約 374,295 件
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1082.html
305 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/09/18(火) 04 26 21 二機が轟音と共に道を走り抜けていく。 その轟音を内心で咎める者は何人もいたが、ただの暴走族だろうと考え、走り去り、音が聞こえなくなるままに任せていた。 『Y2Kの乗り心地はどう?』 ライダーの耳元、そこに取り付けられたインカムから声が聞こえてくる。 『これまで乗ってきた機械の中では最高ですね、多少癖はありますが問題はありません』 そうやってちらりと後方、それを映すモニタを見やる。 小道であると言うこともあるのだろう。 彼女達としては控えめな、それとて常人の限界を超えた速度でぴったりと追随してくる姿が映っていた。 『ルートは大丈夫?』 『ええ、このまま5キロ先の地点で県道に戻るんでしたね』 T字路の遙か手前で車体を傾け、殆ど減速せぬまま、200キロオーバーで抜けていく。 『ええ、このまま工事中の循環道へ』 20年ほど昔、M県にて近隣各県との循環道を敷設する計画が提唱され、数年前から着工が行われている。 現状完成しているのはおよそ4分の1程度であり、S市から冬木市までのルートは工事中で、県境の高架部分で丁度途切れている。 故にM県側から循環道に入り、そこから冬木市へ再び接近、突入する。 それでもこのルートを選択したのは地理的な関係で多少警戒が手薄であろうと予測されること、そして徒歩で接近する別働隊の速度との調整を行える事、そして、これは楽観的な考え方だが完全に気付かれていなかった場合通過する高架は作戦領域を掠めており、そこから飛び降りれば意表を突くことが出来る、というのがその理由だ。 工事中の看板が見え、そう認識した直後には間近に迫ってくる。 だがそれとて二人には大した障害にはならない。 ガードレールの切れ目を抜け、未整備の歩道を加速しながら走り抜ける。 その速度のまま、百メートル近い、高架の切れ目に突入する。 落下の寸前、僅かに減速しつつ前輪に体重を掛けてサスを沈ませ、バネが戻る反動を利用して数秒間だけバイクごと空中に身を躍らせる。 僅か数秒であったが、300キロを超える時速は、落下先を高架の下ではなく上に変更させ、タイヤが白煙と悲鳴を上げる。 『……ミズ・シャリフ、時間は大丈夫ですか?』 着地の反動を抑えつつ尋ねる。 『予定時刻とのズレは10秒未満、問題ないわ』 着地の衝撃を殺しきれぬライダーと比し、もう一人のライダーであるシャリフはその最中であろうと片手を離し、時計を確認する余裕さえあった。 この辺りは既に有する熟練度の差が物を言った。 M県を殆一回りしたにも関わらず、予定との時間差は殆ど無い。 予定通りならば別働隊は冬木の大橋を越えた頃だろう。 あと数分でこちらが突入すれば、その時点で戦闘開始となるはずだ。 『……では行きましょう』 一度だけ深く呼吸し、アクセルを全開にして加速を開始した。 それに気付いたのはシャリフのK1200Rが最高速に達する直前だった。 『ミズ・シャリフ……』 『分かってるわ、敵ね』 この速度で下道を併走しているバイクが居る。 二機の物とは明らかに違うエキゾーストノートが聞こえてきているからだ。 併走出来ていることから、敵は300キロを超えているのは間違いない。 ちらりと視線を下道に向ける。 どうやらかなり改造されているようで、そのエキゾーストノートだけでは車種や敵の姿まで認識することは適わない。 『このまま併走されるのは危険ですね』 真下から大口径火器やなんらかの魔術で攻撃された場合為す術は殆ど無いと言える。 だが下道を走る敵にはその気、ないし手段がないのか、併走したまま一分ほどの時間が流れていく。 そうして領域突入予定時刻まであと一分、突入予定領域まで8キロほどの距離になったところで、エキゾーストが一際甲高く耳に叩き付けられる。 『どうやら敵は加速したようですね』 『このまま行けば3キロ程先で鉢合わせになる上に頭を抑えられる形になる、それは有利ではあるけれど……先手を取りましょう』 『……派手にするのは本意ではありませんが、わかりました』 どちらにせよ、戦闘が始まってしまえば静かに、なんて気にしている余裕はなくなる上に元よりこの爆音だ。 ならば少々音を大きくしようと、問題にはならない。 それだけを考え、シャリフのK1200Rが僅かに減速し、逆に加速したライダーのY2Kが前に出る。 同時に背中に括り付けられた二つの棒切れ……RPG-7の内一つを握った。 そのまま肩に乗せて敵の出現予測位置を睨み、RPGの先端を視線と同期させた後、発射時点での敵への距離を予測、照準を調整する。 そして敵との相対速度、そして発射から着弾までのタイムラグを基準に更なる修正を加える。 刹那が何十秒にも感じられる緊張感がライダーにのし掛かる。 これほど簡単な代物ならば扱いを間違えることは無いと思っては居たが、いざ使う段になってみれば、一度くらいは実際に使ってみた方が良かったと考えてしまう。 保有する火器の量全体で見ればともかく、対甲火器であるRPG-7は彼女が成形炸薬弾装備の物が2本があるのみで予備弾頭はない。 大凡の火器はともかく、建造物に対して弾頭を叩き込むならば熟練しているかどうかは大して問題にはならないためだ。 果たして、敵は側道との合流地点から姿を現し、その直後にライダーはRPGの引き金を引いた。 本体のみならず、最高速に近いY2Kというカタパルトから発射されたロケット弾は、彼女から幾らも離れぬうちに安定翼を展開する。 敵の姿を睨もうとしたライダーの視界が一瞬消える。 爆発音と同時に推進用火薬を点火させさらに速度を増し、敵に突入したのだ。 その瞬間の炎が真正面を見据えたライダーの視界を埋め尽くしたのだ。 車体をウィリーさせてその眩しさから逃れたが、その数秒後に起きた爆発炎と爆風で車体が激しく煽られた。 僅かに後方を走るシャリフには、その爆発までのプロセスが見えていた。 RPG-7が推進用火薬に点火した直後、敵がライフルらしき何かを構え、発砲したのだ。 