約 374,313 件
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/579.html
716 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM [sage 四日目・夜:学舎を後に] 投稿日: 2006/12/18(月) 04 28 17 勿論のこと、信じ切る事などできようはずがない。 人質という優位性を捨てるとすれば同時でなければならない。 「ならば……同時に離れてください、それが最低条件です」 少しだけ笑う声。 「少女ながらなかなかどうして……当然のことだがな」 振り上げた腕を下ろす。 「あの燃えつきた残骸、アレを使う、いいな?」 「……はい」 そう言うと、一歩だけ残骸へ向かう。 「次からタイミングは同時だ……距離を開けろ」 「分かりました」 距離を保ったまま、じりじりと人質から距離を離す。 互いに残骸を正面に捉える。 無言のまま、残骸越しに擦れ違う。 そして互いの人質の元へ近づいていく。 「さて、どうする? なのはとやら……人質の気にしたまま戦うか?」 「いえ……今日はこのまま、痛み分けと言うことでどうですか?」 「……賢明な判断だ」 そう言うと、セイバーは荷物のようにコスタスの身体を肩に担ぐと、立ち去っていった。 校門の向こうへ消えたのを確認して一息つき、フェイトの状況を伺う。 「レイジングハート、これ、治せる……よね?」 もし戻らないとすれば、後悔は様々な面で途方もなく深くなる。 Don t worry 「え?」 気付けば、石像にヒビが入り始めている。 「え? え?」 空気の入った袋を潰すような音と共に石像が割れ、中からフェイトが現れる。 「フェイトちゃん!」 崩れ落ちるフェイトを抱きかかえ、二人同時に倒れ込む。 「大丈夫……ちょっと疲れただけ……この石化は魔法じゃなくて物理的な効果がメインだったみたいだから……」 「それだけじゃないよ……肩とか足、血だらけだよ」 再展開されたバリアジャケットの上から血が滲んでいる。 彼女自身気付いていないが、肩の負傷は鎖骨近くまで切断されているし、足の方は、骨や動脈こそ無事だが下大静脈の一部が切れて大きく出血している。 ハンカチを足に巻いて止血処理をするがどの程度有効化は甚だ疑問だ。 「それを言ったら、なのはも、だよ……」 そう言って、フェイトは笑顔を見せる。 フェイトに比べれば確実に軽傷だが、弾幕を受けた箇所はバリアジャケットが焼け落ちて皮膚までダメージを負っているし、ブーストした推進力を全て脚部から噴出していたためバリアジャケットの靴が焼け落ちて半ば裸足となっている。 「二人とも……ボロボロだね」 「そうだね……あの人達、凄く強かった」 コスタスの持っていたロスト・ロギアを回収できなかったと気付くが、後の祭りだ。 「……とりあえず、凛さん達と合流しよっか」 「合流場所は教会、だよね?」 どちらとも無く口にする。 この状態では戦うことなどできはしない。 その判断は、そこに至る時間までも同じだった。 「フェイトちゃん、立てる?」 「うん、大丈夫……」 バルディッシュを杖代わりにして立ち上がる。 だが膝が笑っていて、歩くことは難しそうだ。 「無理、しないで、ほら、肩貸すから……バルディッシュは怪我を治すのに集中させて?」 「うん、分かった……ありがと、なのは」 こうして二人は戦場となった学舎を後にする。 かくして舞台は―― 闇夜に舞う:市街地へ移る 音速を超えて:教会へ移る 投票結果 闇夜に舞う:4 音速を超えて:5 決定
https://w.atwiki.jp/kakiteseihai/pages/25.html
歪曲された世界の中で男と女が縦横無尽に走り回り、剣と大鋏が刃を交わす。 攻めるは漆黒、サーヴァントバーサーカー。 受けるも漆黒、サーヴァントセイバー。 黒い女と黒い男の激突は、しかし、女の方が明らかに劣勢だった。 女の容姿はアニメ“キルラキル”の主人公纒流子のそれででありながらも、原作よりも幾分幼く、小学生から中学生前半といったところだ。 その身を包むセーラー服“神衣”もよく見れば原作のそれとは異なったデザインをされており、どこか柔らかな印象だ。 だがだからといって彼女、セイバーは容姿の元となったキャラクター“纏流子と鮮血”に劣っているわけではない。 セイバーの実力はマスターであり間桐桜の姿をした第二次二次聖杯戦争のトップ書き手――“ てのひらに聖杯を ムーン・キャンサー(◆OSPfO9RMfA)”もよく知っている。 セイバー――真名はサイレーン(◆wd6lXpjSKY)。またの名を◆F61PQYZbCw。 PSYREN聖杯戦争の 1にしてキャンサーと同じく第二次二次聖杯戦争の書き手だ。 サイレーンは全350組以上もの参加者候補たちが凌ぎをけずった投票において、二組もの主従を当選させた実力者だ。 しかもそのうちの一つ、“シャア・アズナブル ライダー(雷)”はよくネタにされる組み合わせをこれでもかとまじめに書ききり、350組中2位の獲得票数を得ている。 突如放り出された異邦の地で、生きる強かさもなければ郷に従う割り切りもできなかったキャンサーは、召喚に応えてくれたのが彼女で良かったと心の底から思っている。 それは何もセイバーが同郷の書き手で最優のクラスだったからだけではない。 呼び出すには呼び出したものの何をどうすればいいのかわけが分からず俯くだけだったキャンサーにセイバーは言ってくれたのだ。 『分かんねえなら分かんねえでいいんだよ、姉さん。 無理に一枚の布にしちまう必要はねえ。走っていりゃ何時かは土台がしっかり固まるさ』 『姉さん……? え、でも私は桜で、後輩で妹キャラですよ?』 『外見は、だろ。お前たち二次二次があってくれたからこそ私は今ここにいる。 ならお前は私の、私たちの姉さんで、なら姉にめいいっぱい付き合うのが妹の仕事だろ? なあに、何があっても姉さんの居場所に帰る手伝いをしてやるよ! これでも俺ロワの 1だからな! 大船に乗った気でいていいぜ!』 『もう、セイバー。私たちその大舟ならぬ方舟に乗ってしまって、困ったことになってるんですよ?』 『はははは! 言われてみりゃあそうだった! さっすが姉さん、上手いこと言うじゃねえか! いよ、それでこそ天下の二次二次のトップ書き手! 見事な言い回しだぜ!』 『くすくす。褒めすぎですよ、セイバー。でもありがとうございます。おかげで少し元気が出ました』 本当は少しどころじゃなかった。それまで戸惑い、悩むばかりで精一杯だった自分が自然と笑顔を浮かべられたのだ。 なんてことはないと他人は言うかもしれないけれど、キャンサーにとってはまるで奇跡みたいだった。 大丈夫、とそう思えた。このセイバーとなら書き手聖杯の地でもリレーしていけると前向きになれた。 セイバーとだけじゃない。他の二次聖杯系列の書き手とだってきっと手を取り合ってこの困難を乗り越えられる。 そう信じられた。 なのに。 そんな少女のちっぽけな希望はあまりにも早く裏切られた。 「どうした我が娘たちよ! 二次聖杯の名を冠していながらまさかこの程度とは言うまい!」 他でもないキャンサーの“先輩”にして全ての二次聖杯の先達者―― 零に還りし人間 セイヴァーの手によって。 バーサーカーとともに悠然と姿を表したセイヴァーは自らの所属を謳いあげるとともに宣戦布告。 ご丁寧にもバーサーカーの宝具により召喚したディバインディングドライバーで逃げ場を封じた上で真っ向から殴りかかってきたのだ。 二次二次書き手であることを明かし説得しようとするキャンサーたちの声にも聞く耳を持たない。 キャンサーはそれでも戦いたくなくて拳を握れずただ制止の声を上げ続ける。 「止めてください、先輩! どうして、どうしてこんなことをするんですか! 私たちが殺しあう理由なんてないじゃないですか!」 「フハハハハハハ! どうしてだと? 書き手だからだよ。私が二次キャラ聖杯戦争の書き手だからだ! お前たちも知っていよう、二次キャラ聖杯戦争がいかなロワだったのかを。 闘争だ。我らは常に闘争の渦中にいた。そして闘争こそが我らの魂をかつて無い程に強く鍛え上げた!」 「ケッ……、ご大層な御託を並べやがって。要はてめえら荒れていただけだろうが! 書き手聖杯戦争まで荒らそうってことかよ!」 バーサーカーの怒涛の連撃を何とか凌ぎながらも悪態を口にするセイバー。 PSYREN聖杯戦争の書き手だっただけあって彼女も初代二次聖杯がどんなロワなのかは伝え聞いている。 曰く、住民たちが殴りあうロワ。時には作品で、時には直接的な言葉で、彼らは声高々に殴りあってきたという。 未だにその様は話題になることもあるくらいだ。 「しかり。我々は確かに荒れていたと言われても仕方あるまい。かくいう“私”も殴りあうのは好きだったよ。 だがそれでも我々は完結させた。それもまた事実。何故だか分かるか? ――力だ。 殴り合う我らは誰よりも、どんなロワよりも、活力に満ち溢れていたからだ!」 セイヴァーとて平和の尊さは知っている。 それを求めそれを成し、盛り上がっているロワがあるのも理解している。 しかしだからといって殴り合いは否定されるべきなのか。否、断じて否! 確かに二次聖杯は書き手たちが色んな意味で殴り合いをしていたロワだった。 だがその殴り合いは一方的な虐殺でも集団でのリンチでもなく文字通りの殴り“合い”だった。 だからこそ二次聖杯は止まらなかった。 誰か一人の好き勝手にさせるでもなく、闘争渦巻く故郷に背を向けるでもなく、誰もが皆戦い続けたからこそ完結へと辿り着いた。 それに何も彼らは年がら年中殴り合うだけだったわけではない。 投下が来れば感想もたくさんついた。雑談だって頻繁に盛り上がった。 贔屓だ、矛盾だ、フラグがと騒がれていた箇所を後付フォローしまくりもした。 指摘や削除の嵐だけではない。感想も、投下も、雑談も、指摘も、削除も、荒れも、フォローも。 何もかもが二次聖杯という場所で渦巻いていたのだ。 言うならば、混沌。良くも悪くも活気溢れるロワだった。 「……っ! 確かに二次聖杯は完結しました。後続としてそれは素直に尊敬します。 でも手と手を取り合って完結したロワだってあるじゃないですか!」 「見習え、とは言わん。我らとて熱くなりすぎたと自覚はしている。だが後悔はしていない。 もし時を遡るようなことがあったとしても私は、私として殴りあいに興じることだろう。 何故ならば、私は二次聖杯こそが最高のロワだと信じているからだ! 最も最高の中の最高こそ我だがな!」 ゼロの衣装ながらも仮面で覆われていない“ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア”の顔でセイヴァーは誇る。 