約 586,330 件
https://w.atwiki.jp/projecter/pages/1231.html
番号 FJ11093 名前 カーウェス 読み かーうぇす Lv 6 スター 種別 ユニット BP 7500 SP 1000 【冒険者でもあるおまえに対する依頼だよ】○決意(中央エリアのスクエアに登場できる)○幸運6(プランから捨てて起動!)自分の手札を1枚選び、捨てる。自分のエネルギーゾーンにある★のないユニットを1枚まで選び、味方のいない味方エリアにフリーズして置く。 移動方向 ↑ 属性 オーファン魔法♂ ブロック 富士見書房 作品 魔法戦士リウイ レアリティ C
https://w.atwiki.jp/818hr/pages/438.html
魔法天使ミサキ 魔法天使ミサキ RaSeN 03/08/22 絶望という名の悪と戦い続けてきた1人の魔法少女。しかし、ついに彼女は敵に捕らわ れ、凌辱の限りを受けてしまう。追いつめられた少女は、魔力の根源たるクリスタルを敵 ぶつける事によって、辛うじて勝利する。しかし、その戦いによってクリスタルは砕け散 り、彼女は戦う力を失ってしまった。地上に降り注ぐ、砕け散ったクリスタル。その欠片 から力を受け継いだ3人の少女が、今、新たな魔法戦士として覚醒する。『敗者には凌辱 を、ピンチには絶望を。』 →続編 ----------------------------------------------------------------- (35HR) RaSeNホームページで公開されている新作「魔法天使ミサキ」。 http //www.ra-sen.net/product/develop5/index.htmlSAMPLE コーナー内1つめのシチュエーションにかなり期待しています。触手系HRシチュエーシ ョン好きの方には、要注目かと。 ----------------------------------------------------------------- (35HR) 魔法天使ミサキの体験版にHRシチュエーションを確認しました。触手系HRが好きな方 にはおすすめです。ダウンロードは、RaSeNのオフィシャルサイトやGamelex GSなどから可能です。個人的にこの体験版、美咲のテキストが結構好み。 ----------------------------------------------------------------- (名無しさん@2ちゃんエロゲ板) ネタバレ/ 体験版にあるミサキのシーン(触手で卵植え付け)の後、出産シーンあります (ルートによっては産まないのもあり)他のシーンの中出しでは妊娠に対する台詞はなか ったと思う(後で浄化できるため) ----------------------------------------------------------------- (名無しさん@2ちゃんエロゲ板) ミサキは35HR氏デフォ買いで問題無しだと思われ。レビュー期待 ----------------------------------------------------------------- (名無しさん@2ちゃんエロゲ板) 浄化……嫌な言葉
https://w.atwiki.jp/dragonquest10/pages/336.html
秘伝書 TOP 秘伝書 [#s6e886b7] 秘伝書とは [#g8c65397] スキル秘伝書と職業秘伝書について [#s5f084ef] スキル秘伝書 [#gc670caf] 職業秘伝書 [#v8a5b0dc] 関連項目 [#ca2b2d8e] 秘伝書とは 特定のクエストを2つクリアすると入手することができる。 職業の秘伝書の取得方法に関しては、それぞれのスキル/職業ページに記載。クエスト一覧も参照。 それぞれ1つしか入手できず、売ったり捨てたりできない。 キャラクターに持たせている時に「どうぐせいり」しても、そのキャラクターが持ったまま。ルイーダの酒場に預ける時はふくろに戻る。 スキル秘伝書と職業秘伝書について スキル秘伝書は、所持者が対応した武器(盾)を装備していないと、とくぎを使用したり効果を発揮したりできない。 一方職業秘伝書は、所持者の職業は不問。 例:魔法戦士が盗賊の秘伝書を持っていても、オートぬすむが発揮される。 スキル秘伝書 スキル100振ることでクエスト受注可能。 とくぎの詳細などはとくぎページや各スキルページを参照。 入手優先順位が高いのは、痛恨の一撃を確実に防ぐことができる盾の秘伝書。 秘伝書 スキル 説明 消費MP 属性 対象 剣の秘伝書 ギガブレイク 敵1グループを うちほろぼす きゅうきょくの技 30 光 敵グ 短剣の秘伝書 ヒュプノスハント こんらん中の敵や ねむっている敵に 大ダメージ 3 敵単 ヤリの秘伝書 ジゴスパーク じごくの いかずちが 敵全体をおそう 26 雷 敵全 ツメの秘伝書 ゴッドスマッシュ 敵1体の すべてをきりさく 神のいちげき 14 敵単 ムチの秘伝書 地這い大蛇 巨大なヘビが 敵1グループに おそいかかる 16 土 敵グ 棍の秘伝書 天地のかまえ 相手のこうげきをうけながしつつなぐりかかる大技 8 自分 扇の秘伝書 ハッスルダンス 味方全員の HPを70〜 かいふくする回復魔力の影響を受けないので効果は控えめ 0 回復 味全 杖の秘伝書 ふっかつの杖 仲間ひとりを 生き返らせるが たまに失敗する杖装備時のみ使えるザオラル 8 回復 味単 素手の秘伝書 ミラクルムーン 敵全体をなぎはらいつつHPもかいふく 16 敵全 オノの秘伝書 森羅万象斬 敵1体を たたき斬る 会心のひとふり 16 敵単 ハンマーの秘伝書 ビックバン 敵全体を はかいしつくす 闇の大ばくはつ 16 闇 敵全 弓の秘伝書 シャイニングボウ 敵全体に するどい光の矢が ふりそそぐ 18 光 敵全 ブーメランの秘伝書 ギガスロー 雷のやいばが 敵1体を ふんさいする 16 雷 敵単 盾の秘伝書 痛恨完全ガード 持っているだけで 痛恨の一撃を防ぐ - 補助 自分 職業秘伝書 職業レベル40でクエスト可能。 どの職業でもどの装備でも使用可能で役に立つものが多い。 特に盗賊の秘伝書は、持っているだけで相手からアイテムを盗んでいることがあるので、早めに入手しておきたい。 他、優先度が高いのは僧侶、旅芸人、魔法戦士、賢者など。これらの職業のレベルは上げておくといい。 秘伝書 スキル 説明 消費MP 属性 対象 戦士の秘伝書 オートカウンター 持っているだけで 低確率で カウンター - - 敵単 僧侶の秘伝書 ひかりのはどう 味方にかかった能力低下を含む状態異常を全て回復(死亡以外) 10 - 味全 魔法使いの書 つきのはどう 敵全体の攻撃力を下げる 8 - 敵全 武闘家の秘伝書 テンションキープ 持っているとテンションキープ状態になる - - 自分 盗賊の秘伝書 オートぬすむ 戦闘終了後に低確率でアイテムを盗んでいる事がある - - - 旅芸人の秘伝書 たたかいのうた 味方全員の攻撃力を1段階上げる 16 - 味全 バトルマスターの書 ダブルこうげき 通常攻撃時に、たまに追加攻撃 - - 敵単 パラディンの秘伝書 グランドネビュラ 敵1グループを やきつくす 星雲のかがやき威力をかいふく魔力に依存する光属性特技 30 光 敵グ 魔法戦士の秘伝書 フォースマスター 各フォースが全体にかかるようになる - - 味全 レンジャーの秘伝書 ひん死時かいしん率アップ 持っていると瀕死時に会心率アップ - - 自分 賢者の秘伝書 やまびこのさとり 一定の間 1ターンに2回 呪文が使える 10 - 味単 スーパースターの書 ゴールドシャワー 1000Gを使って 敵全体に セレブなダメージ - 土 敵全 関連項目 アイテム
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/306.html
Chapter26「ちびっこ戦記3:おまえもぬいぐるみにしてやろうか」 そのままわたしは心の中で泣き続けた。 やがて泣き疲れて、頭がぼーっとしてきた。24時間経てばこの意識も消滅してしまい、わたしは完全にぬいぐるみに変わってしまう。でも今だけは悲しみも恐怖も薄れていた。 (ああ、本当にどうしよう。このままじゃいけない。でも今のわたしには何もできることがない。動けないから、こうやって悩むことしかできないんだ……) もしこの意識も消えてしまったら、わたしはどうなってしまうんだろう。 今のわたしにはすべての感覚がないから、この意識だけがすべてだ。 じゃあそれがなくなったら? 無になるのかと思って、しばらく何も考えないでいてみた。 でも何も考えずにずっといるというのは無理な話だ。 身体の感覚がなくなったときはどうだった? 最初は手足の感覚がなくなって、まるで自分が蛇になってしまったかのような感じがした。でも今は元からわたしには手足なんてなかったかのようにさえ感じている。手足という概念そのものがわたしの中から消えてしまった。 同じように意識が消えたら、もともと意識なんてなかったかのように感じるんだろうか。わたしの中から意識という概念が消えて、でもそのときはそれを感じ取るはずの意識がどこにもないんだから、だったらそのときわたしはどうなってしまうんだろう。 何も考えない。何も感じない。ただそこに存在するだけのモノとしてわたしは在り続けることになるんだろうか。それはまさしく、ぬいぐるみそのものだ。 在るというよりは有るだけのモノ。いや、もはや物だ。それは果たしてわたしと言っていいんだろうか。少なくとも、今それを想像している「わたし」ではない。 (そんなの死んでるのと同じだ。早くなんとかしないと……) 残り時間は多くない。黒猫は24時間経つとわたしは完全にぬいぐるみ化すると言っていたけど、あと何時間なのかは教えてくれなかった。 この身体はお腹も空かないし、空気を感じることもできないので、時間の経過というものがさっぱりわからない。何も見えないから昼か夜かもわからない。 (うう……。いやだ。こわい。誰か助けて……) そのとき脳裏にセッテの顔が浮かんだ。 そうだ、セッテだ。ここにはあいつといっしょに来たんだから、近くにあいつもいるはずだ。そしてたぶん、わたしと同じようにあいつもぬいぐるみの姿に変えられているはず。 (セッテ? 近くにいるのか? 聞こえたら返事しろ) さっき黒猫はわたしの心の中に直接話しかけてきた。もしそれと同じことができるなら、なんとかセッテと連絡を取ることができるかもしれない。二人で協力すればなんとかこのピンチを切り抜けられるかもしれない。 そう願ったが、いくら呼びかけてもセッテの返事はなかった。 (ぬいぐるみだからできる特殊能力とかそういうんじゃなさそうだな。ってことはたぶん、あれも魔法の一種。猫のくせに魔法を使うなんて生意気な。でも魔法でできるなら、わたしでもやってみればできる可能性がある!) 噂には聞いたことがある。あれはたぶん、てれぱしーとかいう魔法だ。 遠く離れたところにいる相手に自分の考えたことを伝える魔法。転移魔法の一種で、その中でも初歩の部類だったはず。初歩ならきっと難しくない。 転移魔法は精神魔法に分類される。つまり精霊の力を借りずに自分の魔力だけでできる魔法だ。だから精霊に力を借りるための呪文が必要な精霊魔法と違って、ややこしい呪文を唱えなくても精神魔法は使うことができる。 わたしは心の中で必死に念じてみた。 (セッテに伝われセッテに伝われセッテに伝われ……) でもだめだった。 やり方をちゃんと勉強したわけじゃないから、急にやろうとしてもできるわけがなかった。そもそもやり方がこれで合っているのかも怪しい。 (じゃあどうする? 何か他に魔法でできそうなことは?) そうだ。身体がなくても心があれば魔法は使える。 口がないから呪文は唱えられないかもしれないけど、呪文がいらない精神魔法なら何も問題はない。 まずは空中浮遊の魔法だ。 空を飛べないニンゲンの魔道士が使っていると本で読んだ。 動けなくても、その魔法で身体を浮かせれば動けるかもしれない。 そう思ってそれを試してみた。けど、結果はわからなかった。 だって身体の感覚がないんだもん! 浮かんだのかどうかさえ確かめられない! だったら次は魅了の魔法だ。 あのぬいぐるみの魔女はまだ近くにいるかもしれない。 もしそうなら、その精神を操ってこの魔法を解かさせられるかもしれない。 ……そんな難しそうな魔法、わたしにできるわけがない。 ワープして脱出する? 魔法の効果範囲外に出られるかも。 そんなのもっと難しいのにできてたまるか。万が一できたとしても、この姿じゃ空も飛べないから、運悪く空の底に落ちたら一巻の終わりじゃないか。 暗視の魔法。もしかしたら何か見えるようになるかも! 同じ理由で透視の魔法、生命探知の魔法、音を視覚的に見えるようにする魔法、においが見える魔法、と思いつく限りいろいろ試してみた。 でもどれもだめだった。五感を奪われたこの身体じゃ、その結果をどれも認識することができないのだから意味がない。 でもまだあきらめない。わたしは水竜だから、水や氷の魔法に限っては無詠唱で発動できる。そっちも試してみよう。 手当たりしだいに攻撃して、数撃ちゃあたるであの魔女を倒せればこの魔法が解けるだろうか。でもそれで解けないタイプの魔法だったら、もし魔女が死んでしまったらまずい。なんとか降参させて魔法を解いてもらわないと。 部屋を水浸しにして魔女を溺れさせるのはどうだろう。わたしは水竜だから泳ぎには自信がある。そして思わず降参した魔女が魔法を解除して……。 それはないか。魔女だから水浸しの魔法ぐらいきっと簡単に打ち消してしまう。 そもそも今のわたしは悔しいけどぬいぐるみだ。泳ぐどころじゃない。肺がないから呼吸はしてないかもしれないけど、濡れて綿が腐ったりしたら嫌だ。元に戻ったときに変な影響が出ても困る。 じゃあ部屋を酷寒の吹雪にして凍えさせるのは? 北風と太陽の、北風作戦だ。……ってそれ、たしか失敗したほうじゃないか! 太陽ができるのは火のセッテだけど、作戦会議ができないからこれも無理だ。 あ、そうだ。自分を凍らせるのはどうだろう。凍っていれば意識の消滅を遅らせることができる? いやいや、遅らせるだけじゃ意味ないし。 ううん、だめだ。やってみる前から否定してたらあきらめたのと同じ。とにかく何かやってみなければ。 というわけで、わたしは適当に冷凍光線を乱射してみた。なんせ何も見えてないんだから乱射するしかやりようがない。別にヘタクソなわけじゃないんだからな。 すると再び脳内に例の黒猫の声が響いてきた。 『ああもう。さっきから危ないなぁ。飛んでみたり転がってみたり、暖炉の中に突っ込んで焼身自殺しようとしてみたり。こんどは何? 冷凍ビーム?』 ちょっと待って。焼身自殺? わたし、そんなことになってたの!? ……だがそんなことはどうでもいい。黒猫の声が聞こえた。ということは、この黒猫は近くにいるはずだ。魔法で話しかけているんだとしても、どこかわたしの姿が見える範囲にいるはずだ。そういうことなら―― わたしは部屋いっぱいを凍りつかせるつもりで、全力で吹雪を放った。 部屋の中は一瞬にして一面の銀世界に変わった。見えてないけど、たぶん。 『な、何をするんだ! ミーに八つ当たりしたところでユーが元に戻れるなんてことは絶対に……うう、ぶるぶる。さ、寒い……。こ、凍っちゃう……』 この黒猫を人質……いや、猫質にしてやる。 あの魔女が大事にしていた猫なら、きっと何かしらの反応を見せるはず。それにあの魔女はぬいぐるみが大好き。ぬいぐるみのわたしに攻撃はできないはずだ。 『し、死んじゃう……死んじゃうよぉ……。ご、ごしゅっ……ご主人サマぁ……。お、お願い……た、たひゅけて……』 ふははは。そうだそうだ、もっと叫べ! 泣き喚け! そしておまえの大好きなご主人サマを呼ぶがいいッ! 助けを請え。あの魔女を呼べ。もっと悲痛な声で鳴けぇぇぇっ!! ってこれ、なんかもうどっちが悪者がわからなくなってきたけど、とにかくあの魔女をおびき寄せるのが先だ。そしてこの黒猫を猫質にして交渉して……交渉して…………ええっと、それからどうしよう。考えてなかった。 ええい、なるようになれだッ!! わたしはさらに力強く吹雪を放った。 するとその瞬間、明るいも暗いもなかった視界に、久しぶりの眩しい光を見たような気がした―― 目を開けると、凍り付いた部屋の光景が視界に飛び込んできた。 あれっ。見える! わたしにも見えるぞ! すぐそこには面白いポーズで固まった黒猫の氷像が。 そしてその隣には、憎き魔女があお向けになって倒れている。 なるほど、どうやら黒猫を助けにきたところで凍った床で滑って転んだのか。それでそのまま気絶した結果、わたしにかけられた魔法が解けたというわけだな。 魔法が解けたということは……! さっそく自分の身体を見回してみると、美しいマリンブルーの鱗が雪風を受けてきらきら輝いている。振り返ると、嬉しそうに揺れる長いしっぽがわたしにあいさつした。よかった、元通りのわたしだ! わたしの隣にはセッテが尻餅をついた格好で転んでいる。 凍った青い部屋に映える真っ赤なローブ。元通りのあいつだ。 「どうやらおまえも無事みたいだな。まったく肝心なときに役に立たないやつめ」 「いやぁ、助かったっすよ! しゃべれなくなったんで呪文も唱えられないし、動けないし何も見えないしで、さすがに今回はやばいと思ってたところっす」 「どうだ、このクエリア様といっしょに来ててよかっただろ。感謝しろ」 「あんたは命の恩人っすよ! ありがとう、アクエリアス姫様」 「むふーん。いいぞ、感謝されてやる」 なかなかセッテは素直で忠誠心のある家来だ。フリードよりもかわいく見えてきたぞ。気分がいいから、あとでわたし特製のカキ氷をごちそうしてやろう。 さて、それではあの憎たらしい魔女をどうしてやろうか。このわたしに泣くほど怖い思いをさせた罪は重いぞ。おまえを凍らせてカキ氷にしてやろうか。 わたしは倒れた魔女の前に立ってとぐろを巻いた。 「なあセッテ。黒いのと赤いの、どっちのカキ氷が食べたい?」 「えっ、いきなり何の話っすか」 「あ、ごめん。どっちも赤になるかも。というか、猫の血って何色だっけ」 「なんか知らないけど、不穏なことを言うのはやめるっすよ……」 この魔女の処遇についてセッテと話し合うと、あんな目に遭ったばかりだというのにセッテはこの魔女を仲間にしたいと言い出した。 わたしはもちろん反対した。だって嫌だろ。こいつはわたしをぬいぐるみなんかに変えて、結果的に殺そうとしたんだから。そんなやつといっしょにいたくない。 それにこの部屋にある大量のぬいぐるみたち。あれはきっと、以前にわたしたちのようにここへ来てぬいぐるみに変えられてしまった、かわいそうな誰かだ。このままこの魔女を許せば、その誰かが報われない。 だからこんなやつ殺してしまったほうがいいんだ、とわたしは提案した。 しかし、それでもセッテは首を横に振った。 「何も殺すことはないっす。ここでプラッシュを殺したら、おれたちのほうが悪者になっちゃうんじゃないっすか?」 「うっ。それは確かにその通りだ。でもわたしはこいつを許せないぞ!」 「まあ、反省させる必要はあるかもしれないっすね。いたずらっ子にはおしおきが必要だ。でもまだちびっこなんだし、きっと更生できるっすよ」 「ああ、セッテは知らないんだ。