼女とイチャラブってるのを見て逆恨みと そういうの、DQNって言うんだけど、知ってる?」 少女が止めようとするが、少年は「大丈夫大丈夫」と逆に制止する 爆発寸前だった百花の怒りが、とうとうビッグバンを起こした 「ああああああああ!! もう良いわ、あんたも契約者なんでしょ!? 戦いなさい!!」 「「はぁ!?」」 これには外野にまわっていた玄鳥と風音も度肝を抜かれた 「へぇ、姉ちゃんも契約者か、都市伝説は引かれ合うってのはマジだな、それ自体が都市伝説ってレベルで」 少年はその場にしゃがみ込むと、己の影に手を突っ込んだ ぎょっとする百花に構わず、中からベルトを取り出し、腰に巻いて金色の四角い物体を掴む 「ご、ご主人様、宜しいんですか?」 「下がってろミナワ、ご指名は俺だ」 「ふん、子供だからって容赦しないわよ!」 「お、おい百花、本気でやるのか!?」 「黙って見てなさい! こいつだって、あのおっさんと爺さんの仲間かも知れないでしょ!? 契約者全員が味方だなんて限らないのよ! それを皆気楽に考えちゃって! あたしが正義だってこと、分からせてやるんだから!!」 ペンダントを手に取り、握りしめる百花 「光の力を秘めし杖よ、真の姿を我の前に示せ。契約の下、百花が命じる……封印解除!!」 ひょい、と軽く手の中のものを投げると、ペンダントが「ロータス・ワンド」として顕現し、 百花は再びそれを掴んでくるりと回して構えた 「暗闇より出でし者達を、閃光の力を借りて掻き消さん! 紅き花、ここに咲く! 我が名は魔導少女クリムゾンブロッサム!!」 約2名が頭を抱えて呆れている そして約2名―――月夜とミナワは目を輝かせていた 「わお、結構面白そうな都市伝説じゃん 俺としては遊んであげたかったんだけどなー、お前は俺を怒らせた」 「はぁ?」 「俺がこの世で最も嫌いな言葉は――――――――“正義”だ!!」 手に取った金色のパスを空中に投げる それが落下してベルトのバックルの真ん前に来た瞬間、ぴたりと宙に止まり、 《レイヴァテイン》という電子音声が流れ、バックルの水晶体が黄金色に輝く 「……変、身」 パスが一瞬だけ植物の枝のような形を取ると、直後に金色の液体に変わり、少年の身体を包み込んだ 徐々にそれは、各部に鋭利な刃物の装飾が施された眩い鎧となった 「わあ、綺麗なの♪」 「え、あれも都市伝説なのか?」 「信じられない……あんな都市伝説聞いた事ないよ……」 (変身か……良いわね、考えておこうかしら) 暫しそんなことを考えてから、彼女は蓮の杖の先端に光を宿した 「光よ、命の輝きよ、世を覆う闇を振り祓え! 『トゥキャプミィ・レウォルフ』!!」 杖を振りかぶり、百花は少年に向かって先制攻撃を仕掛ける 「ウヒヒヒヒヒ、挨拶は真っ向から受けようか……『真・黄昏地獄拳』!!」 少年は右手で拳を作ると、黄金色の雷光を走らせ、迫る百花の攻撃を攻撃で返した 爆破音と痺れるような衝撃が広がり、2人は互いに吹き飛ばされるがすぐに態勢を整える 「くぅっ! 罪無き人々に害をなす者よ、罪無き世界の平和を脅かす者よ! 今こそその悪に染まりし穢れた心を、身体を、魂を、光に変えて闇に融けなさい! 我は汝を裁き、汝に罰を与える者なり!」 杖の先端に光が凝縮され、それが大きな光の花を咲かせる 「舞い散れ、『イャル・レウォルフ』!!」 ばっ!と光の花が散ったかと思えば、花弁が光の刃となり、軌跡を描いて少年に向かう しかし少年は、鋭い爪で空を裂くように腕を振ると、衝撃波を発生させて刃を相殺させる 「っ!? ふ、防いだ!?」 「ヒハハハハハハ! そんなもんかぁ? 攻撃ってのは……こうすんだよぉ!!」 両掌を内側にして合わせ、胸の前に構えると、掌の間にエネルギーの塊が発生する それを頭上に大きく振りかぶり、 「滅ぶのはお前だ! 『クェーサー』!!」 フリースローの要領で光弾を投げつける 咄嗟に、彼女は呪文を唱えて光の盾を作り出し、攻撃を防いだ 繁華街のド真ん中で激しい爆風が生まれる 光の盾は彼女を守ったが、光弾の威力が強すぎたのか、ぼろぼろと崩れてしまった 「っ……『スィギア・レウォルフ』を破壊するなんて、やるじゃない」 「ウヒヒヒヒヒ、「レイヴァテイン」の破滅の力を受け切る奴は初めてだぜ 何だろうな、あんたと戦ってると凄く楽しい気分だ、ぜぇ!!」 少年は拳を振り上げ、百花に飛びかかった 「それは奇遇ねぇ……あたしもおんなじ気持ちよ!!」 百花もまた、光を纏った「ロータス・ワンド」を叩きつけた ぶつかり合う拳と杖は再び激しい衝撃を生み出した 玄鳥達も、立っているのがやっとだ 「うぐっ……つ、玄鳥、あいつら止められないのか!?」 「そうしたいんだけど……他の追随を許さないって、こういうことじゃないかな……!」 「うぅ、2人とも頑張って欲しいの!」 「「何で!?」」 互いにまた間合いを取る百花と少年 ところが、百花の表情からは疲労の色が見え始めた 少年は顔こそ見えないが、呼吸が荒いのが分かる 「ヒ、ヒヒヒ……次が正念場だな」 「そうみたいね……これで、終わらせる!」 少年は全身に雷光を纏い、地面を蹴って高く跳び上がって、煌めく雷光を伸ばした右脚に集中させる 百花は呪文を唱え、杖の先に眩い光の力を集約させ、巨大な蓮の花を咲かせる 「『究極!ゲシュペンストキック』!!!」 「百花繚乱! 『グナブ・ギブ・レウォルフ』!!!」 今日一番の、町全体を震わせる程の爆音が轟き、爆発を生み出した がちゃ、と金属音を鳴らして煙の中から落ちてきた少年は、落下直後に鎧が元のパスに戻った 百花もその場でへたり込んでしまい、手から零れ落ちた「ロータス・ワンド」はペンダントに戻ってしまう 「っはぁ、はぁ………あ、あんた……結構、やるじゃ、ない………」 「……ヒハハハハハハハ……姉ちゃんも、な」 「ご主人様!」「「百花!」」「百花ちゃん!」 各々が、己の心配する者の元へと駆け寄った 支えられながら、よろよろと2人は立ち上がる と、少年が最初に口を開いた 「よし、もういいだろ……出て来いよおっさん!」 「おっさん?」 「……何故私をおっさんと呼ぶのだ?」 建物の陰から、黒いマントの男が、巨大なゴキブリの怪物を連れて現れた 「あれは確か……ケセド!」 「誰だあのおっさん?」 「知らないの」 「……コホン、コクマーの報告通り、確かに人数が増えてる……そちらの2人は報告に無いが」 「仲間だって言いたいなら俺達は違うぞ、今戦ったところだ」 「ふん、まぁいい……人間共に虐げられたその憎しみを解き放つがいい!」 「モエルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥワァァァァァァァァァァァァァァ!!!」 「くっ、こんな時に……いい加減にしなさいよね!」 百花はもう一度、「ロータス・ワンド」を顕現させた が、戦闘の直後である為、身体がふらついている 「無茶しちゃダメだぞ百花、ここは俺が――――」 「ううん、あたしがやらなきゃ……」 「すっげぇ、なんかザケンナーみたい。何の都市伝説だろ」 「ナケワメーケにも見えますね」 『ザケンナー』、そして『ナケワメーケ』 その言葉の意味を知っているのは他でもない、『プリキュア』視聴者のみである 「っね、ねぇねぇ! 『プリキュア』見てるの!?」 「へ? あ、うん、毎週見てるよ」 「なぁんだぁ、早く言ってくれたら良いのにー! 『スイート』最高よね、メロディ超最高!」 「ほぅ、俺はキュアビート一択だな、ミューズは露出が少なすぎる」 「リズムも良くないですか? あの決め台詞、私は好きですよ♪」 「あー『気合のレシピ、見せてあげる』っていう奴? いいよねあれも! でもあたしはやっぱり『ここでやらなきゃ女が廃る』に惚れたわー♪」 さっきの戦闘は何処へやら 百花はかなり嬉しそうに、少年と少女と3人で『プリキュア』の話で盛り上がっていた 「……モエルーワ?」 「…構わん、殺れ」 「そうだ姉ちゃん、ここであったも何かの縁、いっちょ“あれ”で片付けない?」 