約 1,312,132 件
https://w.atwiki.jp/uyoku310/pages/90.html
山崎が車から降りてきた。格さんは両手を縛られてる。 「金は?用意できたんだろーな?」 「用意してあります。とりあえずそいつ放してください。放してくれたら渡しますよ。」 「…調子に乗ってんじゃねーぞ、クソガキが!テメーらの立場ってもんがまだわかってねーんじゃねーか?」 「そんな事ないですよ。お願いだから放してください。」 俺が時間を稼いでる間に真也が運転席に回り込む。窓を空けながらタバコ吸ってる間抜け顔した運転手を逃げられない様にするためだ。山崎が何か言おうとした時、真也が鍵を抜いて運転手を引きずりおろした。 「何考えてんだコラァ!」 山崎は俺から目を離した。真也は夢中で運転手の奴を殴る。止めに入ろうとした山崎の頭を俺は後ろからボンネットに叩きつけた。逃げようとするから何度も何度も。単車が当たってぐちゃぐちゃになったグリルに血だまりができる頃、ようやく智光先輩が俺達を止めた。 「もーそんぐらいで勘弁してやれ!死んじまうぞ!!」 「…おい、チンピラ。今度から喧嘩売る時は相手選んでやれよ。次は殺すぞ。」 俺がそー吐き捨てると山崎が言った。 「…てめぇ。俺達にこんだけしたって事はどーなるかわかってやってんだよな?明日てめぇらの家に行くからな。親に金用意しとく様に言っとけや!」 智光先輩がキレた。 「何楽しそーに明日の話してんだ?テメーに明日が来ると思ってんのか?さっきまでテメーがつれ回してた奴は俺の舎弟でウチの組の人間だ!それにコイツらはそいつの友達で全員俺の家族みてーなもんだ!その家族にこれだけ無茶かますって事は俺と喧嘩するって事だよな?カンバン背負ってるならさっさと出せや!!俺もカンバン出して徹底的にやってやる!!テメーどこの身内だ?俺の前でデケー声で言ってみろコラァ!!」 山崎がビビった。正直、俺もおっかなかった。智光先輩は名刺を出した。山崎の顔色がどんどん青くなってく。 「とりあえずコイツらの治療費と俺への迷惑料で明日までに300持ってこい。用意できねーなら貸してくれるとこ紹介してやっから!オメーらもこれからも生きていきたいならこの条件飲むしかねーよな?」 「…はい。わかりました。」 「明日金入ったら格田に連絡すっから。お前ら今日は帰れ。あとは話つけとくから。ご苦労だったな。」 「どーもありがとうございました!」 やっぱヤクザは怖え。でも金にはなる。再認識させられた夜だった。
https://w.atwiki.jp/zinc654/pages/42.html
ズズズーズ・ズーズズンとは、週刊少年ズンに連載されていた亜鉛ギャグバトル漫画である。 斬新な亜鉛とズンと米が話題となった。 この漫画は、登場人物が全員ズンだったことで注目され、週刊少年ズンの人気投票で1位に選ばれた。 ただし、週刊少年ズンに載っていたのはこの漫画だけである。 ロゴ 適当にやったはずなのに過去類を見ないレベルの高い再現度のロゴができてしまった。 登場人物 ズズズーズ・ズーズズン 主人公。7代目亜鉛真拳伝承者。祖国であるZnの王国を滅ぼした米狩り隊に復讐するため、仲間とともに旅をしている。 いい加減な性格に見えるが、実際はその通りである。 得意技は、「亜鉛フィンガー」。Gガンダムのシャイニングフィンガーのパロディ。だと思う。 好物は米類(共食い)。嫌いな食べ物は小麦。趣味は化学反応と自爆。 特技は亜鉛真拳と自爆。嫌いな物は鉛。自分を植物に例えると米。宝物は亜鉛(これでよく化学反応するらしい)。好きな言葉は「ズン」。 亜鉛パッチ 主人公ズーズズンの相棒であり、ライバルでもある。 名前は亜鉛パッチと書いて、ズンパッチと読む。 好物は亜鉛、ちなみに読みきり版では分子量×2のZn^2を飲んでいた。趣味と特技はズン。 嫌いな物は亜鉛が飛び散るタイプの自爆。自慢できる事は自爆。自分を金属に例えると亜鉛。宝物は米俵。 主題歌 ここではアニメ版のオープニング、 「WILD AENGER(ワイルド・アエンジャー)」の歌詞を掲載する。 作詞・作曲・歌、全てがズン本人によるものである。 元ネタ(youtube)→http //www.youtube.com/watch?v=MhDk-vLspf8 +歌詞 SAY WAAAH! ズーズズン! SAY WAAAH! ズーズズン! SAY WAAAH! ズーズズン! STAND UP! 欠けてばっかいんな ズン飛んで行こうじゃない ズンばってBOMBERって Zn! Zn! GOODBYE STYLE!! 早く鳴らせズング 米な 時代だぜ 収穫は止められない Ah End Ah End Ah End Ah End Ah End Ah End Ah End... 亜 鉛!! 「Six, Five, Four」メガズン級パンチャー 「KANNING SOUL」Zn 自爆(ハジ)けるパワー ブッ壊してえんだ 小麦ってヤツを 「Zn Zn BOMB」行っとけZN BUSTER 「LET S GET Zn」我が米まっしぐら 駆けあがれIt Zn!!(like a Zinc Man) ズンズン MACHOで「亜鉛 亜鉛」ズンズン いっとけ!「アエアエン」 ズンズン HARDな「亜鉛 亜鉛」飢えたWILD AENGER 今だWILD AENGER 我らWILD AENGER!! (以降、フルバージョンのみの歌詞) SAY WAAAH! ズーズズン! SAY WAAAH! ズーズズン! SAY WAAAH! ズーズズン! STAND UP! ずんずん登場 CHECKしな!! HANNOU 化学反能むきだしモード ガムシャラ爆発 ついて来いよ! ジバク目指せ! ズン達 お米のAENGER 待ちうけるDANGER 刻んどけ!! WILD FLAVOR ZINC BEAT 邪魔する奴処刑していくぞ HERE WE ZN! 亜鉛のよう ズンと一発 汚染米砲!! Ah End Ah End Ah End Ah End Ah End Ah End Ah End... 亜 鉛!! 「Six, Five, Four」水田に沈め 「KANNING SOUL」ズンの姿見やがれ つかみてえんだ亜鉛ってヤツを 「Zn Zn BOMB」とどめの爆発で 「LET S GET Zn」我が道切り開け 燃えあがれIt Zn!!(It s a Chemical reaction) ズンズン MACHOで「亜鉛 亜鉛」ズンズンいっとけ!「アエアエン」 ズンズン HARDな「亜鉛 亜鉛」飢えたWILD AENGER 今だWILD AENGER 我らWILD AENGER ズンズン MACHOで「亜鉛 亜鉛」ズンズンいっとけ!「アエアエン」 ズンズン HARDな「亜鉛 亜鉛」飢えたWILD AENGER ズンズン MACHOで「亜鉛 亜鉛」ズンズンいっとけ!「アエアエン」 ズンズン HARDな「亜鉛 亜鉛」飢えたWILD AENGER 今だWILD AENGER 我らWILD AENGER SAY WAAAH! ズーズズン! SAY WAAAH! ズーズズン! SAY WAAAH! ズーズズン! STAND UP! 欠けてばっかいんな!! 元ネタ ボボボーボ・ボーボボ 公式サイト
https://w.atwiki.jp/eoegameswiki/pages/127.html
老人の思いやり 報酬 ☆3 R 2000 メタルコード弾×15 1.昼間にエベルシティのラズル・ストリートでショップの前にいるダニエルと会話2.アジトに戻りリーンベルの部屋でピエロちゃんを入手3.ダニエルにピエロちゃんを渡す
https://w.atwiki.jp/sakuraba/pages/152.html
