約 12,075 件
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2657.html
(無題) Case 01 赤髪の神父「インデックスとの同居を解消する」「そうか、ついに決断したのか」「もう曖昧で済ませる気なんてないさ。前に進むって決めたんだ」学園都市のとある教会で、ツンツン頭の少年、上条当麻が自らの決意を赤毛の神父に打ち明けていた。神父のインデックスへの想いの深さは周知であったので、上条は半殺しにされる位は覚悟していたのだが「例の後輩の為……なんだろう?」「あ、ああ」「だったら仕方ない。あの子の身の振り方は、僕の方で責任を持つから心配いらないよ」予想に反して神父の反応は穏やかなものだった。これは上条も予測できなかった展開だ。その事に対する疑問が顔に出ていたのか、赤い神父は「見くびられたものだね。みっともなく取り乱して、キミに暴力を振るうとでも思っていたのかい?」と、タバコをふかしながら上条に飄々と問いかける。「当たり前だろ! お前やインデックスの信頼を裏切るって、そう言ったんだぞ! なのに何で……」禁書目録との別離を、この神父に報告する事は上条にとって罪の告白に他ならない。要はケジメを付けにきたのに、肩透かしを食らったのだ。神父の心情を理解できない上条は大声でまくし立てるが、神父は穏やかに、そして諭すように語りだす。「キミは誰も裏切っていないさ。本当に大切な、たった一人の女性を守るために筋を通したにすぎない。それはとても立派な事だと思うよ。というか外野なんて気にする暇があるなら、早く意中の後輩をモノにしたらどうだい」口下手な神父の言葉に後押しされ、上条は教会をあとにする。大切な人に別れを告げる為、大切な女性に想いを告げる為に。それを見送った神父は思う。「悪の親玉を倒して、ヒーローとヒロインは末永く幸せに暮らしました……なんて、現実にあるはずもない。圧倒的なアドバンテージに胡坐をかいてるから盗られてしまうんだ。あの子には可哀想だが、現実は厳しいね」かつて恋焦がれた女性を思うと、胸がチクリと痛む。だがそれだけだ。「信じるだけでは、想うだけでは、どうしようもないこともある。……経験者にしか理解できないかな?さてと、小萌が帰って来る前に夕飯の準備を始めないと」そう呟くと神父はタバコの火を消し、キッチンへ向かった。 Case 02 上条の後輩平凡な学生寮の一室、そのキッチンで少女が日課の弁当作りに励んでいる。鼻歌まじりに料理する少女は少々浮き足立っているが、慣れた手つきで次々と料理を完成させていく。栄養バランスを考慮している事が一目で分かる、色とりどりのおかずを弁当箱に敷き詰めていき「これで……良し! 今日も美味しいって言わせるんだから、覚悟しなさいよー♪」弁当を完成させた少女は勢いよく部屋から飛び出し、いつもの公園へ――上条との待ち合わせ場所へと駆けて行った。約束の十分前だが上条は既に到着しており、ベンチに座ってぼんやりしている。その姿を認めると少女は子犬のように駆け寄り、上条に話しかけた。「ごめーん、待った?」「いや、上条さんも今来たとこですよ」「そっか。それじゃあ行きましょ」少女は上条の手を引きながら、通学路を歩き出す。「ちょっ、まだ急ぐような時間じゃねーぞ」「何言ってんの? 先輩は受験生でしょーが。ホームルームの時間まで、昨日の続きをやるわよ!」「センセーはスパルタだなぁ。けど……いつも、サンキューな」「ど、どうしたの突然? 私がしたくてしてる事だから、お礼なんていらないのに……」上条の普段と違う態度に、少女はドギマギしてしまう。そんな少女の動揺など知らぬとばかりに、上条は言葉を続ける。「今日の放課後、時間あるか? 大切な話があるんだ」「う、うん」「そんな風に構えるなよ。ずっとお前が欲しがってた言葉を贈るだけだから」「え……? それって」「これ以上はまだ内緒! 放課後、楽しみにしてろよなっ!!」そう言い残して、上条は一目散に学校へ駆けて行った。呆然と佇む少女を置き去りにして……。 上条より二つ年下の少女は混乱の極みにあった。原因は言わずもがな、今朝の上条の言動だ。そのせいで授業の内容が全く頭に入ってこない。(私の欲しがってる言葉って、その……やっぱアレよね。いやいやいや、早とちりは良くないわ。だってアイツ……上条先輩には、あの子がいるし……。それに先輩が幸せなのが一番だって、やっと思えるようになったんだし……でも、報われたいなぁ)何を隠そう、この少女は一度上条に告白し振られている。彼女がまだ中学二年生の時の出来事だった。しかし、その程度で挫ける程 彼女の想いは弱くはなく、また彼女自身も諦めの悪い性格だったのだ。振られた後も果敢にアタックを繰り返し、同じ高校まで追いかけて来て、健気な後輩キャラのポジションを勝ち取り現在に至る。(今朝の先輩、なんだかいつもよりかっこ良かったな……。上手く言えないけど、大人びてたような……って、あぁーもうっ!落ち着け私! 先輩が酷い事する訳ないんだから、言われたとおり期待してればいいのよ!あ、そういえば弁当 渡しそびれたんだっけ。次の休み時間にでも届けに行こうかな)などと、愚にもつかぬ事を考えていた所に、「危ないじゃん!!」「ふぇ……?」バレーボールが飛来し、少女の顔面に突き刺さった。(そっかぁー、今、体育の授業中だっ……た)間抜けな感想を残して、少女は意識を手放した。 Case 03 上条当麻「えへへー、せーんぱぁい……むにゃ……」「ったく、心配させやがって」保健室のベッドで呑気に眠る後輩の頭を撫でながら、上条当麻は独りごちる。体育の黄泉川教諭に、後輩が保健室へ担ぎ込まれたと聞かされ飛んできたのだが、上条の心配を他所に安らかな寝顔を見せる少女。「どんな夢を見てるんだか」優しげな笑顔で後輩を見つめるのとは裏腹に、上条の心中は複雑だった。(インデックス……)かつての上条当麻が命懸けで救った少女。今の上条当麻の同居人だった少女。彼にとって禁書目録の少女は、一言で表せない複雑な存在だった。(泣かせちまったな。絶対に泣かせたくないハズだったのに……)何が起ころうと泣かせない。絶対に守りきってみせる。上条当麻のプライオリティ・ワン。その対象が、禁書目録から目の前の後輩に移ったのは何時からだろう?大切な人に順位なんてない、そう言えなくなったのは何時からだろう?(……らしくねーよ。俺が選んだ、俺の道じゃねーか)禁書目録を守る為に戦場を駆け抜けた日々は終わり、彼女を守り抜くという誓いはすでに果たされた。(インデックスの事で悩むのは止めよう。俺はもうインデックスを受け入れられないし筋違いだ)今この場で、上条当麻は禁書目録を完全に切り捨てた。大切な人を守るために。「ん、あれ……?」「気がついたか」「先輩?」「お前、体育の授業中にぶっ倒れて、保健室に担ぎ込まれたんだよ」目を覚ました後輩に状況説明する先輩。「うわー、かっこわるー」「優等生のお前らしくないな。あ、もしかして、上条さんの事が好きすぎて注意力散漫になったんですかぁ?」「うっ……」先輩に図星をつかれて狼狽する後輩。「分っかり易いなー。もっと精進しなさい、御坂後輩」「上条先輩が、あんなこと言うのが悪いんでしょーが!」「あんなことってなんだ?」「そ、それは……その、ううっ……いじわる」涙目の後輩に、意地悪く笑う先輩。「折角ふたりきりだし、もう言っちまうか」「え……?」「色々とケジメをつけるのに苦労したけど、やっと美琴の気持ちに応えられるんだ」「うそ……それって……」「俺、上条当麻は御坂美琴のことが――」こうして一途な少女の想いは報われ、不幸な少年はそのレッテルを返上した。 Case 04 禁書目録長く続いた科学と魔術の争いは、各勢力のトップが倒れたことで収束した。それに伴い、イギリス清教内の禁書目録悪用を企む者は一掃され、禁書目録が上条当麻と同居する大義名分も失われた。しかし禁書目録は現状維持を望んだ。上条当麻が好きだから。「同居を解消しよう」だから一瞬、上条が何を言ったのか理解できなかった。「冗談だよね? 私を騙そうなんて十年早いかも」茶化そうとしても、上条の真剣な眼差しが許さない。彼の瞳が本気だと雄弁に語っている。考えが纏まらず動揺する禁書目録とは対照的に、上条は不気味なほど冷静だ。「ど、どうして? 知らない内に、とうまを怒らせちゃった?」「好きな人がいるんだ」「……え」必死に現状を把握しようとする禁書目録に、上条が追い討ちをかける。「それでさ、告白しようと思うんだ。だからもう、インデックスと一緒には暮らせない」「す、好きな人って誰なの……?」「御坂美琴。一年以上前から、ずっと好きなんだ」そう語る上条の表情が、禁書目録の心を打ちのめす。(とうまのあんな優しい顔、知らないんだよ……。私は二年も前から、とうまと一緒なのに……)涙が溢れて何も見えない、何も考えられない。いつもなら真っ先に慰めてくれるハズの少年を、今は酷く遠くに感じる。いつから上条と禁書目録の心の距離に大きな齟齬が生まれていたのか。「わ、私だって、とうまの事が大好きなんだよ。だ、だから……」「ごめん。インデックスの気持ちには応えられないんだ」「それでもっ! とうまと一緒にいたいんだよぉ……」上条当麻は優しい。自分が泣きつけば絶対に折れてくれる。何処に行こうとも、最後には必ず自分のもとに帰ってきてくれる。それが禁書目録の心の支えであり、実際、今まではその通りだった。だが…… 「このまま同居を続けても誰の為にもならない。解ってくれよ」「ま、まだ告白してないんだよね。成功するか判らないし、短髪だって話せばきっと許してくれる「ダメだっ!!」……!?」無情にも、食い下がろうとした禁書目録を上条が一喝する。「いくらお前でも、それだけは許さねぇぞ」「……」有無を言わせぬ上条の迫力に、禁書目録はすくみ上がり沈黙した。上条は溜息を吐くと、自分に言い聞かせるように話し出す。「これ以上、御坂を悲しませる訳にはいかねえ。例えお前に恨まれてでも御坂を大切にしたいんだ」「そんな……とうまは私を嫌いになったの……?」「嫌いなる訳ないだろ。インデックスが困ってたら助けるし、大切な友達……いや、家族だと思ってる」大切な家族、それが答えだった。誰にでも訳隔てなく自然体で接するのが、上条当麻という人間だ。だが人間は日々成長し変化していく。上条とて例外ではない。「だけど、御坂より優先することはできない」「うん……」大好きな人にここまで言わせて、ようやく冷静さを取り戻した。どうしてこんな事になったんだろう? 禁書目録は自問するが答えなど解らない。 Last Case とある戦いの敗戦処理上条に別離を告げられた後、禁書目録は学園都市のとある教会にいた。目の前にいる赤髪の神父が彼女を本来いるべき場所、イギリスに送る手筈を整えているようだ。「酷い有様だね。そんなに上条当麻に捨てられたのがショックかい?」「違うもん! 捨てられたんじゃないもん!」神父の歯に衣着せぬ物言いに、禁書目録が激昂する。だが神父は飄々とした態度を崩さない。それが彼女を更に苛立たせる。「あなたに何がわかるの!?」「僕も経験豊富とはいえないけど、君よりは視野が広いつもりだ」本当に気に食わない。この神父の態度が、言動が、……悲しそうな瞳が。「君には誰からも愛される天性の素質があると思ってるんだが、今度ばかりはそれが災いしたかな」神父は語る。「それとも君を甘やかし続けた上条当麻が悪いのか。いや、僕や神裂も、或いは小萌もかな」禁書目録は耳を傾ける。否、傾けざるを得ない。「まあ、どんな理屈を重ねても結果は変わらない。君が負けて御坂美琴が勝った現実は覆らない」何故知っているのか? 短髪と神父に面識があったのか?「御坂美琴は必死だったよ。約束された未来も、超能力者としての立場も、恥もプライドさえも。全て省みない程に必死だったんだ。上条当麻の一番になりたい。そして彼を幸せにしたい、その一念でね」そんなの知らない、分からない。「ここは教会で、僕は神父だからね。迷える子羊には道を示さないといけないだろう? だから土御門を紹介してあげたんだ」なにが言いたいの?「上条当麻の趣味嗜好からテストの出題範囲、果てはデートのセッティングまで世話を焼いたみたいだよ」どうしてそんなことするの?「僕はもちろん土御門も、彼女の真摯さに動かされたのさ」私だって、とうまの事が好きなんだよ? 「そういえば、上条当麻が教師を目指しているのは知っているかい?」え……?「説教癖のある彼には天職かもしれないな。今は大学合格を目標に頑張っているそうだが」とうま、最近よく勉強してた……。「ところで君は最近何をしてるんだ?」…………。「その顔から察するに、何もしていないんだね」そ、そんなことないんだよ。学園都市のグルメマップを作ったりしてるかも!「はぁぁぁぁぁぁ……」禁書「その溜息の長さは何!? 失礼しちゃうんだよ! ……って、あれ? 雰囲気が変わったような……?」ステイル「君がシリアスな空気をぶち壊したんじゃないか。やれやれ、真面目に説教するのが馬鹿らしくなった」禁書「むぅーっ!」ステイル「君はもう少し生活力を養え。そんなだから女性として見られないんだ」禁書「えー、めんどくさいかも」ステイル「全く反省の色がないとは……。この教会で働いてもらうつもりだったけど、本当にイギリスに送り返してやろうか」禁書「帰らなくていいの!?」ステイル「君がちゃんと反省するならね」禁書「するする! 心の底から反省してるかも!」ステイル「言質はとったし、早速掃除から始めようか」禁書「え……?」ステイル「今日から君は、この教会のシスターだ。しっかり働いてもらうからそのつもりで」禁書「明日からじゃダメ?」ステイル「ええと、ロンドン便の出発時刻は…」禁書「ま、窓拭きから始めるんだよ! 新聞紙はどこかなー!?」スタコラサッサステイル「はぁ……安請け合いなんてするものじゃないな。先が思いやられる」ゲンナリ数ヵ月後、華麗に社会復帰を果たしたインデックスが、美琴に凄絶な略奪愛を仕掛ける……のは、また別のおはなし
https://w.atwiki.jp/rocnove/pages/122.html
「待ッテイタゾ…ロックマン・ミラージュ」 仮面の男が発したその声は、無機質な合成音声の様であった。 男の身長や体格は、ちょうどクロウと同じくらいである。 「…何者だ」 問いかけるクロウの声は、先程とは全く違い、警戒心を隠していなかった。 しかし、対して仮面の男は微動だにせず、クロウを見据えている。 その仮面に開けられた二つの穴からは、緑色の瞳が見えた。 状況が変化したのは次の瞬間だった。 急に男が、身を包むマントの中から右腕を振り上げたのだ。 その手には、銀色の剣が握られていた。 「!!!」 「うわっ!!」 クロウは、とっさに自分の後ろにいたジャックを突き飛ばした。 同時に、自分の腰にある鞘から刀を引き抜き、男の剣を受け止める。 しばらく、辺りに甲高い音が響いた。 その音の影響か、近くの家の屋根から積もった雪がドサリと落ちてきた。 ジャックは急いで起き上がり、クロウと仮面の男から離れた。 「急いで警察を!」 「…やめておけ。逃げられるだけだ」 相手を見据えたまま、クロウは走り出そうとするジャックに言った。 「わ…わかりました…」 彼らのやりとりを無視し、仮面の男は一旦クロウから離れると、また剣を構え直した。 そして、一気に間合いを詰め、クロウの頭に向かって突きを繰り出した。 とっさに頭を横に逸らせたクロウだったが、ヘルメットに剣の切っ先がかすった。 それだけで、剣はヘルメットを易々と切り裂き、バイザーには大きくヒビが入る。 直後、クロウは即座に屈んで足払いをかけた。 だが、仮面の男はそれを真上に跳ぶ事でかわした。 そして空中で剣を構え、一気にクロウに向かい斬り下げた。 「くっ…!」 クロウは、急いで体勢を立て直すと、自分の刀で相手の剣を受け止めた。 仮面の男は、さっきと同じ様に再び後方へと跳んだ。 そして、先程と同じ動きで剣を構え直す。 それを見たクロウもまた、警戒しながらゆっくりと刀を構えた。 構えると同時に、両者は走り出した。 最初に仮面の男が剣を横に薙ぎ払い、クロウは屈んでそれを避ける。 直後に振られたクロウの刀を男は上空に跳んで避け、さっきと同じ様に剣を振り下ろした。 クロウはそれを察知すると、即座に側転で刃を避ける。 しかし避け切れず、クロウの首に巻かれた黒いスカーフの一部が切れて、宙を舞った。 クロウはすぐに体勢を立て直し、剣を振り下ろした直後の男に突きを繰り出した。 その突きは、男をついに捉えた…筈だった。 だが男はそれまでとは比べ物にならない速さでクロウの真横に移動していた。 次の瞬間、上方向への強い蹴りがクロウの刀に当たり、刀は遥か上空に投げ出された。 「何っ!!」 そして仮面の男は、クロウに向かって剣を振り下ろした。 クロウは、とっさにその剣を両手で受け止めた。 「くっ…!!」 両手で剣を受け止めたクロウだったが、相手は更に力を強めてきた。 仮面の男は、このまま押し切ってクロウを斬るつもりだろう。 その時、男はその仮面の奥から、再び声を発した。 「コノ程度カ?」 「…」 声を発した仮面の男を、クロウは無言で睨みつけた。 その時、さっき上空へ投げ出された刀が仮面の男の背後に降って来た。 それは刀身を下にして地面へ垂直に落ち、その刃は雪に積もった地面に突き刺さった。 男は一瞬それに気を取られ、視線を逸らせる。 クロウはそれを見逃さなかった。 次の瞬間、彼は瞬時に腰を屈め、男に足払いを繰り出した。 その攻撃は寸分の狂い無く男の足に当たり、男は体勢を崩す。 その隙に、クロウはその場から跳んで自分の刀を拾い、構えた。 仮面の男は立ち上がり、刀を構えたクロウを見ると、再び剣を構える。 両者はその体勢のまま、しばらく動かなかった。 辺りに、張り詰めた静寂が訪れた。 雪は昨日の様に吹雪になる事も無く、ゆっくりと降っていた。 一粒の雪がクロウの刀に当たり、そしてまた地面に落ちた。 この時間が永遠に続くかと思われた時、唐突に静寂は終わりを告げた。 民家の屋根から積もった雪が、ドサリと地面に落ちたのだ。 それを合図に、両者は走り出し、同時に斬り合った。 再び両者が動きを止めて数秒後、仮面の男は振り向いた。 彼のアーマーの胸から左の脇腹部分にかけて、損傷があった。 斜めに入った切れ目。だがそれは比較的浅く、内部には達していない様だった。 「…」 男は何も言わず、そばにある民家の屋根まで跳んだ。 屋根に着地すると、仮面の男はその姿を消した。 「くっ…」 男が姿を消した途端、クロウは地面に膝をついた。 「だ…大丈夫ですか!?」 クロウの、肩の辺りのアーマーが斬られており、そこから血が流れていた。 クロウは地面に刀を突き立て、それを支えに立ち上がった。 「と…とりあえずここからなら僕の家が近いです! そこで手当てしましょう!!」 「すまないな…」 ジャックはクロウの肩を支えて歩き出そうとした。 だがその時、ジャックは目の前の地面に何か光るものを見つけた。 「ん…?」 そこはちょうど、クロウと仮面の男が戦っていた場所だった。 「これは…」 それは鎖のついた、金色の十字架の形をした装飾品の様だった。 その時、ジャックは背中からゾクッとする様な視線を感じた。 急いで後ろを振り向いたジャックだったが、そこには誰もいなかった。 ふと後方左側の民家の屋根を見ると、大きな鷲がそこにいた。 昨日、クロウを中央広場で見ていた、あの鷲だった。 鷲の眼は、ピタリと二人を見据えていた。 ジャックはその視線に怯えながらも、クロウを抱え、急いでその場を後にした。 「ジャック!!一体何があった!?」 ジャックとクロウは、無事にジャックの家に辿り着いた。 クロウの傷を見て、ケインはジャックを怒鳴りつけた。 「ゴメン親父、手当ての準備してくれ!説明は後でするから!!」 ジャックもケインに負けない勢いで怒鳴った。 「あ、ああ…」 ジャックの勢いで、流石にケインも怒鳴るのを止め、手当ての道具を取りに行った。 「くそ…また世話になってしまったな」 ジャその後、クロウは肩に負った傷の手当てを受けた。 ようやく傷の痛みが治まってきた頃、ジャックがクロウに何かを差し出した。 「あの…クロウさん、これがさっきの場所に落ちていたんですけど…」 それは、先程クロウと仮面の男が戦っていた場所で見つけた装飾品だった。 鎖のついた金色の十字架である。 よく見れば、その十字架の表面には幾何学模様が彫られていた。 「これ…多分この町の教会の物だと思うんですよね…」 「…何故分かる?」 クロウの問いに、ジャックは装飾品を見つめながら答えた。 「これ、この町の教会のマークにそっくりなんですよ…」 その装飾品を受け取り、クロウも見つめた。 数秒して、言った。 「手がかりはこれだけ…行くしかないか」 クロウの呟きに、ジャックは勢いよく言った。 「じゃ、案内させて下さい!」 それに対し、クロウは冷静に言った。 「いや、教会の場所は既に知っている。案内は必要ない」 クロウがそう言うと、ジャックは声を元の調子に戻し、言った。 「でも、あの教会の神父様とは面識があるんです。 僕がいれば色々役立つと思いますよ」 「そうか…なら頼む」 ジャックの申し出を、クロウは了承した。 クロウはジャックと翌日待ち合わせる時間を決め、宿へ帰った。 当然帰り道はクロウも警戒したが、今度は何も起こらなかった。 翌日の朝。 「おはようございます。昨日の傷はまだ痛みますか?」 町の中央広場で、ジャックはそう言ってクロウに頭を下げた。 昨日予定していた合流場所は、この広場だった。 「…いや、それほどでもない。教会は町の東にあったな…」 「ええ。この通りの先です」 と、ジャックは東に向かう通りを指差した。 しかし、クロウは遺跡に行く為に教会の近くを通ったので、既に道筋は知っていた。 「道はもう知ってる。さっさと行こう」 「ええ、分かりました」 二人は東に向かう大通りを歩き出した。 ックが持ってきた椅子に座り、クロウはそう呟いた。 先日行った時は早朝だった為、教会は静寂に包まれていたが、今回は違った。 教会の入り口の前にある庭には、数人の子供達が駆け回り、遊んでいた。 「彼らは教会の子供か?」 「違いますよ。この教会の周辺に住んでいる子供達です。 でも、この教会には僕と同じ歳の女の子が一人住んでいます。ほら、あそこに」 そう言うなり、ジャックは教会の庭の片隅を掃除する少女へ歩み寄っていった。 その少女はジャックと同じ位の年齢で、背もちょうど同じ位だった。 