約 2,798 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1022.html
※舞台は何故かゆっくりが当然のようにいる現代です。 ※ゆっくりいじめWiki ゆっくりいじめ系665 ゆっくり研究 の続きですが読まなくても問題は無いはずです。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして、俺はゆっくりの研究でおまんまを食わしてもらっている“ゆっくりカンパニー”のしがない一社員だ。 ゆっくりの死因の中で最も多いのは飼い主の居ない部屋で思慮もなく飛び跳ねたゆっくりが不慮の事故に遭うというものだ。 もちろん、それだけなら底部を少し焼けば済む話なのだが、人間がゆっくりを飼う時、ゆっくりには元気良く跳ね回って欲しいと思うもの。 そこで、俺に「人が居ないときは飛び跳ねないが人間がいるときには元気良く飛び跳ねるゆっくりの育成方法を考えろ」というわけのわからない命令が下された。 とりあえず、実験の基本になるのは以前行った条件付け。 やはり「人間の居ない所で飛び跳ねるとゆっくり出来ない」という事を体に理解させることだろうか? あるいは「人間の居ない所で跳ねないでいると後で良い事がある」という事を理解させるべきだろうか? しかも、これと並行して「人間の居るところではきちんと飛び跳ねる」ようにもしておかないといけないと言うのだから煩わしい事この上ない。 こちらに関しても「人間の居るときに飛び跳ねないと酷い目に遭う」と「居るときに飛び跳ねると良い事がある」の2つを並行して検証することになるだろう。 とりあえず実験に使用する個体はペットとしていちばん一般的なゆっくりれいむの赤ちゃん。 いずれのれいむも同じ親の同じ茎から産まれている。 この赤れいむ達の体内には振動を感知することで一瞬だけ点火する超小型ライターが内蔵されている。 また、このライターは俺の手にしているリモコンで点火や振動感知にロックをかけることも出来、それによって人が居るときの条件を切り替える。 実験に使用する赤れいむの数は4匹。 赤れいむAには「人間の居ない時に飛び跳ねるとゆっくり出来ない」と「人間の居るときに飛び跳ねないとゆっくり出来ない」というルールを課す。 赤れいむBには「人間の居ない時に飛び跳ねるとゆっくり出来ない」と「人間の居るときに飛び跳ねると良い事がある」というルールを課す。 赤れいむCには「人間の居ない時に飛び跳ねないで居ると良い事がある」と「人間の居るときに飛び跳ねないとゆっくり出来ない」というルールを課す。 赤れいむDには「人間の居ない時に飛び跳ねないで居ると良い事がある」と「人間の居るときに飛び跳ねると良い事がある」というルールを課す。 実験期間は1週間でいいか。さて、これで上手く行くと良いのだが・・・。 【実験開始】 「ゆっきゅり~?」 目を覚ますと誰も居ないことに気づいた赤れいむAは困惑を隠せない様子だった。 おかーさんはどこ?おねーちゃんはどこ?そんな言葉が聞こえてきそうなほどに必死になって観察用のケースの中を見回して家族の姿を探している。 しかし、そのケースの中には誰もいない。 「ゆぅうぅうう・・・」 その事実に気がついた赤れいむAは涙を浮かべ、飛び跳ねた。 恐らく、ケース内のどこかに隠れていると考えたのだろう。 頑張って探せばどこかにおねーちゃんやおかーさんがいるに違いない。 みんなを見つけたらきっとれいむのことを「おにごっこがじょうずなゆっくりしたこだね」って褒めてくれるに違いない。 そんな期待をこめての一歩だろうか? あるいは孤独の恐怖と寂しさから逃げるために家族を求めているだけだろうか? 何にせよ、赤れいむAは小さな体を一生懸命に使って飛び上がり、クッション代わりの藁が敷き詰められた床に着地した。 その瞬間に衝撃を感知した超小型ライターが、瞬きほどの短い間、赤れいむAの体内の餡子を炙った。 「ゆぎゅう!?」 何の前触れもなく体内から発せられた痛みに赤れいむAは目を大きく見開き、硬直している。 ぱくぱくと口を開閉しながら、小さな体中から脂汗のようなものをだらだら流して、青ざめた表情のままその姿勢でじっとしていた。 「ゆ、ゆわあああああああああああああああん!!」 およそ3秒が経過したころだろうか。赤れいむAは堰を切ったようにのた打ち回りながら泣き始めた。 口を思いっきり開き、目からは大粒の涙をぼろぼろ零しながら、必死に助けを求める。 しかし、誰も助けに来ない。 「いぢゃいよおおおおお!ゆううううううう・・・ゆっぐ・・・!」 それでも、赤れいむAは泣き続ける。 それは守られなければ生きていけない弱い存在に与えられた唯一の命綱。 が、泣けども泣けども誰も助けに来ない。 「ゆっぐ・・・ゆっ・・・!」 10分ほどして、それが無意味であると悟った赤れいむAは痛みを堪え、呻きながらも居るはずのない家族の捜索を再開した。 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・ゆ・・・」 そうしてケースの中を這いずり回っているうちに遊具の前へたどり着いた。 もっとも、遊具と言ってもあまり衝撃を与えるとライターが点火するので、赤ゆっくりサイズの立方体のクッションとか鈴のついた木の枝(振ると音が鳴る)のようなつまらないものばかりなのだが。 「ゆ、ゆ~・・・?」 それでも家族もおらず、また何もないケースの中で、赤れいむAの興味を引くようなものはそれだけしかない。 「ゆっきゅりあちょぶよ!」 だから赤ん坊なりにそれを咥えたり、(落下よりずっと弱い力で)ぶつかったり、頬ずりたりしている。 「ゆ~、ゆ~♪」 そうやって遊んでいるうちに、家族が居ない寂しさや、さっきの痛い思いをした悲しさがまぎれてきたのだろう。 声の調子が徐々に明るくなり、やがて鼻歌交じりになって行く。 「ゆっきゅり~♪」 そして、嬉しさと楽しさの乗せられて赤れいむAはその場で飛び跳ねて喜びを表現した。 飛び跳ねれば当然落下する。赤れいむAもその摂理に漏れることなく落下、着地し、その衝撃によりライターが点火。 「ゆきぇ!?」 短く悲鳴を上げた赤れいむAはさっきと違ってその痛みにすぐに反応した。 「ゆううううううう!ゆうううううう!」 先ほどと同様に顔を真っ青にして転げまわりながらも、赤れいむAは泣きじゃくるが、やはり誰も助けには来ない。 「ゆっぎゅり~!ゆっぎゅうううう!!・・・ゆっぐ・・・ゆっぐ」 そうやってしばらく痛がり続けていたが、やがて痛みも引いてきたのだろう、のそりと起き上がると、ゆっくりと這いずって巣まで戻っていった。 赤れいむAが巣に戻る途中、俺は餌をやるためにケースを開けると、赤れいむAに声をかけた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっ!ゆっきゅりちちぇっちぇね!」 俺の言葉に反応した赤れいむAは自分以外の動く存在を見つけたことで酷く嬉しそうな表情をする。 「ゆっきゅり!おにーしゃんはゆっきゅりできりゅひちょ?」 「おにーしゃ、、れいみゅをこきょからだぢちぇよ!」 必死に体を揺すってアピールするが、それに反応する義理はないので無視する。 そして、適当にケースの中に餌をばら撒いてから、じっと赤ゆっくりAの様子を伺う。 「ゆ~!・・・む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」 餌に気づいた赤れいむAはすぐさまそれに噛り付き、涙を浮かべて幸福を堪能している。 食べ終える、ともっと欲しいのか、じっと俺のほうを見つめて「ゆっきゅり!」などと鳴き続けていた。 もちろん、一切反応しない。ただ観察し続けるだけだ。 「ゆっきゅり~!おにーしゃーん!」 それでもめげずに何かをアピールし続けていた赤れいむA。しかし、一向に跳躍する気配を見せない。 仕方がないので、俺はライターを点火させて、ゆっくりの体内を軽く炙った。 「ゆっぎぃ!?」 予期せぬ痛みに驚愕した赤れいむAはまたさっきと同じようになきながら転げ回り、しばらくすると落ち着いて呼吸を整え始めた。 「ゆっきゅり!いちゃいよおおお!ゆ~っ!」 思ったよりすぐに痛みから立ち直った赤れいむAは目にいっぱいの涙をためながら再び俺に何かをアピールし始める。 「ゆっきゅ~!!たしゅけてよぉ~!」 「ぷきゅううううううう!」 小さな体を左右に振り、時には頬を膨らませながら延々とアピールし続ける。 その行為に必死になりすぎて、ふとした拍子に赤れいむAはつい跳躍してしまった。 そして、その赤れいむAの落下する直前の表情には明らかに恐怖がにじんでいる。 まだ2度目だが、条件付けによって跳躍と苦痛がきちんと結びついていることがこれで確認できた。 赤れいむAは着地と同時に身を小さくして震えるが、何時までたってもさっきのような痛みがやってこない。 そのことに気づいた赤れいむAは少しの間、不思議そうに首をかしげていたが、すぐに喜び勇んで飛び跳ね回った。 「ゆっきゅり~♪ゆっ~♪」 2度、3度、4度・・・跳躍できる幸せをかみ締めるように飛び跳ねる赤れいむA。 その様子を確認したところで、俺は最後にもう一度声をかけてケースを閉めた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」 ケースの蓋が閉められた直後、赤れいむAは俺を探してケースの中をきょろきょろと見回していたが、それにも飽きて、眠きなったのかあくびをした。 そして、寝床に早く戻るために元気よく跳躍をして、何故かまたあの痛みに苦しむことになった。 赤れいむBは案外たくましかった。いや、純粋に強かった。 「ゆっきゅり~?おきゃーしゃん、どきょ?」 目覚めてすぐこそ赤れいむAと同じようにおどおどした表情でその場で辺りを見回して家族を探していたが、いないと知るとすぐに意を決して最初の跳躍に踏み切った。 おかげで仕事がはかどって助かる。 赤ん坊なりに力強く飛翔した赤れいむBは着地と同時に今まで味わったことのない感覚に襲われた。 「ゆぐふぅ!?」 全身を一瞬にして駆け巡る鋭い痛み。それは点火のそれとは明らかに異なるものだった。 実を言うと赤れいむBのライターはライターではなく、衝撃を受けると針が飛び出して、餡子をえぐるだけの代物なのだ。 しかし、使用している針は長さも太さも相当のものなので、ゆっくりに与える痛みは瞬間的にはこちらのほうが大きいかもしれない。 「ゆぎいいぃいっぃいいい!?」 あまりの痛みに白目を剥いて、もんどりうつこともままならずにぴくぴくと痙攣して苦しむ赤れいむB。 「ゆがぁ・・・ゆぎ・・・」 呼吸が一気に荒くなり、口から泡を吹き始める。しかし、餡子を吐く様子は見られない。 「ゆぐぅ・・・ゆぎぃ・・・ゆぐぅ・・・ゆう・・・」 そんな状態から赤れいむBは20秒ほどで体の自由を取り戻すと、最初の威勢のよさは何処へやら、赤れいむA同様にその場にへたり込んで大泣きし始めた。 なるほど。ダメージは点火より大きいが生命の危機を及ぼすことは無いし、立ち直りも針のほうが早いのか。これは便利だ。 などと考えていると、赤れいむBは思ったよりも早く立ち直り、すぐに這いずっての家族の捜索を再開した。 「みんにゃ~・・・ゆっきゅりでちぇきちぇにぇ!」 一生懸命声を張り上げながら赤ん坊には大きすぎるくらいのケースの中を必死に這いまわる。 「ゆっきゅり~!ゆっきゅりしちぇっちぇにぇ!」 責任感の強い個体なのだろうか?さっきの赤れいむAと違って目の前の遊具に目もくれず、ひたすら家族を探し続けている。 しかし、いるはずのないものが見つかるわけがない。 どれだけ捜しても見つからないという現実が徐々に赤れいむBを焦らせ、孤独の恐怖へと駆り立てていく。 その感覚に気づいてか、赤れいむBの足取りは徐々に速くなっていき、やがて跳躍を用いたものに切り替わった。 が、その瞬間、先ほどの想像を絶する苦痛が赤れいむBに再び襲い掛かった。 「ゆ゛っ!?」 先ほどと違って着地に失敗し、べちゃりと顔面から床に倒れると、その表情を伺うことの出来ない体勢のまま、再び痙攣し始めた。 「ぶ・・・ぶぅ・・・ぶぎゅ・・・」 地面に押さえつけられた口から漏れ出すくぐもった声は酷く濁っていてほとんど聞き取れないが、苦しんでいることだけは間違いないだろう。 そうして20秒ほど経つと、地面に突っ伏していた赤れいむBはのそりと起き上がり、目にいっぱいの涙を浮かべながら、再び這いずり始めた。 「ゆっ・・・ぐ・・・ゆっぐ・・・」 泣き出さなかったのは必死に堪えているだけらしい。耳を済ませてみると嗚咽が漏れているのが聞き取れた。 「ゆ・・・っきゅり~・・・」 そして、痛みと悲しみを堪えながら懸命に家族を捜索し続ける。 その姿に内心感動を覚えながらも、出来る限り無表情のままケースの蓋を開けて、赤れいむBに話しかけた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」 本能に従って返事をした赤れいむBは俺の顔を見ながら赤れいむA同様に必死に何かを訴えかけてくる。 「ゆっきゅり~!おにーしゃん、れいみゅにょおきゃーしゃんちらにゃい?」 身振り手振り(ないけど)を交えながら一生懸命俺とコミュニケーションを図ろうとするが、残念ながらやっぱり相手をするつもりはない。 そもそも、不要なコミュニケーションを図ると実験の妨げになる。仕方がないのでさっさと餌を置いて、観察を続ける。 するとやはりお腹の空いていた赤れいむBはすぐさま餌に飛びつき、幸せを満喫し始めた。 「む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」 そうして食べ終わると、の赤れいむA同様に喜びのあまりについ飛び跳ねてしまった。 そして、赤れいむBもまた今から来るであろう痛みに怯えていた。が、当然観察者がいる状況なので痛みはやってこない。 「れいむ、凄いじゃないか!こんなに小さいのにあんな跳躍が出来るなんて!お前はゆっくりした子だな!」 代わりに俺の如何わしさ満点の大仰な褒め言葉が飛んできた。 「ゆ?ゆぅ~・・・ゆっきゅり!」 褒められた赤れいむBは最初はきょとんとしていたが、すぐに顔を赤くして俯き、それから満面の笑みを俺に返してきた。 「ゆっきゅり!ゆ~~~~っ!」 「おっ、さっきよりも凄いジャンプじゃないか!」 それから、何度も何度も俺に見せびらかすようにぴょんぴょんと跳躍を繰り返す。 「ゆ~!」 「なんてゆっくりしてるんだ!」 「ゆっゆっ!」 「れいむはゆっくりの天才だな!」 「ゆっきゅり~!」 「凄すぎるぞ、れいむ!」 その度に俺は心にもない賛辞を送り、その度にれいむは大喜びしていた。 しばらくそうやって遊んでいたが、すぐに次のケースを確認する必要があったので、赤れいむBに「ゆっくりしていってね!」と別れを告げてケースの蓋を閉めた。 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」 既に見えなくなった俺に返事をしながら楽しそうに跳躍する赤れいむB。 着地した直後に、またしても「ゆぐぉ!?」という短い悲鳴を上げ、白目を剥いて痙攣し始めた。 赤れいむCは恐ろしくマイペースだった。 家族がいないことに気づいた時には確かに困惑していたが、すぐに見つけた遊具で遊び始めた。 「ゆゆゆ~~~っ!ゆっ!!」 赤れいむCが特に好んでいる遊びは立方体のクッションに体当たりすることだ。 こいつは「人のいないところで跳躍しなければご褒美を与える」というルールなので跳躍によって痛い目に遭うことがない。 そのため、家族のいない寂しさを紛らわすかのように異様なまでのはしゃいでいた。 「ゆっきゅり~♪」 歌を歌いながら跳ね回り、歌を歌っていたかと思うと・・・ 「ゆっゆっゆ・・・」 いきなり、クッションと格闘をはじめ、そうかと思うと・・・ 「ゆ~~~!」 鈴のついた棒を振り回してちりんちりんと鈴の音を響かせていた。 そうして、ひとしきりゆっくり遊んだ赤れいむCは遊び疲れて眠ってしまった。 「ゆぅ~、ゆぅ~・・・」 お約束のゆっくりすまいるを浮かべながら寝床ではなく、お気に入りの立方体クッションに頬を摺り寄せて眠る赤れいむC。 その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。 「ゆぅ~・・・おきゃーしゅん・・・」 そして、寝言で家族を読んでいた。 しばらく様子を観察していたが一向に目を覚ます気配がないので、蓋を開けて赤れいむCに挨拶をする。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆぅ・・・ゆっきゅりちちぇっちぇねにぇ!」 その言葉によって強制的に目を覚まさせられた赤れいむCは、寝ぼけ眼のままきょろきょろとあたりの様子を伺うと、俺の存在に気づかずそのまま再び眠りについてしまった。 「ゆぅ・・・ゆぅ~・・・みょーちゃべりぇにゃいよ~・・・」 ベタな寝言を口にした赤れいむCの表情は実に幸せそうだ。 しかし、このケースのルールは「人間の居るときには跳ねないと痛い目に遭う」なのでとっととスイッチを押した。 「ゆっぎゅううううううううううううう!?」 その瞬間、赤れいむCはクワッと目を見開き、顔を真っ赤にしながらケースの中を舌を出して走り回ることになった。 「きゃりゃいよ!きゃりゃいよおおおおお!」 そういって、設置しておいた水のみ場へ急ぐと、水を浴びるように飲んだ。 しかし、突然やってきた辛さが抜けることはない。 当然だろう。その辛さは舌ではなく体内の餡子から来ているのだから。 さっき俺の押したライターのスイッチ。あれも赤れいむBのもの同様にライター以外のものに改造されている。 それによって少量のタバスコソースが赤れいむCの体内に射出されたのだ。 もちろん、赤れいむCにはそんなことわかるはずもないので下を出しながら飛び跳ねまくっている。 10分ほどだろうか、しばらくそうしているとタバスコが餡子に分解され、辛さが引いてきたのか徐々に落ち着きを取り戻し始めた。 「おにーしゃん!ゆっきゅりできにゃいよ!」 どうやら、この赤れいむCはゆっくり出来ないもの、さっきの辛さの原因を観察者であると仮定したらしい。 まあ、実際その通りなのだが。しかし、赤れいむCに文句を言われたところで相手をするつもりなどさらさらないので、無視して観察を続ける。 「ゆっきゅりあっちいっちぇにぇ!」 「おにーしゃんちょはゆっきゅりできにゃいよ!」 しばらくは俺に向かって頬を膨らませて威嚇したり、飛び跳ねながら文句を言ったりしていたが、俺が餌を置くと態度が一変した。 「ゆゆっ?むーちゃむーちゃ、ちあわちぇ~!」 「おにーしゃんはゆっきゅりできりゅひちょだね!」 「れいみゅといっちょにゆっきゅりちよ!」 もちろん相手をするつもりなんてさらさらないので無視し続けていると、やがて諦めて立方体のクッションで遊び始めた。 「ゆんっ!」ポスッ 「ゆっきゅり!」パスッ 「ゆゆ~っ!」ポコ 赤れいむCがクッションにタックルするたびに気の抜けた音がケースの中に響き渡る。 が、何回目かのタックルを仕掛けようとしたとき、突然赤れいむCの体がぶるっと震え、恥ずかしそうな表情になった。 「ゆゆっ!れいみゅのぽんぽんがいちゃいよ!ちーちーちなきゃ!」 さっき辛さを忘れるために水を大量に飲んでしまったためだろう。体内に過剰な水分を溜め込むと生死に関わるゆっくりにとって放尿は死活問題だ。 赤れいむCは遊具のある場所から少し離れた場所へ行くと、そこですこしふんぞり返るような格好になり、ぷるぷる震えている。 30秒ほどその格好のままでいた赤れいむCが爽快感に満ちた表情を浮かべた瞬間、口のしたあたりに小さな穴が開いて、そこから若干餡子の混じったうっすいお汁粉?がちょろちょろと漏れ出してきた。 しーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ・・・ それから10秒ほどその液体を放出し続けた赤れいむCは放尿を終えてからも爽快感に頬を緩ませたまま、その場から動こうとしなかった。 流石にこれ以上ゆっくりさせすぎるのも具合が悪い気がしたので、スイッチを押して、タバスコソースをお見舞いしてから蓋を閉じた。 べちゃという水音と、「きゃりゃいよー!」とか「きちゃにゃいよー!」という叫び声が聞こえたが気にするほどのものでもないだろう。 赤れいむDは観察者がいる状態になる前の経過は赤れいむCとほぼ変わらなかったので適当に割愛してさっさと観察状態に入った。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっきゅりちちぇっちぇにぇ!」 自由奔放に生活することの許された赤れいむDは満面の笑みを浮かべて返事をする。 「おにーしゃんはゆっきゅちできりゅひちょ?」 「おにーしゃん、れいみゅのおきゃーしゃんちらにゃい?」 「おにーしゃん、にゃにかいっちぇよ!」 などなど、色々と話しかけてくるが当然必要のない会話をするつもりはないので無視し続けた。 「ゆぅぅぅううううううう!」 業を煮やした赤れいむDはぷくうううううっと頬を膨らませて、目に涙を浮かべながら俺に抗議し始める。 しかし当然無視し続ける。 「にゃにかいっちぇよ!」 そんな俺に腹を立てながら赤れいむDは元気よく跳躍した。 「おお、凄いジャンプじゃないか!」 「ゆぅ?」 ずっと無反応だった俺に突然跳躍を褒められて困惑する赤れいむD。 それから、首を傾げつつもう一度跳躍する。 「すごい!こんなゆっくりしたジャンプ見たことがないぞ!」 こんな白々しい言葉でもやはり嬉しいらしい。すこし照れ笑いをしながら何度も跳躍を繰り返す。 「おにーしゃん!」 「おお、さっきよりも凄い!」 「れいみゅのじゃんぴゅは!」 「おお!」 「しゅごいでちょ?!」 「なんてゆっくりしてるんだ!」 跳躍すれば俺がかまってくれることに気づいた赤れいむDは息が切れるまで跳躍し続けた。 そして体力がなくなるまで跳ね続け、跳躍を止めたところで俺は赤れいむDのケースに餌を放り込んだ。 「ゆぅ?・・・むーちゃむーちゃ、ちあわちぇ~!」 餌を食べられる幸せをかみ締めている赤れいむDを眺めながらとっとと蓋を閉め、ケースから離れた。 【結果報告】 赤れいむAは上からの要求である「人目のあるときだけ跳ねる」という条件を満たすことが出来た。 幸い、「人間が見ているときにゆっくりしすぎていると痛い目に遭う」という条件設定も3日目には理解してくれていた。 しかし、この赤れいむAは失敗作以外の何者でもなかった。 まず、人間がいる時に痛い目に遭ったことが原因で人間に対して恐怖心を抱いている。 それゆえにあまり人間に懐こうとしないのだ。 それどころか、そういった経験から人間を「ゆっくりできないもの」として認識してしまっている。 ゆっくりにとっての「ゆっくりできる」とは「やりたいときにやりたいことが出来る」ということに他ならない。 人間の居ないときは飛び跳ねることが出来ず、人間のいるときは飛び跳ねねばならない。 それはすべての行動を人間が居るか否かということによって強制されているようなもの。 こういった理由から赤れいむAはそもそも人間に近づこうとさえしなかった。 そして、それでも人間から近寄ったときには卑屈な笑みを浮かべながら痛い目に遭わない最低水準の運動だけを壊れたおもちゃのように繰り返すだけだった。 これでは客の要望に応えているとは言いがたく、とてもじゃないがペットショップに並べられるものではない。 よって赤れいむAは「人間に懐かないゆっくりに刷り込みを引き起こさせることで強制的に従順にする薬品」の実験に回すことになった。 赤れいむBは唯一にして最高の成功例となった。 まず、上からの要望である「人目のあるときだけ跳ねる」をきっちりと満たしている。 しかし、本当に重要なのはそこではない。 この赤れいむBはペットとしてゆっくりを欲しがる人の理想的なゆっくり像を完全に体現していたのだ。 まず、人間が見ているときは「跳ねれば褒められるし、寝ていたって問題ない」という環境にいたため、人間に対して悪いイメージを持ち合わせていない。 それどころか、人間こそ自分達に本当のゆっくりを与えてくれる存在として全幅の信頼を置いている。 実験開始から3日が経つ頃には俺がケースの蓋を開ける時間になると、赤れいむBはそわそわしながら天井を見上げ、顔を覗かせた瞬間に満面の笑みを浮かべて挨拶をしてきた。 たとえるならば飼い主の帰宅時間になると玄関口で待っている犬のようなものだろう。 次に普段跳ねられない分を発散するかのように人間の居るときには自ら進んで積極的に飛び跳ねる。 それは赤れいむAのように強制されたものではない。自分をゆっくりさせてくれる人間が褒めてくれるから跳ねるという自発的な行動だ。 付け加えるならば、跳ねることで自分をゆっくりさせてくれる人間をゆっくりさせてあげられるとさえ思っているようでもあった。 最後に人間が跳ねるなと命じたときや、ゆっくりしたい気分のときは基本的にゆっくりする姿勢も重要だ。 満ち足りているときには何もせずゆっくりとする姿や何もせずソファで一緒に寝転がることをゆっくりに望む客も多い以上、跳ねるだけでは問題があるといえる。 よって赤れいむBは偉大な我らが敬愛すべき社長に献上すべきだろう。 赤れいむCは大前提の「人目がないときには跳ねない」を満たすことが出来なかった。 しかしよくよく考えてみれば当然なのかもしれない。 人間だって「廊下を走るな!」と怒られて廊下を走らないのは理解出来るが、「廊下を歩くなんて偉いぞ!」と褒められる奴は早々いないだろう。 そして、体に因果応報を覚えさせることで何かをしない方向に持って行くのがこの実験の趣旨。 それゆえ、跳ねなかったことと褒められたことの間に因果関係を導き出すことが出来ないのだろう。 あと、人間が(見えて)いないときの行動を褒めるという形式になる以上、ほかの動物同様、何を褒められているのかが理解できないのかもしれない。 いずれにせよ、跳ねなかったことを褒める方法はよほどの改良案がない限りは何の効果もなさないだろう。 更に、人間がいるときは怯えきった表情で最小限の運動を繰り返すため、赤れいむAと同様の理由でも商品としての価値がないのだ。 ある意味いちばん需要のない代物になってしまったと言えよう。 よって赤れいむCは・・・辛いものに対する耐久実験にでも回しといてください。 赤れいむDはいたって平凡な馬鹿になった。 「人間がいないところでは跳ねない」をまったく満たさず、「人間がいるところでは積極的に跳ねる」も多少しか満たせていない有様だった。 はっきりいって何処にでもいる本当にいたってごくごく平凡で没個性な何の面白みも無いゆっくりだ。 まあ、需要が無いことも無いだろうがこれをあえて売る意味はまったく無い。 よって赤れいむDは「事故防止のための強制的にゆっくりさせる薬品とその解毒剤」の実験にでも利用して置けばよいだろう。 【追加実験】 赤れいむCは底部をこんがり焼かれてしまい、動くことが叶わなくなってしまっていた。その状態で、ひんやりした台の上に置かれている。 口にはよくわからない器具がはめられていて閉じることもこれ以上開くこともままならず、ここ3日ほどまともに言葉を発していない。 もちろん食事も水分も一切取っていない。しかし、体に差し込まれた管から、十分すぎるほどの栄養が与えられているので飢えることはまったく無かった。 「よし、今日はスコヴィル値370万まで行ってみようか?」 「了解、一応500万まで作ってありますよ」 「そうか、準備が良くて助かるよ。んじゃ、まずはジョロキアナ並みの100万スコヴィルで・・・♪」 赤れいむCの前にやってきた二人の人間はそんなやり取りの後に、スポイトで正体不明の液体を吸い上げ、赤れいむCの舌に垂らした。 その瞬間、赤れいむCの舌と、全身に常軌を逸した激痛が走る。 「――――――――――ッ!?!?」 かっと充血した目を見開き、ぷるぷると痙攣しながら、餡子を吐き出す。 しかし、それくらいではその辛さが収まるはずも無かった。 吐けども吐けども舌が、全身が、目が痛い。体中が焼けるように熱い。 「えぅ・・・!?あぁ!?・・・うぅ!?」 動かない足で動こうと試みるが、動くはずも無い。ほかの部位をいくら動かしたところで何の抵抗にもならない。 「あぉ!?うぇ!!?・・・あぁあぁぁぁあああ!!?」 研究員を罵倒しようにもはめられた器具とあふれ出す餡子が邪魔をする。 視界は涙でぼやけ、頬は涙でふやける。それでも赤れいむCの涙が枯れることは無い。 いくら餡子を吐き出しても一向に意識が遠のいてくれない。 水分も栄養も、体内に直接ねじ込まれたチューブから送り届けられる同じゆっくりの餡子とオレンジジュースがいつまでも補い続けてくれる。 ゆっくりは餡子を失わない限り死ぬことが無い。しかし、ほかの仲間の餡子を補充されると意識が侵食される。 そして、意識が混濁し、精神が壊れてしまうはずなのに・・・赤れいむCの意識は途絶えることが無かった。 それは1週間の実験でタバスコソースによって辛いものに多少慣れてしまった赤れいむ以外の意識は舌からの刺激でショック死してしまうからだった。 そうして一切の意識を失った餡子は赤れいむCのものとして吸収され、赤れいむCを生かすためだけに機能し続ける。 「よーしっ、次は108万くらいで♪」 「―――――――ッァゥェぅぁ!?!?」 赤れいむCはショック死するか、カプサイシンそのもの(1600万スコヴィル)を用いた実験が終了し、廃棄処分されるまでこの苦しみから解放されることは無いだろう。 「おきゃーしゃん!いっちょにゆっきゅちちようにぇ!」 赤れいむAはそう言うと“おかーさん”の薄い胸に飛び込み、両腕で抱きかかえられた。 見上げると“おかーさん”は上品な笑みを浮かべて赤れいむAを見下ろしている。 「ゆぅ~・・・おきゃ~しゃんあたたきゃい・・・」 呟きながら、私服の笑みを浮かべて“おかーさん”に頬ずりをする赤れいむA。 やがて、その暖かさに包まれてうとうとと舟をこぎ始めた。 「ゆぅ~・・・ゆぅ~・・・ゆぅ?」 しばらくして目を覚ますと“おかーさん”は四つん這いになってご飯を食べていた。 