約 1,378,735 件
https://w.atwiki.jp/m2ekks/pages/63.html
あの方は、きっと――私を愛してはいない。 寧ろ私のような存在を疎ましく思っているだろう。 この肉体を維持する為に、莫大な金が掛かっていると聞いたことがある。 あの方ならきっと、その金を別のことに使うだろう。 唯私がいるので、治療費に回さざるを得ないだけだ。 それに、あの方の求めている「ミュウツー」は、「私」ではない。 あの方が求めているのは私のような劣化コピーでも、欠陥品でもない。 健全な肉体と圧倒的な力を持つ、オリジナルのミュウツーだ。 そう――あの方の恩赦を無碍にした、忌々しいオリジナル。 なのに、あの方は奴を望む。奴を欲しがる。 所詮私は、唯の代用品でしかない。 しかし、それでも。私は、あの方に尽くそうと思う。 それが、私の生まれてきた意味だからだ。
https://w.atwiki.jp/myutu/pages/57.html
ミュウツーがつかまえられない▼ 1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 26 42.81 ID CMHrGjnN0 もう5時間以上やってるんだが ボール250個以上は投げたぞ 2 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 29 05.67 ID w8FHFsFRO だからあれほどマスターボールは使うなと 3 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 29 12.60 ID WJgZs9+C0 BE 1160860166-PLT(17111) マスターボールは何に使ったのだろう。 4 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 29 35.14 ID qZsCQFaO0 3 ファイヤー・ブースタ・サンダーあたりじゃね? 5 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 30 37.12 ID gMUWeTYY0 4 kwsk 6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 30 57.80 ID 6zJW7w/iO だからあれほどマスターボールをフリーザーに使うなと 7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 31 07.08 ID qZsCQFaO0 5 間違えたwwwwww ファーヤー・フリーザー・サンダーかwwwwwww 8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 31 23.43 ID iMkn9+TNO こおらせればハイパーボールでもいけるんじゃ… 9 コテ平◆08m4elzWR2[]2008/08/11(月) 01 31 24.16 ID ycuG717eO フリーザーとサンダーはハイパーボールで捕まえられましたが ブーバーだけは無理でしたのでマスターボール使いました 10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 31 47.21 ID qZsCQFaO0 ブー……バー……? 11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 32 07.48 ID fJclSCxO0 ふぶき×2→いかりのまえば→スーパーボールでおk 12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 32 08.72 ID +54cQNn60 緑か 13 いとエロし◆EROKING/oc[]2008/08/11(月) 01 32 28.37 ID e9yxMb1GP BE 1383088695-PLT(25990) 株優プチ(park) モンスターボールでAB連打しまくれ 14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]2008/08/11(月) 01 32 34.42 ID sxLxTLFG0 モンスターボールでもいけるけどな 15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 32 35.19 ID 0Pnc1jhc0 ボール投げてるだけでダメージはいっさい与えてないんじゃ… 16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 32 42.30 ID CMHrGjnN0 もちろん、マスターボールは色違いポケモン用にとってある っていうか、ここまできたらマスター使いたくない プライドが・・・ 17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 32 44.38 ID qZsCQFaO0 13 やったやったwwwwwwwwww 18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 33 35.47 ID cA9GsYa60 モンスターボールで捕まえたとか言ってる友人いた なんかよくわからんけど腹立った 19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]2008/08/11(月) 01 33 45.73 ID yb93iedg0 13 懐かし杉ワロタwwwwww 20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 33 57.38 ID Ke7ART770 凍らせて、削って終わりじゃないの? 21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 34 25.80 ID qZsCQFaO0 みんな凍らせるんだ……俺麻痺させてたよいつも。 22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]2008/08/11(月) 01 34 30.03 ID LIvmtghb0 セレクト連打だろwwwwww 23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]2008/08/11(月) 01 34 57.72 ID sxLxTLFG0 18 いやめちゃくちゃ投げまくればなんとかw 俺はミュウツーじゃなくてフリーザーだったかも知れんw 24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 35 48.59 ID 1HnNsBWo0 みねうちが初代にあれば・・・ 25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]2008/08/11(月) 01 35 48.65 ID 25wKgQk60 16 色違い…? 26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 36 58.82 ID 1HnNsBWo0 あれ?よく考えたら初代ポケモンって色違いなくね・・・? 27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 37 12.58 ID 0Pnc1jhc0 色違いだと…!?バグか? 28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 38 13.31 ID CMHrGjnN0 それ、初代の話だろ 俺が言ってるのはリーフグリーンだよ 29 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 38 39.59 ID EGSvtBS80 え? ミュウツー倒せば全クリなんじゃないの? 早く倒せよ 30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 39 25.78 ID /hTVYo1rO ボールを伝説系に投げた場合どのボールでも捕獲できる確率は同じ(マスターボール除く) 豆知識な 31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]2008/08/11(月) 01 39 52.75 ID 25wKgQk60 28 把握 32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 40 12.96 ID /Ah6ViMx0 30 ヽ人__人/ < > そ ,.へ <. | > ‐────┬┐ \ _,,.. - ''''"" ̄`"'''7 ∠__ な ___,,,...-‐''"| | \ ,. '" !ヘ/ /<. の >  ̄7 | |  ̄ / ハ, __i i ! か i | |  ̄ / /'! ハ /!二_ハ i´ | < | > .| .| | | | / ,.ィ‐-V レ゛´!´.ハ`ヽイ / ノ !!!! ヽ. | | | | i i イ「ハ !__,リ ノ | /| ⌒Y⌒Y⌒ | | | |. !/.| | ! !ソ  ̄ 〃 レ' | | | |. レソ〃 ,-=ニニ'ヽ. 7 ,' | | |. |7! i ! u / /! | | | / .'ゝ、_ヽ、 _ノ / / / i ,' | | レヘ/,./^i,.-,r イ´レヘ/ヽ、ハノ |______|__| r| ! ! レ^i/  ̄'7ー-、______ハ  ̄ ̄ ̄__/___ ハ /ヘ__/// ヽ, | | ニ二二i -二ニ---、. ,. '⌒ヽ,r‐''"´ ̄ト、 / ! | | ________________ンー|.