約 1,857,842 件
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/219.html
総括所見:スペイン(第2回・2002年) 第1回(1994年)/第3回・第4回(2010年)OPAC(2007年)/OPSC(2007年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.185(2002年6月13日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2002年6月4日に開かれた第798回および第799回会合(CRC/C/SR.798 and 799参照)において、1998年10月12日に提出されたスペインの第2回定期報告書(CRC/C/70/Add.9)を検討し、以下の総括所見を採択した(注)。 (注)2002年6月7日に開かれた第804回会合において。 A.序 2.委員会は、報告ガイドラインにしたがった締約国の第2回定期報告書の提出を歓迎するものの、事前質問事項(CRC/C/Q/SPA/2)に対する文書回答の提出が遅れたことは遺憾に思う。さらに委員会は、さまざまな省庁および部門を代表する大規模なかつ高位の代表団が締約国によって派遣されたこと、ならびに、議論の際に行なわれた提案および勧告に対して前向きな反応があったことを、歓迎する。 B.積極的側面 3.委員会は、委員会に提出された第1回報告書の審査(1994年)以降に締約国によって行なわれた大いなる進展および達成を歓迎する。委員会は、締約国が、子どもの権利の保護および促進を社会における一般的原則としたことに、評価の意とともに留意するものである。 4.委員会は、前回の勧告(CRC/C/15/Add.28(1994年10月24日)、パラ18)にしたがい、国内法が条約の規定にいっそう一致することを確保するために国および自治州のレベルで採択された新法を歓迎する。とくに委員会は、未成年者の法的保護に関する1月15日の組織法第1/1996号、民法および民事訴訟法の部分改正(未成年者保護法)、未成年者の刑事責任に関する1月12日の組織法第5/2000号、ならびに、性的不可侵性に対する犯罪(法律第11/1999号)および不当な取扱いの被害者の保護(法律第14/1999号)に関わる刑法改正に留意するものである。 5.委員会は、調整機構に関する前回の勧告(前掲パラ12)にしたがい、締約国が1999年に子どものための監視機関を設置したことに、満足感とともに留意する。委員会はさらに、いくつかの自治州が子どもについてとくに責任を負う機関またはサービスを設置し(とくに、アンダルシア州の子ども問題評議会、バレアレス諸島の子どもの権利擁護事務所、カスティーリャ=ラ・マンチャ州の州子どものケア調整委員会およびマドリード州の子ども家族機関)、かつ、子どもの権利のための自治体ネットワークが1996年に設置されたことに、留意するものである。 6.委員会は、国および自治州のレベルで実施されている子どものためのさまざまな社会プログラムおよび社会政策、社会サービスの提供および貧困根絶のためのプログラムおよび政策、特別な状況に置かれた家族を支援するためのプログラム、ならびに、前回の勧告(前掲パラ21)にしたがって策定された国家社会的包摂行動計画(2001年)および包括的家族支援計画(2001~2004年)に留意する。 7.委員会は、子どもに関連する問題を担当し、かつ苦情を受理する子どもできる、護民官(オンブズマン)補佐の職が設置されたことを歓迎する。委員会はさらに、子どもの権利侵害に対応するさまざまな独立機関が自治州レベルで設置されていることにも留意するものである。 8.前回の勧告(前掲パラ20)にしたがい、委員会は、法律第1/1996号に掲げられた国際養子縁組事案における保護措置が改善されたこと、および、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)が批准されたことを歓迎する。 9.委員会は、締約国が、前回の勧告(前掲パラ15)にしたがい、子どもの分野における開発途上国への援助を増額したことに満足感とともに留意し、かつ、とくに、2000~2001年の期間、スペインが国際児童労働撤廃計画(IPEC)への第3位拠出国であったことに留意するものである。 10.委員会は、スペインが欧州諸国では初めて子どもの権利条約の選択議定書を双方とも批准したことに、評価の意とともに留意する。委員会はさらに、スペインが最悪の形態の児童労働条約(1999年、第182号)を批准したことに留意するものである。 C.主要な懸念領域および勧告 1.実施に関する一般的措置 委員会の前回の勧告 11.委員会は、締約国の第1回報告書(CRC/C/8/Add.6)の検討後に委員会が行なった懸念表明および勧告の一部、とくにパラ12(調整)、18(立法)、22(子どもの庇護希望者および保護者のいない子ども)および23(すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約の批准)に掲げられたものへの対応が不十分であることを遺憾に思う。これらの懸念および勧告はこの文書においてあらためて繰り返されているところである。 12.委員会は、締約国に対し、第1回報告書に関する総括所見に掲げられた勧告のうち未実施のものに対応し、かつ第2回定期報告書に関するこの総括所見に掲げられた一連の懸念に対応するため、あらゆる努力を行なうよう促す。 立法 13.委員会は、子ども法の分野における今後の進展は、法的文書で宣明された権利の行使の真の保障の分野で見られなければならない(条約が実体法の一部であることをより明示的に承認すること、および、法的手続における条約の引用がさらに広がることを含む)という、締約国が表明した懸念(CRC/C/70/Add.9、パラ103)を共有する。 14.委員会は、締約国に対し、権利基盤アプローチを用いながら、かつ条約に一致する形で、法律を全面的に実施するよう奨励する。 調整および包括的戦略 15.委員会は、子どものための監視機関の活動等を通じて調整を向上させるために締約国が行なった努力は認めながらも、国および自治州の双方のレベルで統合的な行動を確保するために、子どもに関する部門横断型の政策を策定し、かつ調整を向上させる必要があるという、締約国が提起した懸念(前掲パラ128-129)を共有する。委員会はさらに、子どもに関する包括的政策が定められていないことにも、懸念とともに留意するものである。 16.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 前回勧告されたとおり(CRC/C/15/Add.28、パラ12)、子どもの〔権利の〕促進および保護のための政策の実施における、国、広域行政圏および地方のレベルの政府機関内およびこれらの政府機関間の効果的調整を強化すること。 (b) 条約の原則および規定に基づき、子どもに関する包括的政策を立案すること。 (c) 子どもに関する部門横断型の政策を策定しかつ執行すること。 子どものための資源 17.委員会は、均衡のとれた資源の再配分が中央、広域行政圏および地方のレベルにおいてまだ行なわれていないこと、ならびに、社会でもっとも周縁化された集団(とくに貧困家庭、ひとり親家庭、ロマの子どもおよび移民家族の子ども)に対し、すべての自治州が同一水準の社会政策および社会サービスを提供しているわけではないことに、懸念とともに留意する。委員会は、保護者のいない子どもの移民との関連でセウタおよびメリリャの両自治市に影響を与えている予算上の問題に、特段の懸念とともに留意するものである。 18.条約第4条に照らし、かつ前回の勧告(前掲パラ14)にしたがって、委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう奨励する。 (a) とくに保健、教育およびその他の社会福祉サービスの分野において、条約の規定の実施に関する全国的な最低基準および当該実施への資源配分を確立することにより、すべての子どもが、たとえばその居住地に関わらず同一の水準のサービスに平等にアクセスできることの保障が可能となる方法を検討すること。 (b) とくに社会でもっとも脆弱な立場に置かれた集団に属する子どもを対象として、子どもの経済的、社会的および文化的権利の全面的実施のために、利用可能な資源を最大限に用いて資金が配分されることを確保する目的で、子どもの権利に関わる問題についての優先的課題を明確に特定すること。 (c) 子どもに関する支出の影響および効果を評価する目的で、国、広域行政圏および地方のレベルで子どもに支出されている予算の額および割合を明らかにすること。 データ収集 19.委員会は、子どもの保護に関する基礎統計および子どもに関するデータベースの創設、ならびに、システムを自治州と調和させるために子どものための監視機関が行なっている努力は歓迎しながらも、各自治州でさまざまなシステムおよび指標が用いられていることもあって情報が断片化していることを、依然として懸念する。 20.前回の勧告(前掲パラ13)にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるべきである旨の勧告をあらためて繰り返す。 (a) もっとも脆弱な立場に置かれた集団(ロマの子ども、移民家族に属する子ども、保護者のいない子どもの移民ならびに経済的および社会的に不利な立場に置かれた世帯の子どもを含む)をとくに重視しながら、条約が対象とするすべての分野について、18歳未満のすべての子どもに関する細分化されたデータを体系的に収集しかつ分析する機構を強化すること。 (b) 条約の実施および監視を目的とする政策およびプログラムの立案および評価のために、これらの指標およびデータを効果的に活用すること。 普及 21.NGOおよびメディアの間で条約を普及するための努力には評価の意とともに留意しながらも、委員会は、とくに条約の法的義務に関する理解を向上させるため、子どもの権利に関する、子どもおよび公衆一般を対象とした教育ならびに専門家集団を対象とした研修活動に対して継続的注意を払う必要があると考える。 22.前回の勧告(前掲パラ16)にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるべきである旨の勧告をあらためて繰り返す。 (a) スペインで話されているさまざまな言語(移民の子どもの言語を含む)に翻訳された、とくに子どもを対象とする適切な資料を含め、子どもおよびより広範な公衆の双方に対して条約を普及するための努力を継続しかつ強化すること。 (b) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家集団(裁判官、弁護士、法執行官、公務員、教員、保健従事者およびソーシャルワーカーなど)を対象とした、条約の原則および規定に関する体系的な教育および研修プログラムを実施すること。 2.子どもの定義 23.委員会は、最低婚姻年齢が低い(裁判官の許可により14歳とされる場合もある)こと、および、さまざまな自治州で身分事項に関する最低年齢がまちまちであることに、懸念を表明する。 24.委員会は、締約国が、最低婚姻年齢を引き上げ、かつさまざまな自治州における身分事項関連の最低年齢を調和させる目的で、法律を見直すよう勧告する。 3.一般原則 一般原則 25.委員会は、差別の禁止、子どもの最善の利益、子どもの生命、生存および発達に対する権利ならびに子どもの意見の尊重の原則が、締約国の法律ならびに行政上および司法上の決定、ならびに、子どもに関連する国および地方双方のレベルの政策およびプログラムに、全面的には反映されていないことを懸念する。 26.委員会は、締約国が以下の措置をとるべきである旨の前回の勧告(前掲パラ11)をあらためて繰り返す。 (a) 条約の一般原則、とくに第2条、第3条、第6条および第12条を、子どもに関わるあらゆる関連の法律に適切な形で統合すること。 (b) 政治上、司法上および行政上のすべての決定、ならびに、すべての子どもに影響を及ぼす可能性があるプロジェクト、プログラムおよびサービスにおいて、これらの原則を適用すること。 (c) あらゆるレベルの計画および政策立案、ならびに、社会保健福祉機関、教育機関、裁判所および行政機関によるあらゆる行動において、これらの原則を適用すること。 差別の禁止 27.委員会は、差別の禁止の原則が、ロマ系の子ども、移住労働者の子ども(とくに合法的移民ではない場合)および保護者のいない外国籍の子どもを対象として、とくに十分な保健ケアおよび教育のための便益へのこれらの子どもによるアクセスとの関連で全面的には実施されていないことを、懸念する。 28.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 差別にさらされている子ども、とくに脆弱な立場に置かれた前掲の集団に属する子どもの状況を監視すること。 (b) このような監視の結果に基づき、あらゆる形態の差別の解消を目的とした、具体的かつ十分に的を絞った行動を掲げる包括的戦略を策定すること。 29.委員会は、2001年の「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画をフォローアップするために締約国がとった措置およびプログラムのうち子どもの権利条約に関わるものについての具体的情報を、条約第29条1項(教育の目的)に関する委員会の一般的意見1号も考慮に入れながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。 4.市民的権利および自由 体罰 30.前回の勧告(前掲パラ18)に照らし、委員会は、親は「その子に対して合理的にかつ適度に罰を与えることができる」と述べた民法第154条がまだ改正されていないことを深く遺憾に思う。委員会は、事前質問事項に対する締約国の回答で提供された、第154条を改正するための法律案が現在作成されている旨の情報を認知するものである。 31.委員会は、合理的懲戒への言及を削除するために第154条を改正するべきであるという前回の勧告をあらためて繰り返す。委員会はさらに、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 条約第19条に一致する形で、子どもの養育におけるあらゆる形態の暴力(体罰を含む)を禁止すること。 (b) 意識啓発キャンペーンを実施し、かつ家庭における代替的形態のしつけを促進すること。 5.家庭環境および代替的養護 家庭環境を奪われた子ども 32.委員会は、17の自治州で子どもの保護に関する異なる手続が定められていること、および、これらの手続が、とくに里親家庭に措置される子どもとの関連で、子どもの最善の利益と常に両立しているわけではないことに、懸念とともに留意する。委員会はさらに、法律に抵触していない子どもの保護を取り扱う家庭裁判所の数が不十分であること、および、司法手続への対応に時間がかかることに、留意するものである。 33.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どものための保護手続が最低限の共通の水準を有し、かつ子どもの最善の利益と両立することを確保すること。 (b) 家庭裁判所がその業務への対応をより迅速に行なえるよう、家庭裁判所にいっそうの人的資源および財源を提供すること。 家族再統合 34.委員会は、認定難民の家族再統合手続、とくに外務省による必要な査証および旅行証明書の発給手続に遅れが見られることに懸念を表明する。 35.条約第10条に照らし、かつ前回の勧告(前掲パラ22)にしたがって、委員会は、家族の再統合のための庇護の申請が積極的、人道的かつ迅速なやり方で扱われるべきである旨の勧告をあらためて繰り返す。 虐待およびネグレクト 36.委員会は、「社会的に困難な状況にある子どもの社会的ケア制度」が果たしている重要な役割を認知しながらも、ドメスティックバイオレンスが大規模に発生していること、ネグレクト、不当な取扱いおよび虐待の事案の発見および通報について標準化された手続が設けられていないこと、ならびに、被害者支援のためのサービスが限定されていることを、依然として懸念する。 37.条約第19条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) これらの慣行の規模および性質を評価する目的で、ドメスティックバイオレンス、子どもに対する暴力、不当な取り扱いおよび虐待(性的虐待を含む)についての研究を行なうとともに、子どもに対する身体的および精神的暴力ならびにネグレクトの発生件数を記録するために創設された統計システムを実施すること。 (b) 十分な措置および政策(公的キャンペーンを含む)を採択して効果的に実施し、かつ態度の変革を奨励すること。 (c) 被害を受けた子どもの保護(プライバシーに対する権利の保護を含む)を向上させる目的で、ドメスティックバイオレンスならびに子どもの不当な取り扱いおよび虐待(家庭における性的虐待を含む)の事案を、子どもに配慮した調査手続および司法手続において効果的に調査すること。 (d) 条約第39条にしたがい、子どもに対し、法的手続における支援サービス、ならびに、強姦、虐待、ネグレクト、不当な取り扱いおよび暴力の被害者の身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための支援サービスを提供するための措置をとること。 (e) 「家庭および学校における子どもへの暴力」(CRC/C/111参照)ならびに「子どもに対する国家の暴力」(CRC/C/100参照)に関する一般的討議の際に採択された委員会の勧告を考慮すること。 6.基礎保健および福祉 思春期の健康 38.委員会は、薬物(とくに合成薬物)、アルコールおよび喫煙に依存する子どもおよび青少年の人数が多いこと、ならびに、アルコールおよびタバコの消費が社会的に容認されており、リスクとして認知されていないことに、懸念とともに留意する。委員会はさらに、10代の妊娠件数が増えていることに懸念を表明するものである。 39.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 防止措置ならびに合成薬物、アルコールおよびタバコの危険性に関する意識啓発に焦点を当てながら、国家薬物計画(2002~2008年)および自治州レベルのプログラムのような現行プログラムを執行すること。 (b) とくに性教育(コンドームの使用のような受胎調節措置を含む)を通じて、10代の妊娠および性感染症を含む思春期の健康問題に対処するための措置をとること。 (c) 精神保健サービスおよびカウンセリングサービスを、これらのサービスが青少年にとってアクセスしやすく、かつ青少年に配慮したものであることを確保しながら強化すること。 有害な伝統的慣行 40.委員会は、サハラ以南のアフリカ出身の女子に対し、スペインで女性性器切除が行なわれているという報告があることに懸念を表明する。 41.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) スペイン在住の女子に対してスペインまたは国外で行なわれている女性性器切除の規模および性質についての研究を実施すること。 (b) この慣行を防止するため、当該研究の結果を考慮しながら情報提供および意識啓発のためのキャンペーンを組織すること。 (c) これを禁止するために必要な措置をとること。 7.教育、余暇および文化的活動 教育 42.委員会は、以下のことに懸念とともに留意する。 (a) ロマの子ども、移民家族に属する子どもまたは劣悪な社会経済的状況に置かれた地域で暮らす子どもの怠学率および学校中退率が高く、かつこのような子どもの学校への統合が困難であること。 (b) 移民家族に属する一部の子ども(とくに女子)が、義務教育を修了しておらず、または通学に多大な困難を抱えていること。 (c) 学校でいじめがやや広範に行なわれていること。 (d) テロリズムが子どもの発達に悪影響を及ぼしていること。 43.委員会はさらに、良質教育法が策定中であることに留意する。 44.条約第28条および第29条に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) とくにロマの子どもおよび移民家族に属する子どもとの関連で、学校への定期的出席ならびに怠学率および中退率の削減を確保すること。 (b) 「家庭および学校における子どもへの暴力」についての一般的討議の際に採択された委員会の勧告に照らし、学校におけるイジメその他の形態の暴力を防止するための措置をとること。 (c) 教育過程において平和および寛容の文化が促進され、かつテロリズムが子どもの身体的および心理的ウェルビーイングに与える悪影響への対処が行なわれることを確保すること。 (d) 良質教育法の策定に際し、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号を考慮すること。 8.特別な保護措置 保護者のいない外国籍の子ども 45.委員会は、とくにセウタおよびメリリャの両自治市における、保護者のいない外国籍の子ども(ほとんどはモロッコ人)の状況について深い危惧を覚える。とくに委員会は、以下のような報告があることに懸念を表明するものである。 (a) 出身国への強制送還の際、警察による子どもの不当な取扱いが行なわれており、かつ、子どもが法的援助および通訳にアクセスできないまま送還される場合があること。 (b) 法定後見人である社会福祉局が申請を行なわないため、これらの子どもに対し、法律で権利が認められている合法的な一時滞在資格が与えられていないこと。 (c) 入所センターが過密であり、かつその環境が良好ではないこと、ならびに、入所センターの職員および他の子どもによる不当な取扱いの事案が生じていること。 (d) 法律で保障されているのに、保健ケアおよび教育へのアクセスが否定されていること。 (e) 子どもが出身国の家族または社会福祉機関に実質的に戻されることを確保しないまま、子どもの即決追放が行なわれていること。 46.委員会は、締約国が、以下のことのために必要な措置を緊急にとるよう勧告する。 (a) 保護者のいない外国籍の子どもに入所型ケア、教育、緊急サービスその他の保健ケアおよび一時在留許可証を与えることにより、組織法第4/2000号その他の法律の実施を確保すること。 (b) セウタおよびメリリャの両自治市に対し、これらの子どものケアのために必要な財源および人的資源を提供すること。 (c) 子どもがスペインからモロッコに送還される場合、その子どもの養育に積極的な家族構成員または適切な社会サービス機関に戻されることを確保するため、モロッコ政府との調整を図ること。 (d) 保護者のいない外国籍の子どもの追放における不正規な手続を防止するためにあらゆる措置をとること。 (e) これらの子どもの不当な取扱いが報告された事案を効果的やり方で調査すること。 (f) 保護者のいない外国籍の子どもに対し、スペイン法および国際法上の権利(庇護を申請する権利も含む)についての情報を提供すること。 (g) 入所センターの環境および安全を向上させるためにあらゆる必要な措置をとり、かつ入所センター職員に対して十分な研修を実施すること。 (h) ケアを受けている子どもからの苦情を受理しおよびこれに対応し、ケアの水準を監視し、ならびに条約第25条に照らして措置の定期的再審査を確立するための効果的機構を設置すること。 (i) 前回勧告されたとおり(前掲パラ23)、すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約の批准を検討すること。 経済的搾取 47.委員会は、とくに家族事業および農業部門における児童労働の報告があることならびにこの問題に関する情報が欠けていることに、懸念を表明する。 48.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) スペインにおける児童労働、とくに家族事業および農業部門における児童労働の性質および規模を評価するため、「スペインにおけるさまざまな態様の少年の搾取に関する診断」について社会労働・社会問題省およびユニセフ・スペイン国内委員会が実施したもののような研究を行なうこと。 (b) これらの研究の結果に基づき、児童労働の防止および解消を目的とする具体的なかつ十分に的を絞った措置を掲げた、包括的な戦略を策定すること。 (c) 意識啓発活動および原因となる要因の発見を通じた、児童労働の防止および解消を目的とするプログラムを引き続き実施すること。 性的搾取 49.委員会は、大都市郊外および行楽地において、社会の外縁で生活している脆弱な立場に置かれた子どもを巻きこんだ児童買春が行なわれているという報告があることに懸念を表明する。 50.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) たとえ子どもが金銭もしくは脅迫による圧力のもとでまたはいわゆる「自由意思」によりそのような行為に同意した場合であっても、18歳未満のすべての者をあらゆる形態の性的搾取から保護すること。 (b) 性的虐待、売買春および児童ポルノからの保護のためのキャンペーンを組織すること。 (c) 子どもの商業的性的搾取に反対する国家行動計画(2002~2003年)を実施すること。 マイノリティ集団に属する子ども 51.「ジプシー住民のケア、排除の防止および統合に関する包括的な社会的介入」のためのプロジェクトおよび「ジプシー開発計画」のような、ロマの具体的ニーズに焦点を絞った締約国の政策には留意しながらも、委員会は、ロマの子どもが困難な社会的状況に置かれており、かつこれらの子どもによる教育制度へのアクセスが不十分であることを、依然として懸念する。 52.委員会は、締約国に対し、以下の措置をとるよう強く促す。 (a) ロマの子どもの状況に特段の注意を向けながら、マイノリティ集団のすべての子どもの権利の保障に関わる現行の法律および政策を改善し、かついっそう効果的に実施するための措置をとること。 (b) これらの政策の起案および実施に際し、マイノリティ出身者(子どもを含む)の参加を引き続き確保すること。 少年司法の運営 53.委員会は、未成年者の刑事責任に関する1月12日の組織法第5/2000号の採択およびその教育的性格を歓迎するものの、その効果的実施のためには追加的な人的資源および財源が必要であることに留意する。委員会はさらに、テロリズムに関する組織法第7/2000号により、テロリズムの罪に問われた子どもの警察留置期間および収監刑期(最長10年)が延長されたことに、懸念とともに留意するものである。委員会はまた、自由の剥奪が最後の手段として用いられているわけではないこと、および、拘禁センターが過密状態である場合があることにも、懸念を表明する。 54.第37条および第40条ならびに他の関連の国際基準に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 組織法第5/2000号の全面的実施を確保するため、十分な人的資源および財源を配分すること。 (b) テロリズムの罪に問われた子どもの警察留置期間を同法の規定にあわせて調整するとともに、テロリズムの罪に問われた子どもの収監刑期を見直すこと。 (c) 少年司法の運営に責任を負う者を対象として、新たな少年司法制度に関する研修を実施すること。 (d) 自由の剥奪に代わる措置の利用を奨励すること。 9.文書の普及 55.最後に、委員会は、条約第44条6項に照らし、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答を広く公衆一般が入手できるようにするとともに、関連の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに報告書を刊行することを検討するよう、勧告する。このような文書は、政府、議会および一般公衆(関心のある非政府組織を含む)の間で条約ならびにその実施および監視に関する議論および意識を喚起するため、広く配布されるべきである。 10.報告書の定期的提出 56.委員会が採択し、かつ第29会期の報告書(CRC/C/114)に掲載した報告の定期性に関する勧告に照らし、委員会は、条約第44条の規定を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調する。条約に基づいて締約国が子どもに対して負う責任の重要な側面のひとつは、委員会が条約の実施における進展を審査する定期的機会を持てるようにすることである。これとの関連で、締約国が定期的にかつ時宜を得た報告を行なうことはきわめて重要である。委員会は、例外的措置として、締約国が条約を全面的に遵守してその報告義務の履行の遅れを取り戻すことを援助するため、締約国に対し、第3回および第4回の報告書を、単一の統合報告書として、第4回報告書の提出期限である2008年1月4日までに提出するよう慫慂する。委員会は、締約国に対し、その後は条約で予定されているとおり5年ごとに報告を行なうよう期待するものである。 更新履歴:ページ作成(2012年11月26日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/259.html
