約 2,894,250 件
https://w.atwiki.jp/pso2npc/pages/134.html
長銃に慣れちゃいましたかあ? 説明文 あらあらあらら、ずいぶんと身に纏う フォトンの質が向上していますねえ。 リサとしては頼もしい限りですが なんとも怖ーいお顔をしてますねえ。 その手の長銃も、すこーし怖い音を 立てているようですよお? だから、ひとりではいけません。 リサと一緒に一暴れしましょうねえ。 受託時 あらあらあらあー?もしかして あなたはアサルトライフルに 相当慣れてきたとか思ってませんかあ? ボイス『ふふふふふっ』 ふふふっ、いいですねえ 過信やうぬぼれってたまりませんねえ。 とたんにひとが死にやすくなります。 ですけどお、あなたが死んでしまうと リサの相手が減ってつまらないのです。 ですから、ちょっと行きましょう。 死ぬってことをほかのものに 押しつけてしまえば、あなたは 死なないじゃないですかあ? さあさ、行きますよ。行きますよお。 敵さんを撃って殺して屠りましょう。 それがお仕事ですからねえ。ふふふっ。 開始時 今回は、アサルトライフルで やっちゃいましょうねえ。 レンジャーの華ですねえ。 どれだけ熟練していたとしても やることは変わりませんねえ。 撃って撃って殺して殺すだけ。 あなたはただ、楽しんでくださいねえ。 リサもそのつもりですからねえ。 それではあ。 はじまりはじまり、ですよお? 達成時 あーあ、終わっちゃいましたねえ。 もう少し楽しみたかったんですけど まあ、仕方がないですねえ。 敵さんにだって、限界はありますから 死んだなら、もう仕方がないですねえ。 どれだけ強くても仕方がないですねえ。 でもでもお、リサやあなたは自分の 引き際を見極められるから 幸せですよねえ。 生きていれば、またその後に たくさんいっぱいの敵さんを 殺して殺して殺して殺せます。 それって、とってもとっても いいことなんですよお? ……ですから、帰りましょうかあ。 報告時 あなたは、相当アサルトライフルに 慣れてきているみたいですねえ。 直に見てわかりましたよお。 でもでもでもでも、それであなたの カラダが頑丈になるわけではないです。 引き際を見極めるのも、仕事ですよお。 ボイス『ふふふふふっ』 リサはきちんと退く時は退きます。 そうすればそのあと、いくらでも お返しすることができますからねえ。 慣れてきたアークスさんにありがちな いちばんおばかさんな思い込みは、 無謀と勇気を履き違えることなんですけど リサはそういうおばかさんは 大ッ嫌いなので、せいぜい気をつけて 後ろから撃たせないで下さいねえ。
https://w.atwiki.jp/kopwtcg/pages/17.html
なんでもQ AQ:ブーストにある【タッグマッチなら】は6人タッグマッチもタッグマッチに含まれるということでよろしいでしょうか? Q:海外遠征効果について質問ですが、帰国後何試合持続するのでしょうか?例えば、遠征した試合分は効果が持続するとか。 Q:絶好調カードの欄って無くなったんすか? Q:カードを重ねると、どういうところが強化されるんですか? Q:「全選手スキル発動」の条件は、練習試合中のスキル発動内容も含まれるのでしょうか?また第1弾と2弾との区分けはあるのでしょうか? Q:ボルテージポイントで引いたカードは 次の、リーグ戦参加したら、カード破棄になるんですか? Q:BT02-002後藤洋央紀のレスラースキルで「前日行った試合数」というのは練習試合も含まれるのでしょうか? Q:タッグ王者の内藤哲也選手のカードのスキルに高橋裕二郎ならと書いてありますが。裕二郎選手なら何でもokですか? タッグ王者カード限定ですか? Q:BT02-029のNO LIMIT内藤は当時ヒールの30歳以下のレスラーでしたが、このカードは30歳以下の設定になりますか? Q:登録解除しなくても中古屋でカード売れますか? Q:橋本真也選手のブーストカード、ミドルキックとニールキックの能力は全くおんなじなんでしょうか? Q:友達が自己紹介文に「これマジ!!」を使おうとしたら使用できません、と出たらしいです。この台詞はR指定なんですか? Q:BT02-056 Cのデヴィットのスキル「天空の貴公子」は、仮にこのカードをスタンダード第1試合にセットした場合、他の2選手のスピードが+☆☆になるということでしょうか?第2試合以後の選手へは効果はありませんか? Q:カード重ねについて質問ですが、ブーストの場合、単純に効力が倍になるのか、それとも発生率が高まるのか、どちらでしょうか? Q:1回50ポイントで引けるリースカードでもレインメーカーやボマィエが出るときありますか? Q:トロフィーの「全選手スキル発動」は全てのカードを集めた上で全選手発動させるのか1対戦でチームの選手発動すればOKなのかどちらなのでしょうか?また1対戦の場合これもシングル戦でよいのでしょうか? Q:チームコンボの優勝者や王者の後ろにつく数字のちがいは、何か影響あるんですか? Q:キンプロのアプリでカードを解除するにはどうするの? Q:コレクションでカードを集めているのですが、全カードのリストなどはあるのでしょうか? Q:Wrestler Skillを持たない選手を重ね登録した場合、どの様な恩恵を受けられるのでしょうか? Q:タッグ、シングルで練習試合はできないのですか? Q:キンプロのSPやRRRなどどこで見分けるんでしょうか⁇ Q:海外遠征の効果はどれくらいなのでしょうか? Q:1カートンって何箱? 質問フォーム なんでもQ A Q:ブーストにある【タッグマッチなら】は6人タッグマッチもタッグマッチに含まれるということでよろしいでしょうか? A: 6人タッグマッチは含まれません。含む場合は、「シングルマッチ以外なら」のように表現されます。 @gungun0308 既出でしたら申し訳ないです。ブーストにある【タッグマッチなら】は6人タッグマッチもタッグマッチに含まれるということでよろしいでしょうか?よろしくお願い致します。 — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 2013年1月28日 Q:海外遠征効果について質問ですが、帰国後何試合持続するのでしょうか?例えば、遠征した試合分は効果が持続するとか。 A: 効果が海外遠征に行かせたリーグ戦の間ずっと持続する強力なシステムです。活用が勝利への近道です。 @ajpw2000 海外遠征効果について質問ですが、帰国後何試合持続するのでしょうか?例えば、遠征した試合分は効果が持続するとか。 — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 2013年1月26日 Q:絶好調カードの欄って無くなったんすか? A: 弐弾発売に合わせ廃止しました。他の形での復活を検討しています。 @oh_shima 絶好調カードの欄って無くなったんすか? — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 2013年1月26日 Q:カードを重ねると、どういうところが強化されるんですか? A: 同じカードを複数枚登録している場合、スキルの発動に影響を与えています。スキルを持たないカードも序盤の攻防で上昇する値が増えています。 @t_flyhigh0 カードを重ねると、どういうところが強化されるんですか?いまいち理解できません — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 2013年1月24日 Q:「全選手スキル発動」の条件は、練習試合中のスキル発動内容も含まれるのでしょうか?また第1弾と2弾との区分けはあるのでしょうか? A: トロフィー獲得条件についてですが、練習試合はその条件に含まれません。また、「全選手スキル発動」は1弾、2弾といった区分けは関係の無いトロフィーとなります。よろしくお願いいたします。 @silver_shark03 — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 1月 21, 2013 Q:ボルテージポイントで引いたカードは 次の、リーグ戦参加したら、カード破棄になるんですか? A: リース(貸出)カードの一部(BT0X-XXXの番号のカード)は新規にリーグ戦に参加申し込みする際に返却する必要があります。その際、何種類かを持ち越すことが出来ます。 @yu_rapup ボルテージポイントで引いたカードは次の、リーグ戦参加したら、カード破棄になるんですか? — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 1月 19, 2013 Q:BT02-002後藤洋央紀のレスラースキルで「前日行った試合数」というのは練習試合も含まれるのでしょうか? A: リーグ戦のみの参照です。練習試合はカウントされません。(練習試合を含んでしまうと際限が無いからです。)@mincat001 BT02-002後藤洋央紀のレスラースキルで「前日行った試合数」というのは練習試合も含まれるのでしょうか? — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 1月 16, 2013 Q:タッグ王者の内藤哲也選手のカードのスキルに高橋裕二郎ならと書いてありますが。裕二郎選手なら何でもokですか? タッグ王者カード限定ですか? A: 「高橋裕二郎」という条件ですので、タッグ王者カードであることは問われていません。@iwgpheavyweight タッグ王者の内藤哲也選手のカードのスキルに高橋裕二郎ならと書いてありますが。裕二郎選手なら何でもokですか?タッグ王者カード限定ですか? — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 1月 16, 2013 Q:BT02-029のNO LIMIT内藤は当時ヒールの30歳以下のレスラーでしたが、このカードは30歳以下の設定になりますか? A: キンプロでは実年齢を参照しています。内藤哲也のカードは全て今年の6月21日まで30歳の扱いです。@fantasista1972 質問です。BT02-029のNO LIMIT内藤は当時ヒールの30歳以下のレスラーでしだが、このカードは30歳以下の設定になりますか? — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 1月 16, 2013 Q:登録解除しなくても中古屋でカード売れますか? A: 中古品の取り扱いはメーカーとしては推奨しておりません。カードの取引き等は全て自己責任の下、行って頂くようよろしくお願いいたします。@ground06 質問なのですが、キンプロに登録したカードは、登録解除しなくても実際にカードショップで売ることはできますか? — キング オブ プロレスリングさん (@KoPW_Bushiroad) 1月 13, 2013 Q:橋本真也選手のブーストカード、ミドルキックとニールキックの能力は全くおんなじなんでしょうか? A: 効果の表記は同じになっていますが、内部的な処理は同じではありません。@yaboooh 橋本真也選手のブーストカード、ミドルキックとニールキックの能力は全くおんなじなんでしょうか? — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad1月 13, 2013 Q:友達が自己紹介文に「これマジ!!」を使おうとしたら使用できません、と出たらしいです。この台詞はR指定なんですか? A: キンプロではNGワードが設定されております。同じ文言の繰り返しがNGと判定されることがあり、「これマジ!!」の場合「!!」がそれに該当するのかも知れません。@mebaru28 — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 1月 7, 2013 Q:BT02-056 Cのデヴィットのスキル「天空の貴公子」は、仮にこのカードをスタンダード第1試合にセットした場合、他の2選手のスピードが+☆☆になるということでしょうか?第2試合以後の選手へは効果はありませんか? A: BT02-056プリンスデヴィットの能力は“この試合”と限定されておりません。チーム全体に効果のある能力です。よろしくお願いいたします。@barcafreak1104 — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 1月 6, 2013 Q:カード重ねについて質問ですが、ブーストの場合、単純に効力が倍になるのか、それとも発生率が高まるのか、どちらでしょうか? A: カードの重ね効果の詳細は非公開としています。よろしくお願いいします。@ajpw2000 @kopw_bushiroad カード重ねについて質問ですが、ブーストの場合、単純に効力が倍になるのか、それとも発生率が高まるのか、どちらでしょうか? — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 12月 28, 2012 Q:1回50ポイントで引けるリースカードでもレインメーカーやボマィエが出るときありますか? A: リースカードマシーンで引けるカードの内容、出現率は非公開です。よろしくお願いいたします。@choconoahhina @kopw_bushiroad 1回50ポイントで引けるリースカードでもレインメーカーやボマィエが出るときありますか? — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 12月 12, 2012 Q:トロフィーの「全選手スキル発動」は全てのカードを集めた上で全選手発動させるのか1対戦でチームの選手発動すればOKなのかどちらなのでしょうか?また1対戦の場合これもシングル戦でよいのでしょうか? A: 「全選手スキル発動」の条件はチーム全員のスキルです。シングルでも獲得可能です。よろしくお願いします。@mincat001 — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 12月 7, 2012 Q:チームコンボの優勝者や王者の後ろにつく数字のちがいは、何か影響あるんですか? A: 数字の大きい方が条件が厳しく、また、効果が高いコンボの発動です。@high_edalb @kopw_bushiroad チームコンボの優勝者や王者の後ろにつく数字のちがいは、何か影響あるんですか? — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 11月 26, 2012 Q:キンプロのアプリでカードを解除するにはどうするの? A: 「カード登録」の「登録カード一覧」の一覧の右端に登録解除のボタンがあると思います。それで解除してください。よろしくお願いします。@msi1113 @kopw_bushiroad キンプロのアプリでカードを解除するにはどうするの? — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 11月 11, 2012 Q:コレクションでカードを集めているのですが、全カードのリストなどはあるのでしょうか? A: 画像無しのテキストのみですがこちらでどうぞ。→ kopw.jp/goods/card.htm…@FunkyKairin @kopw_bushiroad お疲れ様です。自分は、コレクションでカードを集めているのですが、全カードのリストなどはあるのでしょうか? #KoPW — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 11月 7, 2012 Q:Wrestler Skillを持たない選手を重ね登録した場合、どの様な恩恵を受けられるのでしょうか? A: レスラースキルが無いカードも重ねた場合、少しボーナスを得ています。序盤の攻防で上がるゲージが少し増えてます。@mintsapporo_tcg @kopw_bushiroad Wrestler Skillを持たない選手を重ね登録した場合、どの様な恩恵を受けられるのでしょうか? — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 11月 5, 2012 Q:タッグ、シングルで練習試合はできないのですか? A: できません。スタンダード、タッグ、シングルの全てのチームを用意しなければならないとプレイヤーに負担となるため、スタンダードのみにしました。よろしくお願いします。@ginger_harucan @kopw_bushiroad タッグ、シングルで練習試合はできないのですか? — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 11月 3, 2012 Q:キンプロのSPやRRRなどどこで見分けるんでしょうか⁇ A: SP→箔押しサイン RRR→凸凹加工のあるキラ RR→普通のキラ R→通常加工(団体ロゴが金色) C→通常加工(団体ロゴがフルカラー) 裏面右下にも小さく書いてあります。 @kopw_bushiroad キンプロのSPやRRRなどどこで見分けるんでしょうか⁇ @saeyukhi — キング オブ プロレスリングさん @KoPW_Bushiroad 10月 31, 2012 Q:海外遠征の効果はどれくらいなのでしょうか? A:海外遠征に行かせたレスラーは海外遠征中に行われたリーグ戦の試合数に応じてパワーアップします。 詳しくは公式サイトキンプロの遊び方(進め方)STEP7を参照。 Q:1カートンって何箱? A:1ボックス=16パック、16ボックス=1カートン 質問フォーム 聞きたい質問がありましたら下記からコメントをお願いします。また、間違いなどがありましたら指摘してくださると助かります。 こんにちわ。リーク戦に参加中ですが、柴田選手のブーストカードPKが4枚登録してあるのに更新されません。選び直しても、3枚のままです。選手によって、ブーストカードの重ねられる枚数は決まっているのですか? -- 2013-06-25 16 59 55 「試合前の発動スキル」は何か条件があるのでしょうか? -- 2014-01-11 20 17 30 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/943.html
