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『昼下がりの邂逅』 ――つまんない。 土曜日の午後なのに、薔薇水晶は独りだった。 みんなは部活や、諸々の用事に追われていて、遊ぶ約束も出来なかった。 退屈だけが、薔薇水晶の心に鬱積していく。 ベッドに寝転がったまま、窓の外に目を向ける。 よく晴れている。雲が高い。それに、とっても青い空。 「なんか……勿体ないなぁ」 宿題は無いし、急用が有るわけでもない。 と言って、このまま惰眠を貪る気分にもなれなかった。 少し、散歩でもしてこよう。薔薇水晶はベッドから跳ね起きると、 ジャケットを羽織って外に出た。 ――さて、何処へ行こうか? 「城址公園にでも行ってみよう。この間、植えたバラの苗を見に」 学園の緑化運動により、園芸部が接ぎ木・栽培した苗を植えたのは、一ヶ月前。 花が咲くには早いだろうが、どうせ暇つぶし。 長い石段を登っていると、上から運動部の一年生部員たちが駆け下りてきた。 練習、頑張ってね。ナニ部だか分からないけど。 花壇の近くには、誰も居なかった。 春が日一日と近付く今日この頃だけど、まだ風も冷たいし、散歩を楽しむ 陽気ではない。桜の蕾も、もう暫くしないと膨らんでこないだろう。 「今年も……お花見に来たいなぁ」 出来れば、銀ちゃんと二人きりで。 そして、こっそりお酒を飲んで……後は酔った勢いのまま―― 昼間から、つい、はしたない妄想を広げてしまった。 「ん? あれは――」 五百本の苗が植えられた花壇の前まで来た時、人の気配を感じて、 薔薇水晶は思わず足音を忍ばせた。 花壇の中に…………誰か居る。がさがさと音がしている。 園芸部の部員? それとも、まさか花泥棒? 静かに近付いて、様子を窺う。どうやら人ではないみたい。もっと小さい。 薔薇水晶は一定の距離まで近付くと、屈み込んで花壇の中を覗き見た。 ――がささっ!! 「……わひゃぁっ!」 突然、ナニかが飛び出してきて、薔薇水晶は思いっ切り尻餅をついてしまった。 一体、ナニが? 驚愕しつつも、反射的にスカートの裾を降ろしていた。 まさか、誰かにパンツ見られてないよね。 頬を赤らめながら周囲を見回すが、誰も居なかった。 ホッと一息。そうだ、いま飛び出してきたのは、何だったんだろう? 改めてナニかが走り去った方向に頚を巡らすと、少し離れた所に、 薄汚れた黒猫が蹲っているのが見えた。 苗をガサガサと揺らしていたのは、あの猫らしい。 大方、爪研ぎでもしていたのだろう。 「? なにか…………様子が変」 あれほど勢い良く飛び出して来たにも拘わらず、黒猫は突っ伏したまま、 動こうとしなかった。それどころか、とても具合が悪そう。 けれど、目立った外傷はなさそうだった。 「……おいで」 試しに、呼んでみる。しかし、猫は薔薇水晶の方を見向きもしなかった。 お腹が空いているのだろうか? 残念だけど、今は何も持ってない。 買いに行くにしても、最も近い店は学園の購買だ。 土曜の午後なんて、もう閉まっている。 第一、野良猫に餌を与えているところを見られたら、何かと煩く言われるかも。 「困ったなぁ…………どうしよう」 捕まえるにしても、独りでは無理だろう。あっちの方が、小さくて素早い。 本当に、どうしようかな? 背後から声を掛けられたのは、その時だった。 「あれ? そんな所で、なにしてるの薔薇しぃ」 「あっ……蒼ちゃん。あのこ……なんだけど」 「クロベエが、どうかした?」 蒼星石の口から猫の名前が飛び出した事で、薔薇水晶は少しだけ安堵した。 なぁんだ。あの猫は、蒼星石の家の飼い猫だったわけね。 「クロベエって言うんだ?」 「うん。ボクと姉さんは、そう呼んでるよ。野良猫なんだけどね」 「飼ってるんじゃないの?」 「この花壇を手入れしに来た時、たまにお弁当の残りをあげてるくらいだよ。 残念だけど、ウチは庭木や鉢植えが多いから飼えなくてね」 蒼星石が呼ぶと、黒猫は「にゃあん」と甘えた声で啼きながら、 のそのそと近付いてきた。 「随分と慣れてるね。やっぱり……ゴハンくれる人が解るんだ?」 「それも有るけど、この猫は人懐っこいよ。元は飼い猫だったんだと思う」 なるほど、言われてみれば確かに、黒猫の毛並みは柔らかそうだった。 トリミングすれば、きっと奇麗になるだろう。 「ねえ、蒼ちゃん……この猫、私が貰っちゃ……ダメ?」 薔薇水晶の申し出に、蒼星石は嫌な表情を浮かべるどころか、満面の笑顔を見せた。 「薔薇しぃの家で、面倒を見てくれるの? そうしてくれたら嬉しいな」 「任せて。可愛がるから」 薔薇水晶は黒猫を、ひょい……と抱きかかえた。 蒼星石の言う通り、確かに人懐っこい。 慣れない猫なら、抱かれることすら嫌がって暴れるというのに。 これから花壇の手入れを始める蒼星石と別れて、薔薇水晶は足取りも軽く、 自宅へ戻った。この子と一緒に、お風呂に入ろう。 奇麗になった黒猫を脳裏に描きながら、薔薇水晶は幸せそうに微笑んだ。 「私達…………友達に…………なれるよね?」 「にゃおん」 「あれ? お返事できるんだ……お利口だね♥」 ――湯上がりの午後。 薔薇水晶はベッドの上で気持ちよさそうに眠る黒猫を撫でながら、 ふと名前を付けていない事に気付いた。 野良の時はクロベエでも、ウチに来たなら、ちゃんとした名前を付けてあげなきゃ。 「そうね……お前の名前は…………うん……決めた」 満足げに頷く薔薇水晶。 「お前の名前は…………ラプラス!」 扉を隔てた向こう側では、タキシード姿の執事が号泣していた。 「お嬢様…………それは酷すぎます」 執事の名こそが、本家本元のラプラスだった。
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食糧倉庫 ↑クリックで拡大。 作:yuzukiさん&SOUさん L:食糧倉庫={t:名称=食糧倉庫(施設)t:要点=食糧倉庫t:周辺環境=備蓄されている食糧,ネズミ捕りのなにかt:評価=なしt:特殊={*食糧倉庫の施設カテゴリ = 藩国施設として扱う。*毎ターン食料+15万tされる。}→次のアイドレス:・食品加工工場(施設)・陸軍兵站システム(技術)・豊饒の大地(施設)} 設定文章 王国の農業環境の変化と今後の展望 ~大規模食糧倉庫の建設と流通体制の変化~ 1.現状 1.1.農業大国としての王国 ビギナーズ王国は国土の多くを農地が占める農業生産国である。初夏と秋には黄金色の海が視界を覆うほどの小麦の生産を誇る。冬季に入ると、黄金色の海は一面の銀世界に置き換えられる。寂寞とした白銀の世界の裏では、多くの杜氏が収穫された麦や米から酒造りに励む。 小麦の生産を主として、牧畜、野菜、果樹など幅広く食糧品を生産してきた王国であった。近年相次ぐ戦争に憂慮して、更なる食糧の増産を進め、わんわん帝國の食料庫としての地位を確固たるものとしようとしている。その一環として、大規模な食糧倉庫の建造に着手した。 1.2.戦争による食糧増産の必要性 相次ぐ戦争への出兵はわんわん帝國各国の支出を増大させていた。I=Dの利用により燃料や資源の消費が注目されているが、恒常的に消費され続ける食糧の存在は大きかった。 一部の藩国では出兵が不可能となるほどの食糧備蓄の低下、という事態を迎えるに至っていた。潤沢な食糧備蓄を抱える藩国であっても、情勢が不安定であるがために中央市場に食糧が流通せず、食料価格の上昇という結果を招いている。こうした影響を一番に受けたのは一般市民である。中央市場における食料価格の上昇を受け、各地の市場においても食料価格は上昇し、一般市民の食糧不足といった社会問題を発生した。 1.3.趣向の多様化による取り扱い品目の増加 ちびちびビール騒動 趣向の多様化を象徴する事件が「ちびちびビール騒動」である。有能な吏族として知れ渡り、またジャズマンとしても隠れた人気を集めるamurが吏族仲間であるtactyとバー交わした会話で、ちびちび飲めるビールを勧めた。 「ちびちびビール」とは国内で最も流通している上面発酵ビールのことを指す。この種類のビールは多種多様ではあるが、下面発酵に比較すると、総じて味わい深く、濃厚で、香り高いのが特徴である。下面発酵のビールがぐびぐびっ、ぷはぁ~、と、勢いよく飲むことが多いのに比較して、上面発酵のビールはちびちびと飲んでも美味しく飲めるため、「ちびちびビール」と通称されるようになったと考えられる。 amur、tactyの談話はそれまで主流派だった上面発酵ビールのシェアをさらに拡大させる結果を生み、結果として農業大国でありながらビールを不足に陥るという大混乱を巻き起こした。 思わぬ騒動に対応を迫られ、藩王たくまは自ら下面発酵ビールの宣伝を主張。自らマスコミの前で下面発酵ビールを飲むアピールをしようとしたが、「未成年だから」と周囲に取り押さえられ、結果摂政が代行することとなった。 ちびちびビール騒動は食糧を豊富に有するビギナーズ王国だからこそ発生する事件であった。舌の肥えた市民の食へのこだわりは高まっており、こうした食に対する趣向の多様化に対応する必要が迫られたのだった。 幸いにして市民の中に食糧生産従事者の多いために、食品に対するモラルの低下といった問題は避けられていたものの、今度同様な騒動が頻発する可能性が考慮され、大規模な流通網の整備が強く意識された。 ビギナーズ王国中部のナナオ村。ここはビギナーズ王国有数のビール山地である。 4月の今現在のナナオ村では、20cmほどに成長した小さな青々とした麦が広がっている。ナナオの大地はミネラルを多く含み、水はけもよいために大麦の生産に向いた土地である。ナナオ村の農家はこの大地にさらに石灰窒素などを加えて土壌改良を加え、よりよい麦作りに勤めている。 ナナオ村のビール工房では付近の農家で生産された大麦からビールが生産されている。 サイロに貯蔵された大麦は製造に適したのみの大麦に選別されている。収穫直後の大麦は麦芽製造に適していないため、貯蔵し、麦芽になる時期を待たなくてはならない。 こうして、準備の整った麦をさらに選別し、水につけて発芽させる。この際、水を交換し、麦の汚れなどを落としつつ、麦に水を吸収させる。麦の酵素がでんぷんやタンパク質を分解させて、おいしいビールの元となる麦芽になる。 乾燥させた麦芽を砕き、湯で熱し、さらに酵素を加えて熱することで、麦汁を作る。この麦汁を濾過し、煮沸。さらにホップを加える。 ホップの生産には王国の冷涼な気候が適しており、ナナオ村でも栽培されている。麦畑の外れに棚が設置されており、今頃はちょうど根株から芽が出ている頃だ。 このホップを加えることによりビール特有の苦みと香りが生まれる。 煮沸を終えた麦汁は冷却され、酵母が活動しやすい温度で加えられる。この時の温度は常温。発酵を1週間、さらに2週間熟成させてビールの完成である。 こうして出来たビールをボトリングして、出荷される。 上面発酵で無濾過のビールは賞味期限が短い。地域の中規模倉庫を経由して、納品量を調整して大規模倉庫へ出荷。ただちに取引が行われ、首都や諸藩国に出荷される。 2.今後の食糧政策と食糧倉庫 2.1.食糧倉庫の現状 これまでも大量の食糧を生産してきたビギナーズ王国に食糧倉庫がなかったわけではない。各農地における協同組合によって設立された中規模倉庫や各農家がそれぞれ備えているサイロや倉庫である。こうした各地に点在している倉庫間の食糧をトラックが頻繁に行き来することにより国内の、さらには帝國全体の食糧需要を満たしてきた。 2.2.農作物の価格調整 食糧の増産に伴い予見される農産物の価格下落への対策が必要である。これまでは二期作や定期的な麦畑の転用によって、麦の生産は調整が行われてきた。しかし、今後の食糧増産の見積もりを行ったところ、これまでと比較してより積極的な流通調整が必要だ、との結論が得られた。 2.3.国内の食糧備蓄量の把握 国家規模が拡大するにつれて王国における資産の収支の変動は小刻みに変化するようになった。こうした収支変動の把握の必要性が再認識されたのが、先の組閣後に行われた大吏族チェックであった。この際に国庫の収支変動の把握に追い回された藩王たくまは、今後の収支把握の簡略化を図った。 2.4.流通体制の強化 食糧増産に伴い、先に述べた「ちびちびビール騒動」に見られる趣向の多様化の他、今後の戦争の行く末など、食糧の流通体制の強化は王国の急務となっている。 これに対応するためには、各農地における中規模倉庫の機能拡充を図ると同時に、大規模な流通基地を整備することが必要である。これにより、流通規模に応じた食糧流通が可能となる。 2.5.戦災時備蓄食糧の確保 相次ぐ戦争による各地の市場の混乱、さらには社会への影響を憂慮して、一般市民の使用に限った備蓄食糧の確保することが藩王による決定された。この備蓄食糧は災害などへの利用も目的としており、平時、戦時を問わず指定の備蓄量を確保すること、一般市民への使用に限られることが定められた戦災時備蓄食糧法が藩王自らにより定められた。 同法に基づく食糧の備蓄は、非常時における輸送の困難を配慮して各地の中規模倉庫に分散備蓄された。これらの備蓄の不足分の補填と、対外的な一時支援分を確保として大規模倉庫が位置づけられた。 2.6.食糧倉庫の建造 以上をふまえて、これまでの食糧倉庫の体勢と流通体制では今後の食糧政策に対応しかねる、と判断された。その対策として食糧倉庫が建造された。 3.食糧倉庫の概要 3.1.食糧倉庫の位置づけと機能 2章で述べたように、食糧倉庫に求められているのは国内の食糧備蓄のみならず食糧流通基地としての側面も求められている。 