自ロワこそが一番面白いのだと。書き手なら誰でもそう信じているのではないかと。 故にこそ彼は、 零に還りし人間 セイヴァーは、完結しようとも二次聖杯の書き手として喚ばれたのならそうあり続ける。 混沌から生まれし希望として、二次聖杯の書き手らしく、終わりに至るその日まで、殴って殴られ殴り返す! 「そんな、そんなのって」 「言いたいだけ言わせりゃいいのさ、姉さん。私たちは私たちのロワを貫けばいい」 同じ二次聖杯でありながらあまりにもの空気の違いに呆然とするキャンサーをバーサーカーとの戦いを何とか仕切りなおしたセイバーが励ます。 二次二次で落選した自らのOPを引っさげて、それなら俺ロワで立ててやると意気込んだだけありセイバーの胸を張るさまは堂々としていた。 「へっ、セイヴァーさんよ、あんたの言い分はよく分かった。けどな、それはてめえの頭ん中だけの話だ! 二次聖杯の名、今は私たちのものなんだよ! 振り払わせてもらうぜ、二次聖杯! 娘二人の親離れ、大手を振って歓迎しな!」 誇大妄想大いに乙。けどいっちゃん面白れえってのだけは頷けねえ。 セイバーは獰猛な笑みを浮かべ両手に握った武器である片太刀バサミを変形させる。 「片太刀バサミ、弩血盛武滾猛怒(ぶったぎりモード)!」 セイバー――セイレーンは防御主体の英雄だ。 耐久力に優れた纒流子をアバターにしているだけあり、生命繊維こそオミットされているものの対魔力、戦闘続行、仕切り直しのスキルを持っている。 反面、纏流子の宝具ではあっても、セイレーン自身の宝具ではない片太刀バサミはただの武器扱いだが、特性自体は残っている。 即ち、運命を断ち切る力。不死殺し。 バーサーカーの制御に魔王としての力の大半を割いている今のセイヴァーに対しては致命傷を与えうる力。 「ぶっちぎるんじゃ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」 セイバーの狙いを察したバーサーカーがそうはさせじと追い縋る。 「てめえはお呼びじゃねえんだよ、引っ込んでろ!」 バーサーカーに捕まるよりも早くセイヴァーを殺すことで勝利しようとするセイバー。 しかしその疾走速度がぐんぐんと落ちていく。 「やっぱりこれって、対英雄!」 「くそ、てめえはお呼びじゃねえってのに!」 キャンサーが悲鳴を上げる。 バーサーカーとの戦いにおいてセイバーは不自然なほどに動きが鈍く、硬さが取り柄のはずなのに予想外にダメージを受けていた。 筋力も決して低いわけではないのに、こちらの攻撃は相手に通用していなかった。 推測するにセイバーの全能力へのデバフ。思い当たるのはキャンサーも書いたことのある魔王オディオのスキル、対英雄。 「ぶっちぎるんじゃ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」 その推測はあながち間違ってはいない。 バーサーカー――よっみーの対書き手は書き手に限定した対英雄だ。 アルトリアやギルガメッシュといった原作の英霊相手にはなんら役に立たないスキルだが、書き手聖杯戦争に限ればこれ以上なく強い! 「仕方ねえ! まずはてめえからだ、戦衣喪失!」 「――速まったな、セイバー。そいつはそんな仕方なしの迎撃の一撃で相手どれるような書き手ではないぞ。“お前もよく知っているだろう”」 その通りだった。 必殺の一撃だったはずの一対の片太刀バサミは諸共に、バーサーカーの剣に薙ぎ払われ、“砕け散る”。 バーサーカーのスキル“対支給品”。 開戦当初セイバーが装備していたハイラルの盾を砕いたスキルが今、片太刀バサミをも砕いのだ。 どころか減速することなくバーサーカーの振るう神剣は片太刀バサミを破壊したままの勢いでセイバー本体をも両断しようとする。 だが――ここまでは想定通り! 『セイバー、私がいるじゃない!』 セイバーが着こなしているセーラー服から“少女”の声が響く。 その声は紛れも無く艦隊これくしょんのキャラクター、駆逐艦“雷”のものであり、よく見ればセーラー服のデザインも艦これのそれだ。 もっとも色は黒く、その上艤装(ぎそう)っぽいアレンジを加えているとはいえ神衣の変身後の姿ともなれば気づけという方が無理というもの。 これこそがセイバーの宝具。 二次二次での自分自身(◆F61PQYZbCw)にして生命“船”維、神衣・フロイ! 「フロイ・閃刃疾風!」 『じゃーん!パワーアップしたわ!』 全身から碇を生やし永遠神剣を受け止めるセイバー。 対書き手により耐久力を減少された身では衝撃によるダメージこそ受けるが、幸いフロイは宝具だ。 対支給品では破壊されない。 歯を食いしばり重い一撃に耐えたセイバーはそのまま更にスカート部をブースターと化し、上乗せされた速度で瞬間的にバーサーカーを振り切る。 数秒もしないうちに追いつかれるだろうが、数秒あれば敵マスターを仕留めるには十分だ。 「セイヴァー! 覚悟!」 ようやっと目の前に迫ったセイヴァーに対して、セイバーは片太刀バサミの代わりとすべく生命繊維を硬化させた二つの碇を生み出す。 対するセイヴァーはお約束のポーズで左眼を紅く輝かせる。 「 零に還りし人間 セイヴァーが命じる……」 「んなもんが効くかよ! こちとら流子の二の舞いは御免こうむるぜ!」 対魔力:Cのあるセイバーは言うまでもなく、キャンサーもまたギアスにかからないよう目を背ける。 目を合わせさえしなければギアスは効かない。 これで万が一にもキャンサーのほうがセイバーが操られて自害させられることもあるまい。 セイバーは恐れることなくセイヴァーの視線上を突撃していく。 けれども、セイバーが振りかぶった剣がセイヴァーを捉えるよりも僅かに早く発動した“それ”はセイバー達の予想外のものだった。 「――ハドロン砲、発射!」 セイヴァーの左眼から赤い雷が迸り“大気を焼いて”直進する。 概念的な絶対遵守の力ではない。物理的な破壊を伴ったそれはコードキャスト『hadron』。 「眼からハドロン砲だとぉ!?」 完全な不意打ちに反射的に回避しようとして寸前のところで踏みとどまるセイバー。 落ち着け、確かに目からハドロン砲は想定外だったがそれでも撃ち出されたのが魔力である以上、対魔力のあるセイバーを貫けはしない。 “対魔力のあるセイバー”は。 「っ! 逃げろ、姉えさああああん!」 「え?」 セイバーに向かって直進していたはずのハドロン砲が、“拡散する”。 ダメだ、このまま行かせたら、拡散したハドロン砲のうちの幾つかはセイバーの後方――キャンサーへと着弾する。 ギアスにかからぬようセイヴァーから目を逸らしていたキャンサーは、現状を理解できておらず回避不能。 間に入って盾になろうにも、全速でセイヴァーに突撃していた身では反転・再加速に時間がかかり、到底間に合わない。 ならセイバーが打てる手は唯一つ。 「フロイー!」 『任せて! フロイ閃刃疾風!』 空中で反転しながらその勢いのままにキャストオフ。 反転にかかったタイムロスを、脱いだ神衣を投げて加速させることで強引にプラマイゼロに持っていく! 「間に逢えええええええええええええええええ!」 そうして全てが終わる。 眼前に迫った魔砲の光に、ようやく命の危機を察し、思わず瞼を閉じてしまっいたキャンサーが再び眼を開いた時。 そこには彼女の盾となりボロ布と化した神衣と、バーサーカーの剣に貫かれ血塗れの裸身を晒すセイバーが転がっていた。 「あ、ああ、嫌ああああああああああああああああ!」 「ここまでか。大口を叩いた以上少しは期待していたのだがな」 絶叫するキャンサーにつまらなそうに目を向けてセイヴァーは吐き捨てる。 奇をてらったはずのセイバーの片太刀バサミを囮にしての突撃。 それさえもセイヴァーからすれば見え透いた一手だった。 不用意とも取れるバーサーカーへの武器での迎撃を見て、瞬時にその狙いを看破。 敢えてセイバーに抜かせつつ、バーサーカーをハドロン砲の射線から退避させていたのだ。 「―――――――」 更にはバーサーカーもただ単に退避するだけではなかった。 “インフレ”方面に狂っている彼は、後押しするかのように宝具にてマスターの手元に永遠神剣『世界』を投影。 ただでさえイルバーンに加えてガラディーンという強大な魔力増幅器を持つセイヴァーが、永遠神剣の補佐まで受けたのだ。 ハドロン砲の火力は単純に考えても三倍に膨れ上がっていたことだろう。 「セイバー、セイバー! 私が、私が震えるばかりで何もしなかったからっ! 怯えるだけで戦わなかったから!」 これが結末。 あまりにも分かりきっていた当然の帰結。 相手が完結ロワコンビだったからもある。 セイヴァーが最終回書き手だったことも大きい。 バーサーカーよっみーが対書き手に特化していたことも痛くはあった。 よっみーの別トリまで話に上げればきりがない。 だが何よりも。 マスターとサーヴァント、二人で戦っていたセイヴァーとバーサーカーに対し、キャンサーはセイバーに守ってもらうばかりで自分は前に出れなかった。 その果てにセイバーはキャンサーを護るべく、自ら宝具を脱ぎ去り、二分され弱体化したセイレーンとフロイはバーサーカーとセイヴァーに討たれた。 全てはキャンサーに覚悟が足りなかったから。 手と手を取り合えるという理想に溺れ、殴り合うことをよしとしなかったから。 「セイバーを返して、返して!」 遅きに失した少女がいまさらのように踏み出し、剣に貫かれたままのサーヴァントを助けようとする。 彼女だってトップ書き手だ。 無力な少女のはずがなく、桜の身体には書いていない「影」の能力の代わりに、聖白蓮、言峰綺礼、ジョンス・リーの拳法の力が備わっていた。 「なるほど、悪くはない踏み込みだ。聖杯戦争――Fateにおいて武術は大きな力だ。 だが――ここは書き手聖杯戦争だ。 いくら武術に積み重ねがあろうとも書き手自身に、お前のロワに積み重ねがなければ意味が無い」 その少女のなけなしの力をあざ笑うかのように、バーサーカーが動くまでもなくセイヴァーが立ち塞がる。 キャンサーは怒りのままにこれを魔力で強化した右足刀蹴りで狙い撃つ。 もやしとあだ名され、1ルルーシュなどという強さの最小単位扱いであったアニロワ2nd書き手なら或いは倒せたかもしれないが。 ここにいるのは魔人と魔王、そして人間としてのルルーシュの力を宿した二次聖杯書き手だ。 巨大ロボやサーヴァントとも素手で渡り合うムキムキマッチョな魔王ゼロの力でこれを難なく受け止め、放り投げる。 「そら、返して欲しかったのだろう? くれてやる」 「かっ、っがあ!」 吹き飛ばされ、破砕された道路を転がるキャンサーに、無造作にセイバーの身体が投げつけられる。 