長い金髪を後ろで纏めており、ピンク色のセーターと赤色のスカートを着用していた。 ジャックが少女と話そうとしているのを眺めながら、クロウも歩いて行った。 クロウの耳に、二人の会話が聞こえてきた。 「やぁ、久しぶり」 「あら、ジャックじゃない。何か用?」 「え~と…今日は神父様に用があって来たんだ。神父様、今いる?」 「ええ。いるわよ」 そう言いながら、少女は教会の扉を開けた。 それを見ながら、ジャックは言いにくそうに少女に言った。 「え~と…今日はこの人を神父様に紹介する為に来たんだ」 と、ジャックはクロウの方へと顔を向ける。 少女は、ジャックからクロウに視線を移した。 しかし、クロウのアーマー姿を見た途端、少女の視線は警戒の色を帯び始めた。 「…どちらさま?」 ジャックはその問いに、少々焦りながら答えた。 どうやらジャックは緊張している様だった。 「ええと…この人は一昨日この町に来た、ディグアウターのクロウ・エリュシオンさん」 紹介されたので、クロウは一応挨拶しておくことにした。 「…どうも」 続いて、ジャックはクロウに少女を紹介し始めた。 「クロウさん、彼女はミラ・クラウス。 この教会に住む神父様の娘です」 「…どうも」 そう言いいながらお辞儀をすると、彼女は教会の中へ入って行った。 ジャックはフゥ、と息を吐くと、クロウに言った。 「じゃ、僕達も行きましょう」 二人は教会の中に入っていった。 教会の内部は、外側と同じ様に白い大理石の壁が広がっていた。 クロウたちが入って来た入り口の向かい側には、大きな祭壇があった。 また、入り口から祭壇までの間に、二列に長椅子が置かれている。 祭壇に一番近い左側の長椅子に、一人の男が座っていた。 ミラはその男に駆け寄ると、何事か耳打ちしている。 それを聞き終えた男は、ゆっくりと立ち上がり、振り向いた。 その男は黒いラインの入った白いローブを纏い、髪は銀色で、短く切り揃えられていた。 クロウより頭一つ分くらい高い身長で、30~40歳くらいに見え、温厚で落ち着きのある雰囲気を持っている。 男は、クロウに視線を向け、言った。 「どうも。私はジョエル・クラウスと申します。 この教会に興味があるとか?」 「ああ。2、3質問があるんだが、いいか?」 「ええ。結構です。立ち話も難ですし、座って話しませんか?」 「これに見覚えはあるか?」 クロウは、早速ジャックから渡された金色の十字架の形をした装飾品を取り出した。 神父はそれを受け取り、じっくり見つめて、言った。 「これは…この町の式典などでこの教会が一般の人に無料で配布しているものですね。 これがどうかしましたか?」 「昨夜、俺は一人の男に襲われた。どうやらその男がこれを持っていたらしい。」 クロウの話にも、神父の反応は驚きの声を上げた。 「おや、それは恐ろしい。犯人がすぐに捕まる事を祈らなければなりませんね」 だが、すぐに神父の表情は暗くなった。 「ですが…先程も申し上げた通り、これは一般の方に無料で配布しているものです。 残念ながら、私には犯人の見当はつきかねますね…」 「で、あなたを襲ったと言うのはどんな男でした?」 神父はクロウの話が気になったのか、質問を投げかけた。 神父の様子から、この件とは関係なさそうだと思ったクロウだが、一応話す事にした。 「全身に白いアーマーを着用し、その上から白いマントを羽織っていた。 そして、顔には銀色の仮面を被っていた」 それを聞いて、ほんの一瞬だけ、神父の顔に驚愕の色が浮かんだ。 クロウは前方の祭壇を見ながら話していたが、視界の隅でその神父の表情を見逃さなかった。 しばらくして神父は、静かに言った。 「ふむ…やはり残念ながら、その様な格好の人物に心当たりはありませんね。 大体、そんな派手な格好の男がいたら、嫌でも覚えているでしょう」 「…ま、それはそうだな」 「……」 神父と話すクロウを、ミラは遠くから見つめていた。 この時、クロウとジョエルは祭壇の目の前の長椅子で話していた。 しかし、ジャックとミラは二人に言われ、入り口近くの長椅子に来たのだった。 ジャックは、どう彼女に話せばいいのか判断に迷った。 「え~と…クロウさんは悪い人じゃないよ?」 「…あんな人と、どこで知り合ったの?」 クロウの持つ冷めた雰囲気に、ミラは不信感を募らせている様だった。 「ねぇ、どうしたの?何かイライラしてるみたいだけど…」 ミラは、溜め息をつくと、視線を落とした。 「ねぇ、ジャック。私、何だか最近嫌な予感がするの」 「…どういう事?」 不意にミラの語調が変わったので、ジャックは少し驚いた。 「この前、教会に変な人達が来たみたいなの」 「変な人達?」 「うん。私は寝室にいたから姿は見えなかったけど、父さんと何か言い争ってた」 「…いつ来たの?」 「一週間くらい前。深夜に突然教会にやってきたの。 その人と話した後、父さん、とても暗い顔してた」 ミラの表情が酷く不安そうなので、ジャックは心配になってきた。 「一体何なんだろう…その人達」 気がつくと、クロウとジョエルは両者とも立ち上がっていた。 クロウは、ジャックの方を向くと、言った。 「そろそろ行くぞ。ジャック」 町の中央広場まで来て、クロウは呟いた。 「あの神父…何か隠してるな」 そのクロウに、ジャックは言った。 「それ、多分僕が聞いた話じゃないですかね…?」 「…どういう事だ?」 「ミラが色々話してくれたんです」 ジャックの話に興味を示し、クロウが先を続けるよう促そうとした時だった。 「…!!」 クロウは一瞬殺気の様なものを感じ、東の大通りの方を振り向いた。 「どうしたんですか!?」 クロウの様子にただならぬ事態を察知し、ジャックも辺りを窺う。 時刻は午後1時過ぎで、ここは町の中央広場である。 走り回る子供達や、ベンチで話し込む主婦達が見えるだけだ。 数日前に彼を、そして昨日ジャックを睨んでいたあの鷲もいない。 「いや…何でもない」 「そう、ですか…これからどうします?」 ジャックの問いに、クロウは少し考えた後、言った。 「ジャック。今日はお前には予定などは無いのか?」 「ええ。学校は今、冬休みですし。 親父は今の時間仕事に行っちゃってますし」 ジャックの答えを聞いた後、クロウは言った。 「とりあえず…お前が得たという情報を教えてくれ」 ガチャリと、扉を開ける音がした。 「…忘れ物ですか?」 そう言いながら、神父は振り向いた。 まだ、クロウ達が去ってから5分ほどしか経っていない。 だが、現在この教会には神父しかいなかった。 クロウとジャックが去った直後に、ミラに夕食の食材を買いに行かせたからだ。 扉の前に立っていたのは、クロウとジャックではなかった。 そこには、黒いスーツの男が立っていた。 四角い銀色の縁の眼鏡を掛け、頬の痩せこけた青白い肌の男だった。 年齢は20代後半といった感じで、長い黒髪を後ろで縛っている。 「お客でも来ていましたか?」 口元に笑みを浮かべながら、その男は言った。 「どうも。神父様」 神父は、冷たい視線で男を見据えた。 「前に言った筈ですよ。また来る、とね」 そう言って、男は口元に笑みを浮かべた。 相手を睨みつけながら、神父は言った。 「あなた方とは取引などしない。この私の答えは変わりません。 以前もそう言った筈ですよ」 「こちらとしては、それでは困りますね」 「…あなた方との取引に応じれば、何千、何万もの人々が犠牲になります」 神父の言葉に、男はあからさまな溜め息をついた。 「やれやれ…一等司政官ともあろう方が随分と腑抜けた事を。 人間の命などどうだっていいではありませんか」 「私は既にヘブンの人間ではありません。 …私がヘブンの人間であったとしても、あなた方との取引には応じなかったでしょう」 「おやおや…」 神父の強情な態度に、男はますます笑みを深めた。 「この町の人間が死んでも、あなたはその態度を貫き通せますか?」 そんな男に対し、神父は静かに言った。 「私が…そんな脅しに屈する様な人間に見えますか?」 神父の静かな言葉に、男はもう一度溜め息をついた。 「いいでしょう。私の任務もこれだけではない。 今回は、警告として受け取っておいて下さい」 男は、背を向け、歩き出した。 だが、扉の手前で足を止め、振り返り、言った。 「ですがお忘れなく。私の背後にいるのは…」 その話が終わらないうちに、神父は男の言葉を引き継いだ。 「『古き神々』…でしょう。この前も何度も聞きましたよ。あなたの口から」 「ふっ…分かっているじゃないですか」 そう言うと、男は扉を開け、出て行った。 それを見届けると、神父は力が抜けた様に近くの長椅子に座り込んだ。 「………」 教会の側面にある窓が、わずかに開いていた。 その窓の下で、ミラは口元を押さえて座っていた。 その眼からは一筋の涙が流れていた。 翌日の早朝。 クロウが起きた時、窓の外は激しい吹雪が吹いていた。 「今日は吹雪か」 朝食を終えると、二本の刀の手入れをしながら、クロウは考えた。 「(仮面の男…それに謎の集団か…。例の遺跡にあるリーバードの瞳も気になるな。 だが…ここに来てそれらの正体を掴める様な手がかりは無くなったな)」 室内の照明によって、刀の刀身は鈍い輝きを放っていた。 その輝きを見ながら、クロウは一昨日闘った仮面の男の技を思い出した。 「(あの戦い方…まさか…)」 「おい、いつまで寝てやがる。もう朝だぞ」 「んん……」 自室で、ジャックは目を覚ました。 だが、しばらくするとまた彼の意識は睡魔にさらわれてしまった。 「おい!いいかげんにしやがれ!!」 ケインに毛布を持って行かれ、しぶしぶジャックは目を覚ました。 彼は枕元にある時計を見た。 既に時刻は彼がいつも起きる時間を大分過ぎている。 気がつけば、既にケインは居間へと去った後だった。 居間へ向かったジャックは、テーブルに置いてある冷え切ったトーストを食べ始めた。 「全く。こんな猛吹雪はここ数年じゃ珍しいな」 ケインの声を聞き、ジャックは視線を窓の外へ向けた。 窓の外は、大量の雪が舞っていた。 その時、室内に玄関のドアを叩く音が聞こえた。 「ん?こんな天気の日に客か?」 「あ、俺が出るよ」 そう言うとジャックは食べかけのトーストを皿の上に置き、玄関のドアを開けた。 そこには、傘を差し、マフラーを首に巻いたミラが立っていた。 その顔は、いつに無く真剣だった。 「ジャック。話があるの」 室内にドアのノックの音が響いた。 まだ刀の手入れをしていたクロウは、その音に気づき、時計を見た。 いつの間にか昼近くになっている。 窓の外の吹雪は、一向に収まる気配は無さそうだった。 彼は、ドアに向かって言った。 「…誰だ?」 「エリュシオン様、お電話がかかってきております」 その声は、宿の事務員だった。 「分かった。今行く」
https://w.atwiki.jp/blazer_novel/pages/36.html
「待ッテイタゾ…ロックマン・ミラージュ」 仮面の男が発したその声は、無機質な合成音声だった。 男の身長や体格は、丁度クロウと同じくらいである。 「…何者だ」 問いかけるクロウの声は、先程とは全く違い、警戒心を隠していなかった。 しかし、対して仮面の男は微動だにせず、クロウを見据えている。 その仮面に開けられた二つの穴からは、緑色の瞳が見えた。 状況が変化したのは次の瞬間だった。 急に男が、身を包むマントの中から右腕を振り上げたのだ。 その手には、銀色の剣が握られていた。 「!!!」 「うわっ!!」 クロウは、とっさに自分の後ろにいたジャックを突き飛ばした。 同時に、自分の腰にある鞘から刀を引き抜き、男の剣を受け止める。 しばらく、辺りに甲高い音が響いた。 その音の影響か、近くの家の屋根から積もった雪がドサリと落ちてきた。 ジャックは急いで起き上がり、クロウと仮面の男から離れた。 「急いで警察を…!」 「やめておけ。逃げられるだけだ」 相手を見据えたまま、クロウは走り出そうとするジャックに言った。 「わ…わかりました…」 彼らのやりとりを無視し、仮面の男は一旦クロウから離れると、また剣を構え直した。 そして、一気に間合いを詰め、クロウの頭に向かって突きを繰り出した。 とっさに頭を横に逸らせたクロウだったが、ヘルメットに剣の切っ先がかすった。 それだけで、剣はヘルメットを易々と切り裂き、バイザーには大きくヒビが入る。 直後、クロウは即座に屈んで足払いをかけた。 だが、仮面の男はそれを真上に跳ぶ事でかわした。 そして空中で剣を構え、一気にクロウに向かい斬り下げた。 「くっ…!」 クロウは、急いで体勢を立て直すと、自分の刀で相手の剣を受け止めた。 仮面の男は、さっきと同じ様に再び後方へと跳んだ。 そして、先程と同じ動きで剣を構え直す。 それを見たクロウもまた、警戒しながらゆっくりと刀を構えた。 構えると同時に、両者は走り出した。 最初に仮面の男が剣を横に薙ぎ払い、クロウは屈んでそれを避ける。 直後に振られたクロウの刀を男は上空に跳んで避け、さっきと同じ様に剣を振り下ろした。 クロウはそれを察知すると、即座に側転で刃を避ける。 しかし避け切れず、クロウの首に巻かれた黒いスカーフの一部が切れて、宙を舞った。 クロウはすぐに体勢を立て直し、剣を振り下ろした直後の男に突きを繰り出した。 その突きは、男をついに捉えた…筈だった。 だが男はそれまでとは比べ物にならない速さでクロウの真横に移動していた。 次の瞬間、上方向への強い蹴りがクロウの刀に当たり、刀は遥か上空に投げ出された。 「何っ!?」 そして仮面の男は、クロウに向かって剣を振り下ろした。 クロウは、とっさにその剣を両手で受け止めた。 「くっ…!!」 両手で剣を受け止めたクロウだったが、相手は更に力を強めてきた。 仮面の男は、このまま押し切ってクロウを斬るつもりだろう。 その時、男はその仮面の奥から、再び声を発した。 「コノ程度カ?」 「…」 声を発した仮面の男を、クロウは無言で睨みつける。 その時、さっき上空へ投げ出された刀が仮面の男の背後に降って来た。 それは刀身を下にして地面へ垂直に落ち、その刃は雪に積もった地面に突き刺さった。 男は一瞬それに気を取られ、視線を逸らせる。 クロウはそれを見逃さなかった。 次の瞬間、彼は瞬時に腰を屈め、男に足払いを繰り出した。 その攻撃は寸分の狂い無く男の足に当たり、男は体勢を崩す。 その隙に、クロウはその場から跳んで自分の刀を拾い、構えた。 仮面の男は立ち上がり、刀を構えたクロウを見ると、再び剣を構える。 両者はその体勢のまま、しばらく動かなかった。 辺りに、張り詰めた静寂が訪れた。 雪は昨日の様に吹雪になる事も無く、ゆっくりと降っていた。 一粒の雪がクロウの刀に当たり、そしてまた地面に落ちた。 この時間が永遠に続くかと思われた時、唐突に静寂は終わりを告げた。 民家の屋根から積もった雪が、ドサリと地面に落ちたのだ。 それを合図に、両者は走り出し、同時に斬り合った。 再び両者が動きを止めて数秒後、仮面の男は振り向いた。 彼のアーマーの胸から左の脇腹部分にかけて、損傷があった。 斜めに入った切れ目。だがそれは比較的浅く、内部には達していない様だった。 「…」 男は何も言わず、そばにある民家の屋根まで跳んだ。 屋根に着地すると、仮面の男はその姿を消した。 「くっ…」 男が姿を消した途端、クロウは地面に膝をついた。 「だ…大丈夫ですか!?」 クロウの、肩の辺りのアーマーが斬られており、そこから血が流れていた。 クロウは地面に刀を突き立て、それを支えに立ち上がった。 「と…とりあえずここからなら僕の家が近いです! そこで手当てしましょう!!」 「すまんな…」 ジャックはクロウの肩を支えて歩き出そうとした。 だがその時、ジャックは目の前の地面に何か光るものを見つけた。 「ん…?」 そこはちょうど、クロウと仮面の男が戦っていた場所だった。 「これは…」 それは鎖のついた、金色の十字架の形をした装飾品の様だった。 その時、ジャックは背中からゾクッとする様な視線を感じた。 急いで後ろを振り向いたジャックだったが、そこには誰もいなかった。 ふと後方左側の民家の屋根を見ると、大きな鷲がそこにいた。 昨日、クロウを中央広場で見ていた、あの鷲だった。 鷲の眼は、ピタリと二人を見据えていた。 ジャックはその視線に怯えながらも、クロウを抱え、急いでその場を後にした。 「ジャック!!一体何があった!?」 ジャックとクロウは、無事にジャックの家に辿り着いた。 クロウの傷を見て、ケインはジャックを怒鳴りつけた。 「ゴメン親父、手当ての準備してくれ!説明は後でするから!!」 ジャックもケインに負けない勢いで怒鳴った。 「あ、ああ…」 ジャックの勢いで、流石にケインも怒鳴るのを止め、手当ての道具を取りに行った。 「くそ…また世話になってしまったな」 ジャックが持ってきた椅子に座り、クロウはそう呟いた。 その後、クロウは肩に負った傷の手当てを受けた。 ようやく傷の痛みが治まってきた頃、ジャックがクロウに何かを差し出した。 「あの…クロウさん、これがさっきの場所に落ちていたんですけど…」 それは、先程クロウと仮面の男が戦っていた場所で見つけた装飾品だった。 鎖のついた金色の十字架である。 よく見れば、その十字架の表面には幾何学模様が彫られていた。 「これ…多分この町の教会の物だと思うんですよね…」 「…何故分かる?」 クロウの問いに、ジャックは装飾品を見つめながら答えた。 「これ、この町の教会のマークにそっくりなんですよ…」 その装飾品を受け取り、クロウも見つめた。 数秒して、言った。 「手がかりはこれだけ…行くしかないか」 クロウの呟きに、ジャックは勢いよく言った。 「じゃ、案内させて下さい!」 それに対し、クロウは冷静に言った。 「いや、教会の場所は既に知っている。案内は必要ない」 クロウがそう言うと、ジャックは声を元の調子に戻し、言った。 「でも、あの教会の神父様とは面識があるんです。 僕がいれば色々役立つと思いますよ」 「そうか…なら頼む」 ジャックの申し出を、クロウは了承した。 クロウはジャックと翌日待ち合わせる時間を決め、宿へ帰った。 当然帰り道はクロウも警戒したが、今度は何も起こらなかった。 翌日の朝。 「おはようございます。昨日の傷はまだ痛みますか?」 町の中央広場で、ジャックはそう言ってクロウに頭を下げた。 昨日予定していた合流場所は、この広場だった。 「…いや、それほどでもない。教会は町の東にあったな…」 「ええ。この通りの先です」 と、ジャックは東に向かう通りを指差した。 しかし、クロウは遺跡に行く為に教会の近くを通ったので、既に道筋は知っていた。 「道はもう知ってる。さっさと行こう」 「ええ、分かりました」 二人は東に向かう大通りを歩き出した。 先日行った時は早朝だった為、教会は静寂に包まれていたが、今回は違った。 教会の入り口の前にある庭には、数人の子供達が駆け回り、遊んでいた。 「彼らは教会の子供か?」 「違いますよ。この教会の周辺に住んでいる子供達です。 でも、この教会には僕と同じ歳の女の子が一人住んでいます。ほら、あそこに」 そう言うなり、ジャックは教会の庭の片隅を掃除する少女へ歩み寄っていった。 その少女はジャックと同じ位の年齢で、背もちょうど同じ位だった。 長い金髪を後ろで纏めており、ピンク色のセーターと赤色のスカートを着用していた。 ジャックが少女と話そうとしているのを眺めながら、クロウも歩いて行った。 クロウの耳に、二人の会話が聞こえてきた。 「やぁ、久しぶり」 「あら、ジャックじゃない。何か用?」 「え~と…今日は神父様に用があって来たんだ。神父様、今いる?」 「ええ。いるわよ」 そう言いながら、少女は教会の扉を開けた。 それを見ながら、ジャックは言いにくそうに少女に言った。 「え~と…今日はこの人を神父様に紹介する為に来たんだ」 と、ジャックはクロウの方へと顔を向ける。 少女は、ジャックからクロウに視線を移した。 しかし、クロウのアーマー姿を見た途端、少女の視線は警戒の色を帯び始めた。 「…どちらさま?」 ジャックはその問いに、少々焦りながら答えた。 どうやらジャックは緊張している様だった。 「ええと…この人は一昨日この町に来た、ディグアウターのクロウ・エリュシオンさん」 紹介されたので、クロウは一応挨拶しておくことにした。 「…どうも」 続いて、ジャックはクロウに少女を紹介し始めた。 「クロウさん、彼女はミラ・クラウス。 この教会に住む神父様の娘です」 「…どうも」 そう言いいながらお辞儀をすると、彼女は教会の中へ入って行った。 ジャックはフゥ、と息を吐くと、クロウに言った。 「じゃ、僕達も行きましょう」 二人は教会の中に入っていった。 教会の内部は、外側と同じ様に白い大理石の壁が広がっている。 クロウ達が入って来た入り口の向かい側には、大きな祭壇があった。 また、入り口から祭壇までの間に、二列に長椅子が置かれている。 祭壇に一番近い左側の長椅子に、一人の男が座っていた。 ミラはその男に駆け寄ると、何事か耳打ちしている。 それを聞き終えた男は、ゆっくりと立ち上がり、振り向いた。 その男は青みがかった黒のローブを纏い、髪は銀色で、短く切り揃えられていた。 クロウより頭一つ分くらい高い身長で、30~40歳くらいに見え、温厚で落ち着きのある雰囲気を持っている。 男は、クロウに視線を向け、言った。 「どうも。私はジョエル・クラウスと申します。 この教会に興味があるとか?」 「ああ。2、3質問があるんだが、いいか?」 「ええ。結構です。立ち話もなんですし、座って話しませんか?」 「これに見覚えはあるか?」 クロウは、早速ジャックから渡された金色の十字架の形をした装飾品を取り出した。 神父はそれを受け取り、じっくり見つめて、言った。 「これは…この町の式典などでこの教会が一般の人に無料で配布しているものですね。 これがどうかしましたか?」 「昨夜、俺は一人の男に襲われた。どうやらその男がこれを持っていたらしい。」 クロウの話にも、神父の反応は驚きの声を上げた。 「おや、それは恐ろしい。犯人がすぐに捕まる事を祈らなければなりませんね」 だが、すぐに神父の表情は暗くなった。 「ですが…先程も申し上げた通り、これは一般の方に無料で配布しているものです。 残念ながら、私には犯人の見当はつきかねますね…」 「で、あなたを襲ったと言うのはどんな男でした?」 神父はクロウの話が気になったのか、質問を投げかけた。 