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わたしは影、真なるわたし…… 死線のフランXIII 種族:吸血鬼 年齢:496歳(外見年齢、17歳) 身長:166cm ご存じ悪魔の妹、フランドールが成長した姿。 美咲?とスポ根な特訓をしているうちに破壊の力を自覚し、自分の意志で制御できるようになった。それに合わせて体の成長が起きたのではないか……とはパチュリーの弁。(レミリアは能力が特異すぎて自覚できないため、永遠に幼い姿) 不安定だった精神は軸の定まったものに成長し、むやみに物を壊すことはしなくなった。ワガママも可愛いものになり、姉よりも数段接しやすいレディと評判である。本当は快活なスポーツ少女なのだが、美咲が去ってからは時折どこか寂しそうな雰囲気を漂わせている。 今までの衣装から一新して、黒くのっぺりとしたロングコートに身を包み、白い仮面を着けている。 宝石のような羽は、能力の覚醒に従って八つの棺桶に変化している。 レーヴァテインと名付けられた細身の赤剣(美咲作)を腰に帯びている。 お姉ちゃん、というのは美咲のこと。レミリアのことはお姉様と呼ぶ。 ステータス 体:21 攻:39 防:27 速:13 体:13 攻:36 防:30 速:21 セリフ 攻撃:わたしは影、真なるわたし…… 回避:その怯みは命取りだよ 防御:わたしは避けられない。だから避けない 会心:見えるよ……あなたの【死】が 勝利:わたしは逃げないよ……お姉ちゃん 敗北:滅びは救いにならない……そうだよね、お姉ちゃん…… 逃走:……また来るよ 。
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どのキャラでも言えることだが、ガイルに対して安易に飛びこむのは厳禁。制限時間をフルに使う気持でゆっくりと詰めていこう。 (遠距離) 相手のソニックは垂直ジャンプでかわしたり、空ジャンプや波動拳で相殺して少しずつ前に出る。 ここでめんどくさがって無理にジャンプや前ステで詰めようとすると、EXソニックや空中投げ等で対処される。とにかくあせらずにゆっくりと詰め寄ろう。 (中距離) ガイルの得意な間合。ソニックや通常技各種で追い払われやすい。 ここまで詰められたら差し込み中足→咲桜や、大足、ソニック一点読みのEX春風→大足でどうにかしてダウンを奪いたい。 (近距離) うまくダウンを奪うことができたらここでどれだけダメージを稼げるかが勝負。 めくり、すかし下段からEX春風→大足まで繋げて、起き攻めをループさせていこう。 ガイルは本体のくらい判定が横に薄いので、起き攻めを仕掛ける際は攻撃がすからないように気をつけよう。またガイルの頭上付近でジャンプ大kを出せばめくることが可能。タイミングはシビアだが、相手はかなり見切りにくいはずだ。 (ガイル戦総括) とにかくダメージを受けないようにどれだけ接近できるかが肝。 うまくダウンさせることができたらリバーサルを恐れずに強気に仕掛けよう。 また、体力がリードしているならば無理に詰める必要はない。ソニックを波動拳で相殺しつつ相手に攻めさせよう。
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個別記事のある一般逃走者一覧です。 名前の横の☆(白抜き星)は逃走成功、★(黒星)は自首成功を表します。 ※1 1人で複数キャラクターを所持している場合は、最も活躍している逃走者のツリーに他のキャラを掲載しています ※2「この人を追加して欲しい」と言ったような要望は受け付けておりません 東方Projectのキャラクターはこちら 東方組 プレイヤーデータ【紅~風】 東方組 プレイヤーデータ【地~】 東方組 プレイヤーデータ【黄フ・書・音】 アルファベット mr.ジェイ(一般逃走者)★ あ行 アオイララ(一般逃走者)★ 天月束(一般逃走者) いっし(一般逃走者)☆ か行 風上ユーリ(一般逃走者)☆☆ かつどん(一般逃走者)★ 神谷青藍(一般逃走者)☆ 城戸影幸(一般逃走者) 京極蓮斗(一般逃走者)★ 京野涼太(一般逃走者) 言眠るい(一般逃走者) さ行 桜咲桜騎(一般逃走者) 桜ノ宮一葉(一般逃走者)☆☆☆ さざなみ(一般逃走者)☆ ササー(一般逃走者) 白峯(一般逃走者)☆ シノ(一般逃走者) 自由なレイン(一般逃走者) 新月渡(一般逃走者)☆☆ スリーケー(一般逃走者)☆ せりな(一般逃走者)★ た行 高咲奏(一般逃走者)☆ てぃー(一般逃走者)☆ ティス(一般逃走者)☆★★ な行 ナイトメア(一般逃走者) 謎ノRIDER(一般逃走者)★ なとりむ(一般逃走者)★ 七海(一般逃走者) 並木良介(一般逃走者)☆★ は行 ぽっぽ(一般逃走者)☆☆ ま行 ミシュ・ソリス(一般逃走者) や・ら・わ行 八雲ソルト(一般逃走者)☆ ゆっくりポパイ(一般逃走者)☆ 夜桜琉夏(一般逃走者) ワールド(一般逃走者)空井狗鳥(一般逃走者)☆☆
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難民キャンプの様子とネコリスファミリー E116宰相府からACE部隊出撃 No.19342 6/9:絶滅部隊リーダー瀬戸口、広島に向かう No.19330 6/12:トラナ・ファンタジア・秋津 No.19443 6/12:霧賀小助は出撃準備中 No.19332 6/15:ののみ行方不明 No.19443 6/15:霧賀小助はシープホーンと戦闘中、ロボが助けに入る。 No.19379 6/16:芝村英吏は生死判定中、結果はEV113次第。 No.19380 6/16:カールはテスト機を検分中 No.19383 6/16: アプロー・鍋山と夫の人は生死判定中、I=Dに追い掛け回されている。 No.19387 6/16:八重咲桜子 No.19390 6/16:白馬はアプローを照準に入れた。 No.19396 6/16:日向玄ノ丈・月子 No.19401 6/16:PLACE No.19933 6/16:PLACE No.19424 6/17:大阪の処刑準備 No.19443 6/17:霧賀家は平穏 No.19426 6/17:ののみを捜索成功 No.19586 6/17:ののみ太った男と移動中、身柄は確保はまだ。 No.19434 6/17:亜細亜がFEGで死に掛ける。 No.19463 6/17:久珂家の人々病院にお見舞いに行く。 No.19509 6/17:亜細亜のために戦って秋津入院、トラナは見舞い。ファンタジアは行方不明。 No.19540 6/19:絶滅部隊の瀬戸口行方不明 No.19586 6/20:中村に助けられ瀬戸口無事帰還。一緒にののみも戻る。 No.19797 6/26:PLACE No.19805 6/27:久珂晋太郎 No.19801 6/27:石塚弘史 No.19800 6/27:神楽坂風住