キャンサーはアスファルトの破片に塗れながらも必死にセイバーを受け止め、ぞっとする。 「嘘……」 セイバーの身体からは彼女を構成する魔力が粒子として剥がれだしていた。 既にして致命傷。このまま何も手を尽くせなければセイバーは、死ぬ。 「そ、そうだ、令呪、令呪で!」 それで、その後は……? 湧き上がる諦観にキャンサーの手が止まる。 もしも首尾よくセイバーを蘇らせれたとしてそれでどうなる。 再びセイヴァーとバーサーカーに殺されるだけではないか。 それなら。それならこれ以上痛い思いをさせることなく、ここで死なせて上げたほうがいいのではないか。 だってこれは聖杯戦争なんだ。 本来の聖杯戦争では生身のマスターと違ってサーヴァントは英霊で、戦いに負けたからって座に還るだけで、だったらきっと書き手聖杯戦争でだって……。 「折れたか、娘よ。 人の足を止めるのは絶望ではなく諦観……ここで消えるお前にはもっとも強き、新しき最終回書き手たる資格はない」 項垂れ、俯くだけのキャンサー。 その姿は首部を垂れ、首を差し出し斬り落とされるのを待つ受刑者のようで、せめてもの情けだと痛みを与えぬよう、セイヴァーは剣を振り下ろす。 「ごめんね、セイバー。ごめんね、二次二次。私、もうここまでみた「まだ、だ。まだだよ、姉、さん」……え」 自らを抱きかかえる姉を、抱き寄せながら、その首に迫った剣をセイバーは素手で掴んで受け止める。 幾らサーヴァントの身体とはいえ、相手は太陽の聖剣。 瀕死の身で受けきれるものではないはずだ。それでも。それでも―― 「私は、私たちはまだ完結して(終わって)ないんだ。 始まったばかりなんだ。だから、姉さん」 未来は全部、この手で、叶える。 「帰ったらチャットしよう。 作品読み合って、感想話して、ネタばらしして、自作語って、書き手が好きな作品読んで、安心して好きに作品を書ける。 そんな世界に私がお前を返して、やるから」 セイバーが傷を押して立ち上がる。 彼女だってなんだか分かんなかった。 気がついたら書き手聖杯戦争に巻き込まれていて、サーヴァントになっていて、人間じゃなくなっていて、誰かが勝手に決めた既成品を押し付けられていた。 どうしたらいいか分からなかった。どうしたいのかも分からなかった。 不安に抗うだけで精一杯だった。 だけど。 自分のマスターが誰か知った時、自分がどんなサーヴァントなのか把握した時、理解った気がしたんだ。 他の誰でもない、現実の書き手かも分からないこの自分が、サーヴァント・セイバー“セイレーン”の生まれてきた意味が。 だから、 「――ありがとう、セイバー。 そうですよね、私たちはまだ始まったばかりで、想い出がたりなんて早過ぎるから、いっぱいいっぱい“明日”を語りたい」 だから―― 「姉さん、私が姉さんを護る」 「言ってくれましたよね、セイバー。妹は姉に付き合うものだって。 なら、その妹を守るのがお姉ちゃんです」 想いはきっとひとつ。 「令呪を以って命ず」 隣にいる君を守りたい。その想いのままに令呪に命ずる。 「――来て、始まりの子どもたち!」 願うはセイバーの復活――ではない。 それでは足りないのは承知の上だ。 復活じゃ足りない。ならどうする。 セイバーに頼るだけじゃない。セイバーと共に戦うために、自分にできること。 “ムーンキャンサー”と冠された“間桐桜”の姿である自分にできること――自分にしか、できないこと! 其れ即ち、聖杯との直結! 「「「「「「■■■■■■■■――!」」」」」」 「影の巨人だと!? しかもなんだこの数は!? 馬鹿な、聖杯として覚醒したとでもいうのか! お前たち二次二次は未だ死者が一名たりとも出ていない序盤のはずだ! 魂で聖杯を満たすなど不可能だ! いや、待て、それよりも今は下がれ、バーサーカー!」 然しものセイヴァーもありえない事態を前に狼狽する。 それもまたルルーシュを模したが故の宿命か。 思考が追いつかず、目の前の事態を解明するよりも先にバーサーカーを下がらせてしまう。 確かに聖杯の泥相手ならばそれは正しい選択であろう。 サーヴァント殺しの泥相手には、如何な書き手殺しといえど太刀打ちできまい。 だが違う、違うのだ。 巨人たちは確かに姿も定まらぬ影だが、彼らはこの世全ての悪などではない。 もっと純粋で、もっと我儘で、もっと愉快で、もっと奇想天外な―― 「――――――――」 その正体に、バーサーカーが気づく。 理性を失ってこそいるが、彼は彼であるが故に巨人たちの正体を本能で察した。 そうか――彼らは――彼女たちは――。 “歓喜”のままにバーサーカーは吠える。 親しい友との再会を祝すように、敬愛する師たちを迎えるかのように。 「バーサー、カー? お前がそんな感情を向けるなんて、まさかこいつらも、“書き手”、なのか」 その歓喜の咆哮がセイヴァーを真相へと至らせる。 しかり、この巨人たちは書き手だ。書き手聖杯戦争に喚ばれるまでもなく散っていった書き手たちの魂だ。 でもどこから。どこからこんな百をも超えるのではないかという書き手たちの魂を呼び出した!? 「知らないんですか? 二次二次聖杯には300を超える没話があるんですよ?」 「300――登場話か!」 「ええ。前代未聞350組以上の登場話候補たち。 彼らのうち惜しくも採用されなかった300話以上とその書き手たち全てを“私のサーヴァント”として召喚したんです」 それは二次二次聖杯のトップ書き手であり、いわば現在二次二次“聖杯”代表者である彼女だからこそできる絶技。 彼女自身が投下し、採用されぬまま沈んでいたカトル・ラバーバ・ウィナー&アーチャー登場話を導に過去ログとの間にラインを形成。 採用されなかった数多の登場話、及び登場話候補のみを書き去っていった書き手たちの魂を“聖杯”へと招き入れたのだ! 「書き手聖杯戦争に出るまでもなく既にして敗れし書き手たちの魂たち……。 なるほど、聖杯にとっては調理済みの食材とでも言うべきか!」 「くすくす。これでも私、“敗者の王”を書いているのですよ?」 「ふん、だがかの王を“敗者の王”と名づけたのは我がバーサーカーだ! 彼らがアンリマユではなく書き手だというのならバーサーカーの敵ではない!」 事実巨人たちは書き手といえどアイオニオン・ヘタイロイで召喚されたイスカンダルの臣下のように宝具を失っている。 そもそもが既に敗れし者たちの魂の残骸だ。 融合して巨人の姿をとってこそいるが、一体一体の戦闘力は本来の書き手たちよりも大きく劣るだろう。 キャンサーとてそのことは承知のうえだ。 終焉の書き手たるセイヴァーに対向するために始まりの力を借りはしたが、あくまでも借りただけだ。 彼ら登場話候補書き手たちに戦いを任せてしまうつもりはない。 それではさっきの過ちを繰り返すだけだから。 今度は、今度こそは、自分の、自分たちの手で終焉の魔王へと挑む。 「勘違いしないでください。あなた達を倒すのは私たちです」 「ほう? ならばその身に宿した聖杯の力か? 無駄だ、ワイアードギアス“ザ・ゼロ”の力を使えば、聖杯さえも掌握できるぞ」 「言ったはずです、私“たち”だと」 「そういう、こった!」 マスターの決意に答えるように、傷だらけのセイバーが立ち上がり、キャンサーと重ねた手を掲げる。 ――重ねて令呪を以って命ず―― 「お前たちの作品(魔力)、私が全部、リレー(着)させてもらう!」 瞬間、世界が数多の十字の極光で覆い尽くされる。 登場話候補書き手たちが巨人の姿を解き、聖杯へと誘われ杯を満たす。 満たされた聖杯の力がそのままキャンサーからセイバーへと流れていく。 膨大な魔力はセイバーの欠損を埋めるだけには留まらない。 より強く、より大きく、変身させていく。 「馬鹿な、それだけの数の書き手でリレーをするだと!?」 「お生憎様、あたしの身体の最大の売りは無限の吸収力なんだよ!」 刮目せよ、これこそが―― 人 衣 一 体 「フロイ 更着!!」 黄金の神衣を纏ったセイバーが主との絆で進化した宝具の名を謳いあげる。 単身で大気圏をも突破する力、神衣の最終進化形態の再現。 バーサーカーのデバフで下げられる値をも瞬間的には上回れる力を得たセイバーは決着をつけるべくスカート部をブースターへと変形させる。 片太刀バサミを失ったままの今、残された武器は宝具に包まれた自らの身体を弾丸とし突撃するしかない。 バーサーカーもただ突っ立ったままではない以上、どちらが勝とうともこれが最後の交差となるだろう。 二撃目はない。セイヴァー相手にはハッタリをかましたが、神衣の吸収力は無限であっても、耐久力は有限だ。 もとより重症だった身を無理やりパッチワークして繋ぎ止めているのだ。 そう長くは保たないだろう。 それでいい。 倒れていった者の願いと、後から続く者の希望。 二つの思いを二重螺旋い織り込んで、明日へと続く道を掘る。 それがリレー。それが書き手。 「さらに重ねて、令呪で命ずる。今ここに、一緒に二次聖杯を越えよう、セイバアアアア!」 だから――セイバーに悔いはなかった。 「令呪、ザ・ゼロ、ザ・ギアスで重ねて命じる! 宝具の限定を解除しろ、バーサーカー! コード:リミテッド・エタニティ・ワークス(神剣有限剣製)!」 黄金の弾丸と化した身を迎撃の二十の上位永遠神剣によるブロークンエアにさらされ、消滅しながらも尚、前へと進み続けた。 「なあよ、セイヴァー。それとバーサーカー。お前たちはすげえよ。完結なんてそうそうできるもんじゃねえ」 拳が、バーサーカーを打つ。 「けどお前たちはもう終わってるんだ! どれだけ面白かろうが、それ以上にはなれねえ! 穿ち切る前に、セイバーの全身が魔力の糸となり解け、消えていく。 「私たちはなれる! 序盤っつうことは、続いてるってことは、これからってことはそういうことだろ! だから指を咥えて待っていろ、完結ロワ! 今は負けた! でも繋げた! いつか、私たちは――姉さんはお前たちを超えていく!」 消し飛び尚残ったのは偉大なる書き手たちへの宣戦布告。 ここに彼女の、彼女たちの聖杯戦争は今度こそ終わりを告げた。 ◆ そうして“私”は目を覚ましました。 本当は俺かもしれない、僕かもしれない、あたしかもしれない。 けど、さっきまで“私”だった“私”は急な状況の変化に耐え切れず、今はまだ“私”でした。 見慣れた部屋。 見慣れたパソコン。 見慣れた世界。 ――現実世界の自分の部屋。 「なん……で?」 さっきまで書き手聖杯戦争に巻き込まれていたはずなのに。 セイバーがバーサーカーの宝具の前に消え逝くさまを、目をそらさずに見届けたはずなのに。 夢、だったのでしょうか。 だっておかしいじゃないですか。 勝ったならともかく、負けたのに戻ってこれるだなんて、 “なあに、何があっても姉さんの居場所に帰る手伝いをしてやるよ!” “そんな世界に私がお前を返して、やるから” “今は負けた! でも繋げた! いつか、私たちは――姉さんはお前たちを超えていく!” 