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「良いね、2人共細くて。腰の位置もちょっと高くて現代っ子って感じだし。こっちに並んで座ってもらいたいな」 返事も無くレイは立ち上がって、客の指した真隣へ移動する。 次いでシンジも、レイの方がこの仕事に従事錯覚を覚えながら場所を移った。 ――ザッザッザッ…… 漫画家の客は姿勢悪くテーブルに張り付いて、握った鉛筆で軽く絵を描く。 自分達をモデルにしているのか、インスピレーションを受けるだけで全く違う絵なのかは、シンジの位置からは見えない。 それよりも気になるのは自分の左隣。 触れそうな位すぐ近くに殆んど生まれた姿に近いレイが居る。 撫然とした態度で何を考えてか何も考えていないのかぼんやりと座っているだけなのに、1度見て触れてしまった肉体が有る。 すっかり熟れた体でも、ましてや筋骨隆々の体でもない。未だ子供を抜けきれないのに女の香りを持つ、少女特有の匂い漂う体が有る。 「……あ」 「ん? どうしたの、シンジ君」 「いえ、何でもないです」 手を止めて顔を上げられてしまったので、慌てて両手を前に出して大袈裟に振るシンジ。 「寒い? 冷房入ってないけど」 「大丈夫なんです、本当に」 「そう?」 否定する度に益々心配そうな顔になってゆく。 恥ずかしいが余計な心配や迷惑掛けたくない。 そう思考が働いたシンジは少し俯き加減で呟いた。 「あの……ちゃって……」 え? と聞き取れずに客が首を傾げ、更には隣のレイも気になったのか顔をこちらへと向ける。 「その……あの、た、勃っちゃって……」 膝を抱えるように座って隠してみるのは、その主張が未だ足の間で収まる程度だから。 「すみません……」 「別に謝らなくても良いけど、誰かに買われる前にヌいてきたりしないの? 若いんだし、すぐイッちゃって大変なんじゃない?」 「ぬく?」 「その……出しておく、と言うか。言い方変だけど長持ちするよ」 言葉の意味を汲み取れず勃起が収まる位に考え込んだシンジは、数秒後に理解出来た途端顔を赤く染める。 「ひっ、1人でなんてしませんよ! 綾波の前で変な事言わないで下さいっ!」 「丁度ヤリたい盛りじゃないかと思ったんだけどなぁ」 疑っているのか笑いながら再び姿勢を崩して紙へと向かう。 「しませんよ……お客さんがシなさい、って言ったら別ですけど……」 「言う人居るんだ?」 そんなに勃つのが早いだろうかと思いながらもシンジは頷いた。 「女の人は、結構居ます。人によっては僕が……その……オ、オナニー……してるの、見るだけで良いって人とも偶に居ます」 横目で見ながらも客の意識は殆んど紙に集中している。 「じゃあ1人でヤッてる所描きたいからヤッてって言ったら、男の前でも出来る?」 「それがお仕事なら」 終わったのか、手を止めて別の白い紙を手探りし、新しいその紙を描きやすい場所に置いた。 「じゃあちょっとヤッてもらおうかな。漫画で良ければオカズになる物、結構有るから」 「脱がずに、ですか?」 それは流石に困る。泊まる事を前提に来ているので鞄に替えの下着は入れてあるが、精まみれになった下着を持ち運ぶのは避けたい。 「いやパンツも脱いで。……やっぱり恥ずかしい?」 「いえ、大丈夫です」 意を決して下着に手を掛けたが、ふと思い出して手が止まってしまう。 隣にはレイが居る。 思わず視線を向けてしまった事にレイもすぐ気付いた。 「何?」 「えっ? あ、う……」 「私も脱ぐの?」 答える隙も与えずレイは両手を背に回し、ブラジャーのホックを外した。 同時に白いそれはレイの太股へと落ち、更に白いと錯覚してしまう程透き通った白い肌。 膝立ちになりレイは躊躇いも恥じらいも無く下着も下ろす。 毛の無い局部もまた白く、それこそ血管が浮きだしそうな不気味さすら有った。 ――ゴクリ 初めて見てしまったあの日のレイの全裸と全く変わり無い。 成長が止まってしまった少女にも見える姿にシンジは息と唾液を飲み込む。 「脱がないの?」 「ご、ごごごめん!」 視線を厭う冷たい口調に、シンジは一気に下着を足首まで下げた。 レイとしては決して他意は無く、仕事は迅速に済ませろと言いたかっただけなのだが。 そして露になったシンジの幼い性器は似つかわしくなく起き上がっている。 「……人前で、出来る?」 それだけ勃っているのなら大丈夫だろうと踏んでいながらも尋ねる客。 「は、い……」 隣に全裸のレイを置いて、初対面の男の仕事の為に自慰をする。 そう考えても尚勃起は収まる気配を見せないので、ここは処理してしまった方が勃起したままでいるよりもマシだろう。 頭の中で決定したシンジは左手で性器の付け値を掴み、竿にそっと右手を掛けた。 「ん……」 寒くはないのに冷たい手の感触で、相当猛っていると自覚させられる。 乾いた感触で性器を包み込み、顔を上げて上目に開始しても良いか目線を送ると、客は穏やかそうなその顔に穏やかな笑みを乗せて頷いた。 誰かが教えてくれるワケではないので他者に魅せるやり方等知らない。適当に自ら上下に扱く位しか方法が思い付かない。 それでも客に見えるように膝を立てたまま外股に開脚し、自分は相手を見ずに済むよう俯く。 右手を余り強く握らずゆっくりと上下にグラインドさせる。大した刺激でなくとも、じれったさともどかしさが脳味噌を直に刺激してきた。 手の平の柔らかな感触が裏筋を撫で上げては下がり、4本の細い指の感触が前面を執拗にうごめく。 硬く細い自らの手が性器を柔らかく擦る。そんな姿を目の前で名前すら知らない相手が網膜に焼き付け、更には1枚の絵に仕上げようとしていた。 それ程の価値が今自分のしている事に有る。 自分で慰めて、掠れた甘い声を漏らして、肩を震わせながら精を放出する姿には、記憶して記録する、今までの人生では誰からも与えられなかった価値が。 何かを見たり想像したりする必要は無い。男の視線と描写する音だけで充分興奮の材料になった。 男に対して手だけで奉仕する要領で行えば――覚え方としては逆だが――気持ち良くなれる。 「はっ……んっ……はっ……」 声が殺しきれない。恥ずかしいがその方が良いのだろう。 半端に膝を立てた体勢で、その先の足の指が力を込めて折り曲がった。 薄く目を開いて前を見ると男が手元もおろそかにシンジを凝視している。見られている。 手の中に有る熱く硬い自分自身に意識を集中させると、鼻の頂点がツンとした。 「は、ンっ……イ、イキそ……」 ゆっくりと動いていた手は止まり、人指し指の腹で鈴口を小さく激しく擦る。 「ふぅッ! や……」 眉間に皺が寄って、目を開けていられない。 下腹がビクビクと射精を訴え、腰が勝手に卑猥な動きを見せる。 普通に性交するよりも恥ずかしく、羞恥の余りシンジは顔を真横へと向けた。 その先にレイが居る。 手が止まってしまう。大きく目を開けると、嘘だと思いたかったが案の定レイが冷たい赤い瞳でこちらを見ていた。 「あ……」 気まずい。 レイの事だからシンジが何をしているのか、それが恥ずかしい事なのかもわかっていないだろう。そしてこの事を誰かに言う人間でもない。 しかし何故か、全裸で自分の自慰を見ている女性なのに、興奮等が一切起きずにただ気まずい。 Index Next
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3の2 ようこそ、戦争屋の世界に。 「たこつぼ」を掘って、中に入る。 たこつぼってのは、落とし穴みたいなもんだと思ってくれればいい。 直撃さえ喰らわなければ、爆風を避(さ)けられる。避(よ)けられる。 大海原の船。甲板から見える夜空は半球ドーム。 盆地の山々に囲まれた平野部からの夜空は、角度10度くらいが 水平線から地平線になってて、180度見えなくて160度見える。 カルデラ湖、の水面からは山際が周囲をもうちょっと覆ってて 角度30度くらいが見えなくて、夜空の120度範囲が見える。 すり鉢の底、漏斗(じょうご)の落ちる方の穴、入れる方じゃなくて。 たこつぼでは、角度80度くらいが掘った土壁になって、 見えるのは天井の角度20度範囲くらいの空。 円柱の底から、円柱の上にある開口部を見る。 その先に、空。 マンホールの蓋(ふた)を透明にしたものを「たこつぼ」の 開口部に填(は)める。 肩幅ってのがあるよね。それを満たすだけの直径が円柱には求められる。 「一つ目小僧」でないから、左右の眼による視野差もあるけど、 取り敢えず無視。 肩幅である円柱の直径と、頭部から「透明マンホール蓋」までの距離が、 要するに、「肩幅=透明蓋直径」と「頭部中心の視点=網膜を点とする」 これが作る二等辺三角形が視野角になる。 たこつぼの中で夜を過ごす。 たこつぼは地面に掘ったんだけど、地球という観点からは、 平面に掘ったんじゃなく、球面に掘った。 夜空の「ある範囲」だけが、見える。 動かなくなった天文台。 天文台は部屋そのものを地転回し、 望遠鏡の筒を上下にする為、これまた回転する。 たこつぼは動かなくたった天文台。 それでも視野角があるから、夜空の向こうに何万光年も先の星々を 視野内に同時に見る。星々は互いに何万光年も離れている。 夜が更け、深夜になり、未明に。 動かない天文台は、好きな星座を視野に入れることはできないが、 地球は回転している。それとも夜空は回転している。 見える星々が替(か)わっていく。 今夜は定時郵便配達がなかった。 翌朝、ジャングルの色鮮やかな鳥が空をかすめる。 日中の光は、深宇宙を感じさせない。水蒸気の影響か。大気中の。 海の中の透明度みたいなものが、空気の空間にもある。 そうそう、望遠鏡を覗いて星々を見るとき、円の内部に光を輝点群を見る。 それを写真乾板に焼くとき、乾板は長方形。 どうも、人間の技術は円を扱うより矩形(くけい)、長方形とか正方形の 四角形の方が扱いやすいとする。 まず、この円でも四角形でもいいんだけど、これ平面ぽい。 天文台の部屋回転と望遠鏡の角度回転を瞬時(0時間)に行えば、 全天を一瞬で撮影できる。もちろん天文台は地球上にあるから、 地球という球体の土塊(つちくれ)があるから、 全方位は見えないんだけど。 まあ、ほとんど一瞬にして撮影いくつもしたとする。 今度は張り合わせの作業。 四角だと埋め尽くすことが重なりなしにできる気分だけど、 丸い円だとできないな。実際は四角でも円でも重なりを使って 作業するけど。 さて、話を戻して、 昨夜来なかった定時便は、いま来た。ヒュー、ヒューという音。 俺の「たこつぼ」からはまだ見えない。 この音は映画の見過ぎて、地上じゃ爆発音だけで、 爆撃機の腹が割れての爆弾の風切り音なんて聞こえやしねえ。 //たこつぼの外の人には聞こえるのかもだが。 見えないが、爆撃機の編隊が通過してるらしいのが、爆音、 爆弾の爆発音じゃなくて、エンジンの。が、聞こえる。 「透明なマンホール蓋」、原点Oの周辺。x^2+y^2=1とすると、 その延長上の近辺を真っ直ぐ爆撃機編隊が進んでいるのがイメージできる。 爆音が聞こえるから、x^2+y^2=10ぐらいの範囲内で直進している。 と、思われる。 敵機の高度を地上1000メートルぐらいとすると、 俺の意識は、そこにある。 「透明マンホール蓋」縁(へり)と俺の頭部までの距離が作り出す視野角。 その延長したところ地上1000メートルでの、 二等辺三角形の底辺長さ1には、敵機はいま、見えないということ。 マンホールの大きさ、つまり、己の肩幅の大きさではない。 どうだろう、自分はいま地面マイナス1から2メートルあたりにいるのに、 敵機を意識したとき、地上1000メートルと地面の距離、奥行きを忘れてる。 いや、もちろん、真上に爆弾が見えたとき、徐々に大きくなっての、 待ち時間が距離(高度)として認識できるけど、 つい、敵を探査するとき、自分側の高さを忘れて、敵高度を水準と思ってしまう。 もちろん地球の丸みに対して、高度1000メートルと地中1~2メートルなんて 平面、平行な平面に過ぎない。だが、光が有限の速度となった世界ではどうなる。 小さな島を守ってる日本軍を相手にするときは、準備爆撃として、 砂浜周辺のジャングルを爆撃しとけばいい。