|""""`ユ ヽノ「´  ̄ `ヽ ! ,〈 | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄二=-┐ `ヽ / | | 33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 40 14.18 ID olSZF0WD0 初代に色違いとかwwwwFLのことですね、わかります 34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 40 31.28 ID qZsCQFaO0 30 十年前に教えてほしかった 36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 40 47.07 ID 1HnNsBWo0 28 それを先に言ってもらわなければ困る 37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 42 35.82 ID CMHrGjnN0 眠らせてHPギリギリまで減らしてもすぐボールから出るwwwwww 38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 44 16.31 ID KpVTvzXL0 ボールの揺れに合わせてボタンを押したり押さなかったりしたのは俺だけじゃないはず 39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 45 49.04 ID 1HnNsBWo0 ボール投げた後に急いで机に固定して爪で左右に思い切り 動かしたのはおれだけじゃないはず 40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 46 17.17 ID MomOHwH3O 眠らせて一回ポケモンのふえで起こして再度眠らせてから捕まえると捕獲率UPというのが攻略本に書いてあったから鵜呑みしてたあの頃 41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 47 32.57 ID umm6iQcO0 伝説捕獲の際、金銀まではハイパーボール使ってたけどRSからはモンスターボールにしてたな 捕まえた時のボールの種類が記憶されるようになってなんか気になってしょうがない 42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 48 02.31 ID cLoxweFg0 初代は状態異常ならいくらHPを減らしたところで捕獲率は変わらないらしい 43 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]2008/08/11(月) 01 50 19.02 ID NYLg4JhaO 今の世代ではモンスターボールだとチート扱い ハイパーボールだとヘタレ扱い スーパーボールが一番だよね 44 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 50 32.34 ID MomOHwH3O 41 記録されるようになってから伝説系はプレミアボールでしか捕まえてないな 45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]2008/08/11(月) 01 53 21.12 ID pthV223y0 ハイパーで捕まえられるよね? 46 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 53 21.58 ID 7IW0afqL0 マジレスすると、眠らせるだけでおk ダメージ与えても効果はない 48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]2008/08/11(月) 01 56 12.84 ID xE95jsknO 俺はモンスターボールでレックウザを捕まえたぞ コメント 名前 コメント トップページ
https://w.atwiki.jp/yanderemewtwo/pages/32.html
『行け! ヘルガー! 噛み砕け!』 ヤマブキシティのポケセンのテレビでは、ジョウト地方でのリーグ戦が放映されていた。俺は控え室でミ ュウツーの治療を待ちながらそれを何とはなしに見ている。 最近のポケモンの研究によって、新たなタイプが発見されたということが巷での話題だ。今もテレビでは エスパータイプのフーディンをあくタイプであるヘルガーが圧倒している。何でも異常なまでの環境適応能 力が生息している地方によって新たな影響をなんたらかんたらで、一度、オーキド博士に教えに貰いに行こ うとしたけれど、ミュウツーの強固な反対によっておじゃんになってしまった。 『火炎放射!!』 新たなポケモンの台頭により、新時代のトレーナー達が続々と表舞台へと出ている。きっと俺なんかは古 株の類に入るのだろう。 ただ、それによりトレーナーのマナーというか、ポケモンの扱いというものが問題になっている。ゲーム 的な感覚が増していった一方で、生物であるポケモンを簡単に捨ててしまったり、あまつさえ能力の低いポ ケモンを殺してしまう、なんてニュースが日々流されている。 確かに、タイプには得手不得手があるから有利にしようという気持ちは分かる。ただ、それじだけじゃあ ないんだよなあ、となんかジジくさいことも考えてしまうわけで。 「どうした、主よ。ずいぶんと悩んでいるようだが」 「ん? ああ、今日は随分と早いんだな」 「もう直ってる。遅いのはアイツらだ」 ミュウツーの後ろでは慌ててラッキーがこちらに向かって来ている。しかし、彼女が一睨みすると回れ右 して帰っていく姿が可愛かった。 「さあ、行くぞ。主よ」 「そうだな、ミュウツー」 彼女はミュウツー。最強にして最高の、俺のポケモンだ。 ポケセンを出ると、俺は真っ直ぐシオンタウンへ向かう。目的地はここからでも見える、周囲の建物より も頭一つ高いポケモンタワーだ。今の俺の仕事先であり、調査先である。 カントーリーグを制覇した俺は、特にすることもなくポケモン図鑑を埋める旅を続けていた。そして、以 前お世話になったグレンジムのカツラさんの所を訪ねた時に、件の話を持ちかけられた。内容は急増するポ ケモン霊と周辺地域への影響の調査だった。亡くなったポケモンは、大抵、成仏しない場合はゴースとゴー ストとして現世に現れるのだけれど、最近では全く新種のゆうれいポケモンも現れているという報告を貰っ ているらしい。ジョウト地方以下、各地方からの外来種による変化と見当はついているのだが、やはり現地 での詳細な調査がしたいということで、その辺りにパイプを持ち、ミュウツーというちょっとやそっとじゃ やられないポケモンの主人ということで白羽の矢が立った。 「どうした、主よ。悩みでもあるのか?」 「ああ、いや、そうじゃないんだけど」 足りない頭を使って悩んでいる俺をミュウツーが何を思ったのか、声をかけてくる。以前の一件以来、随 分と彼女も丸くなったのだが、それでも何かと俺の心配する性分は全然直ってない。むしろ、酷くなったと いうか、輪をかけたというか。 主はすぐに無茶をする。これぐらいの心配でもまだ足りない方だ。 そこに注文をつけるたびにミュウツーはそう返して全く相手にしない。ただ、そういう時の彼女は大抵、 上機嫌で、今も特徴的な丸みを帯びた尻尾が左右にリズムを刻んでいる。 まあ、これも彼女なのだろう。俺はそう納得することで歩を早めた。 ポケモンタワーに着く。見上げると、相変わらずの曇天が空を覆い、不気味さというか寂しさというか、 普通の建物とはまた一線を画していることをより強調される。 「また行くのかい? 盛んなこって」 聞きなれた声に俺とミュウツーが振り向く。そこにはカントー四天王の一人、キクコさんが立っていた。 彼女もまた、ゴースト系のポケモンの専門家としてこの地に呼ばれて調査チームの一人として活躍している。 オーキド博士とも親交があるのか、そのポケモンへの深い造詣はチームでも遺憾なく発揮されているのだが、 いかんせん俺とは、というか隣の彼女とは相性が最悪だ。 「主は調査に来ている。部外者は黙ってもらおう」 「おやまあ、相変わらずだねえ。アタシもこのボクちゃんのお仲間なのに」 「だからその呼び方で主を呼ぶなと……!」 だめだこりゃ。 俺はミュウツーの手を取ると、さっさとタワーの中へと進む。手を握るとミュウツーはあっという間にお となしくなる。遠くからキクコさんの茶化し声が聞こえるが、今は聞こえないことにしよう。 しかし、キクコさんの姿が見えなくなる寸前、彼女はどうも引っかかる言葉を投げかけた。 「気をつけな! ゴーストタイプのみのポケモンが確認されたってさあ!」 手を引っ張り階段を登っていく中、俺はただその言葉だけが何度も頭を駆け巡った。 調査は順調、というか何も起こらなかった。あっという間に最上階へと着くと、ガラガラ、カラカラの親 子が眠っているというお墓に手を合わせる。ついつい毎回やってしまうのだが、最近ではミュウツーも共に している所を見れて嬉しく思う。 「主の意思は私の意志だ。そこに幾分の隙間も無い」 「そうか」 一時間程うろつくが、出てくるゆうれいポケモンといえばゴース、ゴースト程度でミュウツーの敵ではな い。いい加減、お互い退屈し始めていた。 「帰るか。ミュウツー」 「ああ」 急いでやることでもない。息をひとつ吐いて階段を下りようとする。しかし、そこで空気が変わった。い や、彼女が戦闘態勢に入った。 「ミュウツー」 「おそらくババアが下で言っていた新種だ。主、シルフスコープを」 駆け巡る緊張。ババアなんて言い方を訂正する暇も無い。俺は黒い瘴気のようなものにスコープをかざす。 スコープの解析により、徐々にそのポケモンが姿を現す。同時に、ポケットに入っていた図鑑が自動的に反 応する。 『新種のポケモンです。よなきポケモン、ムウマ』 ふわふわと、ゆうれいポケモン特有の質量を感じさせない浮遊感。初めて見るポケモンに心臓がイヤに跳 ねるが、それはどちらかと言えばもっと違う問題を孕んでいた。 『更にムウマを確認。その数、三十五』 まるで黒い群体のように目の前にゾロゾロと出てくるムウマ。明らかにおかしい。何かがおかしい。 「十出ようが百出ようが構わない。私の目的はただ一つ、主に勝利を」 一歩前に出るミュウツー。その背中は変わらず孤高という文字が似合ってる気がした。 俺は残りのポケモン五体を全て出して迎撃する。しかし、元々弱点の少ないムウマに圧倒的に有利となる ようなポケモンは俺は持ち合わせていない。今も決め手を欠いている俺のポケモンたちが、徐々に数に圧さ れ始める。 「失せろ悪霊どもめ。私が全てを無にしてくれる……!」 ミュウツーのサイコキネシスが場を占める。空間ごと歪んでしまいそうな攻撃も、どこかゴース、ゴース トよりも効きが悪い。地力の差で何とか追い払っているが、彼女も闘いづらいことは確かだった。 「このぉ……!」 サイコキネシスを収めたミュウツーの手が、黒い波動を放ち始める。まるで電流のようにバチバチと黒い 雷が彼女を覆う。 「やめろ! それは」 破壊光線。しかも片手で一発ずつと、同時に二発も放つデタラメ! 余りの衝撃にじしんを放ったときの ような振動が起こる。 「どうだ……!」 馬鹿野郎。