約 314,586 件
https://w.atwiki.jp/akazunoma/pages/35.html
294 名前: 本当にあった怖い名無し [sage] 投稿日: 2006/08/12(土) 18 37 40 ID efOuzryh0 『あかずの間』ってのは、やっぱり幼少時代にあった謎の存在みたいな感じが良いのかな。 開けちゃったら特別何もなかったりとか、常識で考えれば理解できる物だったりとか。 でも、『あかず』の内はそれがわからないから何となく惹かれるのかもね。 オレにも小学校の頃、そんな存在があったな。 当時は良く遊んでた地元にある公園の隣、果樹園の中に南京錠がかけられた変な小屋。 小学生の頃、オレらはそこを『水戸黄門部屋』って呼んでた。 妙な呼び名の理由は、中を覗くと青い大きな家紋みたいなのが描かれた掛け軸が見えたから。 たぶん違うんだろうけど、当時は水戸黄門の『葵の御紋』だと思ってたんだな。 ま・・・単なる物置か何かだったんだろうけど。 何となく興味そそられて度々偵察に行ってたりしたっけ。 地元に帰ったら久々に見てこようかな。もう今じゃなくなってるかもしれないけど。
https://w.atwiki.jp/side_flip/pages/146.html
#freeze 清涼院流水 contents #contentsx 書籍情報 plugin_html is not found. please feed back @wiki. 著者 : 清涼院流水 発行元 : 講談社 新書版発行 : 1996.9 文庫版発行 : コズミック ・ 流(上) 2000.4 : コズミック ・ 水(下) 2000.5 あらすじ 以下Amazonより引用 『今年、1200個の密室で、1200人が殺される。誰にも止めることはできない』―1994年が始まったまさにその瞬間、前代未聞の犯罪予告状が、「密室卿」を名のる正体不明の人物によって送りつけられる。1年間―365日で1200人を殺そうと思えば、一日に最低3人は殺さねばならない。だが、1200年もの間、誰にも解かれることのなかった密室の秘密を知ると豪語する「密室卿」は、それをいともたやすく敢行し、全国で不可解な密室殺人が続発する。現場はきまって密室。被害者はそこで首を斬られて殺され、その背中には、被害者自身の血で『密室』の文字が記されている…。 引用終わり 書評 * 筆者が読んだのは「流」「水」に分かれる文庫版である すでに21世紀となって数年が経過しているが、まさに20世紀末の大問題作といえるのが本書である。なんと言っても私が本書を読むきっかけになったのも、mixi内のミステリ好きが集まる某コミュ内での「最低のミステリ」を挙げてゆく掲示板で、本作が圧倒的な勢いで支持(?)されているのを目にしたことにあるのである。 その掲示板では、「読了後、実際に本を投げつけたのはこの作品が初めてだ」 といった趣旨の発言が数多く見受けられた。またそれ以外のサイトでも、罵倒しているものあり、冷静に非難しているものあり、非難・批判のオンパレードなのである。ひどいものでは新書版の異様な分厚さを揶揄して、「レンガみたいで持ち歩きにくい」「これで人を殴ったら殺せる」といったコメントもあった。 しかし、その半面「史上最高のミステリ」といった感想もちらほら見られ、どういう作品がこれほど両極端な感想を引き出すのか覗いてみたいと、私は思ってしまったのである。 とはいえ、この本は妙に分厚い。 正直なところ、最後まで読んで本当につまらなかったらどうしよう、という思いも強く、そこにこの分厚さがプラスされるものだから、読もうと決心するのに約1ヶ月かかってしまった。 前置きが非常に長くなってしまった。 この作品の内容は上のあらすじで書いたとおり、密室卿と名乗る犯人の 「一年間で1200人が1200個の密室で殺される」という史上類を見ない大風呂敷ではじまる。元旦、初詣客でごった返す平安神宮での首切り殺人を皮切りに事件が延々と続いてゆく。上巻は延々と(広義の)密室殺人が続き、その殺人の数、実に19。 結構きつい。 事件と事件の間のつながりもまったく見えず、探偵役すら出てこないから当然推理が展開されることもない。ようやく事件に動きが出てきたのが18番目の密室殺人。ここで「密室卿の使者」と見られる人物が殺害され、次の19番目の事件でようやくこのJDC(日本探偵倶楽部)シリーズにおける探偵役たるJDCのメンバーが表舞台に出てきてほっとしたのだが……。まあここは読んでください。 ここまでの事件の羅列は、普通に小説として考えれば無駄の多い、退屈な描写に見えてもしかたない。しかし、この単なる羅列に見える表現こそ、この非常識で、しかし機械的に続く事件の全体的に奇妙なイメージを読者に正確に植えつけるものであるような気もする。 そして下巻。 今度は打って変わって、JDCの個性的な探偵たちがどんどん登場して、様々な推理を展開する。もちろんその間にもどんどん事件は進行する。ほとんどは物語の合間に事件の概略だけが示されるといった感じだが、前半とは打って変わったこの事件の描写が、非常識だった事件が次第に日常的に、より一層淡々と続いているという雰囲気を良く表していると思う。 計算されたものかどうかは微妙だが。 個人的にはこのJDCの探偵達の描写を見ているだけでも楽しめる。が、一般的に良く見られる批判に、「個性的な探偵たちが数多く登場しているのにそれを活かしきれていない、というものがある。 果たしてそうだろうか。 もちろん一人の名探偵が最初から最後まで事件を解決する類の小説と比べると、一人ひとりの探偵の人物は、まあ、描けていないことになるのだろうが、これは当然である。しかし、私には ― 本作の上下巻の間に「ジョーカー」上下巻をはさんで読むという作者推奨の順序で読んだのだが ― それぞれの探偵の印象が強く残った。それぞれの探偵が単に独特の推理方法を持つ推理マシーンとしてではなく、その内に秘められた葛藤などを通して、なかなか人間的に描かれていたと思うのである。確かにそれぞれの探偵の独特の推理方法までは特徴的に描かれていたとは思わないが、これは今回の事件がほとんどの探偵の能力を凌駕するレベルのものであったので、その特性を発揮できなかったのだ、と無理やり解釈すれば、まあ許せる。個人的には、このJDCの様々な探偵を主役に据えたもうちょっと普通の推理小説などを外伝的な形ででも発表していただければとってもうれしい。 また、探偵の中で「神通理気」 ― 手がかりさえそろえばたちどころに真相に到達するというとんでもない推理方法 ― を駆使する「九十九十九」という圧倒的な能力を持つ探偵が登場し、結局彼が一応事件を解決するということになるのだが、これについてもあまりに論理的思考の積み重ねという、推理小説に欠かせない、ある意味(読者にとって)おいしい部分を抜きに真相に到達してしまうことから、ミステリファンの批判が目立つ部分となっている。しかしこの探偵についても私は肯定的だ。