神父の様子から、この件とは関係なさそうだと思ったクロウだが、一応話す事にした。 「全身に白いアーマーを着用し、その上から白いマントを羽織っていた。 そして、顔には銀色の仮面を被っていた」 それを聞いて、ほんの一瞬だけ、神父の顔に驚愕の色が浮かんだ。 クロウは前方の祭壇を見ながら話していたが、視界の隅でその神父の表情を見逃さなかった。 しばらくして神父は、静かに言った。 「ふむ…やはり残念ながら、その様な格好の人物に心当たりはありませんね。 大体、そんな派手な格好の男がいたら、嫌でも覚えているでしょう」 「…ま、それはそうだな」 「……」 神父と話すクロウを、ミラは遠くから見つめている。 この時、クロウとジョエルは祭壇の目の前の長椅子で話していた。 しかし、ジャックとミラは二人に言われ、入り口近くの長椅子に来たのだった。 ジャックは、どう彼女に話せばいいのか判断に迷った。 「え~と…クロウさんは悪い人じゃないよ?」 「…あんな人と、どこで知り合ったの?」 クロウの持つ冷めた雰囲気に、ミラは不信感を募らせている様だった。 「ねぇ、どうしたの?何かイライラしてるみたいだけど…」 ミラは、溜め息をつくと、視線を落とした。 「ねぇ、ジャック。私、何だか最近嫌な予感がするの」 「…どういう事?」 不意にミラの語調が変わったので、ジャックは少し驚いた。 「この前、教会に変な人達が来たみたいなの」 「変な人達?」 「うん。私は寝室にいたから姿は見えなかったけど、父さんと何か言い争ってた」 「…いつ来たの?」 「一週間くらい前。深夜に突然教会にやってきたの。 その人と話した後、父さん、とても暗い顔してた」 ミラの表情が酷く不安そうなので、ジャックは心配になってきた。 「一体何なんだろう…その人達」 気がつくと、クロウとジョエルは両者とも立ち上がっていた。 クロウは、ジャックの方を向くと、言った。 「そろそろ行くぞ。ジャック」 町の中央広場まで来て、クロウは呟いた。 「あの神父…何か隠してるな」 そのクロウに、ジャックは言った。 「それ、多分僕が聞いた話じゃないですかね…?」 「…どういう事だ?」 「ミラが色々話してくれたんです」 ジャックの話に興味を示し、クロウが先を続けるよう促そうとした時だった。 「…!!」 クロウは一瞬殺気の様なものを感じ、東の大通りの方を振り向いた。 「どうしたんですか…?」 クロウの様子にただならぬ事態を察知し、ジャックも辺りを窺う。 時刻は午後1時過ぎで、ここは町の中央広場である。 走り回る子供達や、ベンチで話し込む主婦達が見えるだけだ。 数日前に彼を、そして昨日ジャックを睨んでいたあの鷲もいない。 「いや…何でもない」 「そう、ですか…これからどうします?」 ジャックの問いに、クロウは少し考えた後、言った。 「ジャック。今日はお前には予定などは無いのか?」 「ええ。学校は今冬休みですし。 親父は今の時間仕事に行っちゃってますし」 ジャックの答えを聞いた後、クロウは言った。 「とりあえず…お前が得たという情報を教えてくれ」 ガチャリと、扉を開ける音がした。 「…忘れ物ですか?」 そう言いながら、神父は振り向いた。 まだ、クロウ達が去ってから5分ほどしか経っていない。 だが、現在この教会には神父しかいなかった。 クロウとジャックが去った直後に、ミラに夕食の食材を買いに行かせたからだ。 扉の前に立っていたのは、クロウとジャックではなかった。 そこには、黒いスーツの男が立っていた。 四角い銀色の縁の眼鏡を掛け、頬の痩せこけた青白い肌の男だった。 年齢は20代後半といった感じで、長い黒髪を後ろで縛っている。 「お客でも来ていましたか?」 口元に笑みを浮かべながら、その男は言った。 「どうも。神父様」 神父は、冷たい視線で男を見据えた。 「前に言った筈ですよ。また来る、とね」 そう言って、男は口元に笑みを浮かべた。 相手を睨みつけながら、神父は言った。 「あなた方とは取引などしない。この私の答えは変わりません。 以前もそう言った筈ですよ」 「こちらとしては、それでは困りますね」 「…あなた方との取引に応じれば、この町の人々が犠牲になります」 神父の言葉に、男はあからさまな溜め息をついた。 「やれやれ…一等司政官ともあろう方が随分と腑抜けた事を。 人間の命などどうだっていいではありませんか」 「私は既にヘブンの人間ではありません。 …私がヘブンの人間であったとしても、あなた方との取引には応じなかったでしょう」 「おやおや…」 神父の強情な態度に、男はますます笑みを深めた。 「あなたの親しい人間が死んでも、あなたはその態度を貫き通せますか?」 そんな男に対し、神父は静かに言った。 「私が…そんな脅しに屈する様な人間に見えますか?」 神父の静かな言葉に、男はもう一度溜め息をついた。 「いいでしょう。私の任務もこれだけではない。 今回は、警告として受け取っておいて下さい」 男は、背を向け、歩き出した。 だが、扉の手前で足を止め、振り返り、言った。 「ですがお忘れなく。私の背後にいるのは…」 その話が終わらないうちに、神父は男の言葉を引き継いだ。 「『古き神々』…でしょう。この前も何度も聞きましたよ。あなたの口から」 「ふっ…分かっているじゃないですか」 そう言うと、男は扉を開け、出て行った。 それを見届けると、神父は力が抜けた様に近くの長椅子に座り込んだ。 「………」 教会の側面にある窓が、わずかに開いていた。 その窓の下で、ミラは口元を押さえて座っている。 その眼からは一筋の涙が流れていた。 翌日の早朝。 クロウが起きた時、窓の外は激しい吹雪が吹いていた。 「今日は吹雪か」 朝食を終えると、二本の刀の手入れをしながら、クロウは考えた。 「(仮面の男…それに謎の集団か…。例の遺跡にあるリーバードの瞳も気になるな。 だが…ここに来てそれらの正体を掴める様な手がかりは無くなったな)」 室内の照明によって、刀の刀身は鈍い輝きを放っていた。 その輝きを見ながら、クロウは一昨日闘った仮面の男の技を思い出した。 「(あの戦い方…まさか…)」 「おい、いつまで寝てやがる。もう朝だぞ」 「んん……」 自室で、ジャックは目を覚ました。 だが、しばらくするとまた彼の意識は睡魔にさらわれてしまった。 「おい!いいかげんにしやがれ!!」 ケインに毛布を持って行かれ、しぶしぶジャックは目を覚ました。 彼は枕元にある時計を見た。 既に時刻は彼がいつも起きる時間を大分過ぎている。 気がつけば、既にケインは居間へと去った後だった。 居間へ向かったジャックは、テーブルに置いてある冷え切ったトーストを食べ始めた。 「全く。こんな猛吹雪はここ数年じゃ珍しいな」 ケインの声を聞き、ジャックは視線を窓の外へ向けた。 窓の外は、大量の雪が舞っていた。 その時、室内に玄関のドアを叩く音が聞こえた。 「ん?こんな天気の日に客か?」 「あ、俺が出るよ」 そう言うとジャックはトーストを皿の上に置き、廊下に行って玄関のドアを開けた。 そこには、傘を差し、マフラーを首に巻いたミラが立っていた。 その顔は、いつに無く真剣だった。 「ジャック。話があるの」 室内にドアのノックの音が響いた。 まだ刀の手入れをしていたクロウは、その音に気づき、時計を見た。 いつの間にか昼近くになっている。 窓の外の吹雪は、一向に収まる気配は無さそうだった。 彼は、ドアに向かって言った。 「…誰だ?」 「エリュシオン様、お電話がかかってきております」 その声は、宿の事務員だった。 「分かった。今行く」 第3章へ 雪の町に集う者たち・目次
https://w.atwiki.jp/storyteller/pages/1376.html
マンカイデンシ*サクラ 簡潔版 part48-117~120 詳細版 part48-153~158,175~178 117 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/16(月) 13 50 04 ID LF9uf2Dj0 簡潔版投下。 詳細版は後日、各話完成次第、順次投下していきます。 ギリギリ六ヶ月以内なのでトリップつけました。 簡潔版用解説 主要登場人物 ハル 孤児院に暮らす16歳の心優しき少年。趣味は電脳世界での散策。 中性的な外見と、家事を仕切り同じ孤児らの面倒を見る姿から、親しみを持ってハルママと呼ばれる。 強力なアイコン「サクラ」に変身し、電脳世界を救っていくことになる。 ログ ハルにサクラを与えた、ウサギ型の謎のアイコン。 ハルがサクラとして電脳世界上の事件を解決する見返りに、彼の望む報酬を提供契約を交わす。 アレックス神父 町の片隅にある教会の養護施設で、ハル他複数の孤児を引き取って養育している。マダムキラー。 用語解説 電脳世界…ヘッドマウントディスプレイを使用した、新世代のネットシステム。 人体の感覚を再現できる高度な電子空間。ゲーム上では「フロンティア」と呼ばれる。 アイコン…電脳世界における「PC(プレイヤーキャラクター)」、またはプレイヤーの分身。 一般向け安価なアイコンとして「DaReKa」なる種類が普及している。外見などある程度の改造が可能。 FSS …フロンティア・セキュリティ・サービスの略。 電脳世界フロンティアを運営するФNET直属のセキュリティ会社。世界各国に存在する。 ナビ …要はヘルプ。アイコンの姿を模した二頭身の姿が基本。場合により複数所持可能。 サクラポイント…略してSP。サクラのエネルギー源。これ無くしてサクラには変身できない。 118 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/16(月) 14 00 30 ID LF9uf2Dj0 数年ほど前から教会付属の孤児院で生活しているハルは、ある日遊んでいた電脳世界で誘拐事件に巻き込まれる。 そこで謎のアイコン「ログ」に出会い、強力なアイコン「サクラ」を手に入れる。 サクラを使いどうにか誘拐事件を解決したハル。 以後ハルはサクラとして、ログと共に電脳世界で発生する事件に立ち向かうことになる。 幾つかの事件を乗り越え解決てきたハルだが、事件の最中に弱点を突かれ謎の組織に囚われの身となる。 どうにか組織の手を逃れるも、ハルを守ってくれる筈のアレックス神父は、ハルに銃を向けた。 ログの機転によりハルは救われるが、ログは神父と共に去り、同時にサクラをも失ってしまう。 何も知らずにいた自分を悔やむハル。するとログの残したナビが現れ、望むならば全てを教えるという。 危険を承知で応じたハルは、サクラとそれに纏わる全てを知ることになる。 サクラは神父が実の娘「サクヤ」のために作ったが、サクヤの心は電脳世界に消え、身体も既に死亡していること。 ログは前のサクラの所有者であり、ある時からサクラになれなくなったが、神父側の人間であったこと。 そしてログとハルが、サクヤ以外の人間がサクラを使うための被験者であったということも。 時を同じくして、消えた筈のサクラが現れる。テロに立ち向かう姿を正義のヒロインと報道するメディア。 サクラの行動の裏に隠された神父の目的は、サクヤの復活。 各地に点在する「サクラポイント(SP)」は、その一つ一つがサクヤの心を有し、サクラに惹かれる性質を持つ。 SPを集めればサクヤが蘇ると考えた神父は、事件を利用して世界にサクラを広め、SPの収集を図っていたのだ。 だがSPが集まることは、人の精神を破壊する「ソルドライブ」を引き起こす危険を伴う。 神父を止めるため、ハルは最後の戦いへと向かう。 戻ってきたログとの連携でサクラを奪還したハルだが、追い詰めた神父はハルに刃を向ける。 数少ない言葉の中に神父の真意を見出したハルは、彼の最後の計画に乗り、サクラとして神父と刃を交える。 ……神父は父として、サクヤが好きだった「正義対悪」のシナリオを、SP=サクヤの欠片に贈ろうとしていたのだ。 勝利したハルは、サクラの特殊能力で、全てのSPの「サクラを求める性質」を消し去る。 SPは父とハルに、贈り物と解放への感謝の意を伝え、再び各地へと散っていった。 サクラをめぐる一連の事件は終結した。 ログは孤児院に引き取られ、ハルらと共に生活を送っている。 事件の最中に親交を深めた人物達も、何がしかの事件があれば会うことはあれど、それぞれの日常へと戻った。 季節は春を向かえ、あちこちに咲き誇る桜が、風に花弁を散らす。 己の人生は桜に象徴されていると言うハルは、これからの未来に、期待と僅かな不安を抱くのだった。 ~完~ 119 :ゲーム好き名無しさん:2009/11/16(月) 14 06 36 ID Tws97uL/O 117-118 とりあえず乙。 フラッシュモーターカレンに似てると思ったら、 やっぱり同じ世界観なのか 153 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17 40 14 ID ziAyOJxZ0 119 フラッシュモーターから数年後の話ってところ。 フロンティアのバージョンがver1.0→ver1.2になってるし、 前作キャラも、表立っては出ないけど噂なんかがちらほら聞けたりする。 151 乙です 少し遅くなりましたが詳細版一回目投下ー。 詳細版解説 主要登場人物 ハル 孤児院に暮らす16歳の心優しき少年。趣味はフロンティアでの散策。 中性的な外見と、家事を仕切り同じ孤児らの面倒を見る姿から、親しみを持ってハルママと呼ばれる。 フロンティアに散らばるサクラポイントを得ることにより、サクラに変身する。 ログ ハルにサクラを与えた、ウサギ型の謎のアイコン。 サクラとしてフロンティア上の事件を解決する見返りに、ハルの望む報酬を提供する。 クロード FSS-USA帰りの現FSS-JAエージェント。通常のFSSはペアで仕事を行うが、事情により単独で仕事を行っている。 その手腕はペアのFSS以上とも言われ、周囲からも一目置かれている。 いのせんと☆まぶ フロンティア内メディアF-WEB-JAの名物キャスター。常にカメラツールを持ち歩く。 アポ無し突撃取材を得意とし、たまに危ない言葉を発して放映禁止処置を食らう。 サクラに奇妙なときめき(変な意味ではない)を感じ、その影を追うことになる。妖精型のアイコン。中身は女性。 砦忍者・山影 外見、言動、全てが怪しいことこの上ない味方。ニンジャバッコなるオリジナルのツールをくれる。 女の子に踏まれたい、など何かに目覚めている。贖罪の旅をしているらしい。忍者型のアイコン。 ユーリ 孤児院に暮らす20代前半の少女。料理の腕は壊滅的だが、本人に自覚はあまり無い(自称・得意料理は中華)。 普段は教会で神父の手伝いをしており、エピローグでは…… ケンタ、サユリ、ゴロウ 孤児院で暮らす子ども達。 アレックス神父 町の片隅にある教会の養護施設で、ハル、ユーリ他複数の孤児を引き取って養育している。マダムキラー。50歳前後。 154 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17 41 27 ID ziAyOJxZ0 主要用語 フロンティア …ヘッドマウントディスプレイ(コネクター)を使用した、新世代のネットシステム。 人体の感覚を再現できる高度な電子空間。いわゆる『電脳世界』。 ただし神経接続レベルに伴った命の危険も伴い、連続接続時間は制限される。 (ドメインは都市・地区、フィールドは町・番地、エリアは建物・施設などにあたるが、必ずしもそうではない) 構造体 …フロンティアのフィールドを構成する電子の箱の総称。様々な種類と機能を有する。 アイコン …フロンティア上の「PC(プレイヤーキャラクター)」。またはプレイヤーの分身。 一般向け安価なアイコンとして「DaReKa」なる種類が普及している。 外見などある程度の改造が出来るが、プレイヤーに近い形(体形)にすると扱いやすいらしい。 変種の例として今作での例としてウサギ型、妖精型が登場。前作には猫型、マスコット型(メッケモ)など。 FSS …フロンティア・セキュリティ・サービスの略。 フロンティアを運営するФNET直属のセキュリティ会社。因みにUSAは米国、JAは日本を表す。 FNP …フロンティア・ネットワーク・ポリスの略。国連認可のフロンティア警察。技術力はFSSに劣る。 オートマトン …フロンティア内の警備用無人アイコンのこと。多種存在する。 大抵は安全装置がかけられ、有人アイコンへの攻撃の際もさほど威力が出ないようになっている。 ツール …アイコンが持つ文字通り『道具』プログラム。種類は複数存在。カメラから攻撃用ツールまで。 サクラ …見るものの心を奪う、美しき桜色のアイコン。 FSSやFNSらのアイコンにもない規格外の性能(数倍の処理速度、攻撃能力など)を有す。 が、その反面サクラポイント無しには起動すらできない欠点を持つ。 サクラの起動及び使用には幾つかの条件を要するというが… サクラポイント…略してSP。サクラのエネルギー源。各地に点在し、これ無くしてサクラには変身できない。 基本的に、サクラを保有する者にしか存在が感知できない。 因みに敵を倒すなどして溜めることも可能。 ナビ …フロンティア上のお助け機能。要はヘルプ。持主のアイコンを二頭身にした姿が一般的。 場合により複数体所持可能。 155 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17 43 55 ID ziAyOJxZ0 ―― 世界は 混沌と熱狂に幾度も打ちすえられ 科学とメディアにかりそめの癒しを施されながら 今なお、存続している ―― Act.1 ファースト・ドライブ 近くの商店街のくじ引きで一日無料券を手に入れたことから、 ハルと孤児院の子ども達はフロンティア上の遊園地「デゼナ・F・K」に遊びに来ていた。 デゼナ・F・Kは現実では味わえないスリルを、絶対的な安全でお届けすると謳っており、現在人気急上昇中のスポットだ。 はしゃぐ子ども達をなだめながら目的地に辿り着いてみたものの、何処か様子がおかしい。 次の瞬間、ハルは謎の男の攻撃を受け、1人別の場所へと飛んでしまう。 不運なことにも実はこの日、金銭目的の誘拐グループが遊園地に潜入していたのだった。 遊園地の下層で目を覚ましたハル。 突然の事態に不安を覚えたものの、はぐれた幼い子ども達の恐怖を思い、ハルはすぐに行動を開始する。 誘拐グループらの改造により、遊園地は危険な場所となっていた。 触れるだけでアイコンを破壊する構造体の床、致死威力の攻撃ツールを持つ犯人側の警備システム。 途中、ウサギ型のアイコンによりインストールされた攻撃ツール待ち、どうにか犯人のもとへ辿りつく。 戸惑いながらもハルは、自分と引き換えに身体の弱いサユリを解放して欲しい旨を伝える。 しかし偽装を施し(※ログが行ったもの)、警備システムを破壊してきたハルを犯人が信用するはずが無かった。 四方から全身に攻撃を加えられ、あわやハルは命の危機に瀕する。 意識が遠のく中、どこからともなく声が聞こえ、謎のプログラムの起動と共にハルは桜色のアイコンに変身してしまう。 襲おうとしたままの姿で、時が止まったかのように動かない犯人。 声の主であるウサギに従い、ハル(サクラ)手にした光の刀で犯人を切り伏せる。 元の姿に戻ったハルは、ウサギに今起こった出来事について尋ねる。 ウサギは、プログラムの名前「サクラ」と己の名「ログ」を告げると、己とサクラに関し他者に話せば生活は保障しないと脅して消える。 最後に、これからよろしくね の謎の言葉を残して。 その後、遊園地を包囲していたFNPの検証の最中、不可思議なエラーが発見される。 犯人グループが確保されたエリアにおいて、わずか00 00 01 00の間ではあるが、全てのデータが消失していた。 検証に立ち会ったFSSのクロードは、その僅かに修復されたデータに目を通し、違和感を覚える。 しかし当事者でもある犯人らの記憶も昏倒した近辺は曖昧になっており、事件は謎を含んだまま終結を迎える。 どうにか無事に子ども達と帰宅したハル。 ユーリが料理を作ると決めた直後の帰宅に、内心本気で神に祈り捧げていたアレックス神父は、二重の意味で胸を撫で下ろした。 遊園地について直ぐに囚われ、遊び足りない子ども達は、神父に遊んでと強請り、神父は優しくそれに応える。 ユーリにアレックル神父の補助を任せ、まずは全員分のご飯を作ることからハルの日常は再開された。 Act.1 余談 ・神父はハルらが遊園地にでかける直前にも、ユーリに食事作らせたくないから早く帰ってね!発言をしている。ハルも了承。 156 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17 45 52 ID ziAyOJxZ0 Act.2 パイレーツ・オブ・フロンティアン テロ事件から数日、ネットバンクのメンテナンス警護に当たっていたFSSのクロード。 作業が順調に進む中、彼の脳裏には先日の事件が過ぎっていた。 誘拐犯等はマニュアルを見て実行したと供述するが、入手したというドメインにマニュアルが存在した痕跡はなかった。 空白の時間についても、理論は存在するがその実行はФNET本部ですら不可能だと言われている。 そして復元されたデータに映る少女のアイコンに、奇妙な既視感を覚える自分。 解決したとはいえ不可解さだけが残った事件に、クロードは今ひとつ納得ができずにいたのだ。 しかし突如として銀行のドメインが破壊され、フロンティア海賊「バスター・ハニー(以下、ハニー)」の一味に襲撃されてしまう。 一方、すっかり日常へと戻ったハルは、家事を終えた後、フロンティアにログインする。 幼い頃からフロンティアに親しんだハルにとって、この時間は大切な日課になっているのだ。 ところが、ログインして目の前に広がったのは目的地ではなく、見たことも無いフィールドだった。 ログアウトも不可能な状況に困惑するハル。そこに、誘拐事件の際に現れたログからの連絡が入る。 ログは、現在このフィールドが特殊な状況にあり、この件には人命がかかっている旨を告げた。 残された道はただ一つ。ハルはログの言う通りにフィールドを進み始める。 やがて人の声のするフィールドに到着すると、そこには丸い体形の女海賊(ハニー)と、膝をつくFSSの姿が。 