発砲はただの一度だが、そこから発射された散弾がロケット弾を『撃墜』してのけたのだ。 エンジン音とエキゾーストの切れ間から聞こえた発砲音から判断して、軍用ショットガンであることはまず間違いはないだろう。 その技量に戦慄すると同時に理解した。 この速度である、それと同時に発射直後のロケット弾へ正確な照準を行い、さらに散弾で撃墜したのだ。 これがライフルだというならばサーヴァントとしてはそう驚くことではない。 だがショットガンのように広域に弾が分散するスラッグ弾でそれを行うのは極めて難しい。 爆発炎で闇の中から詳らかに浮かび上がったバイクの姿は猛禽類を思わせ、エキゾーストと併せて考えればそれが原形を留めぬほどに改造された代物であることが明白となった。 一方てに握ったままのショットガンも近接戦闘が可能なように改造されているようだが、銃そのものは有り触れたSPASのようだ。 これによって宝具と予測される物は遠距離攻撃武器ではなく、騎乗するバイクにあると判断でき、そこからアーチャーである可能性は極端に減ぜられる。 『敵のサーヴァント、クラスは恐らくライダー』 予測は出来ていたが、これでほぼ確定した。 『ええ、でも作戦を中止するわけにはいかない……』 シャリフの言葉に、ライダーも体勢を立て直し、インカムに返答を行う。 ライダーであろうとあれだけの射撃能力を持った相手、しかも機動力はこちらと互角。 スピードで掻き回すことは不可能であり、今見せつけた技量から考えれば二人がかりとて即座に撃破することも適うまい。 だが作戦は続行しなければ別働隊が危険に曝される。 ならば片方をあのサーヴァントにぶつけ、もう片方が作戦を続行するのが策と言うことになるだろう。 この『クラスが重複していようと関係なく、幾らでも召還されうる』という異常な聖杯戦争であるとはいえ、これほど特異な、現代機械を用いる英霊がそう多く居るとは思えず、突入した一人は機動力を生かして攪乱することは可能だろう。 『……早くも障害ね』 互いにその辺りのことは言葉を交わさずとも理解できている。 ただの弾丸ならば問題となることはない。 だがサーヴァントの、英霊の装備ならばただそれだけで神秘が自動的に付加され、サーヴァントに対しても有効打となりうる。 『そのようね』 炎がその光を失う寸前、敵サーヴァントに視線を送る。 何の呪いか、拘束具を装備したその姿は己を押さえつけているように見えた。 いずれにせよ、先制攻撃は失敗し、背後をとったものの進行方向を押さえつけられた形となってしまった。 互いに速度は維持したまま、ライダーは言葉を発した。 snake:「私が足止めを、その隙に中枢を」 vampire:「足止めをお願いします、中枢は私が」
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1070.html
143 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/08/10(金) 04 49 56 ……よし、奪ってしまおう。 考えていた段取りとかそう言うことは全部忘れて、ただひたすらに本能の赴くまま、開いた方の手を桜の頭に回し、唇に貪るように吸い付く。 「んっ……」 桜は驚きで目を見開き、だがすぐにこの行為を受け入れたように目を閉じる。 のみならず逆に攻め入るかのように舌を挿入してくる。 その感触と香りに頭の中が白く塗り潰されていく。 「はあっ……」 一瞬だけ離れ、呼吸をする。 互いを繋ぐように伸びた唾液が糸を引き、それに導かれるように唇が再び触れ合う。 瞬間、耳元に水音が僅かに響く。 唇が触れると同時に挿入された桜の舌がねっとりと口中を這い回る。 それは快楽であると同時に脳を貫かれるような錯覚を起こさせる。 だが、それだけでは足りない。 反撃とばかりにコチラも桜の口中に舌を突き込む。 「んっ!?」 反撃されることを考えていなかったのか、桜が眼を大きく開いた。 だが構わず舌で桜の口中を蹂躙していく。 桜は少しむくれたような顔を向けたまま、更に舌で口中を蹂躙していく。 相手の口中に存在する唾液に気付き、巣へと蜜を運ぶ働き蟻のように舌で掬い取り、それを己の口へ運ぶ。 その途中、唇と唇の間の僅かな隙間で舌同士が接し、少しだけ床へ溢れる。 だがそれに構わず、口に入った甘露を舌に因らずして堪能する。 どちらかが主導権を握ろうとしても、与え合う麻薬のような快楽で互いに主導権は得られない。 主導権を得ようとしての行動ではない、ただただ触れている感触を欲し、いつしか呼吸を止めて互いの口中を貪りあう。 内側の粘膜を啜るように舐め上げられ、舐め取っていく感触は、二人の身体が融合していく錯覚を起こさせ、それは喜ばしいことなのだと理解させ、理解させられる。 互いの感覚を共有するように舐め取った次は、舌先で互いの舌をつつき、そして絡ませていく。 その感触は舌先を震えさせ、更なる感触を求めさせていく。 呼吸が苦しくなり、再び離れようとしたが、いつ回されたのか、桜の両腕が頭に回され、離れる事無く固定されていた。 互いの体内に残る酸素しか許さないと言わんばかりに込められた力は、もたらされる快楽と共に離れようという気を失せさせていく。 視界は靄が掛かったように薄く、だがそれでも桜の姿だけはこれ以上ないほどはっきりと見えさせ、視界はそこに固定される。 まるで人工呼吸のように、互いの体内の酸素を求めるように、絡んだ舌を解き、奥へ、更に奥へと進ませていく。 それはかつて感じたことのない程の喜びであり、快楽であった。 ……快楽によるものか、それとも酸欠によるものか、段々と視界が白く塗りつぶされ、我慢が限界を迎えていく。 そうして桜を畳に押し倒したところで、掴まれた。 桜と唇を繋げたままその方向に視線を向け―― 「あ」 その瞬間、死んだと思った。 なんというか皆さん一部を除いて殺意満々。 一部と言うのは、将棋に夢中になってる人とか、既に一杯一杯になって目を回している人とか、テレビに夢中とか、そう言う人達なんだが。 気のせいだろうか、なんだか、戦闘モードに変化してる、よね? 遠坂はなんだか宝石とか手元で光らせちゃってるし、なのは達は……戦闘服 バリアジャケット 着込んじゃってるし。 なんだろう、魔術は隠匿すべしってこの世界の大原則はどうなったんでしょうか? あ、そっか。 既に視界逸らしとかしてるのか、なるほどねー。 よし、上手く現実逃避できた―― 「少し、頭冷やしましょうか……」 誰か なのは の、底冷えするような声は心身を心から竦ませるに十分であった。 「時と場合を弁えんかー!」 最初の直接的打撃は声の直後。 遠坂による、実に強烈な、顎の先端に直撃したアッパーだった。 はっきりと認識できたのはそこまで。 その後はもう何がどうなったのか。 結論を述べれば。 居間でのキスの記憶は快楽や喜悦と同時に惨劇の発端として心に深く刻まれることになったのである。 惨劇の結末:気付けばぽっかりと記憶が抜け落ちていた Can t Escape from my life:恐ろしい目に遭った結果だろう、映画はまったく怖くなかった 夜へ:映画は終わり、夜が近付いてくる
