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自ら『保守主義者』を名乗っているアメリカ人は、事実は自由主義者である。 ~ B.クリック(英国の政治学者)『アメリカ保守主義の奇妙な探求』(1955年) 保守主義(conservatism)の概念を総合的に考察し整理・明晰化するページ <目次> ■1.このページの目的・構成 ■2.保守主義、及び関連する諸思想◆1.保守主義・関連する諸思想の説明 ◆2.保守主義・関連する諸思想の整理図 ■3.保守主義の概念定義◆1.保守主義(conservatism)の辞書的定義 ◆2.内包と外延 ■4.保守主義の内包(=内在する属性)◆1.保守主義の核心的特色 ◆2.保守主義の一般的特質 ◆3.保守主義の価値観・思惟構造 ■5.保守主義の外延(=対象となる範囲)◆1.保守主義と自由主義の関係 ◆2.伝統保守と経済保守の架橋◇1.18世紀イギリスの自由主義思想家による「伝統保守」の説明 ◇2.保守主義=「小さな政府」なのか? ◇3.伝統保守(旧保守)と経済保守(新保守)の架橋 ~ フュージョニズムと「思いやりのある保守」 ■6.保守主義と混同されやすいが別概念として区別すべきもの◆1.保守主義とリバタリアニズムの区別◇自由至上主義(libertarianism)の辞書的定義 ◆2.保守主義とコミュニタリアニズムの区別◇共同体主義(communitarianism)の辞書的定義 ◆3.保守主義とナショナリズムの区別◇1.ナショナリズム(nationalism:国民主義、民族主義、国家主義など文脈に応じて様々に訳し分ける)の辞書的定義 ◇2.ナショナリズムの発展モデル ◆4.保守・右翼・極右の区別 ■7.日本の保守主義◆1.参考:「保守主義」という用語の使用状況 ◆2.西欧保守主義・日本の保守主義の接合上の問題点と考え方◇1.保守主義と、自由主義・個人主義・デモクラシーの関係 ◇2.保守主義と、ナショナリズムの関係 ◆3.日本主義 ◆4.革新右翼(国家社会主義者)と観念右翼(伝統保守)◇参考:アジア主義 ◆5.まとめ ■8.参考図書 ■9.ご意見、情報提供 ■1.このページの目的・構成 全く正反対の政治的信条を持つ「リバタリアン(自由至上主義者)」と「コミュニタリアン(共同体主義者)」が共に「我こそ保守主義者だ」と主張していたり、「ナショナリズム」が「保守主義」と混同されています。 あるいは、「小さな政府」こそ「真の保守」だと言う人、また「国体護持」こそ「真の保守」だという人もいます。 このページでは、そうした様々に主張されている保守主義の内実をその歴史的沿革や辞書的な概念定義から、客観的に検討し、 保守主義とは、 (1) ルソーの革命思想/デカルトに始まる設計主義的合理主義/共産主義/社会主義/ファシズム等の全体主義思想に対する対抗思想として発生したものであって、 (2) その内実は、歴史の中で育まれてきた価値多元的で寛容な自由を守ろうとするもの、即ち自由主義(左翼的リベラリズムではなく真正の自由主義)である とするのが、最も整合的な理解であることを説明していくとともに、 リバタリアニズム・コミュニタリアニズム・ナショナリズムなど保守主義に部分的に類似する諸概念について、その関係を整理・明晰化していきます。 そして最後に、以上で得られた保守主義の標準的な理解をベースとして、日本における保守主義の内実の検討に踏み込みます。 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック ■2.保守主義、及び関連する諸思想 ◆1.保守主義・関連する諸思想の説明 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※下記は全て、ブリタニカ百科事典(日本版)より引用(ただし※注はこちらで追記) 政治思想ないしイデオロギー 説明 関連ページ 保守主義、及び、保守主義の内実を成す概念 保守主義(conservatism) 既存の価値・制度・信条を根本的に覆そうとする理論体系が現れたときにこれに対する対抗イデオロギーとして形成される。「保守主義の宣言」とも言われる『フランス革命に関する省察』を著わしたE.バークは、人間のあらゆる制度の基礎は歴史であり、具体的な文脈のなかで長い時間をかけて培われてきたものだけが永続性を持つため、抽象的な哲学原理に基づく革命は座絶を運命づけられているとしている。バークは決して変化を拒絶しないが、それは既存のものの漸進的改良として果たされねばならないと考える。歴史的・有機的な社会秩序への人為的介入の排除とその漸進的改革が保守主義の思想的特徴であるが、これは現代のF.ハイエクやM.オークショットにもみられる考え方である。 保守主義とは何か 新保守主義(neo-conservatism) 1960年代後半以降、アメリカでリベラリズムや対抗文化の行き過ぎを批判しつつ登場してきた思想。I.クリストル、D.ベル、S.ハンティントンなどが代表的である。アメリカでは、ベトナム戦争の経験に伴う文化的混乱から若者を中心として性の自由や家族の解体といった急進的な主張がなされたが、反面、こうした潮流に強い危機意識をいだき、西欧的価値を擁護しながらアメリカの文化的同一性を再定義しようという試みも生まれた。これらは資本主義と自由の結びつきを強調し、共産主義に対する批判を共有するもので、現実の政策的提言においても連邦政府が過剰な役割を果たすことには懐疑的で、私的集団の活動の場を拡大する「小さな政府」への方向性を示唆している。このような主張を経済論として展開しているのが、新自由主義である。 自由主義(liberalism) 個人の諸自由を尊重し、封建的共同体の束縛から解放しようとした思想や運動をいう。本格的に開始されたのはルネサンスと宗教改革によって幕をあけた近代生産社会においてであり、宗教改革にみられるように、個人の内面的自由(信教の自由、良心の自由、思想の自由)を、国家・政府・カトリック・共同体などの自己以外の外在的権威の束縛・圧迫・強制などの侵害から守ろうとしたことから起こった。この内面的諸自由は、必然的に外面的自由、すなわち市民的自由として総称される参政権に象徴される政治的自由や、ギルド的諸特権や独占に反対し通商自由の拡大を求め、財産や資本の所有や運用を自由になしうる経済的自由への要求へと広がっていった。これらの諸自由の実現を求め苦闘した集団や階級が新興ブルジョアジーであったため、自由主義はしばしばそのイデオロギーであるとみられた。しかし各個人の諸自由を中核とした社会構造は、その国家形態からみれば、いわゆる消極国家・中性国家・夜警国家などに表象されるように、自由放任を生み、当然弱肉強食の現象を現出させることになり、社会的経済的に実質的な平等を求める広義の社会主義に挑戦されることになった。しかし、20世紀に出現した左右の独裁政治の実態は、自由主義が至上の価値としてきた内面的自由・政治的社会的諸自由などが、政治体制のいかんに関わらず、普遍的価値があることを容認せしめ、近代西欧社会に主として育まれてきた自由主義は再評価されている。 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 新自由主義(neo-liberalism) (1) 1870,80年代から勃興したイギリスの理想主義運動、なかんずくT.H.グリーンが主唱した社会思想。グリーンは、道徳哲学としてはJ.ロック、J.ベンサムなどの功利主義的自由主義ではなく、カントやヘーゲルの影響を受けた観念論的・理想主義的自由主義を、社会哲学としては、自由放任主義(経済的自由主義)ではなく国家による保護干渉主義(社会政策)を主唱した。しかし決して国家専制主義や全体主義に陥らず、個人の自我の実現、個人の道徳的生活の可能な諸条件の整備に国家機能が存在するとして、自由主義の中心である個人主義を継受した。この思想はイギリス自由党の労働立法・社会政策に思想的根拠を与えた。⇒※注:こちらは正確には new liberalismであり、訳すと文字通り「新自由主義」だが、現在はこちらの意味では使用されなくなったので注意が必要。 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 (2) 1930年代以降の全体主義国家の台頭や第二次世界大戦中から戦後にかけてのケインズ政策に反発して、再び個人の自由の尊厳を説き、政府の恣意的政策の採用を排し、法の下での自由を強調する思想。このような思想をもつW.オイケン、W.リプケ、L.ミーゼス、G.ハーバラー、F.ハイエク、L.C.ロビンズ、M.フリードマンらの多彩な人材を擁して、47年にモンペルラン・ソサエティーを結成している。恣意的・強権的権力の行使に反対する点ではかっての自由放任的自由主義と共通する面をもつため、その単なる復活と誤解されがちであるが、普遍的な法の強力な支配の必要を説き、法秩序の下での自由を強調する点で、かっての自由放任とは異なる。経済政策面でのその端的な表れは、ドイツに代表される社会的市場政策とシカゴ学派に代表される新貨幣数量説である。⇒※注:こちらが、neo-liberalism(正確に訳すと「再興自由主義」)すなわち現在使用されている意味での「新自由主義」である。 保守主義に隣接・類似するために混同されやすいが、別概念として区別すべきもの 自由至上主義(libertarianism)※注:項目なしのため、リバタリアン(libertarian)の項目で代用 福祉国家のはらむ集産主義的傾向に強い警戒を示し、国家の干渉に対して個人の不可侵の権利を擁護する自由論者。古典的自由主義と同様、リバタリアンも自由市場経済を支持するが、その論拠は自由市場が資源配分の効率性に関して卓越しているということだけではない。より重要なのは集産主義的介入(⇒コレクティビズム)が、自明の権利である個人の自然権や人権を侵害するという点である。リバタリアンの出発点は社会の理解に関する徹底的な個人主義的アプローチである。社会とは何らかの実体ではなく、自律性を権利として保障された諸個人が互いの価値の実現を目指して交流を持つ場である。経験的な意味で国家や政府による合理的計画よりも自律的な個人の活動のほうが社会的利益を最大化するというだけでなく、道徳的な意味でも個人の自律性を国家や政府の干渉によって強制的に縮小しようとするあらゆる試みは、個人の独自性を破壊し社会の目的のための手段といて扱うことになる。個人の価値の追求にはルールによる制約が課せられるべきであるが、それは各人の平等な権利を保障するというに限定されねばならない。国家や政府の役割はそこにあるのである。⇒※補注参照 中間派に何を含めるか 共同体主義(communitarianism)※注:項目なしのため、コミュニタリアン(communitarian)の項目で代用 人間存在の基盤としての「共同体」の復権を唱える一群の政治哲学者たちの総称。J.ロールズの『正義論』(1971)が政治哲学の復権に大きな影響を与え、当初その指導的立場にあったのが、ロールズに代表される福祉国家的な自由主義を主張するリベラリストと、ノージックに代表される個人の自由に対する制限を最小化しようとするリバタリアンであった。一見したところ対立するこの両陣営は「個人」の多元的対立から社会構成の原理を導出しようとする基本的枠組みでは一致している。この個人主義的な人間像・社会像に対して根本的な次元から論争に参加してきたのがコミュニタリアンである。A.マッキンタイア、M.サンデル、M.ウォルツァーらを代表とし、その主張は必ずしも一様でないが、人間的主体性を抽象的なアトム的存在の自律性としてではなく、共同体のもつ歴史・社会的なコンテクストに根付いた具体的存在として捉えようとする点では共通している。コミュニタリアンの登場の背景にはアメリカ社会が極端な個人主義の結果、公共心を衰退させ、そのことが様々な社会問題を引き起こしているという洞察がある。 中間派に何を含めるか ナショナリズム(nationalism) 民族、国家に対する個人の世俗的忠誠心を内容とする感情もしくはイデオロギー。普通、民族主義と訳されるが、国民主義あるいは国粋主義と訳されることもある。しかしこれらの訳語はいずれもナショナリズムの概念を十分に表現しているとはいえない。ナショナリズムの概念が多義的であるのは、ネーション(民族、国民)が歴史上きわめて多様な形態をたどって生成・発展してきたことに起因している。歴史的な重要概念となったのは18世紀末以後のことである。アメリカの独立とフランス革命がその端緒となったとされ、南アメリカに浸透し、19世紀にはヨーロッパ全体に広まり、ナショナリズム時代をつくりだし、20世紀に入って、アジア・アフリカで多くのナショナリズム運動が展開された。ナショナリズムはこうした諸国の独立をもたらす解放的イデオロギーではあるが、民族紛争と戦争の拡大をもたらす危険も大きい。 ナショナリズムとは何か右派・右翼とは何か ※補注:このように古典的自由主義およびその再興であるハイエクに代表される新自由主義(neo-liberalism)と、リバタリアニズム(自由至上主義)は厳密には別概念であるが、特にアメリカではliberalismが「マイルドな社会主義」を意味する言葉に変形してしまったために、ハイエク的な自由主義をも「リバタリアニズム」と呼ぶ場合がむしろ多くなっており、後述の中岡望 著『アメリカ保守革命』でも、正確には新自由主義(neo-liberalism)と呼ぶべきものをリバタリアニズムと呼称しているので注意が必要。(この場合は「リバタリアニズム」=新自由主義=経済保守 となる) ◆2.保守主義・関連する諸思想の整理図 ↓本文はここをクリックして表示 -... 保守主義 自由主義との関係 該当する概念(=外延) 隣接・類似するが別概念 対抗思想 (1) 伝統保守(真正保守主義) 古典的自由主義と親和的(バーク的保守主義) ・文化的保守・宗教保守(主として社会面に関心) ・共同体主義(コミュニタリアニズム)⇒中間に分類・ナショナリズム⇒右翼に分類 ・フランス啓蒙思想(特にルソーの思想)・デカルト的理性主義 長い歴史の中で育まれてきた伝統的権威・文化・社会制度を破壊する思想 (2) 経済保守(新保守主義) 新自由主義と親和的(ハイエク的保守主義)即ち、リベラル右派のこと ・反福祉国家/「小さな政府」派・減税主義者(主として経済面に関心) ・自由至上主義(リバタリアニズム)⇒中間に分類 ・社会主義/共産主義/ファシズム等の全体主義・リベラル左派(福祉国家/「大きな政府」派) 資本主義経済体制とそれによって担保される個人の自由を破壊する思想 ※ポリティカルコンパス右図の「親・自由主義/開かれた社会」側の「真正保守(=伝統保守)」と「真正リベラル(=リベラル右派=経済保守)」が保守主義に該当する。 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック。 ※政治的スタンス5分類では、「親・自由主義(開かれた社会)」側の「真正保守(=伝統保守)」と「真正リベラル(=リベラル右派=経済保守)」が保守主義に該当する。 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック ※政治的スタンス5分類・8分類について詳しくは 政治の基礎知識 参照。 ■3.保守主義の概念定義 ◆1.保守主義(conservatism)の辞書的定義 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(conservatismの項)より全文翻訳 歴史的に発展し、それゆえに継続性と安定性の明証である制度(institutions)と慣行(practices)への愛好を表す政治的態度またはイデオロギー 保守主義は近代においてフランス革命に対するリアクションとしてエドマンド・バークの著作を通じて最初に表明された。バークはフランス革命は、その理想が、その行き過ぎによって汚された(tarnished)と信じていた。 保守主義者は、変化の遂行は最小限(minimal)で漸進的(gradual)であるべきだと信じている。彼らは歴史を愛好し、理想的(idealistic)であるよりは現実的(realistic)である。 著名な保守主義政党として、英国の保守党、ドイツのキリスト教民主同盟、アメリカの共和党、日本の自由民主党がある。 (2) オックスフォード英語事典(conservativeの項)より抜粋翻訳 (政治的文脈において)自由企業・私的所有・社会に関する保守的な理念を愛好すること (3) コウビルド英語事典(conservatismの項)より全文翻訳 1 保守主義とは、変化が社会にとって為されることが必要とされる場合において、それは漸進的(gradual)に為されるべきだと信じる政治的哲学である。 2 保守主義とは、変化や新しいアイディアを受け入れることを嫌がることである。 ◆2.内包と外延 ↓本文はここをクリックして表示 -... 保守主義(conservatism)の辞書的定義を押さえたところで、次はその内包と外延を検討します。 (1) 内包(intension) 論理学で、一概念に含まれる属性。例えば「空」の内包は、「上、青色、広い」など (2) 外延(extension) 論理学で、その概念が適用される事物の範囲。例えば、金属という概念の外延は、金・銀・鉄の類 ■4.保守主義の内包(=内在する属性) ◆1.保守主義の核心的特色 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) (保守主義とは)常に「現状(status quo)」の中に、①「守る(conserve)べきもの」と、②「改善(improve)すべきもの」を弁別し 1 「絶対的破壊(absolute destruction)」の「軽率さ(levity)」と 2 「一切の改善を拒絶する頑迷(the obstinacy that rejects all improvement)」 を共に排除しようとするもの、であり (2) そのような「保守(preserve)」と「改革(reform)」とにあたっては 1 古い制度の有益な部分が維持され 2 「改革」によって「新しく付け加えられた」部分は、これに「適合するようにされるべきであり」 3 全体としては「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」が保たれることを政治の眼目とする という所に、その顕著な特色がある。 つまり 1 「現状(status quo)」の中に常に「守る(conserve)べきもの」を見出すことを起点として政治的思惟が進行する、という思考形式と、 2 「遅くはあるが、しかし申し分なく持続的な進歩(a slow but well-sustained progress)」への政治的志向 の2つが、E.バークに代表される保守主義の核心的特色である。 この様な保守主義的政治態度は、政治情勢により「右」へ振れる場合にも、あるいは「左」に振れる場合にも、その振幅を有限化するばかりでなく比較的にいって僅少なものにする。 なぜなら、いずれの方向にせよ、過度の振れは「守るべきもの」を放棄することを意味し、また「左」へ振れすぎるときには、進歩の連続性が切れてしまうからである。 従って、バークの保守主義の哲学は、一言にして尽くせば、文字通りの「政治的安定性(political stability)」の哲学、「政治的力学」の哲学、高度の政治的「復元力(stability)」を持つ哲学に他ならない。 ◆2.保守主義の一般的特質 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) 思想形成の反定立(antithesis)性 保守主義は既に定立(thesis)された思想の衝撃を待って初めて、その対立者として自己の思想形成を開始する。 (2) 思想内容の他者被規定性 保守主義は、思想内容が他者によって(つまり定立された別の思想によって)方向づけられ限定される。即ちバークにおいては「アンチ・フランス啓蒙思想」「アンチ・デカルト流理性主義」であり、ハイエクやポパーにおいては「アンチ・社会主義/共産主義その他の全体主義」「アンチ・リベラリズム/福祉国家」である。 (3) 高度の状況的機動性(状況適応性) 保守主義は、それが置かれた具体的状況に密着した思考形式と実現手段を提供する。つまり保守主義は、その対抗思想のように理論が先行した思考様式ではなく、常に「現状(status quo)」を前提として歴史的継続性の中で、その内容と対応策を見出す。「イギリス人は新事態が起こるたびごとにそれを如何に利用するかを心得ている」(A.ヒットラー)即ち保守主義は、①反省的判断力による個性的状況の敏速な把握と、②政治的実践へのその巧みな活用、を本領とする。 (4) 無原則的状況主義(opportunism)との区別 保守主義は、一般に「中道(mid-roader)」あるいは「中間(centrist)」と呼ばれる「無原則主義(opportunism、便宜主義・日和見主義)」と違って一定の政治的原則/政治的価値を保持する。 (5) 貴族政治的(aristocratic)志向性 保守主義は、民衆政治(democracy)を衆愚政治(mobocracy)に陥り易いものとして警戒し敬遠する傾向がある。 ※関連ページ デモクラシーと衆愚制 ◆3.保守主義の価値観・思惟構造 ↓本文はここをクリックして表示 -... (1) 「現状(status quo)」における「保守(conserve)すべき」内容の発見可能性の肯定 保守主義は一定形態の歴史意識(但しマルクス主義的な歴史発展法則を肯定するものではなく「過去」と「現在」との継続性という意味での歴史意識)と、そうした歴史を把握する人間の能力(つまりデカルト的な普遍的理性ではなく、歴史的に形成され、個別的に存在する広義の理性)を肯定している。なぜなら保守主義は「現状(status quo)」の中に一定の「保守すべき」(即ち一定の積極的に望ましいと評価し得る)内容を見出す思想であり、それは従って人間は歴史的な経緯のうちに「保守すべき」価値内容を弁別する能力を保有することを肯定しているからである。 (2) 政治目的およびその実現手段の「既存性(existence)」の肯定 一般に政治的思惟は、①政治的目標の設定に始まり、②その適合的な実現手段を発見し、③その手段の効果的適用による目標実現によって完了する。しかし保守主義は、①この政治的思惟の起点を「現状(status quo)」における「保守すべき」内容の発見に求め、かつ、②その実現手段をも「現状」に求めている。「真の政治家というものは、常に、どうすれば自国の現存の諸材料を、最大限度に利用することになるかということを考慮するものである」(E.バーク) (3) 「申し分なく継続的な進歩(well-sustained progress)」の肯定 保守主義は「歴史の流れに順行した」政治、言い換えると慣例を活かし「現状(status quo)」を絶えず制度的ないし観念的に過去に連結していくような政治を理想とする。政治における新奇な、あるいは革新的な企図は、保守主義の歴史意識にとっては歴史の継続性に対する撹乱要因に過ぎない。 (4) 「自然的」人間性に対する「歴史的」ないし「社会的」人間性の優位 (5) 「自然的」理性に対する「歴史的」理性の優位 (6) 「抽象的悟性(abstractive understanding)」に対する「歴史的悟性(historical understanding)」の優位 「旧い先入見prejudice」と「理由のない慣習」の尊重 ■5.保守主義の外延(=対象となる範囲) ◆1.保守主義と自由主義の関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... リベラリズムについては リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 を参照のこと。 要約すると、リベラリズムには歴史的に以下の4段階があり、このうち日本語の語感で「自由主義」に相当するのは 1 と 3 である。 リベラリズムの段階・種類・区分 時期 意味内容 1 古典的リベラリズム(classical liberalism) 16世紀~19世紀 ①個人の権利・自由の確保、②政府権力の制限、③自由市場を選好…消極国家(夜警国家) 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism) 19世紀末~20世紀 経済的不平等・社会問題を緩和するため市場への政府介入を容認→次第に積極的介入へ(積極国家・福祉国家・管理された資本主義)社会主義に接近しているので社会自由主義(social liberalism)と呼ばれ、自由社会主義(liberal socialism)とも呼ばれた。 3 再興リベラリズム(neo-liberalism) 1970年代~ スタグフレーション解決のため自由市場を再度選好。 2 を個人主義から集産主義への妥協と批判し、個人の自由を取り戻すことを重視 4 現代リベラリズム(contemorary liberalism) 現代 ①不平等の緩和、②個人の権利の拡張、を含む社会改革を志向1970年代以降にJ.ロールズ『正義論』を中心にアメリカで始まったリベラリズムの基礎的原理の定式化を目指す思想潮流で、①ロールズ的な平等主義的・契約論的正義論を「(狭義の)リベラリズム」と呼び、②それに対抗したR.ノージックなど個人の自由の至上性を説く流れを「リバタリアニズム(自由至上主義)」(但し契約論的な構成をとる所はロールズと共通)、③また個人ではなく共同体の価値の重要性を説くM.サンデルらの流れを「コミュニタリアニズム(共同体主義)」という。 補足説明 2 ニュー・リベラリズム(new liberalism)と 4 再興リベラリズム(neo-liberalism)は共に「新自由主義」と訳されるので注意。