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なんだかんだいって勉強は続けられている感じかもしれませんね。ってやっとやる気を戻すことができたのであとは続けられるだけの努力をしていかないといけないですね。ただやっぱ英語の勉強っていうのはそう簡単にできるものではないと改めて感じる部分はありますね。でもこれを克服していかなければいつまで経っても勉強はできないのでちゃんと続けるしか無いんですよね。なかなか難しいなって思ってしまいますね。でもまた自分で何かを行動して示せることがわかったので英語の勉強を今までしてきてよかったって思えるようになりましたね。まだまだできないけどこれからもっとできるようになるんだっていう高い目標を持って英語の勉強に臨んでいければいいかなって思いますね。
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2日後 唯「ふぅー寒いねー!こんなに寒いと朝起きるのも大変だよー」 憂「もう。お姉ちゃんはいつもでしょ?」 唯「えへへ。まあねー」 憂「あれ?あそこ歩いてるの澪さんじゃない?」 唯「本当だ!澪ちゃーん!」 澪「……」 唯「おはよー!」 憂「おはようございます」 澪「……」チラッ 澪「うん……」 唯「あれ?なんか澪ちゃん元気ないね」 澪「……」 唯「っていうか?なんかぼーっとしてるっていうか」 憂「澪さん、体調悪いんなら保健室行きますか?」 澪「……平気だから」ボソッ 唯「そう?じゃあ今日も部活がんばろうね!りっちゃんのためにも!」 澪「……!」 唯「澪ちゃん何かあったの?」 澪「な、なにもないよ」 放課後 唯「今日のお茶もおいしいねー」 紬「ありがとう♪」 澪「……」ズズ 紬「み、澪ちゃんはどうかな?」 澪「……」 紬「……」 澪「……おいしいよ」 紬「あ、ありがとう」 ガチャ さわ子「3人そろってるわね」 唯「あ、さわちゃん先生ちょりーっす」 さわ子「みんな、落ち着いて聞いてくれる?」 唯「え?」 紬「どうしたんですか?」 澪「……」 さわ子「りっちゃんが……」 澪「!!り、律がどうしたんですか!」 さわ子「……自殺未遂で病院に運ばれたわ」 澪「自殺未遂!?」 紬「そんな……」 唯「あわわわわ」ガタガタ 澪「律は無事なんですか!」 さわ子「落ち着いてって!未遂って言ったでしょ?無事よ。でも」 澪「でも?」 さわ子「昏睡状態で意識が戻らないらしいわ……」 澪「……!」 紬「先生!どこの病院ですか!?」 さわ子「隣町の県立病院って聞いてるけど、やっぱり行くわよね」 澪「当たり前じゃないですか!唯、ムギ」 唯「わわわわわ」ガタガタ 澪「唯!」 唯「あ、うん!もちろん行くよ!」 澪「とりあえずバスで……いや、タクシーのほうが」 紬「大丈夫よ。今、家の者に連絡して車を呼んだわ。10分くらいで来ると思う」 澪「あ、ありがとうムギ」 さわ子「家から連絡が来たのは今日の朝だったんだけどね」 澪「じゃあなんで教えてくれなかったんですか!?」 紬「澪ちゃん!」 さわ子「教えたらあなたたち、確実に授業そっちのけで行っちゃうでしょ? 私にも立場があるのよ……ごめんなさい」 唯「なんでりっちゃんは自殺なんかしようとしたの?」 澪「!」 さわ子「それは家族の方もわからないみたいね」 紬「あの、どうやって自殺しようとしたかっていうのは」 さわ子「歩道橋から飛び降りたって言ってたわ。幸い車には轢かれなかったみたいだけど」 唯「痛そう……」 澪「……私のせいだ」 紬「え?」 澪「私のせいなんだよ!律が飛び降りたのは!」 さわ子「どういうこと?」 澪「私が、私が律を……家に呼んじゃったから、それで、うわああああ」 紬「澪ちゃん、無理にしゃべらなくていいから、ね?」 唯「どうしたんだろう……」 澪「うう……律」 紬「そろそろ車が来るころだから、みんな出ましょう」 唯「さわちゃん先生も来るよね?」 さわ子「ごめんなさい。私はこのことで職員会議やらいろいろやることがあるから」 唯「そんなあ」 さわ子「行ってらっい。音楽室の戸締りはしといてあげるから」 紬「ありがとうございます。さ、澪ちゃん行こう?」 澪「うん……」 病院 唯「ここの病室だよね……」 紬「唯ちゃん、静かにね」 澪「律……!」 ガラガラガラ… 聡「澪さん!?」 澪「聡……久しぶりだな。親は?」 聡「先生の話を聞きにいってるよ」 澪「そうか。律は……」 律「…………」 聡「まだ目を覚ましてくれない……」 … 唯「りっちゃん。来たよー」 律「…………」 紬「りっちゃんの分のケーキ、持って来たわよ?」 律「…………」 澪「律。ごめん、私のせいで……」 律「…………」 澪「りつう……」 律「…………」 次の日 放課後 さわ子「そう……容体は安定してるのね」 紬「はい、でもずっと目を覚ましてくれないんです」 唯「私たちも家族の人も、面会時間ぎりぎりまでずっと声をかけてたんだけど……」 澪「……もう行っていいですか?今日の昼は家族の方が来れないから私たちが律を見てやるって約束したんです」 さわ子「ちょっと待って。みんなに少しやってほしいことがあるの」 澪「なんですか?」 さわ子「よくあるじゃない?意識不明の人に、愛する人の声が届いて目が覚めるっていう話」 唯「だから今日も声かけに行くんだよ」 さわ子「あなたたちは軽音部でしょ?声よりもいい音があるじゃない」 ……………………… 律「ここはどこだろう」 律「私は何をやってるんだろう」 律「なんだろうな……体が軽い。ふわふわする」 律「あ、思い出した。私飛び降りたんだっけ」 律「じゃあここはあの世かあ」 律「澪にあんなひどいことしちゃったんだから、当然の報いだよな」 律「澪は優しいから許してくれるんだろうけど、私が生きてたらまた同じことするかもしれないし……ほかの皆にも……」 律「しかしいつまでここでふわふわしれればいいんだあ? 迎えの天使とか、三途の川の渡し船とか来ないのか?」 … 『りつ!』 『りっちゃーん!』 『りっちゃん!』 なんだあ?この声は澪と唯とムギだよな モワモワモワ 唯『りっちゃんおいっす!』 唯?何しに来たんだお前 唯『アイス食べたい』 モワモワオワ 本当に何しに来たんだよ…… ああこれはあれか。死ぬ間際に思い出をたどるっていう……走馬灯だっけ? なんかそんな感じだな あれでも走馬灯って死んだ後じゃなくて死ぬ寸前に見るんじゃなかったっけ? まあいいか。せっかくだし楽しもう モワモワモワ 紬『ごきげんよう』 おお、今度はムギか 紬『りっちゃん、ケーキはいかがかしら?』 おお。ムギのケーキおいしいんだよなあ。くれよ モワモワモワ 唯『りっちゃんが食べないなら私がもらっちゃうよー』 また来たのかよ。っていうか私が食べるって言ってるだろ 紬『唯ちゃん、あとであげるね』 唯『わーい』 モワモワモワ おいちょっと待ってよ。食べるって言ってるじゃん。 私のケーキ! モワモワモワ 澪『律』 おお、澪か。ごめんな。澪には謝っても謝りきれないよ。 澪『ごめん』 いやなんでお前が謝ってるんだよ。悪いのは私だって 澪『お願いだから謝らせてくれ』 私が悪いって言ってるのに。強情だな澪は 澪『いくらでもお尻撫でていいから!』ペロン うひょお!澪のお尻! 澪『ほら!』 っていうか死んでまでお尻に興奮する私って。でも幻影だからいいか。 触っちゃえ!ほれ 澪『きゃあ!』 モワモワモワ ええー!?このタイミングで消えちゃうの?しかもきゃあって。ショックなんだけど。 5
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前半から 生きてて良かった。そんな朝を迎えたのは人生で二度目である。 「おはよう、よく眠れたか?」 ……………眠ったと言うより気絶したのだから爽快感はまるでない。ただ足の方は殆ど治っているようだ。 逆に首が激しく痛み頬が信じられないくらい腫れている。 「うう、もうやだ」 こんな状態で顔なんて洗いたくないがどうも眠気だけが異常に残っている。 仕方なく僕は洗面所がある部屋へと向かうために隣の部屋に繋がる襖を開けた。 「すー……すー……」 あれだけ騒がしく大量にいたゆっくりも今ではたったの三体しか残っておらずその三体とも静かに眠っていた。ちなみにそのうちの一つはえーりんだ。 「残りの二つは同じゆっくりか……」 とりあえずそんな事をよそにし、出来るだけ起こさないように僕はその部屋を通り洗面所に行った。 「ゆっくりかおをあらっていってね!」 桶の中にゆっくりにとりときすめが一匹づつ。きすめは桶とセットと考えるとしてにとりは何なのだろう。 そう言えばゆっくりにとりのモデル、河童の河城にとりは「水を操る程度の能力」ときいたが 元々河童は大工の人形から成ったと言うし「物を作る程度の能力」の方が相応しいと思うんだ。 他にも水の妖怪は多といるのにメジャーなだけで水を全て掌握出来ると思うなよ。 「はやくあらってね!」 とそんな取り留めのないことを考えているうちにゆっくりにとりは僕の顔に水をぶっかけてきた。 冷たいがやっぱり染みて痛い。そしてその水を拭き取る時が一番痛かった。 「ああ、散々だ」 永琳さんが僕を嫌っていないという事は分かった。 だから恐れる心配もないことも理解した。あの瞳に敵意は、ない。 でも。 でも。 ほんのちょっと怖い。 