約 1,462,534 件
https://w.atwiki.jp/sachiinkai/pages/38.html
さちゃんねるの参考書 勉強で重要なところとかを書いていって、オリジナルの参考書っぽいものを作ると言う、遊び企画です。 勝手に科目とか追加していってください。 英単語 英熟語 英文法? 数学 国語? 物理 化学 地学? 憲法 民法1 民法2 民法2-2 会計学 財政学 財政学2 財政学3 財政学4 財政学5 行政法 ミクロ経済学 マクロ経済学 政治学
https://w.atwiki.jp/hanachan_omedeto/pages/11.html
下記フォームに名前とはなちゃんへのコメントを入力して、投稿ボタンをクリックしてください 映像にテロップのようにドドーっと流す予定ですので、なるたけ短めにお願いします。 例) はなちゃんおめでとー、幸せになってね -- 安仁屋 恵壹 (2009-06-09 20 18 19) はなちゃん、おめでとー、奥さんとうちにでも来てねー!! -- 中村佳史 (2009-06-09 20 35 16) はなちゃんおめでとー、幸せになってねー! -- 上原亜樹 (2009-06-09 20 48 56) おめでとう☆お幸せに! -- 矢野 裕佳 (2009-06-09 23 18 47) Happy Wedding☆末永くお幸せに・・・♪ -- 有井 祐子 (2009-06-09 23 21 57) 花ちゃん、いっちゃん幸せになりんしゃいよ! -- 伊藤 雄介 (2009-06-10 00 24 33) めでたい!!おめでとうー!!より一層幸せになっちゃうね! -- 根本真理子 (2009-06-10 00 46 33) Hanaちゃんおめでとう!!いついつまでもお幸せに。 -- 芦川裕子 (2009-06-10 04 36 24) おめでとー! -- かさはら (2009-06-10 08 09 49) 花ちゃんおめでとう!末永くお幸せに~~♪ -- 赤星尚 (2009-06-10 08 21 11) とてもびっくりしました。おめでとう!!これからは家族ぐるみでよろしくね♪ -- 秀島千尋 (2009-06-10 08 37 54) 子供ができたらDQNネームはつけないで下さい。 -- ネオ退役中将 (2009-06-10 08 51 25) おめでとう。お幸せにーーー。 -- 鳥居 卓 (2009-06-10 08 59 16) おめでとう、はなちゃん!!お幸せに♪ -- 長尾千晴 (2009-06-10 09 00 57) おめでとう!奥さんと阿蘇ドライブの際はご一報を☆ -- 長嶋亜希子 (2009-06-10 09 13 47) おめでとう!!お幸せに☆ -- 高橋 純平 (2009-06-10 09 14 26) はなちゃん。まじでおめでとー。さきこされたあ。 -- 山本 一徳 (2009-06-10 09 16 22) 心から、心からおめでとう!幸せになるんだよ^^俺も続くぞ~~~。 -- 寺本 隆彦 (2009-06-10 09 16 37) おめでとう!末永くお幸せになってください。ITLMCの活動でも引き続きよろしく♪ -- 山田嘉樹 (2009-06-10 09 17 31) 福岡の地で寂しくしてると思って気にはなってたけど相手が見つかり結婚することになったんだね!博多美人捕まえたんだから幸せになれよ! -- 渡邊篤史 (2009-06-10 09 30 43) はなちゃんと二人っきりでいた箱崎のマシン室や博多での食い倒れを今でも覚えています。お幸せに!これからもよろしく! -- とくてぃ (2009-06-10 09 32 01) はなちゃん朗報をありがとう!奥さんを幸せにしてねヽ(´ー`)ノ -- 松本奈美 (2009-06-10 09 44 47) はなちゃん!おめでと~~♪♪末永くお幸せに…☆☆ -- 中曽智子 (2009-06-10 09 49 00) おめでとさん!いいなぁ~、結婚!俺も今年中には誰か見つけます! -- 中嶋 荘太 (2009-06-10 10 11 17) おめでとー!博多美人と末永くお幸せに☆ -- 岡本侑子 (2009-06-10 10 23 44) めでたい!早く二人のジュニアの顔が見たい! -- 青池政典 (2009-06-10 10 41 54) おめでとう!!福岡生活楽しんでたんやな♪これからさらに楽しくなるな☆ -- 森 隆史 (2009-06-10 10 55 53) おめでとう!お幸せに!! -- 鈴木康郎 (2009-06-10 11 48 26) 花ちゃん、結婚おめでとうございます♪末永~くお幸せに -- 鈴木綾子 (2009-06-10 12 01 27) おめでとう!福岡行き決定時はえ~と思ったけど、幸せみつけたんだね~♪ -- 橘 亜由美 (2009-06-10 12 25 16) おめでとうございます。夫婦円満→家族円満→・・・。どうぞ末永くお幸せに。 -- 町田 弘 (2009-06-10 12 39 14) 結婚おめでとう!いいパパになりそうだね。 -- 辻 昌彦 (2009-06-10 12 57 22) びっくりしました!結婚おめでとうございます♪いつまでもお幸せに -- 大坪 若菜 (2009-06-10 13 23 57) ご結婚おめでとう!末永くお幸せに☆ -- 佐々木洋子 (2009-06-10 13 31 24) いつの間にー!おめでとう!!お幸せにっ♪ -- 藤田早織 (2009-06-10 15 32 19) 結婚おめでとう!今日は六本木でも結婚祝いしてるよ!めでたいめでたい! -- 中島幸一郎 (2009-06-10 16 17 48) 花ちゃん、おめでとう!!! 花ちゃんの幸せそうな顔が浮かんでくるよ~。東京帰ってくるときには、是非奥さん紹介してね~。 -- 松本幸子 (2009-06-10 16 58 08) おめでとう!そしてお幸せに。 -- 橋本雅幸 (2009-06-10 18 40 41) 福岡で 抜け目がないね はなちゃんは -- 宮下治典 (2009-06-10 18 44 24) ついにこの時がきましたかー!福岡ではたらふくご馳走さんでした。今度の福岡出張の時はお嫁さんと会えるの楽しみにしてまーす♪ -- 藤井 啓 (2009-06-10 22 32 46) assertEquals("おめでとう!", mizushima.getMessage()); -- 水島壮太 (2009-06-11 10 26 31) 花ちゃんおめでとーー!!福岡効果は絶大だね♪奥様連れて東京に帰ってくる日を楽しみにしてますっ!!( -- 飯塚 あゆみ (2009-06-11 10 42 50) 花ちゃん、本当におめでとう!!どうやって口説いたんでしょうか?かわいい奥様、ぜひ紹介してね! -- 五十嵐 めぐみ (2009-06-11 12 16 15) 花ちゃん結婚おめでとー☆素敵な奥様なんだろうなー。末永くお幸せに♪♪ -- 高 未世 (2009-06-11 12 31 52) 花ちゃん、本当におめでとー!!末永くお幸せに! -- 柚口智史 (2009-06-11 14 10 01) おめでとお!幸せ者ー!!うらやましーぞ! -- 津端浩介 (2009-06-11 19 30 22) おめでとうです!ハッピーライフを満喫して下さい☆ -- 野口雅美 (2009-06-11 20 08 24) おめでとう!しっかり福岡生活を楽しんでたのね~♪お幸せに! -- 末永桃子 (2009-06-11 22 31 20) 花ちゃん、結婚おめでとう。福岡での幸せな結婚生活、満喫してください。 -- 松島 (2009-06-12 09 52 29) ご結婚おめでとうございます! 末永くお幸せに☆ -- 渡邊園子 (2009-06-12 13 10 55) 結婚おめでとう!!!