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早朝、ルイズ・フランソワーズは、蜂の巣をつついたような喧騒に、目を覚ました。 こんな朝っぱらから騒がしい… そう毒づいて、眠い目をこすりつつ、耳を澄ませる。 どうやら、外の廊下を学院中の教師たちがバタバタと走っているようだ。 皆口々に何かをわめいている。 ルイズはネグリジェのままベッドを下りて、扉に耳を当てた。 教師たちが『一大事!』やら、『宝物庫に賊が…!』やらといった内容を言い合いながら、 ルイズの部屋の前を通り過ぎ、本塔へ向かっているようだ。 ルイズの顔から、さぁっと血の気が引いた。 振り返って、自分の部屋を見る。 部屋の中は、DIOが宝物庫からパチってきた宝で一杯だ。 …………とうとうバレたか? ルイズは死にたくなった。 無論、今の今まで問題を先延ばしにしていたのは、ルイズ自身だ。 次から次へと増えていく宝の山に、最初はまずいと思ってはいたが、 次第に感覚が麻痺していき、最終的にどうでもいいやと思い出したのがまずかったか。 激しく後悔するが、もう遅い。 ルイズはソファーに横たわっているDIOを見た。 いつものように優雅に本を読んでいる。 いつもどおりなのだが、今日に限ってやけに腹が立つ。 どうしよう… ……今度こそ、退学か? それだけは勘弁してほしかった。 どの面下げてヴァリエール家に帰れというのか。 カトレア姉さまに何をされたかわかったものじゃない。 ボロきれのようにされる自分を想像して、ルイズの顔がますます青ざめる。 ---ええい、ままよ! 追い詰められたルイズはヤケクソになった。 こうなったら仕方がない。 とことんまで逃げきってやろうじゃないか! ルイズは密かに決意した。 使い魔の不始末は、ご主人様の責任なのだ。 こうして、明らかに方向性を誤った決断を下したルイズは、教師たちが集結しつつある、本塔五階の宝物庫へ向かうことにした。 いずれ、生徒の部屋にもガサ入れが来るに違いない。 それまでに、まずは、敵の戦略を読むのだ。 ルイズは音も立てずに扉を開けた。 すると、後ろからDIOが話しかけてきた。 「…どこに行くのかな?」 ルイズは振り向きもせずに答えた。 「あんたのケツを拭きに行くのよ…!」 ルイズはDIOの反応も待たず、通路にでて、扉を閉めた。 そして、滑るように本塔へと廊下を駆け抜けた。 -------- 宝物庫には学院中の教師が集まり、その惨状に口をあんぐりと開けた。 まず驚いたのは、トリステイン魔法学院の誇る宝物庫の扉が、 粉々に吹っ飛んで、瓦礫の山になっていたことだ。 中はもっとひどかった。 高価な美術品や秘薬や財宝が、メチャクチャにされている。 一体どれだけの被害になるのか、見当もつかない。 壁には、『土くれ』のフーケの犯行声明が刻まれている。 『破壊の杖、確かに領収いたしました。土くれのフーケ』 もうひとつ、教師たちの目を引いた物がある。 本棚の後ろにある、隠し部屋のことだった。 今まで、目録を作るために宝物庫に入ったことのある教師は大勢いるが、 こんな部屋があるとは誰も聞いたことがなかった。 しかし、その隠し部屋も、メチャクチャに破壊されている。 教師たちは口々に好き勝手なことを喚いていた。 「土くれのフーケ! 貴族たちの財宝を荒らしまくっているという盗賊か! 魔法学院にまで手を出しおって! 随分とナメられたものじゃないか!」 「衛兵は何をやっていた!?」 「衛兵などあてにならん! 所詮は平民だ! それより、当直の貴族は誰だったんだね!?」 ミセス・シュヴルーズは震え上がった。 昨晩の当直は、彼女であった。 まさか、魔法学院を襲う盗賊がいるなどとは夢にも思わずに、 当直をサボり、ぐうぐう自室で寝ていたのだった。 本来なら、夜通し門の詰め所に待機していなければならないのに。 「ミセス・シュヴルーズ! 当直はあなただったのではありませんか!?」 教師の1人が、さっそくミセス・シュヴルーズを追求し始めた。 あの恐ろしいオールド・オスマンが来る前に、責任の所在を明らかにしておこうというのだろう。 ミセスシュヴルーズはしどろもどろで反論した。 「た、確かにそうですが……み、ミスタ・ギトーこそ、 以前の当直をサボっていたではないですか…!」 シュヴルーズの言葉に、ギトーと呼ばれた教師が、顔を真っ赤にした。 「な、何だと…!あの時は、わ、私は、大切な用事があったからで…!」 教師達は次々と責任の擦り付けあいを始めた。 おまえが悪い! あなたの方こそ…! 罵詈雑言が飛び交う五階の階段の影から、その様子に呆れた視線を投げかける人物がいた。 ルイズ・フランソワーズだった。 ピンクの髪がふわりと揺れる。 呆れる一方で、ルイズはほくそ笑んだ。 どうやら、話題になっているのは『土くれ』のフーケという盗賊のようだった。 ルイズもウワサだけは聞いたことがあった。 そのフーケが、宝物庫を破った犯人ということになっているらしい。 つまり、フーケが忍び込んでくれたお陰で、全てはフーケの罪になるということだ。 宝物庫を破ったのはフーケ。 宝を奪ったのもフーケだ。 ルイズは、会ったこともない盗賊に、取り敢えずの感謝を捧げた。 しかし…………ルイズの表情に影が差す。 このままフーケが逃走してくれれば、それはそれでいい。 オールド・オスマンの立場が悪くなるだけだ。 そんなことはルイズは知ったこっちゃない。 だが、問題はそのオールド・オスマンの…学院側の動きだ。 ルイズは考える。 他の財宝はさておき、フーケがはっきりと犯行声明を出した『破壊の杖』だけは、 貴族としての誇りをかけて全力で取り戻そうとするに違いない。 王室には内密にメイジを派遣して、フーケを捕獲しようとするだろう。 フーケさえ捕らえれば、とりあえずは貴族としての体裁は保たれる。 この惨状は…どうとでもだまくらかせる。 教師の一人二人位は、そのためのスケープゴートにされるだろうが…。 あの老獪なオールド・オスマンなら、眉一つ動かさずにやってのけるだろう。 そして、もし、フーケが学園側に捕獲されてしまった場合、紛失した宝のありかを聞き出すために、オスマンはフーケを拷問するだろう。 ---ルイズは親指の爪をギリリと噛んだ。 いくら百戦錬磨のフーケとはいえ、『あの』オールド・オスマンの拷問に耐えられるとは、とてもじゃあないが思えない。 直ぐにゲロするだろう。 そうなるとまずい。 宝を盗んだのがフーケではないとバレてしまう。直に疑いの目は内部に向けられ、自分に捜査の手が伸びてくる可能性がでてくる。 別に、疑われたとしても、ルイズにはシラをきり通すだけの自信があった。 が、この場合それではダメだ。 少しでも疑われるのは避けねばならない。 相手はあのオールド・オスマンだ。 あくまでも100%全てフーケの仕業ということにしなければ…。 そのためには、何とか学院側の先回りをして、『破壊の杖』を奪還して、フーケを始末し、口を封じる必要がある。 『破壊の杖』さえ戻れば、学院側は最低限満足してくれる。 『破壊の杖』の奪還はすなわち、フーケ撃退の証でもあるからだ。 しかし、始末しようにも、 フーケが今どこにいるのか、ルイズにはわからない。 どうするべきか…? 思案を続けていると、誰かが慌てた足取りで近づいてくる音がした。 2人分の足音だ。 さっと身を隠すルイズ。 オールド・オスマンと、コルベールだ。 2人はバタバタと慌てた足取りで宝物庫に入る。 教師は全員、宝物庫に入ったようだ。 ルイズはそう思うと、階段の影から、破壊された宝物庫の扉の影へと身を移した。 瓦礫が上手いことルイズの体を隠した。 ルイズは身を隠しながら、中の様子を伺った。 見ると、オールド・オスマンは『破壊の杖』があった一角には目もくれず、 一直線に本棚の奥の隠し部屋へと向かっていた。 怪訝な表情を浮かべるルイズだったが、隠し部屋の中は暗く、よくわからない。 ルイズは暫く様子を見ることにした。 ---------- オールド・オスマンは、宝物庫に駆けつけると、『破壊の杖』が盗まれた現場になど目もくれず、本棚の裏の隠し部屋へ足を運んだ。 油断のない足取りで、奥へと進む。 不気味なほど静かだ。 隠し部屋への通路は、コルク栓を抜いたように、円形に抉られている。 オスマンの脳裏に、忌むべき過去が蘇る。 威力こそ劣るものの、間違いなく、奴の仕業だった。 部屋の中央に到達すると、オスマンは信じられない物を見た。 百余年前、自分が持てる技術を結集した結界が、破られていたのだ。 ルーンの輝きが失われている。 鎖が千切れ、封印していたはずの本が、 床に転がっている。 オスマンの頬に冷や汗が垂れる。 弾かれたように杖を構えるオスマン。 一歩一歩、時間をかけて本に近づく。 ---本がひとりでにガタガタと震えだした。 その瞬間、オスマンの杖が電光石火で振られ、杖からまばゆい光が放たれ、本に直撃した。 強烈な光に包まれ、本の動きがピタリと止まった。 オスマンは安堵のため息をついた。 これで当座はしのげるだろう。 本を拾い上げて、オスマンはそれを台座に戻した。 だが……と、オスマンは疑問に思う。 『土くれ』のフーケの話は、オスマンも知っていた。 ウワサによれば、フーケは『トライアングル』クラスのメイジらしい。 