それなんだけど、こいつは本当は四百――」 そう言いかけたとき、あの魔女めがふらふらと起き上がってこちらに手を向けるのが見えた。あいつめ、まだ懲りてなかったのか。おしおきしてやる! わたしはとっさに水のブレスを吐いた。そしてその水を操って空中に留めると、円形に広げて鏡のようにした。プラッシュの手から放たれた魔法の光は、水鏡に反射してプラッシュ本人が浴びることになった。 すると魔女はわたしたちの見る目の前で、あっという間にぬいぐるみに変わってしまった。ふーん、外から見るとこんな感じなのか。体感としては、かなり時間をかけてじっくりと変化してたような気がしたけど、意外とあっけない。 セッテは魔女のぬいぐるみを拾い上げると、言い聞かせるように言った。 「悪いけどしばらくそのまま反省しててもらうっすよ。あれはなかなか面白い体験だったけど、同時にけっこう不安だったんすからね」 「あ、セッテ。それ聞こえてないから。話すんなら黒猫のテレパシーで」 「じゃああとでいいっす。ちょっと厳しいかもしれないけど、数日ぐらいこのままにしとけば、さすがにプラッシュちゃんも反省するっすよ」 「あ、セッテ。それだめだから。プラッシュちゃん消滅するから」 そうか、セッテは黒猫と話していないんだな。 テレパシーを通さないと会話できないことも、24時間経つと意識が消滅してしまうことも、さらにはこの魔女がぬいぐるみに変えたやつの寿命を奪っていたことも何も知らない。だからあっさりこいつを許したのか。 このまま黙っといてプラッシュに恐怖感を与えてやるのもいいし、そのまま永遠にぬいぐるみとして飾っておくのもいい仕返しなると思ったが、たぶんあとでセッテに怒られそうなのでやめておこう。 とりあえずまずは、凍り付いた部屋を元に戻して、まだ寒さに震えている黒猫にたっぷりと仕返しをしてやった。 おまえなんか、ヒゲをつまんでこうしてこうしてこうだ! そしてトドメにおでこにでこピン! どうだっ、水竜のでこピンは効いただろう。 黒猫は弾き飛ばされてごろごろ転がると、壁にぶつかって止まった。 『や、やめてくれぇ。ミーが悪かったよ、マドモアゼル……』 「どーだ、これで上下関係がはっきりしただろ。これに懲りたらもう悪さはやめることだな。さもないともう一回……」 『わわ、本当に反省してるってば! だからヒゲを引っ張るのはやめて』 黒猫はしょげたような声で鳴いている。それと同時にテレパシーでわたしたちに言葉を伝えてきている。 セッテは黒猫がその魔法を使えることを知らなかったようで、 「うわっ! なんか声がする。幻聴? 幽霊? 気味悪いっす!」 大げさに驚いてみせていたので、黒猫の能力を教えてやった。 「まじっすか。この猫しゃべれるってこと? それはそれで気味悪いっす」 『失敬な。人も竜もしゃべるんだ。猫がしゃべって何が悪い』 「それもそうか。じゃあよろしくっす、黒猫さん」 うわ、あっさりと受け入れた。切り替えの早いやつめ。 その後セッテに黒猫の名前はなんだと聞かれたが、忘れたので答えなかった。 「それよりも黒猫! まだわたしはおまえを許したわけじゃないんだからな。誰かの命を奪って自分は長生きするなんて最悪だ。それって禁断魔法なんだぞ!」 「えっ? それ何の話っすか」 「こいつがわたしに言ったんだ。実はあのぬいぐるみ化の魔法には……」 わたしはセッテが知らない魔女っ子の裏の顔を話してやった。 ぬいぐるみになって24時間経ったらもう元には戻れないし、意識は消滅してしまうし、さらにはその命を奪ってあの魔女は四百年も生きているのだと。 ああ、なんど思い出しても恐ろしい。きっとトラウマになってる。今後わたしはぬいぐるみを見るたびにそれを思い出して震えるに違いない。 すると突然、黒猫が言った。 『あ、あれ嘘です』 ……はぁ? アレウソデス? 『だってマドモアゼルがあまりにもご主人サマやミーを侮辱するから。それでミーもちょっとムキになっちゃった。演出だよ、演出。なかなか怖かったでしょ?』 なにそれふざけんな。 つまり24時間がどうとか意識が消えるとか命を奪うとか、あれって全部ウソ? 「じゃあ、プラッシュが四百年も生きてるっていうのは!?」 『あれはご主人サマの実力さ。魔女は誰でも長生きの方法を知ってるんだ』 「許さん。このわたしを泣かせた罪は重いんだからな! おまえなんかシャミセンにして食ってやるぅぅぅ~~~っ!!」 『マドモアゼル。シャミセンは食べ物じゃないよ』 こいつッ! さらにわたしに恥までかかせやがった。絶対に許さない。 おかげでセッテに「泣いてたの?」とか聞かれてしまった。 な、泣いてない。たしかにちょっと泣いたかもしれないけど、あれは心の中で泣いただけだからセーフだ。だからわたしは泣いてない。泣いてないんだからなっ! 「さて、もういい頃かしら」 そのときセッテが持っていた魔女のぬいぐるみが突然震え出すと、煙とともにそれはぬいぐるみの魔女に戻った。 魔女のぬいぐるみがぬいぐるみの魔女に。ややこしいな。 「うわっ、びっくりした。自分で元に戻れるんすか!」 「あたしが自分で開発した魔法だもの。そんなの当然よ」 「あの……なんか、最初に会ったときと雰囲気違いません?」 「あら。あっちのほうが良かった? じゃあ……セッテちゃんがそうしてほしいなら、こっちのあたしでおはなししてあげるの。こっちのあたしのほうにする?」 「け、結構っす。えっと、ホントは四百歳? なんすよね。なんかもう、おれ純粋な目でプラッシュちゃんを見られない……」 「うふふ。人は年齢よりもずっと若々しくて美しい女性を『魔女』と呼ぶのよ」 「つまり、見た目はお譲ちゃんだけど中身は大人で、クルスと似たような感じで、えーっと。あ、アメちゃん、やるっす、よ? あれっ、逆か?」 セッテは混乱している。とりあえずこいつは置いといて、わたしはまだ魔女に聞くことがある。黒猫の言ったことが嘘だとして、まだ納得できないことがある。 「なぜわたしたちを襲った? もしかしてトロウの手下か」 しかし魔女は首を横に振った。 「トロウのことは本当に知らないわ。あたしはこの島から滅多に出ないから」 「ちゃんと質問に答えろ! わたしたちを襲った理由を聞いてるんだ!」 「あなたたちが可愛かったからよ」 「ええっ……そんな理由で!?」 ぬいぐるみが大好きだという気持ちに嘘はない。だから可愛いものを見つけるとついぬいぐるみにしてしまいたくなる。そう魔女は語った。 まるで理解できない。その言葉にわたしはただただ困惑するしかなかった。 やっぱり魔女というのは変なやつばかりなのか。変態だ。 「じゃ、じゃあこの部屋いっぱいにあるぬいぐるみは何だ! 全部おまえの被害者なんだろ? そういえば同じ竜の子もいるから、とか言ってたし」 「言ったわね。あるでしょ? 竜のぬいぐるみも」 魔女の部屋にところ狭しと並べられたぬいぐるみの中には、たしかに竜のぬいぐるみもあった。他にも色んな動物や、メーや、架空の生物まで……。 「だけどここにあるのは、ほとんどは本物のぬいぐるみよ。可愛いでしょ?」 「そ、そんなぁ……。わたしがどんなに怖い思いをしたと思って……」 「まあ、一部は本当に生きてるぬいぐるみなんだけど」 「……ッ!! ほら! ほら!! やっぱりこいつ悪の魔女だ! 変態魔女だ!」 「あら、ひどいわね。そうじゃないのよ。だって……」 プラッシュが言うには、その一部とは本人の同意の上で、望んでぬいぐるみになっている者たちなのだという。 魔女にぬいぐるみに変えられた者には、まずあの黒猫が声をかける。そしてうまく言い包めて、ぬいぐるみとして生きることを認めさせれば、魔女のコレクションが増えることになる。 しかし、どうしても同意が得られなかった場合はちゃんと解放しているらしい。 中にはこの魔女同様にぬいぐるみが好きすぎて、とうとう自分がぬいぐるみになる夢を持ってしまい、それを叶えるために自ら頼みに来た者もいるとかなんとか。 「魔法を調節すれば視覚や聴覚を残したままぬいぐるみにしてあげられるわよ。綿の身体だから、しゃべったり動いたりはさすがに無理だけど」 「いらんいらん。そんな情報求めてない」 「それにあたしの魔法を使えば、どんな姿のぬいぐるみにだって変えてあげられるのよ。この前来たのは、風竜の姿になりたいっていう人間で……」 「うぁーっ!! わたしには理解できない! 変態の知り合いは変態ばかりだ!」 それからしばらくして、ようやく落ち着いたセッテが最後に話をまとめた。結局プラッシュは面白そうだという理由だけで、わたしたちの仲間としていっしょに来てくれることになった。 あとおまけに黒猫もついてくるらしい。くそっ、あいつは嫌いだ。 「それから、生きてるぬいぐるみたちを放置していくわけにはいかないわ。彼らも連れて行くわね。えっと、オリバーとウェイドとジョセフィーヌと……」 うわっ、生きてるぬいぐるみ何人いるんだ。 プラッシュは家の中に戻ると、両手いっぱいにぬいぐるみを抱えて帰ってきた。 そしてお花畑の上にそれらを並べると、魔法で小さくして服の中にしまった。 「あたしってきっと本当は一人で寂しかったのね。だから、こういうぬいぐるみたちのぬくもりがどうしても忘れられなくって」 わからない。わたしにはその気持ちはわからない。 寂しいなら、こんな無人島なんかに引きこもっていなければいいのに。 「そうそう。お近づきの印にこれをあげるわね。クエリアちゃん、これをとっても気に入っていたでしょう?」 そう言ってプラッシュはポケットから何かを取り出した。 小さな豆粒のようなそれは、地面に置かれるとむくむくと元の大きさに戻って、それはあのふかふかもふもふな人類最高の発明品に変わった。 ソファだ!! 「このぬくもりが忘れられない気持ち。クエリアちゃんならわかるわよね」 わかる! わたしにもその気持ちならわかるぞ! おのれ魔女め。わたしの心をこうも簡単につかんでしまうとは侮れない。 わたしはさっそくソファの上に転がり込んだ。 ふわぁぁぁっと身体が沈みこんでいくこの快感。寝返りを打つたびに優しく全身をなでるこのもふもふ感の心地よさ。ああ、やっぱりこれ……しあわせ。 「ふっ、よかろう。このクエリア様が同行を許可してやる……! ひゃぅぅぅん。ごろごろごろごろごろごろごろごろ。きゅるるるるぅ」 「変な声出てるっすよ、クエリア」 変な声出てもいいも~ん。気持ちいいからいいんだも~ん。 今ならどんなことが起きても許しちゃう。もふもふソファ、最高っ! こうしてわたしは、世界最高の宝物を手に入れた。 魔女と黒猫がおまけについてきたけど、そんなのはもう誤差みたいなもんだ。 アルヴに帰ったら、さっそくソファを広げて存分に満喫してやる。楽しみだ。 そしてわたしはソファとセッテと魔女と黒猫を背中に乗せてアルヴへ帰った。 その後、アルヴでは集団失踪事件が起こることになる。もちろん、事件現場には大量のぬいぐるみが落ちていたのは言うまでもない。 Chapter26 END 魔法戦争27
