約 1,857,965 件
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/215.html
総括所見:イタリア(OPAC・2006年) 第1回(1995年)/第2回(2003年)/第3回・第4回(2011年)OPSC(2006年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPAC/ITA/CO/1 and CRC/C/OPAC/ITA/CO/Corr.1(2006年6月23日) 原文:英語(平野裕二仮訳) ※日本語訳には正誤表による訂正を反映させた。 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2006年5月16日に開かれた第1215回および第1127回会合(CRC/C/SR.1125 and SR.1127)においてイタリアの第1回報告書(CRC/C/OPAC/ITA/1)を検討し、2006年6月2日に開かれた第1157回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、選択議定書の実施に関する詳細な情報を提供してくれた、締約国の包括的な報告書の提出を歓迎する。委員会は、代表団との間に持たれた率直かつ建設的な対話を評価するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2003年3月18日〔ママ〕に採択され、CRC/C/15/Add.198に掲げられた委員会の前回の総括所見とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 B.積極的側面 4.委員会は、軍隊への義務的徴募に関する締約国の法律が、選択議定書の規定を反映させる目的で2001年に改正されたことに、評価の意とともに留意する。 5.委員会は、武力紛争への子どもの関与を防止し、かつ武力紛争の被害を受けた子どもおよび子どもの戦闘員の回復を援助する目的で締約国が行なっている、国際的なおよび二国間の技術的協力活動および財政援助を歓迎する。 6.委員会はまた、締約国が、欧州連合総務・対外関係理事会が2003年12月に採択した子どもと武力紛争に関する指針の実施に貢献していることにも、評価の意とともに留意する。 C.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置 議定書の実施の調整および評価 7.条約に基づく締約国の第2回定期報告書に関して2003年に採択された総括所見(CRC/C/15/Add.198)のパラ11を参照しつつ、委員会は、締約国が、選択議定書の実施の適切かつ効果的な調整および定期的な評価を確保するよう、勧告する。 国家的行動計画 8.委員会は、締約国が、2002年5月の国連総会子ども特別会期で採択された成果文書「子どもにふさわしい世界」で要請されているように、子どものための国家的行動計画を完成させかつ採択する過程にあることに留意する。 9.委員会は、締約国が、市民社会を含む関連のパートナーと協議しかつ協力しながら、子どものための国家的行動計画を策定し、採択しかつ実施するための努力を強化するとともに、当該計画の全面的実施のために具体的予算配分を行ないかつ十分なフォローアップ機構を用意するよう、勧告する。委員会は、締約国が、国家的行動計画において、武力紛争の影響を受けている子どもの保護の問題に注意を払うよう勧告するものである。 立法 10.委員会は、18歳未満の者が敵対行為に参加することを禁じた2001年1月8日の法律第2号の採択、および、武力紛争への後者〔18歳未満の者〕の「直接参加」の意味について締約国報告書に記された解釈を歓迎する。しかしながら委員会は、「直接参加」の概念およびこれにともなう諸活動の明示的定義が締約国の法律で定められていないことを懸念するものである。 11.委員会は、締約国が、武力紛争への18歳未満の者の「直接参加」の概念およびこれにともなう諸活動の定義を法律に含めるよう、勧告する。当該定義は、締約国報告書に記された幅広い解釈にしたがったものであるべきである。 12.軍隊または武装集団のための子どもの徴募および敵対行為における子どもの使用を防止するための国内的および国際的措置を強化するため、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 15歳未満の子どもを軍隊/武装集団に徴募すること、および、このような子どもが敵対行為に直接参加することを、法律で明示的に禁止すること。 (b) 子どもの徴募および敵対行為への関与に関する選択議定書の規定に違反することを、法律で明示的に禁止すること。 (c) これらの犯罪について、当該犯罪が締約国の市民である者もしくは締約国と他のつながりを有する者によってまたはこれらの者に対して行なわれた場合の域外裁判権を設定すること。 (d) 軍の要員は、選択議定書に掲げられた権利を侵害するいかなる行為も、その旨のいかなる軍令の存在にも関わらず行なうべきではない旨を、明示的に規定すること。 2.子どもの採用 志願入隊 13.委員会は、選択議定書の批准時に締約国が行なった宣言で、志願入隊に関する最低年齢が17歳とされていることに留意する。 14.委員会は、締約国が、志願入隊に関する最低年齢を18歳に引き上げる可能性について検討するよう、勧告する。 軍学校の役割 15.委員会は、15~17歳の生徒を対象として中等教育および軍事訓練を組み合わせて提供する3つの軍学校がミラノ、ナポリおよびベネチアに設置されていることに留意する。委員会は、16歳に達した生徒が「3年間の志願入隊」を申請しなければ学業の修了を認められず、それを怠った生徒は軍学校を退学させられることを、懸念するものである。 16.委員会は、締約国に対し、次回の報告書で以下の点に関するさらなる情報を提供するよう慫慂する。 (a) 軍学校に通う子どもの地位(とくに、このような子どもは単に軍学校の文民生徒と見なされているのかまたはすでに軍の新隊員と見なされているのか)。 (b) 選択議定書第3条3項に掲げられた原則にしたがい、18歳に満たない段階での国軍への志願入隊が「真に自発的」なものであることを確保するためにとった措置。 (c) 軍学校に入学した18歳未満の者に関する、年齢、宗教、農村部/都市部の別および社会的背景等によって細分化されたデータ。 (d) 軍学校におけるカリキュラムが条約第28条および第29条ならびに教育の目的に関する委員会の一般的意見1号をどの程度遵守しているか。 3.国際的な援助および協力 被害者の保護 17.新たな兵器貿易統制規則を導入した法律第185/90号には評価の意とともに留意しながらも、委員会は、18歳に満たない者が敵対行為に直接参加している国への小型武器および軽兵器の犯罪を禁ずる規定が設けられていないことを懸念する。 18.委員会は、締約国が、18歳に満たない者が軍隊または国の軍隊とは異なる武装集団のいずれかの構成員として敵対行為に直接参加している国との小型武器および軽兵器の貿易を禁止する目的で、国内法を見直すよう勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国が、法律第185/90号を運用した結果として停止された販売件数を次回の報告書で明らかにするよう、勧告するものである。委員会はさらに、締約国が、18歳未満の者が敵対行為に参加している国との小型武器および軽兵器の取引を犯罪とする規定を刑法に含めるよう、勧告する。 4.武装解除、動員解除および社会的再統合に関してとられた措置 回復および社会的再統合の措置 19.委員会は、元子ども兵士の統合のための具体的なプログラムまたは活動が存在せず、かつ、武力紛争の影響を受けた18歳未満の庇護希望者に関する体系的データ収集も行なわれていないことを遺憾に思う。 20.委員会は、締約国が、以下の努力を強化することにより、イタリアにいる子どもの庇護希望者、難民および移住者であって武力紛争の影響を受けた可能性がある子どもの脆弱性に注意を払うよう、勧告する。 (a) これらの子どもを可能なもっとも早い段階で特定すること。 (b) これらの子どもに対し、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための、文化的に配慮した学際的援助を提供すること。 (c) 自国の管轄内にある子どもの難民、庇護希望者および移住者であって母国で敵対行為に関与した可能性のある子どもに関するデータを体系的に収集すること。 (d) 母国で敵対行為に関与した可能性のある子どもの庇護希望者および移住者のためにおよびこれらの子どもとともに活動する公的機関を対象として、定期的研修を行なうこと。 21.委員会はまた、締約国が、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(CRC/GC/2005/6)を考慮することも勧告するとともに、締約国に対し、社会的再統合プログラムに関する情報を次回の定期報告書で提供するよう慫慂する。 5.フォローアップおよび普及 22.委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび人権教育を通じ、選択議定書を一般公衆ならびにとくに子どもおよびその親に対して広く知らせるよう、勧告するものである。 23.加えて、選択議定書第6条2項に照らし、委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および委員会が採択した総括所見を公衆一般が広く入手できるようにすることを勧告する。 D.次回報告書 24.選択議定書第8条2項にしたがい、委員会は、締約国が、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく第3回・第4回統合定期報告書(提出期限2008年10月4日)に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2012年11月17日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/180.html
総括所見:アイスランド(第2回・2003年) 第1回(1996年)/第3回・第4回(2011年)OPAC(2006年)/OPSC(2006年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.203(2003年1月31日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2003年1月28日に開かれた第856回および第857回会合(CRC/C/SR.856 and 857参照)において、2000年4月27日に提出されたアイスランドの第2回報告書(CRC/C/83/Add.5)を検討し、2003年1月31日に開かれた第862回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、第2回報告書が委員会の報告ガイドラインにしたがっていることに留意するとともに、豊富な情報を含む文書回答が提出されたことを評価する。委員会はまた、ハイレベルな部門横断型の代表団の出席が、締約国における条約の実施に関する開かれたかつ率直な対話に貢献したことも評価するものである。 B.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、前回の勧告にしたがって締約国がとったフォローアップ措置に評価の意とともに留意する。委員会はさらに以下の措置を歓迎するものである。 (a) 武力紛争への子どもの関与ならびに子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する条約の両選択議定書の批准。 (b) 2002年子ども保護法の採択。 (c) 子ども保健センターの設置。 (d) アルコールおよびタバコの消費への対応および精神医学サービスの範囲の拡大ならびに事故に関連する負傷および死亡の削減を目的とする子どものための戦略を含む、国家保健計画の採択。 C.主要な懸念事項および勧告 1.実施に関する一般的措置 宣言 4.委員会は、条約第9条および第37条を全面的に遵守するために締約国がとりつつある措置(とくに、2002年子ども保護法の規定、および、間もなく通過することが期待されている、子ども保護事件における唯一の決定権限を裁判所に与える法案、ならびに、警察保護観察局と政府子ども保護庁との間で1998年に締結された、18歳未満の受刑者を本人の申請により子ども保護庁の監督下にある処遇施設に収容できるようにする協定)について代表団から提供された情報に留意する。にもかかわらず、委員会は、締約国が第9条に関する宣言をまだ撤回していないことを遺憾に思うものである。さらに委員会は、1998年の協定は、条約第37条C項〔ママ〕に掲げられた、成人からの分離の法的保障には至らないと考える。 5.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約第9条との全面的一致を確保するための法律の公布を急ぐこと。 (b) 条約第37条C項〔ママ〕にしたがい、拘禁された子どもと成人との分離を法律で保障すること。 立法 6.委員会は、とくに子どもの監護に関わる子どもに関する法律案について締約国から提供された情報に留意する。 7.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 同法および子どもに関わるその他の法律ならびに行政規則が、人権を基盤とし、かつ条約に一致したものであることを引き続き確保すること。 (b) これらの法令の効果的実施にために十分な体制(予算配分を含む)が整えられることを確保すること。 (c) 法律、政策および予算の立案における子どもの権利影響評価の制度的活用を検討すること。 調整 8.委員会は、包括的な、部門横断型の国家子どもの権利政策を立案しようとする締約国の努力を歓迎する。委員会はさらに、2002年子ども保護法で、社会問題省および各自治体当局が、子どもの保護に関する4年間の行動計画を提出しなければならないとされていることを歓迎するものである。 9.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 2001年5月の議会決議に基づき設置された委員会に対し、条約の実施に関する部門横断型の調整を行なう恒常的な権限を与えることを検討するか、そのような職務を果たすための、十分な権限および資源を与えられた他の機関を設置すること。 (b) 子どもの権利に関する国家計画および2002年子ども保護法で求められている計画の作成および実施が、人権を基盤として、かつ開かれた、協議型および参加型のプロセスを通じて進められることを、引き続き確保すること。 (c) とくに自治体レベルで(すなわち自治体均等化基金を通じて)、諸計画を実施するための十分な資源が配分されることを引き続き確保すること。 データ 10.委員会は、文書回答で提供された統計データを歓迎するとともに、子どもに関するデータを組織化されたやり方で収集しかつ分析する必要性を締約国が認めていることを、心強く思う。 11.委員会は、締約国に対し、以下のを措置をとるよう奨励する。 (a) 条約が対象とするすべての分野について、18歳未満のすべての者(移住者である子どもを含む)に関する統計を引き続き収集すること。 (b) 当該データを、進展を評価し、かつ条約実施のための政策を立案する目的で引き続き活用すること。 (c) この点に関する統計について包括的な年次調査を行なうことを検討すること。 監視体制 12.委員会は、子どもオンブズマンによって行なわれている卓越した活動を歓迎する。しかしながら委員会は、締約国による資源の提供が、調査件数の増加を含め、オンブズマンの活動に十分に釣り合っていないことを懸念するものである。 13.委員会は、同機関が条約の実施を監視する職務を効果的に遂行できるようにするため、締約国が、同機関に対して十分な人的資源および財源が与えられることを確保するよう、勧告する。 資源配分 14.委員会は、子どもの経済的、社会的および文化的権利のための包括的かつ漸進的な資源配分が中央および自治体のレベルで行なわれていることに留意する。しかしながら委員会は、この点に関していっそうの努力を行ないうるという見解に立つものである。 15.条約第4条に照らし、委員会は、締約国に対し、子どもの経済的、社会的および文化的権利のための資源配分を――利用可能な資源を最大限に用いて――増加させるよう奨励する。 国際協力 16.委員会は、国際協力の分野で締約国が行なっている貢献およびさまざまな子どもの権利関連の活動に、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、政府開発援助が、絶対額では増加していながらも、対国内総生産(GDP)比では増加していないことに留意するものである。 17.委員会は、締約国に対し、とくに国際開発援助にGDPの0.7%を配分するという国際連合の目標達成のために努力することにより、国際協力の分野における活動を継続しかつ強化するよう、奨励する。 