「おかーしゃん、れいみゅもいっちょにゆっくちちゃべりゅよ!」 しかし、赤れいむAがご飯に近づくと“おかーさん”は前足で赤れいむAを払いのけてた。 「ゆぎゅ!?」 そして、その拍子に頭を打った赤れいむAは気を失ってしまった。 再び赤れいむAが目を覚ましたとき、“おかーさん”は壁の上を這っていた。 「ゆゆっ!おきゃーしゃん!れいみゅもかべをにょぼりゅよ!」 そういって元気良く壁にぶつかっていくが、何度やっても失敗してしまう。 それからたっぷり5分ほど壁を登ろうと努力を続けるも、“おかーさん”は羽ばたいてどこかに飛んで行った。 「ま、まっちぇよ!おきゃーしゃん!?」 そういって“おかーさん”を追いかけているときに、何かに激突して赤霊夢Aはまたしても気絶してしまった。 またまた赤れいむAが目を覚ますと“おかーさん”は踊っていた。 「れみりゃののうさつだんすだど~♪」 「うっう~♪」 “おかーさん”とほかの家族たちが手を振り、腰を振り、楽しそうに踊っている。 「ゆっ!おかーしゃん!れいみゅもいっちょにおどりゅよ!」 そういって元気良く“おかーさん”のそばに跳ねていった赤れいむAを見て、満面の笑みを浮かべた。 「う~?おいしそうなまんじゅうだど~♪」 そして“おかーさん”は赤れいむAをおもむろに掴むと口元へといざない、思い切り良く噛り付いた。 「おあーぢゃぁんゆっぐぢやべでええええ、ゆべっ!?」 「・・・・・・まさか、気絶するたびに刷り込みしなおしとは・・・」 一部始終をいとどけた研究員の男女は頭を抱えていた。 「効きすぎですね。明らかに失敗です」 「・・・はあ、社長の知人だか知らんけど一体何処の馬鹿だよ。こんなわけのわからん薬作った奴は・・・」 赤れいむDは何故か身動きの取れないままひたすら放尿を続けていた。 じょろろろろろろろろろ・・・ 「ゆぅ~・・・ちーちーがちょまんにゃいよ!」 しかも、その尿は餡子の濃度がひどく酷く粘り気がある。 赤れいむD自身は知る由も無いがそれは紛れも無く先ほど飲まされた薬品の副作用だった。 じょろろろろろろろろろ・・・ 「ゆぅ~・・・ほどぢちぇちーちーちょまっちぇくれにゃいの~?!」 服用させられた薬品というのは、ゆっくりの餡子の跳躍移動機能をつかさどる部分を液化させることでその機能を著しく低下させるものだった。 この状態から回復する方法は餡子を補給すること。 すると、その餡子が液化した部分の機能を代行し、液化したものは尿になって出て行くというものなのだ。 じょろろろろろろろろろ・・・ 「・・・ゆぅ~、きもちわりゅいよ~!」 が、何か色々と手違いがあったらしく、餡子の半分以上が液化してしまった上に、補充する餡子が片っ端から液化させてしまっていた。 じょろろろろろろろろろ・・・ 「ゆぅぅぅぅううう!どほぢでぢーぢーどばっできゅれにゃいのおおお!」 延々と水分を放出しすぎたせいで、気がつけば尿道付近の皮が溶け、穴が広がっていた。 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・ 「ゆゆっ!ぢーぢーがいっぱいでりゅよ!?」 それに比例して体内の餡子と水分の失われる速度も増していく。 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・ 「ゆぎぃぃぃいいいい!ぎぼぢわりゅいよおおおおお!」 そんな赤れいむDの様子を見た研究員達は「ああ、こりゃもうだめだ」と判断し、チューブによる餡子と水分の補充を止めた。 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・ 「ゆううう・・・おにゃかがしゅいたよ・・・」 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・ 「おみずさんがのみちゃいよぉ・・・」 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・ 「ゆ・・・ゆ、う・・・」 放尿の勢いが弱まる頃には、赤れいむDはもう死んでいた。そして、その結果を見た研究員の一人がぼやいた。 「外出するときはケージに入れるのが一番だよな、常識的に考えて・・・」 ---あとがき--- 前回の研究の2番煎じ以外の何者でもないですね、こいつは。 実験に関しては色々おかしなところがありますが、突っ込まない方向で。 (そもそも「ケージに入れろ」で一蹴される時点で話にならんわな) byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/girlwithlolipop/pages/163.html
約束/まおゆう 魔王勇者 ◆EAUCq9p8Q. ◇◇◇ 「昔々、とっても偉大な先生がいいました」 いつのことだっただろうか。 まだ数日は経っていない、つい最近のことのはずだ。 なんてことはないはずの日常の中の、なんてことはないはずのやりとりの一つ。 少女は、なにかから聞いたセリフをそらんじる。 「人という字は、人と人とが支えあってできていますって」 まるでリズムに乗るように。 まるで風に揺られるように。 左右に身体を揺らしながら少女は隣に控える勇者にそう言った。 「だったら」 とん、と響く足音。 跳ねるように、ベンチから立ち上がる少女。 満天の夜空、今にも落ちてきそうな大きな月を背負って、少女が勇者に問いかける。 「あたしって、なんなんだろうね?」 突き抜けるような空に、そんなつぶやきが舞い上がり、消えていく。 聞き届ける人間は誰も居ない。 寂しがり屋のひとりごと。 愛の所在を探って、傷だらけの心が描いた軌道。 確かにそこにある、確かにそこにいる、なんてことはない少女のなんてことはない閉塞感。 夜空に登って消えていく、誰にも見えない心の涙。 「誰とも助け合えないあたしは、人間でいいのかな」 出会って何日目かのやりとり。 勇者の心に今も残っている、なんてことはないはずのやりとり。 勇者は、深く心に刻み込んだ。 ◇◇◇ ちちち、ちちちち。 鳥の声。 明るい黄緑色の光線が降り注ぐ小道で、囁くような小さなさえずり。 きっと彼らは、見慣れぬ少女について相談を交わしているのだろう。 【D-6】に位置する森林公園は豊かな緑と手入れされた自然から、観光スポットとしても評判の高い場所だ。 だが、今日は平日、時間も朝から昼へと移り変わろうとしている頃。 休日ほど寄る人はおらず、森林公園の道を歩くのは赤ちゃんを連れてお散歩という主婦や、疲れた顔のサラリーマンが少々と言ったところだった。 そんな中を、およそ場違いな少女が歩く。 陽気のいい午前に長袖のシャツを着ている。 年の頃は17、18歳程、高校に通っていてもおかしくない年齢だ。 通り過ぎる人々も、少し不思議そうな顔をする。 その度少女は歩調を速め、より人目につかなさそうな方へと進路を切り替えるのだった。 少女・中原岬は、セイバーの進言を聞き入れ、外出をしていた。 といっても、この前のように人の多い劇場に行ったりはしない。 出かけるのは午前中、しかもお昼より前。 場所も、人通りの多い市街地などは避けて、人通りの少なそうな場所を目指す。 そこで彼女が目をつけたのが、彼女の家の近所にある森林公園だった。 昼間ならば人通りが少なく、適度を少し超えたくらいの広さがあるため人ともあまり出会いにくい。 さらに、森林浴というのは、なんとなく疲れが癒えるような気がして、大検の勉強の合間の息抜きとしてももってこいだった。 道を歩けば色々な物がある。 人は居ないけど、新しいものには出会える。 疲れたら道沿いに置いてあるベンチの一つに座ればいい。 歩くのに飽きたら公園にまばらに置いてある遊具で遊んでもいい(これは恥ずかしいのでやらないが)。 岬にとって森林公園は、なかなかに良い場所と言えた。 「いい場所だね」 『そうだな』 人を避けて歩いている少女のひとりごとに、彼女の頭のなかにだけ返事が帰ってくる。 答えたのは彼女の英霊、セイバー・勇者レイだった。 「こういうところを歩いてると、コンクリートって怖いんだなって分かるよ」 次は返事はない。ただ、苦笑いのような声が聞こえた。 岬は特に気にせず、森林公園の入り口近くにあったマップを思い出す。 目の前の大きくて急なカーブを曲がれば、また新しい少し開けた場所に出たはずだ。 数十メートル置きに、遊具と東屋が置いてある少し開けた場所。 今度の遊具はなんだったっけ、と思いながら曲がり角を曲がって。 そして、出会った。 まるで陳腐な少女漫画のように。 曲がり角を曲がろうとして、出会う。 といっても、パンは咥えてないし、ぶつかってすっころぶようなこともない。 ただ、曲がり角を曲がった岬の目に、不思議な生き物が写った。それは、あまりに奇妙な交錯だが、出会いと呼ぶ他なかった。 不思議な生き物は、まるで服を着たカバのようにも見えた。 カバは、岬の進行方向とは90度違った方向を向いて、森林から森林へ、移動をしようとしている最中のようだった。 どうも森林公園の道を横断するようにのっそりのっそりと鈍間な動きで歩いているところだったらしい。 「えっ、カバ……?」 岬の口からぽそりとつぶやきが漏れる。 カバ、と呼ばれた人物(?)は、その声を聞き逃さず、岬の方に振り向いた。 正面から見ると、ますますおかしな格好だった。 頭は、カバというよりはトカゲや恐竜のようだ。ただし鱗はないしわりとつるつるしている。頭には一本ツノが生えている。 服は緑色の、引きずりそうなほど丈の長いローブと紫のマント。わりとダサい。 胸には毒々しいほどに赤い宝石のついたネックレスをぶらさげている。なかなかに前衛的なファッションだ。 その姿を見て岬は再び率直な感想を述べようとして、口をつぐんだ。 カバのようなそうでないような生き物が、ぐんと近づき突然拳を振りかぶったのだ。 ぐっ、と心臓が鷲掴みにされたような感覚が走る。 頭の血が一気に引き、遠い昔の恐怖が蘇る。 条件反射といって良い速度で、岬は両手で頭を庇った。ずっと昔と同じく、振るわれる暴力から逃れるために。 一秒。 二秒。 三秒。 攻撃は来ない。 ひょっとして、フェイントだろうか。 岬の知り合いには佐藤という、それはもう、とんでもなく、筆舌に尽くしがたいほど、救いようのないくらいのダメ人間が居た。 彼も岬に殴りかかろうというふりをしたことがあった。 怯える岬を見ながら、二度三度とフェイントを繰り返したものだ。 もしかして、ひょっとすると、このカバもそういう類の人物だったのだろうか。 もしそうだったら、文句の一つも言ってやろうと思い、恐る恐る目を開ける。 岬の眼前に広がっていたのは。 「マスター、離れててくれ」 「……くっ、面倒な……」 実体化し、清らかな白い盾でカバの拳の一撃を防いでいる、自身のサーヴァントの姿だった。 ◇◇◇ セイバー・勇者レイは考えを巡らせていた。 あそこまで接近を許してしまうとは、想定外だった。 岬は魔術の覚えがないので索敵なんてでいないし、セイバーもサーヴァントの実体化していなければ魔力の反応を察知できない。 ポイントポイントでセイバーが実体化していて周辺の魔力反応を探っていたので、用心をしていないわけではなかった。 だが、敵は何らかの方法でその探知をかいくぐってきた。結果として完全に虚を突かれた形になってしまった。 目線をずらし、頭をかばっていたマスター・中原岬を確認する。 間に合った。 もしもあの拳の一撃を食らっていれば、両腕ごと頭を殴られ、そのまま頭を割られて彼女は死んでいただろう。 間一髪、カバの動作が遅かったということもあり、実体化して、天空の盾を構えて攻撃を受けきるまで出来た。 そのままカバの化け物の腕を盾で押し返し、土手っ腹に蹴りを放つ。 カバは見た目に似合わない軽快な身のこなしでひょいと後ろに飛び退ると、両手で構えを取った。 「お前は、魔族か」 「魔族だと……? わしがただの魔族に見えるか。勇者」 じり、じり、とお互いに距離を取る。 セイバーの思考にあるのは一点。 『一刻も早く、戦力を使わずにこの戦闘を終わらせるにはどうすればいいか』だった。 長時間の戦闘は避けたい。 魔力量の少ない岬をマスターに持つ以上、魔力事情には気をつけなければならない。 戦闘で敵を倒すために『天空の剣』や『ギガデイン』の真名解放を行えば、魔力を大きく消費することになる。 それに実体化だって魔力消費はただじゃない。実体化し、戦いを続ける間は岬の魔力を消費し続けることになる。 岬が動けなくなってしまえば、それだけでこの決闘の行方は決まったも同然だ。 ならばどうするか。 本来ならば、岬をかついでで逃げるべきだろう。 セイバーは仕切り直しのスキルを持っているので逃げきれる可能性は高い。 だが、セイバーの仕切り直しは「ランダムな判定で失敗する」「特定の相手からの逃亡は確実に失敗する」という逸話がある。 もし逃走を図って失敗してしまえば格好の的だ。相手の宝具や魔術を岬にぶつけられることになる。 だとすれば、戦って、逃げるチャンスを生み出すか、相手を倒すしかない。 話し合いで済む相手だとは、初対面の時から思っていない。 セイバーの血が、逃れられぬ宿命を告げている。目の前の相手の正体を告げている。 「そうか……魔王、だな!」 カバ―――魔王は何も言わない。 ただ、息を大きく吸い込み、口から激しい炎を吐いた。 セイバーは盾を構える。天空の盾はブレス系の攻撃に強い。当然防ぎきる。 セイバーの後ろで縮こまっている岬も当然無事だ。 周辺の木の幾つかに火が燃え移るが、それも問題はない。 白刃が空中を走り、今まさに延焼しようとしていた木々の燃えている部分だけを切り捨てる。 地面に落ちた火種が、返す刀で両断され、勢いを失って鎮火した。 そして、剣を振るった勢いをそのままに、「おお!」とも「はあ!」取れぬ掛け声をかけながら魔王に肉薄する。 セイバーの髪が木漏れ日を浴びて瑠璃色に輝く。 瑠璃色の閃光に魔王が目を細め、愚鈍な動きで次の動作に備えて動き出す。 だが、攻撃を放ちきって隙があった魔王よりもセイバーの方が速い。剣を振りかぶり、袈裟に斬り下ろす。 肉を裂く音。 血の飛び散る音。 「ぐふっ」という少々間の抜けた魔王の叫び声。 一撃が綺麗に入った。会心とまではいかないが、なかなかの太刀筋だ。 だが、斬られた魔王も黙っていない。すかさず右手を突き出して反撃する。 その打撃を、今度も左手に装備した天空の盾で防ぎきり、右手に装備した天空の剣の柄で腹を横殴りに殴る。 真新しい傷口に衝撃を受け、ぎゃあっと悲鳴を上げる魔王。そしてそのままの勢いで後ろに吹っ飛ぶ。 後ろに吹っ飛んだ魔王は、体勢を立て直し、距離を離し、移動を始めた。 逃げるように。もしくは誘うように、森林公園の更に奥へと。 セイバーは再び考える。 相手の方から移動を始めた。ということは、逃走を図るには絶好のチャンスだろう。ならば今ここで逃げるべきだろうか。 しかし、と足元で燻る木切れを見る。 もし、あの魔王がやたらめったらに火を噴けば、森林公園はたちまち火の海になり、逃げている最中も火に炙られることになる。 英霊であるセイバーはまだしも、岬や、関係のないNPCが火の海の中で無事で済むわけがない。 そう判断したセイバーは、まず目を閉じ周囲の魔力の反応を探す。逃げた魔王以外のサーヴァントの気配は感じられない。 それを確認した後で、後ろでまだ縮こまっている岬に声をかけた。 「マスター、隠れててくれ。俺は奴を追ってくる」 「えっ?」 「すぐ戻る」 岬からの返答を待たずに、駆け出す。 セイバーの導きだした答えは『追跡』。 望ましいのは相手が逃げたということを確認できることだ。それ以上の戦闘の必要がなく、犠牲も出ない。 もし痛手を負っても戦意が失せていないようならば炎が吐けない程度に痛めつけるか延焼出来ないよう脚を断つか。どちらにしろ、炎の危機を無力化してから逃走に移る。 加減をする余裕が無いならば、その時は躊躇せずに討つしかない。出来る限り消耗を抑えることに注意しながら。 岬を一人にしておくのに不安がないわけではない。 彼女はただの少女だ。戦闘能力なんてなにもない。加えて言えばセイバーへの絶対命令権である『令呪』ももう残っていないため窮地になった時にセイバーを自分の元に呼び寄せることも出来ない。 だが幸い周囲に強い魔力を持つような人物は居ないようだ。 ひょっとすると魔王のマスターが近くに居るのではとも思ったが、マスターが居るならば鉢合わせた時のような不自然な移動はしないだろうと思い直す。 周囲に参加者が『今』居ないならば大丈夫だ。 セイバー抜きの岬一人ならば(魔力が少ないので)他のマスターやサーヴァントが来てもマスターとバレる可能性は極低い。 それに、逃げた魔王もセイバーの猛攻を掻い潜って岬には到達できない。 ならば今だけは、セイバーが近くに居ないほうが安全だろう。 少しばかり心掛かりはあったが、それでも岬も人間だ。いのちはだいじにしてくれると信じている。 視界と進路を遮る枝を切り散らしながら森を駆ける。木漏れ日は瑠璃色に輝いていた。 ◇◇◇ どうやら件の魔王の敏捷はかなり低いらしく、セイバーが本気で追いかけていると数秒もせずに追いつけた。 魔王を追ってたどり着いたのはだだっ広い空間。森林公園内で、森の間に作られた休憩用の東屋といくつかの遊具が飾られた場所。 その東屋の屋根の上で、魔王は天に向かって両手を掲げていた。 大技が来る。 理解したセイバーの動作は早かった。 既に装備していた天空の盾・天空の剣についで天空の鎧も装備。大技に備える。 魔王が両手を正面に突き出し、同時に呪文を唱える。 「『イオナズン』!!!」 放たれた光球が四方八方に飛び交い、爆裂する。 遊具が吹っ飛び、地面がえぐれ、地形を変えていく。 しかし、セイバーにはかすり傷程度のダメージも入らない。当然だ。この程度の魔術ならば天空装備無しでも受けきれるのだから。 剣を構え、土埃の向こう側を動いているであろう魔王の気配を探る。 臨戦態勢の魔王の気配を感じ逃すはずがない。場所は正面右前、一時の方向。 「はぁっ!!」 振るった剣が再び肉を裂く。手応えが薄い。 体勢を整えるよりも早く、土埃を振り払って魔王が現れて再び両手をセイバーに向けてかざす。 「『メダパニ』!!!」 唱えてすぐに拳を振りかぶる魔王。左手でセイバーが剣を持つ右手を狙った手刀の一撃を繰り出した。 セイバーは一切惑わされることなく、その手刀をいなし、逆に一歩飛び退って飛び込んできた魔王に対してもう一線剣撃を食らわせる。 鮮やかな血が舞い上がり、魔王の顔が苦痛にゆがむ。 しかし相手も魔王、その程度で引きはしない。右、左、また右と拳撃を繰り出した。 一撃目は盾で受け、二撃目は剣で弾き、三撃目は身体に当たるが鎧がダメージを緩和する。ほぼ無傷といって差し支えない。 そこからは剣対拳の撃ち合いだ。魔王が一撃を出せばセイバーがそれを受けて一撃を返す。勇者が一撃を返せば魔王は傷を増やしながらももう一撃を繰り出す。 魔王の攻撃、セイバーの攻撃、魔王の攻撃、セイバーの攻撃。何度も何度も繰り返される攻撃の応酬。 しかし、応酬とは言うが、優劣ははっきりしていた。 セイバーの身体には傷ひとつない。盾で、剣で、鎧で、全てのダメージを散らしきっている。 対して魔王は攻撃を通すことも出来ず、かと言って防ぎきる事もできず、次第にその身体に生傷を増やしていった。 斬り合いを通してセイバーは確信に至る。この魔王が『弱い』という確信に。 クラスが適合していないのか、英霊としての格が足りないのか、それとも相性の問題か、セイバーとは天と地ほどの性能差がある。 追ってきたのは正解だった。下手に逃げていれば戦力で優っているのに相手に主導権を握られることになっていただろう。 魔王の左手の掌底が、一見無防備なセイバーの顔めがけて繰り出される。 しかしそれはセイバーの予期するところ。 セイバーは先程までの激しい攻防とは打って変わって、その一撃をあえて剣で止めず、かと言って顔でも受けず、少しだけ体を引いて避けた。 唐突な回避行動に魔王のバランスが崩れ、つきだしていた左手がみっともなく空を切る。 天空の剣が煌めいたのは次の瞬間だった。今までの撃ち合いの二倍か、三倍か、それ以上か。 セイバーの持てる最高速で天空の剣が振りぬかれる。 魔王があまりの緩急にぎょ、と目を剥いてももう遅い。音すら置き去りにしそうな速度で振りぬかれた剣は、鮮やかに魔王の左手を切り裂き、木々の方へと斬り飛ばした。 聞くに堪えない恐ろしい悲鳴がこだまする。 魔王が初めて見せた大きな隙。セイバーは一切の躊躇なく踏み込み、仰け反っていた魔王に横薙ぎに一閃斬りかかった。 ざぐりという鈍い音。音は鈍いがまだ浅い。 セイバーの背骨ごと真っ二つにする勢いで放った斬撃も、すんでのところでかわされてしまう。 魔王は、無茶苦茶に身体を捩っていた。捩った分だけ身体がずれ、その分わずかに斬撃から逃れていたようだ。 だが、存外無傷というわけではない。 切っ先数センチで切り飛ばされただけに終わったが、その衝撃を殺しきれず、ぐるぐると回転してずべしゃと音を立てて地面に這いつくばる。 地面が赤く染まる。腹に添えられた魔王の右手から、皮膚の色ともローブの色とも違う、鮮やかな内蔵がまろびでる。 「ぐ、お、お、お……」 地獄の底から響くような唸り声。人間が聞けば、恐れ慄き泣き叫ぶであろう声。 セイバーは揺るがない。 格付けは終わった。 この『魔王』はもう、どうあがいてもセイバーには勝てない。 あと数分どころか、数秒もあれば、魔王を倒すことが出来る。それは思い上がりでもなんでもない、ただの事実だった。 「相手が悪かったな」 セイバーが語りかけると、魔王は顔を上げ。 その顔を不敵に引き攣らせて、右手を勇者めがけて突き出しこう唱えた。 「『バシルーラ』!!!!」 セイバーに呪文は効かない。 この点については、あれだけ魔法を放った魔王も気付いているはずだ。 ならばなぜ、悪あがきのように魔法を打つのか。セイバーは少しだけ、 セイバーの心に引っかかるのがもう一つ。 『イオナズン』『メダパニ』。 聞いたことのある呪文が二つ。 そして『バシルーラ』。これは聞いたことがないが、よく似た名前の『ルーラ』という呪文がある。 相手に向かって手を掲げて使った、ということは…… 「きゃっ! な、なに、なに、これ……」 不意に挟まる、戦場にはふさわしくない声。 セイバーが聞き慣れた、この場所では聞くはずがないと思っていた声。 セイバーは意識をバラモスにも向けたまま振り返る。 魔王と勇者の延長上、勇者のほぼ真後ろに、浮き上がっているセイバーのマスター・中原岬が居た。 隠れているようにと言い、置いてきた彼女が、なぜかセイバーたちの戦場の方へ来ていた。 それをバラモスは目ざとく見つけて、『バシルーラ』をかけた。 通常の魔法ならばセイバーに無効化されると理解した上で、『対象を一人に限定する呪文』を唱えたということだ。 「マスター!」 岬は、悲鳴を上げる間もなく吹っ飛んで行く。方角的には、B-5方面。岬の家がある方角へ。 セイバーの予感は的中していた。 『ルーラ』が転移魔法ならば、『バシルーラ』は強制転移魔法。相手を何処かへ吹っ飛ばす魔法、ということだろう。 やってくれたな、と魔王の方を睨むと、魔王は弱々しくも誇らしげに笑っていた。 「そなたのマスターを、ただ送り返してやったと思うか?」 「『バシルーラ』は呪文じゃ。宝具ほどではないにせよ、強い魔力の反応を示す」 「魔力の反応が、目立つ空中を大きく動けば……お前のマスターも、その根城も、参加者に見つかる可能性は低くはない」 セイバーが舌打ちをして剣を向けると、魔王はその傷からは予測ができないほどに機敏な動きで飛び上がり、距離をとった。 再び腹部を覆っていた右手を外す。内蔵が見当たらない。傷口がふさがっている。 「わしが本気で抵抗したところで、あと数分もあればそなたはわしを殺せるじゃろう」 「だが、その数分で、他のマスターがあの少女を見つけ出し、殺すやもしれぬ。他のサーヴァントが魔力を察知して貴様らの根城を襲撃するやもしれぬ」 確かに、あれだけ強い魔力で飛行しているところを見れば、少しくらい魔術に覚えがあれば場所の特定は容易だろう。 さらに言えば、先に説明したとおり岬に戦闘力はない。それに、襲ってきた相手と交渉が出来るようなタチではない。 「さあ、どうする勇者」 「わしは魔王。逃げはせん。死ぬ瞬間まで貴様の絶望のために戦うぞ」 死にかけの魔王は、にたにたと気色の悪い笑顔で囁く。 自身の命すら捨て駒にしようというその一種異様な光景。 その様子を見て、セイバーは――― ◇◇◇ セイバーは走っていた。 ただひたすらに走っていた。 あと数秒、あと数分で殺せていた魔王に背を向けて走っていた。 臆病風に吹かれたわけではない。あのまま戦えば絶対に勝てるという事実があった。 それでも、魔王に背を向けてひたすら走っていた。 『嫌いにならないで下さい』 『裏切らないで下さい』 『側にいて下さい』 出会ってすぐに執行された三つの絶対命令権。 そんな大雑把な命令にどれほどの強制力がある。 魔術の覚えのない岬の令呪が、最高峰の対魔力を持つセイバーに対してどれほどの意味を持つ。 彼女もそのことになんとなく気付いていたのかもしれない。 だから最後に、こう付け加えた。 『約束……守ってね』 どんな魔法よりも強く。 どんな睦言よりも甘く。 どんな呪いよりも残酷。 勇者は、その一言で心を釘付けにされた心地だった。 なんてことはない一言だ。 でも、『約束』なんだ。 彼女にとって、心の底から絞り出した願いだ。 泣くことも出来ず、誰にも伝えることも出来ず。世界の皆が繋いだ手と手の輪からはじき出されて、俯いていた少女。 自身の心を誰とも共有できない、不器用で、儚い、ガラス細工のような少女。 自分という物語を一人で終わらせようとしている、とても強くてとても弱い少女。 彼女が、精一杯の勇気を振り絞って告げた『約束』。 それは令呪なんて薄っぺらな繋がりではなく、もっと深く、もっと濃い、彼女の『心』そのものだった。 それを反故にすることは、少なくともセイバーには出来なかった。 だから、あの時『逃げろ』ではなく『隠れていろ』といった。 『逃げろ』と言えば、彼女はセイバーとの間に、また隔たりを受け取ってしまうとわかっていたから。 側に居るという約束を、令呪なんか関係なく、守りたかったから。 だから、今全力で走っていた。 少しでも早く、彼女の傍に帰れるように。 セイバーが魔王を放置して飛ばされた彼女を追う理由は、『約束したから』。それだけで十分だった。 実体化を解かずに全速力で、風よりも早く街を駆け抜け。 霊体化して、建物を通り抜けて部屋に飛び込む。 飛び込んだ先は、岬の部屋。 そこには、先ほど別れた時と同じ、きょとんとしている岬が居た。 「よくあたしが家に帰ってるってわかったね。すごい。もしかして超能力者?」 「違うよ……似てたんだ。俺の世界の呪文とね」 空間強制転移呪文(バシルーラ)。セイバーの考察通りルーラのバリエーションのようなものだとすれば、移動する場所は決まっている。 この聖杯戦争の地で岬が行ったことがある場所は、家か、図書館か、劇場かくらいだ。 飛んでいった方向的にも、家に返された可能性が高いと踏んで、当てずっぽうで家に帰ってきただけにすぎない。 セイバーの説明を聞くと、岬は少しだけふさぎ込み、そして真剣な表情でこう尋ねた。 「倒したの?」 「……いや」 「……そっか」 沈黙が流れる。 こち、こちという時計が時間を刻む音だけが、二人の間を行き来する。 岬はなにも喋ろうとせず、ただ、答えを探っているようにも見えた。 セイバーには彼女の求めているものは分からなかった。 「……なんで?」 しばらくの沈黙の後、岬が口を開く。 どこを指しているのかもわからない問いかけ。 「……レイさんは、勇者なんだよね。で、あれ、悪いカバだったでしょ?」 そこまで説明を聞いてようやく得心が行く。 つまり、魔王討伐ではなく、岬を優先したのはなぜか、という問いかけだったらしい。 決まりきっている。『約束したから』だ。 でも、そんなことを言えば、彼女がどう思うだろうか。 岬は、自分のことを他人が下す評価のどれよりも『最低』だと思っている。 そんな彼女ならば、約束がセイバーの動きを邪魔した・セイバーを間接的に追い詰めてしまった、などと勘違いしてしまうかもしれない。 だからセイバーは、本当の答えを口に出せなかった。 再び沈黙が流れる。 「……マスターは、なんで隠れてなかったんだ」 ようやく出たのは、苦し紛れのような問い一つ。 あまりにちぐはぐなやりとりだと気付き、セイバーは苦笑しかける。 だが、岬はとても真剣な表情でセイバーの方を見つめ続けていた。 「約束、したからです」 「……」 「最初会った時、ずっと傍に居てって約束しました。あたしの方から。 なのに、あたしだけ隠れてるって。うーん、どうなんだろ。間違ってると思ったので」 岬の答えは、直球だった。 最初に出会って、二人は約束をした。 嫌いにならないと約束した。 裏切らないと約束した。 側にいると約束した。 令呪3つ分の――いや、既に令呪3つ分を超えた、令呪3つ分より大きな約束。 主従の枠を超えた、一人と一人のちっぽけな3つの約束。 一人と一人の約束は一人と一人のもの。一人と一人の間では隔てるも隠すもあったことではない。 だからこそ、当然というように、胸をはるでもなく、卑屈になるでもなく、極普通にそう答えた。 セイバーはその答えを聞いて。 少しだけ考えて、こう答えた。 「俺も、同じさ」 「……」 「約束したから。そばにいるって。だから、走って帰ってきたんだ」 じっと見つめられて少し気恥ずかしくなって、そう付け加えた。 答えれば傷つけてしまうかもしれないと思った偽りのない真実を。 その答えを聞いて、岬はよく分からない表情をして。 そのまますこしだけ満足そうに目を細めて、大きく背伸びをした。 「まだお昼前だね。これからどうしよっか」 「外出、それも少し遠出したほうがいい。さっきの呪文で、人が寄ってくるかもしれない」 「そういえば、呪文って、レイさんも使えるの?」 「どうだろう。使えるんじゃないかな」 「空とか飛べちゃう?」 「……気に入ったのか」 森林公園から強制的に家に帰され。 やることを再び失ってしまった一人と一人。 それでも、一人と一人は、少しだけ、『人』に近づけたのかもしれない。 