戻る 783:名前:名無しさん@ピンキー sage : 2008/01/06(日) 00 02 40 ID y7d+JeSM この野郎氏 あの~、 768の終わりにこんな一節が・・・ 「おっはよー。あーぁ、今日から学校かぁ…」 い、いえ、すみません。GJです。 784:名前:この野郎 sage : 2008/01/06(日) 00 33 13 ID EFgqodpg 783 「おいカナ、お前そんな事言ってたのか?」 「えー…よく覚えてないよ。」 「そう言えば…そんな事言ってたような気もするわねぇ……」 「ハルカ姉さまもこう言ってるんだ、間違いないだろ?バカ野郎。」 「そうか…でも月曜日なんだから学校はあって当たり前だろ?私は間違っていない!おかしいのは 783だ!」 「バカ野郎…お前、学生だろ?だったら今は何だ?。」 「……あぁ…そう言えば冬休みだった。いやぁー、うっかりしてたよ。」 「バカ野郎!『うっかり』じゃなくて、ちゃんと謝れよ!」 「そうよカナ!おかしいとか言って…… 783さんにちゃんと謝りなさい!」 「なんだよ、二人して怖い顔するな!わかったよ…。…その……誤解を招いて悪かったな…」 「なんだその言い方は?もっと心をこめて謝れよ。」 「な…なんだよ、ちゃんと謝っただろ?」 「バカ野郎。あれじゃあ、誰に謝ってるかわかんないだろ。」 「そうよ、カナ。ちゃんと名前と…あと、そんな所まで気づくくらい呼んでくれたお礼も言いなさい。」 「………」 「はやくしろ!!」 「早くしなさい!!」 「あー!もう、わかったよ!!」 「その… 783様…誤解を招く事をして申し訳ありませんでした。 後、そんな事に気づく程読んでいただいてありがとうございます。…これでいいか?」 「 783さん、カナのバカもこう言ってますので…なにとぞ勘弁してあげてください。」 「 783さん、私からもお願いします。申し訳ありませんでした。」 と言う事で許してあげてください。orz 785:名前:783 sage : 2008/01/06(日) 00 56 18 ID MhkiyfKZ 拝啓、南家御一同様 その節は小生の出過ぎた指摘に対しまして 過分なるご対応を頂きましたこと、心より御礼申し上げます(以下略 進む
https://w.atwiki.jp/housoukinsi/pages/386.html
歌手 守屋浩 リリース 昭和34(1959)年 レーベル コロムビア 作詞 関沢新一 作曲 編曲 中村八大 JASRAC 013-2283-4 放送禁止理由 1959年、主婦連合会が「いやなポリ公にパクられて」等の歌詞が問題だと訴えた との説 メロディが軍歌である との説 豆知識 映画「檻の中の野郎たち」の主題歌 実際には「かわいいスーちゃん」という歌のメロディであり、軍歌ではない 後に「達者でいるかよオッカサン」とタイトルを変えて発売。 曲を聴く方法 (注) 実際の視聴は行っておりませんので、問題箇所が修正されている可能性があります。 参考(リンク) TBSラジオ「TABOO SONGS~封印歌謡大全」(2007/7/23) 歌詞 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/12818.html
MG/W39-050 カード名:青春とけじめ カテゴリ:クライマックス 色:緑 トリガー:2 【自】 このカードが手札からクライマックス置場に置かれた時、あなたは自分の控え室の緑のカードを1枚まで選び、ストック置場に置き、自分のキャラすべてに、そのターン中、ソウルを+1。 レアリティ:CC ・対応キャラ カード名 レベル/コスト スペック 色 真剣勝負 神原駿河 2/1 7000/1/1 緑
https://w.atwiki.jp/83452/pages/7228.html
音楽室 梓「唯先輩、あの……今日は騙してしまってごめんなさい」 唯「ううん、いいんだよ。あずにゃんに会えただけでも、私は嬉しかったし」 唯「なりゆきでけいおん部のみんなにも会えたし……練習もできるんだよ!」 梓「……よかったです」 唯「うん?」 梓「電話した時の先輩の声、元気そうでしたから。辛そうにしてなくて、ほっとしました」 梓「でも……私の心の外では……さびしい声も聞かせて欲しかった、と思っていたんですけどね」 唯「あずにゃん?」 梓「わかりませんか?」 唯「なんとなく……」ニヤ 梓「……にやける場面じゃないですよ」 唯「ほえ? だってあずにゃん、『私がいなくてさみしがる唯先輩が見たかったです!』って……」 梓「ちょっとは、それもありますけど」 梓「でも、唯先輩は疲れているべきなんです。みんなに会えなくてさみしがっているべきなんです」 唯「ど、どうして!? そりゃあ、確かにみんなに会えないのはさみしかったけど!」 梓「どうして、って本気で言ってますか?」 唯「あ、いや……」 梓「憂はね、毎日私に言うんですよ」 梓「ごろごろしてるお姉ちゃん、かわいいよって」 唯「……そっか、あずにゃんには筒抜けなんだ」 梓「はい。私のほうも受験勉強が本格化してきて、先輩たちの気持ちもわかってきたんですけど」 梓「疲れますよ。先輩たちと会えなくて、さみしいですよ」 梓「ですけど、私には憂や純がいます。だから定期的にガス抜きできるし、結果的に勉強もできます」 唯「う、うん……」 梓「だったら、ガス抜きの機会がなさそうな唯先輩は、どうなってしまうんだろうと思って。半分くらいはそこが心配で、電話しました」 唯「もう半分は?」 梓「憂から、味覚のことを聞いたんです。そのことも心配だったので」 唯「そういえば、そう言ってたよね」 梓「でも、よく考えると……唯先輩も、心までだらけているわけではないんですよね」 唯「……そうかな。私はもう、なんにもしてないよ」 梓「それですよ」 唯「へ?」 梓「こういうとき本物は、自宅警備員をやってるとか言うんですよ」 梓「何もしていないという自覚があるなら、持ち直せるはずです。唯先輩の心はまだ、頑張りたがっています」 唯「あずにゃん……そんな風に言われたって、私」 梓「やれます」 唯「……やれないよ」 唯「けいおん部はなくなっちゃった」 唯「ギー太の練習したって、明日みんなに聞かせられるわけじゃない」 唯「りっちゃんの元気なドラムも、澪ちゃんのしみわたるベースも、ムギちゃんの優しいキーボードも、つきあってくれない」 唯「それでも最初は、1年後を期待して頑張ってた……でも……」 唯「ずっとけいおん部がないと、私はだめなんだよ」 梓「……弱いですね、唯先輩」 唯「うん、そう思うよ。でもそれが私だったんだ」 唯「だから、もういいよ」 梓「いいって、何がですか」 唯「こうやって、けいおん部に私を呼ばなくていいから。ね、あずにゃん?」 梓「っ!」 バシンッ 唯「にょほっ」ドサッ 梓「ふざけたこと言いやがりますね、唯先輩」ガッ 唯「うぐっ?」 梓「唯先輩の気持ちとか関係ないです! 先輩方が、私が、唯先輩と一緒にけいおんをやるために、唯先輩を励ましてやってるんです!」ガクガクガク 唯「あぶぶぶぶぶ」 梓「それを裏切るんですか! 私は唯先輩とけいおんがしたいんですよ! だというのに、何なんですかそのフケた態度はっ!」ガックンガックン 唯「あうっあうっ、あず、にゃっ」 梓「あっ」パッ 唯「はうっ」ドサッ 梓「ゆ、唯せんぱ……ご、ごめんなさい!」 唯「ケホッ……も、もうあずにゃんったら……乱暴だよ。めっ!」 梓「でも! 唯先輩があんなこと言うからいけないんです!」 唯「うん……そうだよね」 梓「唯先輩……頑張りましょうよ。桜高だって、それなりにいい高校なんです。唯先輩は、そこに入れるくらい勉強したんですから」 唯「……頑張り方、忘れちゃったよ」ヘヘ 梓「じゃあ頑張り方から私が教えますよ。憂も手伝わせます」 唯「あずにゃん……」 ポロポロ 唯「あずにゃあん……」ギュ 梓「……やっぱり抱きつくんですね」 唯「うん……えへへ、なんかこうするの久しぶりだね」 梓「そうですね。懐かしい感じです」 唯「あずにゃんいいにおーい」 梓「唯先輩こそ……優しくていい匂い……」 唯梓「えっ?」 梓「におい……?」 