研修/条約の普及 18.委員会は、条約を普及するために締約国が(たとえば「私の権利」というブックレットおよび条約に関する教員向けハンドブックを通じて)行なっている努力を歓迎する。 19.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう奨励するものである。 (a) 子どもおよび親の間、市民社会の間ならびにすべての行政部門および行政段階で条約およびその実施に関する情報を普及するためのプログラム(非識字であるまたは正規の教育を受けていない、脆弱な立場に置かれた集団に情報を届けるための取り組みを含む)を強化し、拡大し、かつ継続的なものとすること。 (b) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団(たとえば裁判官、弁護士、法執行官、公務員、地方政府職員、教員および保健従事者)を対象とする、子どもの権利を含む人権に関する体系的かつ継続的な研修プログラムを発展させること。 2.子どもの定義 20.アイスランド法(たとえば1997年成年法)で子どもが18歳未満の者と定義されていることには留意しながらも、委員会は、この定義と一致しない規定が他の法律に残っていること(たとえば子ども手当が支給されるのは16歳まで)を懸念する。 21.委員会は、締約国が、現行法(たとえば1997年成年法)との年齢制限の一致を確保するために法律を見直すよう、勧告する。 3.一般原則 差別の禁止に対する権利 22.アイスランドで外国系の人々の人数が増加していることから、委員会は、そのニーズに対応するために(たとえば、外国人に関する2003年法の採択、国家警察における特別代表の任命、保健専門家向けの文化的寛容に関する刊行物およびレイキャビクにおける異文化間センターの設置を通じて)締約国が行なっている努力を歓迎する。にもかかわらず、委員会は、アイスランドにおける移民の増加にともなって生じる可能性がある人種主義の問題に率先して対応するため、さらなる努力が必要であることを懸念するものである。 23.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 第2条にしたがい、自国の管轄内にあるすべての子どもに対して条約に掲げられたすべての権利を保障すること。 (b) 発展しつつある移民の現象に対応するための包括的なかつ調整のとれた政策(寛容を促進するための広報キャンペーンも含む)を策定するとともに、人種主義的動機に基づく行為を監視し、かつこのような行為に関するデータを収集すること。 (c) 自治体、とくに学校制度における移民の子どもの状況、および、その統合を促進するためにとられている措置の有効性について研究を行なうこと。 (d) 「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画をフォローアップするために締約国が実施した措置およびプログラムのうち条約に関わるものについて、条約第29条1項(教育の目的)に関する一般的意見1号も考慮に入れながら、次回の定期報告書で記載すること。 子どもの最善の利益 24.委員会は、子どもの最善の利益の原則が2002年子ども保護法第4条に編入されたことを歓迎する。 25.委員会は、締約国が、子どもに関連するすべての法律および実務に条約第3条を全面的に編入するための努力を引き続き行なうよう、勧告する。 子どもの意見の尊重 26.委員会は、ユースネット議会をはじめ、子どもたちが自己の意見を知らせることのできるいくつかの体制がアイスランドで設置されたことを歓迎する。にもかかわらず、委員会は、子どもたちに対し、自己に影響を与える政策(たとえば学校運営、規律措置の管理、有害物質濫用の防止、関連のコミュニティ計画問題など)に直接貢献する機会が十分に与えられていない可能性があること、および、どのようにすれば効果的に貢献でき、かつその意見(たとえばユースネット議会の決議)がどのように考慮されるのかについて十分な情報を与えられていないことを、懸念するものである。 27.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 資源を十分に提供すること等も通じ、ユースネット議会への支援を強化すること。 (b) 条約第12条にしたがって、引き続き、家庭、学校、裁判所、行政機関および地方当局における子どもの意見の尊重を促進し、かつ自己に影響をあたえるすべての事柄への子ども参加を推進すること。 (c) 親、教員、ソーシャルワーカーおよび地方公共職員を対象として(たとえばパンフレット「土地を受け継ぐ者たち……その声は聞こえない」を活用しながら)コミュニティの現場で行なう、子どもたちに対して十分な情報に基づく意見および見解を表明し、かつその意見を考慮してもらうよう奨励するためのスキル訓練プログラムを開発すること。 4.家庭環境および代替的養護 暴力/虐待/ネグレクト/不当な取扱い 28.委員会は、家庭におけるネグレクトおよび不当な取扱いから子どもを保護するための包括的な諸規定を掲げた2002年子ども保護法の採択を歓迎する。委員会はまた、性的虐待を受けた子どもを治療する「チルドレンズ・ハウス」が設置されたことにも留意するものである。 29.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 現行法の規定に基づく体罰の禁止(家庭におけるものも含む)に関する親、その他の養育者および公衆一般の意識啓発を図ること。 (b) 引き続き、締約国全域で「チルドレンズ・ハウス」の考え方を強化し、かつそれが設置される地域を拡大すること。 (c) 子どもの不当な取扱いの悪影響に関する公衆教育キャンペーンを実施するとともに、体罰に代わる手段として積極的かつ非暴力的な形態の規律およびしつけを促進すること。 (d) 被害者に対してケア、回復および再統合を提供するために十分な資源を配分すること。 (e) 教員、法執行官、ケアワーカー、裁判官および保健専門家を対象として、不当な取扱いの事案の発見、通報および処理についての研修(虐待の被害を受けた子どもにとってもっとも害が少ない事情聴取法に関わるものも含む)を行なうこと。 親の援助 30.委員会は、子どもがいる家族への支援に関わる事柄についての包括的政策に対する締約国のアプローチを評価する。このようなアプローチは、公式な家族政策に関する議会決議、家族評議会の設置、ならびに、男女の平等な地位および平等な権利法(2000年)および父性母性法(2000年)の採択から明らかである。しかしながら委員会は、以下のことを懸念する。 (a) 自治体による家族政策の策定が十分に重視されていないこと(いまのところ数件しか策定されていない)。 (b) ひとり親家族に対する支援が不十分であること。 (c) 子どもが病気の親に与えられる休暇が不十分であること。 (d) より一般的には、親の援助の分野における取り組み(評議会の活動の効果を含む)が、人的資源および財源の十分な配分なしには限られたものになるであろうこと。 31.条約の規定、とくに第18条および第27条にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 自治体に対して公的家族政策の策定を奨励するためにいっそうの努力を行なうとともに、その際、当該政策が人権を基盤としたものになること、および、自治体に対して目標達成のための十分な資源が提供されることを確保すること。 (b) ひとり親家族への支援を強化するためにいっそうの努力を行なうこと。 (c) 子どもが病気の親が利用可能な休暇期間を延長すること。 (d) 家族評議会に対し、その任務を効果的に遂行するための十分な資源が提供されることを確保すること。 5.基礎保健および福祉 障害のある子ども 32.委員会は、締約国が障害のある子どものインクルージョン政策をとっていることを歓迎するとともに、最近採択された、慢性疾患児に関する政策(保健、社会保障、教育および費用の提供を含む)に留意する。委員会はさらに、長期疾患児および障害児をケアするための施設が最近開設されたことにも留意するものである。 33.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 障害児の家族に対する支援を増強すること。 (b) 障害のある子どもによる権利の享受についてのデータの収集および分析を引き続き行なうこと。 (c) 障害のある子どものすべてのニーズを満たすための努力を継続しかつ強化すること。 思春期の健康 34.委員会は以下の情報を歓迎する。 (a) アイスランドの一部の保健センターが、有害物質の濫用、性感染症、リプロダクティブヘルス情報および精神保健カウンセリングに関するものも含む青少年向けの特別サービスを提供していること。 (b) 保健庁長官が自殺防止のためのプログラムを開始したこと。 35.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう奨励する。 (a) 保健サービスへのアクセス(教育制度を通じてのものも含む)を拡大するための努力を強化すること。 (b) 思春期の健康問題の性質および規模についての研究および評価を継続するとともに、青少年の全面的参加を得ながら、これを政策およびプログラムの策定のための基礎として活用すること。 6.教育 36.委員会は、多くの学校でいじめ反対キャンペーンが採用されていること、および、ライフスキルに関する科目が含まれていることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、以下のことを懸念するものである。 (a) 条約第29条に掲げられた教育の目的(すなわち、人権、寛容ならびに男女間ならびに宗教的および民族的マイノリティ間の平等の尊重の発展)が、締約国全域のカリキュラムに明示的に含まれているわけではないこと。 (b) とくに中等段階において移民の子どもの中退率が高いこと。 37.委員会は、締約国が、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号を考慮しながら以下の措置をとるよう、勧告する。 (a) とくに人権、寛容ならびに男女間ならびに宗教的および民族的マイノリティ間の平等の尊重の発展との関連における人権教育(子どもの権利を含む)を、すべての初等中等学校のカリキュラムに明示的に含めること。 (b) 移民の子どもの中退の問題に対応するための措置を強化すること。 7.特別な保護措置 性的搾取 38.委員会は、児童ポルノに関する法律(2000年)が新たに採択された旨の情報を歓迎する。委員会はさらに、さまざまな勧告を掲げた、児童買春および児童ポルノの規模に関する政府研究報告書を歓迎するものである。しかしながら委員会は、性的同意年齢がどちらかといえば低い(14歳)ことから、14歳以上の子どもが性的搾取から十分に保護されない可能性があることを懸念する。 39.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 前掲政府報告書に掲げられた勧告を速やかに実施するため、あらゆる必要な措置をとること。 (b) 14歳以上の子どもが性的搾取から効果的に保護されることを確保するための立法措置をとること。 (c) 1996年および2001年の子どもの商業的性的搾取に反対する会議で採択された宣言および行動綱領ならびにグローバル・コミットメントにしたがい、性的搾取と闘うための国家的行動計画を策定しかつ実施すること。 少年司法の運営 40.委員会は、いくつかの特別措置(たとえば、逮捕者の法的地位および尋問に関する規則第395/1997、および、性的犯罪の被害を受けた子どもの事情聴取に関する改正刑事訴訟法の規定)を除き、締約国で包括的な少年司法制度が整備されていないことに留意する。 41.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 少年裁判所を含む少年司法制度を確立すること。 (b) 条約の規定、とくに第37条、第39条および第40条、ならびに、北京規則、リャド・ガイドライン、自由を奪われた少年の保護に関する国連規則および刑事司法制度における子どもに関する行動についての指針のようなこの分野における他の関連の国際基準が、刑事司法制度に関わる法律および実務に全面的に統合されることを確保すること。 8.報告書の普及 42.条約第44条6項に照らし、委員会は、締約国が提出した報告書および文書回答を広く公衆一般が入手できるようにするとともに、関連の議事要録および報告書に関する委員会の総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう勧告する。このような文書は、締約国の行政のあらゆる段階においてかつ一般公衆(関心のあるNGOを含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。 9.次回報告書 43.委員会が採択し、かつ報告書(CRC/C/114およびCRC/C/124)に掲載した報告の定期性に関する勧告に照らし、かつ締約国の第3回定期報告書の提出期限が第2回報告書の検討から2年に満たないことに留意し、委員会は、締約国に対し、第3回・第4回統合定期報告書を2008年5月26日(すなわち、第4回定期報告書の提出期限として条約で定められた日の18か月前)〔まで〕に提出するよう、慫慂する。 更新履歴:ページ作成(2012年4月2日)。
https://w.atwiki.jp/hgekijo/pages/4.html
子ども劇場とは? “文化芸術体験・生活文化体験”“子育て支援” これらを通じて『子どもが育つ地域社会づくり』をすすめる団体 それが子ども劇場です!! 紹介 こどもたちは、私たち大人が作った社会の中で生きています。 その中で、常に他人と比較され、ゆとりもなく、 「こども時代をこどもちして過ごしにくい」環境におかれています。 子ども劇場は、文化豊かな環境で生まれる感性は、 「生きる力」につながると考えています。 人と人とがかかわりあうことにこだわり、子どもも、青年も、大人も、たくさんの人がかかわる、次のような体験の場を大切に作っています。 生の舞台芸術を鑑賞したり、何を鑑賞するのかを皆で話し合って決め、自分たちの力で劇団等の公演を呼ぶ。 あそびやうるおいのための自主活動。キャンプやお祭りだったり、ダンスや太鼓のワークショップだったり‥そして大事なおしゃべり、コミュニケーションのいつものサークル会だったり‥と、自主活動だから、なんでもあり! 大人、こども、入り混じって、若い青年も入って異年齢で楽しみます。 年齢とか立場とか、そんな枠取っ払ってあなたの感性次第で何でもあり!の自主運営の会です。 大人も子どもも一緒に、いい友達増やしませんか? 一緒に光ってみませんか? 一緒に体感してみませんか? コメント欄(Wikiの編集が苦手な人・編集報告はこちらに) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/221.html
