約 374,295 件
https://w.atwiki.jp/fateex/pages/92.html
この攻略ページは基本、セイバーでプレイ中の人向けです。(管理人が初心者モードのセイバープレイ中のため) パートナーがアーチャー、もしくはキャスターの方がおりましたら回戦ごとのページに専用ページを作って攻略対策をどんどんお書きになってください。ご協力よろしくお願いします。
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/643.html
365 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 五日目・朝:穏やかな来訪者] 投稿日: 2007/02/12(月) 04 08 50 そんな中来客を告げるベルが鳴らされた。 警報ではなく、来客を告げるだけの音だ。 「こんな朝早くから、誰だろ?」 多少疲れは残っているが、幸い目は覚めている。 顔も洗ったし、誰が来ても一応平気だろう。 「どうぞ」 その声と共に玄関の戸が開けられる。 「朝早くから済まないね」 昨日家を訪れた、ヴェルナーと呼ばれた男性だ。 「あの……いくら何でも早すぎませんか?」 この時間に起床するのは良くあるだろうが、人を迎えに来るにしては早すぎる時間だ。 「うむ、そうは思ったのだが、老人の朝は早い、と言うことで許していただきたい」 そう言って軽く微笑みかける。 そこに昨日のような怒気は感じられない。 「……不思議かね?」 疑問を察したように口にする。 「え、ええ、まあ……」 曖昧にしか答えられない。 何故怒ってないのか等と言えるはずがないのだから。 「簡単な事よな、イリヤスフィール嬢が信頼しているならば信頼できる、それに昨日の戦い振りも、甘いところはあるが中々の物であった」 うんうんと頷く。 ……気付きはしなかったがあの戦いを見ていたのか。 見ていたのならば助けて欲しかったとは思ったが、事情もあるのだろうと察し、それは表情にも出さなかった。 「まあ、早いというのならば庭で待たせて貰うが」 そう言って踵を返そうとする。 「ちょっと待ってください、イリヤはすぐに城に返さないと行けませんか?」 「ん? ああ……別に日が沈むまでならば構わんよ」 溜息混じりにそう言う、すぐにその意図を察知してくれたらしい。 「やれやれ……私は責務を果たそうとしているだけなのだが嬢へのその溺愛振り、これでは私が悪者のようだな」 腕を組んで含み笑いを漏らす。 「あ、それと待つなら家の中で……」 「いや、遠慮しておこう、若者が何人もいるようだし、そこに老人が居ては気を遣おうからな……気にせんでくれ」 玄関の靴を見渡して言った。 「そうですか……わかりました」 「うむ、それで良し」 そう言って戸が閉められる。 「シロウ……ありがと」 ふわりと背中にイリヤが乗ってきた。 突然のことに驚いたが、別に気にすることでもあるまい。 「気にすることはないぞ、それよりも、城に帰るのは夕方で良いって事だから、今日はみんなで遊びに行かないか?」 こっそりと耳打ちする。 「朝起きてからの思いつきだから、どこに行こうとかそう言うことはまるで考えていないけどな」 「……うんっ!」 それでも、イリヤは笑ってくれた。 そうこうしているうちに居間に全員が集まっていた。 さすがにこの人数になるとテーブルが小さすぎるのでどうしようかと思っていたら藤ねえが「土蔵にテーブルがあるはずよ」なんて言ってくれた。 ちなみに知らぬ間に藤ねえがどこからか手に入れてきた代物のようで、少し埃を被っていたが問題なく使うことが出来るようだ。 「しかしどこから持ってきたんだこういうの?」 大きさはそれほど大きくはないが、どこかから運んでくるのは一人だと辛そうな代物だが。 ……まあ、前に畳の半分くらいある鯛焼きの鉄板もあったしなぁ。 深く考えるのはやめよう、足を畳めるタイプのテーブルだし、きっと畳めば運べるんだろう、重いけど。 「よいしょっ、と……あ、そっち持って上がってください」 「うむ、心得た」 一緒に運んでくれたのはジェネラルだった。 ひょいと持ち上げて縁側からテーブルを入れる。 足を展開して、雑巾で拭いてから、濡れ布巾で軽く拭う。 「これで良し、っと……」 ふうと一息。 実に久々に土蔵の中身が役に立った例である。 さて、これでスペースの問題も解決したし―― ラヴォーチキン:朝食の用意を手伝えなかった事もあるし、配膳位は手伝うことにしよう ミヤシシェフ:居間でゆっくりしていよう 投票結果 ラヴォーチキン 5 決定 ミヤシシェフ 0
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1094.html
