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わ 我が体内に り 龍がいる り 龍は て 天に棲み ひ 火を吐く わ 我はただひとりの り 呂布なり ◇ ◇ ◇ 横島忠夫。 世界最高のゴーストスイーパーの一人、美神令子の除霊事務所所員。 また彼自身も、世界最高のゴーストスイーパーの一人である。 オカルトの世界に身をおいて以来、人類を脅かす数多の妖魔魑魅魍魎と戦ってきた。 最も古く強力な吸血鬼、ブラドー伯爵と。 かつてヨーロッパを席巻した悪魔、パイパーと。 天界の黒便覧(ブラックリスト)に名を連ねる竜神族、メドーサと。 日本全土にその牙を剥いた大妖、死津喪比女と。 そして世界を滅亡の危機に陥れた超高位魔族、アシュタロスと。 数多の強大な敵から人々を救ってきた横島は、掛け値なしに英雄と呼べる存在である。 その英雄は今、映画館のスクリーンに向かっていた。 殺し合いが始まって、横島が飛ばされた場所は無人の市街地だった。 夜の帳が下りているとはいえ、全く人影のない街の様子は不気味でしかない。 横島はしばらく、全く状況に頭がついていけず ただ漠然と、周囲の様子を窺うことしかできなかった。 ちょうど自分が殺し合いの為の、会場に送り込まれたことを理解した辺りで そこが映画館の前であることに気付き 映画館の上映作品の看板に 『国天んらんい妻人』 もとい 『人妻いんらん天国』 なる作品名を見付ける。 映画館の中は、外と同じく全く人の気配がなかったが 照明は点いていて、耳をすませば上映している映画の音声と思しきあえぎ声が漏れ聞こえてきた。 「フ……今にも殺し合いの犠牲になっている人が出ているかもしれないって状況なのに ゴーストスイーパーがのんびり映画鑑賞なんかしていられないぜ」 そして無人の映画館に入っていく横島。 「ああっ! しかし意思とは無関係に、体がひきよせられていくーッ!! わかったワナだッ!! これは死神博士のワナだーッ!! おのれーッ、なんて巧みに人の弱点をついてくるんだああっ!!」 以上の経緯により横島は、劇場のちょうど中央の席から『人妻いんらん天国』を観賞していた。 (くそっ、こんなことをしている場合じゃないのに…………いや! 違うぞ!! 俺は煩悩を霊力として放出する男……!! つまり今こうやって煩悩エネルギーを溜めているのも、正義のため! 正義のためなんだ!!) 『こわがることないのよ、タカシくん。ブラをはずしてちょうだい』 『お、奥さん。で、でもボク……』 映画の方は既に佳境に入っている。 いわゆる、ここからが濡れ場と言う段階だ。 若い精力と好奇心に満ちた横島が、自然と映画にのめり込んでしまうのも致し方ないと言えるだろう。 「ええい、じれったいな! 俺だったらもう、一気にいってるぞ!」 『私の言うとおりにすればいいのよ』 『ダメだ!! ボクやっぱりできません』 『タカシくん……』 「タカシ、てめえそれでも男かー!! 男だったら、一気にいけ! 一気に!!」 その横島の要求に応えるようにスクリーンが轟音と共に――爆発した。 映画の内容が、ではなく。スクリーンそれ自体が、である。 「……………………は?」 粉塵が撒きあがり、細かい瓦礫がパラパラと音をたて横島の近くでも舞い落ちる。 スクリーンの中央付近には大きな穴が開き、うっすらと夜の街が見通せた。 やがて粉塵が晴れていくと、スクリーンを破壊した犯人と思しき ドレッドヘアーの、如何にも無骨な男の姿が現れ始めた。  ̄ ̄`> / ∧ ∨厂ヽ \`丶 \ ヽー──一 ´ / / ヽ // _,≧k、 弋ヽj /⌒ヽ ∧ \ / /l / _〉∧マイヾ ノ\ ヽ / r‐ミヽ l─一ァ ヽ、__ | | | /ヾ |l| 〃ヽ {ヾ \} \| /-‐、ハ | { / ヽ|/| |゙ヾヽヾ!レ e ~ノ 三ミ ` ⌒ヽ | / ̄ ̄了 / { {ヲ≠≦k_ヽ_jヘ y ,1ィ< ミミ } ノ ノ / -= { / l、 /ヾ _,,>ヾミY ≧=< / ̄ヽー、 .. ヾ ゝ= " \ ノ , -ー=-、 __, ム>i7´ e ~ 、ノ _. 〃ニ ´ ̄、 、\ .. ヾ } Z ー‐ ´ . / ∨ ;ヽ/;; ∧ {!ヽ{ ∨ヽ.. ’ / > ´ ̄\\ \ / }ヘ! / ミ、}く }_;;;;;;ヘ \_ 火 j/ _>= ′/\\\≧ニ≧=≠===≠、___ /ヽ ヾヽ=く! ;;;;;;;;; ,. ヽ`ヽ ̄ f /く ヽヽ_,勺 \\ / {{ ´ /) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄>、 { ヾヾ\ ヾ \`ヽ;;;;;;; ト- ゝ、ム ヘ{ヽ_,二メ- ´ /⌒{ /ll (/ // <三三 ∧ヾヾヽ.\ \;;;;;;;;;;} ヽ ∧ヽ\\\か /ヽ ∥ ///<三三三三 {ヾヽヾ\\ /;;;;; / \ \\\厂゙j/ /》.//<三三三三三三 l\ ┛ ┗ 、ー─ ;;;;;/ `ヽ、 ヽヽ{¨´ヾ_../∠1!// //三三三三三三 ヽ ┓┏ ヽヾ;;;;;/ rイ二二>マニ彡く| |ー〃 / //三三三三三三 . \\\\ヽ ヽ ‐ぐ | | ヽ∨ } } / / /八三三三三三> ヽ _ =ニ三≡ニヘ Lヽー l// /l | / l / |三三> ´ \ィ彡三三ヘ\\ヽ∧ > レ / /// | l __〉´ =≡ニ二三__ 〉´ \\\\\\ヽ≧_ //て ∨ /// /  ̄ { =≡≡ニ二三三_ \\_>=≡ニ三三ニ≡=ヘ ///∧ { / //// } =≡≡ニ二三三三 厂〃 \\\\\\\∨ { {{ | | / /// / =≡≡ニ二三三三 「おまえのようないんらん人妻がいるかああああああっ!!!!!」 先程までスクリーンにぶつけていた、若き情熱の持って行き場をなくした横島は その怒りを、未だ粉塵の中から全容を見せないドレッドヘアーの男にぶつける。 それはもう、思わずAAになってしまう剣幕で。 「てめえ、映画はこれからと言うところやないか!! これからのタイミングでお預け食わすなんて それが男の、人のすることかーっ!!」 横島は怒りの涙まで流している。 それほど男の煩悩の邪魔をした罪は重いのだ。少なくとも横島にとっては。 やがて男の全体がはっきり確認できるほど、粉塵が晴れてくる。 横島を遥かに上回る筋骨隆々な巨体。 重圧すら感じる、威圧的な眼光。 男が息吹を上げる。足下のまで消し飛んだ。 「…………それでですね、今後こういったことがないよう注意していただければ 私どもと致しましても、納得できる次第でありまして…………」 霊能者の優れた感覚に頼らずとも、容易に感じ取れる。 男の並ならぬ覇気、そして”暴”の臭い。その危険性を。 そうなれば自然と態度も軟化する。横島は強者に頭を垂れるのを、躊躇わない男なのだ。 不意に男の頭上へ、スイカ程の大きさのコンクリートの塊が落ちてきた。 男はそれを無造作に、片手で払い飛ばす。払い飛ばされたそれは、映画館の壁に激突。勢いのまま穴を開けた。 (俺の直感が告げている。こいつはやばい! しかも霊圧も感じ取れないのに、ルシオラやパピリオ並のパワーを発揮してやがる!!) 「こ 殺し合いは き 気持ちがいい」 「…………はい?」 男の誰に言ったとも知れない呟きに、緊張のあまり横島は思わず返事を返す。 「り 龍の檻が と 解かれたようだ」 (こいつ絶対やべー! これ以上触れてはいけない方だっ!!) 完全に引いている横島を意に介さず、男は続けて言い放った。 「お 俺が お お前を こ 殺す」 「はーっはっはっは、ダンナに目を付けられたとあってはお前もお仕舞いだな!! 今更後悔しても遅ーんだよ、お前はダンナの手に掛かってここで死ぬのだーっ!!」 そして背後に広がる無人の空間に向かって、横島は叫ぶ。 「それじゃダンナ、あっしは邪魔にならない内にこの辺で失礼しやす。へへへへ」 揉み手をしながら三流小悪党丸出しな笑みを浮かべ、横島はゆっくりと劇場の出入り口に歩き出す。 男は手に持っていた蛇矛を横島に向ける。 「お お前だ」 (すでに俺をロックオン済みかあああああっ!!) 男はその場から助走もなしに跳躍。 一足飛びに横島との間合いが、一気に詰まる。 造作もなく横島の前に着地。そして蛇矛を横島目掛け振りおろす。 その状況を認識するより早く、横島の霊感が彼の身体を横に動かしていた。 次の瞬間には、横島のいた空間と地面が切り裂かれている。背後にあった座席など、微塵に粉砕されていた。 もし僅かにでも反応が遅れていたら、横島の体は唐竹のように割れていただろう。 (ホホホ、ホンマの化けもんやないかああああ!! こんなん、反則やないかあああ!!) 回避能力。 数え切れない死線を潜り抜けてきたGS横島の、ある意味最大の長所と言える能力。 それは思考よりも早い次元で、男の攻撃を紙一重で避わせるほどであった。 そして逆に言えば、男の攻撃は横島ですら紙一重以上の回避を許さない鋭さを持っていると言える。 一見粗暴に見える攻撃が、その実武技の鋭さを秘めている。 男はただの怪物ではない。並ならぬ戦士でもある。 攻撃を避わした横島を、男は意外そうに目を見開いて やがて顔中に太い血管を浮かび上がらせていく。 「ままま、まあちょっと聞いてやダンナ! 掘り出しもんがあるんス。掘り出しもんが!」 横島は腰が引けながらも、ビー玉程度の大きさの球を男に差し出す。 男が球に注意を引かれていくのを確認すると、横島はそれを放り投げる。 球は空中で放物線を描き男の眼前 男が球に浮かび上がった、『閃』という文字を視認できる位置までいった瞬間 劇場内が閃光に包まれた。 今横島が投げた物こそは、霊力を凝縮しキーワードを込め一定の特性を持たせ開放する能力『文殊』。 使いようによっては如何な魔族をも倒せるとさえ言われる霊能力である。 (で、ゴキブリのように逃げる!!) 横島は目を瞑り顔を逸らしていたが、それでも閃光の影響から逃れられず視界がほとんど利かない状態だ。 しかし予め頭の中でで逃走経路を確認しておいたので、それに従って淀みなく動くことができた。 わき目も振らず全力で疾走し、劇場を出て映画館の建物を出る。 外の空気のふれた時には、視力も回復していた。 横島が一息ついた途端、映画館の側面辺りから壁を破壊したと思しき轟音が鳴り響く。 「ど どこにいるー!!!」 そして、それを遥かに凌ぐ大きさの男の声が響きわたった。 閃光手榴弾(スタングレネード)をも凌ぐ文殊の光を、至近距離からまともに浴びて これ程早く動き出せるとは。 男の強靭さと、自分がもう少し逃げ遅れていたら殺されていた事実に怯えながら 横島は得意の逃げ足で、夜の市街に消え去った。 ◇ ◇ ◇ 呂布奉先。 英雄豪傑が犇めく後漢末期中華世界で、なお最強をうたわれた飛将軍。 その武勇、並ぶ物なしと天下に称えられ そして無数の敵を、あるいは味方を 養父である丁原に董卓も殺し、恐れられた男。 呂布にとって、何故突然殺し合いに巻き込まれたのかも 何故殺したはずの董卓が生きていたかも どうやってこの場に連れてこられたかも この殺し合いにどんな意味があるのかも 何もかもがどうでもいいことだった。 これは己以外の全てが敵と定められている殺し合い。 戦うべきが敵がはっきりしていれば、呂布の心は恐れも迷いもなく解き放たれる。 まさに純粋戦士。 呂布に戦いの意味など必要ない。そこが戦場なら、ただただ龍の息遣いで戦いぬくのみ。 天心の望むがままに見も知らぬ町並みを彷徨い、奇妙な建物から人の声が漏れ聞こえる。 壁を破壊し内部に侵入。そこで最初の敵にであった。 何やら訳の分からないことを喚いていたと思ったら、急に怖気づいたような態度を取り始める。 それでも落ち着かぬ態度とは裏腹に、その敵からは微かに武の匂いがした。 修羅場を潜ったものだけが纏う空気を嗅ぎ取れる。 しかしその敵は得体の知れない光を放って、一太刀を交えることもなく逃げさった。 あの敵はいやな奴だ。 必ず殺す。 名も知らぬ敵への殺意をみなぎらせ、呂布はただひとり戦場を行く。 自らが何処より来たかも省みず 自らが何処へ行き着くかも省みず ただひとりの呂布の、ただひとりの戦が始まった。 【J-9/市街地/一日目-深夜】 【呂布奉先@蒼天航路】 [状態]:健康 [装備]:蛇矛@蒼天航路 [持物]:支給品一式、不明支給品×0~1 [方針/目的] 基本:この戦の敵を皆殺しにする 1:横島を捜し出して殺す [備考] ※蒼天航路原作その九十一終了後からの参戦です 「あー、びっくりした! 死ぬかと思った。クソー、殺し合いが始まって早々あんなドレッドゴリラに鉢合わせるなんて こんな所でも、俺はツイてない言うんか」 夜の帳が下りた街の中、更に闇の深い路地裏に座り込み 呂布の手から逃げ去った横島は、身を潜めていた。 「大体、殺し合いさせたいんだったら美人のねーちゃん位、呼んできたらどないなんじゃ!! あー! そしたらこっちは追い回されても『よーし、ねーちゃんがそんなおいたをするんなら こっちも負けずにいたずらしちゃうぞー』ってなって、そんでそこからくんずほぐれつ…………」 追われていた身だと言うことも早忘れ、病的な妄想を繰り広げる。 ツッコミ不在のまま、5分近くそうしていたが さすがの横島といえど虚しくなり、我に返る。 「……しゃーない、さっさと首輪を外して、とりあえず殺し合いからリタイアするか」 横島とて、全く状況を弁えない愚か者ではない。 今までの緊張感の欠片もない態度も、全て首輪を外す手段を持っているゆえ。 首輪の解除を試すのが遅すぎる気がしても、ツッコんではいけない。 横島は文殊を作り出し、しばし思案した後 霊力を込め『解』の文字を浮かび上がらせて、自分の首輪に押し当てる。 これで文殊の効果によって首輪は解け、殺し合いからも抜け出したという形になる。 「フ……首輪さえ嵌めておけば、言いなりに殺しあうしかないと思っていたんだろうが このゴーストスイーパー横島の方が一枚上手だったみたいだな、死神博士さんよ」 死神博士の策略を上回り、横島は余裕の笑みさえ浮かべる。 自分が殺し合いから抜ければ、他の人間の首輪を外して回る事だってできる。 死神博士に知れたら外そうとした者の首輪を爆破されるかもしれないので、慎重に動く必要があるが。 とにかく参加者全員の首輪を外せれば、殺し合いは破綻する。 つまり横島はここでも英雄となるわけだ。 そういえば殺し合いの最初に集められた会場には、何人も美女美少女が居たような気がする。 彼女らも当然、命の恩人の横島には感謝するだろう。 もうその後は横島の想像力、そして妄想力は留まるところを知らない。 「待ってろよねーちゃん達ー!! 今、俺が助けに行きますからねー!! ……………………だからさぁ、そろそろ文殊は首輪を外せよーっと…………」 そう。何故か、先程から文殊の効果が発動しない。 『解』の文殊を首輪に押し当て続けているにも拘らず、何の反応もないのだ。 だんだんと、横島の不安が大きくなっていく。 『もしやこのまま首輪が外れないのではないか』と言う不安が。 そしてその不安はすぐに現実となる。 常より早く持続時間の限界を迎えた文殊が――消え去った。 「え、おま、ちょ、いやいや、何で!!?」 横島は混乱する頭で、必死に原因を考える。 文殊の形成に失敗した――否。文殊に文字が浮かび上がった以上、形成自体に不備はない。 文殊の使用に失敗した――否。文殊の使用方法に難しい条件はない。押し当てれば、それなりの効果を表すはずだ。 文殊に込めるワードの選択を失敗した――否。首輪がどんな内部構造をしているにせよ、『解』なら何らかの効果が得られるはず。 どう考えても原因が…………一つだけ考えつく。 「……………………も、ももももも、もしかして文殊の効果が抑制されているんじゃ?」 結局、何故文殊の効果が表れなかったかのちゃんとした答えは出ない。 しかし文殊で首輪が外せないのは、ほぼ間違いない。 つまり殺し合いから抜け出せないということだ。 横島の顔からさーっと音をたて、一気に血の気が引いていく。 「いやああああああああああああああああっ!!!!!」 ようやく事態の深刻さに気付いた横島の絶叫が轟いた。 世界を救ったゴーストスイーパー横島の受難は、こうして幕を開けた。 【J-9/市街地/一日目-深夜】 【横島忠夫@GS美神 極楽大作戦!!】 [状態]:健康、気が動転 [装備]:無し [持物]:支給品一式、不明支給品×0~2 [方針/目的] 基本:生き残る 1:いややー! 殺し合いなんていややー! [備考] ※GS美神 極楽大作戦!!原作終了後からの参戦です 時間順で読む 前:To the real 次:不思議の国のオリバ 投下順で読む 前:To the real 次:不思議の国のオリバ 呂布奉先 横島忠夫