「え、もしかして、“あれ”ですか?」 「良いわね“あれ”! やろうやろう!」 「「「“あれ”って?」」」 百花は「ロータス・ワンド」に光を溜める 少年は再び「レイヴァテイン」を呼び出し、それをステッキにして先端に雷光を纏わせる 少女は何処からともなく先端にリング状の装飾が施された青い杖を手にした 「「「駆け廻れ! トーンのリング!」」」 3人同時に、杖で大きく円を描き、 百花は白い光、少年は黄金の雷光、少女は七色のシャボン玉で大きな輪を作り出した 「「「プリキュア! ミュージックロンド!!!」」」 3つの輪は地平を走り、ゴキブリの怪物を捕縛して、フラフープのようにくるくると独りでに回る それを見た後、3人はまたも同時に、杖を頭上に上げ、振り下ろす 「「「三拍子! 1、2、3……………フィナーレ♪」」」 「モッ…モエルゥゥゥゥゥゥゥゥワ―――――――――――――――」 本日何度目かの花火が上がった 怪物はその姿を消し、爆煙の中からゴキブリが現れ、路地裏の中に消えていった 「…………久々の戦闘なのに出番これだけか……」 何故か哀愁を漂わせながら、彼はすぅっと消えていった 「やったぁ! そうよ、やっぱり『プリキュア』を愛する者に悪い奴なんていないのよ!」 「そうそう、『プリキュア』最高! 『プリキュア』万歳!」 (こいつら……どんな神経してるんだぞ;) 「…あ、ご主人様、お時間が…」 「マジ? あうち、もうこんな時間か。またね姉ちゃん、今度会ったらミューズの正体について語ろうや」 「楽しみにしてるわ! あ、あたし、紅坂 百花っていうのー!」 「俺は黄昏 裂邪! じゃあなー百花の姉ちゃん!」 互いに名乗り、手を振って別れを惜しむ2人 こうして、奇妙であり且つ混沌とした友情が、芽生えたのだった 「…ところで、さっきの技って何なの?」 「ハァ!? じゃあ今からあたしの家で『プリキュア』観賞会よ!」 ...続く 「ぐえっ、レクイエムさん、マジすいませんでした」 「やりすぎだ馬鹿者!! 少しは働く身にもなれ!!」 ...今度こそ続く 前ページ次ページ連載 - 花鳥風月
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4553.html
「都市伝説に光線銃が効くのかどうか、お前はどう思う?」 ……今まで実践で散々使ったし、効果あるから使ってる筈だから、効くんじゃないんですかね 「経験からの帰納か。悪くはない回答だな」 光線銃は嫌いなんですか? 「嫌いではない。何故それを聞く」 いえ、光線銃の使用を好まない人も多いと聞いたもんですから 「何故我々黒服が光線銃を使用するのか……。よく言われるのが我々が黒服だから、だ」 黒服は光線銃を使う、って定番なんですかね 「知らんよ。まあ実際には市街地で実銃を発砲した際の後処理が煩雑だから、というのが大方の理由だろうな」 はあ…… 「では都市伝説に実銃が効くのかどうか」 さあ……、でもどうなんですかね。効くんでしょうか 「俺の経験では効くよ。少なくとも実体のある生物型とかならな そうでなくとも、契約者が居るならそれを撃った方が早い。契約者を殺せば都市伝説も勝手に死ぬ」 ああ、過激派がよく使う手ですよね 「正確には一昔前の過激派の常套戦術だった……。あの頃は良かったよ 何せ穏健派の我々でも殺処理にしても五月蝿く言われる事は無かったからな」 ああ、次の角を左ですよ。あの標識の建っているT字路です 「さて、では次の質問だ 都市伝説は、何故人間と契約するのか。したがるのか」 ……よく聞くのは都市伝説が自分の存在を強化するために、という説明ですけど 「至極一般的な回答だ。新人の黒服でその程度答える事ができればパーフェクトだな ……だが、それだけが理由だろうか。いや、もっと言えば、それは果たしてどの程度的を射ているのだろうな?」 どういう事でしょうか 「その回答にかつて中立派が批判を加えた事がある 彼ら中立派曰く、都市伝説が存在を強くしたいのみならば、契約せずとも幾らでも方法があるのだと 例えば、人間を殺さずに適度に脅しておく。脅された人間は身の上に起きた恐怖を撒き散らすだろう 都市伝説は人々の口から口へと伝達し、脚色される度にその速度は加速していく」 噂が伝わるプロセスですよね 「加速すればするほど、噂にあがる都市伝説の存在はそれだけ保証される事になる 事実、口裂け女で盛り上がった70年代には、口裂け女の存在が保証されるどころか腐る程に増殖した 話を戻そう では、都市伝説は何故、人間と契約をしたがるのか?」 それは…… 「こんな話を聞いた事はないか? 契約者の大半は、都市伝説によって身に危険が及んだ際に、都市伝説に契約を持ちかけられている、と」 ……聞きますね 確か、都市伝説に襲われている所に 別の都市伝説が助けに来て、流れで契約してしまうというパターンは聞きます 「まさにそれだよ 何故、そのような状況が多いのか? 一説によると、都市伝説同士が共謀して人間を窮地に追いやり、契約しやすい状況を作り出しているのでは、という推測がある ある都市伝説が人間を脅かす。そこへ打ち合わせ通りに別の都市伝説が助けに入り、契約する そして脅かした都市伝説は契約した都市伝説と契約者によって殺害される……と見せかけて実は逃げ延びている 今度は、最初の都市伝説が、晴れて契約者を得た都市伝説と協力してカモを探す、こんな具合だ あくまで一説だがな しかし、いずれにせよ都市伝説は人間と契約したがる」 結局、契約する理由というのは何なのでしょうか? 「俺にも分からんな この疑問はあくまで疑問でしかない。だが俺はこう推測する 契約者を得た都市伝説は、より強い規模で存在が確定する。恐らく連中は、その先の段階へと進もうとするだろう」 先の段階、ですか 「都市伝説というのは、社会に憎悪や不安、悲しみや怒りといった負の感情を流したがる 契約者を得た後は、一体何をしでかすか。大方の予想はつくだろう?」 しかし……、良心的な契約者だったら止めるでしょうね 「契約者というのは、契約に付随する特殊能力というおこぼれを得た途端に理性だのモラルだのは吹っ飛ぶものだ しかし、都市伝説の側からすれば、行動の一々に口を出さない契約者であれば都合がいいだろうな 生かさず、そして殺さずの、植物人間の様な状態であればなお良いだろう 病気で寝たきり、思うように動けない、というのも悪くないな」 あ、着きました。この建物です 「上層からは『殺すな』と言い渡されている もっとも、どちらを『殺すな』なのかまでは指示されていない」 ディープ・スロートからの情報によると、潜伏している都市伝説は『注射男』だそうです 詳細は不明ですが、契約者は軟禁状態のようですね 「気をつけろ、あちらが手練れなら我々の到着に気づいている筈だ」 ……それって光線銃じゃないですよね 「室内戦ではサブマシンガンの方が取り回しがいいんだよ、覚えておけ」 殺すつもりですか? 「契約者はもう長くは持たないだろう。引導を渡してやるのも我々黒服の務めだ」 本当に穏健派所属ですよね……? 「俺は昔からずっと穏健派さ。ずっと、な。さあ、配置につけ。容赦はするなよ、さもないと殺られるぞ ……じゃあ始めようか」 「単発もの」に戻る で、作者は? ページ最上部へ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1856.html
