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未来の記憶(前編) ◆LKgHrWJock またあの夢を思い出す。 まるで現実の出来事のように熱や匂いすら併せ持つあの悪夢を。 夢の中で彼女は野生の竜となり、人間の集落を襲っていた。 ある者は彼女の吐き出す霧の中でのた打ち回りながら絶命し、 またある者は巨大な鉤爪にその身を引き裂かれて命を落とす。 巨獣と化した彼女の前では老いも若きも男も女もみな一様に 捕食されるべき下等な生物に過ぎなかった。 人としての原形を彼らから奪うことなど、彼女にとっては文字通り“朝飯前”だった。 ――嫌! こんなことしたくない! そう思っているはずなのに、身体が言うことを聞いてくれない。 肉体と精神が完全に分離してしまったかのようだ。 彼女は拒絶の声を上げることはおろか目を閉じることすらできず、 自らの引き起こす惨劇を眺めていた。 そして自分の悲鳴で目を覚ます。夢から覚めても闇の中。自分以外には誰もいない。 物心ついたときからずっと彼女は暗い部屋に幽閉されていた。 眠ることだけを強いられ、悪夢と闇を行き来する。 それが彼女――すなわち神竜族の王女として生まれたチキの幼少期のすべてだった。 何故自分がこんな目に遭わねばならないのか、誰一人として納得のいく説明をしてくれない。 だからチキはこう考えた。 自分がこんなに怖くて寂しい思いをしなければならないのは、あの夢と関係があるのだろう。 あの夢は“本当のこと”だから、つまり自分はいつか野生の竜になって人間を襲ってしまうから、 どんなに泣いても頼んでもこの暗い部屋から出してもらえないのだろう―― そしてそれは真実だった。彼女は真相に気付いていた。 しかし誰にもそのことを話さなかった。 「もう眠りたくない、みんなと一緒に暮らしたい」と泣きじゃくる彼女に 優しい言葉をかけてくれた大好きなマルス王子にさえも。 そんな話をすれば、マルスは不安になるだろう。 人間を無差別に襲うようになるだなんて知られたら、嫌われてしまうかもしれない。 マルスおにいちゃんに嫌われたらまた独りに戻ってしまう。 そう思うと、自分の抱える不安や恐怖を正直に打ち明けることなどできなかった。 でも、別にそれでも構わなかった。マルスのそばにいるときは、あの夢を忘れることができた。 マルスに「大丈夫だよ」と言われただけで、未来の自分が書き換わる。 理屈ではない。この人が言うのだから本当にそうなのだろうと純粋に信じることができる。 チキにとってマルスとはそのような存在だった。 しかし今、チキの隣にマルスはいない。 この世界に召喚される直前まで、彼女はアカネイアパレスにいた。 傍らにはマルスがおり、「もう少しで<封印の盾>が完成するよ」と彼女に笑顔を向けたのだった。 <封印の盾>が完成すれば、これからもずっと一緒に暮らせるとマルスは言った。 <封印の盾>が完成すれば、あの夢とは違う未来が自分に訪れるのだとチキは理解した。 ――マルスおにいちゃん、ありがとう! そう言おうとした次の瞬間、チキは暗闇の中に立っていた。 彼女は絶望した。泣くことはおろか、声を出すことすらできなかった。 マルスたちと過ごした日々は全て夢で、自分は今もあの暗い部屋に幽閉されており、 外の世界に出ることは未来永劫叶わないのだと思った。 しかし部屋には人がいた。それも一人や二人ではない。 大勢の人間が暗がりにひしめいているのが分かった。 首の辺りに違和感を覚える。 軽く指で触れてみると、身に覚えのない首輪がそこにあった―― ◇ ◆ ◇ 「それを寄越しな。そうすりゃ見逃してやることも考えてやるぜ?」 言いながら、男はチキに向かってゆっくりと足を踏み出した。 腰元には複数の刃物が見える。様々な形状のナイフがベルトから下がり、あるいは差さっている。 その口元は笑っているが、野獣の牙を思わせる凶暴な輝きが暗い双眸に宿っている。 あのときの人だ、とすぐに気付いた。赤毛のお姉さんを襲っていた人だ。 彼の姿を初めて目にしたそのときから“悪い人”と認識してはいたものの、 こうして間近で顔をつき合わせてみると改めて油断のならない相手だと思う。 しかもこの男、言っていることもどこかおかしい。 チキは男の顔を見た。 遠目で見たときはレンツェンとさほど年の変わらない“お兄さん”のように思えたが、 やつれた頬と青白い肌、そしてこの世のすべてを憎悪するかのような険しい表情を見ていると、 彼が一体どれほどの歳月を生きたのかすら分からなくなる。 チキは脳内で男の言葉を反芻した。 ――それを寄越しな。そうすりゃ見逃してやることも考えてやるぜ? チキは首をかしげた。見逃す、とは一体どういうことだろう。 先ほど彼は「怪我のお礼をたっぷりとしたい」と言ってきたが、 怪我を負わされたことに対して感謝するというその発想が理解できない。 それ以前に、このお兄さんの表情は「ありがとう」と言おうとしている人のものとは何か違う気がするし、 自分やレンツェンの行動とこのお兄さんの足の怪我がどう関係しているのかすらも分からないのに、 寄越せだとか見逃すだとか言われても話がまったく見えてこない。 そもそも、感謝しているはずの相手に物を要求するというのは何なのだろう。 分からないことが多すぎる。 知らず知らずのうちに、チキは右腰に下げたガラスの小瓶に手を伸ばしていた。 この臭い液体が何なのかチキにはよく分からないが、 レンツェンに言わせると子供には理解できない良さを秘めたものとのこと。 良いものなら、この局面を打開するための役に立つだろうか。 でもあんな意地悪なことを言うレンツェンの主張する“良さ”なんて―― 「俺を甘く見るなよ?」 凄絶な笑顔で男が凄んだ。 チキではなく、彼女を庇うような場所に立つレンツェンに対して。 レンツェンは崩れ落ちるようにへたり込む。 一体何をされたのだろう。 自分に背を向ける格好で震えているレンツェンの表情や 彼のこうむった被害の実態を確認することはできなかったが、 彼を見下ろす男の残忍な笑顔を一目見てチキは直感した。 男には、レンツェンの内心が手に取るように分かるのだ。 そしてチキには想像することもできないその詳細が、彼のいびつな心を満たしている。 その表情から察するに、この男は自分がとても強くて偉くて大きな存在になったかのような 錯覚に浸っているのだろう。 ――ホントに強くて偉い人は、誰かをいじめたり困らせたりしちゃいけないのに。 このお兄さん、すごく嫌! レンツェンがかわいそう! チキはレンツェンを助け起こすべく駆け寄ろうとした。 男の言っていることはよく分からない、でもこれだけは理解できる。 このお兄さんは、自分やレンツェンに決して優しくしてくれないだろう。 それどころか、意地悪なことばかりしようとするだろう。 彼は赤い髪のお姉さんをいじめていた人だ。そんな人とは仲良くできない。 「女の人をいじめるのは悪いことだよ。悪い人の言いなりになっちゃ駄目だよ」と マルスおにいちゃんだって言うだろう。そう、マルスおにいちゃん。 さっきはあんなことを言ってたレンツェンも実際にマルスおにいちゃんと顔を合わせれば きっとその正しさを分かってくれるだろう。 それにレンツェンはずっとチキと一緒にいてくれたのだ。面白いことを言って チキを沢山笑わせてくれたんだから間違ったことを言ったくらいで嫌いになっちゃ駄目、 マルスおにいちゃんだってハーディンおじちゃんが変になっても嫌いになったりしなかったんだから チキもレンツェンのことを嫌ったりしないでちゃんと助けてあげなきゃ――そう思い、 レンツェンに駆け寄ろうとした。 しかし男が先に動いた。 わずか半歩ばかり間合いを詰められただけだったが、 何をしでかすか分からない彼の異常な存在感にチキは思わず身をすくめた。 男はチキを見据えて嗤う。 己の勝利を確信しながら尚も貪欲に食らいつくような笑顔、 敗者に対する唾棄と憐憫を内包しながらそれら一切を食らい尽くそうとするかのような その笑顔は、今しがたレンツェンに向けられたものとよく似ていた。 男の表情は、チキの胸をざわめかせる。 まるで昨日の出来事のようにあの夢が脳裏に映り、 チキは知らず知らずのうちに胸の前で両手を握り締めていた。 男が楽しげに眼を細める。チキは反発を覚えた。 どうしてこのお兄さんはチキが嫌な思いをしているときに嬉しそうな顔をするのだろう。 ――チキはおもちゃじゃないのに。やっぱりこのお兄さん、すごく嫌! チキは男をねめつけた。男は大げさに肩をすくめて見せる。 「ククッ、怖いねぇ。 慈悲深い俺は身の程知らずなおまえらのしでかしたことを すべて水に流してやってもいいって考えてるってのに、その顔。 この俺の純粋な親切心を踏みにじりたくて仕方ねえってツラをしてやがるぜ。 なあガキ――」 「ガキじゃないもん! チキだもん!」 「は?」 チキの抗議に男は一瞬だけ真顔になり、ひどく間の抜けた表情を見せた。 無防備な顔をした彼はレンツェンとさほど年の変わらない若者に見える。 しかし次の瞬間には合点がいったようににやりと笑い、やがて元の悪辣な笑顔を取り戻した。 「ほう、おまえの田舎ではガキのことを“チキ”っていうのか。 聞いたこともねえなぁ、そんな方言は。 しかし人様を平然と踏みにじるようなクソガキが出来上がるくらいだ、 ロクでもねえ連中の吹き溜まりの言葉に違いねえ。 ハハッ、一体どんな扱いを受ければこんな歪み切ったクソガキになるんだろうなぁ?」 男は顎をそびやかし、蔑むような視線をチキに向けながら哄笑する。 チキは何も言わなかった。 言葉をあまり知らないチキにも目の前の男が自分や自分に優しくしてくれた人たちを 侮辱していることは理解できたが、不思議と腹立たしさを感じなかったのだ。 チキには男の言葉が自分ではない誰かに向けられているように思えた。 それが誰なのかは分からない。 ただ、人間であることを放棄したこの男の抱える人間的な絶望を垣間見たような気がして、 そこに安堵を覚えたのだった。憐れみにも似た、苦痛を伴う安堵ではあったが。 しかし実際に憐れみを表出させたのは男のほうだった。 男は出来の悪い妹を諭すように低い声で話し始める。 目には悪意を宿したまま、高価な砂糖菓子を味わっているかのような満ち足りた笑みを湛えて。 「図星で言葉も出ないか。 まあしかし、おまえを身の程知らずなクソガキに至らしめた肥溜めのクソどもを あまり恨むモンじゃないぜ。 腐った連中に潰されて駄目になるような奴は最初からその程度だったってことさ」 そこまで言うと、男は一旦言葉を切った。 チキには彼の話が理解できない。 男はどうやらチキが“肥溜めのクソ”とやらに恨みを抱いていることを前提に話をしているようだが、 排泄物を恨むという発想自体がチキにとっては青天の霹靂だった。 