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東京ミッドナイトタワー。通称、自殺塔。 入ったものは必ず死ぬといわれる塔であり、その高さは東京タワーを遥かにしのぐ、歪な建物だ。入るものを拒むことを前提につくられた巨大な門に、外から中が何も見えないように窓が一つもない。黒塗りにされた外壁は夜をあらわすと言われるが昼間に見てもまるで闇である。 「奇妙な塔じゃな」 「ひ、自殺塔だからな。死を誘う塔、この中に居る奴らは半端じゃないぜ」 おいらを見ると、なにやらぶるぶると震えていた。 「おい、怖いなら帰ってもかまわないぜ」 返ってくる答えなんて知っている。だけど、聞かずにはいられない。 「武者震いだよ」 「知ってたさ」 怖くて震えるような男じゃない。むしろ、自分の力がどれだけ発揮することができるのか楽しみで仕方がないといった男だ。そんな男は無限の強さの可能性を秘めている。どこまで強くなるのか、なりたいのか。 「じゃあ、行くぜ。だけど、一言、言っておく。この門を突破する方法は正面突破しかない」 裏口など、はじめから存在しない。中の人間は暗証カードを持っているが、指紋センサー、網膜センサーの三重になっていて手間がかかる。ただでさえ、無策な男がパートナーだ。冷血で残忍な奴がパートナーなら、タワーで働くサラリーマンでも拉致して目と手を奪えば良い。だが、この人のいい男と女。こんな手を納得するはずがないのは目にみえている。 「おう、気合入るぜ」 普通なら、そんな正面突破など絶対に考えたりしない。お互いに本当に信用できるのか、違う仕事を重ねたり、戦う前に一度休んでおき、体調を整えたりするのが普通だ。 だが、パートナーなこの強すぎる男。そんなものはまったく必要がないのだ。 それに、休息なら飛行機の中で十分にとった。何せ、地球のうらがわからやってきたのだ。 「なあ、主達。この門を破壊したいのなら、我に任せてもらおうか」 「ん、どうするってんだ?」 殺丸が言うと、朧月夜の体がまた光はじめた。 「我に光を与え、破壊を生み、そして無に返したまえ」 朧月夜の手のひらに光が集まり、それが一直線に塔に放たれた。 「うお! なんだこりゃあああ!」 おいらの絶叫。門が崩れ落ちる音がして、そこからすぐさまにたくさんの人が出てきた。 「飛んで火にいる夏の虫じゃ」 指でパチンと空を切ると、崩れた門が燃え上がった。門はコンクリート、燃える物質などではないはずだ。 「どうじゃ、これが我の使う月光と呼ばれる魔法じゃ。地球人は見たことがなかろう」 門を守ろうとした人々がどんどん逃げ回っている。銃を捨て、その身一つで逃げ回る。 「これで、手間は省けそうじゃの」 「とりあえず、サラリーマン達は逃げるだろうな」 だが、すぐにその火は消えてしまった。水や消火器のようなものが使われたようには見えない。 「ひひ、どうやらミッドナイト3騎士の登場みたいだぜ」 タワーの遥か上空から降ってくる人影。地上につく寸前に重力が消え、ふわりとその足を地につける。 長く、流れるような銀色の髪。そして、感情の無い表情。殺気すら感じられない。 「隠れてすらいないのですか。良い度胸です」 男の周りにいたタワーの従業員の表情が固まっている。 「ミュータ様、ここであれを使うのですか! やめてください」 「だまれ、ゴミ」 ミュータと呼ばれた男が男の頭に手をかざした。 「みゅ、ミュータ様!」 何もしていなかったはずだ。ただ、手をかざしただけ。それなのに、男の頭は血もなく粉になり消えていた。 「絶対零度の能力、ミッドナイト三騎士のミュータさんだな」 「よくご存知で」 噂には聞いていた。タワーの三騎士は人でありつつ、人でない。妙な力を持っていると。 「火が出たら、私の出番。絶対零度の力で鎮火させます。そして、あなた達はうっとうしい放火魔。ゴミは塵になるべきです。消させてもらいましょうか」 ミュータが手をかざす。どこからともなく、風が吹荒れ、ここら一帯の気温がぐんぐんと下がっていく。 「……ツララ」 「上だ!」 おいらの声とともに三人が左右にとんだ。 「なんだよ、こりゃあ」 堅いコンクリートにぐっさりと、氷の塊が突き刺さっていた。 「私のつららは槍よりも鋭く、刃物よりも斬れますよ」 「おいらよ、行くのじゃ! サポートするぞ!」 朧月夜の体がひかり、それがおいらに重なる。 「殺丸、主にもじゃ!」 暖かい光がこちらにとどいた。この感覚ははじめてだった。全身の疲れというものが全て消え、そして体中の筋肉が踊っている。いつも以上に動ける。そして、またとない力が発揮できる。 「ほお、あなたも魔法が使えると。おもしろい」 ミュータが手を振ると、その動きにそってつららが飛んでくる。 「朧月夜、お前は俺の背中に隠れろ。槍や刃物くらいなら俺の体には刺さらない!」 「強がりを抜かすな、我の魔法が無ければもう死んでおるぞ」 おいらの体のまわりには不思議な結界が浮かんでおり、それがつららを叩き落していた。 「月のお守りという奴じゃ。ほれ、行くがよい。我につららは通用せんでのう」 「おう、頼れるねえ!」 次々につららがおいら目掛けて飛んでくるが、それらは全て結界によって封じられている。 「厄介な結界ですね。ならば」 ミュータの腕がピキピキと音を立て、氷はじめた。 「アイスブランド。この世で最も切れ味の良い剣です」 腕を大きく振り、ミュータは剣を構えた。 「行きますよ」 ミュータの進む方に一直線の氷の道が出来、ミュータはそこに乗った。 「死の進む道、貴方に天の極楽があるように」 少なくとも、人間が反応できるスピードではなかった。風を切る音が二度聞こえ、ミュータが地にたった。 「いってえ!」 おいらのまわりにあった結界が凍りつき、おいらの背中に大きく切り傷が刻まれていた。 「我の結界をいともたやすく……」 「うおおお、いてええええええええ」 「ふふふふ、では次はあなたです」 ミュータが朧月夜に向かってアイスブランドを向ける。そして、そこには一直線の氷の道。 「では、いきま……あれ?」 ミュータのアイスブランドが粉々に砕け散り、ミュータはそのまま音もなく倒れた。 「う、動けない。何が……あはは、目の前がぐちゃぐちゃだ」 「ひひ、俺の存在を忘れてもらっちゃあ困るぜ。ミュータさん」 殺丸が動けないミュータを見下ろす。 「あ、あなたがいつのまに……」 刀をミュータの首筋に立て、殺丸は笑う。 「あんたの剣での一撃、振りきった後に隙がありすぎだぜ」 「ああ、ぬかりました。本当に、情けないこと」 「ここで、冬眠でもしてるんだな」 殺丸は刀の反対側でミュータの首筋を軽く叩いた。 「ひひ、三騎士も大したことないぜ。ほら、中に行くぞ!」 「さすがじゃな、ほれおいらもかすり傷に何しておる」 「かすり傷なんかじゃ、ってあれ。治ってる?」 意気揚々に殺丸はタワーの中に入っていき、その後をおいらと朧月夜も追っていった。
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643: ホワイトベアー :2022/04/25(月) 20 01 47 HOST sp1-75-249-64.msb.spmode.ne.jp Muv-Luv Alternative The Melancholy of Admirals 第6話 西暦1984年11月18日 旧カリーニングラード州中部 後方の砲兵陣地や水上打撃部隊から放たれる砲声と寒風の荒む音が響くなか、BETAの侵攻により今や誰も住民のいないゴーストタウンを、西ドイツ陸軍第18戦術機甲大隊を構成する、人類が地球を侵略する地球外起源種に立ち向かう剣として開発した機械仕掛けの巨人、戦術機が主脚を用いて前進をおこなっている。 彼らの足元には数分前までこの街を支配していたBETAだったものが大量に散乱し、赤くどす黒い液体が街の通りや建物に飛び散っていた。 西ドイツ陸軍第18戦術機甲大隊の隊長であるロト1は現状を報告するためにCPとの通信を開く。 水上打撃部隊と日本海軍戦術機部隊がレーザー級を殲滅したおかげで現在のカリーニングラードには重金属雲が発生しておらず、広域通信からデータリンクまで各種情報通信システムをフル活用する事が可能となっていた。 「ロト1よりCP、ポイントCを制圧。我に損害なし。残存するBETAは0だ」 『CP了解。問題がなければ引き続き作戦を継続せよ』 「ロト1了解」 コマンドポストとの通信が切れる。 レビル大将の祈りが天に通じたのか未だに当初の予想を裏切るような緊急事態は発生せず、橋頭堡を確保した国連軍は縦深の拡大を目的として戦術機部隊を前面に攻勢を開始する。 36機のF-105Gトーネードで構成される第18戦術機甲大隊もこうした攻勢部隊の1つであり、彼らは後方の西ドイツ陸軍第8装甲師団の前衛としてカリーニングラードから東に約40キロの位置に存在している旧グヴァルジェイスクの大中型BETAを殲滅。さらに縦深を拡大させようとしていた。 「ロト1より大隊全機。小型種の相当は後方の第8装甲師団が担当する。前進を開始しろ。」 そう言い終わると、この部隊の副隊長であるロト2の顔が映し出される。 『順調ですね。これなら予定より早くノルマを達成できそうだ』 「ああ、このまま何事もなく終わってくれればいいんだがな」 『例えBETAの大軍が押し寄せて来ても、水上打撃部隊と砲兵部隊で殲滅できるはずですし、心配はいらんでしょう』 「仮にもソ連や東欧各国を蹂躙している相手だ。何をしてくるかわからん。レーザー級を殲滅したからと言って油断しすぎるなよ。」 最前線と言うこともあり、一応ロト1はロト2に釘を刺す。 『了解です。もっとも、ソ連や東欧諸国が弱すぎるだけだと思いますがね』 『東ドイツの連中に聞いたんですが、連中の戦術機は俺たちとは比べ物にならないほど性能が低いそうですよ』 『それだけじゃなくて指揮系統もめちゃくちゃ、作戦内容も見栄だけを重視したものでとても軍隊とはいえないとか』 『なにそれ、そんなんだから東ドイツが西側に寝返るのよ』 『少しでも先が読めるなら東側になんかいられないだろうしな』 ロト1の注意を受けながらも、ロト2の軽口は止まらない。それどころか大隊の隊員たちも次々と会話に参加し、通信は東側誹謗大会へと様変わりしていく。 しかし、ロト1も必要以上にそれを止めようとはしなかった。 これが別の部隊との共同作戦などなら止めただろうが、長時間に渡り作戦を継続している隊員たちの苛立ちの発散に役立つのならば大隊間の通信なら無理に止める必要を感じなかったのだ。それに、彼もまた口に出さないだけで大隊の隊員たちと同様に東側の事を嫌っている。 (全く、何が悲しくて東側の為に命をはらなきゃならんのか) ドイツを戦場にしないためにポーランドには盾となってもらう必要がある。そのことを頭では理解してはいるものの、ロト1の脳裏には東側の領土で、東側を支援するために命を掛けて戦っている現状への不平不満がこれでもかと浮かんでいく。 彼だけではない。BETA大戦前から西側に属していた欧州諸国の将兵でこの作戦に参加した将兵達の脳裏には大なり小なり似たような考えを抱えていた。 644: ホワイトベアー :2022/04/25(月) 20 02 36 HOST sp1-75-249-64.msb.spmode.ne.jp ドイツを戦場にしないためにポーランドには盾となってもらう必要がある。そのことを頭では理解してはいるものの、ロト1の脳裏には東側の領土で、東側を支援するために命を掛けて戦っている現状への不平不満がこれでもかと浮かんでいく。 彼だけではない。BETA大戦前から西側に属していた欧州諸国の将兵でこの作戦に参加した将兵達の脳裏には大なり小なり似たような考えを抱えていた。 『CPよりロト1。前方から突撃級を含む連隊規模のBETA群が接近中。これより当該地域にて砲撃による面制圧を実施する。注意残敵の迎撃を行われたし』 東側誹謗大会の開催からしばらくしてCPからBETA群接近の報告と迎撃命令がくだされる。 「ロト1了解。全機、聞いていたな。お喋りの時間は終わりだ!」 「「「「了解!!」」」」 西側諸国の対BETAドクトリンは基本的に砲兵や洋上艦などの間接打撃戦力こそがその主役であり、その他の戦力は砲兵の攻撃をBETAに届かせ、間接打撃戦力をBETAから護る為の言わば脇役である。 命令を受けた第18戦術機甲大隊はそのドクトリンに従い、BETA群の移動速度を減速させるためにBETA群の先頭、すなわち突撃級の正面に回り込む。 『突撃級集団を確認、距離4000!』 トーネードのメインセンサーが怒り狂った闘牛のように前へ前へと前進を続ける突撃級の姿を捉え、網膜上に映しだす 「全機、後退射撃開始!突撃級の足を止めてやれ!!」 「「「「了解!!」」」」 ロト1の命令と共にそれまでBETA群に突撃していたF-105G トーネード達が突撃を仕掛けてくる突撃級と相対速度を揃えながら一斉に後退を開始。合わせて前方の突撃級に向かって36ミリ劣化ウラン弾をバラまいていく。 突撃級の前面装甲殻は時に戦車の主砲すら弾く程の防御力を有しており、36ミリ程度の豆鉄砲ではその防御力を貫くのは不可能である。 しかし、装甲殻に護られていない脚部や背後はその限りではない。 戦術機で突撃級を撃破することを考えるのならば後方から突撃し、突撃級の背後から攻撃を加えるのが一番効果的な攻撃であるが、これは後方の要撃級や戦車級集団の事を考えれば余り望ましくない。 