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シヴァリング・アイルズ薬物総覧 シンダ・アマティウス 著 シヴァリング・アイルズには多種多様なものがある。 湿っているもの、乾いているもの。植物からとれたもの、動物からとれたもの、石、空、木、人間、メルからとれたもの。 とても多くの美しいものが薬に使用される。そこにあるそれらすべてが引き抜かれて活用されるのを待っている。「私をすりつぶして! エキスを取って何か新しいもの、何か素敵なものに変えて!」と、それらが私に訴える。 私はとても多くのタムリエルの驚くべきものの発見に人生を捧げてきて、今では未来に待ち受けるものの発見に人生を捧げている。危険で手招きしているマッドゴッドの領域には、興奮で震えてしまうほど多くの新しいものがある。今後、調べたり、調合したり、探し出す時に忘れていないように、私は立ち止まって発見したことを覚え書きに残す。 見習いはシャンブルズの骨髄とスケイロンのヒレを混ぜると、摂取した者の体力を奪い、心臓に打撃を与える猛毒ができることを知るだろう。多くの刀を湿った肉と乾いた骨に浸して馴染ませたが、発見が私を満足させるのだ。 炎の柄と肉体の精霊のエキスは素人でも調合できて、その薬を飲むと再び健康になり、痛みに対抗することができる。熟練者であれば歩行する巨大モンスターに対して自分自身を危険にさらすよりは、叫ぶ口を使えると気づくだろう。 マジカが必要なら(マジカ不要なわけがないが)、エリトラのイコルは素人によってウィザリング・ムーンと調合されるか、熟練者によって茨のフックと調合されるだろう。シヴァリング・アイルズにいる探険家であれば必ずこれらを見つけようと勇んで出かけるはずである。 ハンガーの舌── それ自体生体構造の脅威── は食べると解毒効果があり、ウィザリング・ムーンと調合すると病気を治すことができる。(私にはハンガーに命をかけなければいけないほどのひどい病気があるのか疑問が残るが……) 熟練した錬金術師が腐敗の鱗とワームズ・ヘッドのかさのかさを調合すると敵を麻痺させることができるのを知って私はとても喜んだ。これはアイルズにいるあまり思いやりのない奴らから材料を手に入れるのにはとても役に立つだろう。 SI 赤1 魔法学・薬学
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datの世界において兆しなく何処にでも現れる悪意の集合体。 ネームレス(相棒)によると「dat落ちした悪人の意識」らしいが真相は定かではない。 結構な数の個体(という概念が適切かどうかは不明だが)がいるらしいが見たことがない者もいる、その程度の数らしい。 必ずしも組織だって行動しているわけでもなく、ネームレスのように各々がバラバラに悪事を働いているらしい。 「種(たね)」としてdatの世界に現れ成長し発生する場合もあれば、ネームレスが自分の正体を知る欲求や自己存在意義を失うと変異し発生するパターンもある。 個体によって実体があったりなかったりする。 個体によって喋ったり喋らなかったりする。 分裂したり増幅されたりする場合もある。 憑依したり欠片に感染したりdatの世界の悪者に利用されたりする。 ネームレスと同じように欠片を使って変身する個体もいる。 ネームレス時代の自我がかすかに残り、必ずしも悪意に満ちているとも限らない個体も存在する。 意思が介入しているかどうかで能力や知能が違ったりする。 小規模だがブラックホールを発生させる個体もいるが、地形の再構築は出来ず巻き込んだ世界が崩壊するにとどまるらしい。 後になって、マリスには後天的に生じる半熟のマリス「デミ=マリス」とdat落ちした悪人の意識から生まれた純粋な悪意の集合体「純なるマリス」の二種類に分かれている事が判明。 デミ=マリスは主にネームレスから転じるマリスで、悪意としての詰めが甘く交渉も可能な存在であるらしい。 対して純なるマリスは絶対に分かり合えない存在であるらしく、出遭ったなら退けるしか方法はないらしい。 登場個体(?)および憑依&感染した対象一覧 アヒャトルフ=マリス・アヒヤザル 永久の魔神 ヴァレンタインの魔人=絶望のマリス 過疎のマリス? 偽装のマリス 禁忌のマリス 幻惑のマリス 拘束のマリス 傲慢のマリス 枯渇のマリス 鮫 色情のマリス 支配のマリス 怠惰のマリス 堕天のマリス 貪欲のマリス 失速のマリス 腐敗のマリス? ニラハルト 破滅のマリス 偏食のマリス? 魔王 マリス磯野家=嫉妬のマリス マリス大ムカデ? マリス外来科学者 マリスグリズリー マリスザメ マリス・ぞぬバトラーV マリスタシロ マリスツーウェン? マリスまたんき マリスレリウーリア モランス 欲望のマリス 宿題のマリス 冒涜のマリス? 名前 コメント すべてのコメントを見る
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フタリの記憶 / 水瀬伊織 概要 MASTER ARTIST 08より DE RE PR MA Level 1 3 6 8 Icons 67 118 180 284 BPM 117 TIME ? Artist 水瀬伊織 Version ファンキーノート 動画 攻略 名前 コメント ※攻略の際は、文頭に[DE] [RE] [PR] [MA] のいずれかを置くと、どの譜面に関する情報かが分かりやすいです。 コメント(感想など) 名前 コメント ↑攻略と無関係の曲に対するコメントはこちらでお願いします。あまりにもかけ離れた内容は削除される場合があります。