咲「やめてくれ、もう限界だ……ッ!」 咲「ふふ、ダメですよ……これはオシオキなんですから……ッ! っと」カキカキ 和「……」 咲「くく……京ちゃんめ、いい気味……」 咲「浮気なんてしたらどうなるかってこと、よくわからせてあげなくっちゃあ……」 和「咲さん……」 ガラッ 京太郎「おいーっす」 優希「咲ちゃんのどちゃんいるかー!?」 和「こんにちは、お二人とも」 京太郎「よう……咲も元気か?」 咲「……」ギラギラ 京太郎「うっ……」 京太郎(咲のヤツ、一週間ぶりに学校きたと思ったらこの調子だしよ……) 優希「部長と染谷先輩はまだみたいだじぇ」キョロキョロ 和「じゃあ、先輩たちが来るまではまた4人で打ちましょう」 優希「賛成だじぇ!」 咲「……」バシンッ 京太郎「……っ!」ビクッ 咲「……どうぞ、次」 京太郎「お、おう……」 京太郎(左の方からなにやら刺々しい視線が突き刺さるんだが……まぁ気にしない気にしない) 京太郎「……」コトッ 咲「……ロン! 8000!」 京太郎「は、はい……」 和(さっきから咲さん、明らかに須賀君を狙い撃ちしてますね……) 優希(咲ちゃんこわいじぇ……)ブルブル ガチャ まこ「お、やっとるのう」 優希「あ、染谷先輩! それに部長だじぇ!」 久「ごめんなさい、遅くなったわね」 京太郎「大丈夫っすよ。今もちょうど打ってたとこですし」 久「あら、ほんと。どれどれ……」 京太郎「おわっ……」 咲「っ!」 咲(部長、なにそんな気安く京ちゃんに近づいてるの……ッ!!?) 咲「……」ギラギラ 和「……っ!」 和(咲さんの右腕が激しく打ち震えている……! これはまずい兆候ですね……) 和(一刻も早く応急措置をとらなければ……!) 咲「……っ」ギリギリ 和「咲さん、咲さん!」コソコソ 咲「ん、なに……? 和ちゃん」ギリリ 和「こちらへ来てください!」コソコソ 咲「え、ちょっと……!」 久「あら、和に咲……どうしたの?」 和「いえ、なんでも……よろしければ部長たちで打っていてください」 まこ「お、そうか? 悪いのう」 和「いえ……」 和「さ、早く咲さん!」グイッ 咲「い、痛いって和ちゃん!」 スタスタ... 和「……ほら、座ってください」 咲「和ちゃん、なんなのもう!」 和「早く鉛筆もって……」グッ 和「さぁ、汝の怒りを鎮めたまえ……土は土に、妄想は妄想に」 咲「ぐぅうう……」ガタガタ 和「咲さん……」 咲「京ちゃんめ、許さないよ……」カキカキッ 『は、ハギヨシ……もうやめてくれ……ッ!!』 『もうやめてくれ……? 本当にやめてよろしいんですか?』サワッ 『うぐっ……!!』 『ふふ……いい顔ですね。その顔は私しか知らない、私だけのもの』 『もっとみじめな声を聞かせてくださいね? 須賀君……』 アッー! 咲「ふぅ……」 和「どうですか、咲さん? 落ち着きましたか?」 咲「……まだだよ」 和「えっ」 咲「まだこんなんじゃ満足できないよ……!」 和「さ、咲さん……!?」 咲「京ちゃんももちろん許せないけど……それ以上に憎いのは部長だよ!」 和「咲さん、声が大きいですって!」コソコソ 咲「今度はあの部長の目の前で愛を誓い合うハギ京ストーリーを書いてやる!」 咲「うぉおおおお!!」カキカキカキッ 和「さ、咲さん心を落ち着けて!!」 『ぶ、部長は関係ないだろ……ッ!!』 『関係……? 大アリですよ……ふふ』 『……す、須賀君……』 『くっ、くそったれ……』 『須賀君、行きますよ……ほら、ほら……ッ!!』パンパンッ 『あっ……あぁああっ……!!』 『やめてぇえ!! 須賀君を許してあげて!』 『ふふ……今はあなたに罰を与えているんですよ、竹井久さん……』パンパンッ 『えっ……?』 『愛しの須賀君が悶える様をたっぷりと味わってください……!』 『い……いやぁあああああっ!!』 咲「ふふ……もっと鳴きなさい!!」パンパンッ 和「咲さん、もう少しお静かに! あと手を打ち鳴らさないで!」 「……なんかのどちゃんたち騒がしくないかじょ?」 「……そうね。どうかしたのかしら?」 和「咲さん、咲さん!」 咲「ふぉが……! ふぁふぁひて、ぼぼはふぁん!」 「ちょっと俺見てきますよ」ガタッ 「おう、頼んだわい」 スタスタ... 和「っ!」 京太郎「おーい! 咲、和……カーテン開けるぞ?」 シャー 京太郎「大丈夫か……って、何してんだお前ら」 和「い、いえあのこれは……」 咲「ぷはっ……和ちゃん何するの!?」 和「ご、ごめんなさい……」 京太郎「おいおい、じゃれ合うなら部活終わった後にしろよ?」 和「え、ええ……」 京太郎「てか、お前らここで何して……」 京太郎「あっ」 和「っ!!」 京太郎「の、和……もしかして」 和「あっ……あの、ええと……!」 京太郎「……」 京太郎「ま、いいや……俺は見なかったことにするぜ?」 和「も、申し訳ありません……」 咲「……」 咲「京ちゃん、読み聞かせてあげようか……?」キヒヒ 京太郎「え……?」 ボカッ...! 咲「痛い……! 和ちゃんひどいよ!」 和「す、すみません! つ、つい反射的に……」 京太郎「えーっと……」 和「須賀君は戻っててください! 私たちもすぐ行きますから!」 京太郎「お、おう……」 咲「京ちゃん、またね……」キヒヒ 京太郎「……? あ、あぁ」 シャー 京太郎(うーん……やっぱあの二人どっかおかしいよなぁ……) 京太郎(ま、いっか……) スタスタ... 久「どうだった?」 京太郎「なんかふざけ合ってただけみたいっす。もうすぐ来るって」 久「なーんだ。ほんと仲いいわね、あの二人」 まこ「たしかにのう」 優希「なんだか焼けてくるじょ! のどちゃんのおっぱいはみんなのものだじょ!」 和「私のおっ……ごほん、胸は私だけのものです」 久「あら、おかえり和……それに咲も」 咲「……」ブツブツ まこ「わしらもちょうど一戦終えたとこじゃし、またメンバー入れ替えるか」 和「え、ずいぶんと早いですね」 久「まぁ東風戦だからね」 和「……また優希ですか」ジトー 優希「……ばれたかじょ?」 和「そんなんじゃいつまで経っても強くなれませんよ」 優希「だってぇー……半荘は疲れるんだじょ」 和「それがダメなんです。部長もあまり甘やかしてはダメです」 久「ふふ……そうね」ニコッ 久「じゃ、次は半荘でやりましょうか」 京太郎「よし、俺も入るぜ。久々にタコスを倒せる気がするしな」 優希「だっ!? それは聞き捨てならないじぇ!」 京太郎「じゃ、決着つけるか?」ニヤッ 優希「望むところだじぇ!」 まこ「……お前ら若いのう。どっからそんな元気が出てくるんじゃ」 久「こら、あなたは一体いくつの年寄りよ」 ――――――――――――――――――― 京太郎「さて、帰りますか」 久「戸締りは私がしておくから、あなたたち先に帰ってていいわよ?」 咲「っ?」ピクッ 咲(部長……もしかしてこっそり京ちゃんを待たせて一緒に帰ろうとか考えてるんじゃ……!)ギリッ 京太郎「あ、そうっすか? んじゃお先に失礼します」 咲(あれ……) 優希「部長、お疲れだじぇー!」 和「お疲れ様です」 久「ええ、お疲れ」ニコッ まこ「わしも残っちゃるけん」 久「あら……ありがとう、まこ」 咲「……」 咲(染谷先輩もついてるみたいだし……大丈夫か)ホッ ――――――――――――――――――― 京太郎「それでよ、そしたらそいつが突然ヒゲダンス踊り始めてさ」 優希「なんだそれ! バカだじょ!」 和「……っ……ごほんごほん!」 優希「あ、今のどちゃんが笑ったじょ!」 京太郎「え、ほんとか?」 和「わ、笑ってません……!」 優希「私は見逃さなかったじょ。のどちゃんがプクーってちょっと頬を膨らませたのを!」 和「し、証拠はあるんですか!?」 優希「あ、のどちゃんが怒ってるじょ!」 和「怒ってません!!」 咲「……」ブツブツ 京太郎「おい、咲」 咲「……え?」 京太郎「お前、平気か?」 咲「な、なにが……?」 京太郎「いや何がって……お前最近様子おかしいし」 咲「……」 京太郎「俺でよければ相談に乗るぜ?」 咲「……そう? 相談に乗ってくれるの?」 京太郎「ん、おう」 咲「くくく……」 和「っ!」ピクッ 咲「実はねえ……あの小説」 和「あああああああああああっ!!」 京太郎「っ! な、なんだ!?」 優希「の、のどちゃん!? 一体どうしたんだじょ!」 和「す、すみません……須賀君ちょっと!」 京太郎「え……?」 和「いいから早くお願いします!」グイッ 京太郎「お、おい……!」 ダダダッ 優希「……行っちゃったじょ」 咲「……」ブルブル 優希「ん、どうしたんだ? 咲ちゃん」 バキッ 優希「ひえっ!? 鉛筆が折れちゃったじょ……」 咲(和ちゃんまでも……ハギヨシさんの邪魔をするんだね……?)ブルブル 咲(許さないよ……!!) 和「はぁ、はぁ……」 京太郎「の、和……どうしたんだよ?」 和「あの……須賀君にどうしてもお伝えしなければいけないことが……」 京太郎「な、なんだ……? そんなあらたまって」 和「ええ、実は……一週間前の小説の一件、覚えてますか?」 京太郎「あ、あぁ……俺が部長と誤認しちまったやつだろ?」 和「あれ……本当は私が書いたんじゃないんです。書いたのは、咲さんです」 京太郎「え……えええええっ!?」 和「しっ、声が大きいです」 京太郎「あ、すまん……しかし」 京太郎「おいおい、和……俺は気にしないってあれほど言ったじゃねえか」 京太郎「別に嘘ついてまで責任逃れしなくても……」 和「嘘じゃありません! 信じてください!」 京太郎「お前、声大きいぞ」 和「あっ、すみません……」 和「で、でも事実なんです……!」ヒソヒソ 京太郎「ええと……」 和「須賀君……!!」 京太郎「うっ……」 京太郎(この和の懇願するような瞳……ゴクリ) 京太郎(こんな目で頼まれたら、嘘だろうがなんだろうが認める他ねえじゃねえか……!) 京太郎(いかんいかん……俺の愚息が腹筋運動おっぱじめやがった。鎮まれ、息子よ……!) 京太郎(……しかし、あの小説を書いたのが咲だって? んなことありえんのかねぇ? ま、いっか……) 京太郎「わ、わかったわかった……信じるよ」 和「そ、そうですか……よかったです」 優希「うーん……どこいったじょ?」キョロキョロ 咲『優希ちゃん、京ちゃんを一刻も早く見つけ出して!』 優希「咲ちゃんの気迫に押されて、こんなとこまできたけど……ほんとにいるのかじょ?」 ワーワー 優希「ん……? あれはまさか……のどちゃんと京太郎?」 ソローリ... 優希「こんな裏路地で何やってるじょ……ま、まさか」 和「―――あぜ道で部長とキスしてたって……」 京太郎「なっ……見られてたのか」 京太郎「でも、あれは付き合ってるとかそういうんじゃ……―――」 優希「なっ!?」 優希(き、ききき京太郎と部長がキスした……? のどちゃんなに言ってるじょ……) 優希(というか……これ、もしかしていわゆる修羅場というやつじゃ……) 優希(ってことはだじょ! のどちゃんも京太郎のこと……) 優希「……」チラッ 京太郎「――――」 和「――――!」 優希「……っ」ダッ 優希(なんで……なんで逃げてるんだじょ、私……!!) 優希(でも、これ以上あの二人のこと見てられないじょ……あのままあそこにいたら私……!) 優希「……はぁ、はぁ」 優希「京太郎……」ズキン ――――――――――――――――――― 和「須賀君、咲さんの様子がここ最近おかしいのには気づいてますか?」 京太郎「まぁ一週間も休むっつーのは普通じゃないよな」 和「咲さんはその間……ずっと須賀君とハギヨシさんの濃厚ホモ小説を延々と書き続けていたんです」 京太郎「おいおい、マジかよ……」 和「はい、というのも……須賀君、最近部長と親しくしていますよね?」 京太郎「えっ……そ、そんなことねえけど……」 和「ごまかさなくてもいいです。あぜ道で部長とキスをしてたって……咲さんからイヤというほど聞かされました」 京太郎「なっ……み、見られてたのか」 京太郎「でも、あれは付き合ってるとかそういうんじゃ……」 和「そんなこと関係ないです」 和「咲さんにとっては、あなたが他の異性と行為に及んだ……その事実こそが問題なんです」 京太郎「……まぁ、たしかにキスはやりすぎだったかも」 和「やりすぎどころの話じゃないです。そのために私はその小説を毎晩電話越しに音読されたんですから」 京太郎「そ、そりゃなんというか……申し訳ない」 和「……まぁいいでしょう。私もあなたにはいくらか恩義がありますし」 京太郎「……?」 和「ともかく、今の咲さんはあなたが異性と触れ合うだけでも危険な……まさに一触即発の状態なんです」 京太郎「なんか、それだけ聞くとあいつが俺のこと好きなように聞こえるが……」 和「なに言ってるんですかバカなんですか死ぬんですか」 京太郎「あ、いやそのなんだ……すまん」 和「咲さんはあなたとハギヨシさんが結ばれることを望んでいるにすぎません。うぬぼれないでください」 京太郎「は、はい……」 和「願わくばそうなっていただきたいと考えているんですが……まぁさすがにそれも酷でしょう」 京太郎「あ、当たり前だ! 俺はノンケだ、間違ってもホモじゃない」 和「……」 和(以前の私であれば例の計画で無理やりそうさせようと画策したでしょうが……) 和(咲さんの小説を読み聞かされたせいか、須賀君……あなたのことも哀れに思えてきてしまい……) 和(まぁその点に関しては咲さんに感謝してくださいね) 京太郎「んで、俺はどうすりゃいいんだ?」 和「はい……咲さんは、あなたが異性と親しくするだけでも激しい劣情を催します」 和「普段はそれを、妄想小説の中でハギヨシさんに『オシオキ』させることでうまく抑制しています……が」 和「ホモ小説を書くだけならまだしも、いつそれが『実際の危険な行動』に発展するか予測がつきません」 京太郎「お、おい……実際の危険な行動ってなんだよ」 和「わかりません、ですが……それほどに、最近の咲さんの様子は目に余るということです」 京太郎「じゃ、俺は……」 和「はい、異性と極力接触を持たないでください。部長と付き合うなんて論外です」 京太郎「うっ……マジかよ」 和「マジです、大マジです。話すことすら極力避けてください」 京太郎「それじゃ、今の状況って実はかなりまずいんじゃ……」 和「はい、だからこそこんな狭くて汚らしい裏路地で、好きでもないあなたと二人っきりでこんなに接近して会話してるんじゃないですか」 京太郎「あ、あいかわらずお前きっついな……」 和「ええ、私が好きなのは咲さんただ一人ですから」 京太郎「……でもよ、俺の方は努力するけど」 和「……?」 京太郎「向こうから近づかれた場合はどうすりゃいいんだ?」 和「……追い返してください。是が非でも。ただしあまり傷つけないように」 京太郎「無理ゲーだろ……」 和「あなただって今までどおり部活メンバーで仲良くやっていきたいでしょう?」 京太郎「わ、わかったよ」 和「そうですか、理解が早くて助かります」 和「それでは私はこれで……」 京太郎「あぁ」 和「……須賀君、10分経ったら出てきてください。それまでここで待機です」 京太郎「は、はい……」 和「それじゃ、今度こそお別れです。今までありがとうございました」 京太郎「なんだよそれ……まるでもう会わないみてえじゃねえか」 和「実際それに近いようなことになるんです。あなたも覚悟しておいてください」 和「では……」 スタスタ... 京太郎「……」ポツーン 京太郎「あのさぁ……俺が何したっていうのさ」 ――――――――――――――――――― 部室 久「じゃ、そろそろ行きましょうか」 まこ「おうじゃ」 久「いや~、今日も実のある練習ができたわね」 まこ「……ほんとに身がはいっとったんか?」ニヤッ 久「な、なによ……気持ち悪いわね」 まこ「京太郎とはその後どうなんじゃ?」 久「なっ……!」 まこ「隠さんでもええわい。今日も事あるごとにあいつのことちら見しとったクセに」 久「し、してない! してないわよっ!」 まこ「おうおう面白いのう、部長がめずらしく焦っとる姿は」 久「あ、あんたねえ! からかってんでしょ!!」 まこ「いつもはクールなあんたじゃ。これをからかわずにいられるかいの」カッカッ 久「お、覚えてなさいよ!」 まこ「あんたのその真っ赤な茹でだこ顔はいやでも忘れんわい」 久「あぁもうっ!///」 まこ「……それで? 実際のところどうなんじゃ?」 久「……な、なにもないってば」 まこ「なにもないってことはないじゃろ? あんだけキラキラした瞳で見つめとったんじゃ」 久「だ、だから見てないって!」 久「それに、彼とはほんとに何もないのよ……」 久「……まぁ、キスはしたけど」ボソッ まこ「おおっ! なんじゃ、もうそんなところまでいっとんたんけ」 久「し、しょせん私の方から一方的によ……」 まこ「ほう、それで?」 久「彼もまんざらでないって感じだったけど、でもそれからは何もなし……」 まこ「ほう……じゃったら、お前さんの方からまた何かアプローチかけてみたらどうじゃ」 久「い、いやよ! あんだけのことやったんだから、今度は須賀君の番でしょ?」 まこ「なんじゃ、やっぱり部長もそういうの気にするんじゃのう」ニヤニヤ 久「そ、そりゃそうよ……女の子だもん! 