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結末へ向けて、紡がれる希望。 あなたのよく知る未来へ向けたその布石。 すべてはただ、あなたの信じた未来の足場を固める行為。 石橋は叩いてこそ固まるのだ。その橋は真ん中を渡れ。 第三話 諦めるつもりがないなら決戦だ ふわりと舞うならそれはきっと、無邪気の体現。 御前様ふわり。早坂桜花の横をふわふわと舞う パピヨンの元へ現状の報告をした帰り道。その報告はもはや義務や取引といった関係を持つのか微妙なところであったが、桜花は自身の手元に彼から投げられた「ドクトル・バタフライの核鉄」がある限り、この行為を当然として続けていた。 もはやパピヨンが報告を望んでいるのかどうかも計り知れない。が、この不条理と理不尽が硬直した今という状況を鑑みた時も何かすがる思いもあったのだろう。 また、報告という行為は、思考を張り巡らせ極限の深みまでの思考を試みる桜花にとって、彼女に安定した冷静さをもたらす結果を生んでいた。物事を整理して話すという行為は、時に着眼を客観として見るからである。 桜花はあくまで現状を整理し、打破するポイントを必死に探ろうとしていた。 山道を下り、並木道を抜け、学園で秋水と落ち合う段取り。 だが、そんな確認する必要もない簡単な行程の中で、桜花はふと足を止めた。 脇道の人影に気づいたからである。御前様が驚きで愕然としている分だけ、桜花は冷静に相手を見据えることができた。代わりに御前様が相手に指を向け、驚きをアクションする。 「オ、オメーは!?」 「オヒサシブリ。そしてそっちの人は、ハジメマシテで、いいのかしら?」 目の前にいる少女。ヴィクトリア・パワード。 その接触を誰が予想できたであろう。腹黒い彼女もこれには予想外であった。 いや、可能性は実現可能として考慮していた。だが、それは暗躍する存在としてであり、まさか単身で桜花に接触をしてくるとは予測できなかっただけ。 「あなたが、その可愛らしい武装錬金の創造者、ハヤサカオウカね。ねえ、突然で悪いんだけどパピヨンの所へ案内してもらえないかしら?」 拒否不許可の声色が響き、僅かすらも相手の意志を伺おうとはしない漆黒の声が命令を唄う。壊れてしまった人間の表情ではありえない、心があるからこその固い意志。そむけられない別格の敵意。 「ヴィクトリア・パワード」 ホムンクルスという存在を前にして。桜花は御前様のみの武装という今の不完全な武装状態を、無動作で全ての篭手を創造し完全武装できるように、心で信念と同調を図った。 桜花は対決を覚悟し、そして同時に自身を強く苛む。核鉄所持者としての自覚が足りていなかったことを深く後悔する。周囲に対する警戒のつもりで御前様を武装していたが、それはつまり自身が核鉄所持者と触れまわるようなものだからだ。この銀成市内でならそれも許容されるだろうという確信に近い甘えが 、油断に直結した。そして油断は死に直下する。 覚悟を諦めと言うなら、桜花は覚悟を決めた。戦闘への決意。それでも相手を無駄に刺激しないよう、強引に口だけを開く。 「本当に突然ね。パピヨンへの道案内、断ればどうなるのかしら?」 「武装解除で、一人の戦士長が生き埋めになるでしょうね」 即答は予想外へ投げられ、その勢いが手かがりを結ぶこととなる。閃きとは線であり、つまりそれが過去を紡ぎ答えを描くのだ。ヴィクトリアの投げ上げた言葉は、状況を把握するには十分すぎる言葉だった。いわば火渡戦士長失踪の原因がヴィクトリアであるという自白を前にしたのだ。桜花ならば全てを深読みし、現状を描く全ての答えすら言葉として脳を駆け巡ったことだろう。 だがその申し出、意図が桜花にはさっぱりと掴めなかった。そこで桜花は、思考を整理する時間稼ぎの意図も込め、先に気にかかるささいなことを訊ねることにした。 「あなた、確か一緒にいるだけで気分が悪くなるほど、錬金術の全てが嫌いなのではなくて?」 「そうね。だからあなた。調べた中じゃ、錬金の戦士から一番遠い錬金の戦士。ホムンクルス・パピヨンとの繋がりも噂されている。それからあなたのことは色々聞いているわ」 ヴィクトリアの声に無自覚に込められた響き。―――このひとはわたしとおなじ、あの眼ができないひと。それでもこの世界に生きているひと。だけどわたしはひとでなし。それでもわたしはひとでなし。 桜花についての大体の情報は、ムーンフェイスから入手していた。 それでも、ヴィクトリアはさきほどの桜花の質問に対する回答になっていない言葉しか言葉として吐かない。 なぜここに来たのか。なぜパピヨンに会いに来たのか。なぜ彼女は企み動いているのか。 ただひとつ確かなこと、皆を幸せにするつもり、ではない。 火渡の命が天秤にかけられ、さらには相手の意図も把握できない状況。桜花に拒否権はない。 「警戒の意味も含めて、御前様は武装解除しないわよ」 それが答え。恭順の意思表示。ヴィクトリアはそれをせめてもの強がりだと理解し、嫌味で笑う。 「ええ、私もそれぐらいは譲歩してあげるわ。我慢してあげる」 あらあらでは済まされないかもしれない取引だろう。それでも今は、利用されちゃうのも仕方ないと桜花は思う。 最大限の譲歩の駆使。来た道を戻り、ヴィクトリアを蝶々の隠れ場へ案内しようと桜花の決意。 それに続く会談が、どれほどの布石となるかを知る者は少ない。 だが結末へ向けた賽は、こうして投げられる。 どれだけ賽が積まれようとも、川を渡れ。 交差した先にこそ、運命は地獄を這い上がり立ちふさがるのだから。 それは長旅ではない。急ぐ必要もなく辿り着く運命の近似値。 そこにいるもの、三名。ヴィクトリア・パワード。早坂桜花とエンゼル御前。そして、パピヨン。ここはパピヨンの秘密の研究所。 「ヒサシブリ、研究は進んでいるようね」 「――…貴様か。招いた覚えはないが、何のようだ?」 その出会いはどこか物語的で、とてもどころではなく不自然な出会いだった。作為があるとすればヴィクトリアの意思。軽く嫌味たらしいヴィクトリアの望みによる結論か。 パピヨンは、話を聞こうじゃないか、とは言わなかった。言うわけがなかった。 誰も彼も、不機嫌を隠しながら晒け出しながら手探りの模索を続ける。 ヴィクトリアにも、そんな時期があったのかしら、どうかしら。 前置きは不要だとヴィクトリアは空気を読み、さっさと本題に入ることにした。 「ママに言われて、あなたに渡すものがあったの。本当は白い核鉄を渡すときにあなたも来ると思ってたんだけど、来なかったからね」 運命すらもあざ笑うかのように笑うヴィクトリアに対し、パピヨンの顔がさらなる不快色で染まる。そんなパピヨンに向けて、ヴィクトリアは一つの紙束と“何か”を投げつけた。 それは、後に運命を変えることになる大切なものとなる、望みの種。 希望につながる糸を生む種を投げつけたヴィクトリアは、自身の言葉をもってそれを否定する。 「今となっては意味を成さないでしょうけど、ね」 パピヨンの不快感は、漆黒を超えた。 「…これで貴様はオレに何をしてもらいたい?」 「別に。ただママがあなたに渡したがってたから。だから、利用するかしないかは、貴方次第よ」 人から与えられた選択肢が、蝶々に突きつけられた。 それはDr.アレクの研究の一部。そしてもう一つ。シリアルナンバーL(50)の核鉄。かつての使用者の名を、アレキサンドリア=パワード。 少し、結果論の話をしよう。 いかに天才とは言え、ほんの2ヶ月ほどで、精製不可能とまで言われたものをゼロから創造るコトは可能だろうか?その答えは、天才じゃなくたって判るだろう。『そんなコトあってたまるか』。 彼らの世界がそれほど甘い世界ならば、今頃錬金術は皆の為になってるし、賢者の石だってとうの昔に完成している物語が描かれたことだ。しかし、あなたのよく知る未来を考えてもらいたい。白い核鉄は二ヶ月で完成した。パピヨンが、完成させた。 結果論を理解するには、過程を導くことが求められる。 この結果論を紡ぐには、ある仮定的手がかりが必要であった。 二か月という期間で求められるのは、研究にかける時間の短縮と、そして材料。 さかのぼれば、白い核鉄の精製方法そのものは残っていた。あとはベースとなる黒い核鉄をつくるだけ。だが、黒い核鉄の製法はもう100年前に失われている。それが問題。 無から白い核鉄を精製することは、困難を極める。故に、2か月という期間で白い核鉄を精製することは不可能と言えるのだ。 もう少し整理してみよう。 そもそも白い核鉄とはなんだ。 賢者の石の精製。錬金戦団は長きに渡る研究の果てついに100年前、シリアルナンバーⅠ~Ⅲの核鉄をベースにして3つの試作品を造り上げた。それが―――黒い核鉄。 その黒い核鉄を基盤に開発されたのが、黒い核鉄の力を全て無効化する、白い核鉄。 つまり核鉄から黒い核鉄は造られ、黒い核鉄から白い核鉄は造られる。 加えてもう一つ。カズキの胸にあった試作品の核鉄。それは黒い核鉄の力を制御し通常の核鉄と同じ力に戻す試行型。つまり、それを逆に考えれば、理論上は試作品の核鉄から黒い核鉄の精製方法も見えてくるであろう。 鍵はヴィクトリアが握っていた。 結果論から考えたとき、結末へ向けて“誰の核鉄も欠損させず”物語をピリオドへ繋ぐには、パピヨン謹製白い核鉄の材料となる核鉄が必要となる。ここに、物語上、宙に浮いた核鉄がひとつあった。それが、アレキサンドリア=パワードの核鉄。 結果論から考えたとき、結末へ向けて“最短研究開発速度で”物語をピリオドへ繋ぐには、パピヨン謹製白い核鉄の礎となる研究資料が必要となる。ここに、物語上、宙に浮いた研究資料がひとつあった。それが、アレキサンドリア=パワードのデータ。 全ては、アレキサンドリア=パワードの死を未来に繋ぐ存在が鍵を握る。 物語の構成美を結論点に見据えたとき、全ての扉が開かれるためには、ヴィクトリアの鍵が必要だったと言える。 言ってみれば、パピヨンにとって目の前にお膳立てが整った状況である。 ここまできたら黒い核鉄の完全なる精製方法なんて必要ない。今ここに、Dr.アレクの研究資料が投げ託された。黒い核鉄のベースとなる核鉄までも、併せて投げ託された。 もはや白い核鉄が託されたといっていい状況である。 これだけ揃っていれば、パピヨンにその意志さえ固まれば、黒い核鉄も白い核鉄もできるだろう。 なぜか。 なぜなら彼は馬鹿じゃないのだ。 ましてや彼は、蝶・天才なのだ。 研究の一部があれば完成させるのは可能である。そんなことは既にパピヨンが蝶野攻爵として人間であった時にも成しえている道だ。 ヴィクトリアが投げたのは物語の分岐点であった。自由な蝶々の前に、人から与えられた選択肢が突きつけられたと言ってもいい。 それは、ピリオドの日まで不機嫌でい続けるには十分すぎるほどの選択肢。それでも。 たとえ人に利用されるのが大嫌いだとしても、今は仕方なかった。パピヨンに、選択の余地は無かった。『なぜかって?』 それはあの日から何度も確認した約束があるから。 ―――“約束忘れるなよ”。 それがどれほど気に食わないプレゼントだとしても、今、優先するべきは彼とのあの約束だ。諦めるわけにはいかない。 蝶々は顔をしかめ、不機嫌を露骨に醸し出した。まるで、武藤カズキ以外の人間にかつての名を呼ばれた時のように、不機嫌。 「どうするんだ、パッピー?」 「…五月蝿い」 やることなんて決まっているじゃないか。わざわざ問うまでも、なく。 彼は武藤カズキを諦めない。 時間にすれば五分にも満たぬやりとり。ただ、核鉄と資料を投げ渡すだけの会話。ヴィクトリアはパピヨンの揺るがなさをいつもの自虐的笑みで笑い飛ばす。 「これでママの用は済んだわ、じゃあね」 そう言うと、ヴィクトリアはふっと消えた。恐らく常に歩きながらも足元に伸ばしていたアンダーグラウンドサーチライトに退避したのであろう。 「貴様も、用が済んだなら消えろ」 パピヨンの言葉に突き放されるように、桜花もパピヨンの秘密ラボを後にする。 御前様が唖然とするまでもなく、このとき目の前で起きていたやり取りの本質を早坂桜花は理解できずにいた。時間をかけて考えればわかったことかもしれないが、この翌日に全てが動き出すのだから、そんな余裕もなかった。 これからの桜花にできることは、せめて今の彼女にできることをするということとなる。 ―――もしも今…、津村さんの心が閉ざされた今……、すぐ外に武藤クンがいたら絶対に助けてくれるんだろうな…って。 そう思ったら…ね……。 でもそれができないから問題。だって代わりなんて、いないのだから。 桜花は運命を呪わない。静かに顔をあげて、そして胸に秘めた意志を強く固める。 「ええ、“敵”の状況整理は済んだみたい。近いうちに、仕掛けてくるわ」 ヴィクトリアを今は“敵”と形容して桜花は戦意を込める。電話の相手は弟・秋水。 「わかった、姉さん。俺も一旦戻るよ」 行方をくらました再殺部隊を探す為、秋水はまず戦士・千歳を探していた。 だが、ブラボーの所に彼女はいなかった。他もいくつかあたっては見たがわからなかった。 だが、それもそのはずかもしれない。だって彼女も再殺部隊なのだ。 再殺部隊はいったいどこに消えたのか。 彼が思うに、再殺部隊は消えたのではない。なぜなら、その気持ち、なんとなく彼にはわかるから。 「俺は帰ってきたぞ、武藤」 再殺部隊の埋伏。それはきっと、自身を見つめなおす為の行為。秋水には既に乗り越えたその段階。 刀を素振る。空を斬る。既に十分伏していた身だ。暫くぶりだ。 さあ、準備は出来ているぞ。 始まりの予感はこうして、戦争の幕を舞台裏で飾る。 アンダーグラウンドサーチライトの一室で、ヴィクトリアはママの味を齧る。 「これで、とりあえず後始末の段階は終了ね」 核鉄とは将棋の駒のようなモノだ。そんな前提を無視し、ヴィクトリアは自身の核鉄をひとつ確保すると、他の核鉄は安易に託し与えた。『なぜそんなものをわざわざむざむざと誰かに渡してしまう?』 答えは簡単。これから起こるホムンクルスの一斉蜂起すらも、彼女にとってはどうでもいい話なのだ。それでは彼女の真意はどこへ? さて、彼女の真意はどこへ行く。 月のみぞ知るか、さらなる深みが隠されているのか。 「むーん、大体の準備は整ったかな。しかし彼女もなかなか面白いことを考える」 ムーンフェイスが一人、久し振りの月夜の散歩を終えて顔を出す。他のムーンフェイスは何処へか。 考えれば、答えは一つ。『月は世界中に顔を出すものだろう? 』 つまりそういうことである。ヴィクトリアがわざわざ彼を求めたのもそういうことだ。 一斉蜂起に求められしは、導きの月 月が30、再び顔を出した。欠けることのない満面の笑みで。 彼は帰ってきて前を見据えた。曇りのない眼で。あの眼の彼はもういない。 少女は上を向いた。足元を固める段階は終わったのだから。 それは同時に、殲滅戦の幕明けも意味していた。 決戦だ。 誰も彼も、俯きうなだれる中で。 それでも、誰一人として。 諦めるつもりはない。 ならば、決戦だ。 夏も終わった日、誰も知らない決戦が幕を開ける。 望んだのは、あなたたち。 そして、わたしたちもそう。 今ある力を使いこなせず、過ちを重ねて。 またひととばけものがしょうとつする。 (第四話「夜が明けたら決断を要す」へ続く) web拍手 名前 コメント
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(2014/12/31) 続く)と書いていたペンタブのDIY保護シート云々は気力が続かないので来年に持ち越し 今の所全くヨレてないからこれが最終形態となるか。タッチ機能も問題なし(使わないけど)。 一人で「今年を振り返る」 一番大きな変化は絵を描くようになったのと、Google Playへ自作アプリ(AppWidget)を公開した事。 なんか、今年はFBXに苦しめられていた思い出しかないな… FBXが結構複雑だったとか、BlenderのFBX出力が中途半端だった等。 Androidアプリに署名するためのパスワード忘れてOpenCLでアタックかけたことや、 GLSLのシンタックスハイライタなんてのも作ったなぁ、でも印象薄い。 そういえばvimを本格的に使いだしたのも今年だったか。 一人で「今年の漢字」 絵、ですな。 今年の6月までは絵なんて一生無縁だと思っていた、 それこそ中学とかの美術の授業で嫌々やっていたきりの自分が、自主的にである。 しかも、もっと上手くなりたいと思うようになった。 きっかけは多分、twitterで流れてくる絵だろうね。 あんだけ毎日毎日流れてくれば自分もちょっとは描きたくなるものよ。 一人で「反省会」 うん、あれは…年明けまでは無理だねとキッパリ言ってしまう。 まだわずかでも時間があるのに出来ないとかあまり言わない主義なんだけど プログラムに関してはそう思っていた物が出来た試しが無いもので。 勿論努力はするけど。 原因は明白、漫画である。 だって決めたの8日でしょ、14日までAndroidでNDKで無駄に頑張ってたのは良いとして 何でそっから漫画なんか描き始めるかなあという話。結局24日(中2日はサボり)までかかってるし。 で、自作エンジンを”ちゃんと”Androidで動かすのになんやかんやで28日までかかってて 今度はゲームループ(ゲームの流れを記述する為のクラス群)の設計が甘い事が判明して それをやり直しで今日までズルズル。 どのくらい修正が必要だったかGitHubのコミットを見てお察し頂きたい。 たらればになるけど もし14日の時点で「いや、この程度自作エンジンなんか必要ない。このまま行く」としていれば漫画の期間を考慮しても多分、完成してた。 それか、手間のかかる漫画ではなくイラスト一枚にしておけば… なんだか凄く申し訳ない気分に。 前のログ確認してみたら去年もその前も出来てない(か、動画でお茶を濁してる)のよね。 年明けてからあっちへふらふら、こっちへふらふらなのも変わらず。これは死ぬしか無い。 この見通しの甘さは本当、何なんだろう。 自分に「新年の目標なんか書く気が失せる位」腹が立っている。情けない。 来年から 目標は上述の通り語る価値なんか無いと思ってるのでともかく、 色々と自重しない年にしたい 具体的にはtwitterやpixivでエロとかグロネタその他今までなんとなく遠慮してきた分野を解禁する。 あと思った事は嫌われてもいいから言う。直前で我慢して良かったケースはあまりなかったように思う。 そんな感じで、行ってみたいなと。 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 (2014/12/28) Android ほとんど自作エンジンをAndroidで動かす時のバグ取りに終始してる気が。 前に動いたと書いたけどその後もポロポロと不具合が出てきて剛体物理どころじゃなかった。 しかもNDKでデバッガを使う方法がまだイマイチ分かってなくてデバッグの効率がすこぶる悪い。 原始的な方法(いわゆるprintfデバッグ)で頑張っては見てるが 今までデバッガ頼りでerrorでもwarningでもない、純粋なログ出力というのを殆どしてこなかったので 何処でコケたのか突き止めるだけで一苦労。 ログがあれば開発機以外でのデバッグに役立つから、次回は改善したい… ちなみに不具合というのは、具体的に言うと一時ファイルのパス取得がPC(WindowsやLinux)とAndroidで違ってて場合分けしなきゃいけなかったり、 Androidの場合にはSDLの初期化関数を読んだ後に追加でlibEGL.so (OpenGLの初期化ライブラリ)を読んでおかないとOpenGLのコンテキスト作成でエラーが出てしまうとか、そういう類。 なんにせよ本題が進んでおらず、非常に不味い状況である事に変わりなし。 ペンタブ ペンタブの盤面保護について。 intuos proの方を使ってる人は専用のシートが売ってるからそれを貼って終わりな話かもしれないが… 自分も他の人と同じように(?)ペンタブに摩擦の調整と保護シートも兼ねて紙を張ってるんだけど 描いてると微妙にヨレてくるよね、というのが悩み。 ペンタブで何か描く時には長時間手を置いてる訳だから当然汗などの湿気にさらされる。 湿気を含むと紙の繊維がほぐれてもろくなり、またシワも出来る。 劣化で紙が浮いてダブルタップ判定されたり、直線を引く時シワにペン先が引っかかったりするとこれが非常にストレス… 御託はともかく、多くの人は紙の適度な摩擦と適度な耐久性ということで耐水紙を貼るわけだ。 自分の場合は「アピカ ツインリングノート レインガード」という撥水加工がしてある特殊な紙を使っているのだが、 こいつはユポとかのちゃんとした耐水紙より値段が安い分か、 あくまで濡れても繊維がほぐれて破れたりしない程度の耐水性なので コピー用紙よりマシとはいえ単に貼るだけだと、ものの1時間でシワが寄ってくる。 で、何とかならんかなぁと少し前から試行錯誤してる訳だが…(続く imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 (2014/12/24) 漫画完成 遂に完成した。やっとプログラミングに集中できる。 いつもの事ながら、wikiにはそこそこ解像度版を、高解像度版はpixivへ上げた。 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 (2014/12/23) 漫画 なんだかんだであと1コマだ!時間かかりすぎて死ぬ。 1ページ目より2ページ目の方がクオリティ高い!凹む。 クリスマス絵をもう一枚描くのは気力が持たないので漫画と兼用にする予定。 あ、ちなみにこの帽子みたいなのはナイトキャップといって、漫画だけのものじゃなく実在する。 プログラム 自作ライブラリがAndroid向けにビルドできて、動作確認もできたねという段階で止まってる。やばい。 そうだな~この調子だと今日中に漫画を仕上げてアップロードして、そこから急いでとりかかって… うん、まぁ2D剛体物理だけになるね。こりゃぁ。 