もともと 1 古典的リベラリズムに対して修正を加えた新しいリベラリズム、という意味で、 2 ニュー・リベラリズム(訳すと「新自由主義」)が生まれたのだが、世界恐慌から第二次世界大戦の前後の時期に、経済政策においてケインズ主義が西側各国に大々的に採用された結果、 1 に代わって 2 がリベラリズムの代表的内容と見なされるようになり、 2 からnewの頭文字が落ちて、単に「リベラリズム」というと 2 ニュー・リベラリズムを指すようになった。ところが、1970年代に入るとインフレが昂進してケインズ主義に基づく経済政策が不況脱出の方途として効かなくなってしまい、市場の自律調整機能を重視する 1 の理念の復興を唱える 3 ネオ(=再興)・リベラリズムに基づく政策が1980年前後からイギリス・アメリカで採用されるようになった。そのため今度は、 3 を「新自由主義」と訳すようになった。 保守主義は、 ① 18世紀末のE.バークの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、 1 古典的自由主義を意味し、 伝統保守(旧保守) 対抗思想 フランス啓蒙思想(特にルソーの思想)、デカルト的理性主義(設計主義的合理主義) ② 20世紀半ば以降のF.A.ハイエクやK.R.ポパーの時代においては、実質的に「保守すべき」内容として、 3 再興(=ネオ)自由主義を意味した。 経済保守(新保守) 対抗思想 社会主義・共産主義・ファシズム等の全体主義、 2 ニュー・リベラリズム(所謂リベラリズム…福祉国家など大きな政府による実質的な個人の自由の剥奪) ⇒「保守主義の他者被規定性」の項目参照。 ◆2.伝統保守と経済保守の架橋 ↓本文はここをクリックして表示 -... ◇1.18世紀イギリスの自由主義思想家による「伝統保守」の説明 (1) D.ヒューム(スコットランド出身の英国外交官・道徳/政治哲学者、歴史家)『道徳・政治・文学に関する随想』(1742) 「英国においては到底存在する見込みはないと思われる一政体について、これ以上論議を重ねる必要はありません。我々の間ではどの党派もそれを目的としてはいないように見えます。出来るだけ我が国の古来の政体を育て発展させるようにしましょう。大変危険な新型の諸政体に対する情熱を掻き立てないようにして。」 (2) E.バーク(アイルランド出身の英国下院議員・思想家)『フランス革命の省察』(1790) 「思慮深い警戒心、綿密周到さ、気質的というよりはむしろ善悪判断から来る小心さ、これらが最も断固たる行為をする際に我々の父祖が拠り所とした指導原理の中にありました。彼らは、あの光-つまりフランス人の紳士諸君が自分たちはそれに大いに与っていると吹聴するあの光-に照らされてはいなかったために、人間とは無知で誤りやすいものである、ということを肝に銘じて行動したのでした。」 「国家と法を聖別するにあたって、まず第一に則るべき最も重要な原理の一つは、それら国家や法を一時的に、あるいは終身で保有している人々が祖先から受け取ったものや本来子孫に属するものを忘れて、あたかも自分だけが完全な主人であるかのように行為する、といったことがあってはならない、ということです。即ち、自らの社会の根源的な構造を勝手に破壊し、それによって限嗣相続の制限を解除したり相続財産を浪費したりしても、それは自分たちの権利のうちなのだ、などと思ってはならない、ということです。もしもそうしたことが行われれば、彼らは後から来る者に対して、住むべき家の代わりに廃墟を残すことになるでしょうし、彼らが自らの祖先の諸制度を殆ど尊重しなかったのだから、彼らが考え出したものもやはりそんなに尊重するには及ばないのだ、と教えるようなものでしょう。」 ◇2.保守主義=「小さな政府」なのか? 参考サイト 本当の対立点とは何か?(「保守主義」の定義) (戦争に負けた国blog様) このサイトに見るように「小さな政府」こそ保守主義だとする主張がある。 保守主義がすべからく「大きな政府」に反対する、という意味では確かにそうだが、保守主義は「経済保守(新保守=リベラル右派)」だけではない。 伝統文化・社会的価値の維持発展に主な関心を注ぐ「伝統保守(旧保守)」は、経済政策においては一般に「小さな政府」よりも中負担・中福祉(=中規模の政府)を志向する。 従って、この命題は、半分だけ正しい。 用語 説明 関連ページ 小さな政府(limited government)※注:項目なしのため、安価な政府の項目で代用※補注参照 「小さな政府」ともいう。18世紀末頃より用いられた自由主義の財政的標語で、財政規模のあまり大きくない政府をいう。ナポレオン戦争後のイギリスでは、軍事費の削減はもとより、航海法・独占特許制度の撤廃などの自由主義施策の推進と並んで一般経費の縮減が進められた。このため1870年頃まで国家財政の規模は年々減少、または漸増するにとどまり、史上ほとんど唯一の「安価な政府」が出現した。その思想的背景にあるものは、国の役割を国防・警察などに限るA.スミスの夜警国家観である。しかし、前世紀(注:19世紀)末以降イギリスを含めて経費膨張が避けがたい傾向となったことは、帝国主義の風潮に追うところが大きい。第二次世界大戦後は、福祉の充実など各経済分野での公共部門の拡大が「高価な政府」へと拍車をかけているが、1980年代アメリカのレーガン政権、イギリスのサッチャー政権下では「小さな政府」への動きがみられた。その趣旨は、経済・社会政策の領域での政府の役割を削減し、市場機構と競争に多くを委ねることによって財政赤字・政府規制を改め、公営企業の民営化を促し、自立・自助の精神により資本主義経済の再活性化をはかることにあった。(⇒経費膨張の法則) ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 ※補注:実際には「安価な政府(cheap government)」という政治・経済用語は英語圏には存在しない。(cheap government は「安っぽい・みすぼらしい政府」の意味になってしまい、用語として不適切)⇒英語に疎い日本人学者の間で使用される誤った用語と思われるが、ここでは日本語版ブリタニカ百科事典の記載内容をそのまま転記する。 ◇3.伝統保守(旧保守)と経済保守(新保守)の架橋 ~ フュージョニズムと「思いやりのある保守」 フュージョニズム(fusionism) アメリカにおいて冷戦時代に「伝統保守」と「経済保守」の融合・架橋を目指した思想的立場 ※以下は、「乱読ノート ~出町柳から哲学の道へ~」様blog記事中岡望『アメリカ保守革命』より抜粋 ※なお、中岡望氏は、現代アメリカの用法に従って「新自由主義(=リベラル右派=経済保守)」の意味で「リバタリアニズム」という語を使用しているので注意が必要。 戦後のアメリカ保守主義は二つの流れに収斂されていった。ひとつは伝統主義であり、もう一つはリバタリアニズムである。だが保守主義運動の中で、この二つのグループの間に直接的な接点はなかった。二つの保守主義は共通な価値観を持っていたが、必ずしも同じ理想を求めていたわけではなかった。「大きな政府」を批判する点では一致しながらも、「個人の自由」に関する考え方は大きく違っていた。伝統主義者が倫理や宗教から「個人の自由」を理解しようとしたのに対し、リバタリアンは市場という観点から理解しようとしていた。(p.40)伝統主義者は敬虔なキリスト教徒が主流を占めていたのに対し、リバタリアンの多くは宗教には比較的無関心であった。伝統主義者は伝統を重んじ、個人主義に対して批判的であったが、リバタリアンはダイナミックに変化する社会経済をイメージし、個人の自由を最大限認める個人主義の哲学を掲げていた。(p.41) しかし、思想運動としての保守主義が発展するためには、「小異を捨てて大同につく」ことが求められた。二つの流れを融合させることが必要であった。反共主義がその接着剤の役割を果たした。 保守主義の二つの流れを融合させたのが、ジャーナリスト出身の保守主義者フランク・メイヤーである。融合された保守主義思想は「フュージョニズム(融合主義)」と呼ばれた。(p.41)伝統主義が主張する人間の“美徳”の達成は・・・リバタリアンの主張する“自由な社会”があって初めて可能になると説いたのである。メイヤーは、これによって、それまで対立していた伝統主義とリバタリアニズムを保守主義革命の大義のために“融合”させたのである。(pp.43-4)フュージョニズムが反共主義によって貫かれている・・・。冷戦が深刻化し、共産主義の世界への拡大が現実のものとなりつつあった当時の状況から、全体主義に反対する伝統主義者もリバタリアンも、反共主義にはまったく異論がなかった。その結果、反共主義はアメリカの多様な保守主義の思想を結びつける役割を果たすことになる。(pp.44-5) ここまでがアメリカ保守主義革命の第一段階である。メイヤーによる“融合”によって理論武装を終えた保守主義者は、その舞台を思想の場から政治の場へと移していく。彼らは保守主義思想を単なる思想運動に留めることなく、その理念を政治の場で実現しようとした。ここから保守主義革命は第二段階に突入する。1950・60年代、タフト、ゴールドウォーターという二人の共和党政治家は保守主義の理念を政治の場で実現することに成功しなかった。しかし、その過程で、保守主義運動の本流の流れとは別に、(伝統的な孤立主義を捨てて積極的に国際政治に介入しようとする反共主義者である)「冷戦リベラル」や(人工中絶や同性愛を宗教的な倫理観に反する現象として徹底的に批判する)「クリスチャン・ライト」といったグループが保守陣営に加わり、保守主義者は共和党の一大支持基盤を形成していく。それに伴って、共和党は保守主義を奉じる政党へと変貌していく。そして、1980年、レーガン共和党政権の成立によって、ついに保守主義はその理念を政治の場で実現するチャンスを手に入れた。 思いやりのある保守主義(compassionate conservatism) ブッシュ大統領が、冷戦終結で「反共」という共通基盤を失った後の「伝統保守」と「経済保守」を架橋するために打ち出した政策コンセプトであり、さらに「思いやり(compassion)」という言葉に象徴されるように、従来は共和党の支持者獲得のターゲットとはあまりみなされなかった社会的弱者への目配りが含意されている。英キャメロン首相も、ブッシュ政権に倣いこれを自身の政策コンセプトとして採用しているほか、安倍元首相が政権当時掲げた「再チャレンジ支援構想」もこのコンセプトの影響を受けていると考えられ、21世紀型の保守主義のあり方として注目される。 ■6.保守主義と混同されやすいが別概念として区別すべきもの ここでは、保守主義(=真正の自由主義)と全体主義の間に位置するリバタリアニズム・コミュニタリアニズム及びナショナリズムについて説明し、更にナショナリズムに関連してよく問題となる保守・右翼・極右の区別について説明します。 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック ◆1.保守主義とリバタリアニズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 +... ◇自由至上主義(libertarianism)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(libertarianismの項)より全文翻訳 個人の自由を強調する政治思想。自由至上主義者は、各個人は、自己の行動が他人の自由を侵害しない限り、完全な行動の自由を保持すべきだと信じている。 自由至上主義者の政府に対する不信は、19世紀の無政府主義(anarchism)に起源を持つ。典型的な自由至上主義者は、所得税やその他の政府の課税ばかりでなく、社会保障(social security)や郵便サービスのような他の多くの人々が有益だと思っているプログラムにも反対する。 アメリカでは彼らの見解はしばしば伝統的な政党間の境界を横断する(例えば、自由至上主義者はほとんどの共和党支持者と同じ様に銃規制に反対するが、ほとんどの民主党支持者と同じ様に禁止薬物の合法化を支持する)。 自由至上主義者の間で愛好されている人物はヘンリー・デビット・ソローとアイン・ランドである。 (2) オックスフォード英語事典(libertarianismの項)より抜粋翻訳 市民生活に対する政府の介入を最小限のもののみとすることを唱導する極端な自由放任の政治思想。 その支持者は個人の道徳は政府の扱う事柄ではなく、それゆえ麻薬使用や売春のような異論もあるところではあるが参加者以外の誰も害さない活動は不法とされるべきではないと信じている。 自由至上主義者は無政府主義者と主張内容を共有しているが、但し自由至上主義者は一般には、より一層政治的権利と関連付けられる(主としてアメリカ)。自由至上主義は伝統的な自由を社会的正義に結びつける配慮が欠落している。 (3) コウビルド英語事典(libertarianの項)より全文翻訳 1 リバタリアンであったり、またリバタリアン的な態度の人とは、人々は自分が望むままのやり方で考えたり振る舞う自由を持つべきだという理念を信じ、また支持している人である。(= リベラル) 2 自由至上主義者とは自由至上主義の見識を持つ人である。(= リベラル) このように、正確な定義でのリバタリアニズムは、 (1) 極めて強く個人的自由の領域の拡大を希求する思想であることから「右派」の「経済保守(=リベラル右派)」に近いといえる(そのために新自由主義と混同を招いた)が、 (2) そうした姿勢は、①無政府主義(左派に近い思想と一般には考えられる)につながること、 (3) また、②政府などの公的機関の介入が最小となる社会を合理的に設計できる、としている点でデカルト以来の設計主義的合理主義(左派の根本的思想の一つ)に連なること、 から、右派・左派のどちらにも分類できない「中間派」とするのが、最も適切である。 ◆2.保守主義とコミュニタリアニズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 +... ◇共同体主義(communitarianism)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(communitarianismの項)より全文翻訳 ①政治生活の実行、②政治制度の分析・評価、③人間のアイディンティティと安寧幸福の理解、に関する共同体(community)の重要性を強調する政治・社会思想。 共同体主義は1980-90年代に、ジョン・ロールズ等の思想家による理論的リベラリズムに対する明白な反対思想として興起した。 共同体主義者によれば、リベラリズムは非現実的なほどに原子化した抽象的個人という概念に寄りかかっており、また自由と自律といった個人的価値に余りにも重要性を置き過ぎている。 共同体主義の主要な代表者には、アミタイ・エツィオーニ、マイケル・サンデル、チャールズ・ティーラーが含まれる。 なお、集産主義を参照のこと。 (2) オックスフォード英語事典(communitarianismの項)より抜粋翻訳 1 小規模な自治的共同体に基礎を置く、社会組織に関する理論または制度。 2 共同体に対する個人の責任と、家族という単位の社会的な重要性を強調するイデオロギー・ ※コリンズ-コウビルド英語辞典には項目なし。 このように、正確な定義でのコミュニタリアニズムは、 (1) 歴史的に育まれた共同体に根付く価値観を正当に評価し維持発展させようと希求する思想であることから「右派」の「伝統保守」に近いといえる(そのために、これこそが真の保守主義であるとする誤認識を招いた)が、 (2) その姿勢は、個人の自由意志を軽視して、集産主義(左派の根本的思想の一つ)につながる傾向が強いこと から、やはり右派・左派のどちらにも分類できない「中間派」とするのが、最も適切である。 参考サイト オピニオン●保守と日本精神(細川和彦氏サイト) ※当ページ作成時に一部参考にした保守/リベラル/右翼/左翼などの政治思想の定義づけ・分類・整理を行っているサイトで、ことに共同体主義こそ真の日本的保守主義と主張する点がユニーク。 ◆3.保守主義とナショナリズムの区別 ↓本文はここをクリックして表示 -... ◇1.ナショナリズム(nationalism:国民主義、民族主義、国家主義など文脈に応じて様々に訳し分ける)の辞書的定義 (1) ブリタニカ・コンサイス百科事典(nationalismの項)より全文翻訳 自己のnation(アイデンティティを共有する人々の集合)またはcountry(地理的な意味での国家)に対する忠誠(loyalty)と献身(devotion)であり、特に他の人々の集合や個人的な利害への忠実さを上回るもの。 国民国家(nation-state)の時代以前は、ほとんど全ての人々の忠誠先は彼らの直近の地域や宗教的集団だった。 巨大な中央集権国家の登場は地方的権威を弱体化させ、日々進行する社会の世俗化は宗教的集団に対する忠誠を弱体化させた。しかしながら人々に共有される宗教は-共通の民族性・政治的遺産・歴史と共に-人々を国民主義運動(nationalist movement)へと誘い入れる要因の一つとなった。 18世紀から19世紀初めにかけての欧州の初期の国民主義運動は自由主義的(liberal)で国際的(internationalist)なものだった。しかしそれは次第に頑迷(conservative:「保守的」の意味もあるがここでは「頑迷」の意味ととる)で偏狭(parochial)なものとなっていった。 ナショナリズムは第一次世界大戦・第二次世界大戦そして近代におけるその他の多数の戦争を引き起こした主要因と考えられている。 20世紀のアフリカとアジアでは民族主義運動(nationalist movements)はしばしば植民地主義(colonialism 植民地支配)に対する反対(抵抗)を引き起こした。 ソ連邦の崩壊後、東欧と旧ソ連邦の各共和国の強烈な民族主義的感情(nationalist sentiments)は、旧ユーゴスラビア地域におけるような民族的紛争(ethnic conflict)の要因となった。 (2) オックスフォード英語事典(nationalismの項)より抜粋翻訳 1 愛国的な感情・原理・尽力(patriotic feeling, principle, or efforts) 2 他の国々(country)に対する優越性(superiority)という感情によって特徴づけられた極端な形の愛国心(an extreme form of patriotism) 3 特定の国家(country)の政治的独立の主張(advocacy) (3) コウビルド英語事典(nationalismの項)より全文翻訳 1 ナショナリズムとは自分達は歴史的にまたは文化的に、ある国家(country)の中で特定の分離された集団であると感じる人々の、政治的独立への渇望(desire for political independence)である。 2 ある個人の自己のnationに対する巨大な愛情をナショナリズムと呼ぶことが可能である。ある特定のnationは他の全てのnationより優秀であるという信条と、このナショナリズムはしばしば関連付けられるが、こうしたケースは、しばしば(話者の)不承認(不快感 disapproval)を表現するために用いられる(=jingoism 偏狭的優越主義) ◇2.ナショナリズムの発展モデル ※ナショナリズムは一般に以下の3段階で発展すると考えると理解し易い。 Ⅰ.解放的ナショナリズム(パトリオティズム) → Ⅱ.国民国家の成立 → Ⅲ.拡張的(排外的・侵略的)ナショナリズム(ジンゴイズム/ショーヴィニズム) 主に他国や他民族の抑圧に対して、①国家・国民形成を図りつつ、②政治的あるいは経済的自決(民族自決)を求める動き※政治的・経済的自決を求めることから、この段階のナショナリズムは自由主義と親和的である。 → 国家の要請に適った国民を育成するために、①統一的・画一的な国民教育の実施、②歴史・文化の共有化、③「伝統の創造」(※)といった公定ナショナリズムとでも言うべき諸政策が政府主導で実施される。※英歴史学者ホブズボームの用語で、正統性に問題のある新興国家の政府が行いがちな一種のご都合主義的な「伝統」価値の捏造 → 増大していく大衆の自尊感情の現れとしてのナショナリズム(大衆の自己崇拝、ナショナリズムの市民宗教化)。Ⅱ.の公定(=官製)ナショナリズムの結果、政府当局のコントロールが効かない状態にまで大衆の自尊感情が昂進してしまった状態。 少数エリ-トの自覚的な活動(市民型ナショナリズムcivic nationalism)として始まり、次第に参加者を拡大していく → 国民の政治参加の意欲が高まる結果、大衆デモクラシーが成立するが、次第に衆愚化していく傾向を免れない。 → 理性よりも大衆の無定見な民族感情に流され易くなり(民族型ナショナリズム ethnic nationalism)、①国内的には排外的、②対外的には侵略的傾向を強めていく結果となる。 例1 フランス革命の最初期 → フランス共和国の建設(カルノーの徴兵制etc.) → ジャコバン政権樹立以降の「革命の輸出」~ナポレオンの侵略戦争 例2 ドイツ統一運動 → ドイツ第二帝国の建設(ビスマルク時代) → ウィルヘルム2世の世界政策から第一次世界大戦へ。さらに敗戦からワイマール共和国の混迷ののちナチス政権による侵略政策の追求へ 例3 明治維新~日露戦争・不平等条約改正 → 大正デモクラシー(男子普通選挙の導入=大衆の政治参加) → 日本の場合は露骨な対外侵略の肯定という形は憚られたが、アジア諸民族と結んで白人支配を覆すという大義(=アジア主義)が利用される形で拡張的ナショナリズムが発動してしまった。 ※韓国は、Ⅱ.の行き過ぎの結果、Ⅲ.拡張的(排外的・侵略的)ナショナリズムが発動してしまった状態と解され、また中国もⅡ.を部分的ながら過激に実行した結果、Ⅲ.の歯止めが利かなくなりつつある状態と見られる。 ◆4.保守・右翼・極右の区別 ↓本文はここをクリックして表示 -... ※保守・右翼・極右をどう区別するかは定義の仕方次第だが、一応の目安として以下の基準が有効である。 内容 関連ページ 保守 国内外の全体主義(共産主義・社会主義・リベラリズムなどの集産主義)の脅威から自由を守る(=自由主義) 保守主義とは何かリベラリズムと自由主義 右翼 他国・他国民の侵略的ナショナリズムの脅威から自国・自国民を守る(=解放的ナショナリズム) 右翼・左翼の歴史ナショナリズムとは何か 極右 他国・他国民に対して侵略的ナショナリズムを発動している段階。なお極右と極左は紙一重の双生児であり、極左も当然侵略的ナショナリズムを発動している段階である。 右翼・左翼の歴史 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック ■7.日本の保守主義 以上で、①E.バーク的保守主義(伝統保守)と、②ハイエク的保守主義(経済保守)の2大類型に基づいて、英語圏で発展した保守主義の標準概念と、関連する諸思想の位置づけを説明しました。 以下では、この標準的な保守主義の解釈をベースとして、日本の保守主義及び関連する諸思想について分類・位置づけを行います。 ※サイズが合わない場合はこちらをクリック ◆1.参考:「保守主義」という用語の使用状況 ↓本文はここをクリックして表示 -... 戦前・戦中さらに戦後も1970年代までは「保守主義」という言葉はマイナス・イメージの付きまとう言葉として日本ではこれを自称する者はほとんどいなかった。 左翼側が敵対勢力を「保守反動」とレッテルを貼って批判する場合に使用される例がほとんどであり、政治勢力としての「保守」は存在しても、政治思想としての「保守主義」を唱える者はほとんどいなかった。(明治21年に長州藩出身の軍人・政治家 鳥居小弥太が「保守中正派」と称する小政党を作り「保守」を論じていることが数少ない例外) 戦前・戦中において伝統保守的な思想的立場を表明する者の多くは、もっぱら「右翼」(とくに昭和初期には「観念右翼」ないし「精神右翼」)と他称され、また彼ら自身は後述する「日本主義」を名乗っている場合が多かった。 その後、1980年代に英サッチャー・米レーガン両保守政権が政治的・経済的に成功を収めて、「保守主義」に今度はプラス・イメージが高まり、日本でも「保守主義」を自称する者が急増し、現在に至っている。 ◆2.西欧保守主義・日本の保守主義の接合上の問題点と考え方 ◇1.保守主義と、自由主義・個人主義・デモクラシーの関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... 《問題点》 西欧保守主義の本質は、自由主義・個人主義・デモクラシーの肯定にある。⇒ ところが、日本の「保守」論客には、自由主義・個人主義・民主主義を否定的に捉える者がかなり多いように見える。変ではないか? 【考え方】 日本の「保守」論客の批判している「自由主義」「個人主義」「民主主義」の内容をよく読むと、ルソー以降に左翼によってその意味を歪曲されてしまった「(左翼的意味の)自由主義(=リベラリズム)」「(アトム化された)個人主義」「(衆愚化した)デモクラシー(=モボクラシー)」のことであることが分かる。これは、「自由主義」「個人主義」「民主主義」という言葉が、日本でも一般的に使用されるようになった大正時代(大正デモクラシー期)には、これらの言葉は、既に西欧社会においても左翼によってその本来の意味を歪められてしまっており、日本の「保守」論客たちは、それらの政治思想・概念を、本来の意味ではなく、もっぱら歪曲された意味で理解してしまったことに原因があると思われる。ハイエクやポパー、バーリンらの真正の自由主義者(本来の自由主義者)による「左翼によって歪曲された」政治思想・概念への痛烈な(そして左翼側にとっては致命的な)批判は、第二次世界大戦中あるいはその直後にようやく日の目を見たものであり、当サイトでは、彼ら(ハイエクやポパー)の必勝の論法を是非ともマスターすることを強く推奨している。