約 374,255 件
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou/pages/60.html
人物詳細 士郎とは同級生で中学からの数年来の友人。 プライドが高く他人をすぐに見下す悪癖があり、口も悪い。 士郎のことも何かと馬鹿にし、時には便利屋同然に扱うも、家に士郎を頻繁に招いたり、 裏では士郎を利用する人間に社会的制裁を食らわせるなど、歪んではいるが彼なりの一本筋や友情を持っている。 士郎は慎二の性格をそれなりに理解しており、交友関係が今に至るも続いているのは彼が歪んではいても腐ってはいないため (ただしあくまでも「一般人」としての表の顔の話)。 ルックスの良さから女子生徒に人気があるが、男の後輩部員をイジメで退部させるなどの問題を起こしている。 桜から偽臣の書(仮の令呪であり、本の形をしている)によってライダーへの命令権を借り受け、ライダーの仮マスターとして聖杯戦争に参加した。 間桐の家は数代前に魔術師として枯れており、彼自身に魔術回路は無いので、ライダーに命じて学校に結界を張らせ、無差別に生徒や教師から生命力を奪おうと画策する。 一般的な魔術師としては決して無能ではないものの、士郎や凛などの聖杯戦争参加者と比較すると格段に弱く、窮地に陥ると戦意を喪失するなど、臆病な面も見受けられる。 士郎と出会った頃はあまり歪んでおらず、魔術回路を持たずとも由緒正しい魔術師の家系に生まれ、魔術に関する知識を持っていることを誇りにしていたが、 養子に来た義妹である桜が彼に無いものを全て持っていたことと、彼が桜に向けていた憐みは実際は桜から向けられていたという事実を本編の数年前に知ってしまい、 以降強い劣等感を抱き歪んでいった。 特別な能力 魔術師として枯れており、彼自身に魔術回路は無い。 故に彼自身の能力は一般人のそれである。
https://w.atwiki.jp/animefate/pages/31.html
1つ物語を話そう―――。 これは「7人の英雄(サーヴァント)」と「7人の魔術師(マスター)」の物語だ。 数十年に一度現れるとされる、持ち主のあらゆる願いを叶える万能の願望機『聖杯』。 魔術師たちは自分こそが聖杯にふさわしいと示すため、それぞれがサーヴァントを召喚し、契約し、戦わせる。 これを魔術師たちは『聖杯戦争』と呼んだ。 過去、未来、異世界。様々な世界から呼び出された英雄たちは7つのクラスに振り分けられる。 セイバー(剣士の英霊)・アーチャー(弓の英霊)・ランサー(槍の英霊) ライダー(騎乗兵)・キャスター(魔術師)・バーサーカー(狂戦士)・アサシン(暗殺者) 他の六組が排除され、最後に残った一組にのみ、聖杯を手にし、願いを叶える権利が与えられる。 聖杯を手にできるのはただ一組、ゆえに彼らは最後の一組となるまで互いに殺し合う。 だが全ての魔術師を皆殺しにする必要はない。 サーヴァントのみを倒し、マスターの証しである令呪を失わせることでも対戦者を退場させることが可能になっている。 またサーヴァントを失ったマスターと、マスターを失ったサーヴァントが契約し再び参戦する事も可能。 その身に宿ったサーヴァントを律する鎖、3つの絶対命令権『令呪』が喪失するまで何度でも挑戦するがいい。 聖杯は求める者に必ずや与えられる。 ―――さぁ、契約の刻は来た。 7人のサーヴァントから1人を選び共に勝ち抜け。敵サーヴァントの正体を探り、決戦に備えよ。 その絆が増すごとに、勝利は確かなものとなる。 これより君は数多の魔術師と出会い、時に仲間として、時に敵として戦うことになるだろう。 血を流しながら進むのか―――、手を取りながら進むのか―――。 生き残るのはただ一人。英雄たちを使役し、聖杯戦争を勝ち抜け。 ※ネットワーク対戦型RPG『Apocrypha(アポクリファ)』、STORYより一部抜粋。
https://w.atwiki.jp/tokyograil/pages/199.html
【クラス】 アドルフ・ヒトラー(ニャルラトホテプ)@ペルソナ2罪 【真名】 ランサー 【パラメーター】 筋力D 耐久D 敏捷D 魔力A 幸運A+++ 宝具EX 【属性】 混沌・悪 【クラススキル】 対魔力:A+ Aランク以下の魔術を完全に無効化する。 神の御子を手にしたヒトラーは、神の御子と同等の対魔力を持つ。 事実上、現代の魔術師ではヒトラーを傷つけることは出来ない。 【保有スキル】 カリスマ:A+ 大軍団を指揮・統率する才能。 カール・グスタフ・ユングは「ヒトラーの力は政治的なものではなく、魔術である」と語っている。 人間観察:EX 人々を観察し、理解する技術。 人類の影であるニャルラトホテプは、本人が否定したい、隠したい部分も含めた全てを把握している。 しかしその性質故に、希望や創造性を決して認める事はない。 月に吠えるもの:- 無貌であるはずのニャルラトホテプが聖杯戦争においてアドルフ・ヒトラーの仮面を被せられたことで生じたスキル。 普遍的無意識に存在する、神や悪魔の姿をした人格。 あるいは、ニャルラトホテプの一側面。 自らの化身の一つである『月に吠えるもの』を行使する。 ごく限定的に後述の宝具を使用できる。 具体的に言えば、『ニャルラトホテプが被ったヒトラーの仮面』に属する集団・逸話を召喚、模倣できる。 【宝具】 『神聖魔槍・失楽園(ロンギヌス・オリジナル)』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:2~5 最大捕捉:1人 アドルフ・ヒトラーが生涯の探索の末に手にした、神の御子の処刑に用いられ聖痕の一つを創りだした槍。 この宝具において傷を負った者は、永遠に治らぬ傷が創りあげられる。 それが高い神性を誇る者の場合、血を流し続けるという神秘的な概念性の毒は強さを持つ。 また、この槍を持って殺害された者はより上等な神秘を持ってしなければ蘇生されない。 『這い寄る混沌(ニャルラトホテプ)』 ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1~999 最大捕捉:1000人 アドルフ・ヒトラーの仮面の奥に潜む、人々の普遍的無意識の世界に潜むニャルラトホテプという存在そのもの。 『意思』というものが全ての意味を持つ普遍的無意識の世界が存在する場合、ニャルラトホテプは全能の力を持つ。 それはニャルラトホテプが望めば世界の創造すらも容易く可能とするほどである。 ニャルラトホテプは全ての人間が抱え持つ影そのものである、正しく人間の考える『邪悪の権化』である。 人が己の中の影を見つめ続けない限り、ニャルラトホテプは悪意によって願望を叶え続ける。 すなわち、世界以外を嘲り笑うニャルラトホテプそのものが最悪の形で顕現し続ける『万能の願望器』なのである。 スキル:月の吠えるものによって限定的に一部を使用できるが、 聖杯戦争が聖杯戦争であり続ける限り、完全に聖杯の枠組みを超越した能力であるため使用不能。 【weapon】 宝具である聖槍ロンギヌス 【人物背景】 アドルフ・ヒトラーは第一次世界大戦~第二次世界大戦期において世界を混乱の渦に貶めた、大きな一因。 ゲルマンドイツを巧みな政治手腕によって支配し、第三帝国を名乗りヨーロッパを蹂躙した。 そんな男の仮面を被った、這い寄る混沌・ニャルラトホテプ。 全ての人間の意識が眠る普遍的無意識の海に生じたダークサイドの権化。 ニャルラトホテプは全ての人間が抱え持つ影そのものである為、人が人である限り絶対に滅ぼせない。 ニャルラトホテプに対抗する手段はただ一つ。 「全てを受け入れた上で、決して諦めないこと」である。
https://w.atwiki.jp/outerzone/pages/221.html
「まさか私が防衛装置として召喚されるなんてね……」 とあるビルの屋上に水色の髪の少女がいた。 彼女の名前はシノン。今回の聖杯戦争で防衛装置として聖杯本体に召喚されたガンナーのサーヴァントである。聖杯のある場所を知っているサーヴァントのひとりである。 「それにしてもこの聖杯戦争はなにかおかしい……」 シノンは今回の聖杯戦争の異変を感じていた。 「とりあえず……私は自分の役目を果たせばいいかな?」 彼女の聖杯戦争はどうなるのか……? 【防衛装置】 聖杯が防衛装置として召喚したサーヴァント。 防衛装置として召喚されたサーヴァントはルーラーと同じマスターを持ったない。 聖杯を守るのがそのサーヴァントの役目である。 【サーヴァント】 【クラス】 ガンナー 【真名】 シノン『朝田詩乃』 【性別】 女性 【出典】 ソードアート・オンライン 【ステータス】 筋力C 耐久C 敏捷B 魔力B 幸運C 宝具A 【属性】 中立・善 【クラス別能力】 対魔力:B 魔術発動における詩唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術、儀礼呪法等をもってしても、傷つけるのは難しい。 単独行動:A マスターから魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクAならば、マスターを失っても一週間は現界可能。 【保有スキル】 戦闘続行:A 最後まで大切な人たちのために戦い続けた彼女の逸話が昇格したスキル。 【宝具】 『スーパーアカウント02 太陽神ソルス』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1~100 最大補足:1000人 アンダーワールドで彼女が使用したスーパーアカウント。太陽神ソルスの姿になれる。 神器で矢を一射するだけで強力な一撃を与えることが可能。だか連発は不可能である。 無制限飛行が可能になっている。 【人物背景】 『ソードアート・オンライン』の『ファントム・バレット編』の登場人物。 本名は『朝田詩乃』。 『シノン』という名前は彼女が仮想空間ゲームで名乗ってた名前。 『ガンゲイル・オンライン』と呼ばれる仮想空間ゲーム、略称して『GGO』の世界ではスナイパーとして活躍するトッププレイヤー。 『死銃事件』を解決するために『GGO』の世界に現れた主人公『キリト』と出会い、事件解決に協力している。事件解決後は『キリト』やその仲間たちとも仲良くなっている。 実は現実世界の彼女は幼い頃に事故で父親を亡くしている。さらに11歳の頃には母親を強盗犯から守ろうとしてその犯人を射殺してしまい、銃器に対するトラウマを持ってしまう。『GGO』をはじめたのもそれを克服するためである。 『死銃事件』解決後は自分の過去と向き合い 前に進み出す決意をする。 【サーヴァントとしての願い】 特になし。聖杯戦争を見守る。 【方針】 防衛装置としての役目を果たしながら聖杯戦争を見守る。 【把握素体】 原作小説及び、アニメ2期&3期&劇場版。
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/234.html
Fate/hollow night◆ysja5Nyqn6 01/back to the stay night ――――目眩がした。 欠けた夢を、見ていたようだ。 “月を望む聖杯戦争”。 衛宮士郎(オレ)はいつの間にか、そう呼ばれる戦いに参加していた。 そこに俺の意思など関係はなかった。気が付けばすべてを忘れて、予選に参加させられていたのだ。 今でこそすべてを思い出してはいるが、それはまるで、夢を見ているような感覚だった。 ……いや、その感覚は、こうして目覚めた今も続いている。 「―――問おう。貴方が、私のマスターか」 凛とした声が響く。 たったそれだけで、無理矢理招かれた事などどうでもよくなった。 それほどまでに、俺は目の前で佇む少女に目を奪われていた。 それを知ってか知らずか。少女はかつての再現のように、その言葉を続けた。 「サーヴァント・セイバー、召喚に従い参上した。 ―――これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある。 ――――ここに、契約は完了した」 その姿を、覚えている。 僅かに振り向く横顔。どこまでも穏やかな聖緑の瞳。 たとえ地獄に落ちようと、鮮明に思い返すことが出来と確信した、その姿。 ―――空には白銀に輝く真円の月。 静謐なる静寂の中、かつて騎士王と謳われた少女が、月の光に照らされていた。 † 「―――シロウ、“目は覚めましたか”?」 「あ、ああ。大丈夫、一応全部思い出した。 わるい、セイバー。心配かけちまったみたいだな」 俺の状態を確認するように、セイバーが声をかけてきた。 その声にはっと現実に立ち返り、慌ててそう答える。 「いいえ、かまいません。 シロウが周囲を心配させるのは、いつもの事ですから」 セイバーはそう言って、呆れたように小さく笑みを溢した。 「む……」 その言葉に若干の反感を覚える。が、反論の余地はないので押し黙る。 彼女の言う通り、自分が無茶をしてきた自覚はあるし、その無茶をフォローしてくれたのは主にセイバーだ。 下手に反論しては、どんなしっぺ返しが帰ってくるかわかった者じゃない。 それに――― 「それに、貴方が私を心配させるとしたら、それはこれからでしょう。 今のこの状況を、貴方が良しと出来る筈がないのだから」 「……………………」 さすがセイバー。衛宮士郎(オレ)のことをよく知っている。 「ああ、そうだな。……俺はこの聖杯戦争を止めるつもりだ」 もしこの聖杯戦争が、周囲に迷惑を掛けず、単なる魔術師同士の争いで終わるのなら、止めようとは思わなかったかもしれない。 なぜなら魔術師である、という事は常識から離れているという事であり、魔術師の本質は生ではなく死である。 死ぬ時は死に、殺す時は殺す。魔術とは、自らを滅ぼす道に他ならない。 そして相手が同じ魔術師なら、殺すことに抵抗はない―――それが俺の教わった、魔術師の初歩だからだ。 俺がするとしたらそれは、無用な被害が出ないように立ち回ることくらいだっただろう。 だがこの聖杯戦争は違う。 俺はこの聖杯戦争に、自分の意思とは関係なく強制的に参加させられた。 ならばどうして、他に同じように強制参加させられたマスターがいないなどと言えよう。 仮にも“正義の味方”を目指している以上、そんな巻き込まれてしまった人たちを見捨てるようなマネはできない。 「きっとまた、セイバーに何度も迷惑をかける事になると思う。 それでも良ければ、俺に協力してくれないか、セイバー?」 セイバーをまっすぐに見つめて、そう頼み込む。 自身の無力さは身に染みている。この聖杯戦争は、俺一人だけではどうすることもできない。 聖杯戦争を止めるには、サーヴァントであるセイバーの協力が必要だ。 「……まったく。やはりと言うべきか、貴方ならそう言うだろうと思っていました」 セイバーはため息を吐きながら、呆れ調でそう口にした。 そしてそのまま、ですが、と言葉を続ける。 「元より我が剣は貴方に預けています。貴方がそれを望むのであれば、是非もありません。 それに無辜の民、覚悟のない者を戦場に狩り立てるのは、私としても本意ではありませんしね」 「セイバー」 「行きましょう、シロウ。何をするにしても、まずは拠点を定めなくては」 セイバーはそう言って、再現された夜の街へと向けて歩き始める。 「ああ、そうだな」 その頼もしい背中を見つめながら、そう口にして彼女に続いて歩き出そうとして、 「――――え?」 セイバーが一瞬、彼女を象徴する青い衣ではなく、何か別の、黒い戦装束に身を包んでいるように見えた。 「どうしました、シロウ? 何かありましたか?」 「い、いや……何でもない。すぐ行く」 立ち止まったままの俺を不審に思ったのだろう。 そう振り返るセイバーは、いつもの紺碧と白銀の戦装束に身を包んでいる。 「気のせい……だよな。やっぱり」 たぶん、月の光で目が眩んだのだろう。 ネガポジが反転したように、一瞬だけ彼女の姿が黒く見えてしまったのだ。 「行こう、セイバー。 少しでも早く、こんな戦いを止めるために」 錯覚を振り払うようにそう口にして、セイバーと並んで歩き出す。 聖杯戦争は始まったばかりだ。 これから起こる戦いで、きっと何人ものマスターが散っていくだろう。その中には当然、無理矢理招かれたマスターもいるはずだ。 そういったマスターたちを助けるためにも、俺は、この聖杯戦争を止めなくては。 02/ Heaven’s Feel hollow night 「―――とまあ、こんな感じで“表”のオレたちの顔合わせは済んだわけだけど、」 不意にそう口にして、衛宮士郎(オレ)は目の前の少女へと声をかける。 「アンタのほうは何か思う所はあるかい、裏側の……いや、“本物のセイバー”?」 「――――――――」 “黒色の戦装束”を纏ったセイバーはその質問を黙殺し、冷たく押し殺した殺意だけをオレへと向けてくる。 実のところ、このセイバーは衛宮士郎がよく知る清廉なる騎士王ではない。 ある平行世界で『この世全ての悪(アンリ・マユ)』に呪われ黒化した、冷酷なる暴君である。 先ほどまで本来の騎士王としての姿をしていたのは、まあオレとの“契約”による特典みたいなものだろう。 「ケケ、嫌われたもんだねぇ。 ま、それも当然か。アンタからしてみれば、オレのこの姿はアンタの本来のマスターを侮辱しているようなもんだろうしな」 「よく回る口だ。だが程度を弁えぬのなら、喋れぬようその咽喉を切り裂くぞ」 セイバーはその金色の瞳に殺意を籠め、オレを射殺さんばかりに睨み付けてくる。 ―――死んだ。 もし視線で人を殺せるのなら、今ので軽く三回は死んだだろう。 彼女は本気で、それほどの殺意を籠めて口にしていた。 それが成されなかったのは単に、仮にもオレが彼女のマスターであるからに過ぎない。 「随分と物騒だなセイバー。聖杯戦争において、サーヴァントとマスターの相互理解は重要だぜ」 「貴様がそれを口にするか、“アヴェンジャー”。他者の殻を被るか、憎悪(のろい)を以てでしか世界(ヒト)と関われぬ道化が」 ―――アヴェンジャー。 たった今、セイバーは衛宮士郎(オレ)を指してそう呼んだ。 それは間違いではない。確かにオレは、存在しない第八のサーヴァントであると言える。 今ここにいる衛宮士郎(オレ)は、その実衛宮士郎本人ではなく、今回現界するにあたりその殻を被っただけの偽物なのだ。 第三次聖杯戦争においてアインツベルンによって召喚され、そして僅か四日で敗退したサーヴァント。 真名をアンリマユ。拝火教においてこの世の全ての悪を担う悪魔、その名を押し付けられた、ただの脆弱な人間。 そして大聖杯の中で、ようやく人々の願った存在として新生できた、人の悪性の極地。 それが今ここにいるオレの正体だ。 だが同時に、セイバーの言葉は決して正しくもなかった。 「おいおいセイバー。オレをそのクラス名で呼ぶのはおかしいぜ。 何しろオレは、アンタのマスターとして召喚されたんだからな」 「……………………」 オレの言葉にセイバーは、湧き上がる苛立ちを抑え込むように沈黙する。 そう、今のオレはアヴェンジャーではない。あえて言うのなら、クラス・マスターのサーヴァント。 この“月を望む聖杯戦争”の参加者として選ばれた、セイバーのマスターとして召喚された存在なのだ。 そしてサーヴァントを召喚する条件は、記憶を取り戻すこと。 つまり実際に予選を経験していたのは、衛宮士郎(オレ)ではなくセイバーだったのだ。 ちなみに衛宮士郎が参加していた予選の記憶は、“表側”を演じるための偽物の記憶だったりする。 ―――ことの発端は、“サーヴァントとして使役されていた”セイバーが、この聖杯戦争に参加したことにあった。 ある戦いの後、彼女は大空洞内にあった『ゴルフェの木片』に接触したことで、この聖杯戦争に参加する資格を得た。 だが参加資格を得ることと、実際に参加できることは違う。たとえ資格を得ていようと、本来使役中のサーヴァントがこの聖杯戦争に召喚されることはない。 なぜなら同じサーヴァントならば、既に召喚された存在を参加させるよりも、英霊の座から新たに召喚する方が遥かに安全だからだ。 何しろどこからも不満が出ない。 マスターとの仲が悪く、状況も悪いのであればいざ知らず、もしこれが関係は良好、勝利も目前な状態で召喚されれば、そのサーヴァントの参加していた聖杯戦争は破綻する。 マスターはサーヴァントを失って無条件で敗退するし、目前だった聖杯を逃したサーヴァントが反旗を翻すことも目に見えている。 たとえ手段としては簡単であっても、結果として生じるデメリットが大き過ぎるのだ。 故に原則として、サーヴァントは座からのみ召喚されるのだ。 しかしセイバーは使役されていた状態からこの聖杯戦争に参加した。 それを可能とした理由は、大きく分けて三つ。 一、セイバーが厳密には、死者ではなく生者の区分にあること。 二、黒化の影響で受肉したことにより、より生者に近しくなっていたこと。 三、彼女が生きている内に聖杯を手にする、という英霊の契約を交わしていたこと。 これらの理由により、セイバーは一人の生者として認められ、この聖杯戦争に参加することを可能としたのだ。 しかし、ここで問題が生じた。 いかに参加者として認められようと、現在のセイバーはあくまでもサーヴァントだ。 そしてサーヴァントには、魔力を供給するマスターが必要となる。 そこでムーン・セルは、セイバーにマスターとなる存在を宛がった。 即ち、オレだ。 形のない『無』であるオレに衛宮士郎の殻を被せ、彼女のマスターとして仕立て上げたのだ。 それが可能だったのは、セイバーが受肉し依代を不要としていたことと、 オレが『繰り返す四日間』の日常側において、「セイバーのマスターである衛宮士郎」の殻を被っていたからだろう。 本質的にはサーヴァントでありながら、マスターとしての側面も持つ存在。 それ故にオレは、衛宮士郎として行動する限りにおいて、魔力を自己生成し、セイバーへ供給することを可能としていた。 そうして、契約は果たされた。 聖杯戦争の参加者となった生者(サーヴァント)と、そいつに召喚された憐れな死者(マスター)。 そんな、色々な意味で反転した主従が誕生することになったのだ。 ホント、おかしな関係である。 天の逆月――堕天(ヘブンズ・フォール)とでも言うべきか。 その関係も、その属性も、その在り方も、全てが地上(ほんらい)の聖杯戦争とは逆さまだ。 まあこれが“月を望む聖杯戦争”である以上、ある意味において相応しい関係だと言えるだろう。 ………ただ一つ、どうしても分からない事があるとすれば。 それはオレがマスターに選ばれた理由だろうか。 この聖杯戦争に参戦したいと願うマスターは数多くいる。 そうでなくても、『ゴルフェの木片』に接触して資格を得た連中だっている。 ならばそいつ等の内の誰か一人をセイバーのマスターにしてもよかったはずだ。 だというのにムーン・セルは、わざわざオレをマスターに仕立て上げた。 それにどんな意味や理由があるのか、それだけがどうしても理解できなかった。 ただまあ、それは今考えたところでしょうがないし、聖杯戦争を勝ち抜いていけば分かることだ。 それに分からなかったとしても別に問題はない。 オレはただセイバーのマスター(エミヤシロウ)として行動し、その合間に“オレ”の役割を果たせればいい。 幸いにして、その機会はきちんと用意されている。 この聖杯戦争には、無力な弱者を喰い潰してでも聖杯が欲しいと願うマスターがそれなりにいる。そんな連中を殺す分には、衛宮士郎もそう文句は言わないだろう。 「ま、そんなワケだから、少しずつでも仲良くしていこうぜ、セイバー」 「……仕方あるまい。貴様がマスターとしての役割を果たす限りにおいては、その減らず口も見逃してやろう」 「お、ラッキー。早速一歩前進だ。やったね!」 「……………………」 セイバーは苛立たしげに眉を顰めると、その顔をバイザーで覆ってしまう。 同時にその戦装束が、漆黒から青色へと偽装される。 これ以上、オレと会話をするつもりはない、という事だろう。 なら、こちらも本性を見せている理由はない。 表向き、衛宮士郎に成りきって行動する。 彼女が内心でどう思っていようと、今のオレは衛宮士郎そのものだ。違いはどこにもありはしない。 なので、無理矢理参加させられた人達を助けようなどと、それらしい事を考えながら、衛宮士郎(オレ)はセイバーの横に並び立った。 頭上には孔のような真円の月。 杯のような輪郭は、まるで、そこにくべられる蜜を待ち望んでいるようだった。 「行こう、セイバー。 少しでも早く、こんな戦いを止めるために」 さあ、聖杯戦争を続けよう、アルトリア・ペンドラゴン。 ――――今度こそ、君の誓いを果たす為に。 00/END 「セイ、バー――――…………!!!!!!」 左右から繰り出された双剣。 爆撃めいたその一撃は、彼女の鎧を貫通して胴を薙ぎ払った。 紛れもなく致命傷だった。 その身がサーヴァントではなく、自然治癒の力が備わっていなければ、確実に即死していただろう。 そんな、人の身でサーヴァントを倒すという偉業を、彼女の本来のマスターは成し遂げて見せた。 「は……あ――――強くなりましたね、シロウ」 彼女にとって、それは心からの賞賛だった。 自分の代わりに戦うなどと、あまりにも無謀なことを口にした未熟な少年。 そんな彼が、本気の彼女と戦い、打倒し、後は止めを残すところまで来たのだ。嬉しくないはずがなかった。 「……いえ、それは違いましたね。貴方は、始めから強かった」 そう。彼は初めから強かった。 サーヴァントを失い、片腕を失い、かつての味方が敵として立ちはだかろうとも、決して諦めず一人の少女のために戦い抜いたその心。 たとえその意思が歪なものであったとしても、その強さを認めないわけにはいかないだろう。 「さあ、決着をつけてください。急がなければ、私の体は再生する」 倒れ伏す少年へと彼女は告げた。 傷は紛れもなく致命傷。いかに強力な再生機構を持とうと、あと数分は何もできない。 あとはとどめを残すだけ。その介錯を、彼女は少年に願った。 少年をその手に掛けてしまうくらいならば、その前に彼の手で、この命を終わらせて欲しかったのだ。 ………だが。 「――――――――」 「…………シロウ?」 彼女のその願いは、叶わなかった。 限界を超えた力の代償。 最後の一撃を放った時点で、少年はどうしようもないほどに終わっていたのだ。 「――――では、私の勝ちですね、シロウ」 呟く声に感情はなかった。 きっと慣れていたからだろう。 彼女とて国を救うために、村の一つを干上がらせ、そうして得た糧であまりにも多くの敵を斬り伏せてきた。 それが英雄というものだ。 いまさら人一人を死に追いやったところで、思う所がある筈もない。 今回はその相手が、自分の本来の主であったというだけの事に過ぎないのだ。 故に、涙は流れなかった。 この聖杯戦争の結末にも、もはや関心はなかった。 彼女の胸に去来していたのは、小さな哀れみと、より確かなカタチで懐いた、自らの願いだけだ。 少女――アルトリアは、王の選定をやり直すためにサーヴァントとなった。 聖剣を抜いてしまった時、国を救えなかった自分ではなく、国を救えた筈の相応しい王がいた筈だ。 故に、王の選定をやり直すことが出来るのなら、きっと国を救うこともできるはずだ、と。 そう、私は国を救えなかった。 そんな私をサーヴァントとした少年も、自らが死に追いやった。 つまるところ、私は王に相応しくなかった。王となるべきは、やはり私ではなかったのだ。 故に、私の願いは変わらない。 王の選定をやり直し、全ての運命を変える。 真に王に相応しい英雄であれば、国も、彼の事も救える筈だ。 そうして運命を覆し、国の亡びも、聖杯戦争の結末も、何もかもをやり直す。 それが仮にも王であった私の、彼のサーヴァントであった私の、残された最後の責務だろう。 ……ただ、それでも。 「―――問おう。貴方が、私のマスターか」 この身が呪われたままであっても。 この再会が偽りであったとしても。 「サーヴァント・セイバー、召喚に従い参上した。 これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある。――――ここに、契約は完了した」 この虚ろな夢に微睡むことくらいは、今の私にも、赦されるだろうか。 【クラス】セイバー 【真名】アルトリア 【出展】Fate/stay night 【参加方法】 大空洞内にあった『ゴフェルの木片』と接触。 大聖杯を通じて自ら召喚に応じた。 【パラメーター】 筋力:B 耐久:B 敏捷:D 魔力:B 幸運:B 宝具:A++ ↓偽装時 筋力:B 耐久:C 敏捷:C 魔力:B 幸運:B 宝具:C 【属性】 秩序・悪(偽装時は、秩序・善) 【クラススキル】 対魔力:B、騎乗:‐(偽装時は、対魔力:A、騎乗:C) 【保有スキル】 直感:B、魔力放出:A、カリスマ:E(偽装時は、直感:A、魔力放出:A、カリスマ:C) 【宝具】 『風王結界(インビジブル・エア)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大補足:1個 セイバーの剣を覆う、風で出来た第二の鞘。厳密には宝具というより魔術に該当する。 幾重にも重なる空気の層が屈折率を変えることで、覆った物を透明化させることが出来る。 透明化された武器はその間合いを把握することが困難になるため、白兵戦では非常に有効な武器となる。 ただし、あくまで視覚に対する効果であるため、幻覚耐性や「心眼(偽)」などのスキルを持つ相手には効果が薄い。 また風で覆う対象は剣に限らず、オートバイに纏わせて空気抵抗を削減させたり、ビルをも覆う風の防御壁にしたりすることも可能。 セイバーの場合は基本的に聖剣を覆い不可視の剣としているが、透明化は副次的な役割であり、その本質は彼女の余りにも有名すぎる剣を隠すためのもの。 また纏わせた風を解放することで、「風王鉄槌(ストライク・エア)」という破壊力を伴った暴風として撃ち出す技ともなる。 ただし、一度解放すると再び風を集束させるのに多少時間を要するため、連発はできない。 『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』 ランクA++ 種別:対城宝具 レンジ1~99 最大補足1000人 生前のアーサー王が、一時的に妖精「湖の乙女」から授かった聖剣。 人ではなく星に鍛えられた神造兵装。聖剣というカテゴリーの中で頂点に位置し、「空想の身でありながら最強」とも称される。 神霊レベルの魔術行使を可能とし、所有者の魔力を光に変換、集束・加速させることで運動量を増大させ、光の断層による「究極の斬撃」として放つ。 攻撃判定があるのは光の斬撃の先端のみだが、その莫大な魔力の斬撃が通り過ぎた後には高熱が発生するため、結果的に光の帯のように見える。 ただし、黒化したセイバーが担うこの聖剣は、使い手の魔力を光に変換、集束・加速させるという作用の影響で、剣身や放たれる極光も黒く染まっている。 「聖剣」と呼ばれながらも黒化の影響を受け入れるのは、この宝具そのものが守り手である湖の乙女と同じく善悪両面の属性を有するため。 それ故か、この状態であっても聖剣としての格は全く喪失していない。 【weapon】 『エクスカリバー・モルガン』 セイバーが黒化した影響により、もう一つの側面である闇に染まった聖剣。 たとえ自身を黒化前に偽装していようとこの聖剣を誤魔化すことは出来ず、その刀身は禍々しい黒色となっている。 そのため、『風王結界』によって剣を隠す意味合いがより大きくなっている。 【人物背景】 通称セイバー・オルタ。 衛宮士郎のサーヴァントであったセイバー(アルトリア)が、アンリマユの影に汚染され黒化した存在。 HFルートにおいて、最強の敵として士郎たちの前に立ち塞がる。 【サーヴァントとしての願い】 王の選定も、聖杯戦争も、何もかもをやり直す。 【運用法】 マスターの影響により、黒化する前の自分へと偽装することが可能となっている。 アヴェンジャーが衛宮士郎に成りきれるように、現在の彼女も意識的に自己を反転させることが出来るのだ。 ただし、それはあくまでも偽装であり、主体が黒化した状態のセイバーであることに変わりはない(そのため偽装中でもクセ毛がない)。 また偽装状態であっても黒化の影響がなくなるわけではなく、騎乗、直感、カリスマといった精神系スキルがランクダウンしている。 さらには受肉し霊体化もできなくなっているが、セイバーはもとより霊体化が出来ない。 そのため依代が不要になり、彼女を維持するための魔力消費がゼロとなっただけである(ただし、戦闘の際にはマスターによるバックアップが必要)。 基本的な運用方法はどちらの状態でもほぼ同じ。 あえて区別するならば、偽装時は対魔術師や俊敏さを必要とする戦闘に、黒化時は近接戦闘に向いていると言える。 また魔力消費などマスターの負担を考慮しないのであれば、全ての能力値をワンランクアップさせることが出来る。 これは黒化の影響によるものであり、狂化スキルによる能力上昇とは異なる(本来の能力を超えた強化はできない)。 なお、聖剣の開放など膨大魔力を使用する場合には偽装を保つことが出来ず、黒化した彼女の姿が露わになってしまう。 【基本戦術、方針】 基本的には偽装状態で行動。シロウの方針に従い、強制参加させられたマスターの保護のために動く。 しかし可能であれば敵サーヴァントを倒し、必要であれば偽装も解く。 そして最終的には聖杯を手に入れ、全てをやり直す。 【マスター】衛宮士郎(アヴェンジャー) 【出展】Fate/hollow ataraxia 【参加方法】セイバーが参加者となったことにより、彼女のマスターとして召喚された。 【マスターとしての願い】 聖杯に託す願いはない。 強いて言えば、強制参加させられたマスターを保護し、聖杯戦争を止める事が願い。 ただしこれは衛宮士郎としてのものであり、アヴェンジャーとしての願いは不明。 【weapon】 『投影宝具』 衛宮士郎の武装。 投影魔術によって作り出した武装。 カリバーン、干将・莫邪といった宝具が代表的。 『右歯噛咬(ザリチェ)・左歯噛咬(タルウィ)』 アヴェンジャーの武装。投影という形でなら衛宮士郎も使用可能。 現界する際の元となった人物の特徴が色濃く出た、奇形の双剣。 刀剣砕き(ソードブレイカー)であり、切り裂くための武器ではなく、敵の武器を拘束する為の牙。 【能力・技能】 「セイバーのマスターの衛宮士郎」として召喚されたため、衛宮士郎と同程度の能力しかなく、分類的にはEXTRA主人公やありすなどの網霊(サイバーゴースト)に近い。 また同様の理由で、アヴェンジャーとしての能力や宝具が使用可能かどうかも不明。少なくとも、完全に衛宮士郎として行動している間は使用できない。 『投影魔術』 衛宮士郎の魔術。 想像理念、基本骨子、構成材質、製作技術、成長経験、蓄積年月の再現による物質投影。 それが「剣」であるのならば、いかなる武装でも複製できるが、彼自身の技量が未熟ため、完全な投影が出来ないものもある。 