本当は関節とか、流体物理とか、3Dなんてやってみたかったがいつもながら見通しの甘さによって無理。 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 (2014/12/20) steamのセールに関連した絵を描く予定で、始まるのは20日くらいかなあと思って下書きだけしていたら18日からだった罠。 まぁいい、クリスマス絵だけなんとかしよう。 漫画は・・・一応塗ってみてる。 レイヤーの構造とか試行錯誤だし、 初め厚塗りでやってみて、やっぱ時間かかるやと思い、アニメ塗りにするもなんだかしっくりこないのでまた厚塗りにした経緯もあってか(ついでに2日ほどサボっていた) まだ一枚目が終わった段階である。 いやいや本当、時間かかるねーこれは。 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 (2014/12/16) 線画も大体終わった 線が重なってるとこはこれから消すにしても、やっぱり塗れる気がしないな… ちなみに使ってるソフトはClip Studio Paintなんだけど 画面をキャプチャした後のリサイズとか加工はわざわざGimpを起動せず同ソフトでやればいいじゃんと思った。 windowsでしか動かないのが難点だが。 プログラムの方 剛体シミュ作るとか言っておいて例の再発明から手付かずなのは地味に不味いよなぁ。 とはいえ漫画モドキもこの調子で一気に終わらせないとまた下書き止まりの仲間入りが確実だからなんとも。 まずは絵に集中して1つずつ片づけるしかないかね。 でも20日くらいまでにもう一枚、仕上げたいのがあるっていう。 更にクリスマスが終わるまでに一枚。 欲を言えばキリがないけど少なくともどちらか一方は描きたい。 仕上げなきゃといえばDC Widgetのバナーとアイコンもそうだけど、まぁあれは時期的な物でもないし来年でいいかと。戦略的に切り捨て。 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 (2014/12/15) 下書き終わった しかし…塗れるのかこれ? imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 (2014/12/14) プログラム 2D剛体シミュをやろうとしているのは前回書いたがAndroidでの表示や反発計算で どうしてもGJKアルゴリズムやベクトル、行列クラスを使う必要があり、これらをいちいちJavaに移植するのは 想像するだけでもしんどい(し、遅い)のでNDKを用いる事にした。 これなら今まで書いたC++のプログラムを流用できて良い。 Android StudioでNDKを使った開発というのはまだ正式にはサポートしてないらしいが ググって調べたところ、一応設定ファイルに記述すればコンパイルとリンクはしてくれる模様。 けど自前のApplization.mkを使ってのビルドはどうやら無理なようで実質使えない。 なのでちょっとスマートではないが簡単なシェルスクリプトを置き、自分で手動ビルドをかけている。 他にEclipseの時と違うディレクトリ構造とかJNIの仕様でちょっと躓いたが、まぁ想定範囲内といった感じ。 ここまでは割と順調。次に考えるのは 折角C++で物理計算その他をしているんだから表示に関してもわざわざJavaに頂点座標を返したりせず OpenGLでやれば速いし、良いのでは?という事で さっそくC++の方でEGL APIを使ってOpenGLを初期化・・・・は残念ながら上手く行かなかった。 正確にはエミュレータでは動くが実機でやると落ちる。 原因はAndroid端末は基本的にMulti ContextをサポートしていないのでContext Sharingをかけても 生成したContextが無効な値になっていた。 そもそもJavaの方で既にGLSurfaceView内部でOpenGLを初期化してあるのだから eglGetCurrentContext()でこれを流用すれば良かったという。 で、その後もJNIで描画タイミングやらユーザー入力やら作ってたんだけど ここまでするんならSDL使えば - それを組み込んだ自作ライブラリでいいじゃん という事に気づき、あぁ自分で作った車輪の再発明という最悪の奴をやってしまったなあと。 Androidでも動くように作ってたんだよね、アレ。 そんな訳でテンションがた落ちしたので、絵に逃げている… 絵 DC Widgetのバナーやアイコンもやらなきゃいけないのはわかりつつ、 何故か漫画を描いている。 といってもタチキリ、ノド、トンボ枠なんぞの用語からしてよく知らなかったんで、そこからググって調べた。 ネームとか漫画の下書き?くらいにしか思ってなかったけど実際は下書きの更に前の段階で どうやらコマ割りや構図をざっくりと決めたりする物みたいだ。 最初は単なる2コマの予定だったのが自分の悪い癖か、膨らみに膨らんで現在2ページ。 絵はぺーって適当に線引くだけだから楽勝と思いきや、やってみると自分で見ただけでも 「なんか淡々としている」だの「展開が唐突」「クドい」「スピード感がない」「位置関係がわかり辛い」「コマの読み進める順番が曖昧」 等々、出てくる出てくる。 あと(筋書きはあるんだけど)ここだけどうしても構図が浮かばない、とかね。 ちなみに一枚目の半分はこんな感じ。 UFOキャッチャーと景品の話。 全部見せると自分の力量では展開が読めてしまうので半分だけで勘弁してほしい。 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 (2014/12/08) 色々進行中‥ 絵 11月末に虎さんをアップした。 アニメ調でモフモフってどうやるのかよくわからず苦戦したけど結果それなりになったから良しとする。 ヒゲは別に描き忘れたのではなく、描くとどうしても浮いてしまうので省略。 現在はネタを2つ程とDC Widget(旧 DC Counter)の新しいヘッダ画像やアイコンを同時進行で描こうとして るんだけど、ヘッダ画像の方はいわゆる厚塗りでやろうとしたら結構手間がかかることに気付いた。 しかし今更塗り方を変えるのはどうだろう? 塗り方に合った構図というのだろうか、微妙に違ってくる気が。 下書き+αの状態でとりあえず公開して後で差し替えが現実的な線か。 ネタのほうは純粋に自分のスキル不足で、物を立体的に描くのがまだまだかなぁと。 正面や横、斜め45度は何とかなっても30度とかは難しいねぇ… パース定規のお世話になりっぱなし。 プログラム 自分的に恒例の「年明けまでに○○する(キリッ」シリーズ。 今年は2D剛体シミュのデモに決定。 実は去年の夏にも同じような事をしているが形状が箱だけや動作速度が遅い等、納得いかんので 今度は任意形状も含め安定してそれなりの速度で動く物を作りたい。 物体の侵食深度で力を加える加速度ベースではなく 前フレームの位置と現フレームの位置から速度を計算する、位置ベースで組む予定。 試しにAndroidアプリで箱を1つ、地面に落としてみたらいとも簡単に安定して今までの努力何だったの?と思ったり思わなかったり。 物体の侵食を無理やり位置をずらして修正し、速度をそれに合わせてる訳で物理的には正しくないのだろうけど ゲームの場合は処理速度重視に加え 主人公のマントが顔にかかりっぱなしにならないようにするだとか、 ショットガンで撃たれた敵を派手に吹っ飛ばす時に結局フェイク入れる事になるし別にいいかな。 ちなみにオプションの目標も幾つか用意しているがこれは後々。 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。
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前ページ次ページZEROMEGA 五宇たちや子供たちの声が聞こえなくなるまでティファニアはベッドの上で毛布に包まっていた。 家の中に自分以外の気配がいなくなると、ティファニアは億劫そうに立ち上がり、五宇が寝室の扉の側に置いていった枕と魔女の人形のふーけちゃんを手にとってまた床の上に戻った。 うつ伏せに寝ようとして、ふと動きが止まった。 今朝、青年と交わした短いやり取りを思い出す。 あの時、自分はこの枕を彼の頭に投げつけたはず……。 脳裏に蘇るのは見事に顔面で枕をキャッチした五宇の姿。 すると、手にもったただの布と綿の塊が急にティファニアの中で深い意味を持ち始めた。 気のせいかもしれないが、と言うか間違いなく九割方気のせいだろうが、枕の微妙な皺が五宇の顔に見え始めた。 そうだ。確かここに彼の顔がぶつかったのだ。 それに自分がうつ伏せに顔を埋め込むというのはつまり……つつつまり、セカンドキッス(間接ver)になるのでは!? 色白なティファニアの顔が一気に真っ赤になった。 細長い耳が珊瑚色に染まりながら、上機嫌な子犬の尻尾のようにぴくぴく動く。 心の中で今まで意識した事のない感情が囁きかけてきた。 遠慮する必要など何もないのだと。 これは枕! ただの枕! 彼の顔が、唇がちょっと接触した私の枕! だから、私が顔を触れて、埋めて、あまつさえちょっと唇をつけてもぜぜぜぜ全然大丈夫! ゆっくり、ナメクジが這い進むようなスピードでマジックアイテムと化した枕に顔を近づける。 残りあと三十サント! 二十サント! 十五サント! 十! 九! 八………… しかし、後僅かというところでティファニアは枕をひっくり返し、その上に頭を乗せた。 うつ伏せにではなく、仰向けに…… 「ううう、私ってどうしてこんなんだろう……」 見慣れた天井に話し掛ける。 子供たちの世話をしている間は、何を考えずに済んだ。 子供たちに没頭することで余計な思考を頭の中から締め出すことができた。 でも、こうして一人で天井を眺めていると普段考えたくなかった事や目を逸らしたいと思っていた事実が次々に心の中に浮んでくる。 ……認めたくないけど、頭では分かっているのだ。 筋の通らないことを口にしているのは自分の方なのだと。 命をかけた大事な任務の最中に五宇を呼び出したのは自分。 助けてもらったにも関わらず、彼を騙して「コントラクト・サーヴァント」を仕掛けたのも自分。 本来ならば憎まれ、怨まれ、罵られても仕方のない立場だ。 しかし、五宇は文句をいうどころか自分から子供たちの世話を手伝い、ティファニアに感謝しているとまで言ってくれた。 だから、青年がもとの世界に帰る方法を探すためにこの村を出て行くといった時、彼女は五宇たちを気持ちよく送り出す方法だけを考えるべきだったのだ。 間違っても、彼を責める権利などなかったはずなのだ。 それは分かっている。 良く分かっているのだが…… 「ゴウさん、やっぱり行っちゃ嫌だよ……」 頭で分かっているからと言って、心がそれを受け入れるとは限らない。 この三ヶ月の間に、五宇の存在は少女の中で大きく比重を増していた。 ティファニアにとって青年は彼女を暴漢の手から救った騎士であり、初めての口づけの相手であり、そして父親以外で始めて接する年頃の異性であった。 彼と分かれることを想像するだけで我が身を切られるように辛い。 でも、五宇は確実に出ていく。 あの頑固で不器用な青年は自分にできないことを決して口にしない男だ。 ティファニアが彼を失うのはもはや時間の問題だった。 それなら、いっそのこと――― ―――自分と彼を引き裂く、その記憶を呪文で消したらどうだろう? その考えにティファニアの心は二度ざわめいた。 一度目は歓喜に。 二度目は恐怖に。 自分はこんなに恐ろしい考えのできる人間だったのかと少女は慄いた。 しかし、慄きながらとっさに浮んだ考えを捨てることはできなかった。 あっさり捨ててしまうにはそれはあまりに甘美過ぎるアイディアだった。 ―――私にゴウさんを不意討ちすることなんてできるわけがないわ! 亡霊のように付きまとう思いつきを振り払おうとして、自分に言い聞かせた。 ―――はたしてそうかしら? 今日、目覚めたばかりのもう一人のティファニアがそれに反論する。 五宇とタイラは確かに強い。 もしかしたら、御伽噺で聞いた「イーヴァルディの勇者」よりも強いかもしれない。 しかし、ティファニアには五宇にも忘却の呪文は効くという確信があった。 「コントラクト・サーヴァント」に簡単に引っ掛かったように五宇は用心深いようで、結構抜けている部分がある。 それに使い魔は決して主人を傷つける事はできないと、マチルダ姉さんも言っていたではないか? このアイディアの成功率は決して低くない。 失敗してもやり直すことができる。 後は自分に実行する勇気さえあれば――― 私、ゴウさんの記憶を消すことを前提でものを考えているわ!! そのことに気付いた途端、ショックのあまりベッドから飛び起きた。 心臓はかつてなく激しく鼓動を刻み、背中は汗でぐっしょり濡れていた。 そのくせ、頭は凍りついたように澄み切っている。 呼吸の音が大きく頭蓋骨の中に木霊するのを聞きながら、ティファニアは自分の指が別の生き物のように杖に向かうのを見た。 人差し指で触れ、中指でからめ、親指で握り締める。 杖は手に取った。 後は青年の帰りを待つだけでいい。 ベッドの中で丸くなっていれば、彼は心配してきっと部屋の中に入ってくる。 五宇は自分が忘却の魔法を使えることを知っているが、呪文を聞いたことはない。 布団に包まりながら小声で呪文を唱えれば―――。 「駄目……やっぱり、駄目よ……」 杖を持つ手をもう一本の手で握り締めながら呟いた。 何故、と心の中の欲深い自分が問い掛ける。 昨夜、五宇も言っていたではないか、もとの世界に帰れば無謀な戦いの末に死ぬしかないと。 過酷な責務から愛する人を解放することの一体何が悪いというのか? 彼の心の大部分を占める任務の記憶を消せば、青年にとって主人である自分が全てになる。 彼の余計な記憶を消して、ただ囁くだけでいいのだ。 私だけを見て、抱きしめて、髪を撫でて、そして……。 たったそれだけのことなのに、何故っ―――!! 「だって、いなくなっちゃうもの。そんなことをしたら私が好きだったゴウさんまでいなくなっちゃうもの」 長く激しい葛藤の末にティファニアがたどり着いた、それは真実だった。 記憶を消すことは容易い、でもそれをもとに戻すことはできない。 彼女が好きになったのは口下手で不器用な優しい青年。 生真面目な彼から存在意義とも言える任務の記憶を奪ったらどうなるのか。 それが想像できないないほどティファニアは愚かではなかった。 そして、五宇を独占するために彼の記憶を消すにはティファニアはあまりに優しすぎる少女だった。 長い、長い時間をかけて、杖から自分の指を引き剥がした。 代わりに枕のそばにあった「ふーけちゃん」を抱きしめる。 涙混じりの声で切実な問いを虚空に投げかけた。 「マチルダ姉さん、お母さん、お父さん……私はどうしたら良いの?」 だけど、問い掛けた相手は誰一人として彼女の問いに答えず、代わりに――― きゅるるるるるるるぅ………… 朝から何も食べていないお腹の虫が激しく自己主張をした。 止めだった。 致命的だった。 アルビオン風に言うならばクリティカルヒット!! 枕の上に倒れこみ、あーとかうーとか唸りながらジタバタ暴れた。 盛大に炸裂した自己嫌悪のせいで、さっきまで死ぬほど彼女を苦しめていたシリアルな葛藤が宇宙のどこかに吹っ飛んでしまった。 でもどん底まで落ち込んだおかげか、ちょっとだけ開き直ることもできた。 「……ご飯を食べよう」 寝室から出てくると、五宇たちが残してくれた食事に気付いてまたちょっと泣きそうになった。 初めて食べる彼の手料理、ちょっと焦げたり、塩加減を間違えていたりしたけど何故かとても美味しく感じられた。 そして少ししょっぱい食事を食べたせいか、急に甘いものが食べたくなった。 でも、今日子供たちに出すはずだったおやつのクッキーは昨夜、ティファニア自身が地面にばら撒いてしまった。 あのクッキーは彼女が研究に研究を重ねた結果できた苦心の作だった。 今の心境で同じものが作れるとはとても思えない。 「あ、そう言えば、桃りんごが一杯余っていたっけ……」 先日、五宇が何故か森の中から食べきれないほどたくさんの桃りんごを取ってきたことがある。 一部はジャムにしたり、冬に備えて干し物にしたりしたが、大部分は五宇がどこかへ持ち去ってしまった。 ティファニアがお昼のお弁当にするのかと聞いたら、五宇は曖昧に頷いていた。 青年は果物好きの老韻竜のために桃りんごを集めていたのだが、その一件のせいで少女は彼が桃りんご好きなのだとすっかり勘違いしてしまったのだ。 「そうだわ。桃りんごのパイを作ろう。あれだったら何度も作っているし、ゴウさんもきっと喜んでくれる」 麺棒を使ってパイの生地を作り、その上に溶き卵を塗ってから作り置きの桃りんごの甘露煮を乗せる。 何度も繰り返した同じ動作。 例えどんなに心が落ち込んでいても、身体は自然に動く。 そして身体を動かすうちに、何時しか落ち込んでいた気持ちも少しずつ上を向き始めた。 そうだ。 タイラだって言っていたじゃないか。 五宇たちは別にすぐにいなくなるわけじゃないのだ。 彼らが出かける前に、ティファニアが魔法など使わずに五宇に任務を忘れさせることだって不可能ではないはずだ。 そのためには、先ず彼の好きなこの桃りんごのパイを完成させなければ! しかし、パイが九割方完成し、後はオーブンで焼くだけという段階になった時、誰かが扉を叩く音が聞こえた。 「ゴウさんが帰ってきたのかしら?」 エプロンで手を拭きながら、急いで玄関に向かおうとするティファニア。 だが、彼女が走り出そうとした途端、頭の中にふかふかのゴーレムの縫いぐるみに乗った「ふーけちゃん」が現れた! 「ふーけちゃん」は何故かマチルダそっくりの声で言った。 『お待ち、テファ! それは逆効果だよ!』 「え? ふ、「ふーけちゃん」何故っ!?」 『良いかい、テファ。男なんてどいつもこいつも頭と根性の悪い犬みたいなもんさ。女が尽くせば尽くすほど連中は付けあがって、お前を軽視するようになるよ』 「そ、そんな! それじゃ私はどうしたら良いの?」 『逆に考えるんだよ、テファ! 尽くして駄目なら、逆にわざと焦らして相手に尽くしてもらえば良いんだよ!』 「わ、分かったわ。ふーけちゃん! 私、頑張るわ!」 瞼の裏でサムズアップしながら、イイ笑顔を浮かべる「ふーけちゃん」に大真面目で返事をする。 自分ではまともなつもりなのだろうが、徹夜したせいで実はかなりてんばっているティファニアなのであった。 「ふーけちゃん」のアドバイスどおり玄関まで焦らすようにゆっくり歩いていく。 まだしつこく扉を叩き続ける相手を締め出すように扉の板に背中を預けた。 喉の奥から湧き上がる笑い声を必死にこらえる。 一向に開かない扉の前で、途方に暮れている青年の顔が目に浮ぶようだ。 でも昨日彼が自分に意地悪をしたから、今日ちょっとぐらいやり返しても構わないはず。 もうちょっとだけ彼を焦らそう。 その後、ドアを開けてあげよう。 そして、彼の好きな桃りんごのパイを見せてからお願いするのだ。 危険で実りのない任務なんか諦めて、私と一緒にいてくださいと。 ふいに扉を叩く音が途絶えてしまった。 まさか、五宇が怒って行ってしまったのだろうか? 慌てて顔を扉に押し付け、その向こう側の音に耳を澄ませたその時―― 巨大な蜥蜴の尻尾のようなものが扉を突き破って、ティファニアの顔の前に飛び出した! 