約 374,295 件
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1102.html
761 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/11/25(日) 04 11 31 振り返ったとき、彼女は両手で刃を握っていた。 未だ空中を舞っている刃物とは、同じ形でありながらまた違うあの武装をいつ取りだしたのか、視線を決して逸らしていないはずの彼にも理解は出来なかった。 「外した……」 その言葉はエンジンのアイドリングに掻き消される。 だが彼はその言葉を聞いてしまったし、直後にはその言葉の意味は理解した。 空中を舞っていた刃が地面に浅く突き刺さり、それと時を同じくしてクロームメタルの猿轡の側面が割れ、地面への落下を始めたのだ。 落下していくその猿轡は、真一文字に割られており、それがなければ口元は耳まで裂けていただろう。 いつ切られたのかは分からなかった。 だが、それを為しうる『種族』ならば答えのストックは幾つか心当たりはあったし、その内の一つはもう一つの疑問にも回答出来た。 「……そうか、『感染者 ファージ 』か」 男の発した言葉にシャリフの顔が強張る。 この時代に彼女の事は知られているはずがなかった為だ。 ファージとは、あるウイルス感染者の総称である。 ファージには幾つかの特徴が知られていた。 驚異的な身体能力や生命力をを発現することや、犬歯が人のそれを上回り伸びることなどがそれである。 吸血鬼症候群とも言われたそれは人類社会に大混乱と、別種の秩序を生み出し、人類社会の一部に対吸血鬼機構を組織させるに至った。 古くからの対異端機構であるヴァチカンや王立国教騎士団のようなノウハウのない組織であり、彼等は楽観視していたが、用いられたテクノロジーは古来より彼等を守護してきた神秘に勝利し、その存在を人類社会の白日に曝した。 結局の所、それはワクチン開発後に発生した第三次世界大戦の混乱の中で失われ、残された噂は感染による混乱が生み出したデマゴーグとして処理され、その後の未来には残される事は無かったが、それでもその時代、最愛の女性と共に『追われた』存在としては、忘れる事の適わぬ存在であった。 シャリフは少しだけ感動していた。 自信と同じように未来の記憶を有する存在が居たこと。 そしてそれが神秘の塊である吸血鬼であるという事実に、である。 だがそれは彼女の思考に淀みが生まれる要因にはなりえない。 その最大の理由は、目の前で獰猛に咆え立てようとしているバイクにある。 加減速だけでも生身で相手をするには危険な相手であるのに、その正面に取り付けられたブレードは、人体など容易に切断するだろう事が自信の思い込みではないという事を完全に理解した。 「……そういえば誰かが言っていたな、あの女ならば捕らえる事が出来ただろうと」 未来という過去を思い出して笑う。 確証はないが、話に出た女とは目の前の人物なのだろうと直感する。 「確かその名前は……」 「ヴァイオレット?」 言葉を遮り、シャリフが応える。 何故かは分からない、どうしてもこの男に名前を覚えていて欲しいと思ったのだ。 「そうだ、『ヴァイオレット・ソン・ジャート・シャリフ』、そんな名前だったな」 「そうね、私も噂だけならば聞いたことがあるわ……実在するとは思っても見なかったけど」 何気ない言葉を交わしながら、空気だけが張り詰め、温度が下がっていく。 「夜魔の森の女王と名も無き伴侶……」 唐突に、笑みが溢れた。 「そういえば、そうだなぁ……あの時代、俺を知っている人間は全て死んでしまった、だから知ってる人間が居るはずもないか」 この時代ならば、生きている。 そういう風にシャリフには聞こえた。 「貴男、名前は?」 「ソウタ……そう、『伊藤惣太』だ」 久しく口にしていなかった己の名、それをあっさりと口にした。 この時二人は、どこか純粋に人として知り合おうとしていた。 名前は知った。 聞きたいことは、あと一つだけ。 「御伽噺の存在が、この戦いに何を望むの?」 惣太には、もう聞かせたいことも、聞きたいことも既に無かった。 ファージの望みなど、たった一つしかあり得ない――少なくともそう思いこんでいる――のだから。 「……言いたくないほど、女々しい理由さ」 銃口が道路から彼女へと向けられた。 銃声にコンマ1秒先んじる回避運動で銃弾の雨を潜り抜け、同時に真横に跳んだ。 瞬時に5発を撃ち尽くしたレイジングブルを仕舞い込み、脇から大型のグレイブ『聖者の絶叫』を引き出す。 停止していたという鬱憤を晴らすかのようにバイク――名をデスモドゥスと言う――のエンジンが咆えた。 アギ:真正面を避けつつ、前進して攻勢に出る ブフ:回避に重点を置き、下がりながら戦う ジオ:一撃必殺を狙い、飛び掛かるタイミングを量る