食糧備蓄機能としては、流通在庫としての一時備蓄機能と、戦災時備蓄食糧や軍事用の備蓄食糧などの長期備蓄機能に分けられる。一時備蓄に関しては、農家や商社と言った企業にスペースが貸し与えられた。 流通基地機能としては、大規模市場が整備されるとともに、各地の中規模倉庫の情報集積や、諸外国の食糧事情の把握が行われた。 3.2.食糧倉庫の立地・構造 3.2.1.食糧倉庫の立地 食糧倉庫は国際的な流通を視野に入れて首都の南部高山地帯の麓に建造された。立地に関しては主要の農産地に隣接した王国中央部が相応しい、という意見もあった。しかし、国内食糧流通において大規模市場が中・小規模の市場を圧迫することが懸念されたために現在の立地が最善という判断がなされた。 施設周辺は針葉樹林帯に囲まれており、これらが防風林の役目を果たしている。防風林の存在により、体感温度が必要以上に下げられることが防がれ、冬季においても比較的活動しやすい衣類の着用が可能となっている。また、荒天下であっても最低限の施設の運用が可能となっている。 3.2.2.食糧倉庫の構造 構造は地上部と地下部からなる。王国の積雪量は多く、食糧倉庫の立地環境も例外ではないため、地上部より地下部が広く取られている。積雪対策として通常の倉庫よりも加重に耐えられるよう、内壁、柱、天上が強化されている。結果として災害や有事の際の倉庫の安全性も向上し、施設としての信頼性は高い。 地上部一階は天上が高く大空間が確保され大規模市場と一時備蓄用の倉庫に用いられる。トラックの直接乗り入れも可能となっている。 地上部二階、三階は小規模市場と食糧情報センターが設置されている。また、その他施設としては、食糧倉庫運営部や見学センターなどが備えられている。 地下部は長期備蓄用の倉庫として確保されているが、一部は一時備蓄用の倉庫としても開放されている。 4.食糧倉庫の運用 4.1.食糧倉庫の運営 食糧倉庫の運営は第三セクターの運営機関によって行われる。運営資金は市場手数料や一時備蓄用倉庫のリース料、王国からの備蓄用倉庫の利用料などによってまかなわれる。 各地で生産された食糧や諸外国から輸送されてきた食糧は首都外環道をはじめとする主要幹線道路を経由して行われる。昼夜を問わず運び込まれる食糧に対応して、倉庫は24時間活動を続けている。 4.2.取り扱い品目 4.2.1.麦、米 取り扱う食糧のうち最も量が豊富なものは、何と言っても小麦である。王国のみならずわんわん帝國の主食となっているため国家の備蓄食糧の主要品目であることはもちろん、さまざまな加工食品用の小麦まで含めると多種多様の、そして大量の小麦が貯蔵されている。 主食として人気の高まっている米も重要な取り扱い品目の一つだ。近年、地下稲作プラントでの生産が活発化しているが、生産量豊富な東国人の国、特に隣国である越前藩国からの流入は多い。 4.2.2.肉、魚介類 これまでの中・小規模倉庫と比較して大規模保冷庫を完備した食糧倉庫の登場により、肉の流通はますます活発になった。肉類は主に王国産の牛肉、豚肉などが主流である。近年では詩歌藩国のカリブー肉なども持ち込まれるようになり、食の多様化に貢献している。 魚介類に関しては、たけきの藩国、FVBなどからの輸入品が多く取り扱われている。王国周辺の海域も漁場としては恵まれているそうだが、牧畜が栄えている王国では漁業は発展しておらず、これまでは食生活にも密着した存在ではなかった。今後、輸入による魚介類の人気が高まれば王国の漁業の活発化も見込まれるかもしれない。 4.2.3.野菜類 食糧倉庫の恩恵を最も受けた品目が野菜類であるといえよう。これまで近郊農業による寒冷地向きの野菜の取引が主であったため、旬を過ぎるとこれらの価格は高騰し、生鮮野菜が手に入りにくかった。 大規模食糧倉庫の登場により、各地の名産品が安定量流入、あるいはある程度の保存が可能となり、一年を通じて様々な野菜が食卓に並ぶようになった。たけきの藩国のきのこ、詩歌藩国のにんじん、奇眼藩国のリンゴ、FVBの食用花、さらには神聖巫連盟の変わった野菜などが挙げられる。 4.2.4.酒類 美酒の国だけあって、酒類の取り扱いはその他の加工品と比べても多い。近年爆発的なブームにより生産量が増大したビールを始め、米酒、ウォッカ、ウィスキー、アクアビットなどが取り扱われている。これらは諸外国にも輸出され、帝國の酒蔵とも言える存在となっている。 輸入品としては、隣国の越前藩国の焼酎やワイン、GoMの米酒などが挙げられる。 4.2.5.その他 その他の品目として特筆すべきはえ~藩国の菓子類である。菓子類はフルーツを使ったものは国内でも活発に生産されているが、過日の同時多発爆発の折にタルクがお土産として持ち帰った福翠の卵を使ったエッグタルトは王国の女性陣から人気を博し、取扱量が増大している一品だ。 その他、FVB産の薬草や、詩歌藩国のハーブなども取り扱われている。 4.3.食糧の管理 王国内の生産食糧に限ってみても取り扱いの食糧は多種多様に及ぶ。そのために一時備蓄用倉庫、長期備蓄用倉庫は共に、温度・湿度調整機能が完備されている。北方の寒冷地に位置するビギナーズ王国において食糧を低温で保存することは比較的容易な環境にある。更に、地下倉庫は通年で安定した気温・湿度を維持しやすくなっている。こうした環境を活かすことで温度・湿度調整コストが抑えられている。 4.4.食糧の防衛 広大な食糧倉庫を管理する手段として新に開発されたのが対ネズミ決戦兵器である。わんわん帝國参謀にも出仕しているS×Hにより考案・開発された決戦兵器は食糧を狙うネズミの撃退と施設内のパトロールを目的としている。 決戦兵器は自律防衛機能を有しており、施設内の各所を24時間監視している。ネズミを発見した場合には上部のセンサーから中央情報センターを介して各決戦兵器に情報が伝達され、目標を包囲・駆逐する。こうした自律防衛機構について、S×H氏はいずれ帝國全体の対空防衛網への転用を行いたいと意気込んでいる。 ネズミとの戦闘時には主要兵装であるレーザー光線が上部のレーザー発射口から射出される。レーザー光線は現状では出力不足が指摘され実戦兵装への応用が難航している兵器であるが、対ネズミレベルであれば十分可能な実験データが得られている。 狭い場所へ逃げ込んだネズミに対しては背中のファスナーが下ろされることで、小型決戦兵器(黒色塗装)が出撃する。火力などで本体ロボットには及ばないものの、ネズミの追い出しなど支援的な運用が期待される。 決戦兵器のカラーリングは白と黒のツートンカラーであり、倉庫内部での作業員の目につきやすいように設計されている。また、撃退したネズミは掃除用ロボに位置データが送信され処理される。 なお、パンダ型と言われるようなデザインとなった理由についてS×H氏は「軍事機密のため公表できません」と沈黙を守っている。 4.5.食糧倉庫の防衛 食糧倉庫は帝國全体の市民生活の基盤施設である上、軍事的な要所となるため、通常の警備に加えて軍による警戒も行われいる。 不信人物の侵入や襲撃の際には、倉庫各所のセンサー及びに対ネズミ決戦兵器、警備兵による早期発見と通報が期待される。対ネズミ決戦兵器は警告の後に威嚇攻撃までが許可されている。決戦兵器の対人防衛機能に関しては、摂政が視察時にこっそりワインを持ち出そうとして決戦兵器に追い回される、という珍事が起こっており、その性能が証明された。 倉庫からの通報の際には、通報レベルに応じて治安警察、軍隊が派遣される。軍隊の指揮権は治安警察のそれを優越し、通常の出動においても軍隊から人員が派遣されることになっている。 5.考察 5.1.王国内産業への影響 食糧倉庫の流通拠点としての活用は、王国国内の食の多様性に貢献する一方で、これまでほぼ100%を維持してきた食糧自給率を下げる結果となっている。また、現在は大きな問題となってはいないが、今後の農産業の発展の阻害になるのではないか?という疑問の声も上がっている。 この点は前向きに考え、今後の王国の食糧生産の発展に活かしていきたい。食糧自給率の低下は主として王国内での生産が困難な食品や、生産体制が十分に整っていない食品に限られている。こうした品目の生産は低い流通コストで他国の生産品に対抗できると考えられる。また、これまで馴染みの薄かった食品も国内での認知度が高まるため、自国生産を高める気運のきっかけともなる。もちろん、生産環境の保証のために、王国がこうした品目の生産者への補償を検討する必要もあるだろう。 5.2.中小食糧倉庫や流通環境の維持 大規模食糧倉庫の登場、流通システムの変化により、これまで王国で培われていた地域内流通体制が破壊されては意味がない。国内生産品が優勢を誇っている現状においては地域内流通は依然として活発である。流通コスト面などから市場原理が働いた結果であり、流通情報網の整備が混乱を防ぐことに一役買っているようである。 今後とも王国側も流通状況を把握することにより、国内の食糧自給状況、流通状況を把握し、必要とあれば食糧生産を保護する政策をとる必要性も考慮しておく必要があるだろう。 5.3.食糧生産と王国内産業の今後 産業に対する藩王たくまの姿勢を表す談話がある。戦場においてI=Dが隆盛を誇っている情勢からある臣下が工場建設を進言したところ、藩王はこう言い放ったという。 「工場が乱立すれば、土地は汚れ、水は淀む。農業でさえも陛下から下賜された土地を荒らしてしまうのだ。帝國全ての藩国が工場を建設すればどうなるだろう?帝國臣民が安心して食べられる食糧が無くなってしまうではないか。私は藩国を、そして帝國を滅ぼす訳にはいかないのだよ。」 談話の真偽のほどは定かではない。しかし、軍の工廠を除けば積極的に工場建設を行わない王国の施政を考慮すると、今後も王国内産業は農産業、畜産業が主となるのではないだろうか。 ~ビギナーズ王国農産部職員の報告書より~ 作:ピストンさん
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探検!ノポドラ王国とは 探検ノポドラ王国とは、キノポやマンドラからのクエストをこなすことで、加工アイテムを手に入れ、限定装備を手に入れるイベントです。 バトルブースト(BB)システム採用で、BBレベルが高いほど、HPや攻撃力などが上乗せされ、クリアしやすくなります。 コンテンツ追加 5/1~ 〇物語の終結となるクエストが追加 このクエストに出現するさいきょうゴブリンは、「最強ばりあ」を持っており、BBレベル30でないとすべてのダメージが0となってしまうため、デイリークエストなどでバトルブーストを30にして挑戦しましょう。 クエスト名 出現する敵 入手アイテム(マンドラからのクエスト受注時) ノポドラ王国を勝利に導け さいきょうゴブリン - 賢者の追憶(凶獣) 覚醒ギガントキマイラ覚醒ギガントクラーケン覚醒ギガントグリュプス覚醒ギガントゴーレム覚醒ギガントノヴァ覚醒ギガントロギ 各マンドラの心×3 賢者の追憶(女神) 王者イフリート最強シルフ様みんなのアイドルセイレーンさいきょうのタイたんいにしえの女神ゼクティスいにしえの女神ペルゼボネ 各キノポの涙×3 受注クエストと手に入れられる加工アイテム 受注場所 クエスト名 入手加工アイテム クエスト内容 推奨BBレベル マンドラの森属性:風 ☆緑のアイツ マンドラの葉×20 ジェル5体討伐 - ☆動く木のおばけ マボロシノネ×5 フォレストツリー2体討伐 - グルメは危険とともに マンドラの葉×2 イグアナドン16体討伐 森の精霊の姿 マボロシノネ×1 風の精霊(レアモン)1体討伐 - お宝さがし マンドラの葉×2 宝箱5個(うち2つバトルあり) - 対決!森のヌシ マンドラの心×1 森のヌシ1体討伐 10 マンドラの山属性:土 ☆ただいまコロコロ1時間まち マンドラの葉×20 マルマジロ5体討伐 - ☆山の生態系 マボロシノネ×5 パピー2体討伐 - イワトカゲでもご立腹 マンドラの葉×4 イワトカゲ24体討伐 山の精霊の姿 マボロシノネ×3 土の精霊(レアモン)1体討伐 - 化石からみる大陸の歴史 マンドラの葉×4 化石5個(うち2つバトルあり) - 対決!山のヌシ マンドラの心×1 山のヌシ1体討伐 10 マンドラ海岸属性:水 ☆健康はクラゲから マンドラの葉×20 アクアジェル5体討伐 - ☆マジパネェやつ マボロシノネ×5 アクアワーム2体討伐 - 守れ!海の幸 マンドラの葉×3 エッジフィッシュ20体討伐 海岸の精霊の姿 マボロシノネ×2 水の精霊(レアモン)1体討伐 - 美しき海の結晶 マンドラの葉×3 大きな結晶5個(うち2つバトルあり) - 対決!海岸のヌシ マンドラの心×1 海岸のヌシ1体討伐 10 キノポ草原属性:光 ☆大草原のフードスナイパー キノポの笠×20 バード5体討伐 - ☆母は強し レアノタケ×5 ケルピー2体討伐 - いたずらこぞうに鉄拳を キノポの笠×2 パペット16体討伐 草原の精霊の姿 レアノタケ×1 光の精霊(レアモン)1体討伐 - キレイな蝶には棘がある? キノポの笠×2 光る蝶5体(うち2つバトルあり) - 対決!草原のヌシ キノポの涙×1 草原のヌシ1体討伐 10 キノポのほこら属性:闇 ☆俺たちの縄張りだぜ! キノポの笠×20 ゴブリン5体討伐 - ☆ほこらの守護者 レアノタケ×5 ゴーレム2体討伐 - 石ころの逆襲 キノポの笠×4 ボーイ24体討伐 ほこらの精霊の姿 レアノタケ×3 闇の精霊(レアモン)3体討伐 - 「魔力結晶の重要性」 キノポの笠×4 魔力結晶5個(うち2つバトルあり) - 対決!ほこらのヌシ キノポの涙×1 ほこらのヌシ1体討伐 10 キノポの里属性:火 ☆逃げたわけじゃない キノポの笠×20 エレメント5体討伐 - ☆安眠妨害 レアノタケ×5 わんわん2体討伐 - STOP!墓荒らし キノポの笠×3 スケルトン20体討伐 里の精霊の姿 レアノタケ×2 火の精霊(レアモン)2体討伐 - 金持ちのコツ キノポの笠×3 光る宝箱5個(うち2つバトルあり) - 対決!里のヌシ キノポの涙×1 里のヌシ1体討伐 10