そんな声が出したくとも、彼女の表情から全てを悟ってしまった。ムウマは変わらずふわふわ と漂っているのだ。そう、ノーマルタイプの技である破壊光線がゴーストタイプのポケモンに効くはずが無 い。完全なミス。彼女も、そして止められなかった俺も。 けれど悔いている暇は無い。俺は同時に二発も撃つなんてデタラメをしたことで、その場から一歩も動け ない彼女を助けようとリザードンに命令を下す。 焦りは判断力、観察力すら奪う。どこかから放たれた黒球がミュウツーに直撃する。 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」 『シャドーボール。ゴーストタイプの技』 断末魔が響く。次の瞬間には、あられのように振るその黒球の群れが彼女を覆い尽くす。 「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」 「血液をもっと! 早く!」 ヤマブキシティのポケモンセンターではジョーイさん以下、スタッフ達が慌しく動いている。 ミュウツー重態。その報せはカントー地区並びに全国のポケモン研究の関係者に伝わった。更にどこから 伝わったのか、センターの外ではマスコミでごった返しているようだ。 シャドーボールで倒れたミュウツーは、その後もどこかから湧いてきたゴースやゴーストに執拗に攻撃を 受けていた。おそらくゆめくいか何かなのだろう。床をのた打ち回る彼女を見て、目の前が何度も真っ暗に なりそうだったのを覚えている。 破壊光線は失敗に終わったのだが、不幸中の幸いか、不審に感じたキクコさんが助けに来てくれるまでミ ュウツーは痛めつけられていた。まるで最初から彼女だけを狙っていたかのように、何度も、何度も。 その光景を思い返すたびに、全身から燃えるように怒りが沸き立つ。 なぜ助けられなかった。なぜ彼女を止められなかった。なぜ、なぜ、なぜ。 「あの、男さん、男さん……」 項垂れていた頭上から声を掛けられていることに気づいて顔を上げる。ジョーイさんだった。報せを聞い て各タウンから集まってきているので、どのジョーイさんかは見分けはつかない。 「男さんに話があるという方が……」 話をしている最中、彼女はずっと怯えるようにこちらを見ている。そんなに俺は酷い顔をしているのか、 鏡を見る気も起こらない今ではどうでもいいことなのだが。 誰ですか? とジョーイさんに訊ねる。すると、その話のある方からコチラに来ていた。 目を向ける。すると、一羽のカラスのようなポケモンが見えた。 「貴方が男さんね。はじめまして、私はジョウトリーグ四天王のカリン。よろしく」 あとこの子はヤミカラスね、とカリンの肩に乗ったヤミカラスが鳴き声を上げた。 手短に言うわ、とカリンは俺の隣に腰掛け、すらりと伸びた足を組む。なんとなく目を逸らしてしまう。 「……随分と暢気なのね。自分のポケモンが瀬戸際だっていうのに」 その通りだ。俺はカリンに向き直る。もうここからはトレーナーとしての話だ。 カリンの話の内容は、ポケモンタワーの調査の引継ぎだった。ジョウトリーグも新たなチャンピオンが 台頭し、そろそろ四天王としての地位を退こうとしたこと。またゴーストタイプに有利なあくタイプの使い 手だということが理由らしい。 元々、ゴーストタイプのみのポケモンの出現は以前からも界隈では話に上っており、相性の悪い俺とミュ ウツーの存在をどこかで危惧していたらしい。それでも最強のポケモンだからと、どこかで油断していた上 層部の判断ミスも話してくれた。 「すまなかったわ。私が謝ってどうにかなることではないけど、代表して謝罪させて欲しいの」 そう言って頭を下げるカリンさんに、俺はただ惨めさを募らせるばかりだ。 いくら相性が悪いとはいえ、それをどうにかするのがトレーナーとしての、主人の役目だ。それを俺は全 く出来なかった。一方的にやられるミュウツーをただ指をくわえて見ることしか出来なかった。 「俺も……どこかで油断していました……そうでなければ、アイツがあんな……」 言葉が続かない。握り締めた拳の、どこにもぶつけようのない悔しさや怒りがぐるぐるとない交ぜになる ばかりだ。 しばらく何も言わない時間が続いた。それもカリンさんが立ち上がることで終わった。 「悪いけど私はこれで失礼するわ、あの馬鹿騒ぎする連中は私が何とかするから……だから、頑張りなさい。 何よりも誰よりも、今一番辛いのはミュウツーのはずよ。貴方がそうやって俯いてちゃ良くなるものも良く ならない……貴方は、強さでミュウツーを選んでいるわけではないでしょう?」 頷く。今はそれが俺の精一杯だ。 「そう……それが分かってるなら大丈夫よ。また会える日を期待してるわ」 そうしてマスコミの待つ正面玄関から出るカリンさん。その背中はまさしく四天王を背負う力強さに満ちて いた。 明かりも消えたセンター内、俺はただひたすら病室脇の椅子に腰掛けていた。 「あの……男さんも寝たほうがいいですよ」 ジョーイさんが話しかけてくる。もう三度目でどこか諦めているのか、毛布をわざわざ持ってきてくれてい た。俺はそれを受け取り、自分の体を包む。正直、少し肌寒さを感じていた為に有難かった。 手術は一応は成功した。攻撃を受けたものの、同時に自己再生を行っていたのが幸いしたという。ただ、ゆ めくいによる精神汚染が酷いらしい。手術中も脳波が一定せず、ショック死すら懸念されていた程だという。 何も出来なかった。その言葉が俺を押し潰そうとする。でもカリンさんに、自分に誓ったはずだ。俺が、俺 が頑張らなければならない。ミュウツーはあんなに頑張った。だから、今度は俺がアイツを助けなければなら ない。体の芯が少しだけ熱を帯びた気がした。 空が少し白んできた頃に少しだけ居眠りをしてしまった。俺はジョーイさんに起こされると、眠い目を擦り ながらミュウツーの容態を聞く。 「あの……目を、覚ましました」 頭が一気に冴える。俺はそのまま駆け出してアイツのいる病室へと駆け込む。背後でジョーイさんが何かを 叫んでいるのも気にしない。走る。走る。走る。 ドアを開けるのも面倒なほど勢い良く開ける。怪我人に対して失礼かとも思ったけれど、きっとアイツは苦 笑いで迎えてくれるだろう。そう信じる。信じてる。 「ミュウツー!」 元気良く声を掛ける。あとは、アイツの笑顔が。 「え……? あの……?」 ミュウツーは困惑していた。俺の顔を見て、どう反応して良いのか、どうすべきなのかを迷っていた。その 時、気づいてしまった。彼女が纏っている雰囲気、こちらに向ける瞳、態度。全て、全てが違う。 誰だ、こいつは。 呆然としている俺にミュウツーの格好をしたソイツは、決定的な言葉を投げかけた。 「あの……誰ですか? あなた……?」 「おそらく精神汚染が原因だと思われるかのう……」 サングラスを拭きながら、テレビ電話越しのカツラさんはそう答えた。思考を巡らす時は必ずそうするらし い。普段は見えないその眼は、トレーナーであり研究者であり、一人のポケモンを愛する人間の眼だ。 「高レベルのポケモンからゆめくいされた人間が、その前後の記憶に混乱をきたす事例も確認されておる。お そらくはそれが関係していると思われるが、混乱以上に失うのはちょっと聞いたことがないのう、それも丸々」 「そうですか……」 「それに気になるのは知能は依然と変わらないままということだ。つまり記憶喪失の中でも健忘症というこ とになるのう」 記憶そのものが無くなるということは、それまで蓄積した知識まで失うということだ。けど、ミュウツーは ただ自分の生い立ちや俺のことなど、所謂“思い出”だけが消えている。それが一層、謎を深めていた。 「正直、ミュウツー自体が謎だらけのポケモンだからのう。ゆめくいに対する精神防護とも考えられる。オー キドはもうそっちに行っておるんだろう?」 「ああ、はい。今、ミュウツーを診ています」 「出来るならワシも行きたいところだが、なに、ああ見えてオーキドは超一流だ。協力してやってくれ」 頷く。続けて、話そうとしたのだが、それは背後からの轟音で途切れることになった。 「行ってやれ!」 はい、と返事をしてミュウツーの病室へと俺は駆け出した。 「いやぁ……! おじさん、いやぁ……!」 病室に入ると、オーキド博士が宙に浮いてジタバタともがいていた。ベッドの端で小さくなっているミュウ ツーと目が合うと、そのまま博士は落下した。 「博士!」 ジョーイさんが駆け寄る。幸いにも気絶しているだけのようだ。俺は同じように吊られる事を覚悟で彼女に 近づいた。 「あ……」 記憶は戻ってないのか、まだ警戒は解いてないのだが、それでも彼女からほんの僅かではあるけれど笑みが こぼれたのを俺は見逃さなかった。 「……お前がやったのか?」 「……だって、おじさん、イヤ、です……」 すまなそうに俯くミュウツー。そういえば記憶を失う以前からミュウツーは博士を毛嫌いしていたのを思い 出す。博士には悪いが、俺は彼女の頭を撫でた。 「え……?」 怒られると思っていたのか、彼女は不思議そうにこちらを見上げる。普段の彼女とは程遠い、どこか幼子を 思わせるあどけない表情に笑みを漏らす。 「大丈夫。怒ってないから……な?」 「……はい」 そのままモゾモゾと動き、俺の体に抱きつく。 今は全てを忘れてる。でも、その芯だけは忘れてない。そう信じることにした。 窓の外を見る。泣き出しそうな曇り空。俺はその先にあるポケモンタワーを見ていた。 よろしくなあ。 モニタの向こう、一人の老人が一体のポケモンに話しかけている。その異形な身なりとは裏腹に、恐る恐る といった様子で老人の質問に答えている。 俺はただその様子を別室のモニタから眺めるしかない。これしか、有効な手立てがないと無理やり納得させて。 それで、お前さんの名前は? 「ドクトル・フジ?」 テレビ電話の相手であるカツラさんがうむ、と大きく頷く。俺は全く聞き覚えの無い名前に困惑した。 ミュウツーの記憶喪失については、様々なトラブルを考慮し戒厳令が敷かれている。それでも一部の、俺とミ ュウツーに協力的な人々にのみ情報は回された。今、こうして話しているカツラさんもその一人だ。 「わしの古い知り合いでな。今はポケモンハウスという、捨てられたポケモンを保護する団体の長を務めておる んだが、フジ老人という名前なら聞き覚えあるだろう?」 フジ老人。確かにその名前ならば知っていた。なんでもポケモンタワー建設にも関わったという人物だという ことも今ここで付け加えておく。 「それでなあ……これは、その、トップシークレットなんだが……」 カツラさんはその性分には珍しく何かを言いあぐねている。俺は誰にも言わない、という約束のもと、彼の次 の言葉を待った。 「奴は……ミュウツーの生みの親なんだ」 直ぐにフジ老人を呼び出し、俺自ら協力を仰ぐ。周囲には彼がミュウツーの生みの親だということを話せない 為、なぜ彼を召集したのか皆一様に首を捻ったのだが、ポケモンの生体科学を専門としていた実績により大きな 問題にはならなかった。 