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t02-024 :名無しさん@ピンキー:2010/01/12(火) 01 57 27 ID Nd81zjxq 1/3 久々に戻ってきた故郷は賑やかだった…まぁ今日は年に一度、街が若い活気で満ち溢れる日 そう成人の日だから仕方ないともいえるかもしれない。 会場である市民会館には各地に散り、あるいは地元に定着していた同窓達が集っている。 よう、久し振りだな…うわー、すご。ねぇ写真とろーよ…お前、始まる前から酔っ払うって何事よ!? …カオス溢れ出るとは正にこのことを言うのだろう…そんな喧騒の中を適当に挨拶を返したりしながら通り抜けて会場に入る 会場である大ホールも外に負けず劣らずの騒ぎとなっており、正直、少し早すぎたかと思ったりもした だが今から外に出るのもまた億劫である。指定された席で携帯でも弄りながら時間を潰すことにした。 「なぁ、席交換しね?」 「別に構わんが、どうしたよ?」 「いやぁ、化粧っ気がどうにも苦手でな、気分悪くなりそうだから女子の隣は避けたいんだ。それにお前ならなんとかあしらえるだろ?」 腐れ縁が話しかけてきた。こいつは結構いい奴なんだが、鼻が敏感で人の多いところはあまり得意ではなかった。 せめて気が合う知り合いが多い場所に移りたいという言外の訴えのようだったので聞き入れることにした 「あぁ、いいけど、C-09だな?」 「恩にきる!」 入り口で渡されたどーでもいい資料が入った封筒を抱えて席を移った。しばらくすると喧騒の主達がどんどんと会場内に入ってきた。そろそろ開始するようだ 郷土の伝統芸能の披露の後、ハゲや狸、狐どもの胡散臭い挨拶合戦が始まった 流石にニュースで流れるようなKY成人の騒ぎは起きないものの、会場内の実に8割の人間がうんざりしていたことだろう 適当に話を聞き流すのも疲れ、携帯を取り出しゲームでもしようとした時、左手の裾を軽く引かれていることに気付いた。 俺の隣席に座っていたのは派手とは言えずともあでやかに着飾った女の子、無論知った顔であった 小、中学時代の成績は文系傾倒で中の上、物静かでいつも文庫本を片手に机に座っている、そういうイメージの子だったが 流石に今日ばかりは着飾らざるを得なかったようだ。 俺の裾を引く手は若干震えているし、これだけの事にもかなりの勇気を注ぎ込んでいるようだった 「……何?」 「……ぁ、ぇと…」 とりあえず意識せずに用件を問うと彼女は自分の携帯のディスプレイを向けてこう切り出してきた 『御久し振り、です。』 「久しぶり。って別に話しかけても問題ないような気もするんだけど」 周囲でもこそこそと世間話がなされているし、気にすることもあるまい、そう思ったので提案してみたのだが 『面と向かって話すのは、その…苦手と言うか、緊張しますので…』 とのことらしい。 「分かった。んじゃ、俺だけ喋るのもあれだし、そのやり方いただき。」 こうして彼女との言葉の無い会話が始まった 『高校、●△だったよね?卒業してから何やってるの?』 『調理資格を取るために専門学校に入ったんです。そちらは●商から■○の大学に行ったと伺いましたが…』 『あぁ、講義とバイトで充実、というか忙しい日々だよ』 『今夜の飲み会、出るんですか?』 『そのつもり、去年辺りから飲んでたし、今夜はオールになるかも…』 『へぇ…私は行けても二次会まで、ですかね…』 『飲めない口?』 『いえ、飲めるんですけど、あまり酔わない体質なので…』 『へぇ、何だか意外だね…』 と、取り留めないことをタイプし続けていた。 『っと、そろそろ終わりみたいですね。』 気が付くと式典は終盤に入り、家族の話やこれまでの生活をネタに一部の新成人が生贄に捧げられる魔の時間に差し掛かっていた 『そうだな、しっかし…弄られてるなー;』 例年がどうなのかは知らないが今年は凄いことになっている 幼馴染の男女を見守ってきた両家の親が結婚を迫ったり、実の妹が兄コレクションを持参で愛を告白したり 数人を孕ませたイケメン(笑)が結婚詐欺容疑で集団訴訟起こされたり、挙句の果てには高校時代に学生結婚した伝説の夫婦が七つ子引き連れて惚気である。 …もうやだこの街。 そんなハイなテンションに乗せられたのか、物静かな隣人はこう言ってきた 『あ、あの…』 『ん?何?』 『アドレス、交換しません、か?』 『おっけ、その機種赤外線使えるよね?』 『はい。少々お待ち下さいね…』 彼女は何故か顔を赤くしていた t02-025 :名無しさん@ピンキー:2010/01/12(火) 01 58 32 ID Nd81zjxq 2/3 市民会館での式典を終えた新成人たちは貸衣装から着替えたり、家に戻ったりして適当に時間を潰して飲み屋街に出没した 人によってはこれからが真の成人式であろうし、俺もそのつもりだった。 主に中学の卒業時のクラス分けで集まった数十人単位の集団が居酒屋に大いなる収入と忙しさを与えていく 俺もその中に入り時に声高々に乾杯の音頭を上げ、時に級友達の近況に耳を傾けた 1次会が終わり、次の会場に移動する際。また彼女と隣になった 「随分飲んでたけど、大丈夫か?」 「…えぇ、その。なんて言いますか…飲みたい気分ですから、ぁぅっ」 「?…まぁいいか……今日は目一杯楽しもうな」 「は、はぃ…」 会話が続かないのはまぁ、着替えた彼女が地味ながらも綺麗だったのもあるし、若干飲みすぎたってのもある。 あとはあれだ。彼女がおどおどとして会話出来る感じじゃなかった、そういうことにしてくれ… 2次会はカラオケが出来る店だった。 改めて乾杯をすると幹事がこう言い出した 「みんないい感じに出来上がってきたし、一人一曲は歌ってもらうぞー!」 ……そんなわけでレパートリーが先に歌われていく絶望感と戦いながら歌う曲を選んでると 「んじゃ、次は…おぉ!○○さんですかー!」 彼女の番となった。 定番というか、少し昔のラブソング。耳に心地いい声で彼女は歌っていく。 なんだか俺に視線を向けながらだったのはきっと酔った勢いでの自意識過剰に違いない… ちなみに俺が歌った当たり障りの無いPOP’sは評判が芳しくなかった 「んじゃ、帰る奴は御疲れさん!」 元気な奴が三次会へと出撃する中、若干自棄酒を飲んだ俺は離脱することになった… 離脱するのは俺の他に彼女と他数名、家の方向が同じため俺と彼女は相乗りでタクシーに放り込まれた 「…みんな、元気だったなぁ」 「………そですね。」 夜の街を走るタクシー、中は少し静かな空気に包まれていた 「…変わってなかったなぁ」 「…………です、ね。」 俺の取り留めの無い会話に相槌を打つ彼女は何処か寂しそうだった タクシーが住宅街の一角に止まる。料金は俺が支払い、彼女と人気の無い公園を歩く 「…大丈夫、ですか?」 「ん?あぁ、少し酔いがまわってきたのかもな」 丁度ベンチもあるので休むことにした t02-026 :名無しさん@ピンキー:2010/01/12(火) 02 00 59 ID Nd81zjxq 3/3 「…………」 「…………」 ……会話のネタが尽きた。 