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ルイズとDIOは、お互いに背中合わせに立ち、 腕を組んでいる。 鏡に合わせたように同じポーズだが、生憎とルイズの身長は、 DIOの腰よりちょっと上の辺りまでしかない。 傍から見たら、背伸びをした子供が、 父親の真似をしているようにも見えるかもしれない。 「ご苦労様。 でもちょっと遅いわよ、DIO」 背中を合わせたまま、ルイズはふてくされたようにDIOに言った。 本当は、DIOが来てくれたことに安心していたし、 ちょっぴり………ほんのちょっぴりだけ嬉しかったりしたのだが、 ルイズは決してそれを態度には出さなかった。 ルイズのセリフに、DIOが肩をすくめた。 「せっかく助けてやったというのにそれか。 君はもう少し、感謝という言葉を覚えた方がいい」 言葉だけとってみれば、不満を漏らしたようにも聞こえるが、 その口調はどこか楽しげだった。 それを受けてルイズは、 やはり振り向きもしないままで軽口を叩いた。 「使い魔が御主人様を助けるのは当然なのよ? "ありがとう"なんて言葉は、あんたにはもったいないわ」 直ぐ目の前に巨大なゴーレムがいるにもかかわらず、 2人は声もなく、静かに笑った。 ―――と、2人が会話をしていると、 空から無数の氷の槍が、ゴーレム目掛けて飛来した。 ゴーレムは、肩に乗っているフーケを庇うように、 両腕を頭上でクロスした。 ルイズは弾かれたように上を見た。 シルフィードに乗ったキュルケとタバサが見えた。 どうやら先程の攻撃は、 タバサの風魔法によるものらしかった。 ゴーレムに気付いた2人が、駆けつけてきたのだ。 タバサの魔法のレベルの高さに、ルイズは一瞬だけ舌を巻いたが、 直ぐに気を取り直して、DIOの方を向いた。 「DIO! 『破壊の杖』、ちゃんと持ってきてるでしょうね!?」 DIOは無言で頷いた。 ルイズは慌てた様子で先を続けた。 「私に貸しなさい!」 ルイズの命令に、DIOはどこからともなく ズルリと『破壊の杖』を取り出した。 一体どこに仕舞っていたのか、ルイズは激しく疑問に思ったが、 残念ながら気にしている暇はない。 ルイズはDIOから『破壊の杖』をもぎ取ると、 一つ質問をした。 「爆発するって言ったわね。 どれくらいの規模なの?」 「…………少なくとも、十数メートル……おっと、 十数『メイル』は離れることをおすすめする。 細かい距離までは、分からんよ。 ……あのゴーレムに使うのか?」 何かを確かめるように『破壊の杖』の表面を撫でていたルイズは、 DIOの質問を、首を横に振って否定した。 その目は、フーケに対する憎悪で満ち満ちていた。 途端にルイズの声のトーンが下がる。 「そんな…もったいないこと……するわけないじゃない。 こいつの出番は、もう少し後よ。 ゴーレムは、あんたに任せるわ。 何が何でも倒してもらうから」 ルイズの空恐ろしい狙いを汲み取ったDIOは、 フフフ…、と笑った。 「これはこれは……フーケとやらに同情せざるを得ないな。 ……いいだろう。 可愛い『マスター』の願いを、叶えてやろうじゃあないか」 ルイズは、DIOを向いたまま、ニッコリと笑った。 そしてルイズは、ゴーレムに対して一瞥もくれずに、 笑顔のままゴーレム目掛けて杖を振り下ろした。 それに際して、ルイズは詠唱を行わなかった。 にもかかわらず、ゴーレムの足下で爆発が起こり、 ゴーレムの片足が吹き飛んだ。 バランスを崩したゴーレムは、片膝をついた。 詠唱を行う素振りを見せなかったルイズに、 DIOは興味津々といった表情を浮かべた。 そんなDIOの様子に気づいたのか、 ルイズは頭の傷を押さえながら、ぶっきらぼうに言った。 もうおおかた塞がってはいるが、未だに血が滲んでいる。 「戦闘経験を積んだメイジともなればね……、 詠唱しながらお喋りすることだって出来るのよ」 それは、以前フーケが、ルイズに向けて言った言葉だった。 ルイズは、フーケが使った技法をそっくり吸収していたのだ。 あのとき受けた屈辱を思い出し、 ルイズは唇をきつく噛み締めた。 血がつぅーと垂れて、血涙痕と相まって、ルイズの顔に新たなアクセントが加わる。 ゴーレムがバランスを崩したのを好機と見たのか、 キュルケとタバサを乗せたシルフィードが、2人の近くに降り立った。 「乗って!」 風竜に跨ったタバサが叫んだ。 ルイズは、後は任せたとばかりに"ポンッ"と DIOの胸を軽く叩いて、風竜に駆け寄り、跨った。 「あなたも早く!」 タバサが珍しく、焦った調子でDIOに言った。 しかし、DIOは風竜に乗らずに、 体勢を整えつつあるゴーレムに向き直った。 「私はいい」 短くそう告げるDIOを、タバサは無表情に見つめていたが、 ゴーレムをチラリと見やり、やむなく風竜を飛び上がらせた。 それとほぼ時を同じくして、 足の再生を終えたゴーレムが、ゆっくりと立ち上がった。 肩に乗るフーケが、空に舞い上がるシルフィードを見て、 忌々しげに呟いた。 「まったくどいつもこいつも…… ハエみたいに人を怒らせるのが得意だね!」 それから、ただ一人地表に残ったDIOに視線を向けた。 「あらあら、あなたご主人様に見捨てられちゃったみたいね。 捨て駒にされた気分はどう? 同情はするけど、容赦はしないわよ、私」 矛先をDIOに向けたフーケは、残酷な笑みを浮かべた。 しかし、DIOはフーケの言葉を華麗に無視して、 逆に質問をした。 「お前が欲しい物は?」 DIOの肩の後ろにある星形のアザが、鈍く輝いた。 人の内面を深く抉るDIOの言葉に、 フーケの体が硬直した。 鎧でガチガチに固められたはずの心に、 そのわずかな隙間を縫って針が突き立てられたような衝撃を、 フーケは感じていた。 自分の大切な部分に土足で入り込まれて、 思わず激昂する。 「!!………ッッぶっ殺してやる!!!」 心に忍び寄る闇を振り払うように吐き捨てたフーケは、 ゴーレムの左手を鋼鉄に変え、DIOめがけて振り下ろした。 DIOはつまらなさそうに、フンッと呟き、片手を振った。 それに応じたように、DIOの体から半透明の人影が浮き出てきて、 迫るゴーレムの拳を、殴りつけた。 "ゴワァアアアン!!" と、クラクラするような轟音があたりに響き、 次の瞬間、ゴーレムの拳にヒビが入り、 やがてガラガラと崩れ落ちた。 「何!?」 フーケは、自分の予想とは全く異なる展開に、 ひきつった声を上げた。 フーケは以前、オスマン達とともに、DIOの戦いを見たことがあった。 そのときの……ルーンが怪しい光を放つまでのDIOは、 先程の幽霊のような物を使役していた。 その存在にフーケは少し驚きはしたものの、 その幽霊の腕力は、せいぜい青銅を凹ませる程度だったのだ。 フーケはその時のデータを参考にした上で、ゴーレムの拳を鋼鉄に変えたのだった。 しかし、これでは話が違うではないか…! 以前よりも強力になった幽霊に、 フーケは少し浮き足立った。 その隙を狙う形で、DIOは剣を2本、 やはりどこからともなくズルリと取り出した。 デルフリンガと、シュペー卿の剣だった。 一体どこに仕舞っていたというのだろうか? 「まぁ……すごい! DIOのズボンって、魔法のズボンみたいね。 何でも出てくるもの!」 上空から、キュルケの感心したような声が聞こえた。 勢いを削がれたDIOは、いかんともしがたい表情を 上空のシルフィードに向けた。 to be continued…… 43へ
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/401.html