プロジェクト名 Return to human H-11 契約都市伝説:ミイラ男 実験中に発狂・暴走 廃棄 H-12 契約都市伝説:口避け女 任務中に死亡 H-13 契約都市伝説:ゴグ 投薬の結果発狂・暴走 廃棄 H-14 契約都市伝説:トイレの花子さん 投薬の結果発狂・暴走 廃棄 H-15 契約都市伝説:プット 投薬に耐え切れず死亡 H-16 契約都市伝説:ビックフット 実験中に発狂・暴走 廃棄 H-17 契約都市伝説:UFO 投薬に耐え切れずに死亡 H-18 契約都市伝説:コーラの原液 投薬の結果発狂・暴走 廃棄 H-19 契約都市伝説:くだん 実験中体調悪化 死亡 H-20 契約都市伝説:人間シチュー 実験中に発狂・暴走 廃棄 H-21 契約都市伝説:ディラハン 投薬の結果発狂・暴走 廃棄 H-22 契約都市伝説:川原の洗濯女 実験中に体調悪化 死亡 ・ ・ ・ ・ ・ ・ プロジェクト名 Obedient Piece H-82 契約都市伝説:人魚のミイラ 任務中に死亡 H-83 契約都市伝説:サキュバス 任務中に死亡(内部犯人による暗殺の可能性) H-84 契約都市伝説:ゴミ女 任務中に死亡 H-85 契約都市伝説:猿夢 訓練中に事故死 H-86 契約都市伝説:トイレの太郎君 訓練中に事故死 H-87 契約都市伝説:黒猫に横切られると不吉 任務中に死亡 ・ ・ ・ ・ H-93 契約都市伝説:バビロンの大淫婦 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-94 契約都市伝説:噛み男 任務中に死亡 H-95 契約都市伝説:トランペット小僧 訓練中に事故死 H-96 契約都市伝説:13階段 「組織」を裏切り離脱。討伐予定。 H-97 契約都市伝説:耳齧りババア 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-98 契約都市伝説:不気味ちゃん 投薬実験の結果都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-99 契約都市伝説:下水道の白い鰐 任務中に死亡 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ プロジェクト名 Intentionally Piece H-355 契約都市伝説:ミミズバーガー 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-356 契約都市伝説:鬼太郎女 都市伝説に飲み込まれた直後自殺 H-357 契約都市伝説:赤紙青紙 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-358 契約都市伝説:人面犬 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-359 契約都市伝説:夜彷徨う鎧武者 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-360 契約都市伝説;性的欲求が強い者は髪が伸びるのが早い 経過観察中 H-361 契約都市伝説:黒いキューピー人形 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 H-362 契約都市伝説:コインロッカーベイビー 都市伝説に飲み込まれて暴走 廃棄 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ H-0の命令により、以上全てのプロジェクトを凍結する 以後、これらのプロジェクトを運営することを全て禁ずる 研究資料はH-0からH-10までが管理 この資料を「組織」外に持ち出すことを一切禁ずる 前ページ次ページ連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者
https://w.atwiki.jp/legends/pages/3152.html
【上田明也の協奏曲32~月夜に踊る踊る踊る~】 俺の契約する都市伝説にはまだ進化の余地がある。 これから戦いがよりいっそう激しくなることが予知される現在、俺はその進化をせねばならない そう結論した俺は夜中こっそりバイクで事務所を抜け出して特訓をしようとしていた。 努力をしなければ進化なんて、より強くなるなんてありえないからだ。 「…………さて、」 とは言ったものの何をしよう。 真夜中に一人で近所をうろうろするって完全に痛い高校生じゃないか。 夜の散歩で己の影に向かう俺かっこいいーってか? おお寒い寒い。 ――――――――――真面目に考えると 都市伝説の能力でまだ使ってない部分を引き出すか もう使っている部分を更に強化するか 自分がやれることはそのどちらかである。 自分は都市伝説の中でも“操作系”の都市伝説能力の扱いに適正があるらしい。 更に“操作系”に対する飛び抜けた才能から説明のしようがない系統の都市伝説能力も引き出せるそうだ。 逆に何かを“変化”させる能力や 有りもしない物を“作り出す”能力、 そして自らの身体を“強化する”能力も引き出しづらいらしい。 さて自分は都市伝説の“操作する”能力を引き出したが、それ以外には大して何もしていない。 ならば自分は操作系以外の能力を試しに引き出してみれば良いのではないだろうか。 「月の綺麗な晩だなあ……。」 何の気無しに空を見上げると月が綺麗だった。 赤くて黄色くて青くて黒くて白くて明るい丸い月。 さっきまで自分は何を考えていたのだかも忘れてしまいそうだった。 そうだ、俺は月夜の晩に散歩するといつもなにか出会いがある。 今日もそれを待つとしようか。 「イヤアアアアアアアアアアアアア!」 ああ、どこかで誰かが襲われている。 まあとりあえず助けに行ってみるか。 本当に助けるかどうかは襲われている人間見てから決めればいいし。 そもそもあれが今日の俺に与えられた出会いかもしれない。 俺は悲鳴の方向にバイクを走らせた。 俺が見たのは芥子色のセーターを着た女性に襲いかかる首無しライダーだった。 暗くても俺にはよくわかる、あの変態的なファッションセンスを除けば中々好みのタイプだ。 いいやむしろ! 可愛い女の子はちょっと変人なくらいの方が萌える! なぜなら親しみが持てるから! 俺は女性を守るようにその首無しライダーを奴のバイクごと我が愛車IMZ・ウラルwithサイドカー(戦闘仕様)で挽き潰す。 目前の敵の骨を粉砕撃滅するいい音が響いた。 「ライダー!ヴィア・エクスプグナティオ!? 私がマスターにでもなるの?」 何を言っているのだろう、頼むから日本語で話して欲しい。 「……ライダーって、仮面ライダー?」 「え、あ、……何でもないです。ってあれ? よく見たら貴方は…………。」 「お久しぶりです看護婦さん。お変わりありませんか?」 「今は看護師なのです。」 ――――――――――ていうか、知り合いだったのだ。 彼女は俺が先日起こした病院破壊事件で病院の建物が崩落する所に巻き込まれた看護婦だった。 俺が思わず助けてしまった後、精神が錯乱していたので放っておいていたのだが……。 「いやあそれにしても探偵さんには二回も助けられてしまいましたね。」 「なに、趣味でやってるから気にしないでください。 それよりもこの辺りは危ないですから……良ければ送りましょうか?」 「いやいや悪いですよ。 三回もお世話になってちゃ申し訳ないです。」 「それを言ったら俺だって前に病院で迷った時に道案内して貰っていますから。」 「ああ、そうだ! そういえばあの患者さんは今日退院でしたよね!」 「そう……ですね、まあ忙しくて中々あれ以来見舞いにも行けなくて……。」 「それは駄目ですよ、あの子……純ちゃんでしたっけ? 絶対探偵さんのこと好きですよ、罪な人ですねえあんな小さい女の子にまで好かれるなんて。」 「ははは……そうなんですかね?」 「そうですよそれは。」 「なのかなあ?あ、こっちのサイドカーに乗ってください。」 「わぁ、サイドカーなんて始めて乗ります!」 サイドカーに乗り込む看護婦さん。 ところで、サイドカーは運転席より少々低いところにある。 セーターで解らなかったが、上から見ると中々どうしてたゆんとしていらっしゃる。 素晴らしいことだ。 胸は無くても良いが有っても良い。 どちらにせよ均整のとれた麗しい形であれば良いのだ。 でも、この大きさは素晴らしい。それだけで一つの美として認めざるを得ない。 