フジ老人もそこは心得ていたのか、自身のポケモン研究の一環という建前により快く引き受けてくれた。 そうしてこの老翁とその娘の再会が叶ったわけである。 「お前さんの名前は?」 「……」 「じゃあ、眼を覚まして、今まで見た中で見覚えのある顔はあったかのう?」 「……」 「ふむ」 予想通りというか、案の定、再会は無意味なものに終わりつつある。果たして彼女の生い立ちはどんなものだ ったのか、今となっては知ることすら難しい上に長年顔を会わせてすらいない人間がひょっこり出てきたところ で、果たしてどんな結果がついてくるのか、たいして考えなくとも分かっていたのかもしれない。 しばらく沈黙が続く。焦りだけが募っていく。 「何か、憶えている言葉はないのかい?」 無駄だ。隣にいたオーキド博士がマイクを手に取ろうと手を伸ばした時だった。 「……イ」 「ん?」 「アイ……」 「随分と懐かしい名前を聞いたのう……」 病院の控え室。他の人が全員出払った所を確認した所で、フジ老人が切り出した。 アイというのは彼の娘のことらしい。奥さんを早くに亡くし、せめて娘だけでもと無二の愛情を注いでいた。 けど、彼はミュウに出会ってしまった。 「その時からワシの全てはミュウになった。寝食も忘れ、娘も忘れてミュウに没頭していった」 “気づいたら”娘さんは亡くなっていたという。 「これは神の与えた罰じゃと、ワシは改心すべきだったのかもしれん。ただ、ミュウツーという新たな生命を生 み出し自分を神だと勘違いしていた。ワシは悪魔に魅入られていた……人として、禁忌の域に手を伸ばしてし まったんじゃ……」 新たなるヒトの生成。彼は娘の遺体から遺伝子を取り出し娘を造ろうとした。ミュウツーと同じ手順で。 そうして、アイ・ツーが出来た。 父としての悲嘆は続く。 「それも結局は人の業……新たな娘が崩壊することでミュウツーも崩れた。何もかもが崩れた」 その時、気づくべきだったのかもしれない。老人の手が何故かボールに伸びていることに。そのボールが展開 されていることに。言葉とは裏腹に彼の顔が笑みで満ちていることに。 「だがミュウツーは生きており、娘も生きていた……そう、あの化け物の中になあ」 不意に後頭部に激痛が走る。俺の意識はそこで途切れた。 眼を覚まして初めに映ったのは白い天井だった。 直ぐに体を起こすが眩暈がする。まるで寝すぎてしまった時の様な、少し頭がクラクラした。 「皆さんっ、男さんがっ!」 いつの間にか部屋に入っていたジョーイさんが慌てた様子で出て行く。しばらくして戻ってきたジョーイさん の後ろには、ナツメさんとカツラさんがついてきていた。 「ナツメさん。それにカツラさんまで」 「流石に心配した。二日も寝られたのだからな」 以前の騒動により、左目に眼帯をしているナツメさんがサラリと言う。だからこんなに眩暈が酷いのか。 「ご丁寧に奴さん、さいみんじゅつまでかけてトンズラだ。なんでこうワシの友人にはロクな奴が……」 ため息を漏らすカツラさんに俺はその後の経緯を尋ねた。二人のジムリーダーは当日その場に居合わせていな かったのだが、この二日間に相当話が進展しているらしい。 まずフジ老人はミュウツーと共に逃亡。既にミュウツーの人格は“アイ”の人格と取って代わっているらしく、 警備している対象がその警備を倒してしまう事態に陥った。おまけにあのポケモンタワーでの出来事の数ヶ月前、 フジ老人がロケット団と思しき人間と内通していたかもしれないという情報まで出て来たのだ。 つまり、全て仕組まれていたのだ。 「相手もまさか、こうまで都合よくいくとは思わなかっただろう。それだけに厄介極まりない事態になっている」 「でも、どうしてミュウツーの中にフジ老人の娘の人格が?」 そう、そこがどうしても分からない。そして何故、ロケット団がフジ老人を利用したのかも。 オホン、とカツラさんが取り直す。いつも何かを説明する時の彼の癖だった。 「それなんだが、どうも“ドわすれ”に仕掛けをしといたらしいんだ。あの後、警察がフジの家を捜索したときに 奴のレポートが見つかったんだがのう」 「ドわすれって、精神防護のわざですよね? それがどうして」 疑問ばかりの俺にナツメさんが続ける。 「ドわすれは瞬間的に忘我、恍惚、いわゆるトランス状態になることで外部からの精神攻撃を受け付けない状態 を作り上げる、というのが研究者の中では一番有力な説だ。私もそこに異論はない。つまり、ミュウツーがド わすれを使用した瞬間、今まで眠っていたアイの人格が引き出され、ゆめくいにより弱っていたミュウツーの 人格と強制的に交代、もしくは憑依するよう、おそらくプログラムでもされていたのだろう」 プログラム。生物であるポケモンにそんな事が可能なのか。納得していない顔でもしていたのだろう。カツラ さんが「相手は一個の命を作り出してるんだ。それぐらいの無茶も可能かもしれん」と締めた。 何も言えなくなる。まさか二日のうちにこんなことになっているなんて。 「あの、とりあえず検査をしたいんですが……」 黙っている三人の脇から、今までタイミングを取りあぐねていたのだろう、ジョーイさんが切り出すことで一 応はその場はお開きとなった。
https://w.atwiki.jp/nindata/pages/50.html
ミュウツー 全国図鑑No.150 いでんしポケモン タイプ? エスパー? 特性? プレッシャー? 隠れ特性? きんちょうかん? タマゴグループ? みはっけん? 種族値? HP 106 攻撃 110 防御 90 特攻 154 特防 90 素早さ 130 『ポケットモンスター赤・緑?』から登場する伝説のポケモン。 ある科学者が幻のポケモン、ミュウ?の遺伝子から作り上げた人工のポケモンにして最も凶暴なポケモンとされる。 今も昔も変わらぬ強さを誇り、合計種族値?は全ポケモン中2位。 高い素早さを持ちながら、ずば抜けた特攻を持っており、専用技「サイコブレイク」は特防の高い相手もねじ伏せる。 『大乱闘スマッシュブラザーズDX?』ではプレイヤーキャラとして登場したが、続編の『大乱闘スマッシュブラザーズX?』に登場することはなかった。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yanderemewtwo/pages/102.html
193 ID aAKWNKmb0 主!何処です!主! 何故だ、何故私の声が届かない? ここは…何処だ… お前は…サカキ…どうしてここに? 後ろに気配、振り返るとそこにはオーキド博士 注射器を持ちながらニヤニヤと近づいてくる。 主…主は、居ない。さっきまでここに居たのに!どうして!? サカキとオーキドは私を挟むようにジリジリと距離を詰めている。 くそ…!サイコキネシス……!出ない!?いやだ!来るなぁ!来るなァ! M「がッ・・・はぁ・・・はぁ・・また、夢・・・・?」 「デテイケ」 M「!?…誰だ!」 194 ID aAKWNKmb0 ミュウツーは起き上がると周辺を見渡したが気配は無い。 主とその他大勢が静かに寝息を立てているだけ。 よくよく見ると全員到底安らかではない顔で寝ている。 主の苦しそうな顔は見たくない。 また後ろから気配。 そこに間髪居れずシャドーボールを打ち込むが、一瞬で掻き消えてしまった。 「オマエは、強すぎる…危ない力…デテイケ」 不意に影から、白い頭、赤い首元を持つ黒い姿を現した。 M「この悪夢、貴様のせいなのか?」 「・・・デテイケ」 M「質問にも答えず出て行けの一点張りか…私たちは旅の途中だ、明日にでもこの町からは出発する」 「ソウカ・・・」 ぼそりとつぶやくとその黒い姿を持つポケモンはまた影の中へと戻っていった。 M「あ・・・なんだったんだ一体」 主の寝顔を再び見てみると、安らかな寝顔に変わっていたので 私も安心して寝直す事にした。 210 ID aAKWNKmb0 男「昨日、嫌な夢を見たよ」 リザ「あ、俺も見たぜ…いやーひどい夢だった」 バナ「…私も見たわ」 イ「僕は見なかったですよ~♪激辛ソーセージ一杯食べる夢みたんですよぉ~(ニコニコ)」 リザ「それは…悪い夢じゃないのか…?」 イ「とっても美味しかったですぅ~(ニコニコ) M(…あれは…結局なんだったんだ?) 街中を一行で歩きながら、ミュウツーは考え事をしていた。 昨日見た黒い影、やはりアレもポケモンなのか? どうもこの町に来てから悪夢を見るとは思っていたが、原因はやはりあのポケモンなのか? 一体、何者なんだ… 男「どうしたミュウツー、難しい顔してるけど」 M「あ・・!?いえ!何でもありませんよ」 主に心配させてはいけない。私はとっさに笑顔を作った。 男「ふぅん、ならいいんだけど、あ、それよりさ、この町いいところだし、もう少しここで過ごさないか?」 211 ID aAKWNKmb0 M「…やめておいたほうがいいと思います。」 男「どうして?ここの広場は腕のいいトレーナーとたくさん対戦できるし、まだあの高い二つの塔にも行ってないしさ」 M「昨日…私はみたんです。その、なんと言っていいか、黒いポケモンが枕元に立っているのを」 リザ「なんだそりゃ?ミュウツー、怪談する季節はもうちょい先だぞ?」 M「違う…!私は本当に見たのだ!」 バナ「怖い夢でも見たんじゃないの?」 M「だから違うって…」 男「ま、まぁいいじゃん、喧嘩するなよ。じゃあ、明日出発しよう、な?ミュウツー」 M「うぅん…まぁ、いいでしょう」 ミュウツー達が歩く少し後ろ、何も無い所に影が出来ていた。 男「よし!じゃあ広場に対戦しに行こう!」 M「主の行くところなら何処までも一緒に!バトルなら任せてください!」 リザ「あんまり張り切りすぎて町壊すなよ…?」 黒い影は、ずっと付いてきていたが、誰も気づかなかった。 212 ID aAKWNKmb0 M「ふん!この程度か!」 「くそ!強すぎる!?何なんだよアンタは!」 男「いいぞミュウツー!回り込んでサイコキネシスだ!」 M「仰せのままに!」 とっさに後ろに回りこまれた相手のポケモンは対応しきれずに 背中にサイコキシネシスをぶち込まれて、ダウンした。 男「よし!よくやったミュウツー。お疲れ様」 M「このぐらい、造作無い事です。」 相手トレーナーが男に話しかけてきた。 「イヤー、強いなにぃちゃん。まさか一匹に全滅させられるとは」 男「ふふ、俺が強いわけじゃないですよ。ミュウツーのおかげですから」 「いやいや、的確な指示を出していたよ。あの回り込みなんか見事だもんねー・・・ 広場に移動してから、どうもあの気配をずっと感じる… ミュウツーは男たちが喋っている間に、気配の正体を確かめる事にした。 リザ「あ、おい!何処行くんだよミュウツー!」 M「少し探し物をな、すぐ戻ってくる」 細い路地裏、さっきまで戦っていた広場からそう遠くは無い。 