約 5,820 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9189.html
前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔 ウルトラマンゼロの使い魔 第六十二話「悪鬼ヤプール」 異次元人ヤプール人 登場 ヤプール人は恐ろしい奴だ。残忍な奴だ。ハルケギニアを征服するためには手段を選ばない。 何だってやるのだ! それがまさに、ヤプール人なのだ。 ハルケギニアに数々の侵略宇宙人を引き入れた後、ヤプール人は『レコン・キスタ』の クロムウェルを抹消。己の手駒とすり替えて、アルビオン大陸を裏から支配することに成功した。 そしてトリステインに戦いを仕掛け、その結果トリステインとゲルマニアの連合軍がアルビオンに 攻めてくることとなった。しかし、侵攻の際にはあの手この手を駆使してトリステインを 苦しめたにも関わらず、防衛に回ったら一転、いやに消極的な態度を見せた。連合軍に大きな 打撃を与えようともせず、遂にはロンディニウムの手前のサウスゴータを明け渡した。わざわざ敵に 勝利の美酒を振る舞って、ヤプール人は何をたくらんでいるのか? 何をするつもりなのか? 『誰にも分からない……分かるはずがないんだよ! ハルケギニアの馬鹿どもめッ! フハハハハハハハハ!!』 トリステイン・ゲルマニア連合軍が放棄されたシティオブサウスゴータを占領した直後、 タイミングを図ったかのようにアルビオン側から一時的な休戦の申し出があった。ヘンリーの 予想した通り、見捨てられた市民に兵糧を分け与えた連合軍はどの道動けず、これを受諾。 戦線は硬直状態のまま、始祖の降臨祭が行われようとしていた。 始祖ブリミルの降臨祭。それは地球で言うところの、クリスマスと元旦が一緒になったような 祝日である。この日を境に年が変わり、十日近くのめや歌えのお祭りが連日開催される。 戦闘行為も、その期間は一切行われないのが通例だ。 アルビオン大陸に上陸した連合軍も、その祭りをサウスゴータで迎えようとしていた。 「……そういう訳で、サイトを元気づける方法の知恵を出してほしいのよ」 今年の終わり、始祖の降臨祭の前夜のサウスゴータの宿の一室で、ルイズがデルフリンガーと 姿見の中のミラーナイト相手に相談を持ちかけていた。 雪山での二大超獣との戦闘後、ゼロの足を引っ張った才人は未だに塞ぎ込みがちであった。 初めは見放していたルイズも、だんだんと心配するようになって、こうして二人に相談をしているのである。 「何でえ。娘っ子、何だかんだで相棒のことがすげえ気がかりなんじゃねえか。初めっから 素直になっときゃ、こんなお祭りの目前まで険悪のまま過ごさなくてよかったってのによ」 デルフリンガーが呆れたように言うと、ルイズは真っ赤になって否定した。 「ち、違うわよ! あんな分からず屋のことなんて、本当はどうだっていいのよ! でも、いざ決戦って時に ゼロが本領を出せなかったら大変じゃない! だから仕方なく、ご主人さまが励ましてあげるってだけ! そ、それだけなんだからね! 誤解しないでよ!?」 「へいへい」 デルフリンガーもミラーナイトも呆れ返って流した。ルイズはあまりにも分かりやすすぎるが、 天性の意地っ張りなので付き合っていたら夜が明けてしまう。 「コホン……話を戻すけれど、私はやっぱり、貴族の価値観というものをサイトに受け入れさせるのが 一番だと思うのよね。デルフ、あんたはサイトを説得できないの? 相棒でしょ?」 まずデルフリンガーに言いつけるルイズだが、彼はあっさりと答えた。 「そりゃ無理だね。俺っちは坊さんじゃねえんだ。説教を説くなんて無理な話よ。第一、時間も なさすぎるさね」 「そう……じゃあ、ミラーナイトはどうかしら? お願い出来ない?」 今度はミラーナイトに頼む。理知的な彼ならば何か良い意見をもらえるかも、と思って この場に呼んだのだ。 しかし、彼もまた首を横に振った。 『私でも、それは難しいですね。全く異なる価値観を理解させるというのは大変困難なこと。 ましてや言葉だけでは如何ともしがたいものです』 「そうなの……残念ね」 『そもそも、その貴族の価値観というものが本当に根づいているものなのか……』 ミラーナイトのぼやきに振り返るルイズ。 「何? あなたまでそんなことを言うの?」 『いえ……この話をここで論じても仕方ないことです。それより今はサイトのこと。そちらに注視しましょう』 とミラーナイトが言うので、本題に戻る。すると、デルフリンガーがこんな提案を出した。 「いっそのこと、別方向から相棒を攻略してみるってのはどうだ?」 「べ、別方向?」 「相棒はお前さんを好いてる。お前さんの実家で告白されたの、忘れた訳じゃあるめえ」 その時のことを思い出し、ルイズは耳まで真っ赤になった。 「それなのにお前さん、相棒の気持ちになーんも応えてねえじゃねえか。好きな相手から袖にされ続けて、 それなのに嫌なことに駆り出されてこき使われて。それじゃ嫌になっちまうのもしょうがねえな」 「だ、だってそれは、あれからずっと忙しかったからだし……何よりシエスタとか、他の子に デレデレするじゃない!」 ルイズの言い分に、はあ、とため息を吐くデルフリンガー。 「相棒がギーシュとかって坊主みてえに自分から誰かとベタベタしたってのなら話は別だが、そんなんねえよ。 俺が保証する。それなのにお前さんは、ちょっと他の女が近づいただけであーだこーだ、わがままが過ぎるよ」 「う……」 「いい女ってのは、もっと心が広いもんだぜ? そこで、だ。そろそろ相棒の気持ちに応えて やったらどうだ。相棒も好きな女に頷いてもらえたら、頑張れるだろうよ」 と勧められるのだが、ルイズはもじもじしてはっきりとしない。 「そ、そんなこと言えないわよ……」 「嫌いなの?」 「そ、そうじゃないけど……」 「じゃあ好きなんじゃねえか」 「そ、そうじゃないの! とにかくそんなこと言えないわ!」 意固地なルイズは、ミラーナイトにも意見を求める。 「ミラーナイトはどう思う……?」 『あなたの気持ちの是非はともかく、サイトの心の糧を作るのはいいことだと思いますよ』 ミラーナイトもデルフリンガーの味方なので、孤立無援のルイズは散々悩んだ挙句、こう聞いた。 「……も、もっと別の言い方ないの?」 と言うので、デルフリンガーは代案を出した。 「そばにいて」 「なにそれ?」 「いい言葉じゃねえか。微妙に気持ちを伝え、それでいてどうとでも取れる。これならお前さんも 言いやすいだろ?」 ルイズはふむ、と考え込んだあと、頷いた。 「……言われてみればもっともかもしれないわね。あんた、剣のくせに妙に人間の機敏に通じてるわね」 「何年生きてると思ってんだよ。さて、あとはあれだ、言い方と状況だな……」 しばらく後、ルイズはデルフリンガーの指導により、宿屋の召使に買ってこさせた品々を前に並べていた。 「ちょっとぉ! ふざけないでよ!」 が、ルイズはデルフリンガーを怒鳴りつけていた。 「なんで黒ネコの格好しなきゃいけないのよ! しかもこんないやらしい! わたし貴族よ貴族! わかってんの?」 ルイズの前にあるのは、黒ネコの仮装。しかも際どい。 そのことについて、デルフリンガーはこう弁解する。 「その高飛車がなあ、いけねえんだ。甘えた感じで、下手に出るのが一番効果的ってもんよ」 「そんでわたしが使い魔のフリするっていうの?」 「そうだよ。いい作戦じゃねえか。祭りの席で『サイト、今まで意地悪言ってごめんね。 今日は一日わたしが使い魔になってあげる』それから『そばにおいてください』なんて言ってみ? たぶん相棒は単純だから、舞い上がってお前さんにメロメロになっちまうだろうなあ」 と囁かれて、単純なルイズはすっかり舞い上がってしまった。 そしてデルフリンガーに焚きつけられるまま、ポーズと台詞の練習をする。 「き、今日はわたしが使い魔になってあげるッ!」 「うーん、もちっとネコっぽく言ってみた方が愛嬌があるな。後、思い切ってご主人さまって 言ってみたらどうだ?」 『あ、あの……』 そこにミラーナイトが何かを言おうとするのだが、熱中しているルイズたちには聞こえていなかった。 「そ、そこまで言わないとダメなの!?」 「せっかくのお祭りなんだからよ、一日だけバカになってみ。女にはな、そういう愛嬌が大事だよ。うん」 『ルイズ、そこまでサイトと……』 才人の名前を出して、やっとルイズの耳に入った。 「サイトが戻ってきてるの!? よ、よぉーし……思い切ってやってやるわよッ!」 『そ、そうではなく、サイトとシエ……』 だが才人以外の言葉は耳に入っていなかった。ドアががちゃりと開くと同時に、ルイズは 思い切って言い放った。 「きょきょきょ、きょ、今日はあなたがご主人さまにゃんッ!」 そして……返ってきたのは、 「な、なにやってんだ? お前……」 才人の驚き顔と……シエスタとスカロン、ジェシカの面々。唖然としている。ジェシカなんか 笑いをこらえている。 「……え? な、何でシエスタたちがここに……」 「慰問隊とか何とかってので、ここに来たそうで……ついでにルイズに挨拶しに……」 才人が説明した。 恥ずかしい姿を思い切り他人に見られたルイズは、絶叫した。 「いやぁああああああああああああああああああああああああああああああッ!」 街の一等地に位置した、シティオブサウスゴータの最高級の宿屋のいわゆるスイートルームで、 アンリエッタが窓の外を眺めた。 「今、遠くから悲鳴が聞こえたような……。まさか、敵の攻撃でしょうか? すぐに銃士隊を向かわせましょう」 神経質そうにつぶやくと、同じ部屋にいるグレンが肩をすくめた。 「いや、今のは敵とは関係ねぇよ」 「そうでしたか? それならいいのですが……」 視線をグレンの方に戻したアンリエッタが、今話していた内容に意識を戻す。 「それで、わたくしたちを何度も苛ませた侵略者たちの元締め……ヤプール人というものたちは、 それほどに恐ろしい敵ということでしたね」 「ああ、そうだ。奴らはこれまでの連中とは訳が違うんだ。あんまり恐怖したら逆効果だから今までは 話してなかったけど、決戦の手前、どういう連中かアンリエッタ姫さんは知っておくべきってことになってな」 ヤプール人は表舞台に出てきたのが一度きりなので、ハルケギニア人にはその存在が知られていない。 しかし今、遂にグレンがその存在をアンリエッタに明かしたのだった。 「ヤプール人はとにかく卑怯な連中だ。手段という手段を選ばねぇ。生誕祭の人間が一番油断する期間を 狙わないはずがないぜ。たとえば、飲み水に毒を投げ込むくらいのことは平気でやる。だから祭りの最中でも、 絶対に警戒を緩めないでほしいってお願いしに来たんだ」 グレンたちが最も危惧していることは、ヤプールもしくはその手の者が連合軍の間に入り込み、 内部から崩壊させられることであった。ヤプール人は超獣を使った大規模な攻撃以外にも、 そういう卑劣な破壊工作を得意とするのだ。 しかし、アンリエッタに恐れの色はなかった。 「ご忠告感謝いたします。しかし、ご心配には及びませんわ。わたくしもその危険性を考慮し、 厳重に対策しております」 と語って、内容を説明する。 「停戦の期間中は、わたくしの信頼する銃士隊を中核とした警備網をこのシティオブサウスゴータ全土に 隙間なく張り巡らせ、怪しい動きを見せる者は逐一捕縛して正体を確かめるよう徹底して指示しています。 ネズミ一匹の謀とて見逃しません。また、いつ何時に怪獣の攻撃があっても対抗できるように、魔法衛士隊他の 対怪獣部隊を常時待機させています。わたくしたちの出来得る最善の対策を取っておりますわ」 一分の隙もない防備態勢。何度も怪獣、宇宙人の脅威を目の当たりにしたアンリエッタは 既にそれを敷いていた。さしものヤプール人も、突破は容易ではないレベルだ。 その力の入れようには、絶対に侵略者に勝利して平和を取り戻すのだという決意が表れていた。 「そっか、ならいいんだ。安心したぜ」 グレンはそう言ったが、それでも相手が相手なだけに、安堵とまではいかなかった。人間がどれほど頑張ろうと、 敵は力に物を言わせて強引に押し潰そうとしてくるだろう。そしてヤプール人はそれが可能な相手なのだ。 しかし、そんな時にこそ自分たちがいる。人間の努力を無為にしてはならない。ヤプールめ、来るなら来い! 俺たちウルティメイトフォースゼロは絶対に負けねぇぜ! グレンは胸の内に、そんな熱い思いを抱いていた。 あのあと、ルイズがものすごい勢いでへこんで閉じこもってしまったので、才人とシエスタは 彼女が落ち着くまでわざわざ別の部屋を借りて、そこで時間を過ごしていた。そしてゼロ、 ジャンボット、ミラーも交えて話をする。 『なるほど、ルイズのあの珍妙な振る舞いは、そういう理由だったのか』 ミラーから説明を受けたジャンボットがつぶやくと、ミラーが取り成す。 「珍妙とか言わないであげて下さい。ルイズも、サイトのためを思って必死だったんですよ。 サイト、ルイズのその想いだけは分かってあげて下さい」 ミラーに続いて、ゼロも才人を説得する。 『才人、お前もあれこれ複雑な気持ちだと思うけどさ、何もルイズも悪気があって厳しいこと 言うんじゃないんだぜ。この戦が終われば、いつものルイズさ。だからそう思い悩むなって』 「うん……」 それは分かっているけど……と才人が思った時、シエスタが口を開いた。 「わたしは……ミス・ヴァリエールや貴族の言い分の方が、納得できません」 「シエスタ?」 シエスタは才人の目をじっと見つめながら語った。 「サイトさんの言う通りです。どんなに言葉を飾っても、結局貴族は自分たちの欲のために 人を殺すんです。そんな殺し合いに、サイトさんを巻き込むなんて……。本来サイトさんは、 この世界に何の関係もない人なのに……ひどすぎますッ! サイトさんが、死んでしまうかもしれないのに!」 あまりにシエスタに熱が入っているので、才人はむしろ戸惑ってしまった。おどおどとした様子で 彼女をなだめる。 「し、シエスタ、気持ちは嬉しいけどさ……俺にはゼロがついてくれてるんだし、滅多なことには ならないよ。ヤプールだって、ウルティメイトのみんながいればきっと勝てるから」 シエスタは少々落ち着いたが、小刻みに震えていた。 「すみません……。でもわたし、心配なんです。すぐ下の弟も参戦してるから、他人事じゃないですし…… 何より、嫌な予感がするんです」 「嫌な予感?」 「はい……。サイトさんに、なにかよくないことが起こるんじゃないかって。そんな嫌な思いが してならないんです……。今連合軍が勝ってるのも、何か悪いことが起こる前触れとも思えて……」 それは、ゼロたちも考えていることだ。むしろ、確信を持っていると言ってもいい。ヤプールは絶対に 何か謀略の用意をしている。今の快進撃は、その嵐の前兆でしかないと。 しかし彼らは、シエスタのためにこう呼びかける。 『シエスタ、安心するのだ。サイトの言った通り、我々がいる。こんな勇敢な少年を、ヤプールの餌食に させたりはしない。我々が何としてでも助け、守り抜く! 鋼鉄武人の名に懸けて誓おう』 「その通りです。私たちが命の盾となります。そのためのウルティメイトフォースゼロです」 『俺たちは何があろうと、絶対に負けねぇ! シエスタ、俺たちを信じてくれ!』 「皆さん……」 ジャンボット、ミラー、ゼロに続いて、才人もシエスタを軽く抱きしめて、彼女に囁きかけた。 「シエスタ、ありがとう。君を守るためだけでも、俺は存分に戦える気がしてきた」 「サイトさん……」 「どんな敵が相手でも、俺は必ず帰ってくるよ。そして学院に帰ろう。絶対に」 「……はい……!」 いつしか、窓の外には雪がはらはらと降り始めていた。銀の降臨祭といったところか。 幻想的な背景の中、サイトとシエスタは約束を交わした。 様々な人たちの、様々な想いが行き交う中、新年の始まり、始祖の降臨祭は幕を開けようとしていた。 しかし……異次元の悪鬼ヤプールは、そんな人々の想いを嘲笑うかのように、彼らの想像を絶する おぞましき奸計を張り巡らしているのだった! 夜空に満開の花火が打ちあがる。シティオブサウスゴータに並ぶ人々は、連合軍、町民関係なしに 一様に歓声をあげた。 遂に一年の始まりを告げるヤラの月、第一週の初日である、降臨祭の初日が始まったのである。 しかしそれとほぼ同時に、連合軍首脳部には凶報が飛び込んできた。ロンディニウムにいるはずの アルビオン軍主力が、突如としてサウスゴータのすぐ側に出現したと。 ヤプールの手引きである。異次元人の力をもってすれば、その程度の奇襲は容易いことなのだ。 だがしかし、通常なら恐るべきことであるこの事態も、アンリエッタたちにはさほど驚くべき ことではなかった。何故なら、相手は神出鬼没の侵略者。十分予想できたことであり、実際そのための 厳重な防備態勢である。迎撃態勢はすぐに完了した。 これ以上何も起こらなければ、問題なく迎撃できる計算であった。そのため、連合軍には余裕すらあった。 「侵略者の犬どもめ、その程度で聡明なる女王陛下を出し抜いたつもりか。貴様らを一人残らず 返り討ちにして、我々の大々的な勝利で降臨祭の最初の夜明けを飾ってやろうではないか」 連合軍総司令官のド・ポワチエは冷笑を浮かべながら、黒檀にトリステイン王家の紋章を金色で 彫り込んだ元帥杖を振るった。彼はつい先程、元帥昇進が決定したばかりなのであった。最後の決戦を、 元帥杖で指揮させてやろうという財務卿の計らいであった。 そして今にも両軍の激突が始まろうとしたその時、それは起こったのだ! シティオブサウスゴータの夜空の一画が、バリィィンッ! とガラスのように割れた。 そして真っ赤な空間の中から、大怪獣が空の縁をまたいで出てくるところを大勢の人間が目撃した。 「キィ―――キキキッ!」 緑の怪しく輝く眼球を持った虫型の超獣、アリブンタだ。ヤプールの刺客である。さすがに方々から 悲鳴の叫びが起こる。 「超獣が現れやがったか!」 「ええ。私たちの出番ですね!」 そこに駆けつけたのがグレン、ミラー、そしてシエスタと才人だ。ウルティメイトフォースゼロは、 これより超獣撃退のために出撃する。 それと同時に、ヤプールとの決着をつけるつもりであった。その手段は、ヤプールの潜む異次元に 直接乗り込むこと。通る道は、超獣を送り込むためにヤプール自身がつなげるあの空の穴だ! 危険はあるが、 強引にでも入り込んでヤプール自体を叩く。虎穴に入らずんば虎児を得ず。その覚悟で挑まなければ倒せない相手である。 『超獣を撃破したら、俺たちの力を合わせて空の穴を固定する。そして一挙に乗り込むぞ!』 「はい!」『了解した!』「おうッ!」 ゼロの呼びかけに三人が応答し、一斉に出撃しようとする。 しかしそれを制するかのように、別の方角で空がバリィィンッ! とまた音を立てて割れた。 「ギ―――!」 今度は腹に丸鋸を、背に翼を生やした直立するトカゲのような超獣、カメレキングである。 「二体目ですか!」 ミラーが叫んだが、そうではなかった。更にバリィィンッ! と別方角の空が割れ、また別の超獣が出現する。 「カァァァァァコッ!」 緑色の鱗で全身を覆った魚に似た超獣、ガランである。 更に別方向からバリィィン! と音が響いた。 「パオ――――――――!」 ワニの顔面を持った特に巨体の超獣、ブロッケンだ。 「四体出てきたか……! けど俺たちは負けねぇぜ!」 一気に現れた四体の超獣。だが予想できなかった訳ではない。元より一体二体だけが出てくるとは 思っていない。複数の超獣を相手にする気概は既に出来上がっている。 だが――。 バリィィンッ! バリィィンッ! バリィィンッ! 『えッ!?』 バリィィンッ! バリィィンッ! バリィィンッ! 「なぁッ……!?」『ま、まさか……!』 バリィィンッ! バリィィンッ! バリィィンッ! 「お、おいおい……! これって……!」 空の割れる音が止まらない。 ゼロが、ミラーが、ジャンボットが、グレンが、大勢の人間が……その光景に絶句した。 