約 5,816 件
https://w.atwiki.jp/kitakoutarou/pages/186.html
…………………………………… …………………………………… さやか「…………」 大超獣『魔法少女はいくら肉体が傷付こうがソウルジェムを砕かれない限り完全には死なない……』 大超獣『だがその体で立ち上がることはもう無理だ』 強靭な尾を打ちつけられたさやか 持っていた剣は粉々に砕け、マントはズタズタに千切れ、 血に塗れた足は異常な方向に曲がっていた 大超獣『もう一撃……それで止めだ』 大超獣『まぁ安心しなよ、佐倉杏子もすぐに――――』 カッ! 大超獣『!!』 超獣1「グルルゥ……」 超獣2「!?」 大超獣『………?』 街の中心部 まどか達Aチームが戦っている地点からの強烈な閃光 大超獣は振り上げた腕を下ろし、完全にその光を見つめたまま動きを止め、 後ろの二体も同じく静止する …………………………………… …………………………………… シュゥウウ…… まどか「………っ……え?」 マン『…!!』 きつく閉じた目を見開き、辺りを見回すまどか 大超獣によって発射された光線は二人に当たることは無く、 上空から飛んで来た稲妻のような光線によって相殺され、土埃を巻き上げるだけに終わっていた 大超獣1『なんだ……どこからの攻撃?』 大超獣2『!!……上だ!』バッ マン『この…砂漠の砂一粒を狙い撃ちにするかのような精度…』 メビウス『まさか…!』 バッ 二体の大超獣が同時に上を向き、 それに続く様に一同が空を見上げ、光線を放った何者かを探す エース『……ジャック兄さん…あの光線はまさか…』 ジャック『間違いない、Z光線だ………つまり』 エースの問いに現在の状況を完全に理解したような口振りで答え、 空を見続ける まどか「……!……あ、あれ!!」 大超獣1『!!』 大超獣2『……援軍か…面倒だね』 まどかの指が空の一角を指し示す そこには光線の構えを解き、上空に留まる巨人の姿 その胸には六対のリベット状の突起、 武功の証であるスターマークが輝いていた まどか「新しい…ウルトラマン?」 マン『………来てくれたか』 ???「…………」 巨人は敵を一瞥した後、 地に伏すウルトラ兄弟と未だに状況を理解できずに呆然と立ち尽くすまどかへ視線を移す ゾフィー『遅くなった』 …………………………………… …………………………………… ~インキュベーター・母艦~ ヤプール「!!………来たか!」 インキュベーター「彼らの仲間……?どうなっているんだ?」 インキュベーター「あの地域には干渉フィールドが……」 ヤプール「……見ろ」 艦内の状況を示すモニターが切り替わり、 粉々に粉砕された干渉フィールドの放射中枢を映し出す インキュベーター「……やってくれたね」 ヤプール「………」 …………………………………… …………………………………… エース『ゾフィー兄さん!』 ゾフィー『すまない、エネルギーのチャージに想像以上に時間が掛ってしまった』ズン ゆっくりと地上に降り立つゾフィー 大超獣1『……』 大超獣2『……なるほど、君は彼らを纏め上げる存在か』 ゾフィー『……私は、M78星雲光の国、宇宙警備隊隊長のゾフィーだ』 大超獣に向かい名乗りを上げるゾフィー その背中には堂々とした隊長の風格が漂っていた ゾフィー『インキュベーター……他者の命を弄び、少女達を消耗品の如く扱うその蛮行……見逃してはおけんぞ』 大超獣1『…それで?君達は何が言いたいんだい?』 驚き見開かれていた大超獣の瞳が、ゾフィーを鋭く睨み付ける ゾフィー『……投降しろ、お前達はやり過ぎた』 あらゆる建物が破壊され、死の街と化した見滝原 その変わり果てた光景の街を流し目で見ながら話し続ける 大超獣2『投降?わけが解からないよ』 ゾフィー『!………お前達はヤプールに唆されているだけだ!』 大超獣は投降勧告を受け入れず、目の前のゾフィーに牙を剥く 大超獣1『違うね、彼の言っていることは真理だ』 大超獣2『強いものが他者を管理する……これ以上無い単純で効率の良いルールだ』 ゾフィー『馬鹿な…それではまたいつか別の脅威が生まれるぞ』 大超獣1『だからこそ僕達の元にヤプールがいるんだよ』 大超獣2『何者にも壊されることのない力を手に入れる……そうすれば他者に脅かされる心配は無いだろう?』 まどか「そんなの……絶対おかしいよ……」 エース『……狂気の発想だな』 大超獣1『……それに僕達はこの宇宙の為にエネルギーの回収を続けているんだよ?』 大超獣2『同じ宇宙生命である君達にもこの宇宙に寿命が近付いていることに気付いているだろう?』 ゾフィー『当然だ、我々の同志達がすでにその事態についての対策を研究している』 ゾフィー『だからこそ我々と君達の技術力を提供し合ってこの事態を……』 大超獣1『君達の手を借りる必要は無いね』 大超獣2『そして人類を間引くことはもう決定している』 ゾフィーが粘り強く説得を試みるも、 大超獣はそれを冷たく撥ね退ける ゾフィー『…………互いに相容れぬということか』 大超獣1『こっちは最初からその気は無いんだけどね』 大超獣2『もう魔法少女達には絶望しか残されていないんだ。諦めなよ』 シュゥウ まどか「っ……!!」 目の前の目障りな存在を消すべく、 一方の大超獣が再び光線の発射態勢に入る ゾフィー『…………ならば』 バッ メビウス『!……あの構えは!!』 まどか「…?」 ゾフィー『去れ、絶望!!』 言い放つと同時に、伸ばした手の平ををカラータイマーに近づける その瞬間、両手の間に輝く十字の光 そのまま右腕を手刀の様な構えで大きく振り上げる キュォオオオン… 大超獣1『これは……!?』 雄叫びの様な音を響かせ、 ゾフィーが右腕に莫大な量のエネルギーが一気に集中する 大超獣2「グォォオオッ!!」 バシュウン! 異様な空気を本能的に感じ取り、 次なる行動を阻止すべく、巨大な破壊光弾を放つ ゾフィー『そして起これ、奇跡よ!』バッ 大超獣1『なんだ……このエネルギーは…!!』 エネルギーのチャージが完了すると同時に、真っ直ぐに突き出される右腕 そこから強烈な閃光を発しながら放たれる、 ウルトラ兄弟最強の必殺の一撃 ソフィー『M87光線!!!』 カッ! 大超獣2『!!!』 ドガァァアアアアン…… 大超獣1『な………!?』 ゾフィー「………」 大超獣に向けて放たれた必殺光線 それはバリアーを易々と砕き、その巨体を一直線に貫く 圧倒的な破壊力を持つ一撃はは大超獣を跡形もなく消し去り、 巨体が立ち塞がっていたその場所には灰が残るのみ まどか「あれが……隊長……」 ゾフィー「………ジュアッ!」ダッ 大超獣1『?…』 光線の構えを解き、 一呼吸置いた後空へと飛び、一同を見下ろす 大超獣1『何をする気だ…!?』 ゾフィー「ハァァァアッ……!!」 シュィィイイン… 大超獣1『……あの光は!?』 ゾフィーがカラータイマーに添えた両腕にエネルギーを宿し、 そのまま一気に解放 街中に拡散する光の筋 その内の六つが地上に倒れた戦士達へ宿る セブン『!……』 ジャック『……』 エース『よし……これなら』 メビウス『力が……戻った!』 地に伏し、力尽きようとしていたウルトラ兄弟 しかしその胸に赤く点滅していたカラータイマーは再び青い輝きを取り戻し、 地にしっかりと足をつき、立ち上がる まどか「体が軽い……!」 ズシン マン『どうやら助かったようだな』 まどか「!…ハヤタさん……!!」 離れたところで倒れていたとこにいた二人も同様に立ち上がる 大超獣1「グォアアア!!」バシュン マン「!……シュワッ!」 バシィン! 大超獣1「!!…………」 大超獣の放った光弾をマンは避けようともせず、 腰に手を当て、その分厚い大胸筋で軽々と受け止める まどか「すっ……ごい……」 大超獣1『本来の力を取り戻したとでもいうのか……!?』 爆煙の中から無傷で現れたマンの姿を見て驚き、後ずさる セブン『形勢逆転か』 メビウス『……負ける気がしません!』 大超獣1『そんな…彼一人のどこに全員分回復させるほどの力が……』 ゾフィー『光の国の太陽……プラズマスパークのエネルギーを溜めこんできた』 ゾフィー『おかげで時間が掛ったがな』 大超獣1『っ……ならば』 シュゥン… セブン「!!」 大超獣の周りの景色が歪み、 少しづつ空間にヒビが入り、広がっていく ジャック「!?」 エース『不味い!増援を呼ぶ気だ!』 大超獣1『それだけじゃないよ…これからインキュベーター全戦力を地球に降下させる』 まどか「えっ!?」 セブン『なんだと……!?』 まどか「やだ……やめてぇっ!!」 まどかが悲痛な叫びを上げるが、 無情な大超獣にその声は届くことは無い マン『何も知らない人間達を盾にするつもりか!!』 エース『汚いぞ!インキュベーター!!』 大超獣1『何とでも言うがいいさ!なんだったら降伏でもして―――――』 ゾフィー『断る』 大超獣1『!!………そうかい、だったら…!』 まどか「!?…ちょ、ちょっと……!?」 ジャック『ゾフィー兄さん!?人間達を見捨てる気ですか!?』 ゾフィー『安心しろ、地球にインキュベーターが降下することはない』 まどか「え……ど、どうして」 状況が飲み込めないまどかに、 落ち着いた口調で淡々と話すゾフィー ゾフィー『宇宙には彼らがいる』 マン『!!』 セブン『まさか……地球全域を守れるほどの戦力を…!?』 大超獣1『何を…何を言っているんだ!』 大超獣1『もうじき地球の主要都市は全て火の海に……』 ゾフィー『ならば試してみろ……彼らがいる限りそんなことはさせない』 大超獣1『………!!』 地球周辺に待機するインキュベーターの同胞達 大超獣はテレパシーを使い接触を試みようとした瞬間、 その赤い瞳は驚きに見開かれる …………………………………… …………………………………… ~地球周辺宙域~ 真っ暗闇の宇宙空間に青く輝く星、地球 その星の全体をを疎らに覆う白い影、 それはインキュベーターの歪んだ姿である超獣のものだった 超獣「グァギャ!!」 ドガァン! 次々に爆発し、消滅する超獣達 地球への降下が指示される十数分前、 突然地球周辺の各所に出現した赤と銀色の巨人 凄まじい実力を持った歴戦の勇志達に阻まれ、 超獣の姿に変身したインキュベーター達は未だ降下することが出来ずにいた 超獣「クワァアアッ!!」シュン ???『ストリウム………光線っ!!』 バシュゥゥッ! 超獣「!!!」 ドガァァアアン…… 妨害を潜り抜け地球へ侵入しようとした超獣に、 気合いの入った掛声とともに放たれた七色に光る光線が直撃し、粉々に砕け散る 超獣『馬鹿な……あれだけいた超獣達がこうも簡単に…』 その光景を目にした別の超獣が驚愕し、 目の前に立ち塞がる赤い火の如き体を持った巨人へと視線を移す その巨人の頭に生えた二本の雄々しい角は、 太陽の光を受けて鋭く輝いていた タロウ『インキュベーター!ここは絶対に通さんぞ!』 シュシュンッ ネオス『タロウ教官に続け!我々も行くぞ!!』 セブン21『ああ、我ら勇士司令部の実力を見せる時だ!』 タロウの放った光線を皮切りに、二人の巨人が名乗りを上げて超獣の群れに突っ込む その姿は現在地球で魔法少女達と共に戦う戦士、 ウルトラマンとウルトラセブンに酷似していた 超獣『まだだ……!数ではこっちが圧倒的に有利――――』シュン ???「シェァッ!!」 ズババババッ! 超獣『!!……』 自身満々に言い放つと同時に、 あらゆる方向から戦士達に迫る数十体の超獣達 しかし、その全てが超高速で突然飛来した分身したブーメラン状の刃に切り裂かれ、 一瞬の内に動かぬ肉塊と化す マックス「………」シャキン 高速で回転しながら分身した刃はやがて一つに纏まり、 その持ち主である巨人の頭頂部の突起へ収まる 超獣『は……速い…』 ゼノン『マックス、遠慮することはない!マックスギャラクシーで吹き飛ばせ!!』 マックス『言われなくともそのつもりだ!みんな離れろ!!』シュゥン 後方で戦いながらマックスに呼び掛ける巨人、ウルトラマンゼノン その声に応えるようにマックスは右腕に装着された不死鳥を模したアイテムから、 自身の身長の数十倍はある光剣を生成 マックス「デェェィイイァアア!!!」 超獣『!!』 ズバンッ!! 仲間達が退避したところを見計らい、 巨大な光剣を振り上げ、周囲を取り囲むおぞましい数の超獣達を、一撃の下に薙ぎ払う マックス『どうだ……!!』 シュゥゥウ… タロウ『!…油断するな!合体してまた襲ってくるぞ!!』 …………………………………… …………………………………… パワード「シュワッ!!」 超獣「グァギャ……!!」 ドガァン… 青い瞳の銀色の巨人が放つ十字架状の光、メガスペシウム光線 その一撃が地球へ向かう超獣達の群れを纏めて蒸発させる パワード『……まだいるのか…こいつらの全員を相手にするのは骨が折れるな』 超獣『……今だ』バシュン パワード『!?』 構えを解いた一瞬の間 その瞬間、数体の超獣達がパワードの背後から一斉に光弾を放つ パワード『しまった…!』 反応が遅れたためにバリアーの展開が間に合わず、 腕を交差させ、防御の構えを取る シュゥウゥ… パワード『………?』 超獣『?………あれは……』 グレート「ハァァ………」 一瞬の内に射線に割り込んだもう一人の銀色の巨人 大量の光弾は巨人の目の前の空間で一つに合わさり、完全に停止する 超獣『受け止めた…?この数を……』 グレート「ジェアッ!!」 超獣『!!』 ドガァァァァン… 両腕を前に突き出し、受け止めた大量の光弾を凝縮、 マグナムシュートとして撃ち返す 何倍にも強化された破壊のエネルギーが超獣達を消し飛ばす グレート『………油断するな』 パワード『ああ、すまん助かった』 シュゥゥウウ…… 大超獣「………」 パワード『!!……合体だと!?』 宇宙空間に四散した超獣達の肉片が霧のように変化し、 一ヶ所に集まって少しづつ巨大な超獣の姿を形成する グレート『不味いな……この数が一体に融合するとなるとどれほどの強さに…』 ドガガガッ! 大超獣『!?』 ???『ならば融合させなければいいんですよ』 グレート『!……君達は…』 肉体の形成途上の大超獣に直撃する三筋の光線 驚くグレートの背後に三人の新たなウルトラマン スコット『確かに融合を許してしまえばこいつらは驚異的な強さになる……』 チャック『しかし集まった肉体が固着する前を攻撃すれば…倒すことは容易い!!』 べス『あと一撃……急いでください!』 ???『我々に任せてくれ!』シュン 少しづつ完全な姿を形成しつつある巨体に、 怯むことなく名乗を挙げる二人のウルトラマン 80『ユリアン!敵は複数の体を合体させて何倍ものパワーを出している!我々も力を合わせて攻撃するんだ!!』 ユリアン『分かったわ、エイティ!』 シュン ガシッ! 襲い掛かる超獣を蹴って飛び上がり、 高速で交差する二人の体 80「トァアーーーッ!!!」 大超獣『………!!』 ドガガガッ! 超獣「グギッ!!?」 回転によって生み出されたエネルギーが刃となり、大超獣の体を両断 その勢いに乗って一瞬の内に辺りに蔓延る超獣達を殲滅する パワード『よぉし!!』 グレート『……この辺りは片付いたか。一度合流すべきだな』 80『休んでいる暇は無い!急ごう!』 …………………………………… …………………………………… ~見滝原~ まどか「すごい…すごい!…いろんな人達が…!!」 ゾフィー『そう、戦っている……この星のために……君達のために』 ゾフィーが空に映し出したヴィジョンを見つめ、 瞳を輝かせるまどか マン『希望の光はまだ消えてはいない』 セブン『形勢逆転といったところか……』 ズシン… 大超獣『!!』 小さなまどかを中央にして、 大超獣の前に並び立つ七人のウルトラマン達 エース『インキュベーター……最期の時だ!』 …………………………………… …………………………………… ~インキュベーター・母艦~ インキュベーター「なんだこの強さは……数ではこちらが圧倒的に有利だったはずが……」 ヤプール「宇宙警備隊を総動員か……やってくれる」 巨大なモニターに映し出された宇宙空間での激戦 その映像を眺めながら呟く一人と一匹 インキュベーター「……完全に彼らを甘く見ていた」 ヤプール「地球にいる奴等だけなら数で圧し潰すことも出来ただろうに」 ヤプール「一気に形勢が不利になったな。はっきり言って最悪だ」 食い入るようにモニターを見つめるインキュベーターに、冷たく言い放つ ヤプール「こういった最悪の状況を逃れるために前の時間軸では隠密に事を進めていたというのに…」 インキュベーター「この時間軸でもそのつもりだったさ……」 インキュベーター「そもそもおかしかったんだよ」 インキュベーター「どういうわけか…僕達が鹿目まどかと接触する前に宇宙警備隊の数人が地球に送り込まれていた」 インキュベーター「それだけじゃない。別世界からのイレギュラー……彼らがどのような手段でこの世界に来たのかも解かっていない……」 視線を動かさず、思考を巡らせるインキュベーター 感情の無い声色は言葉とは裏腹に落ち着いていた ヤプール「さて、どうするつもりだ?こちらの戦力はほぼ壊滅状態だ」 ヤプール「全滅は時間の問題だぞ?」 インキュベーターの小さな体を見下ろし、 口元にいやらしい笑みを浮かべる インキュベーター「そうだね……とりあえず残りの個体を全て見滝原に送り込もう」 インキュベーター「あそこへのゲートだけは開いている。