https://w.atwiki.jp/memoriaknights/pages/67.html
☆4 →魔法戦士ジーガス imageプラグインエラー 画像URLまたは画像ファイル名を指定してください。 imageプラグインエラー 画像URLまたは画像ファイル名を指定してください。 属性 ジョブ 武器タイプ 炎 ファイター→ウォリアー 槍 \ HP 攻撃 防御 初期 MAX 覚醒MAX 4580 1590 390 自動合成 メモリアバースト 範囲 メモリアバースト(覚醒) 範囲 覚醒後 スキル1 スキル1 スキル2 スキル2 スキル3 スキル3 スキル4 スキル4
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/314.html
Chapter34「フレイと竜人3:竜人族の少年は中二病」 「俺の名はウェイヴ。邪悪な余所者はこの俺が排除してやる!」 一人の竜人の少年が僕たちの前に立ち塞がっている。 腰までかかるほどの銀の長髪で、体色は対照的に黒い。ゲルダと同様に翼がなくかかとが地面についているのでヒト寄りの竜人だが、ウェイヴにはさらにツノも尻尾さえもない。シルエットだけ見れば、人間とほとんど違いはない様子。 背丈は僕の半分程度で、セッテがこの場にいたらきっとまたちびっこと呼んでからかっていきそうなぐらいだ。 ウェイヴについてゲルダに聞いてみると、この少年もアルヴで生まれた竜人の一人で、幼くして両親を病で亡くしたために一人で暮らしている。……という答えが返ってきた。 「ほんとは誰かが面倒をみてあげられるといいんだけどね。ウェイヴ本人が強くそれを拒んでるみたいなんだよね。なんかちょっとひねくれてる感じ」 「可哀想な子なのか。それはひねくれてるんじゃなくて、たぶん寂しいだけだよ。もっと愛情をもって接してあげれば、きっと心を開いてくれるんじゃないかな」 「うーん。そうかもしれないけど、あの子ちょっと変わってるっていうか……」 二人で話し込んでいると、少年はさらに怒気を強めて声を荒げた。 「おい、俺を無視するな! 今は俺がおまえに話してるんだ」 「ごめんごめん。でもフレイはわたしの友達だから、邪悪でも敵でもないよ」 「うるさい。ゲルダには話してない。そのフレイって奴に話してるんだ!」 少年はゲルダを押しのけると、ずかずかとこちらに歩み寄ってきた。そして鋭い目つきで僕の顔を見上げた。 「おまえ何者だ。一体何の目的でアルヴへ来た。返答次第では黙ってはいないぞ」 僕は素直に自分のことと、アルバスに竜人たちを率いて立つよう頼まれたことを話した。 しかし少年はそれを聞いても不機嫌そうな表情を改めることはなかった。 「白竜のジジイがおまえを選んだ? ふん、ジジイめ。ついにもうろくしたか。こんな邪悪な余所者を頼るなんて、気が触れてるとしか思えん」 「さっきから邪悪邪悪って言ってくれるけど、僕には全く心当たりがないな。そこまで言うなら、僕の何が邪悪なのか教えてくれないかな」 「しらばっくれるな。一目見た時からおまえからは邪悪な気を感じている。邪悪ということは敵ということだ。敵ということは倒さなければならないということだ」 どうも具体性を得られない。何度聞いても何度説明しても、この少年はただ邪悪な気がどうのこうのと繰り返すだけだった。 「余所者を頼るなんてあり得んな。俺はずっと一人で生きてきた。生きるためには強くなくちゃならない。だから俺はもっと強くなる。誰よりも強くなる! おまえのような余所者なんかに負けてはいられないのだ。だから俺と勝負しろ!」 だめだ。こういうのは言葉で説得できるような相手じゃない。 思えば、僕がまだ子どもの頃、セッテと二人で城を抜け出して城下街へ遊びに行ったときに似たようなタイプの子どもと遭遇したことがあった。 その子どもはいわゆる街のガキ大将というやつで、自分の実力に絶対の自信をもっていた。子どもたちの間だけの狭い世界での実力に、だ。 あのときは、相手の挑発に怒ったセッテが喧嘩を売って返り討ちに遭ったんだ。隣で友達が泣かされて黙って見ていられるほど僕ものんきじゃない。習ったばかりの大地の魔法を駆使してガキ大将を打ち負かしてやった。城での剣術や魔法の稽古はあまり好きじゃなかったが、このとき初めてそれが役に立った気がした。 もちろん、そのあとで父上やオットーに酷く叱られてしまったが、喧嘩を通して生まれる友情もあるということを僕は学んだ。なぜなら、そのときのガキ大将は後にユミル王家に仕えるようになり、剣術の稽古の良きライバルになったからだ。 彼は名をスキルニルといい、魔法の才能はなかったが、剣に関しては大人にも劣らない腕前を持っていた。やがて彼は僕の剣のライバルから、剣の先生になった。それ以来、彼とは長い付き合いになる。 ほとんど幼なじみのようなオットーとセッテを除けば、ユミルで最も親しい友達といえば、まずスキルニルの顔が思い浮かぶ。 そんな彼も今では城下街治安維持部隊エインヘリアルの隊長だ。 「拳を交えてわかる言葉もある……か。わかった、相手をしよう」 「フレイ、あんなの真に受けることないって。どうせ子どもの言うことなんだし、それにああ見えてウェイヴは意外と強いよ?」 「かまわないよ。力を示して認めてくれるっていうんなら、勝負でもなんでもしてあげるさ。それにこう見えて、僕も弱いつもりはないからね!」 すべてが雲でできているアルヴでは、媒体がないため大地の魔法は使えない。 腰にはフリードから借りたままになっている剣を一本提げているが、両刃なのでみね打ちはできないし、丸腰の少年相手に剣を振り回すのも大人気ない。 拳を握り締める少年に倣って、僕もすっと胸の前に両拳を構えた。 「さあ、どこからでもどうぞ」 子ども相手に本気になるまでもないだろう。そう思って先手を譲ることにした。 しかし、少年はそれを見て、さらに不満そうな顔になった。 「馬鹿にしてるのか。これがただの勝負でなく実戦だったら、おまえは死んでいたぞ。いいか、強くなければ、この世は生きていけないんだ。今からそれをおまえに思い知らせてやる。いくぞ!」 素手の戦いで死んでいたって、そんな大げさな。 なんて思っていると少年の姿が一瞬にして消え、みぞおちに鋭い痛みを感じた。 「うぐっ……!?」 続けざまに背面から刺すような衝撃。気がつくと、咳き込みながら膝と両手を地面につかされていた。 (――――は、速い!?) 呼吸を整えながら顔を上げると、すぐ正面には屈みこんだウェイヴの不機嫌そうな顔があった。 「その程度か、つまらんな。邪悪な気を振りまいているからには、さぞ手強い相手なんだろうと期待した俺が馬鹿だった」 「ち、違う。今のは少し油断しただけだ。わかった、そういうことなら僕だって、本気を出させてもらう。あとから大人気ないとか言うなよ」 「ふん、もうおまえには興味ない。今のでだいたいわかったからな。おまえは俺より弱い。本気を出したところで、どうせ俺には敵わないことがよくわかった」 「な、なんだと! そんなの、やってみないとわからないじゃないか」 「いや、わかる。俺ぐらいになると、相手の動きを見ただけで強さがわかるんだ。その点おまえは隙だらけだ。よくそれで今まで死なずに生きてこれたもんだな」 子ども相手とはいえ、ここまで言われてさすがの僕も腹が立ってきた。言い訳をするわけじゃないが、僕は大地の魔道士なんだ。剣や拳は専門じゃない。魔法さえ使えればこんな子ども相手に遅れを取ることなんてないはずだ。 そもそも、こんな子どもなんかに負けているようじゃ、トロウを倒すなんて夢のまた夢。こんなところで僕は負けてなんかいられない! 「ウェイヴくんと言ったかな。君、魔法は使えるのかい?」 「こんどは魔法で勝負しろとでも言いたいのか。あいにく俺はこの拳一本で生きてきた。俺には炎だの雷だのを派手にぶちかますような魔法は使えないからな」 「そうか、実は僕は大地の魔法が専門なんだ。拳で負けるのは苦手分野だから、ある意味しょうがないし、実力の半分も出せなかったんだけど……もう興味がないなら仕方ないよね。あーあ、魔法さえ使えたら僕はもう少し強かったんだけどなぁ」 わざとすごく残念そうに言ってやる。そっちに勝負する気がもうないならしょうがないよなぁ、と。 すると―― 「……ほう? おまえ魔道士だったのか。だったら話は別だ。この拳一本で生きると決めたからには、魔道士だろうが竜だろうが、この拳で倒す。魔道士には魔道士として戦ってもらわなければ困る。でなければ、修行にならんからな」 やはり食いついた! どういう世界観を持ってるのかわからないけど、ウェイヴはとにかく強くなることにこだわりを持っている様子。