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706: yukikaze :2017/03/27(月) 00 47 30 遅くなりましたが投下します。 日露戦争史 第3章 第一次日本海海戦 この時代。水上艦艇による通商破壊作戦と言うものはごくありふれたものであった。 理由の第一は、索敵能力が未だ見張り員による目視が主流であったことから、よほどの数的劣勢が生じない限り、水上艦艇が敵海域内においても行動する自由が大きかったこと。 第二に、水上艦艇による攻撃を食い止めるには、最低でも同種艦艇でなければ困難であり、水上艦艇が暴れまわれるだけのハードルが低かったこと。 そして最後に、通商破壊用の艦艇が暴れまわれば暴れまわる程、敵の経済が混乱に陥り、敵側は主力艦艇を対策として使わざるを得ず、結果的に味方主力艦艇の行動の自由を増やしてくれるのである。 アレクセーエフが、装甲巡洋艦を主力とするウラジオ艦隊に対して通商破壊作戦を命じたのは、軍事的には当然の帰結であった。 そして日本海軍も、ロシア側の意図するところを十分に理解していた。 あくまで大陸を主戦場とする彼らにとって、大陸との間の兵站線構築は絶対条件であった。 そしてそれに失敗すればどうなるのか。 考えるまでもない。日本は国際社会から「ロシアに負けた」と見なされ、日清戦争後の清と同じ立場に立たされることになるであろう。 維新の生き残りというべき上層部からすれば「あの世であいつらにあわせる顔がない」心境であり、だからこそ、大久保や大隈と言った生き残りたちは「日本が独立を維持できるか奴隷になるかの分かれ道である」と、この戦争が、明治維新から続く苦難の最期の関門であると国民に訴えている。 一部のメディアが『大祖国戦争』と名付けたのも、そう的外れではなかったのだ。 もっとも・・・と、西郷小兵衛中将は、内心溜息を吐く。 権兵衛の言いたいことはよくわかるが、少しは現場の苦労も理解してはもらえんだろうかと。 そりゃあ自分だって『遠賀』事件の一件は我慢ができない。 あの一件で無残に殺された海軍の仲間達の敵を討ちたいという気持ちは人一倍強いし、ウラジオ艦隊を撃滅することで、世界から「日本侮りがたし」とアピールしないといけないことも分かる。 しかし・・・子供のお使いではあるまいし、「即刻沈めて来い」と言われて、さっさと沈められるのならば苦労はしないのだ。 確かに額面上で言えば、こちらの方が上である。 こちらは、主力戦艦と比べると砲の大きさはやや小ぶりではあるとはいえ、それでも装甲巡洋艦よりは強力な巡洋戦艦2隻と装甲巡洋艦2隻を有しているのに対して、向こうは装甲巡洋艦3隻に防護巡洋艦1隻である。 双方同じ技量で正面からぶつかれば、まあ負ける要素はない。 だが、問題は、その前提条件を達成するには、彼の率いる艦隊は力量不足であるということであった。 日清戦争以降の急激な軍備拡張により、確かに日本海軍の戦力は、ロシア太平洋艦隊とも互角に戦えるだけの戦力を構築することに成功していた。 しかし、こうした急激な艦隊拡張は、人員不足という厄介な問題を生み出すことになった。 たった10年で、艦隊の規模が日清戦争前の3倍近くなったということを考えれば、人事担当者が発狂寸前にまで追い詰められたことが理解できるであろう。 事実、陸海軍は、軍備拡大による士官不足に直面したことで、予備役将校訓練課程を帝大や私大に設立し後方部門を彼らに任せることで兵科将校を確保しようと躍起になっていた。(実際にはそれですら不足で予備役将校訓練課程を受けたものが、即席教育で兵科将校になるパターンもあった。海軍の場合は、海軍予備員制度の発展解消であったおかげで、まだ混乱は少なかったものの、陸軍においては「どうしろというのだ」と、頭を抱えることになる) 707: yukikaze :2017/03/27(月) 00 48 13 こうした事態に、陸軍は、史実のヒットラーユーゲント方式を使うことによって、迅速な戦力化を図ることと、各部隊に大火力を保持させることで「多少の用兵の硬直化なんか、大火力で相手を吹き飛ばせば何とかなるんだよ」という、実に漢らしい回答でねじ伏せてはいた(無論、日清戦争に従軍した面子から言わせれば「あの時の練達した面子がいればまだ苦労はなかったのに」であったが)が、技術職と言っていい海軍においてはそうもいかなかった。 結果的に海軍は、主力部隊である第一艦隊と第二艦隊においては、実戦にも対応できるだけの人材を確保するのことが間に合ったのだが、戦時急造艦隊と言っていい第三艦隊においては、新兵と予備役兵の混在という、技量で言えば一段下の状況であった。 特に、「ロシアに編入されてはかなわん」ということで、大枚をはたいてチリから購入した『筑波』『生駒』(史実スィフトシェア級)については、英国から回航して直に艦隊に編入されるという状況であり、艦の乗組員ですら、艦を動かすのに精いっぱいという有様であった。 にも拘らず、彼らがウラジオ艦隊追跡に派遣されたのは、ひとえに『遠賀』事件の影響であった。 この事件により、ロシアの無法ぶりが全世界に宣伝されたのは良かったのだが、同時にウラジオ艦隊は『情け容赦のない海賊集団』というイメージが喧伝されてしまい、政府や海軍に対して『一刻も早く沈めろ』という圧力が、世論から沸き起こったいたのだ。 政府や海軍もそれを無視するわけにはいかず、直ちに討伐艦隊を編成することになったのだが、彼らを確実に沈めるには、それこそ第一艦隊や第二艦隊で網を張る必要があり、そしてそれは太平洋艦隊をフリーハンドにすることに繋がるために不可能であった。 故に海軍としては、第二艦隊から装甲巡洋艦2隻を臨時的に第三艦隊に貸与すると共に、練度未熟であること承知の上で、筑波型2隻を加えることで、ウラジオ艦隊に圧力をかけさせ、彼らをウラジオに封じ込めようと考えていたのであった。 もっとも、西郷にしてみれば、この海軍上層部の見積もりは、いささか楽観的すぎると思っていた。 あの偉大な大兄や大久保さんですら「大衆というのは、ないごて『理』がわからんとか」と、本気で嘆いたように、大衆の、ややもすると感情的に動きがちな部分は、とにかく厄介なものである。 目論み通りウラジオ艦隊をウラジオに封鎖しても、今度は「それだけの兵力があるのなら何故とっとと沈めない」という風に暴走するのが目に見えていた。 更に言えば、ウラジオ艦隊がすごすごと逃げてくれればいいが、活発に動いてこちらを翻弄した場合、それこそどう暴発するかわからない。 自分の家に投石がある位ならばかわいいものだが、無責任に煽り立てることで、政府の戦争指導にまで影響が及ぶことになったら目も当てられない。 まったく・・・権兵衛に平八郎の奴、太平洋艦隊の勢力に捉われすぎているんじゃねえのか。 確かに戦艦7隻、装甲巡洋艦1隻、防護巡洋艦8隻というのは、なかなかの勢力だが、こっちは第一艦隊に戦艦8隻、第二艦隊にも装甲巡洋艦8隻、防護巡洋艦も、吉野型が第一と第二を併せて8隻、石狩型も6隻筑後型も船団護衛除いても6隻いるのだ。 つまり、こちらが求めていた、第二艦隊の装甲巡洋艦4隻を差し引いたところで何の影響もないはずなのである。にも拘らず、海軍の決定は、装甲巡洋艦2隻と筑波型巡洋戦艦の2隻であった。 畜生。どこの馬鹿野郎が仕組んだのか知らないが、それを抑えられなかった権兵衛達も情けない。 海軍幕僚部の中には「第三艦隊の連中も塩気を浴びれば背筋も伸びるでしょう」なんて発言しやがった野郎もいるようだからな。軽薄な小笠原辺りが言っていそうだな。 糞。急拡大したことのツケか。最近ではあんなお調子者ですら「猫の手も借りたい」台所事情のせいでそれなりの職につけざるを得ないんだが。 どこかでかきちんと整理しないと、ロシアの連中を笑えんくなるぞ。 708: yukikaze :2017/03/27(月) 00 48 51 西郷のこの推測は当たらずと言えども遠からずであった。 海軍上層部としては、ロシア太平洋艦隊を確実に抑える為には、第一艦隊と第二艦隊を以て対応するのが確実であり、これらの兵力を他所に転用するのを極度に嫌っていた。 故に、山本としても、そうした声を無視することは不可能であり、「西郷の力量に賭ける」と、半ば自分を無理矢理納得させつつ、第三艦隊による対応を決定したのであった。 後に『山本も東郷も、西郷の権威を恐れて冷遇した』と、言われる羽目になるのだが、少なくとも彼ら両名は、西郷に対して隔意を抱いたことは一度もない。 もっとも、西郷の「兵や下士官には慈父の如き存在だが、士官に対しては厳しい」態度に対して、隔意を抱いている士官が一定数いるのも事実であったのだが。(西郷が連合艦隊司令長官に選ばれなかったのも、こうした点が要因になったのと、もう一つは『参謀いらず』と言うほど、作戦立案能力を有しており参謀層が『西郷中将が司令長官になったら、自分達は単なる補佐役』という事態を嫌っていたというのも根底にあった。あくまで全体の和を重視した山本は、それこそ土下座してまで西郷に了解を得たのだが反面、「そんなバカどもの我儘に捉われて、一番戦の上手い小兵衛どんを登用せんとは、おはんは戦を舐めているのか」と、大久保の逆鱗に触れ、相当の不興を買う羽目になっていた) まあいい・・・。西郷は、双眼鏡を下しながら一人ごちた。 幕僚部の若手連中が進めていた『護送船団方式』とやらを採用できたのは不幸中の幸いだった。 当初は『そんなの採算は取れない』と不平満々だった商人連中も、ウラジオ艦隊の無法ぶりを聞いて、一も二もなく受け入れることになったからな。 石狩型1隻に、筑後型3隻の3個護衛隊だったか。一部の連中は『商船護衛などに』と湧き上がっていたが、商船が安全に運航できるようにするのが海軍の役目なんだ。 ネルソンのトラファルガーを夢見るのは勝手だが、海軍国家だったオランダがイギリスに負けて没落したのは、やつらの大商船団がイギリス海軍の妨害によって、まともに運行できなくなったからだ。 マハンに影響を受けるのは結構だが、艦隊決戦は『手段に過ぎない』ことを言い聞かせんとな。 西郷が、そう思いながらも、今後の対応を協議しようと、船内に入ろうとした刹那、見張り員から、耳を疑うような報告を聞くことになる。 ――右舷に艦影見ゆ。