手持ち無沙汰になった俺は携帯を弄ると、メールが着信してることに気付いた 届いたのは二次会の最中、確か彼女が歌ってた頃だ 『題名: テスト送信、○○です 本文: アド交換をしたのに送信テストを忘れてたので送ります カラオケはあまり好きではないのですが、丁度いい機会 なので、貴方の為に想いを込めて歌おうと思います。 ちゃんと「好きです」が、届きますように…』 思わず横に座る彼女を見る、今にも泣きそうな顔で俺と携帯をじっと見つめる彼女が居た 「……いつ、から?」 「……2年の春、からです。」 震える声は、怯えが原因なのだろう 「どうして俺?」 「優しさに、惹かれました…」 だが、その声は芯の通ったものだ 「今まで、ずっと?」 「その、臆病、でしたから……、……答えて、くれますか?」 震える手を胸の前で握り、俺の言葉を待つ彼女は…弱々しいながらも、凛とした美しさを持っていた 「ありがとう」 「……え?」 「好きになってくれて、ありがとう」 「……それって、どういう…!?」 彼女を包むように抱き締める 「君なら、大歓迎しますって意味で…」 「ぅぁ…え?…はぅ!?」 いきなりの抱擁に驚く顔を愛しく見やる 「じゃぁ、恋人の証ってことで…」 「え?ぇえ?…あ」 顔を、正確には唇を重ねる 柔らかく、暖かい感触が触れる 時間にして数秒の接触だったが、脳内物質の働きでとても長く感じたのは言うまでも無い 「これから、よろしくね?」 「あ、ぁ……よ、よろしきゅう」 ん?急に彼女の力が抜けた…どうやらキスは刺激が強すぎたらしい。文字通り目を回している 「おい、しっかりしろー」 これからのことを思うと少し先が思いやられる そんな苦笑を浮かべながら、俺と彼女の成人式は終わりを迎えたのだった この後、一向に目を覚まさない彼女を家で介抱して翌朝に家族共々妙な誤解をされたのだが、瑣末なことなので省くことにする
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京太郎「痴漢対策?」 泉「そ、そう…私こんな格好やし、電車に乗った時とか変なのが来るかもしれんし、ちょっと協力してくれんかなぁーって…」 京太郎「ああ、まあいいけど…で、どうするんだ?」 泉「うん…ここをな、電車やと思って私の後ろに立って、その………触って?」 京太郎「…いいのか?」 泉「こ、こんなこと…須賀君にしか頼めへんよ……だから、お願い…」 京太郎「わかった、やるよ」 泉「!あ、ありがとう!それじゃ…」 京太郎「もう始めるのか…」 泉「が、がたんごとん…がたんごとん……」 京太郎「……」ナデナデ… 泉「ふぁ……」 京太郎「……泉、抵抗」ナデナデ… 泉「へ…?あぁ、ごめん……でも、なんで頭なん…?」 京太郎「んー…可愛かったから?」 泉「////……なら、ええよ」 京太郎「やり直すか」 泉「うん…… がたんごとん…がたんごとん……」 京太郎「……」ナデ… 泉「あんっ…」 京太郎「泉…だめだろ?抵抗しなきゃ…」フゥ… 泉「ひゃんっ!?ご、ごめんな…うん………やめてください…」グイッ 京太郎「こんな格好で誘っているのが悪いんだろ…」ナデナデ… 泉「ふぁっ…み、耳元で囁くのズルいって……あっ…」 雅枝「アンタら…部室をいかがわしい店にせんといてくれる……?」 泉「ふぁっ!か、監督!?」 京太郎「あ、お疲れ様です監督ー」パッ 泉「あ…」 雅枝「なに残念そうにしとんの、この子は……で、何してたん?」 京太郎「かくしかじかで俺が痴漢役を…」 泉「わ、私がお願いしたんです!」 雅枝「あら、そう……そんならまともに制服着たらええんに…」 京太郎「まあまあ、そんなわけですんで不純な事は何もしてませんよ…なあ泉?」ナデ… 泉「あんっ…んん……きゅ、急すぎるって須賀君…!」 雅枝「……なんか頭痛くなってきた、薬飲んでくる」 京太郎「あ、はい……監督もお疲れみたいだな、泉」ナデナデ 泉「はぁっ……あ、あの…もっと他のところとかも……」 京太郎「それだと洒落にならないんじゃないか…これは練習なんだから頭でもいいだろ?な?」フゥーナデナデ 泉「ふぁぁぁ……」 京太郎「ほら…手をどけてごらん、泉…?」フゥー 泉「はわぁ……もっと…もっとぉ………」トローン 京太郎「泉…?」ナデナデ 泉「……さ、最高やぁ……えへへ」 カンッ
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唯「ここか~…」 軽音部に入部することにした私、平沢唯は 部室の前にまで来て、入部するかどうか迷っていました。 唯「入るなんて言っちゃったけど、私楽器弾けないしなぁ…」 唯「そもそも軽音部ってどんな人がいるんだろう?」 唯「……」 ポワンポワンポワーン… 想像上の軽音部の人『ああん?辞めたいだとお!? ただで辞められると思ってんのか!?KILL!!』 ポワンポワンポワーン… 唯「……」 唯「あわわわわわ……」ガクブル 「おいてめぇ!軽音部に何の用だ!?」 唯「ひぃっ!?」 「あ、お前もしかして入部希望の平沢唯じゃね?」 唯「そ…そうですけど…」ガクブル 「そうか、よく来たな!私は田井中律ってんだ、よろしくな!」ニカッ 唯「よ、よろしくお願いします…」 よかった…口調は荒いけどいい人そうだ これなら私もこの部で上手くやっていけるかも! 律「まぁ立ち話もなんだ、早速中に入ってくれ」 唯「はい!」 がちゃ 律「姉御ー!新入部員が来ましたぜ―!」 「んだとぉ…?」ギロッ 唯「ひぃっ!?」 何あの人…眉毛ないし木刀持ってるしマスクしてるし… 正直…怖いです 「よく来たな新入部員…ちょっとこっちに面貸せや」 唯「あわわわわ……」ガクブル 律「おい平沢!姉御がお呼びだろうがッ!さっさと返事せんかい!」 唯「ひぃっ!?」 あわわわ……やっぱりこの人も怖い人だったんだ… どうやら私の予想は的中してたみたい… 唯(怖いよぉ…助けて憂…和ちゃん…)ガクブル 「…おい、あたいは気が短いんだ。さっさとしてくんねぇかなぁ?」 律「す、すみません姉御!ほら平沢、早く姉御の前まで行け!」 律「…姉御はキレるとヤバいんだ、下手したら…殺されるぜ」ボソッ 唯「…!」 「おらさっさと来いよ!死にてぇのか!?」 唯「! い、今行きます!」 唯(嫌だ嫌だ…私はまだ死にたくない…) 「…やっと来やがったか、てめぇ…覚悟は出来てんだろうな?あぁ?」 ああ…この人の言う覚悟って、絶対死に対する覚悟だよ… 私は今日この場で死んじゃうんだ…短い人生だったな… もっと…生きていたかったな…… 唯「うぅ…ううう……」ポロポロ 澪「あぁ?何泣いてやがんだてめぇ」 唯「だって…私は今から死んじゃうんですよね…?」ポロポロ 「はぁ?馬鹿かてめぇは、どうして死ぬんだよ?」 唯「だって、言ったじゃないですか…殺すって…覚悟しろって…」ポロポロ 「んなもん冗談に決まってんだろ、あたいが言った覚悟ってのはだな、 これからみっちり扱いてやるから覚悟しろって意味だよ」 唯「扱く…?それって虐めるってことですよね…うわーん!」