男の人にリードしてもらいたいって思うのは当然でしょ!?」 まこ「ふーん、わしん中の部長のイメージは……」ポワンポワン 『須賀君、私と付き合いなさい!』 まこ「……っちゅう感じじゃったんじゃが、意外と乙女じゃの」 久「わ、私ってそんなに男勝りに見える!? あと声マネ似てないから!」 まこ「男勝りっちゅうかあれじゃな、姉御っぽい」 久「それってどこがどう違うのよ……」 まこ「だいじょぶじゃ、あんたが乙女なのはわしが一番しっとる」 まこ「それに京太郎はそんなんで部長を嫌いになったりせんわい」 久「うん……」 まこ「そんなに心配じゃったら、わしの方から京太郎にそれとなく聞いてみるわい」 久「や、やめてってば!」 まこ「なんじゃ、信用ないのう」 久「な、なんか私が頼んだみたいでイヤなだけよ」 まこ「そんなの気にする必要ないと思うがのう……ま、部長がそこまで言うならなんもせん」 まこ「じゃが、守りの姿勢じゃ勝てないこともある……それはお前さんもわかっとるじゃろ?」 久「……」 まこ「まぁ陰ながら応援しとるけえ、何か相談があったらいつでも聞いちゃる」 久「ん……ありがと、まこ」 まこ「んで、キスの感じとかどうじゃったんじゃ? ん?」ニヤニヤ 久「あ、あんたには絶対言わないっ!」 ――――――――――――――――――― 宮永家 咲「……くく……和ちゃんめ、もう許さないからね」カキカキ 『んぁ……や、やめてください……っ』 『へへ……体はそうはいってないみたいだぜ?』 『ほら、もっとよがれよぉ!!』パンパンッ 『あぁあああっ……!!』 咲「ん~、やっぱり和ちゃんは汚らしい男どもに無理やり犯されるのがお似合いだね!」カキカキ 父「咲ぃ~、ご飯だぞ~!」 咲「っ! 部屋の外に置いといて!!」 父「お、おう……」 父(咲……やっと学校行き始めたと思ったら、今度はどうしたんだ?) 父(パパ、悲しいよ……)ウッ ――――――――――――――――――― 翌日 京太郎「……」 京太郎(しかし、これからどうなるんだろうな俺……) 京太郎(女子との付き合いは一切禁止、会話も制限って……相当厳しいぞこれ) 京太郎(全く和のやつ無茶言いやがるぜ……) 京太郎(でもまぁ咲や部のみんなのためだしな……仕方ねえか) 京太郎「って、俺部活は出てもいいのか?」 京太郎「和にメールしてみよ」ポチポチ ―――ブルルルル 京太郎「お、きたか……なになに」 『出ても構いませんが、会話は極力控えてください。あともうメールしてこないでください』 京太郎「マジか、よかった……でもメールくらいいいじゃねえかよ、ったく」 ??「京ちゃん、何してんの?」 京太郎「おわっ!? さ、咲……?」 咲「おはよう、京ちゃん」ニコニコ 京太郎「お、おはよ……っ!」バッ 咲「ん? どうしたの?」 京太郎(そ、そうだ……女子との会話は極力避けるんだった) 京太郎(あれ……? でも、咲は俺が他の女子と会話するのが許せないだけで……現に今、俺に対して話しかけてきてるしな) 京太郎(和、別にいいよな? 咲とくらい) 京太郎「あ、いやなんでもねえよ……はは」 咲「そうなの? 変な京ちゃん」 京太郎「それより、お前今日はずいぶん機嫌いいな」 咲「そうかな。普通だよ?」ニコニコ 咲(昨日は和ちゃんをたっぷりといたぶったからね、寝起きが良かったんだ……ふふ) 咲「そういえば、京ちゃん。昨日言いそびれたことなんだけど……」 京太郎「ん……あぁ、あれか。結局なんだったんだ?」 咲「ふふ……実は、前に言ってた京ハギ小説ね? あれ私が書いたものなんだぁ」ニヤニヤ 京太郎「え……」 京太郎(あ、そっか……こいつは俺が和から聞いたこと知らないんだった) 京太郎「あ、そうなんだ。へえ……」 咲「む……」 咲(反応悪いなぁ……もうちょっとショック受けるかと思ったのに!) 咲(いいもんね、今日だってもっと京ちゃんが目を背けたくなるようなシーンいっぱい書いてあげるんだから!) 京太郎「でも、咲……なんでそれをいまさら俺に言うんだよ?」 咲「ん、べっつにぃ……京ちゃんがどんな反応するか見てみたかっただけだよ」キヒヒ 京太郎「俺は別にかまわないって言っただろ? 咲の好きなように書けよ」 咲「ふん、言われなくてもそうさせてもらうけどね!」 ――――――――――――――――――― 放課後・部室 京太郎「ちーっす」 まこ「お、やっときたわい」 京太郎「すんません、遅れちゃって」 和「……」 久「……す、須賀君おはよう!」 京太郎「部長……もうお昼過ぎっすよ」 久「そ、そういえばそうね! あはは!」 京太郎「部長今日はやけにテンショ……」 和「……」キッ 京太郎「うっ……」 京太郎(これくらい許してくれよ……てかなぜ染谷先輩のときは無反応なんだ) ガチャ 咲「お、遅れました!」 久「あら、これで全員?」 和「優希がまだです」 久「いつもならこの時間に入るはずなのに、おっかしいわねえ……須賀君しらない?」 京太郎「んと……」チラッ 和「……」コクリ 京太郎「俺は見てないっすね。いつもはあいつの方から教室に飛び込んできてタコスをせびられるんすけど」 まこ「体調でも悪いんかのう」 久「悪いけど、和。見てきてくれない?」 和「……私ですか?」 久「ええ、ダメかしら?」 和「……いえ」チラッ 京太郎「……」 久「……?」 京太郎(ナイッス、部長!) 京太郎(正直女子と会話するたびに和とアイコンタクトなんて息が詰まるしな……これはありがたい) 和(私のいない間、須賀君が好き放題やるのではないか不安ですが……) 和(まぁここで断るのも不自然ですしね……仕方ありません) 久(須賀君と和……さっきから目配せし合ってる? 気のせいかしら……) 和「それでは、見てきます」ガタッ 久「え、ええ……お願いね」 スタスタ... 京太郎「ふぅ……」 久「じゃあ、とりあえずこの4人で打ちましょうか?」 まこ「そうじゃの」 咲「はい」 京太郎「ういっす!」 ――――――――――――――――――― 京太郎「うーん……これか!」スッ 久「残念、それロンよ」 京太郎「うわぁー、やられたー!」 久「まだまだ詰めが甘いわね、須賀君」 京太郎「すんません、勉強します……」 久「ふふ……」 咲「む……」 咲(部長……なんか京ちゃんと距離近い……) 咲「京ちゃん!」グイッ 京太郎「おおっ……なんだよ、咲?」 咲「手牌みせて? 私が教えてあげるから」 久「む……」 久(あれ、咲ってこんなに積極的だったかしら……?) 久(でもまぁ、この二人がその……つ、付き合ってるなんてとても思えないし……大丈夫よね?) ガチャ 和「ただいま戻りました」 久「あら、お疲れ様。どうだった?」 和「……優希は早引きしたそうです」 まこ「なんじゃ、本当に体調不良かいの」 京太郎「あいつがねえ……」 まこ「見舞いにでも行った方がいいんじゃろか?」 久「でも、そういうのって逆に相手に気を遣わせちゃうじゃない?」 和「そうですね、優希はそんなに弱い子ではありませんし、大丈夫だと思います」 京太郎「和はあいつのことよくわかってるんだな」 和「……あの子とは中学からの腐れ縁ですからね、これくらい当然です」 咲(もういっそ付き合っちゃえばいいのに……) 和「それより部活再開しましょう」 久「そうね」 まこ「そうじゃ部長、ここの電灯が切れとるんじゃが」 久「ん……あら、本当ね」 京太郎「俺が買ってきましょうか?」 久「え、いいの?」 京太郎「なに言ってんすか。いつもなら嬉々として買いに行くよう命じるのに」 まこ「はは、たしかにのう」 久「き、嬉々としてなんてないわよ! い、いいから買ってきて頂戴!」 京太郎「わかりましたよ、それじゃ行ってきます」 久「もう……」 咲「……」 ――――――――――――――――――― 京太郎「えっと、電灯ってコンビニにも売ってるよな……」スタスタ 「……」 京太郎(あれ、あの後ろ姿って……) 京太郎「おい、優希!」 優希「じょ……京太郎」 京太郎「お前、早引きしたんじゃなかったのかよ」 優希「……う、うるさいじょ! 私の勝手だじょ」 京太郎「何が勝手だよ、心配させやがって」 優希「……」 京太郎「それよりお前、どうしてこんなとこにいるんだ?」 優希「……」 京太郎「おい、お前人の話聞いてんのk……」 優希「京太郎、お前部長と付き合ってるのかじょ……?」 京太郎「はぁ? なに急に言い出s」 優希「質問に答えるんだじょ!」 京太郎「な、なんだよ……」 京太郎「別に部長とはそういうんじゃ……ってなんでお前がそんなことを聞くんだよ?」 優希「……付き合ってないけど、キスはするんだ」ボソッ 京太郎「え?」 優希「京太郎、お前は誰が好きなんだじょ」 優希「部長か? それとも……のどちゃんか?」 京太郎「い、いや誰がって……」 優希「早く答えるんだじょ!」 京太郎「おいおい、待て! なんでお前にそんなこと言わないといけないんだよ」 優希「そ、それは……」 京太郎「俺が誰を好きかなんてお前には関係ないだろうが」 優希「……」 京太郎「それより俺の質問に答えろよ。お前こんなとこでなにs」 優希「……っ! 京太郎のバカ!!」バンッ 京太郎「ぐおっ!!」 ダダダッ 京太郎「おいこらてめえ! なにしやがんだ!」 京太郎「……」 京太郎「なんだったんだ……?」 ――――――――――――――――――― ガチャ 京太郎「ただいまっす」 久「あら、おかえり」 京太郎「はいこれ。あと、さっき優希を見かけました」 和「優希を……どこでですか?」 京太郎「あぁ、コンビニへ行く途中の道でさ」 京太郎「話しかけたんだが、『お前は誰が好きなんだ?』とかよくわからんこと散々聞いてきたあとで、怒ってそのまま帰っちまった」 久「えっ」 まこ「ほう」 和「……あなた、それでそのままのこのこ帰ってきたんですか!」 京太郎「え……」 和「……部長、私あの子が心配なのでちょっと行ってきます」 久「え、ええ……」 スタスタ... 和「……ほんっと鈍感な人ですね!」ボソッ 京太郎「いてっ!」 和「あと咲さんの前で気安く優希と話したなんて言わないように! それでは!」ボソボソ 京太郎「お、おい……!」 バタンッ 京太郎「なんか俺まずいこと言ったかな……」 久「……」 久「き、今日はもうお開きにしましょうか!」 まこ「そうじゃの、時間もいい頃合いじゃし」 京太郎「あぁ、じゃ俺は電灯だけつけ替えときますよ」 久「あ……え、ええ! そうね」 久「それじゃよろしく頼むわ、須賀君」 咲「……」 ――――――――――――――――――― まこ「そんじゃあの、京太郎」 京太郎「はい、お疲れ様です」 バタンッ 京太郎「よし、それじゃちゃちゃっとやって俺も帰るとするか」 京太郎「……いてっ!」 京太郎「さ、さっき和に踏みつけられた指が……あいつ手加減ってものを知らねえな」 京太郎「和もそうだが、優希も……あいつら俺になんか恨みでもあるのかよ」 ――――――――――――――――――― 久「……」ソワソワ 咲「……」ジーッ まこ「……そんじゃのう、咲」 咲「え……あ、はい」 久「ま、また明日ね! 咲」 咲「……はい、それじゃ」スタスタ 久「……」 まこ「……なんじゃ、さっきから黙り込んで」 久「だって……まこも聞いたでしょ? さっきの須賀君の話」 まこ「優希が京太郎に誰が好きかと聞いたことかの」 久「うん、あれってつまり……」 まこ「……まぁ、そういうことじゃろな」 久「やっぱり……じ、じゃ須賀君はなんて答えたのかしら?」 まこ「そ、そんなのわしに聞かれてものう……」 久「さっきからそれが気になって……それに、和も帰り際に須賀君と何かしゃべってたし」 まこ「……」 久「……私、やっぱり須賀君にとっては何でもない……ただの『部長』という存在でしかないのかしら」 まこ「……そんなに気になるなら、今から戻って聞いてきたらどうじゃ」 久「えっ」 まこ「今、部室は京太郎一人……絶好のチャンスじゃ」 久「で、でも……!」 久「もし私が思ってるとおりだったら……」 まこ「……知るのが怖いんか」 久「うん……」 まこ「でも、それじゃとお前さんは一生後悔することになるぞ」 久「……」 まこ「ったく、何をひよっとるんじゃ! いつもの部長らしく、ガツンといかんかい!」 久「……ええ、そうね。わかった」 まこ「……」 久「ありがとう、まこ。私、行ってくる」 まこ「おう、吉報を期待しとるけえのう」 久「あ、あったりまえじゃない! それじゃね!」ダダッ まこ「……」 まこ(まったく、あいつも罪な男じゃのう……) ――――――――――――――――――― 片岡宅 和「……優希、いるんでしょう?」 「……」 和「出てきてください」 「……帰って」 和「……帰りません」 「帰って! もうのどちゃんの顔なんて見たくないじょ!」 和「……そうですか。ではドア越しでも構いません、何があったか聞かせてください」 「こ、声も聴きたくない! 帰れ!」 和「……イヤです。じゃあもう喋りませんから、優希が話してくれるまでずっとここにいます」 「……っ……なんで……」 和「優希が心配だからです」 「……」 和「……」 「のどちゃんは……私をバカにしにきたのか?」 和「……なぜ私がそのようなことをすると?」 「……っ」 「……のどちゃんは京太郎が好きなんだろ? もう裏はとれてるじぇ」 和「は、はぁ? な、なんで私があんな人を!?」 「……なんだじょそれは。ツンデレか?」 和「違います! 私が須賀君を? ありえません! オカルトです!!」 「……でも昨日、商店街の裏路地で二人が話してるとこをみたじぇ」 和「っ! み、見てたんですか!?」 「……うん、痴話げんかしてたじぇ」 和「してません! 誤解です!」 「……本当か?」 和「ええ、私が好きなのは咲さんただ一人ですから」 「……なんかそれはそれで妬けるじょ」 和「なっ、もちろん優希のことも好きですよ!? だからこうしてきてるわけで……」 「……わかってるじぇ。私ものどちゃんのこと好きだじぇ」 和「……優希」 「……主におっぱいが」 和「……今すぐこのドア蹴破りましょうか?」 「お、落ち着けのどちゃん……冗談だじょ」 和「……そろそろ、中に入れてくれませんか?」 「わかった……今開けるじょ」 ガチャ 優希「……」 和「優希……泣いてたんですか」 優希「……ぅ……っく」 和「優希……私に全部話してください」 優希「……っ、うん……」 ――――――――――――――――――― 和「……なるほど、やっぱりそうだったんですか」 和「しかし、須賀君ってなんでこうもモテるんでしょうか? 私には理解できません」 優希「……私だって好きで好きになったわけじゃないじょ」 和「優希、支離滅裂ですよ」 優希「うぅ……でも、この気持ちに嘘はつけないんだじぇ」 和「そう……ですね」 和(正直、咲さんのためを思えば、優希が須賀君を好きだということは大きな障害になりうる) 和(ですが、優希は私の親友でもある……できることなら邪魔なんてしたくはありません。むしろ応援してあげたいです) 和(私は親友と恋人……どちらをとるべきなんでしょうか) 和「……」 優希「……のどちゃん、部長と京太郎がキスしたというのは本当なのか?」 和「ええ、咲さんに聞いただけですが」 優希「そっか……」 和「ですが、須賀君は部長とはまだ付き合ってないと……」 優希「でも、京太郎は部長のことが好きなんだろ?」 和「……それは私にもわかりません」 優希「……」 和「……優希、須賀君に自分の想いをぶつけてきたらどうですか?」 優希「なっ……!」 和(……私が咲さんを好きであることは永劫不変の真理です……が) 和(だからといってそれが、親友の恋路を邪魔する言い訳にはなりません……!) 和(私は間違ってませんよね……? 咲さん……) 優希「でもでもっ……もし京太郎が部長のことを好きだったら!」 和「そんなの聞いてみなければわからないじゃないですか」 和「もしかしたら、優希の想いが彼の胸に響いて、心を動かすことだってありうるかもしれませんよ?」 優希「のどちゃん……」 和「さぁ、行ってきてください。早急に」 和「優希がモタモタしている間に、部長に彼を盗られてしまうかもしれませんよ?」 優希「っ! わかったじぇ、行ってくる!」ダダッ 和「……ふふ」 和(優希、がんばってくださいね……) ――――――――――――――――――― 久「はぁ、はぁ……」 久(須賀君……まだ帰ってないといいけど) 「あれ、部長……そんなに急いでどこへ行くんですか?」 久「え……あっ!」 咲「ふふ……」 久「さ、咲……どうしてここに?」 咲「部長が来るのを待ってたんですよ」 久「待ってた……?」 咲「どうせ私の目が離れたすきに……京ちゃんと一緒に帰ろうとか考えてたんでしょ?」 久「そ、そんなこと……!」 咲「はは、顔に出てますよ」 久「うっ……」 咲「悪いですけど、京ちゃんは渡しませんから」 久「咲……やっぱりあなたも須賀君のことが……」 咲「なっ……か、勘違いしないでください!」 咲「私は京ちゃんとハギヨシさんが結ばれることを願ってるだけです!」 久「は、ハギヨシさん……?」 咲「あ、部長は知らないんでしたね……あの例の小説、私が書いたんですよ」 久「え……でも、和が自分で書いたって……」 咲「あれは嘘です。和ちゃんが何を思ってか私の身代わりになろうとしたんですよ」 久「そ、そうだったの……」 咲「部長、京ちゃんだって本当はハギヨシさんのこと好きなんですよ」 咲「今は恥ずかしくて自分の気持ちに素直になれないだけです」 久「そ、それはあなたの勝手な妄想でしょう!?」 咲「妄想……? 京ちゃんが部長のことを好きだってことの方が妄想にすぎませんよ」 久「そ、それは……!」 咲「あ、今動揺した」 咲「部長だって気づいてるんじゃないですか。京ちゃんが本当は……」 久「やめてっ!」 咲「ふふ、やめません。なんなら今ここで私の新作小説を音読してあげましょうか?」 『須賀君……気持ちいいですかッ!?』パンパンッ 『うっ……き、き……』 『す、須賀……く……』 『き、気持ちいい……っ……です……』 『いやぁああああああ!!!』 