早朝、ルイズ・フランソワーズは、蜂の巣をつついたような喧騒に、目を覚ました。 こんな朝っぱらから騒がしい… そう毒づいて、眠い目をこすりつつ、耳を澄ませる。 どうやら、外の廊下を学院中の教師たちがバタバタと走っているようだ。 皆口々に何かをわめいている。 ルイズはネグリジェのままベッドを下りて、扉に耳を当てた。 教師たちが『一大事!』やら、『宝物庫に賊が…!』やらといった内容を言い合いながら、 ルイズの部屋の前を通り過ぎ、本塔へ向かっているようだ。 ルイズの顔から、さぁっと血の気が引いた。 振り返って、自分の部屋を見る。 部屋の中は、DIOが宝物庫からパチってきた宝で一杯だ。 …………とうとうバレたか? ルイズは死にたくなった。 無論、今の今まで問題を先延ばしにしていたのは、ルイズ自身だ。 次から次へと増えていく宝の山に、最初はまずいと思ってはいたが、 次第に感覚が麻痺していき、最終的にどうでもいいやと思い出したのがまずかったか。 激しく後悔するが、もう遅い。 ルイズはソファーに横たわっているDIOを見た。 いつものように優雅に本を読んでいる。 いつもどおりなのだが、今日に限ってやけに腹が立つ。 どうしよう… ……今度こそ、退学か? それだけは勘弁してほしかった。 どの面下げてヴァリエール家に帰れというのか。 カトレア姉さまに何をされたかわかったものじゃない。 ボロきれのようにされる自分を想像して、ルイズの顔がますます青ざめる。 ---ええい、ままよ! 追い詰められたルイズはヤケクソになった。 こうなったら仕方がない。 とことんまで逃げきってやろうじゃないか! ルイズは密かに決意した。 使い魔の不始末は、ご主人様の責任なのだ。 こうして、明らかに方向性を誤った決断を下したルイズは、教師たちが集結しつつある、本塔五階の宝物庫へ向かうことにした。 いずれ、生徒の部屋にもガサ入れが来るに違いない。 それまでに、まずは、敵の戦略を読むのだ。 ルイズは音も立てずに扉を開けた。 すると、後ろからDIOが話しかけてきた。 「…どこに行くのかな?」 ルイズは振り向きもせずに答えた。 「あんたのケツを拭きに行くのよ…!」 ルイズはDIOの反応も待たず、通路にでて、扉を閉めた。 そして、滑るように本塔へと廊下を駆け抜けた。 -------- 宝物庫には学院中の教師が集まり、その惨状に口をあんぐりと開けた。 まず驚いたのは、トリステイン魔法学院の誇る宝物庫の扉が、 粉々に吹っ飛んで、瓦礫の山になっていたことだ。 中はもっとひどかった。 高価な美術品や秘薬や財宝が、メチャクチャにされている。 一体どれだけの被害になるのか、見当もつかない。 壁には、『土くれ』のフーケの犯行声明が刻まれている。 『破壊の杖、確かに領収いたしました。土くれのフーケ』 もうひとつ、教師たちの目を引いた物がある。 本棚の後ろにある、隠し部屋のことだった。 今まで、目録を作るために宝物庫に入ったことのある教師は大勢いるが、 こんな部屋があるとは誰も聞いたことがなかった。 しかし、その隠し部屋も、メチャクチャに破壊されている。 教師たちは口々に好き勝手なことを喚いていた。 「土くれのフーケ! 貴族たちの財宝を荒らしまくっているという盗賊か! 魔法学院にまで手を出しおって! 随分とナメられたものじゃないか!」 「衛兵は何をやっていた!?」 「衛兵などあてにならん! 所詮は平民だ! それより、当直の貴族は誰だったんだね!?」 ミセス・シュヴルーズは震え上がった。 昨晩の当直は、彼女であった。 まさか、魔法学院を襲う盗賊がいるなどとは夢にも思わずに、 当直をサボり、ぐうぐう自室で寝ていたのだった。 本来なら、夜通し門の詰め所に待機していなければならないのに。 「ミセス・シュヴルーズ! 当直はあなただったのではありませんか!?」 教師の1人が、さっそくミセス・シュヴルーズを追求し始めた。 あの恐ろしいオールド・オスマンが来る前に、責任の所在を明らかにしておこうというのだろう。 ミセスシュヴルーズはしどろもどろで反論した。 「た、確かにそうですが……み、ミスタ・ギトーこそ、 以前の当直をサボっていたではないですか…!」 シュヴルーズの言葉に、ギトーと呼ばれた教師が、顔を真っ赤にした。 「な、何だと…!あの時は、わ、私は、大切な用事があったからで…!」 教師達は次々と責任の擦り付けあいを始めた。 おまえが悪い! あなたの方こそ…! 罵詈雑言が飛び交う五階の階段の影から、その様子に呆れた視線を投げかける人物がいた。 ルイズ・フランソワーズだった。 ピンクの髪がふわりと揺れる。 呆れる一方で、ルイズはほくそ笑んだ。 どうやら、話題になっているのは『土くれ』のフーケという盗賊のようだった。 ルイズもウワサだけは聞いたことがあった。 そのフーケが、宝物庫を破った犯人ということになっているらしい。 つまり、フーケが忍び込んでくれたお陰で、全てはフーケの罪になるということだ。 宝物庫を破ったのはフーケ。 宝を奪ったのもフーケだ。 ルイズは、会ったこともない盗賊に、取り敢えずの感謝を捧げた。 しかし…………ルイズの表情に影が差す。 このままフーケが逃走してくれれば、それはそれでいい。 オールド・オスマンの立場が悪くなるだけだ。 そんなことはルイズは知ったこっちゃない。 だが、問題はそのオールド・オスマンの…学院側の動きだ。 ルイズは考える。 他の財宝はさておき、フーケがはっきりと犯行声明を出した『破壊の杖』だけは、 貴族としての誇りをかけて全力で取り戻そうとするに違いない。 王室には内密にメイジを派遣して、フーケを捕獲しようとするだろう。 フーケさえ捕らえれば、とりあえずは貴族としての体裁は保たれる。 この惨状は…どうとでもだまくらかせる。 教師の一人二人位は、そのためのスケープゴートにされるだろうが…。 あの老獪なオールド・オスマンなら、眉一つ動かさずにやってのけるだろう。 そして、もし、フーケが学園側に捕獲されてしまった場合、紛失した宝のありかを聞き出すために、オスマンはフーケを拷問するだろう。 ---ルイズは親指の爪をギリリと噛んだ。 いくら百戦錬磨のフーケとはいえ、『あの』オールド・オスマンの拷問に耐えられるとは、とてもじゃあないが思えない。 直ぐにゲロするだろう。 そうなるとまずい。 宝を盗んだのがフーケではないとバレてしまう。直に疑いの目は内部に向けられ、自分に捜査の手が伸びてくる可能性がでてくる。 別に、疑われたとしても、ルイズにはシラをきり通すだけの自信があった。 が、この場合それではダメだ。 少しでも疑われるのは避けねばならない。 相手はあのオールド・オスマンだ。 あくまでも100%全てフーケの仕業ということにしなければ…。 そのためには、何とか学院側の先回りをして、『破壊の杖』を奪還して、フーケを始末し、口を封じる必要がある。 『破壊の杖』さえ戻れば、学院側は最低限満足してくれる。 『破壊の杖』の奪還はすなわち、フーケ撃退の証でもあるからだ。 しかし、始末しようにも、 フーケが今どこにいるのか、ルイズにはわからない。 どうするべきか…? 思案を続けていると、誰かが慌てた足取りで近づいてくる音がした。 2人分の足音だ。 さっと身を隠すルイズ。 オールド・オスマンと、コルベールだ。 2人はバタバタと慌てた足取りで宝物庫に入る。 教師は全員、宝物庫に入ったようだ。 ルイズはそう思うと、階段の影から、破壊された宝物庫の扉の影へと身を移した。 瓦礫が上手いことルイズの体を隠した。 ルイズは身を隠しながら、中の様子を伺った。 見ると、オールド・オスマンは『破壊の杖』があった一角には目もくれず、 一直線に本棚の奥の隠し部屋へと向かっていた。 