唯「あ、あずにゃん。なにか食べ物持ってない?」 梓「な、ないですよ。あったとしても私が食べるです!」 唯「なんでよう!」 ムキー 梓「いいじゃないですか! なんでも!」 シャー 唯「まさか、あずにゃんも……?」 梓「……はい」コクン 唯「あ、はは、そうなんだ……でも、なんでこのタイミングで治ったのかな?」 梓「私の場合は……唯先輩と会わなくなってから、でしたから」 唯「……それって、けいおん部がなくなった日だよね?」 梓「はい。それからは唯先輩と顔を合わせることがなかったですから」 梓「まさかとは思いますが……唯先輩の場合はどうなんですか?」 唯「えっ? 私は……」 梓「大事なことです。言って下さい」 唯「けいおん部がなくなって……帰り道であずにゃんと分かれたそのときからだよ」 唯「とぼとぼ歩いてくあずにゃんの背中を見てたらさ、もうあずにゃんをぎゅってできないんだって、急に思って」 唯「そしたらなんか、いきなり何もかもつまんなくなって。ご飯の味もしなくなった」 梓「……私は、もう唯先輩に抱きついてもらえないって思ったら……」 梓「なんだ……そんなことだったんだ。あははっ……」 唯「そんなこととはなんですかー」ブーブー 梓「だって……受験勉強のストレスとか、唯先輩の場合、生活の味気なさが味覚に影響を与えた……とか」 梓「色々原因を考えてたんですよ?」 梓「それが蓋を開けてみたら、唯先輩なんですから。そんなことですよ」 唯「蓋を開けたらあずにゃん……いいかも」 梓「人を勝手に箱詰めにしないでください」 唯「えへへー。ねぇ、あずにゃん」 梓「はい?」 唯「ペロペロしていい?」 梓「いきなり何を……」 唯「味覚のほうも戻ったか確かめたいんだもん」 梓「私は味なんかしませんよ。唯先輩はさっきパフェ食べてましたし、味するかもしれませんね」 唯「いーや、あずにゃんはおいしい!」 梓「何ですか、人を食べ物みたいに……じゃあ、こうしましょう」 唯「うん、どうするの?」 梓「……こうするです」 チュ 唯「!?」 ドキンッ 梓「……んっ」 チュプ 唯「むー」 ムスッ チュルッ…… 梓「んむぅ!?」 唯「ふっふっふ」 チュッ……チュパッ 梓「ふっ、んはぁ……」 ピクンッ 唯「あーむ。んふふっ」 梓「犯されました……」グス 唯「あずにゃん、おいしかったよー」 梓「唯先輩は甘かったですよ」 唯「う……言われるほうは恥ずかしいなぁ……」 梓「唯先輩は人の気持ちを考えましょうよ。だいたいいつも……」 バターン! 律「ひょー! 重かったぜー!」 唯梓「!!」ババッ 律「あれ? どうした二人とも?」 澪「唯、梓、もう7時なんだから電気つけろって」カチ パッ 梓「あ、ちょ」 律澪紬憂「わっ」 唯梓「……あはは」 律「ゆ、ゆいー? よだれ垂れてるぞ、もー」 憂「梓ちゃん、私たち空気読めなかった?」 梓「そ、そんなことはないですよ。な、ないよ?」 澪「まったく……こら、唯!」 唯「で、でも澪ちゃんー……」 澪「でもじゃない! 梓が……べ、べちょべちょじゃないか!」 梓「なんの羞恥プレイですか、これは……」 カアァ 紬「唯ちゃん、そ、そんなに梓ちゃんはおいしかったの?」 律「こ、こらムギ!」 律「気持ちは分かるが、今の唯にそんなことを訊くな。な?」 紬「あ……そうでした。ごめんなさい唯ちゃん」 唯「い、いいんだよムギちゃん。それに、あずにゃんはおいしかったよ?」 律「あ、なんだ。そうだったのか。あはは……はっ!?」 憂「お姉ちゃんっ!?」 澪「まさか……味覚が戻ったのか!?」 唯「唯ちゃんはあずにゃん分の補給で蘇ったのです!」ドーン 律「むちゃくちゃだー!?」ガーン 澪「は……あははは! まあ、いいじゃないか! これで問題は万事解決だ!」 憂「うーん、そうですかね?」 澪「憂ちゃん……?」 憂「見て下さいよ」 紬「」ギラーリ 梓「」ビクビク 澪「……おい律、どうする」 律「ムギ、お茶だ!」 紬「ごめんなさい、ティーセットは忘れてしまったの」ショボン 紬「」ギラッ 澪「りつー?」 律「ええい、練習始めるぞちくしょう!」 澪「うん、それでいい」 唯「よーし! いっくよギー太!」 ピョーン 終わり。 4
https://w.atwiki.jp/ryomathesecretstory/pages/34.html
情報屋Kからの情報 2009/04/27(月)?、場所は福井県のT(東尋坊?) 崖上に遺書や幾つかの遺留品がそろえて置いてあった 遺体は発見されていないが、遺書に「孫の早紀」と書かれた箇所があった 現在、遺書と遺留品は警察が保管。 地元刑事からの情報(ガードが固い。緘口令?上層部からの圧力?) 現場に遺書などいくつか遺留品があったものの、遺体はまだ発見されていない 事故やいたずらの可能性もあるため、今のところ捜査規模も小さく、正式な発表も控えている 遺書の内容や遺留品について →「まだ捜査中で事件と断定していない。いたずらの可能性も大きいため教えられない」 遺書の内容 →「老妻を亡くして以来、日々気鬱になっていく…」 「仕事にも生き甲斐を感じられず、孫の早紀にも迷惑をかけてしまった…」 酒の誘いに弱い地元刑事からの情報 したたか酔わせ、現場に残された遺留品の“一部”の写真を見せてもらう。 →トイレにたった隙に、写真を上着から抜き出し、こっそり再撮。(遺留品の項を参照) 地元住民からの情報 事件当日、現場付近で思いつめた様子の見知らぬ老人を見かけた 事件当日、現場付近で何か大きなものが水に落ちるような音が聞こえた 老人は崖の近くで、何か書類の束のようなものを焼こうとしていた? 近づくと書類束を慌てて隠したが、「坂本竜馬」という文字が見えた気がする 後からまた崖に行ったところ、靴が揃えられ遺書が置かれていた →警察に通報 酒の誘いに弱い地元刑事からの情報 その2 警察内で証拠品の書類束紛失 →マスコミにリークするという脅しをかける →他言無用と前置きをし、「坂本竜馬」に関するものらしい。内容は一切わからない と。 本件に関する捜査は決して怠慢ではない。現場には「行方不明として捜索すべきか?」という雰囲気もあるが、 とにかく上層部が煮え切らない。 西谷教授の助手 香月氏 西谷教授は幕末史を研究する大学教授で、中でも坂本竜馬が専門。 大学内での研究とは別に、「西谷幕末ゼミ」(市民ゼミ)も主宰している。 大学の研究室から、ある考察資料(教授が特に力を入れていた坂本竜馬に関する最新の研究)が見当たらなくなっている。 香月氏はこの考察の核心部は知らない。
https://w.atwiki.jp/heiseirowa/pages/111.html
『徘徊老人かな?』 [登場人物] 遠藤サヤ、兵藤和尊 ヘビが来るからやめろ、と親に咎められたことがある。 「~~~♪」 覚えたての口笛でミッキーマースマウチをぴゅ~たら吹いたあの夜。 当時小学生だったアタシは、ヘビがなにより怖くて昼ですらもぴゅ~ぴゅ~~吹くのをやめてしまった。 ──もっとも、表玄関に広がるは田んぼ、裏玄関からは山が立ち塞がるド田舎住みだったもので、妙なリアリティがあったんだけども。 「…これでアタシは闘え、と…? ヨーヨーで?」 暗い森…いや、山の中で。 古びたベンチに一人座りながら、アタシはヨーヨーをギュルギュル回していた。 バトル・ロワイアルだかなんだか知らないが、どうやらこの玩具が『支給武器』とのこと。 「スケバン刑事かよッ…」 「……………」 「…殺し合いって割とマジな感じでやると思ってたんだけど…、案外ほたるちゃんクオリティなわけ??」 あのグッダグダでボンクラなオープニングセレモニーらしいっちゃらしい、ポンコツ武器とは言えるけど。 念の為、他の人に会うまで緊張感は解かないようにすべきとアタシは考えた。 「~~~~♪」 …と、思いつつも。 同じく『支給品』であるフエラムネを吹くことはやめられない。 ボンカレーだのオロナミンだのボロボロなポスターが、木造りの塀にビラビラ貼られる昭和の時代から、今でも駄菓子の重鎮として君臨しているこのフエラムネ。 