久「いやぁああああ!!」 咲「あはは、どうしたんですか?」 久「さ、咲……あんた狂ってるわ!」 咲「狂ってる……?」 久「ええ、そうよ……」 久「自分の妄想小説と現実を混同して、須賀君や私たちにそれを強要してる……!」 久「頭おかしいんじゃないの!? オナニーは自分の部屋の中だけにしなさいよ!」 咲「ああああああああっ!!」 咲「うるさいうるさいうるさい!! 京ハギは正義京ハギは正義京ハギは正義なんだぁあああああ!!」 ブンッ 久「いやっ!」 咲「はぁ、はぁ……」 久「あ、挙句の果ては暴力? 警察呼ぶわよ!」 咲「くく……呼べばいいじゃないですか……」 咲「たとえ逮捕されても、獄中の中で書いて、書いて、書きまくってやる!!」 久「……っ」 咲「あ、そうだ……」ニヤッ 咲「どうせ逮捕されるんなら部長……あなたも道連れにしてあげましょうか?」キヒヒ 久「ひっ……!」 「宮永さん、なにをしてらっしゃるんですか!」 咲「はっ……!」 久「は、ハギヨシさん……!」 ハギヨシ「竹井さん、大丈夫ですか?」 久「え、ええ……」 咲「……は、ハギヨシさん……」 ハギヨシ「……」 咲「はは、本物だ……本物のハギヨシさんだ……」 ハギヨシ「……宮永さん」 咲「ハギヨシさん、ここにいるってことは京ちゃんに会いにきたんですよね……?」 咲「やっぱりそうなんだよ……ハギヨシさんは京ちゃんのことが好きで、京ちゃんもハギy」 バシンッ ハギヨシ「宮永さん、目を覚ましなさい!」 咲「……ぁ」 久「は、ハギヨシさん……」 ハギヨシ「あなたが私と須賀君のことをいくら妄想しようが、それは構いません」 ハギヨシ「しかし、他の方々に迷惑をかける行為……それだけは絶対に許しません」 咲「……」 ハギヨシ「宮永さん、あなた本当は……須賀君のことを好きなのではないですか?」 久「えっ……」 ハギヨシ「実は途中から会話を聞かせてもらっていたのです」 ハギヨシ「竹井さんがあなたに、“須賀君のことが好きか”どうか尋ねようとした際……」 ハギヨシ「一瞬ですが動揺しましたよね? あれはただ単に不意を突かれただけには見えませんでした……違いますか?」 咲「……」 咲「す、好き……? 私が……京ちゃんのこと……」 ―――そうか……私、京ちゃんのことがずっと…… ハギヨシ「……私とのカップリング小説も、誰にも須賀君を渡したくないという意識の表れだったんじゃないですか?」 咲「……っ」 ハギヨシ「竹井さんに、それにおそらく片岡さんもでしょう。須賀君のことが好きなようですし……彼は本当に罪作りな人ですね」 ハギヨシ「今までは彼女らに対する嫉妬の感情を、小説に落とし込むことで抑えてきた……それだけならよかった」 ハギヨシ「ですが、あなたは手を出してしまった……言葉の暴力で竹井さんの心を傷つけた……」 ハギヨシ「それは非常に罪深いことですよ」 咲「……っ」 咲「わ、私……」ポロッ 久「咲……」 ハギヨシ「竹井さん、あなたは須賀君に用事があるのでしょう? お行きなさい」 ハギヨシ「宮永さんのことは私にお任せを」 久「す、すみません……じゃあね、咲」 咲「うっ……ひっく……」 タタタッ 咲「……ぅ……っく」 ハギヨシ「……おそらく竹井さんは、須賀君に自分の想いを伝えるために行きました」 ハギヨシ「あなたは今回ペナルティです……わかりますね?」 咲「ぅ……は、はい……」 ハギヨシ「ですが、それでも彼が誰とも付き合わないのであれば……」 ハギヨシ「あなたにも権利はあるでしょう。須賀君に想いを告げる権利が」 咲「……っ」 ハギヨシ「その時は、正々堂々勝負してください。妄想に逃げずに」 咲「は、はい……っ」 ハギヨシ「ふふ……」 ハギヨシ(あなたならきっと大丈夫……) ハギヨシ(しかし、誰が彼の心を射止めるのか……それは私にもわかりません) ハギヨシ(あとは彼しだいですね……) ――――――――――――――――――― ダダダッ 久「や、やっと……着いた……」 ゴニョゴニョ 久「えっ……」 久(須賀君と、誰かもう一人いる……?) 久(もしかして、和か……あるいは優希かしら?) 久「あ、はは……」 久(さ、先越されちゃったかぁ……) 久「……っ」ポロッ 久(あ、あれ……なんで涙が……) 久「……っく……うぅ……」 シーン... 久「……」 久(話……終わったのかしら……) 「―――わかったじょ……じゃあな」 「―――あぁ……」 ガチャ 久(あっ……やば) 優希「……っ……ぅ」 優希「え……な、なんで部長がここにいるじょ」 久「あ、あなたこそ……」 優希「……」 優希(そっか……部長も京太郎に自分の気持ちを伝えるために……) 優希「……ひっく……な、なんでもないじょ」 優希「ぶ、部長もせいぜいがんばれだじぇ……!」ダダッ 久「あっ、優希……!」 ガチャ 久「っ!」ビクッ 京太郎「え、部長……なんでここに?」 久「あ、いやその……!」 京太郎「っていうか、その……泣いてたんすか?」 久「っ! ば、バッカねぇ! そんなわけないでしょ!」 京太郎「そ、そっすか……でもどうしたんすか? 帰ったんじゃ……」 久「……」 京太郎「……?」 久(落ち着け私……もうここまで来たら玉砕覚悟よ……!) 久「す、須賀君!!」 京太郎「っ、は、はい?」 久「ええっと……あの……そ、そのね……!」 京太郎「はぁ」 久「い、一週間前のキスの返事……きかせて」モジモジ 京太郎「え……」 久「……っ///」 京太郎(えええっ!? タコスに続き部長までもかよ……!?) 京太郎(ど、どうすりゃいいんだ俺……) 久「は、早くしなさいよ……っ!///」 京太郎「す、すみません……」 久「……///」 京太郎「ぶ、部長……俺……」 選択肢 A.京太郎「俺……咲のことが……」 B.京太郎「部長、目閉じてください……」 咲ルート 京太郎「部長……俺、咲のことが……」 久「……」 京太郎「だからその、部長の気持ちは……受け取れません」 久「……」 京太郎「すんません……」 久「……はは、そっか」 京太郎「……部長の気持ちはすげえ嬉しいっす……けど」 京太郎「俺、ずっと前からあいつのこと好きで……守ってやりたいと思ってて」 久「……ううん、須賀君は何も悪くない」 久「ごめんなさい、私の一方的なワガママを押し付けちゃって……」 京太郎「……」 久「まったく、咲も幸せ者よねっ!」ニコッ ――――――――――――――――――― カァー 久「……」トコトコ 京太郎『部長……俺、咲のことが……』 久「……なによ……わかってたことじゃない」 久「……」 久「……っ……うぅ……ぐ……」ボロボロ チャリンチャリン 久「……ぇ」 まこ「……」 久「ま、……ぅえ……」 まこ「……はよ乗りんさい。部長」 久「うぁ……うぁあああああああああああん!! まこぉおおおおお!!」ダキッ まこ「こ、こら! バランス崩れるわい!」 久「うわぁあああああああん!! うわぁああああああん!!」ボロボロ まこ「ったく、こりゃまるで赤ん坊じゃのう」 久「ぅうう……ひっく……」 まこ「まぁ、でもよく頑張ったのう」 久「ぅ……うん……っ」 まこ「……よしよし」ナデナデ 久「ぅう……ぇっく……」 まこ(はぁ……京太郎のやつも部長の誘いを断るとは、とんだ大物じゃの) まこ(じゃが、これでようやく部長も自分の気持ちに一区切りつけられたわけじゃ) まこ(お前さんにはナヨナヨしてる姿なんて似合わんからの……) まこ(それはそうと、あいつは一体誰を選びおったのかの……あとで聞いてみるか) ――――――――――――――――――― 京太郎「部長……泣いてたな……」 京太郎「つか悪いのは俺だもんな……いつまでも答えを先延ばしにして」 京太郎「タコスにも、悪いことしちまったな……」 京太郎「……」 京太郎「俺も、覚悟決めるか……」 「おや……来ましたね」 京太郎「は、ハギヨシさん!?」 ハギヨシ「どうもこんにちは。いえ、こんばんはでしょうか?」 京太郎「どうしてここに……って、咲もかよ!?」 咲「……京ちゃん」 京太郎「なんか異様な組み合わせっすね……」 京太郎「って、咲……お前泣いてるけど何かあったのか?」 ハギヨシ「ええ、道で転んだらしくてですね……私がたまたまそれを見かけたんですよ」 京太郎「そうだったんすか」 京太郎「ったく、お前もあいかわらずドジだなぁ」 咲「……う、うるさいよ京ちゃんは」 京太郎「……ハギヨシさん、ほんとすみません」 ハギヨシ「いいえ、かまいませんよ」ニコッ ハギヨシ「それよりも、あとのことは須賀君……あなたにお任せしてもよろしいでしょうか?」 京太郎「ええ、もちろんです。ほら、咲もハギヨシさんにありがとう言えよ?」 咲「っ! お、お父さんみたいなこと言わないでってば!」 ハギヨシ「ふふ……」ニコッ 咲「……ぁ、あの……ありがとうございました、ハギヨシさん」 ハギヨシ「いいえ、宮永さんも頑張ってくださいね」ニコッ 咲「……っ」 ――――――――――――――――――― スタスタ... 京太郎「……」 咲「……」 京太郎「……っ」 咲「……っ」 京太郎「……あのさ」咲「……あの」 京太郎「……お前言えよ」 咲「き、京ちゃんから言って」 京太郎「いや、咲から言えって」 咲「な、なんでよ……じゃあ、じゃんけんで勝った方ね?」 じゃんけん……ポイ! 京太郎「よし、お前からな」 咲「わかったよもう……じゃあ聞くけど……」 京太郎「おう、なんだ?」 咲「き、京ちゃん……誰と付き合うことになったの?」 京太郎「えっ……? 突き合う?」 咲「ち、違うよ! 付・き・合・う!」 咲「……部長と優希ちゃんに告白されたんでしょ? あと和ちゃんもか」 京太郎「い、いや和はちげえよ……ってか、なんでお前がそれを……?」 咲「いいから……答えてよ」 京太郎「……お、俺は……その」 咲「うん」 京太郎「えっと……実は、誰の申し出も断ったんだ」 咲「え……じゃあもしかして……」 京太郎「おいおい、ハギヨシさんじゃねえからな?」 咲「も、もう! そのネタはいいから!」 京太郎「ネタって……お前ノンケに改心したのか?」 咲「そ、そういうわけじゃないけど……もう京ちゃんとハギヨシさんでは妄想しないよ」 京太郎「へえ……あ、まさかさっきこけた拍子に頭でも打ったり……」 咲「違うから! 人を根っからの腐女子みたく言わないでよ!」 京太郎「へえへえ」 咲「そ、それじゃ京ちゃんは……今フリー?」 京太郎「ま、そういうことになるな」 咲「ふーん……」 京太郎「……」 咲「私の質問は終わりだよ。次は京ちゃんの番」 京太郎「ん、あぁ……」 京太郎「そのことなんだけどさ……」 咲「……?」 京太郎「咲、俺……」 咲「えっ……」 ダキッ 京太郎「お前のことが……好きだ」 咲「き、きき京ちゃん!?///」 京太郎「言うの遅れてごめん……でもずっと前から好きだった」 咲「……京ちゃん」 京太郎「答え……聞かせてもらっていいか?」 咲「……」 京太郎「……」ドキドキ 咲「……っ」ギュ 京太郎「さ、咲……!?」 咲「遅すぎるよ……京ちゃんのバカ……」 京太郎「ご、ごめん……」 咲「……ううん、ずっと待ってた」 京太郎「……ぁあ、ありがとう」ギュ ―――こうして俺たちは付き合い始めた 咲の暴走事件は後から知ったが、こいつもちゃんと謝罪し、部長もそれを受け入れてくれたようだ 咲は前回に続き今回もいろいろやらかした。それは事実だ でも、俺が咲を好きになっちまったのもまた事実だ。だからこそ俺はこいつのすべてを受け入れる 俺は今、最高に幸せだ――― カン 選択肢に戻る 久ルート 京太郎「目、閉じてくれますか……?」 久「えっ……ど、どうして……?」 京太郎「……お願いします」 久「う、うん……わかったわ」 久「……っ」ギュゥ 久(これって……もしかして……) 京太郎「……部長……」 久「な、なに……? 須賀k」 チュ 久「っ!?」 京太郎「……っ」 久「ん……っ……///」 京太郎「んっ……はぁ、はぁ……」 久「す、須賀君……///」 京太郎「これが、俺の……答えです」 久「……っ」 ギュッ 京太郎「ぶ、部長……!?」 久「……っ、……もっと強く、抱きしめて……?」 京太郎「え……あ、はい」ギュゥ 久「……っ///」 京太郎「部長……その、痛くないですか……?」 久「……ううん、すごくいい……あったかい」ギュ 京太郎「部長……」 久「……っ……ぐすっ……」 京太郎「……ど、どうしたんすか!?」 久「ん……なんか安心したら、また涙が出てきちゃって……」 京太郎「……え、えっと」 京太郎(そ、そうだ……ハンカチ!)ガサゴソ 京太郎(……って、ねえ! 俺のバカ!) 久「……っ……」 京太郎「ぶ、部長……俺の袖んとこ使ってください」 久「ん……ありがと……」ゴシゴシ 京太郎「……」ドキドキ 久「でも……っ、ハンカチくらい持ち歩いてなさいよ」 京太郎「め、面目ないっす……」 久「……ま、いいけどね」ギュ 京太郎「……ぶ、部長」 久「しばらくこうしていていい……?」 京太郎「ええ……いいですよ」 久「うふふ……」 京太郎「……」 京太郎(あぁ~、部長の体やわらけぇ~……) 京太郎(つか、めっちゃいい匂いする……シャンプーか?)スンスン 京太郎(頬を撫でる部長の髪の毛のこそばゆさ……たまらん!)ハァハァ 久「……須賀君、鼻息荒すぎ」 京太郎「え……あ、す、すすすすみません!」 久「なんかエッチなこと考えてたでしょ……?」 京太郎「い、いや……」 久「……うそ」 京太郎「っ!」ドキッ 京太郎(やべえ……部長の上目使いやべえよ……!) 京太郎(ていうかそんなモゾモゾ動かないでください……! 俺の愚息が反応して……)ムクリ 久「えっ……な、なにか当たって……」 京太郎「あ、えっとこれはその……!」 久「……」ジロッ 京太郎「あ、はは……」 久「……須賀君のエッチ」 京太郎(はうっ!)ムクムク 久「ちょ、動かさないでよ……!///」 京太郎「ぶ、部長がいちいち反応させるようなこと言うから……」 久「わ、私は何も言ってないわよ……! 須賀君がイヤらしい受け取り方してるだけでしょ!?」 京太郎「ち、違いますよ……部長がかわいすぎるんです」 久「なっ……///」 京太郎「お、俺……もう我慢できません……っ」 久「え、ちょっと待っ……押さないでったら……!」 ドサッ...! ←ベッドイン! 久「す、須賀君……! ここ部室なのよ!?」ヒソヒソ 京太郎「い、今は誰もいないですよ……」 久「そ、それはそうだけど……」 京太郎「部長……っ!」 久「や、やっぱりダメぇ!」ボコッ 京太郎「ぐほっ!」 京太郎「……な、なんでっすか!?」 久「ここ学校だし……私、仮にも議会長だし……」モジモジ 久「そ、それにその……心の準備だってできてないのよっ!///」 京太郎「じゃ、今準備しましょう!」 久「無茶言わないっ」 京太郎「うぅ……あんまりっす」 久「……」 久「……こ、今度……」 京太郎「……え?」 久「こ、今度ちゃんと準備してくるから……そのときなら……!」 京太郎「ん……まぁ、仕方ないっすね」 久「ほっ……じゃ、そろそろ帰りましょ? もうこんな時間だし……」 京太郎「……そうっすね、でも……」 久「……?」 京太郎「お、おさまりが利かないんで……その、ちょっと抜いてきてもいいっすか?」 久「す、す……」 久「須賀君のバカッ!!///」ボコォ 京太郎「ですよね!」グホッ ――――――――――――――――――― カァー 久「ね、ねぇ……須賀君……」 京太郎「ん、はい?」 久「て、手ぇ握って……」 京太郎「っ!」ドキッ 京太郎「え、ええ……」ギュ 久「……ご、ごめんね……ちょっと汗ばんでるかも」 京太郎「お、俺もそうですから……気にしないでください」 久「う、うん……///」 京太郎「……」 久「……」 京太郎「……ぶ、部長って案外甘えんぼさんなんですね」 久「っ! ……そ、そうよ! わ、悪い!?」 京太郎「な、なんでそんな怒るんすかぁ! ……かわいいですよ?」 久「っ!」ドキッ 久「な、なんか須賀君にその……か、かわいいとか言われると調子狂っちゃうわ……」 京太郎「でもかわいいですよ?」 久「や、やめてよもう……///」 京太郎「……あ、もうすぐお別れっすね」 久「あ……ほんと……」 京太郎「家まで送りましょうか?」 久「い、いいわよ! ……さすがにもう暗いし、けっこう距離あるでしょ?」 京太郎「俺は別にいいんですけどね」 久「っ、いいわよ! 須賀君、無理やり家上りこんできそうだし……」 京太郎「あ、ひどい! 俺をけだものみたいに!」 久「だってそうでしょ? それに……な、なんかこのままだと頭茹であがっちゃいそうだし……」 京太郎「あ、ほんとだ。部長、顔真っ赤……」 久「わ、わざわざ言わんでいい!///」 京太郎「じゃ、ここでお別れっすね」 久「……う、うん」 京太郎「それじゃ……また明日っす、部長」 久「……あ、あの! ……須賀君」 京太郎「ん? なんですか?」 久「そ、その部長っての……やめてよ」 京太郎「あ……でも、じゃあなんて?」 久「え……えっと……」 久「ひ、久って……呼んで……?///」 京太郎「っ!」ドキッ 京太郎「ひ、ひひひひひひ……!」 久「ど、どんだけドモってんのよ……」 京太郎「……ひ、久さんっ!」 久「なっ、さん付けなんて許可してない!」 京太郎「で、でもさすがに年上を呼び捨てっていうのは……」 久「わ、私たち……年齢以前に、恋人でしょ……?」 京太郎「た、たしかに……」 久「わ、わかったら早くしてよ……っ」 京太郎「すぅ~、はぁ~……じゃ、いきます」 久「……う、うん」 京太郎「……」ドキドキ 久「……」ドキドキ 京太郎「っ!」ダキッ 久「なっ!///」 京太郎「ひ、久……好きだよ」 久「……っ!!///」ボフッ 京太郎「……っ」バッ 京太郎「な、なーんて……はは」 京太郎「んじゃ、俺失礼します……!」ダダッ 久「え、あっこら……!」 京太郎「また明日っす! 部長!」 久「……ぅ」 久「な、名前元に戻ってんじゃないのよー!」 久「き、ききき……」 久「き、京太郎のバカーーーッ!」 カン 選択肢に戻る
