約 374,295 件
https://w.atwiki.jp/fragmentsrowa/pages/21.html
「────こんにちは。英霊の皆さん。」 屈膝礼を取る、一人の女性。 艶めく銀髪が靡き、身に纏う純白のドレスが静かに舞う。 「私の名は『天の衣』。貴方たちを召喚させた大聖杯の端末になります。 聖杯に相応しき者を選定するため、今回の聖杯戦争が開催されました。」 彼女は『天の衣』と名乗る、大聖杯の使者。 無邪気な微笑みを浮かべながらも、自らの目的を示した。 「当聖杯戦争では、原則として"マスター"は存在しません。 ご自身の意向で聖杯戦争を進んでいただくことが、当聖杯戦争となります。」 開催形式は「はぐれサーヴァント」による聖杯戦争。 マスターはおらず、サーヴァント単身で勝ち残る形式で行われる。 「選定の条件はたった一つ、"最後の一人まで生き残ること"です。 聖杯戦争の勝利者を、大聖杯は相応しき資格者と認め、全権を贈呈いたします。」 提示される条件は、"最後の生存者"。 それは"聖杯を起動する条件"ではなく、"資格者を選ぶ条件"のことであった。 「……こちらから伝える点は以上になります。 詳細・ルールについては、召喚の際に聖杯より知識として支給されるので、ご確認ください。」 話を切り上げた天の衣は、両手を翳す構えを取り始める。 「……それでは。」 突如。一器の小聖杯が掌に出現し、光が放たれた。 『────聖杯戦争に入りましょう。』 赤色に煌めく召喚陣が、各々の地面に出現する。 輝光が結界を包み込み、世界の風景も光に覆われていった。 : : : やがて風景に色が生まれ、降り立つサーヴァント達。 その先は、空気と魔力が自然に流れる、地上の世界であった。 ==================== Fate/Sole of Anoint - 天衣聖杯選定 OP ====================
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/694.html
339 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage五日目・昼:岸部露伴の一日] 投稿日: 2007/04/16(月) 04 33 18 少し時間を遡り、S市杜王朝 岸部露伴は朝から事件の現場にいた。 昨日の事件も、今朝残された現場も、等しく彼にとって観察の対象である。 自宅の庭で上空の戦闘を余さずスケッチした。 これまで戦闘機の写真は手に入れることは出来ても撃墜の瞬間の写真などを入手することは出来なかった。 だが昨日の空戦のおかげで撃墜される瞬間のスケッチを残すことは出来た。 おかげでリアリティのある空中戦が描けるようになると思うと、ついつい空中戦のストーリーを考えてしまう。 「上空の空戦と、それによって生じた被害、なんてのも絵になるな」 崩れ落ちたビル街の風景をスケッチしながら、岸部露伴は三冊目のスケッチブックに手を伸ばした。 「仗助、あそこにいるの露伴先生じゃねーか?」 「ん? あー、そーだな……」 特に興味なさげに仗助は頷く。 「よーっす、先生ー! 何してんスか?」 「ん? ああ億泰に仗助じゃないか、スケッチだよ、スケッチ」 視線を一瞬だけ向けて戻し、ページを捲り鉛筆を走らせていく。 「これもマンガのネタになるんスか?」 「ああ、そうだよ、だから邪魔をしないでくれ、どーせ君達は暇つぶしだろ、僕は忙しいんだよ」 はっきりとした拒絶。 今、彼の頭の中にあるのはスケッチをすることだけだ。 「そーすか……そりゃ別にいいんスけどね……飽きないスか? そんなに描いてて」 「フン、飽きると思うかね? こんなに良いネタに出会ったばかりだというのに」 さらにページを捲り、立ち位置と体勢を僅かに変えてさらに鉛筆を走らせていく。 一枚一枚が画集の1ページに採用されそうなほどの気合いの入ったスケッチは、見る者が見れば卒倒する程の代物だ。 それを僅か一分程度で書き終える岸部露伴という男は、既に人間の域にはない。 だがそう言った方面にまるで疎い二人はそんな事実を気にする様子はない。 漫画家という人種は得てしてこんな物なのだろうという誤った認識だが、恐らく是正されることは今後もあるまい。 「ネタ、ねぇ……ま、いいっすよ、偶々見かけただけっスから、邪魔になるってんなら退散しますよ……いこーぜ、億泰」 「お、おう……じゃーまた今度ってことで」 その場から立ち去る二人に一顧だにしない。 さらにページを捲り、スケッチを続けていく。 瓦礫の山の中からバラバラ死体が発見され、事件となったのはこの僅か20分後である。 当然の如くそれもスケッチしたが、警察に見咎められ、スケッチブックを一冊丸ごと没収されることとなる。 「なー、仗助、さっきの露伴がスケッチしてたビル……やっぱりアレ関係だと思うか?」 「だろーな……ニュースだけならそーゆー『スタンド』かとも思ったけどよ、ありゃ一人のスタンドだけで出来るとは思えねーんだよな」 彼自身の視力では判別しきれなかったが、彼のクレイジー・ダイヤモンドは破壊されたビルの残骸の詳細を捉えていた。 真横から叩き付けられたかのように折れ飛んだビルと、剣かなにかを突き刺したような巨大な穴に壁面に穿たれた拳の痕跡。 それぞれ余りにも結果に違いがありすぎる。 「一対一のスタンド使いの戦いだったとしても、二つのスタンドじゃ無理そーなモンだからな…… 多分、サーヴァントってヤツなんだろ、勘だけどな」 「ふーん……」 取り留めのない話をしながら、二人は住宅街へと戻っていく。 「フン……全く理解のない連中だ」 捜査車両から解放された時には岸部露伴の機嫌は途方もなく悪くなっていた。 全てを没収されることは回避できたが、さすがに死体をスケッチした物は問答無用で没収された。 「ま、良いさ……」 がりと一度頭を掻いてから、パラパラと描かれたスケッチを眺めて確かめつつ自宅へと歩き出す。 予備として最後の一枚だけ余白が残された途方もないリアリティをもって描かれたスケッチ。 それを眺める本人に自覚はまるきり無いが、そこに浮かぶ笑顔は子供が泣き出すほど邪悪に満ちている。 彼自身気付くことはないが、偶々顔を見てしまった小学生が腰を抜かして逃げ出した程である。 「……ん?」 ふと何かを感じて顔を上げる。 ネタになりそうな事態が近くにある。 彼の直感はそれを感じ取っていた。 周囲を見渡すと―― 管区警察局:妙な風体の警察官を見つけた 方面機動隊:機動隊の特別警備車を見つけた 方面総監部:陸上自衛隊と書かれたトラックを見つけた 投票結果 管区警察局:5 決定 方面機動隊:0 方面総監部:2
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/577.html
652 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日:2006/12/14(木) 04 48 53 まだ大魔法を使える程には回復し切れていない。 敵の状況を確認する。 右足の筋肉は断裂し、出血している。 それに左脇腹を抉り取ったダメージも大きいはず。 だがそれでも、まるで闘志は萎えていない。 そのダメージに頓着することなく迫ってくる。 その姿は、止まるところを知らぬ狂戦士そのものだ。 「……いける? バルディッシュ」 Yes,sir バルディッシュの受け応えでフェイトの腹は決まった。 迫るセイバーへ突撃する。 鎖剣を弾きながら接近する。 フェイトも、バルディッシュもその攻撃に対応しつつあった。 「凄く、強いけれど……一本調子の攻撃なら!」 続く一撃を弾いた瞬間、その鎖が再びフェイトを襲う。 それに気付き、全速で飛び去る。 「攻撃が単純な軌道だけだと思ったか?」 「今のは……普通の動きじゃなかった、まるで、腕の延長のような、動き……」 垂らされたままの鎖が地面を這うようにフェイトを襲う。 弾いたとしても回避しながら突撃したとしても追撃が来る、そう判断すれば逃げる他ない。 Arc saber 光刃を飛ばして牽制する。 「おおおっ!」 手元へ戻した剣を地面に叩き付ける衝撃でアークセイバーの一撃を吹き飛ばす。 「……凄い」 「目は覚めたか? かかってこい」 負傷していようと、どんな状況だろうと、途方もなく強く、油断などできない、故に己の負傷は絶対。 目は覚めた。 「ええ、目は覚めました……いきます!」 唯ひたすらに全力を叩き付けるのみ。 時は数年前に遡る。 元より片親であった彼は父親と同じ学者の道を歩む事に異論はなかったし、それは当然のことだと思っていた。 そして、『それ』を見つけたのも本当に偶然であった。 父親は、彼が見つけたときには根刮ぎ『奪われて』既に死んでいた。 そして、偶然ではあったが、彼はそれを制御する才能を持っていた。 表向き彼の父の死は発掘調査中の事故として扱われ、そして彼の手には『それ』が残っていた。 まずはそれがなんなのか、様々な手段で調べ上げ、遂には倫敦の時計塔の事を知った。 それがコスタス・バルギリオの魔術師としての始まりであった。 手にした物体は、代償と引き替えに途方もない力を与えてくれたから、唯ひたすらに力を求め、目指した先は、多くの魔術師の例外に漏れず、根源であった。 「古代遺産 ロスト・ロギア ――!」 「……さあ、俺を食らえ、そして俺はもっと強くなる!」 宝石が光を発し、何かがコスタスの身体から吸い取られていくのが見える。 「ククク……行くぞ!」 放出される魔力は先程よりも遙かに強い。 吸い取られた何かを代償にして魔力を強化している。 