約 194,481 件
https://w.atwiki.jp/83452/pages/11590.html
律「えーそれでは、学祭ライブのボーカルをだれにするか、なんだけど……」 澪「はい!」 律「なんだ、澪」 澪「わたしにやらせてください!」 唯「……!?」 紬「……!!」 律「……マジすか?」 澪「マジです!」ふんすっ 紬「澪ちゃん、むりしなくてもいいのよ?」あせあせ 唯「……ん。わたしがやってもいいから……」 澪「いや、ぜったいわたしがうたう!」めらめら 律「だっておまえ、カラオケですらいやがってたくせに……」 澪「……みんな、このうただけは、わたしにまかせてほしい」 唯「澪ちゃん……」 澪「これにはとくべつな思いがこめられてるんだ。だから……」 律「澪……わかったよ」 律「んじゃー、ボーカルは澪でけってーい!」 澪「律、ありがとう」 唯(……澪ちゃん、なんかもえてる) 唯(……あたりまえだよね。軽音部さいしょのライブなんだから) 唯(わたしも、じぶんにしかできないことをがんばらなくちゃ!)ぐっ 唯(……でも) 唯(わたしにしかできないことって、なんだろう。うーん……) 律「唯、澪にほれなおした?」によによ 唯「そんなわけないでしょ」ぷいっ 紬「あのー」 律「はい、どったのムギ?」 紬「ライブの衣装について、なんですけど……」 澪「せいふくじゃないの?」 紬「父の経営するおみせから、こういうのかりてきたんだけど……」ひょい 律「……おお、ヒラヒラ」 澪「そ、そんなのきて、演奏するの?」がくがく 律「とりあえず試着してもらおうぜ、唯に」にたり 唯「ほえ?」 数分後! 唯「~~~~~」ぷるぷる 律「んふふ、すっごくにあってますわよ唯ちゅわん」うぷぷ 紬「かわいいわぁ、唯ちゃん!」にこにこ 澪「……ゅぃ」 唯「……あ、あに?」がうー 澪「かっわいいいよぉぉおおおお!」だーいぶ 唯「わああぁあ!?」びっくぅ 澪「ゆーい、んー」すりすり 唯「は、はにゃして……じゃなくて、はなして!」ぺちぺち 澪「やーだ!律、カメラカメラ!」 律「おうよ!まーかせとけ!」 唯「~~~~~!!!!」ばたばた 澪「唯、ほらわらって!カメラのほうむいて!」 唯「……う、う……」 澪「んー?」 唯「うなー!」どぅん 澪「ほああああ!?」ぽてっ 紬「衝撃波!?」 唯「わたしぜったいきないからね!」うがー 律「どーしてさ」 唯「こんなはずかしいのきて、演奏なんかできないもん!」 律「なあゆいー」 唯「いや!」ぷい 澪「ゆーい」 唯「いや!」ぷい 律「ラーメンだけじゃ?」 唯「やだ!」 律「餃子もつけなきゃ?」 唯「やだ!」 澪「すごい拒否反応……」 紬「……えっと、わたしはすごくかわいいとおもったんだけど……」おずおず 唯「うっ」 紬「……ごめんなさいね、やっぱりかえしてくるわね」ぐすっ 唯「ぁ……」 紬「……くすん」 唯「……」ぎゅ 紬「唯、ちゃん?」ぐすっ 唯「……やっぱり、きてみるよ」てれてれ 紬「……ありがとう、うふふ」にこー 律(ムギが泣きおとし……) 澪(おそろしい子) 澪「ゆいー、こっちむいてー」 唯「てい」べし 澪「あてっ」ひりひり 唯「とっていいなんていってないもん」つんっ 律「そーだよなー。撮影料をもらうけんりがあるよなー」 澪「……しかたないな、唯」 唯「ん?」 澪「……」ぎゅー 唯「!?」 澪「撮影料、たしかにはらったよ」 唯「~~~~~!!!!」べしべしべしべし 澪「いたいいたいー」 律「きょうはそろそろかえろーぜ」 澪「唯、いっしょにいこ」 唯「……んん。さきにかえってて」 紬「どうして?」 律「……ははーん」 唯「な、なに?」 律「唯さては、澪の体操ふくをくんかくんかしたり、縦笛なめた」 唯「……っ!」ぼこっ 律「ガハァ!」 唯「もー!もー!」 律「す……すみましぇん」けほけほ 紬「もう、りっちゃんたら」 澪「こんなにかわいい唯が、そんなことするはずないだろ」なでなで 唯「……」ぷい 澪「えっ?」 唯「じ、じゃー。またあしたねー」とてとてとて 律「ほれ澪、かえっぞー」 澪「……んー」 紬「どうしたの?」 澪「ちょっと、わすれものしちゃった。さきいってて」 律「やれやれ」 澪(……唯) 部室前! 澪(なにしてんのかな、唯のやつ)こそこそ 澪(そーっと、そーっと……) 澪(……あ) 唯「♪~~~」じゃかじゃか 唯「♪~~~」じゃんじゃん 唯「……はあ」 唯「……んん」ふるふる 唯「……」 澪(……唯?) 翌日! 澪「♪キミを見てると、いつもハートド」 律「みーお!」ひょこっ 澪「ほあっ!?……な、なんだよ律」 律「ボーカルのれんしゅー?はりきってんな!」 澪「え?ああ……」 律「どったの?おねーさんに相談してみ?」うりうり 澪「おまえの体系のどこがおねーさんだ」 律「その発言はひどい!」おろろーん 澪「……きのう、唯がさ」 律「うんうん」こくこく 澪「のこってれんしゅーしてたんだ。ひとりで」 律「ほうほう」こくこく 澪「だから、わたしもいてもたってもいられなくなって」 律「なるほどなー」 澪「……唯、だいじょうぶかな?」 律「なにが?」 澪「なんか、なやんでるようにみえたからさ」 律「そうかあ?」 澪「唯……」 学祭当日! 澪「ついにこの日がきた」 澪「……というのに、部室にだれもいないのはどういうわけだ!」ぷんぷん 「いらっしゃい、やすいよやすいよー」 澪「この声……」 唯「はい、おじょうちゃん。焼きそば一人前」 澪「ちょっと、唯。学祭まえだしれんしゅ」 唯「あ、澪ちゃん。……たべてく?」てれり 澪「たべてくー!」 唯「はい、焼きそば一人前」 澪「……」ぷるぷる 唯「澪ちゃん、かおにやけてて気持ちわるい」ぷいっ 澪「……え、そ、そうかな」によによ 唯「たべないの?」 澪「たべるたべる!」 唯「……」じー 澪「……おいしい!」 唯「~~~~~」ぱああぁぁあ 澪「んー、ほんとにおいしいな」 唯「……ん」ひょい 澪「え?あーん」ぱくっ 唯「~~~」てれてれ 澪「もっとくれる?」んぐんぐ 唯「……甘えんぼ」ひょい 澪「あーん」ぱくっ 唯「~~~~~」どきどき モブ「ゆいー、しごとしてー」 唯「ごめんごめん」 澪「唯もあーんして」 唯「ぃーや」つーん 澪「つめたいのー」 モブ「唯は秋山さん本人をいただくもんねー」によによ 唯「~~~~~!!!!」ばしばしばしばし モブ「あだだだだ!?」 澪「唯、ヘラでたたいちゃダメだよ!」あせあせ 「ありがとございましたー」 澪「むふふー、お腹いっぱい」ほこほこ 澪「……あれ?」 澪「わたし、なにしにきたんだっけ?」