しかし、これはどうみても『トライアングル』クラスのメイジの手には余る所業だった。 『スクウェア』クラスのメイジ数人がかりの『固定化』を打ち破り、あまつさえこの封印をも破るとは。 実力を見誤っていたか? そこまで強力なメイジだとは聞いたこともないが…。 いっそ人ではなく、物の怪の類の仕業と考えた方が楽だ。 化け物………オスマンには、1人だけ、心当たりがあった。 確証が持てなかったが、一人の人物の顔が脳裏に浮かぶ。 これは…………もしや…。 ---------- しばらくして、オールドオスマンが隠し部屋から出てくると、教師達は口々にオスマンに自らに責任がないことをがなり立てた。 オスマンはしばらく黙っていたが、自らの保身しか考えていない教師達に苛立ち、杖で床をドンと叩いた。 「…静まれぃ!」 オスマンの低い一喝で、教師達はシンとなった。 誰かがゴクリと唾を飲み込んだ。 「貴様らの中で、まともに当直をしたことのあるヤツが、何人おる?」 静かなオスマンの問いには、しかし、誰も答えられなかった。 「さて、これが現実じゃ。 責任があるとするなら、我々全員じゃ。 この中の誰もが……、もちろんワシを含めてじゃが…、 まさかこの魔法学院が賊に襲われるなど、夢にも思っていなかった。 何せ、ここにいるのは、ほとんどがメイジじゃからな。 誰が好き好んで、虎穴に入るものかと思っておったが、間違いじゃった」 オスマンは、宝物庫の扉にあいた穴を見つめた。 「このとおり、賊は大胆にも忍び込み、『破壊の杖』以下、財宝十数点を奪っていきおった。 つまり、我々は油断していたのじゃ。 責任があるとするなら、改めていうが、我ら全員にあるといわねばなるまい」 オスマンの、杖を持つ手がブルブルと怒りで震えていた。 皆、俯いたまま一言も喋らない。 「……目撃者はおらんのか?」 オスマンの問いに、コルベールが答えた。 「ざ、残念ながら、深夜の突然の出来事だったようで……」 「ふむ……後を追おうにも、手がかりナシというわけか…」 オスマンはヒゲを撫でた。 それからオスマンは、気づいたように再びコルベールに尋ねた。 「ときに、ミス・ロングビルはどうしたね?」 「それが、その…、昨夜から姿が見えませんで」 「この非常時に、どこに行ったんじゃ」 「さ、さぁ…」 そんな風に噂をしていると、宝物庫に1人の人間がフラフラと入ってきた。 服はボロボロで、ほとんど半裸だ。 全身傷だらけで、酷い火傷も負っている。 呼吸は荒く、右手で左腕を痛そうに押さえて、 右足をズルズルと引きずっている。 歩いた後には、血の後が点々と続いていた。 出血も激しそうだ。 誰がどうみても重傷だ。 ミス・ロングビルだった。 「……オ、オールド・オスマン…」 ミス・ロングビルは、オスマンの前までやっとの思いでたどり着くと、 そこで力尽きたのか、バタリと倒れて、意識を失った。 宝物庫内は騒然となった。 to be continued…… 35へ
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ジャック・キホーをお気に入りに追加 ジャック・キホーのリンク #blogsearch2 ジャック・キホーとは ジャック・キホーの63%はハッタリで出来ています。ジャック・キホーの27%は勢いで出来ています。ジャック・キホーの5%は白い何かで出来ています。ジャック・キホーの4%はカテキンで出来ています。ジャック・キホーの1%は時間で出来ています。 ジャック・キホー@ウィキペディア ジャック・キホー ジャック・キホーの報道 gnewプラグインエラー「ジャック・キホー」は見つからないか、接続エラーです。 冬のソナタ またでるよ 冬のソナタ 韓国KBSノーカット完全版 DVD BOX(初回限定 豪華フォトブックレット&スペシャル特典ディスク付) 本当に長い間、待たせてごめんなさい。「冬のソナタ」韓国KBSノーカット完全版をいよいよお届けします。 映像は韓国KBSのオリジナルそのままに、音楽に関してもユン・ソクホ監督が想いを込めて監修し、一部楽曲を変更しました。初回限定特典にはぺ・ヨンジュン 独占インタビュー/ユン・ソクホ監督&田中美里の対談スペシャルDVDの他、DVDオリジナルポストカード、シリアルNo付 豪華フォトブックレット(20P)を封入しております。 今までの日本用編集版よりも約166分長いノーカット映像(本編後のエンドロールも収録!)に加えて、映像特典の【スペシャル短編集】には、ペ・ヨンジュンのスノーボードシーンの撮影風景も収録しています。 【ここが違う!8つのポイント】 ◆今までの日本用編集版よりも約166分長いノーカット映像(本編後のエンドロールも収録!) ◆ファン待望の「ダンシング・クィーン」「白い恋人たち」をついに収録。 ◆日本語吹替を再収録。萩原聖人さん、田中美里さんが担当、その他主要人物もなつかしいあの声で。 ◆本編は日本語字幕に加えて韓国語字幕も収録 ◆一部変更した楽曲をユン・ソクホ監督が想いを込めて監修!(一部BGMはオリジナル版より変更されています) ◆<初回限定特典1>スペシャルDVD:★ぺ・ヨンジュン 独占インタビュー/★ユン・ソクホ監督&田中美里の対談 ◆<初回限定特典2>豪華フォトブックレット:シリアルNo付(20p) ◆<初回限定特典3>DVDオリジナルポストカード3枚 ジャック・キホーのキャッシュ 使い方 サイト名 URL ジャック・キホーの掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ ジャック・キホー このページについて このページはジャック・キホーのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるジャック・キホーに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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一章六節 ~使い魔は千鳥足を踏む~ 適度に間隔を開けて連なる窓から投げ込まれる日の光は、気だるさの漂う冷たい石の廊下に、ゆるゆるとした温もりを与えていた。昨日と同じでよく晴れた青い空は、悠々広がって澄み渡り、霞一つない。 リキエルはミス・ロングビルの後ろについて歩きながら、窓の外を、茫洋たる空を眺めている。フロリダの空も意味なく見上げてしまうほどに大きかったが、この世界の穏やかに広がる青空にも、不思議と目を引き付けるものがあった。 今二人が歩いているのは、リキエルとルイズが教室に行くために通った廊下とは違う、あまり生徒達が使わない狭い通路である。こちらの方が、食堂へは近いのだという。空腹感が異様に高まっているリキエルにとっては、ありがたいことだった。 しばらくして、連なった窓が途切れる。と思えば外に出た。柔い風があった。 と、目の端で動くものにリキエルは気づく。その場所は少し遠く、どうやら広場になっているようで開けていた。 目を細めてみて、リキエルは驚いた。塔の影になって見えづらいが、そこには、およそこの世のものとも思えない光景が広がっていたのである。考えてみれば、ここはリキエルのいた場所とは常識が全く異なるのだから、その眺めも当然といえば当然なのだろうが、まだ耐性のつききっていないリキエルにはそうも言えなかった。 電柱ほどもある太い大蛇が、血の滴り落ちるほどに新鮮な餌を丸呑みにしていた。かなりショッキングである。 蛸足つきの妙齢女性と、角の生えた人っぽいなにかが険悪に睨み合っていた。三流シネマチックである。蛸足の方は授業でも見かけたが。 テレビなどで紹介されていた想像図よりも、よほど難解不可思議な格好のUMA達が寝そべっていた。なんとも感無量である。 二昔ほど前のサーカスの出し物のような、リアルな胡散臭さがそこには存在し、否定しようもない現実感も、その空間に同居しているのだった。 「う、ぉ……」 「なにか?」 リキエルは思わず声を上げ、それに一拍遅れてロングビルが振り向いた。 「いや、デカルチャーというか、仰天の異文化圏というのか、あまりお目にかかったことがないもんで。ああいった生き物には」 「使い魔たちですか。確かにあそこにいるのは皆、人里には訪れないものばかりだから、驚くのも無理ありませんわね」 リキエルの隣に立ち、それらを見やったロングビルは、軽くうなずいてそう言った。それから、横目でちらりとリキエルに目配せし、ゆったりと歩き出す。リキエルもそれに倣った。 「授業に見たやつらで、全部ではなかったわけか。まあ仕方がないよなァ、あんなにでかいんじゃあな」 「ああ見えても、そう力の強いものはいませんわ。勿論、人間が素手で立ち向かうには手に余るものばかりだけど。中の上といったところかしら」 「くくれば中ほどだって? ……あれが?」 「単純な膂力以外にも、魔力の有無といったものがありますから。竜のように強力な幻獣を使い魔に、ともなれば、相当な実力を持ったメイジということになりますわ」 「相当……」 ロングビルの言うところによれば、使い魔の力はメイジの実力に比例するということである。となれば、やはり何の力もない人間を呼び出したルイズは、ゼロを言い過ぎとしても、決して優秀とはいえないのだろう。 ――熱心では……。 あるみたいなんだがなァ。授業での態度を間近で見ていれば、それがよくわかった。 ふとリキエルの脳裏に、人知れず努力し杖を振るい、その度に爆発を起こして唇をかみ締める、桃色髪の少女の幼い後姿が浮かんだ。リキエルにはそれが、自分の単なる想像とは思えなかった。閉じられた右目のまぶたの裏には、同じ少女が椅子に座り込み、うなだれている姿が残っている。そうしながらも、決して諦めないと言った声は、まだ耳の奥で響いているようでもある。 それらの姿は、自分の中の何かを呼び起こそうとしているように、リキエルには感じられた。同じものを、掃除の時やパニックを起こしていたときにも、一瞬だけ感じた気がする。それは憐憫の情や侮蔑的なものではなく、奇妙なことだったが、一種の…………。 ――なんだったか。 そこから先が詰まる。その感情の記憶は、脳に刻まれた皺の隙間にでも吸い込まれてしまったのか、思い出そうとすればするほど、掴みどころなく離れていくのだった。犬歯と前歯の間にニラが挟まったような、手袋の薬指の場所に小指まで突っ込んでしまったような、その気になればすぐにも解消できそうなもどかしさは、その感情が決して無意味なものではなかったことを告げてくるのだが。 「どうかなさいましたか?」 ロングビルの声は、静かだがよく通る。リキエルは慌てて前を向いた。思考にのめり込むあまり、周りを見ていなかったらしい。 「は……ええとなんだったか、すいません。聞いていなかった」 「いえ、難しい顔をしてらっしゃったので」 微笑むわけでもなかったが、穏やかな表情でロングビルは言い、また歩き出した。 「……」 リキエルは、五歩ほど遅れてロングビルに続いた。そこで、今までの思考がどこかへ失せてしまっていることに気づく。必死になって掴み取ろうとしていた何かを、指の先が引っかかった途端に取りこぼしてしまったような、強い喪失感をリキエルは感じた。試しに頭を二、三度ぐらぐらと振ってみたが、それでどうにかなるわけもない。 なんら落ち度の無いロングビルを責めるわけにもいかず、リキエルは憮然とした気持ちになって、溜息をつく代わりに、自分のこめかみに人差し指を当てた。 もうしばらく歩いて、本塔の入り口が見えてきた頃、強い風が吹いた。腐ち草が舞い上がり、しばらく渦を巻いてから散り散りになる。気を抜けば、よろけてしまいそうになるほどの風だった。ロングビルは咄嗟に、その長い髪を左手でおさえたが、おさえきれるものでもなく、乱れ髪となってしまう。 「……」 軽く嘆息し、手櫛で髪を梳くロングビルを、リキエルはぼんやりと見つめた。といっても、見とれているわけではなかった。ロングビルを美人だとは思うが、それで露骨な視線を投げるほど、リキエルは不躾な人間ではない。 リキエルはロングビルに、少し前からちょっとした違和感を抱いている。それがなんなのか、手探りをしているのだった。そしてその違和感の正体が、今わかったのである。 ――どうしてこの秘書さんは、オレを助けたんだ? ミス、あるいはミセス・ロングビルは恐らくメイジだろう。生徒達や吹っ飛ばされたシュヴルーズ同様、マントを羽織っているし、腰に杖らしきものが差してあるのも見た。 こちらの世界で貴族がかなりの幅を利かせていることはわかっており、自分――平民の扱いが粗雑であることも既に明らかだ。ルイズの態度が殊更にそれを強調するようだったので、わかりやすい。 ――だっていうのに。 メイジであるロングビルは自分を気に掛けた。こんなことは初めてだった。 パニックを起こせば、周りの人間は嘲笑うか避けるかで、介抱は大袈裟にしても、声をかけ、真摯な態度で接してくれた者など皆無である。あまつさえ、人を呼んでくれる者さえなかった。リキエルが人生にまいってしまった理由の一端は、ここにもある。 あった、といった方がいい。今のリキエルは、そのあたりのことに関して、少しだけ見方を転換させている。転換の切欠は、ミス・ロングビルだ。 メイジや平民だののへったくれを差っ引いても、手を差し伸べてくれる人間がいることは証明された。元いた世界でも、ロングビルのような人間は案外いるのかも知れないと、リキエルは思うようになっている。助けてくれる人間などいない、という風に悲観することもないのかもしれないと、そう思い始めたのだ。たった一度、軽い親切心に触れただけのことだが、リキエルにとってはそれが、重要な事柄だったのである。 ちなみに、昨日の夜、ルイズのときにそう思えなかったのは、ルイズが微妙な例外だからだ。その件に関して感謝の念はあるが、何せ当初から目にしているようなあの態度である。赤の他人状態の自分が街中でパニクっていた場合、見向きもしないということはないだろうが、駆けつけて手を差し伸べようと考えるかはかなり怪しい、というのが、リキエルのルイズに対する評価だ。 閑話休題。 ただ、疑問は残る。その疑問とは、ロングビルの態度のことである。秘書であるからなのかも知れないが、平民に、しかも使い魔である自分に敬語まで使うものだろうか。その敬語にしても、時折無理に使っているような違和感が気になる。単に慣れていないだけなのかもしれないし、たまに頭を覗かせる普通の物言いが、ごく自然なものに見えるので、それと比べたときの単なる差であるのかもしれないが。 腐ち草のように吹けば飛びそうに見えて、その疑問は以外に頑固だった。いっそ本人に聞いてみようかとも思う。だが、こんなことを聞くのもおかしい気がする。そもそも聞いてどうするというのか。それにしても腹が減った。そういやコッチに来てから考えてばかりだな。しかも堂々巡りばかり、我ながらよくやるもんだ。頭使うと白髪できるっていうよなァ。いや、自分の場合髪が――。 「あ? ええと……ミス? ロングビル」 思索の合間を縫って奇襲をしかけてきた空腹のため、一気に正常な働きを失ったリキエルの脳は、それでも今度は視覚野を頑張らせていたようで、本塔の入り口を通過したことをリキエルに知らせる。 リキエルは“ミス”の部分を少しぼかしてロングビルに呼びかけた。ミセスであれば多少なりとも失礼であると思ったのだ。セの字の有無は、場合によっては女性にとって重要な部分である。 「はい、なんでしょう?」 振り向いたロングビルは、レンズの向こうの琥珀にも似た瞳に、掛け値なしに小さく喜色を浮かべていた。どうやらミスで合っていたらしい。しつこいようだがこの正否は、場合によっては重要なのである。 「食堂は本塔の一階って聞いてたんだが……」 「食堂の裏に厨房があって、私、たまにそこで食事をとるんです」 「は~、なるほど。しかしなんでまた?」 「あまり大勢のいる場所はその、少し煩わしくて……。今日も厨房でまかないをもらおうと決めていたんですよ。それと、これは少し言いにくいのだけど」 ロングビルは、今度はリキエルの顔を窺うような、曖昧な渋みを顔に浮かべた。実に多彩な表情を持つ有能秘書である。 「言いにくい?」 「はい、言いにくいことですが……平民は食堂には入れないという決まりがあるんです」 「食事処の出入り禁止……ここまで来るとまるで黒人差別だな、考え方とかがよォー」 ぼそりとしたリキエルの一言に、ロングビルはきょとんとした顔になったが、すぐにもとの表情に戻り、いつも通りの静かな口調で言った。 「なので厨房でとった方が、あなたにとって無難でもあるんです」 「確かにそうかもしれないな。すいませんね、気を使わせて」 「いえ……では行きましょうか。と言っても、直ぐそこですが」 クスリ、と珍しくも笑うロングビルの顔は、天頂間近の日の光の下にあって、リキエルにはなお輝いて見えた。 「……」 その輝きに目を瞑ったわけでもないが、リキエルは、先ほどまでロングビルに抱いていた疑問は気にしないことにした。 ◆ ◆ ◆ 厨房には独特の熱がこもっているようだった。それは熱気というよりも、働きまわる人間のいる場所特有の、外界との温度差である。 「こんにちはミス・ロングビル……ってあれ? リキエルさん?」 「ン、シエスタか」 厨房でリキエル達を出迎えたのは、今朝洗濯の手伝いをしてくれたシエスタだった。リキエルは手を挙げて軽く挨拶する。 「今日は二人分のまかないを頼めるかしら?」 「あ、はい」 ロングビルの後ろにリキエルがいるのを見て、シエスタは不思議そうに首を傾げながら答えた。それからみるみる顔を青くして、リキエルの前に小走りでやってきたかと思うと、「すみませんです――――ッ、私のせいで、その、あのっ」 前傾四十度で頭を下げた。 下げられているリキエルとその隣にいるロングビルは、シエスタの唐突な行動で呆気にとられた。 「すいませんリキエルさん私朝うっかり食堂に向かわせるようなことを言ってしまって平民が入れないことわかってたのにすいません本当にわざとじゃなかったんですごめんなさいでも私分かってたのにああリキエルさん貴族の方に何か言われませんでしたかもしかして酷い目にあいませんでしたかそうでしたらほんとうに私申し訳が申し訳で申ぢちちッ!?」 そこまで息継ぎもせずに来て、シエスタは思い切り舌を噛んだ。リキエルとロングビルが顔をしかめるほどに、である。 しかし、濁流のように流れ出る謝罪の連続だったのだ。