ウラジオ艦隊です その瞬間、西郷は思わずこう呟いたとされる。 「あいつら、何を考えているんだ?」 西郷から「何を考えているんだ?」という言葉が聞こえたならば、彼は嘲笑してこう答えたであろう。 「猿の艦隊を翻弄する以外何があるのだ?」 それ位、ウラジオ艦隊の『臨時』司令長官である、セミョーノフ大佐は、やる気満々であった。 もっとも、やる気があったのは、セミョーノフと一部の士官位で、大多数は「どうしてこうなった」と自分の運命を呪っていたのだが。 ではなぜこうなったのか、かいつまんで説明しよう。 まず、セミョーノフが指揮を執っている理由である。 これは簡単で、本来の司令長官であるイェーセン少将が旅順に留まっていたからであり、そして彼が留まっていたのは、極東総督府において、イェーセンが果たして自分達の謀略に賛同するか自信が持てず、それよりも野心溢れるウラジオ艦隊の参謀長のセミョーノフの方が確実であると判断されたからであった。 事実、『遠賀』事件の真相を知らされたイェーセンは、自分の艦隊が謀略の一端に加担させられたことに本気で腹を立て、太平洋艦隊司令長官であるマカロフ共々、総督府に怒鳴り込みに行ったがもはや後の祭りであった。 709: yukikaze :2017/03/27(月) 00 49 21 では「通商破壊作戦を命じられたのになぜ日本の追撃艦隊に接近しているのか?」である。 常識的に考えれば愚行と断じられても仕方がない。 相手は、戦艦2隻、装甲巡洋艦2隻、防護巡洋艦3隻であり、数の上ではロシア側が劣勢なのである。 実際、ロシア側においても、この接敵を無謀として諌めた士官もいた。 だが、セミョーノフは敢えて『会戦』という選択肢を選んでいる。 ロシアの戦史公刊では『セミョーノフの無謀な功名心故』と罵倒されることになるこの決心は、しかしながら、セミョーノフからすれば十分以上に勝ち目のあるものであった。 何故か? 彼は、日本海軍の練度は、自分達以下であると判断していたからである。 もっともそれは、白人優位説とかそういったものではない。純粋に、艦隊の急拡大に練度が追いついていないという推測から算出したものであった。 彼にしてみれば、日本海軍は「身なりは整っているが、実際には、剣も碌に震えぬ訓練不足の徴収兵」でしかなく、練度充分な自分達ならば、相手を翻弄することも困難ではないと考えていた。 更に言えば、セミョーノフが重視したのは『数的劣勢の自分達が数的優勢の敵艦隊を翻弄した』という事実であった。極論からすれば敵艦の撃沈すら不要であった。 ロシアのウラジオ艦隊の精強さを敵に見せつけることで、敵の戦意を大幅低下し、こちらの士気を上げる。 その上で通商破壊作戦を行えば、さらに効率的に戦争を遂行することが可能になる。 セミョーノフのこの主張には、懐疑的だった面々も反論できないものがあった。 少なくともこの臨時司令長官の論理に反対するには、それを上回るだけの材料を以てついでに言えば、『遠賀』事件で、少なくない数の将兵が、艦隊司令部に不信感を抱いているという事実を払しょくさせるには、こうしたアピールを行う必要があるのも事実であった。 無論、その納得は積極的なものではなく、しぶしぶながらのものであったのだが。 それでも、会戦から15分後まではセミョーノフの思い通りであった。 功名心は強いが同時に馬鹿でもないこの指揮官は、命中率がそうでもない7,000m付近を保ちながら、敵艦隊の鼻づらを抑えつつ、砲撃を加えたのである。 それに対し、日本海軍はウラジオ艦隊の機動に全くついていくことができず(『富士』と『浅間』はともかく、他の艦が艦隊としての連携を取るのに精いっぱいの練度でしかなかった)、一方的に撃たれるがままであった。 当初はセミョーノフに懐疑的だった面々も、自分達の目の前で日本艦隊が翻弄され、おまけに二番艦の砲撃が、敵戦艦の艦橋に直撃して、敵戦艦が迷走しだした光景を見れば、士気が一気に高揚するのも無理はなく、艦隊のあちこちで『ウラー』の叫び声が木霊することになる。 一方、日本側の士気は加速度的に落ちていた。 何しろ一方的に撃たれるままの状態であり、2番艦の『生駒』が直撃弾を受けて、艦隊から離脱。 『筑波』も、左舷中間砲に砲弾を受けて爆発するなど、完全に劣勢であったからだ。 それでも西郷は、終始無言であり、避退を具申する参謀を無言で黙らせると、見張り員に対して「あの一番艦の動きを知らせよ」と、命じることになる。 後に西郷曰く『人生でこれ以上ない程分の悪い賭け』と言わしめることになる賭けが始まるのは会戦が開始されて20分後のことであった。 敵が高速機動で反航戦に持ち込もうとする刹那、日本側は強引に右舷への回頭を開始。 旗艦である『筑波』が集中砲火を浴びる危険性を無視して、強引に6,000mにまで近づいての同航戦に持ち込んだのである。 西郷にとって『分の悪い賭け』なのは、旗艦に敵弾が集中するのもさることながら、敵将が逃げ出した場合、こちらの判定負けに終わることであった。 実際、西郷は、敵将がいつ進路を東から北へと変針するか気が気ではなかったとされる。 710: yukikaze :2017/03/27(月) 00 49 54 もっとも、この時の西郷の賭けは、皮肉にもセミョーノフの成功によって勝つことになる。 セミョーノフ自身は、西郷の意図を理解し、適当なところで砲撃を切り上げて、ウラジオへの帰還を考えていたのだが、なまじ上手くいきすぎていたために、周囲の士気高揚が想像以上に高まっておりセミョーノフとしても、切り上げるタイミングを失してしまったのである。 そして『筑波』に砲撃を集中させてしまったが故に、彼女を中破に追い込むも、フリーになった『富士』や『浅間』、それに吉野型防護巡洋艦である『吉野』『淀』の猛射を受け、『グロモボーイ』『リューリク』『ボガトィーリ』が次々に被弾。『ボガトィーリ』は火災により炎上するなど、砲撃を切り上げるどころか、完全な殴り合いに持ち込まれる羽目になったのである。 それでもロシア側は、『筑波』が中破し、砲撃も衰えていた事で、残りの装甲巡洋艦2隻を片付けて勝利に導こうとしたのだが、それも艦橋からの被弾にようやく立ち直り、後方から猛烈な勢いで戦線に復帰した『生駒』の砲弾が、『リューリク』に直撃するまでであった。(『ボガトィーリ』は既に避退) この『リューリク』の大破により、流れは一気に日本側に傾き、『富士』中破と引き換えに、『富士』と『浅間』は共同で『グロモボーイ』を撃沈。それを見た『ロシア』も逃走を図ろうとするも、既に5,000mを切った段階での『筑波』との殴り合いによって機関室を破壊され、最後の意地で『筑波』の前部主砲塔を歪ませるも、自沈のやむなきに至ることになる。 こうして、後に『第一次日本海海戦』と名付けられる海戦により、日本海軍はウラジオ艦隊を早期に撃滅することに成功するが、その一方で『筑波』『生駒』『富士』が中破(『筑波』は人によっては大破)という大損害を受け、第三艦隊は半年以上使えないという状況に追い込まれることになる。 海軍幕僚部や連合艦隊においては『西郷中将は戦力を消耗させたか』と、批判の声が上がることになり、ロシアでも『ウラジオ艦隊壊滅は問題だが、それでも数の上で優勢な敵の艦隊を消耗させたから、こちらの 勝利だ』という声が沸き起こったものの、伊東や東郷はそう言った声に対して「おはんらが指揮していれば負けちょったが」と、言下に切り捨て、明治天皇やマスコミにも「これで日本の船は、堂々と日本海を渡れることになりました」と、日本海の安全を宣言している。 実際、主力を失ったウラジオ艦隊は、残っているのは補助巡洋艦のレーナと水雷艇だけであり、これ以降全くと言っていいほど活動はしておらず、日本海軍はその宣言通りに、博多及び舞鶴からの大船団を出撃させ、各国マスコミに喧伝することになる。 日本海軍は、第三艦隊を半壊させる損害を払いながらも、大陸への兵站線構築に成功したのであった。 なお、最後に一つのエピソードを付け加えよう。 海に投げ出されたウラジオ艦隊の将兵達に対し、西郷が命じたのは『海の男の誇りを以て救助せよ』であった。各艦から異論反論が殺到するものの、西郷は『我らは誇り高き海の男である。その誇りを自ら汚すことなかれ。あの男達のように惨めになりたいか』という厳命の元に、悔し涙を流しつつ救助することになる。 当初は、戦々恐々だったウラジオ艦隊の乗組員も、自分達が『遠賀』乗組員と違い、虐殺されず、救助されたことに安堵の表情を浮かべることになるのだが、一部の士官はこの事に「白人だから当たり前」と、増長する態度をとった。 怒りに震える日本海軍の将兵に、不穏な空気を悟ったロシア海軍の将兵も身構える中、西郷は、増長した士官に対し『我々は海の男だ。肌の色も関係なく海の男の仁義を守る。だが貴様らは海の男ではない。 ただの盗賊だ。忘れるな。貴様らは海の男の誇りを自らの手で汚したのだ。貴様らは一生海の男を名乗れん』 と、言うや否や、士官の襟章をむしり取って投げ捨てている。 襟章を投げ捨てられた士官は、自らがどのように見られているかを今更ながらに悟って茫然と座り込み、殺気立っていたロシアの将兵も、肩を落とし泣きだす者も出ることになる。 この出来事は世界中に宣伝されることになり『サムライの誇り』として、日本軍の好意を高めることになる。 711: yukikaze :2017/03/27(月) 01 01 17 投下終了。史実よりも大分早くウラジオ艦隊追撃戦を行っています。 作中にもあるように『普通なら第二艦隊の装甲巡洋艦部隊出すだろ』なのですが、練度不十分な第三艦隊を出さざるをえなかったのは、それだけロシア太平洋艦隊に恐れを抱いていたからでもありました。 その点では、ウラジオ艦隊の通商破壊作戦というプランは、軍事的には妥当なプランでした。 東郷よりもわずかに年長な西郷が、連合艦隊司令長官ではなく第三艦隊司令長官という理由は、本文のとおり。大多数からは好かれているんですけど、士官としての役目を果たしていない面子には非常に厳しかったので、一定数の士官からは嫌われていたんですわ。 しかもそう言うのに限って、海軍の急拡大の影響で中堅どころに居座る羽目になる有様。 何ともめんどくさい話です。 ついでにいえば、第三艦隊を早期に戦力化するには、闘志とカリスマのある西郷じゃなきゃ無理という点と、国際法においては東郷が一日の長があり、列強との戦争である以上、国際法上微妙な問題が発生した時、東郷なら現場で対応できると、山本が判断した点があります。 (実際、西郷が何の異論も示さずに受け入れたのは、当人も自覚していたから) もっとも、山本も東郷も、大久保から「何を考えているのか」と不興を蒙り(史実でも東郷は大久保に留学を頼むも「平八郎はおしゃべりだから」と拒絶され、西郷に頼んで留学しています) 史実よりも彼ら二人は政治的権能を有することはありませんでした。