国連・子どもの権利委員会 定期報告書ガイドライン(改訂第3版)付属文書 CRC 定期報告書ガイドライン(第3版) 子どもの権利に関する条約第44条第1項(b)に基づいて締約国が提出する定期報告書への統計情報およびデータの記載に関する指針 I.序 1.締約国は、定期報告書の作成にあたり、形式および内容に関する条約別指針にしたがうとともに、この付属文書で説明されているとおり、年齢または年齢層、性別、所在地(農村部または都市部)、マイノリティ集団もしくは先住民族集団、民族、宗教、障害または適切と考えられる他のカテゴリーごとに細分化された統計的情報およびデータを適宜記載するよう求められる。 2.締約国が提供する統計的情報および細分化されたデータは、前回の報告書が検討されて以降の期間を対象としたものであるべきである。報告対象期間中の推移を示す表の掲載が推奨されるところであり、また報告対象期間に生じた重要な変化についても説明またはコメントを行うことが求められる。 II.報告書で提供されるべき統計的情報 A.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条第6項) 3.締約国は、報告対象期間中の支出総額と関連させながら、社会サービスのための資源配分に関する情報を提供するよう求められる。 (a) 家族手当および/または子ども手当、条件付現金給付制度 (b) 保健サービス(とくにプライマリーヘルスサービス) (c) 乳幼児期の発達(ケアおよび教育) (d) 教育(初等・中等教育)、職業教育および職業訓練、特別教育 (e) 子どもの保護のための措置(暴力、児童労働および性的搾取の防止ならびにリハビリテーションのためのプログラムを含む) 4.締約国は、子どもとともにおよび子どものために活動する専門家を対象として実施された、条約に関する研修についての統計データを提供するよう求められる。これには次の専門家が含まれるが、これに限るものではない。 (a) 司法職員(裁判官を含む) (b) 法執行官 (c) 教職員 (d) 保健従事者 (e) ソーシャルワーカー B.子どもの定義(第1条) 5.締約国は、締約国に住んでいる18歳未満の子どもの人数および割合に関する、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータ、ならびに、婚姻している子どもの人数に関する、年齢その他の関連の基準(都市部/農村部、民族、マイノリティ集団または先住民族集団)によって細分化されたデータを提供するよう求められる。 C.一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条) 1.生命、生存および発達に対する権利(第6条) 5.締約国は、次の原因による18歳未満の者の死亡について、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう勧告される。 (a) 非司法的処刑、略式処刑または恣意的処刑 (b) 死刑 (c) HIV/AIDS、マラリア、結核、ポリオ、肝炎および急性呼吸器感染症を含む疾病 (d) 交通事故その他の事故 (e) 犯罪その他の形態の暴力 (f) 自殺 2.子どもの意見の尊重(第12条) 7.締約国は、次の点に関するデータを提供するよう求められる。 (a) 子ども団体および若者団体の数ならびにこれらの団体が代表している構成員の人数 (b) 独立の生徒評議会を設けている学校数 (c) 司法上および行政上の手続で意見を聴取された子どもの人数(その年齢に関する情報を含む) D.市民的権利および自由(第7条、第8条および第13~17条) 1.出生登録(第7条) 8.締約国は、出生後に登録された子どもの人数および割合ならびに登録時期に関する情報を提供するよう求められる。 2.適切な情報へのアクセス(第17条) 9.締約国は、子どもがアクセスできる図書館(移動図書館を含む)の数および情報テクノロジー設備がある学校の数についての統計を提供するよう求められる。 E.子どもに対する暴力(第19条、第24条第3項、第28条第2項、第24条、第34条および第37条(a)) 1.虐待およびネグレクト(第19条)(身体的および心理的回復ならびに社会的再統合(第39条)を含む) 10.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 親その他の親族/養育者による虐待および/またはネグレクトの被害者として報告された子どもの人数および割合 (b) 報告された事案のうち、加害者に対する制裁その他の形態のフォローアップが行なわれたものの件数および割合 (c) 回復および社会的再統合に関する特別なケアを受けた子どもの人数および割合 2.拷問または他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いもしくは処罰を受けない権利(第37条(a)および第28条第2項) 11.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりにおよび侵害の態様別に細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 拷問被害者として報告された子どもの人数 (b) 他の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いまたはその他の形態の処罰(強制婚および女性性器切除を含む)の被害者として報告された子どもの人数 (c) あらゆる場面(保育施設、学校、家庭、里親ホーム、施設および子どもにサービスを提供するその他の場所)における体罰の発生件数ならびに集団的いやがらせおよびいじめの発生件数 (d) 前掲(a)、(b)および(c)として報告された侵害のうち、裁判所による決定またはその他の態様のフォローアップのいずれかが行なわれたものの件数および割合 (e) 回復および社会的再統合に関する特別なケアを受けた子どもの人数および割合 (f) 施設内暴力の防止のために実施されているプログラムの数およびこの問題に関して施設職員を対象として実施された研修の量 F.家庭環境および代替的養護(第5条、第9条~11条、第18条第1項および第2項、第20条、第21条、第25条ならびに第27条第4項) 1.家族の支援(第5条ならびに第18条第1項および第2項) 12.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 親および法定保護者が子どもの養育責任を果たすにあたって適切な援助を与えることを目的としたサービスおよびプログラムの数、ならびに、これらのサービスおよびプログラムから利益を得ている子どもおよび家族の数および割合 (b) 利用可能な保育サービスおよび保育施設の数ならびにこれらのサービスにアクセスできている子どもおよび家族の割合 2.親のケアを受けていない子ども(第9条第1~4項、第21条および第25条) 13.親から分離された子どもとの関連で、締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 原因別(たとえば武力紛争、貧困、差別の結果としての遺棄等)に細分化された、親のケアを受けていない子どもの人数 (b) 裁判所による決定(とくに親による虐待もしくはネグレクトの状況、拘禁、収監、労働目的の移住、国外追放または退去強制に関わるもの)の結果として親から分離された子どもの人数 (c) これらの子どものための施設の数(地域別)、これらの施設の定員、子ども対養育者の比率および里親ホームの数 (d) 親から分離された子どものうち施設または里親ホームで暮らしている者の人数および割合、ならびに、措置期間および措置の再審査の頻度 (e) 措置後に親と再統合した子どもの人数および割合 (f) 国内養子縁組、国際養子縁組またはカファラ的養子縁組のプログラムの対象とされた子どもの人数(年齢別)、ならびに、関連する場合には対象となった子どもの出身国および縁組先の国に関する情報 3.家族再統合(第10条) 14.締約国は、家族再統合の目的で入国しまたは出国した子どもの人数(難民および庇護希望者であって保護者のいない子どもの人数を含む)について、ジェンダー、年齢ならびに国民的および民族的出身ごとに細分化されたデータを提供するよう求められる。 4.不法移送および不返還(第11条) 15.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりにならびに国民的出身、居住地および家族の地位ごとに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 締約国から奪取された子どもおよび締約国に奪取されてきた子どもの人数 (b) 逮捕された加害者の人数およびそのうち(刑事)裁判所による制裁を受けた者の割合 5.親が収監された子ども 16.締約国は、親が収監された子どもおよび母親とともに刑務所で生活している子どもの人数ならびにこれらの子どもの平均年齢に関する情報を提供するよう求められる。 G.障害、基礎保健および福祉(第6条、第18条第3項、第23条、第24条、第26条、第27条第1~3項および第33条) 1.障害のある子ども(第23条) 17.締約国は、次の状況にある障害児の人数および割合を、前掲パラ1で述べたとおりにおよび障害の性質ごとに細分化された形で明らかにするよう求められる。 (a) 親が特別な物質的、心理社会的その他の援助を受けている障害児 (b) 施設(精神障害のある子どものための施設を含む)において、または里親ケアなど家庭外で生活している障害児 (c) 普通学校に通っている障害児 (d) 特別学校に通っている障害児 (e) 学校またはこれに類する施設に通っていない障害児 2.健康および保健サービス(第24条) 18.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 乳児死亡率および5歳未満児死亡率 (b) 低体重出生児の割合 (c) 中度および重度の低体重、消耗および発育不全の状態にある子どもの割合 (d) 自殺を原因とする子どもの死亡率 (e) 衛生設備にアクセスできない世帯および安全な飲料水にアクセスできない世帯の割合 (f) 結核、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオおよびはしかの予防接種を完全に受けた1歳児の割合 (g) 妊産婦死亡率(主要な死因を含む) (h) 産前産後の保健ケアにアクセスし、かつその利益を享受している妊産婦の割合 (i) 病院で出生した子どもの割合 (j) 病院におけるケアおよび分娩の訓練を受けた要因の割合 (k) 完全母乳育児を実践している母親の割合およびその母乳育児期間 19.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) HIV/AIDSに感染した子どもおよびHIV/AIDSの影響を受けている子どもの人数/割合 (b) これらの子どものうち治療、カウンセリング、ケアおよび支援を含む援助を受けている者の人数/割合 (c) これらの子どものうち親族とともに暮らしている者、里親ケアを受けている者、施設で生活している者または路上で暮らしている者の人数/割合 (d) HIV/AIDSのため子どもが筆頭者となっている世帯の数 20.締約国は、思春期の健康に関連して次の点に関するデータを提供するよう求められる。 (a) 若年妊娠、性感染症、精神保健上の問題、薬物濫用およびアルコール濫用の影響を受けている思春期の子どもの、前掲パラ1で述べたとおりに細分化された人数 (b) 思春期の健康上の問題の予防および治療を目的としたプログラムおよびサービスの数 3.薬物および有害物質の濫用(第33条) 21.締約国は、薬物および有害物質の濫用の被害者である子どもの人数ならびに利用可能な援助プログラムの数に関する情報を提供するよう求められる。 H.教育、余暇および文化的活動(第28条~31条) 22.締約国は、次の点との関連で、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 子どもおよび成人の識字率 (b) 初等学校および中等学校ならびに職業訓練センターへの総・純就学率および総・純出席率 (c) 初等学校および中等学校ならびに職業訓練センターにおける在籍継続率、修了率および移行率ならびに中退者の割合 (d) 教員1人あたり児童生徒数の平均(相当の地域格差または農村部/都市部の格差がある場合にはそれも明らかにすること)および訓練を受けた教員の割合 (e) 国が資金を拠出している、自分自身の言語による教育を受けている先住民族およびマイノリティの子どもの人数 (f) ノンフォーマル教育制度で教育を受けている子どもの割合 (g) 就学前教育施設およびその他の乳幼児期発達教育施設に通っている子どもの割合 (h) 放課後プログラムに参加している子どもの人数/割合 (i) コミュニティにある公共の遊び場の数(農村部か都市部かを明示すること) (j) 組織化された余暇、スポーツ、文化および芸術の活動に参加する子どもの人数/割合(当該活動が農村部または都市部のどちらで行なわれているかを明示すること) I.特別な保護措置(第22条、第30条、第32条、第33条、第35条、第36条、第37条(b)~(d)および第38条~40条) 1.出身国外にあって難民としての保護を求めている子ども(第22条)および国内避難民である子ども 23.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりにならびに出身国別、国籍別および保護者の有無別に細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 国内避難民である子ども、庇護希望者である子どもおよび難民である子どもの人数 (b) それらの子どものうち初等学校および中等学校ならびに職業訓練センターに通っている者ならびに保健サービスその他のサービスにアクセスできている者の人数および割合 (c) 資格認定手続の最中または終了後に失踪した子どもの人数 2.児童労働を含む経済的搾取(第32条) 24.特別な保護措置について、締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化された統計データを提供するよう求められる。 (a) 法律で定められた最低就労年齢に達しない子どものうち、国際労働機関の最低年齢条約(1973年、第138号)および最悪の形態の児童労働条約(1999年、第182号)が定める児童労働に従事する者の、就労態様ごとに細分化された人数および割合 (b) それらの子どものうち回復および再統合のための援助(無償の基礎教育および/または職業訓練を含む)にアクセスできている者の人数および割合 (c) 路上の状況にある子どもの人数 3.性的搾取、性的虐待および人身取引(第34条および第35条) 25.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりにおよび侵害の態様別に細分化された統計データを提供するよう求められる。 (a) 性的搾取(買春、ポルノおよび人身取引を含む)に関与した子どもの人数 (b) それらの子どものうちリハビリテーション・プログラムにアクセスできるようにされた子どもの人数 (c) 報告対象期間中に報告された、子どもの性的搾取、性的虐待および売買、子どもの誘拐ならびに子どもに対する暴力の件数 (d) それらの事件のうち制裁が科されるに至ったものの件数および割合(加害者の出身国および科された処罰の性質に関する情報を添えること) (e) その他の目的(労働を含む)による人身取引の対象とされた子どもの人数 (f) 子どもの人身取引を防止し、かつその尊厳の尊重を確保するための研修を受けた国境管理官および法執行官の人数 4.法に抵触した子どもおよび少年司法の運営(第40条) 26.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータ(犯罪態様別の細分化を含む)を提供するよう求められる。 (a) 法に抵触した疑いがあることを理由に警察に逮捕された18歳未満の者の人数 (b) 法的その他の援助が提供された事案の割合 (c) 次の対応をとられた18歳未満の者の人数および割合(i) ダイバージョン・プログラムに移送された者 (ii) 裁判所により有罪と認定され、かつ刑の執行猶予または自由の剥奪以外の刑罰を言い渡された者 (iii) 修復的アプローチに基づく代替的制裁を受けた者 (iv) 保護観察(プロベーション)プログラムに参加した者 (d) 再犯率 5.自由を奪われた子ども(いずれかの形態の拘禁、収監または収容場所への措置を含む)(第37条(b)~(d)) 27.締約国は、次の点との関連で、法に抵触した子どもに関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータ(社会的地位、出身および犯罪態様別の細分化を含む)を提供するよう求められる。 (a) 罪を犯したとして警察に通報された後、警察署での留置または未決拘禁の対象とされた18歳未満の者の人数およびその平均拘禁期間 (b) 刑法に違反したとして申立てられ、罪を問われ、または認定された18歳未満の者をとくに対象とする施設の数 (c) それらの施設に収容されている18歳未満の者の人数および平均収容期間 (d) 成人から分離されない施設に拘禁されている18歳未満の者の人数 (e) 裁判所によって有罪と認定され、かつ拘禁刑を言い渡された18歳未満の者の人数および割合ならびにその平均拘禁期間 (f) 逮捕および拘禁/収監中に生じた18歳未満の者の虐待および不当な取扱いの報告件数 6.武力紛争下の子ども(第38条)(身体的および心理的回復ならびに社会的再統合(第39条)を含む) 28.締約国は、次の点に関して、前掲パラ1で述べたとおりに細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 軍隊に徴募されまたは自発的に入隊した18歳未満の者の人数および割合、ならびに、そのうち敵対行為に参加している者の割合 (b) 武装集団または軍隊から動員解除され、かつコミュニティに再統合された子どもの人数および割合(これらの子どものうち学校に復帰した者および家族と再統合した者の割合を含む) (c) 武力紛争による子どもの死傷者の人数および割合 (d) 人道援助を受けている子どもの人数 (e) 武力紛争への関与後に身体的および心理的回復のための援助を受けている子どもの人数 7.子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書 29.子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書の締約国は、次の点に関して、性別、年齢、民族的集団および居住地(都市部または農村部)別に細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 子どもの売買、児童買春、児童ポルノおよび児童セックスツーリズムの報告件数 (b) それらの事案のうち捜査が行なわれ、起訴されかつ制裁が科されたものの件数 (c) 被害を受けた子どものうち選択議定書第9条第3項および第4項にしたがって回復のための援助または被害賠償を提供された者の人数 8.武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書 30.武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書の締約国は、次の点に関して、性別、年齢および民族的集団別に細分化されたデータを提供するよう求められる。 (a) 軍の学校に通っている生徒の人数および入学が認められる最低年齢 (b) 子どもが徴募されまたは敵対行為で使用された可能性のある地域から締約国に入国した、子どもの庇護希望者および難民の人数 (c) 身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のための措置から利益を得ている子どもの人数 更新履歴:ページ作成(2015年4月25日)。
https://w.atwiki.jp/takurunchu/pages/62.html
子どものいた家 シナリオ作者:にわぜき ■トレーラー 声が聞こえた。 ――おねがい、思い出して。 気がつくと、あなたは狭い部屋にいた。 子供部屋のようだ。 あなたは何も憶えていない。 ここがどこなのかも。 どうしてここにいるのかも。 ダブルクロス The 3rd Edition 『子どものいた家』 ――ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉。 ■ハンドアウト カヴァー/ワークス:指定なし/指定なし あなたは固定ロイスを持っていない。 シナリオロイス:自分自身 推奨感情:尽力/恐怖 あなたは何も憶えていない。 ここがどこなのかも。 どうしてここにいるのかも。 どうやら、ここ5年ぶんくらいの記憶がぽっかり抜けているようだ。 ■概要 マルチバッド(ビター)エンドのソロ短編シナリオ 所要時間:1時間~2時間程度 PC:1人(2人でも一応可能。要相談) 継続PC不可 作っただけで放置しているキャラシをとりあえず使いたい、 エフェクト構成の試運転をしてみたい、 普段使えないような高侵蝕エフェクトを試してみたい、 軽率にバッドエンドになりたい、ロストしてみたい、 しこたま判定ダイス振りたい、 などという人向けのシナリオだと思います。 ■ お気軽にどうぞ。 にわぜきのdiscordにて。 卓履歴 日付 GM PC番号 プレイヤー キャラクター 2021/01/16 にわぜき PC1 ゆうひ 潮
https://w.atwiki.jp/saimooondesu/pages/22.html
福山雅〇治の子どもが実況プレイ タグ一覧 その他 企画 単発 完結 鈴木けんぞう おんぎゃあ、おんぎゃあ、ばぶー。 目次 概要 概要 生放送配信日 - 動画公開日 2016/11/12 作品数 1 動画リンク https //www.youtube.com/watch?v=IQVXazsi0z8 福山雅治と結婚をした吹石一恵の妊娠を祝して作成されたと思われる実況動画。(動画概要欄より) 福山雅治の子どもの声真似をしながらスーパーマリオブラザーズをプレイするという内容。 "子ども"としているため話す言葉は「おんぎゃあ」、「ばぶー」、「はーい」等であるが、声は福山雅治の真似である。 福山雅治の声真似の鉄板である「あんちゃん」も披露している。 BGMとして自分で歌った「家族になろうよ」を流している。 何に対してか明言していないが、動画の最後に「すみませんでした」と謝罪している。 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/119.html
総括所見:スウェーデン(第1回・1993年) 第2回(1999年)/第3回(2005年)/第4回(2009年)/第5回(2015年)OPAC(2007年)/OPSC(2011年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/3/Add.1(1993年2月18日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、1993年1月18日および19日に開かれた第56回、第57回および第58回会合((CRC/C/SR.56 to 58)においてスウェーデンの第1回報告書(CRC/C/3/Add.1)を検討し、以下の総括所見を採択した(注)。 (注)1993年1月28日に開かれた第73回会合において。 A.序 2.委員会は、スウェーデンが条約の迅速な批准のために必要な措置をとり、かつ、その報告義務を果たす最初の国となったことに、満足感とともに留意する。その報告書はきわめて包括的であり、かつ、委員会のガイドラインに忠実にしたがったものとなっている。ただし、傷つきやすい立場に置かれたグループ、とくに先住民の子どもおよび主要都市部において遺棄された子どもも含むマイノリティの子どもの状況についてはさらに情報が必要である。 3.委員会は、スウェーデンの報告書の説明を委員会で行なうために派遣された代表団によって追加情報が提供されたことに謝意を表明する。この点に関して、高級レベルの代表団が出席したことにより、委員会と、条約の実施を直接担当する省庁の職員との間で建設的対話を行なうことが可能となった。 B.積極的な側面 4.委員会は、条約を実施し、条約についての情報を普及し、かつ、スウェーデンの子どもの状況をさらに向上させるための手段を模索することに対して積極的なアプローチをとる必要があることを、政府が認識していることを歓迎する。この点に関して、委員会は、子どもの権利の保護のための法的枠組みを条約の要求と調和させるために法律が制定されかつ行政上の措置が提案されていることに、満足感とともに留意するものである。関連の立法は、条約の規定およびその実施の指針となる一般原則をおおむね反映している。特筆に値するのは、とくに条約の広報および公衆一般の意識の促進に関して、政府が非政府組織と対話を行なう精神を有していることである。 5.委員会は、世界中の子どもの状況を改善させることに対し、スウェーデン政府およびスウェーデンの非政府組織が重要な貢献を行なっていることに評価の意を表明する。締約国が、子どもに直接の利益となる国際的な協力および援助を通じて子どもの権利を促進する点に関して卓越した姿勢を示していることは条約第4条の精神にしたがうものであり、かつ他の締約国にとって有益な指針となりうるものである。 6.委員会は、スウェーデンの権限ある機関が、すべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約を批准する可能性を検討していることに留意する。 C.主要な懸念事項 7.委員会は、法律が、条約第2条に掲げられたさまざまな形態の差別すべてに対して保護を提供していないという事実に留意する。その結果、子どもまたはその親もしくは法定保護者の言語、宗教、政治的その他の意見、社会的出身、財産、障害、出生その他の地位に基づく差別を法律が禁止しているかどうかが不明瞭である。 8.委員会は、子どもの定義に関する法律が明瞭さを欠いておりかつ矛盾があるように思えることに懸念を表明する。委員会は、スウェーデンにおいては18歳未満の者は完全な法的能力を享受していないにも関わらず、そのような者を軍務に就かせることは認められており、かつ、15歳以上の者の国防市民軍への入隊も可能であることに留意する。委員会はまた、性的成熟年齢が固定されておらず、そのためポルノグラフィー的題材における使用から生じうる搾取からの子どもの保護が脅かされていることに懸念を表明するものである。 9.委員会は、政府が、身柄を拘束されている子どもの成人からの分離を確保していないことに懸念する。委員会はまた、外国人法に基づいて外国人の子どもの身柄を拘束する慣行を懸念し、かつ、スウェーデン人の子どもは一般に18歳になるまで身柄を拘束できない以上この慣行が差別的であることに留意するものである。同様に、近親姦を含む性的搾取の被害を受けた子どもに関する情報が存在しない模様である。 D.提案および勧告 10.実施に関する一般的措置に関して、委員会は、子どもの権利を保護するための法的その他の措置の実施において達成された進展を測定するための監視機構および指標を設けることに、注意深い関心を向けるよう勧告する。委員会は、条約の実施が、効果的でありかつ条約の規定および一般原則に一致したアプローチを確保するために、地方の公的機関との緊密な協力に基づいて行なわれるべきであることを強調する。これとの関連で、政府は、自治体によって実行されている支出削減が子ども、とくにもっとも傷つきやすい立場に置かれたグループの子どもの最善の利益を正当に考慮しながら行なわれることを確保するべきである。条約の効果的実施をいっそう進めるため、委員会は、締約国が、政策決定段階において非政府組織とより緊密な調整を行なうことを検討すること、条約の規定を国内法に直接編入すること、および、とくに障害児および特別な保護を必要とする子どものような傷つきやすい立場に置かれたグループの利益になる国際的な協力および援助をいっそう強化することを、提案する。 11.子どもの定義に関して、委員会は、締約国が、より首尾一貫した、かつ条約の一般原則および規定をより忠実に反映したアプローチを検討するよう勧告する。条約第38条の精神を認識し、現時点では18歳未満の子どもを軍隊に徴用する可能性が認められている法律の乖離を埋めるための措置がとられてもよい。委員会は、政府が、ポルノグラフィー的題材における子どもの搾取に関する現行規定の効果を再評価するよう提案する。さらに、政府は家庭における性的虐待の問題を見過ごすべきではない。政府は、7歳以上の子どもが親の同意なしに法律または医療に関する相談を受けることを認めることが望ましいかどうかについても再評価することができよう。 12.法に抵触した子どもに関して、委員会は、子どもの最善の利益および施設措置に代わる措置を考慮にいれ、身柄を拘束された子どもが成人から分離されることを確保するためにさらなる検討を行なうよう提案する。これとの関連で、締約国は、少年警察連絡体制が設置されている国の状況を研究することもできよう。委員会はまた、外国人法に基づく子どもの拘禁に代わる措置を提供すること、および法に抵触した子どもに公選弁護士を任命することを検討するようにも提案するものである。 13.委員会はまた、スウェーデンの養親家族に措置された外国人の子どもの状況をより緊密に監視するための措置をとるよう勧告する。委員会は、外国人の子どもその他の傷つきやすい立場に置かれたグループの状況を監視することの重要性を強調し、かつ、この目的のため、締約国の次回の報告書には、HIV感染およびエイズの発生件数も含む、こうしたグループに関するより完全な統計的その他の指標を記載するよう要請するものである。締約国は、他の国際人権文書を批准することが子どもの権利の促進によい影響を与えることを認識し、人身売買および他人の売春からの搾取の禁止に関する条約の批准を検討してもよい。 更新履歴:ページ作成(2011年12月7日)。