悲鳴を上げながら後ろに飛び退く。 ほぼ同時に風の魔法をぶつけられたみたいに硬い扉が木っ端微塵に砕け散った。 その衝撃に少女は床に叩き付けられ、身体の上に砕けた扉の破片が降り注ぐ。 綺麗な金髪の上に降り積もった木の欠片を振り払い、恐る恐る顔を上げる。 次の瞬間、少女の甲高い悲鳴が家の中に響き渡った! ティファニアの家を守っていた扉は綺麗になくなっていた。 代わりに扉に匹敵するほど大きな影が外から注ぐ太陽の光を遮っていた。 その巨大な人影、司祭服と山羊の頭蓋骨の仮面を纏った怪人はティファニアの姿を認めると濁った目を歪めて笑い、 ―――無防備に床に横たわる少女の身体に長い触手を伸ばした! ◆ ◆ ◆ ついでに、各使い魔の日常に関する子ネタを少々、 (なお、以下に出てくるキャラたちの口調は本編より大分砕けています。それから、当方姉妹スレのゼロいぬを激しくリスペクトしております) 『ガンダールヴ・コンビ』 サナカン 「始めてこの世界に来た時はいろいろトラブルもあったけど、全てご主人様との絆で乗り越えて参りました。サナカンは良くできた使い魔と判断いたします。あ、ご主人様の部屋に忍び込む不埒なネズミを発見! 微小構成体で排除排除!」 ルイズ 「サナカンが学院をぶっ壊してギーシュにあんなことをしたせいで、私は未成年で最重要危険人物に。実家には帰れないし、外出するだけでダース単位の監視がつくし、グラモン元帥とマザリーニ枢機卿が真剣に私の暗殺を検討しているという噂も…… 私の明日は一体どっちなのよ!!」 『ミョズニトニルン・コンビ』 ガリア王ジョセフの日記 「ダフィネルを召喚したおかげで、自分に虚無の力があることが分かったし、優秀な部下が手に入ったし、何よりほぼ無限にダウンロードできるゲームが遊べておれってば人生の絶頂ぉーって感じ?」 ダフィネ・ル・リンベガの日記 「主人がまた徹ゲーをした。十年近く仕えているのに、あの人が何を考えているのかさっぱり分からない。突然脈絡もなく笑い出すし、独り言をブツブツ話し始めるし、ひょっとして就職先を間違ったかしら?」 『××××・トリオ』 ヴィットーリオ教皇「ナユタ、お手」 那由多「あ―――」 ヴィットーリオ教皇「ナユタ、おまわり」 那由多「う―――」 ヴィットーリオ教皇「ナユタ、おちん……」 ジュリオ「猊下! その芸に『お』をつける必要はありません! ナユタも脱ぐな! お前に「それ」はついてない!」 『コズロフとラ・ヴァリエール家の人々』 エレオノール「こ、これ食べられるの? 凄く毒々しい色をしてるんだけど?」 コズロフ「ええ、食べられますよ。ほら、お嬢様もお一つ如何ですか?」 エレオノール「い、いやよ! 喋る熊が作ったこんな赤くて緑色でおまけに中に粒粒が一杯入った変な果物なんて、私は絶対に食べないんだからぁぁ!」 コズロフ「いや、これは果物じゃなくて野菜、ってお嬢――――!! ……ああ、逃げてしまったよ。あの人、本当にアカデミーの人なのかね?」 カトレア「食べてもらえなくて残念だったわね。コズロフの作ったトマト、こんなに美味しいのに」 ラ・ヴァリエール公爵「どれ、私も一つ(シャク)」 コズロフ「旦那さま、違います! それはハバネロ!」 ラ・ヴァリエール公爵「あ―――――――――!!!」 前ページ次ページZEROMEGA
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GENRE TITLE ARTIST bpm notes CLEAR RATE SuperNOVA BEAT Fascination MAXX 100-200-400 100-400 508 61% (2013/09/11) ソフラン覚えゲー HS調節は400基準でやらざるを得ないので低速部分に注意 -- wWw (2010-06-16 00 53 43) ソフラン部分はNOTE数(コンボを繋いだ数)で覚えると良い。長いトリルは速めに叩くとBADハマリしやすい。気持ち遅めで休まず叩けばおk -- 名無しさん (2010-10-10 00 58 46) 個人差譜面。六段になったけど、全くできる気がしません。 -- 名無しさん (2011-03-13 11 23 57) notes数が508しかなく、少しのミスでゲージが大幅に減ってしまう為、ソフランを覚えるのも必要だが、曲のメロディを覚えるほうが最重要。N譜面は単純にほとんどメロディを叩くだけなのでメロディさえわかればソフランも意識しなくても意外と押せるようになれる。灰や穴譜面のようにハイスピを変えれる間がない為、ハイスピ0.5だけでも案外叩きやすくなる。 -- 名無しさん (2011-08-15 22 33 40) ラストの低速部分でゲージが80%以下になる場合は難をつけたほうが案外クリアしやすい。 -- 名無しさん (2011-08-15 22 37 19) BPM100の所であまりゲージ減らさないようにすればクリアは楽 -- 名無しさん (2011-09-19 13 36 33) Lincleで☆8から☆9に昇格。クソフランは個人差すぎたか。 -- 名無しさん (2011-09-21 02 10 23) ソフランさえ覚えれば☆8でも緩く感じた。☆9は初見レベルと言ってもいいと思う。 -- 9L (2011-09-21 08 06 42) フルコン難易度は、現行ACのSP NORMALでは間違いなくダントツの1位。12分トリル地帯など、少しタイミングがズレるとすぐにコンボ切れてしまいます。 -- 名無しさん (2011-10-25 09 48 33) 完全に初見殺し。ソフラン箇所を覚えないと全くわけのわからないものと化す -- 名無しさん (2011-12-17 19 40 59) 2.3回プレイしたくらいじゃ緑もつかない。超ソフラン曲においてはH.Aの前にNクリアは必須だろう -- 名無しさん (2011-12-17 20 56 08) タタララ*タララ*タララ*タララ*タラララッ | タラ*タララ*タララ*タラララッ -- 名無しさん (2011-12-27 00 17 39) タタララ*タララ*タララ*タララ*タタラタタッ | タタララ*タタラ*タラ 【BPM100 *⇒見やすくするつもりだったけど、 超絶分かりにくくなってゴメン -- 名無しさん (2011-12-27 00 22 14) ソフランに目が行きがちだが、曲を聞き込めばどんな感じで叩いてるのかはわかってくる。まぁソフラン対策も必要だが……… -- 名無しさん (2012-02-18 07 57 13) ☆9初ハード曲。やっとのことで六段になったがノースピ正規でなければ叩ける気がしない。 ラスト直前の低速が難所。詰まっているように見えて慌てるとゲージがサヨナラバイバイ -- 名無しさん (2012-03-20 11 16 57) リズム難。総ノーツが少ないせいで、変なところノーツが抜けてる -- 名無しさん (2012-03-30 19 28 03) 一級ですが易つきそうです。普通に逆詐称に思えた -- 名無しさん (2012-04-22 22 19 40) SPNのみ、HやAでいうところのBPM200の縦連地帯手前に数ノーツ配置されている。速度変更する際には気をつけよう。 -- 名無しさん (2012-04-23 07 58 10) 後半、BPM200の12分トリル地帯が鬼門 ノースピでやると見えにくいことこの上なくEXHはここが山場か?でも正直覚えゲー ちなみに穴はこの地帯が縦連… -- 名無しさん (2012-04-24 21 48 46) 初見と研究後の体感難易度がこれだけある譜面は他にない。初見では油断すると九段ですら落ちる可能性が。曲のリズムと止まる位置を覚えれば、初段や二段でもクリアできる可能性はある。とはいえ、糞譜面なので粘着しても地力はつかない。 -- 名無しさん (2012-05-01 22 58 40) 逆詐欺☆8でいい -- 名無しさん (2012-05-02 18 30 16) それどころか級位持ちのときは☆6でいいと思った。 -- 名無しさん (2012-05-03 00 33 31) ↑学習後はな -- 名無しさん (2012-05-04 10 27 27) 低速に耐性が無い人はとことん出来ない曲。自分もその一人で信じられないかもしれんがCSGORDのN譜面難埋めで1番最後まで残った。ちなみにアナコン六段 -- 名無しさん (2012-06-23 21 54 57) ソフラン関係なくトリル後の400地帯が叩けなくて削られてクリアできない五段がいたりする ノースピだと微妙に適正HSじゃないし0.5にするわけにもいけないし… -- 名無しさん (2012-07-01 03 45 42) ↑そういう時のためのSudden+だろう? -- 名無しさん (2012-07-01 07 10 11) ↑SUD+もちょっと普段より下がり気味になるのがなぁ、そういや(RA時代の)リンクルリンクで二段か三段の時に紫ランプはついてるんだよな…何がいけないんだ -- 名無しさん (2012-07-02 04 22 44) この機会にDDRであの糞フランを体で覚えるのも良いかも。 -- 名無しさん (2012-10-16 23 53 00) 判定厳しいといえDDRは踊はスコア出るけど弐寺のこれはスコアでない・・・。不思議!! -- 名無しさん (2012-10-17 14 27 01) 七段だけど普通に死んだ。ソフランがひどいのはわかってたが、譜面自体押しにくいと思った。そこでS乱使ってクリア -- 名無しさん (2012-10-26 01 39 11) SPでフルコン狙い1番粘着した曲。毎回どこかでコンボが切れる。BPM100がうざかった。 -- 名無しさん (2012-11-07 23 51 10) ホント個人差なのな。皿が極端に苦手な四段だけどいけた。 -- 名無しさん (2012-12-05 10 18 26) ポップンでDDRH(BPM65-333かつ途中でHS変更もSUDDENも付けられない)をやりこんでいた者だが疑似停止以外は出来てノマゲクリア出来た。ソフランゲーなんだな。 -- 六段とってから久しぶりにやった (2013-01-15 08 11 49) スコアは圧倒的な低速力か譜面暗記が必須。クリアは曲が分かっていればHADES脳より簡単に感じるかもしれない -- 名無しさん (2013-02-12 15 54 13) 最後ゲー -- 名無しさん (2013-02-23 04 58 16) DDRから弐寺に来た身だが3級の時に易付いた。当然だがDDRでソフランを知っているのなら☆9はない。個人的には☆6上位~7下位よりもはるかに弱く感じる…。 ラストについてだが北斗運指なら1鍵+皿を左手、2鍵を右手でとるようにすれば体感難易度は大幅に下がる。運指が決まっているとラストはかなり押しづらい。 -- 名無しさん (2013-03-08 19 58 39) 得意不得意がかなり分かれる曲、ソフランを400補正のプレミアムフリーの粘着でハード獲った。 -- 名無しさん (2013-03-25 23 42 30) とにかく曲を聞き込む、これに尽きる。物量自体は☆7位なので完全にソフランゲー。個人差大爆発曲の一つ。 -- 名無しさん (2013-04-08 22 06 43) ソフラン+ギアチェン難である上、他に適当な練習曲が無いに等しいのも個人差爆発の一因か。☆FAXX。 -- 名無しさん (2013-05-10 11 31 28) 曲を聴きこんで曲通りに叩けば2段でもイージーつく -- 名無しさん (2013-08-04 22 19 16) 十段後半だけど難は出来る気がしない、冥卑弥呼対策がてら相当数粘着したけど最初の加速前の白階段で死亡or瀕死の流れからぬけ出せない・・・ -- 名無しさん (2013-08-05 05 30 38) 個人的にはN譜面最凶。チェッキンも白壁も扇子もEXが点いたのに、こいつ1曲だけEXHで越せない、それどころか難落ちする事もあるくらいだ。 -- 名無しさん (2013-10-06 01 11 25) ☆9未難もうすぐ1桁だけど、難つく気が全くしない…。普段サドプラに頼ってる人は地獄見るかも@八段 -- 名無しさん (2013-10-09 16 55 32) 高速、低速、ソフラン、軸押し、皿絡み、トリル、この譜面に全てが詰まっている。 -- 名無しさん (2013-10-13 23 46 11) 初見から3回目(研究なし)で緑つきました@二級 -- 名無しさん (2013-11-25 00 13 42) ↑9全く共感 -- 名無しさん (2014-04-01 18 55 33) DDRerにはかなり有利 -- 名無しさん (2014-04-28 10 07 21) S乱推奨 -- 名無しさん (2014-07-02 02 06 41) S乱は結構押しやすくなる。ただ、灰や穴で空白の65小節(トリル前)にノーツがあって、そことトリル地帯が最大の難所になると思う。そこ以外は灰や穴のギアチェンの練習にでもどうぞ -- 名無しさん (2014-07-16 12 46 28) この程度の低速が押せないと皆伝なんて手も足も出ない。とは言っても別に低速になったからと全部のノーツを見切る必要はない。瞼SUDDENや帽子のつば、顔を近づけるなどできる事をやってみよう。勿論低速だろうと問題なく認識できるのが一番いいが。 -- 名無しさん (2014-07-16 20 11 01) フルコンはソフランする箇所をCSや動画でコンボ数で覚えてしまえば簡単かも。私はこの方法で数回で繋ぎました。ある程度の低速耐性が必要だが。 -- 餡蜜のりあ (2014-12-10 02 45 57) メモが残ってたので参考までに 77 94 106 125 136 295 465 ←これらは遅くなる箇所のコンボ数です。465の箇所は慣れが必要かも。。お役にたてれば幸いです。 -- 餡蜜のりあ (2014-12-10 03 07 30) 六段でクリアできないとか十段で難つかないとか言ってる人は流石にA譜面と間違えてるのでは?私は一級だから知る由もないけど…自身の☆9初イージー・ノマゲはこれ、停止覚えて少しやれば大荒れはしない。トリル以外は… -- ZAKO (2015-01-20 19 24 41) 七段だが難点かない 放置した方がいいのか -- 名無しさん (2015-03-14 22 10 07) 2級だけどノマゲでも難でもクリア出来た。何故あんなにクリアレート低いのか理解に苦しむ。 -- 名無しさん (2016-03-05 19 05 43) ソフラン無しでも譜面自体は☆7クラス。何故2級なのか理解に苦しむ。 -- 名無しさん (2016-03-07 00 43 45) 実はDPよりもSPでHARDは苦労した。GOLD稼働中でHARD出来なかった曲だしorz -- 名無しさん (2016-05-22 10 36 04) ソフランなかったら☆5か6ぐらいかな。ソフラン耐性高いなら、難はともかくノマゲは2級でクリアできても全く不思議ではない。 -- 名無しさん (2016-09-25 12 30 11) 曲覚えて400のほうに緑数字合わせれば、あとは気合でノマゲ。とにかく曲構成を知る。 -- 名無しさん (2017-02-06 13 43 02) 個人的に☆8でよかったような気がする。ソフランきついけど超スカスカだし -- 名無しさん (2017-02-07 03 11 59) スカスカが理由ってんならH10A11妥当なんだが。 -- 名無しさん (2017-02-07 03 46 23) AはともかくHはラスト12トリルさえなければ☆10妥当に思える。Hと違ってBPM100地帯にノーツが入っている関係でギアチェンがやりづらく、スコア詰めは結構辛い。クリアは超絶逆詐称だけど。 -- 名無しさん (2017-04-15 17 33 17) ☆9巡回してる人は全く触る必要のない超絶クソ譜面。低速練習、疑似停止なら他にいくらでも練習すべき曲はある。 -- 名無しさん (2017-08-08 21 12 58) クソ譜面耐性はある程度必要になってくる。触るのが無駄ってことは無いだろう。 -- 名無しさん (2017-08-08 21 33 43) ☆9だが対策次第でクリア難易度は下がり慣れてきた頃には昇格前の☆8で妥当と感じるかも。ただ、一度クリアしても変速部分を忘れていると落とす可能性があるため、一度クリアされたら放置されがちな譜面だとは思う。 -- 名無しさん (2017-08-09 22 44 10) ARENA害悪曲の一つ。九段下位くらいでも低速・ソフラン耐性次第で中伝すら叩き落せる。2度目のBPM100を抜けた後の1軸がスコア稼ぎ・リズム矯正のチャンス -- 名無しさん (2018-04-09 20 39 40) 低速、ソフランが問題なくても穴の連打地帯のトリルで大事故起こして酷いスコアになったりする。連打得意の自分としてはあそこだけはSPもDPも穴よりきつく感じる…。 -- 名無しさん (2018-04-09 20 59 22) 400や200地帯以上に実は100地帯が一番取りづらい。DPはS-RANDOMが通じやすい分HARDに難はなかったが、SPはS-RANDOM崩しも利きにくい分HARDもムズい。 -- 名無しさん (2018-08-19 18 38 47) ソフラン対策が入っても後半の2箇所の長いトリルは得手不得手でかなり危険箇所。ここでEXHの即死もある。元☆4で現☆5にrainbow flyer(N)の終盤直前のかなり長いトリルあるが、これに匹敵のヤバさ。ここだけで超特急で落とされる。 -- 名無しさん (2018-10-13 20 06 59) 光らせるつもりなら、灰や穴とは別のギアチェンを考えた方がいいと思う。個人的には、白数字500、緑数字は普段の倍でサドプラ外して開始。BPM100地帯でサドプラつけてBPM200地帯突入。その後2回くるトリルの合間に僅かに隙があるのでサドプラ外して後は流れでってやるといいと思う。 -- 名無しさん (2020-02-12 07 40 18) INFINITASのN譜面でフルコン最後まで残った。 -- 名無しさん (2020-04-25 01 56 11) ACのSPN譜面でこれだけフルコンできず、GOLDフォルダが光らない。 MAX 300が消えたし、 -- 名無しさん (2020-04-25 15 49 40) そろそろこれも……な? -- 名無しさん (2020-04-25 15 51 08) DDRメイン勢の自分はこれが☆9初イージー・ノマゲ・フルコンだった。☆7で大苦戦していた時にイージー安定してたから☆9では一番地力が要らない譜面だと思う。200BPM地帯が灰や穴ほど詰まっていないから、ハイスピはAAA狙いでもない限りずっと400BPM合わせでOKなはず。 -- 名無しさん (2020-04-30 11 43 13) リズム難ってわけではないのでAAA狙う段階でもノーチェンは十分選択肢になる。ソースは自分。 アリーナのB下位に入り浸ってるとたまーにこの曲のHが飛んでくるが、今のところNが来たことはない。試しに投げてみるとほぼ全員に刺さる。 -- 名無しさん (2020-06-21 21 15 56) 地力が付くほど難しく感じる譜面。高密度を見切るための目線の安定を身に付けることでマイナス効果が出るからだと思う -- 名無しさん (2020-06-21 21 40 28) ☆10半分埋まってるけど20回連続でやってクリア出来ず諦めた -- 名無しさん (2021-07-29 23 26 36) ☆10の大半がAA以上出せるけどこいつはBにも乗らんかった……譜面が譜面なのでNにも関わらずアリーナで飛んでくることもしばしば。上にある通り一回目標達成すると放置されがちな(=忘れた頃に飛んでくる)ため、S乱の有無とかギアチェン箇所とかは軽く頭に入れといても良いと思う。最後の急減速さえ何とかなれば、ランプだけなら級位の人でも狙えるのだが…… -- 名無しさん (2022-04-16 22 54 45) 穴より鳥むずいしなんなら灰よりフルコンむずいかも、スカスカすぎるせいでノーツのタイミングがめちゃくちゃなのがやばすぎる -- 名無しさん (2024-03-08 17 36 02) 灰よりフルコン難しいは流石に縦連上手すぎだろ。灰エクハ(S乱含む)とこれフルコンでもこっちの方が楽だわ -- 名無しさん (2024-03-08 18 18 58) 名前 コメント