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龍族の記録物 遂行地域 インギスオン - インギスオン幻影要塞 適正レベル 取得 54 / 遂行 55 報酬 経験値 3,339,700 / 206,100 ギーナホーク ドラゴン キングの赤身焼き(10) 関連クエスト --- 進行順序 1.クエストアイテムをクリックして、クエスト獲得2.NPCウィビウスと会話3.NPCケルスと会ってクエスト完了
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このページでは【ファイアーエムブレム 封印の剣】のキャラクター、 マードック を解説する。 【ポケットモンスター(2023)】?のキャラクターは【マードック(ポケットモンスター2023)】を参照。 プロフィール 作品別 関連キャラクター コメント プロフィール マードック 他言語 Murdock (英語) 種族 【人間】 性別 男 職業 三竜将 所属 ベルン王国 声優 小谷津央典 初登場 【ファイアーエムブレム 封印の剣】 ベルン王国の将軍、「三竜将」の1人。三竜将の筆頭で、ベルン王国最強と名高い存在。 少なくとも20年はベルン王国に仕えており、その忠誠心は厚い。 作品別 【ファイアーエムブレム 封印の剣】 第21章の敵将。終盤のボスらしく高い能力値を誇り、「トマホーク」で遠近両方に反撃する強敵。 第21章外伝に行くにはこのマップを素早く攻略する必要があるため、如何にしてマードックを処理できる時間を確保できるかが鍵となる。 倒した後は【ゼフィール】?を守れなかった事を悔いつつ息絶える。 【ファイアーエムブレム 烈火の剣】 23/24章の民家で登場。【ベルン兵】?が【デズモンド】?の横暴による国家腐敗の訴えを受けつつも止めている。訪問した自軍に勘付いたようで、すぐに会話が終わる。 グラフィックが『封印の剣』の流用のため、普通の【人間】でありながら20年間まったく老けていない事になった。 【ファイアーエムブレム ヒーローズ】 通常版 称号 武器 移動 声優 イラスト ベルン三竜将筆頭 斧 重装系 小谷津央典 霜村航 HP 攻撃 速さ 守備 魔防 47 45 23 45 35 武器 補助 奥義 竜将トマホーク なし 華炎 A B C 攻撃守備の万全3 奥義隊形3 なし 味方実装日 ★ 入手 分類 2023/06/09 3~4 大英雄戦英雄の聖杯 大英雄 2023/06/09から開催の大英雄戦で配布。 専用武器「竜将トマホーク」は、敵から攻撃された時、距離に関係なく反撃する。 敵から攻撃された時、または、戦闘開始時、敵のHPが75%以上の時、戦闘中、敵の攻撃・守備-6、自身は絶対追撃、さらに、敵の攻撃が、7-敵が受けている攻撃の弱化の値、だけ減少。(最低値0) 配布キャラでありながら、無条件の「遠距離反撃」に加え、攻守-6、絶対追撃、「攻撃封じ4」を内蔵した強力な構成となっている。 関連キャラクター 【ナーシェン】? 【ブルーニャ】? 【ゲイル(ファイアーエムブレム 封印の剣)】 【ゼフィール】? コメント 名前 全てのコメントを見る?
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維新ヒロイズム 維新主義 維新ヒロイズムは刹那的な行動により旧(現)体制(アンシャンレジューム)に対して一定の成果をあげる事を規定するナノク世界での創作上のしくみである。いわゆる「悪目立ち」という状態がこれにあてはまる。現実には草の根の強固なネットワークによって打倒されるべき体制が、次のロハス的なものにバトンタッチされる醜悪さなどをここでは描くことができる。 通常のヒロイズムは、共同体の神話伝承にその根拠を置くが、維新ヒロイズムにはそこまでの根拠は無い。それなりの機能性を持っていた旧体制が外的な要因によって滅びさるのが必然であった場合に、何か象徴的な事が起こる必要があって、象徴的なモノ、ヒトといったものを多くの人々が必要とする。英雄のマクガフィン化といったものがここでは起こり、そのマクガフィン化を批判する意味で維新ヒロイズムが登場する。 維新ヒロイズムは刹那的で、結果としては打算的である。たとえば維新ヒロイズムが成金の一代期として描かれることはナノクにおいて好ましい。エスノ細胞たちの弛まぬ努力によって勝ち得た勝利のゴールの直前で、やみくもに通りの良い声で棒をふりまわしていただけのヒーローと、隅っこで震えていた旧体制の名残りが、持ち上げられて胴上げの道具になって新たな腐敗の温床となる。エスノはまた別の闘いをはじめ、ナノク世界の闘争は永遠とも思われる時間続く。ナノク世界では維新ヒロイズムはあくまでアンチヒロイズムの小道具として使われることが好ましい。無軌道、暗黒時代、ナノク世界での維新主義者たちはアンチヒーローであり、ナノテックヒーローは創発によって表現される。 維新ヒロイズムの好例としては空知英秋の漫画「銀魂」などが挙げられる。 imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 nanoch ロハスファシスト showrss プラグインエラー RSSが見つからないか、接続エラーです。 showrss プラグインエラー RSSが見つからないか、接続エラーです。 showrss プラグインエラー RSSが見つからないか、接続エラーです。 #ref_list