なぜなら、探偵がこの九十九十九一人しか登場しないのならちょっと問題があると思うが、この本には数多くの探偵たちが登場し、九十九の代わりに様々な仮説をたてて思い悩む過程が描かれているからである。すなわち物語全体とすればそれなりに推理の試行錯誤を繰り返す過程が描かれつつも、あくまでも九十九の能力の超人生を微塵も失わせない構成となっているのである。もちろんここは好みの分かれるところであろうが、私は「スゴイやつはとことんスゴイ!」といったわかりやすい展開が好きなので問題なし、なのである。 もちろん九十九の「美しすぎるため警察からサングラスをかけて視線を遮蔽することを要請されている」なんて大げさにすごいところも大好きだ。 さて、そうこうするうちにこの事件の前に死んだはずの作家「濁暑院溜水」が書いたと見られる、この密室殺人の詳細を描いた原稿が出てきたり、自称千歳の怪しげな老人が出てきたりして、事件はよりいっそうわけのわからない展開へと。そして、問題の謎解きであるが……。 それは以下の注意書き以降に書いておりますが、未読の方は読まないで、としてしまっているので、未読の方にはいきなり最後の一言を。 読む価値はありまっせ。 はまっても知りませんよ。 あ! そうそう。この本はできれば(文庫本で読むなら)推奨されている順序コズミック(上)−ジョーカー(上)(下)−コズミック(下)の順序で読んだほうが面白いですよ。 {以下、ネタバレありです。未読の方はご注意を }; うん。 なかなかまともではないか。 いや、まともではないのだが、完全に超常現象などのレベルでしか説明できないのでは?と危惧していたために、以外にまともに人間が行った犯罪であると説明されてしまったので、私などは素直に感心してしまったのである。 無論現実的に細かく見ると、無理でしょ? と思ってしまうのだが、それは実は数多くの推理小説にも同じことが言えてしまうと思うので、物語としての意外性として受け入れてしまえばよいのではないかと思う。 しかし、このラストにいたるまでいわゆる本格推理小説としてこの本を読み進め、一つ一つの事件に対してきっちり推理を試みてきた人にとってはあまりに大局的な推理・解決であり、本を壁に投げつけたくなる気持ちもわからないでもない。 思うに、この作者の作品はまさに自身がおっしゃるように「小説」ではなく「流水大説」なのであり、いかに大きな流れの物語を楽しむかがポイントなのではないだろうか。細かい部分の推理やトリックなどは、重要ではあるものの、本来の推理小説とは逆にこれが料理で言うところの素材そのものなのではなく、あくまでも素材=話の大局的な流れの味を引き立てるスパイス的な役割を担っているのではないだろうか。 そんなわけで、私は好きです。 読むのは結構疲れましたけどね。 この本の前に二階堂黎人先生の「人狼城の恐怖」を読んでいて、長編に対する免疫が付いていたのも良かったかも。 感想・書評投稿 ぜひ、この書評に対するあなたのコメントをお願いいたします! こちらからどうぞ あなたもこの本についての書評を書いてみませんか? 短いものでもけっこうです。 こちらからどうぞ
https://w.atwiki.jp/akazunoma/pages/38.html
324 名前: 本当にあった怖い名無し 投稿日: 2006/08/15(火) 14 19 57 ID 4plgud4iO 俺の家の話。 俺の部屋は四畳半なんだけど、高校時代に夜中かなり変な現象が多発したのに 家族は誰も信じてくれなかった。 (金縛り、押し入れから声がしたり、2階なのに外から窓を誰か叩く) やがて俺が進学して実家を離れ、母親がその部屋を使う事になった。 数か月後に帰省すると、玄関を開けた瞬間に家の異変に気がついた。 家のあちこちに御札がはってある! 俺が使っていた部屋はあかずの間になり、絶対に入ってはいけないと言われた。 俺がいなくなってからその部屋を使っていた母親も、かなりの事を体験したらしく 「お前はこれを聴くと怖がるから言えない」と言い、教えてくれない。 それからもう5年くらいたち、いま盆で帰省している。 部屋はあかずの間のまま、何があったかをそろそろ教えてもらおうと思っている。 327 名前: 324 投稿日: 2006/08/15(火) 14 55 17 ID 4plgud4iO 324です。 今は親戚などが来ているので、みんな帰った夜以降に聞いてみます。 ちなみに御札は玄関、階段、2階のトイレに貼ってある。 まあ確かにネタって思われてしまいそうな話だけど偶然ココを見つけたから書き込んだまでです。 349 名前: 324 投稿日: 2006/08/17(木) 23 26 10 ID NtpLJ62QO 324です。 両親から聞いてきましたが、すべて書くとかなり長文になってしまうので、どう書いたらいいかと 考えたのですが、すべて書かないと話がつながらないのでわけて書き込みします。 携帯からなんで読みにくいかもしれませんが、、、 353 名前: 324 投稿日: 2006/08/17(木) 23 50 52 ID NtpLJ62QO つづき。 自分が進学して、部屋を母親が使う事になったのは以前書きましたが、 その時に何かすごい事が毎晩起きたそうです。 すいません、この時に何が起きたのかはどうしても聞き出せませんでした。 母親いわく「お前が怖がるからどうしても言えない」そうです。 妹ならば話してくれると思い聞いたのですが「言わない方がいいって言われてるから、、、」 「とにかく怖くて大変だった」としか言いません。 話を戻して あまりに変な事が起きるので両親はいろんな人に相談して、 どこかから有名な霊視をする人を呼んで家をみてもらったそうです。 その霊能力者(というのか)は、ここには以前人形が置いてあったでしょうとか この部屋にはここの家の人じゃない人が寝泊まりしていたはず(実際バイトが住んでた)とか かなり詳しく当てたらしい。 354 名前: 324 投稿日: 2006/08/18(金) 00 13 57 ID 0o+FAB0rO つづき(これでおしまい) 結局、その霊能力者が言った事をまとめると この家は、霊の通り道になっている。玄関から入り階段を上がり自分の部屋までが霊の通り道になっていた、階段は霊の通り道になっているのでこの辺で亡くなった人や関係ない霊なんかも通るから足音がしても当然。 この家には霊が縛られている、家の土地の俺の部屋があった真下(場所)で過去に人が死んでいる。(父親いわく事実、床屋の一代前が亡くなっている) 父親は、昔俺が「床屋のじいちゃんに似たお化けが出た!と聞いた時に なんとなく思い当たったそうだ… とにかく、霊能力者は「御払いをするけれどもこの家はあまりにも霊が多過ぎて、しかも2階の部屋(俺の部屋)の北側半分は強い霊の通り道だから私にもどうする事ができない。」と言い、いますぐ部屋は使わず締め切らなければだめだ。 とアドバイスしてくれたらしい。 部屋はその時の状態のまま、あかずの間になっているそうです。実際、この話を聞いた時に、このまま書いたらネタと思われるんじゃないかと思ったけど真実です。 とりあえず自分の話はこれでおしまいですが、似たような状況があった方とか、色々意見を聞きたいです。両親の話し方ではなんとなく自分にも原因があったのでは、なんて思ったりもしているのですが、、、 360 名前: 324 投稿日: 2006/08/18(金) 01 21 14 ID 0o+FAB0rO 324です。 ちなみにその霊能力者は「あの部屋には女性は何があっても、絶対に入ってはいけない」と注意して帰ったそうです。それが何を意味してるのかは謎。 とにかくどんな理由があろうとダメらしい、、、