100 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/10/22(月) 03 58 06 敵と呼吸を合わせ、同時に前進する。 同時に全身に強化の魔術を掛ける、この程度の初級魔術ならば手の内を明かす内には入らない。 それは相手も同じ、全身に魔力が充満しているのを肌で感じる。 だが続くのは魔術の応酬ではなく、拳の衝突。 速度も体重もギュンターの方が上であったにもかかわらず、魔力によって逆転する。 数歩分の距離を弾き飛ばし、最初の優位を奪う。 このまま決めるべく、再び距離を詰め、連打を叩き付けていく。 連撃を防ぐ腕が壊れかけているのは両者が理解し、止めを刺すべく大振りの一撃を放つ。 「せええええいっ!」 それと同時、 『臨める兵、闘う者、皆陣烈れて、前に在り』 ギュンターの魔術が発動した。 自らの全力を引き出した必倒の一撃。 それに倍するような衝撃を叩き付けられ、それがなんなのか理解する間もなく廊下に転がり倒れた。 「くっ……まさかアジア圏の魔術を使うなんて……」 グラグラする脳に克を入れ、何とか立ち上がる。 吹き飛ばされる寸前、なんと言ったのかまでは理解できなかったが、それが欧州圏の物ではなく、どちらかと言えばここ数日の間に耳慣れた日本語に近い言語、ないしそのものであることは理解できた。 それは異常だった。 必然性が感じられなかったということもある。 まるきり同じ物、と言うのはなくとも似通った魔術ならば欧州圏にも山とある。 それをわざわざ習得するというのは非効率に過ぎる。 言葉の問題もある。 素質の問題もあるだろう。 そして前述の通り似通った魔術ならば欧州圏に山とあるのだ。 更に魔術を学ぶ、という点において倫敦の時計塔は他と比較にならない。 故に世界の魔術は大航海時代に欧州圏の魔術に塗り替えられてきた経緯もある。 だがそれを使いこなした、と言うことは何かあるのだ。 それが分かれば今は考えずとも良い。 立ち上がり、敵を睨み付けた。 「驚いたな、肉体的な攻撃を仕掛けてくる輩ならば今ので何分かは昏倒してるはずなんだが」 力そのものが軽いからか、それとも対魔力が高いからかと、息を僅かに乱しながらギュンターが呟く。 「お生憎ね、そうそうやられてやるわけにはいかないわ」 魔術回路に魔術を走らせ、待機させる。 見知らぬ魔術を相手にするならば、相手の真価を発揮させてはならない。 そしてこちらの真価を見切られてはならない。 同時に吹き飛ばされていたワルサーを手に取り、片方の手に魔力を、片方で拳銃を構える。 この場合拳銃に牽制程度の意味しかない。 元々銃器には慣れていない彼女が思いついた急造の戦術である。 銃を連射しながら牽制しつつ接近し、零距離でガンドを撃ち込む。 物理的な威力をも有する彼女のガンドを零距離から撃ち出せば物理的そして魔力的なダメージを与え、さらに呪いを付加できる。 人間に対して一撃でも入ってしまえば、体に変調をきたし、十全な戦闘力を発揮することは難しくなる。 そうすれば大きなアドバンテージを得られる。 そこまで思惑を巡らせ、一歩を踏み出そうとし、そこで止まった。 「ならばこちらも、やらせてもらうとしよう」 それだけを耳に聞き、同時に目に見えそうなほどの魔力を感じたからだ。 臆したわけではない、ただ見据えねばならなかった。 これほどの魔力は彼女とて生成できるかどうか分からない。 それを叩き付けることなく内に向け、魔術を行使している。 炸薬が破裂したような音と共に流れた魔力が消え、風だけが残った。 その魔力によって何が変わったのか、彼女には分からなかった。 分かることは、男が距離を詰めてくるということだけ。 銃の引き金に手を掛ける。 狙うのは身体、もっとも命中率の高い場所である。 それと同時に―― 強行:距離を詰めて戦う 迎撃:その場に留まり、迎撃する 間合:距離を開けながら敵を見据える
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1014.html
444 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/07/07(土) 04 28 53 三枝さんは座った状態から両手をついて立ち上がろうとしているが、やはり僅かだがふらついている。 フラフラしているのに歩かせるのも忍びない、背中を貸す事にしよう。 「三枝さん、無理はしないでいいよ、背中貸すから乗ってくれ」 「え? ええっと……いいのかな?」 「大丈夫、三枝さん軽いから」 それは……思い出すと顔が赤くなるが昨日の風呂で実証済みだ。 「そういうことじゃないんですけど……それじゃお願いしちゃいます」 ぺこりと頭を下げて、そのまま倒れ込むように背中に乗る。 爪先だけで膝立ちですらなかったので危うくバランスを崩しかけるが、それを堪えて中腰になる。 「それじゃ居間まで歩くけど、落ちそうだったり、嫌だったら言ってもらえるかな?」 なんとなく、しがみつく事さえ出来ないように思えたので一応言うだけ言っておくことにして、手を後ろに回して太腿を脇に挟み込んで下半身を固定する。 「……はい、わかりました、大丈夫です」 少し躊躇していたようだったが、首に手を回して上半身を固定する。 これならそう簡単には落ちないだろう。 ……とりあえず、背中に当たっている柔らかな感触について言及するのは止めておこう。 既に顔が赤くなりかけているこの状況から意識するとどうしようもなくなってしまいそうだし。 三枝さんを背負ったまま居間に足を踏み入れると、道場に居たはずの面々が各々タオルで汗を拭ったりしながら休憩している。 