きょとん 澪「……はっ!れんしゅー!」 律「はいどうぞー」 澪「ちょっと、律!」 律「おー澪、いそいでどったの?」 澪「わたしたちライブだろ?本番まえに、ちゃんとれんしゅーしておこうよ」 律「あーごめんな、当番おわったらすぐいくから」ぺこり 澪「ムギは?」 律「こんなか」 【まよいのもりのお化けやしき】 澪「……」 お化けやしき内! 澪「……む、ムギー。どこー?」 ギャアアアア! 澪「ひぃっ!む、むぎぃ……」うるうる 紬「澪ちゃーん」 澪「あ、ムギ。よかっ」 紬「ばあー」 澪「ほあああああ!?」 そのころ…… 和「ゆーい」 唯「あー、和ちゃん」ぎゅう 和「ライブのれんしゅーしたいでしょ?そろそろいっといで」 唯「えーでも、まだ当番が……」 和「いいっていいって」 唯「でも、しごとなげだすのはちょっと……」 ほああああ! 唯「澪ちゃんの悲鳴だ!ちょっといってくるね!あとよろしく!」とてとてとて 和「……」 紬「澪ちゃん、わたしわたし!」 澪「いやああ、みえないきこえないみえないきこえないー!」がくがく 唯「てりゃあああ!」 澪「ゆ、唯!?」 唯「澪ちゃんいじめるなー!ていてい!」ばしばしばしばし 紬「いたいいたいー!」 客「……なにごと?」 2
https://w.atwiki.jp/osananajimisanbon/pages/188.html
スーパーに二人で行った帰り道のこと。 俺「あいつ、一人で平気なのかな」 男の子が一人でフラフラ歩いているのを見つけた。 幼「お母さんがあそこにいるでしょ」 俺「あれお母さんなの?」 幼「目を光らせてるじゃん」 俺「俺には分からんがな」 幼「顔も似てるじゃん」 その子はしばらくは大人しく花屋の花を眺めたりマックの前のポケモンの絵を眺めたりしていたが、横断歩道の方へトテトテと歩きだした。 親「かず!」 母親が大声で子供を呼び注意すると、とたんに立ち止まって慌てて引き返した。 急に大人しくなって母親の横を歩くようになる子供。 幼「あの子もかずなんだ」 俺「へえ、ちゃんと止まるんだ」 幼「当たり前でしょ」 俺「そういうもんか」 幼「そりゃそうよ」 俺「今度はずいぶん母親にくっついてるな」 幼「手を繋ぎたいけどまだ怒ってるかなーって思ってるね」 俺「そうなの? 怒られたばかりなのにこわくないの?」 幼「和君は子供の気持ちが分かってないね」 俺「そうかなあ……」 ◇ 俺「あいつ、何歳くらいだったんだろ」 幼「三歳か四歳じゃない?」 俺「えっ、三歳であんな歩けんの?」 幼「あんたなんも知らないのね」 俺「いつ頃に歩くのかとか喋るのかとか全く知らん」 幼「そんなんで子育て出来るの?」 俺「どうだろね」 幼「どうだろねじゃないだろ」 俺「不安はあるよね」 幼「まあね」 俺「……」 幼「……」 俺「でも、みおって結構子供のこと分かるんだね。女っぽいね」 幼「ぽいってなんだよ」 俺「いや、母性的みたいな意味でさ」 幼「ふん」 俺「なにそれ、その怒り方かわいい」 幼「かわいくないです」 俺「かわいいのに」 ◇ それからしばらくしたある日。 俺「ふふ」 幼「携帯見ながらニヤニヤするなよ」 俺「いや、 『上野駅前でやってる募金ってちゃんと伝わってるか分からないから募金したことない。ちょろまかしても分からない』 って感じの書き込みがあってさ。 『あの募金箱ならちょろまかしてこっそり俺の病気の妹の治療費にしてるよ』 ってその後書いた奴がいて、俺明日から募金するわって」 幼「あはは」 俺「俺もあの募金はいつも無視してるな。知らない人と話したくないし」 幼「そんな理由かよ」 俺「昔、あれとは違うけどパチンコ屋の換金所の前で募金お願いしてる奴がいて頭良いなと思った」 幼「それなんか気まずいな」 俺「遊んでる奴らはな。 俺は必死でやってるから『なんでスロットで頑張って稼いだ金をやらにゃならんのだ』ってふんぞりかえって並んでたけど」 幼「あはは、それ挙動不審だから」 俺「こんなんでずっと並んでた」 オーバーにふんぞりかえってみせる。 幼「バカでしょ、あははは」 ◇ 俺「上野駅って募金とか署名とかしょっちゅういるけど、今だとネットメインで募集した方が早そう」 幼「うん」 俺「なんか難病の子供がいる親が数千万とか集めてるじゃん」 幼「知ってる知ってる」 俺「あれすごく無駄だよね」 幼「そう?」 俺「だってさ、よくミルクがこれだけ買えるとかあるじゃん。 たった百円で恵まれない国の子供のためのワクチンがいくつ買えるとか注射器が何本とかさ」 幼「うん」 俺「一億集まれば何人救えるんだって話でしょ。 俺も日本人好きだけど、外人百人助けるより日本人一人助けようってのはさすがに気持ち悪いよ」 幼「でも自分の子供がそうなったらなんとしても助けたいっての分かるよ」 俺「親はまあ分からなくもなるけど手助けする側がよく分からん」 幼「自分にも子供がいるから気持ちが分かるとかでしょ」 俺「それにしたってなあ」 幼「もう良いよこの話」 俺「はは、たしかに」 ◇ 俺「お風呂まだ入らないの?」 幼「先に入って良いよ」 俺「いっしょに入らないの?」 幼「いい」 生理はまだのはずだがどうしたのだろう。 俺「なんか忙しいの?」 幼「ううん」 俺「どうしたの?」 幼「……」 俺「何か怒ってるの?」 幼「別に」 俺「ごめんね」 幼「怒ってないって」 俺「じゃあいっしょに入りたい」 幼「……」 俺「先に入って待ってるから、良かったら来てね」 幼「……」 ◇ 体を洗って浴槽に入った頃、みおが来た。 俺「お風呂気持ち良いよ」 幼「うん」 俺「……」 幼「……」 みおが体を洗い始める。 俺「……」 幼「あのさ」 俺「ん?」 幼「和君、自分の子供がちょっと変だったらどう思う?」 俺「俺に似てブサイクだったらってこと?」 幼「違うでしょ!」 俺「うあ、ごめんなさいっ!」 幼「もう……ふふ」 良かった、少し笑った。 俺「ちょっと変って何?」 幼「色々だけど、体がちゃんとなってなかったりとか、病気だったりとか、目が見えないとか」 俺「ああ、障害者みたいな?」 幼「うん」 俺「正直な話、めんどくせえなって思う」 ◇ 幼「正直に言ったねえ」 俺「だってさ、耳が聴こえないとか分かって全く気にしない人ってほとんどいないだろ。 なんか『五体不満足』の作者の母親が子供のことを知らされた時は 『なかなか子供を見せてくれないから死んじゃったのかと思ったから生きてて良かった』 って感じだったと思うけどさ、それびっくりしたからその部分だけまだ覚えてるもん」 幼「へー」 ちなみに、かなり前に一度読んだだけなので内容はたしかか分かりません。 