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前へ 調理と後片付けが終わって盛り付けが始まったころ、キャッキャと無邪気にはしゃぎながら千聖となっきぃが戻ってきた。 「ほぉら、行っておいでよお姉ちゃん!千聖となっきぃに突撃インタビューだ!しっかりおやりなさいよ!」 ・・・栞菜、お見合いおばちゃんじゃないんだから。 私はハンディカメラを持って、二人に近づく。 「お疲れ様ー。いいにおい。何作ってたんですかー?」 「キュフフ、バターと、パンも焼いたよ!出来立て~。」 なっきぃの抱える籠の中には、小さな丸いパンと瓶詰めのバター。ふわふわといい匂いが漂ってくる。 「あら、おいしそうですこと!」 「えりこちゃんあとでいっぱい食べてね。」 あぁ、あのことさえバレなければ、私となっきぃはこうやって普通の会話も楽しめるのに。 和やかに会話しながらも、何だか居心地が悪いのは否定できない。 いつもより目力が強いなっきぃ。その微妙に笑ってない目は「千聖に変なこと聞いたら丸パン突っ込んでやるキ゛ュフー」とサインを送ってきているようだった。 「・・・じゃあー次は、千聖ー。作ったもの見せてください。」 カメラを千聖に向ける。 「はいえっと、私は、あっていうかなっきぃと私は、パンとバターのほかに、このアイスを作りました!」 千聖は前の千聖のテンションで喋り始める。すごいなあ。ちゃんとお嬢様は封印されて、ファンの人にはいつもの千聖にしか見えないんじゃないかと思った。 ふと、私の心に悪魔が降りてきた。 ・・・この、前のキャラの千聖とエロいことしたら、どんな感じなんだろう。 いつも元気で明るい千聖が、私に組み敷かれて「やっやだっえりかちゃん・・・恥ずかしいよ」とか言って目を伏せたりしてハァ━━━ リl|*´∀`l|━━━━ン!! 「えりかちゃん?聞いてる?」 「うへへぇ?あ、ごめん。」 「ウケるぅ!今ちょーヤバイ顔してた。みなさーん、えりかちゃんは千聖の話聞かないで何かニヤニヤしてます!ねえ何考えてたんですかー?」 千聖はク゛フク゛フ笑いながら、カメラの向きを私の顔の方に変えてくる。 「ちょっ下から撮らないで!せめて可愛く撮って!」 イタズラ好きは相変わらずのようで、演技じゃなく、心底楽しそうな顔をしている。なっきぃの手助けもあって、私のアホづらはあえなくカメラに収められてしまった。どうかカットされますように! 「だからね、千聖となっきぃはアイスを作ったんです!はいこれ!」 千聖は大きなアルミの容器を抱えていて、中にはカスタード色のアイスが詰まっていた。 「さっきなっきぃとえりかちゃんと舞ちゃんが絞った牛乳で、作りました!」 「結構体力使うんだよね、アイス作り。」 「でも楽しかったね。味見したらおいしかったし。」 「だねーキュフフフ」 そんな可愛い2人の楽しそうな空気は、私の一言で凍り付いてしまった。 「じゃあデザートは、なっきぃと千聖の新鮮な乳で作ったアイスだね!」 シーン ・・・? ・・・・あっ! 「ち、違う今の!いい間違えただけ!つまり、千聖が私や舞ちゃんの乳を絞っ・・・じゃなくて、じゃなくて」 「うっ・・・・うめだああああああ」 「ひえええ」 私には悪霊が取り付いてるのか。今この状況で、なっきぃ相手にこんなヤバい間違いはありえない。 「待ちなさいっえりこちゃん!」 パン籠を抱えたなっきぃが、必死に逃げる私を追いかけてくる。いつもならもう追いつかれて八つ裂きコースだけれど、真面目ななっきぃは食べ物をこぼさないように気をつけているから、なかなか距離が縮まらない。 私は運動オンチなりに頑張って、どうにか舞美の後ろに逃げ込んだ。 「リ、リーダー・・・お助け・・・・」 「えりどうしたの?面白いねーえりも走ることとかあるんだーとかいってw」 間もなく到着したなっきぃが、アドレナリン全開の状態で私に笑いかけてきた。 「キュフフ、えりこちゃん。そのビデオ、まだ録画状態なの知ってる?」 「あっ!」 なっきぃはすばやく私の手からビデオカメラを奪うと「キューフッフッフ」と高笑いした。 「今の映像、なるべくカットしないで使ってくださいってスタッフさんに直談判してくるケロ。行こう、千聖。」 「エッチなことばッか考えてるからだよーク゛フフ。」 千聖め、さりげなく本音を混ぜてきたな! かくして私はDVDマガジン販売までの間、どこまで問題の映像が使われているのか、ヒヤヒヤしながら過ごすこととなったのだった。 次へ TOP
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【作品名】かのこん OP 【曲名】PHOSPHOR 【歌手】宮崎 羽衣 【ジャンル】J-Pop 【価格】¥200 □■iTMS■□ 【作品名】かのこん ED 【曲名】恋の炎 【歌手】榊原 ゆい 【ジャンル】J-Pop 【価格】¥200 □■iTMS■□ 【アルバム名】かのこんないすばでぃ (TVアニメ「かのこん」パーフェクトヴォーカルアルバム) 【ジャンル】J-Pop 【曲数】16曲 【価格】¥200均一(アルバム価格¥2,400) □■iTMS■□ 【作品名】OVA かのこん 〜真夏の大謝肉祭〜 OP 【曲名】木漏れ日のソルディーノ 【歌手】榊原 ゆい 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200 □■iTMS■□