「…………………ああもう!何で僕はこうもうじうじしてるんだよ!!」 知ったのに、理解したのに、最後の一歩だけがいま踏み出すことが出来ない。 僕はこんな自分に苛立ちを感じながら無駄に足音を立て先輩がいる部屋へと戻ってきた。 「おお、いつになく荒れてるな。どうした?」 「………………」 先輩の威圧という物だろう、自分の不甲斐なさに対して苛立ち、その怒りは忘れることがないだろうと思っていたが 先輩の前に立っただけであっと言う間に怒りは削がれそのまま萎縮してしまった。 「全く、足音バンバンさせてゆっくり達が起きたらどうするんだ」 もし先輩がまだ僕が迷っていることを知ったら恐らくまた殴るだろう。 例えそれで万事解決出来てもつい昨日殴られた身だ。同じ所殴られたらショックによる心不全で死ぬ可能性もありうる。 とりあえず僕は自らの保身を最優先にし、その萎縮した状態で腰を落ち着けた。 「……………………」 「………………………」 今、先輩に自分がまだ迷っていることを悟られたら人生の終わりだ。 沈黙を保て、表情を見せるな、迷いを振り切ったような態度を見せろ。 それが未来の自分に出来る最大限の贈り物だろう。 「……………………まぁ一回殴っただけ全て吹っ切れるなんて思ってないさ」 なにこのひと、こわい。すっかりばれちゃってる。 「や、やめてください。殴らないで」 「いや、別にお前を改心させようとして殴った訳じゃないんだけどな」 その言葉、逆に考えると何時何処状況にもかかわらず殴るという意味にも解釈できる。 昨日の殴った理由が訳分からない上に八つ当たりですらないこともその解釈を後押ししている様にも思えた。 「しかし恋か。まさかお前がそんなのに堕ちるなんてな」 とりあえず先輩はこれ以上殴る意思はないと言ってそのまま他愛ない雑談をし始める。 とりあえず命の危機は去ったようだ。時々僕はどんな妖怪よりも先輩の方が恐ろしいと感じる。 「で、あの薬師のどういうところに惚れたんだ?熟女マニア?」 「ち、違う。と言うか熟女って殺される」 いや、そんな事で怒る人じゃ……無いはずだ。こんな下らないことで怒るのはあのマヨヒガスキマぐらいだろう。 「まぁあの大人びた所と冷静なところ、それと時々見せる母性溢れる笑顔が溜まらなく好きで 何回かお世話になったし僕のこと心配してくれたし、それとそれと……」 「…………じゃあ何で会うの厭がってたんだ?」 なんでだろうな。僕は莫迦だったとしか言いようがないだけかもしれない。 けどここまで来ると心の奥底まで引き出されてしまう気がする。とりあえず流れを変えるため僕も先輩に尋ねてみた。 「じゃあ先輩は恋とかしたことあるんですか?」 「うんにゃ?ないな、そう言うこと。僕のお眼鏡にかなう奴がいないし」 眼鏡はかけてないがな、と先輩は笑いながら話す。 「はは、いるじゃないですか、警察の旦那とか。幼なじみでしたっけ?」 「…………………………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………………………………………… ……………………………………………………………………………………………………………」 ………‥え?なに、この沈黙。そして冷たい視線。 普段なら、何莫迦なこと言ってるんだ陰鬱メガネ、と詰りに詰られるところだが 先輩はそれを言葉に出さないで沈黙でその意思を最大限に表現している。無音だからこその恐怖だ。 「………………せ、先輩?」 「………………………………」 ああ、沈黙の恐怖。調子に乗って話題なんか振らなければ良かった!!! 「このぐうたらをつれてきたのは誰だぁ!!!」 と唐突に襖が開きゆっくりえーりんが何かを抱えてこの沈黙で冷淡とした空気をぶち壊しながら部屋へと入ってきた。 これほどえーりんが永琳さんのように輝いて見えた日はない。形相は日本一のツンデレだが。 「ちょいやっ!」 そしてえーりんはその銀髪で抱えていた物を思いっきり投げ飛ばす。それは投げられた勢いで壁や天井を跳ね回りそして先輩の前でようやくその勢いが収まった。 「ぐぅ………zzz」 「なんだ、ゆっくりてるよか」 「…………あら」 えーりんは先ほどまでの覇気は何処やらそのままその銀髪で恥ずかしそうに顔を隠す。 で、天井と床を何往復したはずのゆっくりてるよはというと何の反応もせずただ寝息をすやすやと立てていた。 「すみません、何故だかしりませんがこういうぐうたらをみてるとつい興奮して……」 「ふうん。」 先輩は楽しそうにその目の前のゆっくりてるよをころころと転がしながらまったりくつろいでいる。 そんな事されてもゆっくりてるよは動かないし起きもしない。竹林に住む風太郎姫のゆっくりである。 「…………あれ?それじゃ何でこんな所にいるのかしら」 まず頭を傾げたのはゆっくりえーりん。ぐうたら至上主義のゆっくりてるよが主な住処である竹林から夜雀が多発するこの付近へと 自発的に来ることなどあるはずがないと考えているのだろう。僕だってそう思っている。 「ああ、僕が連れてきた」 でも予想はついてた。と言うかこの先輩を前にしてこれ以外の理由があるだろうか、多分無い。 「じゃあもう一つのゆっくりてるよも先輩が?」 「まぁな、そっちも暇そうにしてたから」 「……………………ちょっとみてみます」 そう言ってえーりんは襖を開け隣の部屋に戻っていく。またはたらけとか言って投げつけるんだろうなぁと思いつつ僕はてるよの頭を撫でる。 どれだけ撫でても動かないし起きもしない。けどその寝顔は僕に一時の安らぎを与えてくれるのであった。 ……………ぜ、絶対に惚れたりしないからな。僕は永琳さん一筋だ、振られたけど。 「……………………えーりん、どこ?」 ふと、隣の部屋からそんな微かで弱々しい声が聞こえた。 あまりにも弱々しくて本当に聞こえたかどうか判断に困るところだったが先輩はそんな事を迷う様子もなくその声に返事を送った。 「………………………………えーりんならそっちにいるじゃないか」 「ううう……………」 「……すみませんお二方。ちょっとこっちにきてくれませんか?」 「?ああ、わかった」 とりあえず呼ばれるままに僕と先輩は隣の部屋へと赴く。 そこで聞こえてきたのは微かで弱々しい泣き声と僕が知る母のような優しく包み込んでくれそうな声。 もう一つのてるよをなだめるえーりんの姿は、完全に僕が夢見た永琳さんと重なった。 「……えーりん、えーりん………」 「なかないで、なかないで」 「………………えっと、あっちにいるのとずいぶんと対応が違うなぁ」 この光景を見て第一に出た言葉がそれか、と自分を自分で責めたくなる様な空気の読めない台詞である。 けど僕にとってこの光景は眩しすぎるのだ。まるで僕がいてはいけないような感情に襲われる。 「あんなぐうたらと一緒にしないで」 「えーりん……えーりん……」 えーりんの言う通り、いまえーりんが慰めているてるよは隣の部屋にいるてるよと比べて何処か感情味が溢れている。 まぁ「あれ」と比べたらどの個体でも同じ事が言えるのだけれど。 「………あいたいよ、えーりん」 「?えーりんならそこにいるじゃないか、ナス顔の」 「ちがうのよ、私じゃなくて別のえーりん」 永琳さんは唯一無二の存在だがゆっくりであるゆっくりえーりんはれいむやまりさほどではないが沢山存在する。 前に永遠亭へお邪魔した時道中でうどんげやてゐ、てるよと一緒にいるのを結構よく見かけたことがあった。 普通のゆっくりえーりんや身体が箱で覆われているえーりん、もちろんナス顔になっているえーりんもよく見かけたものである。 「どうやらつれてこられてそのままあそんでいたけれど、きづいたら誰もいなくてかえれなくなった。ということらしいわ」 「うええええええん、かえりたいよぉぉぉ」 泣きじゃくるてるよを一生懸命なだめようとしてえーりんは先ほどから何回も銀髪でその頭を撫でているがてるよはいつまでも泣き続けている。 流石のえーりんも困り果てていると先輩が一歩前に出てこういった。 「………………おい、そこのてるよ」 「…………ふぇ……なに?」 「そこのお兄さんがお家まで連れて行ってくれるらしいぞ、よかったな!!!!」 満面の笑顔で、先輩は僕の意思を全く無視し、僕の姿さえ見ようともしないで、そうてるよに言い放った。 「え、えええええええええええええ!!!!!!!」 「なんだよ、どうせ道中だろ。ついでだと思ってさ」 「いや、連れてきたの先輩でしょ!!先輩が送って行けばいいじゃないですか!!」 「僕はこれから妖怪退治しなくちゃいけないんだよ」 先輩が言うように確かにこれは「ついで」と言えるような用件であり、断っている僕はまるで単なるチキンでヘタレで極度の根性無しのような印象を与える。 ただ考えてみて下さい。ゆっくりてるよは例えこのように感情的でもあまり動かない性質があります。 そしてボールみたいに軽いと思われるゆっくりですが、これが意外と重いのです。 当然でしょう、中身が詰まっているのですから。時々浮いているような個体がいますがそんな都合の良い展開はないでしょう。 最後に、あの迷いの竹林でどうやって元いた場所に返すんだよ!!!こんにゃろうめ!!!! あそこは下手したら一日、いや二日は迷う所なんですよ!それを治りかけのこの足で重装備で彷徨いていたらどうなるか!!! 「軽蔑してもいいですか?」 あ、やめて。永琳さんと同じ瞳で冷ややかにこっちを睨みつけないで下さい。 