それでいて一言一言に誠意がこもっているのだからたいしたもので、口内が例え血の池になったとしても、そこは誇るべきである。 「大丈夫?」 涙目で肩を震わせ、口を押さえるシエスタの顔を覗き込むようにして、ロングビルが声をかけた。 「はひ。すふぃましぇん」 「……ごめんなさい。喋らせない方がよかったわね」 リキエルは呻いた。シエスタが顔を上げたので、リキエルにはちらとだが、シエスタの口の中が見えたのだ。案の定、舌は異様な赤に塗れており、痛みに耐えかねて悶えていた。 ――血湧き肉踊る……。 思わず、そんな間違った表現がリキエルの頭に思い浮かんだ。 「よくもまあ、言えたもんだな。そこまで噛まずによォ。良いアナウンサーになれるんじゃあないか? それはいいとして、オレが言うのもなんだが落ち着け、とりあえず」 「ああはひ、さふですね。いへでもしかしやっぱり本当にこれがまただふも――」 「落ち着きなさいって。少し舌を休ませないと」 「……ふゃい」 ロングビルに目で謝ってから、シエスタはようやく見るも痛々しい口を閉じたが、それでも気遣わしげな視線を、リキエルの顔のあたりにさまよわせている。リキエルが何か言わなければ、いつまでもそうしていそうだった。 優しさから来る、行き過ぎた心配性とでも言おうか。シエスタは単なる言いそびれをよほど気に病んでいるらしい。リキエルにしてみれば今朝の洗濯の件があるので、そのことについてシエスタを責める気は、勿論毛頭全く皆無である。 「オレはどうにもなってない。やばいぐらい腹が空いてる以外にはな。朝は時間に間に合わなかったんだ。食堂に入る入らない以前の問題で――ってまた謝ろうとするんじゃあない。お前は何も悪くないだろうがよォ~」 リキエルはそう言ったが、口を押さえながらシエスタはまた、首の骨が心配になるくらいに頭を上げ下げした。あまり人に頭を下げられることのないリキエルは、辟易して渋面を作る。 見かねたロングビルが、シエスタの肩を優しく叩いた。 「何があったか知らないけど、リキエルさんもこう言ってるんだし顔を上げて、ね? この話はこれくらいにしましょう」 シエスタはもうしばらくの間ガクガクと頭を振り、ロングビルとリキエルの顔を交互に見やってから、ぱたぱたと調理場に駆け込んでいった。 残った二人はそれを見送ってから、厨房の片隅にあった席に腰を下ろした。 「それにしても驚きました。まさかミス・ロングビルと一緒とは思いませんでしたから」 「話すとちょっとややこしいんだが、教室で会ったんだ、偶然な。それで腹が減ってると言ったら、ここまでつれて来てくれたってわけでな」 「その節はまことにもって本当――」 「だから言ったろう、謝らなくていいってよォ」 昼食を終えたリキエルは、シエスタを話し相手に一息ついている。ロングビルは食後の紅茶を淹れてくれるということで、しばし席を外していた。 厨房は、リキエル達が来たときよりも忙しさを増していた。食事の最中に気づいたが、食堂へと通じる通路から伝わってくる空気も、いくらかの騒がしさを孕んでいるようだった。生徒達も、昼食の時間が始まったのだ。 「洗濯の手伝いだってしてくれただろう。干すのは全部押し付けちまったしなァ。旨いシチューも十分食べさせてもらった。感謝してるくらいだ、オレは」 「感謝だなんてそんな。でもシチュー、お口に合ってよかったです」 花が咲かない程度の軽い雑談をしていると、ロングビルが三つのティーカップの乗った、銀のトレイを持って戻ってきた。それを卓の上に下ろし、それぞれの席にカップを置いていく。簡素な造りながら、淡い着色が趣味の良いカップだった。 「すみませんミス・ロングビル。私までご馳走になってしまって」 「こちらこそ、いつもまかないをありがとう。紅茶はそういう意味にしておいて」 すまなそうにするシエスタに微笑みかけながら、ロングビルは手馴れた動きで紅茶を注いでいる。板についたその動きには、秘書の仕事が活きているように見えた。 注ぎ終わってから、ロングビルはシエスタの隣――リキエルの対面に座る。してからリキエルに微笑みかけた。 「どうぞ、飲んでみてください」 「どうも。じゃあ遠慮なく、いただきます…………うっ!」 カップを口元にまで持ってきて、リキエルの手が止まる。そんなリキエルを見てロングビルの目がキラリと光り、シエスタが微笑む。 リキエルはカップを少しだけ口から離し、また近づけた。薄く立ち昇る湯気が、リキエルの鼻先を湿らせる。 「どうかしましたか? 何か『変なもの』でも入っていまして? それともヌルイのは嫌だったかしら? 直ぐ飲めるよう、温度を調節したのだけれど」 変わらない表情で問いかけてくるロングビルを、リキエルは鋭く見返す。その顔には軽い驚きが浮かんでいた。 「何か入っていたかだって? それはこっちの台詞だ、ミス・ロングビル。こいつは紅茶なんですか? 本当に『ただの紅茶だ』とそう言うってわけですか?」 「ええ、それは『ただの紅茶』です。……さ、遠慮せずどうぞ」 顔を上げて、ロングビルはリキエルも顔を真正面から見返して、言った。リキエルの顔が、いよいよ驚きに染め上げられていく。 不敵な色に彩られたロングビルの視線と、驚きに塗れたリキエルの視線が交わる。 リキエルはロングビルから視線を外し、手に持ったカップに戻す。しばし、そうしていたかと思うと、素早い動きで口元まで運び、グイィィ――ッと一気飲みに仰いだ。 緩慢な動きでカップを置いたリキエルの顔に、ふと笑みが浮かんだ。頬の筋肉がほんの一瞬、引き攣れたような感じになってうまく笑えず、皮肉っぽい笑い顔になった。思えば、この世界に来る以前から、随分と久しく笑っていなかった。 「オレはあまり紅茶には詳しくないし、匂いがキツイんで好きなわけでもない。手間がかかるだけの飲み物だと思っていた。だが今、紅茶を愛飲するやつらの気持ちがわかったぜ。……ミス・ロングビル、あんたの淹れた紅茶の『香り』に、紅茶の『苦味』はなじむ。実にしっくりと、よくなじんでいたぞ。うまかったぜ、要するになぁ」 それを聞いて、リキエルの顔を注視していたロングビルは、撫で下ろすように胸のあたりに手を置いた。褒めちぎられたからか、息苦しそうにも見える顔になっている。 ロングビルは蝙蝠の羽音ほどの、静かな息を吐いた。 「自分で淹れるのは、ここに勤めてから始めたばかりの素人芸で、ちょっと不安だったのですが、よかったわ。でもそんなに言われてしまうと、ちょっと気恥ずかしいわね」 「謙遜することないですよ。ミス・ロングビルの淹れてくれる紅茶、とても美味しいです。厨房の皆もそう言ってますし」 「……ありがとう」 屈託なく笑うシエスタに、ロングビルは嬉しそうな、それでいて困ったような微笑を返す。やはり恥ずかしいのだろうか。 そこで、はたと気づいたといった具合に、ロングビルは時間を確かめた。 「あら、もうこんな時間だったんですね。ゆっくりしすぎましたわ。シエスタ、私はそろそろお暇させて貰うわね。リキエルさん、機会があればまたご一緒しましょう」 慌てるほどではないが、リキエルたちがここに来てから、それなりの時間が経っていた。 「こちらこそ。それとすみませんでしたね、色々とよぉ」 「お仕事がんばってくださいね、ミス・ロングビル」 ロングビルは席を立ち、居住まいを正してから、シエスタ以下厨房の面々に礼を言いながら出て行った。 ――さて、オレはどうしようか。 昼食は馳走になった。食後の紅茶まで飲ませてもらった。これ以上自分が厨房に居座っても、邪魔になるだけだろう。リキエルはそう思った。居座ったところで、シエスタは嫌な顔一つしないだろうが、だからといって何もせずにだらだらとしていられるほど、無人な振る舞いができるわけもない。 ――なら。 「シエスタ、なにかオレに手伝えることはないか?」 「手伝い、ですか?」 シエスタは朝と同じように、きょとんとした顔でリキエルに問い返した。 「洗濯と昼食の礼がしたいんだ。あんまり出来ることはないがな」 「そうですか? なら、デザート運びを手伝ってくださいな」 「それだけでいいのか? そこまで出来ることがないわけじゃあないぜ」 「じゃあお言葉に甘えて、紅茶のポットもお願いできますか?」 頷くリキエルを見てシエスタは、ありがとうございます、と元気に笑い、厨房の奥へと歩いていった。リキエルは憮然としたような面持ちで後に続いた。 リキエルは、この手伝いにはあまり気が進まない。というよりも、進まなくなっていた。手伝いをしたいのは本当だ。雑巾がけだろうが厨房の掃除だろうが、できる限りの労働しようとリキエルは思っていた。 しかし、配膳となると話は別である。デザートを運ぶということは、食堂へ行くということだった。先ほどまでは空腹で、そこまで頭が回らなかったが、つまりは人混みの中へ入っていくも同然なのだ。 リキエルは人の多い場所が苦手だった。それは生理的な嫌悪感ではなく、公衆の面前でパニックの発作が起きたらどうする、という不安から来るものである。朝の授業にしても、これも空腹でそれとは思い当たらなかったが、あまりいい気分とはいえなかったのだ。 だが、自分から申し出た手前、やりたくないなどと言えるわけもないし、やめるつもりもなかった。さっさと終わらせばいいことだ、とリキエルは思い直すことにし、いつのまにやらこもっていた、肩の力を抜いた。 ――そういえば、あいつはどうしているんだろうな。 ルイズのことをさっぱり忘れていたのを、リキエルはぼんやりと思い出した。ぼんやりとしていたので、シエスタの持ってきた紅茶のポットの胴をうっかり掴み、危うく火傷しそうになった。 またあわあわと騒ぎ出すシエスタをなだめながら、リキエルは苦い笑いを浮かべる。それがまた皮肉げになったのは、もともとがそういう笑い方なのかも知れなかった。