ミュウツーは気配を感じる所へと、テレポートした。 M「この辺なのだが、誰も居ない?気のせい…ではないはず」 後ろから突然強い気配。振り返ると目の前にいた。 昨日のポケモン。 「忠告したはずだ、デテイケ…」 M「ふん、そうしたいのは山々だが、主がこの町を気にいった様なのでな、もう少しは居させてもらうぞ」 「・・・」 突如放たれる黒い光、とっさに避けようとしたがミュウツーは光に包まれてしまった。 M「うわぁ!?何だこれは…う…」 213 ID aAKWNKmb0 え…あ…ここは… そんな、昨日の宿の中、皆…寝ている。 主が起きて、出て行く…主…何処へ行くんだ! 私はここにまだいるのに、置いていかないで! 主!聞こえないのか! 勝手に広場から抜け出したのは誤る!ダカラ!だから! 男「もう、お前の力はいらないよ、ミュウツー」 「そういうこった。じゃあな、ミュウツー」 「短い付き合いだったわね」 「もう貴様の主では無い。これからは私が主と共に行くのだからな」 …!!貴様!何故! 「あはははははははははは!」 皆、笑いながら掻き消えていく。そんな…どうして… 男「ミュウツー!起きろ!おきてくれ!」 214 ID aAKWNKmb0 う…うぅん…私は…また夢を 男「気が付いた!良かったぁ~」 目覚めと同時に主にガバっと抱きつかれた。あぁ、なんという幸せ。 あぁ…でも眠い…主に抱きしめられながら、眠れるなら…幸せだ。 男「起きろミュウツー!置いていくぞ!」 え…あぁ、ん?……夢? 体を起こすと、私はまだ宿の中に居た。 全部…夢だった?そんなバカな、夢にしては、鮮明に覚えている。 …ハッキリと覚えすぎている 町へ出る、夢と全く同じやりとり、全く同じ会話内容…これは一体。 広場に付いた。 男「さぁて、対戦対戦っと♪」 私は、また戦闘をするのか、…ん?対戦したポケモンだけが思い出せない。 他の事ははっきりと覚えているのに… 215 ID aAKWNKmb0 突然誰かが悲鳴を上げた。 広場の中心に突如暗い影が落ちる。その影から出てきたのは やはり…あいつ。 「あ、あれはダークライ!?」 メガネをかけた白髪の青年が突如叫んだ、そうか、あれはダークライというのか もうこれは偶然の一致じゃない。明らかにアイツが私におかしな夢を見せている。 今、立っているこの広場が夢じゃないという保障は無いが、 先ほどの悪夢を思い出すと、倒さないと気がすまない。 男「え…お、おいミュウツー!待てよ!」 M「ダークライと言うのか!貴様!」 主の声も無視して私はダークライに飛び掛る するとダークライはまた影に潜って私は地面を転げた。 男「な、何なんだ今のは…」 「今のは、ダークライ。古くからこの町に住んでいる。悪夢ポケモンだよ…」 悪夢ポケモン…その悪夢ポケモンが何故私を付けねらう…?いや、やはり夢だったのだから、気のせい…? いや、考えてもしょうがない、とにかく私はダークライを探した。 …いない…気配が消えている。 不気味でたまらなくなり、私は主にすぐにこの町から出る事を提案した。 男「う、うーん、でも二つの塔はみたいなぁ。バトルもまだだし」 M「いいえ!今すぐ出発すべきです!」 男「わ、わかったよ…」 ダークライを倒せなかったのは、心残りだが、もう悪夢は見たくない。 そう、これで、これでいいのだ。 町を離れる一行の少し後ろに、影はずっと付いていった。気配を殺したまま 「あの男…気に入った…」
https://w.atwiki.jp/yanderemewtwo/pages/81.html
翌日、ジュンサーさんからミュウツーとフジ老人の行方がつかめたとの情報が舞い込んだ。 「明日出航のサント・アンヌ号です。船上でポケモンコンテストが行われるのですが、どうやらそれに乗じてカ ントーから抜ける算段かと思われます」 「おそらくロケット団の手が方々に回ってるだろうな。カントーから抜けられたらまず追えなくなるぞ?」 早速、サント・アンヌ号の見取り図とにらめっこをしながら話し合う。 「出航前に叩けるか? 昨日の今日で各地のリーダーにも連絡が回りきっておらんからのう」 ふと周囲の人を見渡す。部屋にはナツメさんとカツラさんの他にもジョーイさんやジュンサーさん、ポケセン のスタッフの人々など色んな人がミュウツーを助け出そうと話し合っている。皆それぞれ自分の仕事があるのに、 自分の時間を削ってまで必死になってくれている。 お前にも見せてやりたいよ。こんなにも、こんなにもお前の為に、お前を救い出したくて多くの人が頑張って るんだ。 おおよそ明日の計画がまとまる。既に日も回り深夜になっていた。 「よし、後はベストを尽くすにしろ何にしろ、ミュウツーを助け出すだけだのう」 皆、一様に頷く。 こうしてミュウツー救出計画、通名“M2”が始まった。 「それでは次は、エントリーナンバー3番、ハルカコーティネーターのイーブイです!」 夜の帳も下りた港湾を豪華客船が通過していく。船上ではポケモンコンテストと呼ばれる、ポケモンの美しさ を競う、バトルはまた違った戦いが催されている。大切なポケモンを態々傷つかせる真似はしたくない、これも また新しい人とポケモンの共存の仕方なのだろう。 冷たい海水に、少しばかり思考がそれていた。俺はメノクラゲの頭を再度、強く掴みなおすと海面ギリギリに 頭を沈めた。船の側壁がもうすぐそこまで来ていた。 船の側面に着く。俺はサワムラーを出して、そのバネのような足を伸ばして遥か頭上にあるベランダの柵に片 足を引っ掛ける。後はもう片方の足に掴まり、強靭な脚力でもってベランダから進入する。丁度、見張りの交代 時間であり、乗客もコンテストに出向いている為、人に見られることはなかった。ロケット団の手の入ってない 出資会社から流してもらった情報は確かなようだ。 そのまま正面にあるドアを開ける。中は医務室になっており、ジョーイさんとラッキーが待機しているがもち ろんこちらの仲間だ。すぐにウェットスーツを脱いで乗組員の服に着替える。万が一を考えて、ジョーイさんに ミュウツーを見ていないか聞いてみたが、やはり見ていないようだ。となると、フジ老人とミュウツーは甲板下 の機関室、或いは貨物室の辺りに隠れていると見たほうが妥当だろう。礼を述べ、俺は医務室を出ると真っ直ぐ に下に降りる階段に向かった。 上の華やかな世界とは違い、階下は灰色の世界だ。人の目を気にしながら進むのは骨が折れる。おまけに冷房 も無いため、少し進むだけで額から汗が滲んできていた。 ここまでは正直、順調な方なのだろう。右耳に付けた無線からコンテストの様子を聞いているが、今のところ、 潜入したことはバレてはいない。後はフジ老人とミュウツーを探し出し、無理やりミュウツーだけを取り戻す。 今更ながら結構な作戦である。ただ、その為の準備には細心の注意を払った。だから大丈夫だ。言い聞かせるよ うに、常に止まない不安を何とか抑えつける。 しばらく歩き続ける。何度か人とすれ違うが、特に咎められる事もない。嫌な汗だけが服の下に募っていく。 そして、ある機関室を開けた時に俺の目は長らく見ていない影をようやく捉えた。 蒸気で蒸した部屋の奥、フジ老人の隣にミュウツーがいた。 「ミュウツー!」 「ようやっと来たかい……わしの“アイ”を攫いに来たんだろう?」 フジ老人の声を無視して新たなボールを出す。空中で展開されたボールから、その巨躯を唸らしてソイツは出 てくる。“M2”の為に用意したモノの一つだ。 「バンギラス! ミュウツーを捕まえろ!」 「ほぉ……ソイツはちと厄介じゃのう」 バンギラス。あくタイプの新たなポケモン。本来は俺のポケモンではないのだが、ジョウト四天王のカリンさ んから今回、譲り受けたものだ。ミュウツーを痛めつけるのは正直、心苦しいのだが、それもこれも俺が招いた こと。自分のことは、せめて自分で決着をつけたかった。 しかし、その圧倒的な存在にも老翁はひっひ、と不気味に笑うだけで全く意に介する様子は無い。それをただ の虚勢と取るかは今の俺には図りかねる。けれど、こちらが有利なことに変わりは無い。俺もまた確信の無い勢 いでバンギラスに命令を下す。 「行け! ミュウツーを噛み砕け!」 地を鳴らすかのような咆哮の後、バンギラスはミュウツー目掛けて突進。その大きく開いた口と牙でミュウツ ーを捉えると、人間ならば分断されてしまうような力で以って噛み潰す! 「怖い怖い……自分のポケモンだと言うに容赦の無い」 よしっ。少しの罪悪感と達成感が自分を責める。しかし、直後に耳から入ってきた無線で状況は一変すること になった。 「それではここで特別ゲストです! それではあの伝説のポケモン、ミュウツーに入っていただきましょう!」 「これはこれはごきげんよう。久しぶりだねえ、元気にしていたかな? おやおや、随分と良い顔をしてくれるじ ゃないか、私の好きな顔だ。ん? どうして私がここにいるって? 我々を舐めてもらっては困る。君たちは今回 の救出に随分と固く口を閉ざしていたようだが、急場凌ぎの集団で秘密も何もあったもんじゃない。本当に君は、 君のメンバーの中に裏切り者がいないとでも? この船の見取り図を手に入れるために手回しした者たちに裏切り 者は皆無だと? この催しの段取りを知るために声をかけた会社に裏切り者は全くいないと、君はそんな反吐が出 る甘ちゃんな考えだっというのかね……? ふざけるな!! 我々を舐めるなこの下種野郎がぁ!! ……残念だが、あのミュウツーとドクトル・フジは偽者だ。憶えてるだろう、君たちが前に我々に使った、普段 私達が好んで使う手だ。どうだ? 腸が煮えくり返るだろう? 私はとても心地よい気分だ。 それじゃあ、こちらのパーティーはそろそろお開きにさせて貰おう。私も主賓として上に戻らなければいけない のでね。まだこの時期の海は冷たいと思うが、まあ死んでるから関係ないか。 それじゃあ、さようなら」 サカキが部屋から出て行くと、入れ替わりで入ってきたロケット団員達が俺とバンギラスを囲んでいく。相手ポ ケモンの数は優に二十を超えている。俺も全てのポケモンを出して迎撃体勢を取るが勝機なんてあったもんじゃな い。目の前の奴等はこれから起こる惨劇に卑しい笑みを浮かべるだけだ。ジリジリと間だけが縮んでいく。 俺もまたニヤリと口角を持ち上げる。ただの虚勢と見たのか、団員はクツクツと同じように笑うだけだ。 かかれ! 誰かがそう叫ぶと一斉に襲い掛かってくる。俺はギリ、と奥歯を噛み締めた。 本来ならば持って数分。しかし、元より背水の覚悟で望んでいる為、存外時間がかかった。 「この、しつけえんだよ!」 団員の拳が俺の腹に入る。両脇を抱えられ、先ほどから止まない暴行は俺の意識を刈ることも無く続いている。 「そろそろ殺すか」 団員の一人がナイフを取り出す。鈍い光をちらつかせながら近づいてくるそいつに、俺は再度笑う。 「このっ……!」 青筋を浮かべてナイフを振り上げる。寸前、無線が入りその腕が止まった。 