見えなくてもだ。 「たこつぼ」からは、ジャングルの木々が空を覆っても、枝の隙間から 空が見える。 ブラインド、簾(すだれ)、部屋の中の人にとっての粗い網目までの距離と、 道路からの通行人にとっての粗い網目までの距離が非対称と同じ。 ところが政治的に北の本拠地を直接叩けない、 ソ連との万が一を恐れてかもしれないし、 戦争長引かせて儲けようかもしれないし、 アメリカの精神を濁らせようとしたのかもしれないし、 ま、それはどれかとか、どれでもいいし、どうだっていい。 なにかを知っているなんてのは、支配者に己の気分を重ねられないものが、 それなら黙るが普通だが、幻想に集まるものは、症状として。 と、これは放置で、 ジャングルの一塊が大きい。500ポンド爆弾ぐらいじゃ虱(しらみ)潰せない。 ナパームや気化爆弾(こんときあった?知らん。軍オタじゃねーんで。)は、 面攻撃ができる。 数学者が「たこつぼ」にいたら、彼等の肩幅は無限小にできるから、500ポンド 爆弾じゃ効果がないが、ナパームや気化爆弾なら効く。 だが、いかんせんジャングルが大き過ぎる一塊(ひとかたまり)。 日本軍をやったときのようには、見えんでもそこにいると予測できんから、 予算に制約。 ジャングルを通っての北から南への補給線を叩きたい。 そこで枯葉剤だ。ジャングル全部を枯れさす必要はない。 北と南の間を裸にすればいい。線で十分だ。 境界線に一定の幅があれば、ベトコンの移動が空から見える。 ベトコンにとって、南へ行ければ仕事を成した。北に居れば、まだ。 自分の存在はどちらか。 空からは、どこにいるかの二分法。 叩けるのはその間。 「たこつぼ」が連続した塹壕線。 部屋回転ができなくなった天文台。でも、望遠鏡筒(つつ)の角度回転できる。 まっ、こんなところで、仕組みに直接行こう。 数学者の好きな規格化へ。 以上を、平面で四角な座標から、立体的で球な座標にする。 Fri Dec 28 20 00 44 2012 目次に戻る メモ 捨て これだけは追加しておこう。 北極星の回転。 首戻しによる有限 点注目で無限性獲得回転停止 自分が廻ってる落下傘開く前の降下で。レッドアウト。 先に進む為。 指望遠鏡は面 爪先はほとんど点な面 ピンホールカメラ
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炎を、覚えている。 閃光を、覚えている。 叫ぶ声を、覚えている。 漸く抜けだした虚構の一学期の先。 僕は――何一つ叶えられず、『運命』に敗北した。 ■ 「――――ッ!」 ベッドから、跳ね起きる。 悪夢に魘された後特有の、まるで長距離走でも走ったような息切れと動悸が身体を苛んでいた。 シャツは汗でぐっしょりと濡れ、肌に張り付いて毛穴が震えるような冷たさを訴えている。 暫くそうした後に、取り敢えず着替えだけでも済ませようと思い立ち、上体を散らかった寝台より起こす。 思わず欠伸が出た。窓から差し込む日光が心地よく、胃袋は朝食を求めて情けなく鳴いている。 ぼうっと袖から腕を抜き、白い布地を身体から引き剥がす。 そこで――僕、直枝理樹はやっと、自分が〝何をしたのか〟を思い出すのだった。 男にしては細くて色の白い右手。 その手の甲に、刺青のような刻印が刻まれている。 一画、二画、――三画。ともすれば倒錯的な程赤々と煌めくそれは、僕にとって文字通り最後の望みに違いなかった。 「ああ……」 漏れる声は後悔ではない。 恐怖などとは断じて違い、しかし願いに向けて猛進する意気込みを秘めてもいない。 称すなら、空虚とでも形容するのが一番正しいだろうか。 別段何か深い感慨を抱くわけでもなく、ただ何処か客観的な目線から、火の灯された導火線を見つめている気分。 実感が沸かない。 昨夜、月の綺麗な真夜中に……自分は、地獄の釜の蓋を開け放ってしまったというのに。 想起する、想起する。 ――僕にとっての始まりは、酷く早急だった。 ■ 学園生活があった。 勉強道具を鞄に詰めて登校し、何となくで授業を受けてクラスメイトと談笑して、それから惰性で帰途に着く。 そんな当たり前をほんの一日行っただけで、違和感を抱いた。 既知感(デジャヴ)の反対、未知感(ジャメヴ)。 おかしい。 おかしいおかしいおかしい、僕はこんなものは知らない。 こんな、普通の学生みたいな毎日を、僕は知らないはずだ。 僕の周りには、毎日を惰性で過ごしているような人間は一人もいなかった。 誰もが馬鹿馬鹿しく必死に生きていて、その心に悩みを抱えていて、そんな人達が集まって―― 僕は、そんな日々を……長い人生の中では刹那程でしかない高校生活を、愛したのではなかったか? 瞬間、記憶にかけられたフィルタが決壊した。 雪崩れ込むのはあの虚構世界での記憶。 仲間との思い出、そして別れ。 自身の無謀が招いた破滅という結末――――、 その果てに、この手が掴み取った一個の石槫。 聖杯戦争。 魔術師達による血塗られた戦いの参加者に、僕は選ばれた。 そして僕自身も、願いを叶える権利へ手を伸ばすことの出来るその切符を拒みはしなかった。 叶えたい願いが――取り戻したい刹那があるから。 勝ち抜こう。 この戦争を、全身全霊を懸けて踏破しよう。 『あの子』を一人にしない為にも、僕らには『彼ら』が必要なんだ。 そこからは、あっという間だった。 無我夢中と言い換えてもいい。 気が付けば草木も眠る丑三つ時、僕は月の石を手に、自分のアパートの居間で佇んでいた。 聖杯戦争を勝ち抜く為には、己の武器となる英霊(サーヴァント)を召喚しなくては話にならない。 曰く、サーヴァントは英雄豪傑揃いと聞く。 人間の力で倒すなど到底不可能な力へ対抗するには、此方も同じだけの力をもって応戦するより他にあるまい。 手を、握る。 暗闇の中石を握り締め、祈る、祈る。 脳裏に過るは友の顔。 もういない、彼の顔。 泣き腫らした、彼女の顔。 僕らは、リトルバスターズだ。 遠い過去、直枝理樹にとっての『はじまり』の記憶が網膜の裏に再生された時―― 「グーテン・アーベント(こんばんは)」 目の前には、赤い魔女が居た。 背丈こそ小さいものの、その総身からは余すところなく色気が迸る。 纏っているのは――軍服だろうか? 腕章の徴には見覚えがあった。これは確か、ドイツ第三帝国の…… 「貴方が、わたしのマスター……でいいのよね?」 口元に指を一本当てて、いたずらっぽく微笑む魔女。 その姿を前に、僕は召喚の疲労からかぐらりと目眩に襲われ―― 「そう、だ」 どうにか、返事だけは紡ぎだし。 「そ。可愛い坊やに召喚されちゃったわね♪」 そんな緊張感のない声を聞きながら、意識を暗転させてしまった。 ■ 「あら、起きた? いきなり倒れちゃったもんだから、わたしがベッドまで運んであげたのよ?」 「そっか……ごめん、ありがとう。キャスター」 回想を終えた僕の前には、件の魔女――キャスターのサーヴァントが居る。 マスターとしての能力でそのステータスを見るが、実に魔術師らしいステータスだと感じた。 筋力や敏捷などの位こそ低いが、魔力だけはずば抜けている。 奇策や絡め手に訴えてこそ真価を発揮する……成程、これは一筋縄ではいかなそうだ。 「キャスターなんて仰々しく呼ばなくてもいいわよ。 人前じゃなければ、そうね……ルサルカ、はまんますぎるから……マレウスとでも呼んで。 わたしの仲間達は、みんなわたしをこう呼んでいたから」 ルサルカ・シュヴェ―ゲリン=マレウス・マレフィカルム。 彼女は自身のことをそう名乗った。 厳密には些か異なるらしいけれど、本人曰く気にするほどの事じゃないとのこと。 なんだか触れて欲しくないようなニュアンスだったので、僕はそれ以上踏み込むのをやめた。 「分かった。改めてよろしく、マレウス」 「此方こそ宜しく、理樹くん。――あ、そうそう。昨日は結局聞きそびれちゃったんだけどさ」 髪の毛をくるくると弄びながら、マレウスは僕へ一つの問いを投げた。 「理樹くんは結局、何の為に戦うの?」 「――――僕は」 何の為に戦うのか。 そんなことは、決まっている。 何の為に殺すのか。 そんなこと、とっくのとうに決まっている。 でも、これはきっと最後の一線だったのだろう。 この質問に対して、この答えを返してしまえば、その時は本当に戻れなくなってしまう。 ――嗚呼、何を今更、僕は女々しい迷いを抱いているんだ。 自分に嫌悪すら覚えつつ、――そんな自分と決別する意味合いも含めて。 直枝理樹は、水底の魔女へと真っ向から己の真を吐露した。 「僕は、取り戻したい」 ある筈だった青春(イマ)を。 約束されていた明日(ミライ)を。 「僕は大切なものを、理不尽な運命に奪い取られた。根こそぎ、何もかも――でも、なくなったものは仕方ない、なくしてしまったものは還らない……そんな言葉じゃ、絶対納得なんか出来っこない」 「……そう」 マレウスはそれを聞くと、その顔から表情を消した。 ――地雷。そんな単語が脳裏を過る。 恐る恐る顔色を窺っている僕を見て、マレウスはくすっと笑う。 「貴方、面白い人ね――」 何が、彼女の感情を動かしたのか。 それが『刹那』という単語であると、僕は遂に知らないまま。 寝台の上へ僕を押し倒す、赤い少女の姿をただぼうっと見つめていた。 思えばこの時、僕は彼女に催眠術か何かをかけられていたのかもしれない。 「――――聖槍十三騎士団第八位、ルサルカ・シュヴェーゲリン=マレウス・マレフィカルム。短い間だけど、貴方の為に戦ってあげる。だからその前に……ちょっとだけ、遊んであげる」 口許を、彼女の唇で塞がれた。 悪戯に微笑む顔は扇情的で、視線を逸らさせない魔力がある。 甘い唾液を流し込まれ、されるがままに口内を征服される。 ぷはっ――互いの口の間に唾液の橋をかけ、それを口端から妖しく糸引かせながら僕のサーヴァントは微笑んだ。 「ジークハイル・ヴィクトーリア(我に勝利を与え給え)」 その秘裂は、迷うこと無く僕の■■に宛てがわれ―― 意識が快楽に満たされる刹那、脳裏に浮かんだのは…… (ごめんね……鈴) 大好きだったはずの、茶髪の幼なじみの泣き顔だった。
https://w.atwiki.jp/papayaga0226/pages/171.html
「8番テーブル、ドンペリはいりまーす」 「あーりがとーございまーす!!」 これ、たぁのしぃぃ!早く次の注文はいらないかな、入らないかな!!早く言いたい! 「おい!ご指名だ!」 「はい、行ってきます!」 こんにちわ、みなさーん!久住小春です。 今、ホストクラブに潜入してまーす。別にダークネスは関係ありませーん 最近、高橋さんの様子がおかしいんです。小春は思わないんですけどね。 どうも、夜遅くに帰ってきたり、ちょっとお酒臭かったりするらしくて。 みんな心配してるんですけど、 ほら、高橋さんって溜め込むタイプなんですよ。これ、新垣さんの言葉ですけど。 とりあえず、どこに行ってるかだけでも調べようって話になったんですが、 何せ高橋さんは消えますからね、消えてぴゅんです ぴゅんできゅいんです だから、足取りを追うのは田中さんでも無理なんです そこで、小春の出番ですよ。もうむっちゃくちゃ念写しまくりました。 今までの人生で一番、苦労しました。一番小春が頑張りました。 「ちょ、小春、これって…」 その中の一枚、それに驚愕の事実が… って、もう冒頭で言いましたからわかりますよね。 そう!高橋さんが人目を忍んでこのホストクラブに入ってくる写真でした もう、田中さんとミッツィと三人でとにかく焦っちゃってー 新垣さんに見られないように、いつものロフトでこしょこしょ話ですよ 何かの間違いであって欲しかったですけど、 小春が一番自分の力、わかってますからね ざんねんむねんです おしいひとをなくしました 「ど、どうします…」「どうしよ…」 慌てふためく2人のために、小春は宣言しました 「小春が、潜入します。高橋さんをー、説得しまーす」 反対2票賛成1票で見事に可決。 今小春は、顔の表面にナンバー2の人の顔をくっつけてます。 だいじょぶです、ホントのナンバー2の方も接客してると思います、幻覚の中で。 