そして唐突に理解する。 この人は、誰を犠牲にすることも厭わない、それが自分であっても躊躇いなく犠牲にしてしまう。 「それじゃあ最後に何も残らない……」 「残るのだよ! 俺の記憶も! 親父の記憶も! コイツの中でなあっ!」 「記憶……!」 記憶を吸う物体。 どこかで魂が訴えかける。 それは知っている物だと、叫んでいる。 この世界の自分が直接体験したことはない、それでもとても近い、彼女の魂が訴えかける。 「イデアシード……!」 人間の過去、その記憶を純粋で莫大な力に純化する結晶体。 「ほう、どこで知ったかしらんがなあっ! 知ってるなら、もう諦めろおっ! 俺の記憶どころか親父の記憶も丸々コイツの中に入っている! そこから生まれるその純粋なパワー! 分かっているのか少女よおおおっ!」 生成されていく影の中から膨大な魔力が空中へと放たれ、全速で回避しながら突破口を探る。 放たれた膨大な魔力は真後ろに位置した大木を薙ぎ倒して虚空へと消えていく。 「記憶は、なくしちゃいけない! ……そんな過ちを、見過ごしはしません!」 突破口は、その手から奪い取り、そして記憶を無理矢理にでも戻す事! 「過ちだというなら正せるか! 俺が正しいと信じた道を正せるか!? 既に正道に入っている俺をなあっ!」 影から生まれた魔力が鞭のようになのはに迫る。 「正します! その道が歪んでいることを教えて、過ちだって分からせて! 記憶が必要な物だって事も教えてあげる!」 迫る鞭の一撃を、レイジングハートで思い切り叩いて吹き飛ばす。 「ペラペラしゃべってあれもこれもと! 記憶など求める物に比べれば泡沫の幻も同然! 泡を気にして水中を泳げるものかよ!」 その言葉で、なのはのどこかで何かが切れた。 「ッ……! レイジングハート!」 零距離攻撃:バリアを展開して敵に向かって突撃する 長距離砲戦:陣を展開し、魔砲で攻撃する
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/644.html
372 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 五日目・朝:台所の会話] 投稿日: 2007/02/14(水) 04 26 12 「……よし」 台所から流れてくる香りを嗅げば大凡の準備は終わっているのだろうと分かる。 用意を手伝えなかった事もあるし、配膳位は手伝うことにしよう。 居間を軽く見渡す。 実に普段通りと言わんばかりの大人二人と眠そうにしている女性陣が何人か。 居ないのは、まだ寝ているか、大事を取って休息しているのか。 バゼットさんがいないのは少しだけ気になるが、きっと洋館に戻っているだけで、きっと無事だ。 単独行をして無事を伝えない、なんて事をする人ではないだろうが、きっとそうなのだと思いこむ事にする。 「桜、おはよう」 台所に入りまず挨拶。 「あ、おはようございます先輩」 卵焼きに、さらにキャベツとハム、椎茸の炒め物を盛りつけながら桜が笑いかける。 その笑顔は毎朝見せてくれるが、やはりいつ見ても安心する。 「む、起きたか、衛宮、おはよう」 視線を転ずると、氷室が人数分の御飯を茶碗に盛りつけている。 二桁を超える膳がずらりと並ぶ様はそれなりに壮観だ。 「ああ、おはよう」 軽く手を挙げて挨拶を返す。 「桜、何か手伝うこと、ないか?」 「ええっと、じゃあ、このお鍋の配膳をお願いできますか?」 「ああ、昨日のアレだな……ん、これなら個別に盛りつけるより大皿で突っつく方が良いかな?」 昨日の間に仕込み、汁がたっぷりと染み込んだスコッチエッグを見ながら言う。 「はい、そうですね、それじゃあお願いします」 そういいつつ桜は続いて味噌汁の盛りつけに取りかかる。 「しかし、私達のせいとは言え、この台所は炊き出しの現場のようだな」 杓文字でぽんぽんと丁寧に盛りつけられた飯の形を整えながらポツリと漏らす。 「あはは、そうかもしれませんねー」 「ま、鍋の大きさがデカイしなあ……」 何しろ味噌汁が入っているのは重量が4キロ近くもある十徳鍋である。 炊き出しに使ってもそれなりに役立つだろう。 とはいえ、家で普段から使っている大きさなんだけど。 「しかし、少し懐かしいぞ、これほどの人数で食事をするのはいつ以来か」 小学校の給食以来かなあと少し遠い目をしながらウキウキしているようだ。 ……確かに、仲の良いあの二人とは毎日のように食べているのだろうが、これだけの人数を集めて食事をする、なんてのは普通ないだろう。 あ、ちょっと盛りすぎ。 ……あれは蒔寺の分にしておこう。 「ところで、家主の二人に聞いておきたいことがあるのだが」 最後の茶碗に盛り終えると突然真面目な表情を作って言った。 「……なんですか?」 真面目な話……何かあっただろうか。 あるとすれば……昨日の風呂の話だろうか。 いや、あれは桜に話されると非常に困ります。 つ、と冷や汗が流れるのを感じる。 もしかして、遠坂がやったらしい人を深い睡眠に落とす魔術の事か? そうだとすれば、どうすればいい? 思考がグルグルと回り、口の中の唾を飲み込む。 「……二人の間に子供がいるとかそう言うことはあるのか?」 盛大に吹いた。 桜は思い切り咳き込んでいる。 椀をテーブルに置いてあったから助かったが思い切り溢しかねない爆弾だった。 「……どこからそんな話が出たんだ?」 呼吸を落ち着けながら聞く。 いや、何となくそう考えるに至った経緯とかは想像できるんだけど。 「そ、そりゃ子供が出来たら嬉しいですけど」 桜も顔真っ赤にして何を言っておるか。 「今朝、見知らぬ子供をこの家で見たのでな、二人の隠し子か忌み子の類かと思ってな、声は掛けていないのだが」 やっぱりノインのことか。 だが少なくとも隠し子じゃないと思うよ? 「忌み子って、妖怪やらじゃあるまいし、あの子はだな……」 さすがにここまで連続で切嗣の娘とかそう言うことは言えまい。 まあ、隠すべき事情でもないし、正直に話してしまおう。 「昨日ちょっと用事があって出掛けたんだが、あの子が倒れててさ…… 放っておくわけにもいかないから家に連れて帰ってきたんだよ、記憶喪失でもあるらしいし」 「ふむ、そういう事情か……警察には知らせてあるのか?」 「ああ……一応な」 そう言ったことはあの神父がやってくれた。 日本の警察は大概の場合優秀だ、ただの身元不明ならばすぐにでも見つけてくれるだろう。 「なるほど、用事が何か、と言うことは詮索すまい、それで預かってきたというわけか」 そういうわけなんだ。 「なるほど、納得した、食事の時にでも紹介して貰えると嬉しい」 「ああ、勿論だ」 質問継続:「それからもう一つ聞きたいのだが」眼鏡を掛け直して続けた お手伝い:「あの……何か手伝えることありますか?」三枝さんが顔を出した 虎と黒豹:「しろー、ごはんまだー?」虎が半分寝ている黒豹連れてやってきた 投票結果 質問継続 5 決定 お手伝い 2 虎と黒豹 2
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1017.html
615 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/07/17(火) 04 22 38 「う、うわ……」 隣室からの声が漏れてくる。 その声だけで、その部屋に集まった女性陣は沈黙し赤面した。 時折声と違う『音』まで隣室に漏れてきて、全員動きさえ止まっている。 薄く開けられた襖から覗き込むことをしようとして、全員が躊躇していた。 「ま、仲が良いのは良いんだけどね……」 絞り出すように声を発そうとし、もうちょっと自省して貰いたかったと思ったのは遠坂凛である。 彼女個人としては、二人の仲が良いのは——多分——構わないのだが。 「は、はわわわ……」 「す、凄い声、だね……」 ごくりと、口中に残った僅かな水分を飲み込む音が僅かに漏れ、誰の耳にも届かず掻き消える。 ……集まった女性陣の仲で一際顔を赤くしている少女——改めて考えれば驚くことに彼女のサーヴァント——二人が居るのが問題であった。 未成年どころか年齢一桁な少女達には明らかに刺激が強すぎる音と声である。 開けられた襖を覗き込むだけの勇気は無いようだが、その代わりに聴覚を全開にして襖の先の音に聞き入っている。 『そう言った』事への知識も無さそうな二人は、それを実践している瞬間を耳にしてどんなことを考えているのか、興味はあったが誰かに向けて口を開いたらその衝動に任せて隣の部屋に叫びながら乗り込んでしまいそうで、それは出来なかった。 とはいえ、それはその場の誰も彼も似たような物で、瞑想するように目さえ閉じて襖の先の光景を想像、というよりも妄想している者さえ居た。 その当人である氷室は自らの妄想で自滅しかけたが、頭を振って妄想をなんとか振り払い、この場に由紀香を連れてこなくて良かったと本気で思った。 体調が万全でない上に——いや、万全であってもか——そう言ったことにまるきり免疫のない由紀香がこの声を聞いていたら目を回して倒れてしまうだろう。 かくいう己自身にしても、座っているのに体のバランスを崩して倒れそうになってしまっている程にふわふわとした感覚を嫌と言うほど味わっている。 下手に豊かな想像力が災いした。 文字から情景を読み取ることへの経験の高さ故なのか、音と声からだけでその光景が次々と思い浮かんでしまうのだ。 そんな事を考えている間に、さらに二人の声が加速しているのが聞こえてきて、妄想せずとも体温は上がっていく。 そう言った本などから得られた知識はあっても経験は残念ながら、無いわけで。 