怪訝な表情を浮かべるルイズだったが、隠し部屋の中は暗く、よくわからない。 ルイズは暫く様子を見ることにした。 ---------- オールド・オスマンは、宝物庫に駆けつけると、『破壊の杖』が盗まれた現場になど目もくれず、本棚の裏の隠し部屋へ足を運んだ。 油断のない足取りで、奥へと進む。 不気味なほど静かだ。 隠し部屋への通路は、コルク栓を抜いたように、円形に抉られている。 オスマンの脳裏に、忌むべき過去が蘇る。 威力こそ劣るものの、間違いなく、奴の仕業だった。 部屋の中央に到達すると、オスマンは信じられない物を見た。 百余年前、自分が持てる技術を結集した結界が、破られていたのだ。 ルーンの輝きが失われている。 鎖が千切れ、封印していたはずの本が、 床に転がっている。 オスマンの頬に冷や汗が垂れる。 弾かれたように杖を構えるオスマン。 一歩一歩、時間をかけて本に近づく。 ---本がひとりでにガタガタと震えだした。 その瞬間、オスマンの杖が電光石火で振られ、杖からまばゆい光が放たれ、本に直撃した。 強烈な光に包まれ、本の動きがピタリと止まった。 オスマンは安堵のため息をついた。 これで当座はしのげるだろう。 本を拾い上げて、オスマンはそれを台座に戻した。 だが……と、オスマンは疑問に思う。 『土くれ』のフーケの話は、オスマンも知っていた。 ウワサによれば、フーケは『トライアングル』クラスのメイジらしい。 しかし、これはどうみても『トライアングル』クラスのメイジの手には余る所業だった。 『スクウェア』クラスのメイジ数人がかりの『固定化』を打ち破り、あまつさえこの封印をも破るとは。 実力を見誤っていたか? そこまで強力なメイジだとは聞いたこともないが…。 いっそ人ではなく、物の怪の類の仕業と考えた方が楽だ。 化け物………オスマンには、1人だけ、心当たりがあった。 確証が持てなかったが、一人の人物の顔が脳裏に浮かぶ。 これは…………もしや…。 ---------- しばらくして、オールドオスマンが隠し部屋から出てくると、教師達は口々にオスマンに自らに責任がないことをがなり立てた。 オスマンはしばらく黙っていたが、自らの保身しか考えていない教師達に苛立ち、杖で床をドンと叩いた。 「…静まれぃ!」 オスマンの低い一喝で、教師達はシンとなった。 誰かがゴクリと唾を飲み込んだ。 「貴様らの中で、まともに当直をしたことのあるヤツが、何人おる?」 静かなオスマンの問いには、しかし、誰も答えられなかった。 「さて、これが現実じゃ。 責任があるとするなら、我々全員じゃ。 この中の誰もが……、もちろんワシを含めてじゃが…、 まさかこの魔法学院が賊に襲われるなど、夢にも思っていなかった。 何せ、ここにいるのは、ほとんどがメイジじゃからな。 誰が好き好んで、虎穴に入るものかと思っておったが、間違いじゃった」 オスマンは、宝物庫の扉にあいた穴を見つめた。 「このとおり、賊は大胆にも忍び込み、『破壊の杖』以下、財宝十数点を奪っていきおった。 つまり、我々は油断していたのじゃ。 責任があるとするなら、改めていうが、我ら全員にあるといわねばなるまい」 オスマンの、杖を持つ手がブルブルと怒りで震えていた。 皆、俯いたまま一言も喋らない。 「……目撃者はおらんのか?」 オスマンの問いに、コルベールが答えた。 「ざ、残念ながら、深夜の突然の出来事だったようで……」 「ふむ……後を追おうにも、手がかりナシというわけか…」 オスマンはヒゲを撫でた。 それからオスマンは、気づいたように再びコルベールに尋ねた。 「ときに、ミス・ロングビルはどうしたね?」 「それが、その…、昨夜から姿が見えませんで」 「この非常時に、どこに行ったんじゃ」 「さ、さぁ…」 そんな風に噂をしていると、宝物庫に1人の人間がフラフラと入ってきた。 服はボロボロで、ほとんど半裸だ。 全身傷だらけで、酷い火傷も負っている。 呼吸は荒く、右手で左腕を痛そうに押さえて、 右足をズルズルと引きずっている。 歩いた後には、血の後が点々と続いていた。 出血も激しそうだ。 誰がどうみても重傷だ。 ミス・ロングビルだった。 「……オ、オールド・オスマン…」 ミス・ロングビルは、オスマンの前までやっとの思いでたどり着くと、 そこで力尽きたのか、バタリと倒れて、意識を失った。 宝物庫内は騒然となった。 to be continued…… 35へ
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やられた…やつは…こんなに近くまで…来ていたのか… 血がなくなって…体が冷たくなっていく。俺の出番も…ここまでか…… だがッ!やっと掴んだ奴の正体!皆に伝えなくてはならないッ! これが俺の最後の…役…め……だ……気づいて………く…れ そして意識は暗黒へ沈む 何も無い世界に侵され自分自身すら曖昧に消えながら、男は自分の最期に満足していた。 これでいいのだ 俺はやりきったのだ と 暗黒の世界、何も感じられず死んだ事も忘れて、次の生を待つ存在となったソレはふと 気が付いた 体の一部が暖かくなったのだ あぁ…ここは唇 そう理解した途端、全身が有る事を思い出した。身体に熱が巡る 身体がある事を思い出したが、未だ暗黒の中に居る 何もできない しかし急に左側の手が強く熱を持ちだした。堪らず叫ぶ 「うぉおお!熱い!何だこれは!」 すると暗黒は晴れ、視界は一面青空に満たされた 人影を除いて 「あんた…だれ?」 突然の光に目をくらませ、彼、レオーネ・アバッキオは眩しい光に包まれた桃色の髪の少女に、何か大きな感情を感じていた。 サーヴァント・ブルース 繰り返す使い魔
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「下着のようなデリケートなモノは私に任せてください。慣れてないと生地を傷めます」 「あぁ、ぜひお願いするよ」 水場で肩を並べて洗濯しているのは、シエスタと露伴だ。 昨夜ルイズに洗濯しておくように言われたシャツ、スカート、下着に合わせ、ベッドに掛けられていたシーツも。 衣類三つはシエスタに任せ、露伴は一際大きいタライにシーツをひたし、裸足になって踏むように洗っている。 今朝はルイズの絶叫にて起こされた。それと同時に静の泣き声の協奏曲だった。 どうと言うことはない、ただ単純に静がおねしょしただけの事だ。 生後一年に満たない赤ん坊だ、おねしょして当然だろう。 しかし、突然生暖かいモノに襲われたルイズの驚きようは尋常じゃなかった。 塔全体に響き渡りそうな絶叫だったが、不思議と聞きとがめて覗きに来るようなモノはいなかった、何らかの魔法を使っているのだろうか。 とりあえず静を裸にして、汚物にまみれた服とシーツと、ルイズの服もまとめて洗濯している。 シエスタには洗い場を探しているときに遭遇したのだ、お約束である。 とりあえず汚れの酷い静の服と、シーツを重点的に洗う。 赤ん坊の排泄物はさほど匂わないと聞いていたのだが、離乳の始まる生後半年頃にもなるとすっぱい匂いを確認した。 コレで赤ん坊を書くときよりリアルな描写が出来るぞ、と思いつつ露伴は踏み洗いを続行する。 「そう言えばロハンさん。シズカちゃんはロハンさんの……?」 「ん? あっはっは。何を言ってるんだ、ぼくはまだ二十歳だぞ。それに人付き合いという煩わしいモノより大切なモノがあるからね」 静は知人からの借りものさ。言ってなかったっけ? と露伴が言う。 「え……ですが、十代で結婚は普通だと思うんですが……」 「そうなのかい。なるほど、それは勉強になった」 この間、露伴はシエスタの顔を一度も見ていない。 