無論、人間を排泄物に喩えるなど想像の埒外である。 変なの。チキは男の顔を眺めながら小首をかしげた。 男の笑顔が曖昧になり、僅かな苛立ちが去来する。 彼が再び口を開いたとき、その笑顔からは余裕が失せ、 餓えた獣を思わせる凶暴な悪意のみが残っていた。 「さて、そろそろその剣を貰い受けたいんだがね。 あんたは剣を扱えないんだろう? 無力なあんたの代わりにこの俺がその剣を有効活用してやろうってんだ、悪い話じゃないだろう」 今度はチキにも理解できた。難しい言葉は知らないが、彼の望みはよく分かる。 「お兄さんはチキの鞄に入ってる剣がほしいの?」 「意外と話の分かるガキだ。そうさ、俺はその剣がほしい。 その剣を寄越すならこの怪我のことは見逃してやらんでもないし――」 男は喉の奥で声もなく笑う。 その顔ににじみ出た獣じみた残虐性が鋭く深く研ぎ澄まされていく。 「――何ならこの俺がその剣を有効活用するさまを特等席で拝ませてやってもいいんだぜ?」 チキは確信した。やっぱりこのお兄さんは変だ。 言っていることと表情や声色がちぐはぐでとても嫌な感じがする。 ただ意地悪なだけじゃない、ただ悪い人ってだけじゃない、 このお兄さんはなにか重大な隠し事をしている。 そしてチキには想像することもできないようなとても恐ろしいことを企んでいる。 このお兄さんはきっと、あの悪夢のような惨劇を引き起こしても平気でいられるのだろう。 そう思うと、今現在の気分だけでなく自分の未来までもが 黒く塗りつぶされていくような絶望感に囚われる。 チキはマルスの言葉にしがみついた。 大好きなマルスおにいちゃんが「大丈夫だよ」と言ってくれたのだ、 だからもうあの夢に怯える必要はない。自分はあの夢と決別できる。 悪夢の世界に生きるこの男にだって負けることはないだろう。 チキはデイパックの肩ひもをしっかりと握り締め、毅然と男に言い放つ。 「ダメ! この剣はマルスおにいちゃんのだもん! 悪いことする人にはあげないもん!」 「そうか。なら、仕方ねえなァ」 仕方ない。その言葉とは裏腹に男の顔は笑っていた。 チキのその返答を心の底から待ち望んでいたかのように。 男がチキに飛び掛る。その背後で何かが揺れた。 宵闇の村の景象そのものに男の影が差したかのように、男の背後の空間に暗い影が伸びていた。 チキの心に恐れはなかった。少なくとも数秒前までは。 しかし今は体が動かない。黒い影の中に浮かび上がる美しい女の目を見た途端、 まるで金縛りにかかったように足が竦んでしまったのだった。 この世のものならざる人影が陽炎のように揺らめきながらチキに向かって手招きする。 女のようでありながら男のようにも見え、 子供のように見えたかと思うと次の瞬間には老人のような表情を見せ、 あらゆる姿に変化しながらいずれの存在にもなり得ない混沌の化身たる死神が チキの身体に流れる神竜の血を凍りつかせた。 男の手元が鈍く光る。 襲撃者はチキの腹部に拳を叩き込みながらもう片方の手を左肩の向こうに伸ばした。 チキの呼吸が衝撃で止まり、焼けるような不快感が喉の奥に込み上げる。 腹部にちくりと痛みが走り、チキの肩の後ろにある何かを男の右腕が掴むのを感じた。 鞄から出ているあの柄だ。このままでは男に剣を奪われてしまう。 チキは右腰で揺れるガラスの小瓶に手を伸ばした。 しかしチキの指は冷たい瓶から滑り落ちた。 上半身に左向きの強い力がかかり、転倒しそうになったのだ。 しかし実際にバランスを崩していたのは襲撃者のほうだった。 男の左手がチキの腹部から離れ、石と金属のぶつかる音が足元で小さく鳴った。 その顔からは笑みが失せ、焦りと戸惑いが取って代わる。 一体何が起きたのだろう。 蒼白い顔で身体をよろめかせる男の姿はまるで死神に取り憑かれた重病人のようだった。 己を世界に繋ぎ止めようとするかのように、骨ばった指がチキのしなやかな二の腕を掴んだ。 短い爪が肌に食い込み、襲撃者の体重が小柄な体にのしかかる。 チキは悲鳴をあげながら左向きに転倒し、地面に横臥した彼女の上に男が覆い被さる格好となった。 視界に己の腹部が入る。 自身のまとうピンクのチュニックに大きなシミがついている。 色彩感覚を狂わせる夕闇の中にあっても、 それが自らの流した血であることを痛みによって理解する。 そして理解することによって痛みがいっそう存在感を増す。 永遠にも思える数秒の間、襲撃者はチキに全体重を預けていたが、 やがて荒い息をつきながらゆっくりと体を離した。 錯乱しつつあったチキの意識に男のかすれた声が割り込んでくる。 「クソッ、早いとこ終わらせねえとマズいな……」 襲撃者はチキの側頭部を右手で抑えつけながら脇腹の辺りに跨った。 傷口に直接触れられてなどいないはずなのに、 男の一挙手一投足が耐えがたい激痛を腹部にもたらす。 チキは苦痛に喘ぎながら「痛い、動かさないで」と懇願した。 しかし男はチキの訴えに耳を貸す気配など見せない。 地面についたその膝が立てるかすかな土埃にむせ返りそうになり、 伸縮する腹筋のもたらす激痛に呼吸が止まり、チキは耐え切れずに泣き出した。 どうしてこんなことになったのだろう。 両腕は自由に動かせるものの、男の体に遮られあの小瓶に手が届きそうにない。 一体どうすればいいのだろう。 さっきまであんなにチキを笑わせてくれたレンツェンはどこに行ってしまったのだろう。 「レンツェン……、レンツェン! レンツェンはどこに行ったの!? 助けて! 痛い……痛いよレンツェン……助けて……」 泣きじゃくるチキに男が問う。 「レンツェンってのは、あの派手な格好をした男のことか?」 チキは何も言わなかった。男の嘲笑が聞こえる。 「あの兄ちゃんならとっくに逃げたぜ。 つがいの鳥を狩るときは先に雌を殺るってのが基本だが、 おまえのようなガキごときに雌としての価値なんざねえってことだな。 それどころかあいつは心の中でおまえを邪魔者扱いしていたんじゃねえか?」 「チキ、意地悪な人とはお話ししたくない」 「だったら俺の前でガタガタ騒ぐんじゃねえ。 もうすぐ楽にしてやるからおまえを見捨てた奴のことなんざ忘れな」 視界の外にある男の表情を確認することはできないが、その声は意外なほど優しかった。 大人しくしているだけで苦痛を取り除いてもらえるのなら黙って従おうと思えるほどに。 しかし痛みが彼の本心を教える。 両肩を後ろに引っ張られるような感覚があり、チキははっと息を呑んだ。 チキの背負っているデイパックに強い力がかかっている。 男がデイパックを物色し、おそらくはその向きを変え、何かを力任せに取り出そうとしているのだ。 それが何なのかは見なくても分かる。 このお兄さんは、さっきからずっとチキの鞄に入っている剣を欲しがっていたのだから。 込み上げる絶望が、潰えたはずの闘志を復活させる。 この男はとても恐ろしいことを企んでいるのだ。 彼に剣を奪われたらマルスには二度と会えなくなるような気がした。 ――そんなの嫌! マルスおにいちゃんと離れたくない! チキは悲鳴をかみ殺しながら男の右足にしがみついた。 彼はさっきチキたちのせいで足に怪我を負ったと言っていた。 男の怪我がどの程度のものなのかは分からないが、 血が沢山出ているときは体を少し動かしただけでもたまらなく痛いということを チキは今日身をもって知った。 このお兄さんは怪我を負わされて「ありがとう」と言いに来るくらいだから、 本当は痛くなどないのかも知れない。 でも、たっぷりと礼をしたいと言いながらちっとも感謝しているようには見えないから、 やっぱりとても痛いのかも知れない。 このお兄さんの考えていることはチキにはよく分からない。 ただ、お兄さんのズボンの右足には血が沢山ついているから、 怪我をしているという話は本当なのだろう。 このお兄さんから剣を守るためには痛みを与える必要があり、 痛みを与えるためには怪我を負った個所を責めればいい。 どこに怪我をしたのかは大体分かる。 お兄さんのズボンは少しだけ破れているから―― チキは右手を男の太股に這わせながら、 ベルトに差したナイフを奪うべくもう一方の手を伸ばそうとした。 しかし頭を押えつけられているせいで左手が腰まで届かない。 両腕を少し動かしただけで腹筋までもが伸縮し、激しい苦痛に苛まれる。 それでもマルスとの別れに比べれば肉体の痛みなどほんの些事に過ぎなかった。 剣を奪われればマルスにはもう会えないだろう。 チキにとってマルスを失うことは世界の終焉と同義だった。 自分の人生からマルスが去ればあとに残るのは闇と孤独、そして終わることのない悪夢のみ。 マルスは光、怪物になるはずだった少女に人としての命を与えた救い主。 腹部の傷がまるで異物のように熱を帯びて疼き、チキの心身を支配しようとするが、 チキはマルスの笑顔を思い出し彼のもとに戻ることのみを考えて苦痛を意識から締め出した。 右手が布地の裂け目を探り当てた。 潜り込ませた指を力任せに突き立てるが、襲撃者の体には何の変化も生じない。 傷口そのものを責めなければ意味がないのだ。 素肌に指を滑らせると、明らかに他とは違う個所があった。 見つけた、これで勝てる。チキは湿り気を帯びたそこに指を突き立てようとした。 しかし男が先に動いた。 彼はチキの頭を押さえつけていた右手を離すと、膝をついたまま腰を浮かせ、上半身を前に倒した。 ナイフを奪うべく伸ばした左手が木製の柄に触れる。チキは柄に手をかけながら、 男の足から滑り落ちそうになっていたもう一方の手の親指を傷口の辺りにねじ込んだ。 「クソッ、往生際の悪いクソガキが……」 男が毒づき、デイパックの肩ひもが深く食い込んだ。 このままではこの男に剣を奪われてしまう。マルスおにいちゃんに会えなくなる。 チキは男の傷口を叩き、引っかき、指を突き立て、力任せに抉った。 加害行為の代償だとでも言わんばかりに、胴を引き裂くような激痛が腹部を貫く。 自らの意に反して無様な悲鳴が漏れるが、それでもチキは指先に込めた力を緩めようとはしなかった。 頭上から罵声が降り注ぐ。 布越しに感じる男の筋肉の動きから、彼が体勢を大きく変えようとしていることに気付く。 チキは左手に掴んだ木製の柄を力任せに引き抜くと、 形状すらも確認できないその刃を男の足に叩きつけた。 しかし返ってくるのは岩を刺そうとしているかのような手応えのみ。 チキの細い腕では分厚い布地と鍛え上げられた筋肉を切り裂き、或いは貫くことなどできなかった。 背中を地面に縫い付けられるような感覚に襲われ、 チキの両手が襲撃者の太股から滑り落ちた。 それがデイパックを踏みつけられたためだと気付いたのは、 もう一方の足で腹を蹴り飛ばされてからのことだった。 激痛に貫かれ薄れゆく意識の中で何かが割れるような音を聞いた。 奇妙な清涼感を伴う液体が腹部を濡らし、 人工的な甘さと鋭さを有する濃密な匂いが鼻腔を突く。 あの小瓶が割れてしまった。