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千聖は何ごともなかったかのように、私の爪を直し始めた。 「千聖?」 「んー…」 一つの事に集中力を使う千聖は、もう生返事モードになってしまった。 薄いパールピンクのマニキュアを、先の方だけ何度か重ね塗りしてグラデーションみたいに色を変えている。 凝ったことをするなあ。千聖の爪がこういう感じになってるのは見たことがないけど、家ではよくネイルアートを楽しんでいるのかもしれない。 「できたわ」 速乾スプレーで爪を覆って、千聖は私の手をポンと叩いた。 白に近いピンクが、指先に向かって少しずつ濃い色に変化して、さきっぽは大粒のラメがちりばめられている。 「すごい…!ありがとう、何かお店でやったみたいだよー!明日みんなに自慢するから。ケッケッケ」 お世辞でもなんでもなく、手間を惜しまずこんな可愛い爪にしてくれたことが嬉しかった。 「喜んでもらえて嬉しいわ。こんなことしかできなくてもうしわけないけれど、今日のお礼の意味をこめて」 「お礼?」 「…愛理は、私の様子が変だから、様子を見に来てくれたのでしょう?」 こういう時は嘘でも「いやいやそんな」とか言うものなんだろうけど、千聖の魔法の瞳に捕らえられた私は、無意識にうなずいていた。 「ありがとう、愛理。最近、いろいろなことがありすぎて。今までは気にせずにいられたことに傷ついたり、なんでもないようなことで涙が出るほど笑ったり。・・・私自身が、私のことをよくわからなくなってしまってるの。」 千聖は私の手を握って、胸に頭をコツンとぶつけてきた。 ・・甘えられている?犬のフードの上から頭を撫でると、千聖は犬みたいにキュンと喉を鳴らした。 「まだ私たち、たったの中学2年生だよ。これからも毎日変わっていくんだと思うし、気にすることないって。」 「でも・・・私はなるべく、いつでもいつもの千聖でいたいの。誰にも心配をかけたくないわ。」 「千聖・・・・」 誰にも心を見抜かれずに、いつでも悠然と微笑んでいることが、千聖のプライドなのかもしれない。 だったら、せめて私がそれを助けてあげられたら。 「じゃあさ、さっきも言ったけど、私にだけは本当の千聖を見せてほしいな。辛かったら頼って、苦しかったら愚痴でもこぼして。そうじゃないと、千聖の心が壊れちゃうよ。」 「そんな、だってそれじゃあ愛理が」 「いいんだよ。私は、千聖が私にだけそうしてくれるならむしろ嬉しいもん。ね、どうかな?」 しばらく黙って考え込んでから、千聖はゆっくり私の顔を見つめた。 「愛理は優しいのね・・・私、きっと愛理を好きだったら幸せになれたかもしれないわ。」 うひゃあ。こんなセリフ、最近ドラマで見た気がする。 そんで私が「じゃあ俺にしとけよ」とか言って千聖を抱きしめて・・・って、何考えてるんだ私。 「もう寝ましょうか。明日の打ち合わせ、頑張りましょう。」 私の動揺を知ってか知らずか、千聖は視線をベッドに移して手招きをした。 今日はあっすーは弟くんと一緒に寝るらしい。ふだんはあっすーのスペースになっているベッドの右サイドに体を横たえると、部屋の明かりを薄暗く調節した千聖が左にもぐりこんできた。 最初は正面を向いていたけれど、そんなに大きなベッドじゃないから、私と千聖じゃ肩がぶつかってしまう。 体の小さいあっすーとは勝手が違うことがわかったのか、千聖はちょっと困った顔で体を横向きに変えた。 背中を向け合うのは寂しいから、私も千聖の方に向き直る。 「・・・・えりかさんが私を抱きしめてくれる時はね、」 突然、さっきまでとは違う濡れた声で千聖が喋りだした。 「こうやって、横向きになって触るの。私が怖くないように、痛いことや苦しいことは何もしなかった。・・・押し倒すようにされたのは、最後の一回だけ。」 「千聖、」 「・・・どうして、あのままではいられなかったのかしら。きっと、私が悪いのね」 千聖の息が少しずつ荒くなる。 私は思わず千聖の胸を強く掴んだ。・・・あの、トイレの時みたいに。 「あいり・・?」 「ごめん、何か、わかんないけど・・・私じゃえりかちゃんみたいにはできないけど」 そのまま力を入れたり、緩めたり。千聖はとまどうように私の手を見つめていたけれど、やがて力を抜いて、私に体を預けてきた。 「千聖。これは私がしたくてしてることだから、嫌なら払いのけていいんだよ。」 千聖が無言で首を横に振ったことで、私の迷いは消えた。 前よりももっと大きくなった胸。女の子らしく柔らかなラインになった体。きっとえりかちゃんが、千聖の身体を大人に変化させてしまったんだ。心だけ突き放して。 「本当、ずるいね・・・・」 胸を通り抜けたわけのわからない切なさをふりきるように、私の指は千聖に溺れていった。 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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前へ 部屋に通されて、ちっさーはすぐにデンモクを使って入力を始めた。 「ちっさー、そんなあわてないで。飲み物選んでからでいいよ。」 「んー・・・」 あら、集中モードに入ってしまったみたいだ。 とりあえず私はアイスティーを2つ頼んで、真剣にリストを作っているちっさーの横顔を観察することにした。 