https://w.atwiki.jp/side_flip/pages/190.html
坂木司 contents #contentsx 書籍情報 plugin_html is not found. please feed back @wiki. 著者 : 坂木司 発行元 : 東京創元社 単行本発行 : 2002.5 文庫版発行 : 2006.2 坂木司先生のデビュー作です。 ひきこもりのプログラマ、鳥井真一と、友人で作者と同姓同名の坂木司が日常の謎を紐解く「ひきこもり探偵」シリーズ第一作。 掲載作品 夏の終わりの三重奏 秋の足音 冬の贈りもの 春の子供 初夏のひよこ あらすじ 以下、文庫版裏表紙より転載 僕、坂木司には一風変わった友人がいる。自称ひきこもりの鳥井真一だ。複雑な生い立ちから心を閉ざしがちな彼を外の世界に連れ出そうと、僕は日夜頑張っている。料理が趣味の鳥井の食卓で、僕は身近に起こった様々な謎を問いかける。鋭い観察眼を持つ鳥井は、どんな真実を描き出すのか。謎を解き、人と出会うことによってもたらされる二人の成長を描いた感動の著者デビュー作。 書評 ちょっと説教くさいが、広がってゆく世界と成長する二人に感動! 読む前はコメディタッチの作品かと思っていました。 最近の風潮から、いかにもネタにしやすい「ひきこもり」 そしてわたしが好きな同人ゲーム「引籠世界の探偵事件簿」シリーズ(このHP内にゲームレビューがあります!!)の存在。 勘違いしても仕方ないさ。うん。 しかし、この作品は実に真剣に引き籠もりというものと向かい合った作品なのでした。 奔放すぎる母親の存在と、イジメの経験から引き籠もってしまった鳥井真一と、彼をサポートしながらも、それ以上に自分自身彼を必要としている坂木司の成長の物語です。 わたしはいわゆる病としての引き籠もりというものの実体を正確に知っているわけではありませんので、この作品における鳥井真一の描写が現実感あふれるものなのかどうかはわかりません。実際反動こそあるものの、結構気軽な感じで色々出歩いて、いろんな人と会っていますし。 しかし、問題はそこではないような気がします。鳥井君の引き籠もりという状態は、傷を負った心がたまたま目に見える形で表出したものであり、それを描くこの物語は、結局、傷ついた人間、弱い人間、殻に閉じこもってしまった人間の葛藤と再生の物語なのでしょう。 そして、更にこの物語を重厚なものにしているのは、語り手の坂木司の存在です。もちろん鳥井君の親友で、ミステリ的にはワトソン役で、物語の語り手なのですから重要なのは当然ですが、中学生の頃に出会い、その後親友として鳥井君のサポートを続けてきた坂木君ですが、その彼自身が誰よりも鳥井君を必要とし、依存している様があからさまに描かれます。 物語序盤の二人の関係は、まさしく子供同士の親友関係。 損得ではなく、ただただ相手を大切な存在であると受け入れるが、逆に外部から二人の関係に干渉されるのはいやで、ましてや相手が他の誰かと仲良くすると嫉妬の炎がめらめらと……。鳥井君については嫉妬しているという表現こそ無いのですが、彼が坂木君に完全に心を。感情をさらけ出している様を見る限り、外れてはいないと思います。 しかし、この物語は二人にいつまでもそれだけの関係でいることを許しません。 町で起こる些細な事件を通じて、どんどん二人を囲み、参加してくる人々の輪がふくらんでゆきます。普通なら「どんどん人の輪が広がる」というのは「良いこと」と勝手に決めつけてしまう感がありますが、この物語の場合は引き籠もっている鳥井君の状態と、排他的に依存しあっている二人の関係があるゆえに、ふくらんでゆくのは人の輪だけではなくて、「不安」もまたふくらんでゆきます。 ただ、その「人の輪」に参加してくる人々が、癖の強い鳥井君を正面から認めている面々であるので、何とかバランスが保たれている感じです。温かい人間に囲まれながらも、この作品の範囲では未だその「囲み」は鳥井君を囲む「壁」の段階を過ぎていないのです。 この先の作品で鳥井君は坂木君から飛び立つことができるのでしょうか? そして、坂木君は飛び立つ鳥井君を、その手の中から放してやることができるのでしょうか? さて、ミステリとしては「日常の謎」に属する連作短編集となる本作ですが、謎解きは細かい断片をつなぎ合わせて論理を組み立てるパターンで、楽しいです。よく読むと、その推理のピースには人間の心理的分析が大きな部分を占めていることがわかります。 ヒステリックに二人を拒絶したかと思うと、手の平を返したように二人に接近してくる女性と複数の男性にストーカー行為を働く女性の謎。事故で失明してしまった心細げな青年と彼の後をつけ回す男女の双子の謎。若き歌舞伎役者の元へ妙な贈りものと手紙を別々に送り続ける自称ファンの謎、などなど。 どれもこれも特異な心理的要因を看破していなくては解決には至ることができなかったのではないかと思われる事件ばかりです。正直なところ、これだけ人の心の機微が理解できるのなら、何で引き籠もりなんてしてるんだろう? と素人目には思ってしまうくらいの鮮やかさです。 何にしても、短編の謎解きとしては丁寧で、上質のものが揃っていると感じます。 一応気になったところも書いておきましょうか。 まず、描写が妙に説教くさいところ。 坂木君が鳥井君とのつきあいを通じていろんな新しい視点に気付き、世界観を発展させてゆくのはよいのですが、そういう部分で「あなたもそう思うでしょ?」的な書き方が多いので、多少押しつけがましく、説教臭く感じてしまいました。 もう一つは……まあ、どうでも良いのですが。 坂木君、外資系の保険会社勤務ということですが、そちらの業界に絡んでいるわたしとしては、ちょっとツッコミどころ満載でした。なんだか外資系だから、自由がきいて、気楽で、休みも多くて(なんとクリスマス休暇まで!)……って、そんな楽なところ無いですぢゃw 変に詳しく書かれているものですから、かえって気になってしまったのです。 まあつまらぬツッコミはともかく、総括!! 既に完結しているシリーズですが、未読のわたしは先が楽しみです。 どんどん広がってゆく世界が、鳥井君と坂木君の二人を今まで通りでいることを許しません。広がった世界をもう一度完全に拒絶するのでなければ、飛び立つしかない。(作者の)坂木先生は二人にとても厳しい舞台を準備し、前に歩まざるを得ない道を指し示しました。しかし、その道を踏み出した二人の先には、きちんと優しい終わりを準備万端整えた坂木先生が手を広げて待っていらっしゃるのが目に見えるようです。 感想・書評投稿 ぜひ、この書評に対するあなたのコメントをお願いいたします! こちらからどうぞ あなたもこの本についての書評を書いてみませんか? 短いものでもけっこうです。 こちらからどうぞ