本当はそこ、おトイレです。 うーん、でも今日ナンバー1になっちゃうかもなー 小春こういう話術むちゃくちゃ得意ですからね、一番得意ですから でもさっきから、人の名前がわからなくて困ります やたら太ももに手をおかれてこしょばいです アルマジロ買ってあげるって言われるんですがなんですかね? ジャガーとかこの人はアニマル好き?アニマルって動物ですよ。 小春それよりチョコが良いんですけど… きゃー!!! 悲鳴が聞こえました。出撃?出撃?! そうワクワクしたのに、現実は残酷です。 ナンバー1の人の机で何人かのハートが打ち抜かれただけでした。 さっきからこんなのばっかりです。 あの人そんなカッコ良い人なんでしょうか? 小春のテーブルとちょうど背中合わせで、まだ顔見れてないんですよ。 よくわからない会話ばかりで、小春疲れてきました。はいはい、好きです、好きです あーもう、いつまでこんな調子でしょうか? ぎゃー!!! また、ナンバー1か……… 「我らはダークネス!地上に絶望を齎す至高の集団だ!」 さすがナンバー1は言う事がカッコいい…って、え!?敵襲!? 慌てて入り口を見ると、見知った制服の団員達が銃器を掲げています。 脇に転がる血まみれのボディーガード。縮み上がるおねーさんたち。 震えるホスト。 銃なんて見せかけです。わからない人たちにわかりやすくするため。 本当の凶器は彼ら自身です。かなり、強い。 さすがにこの顔でやるのはマズいので、一度おトイレに戻ろうとしました でも、隣のおねーさんに腕を掴まれそれが叶いません 「行かないでー、あたしと一緒にいてー」 逃げるんじゃないよー小春闘いたいよー はーなーしーてー 店のパニックは留まるところを知りません。 どうしよう、落ち着け小春、おーちつけーーー 「おいおい、無粋だな。」 喧騒の中で、凛と場を静まり返らせた、その一言。 それは、ナンバー1さん。 まだ後頭部しか見えてないけど、別におかしくなったわけじゃないみたいです あ、ああ、あぶないですよー 「なんだと、テメー、死にたいのか!?」 「ここは終わりなき、宴の場。それを邪魔する権利は、誰にも無い…ハズだぜ。」 それともなにかい? お嬢さんたちのエスコートに慣れていないが故の過ちかい? 「そんな野蛮な出で立ちじゃ、レディのハートは射止められないよ」 うわーお!かっこいい! でもでも、相手は能力者…このままじゃナンバー1さんが、危ない! 「死にたい奴が一人増えたぞ!」 ナンバーワンさんの米神に銃が突き付けられました。 「いいだろう!まずお前みたいな綺麗なにーちゃんを見せし…ぐふ!」 でも、言い切る前に、そいつは床に倒れこみました。 「悪い悪い、捨て台詞は最後まで言わせてやるべきだったね、雑魚サン」 首筋に埋め込まれたのは、彼の手刀。 「でもキミはボクに銃を向けた、それは重罪だ。何故かわかるかい?」 -ボクを失う悲しみを、彼女たちから誰が奪ってくれるんだい?- 「タカァァァァァ!!!」「きぃゃぁぁぁぁぁ!!!!」 耳をつんざく様な、おねーさんたちの黄色い声 一斉に彼を取り囲む、狂気の黒い筒 戦況は圧倒的不利なのに、その人はむしろ、この状況を楽しむかのようです 「そうか、生き急ぐのか。どうしても、というのならお相手しよう。 お代はそうだな、キミたちが大切にしない、その命で」 ダダダダダ… 拳銃の弾は全て、彼をすり抜けます。 彼は涼しげにステップを踏みます。ショーです。まるで、ダンスショー 「グッバイ、ブラザー。良い夢を。」 彼は小春にウインクすると、目にも止まらぬ速さで、ダークネスをなぎ倒しました いえ。 実際、目に止まるはずは無いのです。人の眼は見得るものしか映さないから 彼…いや、彼女は、元いた場所からどこも経由することなくうごいた。ふつーの人は瞬間移動と呼ぶ、あれです。 そう、ナンバーワン、それはうちのリーダー高橋さんでした。 どうも、背の低い人だとは思ってたんですよー にしても「タカ」って高橋の「タカ」ですか?なんにせよ、大事に至らず良かったです。 と、言うのもー、彼女の動きが滑らかに、 また人としての許容範囲に見えるように細工をしたのはこの小春です。 残像を作って貼り付けました、店にいる全員の網膜に。小春やっるー! その後オーナーが警察に電話して、変な強盗事件として処理されることになりました 「高橋さん、どうしてあんなことを…」 聞くに、一ヶ月前に高橋さん、おじさんと道でぶつかって、骨折させて、 慰謝料1億用意しろって言われて、泣く泣くホストクラブで働くことになったと言うではありませんか むむむ、高橋さん、それ絶対なんか騙されてます。 小春、こう見えてニュースよく見てますから、ピンときました 「よくあんなにスラっと男のフリできましたね…」 「…宝塚名場面集より抜粋やよ…」 あー道理でなんか楽しそうだった… 「帰りましょ、高橋さん。タカは今日の事件を機に悪を打ち倒す旅に出たんです!」 「なんやの、そんなどっかの戦隊ものみたいな…あ、あーしリゾナンターやったわ」 けらけら笑う高橋さん。でも、1億…なんてまだ心配そうにしています 大丈夫、事務所の住所わかってるんですもんね。コハハハハハ… 「行ってくるっちゃ!」「晩御飯までには、戻る」 やる気まんまんの田中さんと 驚くほど無表情の新垣さんがアップ始めました 「ごめんなー。あーしが行くと話し合いがこじれるんやろ? お相手に悪いから、これ、渡しといて?」 それは喫茶リゾナント永年無料コーヒー券 「にしし…飲みにくる勇気あるっちゃろか?」 「一生忘れるなって意味になって良いんじゃない?」 田中さんと新垣さんは、不敵な笑みを配りながら、戦地に赴いていきました。 「久住さん…」 そう呼ばれて、横を見るとミッツィが一筋の涙をその頬に流しています 「あかん…今までいろんな闘いを視てきたけど、 こんなに一方的で容赦のないもんは、初めて視ました…」 詐欺、ダメ、絶対
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登録日:2009/06/01 (月) 12 22 08 更新日:2024/06/10 Mon 23 17 13NEW! 所要時間:約 10 分で読めます ▽タグ一覧 00 MS アーマードトルーパー ガンダム ガンダム00 ケンズィー・テラオカノフ ザクポジション シルエットマシン セルゲイ・スミルノフ ソーマ・ピーリス ティエレン ロマンあふれる長距離射撃型 人類革新連盟 公式で棺桶 寺岡賢司 棺桶 漢の機体 漢の為のMS ←女が乗っても 量産機 鉄人 霊子甲冑 高機動型もロマン満載 『機動戦士ガンダム00』に登場する機体。 形式番号 MSJ-06II 頭頂高 18.1m 本体重量 121.3t 装甲材質:Eカーボン 動力:バッテリー 所属:人類革新連盟 主な搭乗者 セルゲイ・スミルノフ ソーマ・ピーリス ミン 人革連一般兵 カタロン一般兵 金田正太郎 【概要】 『機動戦士ガンダム00』に登場する量産型MS(モビルスーツ)。 「ティエレン」は「鉄人」の中国語読み。 なお、アクセントは「ティエレン」ではなく「ティエレン」。 MSJ-04 ファントンの後継機として、23世紀末頃から人類革新連盟(人革連)の主力MSとして運用されていた。 設計者は、人革連の主任設計士ケンズィー・テラオカノフ。遊んでるな寺岡さん。 作中の別陣営の機体が飛行能力を重視して細身の機体を開発しているのに対し、このティエレンはEカーボン製の重装甲に覆われた武骨な超重量機である。 鈍重な分、パワーと防御性能では極めて優れている。 ユニオンリアルドやAEUヘリオン等と違い、バイザー(正確にはセンサー素子)が無く、横方向に可動域の広いモノアイカメラが露出している点も特徴と言える。 【機体解説】 あらゆる局地に対応出来るポテンシャルを持つ機体であるが故にバリエーションが凄まじく多いので、本項では地上型を中心に、全バリエーション機の共通項に触れる。 色々と面白い特徴がある機体だが、まずは扱う人間の視点から特異性に触れていくこととする。 まず、コクピットを人体が快適と思える温度に保つ、だのという生温い思想はこの機体には存在しない。 コクピット内はほぼ真空の無酸素状態にして、酸素チューブ付のヘッドディスプレイを装着し、網膜投影で情報を得る。 一昔前のSF物の四角い宇宙服着た宇宙人っぽさがある意匠。 しかも、直立姿勢でしか操縦出来ない。終始立ちっぱでものっそい揺れるMSを運転する訳である。 一応コクピットを換装することは出来るが、量産機でそんなことはいちいちやらない。 閉所恐怖症の人間なら余裕で発狂出来る、満員電車なぞ天国に思える空間である。 直立という時点で察しがつくだろうが、、上からパイロットを吊り下げるようにして搭乗させるので、大気圏内では自分独りでは緊急時には機体から離脱することすら困難。 エコノミー症候群とは無縁だよ!健康的だね!! その過酷さもあってか、この機体での連続戦闘時間は30分。最大でも1時間程度と言われている。 ……これだけを見ると、金のかかった拷問器具に見える。 作中では、ユニオンやAEUの兵士から「生きた棺桶」等と揶揄される始末。 が、あくまで負の側面を敢えて論じてみただけで、見方を変えれば物凄く合理的かつ優秀なMS。 別にパイロットに嫌がらせをする為に存在する無駄な機体という訳ではなく、汎用性と耐久性を重視した結果である。 ―――BC防護がパイロットスーツのみなんてヤバい?……一体何言ってるのか理解出来ないな。 まず、ヘッドディスプレイは眼球と頭部で特定の動きをとることでコマンド入力が出来る。 加えて、局部センサーから得られる情報がダイレクトに網膜に写る分、確実に情報が脳に伝達され易い。 これは、未熟なパイロットにとっては特に、不意の情報の取りこぼしが少ないというメリットになる。 パイロットを常時直立させて居住性を無視することで、コクピットの容積を抑えつつ設計を単純化出来る。 その分だけシステム周りは堅固にし易く、予め真空にしてしまえば状態維持も楽。 宇宙空間では大惨事になるコクピットへの亀裂等による気圧変化の心配が無くなる。 例え宇宙空間でビームサーベルでコクピットハッチを切り裂かれ、鼻先数センチをビームが掠めようが、酸素も無いのでコクピット内部で爆発が生じ、それでパイロットが負傷したり、という心配も無い。 高度でデリケートな技術を多用しない分デバイスも堅固で、惨事にはなり難く生存率はそれなりに高い。 何より、 「そのまま未調整で放り込んでもあらゆる環境に簡単に対応させられるくらいに、適応力と整備性が高い」点は他の陣営には無い絶大なメリット。 恐ろしく重い分自重に耐えられるだけの防御・耐久力があり、どんな無茶な超重量兵装だろうと後付でも搭載可能。 他陣営の機体より何年分も長く運用された結果としてノウハウも蓄積されており、単純明快かつ頑強な機構のお陰もあって 「故障率は他陣営に比べ40%も低く、整備に要する時間は1/5程度」 これは驚異的な数値である。 ジャングルや砂漠等の過酷な環境での戦局が長期化した場合、これらは勝敗の決定打として響いてくるので、本機が機動兵器として如何に優れモノかが分かるだろう。 なお、飛行能力も無い(バリエーション機も飛行能力は高くない)本機は、2304年頃にはユニオンフラッグの配備もされて最早完全に時代遅れで勝ち目の無い機体、と思われがちだが実はそうでもない。 リニアライフルでもフルチャージショットでなければティエレンの分厚い装甲を貫通して致命打を与えるのは難しく、プラズマソードでもティエレンの腕でさえ両断するのは困難。 特にパワーの面では、フラッグはガンダムエクシアが軽く振り払っただけで弾き飛ばされるのに対し、ティエレンは関節が壊れるくらいの最大出力で握撃をかませば、エクシアでも容易に振りほどけない程の馬鹿力を発揮する。 このように迂闊に接近戦を挑めばフラッグ等であっても返り討ちに遭い、遠距離戦に徹すれば基本的にはフラッグ等が有利なものの決定打を入れるのはなかなかの手間。決して油断が許される相手ではない。 プロレス染みたガチムチファイトを地で行く機体である。 