新居遊びに行かせてねー♪♪ -- 茅島優子 (2009-06-12 14 56 05) おめでとう!!花田夫妻に会える日を楽しみにしています♪ -- 浅川奈緒美 (2009-06-12 15 10 58) 結婚おめでとー! お幸せに!! -- 和田全弘 (2009-06-12 15 53 16) まさる!入社試験からの付き合いだな!!おめでとう!!! -- #22 中山 裕貴 (2009-06-12 16 05 11) 花ちゃん♪ご結婚おめでとうございます!末永くお幸せに★幸せ太りしちゃってください! -- 大田麻奈美 (2009-06-12 18 41 31) おめでとう!花ちゃんの一家の大黒柱姿が見られるのを楽しみにしています! -- 加来 聡子 (2009-06-12 19 05 00) おめでとう~。ステキな家庭をください! -- 早川申地 (2009-06-15 08 35 42) 花ちゃん、結婚おめでとう!末永くお幸せにね☆ -- 佐藤朋美 (2009-06-15 12 33 41) はなちゃん, Happy Merry Wedding☆ -- 長谷川 健 (2009-06-15 13 34 48) 花田おめでとう!!ほんとに嬉しいっす。 -- 柿元崇利 (2009-06-15 18 25 12) おめでと~!きっと花ちゃんなら明るい家庭になりそうだね☆ -- 松田もも子 (2009-06-15 19 11 11) 花田くんおめでとうございます。幸せな家庭を築いてください♪ -- 小林雅子 (2009-06-15 19 38 35) はなちゃん、おめでとうございます!今度奥様と一緒に福岡でご飯でも行きましょう♪奥様にはいつもお世話になってます。幸せな結婚生活を送ってくださいね~♪ -- 勝見 啓子 (2009-06-15 20 07 18) はなちゃん、おめでとさん!末永くお幸せに!またフットサルやるから、奥さんと来てくださいな。 -- 仲島司郎 (2009-06-16 13 32 04) 奥さんの隣ではにかんでいる花ちゃんを早く見たいです!いやー、うれしいね。お幸せに! -- 伊藤修一 (2009-06-16 14 42 09) (^○^)お!(^□^)め!(^◇^)で!(^▽^)と!(^・^)う! -- 工内毅郎 (2009-06-16 22 26 48) 花ちゃん、ご結婚おめでとうございます~☆福岡に永住なのかな??幸せな家庭を築いて下さい! -- 澤村なつみ (2009-06-16 22 54 12) 結婚おめでとう!奥さんと幸せ~な家庭を築いてね♡ -- 下久 美智子 (2009-06-17 10 01 03) お -- 下窪 美智子 (2009-06-17 10 02 17) 結婚おめでとう!奥さんと幸せ~な家庭を築いてね♡ -- 下窪 美智子 (2009-06-17 10 02 48) 福岡で仕事がんばってるって信じてたのにそれ以外で成果だしちゃうなんて… 経験事例登録楽しみにしてます。Mファブ同期として、うれしいぜ!おめでとーーー(元・真下の住人より) -- 野村俊博 (2009-06-17 12 00 07) はなちゃん、おめでとう!末永くお幸せに! -- 田島賢 (2009-06-18 08 57 45) 結婚おめでとう!すごい!幸せな家庭を築いてね~! -- 伊藤直己 (2009-06-18 11 31 19) 遂にゴールイン☆おめでとう!シャンパン片手に奥さまとの写真を見せてくれた時の花ちゃんの嬉しそうな笑顔が忘れられないよ☆お幸せにね^^ -- 齋藤恵美 (2009-06-18 14 11 26) 本当におめでとうございます☆結婚しちゃうなんて…いまだに信じられないです。なので関東にきたら幸せなとこを見せつけて信じさせてね♪ -- 藤井 絵美子 (2009-06-19 00 21 18) はなちゃんおめでとう☆素敵な花婿になってね! -- 福原政彦 (2009-06-19 10 54 39) 結婚おめでとう!! 福岡って幸せが見つかる場所なんですね。 -- 酒井亮 (2009-06-19 13 36 32) まじか~!!まさか、はなちゃんに先を越されるとは想ってませんでした(笑)本当におめでとう。福岡いったら声かけますね! -- 藤野真紀 (2009-06-19 15 23 50) わお -- 川田圭祐 (2009-06-20 10 43 58) わお!すげー!おめでとー!末永くお幸せに~!! -- 川田圭祐 (2009-06-20 10 45 16) おめでとうございます!笑顔を大切に幸せな家庭を作ってください☆ -- 谷内町子 (2009-06-21 20 58 00) わぉ~~、まじおめでとう!!いい家庭作れよ~ -- 副田隆介 (2009-06-21 22 01 57) はなちゃん、おめでとう。愛の炎ならボンボン燃えちゃって! -- 香川 忠士 (2009-06-22 23 10 38) ゚☆,。・ * ・゚★o(´▽`*)/♪おめでとう♪\(*´▽`)o゚★,。・ * ・☆゚ 夫婦って喜びは倍,悲しみは半分になるらしいですよ。。。未婚者なのでよくわかりませんが,いい家庭を築いてください!! -- 石川知一 (2009-06-23 12 51 50) 花田さん、長西さん、ご結婚おめでとうございます。これからも「フルスイング」期待しています!!温かく笑顔の絶えない家庭を築いていただきたいと思います。「ケツバット」は必須です!! -- 名田衛司 (2009-06-24 07 49 29) 奥様のサインは、見逃す事の無いように注意して、試合後で構わないから、ホームランを打ってね。空振りは、野球の試合だけで十分です。 -- 監督 (2009-06-24 13 08 53) ご結婚おめでとうございます。末永くお幸せに! 野球でのアドバイス引き続きお願いします!! -- 中根 明也 (2009-06-24 13 44 46) 結婚おめでとう!軟投派 加藤の女房役してくれてありがとう!またいつか一緒にバッテリー組みたいです! -- 加藤 剛 (2009-06-24 14 19 59) 結婚おめでとう!いつの間に博多でお嫁さんを見つけたんだ・・・。幸せになってください! -- 平島和彦 (2009-06-24 16 16 40) 結婚おめでとう!いつまでもラブラブの二人でいてください。これからも担当者としてサポートします。 -- あなたのライフプランナー (2009-06-24 17 21 37) ご結婚おめでとうございます。末永くお幸せに( ▽ ) -- コテガワユウキ (2009-06-24 17 31 23) ご結婚おめでとうございます。ペアルックでの買い物お似合いでしたよ!!また川の字になって寝ましょうね! -- 新谷 学 (2009-06-24 20 47 42) 結婚おめでとー、お幸せに! -- 高石 稔 (2009-06-25 11 43 12) ご結婚おめでとうございます。末永くお幸せに!! -- 安部 雄一 (2009-06-26 18 49 09) めでタイ。お幸せに!! -- 富永 隆 (2009-06-27 12 18 06) 実は、このページってgoogleでヒットするんですね。http //www.google.com/search?hl=ja amp;lr=lang_ja amp;ie=UTF-8 amp;oe=UTF-8 amp;q=%E4%B8%8B%E8%A8%98%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%AB%E5%90%8D%E5%89%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%82%92%E5%85%A5%E5%8A%9B%E3%81%97%E3%81%A6%E3%80%81%E6%8A%95%E7%A8%BF%E3%83%9C%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%92%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84 amp;num=50 -- ネオ退役中将 (2009-08-21 23 42 43) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/stairs-okai/pages/366.html