「…………でもその言い分も仕方ないことね、わかりました。竹林についたらわたしがこのかぐやさまを家までおつれします」 「え?いいのか?」 「ええ、確かに貴方はなおりかけ、そんな人を無理にあるかせるようなこと医学に籍をおく私はするべきではないわ」 今、僕は迷っている。えーりんが言っている方法は合理的でなおかつ献身的であり、否定する要素はない事は承知している。 だが小心者故の性か、このような仕方ないというように譲歩されると物凄く後気味が悪くなるのだ。 良心の呵責による重圧。あまりにも効果的なのでもしかしたら故意的にこれを狙ったかのではないかと疑いたくなるが流石に身内を疑うのは良くない。 本人が言うようにえーりんは薬剤師。それに僕の身を案じてくれるだけでもそれだけ嬉しい事じゃないか。 しかしなんでえーりんはさっきからチラチラこっちを見てるのだろう。 「………………ええと、その。」 「えーりん、えーりん……」 その重圧に拍車をかけるようにてるよが弱々しくそんな声を上げる。 傍目から、第三者的、客観的に見るとなんの変哲もない光景だがこれは婉曲的なイジメです。 何で永遠亭に行くまでにこんな心労ばっか溜め込むことになるのだろうか。ほとんどの原因は自分にあると言っても。 「…………早く決めろよ」 とうとう先輩が痺れを切らし始めた。殴られる前に決断しよう。 「……………僕もそのてるよ連れてくよ」 「……………いいんですか?」 何回も迷った末の決断だ。悪く言えば重圧に耐えられなかっただけである。 「………礼をいわせてもらいます」 ほんの少し黒い笑みが見えたがえーりんはそう深々と僕に対して頭と言う名の身体を下げる。 永琳さんと同じ顔で顔を下げて貰いたくなかったがそれを完全に否定するほど僕は小っちゃくない。 むしろ同居人としてのゆっくりえーりんにお礼を言われたことなんてあまり無かったからほんの少し嬉しかった。 「じゃあそろそろ行かせてもらいます。ありがとうございました。先輩」 僕は隣の部屋に置いてあった自分の荷物を取りに行き(その際ぐうたらのてるよを踏んでしまったが何の反応もしないまま寝続けていた。) 頭の上にえーりんを載せたあとてるよに手を差し伸べた。 「………うん」 そうしててるよは精一杯のジャンプをして僕の腕の中へと飛び込んでいった。 「………………うぎゃあああ!!!」 「!!!!?どうしたの?」 「お、重い!!!」 その質量はまるで鉛の如し。腕を伸ばしながらてるよの顎を十本の指で引っかけるのが精一杯である。 「ひ、ひどいわね!!」 今まで弱々しかったてるよもこの時ばかりは流石に激昂した。だがこの重さは最早乙女とか少女のプライドとか言うレベルではない!!! 「…………ちょっとみせて」 この重さでは頭の上にいるえーりんに見せることは出来ないので僕はてるよをその場にゆっくり置きえーりんをてるよの前に降ろした。 「……………………すいません、かぐやさま」 「?」 えーりんは神妙な顔をしたかと思うとその銀髪をてるよの口の中に突っ込んだ。 「……………漫画774冊、CD45枚、DVD66枚、蒼式デスクトップ型パソコン3台、ノートパソコン2台、うまい棒1064本!」 それはもしかしててるよの中にある所持品の一覧なのか。重くないという方がおかしい話である……… 「……………せんぱい」 「重いのか?」 超人万歳。 「こまりましたね、これでは折角の案が……かぐやさま、それらをここにおいていっては……」 「いやだぁ!えーりん!たすけてえーりん!」 てるよはまた泣き始めるが先ほどまでの涙と違って今回は同情する余地がない。 結局僕とえーりんは困惑してしまいこの泣いてるてるよをただ見てることしかできなくなった。 「…………………」 そして、先輩は今泣いてるてるよを見て苛立っているのだろうか歯軋りをしている。 「や、やめてください。わがままをいって皆をこまらせてますがかぐや様をなぐるのだけは……」 えーりんが先輩を宥めようとしているがそんな物無駄に決まっている。 「…………………わるいこはいねぇか」 先輩は一歩、一歩ずつ拳を固めててるよに近づいていく。もう誰も止められない。 とそんな中玄関の方から戸を叩く音が聞こえた。 「………………おい、陰鬱メガネ。お前が行ってこい」 「ぼ、僕がですか?」 「ああん?」 あ、こりゃ行かなきゃやばい。僕は荷物を降ろすのを忘れたまま玄関へと向かっていった。 外界へと繋がる扉を叩く音が間近に聞こえ僕はそんな音を排除するかのようにその扉を開ける。 その瞬間、全ての音が僕の世界から排除された。 「え、え、え、え、え、え、え、え、え、え、え、え、え」 「お久しぶりね」 焦げ茶色の帽子を被り、目全体を隠すようなサングラスをかけ、赤と蒼で配色されたロングコートを羽織ったその女性は銀色の髪を携えて僕の目の前に現れた。 「永琳さんッッ…………」 「ずいぶん元気になったみたいね、それでもまだ万全というわけにはいかなそうだけど」 ま、まだ最後の覚悟が決まっていないというのにこうして僕は永琳さんと向き合ってしまった。 もう恐れはないはずだ、焦りだけが今の僕の心を支配していく。 「…………でも急がなくては。失礼するわよ」 そう言って永琳さんはそのままずいずいと家の中へと入っていく。焦っている上に呆然としていたのでみすみす通してしまったが もしそうでなかったとしても僕に止められるだけの度胸はなかった。 「ここにゆっくりかぐや様はいないかしら?」 そして永琳さんは堂々とそう言いながら先輩達がいる部屋へと入っていった。 「……………え?」 今まで先輩を抑えてくれていたのだろうか、ゆっくりえーりんは先輩とてるよの間に挟まって冷たい視線を先輩に送っている。 だがその瞳も永琳さんが入ってきたことであっと言う間に丸くなりこちらに視線を移していた。 そして動く事に消極的なてるよでさえも永琳さんを見てぴょんぴょんとアグレッシブに跳ね始める。 「!!えーりん!えーりん!!」 「……………なんだ、あんたか」 「お久しぶりね」 先輩はゆっくりえーりんに向けていた顔を今度は永琳さんに向ける。 永琳さんはそんな先輩の気迫に動じる様子もなく帽子を取り先輩に対して一礼した。 「さ、ゆっくりかぐや様。帰りましょう」 「うええええん!!えーーーりん!!!!」 このゆっくりてるよの言っていたえーりんとはゆっくりえーりんの事ではなく本物の永琳さんの事であったのだろう。 てるよはのろのろとゆっくり這いながら永琳さんの足元まで近づきそのまま頬をすり寄せている。 その健気な姿を見て永琳さんもサングラスで瞳は見えないけれど口元は美しく微笑んでいた。 「…………………」 「全く。お、戻ってきてたのか」 自分で行かせておいて酷い言い様だ。でも怒りが収まっている分まだ良かった方なのかもしれない。 僕は溜息を一つついてそのままそこのへたり込んだ。 「………………ちょっと失礼するわよ」 ゆっくりえーりんがそんな事言って僕の足の上に乗ったようだけど僕はそれすら気にならないほどに永琳さんを見つめている。 振られても憧れの人。再び会って分かったことだが、僕はやっぱり永琳さんが好きだ。 「……それでは、ふふ」 そして永琳さんはそのてるよを連れて早々とこの部屋から立ち去ろうとしている。 もう行っちゃうのか。そう思いながら僕は永琳さんを目で追う。 折角好きな人と出会えたのだからもっと話をすれば良かったな。いや、話なんかしなくてもこの目に映してるだけでも僕は満足だ。 ただ………本当に僕の事嫌いじゃないのかなとまだ思い続けている。再び疑うとまた余計に少し怖くなっていく。 僕は、僕は、それが、聞きたい。 「あの……」 「?なにかしら」 振り向いてくれるだけで、見つめてくれるだけでも少し怖い。でも、今が最後の一歩を踏み出す時なのかもしれない。 僕は立ち上がりそのまま永琳さんに向けて一歩を踏み出した。 「そ、そのっ!ええと……ぼ、ぼくのっぼくのっ………うううううう」 ……………どうしても声を出す決断が出来ない。 そんなしどろもどろになっている僕を見て永琳さんは微かに微笑んだ。 「ふふ、お似合いね。二人とも」 「…………………む」 無意識にゆっくりえーりんを抱えてしまっていてそのことを話題にされてしまった。 この流れでは何とも話を切り出しにくい。 「それで?僕の……なに?」 ちょっと後悔してしまったが永琳さんはそんな僕の心情を汲み取るように僕の言葉を拾い上げてくれた。 「そ、そのっええと、ぼくのっ」 ああ、僕はなんて駄目な奴だ。腕の中にいるゆっくりえーりんも次第に目つきが悪くなっていく。 こんな不甲斐ない男と一緒に住むことになってゴメンな。でも、これが僕そのものなんだ。 「そ、そのっえ、え、え、え、えーりんっさんっに」 「もしかして、そのゆっくりえーりんを私に?」 …………………………………? 「許さナス!!!!」 そういきり立ち、腕の中にいたゆっくりえーりんは思いっきり永琳さんへと飛びついていく。 「げらぁ!!!!」 飛びついた瞬間永琳さんの身体から謎の声が響き渡る。 そのままえーりんはコート越しにその永琳さんの身体に噛みつきながら銀髪で永琳さんの顔を叩いていった。 「や、やめ、やめろ!」 ようやく言葉が出たがえーりんはそんな僕の言葉に耳を傾けようともしない。 僕は力尽くでも止めようと思ったがどうもこの動きそのものが不自然でありこのまま様子を見ていたいという気持ちが勝りその場で立ち往生してしまった。 