ポロポロ 「んな訳ねぇだろうが!頭湧いてんじゃねぇのかてめぇ!」 「まぁそろそろ挨拶といこうか。あたいは秋山澪、この部の部長だ」 唯「…私は…平沢唯です…ぐすっ」 澪「唯か、いい名前だな。よろしくな、唯」 唯「…え?この手は何ですか?」 澪「握手に決まってんだろ、さっさとてめぇも手出せよ」 唯「は、はい!よろしくお願いします」ギュッ 澪「おう、よろしくな」ギュッ よかった。最初は怖い人かと思ってたけど、かなり良い人そうだよ やっぱり人間見た目じゃないんだね、勉強になったなぁ… 澪「それじゃ、今日から4人で頑張っていこうな」 唯「4人?3人しかいないじゃないですか」 律「実はもう一人いるんだよ、まだ来てないだけでさ」 澪「ムギの野郎、どこで道草食ってやがる…」 トントントン… 律「お、噂をすれば来たみたいですぜ姉御」 がちゃっ 「御機嫌よう、愚民共」 澪「やっと来やがったか、随分遅かったじゃねえか」 「あなた達と違って、私はすごく忙しいのよ」 律「おいてめぇ!姉御に向かってなんて口のきき方してんだ!」 澪「落ちつけ律、こんな安い挑発に乗ってるようじゃ本物の女にはなれねぇぞ」 律「でも…!」 澪「あたいみたいになりたいんだろ?」 律「姉御…」 「ふん、愚民同士慣れ合ってるといいわ。すごく滑稽だもの」 唯(…やっぱり入る部活を間違えたかな?) 「あら?このみすぼらしい格好をした貧民は誰かしら?」 唯「……」 「ちょっと聞いてるの?あなたよ、あなた」 唯「えっ?貧民って私のこと?」 「そうよ、あなた以外に誰がいるの?まぁ彼女達も同じ様なものだけどね」 律「ぐっ…我慢我慢…姉御みたくなるんだ…」 唯「私は平沢唯です、あなたは?」 「貧民に名乗る名前などないわ」プイッ …え?何この人? なんでこんなに偉そうなの? 澪「こいつは琴吹紬、あたいらは『ムギ』って呼んでる」 唯「そ、そうなんだ…よろしくねムギちゃん」 紬「ちょっと、馴れ馴れしく呼ばないでくれない?名前が汚れるわ」 唯「……」 …ムカつく。すごいムカつく。 澪「そういや唯はなんか楽器弾けるのかい?」 唯「…あ」 そういえばここは軽音部なんだっけ、すっかり忘れてた どうしよう…私何も楽器弾けないよ… 澪「…その顔は」 律「何も出来ないって顔だな…」 唯「…はい、出来ません…」 紬「あなた何をしに来たの?ポスターを見なかったのかしら?これだから貧民は…」 澪「実はあたい達が求めてたのはギタリストだったんだよ」 唯「そ、そうだったんですか…そうとは知らずに、軽々しく入部するなんて言ってごめんなさい…」 …そうだ!これをダシにして辞めちゃおう! こんな変な人ばかりの部活になんて入部したくないし 唯「…あの、私やっぱり入部するの辞めます」 澪「ああん?辞めたいだとお!?」ギロッ 唯「ひぃっ!?」 澪「ただで辞めれると思ってんのか!?KILL!!」 唯「あわわわわわ……」ガクブル …あれ?デジャブ…? 唯「な、ならどうすればいいのでしょうか…?」ガクブル 澪「簡単だ、辞めなきゃいいのよ」 唯「で、でも私ギター弾けないですし…」 澪「これから覚えりゃいい」 唯「で、でもでも…」 澪「ごたごたうっせーぞ糞アマ!そんなに辞めたきゃな…」 シャキーン 澪「今ここでケジメつけろ」 唯「…あ、あの~…そのカッターを使ってどうしろと…?」 澪「決まってんだろ、指を詰めるんだよ 族を抜けるんだ、当然その覚悟はあるんだよなぁ?ああん?」 族?ここって軽音部だよね? 私はいつから暴走族になんて入ったんだろう? 澪「おらッ!さっさとしねぇかッ!」 唯「…え?ガチですか?」 律「姉御はな、規律と掟には人一倍厳しいんだよ だから姉御がやるって言ったらそれはマジだぜ…」 澪「てめぇ…自分で出来ないんなら、あたいがやってやるよ」 唯「ちょ、ちょっと!机に手を押し付けないで下さい!」 澪「それじゃ行くぞ…腹括れよ、相当痛いからな」 唯「えっ?本当にやるんですか?冗談ですよね?」 澪「……」 あぁ…この目はマジだ… この人絶対、指詰めるの初めてじゃないよ…だってこんなに落ち着いてるんだもん… ていうかもうカッター振り上げてるし! 唯「ま、待ってー!」 澪「待たん、女に二言はない」 唯「にゅ、入部します!だから指詰めないで!」 澪「もう遅いわ、じゃあの」 ――ブンッ! 唯「ぎゃああああああああああ!私の指がああああああああ!」 唯「あああああ…私の指…私の指がぁ…!」ポロポロ 澪「…くく…あははははっ!自分の指をよく見てみろよ!」 唯「私の指がぁ…って、ちゃんとある…」 澪「入部したいって言ってる奴の指を詰める奴がどこにいんだよ、馬鹿じゃねぇの?」 いやいやいや… 私が入部するって言わなかったら確実に詰めてたでしょ 澪「とりあえずさっきの入部したいっての、あれ嘘じゃないよな? もし嘘だってんなら、次は容赦なく…」キラーン 唯「懐から刃物をちらつかせないで下さい…すごく怖いです…」 澪「まぁそんな訳で、今日から新生軽音部の始まりだ!」 律「やりましたね、姉御!」 紬「私としては、このまま廃部になっても一向に構わなかったんだけどね」 唯「廃部?」 律「そう、平沢が入部しなかったら軽音部は部員不足で廃部になってたんだよ」 唯「へぇ、そうだったんだ」 なるほど だから澪さんはあんなに焦ってたんだな 澪「じゃぁ明日から本格的に部活を始めると言うことで、今日は解散だ あと唯は明日ちゃんとギター持ってこいよ」 唯「え?私ギター持ってないよ?」 澪「なら買えばいいじゃねえか」 唯「そんな簡単に言わないで下さいよ…大体ギターって結構するんじゃ?」 澪「大丈夫だ、30万もあればそこそこいいのが買える」 唯「さ、30万!?無理無理!私そんなに持ってないもん!」 律「ああん?てめぇやる気あんのか!? 金がねえならカツアゲするか、親の財布からくすねちまえばいいじゃねえか!」 唯「だ、ダメだよそんなこと!出来っこないよ!」 澪「そうだ律、やっていいことと悪いことがあるぞ」 律「し、しかしですね姉御…このままじゃ部活できませんぜ?」 澪「まあ待て、あたいにいい考えがある」 唯「いい考え?」 澪「そうだ、短時間でお金を稼ぐいい方法だ…」ニヤリ …なんですかその笑いは? とてもいい方法とは思えないんですけど… 澪「ちょっと待ってな」 ピッピッピ… プルルルル…プルルルル… 澪「もしもし、あたいだ」 澪「…あぁ、そうだ。今回もよろしく頼む」 唯「…澪さん、誰と電話してるんだろう?」 律「さぁな、姉御の人脈はかなり広いからないろんな所に顔が利くんだぜ」 唯「へぇー(どうせ暴走族とかそっち系ばかりでしょ…)」 澪「…ああ分かった、本人に聞いてみるよ おい唯、お前煙草は吸うか?」 唯「え?吸わないよ」 澪「そうか、分かった。…もしもし、煙草は吸わないらしい …ああそうだ。結構高く売れるんじゃないか?あいつの臓器」 唯「…ん?臓器?」 臓器…売る…これってもしかして… …いや、もしかしなくてもこれは… 澪「ああ分かった、なら今から連れてくよ。それじゃ…」 唯「ちょ、ちょっと待って下さい!臓器って何ですか?売るって何ですか?」 