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開かずの踏切(あかずのふみきり)とは、列車が頻繁に往来し長時間遮断機が降りたままになる事がある踏切の通称。 概要 踏切の中には、駅に近く運行路線が多いなどの理由から列車が頻繁に往来し、時間帯によって長時間遮断機が下りたままになってしまうものがあり、これを一般に開かずの踏切と言う。平成19年4月に国土交通省より公表された踏切交通実態総点検結果によれば、開かずの踏切は全国で589箇所確認されている。 問題と対策 開かずの踏切は、慢性的な交通渋滞の原因となる他、歩行者が遮断機を潜り抜けて線路内に侵入し安全性が確保できない場合もあり、問題となっている。国土交通省では"開かずの踏切"を「ピーク1時間当たりの遮断時間が40分以上の踏切」と定義している。"ボトルネック踏切"(*1)及び"歩道が狭隘な踏切"(*2)と共に、抜本対策や速効対策が必要な踏切であると認定し、立体交差化や「賢い踏切(未)」導入等の改良事業を進めている。 松本清張の「点と線」を思い出しました。 待ちぼうけ 待ちぼうけ 今日は今日はで 待ちぼうけ 明日は明日はで 森のそと 兔待ち待ち 木のねっこ -北原白秋 「待ちぼうけ」
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霧舎巧 contents #contentsx 書籍情報 plugin_html is not found. please feed back @wiki. 著者 : 霧舎巧 発行元 : 原書房 単行本発行 : 2002.2 発行元 : 講談社 新書版発行 : 2006.4 原形はデビュー作の「ドッペルゲンガー宮」よりも先に書かれていたが、「ドッペルゲンガー宮」がメフィスト賞を受賞したために、鮎川哲也賞応募のため書き直された本作はしばらく出版されることなく、講談社預かりとなっていた。 その後「霧舎学園」シリーズ(の原案?)と交換という形で原書房よりハードカバーとして発売され、新書版は再び講談社より発売されるという、紆余曲折を経た作品である。 「開かずの扉研究会シリーズ」の外伝的な位置づけであり、更に本作の続編として「名探偵はどこにいる」が原書房から単行本として発売されている。新書版はまた講談社からなのか? あらすじ 以下 新書版裏表紙より引用 もうすぐ小学4年生の敬二少年は義兄の木岬研吾と共にドライブ旅行に出かけるが、雪崩に道路をふさがれ近くのペンションに泊まることに。その雪の山荘で起きる連続怪死事件の謎を「名探偵」が解き明かす、本格推理の決定版。真相への手がかりはすべて提示される「読者への挑戦状」付き。あなたは犯人に到達できる? 引用終わり 書評 ストーリー全体に張り巡らされた伏線 反社会的な犯罪学者「木岬研吾」(きみさき けんご)とそんな彼に心酔して「犯罪者になることが夢」という敬二少年の二人がいわゆる「雪の山荘」に向かうところから始まる物語。 なんだか思わせぶりなタイトルだったところに、あまり探偵らしくない(けど、とても「探偵役」ぽくもある)二人の登場でしたので、何か物語自体に仕掛けはあるよな、と感じずにはいられませんでした。 ところが木岬氏は、若きペンションオーナーである「鈴影さゆみ」にあっけなく惚れ込んでしまい、なんだか普通の善良な人へとあっさり変貌してしまいます。しかも殺人事件が起こるや、名探偵になろうと決意してしまい、ちょっと肩透かしだったのです……が、ここからがどんでん返しの始まりです。 「あの」人の正体。 本格を愛する霧舎先生らしいなぁ、とにやりとしてしまいましたが。 実は私はこちらより「第二」の事件こそ衝撃でした。 素直に読めばあまりに常軌を逸した展開に、「そんなばかな、そんなばかな……」と最後の最後まで変に深読みをさせられてしまい、見事にやられてしまいました。 とは言え、事件の謎自体は大トリックの一発勝負ではなく、いろんな出来事を論理的に積み重ねてゆく、私の好きなパターンで、素直に楽しめました。もちろん霧舎先生ですからそこには伏線がてんこ盛りです。 また、あまり細かい伏線が多すぎても、かえって覚えきれないということがありますが、本作に関しては、事件の本筋自体は意外とすっきりしています。細かい伏線の多くは「物語自体の謎」に関するものが多いように思います。もちろん、どれが事件の伏線で、どれがそれ以外の伏線なのかは、最後まで読まないと解らないのですけどね〜。 