しかも、今回はあくまでも砲撃による面制圧がメインであり、BETA群の足止めが彼らの任務である。 トーネードの射撃管制システムを持ってすれば、愚直なまでに前進しかしてこない、単調な動きの突撃級の脚部を狙い撃つことなど造作もない。 ならば、無理に危険な戦闘を行う必要もないのである。 トーネードから放たれた36ミリ劣化ウラン弾により足を吹き飛ばされた突撃級は勢い余って転倒する。それにつられて何匹かの突撃級が玉突き事故を起こしていき、BETA群の侵攻速度を大きく削ぎ落とされた。 『CPより第18戦術機甲大隊へ。支援砲撃着弾まであと20秒。注意されたし』 「だ、そうだ。俺の大隊に味方の砲撃で死ぬ間抜けはいないと思うが各員、注意しろよ」 第18戦術機甲大隊の攻撃は最前列を走る突撃級の足を止め、BETA群は大きくスピードを落とすことに成功した。そして、第18戦術機甲大隊の攻撃開始に合わせて、ほぼ同時に水上部隊から放たれた砲弾たちが速度を緩めたBETAのど真ん中に着弾。突撃級は当然として、その後方の要撃級や戦車級の集団も含めたBETA群全体に雨のように砲弾が降り注いでいく。 圧倒的な火力を前にBETA群はなすすべもなくミンチへとその姿を変えていき、ロト1の網膜上に浮かぶ戦域マップに移されていたBETAを示す赤点が急速にその数を減らしていった。 水上打撃部隊のみならず、第8機甲師団所属の砲兵部隊も動員した面制圧によりBETAを徹底的に撃ち減らし終えた後、第18戦術機甲大隊は後方にいた第8装甲師団および増援として駆けつけたフランス陸軍第2戦術機連隊第1大隊と協力して残存BETAを包囲する。このときにはすでに大型種や中型種はあらかたミンチに変わっており、数が多いからこそ生き残った小型種も少数しかいない。 1個機甲師団と2個戦術機甲大隊を持って対処に当たれば敵を殲滅することなど容易であった。 この戦いを持って、国連軍は予定されていた最低限の縦深を完全に確保することに成功。セイバー・ジャンクション1984は第一段階を終え、第2段階に移ろうとしていく。 645: ホワイトベアー :2022/04/25(月) 20 03 11 HOST sp1-75-249-64.msb.spmode.ne.jp 西暦1984年11月19日 旧カリーニングラード州 カリーニングラード臨時基地 作戦の開始から1日と経たずに人類はカリーニングラードおよび予定されていた縦深の確保に成功。 奪還してから未だに半日と経っていないにも関わらず、かつてはソ連軍の一大軍事拠点としてBETAとの戦闘を支えていたカリーニングラードは再び大規模な軍事基地として蘇りつつあった。 艦砲射撃により月面の様な様相を見せていたカリーニングラード基地の滑走路や放棄されてしばらくたった港湾施設は、カリーニングラード制圧後に揚陸された莫大な数の重機やトラックなどの輸送車両、そして強化外骨格を装備したNATO軍工兵部隊の手によりすでに完全に復旧され、飛行場では戦術機やヘリコプターの離着陸が開始されており、港湾施設では急ピッチで入港した輸送船より物資や部隊の揚陸が行われている。 すでに組み立てが終了した屋外格納庫には、輸送船から揚陸された戦術機用のガントリーと戦術機整備用の周辺設備を丸々パッケージした簡易式整備コンテナなどの整備用設備が大量に運び込まれた事で、相当数の戦術機や戦車や装甲車などの装甲戦闘車両、攻撃ヘリコプターなどの航空戦力の整備を可能としており、さらに小規模かつ限定的ながら負傷した戦術機の修理すらも可能としていた。 (カリーニングラードの奪還から一日と立たずに基地機能をここまで回復させるなんて・・・これが東と西の力の差か・・・。) 予備戦力として復旧が終わったカリーニングラードに上陸したテオドールは、第666戦術機中隊に割り当てられたハンガーの一角で西側の国力と物資の多さに何度目かわからない驚愕を受け、むしろ若干冷静さすら取り戻しながら立ち並ぶ戦術機、世界でもトップクラスの性能を誇るF-1EG カゲロウカスタム達を見つめていた。 (全く、ここ最近は西側の物量や豊かさに驚かされてばかりだな) 彼が東欧派遣兵団の1員としてポーランドで戦っていた時のワルシャワ条約機構軍では僅か一日も立たずにここまでの設備を設営するのは不可能な芸当であろう。 まず主要な工業能力で劣るワルシャワ条約機構では西側と比べて使用できる物資も機材も足りない、圧倒的なまでに不足している。 ただでさえ西側と比べると工業力や国力で劣っているワルシャワ条約機構加盟国は、その国力と工業力の大半を戦術機や戦車、装甲車など正面装備やそれらで使用する弾薬等の製造や修理にその工業力の大半が割り当てられていた。 そのため、ブルドーザーやショベルカー、クレーン車などの建設機械類やトラックを始めとした輸送機械類などNATO諸国が当然のように工兵部隊などの後方支援部隊でも大規模に運用している装備は、激戦を繰り広げるがゆえに消耗の激しい前線部隊やそれらを支える兵站部隊などに優先的に回されており、工兵隊には最低限の数さえ配備されていない。 強化外骨格のような高級品はそもそも前線の機動歩兵部隊ですら十分な数が配備されていないのだ。工兵に回されるはずがない。 東側諸国の工兵部隊には近代的な装備が配備されていないのだ。 そうした物資の不足を補うのは共産主義の熱い魂に動かされた時代錯誤的な人海戦術と人間達の労力であり、西側と東側の工兵隊の設営能力は比較するのが可哀想になるほどの明確な差が存在していた。 (あの胡散臭いおっさんの力で俺たちもその恩恵を預かれるわけだが、西側の連中に俺たちは必要なのか?) 今の西側にとって東ドイツはお荷物状態である事実をこれでもかと見せつけられたテオドールは、そんな状態でも西側から莫大な援助を引っ張ってくる元シュタージュで作戦前に突然義理の父になった胡散臭いおっさんことハインツ・アクスマンの能力の高さを認めざるを得ない。 646: ホワイトベアー :2022/04/25(月) 20 03 59 HOST sp1-75-249-64.msb.spmode.ne.jp 「お待たせ、お兄ちゃんっ!」 「お待たせしました。テオドールさん」 リィズとカティア、2人の声がバンガーを眺めながら物思いにふけっているテオドールの意識を現実に戻した。 声のした方に振り向くとアイリスディーナ、リィズ、カティア、そしてアネットの四人が歩いてくる。 整備班への機体の引き渡しやデブリーフィングを終えた現在は自由時間となっており、夕食を受け取る事になっていた。 「すまない。またせたな、少尉。シャワーが混んでいてな」 「いえ、気にしないでください。たいして待っていませんので」 「そうか」 ふんわりとしたアイリスディーナはふんわりとした笑顔を浮かべる。 「お兄ちゃんが、妹の前で女の人といい雰囲気を作れるようになるなんて・・・私は嬉しいよ。カティアちゃんはいかなくていいの?」 「えっ!?」 「いい加減にしろ。カティア、気にしなくていいからな」 泣きまねをしながらテオドールを茶化したあと、カティアを横から囃し立てていたリィズの頭にテオドールの手刀が軽く振り下ろされる。 「あいたぁ!お兄ちゃん、こんな可愛い妹の頭にチョップを入れるなんて・・・」 カティアちゃん、慰めて~、リィズは大げさに痛がったかと思えば軽い口調で放しながらカティアに抱きつく。 元シュタージという事もあって、最初はリィズを警戒していたカティアは困ったような、されど自然な笑顔を浮かべてリィズに抱きつかれた。 そんなある意味微笑ましいやりとりを後目にテオドールは予想外の人物に視線を向ける。 「ところで、なんでアネットまで来ているんだ?」 「何よ。私が大尉達と一緒にいちゃいけないっていうの!?」 アネットはさも心外そうに語気を強めたが、目は弄る標的を見つけたと言わんばかりに笑っていた。 「私だって女子なんです! 女の子が女の子と仲良くするのは当たり前でしょ? ねぇ~大尉」 「そうだぞエーベルバッハ少尉。ホーゼンフェルト少尉だって立派な女子なんだ」 「あの~、大尉。そう言われちゃうと私が普通の女の子じゃないように聞こえちゃうんですけど・・・」 悪戯っ子のような笑顔のアイリスディーナから予想外の後ろ弾を喰らったアネットは大尉に異議申し立てを行うが流されてしまう。 「・・・まあ、アネットも女の子だよな。うん、俺が悪かった」 「哀れみを浮かべながら私を見るなー!」 テオドールからも慰められると言う事実に不機嫌そうに叫ぶアネットを諌めながら、炊事部隊の配給場所に向かって一同は歩き出していった。 647: ホワイトベアー :2022/04/25(月) 20 04 31 HOST sp1-75-249-64.msb.spmode.ne.jp 以上になります。 wikiへの転載はOKです。
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[97/02/13 21 25] はた 「[全星]おーるすたー投票結果発表(2)」 それではエントリー部門の各ロボットに寄せられたコメント集(1)です。 人気順に並べてありますが、全てのロボットのものは入り切らなかったので 得票数2票以上のロボットのものを入れてあります。 【オールスター戦エントリー部門】 ******************************************************************* ☆ MEGURIAI (郵送 5回/なしのつぶて) * 6角定型移動のみ、しかし実に巧妙。たったあれだけの範囲しか 動かないというのに、どう対処してよいのか頭を抱えさせられま した。 * 砂漠の4輪の悲しさをハネ返す動き。 アイデア自体は以前にもあ ったような気がするが、 アイデア倒れに終わらず好成績を出せた ところが良。 * これですよ,これ!!すごいです. ロボット大賞取れなかった のは変です「酒井さん,何故?」と思う位素晴らしいロボットと 思います. 見れば見るほど味があります,スルメのようなロボット... とコ メントしておきましょう. これだけに10票入れ...る訳に行かないか (^^; * 乱数を使ってないのに、この動き。 良いなぁ。 きっと、森と砂漠を意識しての選択なんでしょうね。 私が似たような事をやった結果が、NIF13(アスファルト限定)の .CLOCK/7です。(笑) * 4輪の短所である砂漠での機動力の無さを見事に克服した、 素晴らしいアイデアだと思います、あれは。 * おもしろいです。 * E.S.R.S.の作成中にこのロボットの動きを見たことで、若干影響 を受けています。 ******************************************************************* ☆ ROMIO5 (NIFTY ヨキタウ杯/ヨキタウ) *(I-SHADOWとあわせてのコメント) トーナメントの組み合わせを見たとき、 「この2機は、くる(^^)」と、ピーンと来たからです。 * その強さもさることながら、あの勝ち台詞が頭にこびりついてます。 * 主催者優勝を目前にしながら、I-SHADOWにやぶれてしまったので。 セリフに対するコメントでは、相当失礼な事を言ってしまったな と反省しています。すみません。n(_ _)n ******************************************************************* ☆ COMMUNIO (NIFTY 13回/H.O) * 大会成績では激しい首位争い、そして大会周辺ではルンルンとの 熱い恋物語を展開し、文句無しに大会の目玉になっていました。 これで復活なのですからおかさんのカムバック賞は必然っだった でしょう。 * 地雷の撒き具合、タイミングが良いな~と思います。 * なんか伝説の人みたいな感じで面白かったという覚えがあります。 イミフメイ ******************************************************************* ☆ PISTER5 (郵送 6回/はた(BLACK RUSK)) * 「人に歴史あり。 ロボットに歴史あり」 (※ いみふめ~ ヾ(^^; * アスファルトの4輪はそれだけでも気持ち良いのですが、このロ ボットは特にそうですね。すごく自然な感じが好きです。 * ロボット大賞決定の瞬間は、自分のことのように嬉しくなった覚 えがあります。^^ ******************************************************************* ☆ ADORA (NIFTY 12回/APFSDS(C.A.T.S.)) * 極太レーザーとナックルアタック。追撃主体かと思いきや、最悪 VIOLATEも恐れぬ大胆な戦略。アスファルト限定大会以外で唯一 4輪が優勝した衝撃は忘れない。しかもあの決勝は砂漠。 * 戦う度に動作が変わって、飽きない。大事な調教パートナーだ。 私のロボットがH氏の「P某」に強いのは、P相手でなく、AD ORA相手に稽古した結果である。 ******************************************************************* ☆ RIFLE8 (郵送 5回/佐藤 清之) * 2足+シールド+ライフルという装備で、決勝まで勝ち上がった というだけで凄いと思います。 * いわゆる?