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1003.html
863 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/05/23(水) 04 16 35 だがそれでも心配だ、一成の後をつける事にする。 目を閉じ、一度息を吸い、吐く。 目を開け、戸を開ける前に一成の足音を探る。 ……石を踏む音が止まりアスファルトを踏みしめる音に変化した。 動きに躊躇はない。 振り返って後方を確認している様子はない。 それでも一応警戒し、音を抑えて戸を開け、壁から僅かに身を乗り出す。 一成の背中を確認、振り返る様子はない。 ……しまったな、身を隠すような場所がない。 つまりもし振り返られたら確実に見つかるって事か。 身を隠すような器用な魔術なんてできないし。 ちらりと逆方向を見る。人影はない。 だったら追跡は出来る。 要は発見されなければ良いんだから。 霧島家は数百メートル先の角を曲がってすぐにある。 加えて普通ならば目的の場所が見つかれば視線はそちらに釘付けになるはずだ。 時間は数秒で良い。 角を曲がって視界から消えた直後に脚力を強化し、一気に追い付く。 音を立てないように電柱を掴み、足ではなく右腕で行動を管制する。 「っ……!」 途方もなく痛い。 今は頭よりも腕が痛いが、痛いと声を上げるわけにも行かない。 右腕を押さえながら身を乗り出す。 周囲を見渡すが、やはり一成以外の人影はない。 背にした壁先の家屋から何かの音が聞こえるが、それだけだ。 考えるのはそこまでにして、意識を一成の方に向け、今度は視力を強化する。 一成の視線の先を可能な限り追う。 駐車場には、二台ほど駐車可能なスペースに一台だけ止められている。 全員が一台に同乗したと考えればあり得るだろう。 続いて視線を移した玄関先の鉢植えには苺がなっている。 実はまだ赤くなりきっておらず、食べたら甘くはないだろうが、葉は萎れることもなく青々としている。 続いて郵便受けや窓などに視線を向けていく。 郵便受けには今日の新聞が残っており、窓には全て鍵がかかっているようだった。 一成はしばし考え込んだ後、チャイムを鳴らした。 数分経過し、まるで反応がない事に少しだけ安堵する。 もしここで霧島本人か、その家族が出てきたとすれば、それはまだここがアジトだという事に他ならず、一成が危険だ。 そうなっていたとしたら……やっぱり飛びだしていたんだろうなあ。 やがて諦めたのか、不在だと確信したのか一成が立ち去るのを見送り、再び安堵した。 一応は安心だが、やはり確認しなければならないだろう。 もしかしたら何か、情報が得られるかも知れない。 特に、次のアジトの、例えヒントになるものでもあるならば…… 腕を軽く振るい、深呼吸をしてから一歩を踏み出す。 予想通り、昨日と同じく玄関の鍵は掛かっていなかった。 既に深夜だったあの時と違い、屋内の様子は詳らかになっている。 靴を脱ぎ、片手に持って室内に入る。 「お邪魔します……」 残された幾つかのゴミではなく、机の上に置かれたままの地図をチェックする。 「……ま、こんな所にヒントがあるはずもないか」 幾つか折り目の付いているページはあったが、全国地図だったのもあって見事に観光地だらけだ。 地図をパタンと閉じて机の上に置き直す。 「市内の地図はないか?」 本棚を一冊一冊チェックする。 ……無い、か。 替わりにというわけでもないが辞典の類が多いのは分かった。 「それに、この辺りは新しい本だらけだな」 埃や手垢のまったく付いていない新しい本は、上司としての心構えを解く本の類が並んでいた。 「……プレッシャーだったんだろうな」 なにしろあの一成の後の生徒会長だ。 多分完璧であってギリギリ合格。 そこから先は完全に減点されていくような、針のむしろに座り続けるようなものだったのだろう。 あの後少しだけ聞いた話だが、あのJ.B.という男は、心の隙間につけ込むような事を得意としているらしい。 そしてつけ込む隙は、嫌と言うほどあったのだろうな。 ……今はそんなことを考えている暇はない。 