2312年頃にはGN-Xが普及したが、この機体は適応力と整備性の高さ故に拠点防衛・警備用として広く愛用されている。 基本的な運用法は、まずこの機体が敵の襲撃を持ちこたえ、その間に緊急信号を受けた近場の迎撃部隊のGN-Xが駆けつけるまでの時間を稼ぐ、といったもの。 それ以外には、出力制限をかけて民間用の大型パワーローダーの代用品としても払い下げられた。 余談だが、スタッフの寺岡氏によれば、この機体を開発したケンズィー・テラオカノフ氏は、2314年頃には引退して、民間用重機開発等を手掛けつつ、悠々自適に過ごしているとのこと。 旧式モデルとして『MSJ-05ティエレン』という機体も存在するが、設定のみ。 ユニオンやAEUの機体には無い無骨さ、泥臭さが人気。 このティエレンの魅力は何を隠そう戦車でありロマン溢れるメカ、これに尽きる。 フラッグやイナクトのような、戦闘機を思わせる大空を飛び交うメカもいい。 だが、地上にドシーンドシーンと堪らん音を響かせズシーンズシーンと重っ苦しく歩くティエレンは、正に重量感を感じさせてくれるメカなのである。 例え動きが遅くても、ガンダムにフルボッコにされても、やたらやられ方がカッコ良くても、戦術と頭数で立ち向かい後一歩まで追い詰めた勇姿は「量産機最高!」なファンを大いに喜ばせた。 最新・オーバーテクノロジーの塊の主役側を追い詰める旧世代量産機……なんとも熱い、熱いではないか。 【武装】 他の陣営がビーム兵器の開発を進めて順次試作品を投入する中、この機体は実用性を重視して実弾のみを採用している。 200mm×25口径長滑腔砲 主に右腕に装着する本機の主武装。 「200mm×25口径長」とは、砲の口径が200mm、砲身の長さが200mm×25=5mということを表している。 徹甲弾・超脱装弾筒付翼安定徹甲弾・榴弾・対空散弾・照明弾・ロケットアシスト弾(薬莢以外にロケットを搭載した飛距離延長重視の砲弾)と、現代に通ずるような非常に多岐に渡る弾薬を、この武装一つで扱えるメリットがある。 同軸に併設されている12.7mm機関砲は発射から約2000mの距離で主砲弾道と同期するようになっており、それぞれを同時発射して2発それぞれの着弾点から目標距離を算出する。 30mm機銃 左胸に内蔵された6銃身の実弾機関砲。 口径が小さく主に対人制圧・対空・牽制用の武装。 他の陣営にも同様の武装はあるが、本機の場合は右胸の外部電源供給で稼働している。 シールド 大体の場合は両肩と脚部に一つ、計三つ装着されている分厚いEカーボンの盾。 他のMSより鈍重な上に移動手段が足のみの本機は、万一脚部の関節を破壊された際には、堅牢な戦闘兵器から正真正銘の棺桶へとジョブチェンジしてしまう。 そのため、特に脚部シールドはこの機体にとって火器以上に不可欠である。 流石に両足につけると邪魔だからか、左足(上記の200mm×25口径長滑腔砲を装着した腕とは逆の足)に装着する。 シールド上部には銃身を固定出来るくぼみが有り、片膝をつくことで盾で防御しつつ安定した狙撃を行える。 カーボンブレイド 超硬度Eカーボン製の格闘用兵装。 ジャマダハル(某ドラクエのドラゴンキラーを想像すると分かり易い)の刀身が横方向に伸びたような刃物。 これは切れ味よりは重さで叩き斬る類の武装。 洗練された刀とは違って武骨ではあるが、その分扱い易さや頑丈さはピカ一で現場での評価が高い。 ・550mmミサイルランチャー 見た目は弾頭と装着したRPG-7にダブルカラムの10連装マガジンをつけたような代物。 (実際には発射原理が全く異なる代物だが)そうした事情から兵士達からは「バズーカ」の愛称で親しまれていた。 砲身後部をスライドすることで、弾頭や射程を調整出来る便利な火器。 だが、誘導兵器であったがためにレーダー妨害の所為で有効な兵器ではなく、劇中で活躍の場は無かった。 【劇中の活躍】 初登場は1stシーズン第2話(バリエーション機の宇宙型は第1話で登場済)。第3話や第11話等にも登場。 ガンダム相手には自慢の装甲も紙同然であり、あっさり蹴散らされることが多かった。 だがエクシアとの可動域や機動性等の性能の違いを独特の演出で描写する重要な役割を担ったり、性能は低いがそれだけに粗野な魅力を持つ量産機として魅力を発揮している。 因みに、実際に視聴した人間にとっては地上型の印象が強いが、宇宙型や高機動型等の方が出番自体は多かったりする。 2ndシーズンでは第一線を退いたが、基地の警備をしている派生機が確認出来た。 カタロン仕様の青いカラーリングの機体も登場しているが、アロウズのGN-XⅢに対してはほぼ無力だった。 また、全領域対応型も登場。空気読まない馬鹿息子にやられたけど。 また、2ndシーズンに登場するアヘッドは言わばティエレンにガンダムの技術を組み込んで生まれた機体で、デザインや技術的な繋がりが見て取れる。 詳しくは項目にて。 【バリエーション】 MSJ-06II-A 地上型 MSJ-06II-LC 長距離射撃型 MSJ-06II-AC 対空型(ツーウェイ) MSJ-06II-C 高機動型 MSJ-06II-C/B 高機動B型 MSJ-06II-C/BT 高機動B指揮官型 MSJ-06II-E 宇宙型 MSJ-06II-ET 宇宙指揮官型 MSJ-06II-ED 天柱防衛型(ジィーチュー) MSJ-06II-SP 超兵型(タオツー) MSJ-06YV-B 全領域対応試作型(チーツー) MSJ-06V-A 全領域対応型 MSJ-28 市街地用無線操縦型 詳しくはティエレンのバリエーションの項目を参照されたし。 【ガンプラ】 このティエレンにおいて最も重要な要素といっても過言ではないのは、プラモデルだろう。 地上型、宇宙型、宇宙指揮官型、タオツー、全領域対応型がHG GUNDAM 00で発売。 このティエレンは配色は忠実であるが、可動域が広く原作通りがっちりしたデザインのため、模型化してもポージングをさせ易い。 そして何より、とても弄り易い。 装甲部の各パーツは大き目かつ直線的。(タオツーと全領域対応型を除いて)ABS樹脂パーツも使われていないため、塗装は勿論の事、他のプラモの利用も含めた改造の自由度も高い。 モビルスーツの中でも特にミリタリーチックなデザインのため、ダメージ加工やウェザリングも程よくマッチする。 モデラーにとって実に遊び甲斐のあるキットだろう。 そして、地上型のみ1/100サイズでも発売された。3000円と他の1/100シリーズに比べてやや高価だが、各部にシボ加工やディテール等が追加され、(新規設定である)バズーカも付属していて完成度は高い。 戦車のような現代兵器とMSの融合とでも言ったティエレンを、メカディテールと質感を高めるシボ加工によって再現し、二重構造による強い関節によってこのサイズでも様々なポージングに対応している。 アクションベース接続用パーツもあるが、浮かせなくても飾れる程の安定性がある。 同スケールのパイロットと歩兵のフィギュアも付属。しかもコクピットハッチが開閉(差し替え式)し、パイロットフィギュアを乗せることができる。 1/100というサイズも相俟って、もはや簡易MGと呼んでいいのではないか(ちょっと言い過ぎか?)と言える程に、重厚なこのMSの魅力を再現している。 ランナーを変えることで他のバリエーション機も発売出来そうだが、今のところその予定はない。 ティエレンのプラモデルはとても作り易いので、入門用としてもお勧め。機会があれば手に取ってみると良いだろう。 エクシアにアイアンクローかます等、見せ場はあったにも関わらず立体化されない高機動型涙目。 追記・修正は3時間ぶっ続けでティエレンを操縦した後にお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ティエレンの装甲はフラッグのライフルのフルチャージクラスの威力がないと貫通出来ないくらい頑丈らしい -- 名無しさん (2013-12-05 21 45 47) エクシアの顔面もぎ取ろうとしたりヴァーチェに斬りかかろうとしたりフラッグに負けないくらい活躍してる -- 名無しさん (2013-12-05 23 41 57) 高機動型一番好きだけど、もうガンプラじゃ出ないだろうな(泣) -- 名無しさん (2014-06-09 23 22 08) 宇宙用、両足のスラスターがどう見てもペットボトルロケット……(水を噴射して推進するから間違ってはないが) -- 名無しさん (2014-06-09 23 30 35) フラッグとイナクトとあわせると、あえて「お互い滅ぼせない」装備と能力なんだよな。ティエレンは飛べないし、フラッグ・イナクトは貫通させるのが難しい。00のファーストシーズンはゼロサムゲームが延々続いているという世界観の象徴なのかも・・・ -- 名無しさん (2014-06-25 20 25 17) すげえ…タグに三つも『ロマン』てある…。なんてロマンに満ちた機体…。オリ改造機で出して下さいよトライさん! -- 名無しさん (2014-11-12 18 43 22) フラッグイナクトとはタイマンならチャージタイム稼がれて負けるが物量上タイマンしないからな。対空型と組むことでフラッグイナクトと互角に -- 名無しさん (2015-03-22 10 56 25) コクピット周りの正面装甲は戦艦大和の主砲弾の直撃にも一発までなら耐えるという -- 名無しさん (2015-05-08 17 34 10) 今更なんだけど、なんでパイロットに正太郎いるのwww「鉄人」は「鉄人」でも28号の方じゃないだろ! -- 名無しさん (2015-05-08 17 39 54) そのくせ、ターティエレン17の南三郎はいないというw -- 名無しさん (2015-05-19 12 33 34) 旧型ティエレンの型番は「MSJ-05」ではなく「MSJ-06」だぞ。MSJ-06旧ティエレン→MSJ-06IIティエレン→MSJ-06III全領域型ティエレンという流れだったはず -- 名無しさん (2018-02-06 18 34 58) >空気読まない馬鹿息子 これいる? -- 名無しさん (2018-03-26 16 57 51) 何で旧ティエレンはどの媒体でも登場しないんだろうな。アンフ以上の欠陥機だったから? -- 名無しさん (2019-10-29 03 10 12) 相談所の項目議論スレの去年のレスの通りに、本項目に「ティエレン地上型」の本文を移植統合しました。 -- 名無しさん (2021-01-23 23 39 00) MSJ-28 市街地用無線操縦型はいいも悪いもリモコン次第なわけだな -- 名無しさん (2023-06-08 15 01 47) 宇宙戦なのに被弾する気がないからとか甘えたこと言ってパイロットスーツ着ようとしないDQNパイロットどもを乗せたい機体 -- 名無しさん (2024-06-10 23 17 13) 名前 コメント