アタシのデイバッグには、そいつが何十パックもぎっしり入っており、あとはおまけの玩具が如く支給武器があるのみだった。 仮に、この殺し合いが『マジ』なやつだったら、アタシは大ハズレ引いちゃってるわけで。 ダークもいいところのお先真っ暗であった。 「~~~♫ …いや、ほんとに真っ暗じゃん…。今いるここも真っ暗過ぎ…」 目の前の崖からは渋谷というメトロポリスの輝かしい光が映える。 ただ、光と影というか…。 アタシの周りは木々で囲まれてめちゃくちゃ暗い。 『とな□のトトロ』で、夜にバス停で待つシーンがあるんだけど。 あれからトトロと雨とネコバスの登場を省いた場所まんまを移してきたのが、今いるここ。つまりは、ホラーだった。 …そいえば、メイとサツキは死んでる…とかゆう怖い話あったなぁ。 「~~♪」 恐怖を紛らわす為に、アタシはひたすらフエラムネを奏で続ける。 ぶーーんぶーん、と時折耳の近くを通過するベース担当がなんとも煩わしい。 カナブンか、カメムシか、…Gかは知らんけど、ただでさえ露出の多い肩とか脚には止まってほしくないものだ。 …あーー、気持ち悪いっ。 とにかく、今はアタシのソロパートなんだ。 お前ら羽虫は邪魔してくんな、と声を大にしてアタシは言いたい。言いくるめたい。 「~~~♪……」 そして、とにかく今いる暗い山が怖くて仕方なかった。 …こっえーー。 こんな時に限って、脳内ではどう森の『うたたねのゆめ』が無限リピートしてくる…。 朝、早く来ねーかなぁ。 今の季節からして日の出は四時くらい、か…。 それまでの耐久となると…、まぁ頑張れなくもない気はするけど。 「………………てか、今何時か分かんなくない…?」 あいにく時計台らしいもんは見当たらないので、これは随分と精神的長丁場になりそうだった。 「…~♪」 夜中に口笛を吹いたらヘビが来る──。 …だなんてのは、さすがに今では迷信だと分かってるし、信じちゃいないが。 調べたところによると、空き巣や泥棒仲間のコミュニケーションの一環で口笛がされるらしく、タブーになるのもそういう理由があるからと知った昨今。 か細い笛の音色が、木々に浸透する夜にて。 後々、アタシはフエラムネを吹いたことを激しく後悔させられることとなる。 ガサッ 「…ブフォッ!! ひっ、ひぎっ!!!?」 少し離れた草むらから、パーカッションが発せられた。 アタシの情けない声とラムネが、ポンと口から飛び出る。 イノシシか、シカか、…参加者か。 どれにしろ、心臓はとんでもない勢い加速して、全身は凍りついたみたいに動けなくなってしまう。 ガサ… ガサッ ガサガサ… ザッ、ザッ、ザ 「…………、ぁ………………。………っ」 ギギギ、と無理やり動かすように、アタシは砂利が踏まれる音の方へ首を向けた。恐る恐るに。 街灯もない山道だ。 目が慣れなくてはっきりと確認できなかったが、人形の影がヨロヨロと徐々に大きくなってくるのが分かる。 そいつは、間違いなくこちらに近づいている…。 もし、そいつが幽霊や妖怪だとしたら。 ──泡を吹いてぶっ倒れるくらい直感的に怖い。アタシはホラーが大の苦手だ。 もし、そいつが人間だとしても。 ──殺される可能性はやっべーから怖い。 二つの未知なる恐怖が螺旋のように絡み合って、恐怖のピークに達する寸前のとき。 そいつは、既にベンチのすぐ近くへと歩き切っていた。 「……ぁ、あ…………。ぁあ…ひっ……………………──」 「──…あ?」 そいつは、持っている杖をピタリと止め立ち尽くす。 いかにも高級そうな気品高い和服を着たそいつは、ボリボリと人差し指で頬を掻く。 シワだらけの年季が入ったその頬。 続いて、鼻の下に伸びる三日月のヒゲは真っ白で、…というか髪の毛も何もかもが白髪染めであった。 ヨボヨボと杖を持つ手を震わすそいつと目が合ったのは、しばらく眺めて十数秒後。 ごわついた声で、なおかつ独特なトーンと間を置きながら、そいつはアタシに向かってニタニタと語りかけるのだった。 「…血沸き………。そして、肉躍る…………、狂宴………!!」 「ワシの細胞を活性化させるような……クズ共の生命の奪い合い……!!」 「ワシはこれが見たかった…。これが……!! 破滅…絶望…死………! これこそが、愉悦となる娯楽、と………!」 「そうは思わぬか………? …小娘……!」 ────悪魔が来りて笛を吹く。 ────『悪魔』を呼び込んだことを、まだ知らなかったアタシはこの時、ボソリと呟くことしかできなかった。 「…徘徊老人かな?」 ◆ 「のぅ…、小娘…………!」 「ワシは、自分のことを『聖人』だと思っている……………!!」 「…え? …あ、何か言った? おじいちゃん」 「カカカ……っ!! 崇高たる『王』という者……。普通は下々の前には姿を現すわけにはいかん………っ。いかんわけじゃが…………っ!!」 「ワシはこうして現れとる……。貴様の眼の前に…!」 「へ? へ? は、はぁッス」 「貴様が今五臓六腑に感じているじゃろう……、ワシの圧倒的優しさ…! このワシを『聖人』と言わずして誰が聖人じゃっ…?!」 「ククク……っ」 「カーカッカッカッ!! クキキ…! カーカッカッカッカッ!!!」 …うわぁ。 こりゃ相当症状進んでんなあジイさん。 ネタで認知症扱いしてたわけだが、もしかしてガチで介抱しなくちゃならないわけか? カツ、カツ…と隣の杖が砂利を蹴る。 今、アタシはじいさんと話しながら、暗い山を降ってる途中だ。 「しかし、まぁ……。小娘、貴様とこうして歩くのも…、また悪くない………!」 「…んまぁー、傍から見たら孫と祖父のお散歩ですからねー」 (──…迷惑老人を連れ戻す家族とも言えるけどなッ!) 「うむ…。価値はないに等しいが…、これもまた僥倖……!」 「……ワシの息子に和也というのがおるんじゃが………。ヤツめ、親の気持ちも分からずして、未だに子供を作らん………っ!」 「とどのつまり、『孫』という幻想を追い求めて彷徨ったら…、貴様と出会った……! 小娘、ワシはそう考えとる…──」 「──のう、小娘よ……!」 …しっかし、 ジイさん口悪いにも程があんだろ。 この全ての人間を軽蔑し見下した態度…。 うちの学校の東大卒の高圧的教師思い出して、カチンと来ちゃいそうだ。 ボケる前は皇族か財閥の長でもやってたんか? 妙に人馴れしてないというか……、小娘小娘ってうっさいつーの! …にしても、このじいさん。 顔を合わせるたびにどっかで見かけたような感じがあるんだがー……。 なんだっけな。 「いやつーか…、小娘呼ばわりやめてくんないですか?」 「……………あ? あ~~~~~~~~っ………?」 「アタシにも一応名前あるんでー…。なんつか、名前呼びのほうが親しみあるじゃないスか?」 うおっ。 じいさん、眉毛の角度がジワジワ上がってってる…! ここまですっげえ露骨に不機嫌な顔するとか有り得ね~~。 と、いうわけでアタシは間髪入れず『自己紹介』を差し込んだ。 「アタシ『遠藤 サヤ』っつーんで」 「続けて読んだらエンドウサヤ~だなんつって…!」 「…………あ…?」 「まぁ遠藤とかで呼んでくれればいいですよ。…『小娘』よりは」 「……エ…、エンドウ……っ」 「あぁそう。そんな感じで。…あっ、うちにはアニキがいるんスけど、そいつの名前は『遠藤 豆』だから、」 「うちら豆兄妹じゃん…! とか…。なんつって…ハハ」 「………………」 「クククッ…………」 「キキキ…! グキキキ……!! カーカカカカカカカ!!! ククク……!! カーカカカカカカカ……ッ!!!!!!」 あっ、じいさんウケた。 人が変わったかのような大爆笑っぷり……。 …おいおい…。 どんだけウケてんだよ…。 「面白い…!! 素晴らしい…!!! カーカカカカカカ…!! ギギ…! カーカカカカカカ!!!」 おいおいやべぇーよ…。大喝采じゃんか…! マジでどんだけ………。 ってか、今のしょーもない小ネタでこんだけウケるって…。 