約 1,324,946 件
https://w.atwiki.jp/ao-ohanashi/pages/863.html
アパートの庭部分にアマランサスやダリア、薔薇からキキョウまで様々な花が咲き乱れていた。 蒼星石が甲斐甲斐しく花に手を加えている。 季節に関係なく咲き乱れる花々。まさしく百花繚乱、桃源郷。 中央を海外種と思われる巨大なヒマワリが占拠しているのはご愛嬌か。 「綺麗なのはいいけどさ、なんか無秩序だな」 「僕は好きだね。庭師としてこれほど腕の振るい甲斐がある場所はないよ」 「ふーん……ここが俺たちが想像した、俺たちの街、かぁ」 「マスターが後から来たから、大半は僕がイメージした世界になっちゃったみたい」 俺は部屋にデカくて速くて黒光りする虫の殺虫剤が置いていないことを思い出した。 蒼星石が考える『理想の世界』にはデカくて速くて黒光りする虫なんて痕跡も残したくないのだろう。 「しかし凄い種類の花だな……」 「えへへ。実は全部手入れした経験があるんだ。僕に任せて」 「……ま、どんなに綺麗に咲いても蒼星石には敵わないさ」 「え? マスター、何か言った?」 「いいや、なーんにも! さて、そろそろ昼飯にするか」 「あ、ちょっと待ってよマスター! 今何て言ったのー?」 俺は耳まで真っ赤にしながらアパートの階段を駆け上った。あー恥ずかし。 そのまま靴を蹴るように部屋に上がると冷蔵庫に一直線。 「ってありゃ」 「あ…冷蔵庫の中が空っぽだったの忘れてた」 「蒼星石も木から落ちる」 「もう、マスター! 僕はサルじゃないよ!」 「川を流れたり筆を誤ったり。ま、いいじゃないか。これから買いに行けば」 「それもそうだね。それじゃ、すぐ準備するから少しだけ待ってて」 「おう」 姿見の鏡で身嗜みを整える蒼星石。 俺もその後ろから寝癖なんかチェックしてみる。 「「準備OK!」」 二人で声を合わせ、笑う。その瞬間が楽しくて仕方ない。 誰もいない街。俺たちが暮らしていて、これからを過ごす街並み。 蒼星石と一緒に歩くのは実は久しぶりかも知れない。 「人目を気にしないでいいってのはいいかもな」 「それにしては、ちょっと殺風景な気がするよ」 「なーに言ってんだよ。 また雑踏の中で蒼星石を抱っこして歩く? ただの人形のフリ、またするか?」 「ちょ、ちょっとマスター! あの時の話は恥ずかしいからしないでって言ってるのに」 「ははは、いいじゃないか」 『誰も聞く人なんていないんだから』。という言葉を飲み込んだ。 蒼星石も次の言葉を察したのか少し表情が沈む。 蒼星石の足並みに合わせてゆっくり歩くのは好きだ。 だが、この沈黙というか、間は好きになれない。 俺は少し考えて、後ろから蒼星石を抱きかかえてスーパーまでの道を全力で走った。 「わわっ マスター!?」 「いいからいいから!」 「じ、自分で歩けるよ! もう人目は気にしなくていいんでしょ!?」 「俺がこうしたいの! 命令です!!」 「そんなぁ、マスター…」 迷いも逡巡も吹き飛ばすかのように、俺は息が切れるまで蒼星石を抱きかかえて走った。 ――実際、息が切れた。 ゼェー ゼェー ハァー 「もう、マスター。いくら精神だけの世界でも走れば疲れるよ?」 「いやぁ……ハァ…ハァ…蒼星石を抱きながらだったら…ゼェー… テーブルマウンテンまでだって……ゼェ…ハァ…駆け上がれるね……ふぅ~」 「またそんなこと言って。スーパーまで来ただけで息が切れてるよ…」 苦笑でも、蒼星石が笑ってくれたから良し! …はぁ、疲れた。 「ところで」 当然ながら店員さえ居ない店内を見回し、 「金、払う必要あるのか?」 と、気持ち小さな声で蒼星石に聞いた。 「ここは僕たちの想像の世界だから…… 多分、お金を払う人も文句を言う人も居ないよ」 「あー悪い子だ悪い子だー。蒼星石は悪い子ー」 「ええっ!?」 「冗談だって。さ、適当に材料買って帰ろうぜ」 蒼星石が俺の服の腕を掴んだ。 その目は真剣そのものだ。 「料理を『適当』には絶対にしないよ! マスター、こんなに痩せてるじゃない!」 「蒼星石……」 「僕に会いにくるために悪い薬を使って、精神まですり減ってる…」 実際、脱法ドラッグを片っ端から試した時は酷いバッドトリップから嘔吐、 悪ければ失神までしたものだった。 食べ物も喉を通らず、心身ともにやつれきった。 そして、その状態を反映してか精神だけとなった今でも、 雪華綺晶の内包宇宙に心だけで存在している現在でも、 やはり視角イメージである俺の身体は頬はこけて目には隈。見られたものではない。 「栄養たっぷりの料理作って、マスターの体を元通りにするよ!」 「心の栄養、か。まぁ蒼星石がそう言うなら期待しとくよ」 「うん!」 嬉しそうにそう言ってなお、俺の腕を放さない蒼星石。 これから、ずっと、永遠に。蒼星石と幸せに暮らしていける。 それだけで……俺は…俺は…… ――――――――――― 第87279世界、その扉の前。 ブロンドの長いツーテールに赤いドレスを纏ったドールがノブに手をかける。 「ここが雪華綺晶のフィールドね…」 その後ろからアーモンド形の鋭い眼に怒りを纏わせた、黒い羽を持つドールが声をかける。 「あらぁ、真紅じゃないのぉ。あなたもあの子に用があるわけぇ……?」
https://w.atwiki.jp/vocaloidchly/pages/5808.html
作詞:ねじ式 作曲:ねじ式 編曲:ねじ式 歌:初音ミクV3 翻譯:Momos 無論是誰 都懼怕著孤獨 不願放開緊系的雙手 但是總会察覺到 幸福之鳥將要起飛的時刻 相會彷佛瞬間的光芒 分別則是緩緩的痛楚 笑著說著揪心般的話語 安穩地刺入胸膛 與你眺望過的天空之色 如今已失去了色彩 與你走過的道路 如今 一個人走 顯得太過寬廣 好想再一次見你 回到那個綻放笑容的季節 現在的話我已經能說出口 有你在身旁 那便是樂園 碎沙般的黑白色屋子里 逐漸枯萎的內心的花瓣 總是為它澆水的 是你 现在仍这么想着 尋找著彷佛是你的你 雖然清楚你並不在 耀眼的笑容卻依舊烙印在心裡 已經回不去那個地方 啊啊好痛 已經够了 笑容撕裂開來 時間在流逝 即使是現在 仍在思念著 有你在身旁的樂園 到底還要哭多久 回憶消去的日子才會到來 你的溫度 依舊留在我心中 好想再一次見你 回到那個綻放笑容的季節 現在的話我已經能說出口 有你在身旁 那便是樂園 好想見你 却見不到 即使見到 也无法交匯