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猫 by 15-120 こなたはクラスで孤立していた。 その周りはハイエナだらけで、 いつ真ん中のガゼルを襲うか解らない。 何故、皆こなたのことを汚穢な存在と認識しているのだろう。 もっと早く気付いてやればよかった。 虐めの劈頭は、とても些細な事。 だが、それは時間と共に腫瘍のように広がり、 ようやく虐めだと気付いた時には既に四面楚歌となっている。 こなたの今までの元気はすっかり凋落し、 もうただの人形が座っているようにしか見えなかった。 つかさとみゆきがハイエナの群れから こちらへ歩み寄って来た。 「泉さん、今朝からずっとあの様子なんです」 「何で急にこんなことになったの?」 「今朝机にゴミとか入れられてたらしいよ。 でも、まあこなちゃんには ちょっと自重してもらいたかっから、ちょうどいいかも」 「つかさ!何てこと言うの?」 「だって、こなちゃんには ずっと体育とか成績の事で馬鹿にされて来たんだし」 「確かにそれはありますね。 では、今日は私達3人で昼食を召し上がる事にしましょう」 「…あんたたち最低ね…ちょっとどきなさい。 ほら、そこの塊もどいて!通れない!」 私は、ハイエナの中に入り、ガゼルを助け出す手段に出た。 ハイエナが一斉に私に注目するが、そんなことは関係ない。 「こなた。私とお弁当食べよう、ね?」 「かがみん…ありがとう…ひっく」 こなたは泣き崩れた。 私は、違うクラスだったので何をされていたのか解らないが、 どれほど辛い目に遭っていたかは、この容姿を見れば解る。 所々に黒板消しの跡が付いた制服、 蹴破られたスカート、 頬に出来た痣、 「オタク死ね」や「ゴミ」の文字で埋め尽くされた机。 これが全てを物語っていた。 私がこなたの手を握ると、こなたの手は震えていた。 「こなた…大丈夫だから」 私はこなたの手を引き、皆の視線を浴びながら教室を出た。 私とこなたは屋上に上り、そこで弁当を広げることにした。 こなたの弁当を見たとき、私は思わず声を上げた。 中身全てに、砂や泥がふりかけられてあったからだ。 恐らく運動場のものだろう。 「こ、こなた…!」 「あぁ…またか。まぁいいや。別にお腹空いてないし…」 こなたは、上を向いてため息をついた。 「こなた…。私のあげる」 「え…いいの?かがみん」 「いいから、食べて」 「かがみん…本当にありがとう」 こなたは私のお弁当を見ると、 微笑みながら食べてくれた。 「こなた。先生には相談したの?」 「ううん。してないよ。…しても手遅れだよ、きっと」 「そんなことないわよ! 今からでも職員室に報告しに行こうよ!」 こなたは、私が立ち上がろうとするのを 私の制服の袖を引っ張って止める。 「先生に報告したところで…解決なんかしないよ。 しかもそれが更に理由になって、 もっと陰湿な虐めが始まるかもしれない」 「こなた…どうしてこんな…」 私は、涙を流した。 「これは…仕方ないんだよ。 生まれ受けた運命なんだ。 私、顔も変だし… オタクで気持ち悪いし…KYだし…」 「そ、そんなこと…」 「いいよ。はっきり言ってくれても。 もう、ここまで来たらそういう悪口にもすっかり慣れた。 私、いつもそうやって虐められてきたしね」 「こなた…今までごめん… 何も気づいてあげられなかった私を許して…」 私はこなたに抱きついた。 「謝らなくてもいいよ。かがみんはいつでも友達だから」 そして昼休みが終わり、私はこなたと別れて教室に戻った。 大丈夫だろうか… 漸次不安だけが募る。 あのまま保健室に連れて行っても よかったんじゃないだろうか… そして、今日の授業が終わり、 恐る恐るこなたの教室へと向かう。 教室を覗くと、こなたは居なかった。 学校のあらゆる場所を探し、 最後に、恐らく誰も居ないであろう 裏庭を覗いてみると、 こなたは男子生徒に絡まれて 制服を脱がされようとしていた。 2人の男子がこなたを羽交い絞めにし、 もう2人の男子がこなたの制服を剥ぎ取ろうとしていた。 「やめて、やめてよぉおお!」 こなたは泣き叫んでいた。 その度に、こなたはもう一人の男子生徒に 頬を叩かれていた。 ここで私が出ないわけにはいかない。 こなたのためにも… 「ちょっと!あんたたち!何やってるの!?」 「んだぁ?」 「女はひっこんでろ」 「い…いいからこなたを離しなさいよ!」 「うるせぇな!」 一人の男子が私に殴りかかってきた。 私は、咄嗟に攻撃をかわした。 すると、こなたを羽交い絞めにしていた 二人が後ろから私に歩み寄り、 私を羽交い絞めにする。 こなたは、もう一人の男子に羽交い絞めにされていた。 「ちょっ…何するのよ!」 「あんたは少し眠ってろ」 さっき私に殴りかかった一人が、ゆっくり私に歩み寄る。 そして、私の鳩尾に拳を突っ込む。 「ぐふっ…!」 こなた… ごめん…私…ダメだった… バタッ 目が覚めたとき、私は家に居た。 「お、お姉ちゃん大丈夫?」 目の前にはつかさが居た。 「え…何で家にいるの?私」 「びっくりしたよ!裏庭で倒れてるんだもん。 私とゆきちゃんが運んだんだよ? 一体どうしたの?」 「そ、そうか…私は裏庭で… そうだ!こなたは!?」 「え…こなちゃん? 見つけたときには居なかったよ。 何かあったの?」 「え、ううん。なんでもない」 「そういえば、今日クラスで お姉ちゃんのことも騒がれてたよ?」 「え…?」 「私は、あまりこなちゃんと 一緒に居ないほうがいいと思うよ… お姉ちゃんまで虐められたくないでしょ?」 「…じゃあ、あんたはそうやって ただただ佇立してる傍観者になるわけ? いや、違ったわね。今朝言ってたものね。 自重してもらいたかったからちょうどいいって。 あんたも加害者よ!」 「…とにかく!お姉ちゃんはこなちゃんから離れて!いい?」 「うるさい!」 私は、勢いよく部屋の扉を閉めた。 同時に、ポケットに入っていた携帯電話が振動する。 携帯を開くと、「こなた」とディスプレイに表示されてあった。 「もしもし?」 「あ、かがみん…」 「どうしたの?…さっきの男子生徒に、何かされたの?」 「…ごめん、それは言えない…ザ…ザザ」 さっきから、雑音が酷い。 「こなた。あんたどこに居るの? さっきから風の音か何かがちょっとうるさいんだけど。 あんたもしかして外に居るの?」 「あぁ…うん」 「何で家に帰らないのよ。家の人心配してるんじゃないの?」 時計は既に8時を回っていた。 「かがみん、輪廻転生って知ってる?」 「な、何よ唐突に…」 「私、今度は何になろうかなって…あはは…」 「…こ…な…た?」 「まあいいや。それは後で決めても遅くはないよね。 かがみん、今までありがとう…」 「ちょ、ちょっと!こなた!?今あんた何処に居るの!?」 「……屋上」 その時、強い風が吹いたのか、 雑音しか聞こえなくなった。 「こなた!ダメ!早くそこから離れて! 待ってて!今から行くから!」 と、言ってる最中に電話は切れた。 私は、一目散に家を飛び出し、 学校へ我武者羅に走った。 こなた!死なないで!お願い!! そして学校に着き、私は急いで屋上に上がる。 足が攣りそうなくらい走り、 ようやく屋上へたどり着いた。 「こ、こなた!!」 私は叫んだ。 しかし、見渡す限りこなたは屋上に居なかった。 私は、恐る恐る屋上から下を見下ろす。 手は震えていた。 こなた…お願い。 しかし、私はそれを見つけてしまった。 地面に横たわる、鮮血を周りに飛び散らせ、 ピクリとも動かないこなたの姿が。 「こなたああああああああああああああああああああ!!」 私は泣き叫んだ。 声が枯れても泣き叫んだ。 翌日、こなたが自殺したことは、既に学校中に知れ渡っていた。 喜ぶ生徒は居なかったが、悲しむ生徒も居なかった。 流石に表立って喜ぶ生徒は居ないだろう。 その日から数日は、私にとって一番憂鬱な日々となった。 クラスの誰とも会話できなかった。 しかし、数日経つとクラスの人間も 徐々にこなたの話題を話さなくなった。 代わりに、今度は私の名前が囁かれ始めた。 こなたは本当に一番最適な決断を下したのだろうか。 やり切れない思いが込み上げる。 昼休みにゆたかちゃんに尋ねてみたところ、 こなたのお父さんはずっと家で頭を抱えているらしい。 暗い部屋で、明かりもつけずに。 ゆたかちゃんは、そんなお父さんを必死で慰めているらしい。 早く、元気になってくれればいいのだが… あれからの数日間、私たちは3人で帰っていた。 まだ、こなたが死んでから1週間も経っていない。 ある日、私たちがいつものように帰っていると、 「あ!猫だ!」 つかさが叫ぶ。 「そうですね。珍しいですね」 「…そうね」 「あれ…?でも、この猫可愛くないね」 「確かにそうですね…どことなく憎たらしそうです…」 私も、よくその猫を見てみると、猫という可愛らしさはなかった。 汚れているからだろうか… よく見ると、頭の上にアホ毛があった。 それに目の下に、ホクロのような傷もあった。 私は、その猫を抱いてみた。 「お、お姉ちゃん!何してるの! 何かその猫ばい菌付いてそうだよ!?」 「確かに、猫にいきなり触ると危険ですよ?」 しかし、その猫は私が抱き上げるとニャーと鳴き、 とても嬉しそうだった。 「お姉ちゃん!行くよ!」 「あー待って、今行く!」 私は、猫をそっと地面に置いてやった。 「じゃあね」 私が手を振ると、猫は軽やかに住宅街を駆け抜けて行った。 私は、帰り道を急いだ。 翌日、私が学校に来ると、上靴が無かった。 仕方がないので、スリッパを借りて教室に入る。 教室に入ると、嫌な視線が突き刺さる。 「…なあ、柊ぃ」 日下部が私を人気の無い廊下に呼ぶ。 「何よ」 「お前、あのちびっ子とずっと一緒に居たんだよな?」 「…だから何」 「いや…うーん…まぁ、ちょっと気をつけた方がいいと思うんだ」 「…そう。こなたの次は私?」 「…うん。皆今度は柊の事を敵視し出してるからさ」 「どうせあんたも協力するんでしょ?そっちに」 「え…わ、私は…あの…あやのと対策を練ろうかなと…」 「私はもう覚悟は決めてる。 私に協力したらあんたまで同じ目に遭うんじゃないの?」 「…まぁ、そりゃ…そうなんだけどさ」 「あんたが本気で私に協力したいって言うのなら別だけど、 本心は違うんでしょ?」 「…ぁぅ…ごめん柊!」 日下部は走り去っていった。 やっぱりね。 そうだろうと思った。 だけど、私もちょっと変だな… こなたが死んでからずっと… そして、授業が始まる。 「柊。教科書72ページの3行目から読んで」 「あ、はい。えーと、磁石を使ってコイルに電流を流すには、 コイルを磁場中に置くだけではだめで、磁石が動く必要があります」 「ごほん!」 隣の男子が咳払いをする。 「磁石を動かすと、コイルを横切る磁場が変化します。 磁場がコイルに電流を流すのではなく磁場の変化がコイルに…」 「ごほんごほん!!」 あちこちの男子が咳払いをする。 「電流を流します。この作用を電磁誘導といいま…」 「げほっごほんごほん!!」 「こら、そこの男子。静かにしろ」 恐らく、態とやっているのだろう。 もう、確実に矛先は私に向けられている。 別に、こなたのことは恨まない。 悪いのは、陰湿に攻撃を仕掛けてくるこのクラスメートだ。 しかし、こなたのように自殺するよりも、 もう少しいい方法があるはずだ。 そうだ。先生に相談してみよう。 ただ、今のままでは立証できる証拠物件がない。 仕方ない…少し、様子を見るか… 「おい、柊。調理パン買って来てくれよ」 とある男子生徒がやってきた。 「何で私がそんなことしないといけないのよ」 「とっとと買ってくればいいんだって、お前も虫だからな」 「そそ。お前は泉こなたと一緒だから」 横から仲間が来た。 「んじゃ俺コロッケな」 「俺はサンドイッチでいいや」 「な、何で私が…」 「早く行けよ!!」 「痛いっ!」 私は、教室から蹴り飛ばされた。 「コーヒー牛乳も買えよ」 教室の扉が勢いよく閉められた。 こなたも…同じ気分だったんだろうな… 助けてもらいたくても、誰も助けてもらえないという 孤独を。 私は、結局調理パンとコーヒー牛乳を買う羽目になった。 勿論、私のお金で。 流石に、男子には勝てない… 悔しくて、涙が出そうになった。 逃げてやろうかと思った。 しかし、それをすると次の日を思うだけで憂鬱になる。 もう、選択肢は残ってないんだ… その日の夜、私はつかさの部屋に呼ばれた。 「お姉ちゃん…その膝の痣、どうしたの?」 「あぁ…これは転んじゃってね…あはは」 「ううん、分かってるよ。お姉ちゃん。 虐められてるんでしょ?」 「そんなことないわよ」 「お姉ちゃん…先生に相談してみなよ」 「つかさ…」 「私は、お姉ちゃんの味方だからね」 「…ありがとう、つかさ」 次の日、私の机にはゴミが入っていた。 そして、本格的な虐めが始まった。 その日、私は無条件に殴られたり蹴られたり こなたのように下劣な存在として扱われた。 もう、生きている気がしなかった。 手段はなかった。 先生に相談しよう。 それが一番いい。 昼休み、私は職員室に勇気を出して入り、 担任の桜庭先生に全てを打ち明けることにした。 