それにしても、本作は終わりを実に綺麗にまとめています。 事件そのものが終わっても人の心に残ってしまうであろう「わだかまり」を丁寧に、そして優しく消してゆきます。だからこそ、彼らの未来を見てみたいという気持ちにさせられます。 というわけで、私はまだ未読ですが、続編の「名探偵はどこにいる」はこの物語から〜〜年後を描いたものらしいです。更に「開かずの扉研究会」シリーズとのつながりは濃くなって行くのでしょうか? このようなシリーズ間の意外なつながりも、霧舎ワールドの魅力ですので、今後の展開が楽しみです。 感想・書評投稿 ぜひ、この書評に対するあなたのコメントをお願いいたします! こちらからどうぞ あなたもこの本についての書評を書いてみませんか? 短いものでもけっこうです。 こちらからどうぞ
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192 名前: 本当にあった怖い名無し [sage] 投稿日: 2006/07/31(月) 12 28 20 ID 7Dd8lg/4O じゃ、私も一つ。 私の父の実家も母の実家もいわゆる旧家、両方ともにあかずの間がありました。 私は一時期父の実家に住んでまして、与えられた私の部屋。 2階、6畳で家具や寝具もあってなかなかの場所。 移り住んですぐに掃除をし始めたら家具裏から扉であろう隙間と蝶番、 そして把手をはずしたであろうネジ穴。 壁の向こうは1階の屋根裏、その下は私の祖父であった家長の書斎です。 その存在は気になりましたが、ほどなくゴキブリの発生源がその隙間である事が解り 確かめる事は避けて生活。 実は私、ゴキブリ嫌いなもので。知らなかった事にして見ない振りです。 やがて祖父が亡くなり、老朽化からその家を建て替える話が持ち上がり取り壊す事になりました。 取り壊しの日、私は解体屋さんの重機の爪先を眺めてました。 ひどく悲しい光景だったのを覚えてます。 解体の手が件の部分に差し掛かり、気になってた部分も崩れ落ち、やがて全て廃材に。 解体の人が廃材の仕分けをしてると急に呼び掛けられました。 「ちょっとここん家の人でしょ、来て来て」 大体あのあかずの屋根裏があった地点。屋根瓦や廃材の中から十数本の銃らしきものが。 どれも錆まくってて使える状態ではないよう、ただ銃にしては若干細身でした。 しかしズシっと重い。 「これ、どうなってるの」と解体屋さん。 「さぁ…私にも」「あー、じゃコレも持ってきますね」「はぁ…」 その銃は解体屋さんのトラックの座席へ、特に手続きとか面倒な事になりそうもないので「まーいいか」と。それに素人にもあれからどうこう出来るとは思えない程、錆ていたもので。10年20年の錆じゃない。 しかし何だったか、どういう言われの物か。今となっては知る由もございません。 母の実家のあかずの間は確かめる事ないまま、その家と縁遠くなってしまいました。 かの家のあかずの間は昔、使用人が使ってた場所だったそう。 きな臭い話はこちらの方が多いのできっと何かあると睨んでます。
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130 名前: 本当にあった怖い名無し 投稿日: 2007/02/11(日) 10 32 54 ID kPi/ivZtO 家じゃないんだが、会社に開かずの間がある。なんでも前に入っていた企業が倒産して、そこの社長が自殺したとかなんとか・そんな話しを先輩から聞いた。 131 名前: 本当にあった怖い名無し 投稿日: 2007/02/11(日) 10 39 14 ID kPi/ivZtO ↑つづき 確かに残業してたら、開かずの間からカタンと音が聞こえてきた事がある。事務員(24才貧乳)は「歌が聞えてきたよ」と言ってた。連休中ヒマだから凸してみようかな。 以降のまとめはこちら ことりばこのまとめ 「開かずの間の箱」
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309 名前: 本当にあった怖い名無し [sage] 投稿日: 2006/08/13(日) 15 15 19 ID zdPNCDjoO 自分の家の話じゃなくて大変恐縮なんだけど… 私が通ってた高校は、生徒数の多い学校として有名な私立の女子校だった。 校舎は、同じ敷地内に中学部と高校部それぞれが独立して建っており、 あかずの間は高校校舎の6階(と思われる場所)にあった。 5階までは普通に教室があるんだけど、何故か6階へ続く階段が塞がれていた。 まるで5階の天井に向けて階段を差し込んだような、そんな感じ。 その部分だけがコンクリで乱雑に固められていて、不気味だったのを覚えてる。 何年か前に校舎を全部取り壊して、今は綺麗な校舎が建ってるけど うちの学校は内部事情の暴露本が出版されるくらい(今は売っていない。 当時の校長が回収したとか何とか)のオカルト校で、そのあかずの間でも何か あったんじゃないかって噂。