総括所見:スペイン(OPSC・2007年) 第1回(1994年)/第2回(2002年)/第3回・第4回(2010年)OPAC(2007年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPSC/ESP/CO/1(2007年10月17日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2007年10月1日に開かれた第1277回会合(CRC/C/SR.1277参照)においてスペインの第1回報告書(CRC/C/OPSC/ESP/1)を検討し、2007年10月5日に開かれた第1284回会合において以下の総括所見を採択した。 序 2.委員会は、締約国の第1回報告書の提出を歓迎するものの、提出の遅れについては遺憾に思う。委員会は、ハイレベルなかつ多部門型の代表団との間に持たれた建設的対話を評価するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、締約国の第2回定期報告書に関して2002年6月4日に採択された以前の総括所見(CRC/C/15/Add.185)および武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書に基づく第1回報告書に関して2007年10月5日に採択された総括所見(CRC/C/OPAC/ESP/CO/1)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 I.一般的指針 A.積極的側面 4.委員会は、以下のことに評価の意とともに留意する。 (a) 国際人権条約が国内法の一部となり、かつ国内裁判所によって執行可能であること。 (b) 児童ポルノの禁止に関する禁止を含む刑法改正が2004年に行なわれたこと。 (c) 子どもの商業的性的搾取に反対する国家行動計画(2001~2005年)が採択され、かつ、第2次国家行動計画(2006~2009年)の採択によって第1次計画を延長する決定が行なわれたこと。 5.委員会はさらに、締約国が、選択議定書に関連する国際文書(以下のものを含む)に加入し、またはこれを批准したことを称賛する。 (d)〔ママ〕 最悪の形態の児童労働に関するILO条約(1999年、第182号)(2001年4月2日)。 (e)〔ママ〕 国際的な組織犯罪の防止に関する国連条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書(2002年3月1日)。 (f)〔ママ〕 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書(2002年3月8日)。 B.子どもの権利条約の一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条) 6.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書に基づいて締約国がとった措置の立案および実施において、子どもの権利条約の一般原則が十分に考慮されていないことを懸念する。委員会は、保護者のいない外国籍の子どもであって人身取引の被害を受けた者に対する差別の禁止が正当に考慮されていないことを、とりわけ懸念するものである。 7.委員会は、子どもの権利条約の一般原則、とくに差別の禁止に対する子どもの権利が、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書の規定を実施するために締約国がとるすべての措置(司法上または行政上の手続を含む)に包摂されるべきことを勧告する。 II.データ 8.委員会は、締約国が、選択議定書で対象とされた人権侵害を記録するための中央データベースを設置しようとしていることに留意する。しかしながら委員会は、子どもの売買および取引、児童買春ならびに児童ポルノの蔓延状況に関する、年齢、性別、マイノリティ集団および出身の別に細分化されたデータが現時点で存在しないことを懸念するものである。 9.委員会は、締約国が、人権侵害を登録するための中央データベースを設置するとともに、選択議定書が対象とする分野に関連する、年齢、性別、マイノリティ集団および出身の別に細分化されたデータが体系的に収集されかつ分析されることを確保するよう、勧告する。このようなデータは政策の実施状況を数値によって評価するために必要不可欠な手段だからである。 III.実施に関する一般的措置 選択議定書の実施の調整および評価 10.委員会は、国および自治州の当局ならびにNGOの双方から構成される、政策調整のための部門横断型「子どもの権利監視機関」が設置されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、中央行政機関と自治州との間の協力が依然として不十分であることに留意するものである。 11.委員会は、締約国に対し、「子どもの権利監視機関」の活動を継続しかつ強化するとともに、すべての自治州が選択議定書を全面的に遵守することを確保するため、中央行政機関と自治州との協力を向上させるよう、奨励する。 国家的行動計画 12.委員会は、〔子どもの〕商業的性的搾取に反対する第1次国家行動計画が策定されかつその評価が実施されたこと、および、第2次国家行動計画(2006~2009年)が採択されたことを歓迎する。しかしながら委員会は、当該計画が選択議定書のすべての分野を網羅しておらず、実施のための十分な資源を欠いており、かつ、自治州の地方当局ならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家のような関係者の間で十分に普及されていないことを、懸念するものである。 13.委員会は、締約国が、選択議定書のすべての分野に対応し、十分な資源を確保し、かつ、計画の活動およびその評価に市民社会および子どもたちが高度に参加することを確保することにより、子どもの商業的性的搾取に反対する第2次国家行動計画の実施を強化するよう、勧告する。委員会はさらに、締約国が、関係者、とくに自治州の地方当局ならびに子どもとともにおよび子どものために働く専門家の間で計画を普及するための努力を改善しかつ拡大するよう、勧告するものである。 普及および研修 14.委員会は、締約国が、選択議定書の規定に関わる研修活動および意識啓発活動をNGOと連携しながら行なってきたことに評価の意とともに留意するものの、子どもの商業的性的搾取の発生件数の増加により、防止を目的としたさらなる意識啓発および専門家の十分な研修の必要性が明らかとなっていることを懸念する。 15.委員会は、締約国が、選択議定書が対象とする虐待の被害を受けた子どもとともに働くすべての専門家集団を対象として、選択議定書の規定に関する、体系的なかつジェンダーに配慮した教育および研修を継続しかつ強化するよう、勧告する。 16.委員会はさらに、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) とくに学校カリキュラムおよび長期的な意識啓発キャンペーンを通じて、選択議定書の規定を、とりわけ子ども、その親およびコミュニティに対して広く周知すること。 (b) 選択議定書第9条2項にしたがい、あらゆる適当な手段による広報、教育および研修を通じて、防止措置および選択議定書に掲げられた犯罪の有害な影響に関する公衆一般(子どもを含む)の意識を促進すること。そのための手段には、このような広報、教育および研修のためのプログラムへの、コミュニティならびにとくに子どもおよび被害を受けた子どもの参加を奨励することも含まれる。 (c) NGO、市民社会組織およびメディアとの協力を継続し、選択議定書に関わる問題に関してこれらの組織が行なっている意識啓発活動および研修活動を支援すること。 資源配分 17.委員会は、子どもの商業的性的搾取に反対する国家行動計画の実施、ならびに、被害者のための法的援助ならびに身体的および心理的回復の措置に対して配分されている資源が不十分であることを、懸念する。 18.委員会は、締約国に対し、選択議定書の規定に関するプログラムの実施、とくに子どもの商業的性的搾取に反対する国家行動計画のための人的資源および財源を使途指定の形で提供する等の手段により、調整、防止、促進、保護、ケア、選択議定書で対象とされている行為の捜査および抑止に対して十分な予算配分を行なうための努力を強化するよう、奨励する。さらに委員会は、締約国が、法的援助ならびに被害者の身体的および心理的回復のための十分な資源を、関連の公的機関に対してならびにNGOおよび市民社会組織を通じて配分するよう、勧告するものである。 IV.子どもの売買、児童買春および児童ポルノの防止(第9条1項および2項) 選択議定書に掲げられた犯罪を防止するためにとられた措置 19.委員会は、インタネット上の児童ポルノを通報するための措置の導入のような防止活動のための取り組みを歓迎するものの、買春およびポルノを含む子どもの性的搾取の根本的原因、性質および規模に関する資料および調査研究が不足していることを遺憾に思う。 20.委員会は、締約国が、ユニセフ、ILO/IPEC〔国際労働機関/児童労働撤廃国際計画〕、NGOおよび市民社会組織と連携して実行される防止措置のために、使途が指定された予算資源を配分するよう勧告する。さらに委員会は、締約国に対し、根本的原因、問題の規模および防止措置を明らかにする目的で、子どもの商業的性的搾取の性質および規模に関する追加的な資料の集積およびいっそうジェンダーに配慮した調査研究を行なうよう、奨励するものである。 21.委員会は、旅行および観光における性的搾取からの子どもの保護に関して世界観光機関が作成した行動規範を公的に承認したことを含め、セックスツーリズムを防止するために締約国が行なっている相当の取り組みを歓迎する。しかしながら委員会は、観光業界および一般公衆の間でこの問題に関する意識をいっそう高める必要があることに留意するものである。 22.委員会は、締約国が、とくに政府観光局に対してこの目的のための追加的資金を使途指定の形で提供することにより、セックスツーリズムを防止するためのさらなる措置をとるよう、勧告する。締約国はまた、観光業界の従業員の間で前掲行動規範を普及することおよび観光客をとくに対象とした意識啓発キャンペーンを行なうことにより責任ある観光を促進する目的で、関連の公的機関を通じ、観光業界、NGOおよび市民社会組織との協力も強化するべきである。 23.委員会は、性的同意年齢が相対的に低い(13歳)ことにより、子どもが性的搾取をいっそう受けやすくなるおそれがあることを懸念する。 24.委員会は、締約国が、選択議定書で対象とされている犯罪からの保護を強化するために性的同意年齢の引き上げを検討するよう、勧告する。 V.子どもの売買、児童買春および児童ポルノならびに関連する事項の禁止(第3条、第4条2項および3項、第5条、第6条ならびに第7条) 現行刑事法令 25.委員会は、児童ポルノの禁止(そのような資料の所持を含む)に関する禁止を含んだ刑法改正が2004年に行なわれたことを歓迎する。委員会は、議定書第3条の一部の規定が、とくに子どもの取引および売買ならびに児童ポルノの定義との関連で、まだ刑法に包括的に編入されていないことを遺憾に思うものである。委員会は、代表団から提供された、包括的な法改正のための法案が議会による承認待ちである旨の情報に留意する。 26.委員会は、締約国が、法改正のための法案を速やかに成立させるとともに、刑法を、選択議定書第2条および第3条(報酬および不適切な形で引き出された同意に関する規定(第2条(a)および第3条1項(a)(ii))を含む)に全面的に一致させるよう、勧告する。さらに委員会は、締約国が、国際的な組織犯罪の防止に関する国連条約を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書にしたがい、人身取引を十分な形で定義しかつ犯罪化するために必要な措置をとるよう、勧告するものである。最後に委員会は、締約国が、欧州評議会・人身取引と闘う行動に関する条約(2005年)およびサイバー犯罪に関する条約(2001年)への加入を検討するよう、勧告する。 訴追 27.委員会は、締約国における児童ポルノ犯罪の事件を捜査し、かつ当該犯罪を行なった者を訴追するために行なわれている努力には留意するものの、児童買春および子どもの売買の捜査に充てられる資源が不十分であることを懸念する。 28.委員会は、スペインにおける児童ポルノの発生件数の多さにかんがみ、締約国が、このような犯罪の捜査および訴追のための努力をさらに進めるとともに、児童買春および子どもの売買の犯罪の摘発および捜査に対していっそうの資源を配分するよう、勧告する。 裁判権 29.委員会は、選択議定書で対象とされている犯罪は域外裁判権および普遍的正義の原則に服し、かつ、とくに、加害者がスペイン人もしくはスペイン在留者であるかまたは当該行為が行為地国で犯罪とされているかは訴追の条件とされない旨、締約国がはっきり宣言したことを歓迎する。しかしながら委員会は、締約国が裁判権を設定した事件についての情報がないことを遺憾に思うものである。 30.委員会は、締約国が、選択議定書第4条にしたがって犯罪についての裁判権を効果的に設定するため、あらゆる必要な実務上の措置をとるよう勧告する。 犯罪人引渡し 31.委員会は、犯罪人引渡しについて、行為が双方の国で犯罪とされていることが要件となっていることを遺憾に思う。 32.委員会は、締約国が、犯罪人引渡しおよび(または)国外で行なわれた犯罪の訴追について国内法で双方可罰性が要件とされないことを確保するよう、勧告する。 VI.被害を受けた子どもの権利の保護(第8条ならびに第9条3項および4項) 選択議定書で禁じられた犯罪の被害を受けた子どもの権利および利益を保護するためにとられた措置 33.委員会は、選択議定書上の犯罪が摘発されず、かつ被害者が特定されないままになっていることを懸念する。委員会はさらに、被害を受けた子どもの社会的再統合ならびに身体的および心理社会的回復のための分野横断的措置が不十分であることを、遺憾に思うものである。 34.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 選択議定書第8条にしたがい、選択議定書上のいずれかの犯罪の被害を受けた子どもおよび当該犯罪の証人が、刑事司法手続のすべての段階で保護されることを確保するためにあらゆる必要な措置をとること。 (b) 被害を受けた子どもの法的代理を向上させるため、権限のある公的機関に対して十分な財源および人的資源を配分すること。 (c) 子どもがアクセスしやすい無償の電話ヘルプラインに対して支援を提供すること。 (d) 選択議定書第9条4項にしたがい、選択議定書に掲げられた犯罪の被害を受けたすべての子どもが、法的に責任のある者に対して差別なく被害賠償を求める十分な手続にアクセスできることを保障すること。 (e) とくに被害者である子どもに対して分野横断的援助を提供することにより、選択議定書第9条3項にしたがって社会的再統合ならびに身体的および心理社会的回復のための措置を強化する目的で、使途指定をともなう資源の配分が行なわれることを確保すること。 (f) 性的搾取の被害を受けた若年者について、疑いがあるときは成人ではなく子どもと推定すること。 (g) 子どもの最善の利益が、第一次的に考慮され、かつ子どもを送還する決定が行なわれる場合にも考慮されることを確保すること。 35.委員会は、司法手続において子どもの証人の権利を保護するために締約国が行なっている努力を歓迎する。 36.委員会は、締約国に対し、子どもの犯罪被害者および証人が関わる事案における司法についての指針(経済社会理事会決議2005/20)を指針とするとともに、とくに以下の措置をとるよう促す。 (g)〔ママ〕 被害者である子どもの個人的利益に影響がある手続において、当該子どもの意見、ニーズおよび関心事が提示されかつ考慮されることを可能にすること。 (h)〔ママ〕 裁判手続中の困難から子どもを保護するため、とくに、子ども向けに設計された特別事情聴取室および子どもに配慮した事情聴取法を用いることならびに事情聴取、陳述および聴聞の回数を減らすことによって、子どもに配慮した手続を適用すること。 37.最後に委員会は、締約国に対し、2002年の総括所見で委員会が行なった勧告(CRC/C/15/Add.185、パラ46)、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いに関する委員会の一般的意見6号(2005年)、とくにパラ50~53、および、女性差別撤廃委員会が2004年に行なった勧告(A/59/38、パラ337)を考慮するよう、促す。 VII.国際的な援助および協力 国際的援助 38.委員会は、選択議定書の実施に関わって多くの国で行なわれている国際協力プロジェクトへの締約国の支援を歓迎するとともに、締約国に対し、この点に関する努力をさらに進めるよう、促す。 法執行 39.委員会は、選択議定書第3条1項に定められた犯罪に関する刑事手続のあらゆる段階で、すなわち摘発、捜査、訴追、処罰および犯罪人引渡しの手続において締約国が行なっている援助および協力について、不十分な情報しか提供されていないことに留意する。 40.委員会は、締約国に対し、この点に関するいっそう詳しい情報を次回の報告書で提供するよう、奨励する。 VIII.フォローアップおよび普及 フォローアップ 41.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を関連の政府省庁、議会ならびに自治州の県当局および地方当局に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 42.委員会は、条約〔ママ〕、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した報告書および文書回答ならびに採択された関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれに限るものではない)、公衆一般、市民社会組織、メディア、若者グループおよび専門家グループが広く入手できるようにすることを勧告する。さらに委員会は、締約国が、とくに学校カリキュラムおよび人権教育を通じて、選択議定書を子どもおよびその親に対して広く周知するよう勧告するものである。 IX.次回報告書 43.第12条2項にしたがい、委員会は、締約国に対し、選択議定書の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の定期報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2012年11月26日)。
https://w.atwiki.jp/bwhayashi/pages/52.html