https://w.atwiki.jp/vocaloidchly/pages/8524.html
作詞:ryo-shun 作曲:ryo-shun 編曲:ryo-shun 歌:GUMI 翻譯:弓野篤禎 我感覺我把一直想做的事實體化了。 各位請以超大音量聽一下。 這首是專輯 『Re animate』的主打歌。 「將伸出的手掌,」 ——投稿者評論 斜體為PV文案 再見,阿斯特賴亞 我曾如此想要,留住你的那隻手。 你會怎麼想呢。 在記憶中的,那迴響。 在夢中你。 一去不返的日子,夢中,彷徨於現實中。 相交了的空想,伸出手來,一片。 逝去的日子不會回來。 那一定是在夢中,在沒有你的現實中彷徨。 向著那相交了的空想,我伸出了手來,依靠著記憶一片。 說著什麼"弄錯了",重複,用指尖計數。 截取的風景,迴響,淡淡的色彩,變得空虛。 失去一般的感傷,如今仍然,留在角落裡。 一直都是如此,鐘聲,你的聲音,融入消散。 夢中見到的,是浮起的月影。 將淡淡滲開的,左手。 在那一剎那,滑落的淚滴。 你是仍游弋於夢中的雲朵。 將飛舞空中,無法描繪的空想。 快挽留住這,伸出的手掌呀。 一去不返的日子,編織了,不知幾層的話語和。 截取的風景,餘輝,紅線,相互重合。 說著什麼"弄錯了",你如此反復著, 就連這種事情我也用指尖數著,打算不忘記掉。 有你的風景,那迴響,淡淡的色彩,那一切都變得空虛。 我如今也將,失去了你一般的感傷,留在心中一隅。 但只要有你在就總是這樣,只要聽見鐘聲響起一般的你的聲音, 我就連那種情緒都消散不見。 我在夢中看見了你。月影。浮現的你的面容。 我不知怎的在哭著。在淡淡的意識之中,我想要抓住你的左手。 說著什麼"弄錯了",不會回來,那時的回答。 為了回憶起來,今天也,沉沉睡去。 我曾如此想要,留住你的那隻手。 你會怎麼想呢。 在記憶中的,那迴響。 在夢中你。 說著什麼"弄錯了",你如此反覆著, 就連這種事情我也用指尖數著,打算不忘記掉。 有你的風景,那迴響,淡淡的色彩,那一切都變得空虛。 我如今也將,失去了你一般的感傷,留在心中一隅。 但只要有你在就總是這樣,只要聽見鐘聲響起一般的你的聲音, 我就連那種情緒都消散不見。 我在夢中看見了你。月影。浮現的你的面容。 我不知怎的在哭著。在淡淡的意識之中,我想要抓住你的左手。 在那一剎那,淚水滑過面龐滴下。 你仍然游弋於夢中。宛如雲朵一般。 我們無法描繪的空想,像是飄飄飛起一般。 快挽留住,我伸出的手掌呀。 再見了。 在那一剎那,滑落的淚滴。 你是仍游弋於夢中的雲朵。 將飛舞空中,無法描繪的空想。 快挽留住這,伸出的手掌呀。 一定還會,假裝沒注意到, 像那時一般,尋找歡笑的我們吧。
https://w.atwiki.jp/seiyu-coversong/pages/1794.html
原曲・馬渡松子 作詞・リーシャウロン、作曲・馬渡松子 TVアニメ「幽☆遊☆白書」2代目ED曲。 【登録タグ 1993年の楽曲 J-POP アニソン 幽☆遊☆白書 馬渡松子】 カバーした声優 折笠愛
https://w.atwiki.jp/testest-umigamedb/pages/2532.html
2022年5月7日 出題者:耳 タイトル:「綺麗なさよならしましょう」 【問題】 彼女は微笑みを浮かべていた。 一度も振り返らずに。 僕はそれを見て、悲しそうに横歩きをした。 いったい何が? 【解説】 + ... 目の前にいた女の子がいきなり立ち止まってスマホを取り出した。 …自撮りをするときは、後ろに人がいないか確かめてからにしてほしいんだよなあ…! 僕は心の中でぼやきながら、自分が写り込まないように横へどいた。 配信日に戻る 前の問題 次の問題
https://w.atwiki.jp/aspurand1106/pages/307.html
39話前編 さよならありがとう、この次に逢う日には 森の中を歩き続けている野原しんのすけと北沢樹里。 二人が出会ってから今まで、殺し合いに乗っている者、乗っていない者、 或いは家族、クラスメイト、いずれにも二人は遭遇していない。 「明るくなってきたわね」 樹里が空を見上げて言う。 空は白み、日の出が刻一刻と近付いている事を示す。 「おっ、樹里おねえさん」 「どうしたの? しんのすけ」 「あそこに建物が見えるゾ」 しんのすけが指差す先には確かに建造物が見えた。 木々に隠れたそれは民家のように見える。 「休憩出来そうね……行こう」 「ほっほーい」 長時間、足場の良いとは言えない森の中を歩いてきた二人は疲労していた。 故に民家が有るのなら是非そこで休みたいと思っていた。 しかし、建造物に近付いた二人が目にした物は。 「うおー、ボロボロだゾ」 「うわぁ……これは」 朽ち果てた木造の民家――廃屋であった。 ガラスは所々割れ、庇(ひさし)は腐って落ち掛け、屋根から草まで生えており、 かなり長い事放置されている事を窺わせる。 二人は中を覗いて見るが内部も酷い有様で、黴と埃の臭いが鼻を突き、 畳敷きの床は腐って波打っている上に本や衣類の残骸だらけ、天井から板がカーテンのように垂れ下がり、 箪笥や本棚がひっくり返ってると言う有様。 壁に色褪せボロボロになったカレンダーが掛かっていたが、何と1982年と書かれている。 とても落ち着いて休めそうな状態では無い事はすぐに分かった。 辺りを良く見れば、同じような廃屋が幾つも建ち並んでいた。 傾いた木製の電柱や、草に埋もれた錆だらけの廃車等も確認出来る。 「ここは……廃村ね」 「はいそん?」 「人が住まなくなった村の事よ。 そう言えば森の中に廃村が有るって地図に描いてあったっけ……。 何にしてもこの家はちょっと休めそうに無いね……他にも家が有るし、もうちょっと状態の良い家を探そう、しんのすけ」 「分かったゾ」 二人は休憩が可能な程度に状態の良い廃屋を探し始める。 ◆◆◆ 「ここは……」 倉沢ほのかは廃村へとやって来た。 白んできた空の下、廃屋群がぼんやりと薄暗い視界の中浮かび上がる。 「ここに居るかなぁ」 憎き北沢樹里を捜し出すべく、ほのかは廃村内へと足を進める。 長い間手入れのされていない道は草によって侵食され、消えかかっている有様で、 お世辞にも歩きやすいとは言い難かった。 それでもほのかは何かに取り憑かれたように歩みをやめる事は無い。 一刻も早く、北沢樹里から裕也を取り戻さなくては。 ほのかの頭にはそれしか無かった。 (どこに居るのかなぁ……北沢さん……) 雑草を踏みしめながら、ほのかは北沢樹里の姿を捜し続けていた。 そして。 「……!」 ほのかの足が止まる。 前方、少し離れた所に、二つの人影を発見した。 片方は恐らく小さな子供、もう片方は、まだ遠目で暗くて良く分からないが、自分と同じ制服を着ている風に見えた。 樹里の他にも女子生徒は何人か居る、だから樹里では無いのかもしれないが、接触する価値は有る。 「あれは……誰なのかな」 ほのかは見付けた二人に向かって歩いて行った。 ◆◆◆ 「どこもかしこもボロ過ぎるんだけど……とても休める状態じゃない」 「オラもう疲れた……」 まともに休めそうな家が見付からず、辟易する樹里としんのすけ。 かと言って外で休むのもかなり無理が有る。 どうしたものかと考える樹里。 「お?」 その時、しんのすけがある物を発見する。 それは、こちらに向かって歩いてくる人影だった。 「おねえさん、誰か来るゾ」 「え?」 しんのすけに言われ、樹里が確認する。 まだ距離が離れていて、薄暗い為顔までは良く分からないがどうやら自分と同じ制服の、女子生徒のようだった。 「おねえさんと同じ服着てるゾ」 「……」 その女子生徒が次第に、顔が分かる距離まで近付いてくる。 そして、樹里がその女子生徒の正体に気付くのと同時に、女子生徒から声が発せられた。 「ようやく見付けましたよ、北沢さん」 「……倉沢、さん」 それは因縁深き、倉沢ほのかだった。 「おお! また綺麗なおねえさん!」 しんのすけは樹里に続いて現れた「綺麗なお姉さん」に興奮して目を輝かせたが、 直後に、ほのかから発せられているただならぬ雰囲気を感じ取り我に返る。 ほのかは微笑みを浮かべていたが、樹里にはほのかから自分に向けられる殺意、憎悪がはっきりと読み取れた。 「貴方が生き返っているなんて……あんなに念入りに殺したのに」 「……」 「まあ、私も死んだんですけどね……いや、そんな事はどうだって良いです……。 ……裕也君はどこですか? 北沢さん」 「は?」 困惑する樹里。一体何の事か分からなかった。 この殺し合いに、ほのかの捜す「海野裕也」は居ない筈。 そもそも、海野裕也は、ほのかが殺してしまったではないか。 誤殺だったとは言え、それは揺るがない事実だ。 「ちょ、ちょっと何を言っているの? ゆ、裕也はこの殺し合いには居ないじゃない。 それに、裕也は、倉沢さん、貴方が」 「ああ、やっぱり、やっぱり隠すんだ」 「いや、ちょっと」 「分かってましたけどね。分かってましたよ。うふふふふふふふふふふふふふふ」 樹里が反論を試みるもほのかは聞く耳を持たない。 その様子から彼女が正気では無い事は明らかだった。 「お、おねえさん!」 ただならぬ気配に居ても立っても居られなくなったしんのすけが意を決してほのかに話し掛ける。 「何ですか?」 「樹里おねえさんは何も隠して無いし嘘なんて吐いてないよ! オラと樹里のおねえさんはずっと一緒だったけど、ここに来るまで誰とも会ってないゾ!」 「しんのすけ……」 力強い声で、しんのすけは樹里を庇った。 それに対し、ほのかは無表情だったが、やがてしんのすけに向かって口を開く。 「しんのすけ君、でしたね。私は倉沢ほのかと言います。 ……貴方は確か、見せしめで殺されたあの赤ちゃんの」 「そうだゾ。ひまのお兄ちゃんだゾ」 「……しんのすけ君。貴方は知らないでしょうけど、貴方と一緒に居るその人はとても酷い人なんですよ」 「え?」 「北沢さんは、私から大切な人――裕也君を奪ったんですよ。 しんのすけ君、貴方の妹と同じぐらい、私にとって大事な人だった、裕也君を、 この女は、寝取って、私から! 奪ったの!!」 突如激高したほのかにビクッと身体を震わせ驚くしんのすけ。 樹里はとてもばつの悪そうな面持ちである。 ほのかの言っている事は事実――――愛餓夫に足を撃たれて陸上選手になる夢を失い、 自暴自棄になり、ほのかの恋人・裕也を誘惑し、行為に及んでしまった。 「裕也君と一緒に島から出る為に、一生懸命頑張ってたのに。 間さん、壱里塚君、久世さん、神崎君、長谷川さん、吉良さん、太田君。 みんなみんな殺して……もうちょっとだったんだよ? ねえ、裕也君はどこ? 北沢さん、答えて、答えて、答えて、答えて、答えて!」 もはや丁寧口調すらかなぐり捨てたほのかはまくし立てながら装備している56式自動歩槍の銃口を、 樹里としんのすけの方に向ける。 このままではまずいと樹里はどうにか打開策を講じようとする。 だが、自分が蒔いた種とは言えほのかはもうまともに対話出来そうに無い。 その時、しんのすけは樹里もほのかも思いも寄らなかった行動に出た。 「ケツだけ星人!! ぶりぶりー! ぶりぶりー!」 「「は?」」 尻を丸出しにして言葉で説明するのが困難な奇妙な踊り(?)を始めたのだ。 完全に呆気に取られる樹里とほのか。 一瞬、彼の気が狂ってしまったのでは無いかと樹里は思ったが、 目の前のほのかがしんのすけの動きに気を取られて自分から目を逸らしている事に気付き、しんのすけの真意に気付く。 (そう言う事ね! しんのすけ!) すぐさま樹里は行動を起こす。 「うらぁっ!!」 ほのかに向かって突進し、渾身の体当たりをお見舞いした。 不意を突かれたほのかは簡単に突き飛ばされその身体を強く地面に叩き付ける事となった。 その際に持っていた銃も手から離し落としてしまう。 「しんのすけ! 逃げるよ!」 