【D-5/中原岬の家/一日目 午前】 【中原岬@NHKにようこそ!】 [状態]魔力消費(小) [令呪]なし [装備]なし [道具]カッターナイフ [所持金]あまり使えないんです。お世話になってるから。 [思考・状況] 基本行動方針:なにを願っていたんだろう 0.寂しい 1.約束したんです 2.もう少しどこかに出かける 3.悪いカバを警戒 [備考] ※悪いカバ(まおうバラモス)を確認しました。魔術については実際に目にしましたが理解が及んでいません。 ※バシルーラでD-6→D-5を移動しました。魔力察知に優れた人物に所在地を感付かれた可能性があります。 【セイバー(勇者レイ)@DRAGON QUEST IV 導かれし者たち】 [状態]魔力消費(小) 霊体化中 [装備]天空の剣、天空の鎧、天空の盾 [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:岬の傍に居る 1.魔王を倒す必要がある……か? 2.できるだけ宝具の解放や長時間の戦闘は避けたい。 [備考] ※偽アサシン(まおうバラモス)を確認しました。イオナズン・メダパニ・バシルーラも把握しました。呪文系統の合致から、よく似た平行世界の魔王であると認識しています。 ※バシルーラの効果で人が集まることを懸念しています。 ◆◆◆ 「わははは、ははは、はは……」 どすんと音を立てて巨体が地に沈む。 倒れ伏した魔王―――偽アサシンこと宝具『まおうバラモス』は、傷だらけの身体で高らかに笑っていた。 息も絶え絶え。 HPにすればニ桁までは行かないものの三桁前半までは減らされているだろう。 傷は深く、疲労もそれなり、まさに死に体。 しかし、バラモスは勝利の喜悦に酔いしれていた。 「勇者め、魔王相手に逃亡とは、情けない……」 地面に突っ伏したままでぐふ、ぐふと喉を鳴らして笑う。 勇者と出会ってしまい、彼と戦うことになったのは完全に失策だった。 しかもあの強さ、間違いなくセイバーのサーヴァントとして顕現したのだろう。 攻撃を仕掛けようとしても物凄い速さで反応された。 虚を突いて逃走を図ってもすぐさま追いつかれた。 切り結べば力負け。 呪文は一切通らない。 打つ手なしとはまさにこの事、と言わんばかりの戦況で、それでも天は彼を見捨てなかった。 勇者のマスターたる少女が、のこのこと戦場に戻ってきたのだ。 少女に戦闘能力がないというのは、最初の一撃で把握済みだ。 あんな隙だらけの防御ならば、勇者さえ居なければぶち殺せる。 バラモスでぶち殺せるなら、他の英霊ならば消し炭だ。塵に返せる。 だからこそ、彼は大博打に出た。 攻撃魔法では駄目だ。攻撃魔法では勇者に防がれてしまう。 単独の相手を狙い撃ちにする魔法でマスターだけを標的にする。 そうして、得意技の一つである『バシルーラ』でマスターをふっ飛ばし、勇者である以前にサーヴァントであるセイバーに揺さぶりをかけた。 結果は、大成功だった。 力あるものが力なきものから逃げる。 バラモスが力なきもの扱いというのは少々癪にさわるが、それでも、勇者をやりこめてやったのは気分が良かった。 寝返りをうち、天を仰ぐ。 左腕を伸ばし、傷口を眺める。もはや血の一滴も流れ出ない。完治といっていいだろう。 左腕がくっついたのを確認して、バラモスは立ち上がり移動を再開した。 イオナズンの爆音を聞いて他の参加者が集まれば、今度こそおしまいだ。 痛む身体を引きずりながら、森林公園の外周、山林部へと身を隠した。 これで、やたらめったらに見つかることはないはずだ。 「しかし、傷をもらいすぎたな……」 樹の根元に座り、身体を眺める。 血こそ流れてないが、かなりの深さの生傷がいくつも走っている。 しばらく時間をおけば問題なく治るだろうが、その『しばらく』の間はあまり動きまわらないほうがいいだろう。 とにかく、まずは身を潜める。 身を潜め、自身のスキルとゾーマ・たまからの魔力によって傷が塞がるのを待つ。 一箇所にとどまるのは危険を伴うので、できるだけ点々としながら全快を待つ。 全快後に動くにしても、今回のようなヘマをしないように、常に遮蔽物を利用するべきだ。 「なにより、休息じゃ。 その後に、あの少女……フェイト・テスタロッサを探すとしよう」 頭のなかに浮かぶのは、主たるゾーマとの密約。 戦うな、というのは破ってしまったが、生きているのだ、これはセーフ。 図書館に近づくな、というのも守っている。バラモスとて大魔王、死にに行くほど馬鹿じゃない。 市民を襲うな、というのは破っていない。今はまだ。 フェイトという少女についてなにか思うところがあるらしい。ならば、最大限便宜を図るのが臣下としての使命だろう。 「どこに居るか……この周辺ならいいが……」 そこまで考えて、ふ、と。 主たるゾーマに今回の交戦のことを伝えるべきかどうか、という疑問がわいた。 だが、そんなもの、すぐに結論が出た。 「『勇者を見つけたから』なんぞで帰っておっては時間が足りぬわ」 勇者が居るのはバラモスもゾーマも想定内だ。 というよりも、英霊として呼ばれるならば皆が皆勇者レベルのものたちだ。 一体見つけて飛んで帰って大魔王の手をわずらわせるほどのことだろうか。 バラモスは、それを非と判断した。 異世界の勇者がどれだけ居ようが、ただの参加者。 ゾーマを討った『ゆうしゃロト』が居るならば話は別だが、それ以外は須らく平等に『ただの敵』として扱う。 それで十分だ。 「さて、動くか……少しでも、人目のつかぬ場所へ……」 バラモスは再び、山林部の更に奥へと向かって歩き出した。 まだまだ深いが、それでも動けるくらいには快復した身体を引きずって。 【D-6/森林公園/一日目 午前】 【偽アサシン(宝具『まおうバラモス』)@ドラゴンクエスト~ そして伝説へ】 [状態]ダメージ(中)、疲労(小)、自動回復中 [思考・状況] 基本行動方針:大魔王城完成まで図書館には近寄らずに情報収集 0.早朝まで生きて残り、参加者の情報を大魔王ゾーマに伝える。 1.しばらく休む。そのためにも山林を移動。 2.参加者を警戒しながら情報収集。全快まで戦いは避ける。 3.フェイト・テスタロッサを捜索。 [備考] ※中原岬&セイバー(レイ)を確認しました。セイバーが勇者であることも気付いています。 ※遮蔽物がある場合気配遮断もあって発見しにくいですが、見つかるときは見つかります。 ※宝具であるため念話・霊体化は使えません。魔力はアサシン(ゾーマ)のものを使用します。 また、実際のバラモスとは違って状況によって思考判断を行い、分が悪ければ防御・撤退もします。 ※彼の持つ気配遮断:Eは『NPCには見つからない』『参加者には隠れていれば見つからない』程度です。 参加者に一人で歩いているところを見られれば見つかります。 ※『NPCを極力殺さない』というゾーマの命令を守ります。ただし極力なので必要に応じて殺します。 ※早朝、もしくは非常時と判断した場合にのみ廃教会に帰ってきます。 ※フェイト・テスタロッサを見つけた場合、彼女の危険性を判断します。 危険ではないと判断した場合、保護を申し出て教会まで連れ帰るつもりです。(ただし生存優先のため、危険であると判断した場合は交戦・逃走もやむなし) ※バシルーラは相手を拠点(おうち)に送り返します。ただし英霊相手には余程のことがない限り効果がありません。 ※D-6 一部にイオナズンが撃ち込まれた跡があります。もしかしたら音も聞こえているかもしれません。 BACK NEXT 014 絶望少女育成計画Reflect 投下順 016 ホワイト&ローズ 時系列順 017 機械式呪言遊戯 BACK 登場キャラ NEXT 000 前夜祭 中原岬&セイバー(レイ) 039 ああ、あの愛の喜びに満ちた -019 ネガティブハッピーチェーン 001 惑いのダッチアイリス 偽アサシン(まおうバラモス) 028 三人目
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1781.html
「じゃじゃーん!」 いつものように虐待用のゆっくりを探すため山道を歩いていると、そんな叫び声とともにそいつは現れた。 赤い髪に黒い猫耳、左右にある三つ編みを黒いリボンで止めたその姿は、希少種の中でもめったに見かけられないゆっくりおりんである。 「おにーさん、ゆっくりしていってね!」 「ん……あ、ああ。ゆっくりしていくよ」 普段はゆっくりから『じじい』とか『おじさん』と呼ばれているため、一瞬自分のことだと気付けなかった。 まだ若い身空であるため『おにーさん』と呼ばれて当然なのだが、初対面の人間をそう呼ぶゆっくりなんてさなえとおりんぐらいのものであろう。 飼いゆっくり以外で礼儀正しいゆっくりなんて、それぐらいしかいない。 「しかしおりんか……ちょっと困ったな」 「ゆゆ?」 おりんはゆっくりの死体を操る能力……ある程度原形をとどめた死体からゾンビゆっくりを作る能力を持っている。 ゾンビゆっくりは原型が崩れるか腐って動けなくなるまで仮初めの命を手に入れたゆっくりだ。 一応生きていたころの記憶はあるのだが、自分の意思が希薄でおりんの命令に逆らえないため、実質おりんの奴隷である。 そのゾンビゆっくりだが、見た目がグロい。 一度つぶれた死体が多いため、片目や餡子が漏れているのは当たり前。さらに死体だからゆっくりの免疫機能なんて働いてないため、腐りかけのまんじゅうと大差ない。 人間が見ても気持ち悪いそれは、ゆっくりの目から見ると一層恐ろしいものに映るらしく、ゾンビゆっくりとおりんはゆっくりの中でもかなり嫌われている。 それこそ、群れごと移動して逃げ出すくらい。 つまり、この付近にいたゆっくりの群れはもういない可能性が高いのだ。 「なあ、君がこの場所にきてから何回太陽がでてきた?」 「ゆっ! たぶん6回か7回だよおにーさん!」 となると、だいたい一週間か。たぶん大半が街に逃げ出してつぶされている頃だろう。 このあたりにもまだ何匹か残っているかもしれないが、探し出すには時間がかかるに違いない。 「どうしようか……この際おりんでいいかな」 「おりんになにかようかい?」 「ああ、ちょっとね」 (そう言えば、希少種を虐待したことはなかったな……見かけたら大抵ペットにしているし) ここはスタンダードに針山地獄コースかなと考えていると、突然脳裏にどこかの偉い鬼井山の言葉が聞こえた気がした。 『―――ゆっくりにはそれぞれ特徴がある。その特徴を利用しないで何が虐待だ』 「……くっ! 俺はいったいなんてことを考えていたんだ!」 「? よくわからないけれど、ゆっくりしていってね!!!」 ああ、ゆっくりするよ。お前を使ってな。 しかしゆっくりに慰められるなんて、人間の立場としてどうなのだろう…… ……まてよ。立場か。 「なあ、おりん」 「なんだい、おにーさん」 「実はゆっくりを飼おうと思っていてね。どうだい? 飼いゆっくりにならないか?」 「ゆゆっ!!」 おりんも飼いゆっくりのことは知っていたのだろう。目をきらきらと輝かせる。 おりん自体はさなえ並に飼いやすいゆっくりだが、ゾンビゆっくりの放つ悪臭や死体処理が手間であるため、一部の愛好家や虐待家を除いて飼う人はいない。 ならゾンビゆっくりを作らなければいいと思うかもしれないが、ゾンビゆっくりを作るのは本能であり、おりんにとってゾンビゆっくりはゆっくりできるものなのだ。 作らせなければすぐに衰弱死すると言われている。 そのため、希少種の中でも飼われにくいという珍しい境遇。このチャンスを逃せば、きっと野生で一生を終えるに違いない。 (まあ、野生で暮らすほうが幸せだとは思うがな) 「ゆ~んゆ~ん……ゆっ! おにーさん、おりんきめたよ! おにーさんの『かいゆっくり』になるよ!!!」 「おお、そうか。それじゃあおりんを連れていく前に、ゾンビゆっくりをここに呼んでくれ。みんな一緒に飼いゆっくりにしよう」 「ゆっ! おにーさんふとっぱらだね! わかったよ!」 ◇ ◇ ◇ 「ユッグリシテイッデネ!!!」 「……ユッグリ……ユッグリ」 「ユヴゥゥゥ……」 「うおっ、結構いるな」 おりんは十匹のゾンビゆっくりを連れてきた。 どれも見た目はひどいのだが、前にここら辺にいた群れから調達したためかそれほど腐ってはいない。 「これならしばらくは遊べそうだな……」 「ゆ?」 「よし、それじゃあおりんは抱えてあげるから、ゾンビゆっくりたちは俺の後ろをついてきてくれ」 「ユッグリ! ユッグリ!」 「マリサモカガエテ……」 誰がお前らを抱えるかよ。 抱えてる時にその体にあいた穴から虫が這い出てくるとマジ怖いんだぞ。 ◇ ◇ ◇ 俺の家に着いたとき、まずは家に飼っているゆっくりを全員二階に移動させた。 一階のある一室を使って虐待しようと思うのだが、そこに運ぶ前にほかのゆっくりの存在を気取らせたらまずい。 飼いゆっくりということは、基本的に(ゆっくり基準で)美形である。もし誰かが見初められたら、子供を作ると同時に殺されてしまう。 「と、言うわけだ。ついでに遊具もいくつかそこに運んでおいたが、我慢してくれ」 「べつにいいんだどぉー。うつくしいのはつみなんだどぉ~☆」 「正しいがお前に言われるのは何か気に食わん。明日ぷっでぃ~んは抜きだ」 「うわぁぁぁーーーー!!!」 「おいこら、叫ぶと外に聞こえるだろ。ふらん、れみりゃを二階に連れていってくれ」 「うー!」 白目をむいて驚愕した表情のれみりゃがフランに連れられて階段を上っていくのを確認すると、防腐剤を片手に持ちつつ玄関の前で待っているおりんの場所に戻る。 「さっきれみりゃのこえがきこえたような……」 「ん? ああ、ここら辺には割と多いらしいからな。でも家の中なら安全だぞ」 「そうだね! ゆっくりできるね!」 「……じゃあ、最初におりんを家の中にれるけど、ゾンビゆっくりはここに待たせてくれ」 「ゆゆっ!? みんなはゆっくりできるよ!?」 「ああ、大丈夫。この防腐剤を混ぜたり虫を取り除いた後で連れていくから」 「『ぼーふざい』さんってゆっくりできるもの?」 「ああ、みんなが腐らなくなるんだ。長い間ゆっくりできるぞ」 「ゆっ! それはすごいね! 『ぼーふざい』さんはゆっくりできるよ!!!」 「解ってくれたか。じゃあ、まずはおりんだけ連れてくぞ」 そう言いつつ持っていた防腐剤を玄関に置いておき、代わりにおりんを持って家の中に入る。 そして予定していた部屋に運び込むと、おりんはその中を見て驚愕した。 まず、(ゆっくりにしては)広い部屋。丸々一室なのだ、木の根元の洞と比べる方が間違っている。 次に、ゆっくりできそうな遊具の数々。もともと飼っているゆっくりがそれなりに多いため、少し持ってきただけでも一匹には十分すぎるだろう。 最後に、窓からの光を浴びて輝く床。餡子が飛び散った時のためのビニールシートを敷いてるだけです。 「じゃ……じゃ……」 「じゃ?」 「じゃじゃーん!!! ここはおりんのゆっくりプレイスだよ!!!」 おりんは感動の涙を流しつつ、声高らかにそう叫んだ。 野生ではありえないような巣であり、しかも人間さんのお墨付きでもある。 しかも話に聞く限りでは、飼いゆっくりは毎日たくさんのあまあまをくれるという。 きっとここで一生ゆっくりと過ごし、素敵な伴侶ももらえ、最後にはたくさんのかわいい子供たちに看取られてずっとゆっくりするのだろう。 この宣言こそ、その第一歩なのだ。 しかし、それを聞いている自分の心境としては『おいおい、いきなりお家宣言かよ』といったものである。 まあこのおりんはそれなりに頭が良いようだし、この部屋のことだけを言っているのだろう。そうでなければ即潰す。 「それじゃあ、ゾンビゆっくり達を連れてくるからな」 「ゆっ! ゆっくりつれてきてね!」 ◇ ◇ ◇ それから、おりんのゆっくりとした生活が始まった。 その生活はまさに天国。野生のころには考えられなかったほどである。 朝は朝食を食べてゆっくりし、 昼は昼食を食べてゆっくりし、 晩は夕食を食べてゆっくりする。 おにーさんはこの壁さんの向こう側からあまあまを持ってくるときにしか会えなかったけれど、いつもゾンビゆっくりが一緒だから寂しくなんてない。 部屋の外には頼んでも出してもらえなかったけど、部屋から出れなくても『しーそー』さんや『ぶらんこ』さんとかがあるから遊ぶには事欠かなかった。 だけど――― 「おにーさん……きょうもいっしょにいてほしいよ」 「ん……またか?」 おにーさんが夕食の黒いあまあまを持ってきたときに声を賭けるのは、すでに日課といってもよかった。 人間さんは頭がいいから、これだけ伝えれば何が言いたいのか察してくれる。 「悪いな。俺はここではゆっくり寝れないんだ」 「ゆぅ……」 今日も断られた。 やっぱり、信じてもらえないのだろう。 「むーしゃむーしゃ、ふしあわせー」 おいしいあまあまも、この後に起こることを考えたらおいしくない。 いつもは力強いゾンビゆっくりのみんなも、このときは頼りなく見えた。 ◇ ◇ ◇ 突然、ガタッっという大きな音が鳴った。 「ゆゆっ!?」 眠っていたおりんはその物音に反応してすぐに起きるが、周りは暗くてよく見えない。 「ゆー……」 眠れない。 眠ることができない。 怖い。 何が起こってるのかわからない。 ここ数日、同じような出来事が起こっていた。 夜中の間に突然大きな物音が鳴り響くのだ。まるで、誰かが暴れているみたいに。 そしてその物音で目を覚ますのだが、部屋の中にはだれもいない。 朝に確かめてみると遊具が倒れていたり、ゾンビゆっくりがばらばらの位置にいたり、逆におりんが移動していることもある。 このはなしをおにーさんにいうと、一度だけ一緒に寝てくれた。 その時は不思議なことに物音も移動することもなく、何も起こらないまま朝を迎えることができた。 「ゆ……ゆっくりしていってね……?」 きっと、このゆっくりプレイスにいる『なにか』は人間さんが怖いんだろう。 それだけは解っていた。おにーさんと一緒だと物音をたてたりして機嫌を損ねることはない。人間さんが怖いから。 だから毎晩おにーさんに一緒にいてくれるよう頼むのだけれど、おにーさんは信じてくれない。この『なにか』をしらないから…… 『なにか』って何? どうすればいいの? どうすればゆっくりできるの? ゆ……ゆぅぅ…… 「ゆっぐりじていってよーーー!!!」 ◇ ◇ ◇ このゆっくりプレイスに来てから、おひさまが7回ぐらい上がったころ。 「それじゃあ、これが今日の晩御飯な」 「ゆっ! ありがとうおにーさん! ……それでね?」 「なんだ、まだ物音がするとか言ってるのか……。怪談はまだ早い時期だぞ? それじゃあな」 「ゆゆっ! まっておにーさ……ゆぅぅ……」 今日もダメだった。 きっと、今夜も『なにか』が襲ってくるのだろう。 「ゆ……でも、おとだけだもんね……」 そう、音だけなのだ。 おりんやみんなが移動することはあっても、起きた時にいどうすればいいだけだからそんなに迷惑じゃない。 眠るのを邪魔する音さえなんとかなれば、このゆっくりした生活が完璧なものになる。 一日中ゆっくりすることができる。 「それじゃあみんな! きょうも『なにか』がきたらゆっくりおしえてね!」 「ユッグリ……」 「ワガッタンダゼ……」 「ムギュー……」 「…………」 ……? おかしい。ちぇんだけ返事がない。 「ちぇん、どうしたの?」 「…………」 無言。 命令しているのに、何もしゃべらない。 もしかしてずっとゆっくりしちゃったのかな? 最初に思ったのはそれだった。 『ぼーふざい』さんの効果が終わったのかもしれない。 こう言ったことは野生のころに何度も経験している。 だから、それを確かめようとしてゾンビちぇんに近づいた。 「ちぇん、めいれいはゆっくりき―――っ!?」 突然、眼だけだけがぎょろりとこちらを向く。 その目はなにか……そう、『なにか』……自分ではないものの意思を含んだ眼だった。 思わず恐怖で言葉が詰まる。 ……恐怖? そう、恐怖していた。おりんの命令をなんでも聞くゾンビゆっくりなのに、なぜか恐怖していた。 でも、どうして? このゾンビちぇんはおりんのだし、このゆっくりプレイスにはおりんとみんなしかいない。 『なにか』なんて―――いないのに。 「ワガルヨー」 「ゆっ!?」 突然ちぇんが反応して、思わず体がすくむ。 そして、それが自分の出した命令に対する返事だと理解するのに少し時間がかかった。 「ゆっ……わ、わかればいいんだよ。ゆっくりみはっててね!」 「ワガルヨー」 なんだか、今夜はまったく眠れそうになかった。 ◇ ◇ ◇ 「ゆぴー……ゆぴー……」 床がきしむ音がする。 でもそんな音じゃあ起きない。 「ゆゆぅ……あまあま……」 何かがはねる音がする。 でも普段響くのははもっと大きい音。 「ゆーん……おにーさん……」 突然、一瞬だけ音が止まった。 でも、それは本当に一瞬。 「ゆぅ……ゆゆ?」 そして気がつけば、 ちぇんがおりんを喰べていた。 ◇ ◇ ◇ 「ゆっぎゃぁぁぁーーーーー!?!!?」 目が覚める。 窓の外からは月が出ており、周りはまだ暗い。 「ゆはぁ、ゆはぁ……ゆめ?」 周りを見渡すが、ちぇんはいない。 いつも音を鳴らす『なにか』もいない。 怖かった。 悪夢だった。 「ゆぅぅぅ……ゆめさんはゆっくりできないね!」 でも、どこかで夢でよかったと安堵していた。 そうだ、今は『なにか』もいないし、ゆっくり寝れる。 「ゆっ! それじゃあおやすみな―――」 右頬の痛みに気づいたとき、真っ先に視界に飛び込んできたのはあの無言だったちぇんの顔だった。 「うわぁぁぁーーー!!!」 さっきまで悪夢だったものが正夢になった瞬間。おりんの頭に浮かんだのは命令することだった。 「やべて!! やべてよぢぇん!!!」 だが、それがいけなかった。 そう言って命令するが、ちぇんは聞こえてないかのようにおりんの頬を噛み続ける。 そうだ、だってこのちぇんは、命令を聞かないちぇんじゃないか。 この状況で無理に引き離せば千切れて中身が漏れてしまうだろう。 そしたら……死ぬ。永遠にゆっくりしてしまう! 「べいれい! べいれいをきいで!!!」 いやだ。死にたくない。 せっかくすばらしいゆっくりプレイスを見つけたのに、死ぬだなんて……いやだ! そう思っていると、何かが破れるような音と―――痛み。 右頬が噛みちぎられたのだ。 「あああぁぁぁぁぁ……!?」 すっかり野生の生活も抜けたおりんにとって、それは激痛にも等しかった。 さらにゾンビちぇんは左側のほほにも噛みつき、そこにも穴をあけようとする。 左に皮が引っ張られると、必然的に右の頬の穴は広がる。 もはやおりんの右頬からは、真っ赤な中身が血のように流れ出ていた。 ―――実質、ゆっくりにとって血以上に大切なものだが。 「いやだいやだいやだやべてよぢぇんはなじてがまないでじにたぐないじにだぐないぃぃぃーーーーー!!!!!」 「大丈夫か!」 突然ゆっくりプレイスが明るくなり、おにーさんがやってきた。 きっと助けに来てくれたのだ。 「おにーさん……」 助かった。 その思いから、今後起こることを予想する。 きっとこの状況を見て、おにーさんはちぇんをおりんから引きはがすだろう。 そのあと、おりんの頬を直してくれる。人間さんはすごいから、きっとすぐに直るはずだ。 もしかしたらちぇんは潰されるかもしれないけれど、しかたない。 ちぇんはゆっくりできるちぇんだったけど、ゆっくりできないちぇんになってしまったのだ。 きっとそのあと、おにーさんはおりんと一緒にいてくれるようになる。一緒に寝てくれるようになる。 『なにか』もちぇんも―――何も、心配しない毎日を送れる。 きっと、ゆっくりできる毎日を送れる。 「おにーさん……たすけて……」 「ああ、待ってろ。すぐに治療してやる」 「そのまえに……ちぇん……」 「ちぇん? ちぇんがどうかしたのか?」 ……? 「おりんの……ひだりにいる……ちぇんだよ……」 「……?」 ……??? 「とりあえず、すぐに治療してやる。あとな―――」 ―――左にちぇんなんていないぞ? 「……ゆ?」 おにーさんがそう言ってゆっくりプレイスを出ていくのを見送った後、左を向くと、そこにはちぇんはいなかった。 いない。当然だ。 だって、おりんの頬を喰いちぎったちぇんは、ゆっくりプレイスの隅でみんなといっしょに寝ているのだから。 ……なんで? ちぇんがおりんの頬を噛んだのは間違いない。 だって、中身が流れ落ちているのが何よりの証拠。 でも、そしたらおりんの左側にいるはずで…… 「なんでちぇんがそっちにいるのぉぉぉーーーーー!!!」 ◇ ◇ ◇ 「ほら、治ったぞ」 おにーさんに両頬を治療してもらった後、おりんはゾンビちぇんのことを言うべきか迷っていた。 あのちぇんのことを言えば明日もゆっくりできるけれど、おにーさんはおりんのことを信用していない。 いや、信用しているかもしれないけれど、このことでは信用していない。 これ以上何か言えば、また野生に返されるかもしれない。 でも…… 「……おにーさん、ゆっくりよくきいてね」 「ん? なんだ?」 「……あのすみっこにいるちぇんのうち、てまえにいるほうをつぶしてね!」 「どうしてだ? あれはお前のちぇんだろう?」 「あのちぇんがおりんのほっぺたをたべたからだよ!!!」 「でも、どうしてちぇんが食べたんだ?」 「ゆぅ……それは……」 ちぇんがどうしておりんを襲ったか、さっぱりわからなかった。 ゾンビゆっくりは基本的に食事をすることはない。ましてや、主人を襲うことなどありえない。 そもそも、意思がほとんどないのだ。もしあったとしたら、おりんの傍から逃げ出しているだろう。 もしありえるとすれば――― 「『なにか』だよ……」 「? 『なにか』って、なんだ?」 「おりんもよくわからないものだよ……」 そうとしか言いようがない。 「そうか……まあ、あのちぇんはもともとおりんの物だからな。潰してほしいというのなら潰してやろう」 「ゆっ! ありがとうおにーさん!」 そしておにーさんは眠ったままのちぇんを持ってゆっくりプレイスから出ていくと、再びあたりが暗くなり、大きな壁さんが閉じた。 この壁さんのおかげで、もうちぇんは襲ってこない。 よかった。これで少なくとも、今夜は安心して眠れる。 その時、気づいた。 気づいてしまった。 隅にいるゾンビゆっくりたちが、全員目を輝かせてこっちを見つめていることを。 「ユッグリジネ……」 誰かがそう呟くと、まるで地の底から水がわき出るかのように声が響き始めた。 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ゆわぁぁぁーーーーー!!! どいて! どいてよかべさん! おにーさん!!! たすけてよおにーさぁぁぁん!!!」 助けは二度もやってこない。 ◇ ◇ ◇ 次の日から、おりんの生活は一気に変わった。 まず、ゾンビゆっくりを使って遊ばなくなった。 シーソーで遊ばなくなったが、他にも遊具はあるからなんとかなっているようだ。 次に、ゾンビゆっくりに一切命令をしないようになった。 また命令をすると、襲われるかもしれないと思っているらしい。 でもゆっくりできるものには変わらなかったから、潰すことはなかった。 今のおりんの中で、ゾンビゆっくりは『ゆっくりできてゆっくりできないもの』だ。 ゾンビゆっくりは一日中、部屋の隅から動くことはなかった。 警戒心も強くなっていた。 たぶん、突然襲われても反撃できるように身構えているのだろう。 幸いにもゾンビゆっくりは腐りかけなぶん、やわらかく脆い。 普通に戦えば九対一でもなんとか勝てる。 警戒心が強くなった反動か、ずいぶんと俺に甘えるようになっていた。 ご飯である餡子を運ぶ時に猫なで声ですりよってきて、部屋から出ていこうとすると寂しそうに呼び止めてくる。 やべえ、鼻血でそう。 「予定通り……いや、ここまで懐いてもらえる可愛さを考えれば、予定以上といったところかな」 ここはおりんが住んでいる部屋の隣。 観察用の虐待を観賞するために、隣の部屋につけた隠しカメラの映像を見ることができる小さな部屋だ。 ちなみに隣の部屋よりも小さいため、ゆっくり数匹と一緒にいるだけでも狭い。 「うー♪ おまちどぉ~だどお~♪」 「おっ、持ってきたか。今回はこぼさなかったようだな、よしよし」 「うぅ~~♪」 れみりゃの頭をなでつつ、持ってきたオレンジジュースを飲む。 コーヒー? 苦くて飲めんよあんなもん。 「…………」 「……ん? どうしたれみりゃ?」 普段なら給仕の後はどこかに遊びに行くれみりゃだが、なぜかじっとこっちを見てきた。 昼食の時間はもう過ぎたし、おやつでも催促するのだろうか。 そう思っていると、 「れみぃもかわいいんだどぉ~☆」 ……さっきおりんのことを可愛いといったからそれに反応しているのだろう。 なるほど、その反応は可愛いと言えなくもない。 「だが断る」 「な、なにをだどぉー!?」 「フラン!」 「うー!」 「うわぁぁぁーーーざぐやぁぁぁーーー!!!」 結局、かわいくないと言えない自分がかわいかった。 ◇ ◇ ◇ ゾンビちぇんが襲ってきたとき以来、もう夜中に音はしない。おりんが移動することもない。 だが、前よりもつらい日々が続いていた。 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ゆぅぅぅ……」 おりんは「ユッグリジネ……」の大合唱に対し、布団として与えられた布きれにもぐりこんで震え続けるしか方法がなかった。 実際に襲いかかってくるのであれば、覚悟を決めて反撃することができる。今度はあのちぇんの時のように後れを取ることはないはずだ。 だが、こんな風にゆっくりできない声だけだと、潰すことだけはどうしてもできないのだ。 野生だった頃のゆっくり過ごした日々を思い出して、みんながゆっくりできないものだと思えない。思いたくない。 だから、こして布団にくるまるしかない。 せめて、無表情で呟き続ける怖いお顔を見ないで済むように…… (ゾンビだからもともと怖いだなんていうのは野暮である) 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「やめてね! ゆっくりできないよ!」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ユッグリジネ……」 「ゆっくりさぜでよぉぉぉ!!!」 