長年に渡り犯行を重ねたハニーの実力は手下の比でなく、クロードはアイコンを酷く痛めた上に視力を奪われていた。 あまりの光景にハルはハニーを止めようとするが、突如ログがハルの声を真似てハニーを挑発。 逆上し襲い掛かってきたメタボ(※アイコンの体形を現実の体形に合わせると扱いやす(ry)を、ハルはサクラで返り討つ。 しかししぶとく踏みとどまったハニーは、この場の引き上げを宣言し自分のフィールドへと逃亡を図る。 ここで逃がしては、いずれまた被害者が出ることは確実。 クロードの無事を確認し、ハルとログは海賊のフィールドへと突入する。 ついに最深部に到達したハル。戦いに敗れ、全てを失ったというハニーは、フィールドに仕込んだ爆弾で共倒れを図る。 ハルはサクラに変身して起爆スイッチを握る手を止め、どうにかハニーに自爆を思い留まらせる。 そこに復活したクロードが到着し、万事解決……の筈だったが、ハニーがうっかりスイッチを押してしまう。 逃げるにも解除するにも時間が足りない。そう判断したログはハル(サクラ)に叫ぶ。 起爆信号を絶て。サクラにならできる、と。 ハル(サクラ)は再び刀を掲げ、教えられたイメージと共に起爆信号を一刀両断する。 その瞬間、フィールドから桜色の光が放たれ、フィールド外部も含め辺りに桜の花びらが舞い散る。 事態に慌てながらも、その美しさに見とれるFNPと一般アイコン。 彼等の中にまぎれ、いつもの突撃取材に訪れていたいのせんと☆まぶは、光源に立つ桜色のアイコンを目撃する。 事件後。ハルとログは、やや一方的ではあるが正式に契約を交わす。 内容は、ハルがサクラとしてフロンティア上の事件を解決すること。見返りは養護施設用に新しい家電製品の提供。 翌朝、届けられた家電製品を眺めながら、ハルは漸く、全てが夢で無いことを実感するのだった。 Act.2 余談 ・銀行員の雑談の中に、昨年の「女の子と猫のペア」が出てくる。恐らく前作のカレンとラグ。面白くて有能だったと評される。 ・ハルがログインする予定だったフィールドはグラン・アオヤマ。メッケモを使った、デパートのキャンペーン実施中。 157 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17 52 14 ID ziAyOJxZ0 Act.3 トリデ・カイザー 掃除をしながら、ハルは暗い顔をしていた。 並々ならぬ様子に心配するユーリや子ども達。真実を言えるはずも無いハルは適当な嘘を吐く。 午後五時。溜息と共にログインすると、ログが出迎える。早速現場へ向かおうとするログだが、ハルは乗り気ではない。 今回の相手も常習犯であり、その多数の被害者のいずれもが重症を負わされていたためだ。 自分がそんな相手に敵うわけが無いと弱音を吐くハルを半ば無視し、ログは問題のフィールドへと転移する。 転移先には今回の被害者であろう数名のアイコンと、犯人と思しき、古代エジプトのファラオを模した?アイコンがいた。 「砦カイザー・津田(以下、津田)」は、自作の「砦」を時間内に突破できた者に高額な賞金を出すと言う。 そして被害者の諾否を問わず、全員の装備ツールを強制的に変更、各々のスタート地点へと転移させてしまう。 それまでと異なる厳しい条件の中、ハルとログはサクラを使い突破していく。 途中、ゲームに負けた被害者の悲痛な笑い声(神経接続レベルMAXでくすぐり続けられている。フロンティア接続限界時間まで続く)が届き、 二人は改めて津田を止めることを決意する。 幾つかのフィールドを抜けハルは、オートマトンに囲まれたフィールドに出てしまう。 各被害者の様子を見ていた津田は、ハルの異常なクリアタイムから、不正を疑っていた。 津田はハルに、不正でない証明としてゲームオーバーになれと言う。 ゲームオーバーになってしまえばハルが罰ゲームの餌食になり、他の被害者達も救えない。 ハルはサクラに変身し、オートマトンを一掃する。 寸秒の間に全てを片付けたハルに恐れ戦く津田。ハルは津田を説得にかかるが、助けた被害者により横槍が入る。 それをきっかけとして逃亡を図る津田。巻き込まれる形で、全員が別のフィールドへと飛ばされる。 気付くと、全く整合性の無い混沌としたフィールドにいた。辺りにログの姿はなく、途方にくれるハル。 と、そこに彼は「砦忍者・山影(以下、山影)」と名乗る珍妙な忍者?アイコンが現れる。 彼は先ほどの一部始終を見ていたらしく、ハルの優しさと容姿に感動した旨と、この場からの脱出に協力する旨を申し出た。 濃密すぎるキャラクタと、少女と間違えられたことにやや引くハルだが、協力してくれるにこしたことはない。 特殊ツールを受け取ると、山影と共にフィールドを進み始める。 津田はピラミッドのようなフィールドの頂上にいた。ハルらの呼びかけに振り返ると、山影を見て酷く動揺する。 津田は幼い頃、とある人物の作った砦で遊び楽しんだ記憶から、彼に憧れて砦を作るようになったのだ。 山影は、それは別人のことだろうと言いながらも、津田の砦の過ちを指摘し、諭す。 時を同じくして、残りの被害者達が辿りつき始める。 無理矢理呼び込んだ筈の彼等が砦の解き方を楽しそうに議論する姿を見て、津田は自分の過ちを悟り出頭していった。 Act.3 余談 ・山影はかつてゆがんだ魂を青き天使に救われた経験があるらしい。 ・津田の憧れの人は、かつて逮捕されてフロンティアを去った、らしい。 ・メッケモの作者の名前はメケモト。メケモトは現在山影と仕事をしている。 158 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17 57 58 ID ziAyOJxZ0 今回は以上で。 あと書き忘れの前提。 ・書いていない専門用語のうち、置き換えられる用語であればそちらで表記する。 (Ex.イントロン、アウトロン→ログイン、ログアウト) ・表記の関係上、後々面倒になるのでハルが変身中は「ハル(サクラ)」などと表記する。 ・出来る限り文章を短くするために、多少情報が前後している箇所が有る。 ・ギャグ部分は実際に遊ばないと分かりにくいと感じたのでかなり削った。 以上、把握した上でお願いします。 175 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/25(水) 21 08 15 ID PGnm50fE0 Act.4 バースト・リミット ハルとログは、とある企業の研究施設に侵入していた。 その企業で製作されている強化オートマトンの暴走の原因を突き止め、止めるためである。 ハル達が制御装置を探して見つけたのはオートマトンだらけの部屋だった。 そして部屋の片隅には一人の有人アイコンが。彼は同社の強化オートマトンを作った研究者だった。 会社側の都合で心血を注いだオートマトンのデータを他社に売られ、それを恨みに事件を起こしたのだ。 制御装置はその部屋の強化オートマトン全て。ハルはサクラに変身する。 制御装置全てを破壊したことで、FSSらと一進一退を続けていた外のオートマトンも機能を停止した。 会社への抵抗手段を失った研究者は嘆くが、ハルとログは言う。 「誰かを守る物をもって誰かを傷付けるなら、僕らは何度でも破壊します。でも――」 「これだけのシステムを作ったあなたなら、もっと凄いシステムも作り出せるはずです」 崩れ落ち涙を零す研究者。ハルはそっと彼を立ち上がらせると、外へ促した。 ログアウトしたハルは、携帯端末に投影されたログに今回の報酬を伝えていた。 来年小学校に上がるケンタに専用のコネクターを。それだけを伝えるとあっという間に眠りに落ちたハル。 ログはそんなハルを優しく見守る。 ある夜。ハルは過去の夢を見る。それはハルにとって最も思い出したくない、辛い記憶だった。 孤児院に来る以前、ハルは著名な両親と暮らす裕福な家庭の子であった。 しかし著名ゆえにすれ違いを繰り返した両親は離婚。 精神を病んだ母はハルに虐待を加えるようになり、ついにハルを連れてフロンティアで心中を図る。 優しかった頃の母を覚えているがゆえに逃げられないハル。 それでも死が迫ったとき、ハルは恐怖から母を蹴り飛ばし逃げ出す。 だが母の腕が体から離れた瞬間ハルは我に返る。慌て、消えていく母へ腕を伸ばす。しかし―― 一気に夢から覚め、ハルは泣き崩れる。 夜中ではあったが、気付いた神父とユーリがハルの部屋に来る。幸い子ども達は眠っているようだ。 二人の気遣いにハルは大丈夫だと返す。 ――孤児院で過ごすうちに、ハルは徐々に悪夢から解放されつつあった。 一方、フロンティア。 「フロンティアのヒーロー」の話は徐々に広まり始めていた。 様々な事件の現場に現れては目にも留まらぬ早業で悪を退治する、青と桜の二つの姿を持つ少女。 現れたとき桜の花弁のエフェクトを舞い散らすことから、それは「サクラ」と呼ばれているという。 彼女に救われた人々の取材を行っていたいのせんと☆まぶだが、何故か懐かしさに似た不可解な感覚を覚えていた。 しかし悩んでいてもキリがない。まぶは「デゼナ・F・K 新アトラクション封切り」の取材へと向かう。 安心・安全のクリーンなイメージを持ちながら、何故か黒い噂の絶えないデゼナの裏を探るために。 176 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/25(水) 21 09 26 ID PGnm50fE0 その日の午後。 子ども達と百貨店に買い物に来ていたハルは、ログの呼び出しに従って、急遽近くのネットカフェからログインする。 急な呼び出しを謝罪するログを、ハルは事件は思った時に起こるものではないと慰める。 子ども達はバスを利用して教会へと向かっている。GPSの情報を確認し、ハルは安心して事件に向かう。 新アトラクションの封切りが行われる筈のデゼナ・F・Kでは再び事件が発生していた。 フィールドの制御を奪い、従業員を人質とした武装集団らは言う。 自分達の家族はデゼナの遊具事故に遭い重い障害を負ったが、 安全を謳うデゼナは事故を隠蔽し、取引や圧力で被害者らを黙らせようとしたのだ、と。 犯人側の要求はデゼナ側の、マスコミ各社へ向けた事件の公表と、全被害者への正当な賠償金の支払い。 要求が呑まれない場合は、従業員に安全装置を外したボムの威力を味あわせる―― いのせんと☆まぶもまた人質とされ、外部への放送に協力させられていた。 途中、逃亡してきたまぶを救助しながら順調にフィールドを進んだハルは、全ての犯人を撃破する。 犯罪は犯罪とはいえ、裏にある理由にハルはやりきれない心地になる。 しかし今回使われたボムは、安全装置付きとはいえ「アトラクションで使用される予定のもの」だった。 いずれ捜査のメスが入るだろう――そう言いかけて、突如ログの表情が変わる。機密通信が入ったからだ。 内容は、今回の事件はデカルツォという人物の焚き付けで発生したということ。 もう一つは、最後の人質は排除できない数のボムと共にいるということだった。 問題のエリアを発見し、設定を変えようとするハルを、それまで成り行きを見守っていたまぶが止める。 彼女はこのボムの仕掛けを知ったがために、消されそうになって逃げ出したのだ。 その仕掛けとは、犯人ら以外が設定を弄るとボムが破裂すること。 また主犯のログアウト後、ボムは自動でカウントダウンを始め、解除は犯人の持つコードキーでしか行えないということだった。 有無を言わさず全員を倒してしまったことを後悔するハル。同時にログは、何処かで見た状況に嫌なものを感じる。 それでもサクラの能力なら。そう判断したハルはサクラに変身する。 隠された意図を悟ったログの声が間に合うことは無く、刀を振りぬいたハル(サクラ)はそのまま意識を失った。 孤児院近くの脳病院。 カフェから運び込まれたハルは、まるで意識を取り戻さない。 連絡を受け駆けつけた神父達。心配する子ども達を宥めながら、意識の無いハルを見守っていた。 別の場所。 デカルツォの魂胆をギリギリまで見抜けなかった自分を後悔する「誰か」の心情。 ハルが運ばれたのはデカルツォの息のかかった病院。 ハルを助けたいという思いと裏腹に、己を取り巻く状況は非常に悪い。どうすれば……。「誰か」は悩み続ける。 Act.4 余談 ・買い物の最中、子ども達が「もし自分のアイコンを持てたら」という想像をする場面がある。 ケンタは、アイコンを「異界戦隊ゴレイカー」風にしたいらしい。「『俺の左腕が暴れる!』みたいな!」 177 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/25(水) 21 12 44 ID PGnm50fE0 Act.5 エンド・オブ・アットホーム 意識を失って三日後の明け方。ハルは白い部屋のでインターホンのベルに叩き起こされる。 意識が途切れる前のことを思い出したハルは病院に居ることを悟るが、同時に周囲の様子がおかしいことにも気付く。 途端、廊下のスピーカーからログの声が響き、ハルにその部屋から脱出しろと言う。 何事か分からぬまま廊下に出たハルだが、途端に出くわした黒服サングラスの男がハルにスタンガンを向ける。 驚くハルの目の前で突然防火扉が閉まり、ログは改めてハルに脱出を急かす。……どうやらハルは先程の黒服に狙われているらしい。 セキュリティの一部を掌握しているらしいログは、ハルにコネクターと携帯端末を渡し完全な掌握を行わせ脱出を試みる。 一方、病院内、セキュリティルーム。 黒服達はハルに制御を奪われまいとするが、二人のコンビネーションには歯が立たない。 病院の外部は怪しげなタレコミを得たマスコミが取り囲んでおり、下手な行動は取れない。 黒服は教会の人間を人質にするため、準備していた人員を向かわせる。 まるで軍事施設のようなセキュリティを掻い潜り、ハルとログはお互いの絆を再確認する。 外部では相変わらずマスコミが情報を入手せんと張っており、病院の不審な状況に疑念を抱き始めていた。 …教会へ向かった黒服らは、泥棒と間違えられて近所の商店街らの人々に追い払われた。 全ての状況は、全てハルらに有利なように働いていた。 そして一階のセキュリティをも掌握したハルら。 途中ログが不可思議な発言をするが、緊急の状況であまり構う余裕は無かった。 デカルツォの指示により病院の放棄を決めた黒服らは、病院の一部を爆破してマスコミらを追い払おうとする。 ハルが入院しているはずの病院の爆発に、商店街に避難していた子ども達は不安を露にする。 泥棒が襲ってきたときから神父もユーリも姿が見えない。商店街の人々が二人を探してくれてはいるが、見つかる気配は無かった。 そしてついにデカルツォは、ハルからサクラを奪取するため動き出す。あまり使いたくなかった手段をもって。 アウトロンしたらそのまま外へ突っ切れというログに従い、駆け抜けるハル。 しかし向かっていた入り口から黒服が現れ、ハルは青褪める。と、その黒服の背後に現れた青年が黒服を気絶させる。 どうやら敵ではないようだが誰とも知らぬ相手に戸惑うハル。 青年は、君がサクラか?と問い、ここは自分がなんとかするから逃げろという。 何処か覚えのある雰囲気にハルは青年の正体を悟るが時間が無い。ハルはログに言われるまま裏口へと走りだす。 178 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/25(水) 21 15 38 ID PGnm50fE0 もう僅かで裏口に辿りつく。安堵しかけたハルの前に、裏口を抜けてアレックス神父が現れる。 心配して来てくれたのだろうかとも思ったが、今この場に留まる事は危険でしかない。 とにかくここから逃げましょうと言うハルに、しかし神父はハルに伝えることがあるという。 困惑するハルに、非常に落ち着いた声で神父は告げた。「ハル、君の母親を殺したのは、君だ」と。 呆然とするハルの心に、教会に来て忘れかけていた感情が溢れ出した。 ただ一人の息子を求めた母親を、恐怖から逃げて支えなかった自分。 そしてそのまま二度とフロンティアから戻らずに亡くなった母親。 自らの罪を思い出して傷付き、助けを求めるハルに、神父は尚も言葉を重ねる。 「君の母親を殺したのは、君だ」 優しく受け入れて、癒してくれた筈の神父からの冷酷な言葉に、ハルの精神は崩壊寸前の状態にに陥る。 そしてその瞬間、何故かハルの持つサクラが機能を停止してしまう。 残っていたらしい黒服が現れ、神父にサクラを奪取したことを告げる。 その言葉を聞いた神父は懐から拳銃を取り出し、ハルへと向ける。 過去の神父を知るがゆえに、目の前の現実を受け入れられず、逃げることも出来ずに立ち竦むハル。 神父が引鉄に指をかけた瞬間、その前に10歳くらいの少女が現れる。 神父をデカルツォと呼んだ少女――フランカは、サクラを壊されたくなければハルを見逃して、と神父を脅す。 そして同時に先ほどの青年が現れ、神父の銃を叩き落す。とっさに引き下がり逃れる神父。 フランカは、未だぼんやりとするハルに子ども達のことを思い出させて思考を取り戻させる。 「さよなら、ハル。ナビたちと仲良くね」フランカがそう言うと、神父はフランカを連れて閃光手榴弾を放った。 フランカはもしかしてログなのだろうか。光に呑まれながらログの名を叫ぶハル。その声に答える者は無かった。 Act.5 余談 ・ログのセクハラ発覚。ハル(サクラ)の元々短い裾の丈がだんだんと……。理由は「恥らうハル萌え」/(^o^)\
https://w.atwiki.jp/i_jinrou/pages/282.html
紹介 クリスマス、という事で建てられた村。 しかし、多少煽り合いや、見る人によっては不愉快なやり取りがあるかもしれない。 あらすじ クリスマス。 それは、ある者は浮き足立ち、またある者は「リア充実爆発しろ」と妬み。 様々な思惑が渦巻く、一年の内でも重大なイベントの一つである。 しかし、そんな時期にすら、平和は訪れない。 そう、この聖夜の村にも『人狼』の噂が舞い込んだのだ。 クリスマスそっちのけで、誰が人狼なのか、誰を信用すればいいのか、悩み苦しむ村人達。 信用できるのは、共有と霊能。 占師は、誰が本物かすら分からない。 クリスマスが終わる頃、生き残っているのは果たして誰なのか……。 ↓ネタバレ 勝敗 人勝利 作戦 村側の作戦 1dFO 3d、共有片襲撃後の共有相方CO 5d、狩人CO(村人による狩人騙りもあったが、禁止事項なのであまり推奨しない) 狼側の作戦 1W、狂人占い騙り 1W中庸枠に潜伏 1W多弁枠に潜伏 狐の作戦 潜伏 登場人物紹介 楽天家ニッツ 村人 2d襲撃 クリスマスに、真っ赤な服、無残な姿で発見された楽天家。その姿は、まるでサンタ……というか、雑貨屋でサンタ服を買っていたとの情報があるため、実際に服は赤かったのかもしれない。 旅人サンジ 共有 3d襲撃 根無し草で、旅行記を執筆しつつ、村から村へ旅を続けている。クリスマスなど関係ないと思っていたが、偶然、聖夜の村に居合わせ、しばし滞在しようと考えた。呼び出し係を任命されたのは必然だったのか、共有(CN M)としてまとめ役を務めることになる。共有トラップの解除、灰噛みをしないため、早々に襲撃されてしまった。青ログでの発言等、『人狼』のマナーについて考えさせられる事が多い。 少年アルト 狩人 生存 元気いっぱい、という印象の少年……だったのだが、農夫との殴り愛により、黒視が集まってしまう。 雑貨屋マリ 人狼 8d処刑 雑貨屋(という名の呪術用品専門店)『Holy Night』を経営する女性。商売人根性が強く、誰彼構わずに商品を売りつける。人狼(CN 葵)であり、多弁枠に潜伏、また人狼仲間のパン屋に白囲いをされ、「交互でも構わない」発言をする事により、白視を得る事に成功。呪殺がなければ、彼女はLWになり得たかもしれない。 老人フィド 村人 5d処刑 プロローグの最後にビームを打つ、アグレッシブな老人。穏やかに質疑応答をしていた……かと思えば、3dにいきなり豹変。共有である農夫に窘められた事もあり、その日はそれ以降口を出すことは無かった。そして、そのまま突然死してしまった。 青年ヴァル 狂人 4d襲撃 堂々とニートだと公言する人物。就職する気は見られるが、その事を考えると鬱になるらしい。ニート、と言っていた割にはニート狂人にはならなかった。彼の言動は多少の議論を巻き起こした。陣営的には、襲撃される事によって真占である神父の信用を落とす事に成功する。 男爵リヒター 人狼 6d処刑 穏やかな物腰の男性。父親が、人狼と何らかの関わりを持っていたらしい。人狼(CN 布団)であり、中庸枠に潜伏する。神父に占われ、人狼だと露呈するが、その時点でのパン屋、神父の真視はイーブン。神父がシスターを呪殺してしまった為、処刑された。 村長ハガー 村人 4d処刑 本名、ハミント・メリー・ガーネット村長に就任したばかりであり、性別は不詳。多弁且つ内容もしっかりしている。白出しされていたものの、初日の白出し三人の中で一番黒く見える、との理由で処刑されてしまった。 神父プッチ 占師 7d処刑 「クリスマスは俺の教会のミサに来てくれよな」と、かなりフランクな喋り方をする神父。占師として真視を得ようと発言していたが、呪殺が出るまでは狼疑惑が晴れず、少々不貞腐れてしまった面もある。残念ながら襲撃 護衛先トトカルチョにより襲撃されてしまった。 シスターリン 狐 5d呪殺 呪術を嗜んでいるらしい女性。雑貨屋のお得意様らしく、よく二人で話をしている姿を見かける。発言内容は控えめだが、考察はしっかり行っており、終盤まで占い、処刑共に避け続けた。 パン屋ルーク 人狼 7d処刑 パン屋を営んでいるが、何故か喋る刀『ラルフ』を所持している。しかし、実体は人狼(CN サンタ)であり、占師騙りを行う。雑貨屋を白囲いし、狐であるシスターに黒を出す事に成功。だが、シスターが処刑されず、交互占いになり、神父の呪殺により破綻してしまった。 村娘アリシア 村人 8d突然死 少し考え方がずれている、と公言している女性。公言した通り共有両潜伏など、様々な奇策を惜しみなく発言してくる。呪殺後、狩人騙りを行い、村の勝利を揺るぎ無いものとした(但し、この村での村人騙りは原則禁止されている)しかし、その後、謎の突然死を遂げてしまった。 羊飼ルカ 村人 5d襲撃 羊毛と羊肉を売り歩くが、売れないと『おじさま』と呼ぶ謎の男性に怒られるらしい。多弁で、かなりの白視を得ていたが、一部の人物との口論などによりかなり落ち込み、それが考察にも如実に現れている。その直後の襲撃は、彼女にとって救済だったかもしれない。 農夫タッド 共有 生存 どこから来たのか、口調に訛りがある。潜伏共有(CN S)として、黒く見られるように振舞っていた。旅人の襲撃後は、彼に代わってまとめ役を務め、自分の信じた道を行き、村を勝利に導いた。 画家ロイス 霊能 6d襲撃 聖夜の村に引っ越してきたばかりの男性。初日FOにより、霊能CO。真霊と確定し、狩人に鉄板で護衛される。しかし、神父と同様にトトカルチョにより襲撃されてしまう。 学者クラフト 村人 3d処刑 発言数はそこそこあったが、内容寡黙気味。また、体調を崩した事により、バファリン要素込みで処刑されてしまった。 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/diav/pages/12.html