小さな希望がこぼれ落ちてゆくのを感じる。 襲撃者は身を転がしながら体勢を立て直す。 その手に握られた長剣の柄には見覚えがあった。 チキの鞄に入っていたものだ。男に剣を奪われた。 長剣を地面に突き立て、それを支えにゆっくりと立ち上がる 襲撃者の姿にチキの心が冷えていく。 ――マルスおにいちゃんごめんね……、チキはもう……。 このまま意識を失えば二度と目覚めることはないだろうと思った。 きっとあの夢すら届くことのない深い眠りに就くのだろう。 あの夢から逃れたい、あの夢とは違う未来がほしいと切に望んでいたが、 このような形での決別は不本意極まりなかった。でも、もう―― あまりにもひどい悪臭のせいだろうか。 チキの意識は消え失せるどころか冴え渡り研ぎ澄まされていく一方だった。 心なしか腹痛も和らいだように感じる。 全身にみなぎっていく活力を己の内にとどめておくことなどできず、チキはゆっくりと体を動かした。 慎重な動作は苦痛を警戒してのことだったが、思ったほどの痛みは感じない。 それどころか疲労が消え失せ身体が軽くなったようにすら思える。 チキは男から奪ったナイフを右手に持ち替え、しっかりと握り直した。 その刃は薄く、大好きなマルスおにいちゃんの手のひらほどの長さしかなかったが、 襲撃者を退けマルスの元に戻ることのできる可能性が未だ手の中にあるのだと思うと勇気が湧いた。 男の様子を窺うと、彼もまた手に入れたばかりの武器を両手で持って確認し、 片手で握り直していた。あんなに重いものを腕一本で扱うなんて。 相手との力の差を改めて実感し、岩のような存在感に圧倒されそうになる。 男は淡く輝く刀身をしげしげと眺めながら愉悦し、残忍な笑顔をチキに向けた。 「さて、切れ味のほどを試してみるとしようかね?」 言いながら、ゆっくりと歩を進める。 しかしその足が不意に止まり、男の顔から笑みが消えた。 「嫌な匂いだ。こいつ、ガキの分際で香水なんざ持ち歩いてやがったのか」 男は嫌悪もあらわに顔をしかめた。 半眼になった目にはもはや獣じみた貪欲さはなく、 拒絶にも似た憤怒が抜き身の刃物のような危うさをその視線に与えていた。 「ふざけやがって! おまえも心の中で俺のことを馬鹿にしていたんだろ! そうに決まっているさ、そういうものを身に付けたがるような女はみんなそうだ、 淫売の分際でこの俺を見下してやがる! クソッ、ナメやがって!」 感情の赴くまま怒鳴り散らす男の姿にチキは呆然となった。 このお兄さんは一体何を怒っているのだろう。 彼の支離滅裂な言動は今に始まったことではないが、 この激昂ぶりはあまりにも常軌を逸していると言わざるを得ない。 男は長剣を逆手に持ち替え、もう一方の手も柄に添えると、 その切っ先をチキの右太股に叩きつけた。 骨の砕ける衝撃に声を出すこともできないチキを冷ややかに見下ろしながら、 肉を抉るように刀身をねじり、ゆっくりと引き抜いた。 湧き水のように溢れ出す鮮血が地面に黒い模様を描く。 「一太刀で殺してやろうと思っていたが、気が変わった。 おまえには俺と同じ傷をくれてやる」 ◇ ◆ ◇ レンツェンハイマーは民家の外壁に背をもたせかけ、暗紫色の空を仰ぎ見た。 隙を見計らって民家の陰に逃げ込んだものの、 未だ足腰はまともに立たず、早鐘を打つ心臓は今にも口から飛び出しそうだ。 ――ええい、うるさいぞ! この鼓動は一体どうしたことだ。 こんなに激しく脈打っていてはあの少年に聞こえてしまうではないか! 俺の心臓よ、止まれ、止まれ、止まれ止まれ止まれ止まれ、止まらんか! 何故止まらん! 俺の命令が聞けぬのなら無理矢理にでも止めてくれるぞ! ……あ、いや、それはまずい。それではこの俺様が死んでしまう。 ああ、俺の頭は一体どうなってしまったのだ。 俺は天才軍略家レンツェンハイマー、リーヴェ王になるはずだった男なのだぞ! レンツェンは両手で頭を抱え、視線をゆっくりと地面に落とした。 向こうからあの少年とチキの声が聞こえてくる。 会話の詳細は聞き取れないが、その声色からチキが泣いているのだと分かる。 彼女はしきりに痛みを訴え、半ば悲鳴混じりに「動かさないで」と懇願している。 恐らく、あの少年に強姦されているのだろう。 ――あんなガキに欲情するのか。浅ましい。これだから育ちの悪い奴は嫌だ。 レンツェンは苛立ちを覚え、そんな自分に疑問を覚えた。 ――どこの馬の骨とも知れないガキがならず者の少年に強姦されたからといって、 何故俺が腹を立ててやらねばならん? そのような行為に及ぶ者は俺の配下の兵士にもいたし俺はずっと黙認してきたというのに、 今朝知り合ったばかりのガキを特別扱いしてやる必要性がどこにあるというのだ? むしろこれは歓迎すべきことではないか。 少年の注意がガキに向いている隙に、俺は安全な場所まで逃……もとい撤退できる。 落ち着いて考えてみろ、あのガキが一体何の役に立った? 有能なボディガードを連れて来るどころか、 いらん騒ぎを起こして俺様の命を脅かしたではないか。 人間様に危害を加える家畜などただの害獣、殺されて当然だろう。 自分を取り戻すにしたがって、心拍も平常に戻っていく。 そろそろ動けるだろう。逃……もとい撤退の時間だ。 レンツェンは壁に立てかけていたゴールドスタッフを両手で持って地面に突き立てると、 杖に体重を預けながらゆっくりと立ち上がった。支えを外しても直立できることを確認してから、 杖をデイパックに収納し、音を立てぬよう慎重に歩を進める。 このまま民家の裏手に回り、村の外まで一気に走ろう。幸いこの靴は動きやすい。 あの少年に気付かれたとしても足に怪我を負っている彼に追いつかれることはないだろう。 そのときチキの悲鳴が聞こえた。 「レンツェン! レンツェンはどこに行ったの!? 助けて!」 レンツェンは思わず足を止めた。 首の辺りに違和感を覚え、首輪がそこにあることを自らの指で確認する。 自分の名を呼びながら助けを求める者の声など レンツェンにとっては虫の鳴き声同然の取るに足りないノイズだった。 彼らはレンツェンに命乞いをする。レンツェンが権力者だから。ラゼリアの太守だから。 レンツェンは常に彼らの期待に背くよう最大限の配慮をもってその声に応えた。 彼らが求めるのはレンツェンハイマーという人間の慈悲ではない。 自分に都合の良い支配者、すなわち憎きリュナンのような人間だ。 だからレンツェンは彼らを裏切る。 リュナンを求める者など苦しめばいい、彼らの姿を見たリュナンもまた苦しめばいい。 リュナンになれない俺を認めない者などみな死んでしまえばいいと思っていた。 しかしあの少女は違った。彼女は太守の意味すら理解しておらず、 このレンツェンハイマーがリュナンのような人間ではないと思い知ったにも拘わらず、 レンツェンに救いを求めたのだ。 では、助けに戻るか? レンツェンは振り返り、かぶりを振った。 ――馬鹿な。俺は一体何を迷っている? 一時の情に流されて無謀の挙に出るなど、 天才軍略家にあるまじき愚行の極みではないか。 あのようなガキなど見殺しにすればいい。 ガキは簡単に人を頼る、それだけの話だ。振り回されてやる義理などない。 息を殺し、足音を忍ばせ、レンツェンは民家の裏手に辿り着いた。 あとは駆け出すだけだ。 建物の向こう側からチキと少年の声が聞こえるが、何を言っているのかまでは聞き取れない。 レンツェンは地面を蹴ろうとして逡巡する。 チキの声が聞こえるということは、彼女がまだ生きているということだ。 今なら間に合うかも知れない。チキの言葉が脳裏によみがえる。 ――えらい人には、その地位にともなう責任と、義務があるんだって。 だから、えらい人は困った人や弱い人がいれば助けなきゃいけないの。 不快だった。その内容もさることながら、 善人気分を味わいたい連中の悪趣味な戯言ごときを黙殺できず 合理的な行動を取れなくなった自分に対して苛立ちを覚える。 ――俺は一体何をしているのだ? 赤の他人の悪趣味をわざわざ思い出して感情を揺さぶられてやるなど悪趣味の極みだ。 そのような娯楽はラゼリアに帰還して余暇ができてから気が済むまで満喫すればいい。 今は一秒すら無駄にはできない。余計なことを考えている暇があるならさっさと走れ―― 「クソッ! このガキは化け物か!?」 少年の怒鳴り声が聞こえ、レンツェンは踏み出すはずだった足をまた止めた。 少年は焦り、戸惑っている。チキが反撃に出たのだろう。 戦うすべを持たないガキなど足手まといにしかならないと思っていたが、 あの少年にここまで言わせたとなれば話は別だ。 戦力になるなら手元に置いておきたいし、助けに戻る価値だってある。 引き返そうかと思い始めたとき、再びチキの悲鳴が聞こえた。 「触らないで! チキは物じゃないもん! ……放して! チキに触らないで!」 怒りと嫌悪に腕が震えた。 育ちの悪そうなならず者ごときに自分の持ち物を勝手に汚されるなど許しがたく、 極刑をもって臨まねばならないほどだった。しかし身体が動かない。 チキが危害を加えられているのなら自分一人であの少年と戦わねばならないし、 あの少年がチキに何をしているのかをこの目で確認する羽目になるだろう。 許せない。そう思っているはずなのにレンツェンはその場に立ち尽くす。 空は紫から黒になり、風が冷たくなってきた。 ふとレンツェンは異変に気付いた。チキの声が聞こえない。 少年が一人で何事かを話しているようだが、声色が普通ではなかった。 その具体的な内容を聞き取ることはできないが、彼の声は到底勝者のものとは思えない。 今なら勝てる。確実に勝てる。天才軍略家の勘がそう告げる。 ――よし、出陣だ。あの見るからに育ちの悪そうな少年には、 この俺様の所有物に傷をつければどうなるのかを思い知らせてやらねばならん。 レンツェンは装飾過多な黄金の杖を取り出し、両手で握り直す。 この重みから察するに、純金製なのだろう。 大小様々な宝石を散りばめることで軽量化を図っているが、 それでも鉄の剣などとは比べ物にならないほどの重みがある。 この杖で相手の頭を殴りつければ命に関わるような怪我を負わせることも可能だろうが、 自分の腕力ではそのような使い方はできないだろう。 それに武器として用いた場合、耐久性に疑問が生じる。 相手に気付かれる前に、一撃で決めなければ。 逃……もとい撤退できるだけの隙さえ作り出せればそれで―― 「助けて! マルスおにいちゃん助けて!」 空気を引き裂くチキの悲鳴がレンツェンの心を切り裂いた。 見捨てられた。杖が手から滑り落ち、レンツェンはその場にへたり込む。 チキが最後に頼ったのは自分ではなくマルスだった。 ラゼリアの民が自分ではなくリュナンを求め支持したように、チキもマルスを選ぶのだろう。 やはり子供など気紛れで身勝手、さっさと見捨てて逃げ出すべきだった。 あの時走り出してさえいれば、自分の中のチキはいつまでも レンツェンを必要としてくれていたのに。 脳裏に映る記憶の中のチキが無垢な瞳でレンツェンに問う。 ――レンツェンも、マルスおにいちゃんと一緒でとってもえらい人なんでしょ? その言葉が弱音を粉砕し、死んだ心に命を与えた。 ――マルスおにいちゃんと一緒で、か。 貴様はこんな俺でもマルスやリュナンのように生きられると信じてくれていたのだな。 ならば貴様に対してだけは俺もそうなってやろう。 レンツェンは きれいなレンツェンに しんかした! のうないが 8ビットに なった! チキから 5パーセントの しえんこうかを えた! しぼうフラグ を てにいれた! → どうぐ → しぼうフラグ → すてる しぼうフラグ「わたしをすてるなんて ゆるさない! ころしてやる!」 レンツェンは Bボタンで キャンセルした! → どうぐ → しぼうフラグ → つかう しぼうフラグ「あなたのかのうせいを めざめさせてあげる!」 レンツェンは ハイプリンスに クラスチェンジした! テンションが 5 あがった! しえんこうかが 5 あがった! ごうとう の スキルを おぼえた! → ターンしゅうりょう 未来の記憶(後編)につづく 101 Legion 投下順 102 未来の記憶(後編) 100 臨時放送 時系列順 102 未来の記憶(後編) 098 ハイ・プレッシャー ヴァイス 102 未来の記憶(後編) 098 ハイ・プレッシャー チキ 102 未来の記憶(後編) 098 ハイ・プレッシャー レンツェンハイマー 102 未来の記憶(後編)