「!? そんな、まさか!」 急いでURLを打ち込み、2chパロロワ辞典へと繋ぎ、そこからかつて書き手ロワがあったというしたらば、“みんなで無念”へと辿り着き。 私は、目を見張りました。 そこには予想通り書き手聖杯戦争のスレが建てられていて、私たちの話が投下されていて、セイバーのステータスには―― 「そんなのってないですよ、セイバー。帰ってきたらチャットしようって、約束したじゃないですか」 涙ながらに零しても、セイバーからの答えはなくて。 ただ勝者であるセイヴァーからの、セイバーが切った啖呵(送辞)へのギアス(答辞)が書き込まれているだけでした。 『よく言った、娘たちよ。ならば私も――俺もまた願おう。 零に還りし人間 セイヴァーが願う。 未知の結末を見る(アクタ・エスト・ファーブラ)』 バーサーカーの宝具、その由来たる力を使えば彼は私を連れ戻すこともできたというのに、敢えて見逃すと、そういうのです。 どこまでも上から目線で、それでいてどこまでも真摯に。 彼は、祈っているのです。 見せてみろと。俺たちを超えるロワを築いてみせよと。 腹が立ちました。 そんなこと言われるまでもありません。 いいでしょう。やってやります。それがセイバーとの約束でもあるから。 セイバーに誇れるような作品を。セイヴァーが見逃したことを後悔するような大作を、いつか。 「いつか、この手で、必ず!」 ◆ それは始まったばかりの物語。 始まりを受け継ぎ、いつかへと繋ぐ、二つ目の物語。 第二次二次キャラ聖杯戦争――続 【サイレーン(◆wd6lXpjSKY)@PSYREN聖杯戦争 死亡】 【 てのひらに聖杯を ムーン・キャンサー(◆OSPfO9RMfA)@第二次二次キャラ聖杯戦争 to be continued】 【市街中央】 【 零に還りし人間 セイヴァー(◆l3N27G/bJU)@二次キャラ聖杯戦争】 [状態]“ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア”(仮面なしのゼロ)、魔力消費(大)、疲労(小) [令呪]残り二角 [装備]槍王イルバーン@私の救世主さま、転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)@Fate/EXTRA [道具]なし [所持金]ルルーシュなので沢山ある [思考・状況] 基本行動方針:ジョーカー。初代二次聖杯を終わらせた者として書き手聖杯戦争を加速させることに尽くす 1.まだまだ殴り合って書き手聖杯戦争を活性化させる [備考] ※ザ・ゼロ、及びザ・ギアスをそれぞれの右と左目に宿しています。ハドロン砲ももちろん発射できます。 【バーサーカー(よっみー)@書き手ロワ2nd】 [状態]魔力消費(大)、疲労(小)、ダメージ(微) [装備]永遠神剣第一位『空気』@書き手ロワ2nd [道具]なし [所持金]書き手2エピローグ的にお金は持ち込めていないため無一文 [思考・状況] 基本行動方針:ジョーカー。かつての書き手ロワ書き手として書き手聖杯戦争を加速させることに尽くす。 1.書き手賛歌(二次二次の沢山の書き手と会えて満足) [備考] ※宝具の力で永遠神剣を投影したり、令呪の助けさえあればメタにも干渉できるようです。 狂化していますが経験と本能で書き手を察せれます。 【クラス】 セイバー 【真名】 サイレーン(◆wd6lXpjSKY)PSYREN聖杯戦争 【パラメータ】 筋力B 耐久A 敏捷A 魔力C 幸運C 宝具B 【外見】 纏流子@キルラキル 【属性】 秩序・中庸 【クラス別スキル】 対魔力 C 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない 。 騎乗:C 騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、野獣ランクの獣は乗りこなせない。 【保有スキル】 第二次二次キャラ聖杯戦争(俺ロワ):A 二次二次にて採用されることのなかったOP及び主従の一部を流用して新たなロワを作り上げた逸話に由来する。 戦闘続行:Aと仕切り直し:Cを兼ねるが、所持者が大きく限定されるスキルなため真名を絞られる大きなヒントとなってしまう。 (戦闘続行:A) 往生際が悪い。 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。 (仕切り直し:C) 戦闘から離脱する能力。 また、不利になった戦闘を戦闘開始ターン(1ターン目)に戻し、技の条件を初期値に戻す。 カリスマ:B 自らの開いたリレー式の俺ロワに自分以外の書き手を惹き寄せる天性の才能。 団体戦闘において自軍の能力を向上させる。 カリスマは稀有な才能で、俺ロワの 1としてはBランクで十分盛況と言える。 ラーニング:C 戦闘の最中に相手の行動から自分の攻撃手段に応用する力。 二次二次聖杯の方式を完全に自分のものとし俺ロワに活かした。 【宝具】 『神衣フロイ(◆F61PQYZbCw)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:―― 最大捕捉:―― 一言で表わすならば喋るセーラー服である。 サイレーン(◆wd6lXpjSKY)の二次聖杯でのトリ、◆F61PQYZbCwの意志が宿っている。 PSYREN聖杯戦争にてSS流用時に二次二次のトリを使用したため、宝具として二次二次での彼女の力を上乗せ可能。 彼女は二次二次においてあの350組以上の登場話候補からなる投票を勝ち抜いており、しかも二組の主従を採用されるに至っている。 着ることにより何かロリ度が増えるが戦闘能力は上昇する。 書いたのが書いたのだけに仕方ない。 また、形態を変えることによって水上歩行能力を得るなど応用性も高い。 フロイはサイレーンから魔力を吸収する特性がある。 また、サイレーンの声は流子にしか聞こえないが繋がっているマスターにも声が聞こえるようになっている。 そして、「フロイ、サイレーン、マスター」が許可した対象にもその声を聞かせることが出来る。 『フロイ更衣』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:―― 最大捕捉:―― 第二次二次キャラ聖杯戦争の登場話候補に宿る書き手力を吸収したフロイの更なる姿、その力は大気圏を単騎で突破可能である。 本来有り得なかった形態だが、マスターとの相性や自身も二次二次にサイレンに流用していない幾つもの登場話候補を他にも投下していたため、ラインが繋がった。 この姿によりサイレーンはリレー書き手として本来のポテンシャル以上の力を引き出せる。 【パラメータ強化後】 筋力B++ 耐久A++ 敏捷B 魔力B+ 幸運B 宝具A 『PSYREN聖杯戦争(繋がる世界)』 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1 赤いテレホンカード型の宝具。 セイバーが消滅時にマスターを現実世界に帰還させる最終宝具。 他に類を見ないPSYREN聖杯戦争のルールそのものが形になった宝具であり、 たとえ二次二次のOP投票や登場話投票で負けても新しい俺ロワへと繋いで見せたセイレーンの生き様そのものでもある。 この先、帰還ルールがどうなるかは分からない。思わぬ真相や裏が明かされるかもしれない。 でも今はいいじゃないか。 1が帰還できるって言ってるんだからさ。 【weapon】 片太刀バサミ@キルラキル ハイラルの盾@ゼルダの伝説 時のオカリナ 【代表作品】 002 夜科アゲハ&セイバー 016 LIKE A HARD RAIN 031 :光の屋上 闇の屋上 【人物背景】 PSYREN聖杯戦争の 1。 俺ロワ版二次二次の一つだが、OPが違うこともあり、作中ルールも違い、特に敗北したマスターが帰還できる可能性があるのが大きな特徴。 1なだけあり積極的に投下しており、その投下数は既に10へと至っている。 若者ヤンキー不良青春のようなノリを書く時に最高に活き活きしている人。ジュブナイル系書き手。 早速ドンパチも始めておりバトルも中々の数を手がけている。 【サーヴァントとしての願い】 願わくは、これからもパロロワ界がなんだか分かんないまま繋がっていきますように。 【基本戦術、方針、運用法】 自身及びマスターの生存に特化したサーヴァント。 素の耐久及び敏捷と各種スキル『神衣フロイ』攻撃に耐えつつ、ラーニングすることで突破口を開き、それでも勝ち目がないなら逃げて建て直す。 それがこの書き手の基本戦術である。 ただし外見の元となった纒流子とは違い再生系の能力はないため、ダメージは蓄積されていく。 バーサーカーの対書き手により頼みの綱の耐久と敏捷を殺された上に相手のインフレ速度にラーニング速度が追いつけなかったのが敗因となった。 尚、掟破りのマスター帰還宝具だが、当たり前だがセイバーより先にマスターが殺されていた場合は発動しなかった。 マスターを直接護るスキルや宝具は無かったにもかかわらず護りきった彼女は最有のサーヴァントのクラスに恥じぬだろう。 【マスター】 てのひらに聖杯を ムーン・キャンサー(◆OSPfO9RMfA)@第二次二次キャラ聖杯戦争 【マスターとしての願い】 現行ロワ書き手として先達たちをもあっと言わせる物語を書き続けてみせる 【容姿及び口調】 間桐桜@Fate/stay night 【weapon】 対話(物理) 【能力・技能】 自身のあだ名、及び容姿を利用した“百獣母胎”もどきで第二次二次キャラ聖杯戦争の没になった登場話を書いた書き手たちの魂を吸収。 300話以上もの登場話及び書き手の力で身を満たし、セイバーへの魔力供給を上げ限定的な神話礼装を纏わすことに成功した。 残念ながらBBは現時点では二次二次に未登場であり、桜も聖杯の力を使ったわけではないため、万能の願望機としての機能はなかった。 あったところで蟲やら黒化やら侵食やらあまり体感したくないデメリットも多かった。 【代表作品】 075 『憎悪の魔王』/『敗者の王』 082 最初の使者 089 バカばっか 【人物背景】 350組を超える候補者投票やこのロワをひな形に多くの派生が生まれたことで有名な第二次二次キャラ聖杯戦争の現トップ書き手。 聖杯戦争のトップ書き手なだけあってFateキャラを比較的書くことが多いが、ラノベ・マンガ・アニメ・ゲームと把握範囲は広い。 繋ぎ・バトル・掘り下げ・前振りとこなせることも多いオールラウンダー。 参加者に縁のある非参加キャラの思い起こし方も上手く、NPCガルマへのシャアの友情や、アリシア姫へのオルステッドの愛の描写は必見。 裏切り殺した友、裏切られて死なれたとされてきた姫についての当人たちの想いを原作後の二次創作だからこそ掘り下げた手腕はお見事。 【方針】 退場済み 007:地獄型書き手動物園 投下順に読む 009:ボーダーオブパーフェクト 000:OP 終焉にして始まりの男 ≪零に還りし人間≫セイヴァー 024:連鎖反応 000:OP 終焉にして始まりの男 よっみー 024:連鎖反応 ≪てのひらに聖杯を≫ムーン・キャンサー to be continued サイレーン GAME OVER