https://w.atwiki.jp/moedra/pages/270.html
Hunter-side Lioleia-side 「なぁおっちゃん、これで弓を作ってもらえるかい?」 ようやく、憧れだった念願の武器が手に入る。 僕はそんな期待感に胸を膨らませながら真っ赤に溶けた金属の熱がこもる武器工房へと駆け込むと、いつものように腕を組んでふんぞり返っているおっちゃんにやっとの思いで集めてきた素材と金を差し出した。 「何だボウズ。お前はまだハンターになりたての青二才だろう?」 だがこれまたいつものようにというべきか、僕の依頼を聞いたおっちゃんが意地悪な笑みを浮かべながら僕の頭をクシャクシャと撫で回す。 「かっこつけて弓なんぞ使っても、お前にゃあの鬱陶しい猪どもだって狩れやしないだろうよ」 「うっ・・・い、いいだろ、別に・・・」 確かに、おっちゃんの言っていることにも一理はある。 僕がこれまで細々とでも鍛えてきた片手剣を捨てて弓を使い始めようと思ったのは、先日数人の手練のハンター達に怪鳥の討伐へと連れて行ってもらったことがきっかけだった。 熱液を吐き甲高い奇声を上げながら縦横無尽に暴れ走り回る怪鳥に近づくのを躊躇っていた僕をよそに、彼らは実に見事な狩りの様子を見せてくれた。 飛竜の中では小柄だが人間にとっては脅威と呼ぶに十分過ぎるほどの巨体を鮮やかにかわしながら、その体に浴びせられるのは雨のように降り注ぐ無数の矢。 結局、彼らは僕も含めて誰1人傷を負うこともなく巨大な怪鳥を仕留めてしまったのだ。 「まあいいさ。金と素材さえもらえれば、うちらとしてはハンターの頼みを断るわけにはいかないからな」 おっちゃんはそう言いながら僕から受け取った素材を奥にいる数人の鍛冶の男達に渡すと、その顔にニヤリと笑みを浮かべていた。 「ほら、できたぞボウズ。待たせたな」 工房のカウンターの前で武器の完成を今か今かと待っていると、奥の方からようやくでき上がったと見える真新しいハンターボウを手にしたアイルーと呼ばれる白猫が飛び出してきた。 知能が高い彼らは、このドンドルマの街の中でも大好物のマタタビと引換えに人間達に従事しているのをよく見かけることができるのだ。 そして僕の前にまだホクホクと熱を持った弓を差し出すと、アイルーが再び工房の奥へと走って行ってしまう。 「あ、ありがとう・・・」 「はは・・・あいつも、あれで結構忙しいんだ。だから、少しばかりせっかちなのは許してやってくれ」 礼を言う間もなく引っ込んでしまったアイルーに呆然としていた僕に、おっちゃんがすかさずフォローを入れる。 まぁ、きっといつものことなのだろう。 弓と一緒に矢のたっぷり詰まった矢筒も受け取って武器工房から出てくると、僕は早くその威力を試してみたくて仕方がなくなっていた。 だが長いこと工房の中で待っていたせいか、空にはもう橙色の夕焼けがかかり始めてしまっている。 温暖な気候の今はさして凶暴なモンスター達がいないお陰で新しい武器の試し撃ちにはもってこいなのだが、近場の密林は夜になると海の水位も上がってしまうほどに激しい大雨が降るのが困りものだった。 取り敢えず今日の所は明日の狩りの準備を整えて、ゆっくりと体を休めることにするとしよう。 次の日の朝、僕は子供っぽい興奮を抑え切れずにベッドの上から飛び起きていた。 マイハウスの外に出てみると、目を射抜くような眩い太陽が雲1つない快晴の空に輝いている。 今日は正に、絶好の狩猟日和といったところだろう。 僕は軽い朝食もそこそこに早速動きやすい軽装へと着替えると、矢筒とハンターボウを背に担いで大勢のハンター達で賑わう酒場へと入っていった。 「お、何だボウズ、今度は一丁前に弓なんぞ使い始めたのか?全く、気移りの激しい奴だな」 「それにそんな薄っぺらい皮の防具じゃ、あってないようなもんだ。いっそ裸の方が気が引き締まるだろうよ」 「ワッハハハハ!そいつは違いねぇ!」 ゴツゴツとした重厚な装備に身を包んだ経験豊かなハンター達が、何もかも半人前な僕の姿を目にして大きな笑い声を上げる。 僕は内心何だか悔しい気もしたが、今は笑われても仕方がないだろう。 本当に自分に合った生き方を見つけるのが、ハンターとしての目標でもあるのだ。 だから今はまだ、誰に何と言われようと色々なことに挑戦を続けていくしかない。 カウンターの奥に立っている綺麗なお姉さんに新しい武器を試したいことを打ち明けると、彼女は密林に生えている特産キノコの採集をしてきて欲しいと言った。 そんな簡単な依頼なら、その間に好きなだけ弓の試し撃ちができることだろう。 僕は快くその依頼を引き受けると、大勢のハンター達が見守る中、意気揚揚と酒場から出かけていった。 ギルドが用意してくれた船に揺られて密林のそばの海岸に到着したのは、もう昼をかなり過ぎた頃だったろうか。 ジリジリと肌を灼く温暖期の太陽が海面の波にキラキラと乱反射していて、船から降りた途端僕はその清々しい眩さに思わず目を細めてしまっていた。 目の前には見上げれば高さ数十メートルはあろうかという巨大な絶壁が聳え立ち、その縁からは幾本もの丈夫なツタの束が垂れ下がっている。 以前怪鳥の討伐に密林へとやって来た時、僕は他の仲間達がせっせとこの崖を登って行くのを地上でドキドキしながら眺めていただけだった。 別段高所恐怖症というわけではないのだが、こんないつ切れるともわからないツタを頼りに長い崖を登る勇気はまだ持ち合わせていないらしい。 「仕方ない・・・あれに挑戦するのは、また今度にしよう・・・」 僕は無謀なロッククライミングから目を背けると、崖の横の小道から深い森の中へと入っていった。 「さてと・・・キノコを探すのは後にして、まずはこいつを試さないとね」 小道の先に広がっていた広い草原で1匹の大きな針を持った蚊のような虫を見つけ、背に担いでいた弓と1本の矢を取り出す。 あの針で刺されればたちどころに全身が麻痺してしまうという厄介な相手だが、距離を取って攻撃を仕掛ける分にはさほど危険な敵ではない。 初めて扱う弓の試し撃ちの的としては丁度いいだろう。 僕は弓にあてがった矢を力一杯引き絞ると、何も知らずに宙に浮いている標的に狙いをつけて矢を放った。 ヒュン!ドスッ! 風を切って飛来した矢が、見事に空を飛ぶ敵の真ん中に命中する。 だが流石にとどめは刺せなかったのか、手傷を負った虫はあっという間にどこかへと飛び去ってしまった。 「ああっ、くそ・・・やっぱり、もっと練習が必要だな・・・」 そして惜しくも取り逃がしてしまった獲物に舌打ちしながら、再び弓を背中に背負い込む。 だが次の瞬間、突如として草原を取り囲んでいた崖の上から数匹のランポスが飛び出してきた。 「な、何だ・・・?」 しばらくその様子を呆然と眺めていると、やがて崖下にいた人間の存在に気がついたランポス達が一斉に僕へと襲いかかってくる。 「わっ!」 僕は崖から勢いよく飛び降りてくる彼らから逃げるように慌てて近場の岩棚に攀じ登ると、反対にランポス達が飛び出してきた崖の上に向かって駆け出していた。 流石に彼らの跳躍力をもってしても、1度飛び降りてしまったこの崖を登ってくることはできないだろう。 そして眼下でやかましく騒ぎ立てるランポス達の群れを一瞥すると、僕は深い木々に覆われた森の中へと入っていった。 「ふぅ・・・それにしても、何であいつらいきなり飛び出してきたんだろう?」 あのランポス達は最初から僕を襲ってきたというよりも、まるで何かから必死に逃げてきたかのように見えた。 もしそうだとすれば、この森の中に彼らが逃げ出した原因があってもおかしくないことになる。 「グルル・・・」 その時、どこからか低い唸り声が聞こえてきた。 何だかすぐ近くから聞こえたような気がするが、ここへやってきた時には何の気配も感じなかったはずだ。 だがキョロキョロと辺りを見回す内に、僕は目の前にあったくすんだ緑色の山がのそりと動いたのに気がついた。 「なっ・・・あ・・・」 そんな・・・まさか・・・何でこんな所に・・・? 僕の目の前にいたそれ・・・今の今までただの丘か茂みのように見えていたそれは、紛れもなく雌の火竜・・・リオレイアだった。 木陰で昼寝でもしようとしていたのか、地面の上に蹲ったままの彼女からは獲物を睨みつける鋭い視線だけが僕に向けてじっと注がれている。 は、早く何とかしないと・・・こ、殺される・・・! 初めて出遭った火竜の恐ろしさにカチカチと歯を鳴らしながらも、僕はそっと背負っていた弓を取り出していた。 後から考えれば、どうして僕はこの時逃げるという行動を選択できなかったのだろうかと思う。 震える手で矢筒から1本の矢を引き抜き、それを弦にかけて恐る恐る引いていく。 リオレイアも僕が攻撃を加えようとしていることを悟ったのか、ゆっくりとその頭を持ち上げていた。 「う、うぅ・・・うわああっ!」 ヒュン!キン! だがガクガクと笑う膝のお陰で満足に力を込めることもできず、半端に引き絞られた弓から放たれた矢がリオレイアの顔の甲殻に傷1つつけることなく弾き返される。 「グルォ・・・!」 次の瞬間、明らかな怒りの表情を浮かべた雌火竜が地面から立ち上がっていた。 長い首から尻尾の先まで併せれば20メートル程もあるだろうその巨体を目の当たりにして、無駄な抵抗をする気力など一瞬にして消し飛んでしまう。 すっかり腰が抜けてしまい、僕は手にしていた弓を取り落とすとその場にどさりとへたり込んだ。 も、もうだめだ・・・助からない・・・ 「あ・・・ぁ・・・」 ズシッ・・・ それでも最終的には死の恐怖が勝ったのか、やがて巨大な雌火竜の脚が1歩前に踏み出されると僕はロクに言うことを聞かなくなった足を引きずるようにして恐ろしい怪物から逃げようと地面の上を這い出していた。 ズシッ、ズシッ、ズシッ・・・ 「う、うわあああ・・・い、いやだ・・・」 だが当然雌火竜からは逃げ切れるはずもなく、僕はたったの数歩でリオレイアに追いつかれてしまっていた。 そして僕の背後で、鋭い鉤爪の生えた巨大な脚が持ち上げられる。 ドシャッ! 「がっ・・・は・・・」 次の瞬間、僕は怒れる雌火竜に激しく背中を踏みつけられていた。 肺から漏れた空気が、苦しげな悲鳴となって吐き出されていく。 ドスッ!ズン!グシッ!ゴシャッ! 「あっ・・・が・・・た・・・すけ・・・」 だがそれだけでは終わらず、リオレイアはなおも執拗に何度も何度も僕の体を踏みつけた。 その巨体が誇る凄まじい体重をもってすれば人間など簡単に跡形もなく踏み潰すことができるだろうに、死なぬ程度に手加減された拷問のような踏みつけに成す術もなく悶えさせられてしまう。 やがてしばらくして僕が声も上げられなくなったことに気がついたのか、リオレイアは途中で踏みつけるのをやめると僕の体を脚の爪先でグイッと引っくり返していた。 「う・・・ぅ・・・」 奇跡的にもどこにも怪我はしていないようだが、散々に痛めつけられた体は既に指先にすら全く力が入らない。 そんな僕の目の前で、リオレイアがとどめを刺そうと再び大きな脚を振り上げる。 だが今度は勢いよく踏みつけられるようなことはなく、ゆっくりと胸の上に載せられた巨竜の脚からじわじわと凶悪な体重が預けられ始めていた。 メキッ・・・ミシッ・・・ 「ひっ・・・や、やめ・・・て・・・」 やがて胸骨の軋む音が聞こえ、肺に溜まっていた空気がゆっくりと外へ押し出されていく。 く、苦しい・・・だ、誰か助けて・・・ それが叶わぬ願いだとは知りつつも、僕は泣きながらさっきまで動かなかったはずの手足を必死に暴れさせながら雌火竜の足下でもがき続けていた。 だがやがて踏みつけられた肺から最後の空気が押し出され、酸欠の苦しみにだんだんと視界がぼやけていく。 そして深い海の底にいるかのような息苦しさが限界を迎えると、僕はついにふっと気を失ってしまっていた。 「ぐ・・・う・・・げほっごほほっ・・・」 激しい咳とともに暗闇の中から現実の世界へと引き戻されると、僕はゆっくりと視線を辺りに巡らせた。 目に見えるのは、薄暗い洞窟の石壁と大きな縦穴から覗く朱に染まった夕焼けの空。 僕は・・・助かったのだろうか? だが不思議に思いながらも軋む体をそっと起こしたその時、不意に背後から浴びせられる何者かの視線を感じ取ってしまう。 何かがいる・・・! 背に感じる圧倒的な存在感に恐る恐る背後を振り向くと、僕からほんの少し離れた所であのリオレイアが何も言わずにじっと僕の顔を見つめていた。 「ひっ・・・」 思わず反射的に周囲に手を伸ばすが、当然というべきか唯一の武器だった弓と矢筒はどこにも見当たらない。 僕は仕方なく腰に身に着けていたモンスター達の素材を剥ぎ取るための小さなナイフを手にすると、こんなものでは到底敵わぬことを知りながらもそれを両手で構えて巨大な雌火竜へと向けていた。 「く、来るなっ・・・」 そう叫びながら恐ろしさに噛み合わなくなった歯の根を必死で噛み締めたものの、ナイフの切っ先は依然としてガタガタと激しく震えている。 ズッ・・・ だがそんな僕の悪足掻きにも一切表情を変えることなく、リオレイアはゆっくりと前に脚を踏み出し始めた。 白刃の前に微塵も怯む様子を見せず、むしろ余裕たっぷりに眼前でへたり込んでいる獲物を睨みつけている。 そして雌火竜はゴクリと息を呑んだ僕の鼻先にその巨大な顔を近づけると、まるで刺してみろと言わんばかりにフッと熱い吐息を僕に吹きかけた。 「グルル・・・」 「ああ・・・ぅ・・・」 カララァン・・・ 空気を震わせた威嚇とも嘲笑とも取れるような低い唸り声に、ナイフを構えていた手から力が抜ける。 硬い岩の上に転がったナイフの立てる乾いた音に、僕は死を覚悟して歯を食い縛るとギュッと目を瞑った。 ペロォ・・・ 瞼の裏側から流れた涙が、熱い唾液に塗れた雌火竜の分厚い舌で掬い上げられる。 鋭い幾本もの牙が眼前に近づけられる気配。 声を出すこともできないほどの凄まじい恐怖に、大きく吸い込んた息がハッハッと断続的に漏れていく。 まるで眠った赤子のように無力な獲物を前にして、リオレイアは一体どんな表情を浮かべているのだろう? 自分に手向かった不遜な人間を粛清する前の愉悦の色だろうか? それとも、自らの前に平伏した獲物に対する捕食者としての優越感なのだろうか? だが暗闇の中でいつまで待ってみても、予想していたような衝撃や激痛が襲ってくることはついになかった。 「・・・・・・・・・?」 耐え難い静寂が、一体どれほど続いただろうか? 目を開ければ嗜虐的な笑みを湛えた雌火竜が大きな口を開いて僕が断末魔の悲鳴を上げるのを待っていそうで、僕は力なく地面の上にへたり込んで震えたままおかしな瞑想を続けていた。 巨大な体に見合ったリオレイアのゆったりとした呼吸の音が今も近くで聞こえ、思わずゴクリと息を呑む。 だめだ・・・もう、これ以上耐えられない・・・! いつまでもとどめを刺されない生殺しの苦しみに耐えかね、僕は薄っすらと細目を開けて辺りの様子を窺った。 果たして、予想していたようなおぞましい竜の口内が眼前に広がっているなどというようなことはなく、涙を流して1人怯えている僕を少し離れたところに蹲ったリオレイアが愉しげな表情で眺めている。 何故・・・あのリオレイアは僕を殺そうとしないのだろう? 未熟な僕の放った矢では傷を負わなかったとはいえ、仮にもハンターから顔に向かって矢を射られたのだ。 しかもその後、あのリオレイアは確かに怒りに任せて僕の体を踏み躙った。 それなのにとどめも刺さずに僕をこんな洞窟の奥へと連れてきて、今もなお静かにこちらの様子を窺っているのは一体どうしたことなのだろうか。 「グルゥ・・・」 だがやがて僕の目を真っ直ぐに見つめながら上げられた雌火竜の穏やかな唸り声に、僕はどうやら命は見逃してもらえたらしいことを理解していた。 雌の火竜とはいえ彼女と呼んでもよいのかどうかはわからないが、どうやら彼女は僕を眺めながら何やら考え事をしていたらしかった。 だが僕の方もじっと彼女の顔を見つめていると、飛竜の巨大な体がゴロリという音とともに地面の上へと転がる。 そしてある意味で妖艶とも呼べるような雌特有の視線をこちらに振り向けながら、リオレイアが両脇に垂れ下がっていた巨翼の片方を遠慮がちに持ち上げていた。 もしかしてこれは・・・僕を誘っているのだろうか・・・? 「僕に・・・こっちへ来いって言うの・・・?」 その問に、彼女からの返事はない。 ただただ僕の意識を捕えて離そうとしない幻術にも似た不思議な視線に、思わず吸い込まれてしまいそうになる。 彼女が答えないのは、僕の言葉が通じていないからだけではないに違いない。 これは僕に対する巨大な雌飛竜の挑戦であり、懇願であり、そして期待でもあるのだろう。 自身の10倍以上もの体躯を誇る恐ろしい巨竜に、心を許すことができるかどうかを試しているのだ。 今なら、ここから逃げ出すこともできるのかもしれない。 リオレイアの塒となっているこの大きな洞窟にはいくつもの出入口があり、少なくともその内の3つの出口から外へと出ていくことができる。 そしてそれは、当然リオレイアに対峙した僕の背後にも大きな明るい口を開けていた。 だが・・・この密林にはリオレイアの他にもランポスを含めて危険なモンスター達が無数に跋扈しているのだ。 せめて奴らを追い払えるような武器があるのなら話は別なのだが、丸腰の今となってはむしろ彼女のそばにいるのが1番安全のような気さえしてきてしまう。 やがて僕は勇気を振り絞ってそっと地面から立ち上がると、気だるい体を引きずるようにして雌火竜のもとへと近づいていった。 それを待っていたかのようにクイッと翼が上がり、僕を自然にその傘下へと誘っていく。 そして見上げるように巨大な雌火竜の懐に、僕はドキドキという胸の高まりを抑えながら身を寄せていた。 暖かい・・・ 火竜族の鱗はそれ自体が高い温度を保っているものだが、このリオレイアもまたそのご多分に漏れず、ポッと内側に炎を燃やしているような力強い暖かさがある。 更にはリオレイアと添い寝する姿勢になった僕の上に持ち上げられていた翼がそっと被せられ、まるで寝袋にでも包まっているかのような心地よさが全身を包み込んでいった。 