俺「普通びっくりしない? 足がないんだよ?」 幼「びっくりする」 俺「その時に、育てるのめんどくさそうだなって思うでしょ大体の人は」 幼「それは思う」 俺「だよね」 幼「育てたいと思うと思う?」 俺「子供が産まれてみなきゃ分からないなあ。 レベルにもよるしさ」 幼「そうだよね」 俺「普通の赤ちゃんでさえ育児ノイローゼになったりするんだから、さらに手間がかかるなんて想像出来ないし」 幼「だね」 俺「みおはへっちゃら?」 幼「そんなことないよ」 俺「……」 幼「そんなことないけど、和君がいっしょ……くしゅん」 俺「ふふ、とりあえずお風呂に入りなよ。いつまで体を洗ってんのさ」 ◇ 幼「あったかい……」 俺「うん」 幼「和君さ、子供ほしい?」 俺「みおがほしいならほしいよ」 幼「私がほしくないって言ったら?」 俺「そしたら別に子供いなくても平気」 幼「どっちでも良いんだ」 俺「いや、どっちでも良いってんじゃなくてさ。 64とプレステどっちにしようか迷ったからみおはどっち買うか聞いてみよって感じ」 幼「同じじゃん」 俺「違う違う、もうどっちが良いかは決めてるんだけど優柔不断なんだよ。 みおに最後の一押しをしてほしいの」 幼「どっちに一押し?」 俺「子供ほしいほうに」 幼「本当?」 俺「不安はあるけどね。 でも、この前の時に怒られてしょげてる子供見たらやっぱりほしいなって改めて思ったよ」 幼「男の子でも良い?」 俺「男だったらインドア派が良いな。子供のサッカーの試合とか見に行きたくないし」 幼「あはは」 俺「……俺、花屋でサボテン買ってあっさり枯らしたことあるんだけど大丈夫かな」 幼「私が全部やらされるんだろうな……」 俺「頑張ってね」 幼「そこは『俺もできるだけ手伝うから』とかでしょ」 俺「俺もできるだけ手伝うから」 幼「遅い」 ◇ [事後] 俺「みお……キス……」 幼「ん……和君の甘えんぼ」 俺「だって、みおさっきすごく怒っちゃったかと思って」 幼「和君ってあの時の子供といっしょだよね」 俺「じゃあ子供が出来たら友達になれるかもな」 幼「友達になってどうすんだ」 俺「俺はお父さんと友達だけどな」 幼「お父さんはこわくないと」 俺「うちみたいに母親がこわければ平気だよ」 幼「えー、私?」 俺「絶対お前が怒った方がこわいよ。いけるいける」 幼「それどういう意味よ」 俺「あ、いや、違う違う」 幼「ふん」 俺「その怒り方はかわいいんだよな」 幼「みょうなものを気に入るなバカ」 俺「バカバカ言ってくれてる内は安心」 幼「このバカすぐ調子に乗るんだから」 俺「大好き」 幼「うるさいバカ」
https://w.atwiki.jp/3edk07nt/pages/157.html
深淵……とは、こんな場所のことを指すのだろうか。 何もない、茫漠たる世界。天地方角の区別すら、ここでは無意味かも知れない。 唯一、想像と違っていたのは――この世界が漆黒の闇ではなく、純白だったこと。 まるで、ヨーグルトの中を漂っている気分だった。 何かをしなければと思う傍ら、何もしなくていいよと、怠惰な心が囁く。 (そうだね……どうせ、何もない……誰も居ないんだから) 言って、瞼を閉ざした蒼星石の額に、誰かの手が触れた。 不意打ちに驚き、見開いた眼差しの先には、翠星石の穏やかな笑顔があった。 いつの間にか、姉の膝枕で微睡んでいたというのか。 蒼星石は、自分の髪を撫でる彼女の温かい手を、両手で握り締めた。 「……姉さん。ボク達、ずっと一緒に居られるよね?」 その問いに、翠星石は悲しげに目を伏せ、妹の手を振り払った。 「それは……出来ねぇです。だって、私は―――― 愛する人と、結婚するですから。蒼星石とは、もう……アバヨですぅ」 第二話 『眠れない夜を抱いて』 ひうっ! と息を呑んで、蒼星石は身体を撥ね起こした。 目の前は、真っ白ではなく、真っ暗。 月明かりだけが、レースのカーテンを透き抜けて、部屋の中を照らしている。 「……ひどい夢」 額に手を当てる蒼星石の唇から、溜息と共に吐き出される、呟き。 心身共に憔悴しきった感じの、重苦しい吐息だった。 なんとなく、すぐに寝直すのは躊躇われた。 また、同じ夢を見てしまうのではないかと思うと、横になる気が失せる。 蒼星石はベッドの上で膝を抱えて、背中を丸めた。 多量の寝汗を吸って、びっしょりと湿ったパジャマが肌に触れて、冷たい。 程なく、ぶるっ……と、身震いした。 このままだと、風邪を引いてしまいそうだし、気持ち悪くて眠れない。 どうせ着替えるのであれば、シャワーを浴びてサッパリしようと思って、 蒼星石は枕元の時計を手にした。 「まだ、三時前か……いくらなんでも、起きるには早すぎるよね」 こんな時間にシャワーなんて使ったら、二階で眠る翠星石はともかく、 階下で休む祖父母を起こしてしまうかも……。 だが、悶々としていても埒があかないので、蒼星石は着替えを持って部屋を出た。 ぬるめの湯で汗を洗い流し、髪を洗うと、だいぶ気持ちが落ち着いた。 マイナスイオン効果というのも、ある程度は影響しているのだろうか。 さっきまで頭の中に靄がかかっていたのに、今はスッキリしている。 (寝直すために浴びたのに、目が冴えちゃったら逆効果だね) バスタオルで身体を拭きながら、くすっと鼻先で笑う。 深夜の静寂の中では、そんな含み笑いすらも、大きく聞こえた。 湯冷めしない内に、手早く下着とパジャマを纏うと、 蒼星石は洗面所の鏡に向かい、濡れた髪に櫛を入れた。 ドライヤーは、うるさくしてしまうから使わない。 ――すると、鏡を覗き込んでいた彼女は、ふと、あることに気付いた。 生乾きの、しなだれた髪を撫でつけた自分が、どことなく柏葉巴に似ている――と。 無論、髪の色は違うし、瞳の色だって全く違う。 けれど、全体的な印象が、彼女と重なって見えるのだ。 (柏葉さん……か。どういう人なんだろう) 髪を梳く手を止めて、蒼星石は、鏡の中の自分を見つめた。 以前なら、そこには姉、翠星石の面影がチラついたものだが…… 今は、柏葉巴の姿が見え隠れしている。 悪戯心から微笑んでみると、巴に笑いかけられた気がして、胸の高鳴りを覚えた。 「もう少しイメージチェンジしたら、ボクも彼女みたいに――」 女の子らしく見えるのだろうか。 そうしたら、もっと親しい人が増えるのだろうか。 もし、大好きな姉が自分の前から姿を消してしまっても…… ずっと一緒にいてくれる素敵な人と、巡り会えるのだろうか? そうであって欲しい、と思う。 だけど、そう簡単に自分を変えられないことも、承知していた。 