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ECRR(欧州放射線リスク委員会)2010年勧告 2011年6月24日福島地裁郡山支部に提訴される郡山市教育委員会に対する仮処分請求に関するクリス・バズビー博士の声明 ゴフマン 867 返信:名無しさん@お腹いっぱい。(群馬県)[sage] 投稿日:2011/06/05(日) 20 50 18.55 ID IHM2TQTE0 [5/7] 855 ECRRのモデルについては、沢田昭二さんが、まだ未完だと言っていますね。 細部はともかく方向性としては、これまで軽視されてきた内部被曝を考慮する必要があるのは間違いないともね。 内部被曝という問題をどう考えるのか③沢田昭二名誉教授との話 http //blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/d414b2d24e9197063d9b225652fea931 既出かもしれませんが、沢田昭二さんの講演がyoutubeにあります。 2009.6.9被爆者沢田昭二さん、午前中の講義 http //www.youtube.com/watch?v=aWGKRTOWyPA 2009.6.9被爆者沢田昭二さん午後の講義 http //www.youtube.com/watch?v=qhkDboqcADA 897 自分:御用聞き 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 (東京都)[sage] 投稿日:2011/06/05(日) 22 48 57.70 ID SAc5aL7o0 [26/35] buveryの日記みたけど、ECRRの批判はまっとうに見えたな。 これならECRRは批判されても当然。今中さんが批判してるのも納得。 http //d.hatena.ne.jp/buvery/20110511 http //d.hatena.ne.jp/buvery/20110520 ただ、ECRRの取り上げた元ねたであるドイツの研究(原発から近いところに 子供の白血病が多い)自体が否定されるかは何とも判断できない。 buveryの著者は否定したそうなふいんきだけど。 この人の「ICRPのいう正当化と最適化」は、非常に良い指摘をしてる。 http //d.hatena.ne.jp/buvery/20110506 郡山市や福島市の被曝は正当化できない。 原発の被曝を医療被曝と比べることは筋違い。 etc. しかしこれ↓は評価できない。 最後に長崎大学の山下さんは悪くない http //d.hatena.ne.jp/buvery/20110504#1304461671 全体として微妙な人。 937 返信:名無しさん@お腹いっぱい。(京都府)[sage] 投稿日:2011/06/06(月) 00 30 58.96 ID zyZvQgAE0 [1/2] 897 buveryは統計学全然分かってないよ。 回帰係数を再帰係数って訳しているのにもそれが現れている。 帰無仮説、対立仮説、検定の仕組みもわかってないし、その結果、 帰無仮説が棄却できないときの解釈もわかってない。 てんでだめ。 940 自分:御用聞き 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 (東京都)[sage] 投稿日:2011/06/06(月) 00 37 28.46 ID mZaeCeC60 [1/5] 937 そうなのか。統計のところは全然わからんかった。 俺がおかしいと思ったのは、元ネタの研究では、原発の距離と白血病の患者数の関係しかわかってなくて 放射線量と発病の関係はわかっていないはずなのに、 ICRPモデルの批判と結びつけている点。 統計学から見ると間違いだらけなのか。このスレ賢い人が多いな。情報㌧ 944 返信:名無しさん@お腹いっぱい。(京都府)[sage] 投稿日:2011/06/06(月) 00 58 32.10 ID zyZvQgAE0 [2/2] 940 たぶん彼は回帰分析をまったく知らない。 独立でない変数でも重回帰の説明変数にいれれることも知らない。 だから、「独立でないもので補正できるのか」なんてトンチンカンなことで噛みついている。 それとALLがうまくいってないのどうのっていってるが、説明変数どっさりいれれば自由度 が落ちて有意な結果が得がたくなるのはよくあることで、致命的ではないことも知らない。 まあ、とにかくお勉強途中で回帰分析が手つかずの小物ですね。 997 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(関西地方)[sage] 投稿日:2011/06/06(月) 09 01 32.30 ID U2XTYOC+0 buveryさんの日記凄いな バズビーが引用論文タイトルを正確に書いてないと言ってるが、 日記書いてる人もバズビーの文章のタイトル間違っているw ECRR Fukushima Risk Calculation と書いてるが、 原題にはcalculationの語もない "The health outcome of the Fukushima catastrophe Initial analysis from risk model of the European Committee on Radiation Risk" しかもこのバズビーの文ECRRのHPで見つからないんだが… 翻訳もご本人の都合のいいような解釈にしか見えないものが散見される。 例えば、 contamination remains at this level を "汚染が減衰しない" と解釈しているが、 これは単に「汚染がこのレベルのままである」 と言っただけで、減衰を持ち出す発想は独創的としか言えない。 14 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(京都府)[sage] 投稿日:2011/06/06(月) 09 45 39.47 ID zyZvQgAE0 [1/3] http //d.hatena.ne.jp/buvery/20110520 こいつのトンデル論文に対する飛んでる批判を暴いてみようと思う。 「濃度60-79kBq/m2のところでは癌はちょっとだけ減る」 事実として減っている。しかし、サンプルサイズが少なくなっていることと、 最大濃度ではなくそのため効果が弱いことから、統計的有意性がでなかった と考えられる。最大濃度では、サンプルサイズはより小さいが、濃度効果が強く なっているため、統計的有意性が確保できている。そういう説明ができるから、 buveryが致命的だとわめき立てる意味がわからない。たぶん、サンプルサイズ によって有意性の出やすさが違うという統計の基本が分かっていないのだろう。 「都会に住むだけで癌は5-16%増える。」 ここからがbuveryが回帰分析がまったくわかっていないのを露呈する部分。 トンデルの論旨は、都会では何らかの効果でガンもともと増えるので、その効果を取り除いて、 ガン発生率が増えるかを見ないとねとやっているのだが、buveryはこの「取り除く」という意味が まったくわかっていないので、この効果と放射線によるガン増加効果を比較して、都会に住む効 果に埋もれるような過小なものといいだしている。実際は、都会効果+放射線効果だから、両方 が累積する。都会効果に埋もれるようなものではない。 21 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(京都府)[sage] 投稿日:2011/06/06(月) 10 09 24.44 ID zyZvQgAE0 [2/3] http //d.hatena.ne.jp/buvery/20110520 「補正を重ねた数字に、有意差なし」 トンデルの論旨をよく分かっていないのが明らかになる部分。 トンデルは、他の要因を取り除いても、放射線効果が残るかどうかを、対象とするそれぞれの線量について チェックしようというつもり。それは、回帰を「再帰」と取り違えないくらいに分かっている人は、みんな分かって いる話。それがよめないから、なんとか有意性をだそうとしていると邪推。 確かに上からの2番目のクラスでは有意ではないが、サンプルサイズが他のクラスにくらべて少ないのが 有意性に不利に働いているというのは、前に書いたので省略。それ以外のクラスで有意性が出ているので、 自分が査読者だったら、「しょうがねぇな」と通すレベル。 「独立していない数字で補正しているのは、ほどんど漫才。」 漫才なのはbuvery。重回帰を全く理解していないのを露呈。独立ではない説明変数を加えても、説明変 数を独立化して加えても同じことになるのは、重回帰のイロハのイ。統計ノウハウ本じゃなくて、ちゃんと した、線形回帰の本を読んでください。 「120kBq/m2程度の汚染では、癌のリスクは他の環境因子の影響よりも小さくて問題にならない。」 サンプルサイズを良く見て下さいと申し上げたい。全部で53で統計的有意性がでたら、それこそ、 「データをいじったな」となります。この表はご参考ですね。それをシメにもってきて批判している ところから、統計学を分かってないことが分かります。 32 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(群馬県)[sage] 投稿日:2011/06/06(月) 10 39 21.29 ID RxTGnUhK0 14 「都会に住むだけで癌は5-16%増える。」 たしか、スモッグのひどかった頃のロンドンは、その頃の中国よりも、はるかに肺癌が多かったというのも聞いたことがある。 都市部で大気汚染による肺癌の増加というのは、十分、考えられる因子だから、別に、データとしておかしくないと思う。 Cancer risk of air pollution epidemiological evidence, Environ Health Perspect. 1994; 102(4) 187–192 http //www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1566938/ それと、アルゴンヌ国立研究所が、米国各州の癌死亡率を調べたことがあって、バックグラウンド放射線が強いほど、 癌死亡率が低いというデータが得られて、それがホルミシスの証拠だとされたことがあったみたい。 だけど、そのバックグラウンド放射線の強かった七つの州すべてが、標高1000メートル以上のところで、 もっともバックグラウンド放射線が強かった二つの州では標高が2000メートルを超えていたという。 これも、人口密度がはるかに低くて、大気や水質の汚染が少ないなどで、説明できることだったというオチがついた。 『トンデモ科学の見破り方』(p102-106) 34 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(群馬県)[sage] 投稿日:2011/06/06(月) 10 49 45.67 ID RxTGnUhK0 [2/2] EPAによると、大気汚染、なかでも、排ガス中に含まれるベンゼンが、かなり効いているのではとしている。 シュワちゃんが、カルフォルニアで、環境規制に熱心だったのも、そういうことなのかな。 EPA Estimates Cancer Risk Associated With Air Pollution http //www.cancer.org/cancer/news/news/epa-estimates-cancer-risk-associated-with-air-pollution 85 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(埼玉県)[sage] 投稿日:2011/06/06(月) 18 31 08.36 ID vNXRMDVv0 21 自分が査読者だったら、「しょうがねぇな」と通すレベル 統計学や疫学に疎い私にとっては正直分かりませんが、貴方にとって トンデルのその論文は信用できますか? またECRRは信用できますか? 385 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(京都府)[sage] 投稿日:2011/06/07(火) 21 51 16.74 ID YBLCUhWJ0 85 トンデルの統計処理は無難だと思います。統計学は専門ですが、 それ以外は専門ではないので、返答できません。 683 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(東日本)[] 投稿日:2011/07/05(火) 07 13 01.51 ID nIxYSLKm0 11/06/24福島地裁郡山支部に提訴される郡山市教育委員会に対する 仮処分請求に関するクリス・バズビー博士の声明 ttp //organic-newsclip.info/doc/110624_Chris_Busby.pdf Christopher Busby ttp //en.wikipedia.org/wiki/Christopher_Busby 784 自分:御用聞き(東京都)[sage] 投稿日:2011/07/11(月) 11 04 32.68 ID K9nr7STF0 [4/12] 744 ECRRはバズビーがちょっと極論なだけで、モデルそれ自体はいいんじゃないんだろうか。 誰か書いてたけど、モデルそのものを比較するとICRPの10倍ぐらいだそうだ。 内部被曝を考慮してICRPの10倍になるというのは、 非常にありそうな気がする。 バズビーは説明なく線量を600倍しろと言ったりして その辺が怪しげ。 ただ来日するときに何か聞けるかも知れない。 783 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(dion軍)[sage] 投稿日:2011/07/11(月) 10 42 34.23 ID F1huBbSA0 [5/10] 782 全否定してるわけじゃないけど、前面に出て来られてもな...という感じ ttp //www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No99/imanaka041215m.pdf#page=15 789 名前:名無しさん@お腹いっぱい。(東京都)[] 投稿日:2011/07/11(月) 11 14 45.34 ID RI6lLWGf0 [3/3] 783 あー、それね。 今中による批判もピンとこないんだ。具体的な指摘がない。口頭では言ってるのかもしれないが。 バズビーの場合、被曝影響の統計上の問題と、内部被曝-発癌過程モデルの二つがあると思う。 被曝影響については、ECRRにしろWHOにしろ、どれも問題をかかえているように思う。 内部被曝-発癌過程モデルについては、今のところ興味ある仮説という段階だろう。自分、畑違いだけど、仮説としてはとくにトンデモというわけでもなさそうに見える。 検証はこれからだろうけど、仮説-検証という手続きを正当に踏んでいけば問題ないんじゃなかろうか?結果がどうでるかはわからないが。 人柄についてはよくわからない。沢田岩上対談でもかなり「個性的」な人みたいなこと言われてたけど。 まぁ、良くも悪くも日本人ばなれした人なんだろうね。 803 名前:地震雷火事名無し(東京都)[age] 投稿日:2011/07/20(水) 17 27 25.86 ID RfdNJbI10 学童疎開をなぜ呼びかけるかというと、3月30日に、 ヨーロッパ議会の中に設置されている調査グループ「ヨーロッパ放射線リスク委員会(ECRR)が、 国際原子力機関(IAEA)と日本の公式発表情報から得たデータを使用して、 福島原発事故によって近隣地域で今後発症すると予想される癌患者の増加数を発表した。 ECCRの予想では、333万人8900人が住んでいる福島原発から100km圏内では、 19万1986人が今後50年間で癌を発症し、そのうち半数は今後10年間で発症する。 研究者トンデル氏の計算では、今後10年間に、10万3229人が癌を発症する。 http //image.news.livedoor.com/newsimage/4/5/450561811bf028668f31f0cefe03c762.jpg http //image.news.livedoor.com/newsimage/4/3/431af56d7759d7b5b9b77ba5141454c1.jpg 「安全デマ」を流す御用学者、原発関係者を東京地検に一斉告発 http //news.livedoor.com/article/detail/5719806/