https://w.atwiki.jp/side_flip/pages/151.html
#freeze 有栖川有栖 contents #contentsx 書籍情報 plugin_html is not found. please feed back @wiki. 著者 : 有栖川有栖 発行元 : 講談社 単行本発行 : 1999.5 文庫版発行 : 2002.6 火村シリーズ(作家アリスシリーズ)の国名シリーズ第二弾である。 収録作品 切り裂きジャックを待ちながら わらう月 暗号を撒く男 赤い帽子 悲劇的 ペルシャ猫の謎 猫と雨と助教授と あらすじ 1. 切り裂きジャックを待ちながら ある劇団員から相談を受けたアリスが観たビデオには、その劇団の看板女優が椅子に縛り付けられて、劇団が身代金を支払ってくれるように懇願するシーンが写っていた。大事な公演を前にした劇団に送られてきたものだ。 しかし、その身代金の支払期限が近づく中、強引にゲネプロが始まったとき、悲劇は起こった。セットのクリスマスツリーに、誘拐されていたはずの女優が殺害された上で吊るされていたのだ……。 2. わらう月 小さい頃から月が怖かった女性。 彼女がボーイフレンドと一緒に浜辺で撮った写真のバックには美しい月が映っていた……。 3. 暗号を撒く男 殺された男は親譲りの家こそ持っているが、独身でひそかに結婚を切望する普通の男であった。しかしその家には普通とは思えない暗号めいたさまざまな品物が置かれていた。火村を落ち込ませたというこの謎の正体はいったい……。 4. 赤い帽子 水死体として発見された男は音楽家だった? 人の目を引く赤い帽子を生前かぶっていたらしいその男が死ぬ前にしゃべっていた言葉の中に「ビオラ」という言葉が入っていたとの証言が得られたのだが。 いつも脇役として火村の推理を聴いているだけの森下刑事が刑事らしい地道な捜査で犯人を追い詰める。 5. 悲劇的 アリスはふと立ち寄った火村の研究室で、ある学生が提出したひとつの――本来の課題の主題から完全に逸脱しいる――レポートを見せられた。それは身近に起こった犯罪を憎み、犯罪の起こる世の中を憎み、神をも憎む壮大なアンチテーゼ――学生らしいといえば学生らしいが――であった。それに対する火村の答えとは? 6. ペルシャ猫の謎 表題作。溺愛するペルシャ猫は、彼を見捨てて去っていった恋人の忘れ形見だった。そんな彼がある日、家の中で襲われたが、朦朧とした意識の中で見たものは商売上金に困っている双子の兄弟だった。しかし彼には鉄壁のアリバイが……。 7. 猫と雨と助教授と 火村のとある日常風景。 書評 1.切り裂きジャックを待ちながら 読売テレビの「真冬の夜のミステリー」の中で放映されたものをノベライスしたものだけあって、冒頭の脅迫ビデオのシーンといい、巨大なクリスマスツリーのセットに吊り下げられた死体といい、映像として目を引きそうな演出が用いられています。また、犯人のアリバイを崩すポイントとなった部分は、直接見えない部分の矛盾を暴くスタイルとなっており、火村先生の観察力に脱帽させられました……が……、犯人の動機が多少無理やりな感じがしてしまいました。また悪いことに、動機がしっくり来ないと、なぜこのような犯行方法をとったのか、という犯罪計画の根本にある部分までが嘘っぽくなってしまったように感じました。 でも、読んでいて、素直に楽しめる作品であることには違いないです。 2. わらう月 火村・アリスコンビが登場するパターンにしては珍しく、三人称視点で語られています。トリックなどは全くもって現実的であるのですが、月のイメージが密接に絡みつく物語の流れはある意味幻想的で、これは月を畏怖する女性の視点で語ることでその雰囲気がより一層引き立っていると思います。 3. 暗号を撒く男 これは……短編集でないと許されない結末ですな。なおかつ有栖川先生がこの話を串カツをぱくつきながらの話題として書かれているのも、あまり構えすぎて考えない方がよい、と暗にご忠告くださっているのだという気がしてなりません。 4. 赤い帽子 この作品も有栖川先生があとがきで語られるように、異色作です。 大阪府警の社内雑誌?に連載されたもののようです。それだけに主役は過去にもよく登場している森下刑事となっています。アルマーニの刑事といったほうがわかる人は多いかもしれません。で、今回は火村・アリスコンビは登場しないのですが、正直ちょっと残念でした。物語自体は森下刑事達の地道な捜査風景が描かれていて、いつもと違う雰囲気は楽しめたのでよろしいのですが、やはり国名シリーズ中の短編ですから、ほんの端役でも良いのでご出演いただきたかったところです。 あと、終わり方はちょっと……。あれが文学的な手法というものかもしれませんが、やはり読者側も「ミステリ」を読んでいる意識を持っている以上、無理矢理でも不条理でも何でも良いから「結末」というものを欲している方が多いのではないかと思うのですが。特に今回はめったに活躍の場がない森下刑事の晴れ舞台でしたので、なおさらきちんと事件の終わりまで見届けたかった気がします。 5. 悲劇的 これはちょっと感想の書きようがありませんね。でも、火村先生。ああいうタイプの学生さんにああいうこと言ってしまったら、より一層悲劇的な結末が到来してしまいそうでコワイです。 6. ペルシャ猫の謎 これは……短編集でないと許されない結末ですな。(二回目) 度量の広い人なら笑って許せるかもしれません。私は有栖川先生のファンなので何でも肯定的に捉えてしまう結果、許してしまいましたが、少なくとも推理小説ではないですね。けなしているわけではありません。純粋に、 「これは推理小説じゃないよね」 と思ってしまう内容な訳です。 ただ、本格推理小説家たる有栖川先生のかなり中心的なシリーズだと言える国名シリーズの表題作ですので、ちょっと問題があるような……。 7. 猫と雨と助教授と 火村先生ファンの方は必見です。 反則です。 さすが推理小説界のキャラ萌え作家の頂点! 総括 有栖川先生のほかの作品をきちんと読んでいる方であれば、イレギュラー的な作品群として受け入れることはできるかもしれません。私自身も結構好きです。しかし知人に有栖川先生のことを紹介するのにこの作品はお勧めできません。それにしても心配なのは、この本が「国名シリーズ」のひとつとして出版されていることです。人によっては有栖川先生という新本格派の中核をなす作家を知るための入門編として選んでしまうこともあるでしょう。その場合、本来の先生の魅力が伝わる確率はかなり低いと言わざるを得ません。その意味で首を傾げてしまう本ではあるのですが、短編集ですから本来はお遊び的な作品や、実験的な作品も歓迎されるべきだと思いますし、実際楽しい物語が多かったですので、単なる短編集としてであればなかなかの良作であると思います。 感想・書評投稿 ぜひ、この書評に対するあなたのコメントをお願いいたします! こちらからどうぞ あなたもこの本についての書評を書いてみませんか? 短いものでもけっこうです。 こちらからどうぞ