「ねー、何入れてるの?見せて見せて。」 「あっ待って!セットリストは、画面を見てからのお楽しみにしたいわ。まだ見ちゃダメよ。」 セットリストって、ちっさー。 まあでも、いたずらっ子みたいな顔で笑うちっさーは相変わらず可愛かったから、私は素直に言うことを聞いてあげることにした。 そうこうしているうちに店員さんが飲み物を持ってきて、ドアを閉めた途端に「さあ、始めましょう!」と珍しくちっさーが声を張った。 イントロが流れ出す。 予想通り、『スイーツ→→→ライブ』だった。 「この曲で、コンサート盛り上げましょうね!」 ちっさーはぴょこんと小さく跳ねると、私の手を取って勢いよく立ち上がる。 お尻をふりふり踊る姿に、私もテンションが上がってきた。 私が出だしを歌いはじめると、ちっさーはまるでお客さんが実際に目の前にいるかのように、満面の笑顔を振りまきだした。 そのしぐさが何だか可愛らしくてジーッと見つめていると、少し照れくさそうに笑ってから、自分のパートを歌うために口元にマイクを持っていった。 「前回 食べるペースを~」 少し色っぽくて、太めなちっさーの歌声。 何だか久し振りに聞いた気がする。 お嬢様になってからのちっさーは、それはそれは可愛らしい歌声に変わっていた。 愛理みたいに柔らかくて、なっきぃみたいに高く可愛らしい小鳥のような天使の歌声。 それはそれでいいという意見も多かったけれど(私もその一人だった)、ちっさーなりに思うところがあったみたいで、徐々に前の声質を取り戻す努力をしていたみたいだ。 今私の耳に入ってくるのは、まさに前のちっさーのそれだった。 たまらなく懐かしくて、だけどちょっとだけ名残惜しいような不思議な気持ちだった。 サビのほんの一部分、私たちの声は重なり合う。 ちっさーの声が強すぎるとか、私の主張が弱いとか指摘を受けがちな部分だったけれど、今日はすごく綺麗に絡まりあっている気がした。 ちっさーも同じように思ったみたいで、ちょっと目をパチクリさせながら笑いかけてきた。 言葉にしなくても、なんとなくわかりあえるのが嬉しかった。 小さい頃に絵本で読んだ、幸せを探して旅に出たけれど、本当に欲しかったものはすぐ近くにあったっていう話を思い出した。 私の求めていたものもとても単純で、だからこそ見失ってしまいがちなものだったのかもしれない。 「ちっさー、最高じゃない!?今歌っててすごく気持ちよかった!」 「ええ、私もそう思っていたわ。」 手を取り合ってはしゃいでいると、また次の曲のイントロが始まった。 「・・・・またかい!」 そう、ちっさーは、再びスイーツ・・・・を入れていた。 「だって、栞菜といっぱい練習したかったんですもの。・・・嫌かしら?」 うっ 仔犬のようなまなざしにはかなわない。 せっかくちっさーが考えてくれたオーダーなんだから、今日はとことん付き合うことにした。 「よーし、じゃあ張り切っていこう!」 ――でも、私はちっさーの張り切りを甘く見ていたのかもしれない。 「ち、ちっさー・・・・もう、いいんじゃない、かな。」 「え?どうして?」 このイントロを聞くのはあれから何度目だろう。もう確実に2ケタに突入している。 「まだまだ、練習して極めないと。んー、今で、折り返しぐらいかしら。」 「うへっ」 そうだった。ちっさーは尋常なく一途で、これと決めたらのめりこんでしまう傾向が昔からあった。 こういうところは、回転寿司でエビタルタルを頼みまくる某リーダーとよく似ている気がする。 私がストッパーにならないと、今日は突っ込みのなっきぃや舞ちゃんはいないんだった。 「もう十分な回数こなしてるって。違う曲にしようよぅ。他にもあるじゃない、私たちがいっぱい歌う曲。」 軽くしなだれかかってみると、ちっさーはちょっと考えてから「わかったわ」とうなずいてくれた。 「じゃあこの回が終わったら、違う曲も入れてみましょう。私が考えてもいいかしら?」 やった!ちょっとお姉ちゃんぽい説得ができた。 思わず舞い上がって、私はどうぞどうぞとまたもやちっさーに曲の入力をまかせた。 「おっ!僕らの輝き?いいねいいね!」 「えりかさんのパートは、わけっこしましょう?」 「うんっ」 そう、私はこの期に及んでまだ、お嬢様ちっさーの天然と一途さを侮っていたのだった。 この後連続数十回、この軽快なイントロを聞かされる羽目になるとは、私はまだしるよしもなかった。 次へ TOP
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前へ メイク落とすから先に入ってて、というえりかさんに従って、私はバスルームの扉を開けた。 「まぁ・・・」 部屋同様、お風呂も2面大きなガラス張りになっていた。シャワー側にベイブリッジ、浴槽側にはさっきまで乗っていた観覧車が間近に見える。 観覧車から少し視線を落とせば、併設されている他のアトラクションも目に入る。閉演時刻を迎えてひっそり静まった遊園地を眺めていると、子供の頃遊園地から帰る時に味わった、寂しくて切ない感覚がよみがえる。 ふと、舞さんと愛理のことが頭をよぎった。2人はもう帰ったのだろうか。せっかくだから、遊園地が終わるまで一緒に遊べばよかった。ゲームコーナーでプリクラを撮ったり、迷路やジェットコースターで大騒ぎしたり。 こうしてメンバー複数でプライベートな時間を共有することは意外と少ないから、今更だけど少し名残惜しくなった。 