おりんは叫びながら、ゆっくりと考えていた。 きっと『なにか』がみんなに取りついたんだ。どうしてかわからないけれど、『なにか』はそんなことができるんだ。 だからみんなは悪くない。悪くない。悪くない。 思えば、ここ最近まったくゆっくりしていない。 おいしいあまあまはあるし、あんぜんなばしょにいて、やさしいおにーさんもいるのに、まったくゆっくりしていない。 どうして? どうして? 『なにか』だ。 全部『なにか』が悪いんだ。 それさえなくなれば、毎日いつでもゆっくりできる。 この声が早く終わってほしい。もう聞きたくない。 だって『なにか』が悪いんだから。みんなは悪くないんだから。 でも、朝まで続くのならばそれはそれでいいのかもしれない。 そしたら、おにーさんが様子を見に来てくれた時に助けてくれるだろうから。 ◇ ◇ ◇ 「……さて、あのおりんの虐待はそろそろ終わりだな」 おもむろに、そう思った。 ここまでは前座とはいえ、今思えばちぇんが襲いかかったときが一番面白かった。 布きれにくるまって非難の声に震える様子を見るのもかわいくてそそるものがあるが、このまま続けても大したスパイスにはならない。 「ゆっ! ようやく『ねたばらし』をするんだね!」 「そうだ。あの山にもそろそろ群れが住み着いただろうし、防腐剤の効果もそろそろ切れてくる頃だろう。詰めとネタばらしといきますか」 「ゆっゆっゆ。たのしみだよ」 悪役笑いをするゆっくり、もとい相棒。 今回のMVPであり、終わりを飾る役者でもある。 「……あんまり性格が悪いと、お前を捨ててあのおりんを飼うことにするぞ」 「ゆゆっ! それはこまるよ! でもおにーさんといえど、このいかりはおさまらないよ!」 このゆっくりはもともと隣の部屋、今おりんがいる部屋で過ごしていたゆっくりである。 一匹につき一室が与えられているわけではないのだが、どうやら縄張り意識みたいなものを感じているらしい。たぶん。 正直、そこまで怒ることなのだろうか。ゆっくりの考えは解らない。 「あ、そう言えばさ」 「ゆ?」 「お前、あの部屋に『なにか』がいるって知ってるか?」 「なにかじゃわからないよおにーさん!」 「だよなぁ……」 ◇ ◇ ◇ それは、突然だった。 「ゆゆっ!?」 いつものように布団に丸まりながら寝ようとしていると、それは突然襲ってきた。 足に力が入らない。 体がだるい。 気持ち悪い。 この感覚は、野生のころに経験している。 たしか、ゆっくりできない草さんを食べた時……だった気がする。 「ゆぅ……なんで……」 部屋から出てないため当然だが、ゆっくりできない草さんを食べた覚えはない。 じゃあ、一体どうしてなのか…… 「ゆゆぅ……」 これも『なにか』のせいなのか。 『なにか』が不思議な力で襲いかかってきているのか。 解らない。解らないけれど――― ―――この状況は、ゆっくりできない。それだけは解った。 「ゆぅぅぅ~~~!?」 見れば、九匹のゾンビゆっくりたちが一斉にこちらに向かってきている。 そうか、よくわからないけれどみんなは―――いや、やつらはこの時を待っていたんだ。 「やめてね! こっちにこないでね!」 もはや意味をなさない命令もむなしく、じりじりと近づいてくるゾンビたち。 ゆっくりとした動きとは裏腹にその様子はとてもゆっくりしていなくて…… おりんは初めてゾンビゆっくりの姿に恐怖を感じた。 頭がつぶれたれいむがこっちにやってくる。 片目を失ったまりさがこっちにやってくる。 腐りかけの生クリームのぱちゅりーがこっちにやってくる。 顔に大きな穴があいたみょんがこっちにやってくる。 キモチワルイ。 なぜ。 なぜみんなは襲ってくるの。 あんなにゆっくりしていたのに。 どうして…… そんなことを考えている間に、九匹が円陣を組んでおりんの周りを囲んでしまった。 逃げ場はない。逃げる力もない。 そして、その時が―――来た。 「いだっ―――ひぎっ!?」 それは、前のちぇんの時の比ではなかった。 数の上でも九倍である。 両頬を噛まれ、足を噛まれ、髪を噛まれ、右耳を噛まれ、両耳を噛まれ、 無事な場所は目と口ぐらいしか残っていなかった。 ちぇんの時より腐敗が進んでおり、おりんの肌をすぐに噛みきれないほど噛む力が弱いのだが、大した朗報とは言えない。 もっと噛む力が強ければ、一瞬で死ねたのに。何も知らずに死ねたのに。 腐った顔面が迫ってきて自身の体をむさぼり喰う恐怖を味わわなくてすんだのに。 「たずげて! だずげてよおにーざん!!!」 周りはB級ホラーの映画さながら。腐った同族に喰われるというシチュエーション。 だが、その中心にいる者にとってはただ事ではない。 おりんは必死に助けを求めて叫ぶ。 まだ体に穴は開いてないが、それも時間の問題だ。 そして、一か所に穴が開いたら九匹の圧力によって一気に抜け出てしまう。 そうだ。ちぇんの時だって本当に危ないときは駆け付けてきてくれたじゃないか。 だから、叫んでいればいつか伝わる。助けに来てくれる。 そう信じて、おりんは全力で……家に響き渡るほどの声で叫んだ。 「おにーーーざぁぁぁん!!!」 「よんだ?」 おにーさんは、そこにいた。 いつの間にか部屋は明るくなっており、いつも開く壁さんの近くにいた。 まるで最初からこの様子を眺めたかのように、自然な様子でそこにいた。 ◇ ◇ ◇ 「お……おにーざん! たずげで……! はやぐたずげて!」 おりんが俺を呼んでいる。 きっと、助けてくれると信じているのだろう。 おそらく、さらにその後のことも考えているに違いない。その目が語っている。 この状況を作ったゾンビゆっくりは、ゆっくりできないものだった。 おにーさんはちぇんの時のようにすぐに助けたあと、優しく治療してくれる。 きっと今まで信じてくれなかったことも全て信じてくれて、あやまってくれる。 その後もずっと一緒にいてくれて、もう怖い思いなんてしなくて済む。 そして、ゆっくりとした生活が過ごせるようになるのだ……と。 本当のことなのに信じてくれないのは辛いもんな。 いつも味方だったものが突然襲ってくるのは怖いもんな。 ―――信じてた人に裏切られるのは、痛いよな? 「いやだな」 その言葉を告げた時、おりんは何を言ってるのか理解できないといった表情を返してきた。 「ゆ……ゆ?」 「おりんのことを助けないって言ったんだ。わかるか?」 その時のおりんの表情は、面白いものだった。 驚愕、 困惑、 混乱、 理解、 最後におりんは―――静かに泣いた。 「どぼじでぇ……」 「もともとそういう予定だったからだ。まあ、悪く思うな」 「どぼじでぇ……」 「ああ、そうだな。その様子が見たかった。お前ほど人懐っこく、さみしがり屋で、素直な良い子だからこそ泣いてくれるんだからな」 ゲスだとつけあがって暴言を吐くだけだしな、とも付け加える。 その言葉は聞こえているのかいないのか、おりんはただひたすら「どぼじでぇ……」と呟き、音もなく泣き続けるだけだった。 「……おにーさん」 「どうした?」 しばらくおりんが泣きやむのを待っていると、おりんの方から話しかけてきた。 もちろんゾンビゆっくりはおりんの体中を噛んだままの状態で停止しており、まだ全身に痛みがあるはずなのだが、話しかけられるぐらいには慣れたらしい。 「おりんはもうどうでもいいよ。どうなってもいいよ」 「そうか、それは殊勝な心がけだ」 「だから、おにーさんのそばにいさせてね」 「……それ、は……」 予想してなかった返事にうろたえてしまう。 正直、ここまですれば暴言を吐くところまではいかないまでも、一緒にいたくないと思うだろうと予想していた。 まさか、自分が殺そうとしたことを含めて理解していないのかもしれない。 ……ん? 「かいゆっくりじゃなくてもいいよ。えさだってじぶんでとってこれるし、おうちだってべつべつでもいい」 よく考えたら、俺は助けないといっただけで…… ゾンビゆっくりがどうして襲ってきたか理解してない? 「おにーさんがおりんのないたかおをみたいんだったらいつでもなくよ。なんでもするよ。なぐられても、けられてもいいよ。だから……いっしょにいさせて。ゆっくりさせて」 あっ、やべ。順番間違えた。 ネタばらしやってねえ。 というよりは、おりんが泣きやんだらするつもりだったんだよな。 「もうおにーさんしかいないんだよ……」 しかしこのおりんの言葉、どこかの調教系ゲームのようなセリフだ。 うん、ちょっと飼ってもいいかもって思いたくなる。 思いたくなるだけで、結論はもう決まってるんだが。 「あー、実はね」 「なに……?」 「じゃじゃーん!!!」 空気が凍った。 なんというか、おりんの目が驚きすぎて今にも飛び出そうなほど大きく見開いてる。 俺の腕に抱えられたおりんを凝視して。 「なんでぞごにおりんがいるのおおおぉぉぉぉぉ!?!」 「ん? 俺の飼いゆっくりなんだから当然だ」 「じゃじゃーん! うらかたたんとうのおりんだよ! ゆっくりしていってね!!!」 ゾンビゆっくりで地面に固定された方のおりんにむけて、飼いゆっくりの方のおりんは頭のゴールドバッチを輝かせながらふんぞり返っている。 そう、今回の虐待の肝は俺が飼っていたおりんだった。 「どぼじでぇぇぇぇぇ!?!」 「いや、どおしてと言われても……こっちのおりんのほうが早かったから?」 「ゆゆんっ! おにーさんとおりんのきずなはそんなもろいものじゃないよ!!」 「いや割と脆いと思うが」 「どぼじでぇぇぇぇぇ!?」 「お前も泣くんかい」 この虐待の計画を簡単に言うと、『おりんのゾンビゆっくりを入れ替えた』。これに尽きる。 山道でこの計画を思いついた俺は、家に帰ってこの部屋にいたおりんに協力するよう命令。 その後、野生のおりんが連れてきたゾンビゆっくりの帽子を、俺のおりんのゾンビゆっくりのものと入れ替えた。 ちなみにあの防腐剤はゾンビゆっくりを玄関の前に置いておかせるだけのブラフである。 本当はおりんとゾンビゆっくりの立場を入れ替えて、『ゾンビゆっくりにいじめられるおりん』というのをやってみたかったのだが、 そんなことをすればそのゾンビはすぐに殺されてしまうらしい。当然か。 というわけで、いじめられるまでは行かなくてもミステリアスな雰囲気をかもしつつゾンビ達に責められるという、ホラーものになったわけだ。 まず最初に、ここにきたおりんに聞こえた音や移動について。 単純明快。ゾンビゆっくりが遊具を倒して音を立てたのである。移動していたのは、そのまま眠らせたり、おりんをゆっくりと移動させたりしたから。 意味は怖がらせることや、ゾンビゆっくりが移動していることに気付かせないためのブラフでもある。 次にあのゾンビちぇんだが……言うまでもあるまい。 それ以降は隣の部屋を監視していた俺の飼っているおりんが、ゾンビゆっくりを操っていただけなのだから。 「―――と、説明しても解らないだろう。一言で言ってやる。お前のゾンビゆっくりはすりかえておいたのさ!!!」 「じゃ、じゃああのちぇんは……」 「おりんのちぇんだよ!」 「みんなは……」 「みんなおりんのゾンビたちだよ!」 「『なにか』は……」 「なにかじゃわからないけれど、すべてはおりんとおにーさんの手のひらの上だったんだよ!」 「ちなみに、今回の虐待のテーマは『B級ホラーとひと夏の恋』でした!」 「ゆっくりかんぺきだね!!!」 床にゾンビゆっくりで押さえつけられたままのおりんは、もう驚きのあまり何も言う言葉がないようだ。口をあんぐりあけたまま呆然としている。 うん、この表情も見たかったんだ。よかったよかった。 ◇ ◇ ◇ 「……ゆ? じゃあ、おりんは……どうなるの?」 「おいおい、ゾンビ映画の終わり方は決まっているだろう?」 「あわれなさいごのぎせいしゃは―――」 「「ゆっくり八つ裂きにされましたとさ」」 あ、九匹だから九つ裂きか? そんな思いとともに、ビニールシートに覆われた床一面に赤いものが飛び散った。 あとがき チルノの裏で希少種虐めの話題が出ていたので思いついたのを書いてみました。 これが処女作となります。大した練りこみもなく作ってごめんなさい。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/toresugo/pages/35.html
期間限定ガチャ 【データの更新大歓迎です!】 ダイヤを消費し、いつでもどこでも引くことができる 【1回引く】30ダイヤ……単発ガチャ、確率の優遇等はない 【10回引く】300ダイヤ……10連ガチャ、ピックアップが必ず1つ保証される (※あくまで「10回引く」ボタンで引いた場合のみ優遇、単発を10回続けて引いても通常の確率) 【1日1回】有償10ダイヤ……無課金でもらえるダイヤでは引くことができず、メニュー ショップ ダイヤを購入 で購入したダイヤでのみ引けるガチャで、確率は「1回引く」と同様 開催中のガチャ 「ジャムムがやってきた!第2弾」特集ガチャ 【期間】 2020/12/08 15 00~2020/12/16 14 59 【提供割合】 [通常枠]ピックアップ6種 各0.538% ノーマル30種 各3.226% [確定枠]ピックアップ6種 各16.667% 【ピックアップ】 名前 所在地 地形 ジャンル(メイン/サブ) コイン マイタウンpt 広さ 入手可能駅 いちごジャムム 東京都 陸 像・イベント 像 88 125 1*1 レッドチリデビル 東京都 像・イベント 像 88 125 1*1 いちごジャムム(看板) 東京都 像・イベント オブジェ・現代オブジェ 126 212 1*2 対象28駅の駅ガチャで入手可能(12/1 17 30~12/11 14 59) ジャムム看板 2 東京都 像・イベント オブジェ・現代オブジェ 88 125 1*1 対象28駅の駅ガチャで入手可能(12/1 17 30~12/11 14 59) ジャムム看板 6 東京都 像・イベント オブジェ・現代オブジェ 126 212 1*2 ジャムム看板 12 東京都 像・イベント オブジェ・現代オブジェ 88 125 1*1 【その他のオブジェクト】 1本の針葉樹・複数の針葉樹・花壇・遊具のある小さな公園・噴水のある公園・チューリップの花畑・竹林・平屋の家・レンガの家2・洋風の家4・テラスハウス・中規模マンション2・タワーマンション・肉屋・魚屋・中低層ビル2・中低層ビル6・高層ビル1・パン屋・美容室・本屋・町工場の集まり・大型工場2・とうもろこし畑・だいこん畑・いちご畑・ボート・ひっくり返したボート・コンテナの山1・コンテナ船 【備考】 一部のアイテムは、イベント期間中に対象28駅の駅ガチャでも排出される 東京・上野・新橋・目黒・恵比寿・渋谷・原宿・新宿・高田馬場・池袋・駒込・西日暮里・秋葉原・有楽町・西船橋・四ツ谷・御茶ノ水・中野・荻窪・市ケ谷・飯田橋・錦糸町・新日本橋・南千住・北千住・八丁堀・新木場・王子 「寒さを楽しもう!冬の交通・乗物ツアー」特集ガチャ 【期間】 2020/12/11 メンテナンス終了後~2020/12/24 14 59 【提供割合】 [通常枠]ピックアップ5種 各0.645% ノーマル30種 各3.226% [確定枠]ピックアップ5種 各20.000% 【ピックアップ】 名前 所在地 地形 ジャンル(メイン/サブ) コイン マイタウンpt 広さ 入手可能駅 成田国際空港 千葉県 陸 交通・乗物 空港・飛行機 655 1432 4*4 成田・空港第2ビル(第2旅客ターミナル)・成田空港(第1旅客ターミナル)・久住・滑河・下総神崎・安食・下総松崎 道の駅 鴨川オーシャンパーク 千葉県 交通・乗物 道の駅・SA/PA 202 387 2*2 勝浦・鵜原・上総興津・行川アイランド・安房小湊・安房天津・安房鴨川・江見・太海 東京駅 東京都 交通・乗物 駅 353 735 2*4 東京・有楽町 屋形船の夢観月 東京都 交通・乗物 船・港 88 125 1*1 八丁堀・越中島・潮見・新木場 土合駅 群馬県 交通・乗物 駅 126 212 1*2 上牧・水上・湯檜曽・土合 【その他のオブジェクト】 1本の針葉樹・複数の針葉樹・噴水のある公園・ネモフィラの花畑・平屋の家・古民家・レンガの家1・洋風の家3・アパート・タワーマンション・魚屋・中低層ビル2・中低層ビル6・小さな商店街・高層ビル1・パン屋・美容室・のこぎり屋根の工場・中型工場・大型工場1・ビニールハウス・キャベツ畑・ネギ畑・とうもろこし畑・りんご園・茶畑・ボート・消波ブロック・中規模の駐車場・縦向きの橋 過去に開催していたガチャ 「鉄道系YouTuberスーツさんコラボレーションSP」 【期間】 2020/09/28 15 00~2020/10/12 14 59 【提供割合】 [通常枠]ピックアップ20種のうち岩倉高等学校・横浜国立大学 大学会館のみ0.943% 他18種は各0.210% ノーマル30種 各3.145% [確定枠]ピックアップ20種のうち岩倉高等学校・横浜国立大学 大学会館のみ10.938% 他18種は各4.340% 【ピックアップ】 名前 所在地 地形 ジャンル(メイン/サブ) コイン マイタウンpt 広さ 入手可能駅 岩倉高等学校 東京都 陸 教育 学校・大学 202 387 2*2 上野 横浜国立大学 大学会館 神奈川県 教育 学校・大学 202 387 2*2 横浜(すごろくイベント7500ポイントで交換でも入手可能) アメヤ横丁 東京都 商業・工場 市場・商店街 391 822 3*3 上野・御徒町(期間限定ガチャ「都会の中の広大なエンタメ」でも入手可能) 雷門 歴史・寺社 門 126 212 1*2 上野・御徒町・浅草橋・両国・馬喰町 西郷隆盛銅像 像・イベント 像 88 125 1*1 上野・御徒町 東京都庁第一本庁舎 公共・生活 都庁・県庁 202 387 2*2 都内152駅中147駅(新秋津・成瀬・町田・相原・葛西臨海公園を除く)・入谷・市川 旧岩崎邸庭園 自然・公園 公園・庭園・屋上ガーデン 277 561 2*3 上野・御徒町 神谷バー 商業・工場 飲食店 88 125 1*1 上野・御徒町・浅草橋・両国・馬喰町 かっぱ橋道具街 商業・工場 市場・商店街 164 299 1*3 上野・鶯谷・御徒町・入谷 ニイミ洋食器店のマグカップビル 商業・工場 オフィスビル 202 387 2*2 上野・鶯谷・御徒町・入谷 浅草花やしき スペースショット エンタメ 遊園地 88 125 1*1 上野・鶯谷・御徒町・入谷(期間限定ガチャ「都会の中の広大なエンタメ」でも入手可能) 浅草花やしき Beeタワー エンタメ 遊園地 88 125 1*1 上野・鶯谷・御徒町・入谷(期間限定ガチャ「都会の中の広大なエンタメ」でも入手可能) 東京タワー 公共・生活 電波塔・タワー 202 387 2*2 都内152駅中147駅(新秋津・成瀬・町田・相原・葛西臨海公園を除く)・入谷・市川(期間限定ガチャ「都会の中の広大なエンタメ」でも入手可能) 横浜グランドインターコンチネンタルホテル 神奈川県 住居・ホテル ホテル 202 387 2*2 横浜・東神奈川・大口・桜木町・保土ケ谷・新子安 コスモクロック21 エンタメ 遊園地 202 387 2*2 横浜・東神奈川・大口・桜木町・保土ケ谷・新子安 神奈川県庁(キングの塔) 公共・生活 都庁・県庁 202 387 2*2 県内102駅中101駅(入谷を除く)・成瀬・町田・相原 横浜税関(クイーンの塔) 公共・生活 施設(国) 202 387 2*2 横浜・東神奈川・大口・桜木町・関内・石川町・山手・根岸・磯子・保土ケ谷・新子安 横浜市開港記念会館(ジャックの塔) 教育 博物館・史料館 202 387 2*2 横浜・東神奈川・大口・桜木町・関内・石川町・山手・根岸・磯子・保土ケ谷・新子安 江の島シーキャンドル 交通・乗物 灯台 126 212 1*2 県内102駅中101駅(入谷を除く)・成瀬・町田・相原 シーバス 水 交通・乗物 船・港 126 212 2*1 横浜・東神奈川・大口・桜木町・保土ケ谷・新子安 【その他のオブジェクト】 ボート・スワンボート・ひっくり返したボート・キリン・カピバラ・オカピ・ミーアキャット・のこぎり屋根の工場・小さな工場・町工場の集まり・中型工場・大型工場1・縦向きの橋・肉屋・魚屋・中低層ビル1・八百屋・レンガの家2・レンガの家4・洋風の家2・洋風の家4・アパート・中規模マンション・中規模マンション2・大規模マンション1・わたあめ屋台・焼きそば屋台・りんご飴屋台・焼きとうもろこし屋台・祭り櫓 「都会の中の広大なエンタメ」特集ガチャ 【期間】 2020/09/23 15 00~2020/10/12 14 59 【提供割合】 [通常枠]ピックアップ6種 各0.538% ノーマル30種 各3.226% [確定枠]ピックアップ6種 各16.667% 【ピックアップ】 名前 所在地 地形 ジャンル(メイン/サブ) コイン マイタウンpt 広さ 入手可能駅 サンシャイン60 東京都 陸 商業・工場 高層ビル 202 387 2*2 高田馬場・目白・池袋 浅草花やしき スペースショット エンタメ 遊園地 88 125 1*1 上野・鶯谷・御徒町・入谷(期間限定ガチャ「鉄道系YouTuberスーツさんコラボレーションSP」でも入手可能) 浅草花やしき Beeタワー エンタメ 遊園地 88 125 1*1 上野・鶯谷・御徒町・入谷(期間限定ガチャ「鉄道系YouTuberスーツさんコラボレーションSP」でも入手可能) アメヤ横丁 商業・工場 市場・商店街 391 822 3*3 上野・御徒町(期間限定ガチャ「鉄道系YouTuberスーツさんコラボレーションSP」でも入手可能) 東京スカイツリー 公共・生活 電波塔・タワー 202 387 2*2 錦糸町・亀戸 東京タワー 公共・生活 電波塔・タワー 202 387 2*2 都内152駅中147駅(新秋津・成瀬・町田・相原・葛西臨海公園を除く)・入谷・市川(期間限定ガチャ「鉄道系YouTuberスーツさんコラボレーションSP」でも入手可能) 【その他のオブジェクト】 花壇・噴水のある公園・平屋の家・アパート・中規模マンション2・大規模マンション1・コンビニ・肉屋・八百屋・魚屋・中低層ビル2・中低層ビル4・中低層ビル5・小さな商店街・中低層ビル8・高層ビル1・大型スーパー・本屋・のこぎり屋根の工場・中型工場・大型工場1・貯蔵タンク・堤防・消波ブロック・コンテナの山2・コンテナクレーン・小規模の駐車場・横向きの橋・縦向きの橋・荷物を積んだコンテナ船 「自然と触れ合う神奈川」特集ガチャ 【期間】 2020/10/15 15 00~2020/10/29 14 59 【提供割合】 [通常枠]ピックアップ5種 各0.645% ノーマル30種 各3.226% [確定枠]ピックアップ5種 各20.000% 【ピックアップ】 名前 所在地 地形 ジャンル(メイン/サブ) コイン マイタウンpt 広さ 入手可能駅 服部牧場 神奈川県 陸 自然・公園 農場・牧場 202 387 2*2 橋本・相原・下溝・原当麻・番田・上溝・南橋本・相模湖・藤野 三笠公園 記念艦「三笠」 陸・水 自然・公園 公園・庭園・屋上ガーデン 126 212 2*1 逗子・東逗子・田浦・横須賀・衣笠・久里浜 三渓園(臨春閣) 陸 自然・公園 公園・庭園・屋上ガーデン 202 387 2*2 関内・石川町・山手・根岸・磯子 陣馬山の白馬の像 陸 自然・公園 山・岩・鍾乳洞 88 125 1*1 相模湖・藤野 大磯ロングビーチ 陸 自然・公園 島・海岸 277 561 3*2 平塚・大磯・二宮・国府津・鴨宮 【その他のオブジェクト】 ピクニックセット・テーブルベンチ・ベンチのある小さな公園・コスモスの花畑・チューリップの花畑・ルピナスの花畑・1本の広葉樹・複数の広葉樹・1本の針葉樹・複数の針葉樹・花壇・カフェ・和菓子屋・花屋・レンガの家1・洋風の家4・青い壁の家・平屋の家・テラスハウス・中低層ビル6・中低層ビル4・中低層ビル8・ニワトリ・ブタ・トマト畑・とうもろこし畑・スイカ畑・りんご園・ビニールハウス・小さな工場 「神奈川の交通・乗物」特集ガチャ 【期間】 2020/10/15 15 00~2020/10/29 14 59 【提供割合】 [通常枠]ピックアップ5種 各0.645% ノーマル30種 各3.226% [確定枠]ピックアップ5種 各20.000% 【ピックアップ】 名前 所在地 地形 ジャンル(メイン/サブ) コイン マイタウンpt 広さ 入手可能駅 江の島シーキャンドル 神奈川県 陸 交通・乗物 灯台 126 212 1*2 県内102駅中101駅(入谷を除く)・成瀬・町田・相原 シーバス 水 交通・乗物 船・港 126 212 2*1 横浜・東神奈川・大口・桜木町・保土ケ谷・新子安 箱根海賊船 水 交通・乗物 船・港 126 212 2*1 小田原・早川・根府川・真鶴・湯河原 横浜ベイブリッジ 陸・水 交通・乗物 橋 164 299 1*3 鶴見・国道・鶴見小野・弁天橋・浅野・新芝浦・海芝浦 観音崎灯台 陸 交通・乗物 灯台 88 125 1*1 逗子・東逗子・田浦・横須賀・衣笠・久里浜 【その他のオブジェクト】 小規模の駐車場・中規模の駐車場・横向きの橋・縦向きの橋・ポピーの花畑・菜の花の花畑・ボート・スワンボート・ひっくり返したボート・堤防・消波ブロック・遊具のある小さな公園・噴水のある公園・洋菓子屋・お茶屋・コンビニ・レンガの家2・洋風の家3・赤い屋根の家・黄色い屋根の家・アパート・中低層ビル5・中低層ビル3・中低層ビル7・ウシ・ウマ・キャベツ畑・ネギ畑・きゅうり畑・のこぎり屋根の工場 「隠れた名所?!千葉の像・イベント」特集ガチャ 【期間】 2020/10/29 メンテナンス終了後~2020/11/12 14 59 【提供割合】 [通常枠]ピックアップ5種 各0.645% ノーマル30種 各3.226% [確定枠]ピックアップ5種 各20.000% 【ピックアップ】 名前 所在地 地形 ジャンル(メイン/サブ) コイン マイタウンpt 広さ 入手可能駅 オランダ風車「リーフデ」 千葉県 陸 像・イベント オブジェ・現代オブジェ 88 125 1*1 四街道・物井・佐倉・南酒々井・榎戸・酒々井 チーバくん像 像・イベント 像 88 125 1*1 県内154駅中152駅(南流山・市川を除く)・葛西臨海公園・潮来・延方・鹿島神宮・鹿島サッカースタジアム(臨) 落花生オブジェ 像・イベント オブジェ・現代オブジェ 88 125 1*1 八街・日向・成東・松尾・横芝・飯倉・八日市場・求名 明治百年記念展望塔 像・イベント 塔・時計塔 202 387 2*2 木更津・君津・青堀・大貫・佐貫町・祇園 メキシコ記念公園 像・イベント モニュメント 88 125 1*1 八積・上総一ノ宮・東浪見・太東・長者町・三門・大原・浪花・御宿 【その他のオブジェクト】 花壇・レンガの家4・洋風の家2・中規模マンション2・団地・タワーマンション・大規模マンション1・低階層ビル1・小さな商店街・高層ビル2・パン屋・美容室・本屋・町工場の集まり・大型工場1・大型工場2・水田・ビニールハウス・稲木干し・オカビ・ミーアキャット・パラソル1・スワンボート・コンテナの山1・中規模の駐車場・コンテナ船・かき氷屋台・たこ焼き屋台・金魚すくい屋台・チョコバナナ屋台 「自然と触れ合う栃木」特集ガチャ 【期間】 2020/10/29 メンテナンス終了後~2020/11/12 14 59 【提供割合】 [通常枠]ピックアップ5種 各0.645% ノーマル30種 各3.226% [確定枠]ピックアップ5種 各20.000% 【ピックアップ】 名前 所在地 地形 ジャンル(メイン/サブ) コイン マイタウンpt 広さ 入手可能駅 あしかがフラワーパーク(ピラミッド花壇) 栃木県 陸 自然・公園 公園・庭園・屋上ガーデン 202 387 2*2 小俣・山前・足利・富田・佐野・岩舟・あしかがフラワーパーク あしかがフラワーパーク(大藤棚) 自然・公園 公園・庭園・屋上ガーデン 202 387 2*2 小俣・山前・足利・富田・佐野・岩舟・あしかがフラワーパーク 華厳の滝 自然・公園 滝・池・湖・ダム 202 387 2*2 文挟・下野大沢・今市・日光 長峰公園 自然・公園 公園・庭園・屋上ガーデン 391 822 3*3 氏家・蒲須坂・片岡・矢板・野崎・西那須野 龍門の滝 陸・水 自然・公園 滝・池・湖・ダム 202 387 2*2 宝積寺・下野花岡・仁井田・鴻野山・大金・小塙・滝・烏山 【その他のオブジェクト】 1本の広葉樹・複数の広葉樹・1本の針葉樹・複数の針葉樹・ひまわりの花畑・遊具のある小さな公園・ネモフィラの花畑・テーブルベンチ・古民家・レンガの家3・洋風の家1・中規模マンション・テント1・中低層ビル2・酒屋・理容室・貯蔵タンク・大型工場3・なす畑・だいこん畑・いちご畑・ゾウ・ダチョウ・アルパカ・アカカンガルー・パラソル2・ボート・堤防・縦向きの橋・ピクニックセット 「まるっと関東 歴史巡り」特集ガチャ 【期間】 2020/11/12 メンテナンス終了後~2020/11/26 14 59 【提供割合】 [通常枠]ピックアップ5種 各0.645% ノーマル30種 各3.226% [確定枠]ピックアップ5種 各20.000% 【ピックアップ】 名前 所在地 地形 ジャンル(メイン/サブ) コイン マイタウンpt 広さ 入手可能駅 真壁伝承館 茨城県 陸 歴史・寺社 館・邸宅 126 212 1*2 小田林・結城・東結城・川島・玉戸・下館・新治・大和 イタリア大使館別荘記念公園 栃木県 歴史・寺社 館・邸宅 202 387 2*2 文挟・下野大沢・今市・日光 いせさき明治館 群馬県 歴史・寺社 館・邸宅 202 387 2*2 前橋大島・駒形・伊勢崎・国定・岩宿・桐生 旧渋沢邸「中の家」 埼玉県 歴史・寺社 館・邸宅 202 387 2*2 本庄早稲田・用土・松久・児玉・岡部・本庄 久留里城天守閣 千葉県 歴史・寺社 城 202 387 2*2 馬来田・下郡・小櫃・俵田・久留里・平山・上総松丘・上総亀山 【その他のオブジェクト】 1本の広葉樹・複数の針葉樹・ひまわりの花畑・噴水のある公園・ポピーの花畑・コスモスの花畑・赤い屋根の家・古民家・レンガの家2・レンガの家3・洋風の家2・洋風の家3・中規模マンション・肉屋・魚屋・・中低層ビル3・中低層ビル7・高層ビル2・洋菓子屋・和菓子屋・のこぎり屋根の工場・町工場の集まり・大型工場2・キャベツ畑・トマト畑・茶畑・パラソル1・ボート・コンテナの山2・コンテナ船 「まるっと関東 公共見学」特集ガチャ 【期間】 2020/11/12 メンテナンス終了後~2020/11/26 14 59 【提供割合】 [通常枠]ピックアップ5種 各0.645% ノーマル30種 各3.226% [確定枠]ピックアップ5種 各20.000% 【ピックアップ】 名前 所在地 地形 ジャンル(メイン/サブ) コイン マイタウンpt 広さ 入手可能駅 しもだて地域交流センター アルテリオ 茨城県 陸 公共・生活 施設(国) 126 212 1*2 小田林・結城・東結城・川島・玉戸・下館・新治・大和 宇都宮タワー 栃木県 公共・生活 電波塔・タワー 88 125 1*1 宇都宮・石橋・雀宮・岡本・鶴田・鹿沼 群馬県庁 群馬県 公共・生活 都庁・県庁 202 387 2*2 群馬県内全53駅・丹荘・神保原 川崎天然ガス発電所 神奈川県 公共・生活 エネルギー 202 387 2*2 浜川崎・安善・大川・武蔵白石・昭和・扇町 福生市庁舎 東京都 公共・生活 役所 126 212 1*2 拝島・牛浜・福生・羽村・熊川・東秋留・秋川・武蔵引田・武蔵増戸・武蔵五日市・東福生 【その他のオブジェクト】 複数の広葉樹・1本の針葉樹・花壇・ベンチのある小さな公園・ルピナスの花畑・菜の花の花畑・青い壁の家・レンガの家1・レンガの家4・洋風の家1・洋風の家4・中規模マンション2・八百屋・花屋・中低層ビル5・中低層ビル8・高層ビル1・お茶屋・小さな工場・大型工場1・大型工場3・ネギ畑・とうもろこし畑・稲木干し・パラソル2・ひっくり返したボート・コンテナクレーン・小規模の駐車場・横向きの橋・荷物を積んだコンテナ船 「わっしょい!