直接降下させる必要はないから宇宙にいる彼らに邪魔される心配もない」 ヤプール「それでは宇宙にいる敵を誰が抑える?」 インキュベーター「……大超獣に変身した個体が一体いる。時間稼ぎには使えるだろう」 ヤプールの顔を見上げ、表情一つ変えずに答える ヤプール「……残りの戦力で先に地球を押さえようということか」 インキュベーター「ここまで追い詰められた以上これしかない……それが成功すればこの艦を地球に降下させ―――」 ???『聞こえるか!?インキュベーター!!』 インキュベーター「!?」 ヤプール「!……」 母艦の周囲を映すモニターが、 大声で叫ぶ青いウルトラマンの姿を映し出す …………………………………… …………………………………… ヒカリ「ヌンッ!!」 ザシュッ! 襲い掛かってきた数体の超獣を右腕の光剣ナイトブレードで斬り払い、 目の前の巨大な球状の母艦へ叫ぶ青い巨人、ウルトラマンヒカリ ヒカリ『聞こえているだろう!返事をしろ!!』 インキュベーター『……そんなに叫ばなくても聞こえているよ』 ヒカリ『……!!』 艦内にいるインキュベーターの声が、宇宙空間に響き渡る ヒカリ『インキュベーター!貴様らの狂気に満ちた計画……全て調べさせてもらったぞ』 インキュベーター『……この艦に潜入していたのか』 ヒカリ『そうだ!貴様らが地上の戦闘に気を取られている隙に私はゾフィーとともに潜入し、データを探らせてもらった』 インキュベーター『データを探る…?それだけ?』 インキュベーター『なぜ内側からこの艦を沈めようとしなかったんだい?その気になれば不可能でもないだろう?』 ヒカリ『……お前達に全面的に降伏してほしい』 右腕のブレードを収め、 構えを解いて落ち着いた口調で話し出す インキュベーター『戦いを止めて投降しろと?』 ヒカリ『……我々はいかな敵同士であろうと命を奪わずに済むことが出来るのならその道を選びたい』 インキュベーター『ふうん……仮に僕達が降伏したとして……それからどうするんだい?』 母艦から姿を見せず、探るような口調で尋ねる ヒカリ『宇宙の為とはいえ、生命を弄んだお前達の罪は決して軽くは無い』 ヒカリ『だがその罪を悔改め、我々と共に宇宙延命のための別の道を探すというのならばその罪も……』 インキュベーター『…………』 シュゥン…… ヒカリ『……む?』 ヒカリ(超獣が……消えた?) 交渉を続けるヒカリの周りで待機していた超獣達が空間に空いた穴の向こうへ消え、 辺りが静寂に包まれる インキュベーター『………』 ヒカリ『!!……インキュベーター!これは……』 交渉に応じたと判断したヒカリは歓喜の声を上げ、 完全に警戒を解き、母艦との距離をゆっくりと詰める しかし… ドガッ! ヒカリ『ぐぉあっ!?』 無防備な背中に攻撃を受け、大きく仰け反る インキュベーター『降伏するとでも思った?』 超獣1「グルルル……」 超獣2「……」 ヒカリ『な…!?貴様ら……!!』 自分を攻撃した二体の超獣を睨み付けた後、 再び目の前の母艦に視線を移すヒカリ インキュベーター『その申し出を受け入れる気は初めからないよ』 ヤプール『間抜けなやつめ。油断して後ろに現れた二体に気付かんとは』 ヒカリ『!……貴様、ヤプールか!!』 母艦から響く冷厳な声 卑劣な騙し打ちを受けたヒカリは怒りに拳を握り締める インキュベーター『こちらにはまだ手は残されているんだ。そう簡単に降伏は出来ないなぁ』 ヤプール『貴様が好き勝手に話している間に残りの超獣は見滝原へ向かった……残念だったな』 ヒカリ『卑怯者め……』 バチバチバチッ… ヒカリ『許さん!!』 怒りのままに掲げた右腕に青い稲妻の光が宿り、 インキュベーターの母艦へ向けて必殺のナイトシュートを解き放つ ヒカリ「セァアーーーーーッ!!!」 インキュベーター『………』 ドガァァアアン…… ヒカリ『……なに!?』 超獣を一撃で葬り去るほどの威力を持った光線 その直撃を受けたにもかかわらず目の前の母艦には傷一つ付いていなかった ヒカリ『無傷だと……馬鹿な!』 インキュベーター『外部からの攻撃ではまともに傷を付けることは出来ないよ……一度目に侵入したときに破壊しておくべきだったね』 ヤプール『さぁ遠慮はいらんぞ超獣よ!今すぐそいつを―――』 ドグシャッ! 超獣1「ギッ!!」 超獣2「………!!」 ヤプール『!?』 ヒカリ『!………お前は…』 命令とともにヒカリに襲い掛かろうとした二体の超獣は、 光を纏った強烈な蹴りを受け爆散 赤いマントをなびかせた深紅の獅子がヒカリの前に現れる レオ『退がれ、ヒカリ』 ヒカリ『レオ!………すまない、助けられたな』 レオ『構わん、それより一旦退くぞ』 ヒカリ『!……なにかあったのか?』 レオの言葉に声を荒げる レオ『我々の仲間が合体した超獣を相手に手こずっている。加勢せねばならん』 ヒカリ『……やむを得んか』 シュン! インキュベーターの母艦を一瞥し、 仲間達の元へ飛び立つ二人 …………………………………… …………………………………… ~インキュベーター・母艦~ インキュベーター「?……なんだ?やけにあっさりと退いたみたいだけど……」 ヤプール「………」 ドガァァアアン!! インキュベーター「!?……なんだ!!」 ヤプール「………やはりな、侵入されていたか」 各所で起こる爆発 手を掲げると同時に巨大なモニターの画面が切り替わり、 艦内の一室、機関室が映し出される そこには艦内を縦横無尽に暴れ回る、 青と赤色の体色をしたウルトラマンの姿があった インキュベーター「やはり?………君は侵入者に気付いていたのか?何故教えなかった?」 ヤプール「聞かれなかったからな」 インキュベーター「!!……」 …………………………………… …………………………………… ~機関室~ ドガガガガッ! ???『ぉぉおおおらぁぁぁあああああ!!!』 重要な機器がむき出しの壁、床、天井 雄叫びを上げながら薙ぎ払う様に光線を放ち、 その全てを徹底的に破壊する ???『へへ……ここまでチマチマ潜入したんだ!思いっきりやらせてもらったぜ!』 燃え盛る爆煙と崩れ落ちる瓦礫の中で、 腰に手を当て、誇らしげに言う ???『さってと……ぶっ壊したらさっさと脱出しろってレオのジジイに言われたしな……行くか』 ???『待ってろよ、魔法少女!………あと親父!』 ドゴォォオオオン! …………………………………… …………………………………… インキュベーター「まずい……このままじゃ地球に落ちる…!」 ヤプール「……さてどうする?」 激しい振動とともに地球へと進むインキュベーターの母艦 切迫した状況下にも関わらず、 不気味な笑みを消すことなく静観するヤプール インキュベーター「……君はまるで諦めているみたいだね?」 ヤプール「私はこの状況でお前達がどう判断するのかが気になるだけだ……降伏するか、しないのか」 インキュベーター「………とりあえず反重力装置の復旧が急務だ」 ヤプール「だろうな。だが地上の敵に姿を曝すことは覚悟しておいた方がよさそうだ」 インキュベーター「…………」 …………………………………… …………………………………… ???1『う、うわぁ……なんかすごいことになってる……』 ???2『これって協力した方がいいのかな…?』 インキュベーターの大超獣と激戦を繰り広げるウルトラ戦士達 その光景を遠くから眺める二人の赤い巨人 ???1『あったりまえじゃん!本物のウルトラ戦士達と一緒に戦えるなんて……あぁ~!なんてツイてるんだ!!』 ???2『戦いが終わってからでいいじゃん』 シュン! ???2『!! ちょっと!?』 相方の制止を聞かず、 片方が激戦地にむかって一気に飛び出す ???1『待ってらんないよ!君も早く!!』 ???2『……分かったよ!』 …………………………………… …………………………………… ~見滝原~ 大超獣『……!?』 ググググッ… ダイナ「ウォォオオオ………!!」 ティガ「ハァァアア……!!」 下敷きになっていた二人に力が戻り、 大超獣の両足が少しづつ持ち上がり始める ネクサス「…………」グッ そのそばで倒れていたネクサスの目とエナジーコアに光が宿り、 ゆっくりと、力強く立ち上がる マミ「なに…?ソウルジェムの穢れが……?」 ほむら「街の中央からの光………あそこで何があったの…?」 街の中心部でゾフィーが解放した光エネルギー それは離れたところで戦う他のチームの者達にも届き、 再び戦う力を取り戻させていた ネクサス『……この際深く考えるのはよそう』キュイン ほむら「!……孤門、あなたも力が……」 シュォォン… ネクサス(J)「………」 左腕を胸のエナジーコアに当て、光に包まれるネクサスの体 生体甲冑が体を覆うとともに銀を基調とした体色が赤く変化 アンファンス形態から更に力を解放した姿、 ジュネッスへとフォームチェンジする 大超獣『まだ何かするつもりかい……?』 ググググッ… ティガ『!……アスカ!!』 ダイナ『分かってますってダイゴさん……!!』 大超獣の足に踏みつけられながらもお互いの名を呼び合い、 足を受け止める腕に、より一層の力を込める ダイナ『本当の戦いは……ここからだぜ……!!』 ティガ「ハァァアアアアッ……!!」 キュイィィン… 大超獣『な……!?』 ズズゥウゥウン…… 踏み付けられていた二人の姿は光に包まれ、 それとともに爆発的に上昇する二人の力 大超獣『なんだ…!?このパワーは……』 その力に耐え切れず、仰向けに倒れる大超獣 マミ「!!…あの姿は!?」 ほむら「……これで赤いウルトラマンが三人ね」 呆然と見上げる二人 その視線の先には、 真っ赤な体色で、先ほどよりも筋肉質に変化したティガ、パワータイプとダイナ、ストロングタイプの姿があった ティガ(P)「………」 ダイナ(S)『さっきまでの借り……千倍にして返してやるぜ!!』 大超獣『………力を取り戻したくらいでいい気にならないでほしいな』 シュゥウン マミ「!……またバリアーを…!!」 巨体を起こし、 五人の前で再び亜空間バリアーを展開 ほむら「あれがある限り……ダメージを与えることは……」 シュン ダイナ(S)『だったら力づくでブチ破る!!』 ティガ(P)『……とどめは君達に任せるよ』 大超獣『……』 相変わらず余裕めいた態度を崩さない大超獣に対し、 同じく余裕の態度で進み出る二人 マミ「!…待ってください!あのバリアーは正面からではいくら攻撃しても……!!」 ガシッ マミ「!?」 ほむら「……」 マミ「暁美さん!?」 二人へ駆け寄ろうとしたマミの肩を掴み、 険しい表情のほむらが無言で首を振る ほむら「今私達が前に出たところでどうにもならない」 マミ「っ……!で、でも!!」 ほむら「……大丈夫、彼らならきっとやってくれる」ジャキッ マミ「!……」 ディバイトランチャーを握り直し、 魔翌力を込めながら迷いなくマミに言い放つ ネクサス(J)『チャンスは一瞬だ。外したら笑い話にもならない』 ほむら「ほら、早く構えて」 マミ「………ええ!」ジャキ 大超獣の巨体を見上げるネクサス その足元には武器を構えた二人の魔法少女 大超獣『まだ理解できないのかな?このバリアーは……』 ダイナ(S)『やってみなくちゃわからねぇ!!』 シュゥン ダイナ(S)「ディァァアアア………!!」 胸の前に発生したマグマのように赤いエネルギーを右拳に凝縮 腕を引き、腰を落として構える ティガ(P)「ハッ!……ハァァアアアア……!!」 そこに続く様に、 両腕を左右から振り上げ、胸の前に灼熱のエネルギー粒子を集約し、 球状に練り上げる 大超獣『たった二人の攻撃で破ろうだなんて甘く見ないでほしいな』シュゥン 目の前でエネルギーを溜める二人に対して怯みもせず 絶対の自信を持つ自身のバリアーを周囲に張り巡らせると同時に、 大きく開いた口にエネルギーを集中 ネクサス(J)「…………」グッ ほむら「……マミ、大型相手には……」 マミ「わかってる……」チャキッ 互いに目配せする二人 呼び掛けに答えたマミの両手には二丁のメテオールショットが握られていた ティガ(P)「………ジェアァッ!!!」 ダイナ(S)「ディアァッ!!」 ドシュゥン! 静寂を破り、 二人に腕から一気に放たれる赤いエネルギー弾 熱風を巻き起こしながら大超獣の体を覆い尽くす亜空間バリアーに向かって進む バチチチッ!! 大超獣「グッ………!!」 爆裂する真っ赤な粒子 直撃を受けた灰色のバリアーの向こうで、腰を落とし衝撃に耐える大超獣 ダイナ(S)『いけぇぇええーーーーーっ!!!』 ティガ(P)「………」 大超獣「グッ!……グッグ……ウゥ……!!!」 ピシッ 大超獣『!!!』 ほむら「!!………」チャキ 大超獣『な…!?あり得ない……!!このパワー……!!』 バキィィン…… 驚愕し、よろめく大超獣 二人の攻撃を受けた位置から亜空間バリアーに亀裂が走り、 一瞬の内に全体へと広がった亀裂により、形を維持できずに砕けるバリアー ティガ(P)『今だ!!』 ネクサス(J)「フンッ!!ウォオオォォオオッ………!!」シュイン 大超獣『!?……く…』 バリアーの消滅と同時に、 ネクサスが両手首を交差させ、エネルギーをスパークさせる 大超獣「ガァッ!!」 ネクサス(J)「ディェアァァアアッ!!!」 バシュゥン!! バチッ!! マミ「うっ……!!」 大超獣が咄嗟に口から発射した赤黒い破壊光線 それはネクサスが渾身の力を込めて放ったオーバーレイ・シュトロームと激突、 爆発とともに辺りに閃光が走る ネクサス(J)「オォオオオオォ!!!」 大超獣『………!!』 バシュン!! 互いの力が拮抗するのはほんの一瞬 一気にエネルギーを解き放ったネクサスの光線は、 大超獣の光線を押し返し、破壊力を保ったまま顔面に直撃する 大超獣「グガァァアアアアッ!!?」 マミ「! 暁美さんっ!!」 ほむら「ええ…!!」ジャキッ バァン!! ネクサス(J)「ハァァアアア……!!」 大超獣『か、体が……!!再生能力が……!!!』 なおも光線の照射を続けるネクサス 少しづつ青い光に包まれる大超獣の巨体 そこへありったけの魔翌力を込めたほむらの魔法弾が迫る マミ「これで………っ!!」 パシュン! 大超獣『!!?』 魔法弾が直撃するその瞬間、 マミの両手のメテオールショットから発射した青く輝く六筋の光が大超獣の上空で交差 マミ「………」チャキッ ほむら「………終わりね、化物」 大超獣『こ、これは……ワルプルギスの時の……!!』 巨体を完全に覆い尽くす隔離フィールド、 ワルプルギスの夜を葬ったキャプチャーキューブが発動する ネクサス(J)「…………」 光線の構えを解き、 ゆっくりと腕を下ろすネクサス 大超獣『さ、再生出来ない……!体が……消える……!』 外部から完全に隔離されたバリアー内では、 ほむらの放った魔法弾が大超獣の体を貫くと同時にバリアーの壁面をピンボールのように何度も跳ね返り、 オーバーレイ・シュトロームの直撃を受け、原子レベルにまで分解されかけている体を更に削り取る 大超獣「グ……オォ………!!」 シュゥゥウ…… バリアー内で増幅されたエネルギーを全身に浴び、 青い粒子となって消滅する大超獣 マミ「………倒した……のね」 ほむら「……ええ」 キャプチャーキューブが完全に消え去った後、 風に乗って消えていく青い粒子が勝利を物語っていた ズシン… ネクサス(J)『ここは……もう片付いたみたいだ』 シュイン ティガ『なら話は早い。ほかのチームの救援に行こう』 ダイナ『休んでる暇は無いみてーだな!』 ネクサスが確認するように辺りを見回しながら言い、 それを聞いて通常の形態へとチェンジする二人 ほむら「行くなら街の中心のAチームね……私達を救ったあの光の正体も確かめておきたいわ」 マミ「……なら急ぎましょう!」 ダイナ『おう!』 勝利の余韻に浸る暇もなく、 仲間達の元へと向かう五人 ほむら(まどか………無事でいて……) …………………………………… …………………………………… ~同時刻~ シュゥウ… さやか「……んっ……?」ピクッ 大超獣『!!……』 街の中心から伸びる光がさやかの体に宿り、 ソウルジェムの穢れを浄化、ボロボロに傷付いた体を完全に回復させる さやか「あれ……?もう治ってる……?」 自身の状況に戸惑いつつ、 完治した足を摩りながら立ち上がるさやか さやか「なんで?……だってあたしあんなに……」 ズシン 超獣1「グァルルル……」 超獣2「グゥ………」 さやか「う!?……っくそ!!」バッ 考える暇も与えず、 さやかに向けて振り下ろされる超獣の爪 さやかは咄嗟に剣を拾い上げ、手を添えて守りの姿勢をとる ドガガッ! 超獣1「グッ!!」 超獣2「!?……」 さやか「…………え?」 高速で放たれた光弾が二体の超獣の横っ面に直撃し、攻撃を阻止する さやか「……あ……!!」 ガイア『……間に合った』 コスモス「………」 恐る恐る目を開けると同時に視界に入り込む赤と青、 二人のウルトラマンの姿 その両名ともがカラータイマーに再び輝きを取り戻していた さやか「よ……よかった……二人とも無事だったんだぁ……」 力が抜けたかのように、地面にへたり込む ガイア『大丈夫?さやかちゃん……』 コスモス『怪我は無いみたいだけど………もしかして君も?』 さやか「う、うん……あたしボッコボコにやられてたのに気が付いたら……」グッグッ 目の前の二人の姿を見上げながら、 さやかは体の調子を確かめるように二、三度手を開閉させる ズシン… 大超獣『やれやれ、また君達を倒さなきゃいけないのかい』 超獣1「………」 超獣2「ガゥゥゥウ……!!!」 