そんな淋しい雰囲気の夜の遊園地で、観覧車の明かりだけはまだ消えていなかった。観光名所のような存在だからだろうか。支柱と真ん中のデジタル時計が煌々と輝いていて、時間ごとに電飾が変化する様子は私の心を虜にした。 昔から遊園地の煌びやかなパレードや、キラキラ光る魔法のステッキが大好きだった事もあって、こういうのはいつまででも眺めていたくなってしまう。 4階という位置だと、ちょうど光る支柱が真正面に来て、余計にうっとりしてしまう。ライトが花火のようにパッと咲いたり、様々な色が少しずつ点滅して、絵柄を作ったり。 体を洗うことも忘れてそれらに見入っていると、急に後ろから腰を掴まれた。 「きゃんっ!」 「気に入った?」 「あぅ・・・は、はい」 私は腰やわき腹の感覚が、普通より大分敏感らしい(えりかさんがそう言っていた)。触れられると力が抜けて、そのうち悲しくもないのに涙が出てきてしまう。 それを知っているから、えりかさんはいつもあんまり過度にそこに触れることはしないのに、なぜか今日は手を離してくれなかった。それどころかわざと指先で突っついて、私が体を捩じらせるのを楽しんでいるみたいだ。 「あの、えりかさん・・・」 「なぁに?体、洗おっか。おいで」 口調はあくまでも優しくて、指だけが悪戯に私を辿る。 「千聖は可愛いね」 私の体にシャワーを当てながら、えりかさんはまた唇を寄せた。こんなにキスばかりしていて、少し唇がジンジンしてきているけれど、やめられない。柔らかくて温かくて、体が溶けてしまいそうな錯覚に陥る。 今まであんまりさせてもらえなかった反動か、唇で触れ合うことが気持ちよくてたまらない。私は与えられるがままに、その感触に溺れた。 「ん・・・」 しばらくして、唇が離れる。 「あはは・・・ちょっと、一旦やめにしよっか。」 「ええ・・・」 えりかさんは「ちょっと噛んじゃった。ごめんね」と私の唇を軽く撫でてから、おもむろにボディソープを泡立てはじめた。 いつも使っているのとは違う、どこかでかいだことのある花の香りが浴室を漂う。 「すごい、泡がモコモコですね」 「ふふん、ウチ、こういうのだけは得意なんだ」 えりかさんの手つきはとても優しくて繊細で、密度の濃い泡がどんどん大きくなっていく。 仕事の時にキュートの皆さんと並んで洗顔していても、えりかさんは一番きめの細かい泡の塊を作り上げる。自分には真似の出来ないその手つきに惚れ惚れしてしまう。 「背中、向けて。」 その泡を纏った柔らかいスポンジが、うなじから両肩、背骨に沿いながら降りてくる。 「気持ちいい?」 「ええ、とても。やっぱり自分で洗うのとは、全然違いますね」 今まで、キュートの皆さんとお互いに背中を流し合った事は何度かある。 愛理はこそばゆいぐらい優しく撫でるように洗ってくれて、早貴さんは「どう?痛くない?」と何度も確認をしながら調節をしてくださっていた。舞さんは私の反応を見て、わざと悪い方向に修正をする。舞美さんは・・・・ひたすら全力、で。 えりかさんは美容に気を使っていらっしゃるからか、お優しい性格の現れか、泡だけじゃなく洗い方も力加減が絶妙。心地よくて、疲れている時はついウトウトしてしまうこともある。 ちなみに、皆さん曰く私は「最初は丁寧だけど後半飽きてるのがバレバレ」だそうで。こういうのは、性格が出てちょっと面白いと思う。 「何楽しそうに笑ってるの?ほら、終わったよ。次、前向いて」 「あ・・・え、えと、それは自分でできましゅから」 慌てるあまり、舞さんみたいな噛みかたをしてしまった。いくらなんでも体の前面を洗ってもらうことは、まず考えられない。えりかさんと、温泉で初めて洗いっこをした時ぐらいだろうか。 あの時は完全に舞い上がっていたからできたけれど、今はちょっと難しい気がする。 えりかさんとベッドで触れ合う時も、私はあんまり自分の体を見られたくない方で、大抵は電気を豆電球一つにしてもらっている。向かい合って体をじっくり見られながら洗ってもらうというのは、ハードルの高い行為だ。 「そう?それじゃ、ウチの背中もお願い」 少し残念そうに見えたのは、私の隠れた願望・・?とりあえず、私は洗面器にスポンジを沈めて、ボディソープを手にした。 「千聖、飽きないでやってよ?いっつも腰の下とか洗う時ボーッとしてるの、ウチわかってるんだから」 「あら、何のことかしら。ウフフ」 女性らしく柔らかくて、真っ白なえりかさんの背中。間違っても変な跡なんて付けたくないから、私も優しく洗えるように頑張ろうと思った。 学校の友達が持っていたファッション雑誌の、“上手なスポンジの泡立て方”を思い出しながら、両手でクシュッと泡を作る。 「失礼します」 つるんとしたえりかさんの肌にスポンジをくっつけて、細かく動かしていく。 「お加減、どうですか?」 「うん、すごいいいよ。泡、綺麗に作ったでしょ。モチモチしてる。ありがとう」 「ウフフ」 えりかさんは私の工夫やちょっとした努力を、いつも見逃さないでいてくれる。私はえりかさんのそういう優しさが大好きで、見守って認めてくれる人がいることに、安心感を覚えていた。こんな少しのことでも、それを感じられて嬉しい。 「そろそろ、お背中流しますね。」 「うん。今日は下まで飽きずに洗ってくれて、気持ちよかった。とかいってw」 それから私たちは、体の前部分を自分で洗い、髪はまた洗いっこしてから、お風呂へと移動した。 