https://w.atwiki.jp/pipopipo777/pages/151.html
毎日:がれきの街の子どもたち:パレスチナ・ガザ2009 がれきの街の子どもたち:パレスチナ・ガザ2009:その1 がれきの街の子どもたち:パレスチナ・ガザ2009:2「白リン弾」続く苦しみ がれきの街の子どもたち:パレスチナ・ガザ2009/3 密輸トンネル掘る日々 がれきの街の子どもたち:パレスチナ・ガザ2009/4 癒やされぬ心の傷 がれきの街の子どもたち:パレスチナ・ガザ2009/5止 母「ここで産ませて」 トップページ
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/276.html
総括所見:フランス(第5回・2016年) 第1回(1994年)/第2回(2004年)/第3回・第4回(2009年)OPAC(2007年)/OPSC(2007年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) とくにパラ75~76との関連で、国連のプレスリリース "Calais camp French and UK Governments fell well short of their child rights obligations – UN experts"(2016年11月2日付)も参照。 CRC/C/FRA/CO/5(2016年2月23日)/第71会期 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 I.序 1.委員会は、2016年1月13日および14日に開かれた第2063回および第2065回会合(CRC/C/SR.2063 and 2065参照)においてフランスの第5回定期報告書(CRC/C/FRA/5)を検討し、2016年1月19日に開かれた第2104回会合(CRC/C/SR.2104参照)において以下の総括所見を採択した。 2.委員会は、締約国における子どもの権利の状況についての理解を向上させてくれた、締約国の第5回定期報告書および事前質問事項に対する文書回答(CRC/C/FRA/Q/5/Add.1)の提出を歓迎する。委員会は、締約国のハイレベルなかつ多部門型の代表団との間に持たれた建設的対話に評価の意を表するものである。 II.締約国によりとられたフォローアップ措置および達成された進展 3.委員会は、以下の文書について批准または加入が行なわれたことを歓迎する。 (a) 通報手続に関する子どもの権利条約の選択議定書(2016年)。 (b) 経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約の選択議定書(2015年)。 (c) 障害のある人の権利に関する条約およびその選択議定書(2010年)。 (d) 人身取引に反対する行動に関する欧州評議会条約(2008年)。 4.委員会は、以下の立法措置がとられたことに評価の意とともに留意する。 (a) 保健制度の現代化に関する法律(2015年12月17日に国民議会で採決)。 (b) 真のジェンダー平等に関する2014年8月の法律第2014-873号。 (c) 公立学校改革の編成および計画に関する2013年7月の法律第2013-595号。 (d) 搾取のさまざまな形態(子どもを関与させるものを含む)をよりよい形で把握できるようにするために人身取引の再定義を行なった、2013年8月の法律第2013-711号。 (e) 危険な状態にある子どものモニタリングのための情報の転送に関する2012年3月の法律第2012-301号。 5.委員会は、以下の制度上および政策上の措置を歓迎する。 (a) 首相府内に家族・子ども・高齢者高等評議会が創設されたこと(2015年12月28日)。 (b) 教育制度における女子・男子および女性・男性の平等に関する省庁間合意(2013~2018年)。 (c) 子どもの保護に関する総合行動計画(2015~2017年)。 (d) 人身取引との闘いに関する国家行動計画(2015~2016年)。 III.主要な懸念領域および勧告 A.実施に関する一般的措置(第4条、第42条および第44条第6項) 委員会の前回の勧告 6.委員会は、締約国が、前回の勧告(CRC/C/FRA/CO/4 and Corr.1)のうち部分的もしくは不十分にしか実施されていないものまたはまったく実施されていないもの(体罰、刑事責任年齢、少年司法制度および保護者のいない移住者の子どもに関するものなど)に対応するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告するとともに、とくに、締約国が、第30条に付した留保ならびに第6条および第40条に関連する2つの解釈宣言を撤回していないことを遺憾に思う。 立法 7.委員会は、条約の規定のごくわずかしか自動執行力を認められておらず、かつ、条約の原則および権利が国内法に適正に含められていないことを懸念する。 8.委員会は、締約国が、条約のすべての規定が締約国の領域全体で適用可能とされること、および、あらゆる段階の国内裁判所において個人が条約を援用できることを確保するべきである旨の、締約国に対する前回の勧告(CRC/C/FRA/CO/4 and Corr.1、パラ11参照)をあらためて繰り返す。 包括的な政策および戦略 9.委員会は、条約上のすべての権利の実施に関する包括的かつ持続可能な政策の策定における進展が不十分であること、および、締約国ですでに定められているさまざまな子ども関連戦略において測定可能な達成目標が設けられていないことを懸念する。 10.委員会は、締約国が、子どもに関する包括的政策を、子どもたちおよび市民社会組織と協議しながら、かつ増大しつつある格差への対応を重視して、策定しかつ実施するための努力を継続するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、実施のための諸要素(測定可能な達成目標、時間枠ならびに十分な人的資源、技術的資源および財源を含む)を立案しかつ実施することも勧告するものである。 調整 11.委員会は、家族・子ども・高齢者高等評議会の創設を歓迎するものの、海外県および海外領土における条約の実施に格差があることならびに調整能力に欠陥があることを依然として懸念する。 12.委員会は、締約国が、調整機構に対し、条約の実施に関連するすべての活動を、全部門を通じてならびに国、地域圏および地方のレベル(海外県および海外領土を含む)で調整するための明確な権限ならびに十分な権限および資源が与えられることを確保するよう、勧告する。 資源配分 13.子どもについて多額の公共投資が行なわれているにもかかわらず、委員会は、とくに周縁的状況に置かれている子どもならびに海外県および海外領土(とくにマヨット島)について、締約国における一部の資源の配分に不平等があることを懸念する。委員会は、一貫した予算分析の実施に関して進展がないことを依然として懸念するものである。 14.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どものニーズを十分に考慮に入れ、かつ、関連の部門および省庁における子どもへの明確な予算配分、具体的な指標および追跡システムを備えた予算編成プロセスを確立すること。 (b) 社会部門、ならびに、ロマの子ども、子どもの庇護希望者および難民を含む子どもの移住者ならびにマヨットその他の海外県および海外領土の子どもなど不利な立場に置かれた子どもについて配分される予算を増額すること。 (c) 条約の実施に割り当てられる資源の配分の効率性、十分性および公平性が効果的に監視されかつ評価されることを確保すること。 データ収集 15.締約国によって文書回答で提供された情報には留意しながらも、委員会は、条約の多くの分野について信頼のできる細分化されたデータが依然として利用できないこと、および、公的統計が依然として断片化されておりかつ不十分であることを懸念する。 16.委員会は、条約のあらゆる分野を網羅したデータ収集システムを向上させるよう求めた、締約国に対する前回の勧告(CRC/C/FRA/CO/4 and Corr.1、パラ21参照)をあらためて繰り返す。さらに委員会は、さまざまな行政機関によって収集されたデータおよび指標が、条約の効果的実施および子どもによる権利の享受を目的とした政策、プログラムおよびプロジェクトの策定、監視および評価のために用いられるべきことを勧告するものである。委員会はさらに、締約国が、統計的情報の定義、収集および普及の際、国際連合人権高等弁務官事務所の報告書「人権指標:測定・実施ガイド」(Human rights indicators a guide to measurement and implementation)に掲げられた概念上および手法上の枠組みを考慮に入れるよう勧告する。 独立の監視 17.委員会は、権利擁護官のもとに設けられた子ども擁護官の資源および可視性が不十分であること、ならびに、締約国が、子どもの権利に影響を及ぼす法案について子ども擁護官と組織的に協議しておらず、かつその報告および勧告を十分にフォローアップしていないことを懸念する。 18.委員会は、締約国が、子ども擁護官の可視性およびその任務遂行能力を高めるため、子どもに特化した十分な資源を確保するよう勧告する。委員会はまた、締約国に対し、子ども擁護官および国家人権諮問委員会と恒常的に協議することも奨励するものである。 普及、意識啓発および研修 19.条約の普及ならびに条約に関する意識啓発および研修のために締約国が行なっている努力は歓迎しながらも、委員会は、子ども、一般層および公的機関が条約およびその内容についてほとんど知識を有していないことを依然として懸念する。委員会はまた、ほとんどの子どもは自己の権利について十全に教えられていないことも懸念するものである。 20.委員会は、締約国が、条約に関する意識啓発プログラムを学校で必修とし、教員がその点について十分な訓練を受けることを確保し、かつ、全国的な啓発キャンペーンを組織的に遂行するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、子どもたちに対しておよび子どものためにまたは子どもとともに働くすべての者に対して条約を可能なかぎり広く普及することも勧告するものである。 子どもの権利と企業セクター 21.委員会は、フランスの多国籍企業のなかには、外国子会社を対象として、企業の社会的責任に関する実践を自発的に行なっている企業もあることに留意する。しかしながら委員会は、締約国の管轄または管理の下で行動する企業の活動を、締約国の領域の外で展開される活動において子どもの権利の尊重を確保する目的で規制するためにとられた措置および構想されている措置についての情報が不十分であることを懸念するものである。委員会は、とくに、フランス企業の子会社が子どもの権利侵害を直接助長してきた事案(カンボジアにおけるゴム会社が行なってきた活動を含む)について懸念する。 22.企業セクターが子どもの権利に与える影響に関わる国の義務についての一般的意見16号(2013年)に照らし、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 締約国の管轄または管理の下で行動する産業を対象として、その活動が人権に悪影響を及ぼしまたは環境基準その他の基準(とくに子どもの権利に関わるもの)を脅かさないことを確保するための明確な規制枠組みを確立すること。 (b) 企業が国際基準(人権、環境および健康に関するものを含む)を効果的に実施すること、相当の注意(デュー・ディリジェンス)を確保するためのプロセスが要件とされること、ならびに、実施状況を監視し、かつ、違反があった場合には常に適切な制裁を科しかつ救済措置を提供するための効果的な手段が存在することを確保すること。 (c) フランス企業または海外で操業するその子会社によるこれらの義務の履行について逸脱の可能性が認められる場合、徹底的な調査を行なうこと。 B.一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条) 差別の禁止 23.委員会は、差別と闘うために締約国が行なっている努力を歓迎する。しかしながら委員会は、性別、ジェンダーアイデンティティ、障害、国民的出身、社会的および経済的出自その他の事由を理由とする差別が根強く残っていることを懸念するものである。委員会はさらに、ロマの子どもに対する人種差別およびスティグマが根強く残っていることに懸念を表明する。委員会はまた、「平等のABCD」に代わって採択された平等のための行動計画が、子どもたちの関与を得ないまま策定され、子どもがとくに対象とされておらず、かつ測定可能な目標および時間枠を欠いていることも懸念するものである。 24.委員会は、前回の勧告をあらためて繰り返し、締約国に対し、平等、寛容および相互尊重の文化を醸成し、根強く残る差別を防止しかつこれと闘い、かつ、社会のあらゆる部門における、子どもに対するあらゆる差別事案について効果的な対応がとられることを確保するための努力を強化するよう、促す(CRC/C/FRA/CO/4 and Corr.1、パラ31参照)。委員会はまた、締約国が、ジェンダーに基づくステレオタイプに異議を申し立てるための努力(測定可能な目標および時間枠を備え、かつ、あらゆる教育段階の子どもをとくに対象とした、平等のための行動計画の枠組みのなかで行なわれるものを含む)を強化するとともに、教育者を対象とする関連の研修を義務的なものとすることも、勧告するものである。 子どもの最善の利益 25.委員会は、子どもの最善の利益の原則が憲法的水準へと引き上げられ、かつ、破棄院(Cour de Cassation)および国務院(Conseil d Etat)がこの点に関して共通の立場を採用したことに、評価の意とともに留意する。しかしながら委員会は、この権利が実務に十分に統合されておらず、かつ、政府法案および公共投資の影響を評価するために事前の評価研究の実施を要求する等の手段により、政府が行なうすべての対応および決定において必ずしも適切な評価および判断が行なわれていないことを懸念するものである。 26.自己の最善の利益を第一次的に考慮される子どもの権利についての一般的意見14号(2013年)に照らし、委員会は、この権利が、子どもの権利影響研究等も通じて、すべての立法上、行政上および司法上の手続および決定、ならびに、子どもに関連し、かつ子どもに影響を与えるすべての政策、プログラムおよびプロジェクトに適切に統合されかつ一貫して適用されることを確保するための努力を締約国が強化するよう、勧告する。 生命、生存および発達に対する権利 27.委員会は、公式な統計がないこと、および、締約国では1日あたり2人の子どもが家族間暴力の結果として死亡している可能性がある旨の報告が存在することを深く懸念する。委員会はまた、自己の子どものいずれかまたは複数に対する重大犯罪(殺人を含む)について有罪判決を受け、かつ生き残っている子どもにとって引き続き危険な存在となっている親が関わる事件において、締約国が、子どもの最善の利益よりも家族のつながりの維持を優先させて、そのような親が親としての権利を維持できるようにしていることにより、生命、生存および発達に対する他の〔殺害されなかった〕子どもの権利を危険にさらしていることも、深く懸念するものである。 28.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 不当な取扱いによる子どもの死亡事件について理解しかつ対応するために締約国が行なってきた多数の取り組み(診断評価を含む)に照らし、この現象を防止するためにあらゆる必要な措置をとること。 (b) すべての裁判官を対象として、自己の子どものいずれかまたは複数に対する何らかの重大犯罪について有罪判決を受けた親が関わる事件において親の責任の取消しの問題を系統立てて提起しなければならない旨の要件を定めるとともに、これらの決定においては子どもの最善の利益が他のいかなる考慮事項よりも優先されなければならないことを法律で明確にすること。 子どもの意見の尊重 29.子どもの意見が尊重されることを確保するために締約国が行なっている継続的努力は歓迎しながらも、委員会は、関連するあらゆる生活の文脈において組織的に子どもの意見の尊重を確保しかつ実施する点でほとんど進展が見られないことを依然として懸念する。委員会は、法的手続における子どもの聴聞について書面による申請が条件とされていること、および、申請書の書き方が十分ではないという理由で裁判官がそのような申請を却下していることを懸念するものである。委員会はさらに、被害を受けやすい状況または周縁化された状況に置かれている子ども(行政収容の対象とされている子どもおよび障害のある子どもなど)が、自己に関わる事柄についてしばしば協議の対象とされていないことを懸念するものである。 30.意見を聴かれる子どもの権利についての一般的意見12号(2009年)に照らし、委員会は、締約国が、とくに司法上および行政上の手続および決定において、すべての子ども(被害を受けやすい状況または周縁化された状況に置かれている子どもを含む)が意見を聴かれる子どもの権利を全面的に享受することを確保するよう勧告する。委員会は、締約国が、子どもの参加、ソーシャルワーカーおよび行政機関または裁判所を対象とした研修ならびに専門家(弁護士、特別管理人またはソーシャルワーカー)による支援の提供のためのシステムおよび(または)手続を確立するよう勧告するものである。委員会はまた、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの意見が聴かれるようにするための有効な回路を発展させ、かつ子どもたちに対してそのような回路についての十分な情報を提供すること。 (b) 被害を受けやすい状況および周縁化された状況に置かれている子どもにとくに注意を払いながら、家庭、コミュニティおよび学校におけるすべての子どもの参加を促進するためのプログラムおよび意識啓発活動を実施すること。 C.市民的権利および自由(第7条、第8条および第13~17条) 出生登録/国籍 31.委員会は、代理母のもとに生まれた子どもの法的承認および登録に関する2015年7月3日の破棄院決定、および、このような子どもに国籍を付与する旨の2015年12月12日の国務院決定を歓迎する。しかしながら委員会は、国籍証明書の発給に関して登録所の対応が一貫していないことを懸念するものである。委員会はまた、海外県および海外領土のアメリンディアン系住民およびブシナンゲ系住民に属する子どもの登録が不十分であることも懸念する。 32.委員会は、締約国が、登録所間の対応の不一致に対処するとともに、1997年の欧州国籍条約および国家承継に関連する無国籍の防止に関する2009年の欧州評議会条約を批准するよう勧告する。委員会は、前回の勧告をあらためて繰り返し、締約国に対し、新生児の登録期間の延長を検討すること等も通じて、海外県および海外領土、とくに仏領ギアナにおけるすべての子どもの出生登録を確保するための努力を強化するよう促すものである(CRC/C/FRA/CO/4 and Corr.1、パラ42参照)。 親を知る権利および親によって養育される権利 33.委員会は、自己の生物学的親およびきょうだいを知る子どもの権利を全面的に執行するためにあらゆる適切な措置をとるべきである旨の前回の勧告をあらためて繰り返すとともに、締約国に対し、子どもが可能なかぎりおよび適切な時期に自己の親について知ることができるよう、親に関するすべての情報の登録および整理保存のために必要な措置をとるよう促す(CRC/C/FRA/CO/4 and Corr.1、パラ44参照)。委員会はまた、締約国が、身元の開示について生物学的母親の同意が必要である旨の要件の削除を検討するとともに、親が秘密出産を選択することにつながる根本的原因に対処するための努力を強化することも、勧告するものである。 表現、結社および平和的集会の自由 34.委員会は、16歳未満の子どもについて、表現、結社および平和的集会の自由に対する権利が法律で制限され続けていることを懸念する。 35.委員会は、前回の勧告(CRC/C/FRA/CO/4 and Corr.1、パラ49参照)をあらためて繰り返し、締約国が、条約で定められているとおり、すべての年齢の子どもに対して表現、結社および平和的集会の自由に対する権利を保障するための措置(法的措置を含む)をとるよう勧告する。 プライバシーに対する権利 36.委員会は、子どもの個人データが長期間にわたって収集、保存および使用されるデータベースが多数存在しており、かつ、教育当局が、子どもおよびその親に対し、個人データの登録に反対し、または当該データにアクセスし、これを修正しもしくは抹消する権利について十分な告知が行なわれていないことを、依然として懸念する。 37.委員会は、締約国がデータベースに入力する個人情報は当該個人が特定されないものに限るべきである旨の前回の勧告をあらためて繰り返す(CRC/C/FRA/CO/4 and Corr.1、パラ21〔51の誤り〕参照)。委員会はまた、個人データの登録に反対し、または当該データにアクセスし、これを修正しもしくは抹消する権利について子どもおよびその親が適正に告知されるように必要な措置をとることも勧告するものである。 適切な情報へのアクセス 38.メディアおよびデジタルネットワーク上の有害な情報から子供を保護するために締約国が行なっている努力は歓迎しながらも、委員会は、にもかかわらず、子ども(とくに女子)を過剰に性的対象化したイメージがメディアにおいて根強く用いられていることを懸念する。委員会は、不適切なメディアおよびデジタルコンテンツから子どもを保護するための規制の枠組みがいまのところ設けられていないこと、ならびに、テレビ、インターネットおよびスマートフォン上の不適切な情報に対する子どものアクセスを規制するための多くの機能(親による管理機能など)が実際には有効ではないことを、懸念するものである。 39.デジタルメディアと子どもの権利に関する2014年の一般的討議の結論に照らし、かつ適切な情報にアクセスする子どもの権利を全面的に踏まえながら、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) メディアもしくは製品の販売促進における、またはその他の目的による、子どもを性的対象化したイメージの使用を禁止する規制を実施するとともに、子どもによる不適切なデジタル情報へのアクセスを管理するために効果的な措置をとること。 (b) デジタルメディアおよび情報通信技術の活用に関わる機会およびリスクについて子ども、親および一般公衆の感度を高めるための意識啓発プログラム、広報プログラムおよび教育プログラムを強化すること。 D.子どもに対する暴力(第19条、第24条第3項、第28条第2項、第34条、第37条(a)および第39条) 拷問および他の残虐な、非人道的なまたは品位を傷つける取扱いまたは処罰 40.委員会は、施設において障害のある子どもの不当な取扱いの事案が起きていること、および、そのような施設の独立した監視が不十分であることを懸念する。委員会はとくに、不当な取扱いを通告した職員が名誉毀損で告発されて有罪判決を受けた例もある旨の報告がある一方、加害者が裁判にかけられることは、ビデオで録画された証拠があるにもかかわらず稀であることを懸念するものである。委員会はさらに、不当な取扱いに相当する「パッキング」法(子どもを濡れた冷たいシーツでくるむこと)が法的に禁じられておらず、かつ、自閉症スペクトラム障害の子どもに対していまなお用いられているという報告があることを懸念する。 41.委員会は、締約国に対し、施設の子どもに対する不当な取扱いの根本的原因を理解し、かつその防止および対策を図るための取り組みを強化するとともに、締約国が以下の措置をとるよう促す。 (a) 独立の立場からの施設の査察を定期的かつ効果的に行なうことのできる監督機構を設置すること。 (b) 不当な取扱いのいかなる訴えについても徹底的かつ迅速に調査し、加害者を裁判にかけ、かつ、被害を受けた子どもに対してケア、回復、再統合および補償のための支援を行なうこと。 (c) アクセスしやすく、かつ子どもにやさしい通報のためのシステムおよびサービス(不当な取扱いの事案を告発するための秘密が守られる回路、および、とくに子ども、その家族および職員を対象とした、報復からの保護を含む)を創設すること。 (d) 子どもの「パッキング」および不当な取扱いに相当する他のすべての刊行を法的に禁止すること。 あらゆる形態の暴力からの子どもの自由 42.委員会は、あらゆる形態の暴力を受けるおそれのある子どもの特定およびモニタリングを向上させるために行なわれている取り組みを歓迎する。しかしながら委員会は、締約国において、子どもに対するあらゆる形態の暴力に対応する包括的戦略が定められていないこと、ならびに、家族間暴力およびジェンダーを理由とする暴力が多数生じており、かつその数が増えていることを懸念するものである。委員会はまた、以下のことも懸念する。 (a) 暴力の被害者または証人である子どもについての標準化された指針、対応要綱および付託機構が存在していないこと、ならびに、子どもとともに働く公的職員を対象とした、とくに子どもに対する暴力が疑われる事案を発見し、通報し、かつ対応しまたは付託するための調整および研修が不十分であること。 (b) 家族間暴力の被害を受けた子どもをシェルターで保護する体制および被害を受けた子どもに医療心理学的援助を提供する体制が不十分であり、かつ、この点について領域全体で大きな格差が存在すること。 (c) 子どもの権利、とくに暴力(いやがらせおよびいじめを含む)から保護される権利に関して学校で行なわれる意識啓発の取組みが不十分であること。 (d) テレビおよび一部の興行(闘牛など)において暴力にさらされる子どもの身体的および精神的ウェルビーイングおよび発達。 43.