「よくもたぶらかして!恥をしりなさい!!」 「ぶえええええええええええええええええん!!!!」 「や、やめるウサ。バランスが崩れるよ!」 「あ、あああああああああああああああああああああ!!!」 そして多くの声が重なりながら、永琳さんは、いや永琳さんの身体は不自然に崩れていった。 永琳さんが倒れた後、永琳さんが倒れているはずのそこには四つのナマモノの姿があった。 まずはゆっくりうどんげ、何故だか知らないけど大きな泣き声を上げながらへたり込んでいる。 そしてゆっくりてゐ、顰めっ面をしながら悪態をつき、不機嫌そうにうどんげをいびっている。 さらにもう二つは 「なにするのよ!このナス!」 「うるさいわね!このハコモノ!」 ナスこと僕の同居人ゆっくりえーりん。 ハコモノこと、僕の腕に収まるほどの箱から顔を出している永琳さん、いやゆっくりえーりんだ。 ナスえーりんは髪の毛を使い、ハコモノえーりんはその箱から伸びた身体に合わない長さの腕で互いにどつきあっていた。 「…………………」 恐らく、てゐとうどんげが肩車をしてその上にハコモノえーりんを載せる。それをコートで隠すことによって永琳さんに変装したのだろう。 普通なら瞬時にばれるようなものだが、そうならなかった原因はハコモノえーりんの顔がゆっくり顔でなく、永琳さんの顔そのものであったことであろう。 こんなそっくりでその上声、雰囲気まで同じだったらもう一見では間違えようがない。 でも 僕は絶対に間違えてはいけなかったのではないのだろうか。偽物と勘違いしたなんて、 僕は本当に彼女を 。 「何故貴方たちはこんなことしたの!?」 「かぐや様を取り戻すにはこれが一番だったのよ!では貴方は何故そんな怒っているの!?」 「……………………貴方たちに悪意はない。でも酷いことをした」 そしてまたえーりん同士の喧嘩が始まる。今この場にはこの喧嘩を止める者はいない。 先輩は唯々気怠そうにその喧嘩の様子を眺めているだけだし、てるよはその喧嘩を目の当たりにしながらおろおろと何もしていない。 僕は、動いてすらいない。この喧嘩を見ながら自分の考えを巡らせている。 「酷いこと!?一体何のこと!?」 「…………………………」 がむしゃらに喧嘩をしているえーりんを見て、もしかしてコイツは僕のために喧嘩しているのではないかと思う。 永琳さんを語った偽物に対し、僕を惑わせたことを怒っているのではないかと。 そんなこと、コイツが? 自意識過剰にも程がある。 「…………………」 じゃあ何で喧嘩し続けるんだ。このなすえーりんにとって永琳さんはそれほど崇高な存在だったというのか。 それ以外に理由なんてあるはずがない。この自意識過剰な考えを除いて。 「………………………あの人は、まよって、まよって、せっかくつよくなろうとしていたのにあなたはあの人をたぶらかしたのよ」 「…………………?」 「だから許さナス!」 そんな、そんなあまりにも優しくて甘いこと言いながらえーりんはただがむしゃらにその思いをぶつけていく。 …………………………………………… もう、いいんだ。 僕は今まで止めていた身体をゆっくりと動かし二人の間を腕で遮った。 「…………あなたは……」 「僕はいいんだよ、もう決めた。永遠亭に行って話を聞いてくるから、もうえーりんが怒る必要はないんだ」 こんな優しすぎて甘ったるい思いを受けて、僕の心はもうこれ以上ないくらい満足している。 だからもうこれからのその思いは自分自身に向けてくれ。 「…………………できるのですか?」 「……………やってみせるさ。だから喧嘩なんてするな」 これがこの小心者が見せる精一杯の意地だ。 そして僕の人生のピークはこの後、永遠亭において訪れるのだろう。これはそこへと踏み出す最後の一歩。 ありがとう、えーりん。 「………………回りくどい。」 先輩が呆れたようにそう呟いた。 本来なら前回の作品でやるべき事を延長しながらも果たすことが出来た。 そんな僕の被害者と言うべきハコモノえーりんに対して僕とナスえーりんはその頭を畳みに擦りつけていた。所謂土下座。心からの謝罪だ。 「えーりん、えーりん!」 「かぐやさま。ご無事で何よりです」 しかしこのハコモノ本当に永琳さんと顔が似ている。その箱から腕と脚と顔だけ出したような奇妙な風貌さえなければほぼ本物だろう。 「…………別に気にしてませんし、私たちはかぐや様を見つけただけでもう十分です。 それにかぐや様から世話になったと聞いてます。だから土下座なんて止めなさい」 「…………………分かりました」 「それでは失礼いたしました。」 「げらげらげら」 「結局ぐだぐだ、バカなの?死ぬの?まぁ結果オーライだけど」 「またね、なすのえーりん!」 そうしてゆっくり永遠亭グループはそのまま僕らに別れの言葉を言い、そのまま外へと帰って行く。 僕らも手を振り見送っていこうとしたが先輩はふと思い出したように家の奥へと入っていった。 「……?先輩?」 「おーい、おまえら!」 そう言って、先輩は瞬時に戻ってきて何かを抱えながらそのゆっくり永遠亭グループの下へと駆け寄る。 「コイツも連れてってやれよ、大事なかぐや姫なんだろ?」 「いるかぁこんなニート!!!!!」 叫びながらハコモノえーりんは先輩が抱えていた球体を奪い取り勢いよく投げつける。 運の悪いことにそれは勢いに任せ辺りを跳ね回り、そして最後に僕の頭部へとクリティカルヒットしていった。 「すぅ…………」 それはもう一つのニートてるよ。これだけの速度でぶつかっても起きたりしないなんて、流石としかいいようがない。 もちろん運の悪い僕はこんな物理運動に耐えられるわけが無くそのまま地面へと一直線に倒れていった。 殴られたところが余計に腫れていくのを感じた。本当に先輩はろくでもない。 そんなこんなで竹林の中。僕は顔に大きなガーゼを貼り付けながらえーりんと一緒にゆっくりとぼとぼ歩いている。 「……………な、えーりん。僕と一緒に住んでて嫌じゃないか?」 「嫌じゃないわよ、でも、それ以上かどうかはおしえない」 いつもの調子を取り戻し飄々と僕の言葉に受け答えをする。やっぱえーりんはこうでなくちゃ。 いくら僕の事を思ってくれていても甘ったるいのは少し苦手だ。 それでも僕はえーりんと一緒にいると嬉しい。伴侶、と言うわけではないけれど。 「…………決心はしたけど大丈夫かな」 「小心者、チキン、ブレザー」 「分かってるよ自分のこと。ていうかブレザーってなにさ」 「そんな貴方がまよう前に早くいきましょう。道にまよわないようにね。」 物理的にも、精神的にも、と言ってえーりんは静かに笑う。 僕もつられて笑い、僕らはいかにも楽しそうに永琳さんに会いに行くのであった。 月姫の床 終わり 後書き 昔考えた古いネタなんて使う物ではないとしみじみ思うこの一品。弔士君の言っていたことは正しかった。 この作品は『蓬莱の茄』の続編じゃなくて延長線みたいな物語です。 前回モデルがいるって書きましたけどもう確実に乖離しすぎていると自分でも思う。それはそれで悩みの種です。墓まで持ってくかもしれません。 この物語のせいで企画物に参加できなかったのは少し悔しいですがそれでも仕上げたつもりです。 酸いも甘いもあまり体験したことない自分がこういう物語を書くのはかなり難しいわけで。 えのちゃんも言っていたようにくどい表現ばっかしてるなぁと思っています。その上語彙が足りないので訳分からんことに。 でも書き終えて自分は嬉しいです!! というかゆっくりSSか?これ。 そんなこんなでこの物語の次回作は「魔梨沙の夏」誤字じゃないよ。うふふ。 ネタだけは無駄にある自分なので皆の期待に添えられたらな、と思ってます。それでは次の長編で。 短編の書けない鬱なす(仮)の人でした。 なんやかんやでこの話好きだな -- 名無しさん (2009-08-12 14 48 06) 名前 コメント
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注意点 ゆっくりエンザの人の『ゆっくりいじめ系2051 みんなの幸福まりさの不幸』からの設定を一部拝借しています 「4232132」 「…423、2132。次」 「3221121」 「…322、1121っと。次」 「3331212」 「…333、1212。次」 少し薄暗くて狭い空間に男二人が沢山のゆっくり達がつまった段ボールに座って作業をしている。 明るい照明と内装のゆっくりショップの店内から一枚壁を隔てた奧の部屋で男達は奇妙な数字を言い交わしていた。 厳密に言えば一方の男が数字を言い、それをもう一方の男が復唱しながら機械にその数字を打ち込んでいるようだった。 先に数字を言う側の男は次から次に段ボールからゆっくりを取り出しては数字をそらんじているようだ。 段ボールから出されたゆっくりは重なり合っていて狭苦しい場所から解放された喜びと独特の浮揚感に頬を綻ばしていたが男達は反応しない。 自分がとてもゆっくりできているのにどうしてゆっくりしないのかととすぐに機嫌を害していたようだが、 すぐさま隣の段ボールに移されまた狭苦しい環境に逆戻りしてあっという間に境遇を嘆いていた。 いちいち感情をころころ変えるゆっくり達に反応していてはこの仕事はやっていけないのだ。 もはや慣れた手つきの流れ作業で男はゆっくりを掴みだし、ある個別の数字を読み上げ、そして別の箱に移す。 