たちまちの内に、シティオブサウスゴータを超獣が取り囲んだのだ! 「ガガガガガガ!」「バ―――オバ―――オ!」「ガアオオオオオオ!」「ギュウウゥゥゥゥゥ!」 「キィィ――――――!」「ギョロオオオオオオ!」「キャ――――――オォウ!」「ホォ―――!」 「キュウウウウッ!」「キョーキョキョキョキョキョ!」「グオオオオッ!」「グゴオオオオオオオオ!」 「ゴオオオオォォォォ!」「ギャア――――――――!」「カアァァァァァァ!」「キャオォ――――――!」 「ブウルゥッ!」「キャアァ――――――!」「キョキョキョパキョパキョ!」「ギギギギギギ!」 「ギギャ――――――アアア!」「キュルウ―――!」「グオオオォォォ!」「ゲエエゴオオオ!」 「キャア――――オウ!」「キョキョキョキョキョキョ!」「グロオオオオオオオオ!」「キャアアアアア!」 「アオ――――――!」「キュルウウウウ!」 ガマス、ザイゴン、ユニタング、サボテンダー、バラバ、キングクラブ、ホタルンガ、 ブラックピジョン、キングカッパー、ゼミストラー、ブラックサタン、スフィンクス、 ルナチクス、ギタギタンガ、レッドジャック、コオクス、バッドバアロン、カイテイガガン、 ドリームギラス、サウンドギラー、マッハレス、カイマンダ、フブギララ、オニデビル、 ガスゲゴン、ダイダラホーシ、ベロクロン二世、アクエリウス、シグナリオン、ギーゴン……! 「ギギャアァァァ――――――!」 そしてジャンボキング! 総勢三十五体もの超獣にシティオブサウスゴータを囲まれる状態と なってしまった! ウルティメイトフォースゼロは……一つの思い違いをしてしまっていた……。それは、ヤプールの 軍勢の規模である。 今日までに多くの侵略宇宙人を撃破したことで、無意識の内に敵を追い詰めているという考えを 持ってしまっていた。また、魔法学院襲撃の際、刺客として差し向けられた超獣が四体だったので、 控えの超獣もそう多い数ではないと思い込んでしまった。あの場面で出し惜しみするはずがない、と……。 だが事実は全くの逆だった! ヤプールは軍団の規模を隠すために、あえて少ない数を出してきたのだ! 宇宙人やベロクロンらは犠牲を前提として送り出されたのだった! そしてアルビオン軍出現を知る者たちは、恐ろしい考えに行き当たっていた! これだけの数の超獣がいるのだったら、アルビオン軍は必要ない。むしろ戦いの邪魔となる存在のはず……。 それをわざわざ送り込んできたということは……。 ああ、何ということだ! 彼らは戦いのためではなく……超獣の贄にされるためにここへ来たのだ! 『フハハハハハハハハハハ! 人間どもめぇ、絶望したかぁ!!』 ヤプールは、異次元の虚空の中でけたたましい哄笑を上げていた……。 『これから始まるのは戦ではない……。貴様らの処刑なのだぁッ! 貴様らは殺されるために、 浮遊大陸まで来たのだよぉッ! ハハハハハハハハハハハハハァ―――――――――――!!』 これから、ハルケギニア史上最悪の降臨祭が始まる……! 前ページ次ページウルトラマンゼロの使い魔
https://w.atwiki.jp/kitakoutarou/pages/183.html
…………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… ドガッ!! マミ「うぁ…!!」 ダイナ「グゥッ!?」 ティガ「…!!」 触手の強烈な一撃に吹き飛ばされ、ビルに叩きつけられる Uキラー「ギャォァアアアアア!!!」 QB『ほらほら!もう後が無いよ?』 耳を劈く咆哮を上げ、 大地を砕き、Uキラーザウルスが暴れ回る ダッ ガイア『まだまだ…!!』 杏子「おい!アンタ達は退け!」 さやか「そうですよ!ただでさえ消耗してるんですから!」 吹き飛ばされた三人と入れ替わるように、 ガイア、杏子、さやかが飛び出る Uキラー「グォァアアアアア!!!」バシュッ ガイア「!! デュア!」シュン バチッ! 杏子「! 今だ!行くぞ!」 さやか「うんっ!!」 Uキラーザウルスの光弾をガイアがバリアーで弾き返す ガイアの股を通り、Uキラーザウルスの足へ杏子とさやかが斬りかかる QB『!!…しつこいなぁ君達は!!』 ドガガッ 杏子「…っぐ!!」 さやか「ぁあっ!!?」 決死の攻撃もUキラーザウルスの攻撃に阻まれ、届かない ガイア『!!』 QB『そして…』 QB『そこにいることは分かっているんだよ!暁美ほむら!!』 Uキラー「グォアッ!!!」 ほむら「っ!?…しまった…!」 ドゴッ! ガラガラガラ… Uキラーザウルスの触手が半壊したビルに突き刺さる そのまま先端の爪がほむらを掴み、拘束する ほむら「うっ、あ…!あぁっ!!」ギギギッ ほむら(っ……ランチャーがっ……!) QB『ふ…ふふ…ふふふふ…何が光だ…』 QB『このままバラバラに…!!』 ギギギッ… ほむら「!!…!……」 ほむらの肌を突き破る爪、少しづつ強くなる絞め付け ほむら「ぐっ…!!…く…!」 ほむら「………」 ほむら「…ふ…ふ」 QB『?』 血が滴る唇の端を吊り上げ、笑みを浮かべるほむら QB『なんだ…!!なにを笑っているんだ!!』 グググッ ほむら「っ…つ…ふふ…」 ほむら「…なんだか……可笑しいんだもの……」 見下したような 挑発をするような態度で、キュウべえを睨みつける QB『何が言いたいんだい!?』 ほむら「ふ…くふ…ふふ……インキュベーター…」 ほむら「…感情の無いあなたが……」 ほむら「何を熱くなってるの……?」 QB『……!!』 QB『やめろ……暁美ほむら…!!』 ほむら「…っふふ……あなた…」 ほむら「それじゃあまるで………」 QB『!!!』 グギギギギッ ほむらに止めを刺すべく、絞め付けを一気に強める ほむら「!!うっ、ぁぁあああっぐっ!!」 体に圧し掛る触手、 それに伴う背中に受けた光弾の傷 全身の骨が軋み、激痛に叫びを上げるほむら バキィイン! Uキラー「!!」 QB『なに!?』 暗雲立ち込める空 その一角が砕け、巨大な穴が開く ティガ『…く…何だ…?』 ダイナ『あの……穴は…?』 ガイア『……また何か来るのか!?』 ほむら「うっ……ぁ?」 さやか「……なに…?」 杏子「……もう何がでるやら…」 マミ「……新手…?」 その場にいる全員の視線が空の穴へと集中する シュン ズバッ! QB『…!』 ほむら「あ……!」 空を裂き、穴の向こうから光輪が飛ぶ その光輪はほむらを捕らえたUキラーザウルスの触手を斬り落とす ポスッ ほむら「う……た、助かったわ…」 ティガ『構わないよ……しかし一体何が……』 大きな手のひらでティガがほむらを受け止める QB『なんだ……何が起こって…!!』 シューン QB『!!!』 ズズーン… マン『…なんとか…脱出できたか』 セブン『そこまでだ!!インキュベーター!』 ジャック『これ以上貴様の好きにはさせんぞ!!』 QB『!!…そ…そん…な……!』 エース『みんな、無事か!!』 メビウス『後少しだ…!諦めないで!』 空の穴の向こうから 大地を揺らし、土埃を巻き上げ 五人のウルトラマン達が出現する ほむら・マミ・杏子・さやか「!!!」 ティガ『!!…』 ダイナ『!…へへ…』 ガイア『は、ハヤタさん達が…!』 地に伏した体を起き上がらせ、 歓喜し、驚くほむら達 Uキラー「グルル…!」 QB『馬鹿な……そんな馬鹿なことが…!』 QB『ヤプールの力以外で…空間に穴を開けることなんて…!不可能のはずだ!!』 焦りを隠しきれないキュウべえが叫ぶ メビウス『どんな時でも最後まで諦めず…不可能を可能にする…!!』 マン『それが……ウルトラマンだ』 QB『ふ…ふざけるな…こんなことが…!』 シュバッ! マン『…』 セブン『…』 ジャック『…』 エース『…』 メビウス『…』 ティガ『…』 ダイナ『…』 ガイア『…』 Uキラー「グァルルルォォオオ!!」 唸るような低い咆哮を上げるUキラーザウルス その眼前に八人のウルトラ戦士が集結し、ファイティングポーズを取る QB『何が光だ……!!』 QB『いくらウルトラマンが集まったところで僕を止めることは…!!』 マン『いや…勝利を信じて諦めないのは…我々だけではない』 QB『!……何を…』 ゴゴゴゴゴゴ… QB『うっ…?』 空の穴から光が溢れ出し、 キュウべえが空を仰ぐ マミ「また……何か来るのかしら…?」 杏子「もう何が来ても驚かねぇぞ……」 さやか「……」 さやか(…まさか) ほむら「あ……あ!!」 ほむら「……あの…光は……!」 シュゥゥ…… 灰色の空 その薄暗く不気味な色の中に差し込む一筋の光 包み込むような 淡く、優しい輝き 暁美ほむらにとって、見覚えのある 忘れるはずの無い友の光 桃色の粒子を身に纏い 二つに分けた髪とフリルのスカートを風に靡かせて ゆっくりと地上に舞い降りる 魔法少女 鹿目まどか スタッ まどか「……」 QB『な…何故だ…!!鹿目まどか、君は……!!』 QB『もう魔女になる寸前だったというのに…!!』 まどかの出現に呆気に取られる一同 杏子「…前言撤回……驚いた…」 さやか「帰って来た……まどかが帰って来た…!!」 マミ「鹿目さん…!本当に…鹿目さんなのね…!」 ほむら「……ま、まど…」 ほむら「……っ」 真っ直ぐにUキラーザウルスを見据えるまどか その背中を見て、ほむらは言葉を止める ほむら(今は……まだ…) まどか「……」ス… Uキラー「グルル…!」 QB『…!!』ビクッ 身の丈ほどの弓を左腕で支え 右腕で弓を引き絞る QB『そ…そんなもので…!!』 まどか「…いけぇっ!!」 シュパッ! Uキラー「!?」 まどかの放った光の矢は分裂し、 光の軌跡を描いてUキラーザウルスへ飛ぶ QB『な…!?』シュン Uキラー「グガッ!!」 ガガガッ バチッ! 分裂した矢はUキラーザウルスの両腕に阻まれ、弾け飛ぶ 両腕の防御を通り抜けた矢も亜空間バリアーに阻まれ、同じように消滅する QB『何故…何故…!!』 QB(以前の時間軸程ではないけれど…!) QB(今の彼女がなぜこれほどの力を!?) まどか「っ…」 杏子「へっ…ダメージは対して無いみたいだけど…」チャキッ さやか「あいつ…結構面食らってるよ!!」シャキン 再び刃をUキラーザウルスへ向ける二人 QB(!…なぜだ…!あの二人も既に相当のダメージを…!) QB(もう動くことなど出来ないはずなのに…) QB『わけが……解らないよ……』 ジャック『魔法少女達の……信じる心』 エース『その心は…時として不可能を可能にする!』 ダイナ『へへ!勢い付いてきたな…』 ティガ(まどかちゃん…彼女には人の光を輝かせる力がある…) ガイア『もう負ける気がしない…!』 QB『ぅ…ぅぅうううう…!!』 Uキラー「ゴォガァァアアアアアアアアッッ!!!」 今までに無いほどの強烈な咆哮を上げるUキラーザウルス QB『…いいだろう』 QB『何人揃おうと同じ事…君達全員まとめて消し去ってやる!!』 Uキラー「グォォオオオオオオオオ!!!」 ヒュヒュヒュン! 全身の触手全てを使い、 眼下の者達に向けて攻撃を仕掛ける セブン『! 来たぞ!』 マン『…我々の力を合わせ、この悪魔を倒す!』 ジャック「シェアッ!!」 エース「デァアッ!」 襲い来る触手を避け、飛び立つ四兄弟 ティガ『気をつけてください!奴の弱点を破壊するにはバリアーの突破が最優先です!』 ダイナ『よーし!やってやるぜぇ!』 ガイア『あの雷撃が来る前に触手の数を減らさないと!』 それに続いて飛び立つ三人のウルトラマン メビウス『杏子ちゃん!さやかちゃん!君達はこっちに!』 杏子「は!?お、おいちょっと…」 さやか「え!?」 メビウス『いいから早く!』 メビウス(あのバリアーを突破する攻撃を…!) 手の平で杏子とさやかを胸にしまい込むように乗せて、メビウスが飛び立つ まどか「よし…!わたしも…!」 ほむら「……まどか」 ガシッ まどか「あ…」 ほむらがまどかの肩に手を当て、呼び止める ほむら「……」 マミ「暁美さん…」 まどか「ほ、ほむらちゃん……あの…」 ほむら「……」 グイッ まどか「わ!」 マミ「あ…?え?」 まどかの体をUキラーザウルスの方へ向けるほむら ほむら「マミ、あなたも手伝いなさい…」 マミ「…?」 ほむら「私達の魔力をまどかに送り込むわ」 マミ「!…」 まどか「え…?」 ほむらの提案に、目を丸くする二人 ほむら「私達が受けたダメージでは…今奴に向かって行っても足手まといになるだけだわ」 マミ「じゃ…じゃあ私が回復を…」 ほむら「…無茶よ、あなた自身の傷も治せてないじゃない」 マミ「!…」 マミの体の傷を見て呟く ほむら「自分の体を治す余裕も無いほど…あなたの力が弱まっている証拠よ」 マミ「う…」 マミ「……」スッ まどか「!……マミさんも…」 まどかの背中に手をかざす二人 マミ「少しだけど…足しになるでしょう?」 ほむら「チャンスは一回よ、まどか」 ほむら「集中しなさい」 まどか「……!」 まどか「うんっ!」 Uキラーザウルスの巨体を真っ直ぐに見据え ゆっくりと弓を引き絞る まどか「……」 ググググッ… マミ「……」 ほむら(…あとは彼らが隙を作ってくれれば……) …………………………………… セブン「デュワァッ!!」 マン「シュワッ!」 ズバババッ アイスラッガーを逆手に持ち、振るうセブン 光輪を投げるウルトラマン 五人のウルトラ戦士の参戦で、大量の触手が次々に切り裂かれ 地に落ちる Uキラー「グゥゥウウウ…!!?」ブンッ 腕を振り回し、 全身から生体ミサイルを放つUキラーザウルス ジャック『まだまだ…!』シュン エース『次はコイツだ!!』シュン QB『!?』 ミサイルを避け、接近する二人 ジャックが左手首のウルトラブレスレットを変形させ、Uキラーザウルスの右腕に エースが頭部に集束させたエネルギーを光輪にしてUキラーザウルスの左腕に、それぞれ放つ ズバンッ! Uキラー「グァギャァアアアアア!!」 QB『く…』 白熱化し、空を裂く刃は巨大な扇状の両腕を斬り落とし、 辺りに肉片が飛び散る QB『だが……これくらいのダメージならすぐに…!』 Uキラー「!!」 シュルルル ガイア『!!…駄目だ、奴には再生能力が…』 残り少ない触手が斬り落とされた両腕を拾い上げ、体へと引き寄せる マン「シャッ!!」 セブン「デュワッ!」 ピタッ QB『…?』 Uキラー「?…グ…?…」 QB『な、何だ…!?引き寄せられない……持ち上げられない!?』 二本の腕は空間に固定されたように動かない マン『アスカ!!』 セブン『我々がウルトラ念力で止めている…今の内にあの能力で…!』 セブンが叫ぶ ダイナ『!!……そうか!それかぁ!!』 シュィン ダイナ(M)「デュア!!」 両腕を交差させ、ダイナが青い姿 超能力を得意としたミラクルタイプへチェンジする ダイナ(M)「ハァァアアアア……!!」シュゥゥ ダイナ(M)「ディヤァッ!!」バシュッ 右腕に圧縮した空間を衝撃波として撃ち出し、それが落ちたUキラーザウルスの両腕に直撃する QB『!……』 放たれた衝撃波・レボリウムウェーブは直撃と同時にブラックホールを作り出し、 両腕を次元の彼方へ吹き飛ばす ダイナ(M)『はっはー!どうだこの野郎!!』 QB『!…両腕が…っ』 エース『よぉし!!』 ジャック『あとはあの亜空間バリアーを…!!』 ティガ『!……よし』 QB『!…』 Uキラー「ギャォァアアアアアァ!!!」 バシュシュシュッ! 怒り狂うUキラーザウルスの全身から、 あらゆる方向に雷撃、光弾、ミサイルが放たる ティガ「……ハッ!」 シュゥン ティガ(S)「ジュアッ!!」バッ 交差させた両腕を振り下ろし、スカイタイプにチェンジするティガ そのまま攻撃を避け、Uキラーザウルスの頭部に向かって飛行する QB『!!…速い…!』 シュゥゥゥウウ Uキラー「!?…グ…グゥゥゥウウウ!!」 超高速で飛び回り、翻弄するティガ 触手をほとんど斬り落とされたUキラーザウルスはティガを止めることは出来なかった QB『くぅううう…!!』 ティガ「…」 ティガ(S)『今だ!!』 QB『…!!?』 Uキラー「グルゥ…!!」 QB『……上か!?』 Uキラー「グォオオオォオオオォ!!」 Uキラーザウルスが大きく首を持ち上げて、 遥か上空から迫る三人へ咆える ゴォォォオオオ… メビウス「ハァァァアアッ!!!」 杏子・さやか「「うぉぉおああああっ!!!」」 メビウスの手から飛び降りた杏子とさやか 二人の魔力を纏わせた武器がUキラーザウルスの頭部を狙い、 メビウスが落下の勢いを加えたキックを繰り出す ティガ(S)「…!」シュン Uキラーザウルスの前から飛び去るティガ QB『!…そっちは囮だったってワケかい…!!』 ほむら「チャンス…!!」 ガイア『!! 今です!あのバリアーに…!』 マン「シュワ!!」 セブン「デュワ!!」 ジャック「シェアァッ!」 エース「デァアアッ!」 バシュゥゥゥウウ!! ガイアがまどか達を守りながら叫ぶと同時に、 四兄弟がUキラーザウルスの頭部へ向けて、地上から必殺光線を放つ Uキラー「グォォオオ!!」 QB『だが…!』シュン バチバチバチバチッ!! 七人の攻撃が亜空間バリアーのに直撃 耳を劈く轟音が鳴り響き、強烈な閃光が辺りを照らすが、 バリアーの破壊までには至らない 杏子「くっ、そぉおっ!!」 さやか「く…ぅぅううう!!」 メビウス『…!』 グググッ QB『不意打ち気味の狙いは悪く無かったが……もう一押し足りなかったね…!!』 さやか「っ…!…うっ!!」 メビウス『……ならもう一押しだ!!』 QB『…!?』 メビウス「ハッ!!」シュイン 光と共にメビウスの体を炎が包み込み、 強化形態、バーニングブレイブへと姿を変える メビウス(BB)『二人とも!続いて!!』 さやか「え!?」 杏子「何だ!?」 バチバチバチ…! メビウス(BB)「ハァァアアアアア…!!」 バリアーに接触した右足を軸に、高速回転を始める Uキラー「!? グゥゥウッ!!」 QB『何をする気だい…!?』 バチバチバチバチッ!! QB『!!…キックの威力が…!』 メビウスの足元からさらに強烈な火花が散り、 その火花は螺旋を描きながら円錐状の炎を起こす 杏子「あ、アレに続けってか!?」 さやか「やるしかないよ!!」グンッ 杏子「…あ~っ!もうっ!!やってやるよ!!」グンッ さやかが突き立てた剣を軸に、 杏子が槍を軸にしてメビウスに続いて高速回転する メビウス(BB)「セァアアアーーーーッ!!」 さやか・杏子「「だぁぁああーーーーーっ!!!」」 バチバチバチバチッ!! ピシッ QB『!!…そ、そんな…!バリアーが…!!!』 パキィィイイン…! Uキラー「!!?」 セブン『…!』 マン『よし…!』 ガラスの砕け散るような音を響かせて、 亜空間バリアーはエネルギーの粒子を散らし、消滅する 杏子「うわぁっ!!」 さやか「あっ!?」 ポスッ メビウス(BB)『二人とも!お疲れ様!』シュン バリアー消滅時の衝撃で吹き飛ばされた二人を手で受け止め、その場から飛び去るメビウス 杏子「ど…どうだ…!」 さやか「う……目が回る…」 ほむら「!!」 マミ「鹿目さんっ!!」 まどか「……っ!」ググッ まどかが弓を引く手に、より一層力を入れる QB『…!……鹿目…まどか!!』 Uキラー「ゴォァァアアアアアァッ!!!」 ガシュン! まどか「うっ…!」 マミ「!!…あ、危な…」 Uキラーザウスの腹部から巨大なクワガタの鋏の様な牙が飛び出し、 まどかを狙う ガイア「!…ディヤッ!!」 ガシッ! Uキラー「ガ…ァアアアア!!」 マミ「我夢さん…!!」 QB『っ…まだそんなパワーが…!!』 Uキラーザウルスの牙を受け止め、 まどか達を背中に庇うガイア ガイア「グ…ゥゥウウウ…!」シュゥウ… Uキラー「ガァォォァアアッ!!」 バキバキバキッ… ガイア「ディヤァァアアアアッ!!」 バキッ! QB『がっ…!!』 体を赤く発光させたガイアがUキラーザウルスの牙をへし折り、その場から飛び退く ガイア(エネルギーが足りずに変身は出来なかったが……これなら!) QB『ま…不味い…!!』 