あらゆる形態の暴力からの自由に対する子どもの権利についての委員会の一般的意見13号(2011年)および「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を想起しながら、委員会は、締約国が、子どもの保護に関する全般的政策の枠内で、子どもに対するあらゆる形態の暴力を防止しかつこれに対抗していくための包括的戦略を速やかに採択するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が以下の措置をとることも勧告するものである。 (a) 子どもに対する暴力(不当な取扱い、性的虐待およびネグレクト、家族間暴力、いやがらせならびにいじめを含む)のあらゆる事案に関する全国的データベースを設置すること。 (b) 暴力の被害者または証人である子どもについての適切な指針、対応要綱および付託機構を発展させるとともに、これらが締約国全域で一貫して適用されることを確保すること。 (c) 子どもの権利に関する啓発および社会的スキルの発達ならびに年齢にふさわしい戦略を通じ、自分自身および仲間を暴力から守れるようにするための子どものエンパワーメントを図ること。 (d) 子どもたちの関与を得ながら、意識啓発プログラムおよび教育プログラム(キャンペーンを含む)をさらに強化すること。 (e) 暴力の被害を受けたすべての子どもが保護シェルターならびに回復および社会的再統合のためのサービスにアクセスできることを確保すること。 (f) 闘牛および関連の興行に子どもがアクセスすることを禁止する等の手段により、子どものウェルビーイングに悪影響を与える暴力的な伝統および慣行を変革するための努力を強化すること。 体罰 44.委員会は、あらゆる場面(家庭、学校、子どもの養育現場および代替的養護を含む)における体罰を明示的に禁止するべきである旨の、締約国に対する前回の勧告(CRC/C/FRA/CO/4 and Corr.1、パラ58参照)をあらためて繰り返す。体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利についての一般的意見8号(2006年)に照らし、委員会は、締約国に対し、子どもに対するいかなる暴力も正当化しえないこと、および、体罰は暴力のひとつの形態であり、常に品位を傷つけるものであって防止可能であることを想起するよう求めるとともに、締約国に対し、公衆啓発キャンペーン等も通じて、積極的な、非暴力的なかつ参加型の形態の子育てならびにしつけおよび規律の維持を促進するよう促すものである。 中央アフリカ共和国における性的虐待 45.委員会は、中央アフリカ共和国においてフランス兵が子どもに対する性的虐待を行なったという訴えがあることを深刻に懸念するとともに、予備的捜査がいまなお進行中であることに留意する。委員会は、これらの犯罪の被害者および証人である子どもを保護するための措置は不必要と考えられる旨の締約国の回答(CRC/C/FRA/Q/5/Add.1、パラ173)を遺憾に思うものである。 46.委員会は、締約国が、中央アフリカ共和国においてフランス兵が行なったとされる子どもの性的虐待および性的搾取の訴えについて迅速かつ効果的が捜査が実施され、かつ加害者が訴追されることを確保するよう勧告する。委員会は、締約国に対し、被害を受けた子どものケアおよび支援に関連する措置(心理社会的支援、金銭的補償またはその他の賠償を含む)に関与するよう促すものである。委員会は、締約国が、子どもの権利が尊重されかつ保護されることを確保するための防止措置を強化するよう勧告する。 有害慣行 47.女性性器切除の根絶に関して締約国で見られた進展には評価の意とともに留意しながらも、委員会は、にもかかわらず、年若い多くの女子がいまなお危険な状況に置かれていること、および、この現象が復活する可能性もあることを懸念する。委員会はまた、インターセックスの子どもに対する、医学的に不必要かつ不可逆的な手術その他の治療が常態化していることも懸念するものである。 48.有害慣行に関する女性差別撤廃委員会および子どもの権利委員会の合同一般的勧告31号/一般的意見18号を想起しながら、委員会は、締約国が、危険な状況に置かれている子どもをより容易に特定し、かつその人権侵害を防止できるよう、これらの有害慣行がどの程度実践されているか理解する目的でデータを収集するよう勧告する。委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 締約国における女性性器切除に関して、危険な状況に置かれている女子、医療専門家、ソーシャルワーカー、警察官、憲兵および判事の意識を高めること。 (b) インターセックスの子どもに関する権利基盤型の保健ケア対応要綱を策定しかつ実施することにより、子どもおよびその親がすべての選択肢について適切に告知されること、自己の治療およびケアに関する意思決定に子どもが最大限可能な範囲で関与すること、および、いかなる子どもも不必要な手術または治療の対象とされないことを確保すること。 E.家庭環境および代替的養護(第5条、第9~11条、第18条第1~2項、第20条、第21条、第25条および第27条第4項) 家庭環境 49.委員会は、締約国が依然として、子どもの権利には概念的にそぐわない「親の権威」の文言を用いていることを懸念する。委員会はまた、子どもの保護の改革に関する2007年3月5日の法律第2007-293号の実施が遅れていることもあって、子どもの身体的虐待が2008年以降増えていること、ならびに、子どもの保護に関わる一連の制度の結びつきが弱いために、子どもが家族間暴力を受けるおそれおよび家庭で保護されない状態となるおそれのあるままに置かれる事案が生じていることも、懸念するものである。 50.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの権利に即する形で、「親の権威」の文言を「親の責任」または同様の文言に代えることを検討すること。 (b) 関係者間の意思疎通、分野横断的アプローチおよび調整を促進することにより、子どもの保護に関わる政策の国および地方レベルにおける運用を改善するためにあらゆる必要な措置をとること。 (c) 防止、危険な状況に置かれている子どもの特定およびケアのための介入の質との関連も含めて、あらゆる段階の公的機関による、2007年3月5日の法律第2007-293号の全面的実施を確保すること。 家族再統合 51.委員会は、2014年7月10日に欧州人権裁判所が言い渡した、家族生活の尊重に対する権利を遵守しなかったことを理由として締約国を敗訴させた3つの判決について懸念する。これらの判決は、査証の発給に関する意思決定手続において、要件とされている柔軟性、迅速性および有効性の保障が満たされたことが実証されなかったと認定したものである。 52.委員会は、締約国が、家族再統合の分野において、条約の原則および規定にしたがった、かつ上述の保障を充足させる実務を確立するために必要な法的その他の措置をとるよう勧告する。 家庭環境を奪われた子ども 53.委員会は、1人ひとりの子どもに合った措置を行なうために設けられている養護の選択肢が実務で稀にしか用いられていないことを懸念するとともに、司法命令によって家族から分離される子どもの人数が増えており、貧困下で暮らしている家族の子どもにとくに影響が生じていることも懸念する。委員会はさらに、児童養護および代替的養護に措置された子どもが家族と接触しかつ面会する機会をほとんど持てていないこと、家族の住居と施設養護の場所が離れていること、ならびに、代替的養護に関する決定が児童福祉機関(ASE)によって行なわれる際、子どもの意見および子どもの最善の利益が十分に考慮されていないことを懸念するものである。委員会はさらに以下のことを懸念する。 (a) 児童福祉機関の施設に障害のある子どもが過剰に措置されていること。 (b) 法律上の遺棄ではなく事実上の遺棄によりそのような施設に措置されている子どもの状況および地位。 (c) 措置に関する決定が、自己の身の回りの状況、里親養育者および環境に対して子どもが慣れ親しんでいる状況の継続性を確保するという視点のないまま行なわれていること。 (d) 16歳以上の子どもに対して提供される、大人としての生活に入るための準備を整えられるようにするための機会および援助が不十分であること。 54.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 可能な場合には常に家庭を基盤とする子どもの養護を支援しかつ促進するとともに、家族とともに暮らせない子どもを対象とした里親養育制度を確立し、とくに、脱施設措置のプロセスを加速するために障害のある子どものための里親養育を奨励すること。 (b) 子どもを代替的養護に措置すべきか否かの判断に関して、子どものニーズ、意見および最善の利益を基盤とする十分な保障措置および明確な基準を確保すること。 (c) 地理的近接性ならびに子どもが慣れ親しんだ身の回りの状況、里親養育者および環境を正当に考慮しながら、代替的養護に措置された子どもが可能なかぎり親との接触を維持できることを確保すること。 (d) 遺棄により児童福祉機関に付託された子どもの法的状況および地位を明確にすること。 (e) 施設に入所した子ども(成人年齢に近づきつつある子どもを含む)のリハビリテーションおよび社会的再統合を最大限可能な範囲で促進する目的で、代替的養護施設および関連の子ども保護機関に対して十分な人的資源、技術的資源および財源が配分されることを確保すること。 養子縁組 55.委員会は、締約国におけるカファラ制度の法的効果について定めた通達が2014年10月22日に採択されたことを歓迎する。しかしながら委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 仏領ポリネシアおよびニューカレドニアにおいて、承認を受けた斡旋機関もなく、かつ当事者である家族または子どものためにの真の保障もまったくないままに行なわれ続けている、「子どもの持ち回り」(child circulation)として知られる伝統的養子縁組についての情報がないこと。 (b) 年齢、きょうだい、障害または疾病のために特有のニーズを有する子どもの養子縁組にあたり、養親およびその他の家族構成員に対して提供される支援が不十分であること。 (c) 国際養子縁組についての子の保護および協力に関する1993年のハーグ条約の加盟国ではない出身国または当該条約の保障措置を遵守しない出身国が関わる国際養子縁組の数が多いこと。 56.委員会は、締約国が、養子縁組については子どもの最善の利益の至高性の原則が厳格に遵守されることを確保するよう勧告する。委員会はまた、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) この現象に関する理解および対応を向上させる目的で、国内養子縁組および国際養子縁組に関する細分化された統計データおよび関連情報を体系的かつ継続的に収集すること。 (b) 仏領ポリネシアおよびニューカレドニアにおける「子どもの持ち回り」の慣行に関する情報を次回の定期報告書で提供するとともに、新たな事案が生じないようにするための措置をとること。 (c) 1993年ハーグ条約に定められたすべての保障措置が、たとえ当該相手国が同条約の加盟国ではない場合でも満たされることを確保するとともに、同条約を批准していない国との間で、子どもの権利条約および1993年ハーグ条約の基準を確認する二国間協定を締結すること。 (d) 養親およびその家族に対し、養子縁組に関わる十分な専門的支援が提供されることを確保すること。 F.障害、基礎保健および福祉(第6条、第18条第3項、第23条、第24条、第26条、第27条第1~3項および第33条) 障害のある子ども 57.委員会は、障害のある子どものインクルージョンを強化するために締約国が行なっている努力を認識する。しかしながら委員会は、すべての子どもを対象としたインクルーシブ教育に関する2005年2月11日の法律第2005-102号及び2013年7月8日の法律第2013-595号の実施が速やかに進められておらずかつ不平等であること、および、障害のある子どもが病院または医療社会施設ではなく普通学校に出席することを確保するうえでの進展が遅々としていること、ならびに、海外県および海外領土はこの点に関していっそう悪い状況にあることを懸念するものである。委員会はまた、3歳という低年齢の子どもについても普通学校内の特別編成制度が法律で定められていること、障害のある一部の子どもが施設に措置されていること、障害のある一部の子どもがいまなお隔離学校に在籍していること、ならびに、配慮および支援がないために学校を中退する障害のある子どもがいることも懸念する。委員会はさらに以下のことを懸念するものである。 (a) 教育へのアクセスにおいて、レクリエーション活動および課外活動等の際の他者との平等に関して、学校施設においてならびに職業訓練の際に、障害のある子ども、とくに複合障害のある子どもに対する差別が根強く行なわれていること。 (b) 受ける資格のある必要な支援(学校における十分な時間数の援助を含む)の受給および維持に関して家族が重大な障壁に直面していること。 (c) 学校職員を対象とした研修および支援が不十分であること、資格を有する専門援助者の人数が不十分であること、ならびに、アクセシブルでありかつ適合性を備えた学校カリキュラム、教材、評価資料および教室の数が乏しいこと。 58.障害のある子どもの権利に関する一般的意見9号(2006年)を想起しながら、委員会は、締約国に対し、障害に対する人権基盤型アプローチを有効な形でかつ遅滞なく採用し、インクルーシブ教育に対するすべての子どもの権利を承認し、かつ、特別施設およびあらゆる段階の隔離学級への子どもの措置よりもインクルーシブ教育が優先されることを確保するよう、促す。委員会は、具体的には締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 障害のある子どものための適切な戦略およびプログラムの立案を促進するため、障害のある子どもに関するデータ収集体制を整備し、かつ効率的な早期発見システムを発展させること。 (b) 適切な支援を促進し、かつ当該支援へのアクセスを確保するための措置をとること。 (c) すべての教員および教育専門家を対象として、インクルーシブ教育および個別支援の提供、インクルーシブかつアクセシブルな環境の創設ならびに1人ひとりの子どもの具体的状況に対する正当な注意の払い方についての研修を実施すること。 (d) 障害のある子どもを含むすべての子どもがそのニーズおよび事情に対応するためのもっとも適切な計画によって支援されるようにするための十分な資源配分を確保すること。 (e) 障害のある子どもに対するスティグマおよび偏見と闘うための意識啓発キャンペーンを実施すること。 自閉症の子ども 59.委員会は、3次にわたる自閉症対応計画にもかかわらず、自閉症の子どもが広範な権利侵害を受け続けていることを懸念する。委員会は、自閉症の子どもの大多数が普通学校における教育にアクセスできておらず、または、インクルージョンを支援する特別な訓練を受けた職員もいないまま、正規の教育よりも短い限られた教育しか受けていないことを、とりわけ懸念するものである。委員会はまた、以下のことも懸念する。 (a) 高等保健機関が2012年に行なった勧告の実施が義務的ではなく、自閉症の子どもに対していまなお有効性を欠く精神分析学的療法、過剰投薬ならびに精神病院および精神医学施設(隣国にあるものを含む)への措置が行なわれていること。 (b) 国際的に認められた療法の訓練を受けた専門家ならびに発達および教育のためのプログラムの数が少なく、かつ健康保険制度の対象とされていないこと。 (c) 自分の子どもの施設措置に反対する親が威圧および脅迫の対象とされることがあり、かつ一部の事案では子どもの監護権を喪失して、子どもが強制的に施設措置または行政収容の対象とされていること。 60.委員会は、締約国に対し、自閉症の子どもの権利(とくにインクルーシブ教育に対する権利)が尊重されること、高等保健機関が2012年の行なった勧告が自閉症の子どもとともに働く専門家に対して法的拘束力を有するものとされること、ならびに、高等保健機関の勧告に一致する療法および教育プログラムのみが認可および費用弁済の対象とされることを確保するよう、勧告する。締約国はまた、自閉症の子どもが強制的な施設措置または行政収容の対象とされないこと、および、親が自分の子どもの施設措置を拒否した際にこれ以上報復を受けないことも確保するべきである。 健康および保健サービス 61.子どもの健康が2013年に定められた国家保健ケア戦略の優先課題のひとつに位置づけられていることには評価の意とともに留意しながらも、委員会は、学校および母子福祉保護センター等において、とくに海外県および海外領土、スラム街ならびに難民キャンプにおいて、資源が十分ではないこと、専門の児童保健要員が存在しないことならびにサービスおよび体制が全般的に悪化していることを懸念する。委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 子どもの夜間入院の際、親の付き添いが自動的に認められるわけではないこと。 (b) 完全母乳育児率が低く、かつ、「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」の実施が不完全であること。 (c) 海外県および海外領土(とくにマヨット島)において、新生児死亡率および若年妊娠率が依然として過度に高い水準にあること。 (d) 海外県、とくに仏領ギアナおよびマヨット島において、HIV/AIDSおよび結核を含む予防可能な感染症の発生率が高いこと。 (e) 有効な在留許可を得ていない子どもの移住者が、保健サービスに対する権利の行使に際して依然として困難を経験していること。 62.委員会は、到達可能な最高水準の健康を享受する子どもの権利についての一般的意見15号(2013年)に対して締約国の注意を喚起するとともに、締約国が、とくに学校および母子福祉保護センターにおける資源ならびに医療スタッフ、サービスおよび体制の欠陥に緊急に対処し、かつ、子ども、とくに海外県および海外領土、スラム街ならびに難民キャンプの子どもの特有のニーズを考慮するよう、勧告する。委員会はまた、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 入院について定めた条件を子どもの権利の視点から再検討し、子どもが入院中に親によって付き添われかつケアされることを認めること。 (b) 「母乳代替品の販売促進に関する国際基準」を全面的に実施し、かつ完全母乳育児の慣行をさらに促進すること(CRC/C/FRA/CO/4 and Corr.1、パラ75参照)。 (c) 海外県および海外領土(とくにマヨット島)における、子どもおよび母親のための保健ケアサービスへのアクセスに関して存在する格差を縮小するための努力を強化すること。 (d) とくに仏領ギアナおよびマヨット島において、HIV/AIDSを含む予防可能な疾病に対処するための、目的を明確化したプログラムを実施すること。 (e) 保護者のいない外国出身の子どもおよび有効な在留許可を持たない子どもの移住者を含むすべての子どもが基礎的保健ケアにアクセスできることを確保するため、必要な資源を増やすこと。 精神保健 63.国家自殺対策行動計画(2011~2014年)の評価結果に掲げられた一部の勧告(青少年センターの開設など)を実施している県があることは歓迎しながらも、委員会は、子ども専門の精神科医、心理学者および精神科看護師の人数が不十分であり、かつその配置も不平等であること、外来サービスに関わる予算削減および外来サービスの閉鎖が生じており、これがしばしば入院につながっていること、子どもがそのニーズに適合しない成人用施設でケアされていること、ならびに、精神病院で子どもに対する過剰投薬が行なわれていることを懸念する。委員会はさらに、子どもの精神保健障害および心理社会的障害の発生率が高く、かつ年齢とともに上昇していて、主として15歳以上の子どもに影響が生じていることを懸念するものである。 64.委員会は、国家自殺対策行動計画(2011~2014年)の勧告を全面的かつ持続的に実施することを奨励する。委員会は、締約国が、児童精神科ケアへのアクセスにおける不平等を全国的に縮小する目的で、専門の精神保健サービスのために利用可能とされる人的資源および財源を増やすよう勧告するものである。委員会は、締約国が、児童精神医学に関連する問題についての医療関係者の研修を増やすとともに、子どもの治療が資格のある専門家によって、かつ子どものために設けられて施設で行なわれることを保障するよう、勧告する。 思春期の健康 65.15歳以上の子どもが避妊手段を無償でかつ秘密裡に入手できるようにした2013年のデクレの採択には評価の意とともに留意しながらも、委員会は、人工妊娠中絶件数が多いことを懸念する。 66.子どもの権利条約の文脈における思春期の健康と発達についての一般的意見4号(2003年)に照らし、委員会は、締約国が、思春期の子どものセクシュアル/リプロダクティブヘルスに関する包括的な政策を採択するとともに、セクシュアル/リプロダクティブヘルスに関する教育が学校カリキュラムの必修科目とされ、かつ、若年妊娠の予防に特段の注意を払いながら、思春期の女子および男子をとくに対象として実施されることを確保するよう、勧告する。 薬物および有害物質の濫用 67.薬物および依存行動と闘うための計画など、依存に対処するために締約国が行なっている取り組みは歓迎しながらも、委員会は、前期中等教育の期間全体を通じ、タバコおよびアルコールの使用ならびに大麻の実験的使用の発生率が高まっていることを懸念する。 68.委員会は、締約国が、とくに子どもおよび青少年に対して有害物質濫用(タバコおよびアルコールの濫用を含む)の防止に関する正確かつ客観的な情報およびライフスキル教育を提供することにより、子どもおよび青少年による薬物の使用の発生に対処するとともに、子どもおよび若者を対象とした、アクセスしやすく若者にやさしい薬物依存治療およびハームリダクション(危害軽減)のサービスを発展させるよう、勧告する。 生活水準 69.委員会は、複数年度にまたがる貧困削減・社会的包摂計画が採択されたことを歓迎するものの、貧困下で暮らしている20%の子どもたちの状況およびホームレスの子どもの多さについて懸念する。委員会は、貧困下で暮らしていて経済危機の影響を受けている子どもおよび家族(とくに、ひとり親が世帯主である家庭の子どもおよびスラム街または「要配慮都市域」(sensitive urban areas)で暮らしている子ども、ならびに、何年にもわたって「緊急宿泊所」で生活している子ども)の状況が悪化していることを、とりわけ懸念するものである。海外県および海外領土における格差に対処するために締約国が最近行なっている努力は歓迎しながらも、委員会は、にもかかわらず、締約国の領域全体における社会的不平等の持続および拡大、海外県および海外領土(とくに仏領ギアナおよびマヨット島)における子どもによる権利の享受の空白を少なくしていく際の進展の遅さ、ならびに、子どもの移住者(とくに保護者のいない子どもの移住者)が置かれている状況に、特段の懸念をもって留意する。委員会はまた、ロマの子どもおよびその家族が、代替的な移住先を用意されることおよび通告を受けることもなく、強制立退きの対象とされる事案があることも懸念するものである。 70.委員会は、締約国が、子どもの貧困の根絶を国家的優先課題のひとつに位置づけ、かつ、支援をもっとも必要としている子どもおよび家族(とくに、貧困下で暮らしていて経済危機の影響を受けている子どもおよび家族、ひとり親が世帯主である家庭の子どもおよびスラム街または「要配慮都市域」で暮らしている子ども、海外県および海外領土の子どもならびに保護者のいない子どもの移住者)を支援するプログラムに対して必要な人的資源、技術的資源および財源を配分するよう、勧告する。委員会はまた、締約国に対し、強制立退きに関わる自国の国際法上の義務を尊重することも促し、かつ、ロマの子どもおよびその家族の包摂に向けた努力を奨励するものである。 G.教育、余暇および文化的活動(第28~31条) 教育(職業訓練および職業指導を含む) 71.委員会は、6万人分の教員の空席を2017年までに埋めることに優先的に取り組む旨の締約国の決定を歓迎する。しかしながら委員会は、近年、8万人分の教員の席が空白になったこと、訓練を受けていない代替要員が採用されていること、および、一部の学校で生徒・教員比がきわめて高いことを懸念するものである。委員会はまた、締約国では子どもの社会経済的出自が学業成績に関して相当に決定的な役割を果たしていること、および、学校に対する資源の配分が自治体によってさまざまで格差が生じていることも懸念する。さらに、委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 特定のカテゴリーに属する子ども、とくに障害のある子ども、スラム街で暮らしている子ども、(とくにマヨット島の)保護者のいない子どもの移住者および法律に抵触した子どもが、教育、学校関連の活動および施設の利用の開始、継続または再開に関して困難に直面していること。 (b) ロマの子ども、保護者のいない子どもの移住者および不安定な居住環境下で暮らしている子どもを含む一部の子どもが、通常学校への就学または給食へのアクセスに関して多くの困難に直面しており、かつ、自治体によってそれを認められない事案も生じていること。 (c) 早期に、かつ資格を取得しないまま学校を中退する子どもの多さを減少させることに関する進展が遅いこと。 (d) 教育専門家を対象として実施されている研修が質量ともに不十分であること。 (e) 学校における特別援助ネットワークが徐々になくなりつつあり、とくに学習障害のある子どもに影響が生じていること。 (f) 生徒間の暴力および広範ないじめが常態化しており、かつ、教育専門家がこれを防止しかつこれに対処する能力を欠いていること。 72.委員会は、締約国が、子どもの社会的背景が学校における成績に及ぼす影響を少なくする目的で教育改革を強化するとともに、教育に対する権利をすべての子どもに確保する目的で資格のある教員が十分に用意されることを保障するための追加的措置をとるよう、勧告する。委員会はまた、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 退学率および留年率を削減するための措置、ならびに、修了証を取得せずに学校を離れた子どもを対象として、教育を再開しかつ能力およびライフスキルを獲得できるようにする職業教育および職業訓練を拡大するための措置を、引き続き強化すること。 (b) すべての子どもに対し、教育に対する権利を差別なく確保すること。 (c) 継続研修プログラム等を通じて、教員の資格を高めるための措置をとること。 (d) 学校における特別援助ネットワークを再確立し、かつ適切な形で資金を拠出すること。 (e) いじめの事案の防止および取扱いに関する方針および手段を学校で採択すること、ならびに、暴力およびいじめの発見、防止およびこれへの対応に関して学校職員を対象とした適切な研修を実施すること等の方法を通じ、学校におけるいじめおよび暴力に対応するための努力を強化すること。 H.特別な保護措置(第22条、第30条、第32条、第33条、第35条、第36条、第37条(b)~(d)および第38~40条) 子どもの庇護希望者および難民ならびに保護者のいない子ども 73.委員会は、特別な保護および援助のための措置にアクセスすることのできない、締約国における保護者のいない子どもの移住者の状況について懸念を覚える。委員会は、締約国が、すべての初期評価手続およびその後の対応において、子どもの最善の利益を指導的原則として十分に考慮していないことを懸念するものである。委員会は、とくに17歳の子どもにとって、子どもの保護のための体制ならびに弁護士による代理、心理的支援、社会的援助および教育へのアクセスに関して困難が生じていることに、懸念とともに留意する。委員会はまた、保護者のいない子どもの移住者に提供されるサービスの公平な配分に関する2013年5月31日の通達に定められた手続が、2015年1月の国務院(Conseil d Etat)決定によって部分的に無効とされた結果、子どものケアおよび保護の質が不十分なものとなり、かつ、一部の自治体がそのような保護の提供を拒否する事態が生じていることも懸念するものである。委員会は、2014年に、品位を傷つける環境下で、かつ裁判官にアクセスできないまま、ほとんどはマヨット島において行政収容の対象とされた子どもの人数が多いことに、懸念とともに留意する。