地図……冬木か、S市の地図を探さなければ。 突然ごとり、と。 何か音が聞こえた。 「——!?」 壁を背に、頭の中に剣の設計図を走らせる。 咄嗟だったからなのか、それが最善だとどこかで考えたのか、靴は座布団の上に放置した。 ——先程の音は入り口の方向からだった、そして戸を開けたような音はしなかった……誰だ? 気配を隠すつもりもないのか、放置された邪魔なゴミを蹴散らして歩いてくる。 ——近付いている? 気付かれているのか? 気付かれていないのか? 陰謀のセオリー:身を潜め続け、隙を伺う ジャッカルの日:剣を投影し、打って出る 山猫は眠らない:「誰だ!」声を上げる
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1080.html
162 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/09/11(火) 03 50 37 ……どうやら、衝撃によるダメージはそれほどのものではなかったらしい。 身体を貫通した槍のダメージは無視できるものではないが、最後の蹴りはガードできたし、落下時の衝撃はなのはがキャッチしてくれたことでかなり軽減できていた。 肩は……触ってみた限りだと鎖骨骨折くらいはしてるかもしれないが、バルディッシュのサポートが有れば戦闘は可能だろう。 だがとりあえず傷口をちゃんと見るのはやめた、見てしまったら多分気持ち悪くて吐いてしまうと思ったからだ。 そんな意図は無かっただろうが、昨日の戦闘で一撃を受けた箇所への更なる一撃だ、全体としてみればダメージは大きくはないがその箇所へのダメージはかなり深刻だ。 ある程度力を込め、何度か手を握り、離す。 多少違和感はあるがきちんと拳を握ることは出来た。 「……うん、大丈夫だね、神経は正常に繋がっている……なのは、大丈夫?」 「ん……なんとか、ちょっと着地に失敗しちゃった……ごめんね」 「気にしないでいい、ありがとう」 周囲を見渡せば、右手側にセイバーとランサーが相対し、左手側には己のマスターが敵マスターを倒した姿が見えた。 仲間が無事なことに安堵し、立ち上がる。 その直後、周囲に向けて放たれた強力な殺気を感じ取る。 僅かばかり抜けていた気を戻し、武器を構え殺気を放った敵手、ランサーを見やる。 深く身を構え、即座に対応できるだけの体勢を整える。 背後を取っているにも関わらず、まるで正面から睨み合っているかのような緊張感が全身を走っていた。 厄介な存在、というのは例え瀕死であっても意識がある限り油断してはならない。 魔術師にとって、厄介な存在というのは同類の魔術師に他ならない。 そして英霊、サーヴァントの類というのは厄介を通り越して危険な存在だ。 なれば、気絶している今の状態を動かす必要はなく、英霊を止めるには言葉を持って止めるのが最良と判断する。 敵である英霊、ランサーの方向には味方であるサーヴァントが三人全員が健在で、二人はルート上に立ち塞がっている。 「よし、これなら……」 一瞬で距離を詰められて殺される、なんていう事態はまずないだろうと判断した。 その直後、途方もない殺気が放たれ、思わず跳び退いた。 「動くなランサー!」 何かが起ころうとしている、それは直感ではあるが確実な事実だと理解した。 ならばそれをさせるわけにはいかない。 主を人質に戦闘停止を呼びかける。 主を殺傷する、ないしは契約を破棄させることが出来れば原則として長く現界することは出来ない。 現在のランサーとの距離はおよそ100メートル、恐らく走り寄るまでに2秒は掛かる距離。 更には間に立ちはだかる二人を突破するのに一瞬と言うことはあるまい。 ならば奪還しようと行動を起こす間に致命傷を与えることはできるだろう。 仮にその後こちらを全滅させたとして、新たな主を契約するだけの力が残っているとは思えない。 故にこの作戦は有効、そう判断した。 その思考はランサーも同様であった。 己の宝具を解放しようとする直前にかけられた声で冷静な思考は戻っていた。 マスターの相手である遠坂がこちらに声をかけてきた、ということは主はこちらに緊急事態を告げる暇もなくやられたのだろう。 人質は無事であるからこそ意味がある。 その鉄則を熟知しているならば致命傷を与えられていることはあるまいが、いつでも致命傷を与えられる用意はされている、と言ったところか。 息を吐く。 そして手に持つ槍を地面に突き刺し、薄く笑った。 