偶然にも立ったこのフラグは大事にせざるを得ないだろう。 修行なんて後回しだ。 友情・努力・勝利とか目の前のおっぱいに比べたら犬の餌なのだ。 「住所は?」 「えっと、北区の外れですね。ハッピーピエロ北区店の近くです。」 「了解。」 バイクは静かに走り出す。 月をかげらせる雲が伸びて辺りは急に暗くなっていた。 「そういえば探偵さん、探偵さんって何者なんですか? ビルを爆破してみたり空飛んでみたり……。」 「え、俺は探偵ですよ。ビル爆破したり空飛ぶだけの。」 「そうですか。」 「そうですね。ところで俺だけ質問されるのもあれなので俺から質問しても良いですか?」 「はい、どうぞ。」 「看護婦さんの名前を教えてください。」 「看護婦さんは看護婦さんです。」 「俺が聞いたのは名前です。」 「そうですか、じゃあ倉光とでも呼んでください。」 「解りました看護婦さん、じゃあそういうことにしておきます。」 「それじゃあ今度は私の質問です。 私をさっき襲った首の無い人は何者だったんですか?」 「都市伝説と呼ばれる物です。あれは首無しライダーかな?」 「なるほどなるほど……。」 何時の間にか質問合戦のようになっている。 面白い、俺と質問合戦しようなんて俺を知る人間は考えない。 だが今俺の前の前にいる彼女は俺をあまり知らないのだ。 ならば良いだろう、どうせだからとことん遊んでやろう。 まずはどれくらい狂っているのかを試すか。 「看護婦さん、あの事件の時に貴方は人命は軽いと言っていましたが……。 本当にそうなんでしょうか?」 「それはそうですよ、だってあんな良い人だった院長先生が死んでしまうんですもの。 だったら人間の一人や二人、簡単に死んでも構いませんよね。」 交互に質問をするというルールを無視してたたみかける。 「人間の一人や二人死んでも良い、それは正しいのでしょうか? 貴方はさっき襲われて悲鳴をあげた。 前に貴方を助けた時も貴方は恐怖だけでなく安堵の色を見せていた。 貴方自身は死にたくないんじゃないですか?」 「それはそうですよ、私はまだ死にたくないです。」 「貴方は人間じゃないですか。」 「ええ、人間です。人間だけどそれ以前に私です。」 「ふぅん……、そうですか。」 「じゃあ私からの質問を……。」 「ああ、【ちょっと待って】ください。」 狂う素質が有るかどうかのテストは及第点だ。 バイクを運転しているくせに隣に座っている彼女の瞳を覗き込んでお願いをする。 決めた、この娘で遊ぼう。 「もう、仕方ない探偵さんですね。」 「ありがとうございます。いや、【貴女に興味が出てきた物ですから】。」 言葉が浸透していく。 俺の言葉が、俺の気持ちが、相手の意志を無視して浸透していく。 相手は内側へ入り込んできた俺の気持ちを何時しか自分の気持ちと取り違える。 そして俺は相手のわずかな言葉から相手の気持ちを想像し、自分の中に取り込む。 勝手に想像して勝手に取り込んだ物を相手の内側にまた流し込む。 フィルターを使って都合の良いものだけを抽出するような作業。 「貴女は人間だけどそれ以前に自分は自分だと言いましたね。 だから人間が死んでも良いけど、自分は死にたくない。 ふむ、そうですよね。 世の中なんて無くなっちまえ、ただし自分除いて。 良くある話だ。 でもね、無くなっちまえとか、死んでも良いとか、 そんなこと考えている時にそう思っている対象って大抵人間全体じゃないんですよ。 むしろ人間ですらないことが多い。 貴女だって本当に無価値に思えたのは人間の命じゃない。」 「じゃあなんなんですか?」 「都市伝説のような非日常ですよ。 貴女が尊敬していた太宰院長の命を、尊い命を容易く奪った非日常。 貴女が非日常と言う言葉にどんな価値を認めていたか私には解らない。 でも心優しい一人の老医師の命をあんな簡単に奪う物ならば、 非日常という存在には価値なんてない。 そんなものただただ陰惨で残酷なだけだ。 そう思って貴女は非日常に絶望した。 でもそれを認めたくないから、貴女は人の命の価値がないと言うことにした。 …………なんて、戯れ言ですよ。探偵って仕事やってるとつい、こんな馬鹿なことを言ってみたくなる。」 自分で言っておいてあれだが自分は何を言っているのだろうか。 非日常の無価値さを認めたくないから、人の命の価値をおとしめて自らの平衡を保った。 だとしたら彼女はどれだけ非日常に夢を抱いているのだ。 「…………じつは、そうなのかもしれません。」 え゛っ? ……えっ? ―――――――ええええ!? どんだけ非日常に夢抱いちゃっているのこの子!? 「私、小さい頃から絵本が大好きだったんです。 お伽噺には何時でも出てくるじゃないですか、白馬の王子様。 ああいうのが何時か自分にも来てくれると信じて生きていたら何時の間にか大人になっていて……。 今も実家に暮らしていて両親に迷惑かけ続けで…… 趣味なんて絵本の代わりに何時の間にか嵌っていたゲームしかなく……。 女子力ダウンってレベルじゃない残念な現実ですよ。 そしてそこから逃げる為にまたゲーム等に逃避して……。」 たゆん 再びチラリと胸を見る。 あなたの女子力はどうみてもMAXです。 完全にカンストどころかオーバーリミットしてメーター振り切れているので安心してください。 「でも看護婦さん。俺思うんですが逃避するって悪いことですかね?」 「えっ?」 「俺なんてそこそこまともな家の生まれだったのですが家業が嫌で逃げ出しました。 商才だけは両親に似たらしくって探偵事務所は切り盛りできているんですけど…… まあこれも逃げですよね。 あと昔付き合っていた女性が最近結婚するらしいんですけど、 その結婚相手が俺のことをある理由から滅茶苦茶恨んでいてデスねえ……、、 なんていうかこのまま放っておくと後々面倒になりそうなんですけど俺は何も出来ていません。 まあこれもまたまた逃げですよええ。 とまあ学校町の名探偵と名高い笛吹さんですらこれですよ。 人間ってのはむしろ逃げない方が難しい。」 「名探偵……?」 「さっきの首無しライダーみたいなの退治して回っているんですよ。 料金は応相談、名刺には書いてませんけどね。 ちなみに暇な時は浮気調査やら失せ物探しやら人探しやらやってます。 都市伝説っていうかそっちの筋ではそこそこ有名なんです、そこそこ。」 「へぇ……。」 「で、まあさっきの逃げる逃げないの話に戻りますけどね。 現実から逃げるのは決して悪くないです。 ただ追いつかれるだけなんですから。 ただ追いつかれた時に痛い目に遭うだけですから。最悪振り切ればいい。 此処で問題なのはまたも貴女の言葉が貴女の心理を正確に表していないことなんです。 あなたは貴女が逃げているのは現実じゃなくて日常です。 ストレスの多い普段の生活から逃げたいと思っているだけです。 でも、貴女が逃げ道にしていた非日常も今回の事件で最低だと解ってしまった。 だから貴女は人の命の価値を切り捨ててまで非日常という自分の為の逃げ場を維持しようとした。」 「探偵さん、気になるんですけど……。」 「なんですか?」 「探偵さんが私を分析したことで私は日常にも非日常にも逃げ場がなくなっちゃったんじゃないですか?」 「いいえ、貴女はこれからも非日常を逃げ場にし続けたらいい。」 「え、だって私がもう非日常にも絶望しているって言ったじゃないですか。」 「ええ、でも日常と非日常は違います。 非日常は自らの意志で変えてしまいやすい。 日常は貴女以外にも沢山の貴女と関係有る人間が干渉してきます。 家族とか友人とか同僚とかですね。 そうするとそれを変えることに遠慮するでしょう? でも非日常ならそんな心配要らない。 なんせ貴女の非日常を知るのは私と貴女だけだ。 貴女は貴女の望むように貴女の非日常を楽しめばいい。 たとえば……、コスプレしてさっきみたいな都市伝説を倒してみるとか。 軽くヒーロー気分ですよ?」 「そんなの無理ですよ、だってあんなお化けみたいなの倒せる訳無いじゃないですか!」 「それが】【貴女の】【思い込みだ。」 