委員会はまた、以下のことについても懸念するものである。 (a) 空港の待機区画またはホテルおよびその他の行政収容施設(locaux de retention administrative)に自動的に収容されている、保護者のいない子どもの移住者の状況。これらの子どもは時として成人とともに収容されており、かつ、特別管理人と話すらできないまま退去強制の対象にされているという報告もある。 (b) 子どもの年齢鑑別のための骨検査への過度な依存が見られ、かつ、子どもの同意が実際には求められない場合もあること。 74.委員会は、締約国が、保護者のいない子どもの移住者への専門的かつ子どもに特化した支援、保護、弁護士による代理、社会的援助ならびに教育および職業訓練に対して、自国の管轄地域全体を通じて十分な人的資源、技術的資源および財源を保障するとともに、この点に関して法執行官の能力構築を図るよう勧告する。委員会はまた、締約国が以下の措置をとることも勧告するものである。 (a) 自由の剥奪に代わる適切な選択肢を見出し、かつ子どもを適切な宿泊施設に措置するための努力を強化することを通じ、待機区域における子どもの収容を回避するために必要な措置(法的措置を含む)をとるとともに、ノンルフールマン(追放・送還禁止)の義務を全面的に尊重すること。 (b) 子どもの年齢鑑別の主たる手法として骨検査を用いることをやめ、これに代えて、より正確であることが証明されている他の手法を活用すること。 75.委員会は、今後2年にわたって子どもを含むシリア難民を多数受け入れるという締約国の公約を歓迎する。しかしながら委員会は、締約国北部(カレーおよびグランドシントなど)の難民キャンプで子どもおよびその家族が不安定な状況に置かれていること、当局が子どもの登録を拒否していること、ならびに、これらの子どもおよび家族に適切なかつ事情に応じた保護を提供するための場所およびサービスに対して十分な資源が配分されていないことを懸念するものである。 76.委員会は、締約国に対し、国際法上の義務にしたがって子どもの保護について第一義的責任を負っていることを想起するよう求めるとともに、登録、人間的な生活水準および十分な保健ケアサービスに対するすべての子ども(難民キャンプで暮らしている子どもを含む)の権利を確保するよう、促す。 武力紛争における子ども 77.委員会は、国以外の武装集団ならびに過激な宗教的および思想的運動による子どもの徴募を防止するために締約国が行なっている努力(暴力的過激主義化およびジハーディストのネットワークと闘うための国家計画を含む)を歓迎する。しかしながら委員会は、締約国の子どもおよび若者が、とくにインターネットを通じて洗脳されてそのような運動およびネットワークに合流し続けていることを懸念するものである。 78.委員会は、締約国が、国以外の武装集団ならびに過激な宗教的および思想的運動による子どもの徴募を防止し、かつ、とくに、締約国の子どもおよび若者の間で生じているこの現象およびその根本的原因について理解するための措置を強化するよう勧告する。委員会はまた、締約国が、子どもおよび若者ならびにより幅広いコミュニティーの関与を確保しながら、アウトリーチおよびエンパワーメントのためのプログラムに投入する資源配分を増加させるよう、勧告するものである。 売買、取引および誘拐 79.人身取引との闘いに関する国家行動計画(2014~2016年)が採択されたことは歓迎しながらも、委員会は、同計画が期限のある測定可能な基準を有しておらず、かつまだ運用されていないことを懸念する。とくに委員会は、援助を求めようとする子どもにとって管轄地域全体で縦割り的な対応および不平等が生じていることに加え、以下のことを懸念するものである。 (a) 有罪判決に至る事案がきわめて少数であること。 (b) 子どもの最善の利益に基づいて人身取引の被害を受けた子どもを正しく特定するための措置が不十分であること、および、未成年であることの推定が、子どもが非行行為を余儀なくされた事案も含めて、常に尊重されているわけではないこと。 (c) 手続全体を通じて通訳者または特別管理人にアクセスできるようにする義務が履行されていないこと。 (d) 人身売買および人身取引の被害を受けた子どものケアが不十分であること。 80.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 人身取引との闘いに関する国家行動計画を効果的に実施するために必要な資源を用意すること。 (b) 人身取引に反対する行動に関する欧州評議会条約に一致する形で、人身取引の被害を受けた子どもに関する子どもの保護のための基準が国際基準を満たすことを確保すること。 (c) 人身取引の事案が法律当局によって高い優先順位を与えられ、かつ迅速な捜査が行なわれることを確保すること。 (d) 人身売買および人身取引の被害を受けた子ども(非行行為を余儀なくされた子どもを含む)に対し、適切な援助および保護が与えられることを確保すること。 少年司法の運営 81.委員会は、法律第2014-896号において、予定されていた子どもについての最低刑が撤廃されたことを歓迎する。しかしながら委員会は以下のことを懸念するものである。 (a) 刑事責任に関する最低年齢を定め、かつ16歳以上の子どもを(暴力的な過激主義的活動に関与した場合を含めて)成人として扱わないようにするべきである旨の前回の勧告の実施が進展していないこと。 (b) 成人拘禁施設の一部区画に子どもを拘禁する実務および女子を成人女性とともに拘禁する実務が廃止されていないこと。〔訳者注/この項の訳はフランス語版による〕 (c) 厳重監督センターのような、拘禁場所に代わる施設の収容能力が不足していること。 (d) 厳重監督センターにおいて、良質な教育、保健ケアおよび精神医学的ケアの提供に関して、訓練を受けた職員および設備が不十分であること。 (e) 特別管理人の役割の理解およびその配置状況が管轄地域全体で著しく異なっており、とくに海外県および海外領土で困難が生じていること。 82.委員会は、締約国に対し、少年司法制度を条約その他の関連の基準に全面的に一致させるよう促すとともに、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 13歳を下回らず、かつ子どもの分別能力を要件とする、刑事責任に関する最低年齢を定めること(CRC/C/FRA/CO/4 and Corr.1、パラ99参照)。 (b) 16歳以上の子どもを成人として扱わないようにすること。 (c) 拘禁が最後の手段として、かつ可能なもっとも短い期間で用いられることを実務上確保し、これに代えて可能な場合には常に代替的措置を促進するとともに、拘禁が避けられない場合には、子ども(とくに女子)が成人とともに収容されず、かつ教育および保健サービスにアクセスできるよう、法律および国際基準に一致する形で行なわれることを確保すること。 (d) 十分な人的資源、技術的資源および財源、ならびに、適切な訓練を受けた、必要に応じて対応が可能な特別管理人を備えた、特別な少年法廷施設および手続を確立すること。 (e) 子どもとともにおよび子どものために働く職員(厳重監督センターの職員を含む)の、良質な教育、保健ケアおよび精神医学的ケアを提供する能力の構築を図るとともに、刑事司法制度に従事するすべての専門家を対象とした、関連の国際基準に関する研修プログラムを継続すること。 犯罪の被害者および証人である子ども 83.犯罪の被害を受けた子どもをシェルターで保護しかつ支援するために行なわれている努力は歓迎しながらも、委員会は以下のことを懸念する。 (a) 司法手続のさまざまな段階における、被害を受けた子どもの保護が一貫していないこと。 (b) 犯罪の目撃者である子どもに対し、被害者である子どもと同一の手続的保障が与えられていないこと。 (c) 実際上、被害を受けた子どもに対する被告人の接近または接触が禁じられていないこと。 (d) 被害を受けた子どもを特定し、かつ、子どもに対して即時的な保護措置ならびに手続の最中および手続後の心理社会的ケアを提供するための機構が不十分であること。 (e) 事情聴取のビデオ録画が有効に活用されておらず、不十分な施設において専門的訓練を受けていない職員によって使用されるのが通例であること。 84.委員会は、締約国が、管轄地域全体を通じて専門的体制および保護措置の一貫性を強め、かつ、犯罪の目撃者である子どもに対し、被害者である子どもと同一の手続的保障が与えられることを確保するとともに、以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 被告人による被害者への接近または接触を禁止する規定が実施されることを保障するとともに、被害者を二次被害、報復または脅迫から保護するための資源を配分すること。 (b) 子どもが、適切な訓練を受けた職員により、即時的な保護ならびに医学的および心理的ケアを受けることを確保すること。 (c) 被害を受けた子どもの事情聴取が、ビデオ録画および熟練の職員の活用等を通じ、当該目的のために設計されかつ適合させられた施設で行なわれるようにするために、法的措置を含む必要な措置をとること。 子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書についての委員会の前回の総括所見および勧告のフォローアップ 85.委員会は、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する選択議定書に基づく締約国の第1回報告書について委員会が2007年に行なった勧告の実施に関する情報がないことを遺憾に思う。委員会はまた、以下のことも懸念するものである。 (a) 客として児童買春に関与することは犯罪とされているが、客が常に訴追されるわけではないこと。 (b) 性的虐待および性的搾取の被害を受けた子どもが、証拠不十分により事件が棄却されるために、裁判官による聴聞を受けず、または買春の被害者として承認されないこと。 (c) 子どもの強姦が、刑法ではひとつの罪名とされているものの、性的攻撃として再分類されることが多いこと。 86.委員会は、締約国に対し、前回の勧告、とくに、国内法が選択議定書第2条および第3条にしたがうことの確保(CRC/C/OPSC/FRA/CO/1、パラ19参照)、選択議定書に掲げられたすべての犯罪についての裁判権の確立(パラ21)、回復のための援助および被害賠償を提供された被害者の人数に関する細分化されたデータの体系的収集(パラ23(a))、被害を受けた子どものための十分なサービス(身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を含む)の確保およびこの点に関する市民社会組織との連携(パラ23(b))、被害を受けた子どもの保護に対応するすべての関係者を対象とする体系的かつ継続的な研修の確立(パラ23(c))、ならびに、被害を受けたすべての子どもが、法的に責任のある者に対して差別なく被害賠償を求める十分な手続にアクセスできることの確保(パラ23(d))に関連するものを実施するよう求める。委員会はまた、締約国が以下の措置をとることも勧告するものである。 (a) 児童買春に関与した客について捜査、訴追および有罪の宣告を行なうこと。 (b) 被害を受けたすべての子どもが適切なかつ安定した法的、社会的、教育的および医学的援助を受けることを確保するために、十分な社会教育的支援体制を確立する措置を含む措置をとること。 (c) 子どもに対して行なわれた強姦事件を犯罪として訴追すること。 I.国際人権文書の批准 87.委員会は、締約国が、子どもの権利の充足をさらに強化する目的で、まだ締約国となっていない中核的人権文書、とくにすべての移住労働者およびその家族構成員の権利の保護に関する国際条約を批准するよう勧告する。 J.地域機関との協力 88.委員会は、締約国が、締約国および他の欧州評議会加盟国の双方における子どもの権利条約その他の人権文書の実施に関して欧州評議会と協力するよう勧告する。 IV.実施および報告 A.フォローアップおよび普及 89.委員会は、締約国が、この総括所見に掲げられた勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、第5回定期報告書、事前質問事項に対する締約国の文書回答およびこの総括所見を同国の言語で広く入手できるようにすることも勧告するものである。 B.次回報告書 90.委員会は、締約国に対し、第6回・第7回定期報告書を2021年3月5日までに提出し、かつ、この総括所見のフォローアップに関する情報を当該報告書に記載するよう慫慂する。報告書は、2014年1月31日に採択された委員会の条約別調和化報告ガイドライン(CRC/C/58/Rev.3)にしたがうべきであり、かつ21,200語を超えるべきではない(総会決議68/268、パラ16参照)。定められた語数制限を超えた報告書が提出された場合、締約国は、前掲決議にしたがって報告書を短縮するよう求められることになる。締約国が報告書を見直しかつ再提出する立場にないときは、条約機関による審査のための報告書の翻訳は保障できない。 91.委員会はまた、締約国に対し、国際人権条約に基づく報告についての調和化ガイドライン(共通コアドキュメントおよび条約別文書についてのガイドラインを含む)に掲げられた共通コアドキュメントについての要件(HRI/GEN/2/Rev.6, chap.I参照)および総会決議68/268のパラ16にしたがい、最新のコアドキュメントを、42,400語を超えない範囲で提出することも慫慂する。 更新履歴:ページ作成(2017年1月4日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/210.html
総括所見:ネパール(第2回・2005年) 第1回(1996年)/第3回~第5回(2016年)OPSC(2012年)/OPAC(2016年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.261(2005年9月21日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、2005年5月20日に開かれた第1032回および第1033回会合(CRC/C/SR.1032 and 1033参照) においてネパールの第2回定期報告書(CRC/C/65/Add.30)を検討し、2005年6月3日に開かれた第1052回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、率直かつ豊かな情報を含んだ締約国の第2回定期報告書、および、事前質問事項(CRC/C/Q/NPL/2)に対する文書回答の提出を歓迎する。報告書の提出が遅れたことは遺憾であるものの、これらの文書は、締約国における子どもの状況をいっそう明確に理解させてくれた。委員会はさらに、代表団との間に開かれたかつ建設的な対話が持たれ、かつ、議論の最中に行なわれた提案および勧告に対して積極的な反応があったことに、評価の意とともに留意するものである。 B.積極的側面 3.委員会は、条約の実施の増進を目的とした以下の法律の採択に留意する――(a) 危険な労働の定義を定め、かつ16歳未満の子どもの雇用を禁じた児童労働(禁止および規制)法(2000年)、および、(b) 債務労働者の解放を成文化し、カマイヤ(債務労働者)の労働慣行に関与していた使用者を処罰し、かつ政府によるカマイヤ救援基金を設置したカマイヤ禁止法(2002年)。 4.委員会は、条約の実施の増進を目的とした、以下の条約の批准を歓迎する――(a) 人身売買および他人の売春からの搾取の禁止に関する条約(2002年)、ならびに、(b) 〔国際労働機関の〕強制労働条約(1930年、第29号)(2002年)、最低年齢条約(1973年、第138号)(1997年)および最悪の形態の児童労働条約(1999年、第182号)(2002年)。 5.委員会は、子どものための国家行動計画(2005~2015年)の採択を歓迎する。 6.委員会はまた、第9次計画(1997~2002年)に、条約にしたがった子ども開発政策が含まれたことも歓迎する。 7.委員会はさらに、その任務に条約の実施の増進を含む以下の機関が設置されたことを歓迎する――(a) 国家人権委員会(2000年)、とくに子どもの権利デスク、(b) 国家女性委員会(2002年)、(c) 国家ダリット委員会(2002年)、(d) 20以上の郡に設置された子どもクラブ、および、(e) 国家貧困緩和基金。 8.委員会は、締約国が、「同国における暴力の雰囲気および国内武力紛争に留意しながら人権および国際人道法の遵守を監視する」国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の事務所を設置する旨を定めた協定を、2005年4月11日にOHCHRと締結したことを歓迎する。 C.条約の実施を阻害する要因および困難 9.委員会は、武力紛争のために不安定および暴力が蔓延する全般的情勢に関わって締約国が直面している諸課題を認知する。委員会はまた、貧困水準がきわめて高く、それが重い債務負担によって悪化していること、ならびに、多くの伝統的な信仰および慣習ならびにカースト制度が存在していることにも留意する。これらはいずれも、条約に掲げられた子どもの権利の全面的実現における進展を阻害する要因である。 D.主要な懸念領域および勧告 武力紛争が条約の実施に及ぼす影響 10.委員会は、締約国とネパール共産党(毛沢東主義派)との間で行なわれている武力紛争がネパールの子どもたちに著しい悪影響を及ぼしており、かつ、これによって最低限の条約の実施さえ困難な状態が生じてきたことに留意する。委員会は、武力紛争ならびに2000年および2004年非常事態宣言により生じた恐怖、不安定および不処罰の雰囲気が、締約国の子どもの健全な発達に対して深刻な身体的および心理的悪影響を及ぼしてきたことに留意するものである。委員会は、毛派の反乱兵による、学校の大規模な爆撃、破壊および閉鎖について著しい懸念を覚える。これは、子どもの教育に対する基本的権利の侵害である。委員会はまた、この総括所見でも概観されているとおり、紛争が、締約国における条約の実施について既に存在している諸問題の悪化にもつながってきたことにも、深い懸念とともに留意する。 11.委員会はさらに、議会が2002年に解散させられて存在しないことにより、締約国が法律を制定しもしくは改正することも、武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書を含む国際条約を批准することもできないことに、深刻な懸念とともに留意する。 12.締約国の領域の諸地域を国家以外の主体が事実上の統制下に置いていることに留意しつつ、委員会は、締約国が全面的責任を負っていることを強調するとともに、ネパール共産党(毛沢東主義派)に対し、同党が展開している地域で子どもの権利を尊重するよう促す。委員会は、締約国に対し、いかなるときにも条約を尊重し、かつ、非常事態を含む例外的状況下にあってさえ条約のいかなる規定からも逸脱しない、自国の義務を想起するよう求めるものである。委員会はさらに、締約国に対し、子どもに対する暴力に関わる不処罰と闘うためにいっそう強力な措置をとるよう、勧告する。 13.委員会は、締約国に対し、議会を含む締約国の通常の機能を回復し、かつ条約の両選択議定書を批准するためにあらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 1.実施に関する一般的措置 前回の勧告 14.委員会は、締約国の第1回報告書(CRC/C/3/Add.34)の検討後に委員会が採択した総括所見の勧告の一部、とくにパラ25(立法)、26(差別の禁止)、29(データ収集)、30(子どものための資源配分)、31(出生登録)、32(基礎的サービスへのアクセス)、33(難民の子ども)、34(虐待およびネグレクト)、35(ストリートチルドレン)、36(児童労働)、37(売買および取引)および38(少年司法)に掲げられたものについて、十分なフォローアップが行なわれていないことを遺憾に思う。これらの勧告は、この総括所見でもあらためて繰り返されているところである。 15.委員会は、締約国に対し、第1回報告書に関する総括所見に掲げられた勧告のうち未実施のものに対応し、かつこの総括所見に掲げられた勧告を実施するため、あらゆる努力を行なうよう促す。 立法 16.委員会は、条約の原則および規定との全面的一致を確保する目的で国内法(とくに挙げておくべきものとして1992年子ども法)を改正しようとする締約国の計画を歓迎する。しかしながら委員会は、このような作業の進行速度について若干の懸念を表明するものである。 17.委員会はまた、法律、とくに地方法、慣習法および宗教法における相違によって子どもの権利の保護および促進が不均衡かつ差別的なものとなっていることに関わる前回の懸念も、あらためて表明する。 18.委員会は、締約国が、法律(とくに1992年子ども法)と条約の原則および規定との全面的一致を達成するプロセスを引き続き強化するよう、勧告する。委員会はさらに、すべての年齢の子どもが裁判所に保護を求められることを確保するため、締約国が、子ども法に定められた現行の年齢制限を撤廃するよう勧告するものである。 19.委員会は、締約国に対し、とくに法執行および意識啓発活動を通じ、子どもの権利の保護および促進を目的とした現行法の実施を強化するよう、促す。 国家的行動計画 20.委員会は、子どものための国家行動計画(2005~2015年)の採択は歓迎しながらも、締約国に現在存在する治安上の懸念によって資源が基礎的社会サービスから相当に転用されており、そのためこの国家行動計画の実施が阻害される可能性があることを、依然として懸念する。 21.委員会は、締約国に対し、国家行動計画の効果的実施のために十分な資源を配分するよう、促す。これとの関連で、委員会は、締約国が、とくに国連児童基金(ユニセフ)の技術的援助を求め、かつ同計画の実施に市民社会の関与を得るよう、勧告するものである。 調整 22.委員会は、郡子ども福祉委員会、中央子ども福祉委員会、女性・子ども・社会福祉省、〔同省の〕女性開発局、郡女性開発部および郡開発委員会のいずれもが、条約の実施に関わる事柄について役割を果たしていることに留意する。委員会は、最近採択された国家行動計画の実施におけるものも含め、これらの機関間で十分な体制に基づく明確な調整が行なわれていないことに、懸念を表明するものである。委員会はまた、これらの機関に現在配分されている資源がそれぞれの職務を効果的に遂行するために十分ではない可能性があることも、懸念する。 23.委員会は、締約国に対し、条約の実施に関わるあらゆる活動の調整、監視および評価のための、省庁および諸部門を横断した単一の機構を指定しまたは設置するよう、勧告する。このような機関は、国家計画委員会との緊密な調整の対象とされ、かつその職務を効果的に遂行するための強力な権限ならびに十分な人的資源および財源を提供されるとともに、市民社会の構成員、子どもの権利の専門家その他の専門家ならびに政府代表の参加を得るべきである。 独立の監視 24.委員会は、締約国に、国家人権委員会(とくに子どもの権利デスク)ならびに国家女性委員会および地区子ども福祉委員会が設置されていることを歓迎する。にもかかわらず、委員会は、締約国内のすべての子どもがこれらの苦情申立て機構にアクセスでき、およびこれを利用できるかについて、ならびに子どもの権利デスクの権限が限られていることについて、懸念を覚えるものである。委員会はまた、これらの機関がその権限を履行するために締約国が与えている政治的および財政的支援が不十分であることも、懸念する。さらに委員会は、現に活動中である郡子ども福祉委員会の数が限られていることを懸念するものである。 25.国内人権機関に関する委員会の一般的意見2号(2002年)に照らし、委員会は、締約国に対し、国家人権委員会および他の独立の監視機関が条約の実施を効果的に監視できるよう十分な人的資源および財源を配分されることを確保するともに、これらの機関が子どもにとって容易にアクセスできかつ利用者にやさしいものであることを確保するためにあらゆる効果的な措置をとるよう、奨励する。委員会は、締約国が、子どもの権利デスクの権限を拡大して個別事案および子どもからの苦情への対応も含めることを検討するよう、提案するものである。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、子どもが苦情申立て機構を効果的に活用することを促進するため、意識啓発の努力を強化するよう奨励する。委員会はさらに、締約国が、郡子ども福祉委員会の権限の強化を検討するよう提案するものである。 26.委員会は、締約国に対し、現在の委員会の任期が2005年5月25日に終了して以降も、国家人権委員会の有効性および独立性を維持するよう、強く促す。 子どものための資源 27.委員会は、締約国が直面している経済的および政治的困難、ならびに、基礎的社会サービスおよび教育への支出を増額するために行なわれている努力は承知しながらも、子どものためにおよび子どもの権利の実施のために十分な予算配分が行なわれていないことを懸念する。 28.条約第4条の実施を強化する目的で、かつ第2条、第3条および第6条に照らし、委員会は、締約国が、利用可能な資源を最大限に用いて、かつ権利を基盤とするアプローチを活用しながら子どもの権利の実施を確保するための予算配分を優先させるよう、勧告する。これとの関係で、委員会は、締約国に対し、国際協力の枠組みのなかで資源が効率的かつ効果的に配分されることを確保するよう、促すものである。 データ収集 29.委員会は、締約国に包括的かつ最新の統計データが存在しないこと、および、条約で対象とされているすべての分野についての十分な全国的データ収集システムが設置されていないことを、懸念する。 30.委員会は、締約国が、条約に一致し、かつジェンダー、年齢、地方行政区および被扶養関係によって細分化されたデータ収集および指標のシステムを発展させるよう、勧告する。このシステムは、とくに脆弱な立場に置かれた子ども(貧困下で暮らしている子ども、障害のある子どもおよびひとり親家庭の子どもを含む)をとくに重視しながら、18歳に達するまでのすべての子どもを対象とするべきである。委員会はさらに、締約国に対し、条約を効果的に実施するための法律、政策およびプログラムの立案に際してこれらの指標およびデータを活用するよう、奨励する。委員会は、締約国が、この点に関してとくにユニセフの技術的援助を求めるよう勧告するものである。 普及 31.定期報告書の作成に市民社会の構成員(子どもを含む)を関与させ、かつ条約についての情報を普及するために締約国が行なっている努力には留意しながらも、委員会は、条約の原則および規定に関する意識を高めるためのこれらの措置が不十分であることを懸念する。とくに委員会は、条約の原則および規定がすべての教育段階のカリキュラムに編入されておらず、かつ、子どものためにおよび子どもとともに働く専門家の研修および啓発を導入する体系的計画がないことを、遺憾に思うものである。 32.委員会は、締約国が、条約の規定および原則がおとなおよび子どもの間で同様に広く認識されかつ理解されることを確保するための努力を強化するよう、勧告する。委員会はまた、締約国に対し、子どもおよびその親ならびに子どものためにおよび子どもとともに働く専門家集団(とくに議員、裁判官、弁護士、法執行官、公務員、子どもを対象とする施設および拘禁場所で働く職員、教員、保健従事者ならびにソーシャルワーカー)を対象として、条約の権利に関する体系的な教育および研修を実施することも勧告するものである。これとの関連で、委員会は、すべての教育段階の公式カリキュラムに人権教育が含まれるべきことを勧告する。委員会はまた、締約国が、この点に関してユニセフおよびOHCHRの技術的援助を求めることを検討するようにも勧告するものである。 市民社会との協力 33.委員会は、公的機関によって市民社会組織に課されている広範な制限(再登録要件、検閲、渡航禁止、および、ドナーから助成金を受領する前に政府の認可を得なければならないとする要件など)について懸念を表明する。 34.委員会は、条約の全面的実施における市民社会の役割の重要性を強調するとともに、締約国が、締約国における市民社会組織の自由な活動を妨げるすべての法律上、実際上および行政上の障壁を撤廃するよう、勧告する。 2.一般原則 差別の禁止 35.