☆☆☆この電子マガジンは、購読を登録した方のみに、配信しています☆☆☆ . mQQQm . Q ⌒ ⌒ Q ♪♪♪…… .QQ ∩ ∩ QQ . m\ ▽ /m 彡彡ミミ . /~~~\ ⌒ ⌒ . みなさん、 o o β .こんにちは! (″ ▽ ゛)○ . =∞= // □■□□□□□□□□□□□□□■□ ================= 子育て最前線の育児論byはやし浩司 2011年 11月 7日 □■□□□□□□□□□□□□□■□ ================= ★★★HTML版★★★ HTML(カラー・写真版)を用意しました。 どうか、お楽しみください。(↓をクリックしてみてください。) ******************* http //bwhayashi2.fc2web.com/page005.html メルマガ(6万3000誌)の中で、2008年度、メルマガ・オブ・ザ・イヤーに 選ばれました! 【1】(子育てのこと)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 休みます。 【2】(特集)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ ●子どもの心とその形成期 =====子どもの心は、いつどのように作られるか===== 【第一の方向性】 【乳幼児期・信頼関係の構築期】(0歳~2歳前後) ●基本的信頼関係 幼児の心は、段階的に形成されていく。混然一体となり、一次曲線的に形成されていく のではない。たとえば0歳から2歳ごろまでの乳幼児期。エリクソン(※1)という学者は、 この時期を「信頼関係の構築期」と位置づけている。信頼関係…つまり母子の間における 信頼関係をいう。 この信頼関係の構築に失敗すると、いわゆる心の開けない子どもになる。さらにひどく なると、情意(心)と表情が、一致しなくなる。指導する側から見ると、「何を考えている か、わからない子ども」ということになる。これは子どもにとっても、不幸なことである。 良好な人間関係を結べなくなる。そのためいつも孤独感にさいなまれるようになる。 そこでその子どもは、外の世界で友を求める。しかし心が閉じているから、外の世界に なじめない。その分だけ精神疲労を起こしやすい。ときに傷つく。それを繰り返す。 そうした心の状態を、ショーペンハウエルという心理学者は、『2匹のヤマアラシ』という 言葉を使って説明した。 2匹のヤマアラシ…ある寒い夜、2匹のヤマアラシは、たがいにくっついて暖を取ろう とした。が、くっつきすぎると、たがいの針が痛い。離れると寒い。だから2匹のヤマア ラシは、一晩中、くっついたり離れたりを繰り返した。 ●2匹の犬 私はこのことを、2匹の犬を飼って知った。1匹は、保健所で処分される寸前の犬。こ れをA犬とする。人間でいうなら、育児拒否、冷淡、無視、虐待を経験した犬ということ になる。 もう一匹は、超の上に超がつく愛犬家の家で生まれ育った犬。私の家に来てからも、しば らくは、私は自分のふとんの中で抱いて寝た。これをB犬とする。 2匹の犬は、性格がまったくちがった。A犬は、だれにも愛想がよく、シッポを振った。 そのため番犬にはならなかった。おまけに少しでも目を離すと、家の外へ。道路で見つけ ても、叱られるのがこわいのか、私からサーッと逃げていった。 一方B犬は、忠誠心が強く、他人が与えた餌には口をつけなかった。私の言いつけもよ く守った。もちろん番犬になった。見知らぬ人が庭へ入ると、けたたたましく吠えた。 A犬と私の間には、最後まで信頼関係は構築できなかった。一方、B犬と私は、最後ま で深い信頼関係で結ばれていた。 ●性格 が、それだけではすまない。心は性格として定着する。「私」がない分だけ、自分を偽る。 仮面をかぶる。おとなにへつらったり、相手の機嫌を取ったりする。おとなの前で、いい 子ぶったりする。イプセンの『人形の家』の主人公を例にあげるまでもない。 …ということで、この時期は、(絶対的なさらけ出し)と、(絶対的な受け入れ)を大切 にする。「絶対的」というのは、「疑いをいだかない」という意味。つまり子どもの側から すれば、「どんなことをしても許される」という安心感。母親側からすれば、「どんなこと をしても許す」という包容力。この2つがあいまって、はじめて母子の間の信頼関係が構 築される。が、不幸にして不幸な家庭に育ち、信頼関係の構築に失敗すれば、基本的不信 関係となり、生涯に渡ってその子どもは、重い十字架を背負うことになる。 ●親子の絆 親子の絆にしても、そうだ。最近の研究によれば、人間にも、刷り込み(インプリンテ ィング)(※3)に似たようなものがあることがわかってきた。孵化してすぐ二足歩行を始め る鳥類は、最初に見たものや聞いたものを親と思い込む。それを刷り込みというが、その とき親子の絆は、本能に近い部分にまで刷り込まれる。 人間のばあい、生後0か月から7か月前後までが、その時期とされる。この時期を「敏 感期」と呼ぶ学者もいる。この時期における親子の絆作りがいかに重要かは、このひとつ をとっても、わかる。 ●子どもを愛せない母親 その一方で、子どもを愛することができないと、人知れず悩んでいる母親も多い。東京 都精神医学総合研究所の調査でも、自分の子どもを気が合わないと感じている母親は、7% もいることがわかっている。そして「その大半が、子どもを虐待していることがわかった」 (同、総合研究所調査・有効回答500人・2000年)。 私が同時期に浜松市で調査したところ、「10%」という数字が出てきた。程度の差もあ るが、「兄は愛せないが、妹は愛せる」という母親も含めると、10%になる。 また虐待についても、約40%弱の母親が、虐待もしくは虐待に近い行為をしていると いう。(妹尾栄一調査)。妹尾氏は、「食事を与えない」「ふろに入れたり、下着をかえたり しない」などの17項目を作成し、それぞれについて、「まったくない……0点」「ときど きある……1点」「しばしばある……2点」の3段階で親の回答を求め、虐待度を調べた。 その結果、「虐待あり」が、有効回答(494人)のうちの9%、「虐待傾向」が、30%、 「虐待なし」が、61%であったという。 母親だから子どもを愛しているはずと決めつけて考えてはいけない。 ●世代連鎖 ついでながら、虐待について一言。『子育ては本能ではなく、学習である』。とくに人間 のような高度な知能をもった動物ほどそうで、親に育てられたという経験が身にしみてい てこそ、今度はその子どもが親になったとき、自然な形で子育てができるようになる。あ るいは親から受けた子育てを、そのまま繰り返す。これを「世代連鎖」という。 つまり子育てとは、子どもを育てることではない。子どもに子育ての仕方を見せる。見 せるだけでは足りない。しみこませておく。「家族というのはこういうものですよ」「夫婦 というのは、こういうものですよ」「親子というのはこういうものですよ」と。 それがよい世代連鎖であれば、問題はない。が、そうでなければそうでない。たとえば 昔から『離婚家庭で生まれ育った子どもは離婚しやすい』と言う。 「離婚が悪い」と書いているのではない。離婚率も今や35%(平成19年)に達して いる。(25万件(離婚届数)を72万件(結婚届数)で割ってみた。)離婚そのものは、 子どもの心にはほとんど影響を与えない。離婚に至る家庭騒動が、影響を与える。どうか 誤解のないように! とくに世代連鎖しやすいのが虐待ということになる。親が子どもを虐待するのはしかた ないとしても、今度はその子どもが自分の子ども(孫)を虐待するようになる。それを見 て、そのとき親が、「しまった!」と気づいても遅い。つまり虐待はしない。 ●心の病気の(種)も乳幼児期に さらに心の病気についても、その(種)は、乳幼児期に作られると説く学者もいる。た とえば九州大学の吉田敬子氏は、母子の間の基本的信頼関係の構築に失敗すると、子ども は、『母親から保護される価値のない、自信のない自己像』(※4)を形成すると説く。 さらに、心の病気、たとえば慢性的な抑うつ感、強迫性障害、不安障害の(種)になる こともあるという。それが成人してから、うつ病につながっていく(同氏)、とも。 ●自己中心性 この時期の幼児の特徴を一言で表現すれば、「自己中心性」ということになる。ものごと を、(自分)を中心にして考える。「自分の好きなものは、他人も好き」「自分が嫌いなもの は、他人も嫌い」と。 それがさらに進むと、すべての人やものは、自分と同じ考え方をしているはずと、思い こむ。自然の中の、花や鳥まで、自分の分身と思うこともある。これをピアジェは、「アニ ミズム」と名づけた。心理学の世界では、物活論、実念論、人工論という言葉を使って、 この時期の子どもの心理を説明する。 物活論というのは、ありとあらゆるものが、生きていると考える心理をいう。風にそよ ぐカーテン、電気、テレビなど。乳幼児は、こうしたものが、すべて生きていると考える。 ……というより、生物と、無生物の区別ができない。 実念論というのは、心の中で、願いごとを強く念ずれば、すべて思いどおりになると考 える心理をいう。ほしいものがあるとき、こうなってほしいと願うときなど。乳幼児は、 心の中でそれを念ずることで、実現すると考える。……というより、心の中の世界と、外 の世界の区別ができない。 そして人工論。人工論というのは、身のまわりのありとあらゆるものが、親によってつ くられたと考える心理である。人工論は、それだけ、親を絶対視していることを意味する。 ある子どもは、母親に、月を指さしながら、「あのお月様を取って」と泣いたという。そう いう心理は、乳幼児の人工論によって、説明される。 こうした乳幼児の心理は、成長とともに、修正され、別の考え方によって、補正されて いく。しかしばあいによっては、そうした修正や補正が未発達のまま、少年期、さらには 青年期を迎えることがある。 ●原始反射 なお乳児と幼児は、必ずしも、連続的につながっているわけではない。たとえば、赤ち ゃんには、赤ちゃん特有の、反射的運動がある。これを「原始反射」と呼ぶ。この原始反 射の多くは、生後3~4か月で、消失してしまうことが知られている。その原始反射には、 つぎのようなものがある(心理学用語辞典より)。 (1)把握反射 (2)バビンスキー反射 (3)モロー反射 (4)口唇探索反射 (5)自動歩行反射 (6)マグネット反射 把握反射というのは、手のひらを指などで押すと、その指を握ろうとする現象をいう。 バビンスキー反射というのは、新生児の足の裏を、かかとからつま先にかけてこすると、 親指がそりかえり、足の指が開く現象をいう。赤ちゃんの胸の前に何かをさし出すと、そ れに抱きつくようなしぐさを見せることをいう。ドイツのモローによって発見されたとこ ろから、モロー反射と呼ばれている。口唇探索反射というのは、赤ちゃんの口のまわりを 指などで触れると、その指を口にくわえようとする現象をいう。自動歩行反射というのは、 脇の下を支えながら、右足に重心をかけると、左足を前に出そうとする。これを繰りかえ していると、あたかも歩いているかのように見えることをいう。マグネット反射というの は、両脇を支えて立たせると、足が柱のようにまっすぐになる現象をいう(以上、同書よ り要約)。 これらの現象は、短いので、生後2~4週間で、長くても、8~10か月で消失すると 言われている。で、こうした現象から、つぎの2つのことが言える。 ひとつは、乳児が成長して、そのまま幼児になるのではないということ。赤ちゃんには、 赤ちゃん特有の成長過程があり、その期間があるということ。もうひとつは、いわゆるネ オテニー進化論の問題である。要するに、人間は、未熟なまま誕生し、その未熟さが、こ うした現象となって、現れるのではないかということ。本来なら、こうした原始反射とい ったものは、母親の胎内で経験し、誕生するまでに消失しているべきということになる。 つまりわかりやすく言えば、人間は、その前の段階で、誕生してしまうということになる。 ご存知の方も多いと思うが、人間は、(ほかの動物もそうだが)、母親の胎内で、原始の 時代からの進化の過程を、一度すべて経験するという。初期のころには、魚のような形に もなるという。その一部が、誕生後も、こうした原始反射となって現れるとも考えられる。 【第2の方向性】 【幼児期前期・自律期】(2~4歳児) ●マシュマロテスト 1960年代に、スタンフォード大学で、たいへん興味深いテストがなされた。「マシュ マロテスト」というのが、それである。そのテストを、同大学のHPより、そのまま紹介 させてもらう。 『…スタンフォード大学の附属幼稚園で、4歳児を対象に、マシュマロテストと題したつ ぎのような実験がおこなわれた。実験者が4歳児に向って、「ちょっとお使いに行ってくる からね、おじさんが戻ってくるまで待ってくれたら、ごほうびに、このマシュマロを2つ あげる。でも、それまで待てなかったら、ここにあるマシュマロ1つだけだよ。そのかわ り今すぐ食べてもいいけどね」と。 その間、約20分。最後までガマンして、ごほうびにマシュマロ2個をもらった子ども と、そうでない子どもに分かれた。その4歳児を追跡調査した、興味ある結果が出てきた。 マシュマロ2個の子どもは1個の子どもに比較して、高校において、学業面ではるかに 優秀で、社会人になってからも高い社会性を身につけ、対人能力にも優れ、困難にも適切 に対処できる人間になっていた…』(同サイト)と。 ダニエル・ゴールマンは、自著「EMOTIONAL INTELLIGENCE」の中で、この実験を つぎのように結んでいる。いわく、「明日の利益のために、今の欲望を我慢する忍耐力は、 あらゆる努力の基礎になっている。きたるべき報酬を予期することで、現在の満足を得な がら目標に向って長期にわたって努力しつづける持続力には、忍耐を要する」(同サイト) と。 ●決定的な差 この実験を少し補足する。この実験は、1960年代にスタンフォード大学の心理学者 ウォルター・ミシェルが大学構内の付属幼稚園で始めたもので、その後も詳細な追跡調査 がなされている。 その結果、すぐマシュマロに手を出したグループと、がまんして2個受け取ったグルー プの間で、決定的な差が生じたことは先に書いたとおりだが、情動を自己規制できたグル ープは、たとえば、学業の面でも、SAT(大学進学適正試験)(※2)で、もう一方のグル ープに200点以上もの大差をつけたという(植島啓司著「天才とバカの境目」(宝島社)。 ●忍耐力 よく誤解されるが、この時期の子どもにとって、忍耐力というのは、「いやなことをがま んしてする力」のことをいう。一日中、サッカーをしているからといって、忍耐力のある 子どもということにはならない。好きなことをしているだけである。ためしに子どもに、 台所のシンクにたまった生ゴミを手で始末させてみるとよい。背が届かなければ、風呂場 の排水口にたまった毛玉でもよい。そういった仕事を、何のためらいもなく、ハイと言っ てできれば、その子どもはすばらしい子どもということになる。 もちろんこのタイプの子どもは、学業面でも伸びる。というのも、もともと(勉強)に は、ある種の苦痛がともなう。その苦痛を乗り越える力が、忍耐力ということになる。 ●自律期 エリクソンは、この時期を「自律期」と呼んだ。この時期を通して、幼児は、してよい ことと、してはいけないこと、つまり自分の行動規範を決める。前回教えたこととちがっ たことを言うと、「ママは前にこう言ったじゃない」と抗議したりする。「幼稚園の先生は こう言った」と言って、親をたしなめるのも、この時期の子どもの特徴である。それが正 義感へとつながっていく。 そのためこの時期をとらえ、うまく指導すれば、あと片づけのしつけがたいへんうまく いく。花瓶の位置がずれていただけで、それが気になり、元の場所に戻そうとする。そう でなければそうでない。行動そのものが衝動的になり、生活態度そのものが、だらしなく なる。 ●では、どうするか 子どもの忍耐力を養うためには、「使う」。家庭の中に、ある種の緊張感をつくり、その 緊張感の中に巻き込む。「自分がそれをしなければ、家族のみなが困る」という意識をもた せるようにする。親がゴロゴロと寝ころんでいて、子どもに向かって、「おい、新聞をもっ てこい」は、ない。 ついでながら、この日本では、子どもに楽をさせること、あるいは楽しませることが、 子どもへの愛の証であると誤解している人は多い。あるいはより高価なプレゼントをすれ ばするほど、親子の絆は太くなると誤解している人も多い。しかし誤解は誤解。そんなこ とを繰り返せば、子どもはますますドラ息子、ドラ娘化する。やがて手がつけられなくな る。 そこでイギリスでは、こう言う。『子どもの心をつかみたかったら、釣り竿を買ってやる より、いっしょに、釣りに行け』(イギリスの教育格言)と。 【第3の方向性】 【幼児期後期・自立期】(4~5・5歳児) ●暴言 この時期の子どもの特徴は、生意気になること。親が「新聞を取ってきて!」と頼むと、 「自分のことは自分でしなと言い返したりする。生意気になりながら、自立をめざす。 で、子どもの自立を促す3種の神器、それが(1)ウソ、(2)暴言、(3)盗み。 ウソについては、2歳前後から始まる。ウソ寝、ウソ泣きがそれである。 つぎに暴言。自立期に入ると、親の優位性を打破しようと、子どもは親に向かって暴言 を吐くようになる。「ババア」「ジジイ」「バカ」など。暴言を許せというのではない。暴言 を言えないほどまで、子どもを抑えつけてはいけない。適当にあしらい、あとは無視する。 私のばあい、つぎのような方法で、幼児を指導している。 私「……もっと悪い言葉を教えてやろうか」 子「うん、教えて!」 私「でも、この言葉は、使ってはいけないよ。園長先生とか、お父さんに言ってはだめだ よ」 子「わかった。約束する」と。 そこで私はおもむろに、こう言う。「ビダンシ(美男子)」と。それ以後幼児たちは、喜 んでその言葉を使う。私に向かって、「ビダンシ、ビダンシ!」と。 