もうこの際前後不覚に陥ってこの場で『経験を積んで』しまってもいいんじゃないかなあ、なんて考えていた。 ふと思いついて、ちらりと薄目を開き、他の面々に視線を移してみる。 最初に目についたのは、まあ親友と言っても良い黒豹である。 顔を手で覆って隠しているが、駄々っ子が嘘泣きをするときのように目の部分はばっちりと開いている。 襖との距離があるから例え開いていても見えはしないのだが、興味は浜辺に打ち寄せる波のように次々と湧いては消えて行くのだが、近付くだけの勇気はなく、この距離と僅かに開いた隙間から見えはしないかと目の力を集中させるだけに留まっている。 それは隣で床に伏せて聞き耳を立てている名城も同じで、彼女の思い人へのアプローチの参考までに、と軽く考えていたのだが既に感情の水位は溺れるに余りある状況で、とてもではないが学ぶ、とか参考にする、なんて事が出来る精神状態ではない。 立ち上がろうにも、この昂ぶりからすれば立ち上がれば即座に足がもつれて倒れることは確実に思えた。 そしてこの部屋に集まっていた最後の一人であるルヴィアは、完全に思考が止まっていた。 故郷フィンランドに連れ帰り子供は何人、なんてレベルまで考えていたのだが、これほどに生々しい声と、そこから想像される獣のような行動。 それを突きつけられてあっさりと受け入れられるような状態ではなかった。 彼女自身、知識は豊富だったが経験の方は完全無垢な状態である。 最初の数分位までは『ま、まあ……愛人の一人や二人許して差し上げてよ?』なんて余裕で構えていたが、無限かと思うほどに加速し続ける二人の声と音で思い切り気をやってしまっていた。 思考は停止し、動きすらも停止し、それでも聴覚だけは正常に脳を侵し続けていた。 そんな状況が続き—— ガーベラ:最初に限界を迎えたのは遠坂であった バンダール:最初に限界を迎えたのはルヴィアであった バルトーク:最初に限界を迎えたのは氷室であった ヴァローナ:最初に限界を迎えたのは蒔寺であった アマネセル:最初に限界を迎えたのは名城であった ポリペイモス:最初に限界を迎えたのはなのはであった ゾンダーエプタ:最初に限界を迎えたのはフェイトであった フォートセバーン:隣室での『事』が終わり、昂ぶりをどうにか抑えて全員がそそくさと立ち去った
https://w.atwiki.jp/chaosdrama/pages/2255.html
《デデデアンダーグラウンドロード()/Dedede underground road》 デデデが自らハンマーの回転機能で掘った地下通路。 そのままでは単なる洞穴だったが、エスカルゴンらの大改装によって立派な地下通路となる。 カオス界の東・西・南・北・各方面とほぼ全域に広がるとても大規模なものである。 電灯は天井・足元に設置でとても明るく、FRP製セントルも使用した本格的な地下通路。 通路の中継点である大部屋は休憩所であり、大型冷蔵庫に多くの食料があるのでゆっくりと寛げる。 中継点の休憩所から繋がる4つの通路からデデデ城(東)・砂漠(南)・森林(西)・氷山(北)へと行くことができるが、 デデデ城へ繋がる扉のみとても頑丈なセキュリティードアとなっている。鍵ではなくパスワード式。 デデデ城崩壊後もこの地下通路は無事だった様子である。 BGCOLOR(silver) 関連画像 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 関連ページ デデデ城(新) 名所へ戻る
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/
ここは様々な作品のキャラクターをマスター及びサーヴァントとして聖杯戦争に参加させるリレー小説企画のまとめwikiです。 本編には殺人、流血、暴力、性的表現といった過激な描写や鬱展開が含まれています。閲覧の際は十分にご注意ください。 メニュー 現行スレ:第二次二次キャラ聖杯戦争 part4 したらば:二次二次聖杯したらば 本編SS目次 時間順 【オープニング】 【1日目】 【2日目】 投下順 【001~050】 【051~100】 【101~150】 【151~200】
https://w.atwiki.jp/kakiteseihai/pages/93.html
書き手聖杯戦争。 今もこの地では書き手たちが激しい戦いを繰り広げ、自らの筆を、原作や所属ロワへの愛を高らかに叫び合っている。 しかし全ての書き手がこの殺し合いに参加しているかと言われればそうではない。 マスターとして直接戦場へと放り込まれた書き手はともかく、英霊の座に登録された書き手はサーヴァントとして全員が召喚されるとは限らない。 特定の媒介や縁、感性や作風の類似などなど、マスターによって召喚される英霊が決まるのだ。 中には数時間前に召喚されたVRロワ書き手、ヨロズのように特殊な召喚条件を持つものさえ居る。 また、単に呼ばれない、条件を満たしていないというわけでなく、呼ばれても召喚に応じないという書き手も僅かながらに存在する。 彼もその僅かな側の一人だ。 ◆cNVX6DYRQU――死穢塗無爲(しえぬ ぶい)。 筆を剣となし、完全を求めた剣客たちの頂点。 数多の書き手たちが求め腕を磨き心を鍛えされど届かなかった剣の果てにただ一人至りし者。 パロロワ界広しといえどこと純粋な“剣”の描写に於いて彼に敵う書き手はおるまい。 余計な描写を削ぎ落とし、静かに淡々と、されど重く深く積み上げられていった剣の道。 確かなる知識と自由な解釈に基づいた剣の宇宙を果たして、彼以外の誰が書き切れたであろうか。 書き手聖杯戦争に呼ばれようものなら間違いなく最強のセイバー、場合によってはアサシンとして君臨していたに違いない。 また剣客ロワの作中的な儀式構造には聖杯及び聖杯戦争が意外にも深く関わっている。 聖杯戦争という形式は相性的にもそう悪いものではない。 されど彼は不動を選んだ。 其処に如何なる故があってか。 剣による凌ぎ合いを旨とする彼にとっては、書き手聖杯戦争といえど児戯に等しいとでも言うのだろうか。 否。 興味が全く無い、というわけではないのだ。 彼とて完全の域に達する前は、共に筆を執った書き手たちの作品を見て取り、その技術の数々を自らの物とした。 自らとは違う作風からなる書き手たちのSSは学ぶだけの価値がある優れたものばかりであった。 彼らがいたからこそ今の自分の筆へと至れたことは死穢塗も自覚するところであり。 なればこそ剣客ロワという大枠からも外れた全く異なるロワの宇宙を学べば、自らの筆を更に進展できるのは自明の理。 最高の剣客ロワ書き手から最高のパロロワ書き手へと到達することも不可能ではない。 そう理屈では分かっていても、死穢塗は剣を抜くことを良しとはしなかった。 実際に書き手を前にしようとその決意は変わらない。 「■■■■■」 突如座に笑い声が響くも、死穢塗は何ら動揺を見せない。 あれが仏というのならいつかは来ると確信していた。 衆生の救済・成仏を成そうとする声の主を死穢塗は仏と定義している。 仏であるなら心を全宇宙を覆う程にまで広げることは悟りの基礎であり、座に介入して来ても不思議ではない。 仏は問う。 君にはお節介だったかな、と。 死穢塗は答える。 然り、と。 書き手聖杯戦争は確かに一つの極楽浄土であろう。 古今東西書き手読み手を問わず、自らのロワや書き手、作品への愛を謳い上げることができる。 停滞してしまったロワ、未完で終わってしまったロワ、リスタートによりなかったことにされてしまったロワからすれば最後の楽園とさえ言える。 だが、だからこそ死穢塗には不要な場であり、いや、必要だった時を通りすぎてしまった世界だった。 剣客ロワは完結した。 リレーを斬り捨て、死穢塗一人の手で完結した。 それだけなら偉業ではあれどそう珍しいことではない。 古のアケロワから、最近の変身ロワまで。 終盤にただ一人の書き手が自ロワの全てを背負い、完結へと導くことは度々起きている。 ただ剣客ロワが、それら一人の手で完結した他のロワと違うことがあるとすれば、真に一人となったことであろう。 本スレは新たに立てられず、したらば掲示板も閉ざされた。 そのような状況だ。 人が居るかも分からない。感想が書き込まれる場もない。 この先どれだけ綴っても、誰が読んでくれてるかも分からず、誰の目に留まらぬかも知れず、読んでもらえたとして得るものも望めない。 それでいて尚心折れず書き続けることを選べる書き手が果たしてこの世にどれ程いる事か。 少なくとも此処に一人、死穢塗という書き手が居る。 彼は淡々と新作をWIKIに直接収録し続け、遂には剣客ロワを人知れず終わらせた。 他の誰かを求めるではなく、ただの一人でロワを完結させた、人としても書き手としても完結し、完成した、「完全」な存在。 書き手の終着点。 それが彼という書き手であり、故にこそ今更声高らかに誰かに愛を伝える場など不要。 そもそも仮に書き手聖杯の戦場に喚ばれた所で、自身の辿る道など目に見えている。 剣客ロワの完結という唯一最大の我儘を成し遂げた今の死穢塗は抜け殻にすぎない。 どれだけ剣で勝ってようと、どれだけ筆で勝っていようとも、未来を渇望し完結を志す書き手を前にしたならば、その才能と将来性を惜しみ剣も鈍ろう。 或いは英霊は全盛期の姿や精神性で召喚されるというし、ただひたすらに完結を目指した頃の死穢塗として喚ばれるかもしれない。 だとしても何になる。 剣客ロワが現在進行中の未完だと思い込み、錯覚の飢えが為の勝利などと、己が満足できるはずもない。 