澪「そのままの意味だ、それじゃ今から一緒に行くぞ」 唯「い、嫌に決まってるじゃないですか!おかしいですよちょっと!」 澪「ああん?おかしいだとぉ!?あたいはお前と軽音部の為を思ってやってるんだぞ!」 え?なんで逆切れされてるの? それにほぼ9割くらい軽音部の為じゃん 律「待って下さい姉御!流石に臓器はちょっと…」 唯「律さん…」 澪「…っち、なら金はどうすんだよ!?部活は!?」 律「焦る気持ちも分かります!でもここはやっぱりカツアゲの方が…」 澪「それは駄目だ、人道に反する」 私にやろうとしていたことが人道に反していなかったとでも言うのだろうか? 澪「なぁ唯、ここは臓器を…」 律「いやいやカツアゲの方が…」 澪「おい律、てめぇはいつからあたいに意見できる程偉くなったんだ?ああん?」 律「いやいやしかしですね…」 どうしてこの二人はもっと普通の方法を思いつかないんだろう? どっちも犯罪行為じゃないか 紬「まったく、騒がしいったらないわね。これだから愚民は」 律「んだと!?」 紬「他人からお金を奪うことが恥ずかしい行為だと思わないの? 自分の臓器を売る、それこそ人道に反しているわ」 澪「ならどうすればいいって言うんだい?」 紬「はぁ…まったく、愚民は頭の中まで汚れているのね」 バサッ 紬「…ほら、拾いなさい。貴族の私が施してあげるわ」 唯「これは…お金?」 紬「そうよ、ざっと100万位あるわ。それでギターでもなんでも好きに買ってきなさい」 唯「で、でもでも…こんなに受け取れないよ!」 紬「いいから、あなたがギターを買わないと何も始まらないのよ だからみんなの為と思って素直に受け取りなさい」 唯「ムギちゃん…ありがとう、いつか絶対返すから!」 紬「いいのよ、お金なんて腐るほど持ってるし」 唯「それでも必ず返すよ、だってそれがムギちゃんの想いに答えるってことだから」 紬「はいはい、まぁ好きになさいな」 さっきまであんなに周りを馬鹿にしてたのに、急にみんなの為になんて言うなんて どうやら彼女は私が思っていたより、ずっと仲間思いの優しい人みたいだ 唯「えへへ~♪」 紬「…ちょっと、なに笑ってるの?その笑顔すごく不愉快なんだけど」 唯「いやいや、ムギちゃんは仲間思いの優しい人だなぁって思ってさ♪」 紬「なっ!?わわわ私が仲間思い!?そんな訳ないでしょこの貧民!」 唯「えへへ♪私はわかってるよ~」 紬「……うるさい、馬鹿///」 2
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京太郎「オレと別れてくれ。和」 和「忙しいスケジュールの合間を縫って久しぶりに会えたっていうのに随分な話題ですね。 理由を教えて頂けますか?」 京太郎「………勤め先の会社が潰れたんだ。で、オレは今めでたく無職ってわけ。 親父の会社も今大変らしくてとても頼れる状況じゃないし、仕事先も見つからない。 だからまぁ、そういう事だ。」 和「………意味がわかりません。京太郎君の状況は理解出来ましたが、 それが別れる理由にはならないじゃないですか」 京太郎「今は貯金を崩してなんとか生活してるけどこれから先仕事が見つかるかどうかもわからない。 片や和はプロ麻雀士として順調で、タイトルも狙えるようになった。 もう、俺とお前じゃ釣り合いが取れないって事だよ」 和「京太郎君は相手の肩書で付き合うかどうかを決めるような男性ではないでしょう。 それも理由にならないじゃないですか」 京太郎「………!! わかるだろ!? オレはもう自分の事も満足にできなくなったんだ!! 今のオレじゃもう和にラーメンを奢る事だって出来ない。 給料三か月分の指輪を買う事だって出来ないんだ。 もうオレじゃ、和を幸せに出来ないんだよ!!」 和「………わかりました。」 京太郎「…わかってくれたか。まぁ、和ならきっとオレなんかよりいい男がすぐに見つかるさ。 じゃあな。今までありがとうな」 和「つまり京太郎君は経済的な不安から私との婚姻生活に支障をきたすと考えて 私と別れる事を提案したのであって、私になんらかの落ち度や浮気をしていたわけではないんですね」 京太郎「? あ、あぁ…そういう事だよ。だからさっきも言った様にオレじゃ和を幸せに出来ないから…」 和「わかりました。では私が京太郎君を幸せにします」 京太郎「ふぁっ!? いや、あの聞いてた!?だからオレ金が無いから…」 和「今の私の年収は2000万をざっと超えています。 よほどの贅沢をしない限りは何の問題もありません」 京太郎「…オレにヒモになれってのか?和、オレにだって男としての意地が…」 和「京太郎君は料理は出来ますよね?」 京太郎「え?あ、あぁ…そりゃ凝った物は作れないけど」 和「洗濯掃除、買い物…は高校時代で散々見ましたので問題ありませんね。では、家事全般の方をお願いします」 京太郎「主夫!?いや待て和、それだと逆プロポーズって事になるぞ!?」 和「? 夫になるわけでもない人にこんな事を話しませんよ」 京太郎「いや、でも…和の両親がなんていうか」 和「私は既に成人してますし経済的にもとっくに自立しています。両親は私の希望通りの進路を歩く様に 仰っていましたし結婚相手も私自身が決めます。」 京太郎「………和はオレでいいのか?」 和「くどいですよ。何があっても最終的にこの私の傍にいればいいのです」 京太郎「やだこの人漢っぽい!?」 和「他に質問はありませんか?」 京太郎「え…いや………もうないです、ハイ」 和「わかりました。では、不束者ですがこれからもよろしくお願いします」ペッコリン 京太郎「いや、こっちこそ…っていうかこっちが不束者ですがよろしくお願いします」ペッコリン ※ ※ ※ 京太郎「あれからもう五年か……いや、ホントにあの時はぶったまげたなぁ」 「ねーねー、ぱぱー。ママとのプロポーズってどうやってやったの?」 京太郎「あー…どうだったかなぁ。ハハ…あ、ほらママテレビに出てるぞ。」 「わー!ママー!がんばれー!!」 京太郎(言えるわけねぇ…情けなさ過ぎて……)ズーン カンッ