盗みについても、同じように考えるが、子どもの金銭感覚(ふえた、減った、得した、 損した)は、年長児から小学2年生ごろまでに完成する。この時期に、欲望を金銭で満た す方法を覚えると、あとがたいへん。幼児期には100円で喜んでいた子どもでも、高校 生になると1万円、さらに大学生になると10万円になる。 さらに脳の中(線条体)に受容体ができると、条件反射的にものをほしがるようににな る。買い物依存症がその一例ということになる。必要だからそれを買うのではない。欲し いからそれを買うのでもない。(買いたい)という衝動を満たすために、それを買う。 話しが脱線したが、盗みについては、それが悪いことということを、時間をかけ、ゆっ くりと説明する。激しく叱ったり、怒鳴りつけたりすれば、子どもは、いわゆる「叱られ じょうず」になるだけ。いかにも反省していますという様子だけを見せ、その場を逃れよ うとする。もちろん説教としての意味はない。 ●引き出す(educe) が、ここでも誤解してはいけないことがある。この時期、「自立心」は、どの子どもにも 平等に備わっている。そのため自立心は育てるものではなく、引き出すもの。が、かえっ てその自立心をつぶしてしまうことがある。親の過保護、過干渉、溺愛である。とくに過 干渉が、こわい。 親の威圧的、暴力的、権威主義的な育児姿勢が日常化すると、子どもはいわゆる「過干 渉児」になる。子どもらしいハツラツとした伸びやかさを失い、暗く沈んだ子どもになる。 発達心理学の世界には、「萎縮児」という言葉さえある。最悪のばあいは、精神そのものが 萎縮してしまう。 (その一方で、同じ家庭環境にありながら、粗放化する子どももいる。親の過干渉にや りこめられてしまった子どもが萎縮児とするなら、それをたくましくやり返した子どもが 粗放児ということになる。兄が萎縮し、弟が粗放化するというケースは、よく見られる。) ●原因は母親 原因のほとんどは、母親にある。子育ての不安が、母親をして過干渉に駆り立てる。が、 簡単に見分けることができる。 私、(子どもに向かって)、「お正月にはどこかへ行ってきたの?」 子「……」 母、(それを横で見ていて)、「おじいちゃんの家に行ったでしょ。行ったら、行ったと言い なさい」 子「……」 私、(再び子どもに向かって)、「楽しかった?」 子「……」 母「楽しかったでしょ。楽しかったら、楽しかったと言いなさい」と。 子どもの心の内容まで、母親が決めてしまう。典型的な過干渉ママの会話である。 ●過保護と溺愛 過保護といってもいろいろある。食事面の過保護、行動面の過保護など。何か心配の種 があり、親は子どもを過保護にする。「アレルギー体質だから、食事面で気をつかう」など。 しかし何が悪いかといって、精神面での過保護ほど、悪いものはない。「あの子は悪い子 だから、あの子とは遊んではだめ」「公園にはいじめっ子がいるから、ひとりで行ってはだ め」など。 子どもを、厚いカプセルで包んでしまう。で、その結果として、子どもは過保護児にな る。いつも満足げで、おっとりしている。が、社会性がなく、ブランコを横取りされても、 それに抗議することもできない。そのまま明け渡してしまう、など。だから昔からこう言 う。『温室育ち、外ですぐ風邪をひく』と。 また溺愛は、「愛」ではない。たいていは、親側に精神的欠陥、情緒的未熟性があって、 親は子どもを溺愛するようになる。つまり自分の心のすき間を埋めるために、子どもを利 用する。 ある母親は、毎日幼稚園の塀の外で、子どもの様子をながめていた。また別のある母親 は、私にこう言った。「先生、私、娘(年長児)が病気で幼稚園を休んでくれると、うれし いです。一日中、看病できると思うと、うれしいです」と。 親の溺愛が度を越すと、子どもの精神の発育に大きな影響を与える。子どもはちょうど、 飼い主の胸に抱かれた子犬のようになる。だから私はこのタイプの子どもを、「ペット児」 (失礼!)と呼んでいる。飼い慣らされた子犬のように、野生臭が消える。 ●臨界期 それぞれの発達段階には、臨界期がある。言葉の発達、音感や美的感覚の発達などなど。 それぞれの時期をはずすと、指導がたいへんむずかしくなる。あるいは努力の割には、効 果があがらない。心についても、そうである。 たとえば自立期に入った子どもに、「自律」を教えようとしても、たいてい失敗する。先 に書いた、あと片づけのしつけも、そのひとつ。 で、幼児期後期で、一度、精神が萎縮してしまうと、以後その改善は、きわめてむずか しい。『三つ子の魂、百まで』というが、それがそのままその子ども(=人)の人格の「核 (コア)」になる。言い換えると、この時期を過ぎたら、子どもの心はいじらない。「この 子はこういう子である」と認めた上で、教育を組み立てる。へたにいじると、自信なくし たり、自己評価力の低い子どもになってしまう。 【第4の方向性】 【児童期・勤勉性の構築期】(5・5歳~) ●日本人の勤勉性 3・11大震災が起きたときのこと。栃木県にあるH自動車栃木工場の操業が不可能に なってしまった。天井が落下した。その直後、この浜松市から250人もの応援部隊が、 栃木工場に向かった。 一方、栃木工場にいた設計士たちは、浜松近郊の関連会社へ来て、仕事をつづけた。ま た被災地においても、ほかの国であるような、略奪、暴動などは、起きなかった。日本人 が培った勤勉性、つまり(組織的なまじめさ)は、災害時においても、いかんなく発揮さ れた。 こうした勤勉性は、言うまでもなく、学校教育によって育まれる。いろいろ問題点がな いわけではない。世界のすう勢は、自由教育。EUでも、大学の単位は共通化された。ア メリカでは、ホームスクーラー(日本でいうフリースクールに通う子ども)が、2000 年には100万人を超えた。現在、推定で200万人はいるとされる。ドイツでは、午前 中は学校で、午後はクラブでという教育形態が、ふつうになっている(中学生)。カナダで は、学校の設立さえ、自由である。 日本もその方向に向かいつつはあるが、ともかくも、勤勉性の構築という点では、日本 の学校教育には、すぐれた面も多い。この(まじめさ)をさして、ある欧米の特派員は、 こう書いた。「これこそまさに日本人の美徳」と。この言葉に異論はない。 【青年期・同一性の確立期】(12歳~) ●同一性の確立 児童期のあと、子どもは思春期前夜(精神的に不安定になる)、思春期へと進んでいく。 この時期の、言うまでもなく最大かつ最重要の課題は、「同一性の確立」である。 「私はこうありたい」という(自己概念)。「現実に私はそれをしている」という(現実 自己)。この両者が一致した状態を、「同一性」という。 児童期の勤勉性と同一性の確立について、エリクソンは、別個のものと考えているよう だが、実際には、両者の間には、連続性がある。子どもは自分のしたいことを発見し、そ れを夢中になって繰り返す。それを勤勉性といい、その(したいこと)と、(していること) を一致させながら、自我の同一性を確立していく。 自我の同一性の確立している子どもは、強い。どっしりとした落ち着きがある。誘惑に 対しても、強い抵抗力を示す。が、そうでない子どもは、いわゆる「宙ぶらりんの状態」 になる。心理的にも、たいへん不安定となる。非行にも走りやすい。その結果として、つ まりその代償的行動として、さまざまな特異行動をとることが知られている。 たとえば(1)攻撃型(突っ張る、暴力、非行)、(2)同情型(わざと弱々しい自分を 演じて、みなの同情をひく)、(3)依存型(だれかに依存する)、(4)服従型(集団の中 で子分として地位を確立する、非行補助)など。 もちろんここにも書いたように、誘惑にも弱くなる。「タバコを吸ってみないか?」と声 をかけられると、「うん」と言って、それに従ってしまう。断ることによって仲間はずれに されるより、そのほうがよいと考えてしまう。 こうした傾向は、青年期までに一度身につくと、それ以後、修正されたり、訂正された りということは、ほとんどない。 ●夢と希望、そして目的 ただ残念なことにこんな調査結果もある。 子どもを伸ばす、三種の神器といえば、夢、目的、希望。しかし今、夢のない子どもがふ えた。中学生だと、ほとんどが、夢をもっていない。また「明日は、きっといいことがあ る」と思って、一日を終える子どもは、男子で30%、女子で35%にすぎない(「日本社 会子ども学会」、全国の小学生3226人を対象に、04年度調査)。 が、これではいけない。自我の同一性どころではないということになる。子どもの夢を 大切に、それを伸ばすのは、親の義務と、心得る。 【終わりに……】 ●『子どもは人の父』(ワーズワース) このように現在、幼児教育が、教育の分野のみならず、医学(大脳生理学)、心理学の3 方向から、見直され始めている。「幼児だから幼稚」「子どもだから幼稚」という偏見と誤 解が、いまだにのさばっているのは、残念としか言いようがない。むしろ事実は逆。 幼児時代を「幹」とするなら、それにつづくもろもろの時代は、その「枝葉」にすぎな い。かつてイギリスの詩人、ワーズワース(1770~1850)は、こう歌った。 空に虹を見るとき、私の心ははずむ。 私が子どものころも、そうだった。 人となった、今もそうだ。 願わくば、私は歳をとって、死ぬときもそうでありたい。 子どもは人の父。 自然の恵みを受けて、それぞれの日が そうであることを、私は願う。 つまり『子どもは、人の父(A Child is Father of the Man)」と。この言葉のもつ重みを、 もう一度、心にしっかりと刻みたい。 注※1 エリクソン…エリク・ホーンブルガー・エリクソン(1902-1994)は、 発達心理学者、精神分析家。「アイデンティティ(自我の同一性)」の概念を提唱したこと で知られる。ここではエリクソンの心理発達段階論を取りあげた。エリクソンは、心理社 会発達段階について、幼児期から少年期までを、つぎのように区分した。(1)乳児期(信 頼関係の構築)(2)幼児期前期(自律性の構築)(3)幼児期後期(自主性の構築)(4) 児童期(勤勉性の構築)(5)青年期(同一性の確立) 注※2 SAT…Critical Reading、Writing、Math が、それぞれ200点から800点の表示、 合計2400点満点で評価される。 注※3 インプリンティング…(すりこみ imprinting)とは、刻印づけのこと。コンラー ト・ローレンツの研究で世界に知られるようになった。 注※4 九州大学・吉田敬子・母子保健情報54・06年11月) Hiroshi Hayashi++++++Oct. 2011++++++はやし浩司・林浩司(改) 【3】(近ごろ、あれこれ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ Hiroshi Hayashi++++++Oct. 2011++++++はやし浩司・林浩司 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ はやし浩司のホームページ http //www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ■□コマーシャル★★★★★★コマーシャル□■ 【BW生・募集中!】 (案内書の請求) http //www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/page228.html (教室の案内) http //www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/page025.html ●小学生以上の方も、どうか、一度、お問い合わせください。 ■□コマーシャル★★★★★★コマーシャル□■ ****************************** このマガジンがお役にたてそうな人が、あなたのまわりにいませんか? よろしかったら、どうか、このマガジンのことを、お友だちの方に 話していただけませんか? よろしくお願いします。 はやし浩司 ****************************** ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ まぐまぐプレミア版(有料版)のお申し込みは…… http //www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/page141.html ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ . *※※ .※※ ***※ .*※※…※}※** . **++ ※)) . {※}※※ / . ※*… /mQQQm .**/| |Q ⌒ ⌒ Q Bye! . = | QQ ∩ ∩ QQ . m\ ▽ /m~= ○ . ○ ~~~\\// .================================= .みなさん、次号で、またお会いしましょう! .=================================
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/271.html
総括所見:シンガポール(OPAC・2014年) 第1回(2003年)/第2回・第3回(2011年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/OPAC/SGP/CO/1(2014年10月13日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2014年9月9日に開かれた第1914回会合(CRC/C/SR.1914参照)においてシンガポールの第1回報告書(CRC/C/OPAC/SGP/1)を検討し、2014年9月19日に開かれた第1929回会合において以下の総括所見を採択した。 I.序 2.委員会は、締約国の第1回報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/OPAC/SGP/Q/1/Add.1)の提出を歓迎する。委員会は、締約国のハイレベルなかつ多部門型の代表団との間に持たれた建設的対話に評価の意を表明するものである。 3.委員会は、締約国に対し、この総括所見は、2011年2月4日に採択された、条約に基づく締約国の第2~3回統合定期報告書についての総括所見(CRC/C/SGP/CO/2-3)とあわせて読まれるべきであることを想起するよう求める。 II.一般的所見 積極的側面 4.委員会は、締約国が以下の文書に加入しまたはこれを批准したことを歓迎する。 (a) 1949年8月12日のジュネーブ諸条約の第3追加議定書(2008年7月)。 (b) 就業が認められるための最低年齢に関するILO第138号条約(1973年)(2005年11月)。 (c) 最悪の形態の児童労働の禁止および撤廃のための即時の行動に関するILO第182号条約(1999年)(2001年6月)。 (d) ジェノサイド犯罪の防止および処罰に関する条約(1995年8月)。 III.実施に関する一般的措置 立法 5.締約国が、選択議定書に基づく義務は国内法を通じて実施されていると述べたことには留意しながらも、委員会は、選択議定書のすべての規定が網羅されているかどうかについて締約国報告書に明確さが欠けていることを懸念する。 6.委員会は、締約国が、選択議定書が国内法体系に全面的に編入されることを確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 独立の監視 7.軍の構成員を対象とする苦情申立て機構が存在することは歓迎しながらも、委員会は、当該機構が国防省によって運営されていることから、独立のかつ公正な苦情の取扱いが阻害されるおそれがあることを懸念する。 8.委員会は、締約国が、選択議定書が対象とするすべての分野に関して国軍軍人(とくに18歳未満の国軍軍人)からの苦情を受理しかつこれを調査する明確な権限を有した苦情申立て機構を国防省の外に設置するとともに、その秘密保持およびアクセス可能性を確保するためにあらゆる必要な措置をとるよう、勧告する。さらに、当該機構に対しては、十分に機能するために必要な人的資源、財源および技術的資源が提供されるべきである。 普及、意識啓発および研修 9.委員会は、締約国が、国際平和維持活動に参加する軍の要員を対象として人権および人道法に関する研修を実施していることに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、選択議定書についてのいかなる具体的研修プログラムも存在しないことを遺憾に思うものである。さらに委員会は、選択議定書の規定に関する情報を普及するために限られた努力しか行なわれてこなかったことに懸念とともに留意し、かつ、子どもをとくに対象とする意識啓発措置がとられていないことをとりわけ遺憾に思う。 10.委員会は、選択議定書第6条第2項への注意を喚起するとともに、締約国に対し、一般公衆の間で選択議定書の原則および規定を周知させることを目的とした普及の努力を強化し、かつ、メディアのいっそうの関与等も通じて子どもの間で意識啓発を図るための具体的広報キャンペーンも発展させるよう、勧告する。さらに委員会は、締約国が、選択議定書の実務上の適用に関する、軍の要員を対象とした体系的な教育モジュールを開発しかつ実施するよう、勧告するものである。 