マミ「…今よ!」グッ ほむら「まどかっ!!」グッ 魔力を送り込む手に力を込める二人 まどか「……っ!」 Uキラーザウルスの巨大な姿、バリアーが消えて完全に無防備な頭部 そこを真っ直ぐに見据えて、放つ まどか「たぁぁあーーーーーっ!!!」 バシュッ!! QB『うっ!?』 まどかの放った矢がUキラーザウルスの頭部へ、 風を切り裂き一直線に飛ぶ ズバシュッ!! Uキラー「グゴァッ……!!」 QB『!!!』 桃色の矢は、黄色と紫の光の筋を纏い、 Uキラーザウルスの下顎を打ち上げるように直撃 頭部を吹き飛ばし そのダメージは額の結晶体と同化したキュウべえにも致命的なダメージを与える ダイナ『…!!』 ティガ『勝った……か?』 ズシン 巨大な頭部がUキラーザウルスの足元に落下すると同時に、 胴体がゆっくりと沈み込むように倒れ込む 杏子「また何かあるんじゃないか…?」 さやか「……アンタそれ笑えない」 メビウス『いや…そんなことは…』 マミ「やった……の?」 ほむら「…」 まどか「……」スッ 確かな手応えを感じたまどかが弓を下ろす サァァァアア… マン『……む?』 ジャック『…』 ガラガラガラ… エース『いや……もう立ち上がることは無いだろう』 セブン『奴の最期だ…』 Uキラーザウルスの身体が少しづつ灰になり、 音を立てて崩れ落ちる Uキラー「………………」シュー ピシッ ガイア『……?』 パキパキパキッ 静寂が支配する中、 空に赤い亀裂が入り、不気味な音が響き渡る ほむら「!!……」 ガイア『!…気をつけて!まだ何か来る!!』 エース『あれは…!』 さやか「ほらぁ!アンタが余計なこと言うから!」 杏子「あ、アタシのせいか!?」 セブン『落ち着け!何が出てくるか分からんぞ!』 予想外の事態に全員が後ずさり、空の亀裂を睨む バリーン! ズズンッ! ???「フシュゥゥウ……」 ???「……」 ???「グルル…」 マン『…!!』 まどか「!?…か…怪獣!?」 空がガラスの様に砕け散り、その向こう、別の空間から 三体の巨大な怪物が出現する メビウス『…エース兄さん!』 ジャック『エース!…これはまさか……』 エース『ええ、間違いありません……超獣です!』 マミ「超獣…?」 三体の超獣とエースの姿を交互に見つめ、マミが呟く 杏子「ここにきて面倒くさそうな奴等が出やがったな…!」 エース『奴が絡んできている以上…超獣の出現は避けられないとは思っていたが…』ググッ 固く握り締めた両手の拳を怒りに震わせながら、 超獣に戦いの構えを取る ダイナ『ま、待ってくれ!こっちにも分かるように説明してくれよ!』 超獣1『……』 超獣2『…ギィィイイ…』 獲物を見つけた獣のように唸り声を上げ、超獣達がウルトラ戦士と魔法少女達に滲み寄る ほむら「!……来るわ…」 ティガ『不味い…こちらにはもうほとんどエネルギーが残っていない…!』 エース『超獣とは手短に説明すると…』 エース『異次元人ヤプールが別々の生物を合成させることで生み出した…怪獣兵器といったところか』 まどか「ヤプール…!」 表情を険しくして、武器を構えるまどか ガイア『他の生物との合成…?』 マン『……だがこの三体は何の超獣だ?見たことが無いタイプだが…』 超獣3「グルルルゥ……」 さやか「……ん?」 目の前に現れた超獣達 その体色は頭の先から尻尾まで不気味なまでに白く 両目は鋭く発光し、宝石のように赤い 頭部から垂れ下がった長大な耳のような部位、 その先には浮く様に固定された金色のリング そして背中には一同にとって見覚えのある特徴的な赤い印があった さやか「ねぇ……こ、こいつら…もしかして」 マミ「まさか……」 超獣1「グォォオオオォ!!!」ズンッ ほむら「…!!」 杏子「来やがったぜ…!」チャキ シュンッ ドガッ! 超獣1「グァギャ……!!」ズズンッ さやか「……え?」 牙を剥き、襲い掛かろうと駆け出した超獣が、 空の彼方より現れた二人の巨人に蹴り飛ばされ、瓦礫の上に転がる まどか「あ…!!」 マン『…彼等は…!』 超獣2「!?……グゥゥ…!!」 超獣3「ギャォアアアア!!」 コスモス(C)『そのまさかだよ……マミさん』 ネクサス『なんとか戻って来れたか…!』 二体の超獣が、 仲間を蹴り飛ばした銀色の巨人ウルトラマンネクサスと、 太陽の炎の様な赤い姿、コロナモードに変身したウルトラマンコスモスを睨み付け、咆哮する ほむら「あのウルトラマン……孤門…!」 杏子「ムサシ!無事だったんだな!!」 突然の二人のウルトラマンの帰還に歓喜の声を上げる マミ「そのまさかってやっぱり…」 さやか「じゃああの超獣は!」 ネクサス『…話は後だ!』 キュイン! コスモス(C)『まずはこの状況を…!』 超獣1「!!……」 コスモス(C)「ハァァアアア……」 シュゥウ… コスモス(C)「デヤッ!!」 コスモスが両腕に灼熱のエネルギーを球状に集束させ、 炎の破壊光弾、プロミネンスボールを打ち出す コスモス(C)『孤門さん!今です!!』 ネクサス「!!…シュアッ!」バシュッ コスモスが叫ぶと同時にネクサスが両腕をクロスさせ、 三日月状のエネルギーをプロミネンスボールに放つ 超獣2「…!!」 超獣3「ギッ!?」 ドガァァァアアン…! ネクサス「……」 コスモス(C)「……」 エネルギー刃はプロミネンスボールを起爆させ、三体の超獣達の前で炸裂 拡散した灼熱のエネルギーは超獣達を焼き払い、消滅させる さやか「すごい…!一気に三体も…」 まどか「……」 ダイナ『…とりあえずこれで全員集合だな!』 五人の魔法少女と十人のウルトラマンが一ヶ所に集う マミ「あの…孤門さん…あの怪物はやっぱり…」 ネクサス『…その答えは奴等に聞いた方が早そうだ』 さやか「え…?」 バリーン! ヤプール「…結局…こいつらを始末することは出来なかったか」 ???「まぁ…いいんじゃないかな?ここまでは想定内だし」 再び空間が割れ、 その向こうからヤプールと少女達にとって見覚えのある白い生物が現れる エース『出たな…ヤプール!!』 まどか「……!!」 マミ「え……キュウべえ…よね?」 ほむら「違うわ。別個体よ…私達が知るインキュベーターとは別…」 ヤプールの足元の生物を見て驚き、呟くマミ そのマミにほむらが冷静に答える インキュベーター「……」 ほむら「インキュベーター…答えてもらうわよ」 マミ「……私達をおそったあの生物は…」 インキュベーター「超獣だよ……僕達インキュベーターをベースにした…ね」 ヤプール「私の超獣製造機を利用して作り出した」 ガイア『超獣製造機…?』 エース『貴様っ!……またそんなものを持ち出してきたのか…!!』 エースが感情を露わにし、ヤプールを睨み付ける インキュベーター「さて……仕事だよ」 ヤプール「うむ…」スッ ヤプールとインキュベーターが歩き出し、 今尚灰化が進むUキラーザウルスの亡骸に手をかざす QB「………………う…」ピクッ マミ「!!…キュウべえ…?」 ヤプール「!…まだ息があったか」 インキュベーター「死んでいた方が幸せだったのかもしれないのにね」 QB「……ぁ……な、何…を…」 既に虫の息なキュウべえが、ヤプールの姿を見上げる ヤプール「ワルプルギスとの戦闘でウルトラマン達が現れず…尚且つUキラーザウルスが敗れた今…」 インキュベーター「もしもの時の為の保険…使わせてもらうよ」 シュゥゥウウ… QB「う゛…っ!?……あ……そん…な…!!」 ほむら「…!」 メビウス『な…!?あれは…!』 キュウべえの身体から黒い霧状の生物、 宇宙同化獣ガディバが抜け出し、ヤプールの手に戻る ヤプール「よし…十分なデータだ」 インキュベーター「この場にいる者達全員のデータ…これで集まったね」 QB「なん…で……なんで……僕…に」 サァァァアア… インキュベーター「……君、本当は気付いてるんだろう?」 QB「……」 インキュベーター「魔法少女……多数のイレギュラー達との接触で……」 インキュベーター「君の中に感情が芽生えてきたことにね」 QB「!!……う…そ……だ…」 インキュベーター「嘘なもんか!…ほらヤプール、見せてあげなよ」 ヤプール「ああ…」スッ 差し出したヤプールの右手の上に、 不気味な黒いエネルギー球が出現する ヤプール「たった今回収できた……お前の絶望のエネルギーだ」 QB「!!!」 インキュベーター「感情の無い生物からはこんなもの回収できないよね?」 QB「……ぁ…ぁぅ……」 インキュベーター「欠陥品は処分しなくちゃ」 ほむら(…まさかとは思ったけど……やはり…) インキュベーター「ヤプールが君の変化に早目に気付いてくれてよかったよ」 ヤプール「魔法少女達がソウルジェムの秘密を知ったあの夜…」 ヤプール「絶望する巴マミを見ていたお前の中の…微かな揺らぎに気付いた」 ほむら「!……あの日から既に…」 マミ「……キュウべえ…」 QB「…」 ヤプール「おかげで…ワルプルギスと戦闘しなかった者達のデータも取れた…」 ティガ『!…』 ダイナ『俺達の事か…!?』 ガイア『…』 ヤプール「それだけでは無い」 ヤプール「そこにいるウルトラ兄弟達がUキラーザウルスと戦闘出来るように…あの空間に歪みを作ったのも私だ」 マン『…我々のデータも完全に取られたというわけか』 セブン『エースの言う通り…あれは初めから仕組まれていたのか』 ジャック『……用意周到な奴らだ』 エース『仲間を捨て駒のように使うとは……』 メビウス『…こんな…酷い…』 インキュベーター「全てのイレギュラー達のデータは回収済みだ」 ヤプール「しかし…一番のイレギュラーは…」 インキュベーター「……」 一人と一匹の視線が、 一人の魔法少女に注がれる まどか「……」 マン(……この子…か) ヤプール「鹿目まどか……お前は何なんだ?」 インキュベーター「精神攻撃を跳ね除けて…別のイレギュラー達の助けがあったとは言え…生還するとは」 まどか「……」グッ QB「ぁ……ぁ…」 サァァァアア… マミ「!」 マミ「…キュウべえ…!」 杏子「待てマミ!崩れるぞ!」ガシッ マミ「っ…で、でも…!」 キュウべえの元へ駆け出そうとしたマミを引き止める QB「………マ…ミ…」 QB「………」 QB「…」 ガラガラ サァァァアア… キュウべえの身体が Uキラーザウルスから崩れ落ちた灰の中に消える マミ「あ…ぁ……」 ダイナ『……』 セブン『何故だ…?何故そうまでしてエネルギーに拘る?』 ほむら「……インキュベーター、あなた達の目的は何?」 インキュベーター「…宇宙延命のため。それは変わらないよ」 メビウス『だったら…!!』 インキュベーター「だが延命というのは…一時的な滅びから逃れるだけの『逃げ』の手段だ」 インキュベーター「またいつ滅びの危機を迎えるかわかったもんじゃない」 インキュベーター「だからいらないものは…切り捨てなくちゃあいけないんだ」 杏子「なんだと…!」 インキュベーター「例えば…野蛮で愚かな地球人類とかね」 さやか「…!!」 インキュベーター「新しい宇宙に存在することが許されるのは…」 インキュベーター「何者にも倒されず…壊されず…」 インキュベーター「互いに争い合うことの無い、無駄な『感情』というものを切り捨てた生物のみ」 さやか「あたし達はいらないっての!?」 インキュベーター「そういうことになるね」 インキュベーター「…確かに僕達の言っていることは夢物語に聞こえると思うけどね」 インキュベーター「ヤプールの接触でもたらされた技術で…僕達の唯一の欠点だった個々の肉体の弱さ」 インキュベーター「それも完全に克服済み」 インキュベーター「既に超獣製造機により全インキュベーターの改造は完了した」 エース『!!……なんということだ…!』 セブン『…愚かなことを……』 インキュベーター「素晴らしいよ…この肉体は…」 ほむら「見た目的には何の変化も感じられないのだけれど…?」 インキュベーター「自分の意思で…君達が見たあの巨大な超獣の姿になれるからね」 インキュベーター「手に入れたデータで強化された超獣は…ウルトラマン達とも互角に渡り合えるだろう」 ジャック『…個々の戦闘力が跳ね上がったというわけか』 まどか「…」 杏子「マジかよ…」 マミ「そんな奴が…何体も…」 魔法少女達の顔が絶望に染まる ヤプール「……」 インキュベーター「…さて本題に入ろうか」 インキュベーター「僕達が管理することになる新しい宇宙…」 インキュベーター「そこにヤプールの技術を施せば…無益な争いなど全て無くなり…」 インキュベーター「夢物語が現実のものとなるだろう」 ほむら「…何が言いたいのかしら?」 インキュベーター「…君達が望むのなら…」 インキュベーター「新しい宇宙に迎え入れてあげてもいいかな…と思ってね」 さやか「!…」 マミ「!!」 ほむら「……」 杏子「ふん…」 まどか「……」 ティガ『!!…』 ダイナ『ふざけんな!こいつらがお前らなんかに…』 インキュベーター「君達には聞いていないんだよ…僕は魔法少女達に聞いてるんだ」 ヤプール「さぁ、答えを聞こうか?」 チャキッ ほむら「聞くまでも無いでしょう?」 杏子「お前らの手先になるくらいなら…死んだ方がマシだね」 武器を突きつけ、 インキュベーターの誘いを一蹴する二人 インキュベーター「…まぁ君達はそう言うと思ったよ」 ヤプール「では巴マミ、美樹さやか…お前達はどうだ?」 マン『…』 メビウス『…兄さん達…』 セブン『メビウス…今は見ていろ』 ヤプールが手を差し伸べ、マミとさやかに滲み寄る ヤプール「お前達は愚かな人間達に絶望したのではないのか?」 インキュベーター「人間に見切りをつけてこちら側にくるのが賢明だとおもうけどなぁ」 さやか「……」 マミ「私は…」 マミ「……」チラッ 既に原形が失われつつあるUキラーザウルスの亡骸を一瞥し、 マミがマスケット銃を構える マミ「仲間を捨て駒にするような人達は…信用できないわね」 チャキン さやか「…ま…あたしは最初から信用できないとは思ってましたけどね…っと」 マミに続き、 さやかも剣の切っ先をヤプールに向ける ヤプール『……』 インキュベーター「…じゃあ」 まどか「わたしも行く気は無いよ」 インキュベーターの視線の先の少女、 まどかがきっぱりと言い放つ まどか「ここであなた達に屈したら……みんな嘘になるから…!」 ヤプール「…ふうん」 マン『解かるかインキュベーター…これが彼女達の答えだ』 セブン『生命を弄び、可能性を奪うことは許されることではない!』 インキュベーター「…」 ティガ『一つの生命が他の生命を完全に管理し、貪り尽くすなんて不自然だ』 コスモス『心無き力はいずれ滅びる!』 インキュベーター「…ならば君達が滅びるがいいよ。僕達の力の前に」 ヤプール「…」スッ バリーン! ヤプールが手を掲げ、再び空間に穴を開ける ヤプール「…既に我々の母艦が月の裏側に待機している」 インキュベーター「…それに伴い全インキュベーターが地球の周辺宙域に集結してるよ」 メビウス『!!』 マン『なんだと…!?』 さやか「そんな…!」 杏子「総力戦かよ…上等じゃん」 インキュベーター達の答えに驚愕する一同 インキュベーター「今から五日後の正午…この町に超獣を一斉に送り込む」 ヤプール「そして邪魔な貴様達を消し去った後、地球全土に超獣を送り込み…」 ヤプール「地球を制圧した後には人類全てを超獣に改造してやろう!」 エース『……悪魔め』 インキュベーター「…じゃあね。交渉は決裂ってことで」 ヤプール(…もうこれも必要無いな)スッ チャリン ヤプール「精々残された時間を楽しむかがいい………ふふ…ふふふふ…」 シュゥウウ… 不気味な笑い声を残し、 次元の穴の向こうへ消える一人と一匹 まどか(?………あれは…) さやか「……」 杏子「ちっ……人を見下したような笑い方しやがって…」 タッタッタッ… まどか「…あ」 ヤプールが消え去った地点、 そこに落とされた物を拾い上げる まどか「これ…わたしの…だよね…?」 拾い上げられた物は、 まどかがヤプールに奪われたはずの小さなアクセサリー しかし以前の透き通る様な輝きは失われ、 化石の様な冷たい灰色になっていた まどか(……こんな色じゃなかったのに…なんでだろ) まどか「…」スッ 自身の頭の中に浮かんだ疑問を残し、拾い上げたアクセサリーを首に掛け直す まどか(今は…それどころじゃないかな) …………………………………… …………………………………… ハヤタ「……すまない、結局別世界の君達まで巻き込むことになってしまって…」 廃墟と化した町で、 人間体に戻ったウルトラマン達が一ヶ所に集う アスカ「困った時はお互い様じゃないっすか!」 我夢「僕達も危ないところを助けてもらいましたしね」 孤門「それに…奴等をこのまま放っておくことなんてできませんよ」 ダン「……とにかくみんな無事でなによりだ」 郷「しかし…奴等と戦うとなったらそれなりに対策を立てておいた方がいいな」 北斗「ええ…今回の戦いで俺達の光エネルギーは殆どが失われてしまいましたからね」 ダイゴ「……とにかく今はマミさんの家に戻りましょう」 ダン「ああ……」 ムサシ「……えーっとあとは…」 ほむら「…」 さやか「…」 マミ「…」 杏子「…」 まどか「………」 ミライ「…」ハラハラ 少女達を落ち着かない様子で見つめるミライ まどか「……えっと…みんな…」 頼りなさげに、何も無い方へ何度か視線を泳がせ、 再び四人へ向き直るまどか まどか「心配掛けて……本当にごめ――」 ベシッ まどか「痛っ!?」 唐突に頭を叩かれ、言葉を謝罪の言葉を遮られる さやか「…ばか」 杏子「へへっ………バーカ」 小さく歯を見せて、 杏子とさやかが悪戯っぽく笑う さやか「……まぁあたしも人の事そんな言えないけどさ」 杏子「でも…無事だとは思ってたけどな、アタシは!」 まどか「……あはは」 まどかの口から自然に短い苦笑いがこぼれる マミ「鹿目さん…」 まどか「!…マミさん…」 マミ「本当に……よく無事で…」 マミがそっと微笑み、 包み込むような優しい笑顔をまどかに向ける まどか「……はいっ!」 ほむら「……」クルッ まどか(…!) ほむらが踵を返し、廃墟の町へ向かう 杏子「お…おい、ほむら!」 ほむら「無事でよかったわ。まどか」 振り返ること無く、ほむらが小さく呟く マミ(…!) 杏子(お……っと) さやか「…どこ行くの?」 ほむら「……ディバイトランチャーをさっきの戦闘で落とした…拾ってくるわ」 さやか「…ふーん」 タッタッタッ まどか「あ……わたしも行ってくるよ」 ほむらの後を追い、まどかが駆け出す ミライ「あ!…僕達も行った方が…」 さやか「分かってないなぁ先生!」 ガシッ ミライ「え!?…な、なんで?」 まどかが駆け出してすぐに後を追おうとするミライ その袖を持ち、さやかが引き止める さやか「こういうのは少し待ってから行くもんだって!」 杏子「おっ!分かってんじゃんさやか!」 マミ「あらあら…」 ミライ「そういうものなの…?」 少女達は気付いていた 無愛想に答えたほむらの肩が少し震えていたことに ハヤタ「ははは…」 ダン「……俺達は先に戻っているぞ」 溜息混じりに笑い ダン達がその場から立ち去る …………………………………… …………………………………… ほむら「……」カチャカチャ 瓦礫の上に腰を掛け、拾い上げたディバイトランチャーを弄り、 盾に収納する まどか「…ほむらちゃん」スッ ほむら「…!」 その背後から近づいたまどかが 後ろからほむらの肩に手をまわし、優しく抱きしめる まどか「わたし……ね」 まどか「みんなと別れて……独りぼっちになった時にね…解ったんだ」 まどか「ほむらちゃんが……どんなに傷ついて…苦しんで…わたしの為に戦ってくれてたか…って」ジワッ ほむら「!!」 まどか「あは……我慢…してたけど……駄目だなぁ…わたし…」ポロ ほむら「!…まどか…」 まどか「ほむらちゃん…っ…が…我慢してた……か…ら」 まどか「わたしも…我慢しようと…思ってたん…だけどな…」ポロポロ 零れ落ちる涙を拭わず、 ほむらの耳元で囁き続ける まどか「でも……今は…今だけ…は」ポロポロ ほむら「っ……うっ…く…ひっ………く…」ジワッ まどかと顔を合わせず、声を押し殺して ほむらが肩を震わす まどか「……ちょっとだけ…泣いても……いいよね…」 ほむら「っ……まど…かっ……!!」ガバッ 感極まったほむらがまどかに抱きつく 振り返ったほむらの顔は涙で濡れていた …………………………………… …………………………………… 杏子「おーおー…見せつけてくれるねぇ…」 さやか「あいつ素直じゃないなぁ…」 涙を流して抱き合う二人 その姿を廃墟の陰から見つめる四人 マミ「いいのかしら……盗み見なんて…」 ミライ「え!?こ、これ悪い事だったの……?」 目を丸くして驚くミライ さやか「遅いよ!?」 杏子「まぁ時と場合によるというか…何というか……」 …………………………………… …………………………………… ほむら「ひっ…く……まど…かぁぁ…」 まどか「うん……うんっ…!」 溢れ出す思いを抑えようともせず、 お互いの身体をきつく、親に縋り付く子供のように抱き合う ほむら「よかっ……た…ほん……とに…!」 まどか「ごめんね…ほむらちゃんっ……」 二人が声を上げ、涙を流し、鼻声でお互いの名を呼び合う ほむら「もう…どこへも……行かないっ……で……!」ギュッ まどか「うん……みんなで…ずっと一緒にいよう…!?」ギュッ ほむら(もう……離さない…離したくない…) まどか(ありがとう……ほむらちゃん…) まどか(わたしの…最高の…友達……) ~次回予告~ …………………………………… 杏子「おい!これ外せよーっ!!」 さやか「えーっと動けないんですけど…」 ダン「甘えるな!!」 …………………………………… マミ「私…あの時、ヤプールの言葉が…ちょっと心に突き刺さったんですよね」 郷「…」 …………………………………… 北斗「あれはウルトラの星と言ってな…」 さやか「ウルトラの星?」 …………………………………… マン『この…砂漠の砂一粒を狙い撃ちにするかのような精度…』 メビウス『まさか…!』 …………………………………… まどか「あなたは…?」 ???「俺はご覧の通り風来坊よ!」 セブン『こ、こいつ…』 …………………………………… ヤプール「教えてやる…真の計画を!!」 …………………………………… ほむら「世界の…終焉…」 BACKまどか「…ウルトラマン!」 11 NEXT まどか「…ウルトラマン!」 13