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「下着のようなデリケートなモノは私に任せてください。慣れてないと生地を傷めます」 「あぁ、ぜひお願いするよ」 水場で肩を並べて洗濯しているのは、シエスタと露伴だ。 昨夜ルイズに洗濯しておくように言われたシャツ、スカート、下着に合わせ、ベッドに掛けられていたシーツも。 衣類三つはシエスタに任せ、露伴は一際大きいタライにシーツをひたし、裸足になって踏むように洗っている。 今朝はルイズの絶叫にて起こされた。それと同時に静の泣き声の協奏曲だった。 どうと言うことはない、ただ単純に静がおねしょしただけの事だ。 生後一年に満たない赤ん坊だ、おねしょして当然だろう。 しかし、突然生暖かいモノに襲われたルイズの驚きようは尋常じゃなかった。 塔全体に響き渡りそうな絶叫だったが、不思議と聞きとがめて覗きに来るようなモノはいなかった、何らかの魔法を使っているのだろうか。 とりあえず静を裸にして、汚物にまみれた服とシーツと、ルイズの服もまとめて洗濯している。 シエスタには洗い場を探しているときに遭遇したのだ、お約束である。 とりあえず汚れの酷い静の服と、シーツを重点的に洗う。 赤ん坊の排泄物はさほど匂わないと聞いていたのだが、離乳の始まる生後半年頃にもなるとすっぱい匂いを確認した。 コレで赤ん坊を書くときよりリアルな描写が出来るぞ、と思いつつ露伴は踏み洗いを続行する。 「そう言えばロハンさん。シズカちゃんはロハンさんの……?」 「ん? あっはっは。何を言ってるんだ、ぼくはまだ二十歳だぞ。それに人付き合いという煩わしいモノより大切なモノがあるからね」 静は知人からの借りものさ。言ってなかったっけ? と露伴が言う。 「え……ですが、十代で結婚は普通だと思うんですが……」 「そうなのかい。なるほど、それは勉強になった」 この間、露伴はシエスタの顔を一度も見ていない。 顔を見ようとしない露伴にシエスタは怪訝そうな顔をするが。 「あの、ロハンさん。ロハンさんってどんなところに住んでたんですか? ミス・ヴァリエールへの対応が平民とかけ離れてるように思えて……」 「杜王町という町だ。特に都会というわけではないが自然が一杯で静かで、仕事がやりやすい、良いところだよ」 露伴の言葉『自然が一杯』と言うフレーズでシエスタは己の故郷、タルブの村を思い起こす。 「お仕事、されてたんですか。どう言った?」 「ぼくの生業は作家だよ」 「作家さんですか……どう言った物を書いていたんですか?」 「タイトルは『ピンクダークの少年』という。最近はちょっと事情があって休載していたがね。そろそろ再開しないと。ははは……」 聞いたことのないタイトルにシエスタは首をひねるが、『イーヴァルディの勇者』みたいなモノだろうかと想像する。 活版印刷のないこの世界で、出版物としての物語でポピュラーなのは『イーヴァルディの勇者』という叙事詩である。 シエスタも幼い頃、母に読んでもらったことは覚えている。 「ここでの経験は素晴らしいよ!! 今こうしているだけでも創作意欲がわいてくる。しかし道具がないのが悔やまれるな……どうにかして調達しないと」 踏み洗いしながら露伴は呟く。 「コレからいったい何が起こるのかぼくには全く予想が付かない……… まぁ、あちらに残してしまった事をそのままにしておく訳にもいかないから、帰らなくちゃ行けないんだけどね……」 そう言って沈黙した露伴に、シエスタは何か言おうとして口を噤んだ。 自分では理解できない思いで露伴が悩んでいることを察したからである。 「きっと………帰れますよ」 「……あぁ、赤ん坊のためにも、見つけ出さないとな」 丁度、汚れがキレイに落ちた。 汚れは落ちたと言ってもまだ濡れている。 日干しをシエスタに任せて露伴は急ぎ足で部屋へと戻る。 途中何人かの生徒と擦れ違い、その度に指差されて笑われたが、露伴はそれらを全て無視した。 ノックもせずドアをガチャリと。 「ん? 鍵締めてなかったのか」 そう呟いて内開きの扉を押して開く。 するとそこには、部屋の真ん中で困惑した様子で静を抱くルイズの姿があった。 「ちょっとロハン遅いわよ。はい」 そう言ってルイズは静を定位置へ、露伴の腕へと帰す。 一着しかない服は洗濯しているため、その代わりにタオルケットでくるまれている。 「もう、この子、人の胸ばっかまさぐってくるのよ」 「お腹がすいたんだろうな。吸わせてやれば良かったじゃないか、良い経験になる」 「っ…………」 落ち着け、落ち着け~、とルイズは自制する。 こいつの性格はまだ一日しかたってないがすこし把握した。 こいつは『全て良い経験』で片付けてしまう節がある。 下心も何もあったもんじゃないと言うことを把握した。ニヤニヤ笑っていれば冗談で言っているのがわかるが、真顔で言うのだから抗議のしようがない。 「吸わせてやってもいい気になったら言ってくれ。ぜひその場をスケッチさせてもらいたい」 前言撤回、こいつはどうにか自重させなければ……。 「ところでもう着替えたのか」 露伴の言葉に、ルイズは呆れたような口調で応える。 「だって仕方ないじゃない。シズカのおねしょで服汚れちゃったし。汚れたままあんた待つってのもおかしいし」 「そうか、てっきり着替えさせろとでも言うかと思ったのだがね」 「させようと思ったわよ。でも汚れたまま待つのもイヤだし。服脱いで全裸で待つのもイヤだし」 「ぼくとしてはぜひさせてもらいたかったというのも少しあるかな。人の服の着脱をしてやるというのも良い経験になる。もちろん君の頃の女子の肌がどんな感触かも確かめさせてもらうがね」 露伴がそう言った途端、ルイズは紅潮し両手で肩を抱くようにして引いた。 「………どうした、使い魔に裸を見られてもどうって事無いんじゃなかったのか? それに恥ずかしがるような体型でもないだろう」 「ぁ、あんたの言い方がいちいち卑猥なのよ! なんであえてそんな言い方するのよ! 一言おおいのよあんたはっ!」 「違うな。卑猥なのはぼくじゃない、それを卑猥だと感じる君の方が卑猥なんだ」 「な…………なんで私がっ!!!」 「ぼくは常に知識を増やそうと努力している。その為ならばたとえどんなことだろうと甘んじて受け入れる『覚悟』をしている。そしてその知識には卑猥とか卑猥でないと言った区別は『ない』のだ。判断してるのはルイズ君だ」 「………なんかあんたと話してると頭いたくなってくるわ……良いわよもう、好きにしなさい」 そうさせてもらうよ、と露伴は応え。部屋を出るルイズの追従する。 それと同時に、隣の部屋のドアが開いた。 こいつは、確かキュルケと言ったか。 ヴァリエールの領地の隣、ゲルマニアのツェルプストーの一人娘。 確か歳は十八、ルイズの記憶によると男遊びが過ぎてゲルマニアにいられなくなってトリステインに来るようになった、とか書かれていたな。 しかしそれはあくまでルイズの記憶、ルイズの感想でしかないからあまり参考にはならんな。 後でこいつも直接読むか……。 なんて、露伴が考えていることを想像だにせず、等の二人は廊下のど真ん中でぎゃあぎゃあと叫いていた。 厳密に言えば、叫いているのはルイズだけで、キュルケはそれをさらりと流しているだけだったが。 「やっぱり使い魔はこうじゃなくっちゃね~。フレイム」 そう言ってキュルケの部屋からのそのそと出てきたのは真っ赤な何かだった。 「むっ、しっぽに炎があるデザインなのか。トカゲのようだが鱗は……なるほど、ずいぶん細かいな。体長は190ほどか。足はさすがに短いな」 フレイムが出てきた途端、露伴は飛びついてなで回し始めた。 もちろん、その腕のシズカはキュルケに押しつけた。 突然なで回されてフレイムは当惑しているようだったが。キュルケはそんな露伴の行為に満足そうに笑みを浮かべた。 「火竜山脈のサラマンダーよ。タバサのシルフィードには劣るけど、それでも一級品の使い魔よ。その辺の好事家に見せたら値段なんてつかないわよぉ~」 「ふん、あんた『火』属性だしね。そりゃよかったわね」 「えぇ、微熱のキュルケですもの、でもそれで男の子とはイチコロ、あなたと違ってね」 そう言ってキュルケが胸を張ると、豊かなバストがぷるんと震える。 負けじとルイズが胸を張るが、戦力不足は否めない、見ている露伴が惨めな物を見る目つきになっている。 「わ、わたしはこれからなんだもん! コレから大きくなるもん!」 「十六でそれでは絶望的だがな……」 ぽろりと零した言葉に、ルイズは殺気を込めて露伴を睨んだ。 「あなた、名前は?」 ルイズとのコミュニケーションをほどほどに切り上げて、次にキュルケは露伴に話しかける。 「岸辺 露伴」 「キシベロハン? 変わった名前ね」 「ロハンが名前だ」 顔を上げることなく露伴は未だにフレイムのしっぽをなで回してる。 時たま「あちっち」としっぽの炎に触れてる。 