IV.防止 志願入隊 11.委員会は、選択議定書批准時の締約国の宣言によれば、16歳6か月に達した子どもはシンガポール軍に志願入隊できることに留意する。委員会はさらに、このような志願入隊において文書による年齢の証明、親または保護者の書面による同意および入隊者の完全なインフォームドコンセントが条件とされていることに留意するものである。しかしながら委員会は以下のことを遺憾に思う。 (a) 早期志願入隊制度に基づいてシンガポール軍に入隊した志願兵が、書面で3か月前に通告しなければ志願除隊を申請できないこと。 (b) 未成年の志願兵が軍法に服するものとされており、したがって付属軍事法廷による審理の対象とされること。 12.委員会は、締約国が、18歳未満の者の志願入隊の中止を検討するとともに、以下の目的のためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 (a) 未成年の志願兵が除隊申請を行なうために必要とされる告知期間を相当に短縮すること。 (b) 未成年者であるいかなる志願兵も軍法または付属軍事法廷による審理の対象とされないこと、および、未成年者の志願兵が罪を問われたときは、審理が文民裁判所において、かつ条約に掲げられた少年司法に関する基準と一致する形で行なわれることを確保すること。 人権教育および平和教育 13.委員会は、人権教育および平和教育が学校カリキュラムに編入されていないことに、懸念とともに留意する。 14.委員会は、締約国が、学校カリキュラムに義務的な人権教育および平和教育を含め、かつ学校における平和および寛容の文化を奨励するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。委員会は、その際、締約国が、教員およびソーシャルワーカーの養成教育および研修に人権教育および平和教育を含めるよう勧告するものである。 V.禁止および関連の事項 採用の禁止 15.委員会は、締約国が、子どもおよび若者の福祉、ケアおよび保護について定める主要な法律として子ども・若者法(Cap.38)を挙げていることに留意する。しかしながら委員会は、同法がいまなお16~18歳の子どもを対象としておらず、かつ、子どもの徴募または紛争状況下における使用を明示的に禁止するいかなる規定も欠いていることを遺憾に思うものである。 16.委員会は、締約国が、子どもの徴募または紛争状況下における使用の禁止規定を子ども・若者法(Cap.38)に明示的に含めるよう勧告する。その際、締約国は、徴募されもしくは紛争状況下で使用された子どもまたは他のいずれかの形で武力紛争の被害を受けた子どもの保護に関する明示的な法規定も含めるべきである。さらに、条約に基づく委員会の所見(CRC/C/SGP/CO/2-3、パラ28)を参照しつつ、委員会は、締約国が、国内法における子どもの定義を条約にしたがって調和させ、かつ、子ども・若者法の適用を拡大して18歳未満のすべての者を対象とするよう勧告するものである。 現行刑事法令 17.委員会は、16歳6か月に満たない者を通常軍務のために採用すること、および、18歳未満の入隊者による敵対行為への直接参加を認めることは入隊規則(Cap.93, Reg.1)第40条に基づいて犯罪となる旨の締約国の説明に留意する。しかしながら委員会は、このような犯罪に対する刑罰――2000シンガポールドルを超えない罰金もしくは12月を超えない収監またはその併科――が低すぎることを懸念するものである。委員会はまた、15歳未満の子どもの徴募が締約国の法律において戦争犯罪として定義されていないことも懸念する。 18.委員会は、締約国が法律を改正し、このような犯罪に対する罰金額および収監期間の双方を合理的水準まで引き上げるよう勧告する。さらに委員会は、締約国が、15歳未満の子どもの徴募を戦争犯罪として定義しかつ処罰するとともに、国際刑事裁判所を設置するローマ規程(2000年)の批准を検討するよう勧告するものである。 域外裁判権および犯罪人引渡し 19.委員会は、締約国が域外裁判権を行使していることに留意する。しかしながら委員会は、域外裁判権の適用が、1949年の4つのジュネーブ諸条約(これには選択議定書上のすべての犯罪が含まれているわけではない)に基づく国際人道法の重大な違反に限られていることを懸念するものである。さらに、犯罪人引渡しが可能であることには留意しながらも、委員会は、これが犯罪人引渡法(Cap.103)の別表1に列挙された犯罪に限られており、すなわち選択議定書上の犯罪の多くは対象とされていないことを懸念する。 20.委員会は、締約国が、以下のことを確保するために法律を改正するよう勧告する。 (a) 域外裁判権が選択議定書上のすべての犯罪について行使されること。 (b) 犯罪人引渡しに関する国内制度で引渡しが認められる犯罪のリストに、選択議定書上のすべての犯罪が含まれること。 VI.保護、回復および再統合 拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いまたは処罰 21.委員会は、シンガポール軍隊法に基づくさまざまな犯罪について、未成年の志願兵を含む軍の構成員に対して鞭打ちが科されていることを遺憾に思う。 22.条約に基づく委員会の総括所見(CRC/C/SGP/CO/2-3、パラ40)を参照し、かつ体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての委員会の一般的意見8号(2006年)に照らして、委員会は、締約国に対し、あらゆる場面におけるあらゆる形態の体罰(鞭打ちを含む)を法律で明確に禁止する目的で法改正を行なうために迅速な措置をとるよう促す。 被害を受けた子どもの権利を保護するためにとられた措置 23.委員会は、子どもの難民および庇護希望者のなかに選択議定書上の犯罪の被害を受けた子どもはいない旨の、締約国から提供された情報に留意する。しかしながら委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 国外において徴募されまたは武力紛争で使用された可能性のある子どもを特定するために設けられている機構についての情報が締約国報告書に記載されていないこと。 (b) 締約国が難民の処遇に関するいかなる条約の加盟国にもなっていないこと、難民の処遇に関する法律が存在しないこと、および、個別事案ごとのアプローチが不平等な処遇につながる可能性があること。 24.委員会は、選択議定書第7条に基づく義務に対して締約国の注意を喚起し、かつ条約に基づく委員会の前回の勧告(CRC/C/SGP/CO/2-3、パラ61)を参照しつつ、締約国に対し、国際基準にしたがって子どもの庇護希望者および難民(とくに保護者のいない子ども)の全面的保護を確保し、かつ、子どもの庇護希望者、難民または移住者であって国外で武力紛争に関与させられた可能性のある子どもを早期の段階で特定するための機構を整備するよう、促す。委員会はさらに、締約国に対し、その際に以下の措置をとるよう促すものである。 (a) 子どもに特化した難民の定義および子どもに配慮した庇護申請手続を適用するとともに、保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの庇護希望者および難民の特有のニーズに対応する手続的保障措置を定めること。 (b) あらゆる状況においてノンルフールマンの原則を維持すること。 (c) このような特定の担当者が子どもの権利、子どもの保護および子どもにやさしい面接スキルについての訓練を確実に受けているようにすること。 (d) いかなる子どもも、その出身国で選択議定書上のいずれかの犯罪の被害を受けていた場合または被害を受けるおそれがある場合には、当該出身国に強制的に送還されないことを確保すること。 (e) 武力紛争に関与させられた子どもまたはその可能性がある子どもに対し、その身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための適切な援助が提供されることを確保するための、専門的サービスを発展させること。 25.委員会は、締約国が、難民の地位に関する1951年の条約および1967年の同議定書、無国籍者の地位に関する1954年の条約ならびに無国籍の削減に関する1961年の条約の批准を検討するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、出身国外にあって保護者のいない子どもおよび養育者から分離された子どもの取扱いについての一般的意見6号(2005年)を考慮することも勧告するものである。 VII.国際的な援助および協力 武器輸出および軍事援助 26.輸出入規制規則(Cap.272A, Reg.1)で国際連合安全保障理事会決議との一致を確保するための禁止が認められている旨の締約国の説明には留意しながらも、委員会は、子どもが徴募されもしくは武力紛争および(もしくは)敵対行為で使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国への小型武器および軽兵器の販売および輸出または軍事援助を禁止するいかなる法律も存在しないことを、遺憾に思う。委員会はさらに、クラスター弾に関する2008年の条約を締約国がまだ批准していないことに、懸念とともに留意するものである。 27.委員会は、締約国に対し、子どもが徴募されもしくは武力紛争および(もしくは)敵対行為で使用されていることがわかっているまたはその可能性がある国への火器(小型武器および軽兵器を含む)の輸出およびあらゆる種類の軍事援助をとくに禁止する法律を採択し、かつ徹底的に実施するよう、促す。さらに委員会は、締約国に対し、クラスター弾に関する条約ならびに対人地雷の使用、貯蔵、生産および移譲の禁止ならびに廃棄に関する条約を批准するよう奨励するものである。 VIII.通報手続に関する選択議定書の批准 28.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書ならびに通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書を批准するよう勧告する。 IX.フォローアップおよび普及 29.委員会は、締約国が、とくにこの総括所見を議会、関連省庁(国防省を含む)、最高裁判所および地方の公的機関に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、この総括所見が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 30.委員会は、選択議定書、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第1回報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の総括所見を、インターネット等も通じ(ただしこれに限るものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 X.次回報告書 31.選択議定書第8条第2項にしたがい、委員会は、締約国が、選択議定書およびこの総括所見の実施に関するさらなる情報を、子どもの権利条約条約第44条にしたがって提出される、条約に基づく次回の定期報告書に記載するよう要請する。 更新履歴:ページ作成(2015年2月23日)。
https://w.atwiki.jp/seigeki/pages/711.html
『陽だまりの子どもたち』 誰の手も届かない場所で、 優しく笑う子がいたんだ。 たったひとりで皆のために、 静かに笑う子がいたんだ。 僕はそれが許せなかった。 だって、ひとりぼっちは寂しいじゃないか。 どうして誰もあの子に近づかないんだ。 どうして誰もあの子の手を取らないんだ。 どうして誰もあの子を救わないんだ。 それはきっと、ひとりぼっちの寂しさを知らないからだ。 だけど僕は違う。 僕ならきっと、あの子の隣に立てる。 走った。 走った。 あの子は誰よりも遠くにいたから。 走った。 走った。 僕は誰よりも遠いところを目指したから。 そうして僕はあの子にたどり着いた。 あの子は僕を見て笑った。 僕だけのために笑ってくれた。 僕はあの子の手を取った。 そのまま抱きしめた。 あの子が笑った。 刹那、世界に光が溢れた。 暗く悲しいことは消え失せて、 暖かな希望が世界を包み込んだ。 その世界の中心に僕がいた。 あの子が笑っていた。 だけど あの子は笑っていた。 あの子は笑っていた。 今日も明日も。 そして昨日も。 あの子はいつでも笑っているから、 僕があの子を幸せにしたのかわからないんだ。 あの子はいつでも笑っているから、 僕をあの子が見ていたかわからないんだ。 僕はあの子を突き放した。 僕はあの子の手をほどいた。 僕はあの子から逃げ出した。 刹那、世界は闇に飲まれた。 暗い絶望の歌を聞いた。 肌寒い積怨(せきえん)の叫びを聞いた。 暖かな光に慣れた僕にとって、 世界の輝きはあまりに儚かった。 走った。 走った。 誰よりもあの子から遠いところへ。 走った。 走った。 僕は誰かに望まれて生きたかったから。 やがて僕は世界の果てにたどり着いた。 ここへはあの子の笑顔も届かなかった。 皆が光に飢えていた。 僕は彼らに微笑んだ。 彼らはとても喜んだ。 僕の光はか細いけれど、 皆に安らぎを与えられた。 山の稜線から時折覗く、あの子は優しく笑ってくれた。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/179.html
総括所見:アイスランド(第1回・1996年) 第2回(2003年)/第3回・第4回(2011年)OPAC(2006年)/OPSC(2006年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.50(1996年2月13日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、1996年1月16日および17日に開かれた第272回、第273回および第274回会合(CRC/C/SR.272, 273 and 274)においてアイスランドの第1回報告書(CRC/C/11/Add.6およびHRI/CORE/1/Add.26)を検討し、以下の総括所見を採択した(注)。 (注)1996年1月26日に開かれた第287回会合において。 A.序 2.委員会は、締約国に対し、委員会のガイドラインにしたがって構成された包括的報告書について評価の意を表する。委員会は、報告書の作成にあたってアイスランド政府がとった自己批判的アプローチを歓迎するものである。委員会はまた、委員会の事前質問事項(CRC/C.11/WP.8)に対する文書回答が期限どおりに提出されたことも歓迎する。 3.ハイレベルな代表団の出席により、委員会は、条約の実施に直接関与している人々との建設的対話を行なうことが可能になった。 B.積極的な側面 4.委員会は、条約の批准時にアイスランドが第9条1項および第37条(c)について行なった宣言が、最終的な撤回の方向で見直される可能性がある旨の代表団の発言を歓迎する。 5.委員会は、憲法において人権一般およびとくに子どもの権利の保護が強化されたことに、評価の意とともに留意する。委員会はとくに、条約第3条2項に直接基づく規定が憲法に含まれたことを歓迎するものである。委員会はまた、国際的な子の奪取の民事上の側面に関するハーグ条約および子の監護の決定の承認および執行ならびに子の監護の回復に関する欧州条約のような重要な国際文書が、最近アイスランドによって批准されたことにも留意する。就業が認められるための最低年齢に関するILO第138号条約を近い将来批准することに対する当局の決意も、満足感とともに留意されるところである。 6.委員会は、子どもオンブズマン事務所の設置、ならびに、子どもの権利に関する広報およびこれらの権利に関わる国際文書のうちアイスランドが批准したもの(とくに条約)の遵守の奨励に関して同事務所が果たしている役割を、歓迎する。 7.委員会はまた、1995年5月に子ども保護庁が設置されたことも歓迎する。子ども福祉委員会に対していっそう充実した支援を提供し、子ども福祉委員会の委員を対象とする研修プログラムを作成し、または里親に対して情報提供を行ないかつ里親がその任務を担えるよう準備させるという、中央機関としての同庁の職務は、条約に掲げられた権利の実施の向上にとってきわめて重要である。 8.委員会は、条約に関する広報キャンペーンのあり方について決定するための省庁間作業部会の設置など、条約の効果的普及を確保するための創造的方法を見出すために公的機関が行なってきた努力を認知する。委員会はまた、子どもの権利の保護および促進の分野で活動している非政府組織との関係および協力を強化することに対する、公的機関のコミットメントも認知するものである。 9.子どもが被害者である家庭内の事故その他の事故がアイスランドで多いことに関連して、委員会は、1994年に事故防止評議会が設置されたことを歓迎する。 10.委員会は、移民に関する包括的政策を立案し、かつ移民問題に関する公的機関の活動を調整するために教育省が行なった、省庁間委員会の任命の取り組みを歓迎する。