さやか「!!……」 大地を踏み拉き、三人を見下ろす大超獣 それに続いて攻撃を受けて倒れていた二体も起き上がり、三人に迫る ガイア『……それはこっちの台詞だ!』 コスモス『これ以上お前達の好きにはさせない!』 さやかを後ろに退がらせ、構えを取る二人 大超獣『…………やる気十分だね』 大超獣『美樹さやか、止めなくていいのかな?』 さやか「!……だ、駄目っ!!」 ダッ ガイア「!?」 コスモス『さやかちゃん……?』 攻撃を仕掛けようとする二人の前に飛び出し、 両手を広げて制止するさやか コスモス『何故……』 さやか「あ……あいつの腕に……杏子が…!!」 ガイア『!?…腕の中に?……それは一体…』 さやか「わ、わかんないよ!!……あたしを庇って……腕に飲み込まれて…」 コスモス「………」シュン コスモスの目がほんの一瞬輝き、 集中力を高め、大超獣の左腕に視線を注ぐ コスモス『!……いる……確かに…』 透視能力が発動し、 大超獣の腕の中で胎児のように眠る杏子の姿を見抜く 大超獣『察しのいい君たちならこの意味が解かるだろう?』 超獣1「………」 超獣2「………」 大超獣『もっとも…彼女を[ピーーー]覚悟があるなら別だが』 さやか「!!………」 ガイア『…そんな……』 コスモス『………』 大超獣『どんな手品を使ってエネルギーを取り戻したかは知らない』 大超獣『……だが所詮こんなものさ』 バシュゥン! ガイア「!! ディヤッ!」シュイン 発射された破壊光線 ガイアは咄嗟にバリアーを展開し、その攻撃に備える ドガガガッ! ガイア「グォアッ!?」 さやか「あ……我夢さん!!」 しかしバリアーは易々と砕かれ、 直撃を受けたガイアは吹き飛び、再び瓦礫の上に倒れる 超獣1「グォアアア!!」 コスモス「!! ハァッ!」ガシッ 動き始めた二体の超獣が一気に襲い掛かり、 迫り来る攻撃をコスモスはひたすらに受け流し続ける 超獣2「ガァッ!!」バシュッ コスモス「……!?」 ドガァン! コスモス「グゥア……!」 さやか「む、ムサシさんっ!!」 遠距離から放たれた光弾が背中に直撃し、 倒れたところをもう一方の超獣に蹴り飛ばされる 反撃の許されない二人は防戦一方のまま、 再び追い詰められようとしていた 大超獣『殊勝な心がけだね。よく解かってるじゃないか』 さやか「ッ……く…ぅうう……!!」 唇を噛み締め、大超獣を睨み付けるさやか さやか(どうすれば………どうすればいいの……!?) さやか(せっかく力が戻ったのに……このままじゃまた……) キィィン…… 『……さやか!』 さやか「………!?」 さやか「この声……杏子!?な、なんで……!?」 大超獣『……?』 さやかの頭の中に直接響く声 その声の主を探し、辺りを見回す 『おい……まだ生きてるんだろ!?』 さやか(!…そうか……念話だ……!!) 大超獣の腕の中から、魔法少女の能力でさやかの頭の中へ直接語りかける杏子 その呼び掛けに答えるために、意識を集中する さやか『大丈夫、聞こえてる!』 『!……そうか……まだ無事…か』 さやか『うん、さっきまでへばってたんだけど……なんとか三人とも無事』 さやか『……それよりなんとか脱出出来ないの!?』 『……無理だ。こっちは指一本動かせねぇ』 さやか『……そんな……』 『…………』 わずかな期待を込めた問いはあっさりと否定され、 がっくりと肩を落とすさやか さやか『……でも大丈夫だから!内側からじゃ駄目ならこっちから……』 ドガッ ガイア「グオッ!?」 コスモス「ウォアッ!?」 二人の間で念話が交わされている間も攻撃は続き、 絶望的な状況は何も変わらない さやか「!!……」 『……こっちから外の様子は分からねぇけど…やばいんだろ?』 さやか『!! そ、そんなことないから!絶対なんとか――』 『こいつどうせアタシを盾にして脅し掛けてきてんだろ?』 さやか『っ………!!』 『ほら、図星だろ』 考えを全て見透かしたような、 落ち着いた口調で語りかける杏子 さやかの頭の中に響く声は悲しげで、それでいて何かを決意したかのように力強かった さやか『……まだ……まだ何か方法が……!!』 『いや、もういいんだ』 『アタシごとこいつを叩き切れ』 BACKまどか「…ウルトラマン!」 14 NEXT まどか「…ウルトラマン!」 16
https://w.atwiki.jp/kitakoutarou/pages/185.html
…………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… ~決戦当日~ ムサシ「……みんなよく眠れた?」 我夢「ええ、そりゃもう」 さやか「まぁね~」ニヤニヤ 杏子「な…なんだよ」 意地の悪い笑みで杏子を見つめるさやか さやか「しっかし……このチームは一番少ないんだよねぇ」 杏子「んだよ?怖気づいたか?」 さやか「まっさかぁ!!」 ここに集まった四人はCチーム 三つあるチームの中でも最少人数で構成されていた ムサシ「……本当にここに来るんですか?」 我夢「…あくまで予想ですけど…奴らがその気になればこの三滝原のどこにでも超獣を送り込めると思いますよ」 杏子「マジかよ!」 ピシピシッ… さやか「!……来たよ」 杏子「うわ、マジだった…」 空に脈々と血管の様なヒビが入り、 それを見たムサシと我夢が一気に駆けだす ムサシ「敵の数が分からない以上絶対に油断しないで!」 我夢「先に行くよ!危なくなったらグリーフシードのストック…使う事を躊躇わないでね」 タッタッタッ… 杏子「行っちまった………アタシ達も行くか」 さやか「うん!……必殺技もあるんだし!負けるもんか!」 杏子「……………なぁさやか」 さやか「?……どしたのこんなタイミングで?」 杏子「……アタシ達はなんで二人なんだろうな?」 残された二人 ヒビの入った空を見上げながら呟く さやか「二人?………う~ん……」 杏子「へへ……悪い意味じゃねぇよ」グッ にやりと八重歯を見せて笑い、ソウルジェムを握り締める杏子 杏子「どっちかが挫けたらどっちかが支える」 杏子「アンタと一緒に戦えて、アタシは嬉しいよ」 さやか「……!」 杏子「……なんてな!行こうぜ!」 ビキビキビキッ…! バッ 空が砕けると共に、走りながら一斉に変身アイテムを空に掲げる四人 我夢「ガイアァアーーーー!!!」 ムサシ「コスモォォオオオス!!!」 タッタッタッ… 杏子「……さやか!」 さやか「杏子、ヘマすんなよ~!?」 シュゥゥウゥウウン… バリィィイイイン! …………………………………… …………………………………… ピシピシッ… ダイゴ「!……いよいよだ」 待ち構えるBチーム 五人で構成された二番目に人数の多いチーム アスカ「よぉーし…やってやるぜぇ!」 孤門「……長い一日になりそうだ」シュン 孤門が腰に提げたエボルトラスターを引き抜き、構える マミ「………よく考えたら…」 ほむら「?」 三人の男達から数十メートル先行した位置 そこに二人の魔法少女が待機していた マミ「あなた達と初めて会った時からここまで……まさか一緒に肩を並べて戦うことになるなんて思わなかったわ」 ほむら「……」 ほむら(私はあれが初めてじゃないのだけれど……ね) マミの言葉を聞き、 ほむらの表情が少し悲しげで儚いものになる マミ「……どうしたの?」 ほむら「!……いえ、なんでもないわ」 その微かな変化を感じ取ったマミに対し、慌ててその場を取り繕う ほむら「まぁ確かに…さやかや杏子は正反対の考えの持ち主だったわね」 マミ「でしょう?……最初は争っていた者達が解かり合う……なんだか不思議ね」 ピシピシピシッ…! 決戦を間近に控えたにも関わらず、 ほむらとマミの間には穏やかな空気が流れていた アスカ「なんだぁアイツら……やけに落ち着いてるじゃん!」 ダイゴ「ははは…頼もしいじゃないか……」 孤門「まぁその通りなんですけどね」 バッ 孤門「……うぉぉおおおおおっっ!!!」ギュオン! 孤門がエボルトラスターを空へ掲げ、光に包まれる ダイゴ「……ティガァァアアアアア!!!」 アスカ「ダイナーーーーーッ!!!」 それに続く様にリーフラッシャーとスパークレンスを掲げ、 変身する二人 マミ「…いくわよ、暁美さん」 ほむら「分かってるわ……と・も・え・マ・ミ」 ソウルジェムを握り、 ほむらがわざとらしくマミをフルネームで呼ぶ マミ「あ、あら?まだ昨日からかったこと怒ってるの?」 少し心配そうな面持ちのマミが問う ほむら「……冗談よ」 ほむら「……死なないでね、マミ」 マミ「!…そっちこそ!!」 シュゥゥウゥウウン… バリィィイイイン! …………………………………… …………………………………… バリィィイイイン… 超獣「グルルル……」ズンッ まどか「!……」 空に開いた穴の向こうから出現するインキュベーターをベースとした超獣 その数六体 ハヤタ「我々の人数と同じか…」 ダン「だが気を付けろ。ここから間違いなく次々に送り込まれてくるだろう」 郷「下手に消耗すれば数で押し切られてしまう…!」 北斗「奴らの背後にいるヤプール……それさえ引きずりだせば!」 ミライ「やりましょう!僕達みんなで!」 街の中心部で待機するAチーム その数六人 まどかが狙われる可能性を考慮してのメンバー構成だった まどか「……」グッ 超獣の姿を見据えながら、 まどかがソウルジェムを握り締め、身構える ハヤタ「……落ち着け、まどか」 ダン「我々が纏めて引き受ける。援護を頼むぞ」 まどか「はいっ……」 郷「そう硬くなることはない」 北斗「お前には離れていても共に戦う仲間を感じることが出来るはずだ」 ミライ「…先に行きます!」 バッ ミライ「メビウーーーース!!!」シュゥン ブレスを空に掲げ、ミライの姿がメビウスの炎に包まれる ハヤタ「……………」パシュッ ダン「………デュワッ!」ギュン 郷「……」バッ 北斗「…………ふんっ!!」キュイン その姿を確認した後、 覚悟を決めた四兄弟が変身し、強烈な光の中へ まどか「離れていても…心は繋がってる」 シューン まどか「……いきますっ!!」 桃色のソウルジェムを握り締めて小さく呟き、 変身したまどかは弓を手に超獣の群れへ一気に跳躍した …………………………………… ~インキュベーター・母艦~ ヤプール「始まったか」 現在激戦が繰り広げられている見滝原 そこから成層圏を超えた遥か上空、宇宙空間にインキュベーターの母艦は待機していた シュゥウウン…… インキュベーター「…よし」 インキュベーター「見滝原全域に干渉フィールドを展開したよ…もうあの街へ外部から侵入することは出来ない」 巨大な球体の宇宙船の一部分 そこには不気味な音を立て、地球へ向けて赤い光を放つ物体 干渉フィールドの放射中枢が設置されていた ヤプール「ゲートは開いている。これでこちらは一方的に超獣を送り込めるというわけだ」 インキュベーター「それはそうだけど…」 ヤプール「?……なにか問題でもあるのか?」 インキュベーター「そのゲート…見滝原以外にも開くことは出来ないのかい?」 インキュベーター「地球の主要都市全てに開くことが出来れば…わざわざ地球周辺に待機させた超獣を宇宙から降下させることもないのに…」 ヤプール「…それも可能だが…その為には五日では足りん」スッ ヤプールが黒い法衣をなびかせて、 船内に設置されたモニターで戦況を確認する インキュベーター「もう少し長めに時間を取ればよかったかな?」 ヤプール「いや、長すぎると面倒だ……特に魔法少女共がな」 インキュベーター「?」 インキュベーター「……とにかく地球へ母艦を近づけようか」 インキュベーター「そろそろ決着がついた頃なんじゃないかな?」トテトテ ヤプールの横へ並び、モニターに目をやる ヤプール「!……どうやらそうでもなさそうだ」 インキュベーター「!?」 ヤプール「見ろ、魔法少女に時間を与えると面倒だという理由……これでよく解かるだろう」 インキュベーター「これは……」 …………………………………… …………………………………… ダイナ「ディィアッ!!」ゴォッ 超獣1「クギァアアッ!!」 ティガ「ジュアッ!」ゴォッ 超獣2「ギ…!?」 ドズゥゥウウン ティガとダイナが投げ飛ばした二体の超獣が別の超獣に直撃し、 大きなな音を立てて地面に倒れる 超獣3「グ……ゥウウウ……」 ティガ『マミさん!今だ!!』 マミ「!……」シュゥウ マミ「…二人とも離れてください!」チャキッ ワルプルギスとの戦いで使ったメテオールショット それを以前とは比べ物にならないほどの速度で生成し、 三体の超獣へ、その銃口を向ける ティガ「!」 ダイナ『おおっとぉ!?』 シュバッ 超獣1「……グルルル…!」 目の前の二人に逃げられた超獣達は、次の標的をマミへと定める 超獣2「グォォオオオ!!」 ズンズンズンッ 超獣3「ガァアアアアア!!」シュゥウウ 三体の超獣が口を開き、 マミに向けて光弾を放つべくエネルギーを集束させる マミ(来たわね…!) チャキン マミ「三匹同時に叩くわ!!」 バシュウン!! 超獣3「!!?」 超獣1「グガッ…!」 超獣2「…!!」 ドガガガガッ!! 狙い澄まして放たれたメテオールショットの一本の光線 それが超獣の目前で三本の矢の様に分裂し、火花を散らして突き刺さる ティガ「!……ハァァアアア……」シュゥーン ダメージを受けて動きの止まる超獣達 その隙を逃さず、ティガが腰を落として両腕を交差、 体内に満ちる光のエネルギーを両腕に集める ティガ「ジェアッ!!」 バシュゥゥゥウウ 超獣1・2・3「!!!」 ドガァァアアン… ダイナ『よぉし!!』 ティガ最大の決め技、 ゼペリオン光線が三体の超獣の体を貫き、まとめて粉々に爆散させる ティガ「……」シュー マミ「………ふぅ」カチャ L字に組んだ腕の構えをゆっくりと解き、次なる敵に備える マミ「!……暁美さん達は!?」 バッ ズズン… 超獣4「グルルル……」 超獣5「………」 ネクサス『……ほむら、僕が合図したらすぐに撃って』 ほむら「……ええ」ガチャ ネクサスの巨体に隠れるようにしてランチャーを握り締めるほむら 二人は二体の超獣に今まさに挟撃を受ける寸前、 睨み合いの状態が続いていた ズンズンズンッ 超獣4「グォオオオォ!!」 超獣5「ガァァッ!!」 ほむら「!!」 痺れを切らした二体の超獣が攻撃を仕掛けるべく、同時に駆け出す ネクサス『来た!……走れ!!』 ほむら「……」ダッ 指示が飛ぶと同時にネクサスの足の陰から弾かれるように飛び出し、 ほむらは近くの廃墟へ窓から飛び込んだ ドシャッ ほむら「よし…!」 超獣4「ガァアアアアアァ!!!」 ネクサス「……シュアッ!!」ダンッ 超獣5「!?」 ゴンッ! 超獣4「ガ……!!」 前後から迫り来る二体の超獣が勢い良く体当たりをする、その瞬間 ネクサスが強く大地を蹴って上空へ飛び上がる 目の前の標的に逃げられた超獣は勢い余ってお互いの体をぶつけ合った ネクサス「ハッ!!」シュパッ ガシィッ 超獣5「!!?」 飛び上がった直後に空中で姿勢を変え、 右腕の先から放つ光の帯、セービングビュートで二体を拘束する ズシンッ! ネクサス『今だ!撃て!!』 ほむら「!……」ジャキッ 着地と同時に飛んで来た声を聞き、 動きの止まった超獣に向けてディバイトランチャーで攻撃を仕掛ける ドガガガガガッ!! 三つの銃口から放たれる強力な魔法弾が爆発を起こし、 超獣の姿が硝煙に包まれる ネクサス「…………」 ほむら「これで………」スッ ランチャーを下ろすほむら 超獣4「…………」 超獣5「……」 ズシャアッ…… ほむら「…!」 地響きのような音を立て、 土煙を巻き上げながらゆっくりと崩れ落ちる崩れ落ちる超獣の巨体 ネクサス『仕留めたか…』 ほむら「驚いたわね……この銃こんなに威力あったかしら?」 ほむらが驚いた表情でディバイトランチャーに目をやり、呟く ネクサス『……今までその銃で戦ってきた相手を考えて』 ほむら「?……ワルプルギスの夜に…あの怪物……」 ほむら「!……そういうことね」 ネクサス『相手が滅茶苦茶なだけで銃の威力を実感できなかったんだろうね』 …………………………………… …………………………………… 杏子「うぉりゃぁああああああ!!!」ジャキン 超獣1「グァギャッ!?」 ドゴォン! 魔力で巨大化した槍の一撃が、 杏子の数十倍の大きさはある超獣を吹き飛ばす 超獣1「グ……ゥゥゥウ…」 ガラガラ…… 杏子「!…させるかよ、続けていくぜ!!」グッ 祈りの形で両手を組み、魔力を解き放つ シュイン! 超獣1「!?」 瓦礫の上から立ち上がろうとする超獣 その頭上に瞬く間に四本の魔力を帯びた巨大な槍が出現する 杏子「ぶち抜けっ!!」バッ ドシュッ!! 超獣1「ガッ!!」 杏子が腕を振り下ろすと同時に巨大な槍の一つが超獣の体を貫き、 そこから間髪入れずに残りの槍が降り注ぐ 超獣1「!!!」 ドバァン!! 倒れた超獣の体内に流れ込む魔力が爆発を起こし、 辺りに肉片が四散する チャキン 杏子「よっし!!」 超獣2「ギャォアアア!!」バシュシュッ さやか「!……当たるかあっ!!」 ドカァン! 超獣2「……!!」 蒼い光の粒子を体から発しながら周囲を高速で旋回 超獣の口から放たれた強力な火炎弾はさやかに当たることは無く、 コンクリートの地面を砕き、土煙を舞い上がらせるのみ さやか「はぁっ!!」 ズバババッ!! 超獣2「ガッ……!?」 凄まじい速さで動くさやか そこから連続で繰り出される鋭い斬撃が超獣を襲う さやか「いくら図体がデカくても…これだけ連続で喰らえばっ!!」 