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その直後、界刺の携帯が鳴り響く。 界刺は、携帯の画面に表示されている電話主を確認し、一息を吐いた後に電話に出る。 「もしもし」 「界刺さん!!今何処にいるんですか!!」 電話主は一厘であった。彼女は大声で界刺に問い掛ける。その声には焦りの色が十二分に含まれていた。 「何処って、公園だよ。この前、君とWデートした時のさ」 「な、何でそんな所に・・・」 「いやね、あのお嬢さんと待ち合わせしていたんだよ。この前貸した俺の服を返してもらうために」 「は、春咲先輩はそこにいるんですか!?」 一厘は一縷の希望を持って界刺に春咲が傍にいるか確認する。だが、 「いんや、いない。どうやら、風紀委員だったことが過激派の救済委員達にバレて、しかもとっ捕まったようだ。さっきメールで連絡が来たよ」 「えっ・・・?」 界刺のあっけらかんとした発言に言葉を失う一厘。 「え~と、なになに。『今から裏切り者の安田改め春咲桜を“制裁”しま~す!何と、彼女は風紀委員だったのです! この裏切りも同然な彼女に私達過激派は断固たる“制裁”を加えようと思います。もし、参加したければ、第6学区の○○まで。』って文面だな。 ご丁寧にとっ捕まったあのお嬢さんの写真付き。全く趣味が悪いねぇ」 「・・・・・・」 「あのお嬢さんが下手を打ったのか、過激派の連中が調べ上げたのか、どっちにしろバレるのが早-な。俺の予想より結構・・・」 「・・・してるんですか?」 「えっ?何?」 界刺の他人事のような口調に、何時の間にか声が低くなる一厘。その声色にははっきりとした憤怒の意思が込められていた。 「そこまでわかってて・・・あなたは一体何をしているんですか!!?何のためにあなたが『そこ』にいるんですか!!?」 「ちょっ!!大声で話すな!耳が遠くなるっつーの!」 「真面目に答えて下さい!!何故あなたは春咲先輩を助けに行かないんです!!? 今こうやって、あなたがボーっとしている間にも春咲先輩が危険な目に合ってるかもしれないんですよ!!?」 「・・・かもな」 「私なら、すぐに春咲先輩を助けに駆け付けます!!なのに、あなたは・・・!!『学園都市の人間を守りに行く』って言った言葉、あれは嘘だったんですか!!?」 一厘の頭の中は、今や界刺に対する憤怒や疑問しかなかった。電話の先にいる男が理解できない。何故平然としていられるのか。 確かに界刺得世という男は変わっていると常々考えていた。だが、ここまでの大馬鹿野郎だったとは、一厘は夢にも思わなかった。 人が危険な目に合っているのにも関わらず、助けようとしない薄情者。今の界刺に対する印象が、まさしくそうだった。 「嘘じゃないよ、リンリン」 なのに、電話の先にいる男の口調には一切の淀みが感じられなかった。まるで、一厘が激怒することを見越していたように。 「ただ、俺にとって学園都市の人間を守るってのは、『シンボル』が・・・正確には真刺の奴が唱えた信念に基づいているってだけの話なんだよ」 「『シンボル』の信念?」 「そう。『高位能力者が責任と自覚を持って学園都市内の人間を守る手本となる』という信念さ」 「だったら、尚更です!!何であなたはその信念に基づいて、春咲先輩を救おうとしないんですか!?」 一厘は、いよいよわけがわからなくなってくる。界刺は『シンボル』の信念に沿って学園都市の人間を守ると言っている。 ならば、何故春咲を救おうとしないのか?『高位能力者が責任と自覚を持って学園都市内の人間を守る手本となる』というのなら、尚更に。 「君は、あのお嬢さんを“今”助けることが正しいと思うのかい?」 だから、界刺の逆質問をすぐには理解できなかった。 「はっ?・・・た、正しいに決まっているじゃないですか!!春咲先輩が危ない目に合っているかもしれないのに、何故それがいけないんですか!?」 「それは風紀委員として?それとも一厘鈴音としてかい?」 「どっちもです!!私自身として!そして、風紀委員として!!『己の信念に従い正しいと感じた行動をとるべし』という私達風紀委員の信念に懸けて!!」 『己の信念に従い正しいと感じた行動をとるべし』。それは風紀委員の心得の1つであり、それ自体がスローガンとなっている在り方。 一厘はこの信念を背負うことに誇りを持っていた。それは、風紀委員一厘鈴音という少女の行動指針にもなっていた。 「『己の信念に従い正しいと感じた行動をとるべし』か・・・。いい言葉だね」 「いい加減はぐらかさないで下さい!!何故あなたは・・・」 「なら、ハッキリ言わせてもらうよ、リンちゃん。君があのお嬢さんを“今”助けに行くことは・・・『正しくない』!!」 「!!!」 界刺は断言する。一厘が一厘鈴音自身として、そして風紀委員として下した“春咲桜を今すぐ助けに行く”という判断が『間違っている』と。 「・・・ど、どういうこと・・・」 「さっきの質問への返答がまだだったね。え~と、『シンボル』の一員として何故助けないのか・・・だったかな。それなら、話は簡単だ。 “今”助けに行ったら、春咲桜という少女に責任と自覚を持たすことができないからだ」 「えっ・・・?」 「まぁ、これは俺の考えだから、君がどうしてもあのお嬢さんをすぐに助けに行くってんなら、俺にはそれを止める権利は無い。 場所は今さっき教えたよね。行きたければ行ってくるといい。行って、助けて・・・その結果として、君があのお嬢さんの『何を』守れるのか・・・楽しみにしているよ。それじゃ」 そうして、界刺は電話を切った。それで話は終わりとでも言わんばかりに。 一厘は、呆然としていた。もう通話が切れているのに携帯を耳元から離さない。 「(わ、私は『間違った』ことなんか言っていない!!『正しいこと』を言った筈!!春咲先輩が危険な目に合うのを黙って見過ごせるわけない!!風紀委員として!!私自身にとっても!!)」 人が危険な目に合っているのに助けないわけがない。そんな光景を見たなら、聞いたなら、知ったなら躊躇無く助ける。それが一厘鈴音という少女の『正しいこと』。 「(な、なのに!!なのに!!!何であの人はあんなことを言うの!?何で『正しくない』って言うの!?何で・・・どうして・・・)」 一厘の頭の中はぐっちゃぐちゃになっていた。そのために、自分がヨロヨロと歩いていたことにも気が付かない。 ズタッ!! ゴンッ!! 「キャッ!!痛~っ・・・」 どこかで躓いたのか転倒してしまい、机の角に頭をぶつけてしまう一厘。ぶつけた痛みが一厘を襲う。 数十秒後、一厘は立ち上がらないまま地べたに座り、背中をぶつけた机にもたれ掛けていた。 「(もう・・・何よ!!何なのよ!!ワケわかんない!!何で私がこんな思いをしないといけないの!?何で“私”をあんな男に否定されないといけないの!?)」 半ば自暴自棄になりかけている一厘。何が『正しく』て、何が『間違っている』のか、その判断が今の彼女にはできない。 「(私は『正しい』!!あの男の方が『間違っている』!!そうよ、今からすぐに春咲先輩を助けに行って・・・私が『正しい』ってことを証明してやる!!)」 一厘はよろめきながらも何とか立ち上がる。今この瞬間にも春咲がケガを負わされているかもしれない。そんな先輩の姿を絶対に見たくない。 