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朝 パーク:…… (久しぶりに落ち着いた朝…。朝って、こんなにも静かだったんだ…) パークは久しぶりに自分の家で眠ったのだった。 (それにしても、昨日の…フェオレくん。希望の光って、一体何なんだろう?あの後、すぐにどこかへ行ってしまった。今日会えたら聞かないとね。) ファイ:おーいパーク! (あ、ファイが呼んでる…) 外 ファイ:おはよう!いい天気だな! 外に出ると、救助隊メンバーの皆がいた。 パーク:おはよう、皆。 ヒーナ:ねぇパーク、こんないい天気は…デパートでも行かない? パーク:え? イースト:デパート? ヒーナ:そう、今度新しくオープンしたのよ!帰ってきたばかりでまだ疲れてるでしょ?初日くらい救助活動さぼってもバチは当たらないわよ! パーク:え、でも逆に依頼が溜ってるんじゃ… オト:心配いりませんわ。お二人がいない間の依頼は、私たちがしっかり受けておりましたわ。 ヒーナ:ま、そういうことだから…ゆっくり遊びに行きましょ?v パーク:…うん! パークたちはデパートに行くことになった。 ファイ:ほぅ。これがデパートか。 イースト:お、大きいね! ヒーナ:まずは…5階の洋服売り場ね! イースト:ぅ… ヒーナ:今の「ぅ」って何よ「ぅ」って! イースト:ひぃっ!な、なんでもないよ! ヒーナ:パーク!オト!今日は私が何でも好きな洋服買ってあげるわ!さぁ、行くわよーv ファイ:なぁイースト、オレ帰ってもいいか? イースト:えぇっ!?僕を一人にしないでよーぅ!!; ファイ:だって…女が洋服見たら大半は… 5時間後 ヒーナ:可愛いの見つかってよかったわね! オト:ですわね! ファイ:(ほらな…やっぱり時間かかるんだよな…) イースト:(ってかなんで僕たちが荷物持ち…重いよぅ;) オト:あら?あの子は… フェオレ:あ、パークだぁw ヒーナ:パークだけじゃないんですけど… パーク:あ、フェオレくん、聞きたい事があるんだけど… フェオレ:希望の光のことなら答えないよ。だって、まだ確信がないからね。 ファイ:お前がフェオレか。お前、何者なんだ? フェオレ:言ってるじゃん?僕はフェオレ。希望の光を探す者だって。 ファイ:何がしたいんだ? フェオレ:だから、探してるんだって。 ヒーナ:ファイが聞いたら無限ループしそうで怖いわ。 ファイ:何をーっ! ヒーナ:どうせ次の質問は何を探してるんだ?辺りでしょ? ファイ:… オト:希望の光って答えられて終わりですわね。 イースト:あれ?フェオレくんは? パーク:え?あれ… フェオレの姿はなかった。 ファイ:わけわかんねぇ奴だな。 (希望の光…か。あ、ナマズンさんなら何か知ってるかな?) パークは皆と別れた後、ナマズンの池に向かった。 ナマズン:希望の光?んー…わからんのぅ。 パーク:そうですか… ナマズン:というか、わしはもう昔話はこりごりじゃ。 パーク:え?どうしてですか? ナマズン:わしの昔話の所為でお主は疑いをかけられてしまったじゃろ?わしも反省してるんじゃよ。 パーク:別にナマズンさんの所為じゃないですよ。それにもう誤解も解けましたし。 ポケモン広場 (結局ナマズンさんじゃわからなかった。だとしたら後は…知識人と言えば、サイコさん!…なんだけど、 FLB はグラードンの所に行っちゃったし…) プクリン:おや?そんな暗い顔をしてどうしたの? パーク:あ、プクリンさん。 プクリン:僕でよければお話聞かせてもらえないかな? 説明中。 プクリン:そっか。希望の光…か。なんだかかっこいいね! パーク:え、あ、まぁそうですけど… (あれ、私…相談する相手間違えた?) プクリン:やっぱり君はともだち想いだね! パーク:え? プクリン:彼には彼の役目があって、君には君の役目がある。 パーク:役目? プクリン:彼の役目は希望の光探しだけど、君の役目は救助活動でポケモンたちを救うこと。ともだちを心配するのはいいことだし、ともだちのために悩んであげられるなんて、とても素晴らしいと思うんだ。 パーク:え、別に友達ってわけじゃ… プクリン:あぁ、君と話せてよかったよ!ともだちともだち~! (あ、やっぱり相談する相手間違えたみたいです。) プクリン:そうだ!ともだち想いの君にいいプレゼントをしてあげる! パーク:プレゼント…ですか? プクリン:うん!はいこれ! パークはプクリンから何かの石を貰った。 パーク:これは? プクリン:僕にもよくわからない石なんだ。でも、サイコさんに見てもらったら、何か不思議な力があるらしいんだ。僕には解明できなかったけど、君ならきっと出来ると思う。 (そんな石貰ってどうすればいいんですか…) プクリン:さてと、僕も仕事に戻ろうかな。じゃあまたね、ともだちともだち~! パーク:この石…どうしよう… 続く 前の話 次の話
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651 名前: ブロードウェイを目指して ◆bvueWC.xYU [sage] 投稿日: 2006/09/15(金) 22 13 23 「何で弓塚に投票したか? 何だそりゃ、遠野。お前そんなの聞きたいのか」 「いや、何というか……ちょっと意外だったからさ」 スープを飲み干し箸を置いた有彦は俺の顔を見て心底訝しげにしている。 「意外、っていうのもまた引っかかるな」 「だってそうだろ? お前の事だからシエル先輩だと思ってたんだけど……」 「お前なぁ……」 やれやれと深いため息をついて頭を抱える。俺はそんなに変なことを言ったんだろうか? 「遠野、みんながみんな好きな人には主役をやってもらいたいなんて思ったら大間違いだぞ」 「…………そういうもんじゃないのか?」 「あぁ、少なくとも俺はそう思うかな。人の意見なんて押し通そうなんて思ってないけどな」 有彦は爪楊枝をくわえながらポケットから五百円を取り出してそれを手の中で弄ぶ。そうして、 「弓塚にはな、待ってる以外の選択肢の他に何かあってもいいと思ってな」 そうぽつりと、呟いた。 「待ってる?」 「あぁ。っていうかさっきから聞いてばっかじゃねえか。少しは自分で考えやがれ。あ、コレ勘定なんで」 ん、と高田君のお兄さんは低く頷いて有彦の五百円玉を受け取った。そうして一人さっさと背を向けて行ってしまった。 「………………え? あ。お、俺もご馳走様でした!」 やっと自分が置いてかれたというのを認識して慌てて財布を取り出す。ちくしょう、まだ少し麺が残ってたのに。 「それじゃこれで」 「………………今度来た時にでも残した分もサービスしてやる」 お兄さんの優しさにじん、と染みる間もなく俺はお礼を言って悪友の背中を追いかけた。 「おい有彦!」 呼んでも一向に歩を進めるのを止めない有彦。やっと肩を並べて歩いた時に見せた有彦の表情はどことなく不機嫌そうだった。 「有彦、何か怒ってる?」 「あぁ、最高にってわけでもないがお前の顔を殴りたいほどにはな」 それって結構腹立ってるよな? 「それってやっぱり俺のせい……」 「あぁ、それと半分は弓塚かな」 「弓塚?」 はて、さっきの話と矛盾してないだろうか。 「有彦、それって何かおかしくないか? よく分からないけど有彦の話だと弓塚に選択肢ってのを与えたくて投票したのにどうして……」 その先を言う前に有彦が街灯の下で立ち止まる。俺も倣って止まる。二、三歩先の互いの顔が照らされている。 「弓塚はな、もう持ってるんだよ。その選択肢ってやつを。なのにそれを選ぼうとしねえ、いや、選びたくないのかもな」 「……え?」 「だから俺はそれを後押ししたって訳だ。………………ちくしょう、結局言っちまったじゃねえか」 そう言って僅かに俯く。街灯の辺り具合で有彦の表情が見えなくなった。 「いつからか……俺とお前は違う世界に立ってるんだと思った」 静かに心臓が跳ね上がる。 「そっちにはさ、きっと先輩やアルクェイドさんに妹さん、それに弓塚がいる」 「…………」 「でも、俺はいない。お前だって分かってるんだろ? 俺は、何もできないんだって」 俺は何も答えれない。