秋祭り」特集ガチャ 【期間】 2020/11/12 メンテナンス終了後~2020/11/26 14 59 【提供割合】 [通常枠]ピックアップ6種 各3.005% ノーマル30種 各2.732% [確定枠]ピックアップ6種 各16.667% 【ピックアップ】 名前 所在地 地形 ジャンル(メイン/サブ) コイン マイタウンpt 広さ かき氷屋台 その他 陸 像・イベント 祭 50 52 1*1 提灯櫓 50 52 1*1 たこ焼き屋台 50 52 1*1 チョコバナナ屋台 50 52 1*1 金魚すくい屋台 50 52 1*1 焼きそば屋台 50 52 1*1 【その他のオブジェクト】 1本の広葉樹・複数の広葉樹・1本の針葉樹・複数の針葉樹・遊具のある小さな公園・チューリップの花畑・竹林・黄色い屋根の家・平屋の家・アパート・テラスハウス・カフェ・コンビニ・小さな商店街・大型スーパー・和菓子屋・酒屋・美容室・中型工場・貯蔵タンク・きゅうり畑・スイカ畑・りんご園・スワンボート・堤防・消波ブロック・コンテナの山1・中規模の駐車場・縦向きの橋・ピクニックセット 「心がほっこり かわいい動物」特集ガチャ 【期間】 2020/11/26 メンテナンス終了後~2020/12/11 14 59 【提供割合】 [通常枠]ピックアップ5種 各3.099% ノーマル30種 各2.817% [確定枠]ピックアップ5種 各20.000% 【ピックアップ】 名前 所在地 地形 ジャンル(メイン/サブ) コイン マイタウンpt 広さ パンダの親子 共通 陸 エンタメ 動物園 50 52 1*1 アカカンガルー エンタメ 動物園 50 52 1*1 アルパカ エンタメ 動物園 50 52 1*1 ブタ 自然・公園 農場・牧場 50 52 1*1 ゾウ エンタメ 動物園 50 52 1*1 【その他のオブジェクト】 1本の針葉樹・複数の針葉樹・ひまわりの花畑・ポピーの花畑・竹林・赤い屋根の家・レンガの家4・洋風の家2・テラスハウス・大規模マンション1・カフェ・八百屋・中低層ビル3・小さな商店街・中低層ビル7・和菓子屋・本屋・小さな工場・貯蔵タンク・水田・キャベツ畑・ネギ畑・トマト畑・なす畑・スワンボート・コンテナの山2・コンテナクレーン・中規模の駐車場・荷物を積んだコンテナ船・ピクニックセット 【備考】 図鑑を見ると、パンダの入手可能駅は「上野・御徒町」しかないようである いつもの期間限定ガチャよりも、通常枠でピックアップが出る確率が若干優遇されているので 「現地の駅まで行けないけどパンダがどうしても今すぐ欲しい、ダイヤならある、確定枠でブタが出ても泣かない」 という方は回してみても良いかもしれない 「寒い時こそホットに!スポーツ観戦」特集ガチャ 【期間】 2020/11/26 メンテナンス終了後~2020/12/11 14 59 【提供割合】 [通常枠]ピックアップ5種 各0.645% ノーマル30種 各3.226% [確定枠]ピックアップ5種 各20.000% 【ピックアップ】 名前 所在地 地形 ジャンル(メイン/サブ) コイン マイタウンpt 広さ 入手可能駅 日光霧降スケートセンター 栃木県 陸 スポーツ スタジアム・競技場 277 561 3*2 文挟・下野大沢・今市・日光 グリーンドーム前橋 群馬県 スポーツ ドーム・アリーナ 202 387 2*2 渋川・新前橋・前橋・群馬総社・八木原 埼玉スタジアム2○○2 埼玉県 スポーツ スタジアム・競技場 391 822 3*3 南浦和・東浦和・東川口・戸田公園・戸田・北戸田・蕨・西川口・川口 幕張メッセ 千葉県 スポーツ ドーム・アリーナ 277 561 2*3 幕張本郷・幕張・新検見川・新習志野・海浜幕張・検見川浜 横浜アリーナ 神奈川県 スポーツ ドーム・アリーナ 202 387 2*2 菊名・新横浜・小机・鴨居・中山・十日市場・長津田 【その他のオブジェクト】 1本の広葉樹・複数の広葉樹・花壇・ベンチのある小さな公園・ルピナスの花畑・菜の花の花畑・青い壁の家・古民家・レンガの家3・洋風の家1・団地・大規模マンション1・肉屋・中低層ビル4・中低層ビル8・高層ビル2・洋菓子屋・理容室・のこぎり屋根の工場・中型工場・大型工場3・ビニールハウス・きゅうり畑・だいこん畑・稲木干し・茶畑・パラソル2・堤防・小規模の駐車場・横向きの橋 「ジャムムがやってきた!第1弾」特集ガチャ 【期間】 2020/12/01 メンテナンス終了後~2020/12/08 14 59 【提供割合】 [通常枠]ピックアップ6種 各0.538% ノーマル30種 各3.226% [確定枠]ピックアップ6種 各16.667% 【ピックアップ】 名前 所在地 地形 ジャンル(メイン/サブ) コイン マイタウンpt 広さ 入手可能駅 りんごジャムム 東京都 陸 像・イベント 像 88 125 1*1 ロールケーキりす 東京都 像・イベント 像 88 125 1*1 りんごジャムム(看板) 東京都 像・イベント オブジェ・現代オブジェ 126 212 1*2 対象28駅の駅ガチャで入手可能(12/1 17 30~12/11 14 59) ジャムム看板 1 東京都 像・イベント オブジェ・現代オブジェ 88 125 1*1 対象28駅の駅ガチャで入手可能(12/1 17 30~12/11 14 59) ジャムム看板 5 東京都 像・イベント オブジェ・現代オブジェ 164 299 1*3 ジャムム看板 11 東京都 像・イベント オブジェ・現代オブジェ 164 299 1*3 【その他のオブジェクト】 1本の広葉樹・複数の広葉樹・ベンチのある小さな公園・ネモフィラの花畑・コスモスの花畑・テーブルベンチ・黄色い屋根の家・レンガの家1・洋風の家3・アパート・中規模マンション・テント1・コンビニ・八百屋・花屋・中低層ビル1・中低層ビル5・大型スーパー・酒屋・理容室・お茶屋・大型工場1・スイカ畑・なす畑・りんご園・茶畑・パラソル1・消波ブロック・縦向きの橋・ピクニックセット 【備考】 一部のアイテムは、イベント期間中に対象28駅の駅ガチャでも排出される 東京・上野・新橋・目黒・恵比寿・渋谷・原宿・新宿・高田馬場・池袋・駒込・西日暮里・秋葉原・有楽町・西船橋・四ツ谷・御茶ノ水・中野・荻窪・市ケ谷・飯田橋・錦糸町・新日本橋・南千住・北千住・八丁堀・新木場・王子
https://w.atwiki.jp/marowiki/pages/1419.html
目次 【時事】ニュースローラーコースター Roller coaster RSSローラーコースター Roller coaster 口コミローラーコースター Roller coaster 【参考】ブックマーク 関連項目 タグ 最終更新日時 【時事】 ニュース ローラーコースター 作家・村上春樹がDJをつとめる特別番組第31弾!今回は、エレベーターの中のBGMをテーマにDJ!?『村上RADIO ~素敵なエレベーター・ミュージック~』 - PR TIMES BTS(防弾少年団) ジン、米・ロサンゼルスの遊園地で休暇を満喫…遭遇したファンの一言に困惑も?(Kstyle) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース クリス・エヴァンス、ディズニーランドで一緒に過ごしたのは「噂の女性」ではなく… - フロントロウ 声優ユニット、スフィアが互いのソロ曲をシャッフル! 来年1月に企画アルバムリリース決定(THE FIRST TIMES) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 寿美菜子、高垣彩陽、戸松遥、豊崎愛生がそれぞれの楽曲カバーしたアルバム発売決定(音楽ナタリー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 1017 ALYX 9SM x Nike Air Force 1 High の全カラーウェイがリストック - HYPEBEAST アリアナ・グランデの元婚約者、キム・カーダシアンとの交際を認める? 2人の恋愛タイムラインを振り返る(Harper s BAZAAR(ハーパーズ バザー)) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「マリグナント」=脳が喜ぶ映画!? 茂木健一郎、ホラーが脳に及ぼす意外な効果を語る(映画.com) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース イ・ジョンヒョン、新ドラマ「新兵」に出演決定…物語の重要な役割を務める(Kstyle) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 思わず見とれる、着陸時の景色が最も壮観な世界の空港15選 - CNN.co.jp ミシュラン MotoGP2021 アルガルヴェGPプレビュー - 気になるバイクニュース NFL パワーランキング:パッカーズがカーディナルスを下して1位浮上。セインツ、スティーラーズが上昇、バッカニアーズとブラウンズは後退 - Sporting News JP 平岡東小学校 日々のようす/加古川市 - 加古川市 オペラ「蝶々夫人」初演時の衣裳に見るジャポニズムの深まり 新国立劇場でデザイン原画展 - 読売新聞社 トラヴィス・スコット主催フェス【Astroworld】ラインアップ発表、バッド・バニー/テーム・インパラ/21サヴェージ出演決定(Billboard JAPAN) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース メーガン・ザ・スタリオン、ゴージャスな卒業式の帽子の写真投稿「2021年にやっと大学を卒業する」(Billboard JAPAN) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【新美の巨人たち】『浅草花やしき』ローラーコースター×小堺一機 10月30日(土)テレビ東京 - 読売新聞社 パンダの聖地は上野…いや浅草? 花やしきが推しまくる絶滅危惧種「パンダカー」に乗る(乗りものニュース) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 大阪・USJでジェットコースターが停止 - 産経ニュース テーマは石油、巨大「エクストリームパーク」の計画発表 サウジアラビア - CNN.co.jp 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』×「浅草花やしき」のコラボアイテム「ちびキャラ アトラクションver.」商品の受注開始!アニメ・漫画のコラボグッズを販売する「ARMA BIANCA」にて - PR TIMES 【動画アリ】ベルギーのビッグ・フェス『Tomorrowland』をテーマとしたジェットコースターが欧州の「ベスト・ジェットコースター賞」を受賞 - iFLYER 開幕白星の立役者となった群馬のジョーンズ「ジェットコースターのような試合だった」(バスケットボールキング) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 米株式、新ステージ前波乱、インフレの影 - トウシル 時速240km、フェラーリ・ワールドにある世界最速のジェットコースターを体感できる動画 (2021年9月28日) - エキサイトニュース トラウマシーンもいっぱい 『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』はグロくてワクワク(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 高さ世界一の観覧車が登場、10月オープン ドバイ - CNN.co.jp ポーラ創業から続く“大切な人を想う気持ち”がコンセプトのブランド体感イベント「Care for Dear」を開催 - PR TIMES Yogee New Waves最新アルバム『WINDORGAN』新録9曲を含む全12曲収録 - Fashion Press 舌を抜くか地下鉄にひかれるか、「スパイラル:ソウ オールリセット」冒頭映像(映画ナタリー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース MIYAVI、13thアルバム「Imaginary」よりKimbra迎えた新曲配信(コメントあり / 動画あり) - 音楽ナタリー 富士急ハイランドに立ち入り調査 ジェットコースター4人骨折で - NHK NEWS WEB スタージル・シンプソン、ニュー AL『THE BALLAD OF DOOD AND JUANITA』リリース(BARKS) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース デミ・ロヴァート、Gイージーとのコラボを予告(Billboard JAPAN) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース <WKコラム>「THE BOYZ」、「週刊アイドル」で新曲初披露!ジュヨン×ヒョンジェはドキドキのネクタイ結びを披露!ヨンフンは氷の上でも無感覚⁉(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース オランダのミュージシャン、教会の鐘で「Ace Of Spades」を演奏(BARKS) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース フェブラリーキッチンなど浅草の人気カフェと花やしきがコラボ!!「アトラクションカフェ in 夜やしき」2021年7月31日(土)、8月1日(日) - PR TIMES ファイナル出場組の合流にドレイモンド・グリーンは「ものすごくリスペクトしている」(バスケットボールキング) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 高さ55mの眺め「フジヤマタワー」 富士急ハイランドに21日オープン 山梨・富士吉田市|あなたの静岡新聞 - @S[アットエス] by 静岡新聞 ファンアールト「ジェットコースターのようなツールを勝利で締めくくれた」ポガチャル「幸せの一言」 - ツール・ド・フランス2021第21ステージ選手コメント - cyclowired(シクロワイアード) 展望台や観覧車、新施設を公開 富士急ハイランド - 朝日新聞デジタル 複合遊具とローラー滑り台の無限ループ!? 新田さくら公園(足立区)の遊具広場に大興奮! - るるぶNEWS ゲストを冒険へと誘うアメリカ ディズニーパークの乗り物 ~飛行機・列車・車~|パーク&リゾート|ディズニー公式 - Disney公式 シーズンソーファー~第3戦ポルトガルGP - MotoGP JA 【今日は何の日】7月9日はジェットコースターの日!ジェットコースターを作れるゲーム3選! - ゲームドライブ 日本初の「ジェットコースター」をご存じですか?(ブルーバックス編集部) - 現代ビジネス 「GIROグラベルバイクパーク斑尾」グランドオープン!近隣ホテルにはサイクリストルーム誕生 - ロードバイクの在る生活へ サイクルジャパン 1017 ALYX 9SM からローラーコースターバックルを備えた iPhone ケースが登場 - HYPEBEAST イタリアの路線バスはジェットコースター感覚?大矢アキオの連載コラム(15回)(くるくら) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース MLB2021年シーズン個人賞レースの行方:サイ・ヤング賞、最優秀選手賞、新人王レースを引っ張るスター選手達 - Sporting News JP 【2021シーズン アゼルバイジャンGP】セルジオ・ペレスが移籍後初優勝! - Red Bull 絶叫系マシン、好き?嫌い?楽しむコツは、何も考えず思い切り絶叫!:ソロ活女子のススメ - テレビ東京 江口のりこ“恵”、絶叫マシンに挑戦!津田寛治演じる“うんちく男”に「ソロ活あるあるすぎて笑いが止まらない」の声 - テレビドガッチ 回転コースターが高さ6mで停止、動けなくなった乗客救助 米遊園地 - CNN.co.jp MotoGP - MotoGP JA 「これはチャレンジだ」 - MotoGP JA 『ジョン・ウィック』と『Mr.ノーバディ』のクロスオーバーについて監督が意味深発言!? 両シリーズの違いについてもわかりやすく解説!! | BANGER!!! - BANGER!!!(バンガー!!!)映画評論・情報サイト KAHOH x Novel Coreによる話題のコラボ曲「Roller Coaster」のMVが本日20時プレミア公開!! - PR TIMES ひらかたパーク 桜300本まもなく見ごろアトラクションからの“お花見”をご堪能あれ - アットプレス(プレスリリース) ふたりを繋ぐハードウェア。|ファッション・ビューティー・セレブの最新情報|VOGUE JAPAN - VOGUE JAPAN KAHOH、Novel Coreをフィーチャーした「Roller Coaster (feat.Novel Core)」を本日より先行リリース!TikTokで話題の2人が歌うファンク・ディスコナンバー - PR TIMES 逆境を糧に成長するバックス。アデトクンボのポジティブ思考。~NBAでの連敗の意味~(宮地陽子) - Number Web - ナンバー 松山南高生 ハワイの高校生らとオンライン交流 - 愛媛新聞 世界一ヤバいローラーコースター! あなたは堪えられるか?? - ジャーニー 世界400超ものジェットコースターに乗った男が語る「一番怖かったマシン」ベスト5 1位はレールが切れてるタイプ!?|まいどなニュース - 神戸新聞社 史上最速、時速250キロ超のローラーコースター建設へ サウジ - CNN.co.jp MoMA Design Storeで見つけたおうち時間がハッピーになるテーブル&キッチンウエア| - @DIME フート省:遊園地のローラーコースター脱線で学生3人が死傷[三面] - VIETJOベトナムニュース 今夏、世界最高峰のフェスTomorrowlandをテーマとしたジェットコースターがベルギーのテーマパークにオープン! - iFLYER 【富士急ハイランド】1997年度のギネスブックに掲載された絶叫コースター『FUJIYAMA』が2021年夏に『FUJIYAMAタワー』としてリニューアル! - iFLYER クレイジーな70歳男性!4年で絶叫マシーンに8000回 中国 - people.com.cn 日常の“あるある”を独特のアプローチで描いた共感バラエティ!「ローラーコースター リブート」2021 年 1 月 23 日 日本初放送決定! - PR TIMES キアヌ主演『ジョン・ウィック』の壮絶な世界感をローラーコースターで体感! 2021年にドバイに誕生 | BANGER!!! - BANGER!!!(バンガー!!!)映画評論・情報サイト 『ジュラシック・ワールド』新ローラーコースター、米ユニバーサルに来年夏オープン! - シネマトゥデイ 絶叫マシンには「真面目な顔で」 日本の遊園地、感染対策で呼びかけ - BBCニュース STEM教育にも◎ クラファン2000%超え! 磁力でくっつきローラーコースターを組み立てる「MagnetCubes」 - GIZMODO JAPAN ジェットコースターはG=加速度を楽しむ乗り物ではない? - MotorFan[モーターファン] 遊園地の逆年齢制限 ジェットコースターに乗れない65歳男性の嘆き - マネーポストWEB 【奇跡】ジェットコースター乗車中に飛んできたスマホをキャッチ! 決定的瞬間をご覧ください - Pouch[ポーチ] 奇想天外なジェットコースターを作成しよう。「ローラーコースターシミュレーター」を紹介する「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」第2067回 - 4Gamer 1017 ALYX 9SM がお馴染みのローラーコースターバックルを用いた新作ブレスレットを発表 - HYPEBEAST 遊園地経営SLG「ローラーコースタータイクーン・アドベンチャー」がSwitchに登場! - GAME Watch スマッシング・パンプキンズ、“1979”の音源をジェットコースターの映像に当てた動画が話題に - http //nme.com 子どもの願いをかなえた父、裏庭に「自家製ジェットコースター」をつくる(動画あり) - WIRED.jp 遊園地経営シミュレーション「ローラーコースタータイクーン・アドベンチャー」発売決定のお知らせ 株式会社オーイズミ・アミュージオ - ValuePress! 高さも距離もスピードも「記録ずくめ」、19年に新型コースター登場 カナダ - CNN Japan 遊園地経営SLGのジェットコースターで計算機を作り上げた猛者が登場 - GIGAZINE 【F1 2018 続報】第9戦オーストリアGP「ローラーコースター・レース」 【ニュース】 - webCG ローラーコースター脱線、客2人が地面に転落 米遊園地 - CNN Japan 【香港ディズニー】大規模パーク拡張計画続報!アナ雪エリアにはローラーコースターも - シネマカフェ Android/iOS用「ローラーコースター タイクーン タッチ」事前登録開始 - GAME Watch ゴールするのに現実時間で210日もかかるジェットコースター - GIGAZINE 『ワンダーウーマン』のローラーコースターが来春登場! - cinemacafe.net レゴ製ジェットコースターのコースを砂浜に作って走らせるとこうなる - GIGAZINE 『ローラーコースタードリームズ』 ひとりでゲームを開発する恍惚と不安を、服部博文氏に直撃 - ファミ通.com びっくり「ジェットコースター治療法」 腎臓結石を自然排出、ぜんそくも楽に - J-CASTニュース 腎臓結石はジェットコースターで排出できる? 米研究 - CNN Japan ジェットコースターの科学--どうやって加速し、どうやって止まるのか? - ログミー 世界最速ジェットコースターは時速 240km、国内最速は「ドドンパ」の時速 172km - インターネットコム 「歩くローラーコースター」がオープン(動画) - WIRED.jp Roller coaster 【Muvidat ライヴレポート】『Muvidat『VOICES IN MY HEAD』RELEASE PARTY』2021年11月23日 at 渋谷CLUB QUATTRO(OKMusic) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 35 stranded on roller coaster at Universal Studios Japan after power goes out | ニュースで英語を学べる The Japan Times Alpha オンライン - The JapanTimes Alpha 「DKB」、新曲「Rollercoaster」のMVティーザーオープン(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース オー・ワンダー、本日リリースの新作より“Rollercoaster Baby”のミュージック・ビデオが公開 - NME Japan カルヴィン・ハリス、ラヴ・リジェネレイター名義の新曲“Rollercoaster”が公開 - NME Japan Sunset Rollercoaster、元Dirty Beaches と共作した新曲「Coffee s on Me」をリリース! - indienative KAHOH x Novel Coreによる話題のコラボ曲「Roller Coaster」のMVが本日20時プレミア公開!! - PR TIMES KAHOH、Novel Coreをフィーチャーした「Roller Coaster (feat.Novel Core)」を本日より先行リリース!TikTokで話題の2人が歌うファンク・ディスコナンバー - PR TIMES Sunset Rollercoaster、3rdアルバム『Soft Storm』をリリース! - indienative Epic Gamesストアにて新発売の遊園地シム『RollerCoaster Tycoon 3 Complete Edition』期間限定無料配信開始 - Game*Spark 『RollerCoaster Tycoon 3』がEpic Gamesストアで無料配布!定番の遊園地経営シムのリマスター版 - IGN JAPAN メカニック兄弟が壊れた遊園地を修理する『Rollercoaster Mechanic』発表―修理した後は自分で乗ってテストラン - Game*Spark 台湾の Sunset Rollercoaster、2016年のEPより「My Jinji」のMV公開! - indienative ジェットコースター作成ソフト「Maximum Roller Coaster」で自分だけのオリジナル遊園地づくりを楽しもう - 4Gamer.net RSS ローラーコースター 作家・村上春樹がDJをつとめる特別番組第31弾!今回は、エレベーターの中のBGMをテーマにDJ!?『村上RADIO ~素敵なエレベーター・ミュージック~』 - PR TIMES BTS(防弾少年団) ジン、米・ロサンゼルスの遊園地で休暇を満喫…遭遇したファンの一言に困惑も?(Kstyle) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース クリス・エヴァンス、ディズニーランドで一緒に過ごしたのは「噂の女性」ではなく… - フロントロウ 声優ユニット、スフィアが互いのソロ曲をシャッフル! 来年1月に企画アルバムリリース決定(THE FIRST TIMES) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 寿美菜子、高垣彩陽、戸松遥、豊崎愛生がそれぞれの楽曲カバーしたアルバム発売決定(音楽ナタリー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 1017 ALYX 9SM x Nike Air Force 1 High の全カラーウェイがリストック - HYPEBEAST アリアナ・グランデの元婚約者、キム・カーダシアンとの交際を認める? 2人の恋愛タイムラインを振り返る(Harper s BAZAAR(ハーパーズ バザー)) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 「マリグナント」=脳が喜ぶ映画!? 茂木健一郎、ホラーが脳に及ぼす意外な効果を語る(映画.com) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース イ・ジョンヒョン、新ドラマ「新兵」に出演決定…物語の重要な役割を務める(Kstyle) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 思わず見とれる、着陸時の景色が最も壮観な世界の空港15選 - CNN.co.jp ミシュラン MotoGP2021 アルガルヴェGPプレビュー - 気になるバイクニュース NFL パワーランキング:パッカーズがカーディナルスを下して1位浮上。