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ココス (深夜3時。 ココス (キアシス。 ココス (何処かの…街の重要な施設の… ココス (あまり素行が良くない方々が連れてこられる ココス (重要な一室。 ココス (いわゆる ココス (取調室だ。 ココス だーかーらー ココス なんか暴れてたからボコボコにしてー ココス そしたらお腹すいたから ココス ペロりんって食べちゃっただけにゃ! ココス (八首魔術師。ココス=スカイラーク ココス (黄色のTシャツに赤のミニスカ ココス (返り血と土埃でドロドロの格好 ココス (特に口周りは血塗れでベトベト ヒサヤ いやぁーーーー……ね。(溜息なのか感心なのか分からんが、深々息を吐く男 ココス (深夜3時に急に出会ったら失神する人が居てももおかしくない出立ち ヒサヤ (そんなスプラッタ映画お嬢さんの向かいに座る、制服姿。…そう、 ヒサヤ (おまわりさんである。 ヒサヤ そりゃあね?解りますよ。あんた個人の事としては完全に理解できますよ。でもね。 ヒサヤ 警察としては、ソレでハイおしまい、とはいかねぇ訳で。 ……何だ、その。 ヒサヤ もうちょっと何とかならなかったんですか。 ココス あんだとー!結構強かったんだぞアイツー! ココス たまったまキアシス最強のあたいが通りかからなかったらとんでもねーことになってたはずにゃ! ココス 特に八首としての指令が出てたわけでもないけど、ついヤっちゃったゼ! ヒサヤ そらぁね。相手は特■級襲撃者。闇夜と霧に紛れ、夜な夜な女性を襲うという。通称ジェイソン・ジャック…… ココス ほーらー!ケーサツもマークしてるんじゃんかー! ヒサヤ お手柄でした。よう出会ったわ。 ていうか実体あったんだなぁ。もう無くなってっけど。 ココス そーだそーだ!もっと褒めろよヒサヤっちー! ヒサヤ ココスさんを「若くて綺麗な女性」判定したのが運の尽きでしたねぇ… ココス あたいはちゃんと褒められるとフツーにめっちゃ嬉しいからなー!! ココス 若くて綺麗!マジ!!え!!もっかい言って!! ヒサヤ え、コレ褒め判定でいいんか? ……えー、若くて綺麗で健康的に食欲旺盛なココスさん。 ココス にゃー!ったはー!!! ココス ヒサヤっちもやるにゃー!事情聴取ついでにほめ殺しとはー! ヒサヤ マジか。いいんかコレで。…えー、肉片とか服の切れ端とかちょっと残してません…? ココス 肉片何処から再生するかわかんないから全部残さず食ってやったゼ! ココス なんてったって相手、吸血鬼だったからにゃ! どうりで闇夜の霧に紛れられるはずにゃ! ヒサヤ 残さず食べてえらい! ………はぁ(溜息 ヒサヤ ……吸血鬼。つー事はその大量の返り血も、特定不可能なくらい多種の血液が混ざり合った物…ってトコですか。 ココス あーでもイケっかもしんねーぜヒサヤっち! ココス 相手かなりちゃんとした吸血鬼っぽかったからな!! ヒサヤ (ほう、と ココス この辺の血掬っても主張強すぎてなんとかなるかもしんないにゃ! ココス なんてったって…カリーナの名のある名家がどうたらって言ってたからにゃ〜〜〜!(しれっとにゃはははと笑いながらやべー事を言う ヒサヤ あー。純血種…… ん、んー…? ヒサヤ ぁーーー……ソレなんか面倒な事になりそうなヤツですね。 ヒサヤ 割と日の下謳歌してた系襲撃者ですか。夜の街ですけど。 ココス さーにゃ! 昔は名のある名家だったけど没落したパターンかもしんねーゼ? ココス キアシスもカリーナも名家多すぎてよくわかんねーからにゃ! ウチもそうにゃ! にゃーっはっはっは! ヒサヤ それもあるし、それも言えてますね。 つーか。 ヒサヤ 悪事働く方が悪いんだからな!(到底警察と思えない笑い方だ ココス そうにゃー? ココス あたいみたいな・・・んー? ココス んー?あたいみたいなー。なんだっけヒサヤっちー? ヒサヤ …ん? ココス ねーねー! ココス あたいみたいなー!どんな人を襲う極悪人ー? ヒサヤ (…あぁ。(何か納得して ヒサヤ ま、悪い奴を喰い散らかすのは、プラマイで良い事…ってワケじゃねぇですからね。 ココス ぇー!!!!? ココス あたい、もっと褒めてほしいんですけどぉー ヒサヤ あんまりおいたするのは頂けませんね。 、ってえ、何。 ヒサヤ てっきり叱られてぇのかと思ったわ。(敬語外れた!? ココス なんでにゃー!!? ココス 叱られる………のもまぁ、、嫌いじゃないけど(もじもじ ココス 褒められる時は褒められる方が好きにゃ! ヒサヤ いやーコミュ難いな?(はははーっと ココス ぇぇーー!!そんなに難しい話かにゃー!? ココス 「若くて綺麗な女性ココスさん」って後100回ぐらい言ってほしいにゃー! ヒサヤ そりゃあだって…(――良い時は良い子って、悪い時は悪い子って、これからも言って欲しいにゃ!)…ま、いいわ。 ココス もー…しょうがないにゃあ。 ココス (Tシャツの肩口引っ張って左肩を見せる ココス この辺に奴が口から吐いた血がいっぱいついてるから好きなだけ取っていくが良いにゃ ココス カリーナの方で調べたら何処ぞの誰々さんか詳しくわかるかもしれないにゃ? ヒサヤ ぅぉ。 結構マジでお手柄じゃないですか? ココス へへん!あたいを誰だと思ってるんだい! ココス 最強の八首ファイター、ココス様だぜい? ココス あ。若くて綺麗で最強なココス様にゃ??? ヒサヤ よっ!最強八首のココスさん! 若くて綺麗! ココス にゃはー!!!きゃー!!!(頭抱えて恥ずかしがる ココス もっと言ってにゃー!! ヒサヤ (本当にこれでいいんかい、と逆に心配になるが、まあいいか、と ココス ねーねーねーねー! ヒサヤ 何でも噛み千切る八重歯がキュート! ココス え。ちょ、、え?! ヒサヤ 獲物を逃さない大きな瞳!睫毛が案外細かくて綺麗! ココス っっふぇええええ!?!! ヒサヤ ん? もっと言ってって言ったじゃないですか。(頬杖で ココス ちょぇ、えあ。。。。ぅ。。(もじもじ ココス ふ、普通に褒めるのは不意打ちにゃ。。。。 ヒサヤ …えぇー。そんな普段褒めてねぇかな俺…(苦笑しつつ身を振り返り… ココス こ、、こう、襲撃者のターゲットだったから仕方ないデスヨネー的な…アレ。。。かと…(もにょもにょ ココス し、仕事中だょ!?(思わず ヒサヤ え。そっちがソコ気にします??(いっそ笑って ココス ふ、、ふ不意打ちにびっくりしたのら! ヒサヤ まあ確かにこれ公的記録残りますしね。俺も後でぁーってなるかもしれねー…けど。まあ。 ココス め、、、面倒な最高戦力のココスさんの面倒を見るのもヒサヤっちの大事な仕事だからなぁ?! ココス ちゃ、、ちゃんと褒めるのも大事な仕事!そうにゃの! ヒサヤ はい。有力な手掛かりを頂けるワケですし。ちょこーっとご褒美あげてもいいかなーとか… ココス にゃーーー!!!ヒサヤっち好き!!!! ヒサヤ チョロ!!!いいんか!?(ついに言った ココス あたいは超満足にゃ。満腹以外でこんなに満たされる事は無いぜ。もう大好きの気持ちが溢れるにゃ! ヒサヤ …(やれやれと笑って、ふと思い立って ヒサヤ (取り調べ机に軽く身を乗り出し、ココスの方に――…白手袋の片手を伸ばす ココス にゃ・・・! ヒサヤ ありがとう。助かった。(ポン、と頭に ココス ふぇ ココス 、、、ぅ(お顔がみるみる真っ赤に ヒサヤ (ん、と笑って ココス ゃばいにゃぁ。。、、、(ヒサヤの笑みを恥ずかしそうに見つめ返して ココス ヒサヤっち魂のイケメン…大好きすぎるにゃ…ヤバい奴にゃ… ヒサヤ ん、っとーに… 褒め返しですか?(苦笑しつつ、やがて手が離される― …手袋真っ赤なんですが ココス んー、、、あたいの溢れ出る、、愛情にゃ! ココス ねー、ねーねーねーねー。 ヒサヤ はは。それはどーも、…ん?何です? ココス …えっと、、 ココス …抱いてにゃ!!! ヒサヤ 、(ぶっふと思わず咽て ココス 抱いて欲しいにゃー!!(仕事中とは何だったのか。大声であろう事か連呼! ヒサヤ 仕事中ですよ???(今度はこっちが言った ココス もう好きの大洪水なのにゃ!! ココス ヒサヤっちがイケメンすぎて我慢がヤバいにゃ! ヒサヤ ぁーーー………(しゃあねえなぁ、と半分諦め苦笑で ココス にゃー!!(わくわくの歓喜の声 ヒサヤ ……イイコにしてたら、後でな?(ぽそりと小声で、言霊を込めてココスの耳に ココス へにゃ・・・!!!(ピシッと背筋揃えて着席 ココス 良い子!良い子にするにゃぁ・・・! ココス (懇願の瞳でヒサヤを見つめる若くて綺麗で最強なココスさん ヒサヤ …んじゃあ。 そろそろ血液の方採らせて貰いますね。(ずっと血みどろフィーバーだし肩出してるし、ってのもあるが ヒサヤ (なるだけ早く終わらせてやろう、という気持ちもある。言わないけど。 ココス はぁい。ヒサヤっち。(良い子にしてるにゃ! ヒサヤ (そうして、いかにも警察っぽいサンプル採取やら諸々の手続きに入るのであった ヒサヤ (―――夜をお楽しみに! と言いたい所だが… ヒサヤ (現在深夜三時。解放されるのは早くて朝である。 ヒサヤ (朝をお楽しみに!