、ヒーローロボタイプなのですが、多くのロボがライ フルをわりと早く捨てているのに、このロボットは左腕に頼った 突撃にすぐに移行しないのが、目に止まったです。 ******************************************************************* ☆ OBAKA.3 (郵送 5回/大谷 教明) * 何を考えているのかわからないその動きと地雷配置。でも、対戦 を見てみると実に巧妙。実に楽しめます * やっぱり、地雷の配置が絶妙だなぁ。 なにしろ、郵送6回に出し た.MOGA-01のDOCに思わず書いてしまった程ですから。 ******************************************************************* ☆ I-SHADOW (NIFTY ヨキタウ杯/はた(BLACK RUSK)) *(ROMIO5とあわせてのコメント) トーナメントの組み合わせを見たとき、 「この2機は、くる(^^)」と、ピーンと来たからです。 * あと・・一歩だったのにぃぃぃ・・(^^;;;;;;; オイオイ 当時の記録用ノートでメモ書きがあるんですが 「全身赤! 女の子みたい」そのまんまか。(笑) ******************************************************************* ☆ PANZER11 (NIFTY ヨキタウ杯/鯱王(BLACK RUSK)) * 熱い。何が熱いって、台詞が熱すぎます。あっさり負ければ間抜 けに思えてしまうこの台詞を堂々と使って、しかも好勝負を繰り 広げたのは出来すぎみたいです。 * セリフを見て「なんて熱い人だ(^^;」と思いました。(笑) 是非次のセリフと出会いたいです(^^; ******************************************************************* ☆ .FLAME (NIFTY ヨキタウ杯/Sky Net Lab (みか)) * 「みかスペシャル」の名を広く知らしめた名機! (ですよね? (^^;;;;; * これがみかスペシャルの原点。初めて実況したのかな?>みかすぺ みかさんが後ろ向きに後退しながら「みかすぺしゃる~」と叫べば きっと受けるはず(^^;;;;;;;;; ******************************************************************* ☆ 29-HITS6 (郵送 6回/29型TV) * .ZUKU/9Bと対戦させて見て、「おぉ!」って思ったから。 アスファルトで何度も対戦させたのを覚えています。 * 私の教育リーグで実質トップ。敵を正面に捉えようとする知略と、突如 「位置予測攻撃」に走る機転が好きだ。 ******************************************************************* ☆ STALKER (郵送 6回/かっきー) * 毎回どんなロボットで来るか楽しみなかっきー氏。 氏のロボット の中でもこれは完成度が高いと思う。 付かず離れず一発ずつキャ ノンを入れる、 という戦法はおはぎの昔からありはしたのだけど。 * あまり戦いたくないです(笑)。 ******************************************************************* ☆ PSYCHO-R ((郵送 6回/Ryo's Factory) * アトミックとパワーで相手を粉砕する。このタイプは決してそれ まで無かったわけではないのに、このかっこよさはなんだ。 恐ろしいまでの追撃能力。あの真紅のカラーとともに網膜に焼き ついています。 ******************************************************************* ☆ .KUZURI (NIFTY 13回/Sky Net Lab (OJO)) * 「死んだ機械は殴ってもいいって言ったろ?」 というクズリ君のお 父さんの台詞がイイです。 * なんか面白かったです。ナンダソレハ ******************************************************************* ※ 結果発表(3)に続きます。 はた 第3回オールスターファン投票結果発表(3)へ移動 《第3回オールスターファン投票》へ戻る
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概要 研究所の集合体によって成立している企業Flugelグループの子会社。 Flugelworks(人型兵器開発担当)の中でも防術機を開発していた集団が独立するといった形を取っている。 本拠地は地形を生かし要塞都市化されたスイスに位置しており、周囲を埋め尽くすエルフも相まって航空機以外の外部からの侵入はほぼ不可能と言える状態になっている。(当然これはFiorworks側にも同じことが言える) +詳細な設定 社の概要 Fior(Works)は300万人の人口(社員)を抱える独立した企業であり、Flugel(works)を親会社としている。 エリアEUの山々に囲まれたエリアを安全圏とし居住しており、建物や防術機に使う資材も含め基本的に自給自足の姿勢を取っている。周囲がエルフまみれの位置に居るため他のエリアとの交信をするには航空機を飛ばす以外の手段がなく、航空機も大型機を飛ばして通常日に10便程度が限界(多いように見えるがこれだけで外界と繋がっている事を考えると割と不足)なので、外部との接触はそこまで多くない。 技術は基本的に他の企業と大して変わらないが一般的な燃料を使用するスラスターは石油等が手に入らない事からほぼ使わず、電気推進に特化している。生体技術は医療に重点を置いている事からそれなりに有力であり、外科的処置に定評がある。 FlugelとFior FlugelはFiorの前身ともいえる組織であり、大戦以前に存在していたとも伝えられている。その出目は資料が失われているが、大戦によって形が変わり、最終的に安全圏に散らばって様々な研究をする組織になった。その中でもいわゆるロボ(防術機とか)の開発をしていたのがFlugelworksであり、開発を進める為根を張る必要があると感じた一団が誰の影響も受けず、かつギリギリ安全圏を拡大する土壌が残っているエリアEUの一地域にFiorを設立した。今でも活動はしているようだが目立った行動は無く、リーダーと呼べる人物も存在しない為今後の動向は不明。Fiorに対しては支持する一団が継続的な支援を行っており、防衛等の為Fiorから各支部に防術機を供給している以外は特に干渉はない。 Worksの有無でよく混乱する事があるが、防術機を開発する企業としての立場の場合はWorksを付けるのが基本となっている。 防術機について Fiorの防術機は少なくとも自社で使用するものは全て有人機であり、多くは神経接続によって操縦する。搭乗員はGを軽減するパワードスーツに身を包みコクピットに乗り込む。有人が前提となっているので案外乗り心地は良く、G軽減スーツは予防的意味合いが強い。モニターは存在せず基本的にパワードスーツとリンクした網膜投影ディスプレイで情報が表示される。 頭部が付いているモデルが大半だが、これは神経接続で操縦する場合形状が人間に近い方がスムーズに適応できる場合が多いからである。 防術機ではあるがそこまで多数を生産する必要性が無いため他社と比べ高コストだが、各種安全装置は多い。(有人であるため)基本的に駆動系、スラスター、大半の火器に至るまで全てを電力で賄っており、電力と弾薬さえ供給できれば他の補給がほぼ要らない利点がある。 他企業との関係 Flugel自体が研究機関に近かった為Fiorも特別攻撃的な行動はとらず、自衛と研究、手段は少ないものの他企業との交流に勤しんでいる。FLCとは反企業連時代から関係を持っており、近年さらに積極的に交流を進めている。その他ミサトには数少ない定期便を出しており、ミサト近辺の企業と積極的に交流を図っている。 FLC Flugel時代から関わりのあった企業も多数参加しているためFLC全体との交流も積極的に行われており、基本的な粒子制御技術と結晶のサンプル等を受け取っている。 Frost Arms Flugel時代からお互いの拠点が近くにあるエリアでの交流があり、その流れでFiorとも積極的に交流を進めている。 夕張重工業 高精度なスナイパーライフルの技術を始めとした製造技術を求め、積極的に交流している。 ナナシノ工業大学 ミサトに長期滞在する際に研究員が大学に特別講師として訪れる時があり、それを通じて防術機開発のスポンサーとなっている。 アイギス 研究機関であるため当然アイギスからの目は逃れられないが、地理的に離れすぎている&周りがエルフまみれの為人員を派遣しての監察程度しか行われないのが現実であり、大規模安全圏の企業よりはある意味自由と言える。 また、禁忌とされている技術も大々的に使われた形跡が無い為特別大きな問題は無いと言って良い。 徽章 防術機(量産型) F01 Bellis 画像 種別 中量機(第七世代) 機体データ HEALTH(耐久力) 792 ENERGY(エネルギー容量) 35 歩行速度 約140km/h ダッシュ速度 約170km/h 武装 強化型三点式アサルトカービン×1 コンバットナイフ×1 二連装マルチミサイルランチャー×2 解説 FiorWorks初のTDM。性能自体はやや推力が大きい以外平凡そのものだが、独自フレームのテスト機も兼ねており多くのハードポイントや余剰スペースを持つ。 写真はテストカラーであり、正式採用機はより地味な色合い。 近く控えているOSの刷新に合わせて改修を行う目途が立っている。 ダウンロード Bellisスターターパック Fflame01 画像 種別 第七世代 解説 FiorWorksのTDMの特徴と言える統一フレーム。極めて高い汎用性を誇り、ソフトを変更する事により容易に特徴を変えることができる。 01は二脚型のフレームであり、最も使用率が高い。 こちらもOSの刷新に合わせ改修される予定である。 ダウンロード Bellisスターターパックに同梱 防術機(試作型) F01(X1) Bellis 画像 +暴走モード 種別 中量機(第七世代) 機体データ HEALTH(耐久力) 672 ENERGY(エネルギー容量) 39 歩行速度 約140km/h ダッシュ速度 約150km/h(暴走時270km/h) 武装 支援型三点式アサルトカービン×1(暴走時:最大出力アサルトカービン) 胸部ロケットランチャー×1(暴走時:速射型三点ロケットランチャー) 解説 Bellisに機体出力を一時的に引き上げる特殊システムを組み込んだ機体。 システムに耐える為機体は補強されており、武装構成も変わっているがパイロットが持たない為暴走モードは約18秒経過した段階で自動で自爆するように設定されている。 実戦配備型は盾を追加装着しているが雀の涙程の性能のようだ。 ダウンロード この機体はFior ClubEx会員のみダウンロード可能です。 F01(b) Bellis 画像 種別 中量機(第七世代) 機体データ HEALTH(耐久力) 732 ENERGY(エネルギー容量) 35 歩行速度 約140km/h ダッシュ速度 約170km/h(ブーストポッド起動時238km/h) 武装 強化型三点式アサルトカービン×1 コンバットナイフ×1 解説 Bellisに機動力向上の為大出力ブーストポッドを装着した試作機 ブーストポッド起動時は確かに高い加速力が得られたがそれ以上に電力消費が激しいため試作止まりとなった ダウンロード この機体はFior ClubEx会員のみダウンロード可能です。 イベント等のお知らせ Bellisトーナメントが終了しました。 結果は一位 暇人様 二位 ジム頭様 三位 yukina様となりました。 次のイベントはボス戦を計画しています。ご期待ください。