ズバッ! 超獣2「………!!」 超獣2「ゴォァアアアア!!!」ブンッ さやか「!! 危なっ……!」ダッ ドゴゴゴッ 周囲を薙ぎ払う様に振るわれる長大な尻尾 さやかはその攻撃を高く跳び上がって回避する 超獣2「ガアッ!!」バシュン! さやか「!!」 空中で身動きの取れないさやか その隙を見逃さず、超獣が火炎弾を発射する さやか「!……はぁあああ…!!」 シュゥウン… 解放される魔力 さやかの右腕に握られた剣 その刀身に光が集束し、自身の数倍の長さを持つ光剣へと変化する シュイン さやか「…………んっ!!」ダッ 超獣2「…!!?」 息を止め、魔法で作り出した足場を思い切り蹴り 迫り来る火炎弾へ向かって さやかは一気に飛び込んだ ドガァァン……! 着弾と同時に爆煙が辺りに広がる 超獣2「………」 ボシュッ 超獣2「!!」 さやか「くらぇええーーーーーっ!!!」 爆煙の中から蒼い光を纏った影が凄まじい速さで飛び出し、 一瞬の出来事で反応の遅れた超獣へ 光剣が横薙ぎに振るわれる ズバンッ!! 超獣2「!!……………」 さやか「どうだっ!!」スタッ ズズンッ… 光剣の一撃によって超獣の首は吹き飛び、 残された胴体は一瞬の間を置いて、ゆっくりと大地に崩れ落ちた さやか「!…………やった!!」グッ それを見て、小さくガッツポーズ ガイア「ディヤッ!!」 コスモス(C)「デェエアアッ!!」 ドズゥウン!! 超獣3「グギャ!」 超獣4「ガッ!!」 ガイアとコスモスに投げ飛ばされた二体の超獣が空中でぶつかり合い、 地面へと落下 ザザッ 杏子「我夢!ムサシ!!」 さやか「こっちは片付いたよ!」 それぞれの相手を撃破した二人の魔法少女が合流する 超獣3「!!………グルル…!」ググッ 超獣3『こんな……馬鹿なことが!』 超獣4『ウルトラマン達だけではなく……魔法少女のデータは揃っていたはずなのに…!!』ググッ 立ち上がる二体の超獣 その巨体からは想像もつかないような声で、人の言葉を話し出す 杏子「お、お前ら喋れんのかよぉ!?」 さやか「……元があいつらだから当然だとは思うけどね」 驚く杏子とは対照的に、落ち着いた口調のさやか ガイア『未来を掴もうとする者は常に前へ進んでいる!』バッ 超獣3「!!」 Xの字に組んだ腕にエネルギーを集約、 そのまま乗せるような形で額に青い光を宿らせる ガイア『昨日までのデータなんて……当てにはならないっ!!』シュォオ… コスモス(C)「オォォアッ!!!」シュォオ… それに続く様に、 コスモスがその赤い身体に宇宙エネルギーを溜め、両腕を振り上げる 超獣3・4「「ガァァアアアアッ!!」」 バシュシュッ 攻撃を阻止すべく、二体の超獣が紫色の光弾を同時に発射する ガイア「ディァアアアーーーーッ!!!」 コスモス(C)「ハァアアーーッ!!!」 バシュゥウウウッ!! ガイアが右腕を振り下ろすと同時に一直線に進む光線 青い海の光、フォトンクラッシャー それに続く様にして放たれるコスモスコロナモードの最強の技、 ネイバスター光線 超獣3・4「「!!!」」 ドガァァァアアン…… 突き進む光弾を物ともせず、 二人の同時発射した光線は超獣の体を貫き、跡形もなく吹き飛ばす コスモス(C)「ハァァ………」スッ ガイア「……」スッ 構えを解き、爆煙を見つめる二人 杏子「やったな、おい!」 さやか「よぉおし!これで……」 コスモス(C)『…待って!まだ新手が来るかも―――』 ズシンッ! 超獣5「………」 超獣6「………」 ガイア『…休んでる暇は無いみたいだよ!』 さやか「あっ……!!」 嬉々としたさやかの表情が一転 その笑顔を曇らせる 杏子「……へっ!上等じゃん!」チャキッ …………………………………… …………………………………… ~インキュベーター・母艦~ インキュベーター「なるほど、成長……か」 ヤプール「そうだ、やつらは時間を与えればその分だけ強くなる」 ヤプール「私が『五日』と言った意味が解かっただろう」 インキュベーター「うん……しかし、僕達はこれまで人間について色々とデータを取ってきたつもりだけど…」 インキュベーター「ここまで能力的に急成長した個体は彼女達が初めてだね」 ヤプール「あのウルトラ兄弟達が色々と吹き込んだのだろう…まったく目障りな連中だ」 インキュベーター「……こうなると少し面倒だね。彼女達を消すのには骨が折れそうだ」 ヤプール「なに、心配することは無い」 ヤプール「奴らのエネルギーは限界に近付いているのだからな…」 インキュベーター「まぁ、そうだね」 ヤプール「それにいざとなれば地球の人間達を盾にすればいい」 インキュベーター「こっちは地球を完全に包囲してるんだもんね」 インキュベーター「見滝原以外には転移できずに直接降下になるけどね……」 ヤプール「何しろ数が違うからな」 インキュベーター「まったくだね。それじゃ、どんどん送り込もうか」 …………………………………… …………………………………… シュゥゥン… ???1『……どうだ?必要なデータは…』 ???2『問題なく集まった…それにしても凄まじい技術力だな……光の国に引けを取らん』 インキュベーター母艦の船内 壁面に設置された巨大なコントロールパネルから粒子化した二人のウルトラマンが出現する 人間の等身大の大きさにまで縮小した二人が向き合い、状況を報告する ???1『…宇宙延命については?』 ???2『ああ、その点についてのデータならある程度回収済みだ』コツコツ 二人の内、片方のウルトラマンが自身の頭を人差し指で突く ???2『元々この問題については光の国でも研究が続けられてきたからな』 ???1『うむ…このデータが決め手になればいいのだが…』 ???2『再び長い研究の日々に戻ることになるな』 ???1『…その前に我々は戦わねばならん』 自嘲気味に言い放たれた言葉に釘を刺す ???2『分かっているさ………そっちはどうだ?干渉フィールドは……』 ???1『問題ない、無力化済みだ』 ???1『これ以上長居すると感付かれる…我々は一度脱出だ』 ???2『…アイツはもう潜入しているのか?』 ???『問題ない。彼らが配置に着いたと同時に潜入を始めているはずだ』 ???2『……分かった』 ???1『よし、では行くぞ!ヒカリ!』 ヒカリ『ああ、急ごう…地球の少女達の為にも』 シュゥン 再び身体を粒子形態へ変化させ、艦内からの脱出を開始する …………………………………… …………………………………… 超獣1「グギャ……!」 セブン「! デャッ!!」バシュッ 打撃を受け、よろめいた超獣へ向けてエメリウム光線を放つ 超獣1「!!」ドガァン 超獣2「グルル…………」ズシン 超獣3「……」ズシン まどか「!!……また出た!」 弓を引き絞るまどかの顔が絶望の色に染まる 撃破すると同時に次々に送り込まれる新たな超獣達 無限とも思える圧倒的な物量に六人は追い込まれつつあった ジャック『やはり物量戦で圧し潰す作戦に出たか…!』バッ バチチッ! 超獣4・5・6「!!!」 ジャックのウルトラブレスレットから発生する電撃が、 三体の超獣の動きを止める ジャック『エース!!』 エース『!……はい!!』ダッ 呼び声に応えると同時に、三体の頭上へ飛び上がり 両腕を振り上げてエネルギーを凝縮する エース「ウルトラ……ギロチン!!」 ザシュシュシュッ!! セブン『……よし!』 敵に目掛けて飛ぶ軌道の異なる三つの光輪が、動きの止まった超獣達の首を切断 その息の根を止める 超獣2「…!!」 超獣3「ギャォァアアア!!!」 マン「!……シュワッ!!」 キュイン! ガシン 超獣2「!?」 超獣3「グ…!」 マンが体を高速回転させて発射したリングが超獣を拘束する まどか「!……今だ!!」 メビウス「セァアーーッ!!!」 バシュゥゥン!! 超獣2「………!」 メビュームシュートの後を追う様に放たれる光の矢 その二つが超獣に直撃する寸前で重なり合い、強力な合体光線へと変化する ドガァァァアアン… …………………………………… …………………………………… …………………………………… マン『今ので何体目だ…?』 セブン『分からん。既に相当数倒しているが……』 超獣の爆発と共に舞い上がった爆煙が晴れ、 あたりに静寂が漂う 街のあちらこちらに小さく上がる火の手が生きているかの様に揺らめき、 不気味なくらい平穏な時間が流れる エース『…?』 ジャック『なんだ…?新手が……来ない?』 突然止まる増援 それを不審に思い、辺りを見渡す一同 まどか「これで…終わり………?」 メビウス『いや…まだ何か……』 シュゥゥウウ…… 『その通り。このくらいじゃ終わらないよ』 まどか「あ……!!」 …………………………………… …………………………………… シュゥゥウウ… ティガ『!?……これは…?』 マミ「倒した超獣が…!?」 辺りに四散した超獣達の白い肉片 その全てが煙のように変化し、風に乗って少女達の頭上へ集まる やがて一つになった白い塊は、少しずつ巨大な超獣の姿を形作り、実体化 100メートル級の大超獣が、地上目掛けて落下する ほむら「っ……!!」 ダイナ『これがアイツらの奥の手か!』 ズズゥン…!! 大超獣『……疲れ切った君達を倒すのにはこの姿が一番だと判断したまでだよ』 ネクサス『止めを刺しに来たってワケか……!』 …………………………………… …………………………………… 大超獣「ギャオアアアアアッ!!」 ドゴゴゴゴッ!! コスモス(C)「グッ……!!」ドシャッ 地面を抉りながら繰り出される強烈な尾の一撃がコスモスを捉え、 豪快に瓦礫の上へ叩きつける 杏子「ムサシ!!…………こんのやろ…!!」ダッ 大超獣『来るか……!』バシュン ジャキン 杏子「ッ……!!」 大超獣の口から次々に吐き出される光弾 当たれば確実に致命傷を負うそれを、杏子は紙一重のところで避け、接近する 杏子「いけぇええーーーーーっ!!!」ブンッ ドグシャッ!! 大超獣『む……』 魔力で巨大化した槍の一撃は大超獣の腹を抉り、鮮血を散らす 杏子「さやかっ!あそこだ!!」 さやか「!!…わかった!」チャキッ 宙を舞う杏子が指示を飛ばし、 それに応えたさやかが自身の周囲に大量の剣を出現させる さやか「そぉりゃっ!!!」ブンッ 大超獣『!!』 シュンッ!! 両腕を振り下ろすと同時に、大超獣へ向けて飛ぶ大量の剣 ドガガガガッ!! 大超獣「グギャッ!!ガアアア!!」 投げナイフの様に飛ぶ大量の剣は大超獣の腹部の傷跡にまとめて突き刺さり、 その傷を更に深く抉る さやか「もう一撃…っ!!」 ガイア「!!……デュア!」ダッ 杏子「!…我夢!」 スドガガガガガガッ!!! 大超獣「!!!!」 さやか「うわ……!」 ガイアが体をドリルの様に回転させ、 そのまま大超獣の腹部へ突撃 そのまま背中へ突き抜ける ガイア「………」ズシン 大超獣「…………」ガクン ズズン… ダメージを受けた大超獣は大地に膝をつき、地響きを立てながら崩れ落ちる 杏子「よっしゃあ!」 さやか「やった…!!」 ガラガラ… コスモス(C)「グッ……」 杏子「!……ようムサシ!もう倒しちまったぜ!」 体に乗った瓦礫を払いのけ、起き上がるコスモス コスモス(C)『ダメだ…!奴はこんなものじゃ…!!』 さやか「え…?」 バシュゥン! ガイア「!!」 ドガァァァン!! コスモス(C)「!!?」 ガイア「グッ!?」 さやか「うわぁあっ!?」 杏子「っ…!!」 背後から飛んできた赤黒い光弾が四人のいる地点に着弾、 大爆発を起こし、一同を吹き飛ばす ズシン… 大超獣『何をしようと無駄。勝敗はすでに決まっている』 杏子「な…に!?」 爆煙の向こうから巨体を現す大超獣 その貫かれたはずの腹部の穴は既に塞がり、完全に再生していた ガイア『再生……能力…!?』 ドガッ! コスモス(C)「!?」 大超獣が強靭な尾を凄まじい勢いで大地に叩きつけ、 その衝撃で二人のウルトラマンを吹き飛ばす 大超獣『君達、もう限界だろう?』ブンッ 杏子「こ、この……!?うがぁっ!!?」 バキィッ ドゴォン! さやか「き、杏子っ!!」 杏子が巨大な右足に蹴り上げられ、宙を舞い、建物に激突 そのまま壁面を突き破り、建物内部へと転がりこむ さやか「……え…!?」 さやか「ここって…………」 ダッ ガラガラガラ… 杏子「うっ、ぐ……げほっ………」フラッ 血を吐きながらも槍を杖代わりにして立ち上がり、 瓦礫を押し退けて周囲を見回す 杏子「!!……あ………れ?」 転がりこんだ場所 そこはマンションの一室で、見覚えのある部屋作り 自身の状況と今自分がいる場所を理解した瞬間、 杏子の浮かべる表情は焦りと困惑が入り乱れたものとなる スタッ さやか「杏子、何ボサッとしてんの!アイツが来るよ!?」 壁に空いた穴から焦り顔のさやかが現れる 杏子「戦ってる内に……この近くまで来ちまったのか…!!」 さやか「杏子っ!!!」 さやか「早くここから離れよう!?このままじゃ狙い撃ちに……」ガシッ 杏子「ま、待て!待ってくれ!!」 差し出された手を振り払う 杏子「ここはマミの………アタシ達の家なんだよ…!!」 さやか「………!!」 杏子が手を広げて必死の形相で叫ぶ 室内には壁を突き破ったときの影響で散乱した瓦礫、砕けたテーブル、倒れた食器棚 変わり果てた状態ではあったが、そこは紛れもなく杏子にとって帰るべき場所、 巴マミの家だった 杏子「ここは……ここだけは壊されるわけにはいかない…!」 さやか「ッ……でもっ!!」 ズシン…ズシン… 杏子「!!……くそ…」 大超獣『そういえばそこは拠点として使われていた巴マミの家か。潰しておくのが賢明だね』 壁の穴の向こうに見える白い巨体、 大超獣が大地を揺らしながら一歩づつ、確実にマンションへ迫る 杏子「あの野郎…!!」ダッ さやか「杏子………」 ジャキッ 杏子「こっちに……来るなぁぁぁあああああっ!!!」ブンッ 迫り来る大超獣へ向けて、魔力を込めた槍を投擲 ザシュッ! 大超獣『無駄だってば』シュゥン 杏子「!!」 頭部に深々と突き刺さる槍 しかし、大超獣の再生能力はそのダメージをも瞬時に完治させる ガシッ 大超獣『?』 ガイア『やめろ…!これ以上お前を進ませるわけにはいかない!』ググッ 少しづつ歩を進める大超獣に対し、 ガイアが自身よりも巨大な尾にしがみ付き、その進行を止める ガイア『ムサシさんっ!!』 コスモス(C)「!……オォォオオオッ!!!」 シュォォオオ 大超獣『………!』 動きの止まった大超獣へ向けて、 立ち上がったコスモスがネイバスター光線を放つべく、残された少ないエネルギーを振り絞り両腕にエネルギーを集中する ズンッ… ガイア『…!!』 杏子「!?……ムサシ…?」 しかし、チャージされたエネルギーは光線として放たれることはなく、 やがて霧の様に四散してしまった シュゥン コスモス「グッ…ウウゥ……!?」 大超獣『エネルギー切れ……まぁあれだけの数を相手にしたんだ。当然だよ』 大地に片手をつき、苦しげに肩で息をするコスモス 限界を超えた戦いを続けた反動によりコロナモードの変身が解除され、 青い通常形態、ルナモードへと変わる ガイア『そ、そんな…!』 大超獣『…それで?君はいつまでしがみついているつもりだい?』ブンッ ドガァッ!! ガイア「グォワッ!?」 コスモス「……ッ!!」 長い尾を振り回し、しがみついたガイアをコスモスへ向けて軽々と弾き飛ばす 大超獣「グォォオオ!!」バシュ ドガァァン! ガイア「グォ……!!」 コスモス「ウ……アァ……」 ドシャァ 立ち上がろうとする二人に容赦なく放たれる強烈な光弾 直撃を受けた二人は完全に大地に突っ伏し、 二人の胸のカラータイマーは点滅を開始していた 杏子「我夢っ!!ムサシィッ!!!」 さやか「そん……な…」 壁面の穴から眼下に倒れる二人を見下ろし、杏子が叫ぶ 大超獣『さて、次は君達だね』ズシン シュゥゥ… 杏子「!!」 大超獣再び魔法少女に視線を移し、大きく口を開けてエネルギーを集束 壁面の穴に向けて狙いを定める 大超獣『………』シュウゥ さやか「く、来る…!」 杏子「や…やめろ………」 ジャキッ 杏子「やめろ…やめろっ!やめろやめろぉぉおおっ!!!」 ガシャン 杏子が新たに生成した槍を床に突き刺し、穴の前に障壁を形成 しかし彼女自身も既に限界が近く、作り出した障壁は大超獣の巨大な姿の前にはあまりにも無力に思える代物だった 大超獣「ガァァアアアッ!!!」 バシュゥゥウウ!! さやか「!!!………杏子っ!!」ガシッ 杏子「うっ……ぁぁああああ!!!」 呆然と立ち尽くしていたさやかが我に返り、杏子の手を引き、マントで包み込む ドガァァアアン!! 杏子「ぐ……っ!!」 さやか「!……っあぁ!!!」 その次の瞬間、大超獣の発射した赤黒い邪悪な色の光線は杏子の作り出した障壁を易々と砕き、 マンションに直撃して大爆発を巻き起こす 二人のいた部屋はおろか、その階層まで吹き飛ばし そこから連鎖的に音を立てて建物全体が完全に崩壊する ドゴゴゴ… 大超獣『………さて』 大超獣『これで終わりかな?』 …………………………………… …………………………………… 大超獣「グルルァアアア!!」 ズンズンズンッ 地面を踏み砕きながら満身創痍の五人目掛けて突き進む ティガ「!……ジャッ!!」バシュン ダイナ「ディェア!」バシュン バチチッ! マミ「!!