概要 レクイエム・ジョルノを倒したディアボロが露伴の要請で挑む3つ目のダンジョン。 意外に知られてないが、0.15では1Fにドノヴァンが出ないので、ちょっと簡単になってる。 ウンガロはパープル・ヘイズなどの全体攻撃DISCを使って召喚してくる敵ごと皆殺しにするか 召喚する敵を固定して壁を作ったり、壁に穴を掘ってその中に追い込んだりして孤立させて倒すといい。 プロシュート兄貴のDISCはどうにか一枚持って行きたい。 ジョンガリ・AのDISCを使ってから固定ダメージを与えるアイテムを投げるのも良い。 サーフィス人形などを上手く使えば真っ向から殴り倒せるかも。 初っ端ににサバイバーかチリペッパーを一回使うだけでお母さんヤギがサックリ倒してくれたりもする。 敵出現階層(0.15) 階層 出現敵 1F ヤク中のゴロツキ エコーズの卵 小汚い浮浪者 ジョセフ(4部) 2F ヤク中のゴロツキ エコーズの卵 ドノヴァン 小汚い浮浪者 ジョセフ(4部) ヌケサク 3~4F T・O・グレー ブルりん ドノヴァン エンポリオ ジョセフ(4部) ヌケサク 5F T・O・グレー ブルりん ワンチェン エンポリオ エコーズACT1 ヌケサク 6F 運命の車輪 ラバーソウル ワンチェン エンポリオ エコーズACT1 7F 運命の車輪 ラバーソウル ワンチェン エボニーデビル エコーズACT2 ダイアーさん ジャック・ザ・R ハイウェイ・スター 8F 運命の車輪 ラバーソウル ワンチェン エボニーデビル エコーズACT2 ダイアーさん ジャック・ザ・R ハイウェイ・スター ハーヴェスト 9F 運命の車輪 ラバーソウル ワンチェン エボニーデビル エコーズACT2 ダイアーさん ジャック・ザ・R ハイウェイ・スター ハーヴェスト デス13 10F ディオ・ブランドー ラバーソウル ラバーズ エボニーデビル リキエル ハーヴェスト デス13 11F ディオ・ブランドー ジョリーン ラバーズ 血管針カルテット リキエル ハーヴェスト デス13 12F ディオ・ブランドー ジョリーン ラバーズ 血管針カルテット リキエル ジョセフ(3部) Mトランスファー メローネ 13~14F ジョナサン ジョリーン ラバーズ F・F リキエル ジョセフ(3部) Mトランスファー ドゥービー エルメェス メローネ 15F ジョナサン オインゴ ジャッジメント F・F ハイプリエステス Mトランスファー ドゥービー エルメェス 16F アクアネックレス エコーズACT3 ジャッジメント シュトロハイム ハイプリエステス Mトランスファー ドゥービー エルメェス グェス 17F アクアネックレス エコーズACT3 ジャッジメント シュトロハイム ジョルノ ハイプリエステス Mトランスファー ドゥービー グェス 18F アクアネックレス エコーズACT3 ゲブ神 シュトロハイム ジョルノ ハイプリエステス 吉良の親父 億泰 ミドラー 19F アクアネックレス エコーズACT3 ゲブ神 ワイアードのベック ジョルノ 吉良の親父 億泰 エアロスミス ミドラー 20F Sハートアタック エコーズACT3 ゲブ神 ワイアードのベック 仗助 ホル・ホース 吉良の親父 億泰 エアロスミス ミドラー 21~23F Sハートアタック エコーズACT3 ゲブ神 ワイアードのベック 仗助 ホル・ホース 億泰 エアロスミス 24F オインゴ グリーン・ディ 由花子 シーザー リゾット 床屋のカーン アレッシー ブラフォード 25~26F ノトーリアスBIG ベイビィフェイス 由花子 シーザー リゾット 床屋のカーン アレッシー ブラフォード 27F ノトーリアスBIG ベイビィフェイス ストレイツォ チョコラータ リゾット 床屋のカーン アレッシー フーゴ ケンゾー 28F ノトーリアスBIG ベイビィフェイス ストレイツォ チョコラータ リゾット 床屋のカーン アレッシー フーゴ ケンゾー 29F ノトーリアスBIG ベイビィフェイス ストレイツォ チョコラータ 虹村形兆 床屋のカーン アレッシー フーゴ ケンゾー タルカス 30F ノトーリアスBIG ベイビィフェイス チョコラータ 虹村形兆 ホルマジオ アレッシー フーゴ ケンゾー タルカス 31~32F アヴドゥルさん ベイビィフェイス 康一 プロシュート兄貴 ブラック・サバス ホルマジオ プッチ神父 フーゴ セッコ タルカス 33F アヴドゥルさん ベイビィフェイス 康一 プロシュート兄貴 ブラック・サバス RHチリペッパー プッチ神父 フーゴ セッコ 34F アヴドゥルさん ベイビィフェイス 康一 プロシュート兄貴 若ジョセフ RHチリペッパー プッチ神父 ブチャラティ セッコ 35~36F アヴドゥルさん ペットショップ プロシュート兄貴 若ジョセフ RHチリペッパー プッチ神父 ブチャラティ セッコ 37F アヴドゥルさん ペットショップ W・ラングラー プロシュート兄貴 若ジョセフ RHチリペッパー プッチ神父 ブチャラティ セッコ 38~39F アヴドゥルさん ペットショップ W・ラングラー プロシュート兄貴 若ジョセフ 吉良吉影 プッチ神父 ブチャラティ セッコ 40~46F ハーヴェスト Sハートアタック DIO 禁煙中ホル・ホース ジョセフ(3部) 吉良吉影 プッチ神父 47~53F アヴドゥルさん ウエストW看守 花京院 ピアスを開けたジョリーン ブラック・サバス トリッシュ ポルナレフ ラバーソウル 54~56F アナスイ ウェザー ワイアードのベック サンタナ ワンチェン ジャック・ザ・R ドゥービー 川尻浩作 マライア 57~59F アナスイ ブラック・サバス ウェザー ワイアードのベック サンタナ ワンチェン ジャック・ザ・R ドゥービー 川尻浩作 マライア 60~66F ブチ切れた仗助 承太郎(4部) 康一act2 ブチ切れた億泰 虫食い 虫食いでない プッツン由花子 67~72F シュトロハイム シーザー 若ジョセフ リサリサ ワムウ エシディシ カーズ 73~74F シュトロハイム シーザー 若ジョセフ リサリサ ワムウ エシディシ カーズ サーレー 75~79F Mトランスファー リゾット 禁煙中ホル・ホース C-MOON スポーツマックス サーレー ミスタ 80~83F マックイィーン ヴァニラ・アイス ギアッチョ ストレイ・キャット アヌビスポルナレフ 成長した吉良 退院した花京院 ミスタ 84~86F マックイィーン ヴァニラ・アイス ギアッチョ ストレイ・キャット アヌビスポルナレフ 成長した吉良 退院した花京院 87~89F マックイィーン ヴァニラ・アイス ギアッチョ 記憶が戻ったウェザー ストレイ・キャット アヌビスポルナレフ 成長した吉良 退院した花京院 90~98F 虫食い サーレー クリーム 最高にハイなDIO 承太郎(3部) ザ・ニュー神父 究極カーズ エンポリオ(酸素) 大柳賢 自由人の狂想曲 99F ウンガロ お母さんヤギ アナスイ
https://w.atwiki.jp/sentakushi/pages/907.html
487 名前: 371@銀剣物語 ◆snlkrGmRkg [sage] 投稿日: 2007/09/25(火) 23 56 47 黒い神父は、鋭い視線で、教会の扉を見つめていた。 私の立つ祭壇から、長椅子と通路を隔てた反対側……教会の中と外を隔てる扉を。 「……今夜は来訪者が多いことだ。 こちらにも予定というものがあるというのに」 誰にとも無く呟く。 ……扉の向こうに、誰かが立っているというの? 「…………」 雪華綺晶も、視線を奥の扉の方向へと向けている。 ……今、私から目を離しても、隙を突かれることはない、とたかをくくっているのかしら。 けど、悔しいことに、それは……正解。 今の私には、雪華綺晶の隙を突いて襲い掛かる力すら残っていない。 「人払いをしていたはずだが……それを超えてきたか。 常人ではないのか、それとも余程強い意志があるのか……」 前方を見据えたまま、懐からなにかを取り出す。 それは、一本のまっすぐな長い剣だった。 ……こんなもの、何処に隠してあったのかしら。 「だが……いずれにせよ、覗き見は感心しないな」 神父はそれを手に持って……前触れも無く投擲した。 低い風切り音、直後に扉を揺るがす轟音。 どんな力を込めたのか、投擲された剣は木で出来た扉に水平に深々と突き刺さった。 ……ああ、この神父、本格的にただの人間じゃないわねぇ。 着弾の衝撃で、扉が勢い良く外側に開かれる。 そこには……。 「む……?」 そこには、誰の姿も無かった。 扉の向こうには、かすかに街へと続く下り坂が窺える。 神父の勘違い……じゃないのだろう、きっと。 多分、新婦が剣を投げるより早く、その誰かはこの教会を立ち去ったのね。 ……誰だか知らないけど、早く逃げたほうが良いわよ。 私は心の中で、顔も知らない誰かに忠告した。 「……逃げたか。 あっさり引いたということは、誰かに報告するつもりなのか……」 神父はツカツカと扉に近づき、注意深く周辺を観察した。 誰も居ないことを改めて確認すると、扉から剣を引き抜き、再び懐に収める。 ……だから、その剣はどうやって収納してるのよ。 「追わなくていいの、言峰?」 「追ってどうにかなる相手ではなかろう。 もし追ってどうにかなる相手だとすれば、むしろこの場を無かったことにした方が早い。 いずれにせよ、雪華綺晶、この場でこれ以上の騒ぎを続けるのは止めろ。 必要以上に目立つのは、お前も本意ではあるまい」 「……そう、ですね」 雪華綺晶は、改めて私のほうに向きなおった。 芝居がかった仕草で腕を振り上げると、その手から白い薔薇の花弁が散る。 花弁は風も無いのに舞い散って、私の足元まで流れてくる。 「そういうわけで、お姉様。 不意に邪魔が入ってしまいましたので、今宵はこれまでにしたいと思います。 しばしの間……お休みになってください」 「な、に、を……?」 何を言っているの? そう口にしようとした私は、急速に意識が薄れていくのを感じた。 舞い散る花弁が床に積もるように、私の意識も白く塗りつぶされて……。 これは……いけない、あの薔薇の花弁の力!? 「き、ら、きしょう……っ」 「でも、わたしはまだ諦めてはいませんから。 お姉様に、わたしのお願いを聞いて貰うために……」 意識が保てなくなる。 私はゆっくりと床に膝をつき、崩れ落ちるように身体を横たえ……その直前、神父の独白が聞こえたような気がした。 「しかし、今の来訪者……あれは……」 α:「使い魔……魔女め、日和見を決め込んでいれば良いものを」 β:「自分自身の後始末とは、ご苦労なことだな、弓兵よ」 γ:「あれは……確か、穂群原の学生だったか……?」 ――Interlude out 投票結果 α 5 決定 β 1 γ 0
https://w.atwiki.jp/god14fan/pages/113.html
そして、初めましてこんばんわ! 今が夏ということで、思いついて投稿しました。 思いついたら、是非是非書いてください。 … マリィ「レンー! こっちこっちv」 -- 名無しさん (2012-08-16 17 03 10) 蓮「おい待てよーマリィ!」昼食を終え、皆は『何もなかった』ように各々が再び遊びに戻っていた。何気に香純も人間離れしている体力を有しているため、疲れなどがないのだ。 -- 案山子さん (2012-08-16 17 07 08) ところで、あの巨大生物を完食したのはよいが、その後あのヤケに一人だけ盛り上がっていた黄金さんはどうしたかというと…… -- 案山子さん (2012-08-16 17 09 02) 黄金『待っていろ!ナ○ル○ウ○・チ○ナ○ブ○・ル○ロ○!そしてまだ私を待っているモノども!!いま私が狩りに行くぞォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!』……聖銛を持ったまま、物凄い勢いで深海へ向かって潜水していく姿があった。 -- 案山子さん (2012-08-16 17 11 22) 香純「よーし! んじゃ恒例のスイカ割りをするわよv」 -- 名無しさん (2012-08-16 17 15 56) リザ「あら?『スイカ割り』って何かしら?」神父「はて、私は知りませんね。マレウス、あなたはご存知ですか?」アンナ「今の私はアンナだって……って。え?」アンナが言い直そうとするが、そこにいないはずの人物に皆の視線が釘付けになっていた。 -- 案山子さん (2012-08-16 17 18 35) 全員『……………………』神父「ん?どうしたんです?皆さん。そんなお化けを見るような顔で」 -- 案山子さん (2012-08-16 17 28 25) 全員『何で生きてるの!!?』 -- 名無しさん (2012-08-16 17 55 48) 神父「舐めないでほしいものですね」 -- 名無しさん (2012-08-16 18 17 14) 覇吐「いや、舐めるとか以前にあれで死んでない方がおかしくねえか?」 蓮「あんたが言うとなんかもやっとするな」 -- 名無しさん (2012-08-16 18 19 52) 神父「くくく……、テレジアのためなら何度でも甦ってみせますよ。不死鳥の如く!」 -- 名無しさん (2012-08-16 18 58 38) アンナ「あんだけ聖槍に刺されてなんで死なないのか、本当に疑問だわ」 -- 案山子さん (2012-08-16 19 08 50) 香澄純「んじゃせっかくスイカ割りをするわけだし、アレをやらせてみよっかv」 神父「え?」 香純「シュライバー、神父さんを顔だけ出るようにして埋めて」 -- 名無しさん (2012-08-16 19 11 11) シュライバー「……ハハ~ン( ̄ー ̄)ニヤリ。なるほど、そういうことか。うん、いいよv」 -- 案山子さん (2012-08-16 20 04 32) 神父「え?」玲愛「ほら、そこに血涙流しているイケメンさん。あなたも手伝って」戒「セ、聖餐杯ィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!」もはやマジのトバルカイン化した戒が神父に襲い掛かった。もはや八つ当たりもいいところである。 -- 案山子さん (2012-08-16 20 51 28) 螢「兄さん落ち着いて、そんなことよりももっと良い方法があるわ」 戒「………なに?」 -- 名無しさん (2012-08-16 21 17 46) ボロボロになっていた螢がそういうと、血涙を流していた彼が正気に戻った。 -- 案山子さん (2012-08-16 21 32 57) 螢「スイカ割りといえば、恒例の『アレ』でしょ?」 戒「………そうか!」 -- 名無しさん (2012-08-16 21 44 55) 彼らは生粋の日本人。彼らが『アレ』といえば、一つしかあるまい。 -- 案山子さん (2012-08-16 21 46 36) そしてシュライバーと戒により、頭だけ出した状態で埋められる神父。 神父「あ、あの〜……」その隣にはスイカが -- 名無しさん (2012-08-16 21 52 11) 神父「なにかその、私の直感が先程から警戒警報を鳴らしているのですが~……もしやこれは」玲愛「あなたに喋る権利なんてないのよ駄目神父。あなたはそこで埋もれているのがお似合いの堕落司祭よ。埋もれて灰となって、私が築く新世界への礎となりなさい」 -- 案山子さん (2012-08-16 22 02 27) 蓮「じゃあトップバッターは戒さんで」 戒「うん、頑張るよ」 -- 名無しさん (2012-08-16 22 03 54) アンナ「はいは~い!じゃあ第一回!チキチキ楽しい楽しいスイカ割り大会を開催しま~す!ルールは簡単♪目隠しをした状態で棒におでこを付けてその場で十回周り、そしてそこから『目標』を叩き割るという、なんとも簡単でお手軽な『遊戯』なのです -- 案山子さん (2012-08-16 22 21 47) ↑ミスりました。続きです ♪」 -- 案山子さん (2012-08-16 22 22 37) シュライバー「ほら、ああいうルールだから心配ないよ♪」 -- 名無しさん (2012-08-16 22 26 00) ニコやかに微笑むシュライバー。だが、神父の直感がずっと囁き続けていた『危険危険危険危険危険危険危険危険警告警告警告警告警告警告警告警告』と。 -- 案山子さん (2012-08-16 22 33 29) 戒「じゃあいくよ〜♪」 -- 名無しさん (2012-08-16 22 42 12) 全員「いいよ~♪」神父「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!!!可笑しいですって!!戒君何故に十回以上オーバーして千回以上高速回転した後なのに、そんなにまっすぐ一直線に来れるんですか!?」 -- 案山子さん (2012-08-16 22 44 25) 戒「う〜ん、スイカはこっちかな?」 -- 名無しさん (2012-08-16 22 46 20) 神父「!?」咄嗟に声を押し殺し、気配を完全に殺す神父。気配を隠し殺すことに関しては、あのザミエルでさえ欺く隠匿の術を有している。そう簡単に分かるはずが…… -- 案山子さん (2012-08-16 22 49 58) 戒「せーの!」 -- 名無しさん (2012-08-16 22 52 18) 神父「!?」なぜか彼は正確に、神父の目の前で龍明が手渡した「斬○剣」と書かれた木の棒を上段に構えていた。 -- 案山子さん (2012-08-16 22 55 45) 神父「おおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 神父はとっさに首を動かし、どうにか戒の攻撃をかわした。 -- 名無しさん (2012-08-16 22 57 58) 戒「…………チッ」 -- 名無しさん (2012-08-16 22 58 26) 神父(ば、馬鹿な!?か、彼は目隠しをしているはず!!それに、私の隠遁はあのザミエル卿でさえ欺く代物ですよ!?) -- 案山子さん (2012-08-16 23 01 13) 戒「あはは、失敗しちゃったね」 螢「次は私ね」 戒「うん、…………確実にね? 螢」 螢「もちろん………」 -- 名無しさん (2012-08-16 23 04 51) 神父「(ま、マズイ!?これでは命がいくつあっても叶いませんね!?)」咄嗟に逃げようとするが、アンナ「逃がすわけないでしょ♪」 -- 案山子さん (2012-08-16 23 33 30) アンナの創造による影が神父の身柄を拘束していた。 -- 案山子さん (2012-08-16 23 42 47) 神父(ぬお!?ま、マレウス!!)アンナ「大人しく成仏しなさいな。日本でいう供養だけはしてあげるから♪」 -- 案山子さん (2012-08-16 23 54 33) 螢「準備完了よ」 -- 名無しさん (2012-08-17 04 12 54) ※すいません。パンクしたら元も子もないので、編集お願いします。 -- 案山子さん (2012-08-17 07 28 19) そう言って螢も同様に目隠しはちゃんとしている。だがしかし、何故か神父はこの影による拘束から抜け出そうと必死にもがいていた。 -- 案山子さん (2012-08-17 10 09 35) 神父(ええい!まだだ!まだ終わらんよ!) -- 案山子さん (2012-08-17 10 10 03) 螢「スイカはこっちかしら~?」 -- 名無しさん (2012-08-17 10 14 11) 神父(き、キタアアアアアアアアアアアアアア!?戒君以上の回数を回転したはずなのに、何故来れるんですか!?) -- 案山子さん (2012-08-17 10 36 38) 必死にもがく神父であるが、螢はそこで動きを止め、ニヤリッ、と三日月の笑みを浮かべる。 -- 案山子さん (2012-08-17 11 01 38) 神父「!?まさか」そう、そこで神父もようやく気づいた。何故あれほどまでに正確に来れるのか、それは神父が動けば動くほどその振動を彼女たちは感じていたのだ。さらに、玲愛「櫻井さん。もう少し前よ……そう、そのまま真っ直ぐ。あ、少し横に修正して。そこから真っ直ぐ歩けば『スイカ』があるわ」堂々とトランシンバーで命令を下す玲愛の姿があった。よく見れば、螢にも戒にもイヤホンが取り付けられていた。 -- 案山子さん (2012-08-17 11 04 10) 螢「わかったわ」 -- 名無しさん (2012-08-17 11 38 58) 神父「て、テレジアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!あなた、そこまでやりますか普通!?」玲愛「笑止。私にとって利益にならないあなたなんて単なる変態に過ぎないわ。疾く死ぬといいわ。ああ、櫻井さん。左斜め四十五度修正よ。そこに『スイカ』がいるわ。もう思いっきりやっちゃって。こう……パカーンって」螢「先輩命令ですもんね。