誰かに背中を押されたり、腕を引っ張られなければ、何も決断できない臆病な子。 いつからだろう、そんな自分が当たり前になってしまったのは。 (彼女と仲良くなれたら、こんなボクでも……変われるかも知れない) 今日、学校に行ったら話しかけてみよう。 そんな至極単純な答えでさえ、昨日から考え続けて、やっと導き出したものだ。 「さぁーてと。そろそろ寝なきゃ、明日の朝が辛くなるね」 気を取り直して、浴室の引き戸を開けた蒼星石は、次の瞬間、心停止しそうなほど驚いた。 扉の向こう側に、翠星石が立っていたのだから。 彼女もまた、驚愕に目を見開き、咄嗟に上げた両の拳を、胸元で握っていた。 「ど、どうしたの……こんな夜更けに」 「そ……蒼星石こそ、なんで、こんな時間にシャワー浴びてたです?」 「ちょっと、寝汗かいちゃってさ。気持ち悪かったから」 「私は、喉が渇いて目が覚めたから、お茶を飲みに降りてきたですよ」 そんな他愛ない会話でさえ、なんだか久しぶりに思える。 昨日の夕方、体育館の前で話したけれど、あの時には心が擦れ違っていた。 でも、今は違う。緋と緋、翠と翠、それぞれの瞳が、真っ直ぐに結びついている。 しっかりと、心が通い合っている……そんな気がした。 ほんの数秒、見つめ合っていた二人は、鏡写しのように微笑みを交わした。 「それじゃ、私はもう寝るです。湯冷めに気を付けるですよ、蒼星石」 「うん……ありがと。お休み、姉さん」 「おやすみなさいですぅ」 ひらひらと手を振って、翠星石は背を向け、階段に向かって暗い廊下を歩いていく。 その様子を眺めている内に、蒼星石は、なんだか置き去りにされるような、 どうしようもなく不安な気持ちになった。胸が、きゅっ……と苦しくなる。 待って! ボクを置いていかないで! こみ上げる衝動のままに、歩に合わせて揺れる姉の長い髪に駆け寄り、しっかりと抱きついた。 「そ、蒼星石?」 「ちょっとだけ、こうさせて……」 触れ合った身体に感じる、翠星石の温もり。 とくん、とくん、とくん……。 蒼星石の掌に、姉の鼓動が伝わってくる。そのリズムを感じているだけで、気持ちが安らいでいく。 多分、蒼星石のソレも、翠星石の背中に伝わっていることだろう。 「どうしたですか、蒼星石。怖い夢でも見たです?」 「……うん。姉さんが、遠くに行っちゃう夢」 知らず知らずの内に、蒼星石は抱きしめる腕に、力を込めていた。 けれど、翠星石は文句ひとつ言うでもなく、妹の手に、自分の手を重ねた。 「お願い。ボクを独りにしないで」 「……甘えんぼですね、蒼星石は。私は、いつだって側に居るです」 「ホント? じゃあ、明日は一緒に登校してくれる?」 「いいですよ。蒼星石が願うなら、眠るまで見守っててやるですぅ」 「ありがと……姉さん。でも、大丈夫。独りでも眠れるよ」 『側に居る』その言葉を聞けただけで、蒼星石は満足だった。幸せすぎて、身体が震えてしまうほどに。 だから、姉を捕らえていた腕を解いて、ゆっくりと離れ―― もう一度「お休み」と囁き合っても、もう寂しさを感じなかった。 ――しかし、自室に戻って、ベッドに潜り込んだものの、蒼星石は眠れなかった。 不安のためではなく、歓喜によって気持ちが昂ぶり、目が冴えてしまったからだ。 結局、朝が訪れるまで、彼女はベッドの中で火照る身体を持て余していた。 第二話 おわり 三行で【次回予定】 ――乙女は、自分の弱さを克服すべく、新たな一歩を踏み出す。 その足が踏み締めるのは、幸せな未来へと続く道か。 或いは――――奈落への入り口か。 次回 第三話 『運命のルーレット廻して』
https://w.atwiki.jp/sisigamibangu/pages/246.html
ページ内目次 注意事項 シシガミ・バングpart22より抜粋 バレット側の対策 注意事項 - シシガミ・バングpart22より抜粋 261 :名無しさん:2013/02/19(火) 11 43 52 ID k1y0pcIw0 盛り上がっているところ申し訳ありませんが、どなたかバレット戦で心掛けていること合ったらあったら教えていただきたいです。 長い足に引っかかったり逃げJDに潰されたりして距離感がよくわかりません。を 最近は釘撒いて逃げ回って上をとることを考えてやってます。 262 :名無しさん:2013/02/19(火) 12 51 01 ID QBAoIwyc0 261 中距離で置き気味に垂直J JBしたり、それに対する下からの潜り防止の空中バック切れA釘を主体に私は戦ってます。 私が対戦した相手はこちらの攻めたい所やリバサ、コパン固め辺りにでバックジャンプDをよく使ってきてたので釘と一緒に攻めるか2Aや5Bの先端重ね、空ダ投げを中心に戦ってます。 265 :名無しさん:2013/02/19(火) 13 58 10 ID 12Fo4oA6O バレットは使いやすい対空持ち、地上戦勝てない、慣性A釘が機能しにくい、とバング側が攻めるにはちょいと辛すぎる。 だから、なるべく逃げ中心で相手の空ダの着地に5B差し込んだり、アフターバーナーに3C突っ込んだり。 相手の固め回避にバクステ、暴れは死が見えるので、きっちりバリガで離してから逃げよう。 設置とかはどうなんだろう。機能しそうな気はするが。 270 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 17 43 21 ID A0fEXASEO バレット側はバング戦に限ったことじゃないけど前転後転バクステを咎めるのが難しいので、それ多目にされるだけできつい あと5B入れ込んだ2Bを6Dでとると確定、だと思う 参考程度に 271 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/19(火) 18 16 31 ID fF7KKbl6O バレット戦でやってること適当に書きます 突っ込み待ち カッティングシアは発生遅いから詐欺れる&当たっても安いから恐れない 固めでディレイ2B仕掛けると2Bの前進によく噛み合ってしまうが、立ちB先端ならスカる 2回転投げはリーチが短いので先端重ねを意識 スナップハンスフィストされると痛いから無敵技を恐がってバックジャンプは悪手 下段暴れ潰しにディレイ2C、ワンパ野郎にはいっそ3C コンボ時間が短い時のJD〆などは寝っぱ厳禁、寝っぱ狩りからまたJD食らうから起きる 逆にコンボ時間が長ければ少しだけ寝てから起き上がるのも混ぜる 寝すぎると移動起き上がり狩り狙いのH2JDが補正切れる形で刺さって7000だからだめ H1立ちD、H2立ちDJDはガード後は不利だし我慢が安定 ガーキャンはスカりやすいので次に下段がある場面ではだめ リバサ阿修羅はよくあるH2赤ロックJDに相殺するのであんまよろしくない 固めにはバリ直とバクステ、小技暴れと入れっぱは負けやすいからだめ H2での6D2Dの2択はバクステ引っ掛かるからだめ。