これは衛宮士郎本来の魔術である固有結界“無限の剣製”から零れ落ちたものだが、衛宮士郎の生成できる魔力量では起動させることが出来ないため除外する。 『偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)』 アヴェンジャーの宝具。本人曰く「傷を負わねば攻撃できない、クソッタレの三流宝具」。 ゾロアスター教経典「アヴェスター」の写本であり、「報復」という原初の呪い。自分の傷を、傷を負わせた相手の魂に写し共有する。 仮に右腕がなくなった場合にこの宝具を使うと、相手の右腕が同様に吹き飛ぶことはないが、感覚がなくなり、動かすことも出来なくなる。 条件さえ満たせば、高い魔術耐性を持つサーヴァントであっても問答無用で適用でき、また「共有」であるため、アヴェンジャーが自身の傷を癒さない限り、相手の傷も癒えることはない。 しかし、発動は対象一人に対して一度きり、放つのは自動ではなく任意発動。自分が軽傷ならば敵にもさしたる効果は与えられず、かつ今後同じ相手には使えなくなり、一方、致命傷を受ければ使う前に自分が死亡してしまうので発動できない。 使いどころが非常に難しい上、互いに重傷を負って動けないという困った状況が出来る。 ただし、足止め用としての性能はこの上なく高いため、止めを刺せる相棒と組めば、それなりの効果を発揮する。 『対人間(?)』 アヴェンジャーのスキル。 本人曰く、「英霊クラスの超人であろうと、人間である限り俺には勝てない」。 詳細は不明だが、おそらくセイヴァーのクラススキル「対英雄」に類するスキルの究極系であろうと思われる。 【人物背景】 「Fate/hollow ataraxia」の主人公。 繰り返す四日間の中で、謎の聖杯戦争の真相を探る。 厳密には、この衛宮士郎は「アヴェンジャーが士郎の殻を被ったもの」であり、士郎本人とは違う。 とはいっても、もともとのアヴェンジャーは虚無のものであるため、確たる性格というものはない。 そのため、彼本来の好奇心や夢など根底的な衝動などを除けば、その性格は衛宮士郎の暗黒面を現出させたものに等しい。 ちなみに“殻をかぶる”と表現されてはいるが、厳密に言うと本物の衛宮士郎との同化に近く、衛宮士郎として行動するときは完全になりきっている。 なおアヴェンジャーの持つ武装や宝具は現在の姿を形作った際に得たもので、元となった人物の特徴が色濃く出ている。 真名は「アンリマユ」。 この世全ての悪なるものを肯定する反英雄の極地であり、もとはその役割を一身に背負わされ、延々と蔑まれ、疎まれ続けた結果、「そういうもの」になってしまった普通の人間。 生まれ育った村の呪いによって、人間であった頃の名前は世界から喪失している。 決まった姿や人格を有せず、本来は人型の影として活動する。 今回はhollow時点での姿、すなわち「セイバーのマスターの衛宮士郎」という殻をかぶって召喚された。 【方針】 基本的に衛宮士郎として行動する。つまり、強制参加させられたマスターを保護し、聖杯戦争を止める。 セイバー・オルタからの指示があった場合は、一応その指示に従い、アヴェンジャーとして行動する。 アヴェンジャー個人としての行動方針は不明。あえて言うなら、自分が召喚された理由の解明。 【備考】 ※予選中のセイバーの設定は、学園の風紀委員であった模様。 ※令呪は衛宮士郎の左手にあるが、セイバーが召喚したという形式のためか、形状はマスターアルトリアのものとなっている。
https://w.atwiki.jp/nijiseihaitaisen/pages/59.html
【ルール】 版権キャラによる聖杯戦争を行うリレー小説です。 参加者は『白(月)』の陣営と『黒(地球)』の陣営に分かれて10騎VS10騎での団体戦を行います。 最終的にどちらかの陣営のサーヴァントが全滅した場合に勝利陣営の判定が行われ、聖杯がその姿を現します。 【設定】 舞台はムーンセル・オートマトン内に再現された冬木市です。ですが、再現の際に(あるいはもっと前から)『冬木の聖杯』を再現してしまったことにより、冬木の聖杯による侵食状態にあります。 冬木市内には参加者の記憶から再現された施設なども存在しています。また、日常生活を送るNPCが居住しています。 聖杯戦争への参加資格は『月の石』を所持していることですが、割とその辺は適当でいいと思います。 『教会』は非戦闘ゾーンとして存在し、中には管理用NPCが存在しています。 サーヴァントを撃破されたマスターは、その後もムーンセルに残ります。その際にマスターのいないサーヴァントと出会った場合は再契約が可能です。ただし、聖杯戦争終了後にサーヴァントのいないマスターがどうなるかは不明です。 令呪を全て失ってもマスターが排除されることはありませんが、サーヴァントを失った場合の再契約は令呪が残っていないと行えません。 全ての参加者は、サーヴァントが召喚された時にムーンセルから携帯端末を渡されています。 昼の0時及び夜の0時に、携帯端末にデータを流す形で放送を行います。 携帯端末からサーヴァントの真名の検索を行うことができます。ただし精度は悪く、かなり詳細なキーワードを入力しなければ(要するに、Fate/EXTRAレベルの考察が必要)真名は出ず、エラーだけを返します。 【陣営戦のルール】 マスターとサーヴァントがどちらの陣営であるかは令呪あるいはサーヴァントを視認することで確認可能。ただし、偽装に長けたマスターあるいはサーヴァントならば隠蔽あるいは偽装ができる可能性がある。 味方陣営への攻撃を行ってもペナルティなどはありません。 【陣営の移動について】 以下の条件が満たされている場合、陣営の移動が可能。 相手陣営の対応するサーヴァントが脱落している。(セイバーの場合脱落しているのは一騎でよい。エクストラクラスの場合も同様) 両陣営のルーラーと、移動する陣営のマスターが最低でも一人その場で同意した場合。 また、サーヴァントが脱落したマスターが他のサーヴァントと契約した場合、所属はサーヴァントの陣営となる。 【ルーラーについて】 『黒』のルーラーはセイバーオルタ@Fate/stay night、『白』のルーラーはセイバーリリィ@Fate/unlimited code。 ルーラーは原作通り全ての組への令呪を二つ所持している。 ルーラーが参加者にペナルティを与える要因は、「ルール違反」、「NPCを一度に大量に殺害する」、「冬木市の治安を著しく乱す行為を行う」です。最後については魔術やサーヴァントに関する事柄だと一般に関知させない限りはビル爆破くらいはやっても一度は警告はないかもしれません(NPCに被害を出さなければ)。 ルーラーのステータスは原作のものに準じます。 ただし、【直感】のスキルを以下のものに変更します。 直感:EX ムーンセルからのバックアップにより未来予測のレベルに達した直感。 戦闘時のみならず、平常時においてもある程度機能する。 これによりルーラーはルール違反の発生をある程度までは察知できる。 【時刻表記】 未明(0~4) 早朝(4~8) 午前(8~12) 午後(12~16) 夕方(16~20) 夜(20~24) 【第一放送から追加】 各陣営内での情報交換のための掲示板が開示されました。 各陣営マスターの端末からのみアクセス可能です。 【予約について】 予約期間は1週間。 延長は3日、最長で10日。
https://w.atwiki.jp/outerzone/pages/181.html
「まさか僕の他にもルーラーが召喚されていたなんてね」 「あたしも自分がルーラーで召喚されたのには驚いたけどね」 ルーラーのサーヴァントであるアルヴィース前に別のルーラーが現れたのである。 金髪の髪にシルフ族と思われる姿をしている少女。彼女の名前はリーファ。この聖杯戦争でアルヴィースとは別に呼ばれたルーラーのサーヴァントであり、聖杯が聖杯戦争を管理するため保険で呼んだサーヴァントだと思われる。 「君の真名はリーファだね」 「そういうあなたの真名はアルヴィースだよね」 お互いの真名を言い当てる二人。 「それで君はこれからどうするんだ?」 「他にルーラーがいるならあたしはこの聖杯戦争には関わらないけど、他のサーヴァントが無関係な人を襲ったり、魂食いをしたら、絶対に止めるよ」 それだけ伝えると、リーファは姿を消してしまう。 【サーヴァント】 【クラス】 ルーラー 【真名】 リーファ『桐ヶ谷直葉』 【出典】 ソードアート・オンライン 【性別】 女性 【ステータス】 筋力B 耐久B 敏捷A 魔力A 幸運B 宝具A 【属性】 中立・善 【クラス別能力】 対魔力:B 魔術発動における詩唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。 真名看破:A ルーラーとして召喚されると、直接遭遇した全てのサーヴァントの真名及びステータス情報が自動的に明かされる。 神明裁決:A ルーラーとしての最高特権。 聖杯戦争に参加した全てのサーヴァントに二回令呪を行使することができる。 他のサーヴァント用の令呪を転用することは不可。 【保有スキル】 魔力放出:B 魔力で作り上げた翼で空を飛ぶ力。 これにより空中戦が可能になっている。 本来の彼女の能力がスキルに昇格したものである。 戦闘続行:A 彼女が最後まで大切な人たちやみんなのために戦い続けた逸話が昇格したクラス。 【宝具】 『スーパーアカウント03・地母神テラリア』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ1~10 最大補足:1人 アンダーワールドで彼女が使用したスーパーアカウント。地母神テラリアの姿になれる。 無制限自動回復という回復能力を持つ。 ただ回復はしても苦痛などは消えない。 【人物背景】 『ソードアート・オンライン』の『フェアリィ・ダンス編』の登場人物。 本名は『桐ヶ谷直葉』。 リーファという名前は彼女が『アルヴヘイム・オンライン』、略称して『ALO』という仮想空間ゲームで名乗っていた名前。 種族はシルフ族。今回の聖杯戦争では『AL O』の姿で召喚されている。 剣道で鍛えた剣の腕と反射神経で種族内ではかなりの実力者。魔法も得意としている。 メインヒロインのアスナを探して『ALO』の世界に現れた主人公のキリトに助けられ、アスナがいると思われる世界樹までキリトを案内をしている。アスナを助けた後はキリトやその仲間たちと行動するようになり、絆を深めている。 実は現実世界では主人公てあるキリトの妹である「両親を事故で亡くしったキリトが親戚である彼女の家に養子になったため、血縁上は従妹になる。」 【サーヴァントとしての願い】 特になし。聖杯戦争を最後まで見守る。 【方針】 基本的に聖杯戦争には関わらないが、他のサーヴァントが無関係な人を襲ったり、魂食いをしたり全力で止める。 【把握媒体】 原作小説及び、アニメシリーズ。
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/496.html
心の在処 ◆ysja5Nyqn6 03/ 裁定者との会合(続・衝撃のマーボー) 「―――さて。ルーラーも持ち直したことですし、話し合いを始めるといたしましょう」 食べ終わった麻婆豆腐の皿を脇へと避けて、カレン・オルテンシアと名乗った修道女はそう口火を切った。 それを横目にレンゲを手にとり、麻婆豆腐を口に運ぶ。 この麻婆豆腐は、ルーラーと呼ばれた女性の分を譲り受けたものだ。 岸波白野たちの分は別に注文をしてあるのだが、それはそれとして食べ物を残すのはよろしくない。 「実は、貴女方が拠点としている地域で、重大なルール違反が行われていることが確認されました。 そこで貴女方には、裁定者の権限において、自身が知る限りの情報を提示することを要求します」 いきなり直球で投げられた言葉に、凜達の顔が強張る。 裁定者としての権限で、とカレンは口にした。 それは間接的に、虚偽の申告をすれば、裁定者に刃向う、つまりは敵対することに繋がる。 すなわち、聖杯戦争そのものを敵に回しかねない、という事になるのだ。 ………麻婆豆腐。 ただ唐辛子が山のようにぶち込まれた、一見雑な料理にも見えるが、豆腐を口に含んだ瞬間舌を焼く刺激が、堪らない味覚を齎す。 加えてこの麻婆豆腐には、尋常じゃない量の芥子(スパイス)が入れられているらしい。 口にする度、腕が震えて、汗が噴き出る。まるで沸騰するような辛さが脳を焼く。 「先に告げておきますが、あの地域にいた四騎のうち、そこのランサーを除いた三騎全てに反英雄的素養があることは理解しています。 そして、その内の一騎である彼女と行動を共にしている以上、貴方も含む四騎全員が容疑者となります」 ルーラーは威厳を伴った声で、虚偽申告は無意味だと言外に告げる。 そのセリフから察するに、彼女には一定範囲内のサーヴァントの数と、その性質を知ることの出来る能力、または権限を有しているらしい。 それが裁定者のクラス特性なのかはわからないが、こうして目を付けられた以上、逃れることは出来ないだろう。 ――――だが。 「あら、ずいぶんな言い草じゃない。 私が反英雄だからってだけで、みんな罪人扱いするわけ?」 一瞬で空気が凍り付く。 エリザが放つ鮮烈な殺意に、周囲の空気が圧し潰されていく。 このような威圧に慣れていない凛などは、血の気の引いた顔で振るえていた。 「そういう訳ではありません。私はただ、貴女方が無実であるのなら、その事を証明してほしいだけです」 「どうだか。どうせ罪人だって判断したのなら、相手の言い分も聞かずに処罰するんでしょう、貴女も?」 「私はそんな事をするつもりはありません。その人物の事情次第では、相応の酌量をするつもりです」 しかしエリザの殺意に飲まれることなく、ルーラーは言葉を返す。 この殺意の中武装しないのは、彼女のせめてもの誠意の現れか。 だがエリザの気は済まないようで、酷薄な瞳でルーラーをねめつけている。 「……どうやら、私の発言は貴方の癇に障ってしまったようですね。その事は謝罪しましょう」 「フン。言葉では何とでも言えるわ。本当に謝罪する気があるのなら、それ相応の態度で示しなさいよ」 「態度で、ですか。つまり、貴女は私にどうしろと」 「そうねぇ……。いいわ、アナタ。すごくおいしそうじゃない」 エリザが、チロリと舌を覗かせて、舐めるようにルーラーを見据える。 そこには、彼女が血の伯爵令嬢であることを思い出させるには充分過ぎるほどの残酷さが宿っている。 そこへ、 ――――エリザ。 と。彼女をまっすぐに見つめて、静かに声を投げかけた。 「なんてね。冗談よ、冗談。ルーラーがあまりにも上から目線だったから、ちょっとイジメたくなっただけ」 途端に張りつめた空気が霧散する。 エリザの言葉を聞いて、ルーラーはホッと息を吐く。 それは自分も同じだ。エリザは冗談だ、と言ったが、半分くらいは本気だったに違いない。 若干の冷や汗を掻きながらも、止まっていたさじを再び進める。 その途端、マグマのような辛さが全身に染み渡るのを感じる。 だが、それが良い。 この血が逆流するような、購買部で売られていた麻婆豆腐には無かった“本物”の辛さが、むしろ良い……! 「それに生憎だけど、私、もう拷問趣味は止めてるの。今のところ、その辺の家畜達(ブタやリス)を捕殺する気はないわ。 それに、血の方も極上のものを味わったばかりだもの。後味を濁したくないから、当分はいらないわ まあ、貴女がおいしそうって思ったのは否定しないけど」 「……そうですか。一応ですが、安心しました。貴女のマスターは良き方なのですね」 僅かに肩の力を抜いて、ルーラーはそう口にした。 どうやらエリザが本心から口にしていると判断したのだろう。どうやら彼女には、相手の虚偽を見破る能力もあるらしい。 だが少しの間を置いて、おや、とルーラーが首を傾げた。 「極上の血を味わった……とは、一体どういう意味なのですか?」 「あら、知りたいの?」 その問いにエリザは、嗜虐的な流し目で凜を見ることで答える。 「ッ――――!」 途端。青ざめていた凛の顔が、一瞬で真っ赤に茹で上がった。 「まあ」 対して何かを察したらしいカレンが、再び愉悦気な笑みを浮かべていた。 「……いいえ、止めておきましょう」 そんな二人の様子を見てか、ルーラーは疑問を残しながらもそう答えた。 「しかしなるほど。遠坂凛とエリザベート(“紅”のランサー)との間に仮契約が結ばれていたのは、その辺りが理由ですか」 「仮契約? わたしとエリ……その、“紅”のランサーとの間に?」 「ええ。どうやらそのようです。 しかし今のところ正規の契約の方が優先されているようで、現状ではただ繋がっているだけ、という状態の様ですね。 利点といえば、岸波白野またはクー・フーリン(“青”のランサー)が倒されても、貴女達は消去されないことぐらいでしょうか。 ……もっとも、これはあくまで可能性の話でしかありませんが」 ルーラーの予測は、つまりこういう事だろう。 もし仮に、凛のランサーが倒されたとする。その場合、通常であればそのマスターである凛もデリートされる。 しかしエリザとの間に仮契約が結ばれていたことにより、彼女はサーヴァントと契約している、という状態のままになる。 この聖杯戦争の敗北条件は、サーヴァントとの契約を失うことだ。ならば契約が存在する限り、凜が敗北したとは見なされないのだろう。 もっとも、そこは管理の怪物であるムーン・セルが判断するところ。ルーラーの言った通り、可能性の範疇は越えられない。 