……あれは…」 ネクサス『……亜空間バリアーか……』 大超獣を迎え撃つために放たれた二人の光刃は、 巨体を覆い尽くす障壁に阻まれ、砕け散る 大超獣『その通り…そしてこれを破る力はもう君達には残されていない!』ダッ ほむら「……!!」 大超獣が膝を曲げて空高く跳び上がる あまりの光景に完全に目を奪われ、反応が遅れる一同 マミ「!!…二人とも!避けてっ!!!」 ドゴォォオオン! ダイナ「グォアァッ!!?」 ティガ「ウグァ!!」 回避行動が遅れた二人の上に全体重を乗せて急速落下 その巨大な両足で容赦なく踏み潰す ネクサス「ウォアッ!?」 ほむら「っ……!!」 マミ「きゃあぁっ!!?」 巨体の直撃を免れた三人も落下時の風圧を受け、 その衝撃で一気に後方へ吹き飛ばされる ほむら「ぐっ……ぅ…!」 ほむら「まだっ……やられるわけには……」グッ 唇を噛み締めて、よろよろと立ち上がるほむら 大超獣『………』バシュッ ほむら「!!――――」 ボロボロに傷つき、立っているのがやっとの体 そこへ容赦無く大超獣の光弾が飛ぶ バシィン! ほむら「ぐぅ……ぁ!!」 咄嗟に左腕の盾を突き出し防御 しかし瀕死の彼女はそれを受け止めるだけの力は残されておらず、 衝撃に耐え切れずに凄まじい勢いで吹き飛ばされる ほむら「うぁああっ!!」 マミ「っ…!」 ダッ ドグシャッ ほむら「っ……?……マミ!?」 マミ「うっ………ぁっ…!」 吹き飛ばされたほむらはビルに叩きつけられることは無く、 その間に割って入ったマミがその体を受け止めていた マミ「くっ、ぅぁ……!!」ズキッ 受け止めた衝撃で腕は痛々しく腫れ上がり、 マミはその激痛にに顔を歪ませる ほむら「!…マミ!あなたその腕…!!」 マミ「ッ…だいっ……じょうぶ………」 キュゥーン… 瞳の端に涙を溜め、傷ついた腕に治癒魔法をかける マミ(……これ以上魔力を消費し続けたら…グリーフシードのストックが……) マミ(でも…やつらは力を温存しながら戦える相手じゃない) マミ「どうすれば……いいのよ…」 ほむら「…………」 大超獣『諦めればいいんだよ。どの道これ以上戦っても勝ち目は無い』 マミ「………」 ほむら「っ………」 膝をついたまま動かない二人に向けて囁く 大超獣『君達の頼みの綱のウルトラマン達ももはや虫の息だ』ググッ ティガ「グッ!…ゥウウウ!」 ダイナ「グァ……!」 足で踏みつけられて動けないティガとダイナ 二人は脱出を試みるも残された少ないエネルギーでは巨大な足を持ち上げることは出来ずにいた ネクサス「………」 その後方で大地に突っ伏すネクサス 度重なる連戦と超獣達の猛攻で三人のウルトラマンには再び立ち上がるほどのエネルギーは残されていなかった …………………………………… …………………………………… ズン… メビウス『く……』 ジャック『なんて恐ろしい強さだ…』 エース『このままでは六人全員がやられてしまう…!』 大超獣の容赦の無い攻撃を受けた戦士達 すでにウルトラマン全員のカラーターマーは点滅を始め、限界が近付いていることを知らせていた そこへ迫る二体の巨大な大超獣の影 大超獣1『………』 大超獣2『君達は特に危険だからね。特別に二体で相手だ』 まどか「つ…強い……」 マン『…………』 セブン『我々に残されたエネルギーはあと僅かだ……なんとかこいつらを倒す方法を…』 大超獣1『それは無理だね』 まどか「!!」 肩で息をしながら立ち上がるセブンに、無慈悲にも言い放つ 大超獣2『仮に僕達を倒すことが出来たとしても…既に地球の周りには僕達以外のインキュベーターが待機している』 大超獣1『君達が死力を尽くして倒したのはその中のほんの一部にすぎないんだよ?あとどれだけの戦力を残していると思ってるんだい?』 まどか「ぅ…………」 大超獣1『なんなら今すぐにでも地球全土に向けて降下させてもいいんだよ?』 まどか「!!……っ…!」 マン『貴様……!』ググッ まどかの顔が恐怖と絶望に染まり、 マンが大超獣の言葉に拳を握り締め、怒りを露にする 大超獣2『そうなると…大勢の人間が犠牲になるね』 大超獣1『こんな戦いが起こっているとは夢にも思わない人々……』 大超獣1『そして鹿目まどか……君の家族や友人も全員ね』 まどか「あ…………」 カツン… ガクン まどか「………」 メビウス『!…まどかちゃん……!?』 大超獣の言葉に絶望するまどかはその手に握られた弓を落とし、 地面に膝をつき、うなだれてしまった それと同時にまどかのソウルジェムが黒く濁り始める セブン『いかん…!』 大超獣1『彼女は悟ったみたいだね…もうどうにもならないことを』 大超獣2『君達には……奇跡も魔法もないんだよ』 バシュゥン! エース『不味い…あれを喰らえばひとたまりも…!!』 ジャック『まどか!そこから離れろ!』 まどか「……」 仲間の必死の叫びも、絶望に打ちひしがれたまどかの耳には届かない マン『!! 危ないっ!』ダッ ドガァァアアン…… マン「グウッ………ォ…!!」ズズン まどか「!!……あ……!」 セブン「!」 まどかを庇い、二体の大超獣の放った光弾を背中で受け、地面に倒れ込むウルトラマン カラータイマーの点滅が更に速まる もはや彼に再び立ち上がるほどの力は残されていなかった 大超獣1『直撃だね…』 まどか「あ…ああぁ…っ…!!」 ズシンズシン… メビウス『!!…マン兄さん!まどかちゃん!!早くそこから離れて!!』 マン『……………』 まどか「わたしの……わたしのせいで…ハヤタさんがっ………!!」ジワッ メビウスが二人に退避を促すが、 倒れたマンに反応は無く、まどかは手で顔を覆い、泣き崩れるばかりだった 大超獣1「カハァァアアア………」 大超獣2「グルルル…………」 シュゥウウン 無防備な二人に向かって接近する二体の大超獣 二体はその大きく開いた口に、二人に止めを刺すべく膨大なエネルギーを集束させる ジャック『不味い………!!』 エース『く……体に力が入らん…!』ググッ エースが二人を助けるために行動を起こそうとするも、立ち上がる力はもう残されていなかった まどか「…………」 ズズッ マン『…まどか………』 まどか「!……ハヤタさん!?」 まどかが顔を上げ、 安堵の表情でマンの瞳を見つめる まどか「よかった……まだ生きて…」 マン『君は……何をしているんだ……!』 まどか「え……?」 予想外の言葉に口を開け、間の抜けた声を漏らす マン『君は……あの時我々に言ったはずだ………!』 くぐもった、苦しげな声でまどかに語りかける マン『自分に皆を守る力があるなら戦う……と…』 まどか「!……っ」 マン『そう言った君が…最初に諦めてどうする……!?』 マン『最後まで諦めるな……!!』 まどか「―――――!」 ガシッ まどか「…………」ギリリッ マン『………それでいい…』 叱咤激励の言葉を受け、 まどかが拾い上げた弓を再び握り締め、迫り来る大超獣へ向けて構える まどか「そうだ……勝つんだ、みんなで……!!」 シュゥゥン まどか「最後まで諦めず……不可能を可能にする…!」 大超獣1『!?………』 まどかの手に握られた弓 魔力を集中すると同時に、それが光に包まれて形を変形させる まどか「く……ぅぅうう…!」シュゥウ 大超獣2『!……早めに叩いておいた方がよさそうだね』 大超獣1『…さよならだ、鹿目まどか!』 バシュゥウウン! セブン『!! 立て!二人とも!』 メビウス『ダメだ…この位置からじゃ……!』 大超獣の口から放たれる強力な破壊光線 それが周囲の瓦礫を吹き飛ばし、地面を砕きながら一直線に二人へ進む マン『!………』 まどか「ぅぅ…う……!」 まどか(駄目…!間に合わないっ……!!)シュゥウ… ドガァァァアアン! …………………………………… …………………………………… さやか「っ………く」ピクッ ガラガラガラ… さやか「!!……きょう…こ………杏子…!?」 マミのマンションは大超獣の攻撃で見る影もなく完全に崩壊し、 瓦礫の山と化していた さやかはその大量の瓦礫に埋もれた体を起こして、 杏子の名を叫ぶ さやか「っ……!!?」 辺りを見回した、目に入ったものは カラータイマーと瞳の光が消え、 倒れて動かなくなった二人のウルトラマンの姿だった さやか「くっ…………うううぅ!!」 さやか「杏子!杏子ぉおっ!?」 絶望と不安で混乱しそうになる感情を必死で抑え、叫び続ける さやか「あ……」 杏子「……ぅ……ぅっ……」 ポタ…ポタッ… 小さくむせび泣くような声が聞こえ、その声の方向へ顔を向けるさやか そこには膝をつき、割れたティーカップの破片を祈るような形で握り締める杏子の姿 破片を握る手からは血がゆっくりと滴り落ちていた さやか「杏子……アンタ…」 杏子「っ…ちく……しょぉ…………」ポロポロ さやか「……」 杏子「また……無くしちまったよ………アタシ……」 さやか「………」ガシッ 再び自分の帰るべき場所を失い、悲しみに暮れる杏子 さやかはその顔を両手で引っ掴み、息が噴きかかりそうな距離まで顔を近づける 杏子「っ…さやか……!?お前……」 さやか「……あたし達がいるでしょうが!!」 杏子「……!!」 杏子を瞳を真っ直ぐに見詰め、震える声で言い放つ さやか「だから………ホラ、もう一度立って!」スッ 顔を掴んだ両手を離し、 立ち上がって手を差し伸べる さやか自身、 既にその心は折れそうで、今にも泣き出したかった しかしこの一ヶ月、仲間達とともに戦い、 培ったものが、ギリギリのところで心の支えとなっていた 杏子(こいつ……いつの間にこんな強く……) さやか「ホラ早く!」 杏子「あ、ああ……悪い……」 ブンッ 杏子「………!!!」 差し出された手を掴もうとした瞬間、 杏子は猛スピードで接近する巨大な白い物体を視界の端に捉えていた 杏子「………どけっ!!」 さやか「わぁっ!?」 ドシャッ 弾かれたように立ち上がり、 杏子は差し出された手を掴まず、さやかを乱暴に突き飛ばす さやか「ちょっとアンタ何―――」 ドグシャッ!! さやか「すん……の……」 怒鳴ろうと顔を上げたその瞬間、 さやかの前を通過する大蛇のように長く伸びた白い腕 それと同時に消える杏子の姿 大超獣『捕まえた』シュルッ さやか「な……!?」 さやか「杏子っ!どこ!?どこに行ったの!?」 大超獣『ここだよ』スッ さやか「…!?」 驚きに見開かれるさやかの目 見せつけるように左の手の平を広げる大超獣 その中心に四肢を埋め込まれ、磔のように固定された少女の姿 杏子「てめぇ!離せこらぁっ!!」 大超獣『駄目だ、君には大いに役立ってもらうよ』 さやか「杏……子…!!」 ズズズッ 杏子「!!…う……ぁぁあああ!?」 さやか「!? やめろ!杏子を離せ!!」 大超獣『まぁ見てなよ』 底なし沼に沈み込むような感覚に恐怖し、藻掻く杏子 しかし彼女の四肢は完全に飲み込まれ、いくら暴れようとも脱出は叶わない 杏子「………さやかっ!構うな!!コイツを……」 大超獣『あまり余計なことを話さないでくれるかな』 ズズッ さやか「!!……お、お前ぇっ!!」 杏子が言い終える前にその体は完全に大超獣の手の平に沈み、 最後の言葉がさやかに届くことはなかった ズシン 大超獣『さて、美樹さやか……佐倉杏子はこの手の中にまだ生きている』 大超獣『だが僕の意思一つで彼女を今すぐにでも殺すことは容易い』 さやか「ッ…何が……言いたいのよ」 大超獣『鈍いな、君は』ブンッ さやか「!! な……!?」 ドガッ 大超獣の鋭爪の一撃が地面を砕き、 さやかは直撃を免れたもののその衝撃を受け、後ずさる さやか「この……!!」チャキッ 大超獣『反撃は許さないよ』 さやか「!!」 起き上がると同時に反撃の為に剣を握るも、 前に突き出された大超獣の左手を見せつけられ、動きを止めるさやか 大超獣『この手の中にいる佐倉杏子はいわば人質だ』 大超獣『少しでも抵抗する素振りを見せたら彼女には死んでもらうよ』 さやか「な……何よそれっ!?汚いぞ!!」 大超獣『何とでも言えばいい。君達にとってこれほど有効な手は無いと判断したまでだ』バシュン さやか「っ!?」 ドガァン! さやか「うわぁっ!?」ズシャッ さやかが放たれた光弾を身を捩り回避するも、 爆風に吹き飛び、瓦礫の上にその身を激しく打ちつける 大超獣『二人のウルトラマンは倒れ、佐倉杏子はこの手の中………あとは君だけだ』 さやか「く……ぅあ…足が……!」 ポタポタ… 辺りに四散した鋭い瓦礫が脹脛を傷付け、 その痛みに膝を落とし、蹲るさやか 痛々しく溢れ出す血が真っ白なマントを少しづつ赤く染める さやか「か……回復…早く……」 大超獣『そうはいかない』 さやか「!!」 ドガッ! さやか「ごふぅっ!!?」 巨大な足に乱暴に蹴り上げられ、 凄まじい勢いで壁に激突 なすすべなく跳ね返り、激しく地面に転がる さやか「うぁ………っは……」ググッ 負傷した片足を庇い、剣を杖代わりにしながら立ち上がる 大超獣『回収したデータ通りだ。君のしぶとさは折り紙付きだね』 シューン… さやか「………え……?」 ズシンズシン 超獣1「グォォオオオ……!」 超獣2「…………」 さやか「!!………」 再び空が割れ、 赤い空間の向こうから二体の新手が送り込まれる さやか「まだ……来るとか……冗談………やめて……よ…」 大超獣『いい具合にソウルジェムが濁っているじゃないか。もう少しだ』 逃げることも、 戦うことも許されず、敵のされるがままに痛めつけられるさやか 彼女に今出来ることは自身の能力で少しでも体の痛みを癒すことだけだった 超獣1「………」 超獣2「………」 バシュゥウン! さやか「!………くっ…そ!!」バッ 新たに出現した二体の超獣はさやかの体の回復を待つはずもなく、 容赦なく両腕から雷撃を放つ 大超獣『これで終わりだね……さよならだ美樹さやか』 さやか「!!――――がっ!?う゛っ、あ゛あ゛ぁぁあああ!!!」 強烈な雷撃がさやかの体を貫く 周囲に飛び散る火花 崩壊した街に絶叫が木霊する さやか「あ゛あ゛ぁああ!ぎゃぁあああああっ!!!」 目を大きく見開き、 さやかの体は痙攣するように跳ね上がる 大超獣『……』 シュー… 大超獣『おや?』 さやか「くぁ…………はぁっ……はぁっ…」 舞い上がった土埃が晴れたそこには、 うな垂れて、地面に突き刺した剣にもたれ掛かるように辛うじで立つさやかの姿があった 超獣1「……?」 超獣2「……」 大超獣『………おかしいな』 大超獣『もう君のソウルジェムは穢れが限界に……』 カツン 大超獣『!……』 さやかの手から使いかけのグリーフシードが地面に転がり落ち、 小さく音を響かせる 大超獣『なるほどね…攻撃がが当たる直前に穢れを浄化して耐え抜いたか』 ズシン… さやか「……」 止めを刺すために、ゆっくりとさやかに迫る さやか「っ…………」 さやか(…は…はは……あたし………なにやってんだろ……) さやか(さんざん特訓して……意気込んで……) ズシン… さやか(挙句の果てにこのザマじゃん……) ズシン… さやか(殴られるだけ殴られて……なーんにも出来ないでやんの……) ズシン… さやか(みんな大丈夫かな……) 大超獣『………』ブンッ 歩を進めた大超獣がさやかの目の前まで接近し、 大きく尻尾を振り上げる さやか(杏子………ごめん)フラッ 朦朧とする意識の中で捕われの身となった杏子のことを思い、 糸の切れた人形のように崩れ落ちるさやか そこへ勢いの着いた大超獣の巨大な尻尾が振り下ろされる …………………………………… …………………………………… 杏子『…………』 杏子『…………』ピクッ 杏子『さ………や……か……』 杏子『…………』 杏子『馬鹿…やろ…う………が…』 BACKまどか「…ウルトラマン!」13 NEXT まどか「…ウルトラマン!」 15
https://w.atwiki.jp/gazouwrestler2/pages/108.html
画像レスラーW ベロクロン「俺達は二人で一人のレスラーさ!」 バキシム「おお! 言葉の意味は判らんがとにかく凄い自信だ!」 バキシムはウルトラマンAやウルトラマンメビウスに登場する怪獣(超獣) 別名:一角超獣 正体(?)は芋虫 ベロクロンはウルトラマンAやウルトラマンタロウやメビウスに登場する怪獣(超獣) 別名:ミサイル超獣 正体(?)はモップ・・・ではなく珊瑚 通称「超獣」 赤ロリの知り合いらしい パン娘とあんパン娘を混合してしまうといった反応が初々しい 超獣コンビ、超獣、ベキバキ、ベッキー&バッキーと呼び名はさまざま 怪獣と呼ばれると超獣だと訂正していたが最近諦め気味 二人(二体?)揃っての登場が主だがどちらが返してくるかはその時次第 時々片方下痢で欠席したりする ヤプール人と言う異次元からの侵略者の部下だが上司への信頼はあまり持っていない ちなみに彼らのヒエラルキーは 万葉=棚橋 (雅の壁) エンペラ星人 (皇帝の壁) レイブラッド星人 ヤプール人 (創造主の壁) エースキラー めんつゆ=つけもの 爪きり (実用性の壁) 超獣 となっていて万葉や棚橋の命令が最上位に当るらしい 棚橋の雅さは魂で感じ取ってください ロボットやライダーをこよなく愛しており、濃いネタを得意とする また黄泉の絵に色を塗ったり、さまざまな画像をコラしたりと、何気に職人気質でもある 苦手なものはペプしそ、しかし最近武器にし始めた 超獣コンプリートフォームはダサいといわざるを得ない そして二人が合体した姿が『融合超獣バキクロン・マキシマム』である 画像は某ロボゲーのステイツの犬だが、としあきにかかれば素敵な厨二っぽいネーミングへと変わる ・・・所で俺(ベロクロン)のEX形態はまだですか?