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8720.html
前ページ次ページウルトラ5番目の使い魔 第七十七話 ウルトラマンの背負うもの くの一超獣 ユニタング 登場! 「ねえ、神さまっているのかな?」 「なあに、シーコったら突然?」 「えへへ、ちょっと昔を思い出しちゃったの。お父さまたちが生きてたころは、降臨祭のときにみんなそろってお祈りしてたじゃない……」 「ええ、あのころはみんな幸せだったね……」 「うん、戻れるものなら戻りたいね。そういえばさ、シーコは去年はなんてお祈りしたの?」 「みんなとずーっと、いつまでもいっしょにいられるようにって。だってさ、神さまって正しい人の味方なんでしょ? 姉さんたちは みんなすごく優しいから、不幸になることなんて絶対ないって。だからみんないっしょにいれたら、それが一番幸せなんだと思って…… へへ……お願い、かなっちゃったね」 「そうね……でも、かなえてくれたのは神さまじゃないわよね。わたしたちみんな、悪い子になっちゃったんだもの……」 「なにがいけなかったんだろうね。神さまは、わたしたちのことが嫌いなのかな……」 「ほんと、シーコみたいにいい子のこと忘れちゃうなんて、ひどいやつだよ。けどもういいじゃない……いろいろあったけど、こうして もう一度セトラ姉さんもエフィ姉さんも、キュメイラ姉さんもディアンナ姉さんもイーリヤ姉さんともいっしょにいれるようになったんだし」 「こらビーコ、ユウリにティーナのこともちゃんと数に入れてあげなさいよ」 「エーコこそ、そのふたりに限って姉さんとつけないんだからいっしょだよ……ふわぁ……どうしたんだろ、急に眠くなってきちゃった」 「わたしも、なんか眠いよ」 「しょうがない子たちね。わかったわ、あとで起こしてあげるからしばらくお眠りなさい」 「もう、エーコは相変わらずシーコには甘いんだから。けど、目が覚めたらお父さまとお母さまにまた会えるような気がするよ……」 「ええ、わたしも……」 「おやすみ、みんな……」 「いつまでも、いっしょだよ……」 闇に食われた魂たちが眠りに落ちるとき、悲劇の凶獣はその本性を表す。 鋭い牙の生えそろった口で空高く吼え、人間の作り出した建物を踏み壊して暴れまわる様はまさしく悪魔の使いにふさわしい。 悪魔の誘惑に乗って、魂を売り渡した人間の末路……それは自らもまた悪魔となること。 そして、身も心も闇に染まった魂が救われることは、もはやない。 東方号の完成まで、あと数時間と迫った造船所。この世界を覆う暗雲を晴らすべく、人間たちが心血を注ぎ込んで作り上げた 希望の飛翔を妨害せんものと、ヤプールはくの一超獣ユニタングを送り込んできた。 倉庫街に四度出現し、再び暴れ始める超獣を迎え撃たんと、ウルトラマンAも姿を現した。 しかしこの戦いが、光の戦士とともに戦う才人とルイズにとって大きな試練になろうとは、このときの彼らはしるよしもない。 「ヘヤァ!」 戦闘態勢をとり、油断なく敵を見据えるエースに一寸の隙もない。鋭い眼差しは戦闘開始の咆哮をあげるユニタングの 一挙一投足を余さず睨み、燃える闘志は三人分が全開でたぎる。 〔サイト、東方号が飛び立てるようになるまで、あとどれくらい必要?〕 〔あと少なくとも二時間はいるってさ。できたばっかりの水蒸気機関をあっためるにも時間はいるし、実際はさらに時間かかるだろって コルベール先生は言ってたぜ〕 〔はぁん、機械ってのはいろいろめんどうなのね。てことは、時間稼ぎじゃ生ぬるいわね。散々引っ張りまわされた分、利子つけて お返ししてあげましょうか!〕 〔ああ、十倍返しでいこうぜ!〕 〔ふたりとも燃えているな。ようし、ならば私も負けてはいられないな。いくぞ! 勝負だ!〕 ユニタングが倉庫の残骸を蹴り倒したのを合図として、戦いの火蓋は切って落とされた。 ウルトラ兄弟の中でも、常に前に進むタイプの戦い方を得意とするエースの戦法は先手必勝あるのみだ。両者の間合いが 一気に詰まると、すれ違いざまにエースの手刀がユニタングの胸に火花を散らせる。 「トァッ!」 第一撃の手ごたえ、あり。手刀が肉に食い込んで、エネルギーがほとばしる感触は確かに得た。 だが、この程度で倒せるような相手ではないことはわかっている。実際、ユニタングはたいしたダメージを受けたようには見えず、 今度は向こうからユニコーンのような一本角を振りかざして襲ってくる。だが、真っ向きって受け止めるのは馬鹿のやることだ。 〔なんのっ!〕 寸前まで引きつけてかわしたエースは、ユニタングの背中を思い切り蹴っ飛ばした。たまらず、勢い余ったのも含めて別の 廃倉庫に頭から突っ込んでいく。たちまち三件ほどの廃倉庫が崩れ落ち、近場に合った給水塔跡や見張り小屋などもあおりを 食って、ガラガラと音を立てて崩れていった。 〔しまった、少しやりすぎたか〕 エース・北斗が、百メートル四方が一気に壊滅してしまった様にまずそうに言った。怪獣との戦いで、街にある程度の被害が 出てしまうのはやむを得ないが、町への被害は最低限に抑えるのが基本である。メビウスは最初、ディノゾールとの戦いで これを知らなかったために街の一角を壊滅状態にしてしまい、当時隊員だったアイハラ・リュウに怒鳴られてしまったことがある。 けれども、ここでの戦いなら問題ないとルイズは言った。 〔気にしなくていいわ。どうせこのあたりはいずれ取り壊す予定だって聞いたから、むしろ手間がはぶけるってものよ。だから 遠慮なく、あいつをぶっ飛ばしちゃってちょうだい!〕 〔そうか、そういうことなら本気を出していいな!〕 エースは、血気盛んなTAC隊員北斗星司だったころに戻ったように言った。好戦的、といえば少し違うだろうが、ウルトラ兄弟の 中で誰が一番血の気が多いかと問われれば、まずエースが選ばれるのは間違いない。 ゾフィー・マン・セブンは生真面目な理性派だし、若い頃は無謀さが目立ったタロウやレオも現在では教官を務めるほどに 落ち着いており、教職にあった80は言うに及ばず、ジャックも自らの心の隙を突かれた経験を多く持つせいか猪突はしなくなっている。 が、中で例外的に若い頃とたいして変わっていないのがエースである。考えるよりも先に手が動き、感情が隠れず表に出る。 タロウが地球で戦っていたころも、メビウスのころも弟がピンチになると真っ先に飛び出したがったのはエースだった。恐らくは、 エースと同化した北斗の元々の性格が強く影響したのだろうが、それであるがゆえに才人やルイズとの相性はよく、シンクロの 度合いは人間とウルトラマンが同化した中ではトップクラスだろう。 「トォーッ!」 ユニタングの角からの緑色破壊閃光をかわしてエースが跳んだ。跳躍五百メートル、太陽を背にして空中できりもみ回転 しながら落ちてきたエースは、ほとんど直角からユニタングの後頭部に急降下キックをお見舞いする。 〔どうだっ!〕 重量物が超高速で激突したときに起こる爆発音にも似た衝撃波が空気を揺るがし、超獣にそのぶんの打撃を与えた。 前のめりにのけぞって苦しむユニタング。が、超獣の強靭な生命力は人間であれば頚椎粉砕するほどの衝撃にも耐えて、 なおも十分以上の余力を持って反撃に出てくる。 刃物になった腕に鋭い牙に角、肉体そのものが武器である超獣をエースは素手で迎え撃つ。 「テヤァァッ!」 パワーにまかせたユニタングの攻撃をさばき技で威力を殺して受け流し、中段キック、頭部へのチョップ打ち下ろし、すばやく 腰を落としての下段キックの三連コンボが炸裂する。だがユニタングはそれにも耐えて、エースへと執念じみた執拗な攻撃を 仕掛けてくる。 〔ヤプールの怨念のなせるわざということか、しかし私も負けるわけにはいかない!〕 生き物という枠に入る『怪獣』ならば、まだ生きるために暴れていると認められる点もあるが、悪意によって動いている『超獣」は なにがあっても絶対に認めるわけにはいかない。エースとユニタングの、息もつかせぬ攻防は続く。 しかし、戦いの流れは目に見えてエースに傾いていった。ユニタングも弱い超獣ではなく、この個体も対エース用に先代の 個体よりも攻撃力が引き上げられているのに、なぜかというと。 〔お前の攻撃方法はみんな予習済みなんだよ!〕 才人が得意げに言ったのには訳がある。昨日、それにおとといと続いたユニタングの出現に、才人は戦うことになったらなにが なんでも逃がすまいと、GUYSメモリーディスプレイを使ってユニタングのデータを徹底的に暗記してきた。さっきの破壊閃光を エースが簡単に避けられたのも、実は直前に才人がアドバイスしたからなのだ。 今では以前に直接戦ったエース本人よりもユニタングに詳しいだろう。まったく、地球にいたころにその勉強熱心さの半分でも あれば優等生になれたに違いないが、そのおかげで得た才人の自信と情報アドバンテージは確かだ。ウルトラマンを倒そうと 狙う宇宙人も、強豪と呼ばれる一団の大半は事前にウルトラマンの戦法や能力を徹底的にリサーチしたものばかり、ならば、 その理屈がウルトラマンにも適用されないはずはない。 攻撃を一方的に受け続けて、かつ自分の攻撃はことごとく外されたユニタングは怒って、めちゃめちゃに手足を振り回しながら 向かってくるが、そうなればかえってエースの思う壺なのはいうまでもない。エースも足場が壊れることを気にする必要が ないので、好きなように身をかわすことができ、むろんユニタングの得意技に対しても構えはできている。 業を煮やしたユニタングの、鋭いハサミになった手からの白い糸攻撃。忍者漫画で言うのならば、忍法蜘蛛の巣とでも 名づけられるべきかもしれないそれがエースをからめとろうとしてくる。 「セヤアッ!」 掛け声とともにエースは側転して糸攻撃をかわした。しかし、外れた糸が当たった廃倉庫は、糸の強烈な粘着質とユニタングの 怪力によって持ち上げられ、分銅のようにエースに襲い掛かってくる。 〔エース、危ない〕 〔大丈夫だ!〕 才人の叫びに応えて、エースは飛んでくる倉庫をパンチで破壊すると、ユニタングの糸を逆に掴み取った。そしてそのまま 深く足をふんばり、漁師が地引網を引くときのように力を込めた。 〔いくぞ、力比べだ!〕 ユニタングもエースの意図を悟って、雄たけびをあげて糸を引っ張り返す。ここに、超獣とウルトラマンの巨大な綱引きが スタートし、両者は相手を力の限りを尽くして引っ張り合った。 「ヌオォォッ!」 マンモスタンカーを軽々持ち上げるエースの筋肉が猛り、ユニタングもパワーを全開にして張り合う。 ギリギリと、糸の張力を限界まで使った綱引きは、互いに譲らず互角の様相を見せている。そんな力と力の純粋な勝負に、 両者の足元の石畳の道は砕け散り、空からは駆けつけてきた竜騎士たちが歓声を送った。 「がんばれウルトラマン」 「腰を入れろ! 引き倒せぇ!」 その応援が、拮抗していた両者のバランスを突き崩した。 「トァァッ!」 一瞬、大きくパワーを増したエースの引き倒しが見事に炸裂した。ユニタングは正面から倒されて廃倉庫を押しつぶし、 連鎖して崩れてきた瓦礫を全身に受けてもだえている。 やった! すごいぞと歓声があがった。ウルトラマンは光の使者、その力の源は太陽の光のみならず、人々の心の光に よるところが極めて大なのである。 そう、闇は常に孤独だけれども、光あるところには人は自分以外の誰かを見出すことができる。応援してくれる人々の声の ひとつひとつは小さなものであっても、重なり共鳴すればそれは大きなパワーとなって大歓声へと進化するのだ。 攻めるのはいまだ! エースは起き上がろうとしているユニタングに駆け寄って蹴り飛ばすと、うつぶせに倒れたユニタングの 背中に馬乗りになり、頭をつかむと地面に何度もぶっつけてやった。 「テヤァッ! トアッ!」 組み合った状態からの連続攻撃もエースの得意技のうちだ。特に頭への攻撃はどんな相手にも有効な打撃となりえる。 ユニタングは額から何度も石畳にぶつけられてふらふらだ。やっとエースを振り払って起き上がったかと思ったが、自慢の 一本角はふらふらと揺らめいていてたよりない。 そこへエースは間髪いれずに追撃の光線を叩き込んだ! 『パンチレーザー・断続光線タイプ!』 額のウルトラスターから放たれる青色光線パンチレーザー、そのエネルギーを機関砲のような弾丸に変えた光線が ユニタングに命中して爆発、巨体を弾き飛ばす。 〔ようし、効いてるぞ!〕 通常はけん制程度の威力しか持たない光線でも、相手の弱点をついたり状態を見極めて使えば威力以上の効果を 発揮することもできる。かつて初代ベロクロンの口を狙って放ったパンチレーザーが、口内のミサイル発射機を爆発させて、 さらに体内の高圧電気袋にも大ダメージを与えて戦闘の決定打になったときがそれに当たる。 今回も、ユニタングは万全ならば平気で耐えられただろうが、すでにダメージを負って防御力が弱っていたのが痛手になった。 人間も気力が充実しているときと意気消沈しているときとでは、同じように殴られても痛さが違うのと理屈はいっしょだ。 〔今がチャンスだ、たたみかけるぞ!〕 〔おう!〕 〔ええ!〕 エースの合図に従って、才人とルイズも気合を入れる。三人分の闘志が最大限に共鳴したウルトラマンAはまさに、 天下無敵の力を発揮した。 「トァァッ!」 走り寄ってのジャンプキックがよろめかせ、ミドルキックが超獣の胴を打ち、無理やり引き起こしたところで投げ飛ばす! 至近距離での格闘戦では、ひじうち、膝蹴り、正拳突き! ダメージは一方的にユニタングに蓄積し、対してエースのカラータイマーはまだ青のまま。 これまでのハルケギニアの戦いで、ここまで圧倒的な戦いに持ち込めたことはなかった。事前の情報とそれに対する 備えの万全さが最高のコンディションを生み、本来互角であるべき戦いのてんびんを大きく傾けている。 この好機を逃してはならない! エースは一気に決着をつけるべく、体を大きくひねって必殺光線の態勢に入った。 〔くらえ! メタリウム!〕 だが、まさにそのときだった。 「待って! その超獣はエーコたちなの! 殺さないで!」 突然響いた悲痛な声に、メタリウム光線をまさに発射しようとしていたエースは感電したかのように動きを止めた。 〔な、なんだって!?〕 〔今の声は……あの子〕 声のした方向をエースの視線を借りて見たルイズは、ボロボロのなりをしたベアトリスが祈るようにエースを見上げているのを見た。 彼女の顔は泥で汚れ、ルイズから見ても美しかった髪は黒く焼け焦げている。それにミシェルのマントを外套のように体に 巻いており、一見してただごとではないことはわかった。 エースはユニタングへの攻撃をやめて、じっとベアトリスを見下ろした。ベアトリスはエースの視線が自分を向いていることに びくりとしたが、おびえる彼女をミシェルがはげました。 「大丈夫、思い切って全部話して。ウルトラマンは、きっと聞き届けてくれるでしょう」 「うん……お願い、聞いてウルトラマン! その、その超獣はエーコにビーコにシーコ、わたしの友達たちなの! みんな、 元々はただの人間なのに、あんな、あんな姿に……わたし、もうどうしていいのかわからなくて、お願い、彼女たちを殺さないで! 助けて、あげて……」 それ以上はもう言葉にならなかった。ただでさえ折れそうな心を必死に奮い立たせて叫んだのだろう。大粒の涙を流して ミシェルの胸に顔をうずめてしまい、後は糸が切れたように泣き続けた。 しかし、勇気と気力を振り絞ったベアトリスの叫びは、確かにエースの心に響いていた。詳しい事情は今の話だけでは わからないが、あの涙を信じられないようではウルトラマンとして失格だ。才人とルイズも、さして関わりが深いというわけではなくとも、 ベアトリスが涙をだしにした嘘をつくような下劣な人間ではないと信じている。 心を落ち着けて立ったウルトラマンAの目が光る。彼女の言葉を信じ、とどめを刺す機会を自然と棒に振って透視能力を使い、 ユニタングの体内を見通した。 すると、どうか! 〔くっ、なんてことだ! あの超獣の体内には、大勢の人間の魂が閉じ込められている〕 エースは、目に映った光景のあまりの凄惨さに抑えきれない憤りを交えた声で言った。ユニタングの体内には、まるで幽閉か 人質のような形で魂が封じ込められている。もしも、さっきあのままメタリウム光線を放っていたら、あの魂たちも巻き込んで 粉々にしていたところだった。 もちろん、驚いたのは才人とルイズも同じである。 〔な、ふざけんなよ! おれたちは危うく人間を殺しちまうとこだったのか!〕 〔エーコたちって、確かベアトリスの側近の三人のことよね。でもまさか、人間が超獣になるなんて、そんなことがありえるの?」 〔少数だが、ある。くそっ、ひでえことをしやがるっ!〕 人間が超獣化した例は、牛の怨霊に取り付かれた男が変貌した牛神超獣カウラや、地球人ではないが乙女座の精が 異次元エネルギーで変異させられた天女超獣アプラサール、なりかけらされた例としてはマザロン人の差し金で妖女に 変貌していた妊婦のことがあげられる。 今回のことはそれらの例の中ではカウラに近いが、変貌させられたのが複数で合体変身していることと、超獣化の後は 魂が気球船超獣バッドバアロンに捕食された魂のように体内に閉じ込められている点で違う。しかも、魂の様子を観察すると、 単に体内に閉じ込められているどころではないことが才人とルイズにもわかってきた。 