どうあってもどこかで見たことの面白くもない話にしかならないであろう。 それが今の死穢塗だ。 完結し、最終な、終わった書き手の再現だ。 「そっか。でもこれだけは言わせて欲しい。 今君が座にいるのは、剣客ロワが完結していることに気づき、おめでとうと伝えたかった人たちがいたからだということを」 仏が背を向け去ろうとする。 隙だらけの背中、死穢塗なら斬り伏せるのは容易い。 相手が如何なる悟りを開いた覚者であろうと死穢塗には滅ぼせる。 全てを救わんとする仏よりも、研ぎ澄ませて己を剣者と為した自らのほうが遥かに鋭く強い。 ……そこまで考えて、それもまた仏の望みであろうと見抜いた死穢塗は、仏もまた書き手なのだと意識する。 死穢塗が完成させた門外不出の剣客ロワの剣理。 書き手なら無関心ではいられる筈がなく、ロワ書き手である以上一番の学び取り方は実際に殺されてみることだ。 もしやあの仏はお節介を焼きに来たのではなく、参加する気のない彼から直に斬撃を貰いに来ただけだったのかもしれない。 どちらにせよ仏の願いが叶うことはない。 死穢塗が剣を抜くことがあるとすれば、それは仏に迷いが生じた時、志を正す為にくらいである。 【死穢塗無爲(◆cNVX6DYRQU)@剣客バトルロワイアル 縁覚】 ※召喚時のステータス(仮) 【クラス】 セイバー 【真名】 死穢塗無爲(◆cNVX6DYRQU)@剣客バトルロワイアル 【パラメーター】 筋力:C 耐久:E 敏捷:A+ 魔力:E+ 幸運:E 宝具:- 【属性】 中立・悪 【クラススキル】 対魔力:E+ 魔術の無効化は出来ない。ダメージ数値を多少削減する。 妖気や妖術への抵抗に対しては補正が入り跳ね除けることができる。 騎乗:B 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、 魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。 【保有スキル】 無窮の武練:EX ひとつのロワで無双を誇るまでに到達した筆力の手練。 終盤、ただ一人で五十話以上を書き続け剣客ロワを完結させた。 心技体の完全な合一により、いかなる剣・地形・戦術状況・精神的制約・宝具やスキルの影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。 単独行動:EX 本スレが落ち、したらばが閉じようとも、彼はただ一人WIKIに直接書き続けた。 マスター不在でも行動できるようになる。 多大な魔力を必要とする行為にはマスターの存在が必要不可欠であるが、彼の性質上デメリットは無いに等しい。 宗和の心得:A+ 同じ相手に同じ技を何度使用しても命中精度が下がらない特殊な技能。攻撃が見切られなくなる。 リレーでなくなり彼一人で書き続けようとも、剣客ロワが読み手を飽きさせることはなかった。 剣理“剣客ロワ”:EX 筆と剣で練り上げた剣客ロワの理で相手を染めることで、悟りを乱し、悟りに由来する防御を無視することができる。 が、このスキルの本質は対仏に留まらない。 剣客の剣の前に、力の大小など無意味。剣客ロワ書き手は権能を振るう者すら斬り捨てる。 窮極の武芸者:- 剣理“剣客ロワ”の一側面だが、存在自体を歴史から消し去り改竄する究極の技は流石に他のロワに対しては迷惑すぎるので封印している。 剣客ロワの書き手が終盤彼一人になったのは或いはこの究極の技によるものかもしれない……。 【宝具】 不要。剣さえあれば事足りる。 【容姿】 「宮本武蔵」@剣客ロワ 【Weapon】 村雨@剣客ロワ 江戸時代の刀工津田越前守助広作の刀。里見八犬伝に登場する架空の刀としても有名。 剣客ロワでは出典が異なる村雨が三本も登場し、そうそうたる顔ぶれに使用されたり、合体したり、仏に捧げられたりととにかく印象に残る刀である。 【人物背景】 【HN】◆cNVX6DYRQU 【主な作品】第131話 堕ちる仏 第140話 剣を究める 第145話 如是如来、復再菩提 第151話 決勝戦 【書き手紹介】 剣客ロワを最初期(初投下は9話)から支え、終盤は101話からエピローグの151話までを一人で書き切った執念の書き手。 淡々と綴られていく地の文主体の緊迫した剣戟は飾りのない質実剛健な刀を思わせる。 かといってセリフが苦手というわけでなく、時には言葉での掛け合いや意思のぶつけ合いを成すことも。 剣士たちが背負う剣の重みや突き詰めていく剣の道。 加えて豊富な史実知識や神仏に関する含蓄により独自の世界を描き出した。 何気に死者以外の退場(脱出、帰還、転生、遷化他)を沢山出しているのも特徴的。 後何気にとんでもないことを平然と描き、そこにそれらしい理屈付けを淡々とこなしたりもする。 【スタンス】 なし。書き手聖杯戦争に参加するつもりはない。仏が迷うようなら志を正す程度。 【基本戦術、方針、運用法】 剣で斬る。ただそれのみ。 027:もしもふたり逢えたことに意味があるなら 投下順に読む 029:■■■■■、■■ 死穢塗無爲 :[[]] ▲上へ戻る
https://w.atwiki.jp/tokyograil/pages/89.html
滅亡因果のメシア/喧嘩人形、戦争する ◆GOn9rNo1ts ――――神が世界を五分前に創造された可能性を、誰も否定することは出来ない。 ――――ならば、神が世界を五分前に変容させた可能性を、いったい誰が否定することなど出来るだろうか。 ――――『運命石の扉』が今、静かに、しかし確かに ――――魔神によって、抉じ開けられる。 ◇ ◇ ◇ 赤い緋い紅い月が、天上で煌めいていた。 人類によって生み出され消費されていく叡智の光が燦々と照らす電気街。 彼の地が放つ明るさ/賑やかさ/喧噪に紛れながら、しかし空だけは、天だけは、己が領域だとでも言わんばかりに。 悠然と、超然と、判然と、下界を見下ろしていた。 そんな、神様のような月の下。 バーサーカーは、キレていた。 もともと、バーサーカーは暴力が、争いが好きではない。 というか嫌いだ。大嫌いだ。この世で1,2を争うくらい嫌いだ。俺に争うと言う言葉を使わせるな。 平和に何事もなく一生を過ごせれば世界の真理も金銀財宝も不老不死も何一ついらない、そんな無欲で控えめな人間だ。 だから、彼がサーヴァントとして召喚され、聖杯によって戦争のルールを刻み込まれた直後、彼の脳裏に浮かんだのは「殺す」というシンプルな二文字だった。 マスターが漫画の中に出てくるような陰湿悪質魔術師野郎だったら?殺す。 聖杯獲得のためにきりきり働けとのたまうヤツだったら?殺す。 バーサーカーが欲しくもない聖杯のために力を合わせて行こう、などと的外れなことを言い出したら?殺す。 というか人を狂戦士(バーサーカー)呼ばわりとは殺すどこのどいつだ殺す聖杯か殺す座とやらに戻ったらしこたまぶん殴って殺す! 殺す。 殺す。殺す。殺す。 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!! だから、バーサーカーが目の前のマスターを即座に殺さなかったのは、ソレが女だったからというだけでしかない。 バーサーカーはよっぽどのことがない限り、女には優しい。自分よりも年下ならば尚更だ。 人を殺せるスタンガンを向けられようとも即座にキレない程度には、フェミニストだ。 少年時代に味わった、甘酸っぱさとは程遠い苦々しい初恋の思い出。 その頃から、彼は自分の強さと女の脆さを理解していた。 「うーん、成功して良かったあ」 そんなバーサーカーの憤りと抑制に全く気付くことなく、もしくは狂戦士(バーサーカー)はみんなこんな感じだとでも思っているのか。 とあるビルの屋上で。立ち入り禁止の看板の内側で。彼女(マスター)は大きく伸びをする。 地に足がついてることを確認するようにぴょんぴょんとジャンプ。それに合わせて、二本の三つ編みが尻尾のように跳ねる。 ジャージにスパッツ、運動靴といった動きやすさだけを追求したようなファッションを身にまとった彼女は、いかにもスポーツ少女といった出で立ちだった。 (こいつ……本当にマスターか?) 間違いないはずだ。魔力のパスは確かに彼女から繋がっている。 事故ということもあり得ない。理由はバーサーカーの下、正確には床にある。 即席で書かれたと思われる、サーヴァント召喚儀式に用いる魔法陣だ。 バーサーカーは正規の手順、魔法陣やら詠唱やらによって呼び出されたのだ。 しかも、その詠唱にご丁寧に 「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者」 とわざわざ付け加えたあたり、相当にバーサーカーのクラスをご所望の様子である。 しかし、それらの事実が、目の前の快活そうな少女となかなか結びつかない。 血なまぐさい魔術師どもの儀式であるはずの聖杯戦争と、噛み合わない。 「…………」 困惑で怒りを打ち消された形になったバーサーカーは、ひとまず『静観』という方法をとることにした。 口下手で、初対面の相手と上手くいった試しがほとんどない彼にとって、相手の出方を見るというのは一種の処世術となりつつある。 ――もっとも、そうして最初は大人しい態度をとっていることで相手に舐められてしまっていることを彼は未だ分かっていないのだが。 「これからよろしくね、バーサーカー。って言っても、理性がないのがバーサーカーだよね」 理性はあるがな。 言葉には出さずに、静観を続ける。 こちらの理性がないと思っているのなら、それはそれで好都合だ。このあとの動きで彼女を見極められる。 バーサーカーが大嫌いな類の人間か、そうではないかが。 