「おお!」 樹里はしんのすけを小脇に抱え、全速力で森に向かって走り出す。 以前の殺し合いでほんの序盤でしか発揮出来なかった、自慢の脚力を思う存分に発揮する。 ほのかは身体の痛みを堪えながら立ち上がり、落とした56式自動歩槍を拾い上げ、 逃げて行く二人に向けて引き金を引いた。 その表情は鬼そのものだった。 ダダダダダダダダダッ!! 発砲炎により辺りが断続的に明るくなり、無数の銃弾が銃口から放たれるが、樹里は止まる事無く森の中へと消えて行った。 「逃げた……! ああ、もう!」 悔しさの余り地団駄を踏むほのか。 追い掛けようとも思ったが、樹里の足の速さは知っていた。 自分では到底追い付けないだろうと、追跡する事は諦める。 「まあ、良いです……逃がしませんよ北沢さん。 必ず、必ず再び捜し出して、次は逃げられないように両足を撃ち抜いてあげます。 絶対、絶対に、裕也君を取り戻してみせますから」 樹里達が走り去った方向を見据えてほのかは自分の決意を述べた。 彼女は、狂った心がそれに拍車を掛けていたのかもしれないが、どこまでも海野裕也一筋で、 彼の事になれば見境が無くなり、周りが見えなくなった。 それ故に、背後から忍び寄る、千切れた電気コードを持った人狼の青年には気付かなかった。 人狼の青年は素早くほのかの細い首に電気コードを巻き付け、思い切り絞め上げた。 突然の事にほのかはパニックに陥り、苦しみながら首に巻き付いたコードをどうにかしようとするが、 大人の男の力で絞め上げられるコードは少女の力では最早どうしようも無く。 涙を流し、泡を吹き、小水を漏らし、激しくのたうち回った末に、ビクビクと身体を痙攣させ、ほのかは死んだ。 しかし彼女にとってはこれで良かったのかもしれない。 愛する裕也の居る世界へと今度こそ旅立てたのだから。 【倉沢ほのか@パロロワ/自作キャラでバトルロワイアル 死亡】 【残り 38人】 ◆◆◆ 人狼の青年、コーディは森の中を歩き、廃村へ辿り着いた。 そして、黒髪の少女が、茶髪の少女と小さな子供の二人と相対している場面に出くわす。 コーディは隠れて三人の様子を窺った。 黒髪の少女は突撃銃を持っており、二人組の方も何の武装を持っているか分からない。 今持っているバール、ステーキナイフ、電気コードで三人一気に殲滅出来ない事は無いかもしれないが、 不確定要素も多く、無理せずにしばらく様子を見る事にしたのだ。 そして突然小さい子供が、尻を丸出しにして奇声を発しながら奇妙な踊り(?)を始めた。 何をしてるんだとコーディは首を傾げたが、程無く茶髪の少女が黒髪の少女を突き飛ばし、子供を脇に抱えて走り出した。 どうやら子供は黒髪の少女の気を引こうとしたらしい。 黒髪の少女は逃げていく二人に向けて発砲したが、仕留め損なったようで、悔しそうに地団駄を踏んでいた。 コーディは今がチャンスだと思った。 一人になった黒髪の少女に背後から忍び寄り、千切れた電気コードでその首を絞めた。 少女は激しく暴れたが、コーディの凶行を阻むには至らず、程無く絶命した。 「結構可愛いな」 今は泡を吹き、涙を流し、顔も鬱血し、失禁までしており無惨な様となってはいたが、 良く良く見れば黒髪の少女はかなりの美少女であった。 ならば殺す前に身体を愉しんでおけば良かったとコーディは少し残念に思った。 「悪いね、俺も生き残りたいからさ」 コーディは少女が持っていた突撃銃と、デイパックの中に入っていた予備のマガジンを回収した。 強力な武器が手に入り喜ぶコーディ。 「さて、長居は無用だな、ここから離れよう」 先程の銃声を聞き付け人が集まってくるかもしれない。 長い間歩いて疲労も溜まっているので戦闘は避けたかったコーディは、コンパスを取り出し、 東南の方角を目指し、再び森の中へと入って行った。 【早朝/D-1廃村】 【コーディ@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーター】 [状態]健康 [装備]56式自動歩槍(12/30)@オリキャラ/俺のオリキャラでバトルロワイアル3rdリピーター [所持品]基本支給品一式、56式自動歩槍の弾倉(5)、バール(調達品)、ステーキナイフ@自由奔放俺オリロワリピーター、 千切れた電気コード@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーター [思考・行動]基本:殺し合いに乗り、優勝を目指す。 1:東南に向かう。どこかで休みたい。 [備考]※本編死亡後からの参戦です。 ※北沢樹里と野原しんのすけの容姿を大まかに記憶しました。 ※千切れた電気コード@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーターは倉沢ほのかの首に巻き付いたままになっています。 【後半へ続く】 前:うさぎは寂しくても死にません 目次順 次:さよならありがとう、もっといいこになってるから 前:涙を勇気に変えてみせましょう 北沢樹里 次:さよならありがとう、もっといいこになってるから 前:涙を勇気に変えてみせましょう 野原しんのすけ 次:さよならありがとう、もっといいこになってるから 前:足りないものはいつも…… 倉沢ほのか GAME OVER 前:運と偶然とニアミスと コーディ 次:行き着く運命の最終形
https://w.atwiki.jp/vocaloidchly/pages/6796.html
作詞:蝶々P 作曲:蝶々P 編曲:蝶々P 歌:初音ミク 翻譯:kyroslee 離別之景的彼方 敲響重複不斷的乏味日子 回過神來你就已經在我眼前 不論是我的存身之所或是從那裹所能看到的景色 全都是你溫柔地告訴我知的 雖然目送你離去是如此的叫人悲傷 但現在就哭泣好像為時尚早呢 在被遺棄的世界裹 因為獨孤有點令人害怕所以在尋求着你 在離別之景的彼方 即使從夢中覺醒過來 我亦只求能做回自我 戀上因你而逐漸改變的美妙日子 回過神來我的內心就已經被你俘虜了 你的每句說話都有如魔法似的 全因為你我才能變得堅強啊 明明知道這一天終會到來 內心卻不禁拒絕現實 即使伸出手亦無法觸及 明明想要傳達給你的思念堆積如山 在離別之景的彼方 將我徹底埋沒的過去 就托付給他人吧 雖然在那之後發生了許多許多事 但我已經再亦無法與你相見了吧 挺起胸膛活下去吧 你那臉帶笑容揮手告別的身影深深銘刻於我的眼中 在離別之景的彼方 「某天再見吧」 那樣說道的你終結了這個世界