しかし、これらの左翼批判を受容していない(要するにハイエクやポパーを読んでいない)日本の「保守」論客たちは、いまだに単純な(そして残念ながら余り説得力があるようには思えない)従来どおりの紋切り型の「自由主義」「個人主義」「民主主義」批判を繰り返していると思われる。この点に関する不都合は、戦前から戦後にかけての日本の代表的な保守主義者である平泉澄博士の著作についても残念ながら当てはまることである。(平泉博士はハイエク・ポパーと同時代人であることから、バークのルソー批判までは受容していても、ハイエク・ポパーの全体主義批判までは受容できなかったことに起因)従って、結論として我々は、①日本自生の保守主義の理解のみに立脚するのではなく、②西欧保守主義の伝統にも立脚し、これを左翼・全体主義を完膚なきまでに論破する最上のツールとして是非とも活用すべきである。 (参考)「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」⇒詳細は「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引きへ 真の個人主義 (→自由主義体制へ) 偽の個人主義/集産主義 (→全体主義体制へ) 主な提唱者 ソクラテス、バーク、A.スミス、ヒュームアクトン、トックヴィル、ハイエク、ポパー、オークショット プラトン、デカルト、百科全書派、ルソー、マルクス、ベンサム 制度・秩序の捉え方 自生的秩序(spontaneous order)論即ち、自由な人々の自然発生的な協力が個々人の知性が完全には理解できないほどの偉大な制度や秩序など社会的構築物を創り出すこと(A.スミスの所謂「神の見えざる手invisible hand」)を肯定し、そうした特定の人物・組織の設計に依存しない自生的秩序形成が正常に機能する仕組みを維持育成することに重点を置く立場 設計主義的合理主義(constructivist rationalism)即ち、発見できる全ての秩序は特定の個人や組織の計画的な設計の産物であるとして、個人の理性を買いかぶり、個人の理性によって意識的に設計されたものでないもの・理性にとって完全には明瞭でないものに対しては、何であれ重視しない立場。 個人と国家の捉え方 中間団体による個人の自由の保障本質的に自由な個々人によって自発的に結成され歴史的に継続・発展してきた種々の中間団体(例えば、宗教共同体・職能組織・地縁集団・血縁集団)の存在によって個人が保護され、権力(power)がこうした中間団体や個々人に広く分散されるために全能の中央集権的政府の出現は阻止され、個人の実質的な自由は保障される。 アトム化された個人の国家への隷従①各種の中間団体から切り離され原子化(アトム化 atomized)された裸の個人と、②全能の中央集権的政府が直接対峙し、政府(=国家)が全ての個人の生活の責任を負うという建前の下に社会的な絆を剥奪されて(ルソー的な意味で)「自由」となった個人は結果的に全体主義的政府に隷従する。 政治機構の捉え方 人間や制度の不完全性の前提この主義の主たる関心は、①人間が最も良い時に時折成し遂げられるかも知れないことよりも、②人間が最も悪いときに害悪を及ぼす機会を出来るだけ少なくすることにある。その体制は機能の良し悪しが、それを操作する人間を我々が見つけ得るか否かに依存しないし、全ての人間が現にあるよりも善くなることにも依存しない。従ってこの体制は、その下にある全ての人間に自由を許容することが出来、現にあるがままの人間をその多様で複雑な姿のままで(本人が利己的な動機で動くにも関わらず)社会のために役立たせ得るシステムである。 社会契約論的個人主義と「自由への強制」この主義は個人を出発点とみなし、個人が彼の特殊意思と他人の特殊意思とを形式的な契約において結合させることによって社会や国家を創ると想定する。その体制は、プラトン「哲人王」、ルソー「立法者」、ナチス「指導者」etc.の育成/出現を前提とするが、「権力は必ず腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」(アクトン)ことを免れない。この体制は自由を「善良で賢明な個人」のみに許容し、その他の人々は「自由へ強制される」。 出現する社会 開かれた社会上下にも内外にも流動性が高く、社会に常に新たな活力が導入されるために、個々人の間では所得や社会的地位や幸福度・充足度などに必然的に差異が発生しても、社会全体の経済的・文化的水準は「閉ざされた社会」に比べて圧倒的に高くなる。 閉ざされた社会社会が固定的で、指導者・エリート層と一般人民の垣根が厳格に設定される(平等を謳いながらも社会がカースト化する)傾向にあり(G.オーウエル『1984年』を見よ)、かつ悪平等の弊害として自ら努力して状況を改善しようとする動機が働かないために特に経済的・文化的に停滞してしまう。 社会の原則 「人々を平等に取り扱うこと」(=自由な社会の条件) 「人々を平等たらしめること」(=隷従の新しい形態(A.トックヴィル)) ◇2.保守主義と、ナショナリズムの関係 ↓本文はここをクリックして表示 -... 《問題点》 西欧保守主義は、ナショナリズム(=右翼思想)とは区別されるのが普通である。保守主義の代表者であるE.バーク自身が、イングランド本国ではなくその統治下にあったアイルランドの出身の政治家であり、またハイエクはオーストリアからイギリスに帰化した学者であって、彼らの思想には全体主義に対する激しい批判はあっても、ナショナリスティックな発想は一切混入していない。⇒ これに比較して、日本の「保守主義者」の唱える思想には、(1)反・全体主義の主張と、(2)ナショナリスティックな主張との区別が明瞭でなく、そのままでは英米保守主義の定義とは齟齬が生じてしまう恐れが高い。また最近は、本来の意味での保守主義とはまるで関係ない思想を唱えてるにも関わらず、その言葉のもつプラス・イメージに着目した自称「保守主義者」が続出しており、思想的な混乱が甚だしくなっている。 【考え方】 「ナショナリズム」の定義を確り押さえずに、やたらに「民族主義」という言葉を使っているケースが多いように思う。普通に祖国や自国民、自国の文化・伝統・歴史などに愛着を持つことは、西欧保守主義でも当然視されており、これを「パトリオティズム」とは表現しても、「ナショナリズム」とは通常は言わないはずである(nationalismは、①patriotism と②jingoismの両方の意味を包摂するが、現代の用法ではnationalismは、②排外的なマイナスの意味合いが強まっている)。日本の問題はむしろ、西洋であれば「保守」ではなく「ナショナリスト」「右翼」と呼ばれるべき主張を持つ人物・組織が、「右翼」という言葉にマイナス・イメージが定着しているために、文字通り「民族主義者」であるにもかかわらず「保守」と自称している者が非常に多く、その結果、「保守(アンチ全体主義)」と「右翼(ナショナリスト)」が著しく混同されている点にある。つまり、日本においては、①単に「パトリオティズム」である祖国愛を、「民族主義」と勘違いしている保守主義者②西欧保守主義の基準では、「ナショナリスト」「右翼」なのだが、「保守」を自称する者の二種類がおり、それらの者の主張内容を確り吟味し、「保守」なのか「右翼」なのか識別する必要がある。 ◆3.日本主義 ※次に、戦前・戦中に具体的に「保守主義(伝統保守)」に相当する概念・思想を表す言葉として多用された「日本主義」について解説します。 ↓本文はここをクリックして表示 -... ブリタニカ国際百科事典(ブリタニカ・ジャパン社)による説明。 にほんしゅぎ【日本主義】 明治から第二次世界大戦敗戦までにおける欧化主義・民主主義・社会主義などに反対し、日本古来の伝統や国粋を擁護しようとした思想や運動をいう。一定の思想体系をなしていたとはいえず、論者により内容が相違する。明治の支配層が推し進めた欧化主義への反発として三宅雪嶺や高山樗牛らによって唱えられ、政治的には欧米協調主義への反対、国権や対外的強硬策の強調となって現れた。大正や昭和になって日本の資本主義の高度化が階級対立を激化させ、社会主義やマルクス主義が流入すると、これら諸思想の対抗イデオロギーとして機能し、天皇を中心とする皇道や国体思想を強調した。(cf.神国思想) つまり日本主義には歴史的に見て以下の二段階がある。 ① 明治期の日本主義 政府の欧化主義に反発し、国粋主義/国権主義(特に政府の欧米協調路線に反対する攘夷主義)を主張した言論活動(政論的ジャーナリズム) 他国の侵略から自国・自民族を守る(解放的ナショナリズム)⇒即ち「右翼」思想 ② 昭和期の日本主義 皇道・国体思想を強調して、社会主義やマルクス主義の思想侵略の脅威への対抗イデオロギーとして機能した思想活動 全体主義の脅威から自国の歴史・伝統に根差した自由を守る(日本型保守主義)⇒即ち「保守」思想 ※「保守」と「右翼」の違いは ナショナリズムとは何か 参照 ※日本主義について、詳しくは 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 参照 ※この「(昭和期の)日本主義者」は、観念右翼または精神右翼と他称されており、これに対して、よりナショナリスティックな政治的主張を唱える者を革新右翼または組織右翼と呼んで区別した。 ◆4.革新右翼(国家社会主義者)と観念右翼(伝統保守) ↓本文はここをクリックして表示 +... 参考図書に挙げている日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜によれば、左翼が一掃された昭和10年代の日本には、①革新右翼と②観念右翼の二大勢力があり、国内・国外の政策を巡って激しく対立したとされる。 ※ブリタニカ国際百科事典には「観念右翼」のみ項目があり、その中に「(国家社会主義者(組織右翼)」の説明もあるので引用します(革新右翼を組織右翼とも呼んだ)。 【観念右翼】かんねん・うよく 特定の右翼党派ではなく、純粋な日本精神主義を思想や行動の原理とする諸団体。上杉慎吉をその源流とする。第二次世界大戦前の右翼運動を思想形態から分類すると、国家社会主義派(組織右翼)と日本精神主義派(観念右翼)に大別される。上杉の組織した桐花学園(1913創立)、蓑田胸喜、天野辰夫、菊池利房による興国同志会(19)、平沼騏一郎の国本社、興国同志会の流れをくむ七生社(25)などが観念右翼としてあげられる。 ※革新右翼と観念右翼の理念型(日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜より引用) ①革新右翼 ②観念右翼 国家改造 国体明徴 高度国防国家 国民精神総動員 解釈改憲 護憲(不磨の大典) 指導者原理 臣道実践 統制経済 資本制擁護 親ソ・親独 反共・反独裁 世界史的な使命 日本史的な道統 陸軍統制派 陸軍皇道派 革新官僚 財界 無産政党 既成政党(現状維持派) 国家社会主義者 自由主義者 ※②観念右翼が「日本主義」を唱えたのに対して、①革新右翼すなわち国家社会主義者は「アジア主義」の立場を説く場合が多かった。 ※以下、関連項目をブリタニカ百科事典より引用。 ◇参考:アジア主義 【大アジア主義】だい・アジア・しゅぎPan-Asianism 欧米列強のアジア侵略に抵抗するため、アジア諸民族は日本を盟主として団結すべきであるという考え方。明治初期以来、種々の視角から展開された。植木枝盛は自由平等の原理に基づきアジア諸民族が全く平等な立場で連帯すべきことを説き、樽井藤吉や大井健太郎は、アジア諸国が欧米列強に対抗するために連合する必要があり、日本はアジア諸国の民主化を援助すべき使命があると説いた。明治20年代になると、大アジア主義は明治政府の大陸侵略政策(注)を隠蔽する役割をもつようになった。1901年に設立された黒龍会の綱領にもみられるように、その後の大アジア主義は天皇主義とともに、多くの右翼団体の主要なスローガンとされ、これに基づいて満蒙獲得を企図する政府・軍部の政策が推進された。日本人の大アジア主義的発想は、第二次世界大戦前・戦中の「大東亜共栄圏」構想を支えた。※注:ブリタニカ百科事典にも自虐史観の傾向は当然あり、上記のような「大陸侵略政策」という問題のある記述がなされている。 【大東亜共栄圏】 第二次世界大戦を背景に1940年第二次近衛内閣以降45年敗戦まで唱えられた日本の対アジア政策構想。その建設は「大東亜戦争」の目的とされた。東条英機の表現によれば、大東亜共栄圏建設の根本方針は、「帝国を核心とする道義に基づく共存共栄の秩序を確立」しようとすることにあった。しかし実際は、東アジアにおける日本の軍事的・政治的・経済的支配の正当化を試みたものに他ならなかったといえる。第一次近衛内閣当時の「東亜新秩序」は日本・満州・中国を含むものに過ぎなかったが、南進論が強まるにつれて、インド・オセアニアにいたる大東亜共栄圏構想に拡大された。大東亜省の設置と大東亜会議の開催は、このような方針の具体化に他ならない。 ◆5.まとめ ↓本文はここをクリックして表示 -... 運動の性格 ① 明治期の日本主義 政府の欧化主義に反発し、国粋主義/国権主義(特に政府の欧米協調路線に反対する攘夷主義)を主張した言論活動(政論的ジャーナリズム) 他国の侵略から自国・自民族を守る(解放的ナショナリズム) 右翼思想 当初は国粋主義的だった在野言論人の活動は、明治末・大正期に日本が大国化したのちも反骨精神は全く変わらず、今度は次第に左翼思想に理解を示す者が出てきた(左右等価気分説(※1))。更に彼らは、戦後は進歩派・市民派左翼文化人として活発に活動した(長谷川如是閑・丸山眞男etc.)。 ② 昭和期の日本主義 皇道・国体思想を強調して、社会主義やマルクス主義の思想侵略の脅威への対抗イデオロギーとして機能した思想活動 全体主義の脅威から自国の歴史・伝統に根差した自由を守る(日本型保守主義) 保守思想 日本精神主義派(観念右翼)。日本主義的教養を武器に学生・知識人の左傾化を防止し日本精神に目覚めさせると共に、革新右翼の狙う国家改造・解釈改憲・国家経済の社会主義化、更には戦争の長期化を「護憲」の立場から制止・抑制するために奔走。いざ戦争が激化すると国防のために生死を厭わず護国のために尽くした者が多い。 ③ アジア主義 アジア諸民族を白人支配から解放するという大義を掲げ、実際にも明治期の孫文を初めインドのB.ボース、フィリピンのアギナルドらの独立運動と連動しつつ遂行された日本の勢力拡張運動。 アジア諸民族の独立を支援する(排白人主義)(拡張的ナショナリズム) 極右思想 国家社会主義派(組織右翼=革新右翼)と重なる。代表的イデオローグとして5.15事件に関与した大川周明、2.26事件に連座した北一輝。革新右翼は2.26事件暴発後に勢力を急拡大し三木清など転向左翼の多数が近衛内閣のブレーン集団を形成して国策を左右した。※詳しくは 右翼・左翼の歴史 参照 ※「保守」「右翼」「極右」の違いは ナショナリズムとは何か 参照 ※1:左右等価気分説…右傾化も左傾化も既成勢力に対する反抗という意味で基本的に同じ心情に基づくものであり、状況が変化すれば左・右転換は容易とする説。 以上、説明したように、日本においても「保守主義」と「ナショナリズム」を区別することは可能であり、かつ英米保守主義との整合性という観点からもこの区別は必要と思われる。また、戦前・戦中に「日本主義」を唱えた日本型の保守主義者の系譜は、参考図書にあるとおり、実は戦後も途切れておらず、現在の日本の保守主義陣営(伝統保守の側)の中核に繋がっていることに注目すべきである。(なお、経済保守についてはこの限りでない) ※日本の保守主義に関して詳しくは、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を参照下さい。 ■8.参考図書 ↓本文はここをクリックして表示 +... 『保守主義の哲学―知の巨星たちは何を語ったか (単行本)』中川八洋(著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介これまで日本には保守主義は正しく紹介されなかった! 保守主義が真に必要な今、その真髄を初めて体系的に詳解。保守の常識が覆る!アメリカを建国した保守主義の天才、ハミルトン。“法の支配”という自由の砦を大成した、コーク。フランス革命と戦った「保守主義の父」、バーク。それらの思想について、ほとんどの日本人は知ることがない。明治以降、あれほど西欧思想が流入したにもかかわらず、英米を中心とした保守主義はほとんど排除されてきた。その結果、日本人は保守主義について、あまりに無知である。保守主義者を自称するものも、保守主義とはどういう思想かを理解していない。法曹関係者ですら、“法の支配”の真の意味がわかっていない。この保守への無理解が、ひいては現在日本のあまりの非常識と混迷を招いているといっても過言ではない。では「保守主義」とは何か? それを体系的に解説したのが本書である。上記の思想家たちの他にも、トクヴィル、ヒューム、アーレント、オルテガ、ホイジンガ、ハイエクなど数多くの思想家を紹介する。いま初めて明かされる保守主義の真髄!目次第1部 保守主義の父祖たち(「米国保守主義の父」アレグザンダ・ハミルトン、「法の支配」は復権できるか―マグナ・カルタ再生とコーク卿、「保守主義の父」バーク―「バーク・ルネサンス」を日本に祈る)第2部 全体主義と戦う「真正の自由」(「隷従への道」を歩む二十一世紀日本―アーレント解題、「赤より死!」の、反ヘーゲル―カール・ポパーの哲学、平等という、自由の敵―警鐘を鳴らすトクヴィル、反撃するベルジャーエフ)第3部 「美徳ある自由社会」を創る(人間を透視したヒューム道徳哲学、「社会正義」は“亡霊”―自由の原理とハイエク政治哲学、「高貴なる自由」―永遠のバーク哲学)★ハイエクの思想を機軸に、西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想の系譜を峻別して分かり易く解説。エドマンド・バークを初めとする西欧の正統保守思想の概略をこの一冊でマスター可能。残念ながら現在は絶品であり中古本も高額なので同著者の正統の哲学 異端の思想―「人権」「平等」「民主」の禍毒で代用することを薦めます。 アメリカ保守革命中岡 望 (著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介今、世界を席巻しつつある「保守主義革命」は、アメリカで始まった。それは“アメリカ化”という形で、世界の政治、経済、文化を巻き込み、留まることのない勢いで世界の隅々まで行き渡りつつあるようにみえる。日本もその世界的な潮流の埒外に存在しているわけではない。主流だったリベラリズムと対峙しながら、最初は思想運動として始まり、やがて現実の政策へと影響力を拡大していったアメリカ保守主義の発展過程とその内実を縦横に描いた名作。目次第1章 戦後の保守主義のルネッサンス(アメリカのリベラリズムと保守主義思想、二人の保守主義思想のゴッドファーザー ほか)第2章 保守主義思想とレーガン革命(思想運動から政治運動へ、保守主義思想の政治の代弁者たち ほか)第3章 レーガン革命と冷戦後の保守主義運動(未完のレーガン革命、一九九〇年代の保守主義の思想闘争 ほか)第4章 新しいエスタブリッシュメント―ネオコンの群像(ネオコンの創始者たち、ネオコンたちの思想的変遷 ほか)第5章 ブッシュ政権と二一世紀の保守主義(ブッシュ政権の樹立と政策、ブッシュの経済政策―レーガノミックスの再現 ほか)★戦後アメリカで細々と始まった(1)ウィーバー カークによる伝統保守の思想運動と、(2)ハイエク・フリードマンらによる経済保守の思想運動の二つの流れが、メイヤー バックリーによって融和・統合され、やがてゴールドウォーター、レーガンというコミュニケーター(人気政治家)を得て遂にアメリカ政治の表舞台に立つ時がくる。そして不十分な結果に終わったレーガン革命は、クリントン政権期の試練を経て、ブッシュ子政権期に更なる前進を見せる。60年の長期に渡るアメリカ保守革命のあらましを必要十分に描きつくした好著。 日本主義的教養の時代―大学批判の古層竹内 洋 (編集), 佐藤 卓己 (編集) 2006.2刊内容(「BOOK」データベースより)戦前「護憲」の降魔剣“日本主義”を解明。「右翼」「反動」のレッテル貼りで忌避されてきた一九三〇年代“日本主義”の大学批判。マルクス主義的教養の機能的代替となった日本主義的教養の担い手たち。来るべき時代を読み解く画期的論集。目次第1章 帝大粛正運動の誕生・猛攻・蹉跌第2章 天皇機関説批判の「論理」―「官僚」批判者蓑田胸喜第3章 写生・随順・拝誦―三井甲之の思想圏第4章 英語学の日本主義―松田福松の戦前と戦後第5章 戦時期の右翼学生運動―東大小田村事件と日本学生協会第6章 日本主義的社会学の提唱―赤神良譲の学術論第7章 日本主義ジャーナリズムの曳光弾―『新聞と社会』の軌跡★未だに自虐史観どっぷりの東大・岩波系とは距離を置く京大系の学者達による昭和10年代日本の思想状況の共同研究プロジェクト全体のガイドライン的な位置づけの本。 日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜井上 義和 (著) 2008.6刊内容(「BOOK」データベースより)国家的危機の時代における大学の使命とは何か。欧化一辺倒の東京帝国大学に学風改革を迫り、高度国防国家を標傍する政府とも命がけの思想戦を繰り広げた東大生たち。戦時体制下で宿命的に挫折した“日本主義的教養”の逆説を読み解き、日本型保守主義の可能性を探る。目次第1章 「右翼」は頭が悪かったのか―文部省データの統計的分析第2章 政治学講義と国体論の出会い―『矢部貞治日記』を中心に第3章 学風改革か自治破壊か―東大小田村事件の衝撃第4章 若き日本主義者たちの登場―一高昭信会の系譜第5章 学生思想運動の全国展開―日本学生協会の設立第6章 逆風下の思想戦―精神科学研究所の設立第7章 「観念右翼」の逆説―戦時体制下の護憲運動第8章 昭和十六年の短期戦論―違勅論と軍政批判第9章 「観念右翼」は狂信的だったのか―日本型保守主義の可能性★現代の日本会議に繋がる国民文化研究会の母体となった昭和10年代の右翼学生運動の系譜を追い、左翼が壊滅した後、国家改造を進める革新右翼(国家社会主義者・アジア主義者)と激しく対立した観念右翼(伝統保守・日本主義者)の論理と実情を具体的に論証する好著 保守主義とは何か―反フランス革命から現代日本まで宇野重規(著)、中公新書、2016年6月刊内容(中央公論新社ウェブサイトから引用)21世紀以降、保守主義者を自称する人が増えている。フランス革命による急激な進歩主義への違和感から、エドマンド・バークに端を発した保守主義は、今では新自由主義、伝統主義、復古主義など多くのイズムを包み、都合よく使われている感がある。本書は、18世紀から現代日本に至るまでの軌跡を辿り、思想的・歴史的に保守主義を明らかにする。さらには、驕りや迷走が見られる今、再定義を行い、そのあり方を問い直す。目次序章 変質する保守主義―進歩主義の衰退の中で第一章 フランス革命と闘う第二章 社会主義と闘う第三章 「大きな政府」と闘う第四章 日本の保守主義終章 二一世紀の保守主義★2016年6月に刊行された本書の著者やその推薦者によれば・・・・本書は、対フランス革命や対社会主義革命、対大きな政府など保守主義の時代による変遷をコンパクトに纏めた好著である。「「保守」を自任する人の多くは、「リベラル」や「左翼」にについて恣意的なイメージを描き、それを藁人形のようにしてたたくことで、自らの「保守」を正当化する。しかしながら、多くの場合、それは空想上の仮想敵を相手にした空回りに過ぎないようにも見える。」という著者の指摘は重く響く・・・という触れ込みであるが、実際に本書を読んでみると、「日本の保守主義についても…(中略)…アジアの植民地化など批判すべき点の方が多い」(p.212)とか「国の基本的な枠組みを維持する根幹である立憲主義の原理も、むしろ保守主義を名乗る勢力によって破壊されつつある」(p.200)という言説が散見され、結局のところ、著者のスタンスはどれだけ中立を装うとも所詮は丸山テーゼに彩られたアジア侵略史観(自虐史観)(※丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証参照)と戦後左翼的護憲思想(※立憲主義とは何か参照)を脱し切っておらず、もし本書に何らかの意義があるとすれば、著者と同じく未だそうしたスタンスから抜け出し切れない半可通の方が、取り敢えず批判的に「保守主義とは何か?」ということを、表面的であれ、あれこれ考えてみる第一歩になる・・・といったところでしょう。とくに本書の場合、アンチ全体主義のチャンピオンであるハイエクの著作について、その初期の著『隷属への道』だけは巻末の参考図書に挙げても、彼の本当の代表作である『自由の条件』については本編で若干の言及を加えてアリバイを作りつつも参考図書から外していたり、ハイエクの盟友ポパーの名著『開かれた社会とその敵』を完全に無視している点に明らかに欺瞞を感じる(※なぜならハイエク『自由の条件』やポパー『開かれた社会とその敵』まで読者に進まれると、読者が左翼思想がそこで完膚無きまでに論破されていることをハッキリ理解してしまう怖れが高いから)。そういう意味で、本書を読了して尚煮え切れない思いを抱いた方こそ、本サイトの左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページの各ページに進んで欲しいものである。 ■9.ご意見、情報提供 ページ内容向上のためのご意見・情報提供を歓迎します。 ↓これまでの全コメントを表示する場合はここをクリック +... 