一厘はすぐに支部の戸締りに掛かる。数分後、後は消灯し、戸締りをし、支部を出るだけとなった。 「(そうよ・・・そうよ!!あんな男を信じたのがそもそもの間違いだった!!私が最初から春咲先輩に付いていたら、こんなことにはなってなかった!! 見てなさい・・・バカ界刺!!あなたが『間違っている』ってことを・・・私が『正しい』ってことを証明してあげ・・・)」 『行って、助けて・・・その結果として、君があのお嬢さんの『何を』守れるのか・・・楽しみにしているよ』 「!!!」 だが、そんな彼女だからこそ、他人を人一倍気遣う心優しい彼女だからこそ、気が付いてしまった・・・それは矛盾。 『“今”助けに行ったら、春咲桜という少女に責任と自覚を持たすことができないからだ』 本来全く関係無い界刺得世が、自分の生活を削ってまで何のために、それこそ救済委員になってまで何故春咲桜の傍にいたのか。 『風紀委員の皆は・・・優しい。でも、誰1人だって私の本当の気持ちに気が付かない!!気が付いてくれない!! 「大丈夫だよ」って。「レベルなんて関係無い」ってそればかり。大丈夫なわけ無いでしょ!!関係無いわけないでしょ!!! そんな・・・こんな私に気を使ってくれる皆が・・・とてつもなく煩わしかった!!その気配りが・・・私だけが無力だと証明しているかのようで!!』 春咲桜が、何故救済委員になったのか。何故自分達風紀委員に悩みを打ち明けてくれなかったのか。 『(私は「正しい」!!あの男の方が「間違っている」!!そうよ、今からすぐに春咲先輩を助けに行って・・・私が「正しい」ってことを証明してやる!!)』 それなのに、一厘鈴音は自分の『正しさ』を証明するために春咲を助けに行くと心の中で決めた。決めてしまった。 それは、嘘偽りの無い一厘鈴音という少女の本音。春咲桜というレベルの低い少女―弱者―に対して、一厘鈴音というレベルの高い少女―強者―が抱いた・・・差別的な感情。 「ハハハ。・・・ハハハハハハハハハハハッッッッ!!!!!」 自分の心中に潜んでいたその感情を自覚した瞬間、その場に座り込んで高々に笑い声を挙げる一厘。その目には・・・涙が溢れていた。 「ハハハハハッッッ!!!何よ!何なのよ!!この気持ちは!!この感情は!!!」 大声で笑いながら、涙を流しながら、顔をくしゃくしゃにし、手で顔を覆う。 「馬鹿だ!!私は救いようが無い大馬鹿だ!!!何よ・・・春咲先輩のことを真剣に考えていなかったのは、私の方じゃない!!!」 泣き声が混じるその言葉は・・・春咲に対する懺悔か。 「私は自分の『正しさ』を証明するために先輩を助けにいこうとした!!何の言い訳もできない、それが私の本音だった!!! 何でよ・・・何でこんな感情が私の中にあるのよ!!!私は・・・ただ先輩のことが心配だっただけ・・・だけだった筈なのに!!!」 遂には顔を地面につき、うずくまってしまう。 「・・・あの人の言う通り、私が『間違っていた』!!私は『正しくなかった』!!!こんな、こんな私に春咲先輩を救う資格なんて無い!!!私は・・・私は風紀委員失格だ・・・!!!」 『己の信念に従い正しいと感じた行動をとるべし』。それが、一厘鈴音の支えだった。その支えが今、脆く崩れようとしていた。 「こんな、こんなものを!!風紀委員の腕章なんて!!私に付ける資格は無い!!!・・・・・・こ・・・こん・・・こんなもの!!!」 自分の腕に付けていた風紀委員の腕章を乱暴に掴み、それを引き千切ろうとする一厘。彼女はいよいよもって、引き返せない地点にまでその足を進めようとしていた。 ピロロロロロロロ~ その間際に鳴り響く一厘の携帯電話。その着信音に気付いた一厘は、今まさに引き千切ろうとしていた腕章から手を離し、震える手で電話主を確認する。 そして、携帯の画面に表示された名前に瞠目し・・・3度の息を吐いた後、ようやく電話に出る。 「・・・・・・もしもし」 「あ。リンリン?まだ支部に残ってる?」 飄々としたその声の主は―界刺。 「・・・・・・何よ」 「いやね。ちょっと調べモンをして欲しいっていうか、ある場所の地図をメールして欲しいと思って。 その感じだと、まだ支部を飛び出ていないようだね。よかった、よかった」 先程の剣呑とした応酬など忘れてしまっているのか、その口調は何時もの彼そのものであった。 そんな界刺に、一厘は涙声になりながらも言葉を告げる。 「・・・あのね」 「うん?」 「あなたの言う通り、私は『間違っていた』。私は・・・自分の『正しさ』を証明するために春咲先輩を助けようとしていた」 「・・・」 「全然春咲先輩のためじゃ無かった。私は心の何処かで思っていた。“弱い”春咲先輩を“強い”私が守ってあげないと。支えてあげないとって。 でも、違った。本当は・・・先輩を見下していたんだ。先輩のために気を使っていたんじゃない。自分のために先輩を気遣っていたんだ!!」 「・・・・」 「ホント、こんな私がよく先輩を助けようって言えたもんだよね。心の底では自分より弱い人って見下していたのにね!!ホント・・・・・・私って最低だ」 一厘の懺悔の言葉は止まらない。それだけ、己が自覚した感情が衝撃だったのか。 その瞳から流れ落ちる涙は、一向に止む気配は無い。 「だから・・・私は先輩の所に行けない。助けに行く資格なんて無い!風紀委員である資格なんて無い!!だって・・・私は、こんなにも醜い人間なんだもの・・・!!!」 慟哭。もう、そうとしか形容ができない程一厘は悲鳴を挙げていた。 完全なる自己否定。今までの自分を形作ってきたものの崩壊。 このままでは、彼女は・・・ 「へ~、色々思い詰めてたんだね~。んふっ。ところでさ、さっきの地図の件を早くお願いしたいんだけど」 「・・・・・・へっ?」 全く・・・鈍感と言うべきか、肝が据わっていると言うべきか、界刺は事ここに至っても平然と己の依頼を口にしていた。何時もの胡散臭い笑い声付きで。 「だ・か・ら、さっき調べて欲しいっつった地図のメールの件だよ!全くこれだからリンリンは・・・」 「・・・あっ。ちょ、ちょっと待って下さい。今パソコンを再起動しますから」 「再起動?ってことは、本当に飛び出る寸前だったのか。ヒュ~、危ねぇ」 涙で目を腫らしながらも、界刺の依頼のためにパソコンを再起動する一厘。彼の役に立つことが、せめてもの償い。そう考えているのかもしれない。 「あ、そうだ。パソコンが立ち上がる前まで、ちょっとお話しようか、リンちゃん」 「・・・話・・・ですか?」 「うん。まどろっこしいのは抜きでいくよ。君の懺悔なんか、俺にとってはどうでもいい」 「!!!」 界刺の口から零れたのは・・・懺悔の否定。 「そんなことは俺にじゃ無く、あのお嬢さんに言うべきだろ。俺は君の下僕でも何でも無いんだから。そこんトコ、履き違えないでくれる?」 「・・・ご、ごめんなさい」 一厘は先の醜態を謝罪する。自分でも抑えられなかったあの懺悔に、界刺を巻き込んでしまった。それは、一厘の心を重くする。 「わかってくれたんならいいよ。それと・・・これは確認事項なんだけど」 「・・・何ですか?」 まだ、パソコンの再起動までには至らない。それに多少イラつきながら一厘は界刺の言葉を待つ。 