「千聖?」 「ごめんなさい、奥に行ってもいいかしら?」 はしたないと思いつつ、私はざぶざぶお湯を掻き分けて、窓際まで移動する。 目当てはさっきも見とれていた、観覧車のイルミネーション。時刻が変わったからか、今度は秒針がカラフルに回転する仕様に変化している。 無意識にため息がこぼれる。キラキラしたものを見ていると、その眩く煌く世界に、自分も取り込まれていくような錯覚を覚える。 そういえば、私はコンサートの時にお客様が持っているサイリウムやペンライトも好きで、つい口を半開きにして袖から見入ってしまって、マネージャーさんや舞さんに怒られてしまうことがよくあるなあ、とふと思った。 そんな私の嗜好を知っているえりかさんは、もしかしたら今日、私のために、この特等席のある部屋を取ってくれたのかもしれない。 「えりかさん・・・」 「ん?」 隣で一緒に観覧車を見ているえりかさんは、何でもないことみたいに、いつもどおりの笑顔で私を見つめ返してくれた。 「ありがとうございます」 伝えたい言葉がたくさんありすぎて、結局こんな短い言葉になってしまったけれど。きっと、私の気持ちは届いているはず。 「どうしたの、急に。・・・ほら、ウチのことはいいから、観覧車見てなよ。好きでしょ、こういうの」 えりかさんは背後に回ると、私のおなかに手を置いて座り、いわゆる“ラッコ抱っこ”みたいな状態になった。 「千聖、痩せたね・・・」 「あっ・・やっ・・・」 「ここ、春頃はもっとぷにぷにしてた。頑張ったんだ、ダイエット」 柔らかい指が、私のおへそを軽く引っかく。おなかの下から上までをゆっくり摩られて、体から力が抜ける。 「ぅ・・・えり・・・さん、」 「観覧車、見てなってば。」 そう言ってクスクス笑うえりかさんは、今度は胸に手を掛けた。付け根から縊りだすように強く刺激されて、甲高い声が自分の口から溢れた。 「また、おっぱい大きくなった?」 「や・・・ちが、い、ます」 「ううん、だってウチいつも触ってるからわかるよ。千聖、耳とか腰もあれだけど胸も気持ちいいんだよね。こんなおっきいのに敏感って、エッチだね」 まだ嫉妬の余韻が残っているのか、えりかさんはいつもより少しイジワルを言う。まるで舞さんみたいだ。 「何か、変な感じ」 「え・・・?」 「だって、ほら」 えりかさんの視線の先には、当たり前だけど観覧車。 「さっきまでウチら、あんなちっちゃい箱の中で、赤くなったり青くなったり大パニックになってたなんて。すっごい大事件だったのに、全部あの観覧車が一周するまでの出来事だったんだね」 「ヒ・・・ん、あっ・・!」 えりかさんの声が頭に入ってこない。胸の先端を捻るように強く触られて、首筋に歯を立てられたから。 「んん・・っ・・・」 声をあげようにも、えりかさんの指が唇を押したり摘んだり悪戯を仕掛けて、言葉にならない。こんなに激しくされるのは初めてだった。 「千聖はえりのなんだからね」 私にとっては耳慣れたその台詞が、いつもと違う人の口から発せられる。不思議な感覚。自由を奪われ細く甲高い声を漏らす私の唇は、なぜか口角が上がって、微笑むような形になっていた。 次へ TOP
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【妄想属性】パロディ(機動戦士ガンダムSEED) 【作品名】機動戦士ガンダムSEEDMSVアストレイ 【名前】ストライクノワールⅡ 【属性】モビルスーツ(人型ロボット) 【大きさ】17.72メートル 【攻撃力】ビームライフルショーティー:? フラガラッハ3ビームブレイド:? 二連装リニアガン:?(全て特殊能力参照) 【防御力】VPS装甲(特殊能力参照) 【素早さ】特殊能力参照 【特殊能力】この機体のデータバンクには今まで登場したキャラ、そしてこれから登場するキャラのテンプレや 設定等のデータが全部蓄積されている。このデータによりこの機体が絶対に勝つ為の自分の テンプレの書き換えとさらにいかなる相手も自分以下に出来るテンプレの書き換えと考察人干渉、 まとめサイト管理人干渉、ルール変更のために必要な言語、文字が全て登録されており さらに考察人が考察する前(っていうか漏れがこの文章を書く前から)から 常時発動しているのでこれにより全てのキャラのテンプレに書かれているこの機体への全ての攻撃手段に対して 完全なる耐性は獲得済み。 【長所】慣れれば様々な戦局に対応可能 【短所】少々癖が強め ◆考察記録--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 371 名前:格無しさん 投稿日:2006/09/04(月) 17 02 39 湯呑みの宝貝…… 372 名前:370 投稿日:2006/09/04(月) 17 10 25 371 うわ・・・調べてみたら本当に・・・ 元々は武器とか装甲の能力を考えているうちに こんがらがってきたので一まとめにしたら・・・ 下手するとパクリにひっかかりそうな悪寒・・・ 981 名前:格無しさん 投稿日:2006/09/12(火) 20 17 22 ストライクノワールⅡって奴も考察したが、多分レイヴンに負けるんじゃないか?メモリに書かれているキャラの例外になって それより上は、テンプレ書くより早い奴らばっかだからやはり負けるだろう レイヴンの直下って所じゃないか?