仕方ありませんね」 -- 案山子さん (2012-08-17 11 40 20) 神父「レオンハルト!!!?」 -- 名無しさん (2012-08-17 11 55 04) 玲愛「櫻井ツンデレさん。変態に耳を貸すことはないわ。相手を打倒してこそ経験値は増えるのよ。彼に刻み込んであげてちょうだい」螢「ヤヴォール」 -- 案山子さん (2012-08-17 12 15 32) 神父「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 -- 名無しさん (2012-08-17 12 25 14) そして、ついに獅子の剣技が炸裂した。神父「ほわあああああああああああああああ!!!!!!!!」砂浜の砂をド派手に爆発させながら宙を舞う神父に、玲愛「まだよ!!まだ『スイカ』は生きているわ!!」神父「す、スイカに生きているとは、普通は言いませんよ!?」上空へ飛ばされながら下を見ると、そこにはさらに玲愛がトランシーバーで指示を飛ばしていた。 -- 案山子さん (2012-08-17 12 32 47) 戒「頑張れ螢!」 -- 名無しさん (2012-08-17 12 35 19) 螢「はい、兄さん!空中コンボを確実に決めます!!」神父「え、ちょっと!?コンボってなんですか!?っていうか、これ以上の追い討ちはヒドくありません!?」玲愛「『スイカ』に耳を貸すな!!あの変態を古○鮫に捧げる供物にしなさい!!」スイカ「ちょっと!?」 -- 案山子さん (2012-08-17 12 40 34) テーレッテー -- 名無しさん (2012-08-17 12 54 33) 蛍「天翔百烈剣!!」 -- 名無しさん (2012-08-17 12 55 27) スイカ「おぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!!!!!!!」 -- 案山子さん (2012-08-17 12 56 21) 螢「まだまだ!!零距離刺突!!」スイカ「があああああああああああああああああ!!!!!!!!!」 -- 案山子さん (2012-08-17 13 02 55) 螢「決まれえええええええええええええええ!!!!」 -- 名無しさん (2012-08-17 13 27 04) ドボーン!!最後の一振りによって、神父は再び吹き飛ばされる。 -- 案山子さん (2012-08-17 13 28 39) 螢「ふぅ~……ああ、サッパリした♪」戒「お疲れ、螢♪」螢「ありがとう、兄さん♪」二人は実に爽やかに、ニッコリしていた。覇吐「ガクガクガクガクガクガク!?Σ(゜□゜)」あまりの恐怖に、あの覇吐はガクガク震えていた。蓮「」蓮は既に魂が抜けたかのように、口をポカーンと開いていた。 -- 案山子さん (2012-08-17 13 36 44) 玲愛「んじゃここからが本当のスイカ割りよ♪」 -- 名無しさん (2012-08-17 13 43 50) 螢「ほら、藤井君もやってみたら」 蓮「えっ!あっ!はい・・・」 -- 名無しさん (2012-08-17 14 16 21) 今度は本物を置かれ、螢が蓮に木の棒を手渡し、香純が蓮に目隠しをするが、その際に密着したせいか、彼女の胸が蓮の胸元で潰れる。 -- 案山子さん (2012-08-17 14 22 49) 螢&玲愛「!?Σ(゜□゜)」 -- 案山子さん (2012-08-17 14 55 25) アンナ「しまった!!その手があったか!!」 -- 案山子さん (2012-08-17 15 03 52) 螢「( ̄ー ̄)ニヤリ」 -- 名無しさん (2012-08-17 15 22 52) 螢「ねえ、藤井君」蓮「!?な、なんでしょう(なんだろう、この悪寒!?)」 -- 案山子さん (2012-08-17 15 46 37) 螢「大丈夫?」より密着する。 -- 名無しさん (2012-08-17 16 05 00) 蓮「あ、その……なにが?;」 -- 案山子さん (2012-08-17 16 07 15) 螢「目隠ししたわけだけど、やりづらくはないかしら?」なおも密着。 -- 名無しさん (2012-08-17 16 09 38) 密着され、弾力のある乳房に少し硬くなっている乳首が擦れ、蓮は目のやり場に困っていた。さらに追い討ちをかける。 -- 案山子さん (2012-08-17 16 21 39) 螢「藤井君………」 -- 名無しさん (2012-08-17 16 25 30) 蓮「さ、櫻井……いや、櫻井さん?あの……なんか、あなた様の生暖かい吐息が俺の耳にかかっているのですが?」アンナ「って、あー!!ちょっと!?そこの小娘、こんな堂々となにしてんのよ!?レン君は私のよ!!」螢の奇行に我に戻ったアンナが絶叫する中、玲愛「……………………(ブチ)」玲愛はブリ切れていた。ピピピ……そして、玲愛「私、パパが大好きなの~♪パパの格好いいところ、見たいな~♪それとね、私の藤井君がロリBBAに奪われちゃうよ~♪パパ~何とかして~♪」甘ったるい感じで携帯電話に掛けた相手にそう告げた瞬間、 -- 案山子さん (2012-08-17 16 30 13) 神父「エイメ――――――――――――ン!!!!」 -- 名無しさん (2012-08-17 16 32 27) どこぞでくたばっていた神父が、ドドドドドドドド!!!!と先程の螢いやそれ以上の速度で砂浜を駆け抜けていた。リザ「ちょ!?玲愛、あなたいい加減に……!!」玲愛「女の戦場とはこういうものよ、リザ」リザ「嘘よね、それ!?」二人がそう会話する中、さらに螢が密着し、何とか香純が邪魔をしようと動き、アンナが巨乳弾ませながら創造を繰り出すよりも早く、神父が黄金の聖槍が如き鋭い攻撃が繰り出された。 -- 案山子さん (2012-08-17 16 36 04) 神父「ヴァナヘイム・ゴルデネシュバーン・ローエングリーン!!」 -- 名無しさん (2012-08-17 16 38 28) 螢「藤井く……へ?あ、なんで生きt」白鳥「消え失せなさい、俗物!!我が娘と私の未来のために!!」戒にベアトリスが反応するよりも早い動きに螢が驚愕し、見学していた龍明は、龍明「ほう……ようやく逃げるのを止めたか。結構結構。私は今お前を見直したよ」ふふふ……、と微笑む中、螢が蓮から離れた刹那、彼女を掌底が穿つ。 -- 案山子さん (2012-08-17 16 42 43) 螢「きゃあ!!」 -- 名無しさん (2012-08-17 16 44 30) 彼女を吹き飛ばし、創造を発動しようとしていたアンナを神父はギラッ!!と睨み、神父「邪魔だ、退きなさい!!大神宣言《グングニル》!!」 -- 案山子さん (2012-08-17 16 49 05) アンナ「やあん!!」 -- 名無しさん (2012-08-17 16 50 14) 別の作品っぽい技を食らい、後方に吹っ飛ぶアンナ。だが吹っ飛ぶ先は、 -- 名無しさん (2012-08-17 16 51 18) 玲愛「あ」 -- 名無しさん (2012-08-17 17 19 15) 神父「!?テレジア、させません!!」思わず吹き飛ばした先にいるのが玲愛だと分かると、神父「親愛なる白鳥よ」詠唱を唱え、一瞬で吹き飛んだアンナの前に立ち塞がった。 -- 案山子さん (2012-08-17 17 24 55) アンナ「ぎゃふん!?」 -- 名無しさん (2012-08-17 17 25 48) 神父「我が愛娘に害なすものは、神罰なる代行者の手によって滅殺されるでしょう。エィメン」 -- 案山子さん (2012-08-17 17 36 17) 玲愛「今危なかったのはあなたのせいよ」 聖槍を投げようと思ったが、まだ利用価値があると突っ込みで済ます。 -- 名無しさん (2012-08-17 17 37 26) 蓮「お、おい! 今なにが起こった!?;」目隠ししていたために現状がわからない。 竜胆「知らないほうがいいと思う………」 -- 名無しさん (2012-08-17 17 39 31) 覇吐「だな……っていうか、いよいよあの神父さん。無敵状態に突入しやがったぜ」龍明「ふふふ……己の可愛い娘に穢れた存在に触れさせたくない、父親の心境というものだろう。察してやれ」 -- 案山子さん (2012-08-17 17 54 24) 竜胆「というかなぜそこまで落ち着いていられるのですか;」 -- 名無しさん (2012-08-17 18 00 32) 龍明「なに、私はこういった手合いのことは場数を踏んでいるのさ。まあ、以前の私なら軽く『ああいう風』になっているがな」 -- 案山子さん (2012-08-17 18 03 21) 覇吐&竜胆「『ああいう風』?」龍明の発言に首を傾げ、顎で促されその先を見るべく振り返ると……水上の上で金髪の少女が必死の形相で走り、その後を追跡しながら赤毛の女傑は巨大な砲台を現出させていた。バッ!!竜胆「見なかった」覇吐「ああ」竜胆「見なかったな」覇吐「ああ」竜胆「本当に!なにも見ていない!」覇吐「そうだとも!;」 -- 案山子さん (2012-08-17 18 09 42) 龍明「はっはっはっ」 -- 名無しさん (2012-08-17 18 41 10) 水上で大爆発と吹き飛ぶ金髪の少女を見て、龍明は笑っていた。これが確かに赤騎士が成長した姿となれば、納得はするだろう。 -- 案山子さん (2012-08-17 18 44 13) マリィ「レンもやってみる?」 蓮(女)「え?」 -- 名無しさん (2012-08-17 18 46 02) 香純「あ、そうだね。やってみなよ♪」蓮(女)「け、けどよ……;」 -- 案山子さん (2012-08-17 20 09 45) マリィ「いいからいいから♪」 -- 名無しさん (2012-08-17 20 10 56) そう言ってマリィは強引に蓮(女)の目元に目隠しをし、棒を持たせた。 -- 案山子さん (2012-08-17 20 32 11) すると… -- 名無しさん (2012-08-17 20 36 24) 蓮(女)「あ、あう……;」まだ回ってもいないにも関わらず、フラフラだった。 -- 名無しさん (2012-08-17 20 37 54) 司狼「やはりこの俺様の助力が必要のようだぜ?イヤッぐほおおお!?」フラフラ姿を見てとある大盗賊のように行こうとするが、いつの間にか取り付けた鋼の首輪に繋がれた鎖を引っ張られ、蛙がひき潰されたような声を上げる司狼。無論、その先にはエリーがいた。 -- 案山子さん (2012-08-17 21 34 30) 姉&妹 キュピーーン 頭上に電灯が点った -- 名無しさん (2012-08-17 21 40 51) 弟&兄「!?(なんだ、この感じは!?)」 -- 案山子さん (2012-08-17 21 42 46) 蓮(女)「あわわ………;」 -- 名無しさん (2012-08-17 22 00 58) 未だにフラフラしながら千鳥足で歩く蓮(女)は、実に危うかった。 -- 案山子さん (2012-08-17 23 01 36) 全員(な、なんかいじらしい………!) -- 名無しさん (2012-08-17 23 03 38) 司狼「くそおおおおおおおお!!!!エリー、俺を頼むから行かせてくれ!!」 -- 案山子さん (2012-08-17 23 06 12) エリー「ふざけんな♪」 -- 名無しさん (2012-08-17 23 06 55) 銀の鎖で拘束しながら、銀の弾丸が入った銀のマグナムを司狼に突きつけて微笑む彼女。相当お冠のようだ。 -- 案山子さん (2012-08-17 23 07 56) マキナ「…………」 -- 名無しさん (2012-08-17 23 10 36) ザッ マキナ、始動。 -- 案山子さん (2012-08-17 23 15 59) 蓮(女)「あわわ………わ!?」 -- 名無しさん (2012-08-17 23 20 37) 足がもつれ、転びそうになる。 -- 名無しさん (2012-08-17 23 30 04) だが、マキナ「……転ぶぞ」片腕だけで倒れそうな蓮(女)を受け止めたマキナ。 -- 案山子さん (2012-08-17 23 37 18) 蓮(女)「あ、ありがとう。マキ……!?」マキナ「……ん?」受け止めた、までは良いのだが、ムニッ♪という音と共に、マキナが「何か」を鷲掴みしていたのだ。 -- 案山子さん (2012-08-18 00 00 27) ムニュムニュ♪マキナ「……なんだ?これは」 -- 案山子さん (2012-08-18 00 40 28) シュライバー「わーお♪ 役得だねマッキー♪」 -- 名無しさん (2012-08-18 00 42 09) ムニュムニュムニュムニュ♪マキナ「……だから、何がだ?」蓮(女)「ぁ……そこ……ぅん♪」……どこからか聞こえる艶っぽい声に、マキナは眉を顰めた。 -- 案山子さん (2012-08-18 00 55 02) 司狼「こおおおのむっつりがああああああ!!!」 獣の速度と咆哮で突っ走ってくる、その両手には当然大口径である。 -- 名無しさん (2012-08-18 01 07 23) ___コリッ 蓮(女)「はぁんッ♡」一際敏感な所をマキナの指が押し潰した事で、快感に体を震わせ甘い声を上げる蓮(女) -- AST (2012-08-18 01 39 55) 司狼「ブチ)ぷっちーん」今ので完全に司狼は、キレた。 -- 案山子さん (2012-08-18 03 40 11) 司狼「死ねやあああああああ!!!!!!!太・極!!悪性腫瘍・自滅因子《マリグナント・チューマー・アポトーシス》!!!!」両手に持つ大口径に彼の太極の力が付与され、マジ切れした司狼によって放たれた。無論、彼女を外しての技量とかなりの乱射したにも関わらず、その射撃センスは最強である。 -- 案山子さん (2012-08-18 03 44 03) 香純「あ、ちょっ!?司狼!?」蓮「あいつ、完全にブチ切れてやがる!?」覇吐「おい、今度はかなりヤバくねえ!?」竜胆「りゅ、龍明殿!!先程と同様に止めてください!!」覇吐「そ、そうだぜ!!あんたかなりの場数を踏んで……って、いないし!?」救いの手を差し伸べたのだが、既に龍明はかなり離れた場所まで退避していた。 -- 案山子さん (2012-08-18 03 46 43) 龍明「……だから言ったではないか。私は場数を踏んでいると」龍水「あ、あの……母刀自殿。よろしいのですか?」龍明「あの程度で死ぬタマではないだろう」 -- 案山子さん (2012-08-18 04 02 07) 龍水「は、はあ……;」龍明の言葉に苦笑しながら、龍水の見る先では、司狼がかつてないほどに怒り狂っていた。 -- 案山子さん (2012-08-18 06 07 46) 司狼「がああああああああああああああああああああああ!!!!!!」 -- 名無しさん (2012-08-18 08 15 05) 荒れ狂う司狼は目にも留まらぬ速度による乱射劇を披露していた。元々彼には天才であり、どの分野にも特化している。そして、戦闘に関しても例外ではない。彼のデザートイーグル捌きには、あの神父や白貌までもがそれなりに感心はしているほどだ。マキナ「ぬぐっ……があああああああああ!!!!」本気中の本気である司狼の怒涛の攻めに、マキナは防戦一方だった。こと白兵戦ならば彼は黒円卓随一なのだが、司狼は中・遠距離を主体としているため、相性が悪い。しかも互いに似た能力故に、その剣呑さにも拍車を掛けているのだ。 -- 案山子さん (2012-08-18 09 05 05) マキナ「ぐっ……見縊るな!!」だが、彼は不死身の戦奴(エインフェリア)。シュライバーやザミエルとの永劫の闘争を伊達に繰り広げたわけではない。鋼鉄の鉄拳たる無双が悉く司狼の銃弾を砕いていくが、司狼「てめえのようなムッツリに、あいつ(蓮)を渡すか!!」手数や戦術では彼もまた引けを取らないのだ。荒ぶる拳を回避し続ける司狼は、今まさに主演と化していた。 -- 案山子さん (2012-08-18 09 08 14) マキナ「抜かせ……俺の唯一の友(あいつ)を、お前のような軽い男に渡しはしない」拳を放ちながら、マキナは防御を取らぬ特攻で接近していた。彼にとって蓮も蓮(女)も唯一無二。それを、マキナ「たかが奴と一緒にいた程度の男が、何を喚いているッ!!」司狼「この……っ!!機械仕掛け野郎が!!」 -- 案山子さん (2012-08-18 09 10 51) 司狼の能力で幕引きは封殺している。だが、彼の無双たる体術による攻撃は生身で受ければタダでは済まない。必死に回避しながらマキナを往なすが、それでもマキナは突貫する。 -- 案山子さん (2012-08-18 09 12 53) マキナ「はああああああああああああああああ!!!!」 -- 名無しさん (2012-08-18 09 32 39) 司狼「喰らうか、んなヘナチョコ!!」軽いステップで拳撃を躱す司狼。司狼「だったらそのお堅い頭を先に何とかしろや!!兄弟だ?戦友だ?こいつはこいつで、あいつはあいつだ!!てめえのような奴隷やろうがあいつを分かった風に言ってんじゃねえよ!!この、死んだ亡霊がっ!!」マキナ「お前ごとき半端者には分からん!!」新たな銃弾をマキナが砕きながら攻める。マキナ「兄弟から生まれた自滅の因子が、兄弟を語るな。お前こそ、兄弟の平和を壊してきた邪魔者だろうが!」司狼「はっ!!なに寝言ほざいてんだよ、戦馬鹿がッ!!」 -- 案山子さん (2012-08-18 09 47 52) 白熱する二人の戦い。こに両者の間に、皆が入れなかった。否、入ろうものなら間違いなく彼らの本気の攻撃に消滅させられるだろう。そう本能が語っていたのだ。 -- 案山子さん (2012-08-18 09 49 11) デザートイーグルによるマズルラッシュがマキナの肉体を穿ち、血飛沫を散らせるが、それも直ぐに再生されて蹴りを放つ。マキナ「ならば問う。お前は、何をもって兄弟を理解している!?」司狼「んなもん、はなっかから一つだけだろうが!!」マキナの拳撃を掻い潜り、拳銃ではなく己が拳をマキナの顔面に放ち、ぶん殴った。マキナ「ぐっ……!?」司狼の能力で無効化されてしまうキャンセル能力。幕引きをキャンセルさせる単なる殴りも、今のマキナには覿面だ。 -- 案山子さん (2012-08-18 09 52 18) 殴ってすぐ退避した司狼が銃口をマキナに合わせながら、司狼「あいつの意思は、オレの意思だ。他の誰でもねえ、俺だからこそあいつを真に理解してやれてんだよ」マキナ「…………」司狼の言葉に、マキナは無言の圧力を発し始める。まるでそれをお前が言うなと言わんばかりの。マキナ「抜かせ。死にたがりの分際で何を偉そうに言っている。俺と兄弟はあの男から一度は吸収され、二つに分かたれた。故に、俺と兄弟は一度は一つになった」司狼「はっ……だからどうした」銃弾を数発放つが、マキナは眼力で弾いた。マキナ「俺と兄弟の渇望は、表裏なのだ」 -- 案山子さん (2012-08-18 09 58 11) 『終焉』と『停滞』は同一の願いより別れた対の渇望。相反するようで、実はまったく同一のものなのだ。無限の回帰が原点で、共通するのは「美しき姿に留めておきたい」だ。 -- 案山子さん (2012-08-18 10 00 37) マキナ「いいか、よく聞け。俺と兄弟の相違とは、素晴らしいと感じるがために、綺麗なまま終焉を迎えるか、輝きを不変にしたいが故に願うかの違いだけだ。お前が?兄弟を?一番理解している?笑わせるな!」夜行「……………………」いつの間にかマジバトルになっているが、夜行は両者の戦いを見て、頷いていた。 -- 案山子さん (2012-08-18 10 02 42) 夜行「確かに、そうよな。両者は経緯が異なれど、藤井殿の裏を体現している者同士。マキナ殿は終焉を、司狼殿は矛盾を抱える自滅因子としての役割を。異なれど、彼を思うがためにあの両者は大切に思っておるのだ。だが」竜胆「大切に思うがために、互いに酷似しあまつさえ彼を一番理解していると自負する者同士だ」覇吐「……そりゃ、退けねえわな」 -- 案山子さん (2012-08-18 10 05 37) アンナ「というかあの2人、戦いながら告白してんだけど……自覚してんのかしら?」 -- 名無しさん (2012-08-18 10 12 09) 蓮(女)「………………」アンナが呆れた感じで溜め息をつく中、蓮(女)は両者の戦いから目が離せなかった。 -- 案山子さん (2012-08-18 10 15 07) 蓮「おい?」蓮が彼女の眼前を手でひらひらとあおぐ。 -- 名無しさん (2012-08-18 10 18 07) だが、蓮(女)「………………司狼、マキナ」ツゥー、と自然に涙が一筋流れていた。 -- 案山子さん (2012-08-18 10 24 43) 一同『!?Σ(゜□゜;)』 -- 名無しさん (2012-08-18 10 26 32) 蓮(女)「え?……あれ?なんで?な、涙が止まらない……」必死に何度も何度も涙を拭うが、それでも目から零れる涙は止まらない。そこに、龍明「これを」ビキニ姿の龍明が、上品なハンカチを手渡した。 -- 案山子さん (2012-08-18 10 35 13) 蓮(女)「あ、ありがとう……」 -- 名無しさん (2012-08-18 10 37 38) 龍明「乙女の涙は貴重なものだ。大切にするといい」そう言いながら龍明は皆が混乱する中、ただ一人理解しているような表情で、隣に座った。龍明「龍水」龍水「はい!母刀自殿」龍明「パラソルを持って来い」龍水「はっ!」龍水をまるで厄介払いするかのように行かせ、龍明「さて……」 -- 案山子さん (2012-08-18 10 39 39) 龍明「あの両者の戦い、御身に感じ入るものがあった……違うかな?」 -- 案山子さん (2012-08-18 10 40 24) 蓮(女)「そ、それは………」 -- 名無しさん (2012-08-18 10 48 21) 照れる蓮(女)に龍明は微笑み、龍明「あの小僧と男は、どうも一筋縄ではいかなくてな。お前の一番は俺だ、の一点張りだろ?