https://w.atwiki.jp/seiyu-coversong/pages/1795.html
原曲・美郷あき 作詞・ゆうまお、作曲・津上潤也、編曲・大久保薫 PCゲーム「D.C.II P.S.~ダ・カーポII~プラスシチュエーション」挿入歌。 【登録タグ 2008年の楽曲 D.C. ~ダ・カーポ~ D.C.II P.S.~ダ・カーポII~プラスシチュエーション J-POP ゲームソング 美郷あき】 カバーした声優 宮崎羽衣
https://w.atwiki.jp/k-onvip/pages/650.html
340 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 20 35 30.19 ID +MG46Btp0 【さよなら!?軽音部】 それは、夏休みが終わったばかりのことだった。 桜高の文化祭は9月下旬。 軽音部の5人は日々の練習に励む…ことなく、いつものように放課後ティータイムを過ごしていた。 「はぁ…私達ももう受験を考える時期かぁ」 澪が窓の外を見ながら、ぽつりとつぶやいた。 そんな澪の横顔を見ながら、律が紅茶をすする。 「夏は思ったように勉強できなかったなぁ」 律もまた、遠くを見るような眼をしていた。 「みなさん、もう第一志望は決めたんですか?」 梓は3年生4人に軽く目配せをして、尋ねた。 342 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 20 40 57.62 ID +MG46Btp0 「第一志望?どこにしようかなぁ」 唯がのんきな表情でクッキーをかじる。 「大学ってどこにあるんだろう」 ポリポリとおいしそうにクッキーを食べている。 「おい唯。まさかオープンキャンパスに一回も行ってないのか…?」 澪は心配そうな顔をして、近くにあったケーキに手を出した。 わずかながら、手が震えている。 「うん!」 澪の手が一際大きく震えた。 ガチャン!と音がしてフォークがテーブルの上に落ちた。 「じゃぁ、受験勉強も?」 「うん!もちろん!」 澪は今度はケーキをテーブルの上に落とした。 344 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 20 43 46.44 ID +MG46Btp0 ムギからもらった台拭きでテーブルを拭きながら、澪は唯に言った。 「追試の時みたいに、教えるなんてことはできないんだぞ」 さすがの唯も、心配そうな顔をしていた。 「受験勉強はそれぞれの志望大学にあわせて勉強をする」 「うん」 「だから、唯につきっきりでは教えられないんだ」 「そんなぁ…」 唯は悲しげな眼を閏わせて澪を見つめた。 その表情に、澪は自分まで悲しくなってしまった。 「今からでも遅くないよ。少しづつでいいから、勉強する習慣をつけよう」 「ホント!?私頑張るよっ!」 精一杯の励ましの言葉を掛けた甲斐があった。 どうやら唯は勉強する気になってくれたようだ。 とりあえず、今はそれでいい。澪はそう心の中でつぶやいていた。 346 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 20 47 29.77 ID +MG46Btp0 「ところでさ、文化祭のことだけど」 律が二人の間に割って入る。 「私達4人の最後の舞台なんだ。今まで一番のにしようぜ!」 「そうですわ!まずは文化祭ライブを最高のものにしましょうよ」 ムギも律に加勢する。 残りの3人もそれに頷く。 「決まりだな!よし、そうと決まれば練習だっ!」 その時、音楽室のドアが開いた。 347 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 20 48 13.17 ID +MG46Btp0 入ってきたのはさわ子先生だった。 律はテンションの高いまま、さわ子に声をかけた。 「おっす!さわちゃん!」 だが、律の元気のいい挨拶は、スル―された。 5人は拍子抜けしてしまった。 さわ子の表情は暗かった。 「今日はね、みんなに大事な話をしなくちゃいけないの…」 さわ子は5人の近くの椅子に腰を下ろした。 そしてすこし下を向いてためらっていたが、決心したように顔を上げ、言った。 「軽音部は今日で廃部になります」 348 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 20 53 34.00 ID +MG46Btp0 最初、5人はさわ子が何を言ったのか理解出来なかった。 少し経ってから、澪がさわ子に尋ねた。 「それは、本当なんですか?」 「えぇ、本当よ」 間を置いてさわ子は答えた。 澪の表情が曇る。 「ちょっと説明が必要なの。いいかしら」 「はい」 5人を見回してから、さわ子は説明を始めた。 「ご存知の通り、私はあなたたちの顧問。つまり軽音部の顧問よ。 でも、吹奏楽部の顧問でもあるわ。それも知ってるわよね?」 5人は頷いた。 349 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 20 54 25.62 ID +MG46Btp0 「その、私が顧問をしている吹奏楽部が、今年全国大会へ出場するのよ」 「ぜっ、全国大会?」 「全日本吹奏楽コンクールよ。今年は10月の25日にあるわ」 「すごい!全国大会なんて!」 息を弾ませて喜ぶムギを見ながら、さわ子は複雑な表情を浮かべた。 「吹奏楽部への指導は、私ではなく外部講師の先生がしてくださっているの」 「さわ子先生は教えてはいなんですか?」 