「しかしこの状態は、一種の二重契約という事になってしまいますが………」 「問題ないでしょう。オリジナルの聖杯戦争においても、一人のマスターが二騎のサーヴァントを使役する、サーヴァント自身がサーヴァントを召喚して使役する、という事態はありました。 それにそもそも、聖杯を得られるのは、最終的に生き残った一人と一騎だけです。ですので、わざわざ裁定者として審判を下す必要はないかと」 「そう……ですね。確かにこれはマスター間での問題であり、聖杯戦争の妨げになるわけでもありません。 貴女の言う通り、問題なしと判断して大丈夫でしょう」 カレンの言葉に、ルーラーは一瞬辛そうな表情を浮かべた後、すぐに裁定者としての顔を浮かべ、そう答えた。 それを訊いて、内心で安心する。 つまり凛とエリザに対して、一応の保険がかかったという事なのだから。 ……しかし、先程ルーラーが一瞬見せた表情は何だったのだろう。カレンの言葉に、何か思う所でもあったのだろうか。 と、麻婆豆腐をレンゲで掬いながらそう思っていると、不意にカレンが嗜虐的な笑みを浮かべて、 「ああちなみに、血と仮契約の関係ですが―――」 「と、とにかく! あなたたちの言うルール違反に私たちは関係ないわ。 そんな余裕なんてなかったし、その必要もなくなった。 それに、そんなこそこそするようなマネ、遠坂の魔術師として相応しくないもの」 顔を赤く染めた凜が、カレンの言葉を遮ってそう告げる。 仮契約が結ばれた理由はおそらく、儀式中にエリザが凜の破瓜の血を舐め摂ったからだろう。 しかしそんな事、人に話せるわけがない。もし知られてしまえば、遠坂凛と、特に岸波白野の身の破滅だ。 そして凜の言った通り、自分たちはルール違反を犯した覚えはない。 可能性があるとすれば、仮契約の事がそうだろうが、それもカレンが問題ないと判断し、ルーラーも認めた。 ならば彼女たちの言うルール違反は岸波白野たちの与り知らぬところにあり、故にこの件に関して答えられることは何も無い。 「………どうやら、本当の様ですね。 わかりました。貴女方はこの件に関与していないと、裁定者の名において認めましょう。 ですが念のために、本日未明から現在に至るまでの、貴女方の動向を報告してください」 「わかったわ」 ルーラーの言葉に肯いて、凜は自分たちの動向と現在の状況を説明していく。 岸波白野にとっては既知の情報なので、軽く聞き流しながら食事を続ける。 その途中、エリザが興味ありそうな目で麻婆豆腐の皿を見ていることに気が付いた。 ――――――――。 自分は、 >食うか――――? やらんぞ――――? 対面の修道女と同じように、エリザにさじを勧めてみた。 「――――そ……そう、ね。ちょっと気になるから、一口だけ頂こうかしら。 すごく赤いし、それにこの料理、ハクノが好きみたいだし」 そう口にしながら、エリザは差し出されたレンゲを受け取る。 そして恐る恐る麻婆豆腐を一掬いして、慎重に己が口内へと運び、 「――――――――!!!!!!」 舌に突き刺さるあまりの衝撃に、弾き飛ばされるように椅子ごと倒れ伏した。 「かかか、辛っ! 辛いわ! かなり辛いわ! ものすごく辛いわ! とにかく辛いわ! ひたすらに辛いわ! 辛いったら辛過ぎるわ! な、なんなのよこの料理! ヤタラメッタラに辛いじゃないの! いえ、もはや辛いどころか辛(つら)いってレベルよ! 拷問級よ! なんてもの勧めてくれるよのアナタ! 私の可憐な唇がタラコみたいに真っ赤に腫れ上がったらどうしてくれるのよ! っていうかよくこんなの平気で食べれるわね! アナタ本当に人間!?」 どうにか持ち直したエリザベートは、悲鳴を上げるように捲し立ててくる。 こんなものとは失礼な。この辛さだか美味さだかわからない強烈な刺激が堪らなく良いんじゃないか。 っていうか、テロい金星人料理しか作れないエリザに、味についてとやかく言われたくはないのだが。 「ッ~~~! どっちもどっちよ! っていうか白野、アンタも話に参加しなさいよ! 何一人だけ黙々と食べてるのよ!」 バン、とテーブルを叩いて、凜が声を荒げる。 それに釣られて視線を上げれば、ランサーは引き攣った表情で、ルーラーは何か恐ろしいモノを見るような目で岸波白野を見ていた。 その中でただ一人、カレンだけは同士を見つけたような顔をしていた。 ………ふむ。 話に加わるのは構わないが、果たしてその意味はあるのだろうか。 「む。それってどういう意味よ」 どうもこうもない。 この話はつまるところ、“自分たちと裁定者、それぞれがどうキャスターに対処するか”、というものだ。 なら、話に加わろうと加わるまいと、岸波白野がするべきことに変わりはないだろう。 「へ?」 「っ!」 「ほう」 それぞれが疑問、驚愕、関心の声を上げる。 「何故そう思うのか、訊いてもよろしいでしょうか」 続けてカレンが、見透かしたような眼でそう問いかけてくる。 彼女とは初対面のはずなのに、それはどこか見覚えのある表情だった。 簡単な話だ。 まず前提として、ルーラーはあの地域に四騎のサーヴァントがいたと口にした。 状況から推測するに、その四騎とは、岸波白野のランサー、遠坂凛のランサー、遠坂邸を襲撃したアサシン、そのアサシンが殺せと命じたキャスターだ。 加えて、岸波白野たちにルールを違反した覚えがない以上、ルーラーが捜している違反者はアサシンかキャスターのどちらかになる。 そしてアサシンとキャスター、この二騎を比べて、聖杯戦争のこんな最初期で裁定者が動き出す様なルール違反をする可能性が高いのは、明らかにキャスターの方だ。 なぜなら、アサシンにはルールを違反する利益がなく、対してキャスターには他のクラスと比べより大きな利益があるからだ。 アサシンというクラスはその性質上、隠密、暗殺に特化した英霊が多い。 つまり聖杯戦争を監督する裁定者に目を付けられるような行動は、暗殺者の本分に真っ向から反するのだ。 あり得るとすれば、裁定者そのものを排除しようとした場合だが、それならわざわざこのような話をする意味はない。 そしていかにアサシンが隠密に優れていようと、ルーラーもまた感知能力を有している。裁定者の権限も鑑みれば、いずれは追い詰められるだろう。 比べてキャスターというクラスは、魔術に優れ、陣地作成を得意とした英霊が多い。 そしてキャスターとはすなわち魔術師であり、その力である魔術の行使に必要なものは魔力だ。 これは即ち、魔力を溜め込む、陣地を作るなど、準備に時間をかければかけるほど、強力なサーヴァントになるということを意味している。 つまりそれなりの準備さえ整っていれば、通常のサーヴァントはもちろん、ルーラーでさえ返り討ちにすることも可能となり得るのだ。 ここで重要になるのが、時間を掛ける、という点だ。 時間が経てばそれだけでキャスターが有利になるのは先ほど言った通りだが、当然それは他のマスターやサーヴァントも理解していることだ。 つまり、魔力が溜まっていない、陣地が整っていない状態で発見されれば、途端にキャスターは不利になる。 最弱と言われるほど直接戦闘の苦手なキャスターにとって、それは絶対に避けるべき事態のはずだ。 ならばどうすればいいか。 簡単だ。より迅速に、効率よく魔力を集め、陣地を完成させればいい。 その方法も単純だ。“魂喰い”を行なえばいい。キャスターが反英雄だというのなら、その可能性も高まる。 そして魂食いは、この聖杯戦争において裁定者が動き得る明確なルール違反だ。当然相応の対策もするだろう。 あとは如何にして裁定者の目を誤魔化し掻い潜るか、という問題でしかない。 この時点で、違反者は誰かとこの場で論じる意味はなくなっている。 仮に違反者がキャスターではなくアサシンであろうとも関係はない。 何故なら遠坂凛は、日が変わるまでのキャスターを倒さなければならないからだ。 そしてキャスターとて、サーヴァントの襲撃を受ければ少なからず手札を晒すことになるだろう。 ならばあとは、ルール違反の証拠を見つけたい裁定者が、その戦いにどう介入するか、あるいはしないのか、という話でしかないのだ。 それはもはや、岸波白野の領分ではない。 なぜなら、キャスターとの戦いは、あくまでも遠坂凛のものだからだ。 確かに自分たちは同盟を結んだ。協力してキャスターを倒すことに異論はない。 だがこの戦いの方針を決めるのは、あくまでも遠坂凛でなければならない。 そうでなければ、いずれ一人で戦わなければならなくなった時、遠坂凛は自らの道を選べなくなってしまうだろう。 故に、この戦いに裁定者とどう折り合いをつけるかは、遠坂凛が考えなければいけないのだ。 岸波白野は同盟を結んだ者として、いや仲間として、その判断に従い手を貸すだけだ。 ―――そう締めくくって、麻婆豆腐の残りを平らげる。 「――――――――」 凜はポカンと口を開けて、岸波白野を見つめている。 いかに覚悟を決めていても、彼女はまだ子供でしかない。そこまでの判断力を求めるのは、やはり酷だっただろうか。 だが聖杯戦争を勝ち残るのであれば、この程度は出来るようにならなければならない。 ここは心を鬼にして、凜に判断を委ねるとしよう。 「さすがは“月の聖杯戦争”の優勝者。見事な観察力ですね」 対してカレンは、本当に感心したように、ぱちぱちと拍手をしていた。 「彼を知っているのですか、カレン?」 「ええ。岸波白野(かれ)はこの箱舟ではなく、ムーン・セル本体で行われた聖杯戦争を勝ち抜いたマスターです。 それを鑑みれば、この程度の状況把握はできて当然でしょう。 それはそうと、遠坂凛、貴女はどうしますか?」 「え?」 「岸波白野も言っていたでしょう。この戦いは貴女のものだと。 貴女がどういう選択をするかによって、私達も次の行動を決定します。 キャスターとの戦いに手を出すな、というのであれば、多少の猶予は与えましょう。 裁定者とは、あくまでも聖杯戦争を監督し運営する存在。その私たちが、貴女の聖杯戦争を妨げるわけにはいきませんので」 カレンはそう告げると、祈るように両手を合わせ、静かに目を閉じた。 凜の答えを待つ、という事だろう。 「……………………」 それを受けた凛は、深く考えを巡らせると、 「それってつまり、私が協力してって言えば、協力してくれるってこと?」 そう、ある種の核心を突く問いを導き出した。 「それは私ではなく、ルーラーへと問うべき事ですね。 私はあくまでマスターに対する抑止力。戦力を期待するのであれば、彼女の方が適任です」 「そう。なら、改めてお願いするわ。 ルーラー、私たちに力を貸してちょうだい」 「……すみませんが、その要求には応じかねます。 私は裁定者のサーヴァント。“中立の審判”を下す者として、特定の勢力に加担することは出来ません」 「それなら、一緒に来てくれるだけでもいいわ。 別にあなたが戦う訳じゃない。ただ私たちの戦いを見届けるだけ。 この条件なら、裁定者としても問題ないんじゃない?」 「それは……確かにその通りですが、しかし………」 凜のストレートな要請に、ルーラーは受けるでも断るでもなく、戸惑う様に言い淀む。 無理もない話だ。 確かに戦いを見届けるだけならば、ルーラーが遠坂凛に助力した、ということにはならないだろう。 またルーラーが傍に居るということは、ルールに抵触する様な襲撃を防ぐことにも繋がり、遠坂凛にとってある種の保険にもなる。 しかしそれは、事情を知る自分たちだけが理解していることだ。 場合によっては、遠坂凛とルーラーが手を組んだ、と見做される可能性もあるのだ。 そしてそうなれば、ルーラーの下す“中立の審判”は、その正当性を疑われることになるだろう。 中立の立場にない審判者など、圧政を敷く暴君と変わりはない。 ただでさえ裁定者は、その立場から嫌煙されやすいのだ。 その正当性を失ってしまえば、裁定者として絶対の権限を持つが故に、ほぼ全てのサーヴァントとマスターから敵視されることになるだろう。 遠坂の魔術師として聖杯を求める凛と、聖杯戦争の恙ない進行を担うルーラー。 凛がルールから逸脱しない限りにおいて、二人の目的は一致している。 だが、ルーラーの裁定者としての立場が、彼女達が手を組むことを許さないのだ。 「っ……………………」 違反者の捜査という裁定者としての役割か、“中立の審判”を下す裁定者としての立場か。 そのどちらを選ぶのかは、結局のところルーラー自身が決める事だ。 だが、そのどちらも尊寿しようとするが故に、ルーラーは凜の要求に答えを出せないでいた。 「いずれにせよ、もうすぐ通達の時間です。遠坂凛の要請への返答は、その後にしましょう。 違反者の捜査も重要ですが、現状はこちらが優先事項ですし」 「そうでしたね。申し訳ありません、遠坂凛。少しだけ、考える時間をください」 「いいわよ、別に。裁定者が大変だっていうことくらい、私もちゃんと解っているから」 カレンの言葉をきっかけに、二人はそう言葉をかけあった。 どうやら、遠坂凛と裁定者の話は終わったようだ。 ……なら次は、岸波白野が彼女たち自身に対しての話だ。 ―――ルーラーにカレン。二人に少し、訊きたいことがある。 「はい、何でしょう。私に答えられる範囲ならば答えましょう」 「私も質問がありますが、それはどうでもいい事です。貴方からどうぞ」 ルーラーが落ち着いた様子で応じ、カレンがそれに続いて質問を促してくる。 自分は、 聖杯戦争について質問する。 >参加者について質問する。 NPCについて質問する。 聖杯戦争の参加者――マスターについて質問をしよう。 この聖杯戦争には、多くのマスターが参加していると聞く。 岸波白野は遠坂凛以外のマスターとまだ遭遇していないが、月の聖杯戦争と同様、それは様々なマスターがいるのだろう。 だがその中には、凛のようなマスターが他にもいるかもしれないのだ。 自分が訊きたいのはその事について。 ――――凜のような、無理矢理招かれたマスターがいることについて、どう思っているかを教えて欲しい。 「っ…………!」 ルーラーが先ほどと同じような、酷く辛そうな表情を見せる。 今度もすぐに裁定者としての顔に隠されたが、やはり彼女にも思う所があるのだろう。 「ちょっと白野。それってどういう意味よ。 私が聖杯戦争に参加していることの、何が問題なわけ?」 岸波白野の質問に、凜は苛立たしげな声で問い詰めてくる。 そうではない。 サーヴァントと契約を交わせたのなら、誰にでも聖杯を手に入れる権利はある。 そして凛には聖杯を求める確かな理由がある。そこには大人も子供も関係はない。 ……だが、自分から望んでこの聖杯戦争に参加したわけではない。そうだろう? 「それは……確かにそうだけど」 月の聖杯戦争では、ムーン・セルへとアクセスした者を、マスター候補として招き入れていた。 だがこの『方舟(アーク・セル)』は、『ゴフェルの木片』に接触した者をマスター候補として招き入れている。 そして凛の例から思うに、その人物を招き入れるかどうかは、『方舟』自身が判断しているように思える。 その事がどうしても、岸波白野の心に引っ掛かっているのだ。 「……そうですね。私としては、特に何も。 過程がどうであれ、招かれてしまった以上、私達にはどうしようもありません。 せめてその人の終わりが良い物であるよう、主に祈りを捧げるだけです」 カレンはそう口にして、言葉通り静かに祈りを捧げている。 ルーラーのような動揺は微塵も見られない。彼女は本当に、そう思っているのだろう。 その様子を見て、ふとある情報を思い出す。 シスター・カレン。 どこかで聞いた(ような気がする)名前だと思っていたが、たしか、マスターを処罰する権限を持つ上級AIだったか。 また健康管理上級AI(さくら)の後任なでもあるのだが、そのアルゴリズムに問題があり、マスターの命を優先せず、試練を良しとする性格をしているとかなんとか。 月の聖杯戦争中では、岸波白野とは遭遇しなかったが、もしかしたら彼女がそうなのだろうか。 実際に会ったことがない以上判断はつかないが、その様子を見る限り、彼女はたとえ自分自身がマスターとなったとしても、それも試練だと受け入れるのだろう。 ―――ではルーラー。あなたはどう思っているのか、訊かせて欲しい。 カレンから視線を移し、まっすぐにルーラーを見つめて、そう問いかける。 「………………私は、ルーラーのサーヴァントとして、聖杯戦争を恙なく進行させるだけです。 カレンも言ったように、マスターの選定は私達にはどうしようもないこと。なら、感傷を懐くだけ無意味でしょう」 毅然とした態度でルーラーは答える。 ……だがそれは、裁定者としての答えだ。ルーラー個人としての思いではない。 岸波白野が知りたいのは、ルーラーの思い、彼女自身がどう思っているか、という事なのだ。 ルーラーが裁定者の仮面を被っているのは、きっとそうしないと立ち行かないからだろう。 おそらく、彼女の果たすべき役割と、彼女の思いは相反しているのだ。 そう。 ―――あなたは、無理矢理に招かれたマスター達がいることに、悲しみを覚えているのではないか? 「っ――――――!」 ピシリと、亀裂が奔るように、ルーラーが顔を強張らせる。 仮面の奥。裁定者であるために閉じ込めた、彼女の本心が顔を覗かせる。 「それは………私は――――」 ルーラーは揺らぎそうになる両目を懸命に絞り込み、岸波白野を見つめる。 そうして―――― 「マーボー定食、お待たせアルー! 他の御注文も、すぐに持ってくるアルヨー!」 ―――ごとん、と注文していた麻婆豆腐がテーブルに置かれた。 ルーラーから視線を外して、さあ、と新たなレンゲへと手を伸ばし、 「――――――――」 かしゃん、と先にレンゲを手にとったカレンと視線が合った。 