なんとなく、遊びが最終段階に入ったと感じる。 あと少し方向性を示すだけで彼女は完全に狂う。 「そもそも都市伝説を倒すなんて簡単だ。 貴女も都市伝説の力を借りればいい。 いいや、それすら必要ない。 たとえば銃弾で眉間をぶち抜く。 もしくは毒薬でこっそりと命を奪う。 あとは俺みたいな人間を騙して都市伝説を無料で倒させても良いかもしれない。 まあ方法は任せますけど。 ありとあらゆる都市伝説について調べ抜いてその攻略法を探求していけば…… 極論ですが、只の人間でも都市伝説は倒せる。 そもそも妖怪だのお化けだの都市伝説の元になったもの達は 『人間に退治される為に生まれた』存在だと言われていますから。 彼等も所詮人間の望みから生まれた以上、人間に消されるのが宿命なんでしょうね。」 「…………なるほど。」 「わかってくれましたか? 只の人間だからって非日常に巻き込まれるだけである必要は無い。 むしろ楽しまないといけません。 物事は何でもハレとケがあります。 非日常を自分の望むように変革すれば、きっと楽しい人生を送れますよ?」 俺は微笑む。 彼女の顔が輝く。 眼と眼があってそこに一瞬の間が生まれた後、彼女は口を開いた。 「なるほどなるほど……そうですね! 最初からそうすれば良かったんだ、ありがとうございます!」 ――――――――――――――ああ、完璧だ。 もともと狂気に陥る素質が有る人間を完璧に堕とすのは何時でも楽しい。 だって彼等が本当に幸せそうにしてくれるから。 俺の作業が終わるとそこから先はたわいもない世間話をした。 お気に入りの中華料理店とか、お気に入りの麻婆豆腐とか。 そうやって話している内に何時の間にか彼女の家の前までついていた。 「困ったことがあったら何時でも言ってください。 これ、私のプライベートの方のメールアドレスと携帯の電話番号ですから。 都市伝説の倒し方までなら無料で教えられますし。」 「わぁ、ありがとうございます! あれ……今携帯もって無いんですか、赤外線通信の方が早いですよ?」 「そういえばそれもそうか。あんまりやったこと無いんだよなあ……。 これで大丈夫ですか?」 「はい、ばっちり登録されました!」 おいおい、白衣の天使のメアドゲットできちゃったよ。 流石俺、流石名探偵俺。 故意……じゃなくて恋の行方も操作……じゃなくて捜査しちゃうぜ!ってか。 「それじゃあ今日はここのところで。」 「はい、今日は本当にありがとうございました。 今度こそお礼させてくださいね、その中華料理店とかでご飯でもごちそうさせてください。」 「良いんですか?嬉しいなあ、無駄遣いして今週ピンチだったんですよ。」 今週ピンチとか当然嘘ですごめんなさい。無駄遣いなんてする性格じゃないです。 自分が持っているビルのテナント代も入っているのでほくほくです。 でもちょっとだらしないところを見せた方が良いじゃないですか、可愛らしく見えて。 心の中で看護婦さんに謝りながら俺はMZ・ウラルで事務所に向けて走り出した。 【上田明也の奇想曲32~月夜に踊る踊る踊る~fin】
https://w.atwiki.jp/legends/pages/955.html
―第39章 噂の副産物― あらすじらしいあらすじ 「都市伝説との融合」という結構ぶっ飛んだ事を何回かやってのけた俺はその反作用として2~3日床に臥さざるを得なくなった。そして影響がなくなったある日… 俺はみんな―と言っても俺と契約してる面子のみだが―を連れて休日をブラブラしながら過ごしていた。 「とりあえずここらで休憩でも取ろうか。ちょうどお昼だ。」 という訳で立ち寄ったのがこのレストラン、名前を「うわさの産物」という。……なんか色々と胡散臭い名前だな。 そういえば、ここも「ルーモア」同様に都市伝説とその関係者が訪れる、と言ってたな。 ただし、普通に作れば美味いものを作れるのに、店長のアレンジ精神が半端じゃないためオススメセットはお薦め出来ない、とも言ってたな。 まあ、悩んでてもしょうがないし、入ってしまうか。 とりあえず俺らはテーブル席に座る。 「いらっしゃいませ。ご注文は何にしましょう?私としては「店長のおすすめ」を是非お薦めs」 「コーヒー。お前らは?」 「私はあんまり食欲ないんでアイスティーでいいや。」 「私も…アイスミルクティーで…」 「俺m」 「じゃあこいつに「店長のおすすめ」とやらを」 「かしこまりました。」……ィイヤッフウゥー!!! 厨房の奥でなにやら歓声が聞こえたけど気にしないw 「ちょっと待てっ!何で俺g」 「自分で頼むって言ったんじゃないのか?」 「言った憶えなんt」 「 な ん か 文 句 で も ? 」 「イ、イエナンデモゴゼイマセン…ハイ……」そして― 「お待たせいたしました、「店長のおすすめセット」でございます。」 出てきたのは、鰻重とラーメン、天麩羅盛り合わせ、蛸と蕨の和え物、氷水、西瓜だった。随分豪華だなと思ったが― 蛸と蕨?「―まさか……」ちょっと気になった俺は鰻をめくってみた。 案の定鰻の下は日の丸弁当だった。そうか、ここはアレンジ精神が豊富なんじゃない!食い合わせの限界に挑戦する店だ!だから「店長のおすすめ」はお薦め出来ないのか… 「……さあ建速、食うんだ。きっと美味い(はず)。」 「…いくら俺でもこの量は無理だ。せめt」 「 い い か ら 食 え 。 」 「……ハイ」 と、いきなりさっきの歓声あげてた人がやって来て、 「失礼します。こちら、私からのサービスでございます。」 持ってきたのはハンバーグだ。……見た目がかなり怪しいが。そういえば、ここではミミズのハンバーグを出していると聞いた事がある。 「……よし建速。これも食えよ?」 「いやいや!流石にこれは無理だt」 「 食 え よ ? 」 「……ハイ」 その後、顔色が悪く口と腹を押さえ今にも「ピー」しそうな建速が店から出てきたのは言うまでもない…… 前ページ次ページ連載 - 結界都市『東京』
https://w.atwiki.jp/legends/pages/5026.html
「死を従えし少女」より 「あ、えぇと………」 クラスメイトの桐生院 真降に話しかけれて、かなえは少しおたおたとした ちらり、と、龍哉達の方を見る 彼らは、男子で集まって昨晩TVでやっていた刑事ドラマの話をしているようだった こちらには注意を払ってはいない、が……… 「えっと……あ、あのね。お話、してもいいけど………ここじゃ、なくて」 「あぁ、そうだね。他の人に聞かれると、まずいか」 こくんっ、と、かなえは小さく頷いた このクラスには都市伝説契約者が集まっている。とはいえ、都市伝説とは無縁の生活を送る者もいるのだ かなえは真降と共に、そっと昼休みの教室を出た 自分達に向けられていた眼差しには、気づかぬままに 二人が移動したのは、空き教室 この時間だと、あまり人が来ない場所だ かなえが適当な椅子に腰掛けると、その背後に岩融が姿を現す 『主、話してもいいのか?』 「う、うん………桐生院君は、同じ「組織」の仲間だから……」 それなら、「ある程度」は話せるはず ……そう、「ある程度」は 「えっと、私が話してもいい範囲、になっちゃうけど……」 「構わないよ。「組織」で働いている以上、ある程度の守秘義務も発生するからね」 ごめんなさい、と謝罪して………あの時の、「首なしライダー」の件を語る 事件を起こしていた首なしライダーを捕縛しようとしたら、自決されてしまった、その事の顛末を 「情報を漏らさないために死を選ぶ、か……」 『「組織」には、思考や記憶を読み取れる者もいるからな。恐らく、それを警戒したのだろうな』 「郁さんと慶次さんも、そう言っていましたね………」 そう言って、かなえは小さく俯いた 正直なところ、かなえは少し怖い 情報を漏らさない為に、自らの命を、自らの手で消し去ったのだ そこまで、黒幕の情報を漏らそうとしなかった それほどまでに………黒幕に対して忠誠を誓っていたのだろう 狂信とも呼べるそれを、恐ろしく思ったのだ ……そして、今、この学校街にはその黒幕の魅了の力によって精神を汚染された者が集まっていると言う 今のところ、学校街では新たに手駒を増やしてはいないようだが……… (もしも、身近な人が。