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48 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/02/18(日) 22 12 54.81 ID RqUZQLGko …しばらくして… 窓から出た煙を見た近隣の人々が、警察と消防署へ通報した。 店内で倒れている人々は、皆救急車で運ばれた。 容態が最も危険なのは、金髪女児であった。 彼女の小さな体には、三発もの違法改造スタンガンの攻撃はあまりにもダメージが大きすぎた。 アライカフェで楽しいひとときを過ごすはずだった金髪女児。 カフェからひどい姿となって運び出された彼女を見た両親は、ただただ泣き崩れた。 金髪女児は救急車の中で心臓マッサージと人工呼吸をされ、なんとか循環系は動いている。 しかし、病院では未だ意識を取り戻さず、人工呼吸機を装着され、入院し続けている。 両親は、金髪女児の手を握り、意識を取り戻す瞬間を震えながら待ち望んでいる。 49 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/02/18(日) 22 19 34.54 ID RqUZQLGko 独身おじさんもまた、ひどい重症を負った。 スタンガンもそうだが… 彼の場合、頭や首、そして眼球への外傷が深刻であった。 診察の結果、脛椎に異常が出ており、一部の感覚麻痺や運動機能への異常が確認された。 首の骨や頭蓋骨にも損傷があり、数度の手術をした上で、首にはボルトを入れなくてはならないであろう。 そして眼球は… 角膜だけでなく、網膜や視神経まで損傷。 いわゆる失明という状態となった。 事務系の仕事につき、パソコンが趣味だった独身おじさん。 光を失い、配偶者もいないこの中年は、この先どうやって生きていけばよいのであろうか。 もしも… アライさんのように。 他者の危険よりも、自分の身を案じていれば。 光まで失うことは無かったであろう。 彼は身を呈して黒パーカーの少女のアラ虐を阻止しようとしたが、 その行為は彼にも他者にも全く良い結果をもたらさなかった。 彼の選択は…愚かだったのであろうか。 51 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/02/18(日) 22 25 25.85 ID RqUZQLGko そしてアライカフェのアライちゃん達は全滅。 建物も大半が焼け落ちた。 言うまでもなく、アライカフェは経営を畳んだ。 店員や店長は、路頭にさまようこととなった。 アライカフェ業界では、店員らの手腕は有名であり… 『自分たちの店で雇用したい』というオファーが山ほどあった。 しかし、店員らはそれを拒否した。 スタンガンを浴びせられてまったく動けない中で、聞こえてくるアライちゃん達の断末魔が… 手塩にかけ、愛情をこめて育てたアライちゃん達が、笑いながら殺されていく情景が、店員たちに深いトラウマを作ったのであった。 53 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/02/18(日) 22 28 41.18 ID RqUZQLGko 黒パーカーの少女のうわさは、全国に広まった。 アライちゃん愛で産業に関わる者達は皆、『黒いパーカーを着た、中学生くらいの少女』を警戒した。 しかし、そんな少女はどこにでもいる。 罪のない女子中学生たちを服装だけで入店拒否するわけにもいかない。 第一、そんな処置をしたら、犯人は白いパーカーでも着てくることであろう。 警戒してもキリがないので、服装だけで判断することは止めにしたようだ。 54 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/02/18(日) 22 35 15.57 ID RqUZQLGko このような、悲惨な結果にはなったが… 確実にいえる事実が一つある。 アライカフェにいるアライちゃん達が、一匹残らず駆除されたことである。 もしも、普通のアライさん嫌いな人間が、偶然アライカフェに立ち寄り… そこで愛でられ、遊び回るアライちゃん達の姿を見たら… やはり『一匹残らず駆除したい』と思うことであろう。 だが、その願望はふつうは叶わない。 何故なら、カフェのアライちゃん達には、身を呈して守ってくれる人間がいるから。 たとえ客がアライちゃん達を駆除したいと思い、実行に移そうとしても、 必ず店員や客に止められてしまう。 きちんと法律を守り、彼らを傷付けまいとするならば… 結局、アライちゃん達を駆除したいという願望は叶うことはない。 店員や客を傷付けずに、アライちゃんだけを駆除するという都合のいい方法はなく、 そんな結末は決してあり得ない。 『アライちゃんが噛んだ』とか、嘘をついてクレームを言っても… きっとバレて、失敗することであろう。 55 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/02/18(日) 22 42 33.03 ID RqUZQLGko だが、黒パーカーの少女は、その願望を実現した。 法律を破り、店員や客に暴行をして邪魔できないようにすることで… 店内の全てのアライちゃんをアラ虐し、駆除することに成功した。 好むと好まざるとに関わらず… 『アライちゃんを一匹残らず駆除したい』という願望は、黒パーカーの少女でなければ叶えることはできなかったのである。 彼女のように、店員や客へ暴力をはたらき、邪魔できないように無力化することでしか… カフェアライちゃんの完全駆除は決して実現し得なかった。 アライカフェや、動物園のふれあいコーナーで大事に育てられ、可愛がられるアライちゃんを見て、 『駆除したい』という願望を抱いたとしても… 人間を巻き込まずにそれを実現する手段は、決して存在しないのである。 56 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/02/18(日) 22 43 30.91 ID RqUZQLGko つづく 57 : ◆19vndrf8Aw [saga]:2018/02/18(日) 22 47 51.47 ID RqUZQLGko というわけでクソ長かったアライカフェ編は終了です さすがにこれからは、40枚以上もイラストを仕込んでから書くことはないと思います もし気に入ったイラストがあれば、教えて貰えたら幸いです 59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 22 54 33.73 ID NnBHf8gnO 57 プルプルと震えてるアライちゃんの絵が最高でした! あと最近流行りのアライちゃんの尻尾を引きちぎる絵とシーンが大好き 60 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/02/18(日) 22 55 53.86 ID B21aEpkq0 嫌悪感を抱いてしまうな。黒パーカーは。 61 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 22 56 23.71 ID QV9csSGk0 57 投下乙です バットでアライちゃんの頭をグシャアッ!がマイベストですかね 62 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 23 02 40.53 ID zVAYfOmv0 ほんと乙です! ドーナツアライちゃんのバットでドチャッ、ですね 個人的ベストは釣り針アライちゃんです笑 イラストも素晴らしかったですが、作者さんの文章での悲鳴シーンが好きなので、そっち楽しみにしてます! 50 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 22 23 41.60 ID N/7Bk9MMo 久しぶりに覗いたらまたとんでもないドクズが生まれてたな… チヘドローや黒衣ですら人間にケガさせたりはしてなかったのに。惨たらしく死ぬことを願おう 52 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 22 27 20.55 ID xKWuf6lc0 いや、俺は結構こいつ好きだけどな。やってる事爽快だし人間でもハエガイジでもドンドンやってくれって感じ 銃に斃れ パート3へ戻る
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「レスピンジェレ(断る)」 「……はぁ?」 「聞こえなかったか?レスピンジェレ(断る)と言ったんだ」 話は多少前に遡る 「――でアンタの名前グレイトフル・デッドでいいの?」 不意に己のスタンドの名を呼ばれ警戒態勢に入るプロシュートだが思い当たる節があったのでそれを解く。 「……プロシュートだ」 「?アンタさっき『名前は?』って聞いた時そう言ったじゃない」 「オメーには関係ねぇことだ」 ここが自分が居た世界とは別の場所だと頭では理解していたが心のどこかでまだ信じきれないでいたプロシュートであったが 夜空に浮かぶ2つの月を見てそれを認めざるをえなかった。 「ここが魔法の国でオメーがオレを召喚し、ここがメイジとかいう貴族に支配されてるって事も分かった」 魔法を使えるメイジが貴族としてこの国を治めているという話を聞いたプロシュートだったが 彼に言わせてみれば『学院とやらで学べる以上メイジが貴族なんじゃあなく貴族がメイジで魔法を使えるヤツを管理して平民とやらを支配してるっつー事か』である。 「それでオレが聞きたいのは元の場所に帰れるかって事だ」 「無理よ… サモン・サーヴァントであんたを呼び出したのは私。 だけど元の場所に帰す魔法なんて知らないし聞いたこともないわ…」 一瞬怒りの表情を露にするプロシュートだがブチャラティに列車から叩き落され地面に激突しそうになった事を思い出しそれを隠す。 (……認めたくはねぇがオレはこいつに命を救われた『借り』があるって事か) 「……それで使い魔ってのは何をすりゃあいいんだ?」 「平民を使い魔にしたなんて聞いた事無いもの…アンタでもできそうな掃除、洗濯ってところかしらね」 ここで時間が戻り冒頭の「レスピンジェレ(断る)」である。(ちなみにこの間僅か0.5秒) 「使い魔に拒否権なんてあると思ってるわけ?」 「そうなってくるとオレとしては脱走し資金・食料を得るためにどこかの貴族の館に押し入りそいつの家のベッドの上には見知らぬ老人の死体が転がってるって事になるな」 「……何が言いたいの?」 「使い魔の手柄は主人の手柄、使い魔の不祥事は主人の不祥事と言ったのはオメーのはずだぜ?」 「使い魔が貴族を脅迫する気!?」 昼間見せたこの男の不可解な能力を思い出しルイズが声を荒げる。 「交渉…と言ってもらいてぇな」 そう言い放ちプロシュートがルイズを見据える。 (こいつ…平民のくせして…でもこいつからはやるといったらやるという…スゴ味があるッ!) 「使い魔は主人を守ると言ったな、ならそれでいいじゃあねぇか。オレがオメーを『護衛』してやる」 「メイジやモンスター相手にそれがきるっていうの?」 「できねぇならできるなんて言いやしねぇ」 「……分かったわ、でも人が沢山居る場所であんな物騒な事しないでちょうだい」 何とか雑用という自分には全く向いてない仕事からは脱する事はできたが、護衛という任務に対し心の奥底で苦笑いをする。 (ボスの娘を奪おうとしていたオレがその娘と同じような歳の女を護衛する事になるたぁな) 「さて…いろいろあって疲れちゃったから寝るわ」 「それは構わねぇがオレは何処で寝りゃあいいんだ?」 ルイズが無言で床を指差し毛布を一枚投げつけてくる ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨┣¨┣¨ 「な、何よぉー」 プロシュートから発せられる妙なプレッシャーにルイズが押される。 「フン」 それだけ言うとプロシュートが毛布を使い壁に背を預け目を閉じ眠りに入る。 プロシュートが眠りに入ったのを確認するとルイズも安心したのか眠っていった。 薄暗い闇が世界を覆う。 その闇の世界の中心にプロシュートが立つ。 (何処だ…?ここは) 辺りを探ろうとし体を動かそうとするが動けない。唯一動かせるのは首だけだ。 だが闇に目が慣れてくると自分の周りに何かある事に気付く。 (アレは…ソルベ、それにジェラードッ!?) ホルマリン漬けにされたソルベ、猿轡を喉に詰まらせ窒息して死んだジェラード、ボスに殺されたはずの二人の死体がそこにあった。 唯一動かせる首を動かし周囲を探るプロシュート、だがその行為も彼を驚愕させるに足る物を発見させるだけのことだった。 (ホルマジオ!イルーゾォか!?) つい先日ブチャラティ達に挑み敗北していった仲間達 そして彼の網膜に彼にとって信じたくないもの、認めたくないものが映る。 (バカなッ!?ペッシ…!メローネ…!