https://w.atwiki.jp/kakiteseihai/pages/13.html
No. マスター サーヴァント 名前 出展ロワ クラス 真名 出展ロワ No.01 ≪零に還りし人間≫セイヴァー 二次キャラ聖杯戦争 バーサーカー よっみー 書き手ロワイアル2nd No.02 ロワ学の権威・ソーム教授 古生物バトルロワイアル アーチャー 魔法老人シックスラッシュ テラカオスバトルロワイアル No.03 アーキタイプ アクションフィギュア・バトルロワイアル キャスター 怪物スージー クロスオーバー・モンスター闘技場 No.04 フェイト・バトル・ビッグバン 戦の王 バーチャルリアリティバトルロワイアル セイバー 新の王 ニュー・プラネット バーチャルリアリティバトルロワイアル No.05 29NIKUマニア kskアニメキャラバトルロワイアル ライダー 勇者・変態閣下 kskアニメキャラバトルロワイアル No.06 アサシン 仮完結ルート ラノベ・ロワイアル No.07 Dr.ヒグマ ヒグマ・ロワイアル EX(ビースト) 暴君ヒグマ ヒグマ・ロワイアル No.08 ≪てのひらに聖杯を≫ムーン・キャンサー 第二次二次キャラ聖杯戦争 セイバー サイレーン PSYREN聖杯戦争 No.09 ジゼル 中学生バトルロワイアル セイバー ヴァルハラ RPGロワ No.10 ”始まり”にして”終わり”の書き手 千本桜を国歌にしロワ!+国家ロワ2nd アサシン 千本桜 千本桜を国歌にしロワ!+国家ロワ2nd No.11 トライア・エース AAAキャラバトル・ロワイアル セイバー 時空剣士ルシオ AAAキャラバトル・ロワイアル No.12 悪しき世界の人々・ワンダブル ドラゴンクエスト・バトルロワイアルⅡ アーチャー 仮面の王と夢の塔・クルツ ドラゴンクエスト・バトルロワイアルⅡ No.13 セイバー 万の王 オールマイティ・メテオシャワー バーチャルリアリティバトルロワイアル No.14 最高の友達P モバマス・ロワイアル EX(××××) 起承転結 四字熟語バトルロワイアル No.15 4-1 書き手バトルロワイアル4th バーサーカー 三代目混沌 テラカオスバトルロワイアル No.16 “GAME CLEAR”オーブ 新安価ロワイアル バーサーカー ヤー竜夫 やる夫がバトル・ロワイアルに参加させられるようです No.17 ルーラー アニス アニメキャラバトルロワイアル3rd No.18 クスクル・ジョースター ジョジョ×東方ロワイヤル ランサー 一護の人 第二次二次キャラ聖杯戦争 No.19 未覚醒の音符P ミリオンライブ・バトルロワイアル ライダー 零崎傾識 新西尾維新バトルロワイアル No.20 偽最終回書き手ユカコ ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd セイバー 偉大なるシ ジョジョの奇妙なバトルロワイアル2nd No.21 セイバー? 死穢塗無爲 剣客バトルロワイアル No.22 [[]] No.23 [[]] No.24 [[]] No.25 [[]] No.26 [[]] No.27 [[]] No.28 [[]] No.29 [[]] No.30 [[]] No.31 [[]] No.32 [[]] No.33 [[]] No.34 [[]] No.35 [[]] No.36 [[]] No.37 [[]] No.38 [[]] No.39 [[]] No.40 [[]] No.41 [[]] No.42 [[]] No.43 [[]] No.44 [[]] No.45 [[]] No.46 [[]] No.47 [[]] No.48 [[]] ▲上へ戻る
https://w.atwiki.jp/nijiseihaitaisen/pages/62.html
「うーん……やっぱないかぁ」 深夜、こそこそと提督ことマスターである沢木直保の住むマンション周辺で キャスターはいかにも怪しくうろついていたが、不満げに溜息を漏らしているところだった。 彼女が探しているのは燃料や鋼材。 キャスターとしては特殊な部類に入る彼女には必要なもの。 鋼材があれば耐久が上げられ、燃料があれば魔力回復が可能となる。 それは彼女が『艦娘』という艦隊を擬人化した存在であり 艦隊そのものであるが故の能力だからだ。 艦隊とはいっても種類は様々。 駆逐艦。 軽巡洋艦。 戦艦。 潜水艦。 補給艦。 重巡洋艦。 空母。 軽空母。 キャスターもとい隼鷹は軽空母に部類される。 文字通り、空母には様々な面において劣化したものだが、多少速さが保障されている。 防御力は劣化している――のが本来の軽空母なのだが キャスターの場合、艦隊としての逸話によって、さらには『地球』のキャスターとして召喚されたこともあり 耐久性はかなり上昇されてある。 折角だから自慢の耐久性を伸ばしたいところ。 だが、肝心な鋼材のある加工所らしきものは一切なかった。 「仕方ないなぁ……そこんとこはまた今度ってことで。お酒でも探すかー!」 もう一つの魔力確保である酒。 キャスターの魔力確保がそれなりに優れているが、彼女のマスターが魔術師でもなんでもないことを考慮すると。 プラスマイナス0という具合だろう。 キャスター。 なのだが、これまた変な話。このキャスターは陣地作成はしない。 航空戦により上空を掌握する。 手間暇をかけない点ではかなり優れている。 しかし、航空戦をするにあたって必要なのが戦闘機。 戦闘機を作成するのに、これまた魔力を必要とするのだ。 つまり何がなんでも魔力の確保をしなくてはならない。 どうせここは聖杯が作り上げた空間に過ぎない。 サーヴァントの前では人の法は適応されない。サーヴァントには『聖杯の法』が適応されるのだ。 それを裁定するのがルーラー。 即ち、『地球』の、『黒』のキャスターの場合。 彼女を裁くのは『黒』のルーラーである。 本来、それが正式なルールだ。 「――バル」 だが 「バル――バル――」 それでは駄目なのだ。 「バル――バルバル――」 それはサーヴァントを裁くだけであり、マスターを裁く『法』ではない 「バルバルバルバルバルバルバル」 だからこそ!故に!! 「バルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバル!!」 『月』から来訪者が現れた! 白のバーサーカー!そして月のバーサーカー!! 彼は『地球』でもなく『月』でもない――第三の裁定者なのだ!! 慢心していたキャスターの背後から狂気を帯びた声を流し、バーサーカーは向かう。 バーサーカーの吠え声にキャスターは慌てた。 「えっ、え!?ちょ、ちょっと待った!タンマタンマ!!」 止まれと言って止まれるバーサーカーではない。 バーサーカーがキャスターの前に着地したその衝撃だけでキャスターは吹き飛ばされた。 改心の一撃を吹き飛ばされたことにより回避したのは、キャスターの俊敏ではなくもはや運だろう。 「よりによってバーサーカーじゃん!運悪いな、もー!!」 キャスターが愚痴を漏らしながら立ち上がった矢先、上空からもう一人。 青き断罪の炎を灯した存在が出現した。 「ひー!もう一体!?……ってこっちはマスター?」 「まずはその意思から問おう」 奇抜な恰好をしたマスターとバーサーカーに板挟みされ、キャスターは危機的状況にある。 まさかこんなタイミングに同陣営が助けに現れる奇跡もないだろう。 にしても、キャスターは危機感を煽るどころか非常に申し訳なさそうな表情で 「えっと……ごめん。もう降参していい?」 彼女の言葉に双方目立った反応は見せなかったが、実はひっかけでも何でもない。 キャスターは自衛する手段をまったく持ち合わせていないのだ。 軽空母らしく遠距離から戦闘機を送り込み、指示する。それだけしかできない。 攻撃手段としてはそれだけでも十分なのだが、それ以上のことができない。 つまり、直接攻撃されたら何もできないのだ。 「そのー……なんていうの?肩すかし食らわせるつもりはないんだけどさぁ…… あたし、マジで殴り合いとかそういうのできないんだよ。キャスターだから」 そうとも限らないのである意味キャスターに偏見を与えてしまうような言葉を漏らす彼女に バーサーカーのマスターが口を開く。 「強固たる望みはないと主張するか。主の渇望すら犠牲とすると」 「ん?う、うーん?えっとーそうだなー?? あたしに願いはないし、提督も元の世界帰りたいってだけだぜ」 難しい言いまわしをするそのマスターにキャスターが返事をした。 「他と比べたらそりゃふざけんなって感じだけど、あたしの提督――じゃなくってマスターは巻き込まれ型でさぁ 聖杯って数合わせの都合で無関係の奴巻き込むこともあるじゃん?それだよ、それ! あたし?まーあたしは適当に酒呑めたらなーって奴だから」 「成程。意思は理解した。バーサーカー」 マスターの言葉にバーサーカーは音もなく霊体化を遂げた。 キャスターはこの行動の意図が理解できずに、ポカンとしている。 「どういうこと?」 「汝の主張が偽りであれば断罪を下すまで。『月の法』に従い『正しき聖杯戦争』を行うがよい」 「????」 謎めいた言葉だけを残し、マスターの方も立ち去ってしまったのだ。 キャスターにはさっぱり理解できない。 白のバーサーカーのマスター・ルナティックだけが理解する。 彼女には戦う意思がなく、マスターも同じであると。 ここにキャスターのマスターは同席していなかったものの。 あっさりと降参するほどのキャスターの態度を見て、冗談半分ではないことは彼にも察せた。 キャスターがいかなる方法で戦うのかも不明確のままだが 嘘であればその時はその時だ。 取り残されたキャスターは釈然としないものの。 何故か見逃されたという結果だけが残されていた。 「よくわかんないなー。なんだったんだろ、アイツら」 あれは確かに月陣営のバーサーカーだ。 のちのち面倒なりうるキャスターを放置するのは何故か? 