1993年秋以降、教育省の後援のもと、(保育所から中等学校および成人教育に至る)あらゆるレベルの教員のための特別プログラムが設けられたことも、委員会の歓迎するところである。 11.難民問題分野における最近の進展は、委員会が希望をもって受けとめるところである。子どもの難民に対して特別な注意を払いながらアイスランドにおける難民の受け入れおよび到着を組織し、かつ申請に関して公的機関による決定がまだ行なわれていない庇護希望者に対応する難民評議会の設置は、きわめて前向きな措置であると見なされる。同様に、委員会は、アイスランド市民権を求める者はそもそもの名前にアイスランド名を加えなければならないとする要件が法改正によって廃止されたことを、歓迎するものである。 12.条約第7条2項に関して、委員会は、無国籍児の地位について明示的に取り上げた政府の提案をしかるべき時期にアルシング(議会)に提出したい旨の、代表団によって表明された意向に、満足感とともに留意する。 C.主要な懸念事項 13.委員会は、条約が子どもの保護およびケアについてならびにとくに権利の主体としての子どもの承認について定めていることを強調したい。これとの関連で、委員会は、条約が有するこの本質的側面がアイスランド法にまだ全面的には反映されていないことに留意する。 14.委員会は、条約が国内法に統合されていないことには留意しながらも、国内法令への条約の反映に関して乖離が存在しうることを懸念する。 15.委員会は、子どもの問題を扱うさまざまな政府省庁の部門別政策を調整することの重要性を強調する。とくに子どもの保護および福祉の分野で地方当局が広範な自治権を有していることを踏まえ、委員会はまた、この分野で行なわれる決定および活動を、中央および地方の当局の間でおよび地方当局間で調整する機構が存在しないことにも、懸念とともに留意するものである。 16.委員会は、子どもの保護および福祉の分野で、異なる行政圏間に予算配分額の格差があることについてとくに憂慮する。このような状態は、たとえば教育および放課後ケアの分野で、住む地域が異なる子どもの間に差別をもたらす可能性がある。 17.すべての学校段階の生徒の間で条約本文を配布するための措置がとられたことには留意しながらも、委員会は、人権一般およびとくに子どもの権利を学校および大学の強化に含めるという決定がいまだになされていないことに留意する。 18.子どものためにおよび子どもとともに働く専門家(教員もしくはソーシャルワーカーなど)または子どもと接する専門家(警察官、弁護士、裁判官もしくは医師など)を対象とする、子どもの権利およびその権利の行使に関する包括的かつ体系的な研修プログラムが設けられていないことも、委員会にとって懸念の対象である。 19.委員会は、家庭環境のもとで過ごす子どもの最善の利益が親の長時間労働によって損なわれているおそれがあること、および、親の就業時間中に子どもが家でひとりでいることを防止するためにとられた措置が不十分であることに、留意する。これとの関連で、保育所の定員が不十分であることも懸念されるところである。 D.提案および勧告 20.委員会は、締約国に対し、条約に関する宣言の撤回の可能性を検討するよう奨励することを望むとともに、この件に関する進展について通知を受けることを希望したい。 21.委員会は、条約に掲げられた権利の全面的保護が確保されるよう、条約のすべての実体規定を国内法令に反映させるための措置をとることを勧告する。 22.委員会は、条約の実施に関して生じる可能性のある格差または差別を解消し、かつ条約がアイスランド全域で全面的に尊重されることを確保する目的で、締約国が、子どもの権利の分野における政府の政策ならびに中央および地方の公的機関の政策の調整を増進するための機構を設置するよう、勧告する。 23.委員会は、締約国に対し、条約に関する情報の普及および意識啓発を目的とした政策を引き続き追求し、かつさらに発展させるよう、奨励する。委員会はまた、公的機関に対し、子どもに対応する専門家グループの養成・研修カリキュラムならびに学校および大学のカリキュラムに条約および子どもの権利を統合するよう、促すものである。 24.委員会は、条約第4条に照らし、利用可能な資源を最大限に用いた予算配分が確保されるべきことを勧告する。これとの関連で、地域によって子どものためのサービスに格差が生じる危険性を回避するため、条約第2条および第3条にも正当な注意が払われるべきである。委員会はまた、締約国が、子どもの権利の促進および保護を増進する目的で国際協力および国際援助の強化を検討することも、勧告する。 25.委員会は、賃金に関する男女間の不平等に対応するための適切な措置がとられるべきことを提案する。このような不平等は、とくに単身女性が世帯主である家庭の子どもにとって有害となる可能性があるためである。 26.委員会は、子どもの最善の利益が常に第一次的に考慮されることを確保するため、監護権または親からの子どもの分離に関する手続をさらに再検討するよう、勧告する。 27.最後に、条約第44条6項に照らし、委員会は、アイスランドにおいて報告書を公衆が広く入手できるようするとともに、関連の議事要録および委員会の総括所見の刊行を通じ、当該報告書に関する委員会の検討状況を公表するよう、勧告する。 更新履歴:ページ作成(2011年4月2日)。
https://w.atwiki.jp/kasuya-noriko/pages/39.html
狼の子どもたち(おおかみの-)は粕谷紀子の漫画作品。月刊tiara1988年7-12月号連載。 登場人物 正林 薔子(しょうりん しょうこ) - 中学時代、陸上の短距離のタイトルを持つ。 城之内 潤(じょうのうち じゅん)- 薔子を温かく見守っている。父は弁護士。 南風 真由(みなみかぜ まゆ) - 病弱な少女。 九鬼 亮太(くき りょうた)- 保護者のように、常に真由に付き添っている。 あらすじ 第一話 薔子は朝のランニングが日課。ときどき見かけるランナーが気になっていた。 学校では、彼女が負けたらデートするという条件で男子学生たちとかけっこをしており、進学校である光栄高校の中でも、やや浮いた存在。城之内潤があきれつつも、優しく彼女を見守っている。だが、彼女の理想は高く、毎朝見かける、名も知らぬランナーのように情熱的で、自分を追い越せるような男でなくてはいけないと思っていた。 薔子は中学時代に名を馳せたランナーだったが、光栄高校が高体連に加盟していないため夏の高校陸上競技会に出場できないことを、教師から知らされる。そこで彼女は、高体連に加盟するために陸上部を結成することを決意。部として承認されるためには、最低4人の部員が必要だが、進学校故ドライな学生たちは誰一人として興味を示さない。そこへ城之内が現れ、薔子のためなら一年くらい浪人しても良いと入部してくれることに。 「わ……わたしのためにとかさ……そういういいかたって、ずるいのよね」 城之内はあくまで一種のボランティアで、薔子が出場しないと高校陸上界が損失を被ること、薔子の毎朝の練習が無駄になることを理由に挙げた。薔子は朝練を知っていることに驚くが、城之内は偶然朝の散歩のときに見かけたのだという。…ということで、多くの学生が遠巻きに見る中、二人は練習を始めるが、城之内はハードな練習についていけず、デモとしては失敗に。薔子も城之内が自分のために無理をしていることを感じ、帰り際そっと唇を寄せる。 城之内は、彼女を初めて見た朝のことを思い出す。誰もいない公園で、風とたわむれる自由な生き物……。城之内はその時から薔子に恋いこがれつつも、同時にそれを彼女には言わないと思う。しばろうとすれば、自由な小鳥は逃げてしまうから、と。 光栄高校の学生が活発でないのは、部活動に限ったことではなく、体育の授業も見学者が続出する有様。薔子が激しく投げたボールを、男子はとることが出来ず、ボールは見学者の方へ。サボっていると思った薔子は、ボールの近くにいるクラスメートの女子に、ややきつい言い方でボールを取ってくれるよう頼む。しかし、その途端、少女は動悸が激しくなり、ついに気絶してしまう。薔子はきつい言い方をしたことを後悔しつつ、保健室に行き、その少女・南風真由に謝罪する。真由は、自分は病弱だからよくあることと薔子を許すどころか、生き生きとした薔子に憧れていたから話すチャンスが出来て嬉しいと話す。養護教諭から、真由の荷物を持ってくるよう頼まれた薔子と城之内は保健室から退出するが、薔子はその時すれ違った真由のボーイフレンドが、あのランナーだと気が付く。城之内に聞くと、彼は同じ1年生の九鬼亮太だという。 薔子は保健室へ戻り、真由の荷物を手渡す際、亮太に公園でのことを聞くが、彼は陸上もやったことは無く、公園にも行ったことが無いという。薔子は彼を試そうと、亮太の持っていた真由の荷物を奪い走り去る。いつもなら、男子を軽く振り切れる薔子だが、亮太は差を縮めるところかついに追いつく。薔子を乱暴に壁に押し付け、こういう試され方は気にくわない!と激怒、真由と二人で下校していく。だが薔子はあのランナーに出会えたことが嬉しく、その場で涙を流す。 第二話 城之内に調べてもらったところ、亮太は中1のときにジュニア陸上の短距離で優勝していることが判明。中2・3では、不自然なことに出場を取り消していた。薔子は、なぜ彼がすばらしい才能を持ちながら、陸上をやっていたことを隠すのか、好奇心を強める。 一方、真由は亮太が陸上を続けていたことを嬉しく思う。 「わかってよ、亮太をしばりたくないの。あの事故はあなたの責任じゃないのよ」 「おれが、責任感で真由とつきあってると思うのか?」 「思いたくない…でも…本当はいつも不安なの」 真由は亮太には例えば薔子のようなひとがふさわしいのではと言うが、亮太は真由の不安を取り除くように、口づける。だが、再び真由は発作を起こしてしまう。真由は亮太に、ただ並んで歩くことしか出来ない自分でいいのか訪ねる。亮太はそれでよいと励まし、彼女に合わせしばらくその場で休憩することにした。だが、真由はやりきれず、子どもの頃からの病気なのに、切なさを感じていた。 休み時間、教室移動の際に亮太を見つけた薔子は、彼に先日の件を謝罪しつつ、また陸上をやらないかと誘う。亮太はそっけなく無視しようとするが、薔子はそれを追い、周囲から冷やかされる。そこで大胆にも彼に抱きついて見せるが、おしゃべりで図々しい女は嫌いだと言われる。城之内は、彼女にあきらめるよう諭すが、薔子は亮太が本当は走りたがっていると確信していた。授業に遅刻しそうになった二人は、慌てて次の教室へ走るが、一連の様子を真由は静かに見つめていた。 錦花山への登山遠足の日、薔子は真由が遅れたことに気づき、城之内と列を離れ、真由のもとへ駆け寄る。教師と相談の末、薔子は真由を介抱しつつ下山してバスへ戻ることに。薔子は城之内に亮太への連絡を頼んだ。小川のほとりで、少女二人で休憩しつつ、様々なことを話す。亮太との約束を破ってまで、真由は自分を試そうと登山に挑み、そして具合が悪くなったのだった。きっといつか登れるようになりたいと言う真由を、薔子もきっとそのうち上れるようになると励ますが、真由はその言葉の重みを感じていた。やがて亮太が迎えに来て、やはり怒るが、薔子が自分が連れて来たと真由をかばう。亮太は真由を抱き上げバスへ連れ帰り、薔子を追い払おうとするが、荷物と靴があるので結局三人で帰ることに。 真由の家まで、薔子と亮太は付き添うが、真由の父・浩介は亮太が来たことに不快感をあらわにし、きみの顔は二度と見たくないと突き放す。薔子は真由の父に抗議するが、亮太がそれを止め、真由とふたりだけの視線をかわす。帰り際、薔子は親の了解を得ていなかったことが意外で、彼らの事情を質問するが、きみには関係ないと亮太はやはり答えない。亮太は、昼の態度について謝罪し去っていった。 薔子は、真由と亮太の間に自分が入り込めない世界があるのに嫉妬から、真由が病弱な振りをしているのではないかとさえ思う。そんなある日、正林家の営むスーパーに亮太が訪ねてくる。薔子は驚きながらも、二人でいられることに満足していたが、彼が薔子を訪ねて来た理由が、欠席している真由の様子を見て来て欲しいからだだと知り、内心残念に思いつつ、いじわるそうに亮太が陸上部に入ることが条件だと突き放す。 薔子は、自分が彼らに嫉妬していることを認めつつ、亮太を恋することを止められない。 「真由に遠慮なんかしない。わたしは真由の存在を知る前に、あの人に恋していたんだもの」 決意を胸に、薔子は花束を買い、真由の家に見舞いへ向かう。 第三話 薔子が見舞いに来たことと花束を、真由は素直に喜び、薔子は複雑な気持ちに。真由は元気そうだが、父が精密検査を受けさせていたのだという。くつろぎながら、真由は薔子に事情を話しだす。 まず、真由の両親は再婚しており、夏に赤ちゃんが産まれるのだという。そして、前妻である真由の母・多喜子は、雨の日に真由を連れ車で病院へ赴く途中、ランニング中の少年・亮太を避けようと交通事故を起こして死亡。父は葬儀の場で、亮太を怒鳴りつけていた。 次に、真由の病気は「ジェラズニィ症候群」という難病(注:架空の病名)で、激しい運動・精神的ショックで動悸が起こって息苦しくなり、最悪の場合気絶してしまうのだと言う。いつ発作が起こるか分からないため、ずっと母が付き添っていた。しかし母の死後、家から出られなくなり、代わりに看護婦が付き添ってもめまいを起こし、父はカタログ通販やVTRで何とかなると悲しそうに笑い飛ばす。真由も父を悲しませたくないと、自分一人で登校を試みるが、駅の大階段の途中でしゃがみこみ、倒れかけるが、それを助けたのが亮太だった。 自分なんてどうだっていい、ママの代わりに自分が死ねば良かったと取り乱す真由を、亮太はきみが強く生きることこそお母さんの願いじゃなかったのかと励ます。真由は母との会話を思い出し、きっと亮太のように言ったに違いないと考える。そう考えた途端、心が軽くなり動悸が嘘のように静まった。 「その日から、亮太は母の代わりになったの」 全ての事情を理解した薔子はため息をつく。ふと、写真立てに飾られた真由と亮太の写真が目に入る。未公認のカップルだからデートをしたことが無く、二人の写真はそれ一枚しか無いという。真由は薔子からデートの話を聞く 「いいわね、風の中を走りまわれたら!きっとすてきでしょうね」 薔子は心の中で、 「九鬼くんはわたしとならそれができるのよ、思いきり」 と思うが、そのとき、真由がきっぱりと言う。 「薔子さん、亮太をとらないで!」 薔子は慌てて否定し、真由も謝罪するが、生き生きとしている人を見ると不安になるという。自分が亮太をしばっているのではないか、不安でたまらなくなるが、同時に彼を失ったら生きていけない、と。 薔子は笑い、真由が心配だから見に来てくれと頼まれた時の彼の必死な様子を話す。 「……そう?」 帰宅する薔子を見送りながら、真由は自分の卑怯さに震えていた。学校で、亮太の視線の先にいた生き生きとした薔子の姿に、二人が出会わないよう気をつけていた。走る喜びを共有する二人が惹かれ合うことは当然で、いつか病弱な自分と亮太は別れる日が来るし、彼を愛するなら彼を自由にすべきだと分かっているのに、今の真由はそれに耐えられそうも無く、動悸が激しくなり玄関先でしゃがみこんでしまう…。 薔子はドーナツ屋に亮太を呼び、真由の様子を話す。頼まれたから行ったのではないと、交換条件を無効にすることを告げる。 「4人集まらず、陸上部が成立しなかったら?」 「競技会にエントリーしない、それだけのことよ」 そう言って、二人は別れた。 「走りたい、九鬼くんと走りたい、すべてをぶつけあって」 だが、真由にストレートに頼まれた以上、その望みを叶えることは出来ない。薔子はこれまで、ボーイフレンドも友人も、競技会のトロフィー・高校受験に至るまで、望む物で手に入らない物は何も無かった。だが、彼女の望みが断たれた以上、それが何の役に立つのだろう。薔子は夜道でひとり涙を流す…。 第四話 夏休みは続く。 薔子は城之内を誘ってプールへ。賑やかな流れるプール・スライダーではなく、ガラガラの競技用プールへ。彼女は2kmもひたすら泳ぎ続けた。城之内は日光浴専門。帰り道、目標を失うと人間はだらけるものね、と薔子は城之内に話しかける。宇治金時をおごってもらいながら、競技に没頭していない夏は初めて、と話すと、城之内は陸上の競技人生は長いのだから人並みの夏もいいじゃないかと応じる。そして、秋には部員をかき集めて陸上部を成立させようと励ます。 帰宅後、薔子はかつてのライバル・藤ケ岡が高校新記録を出したことをニュースで知る。両親は薔子が落ち込んでいないか不安がるが、彼女は明るい笑顔で、公園へランニングに出かける。城之内の励ましを思い出しながら彼に感謝し、自分は走ることそのものが好きなのだと、さわやかな気持ちでいっぱいだった。 するとそこへ亮太が現れる。真由から事情を知った今、亮太は薔子に一緒に走ろうと誘う。二人は次々と目標を決めながら走っていく。本気で走りながら、心を一つにした二人は楽しいひとときを過ごす。やがて休憩し、亮太はふと薔子の乱れた髪に手を伸ばす。薔子を身を強ばらせ、遅いから帰る、と別れる。彼女はむろん真由の願いを思い出していた。しかし、たとえ真由と亮太が愛し合っていても、二人で心を一つにして走った世界は、真由には奪えないと考える。 一方、亮太も二人で走ったことを快く感じていた。やがて真由に毎晩恒例の電話を掛けるが、その時ひとりで走っていたと嘘をつき、そのことに悩む。 二学期となり、再び陸上部の募集をかける。