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58 :ひゅうが:2014/09/15(月) 09 30 27 yukikaze様ごめんなさい。先にちょっとネタを… 戦後夢幻会ネタSS――前史 「神雷 ~鹿屋1945年4月~」 ――西暦1945(昭和20)年4月13日 連合航空艦隊 鹿屋基地 「いけるかもしれんなぁ。」 「へぃ。こいつなら、いけるかもしれません。」 野中三郎は、彼を知るものにとっては極めて珍しいことに「普通の」口調で口から言葉を滑り出させた。 夜の帳もとっくに降りており、空は出始めていた雲によって月明かりが隠されている。 沖縄周辺では、(電文傍受によると)先に機動部隊をしこたまに叩きのめしたという低気圧の置き土産ともいえる分厚い雲があたりを覆っているのだという。 彼らにしてみれば「絶好の夜襲日和」である。 「しかし、あの若先生は本当に一緒に乗っているのかぁ?」 「へぃ。あれは電子機械の塊だから不具合の調整をしたいとかで。」 野中は、彼が率いる航空隊の「女房役」が侠客風にわざわざしている口調にあわせ、ちらと「機体」の横で細かく指示を出し続けている若い男を見た。 海軍技術研究本部からやってきた野上技術少尉。 帝大出のインテリで、学徒出陣に際して技術屋として振り分けられた少数派に属しているという。 そんな彼は、野中からみると「庭師」である。 根気良さではいい勝負だし、ときどきはっとするほどいい仕事をしてくれる。 何より、あの「桜」のお守りである。 「で、あたるといっているのか?」 「七八割がたは、といっとりました。ここまでしてもらっといてあたりませんはないと。」 なるほどね、要はやってみなければわからないというわけかと野中は思った。 彼らの愛機である陸上攻撃機、空飛ぶ葉巻の腹にくくりつけられている物体は、とても気難しい代物であることを野中はこの数か月で思い知っていた。 空技廠 4式特殊誘導弾「桜花」43型 腹の中に、あの戦艦大和の1.5トン徹甲弾を仕込み、胴体内のネ‐130軸流ターボジェットエンジンを用いて最大速度毎時750キロで空をかける「空飛ぶ魚雷」だ。 射程距離は最大200キロあまり。 途中を慣性航法装置によって航路を一定に、同時に搭載されている電波高度計で高度を一定に保ちつつ、弾頭の赤外線感知器で軍艦の機関から発せられる赤外線を感知すると突入態勢に移行。 「条件付け」された赤外線源に限って自動操縦しつつ突入態勢に入り、距離が3キロを切ると4基の火薬ロケットエンジンに点火し一気に最大速度850キロ以上に加速。 敵の対空砲火をかいくぐって命中するといういわば「無人攻撃機」である。 そうした便利な代物だけに、誘導装置はもとよりエンジンも、そして機体自体もこれまで数多くのトラブルを起こしている。 あるときは誘導装置が過敏過ぎて、模擬弾が見物する基地の焚火や五右衛門風呂に突っ込み、またあるときはエンジンが正常に作動せずに母機の上で火を噴き―― そうした危機に、野上技術少尉は「ちょっと直してみましょう」の一言で立ち向かった。 ときには、忙しいはずの上司である三上という名の設計主任や、エンジンを担当したという倉崎という名の技術屋を呼び出してまで。 裏を返せばそれだけ期待されているのだが。 烈しさを増す米機動部隊の対空砲火をかいくぐれる搭乗員はまだ数多く存在しているものの、それでも一回の出撃で半分近くが落とされるか被弾するようではこうしたゲデ物じみた怪物が必要なのだ。 そしていつの間にやら、野中大佐率いる通称「野中一家」、正式名「神雷部隊」は乗り組む機体を変えられ、機材を換装されて海軍の「期待の星」にされてしまっていた。 そう。中島G8N「連山」の増加試作機と先行量産型まで50機を集中するなんて暴挙をしてのける程度に。 59 :ひゅうが:2014/09/15(月) 09 31 00 一部に若干フラフラ飛ばざるを得ない一式陸上攻撃機45型(ハ44-21搭載型)を追加しているが、それでも100機以上の陸上攻撃機というのはまさに「決戦兵力」にふさわしい。 最古参搭乗員の一人など、「マレー沖以来ですね親分」とはしゃいでいるほどだ。 「ま、なるようになるか。」 野中は、上が決めたという沖縄にすべてをつぎ込んでの「決戦」の裏の目的を思って乾いた気分になったが、それでもまぁ「戦力の集中」という点で悪くはない。 本土決戦というトチ狂った主張をする連中から少しでも戦力を取り上げ、ことに九州から関東にかけての航空戦力を消耗させる。 お上の言葉を針小棒大に使うという陸式じみたことをしてまで。 それを説明しに来た阿部という名の大佐のいう通り、海軍は勇壮に戦って沖縄を救わなければいけないのだ。 野中は踵を返した。 行こう。皆と敵が待っている。 ――海軍第721航空隊 通称神雷部隊は、この日最初の「夜間空中雷撃」を実施。 ジョン・マケイン提督率いる空母機動部隊のピケットラインの向こう、距離200キロから98発の「桜花」を発射した。 結果は慄然たるもの。 轟沈こそエセックス級空母2にとどまったものの、沖縄海域の空母15隻あまりのうち実に9隻が飛行甲板を叩き割られて中破以上の大損害。 護衛艦艇も重巡ロサンゼルスを筆頭に、できたばかりのアトランタ級軽巡ツーソン、駆逐艦8隻が轟沈してしまう。 さらには翌日からも繰り返される航空攻撃の結果、米機動部隊は一時的に作戦能力を喪失。 連合艦隊はこの機を逃すことなく「天1号作戦」海上作戦を発動し、豊後水道から沖縄への突進を開始した。 「天佑我らの手にあり。全艦突撃せよ。」 ――かくて、伝説がはじまる――
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973 :earth:2011/12/11(日) 19 37 35 アメリカの動きについてのネタです。 平成日本は並行世界の覇権国家である日本帝国と平成世界の覇者であるアメリカ合衆国という二つの有力国を 味方にしていた。このため在日日本帝国軍、在日米軍の2つが共存するという事態になっていた。 「帝国本国と直結する時空ゲートがある以上、日本列島、最低限ゲート周辺は守りを固めなければならない」 日本帝国政府は時空ゲートの死守を掲げていた。 だがそれは有力な海軍国家が日本列島に陣取ることに他ならず、平成世界のアメリカは神経を尖らせていた。 ホワイトハウスやペンタゴンでは連日会議が開かれて、帝国への対策に頭を痛めていた。 「昭和世界の日本帝国軍は、総数では我が軍よりも少数です。しかしその質は侮れません。 戦えば我が軍の勝利は揺るぎませんが、引き換えに我が軍も大きな打撃を受け、我が国の世界戦略に悪影響が生じます」 「むむむ……」 アメリカ政府高官は軍人の報告を聞いて頭を抱えた。 自国に再び挑戦できる海洋国家の出現は彼らにとって大きな痛手だった。加えて現在、アメリカは経済的に苦境に 立たされている。中国が日本帝国軍の反撃で大打撃を受けて政情と経済がさらに悪化したことも経済の低迷に拍車を掛けた。 現状では軍事費の増大は避けたいというのがアメリカ政府の本音だった。 「だが必要以上に日本帝国の影響力が拡大するのは好ましくない。 ただでさえ日本帝国の姿を見て、鼻息を荒くする者もいる。日本人が再び自立すれば面倒なことになる」 「我々は前世紀の太平洋戦争の歴史を繰り返す愚は犯したくない」 彼らは日本を侮っては居ない。むしろ日本が太平洋におけるライバルとして復活することを恐れていた。 「とりあえずこの世界の日本と、昭和世界の日本が本格的に手を組む事態は避けなければならない」 「マスコミを使った離間工作は必要でしょう。CIAを使って日本政府への工作も進めます」 「あとは日本帝国との関係強化だ。彼らが欲しているゲートの安全確保が成されれば妥協の余地もある」 「それにあの並行世界は人口も少なく、資源地帯としての価値も高い。日本帝国と友好関係を樹立する価値はある。 たとえ、並行世界の合衆国を滅ぼした国であってもだ」 超大国アメリカは色々な陰謀と並行して日本帝国との関係構築を進める。 990 :ひゅうが:2011/12/11(日) 20 16 13 ――西暦20XX(昭和XX)年8月 日本帝国 相模湾 「それでは、皆さま、前方をご覧ください!・・・連合艦隊第1艦隊の受閲艦艇群です! 先頭は、先ごろ改装が完了した戦艦『大和』!! 上空を通過しますのは、厚木基地所属の超音速「戦略」攻撃機『天山』編隊です!!」 親閲部隊の旗艦をつとめる超大型空母「大鳳」の艦上から歓声が起こる。 基準排水量8万トンを超える巨大な空母の艦上では、第1種軍装に身を包んだ帝国の国家元首と、それに説明をする嶋田首相の姿が見える。 それを取り巻くように、一般から公募された観客と、各国の軍人が甲板には並んでいた。 甲板に係留された最新鋭の超音速ステルス戦闘機「陣風」や多目的攻撃機「惑星」を前に記念写真を撮る家族連れも多い。 しかし、その中にあって顔色が悪い人々がいた。 「おい見ろよ・・・F23のような高性能機が量産されて艦載化されてるぞ・・・」 「最大速度はマッハ3.5以上か――どこのSR71だよ。」 「おい、今上空を通ったのって・・・」 「デルタ無尾翼で最大搭載量25トン・・・戦略爆撃機なみか。一機あたり12発の超音速対艦ミサイルを搭載して対艦攻撃?対艦弾道弾搭載も可能?――悪夢だ。」 「しかもB2もどき安価に量産して100機以上も保有か。哨戒機という名の攻撃機だぞこれは――」 男たちは、観艦式に招待された「向こうの世界」の米軍軍人たちである。 それを知ってか、周囲の目は厳しい。 それがこちらの日本人たちの向こうの米国への見方だった。 それはそうだろう。誰だって、祖国に核を投下した挙句さんざんやりたい放題をしている国に好感を抱くはずがない。 「続きまして、対弾道弾迎撃演習に移ります!想定状況は上空から落下してくる対艦弾道弾16発と、500キロ彼方から発射された対艦ミサイル780発が全方位から五月雨式に飛来するものです!なお、特別にレーザー砲には着色を施してあります。本来はレーザー砲は一発あたり200ミリ秒の照射でありますが――」 「戦術レーザー砲が標準装備?何の冗談だ?」 「弾頭は高速機動?対艦弾道弾?・・・ズムウォルト級でも対応できるか?」 「無理だな・・・それにあのアンテナ見てみろ。あれはアクティブステルスだ。早い話、この巨大空母もそれを取り巻くあの2万トン級超大型イージス巡洋艦も、冗談のような巨大戦艦も・・・ステルス艦ってことだ。」 「しかもこれを惜しげもなく公開・・・か。これが原潜などの秘密兵器になったら――」 男たちの顔が土気色になる。 「大統領に伝えよう。――軍事的オプションを利用した解決は、日本帝国海軍に限っても不可能です・・・と。」 彼らの視界の隅で、技術供与が為されると知って無邪気に喜ぶ旧自衛隊の将官たちを、男たちは殺意をこめて睨みつけた。