難しく考えないキャスターは、なんか事情があったのだろうと判断する。 「もしかして、こっちの陣営に行きたいってのもある?んーまぁいっか!!見逃してくれてラッキーだぜ!」 ◆◆◆ 「朝っぱらから飲んでる奴がいるかー!!!」 直保は空の缶ビールを並べ、ぐでんぐでんになっているキャスターに怒声をあげずにはいられなかった。 しかも、このビールは勝手に金を使われて購入したものらしい。 それなりの金が消費されているのに、直保は溜息をつく。 周囲に漂う菌たちは呑気に直保へ声をかけてきた。 『おはよーただやす~』 『お前起きるのおせーぞ~』 「あぁ……おはよう。……そうだ。なぁ、キャスターの奴、なにしてたんだ?」 こういう掴めない状況に対しては彼らから情報を仕入れるのが良い。 すると、菌たちは口々に話す。 『なんか作ってたぞ~』 『女に働かせて何もしないなんて、駄目な男だなー』 『お前もなにかしろよ、ただやすー』 「一言余計だ!」 しかし、何か作っていた。というのは恐らく戦闘機だ。 彼女なりに戦う準備をしている、ということ。 それを聞いて、確かに菌たちも主張も一理あった。 でも俺に出来る事ってなんだ? 真っ先に浮かんだのは菌たちだ。 魔術師の中には菌を操るものがいる――のかも分からない。 だが、やってみないことには始まらない。彼らを使えばもしかしたら ……こいつらを利用するなんて言い方は、やっぱり後気味悪いよな。 直保自身、菌が肉眼で見える能力に悩まされた事はあるし、無くしたいとすら思ったこともある。 だけども彼らに罪はないのだ。 彼らによって世界が成り立っているところもある。 半ば友のような存在。 聖杯戦争なんて――巻き込ませたくないんだけどな。 直保は最後に踏みとどまって決心することは出来ずに終わった。 だけどなるべくそうしたくはない。 せめて最低限のことだけしようと菌たちに言葉を告げた。 「この辺りで変わった事があったら俺に知らせてくれ」 『なんだ?なにかあるのかー?』 『おもしろそうだな』 『わかったぞ~!』 俺にできることはこのくらいだ。あとは―― 爆睡しているキャスターに再び溜息をつくと、直保は静かに毛布をかぶせてやった。 取りあえず学校には行って。 それからどうするか考えようと直保はいつも通りの日常を始めた。 刻一刻と聖杯戦争の影が蝕もうとも関係なく。 【B-8/マンション/1日目 早朝】 【沢木直保@もやしもん】 [状態]健康 [陣営]地球 [令呪]残り3画 [装備]なし [道具]鞄(筆記用具類)、携帯端末 [所持金]大学生としては普通(キャスターが使用しある程度減っている) [思考・状況] 基本行動方針:元の世界へ帰りたい 1.いつも通り通学。これからどうするかは大学で考える。 2.今のところ菌たちには調査だけさせる。 [備考] ※自宅マンションがあるB-8周辺、直保の周辺で発生した事件を菌たちに調査させています。 ※通う大学がどこにあるかは後の書き手様におまかせします。 【キャスター(隼鷹)@艦隊これくしょん】 [状態]爆睡、泥酔、魔力回復済み [陣営]地球 [装備]戦闘機(全搭載) [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:まーできるだけ頑張るよ! 0.もう飲めない、寝る! 1.同陣営と誰でもいいから合流したい。 2.アイツら(バーサーカー組)なんなんだろ。いい奴ってことでいっか! 3.できれば鋼材が欲しい [備考] ※戦闘機を全搭載まで作成しました。これ以上作成しても予備の戦闘機を確保できません。 ※白(月)のバーサーカー組は敵ではないと判断しています。 ◆◆◆ 「あれがキャスターのマスターか」 それを監視しているのは一人の男、ルナティックの表の顔――ユーリ・ペトロフ。 念の為、キャスターには手出ししなかったものの、彼女を追跡していた。 間抜けなことに彼女は霊体化もせず、あのマンションに帰宅していた。 ある意味ではちゃんと金を払って酒を入手していたから、律儀とも言えるかもしれない。 確認したところ『沢木』という名が表札としてつけられている。 この時間帯でラフな恰好で外出したところを見ると、大学生辺りだと察せられた。 これだけでも十分な収穫だ。 ユーリは腕時計で確認する。 そろそろ職場へ向かわなくてはならない。 沢木直保に大学生としての役割があるのならば、ユーリ・ペトロフにもまた裁判官としての職務がある。 聖杯戦争があろうがなかろうが。 それを変える事はしない。 正直、この状況で他のマスターと出くわすことはそうそう叶いはしない。 また『月』が浮かぶ夜。 ルナティックとして闇に身を溶け込ませ、動くべきだろう。 もちろん、マスターである沢木直保に話をするのも悪くはないが ユーリとしては一刻も早く多くのマスターと接触することを優先させた。 「私は全てをマスターを見定めなくてはらない。そしてタナトスの声を聞かせるのだ」 弱者は生かし、悪しき者を殺す。 第三の裁定者として彼自身が架した使命の名の基に。 【B-8/マンション前/1日目 早朝】 【ユーリ・ペトロフ(ルナティック)@TIGER BUNNY】 [状態]健康、ユーリ・ペトロフとしての姿 [陣営]月 [令呪]残り3画 [装備]なし [道具]携帯端末 [所持金]不明 [思考・状況] 基本行動方針:『月の法』に従い、聖杯戦争を正しく運行する。 1.昼間は職務を行う。 2.戦闘よりも全てのマスターの見定めを優先させる [備考] ※黒(地球)のキャスターのパラメーターを確認しました。 ※黒(地球)のキャスターのマスターが『沢木』という名であることを確認。 またその所在地であるマンションを把握しました。 ※現在の段階では黒(地球)のキャスター組を生き残らせる方針にしています。 【バーサーカー(バオー/橋沢育郎)@バオー来訪者】 [状態]霊体化 [陣営]月 [装備] [道具] [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:??? 1.??? 投下順で読む Next 『勝利条件の確認』
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/576.html
626 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日:2006/12/12(火) 04 47 41 「ククク……ならば……」 そう言いながらコスタスが胸ポケットに手を入れる。 「俺がより強くなれば良いって事だあッ!」 瞬間的に巨大な魔力が放たれる。 Wide Area Protection それは問題なくレイジングハートが防ぐ。 「うわっ……」 だが、防御と魔力の接触で発生する光の眩しさに思わず目を閉じる。 目を開けたとき、なのはの視界にあったのは煙。 そして深夜の今にはあり得ないはずの光だ。 「煙……!」 周囲を見ても、あるのは煙だけ。 「魔法? ううん、これはただの目眩ましと、明かりの筈……」 数個の発煙手榴弾と照明弾。 魔力を放った直後、胸ポケットから『切り札』と同時に取りだしたモノだ。 切り札の発動には時間がかかることを理解している。 だからその為の目眩まし。 飛行して上から見ようとも思ったがそれは断念する。 照明弾は地面に転がされる物だけでなく落下傘を使って上空を漂っている物もあるのが煙の中からでも分かる。 下手に上空を飛んでしまえば下から狙い撃ちにされるかもしれない。 その一撃を回避してその位置へ撃ち返す事を考えても、最初の一撃をほぼ無防備で受けるリスクは大きいだろうと判断し、地面に張り付く。 忍び足で足音を絞りながら移動し、息を殺して気配を探る。 周囲の光が乱反射して 煙の向こうで影が動くのが見えた。 「……そこっ!」 光弾を発射し、その一撃が空を切る。 「嘘っ? 当たったはずなのに……!」 It s phenomenon of brocken spectre ブロッケン現象。 霧の中で何かの影が霧に投影されて別物に見える現象。 狙った影はなのは自身の物だ。 「まず……」 姿勢を下げて転がるように位置を変えつつバリアを展開して防御する。 だが当然あると思っていた追撃はない。 防御を解いて訝しげに周囲を見回す。 煙は晴れ始め、煙の先にコスタスの姿があった。 手に持つのは宝石のような種、種のような宝石。 それは、彼女はどこかで見た事がある代物。 ジュエルシードに近い姿をした『それ』は紛れもなく―― 「古代遺産 ロスト・ロギア ――!」 「――しまった!」 一瞬の緩みをついて絡みつく鎖。 その緩みを作るために足の筋肉を分断させたという事実に、戦慄する。 「バリアジャケット……!」 バリアジャケットをパージして逃れる、そう考え実行するまでの間に、フェイトの身体は宙に浮いていた。 その衝撃に思わず思考が止まる。 「オオオオッ!」 獣の雄叫びのような叫び声と共に地面に叩き付けられる。 「あ……ぐっ……」 咄嗟に結界魔法 フローターフィールド で足場を作ったが、それはあっさり貫通され、その衝撃で再び宙を舞う。 「こ……のおおっ!」 背中に走る激痛を食いしばり、バルディッシュを掴み直し、空中を蹴るように飛び出す。 だが鎖は完全に解け切れていない。 再び体勢を崩され、もう片方の鎖剣が振るわれ、フェイトの肩を浅く薙ぐ。 「ッ! ……まだまだあっ!」 Blitz action 片方は足に絡みつき、もう片方はフェイトの肩を薙いでいる。 ダメージはあったが確実な好機。 振りかぶると同時の超高速移動魔法 ブリッツアクション で後方へジャンプ。 その速度は一瞬だけだが無防備状態を作り出す。 振りかぶったままのバルディッシュを全力で振るい、左脇腹を抉り取る。 『取った!』 最大級の手応えが展開したバルディッシュの刃から伝わってくる。 「グ……ウウウッ!」 だが絡みついたままの鎖によって再び宙を舞うフェイト。 これ以上ないほどの手応え立ったにも関わらず、そこに込められた力は先程宙を舞わされた力と変わりはない、否、それどころか明らかに増している。 「くっ……なんて馬鹿力!」 最初よりは冷静に、叩き付けられるまでに体勢を立て直し、バリアジャケットをパージして鎖から逃れる。 更にフローターフィールド、腕、肘、膝、足を使って衝撃を分散させつつ、追撃されないように距離を開けるように着地する。 それでも立ち上がれば全身が痺れ、衝撃で脳が振動して意識が飛びそうになっている。 速度と力:まだ足りない、近接戦を継続する 魔法対決:時間はそれなりに稼いだはずだ、距離を開けて魔法戦に持ち込む 臥薪嘗胆:予想以上に危険な相手だ、撤退を考えるべきか?