がんばって阿修羅出す 立ち回りのJDはH1,2あるなら空中ガードして吐かせる 変な場所でJDしてたら高いなら着地硬直を狙う、低めで狙う相手でバーストあるならいっそ空投げ仕掛ける 昇り空投げはJAJCよりは信頼できる…絶対に勝てるとは言わない 立ち回りは普通に殴り合うだけだとJAJC2B6Bだけで何も起きないくらいしんどいから 相手のHを溜めさせないように牽制しつつ逃げの立ち回り アフターバーナーは相手がアホなら3C確る位置でやってくれるから見逃さないこと ガンフレ飛んだりして、地上にいなくても見てからキレA釘して着地立ちA差せる H2まで溜められちゃったら再点火だけ咎めるつもりでガン逃げ 15カウントくらい。JDとスナップハンスフィストには気を付ける 相手に追わせるようになったならようやく牽制で勝てる部分が出てくる 起き上がりに仕掛けてくるめくりJDは4ABDで表なら立ちバリア裏なら6DC転移とかできねーかな? そもそもバレットJDを立ちガ空ガしかしたことないから6D取れるかわかりません 214214ABは釘設置あるせいで阿修羅出てくれないし双漏れることもある 立ちDやODはまだ試してない 274 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2013/02/20(水) 02 40 59 ID GWeSbi8s0 バレット戦。バングのバクステでもそこそこ固め抜けれたはず 全体的にバックジャンプD固めやめくりDとかがめんどい、地上の足リーチ、空中技の判定強い 起き攻めは中段や詐欺重ねが多めで、受身狩りもたまにやってくるけど 中央では割り切って逃げた方が相手も嫌がりそう。 まずバングをさわること自体大変。アフターバーナーも3Cfcあるし出しにくい。 技の判定は強いと思うので逃げ気味に釘意識させて、差しこみメイン てか今作逃げ気味に立ち回るってのが共通の対策になるキャラ多いな… 540 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2013/03/14(木) 01 31 18 ID m3fbYHGw0 3Cfc狙い意識して立ち回りでアフターバーナー抑止することかな やっぱり3CrcブッコミとD釘ダッシュやるだけで地上の間合い戦はいけると思う 近距離間合の2Bが長いので地対地ので差し合いはやや不利 バレット戦疾風撃確かに抑止に強いから一度見せて地上に張り付いた所を ぶっこんでいくのがいいか 657 名前:名無しさん[] 投稿日:2013/04/05(金) 00 40 06 ID a4sYKBFk0 ↑すみません途中でした 対バレット戦でDでダウンをとられた後リバサではどんな行動がよいのでしょうか? 658 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2013/04/05(金) 01 31 56 ID 1Z6ND2YI0 バクステとバリア直ガ この2つが安定しやすいって覚えておくといいよ コンボが短い時のD系統〆 寝っぱ潰しからコンボ入ってJD〆されるから即ニュートラル起き 寝っぱ潰し用に下段振ってるなら、即ニュートラル起きからのバクステも通りやすい 読まれたら当然空ダJCやリーチ長い攻撃合わされて負ける コンボが長い時のD系統〆 多少寝てからの移動起きが通りやすい…ように見えてJD赤ロックが通ってしまう JD赤ロックは暴れ・阿修羅・大噴火に勝つので出してはいけない ちょっと寝てからニュートラル起きだと、詐欺飛びJCのタイミングを取りにくくなる 659 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2013/04/05(金) 01 55 44 ID LEz/05C60 被固め バレットの5C止め+-0 6C、2C、3Cまで入れ込んでるなら全部直ガして5A 5D 6D中段 2D下段レベル1はガードしてバレット不利なのでガード後5A 赤ロック時は基本バレットFかなり有利 中段6Aの後のガトリングは5C一つだけ 779 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2013/05/03(金) 22 42 44 ID NCrL1ta20 このスレだけでも 261-274 538-540 657-659にバレット対策あるから見てみてね 「バレット2B強すぎる!」低姿勢下段はCTから天敵。仕方ないね。 2BのせいでJB通らない…そもそも2B除いても対空6B・空対空JAでも対空がゲロ強いバレットに対空出せるタイミングで飛び込むのが甘えんぼ あえて悪いタイミングで飛び込むならば、対空を空振りさせるように釣るイメージで 2Bのせいで暴れ辛い…2Cで暴れ潰ししよう フリント撒き バーナーにはフリント警戒して見てから垂直ジャンプしてバーナー見てから空ダJBかキレA釘 H2だと逃げ切れない?技振らないでハイジャンプでガードしながら飛んでたらいいだけだと思うよ いくら赤ロックがバレット有利とは言っても空中ガードしたら何も起きない やばい時だからこそじっくり立ち回る 付かず離れずの距離にいればバレットもそう簡単にヒートレベル維持・上げられない バレット側の対策 (記事募集中)
https://w.atwiki.jp/jososs/pages/31.html