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97 名前: 本当にあった怖い名無し [sage] 投稿日: 2006/07/18(火) 20 50 09 ID TJJGBqTJ0 家ではないが中学校に開かずのトイレがあった。男子トイレの入り口がベニヤ板で 塞がれていて、教師が言うには「不良がタバコを吸うのを防ぐ為」だそうだが、先輩から 聞いた話では「幽霊が出るから」だった。ある日の昼休みにクラスの不良達がベニヤ板を 破ってトイレに入ったら洗面台の鏡は取り外してあるが、それ以外は普通のトイレとして 使えたとの事。でも放課後には幽霊が出る騒ぎがあり、次の日の昼休みには工事の業者が コンクリートで入り口を固める準備をしてました。不良達に幽霊の話を聞こうとしても 話してくれず(学校側から停学にするぞと圧力をかけられたらしい)教師に聞いても 「幽霊ではなく不良がタバコを吸わないように」って話でした。 去年、その中学の文化祭があったので十数年ぶりに行ったら、まだコンクリで入り口が 塞がれたままでした。
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182 名前: 1/4 [sage] 投稿日: 2006/07/30(日) 17 11 43 ID vktdi8qQ0 開かずの「間」ではないが、開かずの仏壇の話。 友人の祖父が亡くなり、諸事情から仏壇を買い替えることに。 事情といっても別にオカルトな理由ではなく、 非常に古くアチコチガタが来ていて扉とかも外れかかってたから。 コレを機に立派なものにしてやろうよ、ということだった。 俺の友人が一応掃除してから仏壇屋に処分 (よく知らないが魂を抜いたりとか何とかするんだよね?)してもらおうと 各部を弄っていたら、仏壇下部の小さな引き出しが開かない。 何か引っかかってるとかでもないようで、全くびくともしない。 どうやら内部で固定してあるようだ・・・ 些か不振に思った友人は父(亡くなった祖父の息子)や母に聞いてみたが、 その仏壇はじいちゃんが管理してたので何も知らないという。 家族は線香をあげたりする以外に、手を触れたことが無い。 爺さんは毎日お供えを欠かさず、丁寧に拝んでいたらしい。 数年前祖母さんが他界してから尚更に熱心に拝んでいた。 よく覚えてないけど、じいちゃんが戦後間も無く 買って来た筈だな・・・という父(ちなみに一応戦中生まれ)。 息子(友人の父)の臍の緒でも入れてたんじゃないの、という母。 183 名前: 2/4 [sage] 投稿日: 2006/07/30(日) 17 12 13 ID vktdi8qQ0 どの道処分するつもりだったし、何となく気になるから壊して 開けてみよう、と父が言うので、友人は工具箱を持ってきて バールのようなものにて破壊活動開始。 相手が仏壇なので多少後ろめたいような感覚もあり、 大胆な壊し方もできない。 中に何か入っててそれを壊したら困る、ということもあり 慎重に、且つ躊躇いつつ作業したのでかなり時間が掛かったが、 何とか表の板をぶっ壊して中を見ることが出来た。 引き出しは釘で打たれてる訳でも接着されてる訳でもなく、 特に固定してあるような細工も見られなかったそうだが、 その時点でも全く引っ張り出すことはできなかったとのこと。 何故開けられなかったのか、結局よく判らなかったそうだ。 ちなみに友人の爺さんは、戦前から戦中に掛け、職業軍人であったそうだ。 憲兵さんだったそうで、厳格で立派な人物だったようだが それだけでなく商才というか、苦境を巧妙に生き抜く 才覚を持つ人物だったので、復員後さるビジネスを始めて (特定されちゃうから内緒。事実上は既存業者を乗っ取ってかなり強引に始めたらしい) 大当たりし、土地でも有名な実業家として財を成した。 友人も父もその家業を次ぎ、安泰な生活を送ってる。 爺さんは開戦前から満州に居たようだが、どういう活動をしていたかは 祖母さんも知らなかった。 