https://w.atwiki.jp/side_flip/pages/205.html
倉知淳 contents #contentsx 書籍情報 plugin_html is not found. please feed back @wiki. 著者 : 倉知淳 発行元 : 東京創元社 単行本発行 : 1994.1 文庫版発行 : 1998.1 倉知先生の実質的なデビュー作。実際には「五十円玉二十枚の謎」(東京創元社)で若竹賞を受賞した短編(解決編)が初お目見えとなるようですが、「佐々木淳」名義であり、競作集の一般公募枠として掲載されたものであることから、一般的には本作がプロデビュー作だと見なされているようです。 また、本作は倉知先生のメインシリーズでもある「猫丸先輩」シリーズの第1作でもあります。小柄で猫のような風貌で、好奇心旺盛な猫丸先輩が様々な謎を解決します。 掲載作品 空中散歩者の最期 約束 海に棲む河童 一六三人の目撃者 寄生虫館の殺人 生首幽霊 日曜の夜は出たくない 誰にも解析できないであろうメッセージ 蛇足−あるいは真夜中の電話 あらすじ 1. 空中散歩者の最後 ある朝、住宅街の中の路上で発見された死体。はじめはそばに立つマンションから転落したものと思われたが、検死の結果判明したのは「最低でもそのマンションの倍ほどの高さから落ちたことは間違いない」とのこと。しかもその死体のそばには、寄り添うように一匹の烏の死体が……。 2. 約束 淋しさを抱える小学生の麻由は、夕暮れの公園で一人の「おじちゃん」と出会う。 自分と同じような淋しさを感じた麻由はそれから毎日その公園でその「おじちゃん」と語り合う。しかしあるとき「おじちゃん」はある事実を麻由に告げ、別れの時がきたことを伝える。麻由はもう一日だけ会って、以前見せてくれた手品をもう一度見せてもらうように約束したが、次の日「おじちゃん」がその公園で凍死していたことを知る……。 3. 海に棲む河童 昔々、初めて海をみた二人の青年が嵐に遭い、遭難した果てにたどり着いた小島で出会ったのは、海から出てきた大きな化け物だった。 二人で相撲を取って負けた方を殺す。そんな条件に、村一番の力自慢だった青年の一人、太吉はわざと負けてみせる。かくして無事助かったもう一人の青年、茂平だったが、その後海岸に流れ着いた太吉の遺体は、腹を割かれ、足をちぎられ、尻には枯れ草が詰め込まれていた……。 今、同じように遭難してしまったにわか船頭の猫丸先輩が、乗客の二人の青年相手にこの昔話の謎を解明する。 4. 一六三人の目撃者 163人の観客に見守られた舞台の上で、俳優が毒殺された。役者達とスタッフが罪のなすり合いをする中登場したのは、なぜかちょい役で芝居に出演していた猫丸先輩だった。 5. 寄生虫館の殺人 閑散とした寄生虫館で、あるフリーライターが出会ったのは、熱心に寄生虫の標本を観察する猫丸先輩。その二人が三階に上がったときに目にしたのは一階にいたはずの受付嬢の変わり果てた姿だった。エレベーターは点検中。唯一の階段は猫丸先輩達の視界に入っていたはず。被害者はどうやって三階へ行き、誰に殺されたのか? 6. 生首幽霊 NHKの集金人、八郎が、仕事中に灰皿をぶつけられた復讐に向かったアパートの部屋には、灰皿をぶつけた女性の生首が。 八郎は、彼女の部屋に投げ込むつもりで準備した、彼女が嫌いだと言っていた蛇の作り物を持ったまま逃走したが……。次の日からバラバラにされた遺体のパーツがそれぞれ別の場所で発見される。そしてついに八郎が見た頭部も川沿いで埋められていたのが発見された。 飲み屋で飲み仲間に相談する八郎の前に、猫丸先輩が現れる。 7. 日曜の夜は出たくない 毎週日曜日、デートのあとにアパートの前まで送ってくれる彼は、殺人犯? 身近に起こる通り魔事件と、妙な嘘をつく彼との間の奇妙な符号。 書評 事件色が濃いのに日常の謎? 猫丸先輩シリーズの幕開け 今回の再読前に、猫丸先輩シリーズの短編集のすべてを読んでいた私は、なんとなく「猫丸先輩=日常の謎」的な感覚を持っていました。 ところが今回、倉知先生のデビュー作でもあるこの作品を読み返してみますと、意外と普通の殺人事件の推理ものがほとんどを占めているのですね。のちのシリーズ作品は「日常の謎」的色合いがかなり濃いですので、ちょっと特異かもしれません。 デビュー作だし、推理小説としては無難な殺人事件ものを揃えられたのでしょうか? ただ、面白いのは、それでも読んでいる気分としては「日常の謎」系を読んでいる気分なのです。探偵が間接的に得た情報から犯人を推理する「安楽椅子探偵」スタイルの作品はともかく、猫丸先輩自身が現場に居合わせた「一六三人の目撃者」「寄生虫館の殺人」においても、なんだか雰囲気は「日常の謎」なのです。 要因のひとつは猫丸先輩のキャラクターによるものでしょう。 どんな場面でも飄々としていて――好奇心旺盛のくせに――どこか投げやりなその態度が、なんだか大変な事件の渦中にあるとは思えない印象を読者に与えるのかもしれません。 また、一部を除き、推理自体もたいした物証もなく、言ってしまえば、猫丸先輩の憶測だけでオチが付いてしまうスタイルも、ライトな感覚を与える一因となっているように感じます。そのあたりは西澤保彦先生の「匠千暁」シリーズと似た造りのような。 「日常の謎」系の作品に共通するのは、通常の大きな事件を扱う作品に比べて、大上段に構えて提示された手がかりや証拠というものが少ないことが得だと思います。結果、一見なんでもない些細な風景から手がかりを掴む必要があるわけで、そこが醍醐味と言えるのですが、この作品も扱う事件は殺人事件がほとんどであるにも関わらず、推理の手法が「日常の謎」のそれと共通しています。あくまでも、一般人でも事件の現場にさえいれば手に入れられる程度の情報から、推理を組み立てているのですね。 すなわち、殺人事件であれ何であれ、事件を解決する流れが「日常の謎」系の作品と共通しているのです。 この作品以後、猫丸先輩シリーズは明白な「日常の謎」系になっていきますが、その流れはこの作品で既に示されていた自然なものだと感じます。それに、猫丸先輩には「身の回りに起こる様々なこと」に好奇心たっぷりに首を突っ込む姿がよく似合いますから。 ちなみに、ラストに加えられた二つの小さなお話は……私はその二つ目のタイトルの通り「蛇足」であったと思います。 