顔を見ようとしない露伴にシエスタは怪訝そうな顔をするが。 「あの、ロハンさん。ロハンさんってどんなところに住んでたんですか? ミス・ヴァリエールへの対応が平民とかけ離れてるように思えて……」 「杜王町という町だ。特に都会というわけではないが自然が一杯で静かで、仕事がやりやすい、良いところだよ」 露伴の言葉『自然が一杯』と言うフレーズでシエスタは己の故郷、タルブの村を思い起こす。 「お仕事、されてたんですか。どう言った?」 「ぼくの生業は作家だよ」 「作家さんですか……どう言った物を書いていたんですか?」 「タイトルは『ピンクダークの少年』という。最近はちょっと事情があって休載していたがね。そろそろ再開しないと。ははは……」 聞いたことのないタイトルにシエスタは首をひねるが、『イーヴァルディの勇者』みたいなモノだろうかと想像する。 活版印刷のないこの世界で、出版物としての物語でポピュラーなのは『イーヴァルディの勇者』という叙事詩である。 シエスタも幼い頃、母に読んでもらったことは覚えている。 「ここでの経験は素晴らしいよ!! 今こうしているだけでも創作意欲がわいてくる。しかし道具がないのが悔やまれるな……どうにかして調達しないと」 踏み洗いしながら露伴は呟く。 「コレからいったい何が起こるのかぼくには全く予想が付かない……… まぁ、あちらに残してしまった事をそのままにしておく訳にもいかないから、帰らなくちゃ行けないんだけどね……」 そう言って沈黙した露伴に、シエスタは何か言おうとして口を噤んだ。 自分では理解できない思いで露伴が悩んでいることを察したからである。 「きっと………帰れますよ」 「……あぁ、赤ん坊のためにも、見つけ出さないとな」 丁度、汚れがキレイに落ちた。 汚れは落ちたと言ってもまだ濡れている。 日干しをシエスタに任せて露伴は急ぎ足で部屋へと戻る。 途中何人かの生徒と擦れ違い、その度に指差されて笑われたが、露伴はそれらを全て無視した。 ノックもせずドアをガチャリと。 「ん? 鍵締めてなかったのか」 そう呟いて内開きの扉を押して開く。 するとそこには、部屋の真ん中で困惑した様子で静を抱くルイズの姿があった。 「ちょっとロハン遅いわよ。はい」 そう言ってルイズは静を定位置へ、露伴の腕へと帰す。 一着しかない服は洗濯しているため、その代わりにタオルケットでくるまれている。 「もう、この子、人の胸ばっかまさぐってくるのよ」 「お腹がすいたんだろうな。吸わせてやれば良かったじゃないか、良い経験になる」 「っ…………」 落ち着け、落ち着け~、とルイズは自制する。 こいつの性格はまだ一日しかたってないがすこし把握した。 こいつは『全て良い経験』で片付けてしまう節がある。 下心も何もあったもんじゃないと言うことを把握した。ニヤニヤ笑っていれば冗談で言っているのがわかるが、真顔で言うのだから抗議のしようがない。 「吸わせてやってもいい気になったら言ってくれ。ぜひその場をスケッチさせてもらいたい」 前言撤回、こいつはどうにか自重させなければ……。 「ところでもう着替えたのか」 露伴の言葉に、ルイズは呆れたような口調で応える。 「だって仕方ないじゃない。シズカのおねしょで服汚れちゃったし。汚れたままあんた待つってのもおかしいし」 「そうか、てっきり着替えさせろとでも言うかと思ったのだがね」 「させようと思ったわよ。でも汚れたまま待つのもイヤだし。服脱いで全裸で待つのもイヤだし」 「ぼくとしてはぜひさせてもらいたかったというのも少しあるかな。人の服の着脱をしてやるというのも良い経験になる。もちろん君の頃の女子の肌がどんな感触かも確かめさせてもらうがね」 露伴がそう言った途端、ルイズは紅潮し両手で肩を抱くようにして引いた。 「………どうした、使い魔に裸を見られてもどうって事無いんじゃなかったのか? それに恥ずかしがるような体型でもないだろう」 「ぁ、あんたの言い方がいちいち卑猥なのよ! なんであえてそんな言い方するのよ! 一言おおいのよあんたはっ!」 「違うな。卑猥なのはぼくじゃない、それを卑猥だと感じる君の方が卑猥なんだ」 「な…………なんで私がっ!!!」 「ぼくは常に知識を増やそうと努力している。その為ならばたとえどんなことだろうと甘んじて受け入れる『覚悟』をしている。そしてその知識には卑猥とか卑猥でないと言った区別は『ない』のだ。判断してるのはルイズ君だ」 「………なんかあんたと話してると頭いたくなってくるわ……良いわよもう、好きにしなさい」 そうさせてもらうよ、と露伴は応え。部屋を出るルイズの追従する。 それと同時に、隣の部屋のドアが開いた。 こいつは、確かキュルケと言ったか。 ヴァリエールの領地の隣、ゲルマニアのツェルプストーの一人娘。 確か歳は十八、ルイズの記憶によると男遊びが過ぎてゲルマニアにいられなくなってトリステインに来るようになった、とか書かれていたな。 しかしそれはあくまでルイズの記憶、ルイズの感想でしかないからあまり参考にはならんな。 後でこいつも直接読むか……。 なんて、露伴が考えていることを想像だにせず、等の二人は廊下のど真ん中でぎゃあぎゃあと叫いていた。 厳密に言えば、叫いているのはルイズだけで、キュルケはそれをさらりと流しているだけだったが。 「やっぱり使い魔はこうじゃなくっちゃね~。フレイム」 そう言ってキュルケの部屋からのそのそと出てきたのは真っ赤な何かだった。 「むっ、しっぽに炎があるデザインなのか。トカゲのようだが鱗は……なるほど、ずいぶん細かいな。体長は190ほどか。足はさすがに短いな」 フレイムが出てきた途端、露伴は飛びついてなで回し始めた。 もちろん、その腕のシズカはキュルケに押しつけた。 突然なで回されてフレイムは当惑しているようだったが。キュルケはそんな露伴の行為に満足そうに笑みを浮かべた。 「火竜山脈のサラマンダーよ。タバサのシルフィードには劣るけど、それでも一級品の使い魔よ。その辺の好事家に見せたら値段なんてつかないわよぉ~」 「ふん、あんた『火』属性だしね。そりゃよかったわね」 「えぇ、微熱のキュルケですもの、でもそれで男の子とはイチコロ、あなたと違ってね」 そう言ってキュルケが胸を張ると、豊かなバストがぷるんと震える。 負けじとルイズが胸を張るが、戦力不足は否めない、見ている露伴が惨めな物を見る目つきになっている。 「わ、わたしはこれからなんだもん! コレから大きくなるもん!」 「十六でそれでは絶望的だがな……」 ぽろりと零した言葉に、ルイズは殺気を込めて露伴を睨んだ。 「あなた、名前は?」 ルイズとのコミュニケーションをほどほどに切り上げて、次にキュルケは露伴に話しかける。 「岸辺 露伴」 「キシベロハン? 変わった名前ね」 「ロハンが名前だ」 顔を上げることなく露伴は未だにフレイムのしっぽをなで回してる。 時たま「あちっち」としっぽの炎に触れてる。 満足したのか、露伴はすっくと立ち上がり、キュルケから静を受け取る。 「可愛いわね。あなたの子?」 「違うわよっ! あんたわかってて言ってるでしょ!」 「当然じゃない。子供どころかあんたには付き合ってる男の子すらもいないものね。じゃあお先に失礼」 ほーっほっほと笑いながらキュルケが去ると、フレイムも図体の割に可愛い足取りでちょこちょこと付いていった。 「きぃーーーーーっ、悔しい、何よ自分が火竜山脈のサラマンダー召喚したからって調子に乗って!」 「良いじゃないか、別に何を召喚しても」 「良くないわよ! メイジの実力を見るには使い魔を見ろって言われるくらいなのよ!? それなのになんであのバカ女がサラマンダーで私が平民なのよ!」 相当悔しいらしい、露伴から見ても哀れに思うくらいだから相当なモノだ。 