ギアッチョ…!) バラバラに解体されたペッシ、舌を毒蛇に咬まれ絶命したメローネ、首に鉄棒を生やし倒れているギアッチョ。 そして彼の前にプロシュートが最も信頼していた人物が立つ。 (リゾットか!?これは一体どういう―――) だがリゾットも体中に銃弾を撃ち込まれ倒れていく。 (く…一体どういう事だッ!?) 周囲に散らばるチームの仲間達の死体、だがそのかつての仲間達の死体の目は全て等しくプロシュートに向けられている。 あまりともいえる光景に思わず後ろに下がろうと力を込める、だが体は動かない。 そうしている間に後ろから誰かに肩を掴まれる。 (何だとッ……!?) 首を向け後ろを見る、だがその目に映ったものは――――ボロ雑巾のように成り果てた己の姿だった。 この世界に入ってから唯一の音が聞こえる。それも自分の声でだ。 幽鬼のように立ち己の肩を掴むもう一人の自分から オメーハイッタイナニヲヤッテイル?――と もう一人の自分から滲み出るようにして現れる己の分身、無数の眼を持つ異形の悪魔―グレイトフル・デッドが自身の首を掴もうとその手を伸ばす。 己のスタンドが持つ最も威力がある攻撃『直触り』がプロシュートを襲おうとした。 「うおぁあああああああああッ!!」 飛び起き周りを確認する、異常は無い日が昇っている事以外は昨日と同じだ。 心臓の鼓動が早い、呼吸も荒い、立ち上がりスタンドを出す。 変わりない何時もと同じだ、何時もと同じように己の傍らに立つグレイトフル・デッド。 「夢……だと……?」 (あいつらがくたばる夢なんぞ見るなんて冗談じゃあねぇ!) あのしぶといヤツらがそう簡単にやれるとは思ってはいないが、あの夢はリアリティがありすぎた。 そのリアリティさがプロシュートの心に一抹の不安を残す。 「んふふふ……ざまぁみなさいキュルケぇ~」 不意に気の抜けた甘ったるい声がプロシュートの耳に届く。 その声の主に近付く。どんな幸せな夢を見ているのか知らないがモノスゲー笑顔で眠っているルイズがそこに居た。 「……起きろ」 一言声をかける、だが帰ってきた返事は 「そこに土下座すれば許してあげてもいいわ…zzz」 自分はこれ以上考えられないぐらいの悪夢、それに対しこいつはのん気に幸せそうな夢を見寝言までもたれている。 正直に言う「ムカついた」 近くにあった枕をルイズの顔に被せる、無論口と鼻が隠れるようにしてだ。 椅子に座り様子を見る。 5秒後―特に変わりなし 10秒後―少し動き始めた 15秒後―少し痙攣している 20秒後―「苦しいって…言ってるでしょうキュルケェーーーーーッ!!」 少しだけ笑いながらプロシュートが「起きたか」とルイズに言う。 「あれ……夢?」 (……キュルケを使い魔にしてたのに何で途中からアイツの胸に押し付けられて死にそうになんのよ!) 勿論、コンプレックス丸出しの夢を見た原因が枕で口と鼻を押さえられてたという事に気付く由も無い。 ボーっとした目でプロシュートを見ているが酸素が供給され脳も起きたのだろうが不意に 「服」 と言い出した。当然プロシュートには何の事かさっぱり分からない。 「何の事だ…?」 「着替えさせて」 「そのぐらいテメーでやりやがれ!」 「使い魔なんだから身の回りの世話もするのが当然でしょ?」 これ以上言っても無駄だと悟ったのか渋々着替えさせる。 ただ一つ、ほんの小さな声で 「マンモーニが」 という言葉を残して。 戻る< 目次 続く
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コ・パイロット 着用アイドレス:高位西国人+ベテランパイロット+猫先生+コ・パイロット 高位西国人を継承 猫先生を継承 ベテランパイロットを継承 L:コ・パイロット = { t:名称 = コ・パイロット(職業) t:要点 = 機械化,接続,バイザー t:周辺環境 = 機体の一部 t:評価 = 体格3,筋力3,耐久力5,外見2,敏捷5,器用6,感覚7,知識6,幸運3 t:特殊 = { *コ・パイロットの職業カテゴリ = ,,,派生職業アイドレスとして扱う。 *コ・パイロットの着用制限 = ,,,着用制限(根源力20万以上) *コ・パイロットのコパイロット資格 = ,,,搭乗可能({人型戦車,I=D,航空機,RB})。 *コパイロットの搭乗戦闘補正1 = ,,,({I=D,人型戦車,航空機}に搭乗して戦闘する場合での)全判定、評価+4、燃料-2万t。 } t:→次のアイドレス = うさガール(職業),日陰パイロット(職業),前身筋肉痛(強制イベント),最適な兵装選択(技術) } (高位西国人のHQBを継承:第2世代:継承元:感覚+1) (ベテランパイロットのHQBを継承:第1世代:継承元:感覚+1)) 設定文 まず事の始まりは、キノウツンにベテランパイロットと呼ばれる者達が誕生した頃だった。 幾多の戦いを越え、実戦により研磨された操縦技術は確かに、目を見張るものがあった。 しかし、ひとつの問題が発生した。 戦闘の激化に伴い、ベテランパイロットの反応速度だけではフォローしきれない可能性が出てきたのである。 また、猫妖精を基本としてきた共和国のコ・パイロット職では対応できない物理域の出現に伴い、更なる戦闘を予測した軍部はコ・パイロット職の強化・育成を進める事となった。 企画段階において真っ先に上がったのは”非機械化”である。 人機融合、確かに爆発的な能力の向上が臨めるが、その弊害も多い。 活動物理域が限られること、外部からのハッキング、暴走。 なにより、それ以上の成長、いや進化と言い換えても良い。 それらが見込めないと考えた。 -孤独は老人を、好奇心は猫を、諦めは可能性を、殺す- とある路上詩人の言葉より 故に、キノウツンは目指した、”生身の機械化”を行わずに上の領域を目指す事を 着用者の身体能力の強化・向上トレーニングは必須として、 次に考えられたのは、装備に寄る補助であった - キノウツン式コ・パイロット 正式配備装備 - ○コパイスーツ女性用全身図 モデル:クール=ライネン 男子の場合のスーツ配色は以下になります ピンク→水色 濃いピンク→青 灰色→白 濃い灰色→白 1・コパイスーツ(コ・パイロット用パイロットスーツ) ○ キノウツンが誇るパイロットスーツデザイナー・沢邑勝海氏のデザインを採用 添付資料を参照の事 ○ このフィット感・・・イイ バイタル数値のモニタリングの為インナーを廃止 素材・肌触りに拘って、ボディラインにバッチリフィット 大胆ながら上品、ワンランク上のライトなデザイン 長時間着用の状況も考え、内部装着のトイレパックは通常の物より回数大目に持ちます ○ 着心地も・・・イイ 動き易さはモチロン、通気性、吸汗速乾を実現 操縦の邪魔になりません 伸縮性を保ちながら強度も十分、急なサイズアップも安心 ///*/// ○男性用スーツ 着用の図 2・グルーヴィーグローブ(多機能グローブ型端末) ○ ナックルガード コブシを痛める事なくロッカーやシャワールームの壁を殴れます ○ 演算補助機能 気流、風速、砂粒流動、伝達関数、コリオリ偏差、接地圧、摩擦係数etc・・・各種演算をサポート ルーチン、パラメータのリアルタイム更新であらゆる戦場を駆け抜けろ! ○ モーショントレースサポート 火器管制モード時の反応速度、各種操作性、精度が大幅に向上 マニュピレータでの作業も楽々!これで君も、機体であやとりができるな! ○ マイナスイオン発生装置 マイナスイオンが出ます ///*/// ○テスト風景の図 3・キノウバイザー(高機能ゴーグル兼バイザー兼ディスプレイ) ○ 光学透過ヘッドマウントディスプレイ方式 モニター中も外部の様子を確認できる為、突発的な状況にも対応可能 網膜照射方式ではない為、眼球運動に左右されません 眼精疲労も低減、快適なパイロットライフを貴方に ○ レーダー・センサー類・ガンカメラとの連動 情報支援、ダメージリポート等、様々な応用が利きます 視点モード切替により俯瞰視点での操縦も可能 アイセンサーに接続すれば、貴方もロボット気分 ○ バイタルチェック パイロットスーツとの接続によって、各数値の確認ができます 心拍数、血圧、血糖値、A10神経信号、現在G値による血流異常etc・・・ 着用者及びメインパイロットの健康状態が一目瞭然 ○ オ○ティックブ○スト 出ませんよ? キノウツン装備部での一幕 「如何かな?このコ・パイロット装備は? 使用者は未だかつて無い機体とのシンクロに、驚きを隠せないだろう 機体の一部になったような錯覚に…否、機体そのもの!俺が機体で機体が俺で! だが神経接続なんかはしてないんだ!ウォードレス端子も必要ナシ! 驚きだね、どうだい?私の発明は?」 「なんか、こう、パっとしないスね、こう新技術とかロストテクノロジーとかないんスか?」 「っかヤロウ!TLOおっかねぇだろうが!今ある技術を上手い事転がせば良いんだよ!!ええ!?ゲーム機とかも そうだろうが、新世代機種とかより既存の技術使った携帯機のが売れたりすんだろ?そんなカンジだよ」 「そんなもんスか」 「私達は今できる事の精一杯でやるしかないんだ。今はこれが精一杯、限界が来たらまた、その時の精一杯を出 すんだ」 「でも・・・それで勝てるんスか」 「短絡的な考えと手段では駄目なんだ、近道など無いんだ、足掻くしかないんだ、消して諦めない事がキノウツンの 美徳だろう?」 「そんなもんスか」 コ・パイロットの採用を受けて、整備班も急ピッチで作業を進めていた。 コパイスーツの性能を100%活かす為に、機体との接続をより潤滑に行えるようコンソールの追加パネルを作成していたのである。 このパネルは最小限の整備で取り付けられるようになっており、共和国で作成・運用されているほとんどの機体で使用できるように工夫されていた。 何せ、どんな機体にいつ乗るか分からないのである。船舶・航空機・人型戦車・RB・I=D・・・ どの機体でもすぐ着装・運用できるように、との考えであった。 これによって、コ・パイロットはコクピットにおいてスーツを接続することで文字通り機体の一部となることが可能になったのだ。 これらの装備により、我がキノウツンのコパイロットは他の副操縦士等とは一線を画し、コパイロットの新時代へと足を踏み入れた。 そしてメインパイロットの負担は大幅に軽減されるだろう。 これでベテランパイロットの能力も存分に発揮できる。 パイロットの歴史に風穴を開けると思われるコ・パイロット装備だが やはり大きな力には代償が付き物である。 それは・・・ 筋 肉 痛 この装備一式バッテリーも含めると兎に角、重い。 バイザーにしろグローブにしろ、スーツにしろ、 多機能と安全性を両立させるには、軽量化を諦めざるを得なかった。 そして、高Gの下での複雑な操縦技術を要求される。 歴戦の経験者でもトライアル終了後は、コクピットから這い出るのがやっとで 機体の一部に掴まって立っている有様だったと言う。 元より専用装備。汎用性は求められていない装備であり 使用者には基本以上の、身体能力、根源力が要求されてはいたが、 これにより、着用基準がのハードルが上がった。 その後の度重なる改良により、多少軽減はされたものの、やはり筋肉痛との戦いは続いた。 厳しい訓練を積み、風呂に入るのも、(トイレパックがついているとはいえ)用を足すのも一苦労。 しかし、彼等は戦う。キノウツンの明日の為に戦う。 (文章:桜城キイチ イラスト:沢邑勝海)