「こちらの負けかな」 やれやれと肩をすくめた彼の顔は、実に穏やかだ。 もう少しだけ、ほんの数秒あれば彼の人の宝具はその力を解放させていただろう。 だがそうはならず、それを悔いてはいないようだった。 「負けたからにはそっちに従おう、ただしマスターの安全は保証してもらうがね……」 殺さなかった、と言うことは何かさせたいこと、聞きたいこと、何らかの理由が存在する。 その辺りのことを彼はよく弁えていた。 この状況下で偽証が判明すれば主の命はない、そう考えれば、嘘を吐く可能性は限りなくゼロに近いだろう。 単刀直入:「ならば早速聞かせてもらおうかしら、私を執拗に狙った理由を」 情報調査:「それじゃ本題に入る前に、他のマスター達の情報を聞かせて欲しいわね」 戦闘終了:新都側に舞台を移動
https://w.atwiki.jp/magamorg/pages/7947.html
王機脳リベンジ・デ・デデ・デデディ 水 コモン (5) 3000+ グレードメカオー/リギット・ピープル ■このクリーチャーが攻撃する時、このターンに既にバトルによって自分のクリーチャーが負けていれば、このクリーチャーのパワーは+3000され、W・ブレイカーを得る。 ■自分のクリーチャーがバトルによって破壊された時、このクリーチャーはブロッカーを得る。 (F)リベンジ! 作 楼砂 某カービィの某大王とは関係ありませんm(_ _)m 収録 混沌編(カオス・ワールド) 第一弾 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1095.html
135 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/10/25(木) 04 47 47 ――S市某所 その部屋にはただ一人が座っていた。 座って何をするでもなく、頬に手を当て目を瞑っている。 その耳に足音が届き、瞑っていた目を開けると、それと同時にドアが開いた。 「どうだい?」 「さあて? どちらのことかな?」 「うん、そうだね、じゃあ両方って事にしようか」 互いに分かっているであろうに、一つ一つを確認してみせる。 殊更に軽い口調で語ってみせるのは、本音を漏らさぬ為でもある。 「共に順調だよ、不本意ながらね……アレはワインを飲んで寝ちまったがね」 それだけを返答に、机の上のワインに手を伸ばす。 「そうかい、それは良かった、キミも楽しんで貰えたら幸いさ」 小馬鹿にするような笑みや態度で誤魔化そうとも、この場の主導権が相手にあることを、彼――J.B.――は知っていた。 彼にも望みはあったが、それは聖杯に因らずとも為しうる物であった。 ただそれがもっとも手っ取り早く、かつ確実な手段であるからという理由で手を組んだに過ぎない。 「で、そっちの望みは叶いそうなのかい?」 「そっちの望みが叶って半分、と言ったところだろうね」 「そいつはまた遠謀な事だ、果実を手に入れたら腐っていた、なんてことになってくれたら面白いんだけどねぇ?」 「ま、どちらにせよ、君の望みを叶えることも本命のための実験に過ぎないのさ、この戦争にしても『ありもの』を利用したにすぎないしね、エコロジーだろう?」 「ああ、それは違いないね、環境に悪そうなエコロジーだがね」 漏れ出る笑みと共に腐り堕ちるような空気が堆積していく。 この退廃の宴はそう長くは続かない。 「あらあら、あなたも来ていたのね」 三人目が現れ、淀んだ空気を流した為だ。 「お邪魔しているよ、暫くの間はね」 「そっちの景気はどうだい?」 「あらあら、分かっているくせに、わざわざ言わなければならないのかしら?」 這い寄るように耳元で呟いてみせる。 その姿はマフィアのドンとその愛人のようであったが、無論二人はそのような関係ではない。 「準備は整っているわ、あとはそちら次第でしょう?」 ふっと耳元に息を吹きかけ微笑むその姿は、見た目とは不相応に妖艶で、一度清浄に戻ったはずの空気は、先程まで以上に淀み、肌に張り付くように重くなっていた。 「それでは、彼の様子はどうなのだ?」 その空気を意に介さず、一人目の存在が威厳を纏い問いかけた。 ――同時刻、冬木市街 見えては居ないが、敵が何らかの礼装を展開した、というのは理解できた。 こうなってしまえば主導権は敵の物となる。 だが、距離を詰めてくるという事実からすれば、敵の礼装は遠距離攻撃が不可能な代物だ。 故に、距離を開けながら敵を見据える事、つまり見に回るのが無難か。 