推理作家の短編集デビューは意外と少ないのが現状です。やはりインパクトの面からなどの理由があるのでしょうか? この作品がデビュー作になる倉知先生が、何とか無理矢理ただの「短編集」ではなくある種の長編とも言える「連作短編集」に持って行こうとした感じがして、ちょっと無理を感じてしまったのです。 そんなわけで、私もちょっと蛇足を。 この作品は東京創元社からの刊行ですが「猫丸先輩の推測?」「猫丸先輩の空論?」の講談社版の表紙絵に描かれている猫丸先輩のイラストって、ホントイメージぴったりです! 外見はもちろん、その猫っぽいイタズラっぽいところ、わがままそうなところ、それでいて不敵そうなところまで完璧です。 東京創元社はもちろん大好きな出版社ですが、このシリーズに関しては今後も講談社からたくさん発行していただきたいところです。 まさに蛇足でした。 感想・書評投稿 ぜひ、この書評に対するあなたのコメントをお願いいたします! こちらからどうぞ あなたもこの本についての書評を書いてみませんか? 短いものでもけっこうです。 こちらからどうぞ
https://w.atwiki.jp/side_flip/pages/137.html
#freeze 森博嗣 contents #contentsx 書籍情報 plugin_html is not found. please feed back @wiki. 著者 : 森博嗣 発行元 : 講談社 単行本発行 : 1996.4 文庫版発行 : 1998.12 第1回メフィスト賞の受賞作にして、森先生のデビュー作。 犀川創平と西之園萌絵が活躍するS&Mシリーズの第1作でもあるが、本来はシリーズ第4作として構想されたもの。 あらすじ すべてがFになる. (2008, 6月 17). Wikipedia, . Retrieved 12 51, 7月 6, 2008 犀川研究室の旅行で、妃真加島(ひまかじま・架空)に向かった犀川創平と研究室の面々。犀川の恩師の娘である西之園萌絵も研究室の正式なメンバーではないが参加していた。妃真加島にはその所有者である真賀田家が設立した真賀田研究所があり、実は萌絵は研究所と多少の関わりがあったのだ。 真賀田研究所には優秀な研究者が集い、(世間の常識からは少し外れているが)彼らなりの論理・生活形態とそれを許容する環境の下で精力的に研究を進めている。その頂点に君臨するのが、真賀田四季博士。彼女は現存する最高の天才で、名実ともに研究所の活動の中心人物であった。そしてまた彼女は過去犯した殺人によっても有名人物であり、研究所の一画に隔離されている存在でもあった。 萌絵の提案で研究所を訪れた犀川と萌絵の前に、不可思議な死体が姿を現す。更に続いて起こる殺人事件。二人は研究所で起きた事件の謎にとらわれていく。 引用終わり 書評 まあ、めくるめく森ミステリィを味わうためには、まずはこれを読まないとはじまらんわけですから、とりあえず読んでおきましょうね? けっこうな長編ですが、意外にすんなりと読めてしまいますので、ご安心を。 登場人物については、文句なしに魅力的。西之園萌絵嬢の描写が、ただの世間知らずのお嬢様的であるのが気にかかりますが、まだまだ彼女も大学一回生。やむを得ません。 また、トリックについては多少非現実的に思わないわけではありませんが、そんなツッコミを忘れてしまうおもしろさです。 というわけで、この作品については森先生のデビュー作と言うことでもありますので、以下、森ミステリについて総論的なことを書いてみたいと思います。 もうかなり言い古された評価ですが、森ミステリィは理系ミステリと評されます。 この作品は、その「理系ミステリ」の原点とも言える作品なわけですが、その実質は今までに気付かれてきた本格ミステリの醍醐味をふんだんに詰め込んだ、まさに王道的な推理小説だと言えます。 でも、なにかが新しい。 世間ではその根拠を理系的要素の詰まった、理系人間が活躍する「理系ミステリ」であることに置いているように見えます。 しかしわたしは以前からその評価についてもう一つしっくりきませんでした。 そこで、物語の要素を分解して、何処が「理系」なのかを分析してみたいと思います。 舞台設定? 主人公たちが属するのは、N大学の工学部。 今回の事件の舞台も天才プログラマ真賀田四季をはじめとする研究者が多数こもりっきりで(笑)研究を続ける孤島の研究所。 確かに理系ですし、専門用語などもふんだんに出てきて理系的なリアリティを感じさせてくれます。 でも、だから「理系ミステリ」っていうのもどうもなぁ。 それではキャラ? 確かに理系人間がいっぱいですw でも、理系の人間がたくさん出ているから「理系ミステリ」なのでしょうか? う〜ん。ちょっと違う感じがします。 また、犀川先生や萌絵さんや真賀田四季などはとても合理的で理論的な思考回路をしているようにも見えますが、よく考えるとはっきり言ってみんな変人変わり者です。これは理系の人間に限りません。ただ、やたら計算が速かったり、その自分の変わり者ぶりを客観的に登場人物自身がとらえているので、読んでいるとコンピュータのような思考回路であるかのように錯覚してしまいますが、わたしはそうではないと思います。 ならばトリックか? これはネタバレなので詳しくは書きませんが、確かにコンピュータがいろいろ絡んでくるのも事実です……が、これもその骨格だけを見てみると実に王道的な本格ミステリのそれになっていると思います。いろんな専門用語に彩られているせいで、とても科学的な筋立てに見えてしまいますが、まあごく当たり前の一般常識レベルのことを知っていれば理解できるものですし、作者が理系人間だから考えついたという類のものとは違うと思います。(もちろん描写にはそれなりの理系知識は必要でしょうが、わたしの言うのはもっと根本的な「論理」についてです) 分かり易く言うと、例えば法月綸太郎先生がもう少しPCなどの知識があったら、このトリックを考えついてもおかしくない……って感じでしょうか? うはは。 こう考えてくると、何をもって世間が「理系ミステリ」と評しているのかがより一層わからなくなります。おそらくは上で挙げたような要素をトータルにとらえて、なおかつ理知的、クール、合理的などのステレオタイプな「理系」像に当てはめてこのような評価がなされているのではないでしょうか? なぜわたしはこんなことを延々と書いたのか? それは、この物語が非常に高いレベルの「文系要素」すなわち文章構造を持っていることを強調したかったからなのです。 上に上げた理系的要素と相まって、三人称視点で冷静に語られる文章のせいで気付きにくいのですが、描写が非常に丁寧なのです。 すべてがFになる 文庫版321ページ〜322ページから抜粋 「楽しかったは、昨日から……」そういってから、萌絵は舌を出した。「不謹慎ですね。恐かったし……、気持ち悪かったし、頭も痛くなって……。あの日のことも思い出して、悲しかったし……。でも、思い出したことを先生にお話しして、なんだか、身体が軽くなったみたい。