もしかして、アタシ…、笑いの才能が密かにあっちゃったり…? だとかして………?? へへへ…、 へへへへへ…!! 「やはり庶民のジョークはゴミじゃな……!! つまらなさすぎて逆に傑作………!!」 いや死ねよジジイ! 「くふっ…! くふっ…! ……早くワシについてこい! 小娘…!! このグズ…っ! マヌケ…っ!!」 「…………………………………」 ………。 …あー、こいつ早く心筋梗塞とかで死なねーかなあ。 …はぁ、やだなぁ。 本家に住んでるおばあちゃん……。 こんなボケ方だけは絶対にしてほしくないなぁー。 まだまだ現役でいてほしいんだけど、人間って加齢に弱い生き物だし。 あー、来たる未来が恐ろしくて堪らない…。 「…見ろ……っ! 小娘…」 …おばあちゃん、あんなでっかい家に一人暮らしだから、いずれアタシらが面倒見なきゃならないんだけど。 そうなった時…、もしもそうなった時はやっぱり『駄菓子』…だよな。 糖分の積極的摂取はボケの予防に良いって、ナンタラの医学で紹介されてたの見たし。 アタシ自身駄菓子にはあんま興味ないけども、そうとなると、暫くココノツのお世話になっちゃう感じか。 ……ココノツのお父さん…、駄菓子のことになると早口になってめちゃくちゃ苦手なんだけども…。我慢して通いつめる他ならないわけで。 あっ。あと適度なカフェインは長生きの秘訣らしいから、毎朝淹れてあげるのも心掛けるか。 サヤ・ブレンドの特製珈琲~。 取り寄せた厳選豆に、工夫されつくしたお湯の熱さと、香りを寸前まで際立たせるコーヒーカップ。 ほろ苦い薫りを楽しめる遠藤喫茶でしか飲めないあの珈琲を、毎朝手軽に家で飲むことができるなんて…。 そりゃおばあちゃんもきっと喜…、 「見ろといってるじゃろがっ…!! 制裁っ!!」 ────ブンッ! 「うおわっ!!!」 だなんて考えに耽けていたら、ジジイの野郎いきなり杖をアタシに向けてぶん回してきやがった!!! やば!!? 「…クソジジ…、おじいちゃんいきなり何すんのっ?! 危ないでしょうがぁ!!!」 間一髪、仰け反ることで回避したけど…。 当たったら顔に傷物だったんですけどっ?! なに制裁って?!? デンジャラスじーさん過ぎんでしょ?!! …これで常にジジイに意識向けて注意しなくちゃならなくなったし…。 絶体絶命しろや!!てめーー!!! 「チッ……。クズが…っ!」 「あれを見ろと言ってるのが分からんかっ…!! 小娘……っ!!」 あ?! 謝罪の言葉もなしに何いってんの?? …と思いつつジジイの方を見たら、杖を夜景に向けてツンツン指しながらグギギギ…歯ぎしりを鳴らしていた。 「…こ、こいつ……………」 「小娘よ……、あの一番デカいビルがあるじゃろ」 「いやどうでもいいわっ! …とにかくその杖危ないから貸し──、」 「一応説明すると……、あれは『SHIBUTANI SKYA』……!」 「確かに……、確かに…ワシの所有するビルに比べれば、豚小屋同然の……っ!! 小さき建物に過ぎん……! チャラチャラした若屑共が入る………ウドの大木………!!」 「いや話遮るなし!! てかビルがなんなわ──、」 「じゃが、…今は贅沢を言えん……っ」 「ワシはあの高い展望台から、ゴミめらが潰し合う様を眺めたい……。安全な場所から…、外界を見渡したい……っ!!」 「…聞いてねぇーーしぃ~~~~…!!」 …。 ん? つかジジイ何を言いたいわけなんだ…?こりゃ。 シブヤスカイどうたら~って……、要するにあのすっげー遠くで、一番存在感を出してるビルのことなんだろけど。 …それがどうしたって…? こっから歩いたとして一、二時間じゃ到底着かないような場所に立っているんだけども…。 それに、今仮にも殺し合い中で不要な出歩きは控えたい場面なんだけども……。 それを踏まえた上でさ………。 どうしたいって…? 「ただ、年寄りには無理のある距離であることは事実………。これだけ歩いたら……、いわしかねん………! 腰を……!」 …だから、どうしたい、と…? 「じゃから…」 だから…? 「小娘、ワシをおぶさって連れて行け……っ!! 言うなれば人間競馬………っ、」 「…これぞまさしく、『ウマ娘』………っ!!!」 「……………」 「…ククク……っ。キキキ……!」 「あは、はは…」 「キキキッ…?」 「はっ、ははは…?」 「カーッカカカカカカカカ!!! グキキ…ッ! カカーカカカカカカカカカカ!!!!」 「はは…! あーはははははははは!!! おじいちゃんってば…! あははははは!! はは、は…」 「ふっざけんなよクソジジイ──────ッ!!! 図に乗るのも大概にしろオオォーー!!! バカにするのも程があんだろオ!!!! やんねぇーーよ!!! 死ね────!!!」 「あ? あぁあ?!? あぁーーー??!」 冗談じゃねーこと言いやがったなァ!!このジジイが!!! さっきから黙ってりゃ何様だっつーの!! 一人は怖いから、って理由で黙ってついてきたけど…、アタシはお前のお守りロボットじゃねぇーーよ!!! 「がっ……?! ど、どこに行く……!! 戻れっ、小娘………!!」 「もうっ! 限界だしっ!! 戻れってアタシゃピカ□ュウじゃないわ!!」 「なんじゃと?! ヒカシュー……?? ……制裁!! 制裁ーっ…!! 乗れ!! …焼き土下座…!! こっちに戻れ!!」 あーあー! 『制裁』大好きっ子だなおいっ!! どんだけ傲慢なジジイなんだよ。ったく…! もはやこれはジジイとアタシを引き合わせたゴミ主催者にも責任があるわっ…!(…いやそいつは元から元凶だけど…) とにかくさっさと一人で下山して、警察呼んでもう終わらせるわ。 ワガママなだけならともかく、傲慢で人間を馬鹿にしきったその目、あと特にやばすぎる暴力衝動…! ちょっと意に沿わないぐらいで簡単に杖突いてくるとか付き合いきれんわ!! こんなジジイに耐えられるわけないっつーの!! 「おいっ…!! 小娘……」 うるせー! 一人で山ん中埋まってろ!ボケジジイー!! …こんな酷い人間性のヤツ生で見るの初めてだわ。 テレビやニュース記事ではこういう腐った奴は見かけるけど、ここまで癪に障る老人ってのは唯一無二ってくらい…。 例えるなら、ワ□ミとか電□とか。 そういうブラックなやつらと同じような不快性の毒物だわ。 あとは、経営者でいったら帝愛とか、そいつらみたいな傲慢で最低な…………、 ……。 『帝愛』………とか…………………? 「…わっ」 ボスッ、と足元に何かが落ちた。 突拍子もなく、急に。 ただ、誰がそれを投げつけたかは理解できる。…背後のジジイだろう。 サンダルの爪先に放り投げられ落ちた、その『何か』。 そいつが持つパワーは、アタシの歩を止めるのに十分すぎる力があった。 「…チッ、ゴミめが………」 「そいつをやるからさっさと戻ってこんかい…っ!! このアホが……!」 アタシが拾い上げたその何かは──百万円の札束。 諭吉の金太郎飴がズラーーーッと並び尽くす。 正直、めちゃくちゃ悔しかった。 「ったく……。これじゃまるでお年玉だわいっ………。カスめ……っ!」 今、思い出した。 コイツ悪名高い帝愛のトップ看板じゃん、と。 ネットでは有名なブラック会社だからアタシも知っている。 名前は確か……、『兵藤和尊』…。 クソジジイの名はそれだ。 大企業の頂点に君臨する富豪だから、百万など本当にポケットマネーなんだろう。 悔しいし、イライラでいっぱいだった。 ──だがしかし、ここは資本主義国家だった。 「おじいちゃ~ん! さっきはゴメ~ン!! あそこまででいいんでしょ? ならさっさと行こっか!! ねえ~~! おじいちゃん」 「フン…、早く来い……!」 あぁ、悪ぃかよバッキャロー。 世の中金だよ! 金が全て!! ◆ コクリ、コクリ…と涎を垂らし眠りこけるジジイに殺意を抱きながらアタシは草木を踏み続ける。 「はぁ…はぁあ………、はぁ……」 「チィッ…、まだ………まだなの…………」 子泣きじじいめ。 思いっきり夢の中だろうに、手足だけはガッチリとアタシにホールドしたままだから体力的にめちゃくちゃキツイ……。 