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陣営/鬼 勝利条件が個々によって違う特殊陣営です。 共通の勝利条件は「自分自身の生存」で、蝙蝠陣営同様、他陣営の勝敗と競合しません。 ゲーム終了時に鬼陣営をコピーした鵺系・変化前の覚醒者・夢語部がいた場合、 例外的に勝利条件は「自身の生存のみ」となります。 恋人は恋人陣営と判定します (例:恋人の曲者は曲者陣営とはカウントしない)。→前鬼、後鬼 2日目以降の夜に生徒一人を攫う (暗殺の一種) ことができます。→サブ付加の鬼もいます 曲者に襲撃されても一定確率で無効化します (襲撃は失敗扱い)。 襲撃者が天才忍者 (完全覚醒状態) だった場合は耐性無効です。 暗殺を一定確率で反射します。 生存カウントは生徒です。 精神鑑定士・無粋な保健委員の判定は「鬼」です。 勝利条件 榊鬼だけはやや異なるので注意。 名称 勝利条件 鬼 自分自身と曲者系 (種類・恋人不問) の生存 前鬼 自分自身の生存 + 曲者陣営の全滅 後鬼 自分自身の生存 + 妖狐陣営の全滅 榊鬼 出題者陣営の勝利、または自分自身の生存 金鬼 自分自身の生存 + 自分と同列の左側にいる人の全滅 + 生徒陣営の勝利 風鬼 自分自身の生存 + 自分と同列の右側にいる人の全滅 + 生徒陣営の勝利 水鬼 自分自身の生存 + 自分と同列の上側にいる人の全滅 + 生徒陣営の勝利 隠行鬼 自分自身の生存 + 自分と同列の下側にいる人の全滅 + 生徒陣営の勝利 般若 自分自身の生存 + 女性の全滅 夜行鬼 自分自身の生存 + 共有者系・曲者系・妖狐系の全滅 酒呑童子 自分自身の生存 + 生徒陣営*以外*の勝利 星熊童子 自分自身の生存 + 学園の人口を三分の一以下にする 茨木童子 自分自身の生存 + 精神鑑定士が『嘘吐き』判定を出す人の全滅 夜叉 自分自身の生存 + 曲者系 (恋人を含む) の全滅 夜叉丸 自分自身の生存 + 蝙蝠陣営の全滅 + 生徒陣営の勝利 滝夜叉姫 自分自身の生存 + 保健委員系・魔法使い系の全滅 荼枳尼天 自分自身の生存 + 男性の全滅 鬼子母神 自分自身の生存 + 子狐系・愉快犯系・天使系の全滅 + 生徒陣営*以外*の勝利 金剛夜叉 自分自身の生存 + 蘇生能力者の全滅 + 生徒陣営*以外*の勝利 阿修羅 自分自身の生存 + 生存陣営数が出現陣営の半分以下 毘沙門天 自分自身の生存 + 自分よりサブ役職の所持数の多い人の全滅 所属役職 鬼系:鬼 前鬼 後鬼 榊鬼 金鬼 風鬼 水鬼 隠行鬼 般若 夜行鬼 星熊童子 茨木童子 酒呑童子 夜叉系:夜叉 夜叉丸 滝夜叉姫 荼枳尼天 鬼子母神 金剛夜叉 阿修羅 毘沙門天 榊鬼の「劣化強毒者」について 毒の巻き込み対象は「曲者系 + 妖狐陣営 + 鬼陣営」になります。 通常の強毒者は「曲者系+妖狐陣営」のみ。 名前 コメント
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(尻尾のついた毛玉-新データ) 植物属木霊種 生息地 生物廃棄場 特徴 ①尻尾 ②温厚 ③剛毛 体力 D 魔力 B 知能 A 器用 E 俊敏 A 攻撃 C 防御 C 魔攻 D 魔防 A 耐性 E 創造神評価 -点 生物繁栄度 -% 昔生物廃棄場がまだ稼働していた時の頃に作った生物ですね 先日闘技場にも出てましたが素晴らしい身体能力の持ち主でしたね とは言え廃棄場は閉鎖されてかなり経ちますが…どうやら内部で独自の生態系を築いているみたいですね 創造神様 いかがいたしますか? 1.廃棄場見るのちょっと怖い… 2.廃棄場の様子を覗いてみよう dice1d2=2 (2) では廃棄場を覗いてみましょうか 天界の片隅でどのような生態系が出来ているのか…少し楽しみですね まず見つけたのは… 1.尻尾のついた毛玉の個体 2.その他の生物の個体 dice1d2=1 (1) 毛玉の個体を見つけましたよ どうやらあの子は… 1.廃棄場に生えた草を食べている 2.仲間と対話している 3.身を隠して寝ている 4.狩った獲物を食べている dice1d4=2 (2) どうやら対話しているみたいです どんな会話か少し翻訳してみますね… 1.たわいもない世間話 2.高度な情報のやり取り 3.新しい餌場や縄張りの情報交換 4.廃棄場からの脱出について dice1d4=1 (1) ただの世間話だったみたいですね 意外と廃棄場は穏やかな空間なのでしょうか? 1.何事もなく仲間と別れた 2.仲間が増えた 3.何かが二匹を見つめている… 4.突然襲撃された! dice1d4=2 (2) おや また個体の仲間が集まりましたね 集まって世間話をしています どうやらここは猫の集会所のような尻尾のついた毛玉が集まる場所みたいですね 闘技場で見た個体は非常に好戦的でしたが 一般的な毛玉は温厚に過ごしているようです 1.何事もなくのんびりしている 2.さらに仲間が増えてもふもふ空間に 3.その時何かが集会所を覗いていて… 4.級に襲撃者が現れた! dice1d4=4 (4) おっと集会所に飛び込んでくる獣が居ました あの獣は… 1.廃棄した既知の獣 2.全く知らない未知の獣 3.知る要素は幾つかあるが見たこと無い獣 dice1d3=1 (1) どうやら我々の知っている何かの生物みたいです… 1.まぶしいサキュバス(1スレ目) 2.ハダカハーピィ(2スレ目) dice1d2=1 (1) (まぶしいサキュバス) 魔人属 淫魔種 特徴 ①多産 ②発光 ③強遺伝子 体力 D 魔力 D 攻撃 B 防御 E 魔攻 D 魔防 C 俊敏 A 幸運 D 生息地 廃棄 データを引っ張り出してきましたが発光以外は普通のサキュバスのような特徴ですね とにかく まぶしいサキュバスの個体は尻尾のついた毛玉を… 1.捕まえてもふもふし始めた 2.捕まえて鼻を押し付け息を思いきり吸い込んでいる 3.お話まぜてーと来た 4.おもむろに個体を掴んで齧りついた dice1d4=2 (2) …猫か何かでしょうか とりあえず殺す気は無いようですね…毛玉の方は 1.何とか逃れようとしている 2.のほほん…ととしている 3.好きにやらせてやるか…といった感じ 4.抵抗 dice1d4=1 (1) 慌てて逃れようとしていますね 他の仲間は 1.逃げた 2.助けようとしている dice1d2=2 (2) 頑張ってまぶしいサキュバスを追い出そうとしていますが… 1.攻撃Bには勝てなかったよ… 2.まとめて捕まってスーハースーハーされた 3.尻尾攻撃が痛くてサキュバス退散 4.あっ dice1d4=4 (4) 1.打ちどころが悪くて死んでる… 2.また別の襲撃者が来た… 3.仲間の増援だ! dice1d3=3 (3) どうやら蜂の巣を刺激してしまったように哀れなサキュバスは大量の毛玉に囲まれていますね そして尻尾でペシペシ叩かれています まぶしいサキュバスは… 1.発光して撃退を試みている 2.泣きながら帰って行った 3.逆にちょっと気持ちよくてうっとり 4.たまらず放したものの… dice1d4=4 (4) 1.そのまま袋叩きに合い逃げていった 2.過剰な袋叩きによって死亡 3.放してくれたので全員大人しくなった dice1d3=2 (2) どうやら好奇心で抱き付いてみたは良いものの… 過剰とも言える防衛によってサキュバスは動かなくなってしまいました 解放された個体と毛玉たちは… 1.場所を移動する事に 2.サキュバスの死体を埋葬 3.放置して対話を再開 4.食べ始めた…! dice1d4=4 (4) おっと…どうやらこの個体は肉を食べるようです 亡くなったサキュバスは毛玉に群がられてあっと言う間にその場から消え去りました 好奇心はなんとやらですね… しかし温厚な種だと聞いていたのですが闘技場の個体やこの様子を見ると廃棄場の特異な環境で特徴が変わってしまったのでしょうか…? 1.単純に食物連鎖の頂点に立っている 2.獲物が少なくてみんなお腹が空いていた 3.まぶしいサキュバスは食物連鎖の最底辺だった 4.特徴が凶暴に変わっている dice1d4=1 (1) なんと驚く事に尻尾のついた毛玉は廃棄場での食物連鎖の頂点だったみたいですね うっかり集会所に近づいてしまったサキュバスはその可愛らしい見た目に眼を奪われてしまったのでしょう 見掛けによらないとはよく言ったものです その後彼らは… 1.集会所で悠々と昼寝を 2.散り散りになりそれぞれの巣へ 3.対話は盛り上がりちょっとした宴に 4.空腹が刺激されたのか集団で狩りに dice1d4=3 (3) どうやら再び世間話に戻ったみたいです 新たな話のタネも出来てちょっとした宴みたいに盛り上がってますね 奇妙な生態系を築きつつも廃棄場での生活は割とのびのびやっているみたいです さて そろそろお時間ですが… 創造神様 いかがでしたでしょうか? 1.大変満足 2.まあまあ 3.ちょっと不満 dice1d3=1 (1) どうやら満足されたみたいです 1.実に興味深いのでこれからも廃棄場は監視しておくように 2.もふもふしたい… 3.それより発光サキュバスがまだ生きてて感動した dice1d3=1 (1) いつになく真面目ですね創造神様 これからも時々覗いてみる事にしましょうか では今回はこれにて お疲れ様でした