「・・・・・」 目的の観覧車に乗り込んだ後、あんなにはしゃいでいた舞ちゃんは、急に無口になった。 「綺麗だねー。天気いいから、遠くまで見渡せるかな?」 「ええ、私のおうちも見られるかしら?」 「ちょっと遠すぎない?でも、方角わかるなら探してみようよ。どっち?」 わりと盛り上がっている私たちとは明らかに空気が違う。 両手をガッチリ千聖の腕に絡めて、頭を肩に乗せて、視線はえりかちゃん。ちょこちょこ振られる千聖の話も耳に入っていない様子で、舞ちゃんは生返事しか返さない。 だけど、私たちも長年の付き合いでよくわかっている。舞ちゃんが急に不機嫌になったり、黙り込んでしまった時は、逆にあまり気を使わないほうがいい。 おしゃべりに参加したくなったらそのうち乗ってくるし、乗ってこなくても別に誰かに八つ当たりするようなタイプじゃないから、今も、舞ちゃんの好きなようにしてもらうことにした。 今日一日一緒に過ごしてあらためて思ったけど、どうやら舞ちゃんは千聖のことが本気の本気で好きらしい。子供の独占欲じゃなくて、ちゃんとした意味で。その大好きな人が、今から寝盗られる(と言っていいのか)のだから、そりゃあ穏やかではいられないだろう。 最初の決意どおり、私はどちらに肩入れするつもりもないし、千聖がしばらく答えを出さないのならそれはそれでいいと思う。でも、それぞれの気持ちを思うと、何か本当に難しいな・・・。 学校の友達でも、恋して悩んでいる子は何人かいるけど、相手の一挙一動に振り回されたりして大変そうだ。まあ、私はまだそういうのはちょっとわからないし、当事者じゃないからこんな暢気に構えていられるんだろうけど。 「千聖、舞ちゃんと撮ってあげる。2人、真ん中にずれてくれる?」 観覧車がもうすぐ頂上につくという頃、えりかちゃんはデジカメを取り出した。 「ええ、もちろん。舞さん、いいかしら?」 「うん・・・」 千聖はえりかちゃんのお願いに応じて、体を舞ちゃんにより密着させる。舞ちゃんの腕に、千聖の大きめなおっぱいが乗っかった。 「でっかー・・・」 「え?」 「いえいえ。ケッケッケ」 多分、こんなどうでもいいことを考えているのは私だけだろう。えりかちゃんは写真に夢中になってるように見えるけど、手元のデジカメのシャッターはなかなか押されない。さっきムラムラしてるとか言ってたし、どうみても上の空。 「えりかちゃん、ピント合ってるみたいだけど・・・」 「ん?え?あ、そうだね、ありがと。はい、撮るよー。」 ちょうどてっぺんに到達したその時、えりかちゃんは改めてカメラを構えた。そして、眩いフラッシュが2人を包んだとき、私は信じられないものを目の当たりにすることとなった。 「・・・・・むぐ?」 千聖の肩を抱き寄せて、唇と唇をくっつける舞ちゃん。よっぽど強く押し付けているのか、二人の唇はアヒルみたいにむにゅっとつぶれている。 「・・・・・へぇえ?」 あまりのことに、私は自分が何を見ているのかちゃんと理解できなくて、半笑いで変な声を出してしまった。おそるおそるえりかちゃんの方を見ると、呆然とした顔のまま固まっている。その手から、デジカメがポロッと落ちた。 「わっわっ!」 慌てて手を差し出して、両手でしっかり受け止める。画面を覗くと、バッチリ2人のキスシーンが写ってしまっていた。 光の加減とかで、まるでドラマのワンシーンみたいに綺麗だった。モノクロの絵葉書でよくあるような、小さな子供2人が無邪気にキスしているような。・・・全然、そんなシチュエーションじゃないんだけれど。 「ん・・・」 「むぐ・・・」 目の前の2人はまだ唇をくっつけている。一足先に正気に戻った私は、「舞ちゃん、舞ちゃん!」と慌てて膝をペシペシ叩いた。 「だ、だめだよ、舞ちゃん!もう観覧車下がってるから、人に見られちゃうよ!」 一歩出遅れて、えりかちゃんも舞ちゃんを止めにかかる。ほどなくして、舞ちゃんはやっと千聖の後ろ髪を掴んでいた手を離して、唇も開放した。紅潮したほっぺたもそのままに、横目でえりかちゃんを捕らえてニヤッと笑う。 「ち・・・千聖・・・」 一方の千聖は、未だに何が起こったかよくわからないような呆けた表情で、目をまん丸にしたまま微動だにしない。気まずい空気の車内に、“本日は、ご利用ありがとうございました・・・・”と、タイムリミットを告げる無機質なアナウンスが響く。 「えりかちゃん。」 その時、舞ちゃんが再び体を起こして、千聖の手を握った。 「な、なに、舞ちゃん」 えりかちゃんはいつになく緊張した面持ちで、それでも千聖の空いている方の手を掴んだ。すごい、何てベタすぎる三角関係図! このまま下に着いてしまったら、乗り場にいる人や係員さんの目を引いてしまうかもしれない。どうしよう、また仕切り屋愛理に変身するべきなのかな・・・ ハラハラしながら動向を探っていると、ふいに舞ちゃんの表情が緩んだ。そのまま私の横に移動してきて、えりかちゃんを押し出して千聖の隣に座らせる。 「舞ちゃ・・・」 「・・・・えりかちゃん、今日は貸してあげるから、ちゃんと返してね。ちーは舞のなんだから」 ――かっこいい・・・・ 後光すら差しているように見える、舞ちゃんの堂々とした振る舞いに、私はついつい見入ってしまった。 「あ・・あの・・・・」 「舞ちゃん・・・」 えりかちゃんと千聖がどうしていいかわからないように顔を見合わせているうちに、観覧車は地上に到着した。 「お疲れ様でしたー」 「ありがとうございまーす。・・・ほら、早く降りよ?もう一周しちゃうよ?」 さっきまでのハードな人間ドラマの主役っぷりが嘘のように、舞ちゃんは無邪気な笑顔で私たちを手招きする。 出口でつっかえてコケそうになるえりかちゃんを千聖と2人で支えながら、釈然としないまま私たちも後に続く。数歩歩いたところで、舞ちゃんはくるっと振り返った。 「それじゃ、舞は愛理と帰るから。楽しかった。」 「えっ!」 何か手痛い罵倒の一つもあるのかと思いきや、晴れ晴れした表情で、舞ちゃんは私の腕を引いた。 「愛理・・・舞ちゃん・・・」 「またレッスンでね、バイバイ!」 とまどう2人を残して、舞ちゃんは振り返らずにぐんぐん歩いた。 虚勢を張っているようには見えないけど、こんな時、何て声をかけていいのかよくわからない。 駅まであと少し、というところで、赤信号に引っかかって、舞ちゃんの足が止まる。 「・・・良かったの?」 そのタイミングで私が話しかけると、舞ちゃんは黙って大きくうなずいた。 「・・・舞が千聖にキスしたとき、えりかちゃんが止めに入らなかったら、どんな手を使ってでも千聖を連れて帰るつもりだったんだ。でも、えりかちゃん、愛理と2人でちゃんと私達を引き離したでしょ。だから、いいの」 好きな人を取られちゃったっていうのに、舞ちゃんは満足そうに唇を触って微笑んでいる。 「今日一日ちーとえりかちゃんのこと見てて、2人とも本当に楽しそうだった。えりかちゃんがちーのこと都合のいいように弄んでるってわけじゃないのもわかった。 それならいいんだ、今日だけは譲ってあげる。舞だって、ちーには笑っていてほしいんだよ。イジワルばっかしてるけど」 「・・・・えらいっ!」 舞ちゃんの優しさが胸を打つ。私はたまらなくなって、おどけたふりして舞ちゃんを抱きしめた。 「うわっ何!いきなり!」 信号は青に変わったけれど、私はしばらくそのまま舞ちゃんの髪を撫で続けた。 