https://w.atwiki.jp/rentalitem/pages/112.html
もしも、姉妹が離れ離れにならなかったら。 もしも、遠坂時臣が弟子の裏切りから生き永らえていたら。 もしも、言峰綺礼と対峙したのが一人ではなかったら。 もしも、赤毛の少年を育てた人物が衛宮切嗣ではなかったら。 そんな、いくつもの『もしも』が重なった、どこかの平行世界のお話。 ■ 遠坂さん家の聖杯戦争 ■ 「じゃあ、私から召喚するから。貴方達は、隅っこの方で待っていなさい」 「はいよ。うっかりを起こすなよ」 「兄さんに同じく」 「……黙りなさい、気が散るでしょう?」 「「了解です」」 「まったくもう……素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ。 降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」 「……」 「……」 「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。 繰り返すつどに五度。 ただ、満たされる刻を破却する」 「……なぁ、桜」 「――――Anfang」 「どうしましたか、兄さん?」 「――――――告げる」 「いや、今って……ほら」 「……午前、一時? あれ、でも、家の時計は……」 「――――告げる。 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」 「私の腕時計も午前一時……」 「……なんだろう、ものすごく嫌な予感しかしないんだが」 「ど、同感です」 「誓いを此処に。 我は常世総ての善と成る者、 我は常世総ての悪を敷く者。 汝三大の言霊を纏う七天、 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――――!」 「っ!?」 「ふぇ!?」 ■ 「サーヴァントが三体。しかもラインが混在……」 「うっかりだな」 「うっかりですね」 「……で、誰がどのクラス?」 「スルーしたな」 「スルーしましたね」 「アンタたちは黙っていなさい!」 「短気は損気」 「姉さん、家訓」 「あああああああああああああああああああ!!!」 ワ、バカ、コンナトコロデ…… ネエサン、オチツイテ…… アアアアアアアアアアアアアアアアア!!! ドドドドドドドドドド!!! 「……」 「……」 「……猛烈に不安です」 「奇遇ですね。同じことを思いました」 「……」 ■ 「へぇ、サーヴァントが三体も固まって行動しているなんて、珍しいこともあるのね」 「そういうそっちはずいぶんと余裕そうね?一体で勝てるとでも」 「ふふっ、私のバーサーカーは最強だもの。そこらの有象無象程度に負けやしないわ」 「言ってくれるじゃない。……行きなさい、セイバー。がつんと懲らしめてあげて」 「いや、凛のサーヴァントはアーチャーだろ」 「そうですよ、アーチャーさんに失礼ですよ」 「うるさい!空気読みなさい!」 ぎゃーぎゃー、わーわー 「……帰りましょ、バーサーカー」 ■ 「なぁ、遠坂。僕と手を組まないか?」 「士郎と桜がいるから十分よ。じゃ」 「なぁ、遠坂。僕と手を組まないか?」 「いえ、私には兄さんと姉さんがいますから。それでは」 「……なぁ、遠坂。僕と手を組まないか?」 「いや、勝手に組むと凛と桜が怒るんだ。悪いな、慎二」 「……ちくしょおおおおおおおおお!!!」 ■ 「ルールブレイカー!」 「なっ、契約が……」 「ふふふ、この宝具の能力は見てのとおりよ。 さぁ、セイバー。私と契や「フィーッシュ!!!」っ!?」 「ナイス、アーチャー!ふふふ、これで……」 「いや、真名解放出来なきゃ無理じゃないか?」 「あ……」 「まぁ、それ以前に色々と言いたいことはあるが……」 「醜いですね。恥ずかしいです」 ……ぶちっ アアアアアアアアアアアアアアア!!! オ、オチツケ! ネエサン、ギャクギレキンシデス! ドドドドドドドドドドドドド!!! 「あ、あの、シロウ、契約を……」 ■ 「えへへ、お兄ちゃーん」 「っとと、料理中だから危ないぞ、イリヤ」 「んー?大丈夫、大丈夫」 「あー、士郎?色々と訊きたいことが……」 「兄さん?色々と訊きたいことがあるのですが、お時間よろしいでしょうか?」 ――――ゾクッ 「あ、ああ」 「シ、シロウ?すごい汗だよ!?」 「だ、大丈夫、きっと、大丈夫だから……」 がちゃっ、ばたん 「……ライダー、もう出てきても大丈夫ですよ」 「……お見苦しいところを見せました」 マ、マテ、サクラ! ソレハシャレニナラナ……ギャアアアアアアアアアアアアアア!!! ■ どこかの平行世界の、とある魔術一家の物語。 聖杯戦争中でも、遠坂家は平和です。まる。
https://w.atwiki.jp/itan_seihaisensou/pages/174.html