「キュルケはフレイム一匹でお前はぼくら二人じゃないか、その時点で大当たりじゃないのか」 「平民なんて物の数じゃないわよ! いぬと狼くらいの違いがあるわよ! あぁもう、せめてなにか自慢できるようなことがあればいいのに、もうっ」 発狂寸前である、露伴が『お前』と呼んだ事にも気付かないほどだった。 何を血迷ったのか。 露伴はそう悔しがるルイズに、言ってしまったのだ。 「君がそう思うならその内見せてやるよ、ぼくのチカラを」 「……ねぇ露伴今なんて?」 「赤ん坊がお腹を空かせている、早く厨房に行こうじゃないか。ぼくもお腹がすいた」 「ねぇ露伴今なんて言ったの? ひょっとして何か特技でもあるの?ねぇ今確かに言ったわよね? 今すぐ見せてみなさいよ。あ、ひょっとして昨日『見えない』とかなんか言ったことが関係あるの? ロハン! ご主人様の命令が聞けないの!? ちょっとっ」 つい言ってしまった事をほんの少し後悔しながら露伴は歩く。 その後ろを、瞳をまるで子供のような好奇心一杯で輝かせるルイズを、力の限り無視しながら。 こんな生意気なガキは嫌いなはずなのに。
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ガルーダ最終緩和だけなんだ。440.240.140だと思ってたわ - 名無しさん 2013-02-05 07 16 23 ーーーーーっっっp - 名無しさん 2012-09-04 02 07 31 ↑しかしエーコの特殊には反応したハズだぜ? - 名無しさん 2012-07-05 15 41 02 アジルスとラージャン、ラッシュは通常攻撃扱いじゃないんじゃないか。 アリオーシュの特殊が1回しか発動しなかったので。 - 名無しさん 2012-05-26 09 55 45
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使い魔は手に入れたい Can t Stop? 『音声のみ』お楽しみください。 「変態ー!顔をにやけさして半裸で剣を担いだ男がーーーー!しかもなんか汗しっとり!」 「ちょっと待てぇえええええええ!」 「ひぃいいいいいいいい!なんか追ってきたー!誰かー!」 「なに叫んでやがる!?」 「誰かー!助けてー!」 「クソッ!誤解だ!俺は変態じゃない!」 「きゃあああああああああああ!」 「半裸で剣を担いでにやけていたし汗でしっとりしていたかもしれないが決して変態じゃない!」 「それのどこが変態じゃないのよ!」 「とにかく誤解だ!」 「あたしに自分の性癖をばらされたくなくて始末するつもりなのね!?」 「どうしてそうなる!?」 「なんであたしがこんな目にー!」 「だから誤解だ!」 「つかまるもんですか!どこまでも逃げてやる!」 「あの女!チクショウッ!どうしてあそこまで足が速いんだ!」 「どうせ始末されるぐらいなら村中にあんたのこと叫びまわってやるわ!」 「なんだとぉおおおおおおおおお!」 「向かいの爺さんの耳に入ったら最後、あんたのことなんか城下町まで知れ渡るんだから!あの爺スケベで口の軽さは天下一品よ!」 「チッ!デルフを抜くしかない!」 「あ!剣に手かけてる!誤解とか言いながらやっぱり始末するつもりね!」 「ち、違う!」 「なんか腹が立ってきたわ!このまま逃げ切ってあることないこと言いふらしてあんたの人生破滅させてやる!」 「なんでそうなるだ!ふざけてんじゃねえええええ!」 「あたしは本気よ!」 「なお悪いわ!」 「あ、なんか気持ちよくなってきた。もうすぐで風になそう!」 「さらに加速!?」 「あたしは風になる!」 「もういい!抜く!」 「大変なことになってんな相棒」 「きゃああああああああああああ!マジで抜いた!」 「待てやこらああああ!」
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1100年前 古代都市「シャンドラ」栄える。 900年前 王国の存在・思想が現れる? 900年前 トンタッタ族がドレスローザで、ドンキホーテ王の奴隷として働かされた ▼空白の100年▲ 800年前 古代都市「シャンドラ」滅びる。ここまでの間に、地上で途絶えた ▲世界政府誕生▲ 800年前 20の国の王が世界政府を作る 800年前 ポーネグリフを残した「ある巨大な王国」が滅びる 800年前 19の国の王が聖地マリージョアに住み始める(巻七十三) 800年前 ドンキホーテ一族がマリージョアへ移住したため、リク一族がドレスローザの王になる(巻七十三) 700年前 テキーラ・ウルフで橋の建造開始(巻五十四) 400年前 モンブラン・ノーランドの探検船、ヴィラを出航。 398年前 モンブラン・ノーランドの探検船、ジャヤに到着。 394年前 突き上げる海流に乗って、アッパーヤード(ジャヤ)が空にやって来る。 以後、大地の先住民シャンディアと空の者との戦いが始まる。 391年前 ノーランド、国王や兵士達とともに2度目のジャヤ到着。 392年前 モンブラン・ノーランド、「ウソつき」として処刑される。2度目のジャヤ到着の日より半年後。 210年前 南の海の王国ブリスより、「セントブリス号」出航。(巻二十四) 200年前 リュウグウ王国が世界政府の加盟国になる(巻六十三) 158年前 ドリー、ブロギー誕生。 139年前 Dr.くれは誕生。 100年前 ドリー、ブロギー(ともに58)、リトルガーデンで決闘開始。 71年前 クロッカス誕生。 50年前 ラブーン、西の海から海賊とともにリヴァースマウンテンへ。 50年前 カーシー、オイモ、ドリー・ブロギーを探しに出るが海軍に捕らえられ、 お頭の解放と引き換えにエニエス・ロビーの門を100年間守るという条件をのむ。 40年前 ブードル、海賊にやられた古い町跡の荒れ地に町を再建。 40年前 マリリン、スカイピア一の美女、ミス・スカイピアになる。 40年前 シャクヤク(シャッキー)が海賊から足を洗う(巻五十一) 37年前 シャンクス誕生。 36年前 大泥棒ヒルルク、西の国で「奇跡の桜」を見る。医者として研究開始。 34年前 ゼファーが大将へ昇格(巻千) 32年前 ゼファーが海軍の教官に 31年前 ボア・ハンコック誕生 30年前 ニコ・ロビン誕生 28年前 ゴール・D・ロジャーが不治の病にかかる 28年前 クロッカスがロジャー海賊団の船医になる 26年前 トラファルガー・ロー誕生 25年前 ゴール・D・ロジャーが偉大なる航路(グランドライン)を制覇 25年前 ロジャー海賊団が解散する 24年前 金獅子のシキがマリンフォードで捕らえられる 24年前 ゴール・D・ロジャーが処刑される 24年前 フランキー、廃船島に現れトムに拾われる。 ~大海賊時代~ 23年前 たしぎ、くいな誕生 22年前 海軍のバスターコールによりオハラが滅びる 22年前 金獅子のシキがインペルダウンから脱走 22年前 ポートガス・D・エース誕生 21年前 サンジ、ゾロ誕生 20年以上も前 ガン・フォールが神の座にあった頃、 「豪快で気持ちのいい海賊(ゴール・D・ロジャー)」が空島に来る。 20年前 ナミ誕生 19年前 ルフィ、ウソップ誕生 19年前 ハンコック、マリーゴールド、サンダーソニアが天竜人の奴隷になる(巻五十三) 18年前 ネフェルタリ・ビビ誕生 17年前 チョッパー誕生 15年前 フィッシャー・タイガーがマリージョアを襲う(巻六十三) 14年前 海列車の開発に成功する(巻三十七) 12年以上前 ゲッコー・モリアがカイドウに破れる 13年前 シャンクス、東の海フーシャでルフィをかばい左腕を失う。