〔これは、魂がマイナスエネルギーの鎖でがんじがらめにされてやがる〕 〔ヤプールがいかに人間を信用してないかって、いい証明ね。この子たち……エレオノール姉さまやちぃ姉さまくらいの人もいる。 みんな無理矢理眠らされて、ひどい〕 〔どんな理由があってヤプールと取引したかは知らないが、これじゃあんまりだ〕 くもの巣にかかった羽虫も同然に拘束されている魂の姿に、才人とルイズは心の底から憤った。が、今の才人たちは 悪の所業を他人事として見て傍観してすますような無責任な子供ではない。 〔なるほどな。ユニタングは、十人の人間に分離変身できる超獣だったはず。けど、今回は十人の人間が融合合体してるってことか〕 ある意味では才人とルイズが合体変身するエースと同じということかと才人は思った。つまり、かつてのユニタングとは性質を 正反対にしてきたということになる。 しかし、大事なのはそんなことではない。ユニタングが体内に人間の魂を宿しているということはすなわち、エースが絶対不利に 陥ってしまったことを意味していた。 態勢を立て直し、逆襲に転じてきたユニタングの攻撃がエースを襲う。なぎなたのようにふるわれるユニタングの腕、だがエースは 避ける事は出来ても反撃することはできない。そして追い込まれたエースに、ついにユニタングの攻撃がヒットしてしまった。 「グッヌォォッ!」 顔面を強打され、よろめいたエースをユニタングは押し倒して乱打する。マウントポジションをとられ、防御もままならない エースに、容赦ないユニタングの攻撃は続く。そのあまりに野蛮で暴力的な攻撃ぶりに、ミシェルやサリュアは〔ほんとうにこいつは、 元は人間なの!?〕と思い、苦悶の声を漏らすエースにベアトリスも思わず叫んだ。 「やめて! やめてエーコ、ビーコ! あなたたちはそんなことをする人間じゃないでしょ。止まって! わたしの話を聞いて!」 いくら超獣に変えられてしまったとはいえ、元がエーコたちならとベアトリスは呼びかけた。 だが、必死の叫びにも関わらず、ユニタングはぴくりとも反応しなかった。 「どうして! なんで答えてくれないの。わたしを憎んでたんでしょう! どうして」 「恐らく、ウルトラマンの姿を見たら人間の魂は封印されるように仕掛けられてたんだろう。卑劣なヤプールのことだ、人間を 信用せずにそれくらいの仕掛けをしていてもおかしくはない!」 悲嘆にくれるベアトリスの肩を抱きながらミシェルは吐き捨てた。かつて二度に渡ってヤプールと直接対峙したときの、 あの人間を見下しきった気配は忘れようとしても忘れられるものではない。エーコたちにも、利用する目的で近づいたのだろうが、 やはりただで人間に力を貸すわけがなかったか。 「それじゃあ、もうどんなに呼んでもエーコたちにはとどかないってことなの?」 「ええ、それに奴は侵略よりもウルトラマンAへの復讐を主眼にして行動しているふしがある。十人もの人間を改造したのも、 侵略作戦よりもいざというときにエースへの人質として使えると思ったからだろうな」 ミシェルの推測はほぼ当たっていた。ヤプールは、姉妹の復讐のためと銘打って彼女たちに超獣の力を与えて、その代わりに 侵略の尖兵として動くことを強いていたが、ウルトラマンAが現れたときだけは人間の意識を消し去って凶暴な戦闘獣に なるようにとセットしていたのだ。 理由は、むろんヤプールのエースへの恨みの深さが第一である。ヤプールは人類以上の高等知的生命体であるが、 マイナスエネルギーの集合体であるがゆえに感情の激するところは人間の何倍も大きい。知性と野心では侵略を望んでも、 それ以上に深いのが復讐心だ。 だがむろん、悪辣なヤプールの考えはそれだけではない。知性を奪ったのは、元が人間であるがゆえにウルトラマンAと 対峙することになったらおじけずくかもしれないことと、万一にも寝返ることを避けるためだ。むろん、最大の利点は人間であれば 人質として使えるからに他ならない。 〔うかつに攻撃したら、中の魂までもが巻き添えになる。しかも、肉体ごと変わっているから魂だけ取り出すこともできないっ!〕 エースはユニタングの攻撃を耐えながら苦悶していた。かつて、超獣バッドバアロンやギーゴンに閉じ込められた魂を 解放したときには、元の肉体が存在していたから魂は帰ることができた。しかし今回は人間そのものが超獣に変えられて しまっているために倒すわけにはいかない。 「ヘヤアッ!」 なんとかユニタングを押しのけてエースは立ち上がった。しかし、受けたダメージは思いのほか大きく肩で息をしている。 しかも、カラータイマーも点滅をはじめて、悩んでいる時間もないことを示している。 どうすればいい? どうすれば! 雄たけびをあげるユニタングと泣きじゃくるベアトリス。勝とうと思えばすぐにでも勝てるが、両者がエースに必殺技を 撃たせることをためらわせている。 そのとき、悩むエースと才人にルイズが毅然とした声で言った。 〔迷うことはないわ、とどめを刺しましょう〕 〔ルイズくん?〕 〔ルイズ! お前、何を言い出すんだよ!〕 思いもかけないことを言い出したルイズに、エースはもとより才人は大きく反発した。相手は元々人間だぞ、言うまでもない ことが口に出掛かるが、それは冷静を超えて冷酷とさえ言えるルイズの言葉にさえぎられた。 〔落ち着いて考えなさい。今この状況で超獣にされてしまった人間を元に戻す手段があるっていうの? ヤプールがそんなに 甘い相手じゃないってことはよくわかってるじゃない。ここでわたしたちが敗れたら、東方号は確実に破壊されるわ。そうしたら、 サハラに行くことも不可能になって、ハルケギニアの滅亡につながるのがわからないの〕 〔うっ、でも相手は人間だぞ!〕 〔今はもう悪魔の手先よ。わたしだって、エーコたちのことは少しは知ってる。ベアトリスの様子を見れば、あの子がどれだけ 彼女たちを大切に思っていたかもわかる。だからこそ、これ以上苦しまないようにしてあげるべきじゃないの〕 〔うっ、けどな……〕 ルイズの言うことが正論だということは才人にもわかった。しかし、それでも納得できずにいる才人にルイズは怒鳴った。 〔いいかげんにしなさい! わたしたちがどれだけ重いものを背負ってるか忘れたの? わたしだって、できるものなら 助けてあげたいわ。けど、あの子たちのために世界を滅ぼすわけにはいかない。誰かがやらなきゃいけないなら、その苦しみを 受けるのはわたしたちであるべき。悪魔と戦うっていうのは、そういうものじゃないの!〕 ルイズの気迫に才人は圧倒された。同時にルイズが大きな苦渋に耐えていることも伝わってきた。 なにかを守るためには、ほかのなにかを犠牲にしなければいけないこともある。ベアトリスをこれ以上苦しめないためにも、 エーコたちがこれ以上罪を重ねないためにも、死なせて解放させてやろう。そのための苦しみを受ける覚悟、才人はルイズに 強い正義の信念を見た。 だが。 〔だめだ、おれには殺せねえ〕 〔サイト! あなたまだ強情をはるの! それでも〕 〔ふざけんじゃねえ!〕 〔なっ!?〕 それまで耐えてきた才人の放った突然の怒号は、決意を固めていたルイズをも圧倒した。 〔ああ、お前の言ってることは正論だろうよ。だがな、『悲しいけど覚悟して死なせて、仕方がなかったんだごめんなさい』なんて、 そんなのきれいにまとまってるだけでただの尻尾切りじゃねえか! 切られたほうは何も救われねえだろうが〕 〔っく! 理想論を語ってるんじゃないわよ。それができればどれほどいいか! でも、可能性は限りなくゼロ、現実を見なさいよ〕 〔現実か、そんなもの言われなくても誰にだって見えるさ。ウルトラマンは神じゃない、届かない願いもあれば救えない命もある。 確かにそのとおりだと思うし、ましてやおれみたいなバカにゃ方法は思いつかねえ……だけどな〕 才人はそこで一度言葉を切り、そして魂の全力を込めたような叫びを放った。 〔たとえ可能性がゼロでも! 百人が百人とも見放しても! それでも助けを求める人がいるなら手を差し伸べるのがヒーローだ! ヒーローってのは悪人を倒すやつのことじゃねえ、悪人から弱い人を守るやつのことを言うんだ! ヤプールに騙されてたってなら、 張り倒してでも目を覚まさせて連れ帰す。それができなきゃ、ただの殺し屋となにが違うってんだよ!〕 才人の気迫はルイズに震えすら感じさせるものだった。才人にも、ルイズの正義の信念と真っ向からぶつかっても譲れない 思いがある。 ルイズは、なにを夢みたいなことをと怒鳴ろうとしたが、それをエースに止められた。 〔そうだな、才人くんの言うとおりだ。人を救うことを、あきらめちゃいけない〕 〔エース! あなたまでなにを〕 〔ルイズくん、君の言うことは正しい。しかし、人の命はそれ以上にかけがえのないものだ。思い出させられたよ、力は誰かを 助けるために使ってこそ意味がある。ウルトラマンの本分は、助けを求める人を決して見捨てないことにあるんだ!〕 エース・北斗の胸中には、故郷M78星雲光の国のウルトラ兄弟の姿が浮かんでいた。 何千、何百年の時を超えて宇宙の平和のために戦い続けてきた宇宙警備隊、彼らを支えていたのは守るべき人々の幸福な笑顔。 背中に子供が花を摘んで遊んでいられる世界があったからこそ、ウルトラマンたちはどんな苦しい戦いにも望んでいけたのだ。 それをあきらめて妥協したりしたら、ウルトラの父に雷を落とされてしまうだろう。 〔でも! 実際に元に戻す手段はないのよ。どうするのよ?〕 〔いや、才人くんの言葉で気がついた。ひとつだけ可能性がある〕 〔えっ!〕 エースは暴れるユニタングの、その体内に幽閉されている魂を指して言った。 〔あの超獣が、人間が変身してしまったというなら、肉体は変わってしまっても彼女たちのもののはずだ。だったら、彼女たちの 意識を目覚めさせたら、肉体の主導権が戻るかもしれない〕 〔なるほど! テレパシーで呼びかけるってわけですね〕 〔そうだ、外側から助けることはできなくとも、内側からならあるいは。だが、この方法は大きな危険もともなう。くっ!〕 身をかわしたエースのそばをユニタングの放った糸の束が通り過ぎていく。それだけではなく、接近打撃戦を挑んできた ユニタングを受け止めて、防戦をはじめながらエースは告げた。 〔超獣め、心はなくとも本能で向かってくる。これの相手をしながらテレパシーを使うのは骨だぞ〕 〔ええっ! じゃ、どうすれば〕 〔なにを驚いてるんだ、人を助けるっていうのは簡単じゃあないってことは君もよくわかっているだろう? 悪いが、テレパシーに 意識を向ける余裕は私にはない。代わりに、君たちが使うんだ〕 〔おれたちが、ですか?〕 〔そうだ、使い方は私の記憶を通じてすぐにでも知ることが出来る。ただし、集中を欠いたら通じない上に精神力を一気に 削られてしまうから気をつけろ。超獣は俺がなんとしてでも抑え込んでおく! 頼んだぞ!〕 エースはそう告げると、本能のままに襲い掛かってくるユニタングを迎え撃ちに意識を集中させていった。一人称が 俺に変わっているのは北斗星司の意識が強くなっているからか、下手に傷つけるわけにはいかないので、力を加減して かつ自分のエネルギーを少しでも節約しながら戦うのは相当に集中力をようする。これからエースに才人とルイズを支援する 余裕はないといっていい。 しかし、意気はあっても考えは追いつかない才人がとまどっていると、ルイズが一喝した。 〔しっかりしなさいサイト! あの子たちを助けるって言ったのはあんたでしょう。もたついている時間なんて一秒だってないはずよ! わたしもやるから、ぼやっとしてないでしゃんとしなさい!〕 〔ルイズ、お前反対してたんじゃ……?〕 〔あんた、わたしを血も涙もない鬼みたいに思ってるんじゃないでしょうね。わたしだって、誰かの泣き顔を見るのはだいっ嫌いなのよ! 人の命にかえられるものはないんでしょう。なら、ぐずぐずしない!〕 〔ルイズ……ああ!〕 才人はルイズの迷いのない言葉に目が覚めたように思えた。さっきは怒鳴ったのが恥ずかしい、ルイズにも人を助けられるなら 迷わず危地に飛び込む熱い魂が宿っていた。 ウルトラマンAは突進を繰り返してくるユニタングを抑え、牽制しながら時間を稼いでいる。しかし、カラータイマーが鳴り出した 以上は長くは持たないのは明白であった。 エースが必死につなげてくれているチャンスを無駄にするわけにはいかない。テレパシーを使ってエーコたちの意識を呼び戻し、 ユニタングを自分自身の意思で人間体に戻らせる。だが、ヤプールによって人間の盾となるべくユニタングの中に幽閉されている魂は、 簡単に目覚めさせられるものではないだろう。 〔ルイズ、やるか?〕 〔待って、このまま呼びかけても、あの闇の力の封印力は強すぎるわ。赤の他人のわたしたちの声じゃあ、心の底までは届かないかも〕 〔……だったら〕 〔ええ、方法はひとつしかないわ〕 才人とルイズは自分たちの力でできる唯一の道に、すべてを懸ける決意をした。それは、ふたりの精神エネルギーを一気に すり減らしかねない危険なものであったが、迷いはなかった。 ふたりが思いついた、いちかばちかの唯一の可能性。それを明かしたとき、ふたりを激励したエースでさえ一瞬動揺を 見せたが、それしかとるべき道はないことはすぐに理解した。 〔わかった。しかし、テレパシー能力をそんな使い方をした前例はほとんどない。ましてや、君たちは私の代役で能力を 制御するのだから結果はどうなるか完全に未知数だ。下手をすれば、三人とも致命的なダメージを受けることにもなるぞ〕 〔かまわないわ、後でああしておけばよかったって一生後悔し続けるよりは万倍もましよ。決めたからには、なにがなんでも あの子たちを助ける。ラ・ヴァリエールに二言はないわ!〕 自らが傷つくことなどはまったく念頭にないルイズの叫びに、エースは感心し、才人は頼もしさを覚えた。 突進してくるユニタングを弾き飛ばし、エースは両腕を素早く回転させてから体の前でクロスし、腕全体から強烈な発光を放った。 『ストップフラッシュ!』 閃光状の活動停止光線を受けて、ユニタングの動きが凍りついたように止まる。これで、わずかな時間ではあるがユニタングの 動きは封じられた。そしてそれを維持するため、エースは気合を振り絞って念を飛ばした。 『ウルトラ念力!』 敵の体を念力で縛って行動を封じるこの力、これならば力の続く限りユニタングの動きを封じ続けることができる。ただし、 膨大な集中力をようするウルトラ念力を使い続けるためには、ウルトラマンAはその間まったく身動きすることさえできなくなる。 残り少ないエネルギーを使っての足止め、チャンスは今しかない。 意識を集中し、才人とルイズは脳波のベクトルを自分たちを中心にしたものから、自分たちを中継地点にしてテレパシーを別の 場所へと飛ばす。その流れに乗って、エースは自らの思念をルイズたちの示した相手へと送った…… 〔ベアトリス……ベアトリスくん……〕 「えっ! だ、誰? 今わたしを呼んだのは」 「姫殿下? 誰と話しているのです」 〔すまないが、説明している時間がない。君の友達を助けるのに君の力が必要だ、目をつぶって気持ちを落ち着けてくれ〕 「エーコたちを!……わかったわ」 半信半疑ながら、わらにもすがりたい思いのベアトリスは言うとおりにした。手を組んで目をつぶり、ちょうどお祈りをするときと 同じ姿勢で、意識を静まり返らせる。すると、ベアトリスの脳裏に直接イメージが転送されてきたではないか。 光に満ちた世界に佇む、銀色の巨人。ベアトリスはその手のひらの上にいた。 〔よく来てくれた。私の声が、聞こえているか?〕 〔ウルトラマンA!? あ、あなたがわたしを呼んだの?〕 〔そうだ、よく聞いてくれ。今、君の友達はあの超獣の体内に魂を封印された状態になっている。助けたいが、私だけの力では ヤプールの呪縛を打ち破ることは出来ない。彼女たちを目覚めさせ、人間に戻すためには君の呼びかけが不可欠なんだ。 協力してほしい〕 〔わたしの、呼びかけが……〕 〔そうだ、魂に呼びかけるには魂を持ってするほかはない。そして、それができるのは世界でたったひとり、君だけなんだ。 彼女たちへの愛がこもった君の声以外に、闇の底に沈んだ彼女たちの心に届くものはないだろう。私は彼女たちを死なせたくはない。 頼む、時間がないんだ〕 ウルトラマンAの要請に、ベアトリスがたじろがなかったとしたらうそになる。普通の人間にとって、ウルトラマンが自分に 語りかけてくるというそれだけでさえ、大いなる驚きであろうに、ベアトリスの精神力はすでに磨耗の極にあった。 だが、それでも彼女は自己喪失には陥らなかった。全身を覆う疲労感も痛みも、のた打ち回りたいほどの吐き気もなにもかも 忘れて、ただ大きな叫びをあげた。 〔やるっ、やるわ! あの子たちを助けられるならなんでもする。まだ言ってあげたいことも、してあげたいこともいっぱいあるんだもの。 死に逃げなんて絶対に許さない! クルデンホルフの姫に手を上げたことだって忘れない! 誰一人だって、天国になんて 行かせてあげない。それがわたしの復讐なの! お願い、力を貸してウルトラマン!」 言っていることは滅茶苦茶だが、言葉の奥に込められた熱い思いは嫌というほど伝わってきた。 人は憎しみで道を誤ることはある。しかし、誤った道から誰かが手を差し伸べれば戻ってくることもできる。 ウルトラマンAはベアトリスの思いを受け取り、才人とルイズは意識を集中してベアトリスの心をユニタングの中へと続く道を作った。 暗い暗い闇の沼の中へと、ベアトリスの魂は落ちていく。やがて、その闇の底へと沈んだ魂に、小さな声が届き始めていった。 〔エーコ……ビーコ……シーコ……起きて……〕 暗い闇の中で、誰かの声がする。 〔起きて……わたしの声を聞いて、お願い〕 女の子? 誰だろう……? 〔起きなさい! この、わたしの命令が聞けないの?〕 うるさいな、人がせっかく静かに眠っているというのに、この蓮っ葉で、無遠慮さはどうだろう。 〔エーコ、起きなさいよ。あなたはいつでもわたしより先に起きて待ってたでしょ。寝坊なんて許さないわよ、エーコ、エーコ〕 今度は、誰かの名前を呼び始めたようだ。エーコ、どこかで聞いたことがあるような……ああ、そうだ。 『エーコ』……そういえば、それがわたしの名前だった。 少しずつ、思い出してきた。 そう、わたしの名前はエーコ。元トリステイン貴族の十四歳、ビーコとシーコはわたしの妹の名前。上には姉が七人いる。 栗色の髪の丸顔、中途半端に髪を束ねるのは子供っぽいと言われるけど、気に入ってるんだからしかたがない。 これが私、エーコという人間。 そして、この憎たらしくも愛おしい声が誰なのかも、少々不本意ながらも思い出した。 「まったく、やっと楽になれると思ったのに。どうして邪魔をしにくるんですか?」 「あなたたちに、死んでほしくないからよ!」 目を開けると、寝起きだというのに大声でがなりたててくる女の子がいた。 やれやれ……どうしたんですか、その顔は? まるで以前にハチに刺されたときみたい、あんまりうるさいものだからビーコとシーコも起きちゃったみたい。 まったく、あなたはいつでもわたしたちを困らせますね。今度は『死ぬな』と、きましたか。 『死ぬ』……『死ぬ』ということがどういうことなのか……ふと考えて、夜眠れなくなった思い出があった気がします。 人は死んだらどこに行くのか、神さまの使いという人が書いた本には天国というのがあると記してあったけど、尋ねて教えてくれる人はいなかった。 当然だよね。死んだ先を見て、帰ってきた人なんていないんだもの。 なのに……神さまって不公平だよね。まだ死んでもいないのに、なにも悪いことはしていないのに、地獄だけは見せてくれるんだもの。 だからわたしたちは悪い子になっちゃって……そしたら、天罰だけはしっかりくれるんだもの、嫌になる…… でも、犯した罪の取り返しのつかなさはわかる。わたしたちは、なんの罪もない人にひどいことをしてしまった。 償いは、しないといけない。 銃士隊に追い詰められて、周到に用意してきた復讐劇のシナリオが破れさったと思い知らされたとき、姉さんたちは実力行使に出ようとした。 超獣ユニタング……それが、わたしたち姉妹が自らの肉体の代償として手に入れた力。 けど、悪魔からもらった体には、わたしたちも知らされていなかった毒が含まれていたらしい。 目の前に現れたウルトラマンAを見たとたんに、体の自由が利かなくなった。それだけではなく、全員の意思を統率していたセトラ姉さんが 突然なにも答えてくれなくなって、ほかのみんなも次々に意識を失っていった。 どうやら、ヤプールはわたしたちの体を、ウルトラマンを見たら超獣の本能が目覚めるように仕組んでいたらしい。 気づいてみたら、馬鹿な話だ。人間を滅ぼそうとするヤプールが、ほんとうに人間に手を貸すと信じていたわたしたちが…… けれど、これでよかったのかもしれない。どのみちわたしたちには、明るい未来なんてありえるはずはないってわかっていたし。 みんなが堕ちていき、最後に残ったのはわたしとビーコとシーコだけ。 でも、あの子たちは少しも取り乱すこともなく、ただ疲れただけのように眠っていった。 そして、わたしも…… まるで、ぬるま湯の浴槽に浸かっているような、けだるくて心地よい感覚……それが激しい眠気を誘って、意識が黒く染められていく。 もう動きたくない、なにも考えたくない。暗くて気持ちのいい世界……そう、ここでこうしていたら、そのうちお父さまとお母さまのいる 世界にも行けるだろうから、もう何もいらない、やっと安らかに眠ることができる。 それなのに、あなたはどうしてもわたしたちを楽にはしてくださらないのですね…… 悪を倒すことは誰にでもできる。なぜならそれは暴力だから。 しかし、正義を貫くことは難しい。なぜなら、人を救うためには優しさが必要であり、人を救わない正義はすなわち悪なのだから。 戦えば楽に勝てる。しかし、かけがえのない命を闇から救うために、ウルトラマンAの力に頼らない困難な闘いが始まった。 続く 前ページ次ページウルトラ5番目の使い魔