【裏設定】 ◉輪転機(疑似シン化最終形態) 新二次における『聖杯』の正体。 半年前、新一次の世界の存在を知ったジェラルデオ・煌殿・ブルボンが製作した聖杯の模倣物。 だがジェラルデオの頭脳を以てしても聖杯は製作出来ず(正確には製作時間が足りなかった)、解析が完了した聖杯の基礎理論を応用して造られた擬似聖杯と呼べる存在。 過去にジェラルデオがゼーレの命令で製作していた『エヴァンゲリオン初号機』が素体として用いられている。 本質は『兵器』であり、製作者のジェラルデオはこの輪転機を用いて『世界平和』を齎す『希望』の存在の登場に賭け、一部の候補者を交えた希望の選定儀礼『聖杯戦争』を開戦した。 使用するには『鍵』が必要で、鍵を所有しない存在は操作すら出来ない。鍵は世界に1つのみしか現存せず、模倣は不可能。 鍵の所有者はジェラルデオ・煌殿・ブルボン(初代)→ルルーシュ・ランペルージ(二代目)。 輪転機には下記の2つの特異性能が備わっている。 1つは『生命の同化』。 輪転機は全地球上の生命体を常に捕捉している。 輪転機の鍵を所有する者が使用する事によって、たとえ相手が何処に居ようとも無条件でその対象の生命を奪い取り、輪転機に同化させる事が出来る。 この同化から回避する方法は存在せず、同化した生命を対象の身体に戻す事は出来ない。 一度に捕捉可能な最大生命数などは存在せず、その気になれば一瞬で地球上の生命を同化させる事も可能。 2つ目は『生命の構築』。 上述の『生命の同化』によって蓄積された生命をベースに新たな生命体を再構築する。 再構築したとしても、ベースとなった生命の容姿や性格は遺伝せず、鍵の所有者が指定した通りの生命体が造られる。再構築後も鍵の所有者はその生命体の調整が可能。 新二次におけるサーヴァントの正体は、輪転機のこの特性を基に再構築された英霊である(スキルや宝具もジェラルデオがアカシックレコードに触れた得た情報を基に輪転機の膨大な魔力を利用して付与した)。 究極の倫理禁忌と呼べる存在。 上述の2つの特異性能の他にも膨大な魔力(生命エネルギー)が蓄積されており、それを転用すれば宝具さえ作成可能。
https://w.atwiki.jp/psyren_wars/pages/53.html
気絶するほど悩ましい◆wd6lXpjSKY バイクを走らせるには絶好の天気、快晴の中で風を切る。 マスターである夜科アゲハを学園に送っていた後、セイバーは街を走り始めたのだ。 建前は土地勘を把握し今後のために情報を集めることだ。 本音は暇だから取り敢えずバイクで走る……自由気ままなドライブだ。 聖杯戦争、何時何処で他の参加者に襲われるか分からない現状で単独行動は好ましくない。 サーヴァントの能力は規格外であり生身の人間では一矢報いることすら難しい。 幸いセイバーのマスターはPSIと呼ばれる能力を持っているため戦闘能力は存在する。 だがサーヴァント相手には不利を通り越している、通ったとしても正面からの戦闘は自殺行為に近い。 何故単独行動をしているのか、実は深い意味や作戦は無いのだ。 『霊体化って透明人間みたいで気持ち悪りぃなおい』 『あたしに言うなよ、魔力消費ってモンを抑えれるし効率はいいらしいぞ?』 『らしいぞ? って何で疑問形なんだよ……まぁいいや。んじゃ学園に行っている間も霊体化で待機だな』 『おう、少し時間潰してから行くわ……霊体化って何か慣れないんだよ』 戦術的な概念ではなく本人たちの意向による物である。 互いの意見が合致し採用していることは関係が好ましく良い事だが戦術としては悪い。 サーヴァントが出歩けばマスターは無防備だ。 その事を理解した上でセイバーは単独行動をしているが時間は掛けたくない。 ある程度走らせたためそろそろ学園に戻ろうと車体を入れ替えた。 セイバーのマスターである夜科アゲハは天戯弥勒と唯一面識のある聖杯戦争参加者だ。 彼らは他の参加者を把握はしていないがサイレンドリフトは彼だけである。 元々都市伝説であったサイレンに参加した夜科アゲハは謎の荒廃した世界で彷徨っていた。 其処には同じ参加者である人間と禁人種と呼ばれる異形の存在が徘徊しているだけ。 彼らは脱出するために危険な道を歩み、鍵と門になる公衆電話を目指す、これが一連の流れだ。 その中で夜科アゲハ達は脳に痛みが走る、それが超能力の知らせだった。 名をPSI、一般的な印象のあるテレパスやサイコキネシスと呼ばれるあの能力に彼らは目覚めた。 修業を重ね生き残るために能力を極めるアゲハ達。 戦う力が無ければ生き残れない――そしてサイレン世界を生き抜いていた。 彼らがサイレン世界を彷徨う中、その世界が未来の日本である事を偶然知ってしまう。 そして其処にはWISEと呼ばれる謎の組織の影が存在していた。 それが天戯弥勒、実験に人生を歪められた、いや最初から歪んで存在を確立された男。 現代と未来。二つの世界の中で夜科アゲハ達は世界を救うために彼らと交戦を重ねていった。 これがセイバーである纒流子がマスター、夜科アゲハから聞いた出来事の一欠片。 軽口を叩いてはいるが夜科アゲハの心境は人一倍重い。 彼は天戯弥勒の元へ辿り着く義務がある、だがそのために他の参加者を殺すことが最善なのか。 そもそも聖杯戦争にはアゲハのように巻き込まれた参加者だけなのか、自分の意志で参加した者も居るのか。 本当に殺さなければ、上手くサーヴァントだけを始末してマスターを現代に帰すことは出来ないのか。 セイバーと話した結果一つの結論が生まれた。 『そんなのやってみなくちゃ分かんねぇ』 纒流子とてアゲハの気持ちが分からない訳ではない。 彼の悩みと使命を感じる責任感、生命の狭間で揺れる悩みを分かっている。 そして夜科アゲハは悪人の命を仕留める事が出来る人間だ、簡単に決断してしまっては危険だった。 故にセイバーは己の意見でマスターの意思を線路に走らせる事を選ばなかった。 励まし……ではないだろうがそれが一番近いだろう。 『ワケが分かんねぇぐらいがちょうどいい、ってことだよ』 マスターに聖杯戦争の知識は無いがサーヴァントである纒流子にはある程度存在している。 ……最も纒流子自身は自分が英霊になったつもりは無かった。 自由気ままに、父の仇を追い続けた彼女はまさか自分が座に位置する存在になるとは微塵も思っていなかった。 自分が亡くなった時の記憶も曖昧で、闇に溺れているようだ。 実際の所、天戯弥勒が主催する聖杯戦争はイレギュラーだ、それは誰もが把握している。 故にセイバーはワケが分からない、そう表現しているのだ。 考えても何も見えて来ない。正確には天戯弥勒に話を聞かない限り正しい解は得られない。 ならどうするべきか、簡単だ、会いに行ってぶん殴ればいいだけ。 