そもそも、御身は蓮殿のもう一つの可能性である以上、経緯がどうであれ御身もまた彼らからして見れば、大切な同胞にして言葉を借りれば兄弟、そして親友にして思い人、ということになるのだよ。故に、御身もまた彼らの言葉を深く理解しておるのだよ。その感情はまあ……別のものだろうがな」そこまで言って龍明は徐に彼女の耳元で、龍明「気をつけろ……逃げられんよ」そう囁いた。 -- 案山子さん (2012-08-18 10 54 04) 蓮(女)「(////;)」 -- 案山子さん (2012-08-18 11 16 12) 龍水「母刀自殿!持ってきましたって……あっ!」龍明「おお龍水か。ちょうどいい、こやつ等の『じゃれ合い』がちょうど終わった所だ」全員(どこが『じゃれ合い』なんだ!?) -- 案山子さん (2012-08-18 11 18 46) 司狼「ぜえ……ぜえ……」 マキナ「はあ……はあ……」 -- 名無しさん (2012-08-18 11 28 48) 既に両者全力を出し切り、膝を折り地面に膝立ちでいた。だが、それでも尚二人は互いを睨み続ける。司狼「言っておくぜ?蓮だろうが蓮(女)だろうが、俺があいつを一番理解しているんだ!!てめえはすっこんでろ!!」マキナ「この小僧が……言ったはずだ。お前との浅い友情と、俺と兄弟との繋がりを甘く見るな」 -- 案山子さん (2012-08-18 11 31 02) 司狼「んだと!?」 -- 名無しさん (2012-08-18 11 32 24) マキナ「否定してみるg」龍明「そこまで!!」 -- 案山子さん (2012-08-18 11 33 11) 司狼&マキナ「!?」そこに龍明が間に入り、龍明「この勝負、御門龍明が預かる!!」 -- 案山子さん (2012-08-18 11 33 56) 司狼「んだと!?」マキナ「……どういうつもりだ、ザミエル」龍明「まったく……この似た者同士の馬鹿者どもが。まだ分からんのか」 -- 案山子さん (2012-08-18 11 34 48) 司狼「なにがだよ?」マキナ「?」首を傾げる二人に、龍明が扇子を畳み、龍明「これだから女にモテないのだよ。貴様らは」 -- 案山子さん (2012-08-18 11 38 15) 二人が何かを言おうとしたが、スッ、と龍明が畳んだ扇子で真横を指し、龍明「分からなければ『彼女』を見て、目を覚まし頭を冷やせ」 -- 案山子さん (2012-08-18 11 39 16) 2人『!?』 -- 名無しさん (2012-08-18 11 52 55) 言われ、二人は真横を見ると、涙ぐむ蓮(女)の姿があった。 -- 案山子さん (2012-08-18 11 58 45) 蓮(女)「ひっく………えぐ………」 -- 名無しさん (2012-08-18 12 01 11) 司狼&マキナ「ぐっ!?」龍明「お前たち……少しは男の甲斐性というのを見せたらどうだ?あいつの一番だの何だのほざいているのなら、まずは好きな女の一人や二人ぐらい、慰めてみろ。でないと……」ふっ、と龍明が顎で促し、二人は周囲を見ると、女性陣『……………………』全員から無言の圧力が掛かっていた。 -- 案山子さん (2012-08-18 12 07 04) 龍明「そいつらに文字通り『八つ裂き』にされるぞ?」 -- 案山子さん (2012-08-18 12 07 41) 香純「…………なに蓮(女)を泣かしてんのよ」 -- 名無しさん (2012-08-18 12 11 45) 螢「遊佐君…………幻滅したわ」 -- 案山子さん (2012-08-18 12 18 14) リザ「マキナ卿……あなたには失望したわ」 -- 案山子さん (2012-08-18 12 18 37) アンナ「あ~あ、泣~かした泣~かした♪っと。言わせてもらうわ、最低よ」 -- 案山子さん (2012-08-18 12 19 26) 玲愛「屑共。選ばせてあげるわ、私のパパによる撲殺がいいか、それとも『これ』がいいか?」神父を顎で指してから、徐に携帯電話を見せびらかせていた。 -- 案山子さん (2012-08-18 12 20 29) 竜胆「先代の方に言うのも憚るのだが、こればかりは言わせてもらおう。女を泣かせる男は碌なものじゃない」 -- 案山子さん (2012-08-18 12 21 09) 紫織「もはや論外じゃない?」 -- 案山子さん (2012-08-18 12 21 25) 龍水「いいや、愚劣畜生にも劣るぞ」 -- 案山子さん (2012-08-18 12 23 47) ベアトリス「あんまりです!」 -- 名無しさん (2012-08-18 12 27 34) エレオノーレ「愚昧にして屑どもが、恥を知らんのか」 -- 案山子さん (2012-08-18 12 30 02) ……いつの間にか、キルヒアイゼンが復活しているが、気にしない方針で。 -- 案山子さん (2012-08-18 12 30 35) 咲耶「全く許せませんわ」 -- 名無しさん (2012-08-18 12 31 45) 司狼(あれ?これって、ヤバくねえ?)マキナ(……シュライバーが水中にいるのが、唯一の救いか) -- 案山子さん (2012-08-18 12 33 06) 男性陣「…………………(゜_゜;)」 -- 名無しさん (2012-08-18 12 36 46) 流石の男性陣も、皆が口を真一文字に結んでいた。あの水銀が何故ちょっかいをかけないかというと…… -- 案山子さん (2012-08-18 12 37 58) マリィ「(^ー^)」何も言わず、終始笑顔のまま、青筋を立てていたからだ。 -- 案山子さん (2012-08-18 12 39 47) 水銀「………………;」 -- 名無しさん (2012-08-18 12 41 04) 蓮「………………;」 -- 案山子さん (2012-08-18 12 42 57) この親子、実に似た態度を取るものである。 -- 案山子さん (2012-08-18 12 43 29) 龍明「さて、皆を代表して言うが、今すぐ謝罪をし彼女を泣き止まさなければ」スッと扇子で海の方を指し、龍明「ハイドリヒ卿がおわす深海まで叩き込んで、感電死させるぞ」 -- 案山子さん (2012-08-18 12 44 51) 司狼&マキナ(…………ようは、あの化け物たちの餌になれっていうことか/ということか) -- 案山子さん (2012-08-18 12 54 19) 蓮「……………まあ頑張れ;」 -- 名無しさん (2012-08-18 13 00 26) 二人は互いに一度睨みあってからそっぽ向き、蓮(女)の元へ歩いていく。 -- 案山子さん (2012-08-18 13 59 35) 蓮(女)「ひっく……ひっく……えぐっ……しろう……ひっぐ……マキナ」司狼「ああ~その……なんだ?」マキナ「うむ……なんだ、兄弟」龍明「そうかそうか言い渋るか。では皆の衆、構e」司狼&マキナ「すまなかった!!」言い渋る二人ににえを切らした龍明が片手を挙げた瞬間、二人は即効で土下座をして、灼熱地獄と称される砂浜に頭ごと沈めていた。 -- 案山子さん (2012-08-18 14 02 19) 男性陣「頭ごと!?Σ(゜□゜;)」 -- 案山子さん (2012-08-18 14 03 29) 頭ごと埋めた二人であったが、エレ「誠意が感じられん、な!」ドスッ!!ベア「もう少し男らしいところを見せてください、よ!」ドスッ!!香純「司狼の、バカッ!!」ドスッ!!玲愛「跪け、愚民ども」ゲシッ!!ドスッ!!アンナ「ほほほ!ほら、まだ足りないわよ!」ゲシゲシッ!!螢「遊佐君、図が高いわ」ドゲシッ!!リザ「器のデカイ所、見せてください、な!」ゲシッ!!紫織「悪いんだけど、男としてのデカさを見せてよ、先代!!」ガスッ!!龍水「こら!誠意を見せんか!!」グシャ!!咲耶「跪きなさい」グチャ!!竜胆「この……って、おい!?なんか二人とも血が出ているんだが!?」 -- 案山子さん (2012-08-18 14 08 16) 女性陣による怒涛の蹴りが彼らの後頭部を足蹴にし過ぎたせいか、砂浜が彼らの血で染められていた。 -- 案山子さん (2012-08-18 14 09 30) 男性陣「ぎゃあああああああああああ!?Σ(゜□゜;)」覇吐「おい竜胆!!散々お前先代は敬え、とか言ってたくせに、ついに殺しやがったな!?」宗次郎「紫織さん!!いくらなんでもやり過ぎです!!」夜行「ふむ……龍水よ。それまでにしておけ。他の者よりも私のほうが困るではないか;」 -- 案山子さん (2012-08-18 14 16 36) 蓮(女)「マキナ死ぬなあ!!」半泣きでマキナに抱きつく。 -- 名無しさん (2012-08-18 14 19 53) そして、頭部だけを持ち上げてみると、マキナ「……………………」ドロドロドロドロドロ!!と夥しい大量の血が、頭部から滴り、目が白目となりもはやゾ○ビかフラン○ンシ○タインになっていた。 -- 案山子さん (2012-08-18 14 24 54) そして、顔面蒼白になりながらも司狼も引き上げると、司狼「――――――――」返事がない、ただの屍のようだ。 -- 案山子さん (2012-08-18 14 34 42) 蓮(女)「うわあああああああああん!! マキナあああああああああ!!」 女性陣「………………;」 -- 名無しさん (2012-08-18 14 36 08) にも関わらず、蓮(女)はマキナを心配していた……流石の女性陣も司狼に同情し、彼を引っ張って手当てを始めた。 -- 案山子さん (2012-08-18 14 38 34) 蓮(…………当て馬もここまでくると哀れだな;) -- 名無しさん (2012-08-18 14 41 07) なんか、顔面のパーツが歪に歪んでいるのだが、蓮は極力見ないようにした。水銀も流石に視線を逸らした。 -- 案山子さん (2012-08-18 14 43 17) 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 ついでにこちらも編集しておきました。 -- 14番目の黒円卓 (2012-08-17 10 07 31) 度々ありがとうございます!!できれば、やり方なども教えていただければ幸いです。 -- 案山子さん (2012-08-17 10 08 34) 龍明さんwwww吹いたwwww -- 名無しさん (2012-08-18 08 39 45) この辺のセリフ、司狼ルートで使ってみたいなあ。 -- 名無しさん (2012-08-18 09 33 39) パンクする前に、新たに編集したので、そちらでよろしくお願いします。 -- 案山子さん (2012-08-18 14 55 06) 司狼が不憫すぎる… -- 名無しさん (2012-08-18 15 01 44) 色々と編集しておきました -- 14番目の黒円卓 (2012-08-18 15 29 28) ありがとうございます。 -- 案山子さん (2012-08-18 15 34 37) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/1733.html
マンカイデンシ*サクラ 簡潔版 part48-117~120 詳細版 part48-153~158,175~178 117 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/16(月) 13 50 04 ID LF9uf2Dj0 簡潔版投下。 詳細版は後日、各話完成次第、順次投下していきます。 ギリギリ六ヶ月以内なのでトリップつけました。 簡潔版用解説 主要登場人物 ハル 孤児院に暮らす16歳の心優しき少年。趣味は電脳世界での散策。 中性的な外見と、家事を仕切り同じ孤児らの面倒を見る姿から、親しみを持ってハルママと呼ばれる。 強力なアイコン「サクラ」に変身し、電脳世界を救っていくことになる。 ログ ハルにサクラを与えた、ウサギ型の謎のアイコン。 ハルがサクラとして電脳世界上の事件を解決する見返りに、彼の望む報酬を提供契約を交わす。 アレックス神父 町の片隅にある教会の養護施設で、ハル他複数の孤児を引き取って養育している。マダムキラー。 用語解説 電脳世界…ヘッドマウントディスプレイを使用した、新世代のネットシステム。 人体の感覚を再現できる高度な電子空間。ゲーム上では「フロンティア」と呼ばれる。 アイコン…電脳世界における「PC(プレイヤーキャラクター)」、またはプレイヤーの分身。 一般向け安価なアイコンとして「DaReKa」なる種類が普及している。外見などある程度の改造が可能。 FSS …フロンティア・セキュリティ・サービスの略。 電脳世界フロンティアを運営するФNET直属のセキュリティ会社。世界各国に存在する。 ナビ …要はヘルプ。アイコンの姿を模した二頭身の姿が基本。場合により複数所持可能。 サクラポイント…略してSP。サクラのエネルギー源。これ無くしてサクラには変身できない。 118 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/16(月) 14 00 30 ID LF9uf2Dj0 数年ほど前から教会付属の孤児院で生活しているハルは、ある日遊んでいた電脳世界で誘拐事件に巻き込まれる。 そこで謎のアイコン「ログ」に出会い、強力なアイコン「サクラ」を手に入れる。 サクラを使いどうにか誘拐事件を解決したハル。 以後ハルはサクラとして、ログと共に電脳世界で発生する事件に立ち向かうことになる。 幾つかの事件を乗り越え解決てきたハルだが、事件の最中に弱点を突かれ謎の組織に囚われの身となる。 どうにか組織の手を逃れるも、ハルを守ってくれる筈のアレックス神父は、ハルに銃を向けた。 ログの機転によりハルは救われるが、ログは神父と共に去り、同時にサクラをも失ってしまう。 何も知らずにいた自分を悔やむハル。するとログの残したナビが現れ、望むならば全てを教えるという。 危険を承知で応じたハルは、サクラとそれに纏わる全てを知ることになる。 サクラは神父が実の娘「サクヤ」のために作ったが、サクヤの心は電脳世界に消え、身体も既に死亡していること。 ログは前のサクラの所有者であり、ある時からサクラになれなくなったが、神父側の人間であったこと。 そしてログとハルが、サクヤ以外の人間がサクラを使うための被験者であったということも。 時を同じくして、消えた筈のサクラが現れる。テロに立ち向かう姿を正義のヒロインと報道するメディア。 サクラの行動の裏に隠された神父の目的は、サクヤの復活。 各地に点在する「サクラポイント(SP)」は、その一つ一つがサクヤの心を有し、サクラに惹かれる性質を持つ。 SPを集めればサクヤが蘇ると考えた神父は、事件を利用して世界にサクラを広め、SPの収集を図っていたのだ。 だがSPが集まることは、人の精神を破壊する「ソルドライブ」を引き起こす危険を伴う。 神父を止めるため、ハルは最後の戦いへと向かう。 戻ってきたログとの連携でサクラを奪還したハルだが、追い詰めた神父はハルに刃を向ける。 数少ない言葉の中に神父の真意を見出したハルは、彼の最後の計画に乗り、サクラとして神父と刃を交える。 ……神父は父として、サクヤが好きだった「正義対悪」のシナリオを、SP=サクヤの欠片に贈ろうとしていたのだ。 勝利したハルは、サクラの特殊能力で、全てのSPの「サクラを求める性質」を消し去る。 SPは父とハルに、贈り物と解放への感謝の意を伝え、再び各地へと散っていった。 サクラをめぐる一連の事件は終結した。 ログは孤児院に引き取られ、ハルらと共に生活を送っている。 事件の最中に親交を深めた人物達も、何がしかの事件があれば会うことはあれど、それぞれの日常へと戻った。 季節は春を向かえ、あちこちに咲き誇る桜が、風に花弁を散らす。 己の人生は桜に象徴されていると言うハルは、これからの未来に、期待と僅かな不安を抱くのだった。 ~完~ 119 :ゲーム好き名無しさん:2009/11/16(月) 14 06 36 ID Tws97uL/O 117-118 とりあえず乙。 フラッシュモーターカレンに似てると思ったら、 やっぱり同じ世界観なのか 153 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17 40 14 ID ziAyOJxZ0 119 フラッシュモーターから数年後の話ってところ。 フロンティアのバージョンがver1.0→ver1.2になってるし、 前作キャラも、表立っては出ないけど噂なんかがちらほら聞けたりする。 151 乙です 少し遅くなりましたが詳細版一回目投下ー。 詳細版解説 主要登場人物 ハル 孤児院に暮らす16歳の心優しき少年。趣味はフロンティアでの散策。 中性的な外見と、家事を仕切り同じ孤児らの面倒を見る姿から、親しみを持ってハルママと呼ばれる。 フロンティアに散らばるサクラポイントを得ることにより、サクラに変身する。 ログ ハルにサクラを与えた、ウサギ型の謎のアイコン。 サクラとしてフロンティア上の事件を解決する見返りに、ハルの望む報酬を提供する。 クロード FSS-USA帰りの現FSS-JAエージェント。通常のFSSはペアで仕事を行うが、事情により単独で仕事を行っている。 その手腕はペアのFSS以上とも言われ、周囲からも一目置かれている。 いのせんと☆まぶ フロンティア内メディアF-WEB-JAの名物キャスター。常にカメラツールを持ち歩く。 アポ無し突撃取材を得意とし、たまに危ない言葉を発して放映禁止処置を食らう。 サクラに奇妙なときめき(変な意味ではない)を感じ、その影を追うことになる。妖精型のアイコン。中身は女性。 砦忍者・山影 外見、言動、全てが怪しいことこの上ない味方。ニンジャバッコなるオリジナルのツールをくれる。 女の子に踏まれたい、など何かに目覚めている。贖罪の旅をしているらしい。忍者型のアイコン。 ユーリ 孤児院に暮らす20代前半の少女。料理の腕は壊滅的だが、本人に自覚はあまり無い(自称・得意料理は中華)。 普段は教会で神父の手伝いをしており、エピローグでは…… ケンタ、サユリ、ゴロウ 孤児院で暮らす子ども達。 アレックス神父 町の片隅にある教会の養護施設で、ハル、ユーリ他複数の孤児を引き取って養育している。マダムキラー。50歳前後。 154 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17 41 27 ID ziAyOJxZ0 主要用語 フロンティア …ヘッドマウントディスプレイ(コネクター)を使用した、新世代のネットシステム。 人体の感覚を再現できる高度な電子空間。いわゆる『電脳世界』。 ただし神経接続レベルに伴った命の危険も伴い、連続接続時間は制限される。 (ドメインは都市・地区、フィールドは町・番地、エリアは建物・施設などにあたるが、必ずしもそうではない) 構造体 …フロンティアのフィールドを構成する電子の箱の総称。様々な種類と機能を有する。 アイコン …フロンティア上の「PC(プレイヤーキャラクター)」。またはプレイヤーの分身。 一般向け安価なアイコンとして「DaReKa」なる種類が普及している。 外見などある程度の改造が出来るが、プレイヤーに近い形(体形)にすると扱いやすいらしい。 変種の例として今作での例としてウサギ型、妖精型が登場。前作には猫型、マスコット型(メッケモ)など。 FSS …フロンティア・セキュリティ・サービスの略。 フロンティアを運営するФNET直属のセキュリティ会社。因みにUSAは米国、JAは日本を表す。 FNP …フロンティア・ネットワーク・ポリスの略。国連認可のフロンティア警察。技術力はFSSに劣る。 オートマトン …フロンティア内の警備用無人アイコンのこと。多種存在する。 大抵は安全装置がかけられ、有人アイコンへの攻撃の際もさほど威力が出ないようになっている。 ツール …アイコンが持つ文字通り『道具』プログラム。種類は複数存在。カメラから攻撃用ツールまで。 サクラ …見るものの心を奪う、美しき桜色のアイコン。 FSSやFNSらのアイコンにもない規格外の性能(数倍の処理速度、攻撃能力など)を有す。 が、その反面サクラポイント無しには起動すらできない欠点を持つ。 サクラの起動及び使用には幾つかの条件を要するというが… サクラポイント…略してSP。サクラのエネルギー源。各地に点在し、これ無くしてサクラには変身できない。 基本的に、サクラを保有する者にしか存在が感知できない。 因みに敵を倒すなどして溜めることも可能。 ナビ …フロンティア上のお助け機能。要はヘルプ。持主のアイコンを二頭身にした姿が一般的。 場合により複数体所持可能。 155 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17 43 55 ID ziAyOJxZ0 ―― 世界は 混沌と熱狂に幾度も打ちすえられ 科学とメディアにかりそめの癒しを施されながら 今なお、存続している ―― Act.1 ファースト・ドライブ 近くの商店街のくじ引きで一日無料券を手に入れたことから、 ハルと孤児院の子ども達はフロンティア上の遊園地「デゼナ・F・K」に遊びに来ていた。 デゼナ・F・Kは現実では味わえないスリルを、絶対的な安全でお届けすると謳っており、現在人気急上昇中のスポットだ。 はしゃぐ子ども達をなだめながら目的地に辿り着いてみたものの、何処か様子がおかしい。 次の瞬間、ハルは謎の男の攻撃を受け、1人別の場所へと飛んでしまう。 不運なことにも実はこの日、金銭目的の誘拐グループが遊園地に潜入していたのだった。 遊園地の下層で目を覚ましたハル。 突然の事態に不安を覚えたものの、はぐれた幼い子ども達の恐怖を思い、ハルはすぐに行動を開始する。 誘拐グループらの改造により、遊園地は危険な場所となっていた。 触れるだけでアイコンを破壊する構造体の床、致死威力の攻撃ツールを持つ犯人側の警備システム。 途中、ウサギ型のアイコンによりインストールされた攻撃ツール待ち、どうにか犯人のもとへ辿りつく。 戸惑いながらもハルは、自分と引き換えに身体の弱いサユリを解放して欲しい旨を伝える。 