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【世界観】 ゲームの舞台となる世界『ローランシア』と『浮遊大陸』及び『浮島』について説明する。 【ローランシア世界】 万物の根源が数である世界、それがローランシアである。 万物は1と0によって構成され、全てが規則正しく論理的に形作られた合理的かつ数理的な世界。 人々は数を理解し、それを操る術によって繁栄した。 【超大陸ローランシア】 太古、世界には巨大な大陸はたった一つであり、元はこの大陸を指してローランシア大陸、ローランシア世界と呼んでいた。 【繁栄期】 この時代、世界を支配したのはカウントという種族である。 彼等は優れた知性を持ち、それによって万物の根源である数を解き明かし、それを人為的に操作する術―魔数学―を開発した。 これにより、後に古代文明と呼ばれる魔数学文明が築かれることとなる。 魔数学文明の力を背景に、カウントは繁栄を極め、大陸全土を支配することとなる。 そうしてカウントは、世界統一国家カエッサ帝国を建国することとなる。 世界はカエッサ帝国の下、永遠に続くと信じられていた。 【虚数爆発】 虚数――ありえざる数。 虚数爆発とは、本来ありえないはずの虚数が発生、爆発的に世界へ蔓延する最大最悪の災害のことである。 繁栄を極めたカエッサ帝国が滅びる原因となった災害である。 万物の根源は数であり、1と0によって構成されるこの世界にとって、ありえざる数である虚数が発生するとはどういうことか。 秩序は混沌へ、論理は破綻へ、全てが揺らぎ、歪み、無秩序な世界へと変わっていく。 具体的には以下のような自体が引き起こされることとなった。 数字を狂わす最悪の病魔デジタル・ウィルスの誕生、それが生み出す万物を犯すバグ。 様々な亜人、魔物の誕生。 大陸の崩壊と世界変異。 これらが連鎖的に引き起こされたのである。 こうしてカエッサ帝国は崩壊した。 この出来事を後に『虚数災害』と呼ぶようになる。 虚数爆発が起こった原因については、帝国による実験であるとか、神々の天罰であるとか諸説あるが原因は今もって判明していない。 【浮遊大陸と浮島】 虚数爆発によるもっとも大きな異変、災厄がこの浮遊大陸と浮島の存在である。 天と地が分かたれ、広大な海に巨大な大陸が存在するという世界であったのが、虚数爆発の影響で大きく様変わりすることとなった。 天と地は交わり、広大な海は消失し、大陸は砕けて天へと上った。 こうして世界は、広大な空に大小幾つもの大陸と島が浮かぶものへと変異した。海もまた、以前に海と呼ばれたものは消失し、海の一部が地表ごと浮かび上がってできた海洋大陸という浮遊大陸のことを言う。 【カウントの滅亡の始まり】 カウントの滅亡、それは緩やかに、しかし確実に始まった。 カウントが子供を成した場合、生まれるのが亜人だけとなったのだ。 すなわち、新たなカウントが生まれないということであり、それは種族としての死を意味した。 生まれる亜人の種類は、母体の置かれた環境によって変わった。 四大精霊の影響の強い土地では、それぞれ土からクラリティ、水からはローレライ、火からはカルマン、風からはフェイが生まれた。 竜の住まう土地で生んだ場合は、ドラゴニアが生まれた。 妊娠中、魔物との遭遇、接触した場合は、キマイラとハルピュニアが生まれた。 そして、それ以外の土地では特徴を持たぬ人――ヒューマンが生まれた。 【混沌時代】 こうして世界は混沌時代へと突入した。 帝国の崩壊、亜人の誕生による混乱、モンスターの脅威、デジタル・ウィルスによる恐怖、世界変異、世界は確実に崩壊への一途を辿っていた。 それでも人々は生き残っていた。懸命に生きていた。 特に魔数学を生み出したカウント達は、この世界崩壊を食い止める新たなる術の開発を開始していた。およそ十数年の年月の果て、カウントは世界の混乱を治める新たな術を生み出す。 バグを修正、除去する精霊『アシャ』とデジタル・ウィルスに対する抗体を持つ精霊『マナフ』という精霊を考案し、それを生み出すための転生術を構築した。カウント達は、そのほぼ全てがこの転生術により、精霊アシャとマナフへと生まれ変わった。 アシャはその力によりバグを修正、除去し、人々の生存圏を拡大。 マナフは人の身に宿ることで、その人にデジタル・ウィルスへの抗体を宿らせた。 抗体を持つ彼等は唯一デジタル・ウィルスと戦うことが出来る存在であり、人類の護り手となった。こうして、世界の混乱は徐々に収束して行くこととなる。 後にこの人類の生存圏を『既知世界』と呼び、それ以外の地方を『未知世界』と呼ぶようになる。 【復興期】 大小様々な浮遊大陸と浮島。 その一つ、カエッサ帝国の帝都が存在した位置である超大陸ローランシア、その北東部であった浮遊大陸。この浮遊大陸はカエッサ帝国にちなみ、カエッサ大陸と名づけられた。 人々の復興はこのカエッサ大陸から開始された。 これは虚数災害は、超大陸ローランシア南西部から世界全体へと広がっていったものであるため、北東部は他と比較すれば(あくまで比較上のことではあるが)被害が少なかったこと、生き残った人々が逃れ、集まった場所が北東部――現在のカエッサ大陸であったためだ。 人々は数百年の年月をかけ、カエッサ大陸を正常化し、生存圏を拡大していった。 村から町へ、町から都市へ、都市から国家へ、生存圏は巨大化していく。 そうなれば自然、人同士の争いも起こるようになって行った。 【遺跡の探索と遺産の発掘】 人々の復興に大きな力となったのは、カエッサ帝国時代の遺跡とそこから発掘される遺産であった。 魔数学文明、その遺産である数々の魔導技術とその物品は、モンスターの戦いから人々の生活まで広く恩恵を与えることとなる。 それゆえに、遺産の発掘、その多寡・質により世界のパワーバランスを左右することになる。 遺産の力を背景に、集団は力を持ち、やがて国家となる。 つまり国家の国力=所有すめ遺跡・遺産の数によって決まるのである。 【諸国動乱期】 遺産の発掘により、各地方に小国家が建国された。 復興が進み、生活レベルが安定していった結果、人々は限られたパイの奪い合いへと発展して行った。 数々の国が生まれ、滅び、吸収される戦国時代となった。 戦国時代ゆえに著しく勢力図の変わることとなるが、やがて一つの帝国が人々を統一することになる。 【聖魔帝国】 マジック・マスターと呼ばれた一人の男、マグス・ルーン。 彼は極めて脆弱な肉体の持ち主であったが、類稀なる魔力と天才的頭脳の持ち主であった。幼少時にはすでに賢者と呼ばれ、カウントの再来とも言われた。 事実、彼は初めて生まれた、カウントの先祖帰りであった。 その出自、その力ゆえに、己の生まれた理由を問い続けていたが、とある遺跡でかつてカウントが作り出した浮遊装置を発見した時に天啓を得た。 彼はその浮遊装置の復元、量産に成功し、それを用いた飛空艇と天空要塞の開発、それを用いた世界征服を開始。44人の高弟と共に人類圏統一へと乗り出した。 空中から侵略するという圧倒的アドバンテージと数々の魔導技術により、瞬く間に他国を侵略し、人類圏統一を果たすこととなる。 【稀代の天才マグス・ルーンの発明】 マグス・ルーンの発明は、世界のありようを変えたと言われている。 虚数災害以後、広大な空に大小いくつもの浮遊大陸と浮島が存在するというこの世界で、人々はカエッサ大陸のみで生き残っていた。 というのも、そもそもとして他の浮遊大陸、浮島に行く手段が存在しなかったためだ(ハルピュニアの翼や魔法で一時的に行く事は出来ても、大勢の人を移動させることは不可能である) それを解決したのが飛空艇と、そして地表結合という大魔術である。 飛空艇は用意に他の大陸や島の探索、移動を可能にし、そして地表結合は別々の大陸や島を文字通り結合させることが可能という大魔術であった。これによって、生存圏の拡大すら可能としたのである。 【聖魔帝国の崩壊】 マグス・ルーン、彼は間違いなく英雄であった。 彼の作り出した聖魔帝国は人々に繁栄と平和を約束した。しかし、それは長く続くことはなかった。 マグス・ルーンは人類圏統一で満足することはなかった。人類圏を統一し、繁栄と平和を生み出したがそれゆえに、彼はいずれこの人類圏だけでは足りなくなること、未だ外の世界では虚数災害による被害が拡大していることと、それがいずれは人類圏を脅かすことになることを予見していた。 それゆえに、彼は未知世界の探索、開拓を精力的に開始した。 事実、この時代に開拓された土地がルーシアス大陸とヴァルト大陸である。この二つの大陸を彼はカエッサ大陸と結合させたのだ(以後、この二つの大陸は、ルーシアス地方、ヴァルト地方と呼ばれるようになる) しかし、この性急な開拓は、未知世界に住まう魔物を刺激することとなり、魔物との激しい戦いへと突入することとなった。 マグス・ルーンのこの行動は間違いなく、人類全体を考えてのものであったが、人々の目にはそう映ることはなかった。 現状に満足していた人々には、彼の行動はただの支配欲、領土欲にしか見えず、その為に人々の不満、彼への反感を生み出すこととなった。 開拓戦争後期、人々の不満は、反乱という形で表れることになる。 自らが愛し守ろうとした人々の裏切りに、マグス・ルーンの心は傷つき、徐々に疲弊し、彼の心は狂気へと落ちることになる。 反乱を起こした人々を蛮族と呼び、ついには抹殺を開始。 これにより、聖魔帝国は事実上崩壊した。 マグス・ルーンの最後は、親友の手に討たれるという哀れな最後であった。 【第二次戦国時代】 聖魔帝国の崩壊により、人類は再び戦国時代へと突入することとなった。 第一次よりも技術が発展したこと、生存圏が拡大したことからこの戦乱はおよそ200年続くこととなる。 最終的に、生存圏中心部にイリアス帝国、八つの島を中心として葦原八洲国の二大国家が建国することで戦乱は終結する。 イリアス帝国は、厳格な法律と完全階級制度により他国、多種族を支配し、その勢力を拡大していくことになる。 これに対し、葦原八洲国は地の利を活かした防衛と鎖国政策によりイリアス帝国の干渉を防いだ。 【ルーシアス王国建国】 戦乱は終結したものの、強引かつ傲慢なイリアス帝国への反発は強く、度々反乱が起こることとなる。 とりわけ大きな反乱となったのがルーシアス地方で起こったカウント達が中心となった反乱である。 マグス・ルーンというカウントの先祖帰りが生まれたように、彼のほかにも先祖帰りは多く生まれるようになっていた。しかし、そういったカウント達は聖魔帝国のこともあって迫害されることになった。 これイリアス帝国に限ったことではなかったが、イリアス帝国では明確にカウントは生まれに限らず三級国民とされ、不当な扱いを受けていた。 また、聖魔帝国がマグス・ルーンを中心とした魔導師たちの国であったことから、イリアス帝国では魔導師の権利などが厳しく制限されていた。 これに不満を持ったカウントと魔導師達によって起こった反乱『ルーシアス独立戦争』である。 ルーシアス地方で発見された遺跡にて得た遺産の力を背景として、彼らはルーシアス地方での独立戦争を起こした。 数に勝るイリアス帝国であったが、戦争が続くうちに各地方の支配が緩み、さらなる反乱、暴動が起こり始めた為、苦渋の決断であったがルーシアスの独立を認め、和平条約を結んだ。 【地表結合と地表分離】 ルーシアス王国建国から数年後、ルーシアス王国で一つの魔術が発明される。 それは地表結合の逆、地表分離の魔法である。 この魔法によって、ルーシアス王国は王国全土をカエッサ大陸から分離、物理的に切り離しすことに成功する。 これは防衛という観点から見て、非常に有効な方法であった。 これ以後、この世界での戦争は、飛空挺によって敵領土を侵略後、制圧した地域を分離、自軍側の土地へと結合するという形を取るようになった。 【獣人戦争】 ルーシアス地方が独立した後、起きた戦争が差別階級であったキマイラ・ハルピュニア達、俗に言う獣人によるものである。 ルーシアス独立戦争に比べ、こちらは遺産などの力を背景としていないこと、中心となる人物・組織がなく、各地方で起きた暴動が発展したものであることから小規模なものであった。 しかし、獣の特性を持ち、身体能力に優れたキマイラ・ハルピュニアのゲリラ戦にイリアス帝国は手を焼くこととなり、この戦争はおよそ30年続くこととなる。 最終的に、長い戦いにキマイラ・ハルピュニア側に厭戦感情が沸き、和平組織『ホワイト・ファング』が結成された。 ホワイト・ファング側は、帝国内での待遇改善を条件に帝国と和睦、戦争は終結することとなった。 【イリアス帝国の衰退】 この二度に続く戦争は、帝国の支配を緩めることになり、帝国中心部から離れたアーシア地方では各都市が独立。独立後、自由都市国家同盟を結び、帝国の動きを牽制した。 この動きは極めて早く、戦争直後ということと後述のヴァルト地方のこともあり帝国側は対応できず、自由都市国家の独立を認めざるを得ない形となった。 この自由都市国家の素早い動きには、それを後押しした葦原八洲国の存在がある。 葦原八洲国はこの機に乗じて、イリアス帝国の力を弱めるために背後から手を回したのだ。 【ガズ=ヴァルト帝国建国】 アーシア地方で自由都市国家同盟が起こる、その同時期に未知世界からの魔物侵入を防ぐ最前線ヴァルト地方でも独立戦争が起こった。 この地方は、最前線ということもあるが、開拓が不十分ということもあり、兵士・開拓民としては下級階層の者達が強制的に送り込まれていた。 当然のことながら、彼等の不満は大きく、帝国へ叛旗を翻す機会をずっと伺っていた。 彼等はルーシアス王国の手法を真似、開拓によって手に入れた遺産の力を背景に独立戦争を仕掛けた。 度重なる戦争と暴動により疲弊していたイリアス帝国はこれに抗し切れず、一年の戦争を経てヴァルト地方の独立を認めざるを得ないこととなる。 【開拓期】 こうして復興期からおよそ千年、人々の生存圏はカエッサ大陸へと広がっていた。 三大大国であるイリアス帝国、ルーシアス王国、ガズ=ヴァルト帝国、そして葦原八洲国と自由都市国家同盟。 これらの国が建国され、その後、各国家間の戦争は幾度も起こることとなった。 人々はすでに限られた土地を奪い合う段階へと入っていた。 ここに来て、各国家は一つの考えに至る。 このまま限られた土地の奪い合いによる戦争を起こし続ければ、土地と人は疲弊していくばかり。 ならば、新たな土地を手に入れるべきだ。 未だ虚数災害による被害が吹き荒れる未知世界の土地。千年間、人々の住まぬ未踏の地。 その地を探索し、正常化を行い新たな地を手に入れる。どの国よりも早く。 各国家は競って、人々を雇い、あるいは組織し、外なる土地へと派遣した。 人々は彼らを探索者、あるいは冒険者と呼んだ。
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――――――NIGHT―――――― 拝啓、司祭さま。 そちらはいかがお過ごしでしょうか、おかわりはありませんでしょうか。 そちらを離れてからまだ二週間たらずですが、教会のキッチンで食べるトルティーヤの味が恋しいです。 もちろん、メキシコで食べるトルティーヤもおいしいのですが、教会のみんなと一緒に食べるのが一番です。 教会のみんなはどう過ごしているでしょうか、クロエはまた後輩をいじめていないでしょうか、アガタは虫歯になっていないでしょか。 私ですか? もちろん、私は今日も元気です。 無事に帰ってこれたら、本場のタコスをみんなにふるまってあげたいと思っています。 楽しみにして下さい、レシピをちゃんと持って帰ります。 「さりげなく死亡フラグ立っておるぞ。」 「ひゃいっ?」 手紙を書いていたファナ・ロレンテ・イグレシアスは、突然後ろから声をかけられた。 ハトが首を絞められたような頓狂な声を出して、小柄な少女が飛び上った。 「お、お、おぉ、おっ、驚かさないでくださいよキャスターさんっ!」 「ぴーぴー喚くでない。ちょいと、声懸けただけじゃろうが。」 涙目になってぷるぷると震える少女に対し、キャスターは悪びれた様子もなく、白髪がわずかに残る禿げた頭を掻いた。 彼のもう片方の手にはお盆があり、その上には揚げたてのフライドポテトとワカモーレというペースト状のアボガドが乗っていた。 「あっ、キャスターさん、それはもしかしてももしかしなくても私たちの為の晩御飯ですねっ!意外ですねキャスターさん、見かけによらずお料理得意なんですぴぎゃああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!?」 「誰がハゲじゃと小娘ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!」 「ハゲなんて言ってないです言ってないですぅウぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」 口を滑らせた(?)ファロにキャスターのアイアンクローが炸裂する。 筋力値Eランクのその掌にいかなる力が宿っているのやら、めりめりと少女の赤毛頭に指が食い込む。 だが、あと数ミリセカンドでアワレにも少女の脳漿がエクスプロードされるという場面に声が割り込んできた。 風雨にさらされ、錆ついては砥がれを繰り返され、擦り切れた鉄のような声だった。 「・・・・・・静かにしろ。」 その男の声で、キャスターは手を話した。 恐れた、というより興が削がれたという表情だった。 ファロは頭蓋骨がデストロイされていないことを確かめながら、テーブルの対面に座る男に礼を言った。 「あ、ありがとうございます。ルイスさん。」 「礼はいらん。」 ルイスと呼ばれた男は手元で整備中の銃から目を外さず、無感動に言った。 これが俗に言うツンデレというやつかのう、などと言いながらテーブルの真ん中にキャスターが盆を置く。 こぉん、という音が石造りの工房内に響く。 工房の壁には装飾を施された短剣が一本突き刺さっている。 これこそキャスターの宝具。 短剣でありながら内部に無尽蔵とも思える空間を内包する、錬金術師の蔵。 ランサ―が発見した『移動する工房』の正体だった。 「さてと、ポテトが揚げたてだ。冷めんうちに食うと良い。」 「変なもの混ぜてませんよねぇ?」 「・・・・・・・・・。」 「目をそらされたっ!?」 キャスター陣営、戦場ど真ん中の晩餐である。 ====== アメリカの片田舎、とある怪奇小説家が生涯愛した街。 そこには人類の天敵たるモノと戦い続ける魔術師連合――――――通称『大学』あるいは『図書館』と呼ばれる組織があった。 魔術師の組織であるという点で『協会』と旨を同じくし、戦いのために備える組織という意味では『協会』とは違う。 人外と矛を交えるという理念において『教会』と似通り、外法を振るうという手段において『教会』とも交わらない。 古き欧州と対をなす、新大陸の組織。 その『大学』の中で進められていたのが、ある極秘計画。 南米の滅びた文明で行われた神霊召喚の儀式。 日本は冬木の地で行われていた、第三魔法の儀式。 これら二つを組み合わせた、新たな聖杯戦争の開始である。 招集されたのは四つの魔術師の家系。 御子上、アルベルティーニ、オブライエン、トゥーラ。 四家と『大学』の二世代に渡る研究の末――――――ついに儀式は完成した。 そして、『大学』自体が聖杯を勝ち得るために戦場に送り込んだ戦闘のエキスパート――――――それがキャスターのマスター、ルイス・オーウェルなのである。 ・・・・・・なのだが。 「えぇ、そういうわけなんですけど・・・・・・何で私は『大学』職員でもないのにルイスさんのサポートとしてこのようなジャングルのド真ん中でポテトをほおばっているのでしょう?」 「・・・・・・・・・星の巡りが悪かったんだろう。」 フライドポテトをげっ歯類のようにもっきゅもっきゅ、と咀嚼しながら修道女のファナはべそをかいた。 彼女の対面に座っているロイスは視線も上げずにつっこんだ。 彼はファナと対照的に、テーブルの上の料理には目もくれず、愛銃・ピースメイカーの整備に没頭している。 「おい、ルイス。飯がテーブルの上に出ておるのだ。得物を片付けんかい。」 「すぐに終わる。」 「キャスターさんの言う通りですよー。ロイスさんが食べないんだったら私が全部食べちゃいますからね。」 「・・・・・・お前の食い方は見てると食欲無くすな。」 「ひっ、ひどい!?」 ガーン、と擬音付きでのけぞるファナ。 