「灯台とパーティー会場の明かりが消えました! あれ……? うわあ! ジ、ジムリーダーだぁ! ジムリーダーが 来てっ、た、助けてくれえ!」 連絡を聞いた団員達が一斉に俺を見る。かかった。俺はすぐさま口を開いた。 「俺は……ただの陽動だ。お前たちがここで時間をかければかけるほど、お前たちのボスと仲間がやられていくぞ。 ここで俺を殺すなら殺せ。だがミュウツーは返してもらうぞ……ミュウツーは、俺のポケモンだぁ!!!」 ドカドカと慌しく階段を登っていく。あちこち痛い為に走れない俺は、団員に脇を抱えられながら上へと運ばれ ていく。結局、俺は殺されなかった。人質として利用するらしい。俺は目をつぶりながら、歯の噛み合わせを確認 する。大丈夫だ。まだ戦える。 あと少しだからな、ミュウツー。 会場は酷い有様だった。既に会場の電気は復旧しており、俺はチラリと光を失った灯台を見る。今回の作戦はミ ュウツーの奪回は勿論、前回、叶わなかったロケット団の壊滅も入っていたのだ。奇襲の際、灯台はジョウトの港 をしきっているアサギジムのリーダー、ミカンさんの会社の協力の下、行われた。 いくら作戦が知られているとはいえ、ナツメさんやカツラさんが尽力して集めたリーダー達の力は絶大だ。それ でも五分五分とジリ貧なのは、ロケット団の数が単純に多いからだ。 「ミュウツー!!」 俺は残った力を振り絞り団員の拘束から無理やり外れる。その虚を突いて、奥歯の代わりに噛み合わせているボ ールを口から吐き出すと共に通常の大きさに巨大化、展開。先ほど戦闘に参加させていなかったリザードンで飛び 掛る団員を振り払った。 「なぜソイツを生かしている! 殺せぇ!」 サカキの叫び声が響く。奴もコガネジムリーダーのアカネさんと戦っており、こっちに向かってくる気配は無い。 俺はリザードンの背中に乗り、空に繰り出す。 またとない好機。しかし、それを打ち崩したのは誰でもない、ミュウツー自身だった。 「やってくれるな? “アイ”よ」 「はい……“お父様”」 彼女は頷くとその両の手をかざす。瞬間、巨大な衝撃がリザードンと俺を襲った。 信じられなかった。いや、ただ考えるのが怖かっただけなのかもしれない。それだけミュウツーが、彼女が俺を 攻撃してくることは俺を動揺させた。 ろくに受身もとれない俺をリザードンがかばう。背中からモロに落ちた為に、悲痛な叫びが響いた。それでもま だ声も出せない俺に、ミュウツーが追撃をかけようとゆっくりと片手をこちらに差し出してくる。収束されたエネ ルギーが一気に志向性を持って爆発する。サイケ光線だ。 「ゲンガー! ナイトヘッド!」 虹色の光線がこちらを捉える寸前、ゲンガーがナイトヘッドを出す。黒い障壁が迫撃する。しばらく鍔迫り合い のように競っていた両者だったが、ミュウツーの力は凄まじく、障壁を破ってくる光線を寸でのところで避けた。 ついで近づいてくるキクコさんは俺の襟を掴むと、一体どこにそんな力があるのか、グイと顔へ引き寄せる。 「なにやってんだい! アンタ、あの子を取り戻すんだろう!? それを鳩が豆鉄砲喰らったような顔しやがって! 男ならねえ、好いた女は命掛けてでも守るもんだろう!?」 ミュウツーを見る。以前のような鋭い眼光はどこかへ消え、虚ろな瞳でゲンガーと戦っていた。 膝に力を入れる。全身が痛い。でも、皆痛いんだ。俺だけが痛いわけじゃない。皆、皆傷ついてる。 だから、終わらせないと。 「はい」 俺が返事をすると、リザードンが俺を抱える。着地が悪かったせいで既に翼は折れているのに。それなのに彼女 はまだ俺を運ぼうとしている。意思の強い瞳がこちらを見つめていた。 「やらせてやんな。女はねえ、惚れた男のためなら命の一つや二つ、惜しくないもんさね」 リザードンとキクコが目を合わせる。お互いに笑った気がした。 「行くぞぉ! リザードン!」 俺の叫びとリザードンの叫びが共に場を占める。折れたというのに堂々と飛ぶ姿は正に神話のそれを思わせる。 既に離脱したゲンガーに代わって、再びミュウツーに向かって空から突撃する。 「ひっひ……しつこい男は嫌われるのになあ……“アイ”」 「はい、お父様……」 ドクトル・フジの言葉にミュウツーが頷く。また両の手を持ち上げると、掌からモンスターボール大の黒球を作 り出す。シャドーボール。ミュウツーを奪ったもの。黒い凶玉(まがたま)。 「……いけ」 ミュウツーの声と共にソレは四散し、こちらに凄まじい速度で飛来する。リザードンは避けずにそのまま突っ込 む。顔に当たり失神しかけようが、体に辺り骨を折ろうが、俺の為に、ミュウツーの為に飛び続ける。 ありがとう、ありがとう、ありがとう。 もう意識も半分も無いのか、そのままミュウツーに向かって突進する形となる。避けようと後ろにステップを踏 むミュウツー。させてなるものかと、俺はリザードンの背中から飛びついた。 「“アイ”!」 「や、めて……!」 あと少しで抱きしめようかという瞬間、俺の体は吹っ飛ばされる。肩から落ちたのか、激痛を訴えるが構わない。 俺はまた立ち上がって彼女に近づく。 「い、や……いや……」 近づく、吹っ飛ばされる。近づく、吹っ飛ばされる。近づく、吹っ飛ばされる。何度繰り返したろう、その度に 背中や腰、首が悲鳴をあげる。 「ミュウ……ツー」 「“アイ”! その男に惑わされるな! お前は“アイ”じゃ! ワシの娘なんじゃ!」 「あ……私は……ア、イ……」 「ミュ、ウツー」 「“アイ”!!」 「私は……あ、あ、あ……あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」 そして、俺は彼女をやっと抱きしめた。 「ただいま、ミュウツー」 「あ……る、じ……?」 「ど、どうした“アイ”……? お前は“アイ”じゃろう?」 わなわなと震えながら近づくフジ老人。先ほどまでの勢いはまるでない。ミュウツーは首を横に振る。 「“アイ”はもういない。この体は私のものだ。なにより、主のものだ」 彼女の言葉に老翁は膝をつく。もうそこに科学者としての顔は無い。一人の、寂しい老人の顔だった。 ミュウツーが戻ったことで周囲の喧騒も収まった。まるで、彼女がそうしたかのように今は静かだ。 「どういうことだ! ミュウツーの人格は消えたはずじゃなかったのか!? なぜ元に戻ってるんだ!?」 サカキがフジ老人に掴みかかる。しかし、放心している老人に答える言葉はもうない。 「ふ……ふざけるな!! どれだけ、この為に俺が準備したと思ってる!! 金をばら撒いたと思ってる!!」 「やはりお前が一枚噛んでいたようだのう、サカキ」 「ハゲは黙ってろぉ! ……フフ、ああそうだよ。全てオレがやった! ムウマを増やす為に新たな商売にも手を出 した!! 全てはお前を手に入れるためだ! ミュウツー!」 半狂乱のサカキ。団員の誰もが今は顔を伏せ、彼と目を合わせようとしない。キクコが続けた。 「最近、育てられなくなったポケモンを引き取るトコがあるが、その実、裏ではわざと殺してゆうれいポケモンを 増やすなんていう外道がいるようじゃな。それもやはりてめえか、サカキ」 「そうだよ!! 悪いかババア!? 引き取られなければ結局、飼い殺されるだけのところをオレが楽に殺してやって んだよ! それのドコが悪い! 捨てるような馬鹿とオレと、どっちが悪い!」 「黙れ外道。そんな事など、今はどうでもいい」 「あ? どうでもいいだと……?」 今にも掴みかからんとするサカキを、ミュウツーは何の戸惑いも無くねんりきで吊り上げる。慌てる団員だが、 ミュウツーに圧倒されてそれ以上は動けそうに無かった。 「聞け下等生物。私は他のポケモンがどうなろうが、人間がどうなろうが知ったことではない。それよりもなぜ私 の主がこんなにも酷い怪我をしているんだ。私が傷つけたことは知っている。その罪は存分に償う。そして貴様 等も同罪だ。お前が社会的に犯した罪などどうでも良い、主を傷つけた罪を今ここで、命をもって償え。それが 下等生物の出来る最大の謝罪であることを教えてやる」 結局、殺すのはマズイということでサカキの身柄は当局に渡すことで決着した。今もロケット団が関与している 会社は捜査が続いており、まだまだ全容が明かされるには長い時間がかかるだろう。 ミュウツーはその後、しばらく精神検査がなされたがほどなくして帰ってきた。検査を担当した医師が真っ青な 顔をしていたことから、検査はどうあれ彼女は完全に自分を取り戻したようである。 俺の方は退院したものの、まだ通院は続いている。その度にミュウツーが自殺しそうな勢いなのも少々困ったも のではあるが、じきに全快するだろう。周囲の人も今は自分の仕事に戻って平穏無事に暮らしている。 フジ老人のことだが、人格が変わっている間、何があったのかは分からないが、時折、ミュウツーが顔を出して いるようだ。今まで殆ど俺につきっきりであったから、いきなり一人の時間が出来ると、これまた妙な気分にさせ られる。けして嫉妬しているわけではない。 ついでに、そこから聞いたのだがポケモンタワー建設の際、皆、首を横に振る中で一番に出資してくれたのがサ カキだったらしい。方法こそ間違っているが、ポケモンを愛する気持ちは変わらないのかもしれない、とはまた四 天王として返り咲いたキクコさんの言だ。 まあ、とにかく日常を取り戻した俺とミュウツーは新たな旅に出ることにした。今回の件でジョウト地方のジム リーダーからぜひバトルしてみたいとの連絡があったのだ。ゆくゆくはジョウトリーグにも進出してみたいとも思 う。 空は晴天。久しぶりの太陽を背にポケモンタワーは輝いてるように見える。 「なあ、ミュウツー。もしも俺が俺でなくなったらどうする?」 「主がですか? それなら答えは一つです」 「一つ?」 「ええ。抱きしめるだけです」 おわり
https://w.atwiki.jp/dppokekousatsu/pages/62.html
最新世代の情報はポケモン対戦考察Wikiを参照してください。 No.150 タイプ:エスパー 特性:プレッシャー(相手の使う技のPPを多く減らす) 入手可能ソフト:FR/LG/HG/SS HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 ミュウツー 106 110 90 154 90 130 ばつぐん(4倍) --- ばつぐん(2倍) むし/ゴースト/あく いまひとつ(1/2) かくとう/エスパー いまひとつ(1/4) --- こうかなし --- 能力は高く、小回りも効く。 能力に見合う大火力な技や有利になる特性がないが、 それでもこいつの全ての型を完全に止められるポケモンは存在しない。 パワーに任せてただ殴ってるだけでも強いが、ちょっと捻った戦い方をしても面白い。 あまり注目されてないが攻撃力だってかなり高水準。 特攻と素早さがとても高く、他の能力も中々。
https://w.atwiki.jp/bwpokekousatsu/pages/153.html