「君はさ、あのお嬢さんを助けたくないの?」 「!!!!」 その一言は・・・一厘の胸を真正面から貫いた。 「わ・・・私には、そんな資格なんてありません!!こんな私に・・・。それに、あなただって言ったじゃないですか。“今”は先輩を助けないって!!」 「うん、言った。但し“今”はね。その後は話が別だ」 界刺は一厘の心の奥底を抉り取る。 「今回お嬢さんの身に降り掛かった火の粉は・・・言ってしまえば自業自得だ。 風紀委員と救済委員の掛け持ちをするのなら、いずれこうなることは目に見えていた。あのお嬢さんは、そのツケを現在進行中で払っているだけの話さ」 「・・・」 「現在進行中、つまり“今”お嬢さんを助けに行ったら、今までの俺の努力が全て水の泡になる。 これは、彼女の問題だ。彼女自身で解決しなきゃならないことだ。たとえ、どんな結果になろうとも。 なのに、誰かが助けたら・・・それこそあのお嬢さんは今度こそ悟るだろう。『自分が無力』だってな。それじゃあ・・・話にならない。 春咲桜に必要なのは・・・“救いの手”なんかじゃ無い。“自分で立ち上がる足”だ!!」 「!!!・・・“自分で立ち上がる足”?」 一厘の心に界刺の言葉が広がっていく。それは容赦の無い・・・温かな『何か』。 「そう。それが自分の行動に責任と自覚を持つってことだ。俺は守られる側にもそれを求める。でないと、不公平だからね。 だから、俺達に精々できるのは彼女が自分の足で立てるように補助してやるくらいだ。 だから、俺は救済委員として、そして俺自身の意思であのお嬢さんを補助していたんだ」 「でも・・・私には・・・そんな資格が・・・」 「・・・ったくメンドくさい奴だなあ、君は。助ける資格?風紀委員失格?んなことはどうでもいいんだよ! 確かに君はあのお嬢さんを知らず知らずの内に差別していたのかもしれない。自分のために利用していたのかもしれない。 だが、それがどうしたってんだ!!あのお嬢さんを救う理由にそんな付属品が必要なのかよ! これが最後の質問だ。5秒以内に答えろ!・・・お前は、春咲桜を救いたくはねぇのか!?答えろ、一厘鈴音!!」 “これが最後”。そう断言した界刺の問いに、一厘鈴音は・・・ 「た・・・助けたい。助けたい!!先輩を、春咲先輩を救いたい!!!」 その瞳から再び涙が零れ落ちる。顔をくしゃくしゃにしながらも、涙声に喉を詰まらせながらも、一厘は答えを放つ。これもまた・・・嘘偽りの無い一厘鈴音という少女の本音。 「・・・わかった。なら、俺の依頼が終わった後に、俺が居る公園へ来い。場所は言わなくてもわかってんだろ」 「えっ?」 「今はその付属品・・・助ける資格とか、風紀委員失格とか、そいつ等の判断は保留にしときなよ。 その判断を下すのは・・・今回のことが全部終わってからでも遅くはない」 「・・・」 「そういえば全然気にしていなかったけど、他の風紀委員は支部にいないの?何かその様子だと、君1人みたいだね」 「・・・色々あって、今は私1人です。ただ・・・」 「ただ?」 「鉄枷が誰かからの電話を受けて・・・飛び出して行っちゃったんです。『春咲先輩が・・・』って言葉は聞きました。鉄枷の顔が瞬く間に青ざめていくのも」 「・・・成程。よりにもよってお嬢さんが所属する支部に連絡して、お嬢さんを完膚なきまでに叩き潰すつもりだな。下手したら、他の支部にも連絡が回ってるかも」 「そ、そんな!それじゃあ春咲先輩は・・・」 「今はそんな後処理についてどうこう言っても仕方無ぇよ。・・・なるようにしかならないと思うぜ」 そう言葉を交わしている中、ようやくパソコンが再起動した。それを確認した一厘は、界刺が求めた地図の情報を調べにパソコンに向かい合ったのである。 そして10分後、界刺の依頼通りに所定の地図をメールし終えた一厘は、今度こそ支部を後にするために、戸締りの準備に入る。 「そうやって、公園(そこ)に留まっているということは、何らかの作戦みたいなものがあるってことですよね」 「まぁね。こんな事態もおおよそ想定していたし。規模が予想以上にデカいのが不安要素だが。後はお嬢さん次第だな。もし、“リタイア”しちまったら・・・それもしゃーねーよ」 「っっ・・・!!」 「人はいつか死ぬもんさ。それが早いか遅いか、それだけの違いだ。まぁ、自分から死にに行く奴にはなりたくないけど。 リンリン・・・悪いが俺はこういう人間だ。今までも、これからも・・・な。あのお嬢さんが意地を見せるってんなら、力を貸してやる。こんな俺でも・・・君はいいのかい?」 「・・・今の私には、あなたが『正しい』のか『間違っている』のかの判断は下せません。だから・・・今はあなたと共に行きます。 もし、春咲先輩があなたの言う“リタイア”になったら・・・その時は私もその咎を負い・・・」 「それがいけないんだよ、リンちゃん。それはそれ。これはこれ。あのお嬢さんの問題と君の問題を混合するな。 そんなことに囚われてちゃあ、本当に大事な時に間違った一歩を選択しちまうぜ?囚われるな・・・見誤るな・・・見極めろ・・・掴み取れ・・・!!」 『界刺は・・・容赦しないよ』 「(本当にこの人は・・・)」 一厘は今更ながら形製が自分へ放った忠告の真意を理解する。全くもって界刺は容赦しない。平然と自分の心をかき乱す。抉り取る。蹂躙する。 だが、だからこそ一厘は己の醜さに気付けたのかもしれない。己の感情と向かい合うことができたのかもしれない。 だから、一厘鈴音は界刺得世と共に行くと決めた。その判断に―何が『正しい』のか、何が『間違っている』のかわからない一厘が下した―後悔は・・・無い。 「・・・よし。戸締り完了。これからすぐにそちらに向かいます!!」 「あいよ。・・・本当はこんなことになる前に何とかしたかったが、仕方無ぇ。改めて何とかするしかねぇか」 支部を出る一厘。その足は駆け足。その足で風輪学園の校門をもうすぐ越える。 「リンリン!!」 「はい!!」 そんな彼女に界刺が声を掛ける。それは、あの公園で既に言ったこと。 「君の力を借りなきゃいけなくなったけど・・・準備はいいかい?」 それは、界刺なりの気遣いの言葉。“一厘が春咲を救う作戦に参加してもいい”。界刺は一厘にそう言っているのだ。 「もちろん、私だけじゃ無いですよね!?」 一厘はその言葉に含まれる真意を汲み取り、その上で・・・もう一度だけ界刺に甘える。 「そりゃそうだ。俺やリンちゃんだけでできることなんてたかが知れている。 これもお嬢さん次第だけど・・・もちろん、他の奴等にも協力してもらうつもりだよ。俺やリンリンにはできないことを・・・ね」 それに応える界刺。一厘は思う。これが人を信じるということなのか・・・と。これが人を信頼するということなのか・・・と。 そして、きっと界刺は信じている。信頼している。春咲が意地を見せることを。でなければ、「協力」なんて言葉は・・・きっとあの人の口からは出て来ない。 それがわかったから・・・一厘は叫ぶ。それ―自分に欠けていたモノ―を教えてくれた界刺に、今できる精一杯の感謝を込めて叫ぶ。 「わかりました!!春咲先輩を救えるならこの一厘鈴音の命、あなたに預けますよ!!!」 continue!!