私の頬に出来た痣や、汚れた制服を見て、 桜庭先生は、すぐに対策を立ててくれた。 まず学年集会を開くこと、 そして、私が名前を挙げた生徒たちを 会議室に呼び出し、私を教室に置き、 詳しく質問をすると。 そして、私から得た情報を、 その生徒達に突きつけると。 その日の6限目、学年集会が開かれた。 桜庭先生が、皆に虐めが存在することを話した。 誰が受けているかは匿名だった。 先生は、今後虐めを続けるものは徹底的に叩き潰すなど、 激しい演説を行った。 先生は本気だったようだ。 その日の放課後、私は一人教室に残され、 今まで私に直接関わった生徒は予め名前を挙げておいたので、 その生徒は会議室へ呼ばれることとなった。 桜庭先生は、私の前へ座った。 机は移動させ、面接時状態となっている。 「さて…で、どうだ? 少しは落ち着いたか?」 「5、6限目は何もされませんでした」 「そうか…で、具体的にいつから始まったんだ?」 「…こな……泉さんが…死んでからです」 「そうか…確か、泉も虐めを受けていたらしいな。 自殺してから女子生徒が言いに来たよ。 もう少し早く言ってくれてればな…」 「泉さんは…元々先生に言うつもりは なかったそうです」 「反撃を恐れた訳だな…なるほど。 それなら停学処分という手もあったのだが… 何しろ証拠を見つけてないとな」 「証拠は十分にあったと思います。 先生は授業中にこなたの身体、見なかったんですか? あの痣、制服の黒板消しの跡、蹴破られたスカート、 文字だらけになった机」 「…いや、見てないというわけではないが」 「では、先生は… こなたを見殺しにしたということですか?」 「ちょっと待て!柊! 先生は気づいてなかったわけではない! だがな、生徒の誰も訴訟を起こさないと こちらの独断だけでは手が出せないんだよ! 今回の件は、お前が訴訟を起こしてくれたから、 こうやって先生も協力が出来たんだ」 「でも、先生…」 「では、何であの時にお前が訴訟を起こさなかったんだ。 お前が起こせばよかったんじゃないのか?」 「…確かにそうですね。 あの時は、こなたの言うことが通ると思って 訴訟を起こせなかったんですが… すみません。言い過ぎました」 「いやいや、謝ることはない。 私も言い過ぎた。 お前は仮にも被害者なんだからな。 さて、事情聴取といこうか」 私は、桜庭先生に今までやられてきたこと、 全てを打ち明けた。 先生は、結局は無力だったんだ… こなたの言うとおりだった。 先生は、一通り内容について訊ねると、 会議室に向かった。 その間、私一人の時間が続いた。 秒針が動く音だけが教室を響かせる。 そして桜庭先生が帰ってきて、 私に更に色々質問してきた。 それで、私は学校から帰された。 明日からは、普通の生活に戻ることを願う。 今日は、久々にゆっくりと夕食を堪能できた。 翌日、私に関わってきた中でも まだ誠実な男子生徒が謝りに来た。 「ごめんな、柊。もう泉みたいな扱いしないからさ」 「あぁ…うん。いいわよ」 「サンキュ、柊」 普通の生活がやっと戻ってきたんだ。 しかし、こなたに罪悪感が芽生えて仕方がない。 私だけこんないい思いをしていていいのだろうか。 私は放課後、この間こなたが あの男子生徒たちに絡まれた中庭に入った。 こなたは、ここで殺されたんだ。 こなたはここでもう死んでいたんだ。 私は、花束を中庭の端に置いて、少し黙祷した。 ずっと強がっていたけど、 やっぱり独りは淋しかった。 いくら傲慢な人間でも絶対に。 こなたは、その辛さをずっと味わって来ていたんだ。 不意に涙が出てきた。 私は、まだこなたの真の理解者でなかったんだ。 あの日の昼休みの後、 二人だけで学校を出ていても良かったんだ。 悔しさと後悔が募る。 でも、こなたが帰る事はない。 この先ずっと。 「ここに居たのか。柊」 私は、振り向いた。 そこには、以前こなたに絡んでいた 男子生徒たちが立っていた。 私と違うクラスの生徒たちだったので、 名前が分からなかったのだ。 「また一人で居るとは、相変わらず無防備な奴だな」 「な…」 一人が私の肩を両手で押さえつけた。 「いつもいつも先生に言って 全て済むと思ったら大間違いなんだよ」 「くっ…」 やはり、こなたの言うとおりだった。 先生に言っても、基本的にはただの保険のようなもの。 結局は、自分で何とかしないといけないのだ。 「さて、泉はイマイチだったからな。 今日はお前で愉しませてもらうよ」 「そうだな。こいつは泉と同類だから、 これくらいの事は許される訳だ。あはは…」 二人が後ろから私を羽交い締めにし、 更に前に居る一人が制服を脱がそうと、 ボタンを外していく。 「ちょっ…何すんのよ!」 「泉こなたと同じ目に遭ってもらう」 「黙ってれば悪いようにはしないって。ははは…」 「やめて、やめてよ…」 男子は私の制服のボタンを全て外し、 私の生身の身体が露になった。 「ついでだし、このブラも取っとくか。ひひ…」 「やめて、お願いだからやめてえええええええ!!」 ガリッ 「ぐわあああああっ!!」 私を支えていた男子生徒が 途端に悲鳴を上げて私から離れる。 更に、もう一人の男子生徒も 悲鳴を上げて私から離れる。 「どうした?」 私の前に居た男子が動きを止めて問いかける。 私が目線を下げると、そこには猫が居た。 それは、この前の放課後に逢った猫である。 「何だぁ?この汚え猫は」 すると、その猫は私の目の前の男子に 飛び掛かり、顔面を引っ掻いた。 「ぎゃあああああああ!!いててててて」 すると、顔を引っ掻かれた一人が バットを持って現れた。 「畜生、喰らいやがれ!」 猫はバット攻撃を颯爽とかわし、 更に反撃を加えた。 私は見ていることしか出来なかった。 男子生徒は更に悲鳴を上げながら 狂ったようにバットを振り回す。 そして、その男子生徒は私の方にバットを振り降ろして来た。 その時、猫が咄嗟に私の目の前にジャンプし、バット攻撃をもろに喰らった。 そのお陰で私は助かった。 その猫は、最後の力を振り絞り、その男子生徒の片目を裂いた。 男子生徒はまたもや悲鳴を上げた。 その男子生徒は目を押さえて倒れこみ、 悶絶しながら地面を這っていた。 猫は、再び他の男子生徒全員に飛びかかり、 全員の顔面に引っかき傷を負わせた。 男子生徒は、全員悲鳴を上げながら そのまま逃げて行った。 私は、男子生徒たちに毛を最後まで逆立てていた猫を見た。 その猫は、私の方へ頭から血を流しながらゆっくりと近付いてくる。 私の目からは涙が溢れていた。 私は、その猫を抱きしめて、 「ありがとう…」 と言った。 猫は、そのまま目を閉じた。 もう、鳴き声は聞こえなくなった。 その時、ある人の名前が脳裏をかすめた。 どこからこの名前が出て来たかは解らない。 でも、このアホ毛は多分、 この泣きボクロは多分、 私を守ってくれたのは、多分… いや、絶対に…そんな気がして… 「ありがとう…こなた」 私は、腕に眠るこなたを抱きしめ続けた。 (終)
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王国のグランシェフ 【おうこくのぐらんしぇふ】 ジャンル クッキングファンタジーRPG 対応機種 3DO interactive multiplayer 発売・開発元 サラ・インターナショナル 発売日 1996年3月1日 定価 6,380円 プレイ人数 1人 レーティング 3DO用審査 E(一般向) 判定 なし ポイント 飯テロ注意! 料理で旅するRPG心温まるシナリオと新鮮なシステムが魅力実際に使われるレシピを頭に叩き込んで料理に挑むひそかにスローライフRPGを開拓していた意欲作?RPGというよりADVに近いゲーム性練り込み不足で進行に詰まりやすいのが難点 概要 あらすじ 特徴 評価点 RPGの常識にとらわれない新鮮な体験 独自の魅力を押さえたシナリオ・世界観 食の魅力を押し出した作風 その他の評価点 問題点 RPGらしい戦略性が無い 調理シーンの仕様が粗い 街が広すぎる上に迷いやすい バグ・設定ミスが多い その他の問題点 総評 余談 概要 3DO末期に発売された、知る人ぞ知るRPG。 一流の料理人を目指す主人公が各地で料理をしながら冒険するという、あまり類例の無いテーマを扱った全年齢向けタイトルである。 発売・開発は、総合商社・日商岩井の子会社にあたるサラ・インターナショナル。企業参入数の多さに重きを置いた3DOらしい、ゲーム畑でない会社による参入作品であった。 当時はテレビ番組『料理の鉄人』ブームのさなかであり、今作もそのヒットに乗じる形で発売された。 監修には同番組の解説役としても知られる料理研究家・服部幸應氏を迎えている。 ちなみに氏はゲーム内で料理の守護神・ハットリとしてカメオ出演を果たしている。 あらすじ 時間と空間をこえたその昔、とあるところに飢えに苦しむ人々がいた。人々は『デプリバ』という薬で苦しみから逃れようとした。だが、このデプリバという薬、料理のおいしさを忘れさせ、料理をする気持さえ無くしてしまう、おそろしい薬だった。そんな中、このグルマン王国を支配しようと企てる者があらわれる。しかし、この悪巧みに闘いを挑んだのがおいしさを愛する『ロップ』族。やがて、この長い料理大戦争はロップ族の勝利で幕を閉じ、ロップ族はこのいまわしいデプリバを封印したのだった…。その後、グルマン国王のもと、『グルマン王国』はおいしい料理にあふれ長く平和な日々が続いたのであった。 時はながれある日、王国最高の位『グランシェフ』につきながらも、本当は料理のおいしさを憎んでいたジプシャの領主『エヴァ』。ついにデプリバの封印を解いてしまった。エヴァも再びデプリバで王国をわがものにしようとしたのであった。 その時、現れたのがこの世でたった一人のロップ族の末裔『ファル』。チラベルト伯爵から「グルマン王国を救えるのはお前だけだ」と告げられる。ファルは王国を救うため、そして新たな『グラン・シェフ』を目指してつらい料理の修行へと旅立つのであった…。 さあ、旅立て、『グルマン王国』が君を待っている! (取扱説明書より引用) このあらすじは、プレイ開始前に読んでおく事が推奨される。 オープニングはこれを既に見ている前提で駆け足気味に進むため、先に見ておくかとうかでストーリーへの没入感が変わってくる。 特徴 ゲームジャンルについて 今作は、新ジャンル「クッキングファンタジーRPG」と銘打たれて発売された。 RPGを謳っているが、実際は「スローライフRPGに近い要素が盛り込まれた探索型アドベンチャーゲーム」と言った方が近い。 グラフィックにはフルCGを採用。 3D空間を自由に動き回って冒険を進めていく。 当時はまだ珍しかったフルボイスを採用。 ゲーム内のセリフは全て、プロの声優が読み上げる。 読み上げはAボタンでスキップ、Cボタンでリピートが可能。後者はセリフを間違えて飛ばした際に有用である。 参加声優はとにかく豪華。(以下、人数が多いため敬称略) 主演の折笠愛や矢島晶子を筆頭に、山口勝平、緒方賢一など、誰もが一度は聞いたことがあるようなアニメ声優陣をことごとく揃えている。 肝付健太とたてかべ和也がコンビで登場するという、狙ったとしか思えない配役も(後述のスタッフロールを見る限り、特別出演に近い扱いらしい)。 後述するように、力の入ったキャスティングはゲーム内のある場面を盛り上げる一因にもなっている。 ゲームの進行 物語の舞台は、忘却のかなたに消えゆく料理の国・グルマン王国。英雄の血を引くファルは王国を救うべく、最高料理人「グラン・シェフ」を目指して旅に出る。 ファルは各地の人物からシェフの位を授かるべく冒険するが、その旅路で悩める人に料理を振る舞い、料理人として成長していく。 冒険のさなか、至るところで「指定された料理を調理するよう頼まれる」というイベントが入り、これをクリアするごとに物語が進行する。 今作のシナリオは戦闘よりも、この料理イベントのクリアに重きが置かれている。 ステージをクリアするごとに、ファルに与えられたシェフのランクは一つずつアップしていく(アプランティ→コミ→シェフ・ド・パルティエ→スー・シェフ→グラン・シェフの順)。 この階級は実際のフランス料理のシェフのそれと全く同じもの。 説明書には現実の各役職の詳細が書かれており、雰囲気作りに一役買っている。 なおゲーム内ではポケモンのジムバッジを授かる感覚でぽんぽん出世する。あくまで現実の位とは設定が異なる点に注意。 世界設定は一般的な中世ファンタジーを彷彿とさせるが、一見するとバカゲーっぽい一面も。 上記の通り、主人公はシェフを目指すという設定なのだが、作る料理はオールジャンル。のっけからほうれん草の胡麻和えに始まり、和風も中華も何でもあり。 この胡麻和えは一見すると簡単そうな料理だが、システムに慣れるまでは割と苦戦しがち。料理修行の道は厳しいのである。 料理 それぞれの街で7回ほど発生する、ミニゲーム形式のイベント。 街で出会った住人のために指定された料理を作り、制限時間内に完成させればクリアとなる。 料理の前にはまず、「レシピの入手」と「材料集め」を済ませる必要がある。 頼まれた料理の作り方は、必ずその場で伝えられるわけではない。場合によっては特定の場所を訪問し、レシピを入手しなければならない。 レシピとは別に、料理に必要な材料・調味料・道具を別途購入する必要がある。 材料は消耗品だが、一度購入した調味料・道具はそれ以降ずっと使用可能である。 こうして必要な物を揃えて特定のキャラクターに話しかけると、料理が始まる。 料理のルール このミニゲームでは、プレイヤーが約10個のコマンドを次々と選択して、調理を進めていく。 