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第036話 ONE FOR ALL ALL FOR ONE◆SzP3LHozsw 「恵ちゃん、大丈夫かな……」 樹の根元に蹲っていた八木塔子が、幼馴染の身を案じて独り言のように呟いた。 向かい合って座っている新庄慶はその声を耳にしたが何も言わず、ただ黙々と手元の作業に没頭している。 答えを求めたわけではなかったが、新庄が黙っていては会話にもならず、塔子は所在なげにその作業を眺めるしかなかった。 作業と言ってもそう大袈裟なものではない。 直径にして約10cm、長さにして1mちょっとの棒の先端を、塔子の支給品である『ダイバーズナイフ』で削るだけのことである。 新庄に言わせると支給武器が『碁石』だったためそれでは心許なく、万が一を考えての用心なのだそうだ。 だが塔子にすればそれはとりもなおさず殺人の凶器を作っている気がして、あまり良い気分はしなかった。 新庄もそれを察知してるからこそ余計な口は一切利かず、さっさと作業を終わらせてしまおうとしているのかもしれない。 「……少し寝るんだな。暗いうちは人目につきにくい。休むなら今だぞ」 非難めいた視線が気になったのだろうか。新庄はじっと見入っていた塔子に手短に言った。 朴訥とした口ぶりだが、そこに悪意のないことはニコガクのマネージャーを務める塔子にはよくわかる。 塔子は「うん」と返事をしたものの、とても眠れそうにないと思った。 とりあえず素直に身を横たえて眼をつぶる。 背中の下の枯れ枝や小石が気になったが、何度かもぞもぞ動くうちにそれも馴染んだ。 眠れるわけがなかった。 身も心も疲れてはいたが、二度も無理やり寝かされたあとでは眠気が兆すはずもない。 それでも新庄の言うとおり休めるのは今だけかもしれないから、申し訳ないとは思ったが、この際、お言葉に甘えてしまうべきなのであろう。 朝になって動けないのでは、それこそ新庄に迷惑を掛けてしまう。 「新庄くんとあえて本ト良かったよ」 塔子は目をつぶったまま率直な感想を述べた。 ――あれは小一時間ほど前のことだ。G-07の林道で新庄と偶然にも行きあうことができたのは。 知っている人間にあえたのは僥倖というやつだろう。 こうして山に分け入り、暗い森でじっとしていてなお安心できるのは、やはり新庄という心強い味方が居るからこそだった。 これが一人きりであれば、眠るどころか横になるのだって難しいのは明らかだった。 「ありがとね。一緒に居てくれて」 「いいんだ、気にするな」 無駄口を叩かないところはいかにも新庄らしかった。 「……恵ちゃん、大丈夫かな……?」 自分でも意識せず、塔子はさっきと全く同じ言葉を口にしていた。 「――――わからない」 少し間があったあと、今度は新庄も答えてくれた。 しかしその答えは塔子を満足させるものではなかった。 塔子が不満そうな顔をしていると、その気持ちを察したのか、新庄は短く言葉を継ぎ足した。 「心配しなくていい。あいつが死んだりするかよ」 そう言って、不器用そうに口角を僅かに持ち上げて微笑む。 そうした気遣いが、塔子の胸を締め付けた。 状況を掴めていないのは新庄だって同じなのだ。仲間を想う気持ちも塔子と変わりないだろう。 余計なことを言ってしまったと塔子は少し悔いた。 「……新庄くんって、変わったよね」 話題を転じる。 「…………?」 「昔はすごく恐くて近寄りがたかったから。今みたいに笑ってるところもあまり見なかった」 「フッ。きっとそれは川藤のせいだろうな。俺も他の奴らも、みんなあいつに変えられちまった」 「そうだね、みんな先生に変えられちゃったよね」 塔子はさも可笑しいという風にころころ笑った。 川藤という不思議な教師のことを改めて思い返した。語り尽くせないほど様々な思い出がある。 新庄にしても、安仁屋にしても、他のニコガクメンバーにしても、そしてまた塔子にしても、川藤という教師の存在は限りなく大きい。 それだけに、数時間前のあの川藤の姿が網膜に焼き付いてしまっていて消えてくれなかった。 「……その先生も……変わっちゃったね……。まさか先生があんなこと……」 死体を詰めた籠を押し運んでくる川藤の姿が残像のように浮かび上がった。 塔子は心底嫌なものを見たという風に激しく頭を振る。何かの間違いであって欲しかった。 「……何か事情があるはずだ。あいつは馬鹿だが、あんなことを平気でできる人間じゃない」 新庄は棒を削る手を止めて、きっぱりと言い切った。 「でも、でも……!」 先生は死体を運んできたんだよ、怯える私達を見て笑ってたんだよ。 そう言おうとしたが、言葉が喉に張り付いて声にならなかった。 「お前の気持ちはよくわかる……。――――だが、俺は川藤を信じてやりたい」 「……先生が助けてくれると思ってるの?」 「さあ……どうだろうな。助けてくれるかもしれないし、助けてくれないかもしれない。もしかしたらお前が心配してるように、 マジであいつは変わっちまったのかもしれないな。けど、それでも俺は川藤を信じたい。あいつを裏切るような真似はしたくないんだ」 「新庄くん……」 それは塔子とて同じだった。だからこそ新庄の気持ちが理解できた。 しかし、それは単なる願望であって、奇麗事に過ぎない。 川藤のあのような姿を見てしまったあとでは、信じたくても信じきる自信が塔子にはなかった。 「心配するな。もし本気で川藤の馬鹿がイカれちまってたら、そんときは俺があいつを見つけ出してブン殴ってやる。 昔、あいつが俺を変えてくれたように、今度は俺があいつを変えてみせる」 新庄が視線を上げた。まるで自分自身に言い聞かせてでもいるように、塔子に語って聞かせた。 それは新庄なりの決意にも感じられた。 「――明るくなったら安仁屋たちを捜しに行く。眠れなくてもいい、それまで休んどけよ」 新庄はダイバーズナイフをシースに収め塔子に放った。手の棒は見事に槍の形を成している。 「新庄くんは?」 投げられたナイフを胸元で受け取りながら塔子が訊いた。 「ここで見張ってる。お前に何かあったら安仁屋や平塚のアホがうるせーからな」 「ごめんね、迷惑掛けちゃうね」 「『ONE FOR ALL ALL FOR ONE』。一人はみんなのために、みんなは一人のために。それが俺たちニコガク精神だ。そうだろ?」 そうだった。それがニコガクだ。 忘れてはならない、仲間との絆。 「お前だって俺たちの仲間なんだ。遠慮なんてすんじゃねえよ」 「うん」 塔子は涙が出そうになるのを堪え、なんとか返事をした。 それから塔子は横になり直した。 早く朝になるよう願いながら、再び瞼を閉じる。 また野球はできるだろうか……。甲子園は目指せるのだろうか……。 不安なことは一杯あった。 それでも新庄と話して安心したからか、気分は少しだけ晴れていた。 なんだか少しだけ眠れそうな気がした。 【F-07/森/1日目・午前2時半ごろ】 【女子14番 八木塔子@ROOKIES】 状態:健康 装備:ダイバーズナイフ 道具:支給品一式 思考:1.朝になったらニコガクメンバーを捜しに行く(安仁屋優先) 【男子18番 新庄慶@ROOKIES】 状態:健康 装備:棒で作った槍 道具:支給品一式 碁石@ヒカルの碁 思考:1.塔子を守る 2.朝になったらニコガクメンバーを捜しに行く 3.川藤を信じる 4.川藤が本当にイカれてたら力づくで止める 投下順 Back 後悔先に立たず Next いま、会いにゆきます 時間順 Back 後悔先に立たず Next いま、会いにゆきます 初登場 八木塔子 ちょっと考えれば分かる事 初登場 新庄慶 ちょっと考えれば分かる事
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本項では『ザ・警察官 新宿24時』『ザ・警察官2 全国大追跡スペシャル』について解説します。 判定はどちらも「ゲームバランスが不安定」です。 ザ・警察官 新宿24時 【ざ けいさつかん しんじゅくにじゅうよじ】 ジャンル ガンシューティング ※PS2移植版 対応機種 アーケード 使用基板 VIPER 販売・開発元 コナミ 稼働開始日 1 2000年 2 2001年 判定 全作 ゲームバランスが不安定 ポイント 足腰のスタミナ必須厳しい時間制限と敵配置に「プレイヤー殉職!」 ザ・警察官 新宿24時 概要 特徴 評価点 問題点 総評 家庭用移植 余談 その後の展開 概要 俗に「警察24時」と言われる、日本全国の警察官の活動を描いたドキュメンタリー番組をモチーフにした、社会派ガンシューティングゲーム。 プレイヤーは警視庁新宿警察署特別捜査班の制服警察官となり、大量の拳銃の密輸を目論む(架空の)指定暴力団「極道会」の組員を射殺逮捕していく。 前半5面は東京都新宿が舞台に、後半4面は拳銃の輸入元であるアメリカが舞台となる。全9面。面の最後には特別指名手配犯(ボス敵)がいる事もある。 2001年には続編の『ザ・警察官2 全国大追跡スペシャル』が稼動開始。こちらは新宿を含めた全国6都市を舞台に、香港マフィア「龍頭」と復活した極道会の勢力抗争を鎮圧していく。 特徴 基本的な内容 筐体上部にプレイヤーの姿勢を感知するセンサーを備えており、プレイヤーの身体の動きに合わせてゲーム内の視点が変わる斬新なシステムが採用されている。 画面上にはプレイヤーが隠れるべき方向が矢印で指示される。例えば、「←」の場合なら身体を左に傾けて、「↓」の場合ならしゃがむと隠れる事が出来る。遮蔽物に隠れていると判定されている間は敵からの攻撃を一切受けず、同時に拳銃の残弾も1発ずつリロードされていく。 プレイヤーには「階級」が設定されており、最初は巡査からスタートする。 ミスせずにシーンをクリアすると徐々に階級(ランク)が上がる。特定の階級に到達すると、制限時間延長や残機増加といった恩恵が得られる。 ランクが最高の「警視総監」になると残機が100人追加されるという、ふざけたようなボーナスを獲得できる。 『2』での変更点 プレイヤーキャラクターを「制服警官」「婦人警官」(5発装填の回転式拳銃)、「私服警官(刑事)」(前作と同じ8発装填の拳銃)、「特殊急襲部隊」(12発装填の短機関銃)の4人から選択可能に。 隠しキャラも前作の舞台だったアメリカからの応援と言う設定の「ヤンキー刑事」や「金髪美女刑事」、某宇宙刑事風味な「メタル刑事」、更には「ピンク婦警」と豊富に。 ステージ構成も、プレイヤーの任意で二番目のステージをどこの都市にするか選べるようになった。 最初は極道会組事務所からスタートし、札幌・新宿・名古屋・大阪・神戸・博多の6都市をクリアしていく。最終ステージは難波駅前か梅田のどちらかに分岐するようになっている。 通常時の最終ステージは難波駅前だが、梅田に分岐できれば「一斉検挙作戦完了!!(=真のエンディング)」となる。分岐条件は「オレンジ色のマーカー」が付いた特殊な敵を3人倒…逮捕する事。出現するとすぐ逃走する上に、出現中に誤射や殉職をしてしまうと消滅してしまう為かなり難しい。 ナレーションが前作から変更されている。これについての詳細は後述する。 評価点 足腰を活用するゲーム性 実際にプレイヤーの体を動かして視点操作やリロード、敵弾回避を行うガンシューティングというのは中々に貴重。 これによって、あたかも自分が作中世界で極道会と戦っているかのような臨場感を味わえる。 運動量としても相当なものであり、特に太腿の筋肉を鍛えられる。近場に筐体があるか、或いは後述の家庭用移植版を持っているのであればダイエットに是非。 「警察24時」の雰囲気を再現 所謂「警察24時」の雰囲気はかなり再現できている。 ゲーム開始時などに流れるナレーションは、この手の番組でおなじみ田中信夫氏が担当。この時点でピンとくる人にとっては非常に納得のいくキャスティングだとも言えよう。 『2』のナレーションは小林清志氏に変更されている。氏のナレーションだとSASUKEや平成ゴジラシリーズ予告編の印象が強いか。最新情報は公開してくれないので悪しからず。 前半ステージでもある新宿の町並みも、多少のアレンジこそあるもののかなり丁寧に再現されている。野外の看板にはモザイクがかけられていたりと、その辺りもテレビ番組風になっている。 プレイ中には警察官の無線による会話や、組員への投降勧告・現場の一般人を銃撃戦に巻き込まないように引き留めるアナウンスが流れるが、此方の雰囲気も実にそれっぽい。 ステージボスとなる特別指名手配犯が登場した際には、なんと目に線が引かれたボスの手配写真が画面に表示され、ゲーム中でもボスの顔面にモザイクが掛かる。 雰囲気の再現としては完璧なのだが、ガンシューという割には非常にシュールな光景である。 BGMはBEMANIシリーズや『サイレントスコープ』でおなじみのJimmy Weckl氏が作曲。