客の少ない間にブリーダーから店側に卸されたゆっくり達の選別作業と情報登録を済まさなければならないこともあり、一連の作業は素早く行われていた。 「ふー、ようやく終わったか」 「お疲れ様。今回はちょっとハズレが多かったすね」 「もう今度からあのブリーダーへの発注は止めとこうな」 「当たりも[きれい好き]れいむと[物知り]まりさだけじゃなあ」 「野生でも野良でもそれくらいいるってーの。話にならん」 休憩がてら店の裏手で生まれたての赤ゆをつまみつつお茶を飲みながら愚痴りあう男達。 ゆっくりを見て数字をそらんじていた男は今回入荷したゆっくりのリストを渋い顔をしながら眺めていた。 飼いゆとしてはぎりぎりの水準のレベルであるゆっくり達ばかりでこれからどう販売していくかを考えると頭が痛かった。 男がそらんじた数字、それはゆっくり達のステータスをある基準で数値化したものだった。 数字はそれぞれ[人格Lv]、[身体能力Lv]、[しつけLv]、[耐水性Lv]、[歌唱技能Lv](まりさ種なら[渡水技能Lv]等)、[絶食耐性Lv]、[知能Lv]である この男はゆっくりを触ればそのゆっくりのステータスが分かる程度の能力を保有しているのだ。 ゆっくりがこの世に出てくるまではまったく意味をなさなかったその能力は今こうしてゆっくりの状況を把握するうえで大活躍している。 人語を話す癖にコミュニケーションはほとんどまともにとれない不思議生物に対して、 直感的にその様子を手に取るように分かるのは便利以外の何者でもない。 男達が行っていた選別作業は店に出すのもそうだが販売するゆっくりのデータベースを作る役割も兼ねていた。 それまでゆっくりを飼いたいと思う客に対して曖昧な販売基準と適当な価格設定だったものが、この男の手により確固たる販売形態へと生まれ変わったのだ。 客側からしてみてもそのゆっくりの性格やら特徴などはっきり分かるので安心して購入できるというものだ。 男は睨んでいたリストから顔を上げると隣の男に告げた。 「とりあえずステータス下位層のゆっくりは入り口正面のケージで投げ売りにしよう。 そうでもなきゃ加工所に持って行ったほうが早い」 男は今回は利益無視の特価での販売を決め込んだ。お得意様の一部には喜ばれるに違いない。 それが次回以降の利益に繋がればいいのだ。 「今回は実験は行わないんです?」隣の男は一応とばかりに尋ねる。 「特にしたいこともないし、今はうちのゆっくりで忙しいからな」 「そういやようやく生まれたんでしたっけ? ゆっくりてるよの子供が」 「ほんとようやくって感じだな。これがまた親に似て可愛いのよ」 その姿を思い浮かべるだけで男の表情は緩んでしまう。 「店のゆっくり共に見せたいぐらいの馬鹿顔になってますよ……」 「あいつらは正直駄ゆっくりだ。商品じゃなきゃ無視してるレベルだよ」隣の男の台詞に再び渋い表情に戻った。 「まったくその落差はひどいもんっすね。もちろんてるよの子供は店には出さないんですよね?」 「当たり前だ。相場の十倍積まれても手放す気はないぞ」 「十倍っててるよってだけで何十万クラスじゃないっすか……。俺なら売っちゃうなー」 「そもそもお前じゃ飼えないだろうが」 「まあそれもそうっすけど」 そう言う苦笑いする隣の男はさっさとゆっくりとお茶を胃に流し込んで店内に戻っていった。 これ以上話を続けていたら飼いゆっくり自慢を長々とされることを経験上理解していたからだ。 話相手もいなくなったゆっくりのステータスを手に取るように分かる男は、 家で待つ飼いゆっくりの様子を思い浮かべながら一人不気味ににやけていた。 そして最後に残った赤ゆを一口に飲み込んでは店に戻っていった。 やはり最後のゆっくりは格段の美味しさを誇った。 その男の稀有な能力は店でゆっくりを売るときはもちろん、家でゆっくりを飼うときも存分に役立っていた。 特にゆっくりてるよ相手にはこれでもかというほど役立つ能力である。 通常ゆっくりてるよは人に懐かない。 それは人間側に問題があるからだ。 てるよは他種のゆっくりと比較すると驚くほど言葉数が少ないことがわかる。 あのとげとげしく耳に触るほどの大声で喋らないどころか必要なことまで「めどい」の一言で飼い主に伝えないのだ。 お腹が減った。遊んで欲しい。お風呂に入りたい。あれがほしいこれがほしい……。 そんなてるよの要求に飼い主は応えないため、てるよが愛想を尽かし出て行ってしまう。 どんな人間でもまずそれを止める事は出来ない。 なぜなら満月の夜に月の明かりに照らされ壁や扉をすり抜けて野生へと戻ってしまうからだ。 そんなてるよですら男は手なずける事に成功した。 それもこの男が持つ能力のおかげである。そしてついには繁殖まで成功してしまったのだ。 男は定時に仕事を済ますと挨拶もそこそこに寄り道もせずに家に向かった。 あまりの可愛さに一時も飼いゆ達と離れたくないのだが働かないと暮らしていけないのも事実なのでやむなく離ればなれになっている。 その為仕事が終われば一目散に帰宅するのがここ最近の日課となっていた。 幸い男が勤める店から家までは歩いても10分と近距離にあるため仕事以外の時間はゆっくり達といることができた。 それでも家を離れる間は飼いゆっくり達だけとなり不安である。 家屋への野生ゆっくりの侵入は後を絶たないし、自宅のガラス窓のすべてを強化ガラスにまだし終えていないからだ。 そしてこの日男の不安は見事的中する事になる。 「ただいまー」 男が自宅に戻ると帰宅の挨拶をする。 いつもならここで飼いゆっくりの一匹であるちぇんが出てくるはずだが一向にその姿を見せない。 静まりかえった室内からくるどこか騒がしい物音を聞き分けると男は異変を感じ取った。 やられた、男がそう思ったのはリビングの窓が破られてガラスが四散しているのを発見したときだ。 荒らされた家具とある方向に向かって伸びている泥の跡をみて胸が締め付けられる。 急に跳ね上がる心拍数は男が大事にしている飼いゆ達の安否が気になったからだ。 外からの侵入者のことはこれっぽっちも気にも留めてなかった。 ひとまずあいつらが無事でいてくれたらそれだけでいい、男の心はそれだけでいっぱいだった。 男は侵入者の足跡を辿りながら、リビングから離れた位置にあるゆっくり達が普段くつろいでいる部屋に静かにその足を進めた。 下部にゆっくり用の入り口が開けられているドアのノブをゆっくり回すとそこには見慣れぬゆっくりがぞろぞろといた。 その部屋に男が入ってきた事に気が付かないでいて、部屋に鎮座している和風ゆっくりハウスDX(家族用)に向かって何やら叫んだり体当たりを繰り返している。 「ゆっくりしてないでこのいえからでていってね!!」 「「「でていってね!!」」」 ゆっくりハウスの前で大声を張っていたのは成体サイズのれいむとその子供と思われる子ゆっくりサイズのれいむ二匹とまりさ一匹だ。 そして男の飼いゆっくり達はどうやらあのハウスの中に逃げ込んでいるようだった。 それでもまだ本人達の姿を見るまでは安心できない。 男はれいむ一家を無視してゆっくりハウスの元に向かった。 「ゆゆっ!! おじさんどこからきたの? れいむたちのゆっくりぷれいすからでていってね」 「「でていってね!!」」 「まりさにあまあまちょうだいね!!」 男がゆっくりハウスの側に立ったとき、ようやくれいむ達は男の存在に気が付いたようだった。 それほどこのハウスに意識を集中させていたようだ。どうもこのゆっくりハウスにはゆっくり達を熱中させて止まない何かがあるらしい。 そんなれいむ達を完全に無視して男はゆっくりハウスの屋根を大胆にも取り外した。 その様子を見てハウスを壊されたと誤解してか、れいむ達はゆがーんと固まってしまった。 「てるよ、ちぇん無事か!?」 「わかるよー、みんなぶじなんだねー」 「それは良かった。ちゃんと言いつけは守ったんだな」 「みんなでここににげたんだよー」 突如開いた天井を不安そうに見上げていたてるよとちぇんは男の顔を見てホッとした表情を見せた。 それでもてるよとその側にいる子供達二匹は震えが止まらない様子だ。 「みんなには心配をかけてすまなかった。でももう大丈夫だからな」 「あんしんなんだねーわかるよー」 てるよも声には出さないが「よかった」と言っているようだ。 念のための確認で飼いゆ一匹一匹を持ち上げて状況を確認する。 「[腹ぺこ][いらいら]か、お腹が空いてるんだな。あとでゆっくりごはんにしような」 まずはてるよの基本的なステータスを確認した。満腹度の低下とストレスの上昇が見られるがあとはいつも通りくらいだ。 男は一応てるよの他のステータスを確認する。 「[令嬢][跳ねない][賢者][美肌][不感症][喋らない][常時睡眠][親愛]」無事普段のステータスだった。 もしゆっくりショップの誰かがこのステータスの羅列を聞いていたら卒倒するだろう。 [てるよ種]という稀少さに加えてこれだけ多くのプラスステータスが加わればとんでもない値段になるからだ。 「ちぇんも確認しておこう。おいで」そういって男はちぇんを目の前まで持ち上げる。 「[一般常識持ち][狩りが得意][偏差値50][タチ][四六時中大声][飾りは飾り][親愛]。ちぇんも問題なしだな」 「わかる、わかるよー」 ちぇんもてるよには劣るがそこそこのステータス持ちである。 好感度ステータスの[親愛]からは男の飼いゆへの溺愛っぷりが見て取れる。 