形式としては、往年のコマンド選択式アドベンチャーに近い。 プレイヤーの目的は、入手したレシピの手順に沿ってコマンドを次々入力し、料理を完成させること。制限時間内にレシピの全手順を終わらせれば、料理は完成となる。 選択できるコマンドは「各材料」「調味料(*1)」「道具」「鍋」「コンロ」「水道」「アクション」。 「アクション」は使用タイミングに応じて「鍋をかきまぜる」「材料をひっくり返す」などの動きを自動で判断し、実行してくれる。 コマンド入力後の細かい操作は、ファルが大まかに判断して行動してくれる。 例えば包丁を使う手順の場合、「道具」コマンドを選択すればファルが自動で包丁を持ってくれる。使うべき道具を指示する必要は無い。 ただし材料・調味料に限り、どれを使うか具体的に選択する必要がある。調味料は分量も決める必要がある。 レシピは料理中いつでも確認可能だが、見てしまうと最終結果が減点されるため、できるだけ作り方を暗記しておくのが必須である。 画面左上では、ファルを冒険に送り出した老人・チラベルト伯爵が料理の様子を見守っている。間違った手順を選ぶと伯爵から「ちがうぞ」とダメ出しを食らい、操作は取り消される。 このため、間違った手順のまま調理を進めてしまう事はない。 数回間違えるごとにペナルティと扱われ、画面上部のゲージが減少する。 ペナルティが一定回数を超えるか、制限時間を過ぎてしまうと、調理失敗となる。料理はその場で中断され、消費した材料は戻らない。 料理の再チャレンジは何度でも可能だが、そのたびに材料を集め直すか、補助アイテム「オタスケの鈴」を消費しなくてはならない。 料理後のリザルト レシピを見なかったかどうか、どれだけミスが少なかったかどうかに応じて採点が行われ、評価に応じて賞金がもらえる。 お金の単位は「ルカ」。各料理を作るのに必要な資金はおよそ2000ルカとなる。 上手く作れないと500ルカしかもらえないが、上手く作れば2000ルカや5000ルカ、満点になると10000ルカをもらえる。 賞金2000ルカは初見でギリギリ行けるか行けないかレベルの難易度。このラインに頑張って到達できるかが、攻略のポイントとなる。 戦闘 シンボルエンカウント制。敵キャラに接触することで戦闘が始まる。 戦闘システムは『ポケモン』に近いシンプルな内容。毎回ファルと敵との一対一で行われ、それぞれが交互に行動して進行する。 戦闘のコマンドは「ATTACK」「SUMMON」「ESCAPE」のみ。 SUMMONを選択すると、それまで出会った仲間の一人をMP消費で召喚し、それぞれの能力を発揮させる。 HPを回復させる者、バフ効果を与える者など、発揮される効果は多彩。 ESCAPEを選択すると、一定確率で敵から逃げられる。 敵味方ともに、攻撃をたまに外す事がある。 命中率は互いのレベル差で決まる模様。 勝利できれば経験値と賞金がもらえる。 後述するように今作で唯一と言ってよい金策の手段なので、お金が足りない場合は積極的に戦闘を仕掛けることになる。 実用ソフトとしても使用可能 ゲーム序盤をクリアするとレシピブックというアイテムが手に入り、タイトル画面経由で料理のレシピをいつでも確認できるようになる。 閲覧できるのはゲーム内で作ったことのある料理と、このモードでのみ見られるレシピ11種類。 各レシピは実際の料理に使用できる。 評価点 RPGの常識にとらわれない新鮮な体験 雰囲気こそ既存の中世ファンタジーRPGをなぞってはいるものの、ゲーム性は『ドラクエ』『FF』等とは全くの別物。 各地の悩める人々に美味しい料理を振る舞い、新たな物語を切り開いていくストーリーは、他のゲームではなかなか見られない。 RPGと銘打ってはいるが、強制戦闘のボス戦はごく一握りしかなく、戦闘やレベル上げは材料の資金を集める手段でしか無い。 あくまでファルの目標は、皆に「おいしい」という気持ちを思い出してもらう事である。 料理を主軸にしたストーリーの魅力 ゲームの要所要所で立ち塞がる課題は、様々な住民にふるまう料理の完成。ファルは武力ではなく食の喜びで和解を図り、敵と味方の垣根を超えた人情味溢れる物語が展開される。 流石に各地のボスとは戦闘を繰り広げる必要もあるのだが、それはあくまで旅の過程の一つに過ぎない。主人公のファルは美味しい料理を振る舞って和解する事からアプローチを試み、最後は食を通じて心を通わせることになる。 戦いの要素は控えめに、人との繋がりに重きが置かれたRPGというのは先見性があり、今遊んでも斬新な楽しさが詰まっている。 翌年の『moon』『マリーのアトリエ』といったアンチRPG、同年の『牧場物語』や5年後の『どうぶつの森』といったスローライフゲームなど、90年代後半頃からはRPGから戦闘要素を薄めた新しいゲームが送り出されていったが、今作はこれらの作品よりも先に作られていた。 今作の魅力は育成や戦闘よりも、料理の成功体験に重きが置かれている。 プレイヤーの記憶力・推理力・料理センスを試すシステムは独自性が強く、普段のゲームでは見られない試行錯誤を要する。 料理シーンは単純ながらもシステムに工夫がなされており、プレイヤーの頑張りに応じて報酬が大きくなる。始めたばかりの段階であれば、程よいゲームバランスに仕上がっているのが特徴。 調理手順はゲーム内のレシピが元となるが、プレイヤーはその内容をある程度暗記する必要がある。 作るイメージを頭に叩き込むので、遊んでいるだけで自然と食欲を刺激してくれるのが今作のミソ。プレイヤーの記憶力と料理知識が試される展開は、独特の楽しさが詰まっている。 暗記と聞くと勉強のような敷居の高さを感じるかもしれないが、実際に遊んでみると現実の調理手順をなぞる事になり、作業チックになるわけではない。「完成までに何をすれば良いか」を考えると意外にすんなりと進められる。 それでも手順が思い出せない時、料理中にレシピを確認できるので、どうしても進めなくなるような事態は避けられている。 ただしレシピを見ると最後の報酬が減ってしまうので、好き放題カンニングできるわけではない。救済措置としてのバランスは最低限考えられている。 また料理シーンにはタイトな制限時間が設定されており、見ながら調理しようものならあっさりタイムオーバーになってしまう。あらかじめレシピを暗記しておくことで時間に余裕を持たせることができるため、こういう点でも暗記のメリットは大きい。 レシピの虫食い穴は料理クイズの様相を示していて、ゲーム性にメリハリを与えている。 この穴に対して空いている手順を推理する楽しみがあり、単調な暗記ゲーになるのが避けられている。 行うべき手順は料理の内容や使われていない材料から十分推測可能。さながらクロスワードパズルのようで、敢えて確認せずに上手く作れると爽快である。 料理の知識やセンスがある人、ゲーム内の料理を作った経験がある人ならば、殆ど穴を埋めずに解けるかもしれない。 この穴は街の住人に話しかければ埋めることが可能なので、無理して解く必要も無い。任意にバランス調整できるやりこみ要素として機能している。 ただし穴埋めのために聞き込み作業をするかどうかは任意で、プレイヤーが面倒に感じたら無理に歩き回る必要は無い。 ステージによってはヒントを聞ける相手が見つかりづらいため、敢えて無視してしまうのも手である。 独自の魅力を押さえたシナリオ・世界観 ぶっ飛んだゲームに見えて、シナリオや世界観の作り込みはなかなか丁寧。 NPCの会話を一つ一つ調べると、街や人物の意外な一面が掘り下げられたりもする。 それこそゲーム好きの子供から、日々料理に携わる大人まで、幅広いユーザーが楽しめるよう工夫されている。 共感しやすいテーマ 物語で一貫して描かれるテーマは「食の楽しさ」。劇中ではデプリバの副作用に侵された人物が次々と現れ、「何故食べる必要があるのかわからなくなった」「食べる楽しさを忘れてしまった」といった悩みが描かれる。 これらの悩みはテレビの前のプレイヤーもちょっとしたきっかけで抱きかねない、ふと考えさせられる素朴な悩みとなっている。 そんな悩める人達に向け、美味しい料理を振舞って打開に奮闘するファルの姿は、悩みの普遍さも相まって思わず応援したくなる一面がある。 テキストの質も悪くなく、キャラクターは皆生き生きとしている。 優しいながらも要所要所で芯の強さを見せる主人公ファルを始め、登場人物の性格はそれなりに細かく描写されており、親しみを抱きやすい。 惜しみなく有名声優を起用したお陰で、各キャラクターの言動には感情がこもっており、没入感を強めてくれる。 勧善懲悪に終わらない、多彩な価値観の描写も今作の魅力。 ゲーム序盤では、エヴァ配下の強面の兵隊が様々な因縁をつけてファルに襲ってくる。一見するといかにも悪役然としているのだが、物語を進めていくと親しみやすくて善良な一面が見えていく。 彼らも普通の住人と同じように食の悩みを抱えており、利害関係の垣根を超えた人情味あふれる物語が展開される。 子供と共に敵地に忍び込むと「こんなところに子供を連れてくるんじゃない!」という言葉を浴びせるなど、根っからの悪人では無い一面をのぞかせるシーンも。 これは物語の序盤に過ぎないが、ゲームを進めるにつれて、他にも多様な価値観のぶつかり合いが描かれていく。 例えば一見して悪にしか見えないデプリバの普及も「誰も食に文句を言わなくなる」「料理する時間がいらなくなる」など歪んだ正義として一部住民に受け入れられており、ふと考えさせられる側面も多い。 「デプリバ」を軸にした世界設定も、単なる全年齢向けソフトにはとどまらない練りこみっぷり。大人が遊んでも意外な面白さを見出せる。 敵の首領・エヴァはデプリバ普及のために各地で暗躍しているのだが、その作戦は妙に本格的。 街で一番偉い聖職者を抱き込んで住民を洗脳したり、ヤクザを使役させてデプリバを使わない料理店に圧力をかけたりするなど、童話的な世界観にそぐわないガチっぷりを見せてくる。 この他にも「部下が裏切った時のため、警備を放棄したら通知されるよう仕向ける」「反乱を察知してファルの偽物を送り込む」など、何から何まで先手を打ってくる策士っぷりで、立ち向かいがいのある敵キャラに仕上がっている。 親しみやすくも入念に考えられた世界観は、どことなく藤子・F・不二雄の児童漫画を彷彿とさせる。 そんな洗脳・圧力を巡って描かれるNPCの言動も多種多様。 デプリバは盲信する敬虔な信者がいると思えば、デプリバを拒否したばかりに営業停止されて葛藤する料理人、逆に反デプリバの意思を示すなり菜切包丁で襲いかかってくる狂信者などがおり、人物描写はバラエティ豊か。 その中でも、最後に訪れる街・ジプシャはとりわけ印象的である。 + 軽いネタバレ注意 この街の住民は栄養剤しか食べない歪な文化が広まっており、どことなく不気味な空気が漂っている。 「料理は時間がかかるだけ」「栄養さえ取れれば良い」という、文明社会の悪い部分を凝縮した街になっており、NPCに一人一人会話を聞くと様々な闇が垣間見える。元気がなさそうな声で「自分は幸せだ」と言う男がいたり、物を噛まなくなったせいで歯が弱くなった子供が出てきたり…… これまでの街とは違い、食材を置く店は1件しか無い。それ以外の建物は全て栄養剤を自動で販売するのみ。どこに入っても中々食べ物が手に入らないのは、えも言えぬ無機質さがある。 この思想が激化した末、絶食を奨励するようになった過激なカルト団体の建物まである始末(物語の本筋には関わらない)。 それまでの街とは打って変わって、機械文明が広がっているのも特徴の一つ。終盤にはアンドロイドが敵として登場するが、それまでの世界観と異なる生命感の無いデザインはちょっと不気味。 前後ではストーリー展開も大きく動き、印象に残りやすい。 こうした不気味な街の様子は、ラスボスが悪の道に堕ちた動機へとすんなり繋がるようになっている。 それまで散々主人公の道を阻んできた黒幕だが、この街を見た後では少し同情できてしまうかもしれない…… この最後の街をはじめ、時折ブラックな描写を覗かせるファミリー作品が好きな人ならば、今作は刺さる要素が中々多い。 やたら酒に溺れている大人が出てきたり、追加料金をせびってくるバーのお姉さんから情報を聞き出したりと、大人が突っ込みたくなるようなシュールさも今作の特徴である。 食の魅力を押し出した作風 今作のレシピは専門家監修のもと、全てが実際の料理で使用可能となっている。 一見すると些細な長所に見えるかもしれないが、今作では攻略にあたってレシピの一挙一動を頭の中に叩き込むため、現実の料理を想起することになり、独特な没入感がある。 例えば「にぎりめし」という単純明解なメニューであっても、美味しく作るための米の研ぎ方が詳細に定められており、「握る前に塩を手に塗っておく」といった工夫も事細かに言及されている。 普通にゲームを攻略しているだけで厨房の細かな情景が思い浮かび、遊ぶだけでお腹が空いてくるその作り込みは、料理題材のゲームとして間違いなく大きな評価点である。 料理を巡る描写の数々も見所の一つ。 調理後のリザルト画面やその後のストーリーにおいて、料理を出された相手は美味しそうに感想を述べてくれる。いわゆる食レポの様相を示しており、傍から見ているプレイヤーまで食欲をそそられる困ったシーンとなっている。 + 劇中の感想の一例。夜中に見ない方が良いかも 「なんだ?そ、そうか!これが『美味い』ってことなのか!まさかあんたの作ったサバのホイル焼きで『おいしさ』を取り戻したのか?」 「お味はいかがでしたか?」 「美味かったよぉ。サバに脂が乗ってて最高だったよ。