その被害にあってしまったら……) そんなことになってしまったら ……かなえは、それが恐ろしいのだ 「……大丈夫?」 「え?」 「顔色、真っ青だよ」 指摘されて、気づいた 慌てて「大丈夫です」と答える 「その………黒幕は、学校街のどこかにいるようではありますが。今、どのような姿をとっているのかすら、わからない状態なのだそうです」 「外見も名前もわからない………他者の精神を汚染するような相手の情報がないのは、警戒しよういも難しいし、困ったものだな」 「そうなんです………け、警戒しようがないかもしれませんが、もしも、身近な方の様子がおかしくなったりしたら、ちょっと気をつけたほうがいいかもしれません」 一応、魅了の解除方法は全くない訳でも、ない ようは、その魅了さえ解除すればいいのだから、方法がない訳ではない(それが難しいのだ、と言う意見もあるが) もしも、「組織」の者で魅了された者が出た等となれば、大問題である 見つけたら、即座に対応しなければいけない 「あぁ、でも。その黒幕がどういう都市伝説か、はわかっているんだよね。一体、どんな都市伝説なんだい?」 真降が気づいたように、そう問うた あっ、そうだ。そこは……うん、伝えて大丈夫だ かなえは、そっと真降にそれを答えた 「………!?それはまた、大物だね」 かなえから答えを聞いた真降は、少しだけ驚いたような表情を浮かべた そう、その黒幕は、はっきり言ってかなりの大物である 『昔は「都市伝説」なんて呼ばれ方ではなかったがな。妖かし等と呼んでいた………昔も大きな災いをもたらしていたが、今の世でも変わらないようだな』 「かつて、「組織」にはそれと契約していた方がいらっしゃった、と言う話も聞きますけど……」 「…何にせよ、できれば遭遇はしたくないところだな」 彼からすれば、家族のことも心配なのだろう …何せ、色々と首を突っ込みそうだ、と言うか現在進行形で首を突っ込んでいるから、余計に心配なのだろうが 「……ねぇ、紅さん」 「?えっと、ど、どうしたの?」 「…今、学校街にやってきているという、黒幕に関して。少し気になる事があるんだ」 それは、かなえが話さなかった範囲の事 しかし、真降は自分の持っている知識の中の情報と組み合わせて、ある事に気づいていた 「その黒幕……もしかして。「三年前」のあの事件の黒幕でも、あるのかい?」 そう、「三年前」の事件 中学校での、連続飛び降り事件の事 世間では、教師が生徒を次々と突き落としていたと言う事になっているそれは、真実はその教師が契約していた都市伝説の能力により、次々と生徒を飛び降り自殺させていたものだった 飛び降りた生徒が増えれば増えるほど力を増していく非常に厄介な相手だった 今は都市伝説事件関連専用の刑務所に入っているその犯人の男は、「組織」の尋問に対して、こう答えたのだ 『あの女だ。あの女が、俺に力を与えてくれた!!あの女の下につけば、俺は何もかも、全てを手にすることができる!!』 その男が契約したきっかけは、何者かにそそのかされたから …「黒幕」がいたのだ そしてその黒幕は逃亡し、その生家はわからないまま。詳しい情報は何もない 「三年前」の事件の黒幕と今回の件の黒幕は、恐らく同じ、もいsくはつながっている。真降はそう考えたのだ 真降の指摘に、かなえはあわあわと慌てる 隠そうとしているのかもしれないが、これではバレバレだ 主の様子に、岩融はそっと苦笑する。主の正直な面は悪いことではないのだが、「組織」の人間としては、若干、問題があるように思える 「うぅ、その…………あの、な、内緒に………」 「うん、わかっているよ。紅さんは、その事については話さないようにしていたからね」 本当なら、話してはいけない事だったのだろう …それでも、真降としても家族を護るために、情報は必要なのだ 聞き出さなければならない 「紅さんは、「三年前」の件は…」 「ご、ごめんなさい。私、詳しくは知らなくて…」 その当時は、まだかなえは「岩融」と契約していなかった 都市伝説の存在を知らず、世界の裏側を……非日常を何も知らなかった頃だ ある程度の真実を知ったのは、事件が何もかも終わってしまった後だった 「私が、知ってる事、って言うと……「土川 咲李」さんの事、くらい」 「「土川 咲李」……「三年前」の事件で最後に飛び降りた人ですね」 「そう………あの人は、とても優しい人だったから。私も、親切にしてもらったんです」 そう、「土川 咲李」は優しい人だった 誰にでも優しくて、明るくて………誰からも好かれていた だからこそ、「三年前」、彼女が飛び降りてしまった時、誰もが悲しみ、葬儀にはたくさんの人がかけつけた かなえもそのうちの一人であったし………彼らもまた、参列していた あの時、泣いていた憐のことを、かなえは今でも覚えている 「龍哉君達は、咲李さんと仲が良かったから………あの時は、すごく、ショックだったと思う。特に、憐君は………」 かなえが、そう言いかけた、その時だった 「お前ら、こんなとこで何してんだ?」 がらっ、と二人が話していた空き教室の扉が、突然開いた はっ、と二人がそちらに視線を向けると、そこにいたのは 「あ、は、遥君……」 「次、移動教室だろ。そろそろ準備した方がいいんじゃないか?」 ……言われてみれば、教室を移動する事も考えると、そろそろ支度しなければいけない時間だ 思ったより、説明に時間を使ってしまったようだ 「あぁ。ありがとう……それじゃあ、紅さん。話は、また今度」 「う、うん………」 こくり、と頷くかなえの隣で、岩融はふっ、と姿を消した 真降も一旦教室に戻ろうと、立ち上がり…… 「あぁ、そうだ。真降」 「うん?何だろうか?」 「……あんま、首突っ込んでくるなよ」 告げたのは、警告の言葉 「特に………咲李の事、よく知りもしないのなら。首突っ込んでくるな」 ほんの少し、苛立っているような声で真降に告げて、遥はふい、と背を向けて、この場を立ち去っていった まるで、その件に踏み込まれる事事態を嫌がっているかのような 「土川 咲李」に関して、触れられることを嫌がっているような ……その件事態が、彼らにとって触れてはならないものであるような そんな気配を、真降は確かに、感じ取ったのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - 次世代の子供達
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2707.html
それは、朝比奈 秀雄が三つ目の都市伝説の力を解放させたのと、ほぼ、同時だった その雑居ビルを中心に、結界が展開されていく 結界は、一瞬にして学校町全体を、包み込んだ 「結界設置、完了しました。少なくとも一般人は、あのドラゴンの存在を認識しないですみます」 「……間に合ったか」 ふぅ、とため息をつく、黒服S 意識を取り戻した黒服Cから情報を読み取り、朝比奈 秀雄の三つ目の都市伝説の招待を知った彼は、事情を説明し、一般人がそれを認識しない為の結界を発動させるよう、申請したのだ …間に合って、良かった 「これ…ドラゴン、ですよねぇ?」 目の前の画面に映し出される存在…朝比奈 秀雄が三つ目の都市伝説の力を解放させた姿を見て、そう呟く紗江良 あぁ、とSは頷いた 「東洋の龍ではなく、西洋の竜……悪の代名詞ともされる、ドラゴンだな……それも、「黄金伝説」のドラゴンと複数契約しているようだ」 「……「黄金伝説」?」 「「聖人伝」とも言うな。あれには、聖人に倒されたドラゴンの話が多数書かれている……朝比奈 秀雄は、その「聖人伝」に書かれたドラゴン数匹と契約しているようだ」 「……つまり……正確には、三重契約以上の、多数契約…?」 