「もう、わけわかんないよ・・・愛理ってば」 少しだけ顔を赤らめて、ニヒヒと笑う顔がとっても可愛い。 「舞ちゃん、今日、うち泊まる?」 「え・・・・」 「ね、泊まろう!それとも、何か用事ある?」 「ないけど・・・・わかった、そうする!パジャマとか、借りるね。初じゃない?お泊りするの」 このままバイバイするのは、なんとなく名残惜しかった。私のいきなりの申し出を、舞ちゃんは笑って受け入れてくれた。 「今日は、大好きな舞ちゃんのこと、もっと大好きになっちゃった。ケッケッケ」 「・・・・なぁーに言ってんの、愛理ウケるー!」 ちょっぴり顔を赤くした舞ちゃんは、手を飛行機みたいにして、パーッと先に走っていってしまった。 「愛理、早くー!」 「ちょっと待ってよう」 同じようなポーズで、私も舞ちゃんを追いかける。 私たちのお楽しみの時間は、まだまだこれからが本番になりそうだ。 ***** 「・・・・千聖」 「あ・・・は、はい」 遠ざかる舞さんと愛理の背中をぼんやり見つめていると、つないだままのえりかさんの手に力が篭った。 「そろそろ行かないと、チェックインの時間過ぎちゃう」 「はい」 それきり無言で、舞さんたちとは反対の方向へ歩き出した。 えりかさんは表情が豊かな方だから、いつもお顔を見れば、何となく考えていることを察する事ができるのに、今はよくわからない。怒っている、という風には見えないけれど・・・・少し怖くなって、私も手を強く握り返した。 舞さんと口づけするのは、初めてのことではない。 海の洞窟で、舞さんのお部屋で、仕事場の空き室で。 そして今日、今まで何度となく繰り返してきたそれらの行為の罰であるかのように、とうとうえりかさんの前で唇を合わせてしまった。 舞さんに恨み言を言ううつもりは全くない。私からキスをせがんだことはないけれど、舞さんに求められれば応じてきた。それ以上のことも、したことがないわけではない。 私はえりかさんのことが好きなのに、舞さんの真剣な眼差しに捕らえられると、魔法がかかったように拒む事を忘れてしまう。 もう、どうしたらいいのかわからなかった。私がこんな不埒な状態だからいけない。それはわかっている。でも・・・ 「えりかさん」 つぶやいた声は車のクラクションで消されてしまったのか、聞こえないふりをされてしまったのか、えりかさんは前方を見たまま、私のほうを見てはくれなかった。 さっきの私と舞さんを見て、どう思ったのだろう。考えると、胸がギリッと締め付けられるようだ。 これから2人でゆっくり過ごすというのに、こんな気持ちのままでいいのだろうか。 うつむいて歩いていると、しばらくしてえりかさんの足が止まった。 「着いたよ」 「あら・・・」 そこは、駅から程近いところにある、タワー型の大きな建物だった。とても目立つから、存在は何となく知っていたけれど、中に入った事はなかった。ホテルだということも、今初めて知ったぐらいだ。 「入るけど、大丈夫?」 「あ・・・は、はい」 まばゆいシャンデリアに彩られたロビーを抜けて、えりかさんはまっすぐにフロントへ足を運ぶ。 お母様から渡された宿泊許可証を提示して、ボーイさんに連れられるまま、重厚なエレベーターに乗って部屋を目指す。 手をつないでいたら、変に思われないだろうか。ふとそんなことが頭をよぎったけれど、えりかさんは指と指を組み込むようにして、私の手を離さないでいてくれたから、そのままでいいと思い直すことにした。 今は笑顔は少ないけれど、こうして私をそばにおいてくれるのだから、余計なことは考えなくていいのかもしれない。 「ごゆっくりどうぞ」 4階の角部屋。 ボーイさんが戻られたのを確認して、私はキョロキョロと部屋を見渡した。 繊細な模様を編みこんだ絨毯。ガラス張りと言っても過言ではないほど大きな窓が2面。よく磨かれたガラスのテーブルに、2人掛けの大きなソファ。 仕事柄、ホテルに滞在する機会はとても多いけれど、これほど洗練された部屋は使った事がない。ベッドもスプリングの利いたいつものとは違って、とても柔らかく、座っている場所だけ体が沈んだ。 「どう?結構いい部屋でしょ」 ソファに座ったえりかさんが微笑む。 「え・・・えぇ。でも、えりかさん・・・」 お金、の話はしてもいいものだろうか。お母様同士が話し合って、今回はお礼だからと、えりかさんに全額出していただいたのだけれど・・・お部屋のグレードは、私の想像をはるかに超えていた。 「・・宿泊費のことなら、気にしないで」 「えっ」 「実はね、おじいちゃんが、知り合いの人に割引券もらってたんだ。だから、いいお部屋だけどそんなたいした金額じゃないの」 考えている事が顔に出ていたのか、えりかさんは優しい声で説明してくれた。 「それより、こっち来て。チョコ置いてある。食べよう」 手招きされるままにソファへ移動して、思い切って寄り添ってみる。 「なーに、あまえんぼ」 細い指が、私の髪を梳く。えりかさんの好きな、薔薇の香りが鼻をくすぐった。 「千聖」 顔を上げると、ちょうどえりかさんが大ぶりのトリュフをご自分の口に運んでいた。そのしぐさに見惚れていたら、パキッと弾ける音とともに、私の唇に甘くて柔らかい塊が押し付けられた。 「んっ・・・ん・・・!」 それがえりかさんの唇がもたらすものだと気づいた時、無意識に体がビクッと跳ねた。 えりかさんは体に触れてくれることはあっても、あんまり唇を合わせてはくれない。本当に久しぶりの感触。蕩けてしまいそうな錯覚を覚えて、私はされるがままに、えりかさんに身を委ねた。 前へ TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
https://w.atwiki.jp/stairs-okai/pages/323.html
「お疲れ様でしたー!」 そして、閉幕後。 無事に初日を終えて、達成感と充実感に満たされながらも、私はやっぱり千聖のことが気がかりで仕方なかった。 舞台の中で、千聖は私のアドリブに笑顔で応えてくれた。歌の時も、目が合うと笑ってくれる。でも、これは実はあんまりいい傾向じゃない。 千聖は裏で喧嘩や揉め事があると、反動なのか、ステージではものすごく愛想が良くなる。ということは・・・ 「はい、℃-ute集まってー!」 軽い反省会の後、無事初日を終えたお祝いということで、ちょっとした懇親会みたいなのがあった。 キュートのみんなと、共演者のみなさんと、スタッフさん。ちっちゃい部屋で、ジュースを飲みながらみんなでお喋りをする。そんなささやかなパーティーの中で、私は意を決して、ニコニコ笑っている千聖に近づいていった。 「千聖、ちょっと」 「ごめんなさい。舞さん、後でもいいかしら」 「・・・うん」 撃沈。 口調は柔らかいけれど、きっぱりはっきりと拒まれてしまった。「いいの?」なんて愛理となっきぃが千聖に聞いているけれど、当の本人はまったく意に介していないみたいだ。 「はぁあ・・・」 肩を落として元いた席まで退散すると、苦笑しているえりかちゃんと舞美ちゃんが苦笑で迎えてくれた。 「何だ何だー?またケンカ?今度はどうしたの?最近毎日ケンカしてるじゃーん、とかいってw」 「うー…もうだめかも。舞、消えてしまいたいよ・・・」 「そんなこと言わないで、舞ちゃん。今は間が悪いんだよ。あせらないあせらない」 両側から頭をなでたり、肩を抱いてくれたり。今はそんな二人の優しさが心地いい。でも、根本的な問題が解決したというわけじゃない。千聖との問題を解決させない限りは、いつまででも自分の胸に、このもやもやは燻り続けることになるんだろう。 「えりかちゃん、お願い。舞、今日中になんとかしたいよ。どうにかならないかな」 今は、恋敵じゃなくて、お姉ちゃん。私はえりかちゃんの腕を両手で握って、綺麗な形の目をじーっと覗き込んだ。 「今日中ねぇ」 「ていうか、今すぐ。」 よっぽど必死な顔をしてたんだろう。えりかちゃんは「わかった」と軽くうなずいて、千聖の側に行ってくれた。