「えぇ、主に私は裏方ね。お金のこととか、連絡とか」 「でもそれが廃部と関係あるの?」 ずっと黙っていた唯が口を開いた。 少しの間、沈黙が流れた。 「これからは、吹奏楽部が音楽室を独占することになったの」 ぽつりと、さわ子が言った。 350 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 20 58 26.18 ID +MG46Btp0 「え、なんで…?」 律は色を失った。 「学校として、これまで高い実績を出してきた吹奏楽部を支援していこうと決めたのよ」 「でも、独占なんて!」 梓が声を荒げた。 「吹奏楽部は部員が100人以上いるのよ。かたや軽音部は5人。勝ち目は無いわ」 「でも、さわ子先生」 ムギが手を上げながら、おしとやかに言う。 「それなら音楽室以外の教室を使えば練習は出来ます。存続はできるわ」 だが、さわ子の表情が一段と暗くなった。 「言い忘れていたわ…私は今日で軽音部の顧問をやめるの」 音楽室は凍りついた。 351 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 20 59 07.13 ID +MG46Btp0 「ど…どういうことですか?それ…」 澪の声は震えている。 「外部講師の意向なのよ。吹奏楽部に専念してほしいと」 「そ、そんなの断れば!」 「そんなことしたら、私はこの学校を辞めさせられるわ!」 「え…?」 突然のさわ子の大声に、5人はたじろいだ。 「吹奏楽部はこの学校の顔なの!校長先生も、ぜひ吹奏楽部だけに熱意を注いでほしいと…」 「そんな…私達はどうなるの?」 5人は泣きそうになった。 352 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 20 59 57.87 ID +MG46Btp0 「ごめんね…ごめんね…」 だが、5人が泣く前に、さわ子は泣き崩れた。 「ホントに、ごめんね…何も出来なくてごめんね…」 「さわ子先生のせいじゃないよ。私達頑張るから」 唯はさわ子の背中をさする。 その唯も涙を流していた。 「私物は、出来れば今日中に撤去してくれると嬉しいわ」 さわ子は涙を拭きながら、そう言った。 そして、出て行った。 「私も、出来るだけ頑張ってみるから」 そう言い残して。 353 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 21 05 13.67 ID +MG46Btp0 残された5人は、無言で音楽室の片付けを始めた。 沈黙の嫌いな律は、スネアドラムをケースにしまいながら、ため息をつく。 「今度から、ティータイムはムギの家でやるしかないなっ」 冗談のつもりだったのだが、誰も笑ってはくれなかった。 律も自分で言っていて、虚しくなったので、喋るのをやめた。 「今日、みんなで食事しよう」 一通り片付いたのを確認して、澪が言った。 4人は黙って頷いた。 澪を先頭にして、5人は音楽室のドアまで歩いて行く。 澪がドアを開けた。 ドアの前には、1人の女の子が立っていた。 354 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 21 08 09.31 ID +MG46Btp0 その女の子は、すらりとした身長で、黒ぶちのメガネをかけていた。 「あなた達、軽音部?」 突然の質問に、5人はたじろいだ。 「そ、そうですけど…」 「私は吹奏楽部の部長です。少し話があるんですが、いいですか?」 「いいですけど…」 5人はドアから出ることなく、またテーブルの近くに腰を下ろした。 少し離れた所に、吹奏楽部の部長が座った。 「今、お茶入れますから」 ムギはその場を離れた。 かまわず、部長はいきなり切り出してきた。 355 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 21 09 56.49 ID +MG46Btp0 「山中先生から、話は聞きましたよね」 「はい」 山中先生。そう、さわ子の名字だ。 普段下の名前で呼んでいたので、4人は違和感を感じた。 「はっきり言いましょう。私達吹奏楽部は、あなた達に対して不満を持っています」 部長はは続けた。 「私達は、毎年毎年夏のコンクールに向けて、休みなしの練習を続けてきました。 あなた達のように、だらだらと過ごすことなんてとんでもない。怠慢です。 そして、今年はついに全国大会へと出場を果たすことができました。 今まで関西大会止まりだった私達の悲願です。それが達成されたんです」 部長は目を輝かせていた。 だが、すぐにまた汚いものを見るような目で、4人を見た。 356 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 21 15 23.64 ID +MG46Btp0 「私達が今まで音楽室を必要としてなかったと思っているんですか? あなた達はふざけたことにしか使っていませんでしたよね? もう我慢できませんよ。こんなだらだらとしか活動していない弱小部が何で音楽室を使えるんですか? 山中先生はあなた達の顧問をしてくださっていたようだけれど、それも、どれだけ私達の迷惑になったことか…」 ムギが横から恐る恐る紅茶を置いた。 それを無視して部長は続ける。 「今すぐにでもここを出て行って下さい。と、言いたいところだけど…」 部長は指を組み、不敵な笑みを浮かべた。 「条件を飲むなら、あなた達は部活を続けられるわ」 5人は顔を上げた。 「ホントに!?」 「本当よ」 「ど、どんな条件なの?」 357 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 21 17 19.94 ID +MG46Btp0 「文化祭の、お手伝いよ」 「お、お手伝い?」 唯がすっとんきょうな声を上げた。 「そう、お手伝い。文化祭では、もちろん私達吹奏楽部も演奏するわ。 