「そう言う事になるな」 Sが、Cから読み取った情報 それは、彼女が「恐怖のナポリタン」の能力で何時の間にか知ってしまっていた、朝比奈 秀雄がドラゴンと契約した時の様子 朝比奈の前方に、複数のドラゴン達が群がっていて…朝比奈が、その全てと契約し、耐え抜いた姿 ドラゴンだけで、少なくとも6匹の都市伝説と、朝比奈は多重契約を結んでいる事となる 「それって、人間が耐えられるんですかぁ?」 紗江良の疑問ももっともだ 6つ以上の都市伝説との多重契約など、危険すぎる たとえ、似たような種類の都市伝説であったり、一つの都市伝説から派生したいくつかの説と別々に契約したのだとあっても、その代償は大きい しかも、朝比奈はドラゴンの他に、悪魔の囁きやクールトーとも多重契約を結んでいるのだ 通常ならば、とっくの昔に器の容量を越えて、都市伝説に飲み込まれているはずだ 「…恐らく……朝比奈 秀雄は、元々器の容量が大きかったんだろう。たまに、いるからな……人並外れた器の持ち主が」 もっとも 理由は、それだけではないだろうが 「朝比奈 秀雄の執念もあるんだろう。都市伝説を憎みながらも、都市伝説の力を借りてまで……あの男は、目的を達しようとしているようだからな」 「目的……」 …ちらり、と 紗江良は、Cがおきだす前まで見ていた資料に、目を落とす そこに記載されている、「門条 晴海」と言う女性のデータ 紗江良の女の勘は、彼女が、朝比奈にとって大切な存在であったと…恋慕の対象であったと、告げてきている しかし、門条 晴海は、19年前に死亡している ……「組織」に、殺されている 朝比奈 秀雄の目的を、「組織」は正確には把握していない Sも紗江良も知らない事であるが、Dが日景家の事情を「組織」に知らせないために、正確な情報を伏せ続けているからだ …だが、今のSと紗江良には、朝比奈 秀雄の目的の、その一端が見えてきていた 復讐 「組織」への、復讐 それが、朝比奈 秀雄の願いの一つ それを成し遂げようという意志の強さが、無茶な多重契約を成功させたのだろう 深い執念が、そこから滲み出て来ている 「…まったく…確か、「黄金伝説」のドラゴン達は、「教会」が封印してるって聞いた事があるんだが…どうやって、それを手に入れたのやら…」 頭の痛い問題だ この騒動が落ち着いたら、「教会」に問い合わせる必要があるだろう ……あそこが、まともな返答を返してくれるかどうかは、疑問なのだが… 「……あの、Sさん」 「………うん?」 じっと、じっと 門条 晴海の資料を見つめていた、紗江良が、ぽつり、呟く 「…この、門条 晴海さんって……もしかしたら…」 「…………」 …す、と 紗江良が言わんとしている事を、Sは制した 小さく、首を左右に振る 「…気にならない訳ではないが、今は、朝比奈 秀雄の件が優先だ……考えるとしたら、その後でだ」 「………はぁい」 こくん、と頷いた紗江良 そっと、資料を机の上に戻す …Sとて、気にならなかった訳ではない 資料に目を通した瞬間に気づいていた 「門条 晴海」 門条、というそのどこか珍しい苗字 それが、学校町に来たばかりのSと紗江良の護衛を担当した、門条 天地と 全く同じ苗字である、事実に to be … ? 前ページ連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2596.html
【上田明也の探偵倶楽部】 こんにちわ皆さん、お久しぶりです。 私立探偵の笛吹丁と申します。 最近までアメリカで助手と一緒に仕事をしていたんですが、その時に昔の彼女と出会いましてね。 彼女の弟が学校町に住んでいるそうなので一緒に日本に帰ってきたんですよ。 でまあ助手を事務所において彼女と二人でデートなんて決めてたら……会っちゃったんですよええ。 とてつもなく悪いやつに。 目を見れば一発で解りました。 あいつは確実にこの愛すべき町を、否、世界を自らの物にしようとしている。 え?どうしたかって? 腹が立ったから叩き斬ってやりましたよ、俺はこの町を愛する心優しい私立探偵ですから。 まぁ、叩き斬っただけでこっちは死にかけたんですけどね。 今は彼女と助手に助け出されて事務所で死にかけってところです。 それじゃあ、奇想曲のあらすじはこれでお終い。 殺人鬼は終わり、探偵を始めましょう。 【上田明也の探偵倶楽部20~忍び寄る影~】 日本に帰ってから数日後。 俺は相変わらず全身を包帯に包まれてベッドに横たわっていた。 世間では春休みも終わり、我が事務所のバイト共も勉学にいそしんでいるというのに所長たる俺はこのざまである。 「委員長、生きているか?」 「ああ生きているよ。」 「しかし真っ黒焦げだね、良い男が台無しだ。」 「こんな見た目の男は嫌いか?」 「君の見てくれが好きだった訳じゃない。」 「俺もだ、お前の体型は昔からそれほど好きじゃない。」 明日晶、俺の元・彼女である。 俺が幼女にしか欲情できない類の人間なのに妙な流れで妙に恋愛してしまった。 …………昔の話だ。 「しかし君が会った男はいったい何者だったんだい?」 「それが解ってたら苦労はしないよ。とりあえず火を噴いたり怪力持っていたりする危ないやつってだけで十分だ。 お前の都市伝説無しだったら生きては帰れなかったよ。」 明日晶の都市伝説。 名前を「人間の集中力は三分間が限界」という。 一日の中で三分間は頭脳を極限まで活性化させて超能力を使うことが出来るそうだ。 ひどく適当である。 ふと、俺はここ数日メールをチェックしていないことを思い出した。 「ああ、そうだ。晶、メールは来ていないか?」 「メール?」 「誰にも言っていないんだが俺には一人従妹が居るんだ。 そいつは【組織】の契約者として動いているんだがそいつから【組織】の様子についてたまにメールが来るんだ。」 「ふぅん……。」 「俺のネットブック取ってくれ。まだ指先も動かせないんだ。」 晶は赤いネットブックを取るとメールボックスを開いて一々それを読み上げた。 ほとんどが依頼に関する物だったが俺が死にかけている以上、丁重にお断りするしかない。 まあ俺が出るまでもない依頼ならほかの奴に任せよう。 最初、俺の体は大部分が炭化していたそうである。 それを治癒能力を持った都市伝説で時間をかけて丁寧に治して……、今なんとか命を保っている。 「あ、このメール?お兄ちゃんへ、って書いてあるけど……。」 「ああ、それだそれだ。読み上げてくれ。」 どうやら俺の従妹である平からのメールが来たらしい。 「助けてください、番屋町に殺人鬼が出てきています。私も一度おそわれました。 担当の黒服さんは今、その時の戦いが原因で病院で意識不明の重体になっています。 『組織』は人員を裂けないせいで野放しになっていて、 被害者はいつも行方不明扱いになっています。 …………だそうだ。のっぴきならない事態じゃないか、委員長。」 「おいおい、冗談じゃないだろうな?」 「見てみるかい?」 ぽん、と胸の上に置かれたネットブックには晶の言うとおりの内容が載っていた。 急いで起き上がる。 全身がずきずき痛むがその程度のことに構っては居られない。 「委員長、まだ動くな!君の体は治るかすらまだ解らないんだぞ!」 「人間気合いでなんとかなるもんだぜ? とりあえず俺は今すぐにでも番屋町に行く。 唯は昔っから何をやってもだめな奴だったんだ。 俺が優秀な分無能だったと言っても良い、だから俺が助けてやらないといけない。」 「そんなこと言ってもそんな包帯だらけの顔で何処に行くんですか?」 「――――いつの間に?」 「サンジェルマン、ドクターストップでもかけに来たか?」 俺が立ち上がって所長室のドアを開けると、そこには金髪碧眼の男が立っていた。 俺は構わずに服を着て、事務所から外に出ようとする。 探偵事務所を出ると、そこは見慣れた探偵事務所だった。 「その通り、ドクターストップです。」 サンジェルマンはゆっくりと俺の背中に近づくと肩に手を置いた。 「なるほど、貴方の体は奇跡的にもこうして命を保っている。 それどころか貴方の意志に応えるように元の体を完全に取り戻そうとさえしている。 