「ぐうっ……。はぁ、はぁあ…………はぁ……」 なんで…。 何でアタシがこんな目に遭ってんだよ…。 よくよく考えれば戦闘向きでもなく人も殺したこともない。 そもそも体力すら人並みではないというアタシが……。 何故こんな殺人ゲームで、しかも無駄な運動をさせられているんだ………。 「んぐっ……、きっつぅ………。はぁ……はぁはぁ、はぁ……………」 汗が目に染みて、いってぇ…。 どうせぶち込むなら…、ココノツとかアニキみたいな男にやらせりゃいいのに……。 「……いや、冗談でも……。はぁ、…そんなコト考えちゃ…だめだよね……」 特にココノツは、ちょっぴりエロス走ってるけど、優しくて体が強くて、芯があって。 駄菓子のことになると、夢中になって歴史なり食べ方なりを教えてくれてさ。 顔はイケメンの部類ではないんだろうけども、あいつとベンチで座って食べる麩菓子が。 麩菓子の先の部分の特に甘みある部分が、夏の夕暮れ時にはなんだか甘酸っぱくて。 あの味がすごく好きだったから、軽い冗談でもそんなこと思っちゃいけないや。 …アタシは。絶対に。 「どうせぶち込むならアニキにやらせりゃいいのに………はぁ、はぁ……」 熱さでフエラムネはベッタべタになってるであろう中、闇夜の蛇道をひたすら下り続ける。 そんな十五歳の夜の話。 【1日目/D7/渋谷山/AM.00 41】 【遠藤サヤ@だがしかし】 【状態】疲労(重) 【装備】あやみのヨーヨー@古見さん 【道具】フエラムネ10個入x50、100万円札 【思考】基本:【静観】 1:金のため兵藤さま(クソジジイ)にご奉仕 2:SHIBUTANI SKYAを目指す 3:クソジジイには死んでほしいと思ってる 【兵藤和尊@中間管理録トネガワ】 【状態】熟睡 【装備】杖 【道具】???、懐にはウォンだのドルだのユーロだの山ほど 【思考】基本:【観戦】 1:展望台の頂上から愚民共の潰し合いを眺める 2:小娘(サヤ)を道具として利用 ※この小説はフィクションです。実在の場所や場所、場所などとは関係ありません。 前回 キャラ 次回 021:『死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくないバトロワ』 022:『夢で逢えたなら…』 サヤ 兵藤
https://w.atwiki.jp/legends/pages/5173.html
18 迷い子 ☞ この話は 「罪深い赤薔薇の花子さんとかの人 ◆7JHcQOyXBMim」さんの連載「次世代の子供達」、 死毒より未来生きる者へ の早渡視点となる。 俺達が東区の診療所に着いたのは 丁度外来受付終了の札が下げられようとしたときだった 「直斗、どうし……ああ、星夜は診察か?」 「や、灰人。こんばんは」 「おぅ、『いつも通り』のだ」 札を下げようとしていたのは俺達と歳の近そうな人だった どうやら花束野郎と知り合いらしく、診療所の扉を開けながら応じた 視線が合った 一応会釈をする 向こうはこっちを警戒していた 「そっちは?」 「『先生』に聞きたいことがあるって言うから、案内してきた相手」 まぁ、ここならなんとかなるか 彼からそんな呟きが聞こえた、気がする もうどうにでもなれ 折角ここまで来たんだから話を聞いて帰る積りだ 彼の警戒を意識的に無視して診療所の中へと入った 「『先生』、診察」 札の人がカーテンに仕切られた部屋の向こうへと声を掛ける 直前、カーテンの向こうから何か喋っているのが聞こえた あれは診察室で奥に居るのが「先生」なのか 「先生」は札の人を「我が助手」と呼んでいるようだった 俺達と歳は近そうだがこの診療所で働いているんだろうか 助手さんの声に部屋の向こうから「先生」が顔を出してきた 白い髪の、思いの外若そうな人だった この人が「先生」か 「あぁ、君か、星の少年。『残留思念』を使ったあとの不調かい?」 「不調は出てないが、『三年前』の事件があった場所で能力を使ったから、念の為だ」 「おや、『また』かい? ……まぁいい。おいで。さて、あとの2人は付き添いかな?」 栗井戸君と話した後、「先生」はこちらに話を振ってくる 「半分はその通り、もう半分は、こいつが『先生』に聞きたい話があるって言うから、連れてきたんだ」 「ふむ。そちらの確か顔を合わせたことがないはずの少年が、かね?」 花束野郎が答え、「先生」は俺を眺めながら尋ねる 俺も「先生」の顔は初めて見た。絶対に初対面だ 「こちらの少年の診察が終わってからで良ければ、聞きたいことがあるなら答えるよ 隣の部屋で待っているといい。そっちならお茶もあるから」 「はい、わかりました」 「先生」の厚意に頭を下げた 花束野郎が俺を手招きした 待合室の隣の部屋だ なるほど、花束野郎の勝手知った場所ってわけか 「こっちの部屋、みんなで遊ぶ時に使わせてもらってたりするから」 「診療所への用事じゃないのか」 野郎の言葉に思わず突っ込んだ 診療所に遊びに、って良いのかそれは 「そちらの部屋は普段は使っておらんしね。有効活用してもらえるなら、それで良いさ」 「『先生』もこう言ってるし、問題ないよ」 「先生」も野郎もそんな風に答える 果たしていいのだろうか? 部屋の中へ入った花束野郎は手慣れたようにお茶の準備を始める 休憩室のような場所なのか、ここは 「随分、若い先生なんだな……」 花束野郎に対し、「先生」に対する率直な感想を口にした 「あの白衣を見た目通りの年齢だと思わない方がいいぞ」 俺にそう返したのは、俺の後ろに居た助手さんだ 何だ、見た目通りの年齢では無い、ということか? あれで実際はかなり歳が行ってるとかなのだろうか 「直斗、帰る時は同行していくからな。また、学校町の物騒度があがってきているから」 「えー、別に俺一人でも平気だけど……まぁ、星夜もいるんだし、わかった」 野郎と助手さんのやり取りを漫然と耳にしながら部屋を見回す 助手さんは部屋に入ったかと思えば、荷物を取ってくると言ってすぐに出て行った 立っているのもなんだし、座るか 花束野郎の方は完全にくつろいでいる 「そうだ。スマホのメールでもTwitterでもLINEでもいいから、アドレス交換しよう」 「えっ?」 「連絡先、わかってた方がいいだろ? 後々わかった追加情報とか教えやすいだろ 連絡手段は鳩だ、とか言われたら流石に住所教えるのはアレだけど」 「安心してくれ、鳩はない」 「うん、それは良かった」 どうやら俺と連絡先の交換がしたいらしい ほう、俺相手にナンパとはいい度胸だなこの野郎 真面目に振り返ると、正直今でもこいつに関しては半信半疑だ さっきは面倒臭い事態になるのは御免なので情報を教えると話していたが 実際はどうなんだろうな ただまあ、こいつのお陰で「狐」関係の件も進んだ、気がする 「ありがとな、色々教えてくれて」 「別に。どうってことないよ」 相変わらずのニコニコ顔で野郎はそう答えた 次いで俺は右手に納まっていたあの紙切れを渡す 「あと、これ。東ちゃんが君にあげるってさ」 「ん、どうも。これは電話番号か?」 「かもな」 さて、次は俺の番だな 携帯を出して野郎とのアドレス交換に応じる 最近の携帯は凄いようで、互いにかざすだけでやり取りが出来るらしい あ、待て。商業でも新学期の頃に思ったが、これ危なくないか 互いの携帯が近い距離で一番大事な個人情報をやり取りだ 一番大事な物がこんな近い距離で、だぞ? 危なくないか? 野郎は既に携帯を取り出して、俺のに向かってかざしていた 「あっ、ちょっ、まっ!!」 「え?」 遅かった。データは一瞬にしてやり取りされた こいつの大事なのが俺の中に流れ込み 俺の大事なのがコイツの中へ入っていく なんて変態的なんだ! なんでこいつこんな平気な顔してられるんだ!? 「なんかひわいだ! こういうのなれない!!」 よりによって花束野郎とこんなことをやるだなんて! 俺はこいつに犯されたのか? それとも俺がこいつを犯ってしまったのか!? それが問題なんじゃない! どっちにしても大問題だ! 