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831 :ひゅうが:2012/07/08(日) 03 52 17 ※ earth閣下が新作を投稿された嬉しさのあまり続きを考えていたらこんなのができてた。な…なにを(ry とりあえず悪乗りしたネタです。 銀欝伝ネタ――クロス悪乗りver 「彼らは来た」 ――宇宙暦796年10月1日 銀河系ペルセウス腕結節部 中央バルジ「グレートウォール」宙域「連合艦隊」 宇宙が白い。 ラインハルト・フォン・ローエングラムは溢れる星を胸いっぱいに吸い込むような気分になりながら微笑した。 この銀河帝国「統合軍」所属の機動要塞「フリードリヒ4世」の司令室は宇宙戦艦のそれと同様の全天モニターで構成されているため彼がかつて星をかけていた白い戦艦の乗り心地とほとんど変わるところはなかった。 何しろこの巨大戦艦ときたら、全長50キロを越える球体構造の後部にこれまた巨大な縮退エンジンを搭載したような怪物だ。 日本帝国が誇る三菱造機が作り上げた高性能縮退機関を贅沢にも6基(炉心は12基!)も連結したエンジンは快調に動作しており、速度はかつての高速戦艦に匹敵するかもしれない。 彼は上機嫌といってよかった。 「ご機嫌ですね。閣下。」 「そう見えるか?アンスバッハ艦長。」 「ええ。たいそう。」 ふむ。と若き司令官は思った。 「なら、この光景が理由だろうな。卿も思うだろう。『ごっつい』光景だと。」 確かに。と黒髪の男は苦笑した。 この旗艦を筆頭に、ラインハルトが率いる主力部隊は機動要塞25隻という結構な数だ。 うち10隻はここ数年で相次いで就役した新造艦だし、残りもかつては要塞だった経歴を持つ。 軍艦としては微妙という評価を受けがちではあるが、その分防御構造はいわゆる「完全防御」。諸外国のそれに引けを取るようなものではない。 それに、とラインハルトは思った。 建造途上で強奪され、同胞相撃つという悲惨な事態に至ったとはいえ実戦経験はあの日本人たちよりよほど自分たちの方が多い。 「銀河帝国臨時議会政府」と名付けられた中央官僚たちと辺境「革命軍」の寄りあい所帯に実務派かつ開明派な中小貴族や本当の意味での大貴族たちを加えたものとはいえ、10年ほど前までは同じ艦首をならべてイゼルローン回廊の彼方を見つめ続けてきたかつての「帝国軍」はその真価を発揮し得るはずだ。 だからこそ、徹底して実戦畑の提督といわれる自分がこの「陽動」の任を引き受けることになったのであるしそれを「政府」も分かっている。 「閣下。」 機動要塞を取り巻く大艦隊、それも総数60万隻に達する汎用戦闘艦――半数以上は銀河系内郭国家連合諸国からの無償貸与艦である――に思いを巡らせてようとしていた彼のもとに、参謀長が報告文に見える「ペーパー」を持ってきた。 この作戦に間に合わせるために義体化した人々の一人として実は立体映像であるそれを渡す仕草は堂に入っている。 「前衛艦隊の『ブラウンシュバイク』より報告。敵影見ゆ。数は52億ほど。グレートウォールを抜けてこちらへ向かいつつあります。」 「予定通りだな。」 ラインハルトは腕を組んで、そして解いた。 「ヤン提督らは敷設を終えていたな?」 くどいようだが。と彼は問う。 832 :ひゅうが:2012/07/08(日) 03 53 00 「はい。予定通り3度同文の連絡が入っています。ハロ外延部における相転移スレイブジェネレーターの敷設は完了。予定通り中央総軍に合流すると。」 「よし。」 彼は指揮席に自身用の高密度光ファイバーケーブルを置くと立ちあがった。 「銀河中心殴りこみ艦隊に至急電。『天岩戸(あまのいわと)開く』。敵は我々の陽動に引っ掛かったぞ!!宇宙怪獣どもに目にもの見せてやれ!!」 ――宇宙暦794年初頭…緊張状態にあった銀河でひとつの実験が行われた。 銀河帝国に対する反乱勢力が没落しつつあるフェザーン商人たちと謀って企てた新技術の実用化実験。 その名を「超重力爆弾」というそれの起爆実験は無残な失敗に終わった。 辺境宇宙に巨大な重力特異点を出現させた彼らは、その後焦って反乱をおこし銀河帝国を内乱状態に陥れた…はずだった。 しかし、彼らは気付いていなかった。銀河中心核近辺に眠る「かつての超文明の遺産」たちが胎動をはじめ、「銀河存続の脅威」への大攻勢を企てていたことを。 同年末、内乱への介入を検討し始めていた銀河系内郭国家連合は開拓中であったペルセウス腕辺境部で奇妙な「宇宙生物」に接触する。 同時期、内乱がこう着状態に陥っていた銀河帝国辺境部にも「それ」は現れていた。 そして…ワーストコンタクトを経て「それ」は人類に襲いかかったのである。 宇宙怪獣。そう名付けられた「奴ら」は何もかもが桁違いだった。 まず数が数万から最大で億を越える。しかも全長1キロを越えて生身で超光速航法を行えるような「生物」だ。 防衛線を構築した内郭の諸国家はともかくとして銀河帝国辺境部やフェザーンなどの混乱の中にある星系は宇宙怪獣により星を超新星化させられ次々にその大地を失っていった。 ここに至り、人類は休戦を選択。 事実上の列強諸国筆頭となる日本帝国からの無尽蔵ともいえる援助や戦力をもってある「緊急避難的な計画」を実行に移す… 総兵力400万隻以上の汎用戦闘艦と40隻に達する巨大な移動要塞(戦艦や航母だけで)群は、自由惑星同盟と銀河帝国が保有する戦力の大半と自国の3分の1の兵力を投入した囮と呼応し銀河中心核「いて座A星」への殴り込みを敢行する。 携えるは超大型大質量ダンパーたる巨大惑星とそれを取り巻く巨大空間破砕装置群。 波動関数収束・確率変動技術という禁忌すら投入してまで作り上げられた「破砕装置(バスターマシン)」を用い、銀河中心核ごと宇宙怪獣たちを蒸発させる。 そしてその作戦は今まさに佳境を迎えようとしていたのであった。 「人類の興廃、この一戦にあり!各員の奮励努力を期待する!!」 奇しくも同時刻、数千光年離れた銀河中心部において黒髪の総司令官が発していたのと同じ言葉をラインハルトは発した。 ネタ――「銀欝世界にトップ世界の宇宙怪獣がやってきたようです」 つづかない(笑)
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530 :影響を受ける人:2016/07/30(土) 22 00 28 この作品にはTS要素が含まれています。 オリキャラ化が含まれています。 最低系である最強要素があります。 それでも良い、という方のお読みください。 使用設定 ワールド・ウィッチィズ【偽】 九曜葛葉(くよう・くずのは) kuzu no ha・kuyou 年齢385歳(1944年時点で) 1559年 0歳 嶋田転生するも記憶無し。 4歳 記憶復活に伴い床にふせる。 5歳 ウィッチとして修業開始。 9歳 初実戦にて、初めて人(妖怪)を殺す。 10歳 初飛行。 14歳 見合い相手と出会う。 のちの夫。 16歳 夫と結婚 長女を授かる。養育の為、一線を離れる。 19歳 不老長寿になり、人間に戻れなくなる。 20歳 次女を授かる。 21歳 長男を授かる。 23歳 本能寺がおきて救出に向かう。 36歳 夫、流行病にかかり他界。 ××歳 子供達の記憶を封じる。記録なし 1937年 378歳 夢幻会に正体を明かす。この時夢幻会の影響率は、陸軍海軍共に上層部70%から60%を占めると予想されてい る。 1938年 379歳 扶桑海事変発生。 8月20日 陸軍所属加藤武子中尉の作戦を、夢幻会所属メンバーが支持し、テコ入れでアドバイザーとして出席していた 竹井元大将に賛成により可決する。あげられた作戦を骨子とし、作戦を仕上げる。 8月31日 連合艦隊の大部分を動員しての迎撃作戦展開。戦闘開始。 強制未来予知により、迎撃中の敵が“囮”であるのを感知、迎撃に出る。 超大型ネウロイと交戦中、夢幻会と対立してボイコットをしていた戦艦部隊と遭遇、新型砲弾による偶発的砲 撃を受ける。 負傷後、我が身を省みない攻勢により超大型ネウロイを撃破。残敵を軍に任せ撤退。 帰還し報告後、半年の休眠状態に入る。 同年9月、海軍の大粛清が始まる。及び軍学校の見直しにより、一時軍備が遅れる。 休眠中、エイラ・イルマタル・ユーティライネン(9歳)と夢の中で出会う。 休眠後、エイラ能力覚醒後まで夢で会う事は無い。 1943年 384歳 自殺未遂。仲間と子孫(エイラと芳佳(次女憑依))の説得により、死ぬまで生き続けることを決意する。 身長:171㎝ 誕生日:9月24日 愛称:白天九尾(地方により呼び名がある。関東ではこの呼び名。) 出身:扶桑国京都 所属:侍従長兼護衛官 階級:無し 使用武器 変化前 術符・刀剣 変化後 無し 使い魔:白い九尾狐(上位の使い魔。) 固有能力 変化前 未来予知(エイラと同じ。) 変化後 未来予知(エイラと同じだが封印。反動で、身近に起きる大災害を、強制的に見せつけられるようになる。応用で遠視も、透視も可能になった。) 念動力(バルクホルンと同じだが、触れずに動かすことも可能 100tまで計測) 全属性(火・雷・凍結・風等々を起こすことが可能。