https://w.atwiki.jp/kitakoutarou/pages/187.html
さやか「は……ぁ……?」 思いもよらない答えに念話の為の集中が途切れ、 さやかの口から間抜けな声が漏れる 大超獣「……?」 『……おい、聞こえたか?』 さやか『なに……言ってんの!?』 大超獣に悟られないよう、 咄嗟に集中力を高め、念話を再開する 『アタシが邪魔で攻撃できないんなら……アタシごと斬りゃあいい』 さやか『や……だ!そんなのいやだ!!』 『どっちにしろこいつらはアンタ達を殺した後、アタシも始末するだろうさ……』 『こうしてる間にも意識が飛びそうだ……早く頼む』 さやか『そんな……そんこと出来ないよ………!!』 『聞け、さやか』 『躊躇うな、こいつらは一度上手くいくと今度も同じ手を使ってくる』 『このままじゃアンタ達どころか他のやつらも危ないんだよ』 さやか「………ぅ…ぅぅううう…!!」 耳を塞ぎ、 弱々しくかぶりを振るさやか それに構わず穏やかに話し続ける杏子 『……帰るべき家……っていうのかな?それもこのクソ野郎にぶっ壊されちまった』 さやか『………』 『でも…最後に残ったアンタ達だけは無くしたくない』 さやか「!……」 『どうせ死んじまうアタシの為に……無駄に傷付く必要はないよ…』 さやか「ば、バカ!なんでそんな……」 大超獣『……なるほどね、念話か』 さやか「!?」 『!! 気付かれたか!?』 バチバチッ! 『っぐ!?ぁ……!!』 二人の頭の中に割り込む声 念話に気付いた大超獣は左腕を上げ、腕に埋め込んだ杏子に電撃を流し込む さやか「杏子……!?杏子っ!!?」 『…さ、さや…か……アンタ達なら……勝つって……』 『信じてる……から…な』 さやか「!!!」 さやかそう言うとともに念話は途切れ、 同時に大超獣の腕に流れる電撃も止まる さやか「…………」 大超獣『気絶させただけだ。死なれちゃ盾にならないからね』 大超獣『それで?今更彼女と話したくらいじゃこの状況を打破する方法なんて―――』 さやか「…………」 シュィン 大超獣『!!』 剣を空へ掲げ、 強烈な閃光が辺りを眩く照らす さやか「ぅぅぅううう………!!!」 大超獣『なに……!?美樹さやか……君は……』 さやかの叫びに呼応するかのようにソウルジェムから溢れ出す青い光 その光が刀身に纏わりつき、 暗雲に覆われた空を貫く様に一直線に伸びる光の剣 その大きさは大超獣の巨体を完全に上回っていた ガイア『さやかちゃん……!?何をする気だ!?そんなに力を使えばソウルジェムが……』 コスモス『!!……待ってください、あれを!』 光を放ち続けるさやかのソウルジェム しかしそれは穢れによって黒く染まりきっておらず、 未だに青い輝きを放ち続けていた 大超獣『これほどの魔力を使用してもなおその状態を保っていられるとはね……契約時からここまで伸びるものなのか』 スッ 大超獣『だが君では無理だ。そうだろう?』 さやかを見つめながら、左腕を盾にする大超獣 その余裕が崩れる様子は微塵も無い さやか「……………」ダッ ガイア『!?……まさか……』 コスモス「………!」 さやか「ぁぁああ………!!!」 ダッダッダッ 大超獣『!!……正気かい…?』 唸り声を上げると同時に目の前の巨体目掛けて一気に駆け出し、 剣の柄が折れんばかりに力を込める ガイア『よせ!!早まるな!!』 大超獣の攻撃を受け、 地に伏していたガイアが叫ぶも 目を見開き、怒りにまかせて剣を振りかぶるさやかには届かない さやか「ぁぁぁああああああ!!」 大超獣『馬鹿な…!こちらには佐倉杏子が……!!』 想定外のさやかの行動 そしてその勢いに気圧され、腕を掲げたまま後ずさる 凄まじく長大に変化した光剣 さやかは狂ったような咆哮を上げながら、 自身の何倍かも分からない剣を背負うように振り上げる 超獣1「グァガァアアア!!」 ドガァン! さやか「―――――――!!!」 放たれる光弾 辺りで起こる爆発もさやかの目には入らず 空気を切り裂きながら、叫びとともに 剣を一気に振り下ろす さやか「うあぁぁあああーーーっ!!!!」 ピタッ 大超獣『!』 さやか「っ…く…ぅううう…」 しかし刃は大超獣の眼前で止まり、その巨体を斬り裂くことはなかった 大超獣「今だ…!!」 さやか「あっ!?」 バキン! その隙を逃さず大超獣は光の剣を打ち砕き、 魔力が拡散した衝撃で吹き飛ぶさやか さやか「うぐっ!……う…」 さやか「っ……く……ぅう………」 地面に顔を擦りつけたままのさやか 声を震わせ、 瞳から零れ落ちる涙が大地を濡らす さやか「………や…だ……」 さやか「こんなの………やだ……」ポロポロ さやか「昨日……一緒にいようって………言ったばっかりなのに……」 さやか「あたしが………アイツを…き、斬るなん……て…っう、く……」 さやか「そんなの……やだぁぁああああっ………」ポロポロ 完全に箍が外れ、先程まで怒りに任せて剣を握っていたさやかは膝を着き、 廃墟となった街に響き渡る様な声で泣き出してしまった さやか「助けて……」 さやか「アイツを………助けて……」 ズシン 大超獣『やれやれ』 再び余裕を取り戻した大超獣が迫り、に語りかける 大超獣『美樹さやか。君も、イレギュラー達、もどうしてこう愚か者揃いなのかな?』 大超獣『あそこで止めなければ僕を倒すことも出来たかもしれないというのに』 コスモス「―――――!」バッ 拳を握り締め、力強く立ち上がる コスモス『大切な仲間を思う彼女達の気持ちを……お前はそれを愚かと呼ぶのか!!』 大超獣『そうだよ。現に今、君達はその無駄な感情のせいで追い詰められようとしている』 大超獣『勝つために必要な犠牲が出ることも考えなよ……こんなふうにね』 ガシッ 超獣2「………」 コスモス「!?」 指示するように左腕を掲げる大超獣 それと同時に一体の超獣がコスモスを羽交い絞めにし、 動きを完全に拘束する 大超獣「ガァッ!!」バシュウン ガイア「!!!」 大量のエネルギーが練り込まれた光弾を、 身動きの取れないコスモスへ向けて発射する さやか「う、うそ…!?」 ドガァァアアン… コスモス「!………」 超獣2「ギッ…!!」 シュゥウ… コスモス(C)「…………」 大超獣『この攻撃では止めには遠く及ばないか……それが分かっただけでも十分かな』 舞い上がった爆煙の中から、 間一髪でコロナモード変化して脱出したコスモスが姿を現す しかしコスモスに組みかかっていた超獣は吹き飛び、原形を留めないほどに爆散していた さやか「み、味方ごと…撃った……」 目の前で行われた非情な行為に呆気にとられるさやか 大超獣『なにを言っているんだい美樹さやか』 大超獣『もう一歩で君も僕と同じことをしていたんだよ?』 さやか「ッ……!!」 声にならない嗚咽を吐き出しながら、 耳を塞ぎ、頭を抱えてかぶりを振る さやか「あ、あたし……は……」 さやかの目尻に溜まった涙が、ゆっくりと頬を伝った コスモス(C)「………!!」 コスモス(C)『なぜ彼女達の未来を……笑顔を奪うんだ!?お前達にそんな資格があるのか!!』 さやかを見下ろしていたコスモスが顔を上げて立ち上がり、 目の前の巨体に向けて叫ぶ 大超獣『この宇宙では他者を圧し、支配するための力が全てだろう?』 大超獣『そこに『資格』などというものは必要ない』 ガイア『またヤプールの受け売りか!なぜ自分の意思で考えようとしない!?』 大超獣『考えるもなにも最も合理的で確実じゃないか。ヤプールの力を見れば君達も確信できるよ』 二人の意見を、感情の無い声が嘲笑うように一蹴する さやか「…………」 頭の上で飛び交う言葉は耳には入らず、 失意に沈むさやかは膝を落とし、うな垂れていた コスモス(C)『……さやかちゃん』 さやか「………?」 不意に名前を呼ばれ、 自分を見下ろすコスモスに視線を移す コスモス(C)『杏子ちゃんは助け出す。絶対に』 さやか「!! そ、そんなこと出来るの!?」 大超獣『ほう』 コスモスの言葉に、立ち上がって咄嗟に聞き返すさやか コスモス(C)『出来る…やって見せる』 コスモス(C)『だけどそのためには……君の力が必要だ』 さやか「あたし……の?」 思いがけない答えに声を漏らし、 再び顔を伏せるさやか さやか「……無理……無理だよ」 コスモス(C)「………」 さやか「いざとなったら何も出来ないあたしじゃ……アイツを助けてあげる事なんか出来ない…」 さやか「あたしには……もう何も……」 震える両手を見つめ、 今にも泣き出してしまいそうな声で話し続ける コスモス(C)『それは違うよ、さやかちゃん』 さやか「……え?」 再び片膝を地面に着き、さやかに語りかける コスモスに指差されたさやかは戸惑いながらその姿を見上げる コスモス(C)『思い出すんだ。君が魔法少女として彼女達と触れ合い、手に入れたものを』 さやか「あたしが手に入れたもの……?」 ガイア『………』 大超獣『へぇ、まだ君はそんな事を言っているのかい』 ブンッ さやか「!?」 コスモス(C)『! しまった…!!』 ガイア『二人とも、危ない!!』 ドガッ!! ガイア「ガッ…!?」 二人を守るために咄嗟に腕を交差させ大超獣の尻尾の一撃を防ぐが、 受け止めきれずに豪快に弾き飛ばされる さやか「我夢さんっ!!」 大超獣『君達二人もいい加減倒れなよ!』 バチバチバチッ さやか「う…うわぁああ!!」 目を瞑り、両腕で顔を覆う 大超獣が両腕を突き出して放つ赤い雷撃が、 ガイアへ視線を向けたままの無防備なさやかへ襲い掛かる コスモス(C)「ハァアッ!!」 バチッ さやかの体を跨ぎ、すかさずサンライトバリアを展開して雷撃を受け止める さやか「うっ……あっ!?」 ドシャッ 二つのエネルギーがぶつかり合った事で生まれる衝撃波が、 さやかの体を持ち上げ、枯葉のように吹き飛ばす 大超獣『上手く止めたね。でもいつまで持つかな?』 バチバチバチッ コスモス(C)「グゥッ……ォオオオア……!!」ググッ バリアーで受け止めてもなお、 押し潰すように両腕から雷撃を照射し続ける大超獣 その勢いに押され、 踏みしめた両脚が地面を削り、少しづつ滑り始める 超獣「クキャアァァアア!!」 ドガッ ガイア「グォッ!?」 ガイアを超獣が何度も踏みつけ、立ち上がることを許さない さやか「!……くっ…そぉおおお…!!」ガッ うつ伏せに倒れていたさやかが窮地に陥った二人の姿を見て、 唇を噛み締めて、握り締めた拳で地面を叩く さやか(どうすれば……どうすれば…!!) 眉間にしわがよるくらいまで目をきつく閉じ、 必死に思考を巡らせる さやか(今のあたしに出来ること……!?今のあたしに残されたもの……!?) さやか(あたしがこの一ヶ月で手に入れたもの……) さやか(――――――!!) 彼女の目の前には追い詰められながらも諦めない二人のウルトラマンの姿 さやか(なんとなく……なんとなくだけど……) さやか(解かった………かも……) …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… 見滝原ではない、どこかの街の寂れた教会 そこかしこに張り巡らされた蜘蛛の巣 壁に取り付けられた大きな十字架は埃で黒ずんでいて見るも無残な状態 杏子「……………」 その教会に並べられたボロボロの長椅子の上で、 一人で膝を抱えて三角座りをして、顔を伏せたまま動かない佐倉杏子の姿があった 砕けた教会の窓から覗く外の景色は、 何も無い、ただ暗闇が続くだけの無の空間 『杏子………佐倉杏子……』 杏子「………」ピクッ 頭の中に響く優しい声に、杏子は微かな反応をみせる 杏子「……誰だい?アタシを呼んだのは」 呼び掛けに答える杏子 しかし顔を上げようとはせず、濡れてくぐもった声が響くのみ 『私だ………覚えていないか?私は一度君に声を送った事がある』 杏子「……あぁ…なんか聞いたことあるぞ、アンタの声」 杏子「確かアタシがブチ切れてさやかをぶちのめした時だったっけかな」 『そうだ、私はあの時君を静めるために声を送った』 杏子「ムサシじゃなくてコスモス…か……あったねそんなことも」 疑問が解けたにも関わらず、まったく変わらない声音 なおも顔を伏せたまま動かない 『杏子、立て』 『このままでは君の精神が闇に飲まれて消えてしまう……』 杏子「いや、もういいんだよ」 『……?』 杏子「やっぱり……アタシがあいつらといちゃ駄目なんだ」 『………』 膝を抱え込む手に、少しだけ力が入る 杏子「ずっと心に引っ掛かってたんだ。アタシがあいつらと一緒にいて本当にいいのかなって」 『どういう意味だ?』 杏子「アタシは……自分の馬鹿な願いのせいで何もかも失ってさ」 杏子「それで何とかして自分の居場所を手に入れるためにどこまでも進んで……どこまでも走って……」 杏子「今思えば寂しさを紛らわしたかっただけなのかもな」 『………』 コスモスへ向けて、 くぐもった声で淡々と話し続ける杏子 杏子「……それであいつらと出会った」 杏子「さやかもマミも……まどかもほむらも……勿論アンタらだって」 杏子「アタシみたいなやつを受け入れてくれた……」 『そうだ、彼女達なら……』 杏子「でも駄目なんだよ」 『……!』 コスモスの言葉を、震えた声で遮る杏子 杏子「今、あいつらは苦しんでる……アタシのせいで……」 『杏子……』 杏子「まるで疫病神だろ…?ここまでくると才能だね……」 自身に対しての皮肉めいた言葉とは裏腹に、 杏子の肩は震え、顔を覆う腕の隙間からは静かに涙が滴り落ちていた 杏子「もし……仮にここを生き延びることが出来たとしても…だ」 杏子「いつかまた……アタシは絶対にあいつらに迷惑掛けちまう」 杏子「だからもう……アタシは―――」 『杏子、それは違う』 杏子「…?」 今度はコスモスが杏子の言葉を遮り、話し出す 『迷惑を掛けるというのは違う』 杏子「……どういう意味だ?」 顔を伏せたままの状態で、 張り付いたようにその場から動かない杏子が聞き返す 『彼女達が君を受け入れたのが単に憐れみや同情だけのはずがない』 『君は再び手に入れた大切なものを守ろうとしただろう』 杏子「………!」 一週間前、仲間達と共に戦ったワルプルギスの夜の光景、 そしてUキラーザウルスの攻撃から身を挺して仲間達を守ったときの光景が杏子の頭を過ぎる 『彼女達はそんな君の姿に応えてくれたのだろう』 杏子「………」 『今、君を助け出すために戦っている者達も……迷惑だなんて思ってはいない』 『仲間である君が大切だから……そう『してあげたい』からするんだ』 杏子「アタシの……ために……?」 『そうだ』 『君の最初の願いも……そうだったはずだ』 杏子「!!!」 バンッ! 杏子「……!」 勢いよく開け放たれる教会の扉 それとともに外から入り込む強烈な光が薄暗い教会内を照らす 『進め……そして彼女達とともに未来を掴め』 杏子「………」 顔を上げた杏子は眩しさに片手で目を覆い、 細めたままの目で外の光を見つめる 杏子「はは…駄目だな……まーだ頭の中に嫌なイメージがこびりついて…離れないよ……」 『……そうか』 杏子「やっぱり……まだ怖いんだな、アタシは」 自嘲気味な笑みを漏らし、長椅子から立ち上がるも、 杏子の足は震えていた 『だが君になら解るはずだ。その恐怖を乗り越えるために必要なものが』 杏子「………!!」 杏子「……………」スッ コスモスの問い その答えを瞬時に理解した杏子は、 小さく深呼吸をして、扉の外の光に向けて一歩づつ進み始める 杏子(この怖れを乗り越えるために……) 杏子(あいつらと一緒に前に進むために、今のアタシに必要なもの……) 杏子(それは……) …………………………………… さやか(今のあたしに残されたもの……) さやか(みんなから貰った優しさ……ほんのちょっとの強さ……) さやか(そして………) …………………………………… 杏子・さやか「「……勇気!」」 …………………………………… シュゥウ… さやか「……これは……?」 大超獣『!! ……なんだ!?』 さやかのソウルジェムから伸びる青い光の筋 そして大超獣の左腕、杏子が捕われている部分から漏れ出す赤い光の筋 その二つが、 バリアーを張って攻撃に耐えるコスモスの胸のカラーターマーへ宿り、 眩い光を放つ コスモス(C)「!