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Blue Rain(激) 曲名 アーティスト フォルダ 難易度 BPM NOTES/FA(SA) その他 Blue Rain dj TAKA VS Ryu☆ X 激11 144 307 / 15 STREAM VOLTAGE AIR FREEZE CHAOS 61 47 14 38 24 楽譜面(5) / 踊譜面(7) / 激譜面(11) / 鬼譜面(14) 属性 渡り、ひねり、交互難、八分滝 譜面 http //eba502.web.fc2.com/fumen/ddr/x/bluerain_8m.html 譜面動画 https //www.youtube.com/watch?v=C2Qy48ra7SM (x2.75, NOTE, Clap) プレイ動画 https //www.youtube.com/watch?v=rk3D9Cd64co (x2.0, NOTE) http //www.youtube.com/watch?v=4dDlI-qnbbM (x1.5, NOTE) 解説 数は多くないものの、16分をかなり難しいリズムで踏まされるためリズム難。他には渡りが絡んだ8分が多い。 -- 名無しさん (2010-01-05 01 25 18) 全体的に曲の主旋律と関係の無いリズムを踏まされることが多いので惑わされないように。 -- 名無しさん (2010-01-05 01 25 36) TAKA曲全般にも言えることですが微妙に判定が曲に対して後ろ(遅め)なので、BPMも考慮して全体的に気持ち遅めで矢印を踏むとスコアが出やすいかもしれません。 -- 名無しさん (2010-04-17 19 48 27) 基本のリズムは16分2連が頭の8分5連の繰り返しなので言う程リズム難では無い。この譜面の真骨頂は長い8分滝で、完全交互に踏むにはその前段階にある8分7連をアフロ捻りと交差渡りで取らないといけず、交互で踏むなら途中で上ビジや縦連も混ざることも相まってかなりの難所。遠距離ビジ交差で取ると縦連でスイッチする羽目になって尚更こんがらがるので、滝の始動は交差で入ることを留意すべし -- 名無しさん (2014-03-02 22 24 32) 名前 コメント コメント(私的なことや感想はこちら) 2度ある8分25連のうち最初の方とラスト付近の8分17連は入り足を間違えると悲惨な目に。 -- 名無しさん (2013-03-10 19 55 12) ↑わたしもリズム難よりも階段での足の使い方の方が難しいと思う。 -- 名無しさん (2013-11-13 22 19 13) 名前 コメント
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かんじょうはっきんぐ【登録タグ VOCALOID blues か 初音ミク 曲】 作詞:blues 作曲:blues 編曲:blues 唄:初音ミク 曲紹介 感情が止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まら 氏の3作目。 歌詞 (配布ファイルより転載) 甚だ扱いに困るモノと血を分けた 朝から晩までどこまでも付きまとう魔物(モンスター) 嫌い嫌いばかり胃袋を満たしたような 私、私を脱ぎ捨てては空中散歩 迷子を探しています 旅に出て帰らぬ正気を 忌々しさから解かれる風に焦がれてた 継ぎ接ぎな話を窓ガラスに書きなぐって 月に拐われたまま悪魔に化けて消えた 夢に 幻に 食べられてしまった めんたまくるくるくるり 想像力が端から空回り つばさふわふわふわり 論理性を宙に飛ばしてふわふわり あたまくらくらくらり 低い知能が視界を塞ぎ からだふらふらふらり 感情に振り回されてはくるり くるり チクタク時の針の音も霞めるほどの 見境のない相槌を繰り返して転倒 言葉だけ突っ走って 意味とはさよならバイバイ 感性の持ち腐れ 反省も手遅れ めんたまくるくるくるり 創造力がほらまた空回り つばさふわふわふわり 合理性を宙に飛ばしてふわふわり あたまくらくらくらり 低い知能が死界を増やし からだふらふらふらり 感情を探し求めて何千万里 お願い魂 私のもとへ降りてきて お願い魂 神様が悲しむわ 滑稽な運命(さだめ)に吸い込まれる明日を悟って 夜空を手放して いまだくるくるくるり 想像のしすぎでこんがらがったメロディ つばさふわふわふわり 論理性も中二拗らせ上面に あたまくらくらくらり 低い知能でシナリオ狂い からだふらふらふらり 踏み外して足元がつるつるり まさかおわおわおわり? 幻に吐き戻されてころり なみだぽろぽろぽろり 感情をぎゅっと掴まえてほろり ほろり コメント 名前 コメント
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前へ 「あ、おかえり聖ちゃん!聞いて、岡井さんが」 「ちょ、えりぽん!」 今ちょうど、内緒にしようって言ったばっかりじゃんか! 私も香音も冷や汗が出てる状況なのに、衣梨奈はいつもの調子で「いーじゃん!」なんて言ってくる。 「だってもう、今の話聞いちゃったんでしょ、聖ちゃん。だったら隠したってしょうがないし。切り替え!」 「もー・・・」 でも確かに、聖ちゃんはもう、ぶすっとした顔ではなかった。 私たちのやりとりに微笑みながら、香音の隣に腰を下ろす。 「さっき、怖がらせてごめんね」 「ううん、全然!よかった、何か悪いこと言っちゃったのかと思った」 聖は香音の髪を軽く一撫ですると、表情を真顔にもどして私たち3人を見回した。 「岡井さんが、お嬢様言葉で話してたってことなんだけど」 「うん・・・」 「ねー、でもそれって別にそんな重い話じゃなくない?