しかし、彼女の手元の皿に盛られたワカモーレを見ればルイスの気持ちもわかろうものである。 ワカモーレとはアボガドをペースト状にして玉ねぎ、ニンニク、トマトを混ぜてペースト状にしたものなのでアボガドの薄緑色をしているのが通例なのだが、何を血迷ったか彼女が食べているものはチリソースの赤に染まっている。 「キャスターさんに調合してもらった特性ハバネロチリソースなのにっ!この素晴らしさと赤さがわからないんですか、ルイスさんっ!!」 その激烈なハバネロの香りはローマの暴君の如く。 その辛味はどこぞの外道神父も大満足の逸品である。 一口食べたならばその先に見えるのは鮮血の絶対皇圏か、はたまた黒い太陽の下の焼け野原か。 「キャスター、お前何を作ってるんだ。」 「最初はジョークのつもりだったのだがなぁ。」 ルイスが詰問すると、老人の姿をした錬金術師は諦観を表情に滲ませた。 辛いソースを作ってもらえるだろうか、とファナに頼まれたので、ちょっとした悪戯心で過剰に腕を振るったものを渡したら、予想外に気に入られたらしい。 「料理もソースもすごいですよねー、キャスターさん。私感動しちゃいましたよ。」 「当然のことだろうよ。錬金術とは本来、鉛のような卑金属を金のような貴金属へと変換するような技術――――――つまり、『低次の存在を高次の存在へと引き上げる技術』なわけでな。そこのところ、料理と同じとも言えるわけよ。」 「へぇー。」 道具作成スキルA+は伊達ではないぞ、とキャスターはふんぞり返った。 流石に賢者の石を鍋に投入したりしてませんよね、と聞く勇気は少女にはなかった。 一応、彼女が所属する聖堂教会から見れば錬金術も異端なのだが、そこのところをつっこむ気も無いらしい。 信仰の加護がステータス欄に追加されるほどに強烈な信仰心は持っておらず――――――シンプルに、みんなが神様を信じることを通して幸福になってくれればいい、というのがファナの考えだ。 彼女は元々、浄化や治療といった秘蹟を習得した修道女であって戦闘員ではない。 現在は、調べものが得意なのを買われ『教会』から『大学』に派遣されている身分である。 しかし、いざ聖杯戦争が始まるという段になって少々彼女にとってまずいことが起こった。 たとえそれがとっくに偽物だと解かっているとはいえ――――――『聖杯』の名を冠するものである以上、『教会』としてはそれを放っておくことができないのである。 よって教会から聖杯戦争の監視要員として、たまたまそのとき『大学』に派遣されていたファナに白羽の矢が立ったのである。 まぁ、実際はそれだけでなくより複雑かつ面倒な利害関係が背後にあるのだが。 「とはいっても、いくらなんでもルイスさんとコンビを組むことになるっていうのは酷すぎやしませんか。」 「・・・・・・聞こえてるそファナ。」 「かっかっか、ワシのマスターのこととはいえそれは同意せざるを得んな。」 「そうでしょう。」 ファナとキャスターがうんうん、と頷く。 当のロイスにも自覚はあるのか、渋い表情のまま、それ以上の反論をしなかった。 ルイス・ローウェル。 通称『ガンスリンガー』。 『大学』に所属するモンスターハンターの一人。 『大学』の構成員全般に言えることだが、彼は怪物狩りを生業としていながら元は唯の常人である。 その不利を補うための礼装を所有しているのだが、彼はその副作用でまれに、否、しょっちゅう幻覚に襲われている。 その危うさは正気と狂気の境界線をフラフラしているようなレベルに達している。 よって彼は今回、同行者であるファナにこう言い含めている。 『俺が狂っていると判断したら、俺を殺して跡を継げ。』 「無茶ぶりですよ、無茶ぶりっ!!」 バンバン、と少女が机を叩く。 それを頼まれた時の肝の冷え具合を思い出したのか、涙目になっている。 「わ、私みたいな善良なシスターにそんなエグいことやれってんですかぁっ!?」 「嬢ちゃんの食ってるもんの方がよほどエグいと思うがね。」 「見て下さいよこれ!」 キャスターの突っ込みを無視して、ファナが修道服のポケットから黒い物体を取りだす。 それは彼女が上司から手渡された黒鍵の柄だった。 最近の黒鍵は、魔力さえ通せば誰でも手軽に刃を実体化させられる親切設計である。 技術の進歩は素晴らしい。 主に彼女に優しくない方向に。 「・・・・・・ぐだぐだと文句を垂れるな。自分の事情を酌量してもらえないのは組織の常だ。特に今回みたいな任務じゃあな。」 「うぅ、現状が変わらないのは解かってますけどせめて愚痴くらいは聞いて下さいよー・・・。」 椅子の上でクラゲのようにへたりながら、赤毛の修道女は赤い地獄と化したワカモーレを塗りたくったフライドポテトを口に含んだ。 今では彼女の哀しみを癒してくれる心の友は、ハバネロソースのみである。 しかし、実際のところルイスが言ったように今回の任務は『大学』と『教会』双方の組織にとって大きな意味を持つために、譲れない作戦なのだ。 否、それはただの利益や目的ではなく――――――悲願という言葉が相応しいかもしれない。 数多の人外と戦う術を模索し続ける『大学』だが――――――彼らが最大の敵と目している存在があった。 『それら』の名はアルティミット・ワン。 U-1。 異星存在。 惑星の頂点。 アリストテレス。 彼方より来るもの。 そして、エジプトはアトラス院の始祖が予言した、終焉をもたらすモノ。 予言によれば数千年後の地球に飛来する他惑星のU-1は、その圧倒的な力をもって全ての霊長を絶滅させるという。 だが、数千年後に来るはずのそれが如何なる手違いか、現代の南米に確認されている。 コードネーム『ORT』。 分類はタイプ・マーキュリー。 水晶渓谷の奥にて眠り続ける蜘蛛。 その次元違いの戦闘力は人間はおろか、吸血種すら歯牙にもかけない。 かつて全ての死徒の頂点に立つ、死徒二十七祖の五位が捕獲を試み――――――瞬殺された。 以来、ORT自身にも吸血種に近い能力があることがわかり、そのまま二十七祖の第五として扱われている。 『大学』の研究者たちはこの怪物を倒す手段を模索し、一つの方法を見つけた。 それが聖杯である。 こともあろうに、『大学』は聖杯によって得られるだろう無尽蔵の魔力でもってU-1に対抗するという結論に達したのである。 この情報は『教会』にも届けられ、『教会』はそれを秘密裏ながらも、支持することを決定した。 なにせ『教会』の敵である二十七祖の一角を滅ぼせる機会であるだけではない。 その力をかすめ取ることができれば、第五位のみならず、超常の力を振るう二十七祖全てを滅ぼすことも可能かも知れないのだ。 とはいっても『教会』内でも、贋作の聖杯であれば異端として廃棄するべきだという派閥や、死徒を滅ぼすために手段を選んでいる場合かなどという意見が様々に飛び交っており、方針は現在進行形で揺れ動いている。 ただそれでも放置というわけにはいかないので、とりあえずの監視員として送り込まれたのが、たまたま当時『大学』に派遣されていたファナ・ロレンテ・イグレシアスである。 ルイスの言うように組織は個人の事情を酌量してくれないものだ。 「とは言ってもよ。負けられん戦いというのに、お前さんも中々酔狂と言うのか――――――それとも無謀と言うのかね。」 「何の話だ、キャスター。」 ポテトをゆっくりと咀嚼しながら禿頭の錬金術師がほくそ笑んだ。 「何、聖杯戦争に当たって7クラス最弱のキャスターをわざわざ選んで召喚するとは、よほどの物好きかと思うがなぁ。」 「・・・・・・自分の戦略から考えて最良のサーヴァントを選択しただけだ。」 擦り切れた声の銃士はピストルの横に幾つか転がしてある鉛玉を拾い上げた。 それはキャスターの手によって作られた特製の銃弾だった。 「英霊に傷をつけられるのは一定以上の神秘を宿した武器のみ・・・・・・。逆にその条件さえクリアすれば、人間の手でも十分に勝機はある。」 「自力でサーヴァントを倒すってのかい。勝機はあっても、正気の沙汰とは言えねぇな。」 口ではそう言いながら、キャスターは笑みを浮かべている。 新しい研究材料を見つけたというような、楽しくてたまらないような、そんな笑みだった。 ルイスも、黙ってうなずいた。 「『一度生き残れば、二戦目は必勝』・・・・・俺は今までもそういう風にやってきた。キャスター、お前の援護には期待している。」 カシン、という乾いた音をリボルバーの弾倉が立てる。 白い銃把のピースメイカー。 自身の父の形見をガンベルトに収納する。 「おうおう、十分に存分に期待しておけ。――――――しかし、忘れるなよ?わしもまた英霊の端くれ。おぬしにばかり手柄が行くとは思っておかん方が良いぞ。」 研究の成果を試したいものでな――――――と言ってキャスターはそのローブの袂からフラスコを一つ取りだした。 フラスコの球形の底部に、まるで靄の中の電球のような緑色の光がぼんやりと渦を巻いている。 そこから滲み出る膨大な魔力を部屋の人間すべてがひしひしと感じていた。 自慢の品を見せた錬金術師はそれを仕舞いなおして、にやりと楽しげな笑みを浮かべた。 「さて、ルイス。銃の整備が終わったのなら飯を食うことだな。腹が減っては戦もできまい?」 「・・・・・・・・・。」 ルイスは黙ったまま、フライドポテトに手を伸ばし――――――引っ込めた。 「やめだ。」 「どうした。」 「・・・・・・引き金が滑る。」 「・・・そうかい・・・。」 主従の間に沈黙が降りる。 二人はそう、確かに予感めいたものを背筋に感じていた。 そう、それはまるで――――――、 「あのー、キャスターさーん。ソース切れちゃったんですけど呼び持ってませんかー?」 修道女がのんきな声を上げる。 それを無視して、無言のまま銃士は椅子の上にかかっていたレザージャケットを羽織り、錬金術師は工房の棚の鍵を外す。 そう、彼らは確かに、迫る戦いの気配を感じ取っていた。
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171 : ◆ywLV/X/JUI 2012/06/17(日) 19 48 10 ID /VgVoijY0 * 和は生徒会の仕事を手早く切り上げると、けいおん部の部室へと急いだ。そこが、澪と話し合った事を実行する場所となる。 昨日提案した事は澪との話し合いで、早くも今日に決行する事に決まっていた。和が昨日提出を受けた書類の件で部室を訪れ、そのまま澪に誘われて茶を共にする。そしてそのティータイムの中で、澪と和が仲良く振る舞って見せる、という段取りだった。 けいおん部の部室に辿り付いた和は、深呼吸をしてからドアノブを捻った。「ごめん、澪、居る?昨日提出してもらった書類だけど、不備があったから訂正お願いしたくて」 そう言いながら、和は部室内へと足を踏み入れた。実際には、提出を受けた時点では書類に不備などなかった。和が部室を訪れる口実の為に、澪に改竄してもらったのだ。「えっ?ごめんな、和。何処か抜けてたか?」 不知を装う澪の態度は、和が感心する程堂々としていた。後ろめたさなど微塵も感じ取れない。「ええ。それと、表記がおかしい部分が」「今すぐに訂正するな。わざわざ来てくれて、ありがとう。まぁここに座って、待っててよ」 澪に誘われるまま、澪の隣に和は腰掛けた。澪は早速、丁寧な字で書類の訂正に取り掛かった。そのまま澪の手元を見詰めていると、程無くして紬がカップを運んでくれた。「わざわざご苦労様。お茶でも飲んで、寛いでてね。けいおん部自慢の紅茶なの」 事前の打ち合わせ通りに、事が運んでいた。和が椅子に腰掛ければ、必ず紬が茶を用意する。澪が言っていたとおりだ。そして茶が用意されれば、長居する自然なシチュエーションが出来上がる。「はい、訂正終わったよ」 澪から書類を受け取った和は、椅子から腰を浮かせながら言う。「ありがと、じゃあ私、そろそろお暇するわね」 これも、打ち合わせた故の台詞だった。一旦は帰る姿勢を見せる事で、自然を装う狙いがある。 173 : ◆ywLV/X/JUI 2012/06/17(日) 20 05 18 ID /VgVoijY0 「おいおい、もう行くのか?生徒会の仕事が立て込んでないなら、ゆっくりしていきなよ。折角、ムギがお茶淹れてくれたんだし」 澪が言うと、唯も続いて加勢した。「そうだよー、お茶飲も?和ちゃんっ」 澪の台詞は段取り通りだが、唯の言葉は意図せぬ僥倖だった。更に自然を装う事ができたと唯に胸中感謝しつつ、和は再び腰を椅子に落とした。「それもそうね。私も、偶には澪と話したいし」 和は澪を見つめながら言った。「私も、だよ。和とは、最近話してないからな。去年話してみて、色々と気が合う事は分かっているのに」 澪の声が、甘く和の耳朶を擽る。芝居だと分かっていても、和の心は高揚に包まれた。「そういえば、去年ほど二人は話さなくなったねー」 唯が横槍を入れてくるが、和は無視した。ここからは、澪との濃密な空気を形成しなければならない。他の人間を話に入れる訳にはいかないのだ。「ええ。気が合うせいか、楽しかったわ」「やっぱり和、生徒会の仕事が忙しい?もうちょっと和にも暇ができれば、また二人で色々と遊べるのにな」 澪の言葉が本当なら、どれ程嬉しいだろうか。そう思いながら、和は律を盗み見た。まだ、表情から変化は感じ取れない。「そうね。色々と立て込んでるし。まぁ今日は、偶々仕事が少ない日だけどね。だからこうして、お茶も一緒にできる訳だけど」「お疲れ様。じゃあ今日は、日頃の労を癒していきなよ。肩、貸してやるな」 澪の手が和の顔に当てられ、そのまま胸へと引き寄せられた。「肩、って、聞いたけど?」「こっちの方が柔らかいだろ?」 澪は妖艶に笑った。その笑顔と柔らかさに包まれながら、和は律の様子を窺った。打ち合わせの時点では、澪に対してあまり律を見過ぎるなと注意していた。だが結局は、自分が律を何度も見ている。その事に、和は内心で自嘲を浴びせた。 その律は、流石に表情に不機嫌さを浮き上がらせていた。この場所が自分だけのものであると、そう言いたいのかもしれない。ただ、表情に変化が訪れている者は、律に限っていない。唯も紬も梓も一様に、戸惑ったような表情を浮かべている。只ならぬ雰囲気を察知しているのだろう。 174 : ◆ywLV/X/JUI 2012/06/17(日) 20 30 36 ID /VgVoijY0 「確かに。それに、いい匂いもするわ」 実際に、母性を感じさせる懐かしい匂いが立ち込めている。「それはどうも。和はどうなんだ?」 匂いに酔っていた和の胸に、澪の手が当てられた。「ひゃっ」 陶酔に浸っていた和は、不意を衝かれた形となった。意図せぬ声が、漏れ出てしまった。「可愛い声で鳴くよな。ん、和の胸も、十分柔らかいじゃないか。匂いもいい香りがするのかな?」 澪が首を伸ばして、和の胸元へと鼻を当ててきた。直後に響く吸引音に、思わず和は顔を赤らめた。自分から提案した事ではあるのだが、いざ実践してみれば冷静にはなれなかった。「うん、和も甘い匂いがするよ。ここ、気に入ったよ。ふふ、こういう和の表情、生徒会の子達に見せてあげたいな。いや、全校生徒に見せてあげたいかも。お堅い和のイメージ、覆すチャンスじゃないか?」 サディスティックな澪の言葉に、和の胸中は昂ぶった。更なる満足を得ようと、律の表情を再び見遣る。 これだけ見せ付けたせいか、律にはあからさまな変化が訪れていた。寂しそうに俯いて、胸元のリボンを弄っている。その姿にもう普段の快活さは、見受けられない。「駄目よ。この顔も、澪だけのお気に入りにしておけばいいじゃない」「胸や顔だけじゃない。この髪だって、お気に入りにしたいよ。ふふ、触り心地、いいな」 澪は再び和を胸に収めると、今度は髪を触ってきた。澪の手が優しく髪を擽る度、和の背筋に震えが走る。「あ……そ、そう?自分じゃこの髪質、あまり好きじゃないんだけど」 和は愚痴るように言った。「あ、そういえば私も、前にムギから、髪の毛が柔らかいとか褒められた事あったっけ。これも、触り心地いいのかなー」 唐突に、律が声を上げながら言う。傍目にと空元気と分かる、繕った笑顔を添えて。 澪はそんな律に、一瞥さえくれなかった。それでも律は、髪を自分で弄って必死にアピールしていた。痛々しい姿だった。滑稽な姿だった。その痛々しさも滑稽さも、和には愉快だった。 175 : ◆ywLV/X/JUI 2012/06/17(日) 20 48 41 ID /VgVoijY0 「私は和の髪質、好きだけどな。そういえば和って、割と独特のセンスしてるよな。映画とかも、やっぱり変わったのが好きなのか?」 澪は律を無視して、和に言葉を向けてきた。演技だと分かっていても、和はそれを嬉しく思えた。「まぁ、そうかもしれない。割とマニアックなのが、好き、かな」「マニアックでもいい、教えてくれないか?和の好み、色々と知りたいんだ」 澪の装う和への好意は、より露骨な言葉となって表れている。 その状況に耐え切れなくなったのか、律が言葉を割り込ませてきた。澪の関心を、どうしても引きたいのだろう。「あ、和ー、澪は怖いの苦手だから、ホラーとか教えちゃ駄目だぞー。そうしたらまたぐずって、私のところに泣きに」「律っ。今私は、和と話してるんだ。余計な事言って、邪魔しないでくれないか?」 律の言葉は、澪の一喝によって遮られた。確かに和は、律に厳しい態度で当たる事が効果的だと教えている。だが、ここまで厳しく当たるとは、想定外だった。「あ……ごめん……」 律は弱々しい声で謝ると、顔を俯かせてしまった。それでも顔を寝かせている和には、涙を堪えている律の瞳が覗けた。「ちょっ、ちょっと、澪ちゃん。今のは、流石にりっちゃんが可哀想だよ」 見るに見かねたのか、唯が言葉を挟んできた。それに対しても、澪は落ち着いた表情を見せている。「じゃあ、唯が律と話してろよ。私は普段話せない和と、今は話しておきたいんだから」「私も、今は澪と話したいわ。ごめんね、唯」 和が澪に加勢して言うと、唯は納得のいかない表情ながらも頷いた。「う、うん。じゃあ、りっちゃん。私と話そうか。でも……大丈夫?顔色、あんまり良くないみたいだけど」「うん、ありがと、唯。大丈夫、私は大丈夫。いっつも元気な、ひまわりっちゃんだから。大丈夫。それに、澪とはいつも話してるから。澪だって偶には、他の人とも話しこみたいだろうし」 律と唯のやり取りを見ていると、和の耳に急かすような澪の声が届いた。「で、お勧めの映画っていうのは?」「あ、そうね。オラフ・イッテンバッハとか、アンドレアス・シュナースとか。ジャーマンゴアの代表格が、好き、かな」「ゴアとかも苦手なんだよな。痛そうだし、気持ち悪いし。だから、今度、一緒に見てくれるか?」「ええ。構わないわ。約束する」 見る事は、無いだろう。それが分かっていても、約束という言葉を添えずにはいられない。 179 : ◆ywLV/X/JUI 2012/06/17(日) 21 20 34 ID /VgVoijY0 「ありがと。私、和のそういう所、好きだよ」 澪はそう言うと、和の耳朶を軽く噛んできた。「あ……っ」 和の口から、切ない吐息が漏れる。「相変わらず、可愛い声で鳴くんだね。もっと、聞いてみたいな」 澪の手が、和のスカートの中に入り込んできた。和も負けじと、澪のスカートに手を入り込ませる。「私だって、澪の鳴く声、聞きたいわ」 触らない、そういう約束だった。だが勢いあまって、和の指が澪のショーツに触れてしまっていた。 和が約束を違えても、澪は約束を守ってくれている。もし触れられれば、演技ではない本物の声が漏れてしまうだろう。