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友達 『美咲 Mind☆Blossom』 | シンガーソングライター 美咲のオフィシャルサイトです 旅行 ダミー | ああああああ 食 ダミー | ああああああ そのほか ダミー | ああああああ Raum 川田龍平公式ページ
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「井坂・・・」 「どうかしたのかい?秋彦らしくねーぞ。あ、もしかしてまたチビたんのことだろう?」 「・・・・・」 「またあれだろ?チビたんがかまってくれない、だから体に触れようとすると嫌がって逃げられる・・・そんなところだろう?」 「・・・・・・」 「図星かよ」 「はぁ、どうすればいいと思う?」 「それなら俺にいい考えがあるぞ、耳貸しやがれ」 嫉妬 「美咲」 「何?」 「好きだ」 「はいはい。分かったから食器はそこ置いといてよ」 「あぁ、後で井坂が家に来るから」 「あ、井坂さん来るの?それじゃ食べ物でも用意し解かなきゃね」 「それなら俺が用意しとく」 「ありがとう。それじゃ頼んだよ」 ビーンポン 家のチャイムがなる 井坂さんがくる時間だから井坂さんだろう インターホンの画面を覗くと画面いっぱいに写る井坂さんの顔 「あ、来た」 はいはいはい・・・・ そんなことを口走りながら玄関へ掛けていくと後ろからウサギさんも早足で向かってくる ウサギは美咲を抜いて先に玄関にたどり着くと玄関を開けて井坂さんを出迎えた (あんな駆け足でいくほどに会いたかったのかな?前はあんなに中悪そうだったのに・・・) とまぁ、ウサギさんの行動に関してはその程度にしか考えていない美咲だった 否美咲の頭ではそのくらいしか創造が出来ないのかもしれない まぁ、どちらにせよその程度とゆうわけだ 「よぉ、秋彦久しぶりじゃないか!!(嘘、昨日も会っていた)」 「おぉ、久しぶりだな。」 「あれ?秋彦、お前身長伸びたか?」 「そうか?」 「うん、そうだってだって・・・」 そこで言葉を切ると井坂は体をウサギさんに密着するほど近づけて ウサギさんの頭に手を添える -
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Summer Loving ~ある夏の日に~ 42-R2 田口or堀or牧野の元へ 読み終わりましたら、ご返却ください! これはある夏の物語である。 主人公「山野 匠」、そしてその友人である(?)「田嶋 達彦」の物語でございます。 では、ご覧下さい。 ~序章~ キーンコーンカーンコーン 「ふぅ~、終わった~!帰ろうぜ達彦!」 チャイムが鳴ると同時に匠は帰ろうとした。 いつもならそのまま達彦も「帰りにゲーセンでも寄ってこうぜ。」などと言うのだが、今日は勝手が違った。 「・・・・・・お前、それマジで言ってんの?!これから転校生が来るっていう一大ビッグイベントがあるっていうのにか?!」 達彦は匠の肩に手をかけ、回りを確認すると、「転校生ってどんな奴かな?」と転校生に興味を示していた。 それに対し、匠はウザそうに、「・・・・・・どんな奴でも別にいいよ・・・・・・。」と心底どうでもよさそうだった。 「・・・・・・ったく、つれないぜ。俺がこうしてお前の興味を引こうとしてるのに・・・・・・(泣)。」 「どうせお前のことだ、転校生の情報なんて既に全部揃ってるんだろう?」 そう匠はツっこむと達彦は、所在なさげに、 「むっ、いやそうだが・・・・・・匠、お前は夢が無いな・・・・・・。いや、思い出の女の子を追い求めてるから、あると言えるのか?」 「ちっちがうっつーの!あの子はきっといるはずだから・・・・・・。」 そう匠が慌てると達彦はガンマの気配にいち早く気付き、「はいはい、ガンマが来っから戻るわ。自己紹介くらい聞いてやれよ?」と言って席へ戻った。 ガンマこと岸間先生はHRを始めると、転校生に「入って来なさい。」と合図した。 そして、匠は入ってきた転校生達を見てあ然とした。 「真弓と美咲か!?」 その瞬間、 「えっ、たっくん!?」 「・・・・・・信じられない、たっくんだよね!?」と言い、、二人は匠に抱きついてきた。 「たっくん~、会いたかったよ~!!」 「お久しぶりです、たっくん!!」 匠を今にも絞め殺さんとする勢いで抱きついている元気いっぱいなツインテールの子は美咲で、すぐに自分の行動に気付き、恥ずかしさを隠せなくても手を放さないストレートに髪を伸ばしている子は真弓である。 彼女達は双子でもある。また、真弓は姉であるからか、礼儀正しく、美咲は姉に対する信頼があるからか、活発である。 ちなみに匠とは10年程前までは幼馴染であり、両親の仕事の都合でこの川越市を離れ、10年ぶりに戻ってきたのだ。 さて、この双子が抱きついている状況は本来なら匠にとっておいしい状況なのだが・・・・・・ 美咲が匠の首を絞めつけているが故に、匠はそれどころではなかったのだ。残念ながら・・・。 さらに、あまりの出来事にショックを受けたクラス中の奴ら(特に男子)が達彦を中心として、匠のいる状況を許さなかった。 「た~く~み~、てめぇ、ただで済むと思うなよ!ってゆうかさっさと離れやがれ、羨ましい奴め!」と本音を漏らしながら、匠にその怒りをぶつけた。 この後のいざこざはなかなか収まらなかったが、ガンマが「・・・・・・さっさと静かにしろよ!ったくいつまでもくっちゃべってばっかいるんじゃねぇよこのバカ!」と一喝し、騒ぎはおさまった。 自己紹介が終わり、双子の席は匠の両隣になったが、達彦が自分の席の隣りも空いていると主張したが、彼の主張は知り合いの方がいいだろうという理由で空しく散った。 「これからよろしくね♪たっくん。」 「よろしくお願いします、たっくん。」 この波瀾万丈な新しい季節の幕開けに匠は不安を覚えずにはいられない。 ヤローどもは「打倒匠」と一致団結をして、時折「匠殺す。」などとも聞こえ、双子は匠にべったりだからだ。 匠はただ「たっくんって言うな~!」としか言えなかった。 ~第一章~DOKIDOKI×2な勉強会 双子が転校してから二ヶ月が経った。 「色々あったなぁ~。」 匠がそう言うのも無理はない。というのも今、この状況を見ればわかる。 匠の隣りには双子がいるのだった。まぁ、早い話、匠と双子は同棲(同居)生活を送っているのだ。 匠は元々、一人暮らしだったが、実家の母から電話があり、双子と共に住むよう命じられた。 しかも応じない場合は仕送りをやめると脅された。匠もさすがにこの帰宅してからの出来事にはあきれてものも言えず、双子を受け入れるしかなかったのだった。 それからというものの、匠は至れり尽くせりな毎日を送ることとなった。 食事を共に摂り、一緒に登校するのはいいが・・・・・・双子は匠と共に寝、あまつさえ一緒に風呂に入ろうとする始末だった。 そして二ヶ月が経った今、匠は新たな岐路(危機)に立っていた。 追試だ。匠と美咲は期末テストで赤点を取ったため、急遽、達彦・真弓による勉強会が開かれ、夏休み保護が目的だ。達彦曰く、「お前はどうでもいいけど、美咲ちゃんという花がなくなるのはやだからな。」とのことだった。 そうして、勉強会は始まり、真弓は匠を、達彦は美咲を担当することになった。 「まぁ、あいつはああ見えて以外とおくてだから大丈夫だろ。」などと思い、真弓の講義に集中した。 真弓の授業はガンマなんかよりはるかにわかりやすく、匠はどんどん知識を吸収していった。 だが、落とし穴もあった。