一方その頃男の足下で固まっていたれいむ親子がようやくショックから立ち直り動き始めた。 「どうじでおいえこわじだのおおお」 「「ゆっぐりやべでね!!」 「ゆっぐりでぎないじじいはじね!!」 まったく野生のゆっくり共は一旦動き始めたら騒々しくて堪らない。 男は優しそうな表情から一転、虫でも見るような眼差しでれいむ達を見下ろした。 「なんだまだいたのか。さっさと出て行ってよ。ここは俺とてるよ達の家だからさ」 「なにいっでるの゛!? ごごはれいむ゛だぢのゆっぐりぶれいずっていっだでしょ!!」 「はぁ、あっそう」 男はれいむのあまりの野生のゆっくりっぷりに溜め息をつく。 こういうゆっくりは相手をするだけ無駄というのは重々承知しているのでそうそうに家から出て行って貰う事にする。 「今なら許してやるから出てけ」 そう言って親れいむを持ち上げて部屋の窓を開ける。 するとこの瞬間男の表情が歪む。 男の能力の面倒なところは別にその気は無くても触るだけでそのゆっくりのステータスが分かってしまうところだ。 自分でコントロール出来ないためれいむに触れた時点でれいむの状況がわかってしまう。 「もうほんと絶望的なステータスだな。[わがまま][のんびり屋][餡子脳][四六時中大声][飾りに傷][かすり傷]か」 このステータスのゆっくりではゆっくりショップに来たら間違いなく即加工所送りである。 別に知りたくもないれいむのステータスを知ってしまい男はますます気が滅入る。 「まったく、こんな駄ゆっくりは投げてしまいたいなあ!!」 「おじざんやべでね!! れいむをなげないでね!!」 「おかーさんずるい!!」 「れいむもれいむも」 足下では子れいむ達が母親が人間に遊んで貰っていると勘違いしてこれまたうるさい。 そして子まりさに至っては何故か男に怒っていた。 「ばでぃざをむしずるじじいはごうじでやる!!」そういって効果のない体当たりをかましてきた。 まりさが男の足に体当たりをするとまりさと男は触れたと同義であり、男はこれまた知りたくもないまりさのステータスを知らされる事になる。 「もう勘弁してくれよ。[ゲス][暴れん坊][餡子脳][四六時中大声]……、[他ゆの飾り]?」 なんだこれと男は一旦親れいむを床に置き子まりさを持ち上げる。すると今度は親れいむが男に体当たりをし始めた。 男はそれを無視してまりさのステータスを確認するとやはりおかしなステータスが一つ存在した。 「おいれいむ、このまりさはお前の子供か?」 「ぞうだよ!! ばでぃざをゆっくりおろじでね!!」 親れいむはこのまりさを自分の子供だと言った。だが飾りステータスが[他ゆの飾り]なのだ。 「おいまりさ、この帽子どうした」 男はつまみ上げていたまりさのその帽子を指さしながら言った。 すると男の手の中で暴れていたまりさはあからさまにギクッと驚いてみせた。 「し、しらないんだぜ。まりさはなにもしてないぜ」 まりさは急に態度を変え大人しくなった。それは誰がどうみてもまりさは嘘をついている姿に他ならない。 野生種ならではの狡猾さが見て取れ、男は頭を抱えながらさらにまりさに問うた。 「なら質問を変えよう。お前の前の帽子はどうして無くなった?」 「おねーちゃんのありすとあそんでいるときえださんにひっかかってぼろぼろになったんだぜ。どうしてじじいはなくなったことしってるんだぜ?」 まりさは帽子を無くしてしまったのをなぜ男が知っているのか心底疑問に感じたようだが、それを男は無視して続けた。 「そしたらまりさ、どうしてその帽子が新品なんだ?」 「ゆゆっ、それは……」 子まりさが返答に困ったとき男が思いついた事実であろう推測をこのまりさにぶつけてみる。 「それは本当の持ち主から奪ったんだろ」 「ゆ゛ゆ゛っ、どういうことなのまりさ!!」 「ち、ちがうんだぜ。でたらめだぜ」 「お前はいつからそこのれいむの子まりさとすり替わったんだよ」 「おじざんっ、まりざはまりざじゃないの!?」 「ああ、お前達は気付いていなかったようだが中身が変わってるよ」 「ゆがーん」 「「まりざおねーちゃんはどこいっだの!!」」 れいむ達の衝撃は大きい。いつの間にか自分達の家族であったまりさが中身が変わっていたのだ。 それに気が付かず生活をしていた自分達もそうだが、のうのうと暮らしていた知らないまりさにもショックを受けた。 子れいむの一匹はあまりの出来事に餡子を嘔吐して痙攣しはじめた。 「大方元の持ち主のまりさを殺して奪ったんだろお前のステータスをみりゃ見当が付く。 それにありすおねーちゃんってお前の親はまりさとありすって言ってるのと同じだよな。 やっぱりこのれいむの子供じゃないんだろ」 「ゆがあああああ!! どぼじでぜんぶいっぢゃうのおおおおお!!」 「やっぱりしらないまりさっだったのおおお!! うちのまりさをがえじでええええ!!」 「れいむおねーちゃんしっかりしてええええ」 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 もはや阿鼻叫喚地獄絵図である。 これ以上叫ばれたり部屋を汚されるのは勘弁してほしいので四匹には窓から退場してもらった。 当然言っても聞かないので男が家の外へと放り投げる形ではあったが。 男が窓を閉め切る寸前には親れいむの罵声と餡子の飛び散る音がした。 ようやく一騒動が片付き、男は飼いゆっくり達に目を向ける。 警戒しながらハウスの扉を開けて、ちぇんが先導しながらてるよと子供達が部屋に出てきていた。 「しずかになったんだねー、わかるよー」 ゆっくりショップで購入できるゆっくりハウスの扉は、当たり前だが内から外に開く形になっている。 これは外から押しても扉は開かないことを意味し、頑丈な作りにしておけば頭の悪いゆっくりには一生開けられない屈強な壁となる。 この安心設計のハウスはとてもゆっくりできると巣を持たない飼いゆっくり達には好評で、 その中で寝るとストレスや体力の回復が早まる効果もあることを男は確認している。 「……おなかへった」 「そうだったな、さっそくご飯にしようリビングにおいで」 野生のゆっくりの侵入を許してしまい、そのせいでみんなのご飯の時間が遅れてしまった。 男本人も空腹を覚えていたため、てるよとその子供達を両手に抱えてゆっくりの為の部屋をあとにした。 あとがき どうもゆっくりっち製作者です。 ゲーム内の人間はこんな能力を持っているのよって訳でSSを書いてみました。 べ、別にゲーム製作に行き詰まったとかじゃないんだからね!! 最後になりましたが勝手にSS内の設定を拝借してしまって、ゆっくりエンザの方すいません。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/3029.html
注意点 ゆっくりエンザの人の『ゆっくりいじめ系2051 みんなの幸福まりさの不幸?』からの設定を一部拝借しています 「4232132」 「…423、2132。次」 「3221121」 「…322、1121っと。次」 「3331212」 「…333、1212。次」 少し薄暗くて狭い空間に男二人が沢山のゆっくり達がつまった段ボールに座って作業をしている。 明るい照明と内装のゆっくりショップの店内から一枚壁を隔てた奧の部屋で男達は奇妙な数字を言い交わしていた。 厳密に言えば一方の男が数字を言い、それをもう一方の男が復唱しながら機械にその数字を打ち込んでいるようだった。 先に数字を言う側の男は次から次に段ボールからゆっくりを取り出しては数字をそらんじているようだ。 段ボールから出されたゆっくりは重なり合っていて狭苦しい場所から解放された喜びと独特の浮揚感に頬を綻ばしていたが男達は反応しない。 自分がとてもゆっくりできているのにどうしてゆっくりしないのかととすぐに機嫌を害していたようだが、 すぐさま隣の段ボールに移されまた狭苦しい環境に逆戻りしてあっという間に境遇を嘆いていた。 いちいち感情をころころ変えるゆっくり達に反応していてはこの仕事はやっていけないのだ。 もはや慣れた手つきの流れ作業で男はゆっくりを掴みだし、ある個別の数字を読み上げ、そして別の箱に移す。 客の少ない間にブリーダーから店側に卸されたゆっくり達の選別作業と情報登録を済まさなければならないこともあり、一連の作業は素早く行われていた。 「ふー、ようやく終わったか」 「お疲れ様。今回はちょっとハズレが多かったすね」 「もう今度からあのブリーダーへの発注は止めとこうな」 「当たりも[きれい好き]れいむと[物知り]まりさだけじゃなあ」 「野生でも野良でもそれくらいいるってーの。話にならん」 休憩がてら店の裏手で生まれたての赤ゆをつまみつつお茶を飲みながら愚痴りあう男達。 ゆっくりを見て数字をそらんじていた男は今回入荷したゆっくりのリストを渋い顔をしながら眺めていた。 飼いゆとしてはぎりぎりの水準のレベルであるゆっくり達ばかりでこれからどう販売していくかを考えると頭が痛かった。 男がそらんじた数字、それはゆっくり達のステータスをある基準で数値化したものだった。 数字はそれぞれ[人格Lv]、[身体能力Lv]、[しつけLv]、[耐水性Lv]、[歌唱技能Lv](まりさ種なら[渡水技能Lv]等)、[絶食耐性Lv]、[知能Lv]である この男はゆっくりを触ればそのゆっくりのステータスが分かる程度の能力を保有しているのだ。 