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登録日:2012/07/09(月) 00 13 08 更新日:2023/11/21 Tue 10 28 44NEW! 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 ※スタッフはいたって真面目です やたらと設定が練り込まれたエロス エロ装備 オルタネイティヴ パイロットスーツ マブラヴ 無駄に洗練された無駄の無い無駄なエロ設定 羞恥心克服用 衛士 衛士強化装備 超高性能 衛士強化装備とはマブラヴのBETAの存在する世界に登場する衛士(戦術機の操縦士)のパイロットスーツのことである。 外見は前側が半透明の被膜で覆われおり、斬新なデザインとなっている。 衛士強化装備は各国によっていろいろなバリエーションが存在するが(前があれなのは全世界共通)、ここでは日本帝国軍が制式採用している99式衛士強化装備を紹介する。 衛士強化装備は戦術機周辺装備という位置付けであり、基本的に衛士が戦術機に搭乗する際に着用する一種の防護服である。 かなり高度な伸縮性を持ちながら衝撃に対しては瞬時に硬化する性質を持った特殊保護被膜、各種装置を収納したハードプロテクター類とヘッドセットで構成されている。 この特殊保護被膜は全身に密着しており、着用者の筋電圧測定からバイタルデータ及び水分の回収。 電圧収縮によって血液の偏りを防ぐ耐G機能等を備えている。 そして他にも通信機、GPS発信機を搭載していて、さらには耐衝撃性能に優れ、防刃性、耐熱耐寒、抗化学物質性といった高度な耐環境性能だけでなく、バイタルモニターから体温・湿度調節機能、カウンターショックなどの生命維持機能も備わっている。 防刃性や耐熱性はもちろん被膜部分にもあり、刃は相当ゆっくり接触させない限りは傷もつかない(しかし流石にBETAの破壊力に対してはほとんど無力である) このパイロットスーツは内蔵バッテリー式となっていて、連続フル稼働で約12時間、生命維持機能に限定した省電力モードで最大72時間の容量があり、戦術機に搭乗した際は機体側の電力で稼働、自動で充電モードへ移行する。 2リットルの飲料水パックを内蔵しているが、緊急モード時は汗及び尿の分解濾過装置による循環機能も備えている。 そして武ちゃんやまりもちゃんが体験したおもらしだが、これは高伸縮排泄物パックによってカバーすることが出来る。 戦術機の操縦においては、ヘッドセットとスーツ全体で脳波と体電流を測定し、装着者の意思を統計的に数値化し常にデータを更新、戦術機や強化外骨格(戦術機周辺装備の1つであり、緊急脱出システムの核)の予備動作に反映させるという、間接思考制御のインターフェイスとして機能する。 ヘッドセットは戦術機のサブコンピューターとしての機能を担い、戦域情報のデータリンク端末として衛士のオペレーションを補助する。 内蔵された高解像度網膜投影装置により、コクピット内にディスプレイ類を必要しないだけでなく視力の強弱も影響しない。 これは両頬先端を押すことで起動、展開し、戦術機から離れても一定距離までなら使用することができ、戦術機のカメラの映像も映すことが可能。 頸部には高機動時の急激なG変化による損傷を防ぐハードプロテクターが存在し、コンピューター等の主要電子装備が収められている。 頸後部には着座用のロックコネクターがあり、腰部、下腿部の四点支持にて座席に身体を固定する。 このようにこのパイロットスーツは超高性能なスペックを誇っており、人類の生存率を上げている要因の1つと言えるだろう。 ……ここまで真面目に説明してきたが、皆さんはお思いだろう。 なんだこのエロいスーツは。非常にけしからんぞ、と…… そう、冒頭で説明した通り胸から股関付近までが半透明の被膜であるため見た目が物凄くエロいのだ。 訓練兵用 正規兵用 【画像跡】 【画像跡】 このように正規兵より訓練兵の方が圧倒的エロスを醸し出しているのだが、これは前線における部隊の男女混成と施設共有を前提とした羞恥心の鈍化という目的が1つある。 つまり、 『環境が劣悪な前線で男女別でシャワーなんて有り得ないから普段から裸同然になって慣れろ』ということである。 そのため 【画像跡】 や 【画像跡】 こんなもの そしてこんなのも…… 【画像】 …ごめん。裸体とパイロットスーツの違いがわからなかった。 えー、ごほんっ。 などなど、エロスーツ、セクハラパイスーなどとプレイヤーから言われる外見となっているのである。 え? エロゲーなんだから設定なんて後付けでエロ目的でデザインしたんだろって? いいえ。完全にスタッフの趣味です 他に理由として、重大事故発生率が高い訓練兵の負傷箇所の即時視認性を高める事、更に分解剤による柔軟化が早い事が挙げられる。 この分解剤による柔軟化により被膜を素手でも引き裂ける程度まで軟化させることができ、緊急脱着装置として機能する。 これは負傷衛士の緊急手術に使われるものなのだが、作中では当然そんなことに使われることはなく、野獣の武ちゃんによって即時性行為用として使用された。 高価な装備をいとも簡単に使い捨てる武ちゃんは流石です。 全年齢版では色々と見える部分に関しては規制されている。 追記・修正・参考画像の追加は1日全裸で過ごした人にお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 戦時中の『産めよ増やせよ』の風潮に則り男女のエロス促進の目的ありだったりして -- 名無しさん (2013-08-21 15 30 44) まぁ死んだらぐちゃぐちゃになるからどんな格好でも一緒だし -- 名無しさん (2013-08-21 15 40 18) なお、訓練用強化装備はサランラップスーツと呼ばれている模様 -- 名無しさん (2014-07-31 00 21 07) グチャグチャだったりぺちゃんこだったり溶かされたりするしね -- 名無しさん (2014-11-17 18 38 18) こんなん男はどうすんの。もっこり不可避かつまわりからまるわかりやん。 -- (2014-12-29 16 05 37) ↑男性には、その状況(女性の身体と自身の反応)に慣れろって意味合いがあるんだよ。たぶん。 -- 名無しさん (2015-01-26 14 10 02) 仮に、アストラギウス銀河の最低野郎共がこんな至れり尽くせりな装備を見ちゃったら失神するんじゃなかろうかw -- 名無しさん (2017-07-30 11 01 15) マジレスするなら羞恥心の鈍化って全く効果が無いよな。エロいと思うのはそういうシチュエーションが加味されるから思うのであって、例えば裸婦画デッサンの時は全裸女性のモデルが大人数の前に晒されてもみんな真剣なのでエロいとは思わない。戦時中ならなおさらなので、訓練用があんな卑猥なデザインにされたら余計羞恥心をあおる結果になりかねない・・・エロゲとしては正しいな! -- 名無しさん (2020-03-24 09 04 05) どっかの銀河戦争と違って人材無駄遣いとか出来ない世界だもんね -- 名無しさん (2021-02-13 23 02 27) これを見て『「キラリティー」の最終局面に出てきたエロスーツのパクリじゃねえか!』と思ったのはオレだけだろうか。 -- 名無しさん (2022-06-19 17 06 29) アニメ版オルタのブルーグレーの訓練用強化装備もあれはあれで好き -- 名無しさん (2022-06-19 17 50 21) エロいデザインであることにもちゃんと(?)理由がある設定なのは割と好き。「羞恥心の鈍化」についても、現場に理解のないお上が要らん気を利かせた感があって、寧ろリアリティがあるんじゃないかとすら。 -- 名無しさん (2023-11-21 10 28 44) 名前 コメント
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前ページ次ページAdventure-seeker Killy in the magian world quest LOG-8 感知 …日没、つまり霧亥たちが一連の戦闘を終えてから数時間後。 人々が寝静まるのを待っていたフードと仮面が、トリステイン魔法学院のすぐそばで密会していた。 「それで、今やらなけりゃならない理由ってのは?」 フードの方は女性のようだが、中性的な声としっかりした服装から、人によっては男性と思うかもしれない雰囲気が漂う。 「あの男が居ないからだ、今は王都で釘付けにされている」 仮面の方は、体格と服装は男性のものだが、完全に音声は加工されていて、まったくどちらなのか分からず、フードの方と違い、感情を読み取るのも難しい。 「例の四人組か……あんたらのお仲間なんだろ?」 「いや、やつらは敵でも味方でもない。味方というには、やつらの立ち位置は遠すぎる」 「複雑な事情はいいさ、こっちは自分の仕事の邪魔になるのか助けになるのかだけ知りたいんだよ」 「………………」 仮面が、質問も聞かずに遠くを見ているのに気づいて、フードの女は不審そうにする。 「どうした?」 「早いな、情報を流してやったのに、捕獲どころか足止めもできないとはな」 「……話が違う」 遠見のための魔法や道具を使うまでも無く、一台の馬車が接近してきているのが分かる。 そこに乗っている人間が、どの程度の脅威であるかはすでに目にして知っているし、予定と違ってここまでやって来たことがそれを補強した。 「仕事に取り掛かれ、収蔵品だけでもいい」 「おい!」 仮面の姿は完全に掻き消えていた。 大気の屈折と振動で、人がひとりそこに居るかのように見せているだけなのだから、そう急がずに居ても良いだろうに―――フードの女は苦いものでも口にあるかのように唾を吐く。 「やってらんないねぇ………ほんと、ろくでもない奴に雇われたもんだ」 悪態をつきながらも杖を取り出すと、呪文の詠唱を始める。 土系統の基本的なスペルだったが、彼女の実力が並外れていたこともあり、その効力は最大級だった。 「さっさと終わらせるべきだね、これは……」 波打つ水面のようになった地面から、湧き上がるようにして土が盛り上がり、巨大な土くれを作り上げる。 フードの女は真っ赤な唇を余裕たっぷりにゆがめた。 人目の無い場所で、音を押さえつけて歩く巨大なゴーレム。 それを、得体の知れない使い魔如きに、止められるはずがないのだから… …疲労の溜まった馬を駅で交換するころには、すっかり日は傾いており、足の遅い車で普通に馬を走らせたときよりも時間をかけながら戻ってみれば、日は地平線に消えていた。 どうせならと、私物を購入して馬車に詰め込んだことで夕食を逃したルイズはすきっ腹を抱え、空腹を捨てた霧亥は馬車に揺られながら、学院の方で起こっている現象を、のんびりと眺めている。 普通に考えれば異常な事態を、自身もまた普通ではないと自覚している霧亥は、果たしてこちらの基準でも異常な事態なのかと計りかね、横のルイズに声を掛けずにいた。 サイズこそ違えども、いつぞやのゴーレムと呼ばれたものが、ゆっくり練成されていく。 何かの土木作業にでも使用するのだろうと、霧亥は推測。 脊髄反射的に、その変化し続ける姿の正確な立体構造と構成物質を随時分析していた。 「なんだ、あれは!?」 驚いたのは、ここの人間たちの方だった。 馬車の操縦者が、歩行時の振動を受けてゴーレムの存在に気づくと、慌てて馬に歩みを止めるよう指示を出す。 「ちょ、ちょっと! 一体何が起こってるって言うのよ!?」 馬車を飛び降りたルイズも同じような反応を取っていたので、このようなことは、めったに起こりえないらしい。 ゴーレムは何をするでもなく、学院を囲む五角形の頂点の一つ、水の塔を左に避けると、一跨ぎで辺に当たる壁を乗り越え、音も無く本塔の一角を目指して突き進んでいる。 「宝物庫の方じゃない……ご、強盗なんじゃ…!?」 「ルイズ―――!!」 ルイズがおろおろとしているところへ、遠くから二人の生徒が、文字通り飛んできた。 馬に乗ることも、理解は出来るが相当恐ろしいことだと感じた霧亥には、とても自分の羽根で自重を支えられるとは思えない身体構造に、 半端な知能を備えた危険きわまる生物に跨るこの人間を見て、一体何を考えているのかと正気を疑いそうになった。 途中で見た目ほどの質量が無かったり、密度がおかしかったり、変化させていたりする妙な生き物だと気づいたが、むしろそんなものを完全に制御下に置けない恐怖を感じる。 この様な時間と場所で何をしていたのか、キュルケとタバサと呼ばれていた二人組みは危険な―――竜と呼ばれるものの一種らしい―――生物に運ばれてきた。 「何やってるのよ、あんたたちは!?」 「どうでも良いでしょう!」 「彼が帰ってくるのを待ってた」 その理由は分からなかったが、目の前の光景を見たことによる混乱からして、あのゴーレムについての驚きはこの二人も変わらないらしい。 魔法を発動して、ゴーレムを操っているのは誰か、先ほどの襲撃のこともあって、こういった非常事態に警戒した霧亥は意識を集中した。 「人は呼んだの?」 「当直の先生が居るはずよ、すぐに対応するはずだから、離れて見てれば十分よ」 とはいうものの、霧亥の目には、それらしい人間の姿は確認できない。 結局、誰かが動き出すどころか意識を覚醒させることもなく、ゴーレムは悠々とアウストリの広場を突き進むと、本塔のすぐそばに到着してしまった。 「誰も気づいてないみたいよ、どうするの!?」 「わ、私に怒鳴らないでよ」 余裕を見せていたキュルケも、さすがにうろたえ始めていた。 あのサイズのゴーレムを相手取れるわけも無く、かと言ってあれに気づかれないように人を呼びに行くのは難しいし、なによりわざわざ危険を冒さずとも、普通に考えればすぐ教員が対応するはずなのだ。 タバサも、口にこそ出さないが、杖を手に取り体を強張らせている。 唯一、霧亥だけが馬車のそばで、何も起こっていないようにゴーレムが宝物庫と呼ばれた物置の在る部分に取り付くのを観察していた。 ただの土くれに恐怖など感じないというのもあるが、彼我の実力差があろうとなかろうと霧亥はうろたえる事もないし、必要が無ければ積極的に攻撃しようとすることも無い。 問題は必要性の見極めだ。 「…………どうしたの?」 不意に霧亥の目付きが鋭く、というよりは悪くなったことを察知したのは、一際優れた観察眼を持っているタバサだった。 霧亥はゴーレムではなく、ゴーレムの左肩に登ってきた人物に視線を向けている。 