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【検索用 METROPOLISCRISIS 登録タグ 2009年 M MEIKO VOCALOID tatsuro 曲 曲英】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:tatsuro 作曲:tatsuro 編曲:tatsuro 唄:MEIKO 曲紹介 その街には、滅びの歌しか流れない。 曲名:『METROPOLIS CRISIS』(めとろぽりす くらいしす) 最近の世間の情勢を見ていて思ったことを歌詞にしようと考えました。曲調も危機感を表現しようと思いエレクトロ・パンク調?にしました。(作者コメ転載) 歌詞 進化しすぎた街に聞こえる 終焉の鐘 滅びの足音 欲に溺れて 神に背いた 人間たちの 破滅のプログラム 快楽ばかり求め続けて 歪みきってる 幸福の定義 愛することの意味さえ忘れ 残ったものは 憎悪の塊 もう見たくない 狂ったこの世界を 荒んだ人の心を 救うことが誰に出来るの? 誰も自分しか見えない 笑顔と優しさに潜む 妬みと憎しみと嘲り それが人の正体ならば 何の為に人は生きてるのだろう? LIVE OR DIE... 寝静まる街 夜明けの前に 覚醒するは 神々の怒り 夢に見た筈のユートピアが 一瞬にして 瓦礫の山に 揉み消された罪 掻き消された嘘 災いは全てを裁くように 世界を廃墟に変えてく 狂ったこの世界を 荒んだ人の心を 救うことが誰に出来るの? 誰も未来を描けない 虚飾と堕落にまみれた 腐敗の日常を奪われ 絶望と恐怖と悲嘆に 呆然と立ち尽くすだけ 狂ったこの世界も 荒んだ人の心も 全て始めから決まってた 誰にも変えられはしない それでも私は生きてく 何も変えられなかったとしても 開かれたパンドラの箱に 一粒の光を見いだしたから コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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◆ピグ村の記念碑からカブのクエスト 「 ライフスタッフブログ 」(2012-04-20 15 00 ) 「 ティナさんのグルっぽ 」 「 攻略wiki@2ch 」(工作クエスト) ★クエスト1(期限5日) ・カブを「5個」植える 報酬:2000ライフC、活力剤/カブ専用×1 ★クエスト2(期限5日) ・カブを「5回」収穫する 報酬:すごい水/カブ専用×1 ★クエスト3(期限3日) ・カブのファルシーサラダを「4個」つくる 報酬:お古の大きなカブの荷物×1 ★クエスト4(期限4日) ・ローリエを「1枚」入手する ・切手No.6を「4枚」入手する 報酬:お古のカブの刺繍ロングワンピ(女子用)×1 お古の刺繍ベストセットアップ(男子用)×1 ★クエスト5(期限4日) ・ポトフを「4個」作る 報酬:お古のカブの総柄スカーフ(女子用)×1 お古のカブの刺繍ハット(男子用)×1 ライフ切手No.6の出現率を75%とした場合の素材必要数。 (クエスト3, 4の必要数は5に含める) 素材名 クエスト 合計 5 ライフ切手 No.6 48 カブ 204 大きなカブ 128 マヨネーズ 128 タマネギ 76 キュウリ 64 ニンジン 12 ジャガイモ 12 ※カブのファルシーサラダを作るとたまにライフ切手No.6がもらえる。 ノラ(マルシェ広場)のところで切手4枚をローリエ1枚と交換できる。 ◆ピグ村の記念碑からクリ・クルミのクエスト 「 ライフスタッフブログ 」(2012-03-21 19 30 ) 「 ティナさんのブログ 」 「 ティナさんのグルっぽ 」 「 おちゃーこさんのブログ 」 「 攻略wiki2ch 」 「 攻略wiki 」 ◆ピグ村の記念碑からトウモロコシのクエスト 「 公式ページ 」(ライフスタッフブログ2012-02-24 17 37 ) 「 攻略wiki2ch 」 「 攻略wiki 」 ◆ピグ村の記念碑からモモのクエスト 「 公式ページ 」(スタッフブログ2012-01-27 18 35 ) 『※各クエストは引き受けてから設定された期間が期限となります』 ☆クエスト内容 「ピグ村のクエスト歴史」(モモのクエスト)クエスト画像付き