会食彼女 (「偽装彼女」シリーズ・短編) 学生街のファミレスは安くて美味い。 奥のボックス席に向かい合わせに座り、俺がステーキののったハヤシライスを、相手は マグロのづけ丼を注文。ほっそりした清純派美少女がデート中に頼むモノではないが、現 役男子高校生は腹が減るのだ。 割に合わないドリンクバーはスルーし、代わりにシーザーサラダの大皿をシェアして食 べる。 白いハイネックや真新しいえんじ色のワンピースを汚さないようにか元々お行儀が良い のか、嫌味がない程度のテーブルマナーで須藤はドレッシングのかかったレタスを取って いく。ベーコンもクルトンも半分こ。 俺も腹が減っていたのでそれなりに食べながらではあったが、初めて見る奴の食事風景 を楽しんだ。大人しそうな見た目でも中身は年相応に食欲旺盛。白いドレッシングが赤い プルプルの唇に付いて、エロいなあと思ってたら舌先で舐めてしまった。 フォークを口に運ぶ手つきは危なげないどっかのお嬢様そのものなのに、食べる量はや っぱり同級生の野郎だった。 愛想のないウェイトレスも気にせずに、運ばれてきた料理をモリモリ食べる。トロ盛り もメニューにあったので「マグロ好きなの?」と聞くと、「一番食べやすい」と短く返し セットの味噌汁を音をたてずに啜った。シジミは美容に良さそうだ。 俺の食べるデミソと半溶けチーズが絶妙なハヤシライスもなかなかだが、上にのった肉 が特に美味かったので丼と少し交換する。ニンニクだか玉葱だかのソースが絡まってて、 噛むと肉汁がジュワッとして、ステーキだけでも美味い。奴の食べてた飯盛も、甘すぎず しょっぱすぎない醤油だれが染みてて飽きがこない感じ。 もりもり平らげてデザートを注文。どうせあとで俺の部屋でレシート付き合わせて割り 勘するので、お互い食欲のおもむくままだ。 「美味かったー」「うん」と空の皿を見送り、俺のパフェが来たあたりで色気のなさに ようやく気付く。これじゃあ部活帰りのスポーツ少年だ。 締めは洋風なのか、自分の注文したホットケーキを待つ須藤に声をかけた。 「来るまで食べる?ほれ、イチゴあーん」 「…要らない」 首を振って水を含み、厨房を気にする優等生。エロい意味じゃなく落ち着きない様子は なかなかレアな気がする。 「今焼いてんだろうから、一緒に食いながら待ちゃ良いじゃん」 「一人で勝手に食べてろよ」 俺にはうるさそうに吐き捨てて、出てきたウェイトレスを目で追う。仏頂面の女の手元 を凝視してから期待が外れたような顔をした。残念、別のテーブルのだったみたい。 「…ホットケーキ好きなん?」 なんとなく聞いてみただけなのにピクリと肩を震わせて、見向きもしなかった俺にゆっ くり向き直る。気にしてないよぅ、単にちょっと見てみただけだものー、とその仕草で超 アピール。わざとらしすぎだ。 「いや、そんな…それほどでも、ないけど」 「じゃあこのパフェと交換して良い?」 「………」 「…好きなの?」 あきらめたように首肯する女装イケメン君。別に気にするほどのことでもないと思うの だが、ウキウキしてたのが俺にバレて悔しいみたいだ。 そんな顔して、俺がつつかないわけがない。 「へぇ~」 アイスの層を終えてパイ生地にスプーンを差す。コーンフレークだと裏切られた感がある んだけど、こっちのサクサクは食べごたえがあってかなり嬉しい。 「ユカちゃんはホットケーキが好きなんだぁ?可愛いですねえ~」 「っ…お、お前だってそんなん食べてるじゃないか!」 人目を気にして、押し殺した声で反論してくる。赤いヘアピンでセミロングのサイドを 留めてるから、赤らんだ目の縁がよく分かった。 「いっつもツンツンしてるのに、フワフワのケーキが好きだなんて、ユカちゃんってば面 白いなあ。今度ケーキバイキング行こっか?」 「別にケーキ全般が好きなんじゃない!ホットケーキ!」 「おまたせしました」 素敵なタイミングで店長っぽいおっさんが、自ら宣言した少女の前に湯気のたつ皿を置 いた。ご立腹だった奴は途端に俯き、小さな声で「ありがとうございます」と言う。 「ごゆっくりどうぞ」 その愛想の良さを店員に分けてやってくれと言いたくなるような笑顔で、おっさんは伝 票を置いて離れて行った。 「食べないの?ずっと待ってたのに」 「…うるさい」 しばらく下を向いてたが、生クリームとストロベリーソースをパイのかけらと混ぜなが ら見ていると、おもむろに白い手がナイフとフォークをそれぞれ掴んだ。 二段重ねの厚いホットケーキに、バナナとイチゴが生クリームとチョコシロップに飾ら れのっかっている。下段には何も塗られてないのか、メイプルシロップの小さなポット付 きだ。 コテコテしたのよりシンプルなのが好きみたいで、大きな皿の中で慎重に上段をずらし、 何も付いてない生地を一口分切る。そういえば、普通のホットケーキはメニューになかっ たかもしれない。 きつね色に焼き上がった湯気をたてるそれを、軽く息を吹きかけてから食べる。キスす るみたいにすぼめられた小さな唇が開かれ、ぱくりとケーキを含んだ。 もぐもぐ、ゴクン。向かいの俺を気にして無表情を装ってはいるが、皿の上を見つめる 奴の顔は意中の相手に薔薇の花束をもらった少女のようだ。なまじ顔が良いから、無駄に 背景を描き込むことができる。 黙々と食べ進める奴を見ながら俺はパフェを完食。水を飲んでから、上段を果物をのせ たまま品良く切り分ける相手に再び声をかけた。 「一口もらって良い?」 「………は?」 うわ怖い。なんか怖い。お楽しみを邪魔された奴の背景から点描や花柄トーンは消え、 社会の底辺でも見るような目で俺を射る。彼女のこんなまなざしなんて初めてっ! 「だって、ユカちゃんてばすんごい嬉しそうに食べてんだもん。下のが好きみたいだから 、俺は上のでいっから」 「……仕方ないな」 奴が折れたのは、絶対セリフの後半部分のせいだと思う。 「あ、違う違う」 テーブルのペーパーナプキンでフォークを拭い、ナイフとそろえて皿と共に差し出そう としてきた奴を制止する。 「食べさせてよ」 「…はぁ?」 いよいよ彼女、いや彼の目つきは厳しくなった。 「お前、気は確かか?そんな…は、恥ずかしい真似できるか!」 押し殺した声で冷たいことを言うので、俺は大げさに溜め息をついてみせる。 「あーあー、ユカちゃんこないだアイス食べた時は『食べさせて』って甘えんぼさんだっ たくせに、俺にはしてくれないんだ?覚えてる?こないだ『あーん』ってさぁ…」 「わ、わかったから!わかったから声大きい!」 カウンター席の客に興味本位に振り返られてるのに気付き、慌てて皿を引き寄せた。先 ほど切り分けたのにたっぷりクリームとイチゴをのせてくれる。 そろりと掬い上げ、俺の口元へ。離れているので中腰になって身を乗り出してきた。ソ ファでなければ、裾の短いワンピの中が丸見えだったろう。 「……ほ、ほら。早く食べろよっ」 羞恥にフォークを持つ指も、その下に添えた手も震わせながら黒髪美少女は促す。 「俺がやってあげたの覚えてる?同じみたくしてよ」 「………そ」 「……忘れたんなら再現してやるけど」 「ぁ……っあーん!ほら、あーん!」 「そんなのできるか」と紡ぎかけた唇を震わせながら、奴は憎い相手に甘いホットケー キを差し出した。 「はい、あー…」 チョコシロップの染み込んだ生地に食らいつき、咀嚼する。舌でつぶせるイチゴの酸っ ぱさがクリームの甘みとマッチしていて、なるほどたしかに美味い。ほんのちょっぴり塩 味のあるホットケーキ独特の風味が、とってもノスタルジーだ。 差し向かう相手は、白い頬を上気させた黒髪美少女。カウンター席の横を通れば誰もが 注視してきた、そんな誰もが羨む「女の子」に恋人ごっこをさせている。 学校ではクールな王子様の須藤豊が、女装して同級生の野郎とファミレスデートだなん て、誰が知ってるというのだろう? 恥ずかしさに先程までの満足感もすっかり吹っ飛んでるっぽい相手に、俺はニッコリ笑 って「ごちそうさま」と言う。 「…んじゃあ今度は、バナナんとこが食べたいなあ?」 腹が減ってたからこの配置で座ったのだが、なかなか悪い選択じゃなかったみたいだ。 (おしまい)