セインツ、スティーラーズが上昇、バッカニアーズとブラウンズは後退 - Sporting News JP 平岡東小学校 日々のようす/加古川市 - 加古川市 オペラ「蝶々夫人」初演時の衣裳に見るジャポニズムの深まり 新国立劇場でデザイン原画展 - 読売新聞社 トラヴィス・スコット主催フェス【Astroworld】ラインアップ発表、バッド・バニー/テーム・インパラ/21サヴェージ出演決定(Billboard JAPAN) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース メーガン・ザ・スタリオン、ゴージャスな卒業式の帽子の写真投稿「2021年にやっと大学を卒業する」(Billboard JAPAN) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【新美の巨人たち】『浅草花やしき』ローラーコースター×小堺一機 10月30日(土)テレビ東京 - 読売新聞社 パンダの聖地は上野…いや浅草? 花やしきが推しまくる絶滅危惧種「パンダカー」に乗る(乗りものニュース) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 大阪・USJでジェットコースターが停止 - 産経ニュース テーマは石油、巨大「エクストリームパーク」の計画発表 サウジアラビア - CNN.co.jp 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』×「浅草花やしき」のコラボアイテム「ちびキャラ アトラクションver.」商品の受注開始!アニメ・漫画のコラボグッズを販売する「ARMA BIANCA」にて - PR TIMES 【動画アリ】ベルギーのビッグ・フェス『Tomorrowland』をテーマとしたジェットコースターが欧州の「ベスト・ジェットコースター賞」を受賞 - iFLYER 開幕白星の立役者となった群馬のジョーンズ「ジェットコースターのような試合だった」(バスケットボールキング) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 米株式、新ステージ前波乱、インフレの影 - トウシル 時速240km、フェラーリ・ワールドにある世界最速のジェットコースターを体感できる動画 (2021年9月28日) - エキサイトニュース トラウマシーンもいっぱい 『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』はグロくてワクワク(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 高さ世界一の観覧車が登場、10月オープン ドバイ - CNN.co.jp ポーラ創業から続く“大切な人を想う気持ち”がコンセプトのブランド体感イベント「Care for Dear」を開催 - PR TIMES Yogee New Waves最新アルバム『WINDORGAN』新録9曲を含む全12曲収録 - Fashion Press 舌を抜くか地下鉄にひかれるか、「スパイラル:ソウ オールリセット」冒頭映像(映画ナタリー) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース MIYAVI、13thアルバム「Imaginary」よりKimbra迎えた新曲配信(コメントあり / 動画あり) - 音楽ナタリー 富士急ハイランドに立ち入り調査 ジェットコースター4人骨折で - NHK NEWS WEB スタージル・シンプソン、ニュー AL『THE BALLAD OF DOOD AND JUANITA』リリース(BARKS) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース デミ・ロヴァート、Gイージーとのコラボを予告(Billboard JAPAN) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース <WKコラム>「THE BOYZ」、「週刊アイドル」で新曲初披露!ジュヨン×ヒョンジェはドキドキのネクタイ結びを披露!ヨンフンは氷の上でも無感覚⁉(WoW!Korea) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース オランダのミュージシャン、教会の鐘で「Ace Of Spades」を演奏(BARKS) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース フェブラリーキッチンなど浅草の人気カフェと花やしきがコラボ!!「アトラクションカフェ in 夜やしき」2021年7月31日(土)、8月1日(日) - PR TIMES ファイナル出場組の合流にドレイモンド・グリーンは「ものすごくリスペクトしている」(バスケットボールキング) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 高さ55mの眺め「フジヤマタワー」 富士急ハイランドに21日オープン 山梨・富士吉田市|あなたの静岡新聞 - @S[アットエス] by 静岡新聞 ファンアールト「ジェットコースターのようなツールを勝利で締めくくれた」ポガチャル「幸せの一言」 - ツール・ド・フランス2021第21ステージ選手コメント - cyclowired(シクロワイアード) 展望台や観覧車、新施設を公開 富士急ハイランド - 朝日新聞デジタル 複合遊具とローラー滑り台の無限ループ!? 新田さくら公園(足立区)の遊具広場に大興奮! - るるぶNEWS ゲストを冒険へと誘うアメリカ ディズニーパークの乗り物 ~飛行機・列車・車~|パーク&リゾート|ディズニー公式 - Disney公式 シーズンソーファー~第3戦ポルトガルGP - MotoGP JA 【今日は何の日】7月9日はジェットコースターの日!ジェットコースターを作れるゲーム3選! - ゲームドライブ 日本初の「ジェットコースター」をご存じですか?(ブルーバックス編集部) - 現代ビジネス 「GIROグラベルバイクパーク斑尾」グランドオープン!近隣ホテルにはサイクリストルーム誕生 - ロードバイクの在る生活へ サイクルジャパン 1017 ALYX 9SM からローラーコースターバックルを備えた iPhone ケースが登場 - HYPEBEAST イタリアの路線バスはジェットコースター感覚?大矢アキオの連載コラム(15回)(くるくら) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース MLB2021年シーズン個人賞レースの行方:サイ・ヤング賞、最優秀選手賞、新人王レースを引っ張るスター選手達 - Sporting News JP 【2021シーズン アゼルバイジャンGP】セルジオ・ペレスが移籍後初優勝! - Red Bull 絶叫系マシン、好き?嫌い?楽しむコツは、何も考えず思い切り絶叫!:ソロ活女子のススメ - テレビ東京 江口のりこ“恵”、絶叫マシンに挑戦!津田寛治演じる“うんちく男”に「ソロ活あるあるすぎて笑いが止まらない」の声 - テレビドガッチ 回転コースターが高さ6mで停止、動けなくなった乗客救助 米遊園地 - CNN.co.jp MotoGP - MotoGP JA 「これはチャレンジだ」 - MotoGP JA 『ジョン・ウィック』と『Mr.ノーバディ』のクロスオーバーについて監督が意味深発言!? 両シリーズの違いについてもわかりやすく解説!! | BANGER!!! - BANGER!!!(バンガー!!!)映画評論・情報サイト KAHOH x Novel Coreによる話題のコラボ曲「Roller Coaster」のMVが本日20時プレミア公開!! - PR TIMES ひらかたパーク 桜300本まもなく見ごろアトラクションからの“お花見”をご堪能あれ - アットプレス(プレスリリース) ふたりを繋ぐハードウェア。|ファッション・ビューティー・セレブの最新情報|VOGUE JAPAN - VOGUE JAPAN KAHOH、Novel Coreをフィーチャーした「Roller Coaster (feat.Novel Core)」を本日より先行リリース!TikTokで話題の2人が歌うファンク・ディスコナンバー - PR TIMES 逆境を糧に成長するバックス。アデトクンボのポジティブ思考。~NBAでの連敗の意味~(宮地陽子) - Number Web - ナンバー 松山南高生 ハワイの高校生らとオンライン交流 - 愛媛新聞 世界一ヤバいローラーコースター! あなたは堪えられるか?? - ジャーニー 世界400超ものジェットコースターに乗った男が語る「一番怖かったマシン」ベスト5 1位はレールが切れてるタイプ!?|まいどなニュース - 神戸新聞社 史上最速、時速250キロ超のローラーコースター建設へ サウジ - CNN.co.jp MoMA Design Storeで見つけたおうち時間がハッピーになるテーブル&キッチンウエア| - @DIME フート省:遊園地のローラーコースター脱線で学生3人が死傷[三面] - VIETJOベトナムニュース 今夏、世界最高峰のフェスTomorrowlandをテーマとしたジェットコースターがベルギーのテーマパークにオープン! - iFLYER 【富士急ハイランド】1997年度のギネスブックに掲載された絶叫コースター『FUJIYAMA』が2021年夏に『FUJIYAMAタワー』としてリニューアル! - iFLYER クレイジーな70歳男性!4年で絶叫マシーンに8000回 中国 - people.com.cn 日常の“あるある”を独特のアプローチで描いた共感バラエティ!「ローラーコースター リブート」2021 年 1 月 23 日 日本初放送決定! - PR TIMES キアヌ主演『ジョン・ウィック』の壮絶な世界感をローラーコースターで体感! 2021年にドバイに誕生 | BANGER!!! - BANGER!!!(バンガー!!!)映画評論・情報サイト 『ジュラシック・ワールド』新ローラーコースター、米ユニバーサルに来年夏オープン! - シネマトゥデイ 絶叫マシンには「真面目な顔で」 日本の遊園地、感染対策で呼びかけ - BBCニュース STEM教育にも◎ クラファン2000%超え! 磁力でくっつきローラーコースターを組み立てる「MagnetCubes」 - GIZMODO JAPAN ジェットコースターはG=加速度を楽しむ乗り物ではない? - MotorFan[モーターファン] 遊園地の逆年齢制限 ジェットコースターに乗れない65歳男性の嘆き - マネーポストWEB 【奇跡】ジェットコースター乗車中に飛んできたスマホをキャッチ! 決定的瞬間をご覧ください - Pouch[ポーチ] 奇想天外なジェットコースターを作成しよう。「ローラーコースターシミュレーター」を紹介する「(ほぼ)日刊スマホゲーム通信」第2067回 - 4Gamer 1017 ALYX 9SM がお馴染みのローラーコースターバックルを用いた新作ブレスレットを発表 - HYPEBEAST 遊園地経営SLG「ローラーコースタータイクーン・アドベンチャー」がSwitchに登場! - GAME Watch スマッシング・パンプキンズ、“1979”の音源をジェットコースターの映像に当てた動画が話題に - http //nme.com 子どもの願いをかなえた父、裏庭に「自家製ジェットコースター」をつくる(動画あり) - WIRED.jp 遊園地経営シミュレーション「ローラーコースタータイクーン・アドベンチャー」発売決定のお知らせ 株式会社オーイズミ・アミュージオ - ValuePress! 高さも距離もスピードも「記録ずくめ」、19年に新型コースター登場 カナダ - CNN Japan 遊園地経営SLGのジェットコースターで計算機を作り上げた猛者が登場 - GIGAZINE 【F1 2018 続報】第9戦オーストリアGP「ローラーコースター・レース」 【ニュース】 - webCG ローラーコースター脱線、客2人が地面に転落 米遊園地 - CNN Japan 【香港ディズニー】大規模パーク拡張計画続報!アナ雪エリアにはローラーコースターも - シネマカフェ Android/iOS用「ローラーコースター タイクーン タッチ」事前登録開始 - GAME Watch ゴールするのに現実時間で210日もかかるジェットコースター - GIGAZINE 『ワンダーウーマン』のローラーコースターが来春登場! - cinemacafe.net レゴ製ジェットコースターのコースを砂浜に作って走らせるとこうなる - GIGAZINE 『ローラーコースタードリームズ』 ひとりでゲームを開発する恍惚と不安を、服部博文氏に直撃 - ファミ通.com びっくり「ジェットコースター治療法」 腎臓結石を自然排出、ぜんそくも楽に - J-CASTニュース 腎臓結石はジェットコースターで排出できる? 米研究 - CNN Japan ジェットコースターの科学--どうやって加速し、どうやって止まるのか? - ログミー 世界最速ジェットコースターは時速 240km、国内最速は「ドドンパ」の時速 172km - インターネットコム 「歩くローラーコースター」がオープン(動画) - WIRED.jp Roller coaster #gnews plugin Error gnewsは1ページに3つまでしか使えません。別ページでご利用ください。 口コミ ローラーコースター #bf Roller coaster #bf 【参考】 ブックマーク サイト名 関連度 備考 Wikipedia ★★ 関連項目 項目名 関連度 備考 研究/ジェットコースター ★★★★★ 和製英語 研究/遊園地 ★★★ 研究/絶叫マシン ★★★ 研究/アミューズメント・マシーン ★★★ 研究/喘息 ★★ 研究/イグノーベル賞 ★★ 受賞 研究/西暦2010年 ★★ タグ 生活 最終更新日時 2013-04-21 冒頭へ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/797.html
※舞台は何故かゆっくりが当然のようにいる現代です。 ※ゆっくりいじめWiki ゆっくりいじめ系665 ゆっくり研究 の続きですが読まなくても問題は無いはずです。 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして、俺はゆっくりの研究でおまんまを食わしてもらっている“ゆっくりカンパニー”のしがない一社員だ。 ゆっくりの死因の中で最も多いのは飼い主の居ない部屋で思慮もなく飛び跳ねたゆっくりが不慮の事故に遭うというものだ。 もちろん、それだけなら底部を少し焼けば済む話なのだが、人間がゆっくりを飼う時、ゆっくりには元気良く跳ね回って欲しいと思うもの。 そこで、俺に「人が居ないときは飛び跳ねないが人間がいるときには元気良く飛び跳ねるゆっくりの育成方法を考えろ」というわけのわからない命令が下された。 とりあえず、実験の基本になるのは以前行った条件付け。 やはり「人間の居ない所で飛び跳ねるとゆっくり出来ない」という事を体に理解させることだろうか? あるいは「人間の居ない所で跳ねないでいると後で良い事がある」という事を理解させるべきだろうか? しかも、これと並行して「人間の居るところではきちんと飛び跳ねる」ようにもしておかないといけないと言うのだから煩わしい事この上ない。 こちらに関しても「人間の居るときに飛び跳ねないと酷い目に遭う」と「居るときに飛び跳ねると良い事がある」の2つを並行して検証することになるだろう。 とりあえず実験に使用する個体はペットとしていちばん一般的なゆっくりれいむの赤ちゃん。 いずれのれいむも同じ親の同じ茎から産まれている。 この赤れいむ達の体内には振動を感知することで一瞬だけ点火する超小型ライターが内蔵されている。 また、このライターは俺の手にしているリモコンで点火や振動感知にロックをかけることも出来、それによって人が居るときの条件を切り替える。 実験に使用する赤れいむの数は4匹。 赤れいむAには「人間の居ない時に飛び跳ねるとゆっくり出来ない」と「人間の居るときに飛び跳ねないとゆっくり出来ない」というルールを課す。 赤れいむBには「人間の居ない時に飛び跳ねるとゆっくり出来ない」と「人間の居るときに飛び跳ねると良い事がある」というルールを課す。 赤れいむCには「人間の居ない時に飛び跳ねないで居ると良い事がある」と「人間の居るときに飛び跳ねないとゆっくり出来ない」というルールを課す。 赤れいむDには「人間の居ない時に飛び跳ねないで居ると良い事がある」と「人間の居るときに飛び跳ねると良い事がある」というルールを課す。 実験期間は1週間でいいか。さて、これで上手く行くと良いのだが・・・。 【実験開始】 「ゆっきゅり~?」 目を覚ますと誰も居ないことに気づいた赤れいむAは困惑を隠せない様子だった。 おかーさんはどこ?おねーちゃんはどこ?そんな言葉が聞こえてきそうなほどに必死になって観察用のケースの中を見回して家族の姿を探している。 しかし、そのケースの中には誰もいない。 「ゆぅうぅうう・・・」 その事実に気がついた赤れいむAは涙を浮かべ、飛び跳ねた。 恐らく、ケース内のどこかに隠れていると考えたのだろう。 頑張って探せばどこかにおねーちゃんやおかーさんがいるに違いない。 みんなを見つけたらきっとれいむのことを「おにごっこがじょうずなゆっくりしたこだね」って褒めてくれるに違いない。 そんな期待をこめての一歩だろうか? あるいは孤独の恐怖と寂しさから逃げるために家族を求めているだけだろうか? 何にせよ、赤れいむAは小さな体を一生懸命に使って飛び上がり、クッション代わりの藁が敷き詰められた床に着地した。 その瞬間に衝撃を感知した超小型ライターが、瞬きほどの短い間、赤れいむAの体内の餡子を炙った。 「ゆぎゅう!?」 何の前触れもなく体内から発せられた痛みに赤れいむAは目を大きく見開き、硬直している。 ぱくぱくと口を開閉しながら、小さな体中から脂汗のようなものをだらだら流して、青ざめた表情のままその姿勢でじっとしていた。 「ゆ、ゆわあああああああああああああああん!!」 およそ3秒が経過したころだろうか。赤れいむAは堰を切ったようにのた打ち回りながら泣き始めた。 口を思いっきり開き、目からは大粒の涙をぼろぼろ零しながら、必死に助けを求める。 しかし、誰も助けに来ない。 「いぢゃいよおおおおお!ゆううううううう・・・ゆっぐ・・・!」 それでも、赤れいむAは泣き続ける。 それは守られなければ生きていけない弱い存在に与えられた唯一の命綱。 が、泣けども泣けども誰も助けに来ない。 「ゆっぐ・・・ゆっ・・・!」 10分ほどして、それが無意味であると悟った赤れいむAは痛みを堪え、呻きながらも居るはずのない家族の捜索を再開した。 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・ゆ・・・」 そうしてケースの中を這いずり回っているうちに遊具の前へたどり着いた。 もっとも、遊具と言ってもあまり衝撃を与えるとライターが点火するので、赤ゆっくりサイズの立方体のクッションとか鈴のついた木の枝(振ると音が鳴る)のようなつまらないものばかりなのだが。 「ゆ、ゆ~・・・?」 それでも家族もおらず、また何もないケースの中で、赤れいむAの興味を引くようなものはそれだけしかない。 「ゆっきゅりあちょぶよ!」 だから赤ん坊なりにそれを咥えたり、(落下よりずっと弱い力で)ぶつかったり、頬ずりたりしている。 「ゆ~、ゆ~♪」 そうやって遊んでいるうちに、家族が居ない寂しさや、さっきの痛い思いをした悲しさがまぎれてきたのだろう。 声の調子が徐々に明るくなり、やがて鼻歌交じりになって行く。 「ゆっきゅり~♪」 そして、嬉しさと楽しさの乗せられて赤れいむAはその場で飛び跳ねて喜びを表現した。 飛び跳ねれば当然落下する。赤れいむAもその摂理に漏れることなく落下、着地し、その衝撃によりライターが点火。 「ゆきぇ!?」 短く悲鳴を上げた赤れいむAはさっきと違ってその痛みにすぐに反応した。 「ゆううううううう!ゆうううううう!」 先ほどと同様に顔を真っ青にして転げまわりながらも、赤れいむAは泣きじゃくるが、やはり誰も助けには来ない。 「ゆっぎゅり~!ゆっぎゅうううう!!・・・ゆっぐ・・・ゆっぐ」 そうやってしばらく痛がり続けていたが、やがて痛みも引いてきたのだろう、のそりと起き上がると、ゆっくりと這いずって巣まで戻っていった。 赤れいむAが巣に戻る途中、俺は餌をやるためにケースを開けると、赤れいむAに声をかけた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっ!ゆっきゅりちちぇっちぇね!」 俺の言葉に反応した赤れいむAは自分以外の動く存在を見つけたことで酷く嬉しそうな表情をする。 「ゆっきゅり!おにーしゃんはゆっきゅりできりゅひちょ?」 「おにーしゃ、、れいみゅをこきょからだぢちぇよ!」 必死に体を揺すってアピールするが、それに反応する義理はないので無視する。 そして、適当にケースの中に餌をばら撒いてから、じっと赤ゆっくりAの様子を伺う。 「ゆ~!・・・む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」 餌に気づいた赤れいむAはすぐさまそれに噛り付き、涙を浮かべて幸福を堪能している。 食べ終える、ともっと欲しいのか、じっと俺のほうを見つめて「ゆっきゅり!」などと鳴き続けていた。 もちろん、一切反応しない。ただ観察し続けるだけだ。 「ゆっきゅり~!おにーしゃーん!」 それでもめげずに何かをアピールし続けていた赤れいむA。しかし、一向に跳躍する気配を見せない。 仕方がないので、俺はライターを点火させて、ゆっくりの体内を軽く炙った。 「ゆっぎぃ!?」 予期せぬ痛みに驚愕した赤れいむAはまたさっきと同じようになきながら転げ回り、しばらくすると落ち着いて呼吸を整え始めた。 「ゆっきゅり!いちゃいよおおお!ゆ~っ!」 思ったよりすぐに痛みから立ち直った赤れいむAは目にいっぱいの涙をためながら再び俺に何かをアピールし始める。 「ゆっきゅ~!!たしゅけてよぉ~!」 「ぷきゅううううううう!」 小さな体を左右に振り、時には頬を膨らませながら延々とアピールし続ける。 その行為に必死になりすぎて、ふとした拍子に赤れいむAはつい跳躍してしまった。 そして、その赤れいむAの落下する直前の表情には明らかに恐怖がにじんでいる。 まだ2度目だが、条件付けによって跳躍と苦痛がきちんと結びついていることがこれで確認できた。 赤れいむAは着地と同時に身を小さくして震えるが、何時までたってもさっきのような痛みがやってこない。 そのことに気づいた赤れいむAは少しの間、不思議そうに首をかしげていたが、すぐに喜び勇んで飛び跳ね回った。 「ゆっきゅり~♪ゆっ~♪」 2度、3度、4度・・・跳躍できる幸せをかみ締めるように飛び跳ねる赤れいむA。 その様子を確認したところで、俺は最後にもう一度声をかけてケースを閉めた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!・・・ゆぅ?」 ケースの蓋が閉められた直後、赤れいむAは俺を探してケースの中をきょろきょろと見回していたが、それにも飽きて、眠きなったのかあくびをした。 そして、寝床に早く戻るために元気よく跳躍をして、何故かまたあの痛みに苦しむことになった。 赤れいむBは案外たくましかった。いや、純粋に強かった。 「ゆっきゅり~?おきゃーしゃん、どきょ?」 目覚めてすぐこそ赤れいむAと同じようにおどおどした表情でその場で辺りを見回して家族を探していたが、いないと知るとすぐに意を決して最初の跳躍に踏み切った。 おかげで仕事がはかどって助かる。 赤ん坊なりに力強く飛翔した赤れいむBは着地と同時に今まで味わったことのない感覚に襲われた。 「ゆぐふぅ!?」 全身を一瞬にして駆け巡る鋭い痛み。それは点火のそれとは明らかに異なるものだった。 実を言うと赤れいむBのライターはライターではなく、衝撃を受けると針が飛び出して、餡子をえぐるだけの代物なのだ。 しかし、使用している針は長さも太さも相当のものなので、ゆっくりに与える痛みは瞬間的にはこちらのほうが大きいかもしれない。 「ゆぎいいぃいっぃいいい!?」 あまりの痛みに白目を剥いて、もんどりうつこともままならずにぴくぴくと痙攣して苦しむ赤れいむB。 「ゆがぁ・・・ゆぎ・・・」 呼吸が一気に荒くなり、口から泡を吹き始める。しかし、餡子を吐く様子は見られない。 「ゆぐぅ・・・ゆぎぃ・・・ゆぐぅ・・・ゆう・・・」 そんな状態から赤れいむBは20秒ほどで体の自由を取り戻すと、最初の威勢のよさは何処へやら、赤れいむA同様にその場にへたり込んで大泣きし始めた。 なるほど。ダメージは点火より大きいが生命の危機を及ぼすことは無いし、立ち直りも針のほうが早いのか。これは便利だ。 などと考えていると、赤れいむBは思ったよりも早く立ち直り、すぐに這いずっての家族の捜索を再開した。 「みんにゃ~・・・ゆっきゅりでちぇきちぇにぇ!」 一生懸命声を張り上げながら赤ん坊には大きすぎるくらいのケースの中を必死に這いまわる。 「ゆっきゅり~!ゆっきゅりしちぇっちぇにぇ!」 責任感の強い個体なのだろうか?さっきの赤れいむAと違って目の前の遊具に目もくれず、ひたすら家族を探し続けている。 しかし、いるはずのないものが見つかるわけがない。 どれだけ捜しても見つからないという現実が徐々に赤れいむBを焦らせ、孤独の恐怖へと駆り立てていく。 その感覚に気づいてか、赤れいむBの足取りは徐々に速くなっていき、やがて跳躍を用いたものに切り替わった。 が、その瞬間、先ほどの想像を絶する苦痛が赤れいむBに再び襲い掛かった。 「ゆ゛っ!?」 先ほどと違って着地に失敗し、べちゃりと顔面から床に倒れると、その表情を伺うことの出来ない体勢のまま、再び痙攣し始めた。 「ぶ・・・ぶぅ・・・ぶぎゅ・・・」 地面に押さえつけられた口から漏れ出すくぐもった声は酷く濁っていてほとんど聞き取れないが、苦しんでいることだけは間違いないだろう。 そうして20秒ほど経つと、地面に突っ伏していた赤れいむBはのそりと起き上がり、目にいっぱいの涙を浮かべながら、再び這いずり始めた。 「ゆっ・・・ぐ・・・ゆっぐ・・・」 泣き出さなかったのは必死に堪えているだけらしい。耳を済ませてみると嗚咽が漏れているのが聞き取れた。 「ゆ・・・っきゅり~・・・」 そして、痛みと悲しみを堪えながら懸命に家族を捜索し続ける。 その姿に内心感動を覚えながらも、出来る限り無表情のままケースの蓋を開けて、赤れいむBに話しかけた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」 本能に従って返事をした赤れいむBは俺の顔を見ながら赤れいむA同様に必死に何かを訴えかけてくる。 「ゆっきゅり~!おにーしゃん、れいみゅにょおきゃーしゃんちらにゃい?」 身振り手振り(ないけど)を交えながら一生懸命俺とコミュニケーションを図ろうとするが、残念ながらやっぱり相手をするつもりはない。 そもそも、不要なコミュニケーションを図ると実験の妨げになる。仕方がないのでさっさと餌を置いて、観察を続ける。 するとやはりお腹の空いていた赤れいむBはすぐさま餌に飛びつき、幸せを満喫し始めた。 「む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」 そうして食べ終わると、の赤れいむA同様に喜びのあまりについ飛び跳ねてしまった。 そして、赤れいむBもまた今から来るであろう痛みに怯えていた。が、当然観察者がいる状況なので痛みはやってこない。 「れいむ、凄いじゃないか!こんなに小さいのにあんな跳躍が出来るなんて!お前はゆっくりした子だな!」 代わりに俺の如何わしさ満点の大仰な褒め言葉が飛んできた。 「ゆ?ゆぅ~・・・ゆっきゅり!」 褒められた赤れいむBは最初はきょとんとしていたが、すぐに顔を赤くして俯き、それから満面の笑みを俺に返してきた。 「ゆっきゅり!ゆ~~~~っ!」 「おっ、さっきよりも凄いジャンプじゃないか!」 それから、何度も何度も俺に見せびらかすようにぴょんぴょんと跳躍を繰り返す。 「ゆ~!」 「なんてゆっくりしてるんだ!」 「ゆっゆっ!」 「れいむはゆっくりの天才だな!」 「ゆっきゅり~!」 「凄すぎるぞ、れいむ!」 その度に俺は心にもない賛辞を送り、その度にれいむは大喜びしていた。 しばらくそうやって遊んでいたが、すぐに次のケースを確認する必要があったので、赤れいむBに「ゆっくりしていってね!」と別れを告げてケースの蓋を閉めた。 「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」 既に見えなくなった俺に返事をしながら楽しそうに跳躍する赤れいむB。 着地した直後に、またしても「ゆぐぉ!?」という短い悲鳴を上げ、白目を剥いて痙攣し始めた。 赤れいむCは恐ろしくマイペースだった。 家族がいないことに気づいた時には確かに困惑していたが、すぐに見つけた遊具で遊び始めた。 「ゆゆゆ~~~っ!ゆっ!!」 赤れいむCが特に好んでいる遊びは立方体のクッションに体当たりすることだ。 こいつは「人のいないところで跳躍しなければご褒美を与える」というルールなので跳躍によって痛い目に遭うことがない。 そのため、家族のいない寂しさを紛らわすかのように異様なまでのはしゃいでいた。 「ゆっきゅり~♪」 歌を歌いながら跳ね回り、歌を歌っていたかと思うと・・・ 「ゆっゆっゆ・・・」 いきなり、クッションと格闘をはじめ、そうかと思うと・・・ 「ゆ~~~!」 