ルフィは麦わらを託される 13年前 トラファルガー・ローとドンキホーテ・ドフラミンゴの間であの人(コラさん?)に関係した因縁が生じる(巻七十三) 13年前 ハンコックが九蛇海賊団船長として初めての遠征を行い、王下七武海に入る(巻五十三) 12年前 ドラゴン、バーソロミュー・くま、イワンコフが革命軍として活躍 10年以上前 革命軍がロビンを”革命の灯”と呼び探し始める 11年前 ジンベエが魚人初の王下七武海に(巻六十三) 10年前 トムがエニエス・ロビーに連行される(巻三十七) 10年前 ミョスガルド聖が遭難し魚人島へ辿り着く。オトヒメ王女が聖地マリージョアに同行し、1週間後に天竜人の書状を持って帰還(巻六十三) 10年前 ドンキホーテ・ドフラミンゴがドレスローザの王になる 9年前 海賊によりゼファーの右腕が切り落とされる(巻千) 8年前 エネルの育った空島、ビルカが消滅(巻三十) 7年前 CP9がウォーターセブン、ガレーラカンパニーに潜入を開始する 6年前 サー・クロコダイルがバロック・ワークスを立ち上げる 4年前 シーザーがパンクハザードでシノクニの実験を行う
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前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔 ギーシュは早速ワルキューレに叩き伏せられた少年を見下ろした。 大口を叩いていたわりにはあっけない。 しかし、この平民がしゃしゃり出てきてくれて、正直助かったかな、と思う。 モンモランシーとケティにあんな振られ方をしたから、このままでは自分の株が急落するところだった。 思わずルイズにやつあたりしたところに現れたこの平民。 おかげで、決闘に注目が集まって、自分の失態は雲散霧消することだろう。 「立ちたまえ!あれだけの口を利いたのだ。これくらいで終わらせる気はさらさらない!」 少年は、片手で顔を抑えながらおぼつかない足取りで立ち上がった。頭から血を流している。 しかし不思議だ。とギーシュはその様子を見ながら思った。 この平民はなぜ、あの『白いゴーレム』を持ってこなかった? ギーシュは、ルイズの召還の一部始終を見ていた。 召還された平民が、何もないところから『白いゴーレム』を生み出したのも覚えていた。 あのような小さなゴーレムに自分のワルキューレが負けるとは毛頭思っていないが、あれを作り出したという『マジックアイテム』が唯一警戒すべきものだと思っていたのだが。 「(あれだけ自信満々だから、てっきり持ってくるものだと思っていたが、予想外だったね・・・)」 持っていないなら、残っているのは女の子にも負けそうなほど弱そうな、ただの平民が一人。 「(悪いが、ぼくのワルキューレとしばらくダンスしてもらうよ。)」 ギーシュはにやりと笑った。 康一は口の中に違和感を感じて、ぷっとそれを吐き出した。 真っ赤な鮮血と共に、歯が一本地面に転がった。 「く、くそっ!なんてことだッ・・・!」 動揺したところにまともに喰らってしまった・・・! 青銅の硬くて思い拳は、危うく一発で自分の意識を刈り取るところだった。 「(どうする!?)」 康一は、ゆっくりとこちらに近づいてくるワルキューレを見た。 『スタンド』は出せない。こんな衆人環視のなか、『スタンド』を出せば、間違いなく『先住』扱いされる。 かといって、生身であのくそったれワルキューレと戦って勝ち目があるとも思えない。 「とにかく・・・とにかく、あの攻撃を避けなくては・・・!」 このワルキューレ。パワーはなかなかだが、スピードは大したことはない・・・! 『スター・プラチナ』や『クレイジー・D』に比べれば蠅が止まるような速度さ。 『ACT3』でも余裕で翻弄できる! だが・・・! ワルキューレが拳をふりあげる。 「(来るのが分かっていても、生身では避けきれない!)」 顔面をガードした両腕の上から、青銅の拳が叩き込まれる。 ミシッ!と両腕から音がしたような気がした。 軽い康一の体は突き上げるようなパンチの衝撃でふわりと浮き上がった。 その康一の脇腹に叩き込まれるワルキューレのミドル・キック。 康一は血を吐きながらサッカーボールのように吹き飛び、人垣に激突した。 人垣は康一を広場へと押し戻し、康一はふらついて膝をついた。 「まだやるかい?」 ギーシュは尋ねた。これ以上やると『イジメ』になってしまう。それはあまり美しくない。 康一は何も言い返さなかった。 その代わりに、ギーシュとの間に立ちふさがるワルキューレの左足に、体勢を低くして渾身のタックルをいれた。 「あの平民、ワルキューレを倒そうとしてるぜ!!」見物客から歓声があがった。 しかし・・・ 「(う、動かない・・・!)」 ワルキューレは康一の全質量を受け止めてなお、ビクともしなかった。 「忘れたのかな?『青銅』なんだよ?まさか中がすっからかんの空洞だとは思ってないだろうね。重さは少なくとも50リーブル(約235kg)はある!君のようなチビがどうこうできるわけがないだろうッ!!」 ワルキューレは、左足にしがみつく康一を軽々と引き剥がすと、大きく頭上に掲げて背中から地面に叩きつける! その衝撃で康一は思い切りバウンドした。息が止まる・・・! ワルキューレは悶え苦しむ康一を足でいたぶった。蹴り転がし、踏みつける。 「もうやめて!」 ルイズが飛び出してきたのはそのときだった。 横たわる康一に覆いかぶさる。 「もう・・・もう勝負はついたわ!こいつの負けでいいから!」 ルイズは必死に叫んだ。 ギーシュはフン、と鼻を鳴らして鼻白む。 「これはぼくとその平民との決闘だ。その平民が『まいった』というまで勝負は続く・・・」 でもまぁ・・・。ギーシュはアゴをなでた。 「ぼくも弱いものいじめは趣味じゃない。ルイズ。主人である君がかわりに『すみませんでした』と謝るのならば、この場はこれで収めようじゃないか。」 ルイズはすぐに謝ろうと思った。このまま康一がボロボロになるのを見ていられない。 だが、ルイズの肩に、倒れていた康一が手をかけた。 「ま、まだ・・・終わってない・・・」 ルイズの肩を借りて立ち上がる。 「ルイズ・・・言っただろ・・・?『ぼくを信じてくれ』・・・って。まだ大丈夫。まだ終わってない・・・」 「もう無理よ!もうあんたは十分がんばったわよ!」 泣きそうになりながら叫ぶルイズに、康一は目じりだけで笑った。 そして、「け、決闘の邪魔だから・・・引き止めておいて・・・」と近くにいる見物人の一人に頼んだ。 見物人たちがルイズを引き剥がす。 「ダメよ!もうやめなさい!死んじゃうわ!!」 ルイズが叫ぶが、康一はもう振り返らない。 「大した根性だね。平民。立ち上がって何があるわけでもあるまいに・・・」 ギーシュが賞賛した。 「お、お前のワルキューレはぜんっぜん大したことないけどね・・・。」 康一はハッ、と笑いながら強がった。 ギーシュはピクリと眉を引きつらせた。 「なんだと?もういっぺんいってみろ・・・」 「何度でも言ってやる・・・。こんなハナクソみたいなゴーレムの一匹操れるくらいでいい気になってるなら、お里が知れる・・・そう言ったんだッ!」 「野郎ッ!!」 ワルキューレが大きく一歩を踏み出して、康一に殴りかかった。 康一は体勢を低くして、ワルキューレの足元に飛び込んだ。 「頭脳がマヌケか!?ワルキューレにタックルなど無意味だ!!」 しかし康一は、タックルの軌道よりもさらに体勢を低くする! 背中から飛び込むようにしてワルキューレの股の間をすり抜け、一回転してそのまま走り出した。 「あいつ、直接ギーシュを狙うつもりだ!」 