二言三言会話を交わすと、2人はそっと部屋を出て行く。・・・今は、えりかちゃんを信じて待つしかない。 「お姉ちゃん・・・」 祈るような気持ちで舞美ちゃんに寄り添っていると、急に後ろから「舞ちゃん」と名前を呼ばれた。 「なっきぃ。」 「今、いいかな」 眉をしかめて、ずいぶん深刻そうな顔をしている。 「舞ちゃんさ、千聖と何かあったの?」 「うん・・・ちょっと、ケンカ中かな」 「・・それ、私のせい?」 「え?」 なっきぃの言葉は予想外だった。私は目を瞬かせる。 「さっきね、千聖と愛理と3人で話してるときに、その・・・痴漢、の話になったのね。愛理が昔被害にあったことがあって、とっさにピンで手刺して撃退したとか、そういう話なんだけど」 愛理、つえぇ。 「まあ、それは別にいいんだけど、その時千聖がこう言ったの。“そういう犯罪は、絶対に良くないわ。痴漢や強制わいせつは、とても怖いことなのよ。それなのに舞さんはどうして・・・あぁ、ごめんなさい。何でもないの”」 「うわぁ」 私は気が動転して、「なっきぃ、千聖のモノマネうまいね」なんて間抜けな感想を漏らしてしまった。 「もう、何それ」 「・・・ごめん」 「だから、ちょっと気になって。舞ちゃん、千聖にちょっとやりすぎな悪戯でもしちゃった?ほら、だって、私と変なの見ちゃったから、もしかしてそれが原因だったら申し訳ないし・・・」 舞美ちゃんの手前、なっきぃはぼかしぼかし喋っていたけど、言わんとすることは十分わかった。 「・・・そうじゃないよ」 だから、私は即否定した。別に、なっきぃが悪いわけじゃない。 「あれは、ただのきっかけだから。遅かれ早かれ舞は千聖にああいうことして怒らせることになったんだろうし」 なっきぃが黙って、まじまじと私の顔を見る。 「・・・・・え、つまり、舞ちゃんは、無理やり千聖とエッチしたってこと?」 「ちょ、ちょぉなっきぃ」 気が動転したのか、なっきぃは意外なほど大きな声でそう言った。周りにいた人たちの視線が集まる。 「ど、ど、どどどどうしよう!私のせいで舞ちゃんが」 「え?え?え?え?」 泣き崩れるなっきぃに、目にいっぱいクエスチョンマークが浮かんでる舞美ちゃん。愛理はスタッフさんとの話を中断して、目をしばたかせてこっちを見ている。 「・・・舞が?チカン??ちっさーに???エッチ????えええ?」 「みぃたぁん・・・うわあああん」 「いや、違う。違わないけど。待って、舞の話を聞いて」 いよいよ手に負えない感じになってきたところで、目の前のドアが開いた。場違いなほどすっきりした顔で、えりかちゃんが戻ってきた。 「舞ちゃん、お待たせ・・・え、あれ?」 泣きじゃくるなっきぃに、ぽかーん顔の舞美ちゃん。困惑する周りの皆さん。異様な光景に一瞬躊躇するも、えりかちゃんはすぐに気を取り直して「とりあえず、行ってきたら?」と私を促してくれた。 「でも、」 「ケッケッケ。よくわかんないけど、こっちはまかせて」 「うん。千聖待ってるよ。奥から2番目の部屋ね。」 「・・・わかった」 あきらかに面白がってる愛理はともかく、えりかちゃんがそう言うなら。私は大急ぎで、目的の部屋に向かうことにした。 「・・・・千聖。」 第3稽古室と書いてあるその場所で、千聖はほおづえをついていた。 私が入っていっても別に驚かなかったから、きっとえりかちゃんから少し説明があったんだろう。相変わらず私の顔を見ようとはせず、しかめっつらであっちの部屋から持ってきたお菓子をぽりぽり食べている。 「・・・舞ちゃん、立ってないで座ったら」 「あれ。お嬢様じゃないの?また戻ったの?何で?」 「わかんないよ。えりかちゃんがスイッチ入れてくれるのかと思ってたけど、違うみたい。なんか勝手に変わるのかも・・・って別に今そんなのどうでもいいじゃん」 千聖はやっと顔を上げて、自分の隣の椅子を私のために引いてくれた。不機嫌なことに変わりはないけど、今度は私をちゃんと正面から見てくれた。 「怒ってるんだからね」 「うん」 「何であんなことしたの」 まだ少し怯えているのが、目の動きでなんとなくわかる。その顔を見てると、こんな状況だっていうのに、変に胸がドキドキする。 「何その目。やっぱり舞ちゃん変だよ。絶対おかしいから」 「だからごめんってば。謝ってるじゃん」 「何だその言い方。どうせ反省してないんでしょ」 「はぁ?してるし」 千聖は少し調子を取り戻してきたみたいで、徐々に言い合いがヒートアップしてきた。 この勢いなら、なしくずしで仲直りできるかもしれない。 でも、私はちゃんとけじめはつけておきたいと思った。それが千聖への誠意であり、わざわざ機会を作ってくれたえりかちゃんへの礼儀でもある気がするから。 オホンと一つ咳払いをして、話を軸まで戻す。 「・・・なっきぃの家で、エッチビデオを見て」 「は?え?・・・うん」 「それで、何て言うか・・・・千聖と同じようなことしたら、どうかなって思ったの。まあ痴漢はだめだけど、エッチぐらいなら受け入れてくれるかななんて思って。それで、あんなことをしました。すみませんでした。」 こうして言葉にすると、私って本当に最低なことしたんだなとあらためて感じる。何だ、その理由は。 「最悪・・・」 「でも!私は千聖が良かったんだよ。舞美ちゃんでもえりかちゃんでもなっきぃでも愛理でもなく、千聖としたかったの。好きなの、本当に。千聖のことが。 だから舞以外の人とはしないでほしかったの。・・・でもあんなことはしちゃだめだったと思うけど・・・ごめんなさい・・・」 自分でもかなり勝手なことを言ってるとわかっているから、最後のほうは尻すぼみになってしまった。はずかしくて千聖の顔を見れない。 「もう、わかったから。舞ちゃん」 少し時間が経ってから、千聖はそっと私の顔を撫でた。顔を上げると、たまに見せる、困ったような笑顔をしている。 思わず抱きつくと、優しく背中に手を回してくれた。そして、「でも、本当に怖かったんだよ」とつぶやいた。 「ごめんね」 「舞ちゃんが、違う人みたいに見えた。舞ちゃんにされたことも怖かったけど、それより、舞ちゃんと千聖の関係がめちゃくちゃに壊れちゃうんじゃないかって思って。それが一番怖かった。」 「ごめん、千聖」 「千聖、舞ちゃんのことちゃんと好きだよ。だから悲しかったの」 本当にバカ。信じられないぐらいバカ。 許されると思って調子にのって、こんなことまで千聖に言わせるなんて。最低人間だ、私。 頭の上に鉛でも乗っけられたように、自然に頭がズドーンと下がっていく。 「そんな顔しないでよ、舞ちゃん。相方がそんなんじゃ、千聖も元気でないよ」 「・・・まだ、舞は千聖の相方でいいの?」 「当たり前でしょー」 それで千聖は、やっと、しばらくぶりに満面の笑みを見せてくれた。 「もうあんなことしない?」 私の髪を撫でながら、お姉ちゃんな声で千聖が聞いてくる。 「・・・それはわかんない。だって、やっぱり好きなんだもん。千聖のこと」 「最悪・・・」 でもその声は柔らかくて、千聖はまた困ったように笑っていた。 「千聖。」 「うん」 自然に顔が近づいて、唇が重なる。今度は千聖は暴れないで、じっと受け入れてくれた。 あの時みたいに、興奮はしなかったけど、私は幸せだった。キスで穏やかな優しい気持ちになれるなんて知らなかった。それはごく普通のキスだけれど、今まで何度かした中で一番気持ちがよかった。 「・・・そろそろ戻らなきゃ。千聖、先に行くね」 しばらくして顔を離すと、少し赤い顔で千聖は勢いよく立ち上がった。・・なんだ、ムードも何もあったもんじゃない。 「一緒に戻ろうよ」 「やだよ。えりかちゃんに何か言われる。さっきだって舞ちゃんが来る前すっごいからかわれたんだから」 千聖はこういうとこ、結構ドライだと思う。まあ、やっと許してもらえた立場で文句は言えないけれど。 「ねえ、私とえりかちゃんどっちが好き?」 その代わりといっては何だけど、千聖が部屋を出る寸前、私は本日最後のワガママをぶつけてみた。