しかし毒といった特殊なものはできない。) 完全制御(魔力による微細な制御も容易にできる。レールガンの要。遠視と組み合わせれば、顕微鏡のように見ることも可能。) 治療魔法(キズ関係ならば完璧に治せる。腕があるならばくっ付けることもできる。しかし、病気や解毒の治療はできない。) 封印魔法(文字通り封じる事が出来る。基本的にシールド魔法の応用。) 飛翔魔法(天狗の下駄を使用して覚えた。移動に超便利。) 魔力無限(尽きない魔力。しかし疲労は別。) 分体生成(式神のようなモノ。魔力の込め方により、分体の能力は変わる。) 魔力整形(例として防御魔方陣を圧縮したり、引き延ばしてブレード状にしたりする。) 覚醒制御(半獣モード、通称ガロンモードになったり、本気モード、通称巨獣モードになる) 以前出てきたネタを設定として作ってみました。 闇九曜さんは分体です。 ですが、九曜さんとは似て似つかないないほど残虐非道です。 九曜さんは過去に使い魔と魂を融合しそうになり、強引に主導権を握って使い魔を“取り込み”ました。 結果、不老長寿で魔力無限、人間に戻れなくなりました。 しかし使い魔としての本能・・・野生本能を主とし、普段は抑えている闘争心・残虐性が表に出てきたのがこの分体【闇九曜】です。 【黒曜】でも可。 基本的に九曜さんが意識を保っている間は出てきません。 そして、九曜さんの事を尊重して動きます。なので、敵対等をしなければ気のいい大人なお姉さんです。 でも、三輪さんの事を知ったら・・・・・・ ネタ42 541 :影響を受ける人:2016/07/30(土) 22 37 22 修正点 すみません、忘れていました。 主に九曜さんが攻撃を受けたのが戦艦に変更になった事。 砲撃犯人を昇格させて、事実作りをしたことです。 後はちょっと文章を変えただけで、内容は変わっていません。 失礼しました(眠い・・・ ネタ42で設定変更があったため改訂版に差し替え
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ひのまわりおうこく ムー大陸第二文明圏の都市国家。人口は20万人程。首都はハルナガ京(*1)、国王はタケチノキミ。 主産業は農業で、工芸品の輸出や出稼ぎで外貨を獲得している。 ムー転移に巻き込まれたヤムート人(要するに古代日本人)使節団の末裔により建国されており、日本人とは極めて長い年月と次元により隔てられた同胞ということになる。 ムー人や現地人との混血があまり進んでいないと思われ、黒髪で顔付きも現代日本人と大差無く、言語も日本語と親和性がある。 ムーとしても、同じ世界から転移してきた友好国国民の国であると言う思い入れが強く、ヒノマワリ王国がレイフォルの属国だった時でも友好関係を維持していた。 レイフォル滅亡後に独立するも、バルチスタ沖大海戦の後にグラ・バルカス帝国の圧力に屈し、「国民を飢えさせないこと」を条件に属国になる。 その後、ムー侵攻の最前線に位置づけられ、国境付近にバルクルス基地が設置された他、ハルナガ京にも王城直近に帝国外務省、貴族街直近に駐屯地や飛行場等の軍主要施設が設置される。 第二次バルクルス基地攻撃により同基地が陥落すると、グラ・バルカス帝国陸軍残存部隊はハルナガ京まで後退、帝国外務省庁舎内に司令部を構えている。 帝国が降伏時の条件を覆し、補給途絶に備えて食料流通を抑えて食料備蓄に回したため、ヒノマワリ王国は国民から餓死者が出る程の深刻な食料不足に陥っている。 ヒノマワリ側が食料不足を抗議すると、征統府側は王女3人に暗殺部隊を差し向け、更に王と王子達を幽閉した結果、実質的な併合状態に陥る。 グラ・バルカス帝国連合艦隊壊滅後、日本は旧バルクルス基地近郊に新たに飛行場を建設し、そこからレイフォリア沖に展開するグラ・バルカス帝国艦隊を攻撃する事を計画。 その前段階として、新バルクルス基地の安全を確保するためムー及び第2文明圏連合軍と共同でヒノマワリ王国解放作戦を実施、F-2の夜間精密誘導爆撃とAH-64Dの夜間対地攻撃を行った上で、第2文明圏連合軍とワイバーンの掩護を受けて降下した第1空挺団が司令部を包囲、統治軍を降伏に追い込み、ヒノマワリ王国解放に成功する。 登場人物 政府関係者 フレイア-第3王女 関連項目 登場国家|ムー大陸|グラ・バルカス帝国 ※既存のコメントに返信する場合、返信したいコメントの左側にチェックを入れて下さい。 過去のコメント 住民の先祖は、ムー転移時に滞在していたヤムート人らしい。 そのため、言語や文化に日本との共通性があるらしい。 - 名無しさん (2020-02-24 02 03 38) 日本の古代史を書き換えるような貴重な資料や伝承などが残ってる可能性があるね。 - 名無しさん (2020-02-24 06 11 14) 古代日本人が建てた国。つまり日本にとって遠い親戚って事か。 - 名無しさん (2020-02-24 02 27 20) 初登場がグ帝降伏シーンだったから、てっきり尻に火がついているからヒノマワリ王国だと思ってた。 - 名無しさん (2020-10-15 21 51 44) 古代の日本人が建国した国家って、そんな情報どこにあった? - 名無しさん (2020-10-18 18 51 06) 小説版6巻の用語集に当時のヤムート使節の生き残りが作った国家で、言語も日本語の親和性がありと説明があるよ - 名無しさん (2020-10-18 19 30 24) ありがとう、確認した。 - 名無しさん (2020-10-18 20 13 31) グ帝の懲罰軍が全滅、似た立場のリームが壊滅した。今後どうなるかな? - 名無しさん (2020-10-18 20 50 01) 最新話によると、やはり碌でもない扱いを受けていた - 名無しさん (2020-11-03 22 36 41) 最新話だと、攻撃を受けかねないみたいだが。 - 名無しさん (2020-11-04 01 38 47) フレイアたん日本留学でしょうか - 名無しさん (2020-11-04 12 16 18) 王女の名前が全然和風じゃないけど1万年以上も経てば古代日本とかけ離れた文化になっていてもおかしくはないか - 名無しさん (2020-11-04 16 02 48) 同じ大陸のムーは混血しまくって多種族国家になってるくらいだ。当然文化も混ざりまくって多文化になってるだろうな。 - 名無しさん (2020-11-05 13 23 13) みのろう氏曰く、ヒノマワリ王国民は太陽用語周りを元にするらしい - 名無しさん (2020-11-05 18 02 07) このご時世さすがにコロナさんは出てこないよね - 名無しさん (2020-11-06 08 43 21) 多分だけどムーや移転先の文化に影響されたのが大きいかと。朱に交われば何とかって… - 名無しさん (2020-12-24 10 06 03) 食料自給率は高くないらしく、首都駐留のグ帝軍が食糧徴発したために住民が飢えに苦しんでいる - 名無しさん (2020-11-07 07 12 14) 地図を見ると、首都はバルクルス基地のすぐ近くに位置する。(30kmくらいか) バルクルス基地が陥落したたため、事実上の最前線になっていると思われる。 - 名無しさん (2020-11-07 07 18 08) 日本は極力ヒノマワリ王国に被害を出さないようにするだろうけど、ヒノマワリ王国側から見れば今後どんな目に会わされるか、戦々恐々だろうな。 - 名無しさん (2020-11-07 12 12 55) ポジション的には日本版アニュンリール? - 名無しさん (2020-11-18 15 08 11) さて、ここが実は日本との関わりが深いと知ったダラスの運命やいかにw - 名無しさん (2020-11-18 22 32 31) 都市国家なんですかね?地図を見る限りムー大陸中央の国がそうなんでしょうが、いくらなんでもあの大きさで都市国家というのは無理があると思います - 名無しさん (2021-03-05 18 26 17) ムー大陸中央部の空白地帯全域がヒノマワリ領というわけではないよ - 名無しさん (2021-03-06 03 14 10) 住民結構な数空爆されたけど、はてさてどうなることやら。とりあえず暴走した兵にはなんらかの処分は下るのかな? - 名無しさん (2021-06-05 02 12 20) 名前 ここを編集 〔最終更新日:2021年07月04日〕
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612 :yukikaze:2014/07/19(土) 00 25 52 なんかもう止めるべきかねえと思いつつも、一応これについては 責任もって終わらせるのが筋なんだろうねえ。 戦後夢幻会ネタSS――前史「彼らは来た」 7 煉獄 1944年11月1日正午。 この時、未だレイテ湾の奥に遊弋していたアメリカの大船団は、狂乱の渦に巻き込まれていた。 つい先日までは、フィリピンを解放する正義のガンマンとして意気揚々とレイテに揚陸した彼らであったが、実は自分達が海の悪魔であるリヴァイアサンによって蹂躙されるだけの存在でしかなかったことを理解せざるを得なかったからだ。 この時レイテ湾にいたのは、船団の7割近い数の輸送船団に、2個軍団12万人もの陸兵。 その殆どが無防備な姿でその身を曝け出しているのだから、その状況に歓喜するなと言う方が無茶であろう。 これだけの規模の船団と陸兵が失われた場合、フィリピン作戦どころか今後の対日戦スケジュールすら根底から崩れるのである。 だからこそ、生き残った偵察機部隊によって状況を知った宇垣提督は、絶望的な気分で最後の抵抗を示そうとするキンケイド艦隊を見つけると、即座にこう命令を下した。 『蹂躙セヨ』 ある者は嬉しさのあまり口笛を吹き、ある者は獰猛な笑みを浮かべながら、文字通り最大船速をもって敵艦に襲い掛かった。 この時、キンケイド艦隊に残っていたのは、軽巡<ナッシュビル>を除けば、駆逐艦4護衛駆逐艦8隻であり、昨日からの戦果に意気天を衝く連合艦隊を相手にするには、時間稼ぎにもならない代物であった。 