あまりに真弓の声が心地よかったために寝てしまった。 真弓は「全くもう、たっくんは~・・・・・・。」 とぼやいていたが達彦と美咲が買い出しに行って、今は二人きりだと気付くと、匠の頬に、そっと口付けをした。 匠は夢を見た。真弓がキスをする夢だった。しかし、それは現実だった。匠が気付くことはないが・・・・・・。 そして、勉強会はお開きとなった。 その後、匠も美咲も試験に合格し、補習はなくなった。 ~第二章~悲しみのバラード、明日への喜び 「海だ~~~!!」 達彦が叫んだように、夏休みを利用して海に来た。達彦が提案をし、匠に双子を誘うように言ったのだ。 匠も達彦の迫力に負けて、「かったり~。」などと言いながらも達彦が代金を全部もつというので双子を誘ったのだった。 着替え終わった双子が出て来た。匠も達彦も目を奪われた。美咲はノースリーブの水着で、真弓はビキニだったのだ。 また、双子の反応は、美咲は「あ~、エロい目してる~。」とケラケラ笑い、真弓は「・・・・・・あんまり、見ないで下さ~い。」と心底恥ずかしそうだった。 そうこうして、海を満喫し、夜になった。 真弓が外に立っていた。暗闇の中、月明かりの下、真弓はその長い髪を風にたなびかせていた。 「・・・・・・何か用か?真弓。」 匠が最初に口を開いた。 「置手紙、見たぞ。」 だが、真弓は口を聞かなかった。 「・・・・・・何か言ったらどうだ?」 そう言って匠が真弓のすぐ近くまで来た時、ことは急に起きた。 匠は目を見開いた。あまりの出来事に、何もできず、ただなすがままになった。 なってしまった、ならざるをえなかった。 匠は我に返ると、真弓を引き離した。 「・・・・・・何のつもりだ、真弓!?」 だが、真弓は答えるどころか泣いていた。 「苦しいの・・・・・・。」 真弓はポツリともらした。 「え?」 匠はそう言い返した。 「なんで、なんで気付いてくれないの!?、こんなにも苦しいのに、辛いのに・・・・・・、 最初は側にいてくれるだけでいいと思ってた。でも、違かったの・・・・・・。 こんなにも近くにいるのに遠くに感じるなんて思わなかったから。 もう、駄目なの、切ないの、心が壊れそうなの。だから、さようなら。」 真弓は走り去っていった。匠には引きとめることができなかったのだ。 そして、その愛故に苦しんだ真弓の思いを表すかのように、雨が降り出していた。 そんな匠と真弓のやりとりを達彦と美咲は見ていた。 「・・・・・・お姉ちゃん・・・・・・。」 美咲はただ、ぼやくだけだった。 しかし、達彦は匠の方へ歩いて行き、匠をぶん殴った。 「・・・・・・匠、お前このままでいいのか?違うだろ!?今、お前は何をするべきなんだ!? 真弓さんを追いかけるべきなんじゃないのか!? 今、彼女の心がつぶれそうなら、お前が支えてあげるべきなんじゃないのか!?どうなんだよ、匠!?」 達彦は匠に言い放った。 「・・・・・・そうだな、そうだよな、こうしてる場合じゃなかった!ありがとな達彦!」 そう言って匠は走り出した。 「やれやれ、仕方ない奴だ、でも振られちまったなぁ~。」 達彦は言う。それが自分に対してか、それとも美咲にかはわからない。 美咲も「・・・・・・うん・・・・・・。」と言うだけだった。 匠は走る、真弓を探して、土砂降りの中を。 真弓がいた。 そして、匠は真弓を後ろから抱き締めた。 「・・・・・・真弓・・・・・・、よかったぁ~。」 「え、どっどうして!?」 「どうして私なんか追いかけて来たの!?」 匠は肩で息をしながら、でもしっかりと真弓を抱き締めて言った。 「俺、やっと気付いたんだ、自分の本当の気持ちに。真弓のことが好きなんだ!幼馴染としてじゃない。一人の女として!」 「うっ嘘・・・・・・。」 真弓はとまどいを隠せない。 「嘘じゃない!君がいなくなってから、わかったんだ。君が俺にとってどんなに大切な存在だったか・・・・・・。 返事を聞かせてくれないか?」 「・・・・・・はい、たっくん。」 そう言って真弓は匠に抱きついた。その顔は涙を浮かべながらも真夏の太陽のように笑っていた。 「幸せにして下さい、たっくん!」 「ああ、いつまでもな。」 雨雲から光が差し込む中、二人は誓いのキスをした。 ~第三章~その祝福を手に 夏休みの後、匠と真弓が公認のカップルとなったことが既にクラス中に知られていて、祝福と制裁を受けた。 美咲と豊基はお互いに好き合っているけど今一歩、踏み込めていないようだ。 それでも、うまくやっているから末長くやっていくだろう。 「大切な人を見つけた。一度は手放しかけたけど、もう二度手放さない。」 そう誓い真弓と共に進む匠だった。
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「チィ、しぶとい。一体どんだけ居るのよ。面倒くさいわね」 「ックックック。文句を言うでない。好きなだけ殺していいんじゃ。悪くは無いじゃろ?」 「あんたと一緒にしないでくれ。にしても、完全に殺さなきゃ動きを止めないなんてな」 そう言い合いながら襲いかかる人々を切り刻みまくっている〝レッドキャップ〟〝赤マント〟〝口裂け女〟。 腕や足が無かったり、服が真っ赤に染まっていながらも、人々は攻撃を止まる様子は無い。 腕が無ければ噛付きや蹴りで攻撃し、足が無ければ這い蹲って攻撃してくる。止めをさしてやっと動かなくなるのだ。 さらに、《行き交う人々》にいたっては、暫くすれば傷が治っていくという始末だ。 「ふぅ、流石にしんどいな。けどなあ、ここで止まる訳にはいかねえんだよ」 辛そうにしながらも、《行き交う人々》の契約者は戦いを見続けている。 亡霊たちを戦わせるだけなら良いが傷を治すには相当のエネルギーが必要になる。 だが、《行き交う人々》の発動も傷の回復も止める気は無い。 〝レッドキャップ〟達を攻撃していた軍団が、突然、彼らの動きを止めるように手足に纏わりついてくる。 「何だ!? いきなり!?」 「知らないわよ!? この、離しなさいよ!」 3・4人程度なら、簡単に振り解く事が出来るが、十数人単位で抑えつけに来るのだ。 これによって、3体は動きを制限されてしまう。 「鬱陶しいのお。ん? 何じゃ、この音は?」 そんな中、何かが近付く音が聞こえてくる。それは、エンジン音を轟かせ、猛スピードで3体が居る所に突っ込んでくる。 満足に動けない彼らは、それ……大型トラックを初めとした車の突撃をモロに喰らってしまった。 「ッつ、皆!?」 「大丈夫。素体が無事なら修復可能」 その様子を目撃し、慌てる〝テケテケ〟を淡々となだめる美咲。だが、その顔には薄らと焦りが浮かんでいる。 それによって、出来た隙を狙っていたのか。 パッーンと言う、銃声が聞こえ美咲の腹部に銃弾が命中した。 「ッく――!」 ドサッと、崩れ落ちそうになった体を片手で支え。銃弾の飛んできた方角を見れば、数人の人間が虚ろな表情のまま此方に銃口を向けている。 その全員の指が、引き金を引いた瞬間。 「――――――――危ないんだよねッ!」 大鋏を投げ捨てた〝テケテケ〟が、ズザザァァと、音を上げて移動し美咲を庇う様に壁になった。 美咲の身長の半分程度しかない〝テケテケ〟では、壁になった所で本来それ程の期待は出来ないが、倒れている今ならば問題は無い。 パッーン、パッーン、パッーン、パッーン、パッーン………………… 全員の銃弾が尽きた所で、やっと銃声は鳴り止んだ。と、同時に〝テケテケ〟が倒れる。 「結局、まともに当たったのは最初の一発だけか……。まぁ、当たった事に変わりはねぇな」 銃撃の嵐に気を取られていた間に、近づいていたらしく。