しかし偽装を施し(※ログが行ったもの)、警備システムを破壊してきたハルを犯人が信用するはずが無かった。 四方から全身に攻撃を加えられ、あわやハルは命の危機に瀕する。 意識が遠のく中、どこからともなく声が聞こえ、謎のプログラムの起動と共にハルは桜色のアイコンに変身してしまう。 襲おうとしたままの姿で、時が止まったかのように動かない犯人。 声の主であるウサギに従い、ハル(サクラ)手にした光の刀で犯人を切り伏せる。 元の姿に戻ったハルは、ウサギに今起こった出来事について尋ねる。 ウサギは、プログラムの名前「サクラ」と己の名「ログ」を告げると、己とサクラに関し他者に話せば生活は保障しないと脅して消える。 最後に、これからよろしくね の謎の言葉を残して。 その後、遊園地を包囲していたFNPの検証の最中、不可思議なエラーが発見される。 犯人グループが確保されたエリアにおいて、わずか00 00 01 00の間ではあるが、全てのデータが消失していた。 検証に立ち会ったFSSのクロードは、その僅かに修復されたデータに目を通し、違和感を覚える。 しかし当事者でもある犯人らの記憶も昏倒した近辺は曖昧になっており、事件は謎を含んだまま終結を迎える。 どうにか無事に子ども達と帰宅したハル。 ユーリが料理を作ると決めた直後の帰宅に、内心本気で神に祈り捧げていたアレックス神父は、二重の意味で胸を撫で下ろした。 遊園地について直ぐに囚われ、遊び足りない子ども達は、神父に遊んでと強請り、神父は優しくそれに応える。 ユーリにアレックル神父の補助を任せ、まずは全員分のご飯を作ることからハルの日常は再開された。 Act.1 余談 ・神父はハルらが遊園地にでかける直前にも、ユーリに食事作らせたくないから早く帰ってね!発言をしている。ハルも了承。 156 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17 45 52 ID ziAyOJxZ0 Act.2 パイレーツ・オブ・フロンティアン テロ事件から数日、ネットバンクのメンテナンス警護に当たっていたFSSのクロード。 作業が順調に進む中、彼の脳裏には先日の事件が過ぎっていた。 誘拐犯等はマニュアルを見て実行したと供述するが、入手したというドメインにマニュアルが存在した痕跡はなかった。 空白の時間についても、理論は存在するがその実行はФNET本部ですら不可能だと言われている。 そして復元されたデータに映る少女のアイコンに、奇妙な既視感を覚える自分。 解決したとはいえ不可解さだけが残った事件に、クロードは今ひとつ納得ができずにいたのだ。 しかし突如として銀行のドメインが破壊され、フロンティア海賊「バスター・ハニー(以下、ハニー)」の一味に襲撃されてしまう。 一方、すっかり日常へと戻ったハルは、家事を終えた後、フロンティアにログインする。 幼い頃からフロンティアに親しんだハルにとって、この時間は大切な日課になっているのだ。 ところが、ログインして目の前に広がったのは目的地ではなく、見たことも無いフィールドだった。 ログアウトも不可能な状況に困惑するハル。そこに、誘拐事件の際に現れたログからの連絡が入る。 ログは、現在このフィールドが特殊な状況にあり、この件には人命がかかっている旨を告げた。 残された道はただ一つ。ハルはログの言う通りにフィールドを進み始める。 やがて人の声のするフィールドに到着すると、そこには丸い体形の女海賊(ハニー)と、膝をつくFSSの姿が。 長年に渡り犯行を重ねたハニーの実力は手下の比でなく、クロードはアイコンを酷く痛めた上に視力を奪われていた。 あまりの光景にハルはハニーを止めようとするが、突如ログがハルの声を真似てハニーを挑発。 逆上し襲い掛かってきたメタボ(※アイコンの体形を現実の体形に合わせると扱いやす(ry)を、ハルはサクラで返り討つ。 しかししぶとく踏みとどまったハニーは、この場の引き上げを宣言し自分のフィールドへと逃亡を図る。 ここで逃がしては、いずれまた被害者が出ることは確実。 クロードの無事を確認し、ハルとログは海賊のフィールドへと突入する。 ついに最深部に到達したハル。戦いに敗れ、全てを失ったというハニーは、フィールドに仕込んだ爆弾で共倒れを図る。 ハルはサクラに変身して起爆スイッチを握る手を止め、どうにかハニーに自爆を思い留まらせる。 そこに復活したクロードが到着し、万事解決……の筈だったが、ハニーがうっかりスイッチを押してしまう。 逃げるにも解除するにも時間が足りない。そう判断したログはハル(サクラ)に叫ぶ。 起爆信号を絶て。サクラにならできる、と。 ハル(サクラ)は再び刀を掲げ、教えられたイメージと共に起爆信号を一刀両断する。 その瞬間、フィールドから桜色の光が放たれ、フィールド外部も含め辺りに桜の花びらが舞い散る。 事態に慌てながらも、その美しさに見とれるFNPと一般アイコン。 彼等の中にまぎれ、いつもの突撃取材に訪れていたいのせんと☆まぶは、光源に立つ桜色のアイコンを目撃する。 事件後。ハルとログは、やや一方的ではあるが正式に契約を交わす。 内容は、ハルがサクラとしてフロンティア上の事件を解決すること。見返りは養護施設用に新しい家電製品の提供。 翌朝、届けられた家電製品を眺めながら、ハルは漸く、全てが夢で無いことを実感するのだった。 Act.2 余談 ・銀行員の雑談の中に、昨年の「女の子と猫のペア」が出てくる。恐らく前作のカレンとラグ。面白くて有能だったと評される。 ・ハルがログインする予定だったフィールドはグラン・アオヤマ。メッケモを使った、デパートのキャンペーン実施中。 157 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17 52 14 ID ziAyOJxZ0 Act.3 トリデ・カイザー 掃除をしながら、ハルは暗い顔をしていた。 並々ならぬ様子に心配するユーリや子ども達。真実を言えるはずも無いハルは適当な嘘を吐く。 午後五時。溜息と共にログインすると、ログが出迎える。早速現場へ向かおうとするログだが、ハルは乗り気ではない。 今回の相手も常習犯であり、その多数の被害者のいずれもが重症を負わされていたためだ。 自分がそんな相手に敵うわけが無いと弱音を吐くハルを半ば無視し、ログは問題のフィールドへと転移する。 転移先には今回の被害者であろう数名のアイコンと、犯人と思しき、古代エジプトのファラオを模した?アイコンがいた。 「砦カイザー・津田(以下、津田)」は、自作の「砦」を時間内に突破できた者に高額な賞金を出すと言う。 そして被害者の諾否を問わず、全員の装備ツールを強制的に変更、各々のスタート地点へと転移させてしまう。 それまでと異なる厳しい条件の中、ハルとログはサクラを使い突破していく。 途中、ゲームに負けた被害者の悲痛な笑い声(神経接続レベルMAXでくすぐり続けられている。フロンティア接続限界時間まで続く)が届き、 二人は改めて津田を止めることを決意する。 幾つかのフィールドを抜けハルは、オートマトンに囲まれたフィールドに出てしまう。 各被害者の様子を見ていた津田は、ハルの異常なクリアタイムから、不正を疑っていた。 津田はハルに、不正でない証明としてゲームオーバーになれと言う。 ゲームオーバーになってしまえばハルが罰ゲームの餌食になり、他の被害者達も救えない。 ハルはサクラに変身し、オートマトンを一掃する。 寸秒の間に全てを片付けたハルに恐れ戦く津田。ハルは津田を説得にかかるが、助けた被害者により横槍が入る。 それをきっかけとして逃亡を図る津田。巻き込まれる形で、全員が別のフィールドへと飛ばされる。 気付くと、全く整合性の無い混沌としたフィールドにいた。辺りにログの姿はなく、途方にくれるハル。 と、そこに彼は「砦忍者・山影(以下、山影)」と名乗る珍妙な忍者?アイコンが現れる。 彼は先ほどの一部始終を見ていたらしく、ハルの優しさと容姿に感動した旨と、この場からの脱出に協力する旨を申し出た。 濃密すぎるキャラクタと、少女と間違えられたことにやや引くハルだが、協力してくれるにこしたことはない。 特殊ツールを受け取ると、山影と共にフィールドを進み始める。 津田はピラミッドのようなフィールドの頂上にいた。ハルらの呼びかけに振り返ると、山影を見て酷く動揺する。 津田は幼い頃、とある人物の作った砦で遊び楽しんだ記憶から、彼に憧れて砦を作るようになったのだ。 山影は、それは別人のことだろうと言いながらも、津田の砦の過ちを指摘し、諭す。 時を同じくして、残りの被害者達が辿りつき始める。 無理矢理呼び込んだ筈の彼等が砦の解き方を楽しそうに議論する姿を見て、津田は自分の過ちを悟り出頭していった。 Act.3 余談 ・山影はかつてゆがんだ魂を青き天使に救われた経験があるらしい。 ・津田の憧れの人は、かつて逮捕されてフロンティアを去った、らしい。 ・メッケモの作者の名前はメケモト。メケモトは現在山影と仕事をしている。 158 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/21(土) 17 57 58 ID ziAyOJxZ0 今回は以上で。 あと書き忘れの前提。 ・書いていない専門用語のうち、置き換えられる用語であればそちらで表記する。 (Ex.イントロン、アウトロン→ログイン、ログアウト) ・表記の関係上、後々面倒になるのでハルが変身中は「ハル(サクラ)」などと表記する。 ・出来る限り文章を短くするために、多少情報が前後している箇所が有る。 ・ギャグ部分は実際に遊ばないと分かりにくいと感じたのでかなり削った。 以上、把握した上でお願いします。 175 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/25(水) 21 08 15 ID PGnm50fE0 Act.4 バースト・リミット ハルとログは、とある企業の研究施設に侵入していた。 その企業で製作されている強化オートマトンの暴走の原因を突き止め、止めるためである。 ハル達が制御装置を探して見つけたのはオートマトンだらけの部屋だった。 そして部屋の片隅には一人の有人アイコンが。彼は同社の強化オートマトンを作った研究者だった。 会社側の都合で心血を注いだオートマトンのデータを他社に売られ、それを恨みに事件を起こしたのだ。 制御装置はその部屋の強化オートマトン全て。ハルはサクラに変身する。 制御装置全てを破壊したことで、FSSらと一進一退を続けていた外のオートマトンも機能を停止した。 会社への抵抗手段を失った研究者は嘆くが、ハルとログは言う。 「誰かを守る物をもって誰かを傷付けるなら、僕らは何度でも破壊します。でも――」 「これだけのシステムを作ったあなたなら、もっと凄いシステムも作り出せるはずです」 崩れ落ち涙を零す研究者。ハルはそっと彼を立ち上がらせると、外へ促した。 ログアウトしたハルは、携帯端末に投影されたログに今回の報酬を伝えていた。 来年小学校に上がるケンタに専用のコネクターを。それだけを伝えるとあっという間に眠りに落ちたハル。 ログはそんなハルを優しく見守る。 ある夜。ハルは過去の夢を見る。それはハルにとって最も思い出したくない、辛い記憶だった。 孤児院に来る以前、ハルは著名な両親と暮らす裕福な家庭の子であった。 しかし著名ゆえにすれ違いを繰り返した両親は離婚。 精神を病んだ母はハルに虐待を加えるようになり、ついにハルを連れてフロンティアで心中を図る。 優しかった頃の母を覚えているがゆえに逃げられないハル。 それでも死が迫ったとき、ハルは恐怖から母を蹴り飛ばし逃げ出す。 だが母の腕が体から離れた瞬間ハルは我に返る。慌て、消えていく母へ腕を伸ばす。しかし―― 一気に夢から覚め、ハルは泣き崩れる。 夜中ではあったが、気付いた神父とユーリがハルの部屋に来る。幸い子ども達は眠っているようだ。 二人の気遣いにハルは大丈夫だと返す。 ――孤児院で過ごすうちに、ハルは徐々に悪夢から解放されつつあった。 一方、フロンティア。 「フロンティアのヒーロー」の話は徐々に広まり始めていた。 様々な事件の現場に現れては目にも留まらぬ早業で悪を退治する、青と桜の二つの姿を持つ少女。 現れたとき桜の花弁のエフェクトを舞い散らすことから、それは「サクラ」と呼ばれているという。 彼女に救われた人々の取材を行っていたいのせんと☆まぶだが、何故か懐かしさに似た不可解な感覚を覚えていた。 しかし悩んでいてもキリがない。まぶは「デゼナ・F・K 新アトラクション封切り」の取材へと向かう。 安心・安全のクリーンなイメージを持ちながら、何故か黒い噂の絶えないデゼナの裏を探るために。 176 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/25(水) 21 09 26 ID PGnm50fE0 その日の午後。 子ども達と百貨店に買い物に来ていたハルは、ログの呼び出しに従って、急遽近くのネットカフェからログインする。 急な呼び出しを謝罪するログを、ハルは事件は思った時に起こるものではないと慰める。 子ども達はバスを利用して教会へと向かっている。GPSの情報を確認し、ハルは安心して事件に向かう。 新アトラクションの封切りが行われる筈のデゼナ・F・Kでは再び事件が発生していた。 フィールドの制御を奪い、従業員を人質とした武装集団らは言う。 自分達の家族はデゼナの遊具事故に遭い重い障害を負ったが、 安全を謳うデゼナは事故を隠蔽し、取引や圧力で被害者らを黙らせようとしたのだ、と。 犯人側の要求はデゼナ側の、マスコミ各社へ向けた事件の公表と、全被害者への正当な賠償金の支払い。 要求が呑まれない場合は、従業員に安全装置を外したボムの威力を味あわせる―― いのせんと☆まぶもまた人質とされ、外部への放送に協力させられていた。 途中、逃亡してきたまぶを救助しながら順調にフィールドを進んだハルは、全ての犯人を撃破する。 犯罪は犯罪とはいえ、裏にある理由にハルはやりきれない心地になる。 しかし今回使われたボムは、安全装置付きとはいえ「アトラクションで使用される予定のもの」だった。 いずれ捜査のメスが入るだろう――そう言いかけて、突如ログの表情が変わる。機密通信が入ったからだ。 内容は、今回の事件はデカルツォという人物の焚き付けで発生したということ。 もう一つは、最後の人質は排除できない数のボムと共にいるということだった。 問題のエリアを発見し、設定を変えようとするハルを、それまで成り行きを見守っていたまぶが止める。 彼女はこのボムの仕掛けを知ったがために、消されそうになって逃げ出したのだ。 その仕掛けとは、犯人ら以外が設定を弄るとボムが破裂すること。 また主犯のログアウト後、ボムは自動でカウントダウンを始め、解除は犯人の持つコードキーでしか行えないということだった。 有無を言わさず全員を倒してしまったことを後悔するハル。同時にログは、何処かで見た状況に嫌なものを感じる。 それでもサクラの能力なら。そう判断したハルはサクラに変身する。 隠された意図を悟ったログの声が間に合うことは無く、刀を振りぬいたハル(サクラ)はそのまま意識を失った。 孤児院近くの脳病院。 カフェから運び込まれたハルは、まるで意識を取り戻さない。 連絡を受け駆けつけた神父達。心配する子ども達を宥めながら、意識の無いハルを見守っていた。 別の場所。 デカルツォの魂胆をギリギリまで見抜けなかった自分を後悔する「誰か」の心情。 ハルが運ばれたのはデカルツォの息のかかった病院。 ハルを助けたいという思いと裏腹に、己を取り巻く状況は非常に悪い。どうすれば……。「誰か」は悩み続ける。 Act.4 余談 ・買い物の最中、子ども達が「もし自分のアイコンを持てたら」という想像をする場面がある。 ケンタは、アイコンを「異界戦隊ゴレイカー」風にしたいらしい。「『俺の左腕が暴れる!』みたいな!」 177 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/25(水) 21 12 44 ID PGnm50fE0 Act.5 エンド・オブ・アットホーム 意識を失って三日後の明け方。ハルは白い部屋のでインターホンのベルに叩き起こされる。 意識が途切れる前のことを思い出したハルは病院に居ることを悟るが、同時に周囲の様子がおかしいことにも気付く。 途端、廊下のスピーカーからログの声が響き、ハルにその部屋から脱出しろと言う。 何事か分からぬまま廊下に出たハルだが、途端に出くわした黒服サングラスの男がハルにスタンガンを向ける。 驚くハルの目の前で突然防火扉が閉まり、ログは改めてハルに脱出を急かす。……どうやらハルは先程の黒服に狙われているらしい。 セキュリティの一部を掌握しているらしいログは、ハルにコネクターと携帯端末を渡し完全な掌握を行わせ脱出を試みる。 一方、病院内、セキュリティルーム。 黒服達はハルに制御を奪われまいとするが、二人のコンビネーションには歯が立たない。 病院の外部は怪しげなタレコミを得たマスコミが取り囲んでおり、下手な行動は取れない。 黒服は教会の人間を人質にするため、準備していた人員を向かわせる。 まるで軍事施設のようなセキュリティを掻い潜り、ハルとログはお互いの絆を再確認する。 外部では相変わらずマスコミが情報を入手せんと張っており、病院の不審な状況に疑念を抱き始めていた。 …教会へ向かった黒服らは、泥棒と間違えられて近所の商店街らの人々に追い払われた。 全ての状況は、全てハルらに有利なように働いていた。 そして一階のセキュリティをも掌握したハルら。 途中ログが不可思議な発言をするが、緊急の状況であまり構う余裕は無かった。 デカルツォの指示により病院の放棄を決めた黒服らは、病院の一部を爆破してマスコミらを追い払おうとする。 ハルが入院しているはずの病院の爆発に、商店街に避難していた子ども達は不安を露にする。 泥棒が襲ってきたときから神父もユーリも姿が見えない。商店街の人々が二人を探してくれてはいるが、見つかる気配は無かった。 そしてついにデカルツォは、ハルからサクラを奪取するため動き出す。あまり使いたくなかった手段をもって。 アウトロンしたらそのまま外へ突っ切れというログに従い、駆け抜けるハル。 しかし向かっていた入り口から黒服が現れ、ハルは青褪める。と、その黒服の背後に現れた青年が黒服を気絶させる。 どうやら敵ではないようだが誰とも知らぬ相手に戸惑うハル。 青年は、君がサクラか?と問い、ここは自分がなんとかするから逃げろという。 何処か覚えのある雰囲気にハルは青年の正体を悟るが時間が無い。ハルはログに言われるまま裏口へと走りだす。 178 :マンカイデンシ*サクラ◆l1l6Ur354A:2009/11/25(水) 21 15 38 ID PGnm50fE0 もう僅かで裏口に辿りつく。安堵しかけたハルの前に、裏口を抜けてアレックス神父が現れる。 心配して来てくれたのだろうかとも思ったが、今この場に留まる事は危険でしかない。 とにかくここから逃げましょうと言うハルに、しかし神父はハルに伝えることがあるという。 困惑するハルに、非常に落ち着いた声で神父は告げた。「ハル、君の母親を殺したのは、君だ」と。 呆然とするハルの心に、教会に来て忘れかけていた感情が溢れ出した。 ただ一人の息子を求めた母親を、恐怖から逃げて支えなかった自分。 そしてそのまま二度とフロンティアから戻らずに亡くなった母親。 自らの罪を思い出して傷付き、助けを求めるハルに、神父は尚も言葉を重ねる。 「君の母親を殺したのは、君だ」 優しく受け入れて、癒してくれた筈の神父からの冷酷な言葉に、ハルの精神は崩壊寸前の状態にに陥る。 そしてその瞬間、何故かハルの持つサクラが機能を停止してしまう。 残っていたらしい黒服が現れ、神父にサクラを奪取したことを告げる。 その言葉を聞いた神父は懐から拳銃を取り出し、ハルへと向ける。 過去の神父を知るがゆえに、目の前の現実を受け入れられず、逃げることも出来ずに立ち竦むハル。 神父が引鉄に指をかけた瞬間、その前に10歳くらいの少女が現れる。 神父をデカルツォと呼んだ少女――フランカは、サクラを壊されたくなければハルを見逃して、と神父を脅す。 そして同時に先ほどの青年が現れ、神父の銃を叩き落す。とっさに引き下がり逃れる神父。 フランカは、未だぼんやりとするハルに子ども達のことを思い出させて思考を取り戻させる。 「さよなら、ハル。ナビたちと仲良くね」フランカがそう言うと、神父はフランカを連れて閃光手榴弾を放った。 フランカはもしかしてログなのだろうか。光に呑まれながらログの名を叫ぶハル。その声に答える者は無かった。 Act.5 余談 ・ログのセクハラ発覚。ハル(サクラ)の元々短い裾の丈がだんだんと……。理由は「恥らうハル萌え」/(^o^)\
https://w.atwiki.jp/orimoe801/pages/112.html
Top 1スレ目 まとめ 名前:風と木の名無しさん[sage] 投稿日:2011/06/14(火) 02 17 17.60 ID zkC7G29Q0 神父さんで昔のキャラ思い出したのでうp 攻め…吸血鬼の貴族。魔界の王位を狙う貴族の中では一番の若造。白髪で長髪の赤目 受けの血吸いたい。 受け…神父のエクソシスト。昔吸血鬼に両親が殺され、自身も背中に傷があるので 吸血鬼が嫌い。灰色の髪と目をしている。妖怪に好かれる血をしているらしい。 男の子…受けの養子。父親の黒魔術で高位の悪魔がのり移っている。バチカンで悪魔判定を受け、 殺されそうになった所を受けに拾われる。緑髪で金(元々)と赤(悪魔の)のオッドアイ 魔界の王位をめぐる百年に一度の戦いが始まり、攻めは舞台である地上にやってきて、 受けの血に一目ぼれ。受けは吸血鬼ふざけんなと追い出すが、そうこうしてるうちに 他の妖怪がやってきて男の子を襲おうとする。受けはとっさに身を挺したが、古傷が 開いてしまう。そんな中攻めがやってきて「お前の血吸わせたら助けてやるよ」と言い、 受けは渋々吸わせることに…。攻めはパワーアップして妖怪を倒す。 こうして攻めと受けと男の子の同居生活が始まる。 こんなんです。神父さん受けっていいよね。 ページ最上部へ