満足したのか、露伴はすっくと立ち上がり、キュルケから静を受け取る。 「可愛いわね。あなたの子?」 「違うわよっ! あんたわかってて言ってるでしょ!」 「当然じゃない。子供どころかあんたには付き合ってる男の子すらもいないものね。じゃあお先に失礼」 ほーっほっほと笑いながらキュルケが去ると、フレイムも図体の割に可愛い足取りでちょこちょこと付いていった。 「きぃーーーーーっ、悔しい、何よ自分が火竜山脈のサラマンダー召喚したからって調子に乗って!」 「良いじゃないか、別に何を召喚しても」 「良くないわよ! メイジの実力を見るには使い魔を見ろって言われるくらいなのよ!? それなのになんであのバカ女がサラマンダーで私が平民なのよ!」 相当悔しいらしい、露伴から見ても哀れに思うくらいだから相当なモノだ。 「キュルケはフレイム一匹でお前はぼくら二人じゃないか、その時点で大当たりじゃないのか」 「平民なんて物の数じゃないわよ! いぬと狼くらいの違いがあるわよ! あぁもう、せめてなにか自慢できるようなことがあればいいのに、もうっ」 発狂寸前である、露伴が『お前』と呼んだ事にも気付かないほどだった。 何を血迷ったのか。 露伴はそう悔しがるルイズに、言ってしまったのだ。 「君がそう思うならその内見せてやるよ、ぼくのチカラを」 「……ねぇ露伴今なんて?」 「赤ん坊がお腹を空かせている、早く厨房に行こうじゃないか。ぼくもお腹がすいた」 「ねぇ露伴今なんて言ったの? ひょっとして何か特技でもあるの?ねぇ今確かに言ったわよね? 今すぐ見せてみなさいよ。あ、ひょっとして昨日『見えない』とかなんか言ったことが関係あるの? ロハン! ご主人様の命令が聞けないの!? ちょっとっ」 つい言ってしまった事をほんの少し後悔しながら露伴は歩く。 その後ろを、瞳をまるで子供のような好奇心一杯で輝かせるルイズを、力の限り無視しながら。 こんな生意気なガキは嫌いなはずなのに。
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やられた…やつは…こんなに近くまで…来ていたのか… 血がなくなって…体が冷たくなっていく。俺の出番も…ここまでか…… だがッ!やっと掴んだ奴の正体!皆に伝えなくてはならないッ! これが俺の最後の…役…め……だ……気づいて………く…れ そして意識は暗黒へ沈む 何も無い世界に侵され自分自身すら曖昧に消えながら、男は自分の最期に満足していた。 これでいいのだ 俺はやりきったのだ と 暗黒の世界、何も感じられず死んだ事も忘れて、次の生を待つ存在となったソレはふと 気が付いた 体の一部が暖かくなったのだ あぁ…ここは唇 そう理解した途端、全身が有る事を思い出した。身体に熱が巡る 身体がある事を思い出したが、未だ暗黒の中に居る 何もできない しかし急に左側の手が強く熱を持ちだした。堪らず叫ぶ 「うぉおお!熱い!何だこれは!」 すると暗黒は晴れ、視界は一面青空に満たされた 人影を除いて 「あんた…だれ?」 突然の光に目をくらませ、彼、レオーネ・アバッキオは眩しい光に包まれた桃色の髪の少女に、何か大きな感情を感じていた。 サーヴァント・ブルース 繰り返す使い魔
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第1章 後編 やっぱり”ここ”はヤバイところだぜ? ティッツァーノ……。 「ほんとに知らないの?」 それは魔法のことか?それとも「ハルケギニア」のことか? 両方シラネェヨ! しかし、納得せざるを得ない。ここはオレの居た世界じゃないのだから。 …夜空に輝く月に、ここまで心奪われたことはない。 月が ”仲良く” 浮かんでる……。 美人の姉妹が互いを優しく、守るように照らしあっていた…。 ”月は 『二つ』 あったッ!” バァアァァーーz___ン! 「オレの世界では”luna”もッ! ”palla”もッ! 一つあれば十分なんだよ!」 『luna』(伊:月) 『palla』(伊:サッカーボール) 「月が一つしか見えない”国”なんて聞いたこともない!」 「だから”国”じゃない! ”世界”が違うんだッ!」 また話が同じところに戻ってきてる……。 さすがに無限ループはルイズも嫌なようで、無理やり終わらせることにしたらしい。 「わかったわよッ! 違う”世界”から来たってことは認めるわよ!(納得いかないけど・・・)」 「グラッツェ、シニョリータ(ありがとう。お嬢さん)。 ついでに”元の世界”に還してもらえませんか? シ・ニョ・リ・イ・タ?」 「……無理。そんな魔法聞いたことないもの」 彼女は召喚する魔法は知ってても、帰還させる魔法は知らないらしい。だが……。 「…オレは帰らなくてはいけない。 …なんとしてもッ!」 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ (相棒をッ!… 一人でッ!眠らせるわけにはいかないッ! ヤツラには償わせてるッ!全員だッ!) 目の前にいる平民から、”凄み” を感じ、思わずブルっちまいそうになるルイズ。 (…こ、この使い魔には帰ってもらって、新しく ”私に相応しい使い魔!” を召喚しなおすのも、わ、悪くないわよね・・・?) (それがお互いの為ってもんよね?) 「と、とりあえず、すぐに帰れるワケじゃないってことはわかるわよね?」 「…そこは理解してるつもりだ。『帰る方法が、存在するかさえわからない』状態なんだろ?」 「グッド! だから、私が帰る方法を探してあげる。 あんたはその間、忠実な使い魔として私に仕える。」 「…つまりこういうことか? 『オレたちは、帰る方法が見つからないかぎり ”取引” をしなくてはならない』……」 「Exactly(そのとおりでございます)♪」 by 釘宮ボイス 「……」 「でも、あんたじゃ使い魔の仕事は無理そうね……」 どうやら使い魔とは、主人と視覚や聴覚をリンクさせ、トレジャーハントしたり、ボディガードするそうだ。 「あんたにできそうなこと……。 掃除、洗濯、その他雑用ってとこかしら?」 「御主人様が寂しくないよう、夜のお相手もできると思いますが?」 さっきの ”凄み” はどこへやら。軽~い調子になった使い魔の顎に右フックを叩き込む。 使い魔は崩れるように床に倒れこむ。 ルイズは知らない。コイツはギャングのエリート、『親衛隊』だったことを。…今の現状からはわかるまい。 「もし、平民でしかも使い魔のあんたが、貴族であり御主人様である私に、手を出したら……」 「……だ、出したら?」 「……… ”削りとる” わよ?」 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ …こいつにはやると言ったらやる 『スゴm(ry やっぱり、”腕”が鈍ってんな……。 ティッツァと組んでからは、口説く役はティッツァの仕事だったからな……。 顎をいたわりながら起きると、貴族であり御主人様であるルイズ様がベッドの上で脱ぎだした。 「ルイズさん? 言ってることと、やってることがオカシイですよ?」 「…なにが?」 「男の前で脱ぐってことは ”OK” てことで……」 物凄い速さでゴツイ装飾がされた本が飛んできた。 頭に当たれば脳漿ぶちまけること必至! …だったので、さすがに避けた。 「あんたは使い魔なの。犬、猫、その他もろもろと同然なの」 「…犬や猫だって愛の営みはしますよ?」 ……なんでさっきからコイツ敬語なのよ? 「犬同士、猫同士はね。でも、メイジと使い魔は、人間と犬の関係なの! 犬に裸見られたって、全然恥ずかしくないわ!」 …かなりへこんだ。 男のプライドは地に落ち、泥にまみれ、アリがたかっていた。 「だから使い魔は床に寝なさい。そんで、(あんたはスケベだから)朝起こすとき以外はベッドに近づかないこと!」 変なことしたら、只じゃおかないからッ!と厳しく言いつけらた。床を見つめるスクアーロ。 ルイズはキャミソールに着替え終わると、下着をスクアーロに投げ渡し、ベッドに潜りこんだ。 洗濯しときなさい。変なことしたら―――。最後まで言い終えないまま、ルイズは夢の世界へ入っていった。 どうやらかなり疲れていたようだ。無理もない。彼女の手に負えないことばかり起こる日だったのだから。 スクアーロは、(御主人様の御慈悲である)毛布に包まりながら、壁にもたれかかる。 とんでもないことになってるぜ? ティッツァーノ……。 目をつむり、”この世界「ハルケギニア」”について想う……。 とにかく…… 帰る方法が見つかるまで ”馬鹿で使えない” 使い魔を ”演じる” しかない。 こっちのことは何もわからねぇ。 だから、情報を得るまで動かないほうが良い。 このオレが、ギャングだとか、スタンド使いってことはできれば……一切知られたくない。(ギャングだとか、スタンドって概念があればだけどな……) …ルイズって娘には悪いが…… …本当に可哀想だが… 利用させてもらう……。 精々ルイズの前では ”スケベな軟派男” で通すか…… ほぼ”地”でイケるし……。 …”元の世界”のことを考える。相棒のこと。裏切り者どものこと。ボスのこと。組織のこと―――。 必ず帰る! 何をしてでも帰って見せる! おまえのためにもッ!オレのためにもッ!必ず帰るッ! 心配するなよ?ティッツァ…… 復讐だけに囚われているわけじゃねぇ…… もちろん償いはさせる! だが…ナランチャの…ヤツラの見せた『精神力』は何なのだ? あれほどの『精神力』を持ちえた人間を、オレは知らない。今はそれが知りたい…。 オレとおまえでも、掴み得なかったものが…… ヤツラを動かしてたのかなぁ……。 だから… 必ず帰って…… 手に入れような…… あの…輝くような…… そう… まるで… 『黄金のような精神』を……。 きっと… 二人で…… すぐに… できるさ…… オレとおまえなら… きっと―――。 まどろむの意識の中、隣で相棒が笑った気がした。 鮫技男と桃髪女 「The Story of the "Clash and Zero"」 第1章 オレは使い魔 後編終了 To Be Continued ==