バックステップで距離を開きながら、銃弾を甘い狙いで連射する。 無論距離があるこの状況では回避され、時に弾かれ、ダメージなど期待できる物ではない。 だが彼女はその様子を観察する。 放たれた弾丸は運動能力を見極めるためではなく、隠された礼装を見極めるための物である。 僅かに見え隠れする敵の礼装の正体、それを看破しなければ勝利の女神は敵へと微笑むだろう事は彼女は深く理解している。 故に無駄な攻撃を行い、誘い、それらをもって看破のためのヒントとする。 それが彼女の選択だった。 正中線を射抜くはずの一撃が高らかな金属音と共に弾かれる。 殆ど同時に放った連射は振るわれた右手の先で叩き落とされる。 「ハッ!」 ギュンターの一閃と共に、廊下に放置されたままの荷物が巻き上げられ、まとめてルヴィアに向けられる。 巻き上げた物は熱風。 荷物が叩き付けられる寸前にその事を察知し、床に伏せ、荷物をやり過ごす。 だが床に伏せやり過ごすだけの時間は接近されるに十分。 「オオッ!」 伏せたままのルヴィアに右手から突きの一撃が放たれる。 無手だとすれば彼女に届かぬそれは、確かに床を抉り取った。 瞬間の差で、両の手足で後方に跳ねたのだ。 回避に成功したという認識と回避されたという認識は同時。 続く一撃は払う一撃、床から天井へと放たれたそれは、ルヴィアの皮膚を擦過する。 皮膚を切ったそれは、血管までは切れず、出血はない。 だが豪奢な彼女の戦闘衣の一部は縦に切り裂かれていた。 「……女性の身体とは戦闘に不利だな、特に貴女は豊かな身体をしていらっしゃるようだ」 追撃するタイミングを逃し、出方を凝視している。 「あら、手加減してくださるのかしら?」 僅かに裂けた戦闘衣の胸元をちらりと見つつ、敵の礼装を推測し、同時に敵の出方を見計らっている。 「とんでもない、それは失礼という物だろう、むしろそこを突かせてもらうのが礼に適うというもの」 じりじりと間合いを詰めていく。 じりじりと間合いを離していく。 ……幾つかは理解できた。 まず敵の装備している物体が武器に類し、両手でも片手でも扱える代物であると言うこと。 銃弾を最初に弾いた瞬間までは盾である可能性を考慮に入れていたが、それが武器に類する物である事はこれまでの経緯から明らかだ。 次に敵の礼装が紛れもなく不可視である事。 両の手足で跳ね、攻撃を回避した、それほどに敵と接近した瞬間ですら武装の正体を見抜けなかったことからである。 だが、敵の武器は不可視であるという特殊な点を除けば通常の武器に類する物であることはほぼ確実だろう。 そしてこれはまだ推測の域を出ないが、風と火の属性を持っている事。 叩き付けられた熱風は熱砂の砂漠のそれであった事から、風を操るのみならずそれを熱する事が可能であることからである。 ただし火の属性はそう強い代物ではないのだろう。 風を叩き付けた瞬間に『着火』されれば逃げようが無かったはずだが、その作戦を実行しなかったことからの推測である。 ……作戦は既に大部分が出来上がっている。 しかしそれを実行するための細やかな部分はまだ分からず、完全ではない。 それは分かっているが、そう長い間あの攻撃を防ぎきるだけの自信はない。 理解出来て一つ、それが限度だろう。 それ以上は恐らく押し切られると、彼女の理性が告げていた。 実行に必要な物は―― 距離:敵の武器の『長さ』である 防壁:ただ一度防ぐ為の『盾』である 覚悟:己の策に命を賭ける『覚悟』である
https://w.atwiki.jp/kirbyrpg/pages/23.html
夜。デデデ城。基本的に朝起きて夜眠る住民が殆どであるこの国では、夜の警備など殆ど意味を成さない。 別に寝首を掻きに来る連中がいるわけでなし、そもそもダイオウってナニソレおいしいの?という国土であるからして、その大王直属の部下……という自覚のあるクールスプークは、自分の役目に少しばかり疑問を感じないでもなかった。 デデデ大王いわく、「最近は物騒だから、明るいお前に夜の警備は任せた」……との事だった。 確かに自分は明るい。あのピンクだまがコピーするのもライトだし。 それに最近はやれ盗賊だの目玉だので色々騒がしいし、警備の強化も重要だろうが。しかし―― ふわふわと空中を飛びながら、クールスプークはため息をついた。 しかし。 「……っ!?」 クールスプークは、暗がりに何かを見つけた。――人影だ。 本当に、族が紛れ込んだのか。はやく、大王様に報告を……そう思ったが。 