観衆がどよめいた。 距離15m! ギーシュは笑った。 「フー。まさかそのぼろぼろの状態でそんな芸当をして見せるなんてね。いや、マジに恐れ入ったよ・・・。」 距離10m! 「窮鼠猫を噛むっていうのか?普通なら、『どうやって許してもらおうか。助けて神様!』って考えるべきところを、まだぼくを倒す気でいるとは・・・」 距離5m!! 「だがっ!『運命』とはそう甘いものじゃあないのだよ!『平民は貴族には勝てない』これは絶対なんだッ!」 ギーシュが造花を振った。花びらが舞い散り、康一がギーシュに殴りかかる寸前で6体のワルキューレになった。 康一はワルキューレに蹴り飛ばされて地面に転がった。 「・・・平民。名前は?」 ギーシュが這いつくばり血を吐きながら痛みに悶える康一に尋ねた。 「ぼくに全力を出させた平民の名前だ・・・覚えておこう。」 「広瀬・・・康一だ・・・」 康一がふらふらと立ち上がった。 「でも、『全力を出させた』ってのはちょっと違うな・・・『ぼくをボゴボゴにした平民』として覚えておけばいい・・・」 7体のワルキューレが円を描くようにして康一を囲んだ。 「まだそんな口が叩けるとはね・・・。まぁいい。一応最後にきいてやろう。 まだ、やるかい?」 康一は血まみれになりながら、ギーシュを睨みつけた。 「・・・・ってこい。」 「・・・なんだって?」 「かかってこい。っていったんだ。このマヌケ面。かかってきた瞬間、お前は敗北するッ・・・」 「君はもう・・・君はもう・・・」 杖を振り上げる。 ギーシュは覚悟を決めた。この平民を・・・殺す! 「君はもうおしまいだぁあ―――っ!!ワルキューレッ!!!」 七体のワルキューレが同時に突撃する。 逃げ道など・・・ない!! 「コーイチ――――ッ!!!」 ルイズの悲鳴と共に グシャアッッ!!! ワルキューレが殺到し、激しい金属音とともに激しく激突した。 後に残るのは死の静寂のみである。 「フゥー。つい殺してしまった。平民相手に大人気なかったかな。カッとなってしまった。」 ギーシュは少し乱れた髪を手で撫で付けた。 「しかし、これで平民じゃない新しい使い魔が召還できるってものだろう!僕に感謝したまえよ!」 とルイズに言葉を投げかけた。 しかし・・・ 様子がおかしい? ルイズは・・・いや、その周りの観客達も、みなポカーンとした目で僕のことを見ている。 いや、僕じゃない。その更に奥を見ている・・・? 「言ったはずだ・・・」 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ギーシュは振り向くこともできずにたらりと汗を流した。 「『かかってきた瞬間、お前は敗北する』とッ・・・・!」 「と、飛んだ・・・!」 「あそこからギーシュの背後までジャンプするなんて、平民に可能なのか!?」 「あの跳躍力は一体なんだァー!?」 一部始終を見ていた観客が悲鳴をあげた。 「ずっと待っていた。お前が複数の『ゴーレム』を出すのを・・・。観衆から、僕を隠す『死角』を作ってくれるのをッ!!!!」 あの瞬間、7体のゴーレムで覆い隠された『死角』で行われたことに気づいたのは、遠見の水晶球で様子を伺っていたオールド・オスマンと、飛びぬけた動体視力を持つタバサだけだった。 康一が絶体絶命のピンチに陥ったそのとき、『死角』の中に『緑色の生き物』が現れて、地面に『なにか』を貼り付けた。その瞬間『地面が跳ねた』のだ! ボヨヨヨ~~~ン! 「ゲエエエエエェエエ!!」 ギーシュは腰を抜かして飛びのいた。 そこに立っていたのは、確かにさっきワルキューレたちに潰されたはずの『平民』! しかしなぜ、こいつがここにいるんだぁー!! 「さぁ・・・次は・・・『お前の顔をボゴボゴにする』番だな・・・」 「ば、馬鹿なッ!!!」 ギーシュは自分に言い聞かせた。 ぼくは貴族だ。こんな平民に負けるわけがない。そうさ!ちょっとびっくりはしたが、それだけだ。こいつはこれ以上なにもできない! ギーシュは立ち上がった。 お互いに激突して動きを止めていたワルキューレたちも、次々と立ち上がっていく。 「ちょっぴり・・・ほんのちょっぴりだけ驚いたよ。でも、それだけだ!ぼくもワルキューレもピンピンしているぞ!!お前がワルキューレに頭蓋骨をぶち割られる『運命』に何も変わりはないッ!!」 「やっぱり・・・言い直すよ・・・・」 康一は滴る血を拭いもせずにギーシュを指差した。 「『かかってきた瞬間、お前はすでに敗北《した》!』」 ギーシュは激昂した。 「ふざけるなこのチビがぁー!ワルキュー 『ギーシュ様!最低です!』 「え!?」 突然耳元で声がしてギーシュは振り向いた。 「け、ケティ!?」 しかし振り向いても誰もいない。遠巻きに見守る観衆がいるだけだ。 『二度と私に近づかないで。』 今度の凍りつくような声色は・・・ 「ま、まさかモンモランシー?!」 だが、やはりギーシュの周りにいるのは、血まみれの平民だけだった。 それなのに、声が・・・声が聴こえる!! 『ギーシュ様!最低です!』 『二度と私に近づかないで。』 『ギーシュ。あなた、やっぱり一年生の子に手を出していたんだ・・・』 『ギーシュ様・・・やはりミス・モンモランシーと付き合っておられたのですね・・・』 『それってもしかしてモンモランシーの香水じゃあないのか!?』 『二度と私に近づかないで。』 『ギーシュ様!最低です!』 「や、やめろぉー!!!?」 ギーシュは耳をふさいでその場に膝をついた。 だがどんなに耳をふさいでも、その『声』は頭の中でグワングワンと鳴り響く。 頭が破裂しそうだァ――!! 「平民・・・!貴様何をしたぁぁぁー!」 「さぁね・・・格好つけたがりで、体裁が何よりも大事なお前に、似合いの結末を用意しただけだ・・・!」 空中に飛び上がった瞬間のことは、あのタバサを持ってしても目で追うことができなかった。 誰もの視線が外れた一瞬、康一の体の影から『小さな白い手』が現れて『文字のようなもの』をギーシュに投げつけたのだ。 オールド・オスマンだけはその様子を辛うじて捉えていた。 「さぁ・・・謝ってもらうぞッ!!」 康一が詰め寄る。 「や、やめろぉー!!来るなァ――――!!」 康一は、中腰になったままで押しとどめようとするギーシュの手を払いのける。 拳を振り上げた! 「う、うわぁぁぁぁー!」 「君がッ!!」右拳がギーシュのあごに直撃する! 「謝るまでッ!」左拳がギーシュのみぞおちにめり込む! 「殴るのをッ!」右拳がギーシュの脇腹をくの字に折り曲げ。 「やめないッ!!!」左拳がギーシュの顔面を捉えた。 「オオオオラァァァァァァ―――――――――!!」 ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ!!! 康一に残る全てを注ぎ込んだ渾身の、左右のラッシュ! 「ホガァー!!」 ギーシュは『じゃがいもだって目を背けるようなボゴボゴの顔面』になって吹き飛んだ。 「謝れーッ!」 康一は叫んだ。 「ふ、ふいまへんでひたぁー!!ぼくがわるかったからゆるひてくらはいー!!!!」 ギーシュは豚のような悲鳴をあげた。 康一はそれを聞くと、ACT1を解除した。 正直、限界だ・・・。もう一秒だって立っていられない。 ルイズが泣きそうな顔をしてこっちに走って来るのが見える。 「(だから、ぼくを信じろっていっただろ?)」 そう言おうと思ったのに声がでなかった。 ルイズのほうへ行こうとしたのに、足が動かなかった。 そのまま、力なく地面に倒れこんで、康一は意識を手放した。 前ページ次ページS.H.I.Tな使い魔