「すごいひわい! えろい! このへんたい!!」 なんて奴だ!! なんでこいつはニコニコしてられるんだ!? こいつはアレか!? 真正の変態で俗に言うドSなのか!? 望んでも無いのに体がびくびくしてしまう そしてそれを止められない! なんてこった! 俺はどっちかというと女の子とこういうのやりたかったよ!! 乱れた呼吸を抑えながら、震える手で携帯の画面を確認した 「花房直斗」。それが野郎の名前らしい 「何これ、『青い歯』?」 悪いが俺は自分のことで精一杯だ! そっちは自分で何とかしてくれ、花束野郎、もとい花房君! 「えーと、さわたり、しゅーじゅ、でいいのか? 面白い名前だな」 「診察終わっ……なんでそいつ、気持ち悪い動きしてんだ」 声の方に首を捻った。栗井戸君だった 「面白いやつだからいいじゃん。……星夜、診察結果、どうだった?」 「今回は特に問題なし。様子見で一週間は『再現』はするなっつわれたが」 「診察が終わった、って事は『先生』に話を聞いてきて大丈夫か」 ようやく交換ショックから心身回復しそうだ。俺はどうにか立ち上がった 「話聞くんだったら、さっさと行っとけ。向こうは夕食まだだっつってたから」 「いやその前にやることがある。栗井戸君、携帯を出せ」 「は?」 栗井戸君、悪いが君に拒否権は無いぞ 俺がさっき花束野郎にされたのと同じ気分を味わってもらう 「さあ、携帯を出すんだ! ぷりーづ!!」 携帯を持つ手を掴み、半ば強引に俺の携帯を近づける 無慈悲にも、データのやり取りは一瞬だった 「ひひぃぃいンっ!! おれはまけないっ!! このひわいさにっ!!」 「お前『先生』に質問する前に、先ず頭を診てもらえ」 体が勝手にびくびくするのが抑えられない! まるで汚物を見るかのような栗井戸君の視線が突き刺さる でももう何も怖くないぞ。嘘、やっぱ怖い。栗井戸君、目が怖い そうか、「先生」は俺の頭も診てくれるのか。なら安心だな 「わかった」 それだけ返事をして、俺は診療室に向かった 「おい、何だこれは。データが文字化けしてるが」 背後から何か聞こえたが、とりあえず無視した 「さて、ホモの少年よ」 「タイムッ!!」 診察室に入った俺に椅子を勧めた「先生」は 俺が腰掛けた直後にそう呼んだもんだから、思わず止めに入った 何だって? ホモの少年? 「俺、ホモじゃないです」 はっきり主張しておくが俺は女の子が好きだ そして今は強くそのように主張すべきだろう 絶対に、断固として、だ 「そうかね? うむ、了解した。星の少年が、君のことをそう表現していたので、そうなのかな? と思っておった」 「風評被害です。違います。女の子の方が好きです」 「OK、実に安心した。尻の心配をせずに君と会話できそうだ」 星の少年とは栗井戸君のことか どうやら栗井戸君は俺に気があるらしいな あンにゃろう覚えとけよ、中学生だからって一つ違いなだけだし容赦は無しだからな 「さて、改めて。私に訊きたいことがあるそうだね?」 そうだ 俺がここへ来た理由だ 先程から色々あったが、忘れたわけでは無い いよいよ質問だ とはいえ、いきなり切り出していいのか、迷う そもそも花束野郎は「聞きたい話がある」というアバウトな伝え方しかしてなかった この話をいきなり振っていいのか? しかも、この話題は「先生」にとってもかなりナイーブな部分じゃないのか? 迷っている時間は無い 切り出すしかない 「『狐』についてです。『先生』は以前、『狐』からの誘惑を受けて、しかしそれを解除されたと聞いています」 「その件絡みかい? そうなると、20年近く前の話になるよ。あまり参考にならんかもしれん」 「構いません。話してくださいますか?」 「参考になるかならないか、微妙な意見でも良ければね」 単刀直入に話してみると、「先生」は笑顔で応じてくれた 正直、少しほっとした。どうやら答えてくれるらしい 「それじゃあまずは 『狐』に誘惑されたとき、どんな感覚になるんですか?」 「感覚、か。強烈な惚れ薬と麻薬を与えられた感じ、かな 『狐』がこの世で絶対的に正しい存在であると感じ、彼女の為に生命をかけてでも尽くしたくなる それ以外、考えられなくなる。……どの程度強い誘惑を受けたか、にもよるが。そんな感じかな」 なるほど 俺は「先生」の言葉に頷く 「先生」の話した誘惑の感覚は、典型的な魅了の症状だった ここに来る前に花束野郎もとい花房君が 「先生の表現は分かりにくい」と話していたが、この感じなら大丈夫そうだ 「なるほど。続けますね 先程も言いましたが、『先生』は『狐』に誘惑されて解除された成功例の1人だと言う事ですが どうやって解除されたのですか?」 「解除法か。参考にならんだろうが『狐』自ら、誘惑を解除してきたのだよ」 「『狐』が自ら?」 思わず発した俺の言葉を、「先生」はその通り、と肯定した 「狐」が自発的に魅了を解除した? 何故? 「何故、『狐』が自ら、わざわざかけた誘惑を解除したのか まぁ恐らく、誘惑をかけられた当初の私は絶賛発狂中であった故 誘惑された直後に「狐」を毒殺しようとしたからだろうね」 「毒殺」 「うん、毒殺」 道中、栗井戸君は「先生」がナチュラルに狂ってる的な話をしていたが 「先生」が茶目っ気で話を誇張していないのなら、かつて本当に発狂していたらしい 「発狂当時の記憶こそあれ、当時抱いていた感情に関する記憶は曖昧故に 今の私には当時の私の思考パターンをはっきりと理解しきれんのだが 推測するに『この世界で生き続けてもそれは彼女にとって不幸でしかない ならば、彼女のために彼女を殺そう』と考えたのではないかね」 ほぼ推測で申し訳ないが、そう「先生」は付け加えて微笑んでいる 整理するか 「先生」は当時発狂しており、その最中に「狐」と遭遇した そして「狐」の魅了を受けた「先生」は「狐」の為に彼女を毒殺しようとした こんな世界で生きていくのは不幸だし、可哀想だから殺してあげるね そういう理由で「先生」は「狐」を殺そうとしたのか 「狐」からすればたまったものでは無いだろう そんな所だろうか 今はそういう感じで理解しておこう 「わかりました。次の質問、は、『狐』に誘惑されていた時の事を覚えているかどうか、なんですけど 先程答えていた事から考えると」 「あぁ、覚えているね。誘惑の強度による違いや個人差がある可能性はあるが、少なくとも、私は100%覚えている その瞬間に抱いた感情に関して曖昧な部分があるのは、私が発狂状態から正気に戻る際に 首から上を綺麗にぶっ飛ばされせい故誘惑されていた事は全く関係ないし」 今 今、「先生」は、何と言った? 首から上をぶっ飛ばされて? 多分、婉曲表現だろう 花房君もそんなことを話してただろう 表現が遠回りで分かりにくい、と だが 俺は「先生」の顔を見上げた 相変わらず「先生」はにこやかな顔で俺を見返している でも、「先生」は生きている 多分この人は、強い人だ そして、知っているんだ 「少なくとも、『先生』はしっかり覚えている、と それじゃあ、次の質問なんですが。『狐』の能力……、魅了の力への対処法が知りたいんです」 「対処法。すなわち、魅了により誘惑されない方法が知りたい、といったところかな?」 答える「先生」の表情は穏やかだった 「なるべく『狐』と接触しないこと、触れ合わないこと、視線を合わさないこと、言葉を聞かないこと 基本はそこだね。『狐』の魅了は視覚聴覚触覚、ありとあらゆる感覚に働きかけてくるものだから ぶっちゃけた話、遭遇しないに限る」 まあ、そりゃそうだ 正直、「狐」みたいなやばい存在には関わらないに限る それに尽きる話なんだ、本来なら 「遭遇してしまった場合に備える、としたら ――『大切な存在』を作っておきなさい」 「大切な存在?」 「そう、誰よりも大切な、大切な存在 絶対に、他の何者もがその座に収まるなど許されない。それほどに大切な存在 たとえ、無意識下に思う相手でもいい。