千聖は目をパチパチさせながら振り返った。 「ねえ、どっちが好き?」 語気を強めてもう一度問いかけると、千聖は少し考え込むように黙ってから、黙って唇の端を吊り上げた。これは、なかなか嫌な笑顔だ。 「・・・えりかちゃん、かな」 「はぁ!?何でよ」 「えりかちゃんは舞ちゃんみたいに、千聖が嫌がることしないもーん」 自分から仕掛けたとはいえ、千聖の返答に、私はガックリ肩を落とした。 「・・・もーいい。さっさとえりかちゃんのとこ行けば?舞もすぐ戻らせていただきますから」 「・・・でも、舞ちゃんのことも好きだよ。」 苦笑したまま私を置いて行こうとした千聖は、去り際そんなことを口走った。 「は・・」 「うへへ、大好き!」 ニカッと笑って、ピースサイン。今度は振り返らずに、鼻歌なんて歌いながら、千聖の声は遠ざかっていった。 「・・・何それ。ずるい。」 後悔とか、反省とか、安心とか。いろんな気持ちが混じって、私は一人静かな部屋でじたばたした。 「やっぱバカだな、舞って。千聖バカって感じだ」 千聖バカ、か。自分でいうのもなんだけど、こんなしっくりくるあだ名も珍しい。 「ふふふ」 とりあえず、このニヤニヤが収まるまではここにいよう。唇を指でなぞって、私はもう一度小さな笑い声を漏らした。 前へ TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
https://w.atwiki.jp/stairs-okai/pages/113.html
“舞ちゃん、もうちょっと千聖のこと優しく扱ってあげたら。” 前にそう言っていたのはなっきぃだったっけ。それともえりかちゃんかな。 私は昔から、千聖をどこかに連れて行くとき、手首や肩を掴んで引っ張る癖があった。 千聖も特に何も言わなかったから、指摘されるまで気づかなかった。 あんまりお行儀のいい行動じゃないから控えるようにはしていたけれど、気をつけていないとついやってしまうみたいだ。 そう、今みたいに。 「舞・・・・さん」 千聖の苦しそうな声で、はっと我に返った。 顔をあげると、痛みに耐えるような表情の千聖と目が合う。 私は力いっぱい千聖の両腕を握り締めていたみたいだ。 「ごめん・・・」 謝って力は緩めるけれど、千聖の体から手を離すのは嫌だった。 触れたままの千聖の二の腕が、熱を持っているのが伝わる。 私の手もズキズキ痛んでいるぐらいだから、千聖はもっと痛かっただろう。 「舞ちゃん・・・ちっさー痛そうだよ。放してあげて。」 栞菜がそっと私の手に手を重ねる。 「もう、今のちっさーを受け入れようよ、舞ちゃん。 ちっさーはね、大好きな舞ちゃんが自分のせいで傷つくからって、キュートをやめようかって私に相談してきたんだよ。」 「栞菜、その話は」 「ううん、言わせて。・・・・・舞ちゃんは、そんなこと望んでないよね?でも、今のままじゃちっさーは舞ちゃんのためにいなくなっちゃうかもしれない。 私は嫌だよ。めぐがやめちゃって、ずっと7人で頑張ってきたのに。もう大好きな人がいなくなるのはやなの。舞ちゃんも、ちっさーも、みんなでずっと一緒にこれからも頑張っていきたいのに。」 最後の方はもう悲鳴のような声になっていたけど、栞菜は私から目を逸らさずに思いをぶつけてきた。 でも、私の耳にはその言葉が半分も入っては来なかった。もっと大きすぎる衝撃で、頭が真っ白になってしまっていたから。 千聖が、キュートを? 辞める? 私が責めたから? 「わ・・・・私は・・・・」 違う。 私はそんなことを望んでいたんじゃない。 でも、私のせいで、千聖は 「舞美、・・・・何がどうなってるの?千聖が辞めるって、どうして?お願い、ちゃんと説明して。」 背後でキャプテンの声が聞こえた瞬間、私の心は現実に戻った。 「千聖がやめることなんてない。」 自分のものとは思えない、低い声が口を飛び出した。 栞菜の手も千聖も振り解いて、ドアの方に向かって歩く。 「舞ちゃん!」 「・・・・しばらく一人にして。その間に、みんなに千聖のこと話して。」 不思議な感覚だった。体全部が心臓になったみたいにドクドクしているのに、頭は冷え切っている。 「・・・・・千聖がやめるぐらいなら、私がいなくなるから。」 吐き捨てるような口調でそう言い残して、早足で去っていく。 誰も追いかけてこない。たまたま目にした衣裳部屋に入って、隅っこで膝を抱えてうつむいた。 私は、何をやっていたんだろう。 まったく自覚のない涙が、ポツリと一滴膝に落ちた。 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
https://w.atwiki.jp/stairs-okai/pages/63.html
「ちょっと待ちなさい!舞!」 ママの怒った声を遮るように部屋のドアを閉めて、私はベッドに潜り込んで泣いた。 こんな情けない涙は誰にも見せたくない。 夕食を食べている時、急にママから 「最近千聖ちゃんの話しないのね。喧嘩でもした?」 と聞かれて、一番聞きたくないその名前を出された私はムカッとしてこんなことを言ってしまった。 「知らない!千聖はもういないの。消えたんだよ。」 「舞、何てこというの。友達だからって言っていいことと悪いことがあるでしょ」 事情を知らないママは、私が千聖と喧嘩をしてひどい言葉を言ったのだと思ったみたいだ。 「だって本当にいないんだよ!」 「いないって?キュートを辞めたってこと?」 「…違うよ。もういいでしょ。ママには舞の気持ちなんかわからないよ!」 もう誰とも口をききたくない。千聖と私のことについて誰からも触れられたくなかった。 あの事故の数時間前、私と千聖は小さなことで喧嘩になった。 多分悪いのは私。 背が伸びないことを気にしている千聖に背比べをしかけた。 千聖が悔しそうに苦笑するのが嬉しくて、何度もしつこく 「千聖が一番小さいね!」 とか言っていたら、千聖はうつむいて 「もういいでしょ。」 と泣きそうな声でつぶやいた。 しまったと思った私はすぐに話題を変えてみたけれど、千聖は黙って早貴ちゃんの方に行ってしまった。 撮影中も目を合わせてくれない。 二人きりのショットでも私を見ようともしない。 何だよ身長ぐらい、と正直思ったけれど、千聖にとってはかなり地雷だったのかもしれない。 何とか仲直りのきっかけを見つけようとしていたら、階段を降りて行く途中で前を歩く舞美ちゃんと千聖がくすぐり合ってはしゃぎ始めた。 この輪に混ざれば自然に元に戻れるかもしれない。 舞美ちゃんは笑っていたけど千聖はその場を離れようとした。 「待っ…」 千聖の肩を掴む。びっくりした顔で振り向いた千聖は、そのまま足を滑らせて… 「私のせいだ。」 もう何百回呟いただろう。 誰も私を責めなかったけれど、私のしたことで千聖は千聖じゃなくなってしまった。 「どうしたら言いのかな」 みんなが新しい千聖を少しずつ受け入れ始めている。 私と二人でそれを眺めていたはずの舞美ちゃんも、この頃はあの千聖と笑い合うようになっている。 でもあんな子は千聖じゃない。私が謝りたい千聖はもういなくなってしまった。 私はどうしようもなく辛くて、だんだんとこの苦しみはあの新しい千聖のせいだと考えるようになっていた。 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
https://w.atwiki.jp/asagaolabo/pages/5826.html
【にんじんちゃんととびだす絵本】 【*賀正2022*】キャラクター 関連リンク (ただいま作成中・・・) カードコネクトのポップンミュージックカード第8弾に登場したレアカード。 キャラクター にんじん 酒呑雷牙 キビ アーク マナ ナナ ブレーメンズ パク ピュアクルリップ たぬちよ 関連リンク レアカード カードリスト(ポップンミュージックカード)/コネクト/Vol.8#? カードリスト(ポップンミュージックカード)