でも、今年はコンクールの全国大会が10月にあるの。 だから、コンクールメンバーはそっちにつきっきり。練習時間はあまりないわ」 「それで私達にどうしろと…」 部長はまず律の方を見た。 「あなた、ドラムやってるのよね?」 「あ、あぁ。そうだけど」 「ポップスステージでドラムやってもらうわ」 「えぇ!?」 律の反応を無視して、今度は澪とムギを見た。 358 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 21 19 15.88 ID +MG46Btp0 「あなたはベースね。そのままベースをやってちょうだい。そっちのあなたはピアノね」 2人はすごすごと頷いた。 部長は最後に梓と唯を見た。 「あなた達ギターはいらないわ。いろんな雑用をやってもらうから、よろしく」 「ざ…雑用…」 梓は放心状態になってしまった。 「ギター弾いちゃだめなの?」 「あなた、往生際が悪いわよ。部活を続けたいなら、おとなしく言うことを聞いていればいいのよ」 部長は唯を一蹴した。 365 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 21 38 25.14 ID +MG46Btp0 最後に5人を見回して、部長は言った。 「最初の合わせは3日後にあるわ。譜面はこれ。ちゃんと練習してこなかったら、承知しませんからね」 部長はテーブルの上に沢山の譜面を置くと、音楽室を出て行った。 部長が出て行った後の音楽室は、台風が通過した後のように静かだった。 5人は顔を見合せた。 「とりあえず…首は繋がったってことだよな?」 律が一言一言確認しながら言う。 それに頷きながら、澪が答える。 「あぁ…よし、譜面見てみようか」 366 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 21 40 32.61 ID +MG46Btp0 澪はいくつかベースの譜面を取って開いた。 曲は全部で三曲。よくあるメドレーものや、最近流行った曲などがあった。 決して難しはなかった。だが、時間がもう無い。 それに、吹奏楽部と合わせるなんて初めての経験だ。 澪は焦り始めた。 「2人とも、すぐにでも練習を始めよう。今は出来ることをやるしかない」 律とムギが頷く。 澪は梓と唯の方を向いた。 「2人はどうする?」 「私達は…」 梓は言いかけて、唯の顔を見た。 今にも泣きそうだった。 まずい、と梓は思った。 「今日の所は帰ります」 「そうか」 「澪先輩、律先輩、ムギ先輩、頑張ってください!」 2人は音楽室を出た。 368 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 22 06 36.95 ID +MG46Btp0 学校を出た2人は無言のまま、駅前を歩いていた。 梓は唯の顔を見たいと思った。 だが、唯の顔は髪に隠れて見えない。 結局、2人は別れ道まで無言で来てしまった。 道の真ん中で、なんともなしに歩みを止める。 最初に口を開いたのは、唯だった。 「私達、嫌われてるのかな?」 「えっ?」 いきなりだったので、梓は反応できなかった。 「前に、クラスで吹奏楽部の子が話してるのを聞いたことがあるんだ」 「…なんて言ってたんですか?」 聞きたくなかった。でも会話が途切れるのはもっと嫌だった。 「吹奏楽部の敵、自己満足の迷惑部。とか言われてた…」 「ひ、ひどいですぅ!あの人達は何も分かってないんですぅ」 そう言いながらも、梓は心のどこかで『やっぱり…』とつぶやいていた。 369 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/08(火) 22 12 17.53 ID +MG46Btp0 無理もない。 思い返してみれば、彼女達はちゃんとした部活動をしてこなかった。 それでも、文化祭のライブはちゃんと成功させてきた。 人気もそれなりに出ていた。 しかし、現実は酷だった。 「とりあえず、今日はゆっくり休もう」 「はい。唯先輩、お手伝い頑張りましょうね」 「うん…じゃぁね、あずにゃん」 そう言って、唯はとぼとぼと歩き始めた。 背中に背負ったギターが、なんだかとても悲しげに見えた。 15 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/27(日) 22 38 46.97 ID rc729EAk0 澪は自分の部屋で譜読みを始めていた。 「よし、大体これで弾けるようにはなったな」 あとは吹奏楽部との合わせをどのようにこなしていくかだった。 だが、合わせるということに関しては多少の自信があったので澪は気にはしなかった。 「ムギはいいとして…」 澪の頭の中に律の姿がよぎる。 「律…大丈夫かな」 心配ではあったが、やる時はやる律だと信じて澪は眠りについた。 16 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/27(日) 22 43 33.35 ID rc729EAk0 3日はあっという間に過ぎてしまった。 その間は普通に軽音部は音楽室を使えたのだが、ほとんど個人練習となってしまっていたのである。 5人が音楽室に入ると、すでに吹奏楽部が合奏を始めていた。 外部講師らしき人が指揮を振りながら、ジロリと5人を見た。 「君達かい?お手伝いさんというのは」 「そうです、先生」 5人ではなく、部長が質問に答えた。 「遅かったわよ。早く持ち場について」 「よし、一旦通すか」 澪、ムギ、律の3人は、隙間を通りながら指定の持ち場についた。 「じゃ、最初はゆっくりから始めるからな」 外部講師が指揮棒を振り上げた。 17 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/27(日) 22 47 14.55 ID rc729EAk0 始まって3秒で曲は止まった。 「ドラム、それ違うよ」 「え?