聖杯戦争を行う中で。構成された現実とは異なるこの空間で日常を過ごしつつ勝ち抜けばいい。 言葉にするだけなら簡単だ。だが、立ち止まっていても何も始まらないのだ。 アゲハは学園に通い、流子は街を走り情報を集めている――既に戦争の幕は開いている。 バイクを学園に向け走らせていると目の前で渋滞が起こっているらしく車が多数密集している。 (めんどくせー……) セイバーは脇道に逸れるとそのまま突っ走り強引に進んでいく。 ジャリジャリとタイヤを擦らせながらビルの間を走ると光が見える。 挟まれた道から抜けだすとそこは公園だった、前にマスターと訪れたことのある公園だ。 あの時は気にしていなかったが学園からそう遠くはない所に位置している。 ……と言ってもバイクで換算した感覚であり、徒歩で想定すると充分遠い距離なのだが。 公園には平日の影響もあり遊んでいるのはまだ幼稚園や保育園に通う前の幼い子供と親しかいない。 その中に爆走する訳にもいかないので流子はバイクを押しながら徒歩で進む。 すると少し遊具や遊び場から外れた気の麓に一人の男が疲れるように身体を預けていた。 息は切れ切れ、フードを被っているがその隙間から見える顔には血管が一部浮き上がっている。 とても健康体には見えず今にも死にそうな印象を与えていた。 (……あぁ、んだよもう……) 満身創痍の男を見ていると昔の自分を重ねてしまう。 父の仇を取るために焦り鬼◆◆皐◆に敗北を喫したあの時を。 一度勝利したが故に油断し四天王の一人である◆投山◆に敗北を喫したあの日を。 真の仇である◆◆縫が現れ――考えれば考えるほど浮かんでしまう。 目の前で死にかけている男がどんな理由で満身創痍になっているかは分からない。 だが見捨てることも出来ない――しかし彼女はサーヴァントだ。 聖杯戦争に参加している今不要な接触は逆に危険に巻き込んでしまう可能性もある。 ポケットに手を突っ込むと小銭がジャラジャラと音を立てる。 「仕方ねぇな……ちょっと待ってろよ」 男に聞こえない程度の大きさで言葉を呟くと彼女は公衆電話に向かう。 救急車を呼べば何とかなるだろう、彼女なりの優しさだった。 バイクを近くに止めると十円玉を入れ、ダイヤルを押し連絡を行った――。 ■ ライダーの戦闘を終えた間桐雁夜はその場に留まらず移動をしていた。 戦闘の余波で間桐邸の前方にあった家屋は崩壊してしまった、その場に居れば間違いなく疑いを掛けられる。 無論この場合は雁夜のサーヴァントであるバーサーカーに原因があるため警察に見つかっては好ましくない。 唯でさえ彼の知っている聖杯戦争とは異なり、狂戦士という魔力が枯渇するサーヴァントを従えているのだ。 無駄な争いや力を消耗する事は避けたい、故に麻痺している身体に鞭を打ち込み移動をしていた。 戦闘の相手であったサーヴァントは身体を伸ばし打撃戦を主体にしていた。 バーサーカーの能力であり宝具であり存在意義である反射では相性が悪かった。 単純に打撃戦ならばバーサーカーが圧倒的な優位に立てる、だがあのサーヴァントは違った。 あらゆる打撃を無効にしていた、無効までは辿り着いていないかもしれないがそれでも損傷を与えてる感じはしていない。 このままでは無駄に魔力を消費するだけだ、故に撤退を選択する。 しかしバーサーカーの戦闘で彼の想像よりも魔力を消費してしまったらしい。 身体に痛みが走り中に巣食う蟲共が騒ぎ出し彼の身体を永久に蝕んでいく。 元々冬木の聖杯戦争で死の淵に位置していた彼だ、その身体に未来など残っている筈もない。 公園に辿り着くも身体を休めるために彼は到着後直ぐに腰を下ろした。 距離に換算すればそれ程歩いてはいないが彼にとっては多大な運動だったらしい。 そのため息は続かず、声を出そうにも胸が苦しく、出来るなら動きたくない、と言うのが理想な状態だった。 眠れるなら眠りたいが此処で目を閉じれば確実に危険だ。 この聖杯戦争は彼の知っている聖杯戦争ではない、天戯弥勒が起こしたイレギュラーだ。 何処に何が潜んでいるかも分からないため、心を無防備にすることは死を意味している。 「これでも飲んでゆっくりしとけ……してください。 余計かもしれないけど救急車を呼んだんで直に迎えが来ると思うんで」 顔を上げフードの隙間から覗きこむと声の持ち主が立っていた。 年齢は女子高生程度、革ジャンを着ている、この時間帯ならば学校に通わない生徒、もしくは大学生と言ったところか。 そのNPCは何と救急車を手配し自分にお茶を自販機で買ってくれたらしいのだ。 AI……と呼べばいいのか、天戯弥勒の力は彼が知る魔術とは違うかもしれない、そんな予感がしていた。 差し出された飲み物を受け取ると雁夜は口を動かす。 身体は苦しいが助けを貰い礼の一つも言わないのは礼儀に反する。 人の道を外れた彼にも礼儀の作法が、人を形成する人間性は残っている。 「ありがとう……だけど俺は大丈夫だから、救急車はいいよ。 ……でも、その心は素直に受け取るから、ありがとう――ッ!?」 「どういたしまして、それじゃあたしはこれで……近頃は物騒だからアンタも気をつけてなっと!」 お茶を受け取られるのを確認すると女性はバイクに跨りこの場を去った。 しかし男にはまだ用があった、いや、用が生まれてしまった。 声を叫ぼうにも疲れきっており叫べない。 あの女性は――。 「サーヴァント……ッ」 疲労の影響か、気づいていなかったが間違いなくあの女性はサーヴァントだ。 魔力の反応が通行人の比ではなく、その体感は冬木の聖杯戦争並だった。 しかし現状の彼では再びバーサーカーが戦闘を起こすと非情に身体が危険になってしまう。 死んでしまえば願いも何もかもその場で砕け散ってしまう、この判断は正解だったかもしれない。 無論、判断ではなく流れで現状を招いたのだが。 (戦闘が始まれば俺の身体が保たない……今は休める事を考えるべきか) 間桐雁夜は己の魔力と身体を回復、休める方針を選択する。 バーサーカーの関係上聖杯戦争が長引けば長引く程彼は不利になってしまう。 だが戦える時に戦えなくては意味が無いのだ。 彼が休める場所――それは間桐邸だ。 今は警察が屯しているため、彼らの目を掻い潜る必要がある。 見つかっても問題は無いのだが、彼の容姿だけで職質を喰らう可能性もある。 