「じゃあ、ちょっと待っててね。準備してくるから」 おう、よくわからんが行ってきな。 言葉には出さずに、静観を続ける。 しかし、バーサーカーはそこで妙なものを見つけた。 簡単に言えば、人工衛星。しかし、まさかビルの屋上にそんなものが鎮座している道理はあるまい。 しかもマスターはその衛星らしき何かに堂々と乗り込み、我が物顔でなにやらゴソゴソしているではないか。 正しく彼女にとっての『我が物』なのかもしれないが、それにしたって、どうして年端もいかぬ少女がこんなものをビルの屋上に持ち込んでいるのか。 奇妙なマスターに加えて更なるハテナマークを頭の上に追加したバーサーカーは――考えるのを止めた。 どうせ考えたところで分かるものではないだろう。もともと、頭脳労働は専門外だ。 「お待たせ!この中狭いからあんまり大きなものは持ち込めなかったんだけど、これで準備は完了だね」 何やら荷物をまとめて、駆け足で戻ってくるマスター。 やけにゴテゴテというか、少なくとも女の子が小旅行に行く荷物とはとても思えないそれら。 来る聖杯戦争に向けての備えだろうか。それにしたって、なぜ自分の家や隠れ家などではなく、こんな分かりやすく怪しそうな衛星(?)に。 ……まあ考えるのはやめたので、もはや彼女の荷物など、どうだっていいことにしておく。 「それじゃ、一緒に世界を救おうね。この聖杯戦争を――ぶっ壊して!」 そうか、それがお前の願いというやつか。 そうだな、一緒にこのクソッタレな聖杯戦争をぶっ殺そうな。 言葉には出さずに静観を続け………… …………うん? 流石に、バーサーカーは考えるのをやめるのをやめた。 あン……? 「あン……?聖杯をぶっ壊すってお前、今なんつった」 「……あれ?今喋らなかった?」 「あ」 ………………。 「「どういうことか、説明してくれる(か)?」」 ◇ ◇ ◇ 『もしもし?』 『ああ、その反応は、やっぱり気付いていたんだね』 『はじめまして、でいいのかな。それともお久しぶり、といった方が良いかも』 『おかりんおじさ……岡部さんの思っている通り』 『あたしの名前は阿万音鈴羽』 『橋田至の娘で、ラボメンの一人』 『そして、』 『貴方が気付いたダイバージェンスメーター数値「6.666666」』 『そんなあり得ない世界線、Z(ゼータ)世界線からタイムマシンでやってきた、未来人ってやつだよ』 『時間がないから、手短に言うね』 『今回、貴方は何もしなくていい』 『というよりも、何もできないと言った方がより正確』 『何故なら、この世界の貴方は観測していないことが確定しているから』 『聖杯戦争も』 『紅い月も』 『何も観測出来ないまま「大破壊」に巻き込まれるだけの運命だと、定められているから』 『他ならぬ、未来の貴方自身の観測によってね』 『だから「今回」は、あたしじゃないといけない』 『岡部倫太郎でも、橋田至でも、椎名まゆりでも、牧瀬紅莉栖でも、駄目』 『この世界線でこの時代に貴方に観測されなかった私、阿万音鈴羽でしか、聖杯戦争には関われない』 『その結末を、変えられない』 『だから貴方に電話したのは警告のため』 『少なくとも一週間、そのダイバージェンスメーターの数値が変わらなかったら』 『逃げて』 『出来るだけ遠くに、出来れば国外に移住できればベストかな』 『とにかく「東京」から、離れて欲しい』 『無茶なことを言ってるのは分かってるよ』 『あたし?あたしのことは……気にしないで』 『…………ごめんね、心配かけて。でも、仕方ないんだ』 『出来るだけのことはしてみるけど、どこまでやれるかは全くの未知数だから』 『あたしがイレギュラーとして参加するだけで、何か変わるのかもしれないし』 『逆に、もしもあたしが優勝しても、聖杯そのものを破壊できても、何も変わらないのかもしれない』 『でもさ』 『頑張るよ』 『頑張って、未来を変えるよ』 『頑張って、世界を救うよ』 『ごめん、もう時間がない。早くこちらでサーヴァントを召喚しないと、席が埋まっちゃうかも』 『……ありがと』 『さよなら』 『………………………』 『おかけになった電話番号は、現在電波の届かない場所にあるか、電源が入っておりませ』 ◇ ◇ ◇ かつて、戦争があった。 冬木より生まれ、東京より始まり、魔王より齎された戦争。 英霊が、怨霊が、御霊が、そうして人間が。 斬り、穿ち、貫き、駆け、術し、潜み、狂いながら。 競い、争い、奪い、与し、騙し、背し、猛りながら。 紅い月を見た主(マスター)と従者(サーヴァント)おおよそ十数組が、敵対者の一片の一粒まで消滅せしめんと、殺しあった戦争。 血を魑で清め、骨を絶ち肉を喰らい、魂を魄で塗りつぶして、都を地獄へ変えた戦争。 どんな願いも叶うという、神の子が作りたもうた器をめぐる戦争。 そんな戦争があった。 そんな戦争があった、として。 果たして、 被害が―――「行方不明事件相次ぐ。カルト集団による暴走との噂も」 破壊が―――「我が国の重要文化財が焼失したというこの痛ましい事態は、私といたしましても誠に遺憾でありまして」 余波が―――「そういやあいつ、最近見ないな~。アカウント変えたのかな」 余震が―――「来るな……来るな、来るなバケモノオオオオオオオ!!!…………ぁ」 悲劇が―――「ママ、もう朝だよ。なんでパパはおはようしないの?ねえ、ママ」 総面積509,949,000km²もの世界を内包する青い星において、2187.42 km²ぽっちしか存在しない戦場、『東京』だけで収まるなんてことが、ありえるだろうか。 例え再現された世界だとしても、例え裏側の世界だとしても、たとえレプリカの世界だとしても。 『其処』で行われた戦争が、現実に全く影響を与えないなんて慈悲を、親切設計を、やさしさを、聖杯モドキが持ちあわせるはずがあるだろうか。 そもそも、この聖杯戦争を執り行おうとした誰かの目的は、なんなのか。 怨念と怨念と怨念と怨念が混ざり合い穢土と化した魔都、『東京』で、彼もしくは彼女はいったい何を行おうとしていたのか。 答え合わせには未だ早い。 戦争は未だ準備段階。こんなところでネタバラシなど、ルール違反にも程がある。 だから、結論だけを簡潔に伝えよう。 理論も公式も途中式も何もかもをスキップして、最終解だけをズルして教えよう。 地球におけるたった0.0004%の地域を舞台に起こった十数人による戦争は、その後 世界100%、総人口70億超を、滅ぼした。 ◇ ◇ ◇ 「だからあたしはここに来たんだ」 そういって締めくくられた彼女の説明は、バーサーカーにとっては正直言ってワケノワカラナイものだった。 「つまりお前は未来人で」 「うん」 「未来はこの聖杯戦争が原因で滅びかけてて」 「うん」 「それを変えるために、タイムマシンに乗って過去にやってきたと」 「うん、その通り」 頭が痛い。 いつからこの世界は青ダヌキが闊歩するような理論が罷り通るようになってしまったのか。 「なんでバーサーカーだ」 「だって、サーヴァントが聖杯を欲しがってたら、あたしの目的を隠したまま一緒に戦わなきゃいけなくなるわけでしょ? あたし、そんな器用じゃないし、人を騙すってことも好きじゃないし……」 「だから、いっそのこと狂化してて理性のない狂戦士(バーサーカー)っつーことか」 「その、ごめんね。まさか理性のあるバーサーカーなんてイレギュラーが発生するなんて思わなくて。 ……でも、私自身がイレギュラー因子ならこうなることもありえるのかな……」 「本来ならありえないはずのマスターだとか、さっき言ってたアレか?」 「うん。この聖杯戦争は本来、『紅い月』を観測した者たちによって行われるものだってことが調査で判明してたんだ」 「だから私は、絶対に『紅い月』に呼ばれるように裏技を使った」 「んだよそりゃ」 「順番を入れ替えたんだよ」 「『紅い月』に呼ばれてサーヴァントを所有するのではなく」 「サーヴァントを予め召喚しておくことで、『紅い月』に聖杯戦争参加者だと認められるようにしたんだ」 「そうでもしないと、魔術師でもない私が関われるかどうか怪しかったから」 「ふーん……」 「だから、そろそろ『紅い月』からお迎えが来ても良い頃だとは思うんだけど……」 そこで鈴羽は、目の前のバーサーカーが何かに引っかかっている顔をしていることに気付いた。 喉の奥に魚の小骨が、という時のちょっとしたイライラ感というか。 どうにもスッキリしないと、その面持ちが語っている。 「こまけえ話は置いとくとして、だ」 「全然細かくはないんだけど……君は何が気になってるの? 聖杯は欲しくないんだよね。あたしの話がまだ信用できない?それなら」 「なんで、お前なんだ?」 それはある意味、当然の疑問だった。 「お前、鈴羽だっけ?魔術師でも超能力者でもなんでもねーお前が、どうして選ばれた?」 救世主として。メシアとして。 阿万音鈴羽は不適合者ではないか、と。 「タイムマシンの関係者だからか?だからって、お前ひとりでここまでやってきたわけじゃねえだろ。 元締め、おかりんおじさんとやらはどうして、自分じゃなくてお前に行かせた」 「そいつが無理でも、他に誰かいなかったのかよ。お前が自分で志願したのか?どうして誰も止めなかった?」 「殺し合いだぞ」 「おかしいだろうがよ。ガキが踏み入れて良いような場所じゃねえだろ、聖杯戦争ってのは」 その言葉は、年長者としての心配から来るものだったのだろうが。 目の前の少女は聖杯戦争にはそぐわない、と最初の印象を引きずってのものなのだが。 バーサーカーは、地雷を踏んだ。 「母さんはあたしを産んですぐ、死んだ」 ぽつりと、そう漏らす。 