そ、そうですか?」 「ちゃんと譜面見てごらん」 「は、はいっ」 「じゃ、もう一回」 再び指揮棒が振り上げられる。 だが、また同じ場所で止まった。 「君、いい加減にしてくれないかな。これじゃ曲がはじまらないぞ」 あちこちから嫌な視線を感じる。 (もう…嫌だ…) だが、律は涙目になりながらも 「頑張ります」 としか言えなかった。 19 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/27(日) 22 52 09.64 ID rc729EAk0 結局、合奏は律のドラムのためにほとんど進まなかった。 「気をつけ!礼!」 「ありがとうございました!!」 部長の号令で合奏は終わった。 澪とムギは特にとがめられることはなかった。 外部講師が音楽室を出ていくと、それに部長が付いていく。 2人が音楽室を出ると、突然罵声が飛んだ。 「ドラム!なにやってんだよ!」 「ひぃっ!!」 「文化祭までもう時間が無いのよ?分かってるの!?」 澪達は、ただ目を伏せていることしかできなかった。 合奏の片づけが終わったころ、部長が戻ってきた。 「軽音部の5人、ちょっと廊下に来て」 21 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/27(日) 22 55 28.90 ID rc729EAk0 部長は1人1人をじろじろと見た。 そして、律のところで視線を止めた。 「あなた…やる気あるの?」 「………」 「ちゃんと練習してきたの?」 「………」 あまりに沈黙が続くので、澪は黙っていられなくなった。 「律、黙ってないで何か…」 言いかけて、澪は言葉を失った。 「うっ…うぐっ…」 律は大粒の涙を廊下にこぼし続けていた。 22 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/27(日) 23 00 37.02 ID rc729EAk0 「泣いて許される問題じゃないのよ!!」 突然部長が大声を出したので、周りにいた吹奏楽部員も思わず固まった。 だが、律は泣き続けた。 「ご…ごめんなさい…うぐっ」 「何がごめんなさいよ!下手くそ!下手くそドラム!!」 「そ、そこまで言わなくても…」 梓が部長に言う。 「雑用は黙りなさい!!」 「ひっ…」 部長の怒りはさらにエスカレートした。 「毎日音楽室でティータイム!?ばっかみたい!!笑っちゃうわ!!」 「もう止めてくれ!!」 23 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/27(日) 23 05 21.35 ID rc729EAk0 澪は床に両手をついて頭を下げていた。 「今まで音楽室を占領していて、申し訳なかった。この通り、謝る」 部長は澪を軽蔑の眼差しで見下ろした。 「だから、もう許してやってくれ。必ず本番までには何とかする」 「何とかですって…?私が信じると思ってるの?」 「信じてくれ!!どうか、この通り、頼む!」 澪は頭を床にこすりつけていた。 その目には、大粒の涙が溜められていた。 部長はしばらく黙っていたが 「次は無いわよ」 と言って、音楽室へと戻って行った。 26 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/27(日) 23 11 28.49 ID rc729EAk0 「み、澪ちゃん…」 頭を下げたままの澪に、唯が近づく。 「澪…もうやめてくれ…」 律が澪の肩に手を掛ける。 「私が悪かったんだ。下手くそドラムの私が…」 「下手くそなんかじゃない!!!」 「っ!?」 澪はいきなり顔を上げ、律をきっと見つめた。 「お前のドラムは下手なんかじゃない!!」 「で、でも…」 「見せてやるんだ!!あいつらに。お前の、律のドラムを!!」 「そうよ、りっちゃん!!」 「律先輩!」 律は後ろ振り返った。 みんなが、みんなが律を見ていた。 「みんな…」 27 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/27(日) 23 17 58.97 ID rc729EAk0 その日から、律の猛特訓が始まった。 メトロノームを常に使い、正確なビートを刻むことに、ただひたすら、邁進した。 「まだ、まだできる…」 そして、文化祭当日。 律は見事にすべての曲のドラムを叩き切った。 ドラムソロでは割れんばかりの拍手までを誘った。 (やった…澪、やったよ…) 律は端の方の澪を見た。 澪もまた、律に視線を送る。 (ドラム、よかったぞ) 本番が終わり、再び5人は部長に呼びだされた。 28 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/27(日) 23 24 41.05 ID rc729EAk0 「素晴らしかったわ」 最初の一言が、それだった。 「あなた達のこと、あまりにも見下していたわ」 そう言って、頭を軽く下げた。 「…ごめんなさい」 5人は黙っていた。 「さっきの本番で…感じたの。音楽の本当の楽しさを」 部長は律を見た。 「田井中さん…あなたのドラム、最高だったわ」 29 :ギ―助 ◆CvdBdYFR7. :2009/09/27(日) 23 25 23.12 ID rc729EAk0 そして、残りの4人に視線を移した。 「あなた達も…本当にありがとう。あなた達がいなければ、本番をこなせなかったわ」 部長は律の手を取った。 「これからも、同じ音楽をやるものとして、頑張りましょう」 こうして、軽音楽部と吹奏楽部のわだかまりは解消された。 そして、軽音部は廃部という危機を免れたのである。 「こちらこそ、ありがとう」 満面の笑みで、律は応えた。 Fin
https://w.atwiki.jp/pale_moon/pages/121.html
この出っ張りに体を付ける レティクルの位置に合わせてジャンプ投げ 当たる時は大体マルチキルw