なんだか知らんが、取りつかれたようにコイツを食いたかったんだ。『おいしさに飢えていた』…とでも言うのか?」 人気声優・ベテラン声優を一通り揃えているだけあり、登場人物の食事シーンには感情が強くこもっている。上記のテキストも、読むだけでなく実際に聞く方が食欲をそそるかもしれない。 プレイヤーは主人公ファルと共に美味しい料理を作り、お客さんに振舞っていくが、その際に「美味しさ」を思い出して大喜びする人々、一緒になって無邪気に喜ぶファルの姿は、平和で微笑ましいところがある。 中世ファンタジーの世界で「にぎりめし」「あさりの味噌汁」が出てくるのはバカゲーっぽくも見えてしまうが、誰もが食べたことのある日本のソウルフードは親しみを感じやすく、登場人物へ感情移入しやすくなっている。 このリザルト画面では、完成した料理の実写映像(静止画)がアップで表示される。美味しそうに撮影されているので必見である。 今作発売時にはすっかり優位性が薄れていたが、3DO本来のアピールポイントであった映像美が遺憾無く発揮されている。 実用ソフトとしても優秀。 攻略のためには詳細な工夫を含めた手順をしっかり記憶する必要があるため、ゲームを楽しみながら自然に料理を覚える事ができる。 自炊の機会が多いプレイヤーならば、作中のレシピを実際に試したくなること請け合い。 入手したレシピはタイトル画面からいつでも確認できるので、実際にメモして活用しても良い。 元々3DOは実用ソフトの分野にも手を広げていたハードだが、今作はその原点に立ち返りつつゲーム性も担保されている。 没入感や映像美といい、ハード末期にしてそのテーマを追求した作品と言えるかもしれない。 今でこそ実用的なレシピ収録ソフトは他にもあるが(『しゃべる!DSお料理ナビ』など)、攻略のために四苦八苦した料理を自分の手で作れる魅力は、他のゲームで決して味わえない。 何か自炊をするきっかけが欲しい人にも、このゲームはおすすめできる。 実際の調理の上で参考になる描写も多い。 先述したおにぎりの作り方もその一つだが、他には「ゆで卵を茹でる際に酢を入れる」といった工夫(*2)も細かく説明されている。一見レシピが不要そうな料理でも、そういう見落としがちなテクニックを色々と知る事ができる。 ゲーム後半では、ある意外な道具を使って「漬け物」を作るエピソードも。 料理に詳しい人なら常識かもしれない(*3)が、このゲームで初めて知って驚いたプレイヤーもいるかもしれない。 その他の評価点 こう見えてボリュームが多い。 実用ソフトと聞くとこぢんまりした印象を抱きがちだが、実際のクリアまでに想定されるプレイ時間は30時間前後と結構多め。 料理をどれだけ上手く成功させるか、後述のマッピングを使用するかどうかにも左右されるが、一本のゲームソフトとしてはボリュームたっぷり遊ぶことができる。 問題点 RPGらしい戦略性が無い 何度か書いてきたように、今作の方向性はRPGよりもADVに近い。 今作の進行はプレイヤーの単純な暗記力に重きが置かれており、ゲームならではの駆け引きや自由度を求めるには不向きな仕上がりとなっている。 攻略手順はあるステージを除き一本道で、ストーリー進行の自由度はない。 レシピは一度に一つしか持つ事が出来ず、好きな料理から作っていくことは基本的にできない。 ゲーム性はほぼ「おつかいゲー」で、進行に関わる場所を次々と訪れる単純な構成となっている。 1本道で進むADVと捉えればさほど問題は無く、どこを訪問して物語が進行するか推理する楽しさはあるものの、そうしたゲームに面白さを見出せないプレイヤーにはおすすめできない。 材料や道具の調達に金策を求められる要素はあるものの、その手段は「雑魚敵を狩る」「余った材料を売る」といったものだけ。 後者は購入時の費用で赤字にしかならないため、ほぼ前者一択である。 手持ち無沙汰な調味料や道具を売る事は不可能。一度手に入れたら捨てることはできず、質屋のように一時的な資金を確保する事は出来ない。 お金が無いときはひたすら戦闘を繰り返すことになるため、コツコツと資源や素材を回収するのが苦手なプレイヤーには向かないゲーム展開となる。 引き合いに出したスローライフRPGではおおむね多彩な金策が用意されているが、この点においては自由度の面で劣っている。 2面の途中までは回復アイテムの調達でお金の管理がものを言うのだが、そのゲーム性もゴブリンという仲間が加入してから崩壊してしまう。 ゴブリンの能力を簡単に言うと、MPを6消費して20近いMPを回復させられるというもの。ケアレスミスをしない限り、決してMPが尽きなくなってしまう。 しかもHPはMP消費で回復できるため、ゴブリンに頼れば回復用のアイテムが一切いらなくなり、戦闘バランスが崩壊する。 今作は金策が限られている都合、ゴブリンがいないと詰む可能性もあるのだが、いくらなんでもやりすぎなのが否めない。 さらなるバランス崩壊の要因に、賞金のインフレも挙げられる。 このゲームでは全部で36種の料理を作る事になるが、満点を取った際にもらえる賞金は料理5つ分の材料を買えるほどの大金で、慣れてくるとそれなりに取れてしまう。 このため一度満点を取ると金策の機会がめっきり減り、さらに戦略性が失われてしまう。 2周目にもなると大抵の調理手順をなんとなく把握したうえて遊べるため、余裕でお金が余ってしまう。 調理シーンの仕様が粗い 正解となる選択肢の設定が雑で、トライアンドエラー必須の死にゲーとなっている。 レシピからは明らかに推理できない手順が高頻度で含まれており、正しい行動を取ったつもりでも「ちがうぞ」と切り捨てられることが多い。 それなりの高得点を取るだけならプレイヤーの努力がダイレクトに反映されるので、普通に遊ぶだけならかろうじてバランスは保たれている。しかし満点を取ろうとすると理不尽ゲーへと早変わりする。 ある程度プレイして、このゲーム特有の"不文律"を覚えていく必要がある。 + 詳細 食材や調味料を同時に投入する場合、レシピでの指定が特に無くても、決められた順番通りに入れなければ怒られてしまう。 現実にも「調味料は"さしすせそ"の順に入れる」などの決まりごとはあるが、今作ではそうしたルールと無関係に順番が決まっていて、レシピから推測する事が出来ない。 それどころか、レシピに書いてある順番で入れたら怒られる事もしばしば。 調理道具関連もややこしい。 今作では「鍋」「道具」のカテゴリが別々に用意されているが、何故かフライパンは前者で、鉄板は後者。鉄板を取ろうとして「ちがうぞ」される事故が発生する。 お好み焼きを作る際に面食らったプレイヤーは多いと思われる。 何か物を切る場合、食材を出す前に包丁を持たなければ減点される。 おそらく初めのうちは頻繁にやらかすであろうミス。 かと思うと「おろし金で山芋を摩り下ろす」という手順では、なぜか道具ではなく山芋を選択しないといけない。 ちなみにこれもお好み焼き調理時の手順のひとつ。二重にプレイヤーを苦しめてくる難関地点として立ちふさがる。 鬼門の一つが菜箸。「○○をかきまぜる」などの手順で必要になるが、レシピでは大抵省略されているので、使うタイミングを自力で推測しなければならない。 手でかき混ぜられそうな料理も道具を求められたりと、判別が難しい。 レシピに菜箸が書かれていないのに、実際の調理で使わされる理不尽なパターンも…… コンロも中々の鬼門で、使い終わったらいちいち火を止めないと先に進めない。「火の用心」という事なのだろうか…… しかもこの工程はレシピには書かれておらず、慣れるまでは頻繁に見落としがち。 これが原因で、初料理の「ほうれん草の胡麻和え」では、地味ながらも最難関ポイントとして立ち塞がる。 火を消す手順は、例え料理のラストであっても必要とされる(一部を除く)。 全ての手順が終わって安堵する中、何故か採点に移らずパニックになり、無関係な操作から大量減点されてしまう事も…… こうした重要な仕様の多くは説明書必読な上、書かれている場所が散逸している。ゲーム内では一切説明が無く、少々わかりづらい。 重要な仕様というのは、「レシピを読むと減点」「薄く色を塗られた手順はカットされる」「コンロを消さないと先に進めない」「調味料は順番通りに入れないと進めない」など。 今作の説明書では、一番最初に作る「ほうれん草の胡麻和え」の具体的な解答が書かれており、自力で遊びたい人は思わず読み飛ばすページとなっている。 しかし実際は上記に挙げた仕様のいくつかがここに書かれており、見落とすと理不尽に減点される罠がある。 この解答ページは仕様の不明点を埋める要素となっており、一度読んでおいた方が良い。 これから中古で遊ぶプレイヤーは、説明書付きのソフトを購入する事が推奨される。 スタッフが設定を間違えたのか、一部のレシピでは書いてある通りに調理を行うと減点扱いになる。 分量の設定ミスがあらゆる料理に点在し、スキップ可能とされている手順をやらされる事もある。 誤植とは少し異なるが、「唐揚げの油を強火で温め続ける」という不自然な操作を要求されるシーンも(一般的には中火を使う事が多い)(*4)。調理経験者は要注意。 ただし「最初は強火で外側を温め、すぐ中火に落とす」という唐揚げの調理法は存在しており、全くの間違いというわけでは無い。このゲームでは中火に落とす手順が省略されているとも解釈できる。 街が広すぎる上に迷いやすい 今作では街中の建物に看板が無く、入ってみるまで何の施設か全く判別できない。 ゲームを中断するのに必要なセーブポイントすら、見つけるのもままならない。 それでいて大きめの街には建物が40近くあり、全ての施設を一通り見るだけで30分から1時間はかかる。 普通のRPGなら多くても十数件程度なのに、この量は尋常ではない。 必須では無いものの、マッピングしておかないと攻略が面倒になる前時代的なシステムに陥っている。 処理落ちの酷さと場面転換のロード時間がテンポを悪化させるため、うろ覚えで各施設を探し回るプレイングは苦行を強いられる。 幸いマップ機能も搭載されているが、判別できるのは料理開始に必要なアイテムがある店だけで、攻略上寄るべき他の建物は判別できない。しかも表示が色々と間違っている。 マップでは店の場所がオレンジ色で塗られているのだが、ゲーム内はおろか説明書にもその説明が無い。その上に不備があるせいで意味を理解し辛く、街中の建物にあてもなく立ち寄って時間を浪費する原因になる。 具体的には、ロップ村(1面)とロマニアン(2面)では、料理と関係ない建物が店として扱われており、殆どの街ではマップに印の無い店がある。 実は印の付いていない店は他所で買えるものしか売っておらず、立ち寄らなくても攻略には関係ない。しかし一切の説明無しでそれを理解しろというのは無理がある。 特に4つ目の街・シノワはマッピングしないと面倒な事になる。 一部の建物は入っただけで即座に戦闘が発生してしまう。 記憶を頼りにあてもなく様々な建物に入ろうものなら、酷く時間を浪費する羽目に。 後述の通り、街中に点在する鍵付きの建物を覚えていないと、痛い目を見る。 バグ・設定ミスが多い 今作で特に問題視されている要素。 まともにデバッグする時間が無かったのか、普通に遊ぶだけで気付くようなバグが平然と放置されている(ここまで挙げてきたレシピ・マップのミスもその一端)。 中には進行困難に陥る物もあり、見過ごせない難点となっている。 まず一番悪質で厄介なのが料理可能フラグ入れ替わりバグ。 一部の料理は、調理イベント開始に必要な調味料・道具のフラグが別の物と入れ替わっている。レシピ画面で未入手扱いなっている物を買っても揃えた扱いにならず、ゲームを進められなくなってしまう。 それでいてバグ再現率はおそらく100%。 対処法は、その場で調味料を手当たり次第に買い揃えること。近くに売っている物が代わりのアイテムに設定されているため、適当に買い占めればバグを突破できる。 そのせいでスタッフが見落としてしまったのだろうか…… 回避方法を知ってしまえば問題無いのだが、初見では突破方法に気付き辛く、最悪の場合はそこで攻略を諦める羽目になる。 進行不能バグに近い悪質さなので、これからプレイする際は要注意である。 牛乳の値段設定が明らかに間違っており、凄まじい暴騰を起こしている。 現実の牛乳は1000ccのパックを手頃な値段で求められるが、このゲームでは10ccあたりの値段が野菜と同じになっており、プリンを7つを作るために普通の料理の5倍の費用がかかってしまう。この世界の乳牛は絶滅寸前に追い込まれているのだろうか…… 普通の料理の5倍の値段というと、頑張って満点調理に成功した際の賞金が丸ごとふっとんでしまうほど。 ゲーム内では10cc単位で購入できる調味料が多い為、このようなミスが生じたと思われる。 この資金を調達するにはいずれかの料理で満点を取っておかないとキツく、ぼったくりにも程がある。 幸い、この少し前に作る「ゆで卵」が初見満点クリアも余裕なのが救いだろうか。 2面・ロマニアンで特定の場所に立つと、会話内容のバグった強制戦闘イベントが発生し、そのまま先に進めなくなる。 セーブしていなかった場合は悲惨なことに。 ボス弱体化イベントを消化していればきちんと倒せるが、イベント開始にともなって壁の中に閉じ込められるため、そこから進行不能になる。 ロマニアンのクリア直前になると、なぜかこのイベントは発生しなくなる。 登場人物の言動の一部について、物語との整合性が取れていない。今作はフルボイスを採用しているため、シナリオの変更に対して柔軟な対応ができなかったものと思われる。 物語を進めてもNPCの会話が殆ど更新されない。 