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第205話:破滅への序章 一 テリーがレックスのあとを追いかけようとするのを、クラウドが止めた。 「何するんだよ!」 「死にたいのか!今、ばらばらになったら、ここにいるみんな、どうなるかわからないぞ!」 「じゃあ…ほっとくのかよ!レックスを…!」 「今はこうするしかない!」 「……」 テリーは黙った。そして、クラウドの背中に手をあてて、しがみついた。 「…お姉ちゃん、ほんとにもう…?」 その答えはわかりきっている。 いったいどこに、路上で、息もせず居眠りをする女がいよう? クラウドの肩が震えるのをみながら、テリーは、悲しげに視線を落として、闇にむかって叫んだ。 「レックスーーー!戻って来るんだ…はやく、戻って…!」 ややあって、静かに、しかし力強く、クラウドは武器を構えた。 いる…間違いなく、強力な何者かが、この近くに潜んでいるのだ。 レックスは今、姿の見えない敵を探しているのだろう。 あちこちから、何かを壊すような音が聞こえる。 助けに行きたいが、この場を離れることはできない。 「おい」 サイファーがふいに、クラウドに話しかけた。 「…あまり喋らない方がいい」 「ふん、問題ねえ。それよりも、あの、ちびっこいトンベリの野郎が、さっきからずっと同じところをみてるぜ」 「…?」 「モンスターってのは、俺たち人間より、こういうことは得意だろうな」 「なるほど…」 「それとな…これはあんたじゃなくて、おまえだ」 サイファーが、呆然と佇立しているパウロに向かっていった。 パウロはうつろな目で、サイファーを見た。 「なに、ぼーっとしてんだよ」 サイファーはそういうと、せき込んで、よろよろと剣を持った。 二 セフィロスは、前方の一匹のモンスターを忌々しげに覗き見た。 どうも、気づかれているらしい。やはりモンスターというのは、人間に比べ格段に察しがよい。 あの少年はあさっての方向で暴れている。勝手に体力を消耗してくれればいい。 クジャは今、別の場にいた。 人数が多いのを知って、少しずつ減らしていこうと提案すると、クジャは了解して、その方が有利だからと別行動になったのだ。 よって、ここにいるのは一人彼のみである。 まともに戦えるのは、せいぜい三人か四人。それだけならば、一人でもなんとかなろうか。 しかし、セフィロスが今突入しないのはわけがある。 今、クラウドの顔には表情がない。 それは、激しい怒りの裏返しでもある。 下手につっこめば、使ってくるかもしれない…かつて、自分にトドメをさしたあの技を。 そのうえ、クラウドのもつ武器は、持ち主の生命力に呼応するあの究極の武器である。 さらに、クラウドはさほどの傷を負っていない。 もし、あの技をくらえば、とても無事ではいられないだろう。 そういった打算から、セフィロスは慎重に期を窺った。 そしてこのときに初めて、今この場にいないクジャのことを思った。 あのナルシストな男の、独りよがりな語りを道中ずっと聞いており、正直なところうんざりしていたのだが、 戦闘に関しては、恐らく自分と同等の力をもっている数少ない者であり、ある意味で信用のできる男である。 セフィロスは改めて、この状況をみた。 なるほど、クジャの動きを待つのもよい。だが、それは躊躇われた。 「上から…いくか」 セフィロスはみつからぬよう、闇に紛れ、台を伝い屋根の上へと飛んだ。 「なんだ?あいつは…」 城から、一人の男が飛び出ている。 ちょうどいい、あの男の叫び声をもって、再び混乱を生じさせるとしよう。 だが、それはセフィロス自身も予想できなかったことにより、遮られた。 三 大きな雷鳴を、クジャは聞いた。 「ふふふ…とりあえず、うまくいったみたいだね」 クジャは城下の混乱を愉快そうにみると、歩きながら、誰に向かってということもなく、語りだした。 「皮肉なものだねぇ…みているかい?ジタン。僕は今、この大地に生をうけてたっているよ…。 ふふ…これがいったい何を意味するのか、僕にもわからない。 ただ、今の僕にあるのは、破滅への欲求、それだけさ。 ジタン、このゲームに君がいるのは知っているんだよ…その仲間もね。 是非もう一度、君に会いたいよ…そして、この手で息の根を止めるんだ。 あはは、それはきっと、とても愉快だろうね…。 君の悲鳴を考えただけでぞくぞくするよ…ふふふ…それだけさ、生きる欲求なんて、いまさら僕にあるはずもないんだから。 目の前にいる敵を蹴散らしていくだけ…ごみを始末するようにね」 クジャの視界に、サイファーにベホマをかけるレックスの姿が見える。 「ああ、死に損ないが、汚い地面には這い蹲って、それでもまだ生きようとしている! 生への執着の、なんと醜いことだろう!…ふふ、それは、僕には言えた義理ではないかもしれないね。 でも、だからこそわかる、彼らの絶望が…癒しの光も決して彼には届かないだろう。 届く前に、この僕がその明かりを遮ってしまうんだから! 無理矢理に立ち上がったところで、しょせんは風前の灯火、僕がふっと息を吹くだけで消え去ってしまう、脆い存在なのさ…」 クジャはふと、視線を落とした。そして、今までとは少し調子の違う声で、語り始めた。 「セフィロスは癪に障る男だけれど、きっと僕と同類なんだろうね。 いや、わかるさ…彼は僕と同じなんだ。行き場を失った、絶望そのもの。 …でも、戦闘の好みが僕とはだいぶ違うみたいだね。 少しずつ、じわじわと殺していく…それも気分のいい最高のアトラクションの一つであるのに違いはないさ。 でも、あの女を一瞬で切り捨ててしまうなんて…。なぜもっといたぶらないんだろう? あの男の、この光景、この醜さ、見ているだけで心が躍るようじゃないか。 僕は今、華やかな血の惨劇がみたいんだ…慌て惑い、恐怖に絶望の色で顔を染めた、 虫けらのようなやつらが、何の存在意義も見いだせず、ただただ滅び行く様を」 クジャは歩みをとめて、空を見た。レックスの声が聞こえる。 「くく…正義の戦士様はお怒りのようだ…それにしても、あの声の醜いことだよ。 …さあ、頃合いかな。これには、セフィロスも驚くだろうね。彼には悪いけれど、今の僕はこんなまどろっこしいことはしたくないんだ。 僕はすぐに、今すぐに聞きたいんだ、彼らの悲鳴を…きっと醜い声を出すんだろう。醜悪な姿を晒して」 「…そういえば、彼は、あのとんがり頭の彼のことを、彼は随分警視していたね。 ことによると、僕とジタンのような間柄なのかもしれない。 ふふ、だとしたら、彼が慎重になるのも仕方ないのかもね。 でも、このままじゃらちがあかないよ。…ふふ、近づいてきたよ、おばかなネズミが一匹、自分から舞い込んできたよ…。 第一幕、破滅への序章の始まりだ…!」 四 「くそおおおおおお!!」 レックスは叫んだ。力の限り、叫んだ。 そして、視界にはいるものすべてを壊し、標的を探す。 「どこだ!?どこにいる!隠れてないででてこい!」 ルビスの剣を振りかざして、叫ぶ。 テリーの警告も、耳に届かない。 レックスはひたすら突き進んだ。 そして、アリアハンのある一角で、見た。 光を。 光? レックスは何だろうと思った。 だが、その考えは次の瞬間、止まった。 リュカは聞いた。 大地の劈くような響きを。 その中に微かな、掻き消されそうな叫び声を。 リュカは見た。 ライフストリームのような、大きな光を。 その中にいる、息子を。 光は、やがて炎になって、また、新しい光が次々と生まれ、それが爆発した。 爆発の連鎖は、向こう側から断続的に起こり、家という家は音をたてて崩れ落ち、ついには自分の後ろでも、爆発を始めた。 城が激しい爆撃を受けるのを、リュカは惚けてみていた。 次の瞬間、我に返って叫んだ。息子の名を、炎に向かって。 【リュカ 所持品:竹槍 お鍋(蓋付き) ポケットティッシュ×4 デスペナルティ スナイパーCRの残骸 第一行動方針:レックスを探す 基本行動方針:家族、及び仲間になってくれそうな人を探し、守る】 【現在位置:アリアハン城外】 【レックス(フレアスター直撃) 所持品:ルビスの剣 オーガシールド 第一行動方針:襲撃者(セフィロス)を倒す 第二行動方針:家族を探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】 【現在位置:アリアハン城の手前】 【サイファー(瀕死) 所持品:破邪の剣 G.F.ケルベロス(召喚不能) 第一行動方針:事態処理 第二行動方針:ロザリーの手助け 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【クラウド 所持品:おしゃれなスーツ アルテマウェポン 黒マテリア(メテオ) 第一行動方針:襲撃者に備える 基本行動方針:仲間を見つけ、守る 最終行動方針:ゲームから生きて抜ける】 【パウロ 所持品:破壊の剣(使う気0) 第一行動方針:? 第二行動方針:ロランを探す】 【ロザリー 所持品:不明 第一行動方針:不明 第二行動方針:ピサロを探す 最終行動方針:ゲームからの脱出】 【テリー(DQM) 所持品:突撃ラッパ 行動方針:襲撃者に備える 【トンベリ(トンヌラ) 所持品:包丁(FF4) スナイパーアイ 第一行動方針:不明 第二行動方針:わたぼうを探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】 【現在位置:アリアハン城下町、南の入り口】 【セフィロス 所持品:村正 第一行動方針:城下町に居る参加者を皆殺しに 最終行動方針:参加者を倒して最後にクジャと決闘】 【現在位置:アリアハン中央あたり】 【クジャ 所持品:ブラスターガン、毒針弾、神経弾、 第一行動方針:皆殺し 最終行動方針:最後まで生き残る】 【現在位置:アリアハン城近く】