彼の照らす明かりの中で、その素顔がはっきりくっきり見えていることに、その人物は気づいていないようだった。 (……どうしよう、コレ) クールスクームは二度目のため息をつくと、その人物に、そっと声をかけた。 「あの、大王様?」 「うわあああっ!?」 暗がりにいた人影……デデデは思いっきり仰け反った上に、べしょっとスッ転んだ。出っ張った腹がぼいんと床で跳ねる。 「…………大王様、大丈夫ですか?」 「っててて……きゅ、急に話しかけるなよ! ビックリするじゃねえか!」 ぶつけた鼻先をガウンで擦りながら、デデデは立ち上がった。 「ビックリしたのはこちらですよ……こんな夜更けにどうしたんですか? しかも、そんな格好で……」 クールスプークの灯りが、デデデの姿を淡く照らし出した。見ればデデデは寝巻きの上にいつものガウン、帽子はナイトキャップ、寝起きからそのままここまで歩いてきた、という風だった。 「…………あーいや、ちょっとな………………」 「こんな時間にお出かけですか?」 「……お、お前こそ、こんな時間に何してんだよ」 「『最近は物騒だから、明るいお前に夜の警備は任せた』……って仰ったの、大王様ですけど クールスプークの言葉に、デデデは後頭部を掻き、目線を泳がせ、 「……あー……っと…………ま、あ……いい、か」 と、呟いた。 「まあ、見つかっちまったもんはしょうがねえもんな……オマエ、皆にはナイショにしてくれよ? しー、な。しー……」 それじゃあな、とどこかに行こうとする大王。しかし、 「お、お待ちください! どこに行くおつもりですか!」 クールスプークはそう言うと、彼の後に付いて行った。 「夜道は危険ですよ、大王様。おともいたします! 大王様、大王様ー!」 森を抜け、氷の裏道を抜けた先。 デデデとクールスプークは、そこにいた。 「……大王様、ここは」 「……」 クールスプークは、その場所の存在は聞いた事があった。しかし、実際に訪れた事はなかった。 濃紺の空に、淡く光を放つオーロラ。きらきらと瞬く星屑。 そしてそんな空よりもなお美しく、こんこんと水を水を湛え、神々しい光を放つ泉。 夢の泉、と呼ばれる場所が、目の前に広がっていた。 「大王様、ここは」 クールスプークの声にも答えず、デデデはゆっくりと泉に歩み寄った。まるで何かを確かめようとするように。 「……クールスプーク」 「は、はい?」 突然声をかけられ、クールスプークはズレたサングラスを直した。 「い、いかがいたしましたか、大王さ」 「オマエ、何か感じるか?」 一瞬、何を聞かれたのか解らなかった。 「え?」 「何か、ヤな予感がすんだよな……」 デデデはなお泉に近づきながら、そう言った。 「なんか、こう……夢の泉が、ドロドロっていうか、グチャグチャっていうか、ヘンな感じがする……違わねえんだけど違うっていうか、違和感っていうか……」 その言葉に、クールスプークはサングラス内の目を見開いた。 デデデ大王は、カンが鋭い。先の夢の泉事件でも、皆が異変に気づかない中、真っ先に行動したのは、彼だけだった。 「……とにかく、ものすげえイヤな予感がするんだよ」 「……また、悪夢が……ナイトメアが、侵入してきたのでしょうか?」 クールスプークの言葉に、デデデは首をかしげた。 「いや、……どうだろうな。よくわかんねえけど……」 「そうですか……って。だ、大王様! 何してるんですか!?」 「あぁ?」 気づいた時、デデデは噴水にその巨体をのし上げていた。 「いや、見りゃわかんだろ? 何かヤバい事が……起こる前に……その、こいつをだなあ……!」 ぐぐっと体を前のめりにすると、デデデは、なお手を伸ばした。夢の泉、その中央に突きささる礎――スターロッドに。 「もし、前みたなことがあったら……コイツが刺さってると、……ヤバいじゃねえか……!」 「い、いや、そうですけど……!」 そう、以前ナイトメアが現れたとき、対策をとったのは彼だけだった。 そしてその為に、カービィに倒されたのだ。 大王の感じている違和感の正体が、ナイトメアの侵入ならば。その対処療法にスターロッドを引き抜けば、再び何が起こるかは、火を見るより明らかだった。 「大王様、そんな事をしたらまたカービィが」 ぴたり、と一瞬。デデデの動きが止まった。青い双眸の眼差しが、クールスプークを射抜いた。 「クールスプーク。オマエ、オレ様を誰だと思ってんだ?」 そうだ。彼は、天下のデデデ大王。ピンクだまにへこたれるタマでも、一度決めた事をあっさり諦めるような男でもない。 自分に真っ直ぐすぎる男なのだ。彼は。