「これはまた随分と……」 腹ごなしと言いながら始めたらしい事は相当に厳しい『特訓』だったらしい。 蒔寺は会話をする元気もないのかタオルを顔に掛けて部屋の隅で倒れているし、遠坂やルヴィアはそれに比べれば幾らかマシだが、頭にタオルを被って静かに座り込むその姿は15ラウンド戦い終えて燃え尽きたボクサーみたいだ。 ジェネラルは飲む気にならないのか、目の前の卓袱台に置かれた茶を睨み付けるようにして硬直している。 なのはとフェイトは熱で真っ赤になって床の上に倒れ込み桜と名城にタオルで扇がれている。 ……昨日のダメージは治りきっていないはずなのだが、あんなに消耗するほど動き回って大丈夫なのか? 普通に考えれば悪化しそうだが。 涼しい顔をしているのは先生とライダー、それにシャリフさんだけだ。 ……疲労しているみんなを羨ましいと思った。 身体はぐったりしているが全員目は死んでいない。 特に何人かは疲労よりも充実感が勝っているのか、身体が回復したらもう一丁と言いそうな位目が燃えている。 「衛宮くん、下ろしてください」 「あ、そうだね」 三枝さんを床にゆっくりと下ろすと、全員の様子を見て回ろうというのか、少しだけふらついた足で歩き出そうとしている。 「……三枝さんは大丈夫なのかい?」 これで倒れられたらどうにもならない。 「平気です、それよりも、疲れを溜めさせないように太腿とかを揉んであげてください、本当は歩いたりしてクールダウンさせた方が良いんですけど……ちょっと無理みたいですから」 ああ、そう言うことか……自分もふらふらなのにそう言う気遣いを忘れないのは凄いと思う。 良い言葉が思い浮かばないが、優しいとかそういう類のものではなくて、むしろ母性に近いような…… っと、考えるより行動だ。 体が冷えるよりも前に少しでも足やら腕、体全体の乳酸を散らしておかないと筋肉痛やらで後々……夜にまで影響しかねない。 三枝さんは蒔寺の足を揉みほぐしている。 そしてライダー達はクーリングまで済ませたのかくつろいでいる。 と、なれば—— 山岡士郎:遠坂の体を揉む 北倉志郎:ルヴィアの体を揉む 鈴木史朗:なのはの体を揉む 伊東四朗:フェイトの体を揉む 佐野史郎:ジェネラルの体を揉む 衛宮士郎:……いや、ちょっと待て
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1071.html
283 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/08/14(火) 05 25 12 恐ろしい目に遭った結果だろう、寝転がって見る映画はまったく怖くなかった。 映画はホラーであったし、平常の状態で見れば相当に怖い代物だったのは分かる。 ただ、怖いとかそう言う感覚が一時的に麻痺しているだけで、理性でこれは怖いんだなあと言うことが理解できた。 ストーリーそのものはホラー物ではよくあるシチュエーションだ。 何人かの人々が『この世の物ではない存在』を見てしまい精神だけでなく肉体も変貌を遂げてしまい、変貌した人は他人へと襲いかかるようになる。 襲われた者は同じく変貌を遂げて他人へ襲いかかる。 残された人々は逃亡しながら対抗手段を模索し、生存するための戦いを続ける。 要してしまえばそんなストーリーであった。 だがその『見せ方』が他よりも一歩も二歩も秀でていた。 例えば敵役として存在する変貌した人々。 ゾンビのようになる者は極めて少数で、むしろ変貌の大多数を占めるモザイクを掛けられたかのように波打つその姿はひたすら感情を不安定にさせる。 『それ』に襲われた人々は、その瞬間、表情に恐怖が浮かぶことなく、恍惚とした表情のまま変貌していく。 その様子は直接的な表情や絶叫よりも恐怖を煽る。 そして何より音が危ない。 主人公達の足音や呼吸音だけでなく、誘うように囁く声が耳に残り、そして次の瞬間にはまた新たな囁きが聞こえてくるのだ。 映画の中盤以降、人々が変貌を始めた頃からずっと囁き声を聞かされ続けるのだ、耳元でやられてみれば分かるが大半の人間が恐怖を覚える。 そんな映画を目を輝かせて見入っているのはノインくらいで、ホントにホラー物に慣れ親しんでいるのだと分かる。 他の面々は似たり寄ったりで、肝の太そうな遠坂や蒔寺、それどころかライダーまで見入ると同時に腰が引けている。 三枝さんやホリィに至っては涙目で抱き合っている……うん、やっぱり怖いんだよな、コレ。 怒りを感じていた全員が既に一度怒りを発散しているので映画に集中できている、もしくはしてしまっているというのもあるだろうが、 映画そのものもかなり怖いのだ。 ……まあ一番怖かったのは後ろの方で笑顔のまま怒っていたなのはだったんだけど。 軽く目を閉じて自身の状態を確認する為、機械の中身を覗くように全身に魔力を巡らせる。 ……外側は結構傷だらけになっているが中身は完全に無事、問題はない。 いや、この段階で問題ありならそれこそ問題アリなんだが。 単純な殴打だのキックだので内臓とか魔術回路にダメージがあるほどだったら、それこそ殺す気満々だったと言うことになってしまうしな。 「先輩、大丈夫ですか? その……頭とか」 話しかけるタイミングを計っていたのか、主人公達が窮地を脱し、みんなが安堵の息をついたタイミングで桜が小声で聞いてきた。 