……ヌゥアアッ!!」 バチッ 大超獣『……!!』 コスモスが両腕を振り上げると同時にバリアーは砕け、 赤い雷撃は弾けて拡散する コスモス(C)「ハァァアア………」シュイン ガイア『!?………何が起ころうとしているんだ……?』 超獣「………?」 大超獣『またデータにない行動を……君達は本当に興味深いね』 コスモス(E)「…………」 コスモスがゆっくりと腕を振り下ろすと同時に、 黄金に輝く体に走る赤と青の光のライン ルナモードの美しい月光の如き優しさ コロナモードの太陽の如き力強さ そして二人の魔法少女の勇気が加わり、 エクリプスモードへとコスモスはその姿を変える さやか「コスモスが……ムサシさんが…新しい姿に…!!」 地に伏していたさやかは立ち上がり、 目を輝かせて感嘆の声を漏らす 超獣「…………」ズンッ ガイア『!! ムサシさん、敵がそっちに……!!』 コスモス(E)「!………」 力強い様相で大地に立ち、大超獣を睨み付けるコスモスへ、 先程までガイアを踏みつけていた超獣が駆け出して、鋭い爪を振り上げる 超獣「ガァァアアアッ!!」 コスモス(E)「ハァァアア…………」グッ 地面を蹴り砕きながら迫る敵 コスモスはそれに怯むことなく、 ゆっくりと腰を落とし、右腕に光のエネルギーを集束させ、腰横に構える 超獣「ガァッ!!」 コスモス(E)「デェイヤァ!!」 ドガッ!! さやか「あっ!!」 ガイア「!………」 振り下ろされる超獣の爪が体に当たるより一瞬早く、 空気を切り裂き、一直線に繰り出される一撃必殺の拳が 鈍い音と立て、超獣の体に沈み込んだ 超獣「ガッ…………」 バンッ!! 大超獣『ほう』 小さく呻き声を上げたその刹那、 超獣の体は粉々に砕け散り、辺りに肉片が四散する コスモス(E)「ハァッ!」 正拳突きの構えを取り、大超獣を睨み付けるコスモス 大超獣『おやおや、やる気満々のようだ』 大超獣『だが忘れたとは言わせないよ、ほら!』スッ さやか「ッ……あいつっ…また…!!」 杏子を捕らえた左腕を眼下の三人に見せつけ、 大超獣はなおも余裕を崩さない コスモス(E)「…………フンッ!!」キュイン ガイア「!?」 さやか「えっ!?…ちょ、ちょっと……ムサシさん!?」 両腕を交差させたコスモス 十字の光が輝くとともに右腕を掲げ、 渦を巻いたエネルギーが腕に 拳の先に集中する コスモス(E)「ヌゥゥウウゥ………」 シュゥウ…… 大超獣『血迷ったかい?さっき君は美樹さやかを止めたんだよ?』 大超獣『にも関わらず君は……撃つとでも?』 コスモス(E)「ォォオオオォ………!!」 大超獣の問いに答えず、 さらにエネルギーを練り上げ、狙いを定める ガイア『……本当に撃つ気だ……』 さやか「っ……で、でもさっき助けるって……」 ガイア『何か策があるんだろう……あの人が杏子ちゃんを見捨てるなんてあるわけがない』 さやか「……そっか」 さやか「そう……だよね」 目の前のコスモスの姿を見つめたまま、 じっと動かない二人 コスモス(E)「………!!」 バッ コスモス(E)「ハァァアアアアアーーーーーッ!!!」 大超獣『なに!?』 右拳を前に突き出し 眩い閃光を発しながら 奇跡の光、コズミューム光線を放つ …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… 杏子「………それで、どっちに進めばいいんだコレ?」 教会から飛び出し、 果てのない白い世界で彷徨う杏子 自分の後ろにあったはずの教会はいつの間にか消え失せ、 あてもなくただ歩き続けていた 杏子「声も聞こえなくなっちまったし……どうすっかなぁ…」 『………こ…』 杏子「あん?」 頭の中に響く声 だがそれは先程まで話していた声とは別、 自分がよく知る、仲間の声 『こ……きょ…こ……』 杏子「この声……」 『きょ…こ!……き……』 途切れ途切れで上手く聞き取れない声 しかしその声が誰のものなのか、 杏子は既に理解していた 『起きろ!杏子!!』 杏子「はいはい……わかってるって」 自分を呼び続ける友の名を、杏子は静かに呟く 杏子「今行くよ、さやか」 …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… 杏子「ん………くっ」ピクッ さやか「!!……杏子っ!」 さやかの呼び掛けに反応した杏子は、 彼女の腕の中で目を覚ます 杏子「あれ、アタシは………」 さやか「っ……あはっ……起きた……」 杏子(アイツの腕に飲み込まれたあと……声が聞こえて……) さやかに抱かれたまま辺りを見回す杏子 コスモス(E)「…………」 大超獣「グッ……ガァァア………!!」 杏子「!!」 離れたところで、光線を発射後、右腕を伸ばしたままの新しい姿のコスモス そしてその光線受けて、 左腕が粒子となって消滅した大超獣の姿が杏子の目に入り、 ぼんやりとした意識が一瞬にして吹っ飛ぶ 杏子「助かった……のか……」 あらためて自分の姿を見る杏子 少し穢れの溜まったソウルジェム 大超獣の体内に捕われていたことにより、全身に付着した水とは異なる不気味な液体 そして自分の体を抱きしめる二本の腕 さやか「!……つぅッ……」 杏子「あ……」 さやかの腕と足に見える擦り傷と痣 高所から落下する自分を受け止めたことにより出来た傷だという事を、 杏子は瞬時に理解した さやか「う~~~………」 杏子「……さやか、アンタ―――」 胸に顔をうずめたまま動かないさやかに、杏子が手を伸ばす その瞬間 ゴンッ 杏子「あだっ!?」 杏子「いっ……てぇぇええーーっ!!」 杏子の手がさやかの髪に触れようとした直前、 勢いよく繰り出されたさやかの頭突きが杏子の顎をかち上げた 完全に不意を突かれた杏子は痛みと驚きに声を上げる 杏子「なにすんだバカ!」 さやか「うっさい!バカ杏子っ!!」 互いに罵り合い、 腕を離したさやかは拳を握り、杏子の胸を何度も叩く その間にもさやかの罵倒は続く さやか「バカ!アホ!小卒!!」 杏子「こ、このやろ……」 さやか「バカバカバカバカバーカ!!」 杏子「あぁもう!!うるせぇ!!」 呼吸を乱し、肩で息をしながらも罵倒し、杏子の胸を叩く さやか「……ば……かぁっ!!」 トンッ 杏子「………」 再び握り拳を作り、杏子の胸に向けて突き出す しかし先程までとは違い、その手には全く力は入っていなかった さやか「く………ひっ……ぅ…」ポロポロ 杏子「さやか………」 弱々しく頭を垂れるさやか 髪の間から覗く頬には大粒の涙が伝っていた さやか「なんで……なんでそんなこと言うのさ……」 杏子「!……」 さやかの言葉に戸惑いながらも、無言で聞き続ける杏子 さやか「仕方ないから死ぬとか……無駄に傷付く必要は無いとか……」 さやか「そんなこと……言わないで……」 杏子「………」 嗚咽混じりで涙を流しながら、 杏子の服の袖を握り締めるさやか さやか「あたしは…あたしはもう少しでアンタを……」 杏子「っ……でも耐えられなかったんだよ!アタシのせいでアンタ達が苦しむなんて……」 さやか「だったらあたしだって耐えられないよ!!」 杏子「……え?」 無言であることを止め、声を荒げる杏子だが、 その言葉にさやかは更に大きく声を荒げて反論する さやか「あたし達のせいでアンタがそんなに悩むなんて耐えられない!!」 杏子「そ、それは……」 さやか「あたし達はね、もう誰かが欠けても駄目なの!!解るでしょ!?」 杏子「!!……っ……」 驚きで大きく見開かれた目 そこから零れ落ちそうになる涙を、杏子はなんとか堪える さやか「バカだよ……アンタも……あたしも………」 杏子「…………ごめん」 杏子「ごめんな……」 さやか「うん……うん……っ……ごめん……」 言葉が続かなくなったさやかの頭に優しく手を置き、 杏子は手首で涙を拭った 大超獣「グッ…ガ……ァアァアアアア!!!」 ブシュゥッ さやか「!?」 杏子「!……あいつまだ動けるのか!?」 コズミューム光線で消滅した腕を再生し、 目の前で蹲る二人の魔法少女に迫る 大超獣『……ウルトラマンさえ倒してしまえば君達はどうとでもなるという考え方……』 大超獣『改める必要がありそうだね…!!』 ズシン… さやか「く……杏子!一旦離れよう!!」ダッ 杏子「ああ…!……っ!?」 ドシャッ さやか「!? 杏子!!」 立ち上がり、駆け出そうとする二人 しかしさやかとは対照的に、杏子は糸の切れた人形のようにその場に倒れ込む 杏子「わ、悪い……ちょっと…動けそうにないわ……」 さやか「………そ、そうだ!!」 さやか(杏子の体は私達と違って回復出来てなかったんだ……!)ダッ 急いで引き返し、杏子の体を抱き起こす ズシン 大超獣『二人仲良く踏み潰してあげようじゃないか!!』 さやか「!!……杏子!捕まってて!!」 杏子「く……くっそ!アタシが…!!」グッ さやかの腕に体を預けながらも、 槍を生成して反撃に出ようとする杏子 しかしその腕から槍は生み出されることはなかった 杏子「駄目だ…!魔力もまともに練れない……」 さやか「いいから!逃げるのよ!!」 大超獣『逃がすものか!!』 コスモス(E)「! シュアッ!!」 バシュシュッ! 大超獣「……!!」ブシュッ コスモスが右手先から放つ矢尻型の光弾が大超獣の頭部に連続して命中 火花が散り、小さな爆発を起こす 大超獣『……そんな小細工ではもう止められない』 コスモス(E)『!?……直撃のはずが…!』 コスモス(E)『やつはもう痛みすらも感じていないのか!?』 頭部の傷は瞬時に再生 咄嗟の攻撃も足止めにはならない 大超獣『佐倉杏子、美樹さやか……終わりだ!!』グオッ 大超獣は振り上げた巨大な足を、 自身を見上げる魔法少女達へ一気に振り下ろす 杏子「ッ……!!」 さやか「うぅっ……!」 眼前に迫り来る一撃 当たれば即死は免れないそれに恐怖し、 思わず二人は下を向き、目をきつく閉じる コスモス(E)『この位置からじゃ間に合わない……!!』 ギュン! コスモス(E)「!?」 大超獣の元へ超高速で飛ぶ赤い光 コスモスは驚き、駆け出そうとしたその足を止める ガシィッ! 大超獣『!?……なんだと……!』 さやか「………?」 杏子「え……?」 大きな衝突音と自分達へ降りかからない攻撃 そして驚愕する大超獣の声を聞き、さやかと杏子は閉じた目を恐る恐る開く ガイア「グッ……!ウウゥウ!!」 さやか「……!」 杏子「我夢!!」 二人の目に映し出されたのは、 巨大な足の一撃を背中で受け止め、二本の足でそれを支えるガイアの姿だった さやか「我夢…さん……」 杏子「お、お前!!」 グググッ ガイア『……早くそこから離れて!!』 さやか「でもそのままじゃ……」 杏子「アンタ潰されちまうぞ!!」 自分達を庇うガイアの体を見上げ、逃げることを躊躇う二人 ガイア『僕なら大丈夫だから!!』 さやか「!!……杏子!掴まってて!」 杏子「! あ、ああ……」 ダッ 魔力で足場を形成し、 動けない杏子を抱えたまま、近くのビルまで一気に跳躍する 大超獣『くっ……逃げられたか!!』 大超獣『……まぁいい、まずは君からだ!!』 グググッ ガイア「グッ!……ォオオオ…!!」 踏みつける足に力を込める大超獣 ガイアはその超重量に耐え続けるも、 地面に踏ん張る二本の足は少しづつ大地に沈み始める 大超獣『君達の行動は最後の最後までまったく理解できなかったよ!!』 ガイア「グゥウウウ……!!」 グググッ 大超獣『誰かの為に自分を犠牲にするその心?くだらないね!』 大超獣『宇宙生命から見ればそんなものは精神の障害でしか………ないっ!!』グッ ガイア『!!!』 ガイアを踏み潰すべく、 無情にもその巨体の全体重を片足に集中する しかし 大超獣『………!?』 大超獣『……おかしい……こんなことがあるはずが……!!』 うろたえる大超獣 その足の下には、 全体重を掛けられたにも関わらず、今もなお耐え続けるガイアの姿があった 大超獣『たった一人でこの重量を支え続けるなど……』 ガイア『インキュベーター………僕は……!!』 シュゥウウン… 大超獣『!!』 胸のカラータイマーを中心にガイアの全身に広がる赤い光 大超獣の足を掴む細身の腕 体を支える二本の足 その全てが筋肉質なものに変化し、 赤を基調とした体色に、黒と青のラインが走る 大超獣『そんな……!!コスモスに続き君まで……』 コスモス(E)『!?……あの姿は……』 ガイアを援護しようとエネルギーを溜めていたコスモスだが、 目の前の光景に目を奪われ、右腕のエネルギーは大気中に拡散して消滅する スタッ さやか「あ……あれって……!?」 杏子「ああ……」 半壊したビルの屋上からその姿を見下ろす二人 目を丸くしたまま見つめ続けるさやか その後ろで杏子が小さく呟いた 杏子「我夢が………ガイアが変わる…!!」 ガイア『僕はっ………!!』シュゥン グンッ 大超獣『な……に!!?』 一際眩い閃光を放つとともに、一回り大きく筋肥大化したガイアの腕が、 自身の三倍以上はある大超獣の巨体を持ち上げ そのまま瓦礫の山へ豪快に投げ捨てる ドズゥウウン…! 大超獣「グガッ!?」 轟音を鳴らし、巻き上がる土埃 その向こうでゆっくりと立ち上がる赤い巨人 体に宿る大地と海の力 全身から漂う先程までとは段違いの気迫 ガイア(SV)『……許さんっ!!!』 スプリームヴァージョンへ強化変身したウルトラマンガイアがその姿を現す ガラガラ… 大超獣「グ…グ……!!」 ガイア(SV)「………」 瓦礫を押し退けて立ち上がる大超獣 自分の身に起こったあり得ない出来事に驚き、 目の前の存在に大きな脅威を覚える 大超獣『こんなことが……こんなことがあるはずがないっ!!!』 ブンッ ガイア(SV)「!! ォォオオオォ……!」グッ 大きく横薙ぎに振られた大超獣の尾 長く、鋼のように堅いそれは地面を抉り、瓦礫を巻き上げながらガイアに迫る ガイア「デェァアアアアアアッ!!!」 迫り来る一撃に怯むことなく、 右足を軸に体を旋回 強烈な回し蹴りを繰り出し、巨大な尾を迎え撃つ ドガッ!! 大超獣「グギャァアアアアアッ!!!」 ぶつかり合う二つの攻撃 大きさで完全に勝っているはずの大超獣の強靭な尾は真中から千切れ飛び、 力比べはガイアに軍配が上がる ガイア(SV)「ディヤッ!!」 勢い余ってよろめく大超獣 その巨体を前に、闘志をむき出しにしたガイアが身構える 大超獣『強さも大きさも……こちらが上回っているはずなんだ……!!』 シュゥウ… コスモス(E)『!!…まだあれほどのエネルギーが……!』 自身に言い聞かせるように呟く大超獣 その口に集まる最大級のエネルギーの渦 ガイア(SV)『まだ解らないのか!お前達には無い『意志』が僕達にはある!』 ガイア(SV)『それを理解しようとしないお前達が……勝てるはずがないっ!!』 大超獣『ふざけるな!!!』 バシュゥウウン ガイア(SV)「!! ディヤァッ!」 シュゥウウッ…… ガイア(SV)「………」 大超獣『!! と、止めた……!?』 ガイアが展開した回転する円形のバリアーは光線を受け止め、消し飛ばす 大超獣『さっきは……簡単に砕けたのに…!!』 大超獣(全ての能力が爆発的に上昇しているのか…!?) ズンッ コスモス(E)「……」 ガイア(SV)「!……」 ガイアの横に降り立ち、並び立つコスモス 二人は顔を見合わせた後、大超獣に向けて再び構えを取る 大超獣『ぅうう……!!』 …………………………………… …………………………………… さやか「すっごい………これなら…!」 凄まじい力で大超獣を圧倒する二人のウルトラマン さやかは杏子を連れ、遠く離れたビルの屋上からその光景を見守っていた 杏子「いっ……つぅ…」ググッ さやか「!? ちょ、ちょっとアンタもう大人しくしてなよ!後はあたし達で十分だから…!」 杏子「ふざけんな……あの野郎は一発ぶん殴ってやらねーと気が済まねえ!」 さやか「………はぁ」 激昂する杏子を見て、 さやかは額に手を当て、呆れたようにため息を吐く さやか「杏子」 杏子「……あん?」 さやか「手、出してみ」 杏子「……?」スッ キュゥウウン… 杏子「!?」 