これで、このクイズの答えさえわかったら最高なのに……」 「クイズなんていったら怒られるよ」犀川は小声で言った。「人が二人も亡くなったんだから」 「でも、それは、どこでもあることでしょう?」萌絵はさらりと言った。「ただ地理的に近くで起こっただけです」 「ふうん。君は変わっているね」犀川は評価した。しかし、萌絵の言葉が、自分の考えに近かったので内心驚いた。 「先生だって、とびきり変わっていますよ」萌絵が小さな口を結んで目を三日月型にする。「ずいぶんご機嫌ですね?」 「え?ぼくが?」犀川は少し驚いた。 「わかりますよ」萌絵は右手の人差し指をこめかみに当てて言う。「何か気がつかれたのですね?」 「いや……」犀川は首をふった。自分の機嫌が良いとも思えないし、何も気付いてはいない。しかし、確かに思い当たることはあった。「そう……、Fのことかな……」 「エフ?」萌絵は姿勢を正す。 「すべてがFになる、という言葉だよ」犀川は言った。 「わかったのですか?」萌絵は押し殺した声で叫ぶ。 「いや……、全然……」犀川は微笑む。 「どういう意味です?」萌絵は眉を寄せて、難しい表情になった。 別になんていうことのないシーンです。 犀川と萌絵の台詞は、非常に無駄のない、いかにも頭の良い人間の会話です。これは全編を通じてこの調子なのですが、よく見てください。台詞と台詞の間にこれでもかというくらい細かな状況描写、心理描写が書き込まれているのです。しかもすごいのは、その描写は変に凝ったレトリックを駆使したものではなく、あくまでも普通の言葉で語られているにも関わらず、実に状況を的確に表しているということです。ある意味淡泊ともとれる、無駄のない台詞と平易な描写が見事に調和して、場の雰囲気を読者にダイレクトに伝えているのです。すなわち変に飾り立てていないからこそスムーズに読むことができ、かつその文体がこの物語の雰囲気を的確に表現しているので、とても豊かなイメージを読者は受け取ることができると思うのです。(引用部分の最後から4行目の)「犀川は言った」――その表現だけでも、ここまで描かれてきた犀川先生の性格と相まって、いかにも大切そうな台詞を拍子抜けするくらいに素っ気なく話す犀川先生の様子が見えるかのような効果を上げています。これは簡単なことではありません。 正直なところ、多くの本格ミステリ作家といわれる方の文章は「推理小説」としての要素(トリック、謎解きなど)がなければ別に読みたいとは思わない、と思えてしまうレベルのものが多いように思います。言い方を変えれば、物語の面白い、面白くないということ以前の、文章・表現自体に人が真似のできない作者自身のセンスを顕すことのできる人はそういないということです。その点、森先生は数少ない「文章そのもので、その人の個性を表すことのできる」作家だと思います。 まさに文学的、文系センス満載で、シンプルな美しさを感じさせてくれるこの文章テクニックこそが、森先生の真骨頂なのではないでしょうか? まあ、キャラ、舞台設定、トリックともに理系要素が盛り込まれているので、それらをまとめて理系ミステリと呼ぶこともあながち間違いではないと思うのですが、そこに意識を強く持ったままこの作品を読むと、本当の魅力がなんなのかわからないままに終わってしまいかねません。 わたしなりの結論としては…… 森先生の作品は「理系ミステリ」ではなく、まさに「森ミステリ」と呼ぶべきものである、というところでしょうか? みなさんはどう思われますか? それにしても真賀田博士ったら。 ナンテ電波ナンダラウ……。 実はPS用ゲームとして発売されていたりする。 plugin_html is not found. please feed back @wiki. 感想・書評投稿 ぜひ、この書評に対するあなたのコメントをお願いいたします! こちらからどうぞ あなたもこの本についての書評を書いてみませんか? 短いものでもけっこうです。 こちらからどうぞ
https://w.atwiki.jp/side_flip/pages/177.html
#freeze 小栗虫太郎 contents #contentsx 書籍情報 plugin_html is not found. please feed back @wiki. 著者 : 小栗虫太郎 発行元 : 新潮社(初版) 単行本発行 : 1935 以後現在に至るまで多数の出版社より刊行 あらすじ 以下河出文庫版裏表紙より引用 黒死館の当主降矢木算哲博士の自殺後、屋敷住人を血腥い連続殺人事件が襲う。奇々怪々な殺人事件の謎に、刑事弁護士・法水麟太郎がエンサイクロペディックな学識を駆使して挑む。江戸川乱歩も絶賛した本邦三大ミステリのひとつ、悪魔学と神秘科学の結晶した、めくるめく一大ペダントリー。 引用終わり 書評 ごめんなさいごめんなさい {ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…… }; by 竜宮レナ わかりません。 はい。 「ドグラ・マグラ」「虚無への供物」と共に日本ミステリの三大奇書の一冊ということで、わたしはすぐに読んでしまうのももったいないとばかり、今までこの三大奇書には手をつけずにいたのですが、その記念すべき1冊目にこの「黒死館殺人事件」を選択したのですが……。 どうやらわたしは「三大ミステリ」と「三大奇書」をごっちゃに考えてしまっていたようです。 {明らかにこれは奇書です! }; まずそもそも 本書全体の9割以上は、事件解決とは何ら関係しない神秘思想・占星術・異端神学・宗教学・物理学・医学・薬学・紋章学・心理学・犯罪学・暗号学など広範にわたる夥しい衒学趣味(ペダントリー)で彩られており - from Wikipedia 「黒死館殺人事件」 ……って…… {9割!! }; {事件解決とは何ら関係ない!! }; って何なんだ!! え〜〜と。 興奮してしまいました。 ゲームレビューの方なならともかく、書評の方ではあくまでもお堅く、真面目路線でと思っていたのですが、よりによって古典的名作(奇書)であるこの作品の書評ではじけてしまうとは夢にも思いませんでした。 恐るべし虫太郎。 ってか、実際のところ書評とか書けるほど理解できてないのです。 じゃあ書くな! と言われそうですが、わたしのようにいずれこの本にチャレンジをと思っている推理小説ファンも多いだろうと思いますので、素直な感想を載せておこうと思うのです。 わたしは手前味噌ながら、平均的に見れば読書量は多い方ではないかと思います。(あくまでも平均的にということですよ)最近こそ推理小説に偏っていますが、純文学、海外小説、哲学書などもある程度は読んでおり、多少難解な文章でもきちんと読めばそれなりに理解はできると思います。 それなのに……さっぱりわからんw とにかく出てくる言葉が徹底して記号のよう。 それでも確かに一種雰囲気的なものではあるけれど、何か惹きつけるものを持っているのも事実。