頭を殴られたりしたからであって奇っ怪なポーズをしているとかではない、断じて。 「ああ、大丈夫だ、問題はない」 小声で囁き返す。 「その、ごめんなさい……私がキスして、なんて言ったから」 桜の口に軽く指で触れ、言葉を止める。 「いや、俺がキスしたかったからだから、気にすることはないぞ」 少なくとも、突然唇を奪ったのはしたかったから、というのが理由だし。 「でも……」 桜が俯いて黙ってしまう。 かつての自責の念によるところもあるのだろう。 ちょっとしたことで責任を感じ沈んでしまうという気質は、もうちょっと是正した方が良いとは思うのだが。 「それじゃあ――」 桃:「今度は桜からしてくれるか?」 梅:「膝枕、してくれるか?」畳の床は寝転がるには微妙に固いのだ 竹:「とりあえず救急箱を持ってきてくれるか?」消毒くらいしておかないとね
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/691.html
249 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 五日目・夕:遭遇の一成] 投稿日: 2007/04/06(金) 04 45 22 帰り道、幸せそうに鯛焼きを食べている一成を見つけた。 何回か一緒に買い食いをしたことはあるがあれほど幸せそうに頬張る姿を見たことはない。 「おーい、一成」 両手で荷物を抱えているので声だけ掛ける。 「ん? おお、衛宮ではないか」 がさりと紙袋の口を折り曲げてこちらに歩いてくる。 「うむ、なにやら久々な気もするが……大変そうだな、衛宮」 後ろに居る女性陣を見咎めたのか、怪訝な表情を浮かべた後、眼鏡の位置を軽く直しながら袋を開け 「良かったら食べるかね? 一人では冷めてしまうと思っていたところだ」 優しげに微笑んで少女二人に鯛焼きを渡す一成であった。 二人とも戸惑っていたが、それぞれの表情で受け取る。 だがそれは一口食べて幸せそうな表情に変わる。 「良いのか? お山の生活は甘い物とかは原則禁止だろ?」 しかもこんなにころりと表情を変えるほどの代物ともなれば、ただの鯛焼きでも中身は相当な代物だろう。 「うむ、構わん、今日一日分の労働の報酬だ、ついでに言えば美味なのだが一人食うには多すぎる……良かったら衛宮達も食うかね?」 むしろ食ってくれると嬉しいと言わんばかりの視線には頷かざるを得ない。 実際に近づいてみてみれば、一成の持つ紙袋は手に持つ、というよりも小脇に抱えるようなサイズである。 ……あれが全部鯛焼きだとすると、軽くキロ単位である。 しかも二桁に届くかもしれない。 五人で食うにしても多すぎるとの判断までは一瞬。 少なくとも夕飯は食べられなくなるだろう。 ライダーが新鮮な魚を提供してくれる予定だというのにそれは問題がある。 「……一成、差し支えなければ家に来い、茶と人数が居ないとどうにも大変そうだ」 どれだけの人数がいるかは分からないが少なくとも誰もいないと言うことはないだろう。 「うむ、そうか……丁度良い、土産話と、少々問い質したいこともあるでな」 まあ、その視線から、何を問い質したいは大凡把握した。 目を輝かせて鯛焼きを頬張るノインとイリヤ。 そして再び頬張り、目を閉じて何度も咀嚼している。 実に美味しそうだ。 とはいえ、荷物もあるし、これから食べられるのだし、茶もあったほうが楽しめるだろうし、一緒に食べる人も多い方が良い。 「重そうだな衛宮、少し持とう」 「いや、別に大丈夫だ、一成の方は……」 見れば既に鯛焼きの袋はその手にない。 というかノインが持っていた。 「ノイン、あまり食べ過ぎると夕飯が食べられないからそんなに食べると良くは……」 「甘い物は別腹だから大丈夫ですわ、旦那様?」 思わず吹き出した。 そしてノインは悪巧みを成功させた時の遠坂のような笑みを浮かべた。 舌先を軽く出すその笑顔は、それはもう可愛い物があるが発言の内容が問題だった。 「なっ……なあっ! え、衛宮ッ! 流石にそれは友人として祝福できん! 再考を強く強く推奨するっ!」 がばーっと、掴み掛かるように一成が接近する。 というか、余りの勢いで激突した。 段ボールの箱から溢れそうになる芋を何とかバランスを取って支えて一息つく。 「一成、危ない、芋が溢れる」 「たわけっ、食品は当然大事だが婚礼は一生の問題だろうッ! 正妻はそこな間桐さんであろうに一体何をどうして血迷ったのだ衛宮ー!」 正妻、と言われて顔を赤らめる桜と、その姿を楽しそうに見つめるイリヤと名城。 「それはノインの冗談だ、冷静になれ一成」 「ええぃ、このような少女がそのような冗談をいうものか、例え今は亡き衛宮の父君の遺言でも推して破れぃ!」 割と冷静さを失っている一成を尻目に、ノインは楽しそうに新たな鯛焼きを取り出し頬張っていた。 カイファル:多少のゴタゴタはあったものの、どうにか衛宮邸に到着した バラカット:衛宮邸のすぐ近くで、ルヴィアとジェネラルに会った セラーズ:衛宮邸のすぐ近くで、後ろからシャリフさんがバイクで現れた 投票結果 カイファル:1 バラカット:5 決定 セラーズ:1