此処は穏便に戻るべきだ――聖杯戦争はまだ始まったばかり。 【D-4・公園/南西・一日目・早朝】 【間桐雁夜@Fate/zero】 [状態]肉体的消耗(中)魔力消費(小) [装備]なし [道具]お茶(ペットボトル) [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を取り、間桐臓硯から間桐桜を救う。 1.見敵必殺。見つけたサーヴァントから攻撃。 2.ライダー(ルフィ)相手は不利、他のヤツに倒されるまで待つ。 3.間桐邸に向かい休息を取る [備考] ※ライダー(ルフィ)、鹿目まどかの姿を確認しました。 ※バーサーカー(一方通行)の能力を確認しました。 ※セイバー(纒流子)の存在を目視しました。パラメータやクラスは把握していません。 【バーサーカー(一方通行)@とある魔術の禁書目録】 [状態]健康 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:■■■■─── 1.───(狂化により自我の消失) [備考] ※バーサーカーとして現界したため、聖杯に託す願いは不明です。 【Cー3・一日目・早朝】 【セイバー(纒流子)@キルラキル】 [状態]健康 [装備]なし [道具]バイク@現地調達(盗品) [思考・状況] 基本行動方針:アゲハと一緒に天戯弥勒の元へ辿り着く。 1.学園に向かう。 2.霊体化しアゲハの傍に居る。 [備考] ※間桐雁夜と会話をしましたが彼がマスターだと気付いていません。 BACK NEXT 021 だからね、あたしは大丈夫だよ 投下順 023 開幕ベル 021 だからね、あたしは大丈夫だよ 時系列順 023 開幕ベル BACK 登場キャラ NEXT 018 ゴムと反射と悪党と 間桐雁夜&バーサーカー(一方通行) 032 これって魔法みたいだね 016 LIKE A HARD RAIN セイバー(纒流子) 031 光の屋上 闇の屋上
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/394.html
369 名前: ひとりぼっちの聖杯戦争 ◆IkOakw2geY [sage この話は BAD END が多いので注意] 投稿日: 2006/10/28(土) 08 40 18 一、夜中、もう一度調べてみる。 1人きりの魔術師、 存在しない使い魔、 ……生き残るのは―――。 今夜の月は、なぜか禍々しくて寒気がした。まるで、無気味な笑いのような明るい月影。嫌に作り物めいた夜空を見上げて、俺は暑い街へと踏み出した。 冗談のような熱帯夜が続くせいなのか。不吉な噂のおかげなのか。夜の冬木に人影はほとんど見当たらず、新都まで足を伸ばしても風が静かに流れるだけ。 ……あるいは、俺の錯覚かもしれないけど。 今夜のビル街は、ヒドク、おかしい。三流映画のセットのような、冷たく小さな箱庭のような、もしくは精巧な影絵のような歪んだ空気。建物は確かにそこにあるはずなのに、無機物の気配さえしなかった。 「―――なんだ、これは」 ビルの外壁に触れて思わず声がもれる。コンクリートの感触がある。だけどコンクリートの感触が感じられない。そこに確かにあるのに実感できないもどかしさ。反射的にその構造を解析してしまったけど、なんで―――、 ―――何一つ、異常が見当たらないのだろうか。 「……なんでさ」 これじゃあ本当にお手上げだ。例えばストーブを修理するとき、異常があるからこそ直す事ができる。こんなに完璧に、当たり前のように正常だったなら、この街の異変は異変ですらないと言う事になるのではないだろうか。 いや、もしかすると俺なんかでは気付けない、そんな隠されたなにかが―――。 「違うって。この街は本当に正常よ。異常があるとしたら、それはアナタ達の方でしょうね」 突然の声に振り向いた。らしくない。俺は心臓が破裂しそうなほど驚いている。この声、この喋り方、そして何よりこの雰囲気。忘れるはずがない。だって彼女は、ほかならぬ俺が殺したんだから。 「……とお、さか?」 「なによ。幽霊を見たような顔しちゃって」 夏だというのに赤い長袖。二つのお下げが頭に揺れて、黒いミニスカートが眩しい姿。間違いない。彼女は俺が殺したあの日、あのときの格好のままここにいる。 「おまえ、なんで?」 思考が急に冷えていく。吐き気がする。首筋が痛い。二度とあえないはずの友人との、せっかくの感動の再会だってのに、なんでこんなにも、俺の手は震えているのだろう。 「なんでっていわれてもね……。そうね、士郎に会いたかったからじゃいけない?」 その仕種、その表情は間違いなく懐かしい遠坂のそれで、だからこそ俺は怖くなった。だってそうだろう。ずっと憧れていて本性を知ってそれでもいい奴だった遠坂の笑顔は、俺がこの手で砕いてしまったのに。 だったら、これは都合のいい幻なのか。 「―――遠坂?」 「なによ」 「お前は本当に遠坂だよな」 「……おかしな事を聞くのね。わたしがわたし以外の何に見えるっていうのよ。士郎、アンタ大丈夫?」 ―――その返答で、心は決まった。 一、俺がもう一度遠坂を殺す。 二、少し話をしたい。 三、もう一度桜に会いたいんだ。 投票結果 一 5 決定 二 4 三 1
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/637.html