友人の話では、映画ラストエンペラーをテレビで観て、 甘粕さんはこんな人ではなかった・・・と呟くのを聞いたことがあるそうだ。 そのことなどからも、隠密な任務を担って大陸に赴いたのでは、と 友人は想像していた。 184 名前: 3/4 [sage] 投稿日: 2006/07/30(日) 17 14 05 ID vktdi8qQ0 さて、仏壇の引き出しには、油紙に厳重に包まれた小さな 塊が入っていた。 友人とその父がドキドキ・少しわくわくしながら封を解いてみると、 古めかしい金の腕時計が出てきた。時計は、パテック・フィリップ。 時計好きには説明不要なメーカーだが、車で云えばロールスロイスのような 会社で、名品中の名品を作る名門会社だ。 まあ、兎に角ダイヤとか宝石とか付いてるわけでもないのに 凄い値段の、高級品だと思って欲しい。 友人は自他共に認めるアンティーク時計マニアなので驚きもし 喜びもし、かぶりついて仔細を検分したが、手持ちの図鑑などで調べると 1930年代の代物のようだ。戦前の製造の筈。 何故こんなものをじいちゃんが・・・ 戦後に手に入れた可能性はあるが、こんな時計を嵌めている爺さんを みたものは居ない。では戦前に? 爺さんはもっと新しいパテックを幾つか持っていたし、 友人も、爺さんが存命の時点でそのうちの一つを譲り受けていた。 もしこんな古いパテを持っているなら、時計好きの孫(友人)に自慢しないワケが無い。 何故隠していたのか。 185 名前: 4/4 [sage] 投稿日: 2006/07/30(日) 17 16 09 ID vktdi8qQ0 当時の日本には当然代理店も無いし、仮に商社が輸入したとしても、 当時の貨幣価値を考えると庶民の家一軒よりも遙に高額な筈だ。 今ではちょっとした乗用車程度の値段で買えるので大したことは無いが、 戦前なら人の命が買えそうな値段だろう。 資産家でもない、ただの軍人である爺さんには絶対に 買える筈も無いし、くれる人だって居ないだろう。 どこで手に入れたのか?何故使用もせず金にも換えず 死蔵していたのか?何故仏壇に入っているのか? それとなく親類にも聞いてみたが(はっきり詳細を語ると 形見によこせ、と云われそうなのでボカしつつ聞いたらしい) 全く判らない。 父は、大陸で戦前か、戦中に入手したと考えたらしい。 ということは、満州国のやんごとなき方々から出た物なのか・・・ 形見に貰っておきたい友人。気持ち悪いから捨てちゃえという母。 お寺に預けようという父。 三人で相談した結果、悩みに悩んだが、父の言うとおり お寺に預けることにしたそうな。時計がしまってるということを 知らなかった割に、父は時計を見た瞬間から強くお寺へ持って行くことを 望んだそうだ。理由は判らない。 その後おかしなことも何も無い。仏壇は綺麗で豪華な新品になり、 俺も拝んだことがあるが、爺さんは満面の笑みで祀られてる。 ただ、その二年後に父も亡くなり、友人は出張先で3回ほど、 無言で自分を見つめる父に会ったそうだ。
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#freeze 森博嗣 contents #contentsx 書籍情報 plugin_html is not found. please feed back @wiki. 著者 : 森博嗣 発行元 : 講談社 新書版発行 : 1997.1 文庫版発行 : 1999.11 犀川助教授と西之園萌絵のコンビが活躍するS Mシリーズの第4弾。 あらすじ 以下 新書版内容紹介より引用 那古野市内の大学施設で女子大生が立て続けに殺害された。犯行現場はすべて密室。そのうえ、被害者の肌には意味不明の傷痕が残されていた。捜査線上に上がったのはN大学工学部助教授、犀川創平が担任する学生だった。彼の作る曲の歌詞と事件が奇妙に類似していたのだ。犯人はなぜ傷痕を残し、密室に異様に拘るのか? 理系女子大生、西之園萌絵が論理的思考で謎に迫る。 引用終わり 書評 まさに詩的 今回も引き続き密室ものです。 しかも被害者はそれぞれ服を脱がされ、ナイフで身体にマークをつけられている。 密室自体も理系施設が効果的に使われており、密室好きにはたまらない感じです。 ただどうしてでしょう? 今回は第3の事件が起こるまでは、わたしは結構読むのに時間がかかりました。なんだか少しだれていたかのように。それはおそらく意識的に作られた「底の浅いミステリ」風の展開ゆえでしょう。 なんだか密室の謎も簡単に解決されてしまうし、そのトリック自体も正直驚くほどのものではなかったし。