https://w.atwiki.jp/stairs-okai/pages/81.html
私はどうしようもなく切ない気持ちになって、そっと愛理を抱きしめた。 「ごめんね、愛理。梨沙子こういう時、何て言ったらいいのかわかんないよ。愛理の力にもなりたいし、千聖のことも助けてあげたいのに。」 ギュってした愛理の体は何だか骨っぽくて、私は何だか悲しくなった。 「また痩せちゃった?ちゃんと食べなきゃだめだよ。」 「うん、ありがとう。」 愛理が力を抜いて私にもたれかかってきた。 背中をポンポンしてあげながらふと顔を上げると、横になったまま千聖がこっちを見ていた。 「あ・・・」 私が声を出す前に、千聖はひとさし指を唇に当てて「シーッ」のポーズをした。 “なんで” 口パクで聞いてみたけれど、千聖は辛そうな顔で首を振るだけだった。 おかしい。 こんなのおかしい。絶対おかしい。 「絶対間違ってる!」 自分でもびっくりするぐらい、大きな声が出た。 「えっ」 愛理は私の目線を追って、そのまま千聖と目があったみたいだ。 「あ・・・・起きてたの?」 「ええ・・・」 2人は気まずそうに黙っている。よくわかんないけど、多分千聖はさっきの愛理の告白を聞いていたんだと思う。それで、こんな悲しそうな顔をしてるんだ。 「・・・・どうして、2人はお互いに思っていることを言わないの?私は愛理のことも千聖のことも大好きだから、梨沙子にできることがあるなら何だってするよ。話だって聞く。 でも、愛理は今の話、本当は私じゃなくて千聖にしたかったんだよね?」 全部私の勝手な決めつけかもしれないけど、心に湧き出てくる思いがどんどん口からあふれ出してくる。 「きっとね、こういう時ね、ベリーズだったら遠慮しないでお互いに言いたいこと全部言うもん。 それでケンカになったって、みんなでフォローしあってちゃんと仲直りもできるし、気持ちを伝えることができるんだよ。 そりゃあキュートの方がみんな仲良くて家族っぽいのかもしれないけど、ベリーズだってね ・・・・・・ ごめん、なんの話してるかわからなくなっちゃった。」 「・・・・・うん」 恥ずかしい。愛理と千聖が目を丸くして私を見てるのがわかる。 カーッと顔が真っ赤になっていく。もう、逃げちゃいたい。 「梨沙子さん。・・・ありがとう。」 自分のアホさが恥ずかしすぎて下を向いていたら、急に後ろから柔らかい感触に包まれた。 「わっわっ!」 「梨沙子さんの言うとおりね。私も愛理も、変な遠慮でちゃんと気持ちを伝え合うのを避けていたのかもしれないわ。さっき愛理が梨沙子さんに言ってたことが、私への本心だったのね。」 もう千聖は、私に対しても前のキャラで振舞うのをやめてくれたみたいだ。 明るくて元気でちょっと子供っぽかった千聖の外見のまま、とても大人っぽいことを喋る姿は、何だかちょっと不思議な感じだった。 「千聖ぉ。ごめんね。私、仲良くしてたくせに肝心なことは言えなくて」 「いいえ。私こそ、優しくしてくれる愛理に甘えていたのよ。梨沙子さん、私たちに大切なことを教えてくれてありがとう。」 お嬢様千聖はストレートに人を褒めすぎる。私はさっきのことの照れもあって、軽くあばばば状態に陥ってしまった。 「え、や、えと、ま、まあまあ。とにかく、これからも助け合って行こうよ。あのさ、だって私たち、中2トリオでしょ?」 「うん。そうだね。」 「ええ。」 くっさいドラマみたいな会話に、3人同時で吹き出した。 知らないうちに、もうお腹のチクチクは消えていた。 千聖もすっかり元気になっているみたいで、愛理と目を合わせて楽しそうに笑っている。 2人と同じ学年に生まれて、中2トリオといえる仲になれてよかった。グループは違うけれど、私と愛理と千聖はこうやって、特別な絆で結ばれているんだって思えた。 恥ずかしいからそこまでは絶対に言わないけど、私の心は暖かい気持ちに満ち溢れていた。 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
https://w.atwiki.jp/crazyanchang/pages/17.html
あんちゃん部屋予定表 2011/11/23 ちょっとした対戦会 20 00~(予定) 2012/2/25 第一回くれいずぃ~あんちゃん杯 2012/3/17 第二回くれいずぃ~あんちゃん杯 2012/4/07 第三回くれいずぃ~あんちゃん杯 2012/4/28 第四回くれいずぃ~あんちゃん杯
https://w.atwiki.jp/clockgrail/pages/48.html
聖杯戦争の参加者である俺は、今日も夜の歌舞伎町に出かける。 目的地はホテル街の近くにある公園だ。 そこには何人もの女がスマホを弄りまわしながら突っ立っているので、俺はその中から一人を選んで声をかける。 連れ出すのに面倒な交渉はいらない。ここにいる女どもは金をちらつかせただけでホイホイついてくるからだ。 そんな女を一人連れて、俺はラブホテルにチェックインする。 買春のためかって?馬鹿を言うんじゃあない。 こんな汚い女ども、金をもらっても願い下げだ。 俺のサーヴァントの餌にするために決まっている。 男女の営みをする場に監視の目など届かないし、立ちんぼなんかしている女であれば足がつきにくい。 少々リスキーではあるが、魔力を大量に喰らう反面強力無比なバーサーカーを問題なく運用するためなら十分飲み込める程度の軽リスクだ。 とはいえ聖杯戦争の会場にいる女だ。何人もひっかけていけば、中には護身術の一つも身につけている女がいてもおかしくはないと思っていた。 まさか女の手袋を外したら令呪が刻まれているとは思わなんだが、特に障害になるとも思わなかった。 聖杯戦争のマスターになってもなお淫売なんぞをしている論外の馬鹿に、「ともちん」などと馬鹿みたいな名前で呼ぶことを許容しているような程度の低いサーヴァントに、春秋戦国時代に武名を轟かせた俺のバーサーカーをどうにかできるはずがないと思っていたからだ。 刀を携えた敵サーヴァントを、俺のバーサーカーの大剣の錆にしてやったら、その後は馬鹿女もろとも巨大な魔力リソースである令呪をバーサーカーの糧にしてやれるとほくそ笑んでいたのだ。 …まさかそのバーサーカーが、三合と打ち合えずに斬り伏せられるなんて微塵も想定していなかったのだ。 ◆◆◆ 翌朝、池袋に建つ狭い1Kアパート。 けばけばしい化粧をした若い女と、むさ苦しいおっさんが小さなローテーブルをはさんで向かい合う。 女は左手でスマホを操作しながら、机上にパーティ開きされたポテトチップスに右手を伸ばす。 「ともち~ん。今日はあんがとね」 「礼には及ばん」 感謝を伝えられたおっさんはしかめっ面を崩すことなく首を振る。 「しかしそろそろ夜鷹のような真似はやめてはいかがか」 「え~『夜鷹』って何?」 「あの身を売る行いのことだ」 「や~、店の締日も近いしさ~ 担当No.1にしてあげたいし?」 「先にも申したが、その担当とやらはこの仮想都市におらん。 それに、ここで稼いだ金を元の世界に持ち帰れるとは限らん」 「でも持ち帰れないとも限らん、でしょ?」 ぱちり、とポテチを歯で割りながら女は笑う。 「あ~しは1円でも多くここからお金を持ち帰って、推しに貢ぐんだ~」 (文武の誉に類なしと言われた北畠家の子孫がこの有様とは… 偉大な父祖たる雅家様や親房様にはとても顔向けできんのう…) 思わずため息が漏れ出てしまう。 己の血を引く者からの召喚に応じてみれば、そこにいたのは、金に強い執着をみせる女。 稼ぐ方法が愚かしければ、稼ぐ目的もまた愚かしい。 春売りと謀りごとで稼いだ金を、商売男に入れあげているというのだから救えない。 こんなうつけ女はお家の恥というもの。 さっさと斬って捨てて英霊の座に還ろうかと柄に手をかけてはみたものの。 けばけばしい化粧に彩られた女の目が、生前、具教と共に命を散らした亀松丸に少し似ていたような気がして。 聖杯を求める意志が強固である以上、目的は同じであるともいえる。 