そしてそのために強い相手と戦うことを望んでいるようだ。ならば、本当はもっと強いんだぞ、と仄めかしてやればきっと飛びつくと思っていた。 「だったら一度場所を変えよう。ここじゃ僕は全力を出せないんだ」 大地の魔法の特性を説明して、勝負の場をグリンブルスティの近くに移すことにした。あの周囲でならば、船そのものを媒体にして大地の魔法を使うことができるからだ。 グリンブルスティの脇に、僕とウェイヴとが向かい合って立つ。 少し離れた位置からは、心配そうな表情でゲルダが僕らを見守っている。 「ねぇフレイ。本当にやるの?」 「当然! 僕はアルヴの竜人を率いて立つことを求められているんだ。そんな僕が竜人の子ども一人に勝てなくて、どうして皆をまとめられるものか!」 「でもウェイヴはちょっと特殊っていうか……。あの子、ただ誰彼かまわず勝負したいだけだからね? しょっちゅう誰かに勝負ふっかけてるし」 「かまうもんか。こんな子どもになめられてるようじゃ、主導者失格だ」 するとウェイヴも頷いて続ける。 「その通り! 俺はこんな奴は認めない。認めて欲しければ、戦って己の存在を証明するのみだ。己の地位は勝って掴み取れ! それでこそ漢(おとこ)だ」 「はぁ……。これだから男っていうのは……」 そしてゲルダは理解できないとでも言いたげに、大きなため息をつくのだった。 そのまま静寂が訪れ、僕とウェイヴの視線が交差する。それを合図にお互いが頷き合い、それぞれが構えを取って勝負の再開と相成った。 こんどは先手を譲ってやるような甘さは見せない。大人気ないと言われようが、こんどは本気で相手をしてやるつもりだ。 まずウェイヴの速さが厄介だ。あれは目で追うには困難を極める。そんな攻撃をかわすのもまた難しいだろう。となれば、護りを固めるに限る。 さっそく呪文を唱え、グリンブルスティの表面を媒体に木製の鎧を生成して身体にまとわせた。木製では防御力が心もとないが、相手は素手だ。拳を防ぐ程度なら木製の鎧でも十分だし、これなら軽いので自分の動きが鈍ることもない。 その一部始終をただじっと眺めていたウェイヴは、初めて笑みを見せた。 「面白い。大地の魔法というのを俺は初めて見た。おまえの説明が正しいなら、アルヴでは大地の魔法が使えないそうだからな。大地の魔道士と戦うのも初めてだ」 その表情は、言うなれば初めて経験する大地の魔法に興味津々で、一体どんな攻撃をしてくるのか、どれほど強力なものなのか、と期待に満ち溢れた顔だった。 「アルヴにも火や水、風を扱う奴はいる。俺はそれらの魔法は全て見切ったつもりでいる。だが大地はまだだ。おまえを相手に、大地も全て見切ってやる」 「そうか。だったら大地は火や水よりも変幻自在だ。果たして見切れるかな?」 「絶対に見切ってやる。来いッ!!」 来いと言われるまで待ってやる筋合いはない。話しているうちにすでに策は打っておいた。柔らかい雲の地面は、ものを潜伏させるのにもってこいだ。 雲の地面から植物のツタが幾本も飛び出すと、それらはウェイヴの両足を縛りつけた。素早い相手は、まず身動きを取れなくするのが基本だ。……と、剣術を習っていた頃にスキルニルから教わった。 相手が動けなければ、自然とそこに隙が出来る。呪文を詠唱しながら駆け寄り、ウェイヴとの距離を詰めていく。 とはいえ、拳法を使う相手に正面から挑むのはさすがに危険だ。そこでウェイヴの手前で跳躍。先程の呪文で事前に用意しておいたツタを地面から伸ばし、それにつかまってウェイヴの頭上を飛び越える。 案の定、飛び上がった足の下を拳が通り過ぎていった。読み通りだ。 そして相手の背後に着地し、木の籠手で覆った拳でウェイヴの背中を打った。 だが拳は虚しく空を切った。 見るとウェイヴは身を屈めてうまく攻撃をかわした様子だ。そして身を反転し、渾身のアッパーカットを繰り出す。 木の兜をかぶっているとはいえ、あごまでは無防備。ウェイヴの拳がクリーンヒットし、一瞬目の前が真っ白になった。 気がつくと、僕は後方を吹き飛ばされて尻餅をついていた。 「鎧を着た相手との戦い方はすでに心得ている。まさか頭上を飛び越えるとは思わなかったがな。さあ立て。大地の魔法とやらはもう終わりか」 いつの間にか、拘束したはずのウェイヴの足も解放されている。さっきの目眩のせいで魔法で生み出したツタが消えてしまったか。 ならば、と大地の魔法で木の兜を補強してフルフェイスのヘルメット状に形を変えた。視界が少し悪くなったが、これでもう同じ手を食らうことはない。 「なるほど。大地の魔法は罠と防御が中心か? 地味で攻撃力に欠けるな」 植物の魔法に関しては、ウェイヴの言うとおりだ。自身の護りを固めつつじわじわと相手を弱らせる、そういう魔法だ。 大地の魔法には他に岩を媒体にしたものもある。尖った岩を突き出して敵を貫くような攻撃は、どこからその岩の槍が飛び出してくるかもわからないので、奇襲と強力な攻撃を兼ねている。岩の頑丈さは防御面も優秀で、大きな魔力を要するが、大技になれば辺り一帯に地震を起こすことだってできる。 しかしアルヴには岩がない。媒体の有無はもちろん、その種類によっても大地の魔法は強さを左右されてしまう。媒体次第で誰でも強力な魔法が使えるのが大地の魔法の強みであり、媒体次第で無力にもなってしまうのが弱みでもある。 そもそも岩そのものが少ない空の世界では、大地の魔法は扱いが難しいのだ。 (ここなら大地の魔法が使えると安心していたが、岩の媒体はない。力でゴリ押すような戦法は無理だ。うまく頭をつかって戦わないと) 何かいい手はないかと作戦を考えていると、こんどはウェイヴが先に動いた。 「大地の魔法はだいたいわかった。さっそく閃いた攻略法を試させてもらおうか」 ウェイヴは右手の拳を突き出すと、左手でその上をそっと撫でる。すると、その右手を赤いオーラが覆い始めた。 「我が右拳に宿りしは地獄の業火。深緑の神秘など容易く打ち破ってくれよう」 (じ、地獄の業火!? なんだかよくわからないが、凄そうだ!) すると横から見ていたゲルダが冷めた様子で解説した。 「ただの付呪魔法(エンチャント)だよね、それ。武器じゃなくて拳にかけるってところは独創的だと思うけど」 「……だ、黙れ! これは召喚魔法だ! 地獄の業火だッ!!」 どうやら拳に炎をまとわせてツタや木の鎧を焼き払おうという魂胆らしい。ところであの拳、本人は熱くないんだろうか。 しかし、植物が火に弱いから炎の拳とは安直すぎる。しょせんは子どもの考える作戦といったところか。もちろん、僕には対策がある。 ウェイヴが炎の拳を振り上げて走り出した。次の瞬間には、ふっとその姿が消えてしまう。またあの目にもとまらない速さの一撃が来る。 だが抜かりはない。 「うわっ!?」 驚いた声とともに転んだ格好でウェイヴが姿を見せた。 こんなこともあろうかと、すでに自分の周囲には多数のツタを忍ばせておいたのだ。雲の地面は、土の地面よりも何かをその中に隠すのに向いている。ツタを仕掛けたその上を誰かが通れば、自動的にツタがその足に取り付いて身動きを封じるよう罠を張っていたというわけだ。 ただの拳ではリーチが短い。だから、当たらなければどうということはない。 「また罠か。雲の中だな。ならば……これだ!」 再びウェイヴが突き出した拳に左手を重ねる。 するとこんどは蒼いオーラが湯気のように拳を包んで揺れている。 「我が拳に秘めたるは凍てつく永遠の呪縛。どんな罠だろうと時の忘却の彼方へと消し去ってやろう」 (永遠? 時!? まさか子どものくせに時を止める魔法を!? なんて魔力!) するとまたしてもゲルダが冷めた様子で解説した。 「つまり氷属性の拳でツタごと地面を凍らせちゃうわけね」 「……お、おい! 俺の作戦を敵に教えるような奴があるか!」 文句を言いながらも、ウェイヴは氷の拳を雲の地面に叩きつけた。周囲の地面は凍り付いて仕掛けたツタも動かなくなってしまった。 「でも地面を凍らせたら、君だって困るんじゃないか? そんな滑る地面じゃ、さっきまでのように素早くは動けないだろう」 「いや、動かなくてもいい。どうせおまえは拳じゃリーチが足りないとでも思っているのだろう。だが、離れていても届く拳もある!」 ウェイヴが拳に左手を這わせる。次は緑のオーラだ。 「疾風の拳は触れずに敵を倒す。これぞ気の極意。波動の力を見よ!」 (波動!? 波動って一体なんなんだ。魔法とはまた違う概念なのか!) こんどのゲルダの解説はこうだ。 「それって、ただパンチを打ったら風が飛び出て敵を跳ね飛ばすだけだよね」 「……風じゃない。波動だッ! くそっ。手の内が読まれていては攻撃にならん。こうなったら奥の手だ」 ウェイヴが右手に魔力を込める。こんどは白いオーラ。 「雷神の怒りは氷霜を駆け抜ける。この一撃は賢者トールの一撃に匹敵する!」 (賢者トール! そういえば聞いたことがあるな。光魔法に長けていて、その中でもとくに雷を扱うことに特化しているとか……。そういえば、オットーは賢者を捜しに行くとかいってたっけなぁ) そしてゲルダの解説。 「ねぇ知ってる? 氷って電気はほとんど通さないんだけど」 「……! ふん。おまえ、命拾いしたな。ならば次の手だ。俺の切り札を食らえ」 奥の手と切り札って何が違うんだろう。切り札は黒いオーラだった。 「深淵の闇こそ最も禍々しく最強かつ最凶の……ぐゥッ!?」 (な、なんだ? 急に右腕を押さえて苦しみ始めた!) ゲルダ曰く。 「闇ってある種の毒なんだって。生命力を奪う魔法とか、それこそ毒の魔法も闇に分類されてるから、前例はないけどそれを自分の手に付呪しちゃったら、それってやっぱりマズいと思うんだ」 「……くッ。し、鎮まれ……俺の腕よ、怒りを鎮めろ……!」 