街に平和を取り戻しても敵対したままのセリフを放ったり、既に解決したイベントのヒントを与えてくる事がザラにある。 ロマニアン(2面)の最初の料理シーンでは、まだ登場していないはずのキャラクターが料理を食べ、感想を語り始める。(*5) 同じく「銅像に聖水をかけると扉が開く」というヒントがもらえる場所があるのだが、該当の場所には銅像など無いので混乱の元に。 ただし聖水を入手してそれらしき場所に立ち入ることでゲームは進行する。 中でも厄介なのがシノワ(4面)中盤。あるイベントをこなすと「ピラミッド周辺で働き手を募集している」というヒントをもらえるのだが、この指示に従って周辺を散策しても一切イベントは発生しない。ひどい罠である。 しかもこの時点で得られる進行のヒントが他に殆ど無く、プレイヤーによっては攻略を断念する要因になる。 今作最大の難所は、先述したレシピフラグ設定ミスと、この誘導ミスの2点に集約されていると言っても過言では無い。 + ここで次に行うべき行動(攻略のネタバレ注意) このイベントの次にやるべき事は、それまで鍵がかかっていた建物(全5件)に入り、料理のレシピをもらう事である。 一度に入れるのは一件のみ(レシピ入手中は鍵がかかって入れなくなる)。焼肉のレシピを手に入れたらコロシアム、それ以外は屋敷周辺の監禁部屋に行くことで、ゲームが進行する。 この行動を示すヒントは何処にもない。元々入れなかった建物に攻略のヒントがあるというのはなかなかに厄介である。 例によって街にはやたら多くの建物があるため、マッピングしていなければここで容易に詰んでしまう。 終盤は特に多くのバグが残されている。 上述した会話設定のミスが多い。 初めてもいない試験の料理のコツを教えられてネタバレを食らう場面も。 ある会話イベントでは音声が全く再生されず、会話時の顔グラフィックの欄に戦闘時の斬撃エフェクトが表示される。 一部の場所ではファルの横に妖精チョミラが表示されたまま消えなくなり、移動の邪魔になる。 極め付きはラストシーン。いよいよこれから大団円というタイミングでエンディングが始まらず、タイトル画面に戻されてしまう。 とにかく余韻ぶち壊しにも程があり、せっかくの盛り上がりが企業ロゴで無慈悲に打ち消されてしまう。 スタッフロールがバグでまともに表示されない有名作品は過去にもあったが、今作の場合はそもそもエンディング自体が流れないという、もっとひどい有様である。 発生率100%かどうかは不明(*6)だが、バグ発生報告はネット上に複数あり、回避方法は2022年現在も分かっていない。 なおネット上には本来流れるはずだったとされる映像がアップロードされている(余談で後述)。これから遊ぶ人はクリアに合わせて視聴するのが吉かもしれない。 その他の問題点 会話シーンにおいて、テキストは一切表示されない。 毎回いちいちボイスを聞く必要があり、少しテンポが悪い。 Cボタンによるリピート機能を知っておかないと、聞き逃した時に面倒なことになる。 3Dゲーム黎明期という事もあり、フィールドの操作性が悪い。 操作形態は、当時のFPSやラジコン操作ADVの物を採用している。 方向キーの左右を押しても旋回するだけで移動できず、柔軟に動くのが難しい。慣れるまでは苦労を強いられる。 移動時の処理落ちが激しい。 画面内に建物が映るほど露骨に移動が遅くなり、テンポの悪さを感じさせる。 ポリゴンが絡むと処理が遅くなるのは3DOソフト全般の特徴で、ハード末期に出た本作も改善しきれなかったようだ。 もし急いで歩こうとする場合、ファルを壁に向けながら全力でカニ歩きをするというRTAばりの奇行が最速となる(*7)。ちょっとシュール? RPGとしてのUIに所々難がある。 戦闘で敵に与えたダメージを知る手段が一切存在しない。 どれだけ攻撃が効いたのかわからないため、成長の楽しさや大技を打つ爽快感が薄れてしまっている。 召喚によって発生するバフ、攻撃力の変化などの効果も可視化されない。 性能を知るには様々な行動を試さなければならない。かなりストイックな仕様となっている。 終盤が色々と投げっぱなし 劇中、思わせぶりな伏線や説明の無い設定がいくつか出てくるのだが、これらに関して触れられる事はない。 なぜゲーム冒頭で伯爵の部下がファルを突き放したのか、なぜヒロインが1人で暗躍していたのか、行く先々で助けてくれる魚売りの正体は何なのか等々、含みを持たせる描き方がされていながら、詳細は明かされない。 ヒロインは説明書でメインキャラのように書かれているにもかかわらず、実際は物語にほとんど関わっていない。 劇中には取り返しのつかない失態を犯した人物もいるのだが、その後どうやって償っていったかも描写されない。 特に目につくのは最後の仲間となるアンドロイド。 「デプリバのせいで父親が失職し、機械に魂を移植してもらった」と説明があり、見るからに人間性も損なわれているのだが、その壮絶な背景はほとんど掘り下げられない。 周囲の登場人物も深入りする様子が無く、物語が省略されているかのような端折りぶりとなっている。 各キャラクターの後日談の類もなく、最低限の物語を描いて唐突に終わるため、エンディングの件と合わせて尻すぼみになってしまっている。 セーブデータのUIが『聖剣伝説3』方式。デフォルト位置がファイル1固定で、確認無しにセーブができてしまうため、誤削除を引き起こしやすい。 家族で遊べるゲームかつ、実用的なレシピを確認できるゲームなので、間違って身内のデータを消さないように要注意。大事なデータは別売りのメモリーユニットに退避させておこう。 総評 新ジャンル「クッキングファンタジーRPG」として送り出された今作は、そのオリジナリティに恥じない唯一無二のシステムに仕上がっている。 ハード末期にひっそり出された作品でありながら、印象に残ったゲームとして語るプレイヤーは決して少なくない。 今作は従来のRPGとは違った魅力が売りとなっており、育成や戦闘はそれほど重視されていない。 大きなポイントとなるのは、食を中心に据えた人情味溢れるストーリーと、料理ミニゲームの没入感。 一国の存亡をかけた冒険のさなか、悩める人に美味しい料理を振舞って旅する不思議な物語には、この作品だけの温もりがある。誰もが感じられる食の楽しさがゲームへ落とし込まれており、老若男女を問わず幅広い層がターゲットとなっている。 進行に支障をきたす粗が多く、RPGならではの戦略性が薄いのが難点だが、普通のJRPGでは見られない独特の味わいが詰まっているだけに、避けてしまうのも勿体ない。 料理が好きな人はもちろんのこと、『MOTHER』『ペーパーマリオRPG』のような"黒い任天堂"ライクの全年齢ゲームが好きな人、ラブデリック系やスローライフ系のように戦闘薄めの温かなゲームが好きな人、そして3DOでしか遊べないソフトを徹底的に遊び尽くしたい人ならば、きっと新しい楽しさに出会える一作である。 たとえ料理に触れない人であっても、このゲームを遊んだ後は思わず自炊をしてみたくなるかも……? 余談 2013年に入り、本来流れるはずだったエンディングとされる映像がニコニコ動画にアップロードされた。 投稿者のSUM氏曰く、中の人(スタッフ?)からもらった貴重な映像とのこと。 + 詳細 内容は、オルゴールから12人のキャラが飛び出し、綺麗な音色とともにスタッフロールが流れるというもの。 飛び出すキャラクターは、作中の重要アイテムに導かれた12人の勇者たち。 童話的な世界観を彩っており、実際のゲームで気軽に見られないのが勿体ない。 未完成品だったのか、途中の画面切り替え時にノイズが入っている。 数名を除く声優陣は名前のみの公表に留まり、どの役を具体的に担当したかは明かされていない。 残念ながらこの映像で見られるのはスタッフロールのみで、ストーリーを補完するようなエンディングムービーは無い。 本来想定されていたであろう後日談がいかなるものであったか、関係者が現れない限りは詳細不明である。 本来は少し早く96年2月に発売予定だった模様(ソース)。 予定されていた価格も、実際の製品より少しだけ安い。 延期したにもかかわらずゲーム終盤が粗い本作だが、3DOがほぼ終息に向かっていたため再延期の余地はなかったのかもしれない。 開発期間の足りなさが垣間見える要因はバグの多さだけでなく、劇中に無い料理がレシピブックに収録されている点も挙げられる。ここで見られる料理は和食とフレンチに偏っており、本来はこれらを作るイベントも予定されていたものと思われる。 上記ソースでは「料理をテーマとした初のコンピュータRPG」と紹介されているが、実際は92年の『ひとりでできるもん! ~クッキング伝説~』が先に該当しており、史上初では無い。 ちなみにRPG以外のジャンルであれば『もと子ちゃんのワンダーキッチン』(93年、ADV)、『美食戦隊 薔薇野郎』(95年、ACT)が先駆けて登場している。 この点を踏まえて「RPG」という括りにしたのかもしれないが、ゲームの世界は広すぎたようだ。 この他、97年発売の『PAL-神犬伝説-』(ゲーム内に料理システムあり)はパッケージ等の著作権表示が95年としてクレジットされており、僅差で先を越す可能性があった。 当初は年内にプレイステーションへの移植も予定されていた(ソース)。 当時は『FF7』のPS発売が決まった直後で、様々なメーカーが参入に名乗りを上げていた事で知られている。 しかし残念ながら、この移植が実現することは無かった。 今作は開発期間の足りなさを感じさせる部分が多く、バグの多さで損をしている面もあるため、作り直す機会が生まれなかったのは大変悔やまれる。 なお元ソースではこのゲームを話題作として扱っているが、ゲームに疎い(というか明らかに偏見を抱いている)記者が大げさに書いたと見られるため、信憑性に関しては注意が必要である(*8)。 開発元であるサラ・インターナショナルの活動は、その後確認されておらず、謎が多い。 帝国データバンクには会社の情報(企業名と所在地のみ)が残っているが、現在は何をしているのか全くの謎である。 それだけ無名な企業の単発作品でありながら、今作は豪華スタッフを惜しみなく起用し、クオリティの高いオープニングムービーも作られている。力の入った企画だったのは間違いなかったようで、次作を作る機会が無かったのは何とも悔やまれる。 今作以前の活動としては、『ドラゴン・タイクーン"エッジ"』というRPGを発売した事が確認されている。 こちらもバグが酷かったらしく、進行不能バグも発見されているほど(ソース 数少ないクリア者が書いたブログ)。
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属性 火属性 最大Lv 99 初期HP - 最大HP - レアリティ ★6 タイプ 神 初期攻撃力 - 最大攻撃力 - 初期防御力 - 最大防御力 - 初期スピード - 最大スピード - +HP上限 - 最大HP上限 - +攻撃力上限 - 最大攻撃力上限 - +防御力上限 - 最大防御力上限 - +スピード上限 - 最大スピード上限 - リーダースキル スキル名 スキル効果 フォーススキル1 スキル名 スキル効果 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7 Lv8 Lv9 Lv10 - - - - - - - - - - ディレイターン - 効果持続ターン - フォーススキル2 スキル名 スキル効果 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4 Lv5 Lv6 Lv7 Lv8 Lv9 Lv10 進化前 [炎塊]ヴァルムルージュ - - - - - - - - - - 通常進化 なし ディレイターン - 効果持続ターン - 幻獣契約 [焔巨人]ヴァルムルージュ 特殊能力 追撃 / [滅殺]ナイトキラー 契約素材 [死刑囚]ヴォイド[岩窟王]ボウルダー[植竜]ヴィノサウロ 契約使用先 - 入手方法 通常進化 備考 ・幻獣降臨クエスト『炎兵連なる魔女の試練』_http //crw.lionsfilm.co.jp/gesoten/news/detail.php?id=1240 k=3 ・フルボイスキャラ列伝『落日の王国と暁の後継者』が登場!_http //crw.lionsfilm.co.jp/gesoten/news/detail.php?id=1238 k=2 資料 *初期ステータス。 コメント 名前