「母さんの命を奪ったのは大破壊以降に流行った『不治の病』だって聞いてる」 一度溢れ出した言葉は、止め処なく流れ続ける。 「父さんは『喰われながら』タイムマシンの設計図をあたしたちのもとに転送してくれた」 自分の生きる意味を確かめるように。 「まゆりお姉ちゃんは生き残るために屑どもの『捌け口』になりながら、死ぬまで私を育て続けてくれた」 あるいは、懺悔のように。 「紅莉栖先生は『教団』の連中に捕まっても、拷問されても、最期まであたしたちの計画を外に漏らさなかった」 それが皆の、愛すべき『ラボメン』たちの最期。 「他のみんなも、死んでいったよ。ある人はあたしを庇って。ある人は敵を道連れにして。 みんな、みんなみんな死んだ。殺された。――――全ては『シュタインズ・ゲート』のために」 世界は破滅に向かい続け、計画は止まらず、そんな中で鈴羽は生きてきて。 「おかりんおじさんはことあるごとに言ってたよ。『お前が生きていてくれて良かった』って。 誰が死んでも、消えても、あたしの前では涙一つ見せずにそう言って抱きしめてくれた」 鈴羽は知っている。 岡部倫太郎は、誰にも見つからないところで人知れず涙を流していたことを。 誰よりも仲間を愛し、だからこそ本当は他の誰でもない己の手を汚して、自分を犠牲にして、世界を救いたいと思っていたことを。 それでも、彼自身の観測が絶対であるが故に、より『選ばれる』可能性の高い阿万音鈴羽を選ぶしかなかったことを。 かつて『シュタインズ・ゲート』への切符を届けてくれた彼女に、賭けるしかなかったことを。 だから。 「あたしじゃないといけない。みんなの遺志を継いで、みんなを救うのは、あたししかいない」 強い、強すぎる瞳の色だった。 何もかもを飲み込むような、絶望さえも塗りつぶすような。 明るさの裏に秘めた、阿万音鈴羽の使命感。 『運(さだ)められた子供』としての、義務感。 「あたしは失敗しない。失敗できない。腕がもげても足が削げても死ぬことが分かっても、最期まで足掻いて、死んでも未来を変える」 それは、既に強迫観念の域に達していたのかもしれない。 スイッチが、入る。 「失敗しない」 肉親も愛する人々も全て奪われて。 「失敗しない失敗しない失敗しない」 縋る『よすが』が、救いの糸が。計画の終着点が。 「失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない」 世界でここにしかないと理解していたから。 「失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない」 彼女はそのために生きてきて。 「失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない失敗しない」 そのために、死ぬのだから。 「おい」 次の瞬間、鈴羽は空にいた。 「は?」 突風を伴った身体が、タイムマシンに乗っている時と似ているような、違うような、浮遊感とGに満たされる。 自分のいた場所、ラジ館の屋上が見る見るうちに視界から離れて行って。 ある時点から、逆風と共にどんどんその光景が近づいてきて。 上昇して、落下していることを理解して。 ようやく、鈴羽は『投げ飛ばされた』ことに気付いた。 ぐんぐん伸びていくように錯覚するビル群。さようなら、さようなら。もう会うこともないでしょう。 対照的にどんどん迫る来る地面。こんばんはコンクリート、ファーストキスがあなたとだなんて猛烈にお断りだ。 現実逃避しかけた脳内がぐらぐらする。風切り音が痛い。叫ぶ。何も聞こえない。 落下。 高さ的に。 死 「よっと」 がくんという衝撃と共に温かい何かに包まれた、と認識した瞬間、世界は落下を止めた。 お姫様抱っこ。バーサーカーの腕に抱えられたのだと気付くのに、少々の時間がかかる。 死にかけたという体験より、ようやく意識の方が天高くから戻ってきた。 投げ飛ばしたのはバーサーカー。受け止めたのもバーサーカー。 つまり、赤ん坊を喜ばせるために行うことがある、所謂たかいたかーいをサーヴァントレベルで行われたということだ。 「落ち着いたか」 「な、な、なにすんのさ!落ち着けるわけないでしょ!」 「怖かっただろうが」 「こ……怖くなんかないもん!あたしは一人前の戦士で」 「自分の命は、大事にしろよ」 そんな当たり前のことを言うためだけに、彼はこんな暴挙に出たのか。 絶句する鈴羽を尻目にバーサーカーは彼女を下ろし、立たせて、ばつが悪くなったのか、後ろを向きながら。 「おめえの覚悟だとかなんとか、その辺は分かったよ。ただ、さ」 煙草に火をつけ、紫煙をくねらせる。 サングラスの奥の瞳は寂しそうに遠くを見つめていた。 「お前にだって、大切な人ってやつが一人や二人、まだいるんだろ? じゃあ、簡単に死んでもいいなんて言うんじゃねえよ」 それは――――違う。 いないよ。 この世界で、この時間軸に。 あたし――阿万音鈴羽という名のイレギュラー(存在するはずのない存在)を大切に思う人なんて、いないよ。 そう言いかけた、その時。 バン!と。 扉が開かれる音がした。 「ふぅーっはっはっ!!!!」 「なん、で」 扉の向こうに 存在はずのない存在が、いた。 「バイト戦士よ、貴様、の、単純極まりない行動パターンなど、ふぅ、ふぅ、この鳳凰院凶真の前ではグェッホッホッホ!」 息切れ、咳き込み、かっこわるい。 恐らく、汗水垂らして全速力でここまでやってきたのだろう。 普段は運動なんてしていないくせに、こういう時だけやたら頑張るのが、彼だ。 何も変わっていない。いや、これから先、何も変わらなかったというべきか。 「バイト戦士、いや、ラボメンナンバー008!阿万音鈴羽よ!」 よたよたになって力尽きそうになりながら、それでも精一杯虚勢を張って、狂気のマッドサイエンティストは確かにこちらを見て、言った。 阿万音鈴羽という存在を認めて、観測して、言った。 「待っている!」 「『東京』で、待っている!」 一週間経とうが、一ヶ月経とうが、一年経とうが。 いつまでも、いつまでも。 帰りを待っている。 お前には帰る場所がある。 ただそれだけを伝えるために、岡部倫太郎はやってきた。 たった一本の、わけのわからない電話を信じて。 彼に出来ることはないかと必死に考えて考えて考えて。 鈴羽がバーサーカーを召喚している間に、みっともなく走り回って。 鈴羽がバーサーカーと話している間に、ラジ館の警備の目をかいくぐって。 会ったこともない別の世界線のラボメンのために。 伝わるかも定かではない思いを伝えに、やってきてくれた。 「もう、馬鹿だなあ……」 耐えきれず、夜空を見る。 綺麗だ。都会の光に紛れながらも、星々は確かに輝いている。 今まで下しか見ていなかったから、分からなかったけれど。 この世界は、あたしたちが守りたかった世界は、こんなにも。 「ねえ、バーサーカー」 「あたしにはこれだけで十分だよ」 意識が引っ張られる感触。 『呼ばれている』のだと分かる。 時間がない。語らいの時間も触れ合いの時間も、何もかもが足りない。 だから、ここで彼に、岡部倫太郎に返す言葉は、一つしかない。 さよなら、ではなく。 ありがと、でもなく。 「いってきます!」 帰ってくるための、言葉。 見上げた月は、紅く染まっていたけれど。 今まで見たどんな景色よりも、美しかった。 ◇ ◇ ◇ 人が飛んでいた。 バタフライエフェクトという現象がある。 初期の極めて小さな差が後に無視できないほど大きな差となることを表す現象のことである。 ブラジルでの蝶の羽ばたき一つがテキサスで竜巻を巻き起こす、というような例えから名づけられた現象のことである。 とある小さな娘が我儘を起こすことで、最終的に街一つの在り様を歪めてしまうような。 とあるボーイミーツガールが失敗に終わることで、最終的に皆の人生を幸せにするような。 とある男の子の性別が女の子に成り替わることで、最終的に世界の命運を変えてしまうような。 とある男が一つのプログラムを開発してしまうことで、最終的に世界を滅ぼしてしまうような。 そんな、一見にしては嘘のように思える現象が、理論が、世界には確かに存在している。 阿万音鈴羽が狙ったのも、それだ。 もしもマスターが違ったら。 もしもサーヴァントが違ったら。 もしも脱落者が違ったら。 もしも優勝者が違ったら。 もしも。もしも。もしも。IFの積み重ね。蝶の羽ばたきの繰り返し。 その果てに『シュタインズ・ゲート』に辿り着ける可能性があるのならば。 その先に『大破壊』の起きない未来があるのならば。 試す価値はあると。 そのために、阿万音鈴羽はここにいる。 閑話休題。 人が飛んでいた。 蝶の羽ばたきというよりは、竜巻に巻き込まれた被害者のように。 人が、ぶっ飛んでいた。 ぶっ飛んだ人は空中で皮ジャンとその下のシャツを、チャラチャラしたアクセのついたズボンとその下のパンツを、ついでにヅラを。 魔法のように、奇術のように、剥ぎ取られながら。 最後は全裸ハゲになりながら、錐揉み回転を繰り返し、地面に激突する。 着陸ではなく、激突である。 航空機が空港へ優雅に舞い降りるのと、炎上爆発しながら街のど真ん中に突っ込むのくらい違う。 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 いかにもガラが悪いですよとアピールに余念のないファッションの男たちは、みな一様に口をあんぐり開けていた。 先ほどまでの威勢はいったいどこに消えたというのか。 彼らの仲間が迎えた凄惨な最期を見届けるかのように、着陸した沈黙がひっそりと舞い降りる。 「よお」 沈黙を破ったのは、奇しくもこの事態をその名の通り「巻き起こした」竜巻その人であった。 