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緑葡萄伝配布サイト 緑葡萄伝掲示板 シナリオ攻略 Lv.0 仁科・杉坂 柊勝平 封印シナリオ 高等三幻魔襲来 岡崎直幸 ⑨ボス部屋 Lv.1 岡崎朋也 相楽美佐枝 古河渚 坂上智代 藤林椋 春原陽平 Lv.2 封印シナリオ 古河秋生 一ノ瀬ことみ 伊吹風子 春原芽衣 宮沢有紀寧 古河早苗 Lv.3 封印シナリオ 藤林杏 岡崎史乃 宮沢和人 芳野祐介 伊吹公子 幸村俊夫 Lv.4 封印シナリオ まじかる☆ナース椋 ボタン 岡崎汐 ちびむつき 一ノ瀬ことみEX Lv.EX 封印シナリオ 春原芽衣EX 愛☆エプ杏R3X ツナギード仮面 星影ひかり The Last フリーザ様襲来 攻略補助 キャラクター解禁方法 敵の行動パターン キャラ別戦術紹介 ※未記入多数。 ※編集お待ちしてます。 通常キャラクター 001 岡崎朋也 002 坂上智代 003 古河渚 004 藤林杏 005 藤林椋 006 芳野祐介 007 古河秋生 008 春原陽平 009 春原芽衣 010 伊吹風子 011 一ノ瀬ことみ 012 宮沢有紀寧 013 古河早苗 014 伊吹公子 015 相楽美佐枝 016 幸村俊夫 017 柊勝平 018 ボタン 019 岡崎史乃 020 仁科&杉坂 021 岡崎汐 022 ちびむつき 023 ツナギード仮面 024 ツナギード少女 025 三井 026 坂上鷹文 027 まじかる☆ナース椋 028 愛☆エプロン杏R3X 029 ジェット斉藤 030 宮沢和人 031 オフィーリア 032 ローゼンクランツ 033 クローディアス 034 巨大ヒトデ 035 岡崎直幸 036 クママスク総統 037 メカボタン 038 生徒壊長 039 おっぱいに目覚めた杏 040 星影ひかり 041 野生のうりぼう 042 墓石さん 043 やせいのぞうきん 101 あゆ&ちびあゆ 102 名雪&ちびなゆ 151 遠野美凪 152 みちる 201 片瀬健二 202 小野崎清香 251 上月澪 252 柚木詩子 301 遠野志貴 302 レン ボスキャラクター 500 岡崎直幸 501 クママスク総統 502 黒春原 503 メカボタン 504 生徒壊長 505 ツナギード仮面 506 おっぱいに目覚めた杏 507 さいごの風子 508 老魔術師 509 度腕摸井衣邪内科 510 志麻賀津紀 511 星影ひかり 512 スノモドキ 513 全盛期朋也 514 全盛期春原 515 幻想少女 516 ガラクタ人形 517 餡黒だんご 518 最後の襲撃者 519 フォーティンブラス 520 新種 521 幻魔母樹 601 あゆ(暴走あゆ) 651 異次元怪獣ポテトン 701 小野崎ゆかり 702 まじかる☆ひよりん 751 みずか 801 七夜志貴 802 軋間紅摩 901 氷精の突然変異 999 フリーザ 更新履歴 取得中です。 ここを編集
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こんな夢を見た。 夏目漱石の小説みたいな台詞を枕に、黒髪の娘は、まじめな顔で語りだした。 その声が向けられた先には、カフェのテーブルを挟んで座る少年が、ひとり。 「決して夜が明けない世界。わたしは闇の中を独り、走り続けているわ」 「ただ走ってるだけ?」 ふるふる。彼女――柏葉巴は、青ざめた顔を、力なく横に振った。 少年、桜田ジュンの表情も、それを受けて曇る。 けれど、彼から訊ねようとはせず、巴が続けるのを辛抱づよく待っていた。 「わたしは巫女服を着て、二振りの刀を携えているのよ。いわゆる二刀流ね」 「……なんか、物騒な夢だな」 刀を持って走り回るだなんて、通り魔とか辻斬りみたいじゃないか。 そんなジュンの軽口に、巴は愛想笑うどころか、困惑が綯い交ぜになった顔をした。 仕切りなおしとばかりに、メロンソーダをストローで吸い上げるも、表情は変わらず。 「だけど、必要なの。襲撃者を、撃退するためにはね」 「襲撃者……って、暗い夜道に、痴漢とかストーカーが潜んでるのか」 「ええ。それらより、もっと質が悪い相手が、ね」 バカらしくて、話すのは気が引けるんだけど―― 巴は、そう口ごもりつつも、縋るような眼差しをジュンに注いでいた。 「その相手って言うのはね…………ゾンビなの」 「なんだよ、それ。ゲームのやりすぎで、そんな夢を見るんじゃないか?」 事実、ジュンは数日前に、巴と似た内容のゲームしたことを憶えていた。 彼女もかなり熱中していたし、愉しかった記憶が、夢に甦っているのではないか? そういうことは、ままある。 真意を探るべく、ジュンは巴の目を、まっすぐに見つめるけれど―― 彼女の瞳は、泳いだり、焦点が定まらなくなったりせずに、彼を見つめ返してくる。 およそ、嘘を吐いたり、からかっている風ではなかった。 「ゾンビは群をなして襲ってくるわ。それこそ、休む間もないほどにね。 わたしは、バッサバッサと斬って、斬りまくって……」 「……で、目を醒ますと、クッタクタに疲れてるワケか」 「そうなの。ここ最近、ずっと同じ夢ばかりで、眠った気がしなくて。 だから、こうして桜田くんに相談してるんだけど」 言って、巴は口元を手で覆うと、大欠伸をした。 ファンデーションで隠しているが、眼の下には、うっすらと隈が透けて見える。 「何日ぐらい、そんな状態が続いてるんだよ」 「えぇと……もう3日くらい連続で」 「なるほど。それは妄想の為せる技だな。間違いない」 「やっぱり、専門のカウンセリングとか、受けてみるべきなのかな」 不眠症は、れっきとした病気だ。 しかし、今回のケースは、少し違うのではないか。ジュンは、そう答えた。 「柏葉ってさ、けっこう、ストレスを溜め込んじゃうタイプだろ、性格的に。 そういう鬱憤を、夢の中で晴らしてたりするんじゃないか?」 「そう、なのかしら」 「専門家じゃないから、断言は、できないけどね。 ただ、それだけ繰り返し見るってコトはさ、 柏葉自身にも、少なからず欲求があるんじゃないのかって、思ったんだよ」 「わたしが……その夢を見たがってる、と?」 釈然としない様子の巴に、ジュンが問いかける。 「じゃあ訊くけど、夢の中でゾンビを斬りまくるのは、どうだった?」 「どうって?」 「ナニを感じたかって意味だよ。爽快感とかさ」 「それは――」 胸に手を当てて、考え込むこと、暫し。 巴は、ジュンの前でしか見せない照れ笑いを、満面に貼りつかせた。 「気持ちよかった……と思う。てへっ」 「てへっ、じゃないだろ」 と応じながらも、ジュンは自らの見立てが、それほど的外れではなさそうだと感じた。 普段はおとなしい巴も……いや、おとなしいからこそ、不満を溜め込んでしまい、 暴力的な衝動を、破裂しそうなほど蓄積させてしまっているのだろう。 フラストレーションを発散する術には、人それぞれのやり方がある。 剣道に長けた彼女は、見に染みついた経験から、ゾンビ相手に●●無双な世界を夢想した―― そんなところだろうか。夢とは願望の充足だから。 「柏葉は欲求不満なんだと思う。早速、僕の家に行って、治療にはいろうか。 リアルにブチ切れて暴れだす前に、ちゃんとガス抜きしなきゃ」 「え? 治療って、どんな?」 「まず、服を脱ぎます」 「…………びっくりするほどユートピア?」 「よく分かったな」 「ごめんなさい、わたし急用を思い出した」 「わー! 待て待て! 冗談だよ、冗談」 腰を浮かせかけた巴を宥めて、ジュンは表情を引き締めた。 「とりあえず、また僕の家でゲームでもしながら遊ぼうってことだよ」 「そんな簡単な方法で、不眠が治るのかしら?」 「さあ? 専門家じゃないから、そこは、なんとも――」 「……まあ。モノは試し、よね」 巴は、そそくさと席を立つ。「行きましょ、桜田くん」 「ああ、そうだな」と、ジュンも伝票を手に、カフェのレジへと向かった。 ~ ~ ~ その後。 「散れっ! あ、このド腐れがっ! ブッタ斬るわよ!」 「落ち着け、柏葉。チカラ入りすぎ! 人変わりすぎだって! コントローラーがギシギシいってるぞ」 睡眠不足もあってか鼻息を荒くしながらゲームに興する巴に、ジュンはガクブル状態だった。 ちなみに、そのゲームの名は、『お姉チャンバラ』である。 ~ ~ ~ さらに、その翌日。 2人の、電話での会話。 「どうだった、柏葉。眠れたのか?」 受話器の向こうで、巴が、欠伸をかみ殺した気配。それが答えだった。 「ダメだったのか」 『でも、効果はあるような……そんな気がするの。だから――』 「うん?」 『今日も、治療につきあってもらっても……いい?』 「……うん。待ってる」 その後、夏休みの間中ずっと、2人は治療と称して一緒に遊んだそうな。 〆