見れば、カレンの前にも新たな麻婆豆腐が置かれている。 どうやら彼女も、いつの間にか注文していたようだ。 「……岸波白野。貴方の質問の答えも、少し待ってあげてはどうでしょう。 ルーラーにも裁定者としての在り方がありますし、それに」 ……ふむ。確かに裁定者としては答え難い質問だったようだ。 それに聖杯戦争はまだ始まったばかりだ。この質問の答えは、その内聞かせてもらえることを期待しよう。 今は先に、食事を終わらせよう。なにしろ冷めた中華料理は、おいしくない。 「ええ、その通りです。それでは」 いただきます、とカレンと二人、両手を合わせて食事を開始した。 「それじゃあ話も終わったみたいだし、私達も頂くわよ」 「……だな。飯は食える時に食っとかねぇと」 「……うん」 それに合わせて、凜達も食事を開始する。 ……しかしただ一人。 ルーラーだけは、僅かに俯いたまま、料理に手を付けないままでいた。 「……………………私は」 04/ 願い。 食事を終え、紅洲宴歳館・泰山を後にする。 カレンたちは時間が押しているからと、リターンクリスタルを使うらしい。 それは月の聖杯戦争でもよく利用したアイテムだが、今の自分は持っていない。 自分たちはおとなしく、徒歩で移動することにする。 「それで坊主、これからどうするんだ?」 ふむ。このまま遠坂邸へと戻ってもいいが、もうすぐ十二時になる。 ここはどこか近場の休める場所で、カレンたちの連絡を待とう。 そうランサーへと答えながら、携帯端末機を取り出す。 これは連絡用にとカレンから渡されたものだ。 主な機能は月の聖杯戦争で使っていたものと変わらないが、こちらから彼女達へと連絡することは出来ないようだ。 「確かにそいつがあれば、オレ達がどこにいてもあいつらからの連絡は受け取れるか」 ランサーはそう言うと、興味をなくしたように前へと向き直った。 エリザは相変わらず注目を集めているが、NPCたちが日常(ルーチン)から外れる様子はない。 自分に宛がわれた役割の方が、ほんの些細な異常よりも優先順位が高いのだろう。 ……まあもっとも、彼らがその役割を自覚しているかはわからないが。 ―――そうして間もなく、商店街から少し離れた場所に、小さな公園を見つけた。 まだ昼時だからか、公園には自分たち以外誰もいない。 そんな閑散とした公園のベンチに、凜達と揃って座り込む。 すると不意に、凛が不安げな表情で問いかけてきた。 「ねぇ白野。カレンが言ってた、白野の戦いが無意味がって、どういう意味?」 ――――――――。 その言葉に、思わず口ごもる。 それは、カレンに去り際に告げられた言葉だ。 それがたまたま、凜にも聞こえてしまったのだろう。 だが―――。 ―――大した意味ではない。 カレンが言っていたように、岸波白野は月の聖杯戦争を勝ち残った。 つまり、聖杯に託すような願いは、すでに叶っている、という事なのだ。 「そっか。それなら、別にいいんだけど」 どこか納得のいっていない表情で、凜はそう口にする。 その様子からすると、全部が聞こえたわけではないようだ。 カレンの言葉の何が、凜の気にかかっているのだろう。 ……考えたところで、答えは出ない。 今は先に、キャスターの拠点へどう攻め込むかを考えよう。 そんな風に考えながらも、岸波白野の脳裏には、その時の事が思い返されていた。 † それは、カレンたちとの別れ際、携帯端末を手渡された時の事だ。 「……最後に、一つだけ聞かせてください。 貴方は何の為に、この聖杯戦争を戦うのです?」 岸波白野だけに聞こえるようにか、どこか潜めた声で、カレンがそう訊いてきた。 「岸波白野の戦いに意味はない。何故なら、たとえ聖杯戦争を勝ち残ったところで、貴方は何も得られないからです。 本来の役割通り、ただのNPCとして、全てを忘れたままでいれば、まだ幸福に終われたでしょうに。 それなのに、何故」 ―――何故も何もない。 全てを忘れたままでいるには、欠けたモノが大き過ぎた。 要は、それだけの事だ。 確かにNPCのままでいたのなら、何も知らずに済んだだろう。 何も知らないまま、自身の役割を全うしていたはずだ。 ……だがその欠けたモノは、岸波白野の半身とも呼べるほどに大切なものだった。 岸波白野の記憶。 契約を交わしてからずっと、自分と共に戦い続けてくれた相棒。 聖杯戦争の最中に出会い、語り合い、別れ、乗り越えていった多くの人達。 その、自分が岸波白野として生きてきたという証が、自分の中から欠け落ちていた。 ―――そんな事は、許容できない。 得るものが何もない? 当然だ。それは元より、岸波白野の内にあったもの。 失われた記憶(モノ)を取り戻すことが望みである以上、新たな何かを得られるはずがない。 ―――そう。 何かを得たいのでも、何かを叶えたいのもなく、ただ取り戻したいだけ。 自らの欠落を埋めるために、岸波白野は戦っているのだ。 「……その結果、“自分がどうなるか”を知っていても?」 それでも岸波白野は、あの戦いを、「 」の事を忘れたままでいることが我慢できないのだ。 「―――そう。岸波白野(あなた)は、“戦う人”なのですね」 突き放すような声。 話はそれで終わりなのか、カレンは祈るように両手を重ねて目を閉じた。 聖杯戦争を司る裁定者に背を向け、偽りの日常へと歩き出す。 この語らいが何を齎すかはわからない。 今はただ、自分の聖杯戦争(たたかい)を続けないと。 † 水中から水面を見上げるように、蒼い空を仰ぎ見る。 凛の問いに触発されて、カレンの言葉が思い起こされる。 “岸波白野の戦いに意味はない” ああ――きちんと理解している。 この戦いの結末は、月の聖杯戦争と変わらない。 たとえこの聖杯戦争を勝ち抜いたところで、岸波白野に未来はない。 ……いや、この聖杯戦争が終わった時にこそ、本来の運命へと帰結するだろう。 “……その結果、“自分がどうなるか”を知っていても?” それでも、自分の決意は変わらない。 ―――戦うと決めた。 たとえその果てで、 ―――取り戻してみせると、誓ったのだ。 今度こそ完全に、岸波白野が消え去るのだとしても――――。 【C-3 /商店街近くの公園/1日目 午前】 【岸波白野@Fate/EXTRA CCC】 [状態]:健康、疲労(小)、魔力消費(小)、強い決意 [令呪]:残り三画 [装備]:なし [道具]:携帯端末機 [所持金] 普通の学生程度 [思考・状況] 基本行動方針:「 」(CCC本編での自分のサーヴァント)の記憶を取り戻したい。 1. ルーラー達からの連絡を待つ。 2. 遠坂凛とランサーを助けるために、足立透とそのキャスターを倒す。 3. 狙撃とライダー(鏡子)を警戒。 4. 聖杯戦争を見極める。 5. 自分は、あのアーチャーを知っている───? 6. ルーラーの答えを待つ。 [備考] ※遠坂凛と同盟を結びました。 ※エリザベートとある程度まで、遠坂凛と最後までいたしました。その事に罪悪感に似た感情を懐いています。 ※遠坂凛とパスを通し、魔力の融通が可能となりました。またそれにより、遠坂凛の記憶の一部と同調しました。 ※クー・フーリン、ジャンヌ・ダルクのパラメーターを確認済み。 ※アーチャー(エミヤ)の遠距離狙撃による攻撃を受けましたが、姿は確認できませんでした。 ※アーチャー(エミヤ)が行った「剣を矢として放つ攻撃」、およびランサーから聞いたアーチャーの特徴に、どこか既視感を感じています。 しかしこれにより「 」がアーチャー(無銘)だと決まったわけではありません。 ※足立透と大魔王バーンの人相と住所を聞きました。 【ランサー(エリザベート・バートリー)@Fate/EXTRA CCC】 [状態]:健康 [装備]:監獄城チェイテ [道具]:なし [思考・状況] 基本行動方針:岸波白野に協力し、少しでも贖罪を。 1. 岸波白野のついでに、遠坂凛も守る。 2. 撤退に屈辱感。 [備考] ※岸波白野、遠坂凛と、ある程度までいたしました。そのため、遠坂凛と仮契約が結ばれました。 ※アーチャー(エミヤ)の遠距離狙撃による襲撃を受けましたが、姿は確認できませんでした。 ※カフェテラスのサンドイッチを食したことにより、インスピレーションが湧きました。彼女の手料理に何か変化がある……かもしれません。 【遠坂凛@Fate/Zero】 [状態]:健康、疲労(小)、魔力消費(大)、強い決意 [令呪]:残り二画 [装備]:アゾット剣 [道具]:なし [所持金]:地主の娘のお小遣いとして、一千万単位(詳しい額は不明) [思考・状況] 基本行動方針:遠坂家の魔術師として聖杯を得る。 1. ルーラー達からの連絡を待つ。 2. 岸波白野から、聖杯戦争の経験を学ぶ。 3. 勝利するために何でもする。 4. カレンの言葉が気にかかる。 [備考] ※岸波白野と同盟を結びました。 ※エリザベートとある程度まで、岸波白野と最後までいたしました。そのため、エリザベートと仮契約が結ばれました。 ※岸波白野とパスを通し、魔力の融通が可能となりました。またそれにより、岸波白野の記憶が流入しています。 どの記憶が、どこまで流入しているかは、後の書き手にお任せします。 ※鏡子、ニンジャスレイヤー、エリザベート、ジャンヌ・ダルクのパラメーターを確認済み。 ※足立透と大魔王バーンの人相と住所を聞きました。 【ランサー(クー・フーリン)@Fate/stay night】 [状態]:健康、魔力消費(大) [令呪]:『日が変わるまでに、足立透、もしくはそのキャスターを殺害。出来なければ自害せよ』 [装備]:ゲイ・ボルク [道具]:なし [思考・状況] 基本行動方針:遠坂凜のサーヴァントとして聖杯戦争と全うする。 1. 凜に勝利を捧げる。 2. 出来る限り回復に努めたい。 3. 足立、もしくはキャスター(大魔王バーン)を殺害する。 4. あのライダー(鏡子)にはもう会いたくない。最大限警戒する。 5. アサシン(ニンジャスレイヤー)にリベンジする。 [備考] ※鏡子とのセックスの記憶が強く刻み込まれました。 ※足立透と大魔王バーンの人相と住所を聞きました。 ※自害命令は令呪一画を消費することで解除できます。その手段を取るかは次の書き手に任せます。 【?-?/???/1日目・午前】 【ルーラー(ジャンヌ・ダルク)@Fate/Apocrypha】 [状態]:健康 [装備]:聖旗 [道具]:??? [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行。 1. 教会にて通達を行う。 2. 遠坂凛の要請をどうするか決める。 3. 啓示で探知した地域の調査。ただ、新都の騒ぎについても気になる。 4. ……………………私は。 [備考] ※カレンと同様にリターンクリスタルを持っているかは不明。 ※Apocryphaと違い誰かの身体に憑依しているわけではないため、霊体化などに関する制約はありません。 【カレン・オルテンシア@Fate/hollow ataraxia】 [状態]:健康 [装備]:マグダラの聖骸布 [道具]:リターンクリスタル(無駄遣いしても問題ない程度の個数、もしくは使用回数)、??? [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争の恙ない進行時々趣味 1. 教会にて通達を行う。 2. ??? [備考] ※聖杯が望むのは偽りの聖杯戦争、繰り返す四日間ではないようです。 そのため、時間遡行に関する能力には制限がかかり、万一に備えてその状況を解決しうるカレンが監督役に選ばれたようです。他に理由があるのかは不明。 BACK NEXT 078-a aeriality 投下順 079 第一回定時通達 078-a aeriality 時系列順 079 第一回定時通達 BACK 登場キャラ:追跡表 NEXT 078-a aeriality ルーラー(ジャンヌ・ダルク) 079 第一回定時通達 カレン・オルテンシア 岸波白野&ランサー(エリザベート・バートリー) 087 卓袱台会議 遠坂凜&ランサー(クー・フーリン) ▲上へ
https://w.atwiki.jp/itan_seihaisensou/pages/173.html
アル カル 裏設定 【名前】アリアヴェール・I(インフィニティ)・N(ノリス)・フォスティ (Aliaveil・Infinity・Norris・Fossthi) (アリア・シェリーナ) 【出典】オリジナル+十異界譚 【ステータス】 筋力 A 耐久 A 敏捷 A 魔力 A++ 幸運 E- (を圧倒的に下回る) 供給 A 合計 280 上記のステータス欄の通り、おおよそ人間とは思えない能力の高さ。 それ故に、普段は分裂し、"アル"と"カル"に分裂する必要がある。(詳しくは下記記載) 聖杯戦争に神父(シスター)として希望、監督役に回った理由は、死んだ前神父——言峰神父への恋心である。 そしてその恋心には、歪んだそれが含まれていた。 アリアヴェールは言峰綺礼に恋心を抱いており、アリアヴェールと言峰綺礼が出会った時の年齢は18、ほぼ一目惚れにも近い形で惚れ込んだ。 19になり、言峰綺礼は(クラウディアと)結婚。 さらに一女を授かった事を知ると、イコールで言峰綺礼は結婚している事を知る。 彼女は、歪みきった嫉妬に燃えた末に、永久的に性行為が出来ないように綺礼の男性器を切断する。(なお、その後保存している模様。) そんなことがありながら、夢の描写でも出ていた通り、「私を愛して」などと言うことを訴えかけていた。 だがそれは、下記にも記載してある通り、彼女が二重人格だったためであった。 彼女は生前、聖杯戦争に出向く彼に「運命を変えられなかった場合、私はある人に殺される」ということを告げられ、止める……が、言峰はそのまま行ってしまった。 その後、聖杯戦争による過去改変で、アリアヴェールは、"言峰綺礼がどこに赴いたか"がわからなくなる。 その後において、彼女はただひたすら言峰の後を探した。 が、見つかる事はなく、途方に暮れていると、新一次終結から10年後、言峰からの手紙が届く。 彼は予知通り死んだ場合の対策に、彼女に手紙を送っていたのだが、新一次優勝者・雲行是々 アサシンの所為で手紙の半分以上は霞み消え、読めない状況だった。 かろうじて読めた部分から、聖杯戦争というものが関与していると知る。 言峰は神父役として聖杯戦争に関与していることを知る。 彼の背中を追いたかった。 それだけのために、監督役になったという少女。 更に、手紙に書いてあった内容からウルスト・ガ・ヴィスパーハイドの存在は知っていた。 今聖杯戦争で前回の参戦者でもあるウルスト=言峰綺礼の殺害者という線を僅かに考えている。 ウルスト・ガ・ヴィスパーハイドと出会い次第その事を問う予定。 更に、ウルスト・ガ・ヴィスパーハイド=サーヴァントだと思い込んで疑っていない。つまり、傍にいるヒイロこそマスターだと完全に思っており、だが殺す対象はウルストのため、対サーヴァント戦だと思い念密に準備をした。 彼女は病んでいたのだが、それを機に更に間違った歯車が回りだす。 完全に、綺麗な部分が一欠片も無いというまで。 アリアヴェールはネクロフィリアと化した。 アルが常に抱えている死体は、言峰神父を魔術で模作したもの。本当に言峰神父かと思うくらいにはそっくりなそれである。 それを常に愛し、愛で、その死体に永遠の愛を誓っているのだった。 愛されるためならなんだってやる。 彼女は、青色だった髪を魔術で白にし、緑色だった瞳を魔術で金色に染めた。 ———クラウディアの、瞳と、髪の色。 それを模範したのである。 さらに、彼女はシュミレーテッドリアリティである。 自分中心で世界が回る、自分がいなければ世界は消える、自分は物語の主人公———そういう感覚を持っている。 —————以下、その他設定—————— 世紀の魔術師。 十異界譚の世界、アリアベールにおいて、世界を破壊した存在である。 彼女には、膨大な魔力、膨大な力。全てが全て人間離れしたそれを持ち合わせていた。 それは自分でも制御しえないもののため、普段は"双子"として——分裂して、『アル』と『カル』として過ごしていた。 原型として、「アリアヴェール・I・N・フォスティ」として、生きてられる時間は、僅か半日。 だが、よりによって「肉欲」と「暴力」に完全に分断した理由は、本体アリアヴェールにある。 アリアヴェールは元々二重人格で、主に上記の奇行をやらかしたのはアル。 カルはアルの提案に乗っているに過ぎない。 前も、今のカルとアルのような二重人格であり、それが2つ…アルとカルという人格に分かれ始めた原因でもある。 人格に分かれ始めた起点は、言峰が死んだということを知った瞬間。 また、彼女には平行世界の把握を可能とする能力が備わっていた。 言わば、"全ての平行世界に自分を置き、全ての平行世界において彼女は自分を持つ"。 彼女はこの聖杯戦争に降り立った地点で、平行世界の一つ、十異界譚・アリアベールでは死んでいる。 しかし、その世界のアリアが死んだところで、別世界のアリアは生きている。 現に、彼女は死後、現在のアリアベールの国の名を定めた張本人である。 ただし、把握が出来るだけであり、呼び出すことは不可。 "隣"と呼べる世界限定で呼び出すことができるが、 アルとカルがいるこの平行世界が、今の彼女らにとっての、全ての平行世界の"中心"となりえる場所のため、この世界のアルとカルは移動が不可能である。 アルとカルが鏡を猛烈に嫌うのは、鏡に映るとアリアが写ってしまうからである。 令呪は、お互いの手に張り巡らせられている。 全部の令呪を使うには、お互いの手を繋がないといけない。 彼女が願うのは、"優勝者を出さないこと"。 あわよくば、聖杯が手に入るのなら——そんなことは考えていない。 彼女は強欲が故に、願いが多すぎる。 ——全て言峰神父に関連するそれだが。 特殊効果《狂気》に関しては、魔力はEXまで跳ね上がる。 《言ノ葉奏》は、麻痺付属ターンが3に増え、成功確率は成功4/回避2に変化。 《言ノ葉再》は、成功ダイスは無し。無条件で成功とし、自分に対して使っても2ランク回復する。 使用魔術については、全ての魔術が使える。 また、アリアヴェールはサーヴァントのダイスとして扱われる。 即ち敵は自身に重症3/回避3でしか攻撃が出来ない。 反面、アリアヴェールは《狂化》を使う事で、魔術で攻撃する場合のみダイスに重症目を+1することが出来る。 ※十異界譚において彼女の名前は「アリア・シェリーナ」 彼女はたいていの世界で「アリア」と名乗る。つまり、偽名的役割になってしまっている節がある。 シェリーナは、婚約男性の物である。