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1072.html
382 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/08/18(土) 02 14 25 「膝枕、してくれるか?」 畳の床は寝転がるには微妙に固いのだ。 「え……は、はいっ」 一瞬だけ顔を赤らめてから、頷いた。 その表情で気付いたが、みんなの前で膝枕というのはこう、少しばかり恥ずかしい状況ではないだろうか。 する方にしてみれば足も疲れるだろうし。 それを気付かないほどだった、と言うことに気付いて今更ながら戦慄する。 「ついでですから、耳掃除とかしちゃいましょうか」 だが桜はノリノリで、さっと棚から耳かきを取り出すと正座をして『さあ来い』とばかりに腿をぽんぽんと軽く叩いている。 ……ま、いいか。 さっきのこともあるし、今更膝枕でどうこうと言うことは無い……よな? 自分で自分を納得させ、桜の腿にぽふりと頭を乗せる。 頭を包むように僅かに沈む腿の感触と、首筋に当たる膝の感触が非常に心地よかった。 「それじゃ、始めますね」 「ああ、頼む」 軽く目を閉じ、耳の内側の感触に意識を集中させる。 自分でするのとは違う感覚には少し戸惑うが、これはこれで良いなーって思えてくるまでに時間はそう掛からない。 自分で調整できない存在がこりこりと耳かきが耳の中を擦り上げていく感触は、少し怖いが、同時にゾクゾクとさせてくる。 不意に耳の中から何かがこそげ落ちたのが分かった。 「あ、おっきいの出てきましたよ? ……わ、凄い、こんなに」 薄目を開けると、耳かきの突起全体に耳垢の塊が乗っていた。 確かにでかい。 というかセンチ単位のアレは尋常じゃないような気がするが、実際どうなんだろうか? 「……ちょっと楽しくなってきちゃいました」 桜は広げておいた広告の上に耳垢を落とし、再び耳かきを耳の中に入れてくる。 角度的に桜の表情を覗き見ることは出来ないが、鼻歌交じりで実に楽しそうだ。 再びちらりと薄目を開ける。 ……見られてる。 何人か、ってところまでは分からないけど、テレビではなく明らかにこっち見ているのが居る。 どうにも気になったので視線を上から下へ、部屋全体を見渡すように動かす。 まず一人目、遠坂はテーブルに肘をついて溜息をついてこっちを見ている。 『まだ懲りないのか』とか考えている表情で、溜息は諦めた時のそれであろうというのは簡単に分かった。 考えればそんな表情が分かるくらいの付き合いになるからなあ。 二人目、氷室はいつからだったのか、フェイトを胸元に抱きつつ――フェイトはテレビの方を見ていたが――こっちを横目でじっと見ながら顔を赤らめている。 一瞬だけ視線を逸らしたが、逸らす瞬間が見えていた上に視線が戻ってくるのが見えてしまえば確実だ。 さっきのに比べれば見られて困る物ではないんだが、あの時の氷室の言葉と行動を思い出すと顔が赤くなってしまう。 三人目は、その氷室の傍らで腹這いになっているなのはだ。 その顔は思い切り笑顔で、テレビを見ようともせず体勢もこっちを向いている。 畳に肘をついて両手の平に頬を乗せ、足をぱたぱたと動かしているその様は、子供らしいと思うと同時にこっちまでウキウキさせられる。 先程の殺気とどうにも一致しないその差はなんだろうか。 ――知る由も無いことだが、彼女の両親が家族の前で互いの耳掃除をよく行うため、それは日常の光景であり、それ故の笑顔である。 四人目は、次は私の番だと言わんばかりに正座になっているルヴィアだ。 視線に気付くと、先程の桜と同じようにぽんぽんと腿に触れる。 いや、悪いけど耳掃除は一回やって貰えば十分だぞ? 「さ、それじゃ反対の耳もやっちゃいますから、反対側向いてください」 熱いのと寒いのと暖かい視線に見守られている、というのは居心地がいいのか悪いのか、判断は出来なかった。 惰眠:映画の途中であったが、不意に眠くなってきた 爆薬:映画の終わる頃、ライダーに声をかけられた 薬缶:映画が終わり、夜が来る
https://w.atwiki.jp/ankasekai/pages/759.html
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ 第三次多元世界聖杯戦争… 現時点で268作品ある物語の数多居るキャラから七人選出する聖杯戦争 基本的にキャラが濃くアクの強い連中ばかりなので波乱は必至である 記憶力との戦いになるが基本キャラが立ってるので設定安価省けて楽┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ i⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒i ∨0゚ 0 .゚ 0 .゚ 0 .゚ 0 .゚ 0 .゚ 0 .゚ 0 .゚ 0 .゚ 0 .゚ 0 .゚ 0 .゚ ∨ \》 《》 《》 《》 《》 《》 《》 《》 《》 《/ .` <_____________> ´ ` ̄ ̄ ̄ ̄`TTT´ ̄ ̄ ̄ ̄´ l i l |.|.| l i l _____ノ八ゝ._____ .