https://w.atwiki.jp/nannvro/pages/18.html
ニート キモイ歌を歌える配信者 デコスケ氏などとスカイプしながらの配信も多い。 甘えんぼうな一面がある PC購入を考えているようだが今世紀中には選べないだろう。 漢字がちょっぴり苦手 欲望を抑えられない人。俺TUEEE鯖じゃないと無理? ニートの妄想を抑えられないんだ…。
https://w.atwiki.jp/ercr/pages/1602.html
発売日 2004年2月13日 ブランド 祭企画 タグ 2004年2月ゲーム 2004年ゲーム 祭企画 キャスト 三咲里奈(妃乃沙智),相模真(妃乃藍子),みすみ(妃乃和海),木村あやか(妃乃環),細田なな(忍野しのぶ),一一(ゴドー) スタッフ キャラクター原画:岩本幸子 シナリオ:池かなた 企画・監督:龍圭介 プログラム:casper 音楽:TAMA スクリプト:もぐたん CG監修・画面デザイン:fals CG彩色:月波☆ゆう,伊藤タテキ,ねこいち,天原たつや 背景作成・背景彩色:studio outline,橋本慎一,加納保宏 ムービー制作:彩塚ましろ テストプレイ:岩魚みか,大塚チカオ,葛飾マサーキ,夜半都治 スペシャルサンクス:lavel seven,ルゴシエラ,(有)らぴす,鈴木メルシー健太郎 プロデューサー:たしろひよこ 製作:祭企画 EDテーマ 「Sweet×Sweet」 歌:キラ
https://w.atwiki.jp/yurupedia/pages/2233.html
くくりん 携帯画像 都道府県 千葉県 肩書き 九十九里町イメージキャラクター 公式サイト http //www.town.kujukuri.chiba.jp/0000001283.html 解説 生まれも育ちも九十九里町。甘えんぼうで人なつっこい。おじいちゃんは 伝説のにゃーふぁー(猫のサーファー)。 攻略難易度 ★★★中。九十九里町のイベントにて。 名刺の有無 ? 狙い目イベント イベント情報
https://w.atwiki.jp/enda/pages/17.html
えんだぁとは、どんな人だったのか!? あるときはドラムを愛し、あるときはギターを愛し、さらにサングラスを愛する好青年。 外へ出るときは必ずサングラス着用する。←(サングラスは俺のトレードマーク)本人談 ある日のこと 買い物に出掛けるため、サングラスを着用し、いざ大阪 日本橋へ・・・ 目的の物を見つけると店員さんを呼んで、「にぃちゃん、これまけてんか?(値引きしてくれないか?)」と一言。 そんなサングラスを掛けた怖いお兄さんに言われると、店員さんもすぐさま電卓を取り出すしかない・・・そんな日常・・・ と、まぁ配信ではそんな感じを微塵にも出さないお茶目なえんだぁさん。 これが本当なのかは闇の中・・・えんだぁさんに直接聞いてみると教えてくれるかもね!? えんだぁchは、体調が許す限り、リスナー様の要望に応えていく配信です。 しかし、大阪ではこんなことが日常茶飯事に行われている。
https://w.atwiki.jp/oyatu1/pages/226.html
「ただいまー」 「おじゃましゃ~すぅ」 学校帰り、私はかがみの家に遊びに来ていた。 「私昨日のテスト勉強で疲れてるから、今日は教えられないわよ」 「いいともさ~。私はかがみの宿題さえ写してもらえればいいんだからね!」 「やっぱり写すんかい!!」 私が宿題を(写)している間に、かがみはポッキーをくわえながらおやつを持ってきた。 「はいどーぞ」 「お~かがみん有り難や」 「あ、かがみ口にチョコ付いてるヨ」 そう言って私はかがみの口のチョコをぬぐって、自分の口に入れる。 「甘い…」(これはかがみとの間接キスだね…♪)私は一人で顔を綻ばせている。 案の定、かがみの顔が赤くなって慌てている。 「なんだか眠くなってきたわね…」 「かがみが寝たらイタズラしちゃうよ♪」 「や、やめなさいよ…」 そう言ってかがみは横になる。 「おやぁ~ホントに寝ちゃうの~?いいのかな~?」 「…勝手にしなさいよ」 しばらくして、かがみの方を見るとベッドですやすやと眠ってしまっていた。 私はベッドの横からかがみの顔をじっと見つめる。いつものかがみならよく怒ってくるのに、 今は何も言い返してこない。 「うんうん、やっぱかがみは可愛い顔してるネ♪むふふ~イタズラしちゃうぞかがみん」 イタズラッ子の顔で、かがみの頬をつつく。 「寝ている女の子にほっぺたツンツンするシチュがまた萌えるんだよね~」 「…んん、あんた、またチョココロネなの…たまには弁当ムニャムニャ…」 「おお…さすがかがみ。寝言でもツッこむか…」 そしてまたじっとかがみの顔を見つめる。すーすーと気持ちよさそうに眠るかがみ。 意外と幼い寝顔に、二つに結んで流線形に伸びてつやのある髪。自分の中で 何かいつもと違う感情が溢れてきている。 「かわいい…」 つい口に出てしまった。たぶん、今の私、顔赤い。 かがみの紫色の髪をさわる。 「…きれいな髪の毛」 私はぼーっとしながら呟く。 かがみの顔にそっと近づく。すると、ほのかに香水のような香りがした。 「いいにおい…」 髪の毛を顔に近づけてそっとにおいを嗅いでみる。 私は目をつぶった。 「あまい…」 「おねえちゃん、こなちゃ…」 つかさがドアの前に立ってる。その顔は真っ赤だ。 私は、硬直して髪の毛は握ったままだ。 「あの、つか…」 「こっ、こなちゃんどんだけーーーーーー!!!」 たぶんつかさは「こなちゃん、いらっしゃい」とでも言いたかったのだと思う。 しかし目の前の予想外の出来事に混乱したのか、つかさは謎の言葉を残して消えていった。 …見られてしまった。 私がポカーンとしていると、後ろに気配が…振り向くとかがみがニヤニヤしながら私を見ている! 