https://w.atwiki.jp/mikuraio/pages/532.html
現在、youtubeにて全話無料配信中!(円谷プロによる公式配信) http //jp.youtube.com/view_play_list?p=95A8FFA9DB16ACE3 ●登場キャラクター(詳細は公式HPにて) 謎の青年 レイ(演:南翔太) スペースシップ「ペンドラゴン」船長 ヒュウガ(日向 浩)(演:小西博之) スペースシップ「ペンドラゴン」副長 ハルナ(榛名 ジュン)(演:上良早紀) ZAP SPACY隊員 クマノ(隠岐 恒一)(演:俊藤光利) ZAP SPACY隊員 オキ(熊野 正彦)(演:八戸亮) スペースシップ「ペンドラゴン」元 副長 ハルナ(榛名 ヒロキ)(演:影丸茂樹) ペンドラゴンの副長であるハルナの兄で、現在は惑星ボリスの資源輸送基地の責任者。 ベムスターに資源輸送基地を襲撃されて死んだかと思われていたが、ヴィンセント島で生存が確認された。 謎の女性 ケイト(演:蒲生麻由) バトルナイザーを持つもう一人の怪獣使い。 その正体はレイオニクスバトラーの一人であり、そして…?(詳細は第12話参照) パートナーは、ファイヤーゴルザ、ガンQ、ゼットンだ。 岩に磔になった謎の巨人 レイの脳裏に時折現れる謎の巨人。 その姿はあの光の巨人のようだが、はたして…? 謎の少女 御蔵カレン レイが過去に出会ったことがあるという少女。 べラルゴ・シティがレッドキングとアーストロンに襲撃された際に孤児になる。 また、その際に謎の赤ん坊を目撃している。 父親はボリスに落下したブルトンの発見者である科学者。 後にゲームや漫画の主人公である少年、「御蔵イオ」の祖母となる人物である。 謎の赤ん坊 ブルトンが何処からか呼び出した光る赤ん坊。 その正体は…?(第12話参照) レイブラッド星人 レイモン ●ストーリー詳細 ●登場怪獣(詳細は各怪獣のリンク先を参照) 古代怪獣 ゴモラ 地底怪獣 テレスドン 岩石怪獣 サドラ どくろ怪獣 レッドキング 冷凍怪獣 ペギラ 原始怪鳥 リトラ(S) 百足怪獣 ムカデンダー 巨大植物 ジュラン 超古代怪獣 ゴルザ 透明怪獣 ネロンガ 地底怪獣 グドン 宇宙大怪獣 ベムスター 超古代怪獣 ファイヤーゴルザ アースロポッドタイプビースト バンピーラ 奇獣 ガンQ 古代怪獣 ツインテール アンフィビアタイプビースト フログロス(B) 四次元怪獣 ブルトン 宇宙凶険怪獣 ケルビム 凶暴怪獣 アーストロン 宇宙怪獣 エレキング 宇宙ロボット キングジョーブラック 宇宙怪獣 リムエレキング 巨大魚怪獣 ゾアムルチ 宇宙礫岩怪獣 グロマイト 土塊怪獣 アングロス 宇宙有翼怪獣 アリゲラ 再生怪獣 サラマンドラ 円盤生物 ノーバ 満月超獣 ルナチクス ミサイル超獣 ベロクロン 蛾超獣 ドラゴリー 宇宙恐竜 ゼットン 古代怪獣 EXゴモラ
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/30532.html
登録日:2014/11/22 Sat 22 36 37 更新日:2024/05/03 Fri 19 15 17 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 ウルトラマンA ウルトラマンエース ウルトラ怪獣 タイムスリップ タイムマシン タイムマシンを乗り越えろ! タイム超獣 ダイダラホーシ ダイダラボッチ 五島雅博 奈良時代 怪獣 昭和ウルトラマン 超獣 酩酊!怪獣酒場 我々はTACの隊員です。過去に行っても、小枝一本そこの常態を変更しないと誓います! ダイダラホーシとは、『ウルトラマンA』第46話「タイムマシンを乗り越えろ!」に登場した怪獣……もとい超獣。 種別 タイム超獣 身長 55メートル 体重 3万トン 概要 時間を自由に行き来できる超獣で、現代で大暴れして攻撃されるとすぐに過去へ逃げ込んでしまう。 逃げ込む過去の世界は奈良時代で、足窪村という村にはダイダラホーシのつけた足跡の盆地に村ができたと言う言い伝えが残されている。 脳みそがむき出しになったような頭に、まさかさのような体のひだを持ち、人を馬鹿にしたヘラヘラ笑いのような鳴き声をし、非常に得体が知れない。 また、頭部には大きな角を持ち、これに時間移動の能力がある。 口から火を吐き、倒されてもおきあがりこぼしのように立ち上がる奇怪な動きを見せる。 突如、前触れもなく出現し大暴れしてTACの攻撃を受けるが過去に逃げ込んで姿を消す。 すると、100キロも離れた所に突然現れてまた大暴れし、TACを翻弄。再び攻撃を受けると、今度はTACスペースを巻き込んで姿を消してしまう。 吉村隊員の通信により、超獣が時間を行き来している事を突き止めると、 竜隊長はダイダラホーシに銛を打ち込んで一緒に過去へ飛ぶことを決断し、過去へ行く事へ成功する。 山賊に捕まって火あぶりにされかけていた吉村・美川両隊員を救出したがそこへダイダラホーシが出現し、襲い掛かる。 登場したウルトラマンエースと大木を使った殺陣を行い、斬られて倒されたかに思われたが実は死んだふりで、奇襲を行いエースを追い詰める。 しかし、最期はエースに跳ね飛ばされて身動きが止まったところにエネルギー光線を受けて粉砕された。 なお、TACはエースの時間飛行能力によって無事帰還している。 【関係者】 ◆春木博士 演 五島雅博 タイムマシンを研究している科学者で、既に動物実験にまでこぎ着けている。 ダイダラホーシによって過去に迷い込んだ隊員を救出するため、TACに協力を求められたが過去に行くことで現代に起きる影響を恐れて断った。 結局、TACは超獣にくっついて過去へ飛ぶのだが、北斗は過去で山賊を撃とうとしたり、 エースに変身して大木を引っこ抜くなどしているので博士の懸念は当たってしまった事になる。 以降のシリーズにおける活躍 酩酊!怪獣酒場 第24杯目「時空も飛べるはず」に登場。 卒業間近の大学生の一人という役回りであり、友人たちと卒業祝いの宴会で飲んでいた。 彼のタイムジャンプ能力のおかげで、友人達全員寝坊で授業に遅刻する所をダイダラホーシが過去に知らせに行くことで回避するなど活躍していたが、 友人の一人が「ダイダラボーシが過去を変えたということは遅刻した世界線と遅刻しなかった世界線の二つあるのではないか」という可能性に気付いてしまう。 更にダイダラホーシが麻雀をタイムジャンプで自分が勝つまで何回も繰り返したり、 鎌倉幕府が何年に開いたのかを源頼朝に直接聞きに行ったりしていたことが判明し、 ついには楽しすぎてタイムジャンプで「13回」宴会を繰り返していると本人が語り、 思い出話に浸るはずの面々は、パラレルワールドの分岐の可能性に恐怖するのだった。 ウルトラマン超闘士激伝 新章 ダイダラホーシ本人は登場しないが、GUYSが作ったメテオールとして「ダイダラメカ」が登場。 これは中と外で時間の流れを変えることで、短期間で長い時間を過ごすことができるというメカ。 まあ、ぶっちゃけてしまえば『精神と時の部屋』である。 このマシンにより、ゾフィー達ウルトラ兄弟は短い間に劇的なパワーアップを遂げることに成功する。 ちなみにこの約1年後に、映像作品でも似たような異空間が登場することになる。 【余談】 デザインは鈴木儀雄。頭部のデザインは「露出した脳」というイメージで描かれている。 この回では、TACは現代と奈良時代を挟んで通信を行っており、TACの通信機は時空を超えて通信できるという、凄まじい性能を持っている事が発覚した。 この回の撮影で使われた馬が火薬の爆発でパニックになってしまい、撮影スタッフは大目玉を受けるはめになった。 エースとダイダラホーシによる大木チャンバラは本来は脚本には無く、特技監督の田淵吉男氏が現場のアドリブでやった事である。その結果、項目冒頭の北斗の台詞と矛盾が発生する事になった。 追記・修正は、歴史改変に気を付けつつお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] コイツもヤプールの置き土産なんだろうけど・・・・・・もし有効に使われてたらやばかったかも。 -- 名無しさん (2014-11-22 23 09 57) 奈良時代から現代と通信できるTACの通信機って… -- 名無しさん (2014-11-22 23 20 42) もっと突っ込めば、北斗は上記の台詞をぬかしたくせに、エースになった際は大木を引っこ抜いてチャンバラをやらかしている…w -- 名無しさん (2014-11-23 00 48 52) 某怪獣VOWにて、「戦闘中にタイム!と言って休憩しそう」と書かれてワロタ -- 名無しさん (2014-11-23 18 35 49) オコリンホーシ -- 名無しさん (2014-11-24 13 24 20) よくある突込み:チャンバラするならエースブレード使え!www -- 名無しさん (2014-11-24 16 03 17) この時のエースとタイダラホーシって何気にウルティメイトゼロ並に凄い事してる気がする。 -- 名無しさん (2014-11-29 19 44 21) 昨今、この回のトドメの光線はレッドアローという名称になっていたのか。ウルトラ戦士超技全書以来、エネルギー光線と呼んできたもので。 -- 名無しさん (2014-11-29 20 00 44) 引っこ抜いても歴史に影響はない大木を選んだんです!信じてください! -- 名無しさん (2014-11-29 20 08 04) ↑たるんどる!ぶったるんどる!お前は1週間の謹慎だ! -- 名無しさん (2014-12-25 12 36 58) 超闘士激伝でまさかの… -- 名無しさん (2016-09-05 18 50 29) 北斗が上記の台詞を言ったのに大木引っこ抜いた矛盾が起きたのはチャンバラの件は脚本には無く特技監督の田淵吉男氏が現場のアドリブでやったのが原因らしい。因みにAの戦闘で変な演出してる回は大体この人の担当だったりする -- 名無しさん (2016-10-25 22 46 29) てか、ムルチの回といいエースのスタッフ色々やらかしすぎじゃないですかね -- 名無しさん (2016-10-25 23 18 36) 戦闘力的には、いまいち高いように思えない。時間移動の能力にキャパシティを裂いているせいだろうか。 -- (2019-11-26 21 49 54) TPぼんみたいにあの木の分布に多少の違いが出たかも -- 名無しさん (2022-01-01 12 55 12) 最近のウルトラ世界の設定だと、過去に行って何かを変えたところで別の可能性世界として分岐するだけだから現在には影響はなかったりする -- 名無しさん (2024-05-03 19 15 17) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ultrafrontier/pages/196.html
ウルトラマンエース (属性:光、雷) 技のエース 備考 ウルトラTVシリーズ第5作目「ウルトラマンA(エース)」より主人公、ウルトラマンエースがカード化。 ウルトラシリーズ初の男女合体変身、作中を通しての宿敵である異次元人ヤプールの存在、怪獣を超えるヤプールの地球侵略兵器『超獣』の登場など、前作帰ってきたウルトラマンとの差別化も含め、様々な新要素を取り込んだ作品となった。 ウルトラ兄弟の中でも特に多数の光線技と超能力を持ち、「技のエース」と呼ばれている。 特にカッター状の切断技(ギロチン)においては右に出るものはいないほどの実力者。ギロチンタイプの技以外にも実剣のエースブレード、手刀のウルトラナイフなどがある。 また相手の武器を奪取して逆利用する戦闘も多い。 超獣が怪獣よりも生命力が強いとされているせいか、強力な切断技を叩き込んだ後に更にフィニッシュ技(主にメタリウム光線)で追撃と、念入りにトドメを刺す戦法を多用する。 ウルトラマンタイプのシルバー族とされているが、ウルトラセブンタイプのレッド族、ウルトラマンヒカリのブルー族とも異なる顔だちをしており、現在エースと同じフェイスタイプのウルトラマンは他に存在しない。 現時点でのTV映像最新作「ウルトラファイトビクトリー」にも登場しており、ヤプールの罠に落ちたウルトラマンギンガの危機に駆け付け、かつての強敵エースキラーと激突している。 カードステータスはバランス良く平均的で、モーションも極端に長いものはない。 但し、他のGRレベルのウルトラ戦士に比べるとやはり決定打に欠ける。 原作再現ボーナスはヒッポリト星人のみ。幸い、トクギに回復系を持つ星人ハンターなので、『ヒーラーズ』を狙える。 「優しさを失わないでくれ。弱い者を労り、互いに助け合い、どこの国の人とも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。たとえその気持ちが何百回裏切られようとも。それが私の変わらぬ願いだ。」 カードリスト ウルトラ10勇士集結編 カード№:U4-015 レアリティ:スターレア ☆☆☆ 属性:光 アタック:1500 ガード:800 タイリョク:900 復活コスト:3600 ソウルナンバー:2 コウゲキ:バーチカルギロチン(腕を上下に素早く伸ばして三日月型の光刃を発射する技!) トクギ:ウルトラエネルギーチャージ(ウルトラレベルゲージにエネルギーを溜めると同時に、タイリョクが回復する。) ヒッサツ:メタリウム光線(両腕をL字型に組んで発射する必殺光線!) テキスト:ウルトラ兄弟の中でも多彩な光線技を操る。特に光の刃による切断技は他のウルトラ兄弟の追従も許さない程に強力である。 備考: カード№:U4-016 レアリティ:ノーマル ☆ 属性:雷 アタック:1400 ガード:600 タイリョク:800 復活コスト:3200 ソウルナンバー 4 コウゲキ:パンチレーザー(額から光線を発射する技!) トクギ:ウルトラエネルギーバースト(ウルトラレベルゲージにエネルギーを溜めると同時に、怪獣にダメージを与える。) ヒッサツ:ギロチンショット(両手を広げてエネルギーを溜め、光の輪に変えて敵に投げつけ切り裂く必殺技!) テキスト:ウルトラ兄弟の5番目。超獣を作り出す邪悪な意思を持つ異次元人から、平和を守るために戦い続けたウルトラ戦士。 備考: ギャラクシーオールスターズ編 カード№:U5-005 レアリティ:ノーマル ☆ 属性:雷 アタック:1400 ガード:600 タイリョク:800 復活コスト:3200 ソウルナンバー 4 コウゲキ:パンチレーザー(額から光線を発射する技!) トクギ:ウルトラエネルギーバースト(ウルトラレベルゲージにエネルギーを溜めると同時に、怪獣にダメージを与える。) ヒッサツ:ギロチンショット(両手を広げてエネルギーを溜め、光の輪に変えて敵に投げつけ切り裂く必殺技!) テキスト:ウルトラ兄弟の5番目。超獣を作り出す邪悪な意思を持つ異次元人から、平和を守るために戦い続けたウルトラ戦士。 備考:№U4-016との違いは無し。 ウルトラッシュ レベル3 『バーチカルギロチン』 ● ● ● ● 〇 レベル2 『パンチレーザー』 ● ● ● 〇 〇
https://w.atwiki.jp/renst/pages/341.html
ライブロボ 種類:Lユニット カテゴリ:アーステクノロジー BP:12000 SP:1 必要パワー:7+ 追加条件:自軍合体ユニットを捨札にする CN:なし 特徴:メカ/人型 テキスト: 合体―ジェットファルコン+ランドライオン+アクアドルフィン 【スーパーライブクラッシュ】これはアタックするときBP+4000される。 フレーバーテキスト 超獣剣に青き清浄の炎が灯された。それは、闇の同盟の企みが潰えた事を意味していた。 イラストレーター:中北晃二 レアリティ:レア 作品:超獣戦隊ライブマン 収録:三界の獅子 自販:パック 再録:五龍の激鱗 スターター カード評価 必要Sユニット3体で3体合体、BP12000でSP1、合体ユニットがどれもそれなりの性能を持つ、ということで比較的運用しやすい。派手さに欠けるが堅実なLユニット。 関連カード 特徴「メカ」関連 特徴「人型」関連 ジョイントコンビネーション関連 (素材ユニット) ジェットファルコン ランドライオン アクアドルフィン コメント 同じ効果で特徴、必要パワーが同じのダイボウケンよりBPは小さいけど合体ユニットの数が少ないのが特徴 -- 名無しさん (2009-09-29 14 33 49) どちらかというと、ゴーゴードリル要因じゃないか? -- 名無しさん (2011-09-12 20 21 26) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ultrakaijumeikan/pages/382.html
サブタイトル:ウルトラ戦士 ウルトラの父 1 ウルトラの父 収録:1 ウルトラ超獣名鑑(完) 解説ブックレットより ●ウルトラの父 1972年12月22日にオンエアされたこのエピソードは、ファンへのクリスマスプレゼントとして、ウルトラの父と南夕子がゲスト出演するイベント編だった。ヒッポリト星人との戦いで命を失ったウルトラの父は、この時点では魂だけの存在という設定。サンタクロースに姿を変えて地球に飛来し、ナマハゲが操る超獣スノーギランによって倒されたウルトラマンAを助けるのだが、戦いの中では父は常にサンタクロースの姿であり、正体を見せるのはファザーショットを放ってナマハゲを倒す一瞬だけ。すなわちマントを纏った父の姿が映像に登場するのはわずか数秒に過ぎない。しかしこのシーンがあまりにも有名かつ印象的だったために、後に「メビウス」に登場したウルトラの父は常にマントを羽織ることになったのであろうか(1話を演出した原口智生特技監督はこれがサンタの衣裳だということを忘れていたそうだ)。 ライター 江口水基氏 補足 ● マッチアップ画像 (戯画は1対1のみ。兄弟複数の戦闘シーンは除く。その他単体) 対ヒッポリト星人 ゾフィ ウルトラマン ウルトラセブン 帰ってきたウルトラマン ウルトラマンエース ウルトラマンタロウ ウルトラマンレオ ウルトラの父 サブタイトル:ウルトラ戦士