「ああ・・・」 思わずそう声を漏らしてしまうほど、溜まりに溜まっていた疲労と緊張がまるで嘘のように消えていく。 飛竜など人間に仇なす恐ろしい存在だとばかり思っていたのに、いざこうして間近で身を寄せ合ってみるとそれがいかに愚かな先入観だったのかがよくわかる。 リオレイアは僕を翼で抱き抱えたまま、まるで思い出にでも耽っているかのように洞窟の外を見つめていた。 照れ隠しなのかそれとも無意識の内に表れた彼女の心情の一部なのか、雌火竜特有の大きな毒刺の生えた尻尾がパタンパタンと小さな音を立てて地面を叩いている。 何もかもが癒されるような巨竜の包容力に抱かれながら、僕はいつしか彼女の隣で深い眠りに落ちていった。 ビッ・・・ビリッ・・・ブチッ・・・バリリッ・・・ 心地よい忘却の彼方に沈んでいたはずの意識が捉えた、ゆさゆさと体が乱暴に揺すられているような感触。 それに続いて、何か衣服の破けるような音と軽い衝撃が体のあちこちに跳ね回る。 だが何事かと思って目を開けた僕の体をリオレイアが激しく振り回している様子を目の当たりにして、僕は慌てて大声を上げていた。 「うっわっ・・・な、何をするんだ・・・レ、レイア・・・!」 ドスッ・・・グッ・・・ 「うあっ・・・あ・・・はぁ・・・」 そして反射的にその場から逃げ出そうとした瞬間、リオレイアの巨大な顎が僕の上へと振り降ろされる。 滑らかな鱗に覆われた下顎でギュッと力強く地面の上へと押しつけられ、更にはもがこうとする僕の体力を奪うかのようにグリグリと胸や腹の辺りを磨り潰されてしまう。 「ぐぅ・・・うぅ・・・」 やがて圧倒的な雌火竜の力による荒々しい拘束に一切の抵抗を諦めると、僕はクタッと力なく両腕を地面に投げ出して彼女に服従の意思を伝えていた。 そして・・・無力な獲物の制圧を終えたリオレイアの視線が、無残に装備を破り取られた股間から遠慮がちに突き出しているペニスへと注がれる。 ああ・・・そんな・・・彼女は・・・僕を犯すつもりなの・・・か・・・ そんな僕の内に湧き上がったのは決して逃れられないという絶望に包まれた、背筋を震わせるような期待感。 パクッ・・・ 「ふあっ・・・」 やがて人間をも丸呑みにできるような巨口が唐突に僕のペニスへと食らいつき、熱く煮え滾った唾液を纏う分厚い舌による抱擁に上ずった嬌声を上げさせられてしまう。 ジュル・・・ズ・・・ズリュゥ・・・ 「うあっあっ・・・レ、レイアッ・・・」 山のように巨大な体に見合わぬ雌火竜の繊細な舌技に、僕は激しく身悶えながら彼女の名を叫んでいた。 ザラついた舌が唾液にぬめったペニスの根元をしなやかに締め上げながら容赦無く亀頭へと襲いかかり、蕩けるような甘い快楽と陶酔感を僕の髄にまで叩き込んでくる。 ギュゥ・・・グリュッ・・・ヌチュッ・・・ 「はぁっ・・・レ、レイア・・・もう、だめ・・・」 絶え間無くペニスへと塗り込められるあまりの気持ちよさに腰から力が抜け、射精を堪えようとする気力は底に穴の空いたグラスに注がれたワインのように空しく零れ落ちていった。 「グルッ・・・ガァ・・・ウゥ・・・グオアッ!」 悶える雄にどどめを刺そうと滅茶苦茶にペニスを責め嬲る彼女の口から、抑え切れない興奮の唸り声が迸る。 グジュッジュルルッヌチャ・・・ギギュゥッ 「レ、レイッ・・・う・・・うあああああ~!!」 ビュビュッビュルルルルルッ・・・ 昂ぶる性欲に灼けた舌に限界寸前のペニスを思い切り握り締められて、僕はついに彼女の口の中へ白く濁った屈服の証を吐き出していた。 ジュッジュルルッズゥ~ 「あっだ、だめ・・・吸わないで・・・ああ~!」 果てたばかりの敏感なペニスを吸い立てられるというかつてない快感に、脳が、神経が、そして全身の血液が沸騰する。 だがバタバタと必死に手足を暴れさせたところで無慈悲な吸引が止んでくれるはずもなく、鋭く細められた雌火竜の瞳が無様に悶える獲物を静かに見据えているばかり。 ズッ・・・ズズッ・・・ズルルッ・・・ ああっ・・・ま、また・・・だめぇ・・・ ビュルッ・・・ビュルルッ・・・ 声を出す気力も失ってしまったのか、射精の瞬間に大きく開いた僕の口からは微かな吐息が漏れるのみ。 そしてそんな気の抜けた精の残滓をもうっとりとした表情で飲み込むと、彼女がやっと僕のペニスを口内から解放してくれていた。 「はぁ・・・はぁ・・・」 「グルル・・・グルルルル・・・」 荒くなった僕の呼吸に合わせるようにして漏れ聞こえてくるその唸り声は、彼女の興奮の証なのだろうか? 僕の顔をじっと見つめているリオレイアの瞳は、まるで何かを恐れているように小刻みに揺れている。 もしかしたら・・・彼女は今の行動が原因で僕に嫌われたと思っているのかもしれない。 確かに僕も彼女に襲われた最初の内は驚きと恐怖を味わっていたものの、今はもう元の平静さを取り戻していた。 だが言葉の通じない彼女にそのことを伝えるためには、そして彼女がこの後に望んでいるであろう行動に躊躇いを感じないようにするためには、彼女のプライドを傷つけない工夫が必要になるだろう。 やがて少し考えた末に、僕はじっとりと汗をかいていた顔に相手を嘲るような表情を浮かべると内心ビクつきながらも巨大な雌火竜に向かって挑発的な言葉を投げかけた。 「あはは・・・何だ、大したことないじゃないか・・・もう終わりかい?」 たとえ言葉の意味はわからなくとも、僕の口調から侮蔑のニュアンスは十二分に伝わったことだろう。 その証拠に、リオレイアが突然怒りを露わにした恐ろしげな声を上げる。 「グオアァッ・・・!」 う、うわあ・・・ 正直、僕は敵意を露わにしたリオレイアの様子に身の危険を感じていた。 もしかしたら、僕はこのまま殺されてしまうかも知れない・・・ いや、大丈夫だ・・・これはきっと、僕の心中を試すためのただの威嚇に過ぎないはず・・・ だがいくら自分にそう言い聞かせてみたところで、理性をほんの少しだけ上回った恐怖に打ち負けてゴクリと息を呑んでしまう。 それでも顔にだけは相変わらずニヤニヤと意地悪な笑いを浮かべ続けていると、彼女はようやく僕の誘いに乗ってきたようだった。 「ガアァッ!」 ドンッ 「うぐっ・・・」 耳を劈くような怒りの咆哮が辺りに轟いたかと思った次の瞬間、座っていた僕の体をリオレイアが顎をかち上げるようにして地面の上へと押し倒す。 そして足元に転がった不埒な無礼者の視界を広げた翼で一杯に覆い尽くすと、彼女はまるで自らの優位性を見せつけるように僕の顔を力任せにザラついた舌で擦り上げていた。 そんな彼女の下腹部では己に逆らった生意気で小賢しい雄に制裁を与えようと、薄っすらと桃色がかった愛液にたっぷりと潤った割れ目がヒクヒクと蟲惑的な律動を繰り返している。 「グルルルル・・・」 やがて覚悟しろと言わんばかりの高圧的で有無を言わせぬ声が彼女の口から発せられると、僕はようやく嫌味な人間の演技を止めて元の穏やかな表情を取り戻していた。 その唐突な雰囲気の変化を敏感に感じ取ったのか、不意に彼女の動きがピタリと止まる。 だが侮辱された怒りにまかせて僕に襲い掛かってしまった手前、彼女はたとえ僕の真意に気づいたところで今更後には引けないだろう。 そしてそれを裏付けるように、雌火竜はゆっくりと自らの膣口を広げて僕のペニスの上へと腰を降ろしていった。 ズ・・・ズプッ・・・ズズ・・・ 「くっ・・・はぁっ・・・」 あ、熱い・・・! 彼女の繊細な舌技に翻弄されていた時も僕はその熱湯のような唾液の熱さに終始身を捩っていたというのに、膣の中を覆い尽くしているドロドロの愛液はさながらグツグツと煮え滾った油のよう。 入れているだけでもジンジンとした熱の刺激が、生贄と化した雄槍を果てしない快楽の高みへと押し上げていく。 ヌリュッ・・・リュリュゥ・・・ 「あっく・・・うはぁっ・・・」 「グルゥ・・・グゥゥ・・・」 やがて蕩けそうなほどに柔らかい無数の肉襞が僕のペニスをねっとりと舐め上げると、彼女も快感を感じているのかとても飛竜の声とは思えぬ程に艶のある美しい調べが辺りに響き渡った。 その瞬間、それまで理知的な光が宿っていたはずの彼女の瞳に危険で荒々しい雌竜の本性が燃え上がる。 「グルオァァァーー!」 そしてビリビリと夜の闇を震わせるリオレイアの雄叫びが、永い永い夜の訪れを告げていた。 グッ、グシュッ、ヌチャッ、グチュゥッ 「くぁっ・・・かっ・・・ふぁっ・・・うあああっ・・・!」 張り詰めたペニスを根元まできつく膣に咥え込んだまま、雌火竜が全力で腹下の無力な雄を振り回す。 僕は熱く柔らかな膣壁に幾度も幾度も乱暴にペニスを擦り付けられながら、必死に彼女の胸に抱きついて激し過ぎる快楽に歯を食い縛っていた。 「ガアッ!グ、グオガッ!グルルァッ!」 「ぐ、ぐうぅ~~・・・!」 も、もう限界だ・・・そ、それに・・・彼女の体にしがみつく力ももう・・・ ギュッ、ギュウウッ・・・! 「ぐっ、うあああああああ~~~~!」 「グガアアアアアアァーーーーッ!」 深い密林中に響き渡った絶頂の断末魔は、やがて激しく降頻る雨音の中へと溶け込んでいった。 「う・・・うぅん・・・」 全身を襲う心地のよい倦怠感。 霞みがかった意識の中に昨夜の記憶が蘇り、僕はハッと目を覚ました。 雨水に濡れた地面の上で眠っていた僕の体の上に、暖かい温もりに満ちた雌火竜の翼が被せられている。 まだ眠っているのか彼女の円らな瞳は固く閉じられた瞼の奥へと身を潜めていて、低くこもった緩やかな寝息が僕の耳をサワサワとくすぐり続けていた。 「レイア・・・?」 遠慮がちに巨大な雌火竜の名を呼んでみるが、彼女が目を覚ます気配はまだない。 だがその凛々しい顔に何とも言えない満足感が漂っているのを見て取って、僕はホッと安堵の息をついた。 「レイア・・・僕・・・お前が好きだよ」 その僕の声が聞こえたのか、リオレイアが何時の間にか大きな目を見開いて僕を見つめていた。 告白の言葉を聞かれてしまったことに一瞬恥ずかしさを覚えたものの、やがて彼女の漏らした優しげな返事が僕の羞恥を洗い流していく。 「グルゥ・・・」 ああ・・・よかった・・・ そして彼女が再び静かな眠りに落ちていったのを見届けると、僕は胸の内に湧き上がる清々しい幸福感に浸りながらすっかりと雨の晴れ上がった明るい外の光に眩しげに目を細めていた。 完 感想 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/mbmr/pages/158.html
彼女達の物語 ◆MmI69YO1U6 人が、死んだ。 こうやって口に出してしまえば、不思議と空気に溶けてしまう。 ただの言葉な筈のそれは、空へ溶けてしまってもずっと、心を縛り付けるくらい、重たい。 想像してしまうだけで、ずぶずぶと暗い何かに意識が沈んでしまうようで。 背後から迫ってくるような恐怖感をふるりと体を揺すって考えないようにする。 本当の本当に当たり前のお話で、今更言うようなことじゃないけれど。 命は尊くて、大切なモノだ。 何にも変えられない、大切なモノ。 失うなんて出来ない、大切なモノ。 アイドルとか、プロデューサーとか、そんな立場なんて関係なく。 お金持ちも、貧乏な人も、そんな付加価値なんて関係ない。 誰もみんな命が大切で――死んでしまうのは、怖い。 死ぬ、ということは命が消えてしまうということ。 命が消えてしまったら、もう何も、ない。 死んでしまったら、命が失われてしまったら、全部が終わり。 誰かと喜んで、笑顔になることも出来ない。 誰かに怒って、喧嘩をすることも出来ない。 誰かを哀しんで、涙を流すことも出来ない。 誰かで楽しんで、怒られることも出来ない。 死んでしまったら全部全部、おしまい。 思い出や、絆、或いは血縁関係や、そんなものを超えた感情。 後に残されるであろう誰かには、そんな、自分が生きていた証が刻まれるのかもしれない。 でも、死んでしまった人には何も残らない。 これまで誰かと共に創り上げた笑顔も。 これから誰かと共に上っていく舞台も。 過去と未来が別け隔てなく、失われてしまう。 だから、死ぬのは、怖い。 無くなってしまうのは、怖い。 無かったことになってしまうのは、怖い。 言葉にしなくても、心の底ではそんな当たり前が存在していて。 他の皆にも、当たり前が確かにあるんだって思っていて。 『……う……そ……なんで……なんで……死ななきゃならないのよぉ!?!?』 けれど、その命は呆気無く、いとも簡単に、容易く失われてしまった。 お腹が空いたからご飯を食べるくらいの気軽さで、人が、死んだ。 目の前で、当たり前は当たり前じゃなくなった。 ――認めたくなんて、ない。 それを認めてしまったら、 それが当たり前になってしまったら、 そしたら、きっと―――― ☆ 星一つない真っ暗な夜空も、星々の光に照らされてきらきらと輝くように。 完全に消灯されて明かり一つない漆黒の空間を、小さな円形の光がぴょこぴょこと跳ね回る。 「にゃーん♪にゃにゃにゃにゃーん♪」 光源である懐中電灯の持ち主は、自身の置かれた状況にはとてもそぐわないような。 およそ場違いと言っても過言ではない軽い声音で、呑気に鼻歌を辺りに響かせる。 殺し合いを強制された『イベント』とは思えない、軽やかな声音。 「あっかり、あっかり、あかりチャンはどっこに隠れてるのかにゃー☆」 自らの目の前ですら把握することが困難な、重苦しい暗闇。 その中をぱたぱたと、せわしなく歩き回る足音と同時に聞こえる彼女の声だけが、しんとした静寂を破る。 どうやら電灯のスイッチを探しているらしい、警戒なんて言葉は欠片も感じることが出来ない物音。 わたわたと紡がれるそれは、時折何かがぶつかる音と重なりつつもやがて乾いた音と共に静まることになる。 「あ、いたたた……やぁっと発見にゃ!」 同時。 天井に設置された電球に淡い光が灯り、空間が眩く照らされ暖かな光に包まれる。 漸く周りを視認することが出来るようになった彼女――前川みくは、にゃうぅ、と目尻に大粒の雫を浮かべて恨めしそうな視線をどこへやら送っていた。 「どうせなら、電気も点けといてくれたら良かったのににゃあ」 四苦八苦している時にでもぶつけたに違いない、恐らくたんこぶが出来ているであろう頭を片手で撫でつつ、ポツリ。 ジトリと、しかし深刻さを余り感じさせないそれをこれ以上重ねることはない。 すぐに気を取り直したような、いつも通りの無邪気な笑顔を浮かべて明瞭になった視界を確認する。 暗闇の中周りが見えないというのは、想像以上にストレスが溜まるものである。 何かにぶつかったり、うっかり物を落としてしまったり、或いは言いようのない恐怖を感じたり。 そんな様々な不安を掻き立てる何かが心の奥底に潜んでいたからだろうか。 いくつも並ぶ電灯のスイッチを発見した彼女は、特に意識することもなくスイッチを全てオンにしていた。 故に、一般的にフロントと呼ばれる位置に立っていた彼女は電灯に照らされる周囲の状況を用意に把握し、明かりを求めてなんとはなく飛び越えて進入した其処を、今度は正式な出入り口から脱出する。 若しかしたらスカートの中が見えてNG? などと、腕を組んでうにゃうにゃ思案しながらも、背負っていた鞄をぎゅっと背負いなおして暗闇に阻まれた目的地であるエレベーターへと歩き出す。 「よーし、いっくにゃー!!」 咆哮一閃。 彼女の物語はここから始まる。 ☆ 目を覚ました時、最初に感じたのは強い、強い、恐怖。 妙に重たい瞼も、身体を襲う倦怠感も、不思議と気にはならなかった。 心の中心にあるのはたった一つ。 「なんで、なんで、なんで、にゃあ……」 かたかた、と理由もわからず小柄な身体が震えている。 ――否、理由を理解しているから、震えは止まらない。 意識が途切れる寸前まで彼女の視界を占めていた光景。 無論、今は瞳に映る筈もないソレが、瞼を閉じると鮮明に浮かび上がる。 鈍いあかいろ。 錆びたにおい。 訪れたおわり。 考えると同時に喉下まで昇ってくる不快感を、必死に堪えて唾液を飲み込んだ。 ぽたぽたと、両の瞳からは涙が流れ落ち視界がぼやける。 飲み込んでも飲み込んでも、押さえた口から嗚咽が零れる。 じわり、じわり。 お気に入りの衣装の胸元が滲む。 無理だ、と。 心の中で何かが悲鳴をあげている。 無理だ、と。 心の外で何かが悲鳴を上げている。 なのに、そんな意志に反して身体はむくりと起き上がり、両足で地面を踏ん張り立ち上がる。 ちひろさんは言っていた――これは殺し合うイベントだと。 無意識に首元へと手が伸びていた。 触れるとひんやり冷たい首輪は、文字通りの意味を与えていて。 逆らったら死んでしまうと、言葉なく伝えてきていて。 だとしたら、こんな所で寝転んで泣きじゃくっている自分も若しかしたらあの人みたいに―― そこが、限界だった。 「う、え、ぇ……! えほっ、えほっ……ッ、ひっ、ぐ……ふ、う」 すっぱい液体がとめどなく地面に零れ落ちた。 でも、そんなことを気にしている余裕なんてあるわけがない。 怖くて、怖くて、怖くて、怖くて、怖くて、怖いから、怖かった。 他のことなんてなにも考えられない。 たった一つの感情だけが全部を支配して、他のものは壊れてしまう。 恐怖に震えて、涙を流すことしか出来ない。 そう、思っていたのに。 意識も、身体も、止まってはくれない。 いつの間にか背負っていた鞄の紐を、落とさないようにしっかり握り締める。 寝転んでいた道は舗装されていて、周りからは丸見え。 せめて誰にも見付からない所へ行こうと、ゆっくり歩き出した。 忍び足のつもりの足取りには震えが幾分も混ざり、押さえようもなく地面を踏みしめる音が聞こえる。 静寂に包まれ、月の光が辺り照らす光景は何処か幻想的だと場違いなことを思うけれど。 いまはその静寂が、どうしようもなく嫌だった。 一歩踏み出す度、鼓膜を震わす音に、心臓はばくばくと脈打っている。 口から漏れる吐息は不規則で、上手く呼吸ができているのかわからない。 握った拳がじんわりと汗ばんで、きもちわるい。 涙と、汗と、体液で全身はぐしょぐしょだ。 けれど、そんな状態でも歩き続けていれば、なんとか人気のない路地裏へと辿り着くことが出来た。 