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/365.html
238 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/10/24(火) 04 08 18 なのはとフェイトという少女二人組のことだ。 自己紹介の通りであるならば二人は六道氏の養女であり、更には衛宮士郎の養父であった切嗣氏の実子でもあるという。 聞けば六道氏はかつての無医村に住む医者であると言うことだが…… 二人の親とどうやって知り合ったのか、そこにロマンスはあったのか、など興味は尽きぬ。 そういえば意外なところで遠坂嬢と衛宮の接点が生まれたわけだが、気になったのはそう言った部分だけではない。 二人は衛宮士郎が気になって仕方がないのだろう。 最初は見慣れぬ義兄への警戒、もしくは興味や尊敬かとも思ったのだがそうでもなさそうだ。 先程から衛宮と、抱きつくように彼から離れぬイリヤスフィール嬢の動きを一挙手一投足を見張っているようにしか見えぬ。 一応二人とも周りに気付かれぬようにちらちらとしているだけだが、こうして注目してしまえば一目瞭然だ。 やれやれ、それにしても…… 上はバゼット氏のような大人の女性から下は両名のような少女に至るまでずいぶんと好かれているようだな、彼は。 これは確かに美綴嬢の弟のするようなやっかみの対象にもなろうというものだ。 いやはや、実に……面白い。 女性に好かれるような性格ではないはずだが女性に好かれる生活をしている、その有り様は端で見ていれば面白い。 そのただ中に居れば気が気でないかもしれぬがね。 ふふふと自然と笑みがこぼれる、さて、観察者として他のグループの様子も楽しむことにしよう。 「呆れたわね……そんなことで網走まで行ってきたのあなたは?」 遠坂嬢が驚いているのか呆れているのか、ともかくそんな声を絞り出している。 「おう、遠坂が市内の留置所ならこっちは網走だーと直感したから走って行ってきた!」 「ここから四日で往復とは……随分と体力があるのですね、感心しますよ」 「そうですね、その体力と根性は見習うべき物がある」 「いやー、アンタ達の武術の技には勝てんわー、今度衛宮で試すから教えてくれ!」 「はは、私の技は人に教える程の物ではありませんし、それに無闇に振るうものではありませんよ」 「う……分かってるってば、その位のことは弁えるさー」 「しかしなぁ、留置所に対抗して刑務所だ、という発想に驚くな」 「全くですわね」 「でもね、野宿で走り通すなんてこの時期感心しないわ、体冷やしたら大変でしょう?」 このグループは大人グループと言ったところか、遠坂嬢を中心に藤村教諭、六道氏、バゼット氏、カール氏、ルヴィア嬢に蒔か。 蒔の字が大人かどうかはともかく、雰囲気は柔らかい、案外蒔は大人の中に居るのが合っているのやもしれんな。 「ふわー、凄いですねー」 鏡を見ながらまるで別人を見るように由紀香が呟く。 「そうかしら? 私は貴方や桜さんみたいに料理は出来ないから二人の方が凄いと思うけど?」 由紀香が急遽作ったマリネを一口食べて瞳さんが呟く。 「でもですね、こういう、ヘアメイクって言うんですか? 出来るのは凄いと思いますよ?」 「まあ、美容師とかいいかもって思ってるから勉強してるしね」 「そうなんですかー、それじゃあ最初のお客さんかもですね!」 こちらは学生グループとでも言うのだろうか、瞳さんを中心に、由紀香と間桐嬢か。 この三人は食事を程々にとりつつも、瞳さんが二人の髪を弄る事を重視しているようだ。 そしてその髪型は実に似合っている。 印象が変わったということは余りないのだが、何とも言い難い、気品のような物が加味されていた。 ……そういえば間桐嬢の髪の色が変わっているな、遠坂嬢に感化されて染めたのだろうか? しかしそう言ったことは余り許すような藤村教諭でもなさそうだが…… ふむ、各人にますます興味が湧いてきたな。 はてさて、どうしたものか。 観察者の宿泊:「衛宮、今夜のことだが、私達も一晩泊まっていって構わないかね?」やはり実地観察は大事だ 電話が鳴って:「おや、電話か?」電話のベルが鳴った。 来訪者来たりて:「おや、来客か?」玄関のベルが鳴った。
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/540.html
456 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/10/30(月) 04 09 01 「し、士郎ー! なに押し倒されて鼻の下伸ばしてんのー!」 遠坂嬢がとうとう踏み込んできた。 怒りも露わな様子。 寺の子の話通り、相当な猫かぶりだったと今ようやく実感した。 「どうしたのリン、レディーはいつも優雅に、でしょ?」 「それとこれとは別よー! ていうかアンタが優雅じゃないわー!」 確かに淑女は押し倒すとか言ったことは滅多にしないという意見には同意だ。 というか衛宮氏、呆然としすぎて逃れると言うことを忘れて居るぞ。 「んー? 逃げないって事は、シロウってば実は期待してた?」 『あ』 逃げるのを忘れた衛宮氏と、引き剥がすチャンスを逃した遠坂嬢が同時に声を発する。 そして再びイリヤ嬢が氏の首筋を舐めたりキスをしたり耳を噛んだりしている。 ……犬が親愛の情を示すような物だろうか。 「期待してたのなら満足させてあげるよ……ふふふ」 なんとも妖艶な笑みを浮かべるイリヤ嬢、実に末恐ろしい事である。 それにしても、布団は無事なようだが氏は舐められてべたべただろう。 いや、待てよ、満足させるというと……まさか。 「ちょ、ちょっと! 二人! 見てないで助けてくれー!」 両腕と体重で腕を押さえると器用に足で服を脱がし始めた。 そこで飛びかかろうとした遠坂嬢を軽く後ろから抱き留める。 この光景は見ていて飽きないというか、ずっと見ていたい気持ちになる。 自然と笑みがこぼれてしまうのもある意味で道理であろう。 「待ちなさーい! 二人ー!」 うがーと叫んで振り解くてイリヤ嬢を引き離す。 どうやら似たような事を考えていたらしい。 氏に集中していたのと身軽なこともあってあっさりと引き剥がされた。 「リンもしたいならそう言いなさいよ、意見をちゃんと言うことは誰にとっても大事よ?」 「んなっ……」 おお、遠坂嬢が耳まで真っ赤に。 ……貴重な瞬間だ。 「ほら、私はもう楽しんだから、リンも行きなさーい!」 おお、後ろに回り込んでタックルを。 そのまま遠坂嬢が氏に向かって転がり込んで。 ……なんとも古典的な。 「あ……」 「う……」 先程のイリヤ嬢のからすれば随分と軽かったが……二人には随分と衝撃的だったようだな。 「ふふふ……カネ、私達は一回退散しましょう、むしろシロウの部屋から覗き込んだ方が面白いかもしれないわ」 「……ふむ、一理ありそうだなイリヤ嬢……ではごゆっくり」 思わず笑みをこぼし、イリヤ嬢と連れだって宛がわれた部屋から退散する。 ……まあ、そうなることはなさそうだが、その結論に至までの二人というのは面白そうだ。 ああ、うむ、その、なんだ。 非常に気まずい。 「その……なんだ」 「うん……」 体勢が良くない。 先程遠坂が転がってきた体勢そのままである。 具体的に言うとマウントポジションな状態で、顔も非常に近いです。 あとそれからイリヤの魔術のせいなのか体がうまく動かせません。 「と、とりあえず、上に乗ってるのはやめてくれるかな?」 「あ、うん……」 バッと遠坂が飛び退く。 沈黙が降りる。 「士郎」 ややあって遠坂が口を開く。 「……とりあえずお風呂入ってきたら? ……話があったらその後で」 「ん、そうだな……とりあえず入ってくるよ」 出来うる限り冷静に、平成に返答する。 舐められているときは思わずゾクゾクしてしまったが冷静に事が終わってみれば体中がベトベトしてるなー…… 何てことを、冷静になって思い返す。 うん、ここは遠坂の助言通り風呂にはいる事にしよう。 ベトベトになった服を洗濯機に入れ、風呂場のドアを開けた。 すると―― あ……ありのまま 今 起こった事を話すぜ!:部屋にいるはずのイリヤと氷室が既に風呂に入っていた ここは満員だ……逃げることは……できねーぜ……:一番風呂で入っていたはずの蒔寺がまだ入っていた この肉体にしっくりなじんでパワーが今まで以上に回復できたぞ:「あ……」三枝さんとなのは、フェイトの三人が入っていた 最高に『ハイ!』ってやつだ!:「おや、ミスター?」ルヴィアさんですか? ロードローラーだッ!:鼻歌交じりの藤ねえが振り向いた。 おれが時を止めた…… 9秒の時点でな……:「おや、士郎?」ライダーが入ってました。 第3部 完:よく沸いた湯が張られている、リラックスできそうだ。
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/556.html
927 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/11/14(火) 04 32 10 『御名答』 セイバーとバゼット、二人は紛れもなく一級の武芸者である。 その二人に気付かれずに、声を掛けた。 平時であれば、そしてどちらか片方であれば、それも有り得た事かもしれない。 だが二人は戦時の心を持ってそこにいた。 にもかかわらず、二人はその存在に気付かず、振り向いた。 振り向いた先には。 「誰だか知らないが、留守中に俺の根城に入ってくるなんて、随分な人達だね」 そんなことを呟く男と、男に寄り添うように付き従う少女が立っていた。 「……何者ですか?」 セイバーがバゼットに目配せし、身構える。 「俺かい? 君達のルールに従うならば、『セイバーのサーヴァント』と名乗るのが正しいのかな?」 そう言って、笑顔でサングラスの位置を直す。 夜だというのに、外す素振りはない。 「そして彼女は霧島さん、この家の住人でね、寂しいって事で、俺が街中を連れ回してるのさ」 口元に笑みを浮かべる。 彼女の目に意志はない。 強烈な魔術によって、完全に支配下に置かれている事は明らかだった。 サーヴァントによるマスターの支配。 本来の主従を入れ替える、通常の主従ならば最も忌まれる行為である。 「彼女は人生に悩んでいてね、俺が悩みを解消してあげたのさ」 「それがこの有様ですか、随分と――ふざけた物ですね」 穏やかな声の中、怒気を漲らせて敵を睨み付けた。 同時刻・衛宮邸 ――ごめん、セイバー、敵の反応があったらしいわ、そっちは何とかして貰うしかないかもしれない ――そうですか、ではなんとかしてみます、凛さん、そちらは任せましたよ ――ええ、気をつけて 念話を終え、続いてジェネラルからの話を促す。 「敵は2方向から接近、バーサーカーらしいのが単独行動、もう一つは……群体らしい」 「群体……それは例えばゴーレムとか竜牙兵とか、そう言った代物でしょうか?」 桜が問う。 「いや、統率された黒い全身鎧 フルアーマー の集団らしいと言うことだ、数は不明ながら数百以上、ほぼ真っ直ぐこちらを目指して いる」 「全身鎧の集団?」 彼女は、十字軍時代の神殿騎士団 テンプルナイツ にそう言った騎兵部隊がある事をかつての書物で読んだ事があった。 その集団は異教徒を鏖殺し、街を焼き、尽くを略奪したという、歴史の表には決して出ない教会の暗部。 だがそれは予想の域を出ない。 だからルヴィアは、その予想を口にはしなかった。 