また、濡れていると気付かれ、澪に本心を見抜かれてしまうだろう。そうならなかった事に、和は安堵した。 それとともに、澪が声を上げなかった事を恨めしく思った。澪が乾いていた事も、悔しかった。「ほら、我慢せずに鳴いてみな?和」 泣きたかった。恨めしさが、悔しさが、涙腺を突き上げている。その衝動に、身を委ねたかった。それでも我慢して、和は言う。「澪こそ、我慢せずに、鳴けばいいのに」 その時、部室に大きな音が響いた。音の方向に視線を向けると、律が勢いよく席を立ったせいだと分かった。「あー、ごめん。なんか私、調子悪いから、帰るな。具合、悪いみたいで」 律は顔を伏せたまま、明るい声でそう言った。だが、声とは対照的に、顔は既に落涙へと至っている。 180 : ◆ywLV/X/JUI 2012/06/17(日) 21 21 17 ID /VgVoijY0 「り、りっちゃん……あの」「じゃあ、また明日、な」 心配そうな唯の声に耳を貸す事なく、律は急ぎ足で部室から出て行った。「流石にちょっと、やり過ぎたかな。まぁでも、いい下地にはなったか」 澪はそう言うと、和を離して立ち上がった。「そうね。行ってあげなさい。寂しがらせた分、存分に甘えさせてあげなさい」 和はそう言うと、見送るように手を振った。「ああ。ありがとな、和」 そう言いながら、澪は既に歩き出していた。その背が部室の外へと消えてから、和も立ち上がる。「お騒がせしたわね。じゃあ私も、今度こそ本当にお暇するわ。お茶、ありがとね」「いえ、お茶はいいのだけれど。えっと……どういう、事?」 紬が説明を求めるように、和を見つめてきた。「ちょっとしたお節介、よ。いつまでも関係が進展しない二人に、スパイス一匙刺激をあげただけ」 それ以上説明するつもりのない和は、背を翻して歩き始めた。唯も紬も、納得したわけではないだろうが黙って和を見送っていた。だが、梓の席の側を通りがかった際、不意に声を掛けられた。「ちょっと、待って下さい。だからって、あんな事、許されると思ってるんですか?律先輩が可哀想です」 和を咎める声は、それまで黙っていた梓のものだった。和はすぐには答えず、部室を出る直前になって振り向いて言う。「そうね。許されないわね。だから、謝罪もしないわ」 胸が痛みに軋んでも、後悔は無かった。”許されない事”を、澪と共有できた。澪と共犯になれた。自分は確かに澪と特別な関係を築いたのだと。それが和には、誇らしかった。<FIN> 172 : ◆Q9Tanlls9c 2012/06/17(日) 20 01 30 ID XYoUnqLg0 【澪和】和「もしもし? ああ澪、どうしたのこんな時間に」和「え? 明日? いいわよ、ちょうど駅前の本屋さんに行こうと思ってたし」和「でも何の用事なのかしら? 今日も学校で会ったばかりでしょ」和「え? 私に伝えたいこと? それって今じゃだめなの?」和「真剣な話って何なのよ、怖いわね」和「うん、それはいいけど……」和「わかった、じゃあ11時にね」 ピッ和「……」 ピッ ピッピッピッ和「あ、もしもし、真鍋です。 夜分にごめんなさい」和「明日の生徒会の打ち合わせだけど、ちょっと用事で出られなくなっちゃって……」 おしまい 176 :いえーい!名無しだよん! 2012/06/17(日) 20 59 19 ID GJjJ5O1Q0 憂ちゃん! 177 :いえーい!名無しだよん! 2012/06/17(日) 21 01 20 ID JRnZndQw0 純ちゃん! 178 :いえーい!名無しだよん! 2012/06/17(日) 21 02 28 ID HGzM.4d.0 折角だしお題水着 181 : ◆WOzlYvh7m2 2012/06/17(日) 22 00 00 ID 4yDX0LvM0 純「ねえ憂、いっしょに水着買いにいかない?」憂「水着?」純「そ、水着。二人で」憂「うんいいよ。でもどうして二人なの?」純「そりゃあ私らが梓を誘ったら嫌味になっちゃうからさ~」憂「えー?そうかな?」純「憂は梓も誘いたい?」憂「うーん、梓ちゃんそういうの気にしないとおもうけどな」純「いやいや、うちのあずにゃんさんは意外と繊細ですよー?」憂「そっかぁ。じゃあ二人で行っちゃおうか?」純「決まりだね!よっし、二人でデートだー!」憂「うん、デートだね~」純「えへへ」終 185 : ◆Q9Tanlls9c 2012/06/17(日) 22 33 39 ID XYoUnqLg0 【憂純】シャワーを浴びてバスルームを出る洗面台の鏡に映るのは濡れた髪の私まだ残っている日焼け、胸に残る水着の跡これがついたあの夏の日、あの日の私はまだ無邪気な少女彼女とは友達、ずっと良い友達……そう思っていたなのに今は……水着の跡を指でなぞる。さっき彼女がしてくれたように、優しくゆっくり、ゆっくりと水着の跡は薄れて、やがて消える最近気付いた好きになればなるほど、幸せになればなるほどそれを失うのが怖くなるこの想いも薄れていくのだろうか消えてしまうのだろうかそれとも……「でももう戻れないよね」そう私は話しかけた鏡に映る女の顔をした私に おしまい 「いつもの時間にお逢いしましょう。待っています。xxx」 9
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☆「久々だな、同じ部屋って」「そうね」2人旅をはじめて2か月弱といったところ。これまでも空き部屋が足りなくて、何度かこういうことはあった。…もちろん色っぽい展開になんかなったことはない。最初の一回くらいは、ゼシカ曰く「最悪の女たらし」という肩書の面目を保つため、お約束のようにその手の誘い文句を口にもしたが。軽くいなされて終わり。さらにわざとしつこくすれば、メラが飛んできて部屋を追い出される。追い出されたオレは酒場で一晩を過ごすか、適当な女のところで癒しとベッドを拝借し、一方ゼシカは不埒な狼に狙われる心配もなくぐっすりと眠ることができる。それがオレ達の基本的な「一人部屋」の夜の過ごし方だ。実際に2人同じ部屋で夜を過ごしたことはない。なんていうか…予防策、という感じだった。別に2人でそうしようと決めたわけでもないが、なんとなくそうするべきだろう、という暗黙の了解が最初から存在していた。お互い今さら隠すこともない慣れた間柄。親友や仲間といった枠を超えて、同志、とでもいうような絆がオレ達にはある。何も言わなくても伝わる。理解している。空気のようであり、しかし必要な存在。お互い便利な旅の相棒。ただひとつ形だけでも気にしておく必要があるのは性別だった。オレ達は決して恋人同士じゃない。互いの間に「恋愛感情」はあり得ない。そういうスタンスだからこそ年頃の男女が始められた2人旅だ。まさか、今さらあり得ない、とお互い笑って手を振りながらも、万が一何かの拍子でこの均衡が崩されてしまうことも皆無とは言えない。世の中に絶対は存在しないから。だからこその、「予防策」。2人して毎度、慣れたやり取りの演技をする。ゼシカは、別にオレのことを一人の男としては見てない。そして、もちろんオレも―――「…で?今夜はどうなさるのかしら?カリスマナンパ師さんは」荷物を床に置いて一つしかないベッドにポスンと腰掛けながら、ゼシカが含み笑う。すでにいつもの演技モードに入っている。そのベッドの所有権も最初から彼女のものだ。――そりゃあもう久々のチャンスなんだから、今夜こそ愛しのゼシカちゃんをこの腕に…――頭の中ではお決まりのセリフが一瞬にして並べられていく。だけど、なんだか口が重くて開かない。なんだろう。気まぐれか?…繰り返されたパターンに、飽きたんだ、きっと。「……今夜は疲れたしここで寝るよ。ゼシカはベッド使いな。オレは床で適当に寝るから」「え」思いもかけない応答にゼシカから間の抜けた声がもれた。演技でも、下心でもない、それ以外の意味に読み取れないオレの声音に、きょとんとする。オレは荷物を置いて、ソファでも借りられないか聞いてくる、と言い残して部屋を出た。……なんだろう。なんでこんなこと言いだしたのか、自分でもわからないが。変わらないオレ達の関係に、ちょっとした変化が欲しくなったのかも…な。運よく使ってないソファを借りられた。3,4人は座れる長さなので、ある程度足を伸ばして横になれそうだ。壁際に運んでもらったそれにどっかりと座り込む。一連の流れを目を丸くして見ていたゼシカは、一息ついたオレに心なしか遠慮がちに声をかけてきた。「…大丈夫?疲れてるって…何かあったの?」どうやらオレの意外な発言を、本当に疲れてて遊びに行く元気がないからだと思ったらしい。内心苦笑する。「いや、気分じゃないってだけ。酒もたいして飲みたくないし」「じゃ、今夜は、ここ…で、寝るのよね?」わざと明るい声音だが、押し隠したなんらかの不安と不審はにじみ出ている。それに気づかないフリして、オレも飄々と答える。「もちろん。ま、このソファならオレの長い足もなんとか伸ばせるし、それなりに快適だぜ」「ぅ、うん」彼女の不安に対してわざと言及しない。ゼシカは曖昧に笑ったあと、考え込むように黙りこんだ。オレが一言「大丈夫、変なことはしないよ」と言えば、彼女もそれに関して思ったことを言えるのだろうが。オレの方から言い出さない限り、ゼシカからは言い出せない微妙な雰囲気がある。今のところオレに変な気はなさそうなのに、自分が言及してしまったことで変な気を起こさせて、心変わりされたらどうしよう、という感じだろう。オレはそれをわかってるうえで、わざとその反応を楽しんでいる。オレに対してすでに遠慮も何もなくなっているゼシカの、初心な態度が久々に新鮮だ。どんなに強く世慣れて見えたって、ゼシカが男女関係において箱入りであることに今でも変わりはない。「仲間であり騎士」の栄誉を得ているオレは、(仲間なら)恋愛感情はない、(騎士なら)手を出したりしない、という点において、ゼシカに全幅の信頼を置かれていると言っても過言ではないだろう。それに若干の疑いが生じて、でもまさかそんな、と葛藤しているのが手に取るように伝わる。そんなゼシカが妙に可愛くて、オレは笑った。対等な関係であるべきゼシカをからかって翻弄してみる。たまにはこんなのもいい。静かに扉が閉まる音で目が覚めた。夜も更けて、いつの間にかソファで横になってうたたねしていたらしい。薄闇で目を開けると、風呂から帰ってきたゼシカが月明かりを頼りに部屋を横切り、ベッドに腰かけていた。オレが眠っていたから、明かりを消して部屋を出たのだろう。今もオレを気遣って暗闇のままでいてくれる。オレに背を向けて座っているゼシカの斜めからの後ろ姿を、月明かりにじっと盗み見た。こんなに暗くては見えづらいだろうに、鏡を掲げながら濡れた髪の毛にブラシを通している。薄いシルクの寝着は、ふくらんだ袖がかわいらしいが肩はむき出しで(ゼシカはやたら肩の出る服を好む)そのアンバランスさが妙に艶っぽい。なまめかしい体と胸のラインが月光にかすかに透けている。髪の毛を一つにまとめあげると、白いうなじと細い肩がさらに露わになった。…まったくの無意識で、この色香。というか色香とか通り越して単純にエロい。すがすがしいくらいたやすく、男の欲を煽るフェロモン。さすがおいろけスキルマスター…―――いい女、だよなぁ。ホント。ぼんやりと思った。こんな女と2人きりで旅してんだなぁ、オレ。………よく手ぇ出さないですんでるよなぁ。なんでだろう、と考える。正直こう見えてオレはそんなに性欲旺盛じゃない。セックスで大概の事が片付けられる汚れきった世界に身を置いて生きてきたおかげで、自由の身になれた今となってはやらないで済むのなら一生それでいいとさえ思っている。まぁ健康に生きてりゃそういうわけにもいかないんだが。…だからなのか?男なら無条件で抱きたくなるような魅力的な女を前にして、これだけの隙を見せつけられて、それでもたいした我慢もしないでいられるのは。未だに彼女の信頼を損ねないで共に旅を続けていられるのは、すでにセックスに大した興味がないからなのか。―――ちがう。そこまで枯れてない。たった今も心底から、抱きたいと…思ってる。今までだって、あの男を誘う顔と体を持ちながら性の何も知らないアイツに最初に手を出せるなら、一体何からどうしてやろうかと考えたことがないとは言わない。他の男に取られるくらいならオレのものにしてしまいたいという独占欲もないわけじゃない…でも。…ちがう。ゼシカに対して性欲はあるが、それが今この場でアイツを抱くという行為に直結しない。………オレ達はお互い、男と女である前に「仲間」でいすぎたんだと思う。「恋人」なんて、なんの冗談、何を今さら、というノリだ。オレ自身ゼシカに単純に欲情はするが、いわゆる恋心はというと…少なくともオレにとってのゼシカは、すでにどうあっても取り替えの利かない存在なのは間違いなく。いなくなったら相当のデカい穴が心にポッカリ開くだろうというのも間違いなく。しかしこれを「恋心」と呼んでいいものなのか、非常に微妙…多分ゼシカの方も大差はないと思う。惚れてるとか惚れてないとか好きだとか嫌いだとか、そういう段階はとっくの昔に気づかぬうちに飛びこえてしまっている。要するに都合よくタイミングを失ったので、放置してきたわけだ。…いや、今さら確認なんかするまでもないと言いつつ、ただ確認するのが怖いだけなんじゃないのか。そのへんをはっきりさせてしまうと、何かが取り返しのつかないことになる気がして。だから2人して何も言葉にせず、曖昧なままでつかず離れずここまできてしまった。無邪気に旅をしていたあの頃より、オレ達は少なからず大人になった。見ないフリをしていても、そういつまでも封じておけないモノがあることに、そろそろ気づいている…―――オレ達はこれからもずっとこのままの関係でいるんだろうか。この感情を飛び越えたら、今度はどんな関係がそこにあるんだろうか。本当はそれが知りたくて、オレはこの状況を作ったんじゃないのか?絶妙なバランスを保ってきたオレ達の均衡を破壊して、一体何が起こるのか知りたかったんじゃないのか。……今のところ特に変化はない。スイッチを入れる役目はオレ以外あり得ない。オレが、この夜に、何も動かなかったとしたら、何も変わらないはずだ。―――立ち上がって、後ろからいきなり抱きしめてみようか。耳元で、抱きたいと囁いてやろうか。……あぁ、ここまでツラツラ考えながら、ちっとも行動に移せねぇ自分のチキンっぷりがうざい。どうでもいい女なら即座に手ぇ出せるくせによ。そもそも当たって砕けるっての、実はオレの最も苦手とする分野なんだよな… ―――ふいにゼシカが静かに立ち上がってこちらの方に歩いてきたので、焦らずそっと両目を閉じ、眠っているフリを再開した。トイレにでも行くのかと思っていたが、静かな足音がオレの手前で止まる。サラリと衣擦れの音がして、いきなりゼシカの声が間近に聞こえてきたのでひそかに心臓が跳ねた。「クク……寝てるの?」可愛い声。本当に寝ていたら起こしてしまうから、囁くような控え目な声だ。しかし若干懐疑的にも聞こえる。嘘寝かもしれないと感づいてるらしい。オレは敢えて寝てるフリを続けた。シャンプーの香りが実に近い。吐息も近い。ゼシカはしゃがみこんで、オレの耳元に顔を近づけているのだろう。なかなか心地いい状況だ。「…ねぇ、ククール…わたし、もう寝ちゃうわよ…?」重ねて尋ねてくるあたり、やっぱりバレてんのか。気のせいか声音にも不満な響きが感じられる。でもゼシカなら何タヌキ寝入りしてんのよ!って問答無用でげんこつ入れそうなもんだけどな…殴られる前にそろそろ目を開けようかとタイミングを計りだした、その時。「……もぅ……なんでほんとに寝ちゃうのよ。………………バカ……」そんな呟きと同時に、額にそっと暖かいものが触れた。それがゼシカの口唇だとわかった瞬間、オレの中のあらゆる感情が一気に弾けた。「――――……じゃあ、2人で眠れなくなることしようか?」「ぇ…っ、――キャッ」すかさず下からゼシカの身体に腕を回して抱きしめると、バランスを崩したゼシカがオレの上にドサリとかぶさってきた。デカいおっぱいがオレの胸で押しつぶされ、オレ達の顔は触れ合うギリギリまで近づく。…参った。―――まさかゼシカの方からスイッチ入れてくるなんて。「お前と同じ部屋なのに、このオレが大人しく寝るわけないだろ」「……ッ、や、やっぱりそういうこと考えてたんでしょ…ッ」「お前追い出さねぇんだもん。そりゃ期待もするさ」「だ、だって疲れてるっていうから…!!勝手にやらしい期待してるんじゃないわよ!」「お前だってしてたくせに」やらしい期待、と言ってやると、ぎゅーんとメーターが上がるみたいに、一気にゼシカの顔が赤くなった。「~~~ッッ!!!~~~してないッッ!!!!!!!」「じゃあオレ、明日に備えてもう寝ちゃっていい?」最高に意地の悪い笑顔を向けるオレに、ゼシカは今度こそ絶句した。無理やり何か言い返そうとする口唇にオレは人差し指をピタリと当てる。「もっかい言ってくれたら寝ないでやるよ」「…………ッな、なにがよ…っ」ゼシカは半ばヤケになって、半泣きみたいな顔で悔しそうにオレを睨む。もはやオレは楽しすぎて笑い声が抑えきれなかった。「『私をおいて寝ちゃうなんてヒドイ。つまんない。一緒に朝まで楽しいことしようよ』って」「い、言ってないわよ!!言ってない!!バカバカ!!バカじゃないの!?バカッッ!!!」ついに羞恥心がパニックを起こしたゼシカがオレの上からガバリと身を起こしたが、オレが逃がすわけもなく、強い力で腕を掴むと困ったような顔で黙り込んだ。オレも静かに身体を起こす。目を合わせないようそむけられた頬に手を添えこちらを向かせると、潤んだ瞳がオレを戸惑いがちに見上げた。あぁ…これだよ。お前は本当に、男を煽るのが上手い…すでにスイッチが入ってしまっているオレには、タチの悪い媚薬のようだ。その視線は悪魔の囁きのごとく何かを訴えかけてくる。ゼシカ自身はまるで意識していない、確かな「期待」を。「……ゼシカ。……潮時、って言葉、知ってる?」「…知ってるけど…」「オレ達いい加減、そろそろいいと思わねぇ?」「………なんのことよ」「もうデキちゃおうぜ、オレら。オレやっぱお前のこと好きだわ。ただの仲間でなんていられない。この旅が終わっても手離したくねぇし。もうお子様でもないんだし。だから、そろそろしよう」「…ッ、なに、を」ゼシカはいきなりの告白に顔を真っ赤にして口をパクパクさせている。「セックス。オレ、ゼシカとエッチなこといっぱいしたい」ビクンと跳ねた身体に手を回して、至近距離でにっこりと笑った。「ゼシカもだよな?」否定なんかできないことを知っているのだから、完全にオレの勝ちだ。スイッチを入れてきたのはゼシカであって、オレじゃない。それは今さら変えようのない事実。弱味、握っちゃったぜ?「……開き直ったわね………このバカリスマ…!」ゼシカは嵌められた、とでもいいたげに悔しげに呟いたが、口元にはほんの少し笑みが漂っている。「お前のおかげで、な。ゼシカも開き直っちゃおうぜ?なんかオレ今、すっげー清々しい」「バッカじゃないの!?」「いいじゃん、好きなんだから」ぐっと声を詰まらせて、ゼシカはオレから目を逸らした。…バカ、と小さく呟いたあと、しばらくしてからもう一度見上げてきた視線には、明らかに「誘惑スキル」が宿っていた…「―――いいわよ…。………私をおいて先に寝ないで…一緒に朝まで楽しいこと、しよ…?」潮時。っていうか、降参。やっぱりコイツ小悪魔だ。オレ、これから先ものすごく苦労しそう。……もちろん、幸せな苦労を。 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