根本的に。 クールスプークは息を吐くと、 「……では、終わったらすぐに帰りましょうね。きっと明日になれば、ピンクだまがやってくるでしょうから」 と、ズレたサングラスを再び直しながら、そう言った。 デデデは家臣の言葉に、いたずらっこの笑みで答えた。 そして、次の日。 夢の泉から力が失せた事に気づいた勇者は、この暴君から力を奪い返した。それはもう、いつものように。幾度となくなく繰り広げられきた、日常生活のように。 ――だが。 再び、夢の泉に走った水脈(みお)を伝い、これ好機とばかりに、どろどろで、ぐちゃぐちゃで、混沌としたナニカが紛れ込んだ事に、勇者はまだ、気づいていなかった。
https://w.atwiki.jp/taka0604/
このWikiはうっかり一兵衛が主催の聖杯戦争スレに関するWikiです。 コンマと安価で目指せ!聖杯戦争優勝! 本スレはFateシリーズ(Fate/prototype、Fate/Stay Night、Fate/ZERO、Fate/Apocrypha、Fate/EXTRA CCC)を使用した安価スレです。 コンマ判定表 1 ファンブル 2~4 失敗 5~7 成功 8~9 大成功 0 クリティカル/特殊 基本的に無限コンティニュー、綱引きみたいなコンマ戦闘、諸々のうっかりが含まれます。 現行スレ:http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407153005/
https://w.atwiki.jp/yaruo-schop/pages/328.html
サムネイル画像 タイトル 小悪魔は聖杯戦争を開催するようです 作者名 ◆pOgi2U5jM 原作 Fateシリーズ ジャンル 現代ファンタジー、聖杯戦争系、デスゲーム系 主人公 マルチ主人公 期間 2020/03/06~2020/05/10 掲示板 やる夫板のシェルター タグ あんこ、完結作品、ダイス、長編作品 まとめサイト 様 このやる夫スレ、まとめてもよろしいですか? 様 やる夫ANK 様 スレッド一覧 スレッド名 タグ 備考 開始日時 最終レス 【あんこ】小悪魔は聖杯戦争を開催するようです あんこ、ダイス 「小悪魔は聖杯戦争を開催するようです」シリーズ:スタート 2020/03/06 2020/03/17 【あんこ】小悪魔は聖杯戦争を開催するようです 2 あんこ、ダイス 2020/03/17 2020/03/30 【あんこ】小悪魔は聖杯戦争を開催するようです 3 あんこ、ダイス 2020/03/30 2020/04/11 【あんこ】小悪魔は聖杯戦争を開催するようです 4 あんこ、ダイス 2020/04/11 2020/04/25 【あんこ】小悪魔は聖杯戦争を開催するようです 5 あんこ、ダイス 2020/04/25 2020/05/07 【あんこ】小悪魔は聖杯戦争を開催するようです 6 あんこ、ダイス 「小悪魔は聖杯戦争を開催するようです」シリーズ:完結#4528から「小悪魔は聖杯戦争を開催するようです 南国編」シリーズ:スタート 2020/05/07 2020/05/23 同作者の作品一覧 不幸の催眠 小悪魔は聖杯戦争を開催するようです 小悪魔は聖杯戦争を開催するようです 南国編 小悪魔は聖杯戦争を開催するようです 王国編 純狐は魔術学園を卒業したいようです 小悪魔は聖杯大戦を開催するようです
https://w.atwiki.jp/ssfate/pages/1414.html
登場サーヴァント(『英国で聖杯戦争』合同企画) ベオウルフ エミリア・プラテル ピサール ブーディカ ルネ・デカルト フランソワ・マッカンダル ハサン・サッバーハ ※赤字はwiki内にデータが存在しないサーヴァント
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/646.html