最新世代の情報はポケモン対戦考察Wikiを参照してください。 No.150 タイプ:エスパー 特性:プレッシャー(受けた技のPPを1多く減らす) 夢特性:きんちょうかん(相手は木の実を食べられなくなる) 体重:122.0kg(けたぐり・くさむすびの威力100) HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 ミュウツー 106 110 90 154 90 130 ばつぐん(4倍) --- ばつぐん(2倍) むし/ゴースト/あく いまひとつ(1/2) かくとう/エスパー いまひとつ(1/4) --- こうかなし --- 高い特攻と素早さを持つ初代出身の禁止伝説ポケモン。 一致技の威力が低いおかげで、特攻の割にそこまで火力は高くないポケモンだったが、今作では専用技のサイコブレイクの習得により解消された。
https://w.atwiki.jp/m2ekks/pages/127.html
ミュウツー!ミュウツー!ミュウツー!ミュウツぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!ミュウツーミュウツーミュウツぅううぁわぁああああ!!! あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!ミュウツーたんの真っ白なお肌をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!! 間違えた!なでなでしたいお!なでなで!なでなで!お肌なでなで!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!! スマブラDXのツー様かわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!! HGSSで洞窟復活良かったねツー様!あぁあああああ!かわいい!ツー様!かわいい!あっああぁああ! ポケスペのツー様もかわ…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!! ぐあああああああああああ!!!コミックなんて現実じゃない!!!!あ…ゲームも映画もよく考えたら… ツ ー さ ま は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!! そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ハナダぁああああ!! この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?パッケージのツー様が僕を見てる? 表紙絵のツー様が僕を見てるぞ!ツー様が僕を見てるぞ!ゲーム画面のツー様が僕を見てるぞ!! 映画のツー様が僕に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはツー様がいる!!やったよカツラ!!ひとりでできるもん!!! あ、ポケスペのツーさまああああああああああああああ!!いやぁあああああああああああああああ!!!! あっあんああっああんあアイツーぅう!!サ、サカキー!!ロケットだぁあああああん!!!フジ博士ぇえええ!! ううっうぅうう!!俺の想いよツー様へ届け!!カントー地方のミュウツーへ届け! ごめん
https://w.atwiki.jp/yanderemewtwo/pages/86.html
449 ID qAvhz5c0 翌日 今日、ポケモンリーグからエリートトレーナーを派遣すると連絡があった あのリーグがわずか一日で決断すると言う事は、よほど重要な時だけ。 今回こそは、きっと凄腕のトレーナーが来るに違いないわ 結局、あの晩、女はポケモンセンターに泊まってたみたい。 今朝には、ルカリオだっけ?あの青いポケモンも無事回復したようで 女の隣を歩いている。 この二人は、ミュウツーには関わらせないほうが良いだろう。 この町の問題はジムリーダーである私の問題。 カ「ここまで付いてきてくれてありがとう。でも、貴方たちを巻き込みたくはないの。 まだカントーのバッジは集めきれてないんでしょう?」 女「え…あの…私たち」 ル「そうです!ご主人様。危険過ぎます! 第一、私たちはこの人に勝たねば次に進めないのですよ。今すぐ修行すべきです」 カ「そう、ならカントーでのポケモン管理システムは使ってるかしら?使っているなら この先の岬に住んでいるマサキさんに会いに行ってみなさい、いい運動になるわよ?」 女「う…えっと………解りました。ありがとうございます。…あの…でも」 ル「ほら、早く行きましょうよご主人様」 女「う…うん」 女はペコリと礼をすると、トタトタと岬の方に走って行った。 私も、もう一度ハナダの洞窟を見に行くとするか。 450 ID qAvhz5c0 その家は、岬のど真ん中にぽつんと建っていた。 看板には「至高のポケモンコレクター・マサキ」と書かれている どうやらここで間違いなさそうだった。 それにしても、私、こんなところで何やってるんだろう… この町に戻ってきたのだって、カッコよく男くんを助けようと思ったのに カスミ様にたしなめられて… そりゃあ岬まで来るのに多くの虫取り少年とかと戦って経験地は稼いだわよ… でも、これじゃどう見たって私はのけ者…よね。 ル「ご主人様?早くノックしましょうよ」 女「えぇ…そうね」 コンッコンッ 「はい~?誰や?」 扉を開けたのは若い男の人だった。 Tシャツに短パンとラフな格好をしている。髪型もぼさぼさだった。 てっきり管理システムの管理者なのだから、もっと白衣とかをキッチリ着こなしてると思ったのに この人がマサキさん…? 「ん?どうしたんや?何か用?」 女「え、えっと。はい。カスミさんが、マサキさんに会ってみろって」 「あの女ぁ、なんかあったらすぐ僕ん家紹介して…ここは喫茶とかちゃうって言ってんのに… ま、ええわ、あがってあがって」 女「は、はい。えと、おじゃまします」 「おぉ~あんた珍しいポケモン連れてるな!あの女もたまには気がきくやん!」 …この人、ちょっと失礼かも 451 ID qAvhz5c0 カ「ねぇ?何かまた音しなかった?」 「そうですね、事態は思ったよりも深刻かもしれません。カイリキー!急ぐんだ!」 何が深刻かもしれませんよ。私は昨日はっきり言ったじゃない。ミュウツーが帰ってきたって なのに何よこの対応。リーグはあの事件の事、もう忘れたっていうの? なんでこんなに使えなさそうなトレーナー持ってくるのよ! リーグが派遣してきたのは、明らかに格闘タイプばかり使いそうなマッチョだった。 使うポケモンもカイリキー…何考えてんのよ!弱点属性じゃない! それでもカイリキーは、順調に岩を取り除いていた。 確かに適材適所って訳よね。でも、アイツを前にどうこうする事は出来ない。 このトレーナーが殺されでもしたら、リーグはどう責任取るつもりなのよ! 私がいらだっている間にも順調に、カイリキーは岩を取り除いていった。 このペースなら、もうじき通れるぐらいにはなるのだろう。 452 名前:ハナダシティ 3[sage] 投稿日:2007/06/20(水) 02 29 38.36 ID qAvhz5c0 マサキさんは冷蔵庫からアイスコーヒーを出すと、とても慣れた手つきでグラスに注ぎ 私に差し出してくれた。それに色々な珍しいポケモン(の写真)を見せてもてなしてくれた。 シンオウ育ちの私にはどの写真も興味深く、とても楽しいひと時だった。 本当はこんな事してる場合じゃないのは解ってるんだけども 私が写真を見ている間、ずっとルカリオは色々と質問攻めされて、疲れてしまったのかボールに戻ってしまった。 マ「あぁ~まだ戻んの早いって!…しゃあないなぁ。」 女「あの、この3匹と写ってる男の子って、弟さんか誰かですか」 マ「ん?あぁ、その子な、そんなええもんちゃうちゃう。まぁ、近所のガキや。今は何処で何してるんやら解らんけどな…」 女「え?家出しちゃったとか、ですか」 マ「まぁ、怪談臭い話になるねんけどな、…なんで耳ふさぐん?」 女「私怪談嫌いですから」 マ「そんなん言われたらめっちゃ言いたくなるわぁ~。あんまり怖くないしちょっと聞いてや」 女「怖くなったら私帰りますからね」 マ「ははは、冗談きっついわ」 453 ID qAvhz5c0 写真に写ってる、その3匹。ブースター、サンダース、シャワーズって言ってな 全部、一匹のポケモンから多種多様な進化をする貴重なポケモンたち。元はイーブイやねんけど。 この子供は、トレーナーとして見所あるからいうて、 僕が毎年、誕生日にイーブイを一匹づつプレゼントしてあげてたんや それを知ったカスミのヤツ、町中に言いふらしまくってな。 その噂が町で広まって一時期イーブイ欲しいって子供がこの岬にぎょうさん来たもんや まぁ、そんな事はええねん…でな、僕が3匹目のイーブイをあげて半年ぐらい。 彼は3匹目のイーブイに炎の石を使って、ブースターにして数日後ぐらいかな いつも通り町の近くの草むらでトレーニングしてるの見かけたんよ。 いつも通り頑張ってるなーって思ってた。 その日は、ハナダの洞窟の近くの小さな崖を登ってるのを見た。 やんちゃな子供やったらそんぐらいはええかおもててんけどな 話がやばくなってきたのはこの晩からや、 その子はポケモンのボールベルトを外して、どうやらハナダの洞窟に入ってもうたらしい。 そこまでは、子供の好奇心を満たすためのちょっとした冒険やったはずやのに。 でも、その子は帰ってこうへん。しかもわざわざボールを全部置いて、ハナダの洞窟に入った どや?ちょっとは怪談っぽくなってきたやろ? でも、ほんまにあった話やし、この後、いくらハナダの洞窟を探してもその子の靴もでてこうへん。 まぁ、ハナダの洞窟ってめっちゃ深いし、ポケモンも意味わからんぐらい強いから、 深部までは調べられへんかったらしい。でも、解らん事ばっかり残して、この子はどっかいってもうてん。 残ったポケモンは、結局僕が引き取って面倒見てたけど、結局そいつらも、去年頃寿命で逝ってもうた。 454 ID qAvhz5c0 残されたベルト。突如人が消える。ハナダの洞窟… それって…つまり男くんもかなりやばいって事じゃ… マサキさんの話を聞いていて私の考えは、どんどん悪い方へと進んでいった。 でも、それはきっと間違いじゃない。嫌なまでにはっきりとした確信 明らかに普通じゃない状況が、過去にも起こっている。 そして、今同じ事が繰り返されるとしたら…? 女「私、いかなきゃ」 マ「どうしたん。やっぱり怖かったか?」 女「ハナダの洞窟に、私の大事な人が…閉じ込められているの」 マ「なんやて~!何でここでゆっくりお茶してるねん!」 