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第1章 後編 やっぱり”ここ”はヤバイところだぜ? ティッツァーノ……。 「ほんとに知らないの?」 それは魔法のことか?それとも「ハルケギニア」のことか? 両方シラネェヨ! しかし、納得せざるを得ない。ここはオレの居た世界じゃないのだから。 …夜空に輝く月に、ここまで心奪われたことはない。 月が ”仲良く” 浮かんでる……。 美人の姉妹が互いを優しく、守るように照らしあっていた…。 ”月は 『二つ』 あったッ!” バァアァァーーz___ン! 「オレの世界では”luna”もッ! ”palla”もッ! 一つあれば十分なんだよ!」 『luna』(伊:月) 『palla』(伊:サッカーボール) 「月が一つしか見えない”国”なんて聞いたこともない!」 「だから”国”じゃない! ”世界”が違うんだッ!」 また話が同じところに戻ってきてる……。 さすがに無限ループはルイズも嫌なようで、無理やり終わらせることにしたらしい。 「わかったわよッ! 違う”世界”から来たってことは認めるわよ!(納得いかないけど・・・)」 「グラッツェ、シニョリータ(ありがとう。お嬢さん)。 ついでに”元の世界”に還してもらえませんか? シ・ニョ・リ・イ・タ?」 「……無理。そんな魔法聞いたことないもの」 彼女は召喚する魔法は知ってても、帰還させる魔法は知らないらしい。だが……。 「…オレは帰らなくてはいけない。 …なんとしてもッ!」 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ (相棒をッ!… 一人でッ!眠らせるわけにはいかないッ! ヤツラには償わせてるッ!全員だッ!) 目の前にいる平民から、”凄み” を感じ、思わずブルっちまいそうになるルイズ。 (…こ、この使い魔には帰ってもらって、新しく ”私に相応しい使い魔!” を召喚しなおすのも、わ、悪くないわよね・・・?) (それがお互いの為ってもんよね?) 「と、とりあえず、すぐに帰れるワケじゃないってことはわかるわよね?」 「…そこは理解してるつもりだ。『帰る方法が、存在するかさえわからない』状態なんだろ?」 「グッド! だから、私が帰る方法を探してあげる。 あんたはその間、忠実な使い魔として私に仕える。」 「…つまりこういうことか? 『オレたちは、帰る方法が見つからないかぎり ”取引” をしなくてはならない』……」 「Exactly(そのとおりでございます)♪」 by 釘宮ボイス 「……」 「でも、あんたじゃ使い魔の仕事は無理そうね……」 どうやら使い魔とは、主人と視覚や聴覚をリンクさせ、トレジャーハントしたり、ボディガードするそうだ。 「あんたにできそうなこと……。 掃除、洗濯、その他雑用ってとこかしら?」 「御主人様が寂しくないよう、夜のお相手もできると思いますが?」 さっきの ”凄み” はどこへやら。軽~い調子になった使い魔の顎に右フックを叩き込む。 使い魔は崩れるように床に倒れこむ。 ルイズは知らない。コイツはギャングのエリート、『親衛隊』だったことを。…今の現状からはわかるまい。 「もし、平民でしかも使い魔のあんたが、貴族であり御主人様である私に、手を出したら……」 「……だ、出したら?」 「……… ”削りとる” わよ?」 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ …こいつにはやると言ったらやる 『スゴm(ry やっぱり、”腕”が鈍ってんな……。 ティッツァと組んでからは、口説く役はティッツァの仕事だったからな……。 顎をいたわりながら起きると、貴族であり御主人様であるルイズ様がベッドの上で脱ぎだした。 「ルイズさん? 言ってることと、やってることがオカシイですよ?」 「…なにが?」 「男の前で脱ぐってことは ”OK” てことで……」 物凄い速さでゴツイ装飾がされた本が飛んできた。 頭に当たれば脳漿ぶちまけること必至! …だったので、さすがに避けた。 「あんたは使い魔なの。犬、猫、その他もろもろと同然なの」 「…犬や猫だって愛の営みはしますよ?」 ……なんでさっきからコイツ敬語なのよ? 「犬同士、猫同士はね。でも、メイジと使い魔は、人間と犬の関係なの! 犬に裸見られたって、全然恥ずかしくないわ!」 …かなりへこんだ。 男のプライドは地に落ち、泥にまみれ、アリがたかっていた。 「だから使い魔は床に寝なさい。そんで、(あんたはスケベだから)朝起こすとき以外はベッドに近づかないこと!」 変なことしたら、只じゃおかないからッ!と厳しく言いつけらた。床を見つめるスクアーロ。 ルイズはキャミソールに着替え終わると、下着をスクアーロに投げ渡し、ベッドに潜りこんだ。 洗濯しときなさい。変なことしたら―――。最後まで言い終えないまま、ルイズは夢の世界へ入っていった。 どうやらかなり疲れていたようだ。無理もない。彼女の手に負えないことばかり起こる日だったのだから。 スクアーロは、(御主人様の御慈悲である)毛布に包まりながら、壁にもたれかかる。 とんでもないことになってるぜ? ティッツァーノ……。 目をつむり、”この世界「ハルケギニア」”について想う……。 とにかく…… 帰る方法が見つかるまで ”馬鹿で使えない” 使い魔を ”演じる” しかない。 こっちのことは何もわからねぇ。 だから、情報を得るまで動かないほうが良い。 このオレが、ギャングだとか、スタンド使いってことはできれば……一切知られたくない。(ギャングだとか、スタンドって概念があればだけどな……) …ルイズって娘には悪いが…… …本当に可哀想だが… 利用させてもらう……。 精々ルイズの前では ”スケベな軟派男” で通すか…… ほぼ”地”でイケるし……。 …”元の世界”のことを考える。相棒のこと。裏切り者どものこと。ボスのこと。組織のこと―――。 必ず帰る! 何をしてでも帰って見せる! おまえのためにもッ!オレのためにもッ!必ず帰るッ! 心配するなよ?ティッツァ…… 復讐だけに囚われているわけじゃねぇ…… もちろん償いはさせる! だが…ナランチャの…ヤツラの見せた『精神力』は何なのだ? あれほどの『精神力』を持ちえた人間を、オレは知らない。今はそれが知りたい…。 オレとおまえでも、掴み得なかったものが…… ヤツラを動かしてたのかなぁ……。 だから… 必ず帰って…… 手に入れような…… あの…輝くような…… そう… まるで… 『黄金のような精神』を……。 きっと… 二人で…… すぐに… できるさ…… オレとおまえなら… きっと―――。 まどろむの意識の中、隣で相棒が笑った気がした。 鮫技男と桃髪女 「The Story of the "Clash and Zero"」 第1章 オレは使い魔 後編終了 To Be Continued ==
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ルイズ「7万の兵士なんて無理よ、みんな死ぬんだわ」 使い魔「無理ではない、あなたはフーケやワルドと戦ってきたではないか」 ルイズ「何か方法はあるっていうの?」 使い魔「アルビオンの兵士達はライン以上のメイジを倒されると、自動的に撤退措置をするように命令されています」 ルイズ「なるほど…蛇の頭を潰すのね」 … ルイズ「やっぱりダメじゃない~~!」 使い魔「こうなったら奥の手を出すしかありませんな」 ♪キュ~ンキュ~ン キュ~ンキュ~ン わたしの彼は~パイロット~ (*オチ2) 使い魔「歌ってくれますかな?、ルイズさん」 ルイズ「こ…この…バカ犬~!…ちゃんとそばにいて~~…」 マクロスよりエキセドル召喚