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ガルーダ最終緩和だけなんだ。440.240.140だと思ってたわ - 名無しさん 2013-02-05 07 16 23 ーーーーーっっっp - 名無しさん 2012-09-04 02 07 31 ↑しかしエーコの特殊には反応したハズだぜ? - 名無しさん 2012-07-05 15 41 02 アジルスとラージャン、ラッシュは通常攻撃扱いじゃないんじゃないか。 アリオーシュの特殊が1回しか発動しなかったので。 - 名無しさん 2012-05-26 09 55 45
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前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔 ギーシュは早速ワルキューレに叩き伏せられた少年を見下ろした。 大口を叩いていたわりにはあっけない。 しかし、この平民がしゃしゃり出てきてくれて、正直助かったかな、と思う。 モンモランシーとケティにあんな振られ方をしたから、このままでは自分の株が急落するところだった。 思わずルイズにやつあたりしたところに現れたこの平民。 おかげで、決闘に注目が集まって、自分の失態は雲散霧消することだろう。 「立ちたまえ!あれだけの口を利いたのだ。これくらいで終わらせる気はさらさらない!」 少年は、片手で顔を抑えながらおぼつかない足取りで立ち上がった。頭から血を流している。 しかし不思議だ。とギーシュはその様子を見ながら思った。 この平民はなぜ、あの『白いゴーレム』を持ってこなかった? ギーシュは、ルイズの召還の一部始終を見ていた。 召還された平民が、何もないところから『白いゴーレム』を生み出したのも覚えていた。 あのような小さなゴーレムに自分のワルキューレが負けるとは毛頭思っていないが、あれを作り出したという『マジックアイテム』が唯一警戒すべきものだと思っていたのだが。 「(あれだけ自信満々だから、てっきり持ってくるものだと思っていたが、予想外だったね・・・)」 持っていないなら、残っているのは女の子にも負けそうなほど弱そうな、ただの平民が一人。 「(悪いが、ぼくのワルキューレとしばらくダンスしてもらうよ。)」 ギーシュはにやりと笑った。 康一は口の中に違和感を感じて、ぷっとそれを吐き出した。 真っ赤な鮮血と共に、歯が一本地面に転がった。 「く、くそっ!なんてことだッ・・・!」 動揺したところにまともに喰らってしまった・・・! 青銅の硬くて思い拳は、危うく一発で自分の意識を刈り取るところだった。 「(どうする!?)」 康一は、ゆっくりとこちらに近づいてくるワルキューレを見た。 『スタンド』は出せない。こんな衆人環視のなか、『スタンド』を出せば、間違いなく『先住』扱いされる。 かといって、生身であのくそったれワルキューレと戦って勝ち目があるとも思えない。 「とにかく・・・とにかく、あの攻撃を避けなくては・・・!」 このワルキューレ。パワーはなかなかだが、スピードは大したことはない・・・! 『スター・プラチナ』や『クレイジー・D』に比べれば蠅が止まるような速度さ。 『ACT3』でも余裕で翻弄できる! だが・・・! ワルキューレが拳をふりあげる。 「(来るのが分かっていても、生身では避けきれない!)」 顔面をガードした両腕の上から、青銅の拳が叩き込まれる。 ミシッ!と両腕から音がしたような気がした。 軽い康一の体は突き上げるようなパンチの衝撃でふわりと浮き上がった。 その康一の脇腹に叩き込まれるワルキューレのミドル・キック。 康一は血を吐きながらサッカーボールのように吹き飛び、人垣に激突した。 人垣は康一を広場へと押し戻し、康一はふらついて膝をついた。 「まだやるかい?」 ギーシュは尋ねた。これ以上やると『イジメ』になってしまう。それはあまり美しくない。 康一は何も言い返さなかった。 その代わりに、ギーシュとの間に立ちふさがるワルキューレの左足に、体勢を低くして渾身のタックルをいれた。 「あの平民、ワルキューレを倒そうとしてるぜ!!」見物客から歓声があがった。 しかし・・・ 「(う、動かない・・・!)」 ワルキューレは康一の全質量を受け止めてなお、ビクともしなかった。 「忘れたのかな?『青銅』なんだよ?まさか中がすっからかんの空洞だとは思ってないだろうね。重さは少なくとも50リーブル(約235kg)はある!君のようなチビがどうこうできるわけがないだろうッ!!」 ワルキューレは、左足にしがみつく康一を軽々と引き剥がすと、大きく頭上に掲げて背中から地面に叩きつける! その衝撃で康一は思い切りバウンドした。息が止まる・・・! ワルキューレは悶え苦しむ康一を足でいたぶった。蹴り転がし、踏みつける。 「もうやめて!」 ルイズが飛び出してきたのはそのときだった。 横たわる康一に覆いかぶさる。 「もう・・・もう勝負はついたわ!こいつの負けでいいから!」 ルイズは必死に叫んだ。 ギーシュはフン、と鼻を鳴らして鼻白む。 「これはぼくとその平民との決闘だ。その平民が『まいった』というまで勝負は続く・・・」 でもまぁ・・・。ギーシュはアゴをなでた。 「ぼくも弱いものいじめは趣味じゃない。ルイズ。主人である君がかわりに『すみませんでした』と謝るのならば、この場はこれで収めようじゃないか。」 ルイズはすぐに謝ろうと思った。このまま康一がボロボロになるのを見ていられない。 だが、ルイズの肩に、倒れていた康一が手をかけた。 「ま、まだ・・・終わってない・・・」 ルイズの肩を借りて立ち上がる。 「ルイズ・・・言っただろ・・・?『ぼくを信じてくれ』・・・って。まだ大丈夫。まだ終わってない・・・」 「もう無理よ!もうあんたは十分がんばったわよ!」 泣きそうになりながら叫ぶルイズに、康一は目じりだけで笑った。 そして、「け、決闘の邪魔だから・・・引き止めておいて・・・」と近くにいる見物人の一人に頼んだ。 見物人たちがルイズを引き剥がす。 「ダメよ!もうやめなさい!死んじゃうわ!!」 ルイズが叫ぶが、康一はもう振り返らない。 「大した根性だね。平民。立ち上がって何があるわけでもあるまいに・・・」 ギーシュが賞賛した。 「お、お前のワルキューレはぜんっぜん大したことないけどね・・・。」 康一はハッ、と笑いながら強がった。 ギーシュはピクリと眉を引きつらせた。 「なんだと?もういっぺんいってみろ・・・」 「何度でも言ってやる・・・。こんなハナクソみたいなゴーレムの一匹操れるくらいでいい気になってるなら、お里が知れる・・・そう言ったんだッ!」 「野郎ッ!!」 ワルキューレが大きく一歩を踏み出して、康一に殴りかかった。 康一は体勢を低くして、ワルキューレの足元に飛び込んだ。 「頭脳がマヌケか!?ワルキューレにタックルなど無意味だ!!」 しかし康一は、タックルの軌道よりもさらに体勢を低くする! 背中から飛び込むようにしてワルキューレの股の間をすり抜け、一回転してそのまま走り出した。 「あいつ、直接ギーシュを狙うつもりだ!」 観衆がどよめいた。 距離15m! ギーシュは笑った。 「フー。まさかそのぼろぼろの状態でそんな芸当をして見せるなんてね。いや、マジに恐れ入ったよ・・・。」 距離10m! 「窮鼠猫を噛むっていうのか?普通なら、『どうやって許してもらおうか。助けて神様!』って考えるべきところを、まだぼくを倒す気でいるとは・・・」 距離5m!! 「だがっ!『運命』とはそう甘いものじゃあないのだよ!『平民は貴族には勝てない』これは絶対なんだッ!」 ギーシュが造花を振った。花びらが舞い散り、康一がギーシュに殴りかかる寸前で6体のワルキューレになった。 康一はワルキューレに蹴り飛ばされて地面に転がった。 「・・・平民。名前は?」 ギーシュが這いつくばり血を吐きながら痛みに悶える康一に尋ねた。 「ぼくに全力を出させた平民の名前だ・・・覚えておこう。」 「広瀬・・・康一だ・・・」 康一がふらふらと立ち上がった。 「でも、『全力を出させた』ってのはちょっと違うな・・・『ぼくをボゴボゴにした平民』として覚えておけばいい・・・」 7体のワルキューレが円を描くようにして康一を囲んだ。 「まだそんな口が叩けるとはね・・・。まぁいい。一応最後にきいてやろう。 