https://w.atwiki.jp/outerzone/pages/215.html
「ちょっと……、どこよここわああああぁぁぁぁッッ!!?」 暗闇に星々が輝く宇宙のような空間の中、ピンク色の髪の少女、リリア・クーデルフェイトは自らの置かれた状況にひどく憤慨していた。 「ようこそ、常ならぬ願望を抱く新たなマスター候補者よ」 「!?だ、誰よアンタ!姿を見せなさい!!」 そのとき、どこからか壮年の男と思わしき声が響き、リリアは驚いて辺りを見回すが声の主の姿を見ることは出来ない。 「少し落ち着きたまえ、これから行われるのは万能の願望機『聖杯』を求めて戦いあう『聖杯戦争』、そしてここはその予選が行われる空間だ」 「はあっ!?私そんなものに参加した覚えはないんですけど!?」 リリアは男の言う『聖杯戦争』に参加を表明した覚えは全くなかった。オブシディアン魔法史担当教諭の起こした事件によって自らの手で主人であるアルトを殺害、自身との命を共有させる形で蘇生させ、自らの正体が露見し落ち込むヴェルメイを彼女の背中を押す形で叱咤激励し、アルトとヴェルメイの絆を見て自らはアルトから身を引くことを決め、寮の自室で魔法薬を処分するか悩んでいた所を呼ばれてここに来たのだ。 「君には覚えが無いかね?君は自らの意思で『星晶石』を受け取っただろう?それによって君はこの聖杯戦争に導かれたのだ。」 「は?『星晶石』って一体何の話……っあ!?」 彼女はこの予選に呼ばれる前、ブロンズスクエアの魔導師になるための試験を間近に控えており、願掛けとしてお守りを買うために『アンティークショップ・美紗里』という名前のお店を訪れており、そこの「ミザリィ」と名乗る店長の勧めで購入した3つの金平糖のような形の石のことを思い出したのだ。今にして思えばあれが、というよりそれしか心当たりがないのだがあの石が男の言う『星晶石』なのだろうということを察する。 「あぁ~~~~~やっぱりあの時別の物を買っておけば良かったわもう!!」 「まあいいではないか。」 「良くないわ!!」 まあそれはさておき、と男が言うと 「ではこれより予選を開始する。」 その言葉と共にリリアの目の前に円形の魔法陣が描き出され、そこから黒い人型の影のようなものが現れる。 「な、何よこいつ!?」 「そいつは『シャドウ』というサーヴァントのなり損ないだ。」 男の説明によるとこのシャドウを倒せば予選をクリアしたことになるらしい。 「そして君の手には『セイントグラフ』があるだろう?それを使って『サーヴァント』を召喚し、目の前の敵を倒したまえ。」 「……一応聞くけど、その『サーヴァント』っていうのは使い魔みたいなものよね?」 「……まあ有り体に言えばそうなるな。」 リリアは男から確認を取ると、 「ふふん、じゃあその必要はないわね。」 その言葉と共にリリアの手から魔法陣が発生し、 「召喚!!」 その言葉と共に彼女の体ほどの大きさの魔法陣が現れ、そこから両手が鳥の翼の形をし、足元が竜巻で構成された少女のような姿をした精霊が召喚される。 「こんな『なり損ない』ごとき『サーヴァント』とやらを召喚する必要もないわ!私とセルフィードの合体魔法は強力よ!こんな奴軽く粉砕してやるわ!」 その言葉と共に彼女の頭上に巨大な竜巻のような魔法が発生し、 「砕け散りなさい!!」 その言葉と共にリリアは竜巻をシャドウに向かって放つ。竜巻はシャドウに直撃し、巨大な爆発が発生する。 「よっし!どんなもんよ!サーヴァントだか何だか知らないけどなり損ないの使い魔ごとき私とセルフィードの敵じゃないわね!」 勝ち誇るリリアであったが彼女の目の前に広がっていたのは信じられない光景であった。 「……え?」 何と竜巻の直撃をくらったはずのシャドウが原型を保ったままその場に立ち尽くしていたのである。 呆気にとられる彼女に対し、男の声は説明する。 「ああ、そうそう。サーヴァントは使い魔としては最上級の存在だ。君が従えているような低級の使い魔で倒せると思わないほうがいい。」 「そ、それを早く言いなさいよ!!」 (な、何よそれ!?使い魔としては最上級!?と、いうことは……目の前のこいつはゴールド……いや、下手したらプラチナスクエア級の使い魔の可能性があるってこと!?) リリアの世界ではリリア達見習い魔導師を最底辺として始まり、そこから上の「ブロンズスクエア」と呼ばれる初級魔導師、「シルバースクエア」と呼ばれる中級魔導師、「ゴールドスクエア」と呼ばれる上級魔導師から成る序列関係が存在し、更にゴールドスクエアよりも上の序列として「魔導を極めし者」「プラチナスクエア」と呼ばれる最上級魔導師が存在していた。 もし『サーヴァント』と呼ばれる存在が男の言う通り使い魔として最上級の存在であるならば、目の前のシャドウはゴールドスクエア、下手したらプラチナスクエアの魔導師の使い魔クラスの力を持っている可能性が高く、とてもリリアのような見習い魔導師が勝てる存在ではないとリリアは瞬時に理解した。 だったらこの状況を切り抜けるにはどうしたらいいか、方法は一つしかなかった。 「あーもう!!言うとおりにするのは癪だけどサーヴァントにはサーヴァントよ!来なさい私のサーヴァント!我が声に応じ目の前の敵を粉砕しなさい!」 リリアはセイントグラフを掲げサーヴァントを召喚しようとする……が、それに対しセイントグラフは全く反応しなかった。 「ちょ、ちょっと何で召喚出来ないの!?この『セイントグラフ』を使えばサーヴァントを召喚出来るんでしょ!?まさかあいつ、私に嘘ついたんじゃ!?」 そんなリリアの事情に構うことなくシャドウは手にした弓に矢を番え、リリアを射ろうとする。 「ちょ、ちょっと噓でしょ!?こっちはまだサーヴァントを召喚出来てないっていうのに……」 だがシャドウは待ってはくれない。リリアは何とかこの場を切り抜ける手段を探していると、ふと何かを思い出したかのようにポケットの中に手を入れ、そこから緑色の液体が入った試験管を取り出す。 「そ、そうだった!この透明薬ならこの場を切り抜けることが……」 リリアは予選に参加する直前に寮の自室で自身が作成した透明薬を処分するか悩んでおり、その際の透明薬10本を持参したまま参加したことを思い出したのだ。 リリアは試験管の蓋を外すと中に入っていた透明薬を飲み干す。するとリリアの体がまるでそこに何もなかったかのように透明になる。 (な、何とかこれであいつから逃げきれれば……) が、シャドウはリリアのいる位置が完全に分かっているかのように番えていた矢を正確にリリアに向かって射る。 (……は!?) リリアは辛うじて射られた矢を回避したがその間にもシャドウは次の矢を弓に番え始める。 (な、なんであいつは私のいる場所が分かるの!?……ってしまったああああ!!この透明薬は服を脱いで全裸にならないと相手に丸わかりなんだったあああああ!!) そう、リリアの作成した透明薬が透明に出来るのは飲んだ者の肉体「だけ」で着ている服や下着(後靴やリボン等)を透明にすることは出来ず、それらを全て脱いで全裸にならないと相手に丸わかりになってしまい、透明になった意味がないという代物だったのである。 それに気づいたリリアは服や下着などを脱ぎ散らかしながら脱兎のごとくその場から逃げ出し、シャドウは逃がすまいと脱ぎ散らかされた服や下着等を目印にその後を追うのであった……。 そして予選開始場所から少し離れた場所には、リリアを見失ってしまい、辺りを見渡しながらリリアを探すシャドウと、そこから少し離れた場所に服や下着、靴やリボン等を全て脱ぎ、一糸纏わぬ全裸になった透明なリリアが息を切らしながらシャドウの様子を伺っていた。 (何で私の後を正確に追いかけてくるのよもう!) 当然ながらそれはシャドウがリリアが脱ぎ散らかした服や下着等を目印にしたからなのだがだからといって男子寮に潜入した時のようにあらかじめ服や下着等を脱ぐという選択肢があるわけがなく、敵が悠長に服を脱いでいる間待ってくれるわけがないのでどうしようもないことなのだが。 (さて……何とか逃げ切ることが出来たけど……どうやってあいつを倒せば……) リリアは足元にあるセイントグラフに目を移した。このセイントグラフは服や下着等を脱ぎ散らかしながらも最後までずっと手に持っていたものだ。 男の声は「セイントグラフを使ってサーヴァントを召喚しろ」と言っていた。実際自身とセルフィードとの合体魔法がシャドウに通じなかった以上、同じサーヴァントでないとあのシャドウと呼ばれたサーヴァントに太刀打ちすることは出来ないのであろう。 しかし先ほどリリアがサーヴァントを召喚しようとしてもセイントグラフは全く反応しなかった。 そのため恐らくサーヴァントの召喚には何か条件があると思われたのだがリリアにはその条件が全く分からなかった。 (ああもう!ホントどうしたらいいのよ!!) リリアは必死に考えたのだが答えを見出すことは出来ない。だが時間は無情にも待ってはくれなかった。 自身の身体を見ると薬の効果が切れたのか透明化が解除され、リリアの裸身が再び曝け出されていた。 「ちょ!?このタイミングで時間切れ!?」 そしてシャドウもそれに気づいたのであろう。再び自らの弓に矢を番え、リリアに狙いを定めていた。 「ひっ……いや……」 リリアの心の中にあったのは羞恥心ではなく恐怖心であった。彼女はオブシディアン先生の手によって暴走したヴェルメイによってアルトが致命傷を負い、絶命した瞬間を目の前ではっきりと目撃したことがあるのだ。あの時はヴェルメイがアルトと命を共有したことで蘇生することが出来たが、絶命したアルトの虚ろな目は今でもはっきりと脳内に刻み込まれていた。 あの弓から矢が放たれれば自分もあの時のアルトみたいに絶命する。 その恐怖心から彼女はその場でへたり込んでしまい、その場から動くことも立ち上がることも出来ずにいた。 (い……いや……私はまだ死にたくない……) だが恐怖心に飲み込まれそうになっても、リリアは生への渇望をまだ捨ててはいなかった。 アルトが完全に死んだと思ったとき自分がとても悲しい思いをしたように、もし自分が死んだらアルトも悲しい思いをするだろう。 それにまだブロンズスクエアにすらなっていないのにこんな訳の分からないものに巻き込まれて死ぬなんてそんなことは到底納得出来なかった。 (そうよ……こんなところで……訳も分からず死ぬなんて納得いくかあああああああああ!!) その思いがリリアの体の中を駆け巡った瞬間、偶然リリアが手をつけていたセイントグラフが空中に浮かび強い光を発する。 その光に対しシャドウは動揺したのか警戒したのかは不明だが攻撃を中断する。 やがて光が消え去ると、そこにはリリアの身体よりもずっと小さな奇妙な生物が宙に浮いていた。 茶色い卵型の体を黄色い歯車模様が描かれた青いフードで包み、口元を覆うベルトを通して白いマントを羽織っていた。目は黄色く、頭には円錐状の耳のようなものが生えていた。 その存在をシャドウは自身よりも格下と判断したのか再び弓に矢を番え、矢を放とうとする。 だがその行為に対してその生物はクックックと笑いながら両手で口元を抑え、笑みを浮かべる。 そしてこう言い放った。 「ナァンダ、ボクの初戦の相手はコンナ格下の雑魚カァ。チョット物足りないナァ。」 その言葉と同時にその生物は両手を上にあげると生物の頭上に魔法陣が現れる。 そしてシャドウは矢を放つが生物の頭上の魔法陣は矢と生物の間に割り込むように移動し、魔法陣から小型のブラックホールが発生、矢はブラックホールに吸い込まれやがてブラックホールは消滅しその場所は元の何もない空間に戻っていた。 自身の攻撃が打ち消されたことにシャドウは動じる様子もなく次の矢を弓に番え、弓を引き絞るが気づいた時には標的の生物の姿がどこにもないことに気づき、辺りを見渡す。 (ちょっと、あいつどこに消えたのよ!?まさか私を置いて逃げたんじゃ!?) リリアも召喚された生物の姿を探して辺りを見渡すが次の瞬間、先ほどのブラックホールのようなものがシャドウの背後に一瞬だけ現れ、その中から先ほどの生物が出現する。 「バイバイ♪」 その言葉と同時に生物は両手を上にあげると一瞬で魔法陣が現れ、そこから生物の身体を遥かに超える大きさの大剣が召喚される。 シャドウは背後の生物に気づき振り返るが生物の行動の方が早かった。 生物は目にも止まらぬ速度で大剣を振り下ろすとシャドウの体は縦に真っ二つに両断され、霧散、消滅した。 リリアには目の前で起こったことに対して理解は追いつかなかった。ただ一つ言えるのは無事にサーヴァントは召喚され、シャドウは倒されたということだけだった。 そのことを理解した途端、リリアの緊張の糸は切れ、ドッと疲れが押し寄せてくる。 「あ~~~~助かったあ~~~~本当に死ぬかと思ったあ~~~~~!」 そう言うとリリアは大きく伸びをして床に大の字になって寝転がり、生の実感を噛み締める。 やがて生物はリリアに気付くとフワフワと空中を浮遊しながらリリアに近づき、やがてリリアの目の前に来るとリリアに対し自己紹介をする。 「サーヴァント、キャスター。真名はマホロア。問おウ、貴女がボクのマスターカ?……ナアーンテ、一度言って見たかったンダヨネェ。……ッテ」 だがマホロアはある事実に気付いたのかリリアの身体をまじまじと見て率直な感想を漏らす。 「キミ……ヒョットして俗に言う『痴女』なのカナ?」 「!?」 マホロアの言葉にリリアは自分が一糸纏わぬ全裸であることを思い出し、急激に恥ずかしさがこみあげてくる。 そして顔を赤らめながら両手で胸と股間を隠し、こう言い放った。 「な、何見てんのよエッチ!!」 リリアとマホロアがそんなやり取りをしている内に二人のいる空間が闇に呑まれ、二人は教会の礼拝堂らしき場所へと転送される。 そして礼拝堂の奥からこの教会の神父であり、この聖杯戦争の監督役でもある男、言峰綺礼が姿を現す。 「ようこそ、見事試練を乗り越えた聖杯戦争のマスターよ。私は言峰綺礼。この聖杯戦争の監督役を……」 だが言峰の言葉は途中で途切れてしまった。何故なら言峰の目の前には恥ずかしそうに顔を赤らめながら両手で胸と股間の大事な場所を隠していた全裸のリリアの姿がそこにあったからだ。 言峰は体ごと後ろを向き、リリアにこう告げる。 「……早く服を着たまえ。このままだと話を進めることが出来ない。」 「分かってるわよそんなこと!!」 ◇ ◇ ◇ 十分後、礼拝堂には元通り服や下着等を全て着直したリリアとそのサーヴァントのマホロア、そして言峰綺礼の姿がそこにはあった。 幸いなことにリリア、マホロアと一緒にリリアが脱ぎ散らかした服、下着、それに靴や靴下やリボン、リリア自身が持ち込んだ透明薬残り9本とサーヴァントカードに変化したセイントグラフ、予選開始時にリリアに支給されたスマートフォン型の端末等、それら全てが礼拝堂に転送され、床に散乱する形で配置されていたためリリアはそれらを全て回収することが出来た。 勿論着替えている間はマホロアも言峰も一時退室させていたが。 言峰はリリアに率直な感想を述べる。 「しかし驚いたな。私は今まで監督役として幾人ものマスターを見てきたが全裸で予選を突破したものは君が初めてだ。」 「あの時はああするしかなかったからしょうがないでしょ!!」 言峰の感想にリリアは顔を赤らめて頬を膨らませ、マホロアはクックックと笑いながらその様子を楽しそうに眺めている。 「まあそれはさておき、君は聖杯戦争のことについて何も知らないであろう。監督役として私から君に教えられる限りのことを話すからとりあえず話だけでも聞きたまえ。」 そう言うと言峰はリリアに聖杯戦争の説明をゆっくりと始めた。 聖杯によって選ばれた参加者であるマスターとそのサーヴァントが生き残りをかけて戦うということ。 聖杯はどんな願いでも叶える願望機であり、手に入れられればありとあらゆる願いを叶えることが可能だということ。 そして聖杯にアクセスするためには令呪の存在が必要不可欠であり、3画全て失えば失格となるということ。 「……以上だ。他に何か質問はあるかな?」 「……荒唐無稽、としか言いようがないわね。」 リリアは言峰の話を聞いても素直に信じる気にはなれなかった。宇宙を創造したり世界すら作り変えたりするような聖遺物なんてそんなの仮にプラチナスクエアの魔導師たちが力を合わせたとしても作り上げるなんてことは不可能だ。 当の言峰も、「納得できなくて無理もない」という反応を示している。 「でも、ボクは『聖杯』はチャンと存在すると思うナァ。」 その時、リリアと言峰の会話に割り込む者がいた。