` ――---====---―― ´ ◆第一部 ttp //yaruoshelter.com/test/read.cgi/yaruo001/1586527285/1855-5193 ◆まとめ一話 https //yaruok.blog.fc2.com/blog-entry-11968.html ストーリー ――多元世界 それはかつて星の数ほど存在した並行世界が全て融合した世界である 次元融合により一時は多くの紛争や動乱が起きはしたが、現在においては一定の平静を取り戻しつつあった だが全ての者が平穏を望むわけではない。中には戦いの中でしか生きられぬ者もいる。 コードネーム・ライトニング、彼女もまた闘争の中でしか生きられぬ者の一人だ。 今ここに再び聖杯戦争の幕が空ける。その先に待ち受けるモノとは―― 登場人物 <セイバー陣営> 冨岡義勇・・・マスター、高校2年生でありながら優れた魔術の腕を誇る天才 桜田ジュン・・・サーヴァント、アンサ131世界出身の未来英霊 <ランサー陣営> ライトニング・・・マスター、聖杯戦争に勝利する事による栄誉を求める元軍人 ラオモト・ナカ・・・サーヴァント、アンサ140世界出身の未来英霊 <アーチャー陣営> 吉田優子・・・マスター、人間になる事を夢見る人と鬼のハーフ、33歳 ベンゾォ・カリーノ・・・サーヴァント、アンサ233世界出身の現代英霊 <ライダー陣営> ファヴニル・ダインスレイフ・・・マスター、魔術世界で有名な魔術使いの傭兵 サウロン・・・サーヴァント、アンサ229世界出身の未来英霊 <アサシン陣営> 島村卯月・・・マスター、祖母の代で魔術師としての家系が途絶えた家の生まれの高校2年生 ユウキ・テルミ・・・サーヴァント、アンサ228世界出身の未来英霊 <キャスター陣営> 七竜刃・・・マスター、巻き込まれ逸般人枠な高校2年生の剣道部主将 派亜速出できる夫・・・サーヴァント、アンサ55世界出身の現代英霊 <バーサーカー陣営> キバヤシ・・・マスター、三流予言者だが魔術師としては一流 ウインディオ・・・サーヴァント、アンサ262世界出身の古代英霊 その他人物 + ... マクギリス・ファリド・・・正義感に燃える小学生土着魔術師 概要 『多元世界聖杯戦争』シリーズの三作目。今回は安価によって選ばれ、そのまま開催に至った。
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1082.html
305 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/09/18(火) 04 26 21 二機が轟音と共に道を走り抜けていく。 その轟音を内心で咎める者は何人もいたが、ただの暴走族だろうと考え、走り去り、音が聞こえなくなるままに任せていた。 『Y2Kの乗り心地はどう?』 ライダーの耳元、そこに取り付けられたインカムから声が聞こえてくる。 『これまで乗ってきた機械の中では最高ですね、多少癖はありますが問題はありません』 そうやってちらりと後方、それを映すモニタを見やる。 小道であると言うこともあるのだろう。 彼女達としては控えめな、それとて常人の限界を超えた速度でぴったりと追随してくる姿が映っていた。 『ルートは大丈夫?』 『ええ、このまま5キロ先の地点で県道に戻るんでしたね』 T字路の遙か手前で車体を傾け、殆ど減速せぬまま、200キロオーバーで抜けていく。 『ええ、このまま工事中の循環道へ』 20年ほど昔、M県にて近隣各県との循環道を敷設する計画が提唱され、数年前から着工が行われている。 現状完成しているのはおよそ4分の1程度であり、S市から冬木市までのルートは工事中で、県境の高架部分で丁度途切れている。 故にM県側から循環道に入り、そこから冬木市へ再び接近、突入する。 それでもこのルートを選択したのは地理的な関係で多少警戒が手薄であろうと予測されること、そして徒歩で接近する別働隊の速度との調整を行える事、そして、これは楽観的な考え方だが完全に気付かれていなかった場合通過する高架は作戦領域を掠めており、そこから飛び降りれば意表を突くことが出来る、というのがその理由だ。 工事中の看板が見え、そう認識した直後には間近に迫ってくる。 だがそれとて二人には大した障害にはならない。 ガードレールの切れ目を抜け、未整備の歩道を加速しながら走り抜ける。 その速度のまま、百メートル近い、高架の切れ目に突入する。 落下の寸前、僅かに減速しつつ前輪に体重を掛けてサスを沈ませ、バネが戻る反動を利用して数秒間だけバイクごと空中に身を躍らせる。 僅か数秒であったが、300キロを超える時速は、落下先を高架の下ではなく上に変更させ、タイヤが白煙と悲鳴を上げる。 『……ミズ・シャリフ、時間は大丈夫ですか?』 着地の反動を抑えつつ尋ねる。 『予定時刻とのズレは10秒未満、問題ないわ』 着地の衝撃を殺しきれぬライダーと比し、もう一人のライダーであるシャリフはその最中であろうと片手を離し、時計を確認する余裕さえあった。 この辺りは既に有する熟練度の差が物を言った。 M県を殆一回りしたにも関わらず、予定との時間差は殆ど無い。 予定通りならば別働隊は冬木の大橋を越えた頃だろう。 