それがゴーレムの操縦者であるということは一目で分かり、それ自体がどうということもないが、彼女が学院内での観察記録に該当する生体であり、 “こちら”ではなく、“自分”という個人へとその注意を向けながら作業を行っていることを素早く見抜くと、まず関連付けられるのが「先刻の襲撃者と関係がある」ということだ。 観察してみるに、彼女の思考の色は“焦り”。 ゴーレムから本塔の外壁に飛び移り、辺りに注意を向けながら、なかなか破壊できない足元の素材を走査している。 一頻り観察した後で、彼女の一連の動作を分析し、この行動が学院の人間に発見されることよりも、霧亥という個人の目を危険視してのものであるのを確認したところで、 こちらについての知識と共通認識を持っている、つまりこれは確実にあの四人組と何らかの関係がある人物であり、あの襲撃と同期して行動を起こしたのだろうと判断。 更に目を凝らせば、操縦者の管理の外に、いつぞやギトーと名乗った男が使用したのと同じ力の反応も視え、最低でも複数人で動いていることも分かった。 敵性 網膜に表示される文字もまた、そこから導き出した考えを肯定していた。 もちろん、その他もろもろの可能性はあるが、物事は多少悪い方を想定して対応するべきだ。 不必要な労力を費やすことを好まない霧亥だが、なにより、力の行使の必要があるのなら一切の容赦をしないことが彼の行動の基本である。 ゴーレムの操縦者近くの反応が、霧亥の予想したとおりの操作によるものであれば、ここの情報が駄々漏れの可能性もある。 攻勢に出るならば、出来るだけの火力で早めに潰さなければならない。 「キリイ?」 黒金を思わせる、ぼんやりとした光沢のある角張った短銃のようなものが、霧亥の手には握られていた。 表情は無く、目付きも何かを狙うという幹事には程遠い。 とても銃を撃つつもりとは思えないほど無造作に、力の抜けた右手が突き出された。 都市において最高級の火器を意味する第一種臨界不測兵器の一つである、最強の銃。 狙いはあまりに正確に、敵の重心に向けられている。 ゴーレムの肩で、霧亥の様子を伺いながら破壊活動を続けていた女こと、ロングビルはその姿を見て目を見開いた。 あの決闘のときの銃とは違う。 肘をきっちり伸ばし、この距離から、操縦者たる自分ではなく、ゴーレム自体を照準しているのだ。 それは決して無謀な行いなどではなく、間違いなく足元にある“土くれ”を、一撃の元に無力化可能なのだと、霧亥の立ち振る舞いを見たロングビルは直感した。 あの銃は一体なんだっただろうか?―――走馬灯のように、急激に加速された意識の中で、必死に記憶をたどる。 重力子放射線射出装置―――!!? とっさに頭の中でそう叫んだはいいが、その後に逃げ出すどころか、満足に口を動かす余裕すら与えられなかった。 この霧亥の銃の使用による破壊は、大きく幾つかの種類に分けられる。 一つは単純に、強烈な重力子の放射線による重力子交換の増大で、重力質量が増加、周囲の物体が押し退けられるか押し潰されるかして、素粒子レベルで分解し、膨大なエネルギーを放出する。 続いて、そこまでの影響を受けないにしても、距離の離れた物質も、すぐ近くに巨大な重力源が出現したことによって、潮汐力で崩壊していく。 重力による特異点、ブラック・ホールなどの天体によって引き起こされる破壊が直線状に発生するのと同じだが、 これと違い、もっとミクロなレベルの変化として、力を伝達するゲージ粒子の変化ではなく“場”そのもの急激な変化という、ある種の真空の相転移にも似た急激な物理定数の変更で物体や時空に強烈な影響が出る。 どれほど頑強な物質であっても、その姿を保てなくなるような根本的な破壊現象だ。 同じようにして起こるのは、通常時には人の手に触れる物質とほとんど相互作用しないダーク・マターなどが、放射線によって形成された射線軸上の場へ一斉に干渉を始め、 これによる膨大な質量や各種作用の爆発的な増大によって、物は何でも変化し、破壊される。 以上によって、どれほど強固で、三次元方向以外にも広がりを持つような構造物であっても、プランク定数レベルの正確さで場に沿って二重に貫かれるのだ。 さらに、高度な重力制御とそれに付随する時空の制御も切り裂き、これ以外にも周辺の環境に対する、臨界の不測な破壊をもたらす。 二次的な破壊として、破壊された物質が渦となって周囲に広がるなどもあるが、霧亥たちの基準でいえば、特に問題ではなかった。 重力制御によって世界の根幹が成り立つ階層都市の内部ではない以上、その影響は“臨界不測兵器”といわれるには足らないところまで落ち込むが、それでも圧倒的過ぎる。 霧亥の銃に電流が迸ると同時に射出された、弾体とも領域ともいえないものが光速で飛翔。 指先ほどの大きさの何かが通り過ぎると、それを中心として、手元で細く先に行くほど徐々に広がっていくが、概ね半径1mの円柱を成す空間にある物質が一気に消失していく。 湾曲し、水面のように波打つ空間。 光の速度という、霧亥以外には知識すら持たないスケールの時間で消失した空間が、光の柱のように変化して、その圧倒的な力で周囲を飲み込むと、 はじめにあけられた穴の数倍の領域が、職人の手でくり貫かれたように崩壊した。 肉眼ではブラック・ホールが熱放射により光り輝いて見えるのと同じ要領で、極太の白いビームを放ったようになっている。 銃撃を直に受けたゴーレムとその向こう側にあった土の塔は、このようにして大穴を空けられるのと平行し、貫かれた周辺の物質も乱れた重力に追従して震え、 波にさらわれた砂の城のように粉砕され、追い討ちをかけるように襲ってきた光の渦を受けて弾き飛ぶ。 すぐ近くにあった学院を囲む壁や宝物庫と水の塔にも、建材の劣化を早回しにして見たかのように、一瞬で大小のひび割れが走り、崩れ、素粒子や光で焼かれる。 離れた位置にある、使用人や生徒たちの寮の屋根、窓などの軟弱な部分も、想定外の暴風雨でも通り過ぎたのかというほどに引き裂かれて散らばり、巻き上げられた土やゴーレムの破片に混じって空を濁す。 空では、雲が大気と一緒に押し潰されるか弾き飛ばされ、大気中の粒子の崩壊による電磁波によって、まるで朝日が昇ったかのように、直線上だけ青く変わってしまう。 「―――っ!!?」 ルイズたちは声にならない悲鳴を上げ、衝撃で吹き飛ばされ、肺の中の空気を強制的に排出させられた上に砂埃を吸い込んで激しく咳き込み、悶える。 馬車は幌が吹き飛ばされ、慌てた馬は煽られて転倒し生体活動を停止、操縦者はすぐ近くで木に頭を打ち付けて脳震盪によって失神。 霧亥のほうも、とっさのことだった上に、継続的に射撃をする必要もなかったので、射撃の反動を吸収しきらず、振り上げられた右腕に引かれて仰け反った。 溶解した物質が赤々と光を発し、岩石蒸気となったかつてのゴーレムや学院の一部は捲れあがった草や土、へし折れた植木を焼いていき、 降り注ぐ破片は、砂浜に波が打ち寄せたかのような雑音をあたりに響かせ、発生した気圧変化は、不気味で生ぬるい風をあたりに吹かせる。 ずいぶん度を過ぎた破壊に、霧亥自身も眉をひそめたくなった。 なにせ、攻撃してみて分かったが、際限なく再構成されるわけでも、見た目以上の強度を持っているわけでもなかったのだ。 せいぜい、重量にして人一人分も無い原子に、結合の切断や生成を起こしてやれば取り出せるエネルギーで、十分に跡形も無く撃破できただろう。 この状況下で、無駄な発砲による力の浪費など、愚行としか言いようが無いというのに何をしているのか。 結果としてこの惨状。 地獄絵図…というには、人死にはまったく出ていなかったので、銃あるいは使用者の機能制限中での不完全な射撃を除けば最低出力の射撃であったにしても、奇跡的だ。 「げ……げほっ」 ルイズが何とか起き上がると、学院の方へ悠々と歩いていく霧亥を発見する。 召喚者を気に留める様子はまるで無い。 「なんなの、あなたは…」 朦朧とした意識と震える視線。 畏怖に近い、今まで感じたことの無い恐怖すら霧亥に対して覚えて、また倒れこむ。 キュルケは蹲ったままで、霧亥を見て目を丸くしていたタバサは、何とかしようと二人に這い寄る。 霧亥もまた、同じように負傷者へ歩み寄っていった。 未だにも濛々と煙が立ち込める中、教師や生徒が飛び出してきたが、そんなことは気にも留めずに、ゴーレムのいたあたりに向かう。 逃げる足が無いとはいえ、霧亥は非常時を思わせない足取りで操縦者の傍らへよる霧亥。 フードはずたずたで、腕はもげそうになっているし、足は塔から吹き飛ばされて着地したときの衝撃で砕けていた。 肺は完全ではないが潰れて出血し、皮膚は熱線で爛れ、衝撃で肝臓なども内臓出血を起こしている。 優れた身体能力を持ったメイジでなければ、とっさの防御による軽減も行えず、この程度の損傷では済まずに即死であっただろう。 そんな彼女が、網膜走査でロングビルその人であることを確認したことで、新たな脅威を意識しなければならなくなった。 学院内に不穏分子が潜り込んでいること自体はどうでもよいことだが、それが霧亥の存在を意識して、外部の人間と同調する形で行動したということは、 それなりに自分についての情報が流出しており、程度は不明だが正しく脅威を認識した者達が積極的に干渉してきているということだ。 妨害者であれば排除するまでだが、この狭く小さな世界と社会構造の中で敵対勢力を作ることは、可能であれば避けたい。 だからこそ、今まで行動を控えてきたというのに、面倒なことになってしまった。 まだ蠢いているロングビルに止めをさすのは簡単だが、拘束の手間もこの施設の人間が負うのだからと、これからのことをぼんやり考えながら銃をしまう霧亥。 残余電力のこれからを思いながら、ついでにという感じでゆっくりと振り向いて、もう一つの確認もする。 そこには、発砲直前まで遠隔操作型の“覗き窓”が開いており、視覚情報を送信し続けていた。 覗き見に気づいていた霧亥は、射撃によってまとめてその窓をかき消したが、肝心の部分が確認できなかったとしても、 襲撃が失敗したことで、霧亥という存在の危険性が、一連の勢力に知れ渡たることになるだろう。 逆探知して送信先を射撃する手もあったが、確実性に乏しい上に、自ら存在を露見する真似もしたくは無い。 これ以上どうしようもないので、例によって何事も無かったかのようにして、興味なさ気に立ち尽くす霧亥は、わらわらと学院の教師や生徒が走り回る中、 ロングビルが何をしようとしていたのかを知るために、ゴーレムが殴りつけていた辺りを観察し始めた。 ここの人間が行う物質の強化や保存措置の一つである“固定化”と呼ばれる作用によって、陰になってはいるが、軽く“視る”ことは容易い。 その様子を見て、足元でか細い声が上がる。 「……あ、あ、あんたの所持品と、一緒に、回収するように―――げぼっ………指示されたんだよ」 霧亥は声の主に一瞥すると、また壁の向こう側を観察する。 「“異界の杖”、さ………………」 今にも力尽きそうになりながら、脂汗と血でぬれた顔をにやりとして見せたロングビル。 後背に控えていた“目”が潰れてしまったからだろうか、恐怖と解放感をボロボロの表情に滲ませる。 その言動は、自分をたきつけているのだと霧亥にはすぐ分かった。 なるほど、確かに何かがある―――宝物庫のひび割れの間から染み出てくる奇妙な気配に、霧亥は近づいていく。 厚さが自身の腕の長さほどある壁に走るひび割れに、霧亥の指が差し込まれる。 霜柱でも踏みしめるような音。 続いて轟音。 学院の本塔の一面が、縦に割れる…数千倍の体積と数百倍の重量を持つゴーレムが成し遂げなかったことを、酷く劣化しているとは言え平然とやってのける光景は、倒壊時の煙で覆い隠され、目撃者は出なかった。 人の姿ほども在る建材の破片が崩れ落ちてきても眉一つ動かさない霧亥は、ロングビルと同じ物を目当てに瓦礫の山に踏み入る。 展示ケースの一つを発掘すると、そこに手を突っ込んで叩き割り、一本の棒状のものを引きずり出す。 ルイズたちに言わせれば、まさしく杖といった趣のそれは、確かにここでの杖と同じような使い方をしているようにも、目の悪い人間には見えるだろう。 電子制御は隔壁の開閉機構のような様々な機器に干渉し、まるで魔法のように、この杖のようなものをかざしただけで電子機器を扱えるし、人間や機械の脳を焼ききって機能を破壊することも出来る。 だがこれは、杖ではなく、どちらかというと棍棒の類だ。 電磁式警戒棒 電磁気力で相手を殴打、もちろんそのまま叩き付けたりもする。 対象の殺傷も考えているが、即時殺害の必要が薄い、あるいは即殺権限を有さない者が緊急時に使用する、 極めて低レベルだが非常時以外にも応用の利く古典的な装備で、ネットの保安を司る者達の一部が、このような装備を使用することが時折あった。 握りの部分には、霧亥の襟元に記されているのと同じ文様がある。 なぜこのようなものがここに? 簡単だ、思いのほかここは都市に近い位置にある―――可能性が高まるというだけだが―――ということに他ならない。 形はどうあれ、自分と同じようにここにきたものが居る。 万に一つも、ここの世界のものではないだろうし、如何に優れた技術を持って設計されているとはいえ、この劣化の無さから見て、比較的最近まで正規の所有者の手にあったはずだ。 喜ばしいことではある…が、霧亥はまったく別なことを考え、表情を険しくした。 猜疑の心を胸に、霧亥は煙渦巻く宝物庫を後にすると、また霧亥は歩き出す… …歪んだ地平の先まで、微小な酸化珪素などで出来た粒が高低を作りながら覆い尽くしている。 遥か上空には巨大な水素ガスの塊があり、どんどん重い元素に落ち込みながら、膨大なエネルギーを放出している。 