元ページ「保守主義とは何か」 どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10 28 24) すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15 26 59) エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→ http //www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12 01 55) ↑のサイトだけではという人は 保守 - Wikipediaを参照すべき http //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88 -- 名無しさん (2011-01-08 12 07 42) 「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」の、社会の原則は、「人々を平等に取り扱うこと」→「人々を同等に取り扱うこと」とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 22 46) 「真の個人主義」に平等はないからです。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 24 17) collectivismに産の意味はない。集団主義でいい。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 29 28) 保守主義(conservatism)→保守主義(conservative、conservatism)とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 32 57) 日本の保守主義に関して、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を作成しました。 -- 名無しさん (2011-12-16 00 28 34) 合衆国市民(The Empire State)です。ノーランチャート知ってますか?保守主義は個人的な自由権(精神的・身体的)に消極的です。その点では全体主義との親和性があります。ロールズが全体主義とは、いくらなんでも無理がありますよ。あと、dignity of every individual、この言葉の意味がわかっていますか?このサイトの作者さんは、WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southの閉鎖性(内に閉じた世界)を知っているのですか!?Mississippiの州の旗は今でも個人の自由を否定しているとしか思えませんよ。 -- ben (2013-01-16 18 25 08) WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southは、保守主義の理想の土地なのでしょうか?? -- ben (2013-01-16 18 27 41) 保守思想を扱った古典を幾つか読みましょう。コメントにも見られるが、愛国は保守だとかいう馬鹿が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-19 10 27 54) 世は保守の名を借用したナショナリストが跋扈する時代 - 名無しさん 2016-08-05 00 23 31 デモクラシーという政治への自由も、資本主義も、一度進めばもう後戻りはできない、おそらくこのサイトのような美しい過去を偲ぶ“理想的”保守の言説が世のナショナリストやファシストを“啓蒙”しているのでしょうね。 - 名無しさん 2016-08-05 00 31 42 ↑ずいぶんな言い様ですね?マルクスとかいう女のヒモが書いた破綻した経済論や国家論(あらゆる政治経済学者に論破されてるが)を未だに宗教のように盲信し自分たちを認めないものは全て愚民扱いする人達の方が余程共同体にとっては害悪ですが?挙げ句の果てに科学の発展と経済のグローバル化による貧富の差で再び科学的な世界共産革命が起きるですかw(失笑)哀れな・・・実際はトランプ氏やルペン氏に見られるように反融和反平等主義に文化・人種・経済保守主義が台頭しており地球主義的革新左派には厳しい時代になってますねw(爆) - 名無しさん 2018-02-01 22 56 24 以下は最新コメント表示 元ページ「保守主義とは何か」 どなたが編集なされたのかは存じ上げませんが、驚くほど大変よくできた解説で、円環図による思想分類には感激させられました。ありがとうございます。 -- ななし (2010-12-17 10 28 24) すばらしい!!みんなで日本を護るために『保守主義』を学習しよう -- 名無しさん (2010-12-18 15 26 59) エドマンド・バーク保守主義 - エドマンド・バーク リバイバルも参考になる。→ http //www.geocities.jp/burke_revival/ -- 名無しさん (2011-01-08 12 01 55) ↑のサイトだけではという人は 保守 - Wikipediaを参照すべき http //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88 -- 名無しさん (2011-01-08 12 07 42) 「真の個人主義」と「偽の個人主義/集産主義」の、社会の原則は、「人々を平等に取り扱うこと」→「人々を同等に取り扱うこと」とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 22 46) 「真の個人主義」に平等はないからです。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 24 17) collectivismに産の意味はない。集団主義でいい。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 29 28) 保守主義(conservatism)→保守主義(conservative、conservatism)とすべき。 -- 名無しさん (2011-09-24 08 32 57) 日本の保守主義に関して、国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書)を作成しました。 -- 名無しさん (2011-12-16 00 28 34) 合衆国市民(The Empire State)です。ノーランチャート知ってますか?保守主義は個人的な自由権(精神的・身体的)に消極的です。その点では全体主義との親和性があります。ロールズが全体主義とは、いくらなんでも無理がありますよ。あと、dignity of every individual、この言葉の意味がわかっていますか?このサイトの作者さんは、WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southの閉鎖性(内に閉じた世界)を知っているのですか!?Mississippiの州の旗は今でも個人の自由を否定しているとしか思えませんよ。 -- ben (2013-01-16 18 25 08) WyomingやUtahやRural TexasやDeep Southは、保守主義の理想の土地なのでしょうか?? -- ben (2013-01-16 18 27 41) 保守思想を扱った古典を幾つか読みましょう。コメントにも見られるが、愛国は保守だとかいう馬鹿が現れる。 -- 名無しさん (2013-07-19 10 27 54) 世は保守の名を借用したナショナリストが跋扈する時代 - 名無しさん 2016-08-05 00 23 31 デモクラシーという政治への自由も、資本主義も、一度進めばもう後戻りはできない、おそらくこのサイトのような美しい過去を偲ぶ“理想的”保守の言説が世のナショナリストやファシストを“啓蒙”しているのでしょうね。 - 名無しさん 2016-08-05 00 31 42 ↑ずいぶんな言い様ですね?マルクスとかいう女のヒモが書いた破綻した経済論や国家論(あらゆる政治経済学者に論破されてるが)を未だに宗教のように盲信し自分たちを認めないものは全て愚民扱いする人達の方が余程共同体にとっては害悪ですが?挙げ句の果てに科学の発展と経済のグローバル化による貧富の差で再び科学的な世界共産革命が起きるですかw(失笑)哀れな・・・実際はトランプ氏やルペン氏に見られるように反融和反平等主義に文化・人種・経済保守主義が台頭しており地球主義的革新左派には厳しい時代になってますねw(爆) - 名無しさん 2018-02-01 22 56 24 名前 ラジオボタン(各コメントの前についている○)をクリックすることで、そのコメントにレスできます。 ■左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページ 政治の基礎知識 政治学の概念整理と、政治思想の対立軸 政治思想(用語集) リベラル・デモクラシー、国民主権、法の支配 デモクラシーと衆愚制 ~ 「民主主義」信仰を打ち破る ※別題「デモクラシーの真実」 リベラリズムと自由主義 ~ 自由の理論の二つの異なった系譜 ※別題「リベラリズムの真実」 保守主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ ナショナリズムとは何か ケインズvs.ハイエクから考える経済政策 国家解体思想(世界政府・地球市民)の正体 左派・左翼とは何か 右派・右翼とは何か 中間派に何を含めるか 「個人主義」と「集産主義」 ~ ハイエク『隷従への道』読解の手引き 最速!理論派保守☆養成プログラム 「皇国史観」と国体論~日本の保守思想を考える 日本主義とは何か ~ 日本型保守主義とナショナリズムの関係を考える 右翼・左翼の歴史 靖國神社と英霊の御心 マルクス主義と天皇制ファシズム論 丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証 国体とは何か① ~ 『国体の本義』と『臣民の道』(2つの公定「国体」解説書) 国体とは何か② ~ その他の論点 国体法(不文憲法)と憲法典(成文憲法) 歴史問題の基礎知識 戦後レジームの正体 「法の支配(rule of law)」とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 立憲主義とは何か ※概念/理念定義、諸説紹介 まとめ 「正義」とは何か ~ 法価値論まとめ+「法の支配」との関係 正統性とは何か ~ legitimacy ・ orthodoxy の区別と、憲法の正統性問題 自然法と人権思想の関係、国体法との区別 「国民の権利・自由」と「人権」の区別 ~ 人権イデオロギー打破のために 日本国憲法改正問題(上級編) ※別題「憲法問題の基礎知識」 学者別《憲法理論-比較表》 政治的スタンス毎の「国民主権」論比較・評価 よくわかる現代左翼の憲法論Ⅰ(芦部信喜・撃墜編) よくわかる現代左翼の憲法論Ⅱ(長谷部恭男・追討編) ブログランキング応援クリックをお願いいたします(一日一回有効)。 人気ブログランキングへ
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資本主義について 1、資本主義の説明 2、資本主義の精神 ゾムバルトは資本主義の起源を検討するにあたって、 経済の歴史がその間を動いてきた二つの 大きな「基調(ライトモチーフ)」として、 「必要充足」「営利」と区別した。この両者は、 経済活動の儀式と方向を決定するものが 人間的必要の大きさであるのか あるいはその枠にとらわれぬ利潤の追求と 利潤獲得可能であるのかによって区別されています。 彼の云う「必要充足の経済組織」は、 一見「経済的伝統主義」と一致するように思えます。 事実として「必要」の概念が「伝統的必要」と 同じものである場合には、両者は一致します。 しかしそうでない場合には、 ゾムバルトの「資本」の定義の意味からすれば、 組織形態上「資本主義的」とみなければならぬ経済でありながら 「営利」経済の領域からはみ出て「必要充足経済」の 領域にはいるものが多いのです。 また、利潤目的として、 生産手段の購入と製品の販売という方法で、 資本を回転させるという形をとり、 依然として「伝統主義的」な性格を帯びている場合もありえます。 こうした例は近世の経済史においても例外的でなく、 むしり「資本主義精神」のつねに新たな かつ力強い侵入のためにしばしば中断されながらも 普通のことだったと云えます。 「資本主義的」形態とその経営上の精神とは、 たしかに一般に「適合的」関連の関係に立ってはいますが、 決して互いに「法則的」な依存の関係にあるわけではありません。 それにも関わらず、正当な利潤を「天職」として、 組織的であり合理的に追求するという心情を 私たちがここで、暫定的に「資本主義の精神」と名付けるのは 近代資本主義的企業がこの心情のもっとも適合的な形態として 現れ、また逆にこの心情が資本主義的企業の もっとも適合的な精神的推進力となったいう 歴史的理由もあるのです。 3、資本主義の将来 シュンペーターの資本主義衰退論を参考にすると 大まかに4つのことが云えます。 1、実業家階級の成功が総ての階級に対し、 新しい生活水準を実現したことが 逆説的にもかえって実業家階級の 社会的、政治的地位を掘り崩してしまったこと。 資本主義経済の歴史は「競争的資本主義」から 「トラスト化された資本主義」への発展 それとともに、新結合の担い手も、個々の天才的な企業家から、 大企業内部の官僚化された「一群の専門家」に移行してきました。 そしていまや、新結合そのものが「日常的業務となり」 その自動化が生じていると云います。 企業職能の無用化は、彼等の 社会的、政治的地位を次第の掘り崩していくが、 そればかりでなく「階級としては企業家と生死を共にする」 ブルジョアジーのそれも危機に瀕するだろう、と。 シュンペーターは逆説的にもこう主張しました。 つまり「社会主義の真の先導者は、それを説法した知識人や扇動者ではなくて、カーネギー、ロックフェラーらの一族如き人々である」と。 2、資本主義的な活動が、合理的な考え方を広げたが故に、 生産工場内の忠誠心や上下の命令服従が破壊され、 指導者のリーダーシップが有効に働く無くなったこと。 シュンペーターは、「ブルジョアジーは「元帳と原価計算」には熱中しても、「政治的に無力」であり、「自分自身の階級利益を守ることさえ覚束ない」ので、他の階級にはならなかったが、資本主義的合理性の浸透は、次第に資本主義の擁護階級と、封建社会の破壊する際に自己の進歩を阻止する障害物を打ち壊したのみならず、さらにその崩壊を防いでいる支壁も破壊してしまった」と。 3、資本主義の成功は、経済的な豊かさを実現したが、 そのお陰でもたらされた様々な発展は、 大企業の利害に敵対的な知識階級を成長させたこと。 知識階級は「批判」を生命の根源としているが、 彼等の影響が官僚や労働運動にも及ぶようになると。 資本主義に対する「敵対的な雰囲気」が さらに全面に出てくるようになると。 4、以上の総ての結果として、資本主義社会の価値の 図式(家族財産の文明と不平等)は、 世論に対してのみならず資本家階層に対しても 支配を失おうとしていること。 それらを踏まえ、シュンペーターはこう結論づけている。 「資本主義過程は、それ自身の制度的骨組みを破壊するのみならず、また他の骨組みのための諸条件を造り出す。したがって、破壊という言葉はやはり適当だとは云えない。(一部省略)」 シュンペーターは、半世紀以上も前に没命した経済学者でありますが、 彼の独自のロジックはというものは、現在の社会における資本主義に対しても、当てはまるのではないかと個人的には思います。 アメリカのとある調査では、 資本主義より社会主義の方がマシだと回答したひとが、 多数にのぼったとの情報を目にしたことがあります。 即ちシュンペーターの云うブルジョアジーなどに対する懸念というものが、 現在のアメリカ資本主義社会に対してもアメリカのみならず 世界の資本主義国家に対しても該当するのではないかと思いました。 ~資本主義について~完
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The New Order 東海岸進歩主義 アイコン編集 英名 Eastern Progressivism 別名 登場作品 The New Order 上位イデオロギー 進歩主義 主要なイデオローグ アメリカの政治スペクトル上で左派に属する者たちのほとんどにとって、フランクリン・デラノ・ルーズベルトは決定的な指導者である。民主党に深く根ざし、信頼できる専門家たちのブレーンとともに、近代的福祉国家の基礎となる様々なプログラムを構築していったのだ。しかし、左派にインスピレーションを与えた人物はフランクリンだけではない。ハイドパークのルーズベルトは、あまりにも体制派的で伝統主義的すぎるという者もいる。腐敗したニューヨークの体制を上り詰める中でそれを変えようと決心した遠縁のテディのような、陽気で予測不可能な例からインスピレーションを得る者もいる。 東海岸進歩主義者は、その例に触発されている者たちだ。東海岸進歩主義は、既成の制度に慣れ親しみ、その上で根本的な変化の必要性を確信している改革者や大衆の擁護者たちのイデオロギーだ。このような運動は、義務感、あるいは政治的な生き残りのために大昔の先祖が築いた制度に対抗する、大物の資本家たちが中心となって行われている。彼らは、社会全体の人々を向上させるため、科学、経済、リベラルな政治思想を発展させていくことが急務であると考えている。 東海岸進歩主義者は西海岸進歩主義者と多くの共通点があるが、いくつか顕著な相違点もある。まず、東海岸進歩主義者は、アメリカのフロンティアの開放性よりも、ニューヨークやボストンのような大規模で確立された、秩序ある都市から刺激を受けてきている。西部に比べると銃社会ではなく、権力中枢が確立されている街からだ。次に、既成権力の中枢に慣れ親しんでいるため、それを完全に破壊することには消極的である場合が多い。東海岸進歩主義者は、制度全体を焼き払うよりも、制度を改修し、新たな集団や民族を取り込むことに重点を置く場合が多いのだ。 (TNO日本語化Modより引用)
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日本人 ■ 産経新聞とマララさん 平和賞と憲法9条があぶりだした精神の視野狭窄 「木村正人のロンドンでつぶやいたろう(2014.10.13)」より / ノーベル賞の発表も13日の経済学賞を残すだけとなった。 ノーベル物理学賞の受賞が決まった米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の中村修二教授の国籍が米国なのか日本なのか。日本国憲法9条にノーベル平和賞が与えられるのかどうか――。 日本国内ではそんな話で盛り上がったようだが、「失われた20年」がもたらした精神の視野狭窄を浮き彫りにしているように筆者には思えてならない。ひと言で言えば、自意識過剰。 中国にアジア・ナンバーワンの座を奪われ、韓国にも激しく追撃され、一部の日本人は優越感と劣等感に支配されている。感情や願望が優先し、論理的かつ冷静に物事を考えられなくなっている。 日本の退行現象を改めて思い知らされたのが、パキスタンのマララ・ユスフザイさん(17)への平和賞授賞だった。10日午後、マララさんが英バーミンガムの図書館で声明を読み上げるというので、筆者もロンドンから列車で約2時間かけて取材に駆けつけた。 (※ マララさんの動画略、ブログ記事で) / 「平和賞を受賞する1人はパキスタンから、1人はインドから。1人はヒンズー教を信じ、1人はイスラム教を深く信仰しています。(略)私たちはお互いに人間として思慮し、尊敬し合うべきです。私たちはみんなの権利のために、女性の権利のために、子供の権利のために、人間1人ひとりの権利のために闘わなければなりません」 マララさんは共同受賞者であるインドの人権活動家カイラシュ・サティアルティ氏(60)と電話で話したという。 「私たちはインドとパキスタンの間に強い絆が築かれることを求めています。両国が互いに戦闘するよりも平和の対話を持つことを私は望んでいます。私たち2人は両国の政治指導者を平和賞の授賞式に招待します」 マララさんの快活な笑顔は素晴らしかった。温かい家族の和が感じられた。イスラム過激派タリバンの非道な銃弾を受け、死線をさまよったマララさんが守り続ける「言論の自由」。 / 9条に平和賞をという空騒ぎ それにしても「日本国憲法9条にノーベル平和賞を」という空騒ぎは何だったんだ。ノルウェーの国際平和研究所(オスロ、PRIO)のハープウィケン所長が受賞予想の第1位に「9条を保持してきた日本国民」を挙げたのがきっかけだが、PRIOの予想はほとんど当たらないことで有名だ。 いったい日本と日本国民が何をしたというのだ。9条は軍事超大国・米国との日米安保条約とセットになっている。米国の強力な核の傘に守られ、米軍の後方支援に勤しんできた日本だけを取り立てて、平和賞を授与する意味がどこにあるのか、教えてほしい。 尖閣をめぐって緊張が高まる日中関係を改善させるためなら、日本と中国に共同授賞する必要があるが、2010年平和賞受賞者の劉暁波氏も釈放しない中国の何に対して、誰に対して平和賞を贈るというのか。バカも休み休み言ってほしい。平和は双方の努力なくして成り立たない。 最初からあり得ない話を日本国内の憲法改正論争に絡めて取り上げるメディアもどうかしている。東日本大震災のあった2011年にも、福島第1原子力発電所の事故後も残って作業を続けた約50人「フクシマ50」に平和賞が授与されると言い出す人がいて往生させられたが、原発事故を起こした国への授賞は考えられない。 日本は自分のことしか見えなくなってしまっている。世界から昔ほど注目されなくなっているのに、いつまでも注目されていると信じていたい自意識過剰シンドローム。この精神的な視野の狭さはどこから来るのだろう。 (※ 中略、詳細はブログ記事で) / 「日本固有」の論理 科学が常に進歩するように人間の精神や知性、社会は進化し続けると筆者は最近まで信じて疑わなかった。 しかし、日本は退化している。精神の退行現象が明らかになってきている。人間には先天的なものと、後天的なものがある。どちらを大切にするかで社会のありようは随分変わってくる。 血のつながりを重んじるのか、それとも社会との契約を尊重するのか。国籍の血統主義への異常なまでのこだわり。政治の世襲にみる血縁、地縁など縁故が優先されるムラ社会の論理。 永田町は、ドイツでいうゲゼルシャフト(打算的な契約関係を特色とする社会)からゲマインシャフト(血縁、地縁などで結ばれた社会)に逆行している。 「日本固有の領土」「日本固有の文化と伝統」を守ろうという声が日本国内では次第に勢いを増してきている。言い換えると相手が折れない限り、交渉の余地はないということだ。 日本と韓国の政治家やメディアからは相手を非難する言葉が洪水のように聞こえてきても、こじれにこじれてしまった日韓関係を改善させようという意思はまったく感じられない。 ■ W杯で視野狭窄に陥る日本人 「21世紀中年(2014.6.22)」より / 4年前ほど熱くはなれないが、それでもそれなりにW杯を見ている。胸をすくスーパーゴールはW杯の醍醐味だが、いつも思うのが日本のシュートがしょぼいということだ。 世界のゴールシーンと決定的に違うのは、ゴールを狙う日本のプレイヤーにまったく余裕がないことだ。日本は大きなゲームになると何故か視野狭窄に陥るようだ。ボールに当てるのが精いっぱいで、後はボールに聞いてくれと言わんばかりのクソシュートばかりが目立つ。これじゃ点が入らなくて当然だ。 戦力や個々の技術力は明らかに世界に近づいたが、ハートが追いついていないとしかいいようがない。 今大会、出会いがしらに決まった本田の1ゴールで終わってしまうのか、それともこれぞW杯といった華麗なシュートが決まるのか、コロンビア戦に日本のサッカーの将来がかかっている。グループリーグ突破の奇跡など、正直、期待もしていないし、ドキドキもしない。興味は、まぐれシュートではなく、将来につながる狙って決めるスーパーゴールが決まるかどうかだ。 ■ 日本人の視野狭窄 「草莽崛起ーPRIDE OF JAPAN(2011.12.8)」より / 電通は左がかっている、というよりは「民族の血」がさせているのかも知れません。 元電通の実力会長は在日出身者でした。彼は、テレビ局の経営状態を見て、安価な韓国ドラマを日本に輸入することを考え付いたのではないでしょうか。 時あたかも、日本では「従軍慰安婦の強制連行」や「在日の大半は強制連行」、などというデマが広がっていました。それどころか、日清・日露戦争までを侵略戦争だったなどという自虐史観が日本を覆っていました。いや、今も余り変わりません。 ですから、どうしようもなかった李氏朝鮮を日本が併合せざるを得なかった歴史などは日本人の多くが理解できません。500年も中国に隷従する前近代的な李氏朝鮮を日本は併合して、近代化したのです。その辺のところは松木氏などの著書の通りです。 一言でいえば、当時の朝鮮は政治も経済も文化的にも、話にならなかったのです。 そうした朝鮮の歴史を知る朝鮮人は、日本に対する劣等感があったと思います。それを、近年の日本人は、「日本は全てを朝鮮から学んだ」などという輩が出てきたのです。挙句の果てに小学校に元慰安婦を呼んで、「私は日本人に酷い目に遭いましたが、今は許す気持ちです」、などというでたらめを語らせる始末です。 こうして、韓流ドラマという奇想天外なものを受け入れる下準備ができていたところに、電通の仕掛けがあったわけです。 その狙いはものの見事に当たって、戦前を知る日本人にとっては、考えられもしない「韓流ドラマ俳優の追っかけ」現象まで起きる始末です。一重に、自虐史観の結果です。 要するに日本人が無知で不勉強なのです。一言でいえば、日本人の劣化です。(尾形) .