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――の記憶 ◆wivGPSoRoE 「え? 僕も行きますよ。一人より二人の方が速いじゃないですか」 「お前は休んでいろ。またさっきのように、戦闘中に動けなくなられたら、たまらない」 言い捨てて、村雨が足早に、汚水処理場の中に消えていく。 確かに疲れてはいた。 ため息をついてハヤテは、クルーザーによしかかる。 (村雨さん、辛そうだな……) 先ほどの村雨の横顔からは、必死さが痛いほど伝わってきた。 零の探知能力は制限されているため、有効距離範囲でも建物の深部になると、一部乱れがあるらしい。 とはいっても、死体があるかどうかを間違えることなど、ほぼ、ありえないらしいのだが、 それでも村雨は、外からの調査だけでは納得できないらしく、ああやって中に入っていく。 そんな村雨の気持ちが、ハヤテには分かる気がした。 だって。 ――似たもの同士だから。 あの時――千切れとんだマリアの体を見つけたとき、絶望した。 三千院ナギやマリアと始めてあった雪のクリスマスの日に、戻ってしまった気がした。 この世にはもう、自分の居場所はなくなったように感じて、圧倒的な孤独に打ちのめされた。 否。今も――そう、今も同じ感覚を感じている。 たとえ拒絶されたとしても、ナギのために、ヒナギクのために、 自分と同じく理不尽な運命に巻き込まれた人たちのために、BADANの奴らを何とかしたいとは思う。 奴らからみなを、心底守りたいと思う でも、それでも。 (参ったなぁ……。やっぱり……。辛いや) ハヤテは再確認する。 三千院家の日々が、どれほど自分の心に安らぎを与えてくれていたか、 どれほどあの日々を、それを取り巻く人々を愛していたか……。 それを、自分は自らの手で捨ててしまったのだ。 どれほど悔やんでも、自分が激情に駆られ、あの男を殴り殺してしまったという事実は消えない。 独りぼっち。孤独。 人間とは、どうやらそれらの冷たさに、耐えられないようにできているらしい。 それなのに村雨は、過去にすら、温もりを求めることができないのだ。 (あの人は、ずっと雪の中にいたんだろうな) だからこそ、初めて、真の意味で仲間になってくれた散が、大切なのだろう。 自分にとって三千院ナギが、この上もなく大事な人であるように……。 それでも村雨は、ズタボロで、あのまま放置されていれば死んでいはずの自分を助けてくれた。 村雨とは、命を預けあってあの吸血鬼と戦った。 孤独で、必死で無くしたものを探し続けているあの人に、伝えたいと思う。 記憶だけだが全てじゃなくて、出会いでも、今は変わる。 変わった今を大事にしていれば、今いる場所をそれほど悪くないものに変えることはできるってことを。 このゲームを潰して、三千院ナギやヒナギクを守り、他の参加者もできるだけ助け、 その上で村雨も――と考えるのは、少し欲張りすぎかもしれないが―― 『どうした? ハヤテよ』 ハヤテの顔に憂いを見て取り、零が尋ねてくる。 「いえ……その……。ちょっと、分不相応な考えを……」 するとヴヴヴという振動と共に零は笑い、 『何を言うか! 分不相応な望みを持ってこそ男子! お前はまだ、分別を知るには若すぎる!』 「は、はぁ……」 当惑したようにハヤテは銀髪を撫でた。 (当たり前だけど……。零さんって少し、時代がかってるなぁ。ガンコ親父系っていうか……) そんなハヤテの思いに気付いているのかどうか、 『話してみよ! 何か助言できるやもしれぬ』 ハヤテは困ったように笑い、 「……なんていうか、僕ごときが考えるのはおこがましいかもしれないんですけど……。 村雨さんの今を、ピカピカにすることはできないにしても、 何とか、くすんだ輝きぐらいにはしてあげられないかなぁって、思いまして……」 口に出すと、猛烈に恥ずかしさが込み上げてきて、ハヤテは顔を赤らめた。 零は沈黙している。 ハヤテの頬の朱の面積が大きさを増した。 「や、やっぱり……。おこがましいでしょうか……」 『そんなことはない』 零の声は穏やかだった。 『ハヤテ……。お前は優しい男よな。 この修羅の庭においても失われることの無きその優しさは、時に超鋼よりも強きものとなろう』 零の声には喜びがあった。 ハヤテは知らぬことだが、村雨に「未来」を与えたいと思っている零は、 ハヤテの中に、自分と相通じるものを感じたのである。 (ハヤテとならば、良を正しき道に導くことができるやもしれん) 零は期待を込めてハヤテを見つめた。 だが、零の予想に反し、ハヤテの顔は暗い。 「僕は、優しい人間なんかじゃありません。僕は……。怒りに任せて、人を……」 口に出した瞬間、抑えていた激情が、言葉となって溢れ出た。 勝手に言葉が、ハヤテの口から飛び出していく。 「……許せなかったんです。アイツは、笑っていました」 ――そういえばピンク色の髪の毛をしてたなぁ! もしかしてお前達の知り合いか? 「人の死を、あんな風に嘲笑って……」 ――ソイツは残念だったなァ……ハハハハハハハハハ!! 悪魔のような笑みと狂声が聞こえくる気がした。 「それだけじゃないんです! アイツは、お嬢様を、僕のこの世で一番大事な人を殴った! 傷つけたっ!! それだけでも許せないのに、アイツは、ジョジョさんをっ! ジョジョさんは、厳しくて、ぶっきらぼうな人だったけど、本当は情に厚くて、 それなのに情を殺して正しい判断ができる、すごい人でした。それなのに……。 アイツは、そんなジョジョさんを……殺したんだっ!!」 ハヤテは絶叫した。 胸に大穴を開けられて倒れ伏す承太郎の姿、涙を流すナギの顔、 封じ込めていた光景が蘇ってきて、目の前でチカチカと瞬く。 