せめて護衛空母群がいればまた話は違っていたかもしれないが、5つに分かれていた護衛空母群の内、2個は26日から29日までの空爆により弾薬が損耗したことで、ウルシー環礁に引上げ中であり、1個はフィリピン北部を空爆中で間に合わず、1個は前日の無理な攻撃が祟って戦力は回復できず、そして最後の1個はサマール沖で破壊神によってスクラップにされていた。 今更ながらにキンケイドはハルゼー艦隊が何の役にも立っていないことを嘆いたとされるが、無い袖は振りようもなく、更に彼のその嘆きもそう長くは続かなかった。 会敵から15分後。最後の砦を悠々と踏みつぶした宇垣艦隊は、ついにその目前にレイテ湾を見ることになる。 ここに来るまでの間に、武蔵は20ノットにまで速度を低下させ、<三隈><筑摩><妙高>も損傷を受けるなど、徐々に徐々に被害は蓄積されていたものの、もはやそのようなものは関係がなかった。それを補って余りあるものが目の前にあるからだ。 日本海軍の勝利と栄光。それはもはや約束されたものとなった。 そして旗艦大和が、勝利を宣告するかの如く、最後の電文を全ての通信帯に向けて発信した。 『天佑マサニ我等ノ手ニ有リ、全艦突撃セヨ』 613 :yukikaze:2014/07/19(土) 00 26 33 その瞬間、レイテ湾は煉獄へと変貌した。 必死になって逃げまどう輸送船団を猟犬のごとく追い回す水雷戦隊。 絶望的なまなざしで高角砲を打つ大型輸送艦に、無慈悲に20センチ砲を放つ重巡部隊。 そして、弾薬やガソリンを満載した艦に、大口径砲を叩き込むことで、その船のみならず周囲を巻き込む大火災や大爆発を何度も現出する戦艦部隊。 破壊と殺戮の宴はレイテ全体を覆い、そこから逃げ出そうともがく船団は、あるものは駆逐艦に万遍なく砲撃を受けてボロ雑巾のように沈められ、あるものは重雷装艦による魚雷攻撃によってまとめて漁礁に任務を替えられ、不運なものは友軍同士の衝突によって身動きが取れなくなったところを、大和の主砲で消し飛ばされていた。 彼らから立ち上る黒煙はレイテ全体を覆いつくし、皮肉にも、味方の航空攻撃があったとしても視界不良により困難な状況になる程のものになっていた。 そして煉獄は、レイテ湾から近辺の陸地へと拡大しつつあった。 ある程度輸送船の数を減らしたところで、戦艦部隊は持てるすべての通常弾と三式弾を大量の物資と逃げまどう兵隊でひしめき合う海岸とその近辺のジャングルめがけて叩きつけた。 戦艦6隻。46センチ砲18門 41センチ砲16門 35.6センチ砲16門。 その圧倒的な火力が、碌に防護陣地も遮蔽物もない箇所に打ち据えられたのである。 これを地獄と言わずして何というのであろうか。 戦後、生き残ったアメリカ兵の多くが、この猛烈な艦砲射撃にトラウマを覚え、酷い者は少しの物音でもパニックを起こすようになるのだが、それも無理はないと言えるものであった。 大和の一斉射で1個歩兵中隊が根こそぎ吹き飛ばされる光景を何回も見せつけられては、トラウマになるなという方が無理である。 おまけに、物資の誘爆やジャングルへの零式通常弾や三式弾による火災発生は、ジャングルに避退した米兵を火炎地獄によって焼きつくし、更に海風と熱風により火災旋風が発生し沿岸部を蹂躙するという、両軍ともに全く想定していなかった事態までおこり、米軍の被害は加速度的に上昇することになる。 午後2時30分。一方的な砲撃を終えた宇垣艦隊は、小沢機動艦隊がその囮としての役目を果たした事を知り、燃え盛るレイテを後にブルネイへと帰還することになる。 3万人ものかつてアメリカ兵だったものと、そして同数の行方不明者。 これに加えて数万名もの重軽傷者。第7艦隊のこれまでの被害も含めると、戦死者と行方不明者だけで9万人近い人間が失われるという大損害であった。 欧州の東部戦線での殴り合いに比べればまだマシではあるが、太平洋戦線で考えれば、文字通り壊滅的な打撃と言ってよかった。 唯一の救いは、マッカーサーが1個師団と共にタグロバンにおり、この被害を受けなかったことと日本陸軍がこの好機を全く活用できなかったことではあるが、この破滅を前にすれば何の慰めにもならなかった。 レイテはアメリカ陸軍の墓標と化し、そして太平洋戦争中、二度とアメリカ軍が上陸することはなかった。
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735: 635 :2021/01/01(金) 06 18 58 HOST 119-171-231-231.rev.home.ne.jp 銀河連合日本×神崎島? ネタ サセボ異界紀行三冊目 「流石にもう隠れていられる状況じゃないネー…。」 ファーダコンゴウは項垂れるように言った。 空間振動波エンジンと斥力推進を駆使して弾道飛行でサセボ近海まで文字通り飛んで来たファーダムツと合流後、 話し合った結果がこれである。 現在ハワイ方面も連合艦隊の動きが活発化しつつある。 何でも元戦艦陸奥乗員がファーダムツの艦体を見て戦艦陸奥に間違いないと言ったそうだ。 51サンチ砲搭載などかなり艦型が変わっている筈なのだが…。 それに加えFFR特殊部隊が極東方面への移動を開始、それに対し欧州各国も過敏に反応している。 オランダはティ連との協力し艦娘や始祖ナヨクァラグヤが出現し混乱する日本を守ると発言しティ連、いやイゼイラも同調。 何でもオランダとイゼイラは日本に対する感情で意気投合したらしい。 100年以上連れ添った想いと1000年以上の恋い焦がれた想いの波長があったとか。 まあなんと言うべきか…。 「まあ流石に私達が原因で超大国同士の世界大戦というのは避けたいしねえ。」 「ねー!」 ファーダムツが世界大戦は避けたいと言う。 そしてその腕に抱かれたフリシアヒメカが語尾を真似る。 恐らくは猫妖精でもあるオスカーにより異界に引き込まれたと思われる我々と違いファーダムツが引き込まれた原因がこの小さなフリシアであろう。 我々神崎島に住む者の界隈ではフリンゼフェルフェリアとフリシアヒメカが恐らくは蛭子命に愛されているというのは有名な話である。 フリンゼに悪意を持った者が失踪したり、フリシアが時折行方を晦まし珍しい物持って戻ってくるという話はたまにある。 なおファーダムツはフリンゼから子守を頼まれる中いつもの神隠しに巻き込まれた上、 この世界の戦艦陸奥の因果の結果ハワイに出現しただけのようである。 ファーダムツは変な方向に確率因果でも偏ってるのだろうか。 「で、どうするのです?」 「取り敢えず柏木さんとコンタクトとるネー。何故かFFRにも顔が効くようだし。」 「Qui(そうね)、多分Monsieur柏木が現在この国で一番冷静なんじゃないかしら?」 ファーダナヨの問いにファーダコンゴウとファーダリシュリューが答える。 しかしFFRと何処で接点を持ったのだろう? 突撃ドゥス(バカ)の一言で納得出来てしまう辺りかの御仁の人徳なのであろう。 ( ´_ゝ`)(´ _` )「 流石だよなファーダ柏木。」 エスとエスの弟がそんな会話をしているがこちらのティ連や日本 736: 635 :2021/01/01(金) 06 19 34 HOST 119-171-231-231.rev.home.ne.jp コピペ失敗もう一度行きます 銀河連合日本×神崎島? ネタ サセボ異界紀行三冊目 「流石にもう隠れていられる状況じゃないネー…。」 ファーダコンゴウは項垂れるように言った。 空間振動波エンジンと斥力推進を駆使して弾道飛行でサセボ近海まで文字通り飛んで来たファーダムツと合流後、 話し合った結果がこれである。 現在ハワイ方面も連合艦隊の動きが活発化しつつある。 何でも元戦艦陸奥乗員がファーダムツの艦体を見て戦艦陸奥に間違いないと言ったそうだ。 51サンチ砲搭載などかなり艦型が変わっている筈なのだが…。 それに加えFFR特殊部隊が極東方面への移動を開始、それに対し欧州各国も過敏に反応している。 オランダはティ連との協力し艦娘や始祖ナヨクァラグヤが出現し混乱する日本を守ると発言しティ連、いやイゼイラも同調。 何でもオランダとイゼイラは日本に対する感情で意気投合したらしい。 100年以上連れ添った想いと1000年以上の恋い焦がれた想いの波長があったとか。 まあなんと言うべきか…。 「まあ流石に私達が原因で超大国同士の世界大戦というのは避けたいしねえ。」 「ねー!」 ファーダムツが世界大戦は避けたいと言う。 そしてその腕に抱かれたフリシアヒメカが語尾を真似る。 恐らくは猫妖精でもあるオスカーにより異界に引き込まれたと思われる我々と違いファーダムツが引き込まれた原因がこの小さなフリシアであろう。 我々神崎島に住む者の界隈ではフリンゼフェルフェリアとフリシアヒメカが恐らくは蛭子命に愛されているというのは有名な話である。 フリンゼに悪意を持った者が失踪したり、フリシアが時折行方を晦まし珍しい物持って戻ってくるという話はたまにある。 なおファーダムツはフリンゼから子守を頼まれる中いつもの神隠しに巻き込まれた上、 この世界の戦艦陸奥の因果の結果ハワイに出現しただけのようである。 ファーダムツは変な方向に確率因果でも偏ってるのだろうか。 「で、どうするのです?」 「取り敢えず柏木さんとコンタクトとるネー。何故かFFRにも顔が効くようだし。」 「Qui(そうね)、多分Monsieur柏木が現在この国で一番冷静なんじゃないかしら?」 ファーダナヨの問いにファーダコンゴウとファーダリシュリューが答える。 しかしFFRと何処で接点を持ったのだろう? 突撃ドゥス(バカ)の一言で納得出来てしまう辺りかの御仁の人徳なのであろう。 ( ´_ゝ`)(´ _` )「 流石だよなファーダ柏木。」 エスとエスの弟がそんな会話をしているがこちらのティ連や日本でもそんな認識なのだろう。 737: 635 :2021/01/01(金) 06 20 07 HOST 119-171-231-231.rev.home.ne.jp さて私達はサセボ市内のファーダ柏木の仮の宿のマンションに潜んでファーダの帰りを待っていた。 どうも長期戦を覚悟して部屋を借りたようだ。 ファーダビッグボス直伝の由緒正しきダンボールによる潜入である。 なお見回りの警備や住民に怪しまれることはなかった。ダンボールって凄い(小並感)。 