鈴のついた棒を振り回してちりんちりんと鈴の音を響かせていた。 そうして、ひとしきりゆっくり遊んだ赤れいむCは遊び疲れて眠ってしまった。 「ゆぅ~、ゆぅ~・・・」 お約束のゆっくりすまいるを浮かべながら寝床ではなく、お気に入りの立方体クッションに頬を摺り寄せて眠る赤れいむC。 その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。 「ゆぅ~・・・おきゃーしゅん・・・」 そして、寝言で家族を読んでいた。 しばらく様子を観察していたが一向に目を覚ます気配がないので、蓋を開けて赤れいむCに挨拶をする。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆぅ・・・ゆっきゅりちちぇっちぇねにぇ!」 その言葉によって強制的に目を覚まさせられた赤れいむCは、寝ぼけ眼のままきょろきょろとあたりの様子を伺うと、俺の存在に気づかずそのまま再び眠りについてしまった。 「ゆぅ・・・ゆぅ~・・・みょーちゃべりぇにゃいよ~・・・」 ベタな寝言を口にした赤れいむCの表情は実に幸せそうだ。 しかし、このケースのルールは「人間の居るときには跳ねないと痛い目に遭う」なのでとっととスイッチを押した。 「ゆっぎゅううううううううううううう!?」 その瞬間、赤れいむCはクワッと目を見開き、顔を真っ赤にしながらケースの中を舌を出して走り回ることになった。 「きゃりゃいよ!きゃりゃいよおおおおお!」 そういって、設置しておいた水のみ場へ急ぐと、水を浴びるように飲んだ。 しかし、突然やってきた辛さが抜けることはない。 当然だろう。その辛さは舌ではなく体内の餡子から来ているのだから。 さっき俺の押したライターのスイッチ。あれも赤れいむBのもの同様にライター以外のものに改造されている。 それによって少量のタバスコソースが赤れいむCの体内に射出されたのだ。 もちろん、赤れいむCにはそんなことわかるはずもないので下を出しながら飛び跳ねまくっている。 10分ほどだろうか、しばらくそうしているとタバスコが餡子に分解され、辛さが引いてきたのか徐々に落ち着きを取り戻し始めた。 「おにーしゃん!ゆっきゅりできにゃいよ!」 どうやら、この赤れいむCはゆっくり出来ないもの、さっきの辛さの原因を観察者であると仮定したらしい。 まあ、実際その通りなのだが。しかし、赤れいむCに文句を言われたところで相手をするつもりなどさらさらないので、無視して観察を続ける。 「ゆっきゅりあっちいっちぇにぇ!」 「おにーしゃんちょはゆっきゅりできにゃいよ!」 しばらくは俺に向かって頬を膨らませて威嚇したり、飛び跳ねながら文句を言ったりしていたが、俺が餌を置くと態度が一変した。 「ゆゆっ?むーちゃむーちゃ、ちあわちぇ~!」 「おにーしゃんはゆっきゅりできりゅひちょだね!」 「れいみゅといっちょにゆっきゅりちよ!」 もちろん相手をするつもりなんてさらさらないので無視し続けていると、やがて諦めて立方体のクッションで遊び始めた。 「ゆんっ!」ポスッ 「ゆっきゅり!」パスッ 「ゆゆ~っ!」ポコ 赤れいむCがクッションにタックルするたびに気の抜けた音がケースの中に響き渡る。 が、何回目かのタックルを仕掛けようとしたとき、突然赤れいむCの体がぶるっと震え、恥ずかしそうな表情になった。 「ゆゆっ!れいみゅのぽんぽんがいちゃいよ!ちーちーちなきゃ!」 さっき辛さを忘れるために水を大量に飲んでしまったためだろう。体内に過剰な水分を溜め込むと生死に関わるゆっくりにとって放尿は死活問題だ。 赤れいむCは遊具のある場所から少し離れた場所へ行くと、そこですこしふんぞり返るような格好になり、ぷるぷる震えている。 30秒ほどその格好のままでいた赤れいむCが爽快感に満ちた表情を浮かべた瞬間、口のしたあたりに小さな穴が開いて、そこから若干餡子の混じったうっすいお汁粉?がちょろちょろと漏れ出してきた。 しーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ・・・ それから10秒ほどその液体を放出し続けた赤れいむCは放尿を終えてからも爽快感に頬を緩ませたまま、その場から動こうとしなかった。 流石にこれ以上ゆっくりさせすぎるのも具合が悪い気がしたので、スイッチを押して、タバスコソースをお見舞いしてから蓋を閉じた。 べちゃという水音と、「きゃりゃいよー!」とか「きちゃにゃいよー!」という叫び声が聞こえたが気にするほどのものでもないだろう。 赤れいむDは観察者がいる状態になる前の経過は赤れいむCとほぼ変わらなかったので適当に割愛してさっさと観察状態に入った。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっきゅりちちぇっちぇにぇ!」 自由奔放に生活することの許された赤れいむDは満面の笑みを浮かべて返事をする。 「おにーしゃんはゆっきゅちできりゅひちょ?」 「おにーしゃん、れいみゅのおきゃーしゃんちらにゃい?」 「おにーしゃん、にゃにかいっちぇよ!」 などなど、色々と話しかけてくるが当然必要のない会話をするつもりはないので無視し続けた。 「ゆぅぅぅううううううう!」 業を煮やした赤れいむDはぷくうううううっと頬を膨らませて、目に涙を浮かべながら俺に抗議し始める。 しかし当然無視し続ける。 「にゃにかいっちぇよ!」 そんな俺に腹を立てながら赤れいむDは元気よく跳躍した。 「おお、凄いジャンプじゃないか!」 「ゆぅ?」 ずっと無反応だった俺に突然跳躍を褒められて困惑する赤れいむD。 それから、首を傾げつつもう一度跳躍する。 「すごい!こんなゆっくりしたジャンプ見たことがないぞ!」 こんな白々しい言葉でもやはり嬉しいらしい。すこし照れ笑いをしながら何度も跳躍を繰り返す。 「おにーしゃん!」 「おお、さっきよりも凄い!」 「れいみゅのじゃんぴゅは!」 「おお!」 「しゅごいでちょ?!」 「なんてゆっくりしてるんだ!」 跳躍すれば俺がかまってくれることに気づいた赤れいむDは息が切れるまで跳躍し続けた。 そして体力がなくなるまで跳ね続け、跳躍を止めたところで俺は赤れいむDのケースに餌を放り込んだ。 「ゆぅ?・・・むーちゃむーちゃ、ちあわちぇ~!」 餌を食べられる幸せをかみ締めている赤れいむDを眺めながらとっとと蓋を閉め、ケースから離れた。 【結果報告】 赤れいむAは上からの要求である「人目のあるときだけ跳ねる」という条件を満たすことが出来た。 幸い、「人間が見ているときにゆっくりしすぎていると痛い目に遭う」という条件設定も3日目には理解してくれていた。 しかし、この赤れいむAは失敗作以外の何者でもなかった。 まず、人間がいる時に痛い目に遭ったことが原因で人間に対して恐怖心を抱いている。 それゆえにあまり人間に懐こうとしないのだ。 それどころか、そういった経験から人間を「ゆっくりできないもの」として認識してしまっている。 ゆっくりにとっての「ゆっくりできる」とは「やりたいときにやりたいことが出来る」ということに他ならない。 人間の居ないときは飛び跳ねることが出来ず、人間のいるときは飛び跳ねねばならない。 それはすべての行動を人間が居るか否かということによって強制されているようなもの。 こういった理由から赤れいむAはそもそも人間に近づこうとさえしなかった。 そして、それでも人間から近寄ったときには卑屈な笑みを浮かべながら痛い目に遭わない最低水準の運動だけを壊れたおもちゃのように繰り返すだけだった。 これでは客の要望に応えているとは言いがたく、とてもじゃないがペットショップに並べられるものではない。 よって赤れいむAは「人間に懐かないゆっくりに刷り込みを引き起こさせることで強制的に従順にする薬品」の実験に回すことになった。 赤れいむBは唯一にして最高の成功例となった。 まず、上からの要望である「人目のあるときだけ跳ねる」をきっちりと満たしている。 しかし、本当に重要なのはそこではない。 この赤れいむBはペットとしてゆっくりを欲しがる人の理想的なゆっくり像を完全に体現していたのだ。 まず、人間が見ているときは「跳ねれば褒められるし、寝ていたって問題ない」という環境にいたため、人間に対して悪いイメージを持ち合わせていない。 それどころか、人間こそ自分達に本当のゆっくりを与えてくれる存在として全幅の信頼を置いている。 実験開始から3日が経つ頃には俺がケースの蓋を開ける時間になると、赤れいむBはそわそわしながら天井を見上げ、顔を覗かせた瞬間に満面の笑みを浮かべて挨拶をしてきた。 たとえるならば飼い主の帰宅時間になると玄関口で待っている犬のようなものだろう。 次に普段跳ねられない分を発散するかのように人間の居るときには自ら進んで積極的に飛び跳ねる。 それは赤れいむAのように強制されたものではない。自分をゆっくりさせてくれる人間が褒めてくれるから跳ねるという自発的な行動だ。 付け加えるならば、跳ねることで自分をゆっくりさせてくれる人間をゆっくりさせてあげられるとさえ思っているようでもあった。 最後に人間が跳ねるなと命じたときや、ゆっくりしたい気分のときは基本的にゆっくりする姿勢も重要だ。 満ち足りているときには何もせずゆっくりとする姿や何もせずソファで一緒に寝転がることをゆっくりに望む客も多い以上、跳ねるだけでは問題があるといえる。 よって赤れいむBは偉大な我らが敬愛すべき社長に献上すべきだろう。 赤れいむCは大前提の「人目がないときには跳ねない」を満たすことが出来なかった。 しかしよくよく考えてみれば当然なのかもしれない。 人間だって「廊下を走るな!」と怒られて廊下を走らないのは理解出来るが、「廊下を歩くなんて偉いぞ!」と褒められる奴は早々いないだろう。 そして、体に因果応報を覚えさせることで何かをしない方向に持って行くのがこの実験の趣旨。 それゆえ、跳ねなかったことと褒められたことの間に因果関係を導き出すことが出来ないのだろう。 あと、人間が(見えて)いないときの行動を褒めるという形式になる以上、ほかの動物同様、何を褒められているのかが理解できないのかもしれない。 いずれにせよ、跳ねなかったことを褒める方法はよほどの改良案がない限りは何の効果もなさないだろう。 更に、人間がいるときは怯えきった表情で最小限の運動を繰り返すため、赤れいむAと同様の理由でも商品としての価値がないのだ。 ある意味いちばん需要のない代物になってしまったと言えよう。 よって赤れいむCは・・・辛いものに対する耐久実験にでも回しといてください。 赤れいむDはいたって平凡な馬鹿になった。 「人間がいないところでは跳ねない」をまったく満たさず、「人間がいるところでは積極的に跳ねる」も多少しか満たせていない有様だった。 はっきりいって何処にでもいる本当にいたってごくごく平凡で没個性な何の面白みも無いゆっくりだ。 まあ、需要が無いことも無いだろうがこれをあえて売る意味はまったく無い。 よって赤れいむDは「事故防止のための強制的にゆっくりさせる薬品とその解毒剤」の実験にでも利用して置けばよいだろう。 【追加実験】 赤れいむCは底部をこんがり焼かれてしまい、動くことが叶わなくなってしまっていた。その状態で、ひんやりした台の上に置かれている。 口にはよくわからない器具がはめられていて閉じることもこれ以上開くこともままならず、ここ3日ほどまともに言葉を発していない。 もちろん食事も水分も一切取っていない。しかし、体に差し込まれた管から、十分すぎるほどの栄養が与えられているので飢えることはまったく無かった。 「よし、今日はスコヴィル値370万まで行ってみようか?」 「了解、一応500万まで作ってありますよ」 「そうか、準備が良くて助かるよ。んじゃ、まずはジョロキアナ並みの100万スコヴィルで・・・♪」 赤れいむCの前にやってきた二人の人間はそんなやり取りの後に、スポイトで正体不明の液体を吸い上げ、赤れいむCの舌に垂らした。 その瞬間、赤れいむCの舌と、全身に常軌を逸した激痛が走る。 「――――――――――ッ!?!?」 かっと充血した目を見開き、ぷるぷると痙攣しながら、餡子を吐き出す。 しかし、それくらいではその辛さが収まるはずも無かった。 吐けども吐けども舌が、全身が、目が痛い。体中が焼けるように熱い。 「えぅ・・・!?あぁ!?・・・うぅ!?」 動かない足で動こうと試みるが、動くはずも無い。ほかの部位をいくら動かしたところで何の抵抗にもならない。 「あぉ!?うぇ!!?・・・あぁあぁぁぁあああ!!?」 研究員を罵倒しようにもはめられた器具とあふれ出す餡子が邪魔をする。 視界は涙でぼやけ、頬は涙でふやける。それでも赤れいむCの涙が枯れることは無い。 いくら餡子を吐き出しても一向に意識が遠のいてくれない。 水分も栄養も、体内に直接ねじ込まれたチューブから送り届けられる同じゆっくりの餡子とオレンジジュースがいつまでも補い続けてくれる。 ゆっくりは餡子を失わない限り死ぬことが無い。しかし、ほかの仲間の餡子を補充されると意識が侵食される。 そして、意識が混濁し、精神が壊れてしまうはずなのに・・・赤れいむCの意識は途絶えることが無かった。 それは1週間の実験でタバスコソースによって辛いものに多少慣れてしまった赤れいむ以外の意識は舌からの刺激でショック死してしまうからだった。 そうして一切の意識を失った餡子は赤れいむCのものとして吸収され、赤れいむCを生かすためだけに機能し続ける。 「よーしっ、次は108万くらいで♪」 「―――――――ッァゥェぅぁ!?!?」 赤れいむCはショック死するか、カプサイシンそのもの(1600万スコヴィル)を用いた実験が終了し、廃棄処分されるまでこの苦しみから解放されることは無いだろう。 「おきゃーしゃん!いっちょにゆっきゅちちようにぇ!」 赤れいむAはそう言うと“おかーさん”の薄い胸に飛び込み、両腕で抱きかかえられた。 見上げると“おかーさん”は上品な笑みを浮かべて赤れいむAを見下ろしている。 「ゆぅ~・・・おきゃ~しゃんあたたきゃい・・・」 呟きながら、私服の笑みを浮かべて“おかーさん”に頬ずりをする赤れいむA。 やがて、その暖かさに包まれてうとうとと舟をこぎ始めた。 「ゆぅ~・・・ゆぅ~・・・ゆぅ?」 しばらくして目を覚ますと“おかーさん”は四つん這いになってご飯を食べていた。 「おかーしゃん、れいみゅもいっちょにゆっくちちゃべりゅよ!」 しかし、赤れいむAがご飯に近づくと“おかーさん”は前足で赤れいむAを払いのけてた。 「ゆぎゅ!?」 そして、その拍子に頭を打った赤れいむAは気を失ってしまった。 再び赤れいむAが目を覚ましたとき、“おかーさん”は壁の上を這っていた。 「ゆゆっ!おきゃーしゃん!れいみゅもかべをにょぼりゅよ!」 そういって元気良く壁にぶつかっていくが、何度やっても失敗してしまう。 それからたっぷり5分ほど壁を登ろうと努力を続けるも、“おかーさん”は羽ばたいてどこかに飛んで行った。 「ま、まっちぇよ!おきゃーしゃん!?」 そういって“おかーさん”を追いかけているときに、何かに激突して赤霊夢Aはまたしても気絶してしまった。 またまた赤れいむAが目を覚ますと“おかーさん”は踊っていた。 「れみりゃののうさつだんすだど~♪」 「うっう~♪」 “おかーさん”とほかの家族たちが手を振り、腰を振り、楽しそうに踊っている。 「ゆっ!おかーしゃん!れいみゅもいっちょにおどりゅよ!」 そういって元気良く“おかーさん”のそばに跳ねていった赤れいむAを見て、満面の笑みを浮かべた。 「う~?おいしそうなまんじゅうだど~♪」 そして“おかーさん”は赤れいむAをおもむろに掴むと口元へといざない、思い切り良く噛り付いた。 「おあーぢゃぁんゆっぐぢやべでええええ、ゆべっ!?」 「・・・・・・まさか、気絶するたびに刷り込みしなおしとは・・・」 一部始終をいとどけた研究員の男女は頭を抱えていた。 「効きすぎですね。明らかに失敗です」 「・・・はあ、社長の知人だか知らんけど一体何処の馬鹿だよ。こんなわけのわからん薬作った奴は・・・」 赤れいむDは何故か身動きの取れないままひたすら放尿を続けていた。 じょろろろろろろろろろ・・・ 「ゆぅ~・・・ちーちーがちょまんにゃいよ!」 しかも、その尿は餡子の濃度がひどく酷く粘り気がある。 赤れいむD自身は知る由も無いがそれは紛れも無く先ほど飲まされた薬品の副作用だった。 じょろろろろろろろろろ・・・ 「ゆぅ~・・・ほどぢちぇちーちーちょまっちぇくれにゃいの~?!」 服用させられた薬品というのは、ゆっくりの餡子の跳躍移動機能をつかさどる部分を液化させることでその機能を著しく低下させるものだった。 この状態から回復する方法は餡子を補給すること。 すると、その餡子が液化した部分の機能を代行し、液化したものは尿になって出て行くというものなのだ。 じょろろろろろろろろろ・・・ 「・・・ゆぅ~、きもちわりゅいよ~!」 が、何か色々と手違いがあったらしく、餡子の半分以上が液化してしまった上に、補充する餡子が片っ端から液化させてしまっていた。 じょろろろろろろろろろ・・・ 「ゆぅぅぅぅううう!どほぢでぢーぢーどばっできゅれにゃいのおおお!」 延々と水分を放出しすぎたせいで、気がつけば尿道付近の皮が溶け、穴が広がっていた。 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・ 「ゆゆっ!ぢーぢーがいっぱいでりゅよ!?」 それに比例して体内の餡子と水分の失われる速度も増していく。 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・ 「ゆぎぃぃぃいいいい!ぎぼぢわりゅいよおおおおお!」 そんな赤れいむDの様子を見た研究員達は「ああ、こりゃもうだめだ」と判断し、チューブによる餡子と水分の補充を止めた。 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・ 「ゆううう・・・おにゃかがしゅいたよ・・・」 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・ 「おみずさんがのみちゃいよぉ・・・」 じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ・・・ 「ゆ・・・ゆ、う・・・」 放尿の勢いが弱まる頃には、赤れいむDはもう死んでいた。そして、その結果を見た研究員の一人がぼやいた。 「外出するときはケージに入れるのが一番だよな、常識的に考えて・・・」 ---あとがき--- 前回の研究の2番煎じ以外の何者でもないですね、こいつは。 実験に関しては色々おかしなところがありますが、突っ込まない方向で。 (そもそも「ケージに入れろ」で一蹴される時点で話にならんわな) byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/sasaki_ss/pages/1897.html
俺達のいる目の前で、若い親子連れが、仲良く遊んでいた。小さな姉弟らしき女の子と男の子を見守る夫婦。 ここの公園は遊具施設も多く、芝生が広く貼ってあり、桜や落葉樹も多いので、家族連れが多い。 あの親子の姿はいつか俺に訪れる未来の姿かもしれない。 時計を見ると、集合時間まであと15分ぐらいである。そろそろ戻ったほうがいいかもしれない。 「行こうか、涼宮」 俺達はベンチから身を起こした。 「ねえ、キョン。人を好きになるってどういう感じ?」 戻り道、涼宮が俺に聞いてきた。 「どうって、涼宮、お前、誰か好きになったことがないのか?」 「ないわね。あたしは恋愛は精神病だと考えているから」 その言葉に、俺は思わず笑ってしまう。 「・・・・・・何笑っているのよ」 「いや、昔のことを思い出したんだ。佐々木から同じ言葉を聞いたことがあって」 「佐々木さんがあたしと同じ事を言ったの?」 「ああ」 人を好きになるという感情は、人間の通常の精神状態とは大きく異なる。普段では考えられないことをしてしま うという行動が恋愛中に見受けられるのは、根底には変化した精神状態があるからだ。 その意味において、佐々木や涼宮が言った言葉は間違いではない。 「これだ、ということは出来ないな。ありふれた回答だが人それぞれだ。好きになった奴のことがきにかかるとか 、あるいはその人のために役立ちたいとか、いろいろ思うんだろう。そして、その気持ちは人に変化をもたらす」 「どんな変化?」 「そうだな、全部が全部てわけじゃないが、自分を変えようとする。おしゃれして外見や服装が変わったり、あるい は内面が変化したりする」 「内面の変化?」 「考え方だよ。いい方向にかわることもあれば、悪い方向にかわることもある。昔読んだ漫画のセリフじゃないが、 恋愛の形が綺麗なハ-ト形とは限らないからな」 俺の話を聞いて、しばらく涼宮は沈黙していた。もうすぐ、集合場所の公園に着こうとした時、再び口を開いた。 「キョン。佐々木さんのことをあんたは大切な存在といったわね。鶴屋さん経由で国木田くんから聞いたけど、 中学時代と今のあんたは随分違うって。それは佐々木さんを大事に思う心があんたに変化を促した、そう考えて いいわけね」 俺の足が止まった。 秋風が俺の顔を撫でて、俺は首を盾に振った。 「涼宮、多分お前が言うことに間違いはないと思う」 集合場所の公園に来ると、すでに佐々木とSOS団の団員達はそこに来ていた。 「早かったな」 「何、我々も今来たばかりですよ」 古泉はそう言って、声をひそめて言葉を続ける。 「実を言えば、こちらの方はずっと喫茶店で話しをしていただけなんですよ。涼宮さんにばれたら、怒られますけど」 おもわず、俺は笑ってしまった。 「ハルにゃん、何か収獲はあったかい?」 素知らぬ顔で、鶴屋さんは涼宮に訊ねる。 「一応、興味深い物があったわ。まあまあの成果ってところかしら」 涼宮はなぜか俺の方を見ながらそう言った。 「こちらもまあまあってとこかね。いいものがみつかったっさ」 鶴屋さんは佐々木を見ながらそう言った。 「もうちょっと時間があるわね。もう一度くじを引いて、不思議探しに行くわよ!」 本日二回目の、涼宮特製の爪楊枝くじを引く。今度の当たりは誰なのか。 「また、あたしね!」 なんと、二回目の当たりも涼宮である。もう一人の当たり、涼宮とペアを組むのは誰なんだ? 「今度は僕らしい」 佐々木の手には、当たりの爪楊枝が握られていた。 古泉と鶴屋さんの笑顔が少し引きつっていた。朝比奈さんが、心なしかソワソワしている様に見える。 「それじゃ、今度は四十分後にここに集合ね」 「じゃあ、キョン。行ってくるよ」 佐々木と涼宮は、俺に手を振って、公園を出ていった。 「よりによってあの二人の組み合わせとは……」 「えらい事になったにょろ」 「だ、大丈夫ですよね」 SOS団の団員は一様に頭を抱えていた。 何を一体心配しているんだ? 「いえ、その……」 珍しく古泉が歯切れが悪い。さわやかスマイルが消えていて、少し不安げである。 「ま、まあ、古泉君。今すぐどうのこうのというわけではあるまいよ。ここは成り行き任せでいくしかないっさ」 鶴屋さんの声にも珍しく焦りの様な物がある。 「そ、そうですよね。な、何も心配する事は無いと思います」 朝比奈さんは自分に言い聞かせるように言った。 ところで、古泉。四十分という中途半端な時間、どうやって過す? 「……随分落ち着いていられますね」 さっきから何をあせっているんだ? 「あ、いえ……その……すいません、ぶしつけな事を聞きますが、貴方は佐々木さんの事をどう思っておられます?」 何だ、いきなり。えらく唐突だな。涼宮にもさっき同じ事を聞かれたんだが。 「涼宮さんが?」 ああ。だから答えたよ。俺にとって、佐々木は大切な、大事にしたい存在だとな。 「そ、その言葉を聴いて涼宮さんはどの様な反応を?」 別に変わった反応はないが。 「そうですか……」 古泉は、少しほっとしたような表情になる。 それより、古泉。おまえは涼宮との仲はどうなったんだ?人の事を心配しないでいいから、お前はどうなんだよ。 「へえ、古泉君。古泉君はハルにゃんの事が好きなのかい?」 鶴屋さんがにやにや笑いながらそう言って、古泉はやぶへびだ、と言う様な顔をした。
https://w.atwiki.jp/tesu002/pages/4395.html
下校後、二人で歩けるなんて! 二人きりで歩けるなんて、なんて嬉しいんだろう。 胸の鼓動が高鳴っているのを、梓に聞かれないか心配だ。 いや、梓もそう思っているかもしれない。 手をつなぎたい、唯みたいに抱きつきたい・・・。 でも、ここはみんな見てるし恥ずかしい・・・。 澪「な、なぁ、あずs―」 梓「先輩!私、向こうのショップが見たいんです。見に行って良いですか?」 澪「う、うん」 梓「澪先輩、どうかしました?」 澪「ど、どうもしないよ。そのショップに行こう。」 ここから道を外れたところにある公園。 大きな木が中央に鎮座している。 遊具がなく、小さい砂場だけだから、人気が少ない。 そこにいけば、梓にあんなことやこんな―って、 違う違う!なんて想像してるんだ、私は! 唯「りっちゃーん、もう帰らない?おなかすいちゃったよー。」 律「さっきドーナッツ食べたろ!しかも、私より多く!」 唯「なんか疲れちゃったぁ。尾行って、楽じゃないね。」 律「ムギはどうする?確かにもう時間が時間だし、親とか心配するんじゃないのか?」 紬「う・・・名残惜しいわ・・・けど、確かにもう帰らなきゃ・・・。」 律「よし、この話は後日あいつらから根掘り葉掘り聞かせてもらおーぜ」ニヤッ 唯・紬「おーっ」ニヤッ 梓は本当に楽しそうだった。 時折見せる笑顔は、今は私だけに向けられている そう思うと、より一層胸が高鳴った。 梓も同じ気持ちだと良いな・・・。 梓「もう暗くなってきましたね。」 澪「あ、ほんとだな。いつの間にか時間が経ってたんだな。」 梓「そろそろ帰りますか?」 澪「あ・・・じ、じじ時間あるかな?」 梓「え?あ、は、はい!」 澪「よ、寄りたいとk、とこがあるんだけどさ・・・。」 梓「どこですか?」 澪「こ、こっちなんだ。」 早歩きで歩きだす。 顔が真っ赤に火照っているのが、鏡を見なくてもわかる。 目的地はもちろん公園。 わき目も振らずに歩いていると、後方から梓の声。 梓「ま、待ってください!澪先輩!」ハァハァ 澪「あ、ご、ごめん!私、気がきかなくて!」 何たる失態。こういうときに手をつなげばよいものを! でも、今の私には梓をあの公園に連れて行くだけで、 顔が熱くてどうにかなりそうだった。 梓「あの・・・つ、繋いでください。」 澪「え?」 梓「て、手をつなぎませんか?そうしたら、はぐれませんよ?///」 き、きたぁ!梓から私の手を求めてきた! 顔はうつむいていてわからないけど・・・。 きっと真っ赤になっているのをみせたくないんだろう。 これは間違いない・・・梓もきっと・・・。 澪「じ、じゃ、じゃあ、繋ごうか!」 梓「は、はい!」 手をつないで歩調を合わせて歩く。 つないだ手を通じて二人の鼓動がシンクロする。 満ちた月の明かりの下。真っ赤な顔した二人が歩く。 なんか、また次の詩が浮かびそうだな・・・。 手をつないでから一言もしゃべらずに、目的地に着いた。 といっても、しゃべるほど余り距離がなかったのも事実だ。 手をつないだまま、鎮座した大木近くのベンチに座る。 空を見上げると、満天の星空が見える。 澪「きれいだ・・・。」 梓「え?!」 梓が数センチ飛び上がった気がした。 つないでいた手も放してしまう。 どうやら、私が梓を「きれいだ。」と、言ったと勘違いしたらしい。 あわわわ! 澪「ち、ちちちがうぞ!ほら、星空!星空がきれいだなって!」 梓「あ・・・そ、そうですよね!」 澪「あ、で、でも、梓がきれいじゃないってことじゃないぞ!かわいいぞ!」 梓「え・・・?」 澪「あ・・・。」 勢い余ってつい口に出てしまった。 訂正しようにも言葉が出ない。 何か、何か言わなきゃ・・・。 梓「わ、私も・・・澪先輩、きれいだと思います。」 澪「え?」 梓「わた、私、その・・・」 も、もしかしてこ、告白されちゃうのか?! う、嘘だ!そんな!でも、梓に言わせてよいのか・・・? 告白なら、上級生の私からビシッとカッコよく言うべきじゃないのか? うー、どうしよう・・・。 こう考えている間にも梓は次の言葉を出そうか出すまいか口ごもっている。 考えている暇は、ない。 澪「好きだ!」 梓「にゃっ?!」ピョコン 梓がまた数センチ浮いた気がした。 私の声にびっくりしたからじゃないだろう。 私が、私の口から告白されたことがきっとまだ信じられないのか、 目をぱちくりさせている梓。やっぱりかわいいよ。 澪「お、女の子同士はおかしいと思うかもしれないけど・・・。」 梓「澪先輩・・・。」 澪「私は梓が好きなんだ・・・。だめかな?」 数分の沈黙。あれ?この流れで断られるのか?そんな・・・。 と、思ったら、梓は肩を震わせてうつむいていた。 どうやら涙を流しているらしい。 梓「私もです、澪先輩!一目見たときから、澪先輩が―。」 私はそれ以上聞こうとせず、梓を抱きしめた。 今まで我慢していた分、ぎゅっとぎゅっと・・・。 3
https://w.atwiki.jp/mayshared/pages/1279.html