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西欧のとある国、その一都市を牛耳るマフィア、フェルネット・ファミリーのボス。 エステル・フェルネットの養父。ピエトロ・ベルッチが神と崇める主人。 深い夜の色をした鋭い双眸と整った顔貌を持ち、黒髪をオールバックにした長身の男性。年齢は四十代半ば。 アレッサンドロ・パオリーニ曰く『そこに立っているだけで王者の風格』『ボス以外はカボチャにしか見えなくなった』とのこと。 遡ること十数年前、多数のマフィアが割拠し無法地帯と化していた街へ小勢を率いて乗り込み、 強大なカリスマ性と他の追随を許さない圧倒的な戦闘力によって無数の敵を瞬く間に排除し一大勢力を築いた、稀代の傑物。 最終的に街をガウディ―ノ・モレッティ率いるモレッティ・ファミリーと二分し、モンフェラート・カンパニ―の戦いでガウディーノを殺害すると、 街の支配権を獲得しフェルネットの王国を築いた。 寡黙で多くを語らず、感情を表に出すことが少ないため中々他人に思考を読み取らせない。 こと個人の戦闘力に関してはずば抜けており、複数の敵から銃口を向けられてもまったく怯まない。射撃精度、徒手空拳、武器格闘(ナイフなど)、 どれを取っても軍隊格闘術経験者顔負けであり、並のマフィアなど足許にも及ばない。 実際、街の支配権獲得のための勢力争いではボスであるルカが自ら先陣を切り、部下たちより遥かに多くの敵を直接屠っていた。 相方のジャンマリオ・ブッフォン曰く「危なっかしくて見ちゃいられん」とのこと。 いつ、どこで戦闘を身に着けたのかは不明だが、ピエトロは悪魔に魅入られた天与の才であり余人には真似できないものと分析している。 上記のように戦闘能力についてはほとんど常人離れしているが、といって戦闘一辺倒の猪武者という訳でもなく、 血統主義で代々部下を継承する他のファミリーと違い新興の組織である自身のファミリーを増強するため街に腐るほどいるストリート・チルドレンに着目し、 孤児を積極的に引き取って教育を施し、後進の育成に務めるといった従来のマフィアにはない柔軟な発想もしている。 こうしてフェルネット・ファミリーに拾い上げられ、食事と教育を与えられた孤児たちのルカに対する忠誠心は極めて高く、 誰もがルカを神と崇め、その命令ならばいつでも笑って死ぬという覚悟を決めている。 王国樹立後に厳粛な血の掟を定め、『領域を荒らそうとする者には凄惨な制裁を、一度懐に入れた者には深い慈悲と確かな居場所を』をモットーとして、 無法地帯であった街に秩序と平穏を齎した。 表向きはコングロマリット(他業種企業)であるフェルネット・コネクションの総帥という肩書を持っており、 支配領域の王国のみならず、首都ばかりか世界的にも有力な資産家・富豪として知られている有名人。 また、マフィアのゴッドファーザーという本当の顔は公然の秘密となっており、誰もが知ってはいるものの口に出す者はいないという状態。 そんな人物のため恐れられ、畏怖の対象となっているが、街の繁栄には精力的であり当局への寄付を惜しまず、 土地開発計画や造成などにも積極的で、特に公園や動物園、水族館、劇場といった市民の豊かな生活を保証する施設に関しては多大な資金提供を行っている。 フェルネット・コネクションの不動産部門、運輸部門は政府関係と強く結びついており、たびたびマスコミに談合の謗りを受けることもあるが関係はおおむね良好。 このように権力者であるため、ルカとのパイプを構築しようとする財界・政界のパーティーやセレモニーなど各種行事に招待されることも多く、 ダヌンツィオ・ファミリーが仕切るマフィア間のコミッションなどもあるため、頻繁に屋敷を空け仕事に各地を飛び回っている。 その際にピエトロをお供として連れていくため、エステルからは『お父さんがまたピエトロを独り占めしてる』と不興を買うこともしばしば。 このように王国内で生きる住人の生活に便宜を図る一方、街の秩序を乱す輩については一切の容赦をせず、マフィアとしての力を惜しみなく行使する。 他のマフィアや犯罪者、ドラッグの売人などには断固とした措置を取り、たびたび死体が見せしめのように街の各地に晒される。 (ただ、最近は住民の精神的負担、街の価値や平和で住みよい街というブランドの低下を懸念して敵を殺害した後は死体を撮影してすぐに処分し、 画像データをマスコミ等各メディアへ警告文と共に送信し報道させるというスタイルを取っている。) このように苛烈な遣り方から冷酷で無道な人物と思われがちだが、ごく一部の気を許した人物に対しては限りなく甘い。 養女のエステルのことは(あまり表には出さないが)目に入れても痛くないほど可愛がっており、エステルのしたいと言うこと、願うことは何でも叶えてきた。 街の水族館や劇場などの施設も元々はエステルを楽しませるために作ったものである。 孤児として拾い上げたピエトロに対しては、14歳の少年が単身で策謀を巡らせ自分の命を狙ってきたということでその度胸や機転といった才能を大変に気に入っており、 エステル同様に可愛がり望むものは何でも与えてきた。最終的に自身の後継者と決め『この子の兄になってやれ』と大切な一人娘のエステルを託し、 エステルが表の世界に馴染まないようならふたりを結婚させようとさえ思っていた。 相棒とも言うべきブッフォンは自分が少年のころから付き合ってきた古馴染みということもあり、唯一気兼ねなく話ができる関係。 ブッフォンに対しては何でも頼り、無茶振りをしてしまう。ブッフォンが屋敷を訪れるとどれだけ忙しくとも自ら接待し、自室でふたりきりで酒を呑む。 戦闘能力に優れ、革新的で柔軟な発想が出来、愛情深く一見して完璧な人物のように思えるが、欠点も存在している。 第一に、感情を表に出すことが不得手のため人々にあらぬ誤解をされがちである。 前述したように寡黙であり絶大なカリスマ性を持つがゆえ、一般人はその圧に耐えられず不興を買ったのかと恐れ戦いてしまう。 それはエステルなどに対しても同様で、愛情を素直に伝えるのが致命的に下手なため、愛情表現というとただただ甘やかす・欲しいものを買ってやる、 言うことを聞いてやる――といった即物的な手段ばかりで、却って反撥を生むことがままある。 エステルには自分が思う『娘に似つかわしい可愛いもの』としてぬいぐるみなどを多数プレゼントし、ピエトロには望まれるままに多数の書籍、 勉強に使うためのパソコンなどネット環境、果ては屋敷内にトレーニングジムまで作った。 ただ一度、エステルが『ファミリーの二代目になりたい』と言ったときには激怒し、本気で娘と喧嘩をするに至った。 第二に、生活能力が皆無である。炊事洗濯などの家事は勿論できず、身の回りのものにも頓着しないので服なども替えを与えられなければずっと着回している。 ピエトロがルカの執事を務めるようになるまでは私生活の大半をブッフォンに依存しており、スーツなどすべてブッフォンが用意していた。 今でもそれは変わらず、ルカのサイズを把握しているピエトロが部下に命じて誂えている。 第三に、スケジュール管理が壊滅的である。ルカは著名人のため各種の催し物や会合等に緻密なスケジュール管理が必要とされるが、 そういったことがまったく出来ず、腕時計を見ることさえろくにしない。そのため以前はブッフォンが、現在はピエトロがスケジュール管理を行い、 秘書として会議やパーティーに同伴している。 現在の著名人ぶりに反して謎の多い人物でもあり、その前半生を知る者は少ない。 分かっていることは、エステルの母親と親交があった(らしい)こと、兄弟がいたこと、くらいである。 現在はウェイロン・リーの策に嵌り、マネーロンダリング容疑で当局に逮捕され、拘留されている。 ピエトロが金に糸目をつけず担当者に付け届けをしたため、超高級ホテルの一室を借り切って生活しているらしい。 最も偉大で、最も恐ろしく、最も悪魔に愛された人物。 この人物にエステルが二代目を襲名することを認めさせるのが、この物語の最終目的である。
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国会での審議の中継 衆議院・法務委員会(2004/06/02)/松野信夫議員(民主党所属)どういうケースで二重国籍が発生しているか? 重国籍者の統計数字 政府は重国籍者をどのように把握しているのか? 何故、政府は重国籍を容認しないのか? 旧国籍法の時代に重国籍になった場合について 国籍選択制度について 今までの質疑の中間取りまとめ 親の介護のために帰国する元日本人の便宜はどうなっているのか? 元日本国籍保持者の帰化について 国会での審議の中継 衆議院インターネット審議中継 http //www.shugiintv.go.jp/jp/index.cfm 衆議院-会議録 http //www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm 衆議院・法務委員会(2004/06/02)/松野信夫議員(民主党所属) 松野信夫 - Wikipedia ○松野(信)委員 民主党の松野信夫です。 (中略) どういうケースで二重国籍が発生しているか? それでは、当初予定をしておりました二重国籍の問題について御質問をさせていただきたいと思います。 二重国籍の問題については、これまでにも別の機会に取り上げて質問されておられる委員もおりました。だんだんこの二重国籍の問題が広く関心を持たれ始めている、このように認識をしております。 私は、基本的には二重国籍を容認していいではないか。確かに現行法は国籍唯一の原則というのをとっておるわけですけれども、その場合のメリット、デメリット、そして二重国籍を容認した場合のメリット、デメリット、双方比較をして、二重国籍を容認した場合のメリットの方が私ははるかに大きい、このように考えておりますので、結論的にはその方向で御質問をさせていただきたいと思っております。 それで、まず、どういう場面で二重国籍が発生をするのか。幾つか想定されている場面、こういう場面で発生をするというのは幾つか報告などはされておりますが、もしよろしければ、頻度、考えられる多さの順ですか、そういうことにも触れながら、こういう場合に主に発生をしているというのを御指摘いただければと思います。 ○房村政府参考人 重国籍が発生する場合でございますが、大きく分けますと、出生によって重国籍を取得する場合と、それから、出生後、何らかの身分行為を行うことによって取得する場合がございます。 まず最初の、出生による場合を御説明いたしますと、我が国の国籍法では、父母のいずれかが日本国籍を有していますと、その子供は日本国籍を取得する、こうなっておりますので、父親または母親のいずれかが日本国民でありますと、その子供も日本国籍を取得します。したがいまして、その相手方、例えば父親が日本人である場合に、母親が外国人で、しかも同様の血統主義をとっているという場合には、その子供は母親の方の国籍も取得する。例えば韓国は父母両血統主義をとっておりますので、日本人の親と韓国人の親が結婚をして子供が生まれますと、子供は日本国籍と韓国の国籍の双方を取得する。こういうことで重国籍を取得する場合がございます。 一般に国籍取得の原因としては血統主義は相当幅広くとられておりますので、やはり生ずる場合としては、出生によって、しかも両血統主義の関係で取得する場合は相当多いのではないかと思われます。 次に、もう一つ、国籍を取得する原因として、生地主義、生まれた国、その国で生まれますと、両親の国籍を問わずに国籍を与えるという国がございます。代表的な例がアメリカでございます。したがいまして、日本人の親の子供で、アメリカで生まれますとアメリカ国籍を取得する、同時に、当然親の関係で日本国籍も取得する、重国籍が生ずるという場合がございます。 そのほか、出生後の身分行為による場合といたしましては、例えば外国人の父からの認知を受ける。その外国人の本国法が認知によって子供に国籍を与える、こういう仕組みになっておりますと、認知によってその外国国籍も取得いたしますので、母親からの日本国籍とあわせて重国籍になるという場合がございます。 それから、養子縁組でも同様の法制をとっている国もありますので、養子縁組をすることによって重国籍になる場合、それと婚姻によってなる場合、そういったものがございますが、数としてはそう多くはないだろうと思っております。 重国籍者の統計数字 ○松野(信)委員 この重国籍は、恐らく統計的に見てもだんだんだんだんとふえていっているのではないかなというふうに思います。 その一つの指標としては、国際結婚の数、私の方でも調べてみましたけれども、例えば一九八五年、昭和六十年、このとき新しい国籍法が施行されていますが、このときに一万二千百八十一名、件数としてはあった。それが二〇〇二年、平成十四年には三万五千八百七十九ということでかなりふえて、要するに、国際結婚がふえているということが一つの裏づけとしてはあって、恐らく重国籍者の数も次第にふえていっているのではないか、このように思っておりますが、この重国籍者の数を正確に把握するのはなかなか難しいところもあろうかと思いますが、現実にふえているのか減っているのか、大体どの程度存在すると考えておられるのか、この点はいかがですか。 ○房村政府参考人 重国籍者数でございますが、昭和五十九年の改正国籍法の施行前についてはちょっと把握はしておりません。その後につきましては、判明する限りでの数ということで、それが完全な重国籍者数を把握しているとは言いがたいわけでありますが、少なくとも当方が把握している範囲では次第にふえてきております。 昭和六十年当時は年間約一万人程度でございましたが、次第にふえまして、平成四年ごろには二万人程度になりまして、平成十四年では約三万三千人を超えているというのが私どもの把握している数でございます。 政府は重国籍者をどのように把握しているのか? ○松野(信)委員 この重国籍者については、要するに国籍選択ということで、二十を過ぎてからとか、国籍唯一の原則に基づいてどちらか選びなさい、こうなっているんですが、この重国籍者については、政府の方で積極的に捜索をして重国籍者を見つけて選択の通知などをしているのか、それとも、たまたま何らかの理由で発見されるというような状態になっているのか、その辺はどうですか。 ○房村政府参考人 重国籍者をどのように把握しているかという問題でございますが、これは、身分行為、例えば婚姻あるいは出生ということがありますと、市町村に届け出がなされます。それは監督法務局の方に届け書が送付されますので、監督法務局の方で、送付を受けた届け書等から重国籍者が判明する限りにおいて把握をしている、それ以上に積極的に捜索をするというようなことはしておりません。 何故、政府は重国籍を容認しないのか? ○松野(信)委員 それでは次に、重国籍を容認していないのが現行法ですけれども、なぜ重国籍を容認しないのか、重国籍を容認するとどういうような問題あるいは弊害というのが発生する、このように考えておられるのか、この点についてお答えください。 ○房村政府参考人 御指摘のように、現在の国籍法は、できるだけ国籍は一つにしたいということで、いわゆる国籍唯一の原則というものを採用しているわけでございます。 重国籍の場合の弊害ということですが、やはり二つの国籍を持ちますと、どうしても二つの国に対する忠誠が衝突をする、あるいは、国の方からいいますと外交保護権が衝突をする、そういうことによって問題が生ずるおそれがあるということがまずあるわけでございます。 それから、重国籍ということになりますと、それぞれの国で身分関係を管理するといいますか、登録をするということになります。そういたしますと、例えばAとBの両方の国籍を持っていて、Aの国で婚姻をしたことについてはA国が把握をする、それをまた独立にB国の方で身分関係を把握いたしますので、重婚というような関係が生じやすくなる。そういうことから、身分関係に混乱が生ずるおそれがあるということが言われているわけでございます。 そのほかいろいろあろうかと思いますが、大きく申し上げますと、以上のような点が重国籍の弊害と言われております。 ○松野(信)委員 この点については少しこれから議論をしたいと思いますが、今御指摘があった、両方の国籍を持つと、忠誠義務、どっちの国に忠誠を尽くすんだということで、これは恐らく、具体的にあらわれてくるのが兵役の問題だろうというふうに思います。それからもう一つ、外交保護権について、これが両方からの抵触があるんじゃないか。そしてまた、身分上、特に重婚あたりが発生する。大きく今三点ぐらい御指摘があったかなというふうに思います。 通常、そういうことがよく言われているんですが、ただ、現実問題として、そういうような弊害が現に日本で発生をしたということがあるのか。先ほど、重国籍者の数、想定すると現在も三万人以上おられるということですけれども、現実にこういうような、今三つ挙げられたような弊害が現に発生をして、トラブったというようなことがあるのかどうか、この点はどうですか。 ○房村政府参考人 古いことはわからないんですが、最近におきまして、私どもとして、具体的に重国籍で何らかの問題が生じたという事例は把握しておりません。 それから、先ほど申し上げた数字、例えば三万人近い重国籍者というのは、平成十四年において新たに発生した重国籍者数でございます。 ○松野(信)委員 では、ちょっとそれで確認しておきますが、そうすると、平成十四年で大体三万人ぐらい発生したというと、累積としてはもっとそれよりずっと多いということになるんでしょうか。そうすると、累積としては、重国籍者は大体どれくらいおられるというふうに把握していますか。 ○房村政府参考人 これは先ほど申し上げました数字、大体、各年において先ほど申し上げたような届け出書等から把握した概数を申し上げたわけでございます。その各年で把握した重国籍者として発生されたと思われる数を昭和六十年から平成十四年までを単純に合計いたしますと、約四十万人ということになります。 ただ、その後の国籍の変化は必ずしも追跡調査をしているわけではございませんので、現段階においてそのとおりの数がいるかどうかは必ずしもはっきりいたしません。 ○松野(信)委員 重国籍を容認したときの弊害を言われましたけれども、現実に、これまでその弊害が現実化したということもないようであります。重国籍を容認するというのは、G8を含め、世界各国、かなりたくさんあるわけですけれども、そこでも重国籍を容認したことによるトラブルというのは現実にはほとんど発生をしていないのではないか、このように理解をしております。 忠誠義務が衝突するということで、具体的には兵役の問題が出てくるかと思いますが、そもそも日本の場合ですと、憲法九条の関係で戦争放棄をうたっているわけで、徴兵制もありませんので、この兵役の問題というのはまず日本では問題にならないのではないか、このように考えております。 諸外国についても調べてみましたけれども、いわゆる先進国では、徴兵制というのは非常に少なくなってきているわけです。 少し申し上げますと、アメリカは志願兵制、カナダも志願兵制、イギリスも志願兵制。イタリアは、現在は徴兵制ですけれども、これは二〇〇六年までに志願兵制に移行するという予定。フランスは志願兵制でありまして、これは二〇〇三年に徴兵制を廃止している。こういうようなのが諸外国でございます。 ちなみに、アジアは必ずしもそうなっていないところがありまして、韓国は御承知のように徴兵制、中国については選抜的な徴兵制がなされている、こういうような実態であります。 ただ、韓国も徴兵制は採用していますけれども、新聞報道などによりますと、韓国人の夫婦がアメリカに行って子供を出産するという例がたくさんあって、このツアーができているそうで、アメリカは生地主義ですから、そうするとアメリカの市民権が取れるということで、変な言い方ですけれども、徴兵制逃れというような現象も起きているようでございます。 そうすると、兵役の問題では、まず弊害としては当たらないのではないか、このように思います。 それから、外交保護権をどうするかというような問題も、これは抽象的には考えられますけれども、基本的には入国した際の国籍、例えば日本とフランスの国籍を持っている人については、どこかの国に入国したとき、そのどちらかのパスポートを使って入国しているわけですので、基本的にはその関係で処理すればいいことですし、場合によっては外交上の処理で、これは十分トラブル発生することなく処理できるのではないか、このように思います。 それから、確かに、重国籍で、身分上の混乱ということで、重婚が発生するんじゃないかという指摘があります。これも、抽象的にはそれは考えられなくはないんですけれども、現実には重国籍を採用している国で重婚が頻発をして問題になったというような報告もありませんので、基本的には、抽象的には考えられるけれども、現実にはほとんど問題になっていないのではないか、このように私は考えております。もし、反論があれば、後からでも反論していただいて結構ですけれども。 旧国籍法の時代に重国籍になった場合について それで、現にこういう問題があるわけですね。今の国籍法は昭和六十年の一月一日に新しく施行されているわけですけれども、その時点でもう既に重国籍者になっていた人というのは、現在でも重国籍者として容認をされているというのが実際ではないかと思います。 割合有名な人の例を挙げて恐縮ですけれども、ペルーの元の大統領フジモリさんは重国籍者として現在でも日本におられるわけで、彼は昭和六十年の一月一日以前にもう既に重国籍者になっていたということでそのまま認められている、こういう例があるわけです。 恐らく、昭和六十年一月一日以前にもう既に重国籍者になっていて、そのまま重国籍になっているという人は案外おられるのではないかと思います。そういう人は、現実には選択をしなさいというようなことを迫っているんでしょうか。その点はどうですか。 ○房村政府参考人 御指摘のように、現在の国籍法は昭和五十九年に改正をされて六十年の一月一日から施行をされておりますが、その施行時点で既に重国籍になっていた方々につきましては、ただいま御指摘がありましたように、改正法の附則の三条で経過措置が定められております。 この方々については、現在の改正国籍法が施行される前においてはそういう国籍選択の義務が課されておりませんでしたので、そのことを考慮いたしまして、特別の扱いといたしまして、同法施行時に重国籍になったとみなされまして、一定の期限内に国籍の選択をしなかった場合には、その期限が到来したときに日本国籍の選択宣言をしたものとみなすということとなっております。 したがいまして、改正法施行時で実際に重国籍であった方々は、その期限が到来した時点で日本国籍を選択したとみなされておりますので、他の国籍を特に放棄しない限りは重国籍が継続するということになっております。 ○松野(信)委員 そうすると、そういうような方、現に重国籍、特別に外国の国籍を離脱するというふうな意思表示をしない限り重国籍が続くわけです。そういう人はどの程度あるのか、これは把握しておられますか。 ○房村政府参考人 数は把握しておりません。 国籍選択制度について ○松野(信)委員 一方では、昭和六十年の一月一日以降であれば国籍の選択を迫るということで、法律上は法務大臣の催告まで規定がしてあるわけです。それくらいある意味では厳しく、日本をとるのかそれとも外国をとるのかというふうに厳しく追及するような法律の仕組みになっているわけですが、たまたま昭和六十年の一月一日の法施行以前に重国籍者になっていた人については、余りそう厳しく言わないで事実上容認している。こういう実態にあるので、私は、こういう実態からしても、いささかちょっと不平等といいますか、重国籍を容認する方向でやはり考えていかなければならない一つのファクターではないか、このように思っております。 