女「だって!だって…カスミ様が…」 マ「あのバカ!自分が町を守るゆうてまた張り切ってるんやろ! んな事はどうでもええわ!はよハナダの洞窟に行ったほうがええで!」 女「そ、そうね!ありがと!マサキさん」 455 ID qAvhz5c0 ミュウツーは今日も朝食を作る。 気が付けばこれがミュウツーの日課だった。手に入れた食材をサイコキネシスで加工し、 男のバッグからランチセットを取り出し 一通り準備が整ったら男を呼んで二人で食べる。 というのが習慣になっていた。男もそれにしたがい、朝食を作っている間は適当な所で 昼寝をして待っていた。 今日もミュウツーは鼻歌交じりに朝食を作っていた。 「ミュウツー、何か手伝う事は無いか?」 「いえ、大丈夫ですよ。もうじき作り上げますのでお待ちを」 「そうか。いつも悪いな」 「今日はちょっと奮発してみましたんですよ。」 「ねぇ」 「それは期待出来るな」 「ねぇ」 「あ!こら生物!主様のだぞそれは!」 「きゅ~い?きゅ~い!」 「ウヌヌヌ、許さん!」 「きゅぁぁぁぁ~い!」 「あ!こら!やめないかミュウツー!」 「あぁ、しまった!主様!ごめんなさいゴメンナサイ」 「ねぇ」 「な、泣かなくてもいいんだけども、いい加減イーブイをすぐ吹っ飛ばすのはやめてくれ」 「ねぇ ボクはここにいるよ。見つけてよ。ミュウツー」 「あぁぁぁぁん!ごめんなさいごめんなさい!」 「そこまで泣くなよ…ミュウツー」 「どうして、ここに居るの?ここは。僕らの秘密基地なんだよ?」 「秘密基地?…ここは…原っぱじゃ…………え!?…」 「ミュウツーと、僕だけの秘密の遊び場所。かくれんぼは、まだ続いてるんだよ?」 俺は、確かに草原に居るはずだった。はずだったんだ。 その自信が薄れると、一瞬で世界は空白になった。 ここは、ハナダの洞窟?そうだ…俺たち…どうなったんだ? 真っ白な空間にミュウツーが立っている。 その横に小さな子供が居た。肌が白い。いやに真っ白な肌と黒い髪のコンテラストが目に付く。 誰だ?あれは、さっきまで会話に割り込んでいたのはあの子か? ミュウツーと、子供は俺に背を向けて、どんどん小さく、遠くなっている 俺は、二度とミュウツーと会えなくなるような気がして、気が付いたら叫んでいた。 「ミュウツー!帰って来い!お前はそっちへ行っちゃ駄目だ!」 「ねぇ、早く行こうよ。ミュウツー?ねぇ」 「主様、私は、私は…」 「ミュウツー!駄目だ!早く!…お願いだ!行かないでくれ!」 「ごめんなさい…」 「ミュウツー!」 俺は、とにかく追いかけた。でも、いくら走っても追いつけない。 しばらく走って…どんどん追いつく気がして…ミュウツーの手を掴めた気がした。 456 ID qAvhz5c0 ボクは、今日も秘密の特訓の後に、友達に会いに来た。 あんな小さな段差でも、まだ小さいボクにとっては登るのに苦労する。 いつも怖がるからと、ポケモンはいつもここでお留守番。 ボクは洞窟の前に来ると、いつも通り友達を呼ぶ。 「こんにちは!ミュウツー!遊びに来たよ!」 「声が大きいぞ…私が居ると知れたら、ここも物騒になる」 「えへへ…ごめん。今日は何して遊ぶ?」 「とにかく中へ入れ…私にはここは目立ちすぎる」 奥へ奥へ…今日は随分と奥まで来ちゃったな。 「ここが私が寝床にしているところだ。」 「へぇー、ミュウツーってこんな広いところで寝てるんだ。リッチなんだねー」 「リッ…チ?なんだそれは」 「豪華って意味だよ」 ふふ、こんな何も無い所を豪華と言うか 幼き人間は全く面白い。 「ねぇ?今日はかくれんぼしようよ!」 「またかくれんぼか、お前はそれしか知らないのか?」 「だってボク、みんなで遊べる遊びは知ってるけど、二人だけで遊べる遊びなんてあんまり知らないよ」 「まぁいい。また私が鬼、と言う事でいいのか?」 「うん!」 「もういいか!」 ミュウツーの声が洞窟に反響して大きく大きく聞こえる。 「まぁだだよ!」 カッコイイなぁ、ミュウツー。どうしてこんなところに引きこもってるんだろう? まぁ、いいや。今日は、絶対見つからないぞー。 ボクは、川の上にある柱の後ろに隠れようと思って、足をかけようとしたんだ。 ガラッ!ゴロゴロゴロ…ドボォン! 「もういいか!…? 何処へ行ったのだ?幼き人間よ?」 私は気配を探したが、何処にも感じない。一瞬で気配すら消したというのか。 幼き人間よ…お前は一体何処へ? 457 ID qAvhz5c0 ハナダの洞窟に着くと、もうカスミ様達は引き払った後だったみたい。 洞窟を見るともう随分洞窟はその口を開けていた。 入ってみれば中は片付いていて、荒れ果てた痕跡は少なくなっていた。 そこで、私は見てはいけない物を見た気がする。 大量の血痕。これは、男くんの…?そんな…まさか… 女「ルカリオ、出てきて」 ル「アラゴォン!どうしましたご主人様」 女「この血痕、誰のだか解る?」 ル「な!?ご、ご主人様!私は犬ではありません!それに…うわ」 血痕を直視してルカリオは怯んでいる。 女「んもぅ、肝心なときに駄目なんだから…」 でも、大量の血痕があって、ここに男くんが倒れていないって事は、もう助け出された?それなら ル「ご主人様…禍々しい波導を…感じることが出来ません。」 女「それって…どう言う事?」 ル「あのポケモンが、死んだのだと思います。」 女「・・・え」 ル「波導を最後に感じたのは、この町のポケモンセンターです」 女「私たちも行くわよ!ルカリオ!」 ル「はい!…ん、少しお待ちください。」 そういうとルカリオは血痕の奥で、何かを拾った。 ル「なんでしょう?これは、これからも微量ながら、波導を感じます」 女「これは…霊界の布?何でこんなところに」 ル「それは、解りません…」 女「とにかく、行きましょう!」 458 ID qAvhz5c0 あの子達も心配でここにやってきたらしい。 酷く慌てているとこを見ると、ここに来る前にハナダの洞窟を覗いたわね。 無理も無いわ…レンジャーでもない限りあんな血の海見たこと無いわよね… 人間の血とポケモンの血の交じり合った水溜り…今思い出しても鳥肌ものだわ 女「男さんは!?無事なの!ねぇ!」 女は飛び込んでくるなり言葉をまくし立てる。かなり興奮しているようだ。 カ「落ち着いて、女さん。男なら医務室で検査を受けてるわ。」 女「生きてるんですね!?良かった…」 遅れてあの青いポケモンが飛び込んできた。 ジョーイさんが慌ててたしなめ、そのまま部屋に案内していった。 全く…騒がしい一日ね、 ミュウツーが居ると聞いて飛んできたオーキド博士まで居るし 相手させようにも、筋肉野郎はカイリキーに付いた血を落としに シャワーを借りるって勝手にジムに行っちゃうし 何で居るのよこのセクハラ博士。もう意味わかんないわ。 あーあ、海パン野郎のやつ、ちゃんと留守番してるのかなぁ… 459 ID qAvhz5c0 男くんは、生きていると言っても、全身傷だらけみたいで 体のあちこちの包帯と絆創膏がまず目に付いた。少し赤く染まった頭の包帯を見て 思わす目をそらした。でも、生きていて良かった。思わず涙が出そうになる。 女「ルカリオ、外で待っていて」 ル「な!?そんな男と密室で二人っきりななななんていけません!ご主人様!」 女「ちょっちょっと!大きな声出さないでよ、それに、男さんがこんな状態じゃ、取って食われるわけないじゃない。」 ル「あ、あらごぉん…仰せのままに」 ちょっと…なんて情けない声で鳴いてるのよ。 ルカリオがとぼとぼと出て行くのを見送ると、私は男の手を取った なんとなく、男が手を差し出しているような気がして しばらく、そのまま何も考えられなかった。 なんであんなに頼もしくて、カッコよかった男くんがあんなポケモンに振り回されて こんな姿にならなきゃいけないのよ、あんなポケモン、居なくなっちゃえばいいのに… 「ミュウツー!」 きゃあ! 460 ID qAvhz5c0 男「・・・・・・・・ここは?」 ミュウツーの手を掴んだはずのその手を、女の細い手がしっかりと握っていた。 飛び起きた拍子に手は離れたが、俺が気付くまで、ずっと感触が残っていた。 えぇと、どうなってるんだ?コレ、夢なのか? 夢だったなら、近くにミュウツーが居るはず………居ない。じゃあ現実?そんな… 体中がズキズキする。痛い 痛い 女は、きょとんとこちらを見ていたが、すぐにジョーイさんを呼んでくると 部屋を出て行ってしまった。 ここは、どうやら病室のようだ。どのポケモンセンターにもある、治療室。 旅の途中に何回か利用した事があるから、すぐにわかった。 でも、何故、自分がここに居て、寝ているのか、全然わからない。 草原で、朝起きて、キャンプセットを直してから、俺はどうなった。 真っ暗闇、そうだ、俺は真っ暗闇にいて、突然地響きがしたと思ったら 草原、いや、洞窟の中?…よく思い出せない ベットの横の机に、俺の荷物が置いてある。ボールベルトも一緒だ でも、ベルトに入っているはずのマスターボールが無い…?なんで あれは、ほとんど使っていないが、ミュウツーの寝床なのに それが無い。本当にミュウツーは、ミュウツー、何処に居るんだ!? 461 ID qAvhz5c0 「おぉ、起きたか男くん」 オーキド博士!?なぜ博士がここに?カスミも一緒に、どうして? 「気が付いたの?良かったぁ」 ジョーイさんと女も入ってきた。 「俺は…どうしてここに?ミュウツーは何処?」 「ミュウツーも一緒に運ばれてきているわ、まだ意識不明の重体よ。 あなたも生きているのが不思議なくらいの『事故』だったわ。」 事故…?事故…だったのか? 「ふむ、ミュウツーの容態を少し見てきてやるかのぉ」 「お願いします、博士」 良かった、ミュウツーも生きていたんだ!良かったぁ… 「で、男くん、何があったの?きっちし説明してくれない?」 「俺にも、よく解らないよ…」 「はぁ~?アンタ当事者でしょうが!私はどうリーグ本部に説明すりゃあいいのよー!」 カスミに怒鳴られても、解らないならしょうがないじゃないか… 「ま、いいわ、ちょっとぐらいは覚えてるでしょ、それを話してくれたらいいわ。女さん、ちょっと席はずしてもらうわよ」 「え…?え…?そんなぁ~」 俺は、覚えている一部始終を、簡単にカスミに説明したが、やはり、訳が解らないという顔をされた。 俺だってわからないのだ、しょうがないか そうこうしていると、オーキド博士が入ってきた。先ほどのような笑みは無い。 嫌な 予感 「カスミくん、ちょっと…はずしてもらってもいいかね?」 「え…?ちょっとどうしたんです博士!まだ私は」 「いいから出て行きたまえ!」 俺も驚いたが、カスミはもっと驚いていたようで、 「………男くん、また後で話しましょう」 捨て台詞を吐いてスタスタと出て行ってしまった。 「その…いいにくいんじゃがな…」 「ミュウツーの心肺が停止した。ワシも手を尽くしたつもりじゃがな…」 「…………エ」 おとこは めのまえが まっくらに なった