それになんだかあからさまに怪しそうなやつもいるし。 しかし、そのままでは終わらないのが森ミステリィ。 犀川先生が何度も言っていたとおり、今回のポイントは「なぜ密室にしたのか?」 もちろん他の作品でも密室にする必要性が重要なテーマになることは多いと思いますが……おっと。この先は下のネタバレコーナーで。 それはそうと、3つめの密室ですが。 まさに「コンクリートの森博嗣」の面目躍如。 なんてコンクリートが好きなんだ。 また、本作はタイトルに「詩的」とありますが、全体を通して今までの作品にはない一種幻想的なまでの空気が流れています。わたしの個人的好みとしては、ミステリにあまり幻想的な味付けがなされているものは好きではありません。なぜならせっかくの謎までも幻想的になって曖昧な感じがしてしまうからです。例えば綾辻行人先生の「人形館の殺人」みたいな。(*良し悪しを言っているのではなく単なるわたしの嗜好の問題です) ところが、この作品はあくまでも謎は整然としていますのでミステリとしての魅力を損ねることは全くありません。というよりも、その謎と人々の思考の流れの整然さと客観性こそが、森先生の「詩」なのであり、これはこの作品に限られない、森作品に共通する雰囲気でもあります。ただ、この作品にはこのような森先生本来の整然な「詩」とは正反対のはずのアーティストや彼らの創り出す「詩」と「感性」が配置されており、それが一見すると対極にありそうな、数学的な整然さを持つ森先生独特の世界観と見事に融合することで、一つの新たな「詩的」世界を創り出しています。 つまり、本作は決して今までにない「詩的」で幻想的な世界を描いたものではなく、本質は今までと同じ「森ミステリィ」に他ならないということです。 それにしても萌絵嬢のアタックはより一層激しさを増してまいりました。 そしてそれと連動して犀川先生の変人っぷりが際だってきているように見受けられます。 自分に好意を持っているとわかっている萌絵嬢に対して「君が言わないからだ」という、すなわち「はっきり口に出してわたしに好意を伝えないとぼくにはわかんないよ」的な発言をなさいます。萌絵嬢に「甘えている」とおっしゃいますが、甘えているのはあんたの方だよと言いたいのはわたしだけでしょうか? それでも犀川先生。憎めないから困ったものです。 ますます二人から目を離せない展開です。 {以下、ネタバレありです。未読の方はご注意を }; 先程書きかけてしまった「なぜ密室が必要なのか」ということについて。 既に書いたとおり、密室の理由付けに関してきちんと書かれている作品自体は他にも多数あると思います。 が、わたしの知る限り、密室は密室であることが前提で、それが何らかの効果を生み出すというものがほぼ全てであるように思います。本作のように密室が密室でなくなってはじめてその効果を発揮する、という考え方には驚きました。 また「詩的」ということについても上でいろいろ書きましたが、犯人の動機もなかなかその雰囲気に沿ったものになっていますね。「冷たい密室と博士達」「笑わない数学者」と土曜ワイド劇場的動機のものが続いたので、これも新鮮な感じがします。 感想・書評投稿 ぜひ、この書評に対するあなたのコメントをお願いいたします! こちらからどうぞ あなたもこの本についての書評を書いてみませんか? 短いものでもけっこうです。 こちらからどうぞ
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高里椎奈 contents #contentsx 書籍情報 plugin_html is not found. please feed back @wiki. 著者 : 高里椎奈 発行元 : 講談社 単行本(ソフトカバー)発行 : 1999.12 文庫版発行 : 2006.6 落ち着いた好青年座木(くらき・通称 ザキ)、超美少年の深山木秋(ふかやまきあき・通称 秋)、赤毛で元気いっぱいな少年リベザルが営む「深山木薬店」を舞台にした「薬屋探偵妖綺談」シリーズの第3作。 あらすじ 以下 文庫版裏表紙より引用 毒死した京都の外科医、轢死(れきし)した東京のプログラマー、失血死した鳥取の書店員…場所も日時も別々で互いに無関係な六人の死。自殺、事故死、殺人としてすべて解決したはずのこれらの事件の共通点とは何か? 薬屋探偵三人組の良心座木(くらき)が難攻不落の謎に挑む! 個性派キャラが続々登場する好調シリーズ第3弾。 引用終わり 書評 読みやすさに甘えていると後悔します 読んでいる感覚は下手すればジュブナイル。 