それで、今選択のお話をしましたけれども、これは国籍法の十五条のところで、選択を迫るという規定になっているわけで、今申し上げたように法務大臣は催告までするようになっているんですが、現実にこの規定を活用して催告をしたというような実例はあるんですか。 ○房村政府参考人 御指摘のように、国籍法十五条では法務大臣が重国籍者に国籍の選択を催告することができると定められておりますが、法務大臣がこの催告をいたしますと、期間内に具体的な選択をしないと最終的には日本国籍を失うという非常に重大な効果が生ずることとなっております。 国籍を喪失するということは、その人にとって非常に大きな意味がありますし、家族関係等にも大きな影響を及ぼすというようなことから、これは相当慎重に行うべき事柄であろうと思っておりまして、現在までこの催告を法務大臣がしたことはございません。 ○松野(信)委員 そうすると、法務大臣の催告はしないという形が現実には運用としてなされている。そうすると、実際、どういうような形で事実上選択を求めるようなことになっているかと思いますが、どのような形で重国籍の人に対して日本をとるか外国をとるかというような話をしておられるんでしょうか。 ○房村政府参考人 先ほども申し上げましたように、現在の国籍法は、できるだけ国籍は一つであることが望ましいということから、重国籍の方々につきましては、この十四条で国籍の選択という制度を設けておりまして、二十歳前に重国籍となっている方については、二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに選択をする、その後、二十歳を過ぎてから重国籍になったときは、その重国籍になったときから二年内にいずれかの国籍を選択しなければならない、こういう国籍選択義務を定めております。 やはり、国籍というような非常にその人にとって大きな意味のあるものの選択につきましては、できる限りその方々の自発的な意思に基づいて選択をしていただくということが望ましいと考えておりますので、私どもとしては、この国籍選択の制度の意義をできるだけ知っていただく、それを踏まえて適切に選択をしていただくということが望ましいと思っておりまして、制度一般の周知に努めているというところでございます。 ○松野(信)委員 そうすると、一般的な説明をするということで、余り強制的な選択を迫るようなことはしていない、このように理解をしていいかと思います。 ここへ持ってきましたけれども、法務省が作成している「はっきりさせよう あなたの国籍」というようなチラシがありまして、「重国籍者は国籍の選択を!!」というふうに、「選択」のところがわざわざ赤く印刷されて、英語で「CHOICE」というのまで打ち出して、どうも、今局長の御説明ですと、余り強制的な形でなく一般的な説明で選択をしてもらっているというようなふうに聞こえますけれども、現実には、こういうチラシを見ますと、やはり心理的にある程度のプレッシャーをかけて、国籍選択しないとだめだということを暗にやはり強制的に運用しているんじゃないのかな、こういうふうにも思われるんですが、いかがですか。 ○房村政府参考人 先ほども申し上げましたように、私どもの考えとしては、これはできるだけ自発的に選択をしていただくということでございますが、ただ、周知をするにいたしましても、制度の趣旨がともかく選択をしていただきたいということでありますので、どうしてもそれは言葉としては選択ということを強調いたしますし、なぜ選択をしていただきたいのかということを理解していただきたくなりますので、その説明もその部分に力が置かれるということになるのではないかとは思っておりますが、なお周知の内容等については御指摘も踏まえて今後も検討していきたい、こう考えております。 ○松野(信)委員 ついでにこのチラシのことを申し上げると、「はっきりさせよう」という、この「はっきり」というところまで赤く塗って強調しておりますし、今局長の説明だと、なぜ国籍の選択をしなきゃならないかというようなことを、口頭ではおっしゃっているのかもしれませんが、このチラシを見る限り、「国籍の選択とは…」ということで、選択の方法とか選択すべき期限とか、そういうのは説明してあるんですけれども、なぜ選択をしなきゃならないのか、そこのところについては触れていない。この点は指摘をしておきたいと思います。 それで、重国籍者が具体的にどちらを選択しているのか。日本をとっているのか、それとも外国の方をとっているのか、これについては何か資料、統計というのはあるんでしょうか。つまり、国籍選択に関連する届けが、離脱とか喪失とか、そういうような届け出などから見て、どういうような選択が現実には行われているのか、統計的にはいかがでしょうか。 ○房村政府参考人 これは、国籍選択をいたしますと、国籍選択の宣言をする場合と、それから、国籍放棄の届け出をする場合とございます。そういったものの統計といたしましては、国籍選択届け出をした数、あるいは、外国国籍の喪失を届け出ていただくということもありますので、そういう数、それから国籍を喪失する国籍喪失者の数、それから国籍離脱者の数、こういったものの統計はございます。 具体的な数字も申し上げますか。(松野(信)委員「はい」と呼ぶ)例えば、平成十四年でございますと、国籍選択届け出が約二千人、それから外国国籍喪失者数が六十四名、国籍喪失者数が八百二十四名、国籍離脱者数が百六十九名、合計いたしますと約三千名ということになります。 ○松野(信)委員 私の方で事前にお聞きしていたところでは、昭和六十年一月から現在までの統計の数字で、全体として四万一千名ぐらいであるかなと聞いているんですが、その内訳をざっと御説明いただければと思います。 ○房村政府参考人 御指摘のとおり、合計いたしますと約四万一千名となります。 その内訳としては、大きく分けますと、例えば、国籍離脱が完全に重国籍者だけに限っておるわけではないものですから厳密に申し上げるのは難しいんですが、約二万人が日本国籍を取得し、約半分の二万人が外国国籍を取得しているのではないか、こう思っております。 ○松野(信)委員 それで、外国の方の国籍を選択したというのであれば、日本の国籍を離脱というような形になるかと思いますが、日本の国籍を選択するという場合には、方法としては二つあるのかなと思っております。一つは、外国の国籍を喪失したという届け、これを日本の役場あるいは大使館、領事館に出すという方法と、それから、日本の国籍を選択しますという国籍選択届をやはり同様に提出するという、二つあろうかと思うんです。 そうすると、日本の方から見れば、なるほど、日本の国籍を選択した、これがわかるわけですけれども、しかし、その人が当該外国の方の国籍を本当に外れたのかどうなのか、これは、日本政府の方としては、外国の方に問い合わせ、調査などはしているんでしょうか。 ○房村政府参考人 これは、そこまで、本国への問い合わせまでは行っておりません。 ○松野(信)委員 そうすると、現実には、これは全くの推測かと思いますが、日本に対しては日本の国籍を選びましたという国籍選択届を出しておきながら、もう一つの方の外国の方に対しては実は離脱の手続をとらなかった、あるいは、とらないままで、そのままでいたというふうになっても、日本政府の方はわからない、特別に調査しなければわからないということに現実にはなりますね。よろしいですか、それで。 ○房村政府参考人 私どもとしては、わざわざ届け出までして外国の国籍を放棄あるいは離脱したということをおっしゃっている方がそこまで虚偽の届け出をするとも思えませんので、それを信頼しているというところでございます。 今までの質疑の中間取りまとめ ○松野(信)委員 そうしますと、少しここで、中間取りまとめじゃないですけれども、まとめさせていただくと、現実には、重国籍を容認したといっても、それほど言われるような弊害というのは現に発生はしていない。諸外国でも、重国籍を容認するような諸国、これは特にG8あたりでは大変多いわけで、アメリカ、ヨーロッパあたりでは大変多いわけで、特に現実的な問題は発生していないという事実があります。 そして、先ほど指摘しましたように、現在の国籍法の施行された昭和六十年の一月一日以前に重国籍者の人は、事実上重国籍のままで、そのままになっている。また、今お話ししましたように、重国籍者が日本の国籍を選択したという選択届を出しても、外国の方については調査をしないで、それを信頼しているというふうにとどまって、もしかすると重国籍者のままになっている人もいるかもしれない、こういうような現実もある。 こういう現実を踏まえると、そういう実態を無視してまで国籍唯一の原則を維持し続けなければならない必要性というのは大変薄いのではないかな、こういうふうに私は考えているところでございます。 それで、現実にやむなく外国の国籍をとってしまった、日本人だったけれども日本人から外国人になったというような方がおられるわけで、そういう人たちを特に中心にして、重国籍を認めてほしいというような要請、陳情が最近はかなり多く出されているかと思いますが、そういうのに対してはどのように対処しておられますか。 ○房村政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、現行の国籍法においては、考え方として、できるだけ国籍は一つにしていただきたいということが基本的な考え方でございますので、私どもとしては、現在の国籍法がそういう考え方をとっているということを御説明申し上げているというところでございます。 親の介護のために帰国する元日本人の便宜はどうなっているのか? ○松野(信)委員 私の方もいろいろ陳情、要請は受けているんですけれども、その中で、例えば、日本人であって、例えばフランスの方と結婚をされて、現在はフランスの方に住まわれていらっしゃる、そういうような人が、日本にまだお父さんやお母さんがおられて、その介護あたりで日本に帰ってくる、日本に里帰りをするというような場合、つまり、もうそのときには外国人ですので、日本人として入るわけじゃなくて、外国人として入国せざるを得ないということで、例えばお父さん、お母さんが急病だということで日本に入国する場合は、もう慌ててビザをとってやらなければいけないということで、結局観光ビザあたりで入らざるを得ないというような、そういう不便がある、こういうような指摘をされているんですが、こういう在留許可について、元日本人で、日本人の御両親あたり、親族がおられるというような場合、何らかの便宜というか何らかの便益を図るというようなことはできるんでしょうか。 ○増田政府参考人 ただいまお尋ねを受けましたようなケースの方が日本人の子供として出生した方ということでございますと、日本人の配偶者等という在留資格がございます。これに該当することになりますので、この日本人の配偶者等という在留資格で入国して在留することが可能でございます。 ○松野(信)委員 そういう話は聞くんですけれども、確かに日本人の配偶者等ということで在留許可を取りますと一年とか三年とかおれるというんですが、ただ、現実には、日本人の配偶者等というこの条件の場合には身分関係を一々証明しなきゃいけない、つまり日本から戸籍謄本などを幾つか取り寄せて、その上で申請しなきゃいけない。身分関係の証明が必要なものですから、例えばお父さん、お母さんが急病だからすぐ帰ってくれという場合には対処できないんですね。そういうようなこともありまして、なかなか不自由だというような声を現実には聞いているところなんです。 こういうような場合には、何か対処する方法というのはあるんですか。 ○増田政府参考人 至急日本に戻りたいというような場合、一番考えられるのは、やはり短期滞在査証というものをとっていただいて日本に来ていただくということが考えられます。この場合、付与する在留資格はその査証に従って付与しますので、短期滞在という在留資格を与えることになります。 ただ、短期滞在は、在留期間が十五日、三十日、九十日というふうに短い期間ではございますが、その方が日本に来てから、例えば、親の方の介護などをしている過程で、もっと日本に滞在したいという場合は、先ほど申し上げました日本人の配偶者等への在留資格の変更を申請すれば、認めることが可能でございます。 ○松野(信)委員 確かに、そういうような方法もなくはないかと思いますが、これももともと、根本的には重国籍を認めておればそう煩わしい手間暇をかけなくても対処できるのではないか、このように考えております。 それから、この重国籍については、先ほど私も申し上げたように、大体、ヨーロッパ、アメリカあたりでは、ほとんどの国が重国籍を容認する方向、あるいはもう現に容認をしているということかなと思います。近隣でいいますと、アジアの中で、中国、韓国あたりがまだ、これは日本と同じような形で重国籍を認めていない。諸外国の様子は大体そんなところかなというふうに思いますが、何かこの点について、ほかの諸外国の例でつけ加えられるところがあればと思いますが。 〔委員長退席、漆原委員長代理着席〕 ○房村政府参考人 御指摘のように、ヨーロッパあるいはアメリカにおきましては、重国籍を比較的認める方向になってきております。例えばG8の参加国では、日本とドイツを除きまして、外国への帰化により当然にはその国の国籍を喪失しないとしておりますし、欧州評議会の加盟国の間では、一九九七年のヨーロッパ国籍条約におきまして、出生や婚姻により当然に重国籍となった場合にはこれを容認しなければならない、こういう規定が設けられておりまして、この条約は既に二〇〇〇年の三月一日から発効しております。 そういう意味では、重国籍を容認する国々が相当数に上っているというのは御指摘のとおりだろうと思います。 ○松野(信)委員 今御答弁いただいたように、世界の潮流はまさに重国籍を容認していこうということではないか、政府の方もそういうふうに認識をしておられるということであります。 元日本国籍保持者の帰化について 今、帰化の話が少し出ましたけれども、やはり、もともと重国籍を持っておられて、外国の国籍を取得して日本の国籍は喪失をした、あるいは離脱をしたという方が、また日本の国籍を取得したいというふうに考えた場合、これはもう手段としては、帰化の手段しかないのかなというふうに思います。何かほかに方法があったらそれを教えていただきたいと思いますが、帰化しかないということでよろしいですよね。 そうすると、毎年、どの程度の人が現実に帰化をしておられるのか。そして、仮に、日本人で、もともと日本人であったけれども、重国籍であったために外国の国籍を選択して、その人がまた日本に帰化したいという場合、何か特別の待遇というものはあるんですか。 ○房村政府参考人 まず、帰化者数でございますが、平成十五年の帰化者数は約一万七千六百人でございます。 それから、日本国籍を失った方が再度日本に、日本人になるための帰化をする、こういう場合につきましては、国籍法の八条で、「日本の国籍を失つた者で日本に住所を有するもの」という者につきましては、住所条件、能力条件、生計条件を緩和して、容易に帰化が認められるようにという配慮をいたしております。 ○松野(信)委員 ありがとうございました。 そして、日本の場合は、国籍唯一の原則をこの帰化のところでもしっかり貫いていて、日本に帰化するのであれば、外国の国籍はもう喪失しなきゃならない、こういうふうになっているわけですね。しかし、他の諸国では必ずしもそのようには扱っていないのではないか。例えばアメリカあたりですと、アメリカに帰化するというふうになっても、従前の国の国籍が自動的になくなるわけではない、なくすという意思表示をしない限りなくならない、このように承知をしておりますが、そのほかの国、G8あたりのほかの国はどのような取り扱いをしていますか。 ○房村政府参考人 自己の志望で外国の国籍を取得したときに、その自国籍を当然に喪失するかどうかという点につきまして、アメリカは、御指摘のように自動的には喪失いたしません。そのほか、G8諸国でいきますと、イタリア、イギリス、カナダ、フランス、ロシア、これはいずれも当然には喪失いたしません。ドイツについては、喪失をする、ただし、あらかじめ国籍保有の申請をして許可証を得たときは喪失しない、そういう扱いになっております。 ○松野(信)委員 今答弁いただいたように、帰化についても、大体、世界の潮流というのは、帰化したからといって従前の国籍はなくならないという傾向にあるわけで、これまた重国籍を容認しているということであります。 それから、もう時間が余りなくなってまいりましたけれども、重国籍の問題で時々要請を受けておりますが、その要請の中に、国籍法十二条にあります国籍留保の届け出。子供さんが生まれた、例えば外国で、アメリカで日本人同士の子供さんが生まれても、日本の国籍を留保するという届けをしなきゃならない、こういう規定があって、それをしないと、日本人同士の子供であっても、例えばアメリカで生まれて、生地主義の国だとアメリカ人になって、この留保の届けをしないと日本人でなくなってしまう、こういうことになっているんです。 こういう国籍留保の届けというのは必ずしも余り周知徹底されていないし、こういうのは廃止をしたらどうかというような指摘もありますが、この点はいかがですか。 ○房村政府参考人 外国で日本人の間で子供が生まれた場合、出生届はその領事等にしていただくわけでございますが、その出生届とあわせて留保届をしていただくという形で国籍をまさに留保していただくことになっているわけでございまして、これだけ日本の方々がいろいろなところに行っておりますと、どの範囲が日本人としての国籍を持っているかということを明確にするためにはやはりこのような制度も意義があるのではないか、こう思ってはおります。 ○松野(信)委員 ただ、日本人同士が例えばアメリカで生活をして子供さんが生まれた、日本人の父、日本人の母ですよ、それで、生まれた子供は、たまたまアメリカにいて生まれると、アメリカは生地主義ですからアメリカの国籍を持つというようなことで、この留保の届けをしないと日本人でなくなってしまう。そんなばかな話があるかというのが恐らく多くの人が率直に思うところではないかなという気がしますが、その点はいかがですか。 ○房村政府参考人 御指摘のような、日本人同士の間の子供が外国で出生した場合、日本の方々はいずれも戸籍に登載されておりますので、当然、出生した子供についても、みずからの戸籍に記載をするということで出生届をしていただけるのが普通でございますので、出生届をする場合には、当然あわせて留保届ができるわけですので、もちろん周知の努力はこちらとしてもできるだけしなければならないと思っておりますが、必ずしもそれほど酷な要求をしているわけではないと思っております。 ○松野(信)委員 出生届プラス国籍留保の届けをしなきゃならないというのが今の現実なので、正直言って、これはいかがなものかという気がしております。 これまでいろいろ重国籍について議論させていただきましたけれども、いずれも、重国籍を容認してもさほど大きな弊害というのは現実にはないし、逆に重国籍者を誕生させるということで大きな便益が発生する。 私は、日本の人口というのが、これはもう御承知のように二〇〇六年をピークにどんどんと減ってしまうというようなことで、できるだけ余り日本人が減らない方がそれはいいというふうに考えておりますし、また、いわゆる重国籍者の人が日本と外国の貴重な橋渡しになる、文化とかいろいろな社会、政治の場面で大変貴重な橋渡しをして、それぞれの国に尽くしていただくという貴重な人材ではないかというふうにも思っておりまして、ぜひ重国籍を容認する方向で検討していただきたいと思いますが、最後に大臣の御所見をいただきたいと思います。 ○野沢国務大臣 国籍法につきましては、これまでも、我が国を取り巻く国際情勢や国内情勢の変化などを踏まえまして、所要の法改正を行うことも含め、適切に対応してきたところでございます。昭和二十五年、新憲法に基づく新しい現在の国籍法並びに五十九年の改正などがその主なものでございますが、今後ともに、御指摘の点を踏まえながら、国際的な動向等を注視するとともに、国民的議論を深める必要があると考えております。 委員御指摘のとおり、今後の日本人の人口動向あるいは国際交流の活発化等を考えまして、重要な課題と受けとめております。 ○松野(信)委員 もう最後ですが、この問題については参議院の法務委員会で平成十五年七月十七日にも議論がなされておりまして、民主党の千葉景子委員が質問して、最後に、国務大臣森山眞弓さん、こちらにおられますが、森山大臣も、我が国を取り巻く国際情勢とか国内情勢の変化を踏まえて適切に対処してきた、先生の御指摘は貴重な御意見で興味深く聞かせていただいた、今後とも御指摘の点を踏まえながら対処したい、こういうふうに言っておられます。 野沢大臣におかれては、それ以上の取り組み、具体的な検討をぜひ法務省内で進めていただきたい、具体的な取り組みを進めていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。 〔漆原委員長代理退席、委員長着席〕