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王国買取に戻る 初期買取数 アイテム名 買取種別 売却価格 獲得名声 20個 50個 100個 20個 50個 100個 2400 青銅の塊 購入大臣1 664 2075 4980 5 10 16 購入大臣2 830 2490 5810 4 8 14 2400 銅の塊 購入大臣1 1096 3425 8220 10 20 33 購入大臣2 1370 4110 9590 8 16 28 1800 鉄の塊 購入大臣1 1376 4300 10320 20 40 66 購入大臣2 1720 5160 12040 16 33 57 1800 銀塊 購入大臣1 1872 5850 14040 30 60 100 購入大臣2 2340 7020 16380 24 50 85 1800 金塊 購入大臣1 2728 8525 20460 35 70 116 購入大臣2 3410 10230 23870 28 58 100 1800 18金 購入大臣1 3096 9675 23220 45 90 150 購入大臣2 3870 11610 27090 36 75 128 1800 鋼の塊 購入大臣1 4168 13025 31260 55 110 183 購入大臣2 5210 15630 36470 44 91 157 2000 鋼板 建設大臣 2868 7170 14340 131 2000 合金鋼 建設大臣 3524 8810 17620 148 2000 プラチナ塊 建設大臣 5208 13020 26040 190 475 1000 チタニウム合金の塊 建設大臣 6252 15630 31260 216 540 1000 タングステン合金の塊 建設大臣 7696 19240 38480 252 631 1262 1000 カララ合金 建設大臣 8708 21770 43540 277 694 1388 1000 ミラツ合金 建設大臣 10800 27000 54000 1000 ノア合金 建設大臣 13000 32500 65000 初期買取数 アイテム名 買取種別 20個 50個 100個 20個 50個 100個 売却価格 獲得名声 情報提供| 編集の仕方がわからないときはこちらにデータだけ記入してください。 気づいたときに更新しておきます。 購入大臣1、2って見分けつかないんですが・・・ -- ななし[未作成] 王国買取を読んでください。 -- 名前 コメント
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詩予告 ○文脈での期待度は不明 白背景黒文字でチャンス。 一度目なら、今度こそはと私も思う。 避けられなかった惨劇に。 二度目なら、またもかと私は呆れる。 避けられなかった惨劇に。 三度目なら、呆れを越えて苦痛となる。 七度目を数えるとそろそろ喜劇になる。 (フレデリカの詩/ひぐらしのなく頃に 解 罪滅し編) どうか嘆かないで。 世界があなたを許さなくても、私はあなたを許します。 どうか嘆かないで。 あなたが世界を許さなくても、私はあなたを許します。 だから教えてください。 あなたはどうしたら、私を許してくれますか? (フレデリカの詩/ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編) どうかこの夜に何があったか教えてください。 それは例えるなら猫を詰めた箱。 どうかこの夜に何があったか教えてください。 箱の中の猫は、生か死かすらもわからない。 どうかあの夜に何があったか教えてください。 箱の中の猫は、死んでいたのです。 (フレデリカの詩/ひぐらしのなく頃に 皆殺し編) あなたの乾きを癒せない。 真実を欲するあなたがそれを認めないから。 あなたの乾きを癒せない。 あなたの期待する真実が存在しないから。 それでもあなたの渇きを癒したい。 あなたを砂漠に放り出したのはわたしなのだから。 (フレデリカの詩/ひぐらしのなく頃に 綿流し編) 井の中の蛙は幸せでした。 井戸の外に何も興味がなかったから。 井の中の蛙は幸せでした。 井戸の外で何があっても関係なかったから。 そしてあなたも幸せでした。 井戸の外で何があったか知らなかったから。 (フレデリカの詩/ひぐらしのなく頃に 祟殺し編) 誰が犯人かって? それを探す物語に決まってるでしょ? 誰が犯人かって? そもそも「何の」犯人かわかってる? 誰が犯人なの? 私をこれから殺す犯人は誰?! (フレデリカの詩/ひぐらしのなく頃に 暇潰し編) 誰だって幸せになる権利がある。 難しいのはその享受。 誰だって幸せになる権利がある。 難しいのはその履行。 私だって幸せになる権利がある。 難しいのはその妥協。 (フレデリカの詩/ひぐらしのなく頃に 祭囃し編) 私が求めるものは何? 遠い異郷からやって来る騎士かもしれない。 私が求めるものは何? 永遠の沼から這い出せる岸かもしれない。 私が求めるものはたったひとつ。 得るのはキシか、それともシキ(死期)か。 (フレデリカの詩/ひぐらしのなく頃に) 何が罪かわかりますか。 知恵の実を口にしたからではありません。 何が罪かわかりますか。 蛇の甘言に耳を貸したからではありません。 まだ罪がわかりませんか。 それこそがあなたの罪なのです。 (フレデリカの詩/ひぐらしのなく頃に)
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/i _/ ..|_ ___/ { ' / ̄ ̄ ̄く /{{ i ./ ノ__.イ__ ミ、_ .|`ー‐彡 \ \ ,.,/ ___ "ミ、 { ) `ー-=====ミ、,.Y .ィ'" ___ ト、ヽ ト、 > ___ ゙ ,ィ迹テア ミ、 {_ {〃 / ./⌒__ \ ` ̄´ ∨ .ノヽ ∨八/ ,ィ爰ア゙ . Ⅵいi .∨ .} .*?`¨´ ト、 r |i У } .∧ ` |i/i 厂.∧ , =---、 ト从 \ ., /..< ¨ 八 .i \ / .、 *? ノ / | 乂 `‐.介 / |从 .) / \ ... ./ |/. \ > ノ |__ ,ィ===-ノヽ `¨ ‘,、 / \ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄}\/i {>.、 ≦三三 ./⌒\____| }/ _}\三≧ ≦三三三三三三三ニ{ \ }_..ノ∨彡 }三三三≧ 三三三三三三三三ニ.\ \三≠ 八_.ノ三三三三ニ 三三/三三三三三三三\ .\\./\\三三三三三ニ =================================== キース・ロイヤル(魔術士オーフェン) 元正規空軍将校・非統制派民兵 元正規軍の空軍将校。壊滅した正規軍の生き残りであり、K軍閥と呼ばれる地方軍閥の 親玉となる。 軍人時代のコネと戦術指揮能力を生かし、やる夫の宰相就任までに軍閥の戦力の拡大と占領地の拡大に 勤しみ、現在は王国の正規軍に討伐されぬように自らの収める場所を要塞化している。 彼はある王族を外は危険だといい、何が何でも自らの手元に置こうとしている。 彼の狙いは――玉座。 能力系統:民兵、正規空軍 方向性:外道 補正能力:空軍の場合、組織性+45 武将+5 民兵の場合、兵力+20 情報+30 運:10% 敵手6分の2 派閥:革命過激派 イベント能力: 『失敗の多い野心家』 野心家である。が、失敗が多い。 ただし、野心家であるのに失敗が多いという事は失敗しても致命的にはならないという事で(ry データ的には戦闘時における最悪の事態を1回なかったことにする。 『戦術DEの研究資料』 旧正規軍が研究していた戦術DEの資料を彼は丸暗記している。 そのため、戦闘中、ごくまれにドラえもんの4次元ポケットのごとき活躍を? 『付加技術:戦術DE・縦深攻勢劣化戦術α』 文字通り、戦術DE『縦深攻勢劣化戦術α』を部隊に付加する。 縦深攻勢劣化戦術αは兵力を2倍に倍増させ、組織性に+50の補正を与える。
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スイス王国 英 Kingdom of Swiss 独 Königreich Schweiz 仏 Royaume de Suisse 国旗 公用語 日本語 首都 ベルン 皇帝 sparkleN 国王 sparkleN 国土 263 人口 3人 建国 2022/8/19 政体 帝政自治 位置 概要 スイス王国(すいすおうこく)、通称スイスは、中央ヨーロッパのアルプス山脈北山麓に位置する帝政自治国家であり、ヨーロッパ帝国の構成国である。 クレセント、フランス、ローマ、オーストリアに囲まれた内陸に位置し、首都はベルン。主要都市にはリヨン(建設中)、ジュネーブなどがある。 同国はヨーロッパでは最も小さい国家の一つである。 歴史 スイスの端緒〜サーバー一般公開前(2022年8月前半) 元々ジュネーブ条約という名前だった大津条約の中心地として、かつどの勢力下にもならないよう独自国家を作るためまだどこに建国するか迷っていたsparkleが推されて建国を決意した。しかしsparkleは永世中立に憧れ本当の意味でどの勢力にも属さないという暴挙に及び、ジュネーブ条約の本部建設計画は頓挫し、後に大津条約と改名することになる。 その数日後、すでに条約加盟国に囲まれている上加盟しないことによって外交トラブルの元になりかけている状況を鑑み、永世中立の政策を大きく緩めたスイスは結局加盟することになった。 2022/8/9 スイスに建国を決意 2022/8/11 ジュネーブ条約(当時)に参加しない意思表明 2022/8/14 結局形式上大津条約に加盟 サーバー一般公開後 2022/8/19 建国、大津条約加盟 2022/9/2 広島帝国と同盟締結 2022/9/8 醸造事業に乗り出す 2022/9/9 東フランスに進出 2022/9/9 ブルグンド王国に改名、政策方針転換 2022/9/12 ビザンツ帝国と同盟締結 2022/9/14 スイス王国に改名 2022/9/14 広島帝国より支援 2022/9/15 東フランスから一時撤退 2022/9/15 スイス薬品香港支店開店、香港と同盟締結 2022/9/20 初の国民入国 2022/10/2 欧州連合設立 2022/10/4 スイス初の同盟解除(仏帝) 2022/10/4 スイス、永世中立宣言 2022/10/4 世界王党派連合加入 2022/10/6 神聖フォルキングダムと同盟締結 2022/10/8 地中海条約機構に加入 2022/10/11 リヒテンシュタインを海外領土として占領 2022/10/16 クレセント連邦と同盟を確認 2022/10/23 リヒテンシュタインから撤退、東フランスに再度乗り出す 2022/11/13 国民2人加入、東フランスの北リヨンを占領 2022/11/13 スイス=アルプス帝国に改名、帝政に政変 2022/12/9 国民が1人加入するが、即抜けされる 2022/12/10 スイス=アルプス帝国がヨーロッパ帝国の自治国となり、ヘルヴェティア王国に改名 2022/12/16 sparkleNがららearthの運営となる 2023/1/25 sparkleNがヨーロッパ帝国の皇帝に就任、実質ヨーロッパ帝国の首都はスイスのベルンとなる 2023/2/10 リヒテンシュタインを再占領 2023/3/15 スイス王国に改名 地理 スイスは内陸国であり、国土はスイス高原とアルプス山脈、ジュラ山脈が大半を占めている。また、国土は日本の約1割で九州より少し広い。アルプス山脈一帯は雪が降る氷雪地帯である。 政治 スイスの政体は自治帝政である。皇帝を元首とし、国王が内政を執り行う。現在は国王と皇帝が同一人物である。 外交 歴史項目参照の通り、色々あった後に大津陣営に落ち着いていたが、10月頭、とあるオランダ国民のローマ帝国に荒らし及びスパイ行為(オランダのトップやその他の国民は一切関係なく当該国民の独断による行動)をうけ、スイス王国はオランダ(フランス帝国)との同盟解除を宣言した。(以前からオランダでは荒らしが多発していたため、入国制限を課していた)またその後間も無く昨今の世界情勢や戦争ルールの確定を鑑み永世中立宣言も出した。ただし同盟国への対応はこれまで通りとしている。 2022年12月からはヨーロッパ帝国の治世下となり外交権は失ったものの、ヘルヴェティア国王は国際組織の総長を兼ねているため、個人の外交経験は絶えないだろう。 2022年1月からはスイス国王がヨーロッパ帝国の帝位に就いたため外交を担うこととなった。方針等はヨーロッパ帝国を参照。 同盟国 香港(中華東沿海国) 神聖フォルキングダム 広島帝国 所属組織 ネーション ヨーロッパ帝国 我らが皇帝のおわすヨーロッパ帝国。連合や条約などではなく完全に一体となる国家ネーションである。 非ネーション 国際連合 事務局長 欧州連合 創立国 世界王党派連合 原加盟国 経済 スイス国内の金はかつてはjob収入がほとんどで、9月13日に領土上限解放が最大に達した。9月14日には広島帝国からなんと¥100000の寄付があった。(領土上限解放の上限が上がった後、10月11日に再度解放数が上限に達した) 国営企業にポーション生産をするスイス薬品が存在する。このポーション売買による利益が2022年12月現在スイス財政の最も安定した収入となっている。(2022年12月現在月収20万) 地方行政区画 西スイス州 ベルン スイス王国の首都。ハービヒツブルク王城と倉庫などがある。他にもベルン駅や洋風住宅がある。 ジュネーブ スイス第3の都市。シヨン城と第一・第二ジュネーブビルが建つ。 ベルンからジュネーブを臨む シオン ジュネーブ南部の都市。トゥールビヨン城塞が大部分を占める。 東スイス州 チューリヒ スイス第2の都市。現在は畑と牧場の中に神社が建っているが、神社の門前町として再開発を検討中。 美麗な夜のチューリヒ ロカルノ(計画中) スイス唯一のアルプス山脈南側の街。ローマ帝国への玄関口として建築物を計画中。 山岳地域 山脈の中にクール、サンモリッツ、アイロロに山小屋を建設予定。 最後に 関連リンク フランス王国 ローマ帝国 大津条約 国際連合 世界王党派連合 欧州連合 ヨーロッパ帝国 ご感想 選択肢 投票 スイスのことがわかった (41) スイスのことがわからなかった (39) 今日このページが見られた回数 -