ラノで読む ◇一 「それじゃあ、バイバ~イ」 私は手を振り、学園大学部生を自称する男のアパートを後にした。 文化祭も終わってまだ間もない十一月初頭、早朝の冷たく澄んだ強い風にさらされ小さく身を震わせた。もう冬だなぁ。薄い雲間から差し込む眩い朝日が寝不足の目にしみ、ふあーっと大きくアクビ一つ。 西の空にどんよりとした雨雲が立ちこめていた。まだまだ遠いから降り出すとしても夕方あたりだろうけど、この後さらにぶらついて万が一雨に降られても嫌なので、私はさっさと家へ帰ることにした。 昨晩ナンパされてそのまま夜通し遊んで……顔はそこそこいいオトコだったけど、アレはあまり上手くなかったなぁ。 週末とはいえまだ人気《ひとけ》のない繁華街を通り抜け、|ヒナキんちのお店《スィーツ&ベーカリーTANAKA》がある商店街を横切る。おじさんとおばさんはお店の仕込みのためにもう仕事してるだろうし、ヒナキも休日の朝は手伝わされるって言ってたから、こんな朝っぱから遊びに行くのはさすがに迷惑だろう。 っていうか今行ったらきっとヒナキに「アヤナも手伝って」って言われるな。 私はふと無意識にゴソゴソとポケットを探り……、そういえば昨日帰宅して私服に着替えた後、|わ《・》ざ《・》と《・》学生証を携帯しなかったことを思い出す。金曜放課後から週末にかけて街で夜通し遊ぶ時は下手こいて身元バレしたくないし。誤魔化して逃げるための自己保身術(?)だ。 「まぁいいかぁ」 メールや着信も気になったが、帰宅してからでいいだろう。 ……と、ポケットの中に覚えのない紙切れが折りたたんで入っていることに気付く。広げてみると汚い字であまり見覚えのない男の名前と連絡先、そしてメールアドレスが殴り書きされてあった。これはやっぱり、さっきの男だろうなぁ。 「……あほくさ」 私は小さくため息をつくと、その紙切れを丸めて路肩へぽいっと放り投げた。 「あれ? アヤナさんだ。駄目だよ、ゴミ捨てちゃ」 不意に後ろから声かけられ、私は驚き振り向く。 その先には、片手で学生証をポチポチいじりながらもう片方の手で私に向かって「おーい、アヤナさん、おはよう」と大きく手を振る眠り姫の姿があった。……って、こんな朝早くになぜこの子が? 放った紙くずを拾おうとする眠り姫を適当に言い訳しながら制止し、私はそそくさとそれを拾い直しポケットへ突っ込む。 「ごめんねぇ。おはよー姫音《ひめね》さん。一人? 相羽《あいば》さんは?」 私はふと、いつもの保護者《あいばさん》なしに眠り姫が一人で出歩いてることに疑問を感じた。危険じゃない? この子一人でいたら。 彼女は手元の学生証の表示を見、苦笑いで小さなため息をつきながらコンソールを弄り――おそらく待ち受け画面に戻したのだろう――上着のポケットに仕舞うと、 「んー、学校お休みの朝はいつもそこの双葉公園までお散歩してるんだよ。それと、コトはまだ寮室で寝てる。休日はいつも昼過ぎまで寝てることが多い、かな」 眠り姫はへらへらと笑いながら、なんだか嬉しそうに語った。 「へぇ……平日と休日だとま逆なんだ。面白いねぇ」 「ところでアヤナさんは?」 「私!? 私は……えーとぉ」 突然こっちの話を振られて言葉に窮してしまった。「朝帰り」なんて説明するのもアホらしいし、そもそもこの子に伝わるのかなぁ? どうしたもんかと首を捻っていると、眠り姫が南東の空を見つめ、何かを指差しながら呟いた。 「ねぇ、アヤナさん。あれ……」 私は眠り姫の指差す方へ首を向ける。 そこには、数百メートル先の道路に根を張り緩やかな弧を描く七色の虹がまるで陸橋のように生《・》え《・》て《・》いた。 「ん、虹かぁ。こんな時間に珍し……って、虹!?」 私はその光景に目を見張った。地面から虹が生えてるって何だあれ!? 「うわーすごいね。私、虹の根っこって初めて見たかも。いつも空の高いところに見えるだけだもんね」 眠り姫があまりにもアホなことを言っている。私はその虹が根っこから伸びているさらに先、朝日の昇る東の空を見上げながら、 「いや待って。そもそも虹って雨上がりとか滝の近くとかの空気中に水滴が含まれる状態で、太陽を背にして空高くに見える気象光学現象のことだから。こんな朝、しかも東向きで太陽を正面にして、っていうかそもそも地面から虹が生えてるなんて常識的に考えてもあり得ない!」 ……あ。つい虹には特別な思い入れもあって、口早に蘊蓄《うんちく》を捲《まく》し立ててしまった。もしかして気を悪くさせてしまったかと眠り姫のほうへ、虹の根本へと目線を向けると、 「ねーねーアヤナさん、この虹、乗れるよ!?」 「ちょっと人の話を聞……何だってぇ!?」 私のことなど全く気にせずといった素振りで、眠り姫は地面から生えたその虹の上で嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねていた。 「あ……ありえねぇ」 私は恐る恐る爪先で虹をつついてみる。ホントだ、触《さわ》れるぞこれ。 ◇二 「…………ゎぁぁぁぁあああ!!」 突如、虹が伸びる先の東の上空から甲高い悲鳴が響き、私は慌てて虹から飛び退く。同時に 「きゃぁあ!?」 その虹を滑り台よろしく滑走《かっそう》してきた少女に追突され、そのまま後ろから押し倒される形で、前のめりに地面へと落下した。 「いったぁ……」 「ごめんなさい! 大丈夫でしたか!?」 うつ伏せの眠り姫へと馬乗りになった少女が慌てて飛び退く。初等部の子だろう、二重まぶたの活発そうなかわいらしい女の子だった。 「このまま公園まで行く予定だったのですが、友達が追いかけて来たのが見えたので……まさか虹を降ろした先に人がいるとは思わなくて……ホントごめんなさい」 私は、いかにも申し訳なさそうにモジモジとしている少女をいじらしく思い、 「えっと、お名前は?」 とりあえず訪ねてみた。しかし少女は節目がちのまま、 「……虹子、森田《もりた》虹子《にじこ》です」 「虹……? もしかして、虹の異能者だから『虹子』ちゃん?」 私の返答に虹子ちゃんは急に私を見上げ、驚いたかのように目を見開くと、 「はいっ。私が生まれた時、指にこう……リボンのように虹を巻いていたからなんだよって、お母さんに教えてもらいました」 虹子ちゃんはようやく申し訳なさというか緊張がほぐれたのか、屈託のない笑顔で話してくれた。 それが私はとても嬉しかった。私はそんな虹子ちゃんの手を取ると、 「そっかぁ。私ね『鈴木《すずき》彩七《あやな》』って名前でぇ、アヤナって漢字、七色の彩《いろど》りって書くんだけど――」 彼女の手のひらに指でそっと自分の名をなぞり、 「実は私のこの名前も、生まれた日が雨上がりでものすごくきれいな虹が空に掛かってたからなんだって、私のお父さんが教えてくれたんだよぉ」 そして彼女の手を握り、微笑んだ。 「わー、それじゃ私とおそろいなんですねー」 「ホント、おそろいだねぇ」 私は虹子ちゃんと手をつないだまま、本心から喜びはしゃぎあった。 「へぇ、アヤナさんの名前の由来ってそんななんだ。知らなかったぁ」 ……とりあえず間抜けな表情で私たちを見つめていた眠り姫のことは無視することにした。 「コラぁ! 虹子!!」 和やかな空気の中、一人の少年が息を切らしながら私たちの元へ――いや、正確には虹子ちゃんの元へかな? 駆け寄ってきた。 「あ、太陽くん」 虹子ちゃんが声をかける。太陽君と呼ばれた少年は怒っているような呆れているような、いかにも複雑な表情で、 「あ、じゃねーよ。お前またその異能つかって一人で勝手に先行ったりするんじゃねぇ! 班のみんなもあきれてたぞ!?」 「そうだ、みんなは?」 「他の四人は直接双葉公園の中央広場に向ってもらった。俺だけ先にお前の虹に沿って追いかけて来たんだよ。みんなで走るのもめんどくせーからな。ほらさっさと双葉公園でみんなと合流するぞ。……で、こっちのお姉さんは何を?」 私は太陽君が見つめる先に目線を送った。そこには―― 「……すぅ……」 さっきの虹の斜面にもたれ掛かりすやすやと眠っている姫音さんの姿。うわぁ、ちょっと目を離した隙にすぐこれか。 ひとまず私は眠り姫をたたき起こした。何事かときょろきょろとあたりを見回している。この子に関わってるのが時間の無駄だ。私は太陽君の方へと向き直ると、 「ごめんねぇ、そっちのお姉さんのことは放っといていいからね。……えっと、太陽君、でいいのかなぁ?」 私と、そして目を擦りながらの眠り姫に目線を向けられ、太陽君は困ったような照れたような表情を浮かべ指先で頬を掻いた。そこへ虹子ちゃんが、にこにこ笑顔を私たちに向ける。 「あ、こちらは私の友達で朝倉《あさくら》太陽《たいよう》くんです。太陽くんも異能者で、雨雲をどかせることができるんですよー」 「へぇ、太陽君も異能者かぁ」 「バッカ、俺のことなんて別にいいだろ! それよりもう、早く行くぞ」 名前だけならまだしも異能のことまで紹介されたのが癪に障ったのか――あ、それともこの反応の仕方は思春期特有のアレかな? 太陽君は双葉公園の方角を指さしながらまくし立てた。 虹子ちゃんは如何にも「あ、そうだった」と言わんばかりに手をぽんと打つと、私たちへと振り返り、 「うん。それじゃお姉さんたち、またね」 手を振り立ち去ろうとする。しかし、私はちょっとわけあって慌てて二人を呼び止めた。 「あ、待って虹子ちゃん。ちょっとだけその虹に乗ってみてもいいかなぁ?」 ――そう、乗ってみたかったのだ。 いい歳してそのメルヘンチックな願望を口にするのがはばかられ、言い出すタイミングを失っていたのだが―― 虹子ちゃんは再び私へと振り返ると満面の笑みで答えてくれた。 「はい! 同じ虹の名前のお友達ですもん。遠慮なんてしないでください」 「ほんと? やったぁ、ありがとぉ」 そして虹子ちゃんは、指で顎を押さえながら「うーん」と首を傾げると、 「私たち今からもうちょっと先の双葉公園まで行くんで、もしよかったら私の|虹の掛け橋《レインボー・ロード》で一緒に行きませんか?」 虹子ちゃんに聞かれ、そういえば太陽君の言葉を思い出す。単に友達内で遊びに行くのなら「班のみんなは~」とは言わないだろう、課外活動か何かがあるのかなぁ。 「二人は……あ、班行動で合計六人だっけ? 双葉公園で何か用事とかあるの?」 「はい、社会科の宿題で『班で双葉島の歴史を調べてみましょう』って」 ビンゴだった。隣で太陽君が虹子ちゃんに相づちを打つ。 「そう、自分たちの足で調べて回りましょう、ってな。さっさと終わらせて遊びに行こうってのに、こいつが勝手に……」 「むぅ」 太陽君の言葉に虹子ちゃんが唇を尖らせていた。なんとも可愛らしい。 「それじゃちょっと急ぎましょう。曇ると私の虹は消えちゃうんで……」 「あれ? でももし曇っちゃったら、その時は太陽君に雲どかしてもらえるんだよね? 異能の相性とかお似合いカップルだねぇ、このこの」 私はニヤニヤしながら冗談半分に、耳まで顔を赤らめながらそっぽを向いた太陽君を肘で軽く突っついてみせた。 「では行きましょう!」 虹子ちゃんは、眠り姫がベッドにしていたさっきの虹を一端消しさると、人差し指で徐々に広がりつつある雨雲から覗く朝日を指さし、彼女はくるりと指先を回せて見せる。すると、その指先からまるでシャワーのように、大量の粒子が涌き出てきた。 「……綺麗」 私は思わず呟いてしまった。 虹子ちゃんの指先から作りだされるキラキラと輝きだしたプリズムは、やがて空に一本の「虹」を生み出していった。 今居た住宅地から北西方向の双葉公園まで伸びる虹の上から望む双葉島は文字通り絶景だった。 朝日に照らされた綺麗に区画された町並み、幾重にも折り重なる学園の校舎群。そして人工島でありながら山や川、海岸まで整備された、自然との共存すら考慮された空間。 「うわぁ……」 私は、またしても思わず声を上げてしまった。 ビルの上階から見た景色とほとんど同じはずなのに、それまるで全く違った風景のように感じられた。 私たちはしばらくの間、緩やかに双葉公園の中央広場へと延びていた|虹の掛け橋《レインボー・ロード》を進んでいたが、不意に虹子ちゃんが、 「ごめんなさい、ちょっとここで降ろします」 と、急に螺旋を描《えが》き、虹の先端が双葉公園の南東側、遊歩道のある雑木林へと根を下ろした。 ◇三 先頭の虹子ちゃんが着地し、追うように太陽君、私の順に虹を降りた。 「いてっ」 ……最後尾の眠り姫は、上手く着地できなかったのか尻もちをついていた。ホントどんくさい子だなぁ。 「いったぁ……、えへへ、お尻から落ちちゃった」 へらへらと笑いながら立ち上がり、ジーンズをパンパンと叩《はた》いていた眠り姫。さっきからこんなんばっかで……もしスカートだったら膝とかすりむきまくってたんだろうな、この子。 「でも、虹子ちゃん達中央広場で待ち合わせてたんでしょ? そこまで伸ばしてくれてもよかったのに」 消えた虹に名残惜しみながら私は虹子ちゃんに声をかけた。虹子ちゃんは困ったような表情で空を見上げた。 「あ、そっか。曇ると消えちゃうんだっけ」 風が強いからなのか、まだまだ遠い西の空にあったはずの雨雲が案外早いペースで近づいて来ている。朝日が射し込んでいた東の空もすでにほぼ一面が薄雲で覆われてしまっていた。 「はい、途中で落ちちゃうわけにもいかないので……」 そして小さくうなだれながら「ごめんなさい」と続けた。 「なんだ、それならさっき話してたように俺が雲どかしてやったのに」 太陽君がさりげなく(?)フォローに回った。なんだいやっぱりこの二人いい関係なんじゃない? 「でも太陽くん、集中しなきゃ上手くコントロールできないんでしょ?」 「う、そんなことないぞ、たぶんお前の虹の上を滑りながらでも出来なくはなかったと思うぜ?」 「えー、ほんとにー?」 虹子ちゃんが太陽君の顔を覗きこむ。太陽君の顔はまたしても真っ赤だ。 そんなちびっこ二人に私は隠れてニヤニヤしていた。いやー、若いっていいねぇ初々しいねぇ。 「……ん?」 と、眠り姫がふっと硬い表情で首をかしげるように、雑木林の先へと目線を向けた。 「どした?」 「何か……気配がする」 「気配……何の?」 私も眠り姫の目線を追うが、その先になんらおかしい様子は感じられない。虹子ちゃんたちも顔を見合わせ首を傾げている。しかし―― 「わかんないけど、何か、いる」 雑木林の向こうに何かの影が見え隠れする。ガサガサと藪《やぶ》を踏み分けて進む音が近づいてくる。 眠り姫がちびっこ二人の手を引き小さく屈《かが》ませ、迫り来る「何か」をじっと見据えると、 「……来る」 小さくつぶやいた。 同時に、影がその正体を私たちの前に現した。 「へ、蛇ぃ!?」 雑木林から、数メートルはあるだろう巨大な蛇の頭がぬっと覗かせる。私は情けなくも大声をあげてしまった。 「蛇……ってそんなまさか……、まさかあいつがまだ!? あいつはあの時オバチャンがやっつけたはずなのに……」 「……ぃやぁぁぁあ!!」 突如、眠り姫の手を振り切り、虹子ちゃんが遊歩道の先へと駆けだした。 「ちょっ、おい虹子!?」 間髪いれず太陽君が彼女を追いかけていく。 ……と。彼らの声によってこちらに気付いたのか蛇が私たちの方を見下ろしてきた。間抜けな、それでいて威圧感のある顔。横に裂けた大きな口から先の割れた真っ赤な舌をチロチロと覗かせながら、のそのそとその巨体を藪から抜け出させ……その異様な姿に、私は再び大声をあげてしまった。 「何じゃありゃあ!?」 頭と長い首は確かに蛇そのものだった。が、肩と思《おぼ》しき突起から小さな腕をちょろちょろと動かし、そしてなにより人間のような下半身をもって二足歩行でのそりのそりと近づいてくる。 人間でもない、普通の蛇でもない、人外の存在――初めて見た、こいつが、ラルヴァ? この蛇ラルヴァがいったい強いのか弱いのか、また人を襲うタイプなのかそれとも友好的なのか。頭が回らない、まったくわからない。 学園の授業で概論や模擬戦、避難訓練などはいくらでも受けてきたが、いざ実際に遭遇すると頭は真っ白で、目も背けられないまま立ちすくんでしまう。 ……少なくともこのまま私と眠り姫だけじゃどうしようもないことは明白だった。 「アヤナさん、逃げよう。あの二人を追わなきゃ」 眠り姫に肩を揺らされ私は我に返り、 「わ、わかってる!!」 無理矢理絞り出したその返答を合図に、私たちはちびっこ二人の走り去った遊歩道へと駆けだした。 「姫音さん、足、遅ぉい!!」 「……だって、運動とか、苦手なんだもん……」 私の後を必死になって追う眠り姫は、まだ数百メートルも走っていないというのに、既に表情は崩れ息も絶え絶えで、私も決して速い方ではないにしても、意識していないとすぐに彼女を引き離してしまいそうだった。 まぁ、それでもまだ眠り姫のかなり後方をのっしのっしと走る蛇ラルヴァのほうがもっと足が遅いってのがせめてもの救いか。あいつ後ろ足で走らないで這ったほうが速いんじゃないの? 「ほら、急いで!」 私は眠り姫に檄《げき》を飛ばすと、前を行く二人を追いかけた。 遊歩道を抜け、視界が広がる。 そこにはブランコやシーソー、砂場とセットになった滑り台に丸太組みのアスレチック、そして出入り口の穴が幾つか開けられた直径三メートル程のドーム型の遊具などが設けられた、簡素な子供向け広場だ。 まだ朝早いからだろうか、単に運が良かったのかそれとも悪かったのか、ラルヴァに追われてからここに来るまで私たち以外の人とは遭遇していない。他に被害者が出ないってのはいいことなんだろうけど、同時に助けてもらえそうな人が周りにいないというのはかなりきつい。 広場へ入って見渡す間もなく、滑り台のそばにちびっこ二人を見つけ私は急いで駆け寄った。 「二人とも大丈夫!?」 「俺は大丈夫、でも虹子が……」 「……やだよぅ、怖いよぅ」 膝を抱え地面にうずくまり嗚咽を漏らしている虹子ちゃんの肩を太陽君が支えていた。 なんだろう、虹子ちゃんの怯え方は単に「ラルヴァと遭遇した」ってだけではなさそう? 明らかに「あの蛇ラルヴァ」そのものを拒絶しているように見えた。 「……追いついたぁ」 私の後ろで、前かがみに両膝《りょうひざ》を押さえ、今にも倒れ込みそうな勢いでゲホゲホとむせ返っている眠り姫はとりあえず無視しておいて……、私はそのさらに後方を見渡す。予想以上に足が遅いのか、蛇ラルヴァは先ほど私たちが走って来た遊歩道のはるか向こうにようやくその影が見える程度。しかし……。 「遅いけど、真っすぐこっちに向かって来てる。どうしよう……」 しかし、たったこれだけの距離で息も絶え絶えに疲労困憊の眠り姫と、可愛そうなほどおびえきっている虹子ちゃん。この二人を連れて無事に逃げ切れるのか……? 太陽君がなんとか虹子ちゃんを立たせようと声をかけたり手を引いたりしているが、両膝に顔をうずめたままいやいやと首を振る虹子ちゃんは微動だにせず、こりゃまいったねぇ。 蛇ラルヴァの影は刻一刻と近づいてきている。私はどうしたもんかと辺りを見回すと、 「太陽君、こっち。いったん隠れるよ」 私は虹子ちゃんを脇に抱え眠り姫の手を取り、太陽君と共に二人を引きずるようにドーム型遊具の中へと潜り込んだ。 ◇四 しばらくの間、三人がかりで虹子ちゃんをなだめすかし、ほどなくしてなんとか虹子ちゃんは平静を取り戻したようだった。 っていうか、明らかにヤバイ状況だってのにあの蛇ラルヴァの足がとことん遅いせいもあって中途半端に余裕があるというのも変な話だ。 ……と、ようやく息が整ったのか眠り姫が、 「そういえば太陽君、さっき『あいつはあの時~』って言ってたよね、もしかして、あの蛇ラルヴァと前に遭遇したことあるの?」 突然二人に尋ねる。その言葉に虹子ちゃんがピクリと反応した。 太陽君はそんな虹子ちゃんの顔をちらりと覗くと、 「……うん。二ヶ月半くらい前、っていうか夏休みの終わりころに総合グラウンドで遊んでて、そのときあいつと同じ蛇型のラルヴァに襲われたことがあって。で、虹子があいつに……その、飲み込まれ……」 そこまで言って言葉を詰まらせ、太陽君は再び虹子ちゃんへと視線を向けた。せっかく正気を取り戻したってのに虹子ちゃんはさっきよりもさらに小さくうずくまってしまっている。 しかし――、なるほど。これで虹子ちゃんが何故ここまで異様に怯えるのか納得できた。 「あの時は、大学部の学生課のオバチャンが一瞬で焼き殺して、助けてくれたんだけど……」 「……あぁ、あのおっかない眼鏡のオバチャ……オネエサンね。っていうかごめんねぇ、この子が余計なこと聞いて嫌なこと思い出させちゃって」 言って、私は二人にばれないように眠り姫を小さく蹴った。まったくこの子は、空気読めよねほんとにもぅ。 ってか、そんなことよりも……。 「なんとかしなきゃ」 この状況を打破する方法を考えないと。 現状、非戦闘系異能者が三人と一般人の私。しかもそのうち二人は初等部生だ。もうこのメンバーだけでラルヴァ相手にどうしようかと考えること自体が間違ってる。 「そうだ、誰か助け呼べば……」 ぱっと思いつくだけでも何人か戦闘系異能者の顔が浮かぶ。ポケットを探りながら誰を呼ぶべきか考え……、 「しまった、学生証持ってなかったんだった」 昨晩の自分の浅はかな思惑がこんな時にあだとなるとは。 ていうか、ラルヴァに襲われたら写メってから逃げるなんて息巻いて起きながら、実際に遭遇してみればそんなこと考えていられる余裕すらないことに気づく。我ながらなさけない。 と、余計なこと考えてないで……、 「姫音さん、さっき学生証持ってたよね? 誰かあのラルヴァ倒せる異能者を助けに呼べないかなぁ!?」 「えっと、ごめんね。電池、切れちゃった」 「はぁ!? さっき会った時にいじってたじゃん!?」 思わず詰め寄ってしまった。眠り姫は困ったような本当に申し訳なさそうな表情で私を見ると、 「昨日の夜、充電するの忘れちゃってて……、それに私、朝に散歩する時はいつもアプリ起動してゲームしたり音楽聴いたりしながらだから……ほら、途中で眠くなったりしないように、ね」 ポケットから取り出した電池の切れたらしい学生証を両手で挟み「ごめんね」と頭を下げる。 私は即座にそれを奪うと、勝手に電源を起動する……がしかし、ピピピッという警告音と共にディスプレイに『バッテリー残量が不足しています』の表示が出てそのまま強制終了されてしまった。うわなにこの子使えない。 「そっちの二人は?」 私は眠り姫に学生証を投げ返すと、ちびっこ二人のほうへと振り向く。 もう形振《なりふ》り構ってる場合じゃない。しかしこの子たちの友達に戦闘型異能者がいたとしても、まさか初等部生にそんな危険なこと頼むわけにもいかないし。友達の兄弟とか、なんとか誰か頼める人がいれば……。 しかし、 「今日の宿題は『ネットで調べず自分で見て回りましょう』って先生に言われたから、私も今は……」 「うん、俺も……」 二人の返答はなかなかに辛辣なものだった。えぇぇ、それってつまり……、 「じゃあ、まさか今、誰かと連絡とったり助けを呼んだりする手段がないってこと?」 「……えっと、あれ? アヤナさんも学生証持ってないの?」 絶望が襲う。軽くめまいがした。もう使命感も他人の目とか配慮とか何もかも全部かなぐり捨てて、この三人をおいてダッシュで逃げ出してしまいたい衝動をギリギリのところでなんとか堪《こら》える。 「あ。あいつが見えるところまで来た! どうしようお姉さん!?」 ドーム型遊具の横穴から外を覗いていた太陽君が叫ぶ。私の方こそどうしよう。虹子ちゃんもさっきからおろおろしっぱなしだ。 穴から外を覗く太陽君の後ろから同じように様子をうかがうと、蛇ラルヴァは既に肉眼で確認できる距離まで近づいてきてるのが見て取れた。 他へ行ってくれればいいのに、なぜ真っすぐこっちへ向かってくるのか……と考え、ふと蛇は視覚よりも嗅覚感知で獲物を狙うという情報を、いつだったか動物番組の爬虫類特集をヒナキと一緒に「キモ可愛い」だなんだと笑いながら見ていた記憶と共に思い出す。 あれ? それじゃここに隠れこんだのは失敗だったんじゃない? 私が悶々と考え込んでいると、唐突に眠り姫が、 「うーん、こまった、ね。……そうだ、太陽君の異能、見せてもらえないかな」 あまりに暢気なことを言い出した。この子は本当に今のすごいヤバいって事態を理解しているのかなぁ。 「なんで? 今?」 太陽君は突然話を振られ困惑気味だ。虹子ちゃんもどうして急にと不思議そうに眺めている。 私は改めてちらりとドームの外をうかがう。ついに子の遊具広場に到着してしまったさっきの蛇ラルヴァは、それでもまだこちらには気づいてないのかチロチロと舌を出しながら辺りを探ってる様子だった。 「うん、見てみたいな。お願い、太陽君」 眠り姫は太陽君の前にしゃがみ込むと、手を合わせ「ね、お願い」と再度頼み込んだ。 「しょ、しょうがねぇな、ちょっとだけだぞ」 少し照れながら、太陽君が立ち上がった。 ドームの天井はちょうど私たちの身長でぎりぎり立てる程度の高さ。その中央に横穴と同じサイズで穴が開いている。 太陽君はその穴の真下に立つと右手のひらを広げ天に伸ばし……ただそれだけだった。そのまま幾秒かの沈黙が走る。 その時、奇跡が起こった。 西の空から双葉島上空を覆いつつあった雨雲が裂け、澄んだ青空が姿を見せ始めた。 太陽君は小刻みに震える指先に苦虫を噛みしめたような表情で歯を食いしばり、それでもなおその姿勢を崩さず。そして徐々に青空が広がっていき、いつしか朝日が再び差し込むまでになっていた。 「くそっ、うまく集中できねぇけど、まぁこんなもんかな……」 言って、太陽君がどかりと地面へ腰を下ろす。頼み込んだ本人の眠り姫は心から喜んでいるようだった。 「すごいすごい、あんなに青空広がったよ」 「でも俺の能力で作った青空なんて数時間ともたないぜ?」 やはり疲れたのか座ったまま肩で息をしている太陽君が謙遜してみせる。 「そうだよ、姫音さん。確かに太陽君の異能もすごいけど……この青空に何の意味が?」 「うん、ちょっとね」 そして、私は目を見張った。 突如、眠り姫が上着を脱ぎ出していたのだ。 続【眠り姫の見る夢 -Ayana- 後編】 トップに戻る 作品投稿場所に戻る
https://w.atwiki.jp/pokest/pages/119.html
naviで指定しているページは存在しません どれだけ走ったのだろう。 喉がへばりつき、満足に呼吸をすることすら出来ないほどの渇きを訴えている。 全身が『すす』に染められて、行き交う人々の視線が痛い。 自宅へ帰るのは危険と判断したアキは、住宅街の1画にある公園へと逃げ込んだ。 程良く生い茂った雑草に身を包み、ひとまずの休息をとることにする。「くそったれ…… 仕事を辞めるからって警察にたれ込みなんかするかよ…… ちくしょうが……」 どのような生業をしていたにしても、世間から後ろ指を指されるような家業である。 自身が証拠隠匿のために消される事ぐらい、容易に想像できていた。 アキにとって予想外だったのは、『あの男』の勘が想像以上に鋭かった事である。 身を隠す前に悟られるとは思いもしなかったのだ。 自分自身の考えが、どれだけ甘かったかを知らしめられ…… その不甲斐なさに苛立っていた。「どうするかな……」 呟きながら空を仰ぐと、アキ達を探しているのだろうか…… スピアーの群が飛び去っていく様子が見える。 ここにいても、見つかるのは時間の問題だろう。「お前…… 何で逃げなかったんだ?」 ふと、素朴な疑問を懐に向ける。「……あぁ ……俺が、俺達が悪いんだよな……」 未だに震えている、そのポケモンの姿を見つめながら…… 自責の念が止めどなく溢れ出す。「謝っても、許してなんかくれねぇよな……」「いっつもこうなんだ。ガキの頃から…… 大切なモノを自分の手で傷付けて…… 捨てて……」「後悔なんかしねぇなんて、強がってばっかで……っ……」 言葉にしながら、アキは自分自身を責め続けた。 色々なモノを置き去りにしてきて、それを忘れようと強がっていた自分自身を……。 涙が、零れ落ちた。「……ごめんな、ごめん…… 俺みたいな馬鹿野郎はよ…… こんな、ギリギリになってからじゃねぇと分からねぇんだ……」「……人間みんなを嫌いになんねぇでくれ…… 世の中にはよ、俺みたいな馬鹿な人間ばっかじゃないんだ……」「ごめん…… 身勝手、ここに極まりだよな……」 確かに、あまりに身勝手な言葉の羅列だった。 あまりに身勝手ではあったが、懐に抱かれたポケモンは…… アキの瞳を真っ直ぐに見つめていた。 垂れ落ちる涙を、真っ直ぐに……真っ直ぐに……。 自身の心根をさらけ出す、小さな人間の瞳を……。 結局、その日は公園で一夜を過ごしてしまった。 これからどう動けば良いのか、アキは……考え続けていたのだが、その答えはついに出て来なかった。 登りゆく朝日を眺めながら、アキの記憶に『あの少女』の姿が思い浮かぶ。「そういや、あの女の子…… この公園で見たんだったな……」 朝露が木々や遊具を濡らす風景を眺めつつ、思い出すように呟く。 見かけて以来、夢に見続けていた…… あの少女の事を。「カラカラー、なに見てんのー?」「……っ!?」 不意に聞こえた声に顔を上げ、目の前に視線を向ける。 すると、いつの間に近付いていたのか…… アキにとって、嫌と言うほど記憶に焼き付いた姿がそこにいた。 だが、目の前にいるポケモンは…… 不思議なモノでも見るかのような瞳を向けている。「お前…… 覚えて無……」 声を掛けようとした瞬間、そのポケモンは背後から追いついた少女に抱き上げられた。「ひとりで先に行っちゃだめだよ、カラカ……ラ……? あ……」 アキの姿を見つけた少女は、カラカラを抱き上げた姿勢のままで硬直してしまった。 そのまま、互いに言葉を出せないという無言の時間が流れ……。 その静寂を取り払うかのように、少女の方から声を出した。「お怪我は…… おはようございます?」 意味不明。 ……だが、アキにとっては何でも良かった。 話し掛けるための機会を、少女自身が与えてくれたのだから。「……あっと、君…… 前にもこの公園に来てたよね?」「はいっ、朝はいっつも連れて来るんです」 変質者と受け取られても仕方ない一言だったが、当の少女は笑顔で答えた。 それからは、堰を切ったかのように少女の方から話し掛けてきてくれた。 少女のポケモン達の事や、公園で見る朝日の事を……。 ひとしきり話し終えると、少女は腕時計を見ながら…… 顔色を変えた。「……ああ、学校?」 アキが訪ねると、少女は慌てて立ち上がり、「話しに夢中になってましたよっ!? どうしょう、ごめんなさい、ありがとうございました!」 またも意味不明にまくし立てながら、笑顔で走り去ってしまった。 その後ろ姿を見送りながら、アキは懐のポケモンに囁いた。「あの子なら…… お前も幸せになれるかもな」 少女と、その横で少女に寄り添うカラカラの姿が、アキに1つの答えを出させた。 二度と、人間に対して心を許す事など出来はしない。 そう確信出来るまでに、弄び、苦しめ、絶望の淵へ追いやったポケモンが……。 まるで全てが嘘や幻だったかのように、少女に対して心を開く姿。 その姿を見たアキは、懐に抱いていたポケモンをその場に残して、公園を後にした。 軽く頭を撫でながら、『ごめんな』…… そう呟き、振り返る事もなく歩き出す。 最後の最期まで、自らの身勝手さを自覚しながら……。 あの少女に、1つの願いを託しながら……。 ページの先頭へ戻る