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『保守主義の哲学―知の巨星たちは何を語ったか (単行本)』中川八洋(著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介これまで日本には保守主義は正しく紹介されなかった! 保守主義が真に必要な今、その真髄を初めて体系的に詳解。保守の常識が覆る!アメリカを建国した保守主義の天才、ハミルトン。“法の支配”という自由の砦を大成した、コーク。フランス革命と戦った「保守主義の父」、バーク。それらの思想について、ほとんどの日本人は知ることがない。明治以降、あれほど西欧思想が流入したにもかかわらず、英米を中心とした保守主義はほとんど排除されてきた。その結果、日本人は保守主義について、あまりに無知である。保守主義者を自称するものも、保守主義とはどういう思想かを理解していない。法曹関係者ですら、“法の支配”の真の意味がわかっていない。この保守への無理解が、ひいては現在日本のあまりの非常識と混迷を招いているといっても過言ではない。では「保守主義」とは何か? それを体系的に解説したのが本書である。上記の思想家たちの他にも、トクヴィル、ヒューム、アーレント、オルテガ、ホイジンガ、ハイエクなど数多くの思想家を紹介する。いま初めて明かされる保守主義の真髄!目次第1部 保守主義の父祖たち(「米国保守主義の父」アレグザンダ・ハミルトン、「法の支配」は復権できるか―マグナ・カルタ再生とコーク卿、「保守主義の父」バーク―「バーク・ルネサンス」を日本に祈る)第2部 全体主義と戦う「真正の自由」(「隷従への道」を歩む二十一世紀日本―アーレント解題、「赤より死!」の、反ヘーゲル―カール・ポパーの哲学、平等という、自由の敵―警鐘を鳴らすトクヴィル、反撃するベルジャーエフ)第3部 「美徳ある自由社会」を創る(人間を透視したヒューム道徳哲学、「社会正義」は“亡霊”―自由の原理とハイエク政治哲学、「高貴なる自由」―永遠のバーク哲学)★ハイエクの思想を機軸に、西欧哲学の正統保守主義(真正自由主義)の系譜と、それに対立する邪悪な全体主義思想の系譜を峻別して分かり易く解説。エドマンド・バークを初めとする西欧の正統保守思想の概略をこの一冊でマスター可能。残念ながら現在は絶品であり中古本も高額なので同著者の正統の哲学 異端の思想―「人権」「平等」「民主」の禍毒で代用することを薦めます。 アメリカ保守革命中岡 望 (著) 2004.4 刊出版社/著者からの内容紹介今、世界を席巻しつつある「保守主義革命」は、アメリカで始まった。それは“アメリカ化”という形で、世界の政治、経済、文化を巻き込み、留まることのない勢いで世界の隅々まで行き渡りつつあるようにみえる。日本もその世界的な潮流の埒外に存在しているわけではない。主流だったリベラリズムと対峙しながら、最初は思想運動として始まり、やがて現実の政策へと影響力を拡大していったアメリカ保守主義の発展過程とその内実を縦横に描いた名作。目次第1章 戦後の保守主義のルネッサンス(アメリカのリベラリズムと保守主義思想、二人の保守主義思想のゴッドファーザー ほか)第2章 保守主義思想とレーガン革命(思想運動から政治運動へ、保守主義思想の政治の代弁者たち ほか)第3章 レーガン革命と冷戦後の保守主義運動(未完のレーガン革命、一九九〇年代の保守主義の思想闘争 ほか)第4章 新しいエスタブリッシュメント―ネオコンの群像(ネオコンの創始者たち、ネオコンたちの思想的変遷 ほか)第5章 ブッシュ政権と二一世紀の保守主義(ブッシュ政権の樹立と政策、ブッシュの経済政策―レーガノミックスの再現 ほか)★戦後アメリカで細々と始まった(1)ウィーバー カークによる伝統保守の思想運動と、(2)ハイエク・フリードマンらによる経済保守の思想運動の二つの流れが、メイヤー バックリーによって融和・統合され、やがてゴールドウォーター、レーガンというコミュニケーター(人気政治家)を得て遂にアメリカ政治の表舞台に立つ時がくる。そして不十分な結果に終わったレーガン革命は、クリントン政権期の試練を経て、ブッシュ子政権期に更なる前進を見せる。60年の長期に渡るアメリカ保守革命のあらましを必要十分に描きつくした好著。 日本主義的教養の時代―大学批判の古層竹内 洋 (編集), 佐藤 卓己 (編集) 2006.2刊内容(「BOOK」データベースより)戦前「護憲」の降魔剣“日本主義”を解明。「右翼」「反動」のレッテル貼りで忌避されてきた一九三〇年代“日本主義”の大学批判。マルクス主義的教養の機能的代替となった日本主義的教養の担い手たち。来るべき時代を読み解く画期的論集。目次第1章 帝大粛正運動の誕生・猛攻・蹉跌第2章 天皇機関説批判の「論理」―「官僚」批判者蓑田胸喜第3章 写生・随順・拝誦―三井甲之の思想圏第4章 英語学の日本主義―松田福松の戦前と戦後第5章 戦時期の右翼学生運動―東大小田村事件と日本学生協会第6章 日本主義的社会学の提唱―赤神良譲の学術論第7章 日本主義ジャーナリズムの曳光弾―『新聞と社会』の軌跡★未だに自虐史観どっぷりの東大・岩波系とは距離を置く京大系の学者達による昭和10年代日本の思想状況の共同研究プロジェクト全体のガイドライン的な位置づけの本。 日本主義と東京大学―昭和期学生思想運動の系譜井上 義和 (著) 2008.6刊内容(「BOOK」データベースより)国家的危機の時代における大学の使命とは何か。欧化一辺倒の東京帝国大学に学風改革を迫り、高度国防国家を標傍する政府とも命がけの思想戦を繰り広げた東大生たち。戦時体制下で宿命的に挫折した“日本主義的教養”の逆説を読み解き、日本型保守主義の可能性を探る。目次第1章 「右翼」は頭が悪かったのか―文部省データの統計的分析第2章 政治学講義と国体論の出会い―『矢部貞治日記』を中心に第3章 学風改革か自治破壊か―東大小田村事件の衝撃第4章 若き日本主義者たちの登場―一高昭信会の系譜第5章 学生思想運動の全国展開―日本学生協会の設立第6章 逆風下の思想戦―精神科学研究所の設立第7章 「観念右翼」の逆説―戦時体制下の護憲運動第8章 昭和十六年の短期戦論―違勅論と軍政批判第9章 「観念右翼」は狂信的だったのか―日本型保守主義の可能性★現代の日本会議に繋がる国民文化研究会の母体となった昭和10年代の右翼学生運動の系譜を追い、左翼が壊滅した後、国家改造を進める革新右翼(国家社会主義者・アジア主義者)と激しく対立した観念右翼(伝統保守・日本主義者)の論理と実情を具体的に論証する好著 保守主義とは何か―反フランス革命から現代日本まで宇野重規(著)、中公新書、2016年6月刊内容(中央公論新社ウェブサイトから引用)21世紀以降、保守主義者を自称する人が増えている。フランス革命による急激な進歩主義への違和感から、エドマンド・バークに端を発した保守主義は、今では新自由主義、伝統主義、復古主義など多くのイズムを包み、都合よく使われている感がある。本書は、18世紀から現代日本に至るまでの軌跡を辿り、思想的・歴史的に保守主義を明らかにする。さらには、驕りや迷走が見られる今、再定義を行い、そのあり方を問い直す。目次序章 変質する保守主義―進歩主義の衰退の中で第一章 フランス革命と闘う第二章 社会主義と闘う第三章 「大きな政府」と闘う第四章 日本の保守主義終章 二一世紀の保守主義★2016年6月に刊行された本書の著者やその推薦者によれば・・・・本書は、対フランス革命や対社会主義革命、対大きな政府など保守主義の時代による変遷をコンパクトに纏めた好著である。「「保守」を自任する人の多くは、「リベラル」や「左翼」にについて恣意的なイメージを描き、それを藁人形のようにしてたたくことで、自らの「保守」を正当化する。しかしながら、多くの場合、それは空想上の仮想敵を相手にした空回りに過ぎないようにも見える。」という著者の指摘は重く響く・・・という触れ込みであるが、実際に本書を読んでみると、「日本の保守主義についても…(中略)…アジアの植民地化など批判すべき点の方が多い」(p.212)とか「国の基本的な枠組みを維持する根幹である立憲主義の原理も、むしろ保守主義を名乗る勢力によって破壊されつつある」(p.200)という言説が散見され、結局のところ、著者のスタンスはどれだけ中立を装うとも所詮は丸山テーゼに彩られたアジア侵略史観(自虐史観)(※丸山眞男「天皇制ファシズム論」、村上重良「国家神道論」の検証参照)と戦後左翼的護憲思想(※立憲主義とは何か参照)を脱し切っておらず、もし本書に何らかの意義があるとすれば、著者と同じく未だそうしたスタンスから抜け出し切れない半可通の方が、取り敢えず批判的に「保守主義とは何か?」ということを、表面的であれ、あれこれ考えてみる第一歩になる・・・といったところでしょう。とくに本書の場合、アンチ全体主義のチャンピオンであるハイエクの著作について、その初期の著『隷属への道』だけは巻末の参考図書に挙げても、彼の本当の代表作である『自由の条件』については本編で若干の言及を加えてアリバイを作りつつも参考図書から外していたり、ハイエクの盟友ポパーの名著『開かれた社会とその敵』を完全に無視している点に明らかに欺瞞を感じる(※なぜならハイエク『自由の条件』やポパー『開かれた社会とその敵』まで読者に進まれると、読者が左翼思想がそこで完膚無きまでに論破されていることをハッキリ理解してしまう怖れが高いから)。そういう意味で、本書を読了して尚煮え切れない思いを抱いた方こそ、本サイトの左翼や売国奴を論破する!セットで読む政治理論・解説ページの各ページに進んで欲しいものである。
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東方騎士団領リーザラッテ 国名 東方騎士団領リーザラッテ 国旗 国歌 東方騎士団讃美歌 国の標語 我ら、炎によりて世界を更新せん 国家元首 シリア・ブランシェ 首都 ルージュ・オルデン 最大都市 同上 国教 パロンシュレイヒ教 公用語 エステルプラッテ語 構成民族 エステルプラッテ系住民大多数 現地語表記 The Eastern Orden s Lisette 略式表記 東方騎士団、リーザラッテ、EOL 基本通貨単位 ルージェンオーラム(Rougen Aurum/RAu) 東方騎士団領リーザラッテとは、リルバーン帝国領エステルプラッテ自治区リーザラッテ地方に於いて成立したパロンシュレイヒを国教とする国家。中世時代に強勢を誇っていたリルバーン帝国に対する絶対忠心を誓う契約文書を交わした東方騎士団が現存し、今もリーザラッテを統治する封建主義的体系を採っている。 東方騎士団の最高権威たる東方騎士団法廷会議は、シリス・オルゲントロート女史(18)を第九拾代目に当る東方騎士団長に就かせ、女史が事実上の国家元首たる地位を占めている。 シリス・オルゲントロート女史はアレイスター諸島同盟の魔術秘密結社、リリスの道の構成員。 就任直後には異端審問局を発足。他の宗教勢力を退けてパロンシュレイヒを国教化した。その際には、何千人もの異教徒を異端として捕えさせ、一ヶ月間の磔の後、火刑に処するなどし、リリスに魅了された『狂気の少女』との異名が付くほどに恐れられる存在とされた。特に、首都ルージュ・オルデンに於ける第一次虐殺・第二次虐殺、総称して流血法廷会議事件及び都狂騒事件に於いては一万人規模が火刑に処されるなどして殺されたことは有名。 地勢 エステルプラッテでも最北に位置するリーザラッテ地方は氷の国と称されるほど厳寒の土地。路頭に迷える失業者らの凍死が毎年絶えない。 ディルタニア大陸北方の海に面し、厳しい冬の期間は流氷で閉ざされる。 また背後は三方とも山脈に囲まれており、古来から敵の侵攻を防ぐ自然の要害地でもあった。 ただ唯一、西に隣接するリルバーン帝国との間に横たわるクェックジルバー山脈は比較的緩慢な地形で、冬季も通行可能である故に現在に至るまで交流は盛んである。 クェックジルバー山脈を水源とする大河、アーベントロート川は国土中央を縦断して北上し北に面する海に蛇行しながら注ぐ。この川は洪水を幾度と引き起こす暴れ川として有名。と同時に肥沃な土壌を形成する恩恵ももたらした。 政体 東方騎士団員による寡頭政治、封建制 シリス・オルゲントロート女史 弱冠16歳。リルバーン帝国貴族の流れを汲む家柄の生まれ。 最年少の東方騎士団長にして国家元首。 魔術結社『リリスの道』の構成員であり、敬虔なるパロンシュレイヒ信徒。 勝ち気な性格の女の子で剣道を嗜むが、5歳年上の兄には勝てないジンクスがある。 東方騎士団法廷会議 古来、東方騎士団はリルバーン帝国に対し絶対忠心の誓を立て、有事の際には奉公の為に駆けるべく諸侯、地方貴族が中心として結成。その為、選りすぐられた戦士だけが団員として加盟できた。 然しながら、現在、近代化に伴う戦争形態の変遷によって騎士団の存在意義は喪失しているとも言って良いほどであり、事実リルバーン帝国との絶対忠心の誓文は破毀されている。にも関わらず、時代遅れの騎士団が存続している理由は、腐敗した騎士団員同士が結託し、法廷会議なる最高権威を隠れ蓑とした支配組織を作り上げ、封建社会に於ける頂点に立つことによる優位及び搾取の為である。 既に団員に加盟するに当っては大量の賄賂が横行しており、団長たるシリスの側近は鼠講のような仕組みで莫大な賄賂を得、それを背景にした専横が激しくなっている。 法廷会議はこの東方騎士団の中でも超エリート級団員300名で構成され、法廷議官と呼称される。 法廷会議は司法、立法、行政の三権が属する機関で国家の最高権威。 中央統治機構 一府十省三庁局制 東方騎士団総理府 内務省 外務省 財務省 国防省 逓信省 情報省 學藝振興省 厚生省 労働省 経済産業及び科学技術省 司法省 神祇官局 国土整備局 警保局 環境庁 消防庁 気象庁 経済 外貨収入を観光産業に依存してる状況から脱却すべく、鉄鉱開発プロジェクト、海底石油プラント開発プロジェクトを国を挙げて推し進めており、それなりの成果を上げている。 実はパロンシュレイヒ関連で莫大な裏資金を得ているとの都市伝説が流布され、リリスの道を信ずるシリス女史に至っては、麻薬売買に手を染めているとかいう話まで出ている。 東方騎士団は慈善事業と称して、内外の各地に赴いて医療行為を行っている。 中でも東方騎士団病院はナルヴェの教えに随い、困窮する諸国の人民に救いの手を差し伸べるとの方針を示し、世界各地に病院の設立を行っている。 兵器に関し、三洲から殆ど輸入しており、自国開発は行っていない。但し、拳銃、携帯火器などの技術の会得及び蓄積し、将来的には自国開発を目標として留学生を三洲に定期的に派遣。国営軍需企業、クェックジルバー社が留学生に工場設備が劣化しつつあり、周辺環境に悪影響を与えている他、慢性的な燃料不足や電力不足によりきちんと稼動していないところが多い。その他、流域には田園が広がっており、我が国の食卓を支えている大穀倉地帯である。 モリヴァニア、アレイスター、リーザラッテの三地域を結んぶ地帯を黄金のトライアングル(三角地帯)或いは黄金の三日月地帯と呼んで、麻薬栽培、密売が横行する無法地帯と非難を浴びたりする。 また他国紙幣偽造も行われている模様。 略史 およそ500年前、東方騎士団の前身、リーザラッテ傭兵部隊設立。 リルバーン帝国の攻勢が強まり、服従。翌年、リーザラッテ騎士団と改称。 帝国との間に絶対忠心の誓文が交わされる。 ブランク・エイジ(Blank Age) 騎士団内部勢力は離合集散しつつ、強力な統一勢力を築いた。 東方騎士団発足。 エステルプラッテ共和国政府から自治権を獲得し、リーザラッテ自治区誕生。 LA事件発生。 リルバーン帝国軍の西ディルタニア侵攻(エステル、ユークトバニア占領) リルバーン帝国との絶対忠心の誓文を破毀。 東方騎士団第九〇代目団長、シリス就任。 流血法廷会議事件、都狂騒事件発生。 エステルプラッテ自治区より分離独立宣言。 軍事 国民の殆どが東方騎士団員である我が国では当然ながら国民皆兵制度を採る。 海軍力は沿岸警備隊を保持する他は皆無といって良い。 空軍力に関しても同様で、軍用ヘリ及び練習機としてレシプロ戦闘機を導入している他はさっぱり。 陸軍力の強化は著しく、国防費はGDPの五割超である。 山岳地帯におけるゲリラ戦法を好んで用い、敵軍の山越え隊は苦戦を強いられるだろう。 シュパイヤーマルク帝国の開発した主力戦車シュヴァルツシルトⅡを同国の崩壊直前に安価で導入し、森林地帯に展開させ敵侵攻部隊を圧倒する。 ただ慢性的な燃料不足に悩まされており、未熟な兵員が多くきちんと運用が行えるかと言えば非情に懐疑的である。 外交 軒並み資本主義圏の諸国とは友好的であり、中でもリルバーン、プラム、アレイスターとは蜜月関係。但し、一時期、リルバーン帝国の西ディルタニア侵攻の際には絶対忠心の誓文を破毀し、かつ占領されたエステルプラッテからの分離独立を宣言するなど関係悪化が懸念されたが、実際は有名無実化されたリルバーンとの奉公関係の解消と、対等的友好関係の構築が目的であり、エステルプラッテからの分離独立は、リルバーンに対する従属の際に主導権を巡って激化した同自治区内における内部抗争に起因し、嫌気を差した当時の東方騎士団長がリーザラッテ県令を殺害し独立を求めた大乱を起こしたが、後にその責を問われ自刃し、シリスが新たな騎士団長に迎えられた。リルバーン帝国は肥大化する組織の整理に追われており、これ以上の領域拡大は財政に極度の負担を強いることになるとの判断で、今件を黙認し、独立翌年には国交使節を派遣し関係を修復した。 同時期に勃興したシュパイヤーマルク=ヴィンツェンツ二重帝国とは密通しており、同国崩壊後、安価に武器を仕入れることに成功。国防力を高めた。 アレイスター諸島同盟の秘密結社、リリスの道を誘致し、自由活動を許可。 パロンシュレイヒの宣教の許を与えた。と同時にリリスの道派の伸張が著しく、現在では国民の九割がリリスの道を信仰するとまで言われる。 住民 エステルプラッテ人で、かつその殆どが東方騎士団員で占められている。 リリスの道の浸透が進み、国民の九割強が信仰。一生のうちに一度は聖地、アレイスターに巡礼することが唯一の夢とさえ語る国民がいるほど。 血統主義的な側面があり、他者に対する排他的性格が強い。ヤード系、雲龍系の進出には過敏に反応し、流血法廷会議、都狂騒事件では混乱に乗じて多数殺害されたといわれる。 一方で、ユーク、リルタニア諸島系、モリヴァニア系との関わりは深く、親密である。したがって一概に排他的性格を持つとは言い難いが、これには地理的、歴史的背景が強く影響することは確かだろうという研究報告が成されている。 文化 隣国リルバーンの文化圏に属し、多大な影響を受けている。 その他
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四條真也(社会人類学博士)/Masaya Shijo, Ph.D. Tokyo University of Foreign Studies, Research Institute for Languages and Cultures of Asia and Africa Junior Fellow 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 ジュニアフェロー Lecturer(part-time) at Tokyo Metropolitan University, Aoyama Gakuin University, Musashi University, Rikkyo University,Graduate School of Rikkyo University, Tokyo Polytechnic University 首都大学東京、青山学院大学、武蔵大学、立教大学、立教大学大学院、東京工芸大学 非常勤講師 Tokyo Metropolitan University, Dept. of Social Anthropology 修士/M.A.(2005-2007), 博士/Ph.D(2007-2016) 関心領域/Research Interests 社会人類学、文化人類学、文化復興、先住民運動、移民社会、親族、先住文化教育、郷友会 Social/Cultural Anthropology, Okinawan studies, Hawaiian Studies, Indigenous studies, 職歴/work experience 2008.8-2010.9 米国立東西センター(ホノルル)太平洋諸島開発部局 客員研究員 2012.4-2013.3 首都大学東京 人文科学研究科 TA 2012.4-2014.3 法政大学 経済学部TA「経済人類学」および「文化人類学」を担当 2015.4-2016.3 大妻女子大学 文学部 非常勤講師「社会人類学」を担当 2016.4-現在 東京工芸大学 芸術学部 非常勤講師「文化人類学」を担当 2016.4-現在 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所ジュニアフェロー 2016.4-現在 武蔵大学 社会学部 非常勤講師「英語文献講読」を担当(英語での講義) 2016.4-現在 青山学院大学 文学部 非常勤講師「文化人類学A・B」を担当 2016.4-現在 武蔵大学 社会学部 非常勤講師「開発人類学/環境と開発の人類学」を担当 2016.4-現在 聖心女子大学 人間関係学部 非常勤講師「質的調査法」を担当 関心地域/Fields 琉球諸島(奄美・沖縄)、ハワイ(ワイアナエ地区) Ryukyu Islands (Amami, Okinawa), Hawai i(Wai anae/Hawaiian Homestead) 主な現地調査/Primary Fieldworks 2006.8 奄美群島名瀬市 /Naze, Amami 2007.7 沖縄県石垣市伊原間地区/Ibaruma, Ishigaki, Okinawa 2007.9 オアフ島ワイアナエ地区、ハワイ島/O ahu, Big Island, Hawai i 2008.8-2010.9 オアフ島ワイアナエ地区/Wai’anae, O ahu 2009.7 奄美群島喜界町/Kikai, Amami 2010.12 奄美群島喜界町/Kikai, Amami 2011.7 奄美群島喜界町、沖縄県那覇市/Kikai, Amami・Naha, Okinawa 2011.9-2011.10 オアフ島ワイアナエ地区、ラナイ島/Wai anae, O ahu, Lāna i 2012.3 オアフ島ワイアナエ地区/Wai anae, O ahu 2013.9 オアフ島ワイアナエ地区/Wai anae, O ahu 2015.8 オアフ島ワイアナエ地区/Wai anae, O ahu 2016.9 オアフ島ワイアナエ地区/Wai anae, O ahu 2017.9 オアフ島ワイアナエ地区/Wai anae, O ahu 研究業績 学位論文 〇「奄美大島『奄美まつり』における八月踊りの実践」、首都大学東京大学院 修士学位論文 2007年3月17日 〇「先住ハワイ社会におけるエスニック・プライドをめぐる人類学的研究」、首都大学東京大学院博士(社会人類学)学位論文 2017年3月20日 学術論文 〇「沖縄化する奄美のイメージ、脱沖縄化する奄美のイメージ」、『民俗文化研究』、民俗文化研究所、8号、pp.105-136,2007年 〇「制度の中の『伝統』―アメリカの養子縁組制度における『ハーナイ』の機能に関する一考」、『文化人類学』、日本文化人類学会、79-2号、pp.104-123、2014年 〇「作り出される伝統―ハワイの養子縁組ハーナイの現場から」、『比較家族史研究』、比較家族史学会、29号、pp.61-78、2015年 〇「老いて近づくわが故郷―関東圏における奄美系郷友会への高齢者の関わりを事例に」、 『東アジアにおける高齢者のセイフティーネットワーク構築に向けての社会人学的研 究』、伊藤眞代表平成19年度―21年度科学研究費補助金、pp.49-57、2008年 〇「ハワイ人として住みつづけるということ―オアフ島ワイアナエ地区におけるハワイアン・ホームステッドの現在」、『日本オセアニア学会News Letter 』、日本オセアニア学会、No.96 、 pp.1-7、 2010年 書評 〇「宮永國子著『英対話力―コミュニケーションで出会う新しい自分』」、『文化人類学』、79-3、pp.339-342、2014年 翻訳 〇「無形文化財、有形のデータベース、目に見える議論―サワウ・プロジェクト」、グイド・ピグリアスコ(著)、小林誠・四條真也(共訳)、『人文学報』、首都大学東京、2012年 〇 Takeyoshi Kawashima “Evaluation and Critique” (trans. )James Roberson,Takami Kuwayama, Masaya Shijo, Japanese Review of Cultural Anthropology (JRCA), Vol.16, pp.43-58,2016 〇 Kizaemon Ariga, “The Issue of Hierarchy in Japanese Social Structure” (trans.)James Roberson,Takami Kuwayama,Masaya Shijo,JRCA, Vol.16, pp.59-68, 2016 国際学会発表 〇“Living in ‘Hawaiian Land’ Cultural Diversity in the Wai‘anae District”, Brown Bag Seminar, East-West Center, Manoa, Hawai’i, 2010 〇“Does blood matter? A case study of the sense of blood genealogy in Hawaiian homesteads in Wai’anae, O’ahu", Asia Pacific Conference 2012, Ritsumeikan Asia Pacific University, Beppu,2012 〇“Not Hawaiian, But Still Local A sense of belonging to the land in a multicultural Hawaiian community”,17th World Congress, The International Union of Anthropological and Ethnological Sciences(IUAES),University of Manchester, 2013 〇 “Divided by Blood Quantum Socioeconomic Disparity in Indigenous Hawaiian Society”,18th World Congress,IUAES, Chiba city, 2014 〇 “Amami in Ryukyu Nostalgizing Ryukyu, and Gazing Yamato”, Okinawan Studies Speakers Series, Ukwanshin Kabudan Center for Okinawan Studies, Manoa, Hawai’i, 2009 国内学会発表 〇「奄美大島『奄美まつり』における八月踊りの実践」、第828回日本民俗学会談話会 民俗学関係修士論文発表会、日本民俗学会、武蔵大学、2007年 〇「ハワイアンの土地に住むということ―オアフ島ワイアナエ地区における多様性」、第44回日本文化人類学会大会、立教大学、2010年 〇 「血の証明―ハワイアン・ホームステッドをめぐる先住ハワイ人の血統の維持」、2011年度日本文化人類学会次世代育成セミナー・プログラム、東京大学、2011年 〇“Goyukai and Its Function and Possibility”, Anthropology of Japan in Japan, Spring Workshop, Osaka Gakuin University, Osaka, 2012 〇「先住ハワイ人の血の系譜をめぐって-オアフ島ワイアナエ地区のハワイアン・ホームステッドにみる親族の意識-」、第46回日本文化人類学会、広島大学、2012年 〇「血か否か―ハワイにおける養子縁組ハーナイを事例に」、第48回日本文化人類学会、慶応大学、2013年 〇 “Reversion Movement and 60 Years After A Sense of Belonging in Current Amami", Anthropology of Japan in Japan Annual Meeting, Doshisha University, Koyoto,2012 〇 「作り出される先住性―ハワイの養取慣行ハーナイの現場から」、第56回比較家族史学研究大会、千葉大学、2014年 〇 「先住ハワイ人とは何か―現在のハワイアン・ホームステッドをめぐる『血統主義』を事例に」、現代人類学会、東京大学、2011年 〇「ピジンで話そう―ハワイ『ローカル』の意識におけるクレオール言語『ピジン』の役割」、首都大学東京社会人類学研究会、首都大学東京、2011年 〇「ハワイアン・ホームステッドをめぐる血の系譜―オアフ島ワイアナエ地区を事例に」、日本オセアニア学会関東地区例会、東京大学、2012年 〇「血筋と家族-ハワイアン・ホームステッドにおける親族概念に関する一考」、ハワイイ研究会、東京大学、2012年 〇「男性フラ再生の物語」、『第八回大蔵谷なう特別企画』、神戸学院大学市民講座、2013年 研究助成 日本カトリック大学連盟「2015年度大学院奨学生」2015年