誰にも見付からなかったことに対する安堵と、いつまでも終わらない恐怖に対する不安。 膨大な感情に靄がかかる思考は、何も考えたくないという意思とは裏腹に目まぐるしく脳裏を駆け巡る。 プロデューサーが死ぬのは、絶対嫌だ。 それなら言われるがままに、誰かを殺すのか。 それとも殺されないように、何処かへ隠れるのか。 どうすれば皆と離れずに、また一緒に帰ることが出来るか。 家に帰ることが出来たとしても、またトップアイドルを目指せるのか。 形にならない乱雑な思考は次々湧き上がる、が。 ――このまま死んでしまうのは、嫌だ。 結局、彼女の答えは一つ。 「死にたく、ないにゃあ……」 死んでしまったら、大好きなプロデューサーといられなくなる。 死んでしまったら、彼の傍を誰かに獲られてしまうかもしれない。 死んでしまったら、一緒に頑張ってきた日々がなかったことになるかもしれない。 死んでしまったら、二人で描いてきた夢は別の誰かと叶える夢にすり替わるかもしれない。 死んでしまったら、心から忘れ去られてしまうかもしれない。 そんなのは、絶対に、嫌だ、 でも、だからといって他の誰かを殺すなんて、出来ない。 このイベントに集められたのは、皆アイドルである仲間だ。 頂点を目指して頑張る仲間を、ライバルを殺すなんて出来るワケがない。 この手は、誰かの笑顔を作るもので。 この目は、誰かの笑顔を見るもので。 この身は、誰かの笑顔を守るもので。 誰かの笑顔を壊す為にあるんじゃないから。 でも、殺さなければ殺されてしまう。 死ぬのも殺すのも、怖い。 だったら、どうすれば、 と。 そこまで考えたところでふと、今更のように自身が背負った鞄の存在を思い出す。 ずるりと肩から滑り落ちる紐を、勢いに任せて下へと引っ張る。 さして抵抗もなく地面に落ちたソレを、縋るような手つきで検分していく。 何を求めているのか理解しないまま、一心不乱に。 そうして暫く、懐中電灯や名簿といった品々を指先で掴み取るのだが、その次に触れた物が中々取り出せない。 震えた指先では上手く掴むことが出来ず、それに苛立って強引に引っ張り出そうとしても引っかかって顔を出さない。 プラスチックのような、チャチな材質の何かをカリカリと爪先で引っ掻いている状況にやがて痺れを切らすと、鞄をさかさまにして上下に振りたくる。 一瞬遅れて聞こえる、荷物がばら撒かれる音。 そして、漸く何かの正体が瞳に映る。 苦労して取り出した、何か。 蛍光色で塗られており、薄暗い路地裏でも容易く目に入る何か。 ソレが何であるかを確認した瞬間、全身から力が抜けペタンとお尻から崩れ落ちる。 「はぁぁぁあ……プロデューサーチャンも冗談キッツいにゃあ ……ドッキリならドッキリって言ってくれなきゃ、困る、にゃ」 彼の名前は呼ばない、公私混同は駄目なことくらい理解している。 ごしごしと、充血して真っ赤になった目元を拭って涙を隠す。 近くにあった紙でちーん、と鼻をかんで小さく咳払い……そのまま投げ捨てるのはご愛嬌だ。 そして、改めて取り出したプラカードを確認する。 『ドッキリ大成功』 テレビでもよく見掛ける小道具を前にして、やっと彼女に小さな笑顔が戻る。 そう、よくよく考えてみれば可笑しい話だ。 誰かを集めて殺し合わせるイベントなんて、そんなの誰も認めるわけがない。 警察が、そんな大掛かりな事件を見過ごす筈がない。 それ以前に、自分達は『アイドル』なのだから、殺し合わせる理由なんてあるわけがない。 ちょっと考えれば、こんなにも当たり前なことだったのに。 簡単に騙されて、アイドルらしからぬ醜態を晒した自分が急速に恥ずかしくなってくる。 頬が熱くなるのを感じつつ、さり気なくを装って周りを見渡すが、どこにもカメラは見当たらなかった。 きっと、見付からないように此方の反応を窺っているのだろう。 だが、ドッキリの醍醐味ともいえる、リアクションを浮かべた表情を撮り逃す筈がない。 今度こそアイドルらしい自分を表現しなくてはと、満開の笑顔を咲かせようとするが、どうにも表情が強張って仕方がなかった。 「でも……なんで、みくにコレが……?」 ふと、脳裏を過ぎる疑問も、最早敵ではない。 きっと、ドッキリの種明かしをする立場――所謂仕掛け人に選ばれたのだ。 きっと、これまでの努力が実を結んで自分はその立場に選ばれたに違いない。 「うーん? あっちの方に、みくのセンサーがビンビンでギンギンなのにゃ☆」 そう、いつも通りに声を張った視線の先には、豪勢なホテルの一室が映っていた。 建物全体が消灯している中に一室だけポツンと明かりが灯る様子は、暗い恐怖の中で芽生えた一つの希望のようで。 ホテルを介して自らの希望を再度認識しながら、あそこにいる誰かにも希望を早く分けてあげようと即座に立ち上がる。 不安も、恐怖も、もう終わりだと何度も心の中で呟いて。 この震えは嬉しいからだと身体に言い聞かせて。 そして彼女は建物に灯る希望へと歩き始める。 「怖いのは、ぜーんぶおしまいっ! 後はみくチャンにまっかせっにゃさぁーい!!」 咆哮一閃。 彼女の物語はここから始まった。 ☆ 大きく息を吸って、大きく息を吐く。 その度に胸がたゆんと上下に大きく揺れるが、彼女にとっては今更なことであり気にする素振りはない。 吸って、吐いて、吸って、吐いて、吸って、吸って、吸って、思い出したように吐いて。 いくら落ち着こうと意識してはみても、流石に恐怖は拭い去ることが出来ないのだろう。 深呼吸を何度も繰り返した結果、余計に心拍数は上昇し頭に血が上るのを自覚する。 「これからどうしましょうかー」 先程から奇妙な行為を至極真面目な表情で行っていた及川雫は小さく呟きを漏らすと、部屋に備え付けられたベッドに寝転んでぎしりと身体を沈める。 雫が目を覚ましてから既に一時間は経過しており、自分の置かれた状況は嫌という程理解させられていた。 理解はしていても、そう簡単に答えが出るような甘い状況に雫はいなかった。 勿論、雫の思考速度が些か以上に緩慢なのも原因の一端ではあるだろうが。 「誰かを殺すなんて、そんなの絶対駄目ですー」 何をどうするか答えは出なくともその一点だけは、雫の中の確固たる意志として答えが存在していた。 目の前で人が殺されて、死へ誘う首輪を嵌められ殺し合いを強制されて猶、その選択肢を選ぶことだけは絶対に、ない。 「私達はアイドルですからー、誰かを悲しませるようなことはしちゃ駄目なんですよねー?」 人を殺してはいけない。 そんなのは小学生でも理解している、当たり前の事実だ。 殺人を犯せば罪になり、罰を与えられる。 例えそれ抜きにしても、倫理観という感性が人間には備わっていて、忌避感が働く。 法であり倫理であり、あらゆる理屈を以って殺人は罪とされる。 とかなんとか。 そんな上辺だけの論理以上に、及川雫はアイドルだった。 彼女の中のアイドルとは、誰かに夢を与え、誰かを癒すことの出来る存在で。 自分自身がそう在れていると、断言出来るような自信と実績は未だないが。 それでもそう在ろうと、アイドルでい続けることは今の彼女にだって出来る。 きっと、雫が誰かを殺したと知ったら――さんの笑顔が曇ってしまう。 今まで応援して来てくれたファンの方々も、家族の皆も笑ってはくれない。 そうなってしまったら、もう、雫はアイドルでなくなってしまう。 誰かの笑顔を奪うアイドルなんて、アイドルである筈がない。 こんなことを考えていて、人質になった――さんが死ぬのは怖い。 誰かの命を、こんな所で終わらせてしまうのは怖い。 ゆっくりと、一歩ずつ歩いてきた道が途切れてしまうのは、怖い。 どれ程決意していても、その感情は常にじくじくと彼女の身体を蝕んでいく。 けれど。 こんな怖さ、とっくの昔に乗り越えてきていた。 目を瞑り、恐れに震える手できゅっとシーツを握り締めて、心に仕舞った大切な思い出を頭に浮かべる。 ――さんと出逢ったあの日、アイドルにならないかと言われたあの日、確かに雫の胸には恐怖が在った。 男の人に可愛いと言われたのは初めてで、こんなにも胸がどきどきするのは初めてで、嬉しいのに震えてしまうのも初めてで、風邪でもないのに顔がぽかぽかするのも初めてで。 嬉しいと思う反面、その言葉を自分自身で汚してしまうのが怖かった。 自分の性格をわかっているからこそ、アイドルなんて無理なんじゃないかと弱音が零れた。 人前に出て、何かをするのは緊張して無理だと、彼の言葉を否定した。 期待を裏切るのが怖いと、諦めようとした。 そんな自分に“大丈夫”だと言ってくれたのは――さんだ。 大好きな牛さんのように、ゆっくりでも一歩ずつ前進していけば良いと。 自分は雫のそんな姿に癒されていて、きっとファンになるであろう皆を癒す存在になれると。 雫のソレは、コンプレックスでもマイナスでもないんだと。 皆恐怖を感じてる……でも、それを乗り越えられるのがアイドルだと。 諦めずに頑張れば、どんな夢だって叶えられる――それがアイドルなんだと。 語っても語り尽せない言葉の数々に励まされたから、雫は此処まで辿り着くことが出来た。 他人から見れば小さな一歩でも、雫にとっては大きな百歩だから。 アイドルになったあの日、雫の胸にあったのは夢に対する希望だ。 そんな、自分を助けてくれた全部を裏切るわけにはいかないから、この場所でもそれを貫こうと決意する。 雫がプロデューサーを通して、癒しを感じていたように。 今度は雫を通して、皆に癒しを与えられるようここで頑張るのだ。 「アイドルは、誰にも負けませんからー 大丈夫、どんな夢だって叶えてみせますー」 大丈夫、は魔法の言葉。 いつの間にか震えの止まった手を、今度はぎゅっと力強く握り締める。 今は何をどうして良いかわからないけれど、諦めずに一歩ずつ歩いていけばきっと道は開ける。 一人じゃ駄目なら二人で、二人じゃ駄目なら三人で、三人で駄目なら皆で。 叶えられない夢はなく――不可能なことなんて何もない。 きっと皆が笑って、またトップアイドルを目指す生活に帰ることが出来る。 何の恐れも躊躇なくその意志を、その想いを、アイドルの皆を信じる。 及川雫というアイドルの生き方を、ここでも歩き続ける。 「まずは衣装から、ですー」 アイドルは衣装も大事、それも雫の心に刻まれた大切な教えだ。 何故だか――さんが顔を赤らめていたのは不思議だけれど、きっとその言葉には間違いない。 うんうん、と頷きながらゆっくりと起き上がって、ベッドの傍に置いてある鞄を開ける。 迷いない手つきで取り出されたのは、雫が良く着ていた衣装の一つ。 ――さんがデザインしてくれたらしいオリジナルの衣装で、大好きな牛さんをイメージした可愛らしい衣装。 大好きと大好きが合わさって、もっともっと大好きになった、雫を象徴するような衣装。 これでもっと頑張れる、と満開の笑顔を咲かせると緩慢な速度で脱衣を始める。 衣擦れの音共に晒される肢体。 ゆっくりとしたペースであるが故に見るものの心を惹きつけて止まない絶妙な速度。 徐々に晒される少女の柔肌は、微かに日に焼けて健康的な色を醸し出し、思わず指先で触れたくなるような瑞々しい張りと潤いを、瞳に映すだけで理解させられる。 ほっそりとした鎖骨から胸元まで均等に魅力は配分され、童顔であることも合わさり年齢相応の幼さを存分に放ち少女の価値を引き立てている。 だが、その未成熟な果実が少しずつ成長していく様を見守るような微笑ましい感情は、視線がずれる度に少しずつ削り取られていく。 牛が好きだからか、はたまたこう在るから牛が好きなのか。 胸元で柔らかく揺れながらも、破壊的な凶器としか表現しようのない二つの果実は、圧倒的な質量と存在感を以って立ち塞がるあらゆるものを崩壊させんとしている。 熟した果実のように濃厚な旨みを保ちつつ、驚くなかれ未成熟な果実のように成長する余地すら残している。 未完成であるが故に完成しているそのアンバランスな破壊力を余すことなく引き継ぐのは、程よい肉付きながら決して下品にはなりえない臀部のまるみ。 低いものを用意するのではなく、高いものを超える高いものを用意することで産み出されるギャップは、天性の財であると言わざるを得ないだろう。 そんな、アイドルになる為に生まれたと言っても過言ではない肢体を惜しげもなく晒しながら雫は丁寧に脱衣した服を畳んでいく。 窮屈だと訴えるかの様に胸元のロゴはくたびれ、はちきれそうな身体を包んでいたシャツはもう汗に濡れていて気持ちが悪い。 下着まで濡れてしまっていて、出来るなら洗濯したい程だが、いくら雫とはいえそこまで愚かではない。 用意されている衣装には下着もちゃんと付いているのだと、プロデューサーの準備の良さを誰にでもなく胸を張って誇っていると、不意に足音が聞こえる。 その迷いない足取りはこの部屋の前で止まり、一瞬の間の後にドアノブが動く。 早速一人目に出逢えたんだと無邪気に喜ぶと同時、雫の意識から自らの格好は消えていた。 そして扉は開かれる。 「~~~~~っ!!? ……!?!?」 「いらっしゃいませー! 及川雫ですー」 「――――――――――お」 「お?」 「おっぱいはいくらなんでも駄目にゃーーーー!!」 咆哮一閃。 彼女達の物語は、ここから始まる。 【A-3 ホテル内部/一日目 深夜】 【及川雫】 【装備:なし】 【所持品:基本支給品一式、牛さん衣装、不明支給品0~1】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:何をしていいかわからないけど一歩ずつ前に進んで、アイドルとしてこんなイベントに負けない。 【前川みく】 【装備:『ドッキリ大成功』と書かれたプラカード】 【所持品:基本支給品一式、不明支給品0~1】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:ドッキリの仕掛け人として皆を驚かせる。 前:真夜中の太陽 投下順に読む 次:さあ、演じよう、この哀しくも愛おしい劇を 前:真夜中の太陽 時系列順に読む 次:さあ、演じよう、この哀しくも愛おしい劇を 前:~~さんといっしょ 及川雫 次:完全感覚Dreamer 前川みく ▲上へ戻る
https://w.atwiki.jp/wiki9_ra-men/pages/3678.html
食べた日:2010/10/26 『みずさわ屋』で「煮卵入り中華そば」(620円)を。 10.10.26%20%82%DD%82%B8%82%B3%82%ED%89%AE%20%8E%CF%97%91%93%FC%82%E8%92%86%89%D8%82%BB%82%CE%20212%94t%96%DA.JPG 10.10.26%20%82%DD%82%B8%82%B3%82%ED%89%AE%20%8E%CF%97%91%93%FC%82%E8%92%86%89%D8%82%BB%82%CE%82%CC%83g%83%8D%83b%83g%83%8D%8A%C3%8C%FB%8E%CF%97%91.JPG 本来は、しばし食べていない「「やわらか肉そば」を食べたい症候群」での来店だったので、それを食べたかったのですが、翌日が健康診断ということもあり、グッと堪えてあっさりと食べれるこちらにしました(爆) (まぁ今更前日に抑えても手遅れでしょうけど・・・) とにかく好きなんですよね~、ここの中華そば。 丼の縁ギリギリまでナミナミに注がれた、やや甘味を強く効かせたあっさり醤油スープは、じんわ~り染み渡る美味しさ。 優しさの中に、芯の通った力強さも感じるスープです。 加水低めの極細ストレート麺は、ややボソッとした、いい意味での引っかかり感があり、スープの持ち上げが非常によいです。 滅多にトッピングはしないhiroが、ほぼ毎回頼んでしまう煮卵は、甘口のタレがトロットロの黄身までしっかりと入った極上品! ラーメンダレとは別に仕込んだ専用の特製ダレは、醤油自体もラーメンダレとは別な物を使用することにより、よりトッピングとしてのインパクトを出しているそう。 ラーメンを食べる時は、どうしても使っている素材や技法などを探ったりなど“作り手目線”で食べてしまう事が多いのですが、このお店は食べていると、いつの間にかそれを忘れ、食べることを純粋に楽しんでしまう数少ないお店です。 住所:仙台市青葉区栗生5-22-3 by hiro (2010年 212杯目) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/nitendo/pages/10041.html
雹吹きリザルフォス とは、【ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド】?のキャラクター。 プロフィール 作品別 関連キャラクター コメント プロフィール 雹吹きリザルフォス 他言語 Ice-Breath Lizalfos (英語) 種族 【リザルフォス】 初登場 【ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド】? 氷の球を吐く【リザルフォス】。 作品別 【ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド】? 北ゲルドやへブラ地方といった寒冷地に住むリザルフォスの変種。 炎や高熱に弱く、ファイアロッド等による火球が当たったり、温泉に飛び込んでしまうと即死してしまう。 氷の球は盾や凍結無効で防げる。 【ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム】 特徴は、『ブレス オブ ザ ワイルド』と同じ。火炎の実でも即死するため、投げつけて楽に狩ることができる。 【ユン坊】の炎のタックルでも即死するため彼が加入して以降は、擬態しているところを弓矢の射程以上の距離から一切のアイテム・武器消費ゼロで倒せるようになってしまうというかなり可哀想な敵である。周囲の安全確保や固有素材が欲しい時に狙うとよい。 関連キャラクター 【リザルフォス】 【火吹きリザルフォス】 【シビレリザルフォス】 コメント 名前 全てのコメントを見る?