https://w.atwiki.jp/yaginuma/pages/556.html
DM--3 伝説編 第2弾 伝説の超獣の追撃の発売の数ヵ月後に発売された大勇者「破壊の剛牙」を核とした構築済みデッキ。 核である大勇者「破壊の剛牙」が3枚入っているほか、無双恐皇ガラムタや大勇者「ふたつ牙」、恵みの戦斧(グローリー・アックス)などのスーパーレアも入っているので、なかなか豪華な構成と言えるだろう。 (そのほかにもベリーレアはインビンジブル・アビスが収録されている) デッキのコンセプトは、墓地肥やしをしつつ、大勇者「破壊の剛牙」に繋ぐ。 その後は恵みの戦斧(グローリー・アックス)から大量のマナブースト 墓地回収をし、2体目の大勇者「破壊の剛牙」で大量展開も可能。 最後は無双恐皇ガラムタでトリガーを封じつつ、大量のクリーチャーでフィニッシュ。 また、新規収録カードである、超神星ウォルフ・ライエも種族にビーストフォークを含むため、大勇者「破壊の剛牙」でリアニメイトして即座にフィニッシュも強引だが可能である。 大勇者「破壊の剛牙」からリアニメイトする選択肢としては無双恐皇ガラムタや大勇者「ふたつ牙」、恵みの戦斧、超神星ウォルフ・ライエなどがあがるだろう。しかし、恵みの戦斧(グローリー・アックス)は残念ながら1枚しか収録されていない。できれば数枚積みたいところだが、そこはDM--3 伝説編 第2弾 伝説の超獣の追撃を購入して当てるか、このデッキを複数買うしかないだろう。 デッキの改良点としては色数を増やすことや、さりげなく入っている回神パロロを思い切ってすべて抜くか、もう少し積んだほうがいいかもしれない。また、先ほどにも述べたように恵みの戦斧(グローリー・アックス)をさらに投入するとなかなかいいフィニッシャーになってくれる。 大勇者「破壊の剛牙」の他にも、DM--3 伝説編 第2弾 伝説の超獣の追撃収録カードが多数積まれている。 かなり早い再録となった。 新規収録カードは青錆の古鎧と超神星ウォルフ・ライエ。 どちらもこのデッキのために生まれた有能なカードと言えるだろう。 収録カード ■収録カード 枚数 ■自然文明 青錆の古鎧 3 幻緑の双月 2 青銅の鎧 4 青銅の刃脚 3 大地の弓矢(ガイア・アロー) 2 恵みの戦斧(グローリー・アックス) 1 大勇者「ふたつ牙」 2 大勇者「破壊の剛牙」 3 カラフル・ダンス 3 ナチュラル・トラップ 1 ■闇文明 盗掘人形モールス 1 解体人形ジェニー 3 プライマル・スクリーム 2 インビンシブル・アビス 1 デーモン・ハンド 2 ■闇/自然文明 腐敗無頼トリプルマウス 3 回神パロロ 2 無双恐皇ガラムタ 1 超神星ウォルフ・ライエ 1 参考 構築済みデッキ一覧
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7803.html
前ページ次ページウルトラ5番目の使い魔 第89話 時空を超えた奇跡 変身超獣 ブロッケン 一角超獣 バキシム ウルトラマンメビウス 登場! たとえどんなに闇が深かろうと、たとえ世界の全てが踏みにじられようと、 すべての力が尽きて、誰もがあきらめてしまおうと、助けを求める人がいる限り、 光は必ず差し込んでくる。 異次元人ヤプールの罠にはまって十字架にかけられ、人々の目の前で、 二大超獣バキシムとブロッケンによって、今まさに処刑されようとしている ウルトラマンA。奴は、何万人もの人間にエースの死に様を見せつけることで、 復讐の成就と共に、その悲嘆と絶望のマイナスエネルギーで一気に力を回復しようと 画策していたのだ。 矢尽き刀折れて、精神力もなくなった人間たちにもはやエースを救うすべはなく、 誰もが絶望に沈んだとき、アンリエッタはただ祈ることしかできず、その祈りの声に 答えるものはいなかった。しかし、このとき神に祈っていたのはアンリエッタだけ ではなかった。世界の各地で、奇跡の日のその時に神に祈るものは何十、 何百万人といて、彼らの中にも世界の平和を望む者は大勢いた。 その願いを神が聞き届けたのかはわからない。けれども、神という超越的な 存在に頼らなくても、世界を隔てても断ち切れることのない兄弟の絆は、 時空を超えた奇跡を起こした。 (ガンフェニックスだ! ルイズ見ろよ! はは、こりゃ奇跡だぜ) (この赤い光、エース、あなたに似てる。あれは……?) 擦り切れそうだった心に差し込んできた希望の光は、尽きていたはずだった元気を 二人の心に蘇らせ、ウルトラマンAは穏やかな声色でルイズの問いに答えた。 (弟だ……) 日食の闇を超えて現れた不死鳥の翼、そして舞い降りた光は、エースの命を 奪おうとした悪意の力を打ち砕き、人々の前に夜の終わりを告げる朝日のように立ち上がる。 「ヘヤァッ!」 十字架にかけられたエースをかばって立ちふさがった赤い光が、超新星爆発の ように輝くとき、人々はその光の正体を見た。 「見ろ、あれは!」 「ウルトラマン!? 新しいウルトラマンだ!」 この世界の人々は、まだ彼の名を知らない。けれども、その銀色の勇姿と、 みなぎる正義のオーラは邪悪な超獣を圧倒し、それを見る人々から恐怖心を 拭い去ったばかりか、大きな声で叫ばせる。 「これは奇跡か? いや、もうなんでもいいや。いっけーっ! がんばれーっ!」 「そうだ、俺たちが応援してるぞ! がんばれーっ!」 人々の希望と平和への願いを一身に受けて彼は立つ、人々の幸せを壊そうと するものを倒すため、無意味に命を奪おうとするものから人々を守るため。 二大超獣の放ったミサイルとレーザーをすべて跳ね返し、赤い光の中から 銀色の勇姿を現したウルトラ十番目の弟が、二大超獣へ向かって戦いの構えをとる。 今ここにガンフェニックスの炎の翼に乗って、CREW GUYS JAPANと ウルトラマンメビウスがハルケギニアに駆けつけたのだ。 「セヤァッ!」 右腕を引き、左腕を突き出した独特のファイティングポーズから一転して、 軽快な動きから走り出したメビウスは、その背にかばう兄エースを二匹から 引き離すために速攻に打って出た。 まずは、一度戦ったことのあり、戦法がわかっているバキシムを狙う。だが奴は、 突っ込んでくるメビウスを食い止めるために腕のあいだから高熱火炎を発射して きたが、これをメビウスはジャンプして飛び越え、奴の頭を踏み越えていく。 「タアッ!」 踏み台にされて、前のめりに倒れるバキシムを超えて、メビウスは間髪入れずに ブロッケンに挑みかかり、細身の体からは信じられない重さの鉄拳、メビウスパンチを そのどてっぱらにめり込ませる。 「デヤァッ!」 たまらずに、悲鳴をあげて後退するブロッケンだったが、逃がしはしないと メビウスは、接近戦に持ち込んでキックを放ち、噛み付こうとしてきた頭を逆に 掴んでねじ上げた。しかし、その隙を狙って起き上がったバキシムが、鼻先から ミサイルより強力な熱線を放とうと片目のレーダーで狙いを定める。だが、 その後頭部にさらに強力なビームが浴びせかけられて、バキシムのほうが 吹っ飛ばされる。 「見たか超獣め。俺たちCREW GUYSを忘れるな」 バリアントスマッシャーの直撃を浴びせかけ、ガンフェニックストライカーが 二匹の上空を飛び去っていく。ミサイルやレーザーしか武装のなかった ガンクルセイダー以前の防衛隊の戦闘機と違って、ガンフェニックスの火力は 通常でも怪獣を軽く吹っ飛ばせるほど強力なのだ。 しかし、なぜ地球の戦闘機がこのハルケギニアにやってくることができたのだろうか? いや、エースや才人、ヤプールや超獣たちも感じたその疑念も、今現実に彼らが ここにいて戦っているということの前には些細な問題であった。しかも、それだけではない。 「テッペイ、あいつらは一匹はわかるが、もう一匹のでかいやつはなんだ!?」 「ドキュメントTACに記録を確認、一角超獣バキシムと、変身超獣ブロッケンです! 」 メビウスになったミライを見送り、あらためて敵の様子を確認していたガンフェニックスに、 時空のかなたの地球から、アーカイブ・ドキュメントに残された二大超獣のデータが届く。 それぞれのコクピットでは、ガンウィンガーに乗るマリナ、ガンローダーのリュウとセリザワ、 ガンブースターのジョージが、亜空間突破の興奮も冷め遣らぬままに、気を引き締め なおして、操縦桿を握っている。 「二匹とも超獣か、やっぱりヤプールが復活してたってのは本当だったのか」 「ウルトラマンA……あんなにまでなって、たった一人でこの星を守ってたのね。 ヤプール、絶対に許さないわよ!」 「ああ、特にバキシムめ、前の借りはここで返すぜ!」 ジョージ、マリナ、リュウはメビウスと戦う二大超獣の姿を見て、新たなる戦いの 覚悟を決めた。特に、リュウは以前バキシムに体を乗っ取られた経験があるので そのときのことは覚えていないものの怒りが深い。しかし、血気にはやりがちになる リュウに、後部座席のセリザワが釘を刺すように声をかけた。 「リュウ、冷静さを失うなよ。怒りや憎しみは判断を誤らせる。それで、守るべきものを 守れずに、失ってしまってからでは遅いのだ」 「はい、肝に銘じておきます」 セリザワの、ウルトラマンヒカリの警告はリュウに隊長としてのあるべき姿を 思い出させた。それにセリザワは、リュウにとってあこがれであるとともに、隊長として 乗り越えなければならない壁でもある。彼は、これがそのための試験の一つだと 考えて、短く深呼吸をすると全員に言った。 「ようし、メビウスと、ウルトラマンAを助けるぞ。GUYS・サリー・GO!!」 「G・I・G!」 たとえどんな空であろうと、GUYSの心は常に一つ。ガンフェニックスは急降下しながら 必殺のバリアントスマッシャーを放ち、二匹の超獣を攻撃してメビウスを援護していく。 その一方で、時空をへだてた地球でもガンフェニックスのサポートに余念がなかった。 「こちらガンフェニックス、観測データは届いてるか?」 「大丈夫です。亜空間ゲートは計算どおりに安定してます。そちらの惑星の観測 データは現在検証中ですが、地球型惑星でほぼ間違いないようです。それよりも、 バキシムもブロッケンも遠距離攻撃が得意な超獣です。気をつけてください」 「G・I・G!」 東京湾上空に、ぽっかりと開いた時空の穴を前にして、超巨大戦闘機形態、 フェニックスネスト・フライトモードに変形したGUYS JAPANの基地で、 ガンフェニックスから送られてきた時空の向こうの惑星の環境や、バキシムと ブロッケンのスキャニングデータがスーパーコンピュータによって高速で解析されていく。 そしてそのディレクションルームでは、無言で見守るサコミズの元で、テッペイと コノミがリーダーになって若い隊員たちを引っ張りながら、異世界で戦うリュウたちの ために奮闘していた。 「気圧0.9、大気組成、窒素77パーセント、酸素21パーセント、二酸化炭素 0.03パーセント、ほかアルゴン1パーセント、湿度60パーセント……重力 地球の98パーセント、このデータはほとんど地球と同じじゃないか」 気圧がやや低いのは、ここが浮遊大陸であるためなのだが、便宜的に ハルケギニア星と呼ぶこの星の自然環境はほとんど完全に地球と同じであった。 もっとも、そうでなければ才人が生存できているはずはないのだが、この環境で あるのならば、GUYSクルーたちも宇宙服なしで行動できるとあって、居残り組の テッペイたちはほっとして、さらに住人もほぼ完全な地球人型とわかると それをガンフェニックスに通達した。 「リュウさん、その星はやっぱり完全な地球型惑星です。地球とまったく同じ 感覚で行動できます」 「なんだって? しかし、地球とまったく同じって、そんなことありえるのか?」 「アーカイブドキュメントZATに記録のあるミラクル星や、MACのサーリン星 などは地球とほぼ同じ環境の惑星であったことが確認されています。 住人がヒューマノイドタイプなのもそのためでしょう」 「なるほど、ヤプールが狙いそうなわけだ。だとしたら、なおさら奴らは許して おくわけにはいかねえ!」 たとえ宇宙のどんな星であろうと、平和に暮らしている人々に侵略の魔の手を 伸ばすやつを、CREW GUYSが許すわけにはいかない。地球一つだけの 平和だけでなく、宇宙全体の幸せあってこそ真の地球の平和もあるのだと、 GUYSの面々は、決意を新たに戦いの空を駆ける。 が、人々の目をもっとも奪ったのはウルトラマンメビウスの活躍であることは言うまでもない。 突然のメビウスとGUYSの戦闘介入によって、パニックに陥って攻撃が半端に なっていたバキシムとブロッケンも、相手がメビウス一人だということで落ち着きを 取り戻し始め、バキシムは得意のミサイルの連射攻撃を仕掛けてくる。 だがメビウスはメビウスブレスから発生したエネルギーをそのまま両手のひらに とどめ、光の手刀にしてミサイルをはじきかえしながら、逆にバキシムに突撃していった。 『ライトニングスラッシャー!』 かつてパラレルワールドで、双頭怪獣キングパンドンの火炎弾『双頭撃炎弾』を 跳ね返したように、バキシムのミサイルも一発残らず叩き落とされて、すれ違い様に バキシムの腹に強力な手刀の一撃が居あい抜きのように斬りつけられ、背中まで 届く衝撃にバキシムは振り返ることもできずに、背中からメビウスに持ち上げられて、 投げ捨てられた。 「テャアッ!」 轟音轟き、バキシムの体が舞い上げられた土煙に隠される。バキシムは、普段は 強力な武器となる体重も、今は逆に自らを痛めつける諸刃の剣となって地面に めり込んだままで必死にもがいていた。 「すごい、なんというパワーとスピードだ」 「それなのに、動きに一切無駄がない……」 戦い始めてからまだ一分も経っていないというのに、メビウスの戦いを見守っていた カリーヌやタバサから感嘆の声が漏れる。なぜなら、メビウスの師匠はウルトラ兄弟 最強と名高い、宇宙警備隊筆頭教官ウルトラマンタロウであり、彼が地球滞在時から 磨きぬいてきた、パワーとスピードの両方を極めたテクニックを直伝されて、いまや それに独自の戦法を組み合わせた、新たな宇宙拳法として大成させつつあったのだ。 むろん、上空を飛ぶガンフェニックスのことも忘れてはならない。 「バキシムとブロッケンのスキャンが終了しました。二匹とも、過去に出現した 個体に比べて体内エネルギー量が増大しています」 「て、ことは攻撃力が上がってるってことか」 「はい、ですが体内の構造は変わっていませんから、武装強化などはおこなわれて いないようです。ミサイルとレーザーに気をつけて、中距離以上からの攻撃に つとめてください」 時空の壁を超えて、フェニックスネストからテッペイの的確な敵情分析が届く、 バキシムは一度戦ったことのある相手だが、ブロッケンは初見である。ただし、 既に戦ったことがあるといってもバキシムも強敵である。メビウス一人では荷が重いし、 本当の目的はあくまでエースの救出である。現CREW GUYS隊長リュウは決断した。 「ようし、超獣はガンローダーとガンブースターで引き受ける。ガンウィンガーは そのあいだにウルトラマンAを十字架から解放しろ。いくぞ、ガンフェニックス、 スプリット!」 「G・I・G!」 隊員たちの返答とともに、ガンフェニックスはガンウィンガー、ガンブースター、 ガンローダーの三機に分離、それを見てガンフェニックスが機械だとは知らない 地上の人々からは、「三匹に分かれた!?」と、GUYSのメンバーが聞いたら失笑 しそうな叫びがあがったが、もちろん彼らはそんなことは知らずにそれぞれの 任務に向かっていく。 「いくぜバキシム、くらえ! バリアブルパルサー」 リュウの操るガンローダーの黄色のビームが、メビウスに向かってミサイルを 放とうとしていたバキシムを直撃して火花を散らせ、続いてジョージが ガンブースターの引き金を引く。 「ブロッケン、お前の相手は俺だ、アルタード・ブレイザー!」 青白色のエネルギー弾が見事にブロッケンに炸裂し、ひるませたところへ メビウスがすばやくキックを叩き込み、さらに頭一つ以上背の高いブロッケンの 上にジャンプして、奴の額に強烈なチョップをお見舞いした。 「テャァッ!」 生き物にとって額は急所の一つである。そこに東京タワーでも真っ二つに してしまうほどのメビウスチョップを食らっては、さしものブロッケンも脳震盪を 起こして巨体をよろめかせ、力なく後ずさりして後ろ足をついて倒れこんだ。 しかし、その隙をついてバキシムがなおもエースの処刑を実行しようと ミサイルをエースに向かって放つが、それを見逃すメビウスではない。素早く メビウスブレスに右手を当てると、メビウスブレスから引き出したエネルギーを 矢じり型の光弾に変えてミサイルを狙い撃った。 『メビュームスラッシュ!』 高速で追いすがったメビュームスラッシュは、ミサイルに追いついてこれを 全弾撃墜した。悔しがったバキシムはなおも次のミサイルを放とうとするが、 今度はバキシムの顔面にメビュームスラッシュが命中する。 「マリナさん、ここは大丈夫です。はやくエース兄さんを!」 「わかったわミライくん。リュウ! いくわよ、お願い」 メビウスの声が、ミサイルを避けてチャンスをうかがっていたガンウィンガーの マリナに届くと、彼女は必死に二大超獣を抑えているメビウスを見て、 今がチャンスだとリュウに決断をうながした。 「ようし、一気に決めるぜ! 全機、メテオール解禁!」 「G・I・G!」 その瞬間、枷は解き放たれ黄金の不死鳥は舞い上がった! 「パーミッション・トゥシフト・マニューバ!」 ガンウィンガー、ガンローダーに収納されていたカナードウィングが展開し、 常時展開状態のガンブースターのウィングとともに、それぞれの機体がまばゆく 輝く金色の粒子に覆われる。超絶科学メテオール、それを解き放ったガイズマシンの 本当の姿、マニューバモードの威力をここに見よ! 「喰らえ! ガトリングデトネイター!!」 ガンブースターから放たれた六本のビーム砲の一斉射撃がバキシムを 吹き飛ばし、巨体に軽々と泥をつけさせる。だが、いきりたったブロッケンは 両腕と二本の尻尾を空に向けて、ビーム光線の乱射を仕掛けてきた。 「危ない!」 両腕の先から連射されるストレート光線と、尻尾の先から放射されて、 空中を鞭のようになぎはらうスネーク光線が空を切り裂いてガンローダーと ガンブースターを狙う。その弾幕の濃さには、どんな敏捷な鳥でも逃れられないと 人々は恐怖したが、GUYSクルーたちはおびえてなどいなかった。 「ファンタム・アビエイション・スタート!」 ビームがガンローダーを貫いたと思われたとき、ガンローダーの姿は掻き消えて、 別の場所に出現していて、さらにそれも別の場所にガンローダーが現れたと 思ったときには消えていた。そう、それこそ右に左に、上下前後とランダムに めまぐるしく金色の光を撒き散らしながら飛び回り、ブロッケンのどころか 鍛えぬいたタバサやカリーヌの動体視力でもまったく捉えることができない。 「速すぎる!?」 普段冷静沈着な二人が、そんな感想しか漏らすしかできなかったほど ガンローダーの動きは彼女たちの常識を超えていた。むろん、ガンブースターや ガンウィンガーも同様の動きをして、まるで実体のない幽霊のように攻撃を まったく寄せ付けない。