今まで両者の会話を黙って聞いていたマホロアである。 「何であんたはそう思うのよ?」 「ボクの故郷はネ、『ハルカンドラ』って言う所なんだケド、今は滅びてしまッテいるんだけド、大昔にはとても高度な文明が栄えてイテ、そこで『聖杯』に匹敵するホドの数多くの聖遺物が作り出されたんダァ。」 マホロアはリリアにハルカンドラで生み出された数々の聖遺物の話を語った。 夢を生み出す不思議な杖「スターロッド」、呼び出した者の願いを叶える機械仕掛けの大彗星「ギャラクティック・ノヴァ」、映し出された願いを叶える神聖な鏡「ディメンションミラー」、心を持ち異空間を通ることで遠い場所まで移動することが出来戦闘能力を備える天かける船「ローア」、手に入れた者に無限の力を与える秘宝「マスタークラウン」。 どれも『聖杯』に迫る、もしくは匹敵しかねないほどの強大な力を秘めたアイテム達であり、それらの存在を知っており一部を所持すらしているマホロアにとって『聖杯』は荒唐無稽な夢物語ではなく実在するものだとマホロアはリリアに強く力説した。 リリアは最初、マホロアがリリアを聖杯戦争に参加させるためにでっち上げの作り話をしていると考えたのだが先ほどのシャドウ戦で見せたマホロアの圧倒的強さからそれらの力の一端に触れているというのもあながち嘘ではないと考える。 だがそれでもリリアは聖杯戦争に参加するかどうかは迷っていた。 「あらゆる願いを叶える願望機」なんて例えプラチナスクエアクラスの魔導師ですら喉から手が出るほど欲しがるようなとんでもない代物であり、そんなものを一介の見習い魔導師である自分が手に入れるなんて元の世界にいた頃に周りの人間に言おうもんなら「夢物語」と一蹴されるような事であり、それが現実として目の前にあるというのは非常に魅力的な案件であると言えた。 だがそのために自分以外のマスター、つまり他人を殺すことにはリリアは強い抵抗感があった。 彼女は聖杯戦争に参加する前、自らの研究、欲望のために5人の犠牲者を出し、ヴェルメイを暴走させアルトを一度は死に至らしめたオブシディアン先生のことを思い出していた。 最終的に5人の犠牲者は昏睡状態から回復し、アルトもヴェルメイと命を共有する形で助かったものの、他人を犠牲にして願いを叶える願望機を手に入れるなんてそんなことをしたら自分もオブシディアン先生と同じ穴の狢になってしまうのではと考えたのだ。 「オヤオヤァ?随分と悩んでいるようだネェ?こんな機会を逃したら2度とチャンスは巡ってこないと思うケドォ?」 「うっさいわね!参加するかどうか決めるのは私なんだからあんたは黙ってなさい!」 そう、あくまで聖杯戦争に参加するかどうか決めるのはマスターであり、サーヴァントには決定権はない。だからマスターが不参加の意向を示せばサーヴァントがいくら参加したがっても参加することは出来ないのだ。 だがそれを承知の上でマホロアはリリアにアドバイスを与える。 「……マア、ボクに決定権は無いからネ、最終的に決めるのはキミだけどキミにアドバイスを送るコト位は出来るヨォ。……キミ、誰かを殺すことに対して強い抵抗感があっテ、それで参加するかどうか迷ってるンデショ?」 「!?な、何であんたにそんなことが分かるのよ!?」 マホロアに図星をつかれたリリアはマホロアに問いかけるがマホロアはリリアを無視して言峰の方を向き、言峰に質問をする。 「ネェ、言峰神父ゥ?マスターは絶対に殺さなきゃダメなのカイ?ソレトモマスターを殺さないで聖杯を手に入れることは可能ナノカナ?」 マホロアの問いに対し言峰は回答する。 「……結論から言ってしまえばマスターを殺さなければならないという決まりはない。聖杯に触れられるのは霊体であるサーヴァントのみ、マスターが生存していてもサーヴァントが失われればその時点で失格となる。」 「ワァオ!ヨカッタねえリリア!マスターの命を奪わなくても良いってサ!」 ただし、と言峰はリリアとマホロアに忠告する。 「サーヴァントを失い失格となったとしてもマスターはその時点で脱落するわけでは無い。他のサーヴァントを奪うか、もしくは主を失ったはぐれサーヴァントと再契約すれば復帰することも可能となる。つまりサーヴァントを失ったからと言ってそのマスターが何もできず完全に無力化する訳では無い。」 それに、と言峰は更に付け加えるように忠告する。 「サーヴァントは同じサーヴァントを以てしても倒すことは難しい。だからこそマスターを狙って潰すのが聖杯戦争におけるセオリーだ。君たちのやり方ではこの聖杯戦争を勝ち抜くことは難しいだろう。その上でよく考えて決めたまえ。」 言峰の言葉にリリアは思案する。 確かにリリアが手も足も出なかったシャドウをマホロアは何の苦も無く倒して見せた。 それほどまでにマスターとサーヴァントには絶対的な力の差があるということだ。 そしてそれは他のマスターとサーヴァントにも同じことが言えるだろう。 悩むリリアに対し、マホロアは彼女の耳元に近づき、囁きかける。 「ダァ~イジョウブだって。ボクの強さはミタダロ?他のマスター連中だってボク程の当たりサーヴァントと都合よく組めている訳ないサ。上手く立ち回れば絶対勝てるッテ。」 それに、とマホロアは更に言葉を付け加える。 「サーヴァントはオリジナルはトックに死んでいて聖杯戦争で出てくるのは『座』と呼ばれる所から召喚されたコピーみたいなもので死んでもただ『座』に帰るだけなんだッテ。ダカラサーヴァントを殺してもそんなに気に病む必要はナイヨォ。」 そして最後にマホロアはこう言葉を付け加える。 「ソレトモ……キミは折角のチャンスをフイにして後悔しながら生きていくのカナ?」 「!?」 マホロアの言葉にリリアはアルトがヴェルメイを召喚してからの出来事を思い出していた。 元々ヴェルメイはアルトが使い魔を召喚出来ず留年の危機に瀕していた際、偶然発見した召喚魔術の本を使って召喚した使い魔で最初、授業中にも関わらずアルトとイチャイチャしている彼女が気に入らず彼女に決闘を申し込んだのだが手も足も出ずに敗北、力の差を思い知らされていた。 その後も特別試験で自身が魔獣ケルベロスに襲われそうになった際、ヴェルメイが圧倒的な力でケルベロスを倒したこと、アルトが自身よりずっと格上のゴールドスクエアに決闘試合を挑み、ヴェルメイとのコンビネーションで勝利したこと、それらを傍らで見ているたびにアルトが雲の上の存在になってしまったのではと感じていた。 そしてオブシディアン先生が本性を現しヴェルメイに薬を打ち込みそれが原因でヴェルメイが暴走、先生を殺そうとしてそれを庇ったアルトが命を落とした時も、ヴェルメイが自身に従わず逆上した先生が化け物に変貌して襲いかかってきたときも、ヴェルメイに敵わないと判断した先生が逃亡しようとした時も、自身も現場に居合わせていたにも関わらず、何も出来ずにただ怯えて事態を傍観するしかなかった自分の無力さを呪ったりしたものだ。 だがアルトがヴェルメイと使い魔の契約を結んでからあれほどの活躍を見せたように、自身もこのマホロアと契約し使い魔にすることが出来ればどうだろうか? あれほどの強さを見せたマホロアを使い魔にすることが出来たならばアルトと肩を並べることも、今までは憧れでしかなかったプラチナスクエアの魔導師になることも夢ではないかもしれない。 ついでにヴェルメイにあの時の決闘試合のリベンジを申し込み、雪辱を果たすことが出来るのであれば言うことなしであった。 決意を固めたリリアは言峰の方を向き、はっきりと宣言する。 「分かったわよ……その聖杯戦争に私も参加してやるわ!!」 「ワァオ!!分かってくれたんダネェ!!」 「フッ……いいだろう。」 リリアの宣言を聞いてマホロアは大袈裟に喜び、言峰は勝ち誇った表情を浮かべる。 「リリア・クーデルフェイト。君の参戦を聞き入れた。聖杯は君を歓迎するだろう。」 言峰がリリアに祝辞の言葉を述べるとリリアは言峰に確認を取る。 「説明はこれで終わり?」 「細かいルールは端末のヘルプで参照できるが、何か質問はあるかな?」 「ないわよ。もうあなたからは十分すぎるほど話は聞けたしね。もう用が無いなら失礼させてもらうわ。」 「フッ……素直じゃないな。」 リリアは言峰に背を向けるとマホロアを連れて教会の出入り口である扉を開き、両者ともに教会を後にする。 その背後で────。 「────喜べ少女よ。君の願いは、ようやく叶う。」 言峰は立ち去るリリアの背中に言葉を投げかけるがリリアはその言葉に立ち止まることも振り返ることもなかった。 ◇ ◇ ◇ 時刻は誰もが寝静まった深夜1時、C―5地区の月海原学園 初等部。 日中は学校に通う生徒や先生で賑わうこの学園も、現在では生徒、先生共々既に帰宅しており、学園は夜の静寂に包まれていた。 そんな学園の屋外に設営された授業用のプールから金網一つを隔てた外の道路に、リリア・クーデルフェイトは手ぶらで訪れていた。 厳密には使い魔のセルフィードとサーヴァントのマホロアを引き連れて来ていたのだがリリアがこれから行うことを他の人間に見られたら非常にまずいことになるため、彼らにはこの周辺やプールの近くに誰かいないかチェックし、もし仮に誰か近づいてきたらすぐにリリアに知らせるための見張り役を頼んでいるため、リリアの目の届く範囲に両者の姿はなかった。 最も他の人間に見られたら非常にまずいことといってもリリアがこれから行うことは学校の金銭や物品を盗むような窃盗行為や学校の施設や備品を壊すような破壊行為では断じてなく、リリア自身もそのような行為を行うつもりは決してなかった。 リリアは金網に手を掛けて金網をよじ登り、金網の頂きに立つとケガをしないようにプールサイドにゆっくりと降りてプールサイドに立つと、周囲に誰かいないか確認するために辺りを見渡し、今度こそ誰もいないことを確認するとおもむろに着ている制服のリボンに手を掛ける。 「はぁ……こんな事しちゃいけないって分かってるけど……別にいいわよね。見られなきゃ裸じゃないし誰かに迷惑がかかるようなことをする訳じゃないんだから。」 そう、リリアがこれから行おうとしていることは「夜の誰もいないプールを全裸で泳ぐ」ことであった。元々リリアは特別試験の時に自身が調合した透明薬が飲んだ者の服や下着等を透明にすることが出来ないことに気付き、実際に全裸になって非常に恥ずかしかったため、それに慣れるために誰もいない場所で全裸になる訓練をしていた所、それが癖になってしまい今では時々ストレス解消のために誰もいない時間と場所を見つけては全裸になることを密かに繰り返していた。 それにリリアは以前寮の警備を掻い潜るために透明薬を飲んで全裸になって男子寮に潜入し、合鍵を使ってアルトの部屋に無断侵入したことがあるため、こういった行為に対する罪悪感が薄いという側面もあった。 リリアは慣れた手つきで靴や靴下、着ていた制服を脱いで下着姿になると躊躇することなく下着まで脱いで一糸纏わぬ全裸となる。 そして脱いだ制服や下着等を一か所に纏めると大きな音を立てないように静かにプールの中に入り、壁を蹴ってゆっくりと泳ぎ始めた。 (裸で水の中を泳ぐのって気持ちいい……まるで人魚になったみたい……) 彼女は全身で水を感じながら泳ぐというより、まるで水と戯れるかのようにプールを一周し、やがてプールの真ん中にくると体を水にあずけるかのように仰向けになって水面に浮かび、夜の星空を眺める。 「きれい……」 そう思わず呟いてしまうほど綺麗な星空を眺めながら、リリアは聖杯戦争及びマホロアのことについて考えていた。 マホロアの口車に乗せられて勢いで参加を表明したものの、実を言うと彼女には未だに聖杯戦争に対する不安が残っていた。 オブシディアン先生は確かに自身の欲望のために5人の犠牲者を出し、ヴェルメイを暴走させて従わせようとし、異形の怪物にまで成り下がった外道であることには違いないが、彼とて最初からそうだったわけではなく、その場の感情でゴールドスクエアに決闘試合を申し込んだアルトを心配してたしなめ、ヴェルメイとの関係に悩むアルトの相談に乗ってあげるなど本性を現す前は「いい先生」であることは間違いなかった。今にして思えばあれは自身の本性を隠すための仮面だったのであろうがではもし彼が最初からクソ外道というわけではなく、悪魔の力に魅入られる前は今まで自分たちに見せていた「いい先生」としての顔が本当の物だったとしたら?誘惑に負けて道を踏み外してしまったのだとしたら自身もまたオブシディアン先生と同じ道を歩む可能性がリリアの頭の中をよぎっていた。 最初はマスターを殺さない不殺主義を貫いていても聖杯を手に入れたいという誘惑に負け、他のマスターの命を奪うようになっていったら自身もオブシディアン先生と何も変わらなくなってしまうのではないかという不安が確かにあった。 それに自身のサーヴァントであるマホロアに対しても、心の中では彼を完全に信用してはいけないという気持ちもあった。 確かに彼が語ったハルカンドラ文明の遺産の話はリリアにとっては聖杯同様荒唐無稽な話であったが彼がシャドウを倒したときに見せた圧倒的な力のことを考えると「それらの力の一端に触れた」というのもあながち嘘ではないと思えていた。 だが彼からはどこか、オブシディアン先生と同じ『嘘』の匂いが感じられる気がするのだ。普段の言動の胡散臭さもそうだが、自身を巧みに聖杯戦争への参加へと誘導した彼の口のうまさは、まるでそれだけで世の中を渡り歩いて来たのではないかと思えるほどの巧みさがあったのだ。 「……まっ、万が一の場合でもこの令呪があれば大丈夫よねきっと。」 リリアは右手をあげ手の甲にある令呪をじっと見つめた。令呪とは聖杯戦争の参加者であるマスターに3画配布される自身のサーヴァントに対する絶対命令権であり、これを使って命令すればその命令にサーヴァントは基本的に逆らうことは出来ず、絶対服従するしか出来なくなるため、これがある限りマホロアが自身に危害を加えることは出来ないとリリアは考えていた。 「……これ以上ここに留まっているとそろそろマズいわね……」 色々考えたいこともまだまだあったがこれ以上ここに留まって誰か人が来たら色々と面倒なことになるとリリアは考えたため、彼女はプールから出ると脱いだ下着や服等を着直し、再び金網を乗り越えてマホロアとセルフィードを迎えに行くのであった…… リリアが全裸でプールを泳いでいるその頃、見張りを言いつけられたマホロアは夜空を眺めながら自身のマスターのことを考えていた。 「……ナーンカ変な子がボクのマスターになっちゃったなあホント。」 マホロアの住んでいた世界では服を着ている種族と服を着ていない種族が当たり前のように混在して生活している世界ではあったのだが、彼女と初めて会ったとき全裸姿だったのは流石にギョッとしたものだ。彼女はやむを得ない事故だと主張しているが今現在も全裸で夜のプールを泳ぎ、自身に見張りを頼むあたり、やはり彼女は露出願望のある痴女なのではとマホロアは考えていた。 「……マッ、ボクの口車に簡単に乗せられちゃうような単純な性格だったのはタスカッタケドネ。」 正直マホロアは彼女が聖杯戦争を降りて自身の世界に帰ると言い出したらどうしようかと思っていた。 聖杯戦争に参加するかどうかの決定権はマスターにあり、サーヴァントが参加したいかどうかは関係ない。更に予選期間の間中は聖杯戦争に参加しないことを選択したマスターは自由に元の世界に帰還することが出来た。 だからといって無理に引き留めようにもマスターには令呪があるし、仮に万が一にもマスターを殺してしまった場合は、マホロアの場合は「単独行動」のスキルがあるとはいえ新たなマスターを見つけられる保証はないため出来れば最初に契約したマスターを上手く言い包めて参加してもらったほうがマホロアにとってはリスクが少ないと考えたからだ。 「……それにしても彼女も可哀想だネェ、ボクみたいな『嘘吐き』が自分のサーヴァントだなんてサ。」 リリアは聖杯にかける望みとして「自身のサーヴァントであるマホロアを自分の世界に連れて帰って使い魔にする」とマホロアに語っていた。それに対しマホロアは「ワァオ!!それは素晴らしい願いダネェ!頑張って優勝してその願いが叶うとイイネェ!!」と言ったがそれは勿論嘘だ。 マホロアは自由人であり誰かの下に就くなんてことが嫌いな性格なため、リリアの願いが叶うなんてことは真っ平御免だった。 そのためこの聖杯戦争の優勝が確定した瞬間、マホロアはリリアを始末し、聖杯に自分の願いだけを叶えてもらうつもりであった。 マホロアの願い、それは「マホロアが最初から全世界、全宇宙ありとあらゆる全ての支配者であり、それを全ての存在が当たり前の常識として受け入れておりそれを誰一人として疑問にも思わない」世界を作り上げることであった。 マホロアは以前カービィ達を騙してランディアを倒させマスタークラウンを手に入れ、マスタークラウンから無限の力を手に入れ全宇宙の支配者になろうとカービィに戦いを挑んで敗れ去ったことがあった。 その戦いで「力のみを頼って支配しようとしてもより大きな力によって敗れ去る」ことを学んだマホロアは『力』ではなく自らのアイデンティティである『嘘』で全てを支配しようと考えたのだ。 この聖杯戦争で優勝者に与えられる聖杯には世界の法則、常識、事実それら全てを改変して使用者の願いを叶える力があるとマホロアは言峰から聞いていた。 更に望むのであれば手に入れた者の思うがままに世界を動かし、欲望を全て叶える事も可能だということも。 ならばその聖杯の力でマホロア自身が最初からありとあらゆるすべての存在の支配者であり、それを誰一人として疑問に思わず、全ての存在がそれを受け入れた世界に改変するつもりであった。 