そうこうしているとファーダ柏木とフリンゼか帰って来たようである。 ダンボールから出て物陰に隠れ直す。 「疲れた…。今度は謎の戦艦がハワイ沖に現れるとかなんだよ…、元乗員があれは陸奥だって言い張って大騒ぎになるし…。」 「デス…。もう何なんデスカヤルバーン乗員攫われた上に攫ったのが死んだ筈のお兄さんで今度は始祖様がニホンに現れるトカ…。」 二人共大層疲れたご様子である。我々は大変申し訳なさを感じた。 しかし事態収拾の為にお付き合い頂かなければならない。 エスはエスの弟に目配せするとエスの弟はコクリと頷きファーダ柏木達の前に姿を現した。 それと同時にファーダコンゴウが探知偽装を展開しファーダナヨがシステムに介入し欺瞞情報を流し始める。 「フリンゼ…。」 「え?エエエエエエエ!?」 「ちょ!?無事だったの!?」 「ハイ、身体に異常はありません。」 「ふええ、取り敢えず無事で良かったデス…。」 「御両親や恋人も心配してたんだぞ…。」 ほっとして一つ荷が降りた様子のお二人。 「取り敢えず聞きたいことたくさんあるんだけど、君を攫った人は。」 「私ですファーダ柏木。」 「「 !? 」」 エスも二人の前に姿を現す。 二人共マジマジとエスを見るが特にファーダ柏木は日本海軍の第一種軍装にも似た制服を着たイゼイラ人という状況に混乱しているようである。 「貴方は…。」 「この子の兄です。」 フリンゼの言葉にエスはもうこちらの世界では死んでますがねと付け加え笑いながら答えた。 「チョット待ってくれ!死者が生き返るなんてあり得ないだろう!?」 「デモマサトサン、こうして存在する以上何か理由があるのデハ?」 「フリンゼの言う通りです。私はもうこの世にいないこの世界の『私』ではなく並行宇宙の私です。 ファーダ柏木にはカグヤの帰還でファーダが見た世界の存在のようなものと言えば分かり易いかと。」 エスの言葉にフリンゼとファーダ柏木はああと納得した様子であった。 「そろそろ私達もいいかしら?」 痺れを切らしたのかファーダリシュリューが物陰から出て行く。 フリンゼは「あ、エフエフアールサン達が探してる人だ」と言い、ファーダ柏木はファーダリシュリューを指差しワナワナと震える。 仕方ないので残りの我々も出るが、ファーダコンゴウやムツはともかくファーダナヨを見ると二人共石化した。 738: 635 :2021/01/01(金) 06 20 37 HOST 119-171-231-231.rev.home.ne.jp 「ソ茶ですが…。」 ファーダ柏木達の部屋に我々全員が入るとフリンゼが故郷イゼイラの茶を全員に出す。 「流石に何もないのはアレネー」とファーダコンゴウは神崎島の老舗煎餅店のカレー煎餅をハイクァーン造成してフリンゼに渡した。 フリンゼの目はひどくキラキラしていたがファーダ柏木は 「金剛からカレー煎餅貰ってFFRの主神やイゼイラの創造主と茶をするってどんな状況だ!?」 とかなりの混乱のご様子。 茶を飲んで一息つくとファーダ柏木は真面目な顔をした。 「で、一つ聞きたいんだが貴方方は一体何者ですか?」 「分かってると思うけど私とリシュリュー、それに陸奥は艦娘デース。」 「まあそうだとは思ってましたが。」 「ちなみにエス君と同じ世界のデース。」 「こちらの…ではないんですね…。」 「そうデース。私の最後は米軍の潜水艦の雷撃で台湾近海の海底に沈んでますし。」 それを聞きファーダ柏木は石化した。 「私は戦艦リシュリューだけどFFRの戦艦リシュリューではないわ。第二次大戦後に解体されてるしね。」 ファーダリシュリューはキッパリと自分がFFRの崇める存在ではないと断言する。 それを聞きまた石化するファーダ。 何やら「向こうのフランスの所業聞いてFFR大丈夫か?」とブツブツと呟いている。 「妾はトーラルシステムに残されたナヨクァラグヤ・ヘイル・サーミッサの脳ニューロンデータ、それが自我を持ったものです。」 「そっちではナヨクァラグヤ帝の脳ニューロンデータのプロテクトの解除に成功したんですか!?」 「まあ多分こっちの世界でもその内プロテクトの解除には至ったと思いますよ。」 ファーダナヨの自己紹介に驚愕するファーダ柏木とフリンゼ、まあ長年のイゼイラの悲願でもあったからしょうがない。 ついでファーダナヨは混乱させたお詫びに後で向こうで確立した精死病の治療手段を伝えると付け加えて二人を喜ばせた。 で、 「初めまして戦艦陸奥よ。この子は姫迦よ。」 「ファルン!」 「ええ!?」 「マサトサンどういうことデスカ!!ワタシ以外の人と子供を!?」 「いやいやいやそんな人いないぞ!?」 ファーダムツがフリシアと共に自己紹介するがフリシアのファーダ柏木に対するファルン発言に修羅場となる。 あらあらという様子のファーダムツであるが助け舟を出す。 「ハイハイ、フェルさんも落ち着いて。この子は向こうの貴女と柏木さんの子よ。」 「「ええ!?」」 まあ並行宇宙での自分らの子と聞けば驚くだろう。 フリンゼは「家族が増マス!やったネ、マサトサン!」と言いファーダ柏木は「その言葉やめろ!?」と叫んでる。 そしてふとファーダ柏木はファーダムツの最後について質問した。 並行宇宙の話しだから気になるのだろう。 「私?日本で碇泊中に爆発事故起こして沈んだわ。こちらとちがって戦闘もしないでね…。 ああ、長門は連合国に日本が無条件降伏した後に米軍によって原爆の標的艦になって沈んだわ。」 それはもうあっさりと自分と姉妹艦が沈んだ状況を説明した。 あ、ファーダ柏木とフリンゼが凄い顔になった。 そしてファーダ柏木はネメシスフリートの片割れはどうしたのかとファーダムツに詰め寄った。 「加賀のこと?私達の方じゃ軍縮条約で廃艦になるところだったんだけど紆余曲折あって空母になったわ。 土佐は標的艦として沈められたけどね。」 739: 635 :2021/01/01(金) 06 21 55 HOST 119-171-231-231.rev.home.ne.jp その後ファーダ柏木達は向こう側の歴史を根掘り葉掘り聞いて疲れた顔をした。 日本が島であることもそうだが、二発の核兵器の使用に無条件降伏、国家社会主義ドイツ労働者党が行った所業、 そして支那と半島の情勢がショックだったようだ。 一番は何故か支那の戦艦保有だったが。 「あのセクトがそのまま続いて国家になった?しかも戦艦を保有?何の冗談だ…。」 「あのチョウセンサンがドウシテ?ドウシテ?」 そんなことをしていると良い香りが…これは!! 「!カレーデス!?」 「ハイハーイ、勝手にですが台所借りて御召しカレー作りマシター。」 「おお!艦長、エルバイラカレーですな!」 「エルバイラカレー!?兄さんそれは一体!?」 「というか金剛が艦長!?」 ファーダコンゴウが寸胴鍋を持って来た中身は勿論カレーだ。 エスが弟とファーダ柏木に説明をする。 御召しカレーとは元来やんごとなき方のみ召し上がれたカレーであるがティ連と御召しカレーの出会いはヤルバーンと島が接触した際、 ファーダヒエイがフリンゼに振る舞ったのが最初である。 その後ファーダヒエイはレシピをティ連に対して惜しげもなく公開、現在ティ連では公式な場で供される料理としては最上級のものとされている。 そしてエスは自分が戦艦金剛の砲術科士官を務めていると説明しファーダ柏木から感心した目を向けられ、弟とからは尊敬の眼差しを受けていた。 その戦艦金剛の艦長をしているのが艦娘であるファーダコンゴウでもあると。 どうもこの世界では軍人の地位というのは高いようだ。 「じゃあ艦娘って基本艦長なのか?」 「ええ、この場にいる方は全員戦艦の艦長です。」 「佐官?」 「いえ、重巡以上は全て将です。佐官は駆逐艦以上ですね。」 「俺の初期艦の電はオーちゃんと同格以上かあ。」 話を終えると全員でカレーを食べ始めた。 ファーダ柏木は美味い美味いと言い、フリンゼはただ黙々とカレーを掻き込み続けている。 皿が空になるとファーダコンゴウが次々にカレーと米飯をよそり最早椀子そば状態である。 「ふぃーごちそうさまでした。いやあ食った食った。」 「本当に美味しかったデス!」 「御満足頂けて何よりデース。」 ファーダ柏木とフリンゼは満足したようでソファーに座りお腹をさする。 そしてファーダ柏木は材料は何処から持って来たのかと尋ねた。 「私が造成したデース。」 「ああ、サバイバル用のハイクォートか何か使ったんですね?」 「No、No。ハイクァーンダヨー?」 「え?」 「Monsieur柏木、私達は艦娘の姿でも艦としての機能は使えるの。」 「そうそう、艦としての私達は機動兵器整備用ハイクァーンも装備しているから非効率だけどその気になれば、 この姿でヴァズラー辺りを造成することも出来るわよ?2、3時間掛かるけど。」 「じゃあ証拠見せるネー。」 ファーダコンゴウの手にMG42が造成される。向こう側のファーダ柏木の愛銃だ。 ファーダ柏木はそれを受け取ると弄くり回し、ゼルクォートでスキャンなどして「本物だ…」と呟いた。 「凄いデスネ。人と変わらないサイズで艦艇用のハイクァーンが使えるなんテ。」 「凄いのは工作艦とかよ?原子力航空母艦みたいのでも航宙艦でも中破程度なら即洋上で修理できちゃうんだから。」 「な、な…。」 「マサトサン?」 「なんじゃそりゃー!?」 ファーダ柏木の絶叫が部屋に響く。 その姿を見て神崎島と接触した当初の日本人の反応に似て懐かしい気分になった。 なおフリンゼはそんな事出来る種族なのだと感心していた。 740: 635 :2021/01/01(金) 06 22 44 HOST 119-171-231-231.rev.home.ne.jp 以上になります。転載はご自由にどうぞ。 次では非神崎島接触ティ連人と神崎島接触ティ連人の違いを書けるといいなあ。