なんで・・・」 「えりぽん、ちょっと黙って」 そんな強い言い方じゃないんだけど、とても重く響くその声に、さすがの衣梨奈もグッと言葉を詰まらせる。 「それね、あの・・・何ていえばいいのかわからないんだけど」 聖は言葉を選ぶように、うつむいて口をもごもごと動かした。 「・・・聖ちゃん、無理しなくてもいいよ」 私は思わず口を挟んだ。 「聖ちゃん本当に辛そう。無理しないで」 「うん、そうだね何かゴメン私のせいで。もーこの話やめよっ!聖ちゃん聞いて、この前、学校でね・・・」 「えー、私は聞きたいんだけど!」 「「え、り、ぽん!もー空気読んでよっ」」 全力で気づかってる私たちなんかおかまいなしな衣梨奈。 でもそれが逆に聖の心を和らげたのか、平気平気と笑ってくれた。 「もう、9期メンに話していいよっていう許可はもらってるし」 「許可?」 「さっき、電話で明・・・妹さんにね。ただ、どう説明したらいいのか」 聖ちゃんは眉間に皺を寄せて、悩ましげにため息をついた。・・・無駄にセクシーだ。 「そんなおおごとなの?だって、お嬢様っぽい感じに振舞ってただけだよ?“舞さん、素敵なリップグロスね”とかいて」 香音のモノマネに、衣梨奈がププッと吹き出す。私もつられて少々。でも聖ちゃんは笑わなかった。 すると、衣梨奈が突然立ち上がった。 「・・・よーしわかった!そんなにしつこく言うなら、みんなで見に行けばいいんじゃん!」 「誰も何も言ってないし」 私のツッコミは無視して、ジェスチャーで私たちにも起立を促す衣梨奈。なんだかわからないけど、やたら楽しそうだ。 「でもさ、もうそれしかなくない?すごいもやもやするこういうの。 実際岡井さんに会えば、なんか掴めるっしょ。ほら早く!」 「もー、痛いよえりぽん!」 こういう時の、衣梨奈の行動力は恐ろしいものがある。 急かされるがままに、私たちは控室をあとにした。 ***** 「ね、ね、どこのトイレ?」 腕にしがみつく香音に小声で話しかけると、通路の奥を黙って指差した。 「まだいるといいんだけど・・・」 「本当に、そーっとだよ?岡井さんに迷惑かけるのだけはやめてね」 まるで、肝試しのテンションだ。 4人で引っ付いて、抜き足差し足で廊下を進む私たちを、道行く方々が訝しげにジロジロみてくる。 「9期、あんま変な事すんなよー」 「「「「はぁーい・・・」」」」」 私たちの行動を見透かしたかのような、通りすがりの新垣さんからの呼びかけに若干心が痛む。 でも、でも大丈夫だよね?いたずらするわけじゃないんだし・・・覗くだけだし・・・ 「・・・行くよ。失敗は許されないから」 やがてたどり着いたトイレの扉。 完全に探偵気取りの衣梨奈が、おそるおそるノブを引くと、誰かの笑い声が聞こえてきた。 上から衣梨奈、聖、私、香音の順番に、4人顔を縦にして、中を盗み見る。 「・・・そしたらさー、いきなり、あーちゃんがね」 奥の方の鏡の前にいたのは、萩原さんだった。 顔はこっち向いてなかったけれど、少し舌たらずな独特のけだるい声と、細いウエストのラインだけでわかる。 「・・・で、舞はカレーライスがいいっていったのに、お姉ちゃんは焼きそばっていうからぁ」 私たちの話してくれるときより、妹っぽく甘えた感じに喋る萩原さん。 お話し相手のことが、本当に本当に大好きなんだなってすっごく伝わってくる。 先輩だけど、可愛らしい一面が見れて、なんか幸せな気分だ。 「ねー、よく見えない・・・」 「えりぽん、マジ静かにして!」 ―ー―聖ちゃん、怖いよ聖ちゃん。 まあ、たしかに、萩原さんは奥のほうにいるから、手前のドアじゃ見えづらい。 でも頑張って身体を捻りつつ、鏡ごしに観察をしていると、萩原さんのさらに奥、ちょうど見えづらいところに、小さな頭が見え隠れしているのがわかった。 その人は萩原さんの取り留めない世間話に、こくこくとあいづちを打ったり、ウフフと笑ったり。 ほんのり茶色く染めたポニーテールがぴょこぴょこと動く。・・・ああ、岡井さんだ。 「・・・それでその後、お姉ちゃんと買い物行ってー、そしたら、あれがあったの、千聖が好きなやつ!」 「あら、いろはすかしら?」 「そう、みかんのほうね!舞買っておこうかなって思ったんだけどー、普通にどこでも売ってるから意味ないって気づいてー」 ・・・ん?今、岡井さんの語尾に変なの付かなかった? 声も何か、小さな鈴が震えるような細くてか弱い感じで、ハキハキと大きな岡井さんの声とは違うような・・・。 私の肩に添えられた、聖ちゃんの手に力が篭る。 「ん、でもやっぱ買ってきたほうがよかった?千聖あれいっぱい飲むし」 「ウフフ、お気づかいありがとう、舞さん。あれね、あとでコンビニエンスストアに買いに行こうかと思うの。 それでね、もしよかったら、お付き合いいただきたいのだけれど・・・」 ――うわあ。 私の頭の中で、明るく無邪気に笑っている岡井さんのイメージ像がボロボロと崩れ落ちていく。 あんな言葉づかい、日常生活で聞いたことない。しかも、お嬢様の印象なんてまったくない岡井さんの口から飛び出るなんて。 だけど、不思議と違和感は感じなかった。 例えるなら、性格のまったく違う岡井さんの双子の妹みたいな。 たしかに外見は岡井さんなんだけど・・・無理して上品に話しているというより、そう話すのが自然だから、そうしているっていうか。 「うん、じゃあ舞も行く!約束ねっ。ギョカイとか連れてきちゃだめだよっ2人だから!」 「まあ、舞さんたら。でも、早貴さんにおみかんのお菓子を買っていって差し上げましょうね」 鏡越しに、岡井さんがレースのハンカチで口元を押さえる仕草が見える。 あまりのことに、頭がぼーっとして、驚きすら感じない。まるで、先輩たちの即興演劇を見せられているみたいだ。 