ゆっくりがこの世に出てくるまではまったく意味をなさなかったその能力は今こうしてゆっくりの状況を把握するうえで大活躍している。 人語を話す癖にコミュニケーションはほとんどまともにとれない不思議生物に対して、 直感的にその様子を手に取るように分かるのは便利以外の何者でもない。 男達が行っていた選別作業は店に出すのもそうだが販売するゆっくりのデータベースを作る役割も兼ねていた。 それまでゆっくりを飼いたいと思う客に対して曖昧な販売基準と適当な価格設定だったものが、この男の手により確固たる販売形態へと生まれ変わったのだ。 客側からしてみてもそのゆっくりの性格やら特徴などはっきり分かるので安心して購入できるというものだ。 男は睨んでいたリストから顔を上げると隣の男に告げた。 「とりあえずステータス下位層のゆっくりは入り口正面のケージで投げ売りにしよう。 そうでもなきゃ加工所に持って行ったほうが早い」 男は今回は利益無視の特価での販売を決め込んだ。お得意様の一部には喜ばれるに違いない。 それが次回以降の利益に繋がればいいのだ。 「今回は実験は行わないんです?」隣の男は一応とばかりに尋ねる。 「特にしたいこともないし、今はうちのゆっくりで忙しいからな」 「そういやようやく生まれたんでしたっけ? ゆっくりてるよの子供が」 「ほんとようやくって感じだな。これがまた親に似て可愛いのよ」 その姿を思い浮かべるだけで男の表情は緩んでしまう。 「店のゆっくり共に見せたいぐらいの馬鹿顔になってますよ……」 「あいつらは正直駄ゆっくりだ。商品じゃなきゃ無視してるレベルだよ」隣の男の台詞に再び渋い表情に戻った。 「まったくその落差はひどいもんっすね。もちろんてるよの子供は店には出さないんですよね?」 「当たり前だ。相場の十倍積まれても手放す気はないぞ」 「十倍っててるよってだけで何十万クラスじゃないっすか……。俺なら売っちゃうなー」 「そもそもお前じゃ飼えないだろうが」 「まあそれもそうっすけど」 そう言う苦笑いする隣の男はさっさとゆっくりとお茶を胃に流し込んで店内に戻っていった。 これ以上話を続けていたら飼いゆっくり自慢を長々とされることを経験上理解していたからだ。 話相手もいなくなったゆっくりのステータスを手に取るように分かる男は、 家で待つ飼いゆっくりの様子を思い浮かべながら一人不気味ににやけていた。 そして最後に残った赤ゆを一口に飲み込んでは店に戻っていった。 やはり最後のゆっくりは格段の美味しさを誇った。 その男の稀有な能力は店でゆっくりを売るときはもちろん、家でゆっくりを飼うときも存分に役立っていた。 特にゆっくりてるよ相手にはこれでもかというほど役立つ能力である。 通常ゆっくりてるよは人に懐かない。 それは人間側に問題があるからだ。 てるよは他種のゆっくりと比較すると驚くほど言葉数が少ないことがわかる。 あのとげとげしく耳に触るほどの大声で喋らないどころか必要なことまで「めどい」の一言で飼い主に伝えないのだ。 お腹が減った。遊んで欲しい。お風呂に入りたい。あれがほしいこれがほしい……。 そんなてるよの要求に飼い主は応えないため、てるよが愛想を尽かし出て行ってしまう。 どんな人間でもまずそれを止める事は出来ない。 なぜなら満月の夜に月の明かりに照らされ壁や扉をすり抜けて野生へと戻ってしまうからだ。 そんなてるよですら男は手なずける事に成功した。 それもこの男が持つ能力のおかげである。そしてついには繁殖まで成功してしまったのだ。 男は定時に仕事を済ますと挨拶もそこそこに寄り道もせずに家に向かった。 あまりの可愛さに一時も飼いゆ達と離れたくないのだが働かないと暮らしていけないのも事実なのでやむなく離ればなれになっている。 その為仕事が終われば一目散に帰宅するのがここ最近の日課となっていた。 幸い男が勤める店から家までは歩いても10分と近距離にあるため仕事以外の時間はゆっくり達といることができた。 それでも家を離れる間は飼いゆっくり達だけとなり不安である。 家屋への野生ゆっくりの侵入は後を絶たないし、自宅のガラス窓のすべてを強化ガラスにまだし終えていないからだ。 そしてこの日男の不安は見事的中する事になる。 「ただいまー」 男が自宅に戻ると帰宅の挨拶をする。 いつもならここで飼いゆっくりの一匹であるちぇんが出てくるはずだが一向にその姿を見せない。 静まりかえった室内からくるどこか騒がしい物音を聞き分けると男は異変を感じ取った。 やられた、男がそう思ったのはリビングの窓が破られてガラスが四散しているのを発見したときだ。 荒らされた家具とある方向に向かって伸びている泥の跡をみて胸が締め付けられる。 急に跳ね上がる心拍数は男が大事にしている飼いゆ達の安否が気になったからだ。 外からの侵入者のことはこれっぽっちも気にも留めてなかった。 ひとまずあいつらが無事でいてくれたらそれだけでいい、男の心はそれだけでいっぱいだった。 男は侵入者の足跡を辿りながら、リビングから離れた位置にあるゆっくり達が普段くつろいでいる部屋に静かにその足を進めた。 下部にゆっくり用の入り口が開けられているドアのノブをゆっくり回すとそこには見慣れぬゆっくりがぞろぞろといた。 その部屋に男が入ってきた事に気が付かないでいて、部屋に鎮座している和風ゆっくりハウスDX(家族用)に向かって何やら叫んだり体当たりを繰り返している。 「ゆっくりしてないでこのいえからでていってね!!」 「「「でていってね!!」」」 ゆっくりハウスの前で大声を張っていたのは成体サイズのれいむとその子供と思われる子ゆっくりサイズのれいむ二匹とまりさ一匹だ。 そして男の飼いゆっくり達はどうやらあのハウスの中に逃げ込んでいるようだった。 それでもまだ本人達の姿を見るまでは安心できない。 男はれいむ一家を無視してゆっくりハウスの元に向かった。 「ゆゆっ!! おじさんどこからきたの? れいむたちのゆっくりぷれいすからでていってね」 「「でていってね!!」」 「まりさにあまあまちょうだいね!!」 男がゆっくりハウスの側に立ったとき、ようやくれいむ達は男の存在に気が付いたようだった。 それほどこのハウスに意識を集中させていたようだ。どうもこのゆっくりハウスにはゆっくり達を熱中させて止まない何かがあるらしい。 そんなれいむ達を完全に無視して男はゆっくりハウスの屋根を大胆にも取り外した。 その様子を見てハウスを壊されたと誤解してか、れいむ達はゆがーんと固まってしまった。 「てるよ、ちぇん無事か!?」 「わかるよー、みんなぶじなんだねー」 「それは良かった。ちゃんと言いつけは守ったんだな」 「みんなでここににげたんだよー」 突如開いた天井を不安そうに見上げていたてるよとちぇんは男の顔を見てホッとした表情を見せた。 それでもてるよとその側にいる子供達二匹は震えが止まらない様子だ。 「みんなには心配をかけてすまなかった。でももう大丈夫だからな」 「あんしんなんだねーわかるよー」 てるよも声には出さないが「よかった」と言っているようだ。 念のための確認で飼いゆ一匹一匹を持ち上げて状況を確認する。 「[腹ぺこ][いらいら]か、お腹が空いてるんだな。あとでゆっくりごはんにしような」 まずはてるよの基本的なステータスを確認した。満腹度の低下とストレスの上昇が見られるがあとはいつも通りくらいだ。 男は一応てるよの他のステータスを確認する。 「[令嬢][跳ねない][賢者][美肌][不感症][喋らない][常時睡眠][親愛]」無事普段のステータスだった。 もしゆっくりショップの誰かがこのステータスの羅列を聞いていたら卒倒するだろう。 [てるよ種]という稀少さに加えてこれだけ多くのプラスステータスが加わればとんでもない値段になるからだ。 「ちぇんも確認しておこう。おいで」そういって男はちぇんを目の前まで持ち上げる。 「[一般常識持ち][狩りが得意][偏差値50][タチ][四六時中大声][飾りは飾り][親愛]。ちぇんも問題なしだな」 「わかる、わかるよー」 ちぇんもてるよには劣るがそこそこのステータス持ちである。 好感度ステータスの[親愛]からは男の飼いゆへの溺愛っぷりが見て取れる。 一方その頃男の足下で固まっていたれいむ親子がようやくショックから立ち直り動き始めた。 「どうじでおいえこわじだのおおお」 「「ゆっぐりやべでね!!」 「ゆっぐりでぎないじじいはじね!!」 まったく野生のゆっくり共は一旦動き始めたら騒々しくて堪らない。 男は優しそうな表情から一転、虫でも見るような眼差しでれいむ達を見下ろした。 「なんだまだいたのか。さっさと出て行ってよ。ここは俺とてるよ達の家だからさ」 「なにいっでるの゛!? ごごはれいむ゛だぢのゆっぐりぶれいずっていっだでしょ!!」 「はぁ、あっそう」 男はれいむのあまりの野生のゆっくりっぷりに溜め息をつく。 こういうゆっくりは相手をするだけ無駄というのは重々承知しているのでそうそうに家から出て行って貰う事にする。 「今なら許してやるから出てけ」 そう言って親れいむを持ち上げて部屋の窓を開ける。 するとこの瞬間男の表情が歪む。 男の能力の面倒なところは別にその気は無くても触るだけでそのゆっくりのステータスが分かってしまうところだ。 自分でコントロール出来ないためれいむに触れた時点でれいむの状況がわかってしまう。 「もうほんと絶望的なステータスだな。