気持ちが楽になった薔子は、以前と違い楽しむことを目的に生徒たちを説得し、今度は興味を示す者も出て来て順調そうだった。 真由には、弟が産まれていた。必然的に子どもの話になり、薔子は真由にはもう恋人がいるんだからと言ったところ、真由はたぶん赤ちゃんも産めないし結婚も出来ないだろうと遠くを見ながらつぶやく。掃除中だったため、やがて薔子は窓の桟によじ上って高いところを拭こうとするが、見事に落ちてしまう。しかし、真由を手伝うために来た亮太がちょうど彼女を抱きとめる。すぐさま二人は口論となるが、以前と違う雰囲気に真由は気づいてしまう。亮太との帰り道、何気ない会話から、真由は亮太が壊れやすい人形のようにしか扱わないことを痛感してしまう。 雨の夜、薔子は真由の「結婚できない」という言葉が気になり、寝付けずにいた。そこへ亮太から電話があり、公園へ向かう。真由の具合が悪いのか尋ねる薔子に、亮太は真由のことでなければ呼び出しては行けないか、と逆に聞く。薔子は亮太に背を向け、用もないのに呼び出されたら困ると言い返す。 亮太は薔子のお転婆な様子を挙げ、真由との違いを強調する。だが、真由は力を入れれば壊れてしまうが薔子は対等だ、と。そして、またいつかの晩のように二人で走りたいと告げる。……薔子は、ちょっと親しくすると男の子が誤解する、わたしには好きなひとがいる、と亮太の好意を拒む。 「真由!だめじゃない!彼の心をしっかりつなぎとめておかなくちゃ!」 第五話 薔子は真由の家を訪れ、二人で真由の弟・慎也(しんや)を可愛がっていた。両親はすっかり弟に夢中で自分のことを忘れたようだと、そう話す真由を薔子は心配そうに見るが、亮太と自由に会えるのでかえってホッとしているのだと言う。薔子は、このチャンスにいっぱいデートしてお父さんに認めさせればいいと勧めるが、真由はこのごろ亮太の様子がおかしいと相談する。 帰り道 「真由のために、うそをついてまで九鬼くんを拒んだのよ!真由さえいなかったら……」 そう思いながら、薔子は自己嫌悪する。 学校では、亮太に自分を拒む何かがある、と真由は感じていた。そして、つい卑屈になる自分に情けなさも感じていた。その頃、校庭では薔子が100mのタイムを計ろうとしていた、目標は11秒76、ライバルの藤ケ岡が先日出したタイムだ。校舎の壁までギリギリ3mとしかない直線コース。 「わたしのほうが速く走れる!」 その想いを胸に薔子は疾走する。しかし彼女は止まりきれず…… 気が付くと、保健室のベッドの上だった。城之内と養護教諭が心配そうにみつめる。彼女は壁ではなく、間に入った亮太に激突したらしい。城之内はじめ、素人だから誰もが薔子が止まれると思っていた。激突して騒ぎになったが、亮太は平然と彼女のタイムを質問したという。その話を聞いて、薔子も思い出したようにタイムを尋ねる。 「きみたちはそっくりだね、正林も九鬼も、速く走ることしか頭にないみたいだね」 タイムは11秒6だった。シューズをはじめ条件の劣るなか、これなら藤ケ岡に勝てる!と薔子を自信を強めた。 一方、亮太と真由は、また、亮太が真由よりも先に歩いてしまった。息を切らしながら追いつく真由に気づき謝るが、真由はこのごろ亮太がおかしいと指摘する。ごまかそうとするが、真由はいつになく強い口調で問いただす。薔子さんね、という指摘は的中し亮太はうつむく。 「…少し時間をくれないか」 「わかったわ、もうむかえにこなくていい、帰りも家まで送らなくていい、わたしだいじょうぶだから」 真由は精一杯平静を保とうとしたが、別れた途端、道に倒れ込んでしまう。亮太は愛しているのは真由だけだ、さっきのことは忘れてくれ、と真由を抱きしめるが、真由は自分の心と身体の情けなさを感じていた。 「 そのとき を先へのばしただけなのに、必ずくる亮太との別れのときを」 休み時間、薔子と真由はゲーム(オセロ?)をして過ごしていた。そこへ亮太がやってくる。真由はわざと亮太を呼び寄せようとするが、彼は外で待つという。真由はゲームを中断して立ち上がり、薔子は真由さえいなければと思いつつそう考えてはいけないと強く念じる。 「薔子さん、みにくい顔してるわよ。でも、わたしのほうがもっとみにくい顔だわ」 城之内が、なんと美しき女の友情、と薔子を冷やかす。しかし彼は冷やかしに来たのではなく、亮太と会うべきだと勧めに来たのだった。自分が今度の模試をキャンセルして九鬼と秋川渓谷(注:東京郊外)へ釣りに行くことにするから、秋川でなく渋谷へ、城之内とではなく薔子と、そう変更になってもいいじゃないかと。薔子は彼のおせっかいぶりに苦笑しつつも、それを受け入れることにした。 「気持ちをいつわると一生後悔する」 城之内の言葉が響き、亮太を取るのではなく、一度会って自分の気持ちを伝えるために会うことを決意する。そして、亮太も、次の日曜に城之内と釣りに行くと真由に嘘をついた。 …数日後、同じクラスだから落とし物のスケジュール帳を渡すよう頼まれた真由は、城之内の名前を確認する。そして、次の日曜、城之内が模試を受けることを知る。スケジュール帳を手渡しながら、城之内に亮太が本当は誰と会うのか問う。もしはキャンセルしたととぼける城之内に対し、ならば亮太に聞くから、と言うが、逆に自分が惨めになるだけだと諭される。城之内は亮太と薔子が会うことを教える。真由は嘘をつかれたことに怒りと悲しみを感じるが、嘘をついたのもまた彼の気持ちだと城之内は言う。 「わたしはがそうさせたというの!」 城之内は、会うのを止めようとする真由を思いとどまらせようとする。 「なぜ?あなただって正林さんがすきなんでしょ。なぜふたりをそうまでして会わせようとするの」 「正林にひとを憎むようになってほしくない」 彼女はまっすぐで、競争意識はあってもひとを憎んだことはないはずだ、だから自分は正林が好きだ、そう語る城之内を真由は驚きの目で見つめる。城之内の愛情の大きさに衝撃を受けた真由は、帰宅しても亮太もわたしを憎むことになるならみな不幸になるが、でも亮太を失うのが怖いと感じ、また震えが始まった。水を飲みに階下へおりると、弟が両親に可愛がられている姿がドア越しに見えた。父は、病弱な真由に対しては心配が先に経って可愛いとしみじみ感じる暇もなかったと回想する。 ショックを受けた真由は、自室へ駆け戻り、自分のせいでみなが不幸になると、苦しみ、自分はどうすればいいのか思い悩みソファに崩れ落ちる。 薔子と真由は表面上いつもと変わらずに過ごしていた。 「ごめんね真由、いちどだけ九鬼くんに会わせてね」 「やさしくてうそをつくのがへたな、すてきな薔子さん。あなたが好きよ、憎まれたらつらいわ」 そして、亮太に対しても真由は知らないふりをとおしていた。 「やさしい大好きな亮太。あなたを苦しめたくないわ」 …そして、日曜日、待ち合わせの場所になかなか亮太は来ない。薔子は心配するが、やがて彼が現れる。しかし同時に、真由が昨夜から行方不明になったことを知る。そして、二人とも、今日隠れて会うことを真由に教えていないことを確認すると、唯一今日の事情知っていた城之内に電話をして呼び出す。 城之内が、二人が会うことを教えていた。いずれわかるなら隠さない方が良いという判断だったが、真由がそこまで追いつめられていたとは城之内も予想外だった。 「真由、まさかばかなことしないわよね!?もしなにかあったら、わたし自分を一生許せないわ」 第六話 三人は心当たりを全て探した。 薔子は内心いらだっていた。彼を失ったら生きていけない、普通本気のはずはあり得ないし、たった一度会うだけなのにあてつけがましく家出をするなんて… 落ち込む亮太に対して、笑いながら大騒ぎをすることはない、きっと友達のところに泊まったはずだと言う。 「真由の友人は”きみとおれ”だけだよ、正林」 亮太に冷たい目で言われてもなお、それでも深夜喫茶なりコンビニなり行く場所があるはずだ、と主張するが、あざ笑うように真由と正林は違うと言われ、薔子は亮太を平手打ちにし、城之内が間に入って止める。亮太は、ひとり歩きが生命に関わる真由が不安でならず、三人で真由の家へ行くことにする。 家にもやはり連絡はなく、やや乱暴な口調で真由をとがめる父に対し、後妻は真由ちゃんはいつも明るく振る舞っていたけれどさびしさを心の中に隠していた気がする、と言う。 薔子は、亮太が自分を好きになったことを後悔しているのを見て、真由の思い通りになったと悔しさでいっぱいになる。城之内と二人での帰り道、真由が卑怯だという一方、自分が失った者のことしか考えられない利己主義者(エゴイスト)であることがいやでたまらず城之内に泣きつく。 「ふたりきりの友だちが、ふたりして真由にうそをついて、だから真由は…真由は… わかってるわ、真由が姿を消したのがわたしの責任だということを認めたくないから真由の身勝手さを起こってみせた。 もし真由の身に何かあったらわたしは…」 亮太に電話を掛けても、まだ戻って来ていないという。亮太が死ぬほど心配している、以前にもこんなことが…薔子は錦花山とそのときの真由の言葉を思い出す。そして、真由の義母に聞くと、おそらくスラックスにスニーカーで出かけたらしい。薔子は亮太と城之内を誘い、学校をサボって錦花山へ行くことを決意。 真由は、あの小川のほとりで横たわっていた。亮太に半身を支えられ、ゆっくりと目覚める。帰ろうという亮太たちに対し、頂上につくまでは帰らないと主張。そんなことができるはずがないという亮太に、薔子は理由を聞くべきだと言う。 …真由は一昨日(土曜日)の夜思い立って、両親に反対されそうだからと家を抜け出す。民宿に泊まって、登山道に登ったが苦しくなって引き返し、そして今朝もやはり失敗し、小川のほとりで休んでいたのだった。 そうまでして何故、と尋ねる亮太に真由は答える。 「わたし…亮太のお荷物になりたくない」 「亮太がわたしと薔子さんのあいだで苦しんでいる。 わたしが病気でさえなければ。ふたりで会うために薔子さんと亮太がわたしにうそまでついたのも、わたしが病気だからよ。」 そして、真由は自分の病が心に左右されやすいことに気づき、病気に負けないと自分に証明したい、薔子と対等な立場になりたいと。そして、真由は薔子にいじわるしたことを謝罪し、薔子も真由にうそをついたことを謝罪し、固く抱きしめ合う。 亮太はずっと背を向けていたが、真由の気持ちを理解し、登頂に同意。4人での登山が始まった。しかし、真由はやはり途中でしゃがみ込んでしまう。ところが、城之内も一緒になってしゃがみ込み、亮太と薔子のスポーツマンには自分たち ふつうのひと のペースも理解して欲しいと言う。薔子はとことん付き合うから、と真由にも視線を送る。真由は二人の優しさに心から感謝する。 苦しみながら、必死に登る真由を見て、薔子は真由を疑った自分の心の狭さを恥じ、こんなすてきな真由になら負けてもいいと感じる。 …ついに、山頂に到着する。固く抱きしめある亮太と真由。やがて、亮太は薔子に歩み寄り礼を言い、薔子もまたその意味に気が付き、二人は固い握手を交わす。薔子は涙を流して、真由を祝福した。そして亮太は真由をおぶって下山する。 真由は、自分はもう平気だから薔子さんがすきなら彼女のところへ行ってね、と伝えるが、亮太はさっきさよならを言った、真由がこの世でいちばん大切だと。真由は嬉しさで涙ぐむ。そして亮太は、陸上を再開することも伝えた。 「すてき!亮太がそう言ってくれるのを待っていたの」 一方、薔子はぽろぽろと涙をこぼしながら、生まれて初めてふられた!と城之内に言い、励ましの言葉を求める。城之内は彼女の長所を次々と挙げていく。 「いつも全速力で走ってるから、つきあうほうも大変さ」 「それでもつきあって走ってるんだから、城之内もこりないね」 二人の下山は、まだ始まったばかりである。 (終わり)
https://w.atwiki.jp/childreninfukushima/pages/244.html
(情報掲載日:2011-09-16) 第4次募集受付開始! 平成23年10月10日前後で出発! ●被災地から道内への避難のための交通費は北海道が負担 ※当団体で人数をまとめての移動が条件となります。 ●子どもたちの編入手続きを簡素化 ●家賃は平成25年3月末日まで無料 ●被災世帯への緊急小口資金貸付制度 ●手続き完了から入居までのサポート制度 ●道内企業による被災者雇用 ●家具、家電などマッチングサイト利用サポート ●被災地からの転院患者の受け入れなど治療継続サポート・・・他 北海道庁リーフレット~北海道が皆様のためにできること~ http //www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/sth/hisaisyanominasamahe.htm 窓口・お問い合わせ 特定非営利活動法人みんな地球の子どもじゃん! TEL:03-5389-0430 FAX 03-3366-5644 Mail minna@chikyuunokodomo.com 担当 木村まで NPO法人みんな地球の子どもじゃん!は「オペレーションコドモタチ」に参加しています。 避難を希望される方々を取りまとめ、北海道庁と連携、オペレーションコドモタチと協力し、 子どもたちの未来をつなげていくため各種サポートを行う特定非営利活動法人です。 北海道避難に関するQ&A集 対象となる地域はどこですか? 福島県全域になります。 どのようにして交通費が出るのですか? およそ10 名ほどのグループとし、一度の移動とすることで(福島~北海道)交通費支給を受けることが出来ます。 お問い合わせを頂いた方々を私たちが取りまとめてグループとしています。 ※ご自身で10 名集めて頂く必要はありません。※ご希望の日に行けるわけでは無いというデメリットもございます。 ※復路も同様、10名以上の団体で帰ることが条件となります。 家賃は無料ですか?また実費は何がかかりますか? 平成25 年3 月末日まで家賃は無料になります。途中半年ごとの更新がございます。 ご希望により最大上記までとなります。光熱費、共益費がかかります。(桜台共益費3150 円) 個人で行った場合どうなるのですか? 基本は北海道が行っている支援になりますので、交通費をご自身でご負担する場合は直接お問い合わせ 頂く事になります。その場合でも生活支援については同様の内容となります。すぐにでも避難をしたいと お考えの場合は、個人で避難された方が早い移動が可能です。 移動は何になりますか? 現在のところバス、フェリーでの移動となります。 どこに住む事になりますか? 札幌市の厚別区にあります「桜台雇用促進住宅」または札幌市手稲区の「宮の沢住宅」を予定しています。 ただし空き状況は変動しますのでその限りではありません。 状況により変動しますことをご理解ください。 住居の空き状況は? 当団体のみが窓口になっているわけではありませんので、随時変動する事をご了承ください。 桜台だけで言いますと、平成23 年9月2日現在で20部屋空きがあります。 ※雇用促進住宅借受申請書を提出して初めて、部屋の確保となります。 ※団体での避難の場合スケジュール調整に時間がかかるため上記申請書提出までの時間を要します。 家電セットはいつもらえるのですか?何にも用意しなくて住めますか? 家電セットは日本赤十字社から進呈されるものになります。現在のところ手続きに時間がかかっていまして 実際に移動されてから約一ヶ月の時間がかかっています。その他のサポート体制もありますが 現実的にはご自身である程度の必要家電はご用意頂く必要があります。 家財を送る費用は出ますか? 家財などの配送に関してはご自身でのご負担となります。 車を持って行けますか? 北海道で車を使用する事は可能です。運搬費用はご自身でのご負担となります。※車の運搬費は前払いとなります。 ペットを連れて行けますか? 雇用促進住宅入居、各種生活支援サポートを受ける場合はペットは不可となります。 北海道へ行ってからのサポートはありますか? 私たちの取りまとめで行く場合は連携の現地NPO法人がサポート致します。避難される際にお知らせします。 ※生活支援サポート、学校の編入手続き、雇用に関する件、医療関係・・・など一覧をお渡ししています。 どのように申し込みすればいいですか? ※只今10月10日前後で出発で取りまとめております。その後は現在は団体取りまとめは未定となります。 ※個人での(交通費自己負担)避難は可能です。 上記をよくお読みになり、避難を決意された場合 ・避難希望者の名前、生年月日 ・現住所(被災時の住所) ・連絡先番号、メールアドレス ・同居者氏名、続柄、生年月日 ・10月10日前後での移動に関して了承されましたか? ・家電などご自身で持って行くことに了承されましたか? ・申請書のやり取りの方法の記載 ※FAXがあればFAX番号 ※メールからプリントアウトが出来ればアドレス Mail minna@chikyuunokodomo.com ※郵送(極力FAX、プリントアウトが望ましいです。) をご記入の上メールにてお問い合わせ下さい。 ※お電話での申し込みは受け付けていませんので申し込みはメールにてお願いします。 ※携帯メールからお問い合わせをいただいた場合、携帯電話のメール受信設定で ”パソコンからのメールを受信する" に必ず設定をお願い致します。 こちらからの返信メールが届かないお問い合わせには対応する事が出来ませんので予め御了承下さい。 情報元リンク(PDF) http //www.befinetomorrow.com/press/kibounodaichi.pdf この情報に付けられたタグ 北海道・東北地方 子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク 旅費支援 福島県民限定 長期避難 雇用促進住宅