差別が憲法その他の関連法で禁じられていること、および、差別解消のために締約国がさまざまな努力を行なっていることには留意しながらも、委員会は、女子およびもっとも脆弱な立場に置かれた集団(ダリット・コミュニティ、先住民族または民族的マイノリティ集団に属する子ども、子どもの難民および非ぼ希望者、ストリートチルドレン、障害のある子どもおよび農村部に住んでいる子どもなど)に対する事実上の差別が広く蔓延していることについて、あらためて深い懸念を表明する。委員会は、差別的態度が蔓延している結果、脆弱な立場に置かれた集団に属する子どもが虐待および搾取の被害者にとりわけなりやすいことに、重大な懸念とともに留意するものである。 36.とくに、教育、雇用、婚姻、公共の場所(水場および礼拝場所を含む)へのアクセスの面でダリットに対して根強く行なわれている事実上の差別についての人種差別撤廃委員会の懸念(CERD/C/64/CO/5)を参照しつつ、委員会は、このような形態の差別の蔓延が締約国におけるダリットの子どもの身体的、心理的および情緒的ウェルビーイングに及ぼす有害な影響について、深刻な懸念を表明する。 37.委員会は、第2条にしたがい、管轄内のすべての子どもが条約に掲げられたすべての権利を差別なく享受できることを確保する目的で、締約国が、差別の禁止に対する権利を保障した現行法の実施を確保し、かつ必要な場合には適切な法律を採択するための努力を強化するよう、勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、もっとも脆弱な立場に置かれた集団に属する子どものための社会サービスを優先させ、かつ対象を明確にしながら提供するとともに、これらの子どもが搾取から保護されることを確保するためにあらゆる効果的な措置をとるよう、促すものである。委員会は、締約国に対し、あらゆる形態の差別を防止しかつこれと闘うための包括的な公衆情報キャンペーンを開始するよう奨励する。 38.委員会は、「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」で採択されたダーバン宣言および行動計画をフォローアップするために締約国が実施した措置およびプログラムのうち子どもの権利条約に関わるものについての具体的情報を、教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)も考慮に入れながら、次回の定期報告書に記載するよう要請する。 子どもの意見の尊重 39.意見を聴かれる子どもの権利を促進するため、締約国が市民社会の構成員と協力しながら行なっている取り組みは留意しながらも、委員会は、子どもの生活のあらゆる分野において子どもの意見が十分に考慮されておらず、かつ、締約国の法律ならびに行政上および司法上の決定、または子どもに関連する政策およびプログラムに、第12条の規定が全面的に統合されていないことを懸念する。 40.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 条約第12条にしたがい、社会のあらゆる分野、とくに家庭、学校およびコミュニティにおいて、自己に影響を与えるすべての事柄について子どもの意見の尊重を促進しかつそのための便宜を図り、かつ子どもの参加を確保すること。 (b) とくに監護権をめぐる紛争および子どもに影響を与えるその他の法的手続において、子どもの権利〔意見〕が聴かれ、かつその意見が考慮されるよう、法律を改正すること。 (c) 子どもの意見が考慮されるようにし、かつ子どもの参加を可能とする目的で、とくに親、教員、政府行政機関の職員、司法関係者および社会一般に対し、子どもの権利に関する教育的情報を提供すること。 3.市民的権利および自由 出生登録および国籍に対する権利 41.出生登録が法律で義務づけられていることには留意しながらも、委員会は、締約国の努力にもかかわらず、低い出生登録率が、とくに農村部において依然として問題となっており、かつ、出生登録を含む「行政サービス」を遂行する地方公的機関の能力を減少させてきた紛争によって悪化していることを、懸念する。委員会は、出生時に登録されなかった子どもが、年齢の立証が不可能なために、武装集団への徴募を含む虐待および搾取の被害をより受けやすいことを懸念するものである。 42.委員会はまた、多くの集団の子どもが登録されず、かつ(または)ネパール市民権を得る資格を有していないことも懸念する。これにより、これらの子どもによる基本的権利および自由(とくに親を知り、かつ親によって養育される権利)の全面的享受に重大な悪影響が生じている。委員会は、出生、死亡その他の身元事項(人口動態登録)法(1976年)の現行規定上、母が子の登録に際して困難を経験する場合があり、かつ、同様に、市民権法(1964年)が子どもに対して母の名による国籍請求を認めていないことを、とりわけ懸念するものである。その結果、父が外国人である子ども、遺棄された子ども、両親がいない子ども、シングルマザーの子どもおよびバディ・コミュニティの子どもは、父の身元を明らかにできない場合、市民権を取得できない。加えて、委員会は、ブータン難民の出生登録が公的機関によって行なわれていないことに懸念を表明する。 43.条約第7条に照らし、委員会は、締約国に対し、すべての子どもが出生時に登録されることを確保するための努力(意識啓発キャンペーンを含む)を強化するよう促す。これとの関連で、委員会は、出生登録の事務を委ねられた地方政府当局が、出生が時機を失することなく実効的に登録されることを確保するために積極的に地域コミュニティの関与を得ることを、締約国が確保するよう勧告するものである。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、とくにユニセフ、非政府組織および市民社会の他の構成員の援助を求めるよう促す。 44.委員会はさらに、締約国に対し、条約第7条および第8条との全面的一致を確保するため、関連の法律、とくに出生、死亡その他の身元事項(人口動態登録)法(1976年)、市民権法(1964年)ならびに憲法第9条1項、2項および5項を優先的課題として改正するよう、勧告する。委員会はまた、締約国に対し、難民の出生登録に関する政策を優先的課題として見直すとともに、締約国で出生した難民および庇護希望者の子ども全員に対して出生証明書が発行されることを確保するようにも、勧告するものである。 プライバシーの保護 45.委員会は、「罪を犯した子ども、強姦被害者または困難な状況にある子どもの素性がメディアで明らかにされ続けている」(〔締約国報告書〕パラ124)ことに、懸念とともに留意する。これは条約第16条の明確な違反である。 46.委員会は、締約国に対し、ネパールで放送されるすべての資料において子どものプライバシー権が尊重されることを確保するための、行動規範および(または)自主規制などの機構を設置するとともに、メディア専門家を対象として、子どものプライバシー権に特段の関心を払いながら適切な人権研修が行なわれることを確保するよう、促す。 体罰 47.委員会は、子どもの体罰および不当な取扱いが家庭、学校その他の施設において蔓延していることを懸念する。委員会は、1992年子ども法および1963年ムルキアイン(民法)の規定で、家庭、学校その他の施設および諸形態の子どものケアにおける体罰が規定されていることを懸念するものである。これは条約第19条に明確に違反している。委員会は、子どもにとって有害な伝統的慣行を法律によって具体的かつ法的に〔重複ママ〕禁止することの重要性を強調するものである。 48.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 家庭、学校その他の施設における子どもの体罰および不当な取扱いを法律で明示的に禁止すること。 (b) 条約第19条との一致を確保するため、子ども法および1963年ムルキアインの関連規定の改正プロセスを加速させること。 (c) 体罰および不当な取扱いが子どもに及ぼす悪影響についての情報を、親、教員および子ども(とくに施設の子ども)とともに働く専門家に対して提供するための意識啓発キャンペーンを強化するとともに、このプロセスに子どもおよびメディアを積極的に関与させること。 (d) 前向きな、参加型の、非暴力的形態のしつけおよび規律の維持が、体罰に代わる手段として、社会のあらゆるレベルで、子どもの人間の尊厳と一致する方法でかつ条約(とくに第28条2項)にしたがって行なわれることを確保すること。 4.家庭環境および代替的養護 親からの子どもの分離/家庭環境を奪われた子どもと代替的養護 49.委員会は、締約国で現在行なわれている武力紛争の結果、ますます多くの家族および子どもが家族の解体および分離のおそれに直面していることを深く懸念する。委員会は、武力紛争のみならずHIV/AIDSの結果としてもますます多くの子どもが入所型養護施設に措置されており、かつ、これらの子どもの多くにはまだ両親の双方もしくは一方および(または)近親者がいることを、同様に懸念するものである。さらに委員会は、これらの入所型養護施設が締約国の定めた基準を満たしておらず、かつその多くは登録されていないことを懸念する。委員会はまた、これらの施設の質に関する十分かつ効果的な監視が行なわれていないことも懸念するものである。 50.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 親としての義務の履行に関して親を支援するための、コミュニティの組織および社会保障手当を通じたプログラムを策定しかつ実施するとともに、これとの関連で、武力紛争の影響を受けている家族およびもっとも脆弱な立場に置かれた家族(ひとり親世帯など)に特段の注意を払うこと。 (b) 拡大家族のような既存の組織を強化するためのプログラムを実施することによって分離された家族の再統合を図り、かつ、十分な資源および十分に訓練されたスタッフを備えた里親養護制度を導入するために、効果的措置をとること。 (c) 入所型養護施設が条約に一致した質的基準を満たすこと、これらの施設が登録されかつ定期的に監視されること、および、このような措置が最後の手段としてかつ可能なもっとも短い期間でのみ用いられるようにするため、条約第25条にしたがい、これらの施設への子どもの措置が定期的に再審査されることを、確保すること。 親が収監されている子ども 51.委員会は、相当数の子どもが、しばしば国際基準を満たさない劣悪な環境のもと、親とともに成人刑務所で生活していることを懸念する。 52.委員会は、締約国に対し、子どもが親とともに刑務所で生活するという現在の慣行を、このような滞在をそれがその子どもの最善の利益である場合に限定し、かつ刑務所における生活環境が子どもの調和のとれた発達のためのニーズにとってふさわしいものであることを確保する目的で、見直すよう勧告する。委員会はまた、親が収監されている子どもが、たとえば拡大家族における十分な代替的養護を提供され、かつ親との定期的接触を認められるべきことを勧告するものである。 養子縁組 53.相当数のネパール人の子どもが外国人によって養子とされていることにかんがみ、かつ締約国で現在行なわれている武力紛争の文脈において、締約国は、国際養子縁組に関する明確な政策および適切な法律がなく、そのため赤ちゃんの取引および密輸のようなさまざまな慣行が行なわれていることを懸念する。委員会は、親の責任の停止をともなう事案について、適正な司法手続が(親または保護者の養育能力に関する技術的アセスメントを含む)存在しないことをとりわけ懸念するものである。委員会はまた、家事労働者としての子どもの搾取をともなう可能性がある、いわゆる非公式養子縁組の慣行についても懸念を表明する。 54.委員会は、締約国に対し、国際養子縁組の慣行が条約の原則および規定、とくに第21条と全面的に一致することを保障するため、この形態の養子縁組に関する政策および法規定を策定しかつ実施するよう、勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、とくに以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) とくに子どもの取引および密輸を防止する目的で、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約を批准すること。 (b) 養子縁組事案を担当する専門家が、事案をハーグ条約に照らして審査しかつ処理するために必要な技術的専門性を全面的に備えることを確保する目的で、国内養子縁組および国際養子縁組に関する現行の機構および手続、とくに国および郡の段階の意思決定機関の役割および責任を見直すこと。 (c) ネパール人の子どもの養子縁組に関する厳格な基準を策定しかつ実施し、とくに武力紛争の結果として親族から分離された子どもの親または近親者を効果的に追跡するための合理的期間を確保するとともに、子どもの親の貧困が養子縁組のための法的根拠になりうると定めた「ネパール人の子どもを外国国民による養子縁組の対象とするための条件および手続」(2000年)の規定を廃止すること。 (d) すべての養子縁組関連事案において、親の責任の停止および(または)子どもの分離を防止するためにあらゆる手段が尽くされたことが明確な基準のひとつとされることを確保すること。 (e) 子どもが搾取されることを防止し、かつ子どものすべての権利(教育および保健ケアに対する権利を含む)が全面的に尊重されることを確保するため、近親者その他の者に子どもを措置する慣行を規制しかつ監視すること。 虐待およびネグレクト(身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を含む) 55.子ども法で、親、保護者または教員による子どものいかなる残虐な取扱いも禁じられていることには留意しながらも、委員会は、締約国で子どもの虐待およびドメスティックバイオレンスが蔓延していることを危惧するとともに、締約国で現在施行されている国内法は、子どもおよび女性に対し、虐待およびドメスティックバイオレンスからの十分な保護を与えていないという見解に立つ。とくに委員会は、子どもを残虐な取扱いから保護している子ども法が効果的な救済機構について定めていないこと、および、同法の違反が国法上の犯罪とみなされておらず、そのため民事訴訟手続に基づく救済措置しか提供されないことに、留意するものである。委員会はさらに、議会が解散前の2002年4月に通過させたドメスティックバイオレンス統制法案が正式に制定されなかったことを遺憾に思う。委員会は、締約国において、法律で処罰される犯罪としての女性および子どもに対する暴力に関する意識が、法執行官等の間においても不十分であることを懸念するものである。 56.委員会は、子ども法において児童ホーム、リハビリテーションセンターおよび孤児院で提供されているケアの査察についても規定されていることには留意しながらも、適切な苦情申立て手続が設けられていないこと、および、虐待およびネグレクトの被害を受けた子どもの安全な避難所が指定されていないことを懸念する。委員会はまた、子どもの虐待およびネグレクトの訴追が、法制度に重要な制度基盤上の問題があることによって阻害される可能性があることも、懸念するものである。 57.委員会は、締約国が、とくに以下の手段をとることによって、子どもの虐待およびネグレクトを防止するために必要な措置をとるよう勧告する。 (a) この現象を防止しかつ減少させる目的で、その原因および範囲についての研究を行ない、かつ、子どもの虐待、ネグレクトおよびドメスティックバイオレンスの事件の多発および増加に対応するための包括的戦略を確立すること。 (b) 子どものためにおよび子どもとともに働くすべての専門家に対し、虐待およびネグレクトが疑われる事案についての通報義務を必須とする法律を導入するとともに、これらの専門家を対象として不当な取扱いの発見、通報および対応についての研修を実施すること。 (c) 被害者が援助を求めることを妨げる社会文化的障壁に対応しながら、子どもの不当な取扱いの影響、および、子どものしつけおよび規律のための代替的措置についての意識を高める公衆教育キャンペーンを実施すること。 (d) 子どもに配慮したやり方で苦情を受理し、監視しかつ調査するための効果的機構を設置するとともに、子どもの虐待およびネグレクトの加害者が適正に訴追されることを確保し、かつ証人および被害者の保護のための適切な制度を設けること。 (e) 性的虐待の被害者、および、虐待、ネグレクト、不当な取扱い、暴力または搾取の被害を受けた他のあらゆる子どもの身体的および心理的回復ならびに社会的再統合のためのサービスを提供するとともに、NGOとの協力等も図りながら、被害者の犯罪者扱いおよびスティグマを防止するために適切な措置をとること。 (f) とくにユニセフおよびWHOの技術的援助を求めること。 5.基礎保健および福祉 障害児 58.障害のある人に関する国家政策が策定されたこと、および、障害のある子どもの権利について定めた法律(1982年障害者保護福祉法、1971年教育法および1992年子ども法を含む)が存在すること、ならびに、障害のある人のためのプログラムを発展させかつ支援する国家障害者サービス調整委員会が設置されたこと(2000年)は認知しながらも、委員会は、以下のことを依然として懸念する。 (a) これらの法律およびプログラムの実施が不十分であり、かつ、必要な資源が締約国によって配分されていないこと。 (b) 障害のある子どもに関わる全国的な早期発見・早期介入システムが設けられていないこと。 (c) 障害のある子どもの教育制度および社会一般へのインクルージョンを促進するための努力(障害のある人に対する伝統的態度を変革し、かつ情報、医療施設等へのアクセスを向上させるための努力を含む)が不十分であること。 59.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 障害のある子どもに関する包括的な政策の策定プロセスを速やかに進めるとともに、必要な措置、とくに効果的実施のための十分な資源の配分を行なうこと。 (b) 障害の原因および予防方法を明らかにするための研究を実施し、かつ、早期の発見、付託および介入のための全国的システムを設置すること。 (c) 適当な保健ケア、教育サービスおよび就労機会へのアクセスの観点からこれらの子どもの状況を評価するとともに、障害のある子どものためのサービスを強化し、その家族を支援し、かつこの分野における専門家を訓練するための十分な資源を配分すること。 (d) 障害者の機会均等化に関する基準規則(総会決議48/96)および障害のある子どもの権利に関する一般的討議の日に委員会が採択した勧告(CRC/C/69、パラ310-339)に照らして、とくに、教員を対象とする特別訓練に対していっそうの注意を向け、かつ物理的環境(学校施設、スポーツ施設および余暇施設ならびに他のあらゆる公共の場所を含む)を障害のある子どもにとってアクセス可能なものとすることにより、障害のある子どもの普通教育制度への統合および社会へのインクルージョンをさらに奨励すること。 (e) 親、および、障害のある子どもとともにおよびこのような子どものために働く専門スタッフ(教員を含む)を対象とする訓練のための技術的協力を、とくにユニセフおよびWHOに対して求めること。 健康および保健サービス 60.委員会は、児童期疾病統合管理戦略を実施するための作業部会の設置(1997年)を歓迎するとともに、5歳未満の子どもの予防接種率を向上させるための締約国の努力(包括的なはしか予防接種キャンペーンが最近完了したことを含む)を称賛する。にもかかわらず、委員会は、保健サービスおよび社会サービスの資源が著しく制約されており、かつ、締約国の子どもが利用できる保健ケアの全般的な質および利用可能性が、とくに貧しい家族の間でおよび農村部において深刻なほど不十分であるという、締約国の懸念を共有するものである。とくに、委員会は以下のことを懸念する。 (a) 乳児死亡率、5歳未満児死亡率および妊産婦死亡率が高く、かつ締約国における平均余命が短いこと。 (b) 予防可能な児童期疾病(下痢、栄養不良、貧血症、腸感染症、細菌感染症、はしかおよび肺炎を含む)により、引き続き子どもの生存および発達が脅かされていること。 (c) 産前産後のケアが不十分であり、やはり子どもの生存および発達を阻害する要因となっていること。 (d) とくに全般的なサービスの欠如に苦しんでいる農村部において、衛生設備および安全かつ清潔な水へのアクセスが不十分であること。 (e) とくに農村部において健康、個人衛生および公衆衛生に関する意識が低く、かつ、子どもの健康にとって有害となるおそれがある伝統的慣行(近代的医療施設ではなく呪術医に相談すること、および、下痢をわずらっている子どもに水を与えないことなど)が蔓延していること。 61.委員会はまた、危険な状況に置かれた子ども(ストリートチルドレン、児童労働者、子どものセックスワーカーおよびダリットの子どもを含む)が有する健康面の特別な脆弱性およびニーズに対応するための取り組みがほとんど行なわれていないことにも、懸念とともに留意する。 62.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 適切な資源(すべての子どものための基礎的医薬品を含む)を十分に提供され、かつとくに農村部を重点的に対象とする基礎的な保健ケアおよび保健サービスへのアクセスを確保する目的で、国際協力等も通じ、保健インフラを向上させるためのあらゆる適当な措置を引き続きとること。 (b) 予防接種の実施範囲を同国全域に拡大するための努力を引き続き強化すること。 (c) プライマリーヘルスケアサービスへのいっそうのアクセスを促進すること。 (d) ハイリスク集団に属する子どものニーズに特段の注意を払いながら、児童期疾病と闘うための措置を引き続き強化すること。 (e) 一般公衆、とくに家族、子どもおよび保健ケアの提供に従事する者(伝統的保健従事者を含む)に対し、基礎的な救急ケアおよび保健ケアに関する適切な知識を提供するための意識啓発の努力を進めること。 (f) 量的データおよび質的データ双方の適時性および信頼性を確保しながら、とくに重要な保健指標との関連でデータ収集システムを強化するとともに、条約の効果的実施のための、調整のとれた政策およびプログラムの立案のために当該システムを活用すること。 (g) 子どもの健康を向上させるための協力および援助の追加的経路を、諸機関のなかでもとくにWHOおよびユニセフとの間で追求すること。 思春期の健康 63.委員会は、思春期の健康に関わる問題(発達保健、精神保健およびリプロダクティブヘルスに関わる懸念を含む)に対し、締約国が不十分な注意しか向けていないことを懸念する。委員会は、青少年が身体的および精神的健康に関わる特別なリスク(性的虐待、暴力、薬物およびアルコールの濫用、ならびに、HIV/AIDSを含む性感染症によるものを含む)に直面していること、および、リプロダクティブヘルスに関わる問題についての青少年の意識水準が低いことに、懸念を表明するものである。 64.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 思春期の健康問題の性質および規模を評価するための包括的な研究を実施するとともに、青少年の全面的参加を得ながら、思春期の健康に関する政策およびプログラムの立案のために当該研究結果を活用すること。その際、とくにリプロダクティブヘルス教育および子どもに配慮したカウンセリングサービスを通じて性感染症を予防することに特段の焦点を当て、かつ、これとの関連で思春期の健康と発達に関する委員会の一般的意見4号(2003年)を考慮すること。 (b) 発達保健および精神保健に関するカウンセリングサービスならびにリプロダクティブヘルス・カウンセリングを提供するとともに、これを青少年に対して知らせ、かつ青少年にとってアクセスしやすくすること。 (c) 学校カリキュラムにリプロダクティブヘルス教育を編入するための措置をとるとともに、リプロダクティブヘルスについての権利(HIV/AIDSを含む性感染症および早期妊娠の予防を含む)について十分な情報を青少年に提供するための意識啓発キャンペーンを実施すること。 (d) 青少年に関わる健康問題についての専門性を有する国際機関、とくにUNFPA〔国連人口基金〕、ユニセフおよびWHOと引き続き協働すること。 早期婚 65.女子の最低婚姻年齢が18歳であることは認知しながらも、委員会は、とくに一部の民族的および宗教的コミュニティにおいて早期婚の慣習が広く実践されており、かつ、いったん婚姻した女子は、条約に掲げられた子どもとしての権利(教育に対する権利を含む)を享受するための保護を与えられていないという、締約国の懸念を共有する。 66.委員会は、締約国が、早期婚を防止するための現行法の執行を強化するとともに、早期婚の慣行を抑制するための感受性強化プログラムを、コミュニティの指導者、宗教的指導者および社会一般(子どもたち自身を含む)の関与を得ながら発展させるよう、勧告する。委員会はまた、締約国に対し、法定年齢未満で婚姻した女子が条約に掲げられた権利(教育に対する権利を含む)を引き続き享受することを確保するための措置をとるようにも勧告するものである。 有害な伝統的慣行 67.委員会は、一部の有害な伝統的慣行(とくにもっとも顕著なものとしてカースト制度ならびにデウキ、クマリ、ジュマ、バディ、カムラリおよびチャウパディのような伝統)が締約国において引き続き蔓延しており、女子に対する極度の危険、健康上の危害および虐待を引き起こしていることに、懸念とともに留意する。委員会は、これらの伝統的慣行がその影響を受けている子どもによる権利の享受に及ぼしている有害な影響に対処するため、締約国が法律による禁止および十分な介入を行なっていないことを遺憾に思うものである。 68.委員会は、締約国が、意識啓発プログラムを強化することにより、子どもの身体的および心理的ウェルビーイングにとって有害であるすべての伝統的慣行を根絶するために必要な措置を、緊急にとるよう勧告する。委員会はさらに、締約国に対し、このような慣行を禁止する法律を採択するよう勧告するものである。 HIV/AIDS 69.委員会は、HIV/AIDSの予防および統制のために締約国が行なっている努力(全国AIDS・性感染症統制センターの設置を含む)を歓迎するものの、とくにハイリスク集団の間で感染件数が増加しておりかつHIV/AIDSが広く蔓延していることを、依然として懸念する。委員会は、HIV/AIDSが、、HIV/AIDSに感染しまたはその影響を受けている子どもの文化的、経済的、政治的、社会的および市民的権利(条約の一般原則を含む)に与えているきわめて深刻な影響について、とくに差別の禁止、保健ケア、教育、食糧および住居ならびに情報および表現の自由に対する権利を参照しながら、懸念を覚えるものである。 70.委員会は、締約国が、HIV/AIDSが存在する世界で暮らす子どもについての一般的討議の日に採択された勧告(CRC/C/80、パラ243)を考慮に入れる等の手段により、HIV/AIDSに感染した子どもおよびその影響を受けている子どものための、HIV/AIDSに関する政策および戦略の策定および実施に子どもの権利の尊重をさらに統合するとともに、この戦略の実施に際して子どもたちの関与を得るよう、勧告する。 社会保障、保育サービスおよび保育施設ならびに生活水準 71.委員会は、締約国において高水準で蔓延している貧困について懸念を表明する。このような貧困は、子ども(とくに農村部に住んでいる子ども、スラムおよび不法占拠地に住んでいる子どもならびに低層カーストおよび民族的マイノリティの子ども)の権利の尊重および充足、ならびに、子どもに十分な保護を提供する家族の能力を阻害している。 72.貧困下で暮らしている子どもの割合が相当に達することにかんがみ、委員会は、社会保障を受給する子どもの権利についての情報が欠乏していることに遺憾の意とともに留意するとともに、条約第26条と全面的に一致した、法令に基づく包括的な社会保障制度が存在しないことに、懸念を表明する。 73.条約第26条および第27条にしたがい、委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 貧困と闘うための戦略を、子どもの権利に対する影響の監視を正当に重視しながら強化するとともに、その戦略の実施を確保するために十分な人的資源および財源(国際援助を通じてのものも含む)を配分すること。 (b) 経済的に不利な立場に置かれている家族(とくに農村部、スラムおよび不法占拠地で暮らしている家族)に対して支援および物的援助を提供し、かつ十分な生活水準に対する子どもの権利を保障するための努力を強化すること。 (c) 貧困指標および公式の貧困線を定めること。これにより、締約国は、貧困の程度を定義し、かつ、貧困の緩和および締約国の子どもの生活水準の向上における進展を監視しかつ評価することができるようになるはずである。 (d) 社会保障政策を、明確なかつ一貫した家族政策とあわせて確立し、かつ社会的セーフティネットとしての諸給付を子どもの権利の促進のために用いるための効果的戦略を定めるとともに、社会保障制度に十分な財源を提供すること。 74.したがって委員会は、締約国が、社会保障政策を、貧困削減戦略の枠組みのなかで、明確なかつ一貫した家族政策とあわせて確立するとともに、社会的セーフティネットとしての諸給付を子どもの権利の促進のために用いるための効果的戦略を定めるよう、勧告する。〔訳者注/パラ73(d)との重複は原文ママ〕 6.教育、余暇および文化的活動 教育(職業訓練および職業指導を含む) 75.万人のための教育に関する国家行動計画ならびに基礎初等教育基本計画(1997~2002年)および第2次基礎初等教育基本計画(1999~2004年)の策定は歓迎しながらも、委員会は、初等教育が義務的とされていないこと、および、初等教育の完全普及を2000年までに達成するという締約国の目標が、まったく満たされないまま2015年まで延長されたことを、深刻に懸念する。委員会はまた、教育に関する公共支出額が低く、かつ資源が構造的に欠乏していること(これがもっぱら原因となって、資格のある教員の不足、劣悪な物理的インフラ、学校における過密および学校における物質的不足が生じている)ことも、依然として懸念するものである。委員会はまた、中退率が高いこと、通学に関連する隠れた費用の問題もあって教育へのアクセスの面で相当の不平等が存在すること、および、女子および不利な立場に置かれた背景を有する子ども(ダリットの子どもおよび障害のある子どもなど)の相当の割合が教育機会を奪われたままであることも、懸念する。 76.委員会は、締約国が、この分野における予算配分およびとられた措置を、それが教育および余暇活動に対する子どもの権利の漸進的実施に及ぼす影響との関連で注意深く検討するよう、勧告する。とくに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 初等教育を、すべての子どもに対して義務的かつ無償とし、かつ5年のみの初等学校期間よりも長期のものとすること。 (b) 就学率および学校出席率を高め、かつ初等中等教育における高い中退率を減少させるための措置を引き続き強化するとともに、子どもが、受ける資格を有する学校教育を全面的に受けられることを確保すること。 (c) 教育に配分される予算の増額のために追加的努力を行なうこと。 (d) 女子および男子ならびに都市部および農村部の間に蔓延している格差を解消する目的で、とくに女子を対象として、すべての子どもにとっての教育へのアクセス可能性を向上させるためのさらなる措置をとること。 (e) とくに学校の増設、物理的インフラの改善および学校における十分な設備の確保を図ることにより、教育の質を向上させるための措置をとること。 (f) 教員養成の取り組みを優先的に進めるとともに、資格のある教員、とくに女性およびあらゆる民族集団の出身者の採用を拡大すること。 (g) 貧しい家庭の子どもおよび周縁化された集団の子どもを重点的対象とするプログラムを導入し、かつ全面的に実施すること。 (h) とくに農村部における公的な乳幼児期教育の提供を引き続き強化するとともに、訓練を受けた就学前教育教員を増員し、かつ乳幼児期教育の価値に関する親の意識を高めること。 (i) 学校における体罰の使用と闘うために適切な立法上の措置をとること。 (j) 教育の目的に関する委員会の一般的意見1号(2001年)に照らし、あらゆる教育段階の学校カリキュラムに、子どもの権利を含む人権教育を含めること。 (k) 教育差別禁止条約(1960年)および技術教育および職業教育に関する条約(1989年)を批准すること。 (l) とくにユニセフおよびユネスコのさらなる技術的援助を求めること。 77.委員会はさらに、締約国に対し、紛争(および非常事態)が教育制度に及ぼす悪影響を解消し、かつ、学校の再建および再開ならびに教員および児童生徒の学校復帰を促進するためのあらゆる措置を優先的にとるとともに、これらの目的のために十分な資源が提供されることを確保するよう、勧告する。 7.特別な保護措置 子どもの難民/庇護希望者および国内避難民 78.委員会は、ノンルフールマンの原則に根ざした公式の政策が2004年8月に採択されたことを歓迎するものの、締約国が、難民の地位に関する条約、無国籍者の地位に関する条約または無国籍の削減に関する条約をまだ批准しておらず、かつ、難民および庇護希望者の権利を取り上げた国内法が定められていないことを、遺憾に思う。これとの関連で、かつこのような者の多数が子どもであることにかんがみ、委員会は、以下のことを懸念するものである。 (a) ネパールのブータン人キャンプで差別および不当な取扱い(女性および子どもの性的虐待が多数発生していることをふくむ)が行なわれているとの報告があること。 (b) チベット人庇護希望者(保護者のいない未成年者を含む)がネパールによって中国に送還されているとの報告があること、および、チベット難民福祉事務所が2005年1月に閉鎖されたこと。 (c) 一定のカテゴリーの庇護希望者(具体的には、1990年にネパールに到着したチベット人、およびブータン人)しか難民申請を行なえないのが原則とされていること。 (d) ブータン難民が、移動の自由ならびに健康および教育に対する権利の享受を制約されていること。 79.委員会は、継続中の武力紛争により自宅を強制退去させられた国内避難民(子どもを含む)の状況について締約国から情報が提供されなかったことに、遺憾の意とともに留意する。 80.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 難民の地位に関する条約、無国籍者の地位に関する条約および無国籍の削減に関する条約を優先的課題として批准すること。 (b) 国内避難民、難民および庇護希望者であるすべての子どもならびにその家族が保健サービスおよび教育サービスにアクセスでき、かつ、条約に掲げられたこれらの子どものすべての権利(出生時に登録される権利を含む)が保護されることを、優先的課題として確保するように努めること。 (c) 自国の管轄下にある、国内避難民および難民であるすべての女性および子どもがあらゆる形態の性的搾取から保護され、かつ加害者が適正に訴追されることを確保するために、即時的措置をとること。 (d) 子どもの国内避難民、難民および庇護希望者(保護者のいない未成年者を含む)の状況に関する詳細な情報を次回の定期報告書に記載すること。 (e) 諸機関のなかでもとくにUNHCRとの連携を引き続き強化すること。 武力紛争下の子ども(身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を含む) 81.委員会は、締約国における武力紛争で殺害される子どもが多数にのぼることを著しく危惧する。委員会は、政治的洗脳、ならびに、戦闘員、密告者、調理人または荷物運搬人および人間の盾としての使用を目的として、武装集団が子どもの誘拐および強制的徴集を行なっている旨の報告があることに、重大な懸念ともに留意するものである。委員会は、政府軍が、武装集団の構成員の疑いがある18歳未満の者を攻撃対象としていること、ならびに、失踪および恣意的拘禁が行なわれており、かつ政府軍が子どもをスパイおよび伝令として使用している疑いがあるという、著しく危惧される報告があることを、同様に懸念する。委員会はまた、テロ活動および破壊活動(統制および処罰)令の2004年改正に基づいて子どもが拘禁されているという報告があることも、深く懸念するものである。委員会は、このような暴力が被害を受ける子ども(子どもの戦闘員を含む)に対して及ぼす直接の影響、ならびに、このような子どもがこうむる深刻な身体的および心理的外傷について懸念を覚える。委員会はまた、子どもが武力紛争のために家族から分離されていること(インドに避難した子どもを含む)、および、これらの家族の再会のために締約国がほとんど努力していないことに、懸念を表明するものである。委員会はまた、武力紛争が食糧供給、教育および保健ケアに及ぼす悪影響についても懸念する。 82.委員会は、締約国が、武力紛争の影響を受けている子どもの権利を実施するための包括的な政策およびプログラムを策定し、かつしかるべき人的資源および財源を配分するよう、勧告する。とくに委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) いかなる軍隊または武装集団によるものであれ、軍事目的の子どもの誘拐、徴募および使用を犯罪化すること。 (b) 治安部隊を対象とする、子どもに関する独立の部隊行動規則を定めること。 (c) 少年司法に関する国際的な基準および規範に照らして、テロ活動および破壊活動(統制および処罰)令を改正しまたは廃止すること。 (d) 武力紛争の影響を受けている子ども(とくに子どもの戦闘員、保護者のいない国内避難民および難民、帰還民)を対象とする心理社会的支援および援助のための包括的システムを、NGOおよび国際機関と連携しながら発展させること。 (e) 紛争の影響を受けている子どもが教育制度に再統合できることを確保するための効果的措置をとること。そのための手段には、非公式教育プログラムを提供すること、ならびに、紛争の影響を受けている地域における校舎および諸施設の復旧ならびに水、衛生設備および電気の供給が含まれる。 (f) 国際的な子の奪取の民事上の側面に関するハーグ条約を批准すること。 (g) 武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書を、優先的課題として批准すること。 (h) この点に関してとくにOHCHRおよびユニセフの技術的援助を求めるとともに、新たに設置されたOHCHRネパール事務所に対して最大限可能な協力を行なうこと。 搾取的状況にある子ども(身体的および心理的回復ならびに社会的再統合を含む) 有害物質濫用 83.委員会は、子どもによるアルコール消費が広く蔓延していること、および、子どもによる有害物質濫用(大麻、ヘロインおよびアヘンの使用ならびに静脈注射による薬物使用を含む)の件数が増えていることに、懸念を表明する。委員会はまた、親によるアルコールおよび有害物質の消費が締約国の子どもの身体的、情緒的および心理的発達およびウェルビーイングに与える有害な影響についても、懸念を覚えるものである。アルコール法で16歳未満の子どもに対するアルコールの販売が禁じられていることには留意しながらも、委員会は、同法では違反の場合の罰則についてなんら定められておらず、かつ、未成年者によるアルコールの使用を禁じた法律の実施が全般的に有効ではないことに、懸念を表明する。委員会はまた、子どもによる統制薬物の販売、使用および取引を禁じた具体的法律が存在せず、かつこの点に関する治療プログラムも提供されていないことも、懸念するものである。 84.委員会は、締約国が、公的な教育啓発キャンペーン等も通じて子どもによる薬物およびアルコールの濫用と闘い、かつ、アルコールを濫用する子どもおよび(または)薬物その他の有害な物質を使用する子どもが、治療、カウンセリング、回復および再統合のための効果的な機構および手続にアクセスできることを確保するための取り組みを進めるよう、勧告する。委員会はさらに、親によるアルコールおよび統制薬物の使用が子どもの発達およびウェルビーイングに与える有害な影響について、とくに意識啓発キャンペーンを通じ、親を対象とする教育が行なわれるべきことを勧告するものである。委員会は、締約国に対し、子どもによる統制薬物の販売、使用および取引を禁止するために必要な法律を採択するとともに、子どもによるアルコールおよび有害物質の使用を禁じたすべての法律の効果的実施を確保するよう、促す。 ストリートチルドレン 85.路上で生活しかつ働く子どもの人数が増えており、かつ、このような子どもが虐待、ネグレクトおよび搾取の主要な被害者に挙げられていることを締約国が認めていることにかんがみ、委員会は、このような子どもが置かれた状況に対応するための具体的なプログラムおよび措置に関する情報が不足していることを、遺憾に思う。 86.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) この現象を防止しかつ減少させる目的で、この現象の原因および範囲に関する研究を実施するとともに、ストリートチルドレンの多発および増加に対応するための包括的戦略を確立すること。 (b) ストリートチルドレンの全面的発達を支える目的で、このような子どもに対し、十分な栄養、衣服、住居、保健ケアおよび教育機会(職業訓練およびライフスキル訓練を含む)が提供されることを確保するための効果的措置をとること。 (c) これらの子どもが、身体的および性的虐待ならびに有害物質濫用の被害者であるときは回復および社会的再統合のためのサービスを提供され、警察による陵虐から保護され、かつ、家族およびコミュニティとの和解のためのサービスを提供されることを確保すること。 (d) この点に関してとくにユニセフの技術的援助を求めること。 性的搾取および性的虐待 87.子どもの性的搾取の現象を解消するために締約国が行なっている努力には留意しながらも、委員会は、締約国の多数の子どもが性的に搾取されていることについて重大な懸念を覚える。委員会は、とくに脆弱な立場に置かれた集団の子どもを性的搾取から保護するために行なわれている努力が不十分であるとの見解に立つものである。具体的には、委員会は、セックスワーカーの間で低層カーストの子どもが不相応に多いこと、および、バディとして知られる、バディ・カーストの幼女が売春を強要される慣習的慣行が根強く残っていることに、懸念とともに留意するものである。 88.委員会はさらに、残虐な取扱いまたは拷問から子どもを保護する子ども法第7条の規定が、残虐な取扱いまたは拷問の基準に達するとはかぎらない性的虐待事件には適用されないことに、留意する。委員会はまた、子どもの性的虐待を行なった加害者の訴追率が低いこと、および、性的搾取について定めた法律に関して住民を教育するための公的キャンペーンがほとんど進められていないことも、懸念するものである。 89.委員会は、締約国が、以下の措置をとるための資源を優先的に配分するよう勧告する。 (a) 18歳未満の男子および女子が性的虐待および搾取から保護されることを確保する適切な法律を制定すること。 (b) 子どもの性的搾取について検討するための包括的研究を実施し、その蔓延度に関する正確なデータを収集すること。 (c) 子ども、とくにバディその他の低層カーストに属する子どもがそのような搾取の対象とされる危険性を高める要因も含めて子どもの性的搾取に対応する、適切な立法上の措置の採用および効果的かつ包括的な政策の策定を進めること。 (d) 性的搾取の被害を受けた子どもが犯罪者として扱われないようにし、かつ加害者の適正な訴追を確保すること。 (e) 第1回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で採択された宣言および行動綱領、ならびに、第2回世界会議で採択された「横浜グローバルコミットメント2001」にしたがい、子どもの被害の防止、被害を受けた子どもの回復および再統合のための適切な政策およびプログラム(すべての地域にリハビリテーションセンターを設置することも含む)を実施すること。 (f) とくにユニセフの援助を求めること。 子どもの経済的搾取(児童労働を含む) 90.委員会は、最悪の形態の児童労働を撤廃するため、締約国が、市民社会の主体、ドナーコミュニティおよびとくに国際労働機関と協力しながら行なっているさまざまな努力(関連のILO諸条約の批准および国内法の制定(前掲パラ3および4参照)、ならびに、予定されている国家基本計画および期限付撤廃プログラムの採択を含む)に、満足感とともに留意する。 91.にもかかわらず、委員会は、締約国の相当割合の子どもが、著しく危険な労働にしばしばフルタイムで従事していることについて、依然として重大な懸念を覚える。委員会はまた、この分野における国内法の執行が弱いままであることも懸念するものである。委員会は、締約国に財源がないために労働査察官が不足していることを懸念する。委員会はまた、子どもを含む人口の大多数はインフォーマル経済で働いているにも関わらず、子どもの不法な雇用を禁じた児童労働法は経済のフォーマル部門にしか適用されないことも、懸念するものである。 92.カマイヤ債務労働制が2000年に廃止され、かつカマイヤ禁止法が2002年に制定されたことは歓迎しながらも、委員会は、多数のカマイヤの子どもが解放されないまま債務労働者として働き続けており、かつ、子どもを含む数千人のダリット債務労働者(ハリヤ)がネパール西部の農場でおよび平野部で働いていると報告されていることを、懸念する。委員会は、これらの債務労働者が住居、土地、労働および教育に対する権利の分野で深刻な困難に直面し続けていることを、とりわけ懸念するものである。 93.委員会は、締約国に対し、子どもによる債務労働の慣行の根絶を目的とした現行の法律および政策の執行を強化するよう、勧告する。委員会はまた、締約国に対し、労働に従事するこれらの子どもが、子どもにとって有害な条件下で働くことのないようにし、かつ引き続き教育にアクセスできることを確保するため、防止措置をとることを含むあらゆる努力を行なうようにも促すものである。委員会は、締約国に対し、児童労働の必要な規制があらゆる分野の労働(経済のインフォーマル部門を含む)に適用されるよう、児童労働基本計画、児童労働法その他の関連の法律を改正するよう、促す。委員会はさらに、締約国に対し、とくに子どもの権利の保護に関する公衆意識啓発キャンペーンおよび公衆教育を通じ、児童労働に関わるすべての政策および法律を全面的に実施するための措置をとるよう、勧告するものである。 94.さらに委員会は、締約国に対し、カマイヤ禁止法の実施を強化するとともに、解放されたカマイヤ労働者の社会的統合を確保するために効果的措置をとるよう、勧告する。委員会は、締約国が、この点に関してとられた措置の成果に関する情報を次回の定期報告書に記載するよう勧告するものである。 売買、取引および誘拐 95.委員会は、子どもの人身取引と闘うために締約国が行なっているさまざまな努力に留意するとともに、警察官が女性および子どもの性的搾取および人身取引に関わる問題についての研修を受けている旨の情報を歓迎する。しかしながら委員会は、ネパール国内においておよび国境を超えて、性的搾取および債務労働を目的とする子どもの取引および売買の現象が頑強に残っていることを、依然として深く懸念するものである。委員会は、一部の集団の子ども(女子、子どもの国内避難民、ストリートチルドレン、孤児、農村部出身の子ども、子どもの難民、および、より脆弱な立場に置かれたカーストに属する子どもを含む)にとって、売買および取引の対象とされる危険性がとりわけ高いことに、重大な懸念とともに留意する。委員会はさらに、現行法(とくに人身取引統制法)による人身取引被害者の保護が不十分であり、かつその実施が深刻なほど不十分であることに懸念を表明するものである。委員会はまた、性的搾取の被害を受けた子どもが十分な保護および回復援助を与えられていないことも懸念する。 96.委員会は、締約国が以下の措置をとるよう勧告する。 (a) 子どもの売買、取引および誘拐に関するデータ収集システムを改良するとともに、すべてのデータおよび指標が政策、プログラムおよびプロジェクトの立案、監視および評価に活用されることを確保すること。 (b) 子どもを人身取引から保護するための包括的な法的枠組みを発展させること。 (c) 法執行を強化するための効果的措置をとるとともに、子どもの売買、取引および誘拐に関するコミュニティの意識を高めるためになおいっそう努力すること。 (d) 包括的かつ効果的なアプローチを完遂する目的で、HIV/AIDSに関する国家戦略(2002~2006年)、万人のための教育プログラム(2004~2009年)および児童労働基本行動計画のいずれについても、その実施が国家人身取引行動計画と関連づけられることを確保すること。 (e) 被害を受けたすべての子どもに対し、適切な援助および支援(送還を待っている子どもが基礎的サービスにアクセスできるようにすることを含む)が提供されることを確保すること。 (f) 子どもの売買、取引および誘拐を防止し、かつこのような子どもの保護および安全な家族復帰を促進する目的で、近隣諸国、とくにインドとの二国間協定の締結に努めること。 (g) 国連・国際組織犯罪防止条約(2000年)を補足する、人(とくに女性および子ども)の取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書を批准すること。 (h) とくにユニセフおよび国際移住機関との協力を追求し、かつこれらの機関の援助を求めること。 少年司法の運営 97.法に抵触した子どもに関わる事案に対処するための少年裁判部がすべての郡裁判所に設置されたこと、および、法執行官を対象とする研修プログラム(警察学校におけるものを含む)が整備されたことは歓迎しながらも、委員会は、締約国の法律および政策が少年司法に関する国際基準に一致していないという見解を依然としてとるものである。委員会は、刑事責任に関する最低年齢が10歳という低さに定められていること、および、公式な年齢確認制度が設けられていないことについての懸念をあらためて表明する。委員会はまた、拘禁環境について、および、少年拘禁施設が存在しないため、ほとんどの場合、18歳未満の者が拘禁中に成人から分離されていないことについても懸念を覚えるものである。委員会はまた、子どもがしばしば「適正な捜査を経ずに」審判の対象とされていること、および、少年事件のうち、準司法機関である郡行政事務所によって処理されているものがかなりの割合にのぼることも、危惧する。委員会はまた、刑務所で教育のための便益が提供されていないことも懸念するものである。 98.委員会はまた、最低年齢を定めておらず、かつ、武装集団との関係が疑われるいかなる者(子どもを含む)でも逮捕しかつ拘禁する広範な権限を治安部隊に与えるテロ活動および破壊活動(統制および処罰)令に基づいて、18歳未満の者が収容されているという報告があることも懸念する。 99.委員会は、締約国が、少年司法に関する基準、とくに条約第37条(b)ならびに第40条2項(b)(ii)~(iv)および(vii)、ならびに、少年司法の運営に関する国連最低基準規則(北京規則)(総会決議40/33)および少年非行の防止に関する国連指針(リャド・ガイドライン)(総会決議45/112)の全面的実施を確保する目的で、かつ少年司法の運営に関する委員会の一般的討議(1995年)に照らし、法律および政策を見直すよう勧告する。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、とくに以下の措置をとるよう勧告するものである。 (a) 18歳未満の被拘禁者が常に成人から分離され、かつ、自由の剥奪が最後の手段として、もっとも短い適当な期間で、かつ適切な環境においてのみ用いられることを確保すること。 (b) 18歳未満の者を対象とする独立の施設(児童矯正センター)および拘禁施設内の独立房の建設を速やかに進め、これらの施設がすべての郡に存在することを確保すること。 (c) 自由の剥奪が回避不可能であり、かつ最後の手段として、もっとも短い適当な期間で用いられる場合、逮捕の手続および拘禁環境を向上させるとともに、法に抵触した子どもの事件を扱う特別部局を警察内に設けること。 (d) 18歳未満の者が反テロリズム法に基づいて責任を問われ、拘禁されまたは訴追されないことを確保すること。 (e) 法律に違反したとして申し立てられまたは罪を問われた18歳未満のすべての者に対し、条約第40条2項に定められた公正な裁判を受ける権利が全面的に保障されることを確保する目的で、郡行政事務所の手続を含むすべての手続(司法手続、法的手続および保護手続)を見直し、かつ必要なときは改正すること。 (f) 司法専門家を対象として、少年司法の運営と人権に関する公式な研修を実施すること。 (g) とくにユニセフおよびOHCHRの技術的協力を求めること。 100.委員会は、締約国が、少年司法に関する国際的な基準および規範に照らし、テロ活動および破壊活動(統制および処罰)令を改正しまたは廃止するよう勧告する。 8.子どもの権利条約の選択議定書 101.委員会は、締約国が、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書または武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書に署名したものの、まだ批准していないことに留意する。 102.委員会は、締約国が、子どもの売買、児童買春および児童ポルノに関する子どもの権利条約の選択議定書および武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書を批准するよう勧告する。 9.フォローアップおよび普及 フォローアップ 103.委員会は、締約国が、とくにこれらの勧告を閣僚評議会もしくは内閣または同様の機関ならびに適用可能なときは州〔ママ〕の政府および議会に送付して適切な検討およびさらなる行動を求めることにより、これらの勧告が全面的に実施されることを確保するためにあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 普及 104.委員会はさらに、条約、その実施および監視に関する議論および意識を喚起する目的で、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答ならびに委員会が採択した関連の勧告(総括所見)を、インターネット等を通じ(ただしこれにかぎるものではない)、公衆一般、市民社会組織、若者グループ、専門家グループおよび子どもが広く入手できるようにすることを勧告する。 10.次回報告書 105.委員会が採択し、かつ第29会期に関する報告書(CRC/C/114)で説明した報告の定期性に関する勧告に照らし、委員会は、条約第44条の規定を全面的に遵守した報告実践の重要性を強調する。条約に基づいて締約国が子どもに対して負う責任の重要な側面のひとつは、委員会が条約の実施における進展を審査する定期的機会を持てるようにすることである。これとの関連で、締約国が定期的にかつ時宜を得た報告を行なうことはきわめて重要である。委員会は、締約国に対し、第5回報告書の提出期限である2010年3月13日までに、単一の統合報告書として第3回、第4回および第5回定期報告書を提出するよう慫慂する。この統合報告書は120ページを超えるべきではない(CRC/C/148参照)。委員会は、締約国に対し、その後は条約で予定されているとおり5年ごとに報告を行なうよう期待するものである。 更新履歴:ページ作成(2012年11月1日)。
https://w.atwiki.jp/childrights/pages/143.html