なんだか勝負してるのが、馬鹿らしくなってきた。 こんどはこっちが興味をなくして背を向けようとすると、ウェイヴは最後にもうひとつだけ試させてくれと食い下がった。 「ま、まだだ。まだ大地のエンチャ……いや。ん……ううむ。少し考える時間をくれ。母なる大地の……いや、ここは空だから違和感がある。大地、地面、岩……」 「ええと。大樹?」 「それだ! 大樹の加護を受けし豪腕の力の奔流をその眼に焼き付けるがいい!」 よくもまあ、次々と決め台詞を並び立てられるものだな。と半ば呆れながらも感心しながら次の手を見守った。大地のエンチャントは褐色のオーラのようだ。 ウェイヴは大地の拳を地面に叩きつけた。凍り付いた地面にヒビが入ったが、それ以上はツタが生えたり、岩が飛び出したりするようなことは何もなかった。 まぁ当然ではある。大地の魔法は媒体が重要。生身の拳には大地の要素なんて何もないわけだから、身体が植物で出来ているとか、土のゴーレムか何かでもない限りは拳に大地の魔力を込めたところで何も特別な現象は起こらない。 逆に大地の魔力を帯びたその拳は、その表面の魔力そのものが大地の要素であるため、媒体にはならなくても魔法の起点にはなる。 大地の魔法で直接生き物の身体にツタなどを生やすことはできないが、その表面が大地の魔力で覆われているなら話は別だ。 手早く呪文を唱えてやると、ウェイヴの右手からツタが生えて、その両手にぐるぐると巻き付き拘束してしまった。 拳に大地の魔力が込められているため、力ずくで拘束を破ろうとしても、ツタには常に魔力が供給され続けるため、その強度は相当に頑丈なものになる。こうなると自力での脱出はほとんど不可能に近いはずだ。 こうなってはもはやウェイヴは攻撃することができない。これで完全に無力化したも同然だ。 ウェイヴは悔しそうにしながらも負けを認め、再び不機嫌そうな顔になった。 「こ、この俺が負けるとは……。まだ修行が足りないというのか……」 正直なところ、魔法の拳を使う前のほうが強かったんじゃないかと僕は思った。かえって隙を作る結果になっていたし、闇や大地の拳のおかげでほとんど自滅に近い形で勝負を終える結果になったわけなのだから。 しかしそれを伝えても「俺はこの拳一本で最強になる」とウェイヴは言って聞かなかった。何かこだわりでもあるのか……たしかにゲルダの言うように、この少年は少し変わっているようだ。 それでも子どもにしてはなかなかの強さだった。これは訓練をつめばきっとさらに強くなるに違いない。これはトロウとの戦いにおいて戦力として期待できるかもしれない。 そう考えて僕はウェイヴを仲間に勧誘してみることにした。 「ウェイヴ。もっと強くなりたいか? もし良かったら僕が稽古をつけて……」 「断るッ!! 俺は今まで一人で生きてきたんだ。だから誰の助けも受けない! 自分の力だけで強くなれないようでは、この世界では生きていけないだろうが」 しかしウェイヴは一人で強くなることに頑なにこだわった。誰かの力を借りて強くなるのは本当の強さではない。助けられるのは弱さの表れなのだ、と。 「力を合わせることも強さだと思うんだけどな。まぁ、そこまで言うなら無理強いはしない。それじゃあ質問を変えよう。ウェイヴ、もっと強い相手と戦ってみたくはないか?」 トロウのことを話すと、とにかく強い相手と戦うことを望んでいるウェイヴのことだ。やはりすぐにこの話には飛びついてきた。 「ふん、いいだろう。トロウだかなんだか知らんが、外にはもっと強い奴がいるんだな。ちょうどアルヴの奴らの相手にも飽きてきた頃だ。アルヴを出てみるか」 「そうか! じゃあ良かった僕たちの船でいっしょに……」 「それはだめだ! それでは自分の力で強くなることにならない。だから俺一人でアルヴから出る方法を考える」 見たところウェイヴには翼もないし、空を飛べるような魔法も扱えないように見えるが、自分の力だけで一体どうやって空を渡るつもりなのだろうか。 とはいえしょせんは子どもの言うことだ。そのうち諦めて、やっぱり船に乗せて欲しいと言い出すかもしれない。だからこの場は静かに頷いてあげることにした。 「そのトロウとかいう奴と戦うときが来たら、そのときは俺を呼べ。今よりも桁違いに強くなって駆けつけてやる。もちろん俺一人でトロウを倒してみせよう。残念だったな、おまえの出る幕はないぞ」 「そ、それは頼もしいね……。まぁ期待しておくよ」 「そうと決まれば、さっそく旅に出る準備をしなくては。じゃあな!」 孤高の強さを追い求める竜人の少年ウェイヴは、颯爽と駆け出していった。いずれ訪れるトロウとの決戦には必ず駆けつけると約束して。 結局ウェイヴは僕のことを認めてくれたのかわからなかったが、このアルヴでようやく最初の共に戦ってくれる仲間を見つけることができた。 ……いや、この場合仲間になってくれたって言っていいんだろうか? 「ところでウェイヴが言ってた邪悪な気を感じるって、何のことだったんだろう」 「さあね。フレイと戦うための、ただの口から出まかせだったんじゃない?」 Chapter34 END 魔法戦争35
https://w.atwiki.jp/dragonquest10/pages/298.html
称号(伝説の紳士/社交界のバラ) TOP 称号(伝説の紳士/社交界のバラ) [#g5aabb29] 関連項目 [#je771ccc] 「おしゃれ」−「みりょく」が250以上じゃないと称号獲得できない。 取得のポイント:タキシード、ちょうネクタイ等、社交界に出られそうなスーツやドレスが最適。ビーバーハット等の儀礼用の装飾が施された武具もポイントが高い。 データによる「上品さ最大」の組み合わせはここに記載。(*1) 武器:オーロラの杖(100) 盾:女神の盾(60) 頭:アポロンのかんむり・おうごんのティアラ(50) 体(上):おうじゃのマント・エンプレスローブ(110) 腕:ロトのこて・女王のてぶくろ(40) 体(下):ホワイトタイツ・白いスラックス(50) 足:てんていのブーツ・白いエナメルぐつ・エナメルのヒール(40) 飾り:スーパースターの証(50) 総合:500 性別 職業 Lv ぶき 盾 アタマ からだ(上) ウデ からだ(下) 足 アクセサリー おしゃれさ 備考 ♂ 旅芸人 76 ロトのつるぎ オーガシールド 天使のわっか しんぴのよろい 竜戦士のこて まもりのスパッツ 竜戦士のブーツ まもりのルビー 517 ♂ 旅芸人 40 きせきのつるぎ せいきしの盾 はねかざりバンド ミラーアーマー ライトガントレット ホワイトタイツ 竜戦士のブーツ りせいのリング 354 ♂ 旅芸人 46 はやぶさの剣改 オーガシールド ぎんぶちメガネ しんぴのよろい改 ヘビーガントレット まもりのスパッツ ばんぜんぐつ ごうけつのうでわ 398 同時に称号『背中で語る男』も取得 ♂ 旅芸人 20 はやぶさの剣改 おやぶんの盾 メタスラヘルム おうじゃのマント あつでのグローブ まもりのスパッツ ばんぜんぐつ ごうけつのうでわ 320 同時に称号『ストリートプリンス』も取得 ♀ 旅芸人 23 プラチナソード プラチナトレイ おうごんのティアラ ひかりのドレス あおのグローブ とうめいタイツ ピンヒール ようせいのうでわ 312 ♀ 旅芸人 43 インフェルノソード せいきしの盾 ミスリルヘルム ミラーアーマー ヘビーバントレット まもりのスパッツ たまはがねグリーブ いやしのうでわ ♀ 旅芸人 44 つきのおうぎ ダークシールド ミスリルヘルム しんぴのよろい改 カグツチのこて とうめいタイツ かんぜんぐつ エルフのおまもり 412 ♀ 旅芸人 47 はやぶさの剣改 せいきしの盾 ほしのサークレット ひかりのドレス アリーナのてぶくろ ホワイトタイツ イケてるミュール ようせいのうでわ 441 まもりのスパッツから変更で取得 ♀ 戦士 1 きせきのつるぎ みかがみの盾 古強者のかぶと しんぴのよろい カグツチのこて まもりのスパッツ 竜戦士のブーツ エルフのおまもり 278 同時に称号『かっこつけ美少女』『ツンデレラ』も取得 ♀ 戦士 40 きせきのつるぎ プラチナシールド シルクのベール ウェディングドレス 竜戦士ののこて まもりのスパッツ たまはがねグリーブ いやしのうでわ 310 ♀ 僧侶 28 デーモンスピア ホワイトシールド 神秘のカロット プリンセスローブ きふじんのてぶくろ 守りのスパッツ 白のシューズ ラッキーペンダント 299 (プリンセスローブ作成必須アイテム用入手に)1000時間越えのホストのマルチプレイ、宝の地図、Wi-Fiショッピングを使用。スキルは槍と信仰心のみ。 ♀ 僧侶 32 らいじんのやり みかがみの盾 セティアコサージュ ラダドームよろい マーニャのリスト とうめいタイツ セティアコサージュ はげんのリング 329 ♀ 僧侶 44 ガナンのおうしゃく みかがみの盾 おうごんのティアラ クリフトの服 まほうのこて マジカルスカート クインヒール きんのロザリオ 360 ♀ 僧侶 52 うみなりの杖 スライムトレイ 金のかみかざり 光のドレス きふじんのてぶくろ ホワイトタイツ エナメルのヒール エルフのお守り 友人のソフトで確認。『モテかわ姫』とダブルで取る事も可能。 ♂ 武闘家 99 白いシルクハット 白いタキシード 白いタキシード 白いエナメルぐつ けっこんゆびわ 武器・盾はそうびなし ♂ 盗賊 22 はやぶさの剣改 メタスラの盾 ぎんぶちメガネ しんぴのよろい改 とうしのうであて まもりのスパッツ せいじゃくのブーツ ごうけつのうでわ 298 ♂ バトルマスター 40 きせきのつるぎ改 オーガシールド 赤いアフロ ひかりのタキシード 竜戦士のこて レッドタイツ すてきなサポ 女神のゆびわ 332 ♀ バトルマスター 39 メタスラの剣 メタスラの盾 ヘッドドレス メイド服 ライトガントレット まもりのスパッツ メタスラブーツ ようせいのうでわ 381 ♀ バトルマスター 99 ふぶきのオノ みかがみの盾 メタスラヘルム メタスラよろい ライトガントレット とうめいタイツ かんぜんぐつ 女神のゆびわ 363 ♂ 魔法戦士 27 きせきのつるぎ ダークシールド ミスリルヘルム ミラーアーマー ライトガントレット 剣士のズボン 竜戦士のブーツ エルフのおまもり 334 ♂ 魔法戦士 88 はやぶさの剣改 メタルキングの盾 メタスラヘルム しんぴのよろい カグツチのこて 竜戦士のズボン 竜戦士のブーツ ごうけつのうでわ 482 ♀ 魔法戦士 26 ほのおのつるぎ メタスラの盾 インテリクラウン ミラーアーマー きふじんのてぶくろ うみかぜのスカート 竜戦士のブーツ けっこんゆびわ 354 ♀ 魔法戦士 29 ブリザードアックス ドラゴンシールド おうごんのティアラ シェンロンローブ きふじんのてぶくろ ドレススカート ピンヒール (なし) 323 ♀ レンジャー 17 はやぶさの剣 ダークシールド アリーナハット 竜戦士のよろい きふじんのてぶくろ むてきのズボン 竜戦士のブーツ はげんのリング 273 ♂ パラディン 43 いなずまのやり せいきしの盾 ミスリルヘルム 竜戦士のよろい せいれいのこて 竜戦士のズボン ホーリーグリーブ しんごんのじゅず 309 ♂ パラディン 20 ロトのつるぎ ダークシールド スライムのかんむり ミラーアーマー ヘビーガントレット 竜戦士のズボン 竜戦士のブーツ エルフのおまもり 305 ♂ パラディン 49 つきのおうぎ みかがみの盾 たいようのかんむり ミラーアーマー ヘビーガントレット 竜戦士のズボン てつゲタ ラッキーペンダント ♂ パラディン 38 ディバインスピア ダークシールド メタスラヘルム おうじゃのマント ライトガントレット まもりのスパッツ メタスラブーツ ラッキーペンダント 同時に称号『背中で語る男』も取得 ♀ パラディン 36 インフェルノソード オーガシールド ミスリルヘルム しんぴのよろい とうしのうであて とうめいタイツ アリーナのながぐつ ラッキーペンダント 340 ♀ パラディン 41 はやぶさの剣改 ダークシールド ロトのかぶと しんぴのよろい ヘビーガントレット チェインニーソ ホーリーグリーブ 命のゆびわ 345 ♀ パラディン 56 きせきのつるぎ改 オーガシールド ミスリルヘルム しんぴのよろい改 せいれいのこて レッドタイツ たまはがねのグリーブ エルフのおまもり 330 同時にかっこつけ美少女も取得 ♂ 賢者 40 ブリザードアックス みかがみの盾 たいようのかんむり さとりのマント せいれいのこて てっぺきのレギンス ようせいのくつ 女神のゆびわ 377 ストリートプリンスも同時取得 ♀ 賢者 34 ガナンのおうしゃく みかがみの盾 さとりのかんむり さとりのワンピース さとりのてぶくろ さとりのズボン さとりのブーツ ほしふるうでわ 関連項目 pgid); pgid); pgid); pgid); pgid);
https://w.atwiki.jp/dragonquesttrpg/pages/30.html
■Unknown ♂ ハッサン→ブライ→メルビン→テリー→プレザンス→ククール→ガブリアス→テリー→ガブリアス 性格 あたまでっかち 戦士★ 18/20 武闘家★ 10/20 魔法使い★ 10/20 僧侶★ 11/20 盗賊★ 10/20 旅芸人★ 10/20 船乗り★ 10/20 吟遊詩人0 0/20 魔物使い0 11/20 退魔士★ 10/20 バトルマスター 0/20 魔法戦士 0/20 パラディン 0/20 賢者 0/20 スーパースター 0/20 レンジャー 0/20 海賊 0/20 ※ボーナス振り分け(盗賊10 レイピア1 あまり4) 短剣 レイピア★ 10 弓 1 護符★ 10 魔導書
https://w.atwiki.jp/tpc-document/pages/337.html
Chapter57「フレイ倒れる5:未知なる呪い」 持ち寄った材料を受け取ると、吟味するようにそれを眺めてイアトロは満足そうに言った。 「うん。質、量ともに申し分なし。これならいい解呪薬ができそうだね。パパッと調合しちゃうから適当にくつろいでて。コーヒーでも淹れよっか?」 「いらないから早く調合して欲しいっす! フレイ様が待ってるっすから!」 「君ってせっかちだよね。ま、どうでもいいけど」 キュアル草と風竜の鱗をすり潰して粉末状にし、それをメーの体液に落として撹拌する。そしてなにやら呪文を唱えながら混ぜ続けていくと、濁っていた液体の色が透き通った緑へと変わる。 「調合完了。解呪薬のできあがり~ってね」 イアトロはそれをビンに入れてくれた。 たっぷり材料を集めてくれたので代金はいらないという。 「これが解呪の薬……。やったね、セッテ。これでフレイは助かるんだね」 受け取ったビンの中身を覗き込みながら、ゲルダは安堵の息をもらした。 「安心するのはまだ早いっす。喜ぶのはフレイ様が治ってからっすよ」 「そうだった。フレイのところへ急がなくっちゃ」 「もちろんっす! でも不思議っすねぇ。薬を飲むだけで呪いが治るなんて」 一方で材料集めに協力してくれたサーモスも、ゲルダとは別でビンを受け取っていた。彼女もまた、自らにかけられた呪いを解きたいと願っていたからだ。 「すみません。無理言ってワタシの分までいただいてしまって」 「いいよいいよ、大量にできたからね。聞くところによると、君も呪いをかけられているそうじゃないの。じゃあさっそく飲んでみてよ。薬の効果で剥離した呪いを回収して研究させてもらうから。それがお代の代わりってところかな」 「わかりました。ではさっそく……」 イアトロに促されて、サーモスはビンの中身を一気に飲み干した。 本当に薬を飲むだけで呪いが解けるのだろうかと、その様子をおれはゲルダとともに息を呑んで見守った。 するとサーモスの身体が光に包まれて……というようなことは全くなく。 呪いが黒い霧のようになって彼女の身体から抜けていく……こともなく。 蛇の鱗が剥がれ落ちて人間の姿に戻ったサーモスが……現れたりはせず。 率直に言うと、解呪の薬を飲んでも何も起こることはなく、サーモスは相変わらずローブを被った蛇っぽいお姉さんのままだった。 「ええー? ちょっとこれ、失敗したんじゃないの? なんかフレイに飲ませるのが心配になってきたんだけど。まさかヘンな副作用とか出たりしないよね?」 「そんなまさか! 私の調合に間違いはない。ちょっと調べさせて」 イアトロは怪訝そうな顔をしながら、困惑するサーモスにはお構いなしで、その身体を触ったり眼の奥を覗いたりしている。 「ひゃ! や、やめて。尻尾はやめて。人間のときには無かった部分だから触られ慣れてなくて、し、刺激が強……」 「ちょっと黙ってて。うーん、呪いの侵蝕が深すぎるのか、それとも……。根本的に術式が違う? 状態を固定する変性魔法的な作用ではなく、もっとこう本質的な部分を変えてしまうような呪い……。例えば魂に影響して変質させるような……」 しばらくサーモスの身体を撫で回してからイアトロは深いため息をついた。 「ひゃあー。だめ、お手上げ。誰にかけられた呪いか知らないけど、こんな特殊な呪いは見たことないよ。これはかけた本人にしか解けそうにないね」 「そ、そんな……。それじゃあワタシはもう一生このままなんですか。呪いは今でも進行しているんです。どうすることもできずに、やがてただの蛇に変わってしまうのを受け入れるしかないって言うんですか……」 蛇の目から涙は流れない。涙を流すことはできない。 泣くことすらもできず、ただ何もできずに呪いに蝕まれるしかない。 それが彼女の運命なのだろうか。だとしたら、なんて辛すぎる運命。 「あの、なんとかできないんすか? 例えば別の呪いで上書きして蛇の呪いを消してしまうとか……」 以前、プラッシュがセッちゃんの石化を治してくれたことがあった。 あの後、気になって聞いてみると、プラッシュのぬいぐるみ化の魔法はむしろ呪いに近い術式で、石化の呪いをぬいぐるみ化の呪いで上書きしてからぬいぐるみ化を解いたために結果として石化が消えた、言わば荒療治だと説明された。 その方法を使えばサーモスの呪いも消せないだろうか。 「なるほど、面白い発想をするね。だけど、この呪いは相当強いものみたい。別の呪いで上書きするなら、さらに強い呪いをかけなければいけない。それだと身体への負担が大きすぎるし、そもそもそんな呪いをかけられるほどの魔力の持ち主なんてそうそういないんじゃないかなぁ」 「トロウよりも強い魔力の持ち主……。あ、アルバス様は? 神竜の」 「神竜様は呪いはお使いにならないよ。呪いというのは闇の魔法だからね。光の精霊でもあられる神竜様とは完全に対極に位置するものだし……」 「光の精霊? 精霊って精霊魔法の……。精霊って実在するんすか!?」 「そりゃそうでしょ。精霊がいなきゃ精霊魔法は使えないんだから。それはともかく、申し訳ないけどサーモスの呪いは私の手には負えないと思う。悪いけどね」 「そっすか……」 その呪いはトロウにしか解くことができない。そう告げられて絶望するサーモスにかける言葉が思いつかない。 こういうときは下手に励ますよりはそうっとしておいたほうがいい。しかし、放っておいて解決するような問題でもない。呪いはまだ進行しているのだから。 (トロウを倒せば、サーモスの呪いを解ける者がいなくなってしまう。