美咲が顔をあげたのとほぼ同時に、彼女の首元に、《行き交う人々》の契約者は刃を突き立てる。 呼び出した4体は、全員動けそうにない。その上、あとの2体を呼び出しても、刃が首を裂く方が早いだろう。 「俺達の勝ちだ。最期に何か言う事は有るか?」 「そうですね。実の所、感謝してるんですよ。復讐に来てくれた事を、殺しに来てくれた事を」 「何だ。止めてくれる人を望んでいた、とでも言いたいのか?」 「いえいえ。だって……相手が殺意を持って来たのなら。 ――こっちが、殺しても問題ないでしょ」 クスリと、笑った気がした。 美咲の背後に居る《行き交う人々》の契約者には、彼女の表情は分らない筈だと言うのに。 確かに、確実に。笑ったのを感じた。 それに、なにか嫌な気配を感じ反射的に刃を引いた。 ガキン、と美咲の動脈を切り裂くはずの刃は、何か硬いものに当たったような音を立てる。 血が噴き出す事はおろか、刃に血が付いた様子も無い。 その事態に、必殺となる攻撃が効かなかった事に、《行き交う人々》の契約者は叫びをあげる。 「なっ、何でだ?! 《七人みさき》に契約者の肉体強化の能力は無い筈だろ!?」 「ええ。《七人みさき》にはそんな力は有りませんよ。ズッ、く。 今のは、ッツく。〝硬気功〟です。そして、……これが〝軟気功〟」 傷口を指で広げて、貫通せず体に残っていた弾丸を取り出すながら喋る美咲。 取り出すたところで、淡く光る左手を傷口に当てると、見る見るうちに傷口が治されていく。 「多重契約者? いや、そんな訳はねえ。《七人みさき》の契約コストは相当の筈だ。 多重契約なんて、普通は出来る訳が無い」 「私をいいえ、《七人みさき》を調べたなら知ってる筈ですよね? 【七人みさきに殺された者は七人みさきになる】って話ぐらいはね。 〝レッドキャップ〟達の様に使役するだけじゃ無くて、私自身がその能力を使用する事も出来るんです。 まぁ、無条件って訳でも有りませんけど。そして――」 そう語る美咲の影が、本来の物を残して左右に3つに分かれていき、計7つの影が出来上がる。 新しく現れた影が盛り上がり、それぞれ人の姿と成っていく。具体的にいえば、美咲と同年代の少女の姿へと変わった。 「「「「「「「私達が、《七人みさき》本来の姿です」」」」」」」 それは、《七人みさき》と美咲が契約する際に、元になった亡霊である少女たちの姿だった。 彼女達が現れると同時に、辺りの《百匹目の猿現象》に操られていた群衆がバタバタと倒れていく。 「そしてさ」「《七人みさき》によ」「出会った者はだね」「高熱にですね」「襲われる」「な~んて」「話もありますよ」 髪型が、服装が、性格がそれぞれ違う7人の少女達が交互に喋る。 その内容から、《行き交う人々》の契約者は美咲が他の都市伝説の力を使った理由と、群衆が倒れた原因を理解した。 「殺した都市伝説を取り込んで支配出来る上に、存在するだけで相手を病気にさせるってのか?」 「その通り。とは言え、発病の能力は一般人にしか効果は無いんだけどね」「まぁ、こういう時には便利だけどよ」 「最近は、私達が出てくる機会も無かったからな」「久しぶりに外に出れて嬉しいです」「同感」「ホントにラッキーだよ」 「まぁ。都市伝説が相手だとあまり役に立たないうえ、五月蝿くなるだけですしね」 ブーブー、と文句を言いだす亡霊少女達を美咲はさらりとスル―し、周囲を亡霊で固め始めている《行き交う人々》の契約者に目を向ける。 「彼女達が全員揃わないと、発病の力は使えない上に、人並みの力しかないので取り込んだ都市伝説に戦わせる方が手っ取り早いんですよ。 ともかく、先に貴方の奥さんを潰しときましょうか。〝さとるくん〟居場所を教えて下さい」 「オーケー。……あのビルの最上階に居るみたいだね」 「……っ! させるかぁぁぁぁッ!!!!」 〝さとるくん〟が指を指すビルを見た《行き交う人々》の契約者は、眼の色を変えて亡霊達と共に飛び掛かって来た。 その反応は、自分から〝さとるくん〟の示したビルが正しいと言っているようなものだった。 「〝鬼女〟」 美咲や《七人みさき》を仕留めようとした彼らは、その一言で現れた和服の美女に触れること無く、まとめて吹き飛ばされた。 「大盤振る舞いじゃないか。妾まで呼ぶなんてさ」 「仕方がないでしょう。私を含めた本体や〝さとるくん〟じゃあ攻撃力に欠けるんだから。 ついでに、あのビルも潰して貰おうと。どんな都市伝説かは分かりませんけど、街の人達を操っているのが居るみたいですから」 額に小さな角がある彼女は、〝鬼女〟と言う名の通り鬼の一種である。 ただし、普通の鬼のように他者を圧倒する筋力は持っていない。その変わりに有するのが、多種多様な術式だ。 まぁ、身体強化の術式を修めて居るので殴り合いも出来なくはない。 それ故に彼女は、《七人みさき》に取り込まれている都市伝説で、トップの実力の持ち主と言える存在なのだ。 「成程ね。発動者が死ねば支配が解ける可能性も有るって事かい? そう言う事なら分かったよ」 先程の一撃で気絶した《行き交う人々》の契約者を一瞥し、ビルを見やる〝鬼女〟。その右手には、目に見える程の力が集まっていく。 集まった力は、腕先から肘までを渦巻きながら纏われている。 力の集束が止むと同時に身体ごと右腕を引き、ビルに狙いを定め撃ち出そうとしている。 それを阻もうとしている者は、誰も居ない。 操られた人々は、《七人みさき》の力で倒れ、男性は気絶したままだ。 「っりゃあぁぁぁぁぁぁァァァ!!!!!!!」 その〝鬼女〟の一声と共に、ビルに向かって爆音を響かせながら螺旋を描き放たれた――。 油断していた、と言うべきだろう。 呼び出された都市伝説を全て倒され、《七人みさき》に止めがさされる。 そう思っていた《百匹目の猿現象》の契約者である女性は、提げていた双眼鏡でその様子を見ていた。 夫の刃が防がれたり、少女が増え支配下の群衆が倒れたり、現れた少年によって自分の居る場所を知られた事も解った。 だが、これだけ離れて居れば大丈夫だと思っていた。 「ヒッ」 故に、現れた和服の美女に都市伝説ごと夫が倒され、双眼鏡越しに目が合って、恐怖に包まれる。 だからなのか、もしくはまだ余裕を感じていたのかその場を動きはしなかった。 だが、和服美女の腕に集まって行く力に、不味いと思いビルから去ろうと行動を起こした。が、遅すぎた。契約によっての身体強化が全くない彼女には、逃げる事は叶わなかった。 閃光に包まれて消えゆく中で、《百匹目の猿現象》の契約者が最期に思ったのは、娘の仇を取れなかった無念と夫の無事だった。 気絶から目覚めた《行き交う人々》の契約者が最初に目にしたのは、妻が居るビルが崩れて行く光景だった。 呆然とそれを見て居た彼だったが、段々と眼の前で起こっている事を理解していった。 「な、あ、な、~~~~~~~!!!」 言葉にならない悲鳴を上げ、呆然とする《行き交う人々》の契約者を尻目に美咲達は話し始める。 「うん。相変わらず凄いですね。〝鬼女〟の一撃は、もう二度と敵には回したくないですよ」 「そんなに褒めないでくれよ。で、如何だい? 成果は有ったかい?」 「大丈夫みたいだよ。敵意や殺意みたいなのが周りの人達から感じなくなったから」 〝さとるくん〟の言葉通り、苦しみながらも向けられ続けて居た自分達への害意が無くなった事に成功と判断した。 「んじゃ私達の出番もお仕舞い?」「おいおい。まだ、出たりねぇぞ」「それは、同感だな」 「えと、私は別に……」「素直に」「遊びた~い。転がってる奴らで遊びた~い!」 