空気は密度も組成も場所によって変化し、水分子は空中で寄り集まり、乱雑な気体分子の運動は髪を揺らしただけかと思えば、スーツのすそを巻き上げるほど強くもなる。 酷くエントロピーに満ちた世界。 文明にはなんの縁も無いこの球面は、逆に文明の象徴たる都市のカオスを髣髴とさせた。 肩にかからない辺りで自然に伸びが止まった黒髪を靡かせる女性は、一人で延々と砂漠を歩み続けている。 ロバ・アル・カリイエ―――人々はそう呼ぶこともあるが、今彼女が歩く地域を正確に限定する言葉は、どこにも存在しない。 ネットのカオスの増大を促進せんばかりの時空隙干渉による影響は、特にこの相対座標からが強い…個人の意志はどうあれ、そういった理由で彼女はここに再構成された。 まるで疲れ知らずといった具合で、手首も首筋も寸分の隙無く皮膚に密着した分厚いスーツと、襟を立てた硬いコートを、無数の接着器具で固定するように羽織る。 足もスーツで覆われ、その上に何重かにブーツを履き、与圧系統まで使って、どう脱げばいいのかと疑問が出てくるほどに全てを一体化させている。 どれも彼女の髪のように真っ黒で、てらてらと滑った感じに金属光沢の様なものを発していた。 なんの当ても無く数百時間ほど軽く歩いたあとで、集めた観測データを基にこれからの行動を判断しようとしていたころに、一つの重大な手がかりが手に入ったところだった。 ある気配を感覚器官が察知したので、彼女は腰の辺りから、薄い汎用携帯機を取り出して天を仰ぐ。 携帯は薄っぺらな本のようにして開かれると、頭の方から細長い針が何本か飛び出して数百万km程度の狭い範囲の情報を観測し、紙面に当たる部分に無数の絵や文字で表示する。 リンクした網膜にはより詳細な情報と、その続報が矢継ぎ早に現れるが、細かな情報などどうでも良かった。 「対象の発砲を確認、回収に向かいます」 黒尽くめの女は携帯を通信機にして、誰かに躍動の無い声で一方通行な通信をする。 眉が八の字に曲がった表情から、何がそんなに楽しくないのかとでも言いたくもなるが、そんな感情すらまるで無いかのような青白い顔。 瞳の中でフィルターが切り替わる以外、その表情はまったく変化しなかった。 こうして何の感情も見せずに通信を終えると、無気力そうに三白眼で虚空を睨みながら、コートを翻す。 再び歩き出す彼女の、気味の悪いほど整った細い太ももに接着したホルスターの中には、黒光りする短銃に似たものが収められていた… LOG.8@END 前ページ次ページAdventure-seeker Killy in the magian world quest
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霧に溶け込んだ白を基調にしたドレス。 その後姿をルイズが見つけ出したのは奇跡としか言いようがなかった。 それを始祖の導きと信じ、ルイズは大声で彼女を呼び止めた。 「姫様!」 僅かにルイズへと向けられるアンリエッタの横顔。 しかし、それも一瞬。 すぐさま彼女は前へと向き直り、再び走り出す。 ルイズの姿を見止めても彼女の足は止まらない。 息を切らせながらルイズがその後を追う。 追いかけっこのように続く二人の歩み。 互いに必死に前へと突き進む中、 重いドレスを纏ったアンリエッタの腕をルイズが捕らえた。 それでもアンリエッタは振り払おうと、残った手を振り回して叫ぶ。 「手を離してルイズ! 離しなさい!」 「ダメです姫様! 早く学院から避難してください!」 幾度も顔に当たるアンリエッタの手を堪えながらルイズは答えた。 何が彼女をそうさせるのかは分からない。 だけど、このまま行かせてしまえばどうなるか。 ルイズの網膜に焼きついた死体と目の前のアンリエッタの姿が重なる。 込み上げる恐怖から逃れるように腕に力を込める。 崖から落ちそうになっている人を助けるように、 彼女はありったけの力でアンリエッタの腕を捕まえていた。 その場に繋ぎ止められたアンリエッタが言葉にならない叫びを上げた。 彼女の視線の先には何もない。白い壁と化した世界が連綿と続くのみ。 だが、光を追い求める虫のように彼女は向かおうとする。 溢れ出した彼女の想いが言葉となって流れ落ちる。 「止めないで! あの人が行ってしまう! 私の元に帰って来てくれたのに…! ウェールズ様がまた行ってしまう!」 「姫様…?」 悲鳴じみた声を上げるアンリエッタと困惑するルイズ。 二人の少女の姿を幾つもの瞳が捉えていた。 白い靄の中に真っ白い目が浮かび、彼女たちを見ていた。 全身を覆う布の中で唯一外界に晒された目が見ていた。 その内の一人が指先で指示を飛ばす。 それに応じて彼女達の逃げ場を奪うように男達は左右に拡がった。 彼女達に悟らぬように狭められる包囲網。 ただ仕留めるだけならばそこまでする必要はない。 先程までの連中と同じく音もなく忍び寄り首を掻き切ればいい。 だが、彼等はルイズ達を逃がさない事を最優先に行動した。 足音を殺し彼等は二人へと近寄る。 仮に息を殺さなくてもルイズ達は彼等の接近には気付かない。 半狂乱になった少女の叫びが周りの音を掻き消す。 それに紛れて唱えるのは“眠りの雲”。 後は杖を振るうだけという段に入り、 あまりの呆気なさに男達は笑みを浮かべた。 一国の姫を攫うという大仕事のはずが鴨を撃つよりも容易い。 その刹那。にやけた男の口から何かが飛び出す。 長く細い棒。目を凝らせばそれは鏃だった。 後頭部を貫通して出てきた矢を咥えながら一人が前のめりに倒れた。 即座に残った仲間が詠唱の終わった魔法をそのまま、矢の飛んできた方向へと放つ。 他の攻撃魔法に切り替える余裕などない。 だが最悪、眠らなかったとしても睡魔に襲われた状態では矢の狙いは定められない。 逆にこちらから仕掛けるチャンスだと踏んで男は飛び出した。 足を踏み出した彼の目に映ったのは視界を覆う銀色。 風を切りながら飛来したそれは男の眼球を抜けて突き刺さった。 頭を打ち抜かれた死体が新たにまた一つ地面に転がる。 それを見下ろす男の目には明らかな恐怖が浮かんでいた。 敵の姿はおろか気配さえも掴めない。 訓練を受けた自分達以上に隠密行動を得意とする敵。 騎士ではない、かといって他の貴族の護衛とも思えない。 ましてや生徒や教師であろうはずがない。 何の抵抗も許されず、何も分からぬまま殺されていく。 そして最後に一人残された自分。 耐え切れなくなった男がその場を駆け出した。 “ここに自分たち以外の誰か……いや、何かがいる” それを伝えようと彼は分かれた仲間の下へ戻ろうとした。 しかし放たれた矢が鋭い痛みと共に男の足を貫く。 流れ落ちる血にも構うことなく男は杖を振るい、 矢の飛んできた方向へとエア・ハンマーを放った。 打ち出された空気の塊が僅かに霧の幕を押し退ける。 そして彼は敵の正体を目にした。 舞踏会の参加者を模したアルヴィー。 その身の丈は成人の膝上にも満たない。 子供が喜びそうな玩具の手には、 矢を番えた本物の武器が握らされていた。 「………!」 男が杖を握り締める。 未知の敵への恐怖は消えていた。 眠りの雲が効かなかった理由も、 気配を探れなかった理由も明らかとなった。 そして、それは目の前の敵を叩くだけで解決する。 霧に再び覆われようとするアルヴィーに男は杖を振るう。 直後。風切り音が響いて男の手から杖が零れ落ちた。 男の掌を穿っているのは仲間を撃ったのと同じ矢。 “他にもまだアルヴィーがいたのか” 伏兵の存在を疑わなかった自分を罵りながら男は杖へと駆ける。 アルヴィーの手にあるボウガンは連射が利く物ではない。 一度撃てば次の矢を番えるまで間がある。 だからこそ前方のアルヴィーだけ警戒していればいい。 そう踏んだ彼のもう一方の足を矢が貫いて転倒させる。 それは前から飛んできたものではなく彼の背後から放たれたものだった。 “三体目……まだ伏兵がいるのか” しかし落とした杖は目前。手を伸ばせば十分に届く距離にある。 杖さえ拾えばアルヴィーの数体程度どうにでもできる。 自分が受けた仕打ちを倍にして返してやろうと男は必死に手を伸ばした。 次の瞬間、男の腕に何本もの矢が突き立てられた。 手の甲も二の腕も余すところなく矢が突き刺さり剣山と化す。 激痛に悲鳴を上げてのたうつ男の視界にそれは現れた。 先程と同様に武器を持ったアルヴィー。 耳を凝らしても聞き取れないような小さな足音が、 まるで漣のように静かに広がっていく。 人形、人形、人形、人形、人形……。 彼の視界を埋め尽くすように、それらは並び立つ。 まるで自分を中心に輪になって踊るかの如く、 アルヴィーの群れが男を取り囲む。 その手の内では凶悪な武器が鈍い輝きを放つ。 「や……止め…」 何度も耳にしながら一度も口にした事のない台詞。 当然それは彼が今までそうしてきたように聞き流された。 降り注ぐ矢の雨は彼が絶命するまで止む事はなかった。 「本命はお姫様か、それとも彼女か」 その光景を遠見の鏡で眺めながらロングビルは呟く。 彼女の操るアルヴィー達が襲撃者を包囲する。 霧の中でも遠見の鏡は彼等の姿と居場所を明確に映し出す。 それは頭上から盤面を見下ろしているのに等しい。 この学院で起きる事全てを彼女は把握している。 遠目の鏡に映るコルベールとエンポリオ、そして炎上する校舎。 「では予定通り彼女たちから先に保護しましょうか」 その惨劇を横目で見ながら彼女は無視した。 彼女にとって何よりも優先されるのはジョゼフの命令。 そこに学院と生徒達の保護は含まれない。 それに、もし主人の思惑が彼女の想像通りだとすれば、 学院での犠牲者は多ければ多いほど望ましいはずだ。 「主の意図を汲み取って動くのも従者の務めですもの」 そう囁く彼女の口元には艶やかな笑みが浮かんでいた。
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前ページ次ページZONE OF ZERO 閃光のショックから意識を回復させたシュヴルーズ師は、 ルイズに対し口頭で軽く注意を済ませ、その日の授業は終わりを告げた。 好奇心からルイズの使い魔について聞き出そうとする生徒達を押しのけ、 ルイズは自室へ向かい、己の左手と向き合った。 『ルイズ。私は左手にいる訳ではありませんが』 「あ、そうなの? でも何となく話しやすいから。 それより、さっきの授業中のこと、詳しく説明して頂戴」 『了解。何について説明いたしましょう?』 「全部よ。まず、あなたに何が出来るのかを教えて」 『了解。今朝にも話したとおり、現在、当システムは前回の戦いによる損傷により、 機能の多くが使用不可能となっています。メタトロンが存在すれば即座に修復させる事も 可能なのですが、この地での入手の可能性はゼロに等しいでしょう。 現在は貴女の魔力、及び周囲の魔力を用いて総力を挙げて復旧中です』 「って、それ初耳よ!? あなた人の魔力を勝手に……!」 聞き流せない言葉にルイズが色めき立つが、ADAは落ち着いたままだ。 『ご安心ください。システムの書き換えが主な作業です。魔力消費はごく微量なものに過ぎません』 また少し理解できない単語が出てきたが、別に体の調子が悪くなったり、 精神が消耗したりと言った自覚症状は確認できないので、とりあえずルイズは納得した。 再びADAが語りだす。 『先程使用した『シールド』も復旧した技能のひとつです。 圧縮空間を展開し、敵の攻撃を防ぐ事が出来ます。 あの場は非常手段として制御を一時的に借り受けましたが、 本来は貴女が使用するべきものです』 「えっ、私が!?」 『はい。私はあくまで戦闘支援の目的で造られた人工知能ですから』 「で、でも……どうやればいいのかなんて、わからないわ!」 『触媒に貴女の魔力を用いますが、系統魔法とは根本から異なる技能です。 システムと一体化している貴女なら、自ずと使用方法は理解できる筈です』 「そんな事言われても…………っ?」 左手のルーンが光り――唐突に、理解できた。 難解なADAの説明は殆ど理解できなかったのに、 理屈や過程をすっ飛ばして、ただ『やり方』だけが頭の中に入ってくる。 左手を正面にかざす。呪文も無く。杖も要らない。ただ手足を動かすのと同じ感覚で。 「あ……」 そこには、例えスクウェアクラスの魔法の一撃であろうとも、 完全に防ぎきるであろう無色の盾が形成されていた。 ――その日、ルイズは興奮して中々寝付けなかった。 次の日、観客の生徒達が集まる中庭で、ルイズは何でこんな事になったんだろうと空を仰いだ。 要するに、痴話喧嘩に巻き込まれたのだと思う。 本来なら、そんなものになど、心の底から関わりたくなど無かったが、 やや寝不足ながら久しぶりに上機嫌で朝食を頂いているすぐ横で、 よくわかんないけど、浮気がバレて見苦しくメイドに八つ当たりをしているバカがいたら、 罵声の一つもぶつけていいと思う。 だが認めたくないものは認めたくないのだろう。 その気持ちは、それこそ認めたくないが、よく解る。 認めてしまったらそれで終わりなのだから。 相手が平民やゼロなら尚更だ。 とか何とか自爆っぽい事を考えながら口論を続けて、気付いたら、何かそのバカと決闘する事になっていたのだ。 わざわざ状況を、回想の動画つきで説明してくれたADAにツッコミを入れ、 目の前のバカ――ギーシュとか言ったっけ?――に、向き直る。 既に眼前には青銅のゴーレム、ワルキューレが立ち塞がっている。 「どうしようADA?」 左手に問い掛けると、即座に答えが返ってくる。 