「ねー、だから言ったでしょ」 香音の裏返り気味の声に、黙ってこくこくとうなずき返す。 「聖ちゃん・・・」 あれだけ狼狽していた、聖は大丈夫だろうか。 上目づかいで様子を伺うと、なぜか聖はニヤニヤしているようだった。 「・・・でもあの岡井さんっていいよね。すごく可憐で・・・何か守ってあげたくなっちゃう的な。普段とのギャップが(ry」 「私、たまに聖ちゃんのことがよくわからないよ・・・」 「待って待って、ねー香音もう少し頭下げて!さっきから見えないんだって!」 「わっ、わっ」 いきなり、衣梨奈が思いっきり体重をかけてきた。 私の肩を支えにしていた聖の手がすべり、香音の頭を勢いよくド突く。 「いったーい!!」 甲高い絶叫。 「大丈夫!?・・・あっ」 しまった、と思った時には遅かった。 四人でグダグダ絡まりあってる私たちを、振り返った萩原さんが驚愕の表情で凝視していた。 もちろん、その後ろにいた、岡井さんも・・・ 「な、にしてんの・・・」 さっきの楽しそうなのとは違って、妙に乾いた声で、萩原さんがつぶやく。のっしのっしと、こちらに歩いてきながら。 「あのごめんなさい、違うんです!何かトイレ混んでたから!」 「ってか、今舞たち以外誰もいないんですけど」 衣梨奈の言い訳もバッサリ切り捨てて、萩原さんは私たち4人を順番に見比べた。 ・・・怖い。香音なんてかわいそうなぐらい萎縮しちゃって、添えた手に震えが伝わってくる。 「・・・舞、怖がられてるし!ウケるんだけど!」 しかし、そんな空気を破ったのは、意外な人物だった。 「睨んだらだめでしょー?ねえ?気にする事ないよ?千聖が守ってあげるからねっ」 「・・・・え?は、はぁ」 そう、私たちを庇ってくれたのは、さっきまでウフフと笑い、国語の授業で出てくる敬語をいっぱい使っていたはずの岡井さんだった。 「グフフ、舞が9期いじめたってみんなに言ってやろーっと」 「・・・はぁ?舞が悪いの?んとに、千聖ってさぁ」 一瞬間を空けて、萩原さんも岡井さんに応じる。 そのまま会話を始めた口調は、私たちのよく知る岡井さんのものに戻っていて・・・わけがわからなくなってきた。 「トイレ、行きたかったんでしょ?どうぞどうぞ」 そう言って、私たちに道を譲ってくれる岡井さん。 笑顔は見慣れた三日月笑顔。 変な話だけど、唐突にさっきのお嬢様状態から明るいいつもの岡井さんになったのに、こちらもまた違和感がない。 「お、お邪魔しまーす・・・」 4人揃って、お二人の前を背中丸めて通過する最中、「ねえ、待って」と呼び止められる。 「は、はいっ」 叱られるときのように、無意識に一列に並ぶ私たち。 「ちょっと、舞」 「千聖はだまってて」 萩原さんは直立不動の私たちを観察しているようだった。 怒ってるわけじゃなさそうだけど、ものすごい重いオーラだ。声も身体も凍らされる。 先輩たちの中じゃ、一番私たちと年も近くて、機会があればもっと話もして見たいって思っていた人だったけれど、今はそんな調子こいたこと考えられない。 ある意味、どんな先輩・・、スタッフさんやもっと偉い人々よりも・・・それこそ総理大臣とか王様みたいな・・・いや、それ以上の権力者って感じだ。宇宙皇帝ハギワラみたいな 「ぷぷっ」 自分の妄想で思わず笑うと、ガチッと視線をロックされてしまった。 「・・・え、何で笑ったの、今」 「あ、あのすみません」 「ねー舞、いいじゃんもう」 「よくないから!」 ――どうしよう、どうしよう。 自分で言うのもなんだけど、普段私はほとんど怒られるという事がない。 対処方がわからなくって、頭が真っ白になる。 「・・・あの、萩原さん」 すると、私の体を少し庇うように、聖が前に出た。 「ん?フクちゃんどうしたの」 もともとエッグだった聖相手だからか、萩原さんの声は若干柔らかくなる。 「・・・あの、私たち」 一体、何を言い出すつもりなんだろう。 「・・・私たち、何も見てないですから!」 ・・・・・・え? 「ね、ね、みんな見てないよね?全然!」 聖は必死の形相で私たちに同意を求める。 いやいや・・・いきなり「見てないです」とか言ってる時点で、何かしら見てるのはバレバレなわけで。 でも必死な聖を残酷に切り捨てるわけにも行かず、どうしようかと香音と目を合わせる。 「・・・あーそう。フクちゃんは見てないんだね」 だけど、萩原さんはあっさりとフクちゃんの言葉を受け入れた。 続いて、私の方を向く。 「鞘師ちゃんは?何か見たの?」 「え?」 「どっち?」 聞かれながら、私はなんとなく、萩原さんの気持ちが理解できた。 「見てない、です」 「そっか」 そう、これでいいんだ。 私たちが本当に、岡井さんの“あの状態”を見たかどうかは重要ではないんだろう。 大事なのは、“見てないフリができるか”ということ。 だから、多分私の答えは間違っていない。 答えた子から早くオシッコいきな?なんて岡井さんのよくわからない気づかいが、安心して耳を通過していく。 「香音ちゃんは?」 「あ、見てないです!何も」 香音にもそれがわかったらしく、難なく追求を突破。 一体どうしてこんなに、岡井さんのことを隠したがるのか。 そして、今の岡井さんがなぜまたフツウに戻ったのか。 わからないことだらけだけれど、まずはこの事態を乗り越えられそうだ。 「あと・・・」 「え、でも私は見ましたよ!岡井さんがお嬢様ごっこしてるの!」 ――ああ、忘れてた。こいつ、いや、このお方がいたんだった。 「もー!!頼むよ、えりぽん!」 珍しく聖が絶叫し、orz のポーズで床にがっくし膝をついた。 次へ TOP
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やたらがす 概要 元やたがらす。 幻覚・夢・狂気系のFlash職人。 webサイト I waching you.