有彦の顔が見えないのにどこか涙を流しているように見えるから。 「だからさ、お前の傍にいてやれる人がいればお前だって…………」 「………………」 新着レス 2006/09/15(金) 22 15 652 名前: ブロードウェイを目指して ◆bvueWC.xYU [sage] 投稿日: 2006/09/15(金) 22 14 43 「…………とまぁ」 途端に有彦の口から明るい声が漏れる。 「な~んからしくない話しちまったな。お互いこういうのは苦手なはずなのにな」 ハハハ、といつもの様に笑ってみせる。俺も口の端を持ち上げようと努力するが、できているかどうかは自信がない。 「ん、今日は飯誘ってもらってサンキューな。俺、まっすぐ家に帰るわ」 「…………あぁ」 「帰り道にぶっ倒れるんじゃねぇぞ! じゃあな!」 タタタ、と軽快に靴を鳴らして有彦は走ってその場を去った。俺はしばらくその場から動けなかった。 「…………」 同じ世界にいない。確かにそうかもしれない。でもな、有彦。 やっぱり俺の中で、お前は乾有彦だよ。 「……………………さて」 深呼吸一つ。何だかんだで遅くなってしまった。明日も早いんだ、屋敷に戻ろうか。 俺は決して軽くはない心持ちで帰路へと向かった。 「兄さん! 遅いではないですか!」 屋敷に帰って最初に出迎えてくれたのは妹の怒声だった。 「あぁ、悪い。思ったより話し込んじゃってな……」 「………………」 俺の顔を見るや秋葉は少し表情を沈ませた。 「ん、どうした秋葉?」 「いえ……少し疲れてるようなので。今日の所はこれで許しときましょう」 珍しい事もあるもんだ。少なくとも一時間ほどの説教は覚悟していたんだが。 「明日の稽古に響いても困りますんでさっさと寝てください。寝不足で貧血になりたいのなら話は別ですが」 「…………ハハ」 そっぽを向いて言われた言葉を聞いて俺は思わず笑ってしまった。 心配なら心配だと、そう言えばいいのに。 「な、何を笑ってるんですか兄さん!」 「いや、何でもないよ。それじゃあお言葉通り今日はゆっくり寝かせてもらおうかな。おやすみ、秋葉」 「え、えぇ…………おやすみなさい」 秋葉が呆気にとられている内に俺は階段を上り、部屋へと入りそのまま床に就いた。 「…………ふぅ」 体の緊張が解け、一気に体の気だるさが全身に広がる。 稽古自体が体に応えたのもある。だけど、それ以上に色んな人と会って、話した方がこたえてる。 ワラキア、有彦、それに…… 「………………………………………………弓塚」 眠りにつく最後の最後まで頭の中にいたのは、俺が必ず守ると約束したひとだった。 653 名前: ブロードウェイを目指して ◆bvueWC.xYU [sage] 投稿日: 2006/09/15(金) 22 23 44 選択肢、そうして俺は…… 白:淫らな夢を見た。うpろだにてテキストをあげます。 昼:淫らじゃない夢を見た。誰かさんが夢に出てきます。 夢?:普通に起床。そして普通に学校です。 投票結果 白 1 昼 5 決定 夢? 0
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ねずみ年?・・・あぁ、そういえばそうだね(ぁ 忘れてたけど・・・まぁ今年もよろしくww -- パンダ (2008-01-01 16 23 37) こちらこそ、本年も宜しくお願いします。 パンダさんってペンタブ買えば絵上手そう・・・ -- やら@管理人 (2008-01-01 17 24 56) 名前 コメント
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昔々というほど昔でもなく、最近というほど最近でもない時代のあるところに、 金糸の髪とアメジストの瞳のたいそうイタズラ好きで聡明な美しき女王と、 濡れたような黒髪で、どこか可愛らしい印象の少しおつむが足りない純朴な王様がいました。 女王様は女王様らしくどSで王様は少し困っていましたが、王様はMなので結局はラブラブです。 これは、そんな二人のある日の出来事。 「ねぇ、今度のパレード用に服を新調しましょうか」 女王様は王様に問いかけているようではありましたが、 実のところ王様には女王様の発言に対する拒否権はないので、ただ女王様の言葉を肯定しました。 「そうだね、国民にみすぼらしいところは見せられないものね」 「ありがとう。そう言ってくれる思って、実はもう仕立て屋を呼んでるの」 女王様は実に仕事の早い方でした。 女王様が手のひらを打ち鳴らすと、一人の男が恭しく現れます。 「さ、どんなものがあるのか見せてちょうだい」 どうやらこの男が仕立て屋らしく、どこからか綺麗な服を何着も取り出して見せてくれました。 金色で光沢のあるドレス。赤いビロウドのドレス。空色の絹のドレス。 どれも女王様に似合いそうです。 「わあ、どれも綺麗だね」 「えぇそうね……」 このとき、女王様は何か面白そうに口端を吊り上げて微笑んでいましたが、 王様の視線はドレスに注がれていて気づくことはありません。 女王様は、仕立て屋が次に取り出したドレスに目を止めました。 「あぁ、それがいいわ」 仕立て屋の手の中にあるのは、真っ白でふわりとしたドレス。 レースがふんだんに使われていてとても上品です。 「あぁ、綺麗なドレスだね、とても似合いそうだ」 王様は嬉しそうに女王様に微笑みかけましたが、女王様は訝しげな顔で王様を見ました。 「……ドレス?何を言っているの?あれはあなたのための服じゃない」 「え?」 そう言われて王様はもう一度仕立て屋の方を見ましたが、 仕立て屋が持っているのはどうにもドレスにしか見えません。 女王様は王様にドレスを着ろと言っているのでしょうか。 王様は訳が分からず、女王様と仕立て屋を交互に見るばかりです。 「……僭越ながら、王様」 仕立て屋が口を開きました。 「私が扱う服達は実に特殊な服でして……見るものが見れば立派な男ものに見えますが、 なんともうしますか……学の足りないものが見るとドレスに見えるのです」 「……え、えぇぇええ!」 実に不思議です。 本当にそんな服があるものなのでしょうか。 女王様が、王様を見て心配そうに言いました。 「あなた、あれがドレスに見えるの?」 その言葉は王様の心に深く突き刺さりました。 つまり、あなたは馬鹿なのかと聞かれているのと同じです。 「いや、そんなわけないさ。実に格好いい服じゃないか!うん、その服を頂こうか」 王様は見栄をはりました。 どうみてもその服は真っ白なドレスにしか見えないのに。 それもそのはず、だってその服はただのドレスなのですから。 そう、これは女王様のイタズラです。 女王様は微笑んで、仕立て屋にお金を支払いました。 ドレスの値段よりも随分多めにつつんで。 「……さぁ、試着をしましょうか」 女王様は、ドレスを抱えて王様と寝室に入りました。