あと数分でこちらが突入すれば、その時点で戦闘開始となるはずだ。 『……では行きましょう』 一度だけ深く呼吸し、アクセルを全開にして加速を開始した。 それに気付いたのはシャリフのK1200Rが最高速に達する直前だった。 『ミズ・シャリフ……』 『分かってるわ、敵ね』 この速度で下道を併走しているバイクが居る。 二機の物とは明らかに違うエキゾーストノートが聞こえてきているからだ。 併走出来ていることから、敵は300キロを超えているのは間違いない。 ちらりと視線を下道に向ける。 どうやらかなり改造されているようで、そのエキゾーストノートだけでは車種や敵の姿まで認識することは適わない。 『このまま併走されるのは危険ですね』 真下から大口径火器やなんらかの魔術で攻撃された場合為す術は殆ど無いと言える。 だが下道を走る敵にはその気、ないし手段がないのか、併走したまま一分ほどの時間が流れていく。 そうして領域突入予定時刻まであと一分、突入予定領域まで8キロほどの距離になったところで、エキゾーストが一際甲高く耳に叩き付けられる。 『どうやら敵は加速したようですね』 『このまま行けば3キロ程先で鉢合わせになる上に頭を抑えられる形になる、それは有利ではあるけれど……先手を取りましょう』 『……派手にするのは本意ではありませんが、わかりました』 どちらにせよ、戦闘が始まってしまえば静かに、なんて気にしている余裕はなくなる上に元よりこの爆音だ。 ならば少々音を大きくしようと、問題にはならない。 それだけを考え、シャリフのK1200Rが僅かに減速し、逆に加速したライダーのY2Kが前に出る。 同時に背中に括り付けられた二つの棒切れ……RPG-7の内一つを握った。 そのまま肩に乗せて敵の出現予測位置を睨み、RPGの先端を視線と同期させた後、発射時点での敵への距離を予測、照準を調整する。 そして敵との相対速度、そして発射から着弾までのタイムラグを基準に更なる修正を加える。 刹那が何十秒にも感じられる緊張感がライダーにのし掛かる。 これほど簡単な代物ならば扱いを間違えることは無いと思っては居たが、いざ使う段になってみれば、一度くらいは実際に使ってみた方が良かったと考えてしまう。 保有する火器の量全体で見ればともかく、対甲火器であるRPG-7は彼女が成形炸薬弾装備の物が2本があるのみで予備弾頭はない。 大凡の火器はともかく、建造物に対して弾頭を叩き込むならば熟練しているかどうかは大して問題にはならないためだ。 果たして、敵は側道との合流地点から姿を現し、その直後にライダーはRPGの引き金を引いた。 本体のみならず、最高速に近いY2Kというカタパルトから発射されたロケット弾は、彼女から幾らも離れぬうちに安定翼を展開する。 敵の姿を睨もうとしたライダーの視界が一瞬消える。 爆発音と同時に推進用火薬を点火させさらに速度を増し、敵に突入したのだ。 その瞬間の炎が真正面を見据えたライダーの視界を埋め尽くしたのだ。 車体をウィリーさせてその眩しさから逃れたが、その数秒後に起きた爆発炎と爆風で車体が激しく煽られた。 僅かに後方を走るシャリフには、その爆発までのプロセスが見えていた。 RPG-7が推進用火薬に点火した直後、敵がライフルらしき何かを構え、発砲したのだ。 発砲はただの一度だが、そこから発射された散弾がロケット弾を『撃墜』してのけたのだ。 エンジン音とエキゾーストの切れ間から聞こえた発砲音から判断して、軍用ショットガンであることはまず間違いはないだろう。 その技量に戦慄すると同時に理解した。 この速度である、それと同時に発射直後のロケット弾へ正確な照準を行い、さらに散弾で撃墜したのだ。 これがライフルだというならばサーヴァントとしてはそう驚くことではない。 だがショットガンのように広域に弾が分散するスラッグ弾でそれを行うのは極めて難しい。 爆発炎で闇の中から詳らかに浮かび上がったバイクの姿は猛禽類を思わせ、エキゾーストと併せて考えればそれが原形を留めぬほどに改造された代物であることが明白となった。 一方てに握ったままのショットガンも近接戦闘が可能なように改造されているようだが、銃そのものは有り触れたSPASのようだ。 これによって宝具と予測される物は遠距離攻撃武器ではなく、騎乗するバイクにあると判断でき、そこからアーチャーである可能性は極端に減ぜられる。 『敵のサーヴァント、クラスは恐らくライダー』 予測は出来ていたが、これでほぼ確定した。 『ええ、でも作戦を中止するわけにはいかない……』 シャリフの言葉に、ライダーも体勢を立て直し、インカムに返答を行う。 ライダーであろうとあれだけの射撃能力を持った相手、しかも機動力はこちらと互角。 スピードで掻き回すことは不可能であり、今見せつけた技量から考えれば二人がかりとて即座に撃破することも適うまい。 だが作戦は続行しなければ別働隊が危険に曝される。 ならば片方をあのサーヴァントにぶつけ、もう片方が作戦を続行するのが策と言うことになるだろう。 この『クラスが重複していようと関係なく、幾らでも召還されうる』という異常な聖杯戦争であるとはいえ、これほど特異な、現代機械を用いる英霊がそう多く居るとは思えず、突入した一人は機動力を生かして攪乱することは可能だろう。 『……早くも障害ね』 互いにその辺りのことは言葉を交わさずとも理解できている。 ただの弾丸ならば問題となることはない。 だがサーヴァントの、英霊の装備ならばただそれだけで神秘が自動的に付加され、サーヴァントに対しても有効打となりうる。 『そのようね』 炎がその光を失う寸前、敵サーヴァントに視線を送る。 何の呪いか、拘束具を装備したその姿は己を押さえつけているように見えた。 いずれにせよ、先制攻撃は失敗し、背後をとったものの進行方向を押さえつけられた形となってしまった。 互いに速度は維持したまま、ライダーは言葉を発した。 snake:「私が足止めを、その隙に中枢を」 vampire:「足止めをお願いします、中枢は私が」