「もっかい言ってみろよ。なんだっけ。 「人の縄張りで何勝手にイチャイチャしてんだ淫乱ビッチ」だったか? 「バーテンの格好しながら野外で特殊プレイしてる変態野郎」だっけか? 「金と女置いてけ、俺たちが有効活用してやる」だとか「そのクソダサいコスプレを汚されたくなきゃ失せろ」なんかも言ってたっけなあ」 ふぅ、と息を吐く。すぅ、と息を吸う。ただの深呼吸。 だが、その一連の流れに男たちは「死刑執行のために斧を研ぐジェイソン男」を幻視した。 「まあ、その、アレだ。お前らは俺と、鈴羽と、このバーテン服を送ってくれた俺の弟を傷つけてくれたわけだ。 お前らは想像力を働かせたことがあるか?働かせたことがないなら今働かせろ死ぬ気で働かせろ死んでもいいぞむしろ死ね。 お前らの言葉で傷ついた相手が自殺するかもしれない、ってさ。想像したか?想像できたか?想像しろ。 つまりお前らは俺と、鈴羽と、弟と、三人を殺そうとしたってことだよな? 殺そうとしたなら殺されても文句は言えないよな?正当防衛ってやつだよな?」 チンピラの因縁付けにしても、あまりにも頭が悪すぎる理論。 だが、誰もがそれに反論できない。反論した者から死刑が執行されるだろうことを、男たちは本能で感じ取る。 一方、止めなければいけないという思考が馬鹿馬鹿しく思えるような怒気を横合いから感じながら。 鈴羽が先ほど受けた「たかいたかい」など、バーサーカーにとっては準備運動のようなものなのだと、今更に思い知りながら。 「血管がぶちぎれた時の音」を、鈴羽は確かに聞いた。 つまりだ。 「三回ぶち殺す!!!!!!」 男たちの不運は、挙げればキリがない。 「や、やっちまえ!相手は一人だ!囲んでぼこっちまヴぉぐぅぁ!」 「俺たちクリムゾン・ゲッコウのバックにはソウカイヤがついてるって知ってんだろうなテメエ!」 「あれ……いま俺ナイフ刺したよな、なんで3ミリしか刺さらゴキュ」 この世界において彼らが集合場所としていたのが深夜のラジ館屋上だったこともそうだ。 たまたま彼らの集会がある日に、如何かにもなよっとした男が女を連れて先客として存在していたこともそうだ。 リーダー格の男にとって鈴羽の外見が好みだったこともそうだ。 彼らがブクロではなくアキバを活動拠点としていたカラーギャングだったこともそうだ。 召喚されて以来、バーサーカーが鈴羽に発散するわけにもいかないイライラを溜めこんでいたこともそうだ。 ただ、男たちにとっての唯一の幸運といえば。 「だめだ、俺ぁもう逃げる!命がいくつあっても足りねえ!」 「おい!早く階段降りろ!下まで行っちまえばこっちのもうぐぇごぼぅぁ!!」 「……おいおい。屋上からここまで何メートルあったと思ってんだ……?」 「なんで……嘘だ……こんなもんありえねえ……自販機、だぞ」 嘘のようで、冗談のようで、にわかには信じがたいことではあるが。 「うわああああああああああああああああ!!!」 バーサーカー。 狂戦士。 『自動喧嘩人形』 『池袋のフォルテッシモ』 そして『池袋最強』にして『池袋最凶』である彼は。 「死いいいぃぃぃぃぃぃぃねええええぇぇぇぇぇ!!!!!!!」 『平和島静雄』は今まで、喧嘩で人を殺したことがない。 【クラス】 バーサーカー 【真名】 平和島静雄 【パラメーター】 筋力B++ 耐久A+ 敏捷D 魔力E 幸運C 宝具C 【属性】 中立・善(狂) 【クラススキル】 狂化 E 通常時は狂化の恩恵を受けないが、その代わりに正常な思考を保つ。 但しダメージを負う、もしくはコミュニケーションを行う際に幸運判定を行い、失敗した場合は筋力と耐久のステータスが上昇し、暴走する。 簡単に言えば、キレると制御不能になる。 【保有スキル】 池袋最強 D→A(東京・池袋近郊のみ) 池袋で最強の存在だという平和島静雄の知名度により、筋力と耐久にボーナスを得る。 池袋において知らぬ者のいない「敵に回してはいけない存在」である、という逸話により東京、特に池袋近辺では非常に強い効果を発揮する。 一方、現代において生身で自販機を投げ飛ばす人間など見たことのない者からすれば眉唾ものでしかないため、東京以外では僅かな効果しか得ることができない。 自動喧嘩人形 D 売られた喧嘩を買わずにはいられない沸点の低さ。戦闘回避の判定の際に、著しく成功率を下げる。 その代償として、静雄が「喧嘩」と認識した行為に対して魔力消費を極力抑える効果もある。 平穏な生活を望む静雄にとっては忌み嫌うべき不名誉な通り名だが、池袋における知名度補正に呪いとして付随されている。 戦闘続行 B 決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘を可能とするスキル。 平和島静雄は刃物で切られようが銃弾を撃たれようがビルの屋上から落下したフォークリフトが直撃しようが、全く怯むことなく戦闘を行い続けた。 勇猛 B 威圧、混乱、幻惑といった精神干渉を無効化する。また、格闘ダメージを向上させる。 ただし狂化時にはその勇猛さを失うため、意味を失うスキル。 平和島静雄は妖刀・罪歌との戦いの中で怒りに狂うことなく『全力』を出し、痛みによる洗脳を完全に無効化した。 力量偽装 C サーヴァントとして見抜かれていない場合のみ相手マスターからパラメーターを隠蔽し、 更に通常行動時はサーヴァントとして気取られることなく存在できる。一種の気配遮断。 チンピラはもちろん、名のある殺し屋や殺人鬼にさえも一見は長身のひょろい金髪チャラ男としか見られない静雄の特性。 【宝具】 『一世代での進化(平和島・静雄)』 ランクC 種別 対人宝具 突然変異とさえ称される平和島静雄の肉体そのもの。 サーヴァントのステータスに換算して筋力Cランク以下の対人攻撃を無効化し、それ以上の攻撃もダメージを大きく軽減する。また、回復速度も上昇する。 「キレると筋肉のリミッターが外れる」という特殊な性質により幼い頃より骨折などの怪我を繰り返した結果、 肉体も彼の全力に耐えられるように「進化」し、異常な頑強さと回復力を誇るようになった。 彼が池袋最強と呼ばれる所以となった宝具。 但し、平和島静雄にはサーヴァントとしての神秘性そのものが著しく欠けているため、ランクCレベルを超える攻撃はサーヴァントによるもの以外でもダメージ判定を受ける。 『都市伝説・自販機を投げる男』 ランク D 種別:対人宝具 自販機を投げ、道路標識を振り回し、車をサッカーボールのように蹴り転がすことさえある、 並外れた怪力を生かした「なんでもあり」な静雄の戦闘スタイルが逸話として宝具と化したもの。 彼が武器として扱うものは何であれ、ランクD相当の宝具としてみなされる。 また、彼が扱うものがランクD以上の神秘を持つものであっても、静雄にとっては「単なる武器」として扱われるため その神秘性は損なわれランクDの宝具としてしか見なされない。 【weapon】 自分の身近にあり、大きかったりリーチがあったりするものを好む。使用方法は投げたり振り回したり。 犠牲者としてはポストや自販機、標識やガードレールなどが挙げられる。 【人物背景】 池袋で借金の取り立てをしている長身、金髪、サングラスが目印の青年。細見。 池袋で最も「喧嘩を売ってはいけない男」池袋最強とも渾名される。 前述の宝具にあるように、キレると体のリミッターが解除され、凄まじい怪力を発揮する特異体質。 更に非常に短気であるという性格も災いし、幼い頃からトラブルが絶えなかった。 本人は暴力や喧嘩を非常に嫌っており、髪を金髪に染めたのも「黒髪だと舐められて喧嘩を売られる」という先輩のアドバイスに従った結果。 キレさえしなければどこにでもいるような気のいいアンちゃんであり、自分より年下の者に対しては面倒見のいい一面も。 【マスター】 阿万音鈴羽@STEINS;GATE 【マスターとしての願い】 此度の聖杯戦争が原因と目される「大破壊」の阻止。 【weapon】 未来から幾つか武器を持ちこんでいる。 しかし、サーヴァント召喚儀式の道具も持参していたため、それほど大きなものは持ち込めていない。 【能力・技能】 基本的には鍛えた人間程度。バイト戦士。 Z(ゼータ)世界線からの参戦という都合上、此度の聖杯戦争に参戦する他作品によっては原作では持ちえない知識、能力を持っている可能性もある。 【人物背景】 聖杯戦争によって引き起こされたと目されている「大破壊」の影響により人類が滅びかけているZ世界線からタイムマシンでやってきた未来人の少女。 性格は基本的にSTEINS;GATE本編とあまり変わっておらず、単純明快で人が好い。 また、この時代に順応するために選んだ服装がジャージにスポーツブラ、スパッツにスポーツシューズといった格好から分かるように、体を動かすことが大好きなスポーティ少女。 ただ、自分のために死んだ仲間たちのことを思ってか、時たまその面持ちに影を見せることも。 【方針】 「大破壊」に繋がりそうな事象への介入、阻止、排除。
https://w.atwiki.jp/tokyograil/pages/122.html