だからこそがんばって読み切ったのですが、法月の発言のほとんどは事件解決と関係がないというのは確かに事実でした。なのに謎を解いてしまうのだから、結局推理の道筋なんてものはあまりないんですね。まあ、読み終わる頃にはそんな「論理的解決」なんて望む気分は消え失せていたのでそれはよいのですが、どうしても首をひねってしまうのは、具体的なトリックの説明に関してなのです。この数々のトリックについて、一応現実的な(実現は困難だと思われますが!)解説がなされるシーンもあるのですが、それすらわかりにくいというのはどうなんだろう。解説図まで付いているのによくわからないってのはどうなんだろう? なんといっても「奇書」ですから、全体的な分かり易さなんてこの際どうでもいいですけど、現実的な状況説明自体がわかりにくいというのは、ちょっと問題があるような気がしないでもないです。 この辺ちょっと弱腰なのはこの作品に関して江戸川乱歩先生はじめ、大先生方が絶賛されているこの作品であり、結局理解できないわたしが悪いのか? という気がしないでもないからです。 う〜ん。 確かに意味はわからなくても、中世的、オカルティック、魔術的、(ちょっと怪しい)科学的な薫りが息苦しいまでに立ちこめ、さらにその薫りが見事に日本的なヴェールで覆われているかのようなあの雰囲気は魅力的ではあるのですね。 わたしもなんだかんだで最後まで読んでいますし、いずれ本気で読み解いてやろうか、という挑戦心もなきにしもあらず。少なくとも、人に真似のできないものであることは確かです。ですから読んでおいて損はないかと思います。……が、どうせよく理解できない内容なら軽く読み飛ばしてみよう! などという考えには賛成できません。それではおそらく読後に記憶に残るのは登場人物の名前だけってことにもなりかねませんので。 最後に、このやたら外国語を漢字で表すことで一種の耽美的雰囲気を醸し出すこの作品を読みながら思い出したひと言を記して終わりにいたしましょう。 「美少年はやたらこむずかしい漢字を使うのが好きなのだ」 by パタリロ・ド・マリネール 8世 感想・書評投稿 ぜひ、この書評に対するあなたのコメントをお願いいたします! こちらからどうぞ あなたもこの本についての書評を書いてみませんか? 短いものでもけっこうです。 こちらからどうぞ
https://w.atwiki.jp/side_flip/pages/119.html
#freeze #nofollow #norelated PukiWiki http //pukiwiki.sourceforge.jp/ http //sourceforge.jp/projects/pukiwiki/ PukiWikiは Wiki(WikiWikiWeb?) と呼ばれているもののひとつで、基本的に誰でも全てのページを作成・編集することができます。 また、編集には特別な知識を要することなく、簡単なルールに従うだけで整形されたHTML文書を生成できます。 漢字をサポートしています。日本語のページ名もOK! 全てのデータはテキストファイルに保存されます 定期的にバックアップが保存されるので、復旧も簡単 ページ単位の凍結なども可能です URLを短く表現できるInterWikiをサポート PHP?で書かれています ライセンスはGPL(*1)です リンク PukiWiki-official からPukiWiki 公式サイトへ飛べます ご質問や御意見は、こちらへどうぞ。 ) Pukiwiki-dev - http //pukiwiki.sourceforge.jp/dev/ こちらはPukiWiki開発サイトです。PukiWiki開発サイトでは、次期バージョンの開発だけでなく、現行バージョンの1.4系や1.3系の修正、セキュリティfixが行なわれています。pukiwiki.dev 開発日記?で日々の作業の内容が掲載されていますので、PukiWikiを運用されている方は目を通すようお願いします。 http //sourceforge.jp/projects/pukiwiki/ Sourceforge のプロジェクトサマリです。PukiWikiのダウンロードはこちらからどうぞ。 関連ページ 1.4 1.4/Manual 1.4/Manual/Plugin 1.4/Manual/Plugin/A-D 1.4/Manual/Plugin/E-G 1.4/Manual/Plugin/H-K 1.4/Manual/Plugin/L-N 1.4/Manual/Plugin/O-R 1.4/Manual/Plugin/S-U 1.4/Manual/Plugin/V-Z InterWikiName -- InterWikiのサーバリスト
https://w.atwiki.jp/side_flip/pages/124.html
#freeze #nofollow #norelated naviで指定しているページは存在しません #contentsx E edit 種別 コマンド インライン型プラグイン 重要度 ★★★★★ 書式 ?cmd=edit page=ページ名 edit( [ ページ名 {[, nolabel ] [, noicon ]}] ){ ラベル名 }; 概要 指定したページを編集します。 引数 コマンド型の記述では、ページ名に編集するページを指定します。ページ名はエンコードされていなければなりません。 インライン型の記述では、ページ名は編集するページを指定します。省略時は設置したページです。 nolabel,noicon,ラベル名 でリンクの表示方法を指定します。 nolabel − 編集用リンクの文字列をnoicon 指定時は短縮表記、未指定時は省略します。 noicon − 編集用リンクに画像を表示しません。 ラベル名 − 編集用リンクの文字列として表示する文字列を指定します。 プラグイン内設定 PLUGIN_EDIT_FREEZE_REGEX freezeプラグインを介さず、直接入力されたfreezeを除去する正規表現 F filelist 種別 コマンド 重要度 ★☆☆☆☆ 書式 ?cmd=filelist 概要 ページの一覧を各ページが記録されているファイル名と共に表示します。 備考 主として管理者がメンテナンス用途に使用します。 freeze 種別 コマンド (ブロック型プラグイン) 重要度 ★★★☆☆ 書式 ?cmd=freeze page=ページ名 #freeze 概要 対象のページを凍結し、不用意に変更できないようにします。 引数 ページ名には凍結するページを指定します。ページ名はエンコードされている必要があります。コマンド型でfreezeプラグインを実行するとブロック型プラグインが凍結対象のページ先頭に挿入(凍結解除の場合は削除)されます。 ブロック型のfreezeプラグインはPukiWikiが内部的に利用するもので、基本的に利用者が意識する機会はありません。 naviで指定しているページは存在しません