これこそ、超絶科学メテオールの技術の一つ、 かつて地球にやってきた数え切れないほどの宇宙人のUFOや宇宙船の 残骸を分析して発見された、数々のオーバーテクノロジーを転用して、 重力や空気抵抗、慣性などを無視し、分身さえ可能な超高速を機体に与える、 その名も『ファンタム・アビエイション』、この技術の原型は防衛チームZATの コンドル1号やMACのマッキー二号の翼にあった重力制御コイルにも 使われて、空力特性をまったく無視した形ながら高い空中機動性を可能に しているが、ガンフェニックスのこれは文字通りレベルが違う! 「当たるものかよ!」 通常のクルーズモードでさえ、ベロクロンの全力のミサイル攻撃の弾幕すら かいくぐれる機動性を持つガンフェニックスの各機がこのモードを展開すれば、 威力はあっても弾数はそれより少ないバキシムのミサイル程度なら、当たるわけが なかった。おまけに、意地になってガンフェニックスを追おうとすれば、隙ありと ばかりにメビウスが殴りつける。 「セヤァッ!」 メビウスの鉄拳、顔面直撃。左目がつぶれていたことからメビウスの接近に 気づけなかったのもあるが、わざわざ位置を教えてから殴りにいくほどこちらも お人よしではない。 しかし、ただではメビウスやガンフェニックスを捉えられないと思ったバキシムは、 悪辣な頭脳を回転させて、ウルトラマンは人間が危機に陥れば必ず助けに いくはずだと考えて、ミサイルを戦いを見守っていたアンリエッタたちに向かって 発射した。 「きゃあっ!?」 「姫さま、危ない」 迫ってくるミサイルを見て、アニエスが盾になろうと彼女をかばう。だがこれこそ バキシムが望んでいる展開、愚かな人間たちは勝手にかばいあって死んでいく。 それはヤプールには決して理解できない感情だが、それを利用する術は誰よりも 心得ており、あえて速度をゆるめにしたミサイルが、一直線に人間たちに向かって 突き進む。さあ早く助けに行け、飛び道具で撃ち落そうとすれば人間たちも 巻き込むぞと、バキシムは、エースが角ミサイルから人々を守ったようにメビウスが ミサイルに飛び込んでいくことを期待した。 ただし、人間たちのことわざに、柳の下にドジョウは二匹いないというものがある。 「ジョージ!」 「G・I・G! やらせるかよ、スパイラル・ウォール!」 リュウの指示でミサイルとのあいだに割り込んだジョージのガンブースターが、 回転を始めると、ガンブースターの機体が巨大な金色の球体のようになって ミサイルを全弾叩き落した。 「ジョージさん!」 「ミライ、この星の人たちは俺にまかせろ。お前は気がねなくそいつらを やっつけてしまえ!」 高速回転するガンブースターは、ミサイルどころか熱線さえ軽々とはじき返して、 唖然として見守っているアンリエッタやウェールズの前に立ちはだかっている。 これも、メテオール技術の一つの成果、機体の周りに強力なバリヤーを 張り巡らせてあらゆる攻撃を跳ね返す究極の盾、『スパイラル・ウォール』だ。 これによって、人間たちに手出しができなくなったバキシムは、またメビウスと 戦わざるを得なくなったが、上空にはまだガンローダーが遷移して、ブロッケンに 攻撃を集中させて、二対一にならないように妨害をし、さらに怒り狂ってビームを 乱射するブロッケンの弾幕を軽々とかいくぐったガンローダーは、翼に隠された 巨大なファンを高速回転させて、二本の荒れ狂う荷電粒子ハリケーンを発生させた。 「ブリンガーファン・ターンオン!」 竜巻は二頭の黒い龍の様にバキシムを飲み込むと、七万八千トンの奴の体重を 意にも介さず軽がると回転しながら空中へと巻き上げた。 「すっ、すごい……」 アンリエッタとウェールズのヘクサゴンスペルにもびくともしなかったバキシムが、 まるで木の葉か人形のように軽々と宙を舞っている。とても現実とは思えない 光景だが、この程度は、ウルトラマンやウルトラマンジャックを一敗地にまみれさせた ゴモラやグドンをさえ翻弄したガンローダーのメテオール、『ブリンガー・ファン』に かかれば序の口に過ぎない。 空中をきりもみしながら飛ばされたバキシムは、身動きができないまま ブロッケンに向かって叩き落され、二匹はそれぞれが超重量級であったために 激突の衝撃も並ではなく、大きなダメージを受けた。だが、これだけの攻撃を 受けながらも二大超獣は信じられないほどの生命力を見せて起き上がってくる。 「さすがにしぶといな」 メビウスとガンフェニックスのメテオールをこれだけ受けてもなお、バキシムと ブロッケンには余裕が見られる。それに絶大な威力を誇る反面、メテオールは まだ未知の部分が多いために、その使用可能時間が一分間と厳しく制限されており、 限界時間は刻一刻と近づいてきている。が、ならばその限界が来る前に勝負を 決めてしまえばいいだけだ。 「ミライ、行くぞ!」 「はい! リュウさん」 残りの時間を一秒でも無駄にしないために、リュウはメビウスとともに一気に 攻勢に打って出た。ガンローダーとガンブースターのビームが二大超獣に 火花を散らせ、その隙をついて空中にジャンプしたメビウスの高角度からの 急降下キックがブロッケンを狙う。 『流星キック!』 ウルトラマンジャックの代名詞ともいうべき必殺技がブロッケンの顔面に炸裂。 さすがにキングザウルス三世の角をへし折った本家ほどの威力はまだないが、 メビウス渾身の一撃にブロッケンの巨体が揺れて、それは偶然にもまた バキシムを巻き込んで地面へと倒れ伏させた。 そして二匹の超獣が身動きできなくなったのを見るや、リュウは攻撃に参加せずに 待機していたガンウィンガーのマリナに合図をした。 「マリナ、今だ!」 「G・I・G!」 マリナはガンウィンガーを急旋回させて、十字架に磔にされているエースの 前に出ると、照準機を睨んで操縦桿のトリガーボタンに指をかけた。ターゲットは エースのカラータイマー、通常ならばガンウィンガーにはスペシウム弾頭弾が 装備されているが、今回は別のメテオールカートリッジが搭載されてきており、 それこそウルトラマンAを救出するための切り札だ。 「マグネリウム・メディカライザー・シュート!」 ガンウィンガーの機首から真っ赤な光線がほとばしり、エースのカラータイマーに 吸い込まれていったとき、ガンウィンガーは役目を果たしたように十字架から 離れていった。しかし、そのとき力尽きて灰色に染まっていたエースのカラータイマーに 赤い点滅が戻ったかと思うと、赤は青に色を変えて力強く輝きだし、エースの瞳に 乳白色の輝きが戻ると、目覚めたように彼は首を上げた。 「エースが……生き返ったぁ!」 これこそ、かつてウルトラ警備隊がガッツ星人に倒されたウルトラセブンを 蘇生させた、ウルトラマンの活動エネルギーである、マグネリウムエネルギーを 光線化して発射する装置をメテオール化し、回復させることのできる特殊兵器 『マグネリウム・メディカライザー』である。 十字架上のエースは、四肢を固定している鎖に力を入れると一気に引きちぎった。 「ハァァッ……ダァァッ!」 乾いた金属音を立てて鎖が粉々に砕け散るのと同時に、エースの足が大地に 降り立ち、太陽の輝きと弟や仲間たち、人々の喜びに満ちた眼差しを受けて、 ウルトラ兄弟五番目の弟は、右手を高く掲げて復活の雄叫びをあげた。 「トアァーッ!」 ウルトラマンA、完全復活! ここに、エース抹殺のために組み上げられたヤプールの謀略は完全に崩壊し、 闇はすべて光の中へ暴き出された。そして、闇の中でこそ恐怖の対象となる 悪霊も、光の下では消滅するしかない。バキシムとブロッケンは、まだ戦うには 充分な力を残していたが、エースの復活はもとより人間たちのあいだから 恐怖が完全に拭い去られ、マイナスエネルギーの発生が消滅してしまったことに 驚きとまどった。 「シュワッ!」 倒れて砕け散る十字架を背にエースは跳び、メビウスと並んで戦いの構えをとる。 「エース兄さん、大丈夫ですか?」 「メビウス、すまなかったな、もう大丈夫だ」 時空を超えて別れ別れになった兄弟が、再びめぐり合い、肩を並べて戦うときが ついにやってきた。目指すは、バキシムとブロッケン、こいつらを倒せばもはや ヤプールは当分のあいだ打つ手を失う。 だが、長年に渡って怨念を積もり積もらせてきたヤプールは策が破られても、 なおもあきらめてはいなかった。 「ええい、何人に増えようとも同じことだ。いけぇーバキシム、ブロッケン! 二人まとめて地獄に送り込めぇ!」 光の戦士を前に、今度は二大超獣のほうが恐怖をふりはらうように雄叫びを あげてエースとメビウスに突進していく。しかし、ウルトラ兄弟が力を合わせたら、 その力は二倍にも三倍にも強くなる。 「テャァッ!」 エースのキックがバキシムの腹を打ち、巨体が大きく後ずさりする。さらに メビウスもブロッケンに対して速攻をかけて、流れるようなパンチやチョップが 人馬の胴体や首にめり込んでいく。 特に、ブロッケンをメビウスにまかせたエースの攻撃は猛攻という言葉も 生易しいすさまじさをもってバキシムに炸裂した。 (よくもやってくれたな、この野郎!) (好き放題してくれた分は、百倍、いえ一億倍にしてお返ししてあげるから、 覚悟なさいよ!) (その意気だ。しかし二人とも、心を憎しみに支配されるなよ。いくぞ!) エースに力を分けてもらって回復した才人とルイズの怒りも込めて、エースは バキシムに立ち向かい、ミサイル攻撃も意に介さずに大地を蹴り、天空から 急降下チョップをおみまいし、首筋を掴んで背負い投げ、さらに尻尾を掴んで ジャイアントスィングで放り投げた。 「ダァァッ!」 大地を揺さぶる投げ技の連続攻撃、エースのフルパワーとハルケギニアの 引力に打ちのめされて、バキシムの全身に激しくダメージが加わる。しかし、 この程度で倒せるのならば、最初からとっくに倒している。起き上がってきた 奴は、なおも怒りを増して、この死にぞこないめとばかりに腕から高熱火炎を 放射してくるが、エースも突き合わせた両手の先から火炎を放って迎え撃つ。 『エースファイヤー!』 火炎対火炎の衝突で、接触した熱エネルギーは暴発して大爆発を引き起こす。 吹き荒れる猛烈な爆風、しかし、その炎すらも火鼠の衣のようにまとって、 エースの真正面からの跳び蹴りが炸裂する。 「テヤァァッ!」 炎の一撃が、熱エネルギーと運動エネルギーを火山弾のごとき破壊力で バキシムを地にひれ伏させる。だが、これでもなおバキシムは悲鳴をあげながらも 残った右目のレーダーでエースを見据え、倒れたままミサイルを放とうと 狙ってくる。けれど、そうはいかない。エースはバキシムを背中から持ち上げると、 空高くへ向かって垂直に投げ上げた。 「ダアッ!」 ウルトラパワーで投げ上げられて、空を飛べないバキシムは何もできずに 宙を舞う。そして奴が重力に負けて落ちてきたところをエースは受け止めて、 風車の羽のように回転させながら投げ飛ばした。 『エースリフター!』 激震と轟音が、地震などないはずのアルビオンの大地を激しく揺さぶり、 人々は立っていられないほどの揺れに見舞われる。かつてはこれだけで 地底超獣ギタギタンガを木っ端微塵にした大技に、重装兵はこけて 動けなくなり、馬に乗っていた兵は落馬して、軽いタバサなんかは 二メイルばかり宙に浮き上がった。が、これで終わりと思ったら大間違いだ。 エースは地面にめり込んでいるバキシムを引っ張りあげると、またも頭上に 持ち上げて、衝撃ででんぐりがえってスカートの中を丸出しにしている キュルケの見ている前で。 「もしかして、二発目!?」 そのまさかだった。バキシムの体が再度宙を舞い、エースリフターの第二波が もう一度バキシムを大地に沈ませ、人間たちに一秒間の空中散歩をさせる。 しかし、エースの怒涛の連撃は止まらない。 「イャァッ!」 「って、まさか三発目!?」 力を緩めずエースリフターの三発目が、バキシムを容赦なく痛めつける。 エースは光線技の豊富さが有名であるが、投げ技のバリエーションも 豊富で強力なのだ。 むろんメビウスも兄に負けてはいない。ジャンプしてブロッケンのあごを下から 蹴り上げると、鋭い牙で噛み付こうとしてくるブロッケンの三つの口をかわし、 至近距離から放たれた火炎熱線をメビウスディフェンスサークルで受け止め、 そのままブロッケンめがけて押し返す。 「エイヤァッ!」 バリヤーに跳ね返された自分の火炎をもろに受けて、ブロッケンは焼け焦げ、 チャンスを逃さずメビウスは連続攻撃を仕掛けて、巨体にみるみるうちに ダメージを刻み込んでいく。 しかしそれでも、現在ヤプールが最大の切り札として作り出したブロッケンは しぶとく、残った生命力を全て破壊力に変えるかのように、怒りのままに両腕と 二本の尻尾の先からのビームで光線の弾幕を張ってきた。 「ヘヤッ!」 襲い掛かる光の矢の雨あられをメビウスは高い瞬発力をもってかわすが、 激昂したブロッケンの攻撃は収まらない。だが、CREW GUYSも忘れては ならない。再び合体したガンフェニックストライカーのバリアントスマッシャーが ブロッケンをひるませ、セリザワはメビウスにテレパシーで呼びかけた。 「奴を倒すには、あと一歩強力な一撃が必要だ。使え、メビウス!」 すると、空間を越えてセリザワの右手に出現したナイトブレスがメビウスの メビウスブレスに一体化し、赤と青の輝きを放つナイトメビウスブレスに変形させ、 先端からメビュームブレードをもしのぐ光の剣が伸び、メビウスの体に雄雄しく 輝く金色のラインが刻まれた! 『ウルトラマンメビウス・メビウスブレイブ』 ウルトラマンヒカリの意思を受け継いだ、メビウスのパワーアップバージョンが 姿を現し、メビウスは光の大剣、メビュームナイトブレードを振りかざし、 力強く駆けていく。 「テャァァッ!」 正面攻撃、それは例えるならば強力な魔法を使うメイジに一本の剣だけで 向かっていく無謀な剣士を人々に連想させるものであったが、浴びせかけられる 光線はメビウスを止めるどころか、メビュームナイトブレードによってすべて 受け止められ、そのままメビウスは速度を緩めることなく突進していくではないか。 「いけーっ!」 驚愕するブロッケン、その眼前でメビウスはジャンプして自分の体をコマのように 高速回転させながら、奴の巨体に向けて瞬時に剣閃を閃かせた。 『スピン・ブレードアタック!』 超獣の強固な皮膚をものともせずに、メビュームナイトブレードの一撃は ブロッケンを切り裂き、ななめに大きく燃える刀傷を巨体に刻み付けた。 しかし、宇宙量子怪獣ディガルーグを真っ二つに切り裂いたこの技を 喰らっても、なおもブロッケンは絶命せずに生きていた。恐るべきはヤプールの 怨念の力、だが闇が強かろうと、光はそれを超えていく。 「いくぜ! とどめだミライ」 「はい! リュウさん。エース兄さん」 「ああ、頼むぞメビウス」 上昇し反転してきたガンフェニックスと、エースリフターの猛攻で、バキシムを 立てないほどにまで叩きのめしたエースが、ブロッケンと距離をとったメビウスに 並んで力をためる。そして、瀕死の傷を負ってなおもビームを放とうとする ブロッケンへ向けて、メビウスはメビュームナイトブレードをかざし、剣舞を 踊るように、その切っ先をメビウスの輪の形になぞらせ、形成した巨大な メビウスの輪の形のエネルギー波を投げつけた! 『メビュームナイトブレード・オーバーロード!』 メビウスブレイブ最強の必殺技が炸裂し、ブロッケンがメビウスの輪の 光のエネルギーに焼かれていく。そこへ、ガンフェニックストライカーと ウルトラマンAはとどめの一撃を叩き込んだ! 「インビンシブルフェニックス・ディスチャージ!」 『メタリウム光線!』 ガンフェニックストライカーがまとった灼熱のエネルギーが機体の形を かたどった、巨大な火の鳥となって飛び立ち、ブロッケンを炎の翼の中に 包み込むのと同時に、エースの必殺光線が勝利への架け橋となって 突き刺さる。光の三重攻撃、その圧倒的な威力の前にはさしもの巨大超獣 といえども到底耐え切れるものではない。 「馬鹿なぁーっ!」 ヤプールの悲鳴とブロッケンの断末魔の遠吠えがこだました瞬間、悪魔の 使者は太陽のような業火に焼き尽くされ、粉々の塵となって飛び去り、 夏の風の中に消滅していった。 「やったぁーっ!」 「すごすぎる……」 「ウェールズさま……」 「アンリエッタ……いや、もう言葉が出ないよ」 「やったやった! ほんとサイコーよ、ねえタバサ! ねえねえねえ!」 「く、苦しい……キュルケ、抱きしめすぎ……」 「きゅいーっ!? ちょっと、お姉さまを絞め殺す気」 悪魔の最後に、人々のあいだからかけらの遠慮もない大歓声があがる。 見たかヤプール、お前がどんな卑劣な陰謀をめぐらせようと、人間の、 そしてウルトラマンはそれを超えていく。 「ようし、あとはバキシムだけだ」 そう、超獣はあと一匹残っている。しかし、エースリフターの連続攻撃によって 大ダメージを受けていたバキシムがやっと起き上がってきたが、塵と化した ブロッケンと、いまだ戦意の衰えない二人のウルトラマンとガンフェニックスを 前にしては、もはや勝ち目などないことは誰の目にも明らかだった。 「ヘヤッ!」 「セァッ!」 構えをとり、攻撃の態勢をとるエースとメビウスに対して、バキシムはそれでも 戦意を衰えさせずに、なおもミサイルで反撃を試みてくる。恐るべきはヤプールの 怨念の力だが、もうそんなものは通じず、全弾軽々と叩き落されて、二人の ウルトラマンにはいささかのダメージもない。 「とどめだ!」 誰もがそう叫び、メタリウム光線とブレードシュートの狙いがバキシムに 向けられたときだった。 「おのれぇ! やむを得ん、バキシムよ、ここは引け、引くのだ!」 バキシムの背後の空間が割れて、異次元の裂け目が現れる。ヤプールは ここでバキシムまでも失うことを恐れ、バキシムを回収しようとしたのだ。 「逃がすか! バリアント・スマッシャー!」 あと一歩のところで取り逃してなるものかと、ガンフェニックスの砲火が バキシムを狙うが、それは残念ながら異次元の裂け目にバキシムが 逃げ込んでしまったことで、空振りに終わってしまった。 しかし、綿密に立てた計画をすべて破壊され、用意した怪獣や超獣も バキシムを残して倒されてしまったヤプールの怒りは、さらにすさまじかった。 「覚えていろウルトラ兄弟、そして人間どもよ! 我らの計画はまだまだ始まった ばかりだ。いずれもっと強い超獣を生み出して、必ずや復讐してくれるぞお!」 次元の裂け目がヤプールの怒りと悔しさに満ちた捨て台詞とともに閉じると、 あたりはそれまでの戦いがうそであったかのように、明るい光に包まれて、 早くも鳥や虫の声がざわめき始める。しかし、それが決して夢でも幻でもないことを、 人々は陽光を浴びて銀色に輝く、二人の巨人を見て感じていた。 「エース兄さん、よくぞ無事で」 「ありがとうメビウス、お前の……お前たちのおかげだ」 ナイトブレスをヒカリに返還し、通常の姿に戻ったメビウスは、長い間探し続けてきた 兄を前にして、言葉を詰まらせながら手を握り合い、そして感極まった様子の メビウスを見て、エースは強い懐かしさを感じた。思えば、この世界にやってきて 半年……短いようで、なんと長い月日であったことか、そのあいだに、どれだけ 兄弟たちに心配をかけてしまったか……しかしそれでも、こうして守るべきものを 守ることができた喜びは、何にも変えがたい。 「メビウス見てみろ、人々のあの笑顔を」 「はい」 二人の見下ろす先では、誰もが喜びに湧いていた。キュルケはタバサを持ち上げて 胴上げをしてシルフィードに止められて、アニエスとミシェルは喜びすぎて調子に乗った 兵たちが抱きついてくるのを張り倒している。カリーヌでさえ、仮面の下の目は 笑っていて、そしてアンリエッタとウェールズが肩を抱き合いながら手を振り、 七万人の歓呼の声を浴びながら、ガンフェニックスとともにエースとメビウスは飛び立った。 「ショワッチ!」 「ショワッ!」 光の中を、三つの光が帰っていく。 一つの戦いが終わり、アルビオン大陸に平和が戻った。 しかし、物語はまだ終わらない。 「エース兄さん!」 「え?」 「へ?」 そう、まだ終わりはしないのだ。 続く 前ページ次ページウルトラ5番目の使い魔