まだ、やるかい?」 康一は血まみれになりながら、ギーシュを睨みつけた。 「・・・・ってこい。」 「・・・なんだって?」 「かかってこい。っていったんだ。このマヌケ面。かかってきた瞬間、お前は敗北するッ・・・」 「君はもう・・・君はもう・・・」 杖を振り上げる。 ギーシュは覚悟を決めた。この平民を・・・殺す! 「君はもうおしまいだぁあ―――っ!!ワルキューレッ!!!」 七体のワルキューレが同時に突撃する。 逃げ道など・・・ない!! 「コーイチ――――ッ!!!」 ルイズの悲鳴と共に グシャアッッ!!! ワルキューレが殺到し、激しい金属音とともに激しく激突した。 後に残るのは死の静寂のみである。 「フゥー。つい殺してしまった。平民相手に大人気なかったかな。カッとなってしまった。」 ギーシュは少し乱れた髪を手で撫で付けた。 「しかし、これで平民じゃない新しい使い魔が召還できるってものだろう!僕に感謝したまえよ!」 とルイズに言葉を投げかけた。 しかし・・・ 様子がおかしい? ルイズは・・・いや、その周りの観客達も、みなポカーンとした目で僕のことを見ている。 いや、僕じゃない。その更に奥を見ている・・・? 「言ったはずだ・・・」 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ギーシュは振り向くこともできずにたらりと汗を流した。 「『かかってきた瞬間、お前は敗北する』とッ・・・・!」 「と、飛んだ・・・!」 「あそこからギーシュの背後までジャンプするなんて、平民に可能なのか!?」 「あの跳躍力は一体なんだァー!?」 一部始終を見ていた観客が悲鳴をあげた。 「ずっと待っていた。お前が複数の『ゴーレム』を出すのを・・・。観衆から、僕を隠す『死角』を作ってくれるのをッ!!!!」 あの瞬間、7体のゴーレムで覆い隠された『死角』で行われたことに気づいたのは、遠見の水晶球で様子を伺っていたオールド・オスマンと、飛びぬけた動体視力を持つタバサだけだった。 康一が絶体絶命のピンチに陥ったそのとき、『死角』の中に『緑色の生き物』が現れて、地面に『なにか』を貼り付けた。その瞬間『地面が跳ねた』のだ! ボヨヨヨ~~~ン! 「ゲエエエエエェエエ!!」 ギーシュは腰を抜かして飛びのいた。 そこに立っていたのは、確かにさっきワルキューレたちに潰されたはずの『平民』! しかしなぜ、こいつがここにいるんだぁー!! 「さぁ・・・次は・・・『お前の顔をボゴボゴにする』番だな・・・」 「ば、馬鹿なッ!!!」 ギーシュは自分に言い聞かせた。 ぼくは貴族だ。こんな平民に負けるわけがない。そうさ!ちょっとびっくりはしたが、それだけだ。こいつはこれ以上なにもできない! ギーシュは立ち上がった。 お互いに激突して動きを止めていたワルキューレたちも、次々と立ち上がっていく。 「ちょっぴり・・・ほんのちょっぴりだけ驚いたよ。でも、それだけだ!ぼくもワルキューレもピンピンしているぞ!!お前がワルキューレに頭蓋骨をぶち割られる『運命』に何も変わりはないッ!!」 「やっぱり・・・言い直すよ・・・・」 康一は滴る血を拭いもせずにギーシュを指差した。 「『かかってきた瞬間、お前はすでに敗北《した》!』」 ギーシュは激昂した。 「ふざけるなこのチビがぁー!ワルキュー 『ギーシュ様!最低です!』 「え!?」 突然耳元で声がしてギーシュは振り向いた。 「け、ケティ!?」 しかし振り向いても誰もいない。遠巻きに見守る観衆がいるだけだ。 『二度と私に近づかないで。』 今度の凍りつくような声色は・・・ 「ま、まさかモンモランシー?!」 だが、やはりギーシュの周りにいるのは、血まみれの平民だけだった。 それなのに、声が・・・声が聴こえる!! 『ギーシュ様!最低です!』 『二度と私に近づかないで。』 『ギーシュ。あなた、やっぱり一年生の子に手を出していたんだ・・・』 『ギーシュ様・・・やはりミス・モンモランシーと付き合っておられたのですね・・・』 『それってもしかしてモンモランシーの香水じゃあないのか!?』 『二度と私に近づかないで。』 『ギーシュ様!最低です!』 「や、やめろぉー!!!?」 ギーシュは耳をふさいでその場に膝をついた。 だがどんなに耳をふさいでも、その『声』は頭の中でグワングワンと鳴り響く。 頭が破裂しそうだァ――!! 「平民・・・!貴様何をしたぁぁぁー!」 「さぁね・・・格好つけたがりで、体裁が何よりも大事なお前に、似合いの結末を用意しただけだ・・・!」 空中に飛び上がった瞬間のことは、あのタバサを持ってしても目で追うことができなかった。 誰もの視線が外れた一瞬、康一の体の影から『小さな白い手』が現れて『文字のようなもの』をギーシュに投げつけたのだ。 オールド・オスマンだけはその様子を辛うじて捉えていた。 「さぁ・・・謝ってもらうぞッ!!」 康一が詰め寄る。 「や、やめろぉー!!来るなァ――――!!」 康一は、中腰になったままで押しとどめようとするギーシュの手を払いのける。 拳を振り上げた! 「う、うわぁぁぁぁー!」 「君がッ!!」右拳がギーシュのあごに直撃する! 「謝るまでッ!」左拳がギーシュのみぞおちにめり込む! 「殴るのをッ!」右拳がギーシュの脇腹をくの字に折り曲げ。 「やめないッ!!!」左拳がギーシュの顔面を捉えた。 「オオオオラァァァァァァ―――――――――!!」 ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ!!! 康一に残る全てを注ぎ込んだ渾身の、左右のラッシュ! 「ホガァー!!」 ギーシュは『じゃがいもだって目を背けるようなボゴボゴの顔面』になって吹き飛んだ。 「謝れーッ!」 康一は叫んだ。 「ふ、ふいまへんでひたぁー!!ぼくがわるかったからゆるひてくらはいー!!!!」 ギーシュは豚のような悲鳴をあげた。 康一はそれを聞くと、ACT1を解除した。 正直、限界だ・・・。もう一秒だって立っていられない。 ルイズが泣きそうな顔をしてこっちに走って来るのが見える。 「(だから、ぼくを信じろっていっただろ?)」 そう言おうと思ったのに声がでなかった。 ルイズのほうへ行こうとしたのに、足が動かなかった。 そのまま、力なく地面に倒れこんで、康一は意識を手放した。 前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔
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ルイズ「7万の兵士なんて無理よ、みんな死ぬんだわ」 使い魔「無理ではない、あなたはフーケやワルドと戦ってきたではないか」 ルイズ「何か方法はあるっていうの?」 使い魔「アルビオンの兵士達はライン以上のメイジを倒されると、自動的に撤退措置をするように命令されています」 ルイズ「なるほど…蛇の頭を潰すのね」 … ルイズ「やっぱりダメじゃない~~!」 使い魔「こうなったら奥の手を出すしかありませんな」 ♪キュ~ンキュ~ン キュ~ンキュ~ン わたしの彼は~パイロット~ (*オチ2) 使い魔「歌ってくれますかな?、ルイズさん」 ルイズ「こ…この…バカ犬~!…ちゃんとそばにいて~~…」 マクロスよりエキセドル召喚
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使い魔は手に入れたい Can t Stop? 『音声のみ』お楽しみください。 「変態ー!顔をにやけさして半裸で剣を担いだ男がーーーー!しかもなんか汗しっとり!」 「ちょっと待てぇえええええええ!」 「ひぃいいいいいいいい!なんか追ってきたー!誰かー!」 「なに叫んでやがる!?」 「誰かー!助けてー!」 「クソッ!誤解だ!俺は変態じゃない!」 「きゃあああああああああああ!」 「半裸で剣を担いでにやけていたし汗でしっとりしていたかもしれないが決して変態じゃない!」 「それのどこが変態じゃないのよ!」 「とにかく誤解だ!」 「あたしに自分の性癖をばらされたくなくて始末するつもりなのね!?」 「どうしてそうなる!?」 「なんであたしがこんな目にー!」 「だから誤解だ!」 「つかまるもんですか!どこまでも逃げてやる!」 「あの女!チクショウッ!どうしてあそこまで足が速いんだ!」 「どうせ始末されるぐらいなら村中にあんたのこと叫びまわってやるわ!」 「なんだとぉおおおおおおおおお!」 「向かいの爺さんの耳に入ったら最後、あんたのことなんか城下町まで知れ渡るんだから!あの爺スケベで口の軽さは天下一品よ!」 「チッ!デルフを抜くしかない!」 「あ!剣に手かけてる!誤解とか言いながらやっぱり始末するつもりね!」 「ち、違う!」 「なんか腹が立ってきたわ!このまま逃げ切ってあることないこと言いふらしてあんたの人生破滅させてやる!」 「なんでそうなるだ!ふざけてんじゃねえええええ!」 「あたしは本気よ!」 「なお悪いわ!」 「あ、なんか気持ちよくなってきた。もうすぐで風になそう!」 「さらに加速!?」 「あたしは風になる!」 「もういい!抜く!」 「大変なことになってんな相棒」 「きゃああああああああああああ!マジで抜いた!」 「待てやこらああああ!」