実際の年齢はともかく、悩める少年リベザルの葛藤と成長に焦点を当てた作品です。全体から受ける印象は、今までの2作に比べて対象年齢が低く感じました。少なくとも読んでいる間は……。 更に、元々読みやすい文章が更にこなれてきて、すいすい読めてしまうのでなおさらです。 ……が! 甘かったです。 漫然と読み過ぎました。 ミステリとしての構成は、序盤からいろんな脈絡のなさそうな細かい事件が取り上げられ、それが最後につながってゆくというスタイルで、それ自体は特に目新しいものではなく、どうまとめていくのかな〜といった気分で読み進めていました。そして、後半、一気に事件同士のつながりが明らかになってゆくのですが……ん? で、結局犯人は? 謎の本当の核心部分が、シリーズの舞台設定を活かしたファンタジー色の強い表現で語られるため、はっきり言って、わかりません。ファンタジーなトリックというわけでなく、「人間の事件」の描写をファンタジーというベールで覆ってしまったような感じといえばよいのでしょうか。 なんだかわかりそうでわからない。ミステリ愛好家としては最もつらい展開であります。 そのあたりが、この作品に関して「これはミステリではなくファンタジーだ」と評される方が多い一因でしょうか?(少なくとも私はそういう評価を良く目にしました) 最後の最後で欲求不満の杯を突きつけられながら。 「秋! 頼むからもう少しヒトに優しい名探偵になってくれ!」 そう叫びかけながら。 そして、そのラストの意味を考えながら。 でも、それと同時に思い起こしていました。 「そういやなんだか伏線くさいシーンいっぱいあったよな〜」 そうなのです。 ラストにつながるあからさまなシーンが多数あったにも関わらず、私は文章の読みやすさにかまけて「謎は作者が教えてくれるさ♪」とばかりに、軽く読み飛ばしてきたのでした。 おそらくこの事件の本当の経緯は、本格ミステリになれている方にとっては、おそらくそれほど複雑なものでなく、むしろ、安直に感じてしまうものであるような気がします。実際、複数の事件をつなぐ糸の解明においては、そんな単純な考察でいいの? と感じてしまいました。だから意地悪な言い方をすれば、単純に人間の視点で真相が語られたときには、ミステリとしての水準はそれほど高くないのかもしれません。が、それは逆に言えば、読み手が注意深く考察しながら読んでいれば、ラストのぼかした表現にも関わらず、自分なりの真相に到達できるレベルだったのかもしれないのです。 なんだか届きそうで届かない。 もう一度きちんと読まないとガマンなりません! なんだか「してやられた」といった気分ですので。 それにしてもキャラクターの個性はますます際だってきました。 特にリベザルの無垢っぷりや、ザギの色男っぷりなどはちょっと大げさになってきたようにすら感じます。脇役の高遠や葉山両刑事も前作「黄色い目をした猫の幸せ」で得た存在感に磨きをかけ、欠かすことのできない「探偵の協力者」としての地位を確立したように思います。 そんな中、秋は意外と地味な変化です。 でも、すべての言動からは、その奥に潜む思慮が滲み出ます。はじめは単なる暴君(!?)だったと思うのですが、どんどん優しくなっています。悩めるリベザルの歩む道を整えながらも、自分自身でその道を見つけるように導くその振る舞いに、大きな魅力を感じます。 総評。 自分自身の読み込みの甘さを棚に上げてしまいますが、純粋にミステリとして考えると、やはり掘り下げ方は浅いように感じます。複数の事件が一つに収束してゆく過程の描き方が乱暴で、唐突な感じだったので、カタルシスを感じることはありませんでした。 でも、小説は別に純粋なミステリである必要性が、そもそもありません。 あたりまえですが。 賛否両論あるところだと思いますが、あの結末の描き方は、まったくわけがわからないわけでもなく、単純に真相を述べているものでもなく、最後の最後で安心しかけている読者を、もう一段階作品側に引き寄せる、絶妙のバランスであったように思います。しかもそのファンタジー的表現は唐突なものではなく、独特の作品世界をうまく利用したものであり、活き活きとした登場人物達とあいまって、キラリと光るひとつの物語として読者の前にその姿を見せてくれています。 良い「物語」でした。 感想・書評投稿 ぜひ、この書評に対するあなたのコメントをお願いいたします! こちらからどうぞ あなたもこの本についての書評を書いてみませんか? 短いものでもけっこうです。 こちらからどうぞ