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NIGHT WIZARD The 2nd Edition Character Sheet キャラクター名:ディルク=T=マールブランシェ PL名:氷神 種族:吸血鬼 ワークス:貴族 年齢:20前後(外見) 性別:男 髪の色:蒼銀 瞳の色:緋 肌の色:白 身長:180cm 体重:76kg ウィザードクラス:吸血鬼 11Lv スタイルクラス :アタッカー 0Lv 総合レベル :11 属性:冥/火 使用経験点:126 未使用経験点:132 未使用LvUP権利:6 CF修正値:2 プラーナ 内包値:8+6 解放力:2 基本能力値 ベース 成長値 現在値 基本能力値 ベース 成長値 現在値 【筋力】 9 3 12 【知力】 10 -- 10 【器用】 10 +1 11 【信仰】 4 -- 4 【敏捷】 7 -- 7 【知覚】 7 -- 7 【精神】 10 -- 10 【幸運】 6 -- 6(ジャッジ-5) 【戦闘能力】 :基本値(クラス修正)特殊能力 総合Lv=未装備 + 装備修正 戦闘値 命中値: 9( 3+ 7) +2 =【21】 + 2 【命中】23 回避値: 7( 2+ 0) =【 9】 + 1 【回避】10 攻撃力: 11( 4+ 2) +23 =【40】 +12 【攻撃】52(近接時ジャッジ+2) 防御力: 8( 2+ 0) =【10】 + 7 【防御】17 魔導力: 8( 0+ 2) 5 =【15】 + 5 【魔導】20 抵抗力: 6( 0+ 2) =【 8】 【抵抗】 8 魔攻 : 10( 0+ 3) +20 =【33】 + 9 【魔攻】42 魔防 : 7( 0+ 2) =【 9】 - 1 【魔防】 8 耐久力: 36( 5+ 4) +3 =【48】 【耐久】48 魔法力: 34( 2+ 3) +6 =【45】 + 2 【魔法】47 行動値: 11( 2+ 5) 6 =【24】 - 3 【行動】21 移動力: 3 【移動】 3 ス+ウィ ■ライフパス 出自:高貴な血筋 特徴:上流階級/作成初期所持金+10万v 生活:結社の一員 特徴:組織の力/組織のコネクション一つ取得(背教者会議) ■特殊能力 名称 :SL:タイミング: 判定値 :難易度: 対象 :射程: 代償 :効果 【汎用】 : : : : : : : : 《月衣》 :-: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :所持品を隠せる。マイナーアクションで飛行できる。(代償:1D6MP) 《月匣》 :-: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :イノセントを無力化できる 《超美形》 :1: メジャー :自動成功: なし : 自身 :3S: なし :同意した対象のコネクションを得る。1シナリオSL回 《不思議な隣人》 :-: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :【魔法力】+3 情報ジャッジの達成値-2 《財力》 :--: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :3S: なし :プリプレイに[50+2D6*10]万v入手可 《伝家の宝刀》 :1: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :[1000+1000*LV]万v以下のアイテム常備化 《闘気の才》 :6: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :プラーナの内包値+6 《闘気の才》 :3: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :《闘気の才》の上限+3 《訓練:筋力》 :3: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :筋力+3 《訓練:器用》 :1: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :器用+1 【アタッカー】 《物理攻撃力UP》 :自: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :【攻撃】を+[CL+3] 《ウェポンマスタリー:鎌》:1: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :種別(鎌)の武器装備中【命中】を+[SL+1] 《ウェポンマスタリー:投》:1: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :種別(投)の武器装備中【命中】を+[SL+1] 【吸血鬼】 《月下の魔城》 :1: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :【耐久力】【魔法力】に+[SL+2] 《夜の一族》 :1: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :明度によるペナルティを受けず、明度2以下の場合全ジャッジの値+2 《始祖の血脈》 :1: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :1シーン(1ラウンド)●回の特殊能力をSL個選択。 使用回数制限を+1する。 《緋色の闇》 :1: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :魔装取得。オートアクションで装備可。《血の呪い》適用可 《破壊の忌み名》 :10: 常 時 :自動成功: なし : 自身 :なし: なし :【攻撃】【魔攻】を+[SL*2] 【攻撃】【魔攻】の手加減不可 《不老不死》 :--: オート :自動成功: なし : 自身 :なし: 1P :瀕死状態を回復し、HPを[CL*3]点まで回復できる。1シナリオに1回まで使用可。 《真紅の夜》 :--: オート :自動成功: なし : 自身 :なし: 5M :[瀕死]状態になった直後に1回メインプロセスを行う。 このメインプロセスでカウント減少はしない。1シナリオ1回。 《夜の王》 :1: オート :自動成功: なし : 自身 :なし:5M5C:【防御】【魔防】の出目をCに変更。1シーンSL回 《漆黒の翼》 :1: マイナー :自動成功: なし : 自身 :なし: 5M :シーン中飛行状態になり【防御】【魔防】ジャッジに+SL 《拘束術式》 :1: マイナー :自動成功: なし : 自身 :なし: 2P :シーン中【攻撃】【魔攻】に+[SL*3] 1点でも通れば狼狽 《不夜城の主》 :1: メジャー :命中魔導: 対抗 :範囲選2:武器: 1P :「範囲選択(2)」の対象に物理or魔法攻撃。ダメージ+[SL×5] シーン1回 《魂の通貨》 :--: メジャー :自動成功: なし : 自身 :0S: 3P :同意した対象または瀕死の対象の[CL3]以下の特技を同じSLで取得する。 CLは吸血鬼の物を使用する。1シナリオ1回。 《真紅の夜》 :--: オート :自動成功: なし : 自身 :0S: 5M :[瀕死]状態になった直後即座にメインプロセスを行う。 【追加特殊スキル】 クラスに関らずLvUP時に取得可能 《月衣:撃剣砲》 :1: メジャー :【命中】: 対抗 : SL+1 :3S※: 3M :攻撃対象は《月衣》に格納している種別:武器の本数(最大[SL+1]本)とする。 【命中】=未装備【命中】+使用する武器の命中修整+[SL] 【攻撃】=未装備【攻撃】+使用する武器の攻撃修整+[SL+1] 使用する武器は 重量:0 種別:武器(投)として扱い、使用後破壊。1シーンSL回 【アイテム追加スキル】 《魔殺の結界》 :--: : : : : : :特殊能力一つを封印※《夜の王》指定 《 》 :--: : : : : : : ■魔法■魔法記憶容量[【知力】+総合レベル]:21 名称 :LV:種別:タイミング: 判定値 :難易度:対 象:射 程:代 償:効果 エンチャントフレイム :2:付火: オート :【魔導】: 10 : 自身 : なし :3M2C:メインプロセスに行う物理攻撃を 火 属性にし【攻撃】+[【魔導】-5](MAX10) マジックブレード :1:付与: マイナー :自動成功: なし : 自身 : なし : 3M :第一or第二属性の魔法ダメージに変更し【攻撃】+[【魔導】-10](MAX10) フライト :1:付与: メジャー :【魔導】: 10 : 単体 : なし : 3M :対象をシーンの間飛行状態にする。 リフレクトブースター :3:付与: オート :自動成功: なし : 自身 : なし : 3M :【行動】ジャッジに+[【魔導】-13](MAX7) : : : : : : : : : [予備欄] : : : : : : : : : ■武装■重量上限[【筋力】+総合レベル]:23 ■魔装■装備可能レベル合計[【知力】+総合レベル]:21 【武装】 名称 :種別:部位:重量:命中:回避:攻撃:防御:魔導:抵抗:魔攻:魔防:耐久力:魔法力:行動:移動: 射程 :備考 Aeternitas : 鎌 :両手: 6:-3: :11: : : : : : : :-1: : : Superbia :防具:頭部: 2: 1: : : 2: : : : : : : : : : Lamia :防具:衣服: 1: 1: 1: : 3: : : : : : : 1: : : Mantellum :防具: 肩 : 4: : : : 3: :-1: : : : :-2: : :【筋力】及び射程に※のない【攻撃】に+2 常古の記憶 : 他 : 他 : 1: :-1: :-2:+3: : :-2: :+10:-1: : :【幸運】ジャッジ-5 忌まれしヒトとの交わり :防具: 他 : 2: 1: 1: 1: 1: 1: 1: 1: 1: : : : : :《魔殺の結界》 : : : : : : : : : : : : : : : : : 小計 : :16: 0: 1:12: 7: 4: 0: 1:-1: : 10:-3: : : :命中:回避:攻撃:防御:魔導:抵抗:魔攻:魔防:耐久力:魔法力:行動:移動: 射程 :備考 緋色の闇(特技魔装) :攻撃: : 3: : : : : 1: : 8: : : -6: : :2Sq: ソードエンブレム :付与: : 1: 2: : : : : : : : : -2: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 合計 : : 2: 1:12: 7: 5: 0: 9:-1: : 2:-3: : : ■所持品■月衣収納上限[【筋力】×2+総合レベル]:30 名称 :重量:効果 幸福の宝石 : 0:《幸運の加護》ジャッジのダイス目がF値だった場合、ファンブルを打ち消す。1シナリオ1回。 スマート0-Phone : :《モバイルシステム》通信販売 《メモリ領域》メモリ領域アイテム使用可能 吸血祭祀書 : 0:《ブラッドコントロール》 吸血鬼の特殊能力で回復するHPとMPの量と上限に+5 : : 残固定化P:164,200v ※相当品リスト Aeternitas(サイズ) Superbia(スナイピングゴーグル) Lamia(絶滅社戦闘服) Mantellum(パワードブレイス) 常古の記憶(外道祈祷書) 忌まれしヒトとの交わり(魔殺の帯) ■設定 Dirk=Toreador=Malebranche 生来の吸血鬼であり、300年以上の年月を生きている“純血”の一人にして背教者会議の構成員の一人。 『マールブランシェ』は中世時代には人間世界へも浸透し、伯爵位を賜り公然とした領地を持っていた人界の貴族としての歴史も併せ持つ。 私領の領民を城内に抱え込んで“糧”とする代わりに無闇な略取を避けるなどある種の整合性と独自のルールを制定し表界で生活を続けていた。 しかし、ある時血族同胞が起こした悲劇的な事件を発端として血族同胞が“大量殺戮事件”を起こすに至り家名も“殺戮伯”として失墜する。 その事件との係わり合いを避ける形で狭界へと隠遁、背教者会議の推挙もあり“常世の国”へとその居住地を移す。 そして現在、ファージアース及び狭界が酷く不安定になるに辺り“常世の国”内部に燻っていた騒乱の種が芽吹いただけならず、 存在を持続させる事の危うさを感じ取った背教者会議の招致を受ける形で再度表界へと帰還する事を決意、戦線参入を理由にAAAへと籍を置く事になる。 ミドルネームとして名乗る“トレアドール”は別の血脈たる一族の家名ではあるのだが、 その生き様―――美しいモノを愛で慈しむ姿勢―――に感銘を受け、その思想同調の証として名を連ねる許しを受けた。 対象となる“美”は絵画や彫刻、細工物などの造形美に留まらずそれを創り出す『人間』そのものを含む。 また美しい女性や可憐な少女、といった存在そのものを好む事ともなるのだが……傍目には好色なだけ、とも見える。 捕食者としての本能は失って居ないものの過去の事件以降『眷属』を作る事への抵抗感は強く率先して眷属を増やす意思は無い。 吸血行為による“食事”への意欲はある為機会あらば吸血行為を行う事はあるが因子を埋め込む事はせず、極力抵抗力の高い者を選ぶようにしている。 とはいえ現在は協定の存在も相まって主な“食料”は輸血パック等の代替手段(曰く「ジャンクフードのような物」)に頼る事となっている。 戦時は従前の装いであるドレスシャツに黒のベスト、漆黒のスラックスに漆黒のロングコートといった黒ずくめの装いであり、 デザイン的にも現代風、と言うよりは中世代の風合いが色濃く残る。 魔術的に強化された繊維で仕立てられており、血族内の愛用者も多い事から“Lamia(吸血鬼 ラミア )”とその製法を名付けた。 軍靴と見紛う黒のブーツを愛用しており、仕立てはスーツとの揃いになっている物だが甲に鉄板を仕込み靴底も運動性を高める等の改良を施している。 尚、付随する夜色のマントは“Mantellum(マント マンテリューム ”と、やはり単純な命名である。 愛用の獲物は柄長2M弱、刃渡り1M強の大鎌。柄から刃先に至るまでが全て黒鉄で出来ており、焔を纏って尚変質する事の無い逸品。 銘は“Aeternitas(永遠 アエテルニタス )” 性格的には高慢であり、美しいと認めたモノ(人・物品問わず)には相応の執着を見せる為対人関係的には好色傾向にある。 が、数百年のブランクを伝聞知識で埋めているため知識範囲が若干ズレて居るなど、いまいち締まらない部分も多々。 コネクション :関係 背教者会議 :同志(共存関係):現代を生きる吸血種のサロン。“異常時”に際し狭界から渡り出る助力及び現状に対しての情報の提供元。 セディス卿 :仇敵(思想衝突):愛でるべき人間すらも駆逐し、常世の国の闘争の一端を担う難物。 クロエ :友人(愛玩対象):我等マールブランシェの血族により悲運を味わった少女。……好意を向けてもらえるようになるとは、ね。 壬土 優希 :幼子(愛玩対象):新米異能者。ウィザードとしての生活も落ち着いた様子だが……さて、こちらはどうしたものかね。 箕薙 光 :同志(執着) :“時間”を枷として震える少女。……放っては置けぬ、気にもなる、……成る程、彼女の言う通り、かもしれないね。 レイアル :興味 :街中の書庫で出会った少女。数年もすれば程好く育つだろうね、気性も含め……色々と愉しみだな。 アルテール :同志 :生命の神秘の探求者にして元素使い。血の提供の申し出も有難い、さて……色々と気になる人、だね。 セルヴィス :同行者 :色々と弄り甲斐のありそうな少年。先行きは微笑ましくもあるね。 冬子 :ビジネス :“欠片集め”の依頼者。しぶとい模造品からの指輪奪取だったが……さて、残りはどうかね。 イルリード :幼子 (保護) :よじ登ってきた幼女。幼いながらも防衛力の高さ共々先が楽しみ、ではあるか…… 草薙 理緒 :同行者 :遺跡探掘の際の同行者。俊敏な身のこなしに合わせやすい呼吸、しなやかなバネと良いかなりの腕か。 クー :同行者 :遺跡探掘の際の同行者。同じく無手ではあったが……リーチの長さと良い、独特な動きをしている。 戸塚 清花 :同行者 :優希と同じく、珍妙な力を繰る少年。……蹴りの威力は相当なもの、か。 ラインヒルデ :同行者 :重厚な鎧を纏った女性(?)鎧を脱がぬのには騎士の誇りがあるというが、さて……? ミヤ :同行者 :正しく“少女”と呼べる可憐な妖精。……しかし本体は巨大戦艦と言うのは非情ではあるね。 ミスティア :同行者 :遺跡探掘の際の同行者。眼福ではあったが……さて、種々の意味でガードの堅そうなヒトだね。 エリーシア :借り :無数の龍種襲撃を追滅してみせた女剣士。これ、を如何返すべきかね…… 蓮見沙由 :仇敵 :謎の世界“アガツマ”にて遭遇した見えない攻撃を繰る少女。 イリス :興味 :現世に於いて“魔女”とされかけたか。……真理に至る日が来ると良いがね。 わんこ :同情 :“クローイ”の悪夢にて出会った犬。昔の飼い犬、か…… : : ※対人メモ※ : 【セッションボーナス】 エディ君を倒せ :EXP+11 Lv+1 天空の島へとご招待 :EXP+11 Lv+1 夏の夜に :EXP+11 Lv+1 紅き悪夢 :EXP+13 Lv+1 イリス捕獲計画 :EXP+11 Lv+1 夢の砦~縛鎖~GM分 :EXP13点 Lv+1 はらぺ子GM分 :EXP19点 Lv+1 王都に響く鈴の音GM分 :EXP17点 Lv+1 冥魔王マレフィキュアGM分 :EXP27点 Lv+1 滲み出す紅夢GM分 :EXP14点 Lv+1 夢の砦~大運動会・夜の部~GM分:EXP11点 Lv+1 夢の砦~HappyHalloweenFor~GM:EXP14点 Lv+1 テラ~戦場の鈴~GM分 :EXP21点 Lv+1 乙女の抱く儚き“夢”GM分 :EXP22点 Lv+1 世界を創りし嗤う“緋” :EXP21点 Lv+1 世界を拒む虚しき“躯” :EXP21点 Lv+1 【成長記録】 EXP10 :《超美形》《財力》獲得 吸血鬼Lv1⇒LV2:命中+1 吸血鬼Lv2⇒LV3:命中+1 EXP10 :《伝家の宝刀》(パワードブレイズ)《不思議な隣人》獲得 吸血鬼Lv3⇒LV4:命中+1 EXP15 :《闘気の才》3Lv EXP8 :1,600,000v入手(ソードエンブレム・スナイピングゴーグル) 吸血鬼Lv4⇒LV6:命中+2 EXP12 :2,400,000v 吸血鬼LV6⇒Lv8:行動+2 EXP6 :1,200,000v 吸血鬼Lv8⇒Lv11:行動+3 EXP35 :《闘気の才Ⅱ》3《闘気の才》3《訓練:器用》1 EXP15 :3.000.000v 【特記事項】 ■現在時点での他の『マールブランシェ』一族 殺戮者と化した一族はウィザードの手により討滅された、と言う事になっているが一部の生き残りが裏界や狭界に渡り生き延びている可能性はある。 ディルクへは背教者会議に所属する事、トレアドール姓を同時に名乗る事での身元保証が成されている。 ■過去の事件 『マールブランシェ』血族の者がイノセントを愛してしまった事がきっかけで起こった殺戮事件。 血統主義を重んじすぎるが故に殺めてしまった事、血統主義故に“糧”と愛を交し合った事実を抹消する為の粛清を含めた“最初の事件”と、 その行為を境に殺戮行為の悦楽を呼び覚ましてしまった同胞の無差別殺害事件と言う“二番目の事件”が存在する。 が、表界の歴史には残らなかった異常事件であり、ウィザード側としてもある意味では“よくあること”であった為きちんとした記録は無い。 一部に残っている可能性はあるが、その場合も『突如発狂、錯乱した吸血鬼一族による大量殺害』と言う当時としては凡百の事件に埋没してしまう程度であり、 事件詳細が二つの出来事に分かれている事を知る者はディルクを含めた当事者の生き残りに限られる。 “最初の事件”については同情的ではあるものの“二番目の事件”については忌避と嫌悪を抱くのみ。 誤解を解くにも時間を要すると判断した結果、隠遁生活を選択させた。 ■ディルクの吸血 抵抗力の強い者(ウィザードを含むプラーナを自由に操れる存在)を選び吸血し、眷族を増やさないようにと予防している。 ※ディルクの吸血起因で吸血鬼化する場合は相談貰えると助かります。 個人的メモ:サイズ(60,000v)