「おわっ、か、かがみ様!!?」 かがみは笑いながらこちらを見ているのに、何も言わない。私の顔が熱くなっていくのが分かる。 「あっ、あの、いつから起きてたんでしょうか…?;」 「えーっと、“か わ い い”からかな~?」 「う…(ホトンド全部ジャナイデスカ…)」 「私が寝てるからって、こなた大胆すぎよねぇ?」 「くぅ…(誰がダイターンスリーだ)」 「私、何されるかドキドキしちゃったわよ」 よく見るとかがみの顔も少し赤い。かがみはまんざらでもないようだが、今は明らかに私の方が不利だ…。 「いいにおい」 ボンッ、と私の中で何かが爆発した。かがみはいつも振り回されてばかりなのに、 ここぞとばかりに主導権を握ろうと攻撃を続ける。 「あま~い」 「…!!………!!!」 「むぅ~~~~~~~…」 もう私の頭はケムリを吹いていて、いつものように言い返す言葉が全く出ない。 「どうしたこなた~?♪うりうり」 「う、うるさいもん、かがみのくせに…///」 頬を膨らませて応える。それが精一杯の抵抗…。 その日、私は完全にかがみにターンを奪われてしまっていた…。 次の日、いつもの4人で昼食を食べているとき。 「今日も私のゴハンはチョココロネだよん」 「またか…たまにはちゃんとしたもの食べなさいよ」 「でもチョココロネも甘くて、おいしそうだよね」 「そうよね、たしかに、“あま~い”わよね。」 かがみがからかうように、私に言う。 「うっ…」 「“いいにおい”だもんねぇ?こなた?」 (くそぅ…かがみは昨日に続いてまた私を出し抜く気か…) 「それ、昨日こなちゃんが言ってたよね…」 つかさが顔を赤く染めながら言った。そして、私は開き直ってやった。 「そうだよ~かがみんがあまりにも可愛い寝顔してるからイタズラしてやったんだよ~。 つかさが来てなかったらあつ~いキスをおみまいしてたのになぁ~…」 「なっ…バッ、バカッッ!あんたそんなことまでする気だったの!?」 「そうだよ。だってかがみんのことが“だいすき”だもん!」 「おま…教室内で…そんな大声で言うなぁっ!!!///」 「チューしようよ、かがみん♪」 私はかがみの腕を抱きしめて肩にすりすりする。 「は、は恥ずかしいからゃやめるぉっ!!///」 そして上目使いでかがみを見つめる。 「やだ、…しよ、かがみん♪」 顔を近づけてさらに懐こうとする。くらえ大こなた総攻撃。 「かがみん♪かがみん♪」 「は、離せぇ~!!!」 もう顔全部が真っ赤だ。 (ふふふ、やっぱりかがみんはかわいいねぇ… わたし、いつもよりすごいドキドキしてるけど…ま楽しいからい~や♪) こうして結局、かがみはまたこなたに主導権を取られてしまったのであった。 おまけ 「いいなあこなちゃん…あんなにお姉ちゃんに甘えられて…」 柊姉妹一甘えんぼのつかさが指を加えて、二人の様子を見ている。 「うふふ、本当に泉さんとかがみさんは仲がよろしいのですね」 みゆきがつかさの方を見て言った。 「ねえ、ゆきちゃん…私もこなちゃんみたいに甘えたいよ」 つかさがみゆきの手を握って、顔を赤くしながら言ってきた。 「だめかなぁ…?」 「ええっ!! …わわわ私でよければ…!///」 「ありがとゆきちゃん」 目をつぶってつかさも肩にすりすりする。みゆきは目を点にして赤くなっている。 その様子を見たこなたとかがみは… 「あんた達まで…」 「Wカップルフラグ立ったね!」かがみの腕を取ったままGJポーズを取る。 そしてまたかがみにくっつき、すりすりする。 「かがみん…♪」 おまけのおまけ その時偶然B組の前に来ていたゆたか。 「お、おねえちゃんとかがみさんが…!?つかささんとみゆきさんが…!?!?」 「…てゆうことがあったの…」 「マジっすか!! それはマジっすか!! そんな百合百合薔薇ワールドが広がってたんすか!? 昼間っからラブラブっすか!! 是非その現場お目にかかりたいっす!!! 同人の参考にしたいっす!!!!!」 「ひよりん、落ち着くネ」 完 コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-20 17 12 43) 可愛いなぁ… -- 名無しさん (2012-11-07 16 35 00) たまらんW百合カップル -- かがみんラブ (2012-09-23 18 57 55) 枕詞みたいにさして意味無いものだと思うよ、この薔薇は -- 名無しさん (2011-05-13 14 41 35) 薔薇はないよ→ばらはないか→ばらないか→バラライカ→やらないか→ウホッ!いいこなかが! こうですかわかりません>< -- 名無しさん (2009-12-08 19 36 35) ↓確かに、薔薇は無いネ -- 鏡ちゃん (2009-10-31 22 00 54) ひよりん、薔薇はないよwww。 -- 白夜 (2009-10-13 01 37 09) かがみん主導権すぐ取られたw こなあtだね、うんwww最高。 -- 名無しさん (2009-08-16 18 26 48) 大こなた総攻撃、何という破壊力だwww -- 名無しさん (2008-06-10 22 05 12) 「コンプエース11月号に掲載された時に、『立場を逆にしてみたらどうなるか』って考えて、書いてみた」ものらしい。 -- 名無しさん (2008-04-11 12 40 57) でもアンソロ発売したの26日だぞ? これはだいぶまえの作品じゃないのか? よく分からんが -- 名無しさん (2008-03-31 15 52 42) いや、アンソロを元に作ったんだよ。当時のログから分かる。 -- 名無しさん (2008-03-31 14 07 33) ん…つまりどういうこと?このSSのネタ、アンソロにパクられた? -- 名無しさん (2008-03-30 02 50 19) bヲー、もちろん同一作者ではありません… んで、この後、別のアンソロのSS書いて、それのタイトルが アフタースターになってるのは、偶然ですorz -- 5-974 (2008-03-29 20 01 41) これか!アンソロ見てて既視感があったんだ。同一作者なんですかね? -- 名無しさん (2008-03-29 17 08 54) これいいなぁ ところでらき☆すたのアンソロでこれとほとんど一緒のやつなんだけど一緒の人がかいたんだろうか? -- 名無しさん (2008-03-29 15 53 22) やばwwwww あかん死ぬ萌えるwww -- 名無しさん (2008-02-27 13 41 50)