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8月21日! 律「あの時手を繋いだのって……OKのサインだよなぁ……」 律(なんとな~くな流れで唯と付き合うようになって?1ヶ月以上経って) 律(アレから二人で遊ぶことも増えたんだけども) 律「ど~も以前と変わらないんだよなぁ……」パカッ 律「……新着メール、無し」 律「軽音部の誰からもメールがない……皆知ってるはずなんだけどなぁ」 律「……まぁまだ8時だしな!今日はここからが本番だよな!」 ブブブブブブ…… 律「うぉっ!あ、唯から電話だ」ピッ 唯『りっちゃんグッモーニン!』 律「おう。おはよう。朝早くから元気だな唯は」 唯『りっちゃん今日空いてるんだよね?』 律「当たり前だろ?」 唯『じゃあうちで遊ぼうよ~今日憂も居なくて暇なんだ~』 律「ひ、暇?」 唯『ん?どしたのりっちゃん』 律「いや……はっ!」 唯『うん?』 律(はは~ん、実は唯ん家に皆で先に集合してて、到着した私を驚かせようってハラか?)ニヤリ 唯『お~い、りっちゃ~ん?』 律「あ、ゴメンゴメン。他の皆は?」 唯『何かみんな用事有るとかでさ~』 律(やっぱりな。そういっておいて実は既に集合してるんだろうな……よし!) 律「そっか。じゃあ準備して向かうよ」 唯『ラジャー!お待ちしておりますりっちゃん隊員』 律「うむ!ではまた後で!さらばゆいゆい隊員!」ピッ 律「さ~て、どんなリアクション取ってやろうかなぁ~」 * * * ピンポーン 律「ひ~らさ~わさ~ん。あ~そ~ぼ~」 ガチャ 唯「は~い~」 律「はろ~」ヒラヒラ 唯「どうぞどうぞお入りください」 律「うむ、苦しうない。……あれ?靴が無い」 唯「ん?何か無い?」 律「あぁいや……」 律(さては気付かれないように持ってあがったな。中々の策士が居るようだな~) 唯「飲み物持ってくから先に私の部屋行ってて~」 律「あいよ~」 トントントン…… 律「よ~し……」グッ ガチャッ! 律「待たせたな皆の衆!主役の登場だぁー!」ババーン シーン…… 律「……あ、あれ?」パチクリ 唯「お待たせ~。って、どしたの?」 律「あ、れ?いや、誰も居ない……よ?」 唯「言ったじゃん。今日は憂も居ないんだって」 律「え、あ、うん。いや、あれ~?」 唯「さっ、座って座って~」 律「あぁ、うん」 唯「はいどうぞ」スッ 律「さんきゅ」 唯「ふぃ~」ペタン 律「……あの、唯さん?」 唯「あ、そうだりっちゃん」 律「お、おう!」 唯「パスポート来た?」 律「はい?」ズルッ 唯「まだ来ないのかなぁ」プー 律「まだ申請して一週間も経ってないだろ?その位かかるって言ってたろ?」 唯「でも待ち遠しいじゃん」 律「変な具合になってないか心配だよ私は」 唯「オデコが?」 律「何でデコ限定!?」ペシンッ 唯「大丈夫だよ~。りっちゃん可愛いもん」 律「そ、そうだな!私可愛いもんな!」 唯「そこは謙虚になろうよ」 律「あれ~?」 唯「でも早く届かないかな~」 律「え?アレって取りに行くんじゃないのか?」 唯「え?家に届くんじゃないの?」 律「う~ん?……まぁ、どっちにせよ澪辺りが言ってくれるだろ」 唯「そだね。澪ちゃんに任せとけばバッチリだね」 律「にしてもさ」キョロキョロ 唯「なに~?」 律「勉強道具の一つも出て無いけど……大丈夫か?」 唯「ちっ違うよ!?りっちゃんが来るから綺麗に片づけただけだよ!?」 律「なるほど。愛い奴愛い奴」ナデナデ 唯「えへへ~」 律「ほ~れほれほれほれ」コショコショコショコショ 唯「ごろごろごろごろ」ウナー 律「ん?あ、メールだ」 唯「誰から?」 律「聡から。冷凍庫のアイス食べて良いかだってさ」 唯「アイス!?」 律「いや、お前がソコに食いついてもだな……」 唯「あ、アイス食べる?美味しいのが有るんだ~」 律「うん。貰う」 唯「じゃあ取ってくるね~」 律「さんきゅ~。『今度替わりのアイス入れといてくれるなら良いぞ』っと」 唯「お待たせ~。チョコとバニラどっちが良い?」 律「好きな方で良いよ」 唯「……う~ん……あ!いや……あぁでも……」 律「そんなに悩むことか?」 唯「う~……」 律「だったら両方半分ずつ食べようぜ」 唯「おぉ!りっちゃんったら天才!」ビシッ 律「いやいや、それ程でも~」 唯「じゃあ、はい!りっちゃん」 律「さんきゅ」ビリッ 唯「あむっ!美味しい~!」 律「はむっ。うん、美味い」 唯「そっちもちょうだい」アーン 律「あいよ」ヒョイ 唯「あむっ。う~ん!つめた~い!」 律「そりゃそうだ。そっちのも一口ちょうだい」 唯「え~ヤダ~」 律「暴君かお前は」 唯「冗談だって~。はい、りっちゃん」スッ 律「んむ。うん、バニラも美味しいな」モグモグ 唯「でしょ?何たって私のアイスだもん」 律「だな。流石アイス、スゴイよアイス」 唯「私も褒めてよ~」 律「ん~?ゆいゆい可愛いよゆいゆい」 唯「なんかおざなり~」 律「よっ!唯さん流石!日本一!最高!」 唯「わざとらしいなぁ~」 律「どないせえっちゅうんじゃ」 唯「さて、何しよっか」 律「う~ん……ゲームとか?」 唯「じゃあリビングに~……はダメだ」 律「え?何で?」 唯「あ、え~っとね、アレなの」アタフタ 律「何?故障でもしてんの?」 唯「そっそうなの!いきなりボカーンって煙噴いちゃって」 律「何やったんだよ」 唯「何もしてないよ!?勝手になっちゃったんだよ」 律「果たしてどうだか」ハァ 唯「信用されてない~」ヨヨヨ 律「じゃあテレビでも見に」 唯「ダメダメ!」 律「……お前まさかテレビ壊したのか」 唯「だから私じゃないよ!?」 律「まぁ、それじゃあ仕方ないな。のんびりするか」 唯「そうだね。のんびりしようよ」 律「そうそう、折角の……あぁあ!?」 唯「おぉう!?どうしたりっちゃん!」 律「そうだよ!ゲームとかテレビとかじゃ無いよ!もっと大事な事が有るじゃないか!」 唯「……え、え~っと、なになに~?」 律「唯はさ、今日が何の日か知ってる……よな?」 唯「……私達が出会って、丁度半年だよね」キリッ 律「私たちが出会ったのは二年前の四月だ」 唯「てへっ」 律「で?」 唯「何の日ってそりゃアレでしょ?」 律「おぅ!言っちゃって!」 唯「献血記念日でしょ?」 律「違うよ!」 唯「あれ?違うの?8月21日だよね」 律「いや、合ってるかもしれないけどそんな話を私が振ると思うか?」 唯「『だから今から献血に行こうぜ!』とか?」 律「一度でもそんなお誘いしたこと有った?」 唯「無いから珍しいなぁって」 律「違うよ。そんな話じゃないし献血も行かない」 唯「行かないの?」 律「行きたいの?」 唯「注射ヤダ」 律「なら行かなくていいな」 唯「う~ん……じゃあ静岡県民の日?」 律「静岡の皆さんには申し訳ないけど違うわ!」 唯「え~でも静岡さんの誕生日なんだよ?」 律「そうそれ!」 唯「ほぇ?静岡さん?」 律「違う!その後!」 唯「……なんだよ?」 律「わざとかこの野郎!」 唯「あ!そっか!誕生日!」ポンッ 律「そう!ほら、今日は唯の大事な人の誕生日だろ?言ってて恥ずかしいけど……」カァァ 唯「そうだったねりっちゃん!早速だけど唄うね!」シュタッ 律「い、良いよそんな慌てなくても」テレテレ 唯「ハッピバースデートゥーユー!