『現状、有効な攻撃手段は『失敗魔法』による爆破しかありません。 シールドで敵の攻撃を防ぎつつ、詠唱の短い魔法で攻撃しましょう』 「……失敗魔法なんかに頼るのは癪だけど、それしかないか……」 『シールドは攻撃を防ぐ度に魔力を消耗します。敵の攻撃は出来る限り回避する事を推奨します』 「わかったわ。……さっさと片を付けるわよ、ADA」 『了解』 一直線に迫ってくるワルキューレの攻撃を回避。そのまま詠唱を開始する。 五感が研ぎ澄まされている。 前日から薄々気付いていた事だが、やはり集中してみるとよくわかる。 視界の隅々までが明確に把握できる。そして網膜に投射される各種データ。意味は解らずとも解る。 二本のゲージ残量に気をつけながら、敵を殲滅すればいい。 詠唱完了。爆破。青銅のゴーレムは木っ端微塵に吹っ飛んだ。 『ゴーレム、撃破』 「見りゃわかるわ」 しかし改めて見ると本当にえげつない破壊力だ。ADAの分析によると、 戦闘行為による精神の高揚が威力を底上げしているらしい。 一方、ギーシュは、ワルキューレの残骸を見て、眼前の少女に対する認識を改めた。 彼女の失敗魔法は、破壊力だけならライン、下手をすればトライアングルにすら届く。 後手に回っては拙いと判断したギーシュは薔薇の花びらを飛ばし、 一度に操れる最大数である七体を顕現させた。 ワルキューレの突進をルイズは二度まで回避し、三度目の回避が 間に合わないと判断すると、前方にシールドを展開した。 同時に詠唱完了。爆破。固まっていた二体を完全破壊、少し離れた一体を小破させた。 だが即座にギーシュが花びらを飛ばし、破壊されたゴーレムを補填する。 「正直、きみがここまでやるとは思わなかったよ」 回避。回避。シールド。回避。 「だけどこの勝負、僕の勝ちだ」 詠唱完了。爆破。魔力反応消失。増援確認。 「降参するなら今のうちだよ」 シールド。回避。シールド。シールド。シールド。回避。詠唱完了。爆破。増援確認。 『警告。魔力が尽きつつあります。敵リーダーを狙ってください』 汗だくになりながらゲージ残量を確認すると、三分の一を切っている。 シールドを除けば、後一、ニ発が精一杯といったところだろう。 杖を握り締め、一か八か、ワルキューレの後方で悠然と立っているギーシュに狙いを定める。 敵は勝利を確信したのか、攻撃が散漫になってきている。 その隙を突いて、速攻で詠唱を完了させ、魔法を放つ――が。 破壊の光は標的を大きく外れ、遥か後方の壁面に衝突し、轟音と土煙を上げた。 それを見送って、ギーシュが内心冷や汗をかきながら、ルイズを見る。 「終わり、だね。君は本当に良く頑張った。もう――」 その時、不思議な響きを持つ可憐な声が、その場の全員に聞こえた。 『誤差修正、距離計算完了、ロックオンシステム、修復完了しました。これで終わりです、ルイズ』 相変わらず説明は理解できないが、意味はわかる。 既に七体のワルキューレは視界に捉えている。つまりはこれで私の勝ちということだ。 ルイズは、七つのロックオンカーソルに向けて、詠唱を必要としない破壊の光を飛ばす。 七つに分かたれた光の線は、正確に、精密に、ゴーレムの中心を撃ち抜き、全てを殆ど同時に爆砕した。 それと同時、殆ど無意識のうちに、ルイズは猛然と駆け、距離を詰めて己の杖を剣のように一閃した。 そして、敵の接近に気付いて慌てて我に返り、 新たに花びらを取り出そうとするギーシュの手から、杖を弾き飛ばしたのだった。 ――――新たな技能『ロックオン』及び『ホーミングレーザー』を取得しました。 前ページ次ページZONE OF ZERO
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タグ一覧 さとり 探偵助手さとりシリーズ 探偵助手さとり13 太陽が真上に登り歩道を照らす中で、さとりと探偵は昼の街を歩いていた。うだるような夏の暑さは少し和らいでいたが、 それでも日差しがアスファルトを照りつけ、熱い空気を探偵に纏わり付かせていた。滲み出た汗が額を流れる。ハンカチで汗を拭う探偵。 「暑い…。」 思わず言葉が口から漏れた。いくら天気に文句を言っても結局は何も変わりはしないのであるが、それでも自然と湧き出るものであった。 ふと横にいるさとりを見ると、彼女は汗ひとつかかずに涼しい顔をしていた。妖怪は汗をかかないのであろうか。それともこの助手が居た、 地底とやらは暑かったのだろうか。探偵の心の中に疑問が生じた。 「私の屋敷は暑くありませんが、場所によっては熱いですよ。」 探偵の心を読んださとりが答える。 「死んだ罪人が送られる灼熱地獄とか?」 「今は使っていませんが、昔はよく怨霊が焼かれていましたよ。」 成程、地獄の業火からすれば地上の暑さなどはどうという事はないのかも知れない。人間は精々が数十度で騒いでいるが、 彼方は炎が出ている以上は数百度という単位なのであろう。文字通り桁が違う。 「手を握りましょうか?」 唐突にさとりが言った。 「急にどうして?」 探偵が尋ねる。さとりは優秀な助手であるが、しばしば探偵が理解できない行動をとる。もっともそれは、後になれば、 そして後の祭りとなれば、それこそが最善の行動だと分かるのであるが。頭が良いタイプにありがちな他人の考えが分からないという欠点は、 少々目を瞑らなければならないだろう。これまでさとりが探偵にしてきたことを考えれば。だがしかし、心を読む妖怪にしては、 それはあまりにも、余り有る、探偵の両の手には余り過ぎた皮肉な欠点なのであるが。 「…いいです。」 ムスッとした様子で進むさとり。不機嫌になったさとりの様子を見て、しまったと思った探偵が後を追う。 「ほら、悪かったって。」 「結構ですよ。」 どうやら一瞬でかなりの具合までさとりの機嫌が悪くなってしまったようである。そして彼女はここからが恐ろしい。 「そうですよ。ええ、所長の思っている通り。その通りです。いつもの私の気まぐれですよ。「急に機嫌が悪くなったな」ってそうですね。 私はいつも急に機嫌が悪くなる面倒な女ですよ。ええ、「何で怒っているか分からない」、そうでしょうね、所長はいつもそうですからね。 鈍感、本当に…。これじゃあ私が馬鹿みたいじゃないですか。」 怒濤の攻撃がさとりから降り注ぐ。心を読まれている以上、下手な事を思っただけで全てが彼女に筒抜けとなる。これは中々に恐ろしい。 「いくぞ。」 探偵が構わずさとりの手を取る。言い訳をするよりも、何も考えていない行動の方がまだマシだと言えた。 「またいつものように誤魔化そうとして…。」 むくれるさとりの手を引き、進んで行く探偵。ジャンケン遊びでチョコ以上、パイナップル未満まで歩数を進めると、さとりの足が再び止まった。 後ろを向いて探偵が尋ねる。 「どうした?」 「--------」 さとりの声が発せられたが、探偵の耳には既に入っていなかった。一本の赤い筋が後ろを歩いていた人の首筋を走り、そしてスローモーション のように徐々に川が太くなり、帯と成って流れ出す。命が不可逆的なまでに撒き散らされたことに気が付いた通行人は、膝から崩れ落ちる。 糸が切れたマリオネットのようだ。そう探偵は思った。 次の瞬間、探偵はさとりの腕を掴んだまま全力で走り出していた。全力で自分の手でさとりを握りしめ、がむしゃらに走っていく。 普段ならば痛いという苦情が、最低でも二言三言は来そうな行動であったが、さとりは大人しく探偵に腕を引かれていた。案外に軽いさとりを引っ張りつつ、 ビルの合間の路地を二つ抜けると、未だ間近で起こった凶行に周囲の人は気が付かずに、何事も無いかのように過ごしている安全な場所まで来た。 忘れていた負担が急に復活したかの如く、心臓が激しく探偵の体を打ち付け、息が詰まり全身の細胞が酸素を求める。汗が額に浮かび出し、 重りを付けられた足が自分の体重を支えきれずに、解けた手が地面についた。 「貴方…。」 さとりが後ろから探偵に抱きつく。柔らかい感触を伝える小柄な影に、もう一つの影が被さろうとしているのが探偵の網膜に映った。 「きゃっ。」 強引にさとりを振り解き、そのまま体を捻る探偵。したたかに地面に投げ出してしまったさとりに心の中で詫びながら、足をもたつかせながら振り向くと、 丁度相手が刃物を振りかぶっているのが見えた。一般人には縁が無いであろうその凶器は、ナイフというには大きすぎて、もはや刀とカテゴライズするのが 相応しいものであった。破れかぶれの格好で探偵は持っていた鞄を通り魔に突き出す。強烈な、コンクリートで殴られたような感触が指を襲い、 刃物を受け止めた鞄は横へ吹っ飛んでいった。慣れていないせいであろう、自分が切りつけた刃物に体重を持って行かれた通り魔が、 よろけるようにして二、三歩歩き一旦ぶれた体制を整える。今度は腹の前で突き刺すように刃物を固定し、通り魔は体を落とし探偵に飛びかかろうとした。 興奮で口が歪み黄色い歯から零れた涎が、ひび割れた唇からぬらぬらと垂れていた。 探偵に向け躍りかかった通り魔が目の前で横に飛んだ。物理法則を無視するかのように男の体が跳ね、ゴム毬のようにバウンドして吹き飛ばされていく。 太陽を受けて燦々と輝くガラスに男の体が突っ込み、ショーウインドウが派手に壊れる音がした。 「さて、行きましょうか。」 いつの間にか探偵の横にいたさとりが、探偵の手を取って歩き出した。未だに状況が掴めていない探偵をよそに足を運ぶさとり。 「犯人なら大丈夫です。複雑骨折の上に全身にガラスが刺さっているせいで、当分は動けなくなっています。」 「先程の被害者でしたら、もう既に別の人が手当をしていますよ。救急車は二分後に到着します。」 「鞄でしたら、ほら、私が持っていますよ。財布も貴重品もちゃんと入っています。」 「事情聴取も要りませんよ。他の人が十分に証言してくれますよ。」 探偵の心に浮かぶ疑問に先手を打って答えていくさとり。しばらく歩いて冷静になった探偵の心に一つの疑問が浮かんだ。-心が読めるのに、 どうして通り魔が近づいているのにさとりは気が付かなかったのか-と。横にいるさとりの顔を見る。さとりは口元に微笑を浮かべて探偵の方を見返した。 まるで、探偵が自分を助けたことが嬉しいかのように。何も答えないさとり。二人の間に無言の時間が流れた。 「…こうやっていると涼しいでしょう。」 「ああ…。」 さとりの言葉に探偵が応える。探偵は遂に、心の中の疑問を口に出すことは出来なかった。 感想 名前 コメント
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登録日:2009/06/01 (月) 12 22 08 更新日:2024/07/04 Thu 03 27 50NEW! 所要時間:約 10 分で読めます ▽タグ一覧 00 MS アーマードトルーパー ガンダム ガンダム00 ケンズィー・テラオカノフ ザクポジション シルエットマシン セルゲイ・スミルノフ ソーマ・ピーリス ティエレン ロマンあふれる長距離射撃型 人類革新連盟 公式で棺桶 寺岡賢司 棺桶 漢の機体 漢の為のMS ←女が乗っても 量産機 鉄人 霊子甲冑 高機動型もロマン満載 『機動戦士ガンダム00』に登場する機体。 形式番号 MSJ-06II 頭頂高 18.1m 本体重量 121.3t 装甲材質:Eカーボン 動力:バッテリー 所属:人類革新連盟 主な搭乗者 セルゲイ・スミルノフ ソーマ・ピーリス ミン 人革連一般兵 カタロン一般兵 金田正太郎 【概要】 『機動戦士ガンダム00』に登場する量産型MS(モビルスーツ)。 「ティエレン」は「鉄人」の中国語読み。 なお、アクセントは「ティエレン」ではなく「ティエレン」。 MSJ-04 ファントンの後継機として、23世紀末頃から人類革新連盟(人革連)の主力MSとして運用されていた。 設計者は、人革連の主任設計士ケンズィー・テラオカノフ。遊んでるな寺岡さん。 作中の別陣営の機体が飛行能力を重視して細身の機体を開発しているのに対し、このティエレンはEカーボン製の重装甲に覆われた武骨な超重量機である。 鈍重な分、パワーと防御性能では極めて優れている。 ユニオンリアルドやAEUヘリオン等と違い、バイザー(正確にはセンサー素子)が無く、横方向に可動域の広いモノアイカメラが露出している点も特徴と言える。 【機体解説】 あらゆる局地に対応出来るポテンシャルを持つ機体であるが故にバリエーションが凄まじく多いので、本項では地上型を中心に、全バリエーション機の共通項に触れる。 色々と面白い特徴がある機体だが、まずは扱う人間の視点から特異性に触れていくこととする。 まずはシリーズを見渡しても珍しい立ち乗り式。 コクピット内はほぼ真空の無酸素状態にして、酸素チューブ付のヘッドマウントディスプレイを装着し、網膜投影で情報を得る。 一昔前のSF物の四角い宇宙服着た宇宙人っぽさがある意匠。 ヘッドディスプレイは眼球と頭部で特定の動きをとることでコマンド入力が出来る。 加えて、局部センサーから得られる情報がダイレクトに網膜に写る分、確実に情報が脳に伝達され易い。 これは、未熟なパイロットにとっては特に、不意の情報の取りこぼしが少ないというメリットになる。 パイロットを常時直立させて居住性を無視することで、コクピットの容積を抑えつつ設計を単純化出来る。 その分だけシステム周りは堅固にし易く、予め真空にしてしまえば状態維持も楽。 宇宙空間では大惨事になるコクピットへの亀裂等による気圧変化の心配が無くなる。 