https://w.atwiki.jp/reiyonrakisutazuki/pages/663.html
混乱状態 葉っぱが茶色になり 笛を鳴らせば戻るが おいておくと死んでしまう
https://w.atwiki.jp/miyanagake/pages/156.html
1/8 86 酔っ払った勢いでおもちで京太郎を誘惑してしまう霞さん 夜も遅くなり、子供は咲が家に帰して寝かせました。 とは言っても、まだまだ大人の時間。残る人はそこそこいます。 一般人からしてみればプロ雀士と打てる機会なんてそうそうないからね。 一番人気の照さんを筆頭に、江口さんや愛宕さん、淡も大人気だ。 淡なんかはあの性格で他の人に話しかけられたら少し落ち着かなくなるのが面白いよね。 高圧的というか、ちょっと生意気な態度で上から目線なのも淡のファン的にはポイント高いらしい。 淡のことを知らない時には、あの年齢なら少しは落ち着いた方がいいんじゃないかと思っていたが、詳しくなればなるほど親しみを持てる。 そんな不思議な雰囲気を持っているやつだ。 そういえば、子供たちを帰した時に、何か引っかかりを覚えたんだよな。 何か忘れているような……。 --- ... ´ ` ...、 / \. / / \ / / / / / | .. ′ / / /| / / / ∧ | | l . | | | l |-| l / / / / l | | |l | | | l | |八 !从{ / / /--.l | | |l | | 八从斧苧ミxl厶厶イ- 、从 | |l | | | |l^乂_ツ 斧ミv' 厶イ 八| | 人|l 、、 Vツ }/ / ノ 「うふふ……」ジー | 从 ' 、、 / / | l\ `ー ..イ /. 八 l ┬‐=≦ | / -\ |\ h\| | ′. ´ 〈 |∧ | \ ノl l゙` | { /l l | }=| \/ | | |\. / ll l | l |\ 〉 | .\! / l l Lノ l | \ ./ | .\ |./ ll / /ミ| / 从 `゙丶 リ / | 〈 / / , /〈 | 八 l / / ′ l } l ./ / | | . / ノ/ / . . . . , \ 人 ./ // /. ./ \ \{ Χ //\__/ -‐=‐- ___.. イ | \ \{ {`l≧====≦三三三三三l | l | 〉――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 2/8 「うおっ」 何やら視線を感じてみれば、そこには霞ちゃんが立っていた。 しかしこれ、破壊力高すぎじゃねーか? ドジっ子黒髪長髪爆乳メイド巫女女子校生とか属性てんこ盛りすぎる! あざとい女の子はお嫌いですか? __ /⌒ヽ ⌒\ ∨ ヽ___ _, ----` ∨ `ヽ、 /´ | \ / ____ / l| | . \ /// / | |l | ヽ / / // ,∧ / ,イ l| . . . / イ / // l | ' / ! 从 | . .'/ ' ' /-|-{ { | /}/ | / } } | . }' / |Ⅵ { 从 ' , }/ /イ } . / イ | l{ { ∨/ ' } ∧ . ´ | {|从三三 / 三三三 / /--、| ∧{ {从 | , ムイ r 、 }} /} \ | ノ ' }/イ/ 「(俺は大好きだ!)」 { _,ノ 人 _,.. ァ r }/ ` ゝ - ' イ |/ ` ーr ´ ___|_ ___| |//////| {|___ノ __|[_]//∧_ /// |____|///////////> 、 ///// | /////////////////> 、 /////// { //////////////////////} //////////∨///////////////////////| 「京太郎さん」 「霞ちゃん、どうしたの?」 ほのかに顔を赤らめた霞ちゃんが近づいてくる。 うーん、何か違和感あるんだよなぁ。 ……そうだ。霞ちゃんは女子高生だろ!? こんな時間に外にいちゃダメじゃないか! 雀荘やゲーセンって立ち入り禁止時間があったよな……。 それに、いつもと違ってシャキッとして口調も安定しているような氣がする。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 3/8 「霞ちゃん、そろそろ帰ったほうがいいよ。 俺が送るからさ」 「うふふ。京太郎さんは優しいですね。 でも、私は大丈夫ですよ」 「いや霞ちゃんが大丈夫でも世間は大丈夫じゃないし……」 染谷先輩にも責任が行っちゃうしね。 っていうか、みんなは何で止めないんだ。 「京太郎さんって、体ががっしりしているんですね」 「そうかな。最近は色んな人にダメ出しされているんだけど……」 お淑やかに近づいてきたと思ったら、俺の二の腕を触りだす。 振り払うことも出来たけれども、年下の女の子相手にそうするのも気がひけるのでされるがままだ。 役得だとか考えてねーし! しっかし霞ちゃんはいい匂いがするな! 女の子って何でこんなにいい匂いがするんだろうな! 咲なんか俺を誘惑するフェロモンでも出してるんじゃないかと疑わしいレベル。 おっと、咲のことを考えている場合じゃ……。 「わっ」 「ふふっ、かわいい」 首筋に人差し指を垂らされて思わず悲鳴を上げしまう。 それを見て、妖艶に笑う霞ちゃん。 な、何だろう。霞ちゃんすっごくエロいぞ!? こんな魔性のおっぱいに誘われたらドキッとするのは仕方ないよね! しなかったやつはロリコンかEDだ。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 4/8 「さ、さすがにそれは止めとこうよ」 「ダメですか?」 「ダメ、じゃないけど」 「じゃあ、こうしますっ」 / / /. ∧ \ / / / /_/ /l/- 、 | | | . _____ / / | | |八 // | |l | | . ⌒>――‐ ..、 | /| |从{-‐)ハ{ _‐从八| / l / --- 、 \ li | l ,斥苅` ´斥苅ト リ / |. / / \ | . | | |{ Vソ V__,ソ 》 / l / ____\| \_ | | ´,, ′ ,,, ` / / / | ′ /  ̄ ̄ .. | l (⌒ヽ { ///⌒i / 「えいっ」 i / ` 、 | 八.. -‐  ̄ ̄ ̄ ‐ { {//__ノ ′ ′ \// `ト、/ . / | |___ i / | |∨\ | ′ | || 八 . | \|. \ | ,′ ――‐ 、\ -、 / / ≧=‐┬ 、_,.∠....___ \ / {∠二二二二二二ニ=\ // / _ノ二二二二二二二二二≧=- ___ -= / / {二二二二/二二二二\二二二\ / / -―――- 「ふおおおおおおおおっ!?」 急に押し付けられるたわわに実ったおっぱい。 この世のものとは思えない! 信じられない感触だっ!――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 5/8 「わぁ……、京太郎さんって、体が硬くて、大きいんですね……」 「ちょっ、まっ、ヤバイって!」 霞ちゃんは座っている俺の頭に思い切り抱きついたようだ。 実際にはそんな冷静に状況を判断できないけどな! 顔面全体に伝わる未知の感覚。 咲はもちろん、照さんとロッカーに入った時もこんな感覚はなかった! 須賀京太郎の人生で初めて味わう感覚! 高校時代、和の胸の中に飛び込みたいと思った男子は多いだろう! 俺は今っ! それ以上のものに包まれている! その感覚はまさに……! /\-――‐- 、 , --=7 丶 `ヽ /, ヽ ヽ ∠/ / 、 、 丶 i / i ! l. l i. i | / ,/ ! ! l|| ! |、 ll ! | ヽ、 /_ -7 , | l ト、| |ヽ! N , 斗 r ,'_ ト--`  ̄ //! ! Nヽ!\|,//l/ l/! N ,ハ !| ´ / ,i丶 {=== l/ == =l/ ' ノ リ // l i `i _/,、/ 「(窒息するっ!)」 ´ {ハ!ヽ{ ′ /!}/ ′ 丶 ー ―‐ ' / |′ \ / | __ i ー ' ! __ , ィ'´ . /-‐ ´} / `Y´ . .\ , -‐'' ´ . ./ . . ./― - 、 ,/__ / . . . . . /`丶、 ハ . . .i ., . ,′ . i `  ̄ / . . . . ../ . . . . . . .丶、 / . . .i . . |,' . i . . . . ! ヽ / / . . . . . / . ., . . . . . . . . ,.ヽ ! . . . .ヽ .{ . .l . . . . l. i / . . . . . / . ./ . . . . . ./ . . .i うん、おっぱいに埋もれて窒息って本当にあり得るんだね。 感触を味わっている間もなく、命の危機に晒されている。 本で見る分には男の夢のシチュエーションなのに、それどころじゃないっ! 死ぬっ!――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 6/8 / / , \ / / /| | ', ', ヽ γ/ / / .! | \ヽ\ ', , ヽ ./_ __/ / / _ ! | _ ヽヽ ヽ , ' 、 \  ̄ 〃 /~ ´`´ ', |´` ヽ~ 、 .! ! ',\ ヽ\、 / !/ { 〃 ! ! ヾ ヽ| |ヽ ヽ、 } / , ./ ! _ ≧==== ヽ! \ _|=====≦ ||l | | | ヽ, / ./ 、{ ! ̄{ o } { o } ミ、| l ' 〃 ', / 〃 | 弋 ノ 弋 ノ 〃 | / \ ' // .! / ムイ \ | !,'! /, ' .| ' ' ' ' ' ヽ 、ヾ | |!% /,' ,' | { 、 ', ,/ 「それ以上はダメでしょ」ポカッ % |!' ! ' / .| ! l ヽ ,-‐-‐--, ノ ヽ | ,! ヽ  ̄ ̄ ィ-- | ヾ | | 丶 { | 、 イ /l ' | | / ' \! ! ! _ < |/! / ! イ / }/ / ヾ _| | ! V ムイ ._ ヘ--! ----―‐、 / <三三ニ '" ', ! /| ヽ--==ニ  ̄ ̄`ヽ / /三三>'" V / | /三三三" ヽ -――- / . . \ / \ ′ | | | | | |八 | | / | l | ′ | l l | | | l l | | | l | /| | 「うっ」バタッ /| l | / `゙丶. //| l | / /\ / ! | / / ∧ // { ! | / / { ', / { ‘ / { , ∨ 〉 j{ \_j-< 〉 ' ∨ / / l__ノイ 〉 / | ‘,. / | / /∨____/__/_| /, / |l/ /|ニニニニニニニ| / |. / / /,人ニニニ二二二二l / |――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 7/8 「え、えっと、シロちゃん?」 「もう大丈夫。霞はこっちで処理しておくから……」 「いや霞ちゃんが大丈夫じゃなさそうなんだけど」 「手刀は霞の技だから、受けた時も大丈夫なはず。……多分」 「どんな理屈!?」 「霞はちょっと飲みすぎて酔っていただけ、次には思い出して前以上にどもると思う」 「(未成年飲酒を叱るべきなんだろうか……?)」 「ちなみに私はザルだからいつでも付き合ってあげる」 「はいはい。成人したらね」 「……」 //ア / / イ ト、 \ \ \ \. // / / / | | \ \ \ \ \. /′i / /i | │ \ `ヽ `ー- 、 Y⌒ヽ} { | , イ ハ`¨´`T´ | 、 \ト、 ヽ `ー- 、 \_ } | | | ト、ハ≫=zzz、 ! `¨´`¨´`¨´`¨´ | |\ ヽ`ヽノ\. 人 | | | 代 { __} \| ィ=- ..,,__\ト、 j │ \ } \ \! 〉、 ! . 乂_フ ´下¨¨“_卞ゝ jイ ノ ヽ ノ i / ヽ ハ 弋 `フ ノ j/`ヽ j/ | 「……(私も酔ったふりをして押し付ければよかった)」. / / / . , `¨¨´ ノ ト、 ト、 } i | i 从 / ト、 | ヽ. ; } / l 人 ト、 ト、 _ rー-イ イ ! \ ! } / j/ ∨ \! ∨V .> ` イ {ス人jヽノ jノ jノ j/ /. . / . . ./‐/ >、 _ ... イ ゝ ヽ l. . ′ . .|‐| λ´ ` < _. 人 | . . / |‐| `ヽ ィ´ / 7 . . . ’, Y . . .'; . / . . |‐| / / . . . . . . . }. . . .Ⅳ. . . .|‐| , ' ソ . . . . . . . . . λ. . ´ /. . }‐{ ! / , ' . . . . . . . . . . } /. . .. ; ' . . . . . l‐l , ´ / , . . . . . . . . . . . . 从. /. . . . , . . . . . .ハ ', / ヽ V ';. . . . . . . . . . . . . .∧ , ' . . . . . , . . . . . .; ' . . . ./., , ' ゝ!. . V . . . . . . . . . . /. /. . . . . . / . . . . . / . . . . . ./.乂 ≦ x< . . . ';. . . . .Ⅶ . . . . . . . /. ′ . . . .′ . . . . .′ . . . . .圦 /ァ -=≦ } . < l . . . . . . . . l . . . . .Ⅶ . . . . . λ l . . . . . . .l . . . . . . .l . . . . . . . . .; ゞ==-≦ . . . . . . | . . . . . . . . | . . . . l . . . . . . . . . . ';. . . . . . | . . . . . . .! . . . . . . . | . . . . . . . . { . . . . . . . . .l . . . . . . . . l . . . . . | . . . . . . . . .从. 入 . . . . ';. . . . . . .; . . . . . . . .l . . . . . . . . ! . . . . . . . . | . . . . . . . | . . . . . l . . . . . . . / 丶 . .. V . . . . . ';. . . . . .二ニ=- . 〈 . . . . . . . . .| . . . . . . . .; . . . . ∧ . . . . . / >=- ≠=. . . ≦. . . ’, . . . . . .} . . . . . . . . l . . . . . . . ; . . . . ./ . . . . . . . ′ 入. ./ . . . . . . . 丶 . . . | . . . . . . . ;′ . . . . / . . / . . . . . . . {――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 8/8 ・別の卓. / | . i .| . . . i| | . . . . . .|! . |i . | 、 . .゙、 、 ゙、゙、 ; イ/ i ./ | i .| . . . i .| . . .i| | . . . . . . .|! .| i . i 、 . . 、 .、 . . .! . iヽ/ . . .|/ i i | | . | .| . . . i| | . . .| ! | .. |i. | .i i ゙、 . .i.;A-‐ハ .! . . . . . . ..! ___| ! .i | . | . . .i .! . . .|!.i! l | . ! . . . . ..i . .i ゙、! _/ハ ハ/ |ィ;. .,.-‐-、! /. . . . .V/i |.| . . i i i_ |、!、 . .! i !、i . . . . . .i . .i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |' . . . . . .i . | . . . . ! i i! | .. i i . . i`iー ト-!、丶 . . . . i 、^V i_; ヽ / i . | . | . . . 、 ! i、 . .i . . . .| .i 、 .7メ'f ヾー\ . . . 、`ヾ ;;; ン ′ ノ . . ! .| . . . ヾi 、 .\ . \ .]〈 っ ; i  ̄` _,∠| | . | .|―- ヽ! .i、`゙ー-r≧ ≠ , " " / | ! . | .!//// | .| . . . . . . \! ,, ,, / i! i .i//// 「なんでおっぱいの話で私が絡まないんですか!」 | .| . . .i i r== "ヽ / i . i .|//// | | . i . |\ ∨__ノ) / / . i. |//// | | . .| イ | |l`ー-..、  ̄ ̄ / / . |///// |.| . | ∧ i . !i `i ー-‐ ' ,..-‐ / . .i!///// :_,. -─……─- : . ´........................................................\: :/.......................|........ト、..............................ヽ: : /....................| |...i|........| \...........|....|............:/.........../ .....|.._|_八......| \__....|............i : ̄ ̄ ̄|...|....| [ \| \|....|............|: :|...|....|┬─┬ ┬─┬ |............| |...ト..| 乂 ノ 乂 ノっ|............|: :i|...|....| |............|: 「(もうわの相手は嫌だ……。咲に任せよう)」 ||...|..人 , _ 人.......l..| 八Λ.....> _ . <......../|/ \|\_,ノ⌒ 〈___/ ⌒ ‐-ミ ;/ ̄ | \ ∧ / / / \; / | \ ∨_/ / ハ :/ \ Χフ / /  ̄/ Τ  ̄ ',; ;\ | 〈 ∧ 〉 | / カン!
https://w.atwiki.jp/thvision/pages/1760.html
《人間の消える道》 No.1115 Command <第十二弾> NODE(5)/COST(1) 効果範囲:その他 発動期間:装備 【装備/場】 (自動α): 〔「種族:人間」を持つキャラクター全て〕は以下の効果を得る。 「(自動γ): このターンの終了時、〔このキャラクター〕をゲームから除外する。」 「とっくに夜の道から人間の姿は消えているし」 Illustration:会帆 コメント 強烈なアンチ人間効果を持つ装備/場。 ターン終了時の処理の手順(IR-4.9.1)の関係上、このカードから人間を守る手段はほぼなく、自分、相手ターン両方の終了時に解決されるため、人間は速攻を持ってでもいない限りほぼ無力と化す。 ただし、その強烈な効果も人間限定。人間自体はかなりポピュラーな種族であるものの、やはり相手依存のため不安定さは拭えないだろう。しかし環境に人間デッキが溢れるようであれば、採用する価値は十二分にある。 このカードは積極的に使われると言うよりむしろ人間デッキを使う側のプレイヤーが意識しなければならない類のカードであろう。 神前試合ではこのカードの対策にはならない。神前試合でテキストが無効になるのはターン終了時までなのでこのカードの効果を解決するときには神前試合の効果は終了しているのだ。 コストは1なので破壊工作で対処することが可能。また、コマンドカードであり対象を取っているため、因幡 てゐ/10弾でも防ぐことができる。 一応後天性変異によって種族を変えることでも対処できるが五つの難題を使用することの多い蓬莱山 輝夜/10弾や人間であることに意味がある上白沢 慧音/9弾とは併用できない。 これらの対策を怠ると不意の一枚で詰んでしまいかねないため、注意を払おう。 それにしても永遠亭に篭りきりな姫様や竹林の自警団がフラフラと夜道に消えてしまうとはシュールな光景である。どちらにせよもともとどこかに消えてしまうご老人もいらっしゃるが。 関連 第十二弾