ハッピバースデートゥーユー!」パンパン 律「いやいやどもども」 唯「ハッピバースデーディーア関根さ~ん」 律「誰だよ!?」スパーン 唯「え?関根勤さんだよ。知らない?」 律「知ってるけど何で!?」 唯「あれ?違った?ほぁ~っとかやる人」ホァー 律「いや、ほぁ~っじゃなくて」 唯「じゃあ稲川淳二さん?」 律「はい?」 唯「怖いですねぇ~の人だよ」 律「知ってるわ!っていうかそんな見当外れな事言うお前の方が怖いよ!」 唯「え~嬉しくないなぁ」 律「私は悲しいよ……」ガックリ 唯「り、りっちゃん?」 律「唯、マジか?」 唯「え、何が?」 律「……私、前に言わなかったか?」 唯「え、あ、う~んと、あのね?」 律「何だ?今度は誰の名前出すんだ?萩原聖人か?くまのプーさんか?それとも漬物の日か?」 唯「違うの!ってプーさん今日誕生日なの?」 律「そうだよ。昔調べたからな、今日誕生日の有名人とか」 唯「もしかして……怒ってる?」 律「そこじゃ無いだろ!何で調べたのとか聞けよ!じゃないと話繋げれないだろ!」ガーッ 唯「え~っと~……」 律「……もういい」プイッ 唯「あ……」 律「いっそ分かんないって言ってくれた方が良いよ」 唯「えと」 律「唯が思い出すまで何も言わん」 唯「りっちゃん、あのね」 律「ケータイ震えてるぞ」 唯「え?あ、ホントだ。でも」 律「出れば良いじゃん。大事な用かも知れないだろ」 唯「う、うん……」ピッ 律「……」イジイジ 唯「もしもし。あ、憂?もう!遅いよ~。うん、うん、わかった~」ピッ 律「……」 唯「えっと、りっちゃん」 律「何だよ?」 唯「あ~っと……お腹空かない?」 律「空かない」 唯「そっか。じゃあノド乾かない?」 律「乾かない」 唯「う~っと、え~っと……どうすれば……」 律「……帰るわ」スッ 唯「え!?」 律「今日が何の日とか考える気も無いみたいだし」スタスタ 唯「ちょっと待ってよりっちゃん」 律「何だよ?思い出すよりご飯の方が先なんだろ?」 唯「ちがっ、そゆ事じゃなくて」 律「もう良いって。それじゃ」ガチャ 4
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俺は旅をしていた。 話せば長くなるが、妹の病気を治す為に『薬草』を求めて。 1冊の本だけが手がかりだったが、終に薬草を手に入れられた。 唯一の手がかりであった本は正確であり、妹の病気は治った。 「何を黄昏ておる、人間」 「ん? サンダーか。バトルしてたんじゃないのか?」 「お客様にはご丁寧にお引取り願ったわよ」 「フリーザーも居たのか」 振り返るとそこにはサンダーとフリーザーが居た。 お客様…と言うか相変わらずやってくるバトル希望者を撃退してくれていたのだが。 俺はコイツらのマスターでありながらこうしてバルコニーから様子を見ているだけである。 「居ては悪かったかしら?」 「いや、そう言う訳じゃ無いんだが」 「そ? ならいいわ」 「何か用事か?」 「え? あ、いや、用…と言う程の事じゃ無いわ――」 フリーザーがもじもじと何か言い難そうな感じで話掛けて来た。 隠していると言う感じでは無く、言いたくて仕方ないけど話せない感じ。 「何をしておる、フリーザー。さっさと渡さぬか」 「あ! 最初はワタクシが渡そうと思ってたのよ! コレ! 青年に!」 そう言ってサンダーが一つのラッピングされた箱を手渡してきた。 慌てた様子でフリーザーも冷えた箱を渡してくれた。 「早い者勝ちよの」 「むー…」 「? まぁ、いいじゃない。受け取ったし。2人共ありがとうな」 いつもの2人の様子に変な感じになりつつもお礼を言う。 2人はそのまま顔をしたままその場に居る。 「早く開けて食べてっ」 「食べる?」 フリーザーが焦れた様子で俺に開けるよう催促した。 食べる、と言う事は何か食べ物が入っていると言う事であろう。 何となくフリーザーの箱から開けてみた。 ―――チョコレート。 「……あぁ、そうか」 「今日は『ヴァンアレン帯』とやらなんだろう?」 「――『バレンタイン』な。ヴァンアレン帯は宇宙にある放射線帯の事だ」 放射線帯とイベントを一緒にされても困る。 苦笑しながら開けたチョコレートに口をつける。 ほろ苦く甘い物が苦手な俺の口に合う味であった。 「うん、美味いじゃん」 「――! ありがとっ」 「良かったのう。最初に口付けて貰えて、しかも、褒められて」 「も、もう…!」 サンダーのからかいにフリーザーは赤く染めていた顔を更に赤くしてしまった。 「そ、それじゃあ! 青年、サンダー、先に部屋に居るわね!」 「あぁ、チョコ、ありがとうな」 「う、うん!」 逃げるようにと表現した方がいい感じにバルコニーから家へ入って行く。 残ったのはサンダーと俺だった。 「……それにしてもヴァンアレン帯なんて、普通の人は知らんぞ?」 「少し間違えただけじゃろう?」 「何処で知った、そんなもん」 「ピクシーが教えてくれたのでの。語呂が似ていたので間違えただけじゃ」 「……ピクシーなら知ってそうだな」 「ま、何にしてもここは冷えるのぅ」 「…そうだな。バトルも終わってるしな」 サンダーに促されたので、いつの間にか誰も居なくなった家の前を見るのを止めて部屋へと入る。 部屋に入ると先に部屋に入って居たフリーザーが居た。 「皆も渡したいみたい。リビングで待てるって」 「あぁ、ありがとう」 サンダーとフリーザーを連れつつリビングへと向かう。 リビングには妹と萌えもん達が居た。 「お兄ちゃん、コレ」 「あ、くれるんだ。ありがとう」 「それにしても、あのフリーザーが先走るとは…」 妹とファイヤーが俺にラッピングされた箱をくれた。 中身は見なくてもチョコレートだと予想は付く。 「先走る?」 「ほら、色々とあっただろ? だから、妹に最初に渡して貰おうかと思ったんだけど…。 意外なる伏兵? フフフ、久々に面白いモン見たよ」 「こ、こら…!」 ファイヤーのからかいにフリーザーが顔を赤くして怒る。 2人はリビングのテーブルの周りをわいわいと騒ぎながら追いかけっこをする。 「主人。私からコレを」 「ん、キングラー。ありがとう」 「大きいな」 「すみません。この手では細かい作業が…」 「……そうだな」 ほんのりと赤くしたキングラーが大きめの箱を俺の前に出した。 箱も大きいが中身も大きいらしい キングラーの次はルギアらしい。 「はいー、これどうぞ~」 「あぁ、ルギアもくれる……ってか、コレなんだ?」 「イチゴ大福ですよ~? 美味しいですよ~?」 「はぁ、相変わらずだよね、ルギアは…。ボクは普通にチョコだよ」 「何はともあれ、2人共ありがとう…」 ルギアのイチゴ大福を尻目にホウオウはチョコをくれた。 天然箱入りお嬢様はバレンタインを余り知らないらしい。 とりあえず、皆がお菓子を買ってるから…なノリだな。 去年までの成果が母親と妹の2つから比べると格段な成果である。 ……相手が人間では無い事を除けばの話だが。 これで1ヶ月後のホワイトデーが怖くなった気がしないでもないが。 -旅人とバレンタインデー Fin-