それがあれば、魅了に耐えられることもあるそうだよ 『通り悪魔』の御仁等は、それによって魅了に抵抗したね」 やや「先生」の表情が陰った いや、何か憐れんでいるような表情だ 「あの御仁の場合、誘惑されないのは、『狐』に対する激しい怒りがあるからかもしれんね それを思えば、『狐』に対する怒りや憎悪が一定以上ある場合も、魅了されずにすむのかもしれん ――何分、データが少なくてね。断言できる段階ではない」 『通り悪魔』の御仁、とは その言葉を聞いて思い浮かんだのは「ホオズキさん」の名前だ しかしそれは、大分前に噂で聞いた程度の話だ そういえば中学校でも花房君がホオズキさんの名前を出してたな まさか「先生」もホオズキさんと知り合いなのか そりゃ有名人っぽいからな いや、でもそれは今訊く話じゃない 「狐」と行き遭ってしまったとき 大切な存在が、心を助けてくれるかもしれない、か 大切な存在、か 居るのか、俺に 俺なんかに 多分、もう居ない 空七はもう往ってしまった 死んだ、とかそういう話じゃない 七尾が焼けたあの夜、あの時点で、もうアイツとは終わった そもそも俺は 言うほどアイツのことが好きだったのか 今でもよく分かっちゃいない その程度の話だ それだけの話なんだ 吹っ切るべきは俺の方だ 「あの、『先生』は『三年前』の時点で、もう学校町にいたんですよね?」 「あぁ、そうだよ」 顔を、上げた これも「先生」に訊いておいた方が良いかもしれない 「先生」なら、多分、何かを知っているのかもしれない 機会は今しか無い 「それなら 『三年前』、『狐』が一度、学校町から離脱した後の話なんですが 別の町で『狐』の手勢の内、恐らく別動隊が、何者かに魅了を上書きされて その結果、別動隊の多くが何者かの命令の所為で自害したそうです ――この出来事について何かご存知ですか?」 先生はふむ、と思案しているようだった 「ん、んー すまんな。その話は、私は把握していないね 少なくとも『薔薇十字団』はつかんでいない情報だ」 ややあって「先生」はそう答える 駄目、だったか 「そう、ですか その。そんな事、って可能なんでしょうか?」 「狐の魅了を上書き、の件についてかな?」 「先生」の問いに俺は頷いた 「理論上は十二分にありえることだ」 やはりというか、即答だった 「そもそも、魅了系に限らず精神に影響を与える能力というやつは 同じく精神に影響を与える能力によって上書きが可能なんだ。支配系能力に関しても同じだね 例えば、『はないちもんめ』による支配を、『スパニッシュフライ』による魅了で上書きするようにね」 「魅了に限らず精神に影響を与えたり他人を支配するような能力を持った者なら可能、と言うことですね」 「その通り もっとも、その能力の使い手の力量が『狐』より上でなければ難しいけれどね 魅了能力によって対抗し支配権を奪うのならば、なおさらだ 別の精神系・支配系能力であれば、魅了で対抗するよりは楽であろうが。それでも難しいと思うよ」 俺の確認を「先生」は肯定した つまりはそういうことらしい 「狐」の魅了を上書きする能力があり 実際に上書きした実例があるなど、悪夢のような話だ 考えたくはない。だが、これは確かに俺が耳にした話だった 「世界は、『毒』でできている」 「先生」の声で意識が引き戻された 顔を上げる 「先生」は先程と変わらず、穏やかな表情のままだった 「世界は毒に満ちており、人は毒によって生き、毒によって殺される 人は毒がなければ生きられず、人は毒があるからこそ死んでいく 世界とはそのようにできている。故に、人は毒を理解しなければ生き続けられない」 俺に語る「先生」の声は どこまでも穏やかだった 俺に語っているのでは無いのかもしれない 彼は、まるで心中を吐露するかのように言葉を続けた 「思い込みとは猛毒である。無知とは猛毒である しかして、全てを知ったとして毒に殺されぬ訳ではない 逆に、全てを知ったが故に『絶望』と言う名の致死量の猛毒によって殺される事もまたある」 「先生」の話を聞いて、思い出した この世には毒性学(トキシコロジー)という学問があるらしい その世界では、「この世のありとあらゆる物を毒として定義する」 だから、人は毒無くしては生きていくことができない。そういう話だった 「先生」が言いたいのはそういうことでは無いのだと思う 俺は先生の目を見詰めた 「知りなさい。たくさん、たくさん。君にとって必要な事を 『自分にとって都合のいい真実』ではなく『真なる真実』を見つけてごらん その真実が君にとって絶望だったとして、その絶望という猛毒に負けないくらいの『希望』と言う猛毒を見つけてごらん そうすれば、大概のことは、きっと大丈夫さ」 彼の声は、どこまでも穏やかで それでいて、優しかった 耳に痛い話だった 俺にとっては、特に 息を吸う 「先生」のような人と早く出会っていれば 俺は、俺達は、道を誤ることは無かったんじゃないか いや、違う 俺は 今はもう 何も 「あの」 思わず声を発していた 「あの、ありがとうございます」 今の俺には重過ぎる言葉だ 正直、受け入れられるか自信が無い 「先生」の目を見る その眼差しはどこか、温かった 「先生」にお礼を伝え、俺と「先生」は診療室を出た とうに日は暮れて、外は暗くなっているだろう 休憩室を覗くと既に誰も居なかった あいつら、先に帰ったわけか 花房君、もとい花野郎が連絡先の交換を提案したのは 先に帰る積りだったからなのか そう言えば、助手さんも花野郎に帰りがどうのと話していた筈だ あの連中、俺を警戒してた割に俺だけ残して先に帰るとはな 何というか納得がいかん 少々複雑な思いに駆られる 「さて、変態の少年」 「タイムッ!!」 「先生」が出し抜けに声を掛けてくる 思わず突っ込まずにはいられなかった 「先生」、何言ってんですか!? さっきの余韻が台無しだよ!! 思わず「先生」を睨む 診療所に来る前に聞いた話では この人も中々性癖が捻じ曲がってるらしいじゃないか 正直、初対面で無ければ色々話を聞き出したいくらいだ 「まあ、自分がちょっとアレって自覚はありますけども」 「うむ」 「先生」はにこやかなまま相槌を打った 「もう時間も遅い。君もそろそろ帰りたまえ 最近はこの町も平時より物騒になってきておるからね」 「そうします。今日は本当にありがとうございます いきなりだったのにここまで答えて下さって」 頭を下げると「先生」は片手を向けて制した 「それとこれを渡しておこう」 そんなことを告げながら、「先生」はメモ用紙を差し出した 電話番号が書き込まれていた 「何かあったら、いつでも連絡しなさい」 「あ……、あの、ありがとうございます!」 「先生」は笑いながらひらひらと手を振る 「端末で連絡先を交換、となると、君の心身には障りがあるようであるからね」 ぬっ そうか、つまり 「先生」にも休憩室でのやり取りを把握されてたわけか それもばっちりと ぐぬぬ □□■ 神は以色列に向ひ心の清き者に對ひて真に惠有り 然れど我は我が足躓くばかり我が歩滑るばかりにて在りき 此は我惡き者の榮ゆるを見てその誇れる者を嫉みしに依る 彼等は死るに苦しみ無くその力は反りて堅し 彼等は人の如くに憂に在らず人の如く艱難に遭ふ事無し 此の故に傲慢は裝飾の如く其の頸に巡り強暴は衣の如く彼等を覆へり 彼等肥太り其の眼飛び出で心の慾に勝りて物を賣るなり 又嘲笑を為し惡を以て暴虐の言葉を出だし高ぶりて物言う 其の口を天に置きその舌を地に普く往しむ 此の故に彼の民は此処に翻り水の滿ちたる杯を搾り出して 曰く 神如何で知り給はんや至上者に知識あらんやと 視よ彼等は惡き者なるに常に安かにしてその富しく加れり 誠に我は徒に心を清め罪を犯さずして手を洒ひたり 其は我終日悩みに遭ひ朝ごとに責を受けしなり 我若し斯る事を述んと謂しならば我汝が子輩の代を誤せしならん 我此等の道理を知らんとして思ひ巡ししに我が眼甚く痛たり 我神の聖處に往て彼等の結局を深く思へる迄は然りき (詩篇 73 1-17) 前ページ / 表紙へ / 次ページ