マホロアは生まれたときから今までずっと嘘を付きつづけて生きてきた。ついたあだ名が「虚言の魔術師」であり嘘そのものが彼のアイデンティティであり誇りでもあった。 自身のサーヴァントとしての表向きのクラスである「キャスター」だって彼の本当のクラスではなく、本当のクラスは通常の7つのクラスとは別の『エクストラクラス』と呼ばれる特殊なクラスなのであるが、今の時点ではマホロアはそれを明かすつもりはなく、表向きのクラスである「キャスター」で通すつもりでいた。 ただ、彼自身もカービィ達との間に友情を全く感じなかったわけではなく、ジャマハート騒動の時にはカービィ達と共闘して三魔官やハイネス、復活した破神エンデ・ニルと戦ったり、その後デデデ大王とメタナイトがタッグを組んで「バディファイターズタワー」という塔を建てカービィに挑んだ時にはカービィとタッグを組んでデデデ大王とメタナイトのタッグと戦ったりしたこともあった。 ……最も、今でも宇宙の支配者となる野心をまだ捨てたわけでは無いし、現段階ではマスターであるリリアにカービィ達に対するような友情の気持ちを持ってはいないが。 それでもカービィ達と共闘した今でも『嘘』は彼にとって自身の全てであり、嘘をつくことをやめて『虚言の魔術師』の名前を返上してしまったら自身のアイデンティティそのものを全否定するような気がしていた。 だから聖杯に願って「力による支配」ではなく「嘘による支配」をマホロアは成し遂げるつもりでいた。マホロアが全世界、全宇宙全ての支配者であることが常識であり、それをカービィでさえ全く疑問にも思わないような、そんな力づくではなく嘘で成し遂げられた支配を。 「……ボクはどこまでいっても、噓吐きなんだよナァ。」 最も、カービィ達との共闘で力を合わせる事の大切さを学んだマホロアにとって、他のマスターやサーヴァント達を敵に回して袋叩きにあうことは何としても避けたいことだったので、聖杯戦争中は自身に友好的に接してくるマスターやサーヴァントには友好的なふりをして協力関係を結び、有利な陣営を見定めて上手く立ち回るつもりでいた。自身の優勝が確定するその瞬間まで。 「……オット、そろそろボクの『ご主人様』がボクを呼びに来た見たいダ。そろそろ行かないとネ。」 色々考えている内にリリアは既にプールからあがったのであろう。リリアがマホロアを呼ぶ声がしてくる。 (クククッ、マアボクが優勝するその瞬間まで精々役に立ってくれよ『ご主人サマ』。) マホロアはそんなことを考えながら自身を呼ぶリリアの元に向かうのであった……。 【サーヴァント】 【クラス】 キャスター 【真名】 マホロア 【真名熔解】 【真のクラス】 プリテンダー 【真の真名】 虚言の魔術師 マホロア 【出典】 星のカービィシリーズ 【性別】 不明 【ステータス】 筋力Ⅾ 耐久C 敏捷B+ 魔力EX 幸運 A 宝具 EX 【属性】 混沌・悪 【クラス別能力】 陣地作成:EX 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。マホロアは独力で遊園地や図書館を建設しているためこのスキルを高いレベルで有する。 道具作成:A+ 魔力を帯びた器具を作成できる。 マホロアはよろずやとしてジェムリンゴと引き換えに剣、ハンマー、フラスコ、杖といった武器やヘルム、メット、キャップ、ハットといった防具、体力や攻撃力を上げる薬や前述の武器のステータスを上げる書物などを作成可能。またそれらの武器や防具、薬や書物の作成はジェムリンゴでなくとも魔力を持った宝石など魔力さえ持っていれば他の物で代替可能と思われる。マホロア自身は上記のジェムリンゴを模した爆弾を自力で作成可能であり、戦闘時に武器として使用することもできる。 騎乗:A 幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。マホロアは古代ハルカンドラ文明の遺産である天かける船「ローア」を自在に乗りこなせるためこのスキルを有する。 単独行動 EX フェイカーのクラススキル。マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクEXならば、マスター不在でも長期間現界可能。 ただし、宝具を最大出力の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。プリテンダーのクラスがフェイカーと≒とされているため、マホロアもこのクラススキルを有している。 偽装工作:B フェイカーのクラススキル。ステータス及びクラスを偽装する能力で、Bであれば、他のクラスやステータスを相手に見せる事も可能。プリテンダーのクラスがフェイカーと≒とされているため、単独行動同様マホロアもこのクラススキルを有している。 【保有スキル】 高速詠唱:EX 魔術の詠唱を早める能力。神言ではないが、スキルとしての強さは神言すら凌駕しており、神言すら不可能な「無言かつ身振り一つで大魔術を発動させる」という行為を可能とする。 呪文・魔術回路の接続を必要とせず、詠唱の長さと威力が比例するという法則も適応外。 マホロアはこのスキルにより後述の宝具も含めた魔術全般を通常攻撃のようにタイムラグ無しで連発することが可能。 虚言の鼓舞:A+ 都合のいい言葉で味方を鼓舞し、能力を向上させる。マホロアの虚言癖がスキルとなったもので、言葉巧みに味方を煽てることに長けていたことからこのスキルを有する。 商売人:B プププ王国のよろずや店主及びダイヤモンド・タウンの薬の行商人としての功績がスキルとなっており、発動すると味方全体の魔力が回復するが代償として魔力を回復した味方全ての体力少しがマホロアに吸収される。本人曰く「アゲタんだから返してヨネェ」とのこと。 友情の誠意:A イカサマタマゴであり、ドノツラフレンズであるマホロア。そんな彼でもカービィとの出会いで自らの心境に変化が訪れたのか、友情の在り方について考えるようになった。マスターが自身のマスターとして相応しくないと判断すればプリテンダーとしての本性を露わにし容赦なく裏切るが、マスターが彼と真の友情関係を結ぶことに成功し、マスターとして認めることに成功すればその誠意に応えるため決して裏切ることなくその力をマスターのために打算無しで振るう。 【宝具】 『ブラックホール』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1~30 最大捕捉:100人 頭上に自身と同じ大きさの魔法陣を作り出し、そこからブラックホールを発生させ敵を攻撃する。マホロアの目の届く範囲内であればすぐにブラックホールを発生させずに魔法陣を自由に移動させて発生場所を自由に決めることが出来、発生したブラックホールは低位の魔術や飛び道具等を吸い込んで無効化させることもできる。更にスキルによって一度使用した後すぐさま再使用が可能なため、通常攻撃のような感覚で気軽に使用できる。 『超・必殺剣(ウルトラソード)』 ランク:A 種別:対城宝具 レンジ:1~80 最大補足:500人 自身の身の丈を遥かに超える紫色の巨大な大剣を召喚し、自身の前方を斬りはらう。斬撃の範囲は自身の真後ろを除く真上や真下を含めた前方広範囲で、更にブラックホール同様魔力消費も少なく、通常攻撃のような感覚で連発が可能なため、マホロアはこの宝具と上記のブラックホールを連発して手数で敵を圧倒する戦法を好む。 『天翔ける古代船(トベマホローア)』 ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人 古代ハルカンドラ文明の遺産であり、マホロアの所有船であるローアを召喚し、前方に突撃させ体当たりで敵を粉砕する。ただし威力こそEXランク宝具相応の高威力なものの、マホロア単独でこの宝具を使用することは出来ず、呼び出したローアにマスターか同盟相手のサーヴァントを乗り込ませて操縦してもらわないと突撃すること自体出来ず、更にローアを呼び出している間はマホロア自身は隙だらけと非常に使い勝手が悪いため、マホロアは基本的にこの宝具を使用したがらず、専ら使い勝手のよい上記の『ブラックホール』や『超・必殺剣』で戦うことを好む。 【weapon】 手持ち武器は無し。マホロアは上記の宝具以外にも魔術師として多数の魔術を習得しており、魔力弾(連射可能であり魔力を込めることで巨大な火球を撃つことも可能)、杭ほどの太さの魔力の棘、自らに魔力の風を纏うことによる突進、魔力で生成した自身の体を包みこむ大きさのバリア、空中浮遊魔術、空間転移魔術を習得しており、戦闘時には上記の宝具以外にもこれらの魔術を駆使して戦う。 【人物背景】 「星のカービィ」シリーズに登場する魔術師。初登場の「Wii」では本編開始前、ハルドラボ火山の地下の迷宮にてハルカンドラの遺産の宇宙船「ローア」を発掘しマスタークラウンを狙ってそれを守護していたランディアに挑むが返り討ちにあい、異空間ロードを通ってポップスターに命からがら逃走する。そしてポップスターで出会ったカービィ達一行に対し無垢な被害者のふりをして接触し、破損したローアのパーツとエナジースフィアの回収を依頼、そしてカービィ達がローアのパーツとエナジースフィアを全て回収するとそれを元にローアの修復に成功し、カービィ達と共にハルカンドラに戻るがランディアの迎撃にあい、カービィ達に嘘をついてランディアの退治を依頼する。そしてカービィ達がランディアの討伐に成功すると本性を現し、マスタークラウンの力で巨大な姿に変貌し自らの目的をカービィ達に明かすと全宇宙を支配すると宣言し異空間ロードに移動する。そして異空間ロードで自らを追ってきたカービィに対しローアを差し向けるが倒されてしまい、異空間でカービィと直接対決をするが一進一退の攻防の末、ウルトラソードの攻撃をくらい敗れるがその直後にマスタークラウンが暴走し第二形態へと変貌、カービィと死闘を繰り広げるが最終的には敗れ去る。 死亡したと思われていたが実は生存しており、その後の「大迷宮のトモダチを救え!」ではローアに乗ってカービィ達の元を訪れており、前述の一件があったにも関わらずカービィに「友達を救ってほしい」と依頼する厚顔無恥ぶりを発揮、当初はカービィ達に不審がられるがそれでもしつこく食い下がって懇願し、それに折れたカービィ達と共にディメンションミラーに突入するが終盤にまたしても本性を現しディメンションミラーを強奪、ディメンションミラーの力で巨大化し、カービィ達に襲いかかるがカービィ達の機転により敗れ去る。 そしてメタナイトに目的を明かすよう詰問されると「一緒に遊びたかった」「友達になりたかった」と自らの想いを吐露、同情したカービィに拘束を解かれると同時に逃亡、その際、カービィに「本当の友達になろう」と言葉をかけられ一瞬動揺するが結局逃亡する。 その後心境の変化があったのか「スターアライズ」ではドリームフレンズとしてカービィに力を貸しハイネス戦及びエンデ・ニル戦でカービィと共闘、「星のマホロア 心からのベストフレンズ」ではバルフレイナイトと戦闘しそれに勝利、「アナザーディメンションヒーローズ」ではカービィと共闘しダークサイドハイネス及び三魔官シスターズと死闘を繰り広げこれに勝利している。 その後の「カービィファイターズ2」でもカービィと共闘して「バディファイターズタワー」を攻略しデデデ大王とメタナイトのタッグと戦闘、最終的に「下弦のマスクド・デデデ」「上弦のマスクド・メタナイト」に変貌した彼らとの戦闘に勝利し彼らを正気に戻すことに成功している。 また商人としても活動しており、「カービィハンターズ」ではよろず屋の店主として、「無限の歯車」では薬の行商人としてカービィに武器や薬を販売したりしている。 当聖杯戦争では「スターアライズ」のドリームフレンズとして「かつてはカービィを騙し敵として立ち塞がったがその後心境が変化し、カービィの味方として共に共闘した」姿で召喚されており、腹黒い性格は相変わらずであるがマスター次第では平気で裏切る可能性も、上記のように「心からのベストフレンズ」として共に共闘できる可能性もどちらも孕んだ存在となっている。 【サーヴァントとしての願い】 マホロアが最初から全世界、全宇宙ありとあらゆる全ての支配者であり、それを全ての存在が当たり前の常識として受け入れておりそれを誰一人として疑問にも思わない、そんな嘘で支配された世界を創り、自身をその世界の支配者にしてほしい 【方針】 表向きはリリアの意向に賛同し、友好的に振る舞うが優勝が確定した瞬間に彼女を切り捨てる。有利な陣営を見定め、自身が有利になるように立ち回る。 【把握媒体】 ゲーム「星のカービィ Wii」「カービィハンターズZ」「スーパーカービィハンターズ」「星のカービィ スターアライズ」「カービィファイターズ2」、小説「星のカービィ 大迷宮のトモダチを救え!の巻」「星のカービィ 結成!カービィハンターズZの巻」「星のカービィ スーパーカービィハンターズ大激闘!の巻」「星のカービィ 夢幻の歯車を探せ!」「星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師」などをご参照ください。ゲームはプレイ動画及びムービーがYoutubeなどの動画サイトにUPされています。小説は現在書店にて絶賛発売中です。 Wiiのマホロアを知りたい場合はカービィWiiのプレイ動画及びムービー、及び小説の「星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師」を重点的に、ドリームフレンズとしてのマホロアを知りたい場合は「スターアライズ」のマホロア関係のプレイ動画及びムービーを重点的に見た方がいいかもしれません。 【マスター】 リリア・クーデルフェイト 【出典】 金装のヴェルメイユ ~崖っぷち魔術師は最強の厄災と魔法世界を突き進む~ 【性別】 女性 【能力・技能】 『使い魔 セルフィード』 リリアが契約した使い魔(サーヴァントとは別)で風の上級精霊。『召喚』の掛け声とともに呼び出され、リリア自身の魔法と合体させた合体魔法(名称不明。見た目はドラクエのバギ系統に似ている)で敵を攻撃する。 強さのほどは不明だがヴェルメイに上記の合体魔法で全くダメージを与えられなかったことと、特別試験においてケルベロスと直接戦おうとせず、後述の透明薬でやり過ごす選択を取ったことから、大して強くない可能性が高い。 【weapon】 「透明薬」 リリア自身が作成した試験管に入った緑色の薬。アルト曰く「卒業生でも作れる人が少ない高度な魔法薬」とのことでこの薬を飲むと全身が透明になり相手から視認されなくなる。ただし着ている服や下着等は透明にならずそのままなため完全な透明になるためには服や下着等を全て脱いで全裸にならなければならない。また音や匂い等は誤魔化せず、一定時間が過ぎると薬が切れて効果が解除されてしまう。当聖杯戦争においてはリリア自身が処分しようか悩んでいた10本の透明薬をそのまま持ち込んだまま参加したため、予選で消費した1本を除き、現在9本所持している。 【人物背景】 王立オルティギア魔法学院の中等部2回生(初登場時1回生)の見習い魔導師で年齢はおそらく13~14歳。主人公のアルト・ゴールドフィルドの幼馴染であり彼に強い恋心を抱いているため彼の使い魔となったヴェルメイのアルトに対する積極的なアプローチに嫉妬し、アルトに決闘を申し込むがヴェルメイに手も足も出ず敗北し、アルトとの約束で(表面上は)ヴェルメイと和解する。作中ではヴェルメイが規格外に強いため目立たないが高度な魔法薬である透明薬の作成に成功したり、2回生の成績優秀者3名の中の一人に選ばれているため、プラチナスクエアやゴールドスクエアの魔導師と比べれば強さが大幅に劣るだけで見習い魔導師の中では優秀な魔導師だと思われる。痴女である可能性があり、学年代表を決める特別試験に合格するため、番犬であるケルベロスを出し抜いて妖精の花を手に入れるため自身が作成した透明薬を飲んだ後、全裸にならなければ完全な透明になれないことに気づき、恥ずかしがりながらも全裸になってその身一つで妖精の花を手に入れようとしたり、課題にかこつけてアルトを誘惑するヴェルメイに怒り、正体を暴くため透明薬の性質を理解した上で透明薬を飲んで全裸になり男子寮のアルトの部屋に忍び込んだり、ブロンズスクエアの認定試験の試験勉強の際に薄着の興奮状態でアルトに詰め寄るなど、羞恥心が薄く全裸になることに対する抵抗意識が低いと思われる。その一方で前述の特別試験でケルベロスに襲われた自身を助けてくれたことに感謝し手に入れた妖精の花をアルトに譲ったり、ヴェルメイが悪魔であることを理解した上で落ち込むヴェルメイを叱咤激励し、アルトとヴェルメイの絆を理解して彼女の背中を押して自身はアルトから身を引くなど義理人情に厚い一面も持っている。 【マスターとしての願い】 自身のサーヴァントであるマホロアを元の世界に連れ帰って自身の使い魔にする。 【方針】 他のマスターを殺さず、サーヴァントだけを倒すことで優勝を狙う。マホロアのことを完全に信用はしない。 【ロール】 アカデミーの学生 【令呪の形・位置】 右手の甲にある 【把握媒体】 「金装のヴェルメイユ ~崖っぷち魔術師は最強の厄災と魔法世界を突き進む~」の漫画及びアニメなどをご参照ください。漫画は月刊少年ガンガンで連載中で単行本は現在6巻まで出ています。アニメはAmazon Prime Video、Abemaプレミアム、dアニメストアその他配信サイトで全編配信中です。