杏子「お……まえ…」 上げられた杏子の拳を包み込むように握るさやかの手 その瞬間、さやかの体から伸びた青い光が杏子の体に流れ込み、 その体の傷を癒す さやか「あたしの治癒能力のちょっとした応用……かな?」 杏子「いつの間にこんな……」 さやか「さぁ?わかんない……でも」 杏子「なんだよ……」 さやか「してあげたい…って思ったから出来たのかな?」 杏子「!!」 杏子「………はは」 微笑みかけるさやかを見て、 杏子の瞳に熱いものが込み上げる 杏子(やば……これまた……)ジワッ さやか「……んー?」 さやか「なにアンタ!また泣いてんの~!?」 杏子「なっ!?ぶっ、ば、馬鹿野郎!泣いてねぇ!!」 さやか「案外泣き虫なんだねーアンタ」 杏子「お前だってさっき泣いてたじゃないか!!」 意地の悪い笑顔で杏子をからかい、 杏子はそれを必死で否定する 杏子「っ~~~~~!!もう行くからな!!」 ダッ さやか「あ!?ちょっと!!」 赤くなった顔を見られまいと、屋上から一気に飛び立つ杏子 杏子(………ありがとな、さやか) …………………………………… …………………………………… 大超獣「ゥ…ウウウウ……!!」 ガイア(SV)「………」 コスモス(E) 睨みを利かせるガイアとコスモス 大超獣はその巨体を起こし、再び二人の前に立ち塞がる 大超獣『あまりいい気になるな……宇宙に待機している別個体達が動けば君達は……』 さやか・杏子「「うぉりゃぁあああああーーーーーっ!!!」」 大超獣『!?』 ドシュッ! 大超獣「グギャァアアアアッ!!?」 ガイア(SV)『!! 君達…!』 コスモス(E)「!……ハァッ!!」キュイン 遠距離から投擲された槍と剣 それは大超獣の片目の視界を奪い去り、大きな隙を作り出すこととなった コスモス(E)「ォォオオオ……デァアアッ!!!」 ドバンッ!! 大超獣「グァッギッ!!?」 その隙を見逃さずに放たれた巨大な三日月状の光刃、 エクリプスブレードが大超獣に直撃 爆発を起こし、強靭な歯が生え揃う下顎を吹き飛ばす ズズンッ! コスモス(E)『今だ!ヤツに再生の隙を与えずに攻撃を!!』 ガイア(SV)「!!………ディヤッ!!」キュイン 杏子「行くぜ、さやか!!」 さやか「よっしゃあっ!!」 ダッ 弾かれた様に駆け出す二人の魔法少女 杏子「まずはアタシからだ!骨だけにしてやらぁ!!」ジャキッ 大超獣『!?』 杏子「はっ!!」ダッ 飛び上がり、槍を巨大化させる杏子 魔力を帯びたそれを回転させ、大超獣の腹に豪快に叩きつける 杏子「おおっりゃああぁぁああ!!!」 ドゴォン!! 大超獣「グッ……ガァアアア!!」ズシン 絶叫とともに浮かび上がる大超獣の巨体 杏子「必殺・風車………なんてな!」 八重歯を出してしたり顔で呟く杏子 その横を二本の剣を持ったさやかが高速で駆け抜ける 杏子「バトンタッチだ!頼むぜ!」 さやか「よっし!」 ダッ さやか「続けていくよ!さっきのお返しだっ!!」 大超獣『はっ!?』 ガイア(SV)「ディヤッ!!」キュイン 飛び上がるさやかの後方で、 ガイアが右腕を大きく掲げ、左腕を胸のライフゲージに当ててエネルギーを溜め始める さやか「杏子は返してもらったんだ!もう遠慮しない!特訓の成果見せてやるっ!!」チャキン 空中で二本の剣をクロスさせて大量の魔力を流し込み、 必殺の一撃を放つ さやか「シルバー……クロォォオオス!!」ドシュン 大超獣『!!』 ドガァアン!! 大超獣「グギャァアアアアアッ!!!」 矢尻状に変化した魔力の斬撃は杏子の攻撃を受けた大超獣の腹に直撃し、 大爆発を起こす さやか「うげっ!?」ドシャ そのままさやかは勢い余って地面に墜落する 大超獣「ガ……ァアアアア!!」 杏子「よっしゃあ!当たった!!」 コスモス(E)『今です!我夢さんっ!!』 ガイア(SV)「ハァアアアアッ!!ディヤァァアァアアアアーーーッ!!」 大超獣「!?」 バシュゥゥゥウウ!! 大超獣『なぜ……なぜ……こんな…こと……に……』 シュゥウウウ… ガイア(SV)「………」 ガイアの重ね合わせた両手から放たれる光線、フォトンストリームを浴びた大超獣の体は頭から消滅し、 灰すらも残らなかった コスモス(E)『…終わったのか……』 ガイア(SV)『はい。どうやらここの増援も今ので打ち止めの様です』 さやか「よっ……と」スタッ 土埃を払い落し、跳ね起きるさやか …………………………………… シュゥウ… さやか「……これは……?」 大超獣『!! ……なんだ!?』 さやかのソウルジェムから伸びる青い光の筋 そして大超獣の左腕、杏子が捕われている部分から漏れ出す赤い光の筋 その二つが、 バリアーを張って攻撃に耐えるコスモスの胸のカラーターマーへ宿り、 眩い光を放つ コスモス(C)「!……ヌゥアアッ!!」 バチッ 大超獣『……!!』 コスモスが両腕を振り上げると同時にバリアーは砕け、 赤い雷撃は弾けて拡散する コスモス(C)「ハァァアア………」シュイン ガイア『!?………何が起ころうとしているんだ……?』 超獣「………?」 大超獣『またデータにない行動を……君達は本当に興味深いね』 コスモス(E)「…………」 コスモスがゆっくりと腕を振り下ろすと同時に、 黄金に輝く体に走る赤と青の光のライン ルナモードの美しい月光の如き優しさ コロナモードの太陽の如き力強さ そして二人の魔法少女の勇気が加わり、 エクリプスモードへとコスモスはその姿を変える さやか「コスモスが……ムサシさんが…新しい姿に…!!」 地に伏していたさやかは立ち上がり、 目を輝かせて感嘆の声を漏らす 超獣「…………」ズンッ ガイア『!! ムサシさん、敵がそっちに……!!』 コスモス(E)「!………」 力強い様相で大地に立ち、大超獣を睨み付けるコスモスへ、 先程までガイアを踏みつけていた超獣が駆け出して、鋭い爪を振り上げる 超獣「ガァァアアアッ!!」 コスモス(E)「ハァァアア…………」グッ 地面を蹴り砕きながら迫る敵 コスモスはそれに怯むことなく、 ゆっくりと腰を落とし、右腕に光のエネルギーを集束させ、腰横に構える 超獣「ガァッ!!」 コスモス(E)「デェイヤァ!!」 ドガッ!! さやか「あっ!!」 ガイア「!………」 振り下ろされる超獣の爪が体に当たるより一瞬早く、 空気を切り裂き、一直線に繰り出される一撃必殺の拳が 鈍い音と立て、超獣の体に沈み込んだ 超獣「ガッ…………」 バンッ!! 大超獣『ほう』 小さく呻き声を上げたその刹那、 超獣の体は粉々に砕け散り、辺りに肉片が四散する コスモス(E)「ハァッ!」 正拳突きの構えを取り、大超獣を睨み付けるコスモス 大超獣『おやおや、やる気満々のようだ』 大超獣『だが忘れたとは言わせないよ、ほら!』スッ さやか「ッ……あいつっ…また…!!」 杏子を捕らえた左腕を眼下の三人に見せつけ、 大超獣はなおも余裕を崩さない コスモス(E)「…………フンッ!!」キュイン ガイア「!?」 さやか「えっ!?…ちょ、ちょっと……ムサシさん!?」 両腕を交差させたコスモス 十字の光が輝くとともに右腕を掲げ、 渦を巻いたエネルギーが腕に 拳の先に集中する コスモス(E)「ヌゥゥウウゥ………」 シュゥウ…… 大超獣『血迷ったかい?さっき君は美樹さやかを止めたんだよ?』 大超獣『にも関わらず君は……撃つとでも?』 コスモス(E)「ォォオオオォ………!!」 大超獣の問いに答えず、 さらにエネルギーを練り上げ、狙いを定める ガイア『……本当に撃つ気だ……』 さやか「っ……で、でもさっき助けるって……」 ガイア『何か策があるんだろう……あの人が杏子ちゃんを見捨てるなんてあるわけがない』 さやか「……そっか」 さやか「そう……だよね」 目の前のコスモスの姿を見つめたまま、 じっと動かない二人 コスモス(E)「………!!」 バッ コスモス(E)「ハァァアアアアアーーーーーッ!!!」 大超獣『なに!?』 右拳を前に突き出し 眩い閃光を発しながら 奇跡の光、コズミューム光線を放つ …………………………………… …………………………………… …………………………………… …………………………………… 杏子「………それで、どっちに進めばいいんだコレ?」 教会から飛び出し、 果てのない白い世界で彷徨う杏子 自分の後ろにあったはずの教会はいつの間にか消え失せ、 あてもなくただ歩き続けていた 杏子「声も聞こえなくなっちまったし……どうすっかなぁ…」 『………こ…』 杏子「あん?」 頭の中に響く声 だがそれは先程まで話していた声とは別、 自分がよく知る、仲間の声 『こ……きょ…こ……』 杏子「この声……」 『きょ…こ!……き……』 途切れ途切れで上手く聞き取れない声 しかしその声が誰のものなのか、 杏子は既に理解していた 『起きろ!杏子!!』 杏子「はいはい……わかってるって」 自分を呼び続ける友の名を、杏子は静かに呟く 杏子「今行くよ、さやか」 杏子「そうと決まればみんなの所へ急ごうぜ!アタシはまだ戦える!」 さやか「杏子」ポンポン 杏子「ん?」 意気込む杏子の肩を叩くさやかに振り向く さやか「はいっ!」スッ 杏子「!………へへ」 右腕を突き出すさやか。それを見て杏子が笑う ガシッ! 杏子「まだやつらには大将が残ってる。こっから先もよろしくな!」 さやか「うんっ!!」 お互いの腕を交わし合い、勝利の喜びを分かち合う二人 ガイア(SV)『よし、急ごう!街の中央部へ!』 コスモス(E)『とにかく他のチームが気になる!一気に行くよ!!』 さやか「よーし待ってろ~まどか!ほむら!マミさん!」 杏子「アタシらが行くまでヘバんなよ!」 二人の魔法少女を乗せた巨人達はその場を飛び去り、仲間達の元へと急ぐ BACKまどか「…ウルトラマン!」 15 NEXT まどか「…ウルトラマン!」 17
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/41168.html
クロー C 火文明 アナザーズ:異超獣/オリジナル 2222 覚醒?前:《異超獣の紋章》 異超獣の紋章:異超獣 この異超獣の紋章はバトルゾーンとマナゾーンから火文明のAクリーチャーを1枚選び、それらの上に重ねてバトルゾーンに出す。 この異超獣の紋章は何があろうとバトルゾーンを離れず、相手のカードの効果を受けない。 自分のターンの初めに、このカードを裏返す。 (ゲーム開始時、異超獣の紋章は山札に含めず、自分の異空領域に置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、そこに戻す) 禁断解放?後:《クロー》 作者:餅キング 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/41171.html
グラス C 光文明 アナザーズ:異超獣 6000 ■ブロッカー 覚醒?前:《異超獣の紋章》 異超獣の紋章:異超獣 この異超獣の紋章はバトルゾーンとマナゾーンから光文明のAクリーチャーを1体ずつ合計2枚選び、それらの上に重ねてバトルゾーンに出す。 この異超獣の紋章は何があろうとバトルゾーンを離れず、相手のカードの効果を受けない。 自分のターンの初めに、マナゾーンのカードを光を含めて2枚タップし、このカードを裏返す。 (ゲーム開始時、異超獣の紋章は山札に含めず、自分の異空領域に置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、そこに戻す) 禁断解放?後:《グラス》 作者:餅キング 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/39323.html
ハル UC 水文明 アナザーズ:異超獣 2000 ■このアナザーズが出た時、山札の上からカードをカードを4枚引いてもよい。 ■ブロッカー 表面 異超獣の紋章 水文明 異超獣の紋章:異超獣 この異超獣の紋章はバトルゾーン又はマナゾーンからAクリーチャーを水文明を含めて2枚選び、それらの上に重ねてバトルゾーンに出す。 この異超獣の紋章は何があろうとバトルゾーンを離れず、相手のカードの効果を受けない。 自分のターンの初めに、マナゾーンのカードを水文明を含めて2枚タップし、このカードを裏返す。 この異超獣の紋章は、ゲーム開始時、自分の異空領域に置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、そこに戻す) 作者:餅キング フレーバーテキスト それは、原初の水の模倣。 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/41471.html
オリジン R 水文明 アナザーズ:異超獣 6080 ■W・ブレイカー 覚醒?前:《異超獣の紋章》 異超獣の紋章:異超獣 この異超獣の紋章はバトルゾーンとマナゾーンからAクリーチャーを合計3枚選び、それらの上に重ねてバトルゾーンに出す。 この異超獣の紋章は何があろうとバトルゾーンを離れず、相手のカードの効果を受けない。 自分のターンの初めに、マナゾーンのカードを2枚タップし、このカードを裏返す。 (ゲーム開始時、異超獣の紋章は山札に含めず、自分の異空領域に置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、そこに戻す) 禁断解放?後:《オリジン》 作者:餅キング フレーバーテキスト やっと彼の笑顔が見れた。それも飛びっきりの---アザオス 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/41172.html
ドラグーン R 闇文明 アナザーズ:異超獣 5000 ■このアナザーズが出た時と離れた時、バトルゾーンにある相手の全てのクリーチャーのパワーを-2000する。 覚醒?前:《異超獣の紋章》 異超獣の紋章:異超獣 この異超獣の紋章はバトルゾーンとマナゾーンから闇文明のAクリーチャーを合計3枚選び、それらの上に重ねてバトルゾーンに出す。 この異超獣の紋章は何があろうとバトルゾーンを離れず、相手のカードの効果を受けない。 自分のターンの初めに、マナゾーンのカードを闇を含めて3枚タップし、このカードを裏返す。 (ゲーム開始時、異超獣の紋章は山札に含めず、自分の異空領域に置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、そこに戻す) 禁断解放?後:《ドラグーン》 作者:餅キング 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ultrakaijumeikan/pages/237.html
第21話 第22話 第23話 サブタイトル:ウルトラマンエース 復讐鬼ヤプール ブラックサタン 収録:ウルトラ超獣名鑑 大超獣を超えてゆけ!編 解説ブックレットより ●ウルトラマンエース第22話(製作No.22)1972年9月1日放映 ●登場宇宙人・怪獣:暗黒超獣ブラックサタン 宇宙仮面 ●暗黒怪獣ブラックサタンは、ヤプールが送り込んできた(レギュラーとしては)最後の超獣であり、彫刻家坂井に化けた宇宙仮面が作った超獣像が実体化したものだ。そもそも超獣は「ヤプールが地球上の動物と宇宙怪獣を合体させて生みだした生物兵器」という設定で、必ずモチーフとなる実在の動物があったのだが(21話のアプラサールは設定上動物の要素はないが、デザイン上のモチーフは孔雀である)、ブラックサタンは明確なモチーフを持たない最初の超獣となった。敢えて言うなら“悪魔”ということになるだろうか。これ以降、動物要素に縛られない、一層ユニークなスタイルの超獣が続出することになる。ブラックサタンの首や腰などを飾る独特のヒレは他の超獣、また同様に鈴木儀雄が手がけた『タロウ』以降の怪獣にも見られるディティールで、このヒレやトゲ、ウロコが構成する「ギザギザ感」は、子供の感性にダイレクトに訴える2期怪獣のキモであった。 ライター 江口水基氏 補足 ● ● ● 第21話 第22話 第23話 サブタイトル:ウルトラマンエース