「それからバーサーカーだが、既知のバーサーカーではないようだ、近づいた斥候が何人かやられている、厄介な相手だ」 「……教会の時と言い、貴方の召喚時と言い、バーサーカーは三騎目ね……」 「そのようだな、だが幸いな事に、接近こそされているが、目的地はここではないようだ、恐らく別のマスターがこの街に潜伏している のだろう」 「そう、それが予測できただけでも僥倖ね……外見はわかる?」 「ああ、黒装束に、全身包帯、白と黒のコントラストと言うことらしい」 ふぅん、と何気なく流す遠坂。 だがその言葉に、キャスターの表情が変わった。 「……ウツロ!?」 彼女はその存在を知っている。 「キャスター、そのバーサーカーを知っているの?」 遠坂は、昼間と違い彼女のことをキャスターと呼んだ。 「私が思い浮かんだ通りの相手なら知っているわ、アイツは快楽殺人鬼よ……そして、間違いなく私と似た宝具を持っている」 苦虫をまとめて噛み潰したような表情で言った。 「キャスター、正直に答えて、一人で勝てる相手?」 「……上手く行って五分、出来れば単独で戦うことは避けたい相手……だけど」 「そう……」 皆まで言わせず、話を遮る。 彼女の言いたいことは分かる。 戦いたくはない、だが、ウツロと呼ばれるバーサーカーの行動は止めねばならないと言うことは言われずとも理解する。 遠坂凛は決断を下さねばならない。 生前から快楽殺人鬼などという存在 バーサーカー を、冬木の管理者として許容することは出来ない。 だが、こちらの存在を知って居るであろう鎧の集団への備えを怠ることは出来ない。 そして可能ならば、セイバーへの救援も行いたい。 だが、バゼットとセイバーの組み合わせは用意しうる『人間とサーヴァント』の組み合わせとして最強である以上、 あちらに現状以上の戦力を割くことは難しい。 だが万一にも二人が敗北すれば、それは衛宮邸で防御に徹することすら難しくなるだろう。 彼女が下した決断は―― 堅牢な守り:「この家の防御を最優先するわ、迎撃の準備を」 念には念を:「士郎、キャスター、セイバー達の援護に向かって」 敵の敵は味方:「士郎、キャスター、バーサーカーを追って」
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/566.html
310 名前:隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日:2006/11/28(火) 05 08 53 「士郎達が戻ってきたわね、意見を聞いてみましょうか」 その前に少しの間、互いにあった出来事を交換しあった。 ジェネラルは己の真名と宝具について話した。 「それじゃあさっきの吹雪は貴方が?」 「ええ、そうです、ですが貴方は気付いていたのではないですか? セイバー」 「……確証はありませんでしたがね、どこかの資料で見た顔だと思ったんだけですよ」 確証もないことを吹聴するのは失礼でしょうと続ける。 「……セイバー、貴方は一体何者なのよ?」 「はは、私は世間一般より少しだけ世界に詳しいだけの男です」 「はぁ……もういいわ」 答えをはぐらかされるのが分かっていたのか、疲れたように言った。 キャスターは説明する暇もなかったJ.B.の事を全員に語った。 J.B. Jack of Betrayer 、裏切る者の名の通り、彼は彼女が関わったとある事件の裏で暗躍した。 ある大企業の首脳部に寧言を弄して己の思い通りに操った。 ある特殊な能力を持つ少女を執拗に狙い、誘拐した。 友人を巻き込みたくないと、事件から遠ざけられたキャスターの『避けられている』という思い込み、そこに発生した心の隙間に潜り込み 、催眠に掛け、利用することすらやってのけた。 そして最後には、最悪の事象を巻き起こした。 SC空間を利用した正常な認識の崩壊、それに伴って発生する都市・文明の崩壊。 それを可能とする兵器を発動させた。 「そして、あいつが召還されたのなら……きっと同じ事をするわ……だから止めないといけない」 全員が頷いた。 それぞれに頷くだけの理由があった。 「さて……それじゃあ最後に、貴方の事を聞かせて貰いたいわね」 会話の輪に加わらず、注意深く各人を見守るライダーによく似た女性。 紫の髪、均整の取れた身体、髪の毛の下から覗く鋭い眼光。 桜の窮地を突如として現れ救った女性だ。 「私は『ライダー』のサーヴァント……ただそれだけ、サクラを守り、幸せならば守り、そうでないなら幸せにしたいと考えているわ」 「『ライダー』……」 「ええっと……ウチにはもうライダーがいるから呼び方が被っちゃいますね」 あはは、どうしましょうとサクラが笑う。 「……ライダーでも、それが嫌なら呼ばなくても」 己を主 桜 を幸せにする、幸せを守るための道具と決めつけるように答える。 「それに、行動指針を決めるのでしょう? 私のことは空気だとでも思いなさい」 そんなことを言う彼女は、無視できぬ神秘性を帯びているように見えた。 「ふん、そうね――答えたくないならそれで良いわ、でもここに誓いなさい」 「なんです? 術師」 鋭い眼光が遠坂を射抜く。 「桜を守ると言ったのならば、守り抜く事、悲しませないことを、よ」 それは、かつて衛宮士郎が立てた誓いと同じ物。 「――ええ、誓いましょう」 一瞬の間の後、『ライダー』は応えた。 「それなら良いわ……それで、今後の事についてだけど……」 「飛行機って、落ちたらこんなに燃えるんだよな……」 士郎がぼんやりとそんなことを口にした。 「俺の家は結界のおかげで助かったけど、そうじゃない家はたくさんあるよな」 遠坂を見やる。 「だから俺は救いに行きたい、落ちた先の人を……誰かが泣いているならば、助けたいって思う」 現在の衛宮士郎は間桐桜の味方だ。 そして間桐桜は正義の味方を目指している。 だから衛宮士郎は正義の味方を放棄しては居ない。 衛宮邸という己の足下を忘れたわけじゃない。 誰かが泣いているならば助けたいって思う。 「はい、賛成です! 私達に救う力があるのなら、助けるべきです!」 なのはが元気よく手を挙げる。 「そうですね、私達の戦いは避けられないとしても、無関係な人達はできうる限り無関係のままで居て欲しい物です」 セイバーも賛同した。 「……ホントに似通った思考してるわね、貴方達」 遠坂は少しだけ諦めたように言った。 「桜、腕の傷はどう?」 「大丈夫です、血も大体止まったし……ッ!」 突然腕の傷を掴まれ、桜の顔が歪んだ。 「無茶はしない事ね……ルヴィアとジェネラル、それにライダー、家の留守と桜を頼める?」 無言で頷く。 「なら決まりね、私達と士郎、バゼットのチームでS市へ向かい状況を確認する、戦闘は可能な限り避ける、それで良いわね?」 「ああ、文句はない」 「じゃあすぐに準備をして、さっさと行くわよ」 救助:S市へ向かう途中、倒れた人を発見した 静寂:S市は不気味なほど静まりかえっていた 空戦:S市では大規模な空中戦が行われていた 陸戦:空中戦に呼応するように陸上でも戦いが行われていた
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/672.html
255 名前: 隣町での聖杯戦争 ◆ftNZyoxtKM 投稿日: 2006/09/28(木) 03 25 11 この際応急修理でも一応形を保っておけばそれでも良いのか……本格的な修理はあとでじっくりと…… いや? 待てよ…… 「どうなさいました?」 それはちょっとした思いつきだった。 「えーっと、ちょっと試してみたいことがあるから彼には待ってて貰えるように頼めるかな?」 「え? ええ、その位なら良いですけど」 「ああ、悪いな、ルヴィア」 茶の間に入りキャスターを捜す。 「遠坂、キャスターは?」 「ん? 庭の確認に言ったけど、どうしたの?」 水場の下の道具入れを確認していた遠坂が振り向く。 「いや、夕飯の後の話、覚えてるだろ? キャスターの宝具の話」 「もちろん覚えてるわよ、現実をねじ曲げるって……ああ、そう言う事ね」 「そう言うこと、俺は無理だったけどキャスターの宝具なら、呪いを解呪するとか出来るかもしれないだろ」 直接修理できればベストだけどと続ける。 「それにしても……英霊をこんな事に使うなんて罰当たりね、士郎」 遠坂が笑う。 彼女にしてもかつてサーヴァントをお茶汲みに使った物だったが。 「ああ、そうかも」 つられて笑った。 庭では、キャスターとルヴィアのサーヴァントが談笑していた。 ベテラン俳優とその追っかけ女子高生といった雰囲気で、互いの表情は和やかだ。 「キャスターと……えーっと、なんて呼べばいい事やら、あ、俺は衛宮士郎です」 「ん? ああ、そう言えばそうだったな、家が焼ければあの反応はある意味で当然だろう、私はジェネラルだ」 「ではジェネラルさん、キャスターをお借りしても宜しいですか?」 「ん? 別に構わないが修理の目途が立ったのかね?」 「そう言う訳じゃないんですけど、少し試したいことがあるんです」 「ああ、魔術的な事を試すのかね? 少し興味があるので見学させてもらっても宜しいかね?」 「ええ、勿論、ここは貴方の家になるわけですからどうぞ遠慮無く」 もの凄く気品のある物腰に思わず馬鹿丁寧な反応で返してしまう。 すっかり彼のペースであった。 試して貰いたいことをキャスターに話すと、自信なさげに試してみるとだけ言われた。 「——空間解除」 宝具での解呪実験は簡単に終了した。 「正直難しいわ、下手に消去しようとすると床ごと、壁ごと消し去ってしまいそう、こういう細かいアプローチは難しいわ」 キャスターの言葉は茶の間を覗いて納得いった。 茶の間の畳が一枚無くなって下の床板が出てしまっている。 「この畳……消滅したってことか?」 床板が触れている以上、ワープしたか消滅したかのどちらかだろう。 「……実空間で認識できなくなったみたいだから……多分これを元に戻すのは出来ると思う」 「んー……呪い付きでも無いよりは良いか、戻しておいてくれるか?」 「ん、わかった」 「……何? 今の?」 ぬうっと、恐ろしく不機嫌そうな顔で遠坂が台所から顔を出す。 そう言えば遠坂はまだ召還できていないから空間を展開するとなんだかよく分からない感覚に放り出されてしまうのだった。 「今のが私の宝具で召還する空間です」 「……次からは前もって言っておいて、寝起きみたいに気分が悪くなったわ……」 吐きそうな、そして寝起きのような表情で自室に向かう、寝るのだろう。 「あれ? 姉さんは?」 桜とライダーが土蔵から戻ってくる、手には薬缶と、幾つかの茶碗。 何故か藤ねえに連れて行かれた焼き物教室の成果である。 飲み物を注ぐには不便だが、まあ穴は開いてたりはしないはずだ。 「ああ、遠坂なら部屋に戻ったよ、多分寝るんじゃないかな? 風呂は入り直した方が良いと思うんだが……」 「ふむ、日本式の風呂か、私が『一番風呂』でも構わないかな?」 そんなことをジェネラルが口にする。 「え? そりゃあ構いませんけど」 「よし、決まりだ、では準備をせねば」 急に上機嫌になって。 「ああ、そうだ、明日までにこの廊下とその二部屋は改修しておくから安心したまえ」 そんなことを口にした。 その後、遠坂を含めてそれぞれ風呂に入り直し、睡眠を取ることにした。 翌朝。 全員、疲労からか、残っていた誘眠香の残滓からか、昼近くまで眠った後、布団から起きだし。 沈黙の家政夫達:台所で士郎と桜が固まっていた 絶叫する虎:「なんじゃこりゃあ!」松田優作ばりに藤ねえが絶叫した 満足げな貴族:縁側では満足そうな顔でルヴィアとジェネラルが笑っていた ダメット唖然:昨夜のプレゼント(シベリアトラ)はどうだったか聞きに来たバゼットが門のところで固まっていた