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/1070.html
143 :隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM:2007/08/10(金) 04 49 56 ……よし、奪ってしまおう。 考えていた段取りとかそう言うことは全部忘れて、ただひたすらに本能の赴くまま、開いた方の手を桜の頭に回し、唇に貪るように吸い付く。 「んっ……」 桜は驚きで目を見開き、だがすぐにこの行為を受け入れたように目を閉じる。 のみならず逆に攻め入るかのように舌を挿入してくる。 その感触と香りに頭の中が白く塗り潰されていく。 「はあっ……」 一瞬だけ離れ、呼吸をする。 互いを繋ぐように伸びた唾液が糸を引き、それに導かれるように唇が再び触れ合う。 瞬間、耳元に水音が僅かに響く。 唇が触れると同時に挿入された桜の舌がねっとりと口中を這い回る。 それは快楽であると同時に脳を貫かれるような錯覚を起こさせる。 だが、それだけでは足りない。 反撃とばかりにコチラも桜の口中に舌を突き込む。 「んっ!?」 反撃されることを考えていなかったのか、桜が眼を大きく開いた。 だが構わず舌で桜の口中を蹂躙していく。 桜は少しむくれたような顔を向けたまま、更に舌で口中を蹂躙していく。 相手の口中に存在する唾液に気付き、巣へと蜜を運ぶ働き蟻のように舌で掬い取り、それを己の口へ運ぶ。 その途中、唇と唇の間の僅かな隙間で舌同士が接し、少しだけ床へ溢れる。 だがそれに構わず、口に入った甘露を舌に因らずして堪能する。 どちらかが主導権を握ろうとしても、与え合う麻薬のような快楽で互いに主導権は得られない。 主導権を得ようとしての行動ではない、ただただ触れている感触を欲し、いつしか呼吸を止めて互いの口中を貪りあう。 内側の粘膜を啜るように舐め上げられ、舐め取っていく感触は、二人の身体が融合していく錯覚を起こさせ、それは喜ばしいことなのだと理解させ、理解させられる。 互いの感覚を共有するように舐め取った次は、舌先で互いの舌をつつき、そして絡ませていく。 その感触は舌先を震えさせ、更なる感触を求めさせていく。 呼吸が苦しくなり、再び離れようとしたが、いつ回されたのか、桜の両腕が頭に回され、離れる事無く固定されていた。 互いの体内に残る酸素しか許さないと言わんばかりに込められた力は、もたらされる快楽と共に離れようという気を失せさせていく。 視界は靄が掛かったように薄く、だがそれでも桜の姿だけはこれ以上ないほどはっきりと見えさせ、視界はそこに固定される。 まるで人工呼吸のように、互いの体内の酸素を求めるように、絡んだ舌を解き、奥へ、更に奥へと進ませていく。 それはかつて感じたことのない程の喜びであり、快楽であった。 ……快楽によるものか、それとも酸欠によるものか、段々と視界が白く塗りつぶされ、我慢が限界を迎えていく。 そうして桜を畳に押し倒したところで、掴まれた。 桜と唇を繋げたままその方向に視線を向け―― 「あ」 その瞬間、死んだと思った。 なんというか皆さん一部を除いて殺意満々。 一部と言うのは、将棋に夢中になってる人とか、既に一杯一杯になって目を回している人とか、テレビに夢中とか、そう言う人達なんだが。 気のせいだろうか、なんだか、戦闘モードに変化してる、よね? 遠坂はなんだか宝石とか手元で光らせちゃってるし、なのは達は……戦闘服 バリアジャケット 着込んじゃってるし。 なんだろう、魔術は隠匿すべしってこの世界の大原則はどうなったんでしょうか? あ、そっか。 既に視界逸らしとかしてるのか、なるほどねー。 よし、上手く現実逃避できた―― 「少し、頭冷やしましょうか……」 誰か なのは の、底冷えするような声は心身を心から竦ませるに十分であった。 「時と場合を弁えんかー!」 最初の直接的打撃は声の直後。 遠坂による、実に強烈な、顎の先端に直撃したアッパーだった。 はっきりと認識できたのはそこまで。 その後はもう何がどうなったのか。 結論を述べれば。 居間でのキスの記憶は快楽や喜悦と同時に惨劇の発端として心に深く刻まれることになったのである。 惨劇の結末:気付けばぽっかりと記憶が抜け落ちていた Can t Escape from my life:恐ろしい目に遭った結果だろう、映画はまったく怖くなかった 夜へ:映画は終わり、夜が近付いてくる