群衆を抑えるために呼び出された《七人みさき》の本体たちが口々に文句を言ってくるが、美咲は呆れたように溜息を吐いて言った。 「何を言ってるんですか。抵抗するのを分ってて、戻す訳がないでしょう。倒れてる人達への止めお願いしますよ」 「「「イェーイ!!!」」」「「よし!」」「やった」 そこら中に落ちている武器を手に、苦しんでいる人々に襲い掛かる少女達。 発病の力によって満足に反抗もできずに、群衆は確実に殺されていく。 何が起こっているのか? 自分達が先程まで何をしていたのか? そんな疑問を抱えたままに殺されていく。 「「「アハ、アハハハハハハ!!!!!」」」「「クス、クスクスクス!!!」」「フ、フフフフ!!!」 殺しまわる少女達の笑い声に、男性は気を取り直した。 「止めろ! 支配が解けたのならこの人達は関係無いだろう?!」 周りの出来ごとに焦って、《行き交う人々》を再び展開し、亡霊少女達を止めさせようとする。 「言ったでしょう。殺意には殺意で返すと、操られていようと何だろうと。いえ、私達に遭遇した時点で変わりはありません」 「そう言う事。《七人みさき》に、僕達に出会った時点でこの人達が死ぬのは確定してるんだよ」 それを遮るように美咲と〝さとるくん〟が語り、 「そもそも、捨て駒だったんだろう? 今更何言ってるんだい」 阻むように〝鬼女〟が彼らの前に立つ。 「それは……ッ!」 「反論なんかしなくて良いよ。それじゃ、僕は戻らせてもらって良いかな? する事も無いみたいだし」 「そうですね。良いですよ、戻ってて下さい」 〝さとるくん〟が消えても、《行き交う人々》の契約者に余裕は生まれない。 そもそも、敵戦力として数えて居なかったのだ。居なくなっても変わりは無い。 警戒しているのは〝鬼女〟と呼ばれた眼の前の女性だ。 先程、都市伝説ごとまとめて吹き飛ばされたのだから当然だろう。 「ついでに、他の皆も回収しておきますか。何時までも、倒れたままで居られても困りますし」 倒れていた〝テケテケ〟と車の群れに潰されていた3体の都市伝説も〝さとるくん〟と同様に美咲の中に戻っていく。 その最中も人々を殺し尽していた少女達は、満足したのか飽きたのか美咲の傍に寄って来た。 もう既に、その場に居たほぼ全ての人間が息絶え。残りの全員も、呼吸を荒くしたり血を吐いたりとかなり衰弱している。 ヤバイ、その一言が、今の《行き交う人々》の契約者の頭を占めている。 自分達の力だけでは〝鬼女〟を倒す事が出来ず、自分達に仲間が居る訳でもない。 だからこそ、この状況を打破するため、〝鬼女〟よりも先に美咲や少女達に矛先を向けて襲いかかろうとし、 「判断としては、間違っちゃいないね。けどまぁ、させる訳が無いけどね。土式――」 辛うじて息の合った群衆とまとめて、地面から突き出た石の槍にその身を貫かれた。 「ガ……ッハ!!」 「操技っとね」 「カハッ。ぐ、そっ。ヒューヒュー」 〝鬼女〟が創りだした槍に穿たれ、倒れていた全ての人間は止めを刺され、命を落としていった。 そんな中で《行き交う人々》の契約者である男性だけは微かだが息が有った。 しかし、すでに都市伝説を維持する力は無いようだ。 その様子に、何かを思いついたような表情を見せる美咲。 集まっていた亡霊少女達に何かを告げて、彼女達もそれに賛同する。 「その傷だと、もう長くは無いみたいですね。最期の手向けとして良い物を見せてあげますね」 「良、イ物? な、んノ、事だ」 「秘密だよ~。美咲っち、こっちは良いよ」 「それじゃあ、初めますか。これだけ居ると、私だけじゃ大変ですからね。」 7人が手を掲げると、死んだ人たちの体から人魂と呼べる様な光の球が出て来る。それは、吸い込まれるように《七人みさき》の手に向かっていく。 無数の光球が湧き出る様子は、とても綺麗で幻想的な光景であり。確かに美咲の言った通り、良い物と呼べるかもしれない。 だが、それも光球の正体が何なのか知らないから感じられる事だろう。 「綺麗よね。これが所謂、命の輝きってヤツなのかしらね」 「言い得て妙だな、命の輝きとは。確かに、その通りだ」 この光球は、知識や経験・能力と言った物が凝縮されたモノの塊であり、その人の生きた証と言っても良い。 《七人みさき》に殺されている事を条件に、人間や都市伝説に関係なく人型の存在にのみ現れる。 これを吸収する事によって、別の都市伝説を《七人みさき》に取り込むことが出来るのだ。 「い~っぱい集まったね。これだけ有れば、今日の分は大丈夫かな?」 「大丈夫どころかお釣りが来る位ですね。あなた達や〝鬼女〟も出したのに、消費分以上が集まりました。」 また、都市伝説を使うために必要なエネルギーの代わりにも出来る。 ただし、消費した分は決して戻らず、都市伝説や契約者の方がエネルギーが多い。 この機能によって、美咲は都市伝説に取り込まれる事無く、ギリギリのラインで人間としての自分を保っているのだ。 薄れゆく意識の中で、その様子を見ながら《行き交う人々》の契約者は、自分達の復讐が失敗した事を理解した。 いや、余計に力を蓄えさせてしまった分、逆効果だったとしか言いようが無いのかもしれない。 そもそも、前提から間違っていたのだ。《七人みさき》を相手に、物量戦で戦おうとした事が。 それを理解したのかは分らないが、悔しさと無念さを感じながら彼は、息を引き取った。 「うっし、全部集まったみてぇだな」 「そ、そうですね。あ、あれ? 〝鬼女〟さんは何処に」 「ええと。やる事やったから戻るって言って、戻りましたよ」 「私達も戻る」 「あぁ。そろそろ、移動しないと不味いかもしれん。戻るとしよう」 「むぅ~。しょ~がないか」 そう言うと、出て来た時とは反対に、亡霊少女達の体は影に沈んでいき。6つの影は美咲の影へと合わさった。 残ったのは、無数の死体とたった1人の少女の姿。その少女……美咲は急ぐ様子も無く、のんびりと街を去っていく。 「うわ?! 何じゃこりゃ……」 「辺り一面、死体だらけですねぇ……」 美咲が離れてから十数分後程で、入れ違いになるように黒服と女性の2人がやって来た。 彼らは、一番近くに居た事とその能力の関係から、組織がこの街から観測した都市伝説の調査を命じられたのだ。 それでやって来た現場は、死体だらけ。組織の人間として、それなりに人の死は見て来た2人も唖然としている。 「取り合えず、この街封鎖しとくべきか」 黒服が携帯で本部に連絡し、現場の状況を報告し街の封鎖を依頼する。 組織の方も、報告の内容から隠蔽が難しく時間がかかると判断し封鎖を決定したようだ。 「取り合えず。調べてみましょうか、危険は無いって私の《女の勘》が言ってますしぃ」 黒服の電話の間に、気を取り直していたらしい女性がそう告げる。 彼女は、女性限定の都市伝説である《女の勘》の契約者だ。その的中率は90%とかなり高い。 「だな。そんで、誰を調べれば良いんだ。教えてくれ」 「ええと、ですね。…………あ、あの人ですねぇ」 「アイツだな。んじゃま、調べるとしますかな」 女性が示した死体へ向かう黒服。 その死体は、他の幾つかと同じく地面からの槍によって体を貫かれている。 それは、《行き交う人々》と契約していた男性だった。 「さぁて、教えてくれ《残留思念》。此処で、何が起きたのかを」 《行き交う人々》の契約者の死体に手を当てて、黒服は都市伝説の力を発動させた。
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https //ja.wikipedia.org/wiki/無人駅_(岩佐美咲の曲) https //48pedia.org/岩佐美咲