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445: ひゅうが :2017/01/08(日) 22 13 43 艦こ○ 神崎島ネタSS――「御指名」 ――1937(昭和12)年8月20日 帝都東京 本所 「ああ面白かったよ。」 喜色満面で笑う米内光政大将の姿に、山本五十六中将は愛想もこめて苦笑いをしてみせた。 ぷくぷくと沸き立つ鉄鍋の上では、軍鶏の身が躍り、ややしなびてきた牛蒡が少しずつ震えるようになっている。 「私が司令長官の間は戦争は起こるまいというから思い切りやらせてもらったが、やはり相手がいるのはいいね。」 からりと笑う。 暑い盛りであるのに鍋を囲んでいるから二人とも背広の上着は脱いでいた。 先ほどまで、第3艦隊参謀であった小沢治三郎大佐となにがしか話し込んでいたらしいが、山本がきてからすぐに彼は去ったために何を話していたかはわからない。 だが、今のような陽性の雰囲気とは正反対であったことは確かであった。 「何より、砲撃戦を実際に模擬弾でやることができるというのはいい。」 「確かに。」 今回の演習は、山本も神崎島鎮守府側から司令部要員として参加した。 実際は、これら統合指揮における後方兵站任務が行えるのがおそるべきことに神崎島鎮守府の人々だけであったために、その経験を積む必要があったからなのだが… (そのため、仮想敵国役をつとめたのがあちらの長門をはじめとする実戦部隊指揮官たちになってしまった) そのため、艦隊決戦時は陸海軍の将帥とともに、チャーターした二式大艇改に乗ってその様子を見学することすらできている。 いわゆる三式弾の原理を応用し、空中で炸裂する模擬弾はもとは艦砲による消火を意図した消火弾の転用だったのだが、電探と電算機による弾道解析によって「本来は命中した」ものが各艦に随時通知される仕様となっていた。 要は、砲弾が空中で炸裂する以外は実戦さながらの砲撃戦が展開されたのである。 消火剤の白い煙が命中あるいは至近弾による視界の一時的悪化を再現していたこともあって、各砲術はそれぞれヒートアップしたと聞いている。 上空で見守った山本たちも、手に汗を握って艦隊戦を見つめたものだった。 「漸減邀撃作戦では、勝てませんね。」 「うん。今のままでは勝てないね。日本海海戦なみの僥倖があったところで、米艦隊には。」 だからこそ、今は演習の戦訓をまとめるために喧々諤々の議論を戦わせて徹夜続きである軍令部や参謀本部をはばかることなく山本と米内は言い切ることができた。 「数が違いすぎます。神崎島側を指揮下におければ話は別ですが…」 この先は禁句と山本は口を閉ざす。 これがわかっていたからこそ鎮守府側はあれほど無茶をして自らの地位を確定させていたと頭ではわかっていても、やはり惜しい。 「数があったとしても、今のままではまだうまくいき難いと思うよ。」 山本も頷く。 陸海統合作戦という新たな概念は、先の第二次上海事変における実施によって帝国陸海軍の新たな希望になりつつある。 だが、それでさえ数々の連絡の齟齬を、神崎島側の優秀な気象予測斑が補ったのが今回の演習だった。 446: ひゅうが :2017/01/08(日) 22 14 23 「運良く台風がきていたから利用させてもらった。長門君たちは安全策をとってぎりぎり台風の外延部に退避してくれたが、米海軍はむしろ突っ込んでくるかもしれんね。 ほら、ハルゼーとか」 「ああ…」 ここしばらくは戦史の個人的な分析を密かな楽しみとしている山本も苦笑した。 あの国の海洋気象学は、第四艦隊事件で痛い目に遭っている帝国海軍のはるかに後塵を拝しているのが現状だった。 だがそれを補って余りあるのが「数」だった。 「それに、8月や9月に決戦が起こると決まっているわけでもない。それに決戦は一度きりでもないからね。」 「決戦の連続、と形容した方がいいかもしれませんね。」 そして、帝国海軍はすりつぶされた。 「うん…これ以上をやるのは、私には無理だな。」 すっきりした顔で米内はいった。 「ところで山本君。」 「はい。」 山本は、今日こんな場所で軍鶏鍋をつつくことになった理由がきたと思った。 「わが国の上の方が施した一連の仕掛けで、日中開戦からの対米線の芽はつまれたといってもいい。少なくとも対独戦の後になるだろう。」 山本は頷く。 中国大陸で治安活動を行っている米軍と入れ替わりで内地や満州へ撤収しつつある陸軍の特務機関の情報は、あらゆる点でそれを支持していた。 「北のソ連が、日ソ不可侵条約の締結を打診してきた。」 山本は総毛立った。 早い。 「事変の結果、中華民国は好むと好まざるを問わずにドイツへの接近を開始した。 当然だろうね。あの大失態の責任をなすりつける先は、もはや中華ソヴィエト連中にしかない。 周恩来が南京を脱出したとの情報もある。国共合作はもはや完全な崩壊状態だ。となると――」 「満州に陣取るわが軍が問題になると。関東軍の梅津さんはよくおさえてくれていますね。」 「危ない連中は、そら、再教育中だからね。それに彼らは新しいオモチャに夢中だ。」 ずずっと、溶き卵ごと軍鶏を流し込む。 しみる。 「それに、スペイン内戦この方、ソ連への視線は厳しい。欧州では、ポーランドが東部国境の兵力を拡充したとの報告も…」 「ドイツとの間で兵力相互告知協定が締結されたからね。見返りは、官民のポーランド回廊の通行自由だそうだが…」 つまりはそういうことだった。 「で、だ。当分の間、わが国はフリーハンドになったわけだ。その間に、この問題をどうにかしなけりゃならん。」 米内は言葉を切った。 山本が言葉の先を予想する前に、米内は続ける。 「山本。君、次の連合艦隊司令長官をやってみる気はないか?」 447: ひゅうが :2017/01/08(日) 22 15 01 【あとがき】――それでも2年はやるつもりらしい米内さん。
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8 :ooi:2016/04/11(月) 21 42 03 豪州+新西蘭転移ネタ2 円卓について 憂鬱本編においては、日米戦後に設立された円卓であるがこの世界においては本編よりも早く誕生した。 円卓の設立は詳細は不明だが1700年代後半と言われている。 円卓に所属していた人物は憂鬱本編から転生した人物が中心で、中にはこの世界に複数回にわたって転生した人もいた。 そして、円卓は未来で日本との連携が取りやすくなる様に1767年から英国民の人種差別意識を抑える教育も行った。 これは、植民地政策、第一次、第二次世界大戦等において大きく役立つことになる。 初めは、転生チートを使って英国を発展させる事を主題にして史実以上の発展を遂げる事に成功した。 また、前世の知識を利用して、英国最大の英雄であるホレーショ・ネルソン提督がトラファルガー海戦で戦死する事を防いだ。 そして、1828年にフランスに戦争を仕掛け勝利を収め、賠償金5000万ポンドと仏領ギアナ、グアドループ島、マルティニーク島を獲得した。 当時の英国にとって5000万ポンドは年間予算を超える大金であり、これを元手に更なる技術開発や軍拡を行うのである。 また、この戦勝でフランスの対外進出が鈍った事を良い事にニューカレドニアを先に領有した。 1880年にプエルトリコをスペインから購入し、1910年にハイチ、ドミニカが英連邦加盟でケーマン諸島から小アンティル諸島まで繋がる事となる。 しかし、日本に夢幻会が居た事、それも自分たちと同じ世界から転生していた事を情報部の努力によって確認した時、円卓の面々は凍り付く事になる。 この世界の日本は江戸時代に太平洋へ転移してきた豪州、ニュージーランドに入植し、周囲の南洋諸島やフィリピン、ハワイ、挙句の果てにアラスカまで領有していたからだ。 本編と違って圧倒的な物量を備えた状態で夢幻会が存在している…。 それは、本編で日本が米中を屠った事を知っている円卓の面々からしたら、日本を敵に回した瞬間インドやカナダが危機に陥り、日本海軍連合艦隊や日本の強力な戦闘機に護衛された富嶽に本国を焼かれる光景を幻視させるには充分であった。 これ以降円卓は如何にして国力の低下を抑えるか、そして少しでも早く夢幻会と繋がりを持てるかの2点に力を注ぐ事になる。 円卓が日本との繋がりを持つ為の手段と考えていたのが史実や本編でも締結していた日英同盟である。 初め、英国はロシア帝国との関係上本編同様に日英同盟が締結出来ると考えていた。 だが、その目論見は円卓のメンバーさえ予想だにしていなかった出来事で潰える事になった。 ニコライ2世の行動で満州をロシア帝国勢力圏とし、ロシア帝国は満州を経済特区として日露両国の経済、技術交流の場として発展させる事が決定したからである。 また、この取り決めに反発した清国が日露両国に宣戦布告、この戦争で日露両軍が連携して清国を降伏させた事がロシア帝国を戦友と意識させ日露関係を好転させる要因にもなっていた。 しかしながら、此処にいる円卓メンバーは転生によって不屈の精神も強化されたジョンブル魂を持っていた。 そこで、英国は開き直って第一次世界大戦前に夢幻会へ直接アタックをするという手を使った。 これが功を奏して、日本だけではなくニコライ2世一家やトハチェフスキー等のロシア帝国の転生者とも繋がりが出来たのである。 夢幻会と接触が出来た時、まずは夢幻会に前世の行いについて謝罪する事から始まった。 幸い、夢幻会も転生者で構成した円卓と敵対するのは得策ではないと考えたので円卓の面々が想定した最悪の事態は避けられたのである。 このアジア地域の変化によってアジア進出を諦めた米国による南米進出に繋がったのだが、この出来事で英連邦に新たに5ヵ国が加盟する事となる。 加盟したのはグアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ハイチ、ドミニカである。 夢幻会との繋がりを第一次世界大戦前に持てた円卓は駆け足で第一次世界大戦の準備を始めた。 まず、ユトランド沖海戦における戦艦の喪失を抑える為に装甲の強化を行う事は既に実施していたから心配はそれ程無かった。 次に、陸軍の被害を抑える為に夢幻会の助言を参考に近代戦の対策を陸軍全体に徹底させた。 そして、日本にも支援を要請し、英国の150年近くにわたる徹底した教育のお陰で日英両軍が綿密に協力し合う光景が至る所で見られた。 こうして第一次世界大戦を最低限の被害に抑える事に成功した円卓は次の場面に挑む事になる。 この時、ある円卓のメンバーはこう言った。 「前世で大英帝国の名誉を大きく傷つけた植民地人にはそれ相応の報いを受けて貰おう。」 第一次世界大戦後に米国が軍縮会議を開く事を知っていた円卓は米国が文句を言う前に日本と協力して新型の戦艦建造を行う事になる。 豪州+新西蘭転移ネタ3