「だから、だから僕は……。アイツを、殺したんですっ!!」 ――殺した。 何度も何度も何度も殴りつけて殺した。 心臓の鼓動が早鐘のように打っている。 胸を抑えながら、 「でも……でも……。アイツは……」 あんなにボロボロになって、頭から血を流していて、それでも必死で生きようとしていた。 「……生きようと、してたんです。それなのに、僕は……」 『よくやった!』 零の大喝が響いた。 思いがけない賞賛の言葉に呆気に取られるハヤテに向かって、零はさらに言葉を叩きつける。 『ハヤテよ! お前の行動は一切、間違っておらん!!』 ハヤテの目の中から疑念が消えないのを見て取り、 『では、問う! お前がとどめをささずば、一体誰ができた? その悪鬼が立ち上がり再び牙を向いた場合、誰がそれに対処できた?』 「そ、それは……」 あの場で動けたのは、ナギと自分。 総毛立つ思いがハヤテを襲った。 (冗談じゃない! お嬢さんにそんなことをさせるくらいなら……) 『その通りだ! お前の愛しき者かお前、どちらかが手を下すしか道は無かった。 さもなくばお前達は、その場で悪鬼に殺されていただろうからなっ!!』 畳み掛けるように零は続けた。 『人を喰らって生きる悪鬼に対してまでも、情けをかけるその慈悲の心、見事なり!! だがな……。己を! そして、愛しきものを守りたいのならば、慈悲を心に沈め、 敵を撃たねばならぬ時もあるっ!!』 「分かってますよ! そんな理屈は分かってるんです!! でも、僕は……」 『ハヤテよ……』 それまでとは打って変わった暖かな声だった。 『お前は悪くない! 間違ってなどいない!』 「だから、そういう問題、じゃ……」 ハヤテの視界が急にぼやけた。 自分が泣いていることにハヤテは気付く。 『お前は悪くない!! 間違ってなどいない!!』 零の声が繰り返し鼓膜を震わせる。 ――許して欲しかった。 浅ましい考えだとは知っている。自覚もしている。 それでも誰かに――許して欲しかったのだ。 ハヤテは、溢れてくる感情に一時、身を任せた。 ■ 「す、すいません……。えらそうなことを言ったのに、子供みたいに……」 恥じ入ったように、ハヤテが俯く。 『何を言う。男子たるもの、みだりに涙を見せてはいかんが、たまにはよい!』 「はあ……。たまには、ですか」 『うむ。あくまで、たまには、だがな』 おどけたような零の調子に、ハヤテが笑みのようなものを浮かべた。 ハヤテが落ち着いたのを見て取った零は、 『――さて、ハヤテよ』 改まった声で告げた。 零の声にハヤテの背がピンと伸びる。 (まったく……。良に、ハヤテの万分の一の素直さがあれば、苦労は少なくてすむというに!) ハヤテの態度に目を細めつつ、この場にはいない村雨に向かって、零は軽く毒づいた。 気持ちを改め、 『お前に伝えておかなくてはならんことがある、この地を跋扈する悪鬼達のことだ』 「アーカードのような奴のことですね?」 『奴もその一人だ。あの鬼の怪力、再生の力、脅威という言葉すら生ぬるい……。 だがな、ハヤテ。あるいは、奴よりも恐ろしいかもしれぬ、敵がいるのだ』 ハヤテがゴクリと喉を鳴らした。 『その名はDIOという』 「DIO、ですか!?」 ハヤテが激しくその名前に反応すると、 『む? 知っているのか、ハヤテ?』 「はい! 僕を襲ってきた赤毛の男がDIO様のためにどうとかこうとか……」 ――やっぱりDIO様を知ってるのか! ならなおさらだッッッ!! 赤毛の少年の言葉を思い出しながら、勢い込んでハヤテが言う。 零は――沈黙した。 黙りこみつつ、零は思考を展開する (赤毛の男……。刃牙に相違ない! 我々と分かれた後、刃牙はハヤテ達を襲っていたというわけか。何たる奇縁よ!) 自分をこの世界で始めて手にした少年が、目の前の心優しい少年に殺されていたという事実に、 流石の零も動揺する。 (ぬぅ……。若輩者の範たるべき我々が、心を乱されて何とするか!) 類稀なる自制心を発揮して、零は何とか動揺を封じ込めた。 そしらぬ風を装い、 『ふぅむ……。この殺し合いの場ですら、他人を心服せしめるとは恐ろしい奴!』 「ええ……。本当にそう思います」 『悪鬼の中には稀に出現するのだ。他の悪鬼を取りまとめる強大な悪鬼がな。 だが、善の心を持つ我々には、関係のなきことよ!』 零は心の中の刃牙に向かって深々と頭を下げた。 敵を殺したと認識していてさえあれほど苦しんだハヤテが、実は殺した相手が、DIOに洗脳されていたとだけと知ったならば……。 (刃牙よ、すまぬ! 死したお前の尊厳を踏みにじる我々を、許してくれ!!) ハヤテに教えるわけにはいかない、知らせるわけにはいかない。 ここでハヤテに崩れてもらっては困るのだ。 村雨良を正しい道に導くためにも、この会場に存在する牙なき者達を守るためにも! ――大目標のために情を殺せずして、何が軍人! 血涙を流しつつ、零はハヤテに真実を教えたい誘惑断ち切り、話題を転換する。 『そちらの方も恐ろしいが……。DIOの恐ろしさは、やはり、あの得体の知れぬ能力にあろう! よいか、ハヤテ……。面妖に思うであろうが、しかと聞け! 我らを始めて手にした者が、DIOと闘ったときのことだ――』 ハヤテが一言も聞き伸ばすまいと集中しているのを見て取り、零は言葉を発した。 