何れも元ネタ番組に用いられそうな曲調でゲームにもマッチしている。 特に通常ステージのBGMはプレイヤーの殉職数や誤射数に応じて、勇壮さのあるテーマ曲、緊張感を煽る曲と、曲調の全く違うBGMが流れるという拘りっぷりである。 意外とシュールな内容 思わず笑ってしまうようなシュールでバカゲー的な要素も散見される。 現実の警察では発砲はあくまで最終手段であり、厳に慎まなければならないのだが、本作プレイヤーは極道会の組員相手にガンガン拳銃をぶっ放して(ノーミスであれば、という前提は付くが)恐るべき速度で出世していく。上述通り後半面はアメリカが舞台となるのだが、その際の流れが「極道会メンバーが海外へ逃亡→国際捜査課に連絡→そのまま飛行機でアメリカへ渡り、現地警察と合流し極道会リトルトーキョー支部と銃撃戦」というもの。その為、「日米の現場で極道会組員相手に銃を連射する警視総監」「タイトルの新宿は何処行った」「国際捜査課に外国での逮捕権はあるのか」等、考えてみればツッコミ不可避なシュールな内容になってしまってもいる。 一般人や同僚を撃った場合はペナルティが科せられタイムロスとなるのだが、その際の演出が「一般市民誤射!」といったナレーションと共に不祥事を起こした内容の新聞記事が晒し上げられる。 また被弾した場合には「プレイヤー殉職!」のナレーションと共に殉職する演出まで用意されている。そこまでやるかと言わざるを得ない。 AC版では隠しコマンドの入力・PS2版では一定条件で使用できる「私服警官」は白スーツ・アフロヘア・グラサンと出るゲームを間違えたとしか思えない外見である。 『2』のキャラクター 『2』ではプレイヤーキャラの個性が異様に濃くなった。 デフォルトキャラの内、主人公格である「刑事(私服警官)」ですらアフロヘアーでスーツ姿というクサい見た目。因みに彼はその見た目とキャラ付けから、一部ファンの熱狂的な支持を集めたとか。 隠しキャラもアメリカンなルックスの刑事、いかにもな特撮ヒーロー風の刑事と、もはや「日本の実録警察番組をモチーフにしたゲーム」とはかけ離れた面子になってしまっている。 バカゲー要素が強化された、と見るのであれば立派な評価点であろう。多分。 問題点 異常なまでに高い難易度。 敵に撃たれれば一撃でミスとなり、殉職回避にはプレイヤーの身体を動かす必要がある為、体力が無いと後半戦はきついものがある。 敵の隙を突いて立って攻撃、危なくなったらしゃがんで隠れつつリロード、というやや特殊な操作方法が要求される。「攻撃を物陰などで回避し、隙があれば出て射撃」という流れはナムコの『タイムクライシス』に似ているが、こちらにはペダルは無く必然的にしゃがむ→立つという動作を身体全体で何度も繰り返す事になる。 本作でのゲームオーバー条件は「残機が全て無くなる」「制限時間がゼロ(タイムオーバー)」のいずれかであり、うち後者の条件が非常に厄介。 制限時間がやたら厳しく、シーンクリア時における残り時間の回復量が3秒程度と非常に少ない(*1)。更に新宿東口辺りからは、ボスを除いて全て1秒もしくは2秒しか回復しない。身体的な疲労も重なるとシーン間の経過時間も増えやすいため、焼け石に水も同然。なので効率良く敵を倒せなければすぐに時間切れとなり、ゲームオーバーとなってしまう。そうなれば警視総監となった際に得られる「残機100人」ボーナスも意味がなくなる為、意外と大した恩恵を得られない。 プレイヤーの移動=シーンクリアではないことに注意。シーンによっては長い物も多く、そもそも残り時間回復までが遠いと感じることさえある。 以上は『2』にて少し緩和されている。シーンクリアで2,3秒程度しか回復しないのは前作同様だが、代わりに1つ1つのシーンのスパンが短くなり、残り時間が減り続ける状況は減った。 ステージ中には組員の他に一般人や同僚の警官が存在し、誤って撃ってしまうと上述の演出付きペナルティが課せられる。この演出によるタイムロスが結構長い為、可能な限り誤射は避けたいところではあるのだが…。 敵組員と一般人・同僚警官を区別する手段としては、敵組員にのみ光る円のマーカーが付けられており、これで判断が可能。しかし前半の舞台である新宿ステージは全て夜間ステージとなっており、画面は常に薄暗い。マーカーがあったとしても薄暗い画面に加え、ステージ内をうろつく一般人が異常なほど多い為視認しづらい。組員の出現位置を暗記でもしない限り非常に誤射してしまいやすい。 ちなみに一般人を誤射した場合は階級が1段階落ちる。また被弾した場合は初期状態まで落とされてしまう。此方はタイムロスと比べるとそこまで痛くはないが。 しかし上述した難度も実はまだマシな方であり、AC版では隠しコマンド(*2)の入力・PS2版では一定条件でプレイできる『リアルモード』はまさに容赦の無い苛烈な難度になっている。 内容はというと「敵の存在を示す赤マーカーが消える」「敵の銃弾が実弾並の速さに固定、命中精度も格段に上昇し、しかも登場直後に発砲してくる」「殉職直後も敵の動きが止まらない」…と、文字通りに「リアル」な難易度となっている。本作…と言うよりむしろガンシューティングゲーム全般を極めた方向けの超高難易度モードなのである。 勿論『2』でもリアルモードが搭載されており、此方も一切の容赦が見られない難度となっている。また隠しコマンドも微妙に変更されている(*3)。 総評 警察密着ドキュメンタリー番組の雰囲気に加え、実際に身体を動かし敵弾を回避する事で得られる臨場感。 これでゲーム的な意味においても、体力的な意味においてもプレイヤー殉職!となりかねない難易度の問題さえ無ければガンシュー史、いやアーケードゲーム史に残る快作として評価可能であったのだが…。 体力については本作の臨場感を味わう為にも止むを得ない部分があるが、せめて異様なほど厳しい制限時間だけでも何とかならなかったのだろうか。 しかしながら、人によってはその欠点も気にならなくなる程度に「勢い」と「情熱」を込めて世に出された作品である事は確か。 プレイする機会を得られたならば、腰を据えて…もとい、太腿を鍛えて極道会検挙に挑戦してみてほしい。 ただし『2』は家庭用移植もなされておらず、プレイする為のハードルは『1』以上に高くなってしまっているのが残念な限りである。 家庭用移植 稼働から約1年後の2001年11月15日に、PS2に移植された。お値段は6,800円。「人工網膜センサーキャプチャーアイ」と「ハイパーブラスター」に対応。 「人工網膜センサーキャプチャーアイ」を使うことでAC版同様の操作ができる。全般的な移植度は概ね良好。但し「ハイパーブラスター」以外のガンコントローラーには非対応である点に注意。 ちなみにこの「キャプチャーアイ」なのだが、なんとこれだけで本ソフトが一本買えてしまうようなお値段だったりする。またキャプチャーアイの対応ソフトは本作1本のみ。後に発売されたEye Toyは非対応。 PS2コントローラーでプレイすると、『左スティックでカメラ操作』『右スティックで照準操作』を同時にやる必要があるので非常にプレイしにくい。また、カメラと照準どちらもスティックを離すと初期位置(照準は画面真ん中)に戻るので敵の位置によっては微調整もやる羽目に。 家庭用という事で自主規制したのか、刺青の入った敵組員がTシャツ姿に変更されている。一方で新宿の街の看板にあったモザイクが無くなっている。 「アナザーストーリーモード」という形で下記『POLICE 911』が収録されており、メインストーリーモードを1度クリアするとプレイ可能になる。 チャレンジモードやトレーニングモード、オリジナルのミニゲームも数種収録。ミニゲームの中には何故か巨大化した警官がリング弾を吐くモアイと戦うといったものも。 家庭用移植ならではの要素として、特定の条件を満たすとゲームオプション設定に様々な設定項目が追加される。 この追加された設定項目を有効活用すれば、メインストーリーやアナザーストーリーでのプレイが(多少は)楽になる…筈。(*4) 余談 インターネットランキングが開催されていた。『新宿24時』では全ステージクリアのタイムを、『2』では各ステージ毎のクリアタイムを競う。 本シリーズの北米版として『POLICE 911』という作品が発売されている。 プレイヤーもロサンゼルス市警の制服警察官で、無線やナレーションも全て英語に吹き替えられており、「警察と犯罪組織との銃撃戦」というリアルさではこちらが遥かに勝っていると言えるだろう。ステージ進行も「アメリカ→新宿」と日本版の逆走で、かつアメリカ側の最終ステージに倉庫街が追加された為に全10面構成(*5)となり、指名手配犯の出現場所やステージの順番も一部変更されている。当然、ゲーム後半は「極道会リトルトーキョー支部の犯人が日本へ逃亡→国際捜査課へ連絡→プレイヤーが来日」。場合によってはロス市警のコミッショナーが新宿で銃撃戦という映画顔負けの展開に。 海外版ではいきなり日本版での後半ステージに挑む形となるが、本作の難易度はステージ毎の差は殆ど無い(というか日本版でも最初から難しい)為、余り問題にはならない様子。 勿論続編も『POLICE911 2』として発売された。進行順は国内版のものと同一だが、一部ステージの名称が異なる等細かい変更点が存在している。 ゲーム中の残弾は「オートマチック拳銃のマガジン内にある弾丸」という形で表現されているが、実際にプレイヤーキャラが使用している拳銃は回転式のニューナンブ。 実は本シリーズの特別指名手配犯は、その写真や名前の大半が本作プロデューサーを始めとするゲームスタッフ本人やその身内から拝借されていたりする。 作曲担当のJimmy Weckl氏はその強面からニックネームで「親分」と称されただけあってか、『新宿24時』の犯人B(松岡圭介)として作中に登場している。 その後の展開 関連作品として2人同時での対戦プレイが可能な『セイギノヒーロー(海外版では『リーサル・エンフォーサーズ3』)』が2004年に稼働している。 警察24時の枠組から外れたためか、各ステージごとに警察官だけでなく海上保安官、刑事、空港機動隊、陸上自衛隊など(*6)がプレイヤーとなる。しかし、警察官が主役となる最初の秋葉原ステージ「ザ・警察官 真昼の大捜査線」は内容やBGM含め、この作品の続編を思わせるような作りになっている。 敵に関しても前半ステージは過去作で一斉検挙された筈の「極道会」「龍頭」が継続登場し、彼らの逮捕に当たるのだが、その武装はテロリスト同然に強化されており、過激な銃撃戦が繰り広げられる。その前半ステージの敵には非アジア系人種の敵も混じっており、後のステージでは名実ともに「国内外のテロ組織」の人員として登場し、もはやヒラの警察官では対応できかねる敵が主な相手となっていく。後半ステージの舞台も「テロ組織に占拠され爆破予告が出された原子力発電所」「『二・二六事件』を思わせる降雪の中、クーデターを目論む陸上自衛隊の連隊に占拠された国会議事堂」などかなり過激。 防御とリロードに関しては人感センサーは廃され、本シリーズと制作陣が共通する『ワールドコンバット』と同じ「銃を画面外に向けて盾を構えて防御」に変更され、プレイ感覚は大きく変化した。『ザ・警察官』と比較すると最初の被弾のみ無効化、被弾時の殉職の演出こそあるもののペナルティとしては階級が1つ下がるだけなど、(被弾に関しては)初心者に対して少しだけ優しくなっている。 一方で時間切れ=ゲームオーバーという仕様はそのままであった為、競合作の『タイムクライシス』やそのスピンオフ作品『クライシスゾーン』により似てしまった感もあった。 しかも此方はボスキャラクターの当たり判定が非常に小さい事もあって余計に戦闘が長引きやすく、制限時間という面においては難易度が更に上がってしまっている。 本作筐体を流用した『モーキャプボクシング』なる作品も存在している。 その名の通り、本作同様の人感センサーによる操作が特徴。プレイするときに装着する付属のグローブはとても重く、本作以上にプレイヤーのリアル体力が試される仕様となっている(*7)。