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(実装 Ver. 1.4.0 β22 / 最終更新 Ver. 4.1.0 α2) 所属 村人陣営 / 人カウント 勝利条件 村人陣営勝利+自己生存 判定 占い結果 「村人」 / 霊能結果 「村人」精神鑑定 「正常」 / 前世鑑定 「村人」 / 性別鑑定 「性別」 神話 奇術結果 [逃亡者] / 求道結果 [逃亡者] / 覚醒結果 [麒麟] / 夢語結果 [豆狸] 夜投票 【逃亡】2日目以降 / 生存者 / 他人罠 有効 / 失敗条件 (それぞれ) 耐性 【襲撃耐性(逃亡者型)】襲撃回避吸血 回避 / 暗殺・人攫い 回避 備考 【情報欠損】遺言 不可 登場 ×結束村 ログ表記 [逃亡者系] 説明 生存する他者に逃亡して存命を図る村人陣営の役職です。 特殊な勝利条件 逃亡者系の勝利条件は「自身が生存したまま村人陣営勝利」です。 基本的な各種判定結果 占い結果は「村人」判定、霊能結果は「村人」判定、精神鑑定結果は「正常」判定、前世鑑定結果は「村人」判定です。 性別鑑定結果は本人の性別によって「男性」か「女性」と判定されます。 遺言不可 全ての逃亡者系は遺言を残すことができません。 襲撃耐性(逃亡者型) 逃亡者系は逃亡中、LW[天狼]を含むいかなる人狼の襲撃の対象になっても影響を受けません。 ただし、逃亡先が人狼の襲撃を受けた場合は、本来即死性の無い人狼の襲撃であっても「人狼の餌食になって」死亡してしまいます。 逃亡中の逃亡者系を直接襲撃したことにより人狼の襲撃が失敗した場合、襲撃失敗メッセージは「逃亡者を襲撃した」となります。 逃亡者系共通の特徴 逃亡能力を持っています。勝利条件は「自身が生存したまま村人陣営勝利」です。 逃亡能力(夜投票) 特に注釈が無ければ、2日目以降に生存する他者の元へ逃亡します。 逃亡中に直接人狼の襲撃・吸血鬼の吸血・暗殺・人攫い・反魂の対象になっても影響を受けません。 ただし、[デスノート]による特殊暗殺を回避する事は出来ません。 逃亡先が人狼の襲撃先と一致した場合、襲撃者の役職や襲撃の成否を問わず「人狼の餌食になって」死亡してしまいます。 襲撃者が即死性の罠にかかった場合に限り無効ですが、 この場合は逃亡した側も「罠にかかって」死亡するので、死ぬ事に変わりはありません。 逃亡先が吸血鬼系だった場合、もしくは吸血鬼の吸血先と一致した場合、該当する吸血鬼の吸血を受けます。 人狼の襲撃や吸血鬼の吸血の巻き添えは、護衛能力によってそれらが阻止された場合でも発生します。 逃亡先が暗殺・人攫い・反魂能力を受けても巻き添えを受けません。 逃亡先が特定の条件を満たしていた場合、「逃亡に失敗して」死亡してしまいます。条件は役職ごとに異なります。 逃亡行為は接触系能力の為、罠の影響を受けます。 一部の役職は、追加効果として逃亡先に何らかの影響を与える場合があります。 「罠にかかって」死亡もしくは「逃亡に失敗して」死亡した場合、逃亡能力の追加効果は無効です。 逃亡者系役職一覧 <凡例> 逃亡失敗条件 逃亡先が表記されている条件を満たした場合、「逃亡に失敗して」死亡してしまいます。 役職 実装 オプション 逃亡失敗条件 備考 (共通) ×結束村 逃亡者 Ver. 1.4.0 β11 村人置換村([村人]) ×派生村 人狼系 迷い人 Ver. 1.5.0 α7 嘘吐村(1枠) 精神「嘘つき」 一角獣 Ver. 1.4.0 β22 雛村(1枠) 性別「女性」以外 水妖姫 Ver. 1.5.0 α9 性別「男性」以外 半鳥女 Ver. 1.5.0 α9 ×強心村 [死の宣告]をされたことがある 逃亡先に[死の宣告](4日後執行) 諜報員 Ver. 3.1.0 α4 生存する人狼系の周囲(8方向) 3の倍数の日のみ逃亡 麒麟 Ver. 1.5.0 β4 覚醒村(1枠) ×平等村 暗殺者系・人狼系・鬼系・夜叉系 逃亡先が村人陣営役職だと[一日村長]付加 豆狸 Ver. 3.1.0 α2 ×封夢村 夜投票能力がある 他役職との関係 村人陣営・罠も参照してください。 暗殺・人攫い能力者 [デスノート]による特殊暗殺を除き、逃亡中に暗殺・人攫い・反魂能力の影響を受ける事はありません。 人狼系 逃亡中は直接人狼の襲撃の対象にされても何も起きません。 ただし、逃亡先を襲撃された場合は「人狼の餌食になって」死亡してしまいます。 人狼の襲撃に致死性や即死性が無くても同様です。 吸血鬼系 逃亡中は直接吸血鬼の吸血の対象にされても何も起きません。 ただし、逃亡先が吸血鬼系だった場合、もしくは逃亡先が吸血された場合、該当する吸血鬼系から吸血を受けます。 オプションなど 天候「新月」(Ver. 1.5.0 α2~) 天候「新月」の時、逃亡先が吸血鬼系の場合でも、逃亡先から吸血されません。 天候「花曇」(Ver. 1.5.0 α2~) 天候「花曇」の時、夜投票「逃亡」を含めた接触系能力は無効となります。夜投票自体は必要です。 天候「花曇」の時に夜投票「魔法」による暗殺能力の対象になると、暗殺の影響を受けます。 天候「雪明り」(Ver. 1.5.0 α9~) 天候が「雪明り」「闇夜」の場合、夜投票「罠」と[狡狼]の罠能力が無効化されます。 天候「闇夜」(Ver. 3.1.0 β1~) 天候「闇夜」の時、夜投票「罠」と[狡狼]の罠能力が無効化されます。 更に、「逃亡に失敗して」死亡しなくなります。 逃亡先が人狼の襲撃を受けた場合に「人狼の餌食になって」死亡してしまう点は変わりません。 天候「サーチライト」(Ver. 3.1.0 β1~) 天候「サーチライト」の場合、夜投票「逃亡」は無効となります。夜投票自体は必要です。 配役オプション 追加勝利条件を持つ役職の為、オプション「出現率変動L 結束村」を適用すると配役されなくなります。 過去バージョン情報 Ver. 4.1.0 α1 「逃亡に失敗して」死亡しない致命的な不具合があります。 Ver. 3.1.0 α4~Ver. 3.1.0 α8 何らかの理由で逃亡していない状態であっても、[道化師]による暗殺能力を無効化してしまう不具合があります。 Ver. 1.5.0 α2~Ver. 3.1.0 α3 天候「花曇」の時に魔法による暗殺の対象になっても、暗殺の影響を受けません。 Ver. 1.5.0 α9~Ver. 3.1.0 α1 [夢語部]の変化先は[半鳥女]です。 Ver. 1.4.0 β22~Ver. 1.5.0 β3 [覚醒者]の変化先は[逃亡者]です。 Ver. 1.4.0 β22~Ver. 1.5.0 α8 [夢語部]の変化先は[一角獣]です。 Ver. 1.4.0 β11~Ver. 1.4.0 β21 [逃亡者]の系統は村人系、[覚醒者]の変化先は[執行者]、[夢語部]の変化先は[不審者]です。 Ver. 1.4.0 β11?~Ver. ???(Ver. 2.3.x系列~Ver. 3.0.x系列のどこか) オプション「役職希望」を適用し、逃亡者系もしくは逃亡者を希望した場合、ゲーム開始前でも遺言を残せなくなる不具合があります。
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「また派手にやられたな、組長さん。」 ヨシヒトが運ばれた後。人面虎襲撃の片づけを始めようとする 出雲寺組の前に、ショウゴ、コトハ、リュウザの3人が現れた。 殺気立ってる出雲寺組の組員達は何も言わない。 ただ、先の抗争で争ったショウゴ達を睨むばかりだ。 抗争は終わったと言っても、そうそう簡単に気持ちが切り替えられる訳ではない。 「何しに来やがった。」 「情報提供と援助の申し出だよ、アキト。」 「・・・何?」 「聞こえなかったのか。情報と援助だよ。出雲寺組は よほど近所付き合いが良いらしいな。ご近所さんの中に 襲撃者を見た人がいた、聞いたら教えてくれたよ。敵さん、 出て行く時には両腕が使い物にならなかったそうだ。 派手な穴もいくつか空いとったらしい。 暫くは表立って出てこないだろうな。 ・・・アキト、お前得意の盗聴器やら監視カメラやらは?」 「まだ確認してねぇ・・・」 「頭に血が上り過ぎなんだよ、そんなんじゃ行動が単純化しちまうぞ。頭を冷やせ。」 「うるせぇ!お前に何が分かる!家族がやられたんだぞ、ここまで!何がわk」 そこまで言った所で、アスミがアキトの頬を叩いた。 「止めなさいアキト、ショウゴさんだって・・・」 言葉を止めるアスミ。鬼英会と出雲寺組の抗争における、 ショウゴ達の真相は知っている。 総長であった父親と次期総長だった義妹の遺体は 未だに見つかっていないと聞いている。 アキトは呆然とアスミを見、そしてシュンとなると視線をショウゴに戻した。 「組長さん、アキトは悪くねぇよ。俺の物言いが悪かった。許してくれ。 もうひとつ、援助の事についてなんだが…」 コトハとリュウザが一歩ずつ前に出る。 「この二人は学校に通って無いんだ。ヨシヒトが『戦線復帰』するまで、 代わりにこいつらをここに置いてくれないか。」 「・・・昨日の敵は今日の友、とでも?」 ショウゴは周りの視線を気にせず飄々と返した。 「ここの連中は器が狭くねぇだろう?勿論、たまには俺も来よう。」 ニッっと不敵に笑うと、ショウゴは腕を組む。 しかしその表情もすぐに真剣なモノに変わる。 「どうにも最近キナ臭くてな。鬼英会だけじゃない。 ウスワイヤにホウオウグループとやらの襲撃があったらしいじゃないか。 学校だってどうにもおかしい。 挙句に此処の襲撃だ。どこもかしこもキナ臭ぇ。 準備に『し過ぎる』というのは無いモンだ。」 アスミは周りの組員達を見、ズタズタにされた屋敷を見、そしてショウゴを正面から見据えた。 「申し出感謝致します。是非、力を。」 「よし来たガッテン承知の助、ってな。」 「ショウゴさん、古いよそれ…」 「うるせぇリュウザ、んじゃま、片付けから始めますか。」