『その者の拳がDIOに叩きこまれたと我々が思った時、突如DIOの体は消え、 気がついた時にはDIOの腕に嵌った時計から発射されたとおぼしき針が、 我々を手にしていた者の首筋に刺さっていた』 ハヤテの瞳に疑問の光彩が浮かび上がった。 『何を言っているか理解できぬかもしれぬが、事実だ。 我々が確認した時、確かにDIOの体は我々を手にしていた者の拳を受けていた。 だが次に確認できたのは、DIOの体がそれより遠間に現れてから。 しかもその時には、DIOは針を発射し終えていた。 超速の力のみではありえぬこと。あれはもっと何か別の――』 「時間を操作したとか、そんな感じでしょうかね?」 アッサリと帰ってきた驚天動地の答えに、零は二の句を発することができない。 「空間移動と超スピードを組み合わせても、最後の針だけは説明できません。 針をDIOが自分で刺したのならともかく、道具で発射された針が飛んでいく過程を 零さんがまったく感知できないってことは……」 『ま、待て! ハヤテよ。確かにお前の言うとおり、それならば辻褄はあう。 しかし、時をどうこうするなど……』 「僕だって、普通だったらこんなこと絶対に言いません!」 ハヤテが、肩をすくめた。 「でも、状況がこれだけ現実離れしてるんです。何が起こったって、おかしくないと思いませんか? もっとも、その針の速度がとんでもなく速い可能性も考えられますけど、 そうだとしたら、DIOが超スピードで動ける能力を持ち合わせていることになるでしょうね。 零さんに見えない速さで、移動して、照準して、針を発射し終えてるんですから」 零は瞠目する。 (やる! こやつは思った以上にやる!) 全てをなぎ倒す村雨良を『剛』とすれば、綾崎ハヤテには『柔』の資質がある。 (良とハヤテ、この二人の力を合わせることができれば――) 零は期待の眼差しでハヤテを見つめた。 と、その時。 「あ、お帰りなさい」 村雨良が、入り口から姿を現した。 そのどことなく不機嫌そうな様子から、散を見つけられなかったことが見て取れた。 『だから、言ったであろうが』 当然といえば当然の結果に、零は叱責交じりに言う。 零の方を見ようともせず、村雨は立ち上がるハヤテを一瞥し、 「次は、変電所の周辺だ」 ボソっと言葉を吐き出すと、さっさとクルーザーにまたがった。 (とりつく島もない、か) 先ほど感じた歓喜が失望に変わっていくのを感じつつも、零はその感情を抑え込んだ。 (まあ、良い……。時間はある。きっと良にも分かる時が来よう) 苦々しい思いと共に、零は探査のために意識を集中させた。 ■ 「村雨さん……」 「良……」 零とハヤテの声が、どこか遠くに聞こえた。 二人――零を一人と換算すればだが――が見つめる先、村雨良は立ち尽くしていた。 この先に散がいる。 ――この先にいるというのに。 (俺には、何もできないのかっ!!) 握り締められた拳が、みしみしと軋みをあげる ――私は常に美しくなければならない。なぜなら、王であるからだ。 美しさと気高さの化身だった散。 少しでも、元の姿のようにしてから、葬りたかった。 名も無き戦闘員のように、遺体を野ざらしにしておきたくなど、なかった。 だが、無情にも零が見つけ出した散の遺体のありかは、禁止エリアの中。 禁止エリアの中に入っていけば、いくらZXだろうと爆死は必定。 ――必ず記憶を取り戻させる。私に二言は無い!! 自信と覇気に満ちていた散の言葉が、村雨の耳の奥で鼓膜を震わせ、 美しさと凛々しさに満ちていた横顔が瞼の裏に浮かぶ。 (あの時、別れたりしなければ……) 散は死んでいなかっただろう。そして自分は、記憶を取り戻していたかもしれない。 散なら、不可能という文字の存在を知らぬ、知っていても抹殺してしまったであろうあの男なら、 自分の記憶を取り戻してくれたはずだ。 だが、いないのだ。 ――散は、失われた。 体の中の何かが、刺すように痛んだ。 (なるほど……。痛みには、こういう痛みもあるのか) 心を締め上げる「痛み」。 痛みを感じながら村雨は、自分の心に湧きあがる、もう一つのモノを感じていた。 そう、これは。 ――真の怒り。 アーカードに対して感じた怒りが、再び村雨の胸の壁を焼き焦がしていた。 そして、真の怒りの矛先が、アーカードだけではなく、自分自身へも向けられていることに、 村雨は気付く。 その怒りの名は、「無力感」 何故か、心に馴染むその怒りは、村雨の心の中で膨張していく。 (俺はまだ、散のために何もしていない!! 散が生きていた時も、死んでからも!!) ――何故あの時、仇を取ることができなかった!? 決まっている。 ――力が、足りなかったから。 あの化物を、アーカードを完殺するだけの力がさえあれば、仇を討つことができたのに。 あの時逃亡したのは、ハヤテを助けるためという理由も、勿論ある。 だがあの時、アーカードを倒せるどうか、疑問に感じたからというのも理由の一つ。 ――ヤツにはまだ、先がある。 でなければ、散がまけるはずがない。 (足りない! 俺には、力が足りない) 自分にたりない力とは何か? 村雨は思考する。 ――己のルーツを知らないとすれば、お前に私は討てない。 アーカードの嗤い声が聞こえた。 (記憶が欠けたままでは……。不完全なままでは、奴を完全に殺せない) 怒りを押し殺しながら、村雨は思考する。 ――まだ、ないか? この世界に来てから闘った強者達の記憶を、村雨は、何度も頭の中で再生する。 一際大きく、頭の中に映し出される記憶があった。 それは――敗北の記憶。 ――お前、戦闘した事あるのか? 蝶の仮面の男が発した蔑みの言葉を思い出した瞬間、胸を焼き焦がす怒りの炎が膨張。 (俺はあの男に、スペックでは勝っていた) スピードとパワーなら、自分は勝っていた。 それなのに負けた。 ――大技は、きっちり相手を崩してからだろう。 呆れるような声 ――二手、三手先ぐらい読め、間抜けが。 嘲るような声。 声、声、声―― 「くそっ!!」 村雨は、地に拳を叩きつけた。 ずどぉぉんと凄まじい音と共に、地面が陥没した。 もう一発、続けてもう一発。 荒い息を吐きながら、 (俺に足りないもの……。記憶。そして闘いのの記憶) アーカードと戦った時、元の世界で戦った「仮面ライダー」とかいう、 偽善者――仲間である三影の言葉を借りて表現すれば――の技、 あれを使った時、新たな可能性が見えた気がした。 弱い奴を何人殺しても意味がない。 強者との闘いの先にこそ、求めるものはある。 散と闘うことで、「痛み」を取り戻せた。 アーカードと闘うことで「真の怒り」を取り戻せた。 闘いは自分に記憶を与えてくれる、力を与えてくれる。 闘いこそが―― 「村雨さんっ!!」 耳を打った真っ直ぐな声に、村雨は思考の深海から引き上げられた。 無造作にハヤテを一瞥しつつ、 「……何だ?」 「何だ? はないでしょう!」 ハヤテが、怒ったようにその端整な顔をしかめた。 「そんな……自分の体を痛めつけるような真似をして、誰が喜ぶんですか!? 散さんという人だって、きっと悲しみますよ! そうですよね!? 零さん」 『……その通りだ、ハヤテよ』 零の言葉に複雑なものが含有されていることに気付きつつも、 ハヤテは、とりあえずその疑問は心の井戸中に沈め、 「村雨さんが拳を叩きこまなくちゃならないのは、アーカード、DIO…… それに、村雨さんの記憶を奪って利用しようとしてる、BADANの奴らですよ!!」 ――何故だ? 村雨の心に沸き起こるのは疑問だった。 先ほども感じた強烈な疑問が、再び心を満たしていく。 ――何故、こいつも零も、他人のために怒る? ハヤテの声に込められた怒りは、自分の心を焼き焦がしている「怒り」とは違う気がする。 自分の心を焼く黒炎とは違い、目の前の少年の怒りには輝きがある。眩いばかりの純白の輝きが。 ――理解したい。 自然とそう思えてくる。 理解すれば、あの幻影の女は、笑ってくれる気がするのだ。 そんなことは、どうでもいいはずなのに。 記憶を取り戻すことに比べれば、どうでもいいことのはずなのに。 何故か。何故かそれが大切なことのように思えて、心が乱れる。 (どうすれば理解できる?) チラっと村雨は、零に視線を走らせた。 零も、ハヤテと同じ精神の持ち主だ。 しかし、それなりの時間共に行動しているのに、まったく理解できない。 (共に行動しているだけでは、駄目だということか) ――ではどうすれば? スッと村雨の手が伸び、ハヤテの頬に触れた。 怪訝な顔をするハヤテに、村雨顔を近づけ―― 「な、何をするだァ――――っ!?」 瞬間移動並の速度で後ろにカッ飛びながら、ハヤテが絶叫する。 「りょ、良ぉぉっ!? 血迷ってはいかんぞっ!! 相手の合意も得ぬうちにっ! ましてや年端もゆかぬ、こ、子供に、そのような……。恥を知れぃっ!!」 ――何なんだ? 疑問の風が村雨の心の水面を揺らした。 ただ単に、散が自分にしてくれたことをしてみようと思っただけなのに。 散のアレは、未知の感覚だった。 ハヤテとしてみれば、また違ったかもしれないと思ったのだが。 (……この反応では、やらない方が無難か) ――そうすべきだ。 心の何処かでそんな声がした。 そういえば、先ほど顔を近づけたときに、脳がすさまじい不快信号を発した気もする。 歯軋りを一つ。 (結局、何も手に入らない。記憶も、力も、理解も……) 不可解なことが増えたようで苛立ちが込み上げ、焦燥感が募る。 嘆息しつつ、村雨はクルーザーにまたがった。 エンジンをかける。 「……どうした?」 ややあって、焦れたように村雨は首をひねった。 (何をモタモタしている?) するとハヤテが、見たこともないような微妙な表情をしながら、 「……あの、ですね……。お気持ちはこう、なんというか……その……。 村雨さんは、命の恩人ですし、それにはすごく感謝してます……。でも僕には、そういう趣味は……」 「お前は、何を言ってるんだ?」 「それは僕の台詞です!!」 鼓膜をぶち割らんばかりの大声に、村雨は顔をしかめた。 「……俺と来ないというなら、それもいい。好きにしろ」 「ま、待ってくださいよ……」 おっかなビックリという感じで、ハヤテがクルーザーに乗り込む。 「聞けぇぇぃ!! 良よっ!!」 零が待っていたように怒鳴り始める。 「後にしろ」 吐き捨てて、村雨はクルーザーを発進させた。 ■ 「誰もいねーなぁ……」 「そうね……」 かがみとジョセフは同時にため息をついた。 徒労感が二人を襲っていた。 S10駅、 S9駅の周辺をかなり捜索したが、収穫はゼロ。 人っ子一人見当たらない。 