でも、そういう奇跡はまだ先の話だ。 貴方が心配するのなら従妹のことは私がなんとかしましょう。」 思わぬ提案だ。 自ら動かないことに定評のあるこいつが俺に手を貸すとは思わなかった。 まあこいつが動くのなら唯に危険は及ぶまい。 恥ずかしいことにこの体ではろくに戦えそうもないので俺はその提案を渋々のむことにした。 だが、その前に一つ確かめたいことがある。 「サンジェルマン、確かめたいことがある。」 「なんですか?」 「お前、以前から自分の所持する強大な都市伝説の担い手を捜していたんだよな?」 「ええ、貴方に渡した蜻蛉切しかり、橙さんのウォーリーしかり。」 「その殺人鬼が、だ。お前の持っている都市伝説に適正がある可能性があるよな?」 「…………貴方に隠し事は出来ないな。やはり問題ですか?」 「いや、そいつを制御できるならばむしろ好ましい。」 「委員長、君は従妹を殺しかけた相手を見逃すのかい?」 「弟を殺しかけた人間に対して姉が言う言葉ではないな。 サンジェルマンが管理してくれるならそれが幸いだ。 俺が動くまでもない。」 「君がそういうなら良いんだが…………。」 安心したら力が抜けてきた。 視界が揺れる。 倒れそうになった体を晶に支えられて、俺はベッドに強制送還されることになってしまった。 殺人鬼、ね。探偵が相手してやりたかったが仕方がないか。 【上田明也の探偵倶楽部20~忍び寄る影~fin】
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1912.html
おとーさん:浅井・秀也(あさい・しゅうや) 性別・年齢:男・50代半ば(見た目は三十代) 国籍:日本 容貌・容姿:くたびれたスーツを着たサラリーマン風、30代半ばに見える。無精に髭を伸ばし、ボサボサの髪。頬に古い傷跡がある。 チェーンに丸い石が付いているだけのシンプルなネックレスが二つ。 + その他詳しい設定(ネタバレ注意) 性格・癖:適当、いい加減。しかし、≪夢の国≫に恨みを持ってはいてもさっちゃんのような幼子に復讐を果たしてほしくはないと思ったり弱っている自分を見せたくはないというような父親としての自覚をさっちゃんに対して持っている。また、食人をしなければ生きられない状態ではあるが出来るだけ人を食べないようにしている。食べるときは臓器を奪う感じの都市伝説の契約者を≪結婚相手が見える洗面器≫で探す。これで探すと能力の関係上善人はまず引っかからない。不思議! 頬の傷に触れる癖がある。 復讐対象以外には行動は紳士的。(発言はエロ親父) 健康:自分の契約できる限界はとっくに突破、代価やら都市伝説の影響やらですこぶる悪い。 趣味:煙草、酒 契約都市伝説・能力: ≪さっちゃんの歌の四番目≫ 童謡、さっちゃんの四番目の歌詞通りに相手の脚を奪う。出血、痛みも与えず断面はなぜか見えない。脚を返すことも可能。また、脚を奪う呪いを与えた場合相手の居場所の把握が可能。 契約によってバナナを半分しか食べれないのはさっちゃんが病気でそれだけしか食べることができなかったからという話を得て、相手を死ぬ一歩手前の病気にさせる呪いを発動可能。 ≪結婚相手が見える洗面器≫ 深夜0時丁度にカミソリを口に咥えて水を張った洗面器をのぞくと『将来の結婚相手が見える』というもの。女性がカミソリを水に落としてしまうと、洗面器の水が血のように真っ赤に染まった。それから数年後マスクをした異性と出会い、「なぜマスクをしているのか?」と尋ねると、マスクを外し醜い傷跡を見せ「お前のせいだよ!」と続く。 能力は話の中の女性のように一方的に何かに被害を与えたものに対して発動。正体を突き止める。契約によりその居場所も大まかに特定できるようになった。契約者はこの能力で下にある都市伝説を突き止め、契約した。ただし、力自体は弱いため≪夢の国≫のカラス除けの特殊電波のような妨害系を突破できず、これまで特定不可能だった。 ちなみに嫁さんは占いをする女の方の力が使えた。 ≪ホープダイヤ≫ 手に入れた者皆が不幸に見舞われ、かつて国の変革の原因にもなったと言われる呪われた赤い燐光を発する青い宝石。 能力は不幸になると分かっていても人を魅了してやまない宝石の魅力による人の操作。どんなに無茶な内容もその宝石の輝きの前に人々は聞いてしまう。 ただし、金銭に対して靡かない者、耐性のある契約者および都市伝説には基本効かない。 ≪パワーストーン≫、ダイヤモンドとして力の絶大な増幅効果有り。しかしホープ・ダイヤのため、負に類する力のみを増幅する。さっちゃんの呪い、彼らの復讐心からくる力を増幅している。 ≪死を招くネックレス≫ 青白く光るネックレス。その青白い石はウランの結晶である。という都市伝説。 能力は青白い石を媒介に装着者へ放射能を浴びせる。契約により装着者はある程度の対放射線能力を得る。たぶん通常殺しに使おうとするなら相手にプレゼントして被曝させるという方向だと思う。しかし作者の沸いた頭はなぜか、 「パワーアップアイテムだ……っ!」 とか考えた。後悔はないけど反省はしようと思う。 ≪放射能による突然変異≫ 放射能を浴びることで変異による強化を行う。契約によりその能力を他人にも付与可能になった。以前は通用しなかったさっちゃんの呪いが聞いているのはこれとホープ・ダイヤのため。 契約者自身は筋肉等身体能力関係の変異、衣服等の変異による外殻装備に能力を使っていた。 ※全ての契約都市伝説がある程度以上に有名であり、どれもが強力なため契約コストもそれなりのものとなっている。 口調・言語:ちょい悪オヤジ風?・日本語 履歴:≪結婚相手が見える洗面器≫によって嫁さんと会う→娘爆誕→割と平和な生活→≪夢の国≫にて娘が消える→嫁さん自殺。色々荒れる→酒びたり→ある日さっちゃんと遭遇。娘さんが≪夢の国≫で臓器を抜かれたことなど説明。契約→≪結婚相手が見える洗面器≫で加害者の特定、しかし居場所はしれず、噂を頼りにいろいろ放浪(≪夢の国≫を討つための複数の都市伝説と契約)→学校町にて≪夢の国≫の革命が成る。夢子ちゃんが旅に出た辺りで居場所の把握→お話のはじまりはじまり…… 行動傾向:≪夢の国≫の討伐ができるまで死ぬ気はないが一般人を自分の糧にすることはなるべく避けようとする。 さっちゃん≪さっちゃんの歌の四番目≫ 外見:童女、おかっぱでかわいらしい娘っ子。おとーさんとおそろいのネックレスを一つ装備。 性格:無邪気幼女であったが≪夢の国≫に対しては深い恨みがある + 詳細設定(ネタバレ注意) 知性・健康:子供だが実際はそれなりの年のため判断ができないわけでは、ない。ただし容姿と元となった都市伝説に精神が引きずられるため理性より感情を優先する。 ≪ホープダイヤ≫と≪死を招くネックレス≫≪放射能による突然変異≫によって能力のブーストをしているため、及ぼす病は国をも落とす。 能力:さっちゃんの四番目の歌詞通りに相手の脚を奪う。出血、痛みも与えず断面はなぜか見えない。脚を返すことも可能。また、脚を奪う呪いを与えた場合相手の居場所の把握が可能。 契約によってバナナを半分しか食べれないのはさっちゃんが病気でそれだけしか食べることができなかったからという話を得て、相手を死ぬ一歩手前の病気にさせる呪いを発動可能。 口調:ボキャブラリーが少ない感じで、漢字は、難しいのはひらがな表記 履歴:以前の契約者の死(三十年ほど前)友人たちと分かれる(この時点で黒服Dは死んだものと思ったまま、共に仇討ちに行った他の仲間たちも全滅したと思っている)→噂やニュースを頼りに≪夢の国≫を探すうちにおとーさんと出会う(十年ほど前)。事情を話し、契約。→学校町にて≪夢の国≫の革命が成る。夢子ちゃんが旅に出た辺りで居場所の把握→お話のはじまりはじまり…… 以前の契約者とは兄妹のような関係にあり、「お兄たん」と呼び、慕っていた。 現在の契約者との関係は親子、「おとーさん」と呼び、こちらも慕っている。 Tさんたちはこちら Tさん ≪夢の国≫の紹介はこちら 夢の国