[わがまま][のんびり屋][餡子脳][四六時中大声][飾りに傷][かすり傷]か」 このステータスのゆっくりではゆっくりショップに来たら間違いなく即加工所送りである。 別に知りたくもないれいむのステータスを知ってしまい男はますます気が滅入る。 「まったく、こんな駄ゆっくりは投げてしまいたいなあ!!」 「おじざんやべでね!! れいむをなげないでね!!」 「おかーさんずるい!!」 「れいむもれいむも」 足下では子れいむ達が母親が人間に遊んで貰っていると勘違いしてこれまたうるさい。 そして子まりさに至っては何故か男に怒っていた。 「ばでぃざをむしずるじじいはごうじでやる!!」そういって効果のない体当たりをかましてきた。 まりさが男の足に体当たりをするとまりさと男は触れたと同義であり、男はこれまた知りたくもないまりさのステータスを知らされる事になる。 「もう勘弁してくれよ。[ゲス][暴れん坊][餡子脳][四六時中大声]……、[他ゆの飾り]?」 なんだこれと男は一旦親れいむを床に置き子まりさを持ち上げる。すると今度は親れいむが男に体当たりをし始めた。 男はそれを無視してまりさのステータスを確認するとやはりおかしなステータスが一つ存在した。 「おいれいむ、このまりさはお前の子供か?」 「ぞうだよ!! ばでぃざをゆっくりおろじでね!!」 親れいむはこのまりさを自分の子供だと言った。だが飾りステータスが[他ゆの飾り]なのだ。 「おいまりさ、この帽子どうした」 男はつまみ上げていたまりさのその帽子を指さしながら言った。 すると男の手の中で暴れていたまりさはあからさまにギクッと驚いてみせた。 「し、しらないんだぜ。まりさはなにもしてないぜ」 まりさは急に態度を変え大人しくなった。それは誰がどうみてもまりさは嘘をついている姿に他ならない。 野生種ならではの狡猾さが見て取れ、男は頭を抱えながらさらにまりさに問うた。 「なら質問を変えよう。お前の前の帽子はどうして無くなった?」 「おねーちゃんのありすとあそんでいるときえださんにひっかかってぼろぼろになったんだぜ。どうしてじじいはなくなったことしってるんだぜ?」 まりさは帽子を無くしてしまったのをなぜ男が知っているのか心底疑問に感じたようだが、それを男は無視して続けた。 「そしたらまりさ、どうしてその帽子が新品なんだ?」 「ゆゆっ、それは……」 子まりさが返答に困ったとき男が思いついた事実であろう推測をこのまりさにぶつけてみる。 「それは本当の持ち主から奪ったんだろ」 「ゆ゛ゆ゛っ、どういうことなのまりさ!!」 「ち、ちがうんだぜ。でたらめだぜ」 「お前はいつからそこのれいむの子まりさとすり替わったんだよ」 「おじざんっ、まりざはまりざじゃないの!?」 「ああ、お前達は気付いていなかったようだが中身が変わってるよ」 「ゆがーん」 「「まりざおねーちゃんはどこいっだの!!」」 れいむ達の衝撃は大きい。いつの間にか自分達の家族であったまりさが中身が変わっていたのだ。 それに気が付かず生活をしていた自分達もそうだが、のうのうと暮らしていた知らないまりさにもショックを受けた。 子れいむの一匹はあまりの出来事に餡子を嘔吐して痙攣しはじめた。 「大方元の持ち主のまりさを殺して奪ったんだろお前のステータスをみりゃ見当が付く。 それにありすおねーちゃんってお前の親はまりさとありすって言ってるのと同じだよな。 やっぱりこのれいむの子供じゃないんだろ」 「ゆがあああああ!! どぼじでぜんぶいっぢゃうのおおおおお!!」 「やっぱりしらないまりさっだったのおおお!! うちのまりさをがえじでええええ!!」 「れいむおねーちゃんしっかりしてええええ」 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 もはや阿鼻叫喚地獄絵図である。 これ以上叫ばれたり部屋を汚されるのは勘弁してほしいので四匹には窓から退場してもらった。 当然言っても聞かないので男が家の外へと放り投げる形ではあったが。 男が窓を閉め切る寸前には親れいむの罵声と餡子の飛び散る音がした。 ようやく一騒動が片付き、男は飼いゆっくり達に目を向ける。 警戒しながらハウスの扉を開けて、ちぇんが先導しながらてるよと子供達が部屋に出てきていた。 「しずかになったんだねー、わかるよー」 ゆっくりショップで購入できるゆっくりハウスの扉は、当たり前だが内から外に開く形になっている。 これは外から押しても扉は開かないことを意味し、頑丈な作りにしておけば頭の悪いゆっくりには一生開けられない屈強な壁となる。 この安心設計のハウスはとてもゆっくりできると巣を持たない飼いゆっくり達には好評で、 その中で寝るとストレスや体力の回復が早まる効果もあることを男は確認している。 「……おなかへった」 「そうだったな、さっそくご飯にしようリビングにおいで」 野生のゆっくりの侵入を許してしまい、そのせいでみんなのご飯の時間が遅れてしまった。 男本人も空腹を覚えていたため、てるよとその子供達を両手に抱えてゆっくりの為の部屋をあとにした。 あとがき どうもゆっくりっち製作者です。 ゲーム内の人間はこんな能力を持っているのよって訳でSSを書いてみました。 べ、別にゲーム製作に行き詰まったとかじゃないんだからね!! 最後になりましたが勝手にSS内の設定を拝借してしまって、ゆっくりエンザの方すいません。
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Quand est-ce que tu es libre ? いつ空いてる? libre 自由な/空いている livre 本 On dit à huit heures ? 8時はどう? On se voit à huit heures ? 8時に会う? Je t attends. キミを待ってるよ。(現在のこと) Je t attendrai. キミを待ってるよ。(明日など未来のこと) 前のページ 次のページ 音声を「フラつく。」で聴く
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カラータイマー点滅してるよ からーたいまーてんめつしてるよ →地球の危機の項を参照
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阿部さんの友達 英語が上手い 緋想天での彼のパチェは阿部さんにとっての恐怖 阿部さんは昨日の緋の対戦の時レミリアであの時頭突きをしなければまだ戦えたと言っている
https://w.atwiki.jp/dmrainbow/pages/105.html
れいん、愛してるよ。 色 赤 カテゴリ クライマックス トリガー1 このカードが手札からクライマックス置場に置かれた時、あなたは1枚引く。その後、自分のキャラを1枚選び、そのターン中パワーを+1000し、ソウルを+1。そのキャラが《虹翼公認!? 虹雨れいん》なら、そのターン中パワーを+2000し、ソウル+2。
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わかってるよ -おさななじみ LEN Side-【登録タグ korumi わ アンメルツP 曲 鏡音レン】 作詞:korumi 作曲:アンメルツP 編曲:アンメルツP 唄:鏡音レン 曲紹介 「幼馴染」のレン視点版。 歌詞を korumi氏 が、イラストを 座敷ウサギ氏 が手掛ける。 歌詞 (PIAPROより転載) 小さい頃から 近くにいたから なんとなくね キミのことよく 知っているけど 恋なんか要らないし ダサいし 興味ないし 関係ないと思ってたのに 無邪気なその笑顔は 今も昔も同じで なぜか胸が痛む どうしたんだよオレ 平然装うも 崩れていった こんなはずじゃ… 偶然の帰り道で 隣にキミがいて 何か喋んなきゃ いや わかってるよ? キミの視線を感じると なんかそらしちゃって 情けないな カッコ悪いな オレ何してんだ? 小さい頃から 近くにいたから なんとなくね キミのことよく 知っているから 意識とか今更で ダサいし 恥ずかしいし カッコ悪いと思ってたのに… 急に変わった態度 耳に流れくる噂 止まる思考回路 信じられないオレ 冷静を装うも 気になっちゃうよ こんなはずじゃ… 待ち伏せた帰り道で 隣にキミがいて 伝えたいことは うん わかってるよ? キミのキモチを感じると なんか照れ臭くて 情けないな カッコ悪いな オレ何してんだ? 急に掴まれた裾 急に高鳴る鼓動 止まる思考回路 何も言えないオレ 振り向くとそこには… 見たことのないキミの表情 「あのね」と呟いたまま 言葉が出ないキミ 「いきなりなんだよ?」 いや わかってるよ? キミの言葉を待つ足が なんか震えちゃって 情けないな カッコ悪いな オレ何してんだ? ピタリと固まったまま うつむいてるキミの 伝えたいことは もう わかってるよ 見栄とかどうでもよくなった なんかじれったくて ああ、仕方ないな もう こっち来いよ。 初めて繋ぐ君の手は とてもあたたかくて どうしていいのか わからなくて… こんなカッコ悪いオレ見せれるのは キミだけだからね? コメント こっちも追加ありがとうございます!! -- 良太 (2015-05-20 06 32 33) 名前 コメント