総括所見:ロシア(第2回・1999年) 第1回(1993年)/第3回(2005年) CRC総括所見日本語訳(国別)/CRC総括所見日本語訳(会期順) CRC/C/15/Add.110(1999年11月10日) 原文:英語(平野裕二仮訳) 原文は国連人権高等弁務官事務所のサイト(国別情報のページまたはCRC会期一覧ページ)を参照。 1.委員会は、1999年9月23日に開かれた第564回および第565回会合(CRC/C/SR.564-565) においてロシア連邦の第2回定期報告書(CRC/C/65/Add.5) を検討し、1999年10月8日に開かれた第586回会合において以下の総括所見を採択した。 A.序 2.委員会は、締約国の第2回定期報告書が提出されたことを歓迎し、かつ、事前質問票(CRC/C/Q/RUS/2)に対して締約国が提出した詳細な文書回答に留意する。委員会は、委員会に出席した締約国の代表団が高官によって構成されていたこと、代表団が議論のなかで率直な態度を示したこと、および、対話の過程で追加的な情報を提供するため建設的な努力が行なわれたことに、評価の意とともに留意するものである。 B.締約国によってとられたフォローアップの措置および達成された進展 3.委員会は、ロシア連邦の子どもの権利を保護するための法的基盤を強化する目的で締約国が行なった努力に留意する。このような努力には、家族法、刑法および教育法の改正、および、連邦児童虐待・少年犯罪防止法(1999年)および連邦子どもの権利基本的保障法(1998年)の制定が含まれる。 4.委員会は、人権コミッショナーが制度化されたこと(1997年)、部門横断型委員会が設置されたこと、および、5つの地域および都市で子どもの権利コミッショナーが任命されたことを歓迎する。委員会は、人権コミッショナー、連邦議会議員および国内NGOの勧告にしたがって「子どもの権利のための連邦コミッショナー事務所」を設置することに対し、締約国の代表団が表明した決意に満足感とともに留意するものである。 C.主要な懸念事項、提案および勧告 1.実施に関する一般的措置(条約第4条、第42条および第44条6項) 立法 5.近年採択されかつ改正された多くの法律には留意しながらも、委員会は、国内法が条約の原則および規定と全面的に一致することを確保するべきであるという、委員会が1993年に行なった勧告に締約国が全面的にしたがっていないことを、依然として懸念する。 6.委員会は、とくに少年司法および刑事司法手続の運営、障害のある子どもの権利の保護、アルコール、薬物および有害物質の濫用からの子どもの保護、ポルノグラフィーからの子どもの保護、家族間暴力を含むあらゆる種類の暴力および虐待からの子どもの保護、および、子ども関連のさまざまな施設のすべてに関わる基準および監視機構の確立を向上させる改革との関連で法改正のプロセスを迅速化するため、締約国があらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 7.委員会は、締約国に対し、必要な決議および指示を採択するプロセスを完了し、かつ、子どもに関連するあらゆる立法を効果的に実施するために必要な専門的人材および財源を配分するよう奨励する。 独立した監視機構 8.1997年に人権コミッショナーが制度化され、かついくつかの地域で子どもの権利コミッショナーに関するパイロット事業が制度化されたことは歓迎しながらも、委員会は、これらの機関の権限および地位が限られていること、および、締約国における条約の実施を審査するために締約国がどうしても独立した監視機構を用意する必要があることを、いまなお懸念する。 9.委員会は、締約国が、独立した子どもオンブズマンを連邦レベルに設置することを検討するよう勧告する。当該機関は地域レベルの同様の機構と明確なつながりを有するべきであり、かつ、それぞれの機構が明確に定義された適切な権限(ケアおよび少年司法のための機構の監視も含む)、ならびに効果を保障するのに充分な権限および資源を与えられるべきである。 調整 10.子どもの権利条約を実施するための調整委員会を設立するため締約国が行なった努力は認めながらも、委員会は、子どもに対応するさまざまな連邦政府機関間で充分な調整が行なわれていないこと、および、子どもの権利に関する締約国内の戦略、政策および活動を統括する窓口が存在しないことを、依然として懸念する。さらに、委員会は、責任および行動を連邦機関から地域機関に地方分権化する過程で、子どもの権利の保護における格差を防止するための充分な保証が存在しないことを懸念するものである。 11.委員会は、締約国に対し、子どもの権利に携わるさまざまな政府機関間の調整を連邦および地域のいずれのレベルにおいても強化し、かつ、調整の改善を促進する目的でさまざまな機関をひとつの窓口的省庁に統合することを検討するよう奨励する。委員会はさらに、締約国に対し、連邦機関および地域機関の間の責任分担において子どもの権利を可能なかぎり最大限に保護する用意が行なわれることを確保するよう、奨励するものである。 予算問題/財政状況/国の手当の配分/資金拠出 12.委員会は、長期化する財政危機が、子どもの生活条件の悪化をもたらすことによりその発達に悪影響を及ぼしていること、および、社会投資プログラムの実施、ひいては子どもの権利の尊重に悪影響を及ぼしていることを、懸念する。とりわけ、委員会は、貧困が広範囲にわたっていること、家庭の構造が弱体化していること、放任された子ども、ホームレスの子どもおよび路上で暮らしかつ働く子どもの人数が増えていること、自殺の件数が多いこと、薬物およびアルコールの濫用が大きな規模で生じていること、および少年非行が増えていることを、深刻に懸念するものである。 13.委員会は、現行の援助を一時的に最低所得家庭に「限定供与」するために締約国が行なっている努力を認めながらも、この暫定期間中に援助を受け取らない家庭および子どもが困難に苦しむであろうことをとくに懸念する。委員会はまた、国の手当、とくに児童手当の支給が行なわれていないまたは遅れていることも懸念するものである。 14.条約第2条、第3条および第4条に照らし、委員会は、子ども、とくに傷つきやすい立場におかれかつ周縁化されたグループに属する子どもを対象とした保健、教育その他の社会サービスのための予算配分が充分に保護されることを確保するため、締約国が、利用可能な資源を最大限に用いてあらゆる適切な措置をとるよう勧告する。 15.さらに、委員会は、締約国に対し、歳出の使途の再編成またはプログラムの優先順位の設定、および、締約国による子どもの権利条約の実施を前進させるために用いられる国際援助の割合の増加のような、予算問題を解決するための追加的な策を追求するよう奨励するものである。 16.委員会は、締約国に対し、あらゆる手当の支給が行なわれること、限定供与の対象となっている手当の使用が監視されること、および、「ロシアの子ども」に含まれるすべての大統領プログラムに対して適切な資金拠出が行なわれることを確保するよう、促す。 17.委員会はさらに、締約国が、利用可能な資源をもっとも傷つきやすい立場に置かれたグループの子どもの保護に最大限に配分するため予算配分政策を見直し、かつ、経済危機が子どもの生活水準に与える影響の注意深い監視に関わる1993年の委員会の勧告をひきつづき実施するよう、勧告するものである。 NGOの参加 18.委員会は、条約実施へのNGOの参加を支援する必要性に関わる1993年の委員会の勧告の実施が限られていることを懸念する。 19.委員会は、締約国に対し、条約に関する訓練の提供および情報の普及ならびに実施の監視を行なうNGOの努力に関して、報告プロセスにおける、およびケア施設および少年司法施設の監視におけるパートナーシップの強化によるものも含め、NGOに対する支援およびNGOとの協力を増進させるよう奨励する。 条約の原則および趣旨の普及 20.委員会は、1993年に委員会が条約の規定および原則の普及を継続するよう奨励したこととの関連で締約国がいまなお努力を強化する必要があることを、懸念する。 21.委員会は、専門家グループおよび親を含むおとなおよび子どもの間で条約の原則および規定を広報しかつ教育するため、締約国がさらなる措置をとるよう勧告する。 2.一般原則(第2条、第3条、第6条および第12条) 差別の禁止の原則(第2条) 22.締約国が差別を禁ずる立法を採択したことは歓迎しながらも、委員会は、とくに極北を含む地域間の格差および都市部と農村部の子どもの間の格差が、保健、教育その他の社会サービスおよび特別な保護を必要とする子どもの状況に関わる立法、予算配分、政策およびプログラムに関して増大していることを、依然として懸念する。 23.委員会はまた、農村部の女子が、とくに教育、保健、および性的虐待および性的搾取からの保護へのアクセスに関して不利な状況に置かれていることも懸念する。 24.さらに、委員会は、締約国において人種主義および外国人嫌悪の発生件数が増えているという一般的報告があることを懸念するものである。 25.委員会は、締約国が、経済的、社会的および地域的格差を減少させるための措置を強化すること、および、1993年の委員会の勧告にしたがって、障害のある子どもおよび宗教的および民族的マイノリティに属する子どもに関するものも含め、子どもに対するいかなる差別または子どもの取扱いのいかなる格差も防止するためにさらなる措置をとるよう勧告する。 生命に対する権利(第6条) 26.条約第6条に照らし、委員会は、とくに男子に関わって子どもの自殺および殺害の割合が急速に上昇していることにより、生命に対する子どもの権利が脅威にさらされていることを懸念する。 27.委員会は、最近の子どもの自殺および殺害の増加を減少に転じさせ、かつ防止のための努力を促進する目的で、締約国があらゆる適切な措置をとるよう勧告する。防止のための努力には、子ども、とくに青少年、および危機的状況に置かれている家族を援助することを目的とした危機介入ならびに防止のための支援およびカウンセリング・サービスを増加させるためにすでにとられている措置を強化することも含まれる。 3.市民的権利および自由(第7条、第8条、第13条~第17条および第37条(a)) 拷問からの保護(第37条(a)) 28.委員会は、体罰をともなって法執行官が行なう行為も含め、拷問および不当な取扱いが広範に行なわれており、かつ、施設一般およびとくに拘禁所または収監所で生活する子どもの環境が非人道的なまたは品位を傷つける取扱いに達しているという申立てがあることを、懸念する。 29.委員会は、これらの慣行を終わらせかつ防止し、かつそのような行為の申立ての調査および加害者の処罰を適正に行なうため、締約国が適切な措置をとるよう勧告する。委員会はまた、これらの懸念に関して拷問禁止委員会および拷問に関する特別報告者が行なった勧告の実施も支持するものである。 30.さらに、委員会は、締約国が、施設における体罰の慣行を監視しかつ終わらせるよう勧告する。 4.家庭環境および代替的養護(第5条、第18条(1~2項)、第9条~第11条、第19条~第21条、第27条(4項)および第39条) 虐待/放任/不当な取扱い/暴力(第19条) 31.家族間暴力の危険性に関して締約国の意識が高まっていることは歓迎しながらも、委員会は、締約国において家庭を背景とする子どもの不当な取扱いおよび放任が根強く行なわれていることを依然として懸念する。委員会はまた、女性に対する暴力が広範に発生していること、およびそれが子どもに与える影響についても懸念するものである。 32.委員会は、締約国が、家庭の内外における子どもの不当な取扱い、放任および虐待(性的虐待も含む)の問題に特別な注意を向けるよう勧告する。 33.委員会は、条約第19条にしたがって、子どもに対するいかなる形態の身体的または精神的暴力も防止しかつそれと闘うため、情報キャンペーンおよび教育キャンペーンを行なう必要があることを協調する。 34.委員会はまた、治療およびリハビリテーションのためのプログラムも含む政策およびプログラムの立案を促進するため、これらの問題に関する包括的な研究を開始するようにも提案するものである。 35.さらに、1993年の総括所見(CRC/C/15/Add.4) のパラ21に掲げた委員会の勧告に照らし、委員会は、締約国に対し、暴力および虐待の被害を受けた子どもを対象とした、苦情申立て、調査および証拠の提出のための子どもに優しい手続を促進し、かつ、行なわれた犯罪の調査ならびに加害者の訴追および適切な処罰を強化するよう奨励する。 子どもの措置の審査(第25条) 36.委員会は、施設措置の政策および慣行が支配的であること、施設で生活する子どもの人数が極端に多いこと、およびこれらの施設の生活条件に対し、深刻な懸念を表明する。条約第25条を踏まえ、委員会はまた、措置の定期的審査が制度的に保障されていないこと、および、この点に関する1993年の委員会の勧告が全面的に実施されていないことも、懸念するものである。 37.委員会は、1993年の総括所見(CRC/C/15/Add.4) のパラ19を参照し、締約国が、脱施設化に関する国家的政策を立案すること、子どもの施設措置に代わる手段の利用を増やすこと、および地域志向型の社会サービスを強化する措置を検討することを追求するよう、勧告する。 38.この観点から、委員会は、締約国に対し、虐待、および親によるケアから子どもを分離する必要が生ずるのを防止する目的で、子どもが放任または虐待を受けるおそれのある家庭に支援、教育およびカウンセリング・サービスを提供するために効果的な措置をとるよう奨励する。委員会はまた、施設措置に代わる手段としての養子縁組および里親養護を強化するようにも勧告するものである。 39.委員会はまた、あらゆるタイプの措置が定期的に審査されるようにするため適切な手続を採択するようにも勧告する。条約第3条3項に照らし、委員会はさらに、施設の環境および施設の定期的検査に関する基準を確立すること、とくに独立した検査機構の役割および権限を強化し、かつそのような検査機構が抜き打ちで里親家庭および公立施設を検査する権利を確保することによって、法改正を含む施設制度の改革を行なうよう勧告するものである。これとの関連で、委員会は、締約国に対し、とくに国際連合児童基金(ユニセフ)および世界保健機関の技術的援助を求めるよう促す。 障害のある子ども(第23条) 40.委員会は、障害のある子どもの状況、とくに精神障害児の状況および施設で生活する子どもの状況を懸念する。とりわけ、委員会は、現在の診断システムおよび慣行ならびに施設で生活する障害児の環境について、障害児の発達、治療およびリハビリテーションのための充分な専門的援助が存在しないことについて、およびメインストリーム教育への障害児のインクルージョンのプロセスが遅いことについて、懸念するものである。 41.委員会は、締約国に対し、身体的および精神的障害のある子どもの早期診断を改善し、かつ、その施設措置をできるかぎり防止するための努力を追求するよう奨励する。委員会はさらに、子どもが家庭で生活することを可能にし、かつその社会的インクルージョンを促進するため、専門的治療サービスならびに家族に提供される支援およびカウンセリングの強化を勧告するものである。 42.委員会は、締約国に対し、このような子どもの社会へのインクルージョンに関する政策を増進させる目的で、条約第23条4項にしたがって国際協力から利益を受ける努力を強化するよう奨励する。 国際養子縁組(第21条) 43.委員会は、締約国外への不法な子どもの移送および取引に対する保障が不充分であり、かつ、とくに経済的および性的搾取を目的とした国際養子縁組の濫用の可能性があることを懸念する。 44.委員会は、締約国に対し、国際的な子の奪取の民事上の側面に関するハーグ条約(1980年)の批准を検討するよう積極的に奨励する。委員会は、国際的な養子縁組に関する子の保護および協力に関するハーグ条約(1993年)の批准を締約国が検討しているという情報を検討し、かつ、締約国に対し、同条約に加入するための努力を加速するよう促すものである。条約第21条に照らし、委員会は、子どもの最善の利益を保護する目的で国際養子縁組に関わる手続を確立するための努力を強化するよう勧告する。 5.基礎保健および福祉(第6条、第18条3項、第23条、第24条、第26条および第27条1~3項) 健康に対する権利(第24条) 45.委員会は、基礎保健および福祉の分野で締約国が行なった努力、とくに周産期保健を向上させかつ乳児死亡率を減少させるための努力に評価の意とともに留意する。委員会はまた、予防接種プログラムに関して委員会が1993年に行なった勧告にしたがうなかで達成された成功も歓迎するものである。委員会は、高い乳児死亡率が根強く続いていること、および、保健のインフラストラクチャーおよびサービスが悪化していることをいまなお懸念する。さらに、寄生虫による疾患、感染性疾患および呼吸器系疾患(とくに結核)が増えていることは、栄養不良が増加していること、および母乳で育てられる子どもの割合が少ないことと同様に、委員会にとって大きな懸念の対象である。 46.委員会は、締約国が、プライマリーヘルスケアの悪化を向上に転じさせる努力をひきつづき行なうため技術的援助を求めることを検討するよう勧告する。とりわけ、委員会は、締約国に対し、結核その他の疾病を治療しかつその拡散を防止するための努力を継続し、避妊の手段としての中絶の利用を減少させるための努力を継続し、かつ、母乳育児を促進するよう促すものである。 47.HIV/AIDSおよび性行為感染症(STD)の予防キャンペーンおよびこのような疾患の発生率に関する情報が不充分であることは、委員会にとって懸念の対象である。 48.委員会は、避妊およびSTDに関する情報も含む性教育に青少年がアクセスできることを確保するための措置、リプロダクティブ・ヘルスおよび家族計画に関するサービスおよびカウンセリング・サービスを強化することにより青少年の健康を促進するための措置、および、HIV/AIDS、STDならびに10代の妊娠および中絶を防止しかつこれらと闘うための措置の効果を保障するよう勧告する。 6.教育、余暇および文化的活動(第28条、第29条および第31条) 教育への権利(第28条および第29条) 49.委員会は、教育に関して締約国が行なっている努力、とりわけ、無償の義務的基礎教育の継続的提供を確保することおよび無償の中等教育へのアクセス可能性を高めることを目的とした新たな教育法の採択に、留意する。これとの関連で、委員会は、中退率が増加していること、中等課程の職業教育および技術教育への就学率が――とくに女子の間で――下降していること、および、学校のインフラストラクチャーおよび教員の労働条件が悪化していること(低賃金および遅配も含む)を、依然として懸念するものである。 50.委員会は、締約国に対し、中退率および中退の原因、ならびに規律上の理由で退学させられた子どもの状況に関する情報を収集するよう奨励する。委員会はまた、締約国に対し、経済危機の影響から教育制度を保護するための努力を継続し、かつ、とくに、教員の労働条件にさらなる注意を向けるようにも奨励するものである。委員会は、締約国に対し、子どもの権利を含む人権を独立科目として学校カリキュラムに導入するよう奨励する。 医療その他の社会サービスへのアクセス 51.委員会は、一部自治体が、法律によって禁じられているにも関わらず、居住許可を得ていない市において親および子どもが医療、教育その他の社会サービスにアクセスすることを妨げ続けているという報告があることを、懸念する。このような慣行は、国内避難民の子ども、移民および庇護申請者、ならびに路上で働きかつ生活している子どもにとってとくに有害である。 52.委員会は、締約国に対し、とくに地方政府および法執行官を対象とした訓練および意識啓発を通じて、居住許可を有しない子どもに対するこのような差別の慣行を終わらせるよう促す。 7.特別な保護措置(第22条、第38条~第40条第37条(b)~(d)および第32条~第36条) 難民の子ども(第22条) 53.委員会は、庇護申請者の取扱い、および、子どもおよび親、とくに旧ソビエト連邦の領域外からやってきた子どもおよび親に庇護申請の登録権を認めない慣行を、懸念する。 54.委員会は、締約国に対し、保健、教育その他の社会サービスへのアクセスも含めて難民の子どもの充分な法的保護を確保するよう奨励する。 55.委員会は、とくに保護者のいない子どもの代理で庇護申請を登録する権利に関わる手続、政策および慣行の見直しを行なうよう勧告する。 子どもと武力紛争ならびに子どもの回復(第38条および第39条) 56.委員会は、締約国で武力紛争が継続しているチェチェンおよびダゲスタンのような地域において子どもの権利が尊重されていないことを懸念する。委員会は、とりわけ、国際人道法の規定に違反して子どもが武力紛争に関与していること、ならびに国内避難民の子どもの人数および状況を懸念するものである。委員会はまた、チェチェンの裁判所によって、子どもに刑を言い渡すさい死刑および特定の体刑(手足の切断を含む)が適用されていることも懸念する。加えて、委員会は、同地域において子どもの即時的処刑、非自発的失踪、恣意的拘禁、拷問および不当な取扱いが行なわれている疑いがあるという報告を懸念するものである。 57.委員会は、締約国に対し、紛争時に子どもその他の文民が保護されること、および、国難避難民の子どもおよび武力紛争地域に生活する子どもが支援およびリハビリテーションのための援助(心理的援助も含む)を利用できることを確保するよう、奨励する。 児童労働(第32条) 58.委員会は、児童労働および経済的搾取が締約国の子どもにますます影響を与える問題となっていることを、依然として懸念する。加えて、委員会は、路上で働きかつ(または)生活する子どもの人数が多いことを懸念するものである。このような子どもは、犯罪組織を通じてのものも含む少年犯罪、アルコールおよび有害物質の濫用および性的搾取をますます受けやすい立場に置かれていることから、特段の注意を必要とする。 59.委員会は、締約国に対し、とくに「インフォーマル」部門における労働法の全面的実施を監視することに具体的に注意を向け、かつ売買春も含む経済的および性的搾取から子どもを保護するよう奨励する。委員会は、締約国が、路上で生活しかつ(または)働く子どもに関わる政策、慣行およびプログラムの向上を目的として、このような子どもの問題に関する調査を行なうよう勧告するものである。 60.最後に、委員会は、締約国が、増大しつつある児童労働の問題を防止しかつそれと闘うための包括的政策を発展させるさいにILO/IPECの技術的援助を求めることを検討すること、就業の最低年齢に関するILO条約(第138号条約、1973年)の規定を実施するための努力を強化すること、および、最悪の形態の児童労働の禁止および撲滅のための即時的行動に関するILO第182号条約(1999年)の批准を検討することを、勧告する。 薬物濫用およびその他の形態の有害物質の濫用(第33条) 61.委員会は、子どもおよびその家族の間でアルコール、薬物その他の有害物質の濫用の問題が増大していることを懸念する。 62.委員会は、子どもによるアルコールの濫用および薬物の頒布および消費への関与を防止するため、締約国が追加的な努力を行なうよう勧告する。委員会はまた、アルコール、薬物および有害物質の濫用に携わった子どもおよびその家族に対して治療、リハビリテーションおよび支援のための充分なサービスを提供するため、さらなる措置をとるようにも勧告するところである。 性的搾取および性的虐待(第34条) 63.商業的性的搾取、性的虐待およびポルノグラフィーから子どもを保護するための立法、政策およびプログラムが不充分であることは、委員会にとって懸念の対象である。 64.1993年の総括所見(CRC/C/15/Add.4) のパラ24に掲げた勧告に加え、委員会は、締約国が、子どもの性的搾取および性的虐待ならびにポルノグラフィーにおける使用に関する包括的な研究を行なうよう勧告する。委員会はまた、性的搾取および性的虐待からの子どもの保護を増進させ、かつ被害を受けた子どもの治療およびリハビリテーションを確保する目的で、追加的な立法措置をとることおよびサービスを拡大することも勧告するものである。委員会はさらに、締約国に対し、商業的性的搾取に対応する努力のなかで、1996年にストックホルムで開かれた子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議で採択された行動のための課題に掲げられた勧告を考慮にいれるよう奨励する。 マイノリティまたは先住民の子ども(第30条) 65.マイノリティへの支援の提供を目的とした連邦民族文化自治法(1996年)およびプログラムには留意しながらも、委員会は、とくに北部の民族的マイノリティの生活条件、および保健、教育その他の社会サービスへのアクセスについて依然として懸念する。委員会はまた、民族的マイノリティに属する子どもへの社会的差別の発生件数が増加していることも懸念するものである。 66.委員会は、マイノリティの子どもを差別から保護し、かつこのような子どもに教育、保健その他の社会サービスへの全面的アクセスを保証するため、締約国があらゆる必要な措置をとるよう勧告する。 少年司法の運営(第37条、第40条および第39条) 67.少年司法の分野は、とくに、少年司法に関する法律の採択および少年裁判所の設置を含む少年司法制度の確立の必要性に関して委員会が1993年に行なった勧告を締約国が充分に実施していないことに関わって、委員会にとって根強くかつ深刻な懸念の対象である。 68.委員会は、申し立てられた行為の捜査の過程で拘禁された少年に対して行なわれている警察による蛮行および拷問の報告があること、および、拘禁された少年の審判前拘禁の期間が検察官の裁量により延長されることをめぐって、懸念を表明する。委員会はまた、教育収容所、審判前拘禁所または特別教育施設で生活する罪を犯した少年の取扱い、および、拘禁および刑務所一般の環境の悪さも深刻に懸念するところである。 69.1993年の総括所見(CRC/C/15/Add.4) のパラ22および23に掲げた委員会の勧告、条約第37条、第40条および第39条、ならびに少年司法の運営に関する国際連合基準規則(北京規則)、少年非行の防止に関する国際連合指針(リャド・ガイドライン)および自由を奪われた少年の保護に関する国際連合規則に照らし、委員会は、締約国が、計画されている少年司法制度改革を可能なかぎり早期に実施するため特段の措置をとるよう勧告する。このような改革には、少年司法に関する包括的立法の採択、訓練を受けた少年裁判官による特別少年裁判所の導入、少年の逮捕を命令する権限を検察官から少年裁判所に委譲し、審判前拘禁の期間を制限し、かつ裁判手続を迅速化するための刑事訴訟法改正、および、子どもの権利、および条約が規定するように少年司法制度が社会復帰を目的としていることに関する法執行官および司法職員の訓練が含まれる。 70.委員会は、締約国に対し、条約が求めているとおり、少年司法を実施するにさいして自由の剥奪を「最後の手段」としてのみ用いるよう強く促す。この目的で、委員会は、締約国に対し、自由の剥奪に代わる手段を広く用いること、そのような代替的手段を運営するために必要な資源を利用可能とすること、および、非行を行なった少年の社会復帰を増進する目的で少年矯正施設の再編成を行なうことを、促すものである。 71.委員会はまた、締約国に対し、子どもに法的援助を提供すること、および審判前拘禁センターおよび教育収容所を含む拘禁場所の環境を改善することにより、自由を奪われた子どもの権利を保護するための措置をただちにとるようにも促す。さらに、委員会は、適切な、独立したかつ子どもに優しい苦情申立て機構をNGOと協力して設置すること、権利侵害が認められた場合に時宜を得た対応を行なうこと、および、釈放後に少年が社会に復帰しかつ再統合する援助を行なうためのプログラムを実施することを、勧告するものである。 72.委員会は、締約国が、国際連合少年司法委員会を通じ、少年司法に関してとくに国際連合国際犯罪防止センター、人権高等弁務官事務所、ユニセフおよび国際少年司法ネットワークの国際協力および技術的援助を求めることを検討するよう勧告する。 報告書の普及 73.最後に、条約第44条6項に照らし、委員会は、締約国が提出した第2回定期報告書および文書回答を、関連の会合の議事要録および委員会が採択した総括所見とともに公衆が広く利用できるようにすることを勧告する。そのような幅広い配布は、とくに政府、関連省庁、議会および非政府組織の間で条約およびその実施状況に関する議論および意識を喚起するようなものであるべきである。 更新履歴:ページ作成(2011年1月12日)。
https://w.atwiki.jp/childreninfukushima/pages/287.html
目的:福島の子どもたちが自然のなかで思いっきり活動し遊べる場を提供し、社会全体で福島のこどもたちを支える状況づくりをめざそうと、昨年に引き続き自然体験キャンプを実施します。 期間:8月4日~10日(6泊7日) 対象者:福島県内の小学3年生~中学3年生の子ども 10名(ただし、小3の子どもは1泊以上の経験者) 定員になり次第締め切ります。 場所:福井県福井市 上味見地区 福井市上味見生涯教育施設ほか 活動内容;テント泊/野外炊飯/森遊び・森探検/川遊び/キャンプファイヤー/クラフト/星空観察/民泊/地域の方との交流 など。 参加費: 2万円(参加費・交通費の一部負担金) 交通:福島県内⇔福井はチャーターバス等で移動 説明会:申込者を対象に7月7日に福島市、7月8日に郡山市で開催(親子でご参加ください) 主催者:NPO法人自然体験共学センター URL http //kyougaku.com/ 問合せ先:電話:0776-93-2013 FAX:0776-93-2012 メール: mail@kyougaku.com 担当者:長田