例え宇宙空間でビームサーベルでコクピットハッチを切り裂かれ、鼻先数センチをビームが掠めようが、酸素も無いのでコクピット内部で爆発が生じ、それでパイロットが負傷してそれが原因で死亡、という心配も無い。 高度でデリケートな技術を多用しない分デバイスも堅固で、機体自体の重装甲と併せ惨事にはなり難く生存率は高い。 何より、 「そのまま未調整で放り込んでもあらゆる環境に簡単に対応させられるくらいに、適応力と整備性が高い」点は他の陣営には無い絶大なメリット。 恐ろしく重い分自重に耐えられるだけの防御・耐久力があり、どんな無茶な超重量兵装だろうと後付でも搭載可能。 現役の06型までバージョンアップは繰り返しているものの他陣営のような機種更新はなく、 何年分も長く運用された結果としてノウハウも蓄積されており、単純明快かつ頑強な機構のお陰もあって 「故障率は他陣営に比べ40%も低く、整備に要する時間は1/5程度」 これは驚異的な数値である。 ジャングルや砂漠等の過酷な環境での戦局が長期化した場合、これらは勝敗の決定打として響いてくるので、本機が機動兵器として如何に優れモノかが分かるだろう。 なお、機動性で他陣営機に劣り飛行能力も無い(バリエーション機も飛行能力は高くない)本機は、 2304年頃にはユニオンフラッグやAEUイナクトの配備もされて最早完全に時代遅れで勝ち目の無い機体、と思われがちだ全くそんなことはない。 リニアライフルでは至近射のフルチャージショットでなければティエレンの分厚い装甲を貫通して致命打を与えるのは難しく、 プラズマソードでもティエレンの腕でさえ両断するのは困難。 特にパワーの面では、滑空砲は言わずもがな、フラッグはガンダムエクシアが軽く振り払っただけで弾き飛ばされるのに対し、ティエレンは関節が壊れるくらいの最大出力で握撃をかませば、エクシアでも容易に振りほどけない程の馬鹿力を発揮する。 このように迂闊に接近戦を挑めばフラッグ等であっても返り討ちに遭い、遠距離戦に徹すれば基本的にはフラッグ等が有利なものの決定打を入れるのは困難かつ、一発の被弾が命取り。決して油断が許される相手ではない。 方向性が他陣営とは著しく異なるだけで、歴とした現行機種なのである。 2312年頃にはGN-Xが普及したが、この機体は適応力と整備性の高さや生産数の多さ故に拠点防衛・警備用として広く愛用されている。 基本的な運用法は、まずこの機体が敵の襲撃を持ちこたえ、その間に緊急信号を受けた近場の迎撃部隊のGN-Xが駆けつけるまでの時間を稼ぐ、といったもの。 それ以外には、出力制限をかけて民間用の大型パワーローダーの代用品としても払い下げられた。 また、フレーム強度や内部容積に大きな余裕がある本機を設計ベースとし、鹵獲したキュリオスから得た技術を盛む事で 人革連は上級汎用量産型MS「アヘッド」を生み出し、粒子対応機時代の開発競争をリードしている。 余談だが、スタッフの寺岡氏によれば、この機体を開発したケンズィー・テラオカノフ氏は、2314年頃には引退して、民間用重機開発等を手掛けつつ、悠々自適に過ごしているとのこと。 設定上は旧式モデルとして『MSJ-05ティエレン』以前の機体も存在するが、1st開始時点で既に前期退役済み。 ユニオンやAEUの機体には無い無骨さ、泥臭さが人気。 このティエレンの魅力は何を隠そう戦車でありロマン溢れるメカ、これに尽きる。 フラッグやイナクトのような、戦闘機を思わせる大空を飛び交うメカもいい。 だが、地上にドシーンドシーンと堪らん音を響かせズシーンズシーンと重っ苦しく歩くティエレンは、正に重量感を感じさせてくれるメカなのである。 例え動きが遅くても、ガンダムにフルボッコにされても、やたらやられ方がカッコ良くても、戦術と頭数で立ち向かい後一歩まで追い詰めた勇姿は「量産機最高!」なファンを大いに喜ばせた。 最新・オーバーテクノロジーの塊の主役側を追い詰める旧世代量産機……なんとも熱い、熱いではないか。 【武装】 他の陣営がビーム兵器の開発を進めて順次試作品を投入する中、この機体は実用性を重視して実弾のみを採用している。 200mm×25口径長滑腔砲 主に右腕に装着する本機の主武装。 「200mm×25口径長」とは、砲の口径が200mm、砲身の長さが200mm×25=5mということを表している。 徹甲弾・超脱装弾筒付翼安定徹甲弾・榴弾・対空散弾・照明弾・ロケットアシスト弾(薬莢以外にロケットを搭載した飛距離延長重視の砲弾)と、現代に通ずるような非常に多岐に渡る弾薬を、この武装一つで扱えるメリットがある。 同軸に併設されている12.7mm機関砲は発射から約2000mの距離で主砲弾道と同期するようになっており、それぞれを同時発射して2発それぞれの着弾点から目標距離を算出する。 30mm機銃 左胸に内蔵された6銃身の実弾機関砲。 口径が小さく主に対人制圧・対空・牽制用の武装。 他の陣営にも同様の武装はあるが、本機の場合は右胸の外部電源供給で稼働している。 シールド 大体の場合は両肩と脚部に一つ、計三つ装着されている分厚いEカーボンの盾。 他のMSより鈍重な上に移動手段が足のみの本機は、万一脚部の関節を破壊された際には、堅牢な戦闘兵器から正真正銘の棺桶へとジョブチェンジしてしまう。 そのため、特に脚部シールドはこの機体にとって火器以上に不可欠である。 流石に両足につけると邪魔だからか、左足(上記の200mm×25口径長滑腔砲を装着した腕とは逆の足)に装着する。 シールド上部には銃身を固定出来るくぼみが有り、片膝をつくことで盾で防御しつつ安定した狙撃を行える。 カーボンブレイド 超硬度Eカーボン製の格闘用兵装。 ジャマダハル(某ドラクエのドラゴンキラーを想像すると分かり易い)の刀身が横方向に伸びたような刃物。 これは切れ味よりは重さで叩き斬る類の武装。 洗練された刀とは違って武骨ではあるが、その分扱い易さや頑丈さはピカ一で現場での評価が高い。 ・550mmミサイルランチャー 見た目は弾頭と装着したRPG-7にダブルカラムの10連装マガジンをつけたような代物。 (実際には発射原理が全く異なる代物だが)そうした事情から兵士達からは「バズーカ」の愛称で親しまれていた。 砲身後部をスライドすることで、弾頭や射程を調整出来る便利な火器。 だが、誘導兵器であったがためにレーダー妨害の所為で有効な兵器ではなく、劇中で活躍の場は無かった。 【劇中の活躍】 初登場は1stシーズン第2話(バリエーション機の宇宙型は第1話で登場済)。第3話や第11話等にも登場。 ガンダム相手には自慢の装甲も紙同然であり、あっさり蹴散らされることが多かった。 だがエクシアとの可動域や機動性等の性能の違いを独特の演出で描写する重要な役割を担ったり、性能は低いがそれだけに粗野な魅力を持つ量産機として魅力を発揮している。 因みに、実際に視聴した人間にとっては地上型の印象が強いが、宇宙型や高機動型等の方が出番自体は多かったりする。 2ndシーズンでは第一線を退いたが、基地の警備をしている派生機が確認出来た。 カタロン仕様の青いカラーリングの機体も登場しているが、アロウズのGN-XⅢに対してはほぼ無力だった。 また、全領域対応型も登場。空気を読めなかった息子にやられたけど。 また、2ndシーズンに登場するアヘッドは言わばティエレンにガンダムの技術を組み込んで生まれた機体で、デザインや技術的な繋がりが見て取れる。 詳しくは項目にて。 【バリエーション】 MSJ-06II-A 地上型 MSJ-06II-LC 長距離射撃型 MSJ-06II-AC 対空型(ツーウェイ) MSJ-06II-C 高機動型 MSJ-06II-C/B 高機動B型 MSJ-06II-C/BT 高機動B指揮官型 MSJ-06II-E 宇宙型 MSJ-06II-ET 宇宙指揮官型 MSJ-06II-ED 天柱防衛型(ジィーチュー) MSJ-06II-SP 超兵型(タオツー) MSJ-06YV-B 全領域対応試作型(チーツー) MSJ-06V-A 全領域対応型 MSJ-28 市街地用無線操縦型 詳しくはティエレンのバリエーションの項目を参照されたし。 【ガンプラ】 このティエレンにおいて最も重要な要素といっても過言ではないのは、プラモデルだろう。 地上型、宇宙型、宇宙指揮官型、タオツー、全領域対応型がHG GUNDAM 00で発売。 このティエレンは配色は忠実であるが、可動域が広く原作通りがっちりしたデザインのため、模型化してもポージングをさせ易い。 そして何より、とても弄り易い。 装甲部の各パーツは大き目かつ直線的。(タオツーと全領域対応型を除いて)ABS樹脂パーツも使われていないため、塗装は勿論の事、他のプラモの利用も含めた改造の自由度も高い。 モビルスーツの中でも特にミリタリーチックなデザインのため、ダメージ加工やウェザリングも程よくマッチする。 モデラーにとって実に遊び甲斐のあるキットだろう。 そして、地上型のみ1/100サイズでも発売された。3000円と他の1/100シリーズに比べてやや高価だが、各部にシボ加工やディテール等が追加され、(新規設定である)バズーカも付属していて完成度は高い。 戦車のような現代兵器とMSの融合とでも言ったティエレンを、メカディテールと質感を高めるシボ加工によって再現し、二重構造による強い関節によってこのサイズでも様々なポージングに対応している。 アクションベース接続用パーツもあるが、浮かせなくても飾れる程の安定性がある。 同スケールのパイロットと歩兵のフィギュアも付属。しかもコクピットハッチが開閉(差し替え式)し、パイロットフィギュアを乗せることができる。 1/100というサイズも相俟って、もはや簡易MGと呼んでいいのではないか(ちょっと言い過ぎか?)と言える程に、重厚なこのMSの魅力を再現している。 ランナーを変えることで他のバリエーション機も発売出来そうだが、今のところその予定はない。 ティエレンのプラモデルはとても作り易いので、入門用としてもお勧め。機会があれば手に取ってみると良いだろう。 エクシアにアイアンクローかます等、見せ場はあったにも関わらず立体化されない高機動型涙目。 追記・修正は3時間ぶっ続けでティエレンを操縦した後にお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] ティエレンの装甲はフラッグのライフルのフルチャージクラスの威力がないと貫通出来ないくらい頑丈らしい -- 名無しさん (2013-12-05 21 45 47) エクシアの顔面もぎ取ろうとしたりヴァーチェに斬りかかろうとしたりフラッグに負けないくらい活躍してる -- 名無しさん (2013-12-05 23 41 57) 高機動型一番好きだけど、もうガンプラじゃ出ないだろうな(泣) -- 名無しさん (2014-06-09 23 22 08) 宇宙用、両足のスラスターがどう見てもペットボトルロケット……(水を噴射して推進するから間違ってはないが) -- 名無しさん (2014-06-09 23 30 35) フラッグとイナクトとあわせると、あえて「お互い滅ぼせない」装備と能力なんだよな。ティエレンは飛べないし、フラッグ・イナクトは貫通させるのが難しい。00のファーストシーズンはゼロサムゲームが延々続いているという世界観の象徴なのかも・・・ -- 名無しさん (2014-06-25 20 25 17) すげえ…タグに三つも『ロマン』てある…。なんてロマンに満ちた機体…。オリ改造機で出して下さいよトライさん! -- 名無しさん (2014-11-12 18 43 22) フラッグイナクトとはタイマンならチャージタイム稼がれて負けるが物量上タイマンしないからな。対空型と組むことでフラッグイナクトと互角に -- 名無しさん (2015-03-22 10 56 25) コクピット周りの正面装甲は戦艦大和の主砲弾の直撃にも一発までなら耐えるという -- 名無しさん (2015-05-08 17 34 10) 今更なんだけど、なんでパイロットに正太郎いるのwww「鉄人」は「鉄人」でも28号の方じゃないだろ! -- 名無しさん (2015-05-08 17 39 54) そのくせ、ターティエレン17の南三郎はいないというw -- 名無しさん (2015-05-19 12 33 34) 旧型ティエレンの型番は「MSJ-05」ではなく「MSJ-06」だぞ。MSJ-06旧ティエレン→MSJ-06IIティエレン→MSJ-06III全領域型ティエレンという流れだったはず -- 名無しさん (2018-02-06 18 34 58) >空気読まない馬鹿息子 これいる? -- 名無しさん (2018-03-26 16 57 51) 何で旧ティエレンはどの媒体でも登場しないんだろうな。アンフ以上の欠陥機だったから? -- 名無しさん (2019-10-29 03 10 12) 相談所の項目議論スレの去年のレスの通りに、本項目に「ティエレン地上型」の本文を移植統合しました。 -- 名無しさん (2021-01-23 23 39 00) MSJ-28 市街地用無線操縦型はいいも悪いもリモコン次第なわけだな -- 名無しさん (2023-06-08 15 01 47) 宇宙戦なのに被弾する気がないからとか甘えたこと言ってパイロットスーツ着ようとしないDQNパイロットどもを乗せたい機体 -- 名無しさん (2024-06-10 23 17 13) 名前 コメント