「音すら聞こえてこないってことは、そうなんじゃないの」 「ったくよぉ~」 「……アンタはこれから、『俺の嫌いな言葉は1に努力、2に頑張るなのによォォ』と言う」 「俺の好きな言葉は、1に努力、2に頑張るなのによォォ」 かがみは眉をひそめ、ジョセフはフフンと鼻をうごめかせた。 「いい線言ってたぜぇ~? けど、まだまだ、だな。 相手の裏をかく時は、『裏をかいてやる』って顔を出しちゃいけねーのよん。 顔に出す時は、さらに裏の手を持ってるときだけだぜ、か・がーみん」 「その呼び方、やめてってば!」 顔をしかめるかがみに向かって、 「おいおい……。そうやって、顔しかめてっとカワEー顔が台無しだぜー? か・が・み~ん」 「呼び方くらい、統一しなさいよ!」 「お? お? か・がーみんとか・が・み~ん、のどっちが好みぃ?」 「知るか!!」 おお怖~と、大げさに身をひねりながらジョセフは、かがみの顔を盗み見た。 ぶつくさ言ってはいるが、その瞳には力が戻っている。 少し前の、空ろで、生を放棄した表情は見つけられない。 ジョジョは心の中で、安堵の息を吐いた。 ずっと注意して見てきたが、かがみは今のところ、順調に立ち直りつつあるように見える。 だが、油断は禁物だ。 (ンな簡単に気持ちの切り替えができりゃ、苦労しねーからなぁ) 戦闘経験においても、人生経験においても百戦錬磨のリサリサですら、 シーザーを失った時、感情の手綱を手放したのだ。 喪失の悲しみは、それほど甘いものではない。 いつまたなんどき、自己嫌悪と喪失の悲しみが、彼女を襲うかもしれない。 (まあそんときゃ、支えてやるのがオトコの役目ってやつだよなァ? シーザーよォォ? にゃにぃ? 俺に男を語るのは100年はぇぇ!? へへ~ん、俺はもう所帯持ちだもんネー。 参ったかコラ) 女ったらしだった友の面影を思い浮かべながら、ジョジョは友に語りかけた。 「……何、変な顔してんのよ?」 「Oh My God!! なんつーヒデーこと言うんだ、か・がーみん。 俺のピュアなハートに傷がついちまったらどうすんだ!?」 「心配しなくても、アンタの鋼鉄の心臓には、傷一つ付かないわよ」 鼻で笑いつつ、かがみが足を速める。 既にかなり速い速度で歩いているという自覚が、あるのかどうか。 (かがみんたらもぅ、頑張っちゃてまぁ~) 微笑ましさと痛ましさを同時に感じて、ジョセフはわずかに苦笑する。 この捜索を行っている間、彼女がどれほど目を皿のようにして辺りを見ていたか、 歩幅の違うジョセフに負けまいと、どれほど必死で歩いていたかを、彼は知っていた。 (な~んて、女の子観察して、余裕ぶっこいてる場合でもねーんだろうけどなァ……。 どうやって首輪をはずしゃいいのかぜんぜんわかんねーし、 あの爺さん達が、何で俺達をここに呼んだのかもわかんねーしィィ……。 けどなぁ~。くよくよ考えても仕方ないってのが、俺の生き方の原点だしなァ~。 シンジの野郎は、ど~してんのかねェ。ハッキングとやらは、進んでっかなァ?) 他力本願は本意ではないが、何でもかんでも自分でやれると考えるほど、 ジョセフという男は傲慢ではない。 任せるところは任せるしかない、そう割り切っているのである。 (肩の力ぬきゃいいのによォ~。かがみとかシーザーとか、責任感のつぇぇのは、 その辺ノーブレーキだから、厄介なんだよなぁ……) などと考えながら歩くうちに、S9駅が、再びジョセフの視界に飛び込んできた (またアレに乗るのかよ……。 けっこう面倒くせぇなぁ~、来るのを待ったり、乗ったり降りたりよォ) ゲンナリしつつ、ジョジョがため息をつきかけたその時。 ドドドドド……。 遠雷のような音が、ジョジョの鼓膜を揺るがした。 この音には、聞き覚えがある。 氷塊がジョジョの背を滑り落ちた。 (ま、マジィ――ッ!?) 冷や汗をかきつつ、 「かがみ!」 ただならぬジョジョの叫び声に、かがみの眉が上がる。 ドドドドドドドドドドドド…… 「ど、どうしたの?」 「説明してる暇はねェ――ッ! とにかく――」 「とにかく!?」 「逃げるんだよォォォ――――ッ!!」 スプリンター並のフォームで走りながら、ジョジョは叫んだ。 「わ、分かったわ」 すぐさま、かがみも走り始める。 だが、しかし―― ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…………… 黒い旋風が二人の前に回りこみ、一人の男が地面に降り立った。 「待たせたか?」 「……こりゃまた、お早いお着きですこと」 冷や汗が頬をつたうのを感じつつ、ジョセフは何とかそれだけを搾り出した。 中編 188 夜空ノムコウ 投下順 186 オラトリオ メサイア 第二部終章 時系列順 174 Double-Action ZX-Hayate form 綾崎ハヤテ 174 Double-Action ZX-Hayate form 村雨良 176 波紋の記憶 ジョセフ・ジョースター 176 波紋の記憶 柊かがみ
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こちらでは、あっきぃの旅の記(しるし)と散歩の記を紹介します。 海外、国内、身近な地域からお店案内まで、いろいろご紹介していく予定です。 【海外編】 (まだ記事がありません) 【国内編】 (まだ記事がありません) 【街角編】 (まだ記事がありません)