274 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:解放] 投稿日: 2007/01/31(水) 04 31 13 この場から離脱する。 万全の状態であっても役に立つことは難しいのがこの戦争だ。 ましてこの状態では役に立つことは出来ないだろう。 ふらつく足で、かつて廊下だった場所を歩いていく。 屋上は壊れ果て、既に廊下が屋上と化していた。 階段を下がる。 悔しさに、己の無力さに涙が出そうになった。 「チッ!」 舌打ちが聞こえる。 殺せなかったことへの怒りで満ちている。 だがその舌打ちで、セイバーは衛宮士郎がひとまずの安全圏まで離脱したことを理解する。 バーサーカーの足下を見れば足下が大腿近くまでが消え始めている。 如何に魔力が十分にあろうと、バーサーカーに単独行動のスキルはない。 マスターが失われたことで、現世との縁が消えつつあるのだと理解した。 窮鼠猫を噛むの言葉を、セイバーは熟知している。 故に、噛まれる前に決着をつけに行くと決めた。 「はあっ!」 気を吐き、分身したかのように急所に連撃を叩き込む。 その全てを受けてバーサーカーが蹌踉めく。 だがその連撃を代償に、セイバーの腕を掴んだ。 バーサーカーの周囲に黒い気が巻き上がる。 「しまっ……」 黒い蛇がセイバーの体に噛みつかれると同時、異様なほどの浮遊感を受けた。 屋上に僅かに残る瓦礫まで吹き飛ばされ、叩き付けられる。 「ぐっ……!」 だがまだ終わらず、さらに虚空へ持ち上げられ、地面に向け叩き落とされる。 自由落下を遙かに超える速度で激突すれば、死との距離は途方もなく短くなる。 だが噛みつかれたのは体、腕と足は動く。 「おおおっ!」 諦めることなく全力で地面を叩き付け、受身を取る。 地面にめり込み、体の端から全身に痺れが走る。 だがここで休んでいるわけにはいかない。 幸い叩き付けると同時に蛇のような黒い気は消失したようで、足で勢いをつけて飛び起きる。 「ですが……」 己の失策を悟る。 自身が消失し始めていることはバーサーカーも気付いているはずだ。 ならば自滅さえも考慮から外した大技を使ってくるだろうと予測を立てる。 上を見上げれば、月を背後に侍らせるようにバーサーカーが浮いていた。 膝近くまで消えて尚、その存在感は薄れることはない。 捧げるように上へ向けられた右腕に途方もない魔力が集中する。 「ク、タ、バ、レエッ!」 その魔力が解放される。 放たれたのは黒い弾。 直線軌道で、速度は遅い、大きさも数メートルに満たない程度でしかないそれは、途方もない驚異だった。 その正体を、セイバーはすぐに理解する。 否、この場に居合わせた人間ならば、誰であろうとこの正体に気付いただろう。 「ミニブラックホール……」 セイバーが己の出した結論に驚愕する。 学究者としての興味はあるが、足を踏ん張り耐える他ない。 周囲の小物体が次々と吸い込まれていくのが見える。 発生した超重力は実際のブラックホールには遠く及ばない程度でしかないが、人間が吸い込まれればどうなるか、試すようなつもりは流石に彼とて毛頭無い。 瓦礫が、立て札が、砕けたガラス片が、ズタズタに寸断されたまま放置されていた人間の臓物が飲み込まれていくのを見た。 「がふっ……」 階段を下りる最中、突然叩き付けられ、壁に押さえつけられるように全身が圧迫される。 取り落としたはずの剣は落下することなく壁にめり込む。 「な、何が……?」 周囲を見渡すが何もない。 重力など、見えはしない。 「ぐ……なんだか知らないが……」 両手、持てる力の全てで壁を押し続け、壁から体を離す。 「邪魔を、すんなよ……」 呼吸さえ難しいような状況で、現場から離れるために、全力で壁を押しながら、全力で歩き出す。 全身のありとあらゆる傷口から、血が噴き出していく。 薄れそうになる意識を握りしめ、歩き続ける。 人間の重量が飲み込まれ始めるまで、そう時間はない。 だが、残る魔力は決して多くない。 セイバーは決断した。 重力と共に跳び上がる。 瓦礫を足場に更に加速する。 黒い弾の脇を抜けると同時、減速が始まる。 見据えたのは上空より飛来する瓦礫。 その瓦礫を足場に、超重力の檻を振り切る。 「おおおおっ!」 バーサーカーの頭上を取る。 「ナニ……ナニィッ!?」 セイバーの予測通り、同じ重力の檻の中にあって、バーサーカーは平然と佇んでいた。 振り切った重力の檻が再びセイバーを捕らえ、加速を始める。 そんな中セイバーは―― 火神カグツチ:己が剣を解放した グスコーブドリ:バーサーカーを抱きかかえブラックホールに突入した 投票結果 火神カグツチ 5 決定 グスコーブドリ 2
https://w.atwiki.jp/sinseihaisennsou/pages/54.html
サーヴァント 【真名】アルトリア・ペンドラゴン(リリィ) 【属性】女・秩序・善・地 【クラス】 セイバー 【HP】 10/10 【宝具】 1/1 【筋力】 C 【耐久】 C 【敏捷】 B 【魔力】 A 【幸運】 A+ 【宝具】 B 【スキル1】対魔力B| 【自動発動】魔術攻撃に対して魔力補正4 【スキル2】騎乗C|【常時発動】敏捷補正1+移動フェイズ時に2マス分移動できる。 【スキル3】魔力放出A|【任意発動】このターンの間、筋力・敏捷補正2。 【スキル4】直感B|【自動発動】移動&遭遇フェイズに発生する攻撃を無効。気配遮断を無効にした場合、直後の戦闘時に先手が取れる。 【スキル5】花の旅路EX|【自動発動】同盟の条件を無視して同盟可能。また、同盟の条件を満たしている場合、互いの前衛の筋力敏捷魔力補正1 【スキルEX】竜種|【任意発動】聖杯戦争中一度だけ宝具ストックを1回復する。 【宝具】 勝利すべき黄金の剣(カリバーン) |筋力または魔力補正7で攻撃可能。 【容姿】 白いドレスに白銀の甲冑を纏った金髪碧眼の少女。武器が見えない。 【その他】選定の剣カリバーンを抜き王としての道を歩み始めたばかりのアーサー王。 多くのことを経験するために国中を渡り歩き多くの冒険譚を残した。 彼女に助けられた者はその華やかさから騎士姫と称えたらしい。 ※魔術攻撃不可 ※このサーヴァントは実装されておりません。 マスター 【名前】日和 赤奈 【職業】医者 【属性】混沌・善 【同盟】 1/1 【逃走待機】 3/3 【HP】 5/5 【令呪】 3/3 【魅力】 E 【知識】 C 【不在】 D 【魔力】 C 【幸運】 E 【スキル】 スキル1 使い魔:【任意発動】移動前に使用可能。エリアを一つ指定する。自身の遭遇フェイズが発生せず、指定したエリアで遭遇フェイズが発生した場合、そのエリアを観戦出来る。同盟者も観戦できる。真名看破も可能。 スキル2 治癒魔術:【任意発動】自身の手番に発動可能。対象のHPを1D6回復。 同盟者にも使用可能。 スキル3 置換魔術:【任意発動】判定後に使用可能。振り直しを行う。 【特徴表】献身|【治癒魔術】または【回復魔術】が移動フェイズまたは戦闘フェイズでも使用可能になる。 【容姿】 白衣を着た黒髪赤目の青年 【願い事】 死んだ妹を生き返らせること 【その他】自身を庇い死なせてしまった妹がいる。 彼のそれからの人生は妹を生き返らせることにすべてを注ぐが結果はどれも芳しくなかった。 しかし、ある日魔術と聖杯戦争という不思議を見つけ、妹を生き返らせる最後の手段として聖杯戦争に身を投じる。