402 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 五日目・朝:カオスへの道] 投稿日: 2007/02/17(土) 05 20 17 士郎達が台所で軽く歓談をしていた時間。 今では和やかな朝の光景が広がっていた、幾分人数は多かったが。 例えば、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトと三枝由紀香は縁側で歓談していた。 普段の習慣からすれば少し早い朝食になりそうではあったが、台所から流れてくる香りは食欲を刺激して止まない。 例えば、遠坂凛は低血圧が災いして慎みと言う物を発揮しきれず、そこを蒔寺楓にからかわれたりしているが、反応はどうしても鈍い。 例えばイリヤスフィール・フォン・アインツベルンは弟と思って止まぬ衛宮士郎が昨夜連れ帰った少女、ノインと楽しげに朝のテレビを眺めている。 殺伐としたニュース番組が多い中、ほのぼのとした番組は希少だった。 例えばセイバーとジェネラルは、少し離れた場所で今後のことについて話し合っている。 一般人もいる中での話であるため、話そのものだけでなく居間の人間達の気配に気を払っている。 「ぬー……どうしても我慢できない」 そんな中ぽつりと、藤村大河が呟いた。 「何がです?」 急須のお茶を配りながら、ライダーが問う。 「士郎のことだから食べるときには紹介してくれると思うけど、シャリフさんに、ノインちゃん? 名前だけじゃなくて二人ともちょっとでいいから自己紹介して欲しいの」 我慢できないのは好奇心と不信感のようだ。 物腰を見る限りでは怪しい人物ではないが、何しろここ数日で怪しい人物(あとシベリアトラ)の魔窟と化した衛宮邸である。 被保護者として大切に思っている士郎のことを信じてはいるが、どうしても落ち着ける物ではなかった。 食事を美味しく頂くためにも、気持ちの整理は早い内につけておきたかったというのもある。 「何と言われても、私は妹ですよ」 そういう話にしてある。 「うん、それは二人の姿を見てれば何となく分かるのよ」 実際の話、これは大嘘であるが、信じるに足る程度に二人はよく似ていた。 服が同じ物、という事もあるだろうがそれだけではなく雰囲気も似通っている。 「でもこの時期に突然訪れるというのはタイミングが……凄いと思うのよ」 タイミングが悪い、とは言えなかったし言わなかった。 久々の再開なのだ、という気遣いもある。 「確かにこの来客の多い時期に姉の元を尋ねる、というのはタイミングが悪かったとは思います」 ぺこりと軽く頭を下げる。 「あ、そう言うことを言いたいんじゃなくてね、何で来たのかなーって思っただけよ、海外からだから、時間もお金も結構かかるでしょ? 何かあったのかなーって」 ほら、里帰りとも違う物だし、と理由をボソボソと挙げていく。 「いえ、別に理由はないんです、ただたまには会いたいな、とアメリカから」 けろりと答えるが、内心は冷や汗が滴っている。 「ふうん? アメリカからなの? ライダーさんはギリシャ出身じゃなかったっけ?」 「……ええ、そうですよ」 その問いはライダーが答えることにした。 昨日打ち合わせた通りであるが、こういった演技は苦手だと彼女自身は思っている。 「暫く前になりますが、ある事件で地元に居ることが難しくなりまして、エーゲ海に別れを告げたのです」 少しだけ棒読みのような言葉遣いと内容に胡散臭さを感じながらも、僅かな眠気がそう言った疑問を洗い流した。 とはいえ、少しだけ事実は混ざっているから、彼女の表情は苦い。 神話に曰く、メデューサはその美しさ故アテナに恨みを買い、孤島へと移り住んだという。 「ふうん……じゃあその事件については聞かない方が良いわね」 「ええ、そうしていただけると助かります」 ライダーは内心で一息つく。 拙い演技ではあったが、どうにか誤魔化せた、と。 少し眠気のある朝とはいえ、誤魔化せたのならば誤魔化せたという事実は残るから、再度追求されると言うことはないだろうと安堵する。 「それじゃあ、次はノインちゃん」 ずい、とテレビを見つめる二人に近づく。 「なんでまた士郎が連れてきたのか話して貰えるかな?」 出来るだけ優しく、顔を近づけて言う。 「ん? 街にいたら士郎がこの家に連れて来たんだよ?」 テレビから視線を話さず答える。 ひき、と空気が凍り付いた。 ノインの言葉に間違いはない。 だが、色々と修飾語が省略されていた。 それ故にか、居間に居た全員が同時に似たような誤解をして。 それ故にか、ほぼ全員の動きが止まっていた。 「……ん? どうしたんだみんな」 その言葉に固まっていた面々が動き出す。 最初に動いたのは―― タイガーストライク:「し、しろー! アンタまさかー!」やはり虎ッ! 無慈悲で無情で情け無用:二人のライダーがコンビ攻撃をッ! 凄まじい気合の一撃で花と散るんダ:ルヴィアが抱きついてきて――? 投票結果 タイガーストライク 5 決定 無慈悲で無情で情け無用 1 凄まじい気合の一撃で花と散るんダ 3