だけどトロウを倒さなければニョルズ王様もユミル国も取り返せない。それにトロウを放っておいたら、もっとサーモスみたいな被害を受けるひとが出るかも……。うう、おれは一体どうすればいいっすか……) 「ワタシのことは気にしないでください」 頭を抱えていると、サーモスに声をかけられた。 「今回の方法はたまたまうまくいかなかっただけです。どんな特殊な術式だろうと確かにそれは存在する術式なんですから。そうである以上、呪いを解く手順は必ず存在します。特殊だろうとなんだろうと、その呪いの正体さえ突き止めれば必ず方法はあります。だからワタシは諦めません」 そうは言っているが、きっと強がっているだけに違いない。 どうやって組まれたかもわからない呪いの術式を見つけ出して、さらにそこから解呪方法を見つけ出すなんて、ほとんどイチから新しい魔法を作り出すようなものだ。しかも正解はたったひとつに限られている。 例えるなら絵柄のない真っ白なジグソーパズルを完成させるようなものだ。しかもピース数は膨大で、その中には関係のない不要なピースが大量に混ざっている。 「そ、そんな気が遠くなりそうなこと、できるんすか?」 「できるかどうかじゃない。やるしかないんです、ワタシは……。いいえ、大丈夫です。諦めない限りは、どんなに低かったとしても可能性はゼロじゃありません」 「諦めなければ……ゼロじゃない……っすか」 いいや、強がりなんかじゃない。本当に強いひとなんだ。そう思った。 サーモスはまだ諦めていない。諦めていないからこそ、彼女は強いのだ。 「ワタシには効果がなかった。でもまだ諦めるのは早い。そうでしょう? まだその薬を待っているひとがいます。だから早く行ってあげましょう」 そうだった。おれまで落ち込んでいる場合じゃない。 フレイ様はこうしている今もまだ苦しんでいるに違いないんだ。 だからすぐにでも解呪の薬を届けてあげなければならない。 おれは、そのためにここへ来たのだから。 「セッテ、急ごう!」 同じくサーモスの言葉を聞いてはっとしたのだろう。ゲルダは薬のビンを片手に今にもイアトロの家を飛び出しそうな勢いで、雲の扉から顔を覗かせている。 「すまねっす。ちょっと考え込んじまった。フレイ様が待ってるんすよね。だったら一刻も早く薬を届けてあげないと。船まで走るっすよ!」 「もちろん!」 言って先に飛び出していったゲルダに続いて、おれも雲の扉をくぐる。 同様にフレイ様を心配していたサーモスもその後から着いて来ていた。 空を見上げると、もう夜が明けかけている。思ったより時間をかけてしまった。 フレイ様は無事だろうか、薬はちゃんと効くだろうか、と心配しながらおれたちは全速力でグリンブルスティへと向かった。 船へと戻るとフィンブルが寝ずにフレイ様を看病してくれていた。 一方フレイ様はというと、静かに眠っているようではあったが、やはり顔色はあまり良くないようで、ずいぶんと汗をかいている様子だった。 「あ、おかえりなさい。あのフレイさんのことなんですけど……」 「フィンブル、ありがとっす! 遅くなったけど、薬を手に入れてきたっすよ」 「お薬ですか? あの、そのことなんですがさっき……」 「大丈夫っす! これで治るはずっす! だからあとは任せるっすよ!」 ベッドに横になっているフレイの上体を起こし、薬を持っているゲルダに合図する。ビンの蓋を開けて飲ませやすいようにコップに移しかえると、ゲルダがフレイ様に声をかける。 「さ、飲んで。これできっと良くなるから」 何度かむせ返しながらも、なんとかフレイ様は解呪薬を飲み干した。 そして、これできっと良くなるはず。そう期待しながら様子を見守る。 しかし待てど暮らせど、やはりサーモスのときと同様に何も起こることはなく、再びフレイ様は横になって寝息を立て始めただけだった。 相変わらず顔色は良くなく、大量の汗をかいていることにも変わりはない。 「全然だめじゃないっすか! この薬、本当に信用できるんすか!?」 「ど、どうしよう……。このままフレイが目を覚まさなかったらわたし……」 「はっ、もしかしてこれも未知の呪いなんじゃ!? ああ、もうおしまいっす!」 「うわーん! フレイが死んだらわたしもあとを追う! だって約束したから。わたしはフレイと一緒ならどこへでも行く。たとえそれがあの世だって……」 トロウに呪いをかけられたのなら、やはりこれもサーモスと同様に特殊な呪いだったということに違いない。解呪薬が効果がないのはきっとそのせいだ。 もうどうしたらいいのかおれにはわからない。こうなったらイアトロのところにある解呪薬を全部飲ませるしかないんじゃないか。本気でそう思っていた。 頭の中が真っ白になり、おれはただ焦るばかり。 一方ゲルダは眠るフレイ様にすがって泣き喚くばかり。 そんな様子をフィンブルがおろおろしながら見つめている。 そしてサーモスは、フレイ様の顔を見ながら何か考え込んでいる。 「セッテ。ふと思ったんですが、フレイ王子のこれ。もしかしたら……」 「やっぱそうっすよね、サモ先輩……。くッそぉ! おれの責任っす! おれがフレイ様に無理言って連れ出してしまったからこんなことに……!」 「いえ、この症状はむしろ……」 そのときフレイ様を寝かせているこの部屋の扉が開かれた。 ゲルダが飛び出していったのかと思ったが、どうやらそうではない。 扉の先にあったのは、両手いっぱいに黄色い木の実を抱えた少女の姿だった。 「なんじゃお主ら、やっと戻ってきおったか」 「クルス!!」 持ってきた木の実をテーブルの上にどさどさと乗せると、そのうちのひとつをフィンブルに渡して皮を剥いてやれとクルスは指示をした。 「戻ってたんすね! じゃあもう知ってると思うっすけど、フレイ様が大変なんすよ! だからおれたち、アルヴの錬金術の先生に薬をもらいに行ってて……」 「ほう。それで薬は手に入ったのか?」 「それが……ついさっき薬は飲ませたんすけど、全然効果が現れなくって」 「それはそうじゃろう。そんな飲んだすぐに効果が出るわけがあるまい」 「でもそれじゃ困るんすよ! フレイ様には早く元気になってもらわないと!」 「まあ、お主の気持ちもわからんでもないがな。ユミルを発ってから色々とあったから、おそらく疲れが出たんじゃろう。たまにはゆっくりと休ませてやれ」 「何をそんなに落ち着いてるんすか! 早くなんとかしないとフレイ様、死んじゃうんすよ!! クルスにはわからないんすか!?」 「…………なんじゃと? フレイが、死ぬって?」 唖然とした表情でおれとフレイ様の顔を交互に見たあと、なんと突然クルスは大声で笑い始めた。 「何がおかしいんすか!! 不謹慎にも程があるっす!!」 「あのなぁ、セッテ。ならば聞くが、フレイは風邪をひいた程度で死んでしまうほど虚弱体質だとでもいうのか?」 「…………へ? 風邪?」 「まさか風邪を知らんわけじゃなかろう。アルヴ育ちの竜人じゃあるまいに」 「え……っと…………」 言葉に詰まってしまった。 なんだって。クルスは何て言ったって。えっ、風邪? 「ねぇ、セッテ。カゼって何? それも呪いの一種なの?」 ゲルダが心配そうな顔で見上げてくる。 「いや、えーっとその。だ、だって急に倒れるから……ね、ねぇ。サモ先輩?」 「ねぇと言われましても。この症状はワタシも風邪だと思いますけど」 「だ、だったらフィンブルは? 風邪だって知ってたんすか?」 「はい。さっき私も言いかけたんですけど……。セッテさんとゲルダさんが出かけていったあと、少ししてからクルスさんが帰ってきて……」 様子を見たクルスはすぐに理解し、風邪に効く薬を自分で材料から調合して、すでにフレイ様に飲ませていたのだという。錬金術までできるなんて聞いてない。 そして落ち着いたフレイ様が寝入ったのを確認すると、また何かを取りに出かけて行ったそうだ。ちょうどその間におれたちが戻ってきたことになる。 「それにしても呪いとはな。くっくっく。お主、なかなか面白い発想をするのう」 「それはその……だ、誰っすかぁ? 最初に呪いだなんて言い出したのは~」 視線を泳がせていると、ふとゲルダと目が合った。 いや、目が合ったというかこれはむしろ、凝視されている。 えっ、何? おれの顔に何かついてる? ……じゃないよなぁ、やっぱり。 「わたし、セッテが呪いだって言うからてっきり……」 「そうでしたおれでしたすんませんでしたぁーッ!!」 眠っているフレイ様以外のその場にいる全員の視線がおれに集まる。 「ほほう? セッテ、顔が赤いぞ。なんならお主も食べるといい。風邪をひいたときにはこの木の実が良いと人間の書物に書いてあったからのう」 あああああっ! なんだか頭が痛くなってきた。顔も熱くなってきたぁーっ! おれも風邪をひいたのかもしれない。そうだ、そうに違いない!! その後、ほとんど夜は明けかけていたが、おれは少し眠った。 夢の中ではゲルダたちに延々と責められた。なぜか兄貴まで夢に出てきて説教の輪に加わった。まるで呪われたような気分だった。 そして翌朝、げっそりしたおれとは対照的にフレイ様はすっかり元気になった。 Chapter57 END 魔法戦争58
https://w.atwiki.jp/dq_dictionary_2han/pages/7979.html
DQⅨ 黄金で作られた気品あふれるサークレット。装備すると守備力と攻撃魔力が11、回復魔力が9上がる。 装備できるのは僧侶、魔法使い、旅芸人、魔法戦士、賢者、スーパースター。 入手方法はサークレット+きんのゆびわ+きんのブレスレットの錬金のみ。 また、【ちりょくのかぶと】、【ほしのサークレット】、【おうごんのティアラ】の錬金素材にもなっている。 これらの作成した装備もまた他の錬金素材になるので、作る機会もそれなりにあるだろう。