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1089.html
746 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/10/08(月) 04 59 44 冬木大橋を抜ければ、戦場と想定される場所はそう遠くない。 とはいえ、まだここは人払いの結界の範囲外、周囲を見渡せば、終電の客だったのだろう、くたびれたスーツ姿の男やOL、酔っぱらってふらついている人達や、塾帰りだろうか少年少女の姿もそこかしこに見受けられる。 「まだこの辺りは戦場ではない、確かに近いが、そう緊張しない方が良いぞ」 ジェネラルが肩に手を掛ける。 「あ、そんなに緊張してましたか?」 「適度な緊張感は必要だがね、そこまで締めるのは早すぎると言うことだ、彼女達まで緊張させてしまっている」 もう片方の手で人差し指を立ててみせる。 言われてみてみれば、桜達の表情が固い。 更にいつでも双剣を投影し、振るえるように両手は軽く閉じられている。 「とは言っても、この状況でヘラヘラと笑っているようならそれはそれで嫌ですわ」 ルヴィアが笑ってみせる。 彼女の方も緊張しているのだろう、指摘などしないが語尾が微妙に振るえていたのが分かった。 「……あ、そういえば先輩、お皿って洗いましたっけ?」 桜が唐突にそんなことを言い出して、思わず吹き出してしまった。 「大丈夫、洗ったよ、心配ないって」 気遣ってくれたのだろうが、これから戦いがあるっていうのに、そう言うことを言える桜がちょっとだけ羨ましかった。 軽い談笑で気は紛れたが、足は止めていない。 「さて、そろそろか……」 冬木大橋から歩いて数分、振り返ればまだ大橋が見えるであろう位置でジェネラルが呟く。 「ええ、そうですわね、この角を曲がった段階で人払いの結界の発動圏内で、侵入と同時に探知される可能性はありますわね……」 ルヴィアが周囲を確認しつつ呟く。 「そうか……今更というわけではないが、君達は私の後ろに、私とマスター、そして私の部隊が先行して潜入する、手順に従って付いてきてくれ」 そう呟くと同時に彼の周囲に男達が現れる。 その手にはそれぞれが武器を携えている。 武器は二次大戦の武装ではなく、AKやベネリと言った現代の物を装備していた。 「使い慣れない武装は少々不安だがね」 彼等は4人一組で4組、それぞれ距離を保ち、物陰に潜みながら前進していく。 「よし、行くぞ」 ジェネラルも物陰に潜みながら前進し、可能な限り情報を収集している。 「俺達も行こう」 その言葉に足音が続いた。 潜入はある程度の開き直りが必要だった。 訓練も受けていない素人が混じっているのだ、完璧など望めるはずもない。 それに敵の用意したフィールドに出向こうというのだから、潜入に全力を傾けてもまるで無意味になる可能性がある。 更にストーキングの際の精神的疲労と天秤に掛け、遮蔽物を盾に接近することのみに行動の焦点を絞った。 これさえ守れば遠距離攻撃の可能性は限りなく低くなる。 数十メートル先を行くジェネラルとルヴィアの背中を見ながら、少しだけ距離を開けて追いかける これは万一の場合の対応策だという。 先頭の前衛部隊、ジェネラルとルヴィア、そして後方の俺達。 どれが攻撃されようと対応ができるようにそれぞれ距離を開けておくのだという。 『いけないなあ、こんな所に来ちゃあさあ!』 目標となるビルまであと僅かというところで、幼稚さを含んだような威圧の声が、真上から聞こえた。 「士郎君!」 見上げるよりも早くジェネラルのその声が聞こえ、咄嗟に桜を抱き真後ろに跳ぶ。 その目前に、巨大な鏃のような物が落下し、地面に突き刺さった。 その開いたスペースに男が舞い降りた。 「はじめまして侵入者諸君、私はクロード・シュバリエ!」 笑みと共に余裕たっぷりに名乗りを上げる男に対し、ジェネラルの兵士がその銃口を向ける。 「バーサーカー!」 その声と同時に景色が歪む。 発砲音を聞いたが最早遅い。 「しまっ……」 弾丸が到着するよりも早くその歪みに囚われる。 『SC空間を探知しました、使用者のイデア情報を確認、起動します』 機械音声を背後に聞きながら、現実が侵食されていく様を見つめていた。 「しまった……分断されたか!」 真上から降りてきた男の姿が歪んだ段階で敵の保有するサーヴァントの正体は想定できた。 故に手遅れ。 ジェネラルの戦力は極めて高い物だが、『現実を侵食する』ことをダメージとする空間に於いては途端にアドバンテージを失う。 彼の能力では現実を侵食することは極めて難しく、宝具もダメージを直接与える物ではないためだ。 「……信じるしか、ありませんわね」 ルヴィアは逸り、突撃しようとした己の体を抑えるように自らを抱きしめる。 「ああ、そうせざるを得ないな……ならば」 制圧:「目標のビルを内部から制圧する」 救援:「どちらかのライダーを呼び戻す、大至急だ」
https://w.atwiki.jp/psyren_wars/pages/65.html
【英数字】【あ行】【か行】【さ行】【た行】【な行】【は行】【ま行】【や行】【ら行】【わ・を・ん】 【赤いテレホンカード】 この聖杯戦争の最大の特徴ともいえるルール。 少年ジャンプで連載されていた作品「PSYREN」におけるキーアイテム、「未来から現代へ帰還するテレホンカード」を「サーヴァントを失ったマスターが脱落、帰還するテレホンカード」として聖杯戦争に取り込んだ逸品。 公式に途中脱落が出来るのはロワ界隈では珍しく、そのためか参加したマスターは皆何らかの願いを抱えて聖杯を求めており、いわゆる脱出派は開始時点ではほぼいない。 なおテレホンカードという固有のアイテムであるため、木片や石のような加工はできず他所のような大喜利にはならなかった。 それでも調査して手に入れる、他者の手引きを受ける、偶然手に入れる、いつの間にか持っていたなど入手経路は多岐にわたった。