目的が同じであるうちは、まあ、共に戦ってやってもいいか。と、そんな風に自らに言い聞かせて刀を収めてしまったのだった。 ポテチを食べ終わり、仕事に行くと言って着替えだす女。 恥じらいもなく服を脱ぎだす女から目を逸らしたおっさんの背に、女の声がかかる。 「ところでともち~ん」 「何か?」 「Wikiでともちんのこと調べてたんだけどさ~。 ともちんが暗殺されたときって『刀の刃を潰されて抵抗できなかった説』と『大暴れして20人斬り殺した説』があったんだけど、ぶっちゃけどっちがホントなん?」 担当とやら以外にはほとんどのことに興味を示さず、知識を蓄えてもいない様に辟易していたが、どうやら相棒については知識を得ようとしていたらしい。 最も女にしてみれば、担当に貢ぐための道具について知識を深めようとしただけだったが。 女の思惑を知ってか知らずか、おっさんは少し得意げに息を吐き 「どちらも本当だぞ」 と答えた。 途端に不機嫌な顔になる女。 「あ~し馬鹿だからそ~ゆ~ふわっとしたこと言われても理解できないんだけど」 歳相応の少女のような表情を見て、おっさんは難しいことではないぞ、と笑う。 生前、最期の記憶。 死んだように生きた人生の最期に充実した瞬間を過ごせた。 「なに。刃を潰された刀で、20人斬り殺してやっただけのことよ」 具教にとってその瞬間は、何度思い出しても清々しい気分になれる思い出だ。 【クラス】 セイバー 【真名】 北畠具教 【属性】 混沌・中庸 【ステータス】 筋力A 耐久C 敏捷B 魔力E 幸運E 宝具EX 【クラススキル】 対魔力:D 魔術に対する抵抗力。 騎乗:C 乗り物を乗りこなす能力。「乗り物」という概念に対して発揮されるスキルであるため、生物・非生物を問わない。 正しい調教、調整がなされたものであれば万全に乗りこなせ、野獣ランクの獣は乗りこなすことが出来ない。 【保有スキル】 鹿島新当流:A 鹿島新当流の奥義を修めている。 塚原卜伝に師事し剣を学んだ彼は奥義である『一之太刀』を伝授されている。 君主の器:C カリスマと反骨の相の複合スキル。団体戦闘において自軍の能力を向上させると共に、同ランク以下のカリスマの効果を無効にする。 伊勢一国の長であろうと信長と戦い、敗れ臣従した後もその野望を捨てなかった逸話から。 無窮の武練:A ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。極められた武芸の手練。 心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。 刃を潰されるなど、たとえ如何なる状態であっても戦闘力が低下することがない。過度の修練により肉体に刻み込まれた戦闘経験ともいえる。 無刀取り:B 剣聖・上泉信綱が考案し、柳生石舟斎が解明した奥義。 上泉信綱からも剣の手ほどきを受けた具教はこの技術を積極的に用いて戦場で暴れまわった。 【宝具】 『一之太刀(ひとつのたち)』 ランク:なし 種別:対人魔剣 レンジ:1 最大捕捉:1 剣聖・塚原卜伝が編み出した鹿島新当流の奥義。 コンクリートすら打ち砕く剛の剣と卵の殻をも割らずに両断する柔の剣という相反する2つの性質を持った剣閃を繰り出す。 特筆すべきは、この剣を繰り出された者はあらゆる防御を行うことができないという点。 防御しても無駄、とかではなく、防御のための行動を一切起こすことができなくなる。 「戦わずして勝つ」を美徳としていた卜伝が伝える『戦うことなく一方的に殺す』剣技である。 鹿島新当流スキルがAランク以上でなければ使用できない。そのため動作を模倣する類いのスキルや宝具を以てしても、それのみでは使用不可能。 【weapon】 『銘 正重』 千子村正の一番弟子である千子正重作の打刀。 本来凄まじい切れ味を誇る刀だったが、具教の逸話により刃が潰されている。 【人物背景】 室町時代末期から安土桃山時代の戦国大名。 伊勢国司を務め、対立する勢力を滅ぼし北畠家最盛期を作り上げた しかし織田信長の侵攻に遭い、信長の息子・信雄を養子に迎え入れる条件で降伏。 信雄に家督を譲渡した後信長と不仲になり、伊勢国の主として再び返り咲かんと武田や将軍と内通。 それらが露見し信長・信雄の命を受けた旧臣たちによって襲撃され死亡した。 その際、刀を抜くことができないよう鞘に細工され、刀の刃も潰されていたにも関わらず、20人の敵兵を斬り殺し、100人以上に手傷を負わせた。 【外見・性格】 蓄えられた口ひげに鷹のように鋭い眼光 鍛え抜かれた丸太のような両手足 狩衣と烏帽子を着用し、戦闘時にはタスキで袖を縛る。 質実剛健な武芸者といった立ち振る舞いをする男。 口数は多くなく泰然としている。 北畠家は公家でもあり文化的教養を身につけた文化人でもある。 家族に対しては情け深い一面があり、あまり有能とはいえなかった息子や、北畠家乗っ取りのために遣わされてきた信雄に対しても親愛を持たずに接することはできなかった。 【身長・体重】 181cm・79kg 【聖杯への願い】 伊勢の主に返り咲く。 【マスターへの態度】 その愚かさにはほとほと呆れ返ってこそいるが、子孫に対する慈愛から裏切れない。 ……強かに聖杯を狙い続ける限りは見限らないでやろう。とかサーヴァントっぽいことを考えつつなんだかんだ従っている。 おじいちゃんは孫娘に強く出られないのだ。 【名前】 伊藤 美佳子(いとう みかこ) 【性別】 女 【年齢】 19 【属性】 混沌・悪 【外見・性格】 ウェーブがかった金髪でオレンジのインナーカラーを入れている。 整った美しい顔に施された濃いめのギャルメイク。 露出の多い服装を好み、チャームポイントである美脚を惜しげもなく晒している。 一つのことに夢中になるタイプであり、担当ホストと彼を輝かせるための金以外にはほとんど興味がない。 美貌を保つ努力も、男を悦ばす性技も、男を躍らせる嘘も、金を稼ぐための道具でしかない。 年齢を詐称して2年前からホストクラブ通いをしており、ホスト通いの資金稼ぎのために様々な悪事に手を染めているがそれについて思うところはない。 【身長・体重】 157cm・38kg 【魔術回路・特性】 質:C 量:C 特性:判断能力を鈍麻させる 【魔術・異能】 『精神操作』 魔術回路の装填によって発現した固有魔術。 精神を操作する魔術。 他者の思考・判断能力を僅かに鈍麻させ精神に隙を作り出すことができる。 その隙間に入り込むことで、美佳子の美貌に惚れこませたり、美佳子の言葉を疑いたくなくなるよう仕向けたりする(これらは魔術ではなく、聖杯戦争参加前に身につけた技術である) Eランク程度の対魔力スキルでもほぼ無効化と言っていい程度に効果を減衰させることができる。 具教が彼女に甘いのは本人の気性によるもの。 【備考・設定】 歌舞伎町の風俗店で働く女。休みの日には公園で立ちんぼやパパから騙し取るなどしてお金を稼いでいる。 お金の使い道はホスト。 ホストクラブ『赤光―SYA-KO―』所属のホスト・リューキを売上No.1とするべく多額の金を貢いでいる。 立ちんぼで引っかけたおじの財布から金を抜き取ろうと鞄を漁っていた際に〈古びた懐中時計〉を発見。仮想都市へと転移した。 仮想都市内でも元の世界と同じような生活を送り、金を稼いでいる。 北畠具教は彼女から見て直系の先祖であり、その血を触媒に彼を召喚できた。 父親は幼少期に蒸発、母親は元ホス狂いで、妹はメンズコンカフェに入れ込んでいる。 ちなみに『赤光―SYA-KO―』に出入りする客には美佳子と同じような女性がたくさんおり、騙し取った金であることを承知の上で受け取っているホストや犯罪を唆すホストも複数人いるため、摘発は時間の問題だったりする。 【聖杯への願い】 担当に貢ぐための金が欲しい 【サーヴァントへの態度】 頼りになるおっちゃんだと思ってたけど……、ひょっとしてあ~しが思ってたよりヤベェ人?