岸波白野&アサシン ◆3SNKkWKBjc サーヴァントを選んで下さい。 セイバー アーチャー ランサー ライダー キャスター アサシン バーサーカー ???? ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ 意識が浮かぶ。 広大なデータの海の中、徐々に周囲の様子が把握できた。 そして、薄れかかった記憶も取り戻しつつある。 やはり聖杯に触れる事は叶わなかったのだ。 不正なデータとして扱われた自分はこうしてデータの海に沈み続けている。 覚醒するまで、一体どれほど沈んでしまったのか。 一筋の光すら望めない深淵ばかりが広がり、左右どころか上下の平衡感覚すら掴めない。 深い闇の底。 果たして何が待ち受けている事か…… いや、待って欲しい。 どうして意識がある? どうして視界が見える? どうして体がある? ―――終わっていない。まだ、まだここにいる。 理屈はサッパリだが、聖杯によって完全に解体された訳ではないらしい。 データの海で彷徨い続けているのだ。 「――誰か、いるのか?」 !? 漠然とした輪郭しか捉えられないが、確かに自分以外の『誰か』がそこにいた。 こうして会話を交わせるだけで、不思議と安堵を覚える。 ……だが、誰なのか? ここはデータの墓場のような場所。そこにいる存在とは―― 「くくく、なるほど。お前もオレと同じようなものか」 同じ……? そうか……意思を持ったNPC。もしくは不正と認識されたデータ。 驚きはしない。 むしろ、自分のような存在がいる時点で『ありえない類』ではないと受け入れられた。 「残念だな。オレと同じ、辛うじて存在しているようだが意味はない」 サーヴァントもいない。 もう、聖杯戦争は終わりを告げた。 辛うじてここにいる。もしかしたら、あと数秒で消えてしまうかもしれない。 諦めない 諦める 諦めない。諦めたくない。 たとえ、何があったとしても確かに存在している。 聖杯戦争で散った人、聖杯戦争であった事、自分の想い全てを無駄にさせない。 「随分と強情だな。だが、何ができる?」 確かに何もない。 残された手札なんて一つもない。何も始められなかった。 抗おうにも、その手段が一切ないのだから。 果たして何ができる? この状況でどうしろと? それでも諦めない やっぱり諦める やはり諦められない。何かできるはずだ。 ……!? ドクンと体に熱が籠る。 久しぶりの感覚だが……忘れた事はない。まさか…… 令呪。 正しくは『前回の聖杯戦争』で使い残した令呪。 最後まで使うことのなかった一画の令呪が深淵の闇の中、一筋の光となって輝いている。 もしかしたら…… 「それは……?」 そこにいる相手に手を差し伸べる。 一緒に行こう。ここから抜け出せるかもしれない。力を貸して欲しい。 向こうは沈黙を数秒だけ広げた。 「オレたちのような出来底ないが抗って何がある? 第一、見ず知らずの相手に協力を求めるのもどうかしているぞ」 尤もな意見だ。 完全に信用できる相手かも理解していないのに。 ただ一つ。 この巡り合わせは『運命』のはずだ。『運命』を信じよう。 「オレを助けた事を後悔させてやろう」 ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ 再び意識を取り戻した時、舞台に到着されていた。 『東京』 正しくは『聖杯によって再現された東京』 即ち、再び聖杯戦争へ参加することとなったのだ。 一度は聖杯によって消去されたが、これといった不具合を感じる事はない。 令呪を確認するとしっかり浮かびあがっている。 ただし、一画のまま。 本来ならば三画刻まれるそれは、最初から一画の状態だった。 漠然とした気持ちで令呪を眺める。 状況の理解が追いつかないのもあるのだが…… 恐らく、イレギュラーとして聖杯戦争に参加してしまった……その可能性を感じていた。 複雑な感情を渦巻きながら座り込んでいると―― 「ようやく起きたか。数秒後には臓物を取り出していたところだ」 急に物騒な事を言われてたので、慌てて立ち上がった。 そこには共に『東京』へ至った……… ……? 美しいドレスを纏った女性がいる。 違う、そうじゃない。 今まで言葉を交わし合っていた声は『男』だったはず……? 「改めて問う。お前がオレのマスターか?」 と、『女性』が『男の声』で尋ねた。 男声の女……ではなく、正真正銘の男である。 つまり女装している男――がサーヴァントらしい。 そうだ 人違いです そんな格好で恥ずかしくないんですか? 「さっきからの腑抜けた表情……オレの姿に対するものなのか?」 むしろ気にしない人間はいない。 黙っていれば女らしい。 そう、黙っていればの話だが。 「これは警察(ヤード)の目を欺く為だ。男が女を無差別に殺すならば道理にかなっているが 女が女を無差別に殺す印象は世間体の意識としては低い。分かるだろう?」 一概に間違ってはいないのかもしれない。 それはそうと――物騒な発言からして彼は猟奇的な面が垣間見える。 何の英霊なのか? 女を無差別に殺すなど『切り裂きジャック』を連想させるが、似通った英霊に心当たりはない。 「なんだ、オレを知っているじゃないか。いかにもオレは『切り裂きジャック』 アサシンの座とし召喚された『切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)』だ」 『切り裂きジャック』……!? それは――英霊よりかは恐怖の概念だ。 童話の概念が英霊化したように、恐怖の概念が英霊化したような。 俄かに信じがたい。 ……その『切り裂きジャック』が何故『あそこ』にいたのだろう。 「……とは言え、オレはお前と同じ『ゲーム上のキャラクター』だったのさ。 本物の『切り裂きジャック』ではないが『切り裂きジャック』としての立場があった」 ゲームに登場した『切り裂きジャック』 それが本物と誤認され、サーヴァントとして召喚された? 全てが異常極まりない。 異常の始まりは――恐らく岸波白野だ。 異常まみれの主従が『東京』の聖杯に導かれた。 ならば『東京』の聖杯も……異常なのか? 「ところで――お前は聖杯が欲しいのか」 欲しい 欲しくない まだ分からない 『東京』の聖杯はムーンセルの聖杯とは違う。これだけは断言できた。 もしかしたら聖杯に触れる事が叶うかもしれない。 それ以上に『東京』の聖杯は異常の塊かもしれない。 正常な願望機かも――分からない。 だが、前回の聖杯戦争を無意味にしない。諦めない。 それだけは譲れない。 「急に表情が変わったな。今更、オレを助け後悔したか」 これからよろしく。アサシン 「……」 気使ったつもりだが、アサシンは前触れもなく霊体化してしまった。 機嫌が悪くさせてしまったらしい。 まだ彼のことを知らない。うまくやっていきたいものだが…… 新たな月で聖杯戦争が幕を上げた。 【マスター】岸波白野(男) @Fate/EXTRA 【参加方法】 異常な手段をもって聖杯戦争へ導かれた 【マスターとしての願い】 明確には不明。聖杯を見極める? 【weapon】 なし 【能力・技能】 魔術師としての才能は平凡。 【人物背景】 Fate/EXTRAの主人公(性別はプレイ開始時に選択可能)。 ムーンセルに解体されたはずだが、辛うじて完全に消える事はなかった。 相変わらずの往生際の悪さを発揮させ、アサシンと共に聖杯戦争へ参加することにより完全なる抹消を逃れられた。 前回の聖杯戦争の令呪を引き継いでおり、令呪を凛・ラニ戦にて二回使用した令呪一画の状態。 【クラス】アサシン 【真名】ジャック・ザ・リッパー@名探偵コナン ベイカー街の亡霊 【属性】混沌・悪 【パラメーター】 筋力:D 耐久:D 敏捷:A 魔力:D 幸運:A 宝具:E 【クラススキル】 気配遮断:C サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 陣地作成:A 魔力を消費し、周囲に霧を展開させる。 作成に時間を必要とせず、瞬時に発動可能。 道具作成:E 魔力を帯びた器具の作成。 アサシンの場合はナイフや爆弾など近代的な凶器に特化している。 【保有スキル】 犯罪の美学:A 急所を狙う方法、逃走経路を瞬時に計画。 どのように爆弾を設置すれば効率的か。 犯罪に関する知識の豊富さを示す。同ランクの『直感』スキルを発揮する。 女装:D- 一種の変装。女装し、なおかつ男性であると判明されるまで ステータスの隠蔽が施され、NPCと同等の気配しか与えない。 声だけは隠蔽できない。 仕切り直し:C 戦闘から離脱する。戦闘中でも即座に離脱行動に移る事が可能。 二重召喚:C アサシンとキャスター、両方のクラス別スキルを獲得して限界する。 【宝具】 『ベイカー街の亡霊(オールド・タイム・ロンドン)』 ランク:E 種別:対人 レンジ:1~10 最大補足:1人 陣地に侵入した対象一人に発動可能。戦闘開始時一回しか発動しない。 いかなる宝具・スキルも妨害し、必ず先手で攻撃を仕掛けることができる。 【人物背景】 浮浪孤児になっていたところをジェームズ・モリアーティーに拾われる。 彼から犯罪者としての英才教育を施され『切り裂きジャック』として名を轟かせる殺人鬼となった。 当初は母親を殺す為だけを目的としていたが、母親に似た女を殺し続け歯止めが効かなくなる。 最終的に彼が望んだのは『切り裂きジャック』の血を現代へ残す事。 とある人工知能が作り出した『切り裂きジャック』のキャラクター。 最終的に人工知能は自らを消去し、その際ゲームそのものも抹消した ……が『切り裂きジャック』は残り続け、岸波白野と接触した。 本来『切り裂きジャック』は誰でもあって誰でもない存在。 しかし、この『切り裂きジャック』は独自の世界観の中だけとはいえ明確な正体を持つ。 ロリショタ集合体の『切り裂きジャック』ではなく 姿形が不定形な『切り裂きジャック』でもない 唯一個体を持つイレギュラーな『切り裂きジャック』である。 【サーヴァントとしての願い】 とくにない ゲームキャラクターであることを受け入れており、自身の野望も無意味だと理解している。